約 513,945 件
https://w.atwiki.jp/saigonotubasa/pages/135.html
完全試合
https://w.atwiki.jp/lovegamers/pages/392.html
完全試合達成者 回 選手名 年度 達成日 所属 スコア 捕手 対戦相手 1 あみやさくら 25年 59回戦 ベイスターズ 5-0 野球マスク カープ 2 羽田野 秀二 46年 8回戦 ファイターズ 10-0 秋月 律子 ライオンズ - 山崎慎太郎 119年 PSFinal第1戦 スカイオーシャンズ 5-0 Magnolia ワイルドベアーズ 3 根市 寛貴 188年 51回戦 コンドルス 17-0 禁止用語 スカイオーシャンズ 4 FF FNC 224年 99回戦 エンペラーズ 1-0 広川武美 レッドフィッシュ 5 望月杏奈 239年 45回戦 ドルフィンズ 4-0 ……!? レッドフィッシュ 6 陽タイカン 247年 56回戦 バトルシップス 4-0 ダイエー スカイクロウズ 7 虫山拾九 251年 55回戦 ワイルドベアーズ 1-0 若田部の嫁 ブルーバイソンズ 8 孲愾 280年 52回戦 スカイクロウズ 2-0 白成 掄 鍋 チーターズ 9 緑川 花 284年 115回戦 バトルシップス 2-0 チャールズ1世 チーターズ 10 にゃんこ 286年 87回戦 バトルシップス 1-0 EG5000 エンペラーズ 11 コーネリアス 287年 139回戦 ワイルドベアーズ 1-0 はりねずみ コンドルス 12 ブルーハイビスカス 296年 106回戦 ワイルドベアーズ 4-0 奥村 光舟 ダイヤモンドホーンズ 13 べべべ7 304年 113回戦 チーターズ 1-0 吉田松陽 スカイクロウズ 14 向井太陽 305年 103回戦 ダイヤモンドホーンズ 1-0 シュミット ワイルドベアーズ 15 島田 318年 56回戦 バトルシップス 5-0 森 友哉 レッドフィッシュ 16 園川一美 329年 123回戦 エンペラーズ 5-0 代理の事務員 チーターズ 17 レオ 358年 139回戦 ドルフィンズ 5-0 日高剛 バトルシップス 18 織田信国 362年 19回戦 ドルフィンズ 1-0 マッチョ レッドフィッシュ 19 春日未来 406年 55回戦 バトルシップス 9-0 二十一代目落合博満 レッドフィッシュ 20 ポタ 416年 8回戦 ワイルドベアーズ 1-0 中野五月 コンドルス 21 J.Cueto 431年 1回戦 スカイオーシャンズ 3-0 実家は個室ビデオ ワイルドベアーズ 22 エイジャ 438年 21回戦 チーターズ 5-0 大引 翔史 レッドフィッシュ 継投完全試合達成事例 回 選手名 年度 達成日 所属 スコア 捕手 対戦相手 1 李 華兎井口裕香 155年 24回戦 チーターズ 3-0 コスモセンサー レッドフィッシュ 2 初期アイコンくんバイパー 157年 139回戦 ブルーバイソンズ 3-0 ホーミング生肉 ライガーズ 3 SUSHI職人くん沼田 179年 91回戦 ライガーズ 1-0 北条梅 スカイオーシャンズ 4 南条 恋カカズズ 228年 65回戦 ダイヤモンドホーンズ 2-0 ロビンマスク エンペラーズ
https://w.atwiki.jp/okarowa/pages/81.html
25◇完全試合 「――やあやあ皆の衆。用意はいいか?」 「絢爛なる舞台はいよいよ今日、このA-2地区にて開演する」 「役者は《私》、鏡花水月」 「そして禁止エリアから辛くも逃げおおせた、二名の哀れなる男女」 「男は銀髪の青二才、銀縁の眼鏡を鼻にかけ、右手に握るは製作元不明の拳銃」 「女は金髪に青い衣を纏い、腫れた唇を気にしつつ腰引け気味に、しかし強く角材を握る」 「対し《私》はルール能力によって創った幻想でこれを迎え撃つ」 「演目は、戦乱」 「幻想と真実、銃声と金属音」 「血と涙が画面に散るような内容だ」 「ただし観客の皆様、これがただの殺陣でないことはご存知かと思う」 「つまるところこれは実写、実演」 「CGや合成など使いようもない、本物の殺し合いなのだ」 「ただし」 「《私》が本物かどうかは分からない」 「この殺し合いには」 「幻想が、入り混じっている」 木拍子のカンという音が鳴る。 薄曇りの空の下、まるで雲の中に包まれたように薄く霧がかかった駐車場の一角で、 演目の開始を告げるその音を鳴らしたのは、浅葱色の着物を着た男、鏡花水月。 その右隣には、チェーンソーを持った男。 その左隣には、拳銃を持った男。 さらに、右の男の隣には西洋風の長剣を持った男。 さらに、左の男の隣にはアイアンメイスを持った男が立っている。 並ぶ車を背にして、 全く同じ動作で顔を上げながら五人の男が口を揃える。 「「「「「――さあ、戦乱の。はじまり、はじまりだ――」」」」」 男たちはみな一様に浅葱色の着物を着ており、全員が同じ顔をしていた。 つまり彼ら五人は……おそらく全員が、鏡花水月のルール能力によって創られた実体のある幻想なのだ。 「いやはや、驚きですね。《幻想》を作るルール能力ですか。 せっかく撃った一発が無駄になってしまいましたよ……面倒な相手と当たったもんだ」 「驚くことではないだろう。人が一体何人をその内に宿していると思う? 今回のこれは、それとは関係は無いがな」 「ほう。って関係ないんですか。そういう比喩はしないで頂きたい、ですねっ!」 「きゃぁっ!?」 会話を打ち切って放たれたのは先手必勝の裏拳だ。 虚空に向かって放たれたかと思われたそれは、金属質のなにかに、次いで何者かに当たって頬をえぐった。 そこにいたのは鎌を振り下ろす六人目の《鏡花水月》。 彼は前方から現れた五名に気を取らせておいて、対峙する二人の背後から六人目を登場させていたのだ。 《鏡花水月》は攻撃を受け、どろんと煙を残して消える。 青息吐息が突然のことに後ろを振り向くが、そこにすでに敵の姿はなかった。 「目線。気をつけたほうがいいですよ。奇襲をするのであればね。」 先手必勝はメガネをくいっと上げながら呟く。 銀色に澄んだ瞳は、鏡花水月の僅かな挙動すら逃さない。 「やるな小僧。次からは、そちらにも気を付けて《幻想》を張らねばな」 「ええ、そのほうがいいでしょうね。そうする前に死ぬかもしれません、が!」 「あ、ま、待って!」 続いて攻めたのは先手必勝。青息吐息も置いて行かれるのを恐れ、走り出した彼に続く。 とん、たん、と大股でステップを踏んで、勢いづいたまま拳を木拍子の鏡花水月に叩き込む。 慌ててガードするも、《幻想の鏡花水月》はそもそも衝撃に弱い。 ガードごと木拍子を破壊。どろん。煙と化す。 「さて、本体は誰でしょうかね?」 「むっ」「おおっ」 さらにもう片方の手に持った拳銃が垂直に火を噴いた。 一、二。 弾数を気にする必要はない。 いかなる技術か、《百発百中》と銘の入ったこの拳銃は、 どんな体勢から売っても命中精度が高くなるうえ、弾が百発まで減らないようになっているらしかった。 銃撃を受け、中央の先手必勝を囲むように襲いかかってきていた、 チェーンソーと拳銃の二名が弾を喰らい煙になって消える。 残る反対側の長剣、アイアンメイスのほうは――青息吐息が振り回す角材と打ち合っていた。 「えいっ、えいっ! えいいっ! このこのっ」 またもや目を><にしている上、足をがに股に開いて角材をぶん回す青息吐息の姿は、 お世辞にも見ていて気持ちのいい姿ではない。 攻撃を加えようとしている長剣&アイアンメイスの鏡花水月すらしかめっ面である。 どうやら彼としては”いただけない”展開のようだ。 「貴様。この娘をどうにかせよ」 「あなたが言いますかそれ・……青息吐息さん、せめて目は開けましょう。どこのギャグマンガですか」 「せっセンくんっ! 目を開けるってどうやればいいんだっけ!」 「だから、パニクりすぎてますって。顔の筋肉を緩めて。深呼吸して」 「えっ、あっ、すー、はー」 「……大根役者では上手くいかぬものだな」 「まあまあ、そうがっかりなさらずに。お相手は、ボクがしましょう」 「来い」 持て余し気味の鏡花水月に先手必勝が殴りかかる。 まずフェイントを入れて長剣を回避、がら空きの側面にワン・ツーでこれを葬ると、 振り下ろされるアイアンメイスを半ば倒れるように避け、地面でくるり、回転して足を叩く。 「《幻想》だろうと、重い武器はその細腕にはきついのでは?」 「ふむ。貴様は良い」 鏡花水月は敵を褒めながら、アイアンメイスの重みも相まって地面へと倒される。 回転の勢いで即座に立ち上がった先手必勝が、その顔に拳銃を向けている。 起き上がる隙は与えない。 銃声。 消えていくアイアンメイスと《鏡花水月》。 