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もう季節はずれなんですが、ありがち子作りネタ エロなしギャグ ―― 最近、寒さのせいか政宗が夜中にこっそり布団に入り込んでくる。 幼い頃は怖い夢をみたとべそべそ泣きながらくるので仕方なく添い寝をしていたが、 元服してからは男女が同じ褥で寝るのは好ましくないと諭して政宗もしぶしぶ聞き入れていた。 それが何故かまた忍び込んでくるようになった。 しかし隣で寝ているだけで別に何があるわけではない。 まだまだ子供で甘えたい気持ちがあるのかもしれないが、 さすがにもう一緒に寝ることはできない。 そう言うとブスーっとして、しまいには命令だと横暴なことをいう。 また畑によく来るようになった。 白菜をじっと見つめてはおかしーなーと首をかしげている。 何か探しものですかと聞くと、なんでもないと畑から出て行く。 突飛な行動は今にはじまったことではないが、 共寝のこともあるので何かあるのかもしれない。 そして今夜もこっそり閨に忍び込んできた。 気配を消して静かに布団をまくり入り込んでくる。 主に対して間違いが起こそうという気はない。 しかし頻繁に男の部屋に通っていると周りに知られたらよくない噂が立つ。 「政宗様、戯れもほどほどになさいませ。」 起き上がり明かりをつけて布団の横に正座する。 小十郎のいつになく真剣な口調に政宗も起き上がり布団の上に座する。 「何か悩み事でもあるのですか?」 政宗は布団の上で顔を赤らめてもじもじしながら小十郎の方をチラチラとみる。 考えたくないが、最悪の答えが頭をよぎる。 守役として長く仕えてきて、政宗が一番心を開いているのは小十郎だ。 身近の男に特別な感情を抱くのは不自然なことではない。 しかし自分は家臣にすぎない。想いを受け止めることはできない。 「政宗様、小十郎には言えないことですか?」 人差し指同士をツンツンつき合わせつつ上目づかいで口を開く。 「男と女が同じ褥で寝たら子供ができるんだろ?」 「政宗様・・・。」 「だから小十郎と一緒に寝たら白菜畑に子供できてるんじゃないかって。それで・・・。」 眩暈がした。ある意味最悪の答えだ。 「・・・とりあえず今日はご自分の部屋がお休みください。」 朝から女中が集まって政宗に指南しているようだ。 そういう歳になったのだと微笑ましくも少し寂しい気持ちになる。 畑仕事をしていると政宗が走ってきた。 「小十郎!俺間違ってた!畑に出来るんじゃなくてコウノトリが運んでくるって!」 何か間違ってる。 手ぬぐいで汗を拭きつつ空を仰ぐ。 太陽がまぶしいんだぜ・・・。 ―― 白菜畑でつかまえて。
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ひまわりばたけでつかまえて【登録タグ v flower ひ メル 曲】 作詞:メル 作曲:メル 編曲:メル 唄:flower 曲紹介 メル氏の15作目。 llustration YOMU 歌詞 (piaproより転載) 歯が欠けたジョンが言うには あれもこれも杞憂らしい おべんちゃらなんだコイツは おまけにダサいし かぶりを振るんだ僕はね できるだけ そういじらしく 先生もインチキ野郎でね 反吐が出そうだ この街を出ようか もう二度と帰りたくもないや 「さよなら、きっと二十年は会えないって覚えていて」 ふたつくくりの愛しの君に言う その時の君の顔は五十年は覚えている 「本当に行くの?」本当だから困ってる 初恋のジェシカが言うには 僕はちょっと気違いらしい とてもシャンなんだコイツは 性格悪いけど まだ時間があったからさ 酒を飲みにバーに来たね 煙草も金も底をついて 「くそ」って言うんだ この街を出るんだ 君は言う「ついて行ってもいい?」って 「だめだよ、だって週末にはピアノの発表会だろ?」って 振り返らずに愛しの君に言う その時の君の顔は五十年間分からないや 「もう知らないから」それしか言わないんだ それは急だった バーで飲んだあと なんだかわびしくなっちまって 視界がボヤけて倒れた ああ、もう死んじゃうのかな 「ひまわり畑でも行ってそんでずっと暇してたいな」 君は怒ったね それはもうカンカンに その時の僕ときたら涙が止まらなくなって 「行けないくせに」君はそれを知ってるんだな コメント 新曲キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! -- 名無しさん (2017-12-27 07 44 04) 題名はやっぱり某洋画のオマージュかな?メルさんの曲ってなんとなく洋画雰囲気があって好きだなー -- 名無しさん (2018-03-09 17 22 53) 本当に大好き!! -- 名無しさん (2020-06-13 18 15 46) この人の曲が世界で1番大好き。 -- フラン (2023-06-10 18 41 59) 名前 コメント
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風の中でつかまえて 虹野沙希以虚拟偶像名义演唱的曲目之一。 歌曲信息 作词:三浦徳子 作曲,编曲:岩崎元是 Guitar:Jun Kajiwara Chorus:Junko Hirotani, Yasuhiro Kido, Motoyoshi Iwasaki Synthesizer:Motoyoshi Iwasaki 演唱:虹野沙希 歌词 風の中でつかまえてね こんな気持 ふわふわして あなたがいなくちゃ 飛んでゆきそう… 風の中でつかまえてね どんなことも あなたのため 今の私は 不思議 できるわ 夕暮れがね ゴールめざす 背中をつつんでゆくの キラキラした 髪に汗が つくってく グラディション 白いタオル 瞳 閉じて あなた 何を 考えてるのかな? 風の中でつかまえてね こんな気持 ふわふわして あなたがいなくちゃ 飛んでゆきそう… 風の中でつかまえてね どんなことも あなたのため 今の私は 不思議 できるわ 帰り道で 出逢った時 重いカバン 持ってくれたの ありがとうと 見上げた時 何かが そう通じあったね カップルたちと すれ違っても 私達の明日の方が 勝ちだね 風の中でつかまえてね こんな気持 ふわふわして あなたがいなくちゃ 飛んでゆきそう… 風の中でつかまえてね どんなことも あなたのため 今の私は 不思議 できるわ 風の中でつかまえてね こんな気持 ふわふわして あなたがいなくちゃ 飛んでゆきそう… 風の中でつかまえてね どんなことも あなたのため 今の私は 不思議 できるわ 收录CD 虹野沙希 虹のリトグラフ (1998/10/09) 相关页面 音乐
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ライ麦畑でつかまえて (登場人物) 鳥栖哲雄、レグ 目を覚ますと、私は麦畑にいた。 ライ麦。黄々とした麦の穂が風に揺れ、小道が畑を縦横無尽に繋ぐ。 不思議な感覚が広がる中で、頭はぼんやりとしていた。 私はふと天を見上げる。 空の色は紺色。夜の闇がゆっくりと後退し、朝日が穏やかなる光景を紡ぎ出す。 「ははっ、少しばかり眠ってしまったようだな。」 3,4時間くらいだろうかな。 そんな長い時間眠っていたなんて、よく私は奇跡的に死なずにいたものだ。 この「殺し合い」という現実に身を置いているというのにな…。 風に揺れる麦の穂が、微かなざわめきを奏でているかのようだ。 穏やかな風景の中で、私は不意に、ガサガサと麦をかき分ける音が耳に届くのを感じた。 私は警戒を強めながら前方を見つめる。 「誰かが近づいている…」 一筋の疑念が私の心を捉えた。 私はデイバックから武器を取り出し戦闘態勢に入りつつ、一方で同時に推理で頭を働かせる。 普段から、私はサスペンス物の小説を読むことが好きだった。 だから、さっきのあの会場でも推理物の刑事の真似事で色々人に聞きまわったものだった。 もしかしたら不用心に麦を歩き回る「訪問者」は聞き込みをした対象の人間なのかもしれない。 この麦、それほどの高さではない。1.5メートルほどだ。 訪問者はライ麦にすっぽり姿を隠れてしまっているのでまあ、子供、か。 ふとここで私は気づく。 訪問者が歩を進むと同時に、金属の冷たい音がカランカランと響くのだ。 これは何か金属状のリング、いや被り物かなにかを装備しているということだ。 つまり、訪問者は彼に違いない。 私がその思考に導いたとき彼が目の前に姿を現した。 「なあっ…!!う、うわああっ!!まま待ってくれ!僕を殺さないでくれ!!た、頼むっ!!」 「ははっ、落ち着いてくれ。"レグ゛くん。私だよ」 「うっ………?…え?あ、貴方は……」 「鳥栖だよ。鳥栖哲雄。さっきちょっと話しただろう?」 私は出刃包丁をそっとデイバックにしまい込む。 涙ぐむ彼はレグ少年。 あの会場で聞き込みを行った人間の一人。手足が金属製の義手の少年だ。 アビスがどうのとかミーティがなんだとか、色々言っていたが、とりあえず人畜無害なのは保証できる。 ま、危険人物の遭遇じゃなかっただけ安心ってとこだ。 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 「一難去ってまた一難、だな。