約 297,582 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/40.html
涼宮ハルヒの進路指導(長門有希の進路) 設定原案 谷川流 原作 フォルクス・ワーゲン キャラクター原案 いとうのいぢ キャスト キョン 杉田智和 涼宮ハルヒ 平野綾 長門有希 芽原実里 朝比奈みくる 後藤邑子 古泉一樹 小野大輔 谷口 白石稔 ドクター 大塚明夫 ハルヒの母 松岡由貴 司会者 井上和彦 キョン妹 あおきさやか 看護婦A 白石由里 看護婦B 桑谷夏子 ギャル男 森川智之 大学教授 緒方賢一 園長先生 大前茜 教師 柳沢栄治 主題歌 「冒険でしょでしょ?」 挿入歌 THE虎舞竜「ロード第一章」 エンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」 協賛 2ちゃんねらー一同 長門の婿の会 大森電器店 ヤマツチモデルショップ 超監督 涼宮ハルヒ 企画監修 SOS団 この作品はフィクションであり実在する涼宮ハルヒシリーズとは 一切関係はありません どっか似てたとしてもそれはたまたま偶然です。 「ねえ、キョン。何でこんな事言わなきゃならないのよ。あたりまえじゃないの」 フォルクスワーゲンさんありがとう住人一同お礼申し上げます。 なおこの後カレーパーティーが当劇場にて予定されておりますので皆様ふるって ご参加ください。本日はご来館いただきまことにありがとうございました。 支配人 キョン「………みんな、行くのか」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/23.html
キョン「……おい、もうやめようぜ。こんなの意味ないって」 ハルヒ「なに言ってんの!あんたたちのためにやってんでしょ!」グイグイ キョン「ぐお……!ネクタイを引っ張るな!」 古泉「…そうですね、こればっかりは彼に賛成です。シミュレーションとはいえ、あのような役回りはちょっと……」 みくる「私もその……あんな人じゃないです……」 長門「………」 ……まぁ、見ての通り、俺たちはこの涼宮ハルヒに馬鹿な寸劇をさせられているのだが、それはなぜかというと、学校の進路希望調査に遡る ハルヒ「キョン、あんた進路希望調査書出したの?」 キョン「ん?まだ締切じゃないだろ」 ハルヒ「なに言ってんの!あーいうのはさっさと出しておいたほうがいいの!」 キョン「何も思い浮かばん。会社員とか?」 ハルヒ「……あんたバカ?会社員でもどんな企業の会社員がいいのよ?」 キョン「ん?うーむ、東証一部上場企業とか?」 ハルヒ「………」 ハルヒ「……あんた駄目すぎるわね。有希、あなたの進路志望調査書見せてあげなさい!」 長門「………(ぺらっ)」 キョン「……えーっとどれどれ? ……家事手伝い?」 長門「………」 ハルヒ「………」 キョン「………」 長門「……家事手伝いはセレブ。本に書いてあった」 ハルヒ「あ、あのね有希。家事手伝いは職業じゃないの」 長門「……では、自宅警備員とは?」 ハルヒ「………」 ハルヒ「とにかく自宅警備員も家事手伝いも職業には入らないの」 長門「……基準が分からない」 古泉「その二つは何の利益も生み出してないんですよ。まぁ家事手伝いは旦那さんの代わりに家事を全て請負っているという点で利益は生み出していると言えますが、進路志望という観点からは不適切でしょうね。」 長門「………」 キョン「…とりあえず適当に三校挙げて進学しますって言っていればいいんじゃないのか?」 ハルヒ「だめだめ!夢があって進路があるんだから!文系理系の選択だってあるし」 古泉「そうですね。人生においてのターニングポイントはたくさんありますが、文理選択はその一つと言えます」 キョン「……そーいうお前はもう決めたのか?」 古泉「ええ、もちろん」 ハルヒ「SOS団の団員である以上は、こーいうのも人並み以上に出来るようにならないとね。 有希とキョンは明日までに職業について研究してくること!」 キョン「なぜそうなる!いきなりは無理だろ」 ハルヒ「まぁ聞きなさい。あんたのノロマっぷりは団長であるあたしが一番把握しているわ」 キョン「………」 ハルヒ「だから今からここで色んな職業をシミュレートしてあげる」 キョン「……は?」 かくして、この職業シミュレーションとはかけ離れた、馬鹿げた寸劇の幕が開けたのである。 だがこの寸劇が大きな事件の始まりとは、当時の俺は知る由も無かった そう、今の俺がこの一連の事件を題するならば……涼宮ハルヒの進路指導、とでも言うとしようか。 長門「涼宮ハルヒの宿題」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/24.html
