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その国ではエルフは奴隷として扱われていた。 誇り高い森の麗人などというイメージははるか昔のことで、 その文明は人類によって蹂躙されつくし、文明は消滅した。 エルフの扱いは、もしかしたら奴隷という表現すら生易しかったかもしれない。 生殖を品種改良レベルで管理され、洗脳と言っていい教育の仕方で 人間に傅くよう育てられたそれは、もはや家畜と言って良かった。 施設で繁殖させられ、ある一定の年齢まで育てられたエルフは、 奴隷として市場に展示され、ものとして人の手に渡っていく。 人より寿命が長く、美しく、若い期間が長いエルフは、性奴隷として人気であった。 ただし、長く使える分商品として代謝することはなく、 ある程度普及した今となっては、エルフは余り気味となり、 大分価格が下がった今では、売れ残るエルフが出てきてしまった。 その売れ残ったエルフ達の末路は、奴隷などより更に悲惨なものであったのだ。 その施設の今月のエルフの出荷は、同じ月に生まれた雌だけ13人となった。 直営の店先にまとめて展示され、気に入られたものがいたら、それなりの金額と引き換えられていく。 ただし、エルフはある一定の年齢を過ぎると大変成長が遅くなるため、 成熟するまで施設で育てていては、元が取れなくなってしまう。 そのため、現在発出荷されるエルフは、実年齢は別として、人間で言えば*~**歳ほどの 子供といっていい見た目だった。 プライバシーも何もない、強化ガラス張りのウインドウの中に 少女たちが展示される。それはまるでペットショップのようであった。 少しでも買い手が見つかるようにと、 エルフの少女たちは、布をたくさん使った可愛らしい衣装を与えられ、 少女たち自身もまた、なるべくいい主人のもとに行けるように、それぞれ通りゆく人に自分をアピールしていく。 具体的には知らないものの、売れ残った末路が悲惨なものだということは エルフたちも聞いていたので、それぞれ必死だった。 今月店先に並んだ13人、その中、一人目立たないエルフの少女がいた。 二の腕ほどまで伸びたクリーム色の髪は繊細で柔らかく、 大きな瞳は宝石のように青く深かった。 肌の色素は薄く、それでいて健康的で、頬にさす赤みがどことなく純朴。 エルフの特徴である長い三角の耳はすこし垂れ気味で、顔の横に伸びる形だった。 そのエルフは、他の少女たちに負けない可憐さを持っていたが、 今回の13人の中でも一番引っ込み思案で目立たなく、臆病だった。 また生来不器用なところがあり、ほかのエルフたちのように、 得意な歌や踊りを披露したり、 若い男に向かって、ガラス越しに股間にしゃぶりつくような仕草を見せたり、 ぎりぎり見えないところまで、長いスカートをたくし上げる… そんな卑猥なアピールをする度胸もなかった。 自分より見上げるように大きく、また獣のようにすら見える人間の男はただひたすらに恐ろしく、 目を合わせるだけでも恐ろしいことだった。 また鈍臭い役立たずとして、恐ろしい人間のもとでひどい目に合わされることを想像すると、 外の光の当たらないウインドウの奥で、膝を抱え座り震えているしかなかった。 周りの仲間達が一人、また一人と売られ、減っていく。 もちろん焦る気持ちはあったが、そのエルフには最後まで光の当たるところまで出る勇気は沸かなかった。 最後には、そのウィンドウの中に残るのはそのエルフだけになった。 暗がりから、横目で外の光を見つめる。もはや、道行く人間は自分になど関心が無いようだった。 今そのエルフの頭ににあるのは、ただぼんやりとした諦めと、過去のいくらかの楽しい記憶だった。 一週間ほど一人で過ごした後、その日はやってきた。 ここに連れてきた時と同じ、顔全体を覆う、ガスマスクのようなものをつけた、 物言わぬ不気味な係員によって、エルフは外に連れだされた。 商品としての展示期間は終わったのだ。 そのまま檻のある車にのせられ、何処かに運ばれていく。 枷は嵌められていたが、少女は特に抵抗することもなく、ただ地面の揺れを感じていた。 半時ほど走り、大きな施設につくと、車を降ろされ、建物の中に連れられていった。 建物の中は、受付の先は、窓も音もなく、ただひたすらに白い壁と無機質な廊下が続く空間だった。 エルフは手綱を握った、相変わらず何も言わない係員に連れられ、電灯の続く廊下を連れられていく。 聞こえるのはただひたひたとした自分達の足音だけで、その間誰ともすれ違うことはなかった。 やがて長い廊下を抜けると少し開けた空間に出る。 そこにあるのは金属製の扉と、小さな窓口だけだった。 マスクの係員は、窓口の奥の、顔の見えない係員と、幾らかのやり取りをしたあと、 エルフの着ていた服を脱がした。 枷も外し、裸のエルフの手をつなぎ、金属製の扉の前に連れて行く。 扉は引き戸であり、機械的に音もなく開くと、そこにはまた数人かが入れるような 小さな小部屋があった。その扉はエレベーターだった。 係員はエルフの少女だけをそのエレベーターに乗せる。 係員は、扉が閉まるまでエルフを見守っていた。 無機質な狭く白い空間に、少女は一人だけになった。 少女はウィンドウの中にいた時と同じように、膝を抱え隅に座る。 見上げると白い光を放つ、細長い電灯があるだけだった。 じきにその部屋は動き出した。エレベーターの上下の動きと言うよりも、 ゴンドラで運ばれているような、吊り下げられた動きだということは何となくわかった。 ブーンという静かな機械の音だけが、その部屋に響いていた。 膝を抱えたエルフの少女は、何となくその施設から死の匂いを感じ取っていた。 静かなモーター音だけを聞きながら、 別れていった仲間たちは今頃どうしているだろうなどということを、 ただぼんやりと考えていた。 時間の感覚をなくすようなその部屋が、少女を一刻とその場所まで連れて行く。 そして、いつの間にか部屋は動きを止める。 不意に電灯の光が消える。 直後、あっと思う間もなく、突然、バタンという音がしたかと思うと、 そのエレベーターの床が開いたのだ。小さな悲鳴を上げて、エルフの少女は、 ころがり落ちる。 闇の中に、急なコンクリートの滑り台があった。 その先に何があるかわからない恐怖に、エルフは抵抗したが、 つるつるとした床に踏ん張れるところなどなく、無慈悲にただ滑り落ちていくしかなかった。 転がり落ちる先に光が見えたと思った瞬間、 エルフは苔の生えた柔らかい土の上に落ちた。そこは意外な空間だった。 その開けた空間は、高いドーム状のコンクリートの壁に覆われていた。 頂点の小さな穴からわずかに外の光が見える。光量はそれだけだったので、なんとも薄暗い。 見上げると、今自分が通ってきた穴は高く、よじ登って戻るなんていうことは出来そうもない。 空間の真ん中には、自然の池を意識したであろうプールが作られていて、そのきわには 陰に映える不気味な植物ばかりで作られた、飾りのような人工のジャングルが茂っていた。 一言で表現すると、これは何らかの生き物の飼育場だった。 少女は目の前の透明な水を張ってある池を見ると、そこには大きな丸い影が沈んでいた。 最初は岩だろうと思ったが、それが動くものだと気づいた時、少女はぞっとした。 その大きなものはゆっくりと手足を動かし、ざばあと大きな音を立てて、水からはい上がる。 その体長は体だけで3メートルはあっただろう。 全身はこげ茶色、ぬめりを帯びた丸い体は甲羅のない亀のようで、 脇から生えたゾウガメのような4本足が体を支えていた。 前足の間からは長い五本の頭が生え、目のない丸い頭に、魚のような丸い口が付いていた。 匂いを感じ取る器官なのだろう。5つの口の穴から突き出る、赤黒いぬめった舌が、粘液をこぼしながら蠢いていた。 「ぃやっ…」 エルフの少女は理解した。この施設で与えられるのは、静かな死などではなかった。 自分は、この生き物の餌なのだ。 人類の文明の発展は、亜人種の文明だけなく、魔物と呼ばれた存在も自然から駆逐した。 今では種の保存のため、それぞれのごく少数が生かされ動物園に飼育されている。 彼らは魔獣故に、人間の肉を大変好んで食べる。そして、定期的に与えないと、元気を無くしてしまうのだ。 今では売れ残った亜人種を、処分のついでに餌として与えるようにしていた。 今、エルフの少女が落とされたこの空間は、ヒュドラと呼ばれる生物の為に作られたものだった。 ヒュドラは舌に感じる匂いで、目の前に久しぶりのご馳走が居ることを感じ取っていた。 突然現れた、恐ろしい存在に少女は震え、声も出なかった。 裸足で後退り、なんとかヒュドラから離れようとするも、その空間に逃げ場など無かった。 武器になるものは無く、無防備な裸の少女は、震える足で走り回る。 だが、ヒュドラの動きは意外と素早く、そして5本もある長い首が逃げ道を塞ぎ、 とうとう少女は壁際に追い詰められてしまった。 コンクリートの壁に背中を向ける少女のもとに、ヒュドラの首が伸びる。 その先の長い舌が、涎を垂らしながらひくひくと動く。 とうとう、その舌がエルフの少女の肌に触れた。 それに続き、ほかの頭も我先にと少女の小さな体を舐め上げていく。 目の見えないヒュドラは、舌を使い、どのような獲物かを確かめようとしてるのだ。 腹筋の薄い腹、可愛らしいお尻、 まだ膨らむ様子もない胸、繊細な手足、 未発達な無毛の性器。 男根を思わせる赤黒い舌が、容赦なく少女の肌の上を這いまわり、涎をまぶしていく。 薄暗い中で、少女の繊細な柔らかい肌が粘液でぬらぬらと輝く。 少女はその気持ち悪さともはや逃げられぬ絶望に、 嗚咽と涙を流しながら、ただ地面に腰を落とすしか無かった。 ヒュドラの五つの頭は、驚いたことにそれぞれが別の意志を持っていた。 少女の体を味見しながら、この小さな体の、どの肉が美味そうか、 どの頭がどこを食べるかを、神経で相談していた。 この小さな雌は体中どこも柔らかく美味そうだというのが それぞれの意見として一致したが、部位ごとの肉が少ないので、 どの頭がどれだけ食べるかかは、若干の取り合いがあったようだ。 結局は一つの個体なので、同じ胃袋に入るのだが。 それぞれの取り分はまとまったようだ。 ヒュドラの舌が仕舞われると、その中には、獲物の肉を削り取る、 ヤツメウナギにそっくりな鋭い牙が放射状に並んでいた。 五つの頭は涎を垂らすと、ご馳走にカチカチと嬉しそうにその歯を鳴らす。 「ひっ…」 ヤスリのような牙を見せつけられ、少女は戦慄の表情を浮かべ、失禁した。 恐ろしいその口その歯は、自分の肉を削り取ろうとしているのだ。 一つの頭が、鋭く動くと後ずさる少女の左足首を捉える。 細い足首に歯が突き刺さる痛みが走ったと思うと、 足は持ち上げられ、少女の体は逆さまに釣り上げられていた。 抵抗できない状態にして、生きたまま少女を食らうつもりだ。 そしてそれぞれの頭が伸びると、それぞれの好みの場所にかぶりついていく。 まず頭が集中したのは、比較的肉付きのいい下半身だった。 一本はそのまま足首から逆さ吊りにする役に徹した。 一本の頭は食べやすそうなその左腿に、 一本の頭は右の内腿、 もう一本は柔らかい尻に、 最期の一本は開脚し顕になった性器に食らいついた。 頭達は一斉に顎に力を込める。少女は悲鳴を上げた。 その口の見た目から想像した痛みが、違うこと無くそのまま下半身に一斉に襲いかかったのだ。 最初の一噛みで少女のきめ細やかな肌はあっさり破れると、その中から 上品な味の肉が現われる。 哀れな獲物に止めを刺すなんていう発想はヒュドラに無い。 それぞれの頭が、今自分の目の前の美味しい肉を味わうことに夢中だった。 それぞれ腿に食い込んだ頭が、その細かい牙を動かすと、 柔らかく嫋やかな肉が削り取られていく。 子羊の肉のように臭みのない味わいに、2つの頭は くちゃくちゃちゃと下品な音を鳴らすことによりその美味と喜びを表現した。 尻にかぶりついた頭はその揺れるような尻の弾力に上機嫌だった。 二度三度、その丸い尻の頂点をつついては、ぷるぷると震える その肉の柔らかさを楽しむと、今度は味わうために鋭い歯で噛み付き、引きちぎった。 可愛かったお尻は、スプーンですくい取られた半熟卵のような形になった。 頭は丸くちぎり取った皮膚と肉を、ヤスリのような歯で噛み潰し咀嚼し、飲み込んでいく。 ほどよく乗った脂が大変美味だった。 性器を選んだ頭が食べたかったのは、先ほど味見した時に蕩けるように 柔らかかった大陰唇だった。膨らんだ片側を食いちぎると、 脂肪の乗った柔らかい刺身のような肉が、素晴らしい食感を無数の歯に伝える。 未成熟な人間の雌からしかとれない少量の部位だ。 それぞれの頭の一口目で、すでに少女の下半身はズタボロにされ、流れる血の量は多く、 少女は瀕死の際をさまよっていた。 ヒュドラは図体の割にそれぞれの口は小さく、一口で食いちぎられていく肉は少量で、 被食者は死ぬその時まで、恐怖と痛みに耐えることになる。 少女にとって幸いだったのは、最初の一噛みのショックから、 痛みを感じなくなっていたことだった。 薄れる意識の中、自分の体がどんどん無くなっていくところを、ぼんやりと少女は見つめていた。 最初に脚に食いつき支えていた頭は、もう獲物が抵抗しないことを悟ったところで、 少女を地面に降ろした。 他の頭に遅れて、上半身の二の腕などの、柔らかい箇所に歯を立てはじめる。 腿の肉は食い進められ、あちこちから大腿骨が覗き、 一匹はふくろはぎの肉の膨らみを噛み破っていた。 尻を食い進めていた頭はすっかりそこを食い尽くし、背中から内蔵を貪り始めていた。 性器に食いついた頭は、そのまま股間に頭を沈め膣を食い進んでいる。 目が霞み、その光景すらも見えなくなってきた。ああこれが死ぬ瞬間か、 と最後まで思うこともなく、少女の意識は闇へ落ちていった。 ふと、エルフの少女は、目を覚ました。 自分は死んで、もう二度と覚めることのないはずだった。 顔を上げると、頭の上には細い電灯。 そこは、つい先程居たエレベーターの中だった。 先ほどの、裸で膝を抱えたままの格好のまま。 相変わらずブーンとした静かなモーター音が聞こえるのみの空間だった。 自分の体を見ると、食いちぎられ無くなったはずの脚も外性器も、全身無傷だった。 その箇所を見ていると、咀嚼される感触がじんわり蘇ってくる気がした。 多分夢ではないのだ。今自分が体験したことは。 そして、おそらく、これから再度繰り返される。 自分は過ぎ去ったはずの時間に戻ってきているのだ。 理屈ではない、その当事者だからこそ解る感覚だった。 少女は、先ほど履きにもしなかったが、 エレベーターの壁にその長い耳を当て、外の音に耳を澄ませる。 ブーン… とした、モーター音に 混じって、 かすかに、 この施設にいる 無数の魔物の 恐ろしいうめき声が 聞こえてくる。 エルフの少女は戦慄した。 自分は、このエレベーターによって、その無数の魔物のどれかの元に 放り込まれるのだ。その後は確実な無残な死。 少女が泣き叫んでも、暴れても、無慈悲にエレベーターは動き続ける。 涙でくしゃくしゃになりながら、嗚咽しながら、少女は思う。 時間が巻き戻ったというのならば、なぜもっと前まで巻き戻らなかったのだろうか。 こんな末路が待っていると知っていたら、 店先に並んでいたあの日に戻れれば、自分はどんなことをしてでも、道行く人間に売り込んだのに。 神様がそうしたのだとしたら、なんと残酷な。先ほどの苦痛を再度味わうために ただ時間を巻き戻したとでも言うのか。 そして、絶望した少女があきらめ腰を落とした時、モーターの音と共に、その部屋は止まった。 エレベーターが目的地に付いたのだ。 先ほどのように、ふっと電灯の明かりが消える。あとは、この床が開いて… … … … … 床は開かなかった。 開いたのは、最初に入ってきた、エレベーターの扉の方だった。 そこから、眩しい外の光がのぞく。 その前に待っていたのは、先ほどのガスマスクをつけた係員と、 一人の人間の青年だった。 「ああ、本当にギリギリだった。危ないところだった。」 「安心して。僕は君を引き取りに来たんだ。」 本当に些細な歯車の差で、結末は変わっていた。 エルフの少女は、助かったことがわかると、裸のまま、その青年に泣きついた。 「ごめんね、ごめんね。怖い思いをしたんだね。…決断と、 お金を用意するのが遅くなっちゃったんだ。」 青年は膝を落とし、優しくエルフの少女を抱き寄せる。 「最初の日から毎日見にきていたんだよ。いつも隅っこでおとなしそうにしていて、気がかりだったんだ。 多分、自分が何とかしないと、この子はここに送られるんだって。 …絶対、今まで以上に幸せにしてあげるから。一緒に生きていこう。」 臆病だったエルフの少女は、青年が用意していた服を着せられ、手をつながれ、 無機質なその施設から日の光の下へ連れられていく。 その青年はなんとなく少女に似て、どことなく冴えない部分も有るが、 間違い無く優しかった。 青年の元で暮らせることを、少女は心から喜ぶことができた。 一方ヒュドラは栄養失調で死んだ。
