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抵当権に関する書式 【編集】 自分の学習用に作成、変更しております。 誤りがあるかもしれませんので、予めご了承下さい。 →誠に勝手ながら、諸事情により、管理者のみ閲覧可能とさせて頂くことにしました。 抵当権設定(基本) 【編集】 抵当権設定(契約複数回、設定1回) 【編集】 共同抵当権設定(基本) 【編集】 共同抵当権設定(追加設定) 【編集】 抵当権移転(合併) 【編集】 抵当権移転(相続) 【編集】 抵当権移転(代位弁済) 【編集】 抵当権一部移転(債権譲渡) 【編集】 共同抵当の次順位者の代位 【編集】 抵当権変更(増額) 【編集】 抵当権変更(一部弁済) 【編集】 抵当権変更(元本弁済利息残る) 【編集】 抵当権変更(利息の特別登記) 【編集】 抵当権変更(債務者変更) 【編集】 抵当権変更(債務者変更_相続) 【編集】 抵当権変更(債務者更改) 【編集】 抵当権変更(所有権全部に及ぼす) 【編集】 抵当権変更(共有者の持分のみの抵当権とする) 【編集】 抵当権処分(順位の譲渡) 【編集】 抵当権処分(順位の放棄) 【編集】 抵当権処分(転抵当) 【編集】 抵当権処分(順位変更) 【編集】 抵当権抹消(休眠担保権) 【編集】 以上 このページのタグ 共同 処分 抵当権 移転 設定 更新日時:2008年05月15日 (木) 17時09分32秒
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総則 1 一般社団法人の設立に関しては、平成18年の改正前の民法における公益法人と同様に、主務官庁の許可を条件とする許可主義が採用されている。 × 平成18年の改正前の民法では、公益法人の設立には許可主義が採用されていたが(旧34条)、一般社団法人および一般財団法人に関する法律では、法定の条件を備えれば法人となれる準則主義が採用され、一般社団法人は、主たる事務所の所在地において登記をすることによって成立することになった(22条)。 2 本人が無権代理人の行った無権代理行為の追認を拒絶した後で死亡し、無権代理人が本人を単独相続した場合には、当該無権代理行為は有効となる。 × 判例は、本人の追認拒絶後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効にはならないとする(最判平10・7・17)。 3 後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することが出来る。 × 判例は、後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することが出来ないとする(最判平11・10・21)。 4 契約上の債務の履行不能に基づく損害賠償請求権の消滅時効については、当該債務の履行を請求しうるときから起算される。 ○ (最判平10・4・24)。履行不能による損害賠償請求権が発生したときから起算されるのではない。 物権・担保物件 5 甲土地がBからCへ譲渡され、その譲渡時に甲土地がAによって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、Cはそのことを認識していた場合でも、AはCに対して登記なくして地役権を対抗することが出来ない。 × 判例は、通行地役権の存在が客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識することが可能であれば、譲受人は、特段の事情がない限り、地役権設定登記の不存在を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないとするから(最判平10・2・13)、Aは登記なくして譲受人Cに地役権を対抗できる。 6 被相続人による「相続させる」趣旨の遺言によって不動産の権利を取得した相続人は、その権利を登記なくしてその不動産を差し押さえた第三者に対抗することが出来ない。 × 判例は、「相続させる」趣旨の遺言によって不動産の権利を取得したものは、その権利を登記なくして第三者に対抗できるとする(最判平14・6・10)。 7 Aの所有する甲土地を占有するBが時効取得した後で、背信的悪意者であるCがAとの売買契約によって甲土地を譲り受けた場合、BはCに対して登記がなければ甲土地の所有権を対抗することが出来ない。 × 判例は、時効完成後に登記を経由した第三者が背信的悪意者である場合には、登記がなくても対抗できるとする(最判平18・1・17)。 8 盗品の被害者が盗品の占有者に対してそのものの回復を求めたのに対し、善意の占有者が民法194条に基づき、支払った代価の弁償があるまで盗品等の引き渡しを拒むことが出来る場合には、占有者は、その弁償の提供があるまで当該当品の使用収益を行う権限を行う権限を有する。 ○ (最判平12・6・27) 9 不動産の共有者の1人は、その持分権に基づいて、全く実体上の権利を有しないのに共有不動産の登記簿上の所有名義者となっているものに対して、単独で、その持分移転登記の抹消登記手続きを請求することが出来ない。 × 判例は、不動産の共有者の1人は、その持分権に基づいて、全く実体上の権利有しないのに共有不動産の登記簿上の所有名義者となっているものに対して、単独で、その持分移転登記の抹消登記手続きを請求できるとする(最判平15・7・11)。 10 動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においては目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することは出来ない。 ○ (最判平17・2・22)。なお判例は、登記によって公示されている抵当権については、目的債権が譲渡された後でも物上代位権の行使が可能であるとする(最判平10・1・30)。 11 債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、質権設定者が、当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない。 ○ (最判平18・12・21)。 12 抵当権設定後に抵当不動産の所有者から占有権限の設定を受けてこれを占有するものについて、その占有権限の設定に抵当権の実行としての競売手続きを妨害する目的が認められ、その占有によって抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態がある場合であっても、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、その状態の排除を求めることは出来ない。 × 判例は、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、その状態の排除を求めることが出来るとする(最判平17・3・10) 13 抵当権が設定された不動産が賃貸され、さらに転貸された場合には、抵当権者は、賃借人(転貸人)が転借人に対して有する転貸賃料債権に対して、原則として物上代位権を行使することが出来る。 × 判例は、抵当権者は、転貸賃料債権に対しては、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除いて、原則として物上代位権を行使できないとする(裁決平12・4・14)。 14 土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後、甲抵当権が設定契約の解除により消滅し、その後、乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合において、当該土地と建物が、甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても、乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは、法定地上権が成立する。 ○ (最判平19・7・6)。 15 不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときでも、設定者は、差押え登記後に債務全額を弁済すれば、第三者意義の訴えにより強制執行の不許を求めることが出来る。 × 判例は、被担保債権の弁済期後に譲渡担保保険者の債権者が目的不動産を差押え、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押え登記後に債務の全額を弁済しても、第三者意義の訴えにより強制執行の不許を求めることは出来ないとする(最判平18・10・20)。 債権総論 16 遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が権利放棄の確定意志を外部に表明するなどの特段の事情がある場合を除いて、債権者代位権の目的とすることが出来る。 × 判例は、遺留分減殺請求は、遺留分権利者が権利行使の確定的意志を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除いて、債権者代位権の目的とすることは出来ないとする(最判平13・11・22)。 17 建物賃貸借における賃料債権について、当該建物の抵当権者が物上代位権を行使して差し押さえた後でも、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権と賃料債権との相殺を抵当権者に対抗することが出来る。 × 判例は、差押え後は、抵当権の効力が物上代位によりその目的となった賃料債権に及ぶことは抵当権設定登記により公示されていると見ることが出来るから、抵当権設定登記の後に生じた賃借人の相殺への期待を抵当権の効力に優先させる理由はないとして、賃借人は賃料債権との相殺を抵当権者に対抗できない。 