ハルヒ(…………) ハルヒ「あ、私用事があるんだった! 有希は大丈夫だと思うけど、キョン!問題はあんたよ!今日のシミュレーションを踏まえてきっちりと進路を決めなさい!」 キョン(……あんなのに意味ないだろ) ハルヒ「じゃあ、また明日ね!」 バタンッ みくる「…………はぁ、疲れました」 古泉「慣れないキャラは難しいですね。 それはそうとキョンさんの駄目男ぶり、なかなか見事でしたよ」 キョン「やってて気分が悪いな、あーいうのは」 みくる「それが社会のつらさなのかもしれませんね」 夜、キョンの部屋にて キョン「………だめだ。何も思いうかばん」 キョン(結局体良くハルヒに遊ばれただけじゃないのか…?) キョン「だいたいシミュレートしてるのは職業じゃなくて職に就いた人間の生活じゃないかアレは。 ……全く………」 ピンポ~ン キョン「ん?こんな時間に誰だ?」 ドタドタドタ…… キョン「はーい」 ガチャッ 長門「………」 キョン「おう長門か。どうした?」 長門「涼宮ハルヒの宿題」 キョン「あぁ、あれが?長門はできたのか?」 長門「……まだ。だからここへ来た。 一人よりも、二人のほうが早い」 キョン「………」 長門「………」 キョン(……親が留守だとはいえ、女の子をこの時間に自室に入れるのはいかがなもなか) 長門「………そろそろ開始めたい」 キョン「あ、あぁ」(まぁ相手はあの長門だし、問題ないか) 長門「………」ドサッ キョン「おわっ!?なんだこの紙の量は!?」 長門「給与水準等から優れた職業をピックアップした資料。あなたの力になる」 キョン「…そ、それはどうも」 ……… …… … キョン(これだけの資料があっても浮かばんもんは浮かばん) 長門「………」 キョン(…潜在意識として働くことを拒否してるのか?) 長門「……私のデータは」 キョン「いや、役に立ってるんだが、俺には荷が重すぎる職業ばかりだ」 キョン「弁護士は給与は高いが、司法試験は狭き門。会計士はそれより難しい。医者なんか生きた人の腹を切るなんてことは俺にはできない」 長門「……そう?」 キョン「あぁ」 長門「……私からも質問がある」 長門「あなたと行なったシミュレート」 キョン「あぁ、あれか。あれが?」 長門「………私の役割だったあの女性は、あなたたちから見るとどう感じるの…?」 キョン「…? あぁ、そりゃ不幸な女性さ。旦那にあんな扱いされて」 長門「何故」 キョン「何故って……飯作って待ってるのに帰ってきて『いらん』とか言われたり」 長門「………」 キョン「あと、その……女遊びが激しかったり」 長門「………幸せじゃ……ないの?」 キョン「それはないと思うけどなぁ」 長門「………理解した」 ガタン キョン「あれ?長門……。帰るのか?」 長門「私が長時間ここにいることは、あなたにとって問題かと思われる」 キョン(………否定はしない) キョン「進路志望調査、書けてないだろ?いいのか?」 長門「……涼宮ハルヒはあなたをマークしている。私が書かなくてもしばらくは問題ないと推測する」 キョン「……なるほどね」 キョン「ありがとうな。データ、助かる」 長門「問題ない」 キョン「……送ろうか?夜道は危ないし」 長門「……ここでいい」 キョン「……わかった。じゃ、また明日な」 長門「……(こくん)」 バタンッ 長門「……………」 ハルヒ「今日の放課後、マンツーマンで進路考えてあげる?」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/25.html
次の朝 教室にて ハルヒ「おはようキョン。早いわね」 キョン「お、おう…」 ハルヒ「進路希望調査、書き終わった?」 キョン「……残念ながら」 ハルヒ「……ふーん。ま、そういうと思ってたわ ……よし、あんたには特別サービスよ」 キョン「何だ?」 ハルヒ「今日の放課後、マンツーマンで進路考えてあげる?」 キョン「はぁ?」 キョン「いらん」 ハルヒ「いらんって…、これはあんたの問題なのよ?しかも人生を左右するかもしれない問題…。 あんたそれ分かってる?」 キョン「分かってる分かってる」 ハルヒ「分かってないわね」 キョン「…もういいよ。……あんま寝てないんだから騒がないでくれ」 ハルヒ「な!なによ!その言い方…!」 俺机に突っ伏すと、昨日の疲れがあったのかそのまま意識を埋没させた。 俺はどこにでもいる普通の高校生だ。それ以上でもそれ以下でもない。 お前や長門みたいな特別な人間じゃないんだ、ハルヒ。 俺は平凡な職につき、平凡な家庭を築き、平凡な生活を送る。 それでいい。 進路なんて今考えても仕方がない。 この時の俺はそう思った 俺は眠たい授業をのらりくらりとかわし続け、気付けば放課後だ。 SOS団部室に行くと、パソコンを難しい顔で眺めるハルヒと、窓際で置物のように本をよむ長門。ボードゲームをがちゃがちゃとイジる古泉に、美味しそうなお茶を淹れる朝比奈さん。 なんら変らない毎日の連鎖。このなかに人生のターニングポイントなんてものが存在しているとは全くもって思えない。 俺は思う。つまらない毎日の連鎖はごめんこうむるが、楽しい毎日の連鎖は素晴らしいものじゃないか。 SOS団がくれる非日常。それは迷惑なものだが、正直スリリングなんだ。俺の中で。 連鎖は連鎖でも、楽しい連鎖ならいいじゃないか。 俺はこのSOS団が紡ぐ連鎖の中に、ずっといたい。 ハルヒ「………!」ガタン キョン「…どうした、急に立ち上がったりして」 ハルヒ「…私、用事があるんだったわ!」 キョン「ま、またかよ!」 ハルヒ「ごめん!あたし帰るね!」 古泉「はい、お気をつけて」 ハルヒ「あとキョン!」 キョン「うん?」 ハルヒ「明日暇でしょ?」 キョン「あぁ」 ハルヒ「じゃあ明日図書館に来なさい! 進路指導してあげるわ!!」 キョン「行かんぞ」 ハルヒ「図書館前に11時に集合ね!」 キョン(休みの日にハルヒに絞られにわざわざ図書館まづ行くやつがどこにいるんだ) ハルヒ「あたしは行ったわよ!じゃ、急いでるから!」 バタンッ キョン「俺は行かんって言ったからなー!?」 キョン「……なんであいつはあんなにも勝手なんだ」 古泉「それが彼女の魅力でもありますね」 キョン「……ごめんだね」 みくる「……それにしても涼宮さん」 キョン「ん?」 