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いっちゃいけない いっちゃいけない ルディが何か我慢したりする時の言葉(想像)。 実際は言っちゃいない。
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いっちゃいけない いっちゃいけない ルディが何か我慢したりする時の言葉(想像)。 実際は言っちゃいない言っちゃいない。
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世界で一番 ◆DpgFZhamPE 火花が散る。 鉄と鋼が擦れ合い、戦の境界線を生む。 片や銀の甲冑に身を纏いし騎士。 その手に輝く銀の宝剣は、風を斬り敵を斬り栄光を輝かせる。 さぞ生前は数多くの武勲を勝ち取ったのだろう。 その神秘は光輝き、見た者を魅了する。 降り下ろされる刃は雷が如く。 返す刃は焔が如く。 彼の宝剣の前では、あらゆるモノが存在を赦されない。 だが。 だが。 「―――滾る」 だが、しかし。 その輝かしい宝剣は―――何の特別製も無い、ただの武人の槍に弾かれる。 「滾る」 「滾る。滾る。実に滾るッ!!」 撓る槍は神速の如く。 その一撃は、必殺を体現する。 「いやはや、滾る滾る! 年老い死に絶え何を悟った気になっておったのやら―――武とは生き死にの境界を巡ってこそ。 儂も、所詮は檮?茸の如く死に絶えるまで覇を競う化生であったか! 良い、良い。全く以て良い!」 「決闘中に、何をべらべらと……!」 宝剣の勢いが、倍増する。 武人の槍が神速ならば。 その宝剣は土石流が如く、強大な質量と筋力を以て降り下ろされる。 しかし。 しかし、至らず。 武人の首を苅るには覇気が足りず。 技が足りず。身体が足りず。 何もかもが足りていない。 「遅い遅い。良いのか。 其処まで遅く振るうなら―――その宝剣、我が槍で叩き折って終いにするが」 騎士が感じたのは―――殺気。 この一瞬。 時間にしてみればほんの一秒にすら満たぬ間。 何かを思うには、余りにも短い間。 しかし。 剣士は―――己の死を、視た。 「我が槍に『二の打ち要らず』。 必殺必倒、此の槍に一切の矛盾無しと知れ」 回避を。 ―――もう遅い。 防御を。 ―――否、そのような軽い業ではない。 迎撃を。 ―――これだ。 剣士は一切の防御を捨て、己が甲冑に全ての魔力を籠める。 武人の一撃を、受け反らし迎撃を叩き込む。 この状況における最大の一手。最高の一手。 ―――だが、しかし。 それは、この武人を相手にする場合、最悪の一手と化す。 「獲っ―――!!」 獲った。 剣士は、そう確信した。 己が甲冑を信頼していた。 あの様なただの槍に貫かれるほど柔くはないと。 それが、一番の悪手。 一撃必倒。 无二打。 『牽制ですら相対する者を絶命させた』と謳われる、二度を必要としない刺突。 迎撃は叶わない。 『この一撃を受けた後』。 そう判断したことが、最大の過ち。 七孔噴血。 素手ですら一撃で相手を絶命させた、その神槍の撃。 剣士は己の敗北を理解することも無く。 心の臓を貫かれ―――消えた。 ○ ○ 貌に付いた剣士の血が、粒子となって消えて行く。 勝った。勝った。勝った。 この身体を槍と成し、武を競い合い、一撃必倒の名の元にその全てを折り尽くした。 ああ。 これは―――なんて、滾る。 「……フゥー」 吐く息と共に、感嘆が漏れる。 此度も、良い戦であった。 最高の死合いとは程遠いが、それでも胸中を占めたのは、満足だった。 「……終わったか?」 物陰から、少年が姿を現す。 クールな雰囲気を纏わせつつ、何処か軽薄で。 だが、『芯』を感じさせる少年だった。 「……」 「おーい、ランサー……だっけか?」 「―――嗚呼、済まぬ。感慨に耽っておった」 くるりと振り返った武人…ランサーのその姿からは、既に身に纏った覇気はを控えている。 その変貌に少年は驚いたが、如何な武人と言えど、常時戦に興じている訳ではない。 出逢う度に殺しては生きていくのすら難しかろう―――とは、ランサー談だったか。 「さて。主の名は……『クリーン』だったか」 「『グリーン』だよグリーン。それじゃ綺麗になるだけだ」 「おっと済まんな。グリーン……グリーン、良し覚えたぞ」 うむうむと頭を振るランサーに、グリーンはふう、と溜め息を吐く。 実のところ、グリーンは聖杯戦争については何も知識を有していない。 いつも通り彼の世界でポケットモンスター―――縮めて"ポケモン"―――と共にバトルに興じ、絆を育み、ポケモン図鑑の完成へと一歩一歩進んでいた。 ……はずだった。 彼の世界では、誰が落としたものかは知らないが道具が落ちていることが稀にある。 ポケモンが盗んで落としたのだろうとか、誰かが要らぬと棄てたのかは知らないが。 兎も角、誰の仕業とはわからないが落ちているのだ。 そして。 いつもと同じように道具らしきものを拾ったのだ。 ―――白紙のトランプ。 ジャグラーやギャンブラー、火吹き野郎が落としたのかとも思ったが、白紙というのはどうも違和感がある。 そうこうしている内に―――気づけば、此所にいた。 見たこともない街。 相棒のポケモンすら、手持ちにはいない。 こんな状態では街の外にも出られない。 こんな危険な状況でよく記憶を失っていたとはいえのうのうと生きていたものだと自嘲する。 そうして。 とりあえず元の場所に帰るためにモンスターボールでも買って鳥ポケモンでも捕まえなければ、と歩き出した後に出会ったのが、ランサーだった。 直ぐに襲ってきた剣士と戦闘を開始してしまったが、色々な事を話した。 取り敢えずはお互いを知ることだろうと。 自分は祖父の目的であるポケモン図鑑の完成のため冒険していたこと。 ポケモンリーグという強さの頂点に立ったこともあること。 ……そして、すぐに負けて幼なじみに座を奪われたこと。 そして、ジムリーダーにもなったこと。 その全てを、ランサーは静かに聞いていた。 「ふむ。言うならば軍師のようなものか。 そして最強の座に立ったが、負けたと」 「まあ、そうなるな。……そう省略されると何か、こうモヤモヤするけどな」 「その主を倒した"レッド"とやらは、今どうしている?」 「さあな。無口なヤツだからな。どっかで武者修行でもしてんじゃねーの?」 再度ふむ、と顎に手を置くランサー。 その所作は戦闘時の苛烈さとは裏腹に、礼儀を感じさせるものだった。 「さてグリーン。いや、マスターよ。 主に一つ問うておきたいことがあるが」 「? なんだよ」 直後。 ランサーの眼光が、グリーンを見据える。 「―――日和っているな、マスター」 「ひよ……っ!?」 放たれた言葉に、強く反発する。 誰が日和っているのかと。 毎日自分はジムリーダーとして腕を磨き、強くなっていると。 努力を怠っていないことを、強く主張した。 サーヴァントだか英霊だか知らないが。 ポッと出の人間に知ったような顔で分析されたことが、彼の腹を立てた。 「では聞くが。マスターはレッドのやらに座を奪われた後。 その座を奪い返そうと躍起になったことはあるか?」 「…それは…」 「無かろう。勝負に負け、後続を育てる位置に着く。 それも間違ったことではない。 しかし―――惜しいものよ。最強の座を一度は手にしておきながら、勝の心の高鳴りを知っておきながら安寧に浸るとは」 図星、だった。 何時からか―――自分はレッドを己と競うライバルとして見ずに。 何処か、共に生きる仲間として見てはいなかったか。 負け、越えることを止めてはいなかったか。 「…じゃあ、どうしろってんだよ」 「決まっておろう」 即断だった。 ランサーは、グリーンを見据え、当然のように、告げた。 「儂を使え」 「……はぁ!?」 「"強くなりたい"と言われれば他所を当たれと言うがな。 主がマスターとして選ばれたのも何かの縁。