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【登録タグ 曖昧さ回避】 曖昧さ回避のためのページ レアホースPの曲無色透明/レアホースP ふぁむぅ。の曲無色透明/ふぁむぅ。 曖昧さ回避について 曖昧さ回避は、同名のページが複数存在してしまう場合にのみ行います。同名のページは同時に存在できないため、当該名は「曖昧さ回避」という入口にして個々のページはページ名を少し変えて両立させることになります。 【既存のページ】は「ページ名の変更」で移動してください。曖昧さ回避を【既存のページ】に上書きするのはやめてください。「〇〇」という曲のページを「〇〇/作り手」等に移動する場合にコピペはしないでください。 曖昧さ回避作成時は「曖昧さ回避の追加の仕方」を参照してください。 曖昧さ回避依頼はこちら→修正依頼/曖昧さ回避追加依頼
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【検索用 むしょくとうめい 登録タグ GUMI VOCALOID ふぁむぅ。 む ニコニコ外公開曲 春 曲 曲ま】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ふぁむぅ。 作曲:ふぁむぅ。 編曲:ふぁむぅ。 イラスト ノーコピーライトガール 唄:GUMI 曲紹介 曲名:『無色透明』(むしょくとうめい) 歌詞 (YouTube動画概要欄より転載) 今日は寂しくて 枕を濡らして一眠りしてる 明日が怖くてね 時計を見たくないよ 進む嫌だ 明日が来て怖くなる 独りぼっちだ 肌を涙で濡らす永遠と 誰も止められないや困ったなぁ 針が進むごとに不安が溜まる 僕が生きてる時間意味があるのか またねと言われた 孤独と寂しさ 灰色の景色 見えない人影 ごめんねと言われたよ 君は悪くない ごめんねと言わないで 悲しくなる ふと空を見て濡らすコンクリート 誰も止められないや困ったなぁ 深く考えすぎる僕が嫌いだ この気持ちを写真に収められるか 肌を涙で濡らす永遠と 誰も止められないや困ったなぁ 針が進むごとに不安が溜まる 僕が生きてる時間意味があるのか コメント 名前 コメント
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出会いとは一つの起点であり、交差点である。 多くの者達が交わるほどに物語は始まり、絡まり合っていく。 例えば、彼女、マンイーターは出会いと別れを繰り返して今、最悪な地点に立たされている。 ぷよぷよくぽくぽ動く音を聞きながら、振り返らずにげっそりとした表情でマンイーターは歩いていた。 もうこのまま超ダッシュしてばっくれちまおうか。 彼女がそう思案するたび更に後ろからズシンと腹の底に響く足音が服の裾を踏みつける。後ろ髪もむしり倒す。 三体はマンイーターの言を元に山登りを断念していた。 危険な悪魔になんの手立てもなく挑むのは避けるべきだとギリメカラは判断した。 相手の属性や攻撃方法、それに対応した陣形や仲魔を整えてから挑むべきであると。 マンイーターはそれに大いに賛成した。 さっき滅茶苦茶にヘイトした分を取り戻すように大賛成した。 「ねーねー、お姉さん金の仔牛って知ってる?」 「なにそれ、焼肉屋のキャンペーンか何か?」 「あのね……」 先ほど教わったばかりの知識を得意げに話すホイミスライムだったが、マンイーターは無関心そうに相槌を打つ。 「おヌシはどう思う?」 聞くだけ無駄だろうが、この場では無駄でもやっておいたほうがいいこともある。 「え?ただの悪趣味じゃないの。あのハゲのヒゲ、イカれてんじゃないかって服のセンスだったし」 やっぱり無駄だった。 「あ……」 道端で虫の死骸を見つけたような、自然な声。 真っ黒で触手に覆われた目玉のいきものの死体が無様に転がっている。 かっぴらいた本体そのものの目玉は非常に間抜けな様子で命ごと動きを止めていた。 「知っておるのか、そいつを」 耳ざとく聞きつけたギリメカラの声が刺さる。 「まあ、さっき話したでしょ、最初に襲ってきたやつよ」 元同行者との出会いは勿論ありのままに語った。 後ろ暗居ところは一切無い。 だというのにこの一つ目の邪鬼の声は一々マンイーターの心をついてくる。 罪悪感は皆無だ。 マンイーターを静かに恐怖させるのは何が引き金になって自身の死に繋がるか、の一点に尽きる。 だから本来雄弁で、口八丁手八丁で相手を誘惑する彼女の言葉は減る。 軽口は平気で叩くから神経は相変わらずワイヤーロープ並みに太いが。 「でもどうして襲いかかってきたのかな」 ホイミスライムは触手仲間同士気がかりなのか、憂いを帯びた様子でバックベアードの死体を見送る。 「さあねえ、ムシの居所が良くなかったんじゃなあい?」 死人に口は無し、そもそもバックベアードに口は無し、というやつだ。 もふもふ もふもふ たゆんたゆん…… 心地良いリズムでふかふかした者同士が触れ合う様子を、トンベリは微笑ましく眺めていた。 スライム襲撃のショックが些か引いていたハムライガーのためにトンベリは新しい提案を出す。 綻びを探すために、その可能性を持つ仲魔を探すために、高い山を目指そうと。 何一つ目的の無い状態はとても不安だ。 何か道標があれば、それがあまり意味のないものでも、存在すれば、進むことができる。 憎悪のように強く猛々しい灯りじゃなくていい。 ハムライガーの行く先を照らすべきなのはうららかな陽光であり包み込む月光だ。 そんな安心に程遠い、マッチの火のようなか細い光しか、今の自分には与えることができない。 もふもふ もふもふ たゆんたゆん…… 山の麓についたころ、ハムが傷が痛むと言い出した。 なるほど、打ち付けた臀部が痛々しく腫れ上がっている。 あまり長く見ていたくはない部位なので目をそむけ、トンベリはハムからの休憩の提案を了承する。 「大丈夫……?」 どう座ったものかとうねうねしているハムにハムライガーは心配そうに鼻を鳴らし近寄る。 「だ、だいじょぶだいじょぶ……いちちち」 ふ、とハムは奇妙な視線を感じてハムライガーのそのつぶらな瞳を見返す。 なんだろう、確かに心配や不安がたっぷりとつまった瞳なのだが、それを覆うくらいの……好奇心?いや、慕情? 表現しがたいきらめく瞳を、訝しんでいる視線に気づいたハムライガーは、慌てて目をそらしてごめんなさいとつぶやく。 「その、すんごく気持ちよさそうなおなかだなあって……」 女性ブリーダー、はたまた男性ブリーダーにも大人気で魅力的なハムのぽよんとしたおなか。 ふかふかな毛並みとその弾力には抗いがたい魔性が潜んでいるのだ。 「あ、あー……いいよ、もふもふしちゃって」 そしてこのハムライガーもそのハムの魅力を受け継いでいる。 愛くるしい彼は大喜びでハムの尻を気遣いながらそのやわらかいおなかを存分にもふもふしはじめた。 それを見つめるトンベリの視点で最初に話は戻る。 最初こそ慌てた闖入者とそれを追う刺客のいざこざで、ハムに対する緊張が抜けなかったトンベリであったが、わだかまりが生まれたかもしれない自分とハムライガーの いい緩和剤になってくれているハムに少しだけ感謝の気持ちを抱き始める。 ただしそんな彼女の穏やかなさざなみのような感情を理解できるものはこの場に居ない。 彼女の心は誰にも見えず、また彼女は胸の内を語ることが決してなかったからだ。 (あ~~~どうしよっかなァ~~~) ハムは予想外に痛みが増してきた臀部と、ここから動きたくないという気持ちで考えあぐねていた。 うまいことこの二匹に取り入ることには成功したが。 自分の腹の上に顎を乗せて幸せそうにもふもふもふもふと飽きずに繰り返してる幼いハムライガー。 彼はまだいい、危険はないし、鬱陶しいが苛々する程ではない。 ピーチクパーチク騒いでたゲルモドキに比べれば万倍マシだろう。 (でも……なァ) 悟られぬよう、トンベリの方向に目を向けるハム。 何を考えているのかわからない、感情の無い空虚な瞳。 ぞくり、目線がかちあいハムは、愛想笑いを浮かべてハムライガーの頭部に視線を戻す。 スライムを殺したあのモンスターは、掴みどころがなく恐ろしい。 この状況で冷静なのは好ましいし、導いてくれる力強さもハムが求めたものだ。 