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罰ゲーム紹介 (stub) 「『ぷっ』すま」には、ゲームで負けたり課題をクリアできないと、恐ろしい罰ゲームが用意されています。 大きく分けて、精神的にきついものと、体力的にきついものがあります。 主な罰ゲーム モノマネ・ヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ 「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の後に、くじで引いたモノマネを披露。相手チームのOKが出るまでやり続けなければならない。 即興作詞 歌詞のない曲に勝手に詩をつける罰ゲーム。例:「結婚行進曲」「笑点のテーマ」など 自分のココ1当てまSHOW!! 他の出演者が答えた自分のいい所を予想。 モノマネイントロドン! 一人がモノマネを出題。自分のチームが3問正解すればクリアとなる。 ツボ押し足レチック! ツボ押しマットで作った特設コースを歩いてもらう。
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- 抜き足、差し足 立つ時には踵にもちゃんと体重を載せ、歩く時は母指球を踏まず、逆に母指球から体重を抜いて前に倒れる力を利用して歩くようになって2週間。普段から抜き足差し足になってきました... 戻る 背骨がどこにあるかもわかります。前に倒れる時に体中の骨がぐにゃぐにゃっと順番に倒れます。いや、全部バラバラに同時に落ちてる感じかな。背骨が左右に揺れてるのが分かります。 もうちょっと何か分かったらまた追記しますね。 コメント 名前 コメント
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「ごちそうさま」 「お粗末さまでした」 「それにしても……」 皿洗いくらいは自分がすると言うので委員長に任せて、テーブルを拭き終わったら一息入れることができるようにとお茶を淹れていた。前にお歳暮で貰ったという緑茶で、大分暖かくなってきたこの時期にはちょっと熱いかもしれないけど。 「あなた、本当に1人でも別に困ってないのね」 「うん、大丈夫。たまに掛かってくる電話でもお父さんとお母さんにいつも言ってるのに……」 「仕事とはいえ、大切な1人息子を家に置きっぱなしともなれば心配にもなるでしょう」 「かな?」 ようやく全てが終わって椅子に座ってから、ようやくこの状況の奇怪さを思い出した。 「忘れてたけどそういえばなんで委員長は僕の家に来たの?」 「…………あなたがそれを聞くの? 私を馬鹿にしてる?」 「え? 何で?」 「まさか教えられてないの?」 「何を?」 「…………」 「…………」 疑問符の掛け合いに飽きて、特大の溜め息の後、委員長は夕食のときと同じように僕の向かいに座って答える。 「あなたの叔父さん、母方の叔父さんが条桜院(じょうおういん)の学校長なのは知ってるわよね」 「うん、もちろん」 条桜院とはうちの学校、条桜院高校のこと。男女共学の進学校で成績はある程度良くないと入れない。自分でも良く入れたなあって思ったよ。 「もしそこから話さなきゃいけないなら私は今すぐここを出て行くところだったわ」 それはそれでありがたいような。 口には出してないはずだけど、心を読まれたのかじろっと睨まれてからすぐにまた溜め息を吐いて続けた。 「で、そのあなたの叔父さんである学校長があなたの母親に様子を見て欲しいって言われたそうなのよ。今年は高校3年生で大学入試もあるから、自分が居ない間に色々と疎かになってはいけないってことみたいね」 「でも委員長も今年受験だよね」 「当たり前よ。だから本当はこんなことしたくなかったわ。でも学校長直々にそんなこと言われたら断れないでしょ」 きっと叔父さんはお母さんに頭が上がらなかったって言ってたし、今回も逆らえなかったんだろうなあ。そしてその叔父さんに委員長が断れなかったと。お母さん、皆を巻き込みすぎだよ……。 お母さんは普段、家事ができない代わりに自宅で出来る翻訳家としてうちの家計を支えてる。パソコンと本があればいくらでもできる! ってことで 始めたんだっけ。気楽にできるから自分に合ってるとか言ってたけど、本当は結婚しても家事がまともに出来ずに落ち込んでたお母さんが、お父さんに悪いか らってせめて家計の手助けくらいはしたい、でも家に帰ってきたときに出迎えてもあげたいからと探して見つけたことを知ってる。でもお母さんが必死に隠して るからこの経緯についてはお父さんには秘密。きっとお父さんのことだから分かってると思うけど。 「最初は学校長自らが住んで逐一様子を伝える、というのも考えたらしいわ。でもさすがに親の実家で会うくらいしか顔を合わせていない自分が突然家 に住んだらあまりいい気はしないだろうって。そこで学校長は自分よりも年の近い、親しみやすい人間を派遣しようって考えたそうよ」 「別に叔父さんでも良かったと思うんだけど」 「だったら私に言わずに本人に言いなさいよ!」 