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【公法系】 〔憲法〕 芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』岩波書店(2015年3月・第6版) 〔行政法〕 中原茂樹『基本行政法』日本評論社(2015年3月・第2版) 【民事系】 〔民法(総則)〕 佐久間毅『民法の基礎1 総則』有斐閣(2008年3月・第3版) 〔民法(物権)〕 佐久間毅『民法の基礎2』有斐閣(2010年3月・補訂2版) 〔民法(担保物権)〕 松井宏興『担保物権法』成文堂(2011年10月・補訂2版) 〔民法(債権総論)〕 中田裕康『債権総論』岩波書店(2013年8月・第3版) 〔民法(債権各論)〕 潮見佳男『基本講義債権各論I・II』新世社(2009年12月・第2版,2009年10月・第2版) 〔民法(家族)〕 前田陽一・本山敦・浦野由紀子『民法Ⅵ 親族・相続(LEGAL QUEST)』有斐閣(2015年4月・第3版) 〔会社法〕 伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征『会社法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2015年3月・第3版) 〔商法総則・商行為法〕 近藤光男『商法総則・商行為法』有斐閣(2013年4月・第6版) 〔手形・小切手法〕 早川徹『基本講義手形・小切手法』新世社(2007年3月) 〔民事訴訟法〕 和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2012年8月) 【刑事系】 〔刑法(総論)〕 大塚裕史・十河太朗・塩谷毅・豊田兼彦『基本刑法I 総論』日本評論社(2016年3月・第2版) 〔刑法(各論)〕 西田典之『刑法各論』弘文堂(2012年3月・第6版) 〔刑事訴訟法〕 宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2012年12月)
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【入門書・概説書】 【その他参考書】〔経済刑法〕 【演習書】 【判例集・ケースブック】 〔経済刑法〕 【少年法】〔基本書〕 〔入門書・概説書〕 〔その他参考書〕 【判例集・ケースブック】 【注釈書・コンメンタール】 【入門書・概説書】 井田良『基礎から学ぶ刑事法(有斐閣アルマBasic)』有斐閣(☆2022年2月・第6版補訂版)…… 刑事法分野全体を通覧する入門書。刑事法を中心とした法学入門という側面ももつ。全7Part、全24章。四六判、374頁。 三井誠・瀬川晃・北川佳世子編『入門刑事法』有斐閣(☆2022年3月・第8版)…… 刑事法全体を解説した入門テキスト。第7版より編者が曽根から弟子の北川へと交替した。序章(刑事法とは あらまし)+全3章、全20THEME。A5判、362頁。 大谷實『刑事法入門』有斐閣(2017年12月・第8版)……全18章。A5判、262頁。 渡辺修『刑事法入門──刑事裁判の風景』新世社(2000年6月)……A5判、264頁。 大越義久編著『教材 刑事法入門』東京大学出版会(1999年10月、オンデマンド版:2015年10月)……A5判、264頁。 木村光江『刑事法入門』東京大学出版会(2001年3月・第2版、オンデマンド版:2013年5月・第2版)……全20章。A5判、256頁。 佐久間修・高橋則夫・宇藤崇『いちばんやさしい刑事法入門(有斐閣アルマInterest)』有斐閣(2007年4月・第2版)……四六判、286頁。 内田博文・佐々木光明編『〈市民〉と刑事法──わたしとあなたのための生きた刑事法入門』日本評論社(2016年3月・第4版)……全2章、全17SECTION。A5判、272頁。 平川宗信『刑事法の基礎』有斐閣(2013年3月・第2版)……全3部、全13章。A5判、358頁。 赤池一将・中川孝博著、玄守道・斎藤司補訂『刑事法入門』法律文化社(2011年3月・第2版)……刑事法(刑法、刑事訴訟法、刑事学・刑事政策・犯罪学、少年法)を本格的に学びたい人のための導入の書である(はしがきより)。講義パートと自習パートという構成は旧版を踏襲されている。また、第Ⅰ部に法学入門がおかれている。全4部、全12講。B5判、200頁。 白取祐司『刑事法』放送大学教育振興会(2016年)……全15章。A5判、268頁。 上野幸彦・太田茂『刑事法入門』成文堂(2018年10月)……全2編、全19章。B5判、252頁。 【その他参考書】 三井誠・町野朔・曽根威彦・中森喜彦・吉岡 一男・西田典之編『刑事法辞典』信山社(2003年3月)……中項目辞典。総項目1686。四六判、928頁。 中山研一編『刑事法小辞典』成文堂(2003年8月・第2版)……「刑法」及び「刑事訴訟法」に関する用語1338を集め、解説したもの。B6判、364頁。 渡辺咲子『横断的刑事法レッスン』立花書房(2012年6月)……全23章。A5判、288頁。 前田雅英『刑事法の要点』東京法令出版(2017年10月)……A5判、136頁。 木庭顕『[笑うケースメソッドⅢ]現代日本刑事法の基礎を問う』勁草書房(2019年7月)……A5判、256頁。 新庄健二『司法試験 予備試験 刑法・刑事訴訟法・刑事実務論文 虎の巻』辰已法律研究所(2012年10月)……著者は元東京高検検事・元司法研修所検察教官・元司法試験考査委員。A5判、366頁。 〔経済刑法〕 山口厚編著、橋爪隆・島田聡一郎・古川伸彦・樋口亮介『経済刑法』商事法務(2012年11月)……全9章。A5判、422頁。 芝原邦爾・古田佑紀・佐伯仁志 編著『経済刑法──実務と理論』商事法務(2017年5月)……全2部、全17章。A5判、696頁。 佐久間修『刑法からみた企業法務──会社法・金融商品取引法の諸論点』中央経済社(2017年3月)……A5判、236頁。 斉藤豊治・浅田和茂・松宮孝明・高山佳奈子編著『新経済刑法入門』成文堂(2020年12月)……全2部、全28章。A5版、458頁。 穴沢大輔・長井長信『入門経済刑法』信山社(2021年10月)……A5変型判、352頁。 佐久間修『体系経済刑法―経済活動における罪と罰』中央経済社(2022年3月)……A5判、436頁。(評価待ち。) ☆松澤伸編著『基本学習 企業犯罪と経済刑法』商事法務(2023年11月)……四六判、200頁。 芝原邦爾『経済刑法(岩波新書)』岩波書店(2000年5月)……新書判、236頁。 【演習書】 島伸一編著『ロースクール生のための刑事法総合演習』現代人文社(2004年3月)……14テーマについて事例問題を設けて解説。一部の設問に弁護士による解答例が付されている。全15講。A5判、288頁。 平川宗信・後藤昭編『刑事法演習』有斐閣(2008年2月・第2版)……短めの事例の中に刑法と刑訴法の論点を織り交ぜた、いわゆる融合問題集。設問にはどちらかといえば基本的なものが多く、解説も丁寧である(著者の独自色が薄い)ので、初中級者にも使いやすい演習書であると思われる。全29事件。A5判、348頁。 【判例集・ケースブック】 法曹会編『最高裁判所判例解説 刑事篇』法曹会(1955年9月・昭和29年度版~2022年3月・令和元年度版)……A5判。最高裁判所判例解説の一覧 法務省大臣官房司法法制部編『高等裁判所刑事裁判速報集』法曹会(?年?月・昭和56年度版~2018年11月・平成29年)……本書(平成29年度版)は、全国の高等検察庁において作成した「高等裁判所刑事裁判速報」に掲載された裁判例のうち、平成29年分を各高等裁判所ごとに、その速報番号にしたがって収録したものであり、昭和56年度版から継続的に刊行されているものである。A5判、424頁。 加藤康榮『刑事法重要判例を学ぶ』法学書院(2012年7月)……刑法と刑事訴訟法の重要判例各10件をセレクト。全2編、全20講。A5判、340頁。 前田雅英『刑事法最新判例分析』弘文堂(2014年4月)……全3編、全50講。B5判、386頁。 前田雅英『刑事法判例の最前線』東京法令出版(2019年7月)……刑法総論:全9講、刑法各論:全7講、刑事訴訟法:全12講の全28講。A5判、336頁。 〔経済刑法〕 芝原邦爾・西田典之・佐伯仁志・橋爪隆『ケースブック経済刑法』有斐閣(2010年9月・第3版)……A5判、478頁。 【少年法】 〔基本書〕 平場安治『少年法(有斐閣法律学全集)』有斐閣(1987年4月・新版、OD版:2001年12月)……古典。定評ある体系書。A5判、592頁。 川出敏裕『少年法』有斐閣(☆2022年6月・第2版)……法教連載「入門講義 少年法」をもとに、連載中及び連載終了後に行われた法改正や、この間の少年法研究の進展も踏まえて、大幅な加筆、修正を行って(はしがき)書籍化。東大刑訴法に特徴的な緻密な解釈論を少年法に持ち込んだイメージ。したがって、理論面は随一。全11章。A5判、452頁(本文431頁)。 植村立郎『骨太少年法講義』法曹会(☆2022年6月・改訂版)……元裁判官による著書。東大、学習院ローにおける「少年非行と法」講義案を書籍化したもの。実務家の著書ということもあり実務運用や手続規定についてはとりわけ詳しい(上記基本書中随一)。章の冒頭に学修のポイントを掲げたり、巻末に参考裁判例集を掲載しており至便。改訂版はR3少年法改正に対応。全2編、全20章。A5判、404頁(本文357頁)。 裁判所職員総合研修所監修『少年法実務講義案』司法協会(2018年6月・3訂補訂版)……裁判所職員の研修教材として少年法の理論及び実務について全般的に論じた書。全20章。B5判、432頁(本文386頁)。 丸山雅夫『少年法講義』成文堂(☆2022年3月・第4版)……序章(少年司法システムの特殊性)+全10章+終章(少年法の動向)。A5判、394頁(本文370頁)。 武内謙治『少年法講義(法セミLAW CLASSシリーズ)』日本評論社(2015年3月)……九大教授。全5編、全28講。A5判、555頁。 ☆廣瀬健二『少年法』成文堂(2021年9月)……田宮弟子の元裁判官による体系書。R3少年法改正に対応。比較法・歴史的経緯の記述(旧少年法含む)が充実。A5判、670頁。 〔入門書・概説書〕 裁判所職員総合研修所監修『少年法入門』司法協会(2018年6月・7訂第2補訂版)……序章(少年法の沿革)+全11章。A5判、124頁(本文114頁)。 澤登俊雄『少年法入門(有斐閣ブックス)』有斐閣(2015年4月・第6版)……全3部、全11章。A5判、372頁。 廣瀬健二『子どもの法律入門 臨床実務家のための少年法手引き』金剛出版(2017年9月・第3版)……全7章。四六判、200頁。 守山正・後藤弘子編著『ビギナーズ少年法』成文堂(☆2023年5月・第3版補訂第2版)……全16講。A5判、430頁。 丸山雅夫『ブリッジブック少年法入門(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2013年3月)……序章(少年司法システムの特殊性)+全9章+終章(少年法の動向)。四六判、304頁。 関哲夫『入門 少年法』学事出版(2013年5月)……教師全般・児童相談所職員・家庭裁判所調査官・児童自立支援施設職員を対象とした入門書。全4章。B5判、148頁。 ☆廣瀬健二『少年法入門(岩波新書)』岩波書店(2021年6月)……新書判、240頁。 〔その他参考書〕 菊地幸夫・岸郁子・梁瀬洋『少年法Q&A 守られる権利・守るべき法律』三協法規出版(2004年3月)……A5判、448頁。 【判例集・ケースブック】 廣瀬健二編『裁判例コンメンタール少年法』立花書房(2011年12月)……A5判、552頁。 廣瀬健二編集代表、川出敏裕・角田正紀・丸山雅夫編集委員『少年事件重要判決50選』立花書房(2010年9月)……犯罪全体の相当部分を占める少年事件とそれを律する少年法について理解を深める実務的な参考書。A5判、336頁。 田宮裕編『少年法判例百選』有斐閣(1998年6月)……B5判、262頁。 【注釈書・コンメンタール】 守屋克彦・斉藤豊治『コンメンタール少年法』現代人文社(2012年12月)……少年法、少年審判規則のみならず、少年保護事件補償法の解説も加えている。A5判、688頁。 田宮裕・廣瀬健二編『注釈少年法』有斐閣(2017年9月・第4版)……少年の保護と犯罪対策という二面性をもつ少年法を少年審判実務に現に携わる裁判官・弁護士が中心となって解説した手引書。第4版において、平成26年改正、少年院法全面改正等に対応。A5判、752頁。 → このページのトップ:刑事系に戻る。 → リンク:刑法、刑事訴訟法、刑事実務
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〔親族法・相続法〕 前田陽一他『リーガルクエスト民法6-親族・相続』(2012年3月・2版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。はしがきで『双書民法』を最も意識したと述べている通り、著者らの自説を抑え、体系と条文の要件効果、判例を重視したつくりになっている。一方で、現行の法制度の運用実体や介護保険制度や信託法などの重要な関連法についてもコラム等で漏らさず述べている。また、重要な論点については丁寧に議論の積み重ねを記述しているため、わかりやすい。イメージとしては「双書民法」と「アルマ民法」の間にある基本書である。極めて「標準的」な教科書だが、個性の強い親族法の本の中では逆に珍しい。 高橋朋子・床谷文雄・棚村正行『民法7親族・相続』有斐閣アルマSpecialized(2011年12月・3版)……平成23年の家事事件手続法制定に対応。親族相続のアルマとしてオススメされるのはこちら。見解が穏当、現代的な問題点や新しい判例についても触れられている。定番。 二宮周平『家族法』新世社(2009年10月・3版)……全24章からなる教科書。練習問題付。リベラル色の強い価値観。『家族と法』岩波新書(2007年10月)は入門書として最適。. 窪田充見『家族法-民法を学ぶ』有斐閣(☆2013年1月・2版予定)……法学教室同名連載を単行本化。設例を中心にした600ページ近い厚さだが、読んでいてニヤリとしてしまうようなユーモラスな文体と充実したコラムにより、意外とスイスイ読める。「法的ルールとしての家族法」の理解形成を目指すとのこと。 犬伏由子・石井美智子・常岡史子・松尾知子『親族・相続法』弘文堂NOMIKA(2012年11月)……女性研究者4人による共著(親族法は犬伏・石井、相続法は常岡・松尾が執筆)。平成23年の法改正を反映。要件効果の説明がわりと丁寧。判例の引用も長め。ところどころ、図表が挿入され理解を助ける。 本山敦『家族法の歩き方』日本評論社(2009年2月)……法セミの連載を単行本化。川井は薄すぎるが二宮は厚すぎるという人にお勧め。価値観は二宮寄りだが前面に押し出されてはいない。以前このページで、本山は二宮周平の弟子であるとの記述があったが誤り。本書あとがきによれば、本山は円谷峻と野村豊弘の弟子。リークエの分担執筆担当者でもある。 有地亨『家族法概論』法律文化社(2005年4月)……家族法の権威による力のこもった体系書。制度の歴史経過などの説明が厚い。490頁。著者は2006年に逝去しているため改訂の見込みは少ない。 松川正毅『民法 親族・相続』有斐閣アルマBasic(2008年4月・2版)……論点意識せず。自説少。判例引用不正確。 吉田邦彦『家族法(親族法・相続法)講義録』信山社(2007年6月)……平井弟子による家族法講義録。 裁研『親族法相続法講義案』司法協会(2008年5月補正・6訂再訂版)……論点意識せず。判例・先例・通説で有力説皆無。索引雑。 深谷松男『現代家族法』青林書院(2001年3月・4版)……体系書。中川善之助の愛弟子。論点意識あり。物権法で使ってる本との組み合わせによっては,かなり回しやすい。 〔親族法〕 大村敦志『家族法』有斐閣(2010年3月・3版)……親族法のみ。内容は有力説が多いが,極め細やかな解釈であり評価高い。 我妻栄『親族法』有斐閣(1961年10月)……法律学全集。重厚だが古い。 〔相続法〕 潮見佳男『相続法』弘文堂(2011年10月・4版)……「プラクティス」のようにケース多用。最終意思尊重よりも法定相続制度を重視する立場をとり、プッシュは弱いが独自説が散見される。 床谷文雄・犬伏由子編『現代相続法』有斐閣(2010年10月)……実務に即したオーソドックスな相続法の教科書。相続関係紛争処理関係手続について章立てしているのが目新しい。家事事件手続法には未対応。 伊藤昌司『相続法』有斐閣(2002年10月)……重厚だが独自説多く司試向きではない。 中川善之助=泉久雄『相続法』有斐閣(2000年10月・4版)……法律学全集。いわゆる伝統的通説だが刊行年度が古いため、最新判例等を補充数する必要あり。