しかしなんというか、言いようのない恐怖を感じるのだ。 まるで自分のすべてを見透かされていて……不審な動きをすればお前もスライムの二の舞だと、そう睨まれているような。 その手に持つ氷の刃が、より冷徹な印象をハムに与えてくる。 勿論これはハムの被害妄想、というか後ろめたさからくる疑心暗鬼でしか無いのだが。 (殺す殺さないとかの問題には関わりたくねえよなァ~~~) 果たしてこいつらに付いて行くのは正解なのか、もっと頼りになって安全な魔物がいるのではないか。 「ハムさん?」 「んあ?」 不安げなハムライガーの声。 「やっぱり、痛いの?」 「ん、あー」 そしてやたらと痛む臀部ときた日には。 ちょっと待ってね、とハムライガーが自分の持ち物をあさり出す。 支給品に回復できるアイテムが無いのか探しているのだろう、親切なことだ。 このハムライガーだけなら一緒に行きたいかもしれない。 もう少し頼れる存在ならなあ、とハムは心中でハムライガーの品定めを始める。 ぴくり、ハムライガーがふくろからアイテムを取り出して固まる。 広めの真っ白な皿、淵に草花の彫込がされている特別な雰囲気を持つ皿に鎮座する丸い雪色の物体。 ハムはそれがケーキと呼ばれるものだと知っていた。 食したことはなかったが、捨てられたチラシに確か……ホールケーキと書かれていたものだ。 気になるのはケーキそのものより、なだらかなクリームの雪の天面に突き立てられた、人間の言葉が書かれたカード。 「はっぴー……バースデイ?」 甘えたような、切ない鳴き声がハムライガーの喉奥から漏れ出る。 そういえば、今日は自分の誕生日で、とても幸せになれるはずだった日なのだ。 「誕生日、だったのか?」 ハムの質問にこくりと頷く。 トンベリも音もなく近寄り、ハムライガーの傍に立つ。 「本当、趣味が悪いのね」 無感情な声の皮肉。 主催者の意図することなど考えたくもない。 平気で幸せを奪い戻れぬと突きつけて、剰えその幸福を思い出させる。 三者三様、言葉が無くなる。 不意にハムが立ち上がり、喉を押さえて発声練習を始めた。 驚いている二体に、どこか軽薄な笑みを浮かべてすうと息を吸い込み。 おめでとう おめでとう ハムライガー もっとおっきく つよく なあれー 「それ……」 ハムライガーが泣き出しそうな顔でハムを見つめる。 「昔どっかで聞いたことがある歌なんだけどよ、あってたか?」 ブリーダーたちはより自分の育成にあった土地を探してファームを作り出す。 ハムが暮らしていた地域にもファームがあり、一年ごとに大きな声でその歌声が野山に響いていた。 「うん、うん、ありがとう……」 本当はブリーダーさんから聞きたかった歌。 帰りたい、帰りたい。 ハムライガーはまた胸に上り詰めてきた寂しさにきゅうきゅうと鼻を鳴らす。 「せっかくだから俺達で食べちまおうぜ、そのケーキ。なんか切るもの……」 ぬっとハムの顔面に突き出された氷の刃。 「これでよければ、あるわ」 「お、おう」 ハムは別に、優しさから行動を起こしたわけではない。 トンベリの内情観察と、ハムライガーへの点数稼ぎが目的であった。 ここまで優しくすれば、あの鉄仮面も自分を信頼するだろう。 そうすればあの突き刺さる眼光も消えるはず……と思っていたのだが、相変わらずトンベリの表面には波風一つ立たない。 無風の海に放り込まれた船の心境だ。 だから、自分で櫂を動かすべく、ハムは言葉を続ける。 「やたらに毛並みがいいなーとは思ってたけどよ」 さくりさくり、氷の刃は均等にケーキを切り分けていく。 「やっぱお前ってブリーダーに、ニンゲンに飼われてたりしてたワケ?」 さくり。 俄かに波立つ、その水底の感情。 「うん、とっても優しくて、いいブリーダーさんでね!」 さくさくさくさく。 トンベリは、湧き上がった憎悪を飲み込んで、問おうとした。 聞き間違いかもしれない、ブリーダーさんが、ニンゲンだなんて、そんな悪い冗談。 「なあに、こんな状況でお誕生日パーティしてるのアンタたち」 あっけらかんとしたノーテンキな声で、感情の海原に暴風が吹き込んだ。 ニンゲンだ。 トンベリがそれを頭で認知するよりも速く体は動く。 止める声も悲鳴も突き立てられた刃が肉を食む音も、全て衝撃に遅れてやってくる音にしか過ぎなかった。 「ぐ、ぐええ、アンタいきなり何、すんのよ!」 しぶといニンゲンだ。 もう一突き。 「や、やめて!!」 後ろに誰か居るのか? もう一突き。 「トンベリさん!!!!」 なぜ悲しそうなのか。 もう一突き。 「おいおいおい、やべーよ」 まだまだ足りない。 みんなのうらみは、まだまだこの手に、心に。 最後の音が到着した時、トンベリの体は宙を待った。 「問答無用とはまさにこのことだな、おヌシ……」 体に痛みは無い、おそらく反射的に退いたのであろう。 今のトンベリの意識は体よりもずっと遅い。 支えられて突き動かしてきた憎悪でその四肢は動く。 だから体内に吹き荒れる暴風に反してその様子は不動、明鏡止水の如く。 ニンゲンは殺さねばならない。 それを止めたり、ニンゲンを守るものは、皆全て。 「やめてよトンベリさ……」 「おい、お前危ないからこっちにこい!」 ハムはハムライガーの首を掴んで引っ張る。 「で、でもトンベリさんが!」 「落ち着いて聞けよ、ハムライガー」 神妙な面持ちでハムは口を開く。 「あいつは、もしかしなくても結構危ないやつだ」 大きな一つ目の怪物と戦うトンベリを親指でくいとさす。 「スライムの時にもやべえと思ってたけどよ、多分あれがあいつの本性だよ」 「そんな……」 寂しくて寂しくて辛かった自分を慰めてくれたトンベリ。 話を聞いて、傍にいてくれたトンベリ。 変わらぬ声と表情で、何もかもが変わった世界で、安心させてくれたトンベリ。 違うと、そんなのじゃないと声を大にしてハムライガーは叫びたかった。 守らせて、はっきりとトンベリさんはそう言ってくれたのだ。 「とりあえずあっち側につこうぜ、このままじゃあ俺達もあぶねえよ」 早々に乗り換えるチャンスが来たと、ハムは内心うきうきとスキップでもしたい気分であった。 「ダメだよ、トンベリさんを助けなくちゃ!!」 「あ、おい!!」 湧き上がる憎しみは意識を奪う。 振るう刃も、立ちまわる体も。 全て透明で、誰にも見えない感情の集合体。 「解せぬ……その虚無をたたえた瞳、おヌシには何が見えておるのだ?」 ギリメカラは刃が自身に触れぬよう応戦していた。 ただの殺人狂であれば即座に自らの刃によって報いを受けさせてしかるべきなのだが。 トンベリの刃は確実に命を奪うことを目的に振るわれている。 しかしその太刀筋にも表情にも、一欠片も感情が宿っていない。 ギリメカラのことすら見えても居ないであろうその姿に、一つ目は歪む。 「何がおヌシを、操っておる?」 分かるのは、その姿が酷く痛ましく、本来あるべきものではないと感じるということだけ。 空を凪いだ刃から氷撃が溢れ出る。 足元を絡めとった氷塊に、ギリメカラは嘆息する。 何も無い、氷に包まれた痛ましさ。 トンベリから感じ取った短い印象を吐き出してその最期をせめて見てやろうと眼を見開く。 氷は脆いものだ、砕け散ると、閉じ込めた中身も粉々にしてしまう。 溶けて水になり、失われたそれが取り戻されれば、トンベリは。 瞬きの刹那見えた世界。 そこには家族が居た、焦がれたものが居た。 皆一様に、おかえりなさい、とトンベリを歓迎し、その手をとった。 「トンベリさん、トンベリさん!!!」 やはり、音は遅れてやってきてしまった。 遠く、ガラス張りの向こうから聞こえる世界。 手に絡みつく温かな液体。 「ハムライガー、くん?」 ぽたぽた、頬に雨が落ちる。 春の雨だ、これから大地を豊かにしてくれる報せの雨。 「トンベリさん……」 泣きじゃくっていた、その体を抱きしめて、もふもふと、心地良い手触り。 泣かないで、ハムライガーくん。 そう言いたかったのに、言葉が出てこない。 「泣かないで、トンベリさん」 ありえない言葉が耳を打つ。 「止めようとしたんだ、ボク、トンベリさんを」 「変わってほしくなかったから、あんなふうに、なってほしく、なかったから」 無色透明の中に、光があふれる。 陽光の赤、血の赤。 氷が見せた空の青。 暗く沈んでいく瞳の黒。 ハムライガーの毛皮につきたてられた刃を見て、トンベリは絶叫した。 