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【種別】 超能力 【元ネタ】 Move point=「点を動かす」 【初出】 八巻 【解説】 結標淡希の持つレベル4の空間移動系能力。 一度に飛ばせる距離は800m以上、重量は最大で4520kg。 ただし1000kg以上は身体に負担が大きいらしい。 ちなみに大量の物質を転送する際には出現に先行して空間が歪むらしく、 完全な「瞬間移動」ではない。 登場した空間移動系では最高の能力であり、 単に距離や重量の限界値が大きいだけでなく、 他の空間移動能力と異なり始点・終点が固定されていない。 そのため接触すら必要なく能力を発動でき、 テレポートやアポートはもちろん、自身から離れた2地点間を直接移動させることすらできる。 ただし移動前座標も計算しなければならないため、 白井黒子の空間移動以上に演算負荷が大きい。 位置を把握しなければならない関係上、実用的な効果範囲は有視界内に限られるが、 転移先の状況を考えないなら、一応目視しない場所へも転送可能。 元迎電部隊(スパークシグナル)との戦闘の際、 一方通行を直接見えない80メートル先の地下空間に座標移動させたり、そこからまた回収していることから、 直接見えなくとも距離と方向さえ分かっていればそれなりの精度での転移が可能なようだ。 レベル5判定を受けてもおかしくない極めて強力な能力だが、 彼女のトラウマゆえに自分自身を飛ばすことは苦手としており、それ故レベル4に甘んじている。 そのトラウマは、自己転移を避けるあまり、攻撃に対し自身を転移して避けるのではなく、 周りの物体を引き寄せて防御するという回りくどい方法を取るほど。 他の空間転移能力同様、精神が安定してないと制御不能になり、 『残骸(レムナント)』を巡る騒動で一方通行に結標が倒された後しばらくは、 低周波振動治療器の補助がないと全く使用できなくなってしまった。 後に結標が自身のトラウマを乗り越え、自身の転移に際する拒否感はなくなったようである。 新約十巻あとがき曰く、トラウマ克服後の結標は全能モードのトールと同じような事ができるとのこと。
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SSスレまとめ とある打ち止めと座標移動 『プロローグ』 『第一話』 『第二話』 『第三話』 『第四話』 07/01/24までのまとめ 章の区切りが判らなかったので、1000行を目安で適当に分割
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SS自作スレまとめ とある打ち止めと座標移動 【本文】 『プロローグ』(未編集) 『第一話』(未編集) 『第二話』(未編集) 『第三話』(未編集) 『第四話』(未編集) 【】 07/01/24までのまとめ 章の区切りが判らなかったので、1000行を目安で適当に分割 【著者】 【あらすじ】 【解説】
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【作品名】とある魔術の禁書目録 【名前】結標淡希 【属性】座標移動(ムーヴポイント) レベル4の大能力者 【大きさ】スカート+学ラン+サラシ巻いただけの女子高生並 【攻撃力】軍用懐中電灯と拳銃装備 座標移動:思考発動で物体を瞬時に転移させる。対象と座標が重なる様にすれば双方の固さを無視した防御無視内部破壊。 近くにある車や机を敵の頭上から、隠し持った手榴弾10個とコルク抜き12本を敵体内に転送して攻撃。ただし敵ではなく空間指定なためあまりにも早い敵には当たらない 【防御カ】車を破壊する打撃を頭に受けたり、座標移動に似たような能力で肩・両手足に鉄棒を何十本も突き刺されても戦闘可能 【素早さ】銃弾回避はして居ないが、姿を晒しながら銃装備した達人数十人を倒した 座標移動して数回連続で800mまで瞬時移動可能 【特殊能力】上記座標移動能力。転移対象の最大値は高さ40m・重さ200kg。障害物無視。視界内の物質を800m先まで飛ばせる 彼女を見た男性は胸に目が行くのでスキだらけになる 【長所】サラシ娘 【短所】寒くないのか? 【戦法】転移しつつ各種転送攻撃+射殺。敵を転移して高所から落下等 【備考】アニメ版第21話でも少しだけ登場。可愛い 890 名前:アリゲラα ◆jhlUsrQYEQ [] 投稿日:2009/04/13(月) 21 28 58 桔標淡希 考察 素派鈴苦、ハリカルン ○○先手とって勝ち ロシア人力士 △分け エギル&ジェイ ×攻撃力あげられ負け 三本の矢 ×ライトニングレイン負け 天地ひつぎ~超能力者A ○○○内部爆発勝ち ソリティル ×ビーム負け N・ジーグフリード ○爆殺勝ち これだから男ってやつは・・・。 ニコニコ動画 ×多すぎて武器が足りず、ボコボコにされ負け ビル壊す人 ○爆殺勝ち 黒塚永時 ×パワー負け 00ナンバーサイボーグ ○爆殺勝ち へんかまん ×おそらく Z80 ×ビーム負け 一時中断。まあサブラグまで行くことはないよね。 895 名前:アリゲラα ◆jhlUsrQYEQ [] 投稿日:2009/04/14(火) 18 06 42 桔標淡希 再考察 V・ローザス ○爆殺勝ち 親部友子 ×降参負け 音速反応は無いのでココまで。 へんかまんと戦わせてみたら、速度の差であっさり負けたので へんかまん>桔標淡希>ゼロゼロナンバーサイボーグ
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【作品名】とある魔術の禁書目録 【名前】結標淡希 【属性】座標移動(ムーヴポイント) レベル4の大能力者 【大きさ】スカート+学ラン+サラシ巻いただけの女子高生並 【攻撃力】軍用懐中電灯と拳銃装備 座標移動:思考発動で物体を瞬時に転移させる。対象と座標が重なる様にすれば双方の固さを無視した防御無視内部破壊。 近くにある車や机を敵の頭上から、隠し持った手榴弾10個とコルク抜き12本を敵体内に転送して攻撃。ただし敵ではなく空間指定なためあまりにも早い敵には当たらない 【防御カ】車を破壊する打撃を頭に受けたり、座標移動に似たような能力で肩・両手足に鉄棒を何十本も突き刺されても戦闘可能 【素早さ】銃弾回避はして居ないが、姿を晒しながら銃装備した達人数十人を倒した 座標移動して数回連続で800mまで瞬時移動可能 【特殊能力】上記座標移動能力。転移対象の最大値は高さ40m・重さ200kg。障害物無視。視界内の物質を800m先まで飛ばせる 彼女を見た男性は胸に目が行くのでスキだらけになる 【長所】サラシ娘 【短所】寒くないのか? 【戦法】転移しつつ各種転送攻撃+射殺。敵を転移して高所から落下等 【備考】アニメ版第21話でも少しだけ登場。可愛い ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 890 名前:アリゲラα ◆jhlUsrQYEQ [] 投稿日:2009/04/13(月) 21 28 58 桔標淡希 考察 素派鈴苦、ハリカルン ○○先手とって勝ち ロシア人力士 △分け エギル&ジェイ ×攻撃力あげられ負け 三本の矢 ×ライトニングレイン負け 天地ひつぎ~超能力者A ○○○内部爆発勝ち ソリティル ×ビーム負け N・ジーグフリード ○爆殺勝ち これだから男ってやつは・・・。 ニコニコ動画 ×多すぎて武器が足りず、ボコボコにされ負け ビル壊す人 ○爆殺勝ち 黒塚永時 ×パワー負け 00ナンバーサイボーグ ○爆殺勝ち へんかまん ×おそらく Z80 ×ビーム負け 一時中断。まあサブラグまで行くことはないよね。 895 名前:アリゲラα ◆jhlUsrQYEQ [] 投稿日:2009/04/14(火) 18 06 42 桔標淡希 再考察 V・ローザス ○爆殺勝ち 親部友子 ×降参負け 音速反応は無いのでココまで。 へんかまんと戦わせてみたら、速度の差であっさり負けたので へんかまん>桔標淡希>ゼロゼロナンバーサイボーグ
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事の始まりは少女の何気ない一言だった。 「ショッピングというものに行ってみたいってミサカはミサカは頼んでみたり」 「あァ?」 茶色いショートカットの少女は病院のベットに掛かるテーブルの上に乗っていた。 青色のワンピースに身を包み、頭頂部から出ている一本の毛が風も無いのに揺れている。 其れに対して眉を顰めるのは少女の目の前でベットに横たわる白髪の少年だ。 見ただけでは男か女か判別不可能の中性な顔立ちと体つき。 学園都市内にその異名を轟かす白の最強能力者―――"一方通行"。 その最強の能力者は現在、目の前の少女を見て面倒臭そうに首を傾げていた。 少女は一方通行の次の言葉を待つかのように輝いた瞳で一方通行を見ている。 「……」 「お?お?もしかして好感触?ってミサカはミサカはかなーり期待してみる」 「寝ろ」 「いえーい!なんか久しぶりに聞いたよ、ってミサカはミサカは久しぶりに拳をつき上げてみたり!」 打ち止めはヤケクソ気味に拳を天に向かって突き出すが、一方通行はそれを面倒臭そうに見ていた。 「そもそも、俺ァまだ動けるような状態じゃねェだろうがよォ」 一方通行は八月三十一日にとある事件に巻き込まれ普通なら死んでもおかしく無いような傷を負っている。 その事件とは、この目の前の少女―――"打ち止め"を中心に起こった事件だった。 とある研究員が埋め込んだウィルスに侵されていた打ち止めを一方通行が自らの傷と引き換えに助けた。 端的に言ってしまえば、そんなところだ。 その間にも色々な話が詰め込まれているのだが、今は割愛するとしよう。 しかし、そのウィルスを消す際に記憶も一緒に消去された筈の少女は事もあろうに自らその記憶を補完して こうして目の前でにこやかな笑顔を一方通行へと向けていた。 その上、何故か事件の後も済し崩しに一緒にいる形となっていた。全く持って謎である。 「あ、その点については大丈夫、ってミサカはミサカは胸を張りつつ言ってみる」 「あン?」 打ち止めはなにやらベッドから飛び降りると病室の隅へと向かう。 其処には何時の間にやら黒い紙袋が置いてあった。 怪しい。とにかく怪しい。 レベルを強いて言うならば、開けるな危険のオーラを醸し出すほどの怪しさだ。 というか、黒い紙袋なんてとてもじゃないが普通の生活では滅多に御目にはかからないだろう。 そして、打ち止めはご機嫌に鼻歌を歌いつつ黒い紙袋の封を開け、中へと手を突っ込んだ。 暫く中を探っていた打ち止めだったが、何か見つけた様に笑顔になり、腕を紙袋から引っこ抜く。 その手にあるのはチョーカーの様な黒い帯の付いた小型の携帯音楽プレーヤーのようなものだった。 じゃーん、と黒い帯の先に付いた小さい棒状の機械の様な物を揺らしつつ一方通行へと向き直る。 「何だァそりゃ」 「演算補助のための変換機ってミサカはミサカはもったいぶらずに答えて見る」 加えて言うが一方通行は八月三十一日の事件で傷を負い、その最強の所以たる能力の大半を失っている。 現在ではこの視線の先でほれほれ、と楽しそうに変換機と呼ばれた物体を揺らす少女と、 その姉妹の様な存在である"妹達"によって演算能力の大半を補っている状態だったりする。 「よし」 「おぉ、アナタがそこまで良い笑顔を見せるなんて始めてかもってミサカはミサカは喜びを体で表現してみたり」 一方通行は彼を知る者が見たならば、即座に裸足で逃げ出すようなとてつもなく良い笑顔で頷きを一つ。 「そこに直りやがれ、クソガキ」 「ひゃっほう、やっぱりこうなるのねー!ってミサカはミサカは現実から目を背けずに嘆いてみる」 打ち止めは其の場でよよよ、と座りながら手で顔を隠して嘘泣きをし始めた。 