これで全員撃破。 「ま、とりあえずはこんなもんですね。でも――」 「「そうだ」」 「「《私》は」」 「「まだいるぞ……」」 「「こんなにも」」 「せ、センくん! また出てきた、またぁ! もうやだ何なの!」 近くの車からにゅるりと這い出るようにして、新たな《鏡花水月》の群れが現れた。 今度は八人。獲物は弓矢からヌンチャクに打撃棒、果ては着火済みの爆弾を持っている者までいる。 おそらく先ほどと同じでこれもすべて《幻想》。 だが、角材と打ち合える。つまり実体があり、見た目だけでは幻想なのかどうか判断が付かないのだ。 先手必勝のルール能力は一回でも攻撃を喰らってしまえば終わり。 《幻想の武器》だろうとおそらくカウントに入る。 つまり、自分は一回も攻撃を喰らうわけにはいかず……その上で、相手の本体を突き止めなければいけない。 青息吐息ほどではないが、ため息の一つでも付きたい状況だ。 「まったく、貧乏くじですね」 短く息を整えて。 先手必勝は、こんなこともあろうかと習っておいた簡単な格闘術の構えを取る。 テコンドーの流れを汲んだ足技主体のスタイル。 ピアノと同じくらい使う機会が無いと思っていたものだが、乱戦となった今、非常に重宝している。 「さて。まだ《ため息》は使えないんですよね、青息吐息さん」 「え、ええ。ってか、あんたが! あたしをたらこ唇にしたせいだけどね!」 横でぜぇぜぇ言っている青息吐息は、激辛よもぎ団子の反動でいまだルール能力が使えず、戦闘も不得手。 残念ながら戦力には数えられないと言わざるを得なかった。 それでも、現状では先手必勝ひとりでどうにか戦えている、 だがそれはあくまで鏡花水月が本気を出していないからに過ぎない。 何故かはわからない。 これが自分の”役割”である。なんてことを言っていたような気もする。 どうも、鏡花水月の中にはなにか常軌を逸した考えがあるようだ。そう先手必勝は感じていた。 そして今のままでは彼を倒すことは不可能だということも。 だが今は――襲い掛かってくる二人の鏡花水月に対し、先手必勝は垂直に前足を伸ばして牽制する。 「ぐぬぅ」「呆けていたかと思えば……!」 「ふっ!」 止まった《幻影》に向かって伸ばしていた足をスタンプするように押し付ける。 ちょっとの刺激で消えるなら何も技を使う必要もない。 ぼわん、ぼわん。 消えるハルバードと薙刀。 続いて前転、から逆立ち体勢を作り、両足を大きく回して二人の首を刈る。 ぼわん、ぼわん。 消える弓矢と打撃棒。 逆さまになった視界の隅に、角材をヌンチャクに絡められている青息吐息が見える。 正直、構っている暇はないが。 「やれやれ」 ここは拳銃で。 ヌンチャクの鏡花水月の後ろ数メートルに居た、着火済み爆弾の鏡花水月を狙う。 もちろん、爆弾をだ。 「ちょ、センくん! あたしいる――」 どおおおん! 爆音は思った通り、そこまで大きくはなかった。 しいて言うなら青息吐息が爆煙を浴びて顔を少し黒くしたが、ダメージはない。 精密な狙いにより雷管を打たれて爆発した爆弾は見事に周りを巻き込んで、 ヌンチャクを含む八人の《鏡花水月》も全滅。霧がかったA-2の駐車場に再び静寂が訪れた。 「げほっ、げほっ……センくんのばか。あたしが今ので死んだらどうするつもりだったのよっ」 「墓参りには行きましょう」 「ひどい!?」 「墓に彫ってある名前が分からない以上、無理ですけどね。 それと、ボクの見立てでは、さっきのは間違いなく青息吐息さんは助かるようになってましたよ」 「……どういうこと?」 「相手はどうやら、真面目に戦うつもりが無い。どころか、殺し合いを演出するだけで、 実際には殺し合いをする気がさらさらないということです。今だって相手は襲ってきてないでしょう?」 「そういえば」 青息吐息は辺りを見回す。 不気味な静寂。霧はかかっているものの、鏡花水月の姿は鳴りを潜めている。 「でも、あの《幻想》が、あんまり短時間にはいっぱい出せないのかも」 「それはないでしょうね」 「なんで?」 「注意深く周りを見ればわかることですよ。車の数、こんなに多かったですかね?」 「あっ! ほんとだ……」 よく見ると、青息吐息と先手必勝を囲むようにして、いつのまにか駐車場の車が並んでいる。 本来は一列に並んでいたはずだ。 それがこうなっているということは、車のいくつかは《幻影》だということ。 《幻影》が完全に使えなくなっているわけではない、ということだ。 「戦うフリを見せて、じわじわとこちらの体力を奪う作戦に出ているのかもしれませんね。 自分は疲れることなく、完全試合を狙う。根本の発想はボクと同じだ」 「う……やっぱりあの人、あたし達を、殺す気なのかしら」 「それは分かりません。ですがこのままでは、ボクたちは彼にいいように弄ばれているだけです。 少なくとも同じステージに……舞台の上で踊る駒でなく、対局相手の人間として認められなければ、 あの男の真意も分かりようがない。何かいい手は……おや」 「うわ、また来た!」 おしゃべりはそのくらいにしろと言わんばかりに、再び霧がうごめいた。 次の瞬間にはすでに、青息吐息と先手必勝は十人の《鏡花水月》に囲まれていた。 「「「「「「「「「「無駄だぞ」」」」」」」」」」 十人は口を揃えてそう言った。やはり色とりどりの武器を手に取って、一様にこちらを狙っている。 「貴様らでは」「《私》たちには叶わぬ」 「そのまま無傷で《私》たちの攻撃をかわし」 「かわしてかわして躱し続け」 「力尽きて地に倒れるがいい」 「くくく」「無血降伏、というわけだ」 「完全試合をするのはこちらだ」 「悔しかったら」「《私》たちを一度に倒すすべを編み出してみよ!」 芝居がかった口調に、芝居がかった動き。 先手必勝はこれを聞いて、やはり何を考えているのか分からない男だ、と、思う。 先の一合にしても、こちらに銃がありながら爆弾を選択する時点で結果は見えていたようなものだ。 むしろ爆弾の鏡花水月を用意しておくことで、こちらに突破口を与えていたようにすら感じる。 青息吐息には「こちらの体力を削っているのでは」と説明したが、 そもそも鏡花水月の側から見れば、最初から全力でこちらを仕留めた方が労力は少なく済む。 いくらでも幻想を出せるなら、百人単位でピストルの幻影を出して一斉攻撃をさせればいいだけだ。 なぜ遊んでいるのか。 理解はできないが……まあ、生き残れるならそれでいい。 疑問を後回しにして、先手必勝は青息吐息の方を向く。策が浮かんだ。向こうが教えてくれたようなものだが。 「センくん?」 「”アレ”貸してください」 「”アレ”?」 返事を待たずに先手必勝が青息吐息のデイパックから取り出したのは、オーソドックスな拡声器だ。 戦闘には全く役に立たないと思われるこのアイテム、一体どう使おうというのか。 「どうする気なの?」 「拡声器ですからね。当然、声を増幅するのが目的ですよ。 青息吐息さん、叫べますね? これを手にしてあなたは叫んでください」 「……ええっ? いや、叫ぶならできるけど」 「いちにのさんでお願いします」 用意を始めた二人に対し、鏡花水月の眉根がぴくりと動いたのを、先手必勝の眼は捉えていた。 青息吐息がおずおずと拡声器を受け取る。同時に先手必勝は、横で拳銃を構える。 そして、十人の《鏡花水月》に向かって言った。 「――そもそも音とは、空気の震え。”波”です。 音の発生源が二つあれば”波”は重なり、共鳴現象が起こります。 拡声器の音の大きさは約90デシベル。銃声は140デシベル。ではこの二つを共鳴させれば?」 「よく分からないけど……いちにのさん、のさんで叫ぶのよね?」 「ええ。行きますよ」 「「「「「――来るがいい」「こちらも向かうぞ!」」」」」 二人の用意が出来るのを待っていたかのように、十人の《鏡花水月》たちが走り出した。 ドス、双剣、ダガー、ボウガン、斧。 火炎瓶、ナイフ、竹槍、ライフル、トンファー。 沢山の武器。 地を駆ける音。 役者じみたよく通る叫び声。 それらはとても、絵になる光景。 呼応するようにして、二人はそれを迎え撃つ。 青息吐息が息を吸う。 先手必勝がカウントダウンを始める。 「いち、にの」 ……そして。 「 『――さんっっ!!!』 」 青息吐息の叫びと共に、先手必勝の銃が火を噴く。 音は鼓膜を、 そして空気を震わせ、 さらに”波”を共鳴させて、A-2全体を揺らした。 波紋上に広がった音は、 腹の底まで響く衝撃を生み出して。 その衝撃は、鏡花水月の《幻影》にダメージを与えるに足りるものだった。 「「「「「「「「「「ぐぬぅ!」」」」」」」」」」 ぼんぼんぼんぼんぼん! 消えていく鏡花水月の群れ。 これこそが、この脆弱さこそが《幻影》の唯一の弱点。 先手必勝はまず、それを突くことに成功した。 