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このページはこちらに移転しました 小春日和 作詞/277スレ147 作曲/規制用1スレ42(277スレ188) しんしん 銀世界 雪の街 すんすん 鼻声 寒いね りんりん 鈴の音 クリスマス らんらん オルゴール ありがとう 厭わないしいつでも いつまでも あなたを好きでいたい いつからか よりそえどぼっち へたっぴなスマイル つれづれと日々 かじかんでいった ヒラリ陽向に舞う花びら 心はコロリ僕はバイバイ 小春日和昨日の風に 今更と香る あなた 音源 小春日和
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小春日和 サークル:ししまいブラザーズ Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 ジェネレーション・ギャップ ししまい三号(DauGe) 東方星蓮船 時代親父とハイカラ少女 [-- --] 02 豊かなる小春日和 ししまい三号(DauGe) 東方風神録 人恋し神様 ~ Romantic Fall [-- --] 詳細 博麗神社例大祭7(2010/03/14)にて頒布 イベント価格:100円 ショップ価格:なし レビュー 名前 コメント
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小春日和 member* 山口 夏苗 石田 貴子 岡本 祐依 前田 茂樹 古賀 祐介 songs* ♪ すてきなホリデイ/竹内まりや ♪ 366日/HY ♪ らいおんハート/SMOOTH ACE ♪Hello,Again~昔からある場所~/JUJU ♪楓/秦基博×Superfly ♪毎日がスペシャル/竹内まりや ♪Tomorrow never knows/Mr.children since* 2010,11/6~ memo* 心がじんわり温かくなるような曲を中心に歌っていきます♪
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「最近、いい天気が続いてるよね~」 「そうですね。気持ちのいい小春日和が続いてますね」 「えっ、みゆきさん、今は秋だよ?」 「あんた、ホント馬鹿ね~。 小春日和って言うのは、秋の終わりの、春みたいな陽気のことを言うのよ」 「「へぇ~、そうなんだ」」 「って、つかさも私と一緒に天気予報とかで聞いてたでしょ?」 「あれ、そうだっけ?」 「おいおい……」 ―小春日和― 「かがみ~、つかさ~、遊びに来たよ~」 「あ、こなちゃん、いらっしゃ~い」 今日、私はつかさの家にやってきた。 「あれ、かがみは? みさきちのところ?」 「うん、そうみたい」 そっか、かがみいないのか……なんか、ちょっと寂しいなぁ。 「こなちゃん、今日は何するの?」 「う~ん、じゃあゲームでも……っと思ったけど、今日は外、歩いていかない?」 「えっ、別にいいけど……どうしたの? 急に」 「いや~、ここ最近いい天気が続いてるし、たまにはいいかな~っと」 「う~ん、うん、そうだね」 というわけで、私たちは外に出ることにした。 「う~ん、いい天気だね~」 「そだね~」 「ホント、散歩日和だよ」 まずは、神社を歩いてまわってみた。 紅葉がとてもきれいだな~。 「ここって、秋になるといつもきれいだよね~」 「ホントだよね~、わたしは毎年見てるけど、全然飽きないいんだよね~」 そんな間延びした会話が続いた。 やっぱり、私はこんな風に、のんびり待ったりした感じが好きらしい。 特に、つかさと一緒にいると、気持ちよくなってきちゃって、ついつい…… 「こなちゃん、どうしたの?ニコニコしちゃって……」 おっと、やっぱり顔が緩んじゃったか。 「うんにゃ、何も」 そっか、と言って、つかさはまた紅葉に目を戻した。 やっぱきれいだな~紅葉って言うのは。 う~ん、でも何か物足りない……あ、そうだ。 「ねぇ、つかさ」 「……」 ……あれ?返事がない…… 「お~い、つかさ~!」 「ひゃあ! な、何、こなちゃん」 「どしたの?」 「え、えっと……紅葉に見とれてて……」 おいおい…… 「で、なに?こなちゃん」 「ん、えっと、これからサイクリング行かない?」 「えっ、どこへ?」 「内緒。さあ、どうする?」 「……うん! 行く行く!」 「んじゃ、私についてきて」 「うん!」 「わぁ~、すごくきれい……」 1時間後、私達は、紅葉並木の下に居た。 「でしょ~。ここは春は桜の花がきれいだけど、秋の紅葉もなかなかきれいなんだよ」 「うん! すごいね~」 ここは、権現堂堤。春は桜の名所となっている。 私も最近まで知らなかったけど、紅葉もなかなかきれいなのだ。 ふと、つかさを見てみた。 この長く続く紅葉並木を見上げて、満面の笑みを浮かべていた。 ここまで満足してくれたら、私も連れてきた甲斐があるってもんだよ。 それにしても、やっぱりつかさの笑顔は癒されるなぁ~。 なんかこう、体がポカポカしてきたと言うか…… 「どしたの?こなちゃん」 うおっ、いつの間にかつかさがこっち向いてたよ。 