軍師と言うならば、この儂を使って聖杯戦争を勝ち抜いて見せよ。 呵々、そう案ずるな。儂も儂でこの戦争を楽しむまでよ。 主はその中で経験を積めばよい」 一言で言えば、呆然、だった。 この男は何を宣っているのかと。 要するに。 この男は、自分を使ってポケモンバトルをしろと言っているのだ。 思考がブッ飛んでいる。 常人には理解できない極みだ。 だが。 だがそれは―――何とも、胸が高鳴った。 それは、トレーナーとしての性か。 仲間と共に戦いを勝ち抜き、成長する喜びか。 それとも、戦士としての生き甲斐か。 何にせよ、その提案は、グリーンの心を高鳴らせた。 「…ああ、良いぜ」 「見せてやるよ」 「この俺様が!」 「世界で一番!」 「強いってことをな!」 ああ、見せてやろう。 この槍兵に、自分を侮ったことを後悔させてやろう。 自分を認めさせ、己以上の軍師だと見せつけてやろう。 ……少し、変わってはいるが。 彼らなりの、サーヴァントバトルが幕を開けた。 【出展】Fate/Grand order 【CLASS】ランサー 【真名】李書文 【属性】中立・悪 【ステータス】 筋力B 耐久C 俊敏A 魔力E 幸運E 宝具――― 【クラス別スキル】 対魔力 D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 【保有スキル】 中国武術(六合大槍):A+++ 中華の合理。宇宙と一体になる事を目的とした武術をどれだけ極めたかの値。 修得の難易度は最高レベルで、他のスキルと違い、Aでようやく“修得した”と言えるレベル。 +++ともなれば達人の中の達人。 ランサーとして召喚されているが、槍術含めて八極拳を極めている。 圏境:B 気を使い、周囲の状況を感知し、また、自らの存在を消失させる技法。 極めたものは天地と合一し、その姿を自然に透けこませる事すら可能となる。 アサシン時よりワンランクダウンしている。 絶招:B 無敵貫通及び己の性能アップ。 絶招とは、中国武術における必殺の意――すなわち“一撃必殺の奥義”を意味する。神槍として絶招を解き放った時、李書文の前に凡そ貫けないものは無くなる。 【宝具】 『神槍无二打』 ランク:― 種別:対人宝具 レンジ:2~5 最大補足:1 しんそうにのうちいらず。 『燕返し』または『无二打』同様に宝具として昇華されるまでに極まった術技。 生前の異名である「二の打ち要らず=无二打」がカタチとなったもの。 厳密には英霊の象徴であるアイテムとしての宝具ではなく、武術の真髄。 彼の修めた八極拳の絶招(奥技)。 達人としての優れた勁力から放たれる単純な破壊力だけでなく、自身の気で周囲の空間を満たすことで形成したテリトリーで相手の「気を呑む」ことで相手の感覚の一部を眩惑させ、緊張状態となった相手の神経に直接衝撃を打ち込むことで迷走神経反射(ショック死)を引き起こし心臓を停止させる。 「気を呑む」という中華の武術の技法は、むしろ仙道に近い。 西洋魔術の知識に照らし合わせた場合、自身の魔力を相手に打ち込み、相手の魔術回路を乱してダメージを与える、という解釈になる。 「毒手」とも言い表された。 効果は上記のアサシン召喚時の『无二打』と同じだが、槍を持つ分レンジが幅広い。精密動作性も素手とさして変わらないと推測される。 【人物背景】 ランサーとして召喚された、肉体が全盛期の李書文。 近代の生まれでありながら、数々の伝説を刻んだ中国の伝説的武術家。 八極拳の使い手としてももちろん名高いが、槍技の精妙さは「神槍」として讃えられたほどの腕前。 清朝末期、滄州に生まれた李書文は八極拳を習い始めるとたちまち頭角を表し、拳法史史上でも最強と謳われるまで上り詰めた。 千の技を学ぶより一の技を徹底的に磨き上げることで、文字通りの一撃必殺を体現した。 一度契約すれば仁義は通す。 人の理を知り情も有りながら戦に生き、生死を楽しむ戦士。 【サーヴァントとしての願い】 マスターを軍師として、この聖杯戦争を楽しむ。 【出展】 ポケットモンスター 金・銀(ハートゴールド・ソウルシルバー) 【マスター】 グリーン 【参戦方法】 落ちていた道具を拾ったら白紙のトランプだった。何故こんなものが落ちているのかとも思ったが、技マシンが落ちている世界観なので特に気にはしていない模様。 【人物背景】 14歳の少年。 完全に自立している。 オーキド博士の孫で、ナナミという姉がいる。 主人公のレッドは幼なじみでありライバルでもある。 主人公と同様にマサラタウンを旅立ち、RGBP・FRLGの作中7度に渡って彼・彼女の前に立ちはだかる。 最後はポケモンリーグチャンピオンとして主人公とラストバトルを繰り広げる。 一人称は「オレ」。 自信家で、主人公と出くわすと嫌味や自慢話をたびたび切り出してくる。かなりエラそうな言い方をする。 だがポケモンバトルの結果は(負けた言い訳を探したりもするが)しっかりと認めるため、根っからの“嫌な奴”ではない模様。 その大口に見合った実力を備える手ごわい相手でもあり、特に物語ではいきなり画面外から現れてバトルに突入する初見殺しな一面もある。 現在はサカキに代わり、トキワジムの新しいジムリーダーに就任している。 【weapon】 なし ポケモンはどうやらついてこれなかった模様。 【能力・技能】 一度はチャンピオンとして輝いたトレーナー、ジムリーダーとしてのズバ抜けた指揮能力と状況判断能力。 相手を見る判断能力や習性・特性を見抜く観察眼も高い。 【マスターとしての願い】 特になし。 ランサーにこのサーヴァントバトルで己の強さを認めさせる。 【方針】 ランサーにこのサーヴァントバトルで己の強さを認めさせる。
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和「ふう……ごちそうさま」 憂「ごちそうさま~♪」 和「さて、後片付けをしないと」 憂「あっ、それは私が一人でやるよ!和ちゃんは座ってて!」 和「でも……」 憂「いいからいいから!」 和「う~ん……それじゃお言葉に甘えさせてもらおうかしら」 憂「うん!」 楽しい楽しい夕食も終わりました。 和ちゃんと二人っきりでご飯なんて久しぶりだったので、とても楽しかったです! でも…… 憂「和ちゃん、もう帰っちゃうよね……」ジャー そう、もう夜も遅いので和ちゃんも家に戻らないといけないでしょう。 また明日の夜まで一人ぼっちかあ…… 憂「……」ジャー ……私って、一人でいるとダメなんだなあ。 いつも一緒にいるお姉ちゃんがいないと、改めて痛感させられます。 憂「……」カチャッ 憂「……終わっちゃった」 後片付けも終わり、あとは和ちゃんを見送るだけです。 和「憂~?」ヒョイッ 憂「!」 和「お風呂はどうする?憂が先に入る?」 憂「え……お風呂……?」 キョトン、と。 てっきり「もう帰るわね」と言われると思っていたので、思わぬ言葉を聞いて目を丸くしました。 和「何よその顔」クスクス 憂「えっ、えっ?」 和「まったく……いつでも頼っていいって言ったでしょう。そんな顔してる憂を放って帰るなんて、私には出来ないわ」 憂「の、和ちゃん……!」 和「今日は泊まらせてもらっていいかしら?」 憂「はい、もちろん!ありがとう和ちゃ~ん!」ガバッ 和「きゃあっ!?」 憂「えへへ、和ちゃん大好き!」スリスリ 和「ち、ちょっと……。もう、こんなところは唯とそっくりなんだから」 憂「姉妹だもん」 和「はあ……そうね」 憂「和ちゃ~ん♪」 和「よしよし」 和ちゃんあったかい…… 本当に頼りになるお姉ちゃんです。 和「……」 憂「……」 和「……それで、お風呂はどうするの?」 憂「えっと……一緒に、入りたいなあ」 和「やっぱりそうなるのね……」 やれやれ、といった表情の和ちゃん。 わがまま言いすぎちゃってるかな? でも、今日は誰かと一緒に入りたい……そんな気分なのです。 