一方通行は気にせずに寝転がり、頭まで全身を布団で包んで寝る準備をし始める。 「あーッ!ってミサカはミサカは指差して驚いて見る!人が嘆いているのに放置して寝ようとするだなんて、 それでも人なの!?ってミサカはミサカは抗議してみたり!というか、これはアナタのためでもあるんだよー! ってミサカはミサカは必死に叫んでみる!」 「あン?俺のためだァ?」 「そうそう、ってミサカはミサカは内心ホッとしつつ正座してみる」 今まさに飛び掛らんとしていたのか、打ち止めはベッドに掛かるテーブルの上に乗っていた。 そのまま打ち止めは正座しつつ目を閉じて腕を組み、尤もらしく何度か頷く。 「実はリハビリも兼ねてたりするのってミサカはミサカはあのカエル顔のお医者さんが言ってたって言ってみる」 ほほゥ、と一方通行は改めて体を起こし、打ち止めを見やる。 「で、本音は?」 「暇だからどこかに連れてって、とミサカはミサカは正直に本音を――って、ふぎゅっ!?あ、やめてやめて。 布団でくるむのは御勘弁をってミサカはミサカはなんだか前も言ったことあるような台詞を言ってみるー!」 結局カエル顔の医者が回診に来るまでこの馬鹿騒ぎは続くのであった。 ○ そして現在。 「なんで、こうなりやがンだァ!いきなり蒸発するかァ、普通よォ!?」 多くの人々が出歩く街の中心で、病院着から私服に着替えた最強の能力者は天に向かって叫ぶ。 詰まるところ、連れ添いであるはずの打ち止めと完全無欠に離れ離れになっていたのだった。 その叫びを聞いて一部過去に彼を襲撃して返り討ちになった不良達がすいませんでしたー!、等と 叫んで逃げて行くが、一方通行はそれらは全く気にせずに周囲を見渡した。 見渡す限りの人、人、人、馬、人。 見事に人だらけである。正直気が滅入った。 打ち止めの身長はそこらの小学生と変わらない。 この人の多さでは埋もれてしまい、見つけるのはとてもでは無いが無謀というものだ。 しかし、一方通行は、そんな事など知らないとばかりに足を動かし始める。 「あァ、なンでこンなトコで居なくなりやがンだァ……俺に恨みでもありやがンのかァッ!?」 恨み言を吐きつつ、一方通行は身体の状態も気にせず突っ走りはじめた。 速い。 地面に敷き詰められたアスファルトを砕くとまではいかないが、相当強い踏み込みの音が周りに響く。 その音に驚き、道を開ける人々。 一方通行は打ち止めを探して周りを見渡しつつ、モーゼの十戒の様に割られた人の群れの中を走っていく。 しかし、それでも人の流れというものは常に変化するものだ。 「きゃぁっ!?」 突如響く悲鳴。 走ってでもいたのか、開いた道のど真ん中に飛び出して一方通行にぶつかり、勢い良く尻餅をつく少女。 「あァ?悪りィな、ぶつかっちまったかァ?」 一方通行はそれを見て、自らにかかる慣性を適当に反射分散させて急ブレーキをかけた。 一応、一方通行も僅かばかりの礼儀作法というものは身に付けているのだ。 それでも、打ち止めと出会ってから大分マシになったという程度だが。 「あたた……うぅ、あなた、あぶな――ひッ!?」 「あン?」 少女は一方通行の姿を見るといきなり怯えた表情になり、固まってしまった。 一方通行は訝しげな顔をして目の前の少女を見る。 紺色の、前のチャックを開けたジャージを着込み、長髪を後ろで二つに結った髪型。 その髪の下には今にも泣き出しそうな怯えた少女の顔。 どこかで見た事があった、と一方通行は思う。しかも、極最近に。 「ひ、あ……」 一方通行が首を捻りながら誰だったか、と考えている間、少女は起き上がろうともせずに固まっていた。 どうやら腰が抜けているようだ。 ちなみに一方通行には怖がられる心当たりはありすぎる程あったりするので相変わらず気にしてはいない。 その間にも一方通行は思考を走らせ、記憶を掘り起こす。 学園都市最高の頭脳を持つ一方通行の記憶力は伊達では無い。 目の前の少女と一致する姿を検索する。 そうして数秒後、該当したのは―――、 「あァ、そうだ。オマエはあれか。あン時の三下かァ?」 ビクリ、と少女の肩が跳ね上がる。 少女は咄嗟に立ち上がって逃げようとするが、一方通行はそれを許さない。 逃げようとする少女の両肩を掴むと、少女が以前に見た事があるような邪悪な笑みを浮かべて言った。 「丁度良い。オマエ、確か"空間移動"出来たよなァ?ちょっとやって貰いてェ事があンだけどよォ」 一方通行の目の前では、少女が寒さに震えるハムスターの様に涙目で凄い勢いを付けつつ頷いていた。 突然だが、結標・淡希は"空間移動"の亜種である"座標移動"という珍しい能力の持ち主である。 簡潔に言えば、手で触らずとも物体を座標Aから座標Bまで移動させる事が出来るという能力だ。 しかし、結標の肩をガッシリと掴んでいる最強――"一方通行"の能力はその更に上を行っている。 その能力とはあらゆる力の"ベクトル"の操作。 ありとあらゆる攻撃を跳ね返し、己の力を倍加する能力はまさに最強の名に相応しいものだ。 その最強は現在結標の肩をガッシリと掴んでいた。 その表情はとても嬉しそうだ。 まるで獲物に狙いを付けた肉食動物の様な獰猛な笑み。 ……あ、死んだ。 結標は知らず絵的に真っ白になった。 金属を叩く音でも鳴らしたら良く響きそうな程の静寂が満ちる。 周囲の雑踏などまるで気にしない。 というか、まるでどこかのステージの様に結標と一方通行の居る場所は開けていた。 なんだか他人が遠い。 今居るのは狩人と獲物の二匹のみである。アデュオス、この世。こんにちはあの世。 一方通行は魂の抜けている結標の肩から手を離しつつ、凶悪な笑みを引っ込めた。 どうやらもう逃げる心配は無い、と思ったようだ。 魂が抜けたままの結標は勿論、なんの反応も寄越さない。 「ンじゃ、いっちょ高く飛ばせ」 いきなりの命令系。 この少年、能力どころか性格まで理不尽のようだ。 ハッ、と一方通行の声をきっかけに意識を三途の川付近に飛ばしていた現実へと戻ってくる結標。 見上げてみれば、辺りをキョロキョロと見回している一方通行が目に入った。 何か探し者だろうか、と結標は呆然とした頭で首を傾げるが、その様子に気づいた一方通行は、 「トロトロしてねェでさっさと飛ばせ」 「と、飛ばす?」 イライラしたような視線を向けられて思わずたじろぐ。 結標は状況を理解しようと脳が全力回転するがまだ結果を導き出すまでには至っていない。 地響きがしたと思ったら誰かとぶつかり、注意の一つでもしてやろうかと思ったら、目の前には最強の能力者。 これはなんの悪夢だろうと思う。 「だァーから、とっとと飛ばせつってンだろォが!」 「は、はひっ」 声が思わず上擦る。 しかし、結標は、そんな事すら気になら無い程混乱したまま能力を行使した。 勿論そんな状況で使った能力が上手く行くはずもなく。 「……」 一方通行がぽふ、と地面に着地した。 総飛距離十センチ。結標・淡希、夢の新記録である。 「あァ~……」 一方通行は呆れた様な顔で声を出した後、表情をすぐさまとてつもなく良い笑顔に切り替る。 そして、結標を首だけ動かして見下ろし、 「よォし、いっぺン死んでみっかァ?」 「ごごごご、ごめんなさいぃー!」 涙目のまま左右へと凄い勢いで顔を横に振る結標。 それにしてもこの結標、ビクビクである。 「次はねェと思え?」 「うぅぅ……なんなのよぉ……」 良い笑顔のまま肩を叩く一方通行。なにやら肩がビリビリと痺れる。 顔を向けて見れば、なにやら一方通行の手から青白い火花が出ていた。 「生体電気って、やろうと思えば結構出力出るンだよなァ」 「つ、謹んで受けさせていただくであります、ハイ!」 尻餅をついたまま思わず敬礼をしてしまう。 かなり間抜けな格好の上に涙目と合わさって何やら一種の同情すら感じさせる光景だ。 実際、周囲の人々の哀れみの視線が痛い。 「悪りィな。ちっとバカがどっかにいっちまったもンだからよォ」 「悪いと思うなら最初から―――」 「血行を良くしてやンのもオツだよなァ?」 「と、飛んでけーっ!」 即座に計算式を組み上げて一方通行を空高くに"座標移動"させる。 先ほどまで一方通行が立っていた位置の遥か上空で、彼は何かを探すように周囲を見渡している。 ……そういえば、"バカ"って誰の事かしら……? 目の前から一時的にとは言え、悪夢が消え去り少しはまともな思考になる。 一方通行が探すような重要人物。 ……まさか、あの資料に載っていた女の子? 写真で見た一方通行を支える少女が脳裏に浮かぶ。 成る程、必死になるわけだ。 あの少女が居なくなればあの学園都市最強は最強ではいられないのだから。 そう、仮初でも"目的"が無ければ生きていられない、今の結標の様に。 「……」 少しだけ。ほんの少しだけ、何故だか結標は一方通行に親近感を覚えた。 ……何を馬鹿な。一方通行は復讐すべき敵なのよ。敵。 頭を振ってその考えを振り払う。 罅割れた心を支えるために必死になって否定する。 それを認めたらまた心が砕けてしまいそうだから。 「っと、いやがらねェ。あのクソガキ……どこに行きやがったンだァ?」 唐突に軽い足音を立てて着地してくる一方通行。 十何メートルは飛ばしたはずなのにほとんど音も無く着地してくるなんてやっぱり化物だ。 一方通行はコチラへと向き直り、何故か少しだけ驚いた顔をする。 何かおかしい事でもあっただろうか、と首を傾げるが該当件数は零だ。 ふと、一方通行は表情を切り替える。 予想もしない表情、僅かながらも自然な笑みを漏らすものへとだ。 「あァ?まだ居やがったのか、三下」 「は、え?」 思わぬ一方通行の表情と言葉に呆然とする。 それもそうだろう、先程まで一方通行は遥か上空だったのだ。 そんな状態で人探しとなれば、下にいる雑魚の事など、彼が気にすることはまずないだろう。 それでも結標は逃げずに残っていた。 心配されたとでも、一方通行は思ったのだろうか。 実際はそんな事考えてもおらず、ただ単に考え事に耽っていただけなのだが。 「まァ、取り敢えずはだ――」 一方通行はそのまま愉快そうに背を向け、片手を上げた。 そのまま一歩歩き出して、呆然とする結標へと声をかける。 「――"アリガトウ"ってなァ。手伝い、感謝するぜ、三下」 思わぬ発言だった。 絶対にお礼なんて言うはずが無いと思っていた人物からの不意打ち。 しかし、結標は何故か少しだけ、ほんの少しだけその言葉に妙な安らぎを覚えた。 今はまだその妙な安らぎこそが結標の求めるもの、必要とされたいという願いの延長だという事も わかってはいないのだが――確かに結標の心に一つの強い願望が生まれた。 その少しの、ほんの少しの妙な安らぎを、もっと欲しいと思ってしまったのだ。 だから、計算なんかよりも先に体が動いた。 「ちょ、ちょっと待って!」 「あン?」 気づいた時には結標は何故か一方通行の腕を掴んでいた。 キョトンとした顔で振り向く一方通行。 弾き飛ばされないトコロを見ると、どうやらぞんざいに扱う気はないらしい。 「なんだァ、三下。もう用はねェぞ?」 「そ、そうじゃなくて……」 思わず手を離して、もそもそと結標は口の中で呟く。 一方通行は呼び止められた事に少しだけイライラしているようだったが、 取り敢えずはその様子を訝しげに見るだけだ。 結標は深呼吸を一つ。思い切り勢いをつけて一方通行を指差しながら告げる。 「わ、私も人探しを手伝うから、携帯番号教えなさい!」 「……はァッ?!」 間を置いて、考えを纏め、思わず間抜けな声を雑踏の中で上げる一方通行。 もう結標にも何がなんだかわからなかった。 ○ 「あれ?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」 青いワンピースを着込んだ幼い少女は、とある歩行者用道路の上で可愛らしく首を傾げた。 薄い茶色というよりもオレンジ寄りのショートカットに頭頂部で揺れる髪の毛。 