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小十郎×さすこ。 小十郎、さすこ共に囚われの身。 さすこが薬でべろんべろん。 エロはあるがあまりエロくない気がする。 衝撃かもしれないラスト。 『 手首をぎりりと締め上げられるような、そんな痛みに、小十郎の意識は急激に覚醒した。 瞼を開けると、光が見えた。太陽ほどに眩しい光。 思わず目を瞑りかけたのだが、瞳孔の順応を待って今一度光を見遣れば、それは単なる蝋燭の炎であった。 火先をちろちろと揺らして、静かに、だが暗闇の中で鮮明に炎を燃やしている。 暫し、その小さな火に目を奪われていた小十郎だったが、手首や肩の、軋むような痛みに意識を呼び戻された。 何だと思い見上げれば、己の腕に鉄枷の嵌っているのが見えた。 そしてその枷は、いかにも頑丈そうな鎖で以って壁に繋がれている。 ……何だ、これは。 小十郎の驚きは、しかし声にはならなかった。何だこれは、一体、何がどうなっている。 試しに、と枷ごと鎖を引っ張ってみた。がちゃり。金属の擦れる耳障りな音がひたすら響くばかりで、 枷も鎖も繋がれている壁も、びくりともしない。悪あがきのように何度も試してみたが、同じ事だった。 壁を背に座っている格好だから、体ごと鎖に吊り上げられるよりはマシだが、 しかし腕だけ吊るされるのも、なかなかに辛い。 目が覚めたら知らずの内に体の自由を奪われている。常人ならば、軽い恐慌を来してもおかしくはない状況であった。 だが彼は、片倉小十郎は、奥州に智の小十郎ありと謳われる程の軍師であり、何より胆の据わった男であった。これしきで取り乱すような男ではなかった。 小十郎は辺りを見回した。 薄暗い、が、灯る蝋燭が辛うじて部屋の内部を朱色に照らし出していた。 漆喰の壁に畳の床。ここまでならば、上等な拵えの、ごく普通の部屋のように聞こえるだろう。 だがごく普通の部屋に、虜囚を捕らえておく為の鎖や枷なぞ、ある筈が無い。 何より、小十郎の視線の先にあるのは、壁ではなくて太い木の格子であった。 そして、見える個所には、採光用の窓は一つも無い。 ……座敷牢、か。 そこまで考えたところでふと、ずきりと頭に痛みが走り、小十郎は眉を顰めた。 酩酊したあとのひどい頭痛に、それはよく似ていた。酒を飲んだわけでも、ない、のに―――― ――――そうだ、今の状況を把握したは良いが、何がどうなって己はこんな状況に立たされているのだ。 小十郎は必死に己の記憶を辿った。だが、彼が思い出すのを阻むように、頭痛は更に酷くなっていく。 ぶん、と大きく頭を振った。次いで、後ろの壁にがんと頭を打ち付けた。 痛い、痛いが、外部からもたらされた痛みが、泥沼のような頭痛を打ち消して、却って頭の靄が晴れて行くようだった。 俺は、一体、一体何を、していた――――? 思考能力を取り戻した頭で今一度、記憶を探り、 松永久秀の恐るべき計画2
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Q資料の33番。 ルカによる福音書12 4-7 「友人であるあなたがたに言っておく。体を殺しても、その後、それ以上何もできない者どもを恐れてはならない。 だれを恐れるべきか、教えよう。それは、殺した後で、地獄に投げ込む権威を持っている方だ。そうだ。言っておくが、この方を恐れなさい。 五羽の雀が二アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない。 それどころか、あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。 恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」 マタイ10 28-31 体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。 むしろ、魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。 二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。 あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。 だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」