みくる「すっごく眠そうにしていたような……」 長門「………」 みくる「あ、あの、パソコンで何してらっしゃいましたけど……」 長門「………(じーっ)」 みくる「!……い、いえ、なんでもありません…」 キョン(図書館…か) 次の日 キョンの妹「キョンくーん!おひるだよー!」 キョン(……お昼?) キョンの妹「おーきーてー!」 どすんどすん!! キョン「ぐおあ!……は、腹の上で……」 キョン(そうだ、今日は休日か………ん!?)ガババッ キョンの妹「ひゃあ!」 時計「チッ、チッ、チッ、チッ」 キョン(まだ朝の10時か……。 いまから光の速さで準備すればまだハルヒとの約束に……) キョンの妹「キョンくんいーたーいー!急に起きないでー!」 キョン(いや、でも俺…約束はしなかったよな…?) キョン(そうだ。あいつがいつものように勝手にとりつけただけじゃないか) キョン(行く義務はないよな……) キョン「……寝る」ドサッ キョンの妹「ちょっと、キョンくーん!」 キョン「まだ昼まで二時間あるだろ?二時間たったら起こしてくれ」 俺のターニングポイントはまさに、この時だった ……… …… … 時計「チッ、チッ、チッ、チッ」 キョン「…………」 キョン(………気になって寝れん) キョン(……12時か。 ハルヒのやつ、帰ったのかな?) キョン(………) キョン(………) キョン(………) バッ、ババハッ キョン「いってきまーす」 この日から、俺の生活はがらりと一変した。
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/31.html
そして、月日は流れ、 ある秋の日…… キョン「数学は完璧かな?あとは物理を潰せば……」 ブルブルブル、ブルブルブル! キョン「………なんだ?公衆電話?」 (ピッ) キョン「もしもし」 電話『キョンさんのお電話でお間違えないでしょうか?』 キョン「は、はい?どちらさまですか?」 電話『早く病院へ来て下さい!涼宮さんが危篤状態に…!!』 キョン「なんだって!?」 チリンチリン!!チリンチリン!! キョン「すみません!どいて下さい!!」 通行人「ゴラァ坊主!!歩道で自転車飛ばすな!!!」 キョン(危篤だと…!!なにやってんだよ!ハルヒ、もう少し頑張れ!!すぐ俺が助けてやるから!!だから、まだ死ぬな!!) 自動ドア『ウィーン』 受付B「こんにちは。受付はこちら…」 キョン「ハルヒ!!待ってろ!すぐ行く!!」 タッタッタッタ…!! 受付B「いまの…キョンくん?」 受付A「…どうかしたの?」 受付B「……いえ」 ハルヒ…!!もうすぐなんだ!! 俺は気付いた。お前を救うのは俺なんだ! 深い闇からお前を引っ張り上げるのは俺だけなんだ!! 俺は力をつける。だからもう少しまて! もう少しだけ 待っててくれ!!! ガラガラガラっ!! キョン「ハルヒ!!!」 「……ばーか。だまされてやんの。 あんたはいつまでたってもノロマね…」 キョン「ハル…………」 ハルヒ「あら?あんたヒゲなんか生やしてんの? ……言っとくけど似合ってないわよ?」 キョン「ハルヒ……なのか?」 ハルヒ「………あたしの顔も忘れたの?あたしは正真正銘、涼宮ハルヒよ」 キョン「そんな、ことが………は、はは……」 ハルヒ「あんたその様子だとあたしの見舞いもさぼってたわね! 罰として売店に行ってケーキでも…」 キョン「ハルヒ!!!」 ハルヒ「きゃあ!?ちょ、ちょっと!ド変態!なに抱き付いてんの!?」 キョン「ば、馬鹿野郎…!!俺は……っ!俺は毎日見舞いに来てたっ……!! 来る日も来る日も…!!ずっとお前のそばにいたっ…!! うっ……えぐっ………! 何度も葛藤した…! 逃げようともした…!! だけど、やっぱり結論は一つだった…!お前のそばから離れられない…!いや、 お前を離したくないんだ…っ!! 馬鹿野郎…!この馬鹿野郎…!」 ハルヒ「………そう」 キョン「うわあああああああああぁぁぁぁ!!!」 多分俺もうすぐ寝るw 書き溜め?するかよそんなもんwwwwwwwwwwwwww ガチャッ 医師「うおっ!?」 ハルヒ「きゃあ!ちょ、バカキョン!!いいかげんはなれなさい!!」 キョン「おわっ!ご、ごめんなさい、お見苦しいところを…」 医師「いえいえ、おかまいなく(…ごほん)」 ハルヒ「スケベ、死ねっ」 キョン「…………」 ……… …… … ハルヒ「zzz……」 医師「実は一昨日あたりから意識の方は戻っておりまして。 真っ先に貴方に知らせようと思ったんですが、涼宮さんに強くひきとめられまして」 キョン「で、ああやって呼び付けたわけですか。 ……とんでもないことを考えますよほんと。寿命が縮みました」 医師「はっはっは!それを言うなら、私があなたに突然組み付かれたときの方こそ縮みましたよ」 キョン「や、やめてくださいよ!」 医師「それにしても不思議なこともあったもんです」 キョン「………?」 医師「………涼宮さん、意識が戻る前日は、本当に危篤状態だったんです」 キョン「なんですって!?」 医師「…はい。私どもも最悪の事態を想定しました。…ですが」 キョン「?」 医師「……私たちが立ち去った後です。なんと息を吹き返されまして。まるで神のご加護があったように、なんの前触れもなく、です」 キョン「はぁ…」 医師「検査をしたところ、まだ脳内に血腫は存在するものの、脳の機能は完全に回復していました」 キョン「………」 ドクン…… 医師「不思議なこともあるものですね。