「い、いや、なんでもない…… それにしても、今日は太陽が気持ちいいね~。まさに小春日和と言うか……」 「こなちゃん。今は秋だよ?」 「ちょ、つかさ……小春日和は春関係ないって、この前かがみが言ってたじゃん」 「あれ? そだっけ?」 つかさ~天然もそこまでくると、さすがにきついよ…… だって、その話したの、1週間前だよ? ホントもう、どんだけ~って感じだよ。 「そ、それに、今、空、曇ってるんだけど…」 え、そんなはずは……って、本当に曇ってるし。 晴れてるどころか、今にも雨が降り出しそうだ。 「…急いで帰ったほうがいいかな?」 「そうだね。あっ、それよりも、私の家に行ったほうが早いんじゃない?」 「あ、うん。そうだね」 「じゃあ、少し急ごうか?」 すぐに自転車に跨って、私の家に向かった。 「なかなか降り止まないね~。こなちゃん」 「…そうだね」 結局、雨は家に着くまで待ってくれず、ザーザー降り出してしまった。 しかたなく、私達は近くの店の屋根の下に避難することになった。 「さっきまでいい天気だったのに……雨なんて、キライだ~」 と、おもいっきり灰色の空に叫んでみても、雨は降り続くわけで…… 「こ、こなちゃん。落ち着いて……」 とつかさが慰めてくれるけど、私の心は晴れなかった。 ぷく~と私がふくれていると、つかさが、 「で、でも、こなちゃんは、昔は雨が好きだったんだよね?」 「ん? ……まあね。昔は屋外球場が多くて、 プロ野球中継が雨で中止になることがよくあったから、 アニメの時間がずれなくて嬉しかったんだけど、最近ドーム球場が増えてきたから、 中止になることが少なくなってね……だから、今はキライのほうに傾いてるわけで……」 「そ、そうなんだ…」 ちょっと引き気味のつかさ。 そうだよね、普通の人の反応って、そんな感じだよね。 「わたしも雨って、あんまり好きじゃないんだよね~。でも……」 「でも?」 私が聞くと、つかさは前を向いて、目を閉じてしまった。 「あの~、つかさ?」 今度は私が聞いても、そのままだった。 「……えっと……」 もう1回聞こうとすると、 「ほら、こなちゃん。こなちゃんも、目を閉じて、耳を澄ましてみて」 とつかさが言ったので、その通りにしてみた。すると、 ザーザー ピチョン ポトッ ポトッ ピッチャンピッチャン ザー ポツッ ピッチャン ……まるで、雨音がオーケストラの演奏のように聴こえてきた。 小気味のいいその音を、私達はしばらく聞いていた…… 「ねっ、きれいな音でしょう」 しばらくして、つかさが私に聞いてきた。 「うん。よかった」 私は率直な感想を述べた。 「見てるだけじゃ、鬱陶しい、って思うだけかもしれないけど、 目を閉じて、耳を澄ましてみると、とってもいい音を奏でてくれるんだよ」 そう言って、つかさはもう一度目を閉じた。 つかさの表情は、とても嬉しそうだった。 その、陽だまりのような笑顔を見ていると、心の中もポカポカになるような感じがした。 「どうしたの? こなちゃん。顔、真っ赤だよ?」 「ふえっ?」 え、もしかして、私、つかさに見とれてた? そして、それをつかさに見られてた? うわっ、恥ずかしい…… 「い、いや、その……あ、ゆ、夕日がきれいだね~」 「あ、ホントだ、きれいだね~」 ちょっと苦しかったけど、何とかごまかせたみたい…… 実際、まだ少し雨が降っていたけど、西の空には、夕日が浮かんでいた。 少しぐらいはいいかな、と思って、屋根の外へ出てみた。 「あ、こなちゃん、見て見て~!」 つかさが後ろを向いて、空を指さしている。 私も振り返ってみると、 「あっ、虹…」 「とってもきれいだね~」 そこには、2本の虹が、きれいにアーチを架けていた。 つかさは、この虹をまた、嬉しそうに眺めていた。 また私を温めるような、太陽の笑顔で…… 「こなちゃん、すっごく嬉しそうだね」 つかさがまた聞いてくるけど、もう気にしないことにした。 「いや~小春日和だな~っと思って」 「え? こなちゃん、まだ雨降ってるし、そんなにあったかくないよ?」 「いいのいいの。さて、雨も弱くなってきたことだし、私は家に帰るとしますか」 困ったような顔をしたつかさを放っといて、私は自転車にまたがった。 「え、あ、じゃあ私もそろそろ帰ろうかな」 つかさの慌てたような声を聞きながら、私は自転車をこぎ出す。 しばらくして振り向くと、つかさが笑顔でこちらを向いて、手を振っていた。 「こなちゃ~ん! また明日ね~!」 「うん、また明日~!」 季節なんて関係ない、天気なんて関係ない、まして、気温なんてもっと関係ない。 つかさが笑ってくれれば、心はいつも“小春日和”なのだ。 コメントフォーム 名前 コメント ほわほわしていていい話でした -- 名無しさん (2008-10-31 23 14 13) いいのかきましたねぇ作者さんgjです(=ω=、)b -- 九重龍太 (2008-03-29 18 36 30) つかさ可愛い~ -- 名無しさん (2008-01-13 16 19 31)
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見慣れた湘南の海とは趣きの異なる外房の海は波高く、犬吠崎は小春日和なり。 銚子名物活魚料理の「一山いけす」にて伊勢海老天丼を食す。 海老の殻までカリカリに揚がっていて、二匹分の伊勢海老に大満足! 久々の遠征で少々疲れましたが、初めて踏む地は新鮮でやっぱり楽しい。 次は南房総の海沿いでも流してみたいですな。