憂「だめ、かな?」 和「……」 憂「和ちゃん……」ウルウル 和「もう、そんな顔しないの!分かったわよ、一緒に入るから」 憂「わあ……!」 和「まったく、コロコロ表情変えるんだから……」 憂「お風呂溜めてくるね!」ダダッ 久しぶりに和ちゃんと一緒にお風呂です! …… 憂「いいお湯だったね~♪」 和「……そうね」ゲッソリ 憂「元気ないけどどうしたの?」 和「憂、あんたがはしゃいだからよ……」 憂「え?そうかなあ……」 確かにいつもよりはしゃいじゃった気もします。 あんまり自覚はないんですけどね。 和「唯と一緒に入ったのかと思ったわ……。憂の評価を改めないといけないかも」 憂「えへへ、そうかな~?」テレテレ お姉ちゃんと似ている、ってことでしょうか? だとしたら、私にとってはすごく嬉しい言葉です! 和「褒めてないわよ」コツンッ 憂「あいたっ!?」 和「もう……子供っぽいとこは唯とそっくりね」 憂「……えへへ」 私が子供っぽくなってるのは、和ちゃんの前だからだよ? …… 和「さ、寝ましょう」 憂「うん、電気消すね」 お風呂を上がってからは二人でのんびりと話をしました。 色々な話を聞けて楽しかったのですが、あっという間に楽しい時間は過ぎてしまいます。 夜更かしするのもよくないので、もう寝ることになりました。 和「んしょ……っと」 憂「いらっしゃい、和ちゃん♪」 何も言わずに一緒に寝てくれる和ちゃん。 本当に私のことはお見通しのようです。 何だか少し恥ずかしいなあ…… 和「……」 憂「……」 和「……」 憂「……」 シン、と静まり返った部屋。 時計の針が時を刻む音だけが響き渡ります。 和「ん……」 憂「……」 今、私は和ちゃんと向かい合っています。 和ちゃんは目を閉じていますが、私はその顔をじーっと観察中…… 本当に端正な顔立ちです。 憂「……コンタクトにすればいいのに」 和「……コンタクトは怖いのよ」 憂「ふえっ!?」 ボソッと呟いただけなのに、返事が返ってきました。 見ると、和さんの目はしっかりと開いてこちらを見つめています。 憂「えっと……怖いの」 和「……怖いの。目に何かを入れるって行為が」 憂「……」 どうしよう。 和ちゃんすごく可愛いです。 和「な、何よ悪い!?」 憂「悪くないよ!和ちゃん可愛いよ!」ギュー 和「こ、こら!暑いんだからあまりくっつかないの!」 憂「暑いの?じゃあクーラーつけるね」ピッ 和「そういう問題じゃ……」 憂「和ちゃんあったかい……」 和「……もう」 憂「……」 和「……」 和ちゃんとくっついたまま、静かに時間が流れます。 心地よい沈黙…… 和ちゃんはあったかくて、すごく安心します。 和「……コンタクト、ね」 憂「……ん?」 和「怖いっていうのもあるんだけど……あの眼鏡、気にいってるのよ」 憂「そうなの?」 和「ええ。だってあれは……」 憂「あれは?」 和「唯と憂が選んでくれたものだから……」 憂「!」 そうです。 あの眼鏡は、高校進学時に私とお姉ちゃんが和ちゃんに似合う眼鏡をプレゼントしよう、と思って選んだものなのです。 和「だから、しばらくはこの眼鏡を使わせてもらうわ」 ふわっと、優しく笑う和ちゃん。 わあ……! 憂「のどかちゃ~ん!」ギュウウッ 和「わっ!?ち、ちょっと憂……苦しいわよ」 憂「和ちゃんはいい人だよ~!」 和「はいはい……さあ寝るわよ」 憂「うん!」 今度は目を瞑って眠りにつくことにします。 もちろん和ちゃんに抱きついたまま…… 憂「……」 和「……」 和ちゃんは優しくて、しっかりしてて、頼りになって…… 勉強が出来て、お料理も上手で、色々なことに気が回せて…… 私の憧れの存在です。 憂「おや、すみ……のどか、ちゃん……」 和「おやすみ、憂」 …… 唯「うい~!たっだいま~!」 憂「おかえり、お姉ちゃん!」 和ちゃんのお泊りから時間がたち、翌日の夜。 ついにお姉ちゃんが帰ってきました! 唯「一日ぶりだねうい~!」ギュウッ 憂「お姉ちゃん、苦しいよ~」 一日ぶりのお姉ちゃんのハグです。 えへへ……やっぱりあったかい。 唯「憂、一人で大丈夫だった?」 憂「うん、和さんも来てくれたし……」 唯「え~、和ちゃん来たの!?もしかしてお泊まりしたの?」 憂「うん、一応。一緒にお風呂に入ったり、寝たり……」 唯「ええっ!?ずるいずる~い!」 憂「そんなこと言われても……」 どうやらお姉ちゃんは、和ちゃんとのお泊まりに参加できなかったことが不満のようです。 いくらお姉ちゃん相手でも、これは自慢したくなりますね。 えへへ、羨ましいでしょ? 唯「む~……よし!今度は三人でお泊まり会しよう!」 憂「えっ?」 唯「私と、憂と、和ちゃん。久しぶりに三人でね!」 憂「……」 唯「えへへ、楽しそうでしょ?」 憂「……うん、そうだね!」 私と、お姉ちゃんと、和ちゃん。 それは、きっと昨日の何倍も楽しくなることでしょう。 唯「でも、その前に!」ギュッ 憂「ひゃっ!?」 唯「今日は私と憂でお泊まり会だよ!まずは一緒にお風呂!」ダダッ 憂「お、お姉ちゃん引っ張らないで~!」 唯「せっかくの夏休みなんだし、思いっきり楽しまないと!ね、憂♪」 憂「……そうだね、お姉ちゃん♪」 しっかりしてて、頼りになる優しい和ちゃん。 あったかくて、私を元気にしてくれるお姉ちゃん。 すごく可愛くて、とても素敵なお姉ちゃん二人に囲まれて、私はきっと…… 唯「うい~、ほらほら早く~!」 憂「お姉ちゃん待って~!」 きっと私は、世界で一番の幸せ者です♪ 憂「でもお姉ちゃん、受験生なんだから勉強もしなきゃダメだよ?」 唯「はうっ!?痛いところを……」 終わり♪ 戻る
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作者:Elika あなたの喜ぶ顔が見たくて、今日、街に出ました。 イルミネーション、オーナメント、街全体が赤と緑で縁取られていました。 ふと覗いたおもちゃ屋さんは、たくさんの大人で埋め尽くされていました。 ああ、この大人の数だけたくさんの子供たちが、クリスマスにプレゼントをもらえるんだな、と思うと なんだかとっても嬉しくなりました。 クリスマス、幸せな子供たちがこんなにたくさんいることが、なんだかとっても嬉しくなりました。 そして、こうしてあなたに伝えられる事が、幸せだと感じました。 あなたの喜ぶ顔が見たくて、今日、街に出ました。 幸せに溢れた街に出ました。 幸せな気持ちのまま、あなたへのプレゼントを選びました。 世界で一番幸せな買い物をした気がします。 明日、送ります。
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これは笑っちゃいけないシリーズの続編です 長門「しつこすぎる!」 バチーン!! 長門「痛っw」 ハルヒ「古泉君、しつこすぎwww」 キョン「順番変えて言うのはマジ反則だろ・・・・」 朝倉「いやほんと・・・・身内で争うのやめよう・・・」 キョン「古泉、マジでいい加減にしろよ!!」 古泉「だって僕がやられっぱなしはつまんないですもんww」 長門「・・・・・・はっw」 藤原「長門、アウトー」 長門「・・・・・!!(怒)」 バチーン!! 長門「くうっっ!!」 ハルヒ「もう・・・・いいから早く温泉行きましょ!」 朝倉「そうよね、ここでぐずぐずしてるとまたいらない笑いが増えそうだし」 みくる「私、着替え持ってきますね」 キョン「んじゃ、俺も持ってくるか」 古泉「ここって混浴でしょうか?」 ハルヒ「多分、普通にわかれてるでしょ」 長門「・・・・あー、しんどい・・・」 ・・・・・40分後 ハルヒ「いやー、いいお湯だったわねぇ」 キョン「ほんとだな、これだけでもここに来た甲斐があるってもんだ」 朝倉「お尻の痛みさえなければもっといいのにね・・・」 長門「それは言わない約束・・・・・」 女将「失礼します」 古泉「ああ、女将さん」 キョン「どうかしました?」 女将「お客様が見えております」 朝倉「誰かしら?・・・・」 佐々木「どーもー」 キョン「おお、佐々木じゃないか」 朝倉「誰よ・・・私全然知らないわよ!!」 長門「・・・お前途中で死んだからな・・・・・」 ハルヒ「あらー、佐々木さんじゃない!」 みくる「こんばんわぁ」 佐々木「みなさんに差し入れを持ってきました、良かったらどうぞ」 古泉「いやー嬉しいですねー」 ハルヒ「・・・・・」 長門「・・・・・」 みくる「・・・・・?」 キョン「・・・・・?」 朝倉「どうしたの?」 古泉「マッwwwwwガwwwwwッレレレええええええええええwwwwww」 キョン「・・・・あひっww」 藤原「キョン、アウトー」 キョン「こ~~い~~ず~~み~~~~~~~~!!!!!」 バチーン!! キョン「アラ~~~~~~~~~~~~~~www」 古泉「wwwサーセンwwwww」 ひとまず(完)