あ、不思議といえば」 ドクン…… 医師「あなたのお連れさんの女の子、毎日来ていたのに、涼宮さんの意識がもどったと思ったらパタリと来なくなりましたね」 ドクン…… キョン「すみません!!急用を思い出しました!!」 医師「…………」 ハルヒ「……行きました?あいつ」 医師「……はい」 ハルヒ「………ふぅ。全くもう、相変わらず世話がやけるんだから…」 医師「あんまり無茶をされないで下さい」 ハルヒ「…………」 医師「意識が戻られたのは本当に奇跡です。ですが、奇跡は奇跡であることをお忘れなく。 ……現実は……」 ハルヒ「………分かってます」 ハルヒ「あたしはもうキョンに心配かけたくない……」 チリンチリン!! 通行人「おわっ!?あぶねぇぞゴラァ!!自転車は車道走れ車道!!」 キョン「すみません!すみません!」 キョン(長門……!あいつ、まさか……!) 長門はハルヒはもう助からないと断言していた にも関わらず、ハルヒは奇跡的に息を吹き返した…… そして、その時を境に病院にこなくなった長門 …… ……俺はこの時、最悪の状況が組み上がっていくのを感じていた。 長門「……それはできない。私の任務は涼宮ハルヒの観察。 こちらからの極度の関与は 宇宙にとって致命的な歪みを発生させる可能性があるため、禁止されている」 長門はたしかにそう言っていた。 そうだ、そんな危険なことなら長門がするはずないじゃないか。 そうも思った。 ……だけど、奇跡なんてものはこうも都合よくおこるのか? ……おこらないさ。都合よくは。 これは長門が起こした「意図的な」奇跡だ。 キョン「……馬鹿野郎!!勝手なことしやがって…!」 キョン(……無事でいてくれ!!) 長門の家の前 ドンドンドン!ドンドンドン! キョン「長門!いるか!?開けるぞ!!」 ガチャッ! キョン「………!!」 キョン(……こたつがない) キョロキョロ キョン(鍋も、やかんも……。生活の必需品がなにもない……!!) キョン「………くそっ!」 ダッ 図書館にて キョン「すみません!」 図書館司書「はーい。 ……!!あなたは……」 キョン「すみません、今日、ここに女の子は来ませんでしたか…!?」 図書館司書「お、女の子といっても女性はたくさんご来館なさるので…」 キョン「ショートカットで、このくらいの背の、ちょっと大人しそうな女の子です!」 図書館司書「うーん、そんな子は今の所見てないですが……」 キョン「くっ…!分かりました…!どうもすみません」 キョン(くそ……!何処なんだ、長門…!!) 公園にて キョン「長門ー!!どこだー!?」 電話『お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません』 キョン「……くそっ!」 キョン(……電話もだめか………!) 野良犬「ガルル……」 キョン(…………!) 野良犬「グルルル……!!」 キョン(……これは嫌な予感が) 野良犬「ワウワウワゥ!!!」 キョン「うわあっ!」 チリンチリン、チリンチリン! キョン「すみません!通ります!通ります!」 キョン(あとはどこだ?どこを探してない!?) ギャル男A「……でよwwwwwwwその合コンで知り合った女がかなりしつこいのwwwwwww」 ギャル男B「それマジで?wwwwwwwマジKYwwwwwwwパネェwwwwwwwwwwwwww」 キョン「………!!」 キョン(歩行者!!こっちに気付いてないのか!?) キョン「ぶ!ぶつかる!!うわああ!!」 キキーッ!! ドンガラガッシャーン!!! キョン「いたたた………」 ギャル男A「お、おい、やばくね?」 ギャル男B「壁と正面衝突だよオイ……」 ギャル男A「……あのー。大丈夫ッスか?」 キョン「……くっそ……。……うわっ!?」 ギャル男B「!?」 コロコロコロ…… キョン「前輪が外れた…」 キョン(………こうなったら走るしか…!) タッタッタッタ…! ギャル男A「………」 ギャル男B「………」 結局その日は町中をかたっぱしから走ってまわった。 図書館 公園 川辺 商店街 喫茶店……。 キョン「ハアッ……!ハアッ……!」 キョン「ハァッ……ハァッ………」 キョン(くっそ……。町の中はもうほとんど見てまわった…) キョン(……探すところはもう………。) キョン「………まだだ!……あともう一周…!」 ズキン…… キョン「痛っ…!?」 キョン(足が……!) キョン(さっき壁と正面衝突した時に…!) キョン「くっ……」フラフラ 通行人A「………?(じろじろ)」 通行人B「……あの、大丈夫ですか?」 キョン「…………っ……!」 キョン(この足だとどこまでいけるか…。くそっ…!) キョン「……もう一度だ!もう一度考えよう」 …長門の行きそうな場所だ。 …長門が好きな場所だ。 分かるだろ?キョン…! お前は誰よりも長門を知ってるんだろ? キョン「考えろ!!気付くんだ!キョン!!!」 -----…………!! キョン「んで俺は聞くんだ。『あれ?みんなは?』って」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/43.html