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「片倉さん……」 「……ッ」 ――――ああもう完全に二人の世界だ、と政宗はげっそりしながら思った。 某主従のように、周りに花が咲き乱れているのが見えそうだ。 ただ、花といっても薔薇ではなくて……何だろう、チューリップとかその辺りか。それにしてもいい年をして、妙に様子が初々しい二人である。 逃げるなら、今の内だな。 政宗は縛られたまま、もぞもぞと、それこそ毛虫のように地面を這いずり始めた、が、 「こぉら、どこに逃げようとしてんのかなぁお馬鹿さん?」 ぐに、と背中を佐助に踏みつけられて、政宗は思わず肝を冷やした。 「……は、HAHAHAHAHA……」 とりあえず、笑ってみるが。 「笑って誤魔化してもだーめ。これからたっぷりお仕置きだよぉ竜のダンナァ? 覚悟してねぇ?」 にーっこり、と空恐ろしいほどにこやかに笑いながら、佐助が取り出したのは。 ――――史上最強の擽り兵器、『孫の手』。 さぁっと政宗の顔から血の気が引いた。 「ぎゃあああああああああ勘弁してくれ助けて小十郎ヘルプミィイイイイイイイイイ!!!!」 「今回ばかりは庇いたて出来ませぬのでこってり絞られますよう」 「テメェコノヤロォォオオオはははははははやめろくすぐってぇええええええええええ!!」 そーれこちょこちょこちょーと腋やらそこかしこを擽られて政宗は既にひぃひぃ言っている。 それを満足げに眺めつつ、決して手は休めない辺り佐助は鬼である。 ふと、その鬼は顔を上げて、小十郎を見た。真剣な表情である。 彼女の言わんとしているところは、小十郎にも何となく分かった。 「にしても……許すまじだね、この作者」 「ああ、この落とし前はきっちり付けねぇとな……」 辛うじて残っていた春本の裏表紙には、作者の名前がこう記されていた。 『麻津奈雅 妃沙英』と。 松永久秀の恐るべき計画19
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「……――――!!!」 あの時の、武田の若武者……主の好敵手でもある、真田幸村の言葉を思い出して、ひやり、と腹の底を冷やした。 『佐助が、偵察先から戻って来ぬのです』 いつもは真っ直ぐにこちらを見詰めて、明朗にはっきりと、見ていて気持ちの良い話し方をするこの青年が、 あの時は俯きながら、搾り出すような声で話していた。 『三日は掛かると、申していたのです、けれど、今日で十日になり申すが、何の音沙汰もありませぬ』 見れば、固く握り締められた彼の拳は、震えていた。 ――幸村の言葉を、小十郎は、頭から冷や水を被せられたような、まさにそんな心地で聞いていた。 長い事、会ってないだろう、と、ふと主君である政宗に言われたのだ。 それに小十郎は、いえ、時々あっちの方からこっそり訪ねて来るので、とそう答えたのだが、それが逆に政宗を怒らせた。 男が女を通わせるなんてCoolじゃねぇ、普通通うのは男の方だろうが。 などなど政宗の恋愛観を語られた挙句、少し暇をやるから甲斐のHoneyに会って来い、などと命ぜられたのである。 自分が居なくなれば政務が滞る事は目に見えていたので、勿論固辞したのだが、 何、俺一人でも少しの間なら何とかなる、と政宗は小十郎の言を聞き入れず、結局小十郎は甲斐へ来る事になってしまった。 の、だが。 女のくせに女らしくも、はたまたくのいちらしくもないあの忍の姿は、どこにもなく。 どうしたのかと幸村に話しを聞きに行ったら、 ……これだ。 即ち、佐助は偵察先で何かへまをして、囚われた、あるいは殺されたかもしれないと。 『どこに』 気付けば、口は勝手に問うていた。 『アイツはどこに……誰のところに忍んだ、真田』 幸村は、ぎり、と音がしそうなほどに奥歯を噛み締めていたが、やがて苦々しげに、告げた。 『大和の国、信貴山城の』 ――――松永久秀。 聞いたその名に、吐き気すら覚えた。 松永久秀の恐るべき計画3