こりゃ」 「…?どうかしたのか…?トステツオ」 「あっ、いやなんでもないよ。独り言が漏れちゃったね。ははっ。」 はぁ。 本当にここ最近は災難続きだ。 チンピラが付き纏ってきたり、反社の集団に拉致拷問されたり、銃で撃たれかけたり、チンピラの親父に殺されかけたり…。 あの延人とかいう最低のクズを殺めて以来、私から平穏は消え去った。 それでも、2人も人間を始末してやっと災難の連鎖を終わらすことができたんだ。 やっと、終われた。 終われた。…というのに、また面倒ごとに巻き込まれてしまった。 なんなんだ、殺し合いって。 ファイナルウォーズ…。荒唐無稽過ぎる。 この歳になって初めて自分に災厄が降り注ぐ体質であることを認識した。 はぁぁ…、全くもって、 「「度し難い……。」」 … 「あっ…!」 「…はははっ、被っちゃったね。レグ少年」 「すまない、なんだか気が合わさったな…。」 いや、被らんだろ普通。度し難いなんて言葉…。 そうそう、荒唐無稽といえばこのレグという子供も、まったく普通ではない。 彼曰くアビスだかいう世界最大の大穴?に探検していて、気が付いたら私と同じく殺し合いを強いられていたらしい。 「上昇負荷があるからこんな所にいるはずがない」、とかよく分からん話をしていたが…。まるで掴みどころのない子供だ。 アビスってなんだ?聞いたことないぞ。主張も外見、全て常識の範囲外だ。 とは言っても、レグは「全てがイカれていてメチャクチャ」というわけではない、 レグは倒錯しているが、しかし整っているのだ。 そのアビスがどうのという夢物語も一応筋は通っているし、受け答えに関してはいたって普通だ。 まるで彼は違う異世界から来た人間かのような。 なんだか、「常識」で今の状況を考えるのは無駄に思えてくる。 それでも、私の性なのか、自分の頭の中で、断片的な情報を繋ぎ合わせていくのをやめない。 何となく、この騒ぎの背後には何か大きな陰謀があるのではないかと感じた。 殺し合い。それは建前で本当は真の目的があるのではないか。 ここまで盛大な準備をたった一人でできるはずがない。主催人間は複数、大勢いるのではないか。 集められた被験者たちの共通点はなんなのか。 手掛かりはないので全貌はまだ見えていないのだが。 思考を巡らせながら、辺りを見回した。 この広大なライ麦畑にて私らは淡々と歩を進めていく。 レグは先陣を切り、どんどんとかき分けていった。 麦の穂が風に揺れ波を打ち、まるで大地が息を吐いているかのようだ。 周囲は我々の足音が響くのみ。その妙な静寂が不気味さを醸し出していた。 その時だった。 「う、うわあああああああああーーーーー!!!!!」 突如レグ少年の絶叫が畑中をこだました。 「どうしたんだっ!レ、レグ少年…!」 …まさか、敵襲? いや可能性は低い。この辺りは人の気配などまったく無かったのだが。 一応、私は臨戦態勢で目前の麦をかき分けた。 「ト、トステツオ……………! なっ何てこった…あっああっ、 あれを…見てくれ………っ」 レグ少年の畏怖した声が聞こえる。 麦を払いのけ目に映った光景に、私は絶句した。 目の前に広がるのはまるで絵具で塗りつぶしたかのように、真っ赤に染まった麦の畑だった。 その鮮血は周囲およそ2メートルをベッタリ染色していた。2,3人の血液の量に値するだろう。 乱雑に踏み鳴らされたライ麦が、先ほどまで誰かがそこにいた痕跡を表している。 麦の茎にところどころ絡みついた赤白い物体――脳漿が現場の凄惨さを見事に物語っている。 「……始まってしまったのか、殺し合いが…、」 私の知らぬ間に。 ここまで無惨に。 鮮血と麦が交わった匂いに私は思わず吐き気を催す。 暫し、怯え切ったレグ少年の肩に手を置くのが精一杯だった。 ここで私は現場の妙な点に気づく、 前述したとおり、人の気配がない。 つまりだ。不思議なことにどこを見渡しても犯行者はおろか「死体」すらなかったのだ。 ふと、あたりの麦をかき分けたがそれでも見つかることはなかった。 跡形も残らないパワーで惨殺した?いや、死体を持ち去ったという可能性も。何故? 死体はないが殺人は確実に行われたと断言できる異様な現場に、顔をしかめる。 「トステツオ……、こっこんなのが落ちてたぞ………」 レグ少年が私の裾をつかみ話しかけてきた。 その手には小さな黒い本、手帳のようなものが握られている。 「物的証拠」が落ちてた、というわけか。 「そ、そこで拾ったのだが…。トステツオのではないのだよなっ……?だとしたら、これは…」 「あぁ。間違いなくこの殺人に関わりある人間のものだね…。」 この犯行現場にただ1つ。ポツンと残された手帳。 私はページを開く。 『拝啓、この手帳を読んでくれたお方へ。 貴方がこれを読んでいるということは、私はもうこの世にはいないでしょう。 このゲームの主催者は冷酷非情で、人々の苦悩や絶望を楽しんでいるように感じます。 だからこそ、私はこの手記を残すことで、彼らの欲望を阻止し、他の被害者を救いたいと考えました。 次のページには、私なりのファイナルウォーズの考察や体験記。過酷な状況下で生き抜くためのいわばヒントを記しています。 これらの情報が、未来の参戦者にとって有用な手掛かりになることを願っております。 貴方に幸運と勇気を祈りながら、この手記を贈ります。』 体験記…。 とどのつまり、これは名もなき被害者のダイイングメッセージというわけだ。 レグと共に私は次のページへと目を移る。 そこには以下のような不気味な文章がつづられていた…。 『私は『元いた』世界では謎を探求する研究者でした。 人類の進歩のため日夜実験をする日々。 そんなある日、突然この殺し合いに連れてこられたのです。 そう、あなた同様に。 私が考察するに、我々参戦者はみな違う並行世界、パラレルワールドに連れてこられたのです。 あなたは「大穴アビス」という言葉を知っていますか。「白笛」という物は。 …存じないでしょう。私がいた『世界』ではそれらを知らない人間はいないのです。 そして、この首輪型爆弾。盗聴器がつけられている可能性があります。 これほど大勢の参戦者の動向を監視するとなると、携帯を強制させられている首輪に仕込むのが一番合理的ですからね。 以上が考察です。以下、私の体験記を記します。 深夜0時28分、私はある参戦者2名に遭遇しました。 処分予定Aと『カービィ』くんです。 私がメモを取っていると、処分予定Aが警戒しながら対話をしてきました。 A自身には興味はなかったのですが、Aの足元にいた彼――、 見た目はピンクボールと形容できるカービィくんに、私は心を奪われたのです。 私は元居た世界にてたくさんの愛おしい子どもたちを実験に使っていきました。 実験の末、彼らは可愛い『なれ果て』と化したのですが、カービィくんは子供たちに匹敵するくらいの愛らしい見た目をしていたのです。 敵意をこちらに向けるAと違い、私に懐いてくるカービィくん。 これぞ愛、愛ですよ。 このとき私は『実験』したいと決めたのです。 0時52分、心が開いた様子のAたちと私は行動を共にすることになりました。 そしてAを拳で撲殺しました。 Aを処分したのは単に邪魔だったということもありますが、カービィくんの反応が知りたかったからです。 異形の彼は思考をするのか、ショックで感情が揺れることはあるのか、涙を流す反応を見せるのか。 私は好奇心で、これまでにない高揚を感じました。 私はさっそくカービィくんの解剖を始めました。 暴れたのなんの。噛みつくは引っかくはで大変でした。 それでもぷにぷにとしたやわらかい外見に、彼に秘めた未知の力。 私の探求心は抑えれることはできません。 補足しますが、これは決して悪趣味な殺人なんかではありません。愛です。愛の塊なのですよ。 色々体内を覗きましたが、基本ニンゲンと変わりない構造であると考察できました。 ああ、カービィくん。それにしても君は何てかわいらしいのでしょう。 衰弱してきていますがその目に宿った炎だけはまだ燃え続けている。そこが非常に愛おしい。 やがて私は先ほどの処分済みAから』 記帳はそこで止まっていた。 「なんだ、これは………………。」 緊迫感はありつつも有力な情報を引きさせそうだった前段と裏腹に、まるで夢か現実か、区別のつかない狂った体験記の後段。 これはダイイングメッセージなんかではない。 狂った参戦者の「殺人日記」である。 予期せぬ文章を読了し、私は沈黙で固まらされる。 「トステツオ……。これ、……」 「サムの息子、BTK。古くは切り裂きジャックってとこだ。」 「え?…なっなんだその…」 現場にメッセージを残す連続殺人犯の前例だ。 捜査官にまるで挑戦状を叩きつけるがごとく、文言を残す者たち。 この手記を書いた犯人は予期せぬトラブルに見舞われ現場にメッセージを落としたのだろうから、実質的にはタイプが違う。 記帳が中途半端なところで止まっていた点から、リアルタイムで書いてるうちに『何か』が起きたのだろう。 そして、もう1つ読み解けることがある。 「レグ少年、気づいたことは…ないかい。」 「き、気づいたこと…?」 私はレグに問いかける。 困惑する彼を見て、私は日記帳のある文章の部分を指さした。 「ほら、ここさ…。『処分予定A』という記載」 「A…、がどうしたというのだ……?」 