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水銀燈 人形師ローゼンによって創られた薔薇乙女の一体 アリスになる事に強い執着を持ち、真紅に対して異常な程の憎悪を抱く 性格は冷酷。黒い羽を武器に真紅達を苦しめる …はずなのだが一人の少年、桜田ジュンの存在が彼女を翻弄する事に 最初こそ冷酷で残忍という敵役らしさがにじみ出ていたが ジュンの観察が進むにつれてボロがでたのかなんなのか、ドジッ子だったり ヤクルトジャンキーだったり姉妹達の認識能力が薄かったり 騙されやすかったり人が良かったりと段々壊れてきている 彼女がアリスになれるのは果たしていつの日か 初登場:観察1日目観察開始 水銀燈を観察 観察日 観察方法 小道具 大道具 心理戦 誰かと協力 観察場所 桜田家 nのフィールド めぐの病院 柏葉家? 屋外 その他 おなかはやめて 水銀燈の逆襲 めぐと水銀燈
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水銀燈の逆襲 水銀燈だってれっきとした薔薇乙女 負けてばかりではありません。多分 観察1日目 ジュンを落とすのが先だ レバー入れで、大パンチで …うわあ 水銀燈は見た 今度は少しくらい居てやろう 計画を立てた水銀燈 観察2日目 水銀燈は少し懲りた 今日も来ました 観察3日目 和装で泣く水銀燈 観察4日目 首だけニュッポン水銀燈 コツコツ作ってきたアレ
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めぐと水銀燈 二人は契約してはいないけれど その絆は…絆は… 観察2日目 ヤクルト3リットル 観察3日目 めぐ 観察4日目 私も負けないわ コレをお持ちなさい めぐ専用ブロードバンドコンテンツ
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水銀燈と夢 http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1191087744/ 1~
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 02 42 24.16 ID WsLaGOgE0 僕の隣を銀の髪が流れていく 振り返る、天井が見えた。 隣を見ても誰も居ない。窓の外では青白い街灯の光りが アスファルトを鈍く光らせていた。 時計ではの蛍光塗料のはげかかった2の数字を影が隠していた。 目を閉じる。 もう一度彼女に、水銀燈に出会えますように。 せめて、夢の中だけでも 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 02 53 23.44 ID WsLaGOgE0 あの後水銀燈の夢は見れなかった。 水銀燈が居ない3次元の世界なんて、生きてる意味ないよね そんな僕だけどインターネットは取り上げないでね、死んじゃうから。 ジャイアンじゃないけど死んじゃいやんだから。 くだらない。 ニュース系のサイト、お気に入りのサイト、SNSを巡る だけど、引篭もりの俺が外の世界の情報を仕入れて、何の役に立つんだろうか。 陽の光りは床を照らす面積をじわじわと広げ、水のように光りが引いていく。 外では秋虫が鳴いていた。 9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 03 06 22.60 ID WsLaGOgE0 声が僕の名前を呼ぶ。 冬が死に、春の涙のように澄んだ声だ 僕の名前を呼ぶ。 濃い紫に赤が流れ込んだような声だ 僕を呼ぶ。 黒と紫と赤をグチャグチャとかき混ぜ、バターナイフで 切り取った口から白い輪郭が浮かび上がり、目が覚める。 部屋が緑がかった青で満たされていた。 まるで、海の底だ 僕は水圧に押しつぶされるようにベットに倒れこんだ。 目を覚ますのは空が燃えている頃だろう。 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 03 24 16.19 ID WsLaGOgE0 体育館の中に居た、とても広い体育館だ。 広い、だけど僕はこの光景を見た事がある 一度や二度なんかじゃない。そう、小学校の体育館だ。 僕は手を見た 線は細く、身は薄く爪楊枝のような白い指があった。 小学生の頃の僕なのか、何だ? 横を影が残像を残して駆け抜ける。僕が視線を上げると 仮面ライダーが達が戦っていた。 2対1、僕の横を駆け抜けた奴が独り奮闘している 彼は僕を一瞬だけ、ほんの一瞬だけ見た。 見た瞬間に視線を外されたんじゃない、視線を僕に向けた瞬間 横合いから別の仮面ライダーに殴り飛ばされたのだ。 殴り飛ばされ、床を転がり、また何もなかったように二人のライダーの前に立ちはだかる。 駆け出していた。 僕は彼の横を風の様に走り抜け、近くに居たライダーを殴り吹き飛ばした。 