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新しいゲームの発売日ということで近くのゲームショップにやってきた。 何故か試金石まで一緒だ。曰く何をするかわからないからだとか。 目当てのゲームを見つけて会計を済ます。さぁ出ようと思って振り返ると 試金石の姿が無い。辺りを見回せば何やら黄色くて丸いぬいぐるみを見ている試金石が。 「何、それ」 「ジャック・オー・ランタンのぬいぐるみだ」 「ハロウィンは過ぎたんだけど」 どうやらそのぬいぐるみはワゴンセールされている物らしい。 欲しいとか気に入ったとかは言わずにソレを眺めつづける試金石。 何かあのかぼちゃに深い思い入れでもあるのだろうか。 「これらはハロウィンが過ぎたらこんなところにおかれてしまうのか?」 「まぁ、季節終わったら大体そうだね」 「解せない。この子達の気持ちも考えたらどうなんだ」 そう呟いて唇を強く結び、怒りからかカタカタと震えだす試金石。 怒ってる? 何でまた。怒るほどのような大事件なのだろうか、ソレは。 それを言うならクリスマス・ツリーだって鏡餅だって。あれの売れ残りは何処に? 「こんなにかわいくて柔らかくてきもちよさそうなのに……」 ついにはカボチャの人形を持ち上げてすっかり綻んだ頬に擦り合わせていた。 怒ったり笑ったり忙しいな。先程の険しい表情はサイド3辺りにまで飛んだのだろうか。 「私はこの子達全員を救うことをここに誓おう」 「……ええっと、それはつまり?」 「無論、買い占める」 ……どうやら今日から部屋はかぼちゃで溢れることになるようです。 簡単に買い占めるだなんて言ってもワゴンセールされているカボチャは その数確実に30を超える。買いすぎです、部屋中に溢れることになります。 静止しようと思った瞬間だった。本当に一瞬、まばたき一回分ぐらい。 その一瞬で、試金石は溢れんばかりのかぼちゃを両手に抱えてレジに並んでいた。 お店の人もビックリして顔がひきつっていた。当然の反応だ。当然すぎる。 紙袋にいっぱいのカボチャを入れてもらって満面の笑みを試金石は浮かべる。 それとは対照的に店員さんは引きつった笑顔で僕たちを見送っていた。 「そのカボチャ達をどするつもりで?」 「部屋に絨毯のように撒くにきまっているだろう。今日から毎日が トリック・オア・トリート。ハロウィンだ。」 「マジですか……」 メンヘルの世界にされてしまうのは少し嫌だが、こうまでかわいい笑顔をされると 文句の一つも出てこなかったりして、まぁいいかとか思ってしまう。 こういうのも惚れた弱み、とでも言うものなのか。 いやでも財布の中身が寂しくなったことに対しては文句があるような……。まぁ、いいか。
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うれのこりとはいざいのリサイクル【売れ残りと廃材のリサイクル】[名詞] スーパーマーケットで売られている惣菜のこと。 これらの材料は大概前日売れ残った商品や、加工時に発生した端切れのため。 特に食品スーパー・M社は、期限切れの魚をシールを張り替えて刺身に回しているとの噂もある…らしい。 期限切れによる廃棄物をリサイクルさせているので、財団法人日本環境協会が「エコマーク」を授与しようとしたところ、公衆衛生上問題があるとして厚生労働省から横やりが入った(大ウソ)。
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『売れ残りのれいむ』 38KB 虐待 制裁 不運 誤解 飼いゆ 野良ゆ ペットショップ 加工場 独自設定 うんしー 19作目。少し長めです 『売れ残りのれいむ』 「ゆっくちしていってね!!」 「まぁかわいい、ねぇねぇ何かやってみてよ!」 とあるペットショップにて。 女性のお客さんと一匹の子れいむが会話をしている。 このペットショップは、一般的なペットショップでいうと並くらいの規模で、 哺乳類、鳥類、魚類、昆虫に至るまで、ひと通り有名どころのペットがそろっている。 だが、ゆっくりに関して言えば、このお店には子れいむ一匹しか置いていない。 この町では数年前から野良ゆっくりが蔓延していて、 ゆっくりに対する人々の印象はどんどん悪くなっている。 ここ最近では、ゆっくりを全く取り扱わないペットショップが増えてきている。 いくら優秀なゆっくりを店頭に置いても、風潮のせいで売れないのだ。 この店でもゆっくりの仕入れを止めており、最後に残ったゆっくりがこの子れいむというわけだ。 「ゆん!れいみゅはころころしゃんができるよ!!」 「やってやって!」 子れいむの言うころころしゃんとは、ハムスターがよく遊ぶ回転器具のことらしい。 試しに子れいむを回転器具で遊ばせてみたところ とってもたのちぃ、といって遊び続けるので、 子れいむのケージには回転器具が付いたままになっている。 「こ~ろこ~ろすりゅよーー!!」 「かわいい~~」 ケージの中の子れいむは回転器具の上をちょこちょこと飛び跳ねている。 ときどき回転器具が逆回転したりしている。 「すみません、この子を手の上に乗せてみても良いですか?」 「ええ、いいですよ。子ゆっくりはデリケートなのでゆっくり触れてあげてくださいね。」 髪の長い店員のお姉さんが子れいむをそっと取り出し、お客さんの手の上に乗せてあげる。 手の上にちょこんと乗った子れいむはぐっぐっと伸びをし、おさげをプルプルと横に振る。 そして体勢を整えてから、満面の笑みを女性に見せる。 れいむの頭についた銀バッジがいっそう輝いて見える。 「ゆっくちしていってね!!」 「ああ、もうかわいい!」 「おねえしゃんはとてもゆっくちしてるよ!れいみゅはおねえしゃんにかってもらいちゃいんだよ!!」 「あはは、れいむったら。」 「お持ち帰りの準備ができました。」 女性は子れいむをそっとケージに戻してやり、店員から少し大きめの箱を受け取る。 箱の中には新品のケージと、ペットを飼うための道具一式が入っている。 箱の中身が何なのか知っている子れいむは、キラキラと目を輝かせている。 「ゆゆ~ん、れいみゅはこれからおねえしゃんのおうちでゆっくちするんだにぇ!!」 「楽しい時間をありがとね。それじゃあバイバ~イ」 「ゆっくちおわかれだにぇ!!・・ゆ?・・・・ゆゆ!おねえしゃんわしゅれものだよ!!」 「忘れ物?」 「しょうだよ!これからおねえしゃんといっしょにゆっくちするれいみゅをわすれにゃいでね!!」 「れいむが私とゆっくりする?さっきゆっくりさせてもらったよ、ありがとね。れいむのことはきっと忘れないよ!」 「ゆっ、そうじゃにゃいよ。おねえしゃんはれいみゅをかってくれりゅんだよ。だからいっしょにつれてってにぇ!!」 「ありがとうございました。」 入り口の自動ドアが開く。店員の声に見送られ、女性は箱を持ってお店の外へ出ていった。 「ゆ、おねえしゃんがおそとにでちゃったよ!おみせのおねえしゃんはゆっくちおいかけてね!!」 「残念だけどあの人はれいむを買いにきた訳じゃないのよ。」 「ゆ??」 「あの人はハムスターを買いに来たの。だからハムスターを連れて家に帰っちゃったわ。」 「そんにゃことないんだよ!!あのおねえしゃんはれいみゅをかってくれりゅんだよ!!」 「れいむにも早く飼い主さんが現れるといいわね。」 「ゆうううれいみゅはおねえしゃんにかわれりゅんだよぉおおおおお!!」 子れいむはしばらくいじけていたが、晩のエサを食べるころには何も無かったようにケロっとしていた。 翌日、子れいむは別のお客さんの相手をしていた。 「れいみゅはおうたがうたえるよ!!」 「聞かせて聞かせて」 「ゆっくちうたうよ!ゆーーゆっゆ♪ゆーゆゆゆ♪ゆ゛っゆーゆ」 れいむの歌は「ど」がつくほど下手だが、 お客さんは子れいむの歌に手拍子を合わせている。 気分が良くなった子れいむは、思いつく限りのうたを5分ほど歌い続けた。 「ゆう、ゆう、ちゅかれた。れいみゅをかってくれたらいつでもおうたをうたってあげりゅよ!!」 「考えておくわ。また今度、会いましょうね。」 「ゆ!そのときにれいみゅをかってくれりゅんだね!!」 「それじゃあバイバイ」 「ゆっくち~~~!!」 お客さんはその日、猫の餌を買って帰った。 そのお客さんはそれ以降もペットショップに顔を出したが、結局、子れいむを買うことは無かった。 1か月後、売れ残ったれいむは成体になっていた。 大きくなったれいむは、すでに大きなケージに移されている。 小さいころはそうでもなかったのだが、れいむが大きくなった今、 店内の一角にゆっくり1匹がいる状況は、客としてはとても不自然に見える。 見方によっては、そのへんの野良ゆっくりを捕まえて置いているだけにも見えてしまう。 この日は、3人の女の子がれいむのいるケージを取り囲んでいる。 「これ、ゆっくりだよね。なんで一匹だけいるんだろう。」 「・・・あ、そういうことか。これを見ると分かるよ。」 「ああなるほどね。」 女の子たちがコソコソと喋っている様子が、れいむには気になるようだ。 「こそこそしないでおねえさんたちゆっくりしていってね!!」 「ええ、ゆっくりさせてもらうわ。」 「ねぇ、れいむは何ができるの?」 「ゆゆん、れいむはおうたがうたえるんだよ!!」 「じゃあきかせて。」 「ではゆっふん。ゆ~~♪ゆゆ゛~♪ゆゆゆ~~ゆっくり~~~♪ゆうう・・・」 れいむは目をつぶって歌い始める。 目をつぶることで自分の世界に入り込んでいるのだろう。 音痴な歌声がれいむの周りに響き渡る。 ゆっくりの歌に興味のない人からしたら、ガーガーうるさいだけの宣伝カーのようにうっとうしいことだろう。 うたを歌い終えたれいむは、目をあけてお客さんの方をチラっと見る。 しかしそこには誰もいない。 先ほどの3人はハムスターのコーナーでおしゃべりしているようだ。 「ゆゆ!れいむのおうたをちゃんときいてね!おうたはとてもゆっくりできるんだよ!!」 「ん?そんな音痴な歌を聴くより、ハムスターを見てるほうがずっとおもしろいわ。」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉお゛お゛お゛お゛」 「あっ、見て見て。ジャンハムが目をこすってるよ。」 「かわいい~~~~」 「れいむのほうがかわいいんだよ!!ゆっくりできないおねえさんたちはとっととおみせからでていってね!!」 「なにそれ、さいあく~~~」 「このゆっくり調子にのってるよね。」 「うんうん、自分がかわいいみたいに言ってるよね。」 女の子たちがれいむに対して悪態をつき始める。 当のれいむはどこふく風といった様子だ。 「れいむはかわいいんだよ!かわいくってごめんねぇ!!」 「そんなんだから売れ残るんだよ。ここに書いてるけど、あと1週間で処分されちゃうんでしょ? ならもっと人間に飼ってもらう努力をしないとダメなんじゃないの?」 「ゆ??れいむはしょぶんされないよ。ゆっくりできるかいぬしさんがくるまでここでゆっくりさせてもらえるんだよ。」 「またまた~、聞いたことあるよ。ペットショップで売れ残ったゆっくりは加工所に連れていかれるらしいよ。」 「ええ~それ本当?だとしたら、かなり悲惨だよね。」 「そうだったの。そんなことも知らずひどいこと言ってごめんね。加工所に連れて行かれる前に飼い主さんが現れると良いわね。」 「れいむはかこうじょにいかないよ!ここでゆっくりするんだよ!!」 「うん、ご愁傷さま。そろそろ行こうよ。」 「そうだね、じゃあ頑張ってね。」 「最後まであきらめたらダメだよ!」 「ゆっ、おねえさんたちれいむをかってね!!」 この日もれいむは買ってもらえなかった。 そしてれいむは、3人の女の子とのやりとりでがっかりすると同時に、一つ大きな疑念を持ってしまった。 そのことを、れいむの世話をしてくれるお姉さんに聞いてみた。 「おみせのおねえさん、れいむはしょぶんされちゃうの?かこうじょっていうところにつれていかれるの?」 「・・・そうよ。今のままだと、れいむを加工所に連れて行かなければならないわ。」 「ぞんな゛・・・れいむはやさしいかいぬしさんにかってもらいたいんだよ!!だからもうすこしここでゆっくりさせてね!!」 「残念だけど、それはきまりなの。こればかりは私でもどうにもならないわ。」 「そんなぁあああ!!それならおみせのおねえさんがれいむをかってね!!おねえさんはとてもゆっくりしてるよ!!」 「それもできないきまりなの。だかられいむが飼いゆっくりになるには、あと一週間で誰かに買ってもらうしかないの。」 「ゆううう・・・れいむはいやだよ!!かこうじょになんかいきたくないよ!!」 れいむは与えてもらったエサを撒き散らし、ケージの中にある自分の巣穴に入り込んでしまった。 巣穴はダンボールでできていて、外からはれいむの様子を伺うことができない。 その日お姉さんが何を言っても、れいむは外に出てこなくなってしまった。 お店が閉店し、店内に人がいなくなった頃合を見計らって、れいむは巣穴から出てきた。 お腹がとても空いていたようで、撒き散らしたエサを一心不乱に食べ始める。 「がつがつむ~しゃむ~しゃ・・・しあわせになりたいよぉ。」 売れ残ったれいむは、今ちょうどゆん生の岐路に立っている。 片方には飼いゆっくりという道があり、片方には加工所という道が続いている。 「れいむのおうたはとてもゆっくりできるんだよ! れいむのころころさんはかわいいんだよ! れいむはにんげんさんのおててのうえにのれるんだよ!! だからにんげんさんはゆっくりとしたれいむをかってくれるはずなんだよ!!」 れいむは子ゆっくりの間、ずっと可愛がられていたので 自分で自分のことをかわいいと思っているらしい。 小さい頃に散々ちやほやされた代償とも言うべきか。 だが今は大きな個体になり、お世辞にもかわいいとは言えない。 れいむはもう、飼いゆっくりとして売るには適さない大きさにまで成長してしまったのだ。 それかられいむは巣穴にこもり、人前に姿を現さなくなってしまった。 れいむの姿が見えないので、ケージの前に足を止めるお客さんもいない。 こんな状態でれいむを買う人が現れる訳もない。 そうこうしているうちに一週間が経ってしまった。 閉店まであと1時間、この日れいむを買ってくれる人が現れなかったら、れいむの加工所行きが決定する。 時々、巣穴の中からゆんゆんという泣き声が聞こえるが、 依然としてれいむは巣穴の中に籠もっている。 