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殺る気(やるき) 殺る気 アイテムカード 使用代償:青[武] 誘発このキャラが参加したバトル終了時、相手バトル参加キャラのHPが100の場合、そのキャラに100ダメージを与える。 「……で、言い残したい事はそれだけ?」 Version/カード番号 Ver.2.0/0194 レアリティ U コメント コメントの入力。必須ではない。
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殺る気 アイテムカード コスト:青(武) 誘発 このキャラが参加したバトル終了時、 相手バトル参加キャラのHPが100の場合、 そのキャラに100ダメージを与える。 ……で、言い残したい事はそれだけ? No0194/U
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カード画像 基本情報 カード名 キモカワ軍団 殺る気ユニコーン(キモカワグンダン ヤルキユニコーン) カード種類 ユニット レベル 1 所属軍 マジカルユニバース 属性 エブリデイクライムビースト ATK 5 HP 2 STK 1 カードID 2021GB02-106 レアリティ ★ イラストレーター JAIBON カードテキスト ■「殺る気マックス」これが墓地から特殊召喚された時、レベル0以下の敵ユニット1体を選び、破壊する。 フレーバーテキスト 「見えざるピンクのユニコーン」が実体化し、アイデンティティが崩壊して狂気に陥った。 ■解説・総評 関連 収録パック 第二弾「邪神襲来」 名前
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殺る犬 ■キャラクター名:殺る犬 ■ヨミ:ヤルドッグ ■性別:オス ■武器:殺る気(形を変え、自在に硬化、放出が可能な闘気の様なもの) 特殊能力『ブッコロシャウト』 全身全霊の鳴き声を上げる事により、それを聞いた生物が、誰かを殺したいという欲求に囚われ、暴走する能力。どうやって、誰を殺すのかまでは指定できず、その殺意の矛先が殺る犬自身に向かう可能性もある。 強い精神力を持つ人物であれば、その欲求に抗える可能性はある。 設定 何かを殺したいという生まれながらの欲求に従い、日本各地で殺戮を繰り返しているチワワ。殺戮対象は生きているもの全て。 人語を介する事が出来るが、大体頭がおかしい事を言っているので会話が通じるといえるかは怪しい。 『誰かを殺すという行動に理由などいらない。我の全身には殺る気が満ち溢れ、その気に身を任せただ殺戮を繰り返すのみ』などと言っていたらしい。 『殺る気』と呼ばれる、自らの殺意を具現化した闘気の様なものを駆使して戦う。古より伝わる伝統的な力らしいが、なぜチワワがそんなものを会得しているかは不明。殺る気は赤黒い色をしており、目視は可能。 『殺る気』は使い手の意志によって変化、硬化、操作する事が可能で、巨大な剣や槍に姿を変えて振り回したり、殺る気の塊を放出する等、とにかく使い方の幅が広い。 全身は常に硬化させた殺る気で纏っており、頑丈。一度ハンターがビルの屋上から突き落とすことに成功したらしいが、無傷で生還したらしい。 悲しい過去とかは特になく、とにかく殺る気に満ち溢れている存在。 山乃端一人を殺す理由 誰かを殺す事に理由がいるのか? 否、必要ない。
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榊原光太郎 ■キャラクター名:榊原光太郎(サカキバラコウタロウ) ■異名:殺る王 ■ヨミ:ヤルキング ■性別:男性 ■武器:殺る気(形を変え、自在に硬化、放出が可能な闘気の様なもの) 特殊能力『殺る気スイッチ』 人間誰しもが持つ『殺る気スイッチ』の存在を目視し、手で直接触れる事で強制的にオンオフを切り替える事が出来る能力。余程の事が無い限り、自然にオンになる事は無い。スイッチの場所は個人によって異なる。 スイッチがオンになった者は、肉体的、精神的な能力が爆発的に向上し、常に殺る気全開を保ち続ける事が出来る。ただしオンになっている時間に応じて、スイッチがオフになった際に大きな肉体的負担が生じる。 1分経過でかなりの疲労感、2分経過で立つのもやっとの状態、3分経過時点で強制的にスイッチはオフとなり、大抵の場合は気絶する。 設定 己の殺意を具現化させて操る『殺る気道』と呼ばれる殺人技術形態の第一人者。殺る気第一。 年齢は本人も忘れてしまったが、恐らく50代後半から60代前半程度。 若かりし頃より殺る気を駆使し、特に意味も目的もなく人を殺し回ってきた、生粋の殺人鬼。殺す相手はあまり選好みしない。 選好みしないが故に多くの敵を作ってきており、裏社会においてはその首に多額の賞金がかけられている。 歳を重ねてからは、自らが直接人を殺す事に加え、新たな殺人鬼の教育にも興味を持ち始めており、場所時間不定の『榊原光太郎の殺る気講座』なるいかがわしい講義を度々開いている。大抵は榊原の首を狙う刺客も混じっているが、榊原は快く受け入れ、殺し返している。 近年においては老いからくる自らの殺人技術の低迷に嘆いていたが、東京都に現れた数多くの殺人鬼の登場に再び殺る気を高め、自らもその大きな流れに乗ろうとしている。 ちなみに異名は自分で適当に考えた。 「殺す相手は誰でも良いが、やはり手ごたえのある相手を殺せた時が一番楽しい」 プロローグSS
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● 「1つ、皆に問おう。殺人鬼、いや……人を殺す全ての人間が、人を殺す時最も大切にしなければならないものとは、なんだろうか?」 ヨレヨレのコートを着込んだ白髪交じりの男は、廃墟となった市民館に集まった若き殺人鬼達に問いかける。芯の通った、力強い声で。 「長きに渡る修練の末手に入れた、卓越した技術だろうか? 違う。確かに重要なものではあるかもしれない。だが一番ではない」 カツカツと足音を立てながら、男は小さな壇の上を右へ左へと歩く。背筋をピンと伸ばし、その鋭い眼光で若者達の目を一人一人覗き込む。 「では、洗練された武器だろうか……? いや違う。拳、刀、銃。槍に斧にロケットランチャー……この世に武器は数あれど、それだけで人は殺せない。武器もまた重要だ。だが、やはり一番には成り得ない」 男の言葉に徐々に熱が籠っていく。これから苦難の道を征く若者達に、男は伝えなければならない言葉がある。 「ならば、完璧な作戦を練るための頭脳か? それとも突如として襲い掛かる脅威に反応するだけの反射神経? 如何なる時も冷静に行動するための胆力か? それとも生まれつきの才能か。あるいは魔人となって強力な能力を得る事か? 違う!!」 声を張り上げ、男は拳を壁に叩きつけ。改めて男は若き殺人鬼達を見回した。 「では……答えを言おう。人が人を殺す時、最も大切なもの。それは……」 男は大きく息を吸い込み、 「それは……殺る気だぁあああああああああああああああああッ!!!!!」 あらん限りの叫びを上げた。同時にその全身から溢れだした殺る気が、速やかに室内に満ち満ちていく。 「技術を磨く、武器を鍛える、作戦を練る、実に素晴らしい!! 恐らくそれを続ければもっと強くなれるし、今よりもっと人を殺せる様になるだろう!! だが!!!」 男は強く強く拳を握りしめ、若者達に投げかける。 「どれほど技術があろうと、どれほど優れた武器や作戦があろうとも! いつだって重要なのは殺る気だ!! 殺る気があれば女子供であろうとスプーン一本で人は殺せる!! しかし殺る気がないのであれば、刀を持った屈強な男だろうが人を殺す事など出来やしない!! 技術も武器も作戦も、動機すら何だっていい!! 大切なのは人を、目の前の相手を殺したいという強い思い、殺る気なんだ!!」 一気にまくし立てた男は、一度深呼吸をした。室内に満ちていた刺々しい殺る気が、徐々に弛緩していくのを若者達は感じ取る。 「ひとつ、昔の話をしよう……私の胸に刻まれた、この傷跡の話だ」 男はコートを脱ぎ捨て、黒いシャツを捲り上げた。そこには確かに、遠目からでもハッキリと視認できる、いくつもの大きな傷痕があった。 「あれは数十年前……私が殺る気使いの殺人鬼となってからそう年月も経っていない頃の話だ。私はとある、当時有名だった格闘家一家の邸宅を訪れ、そして手当たり次第に殺して廻った。歯応えのある相手を殺したいだのと、青臭い事を考えての行動だったが……当時の私は満足出来なかった。驚く程あっさりと殺せたからだ。恐らく、彼らが殺る気を出して闘ってくれれば、私が望んでいた通りの展開になっていたのだろう。だが、そうはならなかった」 何故か? 当然、彼らに殺る気が足りなかったからだ。試合と死合いは全く違う。闘いを挑んでくる所か、恐怖に顔を歪め逃げ惑う彼ら一家に、男は心底失望したのだという。もしかしたら魔人の1人や2人いたかもしれないが、気づきもしなかったのだと。 「だが、そんな中……一人だけ、私に向かってくる男がいた。子供だった。その時の私にとっては余りに小さな存在だったが故に、気にも留めていなかったのだろう。だが名も知らぬあの子は、食卓においてあったテーブルナイフを手に取って、父親らしき男の顔面を潰していた私に飛び掛かってきたのだ。先程の私の怒号など軽く凌駕する、鬼神の如き叫びを上げて」 その叫びの根源は家族を目の前で殺された事に対する怒りか恨みか、もしくは自分も殺されるのかもしれないという恐れという名の感情だったのかもしれない。 「しかしそれが何であろうと……あの時の子供は、私がこれまでの人生で見てきた中で最も強く、最も美しい殺る気に溢れていた。正直に言おう、あの時私は、恐怖した。小さな子供相手に、だ。圧倒的な殺る気に私の身体は硬直し、そして為されるがまま、何度も何度もナイフで胸を抉られた。それがこの傷痕だ」 目を瞑り、男は当時の情景を思い返す。身がすくむ様な叫び声、鬼気迫る表情、迷い無く何度も振り下ろされるナイフ。今思い返しても思わず男の身は震える。 「それからの事ははっきりと覚えていないが……私はどうにかして逃げ延びた。あと一歩で本当に死ぬ、といった所でな。その子供を殺す、などという考えは思い浮かびもしなかった……その一件を経て、私は本当の意味で理解したのだ。人が人を殺す時、最も大切なのは、殺る気なのだと。その教訓を忘れぬため、私はあえてこの傷を残しているのだ……ある意味あの子供は、私にとっての師と呼べるのかもしれないな………………いやいや、すまないね。