僕の夢だ、なんとでもなる。 視線を彼に向ける、殴り飛ばされ床を転がる。敵は一人じゃないんだ。 僕と彼とで協力して、なんとか敵に勝つことが出来た。仮面ライダーには変身しなかった。 12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 03 38 55.53 ID WsLaGOgE0 横を銀髪が流れ、甘い香りが鼻腔を擽る。 振り返りざまに僕は彼女の細い肩を掴む。 目が覚めた いつもと変らない狭い部屋、だけど何かが違う 生活の香りと言うか、僕以外の誰かの趣味が入り込んでるというか。 ちゃぶ台の上にはカップ麺の容器が二つ、対面に置かれていた。 誰が出したんだろう 13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 03 39 35.34 ID WsLaGOgE0 答えは直ぐ隣に居た。あったと言う方が正しいのか。 彼女は、水銀燈は自分の鞄の上に座り僕を見下ろし、 「あんたいつま寝るつもりなの?」と僕に言葉を吐きかけた。 夢?いや、僕は今さっき起きたはずなのに? 「まあいいわ、おやすみなさぁい」 腰掛けていた鞄の上から中に移る。 いったい、何が起きてるんだ、寝る?僕は今起きたばかりだよ。 水銀燈は閉じかけた鞄の隙間から、顎で置時計を指す。 9時、か じゃあそういうことで、と水銀燈は鞄を閉じた。 水銀燈。と呼びかけても反応はないが、鞄は確かに目の前に存在している。 僕は特にする事もないので、眠る事にした。おやすみ、水銀燈。 目が覚めた 隣には鞄はない、いつもの狭い部屋。 夢、だったのか? 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 03 59 59.86 ID WsLaGOgE0 「あらおはよう、今日は早いのね」 水銀燈の長い銀の髪が朝日の中で踊っていた。 ああ、と生返事を返す僕に風と共に甘い香りが運ばれ頬と鼻腔を擽る。 あれは、水銀燈だ 目の前に居る水銀燈は僕が何度となくディスプレイの向こうで、 紙の上で見てきた水銀燈だ。 ビスクドールの精緻極まる線で描かれた白い輪郭も、薔薇のような唇も見覚えがある。 だけど本当に水銀燈?いや、水銀燈なんだろうが、僕がいつも言っていた 「水銀燈は俺の嫁」の水銀燈のような 「はぁ?私がローゼンメイデン第一ドールの水銀燈じゃなかったら、何だって言うのよ それと、私はあんたの嫁なんかじゃないわぁ。・・・・・・脳みそまでジャンクになったようねぇ」 美貌で水銀燈の答えに、僕はそうかもしれないと返した。 「まあいいわぁ。それから、さっきのはプロポーズのつもりなのかしらぁ」 水銀燈は窓の縁に腰をかけ、にやにやと僕の方を見て言う。 プロポーズ?いや、プロポーズではないなプロポーズってのは、 もっと、こう、気障ったらしくロマンチックに 水銀燈は僕の語りを打ち切るように小さく舌打をし 「からかいがいのないガキねぇ」と手の平に顎を乗せそっぽを向いた。 僕は、朝日に照らされた不機嫌な美貌を見つめながら、朝食の用意でもしようかと考えた。 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 04 12 16.97 ID WsLaGOgE0 水銀燈が鳥を食べていた。 羽毛そのままにワイルド生齧りだ、もちろん血抜きもしてない 何をしているの?と僕の質問に水銀燈は小さく「鳥」と答えただけだった。 そうか、鳥か。 晩飯に鳥肉を出したが、水銀燈は特に喜びもしなかった 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 04 23 11.89 ID WsLaGOgE0 僕は水銀燈の手を掴んだ 水銀燈は開け放たれた窓辺に立ち、窓枠に手をかけていた。 彼女は掴まれた手を見、僕の顔を見て 「これでいいの?」と問いかけた。 僕はうんと答える 目が覚めた 部屋に水銀燈は居なかった カチャカチャとブラインドが風に揺られて音を立てている 僕は窓を閉め、再び眠った。 目が覚めた 水銀燈は眠っている僕の手に自分の手を添えていた。 僕がそれに気づき声を漏らすと、水銀燈は何も言わず手を離し 「朝よ」と深海のような部屋で朝を告げられた。 そうか、朝か 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 04 24 00.91 ID WsLaGOgE0 寝る、起きる。 寝る、起きる。 寝る、起きる。 寝る、起きる。 起きる。 起きる。 起きる。 起きる。 起きる 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 04 38 17.32 ID WsLaGOgE0 最近眠っていないような気がする。 寝て、覚めても同じ部屋。違いは水銀燈が居るか居ないか。 