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このままでは駄目だ、と少しでも気を逸らそうと吐いた息が、熱を持っているのが自分でもはっきりと分かった。 そしてそれに、佐助もまた聡く気がついたらしい。にぃ、と口唇の端を吊り上げて嬉しそうに笑う。 「こじゅうろうさぁん」 硬い胸板に、甘えるように擦り寄って、何度も愛しそうに口付けて。 佐助は小十郎を見上げた。 熱に浮かされ、涙で潤んでいるその目は、飢えに飢えてぎらついているようにも、見えた。 「アンタじゃなきゃ、やだ……だぁいすき、小十郎さん」 ちゅう、とまた施される口吸い。 『小十郎さん』 ……いくら呼べと言っても普段は呼ばないその名。 ぐずぐずになるまで攻めに攻めて意識をほとんど飛ばしてやらないと、決して口にしないその名を、まさか今ここで聞くことになるとは。 小十郎は、子供のように口付けをせがむ佐助の姿が余りに辛くて、思わず目を伏せた。 ここまでお前は、壊されてしまったのか。狂わされてしまったのか。 それでも……それなのに。 『卿の名をずっと呼んでいた』 『頑なに卿に操を立てようとしていたよ』 松永はそう言っていた。その言葉が嘘ではないとするならば。他の男に貫かれながら、お前は。 「こじゅうろ、さん……」 俺を思っていたのか、俺に、助けを求めて――――? 「ちょうだい……」 耳元を掠める、消えそうな囁き。それと同時に、不穏な動きを始める佐助の指。 そろそろと動いて、それは小十郎の袴を寛げに掛かった。 勿論小十郎が気付かないはずが無かったが、動くことは出来なかった。 枷、もそうだが、目の前の忍の姿は、余りにも淫らで余りにも哀れで、それは小十郎の抗う意思を根こそぎ奪ってしまったのだ。 佐助はそんな小十郎に、上気した頬をふわりと緩ませて。 「ね、小十郎さんの、熱くておっきいの……俺に、ちょうだい……?」 もどかしげに内腿を擦り合せながら、佐助は小十郎の下肢を暴く。 窮屈そうに出てきた摩羅は、だがしかしまだ半勃ちであった。 硬く張り詰めて、人並みよりは大きく育っているが、これはまだ半ばでしかないのだと、小十郎自身も、また佐助もよく知っている。 この状況への危機感と、目の前の媚態に鎌首を擡げた欲情とが、小十郎の内で激しく鬩ぎ合っているのだ。 佐助は少し拗ねた風で、それを眺めていたのだが、やがて、我慢ならないとばかりに半身を屈め。 松永久秀の恐るべき計画11
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耳元で、己の心臓の音がして、背筋を震えが走り、視界が端から紅く赤く染まっていくような、そんな錯覚に襲われる。 くるり、小十郎を飲み込んだまま佐助の腰が、誘うように小さく円を描いた。 脳髄を直撃する快感、腰骨を蕩かすような肉の悦。 小さな蝋燭が、風もないのにゆらり、揺れた。 どこかの糸が、切れたような、気がした。 「佐助ッ……」 ――――駄目だ、こんな……! 頭の片隅で自分自身が叫んだが。 小十郎に、その声はもう、届かなかった。 ずん。 「ぇ、あっ、ひッッ、ぁああああぁぁぁああッ!!」 唐突に下から突き上げられ、中の柔らかな場所を殊更強く抉られて、佐助は絶叫に近い悲鳴と共に果てた。 滑る蜜をはしたなく滲ませながら、びくびくと収縮を繰り返す媚肉に、小十郎もまた、限界を迎え、 獣のように低く唸りながら達した。佐助の中の奥深くに、容赦なくだくだくと種を撒き散らす。 二度、三度と、大量に。 佐助は、熱い白濁……それも、愛しい愛しい男の……に自分のずっと奥を充たされて、 犯されていく感触に、ぶるりと全身を震わせて感じた。 