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変身リスト 本ロワにおける変身要素の纏め。 各変身後のスペックについては、支給品一覧、または変身後データを参照。 変身ロワイアルのゲーム内において変身した参加者・主催者のみ対象。 【魔法少女リリカルなのはシリーズ】 変身後 形態 変身者 使用アイテム バリアジャケットなのは ☆高町なのは レイジングハート・エクセリオン バリアジャケットフェイト ☆フェイト・テスタロッサ バルディッシュ バリアジャケットユーノ ☆ユーノ・スクライア バリアジャケットスバル ☆スバル・ナカジマ マッハキャリバー バリアジャケットティアナ ☆ティアナ・ランスター クロスミラージュ 聖王形態ヴィヴィオ ☆高町ヴィヴィオ セイクリッド・ハート 覇王形態アインハルト ☆アインハルト・ストラトス アスティオン 【仮面ライダーW】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 仮面ライダーダブル サイクロンジョーカー ☆左翔太郎 フィリップ ダブルドライバー ガイアメモリ サイクロンメタル サイクロントリガー ヒートジョーカー ヒートメタル ヒートトリガー ルナジョーカー ルナメタル ルナトリガー ファングジョーカー サイクロンジョーカーエクストリーム サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム 仮面ライダーアクセル ☆照井竜西条凪石堀光彦 アクセルドライバー ガイアメモリ トライアル ☆照井竜石堀光彦 ブースター 石堀光彦 仮面ライダーエターナル ブルーフレア ☆大道克己ダークプリキュア響良牙 ロストドライバー ガイアメモリ レッドフレア 月影ゆりダークプリキュア響良牙 仮面ライダースカル 通常 暁美ほむら涼村暁ン・ダグバ・ゼバ クリスタル 西条凪 形態不明 石堀光彦 仮面ライダージョーカー 左翔太郎 仮面ライダーサイクロン 石堀光彦 ウェザー・ドーパント ☆井坂深紅郎 ガイアメモリ タブー・ドーパント ☆園咲冴子 ナスカ・ドーパント レベル1 ☆園咲霧彦ン・ダグバ・ゼバ早乙女乱馬天道あかね左翔太郎 レベル2 ☆園咲霧彦天道あかね レベル3 園咲霧彦天道あかね ルナ・ドーパント ☆泉京水 ユートピア・ドーパント ☆加頭順 サイクロン・ドーパント 鹿目まどか池波流ノ介スバル・ナカジマ溝呂木眞也 ヒート・ドーパント 高町ヴィヴィオアインハルト・ストラトス トリガー・ドーパント ティアナ・ランスター メタル・ドーパント 志葉丈瑠 バード・ドーパント 大道克己月影ゆり バイオレンス・ドーパント 溝呂木眞也スバル・ナカジマ ゾーン・ドーパント 響良牙花咲つぼみ パペティアー・ドーパント 孤門一輝ダークプリキュア 【仮面ライダーSPIRITS】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 仮面ライダー新1号 ☆本郷猛 仮面ライダー新2号 ☆一文字隼人 ライダーマン ☆結城丈二 ライダーマンヘルメット 仮面ライダースーパー1 ☆沖一也 仮面ライダーZX ☆村雨良 タイガーロイド 白虎 ☆三影英介 滝ライダー 一条薫 ライダースーツ 【侍戦隊シンケンジャー】 変身後 形態 変身者 使用アイテム シンケンブルー ☆池波流ノ介 ショドウフォン シンケンゴールド ☆梅盛源太 スシチェンジャー 腑破十臓(怪人体) ☆腑破十臓 【ハートキャッチプリキュア!】 変身後 形態 変身者 使用アイテム キュアブロッサム 通常 ☆花咲つぼみ ココロパフューム プリキュアの種 スーパー キュアマリン ☆来海えりか キュアサンシャイン 通常 ☆明堂院いつき シャイニーパフューム プリキュアの種 スーパー キュアムーンライト ☆月影ゆりダークプリキュア ココロポット プリキュアの種 【魔法少女まどか☆マギカ】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 魔法少女さやか ☆美樹さやか ソウルジェム 魔法少女杏子 ☆佐倉杏子 魔法少女マミ ☆巴マミ 魔法少女ほむら ☆暁美ほむら 【らんま1/2】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 若い娘(娘溺泉) ☆早乙女乱馬響良牙一条薫レイジングハート・エクセリオン 水 黒い子豚(黒豚溺泉) ☆響良牙 牛、雪男、鶴、鰻の混合生物(牛鶴鰻毛人溺泉溺泉) タコ(章魚溺泉) ☆パンスト太郎 響良牙 アヒル(鴨子溺泉) 志葉丈瑠 タコ(章魚溺泉) 響良牙 阿修羅(阿修羅溺泉) パンダ(熊猫溺泉) 猫(猫溺泉) 一条薫 子供(童子溺泉) 狼 7歳への若返り 月影ゆり 歳の数茸 伝説の胴着着用 ☆天道あかね 伝説の胴着 【フレッシュプリキュア!】 変身後 形態 変身者 使用アイテム キュアピーチ ☆桃園ラブ リンクルン キュアベリー ☆蒼乃美希 キュアパイン ☆山吹祈里巴マミ キュアパッション ☆東せつな佐倉杏子 ノーザ ☆北那由他 ナケワメーケ 冴島家の椅子 シンボル ソレワターセ スバル・ナカジマ 実 【ウルトラマンネクサス】 変身後 形態 変身者 使用アイテム ウルトラマンネクサス アンファンス ☆姫矢准佐倉杏子蒼乃美希孤門一輝 ネクサスの光 エボルトラスター ジュネッス ☆姫矢准孤門一輝 ジュネッスパッション 佐倉杏子 ジュネッスブルー 孤門一輝 ウルトラマンノア 孤門一輝 ダークメフィスト ☆溝呂木眞也天道あかね ダークエボルバー ダークメフィスト・ツヴァイ 黒岩省吾 ダークファウスト 美樹さやか天道あかね ダークザギ 石堀光彦 ネクサスの光 【仮面ライダークウガ】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 仮面ライダークウガ マイティフォーム ☆五代雄介一条薫 アークル ドラゴンフォーム ペガサスフォーム タイタンフォーム グローイングフォーム 一条薫 アメイジングマイティフォーム アルティメットフォーム 仮面ライダークウガ(プロトタイプ) 白 天道あかね プロトタイプアークル ズ・ゴオマ・グ(怪人体) 基本形態 ☆ズ・ゴオマ・グ 強化体 ダグバのベルトの欠片 ゴ・ガドル・バ(怪人体) 格闘体 ☆ゴ・ガドル・バ 俊敏体 射撃体 剛力体 電撃体 電撃俊敏体 ゴ・ガドル・バ 電撃射撃体 電撃剛力体 驚天体 究極体 ン・ダグバ・ゼバ(怪人体) 完全体 ☆ン・ダグバ・ゼバゴ・ガドル・バ 中間体 電撃体(中間) ン・ダグバ・ゼバ 【宇宙の騎士テッカマンブレード】 変身後 形態 変身者 使用アイテム テッカマンブレード 通常 ☆相羽タカヤ クリスタル ブラスター テッカマンエビル 通常 ☆相羽シンヤ ブラスター テッカマンランス ☆モロトフ ソルテッカマン1号機改 涼邑零 【牙狼-GARO-】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 黄金騎士ガロ ☆冴島鋼牙 魔戒剣 銀牙騎士ゼロ ☆涼邑零 暗黒騎士キバ ☆バラゴ 暗黒騎士キバの鎧 暗黒騎士キバの鎧 【超光戦士シャンゼリオン】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 超光戦士シャンゼリオン ☆涼村暁 シャンバイザー 暗黒騎士ガウザー ☆黒岩省吾 筋肉強化 ダークプリキュア 筋肉強化剤 【オリジナル】 変身後 形態 変身者 使用アイテム 超光戦士シャンゼリオン ハイパー 涼村暁 シャンバイザー+恐竜ディスク ガイアポロン 涼村暁 シャンバイザー+パワーストーン 偽高町なのは(9歳) レイジングハート・エクセリオン T2ダミーメモリ 偽高町なのは(20歳) 偽フェイト・T・ハラオウン 偽ユーノ・スクライア 偽アインハルト・ストラトス(覇王) 偽龍咲駆音(暗黒騎士キバ?) 偽シンケンブルー 偽キュアサンシャイン 偽仮面ライダー1号 偽ザ・ブレイダー ダークアクセル 石堀光彦 アクセルドライバー+アクセルメモリ