拡声器と銃声による波紋状音撃によって――鏡花水月の《幻影》と共に、 二人を囲んでいた車の《幻影》、 そして霧の《幻影》も晴れる。 すると彼らの目の前に、幻影でない鏡花水月の姿が現れた。 白日の下に、晒された。 「正解だ、演者たちよ。だが、ここまでだな」 腕組みをして仁王立ちする鏡花水月には、歴戦の勇士のような風格があった。 あるいはこれも演技なのかもしれない、と先手必勝は思う。 全てが演技。自分の意思はそこにない。 しかし、だとしても。演技を極め、これほどの風格を出せるこの男が、戦士でないと誰が言えようか? 「まだ余裕ですか。幻影はもう使えないというのに。貴方はもう、終わりですよ」 「いいや、逆だ。むしろお仕舞いなのは貴様らのほうだ」 「……どういうことです?」 先手必勝は言葉を返す。 現在の状況を客観的に見れば、終わっているのは鏡花水月のほうだ。 銃撃と拡声器のコンビネーションで《幻影》は潰せる。つまり現状、鏡花水月にはルール能力が無いも同然。 対し先手必勝は一撃入れれば勝ち。 今この瞬間にも《百発百中》の拳銃で彼の命を終わらせることが出来る。 そのはずなのに。鏡花水月には、焦りの色が微塵もない。 これはどういうことなのか。考え始めた先手必勝の目に、青色吐息の持つ拡声器が映る。 拡声器。 音が拡がる。 つまり、それは? 「まさか――拡声器を使わせることこそが、狙いだった?」 「そうだ」 先手必勝が気づくと同時に、再び鏡花水月は霧に紛れていく。 慌てて先手必勝は銃を撃つが、そのときにはすでに、彼の姿は消えていた。 虚空から嘲笑うような声だけがする……。 「もはや貴様らに残された道は一つしかない。いますぐ無様にここから逃げよ。 さもなくば、何が起こるか。貴様の頭脳なら理解できよう?」 「センくん、ど、どういうこと?」 「簡単な話ですよ。あの男は……最初から。 こちらに拡声器があると知った瞬間から、ボクらに拡声器を使わせるつもりだったんです。 見かけの芝居に気を取られて、すっかり忘れていた……!」 拡声器を使うということは、人を呼び寄せてしまうということ。 古今東西、殺し合いにおける絶対不変の鉄則は、この”実験”でさえ当てはまる。 ただでさえ銃声という大きな音を鳴らしておきながら、さらに拡声器とそれを相乗させた先の一撃。 おそらくその音は、娯楽施設全体に響いてしまっている。 鏡花水月、先手必勝、青息吐息。 この場の三人を除く残りの参加者は、最大九人、最少でも五人。 そのうちの何人かが拡声器の真意を確かめにA-2に来ることは十分にありうる。 「あとはあの男が、やってくる参加者に対して助けを求めればいい。 傷だらけの自分でも《幻想》で出しておけば、悪者はこちら。戦況は逆転、しかも自分の手は汚れない」 「そんな……あたしたち、嵌められたってこと……!?」 「ええ。何が”戦乱”だあの男。最初から、闘わずして勝つつもりだったんだ。 くそ、このボクが。ボクが頭脳戦で後れをとるだと。そんなことがあって、良いというのか」 先手必勝は歯噛みする。 状況を打ち破るために編み出したはずの戦略すら、相手の思惑の内。 何事にも先手必勝を貫いてきた彼にとって、この事実は深く心をえぐるものだった。 思わず普段の冷静さを忘れ、汚い言葉を使いそうになってしまう。 銀縁メガネを外す。 それをポケットに一旦しまい、先手必勝は自分の頬を思い切り叩いた。 自分に自分で攻撃する分には、先手でも後手でもない。 が、隣に立つ青息吐息はその痛ましい行為に驚いたようで、恐る恐るといった様子で話しかける。 「センくん……」 「……落ち着きましょう。まだ、誰かが来ると決まったわけじゃありません。 策はまだあります。青息吐息さんの《ため息》さえ回復すれば。時間があれば」 「センくん、落ち着けてないって。いったん逃げ――」 「時間などないぞ」 だがそれを遮るように、また鏡花水月の声がする。 青息吐息、先手必勝の二人は、その声の方向へと振り向いた。 そこには、車が。 駐車場に元からあった、あのハリボテの車が、 いくつも空中に浮かんで――二人の方へと落ちてきていた。 地面を見れば、《幻想》で出来た沢山の無骨な機械腕がタケノコのように生えている。 どうやらあれで投げたらしい、 というところまでしかこの事態を判断する余裕は彼らにはなかった。 「う……うおおおおおぉぉお!?」 「きゃああぁあ!?」 奇しくもそれはあの傍若無人と同じ攻撃方法。 そして、音の衝撃では消せない、実物による攻撃! 「”戦乱”はまだ続く。ため息をつく暇など与えぬ」 A-2エリアのどこかにて。 鏡花水月がそう呟いたのを聞くものは誰もいなかった。 続いて、ハリボテの車がコンクリートにぶつかる音が、たいそう大きくその場に響いた。 【A-2/駐車場A地区】 【鏡花水月/舞台役者】 【状態】健康 【装備】不明 【持ち物】不明 【ルール能力】自分のいるエリア内に質量を持った幻影を発生させる 【スタンス】A-2に迷い込んだ参加者をただ惑わす 【青息吐息/ギャルっぽい女】 【状態】たらこ唇、きゃああああ!? 【装備】拡声器 【持ち物】なし 【ルール能力】ため息がすごい冷たい(使用不能) 【スタンス】保守派 【先手必勝/銀縁メガネ】 【状態】なんだって!? 【装備】拳銃 【持ち物】缶ビール数本など役に立ちそうなもの 【ルール能力】先手を取れば勝利する 【スタンス】漁夫の利狙い 仲間意識 前のお話 次のお話 鬼気迫る 前のお話 四字熟語 次のお話 戦乱の演 先手必勝 永久凍土 戦乱の演 青息吐息 永久凍土 戦乱の演 鏡花水月 永久凍土 用語解説 【拡声器】 平たく言えば声を大きくする装置。メガホンとも。 バトルロワイアル、もといパロロワにおけるこれは最高の死亡フラグの一つで、 主に対主催が人を集めたり殺し合いをやめるように呼びかけることが多い。 四字熟語ロワでは鏡花水月のルール能力を打破するキーとなった
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3750.html
25◇完全試合 「――やあやあ皆の衆。用意はいいか?」 「絢爛なる舞台はいよいよ今日、このA-2地区にて開演する」 「役者は《私》、鏡花水月」 「そして禁止エリアから辛くも逃げおおせた、二名の哀れなる男女」 「男は銀髪の青二才、銀縁の眼鏡を鼻にかけ、右手に握るは製作元不明の拳銃」 「女は金髪に青い衣を纏い、腫れた唇を気にしつつ腰引け気味に、しかし強く角材を握る」 「対し《私》はルール能力によって創った幻想でこれを迎え撃つ」 「演目は、戦乱」 「幻想と真実、銃声と金属音」 「血と涙が画面に散るような内容だ」 「ただし観客の皆様、これがただの殺陣でないことはご存知かと思う」 「つまるところこれは実写、実演」 「CGや合成など使いようもない、本物の殺し合いなのだ」 「ただし」 「《私》が本物かどうかは分からない」 「この殺し合いには」 「幻想が、入り混じっている」 木拍子のカンという音が鳴る。 薄曇りの空の下、まるで雲の中に包まれたように薄く霧がかかった駐車場の一角で、 演目の開始を告げるその音を鳴らしたのは、浅葱色の着物を着た男、鏡花水月。 その右隣には、チェーンソーを持った男。 その左隣には、拳銃を持った男。 さらに、右の男の隣には西洋風の長剣を持った男。 さらに、左の男の隣にはアイアンメイスを持った男が立っている。 並ぶ車を背にして、 全く同じ動作で顔を上げながら五人の男が口を揃える。 「「「「「――さあ、戦乱の。はじまり、はじまりだ――」」」」」 男たちはみな一様に浅葱色の着物を着ており、全員が同じ顔をしていた。 つまり彼ら五人は……おそらく全員が、鏡花水月のルール能力によって創られた実体のある幻想なのだ。 「いやはや、驚きですね。《幻想》を作るルール能力ですか。 せっかく撃った一発が無駄になってしまいましたよ……面倒な相手と当たったもんだ」 「驚くことではないだろう。人が一体何人をその内に宿していると思う? 今回のこれは、それとは関係は無いがな」 「ほう。って関係ないんですか。そういう比喩はしないで頂きたい、ですねっ!」 「きゃぁっ!?」 会話を打ち切って放たれたのは先手必勝の裏拳だ。 虚空に向かって放たれたかと思われたそれは、金属質のなにかに、次いで何者かに当たって頬をえぐった。 そこにいたのは鎌を振り下ろす六人目の《鏡花水月》。 彼は前方から現れた五名に気を取らせておいて、対峙する二人の背後から六人目を登場させていたのだ。 《鏡花水月》は攻撃を受け、どろんと煙を残して消える。 青息吐息が突然のことに後ろを振り向くが、そこにすでに敵の姿はなかった。 「目線。気をつけたほうがいいですよ。奇襲をするのであればね。」 先手必勝はメガネをくいっと上げながら呟く。 銀色に澄んだ瞳は、鏡花水月の僅かな挙動すら逃さない。 