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1 2 3 4 5 紬「軽音部を辞めることになりました」 2009/07/05 http //takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1246800007/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る the pillowsネタあってすき -- (名無しさん) 2018-08-20 03 56 00 ムギ宅の凄さを目の当りに。 昔のssらしく粗も目立つけど、力強い。 -- (名無しさん) 2016-07-08 23 43 34 何言ってんだこいつ -- (名無しさん) 2013-12-06 10 00 50 唯「そうだそうだー! 謝罪と賠償を要求するぞー!」 これは澪だろ -- (名無しさん) 2013-12-06 09 03 03 素晴らしいけど最後wwwwww -- (名無しさん) 2013-03-15 17 39 03 最後に全てもってかれた。 -- (通りすがり) 2012-10-01 08 00 38 SS保存場所に「財布呼ばわりする奴とは友達になれない」 というコメントがあったけど僕も超同感。 それはさておき、けいおんきっての名作というべきSSだったよ。 -- (名無しさん) 2012-09-29 18 59 11 インギめちゃいい奴やんwww -- (名無しさん) 2012-07-27 14 26 56 良い話だけど色々笑える所があって面白かった 最後wwww -- (じゅわ〜) 2012-05-11 02 12 16 ええ話や~(´;ω;`) -- (名無しさん) 2012-05-10 17 09 27
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OB.OG会 会長より 大会速報! 本日(9月13日)行われた村山地区新人戦男子団体優勝です。 決勝 山本学園 4×1 山形南 OB.OG会会長、茂木です。 今年度の県高校総体男子団体では決勝戦で代表戦までもつれ込みましたが大変!大変!残念ながら負けてしまいました。来年こそは・・・・・・・ さて今年度のOB.OG会を11月8日頃に開催予定で只今準備中ですので11月8日(土)は予定を入れずにハガキが到着するのを待っててください。 山本学園剣道部 顧問 松井寿夫先生 昭和62年4月山本学園剣道部発足から現在まで剣道を創りあげてた 昔は兄貴!今は父のような存在!(剣道部写真より20周年祝賀会の先生が) OB・OG会 掲示板 第2回OB・OG会 11月15日(土) 19:30~まぐろ亭 会費4000円 山本学園剣道部役員紹介 会長 茂木 義信 (平成3年卒) m.yo@jgd.co.jp 副会長 高橋 政樹 (平成9年卒) 事務局長 熊谷 和寿 (平成12年卒) 20年度 山本学園剣道部の成績 ○ 平成20年度村山地区高校総体 男子:優勝 ○ 平成20年度山形県高校総体 男子:準優勝 剣道部の歴史(県大会3位以上) 昭和62年 4月山本学園剣道発足 11月県高校1年生大会 男子団体 3位! 山本剣道部初の県大会入賞 平成3年 11月県高校新人大会 男子団体 3位 平成4年 6月県高校総体 男子団体 3位 11月県新人大会 男子団体 3位 平成5年 11月県新人大会 男子団体 3位 平成6年 6月県高校総体 女子団体 3位 11月県新人大会 女子団体 準優勝 平成7年 6月県高校総体 女子団体 準優勝 11月県新人大会 男子団体 3位 女子団体 3位 平成8年 1月東北高校選抜大会 女子団体 準優勝 6月県高校総体 男子団体 3位 女子団体 3位 11月県新人大会 男子団体 3位 女子団体 3位 平成9年 6月県高校総体 男子団体 準優勝 11月県新人大会 女子団体 3位 平成10年 1月東北高校選抜大会 女子団体 ベスト8 3月 道場が完成! 7月山形県剣道大会 男子団体 準優勝 女子団体 準優勝 11月県新人大会 男子団体 3位 平成11年 8月山形県剣道大会 女子団体 準優勝 11月県新人大会 女子団体 3位
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介護職が仕事を辞める最大の理由は「業務内容の割に給与が低い」ということが、総合人材サービスのインテリジェンス(東京・千代田、高橋広敏社長)の調査で分かった。介護の仕事を探す際の重視点では「やりがいのある仕事であること」との回答が最も多く、早期離職を防ぐにはやる気をつなぎ留める条件面の改善が必要なようだ。 介護職で仕事を辞める理由(複数回答)のトップは「業務内容の割に給与が低い」で30.5%。以下、「職場や社員の人の雰囲気が悪い」(25.6%)、「楽でない・疲れる」(18.7%)などが続いた。 仕事を探す際の重視する点(同)では1位が「やりがいのある仕事であること」で15.7%、次いで「正社員、または正社員に近い雇用形態」(13.0%)、「勤務地が自宅から近い」(10.5%)となった。(27日 22 01) ソース:NIKKEI NET http //www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20091027AT1D2707Z27102009.html 【コメント欄】 名前 コメント