水銀燈が居た方が、起きていた自分なのか、寝ていた自分なのか。 おはよう、水銀燈 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 04 39 36.00 ID WsLaGOgE0 目が覚めた。 鉛のように重い体をベットの上で起す 「なんだか、疲れてるわねぇ」と水銀燈が自分の鞄の上に座りながら言う。 最近寝ていないんだと僕は返した。 窓を叩く雨の音が聞こえてくる 「人は、夢と現実の区別が出来なくなったら、狂ってしまう」と雨音を縫うように 水銀燈の声が僕に届いた。 「だから、夢を決めなさい」と水銀燈が言う。 雨音が強くなってきた。 夢を、決める 「寝て、あなたの夢を見なさい」 いつのまにか隣に居た水銀燈は、僕の顔を優しく抱きしめた。 どおんと雷が落ちる音が、遠くから鳴り響く。 夢を、 「おやすみなさい」 僕は蜜のような眠りに捕われていた 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 01 38.10 ID WsLaGOgE0 僕は体育館の中に居た、いつか夢で見た小学校の頃の体育館だ。 あの時より広く感じない。むしろ狭く感じる 今回は子供じゃない。僕は体育館の端に腰を下ろし、体操座りをした。 僕は待っていた、夢で出合った黒い仮面ライダーを。 だが、いくら間っても彼も、他の二人も出てこない、夢からも覚めなし、眠る事も出来ない 暇な夢だ。 その時、どおんと体育館に反響させ黒いボールが落ち、 どん、どんとバウンドしワックスの床に転がる。 僕は転がるボールを眺めていた あ。息が喉に詰る。 あの時居た、黒いライダーの頭だ 転がる頭は目の前で止まり、仮面の部分が崩れ僕の顔が僕を見つめた。 やあ、と僕は言う。やあ、と向うも答える。 それだけだ。 そして頭は再び転がり出した、二度と止まる事はない。 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 08 41.38 ID WsLaGOgE0 雷の音で目を覚ます。 僕はあの時と同じ姿勢、水銀燈に頭を抱かれたままだった。 「もっと眠っててもいいのに」 水銀燈の声と共に吐き出された吐息が、汗で湿った僕の皮膚を撫でた。 夢を見た、と僕が言うと「そう、よかったわね」と水銀燈が起伏のない声で返す。 彼女の声を聞くと、落ち着く 冬の冷たさを持った春の柔らかな風は、僕の心を包み込んでいく。 「まだ起きるには早いわぁ。寝なさい」 冷たく、柔らかな風は僕の足先から体に染みこんでいく。 26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 17 50.74 ID WsLaGOgE0 僕は僕の中に居た。 視線が僕の意識に関係なく動き、ぼやける。さっきとは違う夢だ。 臭い。腐り発酵した異臭が僕の鼻腔を刺激した。 臭いの元をどうにかしようにも僕は動く事が出来なかった、 ただ天井を見つめ続けるだけ。 早く目覚めたい。そう願っても、僕は一向に目を覚まさない。 どれだけ時間が流れたのか 僕は、辺りが陽で燃え始めた頃にやっと目を覚ました。 おはよう、水銀燈。 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 18 25.00 ID WsLaGOgE0 あれ以来僕は夢を見なくなった。 だけど僕はその事で、辛いとも悲しいとも思わない。 「ちょと、遊びに行ってくるわぁ」 水銀燈が黒い羽根を広げ、窓辺に立っていた。 いってらっしゃいと僕が言うと、彼女は黒い粒子を撒き散らし 抜けるような青い空へと飛び立った。 簡単な話さ。今、この生活こそが僕の夢だったのだから。 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 18 40.48 ID WsLaGOgE0 水銀燈と夢 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/09/30(日) 05 18 56.28 ID WsLaGOgE0 終わりです、お疲れさまでした
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 06 26.17 ID ZS1SgYCd0 戦えど、戦えどなお私はアリスになれない、じっと手を見る。 「綺麗な手だね」 契約者の声が、水銀燈の直ぐ後ろからした。 彼女は見つめていた右手をそのままに眉をひそめる。 「それにしても、小さいね」 無造作に手が伸び、硬い男の指が、水銀燈の柔からかな手の平を 手首のその下から包み込んだ。 「触れないで」 と男の手を叩いて払う。 「あんた、少し馴れ馴れし過ぎるんじゃない?」 