涙を流して叫んだ。 だが、誰にもその透明な哀しみは見えず、聞こえなかった。 それは感情の帰還であったか、ただの静かな慟哭に過ぎなかったのか。 「大丈夫!まだ助かるよ!!」 くぽくぽぷよぷよした声が聞こえた。 癒しの心得があるのだろうか、トンベリは何も言えずに震える。 助けたいのか?ニンゲンに与していたかもしれない彼を? いや、聞きたいのだ、彼に、どうしてと。 なぜニンゲンを……違う、そんなことじゃない、私が聞きたいのは。 私が今、言うべきことは。 「お願い、ハムライガーくんを――」 「こんの、ダボハゼがぁあああああ!!!!」 無情な咆哮。 機関銃は主に応えて轟音を吐き散らかす。 ホイミスライムの治療と元から丈夫だった体が功を奏しすぐさまマンイーターは立ち直った。 そして起き抜け一番、散々っぱら自分を刺してくれたトンベリにお礼参りをすべく機関銃を、こちらもお返しだと問答無用でぶっぱなした。 これは正当防衛であるし、あれは危険悪魔であるし、マンイーターは1ミクロンも悪くない。 あれだけ刺されたならどんなに貞淑で上品で儚げでか弱い乙女でも相手を蜂の巣にするに決まってる。 そう彼女は確信して最高にエクスタシーを感じながら機関銃を抱え。 「快、感……!」 煙を吐き出し天空を向く機関銃とともにマンイーターは満面の笑みを浮かべる。 ホイミスライムも、ギリメカラも、あのハムさえも呆れ返った様子でマンイーターを見つめた。 「おヌシは……」 何も言えない。 言う必要も見当たらない。 そんなことより、今の銃撃で息絶えた悪魔と、傷ついた悪魔の手当が先だろう。 前者は、供養になってしまうが。 ハムは傷ついたハムライガーと息絶えたトンベリを交互に見やる。 (ああもう、面倒くせえったらありゃしねえ) 深い感慨もあるわけがなく、どうやってこいつらに取り入るか、ハムの計算が始まる。 【F-5/山の麓/一日目/午後】 【ライガー(ハムライガー)@モンスターファームシリーズ】 [状態]:刺傷、気絶 [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身無し) [思考・状況] 基本:ブリーダーさんに逢いたい。殺し合いはしたくない。 1:…………トンベリさん [備考] オス。ブリーダーに育てられている。種族はハムライガー(ライガー×ハム)。一人称は「ボク」 【ハム@モンスターファーム】 [状態]:健康、お尻が痛い [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身未確認) [思考・状況] 基本:帰りたい 1:やったぜ。 2:なんとかしてまた取り行ってやるぜ 3:殺すとかありえねー [備考] オス。野生で人間に対しては特に何も思っていません。 表は良い人振るが内心は黒い。自分より格下は力でねじ伏せ下僕にする。 格上には媚を売り自分の安全を確保する。基本自分からは行動せずリーダー格に付いて行く。 【邪鬼ギリメカラ@女神転生シリーズ】 [状態]:健康 [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身なし) [思考・状況] 基本:この殺し合いに反抗する 1:みてろよあのハゲ 2:金の子牛が気にかかる 3:どうしたものか [備考] オス。真・女神転生2の仕様。 【ホイミスライム@ドラゴンクエストシリーズ】 [状態]:健康 [装備]:モーグリスーツ@FFシリーズ [所持]:どくばり@ドラゴンクエストシリーズ [思考・状況] 基本:とりあえずギリメカラに付いて行く 1:今はこのオジさんに付いて行くしか無いよなあ 2:大変だあ…… [備考] オス。若い。 【幽鬼マンイーター@真・女神転生シリーズ】 [状態]:背中に裂傷(ダメージ中)腹部に刺傷、治療済み [装備]:MPSマシンガン&ショットシェル(70/100)@真・女神転生 メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ(4/5) [所持]:ふくろ、外道バックベアードのふくろ(中身は不明)ブイモンのふくろ(中身は空っぽ) [思考・状況] 基本:優勝狙い 1:このチームから離れたい 2:ザマーミロなんか緑のバケモノ! ※メダパニの杖を強化系の杖と勘違いしています、回数制限も知りません 山頂の景色から少しだけ地形を把握しました 【トンベリ@ファイナルファンタジーシリーズ 死亡】 No.45 そんなことよりきのみが食べたい 時系列順 No.50 escape No.47 えー?何?聞こえない? 投下順 No.49 show me your brave heart No.35 偶像崩壊 邪鬼ギリメカラ No.56 色鮮やかな結末若しくはマンイーターちゃんのパーフェクト誘惑教室 No.35 偶像崩壊 幽鬼マンイーター No.56 色鮮やかな結末若しくはマンイーターちゃんのパーフェクト誘惑教室 No.35 偶像崩壊 ホイミスライム No.56 色鮮やかな結末若しくはマンイーターちゃんのパーフェクト誘惑教室 No.20 上手くズルく生きて楽しいのさ ハム No.56 色鮮やかな結末若しくはマンイーターちゃんのパーフェクト誘惑教室 No.20 上手くズルく生きて楽しいのさ トンベリ 死亡 No.20 上手くズルく生きて楽しいのさ ハムライガー No.56 色鮮やかな結末若しくはマンイーターちゃんのパーフェクト誘惑教室
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むしょくとうめいのせかい【登録タグ む ヤヅキ 巡音ルカ 曲】 作詞:ヤヅキ 作曲:ヤヅキ 編曲:ヤヅキ 唄:巡音ルカ 曲紹介 ヤヅキ氏の5作目。 何か、めまぐるしい感じで突き進んでいきそうな曲だと思います。(作者コメ転載) イラストは Haq氏 の描き下ろし。 歌詞 まるで電車のようで 待ってくれない世界 都会のビルに咲く花は輝いてるか? 遠くまでいこうか 誰も追いつけない ただやりたいことをやれる世界に行こうか 時間なんて限られてる 今自由になろう こんなこともできないなら意味なんてない もしも見えないなら 想像すればいいさ 時間も状況も環境も関係ない まるで絵本の中の事 今空を飛んでる アリスの夢迷い込んで 目覚めた先は 何も憂う事ない場所 何も歌う事ある場所 時間なんて限られてる 今自由になろう こんなこともできないなら意味なんてない まるで絵本の中の事 今空を飛んでる アリスの夢迷い込んで 目覚めた先は コメント 名前 コメント
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1 2 3 唯と梓 ※卒業後SS 2012/03/14 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1331718872/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る これは文句なしの感動ss編MVPですね。 途中の誤字と少しの添削をすればもう出版レベルです。 どこかノスタルジックでもの悲しい雰囲気だけど、明るい光が見えるような、そんな綺麗なssです。 -- (名無しさん) 2015-07-10 00 29 29 文の構成と雰囲気の作り方が上手い。 -- (名無しさん) 2015-04-08 20 20 49 この唯はピカッソの生まれ変わり -- (名無しさん) 2014-10-07 22 30 59 SSにマジレス気持ち悪い -- (名無しさん) 2014-08-21 00 00 13 ↓言いたいことはそれだけ?くっだらないw -- (名無しさん) 2012-11-18 04 12 26 子供の落書きを消すのが大人の仕事? 訳も解らないまま大人になってウダウダ人様に迷惑掛けながら迷う内に描いちまったくっだらない落書きを最後に消してくれるのが、ガキの頃の純粋な夢目標だろうが。 唯みたいに小難しくメソメソ悩むくらいならきっぱり疎遠になったらいいんだよめんどくさいくだらない -- (名無しさん) 2012-11-18 01 05 45 やはり唯梓だけはいいな -- (唯梓最強) 2012-11-14 13 03 26 重力ピエロ思い出したな・・・ -- (名無しさん) 2012-11-14 00 38 37 国語か道徳の教科書に載っても違和感がないと思う程、素敵な話だった。 -- (名無しさん) 2012-08-26 17 26 28 シャボン玉が二階から落ちてきた -- (名無しさん) 2012-05-03 21 21 27