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唯「あはは、やだなぁムギちゃん。4月1日はとっくの前だよ~?」 梓「普段嘘の欠片もつかないような人が言うと真実味がありますからね」 澪「その分、律がそんなこと言い出しても誰も信じないだろうな」 律「な、なんだと~? 泣くぞ?」 紬「その……嘘じゃないんです」 唯「だからもうだめだって。一回嘘とバレたら4月バカはもう終わりだよ~?」 梓「……いや、唯先輩、これって」 澪「もしかして……本当に?」 律「……本気と書いてマジか?」 紬「はい……。本気と書いてマジなんです」 唯梓澪律「エ~ッ!!!!!」 突然の紬の告白に、4人は音楽室の気温が数度下がったような錯覚に陥った。 紬「もうさわ子先生のところに退部届も提出してきました」 律「ちょ……いい加減冗談はやめろよな」 唯「そうだよ~。ムギちゃんがいなくなったら、私達、音楽室で美味しい紅茶やお菓子が食べられなく――」 澪「ばかっ。そういう問題じゃないだろ?」 梓「そうです! 放課後ティータイムは……私達5人のバンドはどうなっちゃうんですか?」 紬「……ごめんなさい」 律「そもそも何で辞めるなんて言うのさ!?」 梓「私達の演奏が未熟だからですか……?」 澪「わ、私がムギの書いた曲にヘンな歌詞をつけたから……?」 唯「私がムギちゃんの分のケーキも食べちゃったから……?」 必死に問いただしても紬の口からまともな言葉が語られることはなく、 紬「本当に……ごめんなさい」 そう言い残して、紬は音楽室から出て行ってしまった。 取り残された4人の間には、何とも言えない重苦しい空気が漂う。 すると、音楽室のドアを破壊せん勢いで、見慣れた人影が飛び込んできた。 唯「さわちゃん先生」 さわ子「ちょっと貴方達!! 今、ムギちゃんこっちに来なかった!?」 律「来たも何もいきなり軽音部を辞めるなんて言い出して……」 梓「そ、そう言えば先生のところに退部届を出したって……」 梓の言葉に促されるように、さわ子は懐から一通の封筒を取り出した。 その表面には紬らしい上品に整った字で『退部届』と確かにある。 澪「ちょっと見せてください!」 封筒の中にはこれまた高級感漂う上質な便箋用紙、 しかしそこに書かれていたのは『一身上の都合により軽音部を退部させていただきます』 という、あまりにも無機質なワンセンテンスだった。 律「一体どうしてムギは急にこんなこと言いだしたんだ……」 梓「やっぱり私たちの演奏が……」 澪「私の歌詞が……」 唯「こっそりお茶っ葉を家に持って帰ってたのがバレたのかも……」 さわ子「わからないけど……これ(退部届)を持ってきたときのムギちゃん、 ちょっとおかしかったわ。 私が理由を尋ねてもちっとも答えようともしないし……。 ああ、ムギちゃんが軽音部からいなくなっちゃたら私の安らぎの放課後ティータイム はどうなるの!? それにあの子ほど喜んでコスプレしてくれる子もいないし……ああ、私の生きがい が……」 音楽室が暗欝とした溜息で充満していたその頃、紬は逃げるように早足で校舎を後にしていた。 するとそんな紬の前に急停車する黒塗りの車が一台。 紬「ちょっと斉藤! 学校には乗りつけないでとあれほど……」 斉藤「申し訳ございませんお嬢様。しかし本日はこの後……」 紬「わかっています! だからしばらく離れたところで呼ぶつもりだったのに……」 紬は恭しき斉藤の所作に促されるようにリムジンの後部座席に乗り込んだ。 そして最初の信号で停車すると、運転席から斉藤が語りかける。 斉藤「お嬢様……軽音部の方はよろしいのですか?」 紬「…………」 斉藤「皆様には事情をお話しになられたのですか?」 紬「…………」 斉藤「お嬢様……今ならまだ間に合――」 紬「斉藤、余計な口は慎みなさい」 斉藤「はっ、申し訳ございません。しかし……」 紬「もういいの」 斉藤「お嬢様……」 それっきり紬は窓の外をぼうっと見つめたまま、黙り込んでしまった。 紬「琴吹家の言うことに私が逆らう余地などないんですから……」 ある日のこと、世界中を飛び回る実業家である紬の父親が、珍しく屋敷に帰っていた。 そして紬は父親の部屋に呼び出された。 ムギ父「紬よ、お前は学校で軽音部に所属しているそうだな?」 紬「!!」 紬は驚きで眉毛がひっくり返りそうな錯覚に陥った。 自分が軽音部に所属していることを父に打ち明けたことはなかったからだ。 もとより、紬の父は世界を股に掛ける多忙の身。娘の学校生活に関して、 立ち入るような余裕も暇もなかったはずだ。だとすれば父にこのことを密告したのは…… ムギ父「そう怖い顔をするでない。このことを私に教えてくれたのは斉藤ではないよ」 紬「じゃあ……」 ムギ父「私の旧い友人でね。今はレコード会社の重役を務めている男がいる。その彼がね、偶然にも見たそうだ。お前の所属するバンドの演奏をな」 紬「!!」 紬には一つだけ思い当たる節があった。 数週間前、彼女たち放課後ティータイムは初めての学内以外での演奏活動を行ったのだ。 澪「提案があるんだ。学園祭も近いことだし、その予行演習といったらなんだけど、ライヴハウスに出演してみないか?」 律「はぁ~? 私たちを出演させてくれるライヴハウスなんて、どこにあるんだよ?」 梓「私の父がよく出演しているライヴハウスがあって……そこのマスターがご厚意で私たちに 演奏させてくれるって言うんです。 