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【刑事事実認定】 【刑訴法実務書】〔令状実務〕 〔刑事控訴審実務〕 【刑事弁護】〔保釈実務〕 【裁判員裁判・公判前整理手続】 【量刑理論】 【刑事事実認定】 石井一正『刑事事実認定入門』判例タイムズ社(2015年7月・第3版)……元刑事裁判官による刑事事実認定テキスト。この分野において最初に読むべき本であろう。第Ⅰ部は、事実認定の基礎を、第Ⅱ部は、事実認定の方法を扱う。全8章。A5判、181頁(本文170頁)。 植村立郎『実践的刑事事実認定と情況証拠』立花書房(2020年9月・第4版)……元刑事裁判官による著作。刑事事実認定にも要件事実的思考が有用であるとする論文及び情況証拠に関する論文からなる。第3版(2016年6月)は、刑事事実認定概観、刑事裁判における事実認定の2章を書き下ろし。第4版において、下掲『刑事事実認定重要判決50選 上・下』の総論的役割をも果たすこととなった。全5章。判例索引あり。A5判、480頁。なお、刑事裁判官志望者にとっては、同著者による「実務現代刑事法(その3)・刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」(判例タイムズ1345号74頁、植村立郎『骨太実務現代刑事法・上』法曹会(2021年2月)219頁にも収録。)も有用である。 ☆植村立郎『続・骨太実務現代刑事法(骨太シリーズ4)』法曹会(2023年11月)……平成期の最高裁判例(判例時報連載の「最高裁刑事破棄判決の実情」などが情報源)につき、(1)事実認定を直接の対象としているもの、(2)法解釈を示したものであっても事実認定に関係するもの、(3)事実認定をする前提となる証拠能力に関するもの、(4)刑事事件だけでなく、再審事件、医療観察事件、少年事件も事実認定と関係するもの、と体系立てして、著者がコメントを付して概観した著作。著者の喜寿記念作。A5判、740頁。 植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選 上巻・下巻』立花書房(2020年3月・第3版)……判例タイムズ社の方が改訂されないまま古くなったので、現在はこちらが代表格である。なお、第2版(2013年10月)まで編者の1人であった小林充は2013年に逝去。重要論点に関する重要判例を多数収録しており、そこにおける判例の準則やあてはめの指針を見極めるうえで、非常に有益。司法試験対策にも直結するので、受験生も読むべき本である。第2版(2013年10月)では8項目追加、対象判例の変更・執筆者変更15項目(全63項目)。第3版では新たに21項目が追加され全84項目になり、それに伴いページ数も大幅に増加した。全3編、全84項目。A5判、768頁・784頁。 小林充・香城敏麿編『刑事事実認定-裁判例の総合的研究-上・下』判例タイムズ社(1992年9月、1992年11月)……判例タイムズ「事実認定に関する裁判例の総合的研究」(全26回)連載を書籍化したもの。執筆者はいずれも裁判官。刑事事実認定の基本的文献。なお、編者の小林充は2013年に逝去。絶版。A5判、477頁・488頁。 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題 木谷明先生古稀記念出版』成文堂(2015年11月・第3版)……刑事事実認定の基本テーマ15題を解説。修習生は是非とも読んでおきたいところである。出版社品切れ。A5判、574頁。 木谷明『刑事裁判の心 事実認定適正化の方策』『事実認定の適正化 続・刑事裁判の心』『刑事事実認定の理想と現実』『刑事裁判のいのち』法律文化社(2004年7月・新版、2005年7月、2009年8月、2013年8月)……元刑事裁判官による著作。調査官時代の論文、講演録、小論等からなる。いずれも冤罪防止という観点から論じられており、刑事裁判に関わる者ならば必読。特に前三者は木谷事実認定三部作と呼ばれる。A5判、296頁・310頁・252頁、四六判、180頁。同著者による『違法捜査と冤罪-捜査官! その行為は違法です。』日本評論社(2021年10月、四六判、264頁)も参照されたい。 大阪刑事実務研究会「事実認定の実証的研究(1)-(13)」(判例タイムズ227-322号)……刑事事実認定に関する古典的文献。 司法研修所編『自白の信用性』『情況証拠の観点から見た事実認定』『共犯者の供述の信用性』『犯人識別供述の信用性』法曹会(1991年7月、1994年5月、1996年7月、1999年6月)……刑事事実認定に関する司法研究報告書全4部作。なお、『自白の信用性』については、再審無罪が確定した布川事件(自白の信用性を否定)を自白の信用性を判断する一事例として掲げているという難点(本書を利用するにあたって)がある。A5判、280頁・612頁・404頁・408頁。 原田國男『逆転無罪の事実認定』勁草書房(2012年7月)……量刑法の第一人者である元刑事裁判官による著書。I 刑事裁判へのメッセージ(えん罪を防ぐ審理のあり方、控訴審における審理のあり方、刑事裁判の魅力)、II 逆転裁判の事実認定(自身が担当した控訴審で逆転無罪となった20件16事例の判決文とその解説)。A5判、264頁。なお、同著者の一般人向けの著作として『裁判の非情と人情(岩波新書)』がある。 菊地幸夫『新司法試験 LIVE刑事事実認定特訓講座―刑事系論文演習問題集』『続・LIVE刑事事実認定特訓講座』辰已法律研究所(2008年10月、2010年2月)……元司法研修所(刑事弁護)教官による著作。A5判、209頁・222頁。 中川孝博『刑事裁判・少年審判における事実認定 証拠評価をめぐるコミュニケーションの適正化』現代人文社(2008年12月)……全13章。A5判、304頁。 丸山輝久『判例を基にした刑事事実認定の基礎知識』現代人文社(2011年12月)……入門的教科書。全8章。B5判、544頁。同著者による『55の再審裁判事例から誤判の原因を探る-有罪率99.9%に潜む冤罪の危険』現代人文社(2021年7月、A5判、964頁)も参照されたい。 髙森高德『Q A 実例 捜査における事実認定の実際』立花書房(2014年4月・第2版)……捜査における事実認定に関し、認定の在り方、各種証拠の検討の在り方、個別犯罪認定上の問題等を解説。第2版において、供述の信用性に関する問題が追加等された。全110問。A5判、248頁。 門野博『白熱・刑事事実認定 -冤罪防止のハンドブック-』青林書院(2017年10月)……元刑事裁判官が刑事事実認定が問題となった裁判例を素材に、A弁護士とB弁護士(いずれも架空)の対談形式で検討を加え、さらに著者の研究ノートを付すスタイル。全10講。A5判、280頁。同著者による『刑事裁判は生きている-刑事事実認定の現在地』日本評論社(2021年4月、A5判、340頁)も参照されたい。 最高裁判所事務総局刑事局監修『自白の任意性・信用性に関する刑事裁判例集』司法協会(1997年9月)……絶版。 守屋克彦『自白の分析と評価─自白調書の信用性の研究』勁草書房(1988年12月、OD版:2005年4月)……(元)刑事裁判官による著作。なお、著者は2018年に逝去。A5判、394頁。なお、同著者の自伝として、守屋克彦・著、石塚章夫、竹内謙治・インタビュアー『守柔-現代の護民官を志して(ERCJ選書)』日本評論社(2017年4月、四六判、296頁)がある。 渡部保夫『無罪の発見─証拠の分析と判断基準─』勁草書房(1992年3月)……(元)刑事裁判官による著作。なお、著者は2007年に逝去。A5判、448頁。なお、同著者による一般人向けの著書(刑事裁判入門)として『刑事裁判を見る眼(岩波現代文庫)』岩波書店(2002年8月、A6判、280頁)、『刑事裁判ものがたり(JLF選書)』日本評論社(2014年6月、四六判、210頁)がある。 ☆吉弘光男・宗岡嗣郎編『犯罪の証明なき有罪判決 23件の暗黒裁判』九州大学出版会(2022年2月)……A5判、320頁(評価待ち)。 【刑訴法実務書】 渡辺弘・谷口安史・中村心・髙原知明・下津健司・江口和伸『民事裁判実務の基礎/刑事裁判実務の基礎』有斐閣(2014年6月)……法学教室の連載「民事裁判実務講座」「刑事裁判実務講座」に、渡辺弘による「民事裁判の流れ」(同誌381号掲載)を加えて単行本化したもの。裁判官が執筆している。まずはここから。全6・6講。A5判、250頁。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(☆2020年3月・平成30年版)……司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。予備試験の刑事実務や口述対策に役立つという声もある。全8章。A4判、252頁。 司法研修所編『刑事判決書起案の手引』法曹会(2007年6月・平成19年版)……司法修習生の判決起案の参考として作られたもの。全5章。A5判、152頁。 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……普通に基本書として使われることもある。A5判、1510頁。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官による実務書。証拠法の分野では他の追随を許さない。実務家必携本。A5判、600頁。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。絶版。 法曹会編『刑事裁判書集 上・下』法曹会(1984年3月、1985年5月)……刑事裁判書事例集 門野博『裁判員裁判への架け橋-刑事裁判ノート』判例タイムズ社(2012年10月)……元裁判官が自身が担当した高裁刑事事件について解説したケースブック(裁判例も収録)。判例タイムズ連載に、布川事件、少年事件編を追補して単行本化したもの。裁判官志望者は必読。絶版。A5判、398頁。 虎井寧夫『令状審査・事実認定・量刑-刑事裁判官の思索と実践』日本評論社(2013年9月)……元刑事裁判官が簡裁裁判官の研修用にまとめた令状審査、事実認定、量刑に関するQ A集。特に令状審査に関する文献はあまりないだけに貴重。任官希望者はもちろん刑事弁護人志望者にも役立つだろう。A5判、340頁。 佐藤嘉彦『刑事裁判覚書―裁かば裁かれん 念ずれば花ひらく』成文堂(2014年3月)……同志社ロー教授(元裁判官)による刑事論文集。第1章・事実認定論、第2章・量刑論が読みどころ。古今東西の文献を参照しつつ自らの裁判経験に基づく事実認定論、刑の量定論を展開しており参考になるし、読み物としておもしろい。A5判、328頁。 裁判所職員総合研修所監修『刑事実務(公判準備等) 講義案』司法協会(2017年6月・5訂版)……B5判、474頁(本文455頁)。 裁判所職員総合研修所監修『公判手続と調書講義案』司法協会(2018年6月・3訂補訂版)……B5判、436頁(本文400頁)。 三好一幸『略式手続の理論と手続』『刑事公判の理論と実務』司法協会(2017年12月・第2版、2019年6月・第2版)……簡裁判事による刑事手続マニュアル本。B5判、172頁(本文141頁)・222頁。 前田雅英編著、青木英憲・藤井俊郎・丸山哲巳・峰ひろみ著『刑事訴訟実務の基礎』弘文堂(2017年3月・第3版)……法科大学院での必修科目「刑事訴訟実務の基礎」用のテキスト。記録篇と解説篇からなる2分冊。第2版(2013年3月)では、文書を作成する作業を学ぶ手がかりとなる「発展課題」が加えられ、第3版では、旧版(2013年3月・第2版)以降の法改正や判例の動向が踏まえられ、さらに、予備試験における具体的出題も意識した設問や解説が加えられ、予備試験対策がより強化された。解説篇は全15講。A5判、532頁。(評価待ち。) 司法研修所刑事裁判教官室編『プラクティス刑事裁判』法曹会(2019年1月・平成30年版)……本書は、司法研修所の教材として用いられている「プラクティス刑事裁判」とその別冊を合冊したもの。これらの教材は、「当事者及び裁判所は、公判前整理手続においてどのように争点及び証拠を整理し、公判手続において何をなすべきなのだろうか。本書は、これからの司法を担う修習生に、これらの点を考えてもらうために作成したものである。」(「はしがき」より)というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの。平成30年版において、旧版(2015年6月)以降の刑訴法の改正等を踏まえて改訂された。全5章。A4判、176頁。 司法研修所刑事裁判教官室編『プロシーディングス刑事裁判』法曹会(2019年1月・平成30年版)……『プラクティス刑事裁判』を参照しつつ、第一審刑事裁判手続の流れについて復習してもらうために作成されたものである。というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの(はしがき)。レジュメ調。平成30年版において、旧版(2016年11月)以降の刑訴法の改正等を踏まえて書き改められたうえ、著名な裁判例を踏まえた「Q」を、その裁判例で問題となった手続時点の箇所に加筆され、刑訴法上の問題が手続のどの段階で生じ得るのかの理解に資するように工夫がなされた。全5章。A4判、124頁。 髙嶋智光編集代表、園原敏彦・清野憲一編集委員『新時代における刑事実務』立花書房(2016年12月)……裁判所、検察庁、法務省矯正局、同省保護局などの刑事司法の最前線で活躍する方々に、その最前線の知見を紹介していただくという企画(はしがき)。3編構成で21論文を収録。A5判、512頁。 椎橋隆幸監修、寺本吉男・大野勝則・山上秀明編著『実務家に必要な刑事訴訟法―入門編』弘文堂(2018年7月)……A5判、224頁。 〔令状実務〕 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補 令状基本問題 上・下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月、1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため、判例時報社が引き継いだ。ほぼここにしか書かれていない論点が出題されたこともある(平成23年度刑訴の準現行犯逮捕)。A4判、472頁・383頁。 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I・II(別冊判例タイムズ34・35号)』判例タイムズ社(2012年8月、2013年1月)……令状に関する実務上の問題202問について実務家(ほとんどは裁判官または元裁判官)が解説。全2冊(I 総論・逮捕・勾留:109問、II 保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告:93問)。上記『令状基本問題』の実質的な後継本。B5判、244頁・216頁。 三好一幸『令状審査の理論と実務』司法協会(☆2024年4月・第3版)…B5判、244頁。 恩田剛『逮捕勾留プラクティス』『捜索差押等プラクティス』司法協会(2018年9月、2020年10月)……書記官から副検事・検事に転じた後、簡裁判事に任官した異色の経歴を持つ著者による令状実務マニュアル本。A5判、228頁(本文214頁)、272頁(本文252頁)。 田中康郎監修、安東章・河本雅也・河原俊也・鈴木巧編『令状実務詳解』 立花書房(☆2023年4月・補訂版)……執筆者は100名を超える裁判官。ということで内容は玉石混交で、『令状基本問題』や『令状に関する理論と実務』に取って代わるほどのものではない。補訂版は少年法改正を反映。A5判、1408頁。 〔刑事控訴審実務〕 小林充『刑事控訴審の手続及び判決書の実際』法曹会(2000年6月)……元裁判官による控訴審判決書作成マニュアル書。控訴審弁護人にとっても有用。なお、著者は2013年に逝去。A5判、204頁。 石井一正『刑事控訴審の理論と実務』判例タイムズ社(2022年7月・第2版)……元裁判官による刑事控訴審実務書。全10章+付章。A5判、552頁(本文494頁。) 【刑事弁護】 岡慎一・神山啓史『刑事弁護の基礎知識』有斐閣(2018年12月・第2版)……同名の法教連載の書籍化したもの。著名な刑事弁護士がケース・セオリー理論(本当は何が起こったかについての論理的で説得的なストーリーを積極的に主張・立証していく弁護方針)を柱に、刑事弁護「技術」の基礎になる「考え方」を分かりやすく解説した著書。(刑事)弁護活動の限界に1章を設けているのも特徴の一つ。修習生、刑事弁護人は必読。第2版において、刑事弁護における重要なテーマである「量刑弁護」について新たな編が設けられた。全5部、全22章。A5判、310頁。 大木孝『和光だより-刑事弁護教官奮闘記』現代人文社(2010年10月)……刑事弁護教官(弁護士)が横浜弁護士会のメーリングリストに寄稿した「和光だより」を書籍化したもの。司法研修所の刑事弁護科目に関する解説内容が充実しており、図表を用いてわかりやすく説明されておりとても参考になる。ただし、現在は刑事弁護カリキュラムが大幅に改訂されていることに注意が必要である。