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小春日和。 いつものように応接室で雲雀さんの隣に座って紅茶を飲む。 あぁ、ぽかぽかして心地いい。 もうすっかり、春だ。 「春ですね、雲雀さん」 「うん、あったかいね」 俺が笑いながらそういうと、ひばりさんも微笑んで返事をしてくれる。 (その笑顔が、俺はいちばん好きだ!) あけた窓から暖かい風が吹いてきて、歌うようにヒバードがさえずる。(あ、歌ってた!並中の校歌!) 桜も満開で、お花見日和だ・・・・・・・・ ・・・・・・・・あ 「そうだ、雲雀さん!」 「何?」 「お花見しませんか??」 +++ お花見しましょう、と綱吉が僕の手を引っ張って、二人で手をつないで桜並木の下を通る。 けど、綱吉は僕が以前『桜クラ病』とか言う変な病気にかかってたことを忘れてるのだろうか。 「ま、いいか・・・・・」 桜並木の下で無邪気にはしゃぐ綱吉をみていたら まぁたまにはいいかな、と思ったりして。 多分 これを 『惚れた弱み』 って言うんだろう 「雲雀さんって」 「ん?」 綱吉かわいいなーーーー、とか考えていたら 隣からいきなり愛しい子の声。 「雲雀さんって、桜、似合いますね!」 すっごくきれいです!なんて言ってふわりと笑う綱吉を見て。 優しくて暖かくて押したら崩れてしまいそうな笑みを見て。 あぁ、この子は、まるで、 「君は、桜みたいだね」 そういうと綱吉は一瞬きょとん、として それからぱぁ、と目を輝かせる。 「じゃあ、俺達『お似合い』ですね!」 なんて、ぎゅう とつないだ手に力を入れる。 全く、この子は! 「綱吉、こっち向いて」 「え? どうしたんでっ・・・・ ん、」 振り向いた綱吉に軽く口付ける。 「んな、何でいきなり!?」 必死で平静を装おうとしてるけど、顔は真っ赤だし心臓の音がこっちまで伝わる位にドクドクいってるし。意味無し。 「本当、綱吉は可愛いね・・・・・」 桜はすぐ散ってしまうけど、 この桜は絶対に散らせない。 一生可愛く咲いてて欲しいから、 僕は君を、春夏秋冬 愛してあげる! +++跡餓鬼-アトガキ-。 ・・・・・・なんじゃこりゃ。藍桜は頭がおかしいに違いない! と思った方。 藍桜がまともだった方がおかしいです。はい。 ただ単に綱吉に「俺達『お似合い』ですね!」 って言わせたくて作った突発小説。 最後に一言。 ご愁傷さまです!!(終われ。)
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元スレURL にこ「小春日和」 概要 関連作 タグ ^矢澤にこ 名前 コメント
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元スレURL にこ「小春日和」 概要 関連作 タグ ^矢澤にこ 名前 コメント
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春一番も過ぎ去った3月半ば。 俺たちはいつものように、街へと繰り出していた。 ただいつもと違うのはここが隣町であることと日曜日であるということであり、 更には俺とハルヒしかいないからである。 つまりはそういうことだ。察してくれ。 今日の探索は朝比奈さんや長門、古泉には秘密なのだがあいつらのことだ。どうせもう気付いているに違いない。 ひょっとしたら今この瞬間だって俺たちの後をつけていて、明日辺りにからかわれるのかもしれない。 それはそれで幸せかもな、なんて一人考えていると、 「…ン!…ちょっとキョン!聞いてるの?」 っと、今はそんなこと考えてる時じゃなかったな。 なんだ、ハルヒ。面白いものでも見つけたのか? 「なんだじゃないわよ!さっきからボーっとしてあたしの話聞いてたの!?」 ちょっと気を抜くとこれだ。ちなみに今日だけで3回目である。 もちろん俺にも非はあるのだがハルヒが付け上がるので認めないことにする。 聞いてたよ。春休みの予定だろ? 「ん。よろしい!でさ、キョンは何かしたいこととかある?やっぱりお花見は欠かせないわよね。あ、お酒は抜きだからね。」 人に聞いておいて意見する間もなく100kWの笑顔でマシンガントークを繰り広げるハルヒを見ながら、俺は少し前のことを思い出していた。 折角なので諸君にも聞いていただくとしよう。 俺とハルヒが、こうして二人で肩を並べて歩くようになった理由を…。 生徒会とのいざこざも無事に収束したことで、すっかり落ち着きを取り戻していた文芸部室ことSOS団室。 いつものように長門は読書(恋愛小説らしい、珍しいな)朝比奈さんは編み物(マフラーらしいですよ:古泉談) 俺と古泉は古泉お手製のボードゲームに勤しんでいた。 今週ハルヒは掃除当番だ。ご苦労さん。 教室を出るときも阪中と一緒に何やら文句を言っていたようだが、 どうせ大したことではないので聞き流すように先に部室へ馳せ参じたというものだ。 ここへ来ればマイスウィートエンジェルに会えることだしな。 「最近涼宮さんの様子はいかがですか?」 