歳を取るとつい自分語りが長くなってしまう」 男は衣服を整え、コホンと咳ばらいをした。 「まあ、長々と語ったが要するに私が言いたいことは唯1つ……人殺しよ、殺る気を抱け……以上だ。これにて講演を終了す――」 バァァァアアン! と、男の言葉を遮る様に廃市民館の出入口が荒々しく開け放たれた。男と、男の講義に聞き入っていた殺人鬼達が一斉にそちらの方を向く。 「ようやく見つけたぜ、榊原光太郎!! 大人しく降伏しやがれ!! いややっぱ降伏しなくていいや死ね!!」 そこに立っていたのは、2人の男だった。1人は巨大な斧を抱えるやせ細った男。もう1人は全身を分厚い毛皮で覆った、人型の獣の様な男だ。扉を蹴破り怒声を上げたのは後者の方だ。 「ああ、その、なんだ……どちら様かな? 警察か? いや違うか……もしや賞金稼ぎかな?」 先程まで講義を行っていた男、榊原は穏やかな口調で問いかける。対する獣人間は、その口元をニヤリと歪めた。 「ああ、その通りだよ榊原。テメェは闇雲に殺しすぎたんだ……公安、どこぞの金持ちのご子息様に、海外マフィア。おまけに国家転覆を図る秘密結社だかなんだかと……てめぇの首を欲しがってる連中はいくらでもいるんだ」 「そうか……でもそれは随分昔の話だ。私も歳を取った。動きにもずいぶん衰えが来ているし、昔ほど人も殺しちゃあいない……先週だってたったの11人だ。今更必死こいて私の様なじいさんを殺す必要も無いだろう? なあ?」 榊原の口調は変わらず穏やかなままだ。しかしその全身からは、にわかに殺る気が滲み出し始めている。 「そんなん知るか。大事なのはテメェの首には未だ賞金がかかっていて、俺たちは金が欲しい。だから――アン?」 獣男と斧の男が一歩建物の中に踏み入ると、講義を受けていた殺人鬼達が一斉に立ち上がる。そしてそれぞれの殺る気を込めた視線で賞金稼ぎを睨みつける。 「やめろ」 そんな若き殺人鬼達を、榊原は一言で制した。そして壇の上から軽やかな動作で飛び降りると、真っすぐと賞金稼ぎ2人に近づいていく。 「この2人の邪魔をするな。見たまえ、彼らの目を。その動機は金かもしれない。あるいはただ単にもっともらしい理由で人を殺したいだけなのかも……しかしそれでも、彼らは私に純粋な殺る気をぶつけている。殺る気使いとしては、受けない訳にいかない。だから、邪魔をするな」 榊原の言葉に気圧される様に、殺人鬼達はゆっくりと壁際に後ずさっていく。 「ヘッ、どうせなら皆殺しにしても良かったんだがなァ? テメェみたいなクソを信奉するクソ共だろ? なにか『榊原光太郎の殺る気講座』だ……気持ち悪ぃんだよ、人殺し共が馴れ合いやがって……」 「馴れ合ってるつもりはないさ。ただ私は、世の中がもう少し楽しくなれば良いと思ってるだけだ」 「テメェ自身が、の間違いだろ?」 「そうかもな」 「そうなんだよ。あと、あぁ、アレだ……もうめんどくせぇや。死ね」 獣男は唐突に会話を打ち切ると、凄まじい勢いで爪を振り下ろした。榊原は咄嗟に後ろに跳躍し爪を回避し、そのまま爪は古ぼけた木の床を粉々に砕いた。 「ケケケケケケケケケケケ」 「おい、君の相棒の方が余程気持ち悪いぞ」 獣男に続くように、これまで押し黙っていた大斧男が榊原に飛び掛かる。そしてクネクネと不気味に身をよじりながら、一心不乱に大斧を振り回す。 「仕方がない……特別講義の時間だ」 榊原は自らに宿る殺る気に意識を集中させる。そしてそれを瞬時に両腕に纏わせ、硬化。一瞬遅れ振り下ろされた大斧を、殺る気を纏った腕が受け止める」 「クッ、重いな……」 殺る気に阻まれ、鋭い刃は腕に届かない。しかしそこから伝わる衝撃は、榊原の腕を僅かに痺れさせるには十分で、榊原は数歩後ずさった。 「ケケ、ケ、ケ、グ、グバァアアア!!」 「ッ!! なんだ!?」 奇妙な水音が混じった雄たけびと共に、大斧男が口を開く。そこから飛び出た黄緑色の液体が、榊原の眼前に迫る。 「チッ……殺る気、ウォーーーール!!」 超格好いい技名と共に榊原が両腕を交差させると、榊原の眼前に殺る気で出来た赤黒い壁が出現する。寸での所で弾かれた黄緑色の液体がビチャビチャと床に垂れると、触れた先からドロドロに溶かしていく。 「ゲロが強酸の魔人か。やはり気持ち悪いな」 「俺もそう思うぜオラァアアア!!」 更に榊原へ接近する獣男が二度、三度と爪を振り下ろす。再び榊原は両腕に硬化させた殺る気を纏わせこれを弾くが、畳みかけるように大斧でゲロの男が迫る。 「近づくなゲロ男!!」 あからさまな嫌悪感を滲ませ、榊原は右拳に殺る気を収束させていく。そして不意に身を屈め獣男の爪を回避すると、天井ギリギリまで一気に跳躍する。 「殺る気、キャノン!!」 そして榊原はゲロ男目掛け拳を突き出した。次の瞬間、拳の先から砲弾の如く放たれた殺る気の塊が、ゲロ男の腹を強かに打ち付けた。 「グビャアアアアアアア!!」 仰向けに倒れこむと同時に、口の中に溜め込んでいた強酸ゲロを天井目掛けて吐き出すゲロ男。吐き出されたゲロは汚い弧を描き、倒れこんだゲロ男の顔面に降りかかった。 「ギャ、ギギャ、ギギャアアガアアガガガガアアアアア!!」 ゲロ男は顔面を手で抑えながらジタバタと暴れまわる。しかし程なくして抑えていた手がドロドロに溶け落ち、前半分が溶けたゲロ男の頭部が露わとなった。もうゲロ男は動かないし、二度とゲロを吐く事もないだろう。 「死んだか。最期まで気持ち悪い男だったな、お前の相棒」 「相棒って言うな。唯の仕事仲間だ。元」 「ちなみに彼の名前は?」 「田中・ウィリアムズ・義孝だ」 「へぇ」 気の無い返事と共に、榊原は獣男にも殺る気キャノンを放つ。が、これは軽々と回避される。 「全く滅茶苦茶しやがるぜ……テメェはクソだが、テメェが使う殺る気ってのは随分便利な代物だ」 「君にも素質はある。今からでも手を取り合って殺る気道を極めてみないか?」 「うるせぇ死ね。もうコレで終いだ」 獣男は後ろ足にウィリアムズの死体を飛び越え榊原との距離を取る。そして甲高い獣の遠吠えを上げると、その全身がみるみる内に膨れ上がっていく。 「む、何やら面倒な気配……さっさと殺すか」 榊原は二度、三度と殺る気キャノンを撃ち込む。それらは確実に膨れ上がる獣男の身体に命中するが、ビクともしない。 「やるな……私の殺る気キャノンを受けてほぼ無傷か。礼儀を込めてバケモノとでも呼んだ方が良いか?」 「アァそうだな。代わりにテメェの事を老いぼれ面白クソ野郎と呼んでやるよ」 「ネーミングセンスがあるな」 「テメェ程じゃねぇよ」 そして人型の獣は、四つ足の本物の獣と化した。その巨体はこの廃公民館においてはやや窮屈に思える。元の姿でなければ扉はくぐれないだろう。 「ガァアアアアアアアアアアッ!!!!」 獣は跳び、薙ぎ払う様に巨大な爪を振るう。先程の姿も中々のスピードであったが、その比ではない。 「グァッ……!!」 その一撃を捌くことは出来ず。榊原の腹を獣の爪が深々と抉った。かなりの出血を伴う大傷だ。 「ギャハハハハハハハ!! 老いさらばえたってのは本当みてぇだなぁ!! オレの小遣い稼ぎの為に、死ねやぁああああああああ!!」 「…………ッ!!」 痛みによって集中が途切れ、殺る気のコントロールがおぼつかない。しかしそれでも榊原は必死に横に跳び、再度放たれた獣の爪を回避する。 「さ、榊原さん……!!」 「手を出すな!!」 榊原の危機にどよめく、何故か彼を慕う若輩殺人鬼達。だが榊原は助力を拒否する。 「……いいだろう、見せてやろう。私の、殺る気スイッチをな」 榊原は後頭部に手をやると、カチリ、とそのスイッチを押した。榊原・光太郎の魔人能力『殺る気スイッチ』。人間誰しもが持ち、圧倒的な感情の爆発や、間近に迫った生命の危機に際して無意識にオンになるといわれる殺る気スイッチ。その在処を目視し、手で押す事で強制的にオンオフを切り替える事が出来る魔人能力である。 瞬間、榊原の全身に溢れんばかりの殺る気が満ちていく。殺る気。殺意。人を殺したいという純粋な思い。それは榊原にとって何よりの武器である。 「死ねヤァあああああああああああ!!」 「貴様が死ねェえええええええええええええええええええええ!!!!!!」 巨大な獣が榊原に飛び掛かり、榊原もまた獣に飛び掛かった。交差する様に放たれた爪と、殺る気を纏った鋭いアッパーカット。爪は榊原の頭上僅か数センチ上を掠め、榊原の拳は獣の顎先を打ち上げる。 「ガァッ!!」 獣の巨体が揺れる。しかし獣の殺る気は衰える事も無く、すぐさま榊原に二撃目を繰り出さんとする。 「殺る気、ブレード!!」 だがそれは叶わなかった。殺る気に満ち溢れた榊原のスピードは、かつての全盛期と同水準に達していた。その凄まじいスピードに乗り、榊原は殺る気によって練り上げた鋭い二本の刃を、獣の両前足に勢いよく突き刺し床下まで貫通させた。 「グァアアアアアアッ!! テメェエエエエエエエエエッ!!」 「終わりなのは貴様の方だったな。あの世でウィリアムズと仲良くやれよ」 そして榊原は、床に転がっていたウィリアムズの大斧を取り、振り上げた。両前脚を床に縫い付けられた獣は、一瞬回避行動を取るのが遅れてしまった。 その一瞬で、榊原は大斧を一気に振り下ろす。どうやらウィリアムズは斧の手入れはちゃんとしていた様で、綺麗に研がれた刃は獣の巨大な首を小気味よく切り落とした。 ゴトリ、と獣の首が床に転がり落ち、その断面から噴水の様に血が飛び散った。ゆらりとその巨体が横倒れになり、名も知れぬ獣は二度と動かなくなった。 「…………と、言った具合に。殺る気はこの様な危機的状況においても約に立つのだよ。分かったかな? アイタタタ……あ、スイッチ切らないと」 腹部にアイタタタでは済まない程度の傷を負った榊原は、殺る気スイッチをオフに切り替えよろよろと廃公民館の出入口へ向かう。 「これで、今日の講義は終わりだ……私は野暮用……というか治療しないといけないからこれで失礼する……」 廃公民館を後にした榊原は、片手で傷口を抑えながら行きつけの闇医者の居所へ向けて車を走らせていた。 「分かってはいた、事だが……老いというのは残酷なものだ……まさかあんな奴に後れを取るとは……」 魔人能力がなければ、恐らく死んでいた。榊原は少なからずその事実にショックを受けていた。 そんな時、何気なく付けていたラジオのニュース番組から、とある興味深い情報が流れてくる。 「まだ見ぬ殺人鬼達、か…………ふむ」 凄惨かつ残忍。残忍にして非道。非道にして、享楽的。東京都内で頻発しているそんな殺人事件の数々と、殺人鬼達の情報が。 「面白い、な……ふむ、実に面白い……ハハハ、どいつもこいつもイカレている……ふふ、ふふふ……やはり殺人鬼とはそうでなくては……!! どうやらまだ隠居するには早い様だ……!!」 思わず零れ出た笑みと共に、榊原は先程まで燻っていた自らの殺る気の高まりを感じていた。 「是非この目で見てみたいものだ……彼らの手口を……そして、出来る事なら……」 この手で、殺してみたい。 榊原はまだ見ぬ殺人鬼達に思いを馳せ、心を躍らせるのであった。