「やるな小僧。次からは、そちらにも気を付けて《幻想》を張らねばな」 「ええ、そのほうがいいでしょうね。そうする前に死ぬかもしれません、が!」 「あ、ま、待って!」 続いて攻めたのは先手必勝。青息吐息も置いて行かれるのを恐れ、走り出した彼に続く。 とん、たん、と大股でステップを踏んで、勢いづいたまま拳を木拍子の鏡花水月に叩き込む。 慌ててガードするも、《幻想の鏡花水月》はそもそも衝撃に弱い。 ガードごと木拍子を破壊。どろん。煙と化す。 「さて、本体は誰でしょうかね?」 「むっ」「おおっ」 さらにもう片方の手に持った拳銃が垂直に火を噴いた。 一、二。 弾数を気にする必要はない。 いかなる技術か、《百発百中》と銘の入ったこの拳銃は、 どんな体勢から売っても命中精度が高くなるうえ、弾が百発まで減らないようになっているらしかった。 銃撃を受け、中央の先手必勝を囲むように襲いかかってきていた、 チェーンソーと拳銃の二名が弾を喰らい煙になって消える。 残る反対側の長剣、アイアンメイスのほうは――青息吐息が振り回す角材と打ち合っていた。 「えいっ、えいっ! えいいっ! このこのっ」 またもや目を><にしている上、足をがに股に開いて角材をぶん回す青息吐息の姿は、 お世辞にも見ていて気持ちのいい姿ではない。 攻撃を加えようとしている長剣&アイアンメイスの鏡花水月すらしかめっ面である。 どうやら彼としては”いただけない”展開のようだ。 「貴様。この娘をどうにかせよ」 「あなたが言いますかそれ・……青息吐息さん、せめて目は開けましょう。どこのギャグマンガですか」 「せっセンくんっ! 目を開けるってどうやればいいんだっけ!」 「だから、パニクりすぎてますって。顔の筋肉を緩めて。深呼吸して」 「えっ、あっ、すー、はー」 「……大根役者では上手くいかぬものだな」 「まあまあ、そうがっかりなさらずに。お相手は、ボクがしましょう」 「来い」 持て余し気味の鏡花水月に先手必勝が殴りかかる。 まずフェイントを入れて長剣を回避、がら空きの側面にワン・ツーでこれを葬ると、 振り下ろされるアイアンメイスを半ば倒れるように避け、地面でくるり、回転して足を叩く。 「《幻想》だろうと、重い武器はその細腕にはきついのでは?」 「ふむ。貴様は良い」 鏡花水月は敵を褒めながら、アイアンメイスの重みも相まって地面へと倒される。 回転の勢いで即座に立ち上がった先手必勝が、その顔に拳銃を向けている。 起き上がる隙は与えない。 銃声。 消えていくアイアンメイスと《鏡花水月》。 これで全員撃破。 「ま、とりあえずはこんなもんですね。でも――」 「「そうだ」」 「「《私》は」」 「「まだいるぞ……」」 「「こんなにも」」 「せ、センくん! また出てきた、またぁ! もうやだ何なの!」 近くの車からにゅるりと這い出るようにして、新たな《鏡花水月》の群れが現れた。 今度は八人。獲物は弓矢からヌンチャクに打撃棒、果ては着火済みの爆弾を持っている者までいる。 おそらく先ほどと同じでこれもすべて《幻想》。 だが、角材と打ち合える。つまり実体があり、見た目だけでは幻想なのかどうか判断が付かないのだ。 先手必勝のルール能力は一回でも攻撃を喰らってしまえば終わり。 《幻想の武器》だろうとおそらくカウントに入る。 つまり、自分は一回も攻撃を喰らうわけにはいかず……その上で、相手の本体を突き止めなければいけない。 青息吐息ほどではないが、ため息の一つでも付きたい状況だ。 「まったく、貧乏くじですね」 短く息を整えて。 先手必勝は、こんなこともあろうかと習っておいた簡単な格闘術の構えを取る。 テコンドーの流れを汲んだ足技主体のスタイル。 ピアノと同じくらい使う機会が無いと思っていたものだが、乱戦となった今、非常に重宝している。 「さて。まだ《ため息》は使えないんですよね、青息吐息さん」 「え、ええ。ってか、あんたが! あたしをたらこ唇にしたせいだけどね!」 横でぜぇぜぇ言っている青息吐息は、激辛よもぎ団子の反動でいまだルール能力が使えず、戦闘も不得手。 残念ながら戦力には数えられないと言わざるを得なかった。 それでも、現状では先手必勝ひとりでどうにか戦えている、 だがそれはあくまで鏡花水月が本気を出していないからに過ぎない。 何故かはわからない。 これが自分の”役割”である。なんてことを言っていたような気もする。 どうも、鏡花水月の中にはなにか常軌を逸した考えがあるようだ。そう先手必勝は感じていた。 そして今のままでは彼を倒すことは不可能だということも。 だが今は――襲い掛かってくる二人の鏡花水月に対し、先手必勝は垂直に前足を伸ばして牽制する。 「ぐぬぅ」「呆けていたかと思えば……!」 「ふっ!」 止まった《幻影》に向かって伸ばしていた足をスタンプするように押し付ける。 ちょっとの刺激で消えるなら何も技を使う必要もない。 ぼわん、ぼわん。 消えるハルバードと薙刀。 続いて前転、から逆立ち体勢を作り、両足を大きく回して二人の首を刈る。 ぼわん、ぼわん。 消える弓矢と打撃棒。 逆さまになった視界の隅に、角材をヌンチャクに絡められている青息吐息が見える。 正直、構っている暇はないが。 「やれやれ」 ここは拳銃で。 ヌンチャクの鏡花水月の後ろ数メートルに居た、着火済み爆弾の鏡花水月を狙う。 もちろん、爆弾をだ。 「ちょ、センくん! あたしいる――」 どおおおん! 爆音は思った通り、そこまで大きくはなかった。 しいて言うなら青息吐息が爆煙を浴びて顔を少し黒くしたが、ダメージはない。 精密な狙いにより雷管を打たれて爆発した爆弾は見事に周りを巻き込んで、 ヌンチャクを含む八人の《鏡花水月》も全滅。霧がかったA-2の駐車場に再び静寂が訪れた。 「げほっ、げほっ……センくんのばか。あたしが今ので死んだらどうするつもりだったのよっ」 「墓参りには行きましょう」 「ひどい!?」 「墓に彫ってある名前が分からない以上、無理ですけどね。 それと、ボクの見立てでは、さっきのは間違いなく青息吐息さんは助かるようになってましたよ」 「……どういうこと?」 「相手はどうやら、真面目に戦うつもりが無い。どころか、殺し合いを演出するだけで、 実際には殺し合いをする気がさらさらないということです。今だって相手は襲ってきてないでしょう?」 「そういえば」 青息吐息は辺りを見回す。 不気味な静寂。霧はかかっているものの、鏡花水月の姿は鳴りを潜めている。 「でも、あの《幻想》が、あんまり短時間にはいっぱい出せないのかも」 「それはないでしょうね」 「なんで?」 「注意深く周りを見ればわかることですよ。車の数、こんなに多かったですかね?」 「あっ! ほんとだ……」 よく見ると、青息吐息と先手必勝を囲むようにして、いつのまにか駐車場の車が並んでいる。 本来は一列に並んでいたはずだ。 それがこうなっているということは、車のいくつかは《幻影》だということ。 《幻影》が完全に使えなくなっているわけではない、ということだ。 「戦うフリを見せて、じわじわとこちらの体力を奪う作戦に出ているのかもしれませんね。 自分は疲れることなく、完全試合を狙う。根本の発想はボクと同じだ」 「う……やっぱりあの人、あたし達を、殺す気なのかしら」 「それは分かりません。ですがこのままでは、ボクたちは彼にいいように弄ばれているだけです。 少なくとも同じステージに……舞台の上で踊る駒でなく、対局相手の人間として認められなければ、 あの男の真意も分かりようがない。何かいい手は……おや」 「うわ、また来た!」 おしゃべりはそのくらいにしろと言わんばかりに、再び霧がうごめいた。 次の瞬間にはすでに、青息吐息と先手必勝は十人の《鏡花水月》に囲まれていた。 「「「「「「「「「「無駄だぞ」」」」」」」」」」 十人は口を揃えてそう言った。やはり色とりどりの武器を手に取って、一様にこちらを狙っている。 「貴様らでは」「《私》たちには叶わぬ」 「そのまま無傷で《私》たちの攻撃をかわし」 「かわしてかわして躱し続け」 「力尽きて地に倒れるがいい」 「くくく」「無血降伏、というわけだ」 「完全試合をするのはこちらだ」 「悔しかったら」「《私》たちを一度に倒すすべを編み出してみよ!」 芝居がかった口調に、芝居がかった動き。 先手必勝はこれを聞いて、やはり何を考えているのか分からない男だ、と、思う。 先の一合にしても、こちらに銃がありながら爆弾を選択する時点で結果は見えていたようなものだ。 むしろ爆弾の鏡花水月を用意しておくことで、こちらに突破口を与えていたようにすら感じる。 青息吐息には「こちらの体力を削っているのでは」と説明したが、 そもそも鏡花水月の側から見れば、最初から全力でこちらを仕留めた方が労力は少なく済む。 