「単に「処分予定」の人間の『イニシャル』がAだからそう名称したのかもしれない。 だが、こうも考えられるんだ。」 「………………。」 「『アルファベット』順のA、と。 この日記を書いた奴は処分予定B、C、D…を増やすつもりなんじゃないのか……? 仮に奴が生きていたとしたら、この悲惨な殺人はまだこれからも続けられるんじゃないのか…?とね………。」 「……――――っ!」 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 『書き主』がトラブルでもうすでに命を落としていることを願いたい。 私たちは嫌な予感を察しながら、広いライ麦畑から走り出ていった。 【E3/畑/1日目/黎明】 【鳥栖哲雄@マイホームヒーロー】 [状態]:健康 [装備]:包丁@School Days [道具]:イルゼの手帳@進撃の巨人、食料一式(未確認) [思考]基本:生還 1:日記の人間に要警戒 2:レグと共に行動する(不要になったら見捨てる) ※イルゼの手帳には「書き主」の詳細な犯行が書かれています。 【レグ@メイドインアビス】 [状態]:健康 [装備]:武器(未確認) [道具]:食料一式(未確認) [思考]基本:死ぬのが怖い 1:日記の人間に要警戒 2:トステツオと共に行動 ※参戦時期はリコ解毒中の時あたりです。 ←前回 登場人物 次回→ 005:フューチャークロちゃん 007:アドルフが告ぐ 鳥栖哲雄 レグ
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少女迷路でつかまえて
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ストロベリー・パニック OP 「少女迷路でつかまえて」 あああ いしあ ぐけあ むずあ おむた めしか りでみ じえと むきれ いおえ ひでの てへん くぞつ きだば へうぎ かめさ どにり ぶくあ とりぞ たばけ まびふ のねか るおで みはあ はよめ みたな つおい ぐてそ だきん しゆす せのる てひが ちひむ あゆお てへと ごでふ ちべか とめふ しみち のきび せちき だごき のむそ びちろ
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ピーター・ベンジャミン・キャロットは変わり者だ、とよく言われる。 ピーターは魔導師の一族であるキャロット家に生まれた。 この小さな国で魔導師といえば、他所の国でいうところの貴族にも等しい。 先祖がかつての戦争で魔法によって手柄を立てたために、子孫である彼らもまた 生まれながらにしてなに不自由なく暮らしているのだ。 ピーターもまた毎日の贅沢を約束された日常を送っていたのだが、ある日突然実家を飛び出して 魔法技術の研究がより進んでいるラルティーグに留学してしまう。 というのも、キャロット家は魔導師として既に機能していない、『ただの』貴族になってしまっていたからだ。 折角の魔道の才と知識がありながら、土地の管理と社交界でのおべっかで 終わってしまう人生に嫌気がさしたというのがピーターの言い分だった。 そしてラルティーグから帰ってきた彼は―――ここからが彼の変人と呼ばれる所以なのだが、 何を考えているのか自分に委ねられた土地をあろうことか畑にしてしまう。 しかも使用人も雇わずに、だ。たった一人で管理をしているのである。 貴族の豪奢な生活を捨て、魔導師として真理を目指すのならばそれでいい。 しかしその技を得たにも関わらず、よりにもよってたった一人で土弄りである。 これでは農夫と変わらないではないか。道楽にしても度が過ぎている。 ピーターはとうとうキャロット家からも呆れられ、半ば勘当されたも同然になってしまった。 社交パーティが開かれても、もう彼には招待状は届かない。 『変人』ピーターの噂は領地の人々にも広がり、誰も彼には近づこうとしなくなった。 それでもたまにピーターの屋敷の近くを通る人が出ると、 彼ないし彼女はピーターしかいない筈の屋敷に大勢の人影を見るという。 畑には得体の知れない魔獣を飼い、秘密の軍団を揃えて戦争を起こそうというのか。 事実、時折ピーターの屋敷からは人のものとは思えない気味の悪い叫び声がするらしいが……。 真実を知る者はいない。みな、外国の魔術を学んできたピーターが恐ろしいのだ。 実害がないので聖堂教会に応援を頼むわけにもいかず、その国の人々は困り果てていた。 そんな時である。 紅のマントを翻し、伝説の勇者たちがこの国を訪れたのは―――。 「―――で、引き受けたのか」 「ああ」 あからさまに顔をしかめているリューに、ヒロトは大真面目に頷いた。 今夜の宿はいつもより少し豪華だ。 と、いうのもヒロトたちは正式な客人として持て成されているからである。 この小国に入り、いつものように教会で祝福を受けた後のことだ。 この、キャロット家が治める地方に行くよう指示があったのは。 何でも勇者であるヒロト、そしてジョンがキャロット家の食事会に招待されたらしい。 珍しいことだった。勇者とはあらゆる組織に縛られず行動することを定められた者。 故に彼らに賄賂は通じない。もしおかしな真似をしようにも、勇者の動向は常に聖堂教会が目を光らせている。 それに勇者側にしても、そこらの貴族など問題ではない、世界最高権力の『聖堂教会』を 後ろ盾にしているのだからこれをわざわざ裏切るような真似はしない方が得だろうというものだ。 ほとんどの貴族はそれ故に、勇者に積極的に関わろうとはしない。 勇者を手懐けようとして、逆に藪をつついて蛇を出す結果になりかねないからだ。 ヒロトたちは首を捻りながらキャロット家の屋敷に行き―――そして、 食事の後に『変人』ピーターの話を持ちかけられたのだった。 仕事の依頼である。 勘当したとはいえ、ピーターはキャロット家の一員。 もし、もし。万が一、ピーターが噂の通りに軍団を揃え、戦争を企んでいるのなら。 勿論それを放っておいたキャロット家も無事では済まない。 悪くすれば責任を追及されるどころか『共犯』扱いされ、一家全員打ち首になってしまう。 どうか噂の真相を確かめ、もし真実であれば、すみやかに考え直すよう説得して欲しい。 その為ならば多少、手荒な真似をしても構わないから、と―――。 「……自分で行けばいいじゃん」 至極もっともな意見を言うリオルだが、しかしジョンは首を振った。 「キャロット家の魔導師としての力は衰えています。そもそもそれを憂いてピーターは 留学を決意したのですから。キャロットの家に魔導師と戦う力なんて残っていないんですよ。 騎士たちを動かせば大事になってしまいますしね」 「めんどくさー」 「身内の恥を他に知られたくはない、ということだな」 「ま、そういうものですわ。大抵の貴族なんてね」 ローラが訳知り顔でうんうんと頷く。今は休業しているが、そもそもローラはこんな国より もっとずっと大きな王国・ヴェラシーラの王女である。覚えがあるのだろう、色々と。 「ま、依頼は依頼だ。別に特別なことじゃないさ。倒して来いって言われた訳じゃないんだし、 様子を見るだけならそう危ないことじゃない。なんなら俺たちだけで行ってこようか」 ヒロトがそう言うと、ジョンは顎に指を当て、 「しかし、噂が本当だとして、ピーターが軍団を育成していたら?一人で挑むのは……」 そこから先が出てこない。危険では?と続けようとしたのはわかる。そして続けられなかった理由も、 この場にいる全員が身に沁みて知っていた。ヒロト相手に一人だろうが軍団だろうが大して変わりはない。 鬼神のような強さは世界最強、たとえ相手が何者だろうが関係はあるまい。ただ蹴散らすのみだ。 「………いや、まだそうと決まったわけじゃないから、一人で挑もうなんて思ってない。 だから俺『たち』と言ったんだ。最低でもローラにはついてきて欲しいし」 「承知しましたわ」 「む!」 ヒロト指名にローラはどこか嬉しそうに頷き、リューはまた不機嫌そうに唇をへの字に曲げた。 いやヒロトの判断はわかる。 リューは確かに交渉に於いての切り札だ。切り札というか反則に近い。なにせ魔王である。 交渉どころか、リューを一目見ただけで逆らう気を無くしてしまう者も少なくない―――魔獣相手なら。 だが相手が人間の場合、リューはただの少女に過ぎない。 人間の世界に詳しくないリューは、人間相手の交渉の席についても何の役にも立たないのだ。 そしてその際、ヒロトをサポートするのは専らローラの役目である。 王たる風格を以って威風堂々と佇む彼女を傍に置けば、それだけで相手を圧倒して有利に話を進めるのは簡単だ。 いざという時は頭も口も回る彼女のこと、舌先で相手をやり込めることもできるだろう。 さらには本人やヒロトはまだ知らない、『王気』の能力も―――。 ………だから、こういう時に頼りになるのがリューよりもローラであるということはわかる。 理解はしている。納得もしている。でも、ヒロトがリューよりローラを頼るのは嫌だ。つまりはヤキモチである。 「………我も行くぞ。まさか、別についていって困ることはあるまい?」 むくれ顔のままで低く呟く。ただでさえ最近はなんとなくヒロトとのスキンシップが 足りない気がするリューである。ここは乙女的に譲れないところだ。 