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1 2 唯憂和 ほのぼの 2010/07/25 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1280059138/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る いい雰囲気! -- (名無しさん) 2019-10-02 01 06 47 世界で一番は二人いても良いものだ。 -- (エル・プサイ・コングルゥ) 2016-10-03 14 18 05 途中までの憂和の疑似姉妹や唯帰宅後の姉妹の会話など楽しめるところがたくさん。 -- (名無しさん) 2016-08-07 21 30 16 皆さんの指摘通り、素晴らしいの一言ですね。 -- (名無しさん) 2015-11-26 23 21 59 これは良い平和。 -- (名無しさん) 2015-01-25 01 48 31 憂が唯一べったりのダダ甘えになるのが和ちゃんなんですな。 -- (名無しさん) 2014-09-07 21 19 06 和っちゃんの母性と憂の愛らしさ、両方が堪能できる秀作です。 最後に唯がお風呂に誘うシーンもいい。 -- (名無しさん) 2014-05-15 01 20 38 このシリーズ(?)は和ちゃんのお姉さんっぷり、姉妹の可愛さ、澪律の名コンビっぷりが感じられるので大好きです! -- (名無しさん) 2014-03-29 01 13 15 お風呂シーンの詳細をkwsk!!!(蹴 -- (名無しさん) 2012-10-22 13 13 50 いいのぉ〜可愛いね。 -- (通りすがり) 2012-10-22 12 36 59
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【検索用 せかいていちはんちかくにいるのに 登録タグ 2008年 VOCALOID samfree せ 初音ミク 曲 曲さ 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:samfree 作曲:samfree 編曲:samfree 唄:初音ミク 曲紹介 作り手名:『世界で一番近くに居るのに』(せかいでいちばんちかくにいるのに) 歌詞 出会えた日から 今日までいつだって 君のことばかり見ていた 喜び悲しみすべて分け合って どんなときもそばにいるよ 今以上なんて求めたりしないよ 変わることのない永遠があるから 世界で一番近くに居るのに今 触れること叶わない距離 世界で一番愛しいという この気持ち 歌い続けているよ 君のために いつでも無邪気な顔で笑う君 優しい気持ちにさせるよ そんな君が居るから頑張れるよ 気づけば私も笑ってた 巡り合えた事 奇跡にありがとう 一緒に居られるそれだけで幸せ 世界で一番近くに居るのに今 願うこと許されぬ夢 世界で一番大切な君のもとへ 心へ届くように 歌に乗せて 世界の片隅歌い続ける私 たくさんの想いを抱いて 世界の片隅君がくれたこの声で いつまでもこの場所で 世界で一番近くに居るのに今 触れること叶わない距離 世界で一番愛しいという この気持ち歌い続けているよ 君のために コメント 私的にこの歌すっごい好きですw一部だけだけど共感できるし・・・ -- 名無しさん (2008-07-10 07 52 03) 自分の中のトップ10に入ります -- 名無しさん (2008-07-26 16 45 44) 殿堂入りおめでとうございます! -- 名無しさん (2008-08-27 19 03 58) 殿堂入りおめでとぉー! -- 名無しさん (2008-08-27 19 35 21) ドラマのエンディングのイメージ -- 名無しさん (2008-10-23 21 13 32) 好い曲ダネ!! -- 那賀 (2008-11-01 19 03 57) 歌詞に共感できます!! -- セロリジュース (2008-11-25 17 03 46) samfreeさんの曲で一番好き! -- 通りすがった人 (2009-01-03 10 23 18) この歌本当に好き -- 名無し (2009-01-04 19 10 18) 歌詞めちゃくちゃ良い!泣ける曲だー!!!!!!!! -- 名無しさん (2009-01-05 11 58 19) これ好きだ!ありがとう! -- 名無しさん (2009-01-29 20 24 09) 素直で素朴で、素晴らしい曲です!! -- ASK (2009-01-31 18 20 28) 現実の世界の自分と、PCの中のミクの関係を歌った曲みたい -- 名無しさん (2009-03-22 02 10 16) 世界で一番近くに居るのに届かないなんてね。 -- なぁ (2009-03-27 00 35 08) 初めて聞いたとき、パソの前で泣きました…。すごく、良い曲だと思います。 -- 名無しさん (2009-04-19 12 14 29) 感動した。。。。 -- 名無しさん (2009-05-16 09 30 41) 歌詞のすべてが最高!!この曲を聴けて本当によかった! -- 味付けのり (2009-06-18 21 00 14) 心にジ~ンとくる歌は久しぶりです!初音ミク万歳!! -- ふぇいんとぉ~ (2009-08-20 12 23 03) いつ聴いてもうるうるくるよ。ミクが -- MARISA (2009-10-20 19 20 58) この曲大好き -- 名無しさん (2009-11-15 16 26 27) イントロとか素晴らしい -- 名無しさん (2009-11-22 15 03 10) 歌詞が凄いいい -- 名無しさん (2009-12-06 16 12 36) 涙が止まらんよぉ~ -- 名無しさん (2010-02-21 18 40 12) 彼氏と別れたばかりです。ほんとに号泣ですね。。。元彼大好きです。。 -- 美香 (2010-07-26 22 16 59) コメントを一部削除しました。ここは曲についてのコメント欄です。個人的な話題についてやり取りをする場所ではありません。 ミク大好き!!!超好い歌! -- 名無しさん (2010-07-30 19 22 29) ミク歌カラオケはいってねぇ泣 -- 名無しさん (2010-08-22 19 50 47) 神曲だはぁぁぁぁああ(^p^) 泣いた、コレ聴いた瞬間泣いた(´;ω;`) ヤベェもん、泣けるしw ミクさいっこぉおおお! -- 名無しさん (2010-08-22 20 44 47) 純粋に泣ける歌ですっ -- 衣恋 (2010-09-22 17 14 16) ココロのつながりはスクリーンの壁も超えるよ! -- ゆいと (2010-12-19 09 44 32) 「君がくれたこの声」っていう言葉があるから、ミクからマスターへの気持ちの歌かなって思いました。