もっとも本当に小さなライヴハウスですけれどね」 紬「そう言えば梓ちゃんのお父様はジャズミュージシャンをされているんでしたよね」 唯「ライヴハウスか~、って……ライヴハウスって何するところ? 新しいレンタルビデオ屋 の名前?」 そんなこんなでとある週末の晩、放課後ティータイムの面々は梓の父親御用達のライヴハウスで、数曲ながらも演奏を行った。 ライヴハウスというよりもジャズバーといった様相の小さなハコではあったが、 ジャズミュージシャンが出演するようなところだけあって、客の年齢層も音楽的嗜好の敷居も高く、5人は受け入れられるかどうか心配だったが、 澪『あたし もう今じゃあ、あなたに会えるのも夢の中だけ~♪』 澪『たぶん 涙に変わるのが遅すぎたのね~♪』 唯『見つかりにくいのは~♪』 唯『傷つけあうからで~♪』 客1「ヒューヒュー!!」 客2「お嬢ちゃん達、若いのになかなかやるなぁ~!!」 澪唯『最近はそんな恋の~ どこがいいかなんて~♪』 澪『わからなくなるの~ それでもいつか~少~し~の~♪』 唯『ららら~♪』 澪『あたしらしさとか~ やさしさだけは~ 残れば~♪』 唯『ららら~♪』 客3「ウチの娘にしたいくらいだよ!」 客4「いやいやウチの息子の嫁に(ry」 客5「寧ろ俺の嫁に(ry」 澪唯『まだラッキーなのにね~♪』 律が偶々その頃よく聴いていたというとあるバンドのカバー曲が好評。 さらにオリジナル曲も意外にもウケたのだった。 これに気を良くし、来る学園祭ライヴに向けて自信を高めたはずの軽音部の面々であったはずだったのだが……。 紬「まさかあの時……」 ムギ父「その通りだ。あの時の演奏をその友人が偶々見ていたそうだ。 彼は元々ジャズもよく聴く人間だったからね。そこの常連だったそうだ」 紬「そんな……。でもそれだけでどうして私のことを……」 ムギ父「お前がまだ小さい頃の写真を見せたことがあるだけだったけどね。 彼はすぐ気付いたそうだ。『あんな特徴的な眉毛をしているのはお前の家系を置いて 他にいるわけがない』と、な。それにしても――」 父からの次の言葉を想像し、紬は思わず身を固くした。悪い予感が胸を過る。 ムギ父「まさかお前が私に黙って軽音楽などにうつつを抜かしていたとは――な」 紬「そ、そんなっ……!」 ムギ父「仕事ばかりでお前にかまってやれなかった私にも責任がある。斉藤にももっと紬の学 校生活について報告をさせるべきだったと反省しているが――」 悪い予感は見事に的中した。 紬「黙っていたことは謝ります! でもっ……!!」 ムギ父「軽音楽など浮ついた不良の音楽だ。由緒正しき琴吹家の人間がやるものではない」 紬「そ、そんなことはありません!!」 ムギ父「私の時代ではエレキギターが不良の代名詞だった。 長髪で、服装は乱れ、何かにつけて社会に反抗する輩ばかりだったよ。 そういえば常にナイフを持ち歩いていたような危険な男もいたな」 紬「それは昔の話です!」 ムギ父「実際、私の部下に調べさせたところによるとお前のいる軽音部にはロクな人間がいな いそうじゃないか。 提出書類をすぐに忘れる部長に、猫の耳を頭につけて喜び狂う後輩……終いにはアホ の子に衆目の前で下着を晒すような娼婦紛いの同級生まで……」 紬「みんなのことを悪く言うのは止めてください!!」 ムギ父「いずれにせよ、そんな部活にお前が身を置くことは許せん。すぐに退部しなさい」 紬「………っ!!」 数日前の父親とのやり取りを思い出し、紬は流れる景色を眺めながら小さく唇を噛んだ。 言いたいことは山ほどある。撤回させたい発言を積み上げればそれこそ天を突くほどだ。 しかし、父親の築いた『琴吹家』というブランドの中でぬくぬくと育ち、実際に今もその恩恵を受けて生きている自分を思うと、紬にはそれ以上何も言い返すことができなかったのだ。 斉藤「紬お嬢様……そろそろ屋敷の方に到着致します。 先生の方が見えるまではもう少し時間がありますので、到着しましたら先にお食事にな さいますか?」 紬「…………」 斉藤「お嬢様?」 忠実な執事の声色に、自分を心配するわずかな陰りが見えたことには気づいたものの、紬はやはり黙っていることしかできなかった。 何が『お嬢様』だろうか――。 自分はただの籠の中の鳥、自力じゃどこにも飛んで行けない無力な存在――。 そんなやるせない気持ちが紬の心を支配していた。 紬が退部を告げてから数日というもの、音楽室は昼間だというのに灯りの消えた暗闇のような雰囲気に支配されていた。 律「うう~っ……ムギの紅茶とお菓子がないと力が出ない~」 唯「私なんか禁断症状で手が震えてきたよ……」 澪「どこまで欲求だけで生きてるんだお前らは」 すると、友達のいないオタク生徒の休み時間のごとく机に突っ伏す先輩の姿を見かねて、 梓「ムギ先輩の見よう見まねなんですけど……先輩が残していったお茶っ葉で紅茶を淹れてみました」 唯「あずにゃんすご~い!!」 律「でもこれ……」 澪「うん……『あの味』ではないよな」 梓が淹れた紅茶も不味いわけではない。寧ろ高級な茶葉を使っているので、舌にとろけるような美味なのは相変わらずだ。しかし、 唯「ムギちゃんの淹れてくれる紅茶は暖かかったなぁ……」 梓「そうですよね……」 唯の言わんとすることの意味が梓にも良く理解できた。 唯「ムギちゃん……教室でも最近殆ど話しかけてくれないよね」 律「殆どというか全くだな。まあ、あんなことを言い出した手前、気まずいんだろうけどさ」 澪「私も廊下ですれ違ったけど何もなかったよ……」 梓「どうしちゃったんでしょうか、ムギ先輩……」 さわ子「ちょっとみんな!! ヘンタイ……じゃなくてタイヘンよ!」 