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【プロローグ】 しゃぼん玉が好きだった。 無色なのに虹色に輝くから。 しゃぼん玉が嫌いだった。 すぐに、ぱあん!ってわれちゃうから。 昔、公園でしゃぼん玉を作った。 憂や和ちゃんはそのうち飽きちゃって わたしはひとりでふわふわを追いかけていた。 二人はベンチに座りアイスをなめながら そんなわたしを見て笑った。 「笑っちゃダメだって!」 誰かの笑い声でしゃぼん玉はわれちゃう。そんなことをあの頃のわたしは本気で信じてたんだ。 だから、真面目な顔してひとり、しゃぼん玉を追い続けた。 【天才だった頃のわたし】 人「よお、無職」 『サッカー君』がわたしに向かって手を振ってきた。 わたしは気づかないフリをした。 大学なんて行かなきゃよかったな。 って呟いた。 もちろん、ホントにそう思ったわけじゃないけどさ。 まあでも、そんな風にしてわたしは 色んなことをやりすごしてきたんだろうなあ。 どうにかなるって思ってたんだ。 だから、大学を卒業した今も無職でさ。 人「なあ、無視すんなよ」 『サッカー君』がわたしの肩に手をおいた。 ちぇっ。 舌打ちを口笛で誤魔化した。 唯「あ、ごめんっ。気がつかなかったよー」 人「まあいいけど。それよか今日俺と遊ばない? なんだかんだいって一回も遊んでくれないじゃん」 唯「いやあ。実は今日も用事があるんだー。 わたし忙しくって」 人「暇だろ。無職だし」 唯「失礼な。 今から友達のとこ行くんだよ」 人「じゃあ。そこまで」 唯「……いいよ」 『サッカー君』とは大学2年のとき合コンで知り合った。 そのとき、自分のサッカーの自慢ばっかりしてた。 だから、『サッカー君』。 その日一緒に帰ろうって誘われたけど断った。 悪い噂をよく聞いた。 良い噂(サッカーのことだけど)を聞かなかったわけじゃないけど。 そういえば、『サッカー君』は大学卒業したあとどうしたんだろ? 忘れちゃった。 それとも、最初から知らなかったんだっけ。 まあどっちでもいいけど。 人「あのさ……俺、唯のこと好きなんだ」 唯「ごめんっ……って、前にも言ったよー」 人「でもさ、一度もまともに話きいてくんないじゃん。 他の男がいるわけでもないみたいだし」 唯「あっ、ここだから!じゃあね」 人「おい待てよっ……」 逃げるようにしてあずにゃんの部屋にわたしは飛び込んだ。 あずにゃんはわたしたちと同じ大学に進み今は4年生だ。 梓「あ、こんにちは……ふあぅ」 あずにゃんは眠そうで、あくびをした。 梓「先輩ってもてるんですね」 唯「見てたの?」 梓「ふあい」 またあくび。 唯「見てたんなら助けてよっ」 梓「いやだって、どうすればいいんですか」 唯「スーパーヒーローみたいに。ばきゅーんってさ」 梓「あの人、悪人なんですか?」 唯「別にそういうわけじゃないけど……」 梓「じゃあ誰です?」 唯「ええと……その合コンで……知り合ったていうか」 梓「へえー。唯先輩って合コンとかいくんですね」 唯「えっと……その、付き合いだってば、てばっ。 あ、あずにゃんさんはいかないのでしょうか?」 梓「ないですよ。もうすぐ大学ぼっちで卒業できますって」 唯「うっ……」 梓「あーあー」 まあ、いいんですけど。 あずにゃんは言ってから、 寝間着をするりと脱いで服を着た。 梓「で、なんで来たんですか?」 唯「だって、今日、あずにゃん、 うちの掃除してくれるって言ったから」 梓「じゃあなおさら部屋で ゆっくりしてればよかったじゃないですか」 唯「あずにゃん遅すぎだよっ」 わたしはあずにゃんに抱きついた。 眠いとあんま嫌がらない。 だから、眠そうなあずにゃんがわたしは好きだ。 唯「よしっあずにゃん分も補給したし行こうか!」 梓「はい」 外に出た。 屋上に向かって階段があって、いいなあってわたしは思った。 わたしのとこにはない。 小さいころから屋上は好きだった。 透明になれる気がしたんだ。 唯「あずにゃんのとこは屋上があっていいな」 梓「でも、エレベータはないですよ」 唯「行こうよ?」 梓「立ち入り禁止です」 唯「えー。こっそり行けばへいきだよっ」 梓「そんな子どもな」 唯「むー」 梓「それに一度見たことありますけどつまんないとこですよ。 下からわからずらいくらいで」 唯「スナイパーがいそうだねっ。ばきゅんっ」 手で作った鉄砲であずにゃんの頬をぐりぐりした。 梓「ひたいひたい」 唯「えへへ」 わたしの部屋に二人で向かった。 並んで歩くとあずにゃんは小さかった。 途中、宗教のパンフを渡された。 わたしたちは幸福に向かって進んでいるらしい。 振り返ると、さっきの人が自販機で買った缶コーヒーで手を暖めていて なんだかわたしは嬉しくなった。 唯「あめいる?」 梓「どうも」 あずにゃんは口の中であめをもごもごやった。 梓「いつもなんで大きいあめばっかくれるんですか?」 唯「こう、あずにゃんがあめを必死になめてるのを見るのが好きなんだよね」 梓「嫌な趣味ですね」 あずにゃんは笑った。 わたしのアパートまでたどり着いた。 あずにゃんを部屋にあげた。 一人で住むには大きすぎて二人で住むには小さすぎる部屋だ。 梓「うわー。見事ですね」 唯「だってその。忙しくて……」 梓「何が忙しいんですか。 毎日ぶらぶらしてるくせに」 唯「わ、わたしだってバイトとかしてるもんっ」 梓「あたりまえです」 唯「むぅ……」 梓「それにカップ麺とかそういうのばっかじゃないですか」 唯「あはは。料理めんどくさくて」 梓「あっ、これ昨日スーパーで三個百円で投げ売りされてた」 唯「うっ……おかあさんにはそれなりにちゃんとやってるって言ったから しおくりとかもらってないし家計が大変なんだよ!」 梓「家計とか言わないでくださいよ。 これじゃあ憂が心配するわけです」 唯「ですよね」 梓「憂によろしくって頼まれてるんですから しっかりやらせますよ」 唯「うへー」 五時間くらいかけて部屋をとてもとてもキレイにした。 例えば、あのわたしの大嫌いな掃除機のCMに使えそうなくらいに。 唯「ふう……いえい!いえい!いえい! おわったあーっ」 梓「あ、そういやさっき見つけたんですけど なんで水鉄砲なんてあるんですか?」 唯「あ、それ。かっこいいでしょ」 梓「はあ」 唯「いやあ、あそこのスーパーってさ いつも変なものが安く売ってるよじゃん それで買っちゃった」 梓「ああ。買う人いるんだろうかって思ってましたけど そういう人が買うんですね」 唯「夏がきたら、遊ぼうね」 梓「ばかなんですか」 唯「そんなあー」 わたしは冷蔵庫から今日のために買っておいた ペプシ・コーラを二本出した。 それを見ていたあずにゃんが言った。 梓「唯先輩はお酒は飲まないんですか?」 唯「うーん。家じゃ飲まないなあ。 他の人が飲むなら飲むけどさ。 なんか炭酸のほうがいいんだよね」 梓「なんでですか?」 唯「なんたって骨が溶けるほどおいしいからねー」 梓「いい線ついてるじゃないですか」 唯「子どもだっー」 梓「お互い様ですよ」 唯「えへへ。そうでした」 ぷしゅっ。 炭酸のはねる音がした。 缶をぶつけて乾ぱーいってした。 甘いって思った。 梓「冷たいですよね」 唯「何が?」 梓「缶が」 あずにゃんは自分のほっぺたに缶をあてた。 真似した。 ひんやり。 もう一口飲んだ。 わたしはキレイになった部屋のことを考えた。 掃除するとさ、どーでもいいものと一緒に大切なものまで 捨てちゃったような気がしてなんか切ないよね。 言おうとしてやめた。 なんとなく。 【てーたいむ】 何ヵ月かがたった。 わたし個人についていえば、色んなことに奔走させられて忙しかったのが落ち着いてきた。 三丁目のわたしはおいしいと思ってるんだけどあずにゃんには大不評なたい焼き屋を右に曲がり澪ちゃんを怖がらせることで有名な墓道を通りすぎたところにあるガレージにわたしは来た。 