現在のカリキュラムについての概略:ダニエル(藤田充宏)・裁判員裁判レポート。A5判、215頁。 佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理─刑事弁護の心・技・体』有斐閣(2007年5月)……刑法学者藤木英雄の元助手である弁護士による著書。刑事弁護のスピリットを伝える。A5判、410頁。 『刑事弁護ビギナーズ』現代人文社(2019年3月・ver.2.1)……季刊刑事弁護増刊。刑事弁護のいろはを学ぶ本。実務家になったら、最初に参照する本。実務で使える書式・資料集を収録したDVDも付属しており、至便。ver.2.1は、ver.2(2014年9月)に刑訴法改正に伴う変更が加筆されるとともに、従前の内容についてもよりわかりやすくするための修正が加えられたもの。なお、ver.2については、2016年改正刑訴法成立に伴う注意点(補遺)が公開されている。B5判、256頁。なお、少年事件に特化した姉妹書として、『少年事件ビギナーズ』(2018年7月・ver.2、B5判、240頁)がある。 『情状弁護アドバンス』現代人文社(2019年10月)……季刊刑事弁護増刊。B5判、224頁。 大出良知・高田昭正・神山啓史・坂根真也編著『刑事弁護』現代人文社(2009年10月・新版)……刑事弁護にまつわる51テーマにつき、問題の所在、弁護活動のポイント、理論上のポイントを解説。神山啓史弁護士の裁判員裁判Columnも参考になる。新版において、裁判員裁判など新制度にも対応できるよう配慮された。 B5判、211頁。 三木祥史『Q A類型別刑事弁護の実務』新日本法規出版(2010年3月・改訂)……元刑事弁護教官による著書。A5判、638頁。 東京弁護士会刑事弁護委員会編『新・実践刑事弁護 昇平弁護士奮闘記』現代人文社(2018年12月・第2版)……刑事弁護の入門書。『実践刑事弁護』(国選弁護編)と(当番弁護編)を合本した著書。とりわけ東京地裁における運用に詳しい。A5判、212頁。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『国選弁護活動の手引き 公判前整理手続編』『同 上訴審編』第一東京弁護士会(2018年3月、2020年11月・第3版)……公判前整理手続、上訴審国選弁護のマニュアル本。A5判、135頁、83頁。なお、本書に関連して、植村立郎「講演:上訴審弁護について-第一東京弁護士会刑事弁護委員会編「国選弁護活動の手引き上訴審編」(以下「手引き」という。)の紹介を兼ねて 」『学習院法務研究』第8号79-113頁(2014年3月)(学習院大学リポジトリからDL可能。)、同「上訴審における刑事弁護について」『東京大学法科大学院ローレビュー』第12号67-85頁(2017年11月)(ウェブでDL可能)も参照されたい。 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『刑事弁護マニュアル』ぎょうせい(2012年3月・全訂)……犯罪被害者への対応、外国人・少年事件の弁護など、効果的な弁護を実現するための留意点を随所に解説。A5判、306頁。 ☆東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『新・刑事弁護マニュアル-手続の勘所と実践知』ぎょうせい(2022年2月)……A5判、512頁。(評価待ち。) 山内久光『Q A刑事弁護の理論と実践-実務における基本的思想』日本加除出版(2012年10月)……元刑事弁護教官である弁護士が公判前整理手続・裁判員裁判時代における刑事弁護の標準を明らかにした著書。刑事弁護人であれば必読。A5判、404頁。 宮村啓太『事例に学ぶ刑事弁護入門―弁護方針完結の思考と実務』民事法研究会(2018年2月・補訂版)……「最善努力義務」を果たすための思考とノウハウを書式等豊富な資料を織り込み解説したもの。補訂版において、刑の一部執行猶予制度、公判前整理手続に付する請求権等新たな制度が織り込まれた。A5判、214頁。 荒木和男ほか編著『はじめての刑事弁護Q A実務書式58』青林書院(2013年5月)……東弁刑事弁護委員会の有志によるQ A+書式集。A5判、392頁。 日本弁護士連合会編『法廷弁護技術』日本評論社(2009年3月・第2版)……裁判員制度をふまえた日弁連公式の弁護技術テキスト。修習生以上なら必携。しかし、著者は、概ね研修所教官と世界観を異にしている。全14章。A5判、308頁。 日本弁護士連合会編『裁判員裁判における弁護活動─その思想と戦略』日本評論社(2009年1月)……上記「法廷弁護技術」の続編。自由と正義連載の単行本化。公判前整理手続についての解説は特に詳しく、「証拠開示の最前線」と題する章は司法試験受験生にも役立つだろう。修習生以上必携。全16章。A5判、244頁。 庭山英雄・荒木和男・合田勝義編著『実務 刑事弁護と証拠法』青林書院(2011年5月)……全9章。A5判、536頁。 櫻井光政『刑事弁護プラクティス-新人弁護士養成日記』、『同2』現代人文社(2013年9月、2020年12月)……雑誌季刊刑事弁護連載「桜丘だより」の単行本化。桜丘法律事務所における若手弁護士の刑事弁護事件の執務内容を日記形式で記録したもの。実際の刑事弁護事件の事例が豊富であり、その丁寧な事件処理方針についてはとても参考になる。修習生・刑事弁護人必読。四六判、254頁、296頁。 後藤昭・高野隆・岡慎一編著『実務体系 現代の刑事弁護〔全3巻〕』第一法規(2013年9月-2014年9月)……第1巻:弁護人の役割、第2巻:刑事弁護の現代的課題、第3巻:刑事弁護の歴史と展望。A5判、434頁・472頁・448頁。 兵庫県弁護士会「実践犯罪被害者支援と刑事弁護」出版委員会編著『実践 犯罪被害者支援と刑事弁護-弁護士による被害者支援と刑事弁護人の対応』民事法研究会(2015年7月)……兵庫県弁護士会において刑事弁護人と被害者参加弁護士により共同で開催された「刑事弁護実務と犯罪被害者支援」研修会の成果を書籍化した珍しい著作。刑事弁護の観点からみても被害者保護法制の内容を知る上で有用である。 『刑事弁護フロンティア 季刊刑事弁護新人賞全作品(2004-2015)』現代人文社(2015年9月)……季刊刑事弁護新人賞の歴代の最優秀賞、優秀賞、特別賞の受賞作品(刑事弁護レポート)をまとめたもの。修習生・刑事弁護士必読。B5判、233頁。 東京弁護士会春秋会編『実践 訴訟戦術[刑事弁護編]-やっぱり弁護士は悩んでいる』民事法研究会(2016年2月)……新人・若手・中堅・ベテラン弁護士の座談会形式で刑事弁護にまつわる戦術的視点を詳解。全10章。A5判、391頁。 三木祥史ほか著『ベーシック刑事弁護実務』三協法規出版(2016年2月)……元司法研修所刑事弁護教官(及び所付)弁護士による実務入門書。そのため上訴審の弁護活動については割愛している。各論点はサマリー形式で冒頭にて重要事項を要約。刑訴法改正案にも対応しており、取調べ可視化制度、司法取引制度、刑事免責制度についても言及しているのが特徴。執筆者(三木祥史・遠藤常二郎・千葉肇・二島豊太・吉田秀康・宮田桂子・中重克巳)。全7章。A5判、420頁。 植村立郎監修、岡慎一・神山啓史編『刑事上訴審における弁護活動』成文堂(2016年3月)……全83問のQ A方式で刑事上訴審弁護につき経験豊富な刑事弁護士が解説し、監修者が裁判官視点からのコラムを付すというスタイル。刑事弁護人必読。A5判、254頁。 大阪弁護側立証研究会編『実践!弁護側立証』成文堂(2017年6月)……刑事弁護における弁護側立証に特化した内容となっている。全5章。B5判、244頁。 木谷明編集代表、趙誠峰・吉田京子・高山巌編『憲法的刑事弁護 弁護士高野隆の実践』日本評論社(2017年7月)……A5判、392頁。(評価待ち。) 浦功編著『新時代の刑事弁護』成文堂(2017年9月)……A5判、716頁。(評価待ち。) 高野隆・河津博史編著『刑事法廷弁護技術』日本評論社(2018年2月)……A5判、320頁。(評価待ち) 大阪弁護士会刑事弁護委員会編『捜査弁護の実務』大阪弁護士協同組合(2009年3月・第3版)……書式集CD-ROM付き。A4判、385頁。 服部啓一郎・深澤諭史・淺井健人編著『先を見通す捜査弁護術』第一法規(2018年2月)……捜査弁護(起訴前弁護)に特化した内容。刑事事件の弁護活動において、捜査弁護段階で弁護士として押さえておくべき知識とノウハウをテーマ別に解説。執筆者(髙木小太郎・後藤晃輔・菱沼秀樹)。A5判、416頁。 大木和弘・金竜介・児玉晃一・関聡介『外国人刑事弁護マニュアル』現代人文社(2014年8月・改訂第3版)……A5判、196頁。 神山啓史編著、『五・七・五で伝える刑事弁護』刊行委員会編集協力『五・七・五で伝える刑事弁護-その原点と伝承』現代人文社(2019年10月)……著名な刑事専門弁護士である著者が5・7・5で刑事弁護の技術と精神を説く第1部、座談会とインタビューからなる第2部で構成。現在の刑事弁護修習カリキュラムの概要を知ることができる資料〔第3章(座談会)司法研修所の刑弁教育改革を振り返る〕としても有用。A5判、264頁。 瀨野泰崇、伊藤寛泰編著『こんなときどうする刑事弁護の知恵袋』現代人文社(2021年3月)……刑事弁護実務の初歩的な疑問点をQ A形式で回答。A5判・176頁。 ☆後藤貞人編著『否認事件の弁護——その技術を磨く 上下』現代人文社(☆2023年4月)……「最高の否認弁護技術」を70のQ Aで論じた著作。A5判、346頁・354頁。 〔保釈実務〕 丹治初彦編、丸田隆・春日勉・斎藤司著『保釈-理論と実務』法律文化社(2013年7月)……保釈実務に関する記載が詳しい。罪名ごとの保釈金額調査表が載っている。A5判、210頁。 髙木小太郎・中原潤一編著『事例から掴む 保釈請求を通す技術』第一法規(2021年8月)……保釈請求に特化した内容。A5判、224頁。 ☆愛知刑事弁護塾編『保釈を勝ち取る-90事例の裁判理由からみる傾向と対策(GENJIN刑事弁護シリーズ28)』現代人文社(2021年12月)……保釈に特化した内容。A5判、352頁。 【裁判員裁判・公判前整理手続】 司法研修所編『裁判員裁判における第一審の判決書及び控訴審の在り方』法曹会(2009年4月)……平成19年度司法研究報告書。A5判、142頁。なお、控訴審の運用については、東京高等裁判所刑事部陪席裁判官研究会(つばさ会)「裁判員制度の下における控訴審の在り方について」(判タ1288号5頁)、東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研究会「控訴審における裁判員制度の審査の在り方」(判タ1296号5頁)もチェックすべし。 司法研修所編『裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方』法曹会(2008年4月)……平成18年度司法研究報告書。A5判、352頁。 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』法曹会(2009年4月)……司法研究報告書。「裁判員に分かりやすい審理の実現のために、専門用語の平易化という道を選ぶのではなく、各用語・法律概念の本当に意味するところを、刑事法に関するこれまでの研究成果と裁判例を分析することによって検討し、これを裁判員に伝えるための説明方法を考えようとする」司法研究。A5判、304頁。 司法研修所編『科学的証拠とこれを用いた裁判の在り方』法曹会(2013年3月)……平成22年度司法研究報告書。A4判、156頁。 司法研修所編『裁判員裁判において公判準備に困難を来した事件に関する実証的研究』法曹会(2018年11月)……平成27年度司法研究報告書。A4判、160頁。 司法研修所編『裁判員裁判と裁判官-裁判員との実質的な協働の実現をめざして』法曹会(2019年11月)……司法研究報告書。間接事実からの総合判断について「意味合い・重み」という概念を提唱。A4判、188頁。 大阪刑事実務研究会「裁判員裁判における法律概念に関する諸問題」(判例タイムズ1350号-連載中)……上記『難解な法律概念と裁判員裁判』の難解概念研究のアプローチをも参考にしながら、裁判員裁判において争点となることが想定される法律概念や論点について、実際の裁判員裁判における実例を踏まえつつ、公判前整理手続や審理、評議の在り方等について研究する連載。全14回を予定。 酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』判例タイムズ社(2009年11月)……公判前整理手続における証拠開示を題材とした論文集。多数の未公刊裁判例を収録しており参考になる。絶版。 大阪刑事実務研究会「公判前整理手続に関する諸問題」(判例タイムズ1294-1331号・全16回)……関西の刑事裁判官による共同研究。 大阪弁護士会裁判員制度実施大阪本部編『コンメンタール公判前整理手続』現代人文社(2010年6月・補訂版)……弁護士による公判前整理手続逐条解説。したがって、実務的に受け入れられていない見解が多数あることに注意されたい。A5判、244頁。 落合義和・辻裕教ほか『新法解説叢書21 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)及び刑事訴訟規則等の一部を改正する規則の解説』法曹会(2010年7月)……立案担当者による公判前整理手続等の法律・規則の逐条解説。A5判、542頁。 日本弁護士連合会裁判員本部編『公判前整理手続を活かす(GENJIN刑事弁護シリーズ05)』現代人文社(2011年7月・第2版)……公判前整理手続制度開始後の運用状況を踏まえて全面改訂された日弁連の公判前整理手続(半)公式テキスト。A5判、176頁。 杉田宗久『裁判員裁判の理論と実践』成文堂(2013年12月・補訂版)……元刑事裁判官による著作。A5判、494頁。 庭山英雄・宮﨑大輔・寺崎裕史編著『公判前整理手続の実務』青林書院(2015年1月)……弁護人の側から公判前整理手続を論じた著作。序章(国民の良識を反映させるために)+全22章+資料集は全20点。A5判、302頁。 安廣文夫編著『裁判員裁判時代の刑事裁判』成文堂(2015年5月)……安廣元裁判官の古稀記念論文集。執筆者は裁判官と研究者。A5判、534頁。 山崎学『公判前整理手続の実務』弘文堂(2020年12月・第2版)……元刑事裁判官・元慶應ロー客員教授による公判前整理手続の体系書。実務の運用に詳しく、関連判例を詳しく解説しているのが特徴。著者の立場は必ずしも現状追認というわけではなく、立案担当者解説や大コンメンタール刑訴法の見解に異議を申し立てている箇所が少なくない。第2版ではH28刑訴法改正に対応。全10章。A5判、472頁。 日本弁護士連合会刑事調査室編『起訴前・公判前整理・裁判員裁判の弁護実務』日本評論社(2019年5月)……全4章。A5判、192頁。 【量刑理論】 原田國男『量刑判断の実際』立花書房(2008年11月・第3版)、『裁判員裁判と量刑法』成文堂(2011年11月)……量刑研究の第一人者である刑事裁判官による二部作。『実際』に収録されている論文はいずれも重要文献だが、とくに「量刑基準と量刑事情」、「量刑判断の実際」は、刑事裁判における標準的な量刑実務を解説したものであり、修習生ならば必読である。A5判、448頁・299頁。 大阪刑事実務研究会編『量刑実務大系 Ⅰ-Ⅴ』判例タイムズ社(I・2011年9月、II・2011年10月、III・2011年11月、IV・2011年12月、V・2013年7月)……判例タイムズに連載された実務家・研究者による共同研究「量刑に関する諸問題」(判例タイムズ1183号-1325号・全26回)を単行本化したもの。第5巻は裁判員裁判該当罪種のうち代表的なものについて、当該罪種において特に重視すべき量刑因子についての類型的研究で書き下ろしで判例を収録したCD-ROM付き (第1巻『量刑総論』、第2巻『犯情等に関する諸問題』、第3巻『一般情状等に関する諸問題』、第4巻『刑の選択・量刑手続』、第5巻『主要犯罪類型の量刑』)。A5判、416頁・376頁・448頁・320頁・352頁。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『量刑調査報告集』第一東京弁護士会(I・2000年8月、II・2008年8月、III・2010年4月、量刑不当破棄編・2011年3月、IV・2015年3月、V・2018年3月、量刑不当破棄編II・2018年3月)……一弁の「国選弁護結果報告書」を基礎資料として、罪名ごとに量刑その他の関連情報を集めた資料集(現時点で5冊+量刑不当破棄編2冊)。量刑不当破棄編は上訴審における量刑不当による破棄自判事例を集めたもの。刑事弁護人ならば必携。一般書店では市販されていないが、弁護士会館ブックセンターや至誠堂書店などで購入可能。 司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』法曹会(2012年10月)……司法研究報告書。裁判員裁判に相応しい量刑評議の在り方、判決書の在り方、審理・公判前整理手続の在り方についての考察。本書の提唱する見解が次第に浸透し、基本的には検察庁やいわゆる刑事弁護士からも支持を得たことにより、自白事件における量刑判断に変化が現われ、最近の第1審の判決書をみると、本書の見解に根ざした判決書の記載が数多く出されるようになったとの評がなされている(山崎学『公判前整理手続の実務』(弘文堂)133頁)。A5判、300頁。 日本弁護士連合会裁判員本部編『裁判員裁判の量刑(GENJIN刑事弁護シリーズ14)』現代人文社(2012年5月)……裁判員裁判における量刑データ集。A5判、688頁。 日本弁護士連合会刑事弁護センター編『裁判員裁判の量刑II(GENJIN刑事弁護シリーズ21)』現代人文社(2017年10月)……上記裁判員裁判の量刑の続編。CD-ROM付き。A5判、216頁。 ☆川上拓一編著、濵田毅・清水保彦・吉田秀康・互敦史著『裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断』学陽書房(2022年2月)……交通事故刑事事件の量刑判断に特化した内容の書籍。A5判、304頁。 → このページのトップ:刑事実務に戻る。 → リンク:民事実務、法曹倫理、刑法、刑事訴訟法