けど、その部分以外は自分の片想いと重ねて、素直に共感できて、涙出ました。。 -- 名無し (2011-01-05 22 04 57) CDで出てないの? 出たら絶対買うのに…もし既に発売してたら教えて下さい! -- 歌才 優 (2011-01-13 09 44 46) ↑Wiki内検索してみようぜ、簡単にわかるから。ちなみに今のところ同人流通のMissing/CDにのみ収録されている模様。入手方法は自力で調べてみよう。 -- 名無しさん (2011-01-13 11 18 01) 泣きすぎて目が赤いよ~~ 本当にいい曲だ(号泣) -- samfreeさん大ファン (2011-03-08 18 38 29) なんだか、初音ミクとの距離が近くに感じられる曲ですね。 -- ミク好きッス (2011-08-14 09 34 48) 名曲♪ -- ゆう (2011-10-28 10 39 25) サビですごく泣きました。samfree様すごいです!いい曲^^ -- 悠 (2012-02-18 16 46 06) 大切な人のそばにいられる幸せを、この歌から感じました。 -- リア (2012-05-01 23 51 26) 大好き -- 名無しさん (2012-05-03 18 41 29) この曲良すぎ~~ -- ひかり (2012-05-12 08 50 02) この曲めっちゃ好き!!今日もこの曲聞いて泣いちゃいました…でも曲のおかげかは分からないけど好きな人と仲直りできました♪素直になるって大切ですね^^ -- 輝燈 (2012-10-24 22 54 27) 世界で一番近くて遠い距離…幼なじみ -- ― (2012-11-08 02 00 58) いい歌すぎる…!久しぶりにこんなに感動した!好きな人は世界で一番近くではないが世界で一番愛しいという気持ちは共感できる! -- 焼きビーフン (2012-12-12 20 30 40) 涙がとまらん(;_;) -- 名無しさん (2013-03-10 19 35 29) CD発売してほしい -- ジャッジメントですの (2013-06-03 22 21 32) この曲が大好きです。あと、ニコ動に出てるDIVAエディット作品が凄く好きです。チロルの・・・。本当にかわいい。 -- 名無しさん (2013-06-11 21 50 17) SAMナイトの人だったんだ~!感動(´-ω-) -- 名無しさん (2013-09-08 19 22 15) まだ聴いたことありませんが、samさん好きなので聴いてみようと思います。 -- ミクが嫁です。 (2015-02-05 07 44 36) この曲めっちゃ良い泣ける -- 名無しさん (2018-03-28 15 50 34) ああ…いいな… -- 藍瑠 (2020-02-26 17 10 37) 藍で満ちてる -- 名無しさん (2020-09-02 11 19 43) ↑間違えました、愛で満ちてるです -- 名無しさん (2020-09-02 11 20 12) 鹿乃さんのカバーも良いですよ‼︎ -- ももんが*・゜゚・* .。 (2021-10-10 08 44 06) 名前 コメント
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12 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/09/08(土) 20 21 15.56 ID ob6RIxxx0 姉さんの三回忌は、何の滞りもなく終わった。 たんたんと進んでいったその単純作業に、何か意味があるとは僕には到底思えなかった。 親戚たちの会話には、姉さんのこと以上に僕の母さんのことが挙がっていた。 僕の母さんは今入院している。余命はもう、後わずからしい。 あんなに大きく頼もしかった父さんの背中が、この二年で丸く、小さくなった。 僕の家族はもう、再生しようが無いほど、バラバラになっていた。 ――世界で一番やさしい嘘 13 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 22 35.87 ID ob6RIxxx0 学校が終わると病院に行くというのが日課になっていた。 病院に着く前にはっと思いついた僕は、花屋に寄って母さんが好きだったアネモネの花を買った。 アネモネの花束をもって、病室の入り口を抜けた。受付の横を通り、階段を目指す。 途中すれ違ったおじいさんが、僕が手に持っているアネモネを見て、顔をしかめた。 確か、白い花は縁起がよく無かったんだっけ。 それよりも、アネモネの花言葉がいけないのかもしれない。 でもそんなの関係ない。僕の母さんが好きなんだから、それでいいじゃないか。 14 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 23 56.31 ID ob6RIxxx0 看護師の人が僕に気付くと、軽く会釈をしてくれた。僕も慌てて頭を下げる。 毎日病院に通っているので、ここで働く人は大体僕のことを知っている。 僕の母さんのことも。母さんの病気のことも。 母さんの病室は個室で、他に誰も患者がいないから、気兼ねなく毎日来ることが出来る。 病室の扉をノックすると、中から母さんの声が返ってきた。声だけ聞くと昔と変わらない。 扉を開け中に入る。母さんは上半身を起こして、僕の方をじっと見ていた。 「どなたですか?」 母さんはもう、僕のことを覚えていない。よくわからないけど、そういう病気なんだ。 15 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 25 19.92 ID ob6RIxxx0 父さんと一緒に母さんの病気の説明を聞いたけど、高校生の僕にはよくわからない病気だった。 たぶん父さんも完全に理解している訳ではない。 わかったことは、脳がどんどん病気に冒されていって、いずれ死ぬということだけだ。 「花を持ってきたよ。アネモネ、好きだよね」 「あらあ嬉しいわあ。どうもありがとう」 母さんは子供のようにニコニコしている。やつれた頬が、痛々しかった。 花瓶に水を入れ、束になったアネモネを入れて窓際に飾った。 カーテンは全開になっていて、太陽の光がとても眩しく、目がくらんだ。 「いい天気ですねえ」 「うん。そうだね」 殺風景な病室から見える青空が、妙に儚く切ない色に見えた。 16 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 26 39.90 ID ob6RIxxx0 母さんのいるベッドの方からごそごそと音が聞こえた。 振り返ると、母さんがベッドの傍にある小さな机の引き出しから、紙を一枚取り出しているのが見えた。 その紙には見覚えがある。 「これ見て下さいな。うちの娘がコンクールで優勝したときの表彰状です」 僕の姉さんが中学校の時とった、読書感想文のコンクールの表彰状だった。 最優秀賞という字が大きく書かれた紙の下の方に、青木優衣(あおき ゆい)という名前が楷書で書かれている。 母さんは僕や父さん以外にも、病室に訪れる人みんなに、姉さんの話をしていくそうだ。 どんどん記憶を失っていく中で、姉さんの記憶だけが鮮明なものとして残っていた。 17 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 28 01.18 ID ob6RIxxx0 「五万円分の図書券をもらったんだよね。姉さん、こんなの使い切れないってぼやいてた」 「うちの娘は本当に出来た子でねえ。