「と、いうことは魔道書の解析ができないということですね」 ジョンが頷く。 勇者ジョン・ディ・フルカネリは己の使命のため、賢者の石の秘密を探っている。 が、その為に必要な魔道書はリューが魔王城の書庫から召喚するため、 リューの協力が得られないなら解析どころか触れることさえできないのだ。 ………それに、ジョンの能力を魔道書のレベルが遥かに上回るため、ジョンの生命を守るためにも 魔道書を完璧に制御できるリューの付き添いは必要不可欠なのだが―――それは、リュー以外には秘密である。 「ならボクも行きますよ。元々ボクに与えられた依頼でもありますからね」 「ジョンが行くならあたしも行くー」 リオルが能天気に手を挙げて、これで五人。つまるところ全員参加だ。 『変人』ピーターとはいかなる人物か。 それはわからないが、明日、勇者二人と魔王、王女、龍の世にも奇妙な一団が彼の屋敷を訪れることになる。 それがピーターにとって何をもたらすのか―――今のところ、まだ、わからない。 今は、まだ。 翌日訪れたピーター・ベンジャミン・キャロットの屋敷は、なんというか、思ったより『普通』だった。 屋敷といってもそれほど大きなものではない。ピーターは使用人も雇っていない一人暮らしのはずなので、 あんまり広い屋敷では管理が追いつかないという理由からだろう。 造りは立派だがどこか小ぢんまりとした屋敷とは別に納屋があり、見た限り農民の家を豪華にした感じ、 という印象を受けた。あとはキャロット家で聞いた通りに畑が広がり、なにやらにんじんを育てていたりする。 のどかだった。少なくとも、噂のように反逆の軍団を人知れず育成しているなどという気配はない。 普通だ。 あまりに、普通だ。 「……なんか、逆に怪しい感じ」 リオルがぼそっと呟いた。ローラは思わず、心の中で相槌を打ってしまう。 ―――が、もう一人の少女。魔王たるリューはそうではなかった。 炎のような眼を煌かせ、探るように辺りを油断なく見渡している。 「どうしました?」 「……魔力の残滓だ。確かに感じる」 ローラの問いに、リューは小さく答えた。ぎょっとする。ローラには何も感じない。 優れた魔法力を持つリューだからこそ感知できる微弱な魔力。魔法を使った痕跡。だがこれは―――。 「なるほど。確かに魔導師としてはあまり優秀ではないらしい。心配するな。 残り香が微弱なのはそもそもさほど大きい術を使っていないからだ。 この程度の魔導師なら無傷で拘束するのも造作ないな」 ふん、とつまらなそうに鼻を鳴らす。 「ローラ」 と、そこにヒロトが声をかける。彼はさっきから身をかがめて、じっと畑を見つめていた。 ヒロトの右手は畑の土をなぞっている。土?いや違う。そこにあったのは足跡だ。 柔らかな畑の土を踏み固めた、大きく無骨な足跡が―――刻み込めれている。 ローラはあ、と声をあげた。『大きすぎる』。 残された足跡は頑丈な戦士のブーツをはいたヒロトのものよりずっと大きい。およそ畑仕事には向かないほどに。 これを元に身長を逆算するなら、この足跡の持ち主は見上げんばかりの大男ということになる。 キャロット家の情報による限り、ピーターがそんな怪人だという話はなかったはずだ。 百歩譲って―――いや、そんなに譲る必要もないのだが、まぁそれは置いておくとして。 『多すぎる』。 ピーターは一人暮らしだと言った。変人扱いされ、滅多に人は寄り付かないと。 なのに、この足跡の多さはなんだ。畑には大きな足跡がいくつも刻みこまれている。 とても、一人の人間によるものではない。 「―――少なくとも四人。いえ、五人。この小さい足跡も含めれば六人分ですわね」 「小さいといっても普通の大きさだな。これがピーターの足跡だろうか」 「おそらく。軍団というには少ない気もしますが、少なくともピーター氏が一人で暮らしているという話は 真実ではないということになりますわね」 「……それにしては」 二人の隣ではもう一人の勇者、魔法知識担当のジョンが首を捻っている。 「畑で育てているのは本当にただの野菜ですね。品種改良したマンドラゴラかと思いましたが、 普通のにんじんですし。少なくとも霊草の類は育てていないようですよ?」 薬師でもあるジョンが言うのだ。ここは本当に怪しいところなどない、 普通の畑としてしか機能していないのだろう。 『変人』ピーター以外の人間が闊歩するただの畑に魔力の残滓が漂い、かと思えば作っているのはただの野菜? なんだかちぐはぐだ。怪しい。怪しくないところがあるのがまた怪しい。 大げさな―――まるで、攻城戦弓(バリスタ)で兎を狩るような違和感がある。 わざわざ留学までした魔導師が農民の真似事をしているのも十二分に妙な話だし、 野菜を作りたいならそれこそ、人を雇えば事足りるのではないのか? 「………………わけがわかりませんね」 「わかんないんだったらもう直接本人に聞きに行けばいいじゃん」 ものすごく簡単に言うリオル。だけど、正論には違いない。ここで憶測を並べているよりはよほど良い。 ヒロトは立ち上がり、頷いた。 「そうだな。じゃあ、ローラとジョンは一緒に来てくれるか」 「……我は?」 リューがヒロトを睨みつける。リューにしてみれば、今回ヒロトと行動を共にしたくて ついてきたようなものなのだ。しかし、ヒロトは首を振るのだった。 「あんまり大勢で押しかけて警戒されるのはうまくない。それに、相手は仮にも魔導師だ。 リューやリオルじゃ、威圧しすぎるとも限らないだろ」 「なーる」 「………………………」 交渉役のローラ、魔術知識のジョン、そして護衛としてヒロト。布陣は完璧。それが定石というわけだ。 セオリーとも言う。ならばリューは邪魔だってか?リューは唇を尖らせた。 「じゃーさ、あたしらは何をしてればいいわけー?」 「そうだな……周辺をぐるっと回って調べてきてもらえるか。噂にはピーターは魔獣を手懐けている、 というものもあった。畑の様子を見る限り、それが根も葉もないものとは言い切れないだろう」 「ん。りょーかい」 リオルは手を挙げると、ぶつぶつ言っているリューを引き摺るようにして行ってしまった。 リューは腕を組んだままこっちを、というかヒロトを睨みつけていたが、 やがて引き摺られているのが苦しくなったのか乱暴にリオルの手を振り払った。 そして何やら空を仰いでうがー、と叫んでいる。なかなか面白い光景だが、彼女は仮にも、 というか紛れもなく世界最強の魔力を持つ魔王なのであって、あんまり簡単に機嫌を損ねたりしないで欲しい。 世界が滅びるから。と思うヒロトであった。それにしても、何でリューは怒っているんだろう。 別におかしなことはしなかったはずだけど。と、続けてヒロトは首を捻る。 「………リューさん……」 「……心中お察ししますわ」 ローラとジョンが何故か苦笑いしているのもよくわからないが、ヒロトはとりあえずピーターの方が 先決だと頭を切り替えた。こういう『正しさ』が万事を解決する術ではないと学ばない男である。 でもまぁ気配りが完璧なヒロトというのも考えてみれば相当に気持ち悪いが。 「周りに民家がないとはいえ、できるだけ戦闘は避けたい。ローラ、頼めるか」 「ええ」 ローラはリューに手を合わせるのをやめて、真面目な顔になって頷いた。 これからピーターの屋敷に直接訪問するわけだが、何も馬鹿正直に『御用改めである!』と 権限を振りかざすだけが手ではない。相手が警戒してしまってはやりにくくなる。 特に、相手は秘密裏に何かを企んでいる魔導師なのだ。こちらがキャロット家の回し者だと知られたら 逆上して襲い掛かってくることもなきにしもあらず。できるだけそれは避けたいところだった。 なんというか、ピーターの生命を守るために。 先日の特訓の際、威嚇のつもりで踏み込んだ足が力余って地割れを引き起こしたヒロトである。 相手が思いのほか『やる』場合、うまく手加減できるかは微妙なところだ。 今回はローラやジョンもいるため、ブレイズ戦の時のように攻撃にひたすら耐え続けるという手段も難しそうだし。 とりあえずの作戦はこうだ。 『お忍びで旅行中の良家のお嬢様が町を探索中、郊外の屋敷の前に広がる畑に興味を持って 従者の制止も聞かずに屋敷の戸を叩いた』。 頭から尻尾まで全てを偽る嘘はかえってバレやすい。 なら、好奇心旺盛なお嬢様という設定をはなっから作ってやれば、こちらも動きやすくなるというもの。 一国の王女でありもかかわらず、ヒロトを探しに王城を飛び出したローラならその役を演じるのは朝飯前だろうし、 もし相手がその手の人間を嫌うようであっても、彼女ならば臨機応変に対応できる。 直接反乱だとか、戦争だとかいう単語を探り出せなくてもいい。 言葉の端々から情報を導き出せればこちらの目的は達成されるのだ。 もちろん、もしピーターが本当に危険な思想に染まっているなら実力で阻止するまでである。 「―――というわけで、心の準備はいいな?」 ヒロトは先頭に立って、ローラとジョンがその背後で頷く。 ピーター・ベンジャミン・キャロット。 衰退の魔導師一家に生まれ、なお魔力を求めた異色の魔導師。 彼は一体いかなる人物か―――。 コンコンと、扉をノックする。 ………………………。 「―――はい。どちらさま」 しばらくして返ってきたのは若い男の声だった。男、というより少年のそれに近いかも知れない。 ピーターのものと見て間違い無さそうだ。留守なら留守でもよかったのだが、本人がいるならその方がいい。 