18 不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し、そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権にかかる残債務全額につき代位弁済した場合は、当該抵当権は債権者と保証人の準共有となり、当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには、債権者と保証人は特段の合意がない限り、上記売却代金につき、債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける。 ○ (最判平13・3・13)。 債権各論 19 敷金が授受された建物賃貸借における賃料債権を当該建物についての登記を有する抵当権者が物上代位権を行使して差し押さえた場合、賃貸借契約が終了して当該建物が明け渡されたときでも、賃借人による未払いの賃料債務と敷金返還請求権との相殺は民法511条によって妨げられるため、賃借人は未払いの賃料全額の支払いを免れることは出来ない。 × 判例は、敷金が授受された建物賃貸借における賃料債権について、当該建物の抵当権者が物上代位権を行使して差し押さえた後でも、賃貸借契約が終了して建物が明け渡された場合には、目的物の返還時に残存する賃料債権はその限度で敷金の充当により当然に消滅するとする(最判平14・3・28)。 20 賃貸借契約が終了した場合、賃借人に本件賃貸借から生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるためには、賃借人が補修費用を負担することになる通常尊皇の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されている場合か、賃貸人による口頭の説明に賃借人その旨を明確に認識した上で合意の内容としたことが必要である。 ○ (最判平17・12・16)。 21 消費貸借契約の借主Aが貸主Bに対して貸付金を第三者Cに給付するよう求め、Bがこれに従ってCに対して給付を行った後Aがこの契約を取り消した場合、Bからの不当利得返還請求に関しては、Aは、特段の事情のない限り、BのCに対する給付により、その価値に相当する利益を受けたものと見るのが相当である。 ○ 22 良好な景観は適切な行政政策によって保護されるべきであるから、良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に教授しているものが有する良好な景観の恵沢を教授する利益(景観利益)は、法律上保護に値する利益とはいえないため、景観利益が侵害されたとしても不法行為を構成し得ない。 ○ (最判平10・5・26)。 × 判例は、良好な景観に近接する地域内に居住しその恵沢を日常的に教授しているものは、良好な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、これらのものが有する良好な景観の恵沢を教授する利益(景観利益)は、法律上保護に値するものと解するのが相当であるとするから(最判平18・3・30)、景観利益の侵害は不法行為(709条)を構成しうる。 23 建物の建築に携わる設計・施工者等は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体または財産が侵害された場合には、特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う。 ○ (最判平19・7・6)。 24 一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる性質の損害のように加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合でも、不法行為の時が発生したときが除斥期間の起算点となる。 × 判例は、724条後段所定の除斥期間の起算点は「不法行為の時」と規定されているが、一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる性質の損害のように加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には、当該損害の全部または一部が発生したときが除斥期間の起算点となるとする(最判平18・6・16)。 家族法 25 AB間の内縁関係がAの死亡により解消した場合、BはAの遺族に対して離婚に伴う財産分与の規定を類推適用して、財産の分与を請求することが出来る。 × 判例は、離別による内縁関係の解消の場合とは異なり、死別による内縁関係の解消の場合には、768条の財産分与の規定を類推適用することは出来ないとする(裁決平12・3・10)。 26 民法772条2項所定の期間内に妻が出産した子について、妻がこの子を懐胎すべき時期に既に夫婦の実態が失われ、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存する場合には、嫡出否認の訴えを提起できる期間が経過した後であっても、夫は、この子との間の父子関係の存否を争うことが出来る。 ○ 判例は、本文のような事情が存在する場合には、この子は実質的に772条の推定を受けない嫡出子(推定の及ばない子)に当たるということが出来る(最判平12・3・14)事を理由とする。 27 男性Aが死亡した後で、凍結保存していたAの精子を用いて人工生殖によって懐胎・出生した子(死後懐胎子)とAとの間には、法律上の親子関係の形成を認めることが出来る。 × 判例は、本文の両者の間には、法律上の親子関係の形成は認められないとする(最判平18・9・4)。 28 現行民法の解釈として、母とは、出生した子を懐胎・出産した女性だけでなく、懐胎・出産していなくても卵子を提供した女性も含まれるから、出生したこと懐胎・出産せずに卵子を提供したのみの女性との間にも、母子関係の成立を認めることが出来る。 × 判例は、現行民法の解釈としては、出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるをえず、その子を懐胎、出産していない女性との間には、その女性が卵子を提供した場合であっても、母子関係の成立を認めることが出来ないとする(最判平19・3・23)。 29 遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権である賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得され、この賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。 ○ (最判平17・9・8)。 30 遺言(原遺言)を遺言の方式に従って撤回した遺言者が、その撤回遺言を遺言の方式に従ってさらに撤回した場合は、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望しないものであることが明らかな時を除き、遺言者の意思を尊重して原遺言の復活が認められる。 × 判例は、撤回遺言をさらに撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、1025条ただし書きの法意にかんがみ、遺言者の真意を尊重して原遺言の効力の復活を認めるのが相当であるとする(最判平9・11・13)。すなわち、判例は原則として原遺言の復活を認めているわけではない。
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債権額の変更 抵当権者のAと抵当権設定者の甲が3,000万円の貸付金のうち2,000万円を担保する抵当権を設定した後、Aと甲との間で抵当権の被担保債権を3,000万円に増額することを合意した。なお、Aより後順位に抵当権者Bがいる。
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抵当権設定登記の基本型 甲がAから金銭を借り入れ、その債務を担保するために株式会社甲所有の不動産に抵当権を設定する。甲は株式会社甲の監査人。 金銭消費貸借の一部への抵当権設定登記 甲がAから金3,000万円を借りたが、Aと甲はその債権のうち金2,000万円を担保するため甲所有の不動産に抵当権を設定する。 複数の債権を1個の抵当権で担保する場合 Aの甲に対する貸金債権(債権額は金2,000万円)と、Aの乙に対する損害賠償請求権(債権額は金1,000万円)をあわせて担保するために、丙所有の不動産に抵当権を設定する。
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申請例 抵当権設定 抵当権変更 抵当権移転? 抵当権の処分・順位変更? 抵当権抹消?
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369条(抵当権)
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記述論点 ―財産法総則― 担保物権の成立 留置権・先取特権 質権 抵当権 物上代位 法定地上権
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基本的な抵当権設定登記 登記の目的 抵当権設定 原 因 年月日金銭消費貸借年月日設定 債 権 額 金何万円 利 息 年何% 損 害 金 年何% 債 務 者 甲 抵当権者 A 設 定 者 株式会社甲 代表取締役 何某 添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報 資格証明情報 代理権限情報 (印鑑証明書) 登録免許税 債権額の1000分の4 絶対的登記事項は、債権額、債務者。 任意的登記事項は、利息、損害金、債権に付した条件、民法370条ただし書の定め、抵当証券発行の定め、抵当証券発行の定めがあるときは元本又は利息の弁済期又は支払場所。 株式会社と取締役との取引は利益相反取引であるため取締役会議事録の提出が必要だが、この例は株式会社と監査役の取引なので不要。 登記義務者である株式会社甲が所有権取得した際の登記識別情報を提供する。その際にオンライン指定庁でなければ登記済証を提出することになる。 申請人が法人であれば代表者の資格証明情報が必要。 代理人によって申請するときは当該代理人の代理権限情報が必要。 磁気ディスクではない書面申請によるときは、登記義務者となる株式会社甲の代表者が申請書または委任状に押印した印鑑につき作成後3カ月以内の印鑑証明書の添付が必要となる。 コメント 名前 コメント