いくらでも幻想を出せるなら、百人単位でピストルの幻影を出して一斉攻撃をさせればいいだけだ。 なぜ遊んでいるのか。 理解はできないが……まあ、生き残れるならそれでいい。 疑問を後回しにして、先手必勝は青息吐息の方を向く。策が浮かんだ。向こうが教えてくれたようなものだが。 「センくん?」 「”アレ”貸してください」 「”アレ”?」 返事を待たずに先手必勝が青息吐息のデイパックから取り出したのは、オーソドックスな拡声器だ。 戦闘には全く役に立たないと思われるこのアイテム、一体どう使おうというのか。 「どうする気なの?」 「拡声器ですからね。当然、声を増幅するのが目的ですよ。 青息吐息さん、叫べますね? これを手にしてあなたは叫んでください」 「……ええっ? いや、叫ぶならできるけど」 「いちにのさんでお願いします」 用意を始めた二人に対し、鏡花水月の眉根がぴくりと動いたのを、先手必勝の眼は捉えていた。 青息吐息がおずおずと拡声器を受け取る。同時に先手必勝は、横で拳銃を構える。 そして、十人の《鏡花水月》に向かって言った。 「――そもそも音とは、空気の震え。”波”です。 音の発生源が二つあれば”波”は重なり、共鳴現象が起こります。 拡声器の音の大きさは約90デシベル。銃声は140デシベル。ではこの二つを共鳴させれば?」 「よく分からないけど……いちにのさん、のさんで叫ぶのよね?」 「ええ。行きますよ」 「「「「「――来るがいい」「こちらも向かうぞ!」」」」」 二人の用意が出来るのを待っていたかのように、十人の《鏡花水月》たちが走り出した。 ドス、双剣、ダガー、ボウガン、斧。 火炎瓶、ナイフ、竹槍、ライフル、トンファー。 沢山の武器。 地を駆ける音。 役者じみたよく通る叫び声。 それらはとても、絵になる光景。 呼応するようにして、二人はそれを迎え撃つ。 青息吐息が息を吸う。 先手必勝がカウントダウンを始める。 「いち、にの」 ……そして。 「 『――さんっっ!!!』 」 青息吐息の叫びと共に、先手必勝の銃が火を噴く。 音は鼓膜を、 そして空気を震わせ、 さらに”波”を共鳴させて、A-2全体を揺らした。 波紋上に広がった音は、 腹の底まで響く衝撃を生み出して。 その衝撃は、鏡花水月の《幻影》にダメージを与えるに足りるものだった。 「「「「「「「「「「ぐぬぅ!」」」」」」」」」」 ぼんぼんぼんぼんぼん! 消えていく鏡花水月の群れ。 これこそが、この脆弱さこそが《幻影》の唯一の弱点。 先手必勝はまず、それを突くことに成功した。 拡声器と銃声による波紋状音撃によって――鏡花水月の《幻影》と共に、 二人を囲んでいた車の《幻影》、 そして霧の《幻影》も晴れる。 すると彼らの目の前に、幻影でない鏡花水月の姿が現れた。 白日の下に、晒された。 「正解だ、演者たちよ。だが、ここまでだな」 腕組みをして仁王立ちする鏡花水月には、歴戦の勇士のような風格があった。 あるいはこれも演技なのかもしれない、と先手必勝は思う。 全てが演技。自分の意思はそこにない。 しかし、だとしても。演技を極め、これほどの風格を出せるこの男が、戦士でないと誰が言えようか? 「まだ余裕ですか。幻影はもう使えないというのに。貴方はもう、終わりですよ」 「いいや、逆だ。むしろお仕舞いなのは貴様らのほうだ」 「……どういうことです?」 先手必勝は言葉を返す。 現在の状況を客観的に見れば、終わっているのは鏡花水月のほうだ。 銃撃と拡声器のコンビネーションで《幻影》は潰せる。つまり現状、鏡花水月にはルール能力が無いも同然。 対し先手必勝は一撃入れれば勝ち。 今この瞬間にも《百発百中》の拳銃で彼の命を終わらせることが出来る。 そのはずなのに。鏡花水月には、焦りの色が微塵もない。 これはどういうことなのか。考え始めた先手必勝の目に、青色吐息の持つ拡声器が映る。 拡声器。 音が拡がる。 つまり、それは? 「まさか――拡声器を使わせることこそが、狙いだった?」 「そうだ」 先手必勝が気づくと同時に、再び鏡花水月は霧に紛れていく。 慌てて先手必勝は銃を撃つが、そのときにはすでに、彼の姿は消えていた。 虚空から嘲笑うような声だけがする……。 「もはや貴様らに残された道は一つしかない。いますぐ無様にここから逃げよ。 さもなくば、何が起こるか。貴様の頭脳なら理解できよう?」 「センくん、ど、どういうこと?」 「簡単な話ですよ。あの男は……最初から。 こちらに拡声器があると知った瞬間から、ボクらに拡声器を使わせるつもりだったんです。 見かけの芝居に気を取られて、すっかり忘れていた……!」 拡声器を使うということは、人を呼び寄せてしまうということ。 古今東西、殺し合いにおける絶対不変の鉄則は、この”実験”でさえ当てはまる。 ただでさえ銃声という大きな音を鳴らしておきながら、さらに拡声器とそれを相乗させた先の一撃。 おそらくその音は、娯楽施設全体に響いてしまっている。 鏡花水月、先手必勝、青息吐息。 この場の三人を除く残りの参加者は、最大九人、最少でも五人。 そのうちの何人かが拡声器の真意を確かめにA-2に来ることは十分にありうる。 「あとはあの男が、やってくる参加者に対して助けを求めればいい。 傷だらけの自分でも《幻想》で出しておけば、悪者はこちら。戦況は逆転、しかも自分の手は汚れない」 「そんな……あたしたち、嵌められたってこと……!?」 「ええ。何が”戦乱”だあの男。最初から、闘わずして勝つつもりだったんだ。 くそ、このボクが。ボクが頭脳戦で後れをとるだと。そんなことがあって、良いというのか」 先手必勝は歯噛みする。 状況を打ち破るために編み出したはずの戦略すら、相手の思惑の内。 何事にも先手必勝を貫いてきた彼にとって、この事実は深く心をえぐるものだった。 思わず普段の冷静さを忘れ、汚い言葉を使いそうになってしまう。 銀縁メガネを外す。 それをポケットに一旦しまい、先手必勝は自分の頬を思い切り叩いた。 自分に自分で攻撃する分には、先手でも後手でもない。 が、隣に立つ青息吐息はその痛ましい行為に驚いたようで、恐る恐るといった様子で話しかける。 「センくん……」 「……落ち着きましょう。まだ、誰かが来ると決まったわけじゃありません。 策はまだあります。青息吐息さんの《ため息》さえ回復すれば。時間があれば」 「センくん、落ち着けてないって。いったん逃げ――」 「時間などないぞ」 だがそれを遮るように、また鏡花水月の声がする。 青息吐息、先手必勝の二人は、その声の方向へと振り向いた。 そこには、車が。 駐車場に元からあった、あのハリボテの車が、 いくつも空中に浮かんで――二人の方へと落ちてきていた。 地面を見れば、《幻想》で出来た沢山の無骨な機械腕がタケノコのように生えている。 どうやらあれで投げたらしい、 というところまでしかこの事態を判断する余裕は彼らにはなかった。 「う……うおおおおおぉぉお!?」 「きゃああぁあ!?」 奇しくもそれはあの傍若無人と同じ攻撃方法。 そして、音の衝撃では消せない、実物による攻撃! 「”戦乱”はまだ続く。ため息をつく暇など与えぬ」 A-2エリアのどこかにて。 鏡花水月がそう呟いたのを聞くものは誰もいなかった。 続いて、ハリボテの車がコンクリートにぶつかる音が、たいそう大きくその場に響いた。 【A-2/駐車場A地区】 【鏡花水月/舞台役者】 【状態】健康 【装備】不明 【持ち物】不明 【ルール能力】自分のいるエリア内に質量を持った幻影を発生させる 【スタンス】A-2に迷い込んだ参加者をただ惑わす 【青息吐息/ギャルっぽい女】 【状態】たらこ唇、きゃああああ!? 【装備】拡声器 【持ち物】なし 【ルール能力】ため息がすごい冷たい(使用不能) 【スタンス】保守派 【先手必勝/銀縁メガネ】 【状態】なんだって!? 【装備】拳銃 【持ち物】缶ビール数本など役に立ちそうなもの 【ルール能力】先手を取れば勝利する 【スタンス】漁夫の利狙い 仲間意識 前のお話 次のお話 鬼気迫る 前のお話 四字熟語 次のお話 戦乱の演 先手必勝 永久凍土 戦乱の演 青息吐息 永久凍土 戦乱の演 鏡花水月 永久凍土 用語解説 【拡声器】 平たく言えば声を大きくする装置。メガホンとも。 バトルロワイアル、もといパロロワにおけるこれは最高の死亡フラグの一つで、 主に対主催が人を集めたり殺し合いをやめるように呼びかけることが多い。 四字熟語ロワでは鏡花水月のルール能力を打破するキーとなった。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
https://w.atwiki.jp/dynamite/pages/852.html