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〔平成19年改正対応〕 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいため、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。 ☆白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2010年10月・第6版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2010年12月・第2版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言している。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月) ☆総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。 ☆渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したものとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目次など→酒巻連載 〔マイナー・平成19年改正対応〕 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授という設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定説としている)。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2009年6月) 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月) ☆平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2009年4月)……元最高検検事による教科書。自説が強すぎて試験には使いづらい。 〔その他参考書〕 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめてアメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版☆下巻は改訂中)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書では教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。著者が1999年に他界しているため、平成12年以降の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のところ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。 (刑訴法実務書) ☆石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。改訂の噂あり。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。 ☆石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 ☆司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。 〔入門書〕 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月) 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版) 〔コンメンタール〕 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆しているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基本法コンメンタールの方に分がある。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。 〔判例集〕 ☆井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。 ☆三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。 〔ケースブック〕 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版) 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版) 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。 〔演習〕 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとんどの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題集というよりも論点集に近いが、東大系の主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアがついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーできる。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。編著者に東大系の学者がおらず解説も玉石混淆であるが、実務家の解説は実践的で役に立つ。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。 ☆古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではなく、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向(とくに東大系学者の最新知見)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅しているわけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。
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〔手形〕 大崎晴由『書式 手形・小切手訴訟の実務』民事法研究会(2009年9月・全訂2版)……実務家向けの本だが、論文で手形が出なくなった新司法試験では十分な情報量がある。初心者にもわかりやすく、訴訟実務に沿って手形法を理解できる良書である。 坂井芳雄『手形法小切手法の理解』法曹会(1996年3月)……元裁判官で手形法実務の第一人者。創造説、有因論、白地補充権概念不要論。記述もわかりやすく名著だが絶版。 田邊光政『最新手形法小切手法』中央経済社(2007年4月・5訂版)……独自説多め。権利外観理論で大体一貫しているので、答案に使い易くはある。 川村正幸『手形・小切手法』新世社(2005年10月・3版)……著者は金融取引法の権威であり、金融取引法の一貫として手形法・小切手法を解説 している。通説に近い。読みにくさを指摘する声も。徹底した権利外観法理。簡易版の『基礎理論手形小切手法』法研出版(2007年12月・2版)あり。 弥永真生『リーガルマインド手形法・小切手法』有斐閣(2007年4月・2版補訂2版)……通説が多い。 大塚・林・福瀧『商法Ⅲ(手形・小切手)』有斐閣S(2011年10月・4版)……コンパクトサイズだがよくまとまった一冊。基礎的理解に徹している。初学者~中級者向け 上柳・鴻・北沢編『手形法・小切手法 商法講義 (有斐閣双書)』(1998年4月・新版)……手形法版ダットサン。『リーガルクエスト会社法』の執筆者の一人である伊藤靖史が2009年4月時点での推 薦教科書リストの筆頭にあげるなど本自体の出来はとても良い。著者数名が鬼籍に入っており、改訂は望めないが、手形法理論の進展や判例は少ないのであまり 問題はない。基本が過不足なくコンパクトにまとめられており、中級者以上がまとめとして読むのにお勧め。 森本滋編『手形法小切手法講義』成文堂(2010年4月・2版)……未完に終わった森本の法教連載(手形法小切手法の理論と実務)をベースに共著 で教科書化したもの。銀行員が手形取引実務を解説した「銀行取引と手形」なる章、約束手形の作成から消滅までの流れを解説した「約束手形の一生」なる章が 含まれているのが本書の特徴。交付契約説+権利外観説ベースで判例実務を念頭においた無難な見解でまとめており、現時点で最適なテキストのうちの一つ。 早川徹『基本講義手形・小切手法』新世社(2007年3月)……交付契約説+権利外観説。薄い本だが2色刷で文章も分かりやすく、結論も無難なもの。引用される判例には百選の判例番号が付され、参照に便利。 田邊宏康『手形小切手法講義』成文堂(2008年3月)……法学部学生向けの教科書。交付契約説+権利外観理論。薄いがケース・図多用で読みやすい。 前田庸……『入門』(1983年3月)と『法律学大系』(1999年2月)の2冊(後者は分厚い)。創造説。文章は分かり易い。 裁判所書記官研修所編『手形法小切手法講義案』司法協会(2001年6月・6訂版)……判例ベース(発行説)。ただし出題範囲を超える記述もあるので注意。 末永敏和『手形法・小切手法―基礎と展開』中央経済社(2007年6月・2版)……非常に薄い。 関俊彦『金融手形小切手法』商事法務(2003年11月・新版)……実務を強く意識した独自説。旧来の「転々流通する手形」像に疑問を提起している。 木内宜彦『手形法小切手法』新青出版(1982年4月・2版、復刊1998年4月)……契約説。かつての創造説全盛時代における契約説の旗手。著者夭折の為、古い。 丸山秀平『基礎コース商法I総則・商行為法/手形・小切手法』新世社(2010年1月・3版)……商総・商行為、手形法を1冊で。手形学説では逐一創造説に分量を裂いているため、契約説での論証が薄くなってしまっている。 小塚荘一郎・森田果『支払決済法―手形小切手から電子マネーまで』商事法務(2010年9月)……タイトルどおり、手形・小切手に限らず、電子マネーや銀行振り込み等々の現存する支払決済の法理について、その機能を説明したもの。
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刑事訴訟法 平成11(1999)年 通信傍受法成立。 平成12(2000)年 大幅改正&犯罪被害者保護法成立。 平成16(2004)年 裁判員制度、被疑者国選弁護制度他。 平成17(2005)年 即決裁判手続き他。 平成19(2007)年 被害者参加制度、損害賠償命令他。 平成22(2010)年 公訴時効改正。 平成23(2011)年 記録付差押え命令等。 〔メジャー・平成19年改正対応〕 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴 だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説している という意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での 勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化 する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいた め、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。 白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2012年9月・第7版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確 に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や 原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。 ☆上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2012年12月・第3版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言してい る。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっ ちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演 習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月) 総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクト に穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学 習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。 渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁 寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したも のとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。 ☆宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法』有斐閣リーガルクエスト(2012年12月)……京大(鈴木茂嗣)門下による共著テキスト。といって も特異な見解をとっているわけではなく、判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析も詳しい。重要41判例の要旨を掲載しているのも特徴。全体の分量が 増えすぎることのないよう削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は詳細な体系書には劣るが有斐閣アルマの上位互換 として今後人気となるかもしれない。捜査・公訴・証拠パートは詳しいがその他の手続の記述はそれほど厚くないのでコンメンタールを併用するとよいだろう。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法 試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目 次など→酒巻連載 〔マイナー・平成19年改正対応〕 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価 が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授と いう設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定 説としている)。