ガタンと椅子をひっくり返すほど勢いよく立ち上がった委員長。その拍子に少し湯飲みの中身が零れる。 「あ、ごめん」 「いえ……あの、私もごめんなさい」 バツの悪そうな顔で椅子を立て直して、委員長は再び座って僕から受け取った台拭きで机を拭く。 「親しみやすいと言っても男の子じゃ駄目。お昼に言ったみたいに食事や洗濯みたいな世話が必要になるから。私は男子だから女子だからという考え方 は嫌いだけど、実際にそういう傾向があるのも事実。事実に目を背けて自分の考えだけを押し出すのは嫌いだから学校長の話に頷いたわ」 「そうなんだ」 「かといって単に女子を住まわせるというのもまた問題。若い男女が1つ屋根の下で暮らすにはそれなりの条件が必要なのよ。襲われる可能性が無いとも言えないから。この条件を満たした私に白羽の矢が立ったと……実に腹立たしいわ」 「何で?」 「あなた、鈍いってよく言われるでしょう」 「?」 「……いい、あなたに言ったって仕方が無いし。私があなたのことを好きだとか勘違いして襲ってきたりしなかったのだけは安心した、と同時にやっぱり腹が立ったわ」 誰だって突然あんなことされたら驚くのが先だと思うんだけど、委員長はそうじゃないんだろうか。それに関わりあいもプリントを渡すときくらいし かないのに、恋愛感情なんて沸くような展開は無くて当たり前のような。それと何でさっきからそんなに腹を立てているんだろう。よく分からない。 不満げではありながらも湯飲みを傾けて中身を飲み干してから委員長は言った。 「何にせよあなたには必要なかったみたいだけど、一旦請け負うと言ったからには期限までは約束通り行動するつもり。とにかくそういうことだから、しばらくここに泊まることにするわ」 「事情が事情だから仕方が無いね。明日にでも叔父さんに1人でも大丈夫だって掛け合ってはみるけど、お母さんが背後に付いているんじゃなかなか難しいかな。……あれ、じゃあ最初に自分を買えとか雇えって言ってたのは?」 「冗談に決まってるじゃない」 委員長も冗談なんて言うんだ、なんて言ったら怒られるだろうか。友達は教科書と六法全書を合わせて人間にしたような人だって言ってたし、悪いけれど僕もそれに近いことを考えていたから。 「っていうかあんなに素で返されたらこっちが恥ずかしいでしょ!」 「わ、分かったから落ち着いて!」 もう既にお茶は飲み終わってるみたいだけど、今度は湯飲みを落としたりするかもしれないし。フローリングとはいえ、さすがにテーブルの高さから落ちたら割れないとも限らない。湯飲みの代用品はいくらでもあるけど、委員長が怪我するのは良くない。 「ぐっ……」 皆が皆、クールだとか冷血だとか好き勝手に呼んでたけど、いつもは皆が居るからなんだかんだで怒りを押し留めているだけで結構委員長って熱くなりやすいのかも。 「とにかく事情は分かったよ。1つ部屋が余ってるから、そこを利用すればいいかな。布団も来客者用のものがあるから使って。今から家の中と部屋までを案内するよ」 「ありがとう。お世話になります」 やっぱりこういうところは非常に礼儀正しいんだなあ、委員長って。
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概要 技解説 コンボ 概要 極殺拳・闇という流派の武術を操るアクセルシティの主人公、アギト。 技は一癖も二癖もあるものが多く主人公なのにかなり難しい部類に入るが 決して弱くはない。 強力な必殺技の数々の特性を覚えれば勝ちは自然とついてくるだろう。 極殺拳・闇は一朝一夕で習得できる格闘術ではないのだ。 技解説 通常技 技名 解説 立ち弱P 平均的な性能の弱P。連続技の中継に使ったりする。 立ち中P 3段技で1hitめのみキャンセル可能という珍しめの技。また立ち強Kへと派生できる。 立ち強P 2段技で、発生は遅めなものの目押し足払いやダッシュK攻撃類が繋がるほどの凄まじい有利Fを誇る。起き上がりに重ねてみると面白いかもしれない。 立ち弱K あまり使い道はなさそう。 立ち中K 比較的長めで嫌がらせ程度には使えそうだが・・・ 立ち強K ほぼ立ち強Pと同様の性能だが、こちらの方が発生は上。 しゃがみ弱P 平均的な性能の弱P。 しゃがみ中P アギト近距離の肝。ヒット確認が容易で煉獄殺に繋がるため投げとの択などに使っていける。 しゃがみ強P 肘打ちを繰り出す。肘~頭にかけて攻撃判定が出るので正面からの飛び込みを咄嗟に落とす等に使う。 しゃがみ弱K 性能自体は普通なものの、立ち中Pへと派生できる関係で連続技始動の要となる。ただし、しゃがんでいるキャラには一段目がスカるためその場合は弱Pへと中継する必要がアリ。 しゃがみ中K 振りは速いものの、戻りが遅く使いにくい。 しゃがみ強K 中Kを振るくらいならばこちら。 ジャンプ弱P 真横に出っぱなのジャンプ攻撃。ただ空対空に使った時のリターンが薄く使いどころが難しい。 ジャンプ中P 下に向けてパンチを繰り出すが判定も持続もそこまで強くなく、めくれもしないがジャンプ強P、Kへ派生できる。 ジャンプ強P 奈落○としを見舞う。こちらは本家よろしくキチンとめくれる上連続技にも行きやすい優秀な技。 