最近見ないけど、元気にしてるのかしら」 姉さんは本当に良く出来た人だった。 勉強は学校でトップだったらしいし、部活でやっていたソフトテニスでは県二位という成績を残している。 優しくて裏表の無い性格で、友達も多かった。何もかも、僕とはまるで正反対だった。 「あの子は本当に優しくてねえ。私が熱を出した時とか、おかゆを作ってくれて……おいしかったわあ。おかゆ」 19 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 29 01.08 ID ob6RIxxx0 どうして姉さんが死んで、僕が生きているんだろう。 どうして母さんは姉さんしか覚えていないんだろう。 あ、そうか。 「誕生日には毎年アネモネの花をもらってるのよ。 あら不思議、花瓶にアネモネが挿してあるわ。誰がやってくれたのかしら」 母さんの中では、姉さんは生きているんだ。 死んでいるのは、僕の方なんだ――。 20 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 30 20.14 ID ob6RIxxx0 病院を出ると、さっきまで病室で見ていたような青空はなく、分厚い雲が空を覆っていた。 この雲が世界中を覆ってしまえばいいのに。光が無ければ、影も消える。 生まれた時からずっと日陰を歩いてきた。 姉さんという光が生み出した影の中で、僕はずっと息をひそめて生きてきたんだ。 光は消えて、影も消えた。影の中にいた僕は、誰にも気づかれることなく、消えていった。 家に着く頃には外は暗くなっていた。冷たい風が体から体温を奪う。 玄関のドアを開けると、中は真っ暗で、まだ父が帰っていないのだとわかった。 二階にある自分の部屋に入り、カバンを床に投げ出しパソコンの電源をつけた。 21 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 31 41.18 ID ob6RIxxx0 インターネットに接続し、アネモネの花言葉を検索する。 『儚い恋』『薄れゆく希望』『見放される』 真っ先に出てきたそれらの言葉を見て、それ以上調べるのをやめた。 自嘲的な笑みがこぼれた。この花言葉と今の現状が、笑えない程マッチしているじゃないか。 本当に、笑えないよ。 ふと携帯の電源を落としたままになっていることに気がついた。 病院に入るとき電源をOFFにしてから、戻すのを忘れていたらしい。 電源をつけ、新着メール問い合わせをすると、父さんからメールが来ていた。 今日は遅くなるから、一人で適当に食べてくれ、とのこと。 姉さんが死に、母さんが病気になってから、家に帰るのが遅い日が多くなった。 そして遅く帰ってきた日は例外なくべろべろに酔っていた。 22 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 32 32.61 ID ob6RIxxx0 大人はずるい。そうやって酒に逃げることが出来るからだ。 僕はどこにも逃げる場所が無い。光が無いと、影も出来ないから。 とりあえず部屋を出て、居間に向かおうとした時だった。 唐突に眠気が襲ってきた。まだ夜の七時半だというのに。 体が重く、反応が鈍い。脳みそが粘土になったような感じだ。 ばたんとベッドに倒れ込むと、意識せずにまぶたが閉じた。 ふと思い出した……明日は僕の、誕生日だ……。 ずぶずぶと体が沈んでいき……徐々に意識が遠ざかっていった……。 23 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 33 32.77 ID ob6RIxxx0 「……! 起きろ!」 ゆっくりと目を開けると、父さんの顔がそこにあった。 何をそんなに慌てて……! いつも頭の隅にある、最悪の予想が頭に浮かんだ。 まさか……母さんが……。ベッドから跳ね起きた。息を呑んで父さんの反応を待つ。 「……いいか。気をしっかり持てよ。……鏡を見てみろ」 母さんのことでは無いのだろうか。だが、父さんの言っていることがよくわからなかった。 「鏡……?」 「ああ」 勉強机の横に立てかけてある全身鏡の前に立った。 鏡に映った人物を見て、心臓が止まりそうになった。 「……姉、さん……?」 25 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 34 34.11 ID ob6RIxxx0 鏡には、十七歳のままの姉さんが映っていた。 いや、着ている服は僕が昨日来ていた学生ズボンに、カッターシャツだ。 これは僕だ。そうか……十七歳になったから、女体化したんだ……。 「……今日は学校を休め。学校の方には俺から連絡をしておく」 「……わかった」 すっかり女声になっていたが、記憶の中にある姉さんの声とは少し違って聞こえた。 でもそれは僕が姉さんの声を喋っているからであって、人が聞いたらたぶん、ほとんど同じ声なんだろう。 「今日は家でゆっくりしているといい」 幾分混乱していた僕だけど、父さんのその言葉には、首を振ってはっきりと否定した。 「病院……行くから……」 父さんは何も言わず、ぽんと肩を叩いて、部屋を出て行った。 時計を見ると、もう朝の七時だった。 26 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 35 55.50 ID ob6RIxxx0 父さんが仕事へ行った後、姉さんの部屋に行き洋服ダンスをあさった。 顔だけでなく、背丈から体型まで姉さんそのものなので、姉さんの服は全部僕にぴったりだった。 適当に服を選んで、鏡の前に立つ。服を着替えると、ますます姉さんそっくりだ。 姉さんを知る人が僕を見たら、気絶してしまうかもしれない。 母さんは今の僕を見て、何を思うだろうか。男の時の僕と同じ反応だろうか。 それとも……。 下駄箱の奥から姉さんが使っていたシューズを取り出し、履いてみた。 やっぱりサイズはぴったりだった。玄関を開けると、昨日の雨雲はすっかり消え失せ、青空が顔を見せていた。 女になってからも、やはり青空は不快な眩しさを放っていた。 27 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 37 15.91 ID ob6RIxxx0 病院の入り口をくぐり、階段を上り、いつもの病室の前に出る。 青木の名札がかけられている病室。もう見慣れたものだ。 ノックをする。いつもの母の声。何も、変わらないのか……? そう思い扉を開けたが、僕を見る母の目は、今まで見たこと無いくらい輝いていた。 「優衣……! 優衣! 来てくれたのね!」 「あ……母さん……」 「さあ、こっちに来て座りなさい。学校はどうしたの? 今日は休みなの?」 僕は迷った。自分は優衣では無いと言うべきなのか。 でもこんなに嬉しそうな母さんを見るのは、病気になってから初めてだった。 僕に母さんから笑顔を奪う権利なんて、あるのだろうか。 28 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 38 36.88 ID ob6RIxxx0 「今日は……創立記念日で休みなの」 「あらそう。良かったわねえ。貴方が来るのを知ってたら、メロン食べずに取っておいたのに!」 痩けて肉がそぎ落ちた顔で、満面の笑みを浮かべる母さんを見て、僕の方まで嬉しくなってしまった。 「聞いてよ優衣。あのね、母さん昨日ね……」 饒舌になった母は、止まることなく話し続けた。僕はときどき相づちをうちながら話を聞いていた。 注射が下手な看護師や、まずい入院食のことなども話していたが、一番多いのはやはり姉さんとの思い出話だった。 姉さんが生まれた日から、十七歳で亡くなるまで、一つ一つの思い出話を母さんは語った。 