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位 置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年 4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事 訴訟法』法律文化社(2009年6月) 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで 同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際 に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月) 平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂 版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイン トの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2012年3月・第2版)……元最高検検事による教科書。検察よりの立場。捜査法が詳しい。 〔その他参考書〕 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された 初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適 正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残してい ると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における 記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめて アメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出 発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事 訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司 法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の 刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっ ていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすい が、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はない が、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を 見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年 までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。現在改訂・合本中。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつ わかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書で は教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。1998年12月までの動向が補 訂され増刷されたものの著者は1999年1月に他界し、それ以後の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典 としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・ かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のと ころ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科 書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通して いるため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物 としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。 (刑訴法実務書) 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系 書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が 多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かな いが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二 回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。 ☆松尾浩也・岩瀬徹編『実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(2012年9月-11月)……上記新実例刑訴法の改訂版。法曹三者が最新の論点について解説。裁判員裁判、公判前整理手続等の法改正をふまえた解説となっている。司法修習生必携。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。 ☆高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1 月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。 渡辺咲子『任意捜査の限界101問』立花書房(2010年8月・4訂)、三浦正晴・北岡克哉編著『令状請求の実際101問』立花書房(2002年2月・改訂)……実務家(捜査官)向けの捜査法のQ A集。任意捜査と強制捜査の実際を知るために。 〔入門書〕 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月) 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版) 〔コンメンタール〕 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆し ているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者 参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基 本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解 釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆 陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基 本法コンメンタールの方に分がある。弘文堂HPにてH22,23改正についての追補PDFをダウンロードできる。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆 者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されてい る。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が 対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については 改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇 所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。 〔判例集〕 井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。 三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。 葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2010年9月)……若手から中堅の研究者による判例教材。取り上げられた 判例は101件。これらの判例について、主に論点と結論→事実の概要→法の解釈→法の適用→コメントという順で書かれている。法の解釈・法の適用・コメン トは論文の際のあてはめに有効ではないかと思われる。 〔ケースブック〕 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版) 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版) 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うこと で判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケース ブックである。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談 形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論と の勉強に有用。 〔演習〕 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも 出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとん どの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題 集というよりも論点集に近いが、主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアが ついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした 執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーでき る。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準 で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。実務家の解説は実践的で 役に立つ。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解 説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文を つけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。 古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説 を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではな く、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅している わけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。
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【刑事事実認定】 石井一正『刑事事実認定入門』判例タイムズ社(2015年7月・第3版)……(元)刑事裁判官による刑事事実認定テキスト。この分野において最初に読むべき本であろう。A5判、181頁(本文170頁)。 小林充・植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選 上巻・下巻』立花書房(2013年10月・第2版)……判例タイムズ社の方が改訂されないまま古くなったので、現在は、こちらが代表格である。重要論点に関する重要判例を多数収録しており、そこにおける判例の準則やあてはめの指針を見極める上で、非常に有益。司法試験対策にも直結するので、ロースクール生も読むべき本である。第2版では8項目追加、対象判例の変更・執筆者変更15項目(全63項目)。A5判、480頁・480頁。 小林充・香城敏麿編『刑事事実認定-裁判例の総合的研究-上下』判例タイムズ社(1992年9月,1992年11月)……判例タイムズ「事実認定に関する裁判例の総合的研究」(全26回)連載を書籍化したもの。執筆者はいずれも裁判官。刑事事実認定の基本的文献。A5判、477頁、488頁。 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題』成文堂(☆2015年11月・第3版)……木谷古稀記念。刑事事実認定の基本テーマ15題を解説。A5判、574頁。 大阪刑事実務研究会「事実認定の実証的研究(1)-(13)」(判例タイムズ227-322号)……刑事事実認定に関する古典的文献。 司法研修所編『自白の信用性』『情況証拠の観点から見た事実認定』『共犯者の供述の信用性』『犯人識別供述の信用性』法曹会(1991年7月,1994年5月,1996年7月,1999年6月)……刑事事実認定に関する司法研究報告書4部作。なお『自白の信用性』については、再審無罪が確定した布川事件(自白の信用性を否定)を自白の信用性を判断する一事例として掲げているという難点(http //www.hosokai.or.jp/item/annai/etc/book_use.html)がある。A5判、280頁・612頁・404頁・408頁。 最高裁判所事務総局刑事局監修『自白の任意性・信用性に関する刑事裁判例集』司法協会(1997年9月)……絶版。 守屋克彦『自白の分析と評価─自白調書の信用性の研究』勁草書房(1988年12月、OD版2005年4月)……(元)刑事裁判官による著作。A5判、394頁。 渡部保夫『無罪の発見─証拠の分析と判断基準─』勁草書房(1992年3月)……(元)刑事裁判官による著作。A5判、448頁。なお、同著者による一般人向けの著書として『刑事裁判を見る眼』岩波現代文庫(2002年8月)、『刑事裁判ものがたり』日本評論社(2014年6月)。 木谷明『刑事裁判の心』『事実認定の適正化』『刑事事実認定の理想と現実』『刑事裁判のいのち』法律文化社(2004年8月・新版,2005年7月,2009年8月,2013年8月)……元刑事裁判官による著作。調査官時代の論文、講演録、小論等からなる。いずれも冤罪防止という観点から論じられており、刑事裁判に関わる者ならば必読。A5判、296頁・310頁・252頁、四六判、180頁。 植村立郎『実践的刑事事実認定と情況証拠』立花書房(2016年6月・第3版)……元刑事裁判官による著作。刑事事実認定にも要件事実的思考が有用であるとする論文及び情況証拠に関する論文からなる。第3版は刑事事実認定概観、刑事裁判における事実認定の2章を書き下ろし。A5判、368頁。なお、刑事裁判官志望者は、同著者による「実務現代刑事法(その3)・刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」(判タ1345号74頁)を読むべきであろう。A5判、216頁。 原田國男『逆転無罪の事実認定』勁草書房(2012年7月)……量刑法の第一人者である元刑事裁判官による著書。I 刑事裁判へのメッセージ(えん罪を防ぐ審理のあり方、控訴審における審理のあり方、刑事裁判の魅力)、II 逆転裁判の事実認定(自身が担当した控訴審で逆転無罪となった20件16事例の判決文とその解説)。A5判、264頁。 【刑訴法実務書】 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2016年6月・平成27年版)……司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。予備試験の刑事実務や口述対策に役立つという声もある。A4判、230頁。 司法研修所編『刑事判決書起案の手引』法曹会(2007年6月・平成19年版)……司法修習生の判決起案の参考として作られたもの。A4判、152頁。 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……普通に基本書として使われることもある。A5判、1510頁。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。ほぼここにしか書かれていない論点が出題されたこともある(平成23年度刑訴の準現行犯逮捕)。 