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424 :名無しより愛をこめて:2012/06/08(金) 13 29 50.02 ID 5fYV0UaMO ゴーバスの新メンバー、ロボットが装着変身(脱衣変身?)するのは珍しいな もしあれが装甲を逆転送して素体を曝してるのではなく 本当にスーツを装着して変身しているのならば ドギーの鼻をスーツに収めたり 変身しても髪型が崩れないテクノロジーが応用されているのかもしれない 425 :名無しより愛をこめて:2012/06/08(金) 13 39 10.79 ID EkvuyIFv0 420 北京五輪の年にはなんかやってたっけ? 424 両方じゃないのかな? つまり通常用外装と戦闘用外装を着替えてる。 427 :名無しより愛をこめて:2012/06/09(土) 10 47 33.29 ID VWAuboR+0 ジバンやバイクルがスーツを着てるのはすごかが独自の説だっけか。 機能をロボット自身ではなくスーツに持たせるメリットが新しく見直されたんだろうか。 428 :名無しより愛をこめて:2012/06/09(土) 11 03 34.09 ID pmBNsRKZ0 バドーのスプリングマンの「頭が外れて中に人がいるように見えちゃった」のは 素体フレームに装着した追加モジュールが外れただけであり、 この構造が後にネロス帝国の機甲軍団にも応用されたって説があったなw 429 :名無しより愛をこめて:2012/06/09(土) 12 29 51.82 ID J4BvbavK0 424 ロボの設計コンセプトが違うしな 変形して操縦桿になるんじゃなくて 自身がコクピットに座って操縦するみたいだし 474 :名無しより愛をこめて:2012/06/25(月) 22 32 02.14 ID bv2IQt6o0 427-428 それらが現在ビート・J・スタッグ/スタッグバスターに結実と
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変身後データ ※ドーパント等の一部変身キャラは「支給品一覧」で確認してください。 ※変身後に現れる武装もコチラを参照で。 【魔法少女リリカルなのはシリーズ】の変身後データ 【仮面ライダーW】の変身後データ 【仮面ライダーSPIRITS】の変身後データ 【侍戦隊シンケンジャー】の変身後データ 【ハートキャッチプリキュア!】の変身後データ 【魔法少女まどか☆マギカ】の変身後データ 【らんま1/2】の変身後データ 【フレッシュプリキュア!】の変身後データ 【ウルトラマンネクサス】の変身後データ 【仮面ライダークウガ】の変身後データ 【宇宙の騎士テッカマンブレード】の変身後データ 【牙狼-GARO-】の変身後データ 【超光戦士シャンゼリオン】の変身後データ
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変身ロワイアルの真実 ◆gry038wOvE 全パラレルワールドの完全管理。──それが、彼の不動の目的だ。 本来、『インフィニティ』による管理は完全無欠であるはずだった。全てのパラレルワールドを管理するツールであるはずのそのメモリーは、FUKOを蓄積すれば世界の管理を行える力を持っているはずである。かつてメビウスもそれを信じてインフィニティを使った。 しかしながら、実際に使ってみれば、管理されない世界もいくつもあった。 たとえば、この殺し合いで桃園ラブが疑問に思ったように、一度メビウスによる全パラレルワールドの『管理』が行われたはずだが、その事実も、他の世界の参加者には通用しない常識になっている。あの時に管理された世界は、あらゆるパラレルワールドのごく一部でしかなく、支配された世界の一つではなかったのだ。 宇宙の果てにあるマルチバースと呼ばれる、一つ一つが小さな玉になっている多次元宇宙──それがパラレルワールドだが、管理国家はその玉の全てを握っているわけではない。ほんの欠片だけだったのである。 マルチバースには自分の世界を基準としたレベルがあり、そのレベルが上がるにつれ、科学や進化体系、年代の違いまで生じ、その遡行も難易度が高くなる。 答えをばらしてしまうと、インフィニティの力が支配できるのは、そのうちレベル2の一部──管理国家ラビリンスが認識できた世界までであった。いや、厳密には全パラレルワールドを支配する事もできるのだが、レベル2の多くや、それ以上を得るには、それなりの力が必要なのだ。それこそ、エントロピーを凌駕するエネルギーなど些末にしか感じないほどの壮絶な力が──。 この主催者は、それを得て全て支配しなければ、満足しない性格だった。それではまだ、全てのパラレルワールドを管理──とは名ばかりの支配をできない。 全てを管理下に置いていく。 ◆ インフィニティの存在を知った彼は、早速その強奪に取り掛かった。とある鉱石のエネルギーを用いて、辛うじてインフィニティのあるレベル2世界に遡行する事に成功し、その後、管理の為の準備を進め始める。 行き着いたレベル2マルチバースには、FUKOを更に効率よく上げる為の方法を持つ世界が複数存在した。 たとえば、ソウルジェムや三途の川が存在する世界である。それらの時空を一つの場所に統合し、三つの現象を併用する事により、たった一つの絶望で三倍以上のエネルギーが蓄えられる。それがインフィニティの管理速度を早めさせる事を考えたのであった。 それから、更に、驚くべきは、人間が『変身』するエネルギーというのがその進化を助長するという事実だった。 人がその身を別の姿に変じるという事は、それこそ科学や世の中の法則を無視した現象であるのは、周知の事実だ。 高度に発達した科学や、実際的な魔法が存在する世界においては、そんな常識はとうに過去の話であもあったが、それが通常ならば世界法則を歪めるだけの科学や魔法であるのも事実だった。そうして世界法則を歪めるだけのエネルギーを集めれば、管理世界の幅を広めるのに役立つと、彼は知ったのだった。 変身は、本来交わらないはずの異なるマルチバース間での変身の方が膨大なエネルギーを放出するというのも、興味深い事実であった。 収集方法は、変身する人物の魂を内包している器(人体、ソウルジェム)に特殊装置を付けたうえで、『変身』をさせる事で装置内に収集させる方法を選んだ。手間はかかるが、確実で、成功すればかなりの量のエネルギーを回収できるはずだ。 そして、いざ装置が完成してみれば、そこに溜めこまれたエネルギーは、装置が破壊されるまで外には放出されない難点があったが、それは些末な問題であった。すぐに、装置に一定条件下で爆発する爆弾を取りつける事を決定した。 そして、彼は、様々なマルチバースで、人体の『変身』を可能とする世界を恣意的に選び、その装置をつけて殺し合いをさせるゲームを開催する事にした。装置を70名の人間に取りつけ、エネルギーを収集する事にしたのだった。 装置は後に、『首輪』と呼ばれる。この首輪の爆破、または解除により、効率的にエネルギーが外へ出て行き、彼のもとに収集されるのだ。せいぜい、この特殊な首輪の寿命は80年程度だが、それだけ悠長に待つ気はなかった。 インフィニティや参加者66名ほか、あらゆる世界から彼とその部下は人を呼び、集めていった。 説明役に、『仮面ライダーW』の世界の財団X幹部・加頭順を呼んだ。彼自身興味を持っていた、財団Xという地球人組織を武力で支配下に置き、インフィニティを発動させた後、殺し合いがスタートするのだ。 そして、オープニングの映像を外世界に流し絶望させるために一週間のインターバルを置いた。あらゆる世界から、FUKOが溜まっていく。その間、参加者や一部の主催陣には全員眠っていて貰い、財団Xの人間には管理された自世界の様子を眺めさせた。彼らもだんだんとインフィニティによる支配力が効き始めていった。 結果的に、彼らの帰るべき世界はその力で、六日間で管理された。 ◆ 異なる時間軸から人間が消え去った事実はなくなっていき、世界は自ずと矛盾を消していこうとし始めた。元々、一つの流れを自然とする世界は、その本能に従い、最も正解に近い世界へと形を変えていく。そして、結果的に連れて来られた人間の最終時間軸を基準にした融合が始まった。 ただし、その世界の人間全てが死亡した段階で、世界は矛盾を治す力を使い果たし、更に矛盾だらけの世界を作り出してしまう。テッカマンブレードの世界は、まさしくそうだった。相羽タカヤが活躍するよりも過去の時間軸で死亡したという事実に対して、あらゆる混乱を起こした結果、彼が殺した敵が蘇るような現象が起きたのである。 こうして世界が一つにまとまり始めた事は驚きだったが、その方が、管理がしやすいのも事実であった。 ◆ 管理されていない世界でも、勘の良い者は、遠いマルチバースの異変を何らかの書き記すようになった。やがて管理される時が迫っている事を動物的本能が察知し、それを夢に見る者がいた。 ある世界では、その絶望の様相が美大生の課題の絵として提出された。その美大生は、課題の期限に追われて適当なイメージを描いただけだったが、それが深層心理からの警鐘であり、未来起こりうる事だとは到底知らないだろう。 ある世界では、その管理の本質が哲学者の思想として知れ渡り、少しの注目を浴び始めた。その本質を見極めたところで、着々と迫りくる管理の夜に抵抗する術はない。 ある世界では、その物語の殆どが数名の人間によって合作され、インターネット上で「リレー小説」として公開された。散り散りに感じていた無意識のイメージの断片が自然と吐き出され、一つの作品を作り上げていき、世界の隅で少しずつ記録されていった。 そうして、外世界も少しずつ全パラレルワールド管理への注意を喚起し始めていた。 ◆ 殺し合いの会場となる世界は、唯一、主催者である彼にも謎の世界である。