「あっ……ごめん」 3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 10 35.07 ID ZS1SgYCd0 「少しは自分の姿を鏡に通して見てみなさいよ」 水銀燈は謝罪の言葉を意に介さないように立ち上がり、窓のアルミ枠に手をかけながら言う。 窓ガラスには空の青に透かされた水銀燈の顔が写っていた。 その表情は窓ガラスの様に、彼女の顔には写し出されていなかった。 「また戦いに?」 雲が流れ、陽の光と水銀燈の顔をガラスの上から隠した。 小さな手が窓を押し開け、男を一瞥した。 「きっも」 それだけ言うと、水銀燈は背から突き出た両の黒翼を広げ、灰が混じる青へ飛び立って往った。 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 13 04.34 ID ZS1SgYCd0 ゚ | ・ | .+o ゚ | ・ | o。 | *。 | *o ゚ |+ | ・゚ | o○+ | .|i・ o |* o○+ | |i |i | + ゚| o ○。 ・+ ・ l ゚| o ○。 * ・|*゚ + | ゚ |i | + ○ / ̄ ̄ ̄'',. | |! | o。! |! ゚o .* / ', | * ゚ | 。*゚ l ・ ゚ | {゚} /¨`ヽ {゚} |o ゚。・ ゚ *o゚ |! | 。.l トェェェェイ ', + *| 。 | ・ o ゚l .| |-ーー| ', *゚・ +゚ || |o |・゚ ,.‐-リ ヘェェェノ ', | ゚ | * ゚ l| / 、 \ + o.+ | ・ |l + ゚o i ` -、 _ \ ○・ |o゚ o○ | | ヽ. ヾ´  ̄ ヽ *。 ・| + ゚ o } } ヽ O。 O。 | | リ、 .. .. l 。 o+ |!*。| / `ー , ヘ .. | * |・ | ゚・ |/ / ... .. / / | ..... { | _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_ > < /\ ──┐| | \ ヽ| |ヽ ム ヒ | | / \ / / | ̄| ̄ 月 ヒ | | \ _ノ _/ / | ノ \ ノ L_い o o > < 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 15 21.10 ID ZS1SgYCd0 「そろそろ、カーテン閉めるよ」 ぼんやりと窓辺に立ち、空を見上げる水銀燈に声を掛ける。 西の空をほんの少しだけ残し、夜の帳が春風に揺れていた。 カーテンレールを滑る滑車の音が、夜から部屋を切り取った。 カーテンに伸ばした男の手が止まる。 水銀燈は何も言わず左を向き、そのまま真っ直ぐ部屋の角まで行くと静かに腰を下ろした。 その視線は男に向けられている。 まるで、道路の上で風に吹かれ、いつ車に轢かれるとも分からない ビニルの袋を見ているかのようだった。 「あー、ありがと」 男は、伸ばし、開かれた手を握り言った。 9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 19 19.27 ID ZS1SgYCd0 部屋の隅に置かれたストーブの赤く焼けた鉄が、部屋を照らしていた。 薬缶口からお湯がカップ麺へと注がれる。 水を足し、薬缶をストーブの上に置くと水滴が死ぬ音がした。カップ麺の蓋はシールで留められている。 春といえど夜はまだ寒い。 蓋を開けると、冷たさを含んだ湯気が鼻を湿らせた。 湿った鼻で感じるコンソメの臭いが食欲をそそる。 湯気をまとう刻みネギで飾り付けられた麺を持ち上げ、口をつける。 刺すような熱さが、一瞬。その後は味が程よく染み込んだ麺をすするだけなのだが──。 「食べる?」 水銀燈の視線の重さに箸を進める事が出来なかった。 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 22 10.51 ID ZS1SgYCd0 「……別に」水銀燈が膝を抱きかかえ、顎を乗せた。 「お腹減らない?」 答えるのもさぞ面倒くさいと水銀燈が言う。 「あのねえ、私はローゼンメイデンよ? そんな犬の餌みたいな物を食べるわけがないでしょ。少しは物を考えて言いなさい」 「そうか」と男が返し、水銀燈の視線の中、外気に晒され冷たくなった麺をすすった。 時計の針が9時を指すまで、水銀燈は部屋の隅から男を見つめ、自分の鞄の中に何も言わずに戻った。 男はストーブの火を落とす。 熱が地に吸われる雨水のように引いていく中、彼は肘を付き、手の平に顎を乗せ、壁の一点を見つめていた。 顎に、薔薇の指輪の冷たい感触が触れている。 音がする。夜の冷たさが部屋を満たす音が。 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 27 06.59 ID ZS1SgYCd0 夜にする為、昼を抜く。 空まで満たされていた昼が、徐々に地面に染み込み出していた。 