ジャンプ弱K ジャンプ中Kへ派生可能。 ジャンプ中K 気づきにくいが二段技。ジャンプ強Pでギリギリめくれるタイミングの飛びの場合、こちらを出すと正面になる。択一攻撃に使う。 ジャンプ強K 判定が強く、リーチも長い優秀技。相手を浮かせる効果がある。 ダッシュ攻撃 技名 解説 ダッシュ弱P しゃがみながら激壁を放つ。硬直も長めなのであまり使いどころはなさそう。 ダッシュ中P 中煉獄殺の最終段のモーション。中段なのでガード崩しに。立ちに当てると吹き飛び、しゃがみに当てるとのけぞり効果。重ねて当てるとしゃがみ中Pなどが繋がるが、ガードされると不利。 ダッシュ強P 投げに見えるがしっかり打撃扱いでガードを入れていると当たらない。立ち強攻撃から繋がったりする。 ダッシュ弱K 弱龍飛翔を出す。 ダッシュ中K 中龍飛翔を出す。 ダッシュ強K 強龍飛翔を出す。 特殊技 コマンド 解説 6+強P 中段技。なのだがあまりに硬直が長くその後が続かない。キャンセルも効かないため封印推奨技。 必殺技 技名 コマンド 解説 龍飛翔 623+K 俗に無敵昇竜と呼ばれるタイプの技。ボタンが強くなるほど高く飛び上がり多段ヒットするようになる。性能はいいので対空や切り替えしに。 激壁 214+P 極殺拳を象徴する技。弱の発生と戻りが異様に早く、手以降に喰らい判定がないため基本的には下手な通常技よりこちらを振り回していった方が良い。中以降は多段技なのでGCの的になりがちだが、たまに振っても面白い。撃墜脚でキャンセルが可能。 煉獄殺 4タメ6+P 突進技。最終段が弱は下段、中は中段だが崩しに使うのは難しい。主に強版を連続技として使っていく事になる。龍飛翔などでキャンセルが可能。 撃墜脚 4タメ6+強K 突進蹴り上げ。なんとガードで有利。当たれば永久、と文字通り相手を撃墜してくれるぞ。これが…アクセルシティだ! 闇眼 236+P アギトさんの敷居を上げている技。技自体は当身で割と普通の性能なのだが、とにかく漏れる。要介護の老人くらい漏れる。 龍陣 4123698+強P コマンド投げ。崩しは通常投げでいいが、こちらは小技から繋がるので連続技に。 超必殺技 技名 コマンド 解説 激壁龍撃掌 246+強P コンボ用としては性能の良い超必殺技。後述の飛燕竜飛翔よりダメージが低い(中足一発分程度)。 飛燕竜飛翔 236236+強K コンボ用としては性能の良い超必殺技。威力は高いが受け身から反撃確定という事が判明。いかんこれは罠だ!激壁龍撃掌に任せてここは逃げろ! 煉獄双爪拳 236236+強K 大K確認ノーキャン煉獄双爪拳で5割。トドメに使おう。 コンボ しゃがみ弱K>しゃがみ弱P>弱激壁or強龍飛翔or激壁龍撃掌 基本コンボ。 各種浮かせ技>しゃがみ中Por立ち弱P>撃墜脚>{立ち弱P>撃墜脚}×n 永久連続技。撃墜脚が闇眼に化ける人は上入力を意識すると◎。 P投げ>微ダッシュハイジャンプ>ジャンプ弱K>ジャンプ中P>ジャンプ強P>立ち弱P>撃墜脚~ なんと投げからもいけてしまうが難易度が高いので要練習。 しゃがみ弱K>立ち中P>強煉獄殺>中激壁>撃墜脚(スカり)>しゃがみ中P>撃墜脚~ 魅せコンボ。かなり難度は高い。 アクセェル
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「……なるほど。事情は分かったわ」 「ごめん」 委員長がクラスの仕事を終えて戻ってきてすぐ。僕と委員長、住倉さんの3人はリビングに集まって報告会を始めた。専ら状況説明は僕がしていたんだけど。住倉さんが混ざると、毎回茶々が入るから一向に進まないから委員長が僕だけが喋るように進めたのもあるんだけど。 「別に謝らなくても。あなたが悪いわけではないんだから」 「そうね」 「ややかは黙って」 「ふふ。相変わらず辛辣で素敵よ、友香」 こんな感じでずっと続けていたのだけど、どうやら委員長も最終手段に入ったらしい。 「分かったわ。じゃああなたの両親に言ってもいいのね」 「……」 なんと、さっきまで茶々を入れては話を止めていて、委員長がどれだけ黙らせようとしても黙らなかった住倉さんが、たったヒトコトで沈黙した。 「男子生徒を騙してその家に押し入り、共同生活を強要した挙句、その男子生徒の秘密を盾に――」 「わ、分かったわ。分かったから、それはやめて」 沈黙の次は顔色を変えて住倉さんが隣に座って、携帯電話を取り出し掛けた委員長の腕を両手で掴んだ。 あの、と称するのは悪いけれど、住倉さんがこんなに慌てているのは初めて見た。 「向井君」 「あ、何?」 「ややかが変なこと言ったら、この電話番号に――」 「だ、駄目」 手をぷるぷると震わせている住倉さんは一回り体の大きい兄弟に餌を取られて、それに追いすがる末っ子動物みたいだった。 「――迷惑掛けないって誓える?」 「誓う」 ありえないくらいに即答だった。 「なら教えたって使わないし、教えておいてもいいわよね」 「駄目。絶対に駄目」 とうとう住倉さんは半泣きになってしまった。委員長、おそるべし。 「向井君、何かあったら私に言って。