サイコロを振りながら古泉が言う。6だ。振り出しに戻る、さらば古泉。 どうしたんだ突然。また閉鎖空間でも発生したのか? 「その逆です。最近は全くといっていいほど閉鎖空間が発生しないのですよ。」 4、と。階段から落ちる。1回休み。落ちたら先に進むんじゃないのか。 いいことじゃないか。お前もバイトに借り出されることがなくなって一石二鳥じゃないか。 「確かにその点は喜ばしいのですが」 1だ。未来への時間移動、3マス進む。くそっ追いつかれるじゃないか。 なんだ、他に喜ばしくない点でもあるような言い方だな。 「いえ、そういうわけでもないのです。」 はっきりしない言い方だな。あまり聞きたくないが言ってみろ。どうせ俺も関係してる話なんだろう。 「ご察しの通りです。と言いたい所ですが、直接的な関係はありませんよ。いえ、ある意味直接的ではあるのですが。」 毎回回りくどい言い方をしやがる。報告は結論からするものだと習わなかったか。 「最近涼宮さんが放課後一人で帰っているのはご存知のはずです。」 そう、最近ハルヒは何故か団活のあと用事があるとかで一人先に帰るようになったのだ。 教室でも授業中はコソコソやってるみたいだし、休み時間になるとどこかに出かけて授業開始間際になって戻ってくる。 一体何をしてるんだと聞いてみても「あんたには関係ないでしょ」の一点張りだ。やれやれ、人の親切をなんだと思ってやがる。 それはもちろん知っているが、それとこれと何の関係があるんだ。 「あなたならご存知だと思ったのですが…いえ、当事者だからこそ気付いていないのかもしれませんね」 だから何の話だ。 「涼宮ハルヒは貴方のことを調べている。」 おお、長門。今日初めて声を聞いたぞ。って長門。そりゃ一体どういうことだ? 「今日の昼休みに涼宮ハルヒが私の元へ訪ねてきた。そこで貴方のことを聞かれた。」 ハルヒが俺のことを?なんでまたそんなことを。 「あのぅ…涼宮さんでしたら、私のところにも来ましたよ?」 本当ですか、朝比奈さん。 「ええ。昨日のお昼休みだったと思います。鶴屋さんと一緒にお昼ご飯を食べてたんですけど、 そこに涼宮さんが走ってきてキョン君のこといろいろ聞かれましたよ。 キョン君の好きな食べ物は何かとか、好きな色とか音楽とか知ってたら教えて欲しいって。 いろいろ答えてたら涼宮さんが突然何か思い出したみたいに このことはキョン君に言っちゃダメだからって言いながら走って行っちゃいました。」 あのー、朝比奈さん。そのことを俺に言ってもいいんでしょうか。 「ああっ、ごめんなさいっ。今のは忘れてくださいっ」 そう言って逃げるようにもとの場所へ戻っていった。うーん、少し抜けてるところも可愛らしいぜ。 しかしなんだってハルヒは俺のことを調べてるんだ。朝比奈さんや長門に聞かなくたって直接聞いてくれれば答えてやるというのに。 「涼宮さんも女の子だっていうことですよ。言ってみれば乙女心といったところでしょうか。」 顔が近いぞ。離れろ。大体乙女心なんぞ知らん。俺は男だ。 古泉はやれやれですねと言わんばかりに肩をすくめ、何食わぬ顔でサイコロを振りゲームを再開した。 …世界崩壊、振り出しに戻る。さらば古泉。 そうこうしているうちにハルヒも掃除を終えたのかぶつぶつ言いながらやってきた。 やけに遅かったな、ハルヒ。 「別にいいでしょ。」そういいながら団長席に座ってパソコンを起動した。 目をあわそうともしない。一体なんだってんだ。 「涼宮さん、お茶入れましたよ。」「ありがとうみくるちゃん。」 朝比奈さんとは普通に話すんだな。昼休みには長門と話したっていうし一体どういうことだ。 なあ古泉。お前は何か知っているんだろう。ヒントだけでもくれないか? 「そうですね…いえ、やはりやめておきましょう。このことはあなたと涼宮さんとで解決しなければならない」 くそ、古泉のくせに。1,2,3上がりっと。 「また負けてしまいましたね。流石です。」 さわやかスマイルで古泉は言う。こいつ本気でやったらかなり強いんじゃないだろうか。 あの笑顔の裏にどんな顔を隠しているのか。いつか明かしてみたいもんだ。 …パタン。 長門の本を閉じる音。もうそんな時間だったのか。 そう思うや否やハルヒは鞄を持って駆け出した。 「それじゃみんな、私先に帰るから戸締りよろしくねっ!」 おいおいハルヒ。ちょっと待て。 と言う前に既にハルヒは姿を消していた。なんて速さだ。 まったく、たまには人の話も聞けっての。 部室を出る直前に妹から電話がかかってきた。なんだ妹よ。 「キョンくーん。お醤油が切れてるから買ってきてっておかあさんが言ってるよー」 そんなものは知らん。お前が行って来い。 「ええー。おかあさーん。キョンくんがいじめるよー」 断じていじめではない。社会勉強のために行きなさいと言っているだけである。 その後も妹とのやりとりは続き、結局俺が行くこととなった。何故だ。 朝比奈たちに別れを告げ、まだ冬の気配が残る商店街へと歩いていった。 まあゆっくり考えたいこともあったし丁度良かったかもな。 ─涼宮ハルヒは貴方のことを調べている。 何度考えても結論なんか出やしない。そりゃ原因がわからないんだからな。 しかし古泉たちの話だと原因はどうも俺にあるらしい。一体何なんだ。 「あっれー?