「ただいま」 汚れが目立つドアを開き、部屋に入ると水銀燈が居なかった。それも鞄ごと。 部屋の何処かに隠れているのかと、キョロキョロと視線を動かすが見つからない。 そもそも隠れれる場所があるほど広い部屋ではない。 机の上に買ってきた物を置き、定位置に座る。 窓ガラスの向こうでは、夜が注がれ始めていた。 時計の針は9時を廻り、秒針が長針を追い抜いていく。 バタン。 誰も居ない部屋に扉が閉まる音が小さく響いた。 13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 31 04.63 ID ZS1SgYCd0 街灯の灯りが忙しなく点いたり消えたりを繰り返し、消えた。 青白い月明かりだけが、廃墟と化した教会を照らしていた。 男は公園や高架下や展望台。水銀燈が好きそうな所は一通り見て回ったが、 見つける事が出来なかった。 結局、この初めて彼女と出会った教会に足を運ぶ事になる。 ぎぃ。と分厚い木製の門が押される。 古カビと湿ったコンクリートの冷たい臭いがした。 破れた天窓から月明かりが差し込んでいたので、苦もなく辺りを見渡す事が出来る。 居た。 教会の真ん中に、彼女は居た。 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 35 14.23 ID ZS1SgYCd0 肥大した黒い翼を持て余すかのように地べたに座り込み、閉じられた目の前の鞄を 恨めしそうに見つめ、時折苦しそうに声を漏らしていた。 水銀燈は男が入って来た事には気づいてはいなかった。 美しい。肥大した羽を、月明りに照らされている水銀燈を見て男は素直にそう感じた。 「どうしたんだ?」 男は水銀燈の肩に手をかけ言う。 そこで初めて男の存在に気づいた水銀燈は、男の顔に焦点が定まらない瞳を向け 「契約した……」と小さく口を動かした。 「大丈夫なのか?」と男が水銀燈の前髪が汗で張り付いた額に触れる。蒸された様に熱い。 「手を……のけなさい……」小さな手が力なく、額に添えられた男の手を押す。 「おい、そうじゃないだろ!」 「クソッ」既に水銀燈は苦しそうに目を閉じ、小さく唸るだけであった。 押し返そうとしたした水銀燈の手は、男の服をしっかりと握っていた。 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 39 55.04 ID ZS1SgYCd0 次に水銀燈が目を覚ましたのは布団の中だった。 額がひんやりと気持ちがいい。 理由に手を伸ばす。額には冷えピタが貼られてある。 「何これ……」 「起きた?」 直ぐ傍の暗闇から声がした。 「寝とけって」 水銀燈が目を凝らし闇を見ると、契約した男が壁に背を預け座っていた。 羽の大きさは幾分かマシになっていたが、未だ鞄で眠れる大きさではないが、 熱や苦しさは引いていた。 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 44 23.15 ID ZS1SgYCd0 「何で。何で私がここに居るの。何で私を連れてきたの」 水銀燈が問いかけ。「何でって」困ったように男が言う。 闇の中、赤い眼がじっと男の答えを待っていた。 「そりゃ、具合が悪そうだったし……それに、一緒に住んでたし……その、友達? みたいな……」 男の瞳が右へ左へと動く。 「友達?」と水銀燈が言葉を反芻する。 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 47 14.30 ID ZS1SgYCd0 「ああ、いや、何でもない。っていうか寝ろよ、具合悪いんだろ。」 水銀燈の思考を断ち切ろうと男が言う。 開きかけた口を閉じ、言葉を探し水銀燈が言った。 「……寝れるわけないじゃない、ローゼンメイデンは鞄の中で眠るのよ? こんな安っぽくて、あんたの匂いが染み付いた布団でなんかで、寝れる訳ないじゃない」 「そうか。まあ、体を横にしているだけでも違うから、寝てたほうがいいよ」 男はそう言うと、水銀燈の額に貼ってある冷えピタを剥がし、 前髪を持ち上げ新しい物を貼った。その間、水銀燈は黙って男を見ていた。 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 50 28.17 ID ZS1SgYCd0 「ねえ、えーと──」 「マサユキ」 「そう、マサユキ、その……」と水銀燈の語尾が擦れて消えた。 「何?」 「な、何でもないわよ。何でもないから。あんたも早く寝なさい」 言い終わってから、水銀燈は誰の布団で寝ているかを思い出した。 布団から抜け出そうとする水銀燈を止めた「いや、いいよ。それに、月見もしてたから」 水銀燈も言われて空を見る。 真ん丸の月に、薄っすらと雲がかかっていた。 「朧月だね」と男が小さく言った。 