この子の弱点は両親への報告なんだけど、あなたは面識無いでしょうから」 「あ、うん。でもあの……住倉さんは大丈夫、なの?」 「大丈夫。数時間と経たない内にケロっとしてまた悪さするんだから。……ややか、変なことしなければ私も報告する必要は無いの。いい? 普通に生活しなさい、普通に」 「わ、分かったわ。善処する」 未だ目の端に涙を溜めた住倉さんは歯噛みしながら委員長を見ていた。 「そんなに睨むんじゃないの。私だって好きでこんなことしてるわけじゃないんだから。あなたの両親だって、毎回そんなことで連絡されたら困るでしょう?」 なんだか万引きを見つかった補導員みたいな口調の委員長。 「……ええ」 「ほら。涙拭きなさい」 ポケットから花柄のハンカチを取り出して、住倉さんに渡すと目許を押さえた。 「まだ制服だから、先に着替えてくるわ。そういえばややかの部屋ってどうするつもり?」 「あ、それなんだけど、一応僕の部屋の隣が空いてるから、そこを使ってもらおうかなと思ってる。荷物は2階の物置と外にある倉庫に置けばいいし」 「じゃあ片付けないといけないわね。でも今日中に片付けるのは大変かもしれないし、なんだったら私の部屋と共用でも構わないけど」 「急だから全部の荷物を運び出せないかもしれないし、そうすると最初は住倉さんにちょっと狭い思いさせちゃうかもしれないけど、ちょっとそれで我慢して貰えるかな?」 無言のまま、頭を縦に振って肯定の意を表す住倉さん。やっぱりちょっと言いすぎだったんじゃないかな。 「だったら尚更着替えてこないと。ちょっと待っててもらえるかしら」 「分かったよ」 自分の部屋に戻っていった委員長を見送ってから、押し黙っていた住倉さんは「悔しいわ」と言葉を漏らした。 「何で?」 「せっかくだから、友香の下着をハンカチと入れ替えてあなたの制服のポケットに入れておいて『あ、間違えちゃった』的な展開を期待していたのに。あんな予防線を張られていては無理だわ」 ああ、僕の憐憫の情はどこへやら。この不思議娘さんは全然反省していない。 最近知り合ったばかりとはいえ、この住倉さんなら本気でやりかねないと思う。 「…………」 「更に誠一の体操服と友香のネグリジェを入れ替えて、」 「委員長! 今すぐ住倉さんのご両親に電話してお引取り願って!」 立ち上がってリビングの扉を開けて叫んでみた僕に、休日遊びに行く約束をしていたのに仕事が入ったからと、部屋を出ようとした父親を止めるために抱きつく子供みたいに住倉さんは僕の腰に腕を回して自由を奪おうとする。 「ちょ、ちょっと待って。冗談、冗談よ」 でもそんな焦った顔の住倉さんは思った以上に可愛い、と言ったら本人は怒るだろうか。 ……怒らない気がするなあ。 「それ以前に、そんなことして僕と委員長が一緒に住んでいることがバレたら、連鎖的に住倉さんのこともバレると思うんだけど」 「別にいいけれど? クラスメイトの噂なんて馬耳東風だもの」 「でも学校側からお願いされた委員長は良いとして、住倉さんは完全に個人でうちに来るのを決めたんだから、学校側にバレたら確実に両親に連絡されるよ?」 「…………ま、まずいわね」 そこまで気は回ってなかったんかい! と思わず突っ込みそうになってしまった。 「でもそんなに嫌なの? ご両親に連絡されるの。うちに住み込みを始めたことの報告如何は別として」 「心配させたくないだけだわ」 「でもそもそも1人暮らしだったら心配するんじゃない?」 「いつものこと、だから」 言った住倉さんの表情は、ブランコを漕いでいれば絵になりそうなほど、開け放った窓から吹き込む風に揺らす髪と共に哀愁を棚引かせていた。 でも良く考えれば僕も同じような状態なんだっけ。あまり人のことを言えないんだけど、確かに僕も慣れっこかな。
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「貴方」 「は、はいぃっ!」 いつの間にか立っていた生徒会副会長に、男子生徒は驚いて、三歩分ほど飛びのいた。 副会長さんの手には何か紙の束。それが演劇部に関する資料だと分かったのは、それに目を通しながら副会長さんがつらつらと言葉を並べ始めたから。 「演劇部の部員は女子四名、男子二名の六名。入部人数が去年は無し。他の部と掛け持ちが男女一名ずつ。そのため、実質活動メンバーは四名。学外で の発表は無し。部活の練習時間でさえ、話をしている時間の方が長い。それで足りない? 去年までの部費は破格すぎた。貴方たちの活動に正当な部費を支払っ ているだけ。少ないなんて、ふざけるのもいい加減にして」 「………………」 ぐっと唇を噛んで、男子生徒は言葉を押し殺していた。 「部活の時間は部活の時間。お遊びサークルなら家で出来る。もっと部費を必要としているところはたくさんある」 前提というか、演劇部についてよく知ってるわけではないんだけど、話の内容から多分生徒会副会長さんが言ってることは正論なんだと思う。 でも、ちょっと言いすぎなんじゃ、ないかな。 「失礼、しました」 走り去っていく男子生徒を見送る気も無いようで、再び日当たりの良い自分の席に戻って、読みかけの文庫本を開いた。 