ここはもう使われていなくて わたしたちが安い値段で借りて練習場所にしている。 ボタンを押した。 ごおおぉぉぅ。 大袈裟な音をたててシャッターが上がった。 律「ムギ、絶対はなすなよー」 紬「りっちゃんこそはなしたらぶつわ」 中に入った。 りっちゃんとムギちゃんは太いゴムを両側から引っ張りあっていた。 律「そっちこそはなしたらぼこぼこにするからなぁーっ」 紬「はなしたらはなしたら。おでこ真っ赤にするわよっ」 律「あ、これやべえんじゃね」 紬「ああっ」 律紬「うわっ!」 ぱっちん。 ゴムが切れた。 澪「あ、いてっ」 押さえを失ったゴムは澪ちゃんにあたった。 澪「おーい。ゴムぱっちんしたの誰だー」 律「ふっふっー♪」 紬「らららーっ」 澪「みてたよっ」 律紬「いたっ」 紬「えへへ……いたいわね」 律「だろー?」 梓「やれやれ」 唯「澪ちゃんさっきまで何見てたの?」 澪「あ、これ? これはさポイントカードの交換表だよ。ほらあの駐車場の狭いスーパーのさ」 律「澪は昔っからそういうの好きだよな。ポイントとか」 唯「へええ。なんかいいのあったー?」 澪「そりゃもういろいろ。なんだってあるよ。 テレビとかぬいぐるみとかまでさっ」 律「このぬいぐるみかわいくないだろー」 澪「商店街のマスコットキャラだぞ知らないのかーりつ……あーでも少ないポイントのやつをちょっとずつもらうっていうのもいいよなあ」 律「かわいいか?」 梓「律先輩的なかわいさです」 律「意味深だなあ」 紬「で、澪ちゃんはどのくらいポイントがあるの?」 澪「え、いや、最近会員なったばっかなんだあはは」 唯「えー」 律「澪はいつもそうだ。夢だけ見て結局は成就しないんだよなー」 唯「澪ちゃん……こんなにちっぽけな夢が叶わないなんてどんまいっ」 澪「うるさいうるさいっー」 澪ちゃんが吠えた。 梓「じゃあそろそろ演奏でもしましょうか」 律「ティータイムしたらだな」 梓「そんなこと言って今回もしないぱーてぃんですよね。 これで四回連続ですよ」 律「まあまあ、高校の頃はもっと練習しない日が続いたじゃん。 たしか最高は二十連続くらい? もっと?」 紬「二十八連続よ」 律「そうそう。な」 梓「そんなのずるいですよー。 高校のときは毎日部活あったけど今は一週間ごとにしか集まれないんですよ」 律「よしっ。じゃあ多数決だ」 梓「わかりましたわかりましたティータイムにしましょうか。 その代わり律先輩は砂糖なしです」 律「いやおかしーし」 梓「もうビターな大人ですもん」 律「あ、じゃあ、梓は浮くまで砂糖いれろよー。 こんなにちっちゃいからなあ」 梓「むぅっ……上等ですよ。甘いの好きですし」 そんなわけでお茶をすることになった。 今では、お菓子はムギちゃんひとりじゃなくて、みんなが順番に持ってくることにしていた。 今日の当番はりっちゃんで、ポテチとかそんなスナックをわたしたちは食べた。 こういう風なティータイムも悪くないなあってわたしは思った。 ブラックを飲んだりっちゃんはしかめ面をして、砂糖水を飲んだあずにゃんはむせてごほごほと咳をした。 そんな風景にわたしたちはちょっとだけ笑った。 紬「そうだ澪ちゃん歌詞は書けた?」 澪「ごめんまだ……。」 紬「そっか。あ、別にあせらなくてもいいのよ?」 澪「うん」 唯「スランプ?」 澪「なんだろなあ。昔みたいな歌詞が思いつかなくなっちゃったんだ。かといってかっこいい歌詞書けるってわけじゃなくさ」 梓「最近、書いてたじゃないですか」 澪「あはは……なんかよく見たらさ他の真似って感じなんだ」 律「ま、そういうときもあるって。さ、演奏しよーぜ」 2
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ギー太をアンプにつないだ。 わたしの立ってるこの位置はずっと変わっていなかった。 じゃかじゃかじゃっじゃべんべんべーんぴろぴろぴろどんどんがしゃぁんぽろろろろ。 音をだす。 大学時代は曲もあんまり作んなかったから、演奏するのは高校時代の曲が大半だ。 一時間半もすると、一通りすんでしまったような気がしてわたしたちは楽器を床に下ろした。 今日は普段よりはやく集まったせいか中途半端に時間が余った。 何かするには短くて、でもバイバイって手を振るには惜しいようなそんな感じ。 外の景色が窓から見えた。 夕暮れの少し前の曇り空。 ちょっとヘヴィな空気。 なんだか時間がたつのが遅いなって思った。 律「灯りつけなきゃな」 りっちゃんが言った。 みんな、くたあ、って床の上だとか壁だとか椅子に身体をあずけて何をするともなしにどこかを見てた。 さっき食べたポテトチップの油が胸のあたりに残ってる気がした。 唯「じゃあ、りっちゃんつけてきておねがい」 律「ええー。じやあんけえんぽんっ……おいっ、なんか出せよっ」 澪「まあ、こういうときもあるよ」 紬「こういうときってどんなとき?」 澪「なんていうか……どうしようもない?」 律「たいくつ」 唯「とうとうりっちゃんは口に出してしまったのでありました」 澪「あーあ」 紬「おしまい、ちゃんちゃん」 律「もうっ、わたしはこういうのに耐えられないっ」 紬「こういうのって?」 律「たいくつ」 唯「とうとうりっちゃんは」 澪「あー」 紬「ちゃんちゃんっ」 律「いいからっ」 唯「むー」 律「なんかしよう」 唯「じゃあわたし澪ちゃんのまねするよ」 紬「おおー」 澪「だめ」 律「なんで?」 澪「著作権法違反だ」 紬「それ著作権?」 澪「おほんっ……とにかくだめ。 どうせあれだ。怖がってみるだけだろ。 そんなのわたしにだってできるよ。 ミエナイキコエナイ、な」 唯「おおっ似てる」 律「ばか」 唯「でも、わたしのは違うよ」 律「やってやって」 唯「ふんす」 紬「唯ちゃんは目をつりあげた」 唯「わたしは澪ちゃんだよっ!」 律「……ばか」 唯「あれれ」 唯「ねえ、つまんなくなったのは何のせいなのかな」 澪「うーん……でもさっきのは、唯だな」 唯「えー?」 律「あれは唯」 紬「どんまいよ」 唯「ひどいっ」 わたしは言った。 どこか遠くから笑い声。 律「でもホントは誰のせいでもないんだろうなあ」 澪「困るよなあ」 紬「うん」 唯「じゃあ……帰ろっか」 わたしたちはガレージを後にした。 交差点まで一緒に歩いた。 りっちゃんが、じゃあなって言った。 澪ちゃんが小さく手を振った。 あずにゃんが道を曲がった。 ムギちゃんが口笛を吹いて、かすれた音が聞こえた。 わたしはちょっとさみしくなった。 ねえ、つまんなくなったのは大人になったからなのかな。 ほんとはそうやって聞こうとしたんだ。 でも、聞けなかった。 どうしてだろ? それとも、思い出が、無駄に綺麗に見えちゃっだけかもね。 どっちにしたって切ないなあ。 不意に、ガレージの床に落ちた切れて弛緩したゴムのことを思い出した。 わたしたちは、停滞したまま叶うわけない夢を見ているんだ。 いつか前に進む日が来るのかな。 停滞夢。 呟いてから、つまんないって気づいて苦笑した。 信号が青になるのを予測してわたしはフライングする。 【落書きを消そう】 三日後、よく晴れた日だった。 実はわたしは新しく仕事に就いていて、あずにゃんに会ったのはまさにその最中だった。 時刻は3時をちょっと過ぎたくらいでわたしは公園の大きな時計台の下にいた。 梓「何やってるんですか?」 あずにゃんは目をまんまるくして言った。 唯「何って仕事だよ仕事!」 梓「こんなとこで?」 唯「こんなとこでだよほらっ」 手に持ったモップみたいなブラシみたいなそれのもっと小さいやつをあずにゃんに見せる。 梓「清掃ですか?」 唯「おしいっ」 梓「じゃあ何ですか?」 唯「落書き消しだよっ」 梓「落書き消し?」 唯「うん」 わたしは携帯でさびれた時計台に描かれた落書きを撮った。 唯「こうやって、街にある落書きを見つけては証拠写真を撮って消すんだ」 ブラシみたいなやつをバケツの液体に浸して、それから落書きをこする。 落書きは少しずつ消えていく。 唯「この液はね、特別製だからよく落ちるんだよ」 梓「へえ」 唯「落書き消しの人なんてなかなか見つけられないよっ」 梓「そりゃそうですけど。収入とかあるんですか?」 唯「消した分だけもらえるんだ。