巣穴に籠もっていれば加工所に連れて行かれない、とでも思っているのだろうか・・・ 閉店まで残り10分を迎えたころ、一人の男性がお店に現れた。 どうやら駆け込みのお客さんのようだ。 男性は店内を足早に歩き、キョロキョロと何かを探す。 そして、れいむのいるケージの前で足を止める。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 巣穴の中にいたれいむが反射的に返事をし、ソロソロと巣穴から出てきた。 男性は少しの間ケージを見つめる。 れいむも男性をじっと見たまま固まっている。 すると男性が声をかける。 「すみません、ケージのチップを一袋ください。」 「わかりました。ほかにはよろしいですか?」 「はい。」 会計を終えた男性が店の外へ出て行く。 男性の姿を見送ったれいむは、くやしそうな顔をあらわにする。 ギュっと歯を食いしばり、目には涙を浮かべている。 「ゆ゛っぐり゛・・・・じだい゛よ゛ぉおおお・・・・」 だが無常にも時間は過ぎていく。 閉店時間になったので、店員が一斉に掃除を始めた。 れいむは再び巣穴の中に入り込もうとしている。 すると突然、さきほどの男性がお店に戻ってきた。 「すいません、それとそこのゆっくりれいむをください。」 れいむは最初、言葉の意味が分からなかった。 ゆっくりれいむをください?れいむがダサイといいたいのだろうか? れいむをください・・れいむをください・・・ 何度か繰り返してやっと分かった。 「れいむをください」 そう、この男性はれいむを買いたいと言っているのだ。 れいむは嬉し泣きを始めた。 「ゆ゛っぐえ゛っぐおにいざんはれいむ゛をがっでぐれる゛んだね゛??」 「ああそうだ。これから俺の家に連れて帰ってやる。」 「ゆ゛うううう!!お゛にいざんゆ゛っぐりじでいっでね゛!!」 「ああ、たくさんゆっくりさせてもらうさ。」 「れ゛いむはや゛っとかいゆ゛っぐりにな゛れるよ!!」 「ええ、良かったわね・・・・・・・」 早速、れいむは移動用のケースに入れられる。 会計を終えたおにいさんとれいむは、お互いに笑みを浮かべながらお店を出て行った。 その様子を、店の外にいた野良ゆっくりたちがうらやましそうに見つめていた。 一方お店のお姉さんは、れいむが飼われるというのになぜか、嬉しいような悲しいような表情をしている。 れいむの入っていたケージの札にはこう書かれている。 ┌───────────────────┐ │最終処分品、8/31に処分予定 ←本日 │ │¥480 ゆっくりれいむ(銀バッジ取得) └───────────────────┘ れいむを買っていった男性は、これかられいむを可愛がってくれるだろうか? いや、残念ながらそれは無い。 店の前にいる野良ゆっくりを躊躇なく蹴り飛ばす男性の姿を、お姉さんは見てしまったのだ。 帰宅した男性とれいむがおしゃべりを始める。 「ところで、れいむはどうやって俺をゆっくりさせてくれるんだ?」 「ゆ!れいむはころころさんができるよ!!それにはころころさんがひつようだよ!!!」 「ころころさん・・・・それが何なのかよく分からんなぁ。それはいいとして他には?」 「ゆゆ!おにいさんのおててのうえでゆっくりできるよ!!」 「おいおい、お前は大きすぎて手の上には乗らないよ。他には?」 「ゆゆゆ!れいむはおうたがうたえるよ!!」 「いやいや、今は夜だから近所迷惑だ。それ以外に何かないか。」 「ゆううう・・・ゆゆ!ひとつだけあるよ!!」 「なんだ?」 「これをするとにんげんさんはとてもゆっくりできるんだよ!!」 「なんだ、言ってみてくれないか?」 「れいむはぎゃくたいをうけるのがとくいなんだよ!!」 「虐待か。」 「ところでぎゃくたいっておもしろいの?」 「そうだな、じゃあ今から虐待をしよう。近所迷惑だから絶対に叫ぶなよ?叫んだらペットショップに返品するからな。」 「それはいやだよ!れいむはぜったいにさけばないんだよ!!」 「よし分かった、ではいくぞ。」 「ゆっくりぎゃくたいしていってね!!」 聞く限り、ぎゃくたいとはゆっくりと人間が楽しく遊ぶことだと、れいむは考えていた。 半分はその通りだが半分は違う。 そして、れいむはすぐに虐待が何なのか知ることになる。 「ほら虐待だ」 「ゆびっ、いちゃいいい!!」 「叫ぶなと言ったろ。」 「ゆぐっ、だっておにいさんがいたいことするから・・・」 「これが虐待だ」 「ゆ・・・どういうこと?」 「こういうことだ」 「ゆげっ、いちゃい!!」 「言うことを聞かないやつだな。うるさい口はガムテープで塞いでやる。」 「むご・・・むご・・・」 れいむは体全身で激しく抵抗するが、おにいさんの虐待は止まらない。 結局れいむはその晩、おにいさんに100回ほど叩かれた。 結果、れいむの頬には赤いもみじが何個も重なってできている。 こんなにもゆっくりできない体験をしたのは、れいむにとって生まれて初めてだった。 そして、自分は飼いゆっくりなのに、何でこんなにゆっくりできないのかと疑問に思った。 れいむは納得のいかないまま、その日はすぐ眠りについた。 翌日もおにいさんはれいむを叩き続けた。 れいむが何を言ってもおにいさんは叩くのを止めない。 そればかりか、何か言う度におにいさんの叩く力は強くなっていった。 自分が何か悪いことをしたのかとも考えたが、れいむには思い当たる節が見当たらなかった。 それもそのはず。 おにいさんはただ、プライドの高いペットショップ出身のゆっくりを虐待したかっただけなのだ。 それからおにいさんは、れいむに対して毎日のように虐待を行った。 ・竹串でチクチクと刺す ・頬にからしを塗りたくる ・画びょうの上を強制的に歩かせる ・アイロンの熱い部分を押し当てるetc れいむが泣き叫びでもすれば平手で叩き、加工所に連れて行くぞと脅した。 れいむは加工所に行きたくないので、おにいさんの言葉に従わざるを得なかった。 おにいさんの虐待が終わったら、れいむは暗く狭い箱に閉じ込められる。 箱の中では何も見ることができないし、痛いところや痒いところがあっても 体を動かせないのでずっとガマンしなければならない。 箱の中に埃の固まりを入れられたときなどは、れいむは一晩中かゆい思いをしなければならなかった。 トイレも無いので、うんうんやしーしーは箱の中で垂れ流すしかない。 垂れ流した排泄物の匂いがれいむを苦しめる。 餌は雑草や生ゴミ、おにいさんがペットショップで購入したチップ、いわゆる木くずを与えられた。 餌は箱の中にそのままガサっと入れられる。 暗くて何も見えなかろうが、生ゴミの汁が目に入ろうが、口の届かないところに餌があろうが、 投入されたまずい餌を必死に食べ続けないと死んでしまうので、れいむは毎日、臭い餌を嫌々食べ続けた。 れいむが「ゆっくりできないよ!」と箱の中でわめくと、箱ごとおにいさんに蹴られた。 その衝撃はかなり強く、痛い思いをなるべくしたくないので、れいむはそのうち箱の中で黙るようになった。 虐待をする前に、れいむは箱ごと洗浄される。 洗浄の際、洗剤がれいむの目や口に入る。 痛くても文句は言えない。文句を言うと問答無用でビンタされる。 タワシで乱暴にガサガサと洗われるので、れいむの皮はもうパサパサになってきている。 そしてれいむの洗浄が終わると、またおにいさんの虐待タイムが始まる。 この日の虐待は比較的おだやかで、洗濯ばさみを全身の皮に挟まれるだけで済んだ。 それでもれいむは痛みから、虐待中ずっと泣き続けた。 れいむが虐待を受け続けたある日のこと 「なんか飽きてきたな。そろそろ捨てるか。」 突然、れいむは捨てられることになった。 生ゴミとしてではなく、野良ゆっくりとして、だ。 さっそく頭の銀バッジがはがされ、れいむは地面に落とされる。 「ゆべっ、ゆゆ!おにいさんありがとう!!これでれいむはゆっくりできるよ!!」 「なんだ、感謝される筋合いは無いぞ。早くどっか行け。加工所送りにするぞ。」 「わかったよ、おにいさんありがとう!おにいさんありがとう!!」 感謝の言葉を述べながら、れいむはその場をゆっくりと去った。 れいむはこの時点で、飼いゆっくりから野良ゆっりに転落した。 それなのに、れいむはとても嬉しそうな顔をしている。 これからおにいさんの虐待を受けなくて済むからだ。 虐待でしごかれたれいむはとてもたくましくなっていた。 野良ゆっくりでも食べないような雑草や生ゴミを率先して食べて、めきめきと体力をつけていった。 それだけたくましいにも関わらず、とても綺麗なうたが歌えるので、 れいむは周りの野良ゆっくりから好かれていった。 そしてすぐに、一匹の野良まりさをつがいにすることができた。 その後、まりさとの間に5匹の実ゆっくりを授かった。 「ゆううう!!おちびちゃんはゆっくりできるよ!!」 「れいむはとてもゆっくりとしたゆっくりなんだぜ。だからおちびちゃんもとてもゆっくりとしたゆっくりになるんだぜ!!」 つがいのまりさは狩りが上手で、毎日食べるものには困らなかった。 そのおかげで、5匹の実ゆっくり全員が無事に赤ゆっくりとして誕生した。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくちしていっちぇにぇ!!」」」 「ゆ!れいむのおちびちゃんはみんなとてもゆっくりしてるよ!!れいむはとてもしあわせーだよ!!」 れいむは最高な日々を過ごしていた。 そんなある日、れいむは何を思ったのか、その辺の通行人をダンボールの家に連れて帰ってきた。 まりさは人間の恐ろしさを身に染みて知っているので、その場でガタガタと震えていた。 赤ゆっくりたちはもちろん、人間の怖さなど知らない。 「「「ゆっくちしていっちぇにぇ!!!」」」 「れいむのおちびちゃんはとてもゆっくりしてるよ!にんげんさんもゆっくりしていってね!!!」 れいむには、小さいころペットショップでちやほやされた記憶がまだ残っているらしい。 れいむは経験上「小さいゆっくり=人間にかわいがってもらえる」という構図が絶対だと思っている。 そして、今の状態がペットショップの延長線上にあると考えているようだ。 だから自分がお店の店員の代わりとなり、子どもを人間に見せることで、 自分の子どもを飼いゆっくりにしてもらおうと考えたのだ。 悲しいかな、れいむの飼いゆっくりコンプレックスが、そのような行動を起こさせてしまった。 れいむは自慢げな顔をしている。赤ゆっくりたちはニコニコしている。 「ああ、俺はゆっくりさせてもらうよ。だが・・・」 ニコニコとした顔の赤ゆっくりが一匹、何の前触れもなく踏み潰された。 二匹、三匹、あっという間に五匹の赤ゆっくり全員が餡子の塊になってしまった。 「野良ゆはゆっくりできないんだよ。」 赤ゆを潰すことしか興味がなかったらしく、通行人はさっさと帰っていった。 れいむの顔が悲しみに満ちていく。 目の前には、訳も分からず潰された赤ゆっくりの死骸が残されている。 なぜ?自分たちが何か悪いことをしたのか? れいむには、赤ゆっくりが踏み潰された原因が全く分からなかった。 「どぼぢで・・どぼぢでお・・・おちびちゃんがぁあああああ!!!」 「れいむがわるいんだぜ。れいむがにんげんさんをおうちにつれてくるからなんだぜ。」 まりさはあまり動揺していない。 まりさは、ゆっくりたちが人間に殺される場面を飽きるほど見てきた。 だから悲しみよりも、自分が潰されなかったという安堵のほうが強く感じられるようだ。 「にんげんさんはおちびちゃんをみたらとてもゆっくりできるんだよ!!どうじで・・・」 「ちがうんだぜ。にんげんさんはゆっくりたちをゆっくりさせてくれないんだぜ。」 まりさは知っている、これが本来の人間なのだと。 だが、れいむは知らない。 虐待おにいさんでさえもれいむを殺さなかった。 「れいむはちいさいころにんげんさんにゆっくりさせてもらったよ!!」 「でものらゆっくりは、たとえおちびちゃんでもゆっくりさせてくれないんだぜ」 「まりさはうそついてるんだよ!!おちびちゃんはどんなゆっくりでもにんげんさんにかわいがられるんだよ!!」 「・・・・・」 まりさはとうとうれいむに愛想をつかし、そのままどこかへ去ってしまった。 対するれいむは、巣の中でわんわん泣き続けている。 「れいむのおちびちゃん・れいむの・・・」 れいむは大きなダメージを心に負ってしまった。 「おみせのおねえさんにあいたいよ!ぎゃくたいおにいさんにあいたいよ!ゆうううう」 れいむは歩き出した。過去にお世話になった人間に会いに行くために。 会えば何かが良くなるかもしれない。 漠然とした期待から勇気を奮い立たせ、れいむは静かにその場を去っていった。 数週間後、れいむはとうとう自分が売られていたペットショップを発見した。 ペットショップの入り口には数匹の野良ゆっくりが待機している。 食べ物がもらえると期待しているのだろうか。 しかし自動ドアが開いても、野良ゆっくりたちは決してペットショップの中に入ろうとしない。 れいむはそれを見て不思議に思ったが、入り口の自動ドアが開いたのですかさずペットショップの中に入った。 「おみせのおねえさんはどこにいるの!?」 「なんだ??野良ゆっくりじゃないか、あれほど店に入ってくるなって言っておいただろ。」 「ゆうう、かみのながいおみせのおねえさんはどこにいるの?」 「髪の長いおねえさん?ああ、あの人ならちょっと前に辞めたよ。すると、お前はあのときの売れ残ってたゆっくりか。」 「そのおねえさんはどこにいったの?」 「知らないな。仮に知ってたとしても、何で野良になったお前に教える必要があるんだ?早く出ていかないと加工所に連れて行くぞ。」 「かこうじょなんかこわくないんだよ!はやくおねえさんにあわせてほしいんだよ!!」 「そんなに会いたいか。ならこのケージの中に入れ。」 言われるがままにれいむはケージの中に入った。 とても狭いケージだが、れいむは全然気にしない。 「はやくおねえさんにあわせてね!!」 「さっきも言ったろ、どこにいるか知らないって。人の話はちゃんと聞けよ。」 「ゆ!にんげんさんはれいむをだましたんだね!!はやくここからだしてよ!!」 「加工所でその人に会えるといいな。」 「ゆ!だせぇえええ!!・・だして!・・・だしてください・・・おねがいだからだしてよぉおおお!!」 ケージに布をかぶされる。 「ゆゆ!まっくらでなにもみえないよ・・・・・・・・」 虐待おにいさんに飼われていたころのことを体が覚えているようで、 狭く暗いという状況に陥ったれいむは、急に黙ってしまった。 「ほう、急におとなしくなったな。始めからこれくらいおとなしかったら 加工所に連れていくことなんかなかったのにな。でももう遅い。」 ケージがガサっと持ち上げられる。 れいむの入ったケージは、加工所職員が乗った小さなトラックに積まれた。 しばらく輸送された後、ケージを包んでいた布が外された。 れいむはやっとケージから取り出される。 宣言どおり、れいむは加工所に連れてこられたようだ。 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 ケージから取り出された後、れいむはすぐに大きな穴に放りこまれる。 「ゆ!こーろこーろするよ!!」 穴の中は斜面になっていて、れいむはそこをコロコロと転がっていく。 斜面がゆるやかになったところで何かにぶつかり、れいむの動きが止まった。 れいむがぶつかったのは、ゆっくりぱちゅりーだった。 そこには他にも何十匹ものゆっくりが集まっている。 「むきゅ!れいむはあやまってね!!」 「ゆ!そっちこそあやまってね!!・・・ゆ?おそらをとんでるみたい!」 加工所の作業員がれいむをひょいっと持ち上げる。 