「あの」 関わりたくないのに、いつの間にか僕は口を開いていた。 既に今日は何度も読書の時間を邪魔されたからか、副会長さんは整った細い眉をかなり顰めて僕を見た。少しツリ目気味で、綺麗な黒髪を腰元まで伸ばした物凄い美人だからこそ、キツさが多分他の人よりも三割増しくらいになっている。 「何?」 「ちょっと、さっきのは言いすぎだと、思い、ます」 最後の方はちょっとしどろもどろになりながら、何とか言い終えた。 返ってきたのは予想通りの言葉。 「言い過ぎ? 真面目にやっている部活動を差し置いて、彼らに部費を出すことが正しいということ?」 「あ、あのそうじゃな――」 「貴方が出すというのなら構わない。生徒会からは十分に出してる。足りないなら成績を残せばいい。残せないなら生徒会として部費はこれ以上出さない。それだけの、簡単な話よ」 一度目を閉じてから、再び本に視線を落とした。 もうこれ以上は話にならないし、話を聞く気は無い。そんな意思表示が見え隠れしてる。 分かってます。多分、副会長さんの言ってることは正しいんです。 でもそんなにトゲトゲしく言わなくてもいいじゃないですか。そんなこと言ったら喧嘩になるだけだし、互いの印象を悪くするだけ。別に嫌われたくてこんなこと言ってるんじゃないですよね? そう言いたかったけど、今度話し掛けたら物理的に叩き出されそうだったから、じっと堪えた。 そんな僕の様子に気づいてか気づかずかは知らないけど、桜瀬さんはじっと佇んでいた僕の隣、生徒会室の入り口から一つ離れた席に座って、カップを傾けながら、耳元で頭を撫でるような声で言う。 「子音ちゃんはね、ちょっと言い方が怖いけど、嘘言ってないからね?」 「分かってます」間借りしていた席に僕はようやく座って、カップの中の茶色の液体を見つめたまま、小声で漏らす。「でも――」 「うん。多分、向井さんが言いたいんだろうってこと、分かるなあ。でもね? 予算があまり無いのも本当。あまり実質的な活動が無い部活に部費を渡して、 もっと必要な部活動にお金が回らないのは、ちょっと良くないかなって思うの」 副会長さんにも、多分桜瀬さんの声は届いていると思う。そんな中で何も反応していないのだから、僕達の話なんて興味無いのか、聞いてて「当たり前だ」と思っているのか。 でも僕は、いつもニコニコしている桜瀬さんが、かなりキツイことを言った副会長さんの言葉を訂正しなかったのはちょっと意外だった。目の前に居るし、副会長さんのことが怖い、ということも……桜瀬さんのことだから、あまり無いのかな。 とにかくいたたまれなくなって、大分冷えてきたフレーバーティーを飲み干そうと思った矢先。 「やあやあ! 生徒会の仕事はどうかな? 進んでるかな?」 とても緊張感のない、ゆるい声と共に生徒会室の扉が開かれた。入ってきたスーツ姿の男性を見て、 「校長先生、こんにちは」 桜の芽吹きみたいな笑顔の桜瀬さんが言った。 「お、桜瀬さん。元気そうですね。何よりです。一さんは?」 「……」 足を組んだままの一さん(そういえば副会長さんの苗字は、漢数字の一と書いて「にのまえ」と読むみたい)はちらりと入り口の人物に目をやって、すぐに何事もなかったかのように活字の世界へ戻った。 「あらら。一さんもいつも通りですね。それで……おや? 向井君じゃないですか」 「お久しぶりです、叔父さん」 ギスギスしていたところへ、少し天然が入ってる(こんなこと言ったら怒られるかな)叔父さんが来てくれたのは、ある意味渡りに船だったと―― 「あああああっ!」 お、思い出した! 僕はこの人に、山ほど言いたいことがあったんだった! ここのところいろいろありすぎて、忘れてた! 「ん?」 「はえ?」 「……?」 僕以外の全員、あの一さんすらが僕を、鳩が豆鉄砲を食ったように目をぱちくりさせていたらしい(いち早く復活したらしい桜瀬さん談)んだけど、僕には至急、可及的速やかに、片付けなければいけない問題が一つあったから、全く気づいてなかった。
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一旦家に戻った住倉さんは制服のまま旅行カバンを肩に提げて戻ってきた。その間に黒のキュロットスカートと白地のTシャツに着替えてきた委員長と僕は2 人で、僕の隣の部屋を片付けた。正確には荷物を僕の部屋か外にある倉庫に運んだだけ。でも結構大物も多くて、終わったら委員長は「ちょっと疲れたから」と 部屋に戻っていった。 後は戻ってきた住倉さんを部屋に案内するだけなんだけど。 「じゃあ住倉さんはここ……あれ?」 2階まではついてきたのを確認していたのに振り返ると住倉さんは居らず、更に首を巡らせるとトイレの隣の物置を開けていた。 「住倉さん、そこはただの物置だよ」 「……ここがいいわ」 「え?」 「ここ」 「……あの、住倉さん。そこって窓も小さくて、換気もほとんどできないよ?」 「この暗さと狭さが丁度いいの」 頬に手を当てて感嘆の溜息を吐く住倉さん。徐々に住倉さんの行動とか思考が読めるようになってきたかなと思いきや、そんなことは無かった的な展開。うん、でもまあ、そんな予感はしてた。