精神も、肉体も、有り得ないほどの快感に支配され。 しかし、 「はぅ、あぁ、はぁッ、んん、……あ、あッ、んぁあッ……?」 達した余韻に浸りながら、ゆるゆると腰を揺らしていた佐助は、ふと違和感に気が付いて目を開けた。 そっと小十郎を見上げれば、見た事も無いような色っぽい顔をして、熱い吐息を漏らしている。 その目など、隠し切れないほどの欲情を孕んで、飢えた獣のようにぎらついている。 じっと見詰められればそれだけでイッてしまいそうな。 小十郎さん、小十郎さん……。 そんなものを目にして、ますます小十郎が欲しくなった佐助は大きく腰を回した。ぐちゅり。 だが、 「ぁ、ひっ!?」 そこで、佐助は気付いてしまった。先程から感じていた違和感の正体。 しかし気が付いたときにはもう、遅かった。 精を吐き出したにも関わらず固く張り詰めたままの小十郎の摩羅は、佐助の体内で再び暴れだした。 小十郎は、腕を使えないにも関わらず、腰だけを器用に動かして佐助の蜜壷を攻め立てているのだ。 未だ絶頂の余韻から抜けきっていなかった佐助は、哀れなほどびくびくと体を震わせながら、あられもなく喘いだ。 「あっあっぁッッ、はああああぁんッ! ンァ、あッあっ、やぁああッ!!」 「佐助っ……佐助ッ!」 「こじゅっさ……ぁ、アアアアッだめっ……めッ、こわれ、こわれちゃッ……ひッ」 松永久秀の恐るべき計画15
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「おや、目覚めたのかね」 粘っこい声がした。低く、穏やかで、しかしその実相手を嘲り嬲るような、金属の摩擦音などよりもよっぽど耳障りな、声だった。 そんな声の主を、小十郎は一人だけ、知っている。 顔を上げる。ゆらり、と佐助の背後で影が揺れ、やがてそれは蝋燭の灯に照らされて、人の形になった。 見下げてくるその視線を真っ向から睨めつけて、小十郎は、今に噛み付かん勢いで叫んだ。 「……松永ァアッ!!」 松永久秀。 主たる政宗を傷つけ、六の刀を奪った挙句に、今また、己の宝を奪っていった張本人。 そんな相手を前にして、小十郎が冷静でいられようはずもなかった。 何より、あられもない姿でさらされた、目前の忍のことを思えば、尚の事。 だが、小十郎から放たれる怒気と殺気に、松永はかえって機嫌を良くしたようであった。 さも愉快と言わんばかりに、薄く笑う。 「随分と威勢の良いことだ。いや、しかし、面白い、卿ともあろう者が、一人のくのいちの為にここまで来るとは」 卿がその身を投げ打つのは、ただ主君の為だけだと思ったのだがね。 そう言うと松永は、手にしていた鎖……佐助の手首を戒める枷と繋がっている……を引いた。 少しでも小十郎の傍に寄ろうと檻に縋り付く佐助の体は、後ろに傾いで松永の腕にいかにも優しげに抱きとめられる。 その乾いた手が白い体に触れた瞬間、頭の端で、ちりりと火花が弾けたのを、小十郎は確かに感じた。 「そいつに触れんな!!」 鋭く叫ぶ。 「触れんじゃねェ……!!」 ずきり、頭が痛む、だが構っていられるか。構ってなどいられるものか。 この胸の、焼かれるような痛みの方が、よっぽどきつい。 だが松永は、小十郎の心情を見透かした上で、それを嘲笑うように、薄く肉の付いた佐助の胸を片手で鷲掴みにして見せた。佐助の口から、言葉にならない、なんとも言えず甘い悲鳴があがる。 その響きが気に入ったらしい、松永の手は執拗に、佐助の小さな胸を捏ね回した。 かっと頭に血が上る、怒りで小十郎の全身は細かく震えた。 「テ、メェ……ッッ!!」 「ほう、まさかと思ったが、竜の右目はたかが草風情に骨抜きにされたか」 愉しげに笑いながら、しかし松永は「いや、」と続けた。 松永久秀の恐るべき計画6