するとまたもや闘牛のような勢いで音楽室に駆け込んでくるさわ子。あまりの勢いのよさに音楽室のドアが吹き飛んだような錯覚すら受ける。 律「ヘンタイは先生の方だろ。それより今度は一体何なんだ?」 唯「今の私たちにとってムギちゃんのことより大変なことなんてないよ?」 さわ子「そのムギちゃんのことよ!」 澪「な、なんだって!? ムギが……転校!?」 梓「う、嘘ですよね……?」 さわ子「嘘じゃないわ。さっき職員室に来てね、正式に転校届を提出していったの」 律「まさか……転校のことがあったから軽音部を辞めるなんて言い出したんじゃ……」 唯「そんなぁ……どうして転校なんか……」 さわ子「しかもムギちゃんの転校先は……ロンドン。あの名門、ブラックモア音楽大学の付属 校らしいわ」 澪「ロ、ロンドンッ!?」 梓「ブ、ブラックモア!?」 律「なんだなんだ、そのブラックなんちゃらってのは?」 澪「ブラックモア音楽大学って言ったら、有名なミュージシャンが多数卒業した名門中の名門 大学だぞ!?」 4人は今更ながらに思い出す。 紬の実家は正真正銘の名家で、それこそ夏休みには「ちょっとそこまで」のノリでフィンランドに避暑に出かけるほどの国際派お金持ちであったことと、 さわ子「どうやらムギちゃんはクラシック音楽を専攻するコースへの編入を希望していたよう だわ」 紬自身も幼少のころからクラシックピアノを嗜み、コンクールで賞を獲得するほどの才女であったことを。 唯「クラシック音楽って……あのべーとーべんとかもーつぁるとか……変な髪形のオジサンた ちがやってる音楽?」 律「今まで1年以上一緒にやってきて一度もそんな素振りは見せなかったのに……」 梓「やっぱり私たちの演奏に嫌気がさして……」 澪「いや私の歌詞がムギの曲を台無しにしたから……」 さわ子「ただ、私にはどうも解せない点があるの――」 もはやお通夜状態の4人を前に、さわ子は俄然真剣身を帯びた口調で語り始めた。 さわ子「夏休み明けにやった進路希望調査じゃ、ムギちゃんの希望進路は国内の文系大学だっ たわ。 音大もオの字も留学のリの字もなかった。それがこの数カ月で留学志望に変わるなん てちょっと不自然。それに――」 唯律澪梓「それに?」 さわ子「退部届を出しに来た時もそうだったけど、転校届を出しに来た時も、ムギちゃん、尋 常じゃなく落ち込んでいたように見えたの――」 さわ子はその時の紬の、ご自慢の眉毛が額から取れて今にも落ちてきそうなほどの沈んだ表情を脳裏に思い出していた。 さわ子「それこそ、まるで誰かに無理やりこの状況に追い込まれているような……ね」 紬「そんな……軽音部を辞めるなんて……私には出来ません……」 控え目な調子ながらも紬は父親に意見した。だが、 ムギ父「紬よ、私は何もお前から音楽を取り上げようというわけではない。お前は小さい頃か らピアノを弾くのが好きで、才能もあったようだからな」 紬「……え?」 ムギ父「実はな、さっき話した私の旧友のレコード会社はクラシック音楽を主に扱っているら しくてな。それで紬の演奏に、彼は随分と感銘を受けたらしい。 演奏していたのは粗野な音楽だったが、お前の鍵盤捌きには見るものがある、とな」 紬「それはつまり……」 ムギ父「紬、お前はクラシックのピアニストになりなさい。それならば私もお前が音楽をする ことを許そう」 その提案をすることで、娘の態度が少しでも軟化するとでも父は思っているのだろうか? そう思うと、紬は自分の父親の考えの浅はかさを呪いたい気持ちになった。 音楽を演奏することが楽しいのは勿論だ。 だが紬にとっては、軽音部のメンバーで、つまりは放課後ティータイムの5人で音楽を演奏することに意味があるのだ。 それを父親は少しもわかってくれていないのは、火を見るより明らかであった。 紬「お父様、私が言いたいのはそういうことでは……!」 しかし、事態は紬の想像よりずっと深刻であった。 ムギ父「良い機会だ。お前ももう高校2年生、卒業後の進路を考えるべき時だし、海外の音大付属校へ転入して本格的にクラシックピアノを学ぶといい」 ムギ父「専属の家庭教師も付けてあげよう。勿論、すべてが上手くいけば数年後には件の旧友のレコード会社からデビューさせてくれるという話も取り付けてある――」 紬「そ、そんな……」 ムギ父「悪い話ではないだろう? 思えばお前は昔からピアニストに憧れていたではないか」 「私の意志はどうなるのか」――結局、その言葉は言えずじまい。 紬は今更ながらに、自らに課せられた『琴吹』の名の重さを、ひしひしと思い知る羽目となった。 律『最初は私と澪だけでどうなるかと思ったけど、その後すぐにムギが入部してくれたからこそ、今の軽音部があるんだよなぁ』 澪『ムギ! また新しい歌詞を書いてきたんだ! これはとある少女の甘い初恋をチーズケーキの味に例えた私の自信作なんだけど……また曲をつけてくれないかな?』 梓『ムギ先輩はキーボードお上手ですよね。バッキングにもソロにも対応できますし……。私のお父さんも「ジャズ界隈にもアレだけのプレイができる人間はいない」って言ってました!』 唯『ムギちゃん、ケ~キ~、おかわり~、もういっこ~。こうちゃ~、おかわり~、もういっぱい~』 「お嬢様、只今先生がお見えになられたようです――」 2