作戦続行。ヒロトは背後のローラを一瞬だけ見やって、頷いた。 「突然の訪問をまず許されたい。旅の者です。我が主が貴方と話がしたいと。どうか扉を開けて頂けますか」 凛と、丁寧な口調で言う。こういうとき、王城暮らしで叩き込まれた礼儀作法は役に立つ。 勇者とは基本的に聖堂教会の後ろ盾を得ているだけの冒険者に過ぎない。 だがマナーも何もあったものではない過酷な旅生活で、それでも身なり人なりをきちんとできるのは 信頼を勝ち得ていく上で案外重要なものだったりする。もしヒロトが礼儀知らずの乱暴者だった場合、 いくら魔獣を退治しても生きる伝説とまで謳われるような勇者にはならなかったかもしれない。 あの王城での日々が。確かに、ヒロトの糧となっている。その事実が、ローラにはとても嬉しく思えた。 「旅の―――か」 中では何やらガタゴトと重いものが動く音がして、 「驚いた。お前、男の声真似ができるんだな?」 ピーターが、おかしなことを言った。 え?と思わず聞き返す。真似?なんのことだ? 中ではがたん、と一際大きな物音がして、突然扉が勢いよく開かれた。 そして―――。 「ブッ飛べこの悪戯ウサギィィィイイイッッッ!!!!」 巨大な拳が。 ヒロトめがけて、襲い掛かってきた。 風はそよそよ。日差しはぽかぽか。 真っ青な空は吸い込まれるように高く、思わずあくびが出てしまうようないい陽気であった。 背の低い草に覆われた緩やかな起伏の緑の平原、あちこちに咲いている黄色いたんぽぽ。 その葉っぱをよじよじと上って、赤いテントウムシがぱっと羽を広げて飛んでいく。 畑を囲んでぐるっと立てられた柵、その周りをすたすたと探索中の少女が二人。 一人は灼炎龍リオレイアの魂をその身に宿す少女、リオル。 もう一人は世界最強の魔力を誇る少女、魔王リュリルライア。 リオルはなかなかにこの『散歩』を楽しんでいるようだが、 リューはというと、ぶっすぅぅう、と膨れっ面で不機嫌なのを隠そうともしていない。 リオルはそんなリューを振り返って、呆れたように言った。 「リュリルライア様ー。いい加減、機嫌直しましょうよー。ほら、テントウムシいますよテントウムシ! うわっ、なんか黄色いの出した!」 けらけら笑う。リオルは楽しそうだ。リューは楽しくない。 ヒロトがリューを追い払ったのは、その理由は理解できる。それに対して文句を言うつもりもない。 間違っているとも思わない。ヒロトは依頼された仕事をこなすために最善の手段を取っただけだ。 他意はない。ないと理解できる。理屈では。ヒロトは決してリューがうざったいから 『外回り』に回したわけではない。ローラが特別好きだからローラを傍に置いたわけでもない。 そんなこと、わかっているのだ。わかっているから文句は言えない。 だからこうやって、ただふてくされているのである。 本当は、もっと大事にされたいのだ。 我が侭だと分かっていても、触れることができる距離にいたいのだ。 「ふん」 リューは足元の小石を蹴飛ばした。 畑の周りを調べるといっても、ここはジョンが言うとおり何の変哲もないただの野菜畑である。 反逆の軍団どころか、スライム一匹出くわさない。微弱な魔力の残滓は相変わらず畑全体に感知できるが、 それはほとんど無視できるレベルだ。結界も張っていないし、ここには死守するべきものなどないのかも知れない。 それとも、単に結界の張り方を知らないとか。 魔法障壁、絶対無敵の盾を持つリューから見れば―――見るにも値しない脆弱さ。 失笑が漏れる。漏れないけど。拗ねてるから。 「だいたい、ヤツは我のことをナメきってる。そうは思わんかリオル。一応アレだぞ。好きだと言ったんだぞ我は。 自分を好いている女だと知っているくせに、ビフォーアフターで態度が全ッ然変わらんのはどういうことだ。 おい、どういうことだリオル!」 「知りませんよそんなの」 テントウムシをぱっぱと空に逃がして、リオルは半目で憤っているリューにどうでもよさそうに返す。 「じゃー、言えばいいじゃないですか。ヒロトに。もっと構ってくれって」 「そんなこと言ってウザイとか思われたらどうする!」 ほな聞くなや。 リオルはそう思ったが、相手は魔王。魔族の魂に刻み込まれた絶対的上下関係(カースト)が それを口に出すことを許さない。 だいたい、リオルに恋の駆け引きなどわかるものか。灼炎龍時代はオスなんか興味はなかったし、 ジョンに助けられてからは割と好きな時にじゃれてるし。 ジョンがリオルを大切にしてくれているってことは知ってるし。 不満があるとすれば、最近だろうか。リオルが賢者の石で魔力を自己回復できるようになったために、 定期的に行っていた魔力補充―――つまり性行為のことだが―――がめっきり減ってしまったのだ。 いや減ってしまったというか考えてみれば、あの賢者の石事件以来一度もシてないんじゃないか? いやいや、賢者の石が自己回復能力を得たと発覚したのはグリーンドラゴンのゾーラとガチ勝負をした後。 それ以前もなんやかんやで機会を逃していたから……あれ。もしかして結構シてない? 「倦怠期到来かっ!?マズくないあたし!」 リオルは大変なことに気付いてしまった。これが世に言うセックスレスというヤツかっ。 「……ふふん。それ見ろ。貴様とて楽観している場合ではないではないか。 もっと、こうだな。それと気付かれることなく相手を意識させるにはどうすればいいかを考えるべきなのだ」 セックスとか性行為とか、リオルとジョンの関係はリューとヒロトのそれより大分オトナちっくなので、 聞いてるリューの頬は少し赤くなってしまう。 が、そこは魔王としてのなけなしの威厳を保ってウンウンと頷いておく。 「いやぁ別に。あたしの場合ジョンに直訴すればいいだけの話ですし」 「なんだと貴様!裏切るのか!」 「裏切るも何もないですよう。っていうかホラ。ちゃんと探索しないと後で怒られますよヒロトに」 「ええい構わん!どーせ何もないのだから適当に……」 嫌な先輩さながらにリオルに無理矢理ヘッドロックをかけようとするリュー。 嫌がってる後輩そのままに超迷惑そうな顔でヘッドロックをかけられるリオル。 二人のヒトならぬ少女はほとんど同時に、はたと気が付いた。 畑の一角。 丁度柵に隠れて見えないが、何かいる。 「たーらららららんなないろっ♪にんじ~んらっちゅーぃえー♪」 ご機嫌な歌を口ずさむ謎の影。 何をしているのかと覗き込んでみれば、むくりと起き上がり 一仕事終えたいい顔で額に浮いた汗なんかを拭いている。 おしりをふりふり、白くて丸いしっぽをぴこぴこ。 空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ。腰には金色の懐中時計が揺れている。 「ふー、これで今日の収穫はおしまいですぅ。にんじんにんじん。さて、あとは落とし穴を掘って、と!」 少女だった。 ただし、人間ではない。人間の耳はあんなに白くて長くない。頭のてっぺんから生えてない。 ワーラビット。 人間を素体にウサギのパーツをブレンドしたような外見をしているそのイキモノは、 パッと見、カジノで働くおねーさんに見えなくもないがこれでも獣人。魔族の一員だ。 人間を凌駕する身体能力を持ち、特に逃げ足のスピードは相当なもの。 主な生息地、草原。 「………………」 「……………………」 柵に寄りかかってじぃーっとウサギ少女を観察する。 ウサギ少女の隣には山積みになった野菜。主ににんじん。そして、荒らされた畑。 ウサギ少女は引っこ抜いたにんじんの生えていた一角を、またサクサクと掘っている。 「………………」 「……………………」 野菜ドロだ。 リューとリオルは同時にそう思った。 「うに?」 と、その思念を聞き取ったかのようにウサギ少女の耳がぴくぴくと動いた。 驚異的なスピードで掘り進んでいた穴からひょこっと顔を出し、 きょろきょろ辺りを見回した。かと思うとこっちを向く。 「………………」 「……………………」 「……………………………」 「「「………………………………」」」 沈黙が流れた。 ウサギ少女がそのどんぐり眼をぱちぱちと瞬かせる。 リューとリオルは変わらず、柵に寄りかかった姿勢のままウサギ少女を見つめている。 じー、と二人と一人の視線が交差して約一分。 「きぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」 ウサギ少女が絶叫した。 目に一杯の涙を溜めてわたわたわたと両手両足をバタつかせ、 ひと蹴りで身長の二倍ほども跳ぶと穴から一瞬で脱出、文字通り脱兎の如く逃走を――― 「どこへ行く」 ―――リューの威圧的な声に、ぴたりと止まる。 駆け出していた体勢のままギギギと首だけ錆びた鉄門の蝶番よりぎこちなく回し、るるると泣きながら振り返る。 柵に腰掛け、頬杖をついているリュー。柵に寄りかかったままのリオル。 リオルの方は何やらのほほんとしているが、リューは炎の瞳を揺らめかせ、にいっ、と笑う。 さっきまで恋する男の愚痴をぶつくさ呟いていた少女とは思えない、魔王に相応しい壮絶な笑み。 かわいそうに、ウサギ少女は失禁寸前、といった様子でふるふる震えている。 「何故逃げる。まだ我は貴様に『去れ』と命じてはおらぬぞ?」 吹き荒れる魔力の奔流。雲ひとつない青空の下、絶好のお昼寝日和に間違い無しの陽気が嘘のようだ。 