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。上記令状基本問題の実質的な後継本。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・5版)……元裁判官による実務書。証拠法の分野では他の追随を許さない。実務家必携本。A5判、600頁。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 法曹会編『刑事裁判書集上下』法曹会(1984年3月,1985年5月)……刑事裁判書事例集 小林充『刑事控訴審の手続及び判決書の実際』法曹会(2000年6月)……元裁判官による控訴審判決書作成マニュアル書。控訴審弁護人にとっても有用。A5判、204頁。 石井一正『刑事控訴審の理論と実務』判例タイムズ社(2010年5月)……元裁判官による刑事控訴審実務書。A5判、496頁。 門野博『裁判員裁判への架け橋-刑事裁判ノート』判例タイムズ社(2012年10月)……元裁判官が自身が担当した高裁刑事事件について解説したケースブック(裁判例も収録)。判例タイムズ連載に、布川事件、少年事件編を追補して単行本化したもの。裁判官志望者は必読。A5判、398頁。 虎井寧夫『令状審査・事実認定・量刑-刑事裁判官の思索と実践』日本評論社(2013年9月)……元刑事裁判官が簡裁裁判官の研修用にまとめた令状審査、事実認定、量刑に関するQ A集。とくに令状審査に関する文献はあまりないだけに貴重。任官希望者はもちろん刑事弁護人志望者にも役立つだろう。A5判、340頁。 佐藤嘉彦『刑事裁判覚書-裁かば裁かれん 念ずれば花ひらく』成文堂(2014年3月)……同志社ロー教授(元裁判官)による刑事論文集。第1章・事実認定論、第2章・量刑論が読みどころ。古今東西の文献を参照しつつ自らの裁判経験に基づく事実認定論、刑の量定論を展開しており参考になるし、読み物としておもしろい。A5判、328頁。 裁判所職員総合研修所監修『刑事実務(公判準備等) 講義』司法協会(2012年5月・4訂補訂版)……B5判、450頁(本文431頁)。 裁判所職員総合研修所監修『公判手続と調書講義案』司法協会(2016年6月・3訂版)……B5判、432頁(本文410頁)。 三好一幸『略式手続の理論と手続』『簡易裁判所における刑事公判の理論と実務』☆『令状審査の理論と実務』司法協会(2012年9月、2013年9月、2014年4月)……簡裁判事による刑事手続マニュアル本。 前田雅英編、青木英憲・藤井俊郎・丸山哲巳・峰ひろみ著『刑事訴訟実務の基礎』弘文堂(2013年3月・第2版)……A5判、520頁。 司法研修所刑事裁判教官室『プラクティス刑事裁判』法曹会(2015年6月)……本書は、司法研修所の教材として用いられている「プラクティス刑事裁判」とその別冊を合冊したもの。これらの教材は、「当事者及び裁判所は、公判前整理手続においてどのように争点及び証拠を整理し、公判手続において何をなすべきなのだろうか。本書は、これからの司法を担う修習生に、これらの点を考えてもらうために作成したものである。」(「はしがき」より)というコンセプトのもと、司法修習生に提供されているもの。A4判、168頁。 【刑事弁護】 大木孝『和光だより-刑事弁護教官奮闘記』現代人文社(2010年10月)……刑事弁護教官(弁護士)が横浜弁護士会のメーリングリストに寄稿した「和光だより」を書籍化したもの。司法研修所の刑事弁護科目に関する解説内容が充実しており、図表を用いてわかりやすく説明されておりとても参考になる。修習前に読んでおくことを強くお薦めする。A5判、215頁。 佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理─刑事弁護の心・技・体』有斐閣(2007年5月)……刑法学者藤木英雄の元助手である弁護士による著書。刑事弁護のスピリットを伝える。A5判、410頁。 『刑事弁護ビギナーズ』現代人文社(2014年9月・Ver.2)……季刊刑事弁護増刊。刑事弁護のいろはを学ぶ本。実務家になったら、最初に参照する本。B5判、256頁。 大出良知・高田昭正・神山啓史・坂根真也編『新版 刑事弁護』現代人文社(2009年10月)……刑事弁護にまつわる51テーマにつき、問題の所在、弁護活動のポイント、理論上のポイントを解説。神山啓史弁護士の裁判員裁判Columnも参考になる。B5判、211頁。 三木祥史『Q A類型別刑事弁護の実務』新日本法規出版(2010年3月・改訂)……元刑事弁護教官による著書。A5判、638頁。 ☆東京弁護士会刑事弁護委員会編『新・実践刑事弁護 昇平弁護士奮闘記』現代人文社(2016年1月)……『実践刑事弁護』(国選弁護編)と(当番弁護編)を合本した著書。東京地裁における運用に詳しい。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『国選弁護活動の手引き 上訴審編』第一東京弁護士会(2013年7月・改訂版)……上訴審国選弁護のマニュアル本。A5判、73頁。なお、本書に関連して、植村立郎「講演:上訴審弁護について-第一東京弁護士会刑事弁護委員会編「国選弁護活動の手引き上訴審編」(以下「手引き」という。)の紹介を兼ねて 」『学習院法務研究』第8号79-113頁(2014年3月)(学習院大学リポジトリからDL可能。)も参照されたい。 東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編『刑事弁護マニュアル』ぎょうせい(2012年3月・全訂)……犯罪被害者への対応、外国人・少年事件の弁護など、効果的な弁護を実現するための留意点を随所に解説。A5判、306頁。 山内久光『Q A刑事弁護の理論と実践-実務における基本的思想』日本加除出版(2012年10月)……元刑事弁護教官である弁護士が公判前整理手続・裁判員裁判時代における刑事弁護の標準を明らかにした著書。刑事弁護人であれば必読。A5判、404頁。 宮村啓太『事例に学ぶ刑事弁護入門-弁護方針完結の思考と実務』民事法研究会(2012年10月)……「最善努力義務」を果たすための思考とノウハウを書式等豊富な資料を織り込み平易に解説。A5判、216頁。 荒木和男ほか編著『はじめての刑事弁護Q A実務書式58』青林書院(2013年5月)……東弁刑事弁護委員会の有志によるQ A+書式集。A5判、392頁。 日本弁護士連合会編『法廷弁護技術』日本評論社(2009年3月・第2版)……裁判員制度をふまえた日弁連公式の弁護技術テキスト。修習生以上なら必携。しかし、著者は、おおむね修習所教官と世界観を異にしている。A5判、308頁。 日本弁護士連合会編『裁判員裁判における弁護活動─思想と戦略』日本評論社(2009年1月)……上記「法廷弁護技術」の続編。自由と正義連載の単行本化。公判前整理手続についての解説は特に詳しく、「証拠開示の最前線」と題する章は司法試験受験生にも役立つだろう。修習生以上必携。A5判、244頁。 丹治初彦編、丸田隆・春日勉・斎藤司著『保釈-理論と実務』法律文化社(2013年7月)……保釈実務に関する記載が詳しい。罪名ごとの保釈金額調査表が載っている。A5判、210頁。 櫻井光政『刑事弁護プラクティス-新人弁護士養成日記』現代人文社(2013年9月)……雑誌季刊刑事弁護連載の単行本化。桜丘法律事務所における若手弁護士の刑事弁護事件の執務内容を日記形式で記録したもの。実際の刑事弁護事件の事例が豊富であり、その丁寧な事件処理方針についてはとても参考になる。修習生・刑事弁護士必読。四六判、254頁。 後藤昭・高野隆・岡慎一編著『実務体系 現代の刑事弁護 第1巻 弁護人の役割、第2巻 刑事弁護の現代的課題、第3巻 刑事弁護の歴史と展望〔全3巻〕』第一法規(2013年9月-2014年9月)……A5判、434頁・472頁・448頁。 兵庫県弁護士会「実践犯罪被害者支援と刑事弁護」出版委員会編著『実践 犯罪被害者支援と刑事弁護-弁護士による被害者支援と刑事弁護人の対応』民事法研究会(2015年7月)……兵庫県弁護士会において刑事弁護人と被害者参加弁護士により共同で開催された「刑事弁護実務と犯罪被害者支援」研修会の成果を書籍化した珍しい著作。刑事弁護の観点からみても被害者保護法制の内容を知る上で有用である。 『刑事弁護フロンティア 季刊刑事弁護新人賞全作品(2004-2015)』現代人文社(2015年9月)……季刊刑事弁護新人賞の歴代の最優秀賞、優秀賞、特別賞の受賞作品(刑事弁護レポート)をまとめたもの。修習生・刑事弁護士必読。B5判、233頁。 ☆岡慎一・神山啓史『刑事弁護の基礎知識』有斐閣(2015年12月)……同名の法教連載の書籍化。著名な刑事弁護士がケース・セオリー理論(本当は何が起こったかについての論理的で説得的なストーリーを積極的に主張・立証していく弁護方針)を柱に、刑事弁護「技術」の基礎になる「考え方」を分かりやすく解説した著書。(刑事)弁護活動の限界に1章を設けているのも特徴の一つ。修習生、刑事弁護人は必読。A5判、258頁。 ☆東京弁護士会春秋会編『実践 訴訟戦術[刑事弁護編]-やっぱり弁護士は悩んでいる』民事法研究会(2016年2月)……新人・若手・中堅・ベテラン弁護士の座談会形式で刑事弁護にまつわる戦術的視点を詳解。 ☆三木祥史ほか著『ベーシック刑事弁護実務』三協法規出版(2016年2月)……元司法研修所刑事弁護教官(及び所付)弁護士による実務入門書。そのため上訴審の弁護活動については割愛している。各論点はサマリー形式で冒頭にて重要事項を要約。刑訴法改正案にも対応しており、取調べ可視化制度、司法取引制度、刑事免責制度についても言及しているのが特徴。 ☆植村立郎監修、岡慎一、神山啓史編『刑事上訴審における弁護活動』成文堂(2016年3月)……全83問のQ A方式で刑事上訴審弁護につき経験豊富な刑事弁護士が解説し、監修者が裁判官視点からのコラムを付すというスタイル。刑事弁護人必読。 【裁判員裁判・公判前整理手続】 司法研修所編『裁判員裁判における第一審の判決書及び控訴審の在り方』法曹会(2009年4月)……平成19年度司法研究報告書。A5判、142頁。なお、控訴審の運用については、東京高等裁判所刑事部陪席裁判官研究会(つばさ会)「裁判員制度の下における控訴審の在り方について」(判タ1288号5頁)、東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研究会「控訴審における裁判員制度の審査の在り方」(判タ1296号5頁)もチェックすべし。 司法研修所編『裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方』法曹会(2008年4月)……平成18年度司法研究報告書。A5判、352頁。 司法研修所編『難解な法律概念と裁判員裁判』法曹会(2009年4月)……司法研究報告書。「裁判員に分かりやすい審理の実現のために、専門用語の平易化という道を選ぶのではなく、各用語・法律概念の本当に意味するところを、刑事法に関するこれまでの研究成果と裁判例を分析することによって検討し、これを裁判員に伝えるための説明方法を考えようとする」司法研究。A5判、304頁。 司法研修所編『科学的証拠とこれを用いた裁判の在り方』法曹会(2013年3月)……平成22年度司法研究報告書。A4判、156頁。 大阪刑事実務研究会「裁判員裁判における法律概念に関する諸問題」(判例タイムズ1350号-連載中)……上記『難解な法律概念と裁判員裁判』の難解概念研究のアプローチをも参考にしながら、裁判員裁判において争点となることが想定される法律概念や論点について、実際の裁判員裁判における実例を踏まえつつ、公判前整理手続や審理、評議の在り方等について研究する連載。全14回を予定。 酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』判例タイムズ社(2009年11月)……公判前整理手続における証拠開示を題材とした論文集。多数の未公刊裁判例を収録しており参考になる。 大阪刑事実務研究会「公判前整理手続に関する諸問題」(判例タイムズ1294-1331号・全16回)……関西の刑事裁判官による共同研究。 大阪弁護士会裁判員制度実施大阪本部編『コンメンタール公判前整理手続』現代人文社(2010年6月・補訂版)……弁護士による公判前整理手続逐条解説。したがって、実務的に受け入れられていない見解が多数あることに注意されたい。 落合義和・辻裕教ほか『新法解説叢書21 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)及び刑事訴訟規則等の一部を改正する規則の解説』法曹会(2010年7月)……立案担当者による公判前整理手続等の法律・規則の逐条解説。 日本弁護士連合会裁判員本部編『公判前整理手続を活かす』現代人文社(2011年7月・第2版)……公判前整理手続の運用状況をふまえて改訂された日弁連の公判前整理手続(半)公式テキスト。 杉田宗久『裁判員裁判の理論と実践』成文堂(2013年12月・補訂版)……元刑事裁判官による著作。A5判、494頁。 庭山英雄・宮﨑大輔・寺崎裕史編著『公判前整理手続の実務』青林書院(2015年1月)……弁護人の側から公判前整理手続を論じた著作。A5判、302頁。 安廣文夫編著『裁判員裁判時代の刑事裁判』成文堂(2015年5月)……安廣元裁判官の古稀記念論文集。執筆者は裁判官と研究者。A5判、534頁。 ☆山崎学『公判前整理手続の実務』弘文堂(2016年7月)……元刑事裁判官・慶應ロー客員教授による公判前整理手続の体系書。実務の運用に詳しく、関連判例を詳しく解説しているのが特徴。著者の立場は必ずしも現状追認というわけではなく、立案担当者解説や大コンメンタール刑訴法の見解に異議を申し立てている箇所が少なくない。H28刑訴法改正には対応していないが、改正要綱の内容を該当箇所で解説している。A5判、388頁。 【量刑理論】 原田國男『量刑判断の実際』立花書房(2008年11月・第3版)、『裁判員裁判と量刑法』成文堂(2011年11月)……量刑研究の第一人者である刑事裁判官による二部作。『実際』に収録されている論文はいずれも重要文献だが、とくに「量刑基準と量刑事情」、「量刑判断の実際」は、刑事裁判における標準的な量刑実務を解説したものであり、修習生ならば必読である。A5判、448頁。 大阪刑事実務研究会編『量刑実務大系(全5巻)』判例タイムズ社(I・2011年9月、II・2011年10月、III・2011年11月、IV・2011年12月、V・2013年7月)……判例タイムズに連載された実務家・研究者による共同研究「量刑に関する諸問題」(判例タイムズ1183号-1325号・全26回)を単行本化したもの。第5巻は裁判員裁判該当罪種のうち代表的なものについて、当該罪種において特に重視すべき量刑因子についての類型的研究で書き下ろしで判例を収録したCD-ROM付き (第1巻『量刑総論』、第2巻『犯情等に関する諸問題』、第3巻『一般情状等に関する諸問題』、第4巻『刑の選択・量刑手続』、第5巻『主要犯罪類型の量刑』)。A5判、416頁・376頁・448頁・320頁・352頁。 第一東京弁護士会刑事弁護委員会編『量刑調査報告集』第一東京弁護士会(I・2000年8月、II・2008年8月、III・2010年4月、量刑不当破棄編・2011年3月、IV・2015年3月)……一弁の「国選弁護結果報告書」を基礎資料として、罪名ごとに量刑その他の関連情報を集めた資料集(現時点で4冊+量刑不当破棄編1冊)。量刑不当破棄編は上訴審における量刑不当による破棄自判事例を集めたもの。刑事弁護人ならば必携。一般書店では市販されていないが、弁護士会館ブックセンターや至誠堂書店などで購入可能。 日本弁護士連合会裁判員本部編『裁判員裁判の量刑』現代人文社(2012年5月)……裁判員裁判における量刑データ集。 司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』法曹会(2012年10月)……司法研究報告書。裁判員裁判に相応しい量刑評議の在り方、判決書の在り方、審理・公判前整理手続の在り方についての考察。本書の提唱する見解が次第に浸透し、基本的には検察庁やいわゆる刑事弁護士からも支持を得たことにより、自白事件における量刑判断に変化が現われ、最近の第1審の判決書をみると、本書の見解に根ざした判決書の記載が数多く出されるようになったとの評がなされている(山崎学『公判前整理手続の実務』(弘文堂)133頁)。A5判、300頁。