市から依頼を受けてるから。 大変だったんだよー仕事にこぎつけるのはさ」 梓「それはすごいですけど。 落書きってそんなにあるもんですかね」 唯「これが結構あるみたいなんだよね。 地下トンネルの壁一面に大きくかいてあったりさ。 そういう連絡があるとわたしに伝わるようになってるんだー」 あずにゃんはわたしが落書きを消すのをじっと眺めていた。 なんだか寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。 梓「それなら教えてくださいよ」 唯「えへへごめん。 だってまだはじめたばっかだし、もう少しちゃんとしてからと思ったんだ」 梓「そうですか」 唯「ってわけで今日は遊べないね」 梓「別に唯先輩と遊びにきたわけじゃないです」 唯「でも、あずにゃん、うちに遊びにくるときいつもここ通るじゃん」 梓「だからってそうとは限らないですってっ」 あずにゃんは顔を真っ赤にした。 梓「じゃあ行きますから」 唯「またねっ」 梓「じゃあ」 唯「うん」 梓「行きますよ?」 唯「あずにゃん」 梓「冗談ですよ冗談っ。 あ、そうです。 なんで落書き消そうなんて思いついたんですか?」 唯「たまたま、あの液がよく落書きを消すのを発見したからかなあ」 梓「なんでそんな液体作ってんですか」 唯「企業秘密だ」 梓「何ですかソレ」 今度こそあずにゃんは歩いていった。 そのあとも、わたしは落書きをせっせと消していった。 高校生の頃、掃除が嫌いだったわたしがこんなことしてるのもおかしな話だなあって思った。 道を通りすぎようとした女の人がわたしのほうをじぃっと凝視してきた。 そんなに変かなあ。 やってきそうな劣等感を押さえ込んでわたしは落書きを消し続ける。 家に帰って、携帯を見てみたら知らないアドレスからメールが来ていた。 大学の男友達からだとわかった。 メールアドレスを変更したらしい。 でも、もうこの人とはこれから先も連絡をとらないんじゃないかなって思った。 わたしの友達にはそんな人がたくさんいる。 小さい頃、色んな人に「唯ちゃんはたくさん友達作れてすごいね」って言われた。 わたしは、それを信じたまま大人になった。 わたしのアドレス帳にはあずにゃんのアドレス帳の六倍の人が登録されてる。 少なくともあずにゃんはいろんなのことに対して、真摯に向かい合ってきたんだと思う。 真面目すぎるくらい。 だから、わたしたちが高校を卒業したときも泣いた。 いろんなことに真面目でいるっていうのは幼いことなんだろうな。きっと。 布団に寝転がった。 携帯の画面にはメールの受信画面が映っていた。 バックする。 待ち受けは笑ってるわたしたち五人。 何もこんなときまで笑顔じゃなくてもいいのにね。 技術の最先端はきらいだ。 【心配性】 それから、二ヶ月くらいたったある日曜日。 週末はみんなが集まる日だったのに、今日ここにいたのはわたしとりっちゃんだけだった。 律「みんな忙しいんだってさ。実家帰ったりいろいろ」 唯「そっかあー。なんだか寂しいね」 律「まあ、しかたないんじゃね」 唯「うん」 律「唯って心配性だよなというより考えすぎ?」 唯「そーかな?」 律「うん。しかも余計なことばっかりだ。梓もだけど」 唯「あずにゃんはさみしがりやさんなんだよ。 あと、ちょっーと泣き虫」 律「あ、そーかも。そういや、唯も泣いたよな学祭のときに」 唯「あれはだよ。その……」 律「いやあ、でも今思うとけっこう恥ずかしかったよな。 たくさん人いたし。 思い出すとあーってならない?」 唯「なる。思い出させないでよーっ」 律「ははっ。唯、顔、真っ赤ー」 唯「ひどいひどい」 りっちゃんをつかまえておでこにデコピンをくらわせた。 律「いてて」 唯「あーあ、わたしってかっこ悪いかなあ」 律「ちょっとな」 唯「ちぇっ」 わたしは持ってきた廉価アイスをなめながら紅茶を飲む。 唯「大人になると泣かなくなるのかな」 律「どうだろ。でも年とると涙もろくなるって言わない? てか紅茶にアイスってひどくね」 唯「りっちゃんも食べてるくせに」 律「まあね。あ、さっき考えたんだけど年とるとさ映画とか子どもの成長とか見てなくけど自分のことで泣かなくね」 唯「たしかにそうだ。 涙を見せないようにしてるのかなあ」 律「たしかにいい大人が泣いてるとなんか変な感じするもんな」 唯「よく考えたら、わたしたちも大人なんだよねー」 律「たしかに」 りっちゃんが笑った。 わたしはアイスをなめた。 甘い。冷たい。 そんな風にだらだら過ごしていたら、夕方になって、家に帰ることにした。 りっちゃんと並んで歩いた。 真っ赤な夕日に影がだらしなく伸びていた。 商店街の入り口を避けるように左に曲がったらりっちゃんが言った。 律「歩く床ができるんだって」 唯「え?」 律「商店街のさ歩道が動くようになるんだってさ」 唯「へぇー。あ、それって隣にでっかいデパートができたからかな?」 律「だろうなあ」 落ちてた石ころをわたしは蹴った。 石ころは転がって穴に落っこった。 唯「りっちゃん仕事は大変?」 律「ぼちぼちな」 唯「そっかあー」 律「唯はどう?」 唯「えーとね、最近仕事はじめたよ」 律「よかったじゃん。どんな?」 唯「えー、まだひみつ」 律「なんでだよっ」 唯「だってさ……」 あの仕事が嫌いなわけじゃなかった。 でも人に言うにはなんだかカッコ悪い気がしたんだ。 律「まあ、いいや。唯が教えたくなったら教えてくれればさ」 唯「ありがと」 律「でも、どんな仕事だっていいと思うよ唯がいいならって話だけど。」 わたしたちは歩く。 迷子の犬が横を通りすぎた。 公園で三人の男の子がえっちな本を囲んで騒いでいた。 夕暮れなんだって思った。 律「無色だよ」 唯「えー」 律「違うよ色の話。ずっと、唯は無色だった気がするよ」 唯「どういうこと?」 律「うーん……ばかっぽいってこと?」 唯「ひどいっ」 りっちゃんはわたしを小突いた。 体がへこんだ。 街灯が点くのが見えた。 唯「前に落書きしたの覚えてる?」 わたしは言った。 律「ああ。ペンキで壁に描いたよな」 唯「やっぱりあれはさ、いけないことだったんじゃないかな」 律「なんだよー。描こうって言ったの唯じゃん。あそこは誰も通らないって」 唯「最近、毎日のようにそこに行くけど誰もいたことないよっ」 律「でもまあ、そうかもな。 誰かが描いた落書きは誰かが消さなきゃだもんな」 唯「ちっちゃい子って落書き好きだよね」 律「ああたしかに。わたしたちの落書きはどうなってた?」 唯「消されてたよ」 律「そっか」 りっちゃんは空に目を向けた。 わたしも顔を上げたけど何も見えなかった。 少年が二人自転車で通りすぎて、パトカーがそれを追いかけていた。 それはこういうことかもしれない。 子どもの頃した落書きを消すのは大人になった自分なんだ。 サイレンが聞こえた。 りっちゃんと別れた後、わたしはあの場所に行った。 全く人気はない。 近くに小さな橋があったけど、隣に大きな橋ができたせいで誰一人通らない。 そこから、わたしはしたの方の壁を見下ろした。 みんなで落書きをしたあの壁だ。 仕事をはじめて一番最初に消した落書き。 今では別の落書きが描かれていた。 わたしがそれを消した一週間後に見つけた。 しかも、不思議なのはわたしがそれを消すたびに新しい絵が描かれることだ。 その落書きにはいつも赤、緑、黄色の三色のスプレーが使われていたから、きっと同じ人が描いてるんだろうと思った。 そのせいでわたしは仕事のはじめにいつもこの絵を消すんだけど、次の日の朝にはまた別の絵が描かれている。 でも、いつの間にかそれがわたしの楽しみになってたんだ。 今日はどんな絵が描かれてるのかなあって。 今日の絵を見るー 中央の一番目立つところにくらげがいた。 真っ赤で大きなくらげ。 懐かしいって思う。 なんでだろう? こんなくらげ見たことないのに。 少し後で気づいた。 わたしがホントに懐かしいのは、好きなのはこの絵全部が含む何かなんだ。 それが何なのかはわからなかったのだけど。 3