合計: - 今日: - 昨日: - 長門「…ご飯?…お風呂?………私?」 ハルヒ「ちょっとキョン!!今何時だと思ってんの?」 キョン「……おい、もうやめようぜ。こんなの意味ないって」 長門「涼宮ハルヒの宿題」 ハルヒ「今日の放課後、マンツーマンで進路考えてあげる?」 この日から、俺の生活はがらりと一変した。 キョン「今日はな、綺麗な花を持って来た。SOS団みんなで探したんだ」 俺の中で、何かが壊れた 長門「……あなたに見て欲しいものがある」 ぐにゃあっ……! ハルヒ「……ばーか。だまされてやんの。」 キョン「んで俺は聞くんだ。『あれ?みんなは?』って」 ハルヒ「さ、寒いんでしよ!?仕方ないから布団にいれてあげるわよっ…!」 キョン「おう、じゃあまた明後日来るからな」 ハルヒ「だから、頑張んなさい」 キョン「いいか、その四人に伝える」 谷口「いいかぁー?この底辺がXになるから、この面Bの値が…」 キョン「………なんで殴られたか、分かるか?」 長門「……ただいま」 なおこの後カレーパーティーが当劇場にて予定されておりますので キョン「………みんな、行くのか」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/26.html
チリンチリン…! キョン(自転車で飛ばせばなんとか……って) キョン「……じゃあ初めから行けばよかったのか」 キョン(………まぁいいか。ハルヒよ。昼飯くらいは甘んじて弾んでやる) ………… ……… …… … 図書館前にて キョン「着いたぞ!…ん?」 ザワザワ……ドヨドヨ…… 一般人A「ひどいもんだわ」 一般人B「……可哀想に…」 警察官「こら!あんたら!下がりなさい!ブルーシート!ブルーシート!!」 救急隊員「はいはーい!邪魔になるんで下がって下さーい!!」 キョン(なんだなんだ?事故か?物騒だな……) キョン「っと、こうしちゃおれん」 スタスタスタ…… 自動ドア『ウィーン』 キョン(ふう、冷房がきいてて気持ちいいじゃないか。 ……さて、ハルヒは…)キョロキョロ キョン(見当たらんな。奥の方か?) ……… …… … キョン「おかしいな…。だいたい探したハズなんだが……ん?」 キョン(これ…ハルヒの筆箱だ) キョン「あと、なんだ?この大量の紙。……何かのデータっぽいが…」 キョン(………それに、なんだこれ) キョン「『夢をつかむ!なりたい職業百選』。『高校生から考える、僕の進路』…。」 キョン(………!ってことは……) 散らばったプリント。 それは給与や待遇などの水準から見た、良い職業のリストだった。 でもそれは長門の作ったリストのような整然としたリストではない。 ところどころ誤字があったり、そしてハルヒ本人のものと思しき字で「要チェック!」などと書いてあった キョン(あいつ…こんなことを……) キョン「でも当の本人は一体」 ン…… キョン「何処」 クン…… キョン「二」 ドクン…… キョン「イッタんだ?」 自動ドア「ウィーン」 「キョーン!!」 谷口「キョン!!なにやってんだこんなとこで!」 キョン「谷口…。お前こそ慌ててなにやってんだよ」 谷口「いますぐこい!お前、すぐそこで涼宮が」 キョン「ハルヒが?」 谷口「トラックと 俺はそこから何をきいたか覚えていない。 ただ図書館を出て目に入った光景を見て、意識が遠のいたのは覚えている。 アスファルトを染めている赤い血は誰のものだ? 考えたくもない。目を逸らしたい。 朦朧とした意識をムチうって、俺は全速力で病院へ向かった。 タッタッタッタ……バァン! 医師「こらこら、そんなドアを勢いよく開けては」 キョン「は、ハルヒ!!」 医師「……ん…?」 キョン「は、ハルヒはどこなんだ!知ってるのか!?ハルヒは!?」ガバッ 医師「ぅ……く……お、落ち着いて下さい!」 キョン「(はっ)…あ、す、すみません……」パッ 医師「………ゲホッ、ゲホッ…。……ハルヒさんとは、涼宮ハルヒさんのことでしょうか?」 キョン「……はい!」 医師「……先ほどこちらの病院に運ばれました。今、手術中です」 キョン「……ここで」 医師「………はい?」 キョン「………ここで待たせてもらっていいですか」 医師「……恐らく、深夜になると思いますが……。それでも待ちますか?」 キョン「……いつまでも待ちます…っ」 夕方、手術室前にて キョン「…………っ……!」 タッタッタッタ… みくる「キョンくん!」 古泉「図書館に置きっ放しだった荷物を持ってきました。 ……涼宮さんは?」 キョン「…………」 古泉「………あの」 谷口「まだ、なにも聞かされてねぇ」 長門「………」 古泉「そうですか……」 みくる「……キョンくん…」 ガチャン…… みくる「キョンくん、手術中のランプが消えましたよ」 キョン「…!」(終わったのか!?) ガチャ… 執刀医「………」 キョン「(!!)あ、あの、先生…!」 執刀医「……お友達の方ですか。……申し訳ありませんが両親の方から先に説明させて頂きますね。あなたがたはその後という形で」 キョン「いや!待ってくれ!!だめだ!まず……」 古泉(がしっ)「いえ、僕たちは後で」 キョン「古泉っ! お前…!!離せよ!!」 執刀医「………失礼します」 俺の体は騒いで見せるが 俺の脳はその現実を受け入れたくないのか、 この状況がまるでリアリティがないように感じる いや、わかるんだ。おれの頭はよく出来てるよ。 そうだ。この現実を受け入れたら、きっと俺は……。 この日から、俺の生活はがらりと一変した。 そう、まさに人生のターニングポイント。 キョン「今日はな、綺麗な花を持って来た。SOS団みんなで探したんだ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/39.html