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殺る気 とも言ったり言わなかったり
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製作者 凪波 アンリエッタ=エンブレイス SRCS_HenrietteEmbrace.GIF SRCS_HenrietteEmbrace_U1.GIF 種族 : 人間 性別 : 女性 年齢 : 15歳 誕生日 : 4月1日 星座 : おひつじ座 血液型 : AB型 身長 : 149.6cm 体重 : 38.1kg 3サイズ : 74/54/73 好きなもの: 硝煙の匂い、薬莢の弾む音、手に伝わる反動 嫌いなもの: 野菜 一人称 : わたし 二人称 : あなた、~さん 学級:R女学園 高等部 1-Ⅰ 所属:演劇部、『仕返し屋』 R女学園高等部1-Ⅰに在籍する生徒。能力者ではない一般人。 とんでもないレベルの無口で野菜が嫌い。 演劇部に所属しており舞台上では別人のように見事な演技を披露する。 そこまでなら普通の生徒であるが実のところそのどれも本当の彼女ではなく、 彼女にとって日常のそれ全てが演技でしかない。 その演技という枷が外れた彼女は、本能のままにどこぞから入手したか不明な 重火器を乱射する戦闘狂に変貌。超絶的に犯罪者に近い危ない娘である。 知られたところで本人は何ともないが、世間体があるためできるだけ隠している。 ちなみに一番のお気に入りはM249ミニミ。 やたらでっかい鞄にそのまま収納して常時持ち歩いている。 日本では入手不可能であるはずの火器類の補給も何故か闇市で済んでしまうので、 夜な夜な寮を抜け出してはモンスターを高笑いと共に撃滅している。 『仕返し屋』に所属しているのも自分の欲求を満たす為。 所属会員個々のスタイルには一切干渉しないという方針があるので、 自分の本性を他人に知られる心配が少なくてすむのも利点。 暴れる理由も簡単に手に入り、報酬によって弾薬費用の足しにもなる。 彼女にとってはまさに一石二鳥である。 そのおかげでこの事実を知っている人物は自慢の演技力もありごく少数。 知っている人も他言でもしようもんなら何されるか解らないので口を噤んでいる。 データパック #パイロット アンリエッタ=エンブレイス アンリエッタ, 女性, 人間, AAAA, 150 特殊能力 集中力, 1 118, 123, 133, 132, 158, 152, 普通 SP, 40, ひらめき, 1, 信頼, 1, 祝福, 13, みがわり, 20, 奇襲, 28, 愛, 38 SRCS_HenrietteEmbrace.bmp, -.mid アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) アンリエッタ, 女性, 人間, AAAA, 150 特殊能力 集中力, 1 迎撃Lv1, 1, Lv2, 14, Lv3, 28, Lv4, 42 143, 148, 153, 152, 168, 162, 超強気 SP, 40, ひらめき, 1, 加速, 1, 突撃, 13, 威圧, 20, 奇襲, 28, 戦慄, 38 SRCS_HenrietteEmbrace(2).bmp, -.mid #ユニット アンリエッタ=エンブレイス アンリエッタ=エンブレイス, (人間(アンリエッタ=エンブレイス専用)), 1, 2 陸, 4, S, 5000, 150 特殊能力 性別=女性 ステルス=無関係を装う ハイパーモードLv1=本性を露にする アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) 気力発動 変形技=シークレットトリガー アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) ハードポイントLv1=鞄の中身 3600, 120, 800, 75 BACB, SRCS_HenrietteEmbrace_U1.bmp 大きな鞄, 900, 1, 1, -10, -, -, -, AAAA, +10, 突 シークレットトリガー, 1600, 2, 4, +0, 1, -, 110, AABA, +0, 銃攻変 #大きな鞄 …………鈍器で殴られると痛いんだよ。 #シークレットトリガー …………鞄から銃(M249ミニミ)を取り出して撃つ。 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) アンリエッタ=エンブレイス, (人間(アンリエッタ=エンブレイス専用)), 1, 2 陸, 3, S, 5000, 150 特殊能力 性別=女性 ノーマルモード=アンリエッタ=エンブレイス 追加パイロット=アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) 迎撃武器=Vz61スコーピオン ハードポイントLv1=鞄の中身 3600, 120, 800, 70 BACB, SRCS_HenrietteEmbrace_U2.bmp ナイフ, 1000, 1, 1, +10, -, -, -, AAAA, +10, 武 Vz61スコーピオン, 1200, 1, 2, +10, 20, -, -, AABA, +0, 銃P 手榴弾, 1500, 2, 3, -10, 2, -, -, AACA, -15, M投L1爆 M249ミニミ, 1600, 2, 4, +0, 12, -, -, AABA, +0, 銃 #ナイフ …………割と大き目のバタフライナイフ。 #Vz61スコーピオン …………口径7.65mm、使用弾薬7.65mm×17ブローニング、装弾数20発 。 #手榴弾 …………スカートの下に隠した手榴弾。 #M249ミニミ …………口径5.56mm、使用弾薬5.56mm×45、装弾数200発箱形マガジン。 No.7 No.7, (人間(アンリエッタ=エンブレイス専用)), 1, 2 陸, 3, S, 5000, 150 特殊能力 性別=女性 追加パイロット=アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) 迎撃武器=Vz61スコーピオン パイロット愛称=No.7 パイロット能力付加="メッセージ=No.7" 戦闘アニメ=アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) ハードポイントLv1=鞄の中身 3600, 120, 800, 70 BACB, SRCS_HenrietteEmbrace_U2.bmp ナイフ, 1000, 1, 1, +10, -, -, -, AAAA, +10, 武 Vz61スコーピオン, 1200, 1, 2, +10, 20, -, -, AABA, +0, 銃P 手榴弾, 1500, 2, 3, -10, 2, -, -, AACA, -15, M投L1爆 M249ミニミ, 1600, 2, 4, +0, 12, -, -, AABA, +0, 銃 #最初からクライマックスな仕返し屋Ver #メッセージ等対応データはDLパックに同根 #アイテム USSRドラグノフ USSRドラグノフ, 鞄の中身(アンリエッタ=エンブレイス専用), 鞄の中身 特殊能力なし 0, 0, 0, 0, 0 USSRドラグノフ, 1600, 4, 5, +0, 10, -, -, AABA, +0, 銃間攻 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) ウィンチェスターM1897 ウィンチェスターM1897, 鞄の中身(アンリエッタ=エンブレイス専用), 鞄の中身 特殊能力なし 0, 0, 0, 0, 0 ウィンチェスターM1897, 1400, 2, 2, +20, 5, -, -, AACA, -10, 銃KL1 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) H&KMP5SD3 H&KMP5SD3, 鞄の中身(アンリエッタ=エンブレイス専用), 鞄の中身 特殊能力なし 0, 0, 0, 0, 0 H&KMP5SD3, 1400, 1, 3, +10, 8, -, -, AABA, +0, 銃 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) M4A1カービン M4A1カービン, 鞄の中身(アンリエッタ=エンブレイス専用), 鞄の中身 特殊能力なし 0, 0, 0, 0, 0 M4A1カービン, 1300, 2, 4, +10, 8, -, -, AABA, +0, 銃 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) M203グレネードランチャー, 1800, 2, 2, -10, 1, -, -, AACA, -10, 爆実 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) P90 P90, 鞄の中身(アンリエッタ=エンブレイス専用), 鞄の中身 特殊能力なし 0, 0, 0, 0, 0 P90, 1500, 1, 2, +0, 10, -, -, AABA, +10, 銃破 (アンリエッタ=エンブレイス(殺る気)) #メッセージ ダイアログ アンリエッタ=エンブレイス 回避, ………… 回避, ……残念 回避, …………なぁに? 回避, …………くすっ ダメージ小, …………? ダメージ小, ……やめて ダメージ小, ……触らないで ダメージ小, …………くだらない ダメージ中, …………え? ダメージ中, ……痛ぅっ ダメージ中, …………何を ダメージ中, ……こっちに来ないで ダメージ大, ……っ!? ダメージ大, …………うぅ ダメージ大, ……どうして ダメージ大, …………もう、だめ 破壊, …………ちっ………… 破壊, ……今のあなたに興味はないの……さよなら 射程外, ………… 射程外, ……わたしは関係ないから 攻撃, ………… 攻撃, …………っ! 