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民事訴訟法(平成8年6月26日法律第109号) 最終改正:平成24年5月8日法律第30号 民事訴訟規則(平成8年12月17日最高裁判所規則第5号) 最終改正:平成27年6月29日同第6号 平成23年(2011年) ①[民事訴訟法]国際裁判管轄に関する規定(5月2日・法36)ほか ②[関連法]5月25日:(新)非訟事件手続法(法51)・家事事件手続法(法52)の成立 →②については、平成24年以降刊行のものが対応している。 【基本書】 〔メジャー〕 和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2012年8月)……辰已のLIVE本シリーズで受験生にはお馴染みの著者による、民事訴訟法全体を通覧する教科書。藤田・講義民訴と違い、一冊で民事訴訟法の体系・論点をある程度カバーすることができる。条文及びその趣旨を重視して、図表を多用し、著者自身の言葉で噛み砕いた説明を行っているのが特徴的である。メリハリも効いており、重要論点については、まさに「司法試験に必要な程度」に学説(新堂、高橋など)も取り上げられているため、的確に問題認識をすることができる良書である。ただし「必要十分な最小限の知識量」に抑えるために削らなければならなかった内容も多いとのこと。これをどう評価するかは読者次第である。A5判、634頁。なお、同書の簡略版として、『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2015年10月、A5判、214頁)がある。 三木浩一・笠井正俊・垣内秀介・菱田雄郷『民事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2015年3月・第2版)……東大・京大・慶應の教授陣により、旧訴訟物理論の立場から執筆された基本書。重要事項については、判例・通説から丁寧に解説しつつ、各論点について採用する説を明示する。また、理論的な見地から、通説とは異なる用語を使用する場面がいくつか見られる(「客観的併合」→「客体的併合」、「主観的併合」→「主体的併合」、「訴訟資料」→「主張資料」など)。異説を採用することが少なくない(主に三木執筆部分)ので、注意は必要である。しかし、その場合にも、通説は丁寧に説明されているため、受験的な弊害は少ない。掲載判例は400以上と類書よりも多く、安定感がある。A5判、730頁。 藤田広美『講義民事訴訟』東京大学出版会(2013年4月・第3版)……総研・講義案の原著者である元裁判官によって書かれた教科書。民事訴訟法の体系書ではなく、民事訴訟実務の手続きを図表を多用してコンパクトにまとめた本である。『民事訴訟実務の基礎』などに近い。たまに論点を取り上げて独自の考察をしているが、おおむね学説の対立には分け入らない傾向にあり、実務上定着している論点はほとんど所与のものとして扱っている(たとえば訴訟物論争についても、最小限度の記述に留めている)。前半部分で要件事実についても多くの頁を割いて解説しているため、内容が薄いという評価もある。もっとも、新司法試験にはこの一冊で充分と言われることもあり、賛否両論あるところだろう。はしがきやあとがきを見ると、本書が民訴の初学者に向けて書かれたものであるということは明らかだが、民法・民訴・要件事実について一通り知識がないと読みこなせないとの評価もある。第2版では、手形訴訟手続・簡易裁判所手続・上訴などの記述を補充し、頁数がかなり増えた。第3版では、司法研修所の方針変更に合わせて、要件事実の記述を変更したうえで、書式の一部、調停に関する記述を削除した。なお、本書を補完するものとして、下掲『解析民事訴訟』がある。A5判、656頁。 〔その他〕 山本弘・長谷部由起子・松下淳一『民事訴訟法(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2013年10月・第2版)……「手続の時系列に則し、手続の主体である原告、被告および裁判所の手続の節目ごとの行動規範を明らかにする構成(はしがき)」を採用。多数当事者訴訟の項目を設けず、手続内で随時説明を加える構成が目を引く。近時の多数説をベースにしながら、より先端的な有力学説にも適宜触れており、薄いように見えて重要な論点は意外なほど網羅的に拾っている。しかしながら、個々の掘り下げは不充分であり、本書のみで合格水準の理解に到達することは困難と言うほかない。もし本書を基本書に据えるのならば、百選解説、争点その他演習書等による積極的な補充が要求される。なお、クロスリファレンスを徹底しているのは学習者に嬉しい配慮である。四六判、492頁。 新堂幸司『新民事訴訟法』弘文堂(2011年8月・第5版)……学界の到達点を示す最高水準の体系書。千頁を超える浩瀚な体系書ではあるが、文章は非常に柔らかく、論旨も明快であるため読みやすい。文章そのものは柔らかいが、その一文一文にとても深い意味が込められた、示唆に富んだ内容となっており、著者の問題意識や利益考量の手腕を味わいながら読み進めたい。具体例が豊富なので分かりやすいが、新堂説は結論の妥当性を柔軟に追求するものであり、いわゆる概念法学を好まないため、初学者にとっては取り組みづらい内容となっているかもしれない。第4版では、訴訟承継等で改説。第5版では、証明度について優越的蓋然性説を採用するなどの改説、一般条項における要件事実と証明責任について加筆等している。なお、非訟事件手続法・家事事件手続法には対応していない。A5判、1064頁。 伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣(2014年7月・第4版補訂版、☆2016年11月・第5版予定)……学者執筆の基本書としては珍しく旧訴訟物理論。民訴の要である用語の定義がしっかりしており、新堂と共に引用されることが多い。実務家からの信頼も厚い一冊。著者の見解がはっきりと打ち出されているタイプの基本書であるが、はしがきにも"概説書"とある通り、通説・多数説などについてもしっかりと言及はあるので、それほど心配はいらない。論点の網羅性は高く、またその理由付けは簡潔かつ明瞭でわかりやすい。全体として堅牢な体系と妥当性を重視した解釈が特徴。「定評ある民事訴訟法のスタンダードテキスト」の評は伊達ではないが、図の類は用いない『堅い』基本書であり、あまり初学者向きではない。A5判、816頁。 裁判所職員総合研修所監修『民事訴訟法講義案』司法協会(2016年6月・3訂版)……実務説(旧訴訟物理論)。原著者は上掲『講義民事訴訟』の藤田広美。掲載されている論点が豊富。ただし司法試験に関係ない記述も多くある。3訂版は、平成22(2010)年発行の再訂補訂版(B5判、434頁(本文396頁)に、その後の家事事件手続法、非訟事件手続法の新設に伴い、必要な加筆修正がされたもの。B5判、434頁(本文384頁)。(3訂版については評価待ち。) 中野貞一郎・松浦馨・鈴木正裕編『新民事訴訟法講義(有斐閣大学双書)』有斐閣(2008年5月・第2版補訂2版)……各分野を代表する教授陣による共著の概説書。第一人者による安定感のある記述が特徴で、極めて使い勝手が良い、実務でも役立つ一冊。基本的には新訴訟物理論の立場をとるが、当然、旧訴訟物理論についてもきちんと解説がなされている。そもそも、訴訟物理論によって結論に大きな差が生じないのが近年の傾向であるから、取り立てて気にする必要はない。論点も豊富に取り上げられており、学習者を意識した解説は平明であり秀逸。ただし、さすがに初学者向けではないので、先に入門書を読んでおくとよい。また、執筆者によって文体と脚注の使い方が著しく異なるため、一冊の本としての統一性を求める読者には不向きである。いずれにせよ、受験生にとって無難な選択であることは確かである。はしがきにある「最良の基準書」との称号は言い得て妙であり、基本書選びに迷ったら、本書を選んでおいてまず間違いはない。なお、藤田広美『講義民事訴訟』との相性がよいとの声がある。A5判、748頁。 上田徹一郎『民事訴訟法』法学書院(2011年6月・第7版)……基本事項を網羅的かつ丁寧に解説する教科書。縦書き。教育的配慮から基本部分と応用部分を本文と脚注に2分して解説する独特のスタイルをとっている。自説主張が弱く、判例・学説の発展の経緯が丁寧に書かれている。他の基本書に比べ分量は少なく見えるが、割り注などを含めるとその情報量は予想外に膨大である。最新の議論は意外と書いてあったりするものの、小さい字だったり注に押し込められていたりして見づらいのが難点である。かつては受験生トップシェアだったが、伊藤や藤田のシェアが増加する一方、本書を利用する学生は減少傾向にある。だが、教育効果の高い良書であることに変わりはないので、民訴が苦手な人や初学者は試す価値がある。著者高齢のため、第6版・第7版の改訂は上田の意向を受けた稲葉が行った。本文に変更はほとんどなく、稲葉が論点を補充したほか、新判例や新立法のみを巻末にまとめて追加しただけの、やや残念な改訂となっている。百選の引用が3版のままであることがまま見受けられるのも残念。ただ、判例追補は短答対策に有益だという意見もある。なお、著者は2013年に逝去。A5判、760頁。 松本博之・上野泰男『民事訴訟法』弘文堂(☆2015年9月・第8版)……新訴訟物理論(二分肢説)。共著とは言え、執筆者は2名であり、言葉の定義にぶれはなく、クロスリファレンスも充実している。本書の大きな特徴としては、松本の執筆する単純訴訟の第1審手続の部分と、上野の執筆する複雑訴訟および上訴の部分では、書きぶりがまったく異なるという点があげられる。まず、松本執筆部分については、基本的には自説(大抵は少数説)の紹介が中心となっているが、その根拠を他の著作や研究論文に丸投げしている箇所がちらほらあるほか、文章もややわかりにくく、かなり読み手の力量が問われる内容となっている。初学者には推奨しにくいが、示唆的な記述が多く、合格レベルの実力者や実務家にとっては有益である。次に、上野(民訴の天才とも、破壊神とも)の執筆する複雑訴訟および上訴の部分は、思考の整理が行き届いており、文章が分かりやすく、判例や多数説をきっちり踏まえた内容となっており、非常に読みやすい。結論として少数説を採る箇所もあるが、そうした箇所でも深々と立ち入るのは避けている。難しい議論は文字のポイントを落とすなど、記述にメリハリがあり、制度趣旨の説明も丁寧で、学生向け教科書としても出色の完成度である。高橋宏志も本書を最重要文献の一つとして挙げているなど、学界からの評価も非常に高い一冊である。A5判、996頁。 長谷部由起子『民事訴訟法』岩波書店(2014年3月)……民訴版サクハシと呼ばれることもある、『基礎演習民事訴訟法』の編者の長谷部による体系書。定義がしっかり書いてあり、記述がまとまっているのが特徴。判例の紹介が物足りない点もあり、和田民訴の方がよいという声も。論点によっては深く掘り下げてある。何よりも薄い体系書であり、サッと要点を確認するのに向いている。A5判、472頁。 小林秀之『民事訴訟法(新法学ライブラリ10)』新世社(2013年5月)……A5判、488頁。 小林秀之編『新法学講義 民事訴訟法』 悠々社(2012年5月)……A5判、441頁。 小林秀之・山本浩美『明解民事訴訟法』法学書院(2012年4月・第2版)......全32章。問答方式により理解をすすめることを目的としている。巻末資料として書式の引用が豊富。第2版で国際裁判管轄規定に対応。民訴の基本書にしては比較的薄く、さらに基本書とのクロスレファレンスが徹底しており初心者には向く。重厚な基本書に撃退されがちなものは試してみるとよいだろう。ただ、ウリのはずの問答形式の部分は制度の説明や前提などに充てられており、試験などで重要な部分については通常の文章で書かれている。A5判、552頁。 小林秀之・原強『民事訴訟法(新・論点講義シリーズ9)』弘文堂(2011年7月)......国際裁判管轄規定に対応。B5版、352頁。 小林秀之『アドバンス民事訴訟法 民事訴訟法をマスターする』日本評論社(2007年7月)……A5判、384頁。 小林秀之『民事訴訟法がわかる 初学者からプロまで』日本評論社(2007年4月・第2版)……A5判、424頁。 林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣(2004年9月・第2版)……最高の「概説書」。16年改正対応。500頁という分量ながら用語の定義や基本概念については他に類を見ないほど非常に充実しており、文章も分かりやすい。複雑訴訟が独立の項目になっていないなど、一般的な基本書とは大きく異なる構成をとっているために初学者にはとっつきにくいと思われるが、そのような配慮を理解できる中上級者にとっては極めて高い価値がある。現在は絶版となっており、有斐閣でオンデマンド版の購入が可能であるが、1冊10,000円(税別)と高価格なのがネック。A5判、516頁。 小島武司『民事訴訟法』有斐閣(2013年3月)……大家の手になる本格派の体系書。横書き・本文のみで930頁となる大著であるばかりでなく、1頁あたりの文字数も非常に多い(小フォントや脚注の多用による。)。したがって、受験用教科書として読みこなすのは難しいだろう。意外と内容にムラがあり、辞書としての使い勝手もそれほど良いとはいえない(ex.二段の推定に関する記述のあまりの少なさに愕然とする人も多いのではないか)。とはいえ、著者の見解はおおむね穏当なものにまとまっており、高橋、伊藤、松本といった近時の有力説もしっかりフォローしつつ、最終的には判例・通説(多数説)をとることが少なくない。良く言えば格調高い、悪く言えば勿体ぶった表現が目立ち、ようやくたどり着いた結論が無難きわまるものであるときには、ある種のガッカリ感は否めない。10年の執筆期間を経たこともあり、一部、法改正のフォローアップができていない(「破産宣告」なる用語が多数見受けられる、抗告訴訟における被告の変更にかかる行政事件訴訟法改正に対応していない、家事事件手続法非対応など)。A5判、1026頁。 川嶋四郎『民事訴訟法』日本評論社(2013年4月)……新刊の体系書。はしがきや索引まで含めると優に1000頁を超える大著であり、日本評論社刊行の書籍としては屈指の厚さとなっている。A5判、1056頁。なお、同『民事訴訟法概説』弘文堂(2016年3月・第2版、A5判、608頁)は学生向けに特化した教科書であり、こちらのボリュームは600頁程度に抑えられている。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2012年4月・第6版補訂版)……新訴訟物理論。薄くて通読向き。学説の対立にはあまり分け入らず、判例の紹介は多いがほんの数行程度であり、単に問題提起をしただけで終わってしまっているような個所も散見される。文書もSシリーズにしては硬く、初学者は本書のみではどうにもならないだろう。上級者のまとめ用としてなら便利か。四六判、352頁。 三谷忠之『民事訴訟法講義』成文堂(2011年7月・第3版)……薄め。判例重視。15年改正対応(第2版)。A5判、468頁。(第3版は評価待ち。) 河野正憲『民事訴訟法』有斐閣(2009年5月)……横書き900頁超。概して重たい傾向にある民訴の基本書の中でもひときわボリュームがある。判決文を頻繁に、かつ長めに引用している点に特色がある。概念的な説明が多い民事訴訟法の基本書の中でも、とくにその概念を具体的に説明することに気を払っている。その分、論点に対する解説は頁数の割に薄くなってしまっている。A5判、970頁。 納谷廣美『講義民事訴訟法』創成社(2004年6月)……読み易くコンパクト。通説と判例の理解を中心に据える。実務も重視。演習書『演習民事訴訟法』創成社(2005年2月)はさらに通説解説に徹底。 梅本吉彦『民事訴訟法』信山社(2009年4月・第4版)……分厚い文字どおりの体系書。育ての母への感謝の想いを綴ったはしがきは、涙なしでは読めない。A5判、1188頁。 岡伸浩『民事訴訟法の基礎』法学書院(2008年9月・第2版)……弁護士の著作。読みやすく、判例の紹介も詳細。A5版、576頁。 吉村徳重・竹下守夫・谷口安平編著『講義民事訴訟法』青林書院(2001年4月)……竹下守夫・谷口安平らが関わった新法対応の教科書。井上、伊藤、河野、春日など大学双書とかなり執筆者が被っている。大学双書が理論面での解説に力を入れているのに対し、こちらは概ね通説・実務の立場にたち、それがどのように運用されているかを解説する。大学双書よりはあっさりしているが、総研や藤田ほど蛋白ではなく、また予備校的論点解説ではない。学説の錯綜に混乱した時本書を読んでみるのもありかもしれない。A5判、608頁。 稲葉一人『民事訴訟法講義 理論と演習』法学書院(2015年4月)……法科大学院での、基本書として、また演習書として使われることを意図したテキスト。著者の裁判官経験を生かした「実務の視点」からも解説。演習問題は三つのレベルを用意し、読者の学習段階に合わせた内容。A5版、591頁。 【その他参考書】 高橋宏志『重点講義民事訴訟法 上・下』有斐閣(2013年10月・第2版補訂版、2014年9月・第2版補訂版)……2分冊。体系書・教科書・概説書などではなく、いわゆる重要論点の数々を取り上げて深く論じている論点の解説書である。純制度的・手続的知識には触れていないが、学界で争いのある論点についての網羅性は極めて高く、分厚い体系書でさえ一言も触れていないような細かな論点であっても、脚注などで拾い上げて、それなりに論及していることが多い。