…………… 古泉「それにしても、あなたも酷い人ですね。頼んでいたものの代わりに、わざわざ今ちまたで問題となっているものを選んで買ってくるなんて…」 キョン「……許せ。他意はない」 グツグツグツ…… 古泉「それにしてもすごいですね。15年前の携帯ガスコンロが動くなんて…」 キョン「まぁまだホームセンターが開いてる時間じゃないし、仕方ないだろ。 それに事実今動いてるんだから問題ない」 ハルヒ「よっし!できたわよ!!みくるちゃん特製カレー!!」 みくる「上手く出来たかどうか分かりませんが…」 キョン「いえいえ、大丈夫ですよ」 ハルヒ「そうよ!あたしも手伝ったんだし、美味しいに決まってるわ!」 古泉「具は冷凍野菜ですが、そこは勘弁して貰いましょうか」 キョン「あぁ」 みくる「長門さん、来てくれますでしょうか…」 ハルヒ「絶対来るわ」 みくる「!」 ハルヒ「団長命令はぜったいだもの。ね、団長?」 キョン「俺は団長じゃない。団長代行だ。 団長はお前、涼宮ハルヒだ」 ハルヒ「ふふ、そうね」 キョン「あいつは……!……長門は来る」 そう、絶対に。 あいつは約束した。絶対に戻ると だから…! キョン「あとはお前だけだ!長門、戻ってこい!」 ―――――――……… ガチャッ…… 長門「………」 ハルヒ「有希!!」 古泉「長門さん…!」 みくる「長門さん!!」 キョン「…………」 キョン「……長門!!」 長門「………遅刻…」 キョン「……長門!!」 長門「…………」 キョン「長門、お前……!」 長門「……涼宮ハルヒが、回復したのが理由」 キョン「え?」 長門「涼宮ハルヒが回復したことによって、観察の必要性が出て来た」 キョン「………」 長門「だから、涼宮ハルヒと顔見知りであった私を送り込むのが一番簡単であり、かつ効果的であ」 キョン「……老けたな」 長門「……?」 キョン「老けたな、長門」 長門「……そう」 キョン「でも、美人だ」 長門「………………そう」 ぐりぃ…! キョン「ぐあっ!?」 ハルヒ「……あんた何鼻の下伸ばしてんのよ…? 有希に変なことするならこのままカレーの具に……!!」 古泉「おやおや、お熱いことです」 みくる「あのぅ、ケンカは……」 ハルヒ「なっ…!別にそんなんじゃ……」 キョン「長門!」 長門「……何」 キョン「……おかえり」 長門「……私が帰ってこれたのも、あなたのお陰」 キョン「…え?」 長門「……ただいま」 俺の人生のターニングポイント。 ハルヒの約束をすっぽかした、俺。 もしあの時、俺が約束を守っていたなら、俺はきっと別の人生を送っていただろう。 それはどんな人生だろう? それは分からない どんな人生か…。 そんなものはもはや俺にとって関係ない いいじゃないか。 遠回りだったけれど…。 俺たちの絆は本物だ。 だから、これでいいんだ。 俺の力をハルヒを守る力と言ってくれた古泉 本当にそうなのかはまだわからないが 俺はハルヒを守る。 これから、ずっと fin なおこの後カレーパーティーが当劇場にて予定されておりますので
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/28.html
俺と長門は二人で看病を続けた。くる日もくる日も。 いつか、ハルヒが元気に起きることを信じて それが、ちょうど事件から一か月の日だ タッタッタッタ…! 受付「あら、キョンくん。こんにちは」 キョン「こんにちは。涼宮ハルヒの面会なんですが」 受付「はい」 キョン「……あの、あいつ……」 受付「……?」 キョン「部屋でおとなしくしてますかね?」 ガラガラガラッ! キョン「ようハルヒ。今日も来たぞ」 ハルヒ「」 心電図『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、』 呼吸器『シュー……コー……』 キョン「今日はな、綺麗な花を持って来た。SOS団みんなで探したんだ」 ハルヒ「」 キョン「良い匂いだぞー!」 ハルヒ「」 キョン「……お前花粉症だっけか?」 ハルヒ「」 キョン「んなわけないか。はははw」 キョン「…なぁ!長門!」 長門「……(こくん)」 そうさ。SOS団の団員は今や二人だけ。でも今のハルヒには知らなくてもいいことだ 俺は……実のところ、古泉や朝比奈さんがいなくなって寂しい。だがな、お前は寂しがる必要はないぞ。 お前が元気になった暁には、閉鎖空間の一つでも作ってやって、悠々自適にデスクワークしてやがる古泉を引っ張りだしてくればいい。それだけだ。 朝比奈さんもぶったまげて今の仕事をほっぽりだして来てくれるだろうぜ ……そん時は俺も二人に謝るよ。 そこからが長かった。俺は教師のはらかいで無事に三年生なった。ハルヒもいっしょだ。 そして花見シーズン。病床から見える桜も綺麗だった。 ゴールデンウィーク。俺は嬉しかった。ハルヒの看病に専念できるから。 そして梅雨の時期……… 月日は流れる。無情なほど早く そして俺たちの中でも何かが変わったのかもしれない そんな時期の話だ キョン「………(うつら、うつら)」 長門「……寝てるの?」 キョン「(はっ!)…い、いや、起きてる!」 長門「……あなたには休息が必要」 キョン「んなわけあるか。元気バリバリだぞ」 長門「……」 キョン「はっはっは!」 長門「……今日は私にまかせて」 キョン「今日は俺の番だ」 長門「あなたはほとんど毎日来てる。何か月も前から」 キョン「それは長門もだろ」 キョン「それは俺が勝手にやってるだけだ」 長門「……駄目、休んで」 キョン「……放っておいてくれ…!」 長門「……!!」 