ただいま現在進行形で自分で絶賛迷子中の"打ち止め"はうーん、と唸り始める。 「やっぱり離れ離れになってるんだなぁ、あっはっは、ってミサカはミサカは自暴自棄になってみる」 腰に手を当て、豪快に笑う打ち止め。 色々いっぱいいっぱいなのだ。 「はぁ……って、ミサカはミサカは一人寂しく溜息をついてみたり」 しかし、その強がりもいつまでも続くわけでは無い。 一頻り笑った後に来る虚無感。簡単に言えば虚しいだけだったりする。 「待てや、この馬鹿猫ぉおおおお!何時まで走らせる気だ、ぜぇぜぇ、おおおおおお!」 何か暑苦しい叫び声が打ち止めの向いている方向。 その右側に並ぶビルの間、恐らくは路地裏へと続く道から気合の声と共に凄まじい足音が聞こえてくる。 そして飛び出してくる毛並みの良い猫とツンツン頭の少年。 一瞬何事かと思ったが、ツンツン頭の少年の方には覚えがあった。 打ち止めが直接会ったわけでは無い、しかし、確かに覚えがある顔だ。 約一万人の同じ遺伝子を使って作られたクローン"妹達"。 その一万人が己の能力を使い構成するミサカネットワークにより、打ち止めは少年を知っていた。 上条・当麻。 その右手に"最強"であろうと殴り倒すような力を秘めた"最弱"だ。 つい数週間前に起こった事件でも"妹達"の一人、一〇〇三二号、御坂妹が世話になった少年だった。 「うぉおおおおおおおーッ!」 太陽を背景に猫へと飛び掛る少年。 そのまま見事に猫を抱きしめ、地面を二転、三転。停止する。 「……ミサカはミサカは思わぬデッドヒートに言葉を無くしてみる」 「あだだだ、つぅ、肘擦り剥いたぁ~」 むしろ其の程度で済んでいるのはおかしいと思うのだが。 呆然としている打ち止めを余所に猫を抱きかかえて起き上がる少年。 打ち止めはそれよりも先に動きを取り戻し、少年へと駆け寄った。 そのまま笑顔で頭を撫でている少年へと声をかける。 「大丈夫?ってミサカはミサカは優しげに心配してみたり」 「ん?あぁ、大丈夫って、ミサカ?ミサカって……ってうぉい、御坂妹が小さくなってやがる!?」 「む、失礼な。これでも一応ミサカは立派なレディだよ?ってミサカはミサカは胸を張りつつ主張してみる」 猫が暴れるが上条は全く動じない。 というよりも目の前の小さくなった御坂妹こと打ち止めに視線が釘付けになっていた。 「ど、どういう事でせうか!?これは狸型ロボットの新兵器のせいでございますか!?そうなんですね!?」 「あのー、もしもーし、聞こえてるー?ってミサカはミサカはジト目で手を振ってみたり、聞いて無いですか、そうですか、 ってミサカはミサカは疲れたように肩を落としてみる、よよよとミサカはミサカは嘘泣きもしてみたり」 暫くの間、猫が暴れる音と、少年の叫び声、そして少女の落胆の声が響いていた。 道を行く人々が変な視線を送ってくるが気にしもしないそんな二人と一匹の組み合わせであった。 一方其の頃、かなり離れた場所で結標が一方通行に対してある種の爆弾発言を放っていたのを打ち止めは知らない。 学園都市のとある商店街。 其処を疾風のように走り去る一つの人影があった。 「ああぁあああああ―――ッ!」 馬鹿みたいな叫び声が商店街に響く。 道を行く人々の幾人かが驚きの表情で人影を見るが、その時には既に遥か遠くに走りさった後だった。 その人影の正体――結標・淡希は顔を真っ赤にして走っていた。 結標は数十秒前までの出来事を思い起こす。 『あァ?なんで俺がオマエに携帯の番号なんか―――』 『良いから教えて!』 あの爆弾宣言から暫く固まっていた両者だったが、先に沈黙を破ったのは一方通行の方であった。 しかし、一方通行の発言はすぐさま結標の悲鳴にも似た叫びに掻き消される。 結標は自分でも何を言っているのかわからなくなりつつも、必死に一方通行を睨みつける。 顔を真っ赤に染めた涙目の表情で迫られ、流石の最強も怯んだのか渋々と言った感じでポケットに手を突っ込む。 一方通行の取り出した携帯を見るなり、結標も慌ててジャージの上着ポケットから携帯を取りだす。 そして、互いの登録情報を交換して即座に、 『そ、それじゃ、見つかったら連絡するわ!じゃあね!』 『あ?って、速ェな、ォイ!?』 そのまま背を向けて走り去っていってしまったというわけだ。 そして、現在に至る。 正直なトコロ、結標は混乱していた。 一体自分は何を考えているのか、それすらもわからないのだ。 いや、本当はわかっているのだろう。 しかし、それを認めてしまっては、それをキッカケに己の心を"以前"の様に自分で壊しかねない。 それとは別の理由もかなりの割合で混じっている気もするのだが、それには目を向けようともしない。 ……これは敵の情報を知るため!知るためなのよ! そう自分に言い聞かせてなんとか心の均整を保つ結標。 その間にも彼女の疾走は止まらない。 ついには商店街を抜け、道路へと出た。 目の前にはアスファルトで固められた道路とそれを渡るための横断歩道。見上げてみれば信号が設置してある。 結標は信号を碌に見ずにそのまま横断歩道を渡りきる。 途中、なにやら叫び声と共に車のクラクションが鳴り響く。どうやら赤信号だったらしい。 渡った場所から少し走ると今度は緑が豊かな公園へと突入した。 と、ふと其処で結標は足を止める。 そして、ジャージの上着ポケットから携帯を取りだす。 二つ折りになるタイプの携帯を開き、幾つか操作をして電話帳を開いた。 緊張のためか顔が真っ赤になっているが、それは走ったせいだと自分を納得させた。 「えぇっと……一方通行の電話番号は……」 確認、確認、と携帯を弄り回す結標。 そういえば本名知らないわね、などと思いつつ見覚えの無い名前を探して行く。 暫くの間、平日のためか誰も居ない公園に携帯のボタンを押す電子音が響いた。 しかし、一方通行の本名と思わしきものは一向に見つかる気配が無い。 ……? 首を傾げる結標。 もう一度見るが、やはり見慣れた感じのする名前しか並んでいない。 例えば、一方通行とか。 「………」 見間違えたのかと、目を擦ってもう一度画面を見直す。 『一方通行 プロフィール』 「って、そのまま!?」 期待を大きく裏切る変化球に思わず叫びを上げる結標。 まさか呼び名をそのまま自分の携帯に登録するなど夢にも思わないだろう。 面倒臭がってこんな風にしたのだろうか、それとも名前すら忘れたか。 後者はなさそうなので恐らくは前者だろう、と結標は結論を出すと携帯を閉じて上着へと仕舞った。 深呼吸を一つ。 酸素を取り入れ、冷静になるため、脳を正常化させた後、すぐさま全力回転させ始める。 よし、と気合を入れるために声を上げる。 まずは状況の整理。 一つ、少女を探しだして、一方通行に連絡する。 二つ、少女から一方通行の弱点を聞きだす。 三つ、少女を一方通行へ引き渡し、褒めて貰う。 実は未だに冷静ではない思考の結標であったが、全く気にする様子もなく顎に手を当てて考えるポーズをとる。 ……問題はどうやってあの子を探すかよね。弱点を聞きだすとしたら一方通行より先に見つけなきゃいけないし。 一方通行がアレだけの上空から探したのに見つからなかったのだ。 恐らくは、かなり遠く。 もしくは何かビルの影になる様な場所に居るかのどちらかだろう。 取り敢えずは、 「足を使うしかないわね」 そう言って結標は早速一歩踏み出す。 何か踏みつけた。 「ひゃぁっ!?」 「だーうー」 何事か、と結標は妙な感触のした地面を見る。 其処にはなにやら白い衣装に身を包んだ少女が倒れていた。 なにやら力無く倒れる少女の身を包む衣装は良く見れば昔見た本に乗っていた修道女の服の様にも見える。 その暫定修道女は情けない声を上げつつ、コチラを見やる。 「お~な~か~す~い~た~」 「……」 捨てられた子猫のような目と言うのが、この場合の表現としては正しいだろう。 実際、少女の脇の下辺りから子猫が出てきて『いきなりすまないね、お嬢さん』的な視線を送っている。 この場合、飼い主と猫と見るべきだろうが、なんとなく結標には逆に見えた。 猫が保護者で少女が子猫っぽいのだ。 「おなかすいたって言ってるんだよ?」 「えぇっと……」 今度は体を引き摺るようにしてコチラへと方向転換する少女。 猫の方はしっかり少女の背中の上に避難している。 「……」 目の前の少女はなんなのだろうか、と結標は考える。 ……シスター、かしら?神学系の学校はこの辺りには無かったと思うけど。 それにしても妙な衣装だと思う。 なにしろ妙に豪奢な布を強引に安全ピンで止めている様な状態なのだ。 見た目としてはかなり豪華さと仕上げのバランスが悪い。 なんらかの意味合いがあるのだろうか、と結標が少女を凝視していると少女は、 「あのー、もしもし、聞いてる?」 「あ、ごめんね。なにかしら?」 ハッと思考の海に埋没していた結標は現実に戻ってくる。 それと同時に困ったような笑みを浮かべて目の前の暫定修道女である少女の目を見た。 綺麗な碧眼に腰まではありそうな銀髪。 どこをどう見ても日本人ではなさそうであったが、どうやら日本語は通じるようだ。 「えっと、とうまが道端で困ってたおばあさんの猫を探して走り去っちゃったから、お昼ご飯がないの」 とうま、というのはどこかで聞いた事があったが、取り敢えずは保護者の事だろう、と結標は納得する。 「大変ね。それで、私はどうすればいいのかしら?出来る限りの事なら手伝うわよ?」 すっかり子どもの相手モードに入った結標は笑顔を浮かべつつ腰を落として少女の顔を見る。 整った可愛らしい顔だ、と結標が評価を下していると少女はパッと顔を輝かせるように表情を変えた。 要求の予想は大体ついていた。 恐らくは、保護者である"とうま"という人物を一緒に探して欲しいとかそういうものだろう。 見た目でしか判断出来ないが、この年頃の少女は強がりと同時に寂しがり、怖がりでもあるのだ。 ……人探しなら、コチラの探し人も見つけられて一石二鳥というものだし。 結標は頭の中で人探しの計算も整えつつ、少女の次の言葉を待つ。 少女は流石に初対面の人になにかを要求するのは躊躇っているのか、モジモジとした後、 「ほ、ほんとう?」 「ええ、本当。お姉さんになんでも言ってみなさい?」 やはり躊躇いがちに聞いてくるが、結標は至って笑顔で応える。 こういう子の相手は怖がらせてはいけない。 笑顔で、優しく語りかけて上げるのが重要なのだ。 「それじゃあ……」 言葉を続ける少女。 なんとなく力がさっきより失われているようにも見える。 そして、飛来した少女の言葉は少々結標の予想とは違うものであった。 「なにか、食べ物を分けてほしいかも……げふ」 その言葉を最後にまた倒れ伏す少女。 暫しの間。 それほど長く無い間の後結標は思わず頬を書きつつ困ったような表情で苦笑いを一つ。 なんだか今日はまだまだ忙しくなりそうであった。 ○ 「つまりアナタはおばあさんにこの猫を届けるの?ってミサカはミサカは並んで歩きつつ聞いてみる」 「ミサカはミサカは、って重複してるよなぁ――まあ、そうだな。家までの地図も貰ってるし」 打ち止めと上条・当麻はとある商店街の道路を並んで歩いていた。 先程、上条が歩道で、ついに猫を捕獲した時に出会ったのだが、最初は随分と驚いた。 なにしろ、知っている少女が頭二つ分ほど縮んだように見えたのだ。 それはもう、新手のスタンド攻撃とかそういうものかー!などと意味不明な事を叫びそうになるほどだった。 なんとか落ち着き、自己紹介を済ませ、逃げようとした猫を確保するのに数十分。 随分と時間が経ってしまった。 周りでは、昼時だからか、この都市の象徴は科学だというのに無駄に熱い売り文句を叫ぶが響いている。 『安いよ安いよ!今ならこのサーモンピンクの河豚から取り出した実験食材がたったの――』 訂正しよう、やはり此処も例に漏れず科学万歳な場所のようだ。 その事実に半場安心しつつ、上条当麻は隣に並ぶ少女を見やる。 つい一ヶ月とちょっと前に知り合った少女達、御坂妹を含む約一万人の"妹達"。 