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【迷子の少女徘徊中】 あの落書きを描いてるのが誰で何で描いてるのがのかを知りたくなったわたしは、次の日の深夜、部屋を出た。 夜の町。 遠くでネオンが光っているのが見えた。 広告塔のディスプレイは現実より綺麗が売りで、空気清浄機のCMが流れていた。 『綺麗な部屋は人の心を綺麗にします』 あの綺麗な部屋の押し入れはきっと汚いんだ。 ってわたしは思った。 あずにゃんが部屋を掃除してくれたけど押し入れは汚いままだってことを思い出した。 そういえば、そのせいで水鉄砲がどこかいっちゃったな。 自販機が夜道を照らしていた。 ペプシ・コーラを売っている自販機はこの町にはなくなったと思ったから驚いた。 硬貨を入れて、屈んでコーラをとりだした。 買ってから寒いなあって思った。 ずいぶんラフな格好で来てしまった。 プルタブを思い切り引き抜いて、炭酸を一気に飲んだ。 舌がひりひりした。 夜の道は昼間と違って何度か迷いそうになったけれど、橋の下までたどり着いた。 風が吹いた。 震えた手をポケットに入れた。 携帯を落としたことに気づく。 これだから、技術の最先端は嫌なんだよ。 壁の前で誰かが動いていた。 スプレーを吹き付けて、引いて、の繰り返し。 まるで踊ってるみたいだってわたしは思った。 長い間、その動きに見惚れていた。 不意に、我に返って恐る恐る前に歩く。 あたりは暗かった。 でも、見えた。 だから、好きだったんだ。 あの落書きがさ。 そうなんだ。 「あずにゃん」 影が目の前で振り向いた。 服はスプレーで汚れていた。 梓「唯先輩?」 唯「えへへあずにゃんは悪い子だねー」 梓「あの……これは……そのですね」 唯「あのね、あずにゃんはわたしが小さい頃よくした落書きに似てるんだよ」 梓「ん……」 唯「机とかノートの端っことかいろんなところに描いた落書きにさ。 変な話だよね。わたしは落書きを消す人になって、なんでかあずにゃんは落書きをしてる。 なーんてさ。 とりあえず座ろうよ、ね?」 梓「はい」 壁に持たれるようにして腰をおろした。 わたしたちの間にはほんの少しだけの隙間があった。 唯「あずにゃんが毎日描いたの?」 梓「……すいませんっ」 唯「ううん。わたしは怒ってないよ。 わたしはあのあずにゃんの描いた落書きが好きだったんだよ」 梓「ほんとですか?」 唯「うん。毎日、楽しみにしてたよー」 梓「……そうですか」 あずにゃんは下を向いた。 唯「照れてる」 梓「ないです」 唯「そっかあー」 梓「……少し」 唯「えへへ」 梓「むう」 唯「ね、なんで描こうと思ったのー?」 梓「唯先輩の給料が上がるんじゃないかなあって」 唯「うそっ?」 梓「うそです」 唯「くそぅ」 梓「ふふっ」 あずにゃんは笑った。 ずるいっ。 わたしも笑った。 梓「消えてほしくなかったんです」 唯「え?」 梓「みんなで描いた落書きが。子どもですよね」 唯「ちょこーっと、ね」 梓「それに唯先輩が遠くなった気がしたんです」 唯「あずにゃんと遊べなくなったから?」 梓「他の先輩に比べて唯先輩は軽いんですよっ」 あずにゃんがわたしの鼻をぱこんってやった。 唯「いちっ」 梓「唯先輩に伝わるかなあって。 子どもでいたかったんですよっ……」 唯「そっかあ」 梓「別にわかんなくてもいいですよ」 唯「わかるよ。わたしもずっとそのこと考えてたから。考えすぎらしいよ」 梓「ふむ」 唯「そういえば、なんでいつも赤、緑、黄なの?」 梓「信号機。信号機の色ですよ。緑は青ですけど」 唯「しんごう?」 梓「子どもの頃から信号機が好きだったんですよ」 唯「なんで?」 梓「ほら、信号機が赤なら大人も子どもも誰でも止まるし、青なら一斉に歩き出すじゃないですか。 あれを見るのが好きだったんです」 唯「でも、誰かが信号無視したら?」 梓「わたしがこらしめてやりますよ」 唯「おねがいしますっ」 梓「えー」 唯「ほら、あずにゃんに許してもらいたいんだよ」 あずにゃんはもう一度わたしの鼻をぱこんってやった。 唯「いていっ」 ずっと向こうの高架線の上を車が走っていた。 ヘッドライトの光が行列をつくって、海になった。 唯「わたしさ、はやく大人になりたいって思ってたんだよ」 梓「唯先輩が?」 唯「大人になれば楽しいことがいっぱいあると思ったんだ。でも、ダメだよ。ぜんぜん。 かっこよくなろうとしていらないもの捨てようとしたら、いつの間にか大事なものまで捨てちゃうところだったんだ」 わたしはあずにゃんのほっぺをぐりぐりした。 唯「あずにゃんがいてよかったな」 梓「……どうもです」 唯「みんながいたから……つまんないのがね……好きになれたよ」 梓「先輩?」 唯「……わたし、いろんな恐ろしい目にもあったよっ……誰にも言わなかったけど…… 退屈なのが怖くて耐えられない気がしたんだ……」 あずにゃんがわたしとの最後の隙間を埋めた。 唯「でも、よかったんだ……あずにゃんがいたから…… あずにゃんはみんなよりずっとちっちゃくて子どもだから…… わたしも子どものままでいられたんだよ」 あずにゃんは何も言わなかった。 幼い子どもみたいに、ただ話を聞いていた。 わたしがずっと憧れた大人は実はまるで子どもみたいで、わたしが思ってた子どもは大人のことだったんだ。 唯「わたし勝ったんだ。大人になりたい自分に。 あずにゃんのおかげだねっ」 わたしはあずにゃんに向かって笑いかけた。 あずにゃんは照れた顔を見せて、すぐに真剣な顔を作ったけど、それは崩れて笑顔になった。 わたしは泣き出してしまう。 押さえても押さえても涙がこぼれた。 声を上げた。 あずにゃんがわたしを抱き締めた。 ちっちゃいから寒さからわたしを守ってくれたりはしない。 でも、いいんだ。 そのまま黙ってしまう。 そんな予定調和が嫌だったから言った。 唯「あずにゃん、知ってる?最先端の空気清浄機は人の心まで綺麗にしちゃうんだ」 梓「わたしはできないですよ」 唯「知ってる。あずにゃんはしてくれないんだ。いじわるだから」 梓「ばあか」 あずにゃんは強く強くわたしを抱き締めた。 わたしはへこんだ。 くにゃり。 でこぼこになる。 唯「ぺしゃんこだあ」 梓「えへへ」 二人で残りの絵を描いた。 時間が足りなくて壁の半分しか埋められなかった。 天使を描いたつもりだったけど、なんだかそれはあずにゃんに見えた。 梓「いいんですか描いちゃって?」 唯「どうせわたしが消すからいいんだよっ」 消しても大丈夫なんだ。 もう。 ちゃんと覚えてるから。ちゃんと。 【エピローグ】 朝遅く、ていうともうお昼みたいなもんだけど、わたしは家を出た。 昨日の落書きを消しにいかないといけない。 信号が点滅していたのであわてて横断歩道を渡った。 人「おいっ無職」 後ろから呼ばれた。 振り返った。 『サッカー君』が赤信号を無視してわたしのほうにやって来た。 人「あのさ、唯……」 唯「信号無視した」 人「いーじゃん別に車もないんだし」 唯「バチが当たるよー」 人「そんなことよりさあ、今日こそ……」 唯「わたしのコレ嫉妬深くてさ、ごめんっ」 いたずらっぽく小指をたてた。 人「はっ?……うわっ。いてっ」 『サッカー君』の顔面にすごい勢いの水が命中する。 人「はあ。なんだ?」 『サッカー君』はその原因を突き止められないみたいだった。 わたしも周りを見回したけど、特に何も見つからなかった。 人「おい待てよ……うわっマジでなんだよこの水。服にかかったし」 唯「そうそうわたし、もう無職じゃないんだよね。バイバイ」 わたしは走り出す。 右に曲がって、ぶつかった建物の階段を駆け上り立ち入り禁止のフェンスをジャンプで飛び越えた。 屋上に出る。 梓「あ、おはようございます……ふぁあ」 やっぱりあずにゃんは眠そうであくびをした。 唯「その水鉄砲あずにゃんが持ってたんだっ」 梓「ああ。けっこうすごい勢いで出ますねコレ」 唯「あの人撃っちゃってよかったの?」 わたしはわざと聞いた。 梓「だって、あの人信号無視したじゃないですか」 昨日の壁に向かう。 二人で並んで歩いた。 あずにゃんが眠そうだったので水鉄砲で起こしてあげたら、ほっぺをつねられた。 梓「そういえば。さっき、小指立ててましたけど、何なんですかアレ? 挑発するのは中指ですよ」 唯「し、知ってるよっ。あれはわたし流の挑発なのです」 梓「へえー」 唯「信じてないね?」 梓「ぜんぜんです」 唯「ホントの意味知りたい?」 梓「いや別にいいですけど」 唯「あーっ」 梓「どうしたんですか?」 