キョン君じゃないかっどうしたんだい?こんなところでっ!」 一人唸っていると後ろから声をかけられた。こんなに元気よく発言する知り合いなど ハルヒを除けは一人しか該当する人はいない。 「こんにちは鶴屋さん。今日は買い物ですよ。家事手伝いってやつです。鶴屋さんこそ珍しいですね。」 「あっはっはー。キョン君は親孝行だねー。うんうん。わたしはみくると待ち合わせさっ。この後おでかけするんだよー」 相変わらず元気のあるお人だ。この人が総理大臣にでもなったら日本は間違いなく明るくなるね。 それはそれは。そういえば鶴屋さん、昨日の昼休みにハルヒにいろいろ聞かれたそうじゃないですか。 「あれ?みくるから聞いたのかいっ?おっかしいなぁーハルにゃんは内緒にしててくれって言ってたはずなんだけど」 いえ、今日たまたまそういう話が出ただけですよ。朝比奈さんはそれに便乗する形で教えてくれました。 自ら露呈したとはあえて言うまい。朝比奈さんの尊厳を守るためにもな。 「そっかそっかー。別にわたしは言ってもいいんだけどハルにゃんとの約束もあるからねっ。ここは黙っておくことにするよっ」 む。そうですか。 「大丈夫だよっ!キョン君にとっても悪い話じゃないのは確かさっ。むしろめがっさいい話かもしれないよっ!」 俺にとっていい話?どういうことだ。 「そのうちわかるってことさっ。キョン君はキョン君のままでいいってことだよっ」 ますます訳が分からん。とにかく何もしなくてもいいということですか? 「んー。どっちかというと何かした方がいいかもしれないね。おっと、これ以上は言えないよっ」 ヒントを貰ったはずなのにますます謎が増えるとはどういうことだ。 「そういえばさっきあっちにハルにゃんが居たんだけど、今日はSOS団の活動はなかったのかい?」 いえ、ハルヒのヤツ最近放課後は一人で帰ってるんですよ。 「ふーん。じゃあアレでも探してるのかなっ…」 え?なんですか? 「いやいやっなんでもないっさ!それじゃキョン君。みくるを待たせちゃいけないからわたしはこれで失礼するよっ」 え…ええ。また学校で。 「またねーっ」 そういって見えなくなるまで手を振りながら鶴屋さんは走っていった。途中で何人かぶつかっていたように見えたが見なかったことにしよう。 しかしハルヒの考えてることはわからん。朝比奈さんや鶴屋さんの話を聞く限りじゃ悪いことではなさそうだが…。 いろいろ考えてるうちに雲行きが怪しくなってきたので、さっさと買うもの買って帰ることにした。考えるのは家でもできるからな。 「ありがとうございましたー」 元気なおばちゃんに見送られながら店を出ると、小雨がぱらついていた。 こりゃマズイな。本降りになる前に急いで帰ることにしよう。 商店街を抜けたところで雨脚が急に強くなってきた。仕方ない、近くのコンビニによるか。 「「あ。」」 …もうお分かりだと思う。まぁお決まりの展開だしな。 そう、そこにはハルヒがいた。 そういえばさっき鶴屋さんがハルヒを近くで見かけたって言ってたな。 どうしたんだよ、先に帰ったんじゃなかったのか? 「何よっ、別にいいでしょ」 そりゃ構わないさ。ただ最近のハルヒの様子が気になってな。心配してたんだよ。 「え…そ、そう。あたしは別にいつも通りだと思うけど?」 見るからにおかしい。顔も赤い。まさか風邪とかじゃないだろうな。 ハルヒ、ちょっといいか。 「え、え、ちょっと!何するのよバカキョン!!」 ハルヒの額に頭を近づけようとして止まる。 …まぁいいか。そのまま額を近づける。 ふむ、熱はないな。どうしたハルヒ、やっぱり顔が赤いぞ。風邪か? たぶん俺の顔も赤かったと思うんだがそれは夕日のせいだということにしておいてくれ。 雨が降ってるのにそりゃないぜっていう突っ込みは却下だ。 「風邪なんか引いてないわよっ。あたしが走り回ってるの毎日見てるでしょっ」 …ごもっとも。世界で一番風邪とは縁の無いのがハルヒかもしれん。羨ましい事だ。 しかし今の瞬間全て分かってしまった。 何故分かったのかって、分かってしまうのだから仕方ないだろう。…この言葉便利だな、古泉。 簡単に言うと俺の気持ちと同じだと分かったからさ。 額が触れ合った瞬間ハルヒの想いが流れ込んできたんだ。ハルヒの力だろうか。 まあ、折角だから本人に直接聞いてみるとしよう。全てわかっている分、俺のほうが有利に事を運べるに違いない。 ところでハルヒ。最近いろんな人に俺のこと聞いて回ってるそうじゃないか。いったいどういうつもりだ? 直球ストレート150km/h。変化球の投げ方は知らないんだ。スマン。 「な、何よ。あんたには関係ないでしょっ」 いや、大アリだと思うぞ。どうみても俺に関係することじゃないか。 「う…そ、それはそうだけど…。」 俺に言えない様なことなのか?追い討ちをかける俺。 こんなハルヒの姿、滅多にお目にかかることが出来ないのでしかと目に焼き付けておくことにする。 「そうじゃない…けど、そうなの、かも。」 どっちだ。あんまりいじめるのもかわいそうなのでここで止めることにする。 それに女の子に言わせるのはよろしくない。心を決めろ、俺。 なあハルヒ。 「な、何よ…」 俺はいつぞやの閉鎖空間内でのやり取りを再現するかのように話し始める。 俺、実はポニーテール萌えなんだ。