その"妹達"全員に会ったわけでは無いが、この目の前の少女はなんとなく"妹達"の中でも特殊な気がした。 なんとなくあの"妹達"独特の雰囲気とは違い、妙に活発的な雰囲気が漂っているのだ。 今も物珍しそうに辺りを見回しては、変な物に興味を惹かれているようだ。 「おぉ、あれなんて中々格好良いかも、ってミサカはミサカは埴輪を見つつ目を輝かせてみる!」 本当に楽しそうだなぁ、と上条は笑顔で打ち止めの指さした方向を見る。 其処には、山積みにされた、妙にリアルに人の顔を模した埴輪があった。 正直、それが山積みになっている景色は不気味を通り越してある意味、荘厳だ。 「はは……」 思わず笑顔が引きつる上条。 やはりこの少女の感性は特殊で、少々斜め上に行っているようだ。 「おぉ、あれも珍しい!ってミサカはミサカは駆け寄って行ったりするー!」 楽しそうに左右に展開する店の前に飾られた展示品などの前を行ったり来たりする打ち止め。 どうやら出かけたりするのは稀らしい、と上条は微笑ましい光景を見つつ思う。 猫が腕の中で欠伸をかく。 どうやら追いかけている間に良きライバルとかそういうものと思われてしまったらしい、妙に友好的だ。 「まぁ、取り敢えずは……」 今日は平和だなぁ、と何か記憶の隅で蠢く白い悪魔の存在を敢えて忘れつつ、上条は空を見上げる。 取り敢えずは商店街の空はテントの様な物で隠されていて見えなかった。 視線を戻せば、打ち止めがまだまだ元気そうに走り回っていた。 そういえば、と上条は頭の隅に引っかかった事を言葉にする。 「そういやさ、お前、一体誰と此処まで来たんだ?」 「あ、そうそう。とミサカはミサカはアナタの下へ戻ってきつつ頭の中で情報を整理してみたり」 独特な口調にもそろそろ慣れ始めた上条の腕の中で猫が鳴く。 再び上条の横に並んだ打ち止めは自分が何故一人で居たか、何故相方が迷子になったか。 その理由を、色々改変しつつ話始めるのであった。 ○
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「オイ、ちっと悪リィが」 「あ、え、は、はい………?」 一方通行はいくら探しても見つからない現状に少しだけイラだっていた。 これだけ探して見つからないという事は相当遠くに行っているか、影にいるかという事だ。 それならば、しらみつぶしに探しても良いがそれでは買い物の時間が無くなってしまう。 それだけは避けたかった。 なにしろ、リハビリという名目で連れてこられたものの、未だに体は痛むし、動きずらい。 一人、助っ人を得たものの、碌に打ち止めの姿格好も聞かずに飛び出してしまったため当てにならない。 というわけで、最も簡単な方法―――人に尋ねるという手に出たわけだ。 ちなみに声をかけた少女は背格好から見て、恐らくは高校生と見れる人物だった。 茶色の混じった腰まである黒髪を、頭の横で一房だけゴムで縛り、ピョコンと飛び出させている。 そして、顔にはフレームの細い知的そうに見える眼鏡。 なぜか眼鏡は妙にずり落ちているように見えた。伊達だろうか。 「この辺で、こンな感じのガキ見なかったかァ?」 そう言ってポケットからメモ帳を取り出して開き、少女へと突き出す。 そのメモ帳には妙に上手い打ち止めの似顔絵が一枚書かれていた。 「えと……見て、ません。ゴメンナサイ……」 「そうか。邪魔ァしたな」 オドオドとした少女に言うなり、早速再び歩き出そうとする一方通行。 そんな一方通行へと慌てて少女は、 「あ、ちょ、ちょっと……待って、下さいっ!」 「あン?」 少女の声に気づいて振り向く一方通行。 振り向いた先では少女がもじもじと何か言おうしていた。 どうやら、目の前の少女は人見知りをするタイプのようだ。 というか、今日は妙にこういうシュチュエーションに出会う確率が高いような気がする。 暫くすると、少女は意を決したように口を開いた。 「あの、インデッ――あ、白いシスターさんを見ませんでしたか……?私の、友達なんです……」 「しすたァ?」 出てきた珍しい単語に首を傾げる一方通行。 シスター。 "妹達"の上位体である少女なら毎日のように朝から晩まで見ているが、白いのは見た事が無い。 「あ、えっと、修道女さん、の事です……」 「あァ?そっちかよ。なら見た覚えはねェなァ。悪リィけどよォ」 「そ、そうですか……」 しょんぼりと言った感じで肩を落とす少女。 頭の横に出た髪も少女の感情を表すようにヘニャリといった感じに萎れていた。 手伝ってやるか?という考えが一瞬鎌首をもたげるが、一方通行も一応人探し中だ。 目の前の少女には悪いが、手伝っている暇は無いのである。 「ンじゃ、俺ァ失礼するぜ」 「あ、ま、待って……ッ!」 「ごふゥッ!?」 いきなり襟首を掴まれて首が締まった。 いつもなら反射している所だが、演算補助装置の電源の都合上今はつけていないのだ。 したがって、一方通行は生き物の作りとして正常に、息が詰まり、思い切り咳き込んだ。 思わず蹲り、ぜぇはぁ、と呼吸を正すのに数秒。 立ち直り次第、思い切り立ち上がり、少女へと再び向き直る。 「なァにしやがるンだ、コラァッ!」 「ひっ……ご、ごめんなさい、その……」 思いきり怒鳴りつけるが、目の前の少女が泣きそうな顔でコチラを見ているのでそれ以上は言えない。 一方通行にも良心というものはあるのだ。 目の前の少女は先程と同じようにもじもじとしていた。 このパターンにそろそろ飽き飽きしていた一方通行は腕を組み、爪先でリズムを取るように地面を叩き始める。 「言え」 「で、でも……」 「いいから言え」 「う、は、はい……」 その顔は口は引きつった笑いを浮かべているが、目はイラつきを宿したものだった。 一応、目の前の少女が言いやすいように笑顔で言うつもりだったのだが、失敗したようだ。 少女は相変わらず泣きそうな、または小動物の様なとも例えられる表情で、一方通行を見た後。 「実は、私……」 少女は決心したかのようにかなり大きい胸の前で両手の拳を握り締め、 「ま、迷子なんです……ッ!」 一方通行の時が止まった。 「……あ、あの……?」 「……はァ」 少女が困った様な表情で見てくるが、それに構わず溜息を一つつく一方通行。 そのまま虚ろな目で空を見上げて一方通行は思う。 ……なンでェまた、今日に限ってこんな面倒ごとだらけなンだァ……? その頃、眼鏡の少女は相変わらず一方通行を見てオロオロしていた。 結標・淡希は白い修道女服を着た少女を連れてとある駅へと続く歩道を歩いていた。 「あわき?」 「そう、結標・淡希。標を結ぶ淡い希望ってね。私の能力もそんなものよ」 「良い名前だね。うん」 白い修道女はその手にある携帯食であるクッキーを頬張り、もぐもぐと口を動かしつつ言葉を返す。 朝ご飯代わりにとポケットに入れて持ってきたものだが、どうやらそれが幸いしたらしい。 先程まで萎びた野菜ばりだった少女が此処までしっかりと復活するとは、やはり食は偉大だ。 「それで、貴女の名前は?」 「ん?」 少女はクッキーを口の中で咀嚼しつつ、首を傾げる。何かを考えているようだ。 結標よりも頭一つ分程小さい少女は首を傾げつつうーん、と唸り始める。 「どうかしたのかしら?」 「ううん。とうまがあんまり人に名前教えるなって言ってたんだけど……まぁ、いいよね」 とうま、という人は余程心配性らしい。 確かに学園都市内でも犯罪というものは起こるが、基本的に其れはすぐに鎮圧される。 第一、能力者だらけのこの街で誘拐等行っても、その事件専用の"風紀委員"が出てくれば、 能力次第ですぐに見つかってしまうのだ。 ……まぁ、機密レベルとかそういう重要人物でも無い限りそれもないでしょう。 目の前の少女が、それだけのリスクを払ってでも誘拐すべき人物には結標には見えなかった。 「ん、私の名前は、インデックスだよ。禁書目録の方がいいかな?」 「偽名?」 「……いきなりとうまと同じようなこと言うんだね……」 ふむ、と結標は思考を走らせる。 この白い修道女――インデックスが偽名を使っているのは恐らく格好から推測するに、宗教関係の事情なのだろう。 どこかの国では、本当の名前は身内にしか教えないという決まり事もあったはずだ。 別段、結標は他人が信じるものに対してとやかく言う趣味も無いので、そこまで考えて簡単に思考を手放した。 と、思考の海から舞い戻った視線の先では、少女がガックリと肩を落としていた。 まさか本名だったのだろうか、と結標は慌て、咄嗟に考えの方向を変える。 そうだとしたら反射的にとは言え、かなり失礼な事を言ってしまったのかもしれない。 「え、えぇっと、ごめんね。ほら、あそこにファーストフード店があるわ。あそこで何か食べましょう?」 子どもをあやす時は食べ物で誤魔化すに限る。 結標は記憶の端から断片的な智識を引っ張ってきつつ、横断歩道を渡った先、道路の向かい側を指差した。 瞬間。 疾風と化した何かが真横を走りぬけて行った。 「は?」 慌てて、隣を見るが誰もいない。 そう、つい先程まで隣に立っていたはずのインデックスさえも。 となると考え付く事は一つ、 「あわき、あわき、はやくー!」 「速っ!?」 思わぬ俊敏過ぎる動きに驚きを隠せない結標。 空間移動能力者も真っ青の移動速度だ。 もしや肉体強化系能力者か何かなのだろうか、と思いつつ赤信号になりつつある横断歩道を急いで渡る。 渡りきった先、ファーストフード店の前では白い修道女こと、インデックスが瞳を輝かせていた。 「うふふ、ようやくお昼ご飯にありつけるのかも……ジュル」 「インデックスちゃん、涎、涎」 指摘されると慌てて修道服の袖で口元を拭うインデックス。 一応、まだ恥じらいなどの感情は捨てていないらしい。 「それじゃ、入りましょうか」 「やったー!」 元気に万歳するインデックス。 余程嬉しいらしく、手の中に居た猫が落ちたというのに全く気にした様子が無い。 猫の方は何やら悟りきったような視線でコチラを見ていた。中々に苦労人なのかもしれない。 そして、結標は内心で、こんな可愛い子を放置していくだなんて何を考えているのだろうか、とか、 会ったら絶対に説教してあげなければ、などとまだ見ぬ"とうま"という人物に対して義憤を燃やすのであった。 その様な事を考える結標のやや先を、スキップでもし始めそうな感じで店に入っていくインデックス。 店内は外見に比べて案外広かった。 まず最初に見えるのは入り口からカウンターへと伸びる通路とその左右に設置された十数個の長方形のテーブル。 通路はいくつか途中で枝分かれして他のテーブルなどへ行くための道となっていた。 道の端々には邪魔にならない程度に置かれた植木などの植物達。 インデックスについて行く様にしてカウンターまで歩く、その奥では何人かのスタッフが忙しく走り回っていた。 そのスタッフの一人、ショートカットの少女がこちらに気づき、走ってきた。 「お、おまたせしましたー!何にいたしますかっ!?」 やってきた店員である少女は妙に高いテンションでインデックスと結標の前へと滑り込んでくる。 此処の店員は中々に変わっているようだ。 「あわき、なに頼んでもいいの?」 「えぇ、良いわよ。好きなもの頼みなさいな」 その店員を余所に聞いてくるインデックスに優しく答えを返すと結標もメニューを物色し始めた。 メニューには典型的なファーストフード店の代名詞とも言えるパンとパンで肉を挟んだものがデカデカと載っている。 その他にもドリンクやサラダ、シェイクなども載っていて結構種類豊富だ。 「それじゃー、これとこれとこれとこれと――」 「って、そんなに食べるの……?あー……それじゃ、私はこれとこれとこれで、と」 「えぇっと、これとこれとこれと……これですね。承りましたー。それでは、確認させていただきます――」 店員はいくつかカウンターに設置されたレジを操作すると、復唱を開始する。 「あわき、ありがとね。私、あのままだったら多分行き倒れになってたかも」 「気にしないで良いわよ。