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民法1 制限能力者 失踪宣告 法人権利能力無き社団 物 意思表示心裡留保 通謀虚偽表示 錯誤 詐欺・強迫 意思表示の到達 代理復代理 無権代理 表見代理 無効・取消し 条件・期限 法律行為総合 時効取得時効 消滅時効 不動産物権変動不動産物権変動と登記 即時取得 占有 所有権添付 相隣関係 共有 用益物権地上権 地役権 法定担保物権留置権 質権動産質 不動産質・権利質 抵当権性質 設定 効力 物上代位 根抵当権 譲渡担保 物権・担保物権総合 制限能力者 判断能力が無いものでも、家庭裁判所の審判がなければ完全な行為能力者として扱われる。 第三者の詐欺は、相手方が悪意でなければ取り消せない。 動機の錯誤:法律行為をしようと思い立った動機に判断ミスがある場合。動機の錯誤は要素の錯誤にはあたらない。 判断能力がまったく欠如している状態にあれば、法律行為は無効。 制限能力者の行為は無効ではなく、取り消すことのできる法律行為。 制限能力者に対する催告→確答なし:取消し 制限能力を理由とする取消し→現存利益の返還義務浪費:返還義務なし 取消前の第三者には原則として登記がなくても対抗できる。(第三者保護規定がある場合、登記があっても対抗できない) 取消後の第三者には登記があっても対抗できない(先に登記を備えたほうが優先) 成年被後見人も、日用品その他日常生活に関する行為については行為能力が認められている。 制限能力者でも代理人となることができる。 未成年者の法律行為に対する同意は、父母が共同して行う。一方が他方に無断で共同名義で同意を与えた旨を表示した場合、相手方が善意であれば有効な同意がなされたものとして扱われる。 制限能力者でも単独で有効に取消が可能。 成年後見人と異なり、保佐人と補助人には当然には代理権はない。 法定代理人が代金を受領→追認が擬制される(法廷追認) 失踪宣告 失踪宣告の請求ができるのは利害関係人のみ。 特別失踪は危難が去った時点での死亡が擬制される。 失踪→配偶者は再婚可能。 失踪宣告が取り消された場合善意の相続人は現存利益の範囲で返還義務。 悪意の相続人は得た利益の全てに利息を付して返還義務。 失踪宣告の取消しの効果は遡及する。 カニさん! 法人 法人は主務官庁の許可を得た時点で成立する。登記は単なる対抗要件にすぎない。 理事の代表権の濫用 (93条類推適用)原則=有効 相手方が悪意・有過失=無効 法人の不法行為理事の不法行為=44条1項適用 被用者の不法行為=715条(使用者責任)適用 定款に、理事会の決議で解散しうると定めても無効 法令による制限に対して外形理論は適用されない。 外形理論:外部からは知ることが容易でない内部的な制限規定に関する事項に、相手方が善意であれば行為は有効となる。 法人の目的の範囲外の行為で相手に損害を与えた場合、法人は不法行為責任を負わない。この場合は、行為を行った理事と決議に賛成した理事が連帯して賠償責任を負う。 定款の変更には主務官庁の許可が必要。 定款または寄付行為による代表権の制限は知っていても、理事の行為がその制限規定に従って行われていると信頼する事情がある場合には、54条では保護されないが、110条の表見代理規定によって保護される余地がある。 代表権限を与えられていない者が、無断で法人の目的の範囲内の行為を行っても、その行為は法人の行為としては扱われない。 権利能力無き社団 社団の財産は構成員の総有に属する。特別の定めがない場合には、構成員は当然には共有持分権や脱退に際しての財産分割請求権を有しない。 構成員が社団に変わって弁済の責任を負うことはない。 権利能力無き社団にも、民事訴訟の当事者能力は認められている。 社団の不動産について社団を権利者とする登記はできない。また、当該代表者の肩書きを付した個人名義での登記も認められていない。 権利能力なき社団の不動産は、構成員の信託を受けて代表者の個人名義で登録されている。そのため代表者が交代した場合には、新代表者は旧代表者に対して自己への登記移転を請求できる。 権利能力なき社団として認められない団体は、民法上の組合となる。その不動産は、組合員全員の共有登記によるべきことになる。 物 建物が土地と別個の不動産と認められるためには、少なくとも屋根と壁を揃える必要がある。屋根と壁さえあれば工事途中でも不動産と認められる。 一筆の土地の一部を分筆しないまま譲渡することができる。その部分の所有権取得を第三者に対抗するには、分筆登記をしたうえで移転登記を行うことが必要である。 一筆の土地の一部にも時効取得は成立する。 立木:立木登記をすれば独立の不動産とみなされる。(もしくは明認方法)。立木だけについて譲渡や抵当権の設定も可能。 伐採・収穫の前の未分離の果実も、明認方法を施すことによって、独立して取引の客体とすることができる。 無記名債権は動産である。(無記名の公社債、無記名の小切手、商品券、乗車券、入場券など) 土地の利用権は建物の従たる権利。 天然果実:物の経済的用途に従って産出されるもの。 法定果実:物の利用の対価として受ける金銭その他のもの。天然果実は、通常の場合は所有者が、利用権などが設定されている場合は利用権者がこれを収取する権利を有する。 利息は法定果実とされる。 金銭には即時取得の制度は適用されない。 意思表示 心裡留保 真意でないことを知りながら、それを相手に告げずにする意思表示のこと。 心裡留保は原則として有効だが、相手方が悪意・有過失の場合は無効とされる。 代理人の権限濫用の場合、判例は心裡留保に関する民法93条の規定を類推適用して法律関係を処理している。 通謀虚偽表示 虚偽表示を行った当事者は、善意の第三者に対抗できない。善意の第三者は登記を備えていることや、過失がないことは必要ではない。 錯誤 錯誤とは意思と表示が一致しない意思表示であって、そのことを表意者が知らないものを言う。 錯誤は意思表示の要素に関するものであるときは、表意者が無効を主張できる(要素の錯誤) 錯誤は表意者を保護するための規定。したがって、表意者以外のものは原則として錯誤無効を主張できない。 動機の錯誤 動機の錯誤は錯誤に含まれない。しかし、動機も表示されれば表意者保護と相手方の保護の調整を図れるので錯誤と同様に取り扱ってよい。 詐欺・強迫 詐欺の成立には故意が必要。 詐欺による意思表示は取消すことができる。 第三者の詐欺によってなされた意思表示は、相手方が悪意でなければ取消せない。 詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗できない。 強迫による意思表示は、善意の第三者にも対抗できる。 第三者の強迫による意思表示は、相手方の善意・悪意問わず取り消せる。 意思表示の到達 意思表示は相手方に到達した時点で効力を生じるのが原則。株主総会の通知など多数の者に対する通知に関しては、特別に発信主義がとられている。 発信後に表意者が死亡→効力は失われない。ただし、相手方が死亡の事実を知っていた場合には無効となる。 制限能力者のうち、意思表示の受領能力があるのは被保佐人だけ。 表意者が相手方を知ることができないとき、またはその所在がわからないときは公示による意思表示が認められている。ただし、知ることができない場合や所在がわからないことについて表意者に過失があった場合には到達の効力は生じない。 代理 事実行為を代わって行うのは代理ではない。 法定代理の場合は、法律の規定によって代理権が発生する。 任意代理の場合は、本人から代理権が与えられることが必要である。授権行為は口頭でなされればよく、委任状などの書面は必要ではない。 権限の定めの無い代理人は、保存行為と代理の目的たる物または権利の性質を変更しない範囲での利用・改良行為のみを行うことができる。 代理人は制限能力者であってもよい。 復代理 複代理人の行った代理行為の効果は直接本人に帰属する。 任意代理人は、本人の許諾を得たときと、やむをえない事由がある場合以外は複代理人を選任できない。 法定代理人は常に複代理人を選任できる。 任意代理人は、複代理人の選任と監督について本人に責任を負う。本人の指名に従って複代理人を選任したときは、その者が不適任または不誠実であることを知って本人に通知しなかった場合または解任しなかった場合にのみ責任を負う。解任に本人に同意は不要。 法定代理人は、複代理人の行為について全責任を負う。 複代理人を選任しても、代理人の代理権は消滅しない。 自己契約は原則禁止とされている。債務の履行のように、本人の利益を害しない場合や、本人があらかじめ同意した場合には禁止されない。 自己契約や双方代理の効果は、まったく無効なのではなく、無権代理となる。 無権代理 無権代理の効果 本人の追認が得られない場合には、無権代理人は相手方の選択に従い、履行または損害賠償の責任を負わなければならない。この責任は無過失責任。相手方が無権代理人の責任を追及するには、代理権が無かったことについて善意・無過失でなければならない。 相手方は相当の期間を定めて、本人の無権代理行為を追認するか否かを催告することができる。期間内に確答がない場合には、追認を拒絶したものとみなされる。 善意の相手方は本人が追認しない間であれば、無権代理人との契約を取消すことができる。 無権代理と相続 本人が無権代理人を相続した場合、本人は本人としての立場で無権代理行為の追認を拒絶できる。その場合、無権代理人の責任としての損害賠償義務は免れない。 無権代理人が本人を単独相続した場合、無権代理人が本人の立場で追認を拒絶することは信義則に反し許されない。この場合、無権代理行為は当然有効になる。 本人とともに無権代理人を相続した者が、その後さらに本人を相続した場合には、その者は本人の立場で追認を拒絶することはできない。 