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現職を辞める前に 俺は仕事をやめるぞッ!ジョジョーッ! 退職日は申し出から最短2週間(民法)ですが、就業規則で1ヶ月前としている会社が多いでしょう。内定受諾前に一度チェックを。就業規則では1ヶ月だが、引き継ぎに2~3ヶ月必要だ!と言ってくる職場もあるかもしれません。準備はお早めに。 (期間の定めのない労働契約の場合)月給制の場合、労働者から給与計算期間の前半に労働契約の解約を申し出る必要があります。例えば給与支払期間が1日~末日の場合、毎月1日~15日の間に申し入れることになります。日給月給制・日給制・時給制の場合は労働者から2週間前に申し出る事で労働契約の解約ができます。 (期間の定めのある労働契約の場合)原則的に労働者側・使用者側から解約を申し入れる事はできません。ただし、労使が合意した場合に限って解約を行うことができます。 健康保険について 健保から国民健康保険への切替が必要です。障害・病気・ケガが原因で退職した特定理由離職者は離職票、雇用保険受給者証を持って国保窓口に行くと前年度の収入が1/3扱いで計算されます。健保の任意継続より圧倒的に安いです。国保や共済に変わると自立支援医療(精神通院)の変更申請が必要です。忘れずに区市町村役場へ。 医療費の公費助成(マル都、マル障など)を受けている方も区市町村役場へ。 健康保険料は毎月末日に加入している医療保険制度に支払います。末日退職の場合、翌月分の健康保険料が天引きされています。 年金について 国民年金は免除申請しましょう。もし免除しなくても平気さ!って言う人は付加保険料をつける申請をしましょう。付加保険料はめちゃくちゃお得です。 もちろん翌日速攻で入省して共済組合に入る人には関係ない話なのでスルーでおk。 年金保険料も毎月末日に加入している年金制度に支払います。末日退職の場合は翌月分まで天引きされますが、こちらは厚生年金保険料の加入月が1月加算されるので財布には優しくないですが、将来的には有利です。国民年金の付加保険料はお得ですが、厚生年金と比べたら厚生年金に軍配があがります(自分で計算してみてね)。 もし3月中に入省する場合は共済に支払うので問題はありません。 その他のお金のこと 家賃払うのがキツい時は住宅確保給付金を区市町村からもらいましょう。これは失業保険を含めた当月の収入を見るので、月が変わったらすぐに申請するのがおすすめ。 前職で企業型確定拠出年金に入っていた場合、無職はもちろん公務員も引き継ぎできません。iDeCo(個人型確定拠出年金)に振替手続きをしましょう。 傷病手当金は退職日に欠勤していれば退職後も引き続き請求・受給することはできます。が、身体・メンタルを治してから受験しましょうね。健保組合によっては法定の1年半が過ぎたあと、さらに健保組合任意で1年半の給付がある場合があります。在職中(休職中)である事が条件だったりするので、辞めるときは慎重に。 失業保険は障害・病気・ケガが原因で退職した特定理由離職者の場合7日の待期期間が設けられています。その後に基本手当が支給されます。障害者手帳を出すと就職困難者として支給期間が健常者より長くなります。また、待期期間後、早々に就職が決まると再就職手当が受給できますが、これは内定日次第なので間に合わないことも…。 傷病手当金と失業保険は同時に受給できません。失業保険の開始を延長することができるので、ハローワークで手続きしましょう。 労災保険の休業給付は就労可能になった時点で止まります。傷病年金と障害給付は考慮しなくてよいと思います(個人の感想) 障害年金についても考慮しなくていいと思います(同) 前職の源泉徴収票は大事に保管しましょう。 名前 コメント
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剣道部【けんどうぶ】 概要 『2』と『4』に登場するクラブの一つで、基本的には運動と根性が上がる。 『2』では穂刈純一郎が、『4』では2年目より登場するエリサ・D・鳴瀬が所属している。 『2』 勧誘ポスターは防具をつけた選手2人が向かい合う(奥の選手が面・手前が胴の構え)もので、いささか地味。 クラブコマンドを実行する事により、運動と根性が上がりやすくストレスも少し上がるが、体調は他の運動部以上に下がりやすく、文系・理系・容姿が下がる。また、運動部の中で唯一雑学も下がってしまう。ひたすら雑念を排し稽古のみに集中することを求められている、ということか。 どうしても休養の回数が多くなる事もあって、他の運動部所属時と比べても主人公を高い能力に育成する事が難しい。 所属している女性キャラもいないため、ここに所属するメリットはほぼ皆無と言っていい少々悲しい部である。 純と男同士の青春を満喫したい人は、所属してみるのもいいかもしれないが。 練習試合の応援に来るのも毎回純で(1年目の6月から3年目の6月まで全ての試合で純が来る)、インターハイを除けば女性キャラが来てくれる事は無い。 一方で、剣道部のコマンド実行時には純のチビキャラが出て来ない(他のコマンドでは登場する事もあるが)。 また、インターハイ(女性キャラが誰も応援に来ない状態)でも純が登場する事は無いようなので、彼と優勝の喜びを分かち合う事が出来ないのは少し残念である。 なお、3年間苦楽を共にした仲間と女の好みまで一緒になってしまった場合は、決闘で同じ奥義をぶつけあうことになる。 ……主人公は奥義使用時にしか木刀を持たないので、剣客同士の果たし合いという雰囲気はあまり無いが。 夏合宿では、風呂を覗くと純の入浴シーンを覗く事が出来る。 