その代わり、これ食べたら"とうま"を探す代わり、私の人探しも手伝ってもらうわよ?」 一方通行には既に連絡を入れてあるし、人手も増えるし、と内心で呟く結標。 彼の方もなんだか色々大変な事になっているとかなんとか言っていたが、結標はあまり覚えていなかった。 手を目の前に持って来れば、携帯のボタンを押した指の震えはまだなくなってもいないし、顔もまだ少し熱い。 ……き、緊張、緊張のせいよ……っ! 思い返して思わずまた顔を赤く染める結標。 インデックスがコチラを見て不思議そうに首を傾げるが、結標の暴走し始めた思考は中々止まらなかった。 ……あぁ、もう、なんであんなに緊張するのよ!冷静になりなさい、私! 「あのー?よろしいでしょうかー?」 「え?あ、え、えぇ、お願い」 「かしこまりましたー。それでは、暫くお待ちくださーい!」 店員の声にようやく現実へと戻ってくる結標が言葉を返すと、店員は走るようにして奥へと去って行った。 途中なんだか叫び声と共に食器か何かが落ちた音がしたが、気のせいだろう。 「それじゃあ、先にインデックスちゃんは席でも――」 さて、と前置きしてインデックスの方を向き、用件を伝えようとする結標。 しかし、それを遮る声が横から来た。 「あれ?シスターちゃんじゃないですかー?」 インデックスと二人して声のした方向に顔を向ける。 其処には―――、 「小学生……?」 「い、いきなり失礼なーっ!?」 「小萌先生。初めて会うんだから。仕方ないと思う」 「ひ、姫神ちゃんまでーっ!?」 見た目小学生が妙に似合う少女が何やら横に並んでいる巫女服の少女とコントをしていた。 結標は姫神と呼ばれた巫女服の少女を見て眉を顰める。 ……?どこかで見たような……。 「あ。良かった良かった。知り合いに会えた。あわき、紹介するね。こもえにあいさだよ」 インデックスが二人へと駆け寄り紹介を始める。 その紹介を聞いた結標は疑問が氷解するかのようにキョトンとした表情となり、 「あいさ?もしかして、貴女は"吸血殺し"の姫神・秋沙?」 それを聞いた姫神も何かを思いだしたかのように掌を打ちつつ言葉を返す。 「そういう貴女は。"座標移動"の結標・淡希?」 「あれ?」 「ふえ?二人とも知り合いなのですかー?」 抗議を止めて向かい合う姫神と結標を交互に見る小萌。 「ん。小萌先生は昔私が居た学校。覚えてるよね」 「え、えぇ、勿論ですよー。霧ヶ丘女学院ですよね?」 姫神は頷き。 「そこの先輩」 「あ、成る程ー」 姫神の答えに納得したのか、小萌は結標へと向き直り、礼儀正しくお辞儀を一つ。 「はじめまして。私は姫神ちゃんの担任をしている小萌と申すものです」 「あ、はい。ご丁寧にどうも」 思わずお辞儀を返してしまう結標だったが、そこで頭の中にとんでもない疑問が飛び込んできた。 「……先生!?」 勢い良く顔を上げて小萌を凝視する結標。 嘘だ。どう見ても小学生にしか見えない等と頭の中を理解不能なデータが駆け回った。 そして、思いだすのは学園都市内で実しやかに噂される虚数学区の存在。 「あぁ、あの不老不死の完成体っていう……まさかこの目で本当に見れるだなんて……」 「ナチュラルに傷つく発言連発ですかーっ!?」 劇画調になって驚く結標に向かって涙目で抗議を再開する小萌。 それを見かねたのか姫神とインデックスは互いに視線を合わせ頷いた後、 「結標先輩。小萌先生を弄るのは其れくらいにした方がいい」 「ん、そうね……」 「こもえ、どうどう」 「姫神ちゃんまでですかー!?というか、私は馬じゃありませんー!」 キーッと両手を振り上げる様はまさに子どもという言葉が相応しかった。先生なのに。 それを見て楽しそうに表情を変えるインデックスと姫神。 結標はそれを見ていて笑顔になりそうになり、ふと気づいた。 私はこんな事をしていていいのか、"目的"を忘れるな、と罅割れた心が叫ぶのを。 「………」 「あ。あわき、あわき。来たみたいだよ?」 「ん?あら、本当ね」 無邪気にインデックスがコチラに向けてカウンターの奥からやってくる店員を指差した。 そのインデックスの笑顔を見てとある少女の言葉を思い出す。 『これから貴女を日常へ帰して差し上げますわ。どこかで誰かが思い、このわたくしが賛同した通りに』 自分が傷つけた少女、戦いの勝敗はもはや決したというのに最後まで意志を崩さなかった強い少女を。 そして、今もどこかで誰かのために走り回っているであろう少女の事を。 ……あの子の思惑にはまっちゃったのかしら、私。 自分が一度は殺そうとした少女――白井・黒子を思い出して結標は思わず苦笑した。 罅割れた心が軋むが結標はこう思わずにはいられなかった。 ……私は今あの子達のおかげで楽しい日常の中に居るのね。 インデックスを見つつ結標は今此処には居ない人々を思い、今度こそ本当の笑みを浮かべた。 ……ありがとう。 ○ 風斬・氷華は現在進行形で迷子である。 頭の横から一房だけ髪を縛ってピョコンとさせている髪型の風斬は目の前を行く白い少年を見ていた。 見事なまでに白い頭髪と後ろからでは見えないが赤い瞳、そして少女なのか少年なのかわからない体格。 首には黒いチョーカーのようなものを付け、そこからは音楽プレイヤーの様なものがぶら下がっている。 そんな少年と風斬は路地裏を歩いていた。 向こう側に光が見えるが中々に長い道のようだ。 人気も見事なまでに無い。 「………」 なんとなく怖くなって周りを見渡すが、やはり何も無い。 なんだか来た道がなんとなく遠かった。 ……ま、まさか……こんな路地裏に連れ込んで……。 色々思考が暴走気味なのは、とある白い修道女から叩きこまれた"夢見がち"という名の本のせいか。 もしもそういう事態になった場合は必ず正義のヒーローがやってくるのもだが、と風斬は思い、周りを見渡す。 天井はプラスチックの屋根になっていた。 何故路地裏にこんな屋根が、と思うが、取り敢えずは正義のヒーローならブチ破って来てくれる事だろう。 そして勧善懲悪の下、一撃必殺の破壊光線で悪役を改心させてから高笑いして去っていくのだ。 ……どうしよう……会ってみたいけど、迷惑かな……。 既に正義のヒーローという偶像が来る事が前提になっている辺り飛躍し過ぎているが、風斬は気にしない。 そんなものが居たらまずあの不幸が口癖の少年の所に常時出現している気もするし。 そして、きっとまたフラグを立てるのだろう。 …………。 ふと、妄想の世界から帰ってきてみれば、いつの間にか足が止まっていた。 前の方では白い少年が振り向いてコチラを訝しげな顔で見ている。 「オイ、オマエ。なァにやってやがンだ。とっとと行くぞ」 「あ、は、はい……」 どうやら少年に特に悪意は無いらしい。 ちょっと残念な気持ちと同時に、わざわざ待っていてくれた少年の優しさを感じて、 なんとなく嬉しくなって笑顔になる風斬であった。 ちなみに風斬は知らない。 一方通行の頬に一筋の汗が流れていた事に。 「………」 状況を整理しよう。 少女が迷子と宣言した後、少女に向かって面倒臭そうに、 『付いて来たいならついて来い。オマエの知り合いもついでに探してやンよォ』 と言ったところまではよかったのだ。 問題はその後だ。 打ち止めはどこに行ったのだろうか等と考えていたら、何時の間にか現在位置がわからなくなっていた。 しかし、そんな事は最強の名にかけて言える筈もない。 これが今の状態だった。 どうしたものだろうか、と一方通行は思考を高速で走らせる。 このままでは、打ち止めに何を言われるかわかったものではない。 『わー、やっぱりアナタはドジっ子なのかもってミサカはミサカは一方通行萌えーって言ってみたり』 一瞬、簀巻キニシテヤル等と攻撃的な思考が流れるが取り敢えずはそれをスルー。 続いて、打開策を思案し始める。 演算補助装置の電源消費量や後ろの少女を考えなければ、結標に会った時の様に全力疾走でもして 派手に動き回わる事も出来るのだが、電源はともかく少女を置いて行くのは何となくプライドが許さない。 やっぱ歩くしかねェかァ、と結局原点に回帰した一方通行はまた前へと歩きだす。 少し見てみれば、後ろからは親猫についてくる子猫のように少女が急いでついて来ていた。 詰まるところ、少女と一方通行は二人して迷子になっていたのだった。 ○ 「あのなー、カミジョー、ってミサカはミサカは馴れ馴れしく言ってみたり」 「なんだー?」 「ミサカは実は空飛べるんよーって口調まで変えて衝撃の事実を喋ってみる」 「え?まじ?」 「嘘やー、ってミサカはミサカは可愛らしく小首を傾げてみる」 「あー、この辺だったよな、おばあさんの家」 「って、スルーかよ、ってミサカはミサカは地面に悲しみを書き綴ってみる。あ、ポエムっぽい」 猫がにゃーと鳴いた。 もう昼だというのに、其の広場は暗闇に包まれていた。 プラスチックの屋根に覆われた路地の中間地点にある広場。 四方をビルに囲まれた其処の左右の端にはバスケットボールのゴールが設置されている。 どうやらストリートバスケなどに使われているのか、幾つかのボールが転がっていた。 その暗闇に包まれている場所には幾つかの人影があった。 その人影の数は丁度十人分。 そして、其の内の一人分を除き、他の人影には共通している事があった。 その全てが地面に倒れ伏しているのだ。 「しっかし参ったぜよ」 ただ一つ立つ人影は、男の声を放つ。 ツンツンとした短い金髪にやや茶色いサングラスをかけた軽そうな大男。 名を土御門・元春という高校生である。 またの名を嘘つき村の住人。様々な場所で活躍している多角スパイである。 土御門は、黒のTシャツと青色のジーンズで包んだ其の身を動かし周りを見渡す。 周囲には黒いスーツを着込んだ九人の男達が倒れ伏していた。 顔にはサングラスが付けられているが、その誰も彼もが印象に残らない。 言ってしまえば、特徴の無い顔をしていた。 土御門はその全員が意識を失っている事を確認してから、同時に男達が目的の品を持っていないか確認。 持っていないのを確認すると同時に、土御門は立ち上がり、その表情を歪めた。 「……触ったら最後、殺すまで追跡する悪夢、か。本当にそんな霊装がこの都市に紛れ込んでいるとしたら――」 最後まで言う前に唇を噛み締める土御門。 その表情は彼の友人達が見たら驚く様な真剣なものだった。 土御門は顎に手を当てて暫し黙考。 結局、取り敢えずはこの男達をなんとかしなければ、という考えに至り、何か縛る物は無いかと周りを見渡し始める。 と、同時に広場に響く水風船が弾ける様な音。 土御門はその音に眉を訝しげに顰め、音のした方向へと振り向いた。 そこには――、 「水……?」 音のした方向、先程まで男達が倒れていた位置にはそれぞれ水溜りが出来ていた。 「なるほど……こいつ等は囮の使い魔というわけだにゃー」 土御門は水溜りへと近づき、そこに残った人型に切り取られた紙を拾う。 その紙の中央には、蛇がのた打ち回ったような記号の様なものが書いてあった。 「古典的な術式……しかもこれは、オレと同じタイプだぜい」 魔術師――陰陽師である土御門は、其れを見て僅かにだが驚きの表情を漏らす。 しかし、次の瞬間、その表情はすぐに引き締められた。 「全く……厄介事を持ち込んでくれるもんぜよ」 血反吐を吐き捨てるが如く空を見上げる土御門。 戦闘の邪魔だと道端に放ってあったオレンジ色の派手なジャケットを拾い、肩に担いだ。 そこで気づいた事が一つ。 「……濡れてるにゃー」 Tシャツがどんどん濡れたジャケットの影響を受けて侵食されていく。 土御門はサングラスを持ち上げなおしてプラスチックの屋根に覆われた路地裏へと向かう。 「覚悟しておくぜよ、犯人。今日の土御門さんは一味違うぜい」 なんだか黒い空気を発する男こと、土御門は更に暗い闇の中へと濡れたジャケットを持って去って行くのであった。