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 53 19.58 ID ZS1SgYCd0 水銀燈は月に興味をなくし、男の顔に視線を戻すと視線が噛み合った。 男は、自分の袖を掴んでいた手を思い出した。 その手は、今は穏やかに重ねられ、その奥から男の眼を赤い眼が見つめている。 「何?」 「別に、何でもないよ」 「そう」 「寝なよ」 「アンタが寝なさいよ」 そんな二人のやり取りを、朧月が静かに照らしていた。 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 56 03.47 ID ZS1SgYCd0 「そうだ、ケーキを買ってきているんだよね、一緒に食べよう」 「ケーキ?」と水銀燈が聞き返した。 「そう。水銀燈が食べれそうな物がよく分からなかったから、洋菓子をね」 「昨日一緒に食べたかったんだけど、ほら、水銀燈居なかったし」 水銀燈の羽は大分に落ち着いてきていた。後一晩もしない内に完治しそうである。 布団から体を起こしている水銀燈の元に、イチゴのショートケーキを皿に載せ運ぶ。 両手で皿を受け取り、じいっとケーキを見つめる水銀燈。 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 58 20.03 ID ZS1SgYCd0 「もしかして、本当に物を食べれないの?」 小さな、銀のフォークを水銀燈渡そうとしながら、男が言った。 「いえ……そうね、頂こうかしら」 フォークを手に取り、ケーキを一口大に切り分け自分の口に運ぶ。 「……美味しい」 それを聞いた男は「そうか、良かった」と微笑んだ。 「じゃあ、紅茶でいいよね?」 水銀燈は何も言わず小さく顎を引き、またケーキを切り崩す作業に戻った。 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 00 16.61 ID ZS1SgYCd0 紅茶の香りが、砂糖の残り香を柔らかく薄めていく。 水銀燈は小さな手で、大きなマグカップを包み込むようにしていた。 カップに触れている部分が赤くなっている。 「その羽は、その、戦いで?」 「ええ」 「……もう、痛くない?」 「おかげさまでね」と水銀燈が小さく微笑んだ。 紅茶の香りが時間と混ざり合い、ゆっくりと流れていた。 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 03 32.20 ID ZS1SgYCd0 あれから、水銀燈の羽も完治し、連れている人工精霊の数も増え、 水銀燈の席も、部屋の隅から男の座る位置の正面となった。 「ねえ、マサユキ。ケーキはもうないの?」 水銀燈が目の端で、男の様子を伺いながら言った。 「昨日食べたじゃないか。まあ、また近いうちに買っとくよ」 「そう……それなら、まあ、別にいいのだけれど……」 残念そうに水銀燈が言う。 「ケーキ好きだったんだね」ニコニコと男が言った。 「違うわよ。マサユキが買ってくるから、私が食べてるんじゃない」 と顔を赤くしながら言った。「そうだったの?」 「そうよ。当たり前じゃない。私がケーキ? この水銀燈が? ばあっかみたい。 あんな、甘くて美味しいもの……好きな訳、ないじゃない……ほんと、ばっかみたい……」 「水銀燈は可愛いなあ」 「はっ、はぁ? あんた目がジャンクなんじゃないの!? それとも私がジャンクにしてやろうかしら!」 怒ったり、喜んだり、悲しんだりと水銀燈は忙しく表情を変化させていく。 少し精神が不安定なのかもしれない。 そんな水銀燈を男が眺めていると、バツが悪そうにそっぽを向いた。 26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 07 08.60 ID ZS1SgYCd0 「髪はねてるよ」と男が指摘すると、水銀燈は 「えっ、どこよ、どこ?」と自らの髪を撫で付けながらその背を鏡に写した。 「ほら、ここだよ」 男は水銀燈のヘッドドレスからピョコンと跳ねている髪の毛を撫でた。 「あっ」水銀燈が小さく吐息を漏らす。 何度撫で付けても、跳ねた髪の毛は元に戻らなかった。 撫で付けられている間、水銀燈は俯き、小さな羽がピクピクと動いていた。 「頑固な毛だな。櫛を持ってくるよ」 「い、いいわよ、持ってこなくても」 「でも」 水銀燈は自分で跳ねた毛を押さえ、羽を広げて飛び上がる。 「ちょっと用事を思い出したから、いくわ」 「お、おい待てよ」 男の静止を振り切って、水銀燈は光る鏡へと飛び込んだ。 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 09 37.03 ID ZS1SgYCd0 緑の空を水銀燈が飛んでいた。剥き出しの大地には、角砂糖のような岩が転がっている。 あの時──マサユキが、自分の髪を梳かそうとした時──何で私は 逃げ出してしまったのだろうか? 『必要ない』と言えば済む話なのに、何故それが出来なかったのか。 