いつだったかお前のポニーテールは反則的なまでに似合っていたぞ。 「キ、キョン。それって…」 ─ハルヒ、好きだ。 その瞬間、降り続いていた雨が止み、雲間から眩しい光が差し込んだ。 春一番だろうか。柔らかな風と共に春の足音が聞こえた気がした。 そんなこんなで現在に至る。 あのあとハルヒを家まで送っていったんだが…ハルヒのヤツさっきまでのおしとやかさはどこへいったんだ。 エンジン全開、フルスロットルである。機嫌が良すぎて閉鎖空間でも発生しているんじゃないだろうかと思うほどだ。 まあハルヒの笑顔を見るのは悪くない。やっぱりこいつは笑ってなきゃダメだからな。 「何ニヤニヤしてるのよ?」 なんでもないさ。ハルヒとこうして歩くのが幸せだと思っただけだ。 「な、何いってんのよ!バカキョン…」 なんだ、お前は幸せじゃないのか。俺は悲しいぞ。 「う、、そ、そんなわけないじゃない。あたし以上の幸せ者なんかこの世に存在しないわよっ」 それはそれでオーバーだが、ハルヒらしいと言えばハルヒらしいので良しとしよう。 「わ…ちょ…押さないで…。ダ、ダメ…」 ん?朝比奈さんの声がしたような…? 「ねえ、キョン。さっきみくるちゃんの声が聞こえた気がしたんだけど…」 ブルータス、お前もか。やはりあの3人は俺たちの後をつけているみたいだな。だが折角のデートを邪魔させるわけにもいくまい。 走るぞ、ハルヒ! 「え、ちょ、ちょっと!なんなのよ急にー!!」 ハルヒの手を取り走り出す。 こんな日がいつまでも続くといいのに。 そう思った小春日和の日曜日である。
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春一番も過ぎ去った3月半ば。 俺たちはいつものように、街へと繰り出していた。 ただいつもと違うのはここが隣町であることと日曜日であるということであり、 更には俺とハルヒしかいないからである。 つまりはそういうことだ。察してくれ。 今日の探索は朝比奈さんや長門、古泉には秘密なのだがあいつらのことだ。どうせもう気付いているに違いない。 ひょっとしたら今この瞬間だって俺たちの後をつけていて、明日辺りにからかわれるのかもしれない。 それはそれで幸せかもな、なんて一人考えていると、 「…ン!…ちょっとキョン!聞いてるの?」 っと、今はそんなこと考えてる時じゃなかったな。 なんだ、ハルヒ。面白いものでも見つけたのか? 「なんだじゃないわよ!さっきからボーっとしてあたしの話聞いてたの!?」 ちょっと気を抜くとこれだ。ちなみに今日だけで3回目である。 もちろん俺にも非はあるのだがハルヒが付け上がるので認めないことにする。 聞いてたよ。春休みの予定だろ? 「ん。よろしい!でさ、キョンは何かしたいこととかある?やっぱりお花見は欠かせないわよね。あ、お酒は抜きだからね。」 人に聞いておいて意見する間もなく100kWの笑顔でマシンガントークを繰り広げるハルヒを見ながら、俺は少し前のことを思い出していた。 折角なので諸君にも聞いていただくとしよう。 俺とハルヒが、こうして二人で肩を並べて歩くようになった理由を…。 生徒会とのいざこざも無事に収束したことで、すっかり落ち着きを取り戻していた文芸部室ことSOS団室。 いつものように長門は読書(恋愛小説らしい、珍しいな)朝比奈さんは編み物(マフラーらしいですよ:古泉談) 俺と古泉は古泉お手製のボードゲームに勤しんでいた。 今週ハルヒは掃除当番だ。ご苦労さん。 教室を出るときも阪中と一緒に何やら文句を言っていたようだが、 どうせ大したことではないので聞き流すように先に部室へ馳せ参じたというものだ。 ここへ来ればマイスウィートエンジェルに会えることだしな。 「最近涼宮さんの様子はいかがですか?」 サイコロを振りながら古泉が言う。6だ。振り出しに戻る、さらば古泉。 どうしたんだ突然。また閉鎖空間でも発生したのか? 「その逆です。最近は全くといっていいほど閉鎖空間が発生しないのですよ。」 4、と。階段から落ちる。1回休み。落ちたら先に進むんじゃないのか。 いいことじゃないか。お前もバイトに借り出されることがなくなって一石二鳥じゃないか。 「確かにその点は喜ばしいのですが」 1だ。未来への時間移動、3マス進む。くそっ追いつかれるじゃないか。 なんだ、他に喜ばしくない点でもあるような言い方だな。 「いえ、そういうわけでもないのです。」 はっきりしない言い方だな。あまり聞きたくないが言ってみろ。どうせ俺も関係してる話なんだろう。 「ご察しの通りです。と言いたい所ですが、直接的な関係はありませんよ。いえ、ある意味直接的ではあるのですが。」 毎回回りくどい言い方をしやがる。報告は結論からするものだと習わなかったか。 「最近涼宮さんが放課後一人で帰っているのはご存知のはずです。」 そう、最近ハルヒは何故か団活のあと用事があるとかで一人先に帰るようになったのだ。 教室でも授業中はコソコソやってるみたいだし、休み時間になるとどこかに出かけて授業開始間際になって戻ってくる。 一体何をしてるんだと聞いてみても「あんたには関係ないでしょ」の一点張りだ。やれやれ、人の親切をなんだと思ってやがる。 それはもちろん知っているが、それとこれと何の関係があるんだ。 