唯「携帯あった……ジュース買った時に落としたんだあ」 携帯には二件着信があって、そのうち一件には留守電が入っていた。 歩きながらそれを聞いた。 電話は二回ともりっちゃんからだった。 律『もっしもーし、唯ー。あっれーでないぞあいつ。なあ出ないんだけど。 うん。えー、わたし留守電苦手だから紬頼むっ』 紬『唯ちゃん驚かないでよ……』 梓「唯先輩見てくださいっ。すごいですよっ」 唯「どしたの? ……あっ!」 壁一面に 『放課後ティータイム』 の文字がペンキで書かれていた。 さらにその周りには楽器の絵とか、よくわかんないものが描かれている。 紬『ってわけなの。澪ちゃんっ』 澪『あーあー 律『マイクのテストじゃないんだぞっ』 唯? 実はさ、律が消されたからもう一回落書きしに行こうって言い出してさ、唯と梓は電話しても出ないから、とりあえず三人で行ったら、唯たちがいてびっくりって話なんだよー。 ってか留守電入れるほどでもなかったなあ。あはは。 えっ、ああ。ムギに代わるね。』 紬『あとね、いい忘れたんだけど、ホントはコレいうために電話したんだけどね。 ごめんなさいっ。 唯ちゃんの仕事大変にしちゃったみたいだから。 あ、なんで唯ちゃんの仕事知ってるかっていうとね。わたしの会社の後輩で唯ちゃん知ってる子がいてわたしに教えてくれたの。時計台の落書きを消してたって。あとね澪ちゃん歌詞できたんだって。 唯ちゃんと梓ちゃん見てたら歌詞が思い…… 澪『わたしの話はいいよっ』 はいっりっちゃんも一言』 律『一言って言われてもなあ。 あそうだ。泣いてただろ? カッコわるい。ちょーっとだけ』 ぷっちん。 電話が切れた。 唯「ひどいっ」 わたしは言った。 そのあとで笑った。 ちょっとだけね。 唯「あずにゃんこりゃ消すの大変だよー」 梓「嬉しそうですね」 唯「そうだ。あずにゃんさ、そのさ、大学出たらわたしといっしょに働かない?」 梓「うーむ」 唯「わたしがんばるからさっ。もっといろんな場所で仕事できるようにするし。しっかり働きますからあー」 梓「なんで唯先輩が懇願してるんですか……でもそうですね。考えておきますよ」 唯「やったあーっ。ありがとっあずにゃん!」 わたしはあずにゃんに飛び付く。 梓「まだ誰もいいとか言ってませんしっ」 唯「すりすりー」 梓「うわっ」 唯「そうだっ。新入社員のあずにゃんにいいことを教えてあげよう」 梓「もう入社してるし……」 唯「この激落ち液はとっても割れにくいしゃぼん玉を作ることができるのです」 梓「あっ。そうやって見つけたんですか」 唯「びんごっ」 わたしはポケットからしゃぼん玉を吹く筒を出した。 液をつけてしゃぼん玉をつくる。 できたしゃぼん玉を軽く指でつついた。 唯「ほらっ、つんつんしてもわれないよっ」 梓「へえ」 今度は息を思いきり吐いた。 いくつものしゃぼん玉が空に向かってあがっていく。 透明なしゃぼん玉は光を反射して虹色に輝いた。 くちびるに人差し指をあてて、静かにってあずにゃんに合図した。 しゃぼん玉が好きだった。 だから、われないでほしいって思ったんだ。 しゃぼん玉が空のむこうのむこうに消えてしまったあとで、わたしたちは大声をあげて笑った。 おわり! 戻る
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むしょくとうめい【登録タグ む レアホースP 初音ミク 曲】 作詞:レアホースP 作曲:レアホースP 編曲:レアホースP 唄:初音ミク 歌詞 (ピアプロより転載) 海の中へ放り出され 必死にもがいて泳いだ 溺れ死んでもかまわない なんとか岸まで辿り着いた 君はどこにいるの 探しても見つからない どうしてと どうしてと 君は笑う 「どうしても」 消える どうしても君がいなくなるのならば どこまでも僕は歩くよ 聞こえない声 現実だけ信じられないまま 僕はどこまでも行くよ どこまでも いつまでも 僕は歩く ゆっくりと 満天の星空が 僕に語りかけてくる 「このままでいいの?」 聞こえない現実だけ信じられないまま 僕はどこまでも行くの… 深く深く落ちていく 海の底へ沈んでく 浮かんでた君がそばにいることを どうして気づかなかったの 聞こえてたのに… 現実だと信じられないまま 僕はどこまでも行くよ。 コメント 好きだ!! -- 名無しさん (2011-07-19 22 03 45) 名前 コメント
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戻る 感動系 なんか雰囲気がいい -- (名無しさん) 2012-03-31 22 22 41 なんだか素敵な雰囲気…… ただ……女子大設定は…… あっ、ifな話だからいいのか -- (名無しさん) 2012-03-31 22 29 46 未来系のSSはあんまり好きじゃない あと感動はしない -- (名無しさん) 2012-03-31 22 31 34 なるほどぬ。良いかと。 -- (通りすがり) 2012-03-31 22 32 34 すごいいいじゃん -- (名無しさん) 2012-03-31 22 41 21 これ凄く良いな こういうの好きだ -- (じゅわ〜) 2012-03-31 23 04 21 綺麗で丁寧な作品 言葉と行動がわかりやすく繋がっていて、どこかあたたかい雰囲気まで併せ持つ良作 -- (名無しさん) 2012-04-01 02 53 53 素朴な感じの雰囲気出てていいね -- (Ω) 2012-04-01 15 04 34 やべえ綺麗過ぎて鬱になる… -- (名無しさん) 2012-04-02 12 53 26 23にもなって、あずにゃんだのえへーだのないわー -- (名無しさん) 2012-04-02 14 44 24 サッカー君とはなんぞや -- (名無しさん) 2012-04-02 17 12 43 ↓×2可哀想に友達居なかったんだな 何年経ってもアダ名で呼ぶのは普通だよ -- (名無しさん) 2012-04-02 17 18 39 ↓そうだね。何年たっても仲の良い友達をあだ名で呼ぶ事は続いていくもんだよね。 50代位の人達でも普通にあだ名で呼んでいるのを見たことあるし。 -- (名無しさん) 2012-04-08 23 29 01 この後は同棲するの? -- (名無しさん) 2012-04-09 05 21 05 教科書に載ってても違和感無い -- (名無しさん) 2012-04-10 20 50 41 卒業後SSトップクラスの雰囲気 個人的にはトップ -- (名無しさん) 2012-04-12 11 46 31 シャボン玉が二階から落ちてきた -- (名無しさん) 2012-05-03 21 21 27 国語か道徳の教科書に載っても違和感がないと思う程、素敵な話だった。 -- (名無しさん) 2012-08-26 17 26 28 重力ピエロ思い出したな・・・ -- (名無しさん) 2012-11-14 00 38 37 やはり唯梓だけはいいな -- (唯梓最強) 2012-11-14 13 03 26 子供の落書きを消すのが大人の仕事? 訳も解らないまま大人になってウダウダ人様に迷惑掛けながら迷う内に描いちまったくっだらない落書きを最後に消してくれるのが、ガキの頃の純粋な夢目標だろうが。 唯みたいに小難しくメソメソ悩むくらいならきっぱり疎遠になったらいいんだよめんどくさいくだらない -- (名無しさん) 2012-11-18 01 05 45 ↓言いたいことはそれだけ?くっだらないw -- (名無しさん) 2012-11-18 04 12 26 SSにマジレス気持ち悪い -- (名無しさん) 2014-08-21 00 00 13 この唯はピカッソの生まれ変わり -- (名無しさん) 2014-10-07 22 30 59 文の構成と雰囲気の作り方が上手い。 -- (名無しさん) 2015-04-08 20 20 49 これは文句なしの感動ss編MVPですね。 途中の誤字と少しの添削をすればもう出版レベルです。 どこかノスタルジックでもの悲しい雰囲気だけど、明るい光が見えるような、そんな綺麗なssです。 -- (名無しさん) 2015-07-10 00 29 29