これではまるで、恥らう乙女ではないか。 掠める風が水銀燈の頬から熱を奪う。 ドゴフゥ。角砂糖の岩の底から何かが吹き上げた。 土煙の中にその先端が見える。白い茨だ。 最後の敵、第七ドール『雪華綺晶』。 水銀燈は右の羽を巨大化、空を叩き強引に進路を変える。 既に彼女の中から暖かさは消えていた。 アリスになる為に。 茨の発信源へと、その身を黒い弾丸にした。 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 13 12.19 ID ZS1SgYCd0 哂っていた。雪華綺晶は最期哂っていたのだ。 哀れむような笑みを、水銀燈は振り払う。 何わ共あれ、私はローザミスティカを全て集め、アリスへと成れたのだ。 あいつの驚く顔が見たい。きっと喜んでくれるだろう。 アリスへと成れた今なら、素直に髪を任せてもいいとも思える。 お父様に会う時、だらしない姿を見せたくもないし……。 倒してきた姉妹の事を思い出さないように、 思いでその身を満たし、契約した男の下へと急いだ。 全てを手にした、幸福で、至高の少女──アリス。 そう、私はアリスなのだ。 だが、彼女は二度と、契約した男『マサユキ』と出会う事はなかった。 二人が短い間だが、共に暮らした部屋に彼の姿は既になく、ローゼンだけが、 そこに居た。 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 14 55.68 ID ZS1SgYCd0 契約していた男の名前を口に出しかけ、慌てて口をつぐむ。 「どうしたんだい、水銀燈」 「あっ……いえ、何でもありません、お父様」 「そうか、ならいい」とローゼンは手にしていた本に視線を戻した。 あの日、彼女が部屋に戻るとマサユキは居なくなっていた、居たが、そこには居なかった。 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 17 14.71 ID ZS1SgYCd0 水銀燈は部屋へと通じる扉を見つけ、潜り抜ける。 見慣れた狭い部屋が、目の前に飛び込んできた。 「お帰り、水銀燈。いや、僕の──アリス」 水銀燈を出迎えた男はそう言った。 誰だ? 水銀燈は男と距離を取り、警戒を強めた。 「どうしたんだい、水銀燈? 父の胸に飛び込んでおいで。君は、僕のアリスだ。 君だけが僕に愛され、僕だけを愛する。さあ──」 父──つまり、己をローゼンだと言う男は手を広げた。 しかし、水銀燈には信じる事が出来ない。 彼女の瞳には、契約した男──マサユキにしか写っていないのだ。 いぶかしんで居ると、ローゼンは水銀燈にゆっくりとした歩調で近づいた。 「君は全ての姉妹を倒し、ローザミスティカを集めた。そうだろう?」 水銀燈は身を強張らせ頷く。 「そして、君は今。契約した男が自分が父だと言い、混乱している。そうだろう?」 ローゼンはしゃがみ、視線を水銀燈に合わせ言った。 「僕はね、直ぐ傍に居たんだよ。」 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 20 27.57 ID ZS1SgYCd0 ローゼンは水銀燈の左手を取り、その手の平の上に薔薇の指輪を一つ、乗せた。 契約の時に使った指輪だ。現に、今ローゼンの左手薬指には指輪がなかった。 「そして、彼が今、ここにいる」 水銀燈は己から、ありもしない血の引く音を聞いた。 「僕はね、アリスが完成したら──ローザミスティカが全て揃えば──現れる事が出来るんだ。 そう作ったからね。さあ、もう僕が父だと分かっただろう? 父を抱きしめておくれ」 ローゼンが手を広げ、その胸に水銀燈を招く。 水銀燈はとことことローゼンの胸に歩み寄り、倒れ掛かるように抱きしめる。 その左手は硬く結ばれていた。 「おおっ、僕のアリス……!」 ローゼンが歓喜の声を上げたが、水銀燈は何も言わず、ローゼンを、己の父を抱きしめていた。 32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 24 58.56 ID ZS1SgYCd0 「ねえ、お父様」 水銀燈が、深く椅子にその身を預け、目を瞑っていたローゼンに話しかけた。 部屋は暗い。朧な月明りだけが照らしていた。 「なんだい、水銀燈」とローゼンが目を閉じたまま答えた。 「お父様は何もお食べにならないけれど、大丈夫なのですか?」 「ああ、大丈夫だ。」そう言ったローゼンの頬は、月明りのせいだろうか青白く見えた。 「そうですか……」 水銀燈はあっさりと引き下がった。 「水銀燈」 「はい」 「お前は私に食べさせるとしたら、何を食べさせる」 水銀燈の口が柔らかく弧を描いた。 「えっ、あ、そうですね……洋菓子など、どうでしょうか……?」 「美味しいですよ」と付け加える。 