完全試合! v2 の個人ページです。 12/15(土)追記 根拠も挙げずに人を非難する誰かさんのために書いておきます。 「狙いを定めるためにバントの構えをするのが意味不明」などと仰る方がいますが、高校野球で行われた全球バント作戦をご存じないのでしょうか? バントの構えをして待つことはルール上問題ありません。「バント煽りするな」などという独自のルールを押し付けるのはやめていただきたい。もちろん、ダイナマイト野球運営からそれが禁止であると言われれば直ちにやめます。 クレーマーに付き合ってる暇はないので、今後は完全試合! の名を冠さずにプレーしていきます。恐らくプレー中の名前はGuestとかになるんじゃないですかね。バントでの揺さぶりをしているプレーヤーがいたら私かも知れませんし、私ではないかもしれません。 ダイナマイト野球の今後の発展を心からお祈り申し上げます。 完全試合! v2 2/10(日)追記 【「バント煽り」と非難されたことについて】 「バント煽り」ではありません。「バスター」です。運営からやめるように指示されないかぎり、これからもバスターを続けていきます。 それでも非難を続けたい方々には、勝手に作った自分のルールを押し付けるなと申し上げておきます。 【今後について】 これから完全試合! としてここで書くことは無いと思います。理由は@wikiを見ているときに、アドブロ禁止の画面が出て不快に感じるからです。 今後アドブロ禁止が消えない限り、@wikiを利用することはないと思います。 また、ダイナマイト野球のほうは、引き続き、プレーヤー名Guestで戦っていきます。 完全試合! v2
https://w.atwiki.jp/dynamite/pages/849.html
回数制限がかかったので、新ページを作ります。
https://w.atwiki.jp/tekii/pages/26.html
完全試合 代 選手名 製作者名 チーム名 対戦チーム リーグ名 日にち 104 ゆりっぺ 湯田 リトルバスターズ 大ちゃんズ パールリーグ 2010 09/12 11 18 115 伊藤 一般人 ひだまりんズ リトルバスターズ パールリーグ 2010 10/15 16 10 134 緑川宮子 一般人 大ちゃんズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 12/10 10 25 ノーヒットノーラン 代 選手名 製作者名 チーム名 対戦チーム リーグ名 日にち 13 宮永真夏 一般人 大ちゃんズ リトルバスターズ パールリーグ 2009 12/13 00 44 17 ドミンゴwww はにゅん 大ちゃんズ ひだまりんズ パールリーグ 2009 12/24 13 01 37 瀧野 ituka SOS団 古河ベイカーズ ダイアモンドリーグ 2010 02/23 19 54 40 横森つみき 一般人 リトルバスターズ 大ちゃんズ パールリーグ 2010 03/04 19 00 45 銀京子 一般人 SOS団 雛見沢ファイターズ ダイアモンドリーグ 2010 03/19 22 54 52 田無尋 一般人 SOS団 古河ベイカーズ ダイアモンドリーグ 2010 04/09 22 05 59 紫羽あゆ 一般人 大ちゃんズ リトルバスターズ パールリーグ 2010 04/30 16 07 74 茶ノ畑ゆの 一般人 SOS団 ? ダイアモンドリーグ 2010 06/14 22 35 76 小沢一郎 一般人 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 06/19 01 01 78 やる大家 エグナロ 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 06/26 00 32 93 長門九曜 一般人 古河ベイカーズ SOS団 ダイアモンドリーグ 2010 08/10 07 35 127 松葉みなみ 一般人 大ちゃんズ ? パールリーグ 2010 11/19 06 13 128 天草シノ 湯田 リトルバスターズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 11/22 04 38 139 早川瞬渡2 早川瞬渡 SOS団 雛見沢ファイターズ ダイアモンドリーグ 2010 12/26 10 20 139 カリム・ベンゼマ スーパー リトルバスターズ ひだまりんズ パールリーグ 2010 12/26 14 52 来場者数 今日の観客数 - 昨日の観客数 - 合計観客数 -
https://w.atwiki.jp/334260/pages/22.html
完全試合達成者 回数 人数 年月日 名前 所属球団 スコア 相手球団 球場 備考 1 1 1962/5/25 大嶋勇作 高鷲 2-0 高塚 高塚 2 2 1970/8/11 宮川丈弘 高塚 7-0 堅岸 印南 3 3 1973/4/30 豊田文洋 高尚 3-0 北福 高塚 最新の達成者 ノーヒットノーラン達成者 回数 人数 年月日 名前 所属球団 スコア 相手球団 球場 備考 1 1 1963/6/28 大嶋勇作 高鷲 3-0 国鉄 高塚 2 1 1966/7/2 大嶋勇作 高鷲 1x-0 竪岸 高塚 延長15回ノーヒットノーラン 3 2 1967/7/14 鬼頭政二 丸八 4-0 東川 赤城台 4 3 1971/3/29 砂川昇 商連 11-0 上海 上海 5 4 1973/8/22 柳川憲久 三駒 7-0 健倉 板門店 6 5 1974/6/1 下部敦 東鉄 2-0 福海 富士平 7 6 1974/9/20 池井一雄 美雲 6-0 福海 美雲 優勝試合でのノーヒットノーラン 8 7 1976/4/18 松永紘一 高塚 3-0 国鉄 中央 9 8 1977/7/7 八田五郎 堅岸 10-0 高鷲 印南 10 9 1980/4/13 ポンセ 野山 3-0 北福 青川 外国人選手初の達成 11 5 1980/8/15 下部敦 東鉄 7-0 李翔 富士平 12 10 1980/8/28 小宮宗彦 美雲 8-0 東鉄 富士平 史上最高齢での達成(40歳6ヶ月) 13 7 1981/5/7 松永紘一 健倉 3-0 健船 南海 両リーグでの達成 14 11 1981/10/2 芦田拓馬 高鷲 4-0 旭野 高塚 15 12 1982/5/29 ロンソン 北福 1-0 高塚 大野 16 13 1983/9/20 山田翔 堅岸 5-0 野山 蒙古 17 11 1985/8/17 芦田拓馬 高鷲 1-0 青川 台北 18 14 1986/4/2 長谷川健輔 健船 3-0 美雲 上海 19 15 1989/10/6 金善晧 商連 10-0 福海 東遼 20 16 1991/7/14 中田真司 高尚 6-0 青川 高尚 21 17 1992/6/27 天野尊 高塚 3-0 旭野 高塚Ⅾ ドーム球場で初の達成 22 18 1995/5/20 スアレス 李翔 4-0 東鉄 宵月 23 19 1997/5/8 阿部晴斗 福海 4-0 台湾 福海Ⅾ 24 20 1997/9/24 北山寛太 旭野 2-0 高尚 旭野 25 21 1999/7/26 飯田真 高鷲 3-0 台湾 台北 交流戦で初の達成 26 22 2000/5/1 滝水豊 野山 5-0 高尚 野山Ⅾ 史上最年少での達成(20歳3ヶ月) 27 23 2003/9/6 夏目健太 美雲 3-0 台湾 上海 28 24 2005/8/17 柳田章介 東鉄 2-0 健急 福海Ⅾ 29 25 2007/6/5 蟹江仁 旭野 2-0 北福 大野 30 22 2007/7/25 滝水豊 野山 5-0 商連 福航 31 26 2007/9/2 安藤孝介 高塚 4-0 旭野 高塚Ⅾ 32 27 2008/4/8 松山大輔 青川 3-0 野山 青川Ⅾ 33 28 2009/7/3 マッキンレイ 李翔 7-0 水無月 宵月 34 29 2011/9/12 大家広志 堅岸 2-0 高塚 印南 35 30 2012/8/20 萩原慎之助 高鷲 4-0 高雄 福航 35 31 2014/3/30 コール 高塚 1-0 高雄 高尚 延長10回で達成 36 32 2015/7/4 外海哲也 李翔 3-0 旭野 旭野 37 33 2017/4/22 紫嘉一 BK 5-0 朝鮮 Bスタ 38 34 2018/8/30 岡崎慎司 東鉄 4-0 美雲 富士平 39 32 2019/5/11 外海哲也 李翔 8-0 朝鮮 京城 40 35 2020/4/15 高田秀也 高鷲 2-0 青川 青川Ⅾ 41 36 2022/6/23 貞松隆平 健急 5-0 江ノ島 東和Ⅾ 最新の達成者
https://w.atwiki.jp/shingekititan/pages/91.html