こればかりは、主催者にもわからなかった。 どのマルチバースにも属さず、どうしてここに行きついたのかは彼自身もわからない。ふと気づけばここにいたと言ってもいい。……ただ、ここは知れば容易に踏み込む事ができ、知らなければ一生触れようともしない場所にあった。 誰も人が住んでおらず、点々と置いてある島々には、ただ戦いの痕跡だけがある。まるで、誰かが既にこの島で殺し合いをしたようだった。倒壊したビルや、大破した巨大ロボットの残骸、首輪をつけた人間たちの死体……そんな生々しい爪痕が残っている。もし、何も知らない人間が見れば、嫌悪さえ催すような場所だろう。しかし、彼は妙にそこに惹かれていた。 そこに、一つ真新しい島が存在していた。彼はそこで殺し合いを行う事に決定した。どういうわけか、誰も用意もしていないのに、『風都タワー』や『志葉屋敷』といった、レベル3世界の産物が建てられている。 島の地下には、主催人物が休むための施設があり、F-5の山頂の真下に、その入り口が存在している。 それを疑問に思ったが、誰かが「ここで殺し合いを行え」と自分を急き立てているような気がした。彼は、それに運命を感じて、ここで殺し合いをする事にしたのだった。 ◆ ……ここにいる加頭順の頭上では、今も殺し合いは行われているのだろう。 爆破・あるいは解体された首輪の変身エネルギーは今も着々と、「あのお方」のもとに届いている。首輪の構造上、こうして爆破され、解体される事がやむを得ない。いくつか、解体されないまま死体とくっついて放置される首輪が存在するものの、残っている参加者たちはそれを拾い、再び解体していく事もあった。 結城丈二が首輪解析功労者とされたのも、それが全て、主催陣にとって有益な話だったからだ。首輪に溜めこまれた力は、「破壊」されてこそ意味を成す物で、基本的には「生存時間」、「変身回数」、「破壊のタイミング」を良いバランスで揃えなければならない。それには、下手に手を加えるよりも、参加者が首輪を爆破させるか、解体するかを自然のタイミングに任せて放置した方が良いだろうと考えたのであった。 事実、それまでの間に繰り返し多彩な変身を行う者がおり、それは彼らの予想外の事実にもなった。下手なタイミングで爆発させるよりもずっと効率良く手に入った。 結城丈二にとって誤算だったのは、彼がダミーと判断したコードや器具が全て、『破壊された後は意味を持たない』というだけの、変身エネルギーの蓄積場所であった事だろう。彼は今も、参加者の多くが首輪を解除するために役立ってしまっている。無論、こんな事を予想できるなど、科学者でも不可能だ。 それこそ、超能力者でもない限りは、首輪を解除する事の真の危険性などに気づかない。彼をはじめとする首輪解除派には一切、落ち度などなかった。 現状でも彼らが解体し続けたいくつもの首輪のエネルギーがFUKOのゲージを目くるめくスピードで盛り上げている。このまま行けば、殺し合いの終了までには、『オリジナル』を含めた全世界を完全支配できるであろう事も間違いなくなってきた。 (ユートピア……) 理想郷のメモリを持つ彼は、現状作られていく管理国家の姿が、その言葉に見合う物なのか、少しばかり思案した。だが、答えは出ない。 テッカマンの世界では、既に人間・素体テッカマン・ラダムに一定の役割が設けられ、その間での戦争・闘争があっという間に収束している。 財団Xも紛争地域への支援が抑えられ、資金の大半がこの殺し合いへの協力に回された。それは財団にとってマイナスでしかなかったが、世界にとってはプラスであるといえないだろうか。 普段の財団の支援で死んでいった兵士よりも、この殺し合いに巻き込まれて死んだ人間の方が遥かに少ないほどである。同じ資金と資材ならば、この数百倍の人間が屍になるだろう。 管理により世界は、かえって争いをなくしていき、『全宇宙の意思』であるワルダスター帝国のドブライまでが彼に力を貸すようになった。それは即ち、この蛮行は宇宙にさえ認められた正当な物である……という事であるようだった。 勿論、加頭も納得はしていない。 園咲冴子がまたも死んだ事実に──震える心もある。 だが、加頭は二度も死んだ後だというのに、またこうしてこの殺し合いの主催に招かれた。大道克己との戦い、仮面ライダーダブルとの戦い……いずれも、忘れられるものではない。 冴子の死という事実も、だんだんと彼の中では軽んじられる些末な話に感じられるほど、死生観の歪みは強まっていく。 ……彼の目的は、冴子を加頭のように蘇らせ、この地で共に暮らす事であった。その欲望はまだ胸にある。 管理世界の外に二人だけの理想郷を作るのだ。 ──勿論、サラマンダー男爵とオリヴィエとは、その時に殺し合いになるだろうが。 ◆ そして──。 彼は、マップの裏側──側近の五名とインフィニティ以外、誰もいない小さな島で、玉座に座って殺し合いの映像を見ていた。 世界の王が玉座というのも古風な話だが、彼は所謂、そういうタイプの悪であった。これがダークザギさえも支配する力を得た戦士である。 まさしく、全ての宇宙を抱き込むほどの欲望を持ち、それを発揮しようとしている怪物だった。 「我ガ名ハインフィニティ……無限ノメモリーナリ……」 インフィニティとともに蓄積されるFUKOや水かさ──それが彼の頭上百光年分を遥かに超える水かさである事が、その方法の効率性の高さを示している。 変身エネルギーがここで大きく回収され続けた事で、あっという間に百光年も水かさが増したのだ。それでも、まだ『オリジナル』には行きつかないと知り、世界の広さを痛感する。 だが、どちらにせよ、関係のない話だった。 「……管理は随分進んでいるらしいな。俺様が全宇宙を支配する時も近いみたいだ……」 ……そう、彼の名は、カイザーベリアル。 力に対する強い渇望を感じ、悪の道を行く事になったウルトラ戦士である。 それは、ウルトラ戦士が束になっても勝てず、ウルトラマンノアの力を借りたウルトラマンゼロさえも苦戦を許すほどの最強の怪物であった。 あるいは、彼は、既にウルトラマンノアやダークザギ以上の力を持っているかもしれない。 ベリアルこそ、新たな管理国家──ベリアル帝国を築き、全マルチバースの支配者となる事を夢見る、この殺し合いの真の主催者だった。 【真の主催者】:カイザーベリアル@ウルトラシリーズ 時系列順で読む Back 第四回放送Y(後編)Next さようなら、ロンリー仮面ライダー(前編) 投下順で読む Back 第四回放送Y(後編)Next さようなら、ロンリー仮面ライダー(前編) Back 第四回放送Y(後編) 美国織莉子 Next あたしの、世界中の友達 Back 第四回放送Y(後編) 呉キリカ GAME OVER Back 第四回放送Y(後編) プレシア・テスタロッサ GAME OVER Back 第四回放送Y(後編) アリシア・テスタロッサ Next BRIGHT STREAM(1) Back 第四回放送Y(後編) 吉良沢優 Next 覚醒!超光戦士ガイアポロン(Cパート) Back 第四回放送Y(後編) 加頭順 Next BRIGHT STREAM(1) Back 第四回放送Y(後編) サラマンダー男爵 Next 私のすてきなバイオリニスト(前編) Back 第四回放送Y(後編) ドブライ Next あたしの、世界中の友達 Back 第四回放送Y(後編) ランボス GAME OVER Back 第四回放送Y(後編) 田端 GAME OVER カイザーベリアル Next 第五回放送Z
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草木も眠る丑三つ時。街中の明かりが消え、辺りが闇に包まれた頃、 キィィィンッ! 金属同士がぶつかる音が、辺りに鳴り響いた。 音が鳴るたびに火花が飛び散り暗い街を照らし出した。 音は間を空けて数分間続き、爆発音とともに辺りに静けさが戻った。 「お疲れ。…今日はどうだった」 メラメラと燃える炎に照らされながら、男が尋ねた。 「はい。今回は特に損傷らしい損傷はありませんでした」 炎の向こうから声が返ってきた。 「それは良かった。…騒ぎになる前に行くか」 辺りに風が巻き起こり、炎を消し去り、煙が立ち上る。 「はい」 返事とともに、煙の中に二つの光が瞬いた。 『ある男とロボットの話』 カナカナカナ… 太陽が頭上に輝き、遠くで蝉の声が鳴り響く。 男は作業を中断し、首にかけたタオルで額の汗を拭い、自分以外誰もいない工場の中で一人話し始めた。 「やはり、今までの戦闘で動力系統にかなりダメージが来てる。特に可動回路はもうおしまいだ。」 男は片手で顔を抑えると、悲しむように続きを話し始めた。 「昨日はなにもないと言っていたが、重症じゃないか…」 「すみません。あなたを…困らせたくありませんでした」 誰もいないはずの工場から返事がかえってきた。 「そんな…いらん気は利かせなくていいんだよ…っ」 男が声の方へと振り返りながら返事を返す。 そこには巨大なロボットが存在していた。 ロボットは床へと丁重に寝かされていた。 