「あなたならご存知だと思ったのですが…いえ、当事者だからこそ気付いていないのかもしれませんね」 だから何の話だ。 「涼宮ハルヒは貴方のことを調べている。」 おお、長門。今日初めて声を聞いたぞ。って長門。そりゃ一体どういうことだ? 「今日の昼休みに涼宮ハルヒが私の元へ訪ねてきた。そこで貴方のことを聞かれた。」 ハルヒが俺のことを?なんでまたそんなことを。 「あのぅ…涼宮さんでしたら、私のところにも来ましたよ?」 本当ですか、朝比奈さん。 「ええ。昨日のお昼休みだったと思います。鶴屋さんと一緒にお昼ご飯を食べてたんですけど、 そこに涼宮さんが走ってきてキョン君のこといろいろ聞かれましたよ。 キョン君の好きな食べ物は何かとか、好きな色とか音楽とか知ってたら教えて欲しいって。 いろいろ答えてたら涼宮さんが突然何か思い出したみたいに このことはキョン君に言っちゃダメだからって言いながら走って行っちゃいました。」 あのー、朝比奈さん。そのことを俺に言ってもいいんでしょうか。 「ああっ、ごめんなさいっ。今のは忘れてくださいっ」 そう言って逃げるようにもとの場所へ戻っていった。うーん、少し抜けてるところも可愛らしいぜ。 しかしなんだってハルヒは俺のことを調べてるんだ。朝比奈さんや長門に聞かなくたって直接聞いてくれれば答えてやるというのに。 「涼宮さんも女の子だっていうことですよ。言ってみれば乙女心といったところでしょうか。」 顔が近いぞ。離れろ。大体乙女心なんぞ知らん。俺は男だ。 古泉はやれやれですねと言わんばかりに肩をすくめ、何食わぬ顔でサイコロを振りゲームを再開した。 …世界崩壊、振り出しに戻る。さらば古泉。 そうこうしているうちにハルヒも掃除を終えたのかぶつぶつ言いながらやってきた。 やけに遅かったな、ハルヒ。 「別にいいでしょ。」そういいながら団長席に座ってパソコンを起動した。 目をあわそうともしない。一体なんだってんだ。 「涼宮さん、お茶入れましたよ。」「ありがとうみくるちゃん。」 朝比奈さんとは普通に話すんだな。昼休みには長門と話したっていうし一体どういうことだ。 なあ古泉。お前は何か知っているんだろう。ヒントだけでもくれないか? 「そうですね…いえ、やはりやめておきましょう。このことはあなたと涼宮さんとで解決しなければならない」 くそ、古泉のくせに。1,2,3上がりっと。 「また負けてしまいましたね。流石です。」 さわやかスマイルで古泉は言う。こいつ本気でやったらかなり強いんじゃないだろうか。 あの笑顔の裏にどんな顔を隠しているのか。いつか明かしてみたいもんだ。 …パタン。 長門の本を閉じる音。もうそんな時間だったのか。 そう思うや否やハルヒは鞄を持って駆け出した。 「それじゃみんな、私先に帰るから戸締りよろしくねっ!」 おいおいハルヒ。ちょっと待て。 と言う前に既にハルヒは姿を消していた。なんて速さだ。 まったく、たまには人の話も聞けっての。 部室を出る直前に妹から電話がかかってきた。なんだ妹よ。 「キョンくーん。お醤油が切れてるから買ってきてっておかあさんが言ってるよー」 そんなものは知らん。お前が行って来い。 「ええー。おかあさーん。キョンくんがいじめるよー」 断じていじめではない。社会勉強のために行きなさいと言っているだけである。 その後も妹とのやりとりは続き、結局俺が行くこととなった。何故だ。 朝比奈たちに別れを告げ、まだ冬の気配が残る商店街へと歩いていった。 まあゆっくり考えたいこともあったし丁度良かったかもな。 ─涼宮ハルヒは貴方のことを調べている。 何度考えても結論なんか出やしない。そりゃ原因がわからないんだからな。 しかし古泉たちの話だと原因はどうも俺にあるらしい。一体何なんだ。 「あっれー?キョン君じゃないかっどうしたんだい?こんなところでっ!」 一人唸っていると後ろから声をかけられた。こんなに元気よく発言する知り合いなど ハルヒを除けは一人しか該当する人はいない。 「こんにちは鶴屋さん。今日は買い物ですよ。家事手伝いってやつです。鶴屋さんこそ珍しいですね。」 「あっはっはー。キョン君は親孝行だねー。うんうん。わたしはみくると待ち合わせさっ。この後おでかけするんだよー」 相変わらず元気のあるお人だ。この人が総理大臣にでもなったら日本は間違いなく明るくなるね。 それはそれは。そういえば鶴屋さん、昨日の昼休みにハルヒにいろいろ聞かれたそうじゃないですか。 「あれ?みくるから聞いたのかいっ?おっかしいなぁーハルにゃんは内緒にしててくれって言ってたはずなんだけど」 いえ、今日たまたまそういう話が出ただけですよ。朝比奈さんはそれに便乗する形で教えてくれました。 自ら露呈したとはあえて言うまい。朝比奈さんの尊厳を守るためにもな。 「そっかそっかー。別にわたしは言ってもいいんだけどハルにゃんとの約束もあるからねっ。ここは黙っておくことにするよっ」 む。そうですか。 「大丈夫だよっ!キョン君にとっても悪い話じゃないのは確かさっ。むしろめがっさいい話かもしれないよっ!」 俺にとっていい話?どういうことだ。 「そのうちわかるってことさっ。キョン君はキョン君のままでいいってことだよっ」 ますます訳が分からん。とにかく何もしなくてもいいということですか? 「んー。どっちかというと何かした方がいいかもしれないね。