前メモ:第79話「完全試合」までのメモ※ネタバレ注意 ・基本的な世界設定や命名法則、アイディア等は『ワンピース』 ・75話は伏線が多い。 ・壁を登るライナー ・猿巨人が巨人に命令 ・四足歩行型 ・補給線を断って自滅させる ・俺達の戦士長 ・脳機能を移す→私の「巨人=脳細胞」説 ・調査兵団を壊滅 ・2か月で硬質化を身につけてきたヤツを・・・再び壁内に戻すのはまずい・・・ ・ヤツが・・・完全な座標の力を身につけた後では手遅れだ―― ・エルヴィン団長を殺さないライナー ・巨人には犬が多い。 ・認識能力異常の可能性。『火の鳥 復活編』の主人公レオナ(男)は、脳の大半を人工脳にされたため、認識障害を起こす。生物が無機物に、無機物が生物にしか見えなくなり、ロボットが人間に、溶鉱炉と溶けた鉄が森の中の小川に見えるようになってしまう。 ・サネスの声は大友龍三郎氏を希望。 ・ピクシス司令は私の進撃の巨人=ゲーム説における「レベルの持ち越し=記憶改竄されない少数派の血族」の可能性。昔の記憶があるのはそのため。巨人と、共通の敵を作ることで人類を一つにできるかどうかというチェスや将棋のような勝負をしている。 ・ハンジは歴史を知っていて自分の役を演じている? ・王政、クーデター編は場所や時間が複雑で分かりにくい。これは新聞記者をうまく使うことでストーリーを整理する事が可能。
https://w.atwiki.jp/shingekititan/pages/90.html
第74話以来のメモ中。80話掲載前に書いておく。 ・リヴァイはすでに巨人の注射をしている可能性あり。息切れは注射の影響。エレンやアルミン、ミカサの会話を聞いて決心した? 息切れのもう一つの可能性は、何か重い荷物を身に付けている場合。たとえば雷槍以外にも開発された爆弾のようなものを隠している、など。 例:ロケット部分を省いた「飛ばない雷槍」。推進剤が必要ないので雷槍よりも短く軽いという利点がある。ただし自分で巨人に刺す必要があるため、遅延信管または長めの導火線で爆破時間を調整する。他に手榴弾や時限爆弾など。 現在、巨人は陸の戦車(ライナー/鎧の巨人)、海の戦艦(猿巨人)、空の爆撃機(ベルトルト/超大型巨人)の代わりとして描かれている。 大日本帝国陸軍はアンパン地雷などの肉薄攻撃兵器で戦車と戦っていたので、アンパン地雷の代わりとなる武器をリヴァイやエレンに使用させることは考えられる。 こうした肉薄兵器の使用は日本に限ったことではなく、たとえば映画『プライベート・ライアン』に登場する米軍の”くっつき爆弾”は、グリースに浸した靴下に爆薬と信管を詰めて導火線を付け、戦車にくっつけて(特に履帯(キャタピラー)を狙って)爆破するタイプの即席爆弾である。 猿巨人は毛が生えているので、何らかの接着剤が付いた爆弾が体毛に付着すると、毛足の長い絨毯にくっついたガムのように、すぐに取り除くのは難しいかもしれない。 後述するように四足歩行巨人の背中の荷物が火薬と油(ガソリン)である場合、実現可能性は低いが、巨人側の用意した火薬と油を利用して猿巨人を燃やすことはできるかもしれない。もしも体毛のせいで爆弾を取れない、あるいは火を消せない場合、ジーク戦士長がいったん巨人化を解除し、生身で脱出することもあるかもしれない。 ただし猿巨人の能力は未知数なので、そうした攻撃を無効化する方法があるかもしれないし、そもそも他の巨人を使って自分を防御することも可能である。 ・超大型巨人がより人間らしく、運動性能も向上しているように見える。迷いが無くなったからか、ループを重ねて成長したからか、ユミルを食べたからか。心臓を食べさせてくれるのが「女神」? 女神を含め人類を作ったのが「天使」? ある条件を満たした女性体を食べると、巨人の知性や能力が向上する? 神と戦うためには知性が必要なので、仲間を食べて知性を向上させ、神の技術を盗んで逃亡。「心臓を捧げよ」とは、壁中人類が神やその使徒である天使(ライナーたち?)と戦うために、「経験値を貯めて仲間に自分を食べさせろ」という意味? 食べれば食べるほど猿→人間に近くなってゆく? ウーリ・レイスの巨人がとても人間らしい外見だったことが重要な伏線。 ・超大型巨人が下手投げ。「第74話「作戦成功条件」 猿はオーバースローで投げられない ※ネタバレ注意」で指摘したように、猿と同じで下手投げしかできない?(ただし11巻第43話「鎧の巨人」で、下半身の無い超大型巨人が上手投げに近い形で調査兵団を攻撃しているので、上手投げもできるかも知れない)超大型巨人はもともと猿に顔の模様が似ている。 逆に猿巨人は上手投げ。しかも野球(ベースボール)なので、私が引用したイラストそのまま。ゴリアテ予想が当たったか? もし超大型巨人が猿なら、以前、体毛について予想したとおり(※超大型や鎧に皮膚が無いのは、本来なら体に毛が生えている=正体が猿なのを原作チームが隠しているためではないか、という予想)? ・第74話のタイトルが「作戦成功条件」ということは、エルヴィンの想定した条件が間違っている? 第79話「完全試合」の”完全”になるための条件と繋がっている。 <現在考えられる「完全試合」の条件> ①「座標」の奪還 ②調査兵団の全滅 ③ライナー、ベルトルト、猿巨人の無事 ④地下室の確認?あるいは地下室の破壊(証拠隠滅)など? ・猿巨人の野球発言で、「猿巨人=アメリカ」説が当たっている可能性が高まった。もっとも、ジークという名前から見て、日本人の野球(スポーツ好き)少年かも知れない。 ●獣の巨人とライナーたちの関係 ●第74話「作戦成功条件」 黒い液体と猿巨人の正体 ※ネタバレ注意 ・歴史再現説が確定か? 黒船来航から始まり、 日清戦争で朝鮮半島を満州人の国「大清帝国」の属国から解放して日本侵略ルートを塞ぎ、 日露戦争でロシアの朝鮮侵略を阻止して日本侵略を未然に防ぎ、 そして現在の展開は、大東亜戦争の日米戦末期における沖縄防衛戦と見られる。 ・ペリリュー島の可能性もあったが、雷槍がトンファーの形であるため沖縄防衛戦以降の展開で確定とみてよい。調査兵団は大日本帝国陸軍、大日本帝国海軍陸戦隊、沖縄県民、そして死ぬと分かっていても沖縄県民を助けるために出撃した大和などを表現。 ・ベルトルトの”原爆”など日本の大東亜戦争末期をイメージ化した描写で、以前から指摘してきた「反日」傾向が露見してきたか? 最近ではお笑いコンビ「8.6秒バズーカ」のラッスンゴレライが被爆者を侮辱する内容ではないかという疑惑があった。 ・そのため、『進撃の巨人』でも被爆者を侮辱するため、火傷など被爆者に似せた表現が描かれる可能性がある。 <主な疑惑抜粋>※ただしすべて推測。吉本側は否定。 ●8.6=広島に原爆が投下されたのが昭和20年(1945年)8月6日? ●8.6秒(セコンドsecond)=8.6セカンド(第2のsecond)英語だと同じスペルで別の意味になる。「第二の原爆投下=もう一度核攻撃してやるぞ」を意味する? これは「9.11セカンド」とか、「3.11セカンド」と言うのと同じことだ。 バズーカという米軍を想起させる単語が付いているのを真似て言えば、たとえば「9.11秒飛行機」とか「3.11秒津波」という名前を見て、9.11テロや3.11の被災者はどう思うだろうか? 嫌でもつらい記憶を思い出し、「不謹慎極まりない」と怒りを覚えたり、不快に感じるのが当然だろう。 8月6日=8.6は、日本人と広島の被爆者にとって深い怒りと悲しみ、そして痛みの日である。 これらの疑惑以前に、お笑いコンビに「8.6 second」などという不謹慎な名前を付けたことが、そもそも批判されても仕方のないのである。 ●ちょっと待って=国際法に違反して民間人殺傷目的で日本を空爆した米軍爆撃機B29にチョットマッテ号(CHOTTO MATTE(機体番号44-86400))が実在する。 ●手を挙げる決めポーズが広島の「原爆の子」や長崎の平和記念像にそっくり。 ●撮影で必ずやる手の形が韓国でチョッパリ・ピースと呼ばれる日本人侮蔑のサイン。李氏朝鮮時代、日本人の足袋を豚の足に見立てて、日本人をチョッパリ(豚の足)と呼んで侮蔑したのが始まり。 チョッパリを表すため、[人差し指と中指]+[親指]でV字を作り、豚のひづめを表現。そして薬指と小指を曲げ、手をちょうど銃のような形にする。 一時期、同じく吉本の芸人である河本準一が、自身の持ちネタ「お前に食わせる湯麺は無ぇ!」でこのチョッパリ・ピースをしており、その時にもやはり差別表現ではないかと問題になった。(河本準一は後に不正受給問題を起こす) ちなみにこの芸の元ネタであるジャッキー・チェンの映画には、このセリフも、もちろんチョッパリ・ピースも登場しない。