身体のあらゆるハッチは開放され、中では大小さまざまな機械が作動していた。 ロボットをよく見ると、ボディーには傷を隠すように全身に鉄板が打ち付けられ、中の機械は火花を上げたり、焼ききれたり、欠けたりしているのが多々あった。 「すまない…。ここの…いや、現代の技術じゃお前を治してやることはできない…」 男が悔しそうに話し出した。握られた両手が震えている。 「お前が…未来からやって来て、俺たちの為に戦ってくれて…それなのに俺は…」 男の顔から涙があふれてきた。 「気にしないでください…。私も初めはプログラムの命令で戦っていました。しかし今では、あなたを守れることが私の喜びであり誇りです」 表情なんてとても作れそうもないその鉄の顔が笑ったような気がして、男の目から涙が溢れ出した。 男の慟哭をかき消すように、サイレンの音が鳴り響いた。 敵が来たのだ。 男が工場のテレビをつけた。 テレビでは、暴れまわるロボットと、その様子が映し出されていた。 ナレーターが必死に状況を報告している。 「出撃します…!」 立ち上がろうとするロボットを男は必死に制止していた。 「もういいだろう!これ以上戦ったらバラバラになるぞ! それに…今度の相手は只者じゃない!出て行っても潰さ」 男の言葉をさえぎり、ロボットが話し出した。 「先ほども言いました。あなたを…街のみんなを守ることが、私の誇りです。」 「しかし、可動回路が壊れていては…」 男はなおも止めようと必死だった。が、 「ブースターと飛行回路は無事です。」 無駄だった。 「飛べるな?」 男がロボットへと話しかける。 「はい」 工場の外、ロボットは出撃体制へと入っていた。 「無理だけはしないでくれ…いざとなれば国防軍もいる。 もうこれ以上…大切なものを失いたくない」 「…分かりました。出撃します。離れていてください…」 男が離れると、轟音とともに炎を吹きながらロボットは出撃していった。 恐らく、敵わないだろう。 それでも、行かねばならない。 ロボットは、男が手を振る中、さらにスピードを上げていった。 「大切なものを守る為に」 ロボットが一人つぶやいた。 完 あるロボットと男の話・SSに戻る
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ヴァージンな関係というH漫画 なかなか変化変身のある漫画です。 ヴァージンな関係はモテナイ冴えないお金がない男が 美女と出会う。 そこから大変身してしまう漫画です。 その大変身の内容は とにかく美女にモテる。 外も中も変わっていないのに モテ度だけはあがります。 最初に出会った美女 (のち妻になる) かなりの上げマンだったんでしょうね。 そのおかげでモテまくる。 女がどんどん寄ってくる。 男してうらやましすぎる漫画 それがヴァージンな関係です。 ただ、キレイな彼女、のち奥様がいるのに いろんな女と浮気をしてまう男 ゆるせない ことはなく すごく気持ちはわかる。 妻は好きだけど、せまってくる女とはヤッてしまう。 男の本能だから仕方ないですね。 男の本能がうずまくヴァージンな関係 いろいろと紹介されて人気なので、電子コミックで読んでみようと思います。
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あるロボットと男の話・SS 単発 最終話 DBへ SS保管庫へ
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ロボットと私 ロボットと私→Robot&me→ロボトミー 時計じかけ→時計仕掛けのオレンジ(スタンリー・キューブリック) あたし夢にすらなれない→夢見てちゃだめ 夢になりなさい (ロッキーホラーショー) "You may get read not it!"→夢が足りない ●い頭を■にしたら→シカクいアタマをマルくする。(日能研) 電気羊の夢→アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(フィリップ・K・ディック)
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変身超人大戦・危機 ◆LuuKRM2PEg 「なのはさん……なのはさん……なのはさん……なのはさん……!?」 「私の名前を、知ってるんですか……?」 「なのはさん……なのはさん……なのはさん……なのはさん……なのはさん……なのはさん……なのはさん……!?」 なのはは問いかけるが少女は答えず、まるで壊れたテープレコーダーのように名前を呟きながら、よろよろと後退した。 「なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん……」 「君、しっかりする……ッ!」 「あたしは、あたしは、あたしは、あたしは、知ってる、知らない、知ってる、知らない、思い出せない、誰、なのはさんって、誰、わからない、なのはさん、あこがれてる、なのはさん、目標、どうして、どうして、どうして、どうして、わからない、わからない、わからない、教えて、教えて、教えて、教えて……」 ふらつく少女を再び支えようとした猛の言葉は続かない。 少女は両手で頭を抱えながら俯いて、壊れたように言葉を発した。常軌を逸したその行為に意味や理性など感じられず、狂っているようにも、何かに迷っているようにも見える。 少なくとも、ただごとではないのはなのはも理解できた。何故彼女が自分の名前を知っているのかは気になるが、今はどうでもいい。 そう思った頃には、いつの間にか少女の口は止まっていた。どうなっているのかはわからないが、これはまたとないチャンス。 なのははもう一度声をかけようとした。 「……そっか、そういうことですか」 その呟きと共に、彼女は勢いよく顔を上げる。 少女が今作っている表情は、これまでとは一線を画しているように笑っていた。それも穏やかさや優しさは全く含まれておらず、薄気味悪さしかなのはは感じなかった。 「みぃんな、食べちゃえばいいんですね……楽しい、ご飯の時間だ」 そう言ってゆっくりと立ち上がった少女の背中から大量の蔦が、音の速度で飛び出してくる。それは少女の全身にほんの一瞬で絡みついて、自分の意志を持っているかのように蠢いた。 一体何が起こっているのか? そう思った頃には、がしりと腕を強く掴まれる。びくりと身体を大きく振るわせながら振り向くと、流ノ介が鬼気迫る表情を浮かべているのが見えた。 「ホテルの外に走るぞ、急げ!」 答える暇もなく、腕を引っ張られながら走るのを余儀なくされた。 なのはが足を無理矢理動かしている中、他の四人もホテルに向かって走る音が聞こえる。だからなのはも、反射的に走る勢いを上げた。 置き去りにされた少女がいる場所から、何やら耳障りな音が聞こえてくる。肉や骨が磨り潰されてるような、鼓膜に捉えただけで吐き気を促すような音が。 だからなのはは走る。振り向くことも止まることもしないで、流ノ介の腕を必死に掴みながら走る。 ここで止まったりしたら、どうなるか。それはまだ短い人生しか送っていない彼女でも、容易に想像できる。 手を引っ張ってくれた流ノ介に感謝する暇もなく、なのははホテルの外に出た。 ◆ 栗毛でツインテールが作られた少女を見て、スバル・ナカジマの感情は大いに高ぶっていた。 あの小さな少女と目を合わせた瞬間、忘れていたはずの何かが胸の奥より湧き上がってきている。けれど、その正体がまだ掴めない。 高町なのは。 あの少女の名前は、高町なのはであると本能が告げていた。何故、そう言い切れるのかはスバル自身わからない。 そして、胸の高鳴りや後ろめたさの正体も理解できなかった。 ――正体が知られたからには、誰も逃がすな。 「うん、わかってるよ……全てはノーザ様のためだから。ねえ、マッハキャリバー?」 『その通りですとも、相棒。我が存在意義は、ノーザ様の理想郷を作ることですから』 しかしその疑問は、ソレワターセの声によって塗り潰される。 ソレワターセの力で二回目の変身を行っている中、スバルは狂気に満ちた笑みを浮かべていた。蠢く蔦が人工骨格の形を変え、細胞と臓器が熱くなっていくのを感じるが彼女は気にしていない。 全身が変わっていき、凄まじい熱が蛇のように走る。それは生きながらにして火炙りにされているに等しく、いつものスバルなら絶叫していた。だが今のスバルにとって、むしろ快楽にすらなっている。 ――お前の底に潜む悪魔の心を爆発させろ。そうすればお前はもっと強くなれるぞ、タイプゼロ・セカンド。 「我が名はタイプゼロ・セカンド……ノーザ様のためだけに動く殺戮マシーン」 地獄の底から響く程に低いソレワターセの声に頷いた頃には、既にシャンプーからスバルへと戻っていた。 その瞳に輝く金色は、より強い禍々しさを放っている。 「全てはノーザ様のために……ノーザ様の邪魔者は、みんないなくなってしまえばいいんだ」 それはソレワターセによって己を奪われてから、スバルに初めて芽生えた意思だった。 気付くことはないが、言葉に込められた殺意はスバルだけのものではない。