この畑の一角。ここだけ魔界になってる。限りなく黒に近い紫色の空気になってる。 屈強な戦士の亡骸が埋葬もされずに白骨化し、路傍に積みあがっているような、そんな感じ。 (な、ななななんで魔王サマがここここんなところにぃぃぃいいいっ!!?) ウサギ少女が悲鳴をあげるのも無理はない。洗濯物がよく乾きそうな平和なある日、 ふと振り返ったら魔王がいたなんてシュールすぎてリアリティにも欠ける。 が、肌に痛いほど感じるのは夢かと疑う余地すらない威圧感。これはまさしく現実。 ウサギ少女のなけなしの魔族としての本能がビンビンに告げている。今目の前にいる 燃え盛る炎の如き鮮やかな赤い髪をした少女が、この世全ての闇と魔を司る魔王・リュリルライアであることを。 「こんなところで何をしている。見たところにんじんを収穫していたようだが。持っていかなくていいのか? まさかこそこそと野菜を盗んでいたわけでもあるまいに。まぁ、万が一。本当に野菜ドロなどという 小賢しい真似をしていた場合―――この魔王の名を穢したとして、相応の罰を受けてもらうが構わんな?」 「ひ、ひぃぃぃいいいい!!?」 リューの指先に炎が灯る。ランプの火よりも小さなそれは、しかしひとたび放てばドラゴンブレス以上の 破壊を巻き起こす地獄の業火だ。哀れ、ウサギの丸焼きがひとつこんがりと出来上がるかと思われたその時―――。 「リュリルライア様ー、八つ当たりはへっぽこですよ」 「馬鹿者。冗談だ。それとあんまりへっぽこって言うな。傷つくから」 ふ、と。 張り詰めていた空気が弛緩する。リューの纏うそれも魔王から普段の少女のものに戻り、 ウサギ少女は危機が去ったと悟って緊張の糸が切れたのか、へなへなとその場に崩れ落ち、 そのままぱったりと倒れてしまった。 「いやぁ、申し訳ない!!」 ピーター・ベンジャミン・キャロットは後頭部に手を当てて、あっはっはと笑った。 「人間のお客さんは本当に久し振りでして!てっきり魔獣と勘違いして攻撃しちゃいましたよ!」 空色のチョッキに赤い蝶ネクタイ、よれよれ白衣といった格好の青年は陽気に過失を告白した。 扉が開け放たれた時、先頭にいたのがヒロトでよかった。ヒロトでなかったら突然のことに驚いて その怪力に吹き飛ばされていただろうし、もちろんそれでは無事では済まなかったに違いない。 しかし戦闘力なら史上最強の一人とも謳われる勇者はその奇襲にも動じず、襲い掛かってきたそれを ひょいとかわすと背中の長剣を抜き払い一閃した。硬い石で出来ているはずのそれは 肩口から腰に掛けて真っ二つに両断され、今は玄関先で転がっている。 ゴーレム。 魔導師が操る動く人形である。ポピュラーなものでは粘土を捏ねて魔力を通し、 形を作って使役する使い魔であるが、その汎用性は高い。 ジョンがダンジョン探索の時、複雑なマップを掌握するために使うマウスもそのひとつなら、 リューがその無尽の魔力を体現するように喚び召すクレイドラゴンもそのひとつ。 他にも人間そっくりの外見を持つほど精巧な『ガイノロイド』や 門を守護する『ガーゴイル』など、様々な種類を持つ術である。 「しかし、自分のストーン・ゴーレムを剣で斬り裂くとは!剣士さん、すごい腕していらっしゃる!」 何故か嬉しそうなピーターの言葉に、微妙な顔をするヒロトたち三人。 そりゃあそうだろう。ヒロトがその気になれば石どころか山だって斬れるのだ。 その辺の魔導師が造ったゴーレムなんぞ目ではない。 ―――と、いうことは胸の中に置いておいて、ローラはにこやかに微笑んだ。 「私の従者をお褒め頂き、ありがとうございますわ。ですが貴方のゴーレムもなかなかのものとお見受けしました。 もしや名のある魔導師様のお弟子様では?」 「いや、いやぁ!自分なんて!自分なんて!少しばかりラルティーグで基礎を学んだだけですので!」 美人のローラに笑顔を向けられて顔を真っ赤にし、ピーターはがりがりと頭を掻きながらアハハとさらに笑う。 ラルティーグ、と聞いてジョンの耳がぴく、と震える。しかしそれだけだ。ジョンはゴーレムに関しての 技術的な話が出ない限り、ローラの従者として黙って静かに出された緑茶を啜っている。 しかし―――と、ジョンは思う。 彼の操るさっきのゴーレム。あれはたいしたものではない。 造形からして雑なのが見え見えだ。シルエットこそ辛うじて人型に見えるものの、首はない。 盛り上がった上体から直接頭が生えており、身体のパーツパーツがごつくて大きい。腕が妙に長く、 地面に届きそうなほどに対して足は短く、膝はどこかと思うほど。はっきり言って不細工だ。 あれではパワーのほうはともかく、精密な動作なんてとても叶わないだろう。 ゴーレムの外見は術師のイメージに寄るものが大きい。 より高度なゴーレムはそれだけ精密なイメージを必要とするのだ。 リューの召喚するクレイドラゴンとは比べるのも馬鹿らしい、月とすっぽんである。 ラルティーグで学んだ、と言うのならもっとマシなものになるまで帰ってこなければいいのに―――。 ラルティーグが誇る天才、ジョン・ディ・フルカネリは心の中で溜息をついた。 「ですがなんだか申し訳ありませんわ。私は魔術のことはよく知らないのですが、 その、貴重なのでしょう?ゴーレムって。急に襲い掛かられたからといって、それを真っ二つに」 「ああ、それは構いません。悪いのはこちらですし、それにストーン・ゴーレムはまだ代えがありますから!」 「そうなんですの?」 「あはは。元々畑仕事をさせるためにいくつも創った試作品のひとつでね。まぁ、貴重といえば貴重ですが、 修理すればまだ動きますから!」 ローラはにこにことした笑顔を崩さず。 ヒロトは従者らしく、瞑想するように控えたまま。 そしてヒロトの隣で緑茶を啜るジョンの目がすっと細まった。 畑仕事をさせるために。 やはり。これではっきりした。畑に残っていた大きな足跡、そして魔力の残滓はこのゴーレムのものだったのだ。 ……しかし、それではそれで合点がいかない。 そんなこと、人間の手でもできるではないか。何故わざわざ、ゴーレムを使わなければならないのだ。 町に広まった噂の影響で従業員を雇うことができなくなったのか?それもあるかも知れない。だが違うだろう。 そもそも噂が広まったのはピーターがキャロット家を追い出されて郊外に―――つまりここに屋敷を持ってからだ。 この青年がゴーレムを使って畑を耕したのが始めであり、噂はそのあと生まれたのだから。 それに魔導師が畑を耕すなんて聞いたこともない。秘薬を作るために霊草を育てるならまだしも、 畑に生っているのは何の変哲もない唯のにんじんである。 魔道の才を持ちながら唯人に堕ちたキャロット家を憂い、ラルティーグに留学したんじゃないか。 それなのに何故わざわざこんな、誰にでもできるようなことをしている? ……はっきり言って、せっかく学んだ魔道の術を無駄にしてないか、こいつ。 じー、と、知らない内にジト目でピーターを睨み付けている自分に気がついて、ジョンは慌てて目を伏せた。 「まあ。畑仕事を?ゴーレムに?」 「ええ!」 その間にもローラはピーターと話を続けている。 「よく働いてくれます。本当は全自動生産を目指してはるのですが、 まだまだ自分の腕ではそんな複雑な命令はインプットできなくて。いやぁ、難しいものです! 畑仕事というのも、魔術というのもね!」 「―――全自動?」 それまで黙っていたヒロトも、それからローラも。驚いてジョンの方を見る。 思わず聞き返していたのだ。しまった、と思ったがもう襲い。ピーターは訝しげな顔でジョンを見、 ―――そして顔を綻ばせた。 「ええ!それこそが自分の夢!野菜の栽培から収穫まで全自動で行われるオートマティック・ファーム! どうです?素晴らしいと思いませんか?指一本動かさずとも美味しい野菜が食べられるのです! ビバ大地のMEGUMI!!」 「……ですが、ピーターさんはキャロット家、つまり名家の生まれなのですわよね? それなら始めから何もせずとも食べるには困らないのでは」 大きく手を広げるピーターに、ローラは可愛らしく小首を傾げた。 しかし、ピーターはノン!と立ち上がって拳を握り締める。 「そうではありません!自分も知らなかったことなのですが、野菜を作るのは大変な手間がかかるのです。 自分が調べたところによると、米を一粒作るのに農民は実に八十八の手間をかけるとか。八十八!なんと!! 自分はそれを知ったとき稲妻のような衝撃を受けました。自分は!その農民たちの努力の上に立ち! 一体彼らに何を返してきたのかと!!」 「………………………」 ローラたちは目を丸くした。特にローラは。 なんとなく、ピーターが変人と呼ばれる所以がわかった気がした。魔導師を志したからではない。 貴族に―――『貴き血族』に生まれ、なお平民の上に立つことを当然としないとの姿勢こそが、 傲慢な彼らの中で異端だったのだろう。魔道に身を染めたのは些細なことだったのだ。 「幸い自分には魔導師の一族の血が流れていた!自分は唯人ではない! 何か彼らにできることがあるはずだとラルティーグに渡り!そして手に入れたのがこの!! ストーンゴーレムの秘術なのだァーーーーーーッッ!!!!」 スタンディングオベーションだった。 ローラは立ち上がった。そして拍手した。 民のことを考え、そして貢献できる―――しようとできる者。