作業員はそのまま、れいむの体を隅々まで調べ始めた。 繁殖に使えるゆっくりか否か、衛生的に大丈夫か否かなどを判断しているのだ。 チェックが終わり、作業員はれいむの足をバーナーで焼き始める。 「ゆぎゃああああ、あじゅいいいいい」 れいむは繁殖には不適応、衛生的にはOKと判断されたようだ。 足を焼かれたれいむはコンベアに乗せられた。 れいむ以外にも、たくさんのゆっくりが同じ方向を向いてコンベア上を流れていく。 足を焼くと、ゆっくりたちは歩けないどころか、体の向きさえも変えられないようだ。 さまざまな種類のゆっくりがコンベアの上を流れているが、足を焼かれた後の反応は全員一緒、ただひたすら泣くだけだ。 だが加工所の作業員は何もしゃべらず、淡々と自分の作業を続けている。 まるで、ゆっくりの泣き声など聞こえていないかのように。 下流に待機していた別の作業員がれいむを持ち上げ、頭についているお飾りを取り外す。 「ゆゆ!れいむのおかざりさんをかえしてね!!」 命の次に大事なお飾り、それを奪われて平然としていられるはずが無い。 れいむは必死に叫び続ける。 しかし訴え虚しく、れいむはコンベアの上をどんどんと流れていく。 ほかのゆっくりたちもお飾りを取り返すことができず、泣き寝入りしている。 楽しそうな表情をするゆっくりは一匹としていない。 次の作業員はれいむを掴み上げ、慣れた手つきで髪を剃っていく。 「ゆ!れいむのおさげをとらないでね!!」 頭頂部の髪が簡単に剃られ、おさげも簡単に切り取られていく。 ものの10秒もすると、れいむはつるつるぼうずになってしまった。 「れいむのかみがぁああああああああ!!」 間髪いれず、作業員はれいむのお尻をパチンと一発叩く。 「ゆぎゃ!!」 運び終わった重い荷物を、景気付けに軽くパンと叩くような感覚だ。 あいかわらず作業員の動きはてきぱきとしている。 その正確さと迅速さから、ロボットが作業しているのではないかとも思えてしまう。 次にれいむは全身を洗われる。 「ゆひっ、くすぐったいよぉおおお」 髪を剃った頭から頬、あにゃる付近に至るまで丁寧に洗われる。 洗い終わったれいむの尻を、担当の作業員がパチンと叩く。 「いちゃい!さっきからいたいよぉやめてよぉ・・・」 最初に足を焼かれているので、お尻を叩かれるのはゆっくりたちにとって結構痛いらしい。 次にれいむは分岐した別のコンベアに乗せられる。 そこからコンベアは3本に分かれていて、餡子の中身によって作業員がゆっくりを分類しているのだ。 れいむの乗ったコンベアは移動速度がとても遅いので、れいむはそこでゆっくりすることにした。 「ゆう、やっとゆっくりできるよ!!」 れいむはいつの間にか、ペットショップのお姉さんに会う目的を忘れていた。 それだけではない。 ペットショップで可愛がられていたこと、おにいさんに虐待されたこと、 まりさとつがいになったこと、自分の子どもが殺されたこと。 すべての記憶が、れいむの意識の中に沸いてこない。 つまり、加工所の雰囲気に完全に呑まれているのだ。 コンベアの上を流れていると、周りにおもしろそうなものをいっぱい見かけるので、 れいむはだんだんと加工所が楽しいところだと感じるようになっていた。 コンベアの上でゆっくりしていたれいむに突然、声がかかる。 「そこのおかざりのないゆっくりはまりさをたすけてほしいんだぜ!!」 「ゆっ?」 れいむと同様、髪を剃られたまりさがコンベアの上を流れていた。 まりさとれいむはお互いが向き合うようにして れいむから見てまりさは左へ、れいむは右へ、お互い逆方向へ流れている。 どちらもすでにお飾りが無いので、名乗らなければ誰が誰なのかよく分からない状態だ。 普通、お飾りの無いゆっくりは他のゆっくりから軽蔑されるのだが、 命の懸かった場面ではそうも言ってられないのだろう。 「どうしたの?」 「いたいいたいがそこまできてるんだぜ!!まりさをたすけてほしいんだぜ!!」 まりさの流れていく先には、ガシャガシャと動く刃物が待ち構えている。 ゆっくりを千切りにする機械のようだ。 「なんとかなるんだよ。」 「ゆ!まりさのちからではどうにもならないんだぜ!!」 「ゆ・・・でもれいむにはかんけいないんだよ。ゆっくりりかいしてね。」 「れいむもいたいいたいになるんだぜ!!だからまりさをたすけるんだぜ!!」 「そんなこといわないでね!!そんなこといったられいむもふあんになってくるんだよ!!」 この加工所では、ゆっくりの口はあえて塞がない。 コンベア上でゆっくりたちをしゃべらせ放題にしておく。 刃に切り刻まれるゆっくりの声を聞かせることで、ほかのゆっくりに恐怖を味あわせるのが目的だ。 ゆっくり同士による恐怖の連鎖。恐怖や苦しみを感じたゆっくりの餡子は甘くなるそうだ。 「ゆああああいたいいたいがくるよぉおおおおお!!」 無常にもコンベアの動きは止まらない そしてとうとう、刃がまりさの右頬を切り始める。 「ゆぎゃあああいちゃいゆぎゃっ、いちゃいよぉおおおおゆぎゃっ、れいむたすけてぇえええゆぎゃっ、いちゃいいいい!!」 「れいむはいたくないよ。だかられいむにはかんけいないよ。おかざりのないへんてこなまりさはゆっくりしんでね!!!」 「そんなぁあああゆぎゃっ、まりさはかいゆっくりゆぎゃ、いちゃいよぉおおおゆぎゃ、とめてえええゆっぎゃああああ!!!!」 刃はまりさの右眼球に到達した。まりさの叫び声は徐々に大きくなっていく。 もう少しすれば刃は中枢餡に達することだろう。 「ゆぎゃっ、れいむもいたいよ!?なにがおこったの??」 まりさが切り刻まれるのと同調して、作業員がれいむの尻を叩いたのだ。 ゆっくりたちに苦痛を与える定期的な作業である。 「おにいさんやめてね!ゆっくりしていってね!!ゆぎゃい、れいむをゆっくりさせてよぉおおお!!」 作業員は何も言わない。淡々とれいむの尻を叩き続けている。 作業員の心が全く読めないので、れいむは底知れない恐怖を感じた。 一方のまりさは中枢餡の一部を切られ、虫の息となっている。 「ゆっ・・・・・ゆ・・・・・・」 「まりさはどうでもいいよ!!れいむだけはゆっくりしたいよぉおおお!!!」 れいむがいくら嘆いても、コンベアの動きは止まらない。 れいむはとうとう、千切りにされるゆっくりまりさの様子を最後まで見せられた。 ゆっくりできないと思いながらも、れいむは内心、自分は飼いゆっくりだったからああいうことにはならないだろうと考えていた。 しかしコンベアは折り返し地点にさしかかり、しばらくするとれいむにも刃が迫ってきた。 「ゆうううどうぢで??れいむはかいゆっくりだったんだよ!!いたいいたいはきちゃだめだよ!!ゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆ?どうしたんだぜ!?」 別のゆっくりまりさが、れいむの正面を横切っていく。 「そこのへんてこなまりさはれいむをたすけてね!!そこのおにいさんでもいいよ!!」 「どうにもならないんだぜ。とっととあきらめるんだぜ。」 しらけた口調でまりさは答える。 「そんなこといわないでね!れいむはかいゆっくりだったんだよ!!」 「それはかんけいないんだぜ。まりさもかいゆっくりだったんだぜ。」 「ゆっ、まりさもいずれこうなるんだよ!!だかられいむをはやくたすけてね!!」 「そんなこというなだぜ!!そんなこといったらまりさがふあんになるんだぜ!!」 れいむの言葉にまりさは一瞬、動揺する。 だが結局は実感が沸かないので、まりさは冷めた様子でれいむを見つめる。 「いたいいたいがそこまできてるよぉおおおおお!!」 「それならせめてまりさがおわかれをいってあげるんだぜ。ゆっくりしんでいってね!!」 「ああああああああああああああ」 突然、コンベアの動きが止まった。 「第二コンベアに異常発生。ただちに原因を究明せよ。」 作業員たちがざわめき、すぐさま機械の点検を始める。 その間、ゆっくりたちはその様子をポカーンと眺めていた。 しかし一方でれいむは、コンベアが復旧すればただちに切り刻まれてしまう状況にいる。 それまでに何とか作業員を説得して、ここから逃げなければならない。 緊迫しているれいむは、近くの作業員に話しかけることにした。 「れいむは○○○っていうおみせでかわれてたんだよ。そのあいだおみせのおねえさんにゆっくりさせてもらったんだよ。」 刃物の点検をしていた作業員の動きが止まる。 「それからおにいさんにかってもらえたんだよ!!」 作業員の手が突然震えだす。 必死の訴えに動揺しているのだとれいむは考えた。 昔、ペットショップのおねえさんが悲しそうな顔をして、手を震えさせていたのをれいむは見た。 そのことから、動揺して悲しい気持ちになった人間は手が震えるのだと、れいむは学習した。 「おにいさんはれいむにぎゃくたいをしたけど、さいごにはれいむをかいほうしてくれたんだよ! おにいさんとおねえさんはとてもゆっくりしたにんげんさんだったんだよ!!!」 作業員の体全身がぷるぷると震え始める。 「れいむはしんじてるんだよ!!さぎょういんのおにいさんも、とてもゆっくりしてるにんげんさんなんだよ!!! だから、きっとれいむをたすけてくれると・・・・・・れいむはしんじてるよ!!!!」 れいむは、作業員がおにいさんなのかおねえさんなのかを髪の量で判断している。 帽子に隠れて髪が見えないので、れいむはこの作業員をおにいさんだと判断したようだ。 作業員は頭に帽子、目にゴーグル、口に大きなマスクをしているので、男性か女性かは人が見ても区別がつかない。 その作業員は、れいむの言葉を聞いてますます体を震わせ、肩をひくひくと動かしている。 「さぎょういんのおにいさんがたすけてくれないとれいむはこのまましんじゃうんだよ!! ・・・・・・・・・れいむはしんじゃうんだよ!わかってね!!!」 れいむが少し慌てた口調でアピールする。 それを聞いて、作業員がマスクとゴーグルをはずす。 その作業員は、れいむを世話してくれたペットショップのお姉さんだった 「・・・れいむ、無事だったんだね。」 「おねえさん!!!」 「れいむ・・・・・・」 「きっとおねえさんがたすけにきてくれるとしんじてたんだよ!!」 れいむは歓喜の声をあげる。 「・・・・・・・ねぇ、れいむ。」 「ゆ?どうしたのおねえさん?」 「あなたはなんでこんなところにいるの?」 「ゆ!おねえさんをさがしておみせにいったら、いじわるなおみせのおにいさんに、ここへつれてこられたんだよ!!」 「そう・・・」 おねえさんは嬉しいような悲しいような表情をしている。 「それで、れいむはこれからどうするの?」 「ゆ~~ん、れいむはいくあてがないんだよ。だから・・・・」 「だから?」 「できれば、これからおねえさんにかってもらいたいんだよ!!!」 「れいむ・・・・」 「おねえさん!」 れいむの声が弾む。 土壇場でコンベアが止まり、そこには何故かペットショップでお世話になったお姉さんがいた。 まさに幸運。数ヶ月前、加工所送りになる前におにいさんに飼ってもらえたのも幸運だった。 自分がかわいい飼いゆっくりだったから、こんな幸運が起こるのだとれいむは思った。 「私はねぇ・・・・・」 「ゆゆ!おねえさん、ゆっくりしていってね!!!」 「あなたに苦しんで死んでもらいたいの」 「ゆ?・・・・・・・・・」 場の空気が凍りつく。 「お・・・ねえ・・さん・・・??」 「私はあなたのことが大嫌いだったわ。」 「・・・・・・・ほんとうに・・おねえさんなの??」 「たいしてかわいくもないのに、周りからかわいいとちやほやされて。 あのときのあなたの顔といったら、本当に傲慢に満ちた顔をしていたわね。 そんな性格でよく銀バッジが取れたね。」 「どういうこと・・??」 れいむは本当に分からない、といった表情をする。 お姉さんは独り言のように語り始める。 「私は昔、とあるレクチャーを受けてゆっくりが大嫌いになったの。 だからペットショップであなたの世話をするのはとても大変だったわ。 私が働いている間、毎日頻繁にあなたのうんうんやしーしーを片付けさせられてたわね。 それにしても、うんうんを取り除いた直後に、あなたがすぐうんうんをする習慣には腹が立ったわ。 そのうんうんを取り除いてあなたを怒ったら、今度は嫌がらせのようにしーしーをされて、 あれは本当に最悪だったわね。 あなたに病気が無いか、体を隅々までチェックさせられたこともあったわね。 あなたを触るのは、本当に嫌だったわ。 触れた瞬間にぷにょっとして、体内に入ってる餡子や未消化な餌の感触まで手に伝わってきて、 おまけにネチネチした体には、餌の食べかすやほこりがいつもこびりついていて、それを綺麗にするのも私だった。 ハムスターのクルクル回るおもちゃを見て、自分もあれで遊びたいと駄々をこねたこともあったわね。 回転器具を取り付けるときに「はやくしてよ」と、あなたは私の手に体当たりしたよね? それがきっかけで、私は左手の薬指をケージに詰めて怪我したの。 体当たりしたことを怒っても、あなたは回転器具で必死に遊び続けて、私の言うことを無視した。 あなたはその後に謝罪の言葉も感謝の言葉も言ってくれなかったよね。 私はショップに派遣された人間だったから、あなたのしつけには関与できなかったの。 しつけは専門の人がやるから、余計なことはするなってオーナーから言われた。 だからいくら叩きたくても、あなたを叩くことができなかった。 そのせいで、あなたはますます傲慢な性格になったわね。」 あんなに優しかったおねえさんがこんなこと言うはずが無い、 れいむはまだ信じられなかった。 「おねえさんはれいむのことがすきだったんじゃ・・・」 「それはないわ。あなたが売れ残ったら、加工所に連れて行けると知ったときは、本当に大喜びしたものね。 でもその感情は、ペットショップでは見せちゃいけないものだったから、ずっと隠してた。 お店であなたに見せ続けていた笑顔も、本当は作り笑顔だったの。 崩れないように笑顔を作り続けるのは大変だったわ。」 「そんな・・・れいむがかわれることになって、おねえさんはよろこんでいたんだよ」 「閉店間際に男の人が入ってきて、れいむを買うって言った時は正直ショックだったよ。 れいむを加工所に連れて行けると、大喜びしながら掃除してたのに。 でも、少しだけ私にとっていいことがあったわ。 その男性のお客さん、お店の前にいる野良ゆっくりを蹴り飛ばしていたの。 だから、加工所送りはダメになったけど、この人なられいむを虐待してくれるって少し期待したの。」 れいむが口を挟む。 「おねえさんにはひとつだけ、れいむのことがすきなしょうこがあるよ!!」 「な~に?」 れいむは自信に満ちた顔をしている。 「さっきおねえさんはどうようしてふるえていたよ!」 「へえええ、私が動揺してたっていうの。ところでれいむ、知ってる?」 「ゆゆ?」 「にんげんはね、とてつもなく嬉しいときにも体が震えるものなの。」 「ゆ・・・・・・」 れいむの体が一瞬固まった。 今もお姉さんの手がブルブルと震えている。 「で・・でもおみせのおねえさんは、かみがとてもながかったよ!! それにおみせのおねえさんはもっとやさしかったんだよ!! だからおねえさんは、おみせのおねえさんじゃないんだよ!!」 れいむは勝ち誇った顔をする。 ゆっくりの常識からすると、髪の長さはそうそう変わるものではない。 それに、あくまでもペットショップにいたお姉さんは優しい人なのだと、れいむは確信している。 だから、目の前にいる作業員とペットショップにいたお姉さんは別人だと、れいむは主張しているわけだ。 だがもし、れいむの言うことが正しいなら、その時点でれいむの死が決定する。 