攻撃, ……まだ、だめ 攻撃, …………近づかないで シークレットトリガー, …………;@SRCS_HenrietteEmbrace(4).bmp; big b あはっ♪ /b /big シークレットトリガー, …………;@SRCS_HenrietteEmbrace(4).bmp; big b 開幕ぅ♪ /b /big アンリエッタ=エンブレイス(殺る気) 回避 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あはっ♪ 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), こっちこっち~、あはは♪ 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あなたには感謝しなくてはならないわね 回避 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), 見た目に騙されるような人じゃないはずよ、あなたは 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), わたしは幸せ者ね、こんなに楽しいことを独り占めに出来るんだから♪ 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 違った出会い方をすれば…….一緒にお茶をする機会もあったでしょうね 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 死にたくなければ伏せていて。 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), 死にたくなければ伏せていて。.運良く目線に入らなければ生き残れるかもしれないわ 回避 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 生き残ったものにはやるべきことがあるということだわ アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), 生きるべき理由がなければ死ぬだけだもの 迎撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 甘い甘い♪ 迎撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), ちょっと残念、見込み違いかも 迎撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あはっ、そんなに驚くようなこと? 迎撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), こんなものでわたしをどうにかしようって考えてるんだ♪ ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あはっ、お楽しみの時間というわけね ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 少しだけこっちの我侭に付き合ってね♪ ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 優しい人…… アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), 優しい人……あなた早死にするタイプよ ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), いいのかしら? こんなガキに馬鹿にされて♪ ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), ダメよ、本気をだしてくれないと萎えちゃうわ ダメージ小 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あはは~♪ こんなに楽しいことは久しぶりだわ ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), あなたもいける口なのね ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 素敵なお誘いをありがとう ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), わたしも存分に遊ばせてもらおうかしら ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 刺激は必要よ、退屈は人間を堕落されるもの ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 折角お仲間を見つけたと思ったのに、あなたもまだまだね ダメージ中 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), そうよ、人だって所詮は獣だもの アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), 本能のままに動くのが自然というものよ ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), ん、あれ……? ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あはっ、やるぅ……♪ ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), どっちみち綱渡りの人生だもの ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あぁ、これじゃぁダメね……早く何とかしないと ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 人を化け物呼ばわりできる立場じゃないわね、あなたも ダメージ大 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 退くも地獄、進むも地獄……素晴らしい二択だと思わない? 破壊 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), それじゃあ、おやすみなさい…… 破壊 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), うそ……あ、れ……? え――――? 射程外 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), そう、逃げるのね 射程外 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 結構上手くやるものなのね 射程外 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あぁ、ダメよ、逃げちゃダメ♪ 射程外 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 弾切れを忘れるくらいに夢中だったみたい 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), …………ふふっ♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あはっ、たんじゅ~ん♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), ほぉら、早く逃げないと♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), それじゃぁ、遠慮なくぶっとばすわ♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(瞳), それじゃあ一緒に踊ってくれる? 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あははっ、ダメよ他所見しちゃ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 天国へご招待、一本道だから迷いはしないわ♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あぁ、やっぱり素敵だわ……血と、硝煙の匂い 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 今のわたしはただ単純に本能に忠実なだけ。 アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), そう、だから殺すの! 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 何でこんなことをするか? アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), そんなの、楽しいからに決まってるじゃない♪ 攻撃 アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), わたしは人の血を見ないと生きていけない アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), 吸血鬼より性質が悪いのかもしれないわね♪ かけ声(M249ミニミ) アンリエッタ=エンブレイス(瞳), みぃ~つけた♪ かけ声(M249ミニミ) アンリエッタ=エンブレイス(瞳), これ、なーんだ♪ かけ声(M249ミニミ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), えぇ、あなたはジッととしているだけでいいの かけ声(M249ミニミ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 目に入ったもの全てを圧倒し蹂躙し撃滅するの♪ M249ミニミ アンリエッタ=エンブレイス(瞳), さぁ、狩りの時間!! M249ミニミ アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 大丈夫、運がよければ腕が飛ぶくらいで済むわ M249ミニミ アンリエッタ=エンブレイス(瞳), ほら、早くわたしを止めないと手遅れになっちゃう M249ミニミ アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), わたしからあなたへプレゼント……。. きっと気に入ってもらえると思うわ M249ミニミ(命中) アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あーっはっはっはっはっはっは♪ M249ミニミ(命中) アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あはっ♪ あははははははははっ!! 