表見代理 代理権が無いにも関わらず、それがあるかのような外形が存在する場合に、相手方が代理権があると信ずるにつき正当な理由があれば、通常の代理と同様に本人への帰属効果を認めようとする制度。 表見代理が成立するのは代理人と直接に取引をした相手方に限られる。 夫が妻の不動産を無断で処分した場合には、相手方がその行為を夫婦の日常家事に関する行為と信じるにつき正当な理由がある場合に限り、表見代理に関する110条の規定の趣旨を類推して相手方を保護することができる。 無効・取消し 無効行為の追認の効果は遡及しない 成年被後見人のように、無効と取消しの両者の主張をできる場合には、証明しやすいほうを任意に選択して主張することができる。 取消しの意思表示は相手方に直接しなければならない。 取消しがなされると法律行為はそもそも行われなかったものとして扱われる。(遡及的無効) 当事者双方に法律行為によって得た利益がある場合には、当事者は返還について双方の同時履行を主張できる。 取消権を有するものによって有効に追認がなされると、取消権が消滅する。 追認は取消しの原因となった情況が止んだ時以降に行われる必要がある。制限能力者の場合は行為能力が回復した後、詐欺の場合は詐欺にかかったことを知った時以降、強迫の場合は強迫が止んだ時以降に行われる必要がある。 制限能力者は単独で有効に取消しができるが、追認はできない。 取消権を有するものが履行を請求した場合には、追認したものとみなされる。 法定追認も取消しの原因となった情況が止んだ時以降に行われる必要がある。成年被後見人の場合だけは取消しができるものだと知ってなされるのでなければ法定追認とは認められない。 条件・期限 停止条件:条件の成就によって効力が生じるもの 解除条件:条件の成就によって効力が消滅するもの 身分行為に条件は付けられない。 相殺・解除・追認などの単独行為に条件を付けることは許されない。 条件成就の効果は遡及しない。 期待権は相続の対象となり、期待権の侵害は不法行為を構成して損害賠償請求権を発生させる。 期待権の侵害を理由とする損害賠償請求ができるようになるのは、条件が成就した後である。 不法の条件を付けたり不法行為を行わないことを条件とした場合、その法律行為は無効となる。 債務者の意思だけにかかる条件を純粋随意条件という。これが停止条件であるときは、法律行為は無効となる。 期限が到来しないことによって当事者が受ける利益を期限の利益という。期限の利益は、債務者に信用を失わせる事由が生じたときには失われる。ただし、これには差押えは含まれない。 法律行為総合 賭博によって生じた債権は無効である 無権代理行為は本人に効果が帰属しない。ただし本人が追認すれば当初から有効な代理行為が行われたものとして扱われる(追認の効果は遡及する) 制限能力者であることを理由とする法律行為の取消しについては、善意の第三者保護規定は設けられていない。 時効 時効の効果が生じるには時効の援用が必要。 消滅時効を援用しうる者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定される。これには抵当不動産の第三取得者や詐害行為の受益者などが含まれる。 時効完成前には時効の利益は放棄できない。 時効完成後の債務の承認は、時効利益の放棄に当たる。 時効利益の放棄は黙示的なものであってもよい。 時効の利益が放棄されても、その時点から新たに消滅時効が進行を開始する。 時効の中断事由:請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認 裁判外の請求である催告には暫定的な時効中断の効力しか認められない。6ヶ月以内により強力な時効中断の手段をとらなければ中断の効力は失われる。 裁判上の請求も、訴えが却下された場合には中断の効力は生じない。 主たる債務者が債務を承認した場合には、保証債務の消滅時効も中断する。 取得時効 所有権や用益物権は取得時効の対象となる。 所有権の取得時効の期間は、悪意または有過失者の場合は20年、善意・有過失者の場合は10年。善意・無過失は占有開始時点の要件であり、後に悪意になってもかまわない。 自分の所有物についても時効を援用することができる。 消滅時効 所有権は時効によっては消滅しない。また所有権に基づく物件的請求権も時効によっては消滅しない。 所有権以外の財産権は、20年間これを行使しないでいると、時効によって消滅する。 地役権は行使しないでいると時効によって消滅する。 抵当権は行使しないでいると、被担保債権が時効消滅しなくても、抵当権だけが時効によって消滅する。ただし、債務者および抵当権設定者との関係においては、抵当権は時効消滅しない。 短期消滅時効の対象となる債権であっても、判決や裁判上の和解によって確定された場合には、時効期間は10年である。 債権の消滅時効は、債権を行使できるようになった時点から進行を開始する。 期限の定めの無い債権は、債権成立時から時効が進行を開始する。非債弁済による不当利得返還請求権もこれに含まれる。 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者またはその法定代理人が損害と加害者の双方を知った時から進行を開始する。 不確定期限のある債権は、期限到来の時から時効が進行を開始する。債務者が期限到来の事実を知る必要は無い。 同時履行の抗弁権が付着した債権も、期限が到来した時から進行を開始する。 割賦払契約において、「1回でも支払いを怠れば、債権者は直ちに残代金全額の支払いを求めることができる」という特約が付けられた場合、判例は、1回の不履行があっても、各割賦金の弁済期到来ごとに時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を請求した時に限り、そのときから残債務全額について消滅時効が進行するとしている。 履行不能に基づく損害賠償請求権は、履行不能時からではなく、本来の履行を請求できる時から進行を開始する。 時効の効果 時効の効果はその起算日にさかのぼる。 時効の効果がいつ生じるか確定効果説:時効完成の時点で完全に生じるとする説 不確定効果説:時効完成の時点ではいまだ効果は不確定で、援用によって確定的に生じるとする説。確定効果説は、援用を裁判上の争いが生じたときの防御手段であるとする。 時効によって消滅した債権が消滅以前に相殺適状であった場合には、債権者はその債権で相殺することができる。 不動産物権変動 登記しなければならない物権変動:所有権の移転に限られず、相続や解除、取消しなどによる物権変動も含まれる 入会権:権利の内容が土地の慣習によって定まるため、登記できない権利とされている。ただ、入会権は現地調査によって容易に確認できることから登記なくして第三者に対抗できる。 通行地役権:登記しなければ第三者に対抗できない。通行地役権の存在が客観的に認識できる場合、それを登記に代わる公示手段と見て、第三者が登記の欠陥を理由として通行地役権を否定することは信義に反して許されない。 賃借権:登記しなければ第三者に対抗できないが、土地の賃借権については、建物の所有権の登記で代替することが認められている。そしてこの登記には表示の登記も含まれる。 不動産物権変動と登記 取消しの意思表示をした者が、取消前に出現した第三者に対して取消しの効果を主張するには登記は不要。ただし善意の第三者保護規定がある場合には、取消しの効果自体を主張できない。 法律行為の取消後に出現した第三者との優劣は、登記の先後によって決せられる。 法律行為の解除後に出現した第三者との優劣は、登記の先後によって決せられる。 共同相続において、自己の持分を第三者に対抗するには登記は不要である。 遺産分割によって法定相続分と異なる持分を取得した場合、その効果を第三者に対抗するには登記が必要である。 時効完成前に出現した第三者に時効取得の効果を対抗するには登記は不要。 時効完成後の第三者との優劣は、登記の先後によって決せられる。 時効期間の起算点を任意に選択することは許されない。時効期間の起算点は、現実に占有を開始した時点に限られる。 不動産物権変動における第三者とは、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者をいう。 単純悪意者は第三者。 背信的悪意者は第三者に含まれない。→対抗するのに登記は不要 中間者の同意なしに行われた中間省略登記は、中間者に抹消を求める利益がある場合に限って抹消請求できる。 即時取得 不動産には即時取得の制度は無い。 登記または登録された船舶・自動車・飛行機については即時取得の適用はない。 要件 取引行為が存在すること取引は売買に限られない。贈与や質権設定、代物弁済、消費貸借の目的物の給付、強制売買による買受なども含まれる。 前者が無権利者であること制限能力者から動産を取得した者からさらに動産を取得した場合には、即時取得が適用される。 取引が平穏・公然、善意・無過失に行われること 占有を取得したこと占有の取得には、現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転の3つは含まれるが、占有改定は含まれず、占有改定の方法で即時取得することはできない。 即時取得された物が盗品・遺失物の場合、被害者・遺失主は即時取得者に対して2年間は回復請求ができる。 取得者が、一般の商店や行商人、あるいは競売を通じて有償で購入していた場合には、権利者は取得者が払った代金を弁償しなければ返還を請求できない。 占有 占有は自己のためにする意思をもって物を所持することによって成立する。 会社の代表者として物を占有している者には、個人としての占有権は認められない。 占有の分類 自主占有・他主占有自主占有でないと時効取得できない。 直接占有・間接占有間接占有者にも占有訴権が認められる。 善意占有・悪意占有善意占有者でないと果実収取権がない。 制限能力者であっても、所有の意思で物を支配すれば自主占有が認められる。 盗人であっても、所有の意思で物を支配すれば、盗品に対して自主占有が認められる。 悪意の占有者であっても、占有物の保存や管理に要した費用のみならず、占有物改良のために要した費用の償還も請求できる。 