仮に作業員とペットショップのお姉さんが別人だとしても、 ゆっくりが嫌いだと言っている作業員が、れいむのことを助けてくれるなどありえないのだから。 「それはね、この加工所で働くには髪を短くしないといけないの。 だから喜んで髪を切ったわ。 ペットショップから加工所に仕事場が変わってから、毎日が幸せだった。 だって、こんなにも大嫌いなゆっくりの死に様を、目の前でじっくりと観察できるんだからね。」 「おねえさん・・・・・・」 「なんてね、全部嘘よ。ごめんね。これからわたしとゆっくりしようね!」 お姉さんが微笑む。 「ゆ!いままでのおはなしはぜんぶうそだったんだね!!れいむはほっとしたよ!!」 「そんなわけないでしょお。」 「ゆ・・・・・」 「第二コンベア復旧、ただちに持ち場へ!」 コンベアがゆっくりと動き出した。 トラブルはどうやら解決したようだ。 「さて、さっきの続きといきましょうか。ゆっくり叫んでもいいのよ。」 「おねえさんれいせいになってね!!」 「あら、私はいつでも冷静なのよ。冷静になれないのはれいむのほうでしょ?」 「ゆっ・・・おねえさんごめんなさい。いままでれいむはおねえさんにめいわくをかけてたんだね。」 「だからどうしたの?いまさら許して欲しいの??謝罪の言葉は適したタイミングで言わないと意味がないのよ。」 「おねえさんにはおせわになってばかりで・・・ゆぎゃああああ」 刃がとうとうれいむの右頬を刻み始めた。 「ゆぎゃあああああ!!!いちゃいよおおおおおゆぎゃ、ゆっくりできないんだよぉおおおおゆぎゃ」 「ほらね、いつもそう。れいむはいつも自分のことしか考えてないんだよね。」 「おねえさんたすけてぇええゆぎゃっ、しんじゃうよぉおおおゆぎゃっ」 「分かった。私に最高の笑顔を見せてくれたら、今すぐ助けてあげるよ。」 「ゆ!わかったよゆぎゃ、ゆっくりしていってね!!ゆぎゃ」 刃が振り下ろされた途端、れいむの笑顔は泣き顔に変えられてしまう。 「う~ん、悲しそうな顔だね。それじゃ助けてあげられないよ。」 「ゆっく・・ゆぎゃっ、ゆっくりしていってね!!!!ゆぎゃ」 「うーん惜しい、もっと心を込めて。」 「ゆっくりしてゆぎゃ、ゆっくりしていってね!!!ゆげっ、ゆっくりしていってゆぎゃあああ!!」 刃がれいむの右眼球に到達する。 耐え切れない激痛に、れいむは顔を歪ませる。 「笑顔よりも、苦痛に満ちた顔のほうが私は好きよ。でも助かるために頑張って笑顔を作ってね!」 「ゆっくりしていってね・・ゆぎゃあああああ!!!」 れいむはもう、お姉さんの姿を見ていない。 ただ助けてもらうため、笑顔を作ろうと必死になっている。 笑顔を作っては刃によって崩され、また作ってはまた崩され。 賽の河原で、積み上げた石を崩されるように、何度も何度も繰り返される。 だが賽の河原と違うのは、時間がとても短いということ。 刃がれいむの中枢餡を刻み始める。 「ゆ゛っ・・・・・ゆ゛っ・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・・」 「ああ、イイ!今、最高の気分だわ。」 お姉さんは今まで見せたことのない笑みを見せる。 お姉さんの周りの作業員が皆、ジッと一点を静かに見つめている。 その先にあるのは お姉さんの姿ではなく、切り刻まれるれいむの姿だった。 こらえ切れずに嬉し笑いし始める作業員が一人、 ほとんどの作業員は、マスクの下にニヤケ顔を隠している。 そして誰一人、笑っている作業員を注意しようとしない。 なぜなら、現場監督さえもニヤケ顔になっているのだから。 加工所の作業員は、ゆっくりのことが嫌いでないとなかなか務まらないらしい。 「れいむ、聞こえてるかな?」 「ゆ゛っ・・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・・」 「あなたはこれから生まれ変わるの。」 「・・・・・・・・」 「食品としてね。」 「・・・・・」 苦痛を十分に与えたゆっくりの餡子はとても甘くなる。 ゆっくりから作られた餡子なんか食べたくない、と先入観を抱く人でも この加工所でできた餡子を一口食べると、その味に病みつきになるそうだ。 「今度は売れ残らないように頑張ってね!」 「 」 れいむは完全に饅頭の輪切りと化してしまった。 輪切りになったれいむの断片がコンベア上を流れていく。 下流に待機していた別の作業員が、お遊びでその断片をつなぎ合わせてみた。 すると、れいむの顔の右半分は満面の笑みを浮かべていて、 左半分は、この世のものとは思えない苦痛に歪んだ顔をしていた。 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 anko2085 赤ゆ合戦 anko2107 たこつぼ anko2120 線香台 anko2187 生きる anko2207 野良ゆをゆっくりさせない工夫 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『売れ残りのれいむ』 38KB 虐待 制裁 不運 誤解 飼いゆ 野良ゆ ペットショップ 加工場 独自設定 うんしー 19作目。少し長めです 『売れ残りのれいむ』 「ゆっくちしていってね!!」 「まぁかわいい、ねぇねぇ何かやってみてよ!」 とあるペットショップにて。 女性のお客さんと一匹の子れいむが会話をしている。 このペットショップは、一般的なペットショップでいうと並くらいの規模で、 哺乳類、鳥類、魚類、昆虫に至るまで、ひと通り有名どころのペットがそろっている。 だが、ゆっくりに関して言えば、このお店には子れいむ一匹しか置いていない。 この町では数年前から野良ゆっくりが蔓延していて、 ゆっくりに対する人々の印象はどんどん悪くなっている。 ここ最近では、ゆっくりを全く取り扱わないペットショップが増えてきている。 いくら優秀なゆっくりを店頭に置いても、風潮のせいで売れないのだ。 この店でもゆっくりの仕入れを止めており、最後に残ったゆっくりがこの子れいむというわけだ。 「ゆん!れいみゅはころころしゃんができるよ!!」 「やってやって!」 子れいむの言うころころしゃんとは、ハムスターがよく遊ぶ回転器具のことらしい。 試しに子れいむを回転器具で遊ばせてみたところ とってもたのちぃ、といって遊び続けるので、 子れいむのケージには回転器具が付いたままになっている。 「こ~ろこ~ろすりゅよーー!!」 「かわいい~~」 ケージの中の子れいむは回転器具の上をちょこちょこと飛び跳ねている。 ときどき回転器具が逆回転したりしている。 「すみません、この子を手の上に乗せてみても良いですか?」 「ええ、いいですよ。子ゆっくりはデリケートなのでゆっくり触れてあげてくださいね。」 髪の長い店員のお姉さんが子れいむをそっと取り出し、お客さんの手の上に乗せてあげる。 手の上にちょこんと乗った子れいむはぐっぐっと伸びをし、おさげをプルプルと横に振る。 そして体勢を整えてから、満面の笑みを女性に見せる。 れいむの頭についた銀バッジがいっそう輝いて見える。 「ゆっくちしていってね!!」 「ああ、もうかわいい!」 「おねえしゃんはとてもゆっくちしてるよ!れいみゅはおねえしゃんにかってもらいちゃいんだよ!!」 「あはは、れいむったら。」 「お持ち帰りの準備ができました。」 女性は子れいむをそっとケージに戻してやり、店員から少し大きめの箱を受け取る。 箱の中には新品のケージと、ペットを飼うための道具一式が入っている。 箱の中身が何なのか知っている子れいむは、キラキラと目を輝かせている。 「ゆゆ~ん、れいみゅはこれからおねえしゃんのおうちでゆっくちするんだにぇ!!」 「楽しい時間をありがとね。それじゃあバイバ~イ」 「ゆっくちおわかれだにぇ!!・・ゆ?・・・・ゆゆ!おねえしゃんわしゅれものだよ!!」 「忘れ物?」 「しょうだよ!これからおねえしゃんといっしょにゆっくちするれいみゅをわすれにゃいでね!!」 「れいむが私とゆっくりする?さっきゆっくりさせてもらったよ、ありがとね。れいむのことはきっと忘れないよ!」 「ゆっ、そうじゃにゃいよ。おねえしゃんはれいみゅをかってくれりゅんだよ。だからいっしょにつれてってにぇ!!」 「ありがとうございました。」 入り口の自動ドアが開く。店員の声に見送られ、女性は箱を持ってお店の外へ出ていった。 「ゆ、おねえしゃんがおそとにでちゃったよ!おみせのおねえしゃんはゆっくちおいかけてね!!」 「残念だけどあの人はれいむを買いにきた訳じゃないのよ。」 「ゆ??」 「あの人はハムスターを買いに来たの。だからハムスターを連れて家に帰っちゃったわ。」 「そんにゃことないんだよ!!あのおねえしゃんはれいみゅをかってくれりゅんだよ!!」 「れいむにも早く飼い主さんが現れるといいわね。」 「ゆうううれいみゅはおねえしゃんにかわれりゅんだよぉおおおおお!!」 子れいむはしばらくいじけていたが、晩のエサを食べるころには何も無かったようにケロっとしていた。 翌日、子れいむは別のお客さんの相手をしていた。 「れいみゅはおうたがうたえるよ!!」 「聞かせて聞かせて」 「ゆっくちうたうよ!ゆーーゆっゆ♪ゆーゆゆゆ♪ゆ゛っゆーゆ」 れいむの歌は「ど」がつくほど下手だが、 お客さんは子れいむの歌に手拍子を合わせている。 気分が良くなった子れいむは、思いつく限りのうたを5分ほど歌い続けた。 「ゆう、ゆう、ちゅかれた。れいみゅをかってくれたらいつでもおうたをうたってあげりゅよ!!」 「考えておくわ。また今度、会いましょうね。」 「ゆ!そのときにれいみゅをかってくれりゅんだね!!」 「それじゃあバイバイ」 「ゆっくち~~~!!」 お客さんはその日、猫の餌を買って帰った。 そのお客さんはそれ以降もペットショップに顔を出したが、結局、子れいむを買うことは無かった。 1か月後、売れ残ったれいむは成体になっていた。 大きくなったれいむは、すでに大きなケージに移されている。 小さいころはそうでもなかったのだが、れいむが大きくなった今、 店内の一角にゆっくり1匹がいる状況は、客としてはとても不自然に見える。 見方によっては、そのへんの野良ゆっくりを捕まえて置いているだけにも見えてしまう。 この日は、3人の女の子がれいむのいるケージを取り囲んでいる。 「これ、ゆっくりだよね。なんで一匹だけいるんだろう。」 「・・・あ、そういうことか。これを見ると分かるよ。」 「ああなるほどね。」 女の子たちがコソコソと喋っている様子が、れいむには気になるようだ。 「こそこそしないでおねえさんたちゆっくりしていってね!!」 「ええ、ゆっくりさせてもらうわ。」 「ねぇ、れいむは何ができるの?」 「ゆゆん、れいむはおうたがうたえるんだよ!!」 「じゃあきかせて。」 「ではゆっふん。ゆ~~♪ゆゆ゛~♪ゆゆゆ~~ゆっくり~~~♪ゆうう・・・」 れいむは目をつぶって歌い始める。 目をつぶることで自分の世界に入り込んでいるのだろう。 音痴な歌声がれいむの周りに響き渡る。 ゆっくりの歌に興味のない人からしたら、ガーガーうるさいだけの宣伝カーのようにうっとうしいことだろう。 うたを歌い終えたれいむは、目をあけてお客さんの方をチラっと見る。 しかしそこには誰もいない。 先ほどの3人はハムスターのコーナーでおしゃべりしているようだ。 「ゆゆ!れいむのおうたをちゃんときいてね!おうたはとてもゆっくりできるんだよ!!」 「ん?そんな音痴な歌を聴くより、ハムスターを見てるほうがずっとおもしろいわ。」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉお゛お゛お゛お゛」 「あっ、見て見て。ジャンハムが目をこすってるよ。」 「かわいい~~~~」 「れいむのほうがかわいいんだよ!!ゆっくりできないおねえさんたちはとっととおみせからでていってね!!」 「なにそれ、さいあく~~~」 「このゆっくり調子にのってるよね。」 「うんうん、自分がかわいいみたいに言ってるよね。」 女の子たちがれいむに対して悪態をつき始める。 当のれいむはどこふく風といった様子だ。 「れいむはかわいいんだよ!かわいくってごめんねぇ!!」 「そんなんだから売れ残るんだよ。ここに書いてるけど、あと1週間で処分されちゃうんでしょ? ならもっと人間に飼ってもらう努力をしないとダメなんじゃないの?」 「ゆ??れいむはしょぶんされないよ。ゆっくりできるかいぬしさんがくるまでここでゆっくりさせてもらえるんだよ。」 「またまた~、聞いたことあるよ。ペットショップで売れ残ったゆっくりは加工所に連れていかれるらしいよ。」 「ええ~それ本当?だとしたら、かなり悲惨だよね。」 「そうだったの。そんなことも知らずひどいこと言ってごめんね。加工所に連れて行かれる前に飼い主さんが現れると良いわね。」 「れいむはかこうじょにいかないよ!ここでゆっくりするんだよ!!」 「うん、ご愁傷さま。そろそろ行こうよ。」 「そうだね、じゃあ頑張ってね。」 「最後まであきらめたらダメだよ!」 「ゆっ、おねえさんたちれいむをかってね!!」 この日もれいむは買ってもらえなかった。 そしてれいむは、3人の女の子とのやりとりでがっかりすると同時に、一つ大きな疑念を持ってしまった。 そのことを、れいむの世話をしてくれるお姉さんに聞いてみた。 「おみせのおねえさん、れいむはしょぶんされちゃうの?かこうじょっていうところにつれていかれるの?」 「・・・そうよ。今のままだと、れいむを加工所に連れて行かなければならないわ。」 「ぞんな゛・・・れいむはやさしいかいぬしさんにかってもらいたいんだよ!!だからもうすこしここでゆっくりさせてね!!」 「残念だけど、それはきまりなの。こればかりは私でもどうにもならないわ。」 「そんなぁあああ!!それならおみせのおねえさんがれいむをかってね!!おねえさんはとてもゆっくりしてるよ!!」 「それもできないきまりなの。だかられいむが飼いゆっくりになるには、あと一週間で誰かに買ってもらうしかないの。」 「ゆううう・・・れいむはいやだよ!!かこうじょになんかいきたくないよ!!」 れいむは与えてもらったエサを撒き散らし、ケージの中にある自分の巣穴に入り込んでしまった。 巣穴はダンボールでできていて、外からはれいむの様子を伺うことができない。 その日お姉さんが何を言っても、れいむは外に出てこなくなってしまった。 お店が閉店し、店内に人がいなくなった頃合を見計らって、れいむは巣穴から出てきた。 お腹がとても空いていたようで、撒き散らしたエサを一心不乱に食べ始める。 「がつがつむ~しゃむ~しゃ・・・しあわせになりたいよぉ。」 売れ残ったれいむは、今ちょうどゆん生の岐路に立っている。 片方には飼いゆっくりという道があり、片方には加工所という道が続いている。 「れいむのおうたはとてもゆっくりできるんだよ! れいむのころころさんはかわいいんだよ! れいむはにんげんさんのおててのうえにのれるんだよ!! だからにんげんさんはゆっくりとしたれいむをかってくれるはずなんだよ!!」 れいむは子ゆっくりの間、ずっと可愛がられていたので 自分で自分のことをかわいいと思っているらしい。 小さい頃に散々ちやほやされた代償とも言うべきか。 だが今は大きな個体になり、お世辞にもかわいいとは言えない。 れいむはもう、飼いゆっくりとして売るには適さない大きさにまで成長してしまったのだ。 それかられいむは巣穴にこもり、人前に姿を現さなくなってしまった。 れいむの姿が見えないので、ケージの前に足を止めるお客さんもいない。 こんな状態でれいむを買う人が現れる訳もない。 そうこうしているうちに一週間が経ってしまった。 閉店まであと1時間、この日れいむを買ってくれる人が現れなかったら、れいむの加工所行きが決定する。 