委員長とのやり取りを見ているだけでも、しばらくは無理だよね。 「何も置けないよ?」 「必要無いもの」 「ほら、授業の課題とか」 「スタンドライトを持ってくるから」 「壁が薄いから寒さと暑さにも弱いよ?」 「問題ない」 「……」 「くすくす」 ここまで”物置使いたいオーラ”を出されていては、こっちも拒否する理由が無くなってしまう。物置に人が住んではいけないという法律も無いし。 もちろん嫌がっている人を押し込めるのは虐待とかで問題になると思うけど、むしろ好んで入っているんだから僕が拒絶する理由は無い。 でもここってせいぜい2畳しか無いはず。こんな狭苦しいところに入りたがるんだろう。実は前世がネコだったとか? とにもかくにも、こちらから拒絶する理由は特に無いし、物置中の荷物を住倉さんに使ってもらう予定だった部屋へ移動させる。布団はお客さん用の ものを使ってもらうことにした。いちいち家から持ってきてもらうのも大変だろうし。というか僕に持って来いと言い出しかねないから、っていうのもあるんだ けど。 「この狭さ。良いわ」 いそいそと僕が持ってきた水色のシーツを掛けた布団を敷く住倉さん。 「あ、寝るときには扉を開けておいてね」 「夜這いの為ね? 分かったわ。着ておく服装に希望はある?」 「違う違う」 「窒息するからよ」 呆れ顔と溜め息を引きつれ、部屋に戻ってた委員長が戻ってきていた。 「あなたもあなた。毎回毎回ややかの変則球に対応してたら、これからやっていけないわよ」 「う、うん。分かってはいるんだけどね……」 委員長ほどまだ割り切れるというか、扱いに手馴れるというか、そこまで達してないわけで。 相変わらず眠そうに見えるような細目の住倉さんは更に目を細める。 「ふふ。まだ修行が足りないわね。末永いお付き合いになりそうだわ」 「それは勘弁してください」 「だからそうやっていちいち反応しないの」 ああ、神様。居るなら居るで返事してください。何でこんなことしたんですか。僕はこんな試練を乗り越えさせなきゃいけないくらいに悪い子だったんですか。 確かに容姿だけなら、っていうのも悪いけど、結構美人な2人に囲まれているというのは言うまでも無く幸せな部類だと思う。でもその中身がその、非常に言いづらいけど、扱いがたいというか理解しがたい人だからアウトです。乱闘沙汰になってもおかしくないレベルの。 まあ委員長も初っ端のアレが衝撃的だっただけで、それ以外は割とまともだから住倉さんとくくられると嫌がるかも。 「どうしたの?」 「う、ううん。何でもないよ、ははは」 恨み節とかはひとまず置いといて、住倉さんと委員長の生活拠点はなんとかなったから、後は家の中での決まりを決めなきゃいけないな。
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勘というものは、全面的でなくても一応は信じておくべきだと、後付ながら僕は思った。まあ、信じたらどうにかなった訳でもないと思うんだけど、ね。 リビングの扉を開けてすぐ。既に見慣れてしまった眼鏡姿の女子生徒と共にもう1人、学校では見慣れているけれど、僕の家の中では全く見たことない姿が見えた。 目の前の短めの二つ結びにあれ? と思う前に。 「ちょっと来て」 入ってきた僕の姿を見つけて、ソファーで居心地悪そうにテレビを見ていた委員長が、いかにも怒ってます風の体で僕に近づき、すぐに手を引き、廊下へ競りの前のマグロみたいに引きずるようにして連れだした。 「御免なさい」 「……まだ、何も言ってないのだけど。っていうか自覚あったのね」 溜息と共に、僕の顔にいたずらをやらかした子供を見る目をする。 「そうじゃないんだけど……」 「そうじゃないって、じゃあどういうこと?」 腕組みしながら、眼鏡の奥を釣り上げる委員長はちょっとばかし、恐怖を覚える姿だった。 「聞かれてた、みたい」 みたい、というのは本当にそうだったのか分からないから。でも結果論からして、ほぼ確実にそれが原因だと思う。 細かい説明を省いたせいで、一瞬言葉の意味を取りきれなかったのか、はたまた理解したくなかったのかは分からないけど、数拍の間を置いてから、両手で自分の口を押さえた。 「聞かれてたって……ま、まさか、人の往来があるような場所で私たちの話を……!」 「ち、違うよ! あの……話せば長くなるんだけど……」 今日、帰り際にあったいろいろを掻い摘んで話してみると、なるほど、あの人にはいろんな意味で気を付けるべきだったんだと、後から気づいた。終わったことだから、今更もうどうしようもないんだけど。 黙って聴き終えた後、ショートカットで眼鏡っ娘のクラスメイトかつ同居人の、再三の溜息と共に漏らされた「まあいいわ」は何だかリストラされた サラリーマンじみた諦観に近いものがある気がした、って言ったら多分怒られるから言わないけど、とにかく僕と委員長はもう1人が待つリビングに戻った。 「どうしたの? 秘密のお話?」 「そんなところです」 突慳貪に答えた委員長に苦笑しながら単刀直入、僕は椅子に座っているその人に尋ねた。 「あの、もしかして……あのときの話、やっぱり聞いてました?」 「……はい?」 「あれ? えーっと……?」 