ただ、姉さんが死んだことについては一言も話さなかった。 その部分の記憶が無いから、今の僕を姉さんと思いこんでいるのかもしれない。 29 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 40 00.67 ID ob6RIxxx0 小一時間ほど経ったとき、病室をノックする音が聞こえた。 入ってきたのは、検診にきた担当の医師だった。 「ん……? 君は……」 女体化は医学の分野でも研究が行われている。 病院で女体化した人のカウンセリング等を無料で行っているところもある。 そういうことがあってか、先生は僕を一目見ただけで、僕の正体を見抜いてしまった。 先生が口を開く前に、母さんが先に僕を紹介した。 「先生、ほら、いつも話している私の娘です。どうです、美人でしょう?」 先生は姉さんが死んだという話を知っている。 母さんが病気にかかったのは、姉さんが死んだことによるストレスが大きく関わっていると前に説明を受けた。 31 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 41 11.22 ID ob6RIxxx0 先生が僕の方を見る。僕は無意識に訴えるような視線を投げかけていた。 一瞬だけ、先生が小さく頷いたような気がした。 「……ええ、写真で見た通りですね」 「でしょう!」 先生は僕の意図を汲み取り、母さんの話に合わせてくれた。 この時既に、自分の正体を明かすという選択肢は、僕の中で消滅していた。 いや、消滅したのは僕自身か。 「はい。検診終わりです。何かありましたら、ナースコールで。それじゃ」 先生は僕をちらっと一瞥し、少し会釈しただけで部屋を出て行った。 全てを委ねる、ということなのか。 「母さん。お昼になるから、ご飯食べてくるよ。食べ終わったら、また来るから」 「うん、そうね。ご飯食べないと元気出ないもんね。お母さんも頑張るから!」 32 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 20 42 48.64 ID ob6RIxxx0 病室の扉を閉め切るまで、笑顔で手を振り続ける母が見えていた。 僕は姉さんじゃない。それはわかってる。 姉さんの代わりにはなれない。それもわかってる。 ――それでも、最期の時まで、僕は姉さんのふりをし続けよう。 母さんの記憶の中で生き続けているのは、他の誰でもない、僕の姉さんだけなんだから。 本当の僕は、もう死んでいるのだから。 48 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 29 29.32 ID ob6RIxxx0 家に帰ったのは、日が暮れてからだった。 父さんは先に家に帰っていて、遅く帰ったことを叱られるかと思ったが、そんなことは無かった。 夕食の時、父さんに昼間のことを話した。 これから母さんの前では姉さんに成りきるつもりだということも。 最初は猛烈に反対された。久々に見る父の怒りの顔だった。 死者に対しての冒涜だと言われたが、僕はもう死んでる、と言ったら、父さんはそれ以上何も言わなくなった。 母さんは父さんのことも覚えていなかった。僕たち親子は、もう死んでいるのだ。 夕食を食べ終わった後、食器を洗う父さんの背中が、今日は一段と小さかった。 49 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 30 33.83 ID ob6RIxxx0 それからも毎日、学校帰りに病院に寄った。 担当の先生が他の医者や看護師に僕のことを話しておいてくれたらしく、僕の正体がばれることは無かった。 僕と話している時の母さんは、病気が回復しているのではないかと疑う程元気に笑う。 そんな母さんを見ていると、僕の方も病気のことなど忘れるくらい楽しかった。 それでも病気の方は確実に進行しているらしく、日に日に症状は悪化していった。 50 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 32 06.22 ID ob6RIxxx0 「あのねー。先生がー、わたしの絵をほめてくれたの。いい絵だねって。上手くかけたら、ほめてくれるの」 母さんの記憶は徐々に幼い頃に戻っていき、姉さんの話すらあまりしなくなった。 それでも記憶の片隅に姉さんが生き続けているらしく、ふと思い出したように語り出す。 完全に姉さんの記憶が消えたら、僕が姉さんのふりをする必要が無くなるのだが……。 そのとき僕は、一体誰なんだろうか。 母さんの中の姉さんが死んだら、僕はこの世から完全に消滅するんじゃないだろうか。 それでもいいかと、最近思えてきた。この世界には、辛いことがあまりにも多いから。 51 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 33 57.33 ID ob6RIxxx0 ある日学校にいるときに、病院の方から連絡が来た。母さんの容態が急変したという報せだった。 学校の外に父さんが仕事で使うバンが止めてあり、それに乗り込んだ。 青い顔をした父さんが震える手でハンドルを握っているのを見て、僕は何も言えなかった。 病院につくと入り口で先生が待っていた。 父さんは開口一番母さんの容態のことを聞いた。 先生は病室で説明すると言って、僕らはそれに従った。 はやる気持ちを抑えて、先生と一緒に母さんがいる病室へ向かう。 ベッドには、呼吸器をつけて静かに横たわる母さんの姿があった。 先生が父さんに何か言っていたが、僕はそれをあまり聞いてはいなかった。 52 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 36 53.76 ID ob6RIxxx0 ついに母さんは喋ることさえ忘れてしまった。 母さんの脳を冒している病気は、記憶のみならず、母さんが培ってきた人格さえ破壊したのか。 もう僕が姉さんの真似をしても、意味は無いのだ。 先生が喋らなくなると、部屋に静寂が訪れた。父さんは声を殺して泣いていた。 それを見てようやく自分も泣いているということに気がついた。 悲しみに満ちた病室で、電子的な機械音だけが、時を刻んでいた。 それからずっと、母さんの傍にいた。 先生や看護師の人たちが代わる代わる病室に来たが、それに対応する気力を僕も父さんも持っていなかった。 53 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 38 55.58 ID ob6RIxxx0 僕も父さんも、一言も喋らないまま、夜が明けた。 さっきまで看護師の人がいたが、今病室にいるのは僕と父さんだけだ。 締め切ったカーテンから、外の光が漏れている。 母さんの意識があったなら、言葉が喋れたなら、きっとカーテンを開けてと要求するだろう。 54 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 40 46.89 ID ob6RIxxx0 そのとき、カーテンの隙間から差し込んでいた一筋の光が、眠っている母さんの顔にすーっと伸びてきた。 僕と父さんは、まるで魅入られたかのようにその光の動きを目で追っていた。 光は迷うことなく、母さんを目指して一直線に進んでいく。 光が母さんの顔の上まで来たとき、奇跡が起こった。 眠っているはずの母さんが、ゆっくりとまぶたを起こし、僕たちを見たのだ。 僕と父さんは声にならない悲鳴を上げて、椅子から立ち上がった。 母さんは呼吸器をつけたまま、懸命に口を動かし何かを喋ろうとしていた。 55 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 41 50.42 ID ob6RIxxx0 すぐに父さんが駆け寄り、母さんの呼吸器をそっとずらし、耳を近づけた。 