攻撃(対赤葉スミカ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あなたは解っていないわ。この弾幕の崇高さが 攻撃(対赤葉スミカ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あはっ、楽しすぎて狂ってしまいそう♪;あなたもそうでしょう? 攻撃(対赤葉スミカ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), あなたの能力は知っているわ アンリエッタ=エンブレイス(瞳), だから…… 思いっきり蜂の巣にしてあげる♪ 攻撃(対赤葉スミカ) アンリエッタ=エンブレイス(殺る気), 仲間だろうが同じ組織だろうが、そんなことは関係ないわ アンリエッタ=エンブレイス(笑顔), あなたとわたしは似た者同士…… 殺し合うのは必然なの!
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拒絶された。 その光景が、今も目に焼き付いて―― 次の朝日を迎えても、里実の気持ちは晴れなかった。毎日欠かさず取っていた朝食も抜き、母親に心配されながらも、学校に向かう。植物の世話に冬休みも不調も関係ない。そう思っていたが、 「ぶちょー、大丈夫ですか?」 「今日ぐらい私たち後輩に任せて、さとみん先輩は気分転換にお出かけでもしてください!」 周りには割と深刻に見えていたらしい。里実は少し渋ったが、最終的にはその言葉に甘えさせてもらうこととなった。 そういうわけで里実は同級生のミキ、双葉と共に三人で秋葉原に来たのであった。 文化部は運動部に比べて比較的オタク率が高い。里実達の園芸部もその例に漏れなかった。何を隠そうミキと双葉も腐女子である。里実はそうではないが彼女たちの会話を聞いているのは楽しかった。例えば「種付け」とかいう単語がたまに彼女たちの口から出てくる。よく分からないけど、種を植えるのは里実も好きだ。そんな感じ。 本当は距離も近く目的のブツも多い池袋に行きたかったのだが、“昨夜の事件”のせいで行けなくなり、わざわざ秋葉原まで足を運ぶはめになった。 「よし、新刊ゲットー」 「ミキミキ、そろそろお腹空かない?」 「そうだね。さとみん、何か食べたいものある?」 「ん、私は別に……」 「そうだ! あそこは? こないだテレビで見たカレー屋さん!」 里実の肩がビクッと震える。何か言おうとしたが、何を言うべきか、それとも何も言わない方がいいのか、悩んでいるうちに目的の場所に着いてしまった。 シャッターの閉まった店の前に人集りができている。看板に記された名前は「MUGUET(ミュゲ)」。昨晩里実が出会った相馬親子の店だ。テレビに出ていたことはあの後ふと思い出した。 そのとき同じ場にいたもう一人、一番早アルティエは“樹”を、里実を、拒絶した。相馬朔也の方は、どう思っていたのだろう。 「閉店っぽいよ。残念だね」 「えーっ! もうカレーの舌だよー」 「もう、双葉はしょうがないなぁ。じゃあゴーゴーカレー行く?」 「うんっ! ゴーゴー!」 「……」 今まで感じたことのなかった、人との距離を感じる。隣の友人二人に対してもそうだ。それに、通りすがりの白髪交じりの男がすぐそばにまで近づいていたことにも気付かなかった。 「貴様あああああああ! 肩がぶつかっとろうがああああああああ!!」 「あ、ご、ごめんなさい!」 反射的に謝罪をしたが、里実は男の罵声すらどこか遠く聞こえていた。失礼な態度を取ってないかな、と里実は心配したが、男は何かを思い出したように急に冷静になった。 「いや……間違いは誰にでもある。そうだな、人目もあることだしな、昼間は……」 そう言って別れた男は、しばらくの間立ち止まったまま、見えないものを見ようとするように、目を細めて里実の後姿を眺めていた。 「しかし、全くのゼロ……というわけではなさそうだが、薄すぎんか? 最近の若者はこうなのだろうか。……どちらにしろ、私には関係のない話か」 呟き、男もまた雑踏の中に紛れていった。 夜。結局もやもやは晴れないまま。しかし居ても立ってもいられず、今夜も里実はあてもなく大都会を彷徨う。少し遠出してみたい気分だった。 歩き回った末にたどり着いたのは一つの女子学園。彼女は知らないが、前日、或る少女達の闘いが繰り広げられた舞台であった。 暗くて中の様子は分からないが、校門にはちょうど人間一人分サイズの大きな穴が開いていた。明らかに破壊された跡だ。誰かいるのだろうか。ふらふらと、吸い込まれるように入っていく。 「む……なんだ、昼間の少女か」 校庭に立っていたのは、秋葉原で出会った男だった。 「ここの生徒だったのか?」 「いえ、たまたま寄っただけです。おじいさんは?」 「そうだな、私は殺人鬼を求めて来たのだ」 「殺人鬼……ですか」 「うむ、この学園には“英雄”に裁きを受けるほどの殺人鬼がいた。ならば他にもまだ眠っているのではないだろうか、とな」 男はヨレヨレのコートのポケットに手を突っ込み、数秒の間、寮を見つめていた。 その後、ゆっくりと里実の方に目を向ける。 「だが、殺人鬼を殺る前に準備運動というのも良さそうだ。どうだ? 私と殺り合わんか?」 「私、そういうのはちょっと苦手で……」 「ふむ。見たところ何か悩んでいるようだが、そういう時は体を動かすのが一番だぞ。私に殺されれば悩みも吹っ飛ぶ」 「でも……」 「ええぃじれったい! さっさと殺る気を出さんかあぁぁぁぁっ!!」 男はいきなりキレて、里実の鼻を平手で打った。それを機に、里実の中から湧き上がる強い意志。殺意。 「あ……あ……」 里実は男の足元に目を向けた。男の非道な行為に気付き、涙が浮かんでくる。この男を生かしてはおけない。そして拳を振った。 「ハマスゲ((*1))さんを踏みつけるなんて……死んでくださぁい!」 ドスっと鈍い音がする。里実の拳は……完全に男の腹筋に止められていた。 どうしよう! めちゃくちゃ弱い! いや、確かにその威力は一般成人男性パンチくらいあり、普段の里実には到底出せない力ではある。 しかし、いくら非魔人の少女だろうと、殺る気を出したなら普通はプロボクサー程度のストレートは撃てるはずなのだ。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 しかも消耗もめちゃくちゃ早い! 殺る気を出してものの十秒も経たないうちに既に里実は肩で息をしはじめ……その場に倒れてしまった。 「いやいやいや、いくらなんでも殺る気無さすぎだろ!」 男はさすがにボケだと思ってツッコミを入れてみたが、里実が反応する様子は無い。どうやらマジらしい。 「はぁ、もういいや、死ね」 殺る気を使うまでもない。男は手刀を作り、里実に飛び掛か……ろうとした足を、バックステップに変えた。 里実の身体から、十本ほどの蔓が一斉に生えてきたのだ。 「何だと!」 その蔓たちは各々の先端を地面に着けると、気絶したままの里実の身体を浮き上がらせた。 すなわち、里実の身体を“胴”、蔓を“脚”とした、蜘蛛のような姿になったのだ。 男はその里実の姿を見て、ラジオのニュースで聞いたある殺人鬼の二つ名を連想する。曰く、「遺体から植物が生えている」ことが被害者の共通点。 「“強欲の宿り木”! まさかこんな形で出会うことになろうとはな!」 その“宿り木”が男に向け蔓を振り下ろす。先ほどの里実のパンチとは比べ物にならない衝撃が地面を揺るがしたが、男はこれを易々と跳び避けた。 「いいだろう、この“殺る王”榊原光太郎が相手になろう!」 男――榊原は、手招きをした。ならば遠慮なくとばかりに“宿り木”は下ろした蔓を逆側に払おうとする。しかしその勢いは、榊原が握る赤黒い刃に殺された。 「殺る気ブレード!」 反動でしびれる手の感触に、しかし榊原は興奮していた。 「これこれ! これだよ私が求めていたものは! ああ、物理存在万歳!!」 “宿り木”のほうはというと、一本の蔓では敵わないと悟ったのか、数本の蔓を振り回し始める。 「おっと」 さすがに接近戦は無理そうだと榊原は大きく後ろに下がる。すると“宿り木”は種鉄砲を放ってきた。 「このっ、殺る気シールド!」 広げた殺る気に種は勢いを失う。榊原は一呼吸ついた。多少冷静になった頭に、榊原はある違和感を覚えていた。 (なぜだ?) それを隙と見たか、“宿り木”はさらに大量の枝をミサイルのように飛ばしてきた。 「や、殺る気避けえッ!!」 身体に薄くまとった殺る気に身を任せ、飛び交う枝の間を縫うように避ける。が、途中で一本だけかすってしまう。 「ク、やはりこいつ……」 しかし、かすったことで違和感は確信に変わる。 「殺る気が……無い!!!」 “殺る気避け”は、相手の攻撃に込められた殺る気を自分の殺る気と反発させることでその回避率を極限まで高める技である。つまり、相手に殺る気が無ければ逆に本来の力を発揮できないのだ。なぜここまで激しい攻撃を行いながらも殺る気が感じられないのだろうか。相手が植物だからなのか。どちらにしろ、殺る気も無い者に榊原は殺せないだろう。そう思うと彼は急に馬鹿らしくなってきた。 「あー、アレだ。貴様は特大の殺る気キャノンであっけなく死ね」 そう言って殺る気の塊を練る。“宿り木”の種や枝の攻撃をも物ともしない、人間大の赤黒いエネルギー。この学園の校門に大穴を開けたのも、この技である。 「殺る気……キャノンっ!!!」 剛速球が“宿り木”を襲う。それに対し、“宿り木”は使える限りの蔓を束ね、真正面から受け止めた。“脚”の役割を担う蔓が、吹き飛ばされまいと踏ん張る。そして、ついにはその球体を、押し返した! 「来るなああああああああああ!!!!」 榊原は完全に殺った気でいたのでその先を考えていなかった。