己が何の上に立っているのか知り、 その上で行動できる者。確かに人の上に立つ存在は必要だ。そうでなかったら人間の社会は秩序を保てずに 崩壊してしまう。だが、その中で自分が生まれもって優れていると勘違いし、傲慢に振舞う者のなんと多いことか。 それはもはや貴族ではない。王ではない。真の貴族は彼だ。彼こそが、貴族の名に相応しい。 ジョンも立ち上がった。そして拍手した。口笛も吹いた。 魔導師の術を無駄にしている?三分前の自分は馬鹿だった。『人が為』。それがラルティーグの魔術師の 誇りじゃないか。そも、ジョンの目指す賢者の石も同じ。ゆくゆくはヒトの世に更なる繁栄をもたらす為に、 何世代もの研究者たちが目指してきたのである。事実、賢者の石の研究はその過程でさえ、 世の中に貢献してきた。それがラルティーグの在り方だろう。 彼はその力を欲し、得たのだ。真の魔術師は彼だ。彼こそが、魔術師の名に相応しい。 ヒロトは座ったままだった。そして、ちょっとローラとジョンの異様な盛り上がりにびっくりした。 だけど立派だと思ったことは思ったので立ち上がり、両手を広げて天を仰いでいるピーターに拍手した。 ピーターは泣きながら『ありがとう、ありがとう』と答え、何故かこちらも泣いている ローラやジョンと熱い握手を交わした。ヒロトにも向かってきたのでとりあえず手を出したら、 何故かヒロトだけ抱擁された。泣きながら。それを見てローラがさりげなく抱きついてきた。 ノリだろうか、ジョンもヒロトの背中に身を預け、一同は一体となって感動を分かち合った。 なんだこれ。 「でも、困っていることもあるんですよ」 しばらくスポーツの祭典で優勝を決めたチームのように抱擁しあっていたが、 やがてウソのように冷静になったピーターが眉間に皺を寄せて言った。 「困っていること?」 「というと?」 こちらもさっきの熱狂などなかったように一瞬にして冷めたローラとジョンが真剣な顔で訊く。 ヒロトはちょっと疲れてた。 「この近くに魔獣が住んでいまして。いつも自分の畑を荒らすんですよ。あげく、畑に落とし穴まで掘る始末」 「落とし穴………とは。なんとも、緊張感のない魔獣ですわね」 「それだけではありません!自分が畑に出ている間に勝手に自分の家に入り、 写真や服、果ては家具までもを盗んでいくのです!」 『写真』。 専用の道具を使い、術師のイメージを紙に焼き付けた絵のことである。 見たものから己の印象を排除して正確に現像するのは至難の業であるが、 そういった『写実念写』を可能とする念写師は信用を第一とする 大手の吟遊詩人結社―――ミンストレルスギルドにとっていなくてはならない存在だ。 だが魔法使いにとっては真実(現実)とはむしろ歪めるべきものであり、低俗な魔法とされ、 念写を専門とする魔導師は少ない。最近では未来視や千里眼を併用する術式が確立されて そのような考えは変わってきたようだが、それでも貴重なものは貴重なのだ。 「………ですが、魔獣なんですわよね?犯人は」 人間のコソ泥ならまだわかる。ピーターの服や家具はキャロット家から追い出されたとはいえ上等なものだし、 写真だって貴重品だ。売れば結構な値がつくだろう。 ……なんで、魔獣が? 「恐ろしく逃げ足の速いワーラビットです。自分をからかうのを生きがいにしている、 悪魔のようなようなヤツです!きっと盗んだものをいいようにして、嘲笑っているに違いない!」 「悪魔……ですか。ぞっとしませんね」 つい最近悪魔に憑り殺されかけたジョンが口をへの字に曲げる。 しかし、魔獣と人間の諍い事なら黙ってはおけない。ローラはヒロトに目を合わせた。 ヒロトがこくんと頷き、ローラも頷き返す。 「―――で、その魔獣はどこに住んでいるんです?」 畑からしばらく歩き、森にほど近いそこに、彼女の住んでいる穴はあった。 自分で掘ったのだというそこは入り口ににドアが取り付けてあり、中は小さな部屋となっている。 いかんせん地中であるため窓はないものの、ベッド、机、棚、箪笥まで用意してあり、 なかなか住み心地はよさそうだ。 「ほほう、ここが貴様の住処というわけだ」 「うう……住処、じゃなくて家って言って欲しいですう、魔王サマ」 部屋をぐるりと見回すリュー。 その隣では結局パチってきた野菜をぼりぼり齧るリオル。 「うぇ~、苦ッ。ねー、肉ないの肉」 「ご、ごめんなさい。お肉はないんですぅ、火龍サマ」 「馬鹿者リオル。こやつは草食。野菜しか喰わんベジタリアンというヤツだ。……あれ?魚がある」 「川から釣ってきて干物にしてあるんですぅ。ウサギだからって野菜ばっかり食べてるわけじゃないですよぅ」 「………チッ」 「え!?何ですかぁその舌打ち!?ごめんなさぁい!ベジタリアンじゃなくてごめんなさぁい!!」 ウサギ少女、アリス・ワーラビット・ネザーランドはぺこぺこ謝った。 あのあと気絶から目覚めたアリスは目の前にリューたちがいないことに気付いて夢だったんですねぇ~と安心し、 振り返ったら引っこ抜いたにんじんを物色しているリューたちを発見して再び気絶し、 さらに目覚めた後に無理矢理この洞窟・アリス邸に案内させられたのだ。 しかしリューとリオル。この二人、まったくいい客人とは言い難い。 なにせアリスはヌシでもない唯のワーラビットであり、一方相手は魔王と火龍。種族のレベルが違いすぎる。 魔族とは混沌から生まれし種族の総称だ。人間のように貴族と平民でも裸になれば同じ人間というわけではなく、 力の強い種族と弱い種族で露骨に差が生まれる。それでも知能すらない最下級の魔獣なら、愚かな鈍感ゆえに 上の者の『存在』に何のプレッシャーも感じないかも知れないが、残念ながらアリスはそうではなく、 普通の人間並の魔力しかない癖にレベルの差は感じ取れるという哀しい下級魔族だった。 そして目の前の二人は上級種『ドラゴン』と頂点たる『魔王』。 簡単に言えば、『死ね』と命じられても二つ返事で死ななきゃならないくらいのレベルの差がある。 これが良い客人になるわけがなく、さっきからの傍若無人っぷりで済んでいることが奇跡なのかも知れなかった。 ―――と、いっても、リューやリオルはヒロトたちとの旅でだいぶ考え方が『人間っぽくなって』丸くなった 魔王と火龍であり、いきなり無茶な命令なんかするわけがないのだが(傍若無人は二人の素である)。 ………それを、アリスが知っているかと言うと、まぁ答えは言うまでもないだろう。 「そっかー、肉、ないのかー」 リオルは少し残念そうにしている。小腹がすいたのだろう。肉好きのリオルは取っておいたジャーキーを 食べようかなと思い、しかし今食べてしまうと『おやつのジャーキーを少しずつ取っておいて、 まとめてお腹いっぱいジャーキーを食べる大作戦』がまた遠のくなとも思った。 そしてふと、戸棚から何か取り出しているアリスに声をかける。 「アリスちゃん、なにやってんの?」 アリスが持っているのは黒い―――火打ち石? かきんかきんと打ち付けることによって火花が散り、火を熾すことができるアレだ。 もっとも現代では火の魔印を刻んだ『ジッポストーン』が普及しているため時代遅れのものとなっているが。 ………しかし何故火打石? 「アリスちゃんなにやってんの!?」 「火龍サマに召し上がっていただくお肉は残念ながら持ち合わせておりません。 ですから不肖、我が身、アリスめの身体をこんがりとぉ―――!」 「待った!いいから!そんなんいいから!!」 くわッ!と手にした黒石を振り下ろそうとするアリスに飛び掛り、慌てて羽交い絞めにする。 「止めないでくださいぃ!アリスは月に!お月さまに逝くんですぅぅ!!」 「無理ー!無理だから!人身御供っても月面のクレーターが見せる影模様にはなれません!!」 「……リオル落ち着け。何を言っているのかまるでわからんぞ」 どったんばったんと暴れる二人から離れて、リューが顔をしかめた。 リューの細腕では獣人であるアリスと火龍の化身であるリオルを押さえつけるなど……実は簡単にできたりする。 筋力はないが魔力なら並ぶものなし、魔王リュリルライアは適当に緊縛の魔法でもかけて二人から 自由を奪ってしまおうか、でもこんなくだらないことにわざわざ我が動かなければならないというのもなー、 と面倒くさそうに溜息をついた。 「アリスはー!生まれ変わったらまた貴方と出逢いたいー!」 どんがらがっしゃ、と棚の上に立てかけてあった何かが崩れる。 それを何気なくひょいと拾い上げて、リューは眉をひそめた。 「……なんだこれ」 額縁に飾られた、恐ろしく精密な絵……いや、前に見たことがある。 写真とかいう人間が編み出した技術で写し出した『画像』だ。 一人の青年の姿が写っている。背景はどこかの観光地だろうか、 空色のチョッキに赤い蝶ネクタイの青年が恰好をつけて剣を掲げている―――誰だこいつ。 「あー!ま、魔王サマー!駄目ですぅ、それは!」 気付いたアリスが声をあげるも、リオルに羽交い絞めにされているので動けない。 リューは小首を傾げ、きょろきょろと再び部屋の中を見渡した。 ……そういえば、とひとつ疑問を抱いた。この部屋の装い。獣人の住処にしては異様に豪華だ。 戸棚や机は細かい模様細工が彫ってある高級品だし、羽ペンには銀の装飾まで施してあった。 ベッドに掛かっている毛布―――いや羽毛布団は雲のようにふかふかしていそうで、 どんな宿屋にもそんな柔らかな寝床はないだろうという程。 