僕も父さんに続いて母さんの口元に耳を近づける。 その時祈るような気持ちだったのは、きっと父さんも同じだったんだろうと思う。 「あなた……」 「……!」 小さく、か細い声で、それでも確かに母さんは、そう言った。 父さんが必死に嗚咽を我慢しているのがわかった。 母さんは、父さんのことを覚えていたのだ。 最後の最後まで、父さんを忘れてはいなかったのだ。 56 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 43 47.80 ID ob6RIxxx0 「それに……」 母さんは苦しそうに呻いた。まだ何か喋ろうとしている。 僕も父さんも、何も言わずに母さんの言葉を待った。 それは永遠とも思える時間だった。 57 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 45 23.71 ID ob6RIxxx0 「……」 58 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 48 24.15 ID ob6RIxxx0 「……」 59 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 50 03.64 ID ob6RIxxx0 「……」 61 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 52 11.41 ID ob6RIxxx0 「……ユウ君――」 「――!」 死んだはずの、男の名前だった。 62 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 53 37.81 ID ob6RIxxx0 母さんは、僕のことも忘れてはいなかった。 消滅したはずのその存在が、光に照らされ再び輪郭を取り戻す。 その者がいるのは、影の中ではない。優しい光に満ちあふれた場所だ。 僕は、生きている。僕は、僕だったんだ。 病室に医者と看護師が駆け込んできた。 途端に母さんが咳き込み、心電図が乱れる。 僕と父さんは母さんの手をしっかり握り、最期の時を待った。 63 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 54 29.15 ID ob6RIxxx0 全て、終わった。母さんは安らかな顔で逝ってしまった。 まるで生きているようだった。まだ体温を感じるその体に、死が訪れたという実感は沸かなかった。 母さんのいる病室を後にし、僕たちは医務室へ連れてこられた。 先生に深く頭を下げ、僕たちは泣きながら挨拶を交わした。 その後、親戚へ連絡しなければならないため、部屋から出ようとした僕たちを、先生は呼び止めた。 「これは……理恵さんから口止めされていたことなのですが……」 それを聞いたとき、枯れ果てたと思っていた涙が、再び流れ始めた。 64 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 56 25.24 ID ob6RIxxx0 母さんは嘘をついていた。 本当は、僕の正体を知っていて、わざと知らないふりをしていたのだ。 母さんは先生にこう言ったらしい。 あの子が私を励まそうとしてる。だからもうしばらく、騙されたふりをしようと思う、と。 思ったより病気の進行が早く、言い出せないまま危篤状態になってしまった。 それでも母さんは、最後の力を振り絞って、僕の存在を教えてくれた。 嘘をついていたのは、僕ではなく母さんの方だった。 65 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 58 31.55 ID ob6RIxxx0 「君が女体化してから、理恵さんの記憶の、あなた方の部分が戻ってきたのです。 よくあなた方の話を聞かせられました。ちょっと支離滅裂でしたけど、私がメモに書き取ってあります」 先生は机の上から、何枚かの二つの紙の束を僕たちに差し出した。 僕が受け取った紙には、小学生の時ガラスを割ったことや、中学校のテストで名前を書き忘れ あやうく零点になりかけたことなど、些細なことでさえそこには書かれていた。 「私から、記憶が戻ったことを話した方がいいと勧めたんですが、理恵さんはそれをしませんでした。 あの子の気持ちを無駄にしたくないから……と。結果的に、あなた方に伝えられないままでしたが……」 66 名前: 世界で一番やさしい嘘 投稿日: 2007/09/08(土) 21 59 09.43 ID ob6RIxxx0 先生がすまなそうにうなだれると、僕と父さんは顔を見合わせて笑った。 「いえ、ちゃんと間に合いました。ありがとうございました」 父さんの声に、以前の力強さが戻っていた。僕の家族はバラバラになどなっていなかった。 心のどこかで繋がっていた固い絆は、不治の病でさえも断ち切ることは出来なかったんだ。 病院から出ると、空は眩しいほどの青空だった。 鮮やかな青色に、もう不快感は感じなかった。 ――世界で一番やさしい嘘 終
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18 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2007/02/19(月) 15 23 00 ID OWay/RFW0 ちょっと場つなぎに。 開かずじゃないんだけど、閉めちゃいけないってのは? おばさんの実家が古い仕出し屋で、弟が生まれるんでひと月くらい一人で預けられたことがある。 店は大人ばかりで忙しそうで、敷地の中の探検ばかりしてた。 表が店と母屋で、裏に厨房と蔵と、昔は使用人の部屋で今は倉庫になってる離れがあった。 その離れの隅っこに物置があって、すりガラスの引き戸が必ず少し開いてて 中に皿とかお椀とかがあるのが隙間から見えた。 入ろうしたこともあるんだけど、見た目より重い戸で開けるも閉めるも出来なかった。 そのうち板前のにいちゃんと仲良くなり、気になっていた物置の戸の事を聞いたら 「閉めるとお化けがでるんだよ」と言われて、子供心に嘘だろーと思っていた。 別にその後大したことも無く過ごして家に帰った。 何年かしてから、その店が廃業したとおばから聞いたときに、 そのときの話をしたら、詳しいことを教えてくれた。 19 名前: 続き [sage] 投稿日: 2007/02/19(月) 15 25 26 ID OWay/RFW0 昔はその仕出し屋は、婚礼なんかのときにはその家に行って料理してくる方式で、 戦後くらいにそうやって料理しに行った板前が花嫁とできちゃったらしい。 結局店の当主にばれて女の家にも知れて、二人ともその道具のしまってある「支度部屋」で心中した。 その後片付けようとして部屋に入ると変な音を聞いたり、女を見たり、 具合が悪くなるヤツが続出して片付けも出来ず、取り壊そうとすると店の当主が倒れたりして、 どうにも出来ないままになってた。 しかも戸を閉めるとすりガラスにぶら下がってる影がうつるので、 閉めることも出来ず、で結局戸に釘を打って隙間が空いたまま動かないようにした。 俺が預けられてから数年してから店で修行していたおばの従兄弟に代替わりしたんだが、 裏に新しい厨房を作るのでその離れを壊したところ従兄弟が急に倒れ一ヶ月ほどで亡くなり、 店も続けられず廃業になった。結局土地も全部更地になって人手に渡ったんだそうだ。 その従兄弟ってのが俺が仲良くしてもらった兄ちゃんだった。 俺は知らなかったんだが両親は葬式出たらしい。 話聞いたときはすごいショックだった…