弾は撃った以上に速度を増して帰ってくる。考えている暇など……その時ふと校庭の隅にあるバレーコートが目に入った。 「これだァアアアアアア!!!」 両腕を体の前で揃えて伸ばす。 「殺る気レシーーーーーーーーッブ!!」 赤黒い塊がわずかに浮かび上がる。そこにすかさず掌を差し出す。 「殺る気トーーーーーース!!! かーらーのー」 老体が宙高くへと舞う。 「殺る気アターーーーーーーーーーーック!!!」 さらに速さを増した殺る気キャノン。それは“宿り木”の一本の“脚”を破壊した。バランスが崩れる。とどめを刺すなら今だ。 「殺る気! ランス!!」 榊原は自身の落下を利用し、殺る気の槍を突き刺した。その先は、里実の心臓。蔓は、見る見るうちに縮んでいく。 「ふう、殺る気が無いのは残念だったが、最後のはなかなか焦ったぞ、“強欲の宿り木”よ。今度生まれてくるときは、殺る気を持って私の元に来るんだな」 一応、街を跋扈する殺人鬼の一人を殺せたわけか。榊原は少し消化不良を感じつつも、服を整え、この場を去ろうとした。 そのとき、背中にかすかな殺る気を感じた。 このおじいさん、私を殺そうとした。 また、拒絶されたんだ。 振り返ると、里実が立ち上がっていて、怒りと悲しみが入り混じった目を榊原に向けていた。 「なぜだ、確かに心臓を貫いたはず」 突然だが、あなたは世界一高い樹をご存知だろうか? アメリカ西海岸のレッドウッド国立公園にある「ハイペリオン」という個体名が与えられたセコイアの樹だ。その高さは百十五メートルを超えるという。それほど高い樹でも、上の方まで葉が生い茂っている。つまり根から水を、養分を、地上百メートルまで吸い上げているのだ。植物にはそれほどの力がある。心臓に代わってたった一メートル六十センチ程度の人体に血液を送り込むことなど、容易い。 「いや、理由はどうでもいい。少女よ、貴様が殺る気を出してくれたことがなにより喜ばしい」 たとえそれがすぐに消えてしまう一時の感情だったとしても、殺る気スイッチはそれを何万倍にも増幅する。榊原は里実に駆け寄り、再び鼻のスイッチを押した。途端、里実の体が震える。 「私を……拒絶、しないで……そんな……だったら、いっそ……こっちから………………殺すのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 叫びながら里実は、右腕を丸太で固めて力任せに振り回す。榊原はすぐに後退し、距離を取る。 「ようやく殺る気になってくれたか。それでこそ殺人鬼! そして私も、全力の殺る気で応えよう」 榊原は自らの後頭部に手を伸ばした。カチリ、という音が響いて、殺る気が満ちる。 「うおおおおおおおおお死ねェええええええええええええええい!!!!!」 殺る気ブレードを携え、間合いを詰める。里実は左手から蔓の鞭を出し、一薙ぎする。榊原が殺る気避けで避け、一気に懐へ、殺る気ブレードを振るう。里実は体表を硬い樹皮で覆って守り、口から種を吐き出す。榊原、殺る気フルフェイスヘルメットで防ぐ。 「甘いっ!!」 榊原が、構えた殺る気ブレードに力を籠める。里実が退く様子は無い。振り下ろす。それを遮るのは丸太の右腕。だが、 「殺る気――」 途中で榊原の持つ殺る気ブレードが姿を変える。もちろんそれは、丸太を斬ることに最適化された形状。 「――ノコギリィィィイィィィィィィ!!!」 中にある里実の腕もろとも、丸太が落とされる。里実は苦痛に顔をゆがめた。今こそ、とどめを刺すときだと考えた。里実が(・・・)。 「後ろォォォ!」 叫ぶ榊原は振り返り、その手に何かを掴む。それは根だった。地下を通って密かに背後に回り込んでいたのである。里実が退かなかったのは足から根を張っていたからだ。これを突き刺して榊原を殺すために。だがあいにく、榊原にはその殺る気が見えていた。 「ハッハッハ! 楽しいなあ! だがこれで貴様も……」 根を斬って捨て、再び里実に向き合った。今度は復活されないよう、この距離から殺る気キャノンでバラバラに吹き飛ばしてやろう。そう思いながら。しかしそのとき、榊原は信じられないものを目撃した。榊原は殺る気の道を究めた男。これほどまでに至近距離で殺り合えば、相手の行動など手に取るように分かるはずだった。そう、それが殺る気からの行動であれば(・・・・・・・・・・・・・・・)。 「なに……をした?」 里実の左手から伸びた蔓が、榊原の腰の辺りに接続されていた。信じられないことに、里実の目はすっかり殺る気を失っていた。それ故に、榊原は警戒できなかったのだ。 「おじいさんは今『楽しい』って言ってくれました。私を拒絶したわけじゃない。むしろ認めてくれて、だからこそ熱い命のやり取りを交わしてくれていた。それが分かったんです。だから私も、“熱い命”をあなたに贈りたい。どうか……私の家族になってください!」 里実から殺る気を失わせたのは、榊原の一言だった。蔓を通して、榊原の体内に得体の知れないものが流れてくる。それはすぐに成長を始め、皮膚から小さな芽を出す。 「コホッ……まさか……植えたのか?」 ニュースの情報を思い出す。枯れた“樹”に覆いつくされた憐れな被害者たち。だが、榊原はそうはならない。榊原には殺る気がある。 「ふんっ!」 殺る気を練り上げ、体内に向けて放つ。殺る気を浴びたその苗は死滅した。 「種は……殺したぞ……」 里実は少し驚いた顔をしたが、しかし彼女に殺る気が蘇ることはない。そう、彼女も“樹”も、目的は殺すことではない。むしろ榊原に生きてほしいのだ。 「おじいさんはまだ、私をよく知らないだけなんです。受け入れてもらえるまで、私はもう……迷いません!」 「は? ちょっ……」 右手を“接ぎ木”して元に戻した里実は、四方八方から蔓を伸ばす。 そこから榊原にできることは、もう死を引き延ばすことだけだった。“樹”が体力を奪ったことに加え、自らの殺る気による体内へのダメージもあるのだ。それは種を植えられるごとに、どんどん積み重なっていく。 「やめろ! 私にそのキラキラした目を向けるなァッ!!!」 東京に巣食う数多の殺人鬼達。それを聞いたとき榊原は、もちろん殺す気ではいたが、殺されるならばそれはそれでいいと思っていた。殺人鬼同士の闘いの果てに命を落とすならば、どんなにひっそり殺されようと、どんなに凄惨に殺されようと。だが、これは違う。こんなものは殺人ではない。それなのに自分は殺されようとしている。屈辱だった。どんなに里実の鼻のスイッチを叩いても、殺意は“希望”にかき消されてしまう。 「私を憎め! 私を憐れめ! 私をゴミのように思え! 私のはらわたを見て楽しめ! 私を裁け! 私を口封じしろ! 私を救済しろ! ただ単に意味もなく気のまぐれで私を殺せえぇっ!」 里実にはそのどれも無い。共に生きたいと願った行為が、結果的に死に結びついただけである。里実の意識では、里実は殺人などしていないのだ。 種を植え続けられた榊原は、三百十二回目にしてついに動けなくなった。 「なぜ……そこまで……“生きる希望”に満ちておるんだ……」 「私、夢があるんです。世界中をお花畑にして、たくさんの家族と一緒に暮らしたいの」 榊原の質問に、里実は笑顔で答える。 「は、は……」 小学生のような無邪気な夢。それを彼女は本気で、たくさんの命を無自覚に踏みにじって、叶えようとしている。“強欲の宿り木”とは、被害者の養分を欲し過ぎたあまりに自滅する“樹”の様子から名付けられた二つ名だ。しかしその“強欲”の称号は、由来とは別に、森本里実という人間に対してもぴったり当てはまるものだった。 昨日、榊原は言った。 『悲惨な話だ……殺る気もないのに人を殺めてしまうとは……殺る気が無い人間が人を殺してしまう位なら、殺る気がある我々が人を殺す方が余程健全だろう。全く嘆かわしい……』 そう思えば、この“強欲の宿り木”という殺人鬼は、最悪だ。これからも人を生かす気で、人を殺し続けるのだ。 「誰か……こいつを……殺して、くれ……」 自らの手で殺すことのみを目的に人を殺し続けた“殺る王”。その最期の台詞は、情けなくも、他人に殺しを委ねる言葉だった。 “殺る王”榊原光太郎 ――死亡(死因:殺る気を体内に受け続け内臓破裂) “強欲の宿り木”森本里実 ――生存 第二夜『イかすキ』 終
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『殺人未遂』というものがある。私はあれが嫌いだ。 誰かを殺すつもりで武器を用意し、殺すつもりで相手の元へ向かい、殺すつもりで相手に危害を加える。 そして相手が死ねば殺人。死ななければ殺人未遂。それで罪の重さが変わるらしい。 なぜ? やってる事は全く同じじゃない? そこに死体が発生するかしないかというのは唯の結果の違いで、本人の悪質さには何の違いもないのに。 『殺人未遂』の奴は、私の事を見ることが出来ない。私の声も奴らには届かない。私を縛るこのルールが、奴らとあいつらを明確に区別している。ムカつく。出来る事なら、奴らにだって死ねといってやりたいのに。 死ね。死ね。死んでしまえ。奴らもあいつらもみんな死んでしまえばいい。 「全く、殺る気が足らんな最近の若者は……あ、この酒美味いな安い割には」 殺る気の伝道師、殺る王。本名は榊原光太郎。榊原はボロボロの愛車に乗り、何の疑問を抱くことも無く酒を飲みながらひと気のない道を走らせていた。 ラジオから流れてくるのは、深夜のニュース番組。どうやら昨日の夜、都内のとあるオフィスビルで会社員の男が上司の腹をナイフで刺したらしい。しかし傷は浅く、上司の命に別状はなかった。程なくして取り押さえられた会社員の男は、殺人未遂で捕まったたらしい。 「動機がなんなのかは分からんが……ナイフまで用意しているという事は、確かに殺る気はあったのだろう。それなのに……ハア。情けない……刺し傷が1つだと? そんな事だから仕留め損ねる……一度でダメなら何度でもだ。相手の息の根が止まるまで刺し続けろ!!」 榊原は何故か1人でヒートアップしていた。酒が入っているからだろうか。 「そもそもなんでそう簡単に取り押さえられる!! 本当に殺したいと思ったのなら、邪魔をする奴も全員刺し殺す位の気概を持て、マヌケがッ!!! 殺人未遂など大嫌いだッ!!」 冷たい風が吹きすさぶ深夜。私は東京都の繁華街から大きく離れた場所にひっそりと佇む、廃工場に居た。 ボロボロに朽ちた屋根の端に腰かけ(実際は身体を預けてなどいないけど気分は大事)、ぼんやりと空を眺めてた。 そうしてなんとなく思い出されるのは、昼間の光景。渋谷スクランブル交差点の景色。 見渡す限りの人、人、人。人が居ない静かな場所が好きという訳でもないけど、多すぎるのもそれはそれでいや。 