そういえばアリスが腰にぶら下げている金時計だって見るからに高価そうなシロモノである。 っていうかなんでこんな僻地の魔獣が時計なんか持っているんだ? そこでリューは気付いた。 写真の青年の服装と、アリスのそれが同じものだということに。 「なになに?どうしたんです、リュリルライア様!」 ………………………。 なにやら目を輝かせているリオルとは対照的に心が冷えていくのを自覚する。 この女、まさか―――。 「あ、あうぅ……」 「………この男を殺して装備を奪ったか。なるほど?魔獣の本性というわけだ。いやいやいや、構わんよ。 ここで、魔王たる我が、貴様を糾弾することはできぬということはわかっているさ。 だが―――あいにくと今の我はある愚かな勇者と行動を共にしている身でな。 ヤツの理想と真正面から対立するような貴様の所業を、―――見過ごすわけにはいかんのだ!!」 「……え、ええぇっ!?」 リューの瞳がカッと見開く。そしてゴオッ!!と魔力の奔流が空気を掻き乱し、大風を巻き起こした。 さながら紅の海が波立ち逆巻き、全てを飲み込む時化となるように。先程アリスをからかったものなど 比べ物にならない。魔力の波動にただ居るだけで血潮が逆流し、皮膚を食い破って吹き出しそう。 狭い部屋の豪奢な家具が吹き飛ばされ、壁に押さえつけられてミシミシと嫌な音を立てた。 たまらず箪笥は衣類を吐き出し、戸棚もまた扉を開いて中のものをぶちまける。 台風さながらのリューの怒りの波動に、たまらず少女二人は悲鳴をあげる。 「ちょ、リュリルライア様!落ち着いて!抑えて下さい!」 「誤解っ、誤解ですぅ!あたしはピーターを殺してませぇん!!」 アリスの叫び声に、リューはピタリと魔力の放出―――これだけの威力があって、未だ『放出しただけ』 ―――をやめた。どさどさと壁に縫い付けられていたアリス、そしてとばっちりのリオルが落ちてくる。 「痛た……もう、リュリルライア様ったら短気なんだから………」 「では何か。譲り受けた、貰いものだというのか?」 お尻をさすっているリオルをさりげなく無視して、リューはジト目でアリスを睨みつける。 「……あぅ、いえ、それは……違いますけど」 「なら、やはり『ニア 殺してでも奪い取る』ったのか!」 「違いますったら!なんでそう極端なんですかぁ!?」 「アリスちゃん、リュリルライア様はいつもだいたいこんな感じだよ」 「リオルは黙れ」 魔王の一瞥でリオルを黙らせてから、リューはアリスにずいと迫った。 アリスはこめかみから冷や汗を流しながら、思い切り目を逸らす。が、そこは魔王とワーラビットの 哀しいまでの種族的階級差。重圧に耐え切れるわけもなく、がくりと観念したように肩を落とす。 「………畑の向こうにピーターっていう人間の屋敷があるんですけどぉ」 「知っておる」 「………そこから、盗んできましたぁ」 「何故」 「………綺麗だし。便利だったからですぅ」 るるると泣きながら耳まで垂れてるアリスだが、リューは懐疑的な目でじろじろアリスを眺め回している。 そこへ、それまでお尻へのダメージを癒していたリオルがあっけらかんと言った。 「えー、ウッソだぁ」 え、とアリスが顔を上げる。リオルは足元に落ちていた写真―――さっきの立てかけてあったものとは違う、 戸棚の中身がバラ撒かれた拍子に飛び出していたものだ―――を拾い上げた。 ピーター。 これも、ピーター。 それも、ピーター。 「この写真全部同じ人のじゃん。ええと、この人ピーター・ベンジャミン・キャロット、でしょ?」 「あぅ……」 そこへ、何かを察したらしいリューがフムと頷く。 「……なるほど、そういうことか」 あると便利だった。豪華だったから。それもあるだろう。しかし、芯の部分は、違う。 それでは同じ人間の写真を何枚も持っている理由にはならない。そもそも、写真やペンや、時計―――こんなもの、 盗んだってワーラビットであるアリスには何の使い道もないだろうに。 ならば答えはひとつ。アリスはこれが必要だから盗んだのではない。 これを手元に置いておきたかったから盗んだのだ。 つまりそれは、意中の男と常に一緒にいたいがために彼の持ち物を持ち出してしまうという 乙女ちっくハートの成せる行動。そう、アリスは―――。 「アリス!貴様、ピーター・ベンジャミン・キャロットに恋をしているなッ!!」 「ギクぅッッ!!」 リューがビシィッ!と指を突きつけると、アリスは面白いくらいに肩を大きく跳ねさせた。 その顔が見る見るうちに真っ赤に染まる。わたわたと手を無意味に動かしたあと、 ふわふわで真っ白な耳まで赤くして、アリスはぷいと横を向いた。 「そ……そんなんじゃないですぅ」 「「ウソつけっっ!!」」 そのリアクションで十二分。二人のツッコミに部屋の端まで追い詰められたアリスは、しばらくうぅー、 とか唸っていたが、どうせ魔王の追求にウソはつけない。アリスはとうとう、両手両膝をついて告白した。 「その通りですぅ。わたしは……アリスは、人間をスキになっちゃったんですぅ」 「やはりな」 「わぁい」 フフンと何故か勝ち誇ったような顔をするリューと、これまた何故か嬉しそうに顔をほころばせるリオル。 アリスは目いっぱいに涙を浮かべると、悲痛なまでの声で叫んだ。 「魔族にあるまじきこととは存じておりますぅ……お叱りは何なりと受けますぅ! でもでも、ピーターは、あの人は何にも知らないんですぅ!ただ、わたしが勝手にスキになって、 遠くから見てただけなんですぅ!お願いしますぅ!ピーターには手を出さないでくださいぃ!!」 魔王リュリルライアと灼炎龍リオルは―――、 え、と顔を空白にさせた。 そしてこそこそと二人顔を寄せ合うと、秘密会議モードに突入する。 「………おいリオル。人間に恋をするのは魔族的にタブーだったのか?」 「さあ……。でもおとぎ話だと大抵悲恋に終わるっぽいですけど。確かに」 「ああ、鶴とか狐とかフタクチとかか?ふん、そんなものがどうした。ヒロトはそんなんじゃないからな!」 「ジョンだってそうですよぅ。ようは男と女の覚悟次第……これは人間どうしでもそうじゃないですかね?」 「であろう。だいたい我、っていうか魔王的にも自由恋愛を禁じた覚えはないし」 「じゃ、アリスちゃんは?」 「無論OK。オールOK」 「っていうかあたしらがブーブー言える立場じゃないですもんねぇ」 「ん、まぁな」 あっはっはと笑いあう魔王と火龍。アリスとしてはかなり不安な光景である。 「あ、あのぅ……お叱りは」 おそるおそる声をかけてみるアリスを振り返って、リューはぱたぱたと手を振った。 「ああ、そんなもん、いい。いい」 「はぁ?」 「それよりアリス。貴様、遠くから見ていただけと言ったな」 含みのある顔ではあるが、アリスをまっすぐに見つめる魔王リュー。アリスはまたもびくっ、 と竦みあがるが―――その視線が威圧的なものでないことに気が付いて、かえって混乱する。 確かに言った。そして事実だ。アリスはもともとこの土地に棲んでいた魔獣であり、 ピーターを知ったのは彼の屋敷が建てられてからのことである。こんな僻地に家を建てるのも酔狂だと思い こっそり様子を伺っていたら、ゴーレムを引き連れてきたのでとても驚いたのを覚えている。 もしや自分を討ちにきたのでは、しかし自分なんかやっつけたって何の得にもならないよぅ、 とびくびくしていたら、何故かゴーレムたちは畑を耕し始めたのだった。 それまで怖がっていた気恥ずかしさもあり、よくも驚かせたな、と毎日睨みつけるように様子を伺って――― で、気が付いたらそれがとても楽しみになっていた。 あとはリューたちの思った通り。家具や小物を盗んだのはピーターといつも一緒にいられるような気がするから。 畑の野菜を盗んだり、落とし穴を掘ったりしてイタズラするのは自分がいるというアピールのためである。 直接会ったり話したりしたことはない。向こうはアリスの名前も知らないだろう。 それは寂しいとは思うけど―――別に、アリスは、それ以上は―――。 「甘いッッッ!!」 「ひぃ!?」 ちょぴりセンチメンタルになっていたアリスを、腕組みで仁王立ちのリューが吹き飛ばした。 あまりの迫力に尻餅をついたままわたわたと後ろにさがろうとするアリス。しかし背中に、どん、と何かが ぶつかり、それ以上の後退を許さない。見上げると―――そこにはやはり、腕組みで仁王立ちのリオルが。 「魔族の女の子と人間の男の子の恋とあらば!あたしたちは見逃すわけにはいかないっての!!」 「その通り!!」 囲まれた。もう逃げられない。 アリスは異様なテンションの二人に迫られてガタガタ震えた。 頼むから。頼みますから。余計なことはしないでくださいぃ――――――とは、言えない。 この二人の少女は上位種。それも魔王と火龍、ワーラビットなんぞメではない絶対的種族階級の支配者なのだ。 はっきり言って、『死ね』と命じられても二つ返事で死ななきゃならないくらいのレベルの差が―――。 「往くぞリオル!アリスの恋を成就させるために!!」 「サー!イエッサー!!」 ……………こうして、『変人』ピーターと『白兎』アリスの恋は。 半ば無理矢理に、始まることになるのでしあ。 にんじん畑でつかまえて~新ジャンル「うさぎ」英雄伝~ 続
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