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『いただきます』 席についた結標・淡希達はのんびりと昼食の挨拶をしていた。 席は窓辺、ガラス張りの大きな窓が真横にあり、外の風景がすぐに見える場所である。 これならば探し人が横切った場合などでもすぐさま対処出来るから、との結標の判断であった。 「そういえば、シスターちゃん、上条ちゃんはどうしたのですかー?」 「んー?」 食事を開始してから数分。 ハンバーガーを頬張りつつ、疑問の声を上げた小萌へと首ごと動かして視線を送るインデックス。 インデックスの口がもごもごと蠢く。 どうやら何かを伝えようとしているようだが、その口の中にある食べ物が邪魔をしているらしい。 「あ、喋るのはキチンと口の中のものを飲み込んでからですよー?」 小萌はその様子に思わず苦笑。 人差し指を立てて、無理矢理食べ物を飲み込もうとするインデックスを制止する。 こうして見ると確かに先生っぽいわね、とそれを見て結標は感心していた。 噂に聞く、熱血チビッコ教師。 その肩書きは間違いではないようだ、と結標も口元にハンバーガーを運ぶ。 その熱血教師の言葉に頷き、インデックスは食べ物をゆっくりと咀嚼し始めた。 それから数十秒経ち、インデックスはようやく口に詰め込んだハンバーガーを飲み込む。 「ぷはっ」 満足そうに息を吐くインデックス。 その膝元ではスフィンクスと呼ばれていた猫がおこぼれに預かっていた。 「口。横についてる」 テーブルに付属していたティッシュを使ってインデックスの口元を拭うのは姫神・秋沙。 切り揃えた前髪に腰辺りまで伸びた黒髪とその身を包む巫女服が特徴の少女だ。 「んんぅ……ありがとう、あいさ」 「どういたしまして」 僅かにだが微笑む姫神と、それに釣られて笑顔になるインデックス。 和やかな雰囲気が流れる中、結標は柔らかい口調で小萌の提示した疑問を少々改竄して引っ張り出した。 「それで……なんであんなところに一人で倒れてたの?」 「それは話すも涙、聞くも涙な話になるんだけど……」 よよよよ、と嘘泣きの芝居を前置きに事情を話し始めるインデックス。 簡潔にインデックスの話を纏めるとこうだ。 今朝方、久方ぶりに外に出る事が出来たので二人で散歩をしていたら、公園で困っているおばあさんを発見。 事情を聞いて見ればおばあさんの飼い猫がどこかに行ってしまったのだという。 『それなら俺達に任せておけ』 と、困るおばあさんを見て耐え切れなかったのか唐突に声を上げる"とうま"。 そうして、おばあさんからその猫の特徴を聞き、捜索を開始した"とうま"とインデックス。 捜索から約三十分。 猫が行きそうな場所を片っ端から調べてようやくそれらしき猫を見つけたインデックス達。 しかし、その猫はインデックス達を見つけると同時に逃げ出してしまった。 思わず追いかけるが、スフィンクスを抱えた状態であるインデックスはそこまでスピードが出せない。 『くそっ!悪い、インデックス!お前は此処で待っててくれ!ぬおおおおおおおおーっ!』 暑苦しい叫び声を上げて駆けていく"とうま"。 インデックスはスフィンクスの身を案じて"とうま"を見送ったのだが―――、 「待っているうちに御腹が空いて来て、倒れていたと」 思わず楽しそうに苦笑する結標。 「うぅ、笑い事じゃないかも。あわきが来なきゃ本当に行き倒れになってたかもしれないんだよ?」 「良かったね。結標先輩が良い人で」 「結標ちゃんみたいな良い子を持てるなんて……先生は貴女の先生が羨ましいですよー」 感謝の視線を向けるインデックスと微笑む姫神と小萌。 正直、素直な感謝の念を向けられると、自分が昔やっていた事を思い出して胸に幾つか矢が刺さる思いだった。 そして、それと同時に結標は小さな違和感を感じた。 違和感の元は先程のインデックスの話だ。 猫とそれを追いかける少年。 その様な構図に結標は会った事がある。 しかも、今日の朝にだ。 恐らくだが、インデックスの言っていた時刻的にも合致しているだろう。 「ねぇ、もしかして、その"とうま"って子。ツンツンの黒い短髪が特徴の?」 「ふえ?」 「結標先輩。あの人を知ってるの?」 「知ってる、というよりも今朝方それっぽい子に会ったんだけど……高校生くらいの男の子よね?」 「えぇ、そうです。私の自慢の教え子なのですよー」 えっへんと胸を張る小萌。 その顔は実に誇らしげだ。 結標はその様子を見て、良い教師ね、と微笑みつつ頷きを一つ。 その表情を真剣なものに変え、両肘をテーブルについてやや腰を落として顔の前で手を組み合わせる。 特に意味はないけれど大事なのは雰囲気だ。 「今朝、ゴミ捨てに行った時のことなんだけど……」 ふんふん、と勢い良く頷くインデックス。余程"とうま"という子が心配らしい。 他の二人も結標の次の言葉を待つ。 その空気が結標の何かを刺激したのか思わず、結標は悪戯心を動かしてしまった。 そう、人が自分の中の悪魔に誘惑されて堕落していくように。 「……いきなり私の胸に飛び込んできたの」 頬に手を当て、出来るだけ顔を赤らめ、恥ずかしそうに言う結標。 時が、止まった。 そのまま、誰も身動きが取れずにきっかり一分が経過。 そして時は動き出す。 「ちょ、かかか、上条ちゃんがそんな破廉恥なー!?いやするかもしれませんけど!」 「うふふ。私達って。やっぱり救われない」 「とーうーまー……」 「え、えーっと……」 慌てて手を振って自らの教え子の容疑を晴らそうとする小萌と虚ろな目で窓の外を見る姫神。 インデックスに至ってはハンバーガーなどが置いてあったトレイを噛みはじめる始末だ。 「って、インデックスちゃん。それは噛んだらいけませんよー」 「あ、うん。ごめん、こもえ」 「いえいえ」 小萌にツッコミをきっかけに冷静に戻る一同。 そして、インデックスは呼吸を整えてテーブルを叩いて結標の方へと身を乗り出した。 その表情は真剣そのものだ。 「で、どういう事なの、あわき!?」 「あ、いや、えっと……」 ここまで派手にリアクションを取られるとは思っていなかった結標は正直な所どうしたら良いのかわからない状態だ。 オロオロと視線を彷徨わせた後、小萌や姫神の方を見るが、二人もコチラを真剣な眼差しで見ている。 ブルータス、お前もか。 ○ 音が空間に響いた。 それは強い打撃音であり、打撃の主は一人の男だ。 鋭い打撃を受けた黒い影は派手に吹き跳び、その背を壁へと叩きつけられて倒れ伏す。 一方、打撃を放った男はとても戦闘後とは思えない飄々とした様子で周りを見渡した。 薄暗い広場。 正確には路地裏に位置する場所だが、そう表現しても構わないだろう。 その広場には十人程の男達が倒れており、そのどれもが黒い全身タイツを身に纏っていた。 怪しすぎる。 「気味の悪い連中だにゃー。オレにそっちの趣味はねーぜよ」 ケラケラと軽い口調で笑う男に僅かに差し込んだ太陽の光が当たる。 金色に染められた短髪に動きやすそうな黒いティーシャツと茶色のズボン。 首から掛けられた安物っぽい金色の首飾りと青いサングラスが妙に男を不良っぽく見せていた。 男は欠伸を一つ。 妙に長い腕を使い、頭を二、三度掻いて、ここまでの経緯を思いだす。 事の始まりは何時も通り、愛する妹の無事を確認と後をつけていたら、唐突に何者かの視線を複数感じた。 勿論、プロのスパイである男はその視線にすぐに気づきつつも、すぐには迎撃せず、暫く泳がせてみる事にしたのだ。 その方が相手の出方も伺いやすくと思い、妹の身辺警護を再開したのである。 別に妹を愛でる時間を削るのが勿体無かったわけではない。 昼になるまで、その身辺警護という名のストーカー行為は軍隊仕込みっぽい妹のストレートを土産に追い返されるまで 続いたわけだが、その間もついてくる視線達は男に張り付いたまま。 いい加減理由の一つでも聞いてやろうと気が立っていた男は、視線達を人気の無い場所まで誘導した。 そして、人気の無い場所に来るなり現れた全身タイツの男達。 気配をあまり感じさせなかったためプロだと思っていたが、あまりにも格好が馬鹿すぎる。 流石に全身タイツはないだろう。 その全身タイツ達は男を取り囲むなり無機質な声で一言、 「動くな」 格好と合わない無機質な声に違和感を感じた男は取り敢えず一歩。 「止まれ」 と言われたので、止まってその場で派手にダンスを踊り始めてみた。 「怪しい動きをするな」 三段移行した末の曖昧な要求。 それに対して取り敢えず思いつく限りの怪しい行動をしてみたら、いきなり黒タイツ達は襲いかかってきた。 そして、結局、黒タイツ達を返り討ちにして現状に至るわけだ。 男は周りを見渡し、取り敢えず襲撃の目的を聞こうと手近な黒タイツへと歩み寄っていく。 そこでようやく気づいた。 黒タイツの中身の体が無くなり、代わりとばかりに日常的に見る"とある液体"が其の場に広がっている事に。 「水?」 首を傾げつつ、しゃがみ込む男。 襲撃者達は黒タイツだけを残し、その身を透明な水へと変えていた。 いや、変えていたというよりも、戻ったという表現の方がこの場合は正しいのだろうか。 「………」 それを見た男の表情が一瞬険しくなる。 "人間"が突然"水"になった。 しかし、男はその考えを即座に否定する。 これは逆だ。 "人間"が"水"になったのではなく"水"が"人間"の形を模していたのだ。 「能力、魔術……これはどっちなのかにゃー?」 ふと、男は黒タイツを中心に広がっている水溜りに浮く妙な物を発見した。 その形は簡略されてはいるものの、頭部や四肢を申し訳程度に再現した物体。 色折り紙で作られた薄っぺらい人形だ。 折られた部分を辿って開いて行けば、内側にビッシリと書かれた古臭い漢字の数々。 男には、この漢字の形、配置に見覚えがあった。 「式神操術の符……これは、陰陽師だにゃー?」 陰陽師。 それは、世界各地に隠れるようにして存在する数多の魔術系統の一つの形である。 表では無いとされている、世界の法則を歪める裏技。 その術を要する者達の総称を魔術師と呼ぶ。 そして、今、目の前にある符を使った術は、男が以前まで使っていた魔術と近いものがあった。 正確な系統こそ違うものの、似た様な水を利用した術式を得意としていた男は思わず笑みを漏らす。 「これは天才陰陽博士の土御門・元春さんへの挑戦状と見て良いのかにゃー?」 今は既に魔術を使えない男――土御門はそれでも自信に満ちた獰猛な笑みを口元に浮かべる。 しかし、その目は鋭く、此処には居ない敵を見据えていた。 広場に静寂が満ちる。 だが、その静寂は一分と続かなかった。 「この道は一体、なーンなーンでーすかー?」 「あ、あの、落ち着いて……きっと、もうすぐ出口、ですよ。……たぶん」 「気楽でいいよなァ、眼鏡はよォ」 「め、眼鏡……」 唐突に広場の中央を横切る道、その片方から響いて来る中性的な声と女性の声。 去るか、と考えるが四方は壁。 声が響いてくる道と逆方向にも道があるが、行こうとしても距離が遠すぎる。 恐らく、急いだとしても声の主達が土御門の姿を発見する方が先だろう。 それは拙い。 水溜りは何時の間に広がって消えているが、問題はそこら中に落ちた黒タイツだ。 下手したら何らかの事件か、黒タイツをそこら中にばら撒く変態と見られて通報される恐れもある。 多角的スパイの看板を背負った土御門にとって、極力目立つ行動は避けたい所なのだ。 しかし、腕を組んで思案するものの、打開策は中々思いつかない。 ……これでは、そうそう身を隠す場所なんてないにゃー――。 どうしたものか、と首を捻る土御門。 その際に、ふと、土御門の横に位置する壁と壁の間、其処に開いた隙間に目が行く。 其処に挟まっている分厚い厚紙のような物が土御門の目を惹いた。 「これがあったか――ッ!」 すぐさま厚紙を隙間から取り出し、本来あるべき姿へと組み立て始める。 完成に数秒。 声は段々と近づいてくる。恐らく接敵まで残り数十秒もないだろう。 組み立ては完了。 後はこの中に入るだけだ、と土御門は己の手腕に感動する。 