その身に取り込んだシャンプーやゴオマが抱いていた殺意も、ソレワターセによって与えられていた。 「全ては……ノーザ様のためにっ!」 身体に絡まっていた蔦が背中に戻り、そのおぞましい姿を周囲に晒しながら彼女は獲物達の方へ振り向く。その中の数人は姿が変わっていて、ホテルから逃げ出してからすぐに変身をしたのだろうが関係ない。 どうせ、誰一人として残らず餌になるのだから。 ◆ (あれってまさか……!?) ホテルに現れた少女から飛び出した蔦には、明堂院いつきにとって見覚えがあった。 前にブラックホールが復活させたトイマジンとサラマンダー男爵によって、イエロープリキュア達がおもちゃの国に飛ばされたことがあった。その時に、ゲームと称してデザトリアンを始めとしたたくさんの怪物と戦わされたが、みんなで力を合わせて脱出に成功している。 あの少女の全身を包んだ蔦は、おもちゃの国のすごろくにいたソレワターセという怪物ととてもよく似ていた。 ただならぬ気配を察したのか本郷猛と池波流ノ介は、既に変身を果たしている。 猛の全身はバッタを模した黄緑色の仮面と装甲に覆われ、二つの瞳が赤い光を放つ。仮面ライダー一号の首に巻かれた赤いマフラーが、夜風に棚引いた。 胴衣のような模様が刻まれている青い鎧に包まれた流ノ介はその腰から、一本の刀を取り出す。漢字の「水」が模様となったマスクから放たれるシンケンブルーの視線は、その手に握るシンケンマルに負けないくらいに鋭かった。 いつきも懐からシャイニーパフュームを取り出し、窪みにプリキュアの種を入れる。いつも着慣れている私立明堂学園は一瞬で金色に光り輝くワンピースに変わり、ショートヘアーが腰にまで届くほどに長くなった。 「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」 その魔法の言葉に答えるように、シャイニーパフュームが眩い輝きを放つ。 いつきはパフュームの中身を全身に吹きつけると、ワンピースが形を変えた。両腕と腹部を露出させた白い上着の胸元に金色のリボンが飾られていて、ヒマワリのようなミニスカートが風に揺れる。 長くなった髪は金色に輝きながら花形の髪飾りによってツインテールとなって、両耳にイヤリングが付けられる。最後に彼女はシャイニーパフュームを腰に添えたことで、ココロパフュームキャリーに包まれた。 身体の奥底から力が溢れ出てくるのを感じて、変身を終えた明堂院いつきは高らかに名乗る。 「陽の光浴びる一輪の花! キュアサンシャイン!」 キュアサンシャインは名前の通りに周囲を照らす輝きを放ちながら、太陽のように堂々と立った。 彼女はホテルから聞こえてくる足音を耳にして、半身の構えを取る。目前から発せられる威圧感が、とても禍々しく感じられたため。 ホテルの扉を潜って現れたのは、チャイナ服を着た少女ではなかった。青いロングヘアーはショートカットになっていて、顔立ちはさっきより少しだけ若い。しかし両目から放たれる金色の輝きが、不気味な雰囲気を感じさせた。 服装もいつの間にかチャイナ服から露出の多い服へと替わっている。胸元を覆う黒いへそ出しシャツにデニム生地の短パン。頭部に巻かれたハチマキと、長袖ジャケットにマントのように棚引く腰布は、どれも白い。 両手には鋼の手甲が装備されていて、両足のローラーブーツに組み込まれたエンジンが唸りをあげていた。 その肌は人間とは思えないほど青白くなっていて、全身の至る所から植物の蔦が生えている。変色した瞳がそれらと相まったことにより、怪物というイメージをその身で体現しているようだった。 「やっぱり……ソレワターセ!」 「ソレワターセ?」 キュアサンシャインの言葉に振り向いたシンケンブルーが疑問の声を漏らす。 「君は、何か知っているのか!?」 「はい! ピーチ達が戦ってたラビリンスって奴らが生み出した敵の一種で、あれを当てられたらどんな物でも一瞬で怪物にされてしまうんです!」 「何だと! だとしたら、彼女を操っているのはノーザという奴の仕業か!?」 「きっとそうです! 多分、今も近くにいるかも……!」 「そうか……!」 シンケンブルーが刀を強く握り締める音がキュアサンシャインの耳に届いた。水のマスクによって見えないが、その表情は激流のように穏やかでないことはわかる。 「スバルさん……!」 そして、背後に立つアインハルト・ストラトスの震える声を聞いて、キュアサンシャインは振り向いた。 鹿目まどかと高町なのはの間に立つアインハルトの顔は、まるでおぞましい物を見るかのように青ざめている。 「アインハルトさん、スバルさんってまさか……!」 「そうですなのはさん……あの人がスバルさんです!」 なのはに答えるアインハルトは徐々に悲痛な面持ちとなってきて、今にも泣き出しそうだった。 キュアサンシャインはもう一度前を向く。アインハルトの話が本当ならば、スバル・ナカジマはソレワターセによって操られていることになる。 「あの人、姿がさっきと違う……!?」 「恐らくスバルを操っているノーザという奴が、何かを彼女に施したのかもしれない……結果、あんな姿になったのだろう」 「そんな! そんなの、あんまりだよ……!」 一号とまどかの憤慨はキュアサンシャインにも理解できた。本当は優しいはずのスバルを無理矢理戦わせる上に、怪物のような姿にさせるのは許せるわけがない。 そのまま一号は、まどかやアインハルトより少し前に立っているなのはに振り向いた。 「なのはちゃん、ここは危険だからまどかちゃんやアインハルトちゃんと一緒に離れるんだ!」 「いいえ、私も戦います! ここでスバルさんを元に戻さないといけませんから……レイジングハート!」 『Yes!』 「セット・アップ!」 『Stand By Ready!』 なのはの手に握られているレイジングハートから桃色の光が放たれ、薄闇を照らす。輝きは一瞬で収まるが、そこに立つなのはの衣服は既に変わっていた。 胸に大きな赤いリボンが付けられた白いドレスのような服を纏っていて、その手にはなのはの身長に届くような長い杖が握られている。 「へ、変身……!」 「武装形態!」 『Cyclone』 高町なのはがバリアジャケットを着て魔導師になった頃には、まどかとアインハルトも変身していた。 支給されていたサイクロンメモリを額に刺したことで、鹿目まどかの身体はサイクロン・ドーパントへと変わっている。右目だけがオレンジ色に輝き、左上半身は風のような装甲が備わっていた。 アインハルト・ストラトスも力強い言葉を告げたことで、十歳以上成長したように背が伸びている。大人のようになったその身体には、黄緑色のコスチュームが包んでいた。 「な、な、な……なのは、なのは、なのは、なのは……なのは、さん?」 三人が変身した後、スバルは変装していた時のように表情を歪ませる。敵意しか感じられなかった金色の瞳に、迷いが生まれているように見えた。 「な、なのは……なの、はさん……あたしは……あたしは、あたしは……!」 「スバルさん、どうしたんですか!?」 「あたしは、あたしは、あたしは、あたしは、あたしは、あたしは……なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん……!」 「落ち着いてください、スバルさん!」 「なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん……あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」 なのはは呼びかけるが、スバルはそれに答えず未だに混乱している。 よく見ると、二人のバリアジャケットは形と色がとても似ていた。スバルは未来に生きるなのはの弟子になったから、あえて似せているかもしれない。 今のなのははまだ小さいが、それでもスバルを呼び続けたら元に戻れるかもしれなかった。僅かでも新しい可能性によってキュアサンシャインの中に希望が芽生えるが、安心することはできない。 金色の双眸は迷いで揺れ動いてるように見えるが、それでも凄まじい殺気が収まっていなかった。その視線を直接受けていないキュアサンシャインも、冷や汗を流すくらいに戦慄している。 真っ向から見られているなのははもっと辛いはずなのに、それでもスバルを呼びかけていた。 「あ、あ、あ、あ、あ……あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 しかしなのはの純粋な思いに対する答えは、激情に満ちたスバルの叫びだけだった。彼女の声色は植物を震撼させる程に凄まじく、キュアサンシャインの肌に容赦なく突き刺さる。 突風のような咆吼で葉っぱが舞い狂う中、続くようにスバルの全身からどす黒いオーラが放たれた。続けざまに迫る衝撃を前に、キュアサンシャインは何とか吹き飛ばされないように踏ん張った瞬間に見た。 スバルが猛獣のような雄叫びを発しながら地面を蹴って、勢いよくなのはに迫るのを。 「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「まずいっ!」 