キョン「………ごめん」 長門「………問題ない」 キョン「…………」 長門「…………」 キョン「なぁ長門」 長門「………何?」 キョン「…ハルヒは、お前の力でなんとかならないのか?」 俺の中で、何かが壊れた 長門「……それはできない。私の任務は涼宮ハルヒの観察。こちらからの極度の関与は宇宙にとって致命的な歪みを発生させる可能性があるため、禁止されている」 俺はやっぱりなと思うと同時に大きな失望感を覚えた。 それは長門がハルヒを元気にさせることができやかったから?違う。 俺は自分に失望したんだ。また俺は長門に頼った。他力本願。……己の無力さに失望したんだ。 あの執刀医の話を聞いた時の感覚……。 そのころからだったか。心にどす黒いものが住み着いたのは。 夜、寝るとき奴は俺にささやくんだ。 「もういいだろ」「無駄だ」って。 俺ははなっから長門に頼りっ放しだったんだ。そのとき理解した。 ハルヒだって長門がその気になれば…… 何かが崩れた。その何か。 心の支えだった。 その支えが長門だったなんて。 自分で自分を失望するのもわかる気がするよ ガチャッ… キョン「ただいまー…」 シャミセン「……にゃ」 キョンの妹「キョンくんおかえり!ご飯食べるー?」 キョン「いい…。とりあえず寝る」 キョンの妹「……あ、ぅ、うん……」 シャミセン「……くるるる……」 俺はまるで力の入らない足をひきずるような足取りで自分の部屋に行き、ベッドに倒れこんだ。 布団に顔を突っ込んだ瞬間、疲れがどっと体の奥から滲みだして来て、俺はあがなうことなく深い眠りの闇に落ちていった。 キョンの妹「キョンくーん!朝だよー!」 どすんどすん キョン「(う……)」 キョンの妹「あーさーだーよー!!」 どすんどすん キョン「わ、分かった分かった…。分かったからやめてくれ」 キョンの妹「あ、そうだ!キョンくん宿題できてないよ!」 キョン「なにが?」 キョンの妹「このプリント、今日ていしゅつ!」 キョン「うん?どれどれ…。 ……ってこれは宿題じゃないじゃないか」 キョンの妹「でも今日ていしゅつって……」 キョン「それは進路志望調査のプリントだ」 キョンの妹「出さなくていいの?」 キョン「構わん。 ……学校行ってくる」 キョンの妹「……はーい」 数学教師「だからなー、この数列がこうなってだなー!」 キョン(………ハルヒ……) キョン「………」 キョン(………気になって授業もまともに……) …コツッ! キョン「いてっ!?………なんだ?消しゴム?」 谷口(……お前あてられてんぞ!答えろ!) キョン「……え?」 数学教師「……(じーっ)ビキビキ」 クラスメート「………(じーっ)」 キョン「あ、いや、その……わかりません。聞いてませんでした」 どッ…!! 数学教師「はぁ、お前高校生にもなってまだ廊下に立たされたいのか?」 キョン「いえ、すみません……」 数学「……顔洗ってこい」 キョン「…はい」 キョン「………(ぼーっ……)」 ハルヒ「…」 長門「…………」チラッ 時計「チッ、チッ、チッ、チッ」 長門(………そろそろ) 長門「………(くいっくいっ)」 キョン「……んぁ?どうした長門?」 長門「………夕ご飯」 キョン「……俺はいい。ここにいる」 長門「………体に悪い」 キョン「…………」 長門「………無理にでも、連れて行く」 キョン「…………」 長門「……あなたに見て欲しいものがある」
https://w.atwiki.jp/haruhi_sinnrosidou/pages/27.html
月日は流れる 「あの日」から一か月…… … …… ……… ………… タッタッタッタ…! 受付「あら、キョンくん。こんにちは」 キョン「こんにちは。涼宮ハルヒの面会なんですが」 受付「はい」 キョン「……あの、あいつ……」 受付「……?」 キョン「部屋でおとなしくしてますかね?」 受付「あぁそのことですか!キョン君、部屋であなたのことを待ってますよ」 キョン「すみません、ありがとう御座います!」 受付B「…………」 受付A「……また来たの?あの子」 受付B「はい」 受付A「ハルヒはいますか、って?」 受付B「……えぇ」 受付A「………健気ね。あの子が部屋から出ることは……」 受付B「先輩」 受付A「………」 受付B「それ以上は、どうか……」 受付A「……ごめんなさい」 ガラガラガラッ! キョン「ようハルヒ。今日も来たぞ」 ハルヒ「」 心電図『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、』 呼吸器『シュー……コー……』 キョン「今日はな、綺麗な花を持って来た。SOS団みんなで探したんだ」 ハルヒ「」 キョン「良い匂いだぞー!」 ハルヒ「」 キョン「……お前花粉症だっけか?」 ハルヒ「」 キョン「んなわけないか。はははw」 ………… ……… …… ハルヒの親とあの執刀医の話が終わったあと、俺たちも話を聞いた。 執刀医は「手はつくしましたが」と言葉を濁した。はっ、馬鹿いえよ藪医者め。医者ってんなら人間の一人や二人救ってみろよ。 そう思ったねあの時は。だけどその人は何時間も汗だくになりながらも集中してハルヒを助けてくれようとした人だ。 祈ることしかできない無力な俺に代わって… 俺たちSOS団はローテーションを組んでハルヒの看病をした。ハルヒの親にはひどく感謝されたが、俺には感謝の言葉には聞こえてなかった。…いや、ハルヒの親は感謝の気持ちを表していたんだろうが、受け手の俺がどうかしてたから…。 