悪意の占有者にも占有訴権が認められる。 占有訴権は、他主占有者であっても、悪意占有者であっても行使できる。 占有権の移転 本人Aが占有代理人Bに占有させている物をCに譲渡する場合、AからCへの占有の移転は、占有代理人Bに対して、「以後はCのために占有するように」と指図すればよい。これによって占有がCに移転する(指図による占有移転)この場合、占有代理人Bに諾否の自由は無い。 占有権は、外形的な支配の移転を伴わずに、意思表示のみにより譲渡することもできる。 取得時効において、占有者は自己の占有のみを主張してもよいが、前主の占有をあわせて主張することもできる。その場合、前主の占有の瑕疵も承継する。 占有訴権 占有保持の訴え:妨害の停止と損害の賠償を請求できる。 占有保全の訴え:妨害の予防か、または損害賠償の担保を請求できる。 占有回収の訴え:物の返還と損害の賠償を請求できる。 占有訴権の行使には1年という期間制限が設けられている。 占有訴権の行使には、占有を侵害されているという状況があれば足り、侵害について相手方の故意・過失を必要としない。 自力救済の禁止例外的に認められることもある。 占有してるだけで本権者と推定されるわけではない。不動産の場合は、占有よりも登記の推定力が上であり、登記簿上の名義人が占有者に立ち退きを求めた場合は、占有者は賃借権などの正当な権限を有することを証明しなければ立ち退きを拒否できない。 逃走した家畜外の動物の飼養主は、逃失の時から1ヶ月以内であれば、善意の占有者に対しても引渡請求ができる。 占有権の消滅 占有権は、物に対する事実的支配を失えば消滅するが、混同や時効によっては消滅しない。 占有が奪われた場合でも、占有回収の訴えによってその物を取り戻せば占有権は消滅しない。 賃借人によって代理占有をする場合、賃貸借関係が消滅しても代理占有は当然には消滅しない。 所有権 所有権は、物を全面的に使用・収益・処分できる権利。 所有権の使用・収益機能を有するのが用益物権であり、地上権・永小作権・地役権・入会権の4種がある。 所有権の処分機能を利用して債権の担保を担うのが担保物権である。 現在所有者がいない物を無主物という。 無主の動産は、所有の意思をもって先に占有を開始すれば、その者が所有権を取得する。これに対して無主の不動産は国庫に帰属し、国の所有となる。 他人の土地上に無権限で建物を所有する者がいる場合、土地の所有者は、建物の所有権の登記名義人が自ら当該登記を経由した者であるときには、登記名義人も建物の収去請求の訴えの被告とできる。 添付 複数の独立の物が合わさって社会経済上単一の物と見なされる状態を附合という。 土地に樹木や作物の苗などが植栽された場合には、それらの所有権は土地の所有者に帰属する。ただし、権原によって植栽された物については、植栽されたものが取引上の独立性を有するにいたれば植栽者に所有権が帰属する。 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て増改築→賃借人は増改築部分の所有権を取得することはできない。増改築部分の所有権は賃貸者に帰属。 複数の所有者の米の混合や灯油の融和など分離が困難になった状態を混和という。主たる物の所有者が混和物の所有権を取得。主従の区別ができない場合は、混和時の価格の割合に応じ、それぞれの物の所有者が混和物を共有。 他人の動産に工作を加えて新たなものを作り出すことを加工という。加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属する。工作によって生じた価格が著しく材料の価格を超えるときなどは加工者に所有権が帰属する。 附合・混和・加工によって所有権を失った者は、所有権を取得した者に対して償金請求ができる。 相隣関係 隣地使用権 土地の所有者は、境界やその付近で建物の建築や修理のために必要な範囲で、隣地の使用を求めることができる。隣地の所有者がこれを承諾しない場合は、裁判所が代わって立入りを認めることができる。 隣地通行権 袋地の所有者は公道に出るために、隣地を通行できる。ただし、通行に当たっては償金を支払う必要がある。 袋地の所有者が償金を支払わない場合でも、隣地通行権は消滅しない。 袋地が土地の一部譲渡によって生じた場合、または土地の全部を同時に数人に譲渡することによって生じた場合は、償金を支払うことなく隣地を通行できる。 所有者を異にする2棟の建物の間に空き地があるときは、各所有者は共同の費用で塀を作ることができる。 建物は、隣地との境界から50cm以上離して建築しなければならない。この基準を満たさない場合、隣地の所有者は建築の廃止・変更を求めることができる。建築着手から1年が経つか、建物が完成したら損害賠償の請求しかできない。 境界 境界を越えて伸びてきた隣地の樹木の根は切ることができるが、枝は隣地の所有者に切り取りを求めなければならない。 土地の境界は境界確定の訴えによらなければならない。 共有 共有の本質は所有権。 各共有者は自己の持分を自由に使用・収益・処分できる。他の共有者の同意を得なくても、自由に譲渡でき、抵当権の設定もできる。 共有物を利用するのに分割を行う必要は無い。 共有者の一人が他の共有者と協議しないまま自己の持分に基づいて共有物を占有している場合、他の共有者は当然には共有物の明け渡しを請求できない 共有物の管理に関する事項は持分の過半数で決める。共有建物の契約解除には、持分の過半数の同意が必要。 共有物の変更には、共有者全員の同意が必要。共有土地への地上権の設定など 持分権の主張は各共有者が単独でできる。これに対して共有関係にあることの主張は共有者が全員で行わなければならない。 共有不動産の登記については、必ず持分を記載しなければならない。 共有物が不法に侵害されている場合、各共有者は自己の持分に相当する損害賠償を加害者に請求できる。しかし、共有物全体についての賠償請求はできない。 共有不動産について共有者の一人が無断で単独所有名義の登記をし、その不動産を第三者に譲渡して所有移転登記を行ったときは、他の共有者は自己の持分について正しい内容に変更するための更正登記を請求できる。 共有者の一人が持分を放棄したとき、あるいは相続人なくして死亡したときには、その持分は他の共有者に帰属する。 共有者の一人が相続人なくして死亡した場合において、その者に特別縁故者があれば、家庭裁判所は特別縁故者に共有持分を分与できる。 各共有者は、いつでも自由に分割を請求できる。他の共有者はこれを拒否できない。 現物分割が原則。 特別の事情があれば、全面的価格賠償の方法でも可。 用益物権 他人の土地を使用・収益できる権利 地上権・永小作権・地役権・入会権がある 地上権 他人の土地で工作物や竹木を所有するためにその土地を利用する権利。 地上権は、設定契約の他、相続や遺言、譲渡などによって取得することができ、さらに時効取得することもできる。 地上権は、抵当権の目的とすることができる。地上権に対して抵当権を設定できる。 地上権設定契約において、存続期間を定めることは要件とされていない。 地代の支払いは地上権成立の要件ではない。 土地所有者は、土地を使用できる状態にしておくという積極的な義務は無い。 地上権が消滅した場合、地上権者は工作物等を撤去しなければならない。ただし、土地所有者は地上権者に通知して、これらを時価で買い取ることができる。 賃借権は債権であるから、これを譲渡するには原則として賃貸人の同意が必要。これに対して地上権は物権であるから、譲渡するのに土地所有者の同意は必要ない。 地代の支払いは地上権成立の要件ではない。賃借権では賃料の支払いは契約成立の要件である。 建物の所有を目的とする場合、地上権も土地賃貸借権も、存続期間は30年。 建物の所有を目的とする場合、地上権も土地賃貸借権も、ともに地上建物の所有権登記によって借地権の登記に代替することが認められている。 土地の不法占拠者に対しては、地上権者は物権的請求権によって、賃借権者は所有権に基づく妨害排除請求権の代位行使によって、ともに妨害排除請求権を行使することができる。 地役権 設定行為で定めた目的に従って他人の土地を自己の土地の便益のために利用する権利。利用する便益の種類・内容に制限は無い。 利用する方の土地を用役地、利用されるほうの土地を承役地という。両者は隣接している必要は無い。 第三者のために同一内容の地役権を重ねて設定することができる。 地役権は、設定契約の他、相続や遺言、譲渡などによって取得することができ、さらに時効取得することもできる。 地役権は、所定の期間これを行使しなければ、時効によって消滅する。 土地の共有者の一人が地役権を時効取得した場合、他の共有者も地役権を設定することができる。 承役地を第三者が不法占拠している場合、地役権者は妨害排除請求はできるが、土地の明渡請求はできない。 要役地と分離して、地役権だけを譲渡することはできない。 法定担保物権 法律の定める要件を満たした場合に当然に発生する担保物権。留置権と先取特権の2種がある。 法定担保物権を契約によって成立させることはできない。 留置権 留置権は、同時履行の抗弁権と同様に当事者の公平を図るための権利であるが、同時履行の抗弁権と異なり、その成立は契約に限られない。したがって、被担保債権も契約によって生じたものに限定されない。 第三者の所有物についても留置権は成立する。 弁済期が到来していない債権を被担保債権として留置権を主張することはできない。 物の占有が不法行為によって始まった場合は、留置権は成立しない。 占有権原を失うことが確実な状況になった場合には、それ以降に費用を支出しても、留置権の成立は認められない。 土地の賃貸借契約が終了した場合、建物買取請求権を被担保債権として土地についての留置権の成立が認められる。 建物の賃借人は、有益費や必要費などの費用を支出した場合には、費用償還請求権を被担保債権として建物について留置権を主張できる。 しかし、賃貸借契約が解除された後にこれらを支出した場合には、留置権の成立は認められない。 建物の賃貸借契約が終了した場合、賃借人は造作買取請求権を被担保債権として建物についての留置権を主張することはできない。 建物の賃貸借契約が終了した場合、賃借人は敷金返還請求権を被担保債権として建物についての留置権を主張することはできない。 