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「……佐助」 そっと、その名を呼びかける。 何はともあれ、まずはこの手枷を外してもらわなければ、行動を起こすことはできないのだ。 だが、佐助はびくりと肩を震わせただけで、起き上がらない。 やはり、薬の効果が辛いのか、それとも精神的によっぽど堪えたのか――。 小十郎自身、この忍がひどい辱めを受けたのだと考えるだに腸が煮え繰り返って仕方がなかったが。 もう一度、声を掛ける。 「平気か、佐助」 「……ん、ッ……」 返ってきたのは僅かな呻きのみだった。 だが、根気強く待っていると、やがて佐助は、ふらりとその身をを起こした。 それに小十郎は、この状況下においてでも少しばかり安堵して、 ――だが、直後に、戦慄を覚えた。 「かたくら、さん」 顔を上げた佐助は、とてもとても幸せそうに、愛しげに、その名を呼んで、微笑んだ。 凄艶に、それは、淫靡に。 ぞくり。小十郎の背に走った怖気は、恐怖だったのか、それとも。 よろり。佐助は獣のような四つん這いで、のろのろゆっくりと、だが着実に小十郎との距離を詰める。 やがて間隔は零になり、その掌が、小十郎の膝を撫でた。そろり、そろり。 息を呑みながら、間近に迫る橙の髪の毛を見つめれば、佐助はその視線に気が付いてゆっくりと小十郎を見上げた。 そして、今に蕩けてしまいそうに微笑んで。 「かたくらさん……」 酔いしれたような甘い甘い声音で、また小十郎の名を呼んだ。 ……何だ、これは。 「さす、」 呼ぼうとした名前は、口付けに吸い取られて、声にならずに消えた。 啄ばむような口吸い、時折、赤い舌で擽るように唇を舐められる。 はふ、と熱い息を漏らしながら、佐助は何度も何度も繰り返し口付けてきた。 さわさわ、と細い指が頬を撫でて、小十郎の整えられた髪の毛に差し入れられた。 体と心を、同時にじわじわと侵食されるような感触に、口吸いに、ざわりと肌が粟立った。 ちゅ、ちゅるり、息継ぎの合間に唇の隙間から舌を差し込まれる。小さいが熱い舌は、 隅々まで感じたいのだとばかりに小十郎の舌に絡み、口内を舐ってきた。 余りにも激しく性急な求めに、小十郎でさえ応じきれずに僅かに翻弄される。 やがて名残惜しげに唇が離れたかと思えば、再び、もっと深く。 最早小十郎は、息を乱さぬように意識することしか出来ない。 合間合間で、咎めるようにその名を呼んでも、名を呼ばれること自体が嬉しいのか、佐助はうっとりと目を細めるだけだった。 ……これは、完全に正気を失っている、止めなければ。 分かっているのに、自由を奪われた身の小十郎には、為す術など何一つ無い。 ようやっと濃厚な口付けが終わる。 低く低く、佐助、と呼びかければ、当の忍は少し首を傾げて、いっそ無邪気なほど艶やかに笑った。 松永久秀の恐るべき計画9
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「……っ!?」 は、と息を逃がしながら、何事かと佐助を見上げる。 ぼやけ始めた視界の中、佐助は、目の前の、獣は、 にたり、獲物を見付けたように、笑った。 佐助、と呼ぼうとすれば、その前に近付いてきた唇に絡めとられて、言葉を奪われた。 「もう、いいよねぇ……? ちょうだい、ねぇ、」 濡れた音に視線を落とせば、佐助はもじもじともどかしげに腰を揺らしながら、己の女陰に指を差し入れて掻き混ぜている。 解しているのだろうか、だが解す必要など感じられないほどにそこは濡れに濡れ、ひくつきながら目の前の餌を欲しがっていた。 とろとろ、溢れて内腿を濡らすその蜜の、淫らがましいこと。 あの、濡れた肉の感触を思い出して、小十郎は我知らず、ごくりと喉を鳴らした。 男をしきりに煽り、髄まで食らいつくさんとばかりに雄を飲み込むあの器。 あれを知ったが最後、のめり込むしか選択肢は残されない。 果たしてあれに呑まれ、今、正気を、保っていられるのだろうか。 小十郎は己に問いかけた。返すまでもなく、答えは絶望的だった。 くちゅん。そこから指が抜かれる。まるで見せ付けるかのように、透明な蜜が、長く長く尾を引いた。 それに見蕩れている暇など、ありはしない。 小十郎が言葉を失くしているその前で、佐助は、猫のようなしなやかさで以って小十郎の体に乗り掛かった。 ――――来る。小十郎は、見詰めてくるその瞳を、真っ直ぐに捕らえて、見詰め返した。 最後の最後に残った、ぎりぎりの理性だった。 それに佐助は、少し目を瞬かせて、だがやがて、ふわと笑った。 泣きそうに。 それが、戦時、血に酔うて人を殺めすぎたときの、己の肌の白さを眺めるときの、 ……別れ際のあの笑顔と、重なって。 垣間見た、佐助の心。消えることの無い、愛しい闇。 ああ、やはり、これは、佐助なのだ。 どれだけ狂わされようと、この、淫欲の渦に呑まれた忍は、己が愛し慈しんだ女、なのだ……。 今更のように思う小十郎の目に、佐助の頬を雫が一つ、流れ落ちていくのが見えた。 「は、はぁ、ん、……俺を、満たし、てよ、こじゅ……ろ……さ……」 ――アンタ以外のものなんか、全部いらない、アンタが居てくれるんだったら、それだけでいいの。 臍まで付かんばかりに反り返った逞しい一物に、佐助は、己の女陰を擦り付けて、 ああ、と小さく喘いだ。 にちゃ、にちゃ、溢れ出る先走りと愛液とが混じりあっていやらしい音を響かせる。 時折焦らすように腰を回され、互いの股を擦り合わされ、小十郎は、再び熱が押し寄せるのを感じた。 松永久秀の恐るべき計画13
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口ではそう言うが、浮かぶのは侮蔑の笑みだ。 くそ、くそ! 小十郎は歯噛みする。取り返すべきものは目の前にいるのに。 殺したいほどに憎い野郎はすぐそこにいるのに! 「……いい目だな、竜の右目。欲と殺意に満ちた眼差しだ。……気に入った」 松永は、いつの間にやら後方に控えていた二人の部下に、何やら視線で合図を送った。 それを受けて部下の一人が、松永から佐助を抱き取り手の戒めを解いてやる。 もう一人が牢屋の鍵を開け、扉を開けた。そして。 佐助の細い体が、牢屋の中へと投げ出され、同時に、何かの鍵が投げ入れられる。 突然のことに呆然とする小十郎の目の前で、再び扉は閉められ、鍵を掛けられた。 佐助は、白い体を畳の上に投げ出して横たわったまま、荒い呼吸を繰り返している。 時折ひくりと揺れる肩、背、足。近くで見れば、そこに刻まれた陵辱の痕に嫌でも気付かされた。 赤い痣、擦り傷、腿の辺りにこびり付いた、白く乾いたものは、男の精か。 駆け寄って抱き上げたい衝動に駆られたが、戒められている小十郎には到底無理な話。 だから小十郎は、代わりに牢屋の外を睨んだ。 一体、何のつもりだ。 そう言外に問えば、 「いや何、単身乗り込んできた卿の無謀を称えようと思ってね。 久方ぶりの、愛しい愛しい恋人との逢瀬だ、楽しめばいい――――ああそれと」 佐助の横に落ちている鍵を、指差して。 「それは卿の手枷の鍵だ。くのいちに外してもらえばいい」 「テメェ……どういうつもりだっ」 「脱出できるものなら、そうしてもらっても構わんよ。……出来るものなら、だがね」 「何だと」 意味深な言葉に、小十郎は怪訝な顔をしたが、松永はそれには構わずに踵を返した。 背後の部下たちもそれに付き従う。 まだ聞かねばならぬことがある、制止しようと叫びかけた小十郎だったが、その前に松永がふと、思い出したように振り返った。 「一応の注意はしておこう、今のそのくのいちは、『魔性』だぞ」 軍の若い兵士を数名、虜にした挙句に使い物にならなくしてくれたからな…… かく言う私も、危うく篭絡されそうになったほどでね。 「さて、卿はどこまで保つかな、竜の右目」 愉しげな嗤いを一つ響かせて、今度こそ松永は、闇の奥へと姿を消した。 待て、と小十郎は声を荒げたが、当然のごとく、返事など返ってはこない。 やがて気配は遠退き、硬い靴音も途切れて聞こえなくなった。 忌々しげに舌打をし、だがはっと気が付いて佐助へと再び視線をやる。 佐助は、まだ横たわっていた。 時折ぴくりと細い体が跳ねるところから、気を失っている訳ではないのだと分かったが……。 しかし、薬によって引き出された熱は余程酷いのだろう、苦しげな息遣いが、余りにも耳に痛々しかった。 松永久秀の恐るべき計画8