(河本がこの芸を考える元となったと思われるシーンは存在するが、映画では普通に人を指さしているだけ) ◎元ネタとなったシーン: https //youtu.be/osFa54nSxmI <疑惑の背景> ●原爆投下を揶揄するのは韓国では日本を侮辱するときの定番で、なんと広島出身であり、原爆で母親を失い、自身の被爆した大島賢三 駐韓日本大使の目の前で原爆を揶揄し、しかもその様子をテレビで放送するという、社会常識上でも外交上でも考えられないような実例がある。 ◎被爆者である大島大使を侮辱。2006年韓国のYTNで放送: https //youtu.be/2qTa9bJpuow ●韓国映画には、韓国が日本を核ミサイルで攻撃する『ムクゲの花が咲きました』という、現在の国際情勢下では非常に不穏当な映画も存在する。ムクゲは韓国の国花であり、韓国製の核ミサイルによるきのこ雲を、韓国のムクゲの花に例えている。 ●現在、韓国は2016年1月6日に発生した北朝鮮の水爆実験(水爆実験は中性子爆弾開発の第一段階)を受け、「韓国も核武装すべきだ」と発言し、米大統領選のトランプ候補は、米国は”世界の警察”を辞め、他国を守るのもやめてアメリカだけを守るべきだという文脈で、「日韓は自分で自国を守るために核武装すべきだ」という趣旨の発言をしている。 ※中性子爆弾は爆風や熱で殺傷する従来の爆弾とは違い、放射線で生物だけを殺傷し、施設やインフラをできるだけ無傷で残す爆弾。 つまり北朝鮮は使用後に相手国を占領して施設やインフラを使うことを考えているという事になり、これは国際社会から見れば、北朝鮮には核兵器を実際に他国に使用し、侵略する意図があると受け取られる。 そのため北朝鮮の”血の盟友”として、ずっと支援してきた中華人民共和国も北朝鮮への制裁に踏み切り、これに怒った北朝鮮がついに2016年3月29日、北朝鮮の歴史上初めて中華人民共和国の方向に短距離ミサイルを撃つという、危機的な事態にまで発展している。(ただし落下したのは北朝鮮の中朝国境付近であり、一応北朝鮮国内ではある) また、中華人民共和国と北朝鮮が対立した場合には、”血の盟友”であることをお互いに確認し仲直りを演出するため、日本を攻撃すると考えられており、すでにそういう報道も存在し、事故に偽装したテロも心配されている。 ・第72話「奪還作戦の夜」でエルヴィンと話している時の手を向けるリヴァイの絵は、水木しげるの『昭和史』で神風特別攻撃隊が出撃するシーンのレイアウト(左右反転。トレスでは無い)。 諫山創をはじめとする原作チームが、調査兵団を大日本帝国陸海軍として描いている状況証拠。 『昭和史』を見ながら『進撃の巨人』を描いていると思われる。 そして、『昭和史』も『進撃の巨人』と同じ講談社の本である。 ・上記のシーンで、リヴァイはエルヴィン・スミスの「両足の骨を折る」と言っているが、これも一種の伏線。 実は、キリストの磔刑(たっけい)では、最後に両足の骨を折って窒息死させるのである。 ただし、当時は十字架刑ではなく杭殺(こうさつ)刑だったという説もある。杭殺刑とは、十字架の代わりに杭(くい)に縛って殺す刑である。 イエスと共に十字架にかけられた二人の男は、安息日を迎える前に足を折られて窒息死させられた。しかしイエスはすでに死亡していたため、兵士は足を折るのをやめた。イエスの死を確認するため、ある兵士が槍でイエスのわき腹を刺した。この兵士の名がロンギヌスであり、イエスを指した槍がロンギヌスの槍として後世に伝えられた。ロンギヌスはイエスを刺したときにイエスの血が目に入り、白内障が治ったとも伝えられる。 しかし,イエスのところに来て,彼がすでに死んでいたのを見ると,その足を折ることはしなかった。 but when they came to Jesus, and saw that he was already dead, they didn’t break his legs. 『ヨハネによる福音書 19 33』 ・作者の諌山創氏や編集者は、「北欧神話」が元ネタだと強調しているが、これはヒッカケ。 実際にはキリスト教がもっとも中心であり、おそらく原作チームか編集者にキリスト教の知識がある韓国人がいると思われる。 現在でも韓国人にはキリスト教徒が多いが、これは明治以降、横井小楠の弟子と娘たちなど、日本人が熱心に布教したためである。 事実、戦前は韓国人の実に半分がキリスト教徒であった。 そのため、大日本帝国陸海軍にキリスト教徒がいれば、ほぼ間違いなく朝鮮人だと言われている。 インタビューなどで情報操作をして、読者をだますのが『進撃の巨人』の特徴。 この点がパクリ元である『ワンピース』と一番違う点である。 ・第74話の時点で、調査兵団が腕に装着した器具の形状から、雷槍=パイルバンカー(腕に装着するバズーカ砲のような火薬兵器)と考察したが、ほぼ的中。ただし、鎧の隙間は狙わず、私の予想よりも威力が大きすぎ、形状も露骨にトンファー。この形状では腕を保護しないので大ヤケドをするし、フィンも無いのでまっすぐ飛ばない。このあたりは「キッツの命令で砲撃を受けた時の無傷の花」のように、別の力が働いていると見るべきか。歴史再現力(この攻撃が成功すると歴史に記録されているので必ず成功する、あるいは記録されている歴史通りになるよう修正する歴史復元力が働いている、など)? ・調査兵団は旧・大日本帝国陸海軍。大東亜戦争の日米戦における米国の国際法違反の民間人無差別爆撃、焼夷弾、対人兵器のキャニスター弾(散弾。中世でいうブドウ弾。日米戦でアメリカ軍が、当時世界最強と言われた日本軍の突撃を防ぐのに使用)あるいは艦砲射撃など、猿巨人や超大型巨人の攻撃は、米軍が日本軍に行った攻撃を彷彿とさせる。 ・リヴァイの湯飲みの持ち方は大日本帝国陸軍の食器の持ち方。自衛隊出身で日本初の軍事アナリストである小川和久氏によれば、旧・大日本帝国陸軍の食器はアルマイト製ですぐに熱くなるため、食器の縁をつまむのが習慣となった。この習慣が残っているのが、かつて日本軍に指導されていた韓国軍。実際に前述の小川氏は、身分を隠して自分に接近してきた韓国人と食事をした時に、相手が茶碗の端をつまんでご飯を食べているのを見て、「お前、軍の人間だろ」と言い当てたところ、相手は非常に驚いたという。 ・アニメ15話の、リヴァイの「大日本帝国軍飲み」 ・アニメ24話の、リヴァイの「大日本帝国軍飲み」 ・リヴァイが日本兵なら、リヴァイの「背が低い、小柄なのに強い」「刈り上げ」「きれい好き」「若く見える」「表情が読みにくい」「熱血」「仲間思い」などの特徴が日本人に合致するのも説明できる。 ・リヴァイはリヴァイアサン。リヴァイアサンは「ねじれた」「渦を巻いた」という意味のヘブライ語が語源=回転攻撃で渦巻きを表現。 ・沖縄防衛戦以降の戦闘だと、この後は洞窟陣地の日本兵に火炎放射器や”馬乗り攻撃”で攻撃。馬乗り攻撃とは、洞窟陣地の上に穴を開けてガソリンを流し込み、入り口から火炎放射器で攻撃する方法。これをやられると絶対に助からない。そのため、沖縄戦では米軍が穴を開けるのを察知して、米兵の真下に爆薬を仕掛け、遠隔操作で爆破して撃退した事例がある。 ・ということは、調査兵団は地下室に入る? ・洞窟陣地への攻撃には手榴弾も多用された。そのため日本軍は事前にちょうどゴルフのホール(カップ)のように、手榴弾が入るくらいの小さな縦穴を深めに掘っておき、投げ込まれた手榴弾を爆発する前にその穴に落としていた。手榴弾は爆発力や火炎よりも破片を飛ばして周囲の人間を殺傷する兵器なので、細くて深い井戸のような穴の中で爆発すると破片は飛び散らず、爆風は真上に抜けるだけ。鉄砲(いや、薬莢か)や大砲で砲弾を撃つのと同じ原理。 ・米軍の火炎放射器や馬乗り攻撃を再現するなら、四つ足巨人の背中の樽と箱は、油(ガソリン)と火薬か。 アメリカと言えばガソリンである。 日本では「ガソリンは血の一滴」と言われて貴重品だったが、そもそも大東亜戦争でアメリカと戦わざるを得なくなったのも、アメリカ自身が認めているように、アメリカなど連合国が日本への石油輸出をストップしたため、日本は自国民の命と安全を守る必要に迫られたからである。 当時、世界の富の半分を持っていたアメリカ軍はガソリンを湯水のように消費し、日本人を驚かせた。 そしてゴリアテ予想に従えば、ゴリアテが自分の剣で首を切られたように、猿巨人も自分の油や火薬で燃やされる展開も考えられる。 ・今後考えられる展開。女型や鎧、超大型が口に人を隠す事が多いので、今度はエレンが口にリヴァイかミカサを隠して猿巨人に接近し、戦闘中にリヴァイが口から飛び出して猿巨人を攻撃する展開があるか。きれい好きのリヴァイが、アニに喰われたエレンのように唾液(保護液?)まみれになるのも、一種の皮肉になる。