時々、巣穴の中からゆんゆんという泣き声が聞こえるが、 依然としてれいむは巣穴の中に籠もっている。 巣穴に籠もっていれば加工所に連れて行かれない、とでも思っているのだろうか・・・ 閉店まで残り10分を迎えたころ、一人の男性がお店に現れた。 どうやら駆け込みのお客さんのようだ。 男性は店内を足早に歩き、キョロキョロと何かを探す。 そして、れいむのいるケージの前で足を止める。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 巣穴の中にいたれいむが反射的に返事をし、ソロソロと巣穴から出てきた。 男性は少しの間ケージを見つめる。 れいむも男性をじっと見たまま固まっている。 すると男性が声をかける。 「すみません、ケージのチップを一袋ください。」 「わかりました。ほかにはよろしいですか?」 「はい。」 会計を終えた男性が店の外へ出て行く。 男性の姿を見送ったれいむは、くやしそうな顔をあらわにする。 ギュっと歯を食いしばり、目には涙を浮かべている。 「ゆ゛っぐり゛・・・・じだい゛よ゛ぉおおお・・・・」 だが無常にも時間は過ぎていく。 閉店時間になったので、店員が一斉に掃除を始めた。 れいむは再び巣穴の中に入り込もうとしている。 すると突然、さきほどの男性がお店に戻ってきた。 「すいません、それとそこのゆっくりれいむをください。」 れいむは最初、言葉の意味が分からなかった。 ゆっくりれいむをください?れいむがダサイといいたいのだろうか? れいむをください・・れいむをください・・・ 何度か繰り返してやっと分かった。 「れいむをください」 そう、この男性はれいむを買いたいと言っているのだ。 れいむは嬉し泣きを始めた。 「ゆ゛っぐえ゛っぐおにいざんはれいむ゛をがっでぐれる゛んだね゛??」 「ああそうだ。これから俺の家に連れて帰ってやる。」 「ゆ゛うううう!!お゛にいざんゆ゛っぐりじでいっでね゛!!」 「ああ、たくさんゆっくりさせてもらうさ。」 「れ゛いむはや゛っとかいゆ゛っぐりにな゛れるよ!!」 「ええ、良かったわね・・・・・・・」 早速、れいむは移動用のケースに入れられる。 会計を終えたおにいさんとれいむは、お互いに笑みを浮かべながらお店を出て行った。 その様子を、店の外にいた野良ゆっくりたちがうらやましそうに見つめていた。 一方お店のお姉さんは、れいむが飼われるというのになぜか、嬉しいような悲しいような表情をしている。 れいむの入っていたケージの札にはこう書かれている。 ┌───────────────────┐ │最終処分品、8/31に処分予定 ←本日 │ │¥480 ゆっくりれいむ(銀バッジ取得) └───────────────────┘ れいむを買っていった男性は、これかられいむを可愛がってくれるだろうか? いや、残念ながらそれは無い。 店の前にいる野良ゆっくりを躊躇なく蹴り飛ばす男性の姿を、お姉さんは見てしまったのだ。 帰宅した男性とれいむがおしゃべりを始める。 「ところで、れいむはどうやって俺をゆっくりさせてくれるんだ?」 「ゆ!れいむはころころさんができるよ!!それにはころころさんがひつようだよ!!!」 「ころころさん・・・・それが何なのかよく分からんなぁ。それはいいとして他には?」 「ゆゆ!おにいさんのおててのうえでゆっくりできるよ!!」 「おいおい、お前は大きすぎて手の上には乗らないよ。他には?」 「ゆゆゆ!れいむはおうたがうたえるよ!!」 「いやいや、今は夜だから近所迷惑だ。それ以外に何かないか。」 「ゆううう・・・ゆゆ!ひとつだけあるよ!!」 「なんだ?」 「これをするとにんげんさんはとてもゆっくりできるんだよ!!」 「なんだ、言ってみてくれないか?」 「れいむはぎゃくたいをうけるのがとくいなんだよ!!」 「虐待か。」 「ところでぎゃくたいっておもしろいの?」 「そうだな、じゃあ今から虐待をしよう。近所迷惑だから絶対に叫ぶなよ?叫んだらペットショップに返品するからな。」 「それはいやだよ!れいむはぜったいにさけばないんだよ!!」 「よし分かった、ではいくぞ。」 「ゆっくりぎゃくたいしていってね!!」 聞く限り、ぎゃくたいとはゆっくりと人間が楽しく遊ぶことだと、れいむは考えていた。 半分はその通りだが半分は違う。 そして、れいむはすぐに虐待が何なのか知ることになる。 「ほら虐待だ」 「ゆびっ、いちゃいいい!!」 「叫ぶなと言ったろ。」 「ゆぐっ、だっておにいさんがいたいことするから・・・」 「これが虐待だ」 「ゆ・・・どういうこと?」 「こういうことだ」 「ゆげっ、いちゃい!!」 「言うことを聞かないやつだな。うるさい口はガムテープで塞いでやる。」 「むご・・・むご・・・」 れいむは体全身で激しく抵抗するが、おにいさんの虐待は止まらない。 結局れいむはその晩、おにいさんに100回ほど叩かれた。 結果、れいむの頬には赤いもみじが何個も重なってできている。 こんなにもゆっくりできない体験をしたのは、れいむにとって生まれて初めてだった。 そして、自分は飼いゆっくりなのに、何でこんなにゆっくりできないのかと疑問に思った。 れいむは納得のいかないまま、その日はすぐ眠りについた。 翌日もおにいさんはれいむを叩き続けた。 れいむが何を言ってもおにいさんは叩くのを止めない。 そればかりか、何か言う度におにいさんの叩く力は強くなっていった。 自分が何か悪いことをしたのかとも考えたが、れいむには思い当たる節が見当たらなかった。 それもそのはず。 おにいさんはただ、プライドの高いペットショップ出身のゆっくりを虐待したかっただけなのだ。 それからおにいさんは、れいむに対して毎日のように虐待を行った。 竹串でチクチクと刺す 頬にからしを塗りたくる 画びょうの上を強制的に歩かせる アイロンの熱い部分を押し当てるetc れいむが泣き叫びでもすれば平手で叩き、加工所に連れて行くぞと脅した。 れいむは加工所に行きたくないので、おにいさんの言葉に従わざるを得なかった。 おにいさんの虐待が終わったら、れいむは暗く狭い箱に閉じ込められる。 箱の中では何も見ることができないし、痛いところや痒いところがあっても 体を動かせないのでずっとガマンしなければならない。 箱の中に埃の固まりを入れられたときなどは、れいむは一晩中かゆい思いをしなければならなかった。 トイレも無いので、うんうんやしーしーは箱の中で垂れ流すしかない。 垂れ流した排泄物の匂いがれいむを苦しめる。 餌は雑草や生ゴミ、おにいさんがペットショップで購入したチップ、いわゆる木くずを与えられた。 餌は箱の中にそのままガサっと入れられる。 暗くて何も見えなかろうが、生ゴミの汁が目に入ろうが、口の届かないところに餌があろうが、 投入されたまずい餌を必死に食べ続けないと死んでしまうので、れいむは毎日、臭い餌を嫌々食べ続けた。 れいむが「ゆっくりできないよ!」と箱の中でわめくと、箱ごとおにいさんに蹴られた。 その衝撃はかなり強く、痛い思いをなるべくしたくないので、れいむはそのうち箱の中で黙るようになった。 虐待をする前に、れいむは箱ごと洗浄される。 洗浄の際、洗剤がれいむの目や口に入る。 痛くても文句は言えない。文句を言うと問答無用でビンタされる。 タワシで乱暴にガサガサと洗われるので、れいむの皮はもうパサパサになってきている。 そしてれいむの洗浄が終わると、またおにいさんの虐待タイムが始まる。 この日の虐待は比較的おだやかで、洗濯ばさみを全身の皮に挟まれるだけで済んだ。 それでもれいむは痛みから、虐待中ずっと泣き続けた。 れいむが虐待を受け続けたある日のこと 「なんか飽きてきたな。そろそろ捨てるか。」 突然、れいむは捨てられることになった。 生ゴミとしてではなく、野良ゆっくりとして、だ。 さっそく頭の銀バッジがはがされ、れいむは地面に落とされる。 「ゆべっ、ゆゆ!おにいさんありがとう!!これでれいむはゆっくりできるよ!!」 「なんだ、感謝される筋合いは無いぞ。早くどっか行け。加工所送りにするぞ。」 「わかったよ、おにいさんありがとう!おにいさんありがとう!!」 感謝の言葉を述べながら、れいむはその場をゆっくりと去った。 れいむはこの時点で、飼いゆっくりから野良ゆっりに転落した。 それなのに、れいむはとても嬉しそうな顔をしている。 これからおにいさんの虐待を受けなくて済むからだ。 虐待でしごかれたれいむはとてもたくましくなっていた。 野良ゆっくりでも食べないような雑草や生ゴミを率先して食べて、めきめきと体力をつけていった。 それだけたくましいにも関わらず、とても綺麗なうたが歌えるので、 れいむは周りの野良ゆっくりから好かれていった。 そしてすぐに、一匹の野良まりさをつがいにすることができた。 その後、まりさとの間に5匹の実ゆっくりを授かった。 「ゆううう!!おちびちゃんはゆっくりできるよ!!」 「れいむはとてもゆっくりとしたゆっくりなんだぜ。だからおちびちゃんもとてもゆっくりとしたゆっくりになるんだぜ!!」 つがいのまりさは狩りが上手で、毎日食べるものには困らなかった。 そのおかげで、5匹の実ゆっくり全員が無事に赤ゆっくりとして誕生した。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくちしていっちぇにぇ!!」」」 「ゆ!れいむのおちびちゃんはみんなとてもゆっくりしてるよ!!れいむはとてもしあわせーだよ!!」 れいむは最高な日々を過ごしていた。 そんなある日、れいむは何を思ったのか、その辺の通行人をダンボールの家に連れて帰ってきた。 まりさは人間の恐ろしさを身に染みて知っているので、その場でガタガタと震えていた。 赤ゆっくりたちはもちろん、人間の怖さなど知らない。 「「「ゆっくちしていっちぇにぇ!!!」」」 「れいむのおちびちゃんはとてもゆっくりしてるよ!にんげんさんもゆっくりしていってね!!!」 れいむには、小さいころペットショップでちやほやされた記憶がまだ残っているらしい。 れいむは経験上「小さいゆっくり=人間にかわいがってもらえる」という構図が絶対だと思っている。 そして、今の状態がペットショップの延長線上にあると考えているようだ。 だから自分がお店の店員の代わりとなり、子どもを人間に見せることで、 自分の子どもを飼いゆっくりにしてもらおうと考えたのだ。 悲しいかな、れいむの飼いゆっくりコンプレックスが、そのような行動を起こさせてしまった。 れいむは自慢げな顔をしている。赤ゆっくりたちはニコニコしている。 「ああ、俺はゆっくりさせてもらうよ。だが・・・」 ニコニコとした顔の赤ゆっくりが一匹、何の前触れもなく踏み潰された。 二匹、三匹、あっという間に五匹の赤ゆっくり全員が餡子の塊になってしまった。 「野良ゆはゆっくりできないんだよ。」 赤ゆを潰すことしか興味がなかったらしく、通行人はさっさと帰っていった。 れいむの顔が悲しみに満ちていく。 目の前には、訳も分からず潰された赤ゆっくりの死骸が残されている。 なぜ?自分たちが何か悪いことをしたのか? れいむには、赤ゆっくりが踏み潰された原因が全く分からなかった。 「どぼぢで・・どぼぢでお・・・おちびちゃんがぁあああああ!!!」 「れいむがわるいんだぜ。れいむがにんげんさんをおうちにつれてくるからなんだぜ。」 まりさはあまり動揺していない。 まりさは、ゆっくりたちが人間に殺される場面を飽きるほど見てきた。 だから悲しみよりも、自分が潰されなかったという安堵のほうが強く感じられるようだ。 「にんげんさんはおちびちゃんをみたらとてもゆっくりできるんだよ!!どうじで・・・」 「ちがうんだぜ。にんげんさんはゆっくりたちをゆっくりさせてくれないんだぜ。」 まりさは知っている、これが本来の人間なのだと。 だが、れいむは知らない。 虐待おにいさんでさえもれいむを殺さなかった。 「れいむはちいさいころにんげんさんにゆっくりさせてもらったよ!!」 「でものらゆっくりは、たとえおちびちゃんでもゆっくりさせてくれないんだぜ」 「まりさはうそついてるんだよ!!おちびちゃんはどんなゆっくりでもにんげんさんにかわいがられるんだよ!!」 「・・・・・」 まりさはとうとうれいむに愛想をつかし、そのままどこかへ去ってしまった。 対するれいむは、巣の中でわんわん泣き続けている。 「れいむのおちびちゃん・れいむの・・・」 れいむは大きなダメージを心に負ってしまった。 「おみせのおねえさんにあいたいよ!ぎゃくたいおにいさんにあいたいよ!ゆうううう」 れいむは歩き出した。過去にお世話になった人間に会いに行くために。 会えば何かが良くなるかもしれない。 漠然とした期待から勇気を奮い立たせ、れいむは静かにその場を去っていった。 数週間後、れいむはとうとう自分が売られていたペットショップを発見した。 ペットショップの入り口には数匹の野良ゆっくりが待機している。 食べ物がもらえると期待しているのだろうか。 しかし自動ドアが開いても、野良ゆっくりたちは決してペットショップの中に入ろうとしない。 れいむはそれを見て不思議に思ったが、入り口の自動ドアが開いたのですかさずペットショップの中に入った。 「おみせのおねえさんはどこにいるの!?」 「なんだ??野良ゆっくりじゃないか、あれほど店に入ってくるなって言っておいただろ。」 「ゆうう、かみのながいおみせのおねえさんはどこにいるの?」 「髪の長いおねえさん?ああ、あの人ならちょっと前に辞めたよ。すると、お前はあのときの売れ残ってたゆっくりか。」 「そのおねえさんはどこにいったの?」 「知らないな。仮に知ってたとしても、何で野良になったお前に教える必要があるんだ?早く出ていかないと加工所に連れて行くぞ。」 「かこうじょなんかこわくないんだよ!はやくおねえさんにあわせてほしいんだよ!!」 「そんなに会いたいか。ならこのケージの中に入れ。」 言われるがままにれいむはケージの中に入った。 とても狭いケージだが、れいむは全然気にしない。 「はやくおねえさんにあわせてね!!」 「さっきも言ったろ、どこにいるか知らないって。人の話はちゃんと聞けよ。」 「ゆ!にんげんさんはれいむをだましたんだね!!はやくここからだしてよ!!」 「加工所でその人に会えるといいな。」 「ゆ!だせぇえええ!!・・だして!・・・だしてください・・・おねがいだからだしてよぉおおお!!」 ケージに布をかぶされる。 「ゆゆ!まっくらでなにもみえないよ・・・・・・・・」 虐待おにいさんに飼われていたころのことを体が覚えているようで、 狭く暗いという状況に陥ったれいむは、急に黙ってしまった。 「ほう、急におとなしくなったな。始めからこれくらいおとなしかったら 加工所に連れていくことなんかなかったのにな。でももう遅い。」 ケージがガサっと持ち上げられる。 れいむの入ったケージは、加工所職員が乗った小さなトラックに積まれた。 しばらく輸送された後、ケージを包んでいた布が外された。 れいむはやっとケージから取り出される。 宣言どおり、れいむは加工所に連れてこられたようだ。 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 ケージから取り出された後、れいむはすぐに大きな穴に放りこまれる。 「ゆ!こーろこーろするよ!!」 穴の中は斜面になっていて、れいむはそこをコロコロと転がっていく。 斜面がゆるやかになったところで何かにぶつかり、れいむの動きが止まった。 れいむがぶつかったのは、ゆっくりぱちゅりーだった。 そこには他にも何十匹ものゆっくりが集まっている。 「むきゅ!れいむはあやまってね!!」 「ゆ!そっちこそあやまってね!!・・・ゆ?おそらをとんでるみたい!」 