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 29 04.09 ID ZS1SgYCd0 ローゼンは闇の中から水銀燈の表情を見つめ眉間に皺を寄せたが、 水銀燈にはそれが見て取れなかった。 「……そうだな、明日それを買ってこよう」 「本当ですか?」 月明りに水銀燈の銀の髪が舞う。 「ああ」 「イチゴのショートケーキが美味しいんですよ」と水銀燈はローゼンに、 他にどのケーキが美味しいだとか、付け合せの紅茶は何がいいかだとかを話し始めた。 ローゼンは相槌を打ってはいたが、その耳は夜の音だけを聞いていた。 冷たい夜が、部屋を満たす音だけを。 35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 33 00.99 ID ZS1SgYCd0 水銀燈が窓辺に腰を下ろし、窓枠に肘を、その手の平に上に顎をのせ小指を噛み、空を見ていた。 空は曇り、その表情は窓ガラスには写りこんではいない。 その姿をローゼンが眺めているが、水銀燈はそれに気づく様子もなかった。 「水銀燈」とローゼンが呼びかけた。 水銀燈は小指を、小さな白い歯から開放し、ゆっくりとローゼンの方に向き直った。 「はい、お父様」 「髪が跳ねているよ」とローゼンが指摘すると「すみません」と水銀燈が ヘッドドレスの──以前、男に撫でられた所を、優しく押さえた。 無論、跳ねている場所はそこではない。 ローゼンが小さく息を吐き「そこで待っていなさい」と洗面所へと消え、 戻ってきた時には、その手に櫛を握っていた。 「自分でします」 水銀燈の声を制するように「背中を向けなさい」とローゼンが言った。 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 38 11.55 ID ZS1SgYCd0 櫛を水銀燈の銀の髪に当てた。 ローゼンがゆっくりと水銀燈の髪を梳る。 「身だしなみに気をつけるのも、アリスの務めだよ」 「はい、すみません、お父様」 水銀燈はローゼンに梳るままにされていた。 「お休み、水銀燈」 水銀燈は何も答えなかった。 ローゼンは水銀燈の髪を梳き終わると、水銀燈を抱き上げた。 カチャカチャと陶器が触れ合う音がした。 水銀燈を鞄の中に寝かせ、その手に人形の手には少しばかり大きい、 人間用の薔薇の指輪を握らせ鞄を閉じた。 「また、失敗か」 ローゼンの呟きは、明るさを失っていく部屋に虚しく吸い込まれ、消えた。 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 40 44.12 ID ZS1SgYCd0 二ヵ月後、首を裂いた男の死体がアパートの一室で見つかった。 異臭がすると、住人が管理人に連絡し、発見されたのだ。 その部屋で人形が見つかったという話は聞かない。 そして今も、気づかれる事なく、契約には使われる事がない薔薇の指輪が、 鞄の中で水銀燈と共に眠っている。 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 40 55.15 ID ZS1SgYCd0 終わりです、お疲れさまでした 53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 03 18 48.94 ID ZS1SgYCd0 / ̄\ | | \_/ カタ / カタ /  ̄  ̄  ̄\ ` ヽ 、 /\ / .\ /`ヽ、 ` ヽ、 ● ● \ どうやら、オプーナというゲームのミニゲームで / `ヽ、/ i (__人__) | 桃種先生書下ろしのローゼンメイデンの話が読めるらしいですよ…と `ヽ、 / i i、 ` ⌒´ ./ ! `ヽ、i i i ヽ、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i {`ヽ、 i i i#`ヽ ⌒ヽ、/ .ノi | `ヽi i i#### `ゞ_、_,,/ i `ヽ、 i i/ヽ// ` ヽ、 i
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水銀燈とアリス http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1206111986/ 1~
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水銀燈と暮したい http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1186849880/ 1~131 132~462 463~793 794~
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水銀燈を突きたい http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1184847579/ 1~