反射的に飛んだキュアサンシャインはなのはの前に立ち、両腕を真っ直ぐに向ける。 怒濤の勢いでスバルが接近する影響によって地面が抉れる音を耳にしながら、腕に力を込めた。 「があああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「サンフラワー・イージスッ!」 金色に輝くヒマワリ型の巨大なバリアが現れ、スバルの拳を阻むように現れる。激突の衝撃によって轟音が響き渡り、両手に痺れが走ってキュアサンシャインは顔を顰めた。 続けざまに連続で拳が叩き込まれるが怯まない。パンチ一発だけでも、普通のデザトリアンを軽く上回っているかもしれないが、ここで諦めたらなのはが危なかった。 「いつきさん!?」 「私のことはいいから、後ろから離れて!」 「……はい!」 荒れ狂ったようなスバルの叫びを余所に、キュアサンシャインは後ろにいるなのは達に呼びかける。そのおかげか、彼女達は離れてくれた。 高く跳び上がったなのはを追うように、スバルはパンチを止めて上空を見上げる。それが彼女にとって致命的な隙となり、一号とシンケンブルーが飛びかかった。 「ライダーパアアアアアアァァァァァンチッ!」 「はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 一号は左から拳を叩き込もうと、シンケンブルーはシンケンマルを構えて右から迫る。しかしスバルはどちらかに振り向くことはせず、両手で彼らの攻撃を受け止めた。 このままでは二人は投げ飛ばされるかもしれないが、その前にキュアサンシャインはバリアを消して、両手に力を込める。すると掌より眩い輝きが発せられ、目の前の三人を照らした。 「サンシャイン・フラアアアアアァァァァァッシュ!」 キュアサンシャインが裂帛の叫びと共に放った光線はスバルだけを飲み込んで吹き飛ばし、一号とシンケンブルーを開放する。そのまま一直線に進んだ光の影響で闇は照らされていき、辺りに日光の暖かさを残した。 世界に生きる多くの人々にとって希望をもたらし、全てのプリキュアの力となる眩い光は広がるが、キュアサンシャインは全く安心できない。 数メートル先の距離まで吹き飛ぶ際に、スバルの身体を支配していたソレワターセにもダメージがあると思っていた。一号とシンケンブルーのおかげで、防御や回避の暇もなかったのだから。 しかし、スバルは何事もなかったかのように上体を起こして、そのまま立ちあがっていく。彼女の全身から生えたソレワターセの根っこだって、一本も減っていない。 ソレワターセはとても強いし、他のプリキュアと力を合わせなければ倒せないのは知っていたが、それでもまともにダメージを与えられないのは辛かった。 「まぶしい……なのはさんも、まぶしい、まぶしい、まぶしい、なのはさん、なのはさん、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい!」 そして光線を浴びたスバルは苦しそうに両手で顔を覆っているのを見て、キュアサンシャインは目を背けたくなるような衝動に駆られる。しかし彼女はスバルの姿を真っ直ぐに見つめていた。 ここで少しでも躊躇ったりしたらスバルを二度と助けられなくなるかもしれないし、何よりもなのはやアインハルトが悲しんでしまう。今は心を鬼にしてでも、ソレワターセに捕まった彼女を助けないといけない。 「スバルさん、お願いだから私の話を聞いてください!」 「なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさんが、なのはさんが、なのはさんが……」 「スバルさんっ!」 「待つんだ、なのはちゃん!」 いつの間にか地面に下りていたなのははスバルを必死に呼び続けている。彼女はそのまま前に出ようとしたが、一号によって制止された。 「さっきの戦いでもそうだが、今のスバルは呼びかけて止まるような相手じゃない! 下手にそんなことをしても、君が殺されるだけだ!」 「でも、スバルさんは私の名前を呼んでました! だから、このまま呼び続ければスバルさんもきっと……!」 「君一人で、無理をしようとするな!」 仮面から放たれる無機質な雰囲気とは対照的で、力強い励ましの言葉が辺りに響く。 そのまま一号はキュアサンシャインの方に振り向いた。 「サンシャイン、君が出したあの光があればスバルを元に戻せるのか?」 「一発じゃ無理ですけど、何発か打ち込めばあの人の中にいるソレワターセが消える可能性はあります!」 「そうか、わかった! なら君は彼女を元に戻すためにそれを続けてくれ! ただし、無理はするんじゃないぞ!」 「はい!」 耳にするだけで心の底から力が溢れ出てくるのを感じて、キュアサンシャインは一号に頷く。 「みんな、ここでスバルを何としてでも助けるぞ! まどかちゃん、それになのはちゃんやアインハルトちゃんはできるだけ後ろに下がりながらスバルを呼び続けるんだ! ただし、危険になったら逃げてくれ!」 「「「わかりました!」」」 「シンケンブルー! 俺と一緒にできるだけスバルの動きを止めて欲しいが、頼めるか?」 「お安い御用だ!」 「そうか! だが傷口が開いたら、すぐにでも退くんだ……いいな!」 「かたじけない!」 「よし……行くぞ!」 まるで頼れるリーダーのような印象が一号の声から放たれていて、この島のどこかにいるはずのキュアムーンライトを思い出させた。 始まりの会場で加頭順に対して宣戦布告をした時からそうだったが、やはり本郷猛は信頼できるとキュアサンシャインは思う。 「なのはさんはまぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい」 しかしそんな希望を一瞬で台無しにするかのようなスバルの呟きが、ここから少し離れた場所より発せられていた。ようやくスバルが両手を顔から離した頃には、一号とシンケンブルーが飛びかかり、続くようにキュアサンシャインも地面を蹴って走り出す。 呪いのような言葉と共に、スバルは一号を叩き潰そうと勢いよく振るった拳は避けられた。続くように回し蹴りも繰り出すが、一号は背後に飛んだので掠りもしない。 「ハァッ!」 そこからシンケンブルーは斬りかかるが、スバルの背中から飛び出したソレワターセの触手が盾のようになって刃を防ぐ。シンケンブルーはそれに構わず刀を振るうも、その度に耳障りな金属音が響くだけ。 植物にしか見えないそれは、シンケンマルの硬度を大きく超えていた。 一方でスバルはシンケンブルーに目もくれず、一号の攻撃を捌き続けている。前方から放たれる一号の拳を避けながら、視界の外から迫るシンケンブルーの斬撃を防いでいて防御に死角がなかった。 「くそっ!」 シンケンブルーは業を煮やしたのか、舌打ちをしながら一旦背後に飛ぶ。 彼と交代するようにキュアサンシャインは前に出ると、スバルが振り向きながらパンチを放ってきた。容赦のない拳に対してキュアサンシャインは少しだけ体勢を低くして避けて、反撃の掌底をスバルの腹部に打ち込む。 激突によって鈍い音が響くも、スバルはほんの少し後退するだけ。まともなダメージになってないだろうが、それなら攻撃を続けるしかなかった。 獣のような唸り声と共にスバルは右足で蹴りを繰り出すが、キュアサンシャインは左腕を掲げてそれを防ぐ。その衝撃はデザトリアンに直接殴られたかのように重かったが、両足に力を込めて吹き飛ばされないように踏ん張った。 腕に鈍い痛みが走って思わず表情を歪めるが何とか堪え、受け止めた足を弾いてスバルを蹌踉めかせる。キュアサンシャインはその隙を逃さずに拳を叩き込もうとするが、スバルはすぐに体勢を立て直して後方に飛んだ。 二人の間に数歩分の距離が開いて、その両端に立つキュアサンシャインとスバルの視線が激突する。 「まぶしい、ひかり、まぶしい、たいよう、まぶしい、なのはさん、まぶしい、さんしゃいん、まぶしい、まぶしい、まぶしい……」 両目に宿る金色の輝きからは、ダークプリキュアとはまた違う意味の強いおぞましさが感じられた。ソレワターセのせいで理性をほとんど無くしてしまったせいか、世界を砂漠にさせたデザートデビルのように見える。 そしてもう一つ。深い悲しみがスバルの瞳から感じられて、いつ泣き出してもおかしくなかった。本当はスバルだって戦いなんかやりたくないだろうし、人を傷つけるのは辛いかもしれない。 そんな姿を大切な人に見られるのはどれだけ苦しいのか……考えただけでも、キュアサンシャインの胸は痛む。 だから、これ以上スバルを悲しませたくなかった。 「まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしい、まぶしいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 まるで助けを求めているようにも聞こえる声とは反対に、スバルは疾走してくる。 花火が鳴り響くような轟音と共に地面が砕け散って、ジェット機に匹敵する程の速度で迫りながら拳を掲げていた。 