不動産の二重売買において、売主から不動産の引渡しを受けたAは、先に登記を備えたBに対して、売主に対する損害賠償請求権を被担保債権として、不動産について留置権を主張することはできない。 留置権は物権であるから、第三者に対してもこれを主張できる。 留置権者に管理義務違反があった場合には、債務者は留置権の消滅請求ができるようになる。 質権 質権は約定担保物権である。留置権などと異なり、法律上当然に発生することはない。 質権は譲渡が可能なものについて設定することができる。 何を質権の目的にするかによって、動産質、不動産質、権利質の3つに分かれる。所有権以外の財産権は権利質の対象となる。 被担保債権は条件付債権または将来発生する債権であってもよく、これらを担保するために、質権は設定契約の時点から有効に成立する。 質権の行使は被担保債権の行使とは異なる。単に質権の返還を拒んだだけでは被担保債権の消滅時効は中断しない。 債務者以外の者で自己の財産に担保権を設定を承諾した者を物上保証人という。債務者が期限に弁済しない場合、物上保証人も担保権を実行されないために、自ら債務者に代わって被担保債権を弁済できる。 動産質 質権設定契約は要物契約である。質物の占有を質権者に移転しなければ、質権は効力を生じない。 占有改定の方法で質権を設定することはできない。 占有の継続は質権を第三者に対抗するための要件。質権者が質物を第三者に奪われた場合には質権の対抗力は失われ、質権に基づいて返還請求を行うことは認められない。この場合は占有回収の訴えによる以外に手段がない。 質権者が質物を任意に質権設定者に返還した場合に質権がどのような影響を受けるか質権消滅説:有力 対抗力喪失説 動産質権では、不動産質権とは異なり、目的物の使用・収益権は認められていない。ただし、設定者の承諾を得れば、これを賃貸して、賃料を被担保債権の弁済に充てることもできる。 質権の被担保債権の範囲は、元本、利息、損害賠償の他、違約金や各種の費用なども含まれる。 転質 質権者は、質権設定者の承諾を得て転質することもできれば、承諾を得ずに自己の責任で転質することもできる(責任転質) 責任転質においては、転質権の存続期間は原質権の存続期間内であることを要する。 責任転質がなされた場合、質権者は転質をしなければ生じなかったであろうという損害については、不可抗力であっても質権設定者に対して賠償責任を負う。 不動産質・権利質 不動産質 不動産質も不動産の占有を移転することで効力を生じる。対抗要件は登記。 質権の中で唯一、目的物の使用・収益が認められている。その代わり、不動産質権者は被担保債権の利息を請求できない。 権利質 所有権は動産質・不動産質の目的となるので、権利質の目的とならない。しかし、地上権は権利質の目的となる。 債権質においては、質権者は元本や利息を第三者から直接取り立てることができる。取立てについて差押手続きを経ることは必要ではない。 質入りされた債権の額が被担保債権を超える場合であっても、質権者は自己の被担保債権額の範囲で取り立てることができるだけで、債権の全額を取り立てることは許されない。 抵当権 性質 抵当権は約定担保物権である。したがって、抵当権は当事者の契約によってのみ成立する。 抵当権には随伴性がある。被担保債権が同一性を伴って譲渡された場合には、抵当権もまた譲受人に移転する。 抵当権は未登記のままでは競売の申し立てはできない。 抵当建物が取り壊されて再築された場合、旧建物の抵当権は新建物には及ばない。 設定 抵当権は不動産のほかに、地上権と永小作権にも設定できる。 不動産の共有持分上にも抵当権を設定できる。 抵当権の被担保債権は金銭債権に限られない。 被担保債権が一部弁済されると、その額だけ担保される債権の範囲は縮減する。ただし、抵当不動産の全部について競売を申し立てることができる点は変わらない。 効力 抵当権の効力は、抵当不動産に付加して一体をなした物に及ぶほか、従物や従たる権利にも及ぶ。 抵当建物の増築部分は、それが別個独立の不動産と見られない限り抵当権の効力が及ぶ。 賃借地上の建物に設定された抵当権の効力は、土地の賃借権にもおよぶ。したがって、競売によって所有権が買受人に移転した場合には、土地の賃借権は買受人に移転する。ただし、これは賃借権の譲渡にあたるから、買受人が賃借権を行使するには地主の承諾が必要。 設定契約の別段の定めをすれば、抵当不動産に付加するものに抵当権の効力を及ぼさないとすることができる。 抵当不動産について差押えがなされた場合、抵当権の効力は果実にも及ぶ。 物上代位 抵当権は、目的物の交換価値を支配する権利であるから、目的物の交換価値が現実化した場合には、それに対しても抵当権の効力を及ぼすことができる。 物上代位権は、目的物の交換価値を支配するという性質から導かれる。価値支配権としての性格を有しない留置権には認められない。 抵当目的物が賃貸されている場合、その賃料にも物上代位することができる。 抵当権設定者が破産を宣告された場合でも、抵当権は物上代位を行使できる。 賃借人が賃料を支払うよりも前に、抵当権者が賃料債権を差押えれば、抵当権者の物上代位が認められる。差押え以後に抵当権者以外の者に賃料を支払った場合、賃借人は再度抵当権者に賃料を支払わなければならない。 法定地上権 法定地上権の成否は、借地権を設定したくてもできなかったこと、抵当権者の担保価値の評価を侵害しないことの2つの要素で判断する。 #FONT(18,b,#00FF00){土地が共有であれば法定地上権は成立しない}。建物が共有の場合、共有者の全員に法定地上権が認められる。 短期賃貸借 抵当権設定登記後に対抗力を備えた賃貸借は、期間の長短に関わらず抵当権に対抗できない。 抵当権に対抗できない賃貸借も、抵当権が実行され、競売がなされて、買受人が買い受けた時から6ヶ月間は、移転準備等の期間として引渡しが猶予される。 根抵当権 根抵当権は、どの債権が終局的に担保されるか特定しない。 根抵当権は、極度額に達するまでは、何年分でも利息を担保する。抵当権のような最後の2年分といった制限はない。 基本契約は根抵当権の要件とはされていない。 担保する債権の範囲や債務者を変更するのに、後順位者の同意は必要でない。 確定前に債権が譲渡されても、根抵当権は譲受人には移転しない。 譲渡担保 譲渡担保とは、目的物の所有権をいったん債権者に移転するという形をとったうえで、期限に債務者が弁済すれば物の所有権を取り戻すことができるという債権担保の方法。 将来発生する不特定の債権を担保するのに、譲渡担保権を設定することもできる(根譲渡担保) 譲渡担保は目的物の所有権が債権者に移転するが、目的物は引き続き債務者が所持してこれを使用する。そのため引渡しは占有改定の方法で行われる。不動産の場合は所有権移転の登記がなされるので、それが譲渡担保の公示手段となり、動産の場合は占有改定による占有移転が公示手段となる。 効力 譲渡担保は所有権移転の形式をとるが、債権者は目的物について担保目的以上に権利行使しない義務を負う。 債務者が期限に弁済した場合には、目的不動産の所有権は債務者に復帰する。債権者が債務者への目的物返還義務に違反してこれを第三者に譲渡した場合には、二重譲渡と同様の関係になり、両者の優劣は登記の先後によって決せられる。債務者が期限に弁済した場合、債務者は直ちに登記の返還手続をとることが可能。 目的不動産の譲受人は、債務者が債権者に対して有する精算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができる。 受戻権 清算を第三者への処分によって行うという処分清算方式の譲渡担保においては、債務者は、弁済期限が経過した後でも、債権者が第三者に目的物を譲渡するまでは、債務を弁済して目的物を取り戻すことができる。 処分清算方式の譲渡担保において、債権者が第三者に目的物を譲渡した場合には受戻権は消滅する。これは第三者が背信的悪徳者の場合も同様。 受戻権が消滅した場合において、目的物の譲渡を受けた第三者が債務者に対して目的物の引渡しまたは明渡しを要求したときは、債務者は精算金支払請求権を被担保債権として留置権を主張できる。 集合動産譲渡担保 構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所等によって目的物の範囲を特定することは可能。そして特定ができれば1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。 集合動産譲渡担保と動産先取特権が競合した場合には、集合動産譲渡担保権が優先する。 譲渡担保権には物上代位権が認められている。これは集合動産譲渡担保の場合も同様である。 物権・担保物権総合 不法占拠者に対しては、登記がなくても所有権取得を主張でき、土地の明渡しを請求できる。 占有改定の方法での即時取得は認められない。 担保物権は、債権全額が弁済されるまで目的物全部の上にその効力を及ぼす(担保物権の不可分性) 留置権には優先弁済効力は認められていない。また物上代位性も認められていない。 不動産の留置権を第三者に主張するには目的物の留置でよく、登記は不要。 一般および動産の先取特権において、その目的物たる動産が第三者に引き渡された後は、先取特権者は先取特権を行使することはできない。この場合、先取特権は引渡しがなされた時点で消滅する。 抵当権において、満期の到来した最後の2年分を超える被担保債権の利息は無担保債権となる。