それだけの人が居ても、私の存在に気づける人など1人も居ないという事実を突きつけられる気がして。 まああいつらを人に含めるのなら1人位は居るのかもしれないわね。だけどあいつらは本当に人間? 人の形はしているけど、ただそれだけ。何もかも違うわ。 ともかくそんな光景に気が滅入った私は、すぐにその場から瞬間移動した。もう少し人が居ない場所に、と。適当に。 「危ない!!!!」 跳んだ直後、そんな叫び声が聞こえてきて私は思わず振り向いた。そこには猛スピードで突っ込んでくる、1台の車が。 その車は私の身体を勢いよくすり抜けると、そのまま歩道に突っ込んだ。類まれなる不幸を引いてしまった1人の女性が、車とコンクリートの壁に挟まれ、潰され、そして死んでしまった。 周囲の人々が一斉に色めき立ち、スマホを取り出し通報やら記念撮影やらを行っている中、女性を潰した車の中から1人の男性が這うようにして現れた。老人だ。頭から血を流してるけど、生きてるみたい。 私はその老人の傍にふわりと近づき、顔を見た。顔面は蒼白で、息も大きく乱れていた。己がしでかした事の罪の重さもまだ理解しきれてはいないみたいだった。 そしてその老人はゆっくりと顔を上げ、私を見た。いや、違ったわ。偶々、私の方を向いていただけだった。老人には私の姿が見えていなかった。人を殺したのに、私の姿は見えてはいなかった。 声を出してみた。なんて言ったかは覚えていないけど、『死ね』ではなかったと思う。『あー』とか、『もしもし?』とかだったかもしれない。私はただ確かめたかっただけ。 だけど、やっぱり老人に声は届かなかった。なぜだろう。 人を殺した。この老人は人を殺した。だけど私を見れないし私の声も聞こえない。なぜだろう。分からない。ルールはまたも区別した。 この老人も、『こいつ』と呼ぶべきだろうか。結局結論は出ないまま、私はその場から立ち去った。 「…………」 私はボンヤリと空を眺めてた。気分は晴れない。というか、そもそも気分が晴れた日なんて一度も無かったっけ。 と、その時。私は視界の端に、小さな機械的な光が映っている事に気が付いた。私はそっちに視線を向ける。 よく見ると、どうやら一台の車がこちらに向かってきている様だった。 「こんな場所に、人……?」 私は更に目を凝らし、車を運転している誰かを見る。そして、見えた。白髪交じりで、ボロボロのコートを着込んだあいつが。 「死ね」 私は反射的に呟いた。見たことはない。けど分かる。あいつは人殺しだ。 どうせ大した事など出来はしない。だけど言わずにはいられない。アイツが生きているという事が、私にとってはどこまでも腹立たしい。 「もうすぐ着くか……街の中心地からはやや離れるが。まぁ仮の拠点としては悪くないだろう」 車を運転しながら榊原は呟いた。東京都にひしめく数多の殺人鬼と出会うための足掛かりとすべく、榊原は廃工場へと向かっていたのだ。酒を飲みながら。あと無免許だった。 榊原はまだラジオをつけっぱなしだった。殺人未遂のニュース以降大したニュースは無かったが、再び榊原の気を惹くニュースが流れてきた。 内容は、今日の昼起こった自動車事故。とある年老いた男性がブレーキとアクセルを踏み間違えてしまい、猛スピードで歩道に突っ込んだ。その結果、運悪くその場に居合わせた女性が死んでしまった。という内容だった。 「悲惨な話だ……殺る気もないのに人を殺めてしまうとは……殺る気が無い人間が人を殺してしまう位なら、殺る気がある我々が人を殺す方が余程健全だろう。全く嘆かわしい……だが」 榊原はフンと鼻を鳴らした。 「ブレーキとアクセルを踏み間違えただと? 馬鹿馬鹿しい。どれだけモウロクしていればそんな間違いを起こす! 確かに私もジジイだが、全く意味が分からん」 榊原はグイと缶に入っていた酒を飲み干した。 「そんな事が頻発するからジジババは車を運転するななどと言われるのだ。私の様に心身共に健康なジジイでないというのなら、さっさと免許返納し」 「死ね!!!!」 「アギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」 突如として車を運転する榊原の眼前に姿を現した制服姿の女。完全に気を緩め切っていた榊原は驚きのあまりものすごい悲鳴を上げると、ハンドルから手を滑らせたあげくブレーキとアクセルを踏み間違え、猛スピードで廃工場の敷地に突入した。 猛スピードの車は『立ち入り禁止』と掲げられた看板をなぎ倒し、廃工場の周囲に張り巡らされた鉄柵をぶち破り、更には廃工場の薄いシャッターを破壊してその内部まで突入した。 「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 ここでようやく榊原がブレーキを踏むと、車は時計回りに勢いよく回転し、工場内のよく分からない巨大な機械に激突してついに止まった。 けたたましい衝突音が、廃工場に響き渡る。 「グッ……!! 高齢、ドライバー……!!」 エアバッグから顔を上げた榊原は、忌々し気に呟いた。同時に、エアバッグとシートベルトを開発したどこかの誰かに感謝した。飲酒運転はもうやめようとも思った。 いや、そうじゃない。今の事故には明白な原因があった筈だ。榊原は歪んだシートベルトの金具をこじ開け、ひしゃげた扉を蹴り破ると、そのまま勢いよく外に転がり出た。 「誰だァアアアアアアア!! 私に不意打ちを仕掛けるとはいい度胸だな貴様ぁああああああ!!! 私の愛車がもっとボロボロになってるじゃないかぁあああああ!! 死ねぇえええええええええええ!!」 榊原は怒っていた。それはもう怒っていた。スイッチ押してもいないのに殺る気満々だった。 「死ね」 それとは対称的に、制服姿の女は憮然とした表情で呟いた。巨大な機械の上から榊原を見下ろすその目はどこまでも冷たく、蔑みを帯びていた。 「貴様が死ねェえええええええええ!! あと頭が高いんだよそこから降りろぉおおおおおお!!」 榊原は溢れだす殺る気をその身に纏わせ、自らの愛車を踏み台にして一気に跳びあがる。 榊原光太郎の長い夜が始まろうとしていた。 十数分後。 「殺る気キャノン!! 殺る気ブレード!! 殺る気ダイナミックパンチ!!」 榊原が放った殺る気の塊が女の身体を通り抜けた。殺る気の刃が女の身体を通り抜けた。殺る気を纏った拳が女の身体を通り抜けた。 「殺る矢!! 殺る気ランス!! 殺る気スローイングアックス!! 殺る気百列脚!!」 殺る気の矢は効かなかった。殺る気の槍は効かなかった。殺る気の投げ斧は効かなかった。殺る気のキックは効かなかった。 「殺る気チョップ!! 殺る気ヘッドバット!! 殺る気ビンタ!! 殺る気エルボー!! 殺る気ヒップアタック!! 殺る殺る波!!」 効かなかった。また効かなかった。それも効かなかった。やっぱり効かなかった。結局効かなかった。最終的に効かなかった。 「殺る……もういい!! 一回休憩!!! ゼエ……」 榊原はゼエゼエと息を切らしながらその場にあぐらで座り込んだ。床に落ちていたネジ的なものが尻に刺さってちょっと痛かったので拾ってみると、やはりネジだった。ついでにそれを女に投げたがそれも効かず、床に落ちて空しく乾いた音を響かせただけだった。 「死ね」 女はそんな榊原の醜態を意に介する様子も無く、呪いの言葉を繰り返していた。 「死ね、消えろ!!」 「貴様が死ね!! 貴様が消えろ!!」 「お前なんか大嫌いだ、死ね、死ね、死ね!!」 「いいや私の方が貴様の事が嫌いだね。貴様が死ね!! 百回死ね!! とりあえず死ね!!」 「死ねーーーーッ!!」 「だから貴様が死ねやぁあああああ!!」 と言った風に、女の言葉に一々全力で返しているから榊原は疲れていた。無駄に疲れていた。 「私が求めてたのはこういうのじゃないんだよ!! なんだこの空しい作業は!! 私はまだ見ぬ殺人鬼の手口を見たり、熱い命の取り合いをする為にここまで来たんだ!! 例えばそう、路地裏とかを彷徨う私の背後に突如現れる若輩殺人鬼。無防備な私の背にナイフを振り下ろすが、殺る気を纏った私の手がそのナイフを掴み、『ふっ、素人が。私が本当の殺しを教えてやろう』的なそういう」 「興味ない死ね」 「フーッ…………」 榊原は大きく息を吐いた。己の内の色んな感情を吐き出す様に。 「チッ、なんなんだこいつは……何も効かんぞ……殺る気が効かんというより何もかもが効かん……最悪だ、本気で最悪の夜だ……一体どうすりゃいい…」 榊原は目を閉じ思考を巡らせた。考えろ。考えろ榊原。考えれば何か名案が浮かぶはず。そう、何か対処法があるはずだ。心を落ち着かせて……。 「死ね!!」 「うるさい!!」 何か、何か活路がある筈だ。どんな魔人能力か知らないが、何か法則、ルールがある筈。そう、心を落ち着かせ、過去の己の経験から何か天啓を得られ……。 「死ねーーーー!!」 「うるっさいわボケ!! もうあったま来たぞこのボケ女!!」 瞑想とは縁遠かった榊原は早々に目を開くと立ち上がり、女を睨みつけた。 「よくよく考えてみれば、なぜ私が幽霊だか魔人なんだかも微妙な、正体不明の貴様のよく分からないルールに合わせて戦う必要がある!! 私が貴様に合わせるんじゃない、貴様が私に合わせろ!!」 言い放ち、榊原はカッと目を見開いた。榊原光太郎の魔人能力『殺る気スイッチ』。この能力は人間誰しもが持つ殺る気スイッチを目視し、手で押す事でオンオフをい切り替える事が出来る。 「(問題はこいつがそもそも人間なのかという事と……こいつのスイッチを私は押せるのかという事か……いや、他にも問題はある。だが……やるしかない)」 榊原は能力を発動させたまま、女の周囲を走り回った。跳びあがり、スライディングし、女の全身を観察した。 「動きが気持ち悪い。死ね、死ね、死ね!! お前なんかゴミ以下、本当に嫌い。死ね死ね、死ねーッ!!」 「………………あった!!」 女の言葉を無視し、榊原はついに女の殺る気スイッチを発見した。榊原は一気に女へ接近する。 「見つけたぞ、ヘソ!!」 「なにを……」 スライディングの体勢から一気に身を起こし、榊原は女の制服の隙間に手を差し入れた。嫌悪感から女の表情が歪み、咄嗟に瞬間移動を試みたが、遅かった。 榊原は女の、僅かに膨らんだ腹のヘソに存在した殺る気スイッチに手を伸ばし、押した。カチリという小さな音が、榊原にだけは聞こえた。 「押せたぁあああああああああ!!」 「あ……あ……あ……!!」 すると、女の全身がわなわなと震え出した。その内から湧き上がるどす黒い感情。殺意。かつてない程強烈なそれに、女の全身は震えていた。 「あー……これは、あれだな……」 震える己の両手をじっと見つめ、女はギリギリと拳を握りこんだ。そして髪をかきむしり、崩れ落ちた天井を見上げる。 