おっと、これ以上は言えないよっ」 ヒントを貰ったはずなのにますます謎が増えるとはどういうことだ。 「そういえばさっきあっちにハルにゃんが居たんだけど、今日はSOS団の活動はなかったのかい?」 いえ、ハルヒのヤツ最近放課後は一人で帰ってるんですよ。 「ふーん。じゃあアレでも探してるのかなっ…」 え?なんですか? 「いやいやっなんでもないっさ!それじゃキョン君。みくるを待たせちゃいけないからわたしはこれで失礼するよっ」 え…ええ。また学校で。 「またねーっ」 そういって見えなくなるまで手を振りながら鶴屋さんは走っていった。途中で何人かぶつかっていたように見えたが見なかったことにしよう。 しかしハルヒの考えてることはわからん。朝比奈さんや鶴屋さんの話を聞く限りじゃ悪いことではなさそうだが…。 いろいろ考えてるうちに雲行きが怪しくなってきたので、さっさと買うもの買って帰ることにした。考えるのは家でもできるからな。 「ありがとうございましたー」 元気なおばちゃんに見送られながら店を出ると、小雨がぱらついていた。 こりゃマズイな。本降りになる前に急いで帰ることにしよう。 商店街を抜けたところで雨脚が急に強くなってきた。仕方ない、近くのコンビニによるか。 「「あ。」」 …もうお分かりだと思う。まぁお決まりの展開だしな。 そう、そこにはハルヒがいた。 そういえばさっき鶴屋さんがハルヒを近くで見かけたって言ってたな。 どうしたんだよ、先に帰ったんじゃなかったのか? 「何よっ、別にいいでしょ」 そりゃ構わないさ。ただ最近のハルヒの様子が気になってな。心配してたんだよ。 「え…そ、そう。あたしは別にいつも通りだと思うけど?」 見るからにおかしい。顔も赤い。まさか風邪とかじゃないだろうな。 ハルヒ、ちょっといいか。 「え、え、ちょっと!何するのよバカキョン!!」 ハルヒの額に頭を近づけようとして止まる。 …まぁいいか。そのまま額を近づける。 ふむ、熱はないな。どうしたハルヒ、やっぱり顔が赤いぞ。風邪か? たぶん俺の顔も赤かったと思うんだがそれは夕日のせいだということにしておいてくれ。 雨が降ってるのにそりゃないぜっていう突っ込みは却下だ。 「風邪なんか引いてないわよっ。あたしが走り回ってるの毎日見てるでしょっ」 …ごもっとも。世界で一番風邪とは縁の無いのがハルヒかもしれん。羨ましい事だ。 しかし今の瞬間全て分かってしまった。 何故分かったのかって、分かってしまうのだから仕方ないだろう。…この言葉便利だな、古泉。 簡単に言うと俺の気持ちと同じだと分かったからさ。 額が触れ合った瞬間ハルヒの想いが流れ込んできたんだ。ハルヒの力だろうか。 まあ、折角だから本人に直接聞いてみるとしよう。全てわかっている分、俺のほうが有利に事を運べるに違いない。 ところでハルヒ。最近いろんな人に俺のこと聞いて回ってるそうじゃないか。いったいどういうつもりだ? 直球ストレート150km/h。変化球の投げ方は知らないんだ。スマン。 「な、何よ。あんたには関係ないでしょっ」 いや、大アリだと思うぞ。どうみても俺に関係することじゃないか。 「う…そ、それはそうだけど…。」 俺に言えない様なことなのか?追い討ちをかける俺。 こんなハルヒの姿、滅多にお目にかかることが出来ないのでしかと目に焼き付けておくことにする。 「そうじゃない…けど、そうなの、かも。」 どっちだ。あんまりいじめるのもかわいそうなのでここで止めることにする。 それに女の子に言わせるのはよろしくない。心を決めろ、俺。 なあハルヒ。 「な、何よ…」 俺はいつぞやの閉鎖空間内でのやり取りを再現するかのように話し始める。 俺、実はポニーテール萌えなんだ。いつだったかお前のポニーテールは反則的なまでに似合っていたぞ。 「キ、キョン。それって…」 ─ハルヒ、好きだ。 その瞬間、降り続いていた雨が止み、雲間から眩しい光が差し込んだ。 春一番だろうか。柔らかな風と共に春の足音が聞こえた気がした。 そんなこんなで現在に至る。 あのあとハルヒを家まで送っていったんだが…ハルヒのヤツさっきまでのおしとやかさはどこへいったんだ。 エンジン全開、フルスロットルである。機嫌が良すぎて閉鎖空間でも発生しているんじゃないだろうかと思うほどだ。 まあハルヒの笑顔を見るのは悪くない。やっぱりこいつは笑ってなきゃダメだからな。 「何ニヤニヤしてるのよ?」 なんでもないさ。ハルヒとこうして歩くのが幸せだと思っただけだ。 「な、何いってんのよ!バカキョン…」 なんだ、お前は幸せじゃないのか。俺は悲しいぞ。 「う、、そ、そんなわけないじゃない。あたし以上の幸せ者なんかこの世に存在しないわよっ」 それはそれでオーバーだが、ハルヒらしいと言えばハルヒらしいので良しとしよう。 「わ…ちょ…押さないで…。ダ、ダメ…」 ん?朝比奈さんの声がしたような…? 「ねえ、キョン。さっきみくるちゃんの声が聞こえた気がしたんだけど…」 ブルータス、お前もか。やはりあの3人は俺たちの後をつけているみたいだな。だが折角のデートを邪魔させるわけにもいくまい。 走るぞ、ハルヒ! 「え、ちょ、ちょっと!なんなのよ急にー!!」 ハルヒの手を取り走り出す。 こんな日がいつまでも続くといいのに。 そう思った小春日和の日曜日である。