「どうしました?」 あれ、まさか気づいてない? ジト目が僕を射ぬく。委員長、でもうちに来る理由なんて、他に無いと思ったんだよ。 いやいや、でも実はそう言いつつ、知らないふりをしているだけ、とか? じっとハテナ顔の目の前の女子生徒を見ても、答えは出てきそうになかったから、とりあえず話を進める。 「で、でも……何故うちに?」 ようやくその話になりましたかあ、と言いたげな破顔で身を乗り出してきた、ミニツインテールの人は堰を切ったように喋る。 「私が来たのは校長先生に会った向井くんが物凄い勢いで話し掛けてたから、きっとみんなにはなかなか言えない秘密があったんだろう、って思ったん ですよ。そしたら、向井くんのお家から見たことがない女の子が出てきてさあ大変。もしかして、もしかすると、もしかしたのかも! と思ってしまって、そこ の彼女……お名前は知らないですけれど、帰ってきたのを見計らって思わずピンポンを押してしまったんですよ」 ……委員長……? ちらりと委員長の方を向いたら、慌ててそっぽを向いた。バレたの、僕のせいじゃなかったんじゃない。 こほん、とその人物は咳払いをしてから答える。 「どういう理由なのかを説明してもらおうと思ったんですが、なかなか教えてくれなくて……困ってました。でも、何となく分かりました」 今までの話の中から、どういう事情が分かるんだろう。曲解してないかな。 えへん、と……こういうのも悪いけど、委員長とか住倉さんと比べてやや控えめな胸を張って。 「でも、年頃の男の子が女の子2人と同居しているというのは、生徒会としても見過ごしておけません。というわけで生徒会長たる、この桜瀬明菜も監視役として、共同生活をさせて頂きます」 条桜院高校、生徒会長桜瀬明菜さんはそう、言い切っちゃった。 「「え、ええー!?」」 当然、僕と委員長は、見事にハモって声を挙げた。 ただでさえ、3人での共同生活に不安を抱かずに居られなかったのに、更に同居人が増えるなんて。 もう今更1人増えても、2人増えても一緒でしょうと思うなかれ。 何と言ってもあの全校生徒の投票率8割オーバーの”あの”生徒会長様。委員長や住倉さんの印象は、ぶっちゃけてしまうと、僕の中では桜瀬さんよ りもよっぽど強いんだけど、周囲の目はそうでもない。そんな桜瀬さんと同居だなんて……もしバレたりしたら、命がいくらあっても足りない。 「大丈夫です。心配はいりません。食事や洗濯、何でも出来ますから、お手間は掛けさせませんよ」 「や、そういう問題じゃなくてですね……」 もうここまで来たら、多分追い返すことなんて出来るわけないと分かっていても、足掻いてみたくなるのが人間というもので。 「ほ、ほら。ご両親とか……心配するでしょう? 委員長の家とか、住倉さんの家はちゃんとご両親の了解を得てるのでいいですが……」 ちょっと嘘吐いた。委員長の家は多分事情を知ってるけど、住倉さんのご両親は海外生活中だから、まだ了解を取ってない。そもそも会ったことがな いから、突然「娘さんと同居させて貰っていますが、いいですよね?」みたいなこと言ったら、海外からジェット機で戻ってくるそのままで家に突っ込まれそ う。 でも、突然娘が家出したらきっと困る。そう、困ってくれないと僕が困る。 だからこそ、そんな話題を出したんだけど。 「ちょっと待ってくださいね」 突然携帯を取り出した生徒会長、桜瀬明菜さんはぴぽぴぽっとキーを押して何処へやらに電話をその場で掛け始めた。 「あ、お母さん?」 どうやら掛けた先は自宅みたいだった。 「お友達に、一人暮らしで凄く困っている子が居てね? 心配だから、しばらくその子のお家に泊まってお世話してあげようと思うんだけど、いいよね?」 巧みにその相手が男であることを隠して喋ってる様子とか、疑問形が「いいかな?」ではなく「いいよね?」という既に同意だけを得るつもり満々な ところとか、やっぱり見た目以上、思っている以上にこの人はやり手なんだと思った。そしてその人に睨まれたカエルである僕は、ヘビ相手なんかとは違った方 向でもう手も足も出ないのだった。 「うん、うんうん。それじゃあ」 ぴっと電話を切って早々「大丈夫でした」と目を><(こんな風に)しながら、親指を立てた。 「あ、うん……はい。分かりました」 同居人、3人目が追加されました。僕、どうなっちゃうんだろう。
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「んあっ」 びくっとして、目を擦りながら上半身を起こす。何か嫌な夢を見ていた気がする。でも何を見ていたのか、細かくは思い出せない。 どうやら問題を解いてる途中で寝ちゃった様子で、記憶がおぼろげになっていた通り、大問3に入るよりも前で力尽きている。明日提出じゃないだけ良かったと思おう。 「あれ? 電気……」 僕の部屋の蛍光灯はよくある上から垂れてる紐を引かなきゃいけないタイプで、その紐は延長して無いからせいぜい15センチくらい。元のスイッチ はスイッチで入り口のすぐ脇。長い間放置していると勝手に消えるようなシステムは無い。少なくとも自分で消そうとしなければ消えないはずなんだけど……眠 る前に半分寝ながらも電気だけは消したのかな。 