まさに広さと深さとを両立した本であり、近年の司法試験のタネ本となっている。しかし、レベルが高い本であることから、司法試験の合格水準に到達するレベルでよければ、必読とは言えない。A5判、860頁・876頁。 ☆高橋宏志『民事訴訟法概論』有斐閣(2016年3月)……法学教室連載「民事訴訟法案内」に加筆修正を行い単行本化。いわゆる民事訴訟法の基本書というより、民事訴訟法全分野にわたる論点集といった趣。目次を見ればわかるが、旧司の一行問題のような小見出し(例:「当事者の確定とはどういう作業か。」)を立てて、これに対する高橋流の解説を述べていくという叙述スタイルで初学者もメリハリをつけて読むことができる。高橋説を前面に出しているが、自説が少数説であることや判例が反対の立場をとっていることをきちんと説明しているので初学者でも混乱することなく読める。また、ほぼ全ての論点をカバーしているので上級者のまとめ用としても使える。A5判、420頁。 勅使川原和彦『読解民事訴訟法』有斐閣(2015年2月)……A5判、350頁。(評価待ち。) 伊藤眞・山本和彦『民事訴訟法の争点(新・法律学の争点シリーズ4)』有斐閣(2009年3月)……シンプルな論点集。網羅性は高いが、紙幅の関係かやや舌足らずな解説も見られる。B5判、276頁。 伊藤眞・加藤新太郎・山本和彦『民事訴訟法の論争』有斐閣(2007年7月)……民事訴訟法の重要論点を対談形式で進めていく。学説の整理、学会の最新の議論などに秀でる。A5判、272頁。 田中豊『民事訴訟の基本原理と要件事実』民事法研究会(2011年1月)……A5判、424頁。 小林秀之『ケースでわかる民事訴訟法』日本評論社(2014年9月)……重要な判例をベースにした具体的なケース(事例)に基づいて、民事訴訟の重要な分野・論点を解説している基本書兼問題集である。文章も読みやすく、かつ論理的であり、「鉄腕アトム」とも評される著者の能力の高さをうかがい知ることができる。判例百選に掲載されている判例が、具体的な事例とともにほぼ網羅されていることから、近時の司法試験の傾向に合致した本であり、お薦めである。A5判、488頁。 小林秀之『事例分析ゼミ 民事訴訟法』法学書院(2007年12月)……受験新報連載を単行本化。優秀な大学生の男女、努力家の大学院生、若手渉外弁護士、4人のゼミ生による小林ゼミ(という設定)。レベルはかなり高い。A5判、256頁。 新堂幸治編『特別講義民事訴訟法』有斐閣(1988年2月)……理論民事訴訟法学の最重要文献の一つ。法学教室の連載であったが、内容は超高度であるから、気分転換やある論点について知識を深化させたい時ぐらいしか読むべきではない。内田貴、加藤雅信の論稿は、それぞれの民法学を理解するためには必見。OD版により復刊(2009年10月)。A5判、500頁。 【旧法】谷口安平『口述民事訴訟法』成文堂(1987年12月)……口述法律学シリーズの傑作。著者は元京大教授、「コップの中の嵐」で知られる大御所。臨場感あふれる軽妙な語り口で、分かりやすく、かつユーモラスに民訴を解きほぐす。普通の基本書はあまり触れないようなことが丹念に述べられており、非常に示唆的である。旧法下の本だが、本書の大部分は、法改正にほとんど関係ない総論部分にあてられているため、既に一通り勉強した学生が参考書として通読ないし拾い読みをしていけば、立体的な民訴の理解に到達できるだろう。A5判、518頁。 【入門書・概説書】 木山泰嗣『小説で読む民事訴訟法 基礎からわかる民事訴訟法の手引き』『同2 より深く民事訴訟法を知るために』法学書院(2008年4月、2012年12月)……小説形式で民事訴訟法・民事裁判を学ぼうという意欲作。現在最も適切な入門書。寝転がって気楽に読める。基本書を読んでもイマイチわからなかった点が、スッキリと理解できる。学習効果抜群の良書。A5判、304頁・296頁。 中野貞一郎『民事裁判入門』有斐閣(2012年4月・第3版補訂版)……入門書の定番。咀嚼された文章に定評があるが、それほど易しい本ではない。いくつかの論点については比較的高度な検討を加えており、意外と内容は深い。第3版では執行・保全の章が削除された代わりに管轄と家事事件の章が追加され、判決手続きに特化されることになった。もっとも、本書のみでは択一ですらおぼつかないところがあり、できるだけ早く通常サイズの基本書に移行するべきだろう。四六判、412頁。 山本和彦『よくわかる民事裁判 平凡吉訴訟日記(有斐閣選書)』有斐閣(2008年8月・第2版補訂)……平凡吉という主人公の人生が物語調に書かれている。賃貸借契約にかかる事例を用いて、民事裁判の始まりから終わりまで、小説を読む感覚で学ぶことができる。四六判、268頁。 司法研修所監修『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて』法曹会(2001年6月・4訂版)……司法研修所の民事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審民事訴訟手続を解説。手続法において重要な手続の流れをつかむのに最適。A5判、174頁。 林屋礼二・吉村徳重・中島弘雅・松尾卓憲『民事訴訟法入門(有斐閣双書)』有斐閣(2006年6月・第2版補訂版)……四六判、382頁。 山本和彦『ブリッジブック民事訴訟法入門(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2011年3月)……四六判、280頁。 井上治典編『ブリッジブック民事訴訟法(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2011年4月・第2版)……四六判、344頁。 池田辰夫編『アクチュアル民事訴訟法(アクチュアルシリーズ)』法律文化社(2012年9月)……A5判、298頁。 野村秀敏『法学民事訴訟法(信山社双書法学編)』信山社(2013年11月)……B6判、232頁。 原強『やさしい民事訴訟法』法学書院(2014年3月)……A5判、265頁。 安西明子・安達栄司・村上正子・畑宏樹『民事訴訟法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2014年4月)……A5判、280頁。 裁判所職員総合研修所監修『民事訴訟法概説』司法協会(2014年5月・9訂版)……B5判、174頁(本文142頁)。 ☆和田吉弘『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2015年10月)……『基礎からわかる民事訴訟法』の概説書。A5判、214頁。 福永有利・井上治典著、中島弘雅・安西明子補訂『アクチュアル民事の訴訟』有斐閣(2016年4月・補訂版)……「ものがたりふう」に進行する医療過誤事件の事例とともに、個々の手続や制度がいかなる手続段階で問題になるかを把握し、裁判に関わる関係者の活動が裁判所の内外でどのように展開され訴訟が動いていくかを理解できる。A5判、218頁。 【コンメンタール】 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法〔全7巻〕』日本評論社(I 2014/03・第2版追補版,II 2006/03・第2版、III 2008/06、IV 2010/12、V 2012/08、 VI 2014/09、☆VII 2016/04)……旧民事訴訟法下の定番コンメンタールであった菊井=村松『全訂民事訴訟法(全3巻)』の改訂版であり、実務家必携の詳細な注釈書。旧版の執筆者は裁判官が中心であったこともあり実務的に手堅い見解をとっている。少数執筆者による合議を経て執筆されているため、執筆部分につき匿名方式をとっている。第2版追補版で国際裁判管轄規定に対応。 高田裕成・三木浩一・山本克己・山本和彦・編『注釈民事訴訟法(有斐閣コンメンタール)〔全5巻〕(予定)』有斐閣(V 2015年12月)……第5巻(上訴・再審・手形小切手訴訟・少額訴訟・督促手続・執行停止 281条~405条):A5判、914頁。(評価待ち。) 兼子一原著・松浦馨ほか著『条解民事訴訟法』弘文堂(2011年4月・第2版)……上記コンメン民訴が実務家必携であるのに対し、こちらは研究者執筆(今回の改訂には裁判官も執筆者に参加しているが)にかかる理論的な解説も充実したアカデミックな(新訴訟物理論を支持していたりする)定評ある注釈書。1冊本だが本文1924頁(!)。山本和彦教授が本書の書評において、本書の採用する見解を論点ごとに短評しており参考になる(判タ1350号80頁)。ただし、数多くの間違いが指摘されている点に注意が必要である(出版社HPで訂正が公表されているが、それも全ての間違いがカバーされているわけではない)。A5判、2004頁。 賀集唱ほか『基本法コンメンタール民事訴訟法1-3』」日本評論社(1-3 2012年2月・第3版追補版)……改訂が比較的頻繁。実務的な細かい手続きの情報が充実しているのが特徴。本のサイズが大きく文字ポイントも小さいため学生には十分な情報量がある。第3版追補においては国際裁判管轄についての民訴法改正を逐条解説。日本評論社のHPにて追補部分をダウンロード可能。B5判、400頁・416頁・282頁。 笠井正俊・越山和広『新・コンメンタール民事訴訟法』日本評論社(2013年3月・第2版)……TKCで提供されているインターネットコンメンタールを紙媒体に印刷したもの。A5判、1320頁。(第2版は評価待ち。) 【判例集・ケースブック】 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選』有斐閣(☆2015年11月・第5版)……第4版から判例数を絞り、国際民事訴訟法に関する判例を割愛。競合の判例集が少ないこともあり、ほとんどが利用している。計117件ほかアペンディクス43件を収録。B5判、280頁。 ☆中島弘雅・岡伸浩『民事訴訟法判例インデックス』商事法務(2015年1月)……見開き2頁で、判例のエッセンスをビジュアルな図表を用いてコンパクトに整理するシリーズの「民事訴訟法」編。重要かつ不可欠な裁判例271個(249個)を収録。A5判、540頁。 小林秀之編『判例講義 民事訴訟法』悠々社(2016年5月・第3版)…第3版は、新判例23件を補訂し、223件の判例を収録。判例数は多く、テーマごとに同一著者が評釈している点が特徴。AB判、356頁。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『基本判例民事訴訟法』有斐閣(2010年9月・第2版補訂)……Sシリーズ著者による判例集。判例解説なし。四六判、548頁。 小川英明・長秀之・宗宮英俊編著『民事訴訟法主要判例集』商事法務(2009年8月)……裁判官(及び元裁判官)が編集した判例集。条文順の並びで判例解説はなく、判例収録数は驚きの604件(そのほとんどが大審院および最高裁の判例)。A5判、521頁。 三木浩一・山本和彦編『ロースクール民事訴訟法』有斐閣(2014年3月・第4版)……独習には向かないが良問が揃っている。【資料】欄に掲載されている文献は高橋『重点講義』その他の書籍でも採り上げられているものが多く、基本かつ重要な文献が掲載されている(ただし、内容的には高度なものも含まれている)。B5変型判、672頁。 長谷部由起子他『ケースブック民事訴訟法』弘文堂(2013年3月・第4版)……判例を分析するタイプの問題が多い。評判はよくない。ロースクール民事訴訟法とかぶっているところも多々あり。A5判、552頁。 【演習書】 長谷部由起子ほか『基礎演習民事訴訟法』弘文堂(2013年3月・第2版)……執筆陣は東大系の若手研究者を中心とする30名。それぞれが得意分野を担当しており、やや学説チックな嫌いはあるものの、概ね学習者向けの良質な論点解説集となっている。基礎演習と銘打たれ、はしがきにも学部生や未修者向けの演習書と書かれているが、骨の折れる問題も散見され、易しい問題ばかりではないため、中級者以上であっても、本書から得るところは大きいであろう。解析民訴やライブ本に取り組む前の橋渡しとして、多くの学生にとって有益な一冊と言えるであろう。A5判、376頁。 山本和彦編著、安西明子・杉山悦子・畑宏樹・山田文著『Law Practice 民事訴訟法』商事法務(2014年3月・第2版)……A5判、398頁。 藤田広美『解析民事訴訟』東京大学出版会(2013年5月・第2版)……藤田『講義』の続編。こちらも口語体。通説以外の学説をスルーしすぎたきらいのある『講義』を補完。昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題に適宜寄り道して検討を加えながら、重点講義のように体系順に重要論点を解説している。全体としてかなり広い範囲をカバーしているが、掘り下げは受験レベルとしてもやや物足りない。旧試過去問のうち、事例問題の中には数頁を費やして解説されているものもあるが、一行問題の多くはほとんど、あるいは全く解説が付いていない(もっとも、新司において一行問題が出題される可能性はまず無いと思われるが、気になる人は他の文献に当たることを勧める)。そもそも過去問の解説は答案作成を想定したものになっておらず、演習書と言うよりは教科書に近い。A5判、616頁。 杉山悦子『民事訴訟法 重要問題とその解法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2014年3月)……A5判、280頁。 和田吉弘『旧司法試験 論文本試験過去問 民事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年4月)……元判事の教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。LIVE本として受験生に広く知られた存在となっている。辰巳作成解答例・講師レジュメ・問題解説・解答例の検討からなる。旧司法試験受験生向けの講義のため、基本的に引用文献を伊藤・双書・新堂・上田等の代表的体系書と重点講義・百選(第3版)に抑えて解説している。分厚いが、講義録なので口語体で読みやすく、わかりやすい。理論水準も藤田・解析より安定しており、信頼できる。新版は平成16年度の問題まで収録しており、全40問。絶版だったが2008年に万能書店からオンデマンド版で復刊された。16年改正対応。 和田吉弘『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 和田吉弘民訴法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2014年8月)……司法試験民事訴訟法の論文過去問解説講義書。平成18年から25年までの過去問について、解説。また、各年度の上位合格者の再現答案を取り上げ、内容を検討している。A5判、頁。 井上治典『実践民事訴訟法』有斐閣(2002年3月)……理論的に高度な論点も平易な記述で論文試験に活かせられるように解説。ロースクール民事訴訟法が手軽になったものと考えてもよい。なお、著者が故人のため改訂は見込めない。A5判、242頁。 遠藤賢治『事例演習民事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2013年2月・第3版)……法学教室の「演習」連載の単行本化。全30問。著者は最高裁調査官も経験した裁判官出身のロースクール教員。初~中級向けの事例問題に丁寧な解説が付されている。有斐閣ロースクール民訴との相性が抜群なので(同書で問われている事項の基礎を本書でさらっていくことができる。)、ロースクールの授業で同書を使用している学生は、余力があれば並行して本書を使用してみるとよいだろう。A5判、354頁。 松村和徳・小田敬美・伊東俊明『民事訴訟法演習教材』成文堂(2012年6月)……A5判、292頁。 法曹会編『設題解説 民事訴訟法(二)』法曹会(2008年12月)……本書は、「法曹」第405号から第678号に連載された「法律研修講座(民事訴訟法)」に、若干の加筆補正をし、取りまとめられたもの。この設題解説は、民事訴訟法を体系的に叙述するものではなく、初学者がまず理解しておくべき民事訴訟法上の一般的、基本的と思われる問題を取り上げ、具体的事案に即して、おおむね判例、通説の立場から平易に解説。新書判、300頁。 飯倉一郎・加藤哲夫編『演習ノート 民事訴訟法』法学書院(2010年3月・第5版)……答案作成のポイントと書き方が把握できる演習書。単なる模範解答や論点の提示に止まらず、「答案構成」まで提示。司法試験をはじめ、弁理士試験、裁判所事務官採用試験などの各種試験で出題された問題を中心に民事訴訟法の基本的かつ重要な問題を、訴訟の主体・訴訟の開始・訴訟の客体・訴訟の審理・訴訟の終了・上訴に分類して体系的に配列し、111講を収録。A5判、264頁。 薮口康夫『ロースクール演習 民事訴訟法』法学書院(2015年3月)……長文事例問題30問。A5判、317頁。(評価待ち。)
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