榊原はそんな女の様子を観察していた。そしてすぐに理解できた。 目の前の女の殺る気は自身が想像していたよりも遥かに根深く、どす黒く、強烈なものだと。湧き上がる女の殺意は、既に榊原の全身をヒリヒリと刺激していた。 「あ、あ、あ、アァアアアアアアアアアアアアアアアア!! 死ね、死、死、シネ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇえええええええええええええええええええええ!! アンタも、アンタらも、アイツも、全員、全員、全員全員全員全員全員死ねェエエエエエエエエエエエエエエエ!!」 「死ぬかもな、私」 榊原は思わず呟いた。だが死ぬ訳にはいかない。一度殺すと決めた相手を殺さず死ぬなど、殺る気使いとしての、殺人鬼としての、人殺しとしての拭い去れぬ恥。 「では改めて……死んでもらおう、名も知れぬ少女」 榊原は拳を構えなおす。目の前の強烈な殺意に立ち向かう為に。 私の目の前で、無様によく分からない攻撃を続けるこいつ。その姿は本当に滑稽だった。笑えはしないけど。 最初にこいつが事故った時には、初めてあいつらの1人を殺せたと思ったのに。ゴキブリ並みの生命力……という言い回しが思いついたけど、それじゃあゴキブリに失礼ね。 こいつはやる気がどうのとよく分からない事を言い続け、よく分からない力で私を殺そうとしている。そんな事出来はしないのに。 だけど私はこいつを殺せない。こいつは私を殺せないけど、私もこいつを殺せない。私に攻撃を続けるこいつが無様で滑稽なら、何もできずただ死ねと言い続ける私もきっと無様で滑稽なんだわ。 無様で、滑稽で、無駄な時間。無駄。何もかもが無駄。なんの意味もない。私には何も出来ない。 だけどこいつが、気味の悪い動きで私に近づいて、私のヘソの辺り触れた瞬間、全てが変わった様な気がした。 「あ……あ……あ……!!」 死ね。死ね。死ね。死ね!! なんで目の前のこいつはまだ生きているの!? どうして!? こいつに生きてる価値なんかない!! 私は? 私には生きている価値はあったの? 生きた? 生きていた? 私は本当に生きていた? 分からない。私は一体なんなの? 人間? 幽霊? 怪物? 意味が分からない。何もかもが分からない。どうして私はここに存在しているの? 誰が私の存在を望んだの? 私は人殺しが嫌いだ。名前も呼びたくないほど、どうしても嫌いだ。だけど、それはそもそも一体なぜ? 私の憎しみは一体どこからきているの? 殺人。その定義は一体何? 殺意を持って人を殺す。殺意を持たずに人を殺す。どちらも同じじゃあないの? 殺しは殺し。そうでしょ? 私なにか間違った事言ってる? だからあの時女を押しつぶした車に乗っていたのも、結局アイツらの1人なんだ!! だけどルールはそれらを分けた。どちらも最低な人殺しなのに!! 私は……私は、殺されたの? 違うよね? そうなの? だったらいつ? いつ私は殺されたの? どこからかピッ、ピッ、ピッ、と。機械音の様なものが聞こえた気がした。この音を私は聞いた事がある。だけどいつ? 私はいつ聞いた? 『ごめん、ごめんね……次はきっと、幸せに生まれてきてね……』 今度はすすり泣く女の声が聞こえた。その声は、何故か私の声と同じだった。 私は思わず背筋が寒くなる。そして自分の両手を見た。 自分の? 自分の両手? これは本当に私の両手? この制服は? 私はこんなものを着てた事があったの? 本当に? なぜ、なぜ私の姿は鏡に映らないの? なんで私は、私の姿を見る事が出来ないの? それはこの世で最も見たくない、『私』を殺した『アイツ』の姿を見ない様にする為よ。そんな事最初から分かってたでしょ? 「あ、あ、あ、アァアアアアアアアアアアアアアアアア!! 死ね、死、死、シネ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇえええええええええええええええええええええ!! アンタも、アンタらも、アイツも、全員、全員、全員全員全員全員全員死ねェエエエエエエエエエエエエエエエ!!」 全員殺す。 「死ね、死ね死ね死ね、死ね!!!!」 女は自らが何をすべきか分かっていた。己の身体から溢れだす赤黒い何か。これは目の前の男が操っていたものと同じ。ならば、自身にもそれを扱う事が出来るだろう、と。 直接触れる事は出来なくとも、この力は目の前の男を殺せる。 目の前の人殺しと同じ力を使う事に嫌悪感はあったが、殺せるのであればその程度の嫌悪感は些末事だ。女はふわりと浮かび上がり両手を広げると、その背後に広がる赤黒い殺意がいくつものナイフの形を取り、榊原に迫った。 「チィッ!! なんだこの殺る気は!! まさか本当にこの場で殺る気を使える様になってしまうとは!! 天才かコイツ!! こんな事ならあんなに殺る気の使い道を実戦形式で教えるんじゃぁなかった!!」 榊原は両腕に纏わせた殺る気を広げ、硬化させる。 「殺る気シールド!!」 そして出来上がった二枚の殺る気の盾が、女の殺意を真正面から受け止める。 「結局私に出来るのは耐え忍ぶ事だけ……だが耐えてみせよう!! ハァッッ!!」 榊原は両腕を大きく横に振り、残りのナイフを弾き飛ばす。だが。 「グォッ……!!」 榊原の肩に鋭い痛みが走る。チラリと目をやると、そこには女がナイフと共に密かに飛ばしていた細長い針の様な殺意が突き刺さっていた。 「小癪な真似を!!」 榊原は苦悶の表情を浮かべ、殺る気キャノンを数発撃ちだす。当然女には当たらない。だが殺る気を出すにはこういうパフォーマンスも時には必要だ。 「私をそう簡単に殺せると……む?」 その時。突如として榊原の視界から女が消えた。辺りを見回す。だが見当たらない。 「逃げた……? いやまさか、あれだけの殺る気を持……グオッ!!」 刹那、榊原は己の背後に再び巨大な殺意が出現したのを察知した。ギリギリの所で振り向き盾を掲げると、女が振り下ろしていた殺意の斧がぶつかった。 「さっさと死ね」 「この女……!!」 女は最初に比べ、幾分か冷静さを取り戻していた。これは実に厄介だ。滅茶苦茶に、獣の如く暴れまわってくれる方が余程相手取りやすいというのに。 再び女は榊原の視界から消えた。そして現れ、また消えた。女は瞬間移動を繰り返しながら攻撃と離脱を繰り返す。 「まさかワープまで出来るとは……!! まずい、これはまずい、だが殺す!!!!」 背後から、横から、真上から、時々正面から。女が繰り出す剣やら斧やら槍やらの攻撃を、榊原は紙一重の所で捌き続ける。 「死ね」 女は再び無数の殺意のナイフを生み出した。そしてそれを榊原へ放つと同時に、自身もまた殺意の剣を持ち榊原に攻撃を仕掛ける。 「…………ッ!!」 歯を食いしばり、榊原は攻撃を避ける。受ける。避ける。一定のリズムで繰り出される攻撃に榊原が『慣れ』を感じてしまった次の瞬間、 「死ね!!」 「しまっ……!!」 女が不意に剣を持たない左手を突き出した。その指先に付けられた鋭い殺意の爪が、榊原の首元へ迫る。 反応が遅れ、殺意の爪が榊原の首に数ミリ食い込んだ、その時。 「な、ん……で……!!」 女に纏っていた膨大な赤黒い殺意が一瞬にして消え去り、女は力を失ったようにその場に膝をつく。能力によってオンになった殺る気スイッチは、3分経過で強制的にオフになる。 「3分だ……素晴らしい。実に素晴らしい。君の殺る気は見事と言う他ない。というか殺る気だけじゃなく殺しのセンスがありすぎる。なんだお前。いや実に素晴らしい……」 榊原の言葉に偽りは無かった。最初は唯うるさいだけの女だと榊原は思っていたが、内に秘める殺意と殺しのセンスは本物だ。もしこの女にそれ相応の実戦経験があれば、恐らく既に榊原は死んでいただろう。 「(だが、気絶しないか……肉体が希薄……というか存在しているかすら怪しいからか? 精神的疲労は確かにある様だが……)」 榊原の狙いは、殺る気スイッチを押し続け、過剰な疲労を与える事による衰弱死であった。だがこれでは、当初の目算よりも長い戦いになる事は避けられまい。 「フッ、だが、そうだ……一度でダメなら何度でも、だ。私が本当の殺しを教えてやろう!!」 そして榊原は膝を付く女の元に接近し、再び殺る気スイッチを押したのであった。 私の視界が赤く染まる。黒い殺意が私を蝕む。私が膝を付く度に目の前のこいつは私のお腹に何かをして、私は何度でも立ち上がった。 その度に私は私の心がすり減っていくのを感じていた。苦しい。全身が引きちぎれてしまいそうな、そんな耐えがたい痛みが私の全身を襲った。 だけど私は何度でも、こいつを殺すために刃を振るった。忌々しい力。多分、殺意の力を使って。 それでもこいつは倒れない。肩を抉り、足を斬り、腹に力を纏わせた拳を叩きつけた。額に力を纏わせて不意にこいつの鼻先に頭突きを叩き込んでやった。こいつを狙うと見せかけて工場の壁に殺意の塊を撃ち、振動で割れたガラスの雨を降らせてやった。それでもコイツは倒れない。 ほんと、ゴキブリ並みの生命力。 私の視界が赤く染まる。思考が徐々に鈍っていく。けれど私の殺意は収まらない。こいつを、こいつらを、そしてあいつを殺しきるまでこの衝動は収まる事がないのだろう。 「さあ、もっと、もっとだ!! 少女よ、殺る気を抱け!! 貴様が最も殺したい相手の顔を思い浮かべろ!! 理由などどうでもいい、だが理由が必要ならそれを思い出せ!! さあ、さあ!!!!!」 コイツは偉そうに私に問いかける。その表情がなんだか楽し気で無性に腹が立つ。理由? 殺したい理由? 決まっている。生きているからだ。私は生きている全てが憎い。あんた達が生きているのが憎い。私は生きていなかった。なのにあんた達は生きている。だから憎い。そして人殺しが憎い。私を殺したのは人殺しだからだ。 私の視界が赤く染まる。私は私を殺したあんたの顔を思い浮かべた。だけど思い出せない。 違うか。だって見たことないもんね。 私の視界が赤く染まる。私は床に崩れ落ちる。頬を床に押し当てる。だけど冷たさも、床のざらつきも感じない。だって私は生きていないから。 私の視界が赤く染まる。もう何も感じない。分からない。見えない。指の一本も動かせない。 私の視界が赤く染まる。もう何も見えないけれど、私が殺し損ねたこいつがこう言ったのが聞こえた。 「今夜は本当に最高の夜だった……感謝しよう、名も知れぬ少女よ。もし生まれ変わったのならまた会おう。その時はまた殺しあおうじゃないか」 私の視界が赤く染まる。本当に楽しそうで、満足げなこいつの声に私は腹が立った。腹が立って腹が立って、本気で死んで欲しいと思った。 私の視界が赤く染まる。だから私はこう言ってやったの。 「死ね」 私の視界が赤く染まる。そして全てが終わりを迎えた。