突進してくるスバルを前にキュアサンシャインは素早く構える。その時だった。 「危ないっ!」 ややくぐもったサイクロン・ドーパントの叫びが聞こえた瞬間、凄まじい突風が視界の外より吹いてくる。その流れにスバルは巻き込まれた事で動きを阻害されたのか、足を止めた。 サイクロン・ドーパントの方に振り向いたスバルは凄まじい風を受けても進もうとするが、重りを付けたかのように鈍くなっている。 台風が吹き荒れるような轟音が鼓膜を刺激する中、サイクロン・ドーパントがキュアサンシャインの元に駆け寄ってきた。 「いつきさん、大丈夫ですか!?」 「ありがとう! サイクロン……で、いいのかな?」 「はい! 今の私は、本郷さんと同じ仮面ライダーですから!」 ガイアメモリの力で異形に変わったまどかは嬉しそうな声で答える。 しかしキュアサンシャインは素直に喜べない。ガイアメモリはあの順が怪物になるために使っていた物だから、どう考えても怪しかった。 でも今はそれに触れている時ではない。まどかがガイアメモリを使ったおかげで助かったのは事実だから、その優しさと勇気に感謝しなければならなかった。 「そっか……でも、無理はしないで!」 「わかってます!」 そう言葉を交わして、キュアサンシャインとサイクロン・ドーパントは前を向く。 振り向いた先では、突風の圧力から解放されたスバルの攻撃を一号とシンケンブルーが捌きながら反撃して、時折なのはとアインハルトがソレワターセの触手を弾いている光景が見えた。 しかし数では勝っているものの、有利な戦いとは呼べずにようやく互角にまで届く程度だった。ソレワターセが強すぎるのもあるが、それ以上に四人とも本気で戦えていない。 ここで下手に本気を出してしまっては操られているスバルに怪我を負わせてしまうため、四人とも力を出せなくて不利な戦いになっている。 そんな中でもスバルは一瞬だけキュアサンシャインの方に振り向いて、背中からソレワターセの触手を勢いよく出してきた。 「危ないっ!」 サイクロン・ドーパントの前に素早く回って、両手を前に突き足して金色のバリアを張る。空気を裂きながら迫る数本の触手は、キュアサンシャインのサンフラワー・イージスと一瞬で衝突した。 しかし触手を使った攻撃はそれで止まらず、鞭のようにしなりながらバリアを叩いてくる。その威力は今までの攻撃よりも強いように思えた。 しかもこちらに攻撃している一方で、スバルは残りの四人を相手に応戦している。攻撃はほとんど通さず、そこから力強い反撃をしていた。 「このままじゃ……みんなが!」 そんな彼らが心配なのか、サイクロン・ドーパントはバリアの外に出て行ってしまい、飛び交う触手を突風で吹き飛ばしながらスバルの元に走る。 「待って、いきなり前に出ちゃ駄目!」 キュアサンシャインは呼び止めるがサイクロン・ドーパントは止まらず、ソレワターセの攻撃を風で防いでいるが、時折先端が皮膚を掠っていた。それでも、お構いなしに彼女は進んでいる。 しかしそんなことをさせても危なくなるだけだから、サイクロン・ドーパントを守るためにもキュアサンシャインはバリアを消して走り出した。 ◆ 「ほう、六人が相手でも互角以上に渡り合いますか……何とも、有能ですなぁ」 「恐らく、さっき取り込んだコウモリ男の影響もあるわね。あれも栄養になっているでしょうから」 「だとすると、奴はいい獲物だったということになりますな」 冷たい風の流れる木々の間から、ソレワターセの力によってノーザの操り人形となったスバル・ナカジマの戦いを眺める筋殻アクマロは、素直にそう口を零す。 シャンプーに化けたスバルがホテルに突入して六人を騙そうとしたが、中にいた二人の小娘が原因で失敗に終わった。その原因である高町なのはという少女を前にして、スバルは異様なまでに混乱しているが、それでも戦いは有利に見える。 「それにしても、あのシンケンブルーがここにいるとは実に都合がいい。このまま、潰してほしいものですな」 「ええ……あなたの悲願を達成するためにもね」 ふと、アクマロはノーザの方に振り向いた。 スバルが本郷猛達を騙す計画が狂っただけでなく、キュアサンシャインという未知のプリキュアが現れた。それにも関らずしてノーザは涼しい笑みを浮かべている。 無論、慌てふためかれるよりは信用できるがそれにしても落ち着きすぎていた。むしろ、都合のいいように計画が進んでいるようにも見える。 「ノーザさん、あなたは悔しくないのですかな? せっかくの計画を、あのような小娘どもに潰されたのですから」 「騙せなかったのは確かに残念だけど、それ以上に面白い物があるわ……あの高町なのはとかいう小娘よ」 「ほう?」 笑みを浮かべているノーザが見ている戦いの場に、アクマロは再び視線を移した。 そこでは白いバリアジャケットを着ているなのはがスバルの攻撃を防ぎながら、必死に止まるように呼びかけているのが見える。しかしソレワターセの力によって、スバルが止まることはない。 マッハキャリバーが言うにはなのはとスバルは何らかの繋がりがあるらしいが別にどうでもいい。 アクマロは一刻も早くスバルがなのはを殺して、そこから極上の絶望が生まれるのを期待していた。 「もしや、スバルがあのなのはとやらを殺すのをノーザさんも願っておりますかな?」 「そうだけど……ただ倒すだけじゃ面白くないでしょ? ただ倒すだけじゃ」 「ただ倒すだけでは……?」 そう語るノーザの顔と言葉にアクマロは疑問を抱く。 彼女の笑顔からは、人々の嘆きを糧とする外道衆のように確かな邪念が感じられた。まるで、それを見るだけで弱き人間を震え上がらせることができる程に。 十中八九、何かを企んでいるのは確実だった。 「ノーザさん、あなたは何をなさるおつもりですか?」 「今はまだ内緒よ。アクマロ君だって、楽しみは後にとっておきたいでしょう?」 「なるほど」 そう言うからには大層素晴らしい計画なのだろうと思い、アクマロは追求をやめる。ここで無理に聞き出したところで、知った時の喜びが減るだけ。今はノーザの計画とやらが成就するのを、待てばいい。 微かな期待を胸に抱いた頃、ノーザは前方に足を進めていた。 「おや、どうなされたのですかなノーザさん?」 アクマロは疑問をぶつけるが、ノーザから返ってきたのは「スイッチオーバー」という単語のみ。 その言葉が一体何を意味するのか。アクマロが考える間もなく、ノーザの姿が一瞬で変わっていく。腰にまで届く髪は黒から紫に染まって、ドレスも派手で不気味な色に変貌した。 ノーザは戦うために変身したのだと、アクマロは知る。一見するとただの人間にしか見えないが、その身体から放たれる威圧感がただ者ではないと語っていた。 「これから、極上の絶望と悲鳴を集めるわ」 「極上の絶望と悲鳴……ですか?」 「ええ、それにこのまま戦いを長引かせたら誰か一人でも逃げられてしまう可能性があるわ。そうなる前に私も行かないとね……」 背中を向けられているので表情は見えないが、妙に上機嫌な声だったので笑っていることが容易に想像できた。 知略に長けると思われるノーザがわざわざ戦場に出向くとは、余程の策があるのだろう。それもあの場を更に掻き乱すだけではなく、外道衆の糧ともなる負の感情を一瞬で溜められる程の。 それにいくらスバルとはいえ、人の域を超越した戦闘能力を持つ戦士達を六人も相手にしては誰かしら取り逃す可能性も否定できない。それで他の参加者と結託されて情報を伝えられては、裏目がんどう返しの術への道も遠くなる可能性がある。 今後の不穏分子を潰すという意味でも、確かにノーザも戦う必要があるかもしれなかった。 「宜しい。ならばこの筋殻アクマロめも、ノーザさんにお供いたしましょう」 そしてまたアクマロも両手に武器を携えながら、歩を進める。右手には普段愛用している削身断頭笏を、左手には三途の川に潜むナナシ連中が持つ刀が、存在意義を証明するかのようにそれぞれの刃を輝かせていた。 ノーザが言うには、両方ともシャンプーの支給品として渡されていたらしい。あのような己の力量も弁えない小娘が持っていたのは腹立たしいが、こうして戻った以上は考えても仕方がない。 「あら、本当にいいのかしら?」 「むしろ、我が望むことですから……こうして、悲劇の中に飛び込んでいくのは」 「そう……なら、私はあなたのことを応援してるわ」 ノーザの激励から感じられるのは、極寒の地を超える程の冷たさと隠す気のない悪意だけ。 明らかな嘘と感じられるくらいに冷酷で、本当はアクマロのことなど何一つ心配していないのは一瞬で察することができる。 しかしアクマロにとってはむしろそれが何よりも心地よかった。外道衆にとって絆や温かさなど、虫けらの価値すら持たない。 裏切りと悲劇こそが、外道にとって極上の酒にも勝るくらいに美味たる代物だった。 「はは、ご心配いただき心の底から嬉しゅうございます……!」 そんなノーザに対する恩返しとして、アクマロもまた邪念に満ちた言葉を贈る。彼もまた、ノーザを心から信頼しているわけではなかった。 いくら数多の世界を把握する組織の幹部だからと言って、それが外道衆に勝る要因になるわけではない。