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被控訴人が本件延滞金の徴収を怠っていることは,徴収権の裁量を逸脱するもので違法であるとした事例 主 文 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が,A株式会社に対して,不動産取得税(課税対象物件 原判決別紙1物件目録記載1(4)ないし(10),2ないし6の建物,納期限 平成元年12月15日,税額 3297万3700円)の延滞金の徴収を怠っていることが違法であることを確認する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 4 ただし,原判決別紙1物件目録記載1(9)の建物の床面積(2階部分)につき,「520.50㎡」とあるのを「5207.50㎡」と改める。 事 実 及 び 理 由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人 主文第1項ないし第3項と同旨 2 被控訴人 (1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は,控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,A株式会社(以下「A」という。)が原判決別紙1物件目録記載1(4)ないし(10),2ないし6の建物(本件課税対象物件)を取得したことによる不動産取得税3297万3700円を滞納した(法定納期限は平成元年12月15日,その後,平成3年から平成12年3月24日までに分割により本税は完納した。)が,その延滞金2759万1200円(本件延滞金,平成12年3月24日確定)について,被控訴人が違法に徴収を怠った(滞納処分を猶予する措置をとれないのに,事実上の徴収猶予をしたこと,本税と延滞金が一括納付できなければ,延滞金を支払うべきであるのに,本税に充当したこと,地方税法15条1項の徴収猶予の要件も満たさないこと,仮に徴収猶予をするとしても,同法16条の担保を徴求していないこと,徴収猶予の合理的な理由がなく,裁量の範囲を逸脱したことなど)として,三重県の住民である控訴人が,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,本件延滞金の徴収を怠っていることが違法であることの確認を,Aに対し,同法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの,以下同じ)に基づき,被控訴人に代位して,被控訴人への本件延滞金残額の支払をそれぞれ求めた(住民訴訟)ところ,被控訴人らは,本件延滞金について,地方税法15条1項に基づく徴収猶予を行ったわけではなく,Aの資力等を考慮して,本件延滞金の徴収につき分割納付の方法をとっているもので,徴収権者としての裁量を逸脱するものではないと主張して争った事案である。 原審は,控訴人の本件請求のうち,Aに対する請求については,地方自治法242条の2第1項4号のいずれの訴訟類型にも該当せず,不適法であるとして却下し,被控訴人に対する請求については,公金の徴収権者には,滞納者に対して滞納処分を行う対象や時期について相当な範囲での裁量が与えられているところ,Aの預金債権等の差押えをしても効果がないことは明らかであることなどから,本件延滞金の徴収について裁量の逸脱はなく,被控訴人が滞納処分をしないことをもって,本件延滞金の徴収を違法に怠っているとは解されないとして,これを棄却したため,控訴人が,被控訴人に対する本件請求部分につき,これを不服として控訴した。 2 争いのない事実 (1) 控訴人は,三重県の住民である。 (2) 被控訴人は,三重県知事から委任を受けて,県税,延滞税等の賦課徴収に関する事務を行う権限を有する。 (3) Aは,本件課税対象物件を取得し,これに関する不動産取得税3297万3700円(本件不動産取得税,法定納期限が平成元年12月15日)を滞納し,平成3年から平成11年まで毎年3月25日に各330万円,平成12年3月24日に327万3700円を納付して完納した。本件不動産取得税の延滞金(本件延滞金)は,同日時点において,合計2759万1200円である。 (4) 控訴人は,三重県監査委員に対し,平成13年9月25日,Aの延滞金に関する住民監査請求を行った。 (5) 三重県監査委員は,同年11月22日,上記監査請求につき,被控訴人がAから同年3月30日に5万円を納付させて本件延滞金の消滅時効を中断させる措置を取ったこと,同社が被控訴人に対して納付を誓約する旨の書面を提出していることなどを理由に監査請求を棄却した。 3 争点 被控訴人が本件延滞金の徴収を違法に怠っているか否か。 4 争点に対する当事者の主張 (1) 控訴人 ア 次項で当審での補充主張を追加するほか,原判決「事実」の「第2 当事者の主張」1(5)のとおりであるから,これを引用する。 イ 当審での補充主張 被控訴人は,Aから分割納付の誓約書(本件誓約書)を差入れさせただけで,他に担保を取ることもせず,本件延滞金についてAの自主的な納付に委ねておくことはその裁量の範囲を超えており,どのような手段を尽くしても,本件延滞金の滞納という違法状態を解消する措置をとる義務がある。したがって,被控訴人は,差押えの滞納処分をすべきであり,これをせず放置していることは違法である。また,徴収の猶予は,合わせて2年を超えることができないと定める地方税法15条3項の趣旨に反し,2年を超える分割納付を認める本件誓約書による事実上の徴収猶予を行った被控訴人の措置は違法である。 Aは,固定資産税と本件不動産取得税の滞納税だけで既に9171万9400円と巨額の滞納となっている。そして,固定資産税は累積する一方であり,同社は,既に事実上の破綻状態にあるといってよく,今後17年(Aの提出した本件誓約書に基づき納付がなされたとしても,完納までに約17年かかる。)の間に同社が本件延滞金を完済することは不可能である。他方,滞納処分をしたとしても,「換価の猶予」という方法により,柔軟に滞納税を回収することができる方法を法はあらかじめ定めている(同法15条の5)のであり,差押えが直ちに換価を意味するものでもない。むしろ,滞納処分をしないことによる同法14条の6(差押先着手による地方税の優先)が働かない不利益がある。そして,本件延滞金の納付期限が平成12年3月24日であり,すでに5年以上経過していること,Aの代表取締役として本件誓約書を被控訴人に提出したBは,経営難を苦にして自殺していること,C町の固定資産税の延滞金に対しては,津地方裁判所平成14年(行ウ)第36号固定資産税の延滞金の徴収に係る怠る事実の違法確認等請求住民訴訟事件及び同平成16年(行ウ)第12号怠る事実の違法確認等請求住民訴訟事件につき,それぞれ平成17年2月24日,固定資産税の延滞金の徴収を怠っていることが違法であることを確認する旨の住民側勝訴の判決がでており,同判決は同年3月11日に確定している。したがって,C町によるAに対する滞納処分の実施は,もはや時間の問題となっており,これら競合する各期別の固定資産税の延滞金の差押えや交付要求が先に着手されることにより,被控訴人は,本件延滞金について,C町に劣後してしか差押対象不動産の換価代金からの回収ができなくなるおそれが現実化していることなどからすれば,被控訴人が本件延滞金につき滞納処分をせずに放置する裁量権はないといわなければならない。 (2) 被控訴人 ア 次項において当審での補充主張を追加するほか,原判決「事実」の「第2 当事者の主張」4(3)アないしオのとおりであるから,これを引用する。 イ 当審での補充主張 被控訴人は,Aに対し,本件延滞金がすみやかに納付されるよう要請し,同社と協議折衝を重ねてきた。その結果,平成17年3月28日,Aは,同年4月分から月額12万円,これとは別に年度末までに20万円,年間合計164万円を納付する旨を約し,別紙A株式会社延滞金納付状況のとおり,同年4月から同年8月まで毎月末日ころに12万円が納付され,平成13年3月からの納付総額は505万円である。また,Aは,津簡易裁判所に特定調停を申し立てており,その結果により改めて早期納付案を提出する旨を申し出ているのであり,当初の分割納付期間である17年間より早期に完納される可能性も十分にある。そして,本件延滞金に関しては直ちに滞納処分をすることが完納につながるとはいえず,むしろ,これをしないで納付されていくことの方が完納に至る可能性が大きいのであり,いずれの方法をとるかは徴収権者の裁量の範囲内にあるというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,被控訴人が本件延滞金の徴収を怠っていることは,徴収権の裁量を逸脱するもので違法であり,控訴人の本件請求は理由があるものと判断する。その理由は,次のとおりである。 2 判断の前提となる認定事実等は,原判決を次のとおり改めるほか,原判決「理由」3(1)及び(2)のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決14頁9行目の「53,」の次に「57ないし60,」を加え,10行目の「9」を「9ないし11」に改める。 (2) 原判決17頁1行目の「平成17年1月31日まで」から3行目までを「平成17年3月31日まで,本件誓約書にしたがって月額10万円を納付し(別紙A株式会社延滞金納付状況記載の回数1ないし44までの合計金額445万円),同日時点での残額は2314万1200円(2759万1200円-445万円)となった。」に改める。 (3) 原判決18頁22行目の「4~12」を「4ないし12の各不動産」に改める。 (4) 原判決19頁16行目の次に,行を改めて次を加える。 「セ Aは,C町に対する平成元年度第3期から平成12年度第4期までの各期別の固定資産税延滞金(合計3347万6100円)及び平成13年度第1期から第4期までの固定資産税延滞金(合計179万3600円)の納付を怠っていたところ,C町の住民であるD及びEは,津地方裁判所にC町長らを被告とする固定資産税の延滞金の徴収に係る怠る事実の違法確認等請求住民訴訟〔平成14年(行ウ)第36号,平成16年(行ウ)第12号〕を提起し,同裁判所はこれを認容する判決をし,同判決は,平成17年3月11日に確定した。 ソ Aは,同日,津簡易裁判所にC町,株式会社F銀行,株式会社G銀行,株式会社H銀行,Iを相手方とする特定調停の申立てをした〔同裁判所平成17年(特ノ)第72号,以下「本件特定調停事件」という。〕。同申立書によれば,Aの主な資産は,本件課税対象物件等の施設の土地及び建物(附属設備も含む。)であり,他方,負債は,平成16年3月31日現在,①借入金合計11億9765万円,②未払金合計約3364万円,③預かり保証金合計約2億4388万円,④長期未払金合計8804万円(本件延滞金2345万円を含む。)