覗いても女性キャラのときめき度が下がる事は無いが、別の意味で下がりそうである上、普通の性癖を持つ男性プレイヤーは覗きたくもないだろう。 しかしながら、主人公はドキドキしたと語る。それでいいのだろうか…。 正に「純の純による純のための剣道部」と言えるだろう。 『4』 1年目7月18日までに主人公が剣道部(を含む運動部)に入部した場合は、大倉都子がマネージャーとして同じ部に所属する。 (その日までに剣道部を含む運動部に主人公が入部しなかった場合は、都子はランダムでいずれかの運動部に入部する。) また、エリサはこのコマンドによって登場する可能性があるが、それは2年目から剣道部に入部した場合に限る。 主人公が1年目から剣道部に所属している場合は、2年目の最初の週に自動的に登場する。 クラブコマンドを実行する事により、運動・根性が上がりやすく芸術も少し上がるが、体調は下がりやすく文系と理系が少しずつ下がる。モラル上昇率が吹奏楽部と同様に高い事から、その点では皐月優攻略(及び1年目での生徒会当選)のための部活としても適してはいる。 ただし、エリサは一度ときめき状態になるとそこから好感度が一気に上昇する上に、ヒロインポイントがたて続けに13ポイント入る等、一つ取り扱いを間違えると極めて危険な存在になる。 (具体的には、爆弾が発生するたびにデートで処理する事。そうするとクリアの条件を満たしてしまう可能性が大きい) よって、皐月攻略のために剣道部に入部するのは勧められない…というかエリサが本命でないなら近づいてはいけない部である。 パラメータの上昇・下降パターンが同様であり、事実上女性キャラが不在の水泳部の方がいいだろう。 その他 『1』の時代のきらめき高校には存在していないため、主人公は入部出来ない(『1』のノベライズでは存在し、朝日奈・古式編に登場する伊崎洋介が所属している)が、『2』で剣道部に入部している場合は、練習試合できらめき高校と戦うことになるため、 元々、きらめき高校には剣道部は存在していたが、主人公の選択肢には剣道部はなかった。 『1』の主人公がきらめき高校を卒業した1997年から『2』の主人公がひびきの高校に入学する1999年までの2年間で剣道部が創設された。 のどちらかだろう。 進路としてはクラブマスターになる事により『2』では師範への、『4』では剣術家への道が開ける。 関連項目 部活・趣味・バトル 穂刈 純一郎 エリサ・D・鳴瀬
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執事の言葉にハッとして顔をあげる紬。気付けば、軽音部の仲間達のことを考えていた。 だが、自分にもう戻る場所などないのだ。 俯きながら屋敷のピアノ室に向かうと、既に琴吹家によって手配されたクラシックピアノの講師と思しき人間がいた。 斉藤「こちら、現在世界的演奏家としても活躍されておりますスウェーデンのピアニスト、イングヴェイ先生です」 先生「ハッハー!! この度琴吹家に雇われてツムギを指導するイングヴェイ・マルムス ティーンだ!! 出身は貴族だ!! 正確には伯爵だ!! と、いうことでよろしくなツムギ!! これで今日から俺とツムギはソウルメイトさ!」 紬「……斉藤、この人は一体?」 斉藤「イングヴェイ先生はクラシックピアノの常識を覆す超絶速弾きで世界に名を轟か し……」 先生「ハッハー!! 速いだけのスピードなんてクソさ!! 大切なのは常にメロディアスで あるということなんだ!!」 斉藤「CDを出せばミリオンセラー、ツアーをすればアリーナ級の会場を次々にソールドアウ トという――」 紬「そういうことを聞いているのではなくて……」 斉藤「先生には、ピアノの演奏技術だけでなく作曲についても紬お嬢様を指導していただくこ ととなっております――」 紬「作曲?」 斉藤「はい。軽音部で紬お嬢様が作曲された楽曲について、旦那様の旧友の方の評価もかなり 高いものであったようでございますので」 先生「ほう? それじゃさっそくその曲とやらを聴かせてもらおうか。ツムギの才能を測るい い参考になるぜ」 しかし、あれはあくまでも放課後ティータイムのために、あの5人で演奏するために書いた曲だ。 それがこうして意外な形で評価されていることに紬は戸惑いと切なさを隠しきれなかった。 斉藤が手際よく放課後ティータイムの音源の入ったCD-Rをステレオにセットするのを見ながら、紬はまた一つ大きくため息を吐いた。 備え付けの高級ステレオから、既に懐かしくすら感じる『ふわふわ時間』の演奏が流れ出す。 先生「ウェーッ! ひどいな! これだけたくさんのミスがあると一晩中かかっても指摘しきれないぜ! まるで才能ないね!」 紬「……ッ!!」 先生の失礼な反応に思わず眉毛を吊り上げた紬だったが、 先生「だがひどいのはあくまでも演奏で、メロディやコード進行の構成には光るものがある。この曲はツムギが作曲したんだろう?」 仲間の演奏を否定されたことで煮えたぎる腹の内をおさえながら、紬は何とか頷いた。 先生「バッハが死んでからというもの、世の中の誰も作曲はしてこなかった。みんなバッハの 真似なんだ。 それ以後、初めて作曲をしたのは俺なのさ。そしてツムギ、キミはそんな俺の跡を継ぐ ピアニストになれるぜ」 こんな最大級の賛辞を送られても嬉しくないのはなぜだろう――。 そんなことを考えながら、紬はもう戻ることのない軽音部の懐かしき仲間たちの顔を思い出していた。 先生「しっかし、このドラムはなんだ? 