所詮は地獄への扉を開くために必要な、使い捨てのコマに過ぎなかった。 そしてそれはノーザも同じ。これはこの殺し合いの場で、どちらが先に己の欲望を叶えられるかの競い合いだった。 (さて、ノーザさん。お手並み拝見とさせて頂きましょう……あんたさんが一体、どんな悲劇を生んでくれるのかを) 宿敵シンケンジャーの一味であるシンケンブルーへの殺意と、ノーザに対する期待。それら二つを胸にしながらアクマロは戦場へと駆け抜けていった。 ◆ もうこれ以上、誰も死なせたくない。 この殺し合いを開いたキュウべぇや加頭順の言いなりになんて、なりたくない。 操られてしまった人を、この手で助けたい。 今日を生きているはずのみんなを、一人も犠牲にしたくない。 人を助けたいという、そんな純粋な願いだけを胸にした鹿目まどかは頼れる本郷達の力になろうと思って、サイクロン・ドーパントの力を得た。しかし現実はそんな彼女の願いを嘲笑うかのように、何も変わらない。 「ううううううう……あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」 そして今も、ノーザという女の人に操られてしまったスバル・ナカジマの喉から、獰猛な肉食獣すらも震え上がらせてしまう程、凄まじい咆吼が発せられた。 それによって空気も音を鳴らしながら振動して、サイクロン・ドーパントの肌に突き刺さる。もしもまどかのままだったら、確実に汗を流しながら怯えていたかもしれない。 しかし今の彼女は、ドーパントに変身した影響で恐怖心がそんなになかった。誰かを守りたいという強い決意が、皮肉にも精神に影響を及ぼすガイアメモリの毒素によって増幅されている。 同時にまどか自身の平常心も失っているが、幸か不幸かそれに気付いていない。そのおかげで、結果的には彼女の願いが叶っているのだから。 「お願いです、止まってください!」 そして今も、スバルを止めるためにサイクロン・ドーパントは呼びかけながら両手を前に出して突風を使う。風の勢いにスバルは飲み込まれるが、両足に付いたエンジンを唸らせながら突進してくる。サイクロン・ドーパントは風力を強めるが、止まらない。 「なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、なのはさん、まぶしい、まぶしい!」 「ひっ……!」 両目をギラギラと輝かせるスバルと目線があって、森の中でも抱いた恐怖がサイクロン・ドーパントの中に蘇った。心臓を鷲掴みにされているような気分になって無意識の内に力を緩めてしまい、それが致命的な隙となる。 L字型を作るように曲がるスバルの左腕が輝いたが、サイクロン・ドーパントがそれを前に何かをすることはできない。 「リボルバー……シュートッ!」 光はスバルの手中でボールのように圧縮されていき、弾丸のように勢いよく発射された。 先程は狙いに入ってなかったので当たらなかったが今は違う。ターゲットとなったサイクロン・ドーパントの右肩に容赦なく激突し、周囲に爆音を響かせた。 「きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」 悲痛な叫び声と共に宙を舞った後、その身体は地面に叩き付けられる。まるで腕が千切れ飛ぶと思うほどの激痛が走り、サイクロン・ドーパントは恐る恐る目を移す。風のような体表は黒く焦げているが、何とか繋がっていた。 しかしそれに喜ぶ暇もなく、突風の圧力から開放されたスバルが突進してくるのをサイクロン・ドーパントは見る。だが、その道をキュアサンシャインとシンケンブルーが防いでくれた。 二人がスバルを止めている隙に、倒れたサイクロン・ドーパントの元へ一号が駆けつける。 「大丈夫か、まどかちゃん!?」 そして一号に支えられながら、サイクロン・ドーパントはゆっくりと立ち上がった。 「酷い怪我だ……まどかちゃん、やっぱり君はなのはちゃんやアインハルトちゃんと一緒に早くここから――」 「いいえ、私なら大丈夫です! こんな怪我、どうってことありません!」 「しかし!」 「心配してくれて、ありがとうございます! でも私も、スバルさんを元に戻す手伝いをしたいんです!」 一号の言葉を無理矢理遮りながら、サイクロン・ドーパントは痛む身体に鞭を打って再び走る。後ろから呼び止める声が聞こえるが、今の彼女には目の前で起こっている戦いの方が何よりも重要だった。 戦っている四人の仲間達はスバルの攻撃によって傷付いて倒れるが、すぐに立ち上がる。心配してくれる一号には少しだけ悪いけど、誰かが戦っているのに自分は見ているだけなんてもう嫌だった。 それに魔法少女になったみんなだって、どんなに傷付いても決して諦めないで魔女と戦っていたから、ちょっとの痛みなど耐えなければならない。 (ここにはほむらちゃん……それに死んだはずのみんなだって、きっといる! だから、みんなに会うまでは挫けてなんかいられないよ!) そうやって自分に言い聞かせて、湧き上がってきた恐怖を無理して勇気という感情で埋め尽くそうとする。それは鹿目まどかが元々持っていた物ではなく、ガイアメモリの毒素が精神を大いに高ぶらせた結果、生み出された感情だった。 しかしいくら強くなったからといって、元々鹿目まどかに特別な力など何一つ持たない普通の女子中学生に過ぎない。それでガイアメモリを使ってドーパントとなっても、この世界では特筆した戦闘力を得たことにならなかった。 キュゥべえはまどかには莫大なる潜在能力が宿っていると言ったが、だからといってドーパントとなっただけの彼女に何かをもたらすことはない。 サイクロン・ドーパントの取った選択は勇気と呼べる代物ではなく、無謀以外の何物でもなかった。しかし、当の本人はそんなことなど微塵も考えていない。 この力さえあればみんなを助けられると、心の底から思っていた。 「ディバイン――」 「ディバイン――」 サイクロン・ドーパントの目前で、なのはとスバルは同じ言葉を紡ぎ始めている。 なのはが構えたレイジングハートの先端からを桃色の光が発せられるように、腰を落としたスバルの右手から漆黒の輝きが空気を揺らしながら広がった。 彼女たちの足元には色違いの魔法陣がゆっくりと回転していく。 時系列順で読む Back 変身超人大戦・開幕Next 変身超人大戦・襲来 投下順で読む Back 変身超人大戦・開幕Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 本郷猛 Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 沖一也 Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 明堂院いつき Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 ノーザ Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 高町なのは Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 スバル・ナカジマ Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 アインハルト・ストラトス Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 鹿目まどか Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 ズ・ゴオマ・グ Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 池波流ノ介 Next 変身超人大戦・襲来 Back 変身超人大戦・開幕 筋殻アクマロ Next 変身超人大戦・襲来
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【作品名】変な侵入者 【ジャンル】ショートショート(星新一「ちぐはぐな部品」収録) 【名前】ロボット 【属性】キダ氏のボディガード・ロボット 【大きさ】成人男性並み 【攻撃力】手の内側の部分で、成人男性をつかまえられる 成人男性がいかにもがいても抜け出せないほどの力 【防御力】手の内側以外の部分が特殊加工されてツルツルになっており、 物理攻撃を滑らせて受け流せる 銃弾を撃たれても滑らせてそらし、成人男性が体当たりしても横にそらす 棒を使ってみたり縄で縛ろうとしてみてもうまくいかない 【素早さ】銃持ち成人男性が引き金を引く前にその前に立って後ろの人をかばえる 【特殊能力】食べ物をつまみぐいして毒見ができる 【長所】ツルツル 【短所】手の内側だけは攻撃用に滑らなくなってる 2スレ目 393 :格無しさん:2008/05/13(火) 22 07 16 ロボット考察 ○プルプルンダーZ 押さえ込み勝ち △△△ギガン~ピーノ 押さえ込めない 相手の攻撃を受け流して分け ×鉄人兵 ビーム負け マシン兵=ロボット