加工所の作業員がれいむをひょいっと持ち上げる。 作業員はそのまま、れいむの体を隅々まで調べ始めた。 繁殖に使えるゆっくりか否か、衛生的に大丈夫か否かなどを判断しているのだ。 チェックが終わり、作業員はれいむの足をバーナーで焼き始める。 「ゆぎゃああああ、あじゅいいいいい」 れいむは繁殖には不適応、衛生的にはOKと判断されたようだ。 足を焼かれたれいむはコンベアに乗せられた。 れいむ以外にも、たくさんのゆっくりが同じ方向を向いてコンベア上を流れていく。 足を焼くと、ゆっくりたちは歩けないどころか、体の向きさえも変えられないようだ。 さまざまな種類のゆっくりがコンベアの上を流れているが、足を焼かれた後の反応は全員一緒、ただひたすら泣くだけだ。 だが加工所の作業員は何もしゃべらず、淡々と自分の作業を続けている。 まるで、ゆっくりの泣き声など聞こえていないかのように。 下流に待機していた別の作業員がれいむを持ち上げ、頭についているお飾りを取り外す。 「ゆゆ!れいむのおかざりさんをかえしてね!!」 命の次に大事なお飾り、それを奪われて平然としていられるはずが無い。 れいむは必死に叫び続ける。 しかし訴え虚しく、れいむはコンベアの上をどんどんと流れていく。 ほかのゆっくりたちもお飾りを取り返すことができず、泣き寝入りしている。 楽しそうな表情をするゆっくりは一匹としていない。 次の作業員はれいむを掴み上げ、慣れた手つきで髪を剃っていく。 「ゆ!れいむのおさげをとらないでね!!」 頭頂部の髪が簡単に剃られ、おさげも簡単に切り取られていく。 ものの10秒もすると、れいむはつるつるぼうずになってしまった。 「れいむのかみがぁああああああああ!!」 間髪いれず、作業員はれいむのお尻をパチンと一発叩く。 「ゆぎゃ!!」 運び終わった重い荷物を、景気付けに軽くパンと叩くような感覚だ。 あいかわらず作業員の動きはてきぱきとしている。 その正確さと迅速さから、ロボットが作業しているのではないかとも思えてしまう。 次にれいむは全身を洗われる。 「ゆひっ、くすぐったいよぉおおお」 髪を剃った頭から頬、あにゃる付近に至るまで丁寧に洗われる。 洗い終わったれいむの尻を、担当の作業員がパチンと叩く。 「いちゃい!さっきからいたいよぉやめてよぉ・・・」 最初に足を焼かれているので、お尻を叩かれるのはゆっくりたちにとって結構痛いらしい。 次にれいむは分岐した別のコンベアに乗せられる。 そこからコンベアは3本に分かれていて、餡子の中身によって作業員がゆっくりを分類しているのだ。 れいむの乗ったコンベアは移動速度がとても遅いので、れいむはそこでゆっくりすることにした。 「ゆう、やっとゆっくりできるよ!!」 れいむはいつの間にか、ペットショップのお姉さんに会う目的を忘れていた。 それだけではない。 ペットショップで可愛がられていたこと、おにいさんに虐待されたこと、 まりさとつがいになったこと、自分の子どもが殺されたこと。 すべての記憶が、れいむの意識の中に沸いてこない。 つまり、加工所の雰囲気に完全に呑まれているのだ。 コンベアの上を流れていると、周りにおもしろそうなものをいっぱい見かけるので、 れいむはだんだんと加工所が楽しいところだと感じるようになっていた。 コンベアの上でゆっくりしていたれいむに突然、声がかかる。 「そこのおかざりのないゆっくりはまりさをたすけてほしいんだぜ!!」 「ゆっ?」 れいむと同様、髪を剃られたまりさがコンベアの上を流れていた。 まりさとれいむはお互いが向き合うようにして れいむから見てまりさは左へ、れいむは右へ、お互い逆方向へ流れている。 どちらもすでにお飾りが無いので、名乗らなければ誰が誰なのかよく分からない状態だ。 普通、お飾りの無いゆっくりは他のゆっくりから軽蔑されるのだが、 命の懸かった場面ではそうも言ってられないのだろう。 「どうしたの?」 「いたいいたいがそこまできてるんだぜ!!まりさをたすけてほしいんだぜ!!」 まりさの流れていく先には、ガシャガシャと動く刃物が待ち構えている。 ゆっくりを千切りにする機械のようだ。 「なんとかなるんだよ。」 「ゆ!まりさのちからではどうにもならないんだぜ!!」 「ゆ・・・でもれいむにはかんけいないんだよ。ゆっくりりかいしてね。」 「れいむもいたいいたいになるんだぜ!!だからまりさをたすけるんだぜ!!」 「そんなこといわないでね!!そんなこといったられいむもふあんになってくるんだよ!!」 この加工所では、ゆっくりの口はあえて塞がない。 コンベア上でゆっくりたちをしゃべらせ放題にしておく。 刃に切り刻まれるゆっくりの声を聞かせることで、ほかのゆっくりに恐怖を味あわせるのが目的だ。 ゆっくり同士による恐怖の連鎖。恐怖や苦しみを感じたゆっくりの餡子は甘くなるそうだ。 「ゆああああいたいいたいがくるよぉおおおおお!!」 無常にもコンベアの動きは止まらない そしてとうとう、刃がまりさの右頬を切り始める。 「ゆぎゃあああいちゃいゆぎゃっ、いちゃいよぉおおおおゆぎゃっ、れいむたすけてぇえええゆぎゃっ、いちゃいいいい!!」 「れいむはいたくないよ。だかられいむにはかんけいないよ。おかざりのないへんてこなまりさはゆっくりしんでね!!!」 「そんなぁあああゆぎゃっ、まりさはかいゆっくりゆぎゃ、いちゃいよぉおおおゆぎゃ、とめてえええゆっぎゃああああ!!!!」 刃はまりさの右眼球に到達した。まりさの叫び声は徐々に大きくなっていく。 もう少しすれば刃は中枢餡に達することだろう。 「ゆぎゃっ、れいむもいたいよ!?なにがおこったの??」 まりさが切り刻まれるのと同調して、作業員がれいむの尻を叩いたのだ。 ゆっくりたちに苦痛を与える定期的な作業である。 「おにいさんやめてね!ゆっくりしていってね!!ゆぎゃい、れいむをゆっくりさせてよぉおおお!!」 作業員は何も言わない。淡々とれいむの尻を叩き続けている。 作業員の心が全く読めないので、れいむは底知れない恐怖を感じた。 一方のまりさは中枢餡の一部を切られ、虫の息となっている。 「ゆっ・・・・・ゆ・・・・・・」 「まりさはどうでもいいよ!!れいむだけはゆっくりしたいよぉおおお!!!」 れいむがいくら嘆いても、コンベアの動きは止まらない。 れいむはとうとう、千切りにされるゆっくりまりさの様子を最後まで見せられた。 ゆっくりできないと思いながらも、れいむは内心、自分は飼いゆっくりだったからああいうことにはならないだろうと考えていた。 しかしコンベアは折り返し地点にさしかかり、しばらくするとれいむにも刃が迫ってきた。 「ゆうううどうぢで??れいむはかいゆっくりだったんだよ!!いたいいたいはきちゃだめだよ!!ゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆ?どうしたんだぜ!?」 別のゆっくりまりさが、れいむの正面を横切っていく。 「そこのへんてこなまりさはれいむをたすけてね!!そこのおにいさんでもいいよ!!」 「どうにもならないんだぜ。とっととあきらめるんだぜ。」 しらけた口調でまりさは答える。 「そんなこといわないでね!れいむはかいゆっくりだったんだよ!!」 「それはかんけいないんだぜ。まりさもかいゆっくりだったんだぜ。」 「ゆっ、まりさもいずれこうなるんだよ!!だかられいむをはやくたすけてね!!」 「そんなこというなだぜ!!そんなこといったらまりさがふあんになるんだぜ!!」 れいむの言葉にまりさは一瞬、動揺する。 だが結局は実感が沸かないので、まりさは冷めた様子でれいむを見つめる。 「いたいいたいがそこまできてるよぉおおおおお!!」 「それならせめてまりさがおわかれをいってあげるんだぜ。ゆっくりしんでいってね!!」 「ああああああああああああああ」 突然、コンベアの動きが止まった。 「第二コンベアに異常発生。ただちに原因を究明せよ。」 作業員たちがざわめき、すぐさま機械の点検を始める。 その間、ゆっくりたちはその様子をポカーンと眺めていた。 しかし一方でれいむは、コンベアが復旧すればただちに切り刻まれてしまう状況にいる。 それまでに何とか作業員を説得して、ここから逃げなければならない。 緊迫しているれいむは、近くの作業員に話しかけることにした。 「れいむは○○○っていうおみせでかわれてたんだよ。そのあいだおみせのおねえさんにゆっくりさせてもらったんだよ。」 刃物の点検をしていた作業員の動きが止まる。 「それからおにいさんにかってもらえたんだよ!!」 作業員の手が突然震えだす。 必死の訴えに動揺しているのだとれいむは考えた。 昔、ペットショップのおねえさんが悲しそうな顔をして、手を震えさせていたのをれいむは見た。 そのことから、動揺して悲しい気持ちになった人間は手が震えるのだと、れいむは学習した。 「おにいさんはれいむにぎゃくたいをしたけど、さいごにはれいむをかいほうしてくれたんだよ! おにいさんとおねえさんはとてもゆっくりしたにんげんさんだったんだよ!!!」 作業員の体全身がぷるぷると震え始める。 「れいむはしんじてるんだよ!!さぎょういんのおにいさんも、とてもゆっくりしてるにんげんさんなんだよ!!! だから、きっとれいむをたすけてくれると・・・・・・れいむはしんじてるよ!!!!」 れいむは、作業員がおにいさんなのかおねえさんなのかを髪の量で判断している。 帽子に隠れて髪が見えないので、れいむはこの作業員をおにいさんだと判断したようだ。 作業員は頭に帽子、目にゴーグル、口に大きなマスクをしているので、男性か女性かは人が見ても区別がつかない。 その作業員は、れいむの言葉を聞いてますます体を震わせ、肩をひくひくと動かしている。 「さぎょういんのおにいさんがたすけてくれないとれいむはこのまましんじゃうんだよ!! ・・・・・・・・・れいむはしんじゃうんだよ!わかってね!!!」 れいむが少し慌てた口調でアピールする。 それを聞いて、作業員がマスクとゴーグルをはずす。 その作業員は、れいむを世話してくれたペットショップのお姉さんだった 「・・・れいむ、無事だったんだね。」 「おねえさん!!!」 「れいむ・・・・・・」 「きっとおねえさんがたすけにきてくれるとしんじてたんだよ!!」 れいむは歓喜の声をあげる。 「・・・・・・・ねぇ、れいむ。」 「ゆ?どうしたのおねえさん?」 「あなたはなんでこんなところにいるの?」 「ゆ!おねえさんをさがしておみせにいったら、いじわるなおみせのおにいさんに、ここへつれてこられたんだよ!!」 「そう・・・」 おねえさんは嬉しいような悲しいような表情をしている。 「それで、れいむはこれからどうするの?」 「ゆ~~ん、れいむはいくあてがないんだよ。だから・・・・」 「だから?」 「できれば、これからおねえさんにかってもらいたいんだよ!!!」 「れいむ・・・・」 「おねえさん!」 れいむの声が弾む。 土壇場でコンベアが止まり、そこには何故かペットショップでお世話になったお姉さんがいた。 まさに幸運。数ヶ月前、加工所送りになる前におにいさんに飼ってもらえたのも幸運だった。 自分がかわいい飼いゆっくりだったから、こんな幸運が起こるのだとれいむは思った。 「私はねぇ・・・・・」 「ゆゆ!おねえさん、ゆっくりしていってね!!!」 「あなたに苦しんで死んでもらいたいの」 「ゆ?・・・・・・・・・」 場の空気が凍りつく。 「お・・・ねえ・・さん・・・??」 「私はあなたのことが大嫌いだったわ。」 「・・・・・・・ほんとうに・・おねえさんなの??」 「たいしてかわいくもないのに、周りからかわいいとちやほやされて。 あのときのあなたの顔といったら、本当に傲慢に満ちた顔をしていたわね。 そんな性格でよく銀バッジが取れたね。」 「どういうこと・・??」 れいむは本当に分からない、といった表情をする。 お姉さんは独り言のように語り始める。 「私は昔、とあるレクチャーを受けてゆっくりが大嫌いになったの。 だからペットショップであなたの世話をするのはとても大変だったわ。 私が働いている間、毎日頻繁にあなたのうんうんやしーしーを片付けさせられてたわね。 それにしても、うんうんを取り除いた直後に、あなたがすぐうんうんをする習慣には腹が立ったわ。 そのうんうんを取り除いてあなたを怒ったら、今度は嫌がらせのようにしーしーをされて、 あれは本当に最悪だったわね。 あなたに病気が無いか、体を隅々までチェックさせられたこともあったわね。 あなたを触るのは、本当に嫌だったわ。 触れた瞬間にぷにょっとして、体内に入ってる餡子や未消化な餌の感触まで手に伝わってきて、 おまけにネチネチした体には、餌の食べかすやほこりがいつもこびりついていて、それを綺麗にするのも私だった。 ハムスターのクルクル回るおもちゃを見て、自分もあれで遊びたいと駄々をこねたこともあったわね。 回転器具を取り付けるときに「はやくしてよ」と、あなたは私の手に体当たりしたよね? それがきっかけで、私は左手の薬指をケージに詰めて怪我したの。 体当たりしたことを怒っても、あなたは回転器具で必死に遊び続けて、私の言うことを無視した。 あなたはその後に謝罪の言葉も感謝の言葉も言ってくれなかったよね。 私はショップに派遣された人間だったから、あなたのしつけには関与できなかったの。 しつけは専門の人がやるから、余計なことはするなってオーナーから言われた。 だからいくら叩きたくても、あなたを叩くことができなかった。 そのせいで、あなたはますます傲慢な性格になったわね。」 あんなに優しかったおねえさんがこんなこと言うはずが無い、 れいむはまだ信じられなかった。 「おねえさんはれいむのことがすきだったんじゃ・・・」 「それはないわ。あなたが売れ残ったら、加工所に連れて行けると知ったときは、本当に大喜びしたものね。 でもその感情は、ペットショップでは見せちゃいけないものだったから、ずっと隠してた。 お店であなたに見せ続けていた笑顔も、本当は作り笑顔だったの。 崩れないように笑顔を作り続けるのは大変だったわ。」 「そんな・・・れいむがかわれることになって、おねえさんはよろこんでいたんだよ」 「閉店間際に男の人が入ってきて、れいむを買うって言った時は正直ショックだったよ。 れいむを加工所に連れて行けると、大喜びしながら掃除してたのに。 でも、少しだけ私にとっていいことがあったわ。 その男性のお客さん、お店の前にいる野良ゆっくりを蹴り飛ばしていたの。 だから、加工所送りはダメになったけど、この人なられいむを虐待してくれるって少し期待したの。」 れいむが口を挟む。 「おねえさんにはひとつだけ、れいむのことがすきなしょうこがあるよ!!」 「な~に?」 れいむは自信に満ちた顔をしている。 「さっきおねえさんはどうようしてふるえていたよ!」 「へえええ、私が動揺してたっていうの。ところでれいむ、知ってる?」 「ゆゆ?」 「にんげんはね、とてつもなく嬉しいときにも体が震えるものなの。」 「ゆ・・・・・・」 れいむの体が一瞬固まった。 今もお姉さんの手がブルブルと震えている。 「で・・でもおみせのおねえさんは、かみがとてもながかったよ!! それにおみせのおねえさんはもっとやさしかったんだよ!! だからおねえさんは、おみせのおねえさんじゃないんだよ!!」 れいむは勝ち誇った顔をする。 ゆっくりの常識からすると、髪の長さはそうそう変わるものではない。 それに、あくまでもペットショップにいたお姉さんは優しい人なのだと、れいむは確信している。 だから、目の前にいる作業員とペットショップにいたお姉さんは別人だと、れいむは主張しているわけだ。 だがもし、れいむの言うことが正しいなら、その時点でれいむの死が決定する。 