「一世一代の勝負……漢、土御門・元春、往くぜい……!」 接敵までもう数秒も無い。 小声で叫ぶと同時、土御門はその物体の中へと飛び込んだ。 ○ 暗い路地裏を風斬・氷華は白い少年と共に歩いていた。 「ったく、本当にいつまで続きやがンだァ?」 路地裏に白い少年――一方通行のウンザリとした感じの声が響く。 「……で、でも……あ、何か出口のような感じが……」 その隣に並んで歩く風斬は、一方通行の声に慌てて路地裏の終わりを指差す。 彼は風斬に言われて目を凝らして先を見てみるが、眉を顰めただけだった。 「思いっきり中間地点って感じの広場じゃねェか」 「あ、あれ……?」 それを聞いて同じように目を凝らす風斬。 成る程、確かに先にあるのは広場であり、その先には今歩いている路地裏の入り口と同じ様なものがある。 風斬はそれを見て項垂れ、 「あ、あう……ごめんなさい……」 「……敬語」 「え?」 下げた頭をキョトンとした表情で上げる風斬。 面倒臭そうにボリボリと頭を掻きつつ、風斬を横目で見やる一方通行。 「なンっか、さっきからムズ痒いと思ってたンだけどよォ。その敬語だ」 一方通行は視線を前方へと戻し、 「最近使われてねェもンだから、逆に気持ち悪りィンだよ。だから、やめろや」 横暴に聞こえる一言。 しかし、それは遠慮無く接して欲しいという気持ちの表れとも取れる一言だ。 それを聞いた風斬は一瞬驚きの表情を作った後、すぐさま思わず笑顔になってしまう。 この目の前の少年は、素直では無いが根は優しいといったタイプの人間らしい、と風斬は一方通行を評価する。 隣でニコニコと笑い続ける風斬に気づき、一方通行はウンザリした様子で、 「オマエよォ……マゾかなンかかァ?」 「?」 突然放たれた言葉に首を傾げる風斬。 どういう意味だったろうか、と言葉の意味を頭の中の三角柱を回転させて検索すること数秒。 検索終了と同時に風斬の顔は真っ赤に染まった。 「ち、違……ッ!」 すぐさま腕を振りつつ慌てて一方通行の放った言葉を否定する風斬。 それを見て一方通行は少しだけ楽しそうに笑みを浮かべ、 「冗談だってーの。本気にすンな、馬鹿眼鏡」 「馬鹿じゃ、ないもん……」 顔を真っ赤に染めて少しだけ俯きながら人差し指同士をくっつけていじける風斬。 などといじけている間に広場に出てしまった。 妙に整然とした暗い広場。 申し訳程度に光が差し込んでいるが、それも通って来た通路と同程度の明度しかもたらしていない。 路地裏だと言うのに妙に整備された広場は、スッキリとした雰囲気を見るものに与える。 ただし、ただ一点を除いては、だが。 風斬と一方通行は同時に固まった。 とある一点に視線を釘付けにされる風斬と一方通行。 「何だろう……あれ」 思わず風斬はその一点――広場の壁際で暴れるダンボールを指差した。 「俺に聞くンじゃねェよ」 一方通行は呆れた表情でそれを見て、溜息を一つ。 ダンボール自体は大きめだが、広場の端にあるせいかあまり目立たない。 しかし、その暴れっぷりがその存在を異常にアピールしていた。 一方通行は嫌そうな顔をしつつも、ダンボールへ向かって歩きだした。 一瞬、どうしたのかと首を傾げるが、慌ててそれを追う風斬。 「ったくよォ……なンだァ今日は厄日かァ?」 「ど、どうするの……?」 ダンボールの目の前へと到着する二人。 風斬は謎の未確認ダンボールを見て、やや不安になったのか、一方通行の服の袖を掴んで引っ張る。 途中、『ちいさすぎたぜよー!?』などとダンボールから聞こえたような気がしたが気にしない。 「あ、危ない……かもしれないよ……?」 心配で思わず声をかけるが、一方通行はあァ?とコチラを向き、 「どーせ、捨て猫かなンかだろうよォ。捨てンなら、もうちっと人通りが多い所に捨てやがれってンだ、クソったれが」 口調こそ荒いが、そこには猫に対する優しさの様なものが見え隠れしているようにも風斬には聞こえた。 そのせいか、不安よりも、なんだか妙な気持ちが大きくなった風斬は嬉しそうな笑みを一方通行へ向かって浮かべる。 その表情を見て、またウンザリした様な表情を作る一方通行。 彼は暫くニコニコと笑う風斬と顔を見合わせていたが、暫くしてダンボールへと向き直り、 「……さってとォ」 「……本当に、猫……なのかな?」 「―――」 疑問の声を上げるが、返事は無い。 しかし、構わず一方通行はしゃがみこんでダンボールの隙間へと手を入れる。 だが―――、 「?」 訝しげに表情を変える一方通行。 それを見て風斬は首を傾げ、 「え、えっと……どうしたの……?」 「内側からガムテープでも張ってやがンのかァ?結構硬ェぞ、こりゃァ」 それなら引っくり返せば早いだろうが、中に猫がいるのだとしたら無茶は出来まい。 そう考えて風斬は更に一方通行の評価を更に上げる。 後ろからの尊敬の眼差しを向けるが、一方通行は気にせず溜息を一つ。 「こンなトコで大事にとっといたバッテリーを消費なンてしたかねェンだけどなァ……仕方ねェか」 そう言って、一方通行は首に付いたチョーカーからぶら下がっている黒い棒状のものを操作する。 少しの間を置いて、彼は再びダンボールへと手をかけた。 紙を破くような音と共に開かれるダンボールの扉。 その中には――、 「にゃ、にゃー」 「……」 「……」 なんだか猫なで声をこちらへ投げかけてくる金の短髪にサングラスをかけた大男が詰まっていた。 風斬は暫く固まっていたが、一方通行の復帰は数秒早かったようだ。 すぐさまダンボールを閉じる一方通行。 ……え、えーっと……猫が男の人で猫で男で……。 「オス……ッ!?」 「ツッコミどころはそこかァ!?」 唐突に妙なところに驚く風斬に対して思わずツッコミを入れる一方通行。 「だ、だって……猫が大きな男の人に……っ!」 「ありゃどう見ても不審人物だろうがァ!」 「不審人物とは酷いにゃー」 「黙ってろ」 「……」 ダンボールの中から男が立ち上がるが、それを男の方を見もせずに一蹴する一方通行。 男はいじけたのかダンボールの中にしゃがみ込んでのの字を書き始めた。 「あの……落ち込まないで、ください……あの人も悪気があって、言ってるわけじゃ……」 あまりの落ち込み具合を気の毒に思い、風斬が俯く男に声をかけると、彼は僅かにコチラへと向き、 「……ツンデレかにゃー?」 「え?いや、あの……たぶん……?」 と風斬は思わず放たれた言葉を肯定する。 ツンデレ。 意味合い的には、普段はそっけないが、いざという時は優しい人――だった筈だ。 ……うん……たぶん、間違ってない、筈……。 頭の中でもう一度確認して拳を握る風斬。 その視線の先では男が頬に汗を流して口元を引きつらせていた。 「だァれが、ツンデレだァ……あァ?」 「ひぅっ!?」 唐突に、後ろからどす黒い空気を感じる。 これは駄目だ。振り向いたら駄目だ、と本能が警告するが、もう遅い。 恐る恐る振り返る風斬。 後ろには憤怒に満ちたオーラを放つ羅刹が笑いながら立って――、 ○ 暗い路地裏にある広場。 白い、服装も髪もが白い学園都市最強の能力者――一方通行は広場の壁に沿う様にして駆けていた。 その速度は今の彼にとって全力疾走と言えるものだ。 しかし、その学園都市最強の能力者であるはずの彼の全力疾走についてくる者が居た。 その人物とは、金色の短髪に薄い青のサングラスを掛けた大男だ。 彼は口元に笑みを浮かべつつどこから取り出したのか赤いリボンを両手に掲げつつ叫ぶ。 「ツンデレにはツインテールと決まってるんだにゃぁーっ!」 「知るかァあああああああああああああ!?」 とある幻想殺しの少年が聞いたらその場でずっこけそうな言葉を放ちながら、しかし男は足を止めない。 否、むしろスピードが上がってるようにも見えた。 一方通行はそれに対してどうしてこの様な事になったのかを思い返す。 思えば、制裁を加えようと男の頭にそこそこ力を加えたチョップを一発振り下ろした所から始まったのだ。 一方通行の攻撃。 それは当たれば人を気絶させるほどの衝撃を持った一撃――のはずだったのだ。 しかし、実際にはぽすっと可愛らしい音を立てて男の髪に僅かにめり込んだだけ。 何事かと思えば一方通行の能力の要でもある演算補助装置の一部の機能が故障でもしたのか止まっているという事態。 顔を青くする一方通行に対して男は立ち上がり、三日月のような笑みを見せ――。 そして、現在に至る。 詰まるところ、形勢逆転。一方通行の方がピンチに陥ったわけである。 「チィッ!」 舌打ちするが、演算補助装置は相変わらず少ししか動かない。 それでも身体機能を通常レベルまで持っていける程度まで動いているのは僥倖と言うべきか。 だが、男から逃げきれる速度でも無いし、迎撃できるような力も今は無い。 せいぜいが内部でどうにか足への負担を極力軽減するための反射をしたり出来る程度だ。 どうにか男から逃げ切るための作戦を思案するが、広場の中心でオロオロとしている眼鏡を掛けた少女がいる限りは 迂闊に此処を離れるわけにもいかない。 一方通行が逃げ出した途端に今度は『眼鏡っ娘にはおさげだにゃーっ!』とか言って襲いかかりかねない。 いや、この男ならするだろう、と後ろから迫り来る男の事を独断と偏見で判断しつつ一方通行は思う。 何かキッカケが来るまで走りまわっているのも良いが、それでは演算補助装置の電源が持つかわからないし、 何時、男がターゲットを一方通行から風斬に変更するのかわからない。 これではイタチゴッコだ。 ならば――、 「にゃっ!?」 別に猫の鳴き声ではない。 一方通行が一か八か迎撃しようとして振り向き、見事に体勢を崩した際に出した声だ。 ……くァっ!ちくしょうがっ!反射の設定変更が間に合わなかっただァ!? それはつまり、演算補助装置の機能がかなり落ちていると同時に目の前の男との距離を詰めてしまうと――。 男は空を舞っていた。 まるでそれはコチラへとダイブしてくるような格好でまさに両手を開いて一方通行を抱き締めようとしているような。 一方通行はそれを零コンマ何秒の世界で判断し、顔を引き攣らせて口を開いた。 「ぎゃァああああああああああああああああ!?」 ドサリと乾いた音が路地裏に響いた。 ○ 「ん?」 昼の日の光が窓から差し込み燦々と店内を照らしている中、少女が首を傾げる。 その少女は髪を後ろで二つに分けて縛るという髪型をしており、上半身に白いティーシャツ、そしてその上から羽織った 紺色のジャージの上着。下半身には羽織ったものと同じ色のジャージのズボンといった格好をしていた。 その少女――座標移動の能力者こと結標・淡希は窓の外を見やりつつ再度首を傾げた。 「どうしたの、あわき?」 結標を不思議そうな顔で見るのは白い修道服に身を包んだ銀髪碧眼の少女――インデックスだ。 彼女の真横に座った結標はなんでもないわ、とインデックスに手を振るが、確かに何かが聞こえた。 しかも、それは誰かが助けを呼ぶような声だった様な気がする。 「結標先輩。大丈夫?」 うぅんと結標が手を組み唸っていると真横から声がした。 インデックスの目の前に座る巫女服を纏った見本のような和風を体現した少女――姫神・秋沙がこちらを見ていたのだ。 彼女はあまり表情は変えないものの中々人に気を使うタイプなのか何故かティッシュを差し出してきている。 「……なんでティッシュ?」 「調子が悪いのかと」 やっぱり何を考えているのか良くわからないタイプの子だ。 ティッシュを受け取ってからお礼を言って、席に戻って正面を向くとニコニコとした笑顔のどう見ても小学生にしか見えない 少女――一応、先生らしい月詠・小萌が視線を結標へと向けていた。 その表情は凄まじく上機嫌な笑顔だ。 「えっと――小萌先生、でしたよね?」 「えぇ、そうですよー」 ものっすごくご機嫌な声で返された。 何か彼女の機嫌を良くなるような事をしただろうか?と思うが、恐らくは特にしていない筈だ。 ならば、何故か――それは本人に聞くのが一番手っ取り早いだろう。 