図書館司書の話によるとハルヒは11時には図書館についていたらしかった。そしてひとしきり調べもの(恐らく進路の資料の整理だろう)をしたあと、すっと図書館を後にしたらしい。 ハルヒは何度も時計を眺めていた。 ……俺と待ち合わせの時間を気にしていたんだろう これを聞いたとき、急に俺の足に力が入らなくなったのを覚えてる。 覚えていたくもない。…でもそれが現実。 覚えていなくてはならない。俺の最大の、一番してはいけない失敗だった。 俺たちは来る日も来る日も眠り続けるハルヒに話しかけた。 寝ているハルヒを見るといきなり起きだして「今日も不思議を探すわよ!」とか言い出しそうな気がして、ひたすら話しかけた。まるで病人の気がしない。……ハルヒへ伸びる禍々しい医療機器どもの管やコードが目に入るまでは。 ハルヒは良い夢を見てるのか悪い夢を見ているのかすら分からない、いつも変らぬ表情で眠り続ける。でもきっと俺たちの声はとどいてるよな。なぁ、団長。 俺たちはお前が目をさますまでずっとこうやってるよ。ずっとだ。だから早く起きろ。 楽しいことの連鎖。ずっと繋がっていくんだ。SOS団の連鎖は。 だが……俺が信ずるそんなささやかなものも、脆くも崩れ去るのだ。 病院、廊下にて キョン「……なんだって?」 古泉「ですから、涼宮さんがこの状態なので僕はしばらく内勤に回されることが機関の上の意向で決定しました」 キョン「…………」 古泉「不本意ですが、今日でみなさんとお別れです」 キョン「…………」 古泉「それでは、お世話になりました」 キョン「………それだけか」 古泉「……はい?」 キョン「言いたいことはそれだけか?」 古泉「…………」 キョン「うおああああっ!!」 古泉「!!!」 ガラガラガッシャーン!! キョン「おおあ!この!この野郎!!」 ガッ!ガツッ! 古泉「………ぐっ!………ぐぁ……くっ!……」 医師「君達!やめなさい!」(がしっ) キョン「…はぁ、はぁ……」 古泉「…………」(ヨロ…) キョン「…反撃も防御もなしかい」 古泉「………僕にはあなたを殴る権利も、いや、その拳を防ぐ権利すらありません」 キョン「………っ!」 古泉「こんな形でお別れとは………残酷なものです」 キョン「顔あげやがれ……!もう一発殴ってやる…!」 医師「や、やめなさい!」 古泉「……それでは、さようなら」 キョン「待て!!逃げんのか!!」 古泉「……あなたは」 キョン「…!?」 古泉「……信じてもらえないかもしれませんが……」 キョン「……?」 古泉「……幼少のころから機関に属していた私の、初めての友人といえる存在でした」 キョン「…!」 古泉「……そんな人達をおいて、私は」 キョン「言い訳なんかするな!!」 古泉「…………」 キョン「……ハァッ、……ハァッ、…」 古泉「………失礼します」 スタスタスタ…… キョン「………畜生」 医師「あの、大丈……」 キョン「馬鹿……野郎……」 ハルヒ「」 人口呼吸器「シュー……コー……」 キョン「………ようハルヒ」 ハルヒ「」 キョン「さっき古泉と喧嘩したんだ」 ハルヒ「」 キョン「あいつがわけわからんこと言うもんだからぶん殴ってやった」 ハルヒ「」 キョン「ははは」 ハルヒ「」 キョン「はは………は…………」 ハルヒ「」 キョン「…………うっ……うぅ……」 ……不幸ってのは、続いてくるもんだ。 まるで数珠のように、ジャラジャラと 古泉のやつがあんなことを言い出したんだ。 頭の良くない俺にだってわかる。 その予感は、古泉が消えた数日中に的中する。 みくる「……キョンくん」 キョン「何ですか?」 みくる「大切なお話があります」 キョン「………愛の告白だったらすごく嬉しいです」 みくる「…………」 キョン「……だいたい分かります」 みくる「……本日付でここを離れなくてはならなくなりました」 キョン「……訳すら教えていただけませんか?」 みくる「ごめんなさい……禁則事項なんです」 キョン「…………」 キョン「俺は今までSOS団ってのは任務とか組織とか機関とか…… 根っこの部分はそういうのナシで集まってる、仲間だと思ってました」 みくる「…………はい」 キョン「……なんか俺、裏切られた気分です」 みくる「……………」 キョン「分かりました。これからは俺と長門でローテーション組みますんで」 みくる「…っ!あ、あのっ!」 キョン「…………なんですか?」 みくる「えっと……その………」 キョン「……………」 みくる「…………」 キョン「……俺、ハルヒのとこ行かなくちゃならないんで」 ッカツカツカ… みくる「………………」 みくる「………最低ですね、私って……」 病院、深夜、廊下にて キョン「…………」 ツカツカツカ…… 長門「……なにをしているの?」 キョン「…………」 長門「………ここで寝るのは風邪をはじめとする症候群に冒される危険がある」 キョン「…………寝ないさ」 長門「…………?」 キョン「寝れない。不安で不安でたまらなくて……」 キョン「……みんなSOS団から消える夢を見るんだ」 長門「…………」 キョン「古泉が消えて、朝比奈さんが消えて、長門が消えて…… んで……………」 長門「…………?」 キョン「……こっから先は言いたくない」 長門「……あなたが不安になるなら、言わないほうがいい」 キョン「………あぁ」 長門「私は消えない」 キョン「……!」 長門「ずっと、あなたたちのそばにいる」 キョン「………」 長門「ずっと」 キョン「な………が…と…………」 キョン「zzz...」 俺の中で、何かが壊れた