走りまくってろくにリズムキープもできてねえ。 ただのドラムは曲に合わせてリズムを取っていればいいんだよ!」 紬「……」 先生「ギターもひどいね。リズムを弾いている方はもはや冗談としか思えない。 もう一人の方は下手じゃないんだけどオリジナリティに欠けるしカリスマ性が感じられ ないね」 紬「…………」 先生「極めつけはこの歌詞だよ。対訳を見たけどひどすぎるね。『キミを見てるといつもハートドキドキ』なんて歌詞は大嫌いだ!薄っぺらだ!寒気がする!」 紬「…………それ以上おっしゃると丸焼きにしますよ? この豚――」 斉藤「お嬢様の今夜の御所望は豚の丸焼きでございますね? 了解致しました。早速シェフに手配させます。先生もよかったらご一緒にいかがでしょうか?」 先生「ハッハー!! 俺は貴族だからな!! 高級な肉を出してくれよ!?」 腹に据えかねた紬の暴言を寸前のところで斉藤が機転を利かせ、食い止めた。 その頃、桜高の音楽室では―― 澪「このままムギが去っていくのを黙って指を咥えて見ているだけでいいのか?」 梓「それは……絶対にイヤです……」 律「そうだな。事情はよくわからないけれど……もしもムギにまだ軽音部に未練があるのなら……」 唯「そうだね! ムギちゃんのたくあんあんなに美味しいのに、みすみすそれを手放すなんてだめ!」 澪梓律「何を言っているんだお前は」 とにもかくにも4人は紬に事の真相を問いただすことに決めた。 早速翌日、HRが終了するや否や逃げるように教室を後にしようとした紬を四人は呼びとめた。 唯「ムギちゃん!」 唯の呼びかけに、紬は肩をびくつかせ、廊下に立ち止まった。 澪「今までは曖昧にしてたけど……もう限界だ」 律「どうして軽音部を辞めるなんて言い出したんだ?」 梓「留学するって本当ですか?」 紬はそれに応えることなく、歩を進めようとしたが、肝心の脚がちっとも動いてくれやしないことに気付いた。 そもそも自分にはここまで深刻な顔をして、真摯に心配してくれる友人達から目を背けることなど不可能なのだと思い知る。 紬「本当です……」 律「どうしてだよ? 留学のことなんて今までちっとも話したことなかったじゃないか」 僅かに潤んですら見える律の目が『どうして私達に一言相談してくれなかったんだ』と語っているようで、何ともやるせない。 澪「もしかして……黙っていたのは何か理由があるんだな?」 紬「澪ちゃん……」 澪の指摘は鋭かった。しかし、『軽音楽などという低俗な部活に身を置くことは許さん』という理由で半ば強制的に退部させられ、 『音楽をやるなら、琴吹の名に相応しきものをやるべきだ』という理由でこれまたクラシックピアノを学ぶための留学を強いられたなどという事情、 どうして仲間達の前で口に出すことができようか。 紬「私は軽音部にいてはいけない人間なんです」 梓「そ、そんな! ムギ先輩がいなかったら放課後ティータイムは……」 唯「そうだよ? ムギちゃんがいなかったら私……」 梓と唯に至っては感極まったのか、既に半分泣いている。 そんな姿をみせられて、紬に感ずるところがないわけがない。しかし、 紬「ダメなんです……。私がいるときっとみんなに迷惑をかけることになる……」 ――自分の家の都合で、彼女達を振り回すわけにはいかない。 紬には心を鬼にしてその場を立ち去る以外の選択肢がなかった。 先生「ハッハー!! 『ゴルドベルク変奏曲』をこの短期間でこれだけ弾きこなすなんて、ツ ムギはなかなか才能があるぜ!! ま、俺のプレイにはまだ遠く及ばないがな。 なにせ俺は、ルックスは悪くないし、金持ちだし有名だからな」 紬「ありがとうございます……先生」 家に帰ればすぐにピアノのレッスンが待ち受けていた。 どんなに自分が巧みにきれいな旋律を紡いでも、そこにはあるべきものがない。 勢いよく突っ走る律のドラムがない。 ボトムを支えるがっしりとした澪のベースがない。 空気を切り裂くような梓のリードギターがない。 見ているだけで楽しくなってくるような唯のリズムギターがない。 どんなに素晴らしいバッハの曲を弾いてみたところで、ここには足りないものが多すぎる。 そんな状況では、紬がいかにイングヴェイ先生に賞賛の言葉を浴びようとも素直に喜べるわけがない。 斉藤「紬お嬢様――」 レッスンが終わると執事の斉藤が紬に声をかけた。 紬「斉藤……私、今日は少し疲れてしまったの。もう休むわ――」 斉藤「はっ。ただその前に一つだけどうしてもお嬢様にお伝えしなくてはなりませんことが」 紬「……何かしら」 斉藤「お嬢様の渡英の日取りが決まりました」 紬「え……もう?」 斉藤「はい。旦那様が一刻も早く渡英と転入の手続きを進めるよう、各方面へ手を尽くして頂いたようで」 紬「そんな……。(私はまだ心の準備が……)」 斉藤「渡英の日取りは――――になります」 紬「!!」 斉藤の言葉に、紬は驚きのあまり眉毛を震わせた。 律「こうなったら直接ムギの家に乗り込もう!」 翌日、音楽室では律が部長の本領発揮とばかりに熱い決意をブチあげていた。 澪「の……乗り込むって……お前なぁ」 律「いや、昨日のムギの反応を見て私は確信した。アイツは自分の意思に反して、留学することを強いられてるに違いない」 梓「確かに……私にもそういう風に見えました」 唯「でも……それとムギちゃん家に乗り込むのと何の関係が?」 律「それは決まってるだろ。ムギの親父さんに抗議するんだ!」 ?「それはあまりお薦めできる行為ではございません」 律「そんなこと言ったって私たち出来ることはそれくら……って」 澪「だ、誰だ!?」 