「何か良いことでもあったんですか?」 「えへへへー」 小萌は笑うばかり。 結標は、無邪気というかなんだかその辺りを通り越した小萌の笑みに思わず身を引いてしまう。 それでも小萌は笑みを浮かべるのを止めない。 なんだか段々追い込まれているような気分になってきた。 「あの、なにか私、悪い事でもしたでしょうか……?」 なんとなく居心地が悪くなって縮こまりつつ聞いてみる。 すると、小萌は相変わらずの笑顔で頬に片手を当てて、 「あ、いえー、特に結標ちゃんが悪い事をしたわけではないのですよー?ただ――嬉しくって」 「嬉しい?」 予想外の発言に思わずキョトンとした表情になってしまう。 何故という疑問よりも先に言葉の方が出てしまったが、特に問題はないだろう。 「えぇ、話に聞いてたよりもずっと良い子で良かったと思いまして」 「え?」 心臓を鷲掴みにされたような感覚が結標を襲った。 この目の前の女性は自分の事を知っているというのか。しかも昔の自分を。 鷲掴みにされた様に縮んだ心臓が鼓動を早める。 考えすぎだと、冷静な部分が叫ぶ。 結標自身もそう思うが、走り出した勢いは止まらない。 脳裏に走る一つの記憶。 自分が■を■■■人間だという事はもう変えられない――。 ……あ、あう、あああ……。 思考が停滞する。 頭に浮かぶのは血まみれで倒れる少女と、それを笑い嘲り蹴り飛ばす自分。 違う違うと否定してもそれは既に起こった現実で、それは紛れもなく自分の正体。 「あわき?」 「!」 インデックスの声に現実に引き戻された。 「大丈夫?汗びっしょりだよ?」 「だ、大丈夫よ……私、病み上がりなもんだから。本当、大丈夫よ」 先程姫神に渡されたティッシュで顔全体を拭う。 ティッシュはすぐさま濡れて使い物にならなくなってしまった。 こんなに汗をかいていたのか、と結標は自分の体ながら感心してしまう。 「む。無理はいけないのですよー?」 メッと指を突きつけてくる小萌を見る限りでは、自分の事をそこまで深くは知っていなさそうだ。 自分の深読みのしすぎだろう、と今度こそ結論付けて心を落ち着ける。 しかし、と結標は思う。 自分は自らの犯した罪から逃れようとしていたのかと。 あの白井・黒子は、そしてあの"残骸"を巡って起こった事件で仲間だった者達は今の結標を見てなんと言うだろうか。 前者は喜んでくれるかもしれないが、後者はきっと自分を軽蔑するだろう。 「結標先輩。何か思うところがあるなら。言ったほうが良い」 「え?」 考え込んでいると斜め隣から声が飛んできた。 声の出所は姫神だ。 相変わらず何を考えているかわからない表情ではあったが――その目はしっかりと結標を見ていた。 「いや、私は別に――」 「だめ」 姫神は無表情のまま、 「きっと結標先輩の悩みは。たぶんだけど。溜め込んだままだといつか結標先輩を傷つける」 結標は息を呑んだ。 それと同時にその目を見て感じた。 恐らくだが――姫神は結標と同じ様な境遇の人物だ、と。 力を持つ余り、その力に恐怖する者。 白井・黒子にアレだけ言われても変わらない自分の根本。 結標は姫神の瞳から目を逸らし、しばし逡巡。 少しの沈黙が場に落ちる。 他の皆は結標の言葉を待つかの様に口を閉じていた。 「もしも」 結標は皆の視線に応える様に口を開くが、そこで一旦区切り躊躇い区切る。 そして、更に迷い、しかし暫くして再び口を開いた。 「もしも、私が人を簡単に殺せるような殺人鬼だったとしたら……どうする?」 場の空気が一瞬固まる。 それはそうだろう、もしもではない。 結標・淡希は本当に思っただけで、簡単に人が殺せるのだから。 そんな力を持っているのだから。 しかし、姫神は動じなかった。彼女は顔を横に振りつつ、 「どうもしない」 「どうもしない?」 結標は僅かに眉を寄せる。 姫神はそれを見ても別段気にすることはないという風に表情も変えずに結標を見る。 「結標先輩は人を傷つけたい――殺したいと思ってる?」 その言葉に今度は結標が固まってしまった。 「そ、そんなわけないじゃ――」 「じゃあ。大丈夫」 姫神は僅かに微笑むような表情になり、 「貴女は私と似てる。でも。一緒じゃない。貴女は優しい人」 意外な言葉を放った。 その言葉に結標は固まり、しかし、目を逸らし、 「……優しくないわよ。私は一度人を殺そうとしたわ……それなのに……」 呟くようなボソボソとした声で言った。 すると、姫神はまるで用意していたようにすぐさま疑問を口にする。 「でも。殺してはいない?」 何を結果論を、と言おうとしたところで姫神に目を奪われた。 強い瞳。 そこには達観したような、しかし何か違う強さが感じられる意思の力を持った少女が居た。 「あ……」 違った。 この少女は結標と同じなんかではない。 何かわからないが――彼女は自分よりもとんでもなく重いものを背負っていた。 そして、同時に結標よりも遥か先を既に歩んでいる人間だという事も理解する。 瞳に宿った意思がそれを結標に伝える。 「あわき、あいさ……?」 インデックスが心配そうに結標と姫神を交互に見やると同時、姫神は笑みを浮かべて言った。 「だから。大丈夫。貴女は人を助けられる」 それは、姫神にとってどれだけ重い言葉なのか。 少なくとも姫神が偽善や気遣いで言っているわけではないのは確かだ。 彼女の言葉には嘘が感じられない。 結標はそんな姫神の言葉を受けて溜息を一つ。 「……ありがとう、姫神さん。だめね、私。年上なのに年下の子に助けられてばかりだわ」 なんで自分はこんなにグダグダと何時までも迷っているのだろうと思う。 同時に情けない、心まで腐っていたか、と自分自身を叱咤する。 「ん」 しかし、姫神は和やかな笑みを浮かべて頷き、 「今度返してもらうから。平気」 「ええ、是非に」 結標も眉は多少下がっているもののその頷きに笑みで応える。 場に暖かい空気が戻り初めた。 「えーっと、もしかして先生の介入する余地なく解決しちゃいましたか?」 頬を掻きつつ困ったような表情をする小萌と、状況が全く把握出来ていないインデックス。 その二人を見て姫神と結標は顔を見合わせ、再びくすくすと笑みを漏らした。 その時だ。 「御取り込み中のところ宜しいでしょうか?」 静謐な、しかし礼儀正しい女性の声が聞こえた。 「「「ひゃあッ!?」」」 唐突にすぐ近くから聞こえた声。 その声の近さに驚いて結標達から絶叫が上がった。 急いでそちらを見れば突然現れたかのに、女性に一人の女性が立っていた。 唯一悲鳴を上げなかった姫神はその女性を見て首を傾げ、 「メイドさん?」 「メイドで御座います」 姫神の疑問に会釈を返した女性はやはり姫神の言う通りメイド服をキッチリと着込んでいた。 顔を上げたその女性を一言で表すならば美人という言葉が一番適切だろう。 腰ほどまである黒の長髪を結ってポニーテールにした髪型にスラリとした長身。 黒髪の下の鋭い目つきが凛々しく。 女性の魅力を一段と引き出していた。 「かおり……?」 その女性を見たインデックスが疑問の声を上げる。 対して女性は無表情にしかし、確認するかのように皆を視界に納めて、 「再度確認しますが、よろしいですか?」 小首を傾げた。
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「なっ、なんななななななななん何をコンッ根拠にショタむぐショタコンって……ッ!!」 結標 淡希(むすじめ あわき) 一人称 私 CV 櫻井浩美 初出 禁書目録 8巻 能力 座標移動(ムーブポイント)大能力者(レベル4)/(実質レベル5相当か?) 所属 ・科学サイド・学園都市暗部・『グループ』・霧ヶ丘女学院 通称 ・あわきん このページは執筆中です。加筆、訂正して下さる暇人を求めています。 概要 『窓のないビル』への『案内人』の少女。高校二年。 レムナントの一件で一方通行さんにぶん殴れらた後もその仕事をしているかは不明。 今は学園都市の暗部組織『グループ』の紅一点。 グループとしての活動は、AIMジャマーを使われたり、麻痺させられたりと正念場で苦戦を強いられることが多い。 ショタコンという実にオイシイ公式設定を持つ。 服装も上は胸をピンクのさらしで巻いてあとはブレザーをはおるだけ、下もミニスカで生足を披露、というこれまた弄りがいのある設定。 しかも、他のキャラが夏服から冬服への衣装チェンジをしたとき、彼女は衣装チェンジをしなかったようである。 何かこだわりがあるのかもしれない。 今は小萌先生の家に居候中。家事を練習中のようだ。 言動や行動とは裏腹に隙の多いキャラである。 ここが人気のポイントの1つなのかもしれない。 SSでもよくネタにされる。 またカップリングでは一方通行と座標移動、通称『一方座標』が多く一方通行のカップリングとして候補によく上がる。 原作でも一方通行との喧嘩腰の会話でしばしば読者をニヤニヤさせている。 口調 女ことばを使う意外に特徴はない。 しかし、ときどき高飛車な印象を受ける発言をする。 能力 座標移動(ムーブポイント)。空間移動系の能力。 一度に飛ばせる距離は800m以上、 重量は最大で4520kg。 1000kg以上は体に障るらしい。 過去のトラウマから自分自身を転移出来ず、そのためレベル4に甘んじていたようだ。 15巻でトラウマを克服したため、自分自身も自由に転移出来るようになり、現在ではレベル5級の能力を有する。 参考資料 原作での登場シーン ・8巻 P067~P095(2章2) P125~P141(3章3) P156~P170(4章1) P170~P204(4章4) P220~P233(行間4) ・15巻 P029~P033(1章4) P038~P042(1章7) P062~P064(2章1) P083~P086(2章4) P090~P093(2章6) P165~P187(3章6~9) P196~P205(3章11) P211~P212(3章13) P330~P338(最終章) ・19巻 P027~P041(1章1-3,4) P047~P052(1章3) P061~P068(1章5) P083~P084(1章9) P097~P101(2章1) P110~P113(2章4) P180~P192(3章1) P222~P224(3章5-1) P229~P231(3章5-3) P232~P238(3章6) P290~P294(3章13) ・SS1 P071~P087(2章3) P106~P111(2章6) P230~P239(最終章) 「結標淡希」のタグを含むページ 絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 人物目録/結標淡希 一方通行「俺と契約して魔法少女になンねェか?」 とある夏雲の座標殺し(ブルーブラッド)index とある夏雲の座標殺し(ブルーブラッド)
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【名前】結標淡希 【スペック概要】座標移動。レベル4 【サイズ】 【攻撃方法】 座標移動(ムーブポイント) 触れずに移動させられる空間移動 [威力]…何でもぶち抜ける。飛ばせる質量は最大4520kg。1000kg以上は体に害あり [射程]…800m以上 [速度]…普通の空間移動より発動が遅い コルク抜き携帯 軍用懐中電灯 長さ40cm強、直径3cm程度。金属製。警棒代わりになる 手榴弾×9以上 拳銃 鉄杭(独房の頑丈な錠前の部品)のインパクトで手塩を倒す 【防御方法】 車やダストボックスの転移で壁にする 【移動速度:移動方法】 自己転移 【反応速度】 【特記事項】 今までの描写 8巻時:コルク抜き、拳銃装備。トラウマあり SS時:コルク抜き、手榴弾装備。振動治療器でストレス軽減 15巻手塩戦以降:コルク抜き以外の装備未確認。トラウマによる自己転移ためらいは完全克服扱い 【基本戦法】 転移で貫く