である。 タ Aは,平成17年3月28日,被控訴人に対し,「不動産取得税に係る延滞金の納付について」と題する書面を提出した。同書面には,「平成17年4月以降は,少しの増額ですが毎月12万円の納付とさせていただきたいと存じますので,ご了承賜りますようお願い申し上げます。」,「現在C町及び金融機関に対し特定調停の申立てを行い,当社の経営継続のための改善策に努めており,その結果により改めて早期納付案を提示させていただきますので,併せて格別のご配慮賜りますようお願い申し上げます。」と記載されている。そして,Aは,本件延滞金につき,同月分から月額12万円を分納している。 チ Aは,平成17年7月15日,津簡易裁判所に本件特定調停事件における再建計画(案)として,次の内容を上申した。 (ア) 公租公課の優先納付 申立人が所有する施設に対する滞納処分等を回避するために,C町に対する固定資産税の延滞金,三重県に対する不動産取得税の延滞金,その他の申立人が滞納している公租公課を,優先して納付する。 a 平成13年度以前分の固定資産税の延滞金 24か月の分納 各金融機関への返済を猶予された月の翌月(試案では,平成17年9月)から,毎月145万円を,24か月にわたって,古いものから順次納付する。 b 平成14年度ないし平成16年度固定資産税の本税 23か月の分納 各金融機関への返済を猶予された月の翌月(試案では,平成17年9月)以後毎月140万円ずつを,23か月にわたって,古いものから順次納付する。 c 平成14年度以後の固定資産税の延滞金 29か月の分納 本税は,各金融機関への返済を猶予された後(試案では,平成17年11月),毎月50万円を,29か月にわたって,古いものから順次納付する。 d 三重県に対する不動産取得税の延滞金 26か月の分納 各金融機関への返済を猶予された月の翌月(試案では,平成17年9月)から,毎月90万円を,26か月にわたって納付する。 (イ) (以下略) ツ C町は,平成17年7月15日,津簡易裁判所に本件特定調停事件での解決案として次の内容を提示した。 (ア) 公租公課(町の固定資産税)の優先納付 a Aが所有する土地の4分の3を町が買い取る。 ① 買い取る土地は,C町a番地b 宅地11,353.79㎡(仮評価額4億2000万円) ② 土地には抵当権(F銀行3億3000万円の根抵当権)が設定されているところから,買い取りは4分の3の担保の設定されていない土地とし,その価格は3億1500万円とする。 ③ 残りの4分の1の土地については,Aの所有地(根抵当権設定)とし,J組合の持分はこの土地に含むものとする。 ④ 買い取った町の所有地は,Aの存続期間中は固定資産税の税額を基本に賃貸をし,町の損失補償付き債務の金融機関への返済中は,Aの経営の状況により賃貸料の減額を考慮する。 b 固定資産税8153万2000円については,土地代金債務との一括相殺とする。税の内訳は,①平成13年度までの延滞金3456万9000円,②平成14年から平成16年度の本税3224万2000円,③平成14年から平成16年度分の延滞金1472万1000円 (イ) (以下略)」 3 以上の認定事実を前提にして,被控訴人が本件延滞金の徴収を違法に怠っているか否かについて検討する。 (1) 納税者が納期限までに不動産取得税に係る地方団体の徴収金を完納しない場合においては,道府県の徴税吏員は,納期限後20日以内に,督促状を発しなければならず(地方税法73条の34第1項),督促を受けた滞納者が,その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその滞納になる徴収金を完納しないときは,道府県の徴税吏員は,当該徴収金につき,滞納者の財産を差し押えなければならない(同条の36第1項1号)。他方,地方団体の長は,納税者が一定の事由に該当する場合において,徴収金を一時に納付し,又は納入することができないと認めるときには,1年以内に限り,その徴収を猶予することができ(同法15条1項),また,やむを得ない理由があると認めるときは,2年までその期間を延長できる(同条3項)。さらに,滞納者が,徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められるときは,その徴収金につき,1年間に限り,滞納処分による財産の換価を猶予することができ(同法15条の5第1項),また,やむを得ない理由があると認めるときは,2年までその期間を延長でき(同条の5第3項),必要があると認めるときは,差押えにより滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押えを猶予することができるとしている(同条の5第2項)。そして,地方税法の施行に関する取扱いについて,不動産取得税の「賦課徴収は,不動産の取得の事実があった後なるべく早期に行うべきものであるが,情状によっては,納税者の申請により分割納付の方法等を認めることも差し支えないものであること」(昭和29年5月13日自乙府発第109号各都道府県知事宛自治庁次長通達,乙イ3)とされている。そうすると,徴税をする地方団体の長は,滞納者に対して滞納処分を行う時期やその対象等について,当該滞納者の税の負担能力(担税力)や誠実な納入意思の有無に応じてその事業の継続や経済生活の維持がむやみに損なわれることのないよう配慮しつつ,他方,徴税行為が区々になり,公平を欠き,偏頗なものとならないようにすべきであり,これらを踏まえて,計画的,能率的かつ実質的にその徴収権の確保を図るに相当な範囲での裁量が与えられているものと解される。 したがって,本件において,本件延滞金に対する督促状を発してから10日以内に差押えがなされないからといって,当然にこれが地方税法に違反するとはいえないが,差押え等の滞納処分がとられないことにより,実質的に公金徴収権の確保が図られないと認められる場合,あるいは,一般的にみて公平を欠き,偏頗な徴税行為であると認められる場合等には,地方団体の長は,その裁量を逸脱し,徴収金の徴収を違法に怠るものと解するのが相当である。 (2) そこで,以上の見地に立って,被控訴人において,本件延滞金の徴収について,裁量の逸脱があったか否かにつき検討する。 本件延滞金の徴収についての滞納処分の対象となり得るAの各財産についてみるに,まず,F銀行等の金融機関に対する預金債権については,仮に差押えをしても,前記(原判決)のとおり,1億6000万円を超える反対債権があることから,これにより相殺され,徴収の効果のないことは明らかである。したがって,上記預金債権の差押えをしないとしても,当然に本件延滞金の徴収を違法に怠っているとはいえない。また,本件施設に入店するテナントに対する賃料債権についても,仮に差押えをしても,前記(原判決)のとおり,F銀行が平成元年5月15日付け根抵当権(極度額3億3000万円)を設定していることからして,これに基づく物上代位を行使すれば,前記のとおり法定納期限がこれに遅れる本件延滞金は劣後し,その徴収に効果がないことは明らかである。したがって,上記賃料債権の差押えをしないとしても,本件延滞金の徴収を違法に怠っているとはいえない。 しかし,A所有の原判決別紙1物件目録記載の1(4)ないし(10),4ないし12の各不動産については,前記(原判決)のとおり,本件延滞金に優先するF銀行等の被担保債権が相当程度弁済されている(甲50の3,乙イ11,弁論の全趣旨)ことから,滞納処分としての差押え等をすれば,本件延滞金の徴収が可能であることが推認し得る。その上,前記のとおり,Aは,C町に対する固定資産税の延滞金も滞納しており,C町の住民からの固定資産税の延滞金の徴収に係る怠る事実の違法確認等請求住民訴訟の判決が確定していることからすれば,C町が,同社に対する上記延滞金を回収するための滞納処分を近い将来行うことは十分に予測でき,差押えの先行着手により地方税が優先する(地方税法14条の6)ことからすれば,被控訴人による本件延滞金の徴収が困難となる可能性がある。さらに,Aには前記不動産以外にめぼしい資産がない上,前記のとおり,平成17年3月11日,C町,F銀行等の金融機関を相手方として(なお,被控訴人は本件特定調停事件の相手方とされていない。),津簡易裁判所に特定調停の申立てをし,これが係属している状況にあることを考慮すれば,たとえ,Aから本件誓約書に従って月額10万円の納付がされ,平成17年4月分からは月額12万円に増額された納付が実際に行われているとしても(今後も年間164万円支払われるとしても),本件延滞金が完済されるまでにはこの後14年あまりかかることになるなどの諸事情に照らして考慮すると,被控訴人が,現時点においても,本件延滞金の徴収を図るための何らの担保も取ることなく,Aの上記分割納付を事実上認めることにより,本件延滞金の滞納処分を怠ることは,合理的な根拠がなく,もはや実質的に公金徴収権の確保が図られない蓋然性が相当程度高く,徴収権者としての裁量を逸脱しているものといわざるを得ない。 なお,被控訴人は,滞納処分を行うことは,かえってAを倒産に追い込み,その結果本件延滞金の徴収が確定的に不可能となるおそれが大きいと主張するが,前記したとおり,C町が固定資産税の延滞金による滞納処分をする可能性があることや前記した同社の債務の負担状況とその返済状況等に照らすと,被控訴人の滞納処分がそのままAの倒産に直接結びつくものとは認められない(むしろ,他の要因によって,そのような状況になり得る可能性も否定できない。)。また,本件延滞金の滞納処分を行わないことが本件延滞金の完納に結びつくものと考えることも困難であり,被控訴人の上記主張を採用することはできない。 (3) したがって,被控訴人が本件延滞金の徴収を怠っていることは,その裁量を逸脱するもので違法である。 第4 結論 以上のとおり,控訴人の本件請求は理由があり,これを認容すべきところ,これと結論を異にする原判決は不当であるので,これを取り消すこととする。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部 裁判長裁判官 田 中 由 子 裁判官 佐 藤 真 弘 裁判官 山 崎 秀 尚