仮に作業員とペットショップのお姉さんが別人だとしても、 ゆっくりが嫌いだと言っている作業員が、れいむのことを助けてくれるなどありえないのだから。 「それはね、この加工所で働くには髪を短くしないといけないの。 だから喜んで髪を切ったわ。 ペットショップから加工所に仕事場が変わってから、毎日が幸せだった。 だって、こんなにも大嫌いなゆっくりの死に様を、目の前でじっくりと観察できるんだからね。」 「おねえさん・・・・・・」 「なんてね、全部嘘よ。ごめんね。これからわたしとゆっくりしようね!」 お姉さんが微笑む。 「ゆ!いままでのおはなしはぜんぶうそだったんだね!!れいむはほっとしたよ!!」 「そんなわけないでしょお。」 「ゆ・・・・・」 「第二コンベア復旧、ただちに持ち場へ!」 コンベアがゆっくりと動き出した。 トラブルはどうやら解決したようだ。 「さて、さっきの続きといきましょうか。ゆっくり叫んでもいいのよ。」 「おねえさんれいせいになってね!!」 「あら、私はいつでも冷静なのよ。冷静になれないのはれいむのほうでしょ?」 「ゆっ・・・おねえさんごめんなさい。いままでれいむはおねえさんにめいわくをかけてたんだね。」 「だからどうしたの?いまさら許して欲しいの??謝罪の言葉は適したタイミングで言わないと意味がないのよ。」 「おねえさんにはおせわになってばかりで・・・ゆぎゃああああ」 刃がとうとうれいむの右頬を刻み始めた。 「ゆぎゃあああああ!!!いちゃいよおおおおおゆぎゃ、ゆっくりできないんだよぉおおおおゆぎゃ」 「ほらね、いつもそう。れいむはいつも自分のことしか考えてないんだよね。」 「おねえさんたすけてぇええゆぎゃっ、しんじゃうよぉおおおゆぎゃっ」 「分かった。私に最高の笑顔を見せてくれたら、今すぐ助けてあげるよ。」 「ゆ!わかったよゆぎゃ、ゆっくりしていってね!!ゆぎゃ」 刃が振り下ろされた途端、れいむの笑顔は泣き顔に変えられてしまう。 「う~ん、悲しそうな顔だね。それじゃ助けてあげられないよ。」 「ゆっく・・ゆぎゃっ、ゆっくりしていってね!!!!ゆぎゃ」 「うーん惜しい、もっと心を込めて。」 「ゆっくりしてゆぎゃ、ゆっくりしていってね!!!ゆげっ、ゆっくりしていってゆぎゃあああ!!」 刃がれいむの右眼球に到達する。 耐え切れない激痛に、れいむは顔を歪ませる。 「笑顔よりも、苦痛に満ちた顔のほうが私は好きよ。でも助かるために頑張って笑顔を作ってね!」 「ゆっくりしていってね・・ゆぎゃあああああ!!!」 れいむはもう、お姉さんの姿を見ていない。 ただ助けてもらうため、笑顔を作ろうと必死になっている。 笑顔を作っては刃によって崩され、また作ってはまた崩され。 賽の河原で、積み上げた石を崩されるように、何度も何度も繰り返される。 だが賽の河原と違うのは、時間がとても短いということ。 刃がれいむの中枢餡を刻み始める。 「ゆ゛っ・・・・・ゆ゛っ・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・・」 「ああ、イイ!今、最高の気分だわ。」 お姉さんは今まで見せたことのない笑みを見せる。 お姉さんの周りの作業員が皆、ジッと一点を静かに見つめている。 その先にあるのは お姉さんの姿ではなく、切り刻まれるれいむの姿だった。 こらえ切れずに嬉し笑いし始める作業員が一人、 ほとんどの作業員は、マスクの下にニヤケ顔を隠している。 そして誰一人、笑っている作業員を注意しようとしない。 なぜなら、現場監督さえもニヤケ顔になっているのだから。 加工所の作業員は、ゆっくりのことが嫌いでないとなかなか務まらないらしい。 「れいむ、聞こえてるかな?」 「ゆ゛っ・・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・・」 「あなたはこれから生まれ変わるの。」 「・・・・・・・・」 「食品としてね。」 「・・・・・」 苦痛を十分に与えたゆっくりの餡子はとても甘くなる。 ゆっくりから作られた餡子なんか食べたくない、と先入観を抱く人でも この加工所でできた餡子を一口食べると、その味に病みつきになるそうだ。 「今度は売れ残らないように頑張ってね!」 「 」 れいむは完全に饅頭の輪切りと化してしまった。 輪切りになったれいむの断片がコンベア上を流れていく。 下流に待機していた別の作業員が、お遊びでその断片をつなぎ合わせてみた。 すると、れいむの顔の右半分は満面の笑みを浮かべていて、 左半分は、この世のものとは思えない苦痛に歪んだ顔をしていた。 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 anko2085 赤ゆ合戦 anko2107 たこつぼ anko2120 線香台 anko2187 生きる anko2207 野良ゆをゆっくりさせない工夫 anko2235 れいむへの愛情 anko2272 もてないゆっくりの恋 anko2327 夏ゆさいのフルコース 挿絵:にとりあき 挿絵:○○あき
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by再々履修中(ネブラスカ州) ななこ(27才)「売れ残りやないんや、売れ残りやないんや……!」 ななこ(32才)「売れ残りなんか?売れ残りなんか……?」 ななこ(37才)「売れ残りなんや…売れ残りなんやああああぁぁぁ」
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露店での販売はまとめ売りのため、購入・販売時には注意を。 例)銅99個 300kなど。ばら売りしたい場合はひとつずつ分けて販売する事。 鉱石・宝石 アイテム名 相場(単価) 備考 備考2(相場) 普通鉱石 2k~3k 強化・生産素材 安定 銅 2k~3k 強化・生産素材 安定 鉄 2.5k~3k 生産素材 安定 銀 4k~5k 強化・生産素材 減少傾向 金 4k~6k 強化・生産素材 減少傾向 ペリドート 4k~5k 強化・生産素材 減少傾向 アメジスト 6k~10k 強化・生産素材 上昇傾向 ムーンストーン 9~10k 減少傾向 スピネル 35k 安定 ピンクトルマリン 20k~30k 上昇傾向 ハウライト 50k 安定 シトリン 100k~120k 減少傾向 1/20 18 31更新 備考2は面倒なんで変えてない 糸・革・その他 アイテム名 相場(単価) 備考 細い天上糸玉 45k 九尾の魂の器 700k 雪女の魂の器 800k 器は基本的にはユニークの1/2の価格 パズル アイテム名 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5 レベル6 レベル7 レベル8 レベル9 レベル10 ユニーク装備 ユニークは耐久により価格が大きく変動。参考程度に。 アイテム名 +0 +1 +2 +3 +4 ポックルソード 1.6M 参考 トキメキファンタジー ラテール 取引スレ [[トキメキファンタジー ラテール 取引スレ 34ELY http //game13.2ch.net/test/read.cgi/mmo/1198236495/](現行) コメント欄には販売情報などを記入 -- テスト (2007-12-20 19 31 42) スピネル9個 250k 3分せずに売り切れ -- RB (2007-12-21 01 48 21) ペリドート56個560k、55個550k、AM0~7の間寝露店で売却 -- G (2007-12-21 07 31 31) ガーネット31個240kAM2~8時間で売却。ターコイズ38個140kは売れ残り。 -- RB (2007-12-21 08 20 53) ムーンストーン40個400k、AM6~11時間で売れ残り -- G (2007-12-22 11 13 22) ペリドート52個520k、ムーンストーン40個400kPM9~AM6時間で売却、同時に並べたペリドート52個520k売れ残り -- G (2007-12-23 05 57 17) 九尾の器700k、AM4~8時売れ残り。8~12時売却。その後800kで転売される。 ミスリル6個300k、ムーンストーン23個300k、アレクサンドライト450k売れ残り。 -- RB (2007-12-23 12 21 11) Lv5エリーパズル 120k 即売 Lv2筋力パズル 20k 即売 -- S (2007-12-24 03 29 44) ペリドート66個660kAM1~9時間で売れ残り -- G (2007-12-24 09 06 37) ピーチマウス魂の器 650k -- めしべ (2007-12-25 02 46 09) 体力パズル(Lv3・5・6) Lv*10k, Lv3エリーパズル 150k 3:42~9:25間で完売。 -- RB (2007-12-25 09 28 33) ペリドート74個740kAM1~11時間で売却、アメジスト52個520k売れ残り -- G (2007-12-25 11 07 09) 完売)ハウライト2個90k、ピンクトルマリン2個40k、ムーンストーン26個350k デルジクォーツ3個90k、グリーントルマリン3個90k、ローズクオーツ8個120k ピンクダイヤモンド11個80k、アンバー1個100k、ターコイズ48個90k 売れ残り)シトリン1個130k、ダイヤモンド11個80k -- RB (2007-12-27 21 19 08) アメジストは単価8kで即売! -- RB (2008-01-04 11 29 57) AM8 30~PM15:30 ペリドート79個390k売却、80個500k450k売れ残り PM15 30~18:30 ペリドート80個360k*2売却 -- G (2008-01-04 19 10 13) AM8 00~PM15 00 アゲット42個210k、アメジスト26個260k売却 ペリドート32個160k、ムーンストーン31個450k売れ残り -- G (2008-01-05 15 52 11) 10 00~19 00 ペリドート39個180k、ムーンストーン32個400k トパーズ14個130k売却、フルオライト24個220k売れ残り -- G (2008-01-06 19 58 41) 1 40~8 22 アメ99個1M、アレクサンドライト1個50k、Lv3筋力パズル100k、Lv4体力パズル130kで売り切れ ミスリル6個150k、アダマンタイト12個100k、Lv5クリキューブ80k、月石99個1.2M売れ残り -- RB (2008-01-07 08 22 37) 12 30~22 30 フルオライト24個150k売却 -- G (2008-01-08 05 05 36) ラフレシア魂の器1.5M売却 -- G (2008-01-14 09 21 59) オパール2個750k、ハウライト2個180k売却 デルジクオーツ1個100k、ローズクオーツ11個500k、アンバー1個370k売れ残り -- G (2008-01-26 23 33 52) 名前 コメント
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510 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 20 36 55.68 ID ??? プル「ジュドー!氷風呂冷たくて気持ちいいよぉ~、一緒に入ろう!」 プルツー「姉さんせめて水着を!!」 ジュドー「残りの氷はプル達がおいしくいた…だいたのか?」 511 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 20 37 56.11 ID ??? シャア「ではその氷風呂の使用後の水は私がおいしく」 512 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 20 48 34.48 ID ??? 511 リュウ「いやぁすまんなぁアムロ、ウチの風呂が急に壊れて困ってたんだ」サッパリ アムロ「何言ってるんですか、困った時はお互いさまでしょう」 513 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 20 49 34.37 ID ??? セイラ「兄さんも・・・」カチャ 514 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 20 51 02.85 ID ??? グエン「ローラと一緒に銭湯」 515 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 21 06 59.29 ID ??? ロラン「一緒に戦闘ですねわかりました」 グエン「待つんだ字がちg【~無駄無駄中につきしばらくお待ちください~】 516 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 21 16 37.69 ID ??? カミーユ「ロラン兄さんの無駄無駄ラッシュ久しぶりだなぁ」 シーブック「ほら シンにはいつもどおり売れ残りのパンを持ってきたから食べろよ」 シン「シーブック兄 いつもありがとう」 キラ「ロラン兄が食事抜きにしても結局あぁなるんだよなぁ~」 ウッソ(まぁ僕らもああしてもらうことあるから人のことは言えないんですけどwww) 518 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/07/30(月) 21 54 14.60 ID ??? 512 翌日 ギュネイ「あれ?社長は?」 ナナイ「あぁ、社長ならなんでも食中毒でダウンしたらしくてな...(緑茶をすすりながら)」
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露店や掲示板で「こんな値段で取引されてた」「この相場は最近ずれてきている」 というような情報提供にご協力ください。 名前 コメント すべてのコメントを見る 露天でw黒縁メガネ70Mで買いましたww -- (名無しさん) 2011-12-18 14 15 22 羽毛 2Mで3日間ぐらい置いてましたが売れず… インクリも7Mで売れ残り多々見ます あと雑貨の下のほうのレイアウト崩れてます・・・どなたか修正願います -- (かも) 2010-05-07 21 37 21 上飴3M、好感度飴280kくらいですー -- (*1) 2010-03-14 20 59 22 魔石露店売り16~17mで売れ残り多数、賢者1~1.5mで買い募集有り、露店2m~2.5mで売れ残り多数。 -- (名無しさん) 2009-11-14 20 08 53 怠惰の石 12M買い何件かあり -- (名無しさん) 2009-11-09 18 19 32 蒼氷の靴(x3,a3,q3)が15m売れ確認。 -- (名無しさん) 2009-10-22 13 50 20 森靴を掲示板など情報により修正 -- (くじら) 2009-09-01 23 19 51 雑貨に遠隔マジックルーレット利用券追加しました -- (くじら) 2009-09-01 21 39 50 ウィンキー値段修正とマジカルハット追加しました -- (くじら) 2009-08-31 05 48 01 何点か気になる点がございましたので修正させていただきました -- (くじら) 2009-08-29 21 31 25