立ち上がろうとして肩から半纏がずり落ちた。 あれ、この半纏って確かまだ隣の部屋のカーテンレールに掛けておいたままになってた気がする。そろそろ寒くなってきたから出そうかなと悩んでて、結局出さなかったような。これも寝ている間に寒いからって取りに行ったのかな? 事実だとしたらもう夢遊病の域だなあ。 とにかく続きを解かなきゃと立ち上がりかけて、背中から入る電灯か月明かりか分からない光の影の中に僕以外の誰かが居るのに気づいた。 「わっ」 「きゃあっ」 僕は思わず大声を上げ、慌ててそこを離れる。同時に向こうも大声を出してひっくり返ったらしく、盛大に尻餅をつく音が聞こえた。僕は扉の方まで逃げて、蛍光灯のボタンを押した。 点かない。ってことはここで消したんじゃなくて蛍光灯の紐を引いたってこと? とりあえず泥棒かもしれないからここは一旦逃げ出して―― 「脅かさないでよね、もう」 「……へ?」 「そっちの電気点けて。こっちを点けてもそっちが消えてたら意味が無いわ」 聞き覚えがある声がそう告げた後、カチカチと音がした。 「蛍光灯、こっちは電源入れたからそっちもお願い」 「あ、うん」 言われるがままにスイッチを入れると蛍光灯が点灯し、その明かりのまぶしさに思わず目を瞑った。 ようやく慣れてきたところで目を瞬かせながらさっきの声の主の方を向くと、呆れ顔の委員長が立っていた。 「あれ、委員長。何してるの?」 「何、って……はあ。確かに私は何でこんなことしてるのかしらね」 僕の腰の抜けた姿を見て、委員長は溜め息を吐いた。 「……うわ」 「今度は何?」 「あ、あの……委員長」 「何?」 「その……服装が……」 「ん?」 自分の服装を見て委員長は、また溜め息を吐いた。今日だけでも吐いた溜め息は多分両手で数え切れないんじゃないかな。 「別に珍しいものでもないでしょう、ネグリジェなんて」 腰に手を当てて「また変なこと言って」とでも言いたげだけど素直に言わせて欲しい。論点が全然違う。 「一般的かどうかということよりもそのネグリジェ、透けてるよ……」 「……うっ」 ある意味絶妙な透け具合で、桃色のネグリジェは下着を着けているのは良く分かるけれど、その色や柄までは分からないという、人によっては1番危ない状況だったりする。さすがにこの格好はまずいと思うな、うん。 それに今まで意識したことは無かったけど、委員長って一般的な女子よりもスタイルがいいんじゃないかなと思う。だからこそこの状況は嬉しいような、困るような。 本気でそこに思い至っていなかったのか、それとも今まで僕が男であるという認識が無かったのか。後者ならば僕は悲しむべきなのかもしれないけ ど、とにもかくにも委員長は慌てて部屋の外へパタパタと走っていく。良く見ると足元にはウサギの人形みたいなものが付いたスリッパを履いていて、委員長が 走っていくのに合わせてそのウサギがヘッドバンギングでもしているかのようで、ちょっと笑えたのは眠たい頭を無理やり起こしているからかもしれない。 結局なんであんな暗がりで黙ってじっと立っていたのか良く分からなかったなあ。とにかく委員長が出て行ってからあまり進んでないし、さすがにもうちょっと頑張って続きを解かないと。 大きく伸びをして半纏を着てから机に向かうと、さっき部屋を出ていった委員長が同じ色のカーディガンを上に着て、今度はしっかり前を止めて戻ってきた。 「どうしたの? 忘れ物?」 「違うわ。……あなた、今日はもう寝るつもり?」 「全然進んで無いからもうちょっとやってから寝ようかなって思ってるよ」 また全然進まなければ、今度は学校でも委員長に怒られそうだから。学校でも家でもっていうのはちょっぴり勘弁してほしいかな。 「でしょうね。だからよ」 「……?」 僕は首を傾げる。その姿に一瞬眉を顰めた委員長だったけれど、すぐにその表情を溜め息に変えてから僕の右斜め前に座った。 「見てあげるわ、勉強」 「あ、でも……」 「さっきは悪かったわ。同じクラスの同じ年だからこれくらいは出来て当然、なんて思ってたけどそうとは限らないのよね。私が浅はかだったわ」 「ううん、そんなこと無いよ」 ちらりと僕を一瞥してから委員長はすまし顔で言う。 「ま、出来が悪いのには変わりないものね」 「うん」 「……ちょっとは否定しなさい」 僕の即答にまた溜め息が出る委員長。 「でも本当のことだから」 「本当でも、少しくらいは言い方に気をつけてくれとか、言うことはあるでしょう」 「言って欲しかったの?」 「別にそういうわけじゃないわ。……でも、プライドは無いの?」 あはは、と僕は笑って首を振る。 「プライドを持っていいのは努力した人間だけだってお父さんが言ってた。確かに僕もそうだと思うよ。努力もしないで言われることを否定するだけの人間はろくな人間にならないから、ちゃんと努力して結果を出してから十分に言い返すことにするよ」 「……そ。それでいいならそうすればいいんじゃないかしら」 「うん。だからもうちょっと頑張るよ」 それから勉強会は、委員長にまた何度も溜め息は吐かれたけど怒られたり、部屋を出て行ったりはされずに夜更けまで続いた。