斉藤「私、琴吹家の執事をしております斉藤と申します。以後お見知りおきを――」 律「あ……前にムギの家に電話したときに出た執事の人……」 梓「というかいつの間に音楽室に入ってきたんですか!?」 唯「気配をまったく感じなかったよね?」 斉藤「気配を消すことは琴吹家に仕える者として当然の能力でございます」 澪「忍者じゃないんだから……。って、それより何なんですかいきなり」 斉藤「はい。紬お嬢様のことでお伝えしなければならないことがあって参りました」 律澪唯梓「!!!!」 瞬間、音楽室内の空気が一変する。 斉藤「皆様も知っての通り、この度紬お嬢様は海外の音大への進学のため、ロンドンへ留学す ることとなりました。 今後はクラシックピアノと現代音楽理論、作曲を専門に学んでいくことになります。 いずれはレコードデビューも……」 律「私たちが聞きたいのはそういうことじゃないよ!」 斉藤「……失礼しました。確かに皆様のお察しの通り、今回の留学は紬お嬢様の意志ではござ いません。 旦那様……つまり紬お嬢様のお父上直々の意向でございます」 澪「やっぱりそうか」 梓「そんな! それじゃムギ先輩も本当は軽音部を辞めたくなんかないんじゃ……」 斉藤「私にはお嬢様の本心ははかりかねます。ただ私なりの執事としての使命感から、 今日は、この軽音部を訪問させていただきました。 お嬢様はご自分の口で皆様に事情を説明することが憚られたようでしたので……」 唯「それじゃあ……どうしてムギちゃんのお父さんはムギちゃんを留学させようとしたんですか?」 斉藤「旦那様はお嬢様が軽音楽を演奏することを快く思っていないようなのです」 澪「そ、そんな……」 律「いくらなんでもそれは酷くないか!?」 斉藤「お嬢様お付きのピアノの講師の方も、 『ハッハー!! 軽音楽なんて子供の遊びさ! 俺は貴族だ、正確には伯爵だ。伯爵にはその身分に相応しき高貴な音楽を演奏するべきだ!!』とおっしゃっておりまして……」 梓「失礼です! 音楽に貴賤はありません!」 唯「そうだそうだー! 謝罪と賠償を要求するぞー!」 斉藤「そうですね。確かに失礼かもしれません。主人の非礼は部下の非礼……謝罪のしるしと言っては何ですが琴吹家特製の最高級シフォンケーキを……」 唯「うん、きっとお父さんも悪気があって言ったわけじゃないんだよ(モグモグ)」 律「ちょ! 唯、簡単に買収されるなよ(モグモグ)」 澪「律も食べてるじゃないか……!! でもおいしいなこれ(モグモグ)」 梓「(駄目だこいつら……早く何とかしないと)モグモグ」 律「とにかく! 私たちはそんな話は納得できないよ、斉藤さん!」 澪「そうだ。ムギ本人が嫌がっているんだろう?」 梓「お父さんが軽音楽に偏見があるのなら、一回私たちの演奏を聴いてくれと言いたいです!」 唯「そうだよ~。サイトーさんからもなんか言ってあげてよ~(モグモグ)」 必死にムギ奪還を主張する4人。しかし斉藤の口から次に放たれたのはあまりに絶望的な言葉だった。 斉藤「琴吹家にとって、現当主である旦那様の意思は絶対でございます。いち執事が口をはさむことは勿論、紬お嬢様も逆らうことはおそらくできないでしょう」 律「そんな……」 澪「それじゃあ、ムギ自身の意思はどうなるんですか!?」 斉藤「……それが琴吹の姓を名乗る人間の宿命でございます」 『宿命』――その言葉は4人にとってあまりにも想像がつかないものだった。 ただ、これまで幾度となく見せつけられた紬の実家の名家としてのクオリティ。 それを思えば『宿命』という言葉がいかに重く、ただの女子高生である自分たちに覆しようがないことであるかということだけは自然と想像がついた。 梓「そんな……ひどいです……かわいそうです……。生まれた家のせいで、自分の好きなことが好きなように出来ないなんて……」 斉藤「どうかご理解ください」 唯「それじゃ……もうムギちゃんがロンドンに行っちゃうことは変えられないの?」 斉藤「……どうかご理解ください」 音楽室を再び重苦しい空気が包み込んだ。 斉藤「私が今日ここにやってきたのは、どうか皆様には紬お嬢様を怨まないで欲しいというこ とをお願いしたかったからです。 紬お嬢様は、おそらく皆様に本当のことをおっしゃられないと思いますので……」 唯「そんな怨むだなんて……。ムギちゃんは私たちの大切な友達だよ?」 唯の言葉に一同力強く頷いた。 斉藤「紬お嬢様は良いご友人をお持ちになられたようです――。この斉藤、琴吹家の執事とし てお嬢様に変わり厚く御礼を申し上げます。 是非、紬お嬢様が渡英される際にも空港までお見送り頂ければお嬢様も喜ぶと……」 律「! そうだ! 斉藤さん! ムギはいつ向こうにいっちゃうんだ!?」 斉藤「はい――。○月○日、朝一番のフライトで――」 澪唯梓「!!!」 律「それって、学園祭の翌日じゃないか……」 しかし、そんな紬の親友達に待っていたのはあまりにも皮肉な状況であった。 その晩。 部屋で一人、紬はアルバムを眺めていた。 収められた写真は、カメラ好きの澪が1年以上にわたって撮りためた軽音部思い出のシーンを集めたものだった。 籠の中のお嬢様として育ち、悪く言ってしまえば世間知らずだった自分に色々なことを教えてくれた、かげがえのない場所だった軽音部。 思い出せば思い出すほど、紬はそれを捨てなくてはならないという自分の宿命にどうしようもなく泣きたくなってくる衝動に駆られる。 紬「もう……限界です」 ベッドに倒れこみ、思う存分枕を濡らそうとしたその時、紬の携帯がメールの着信を告げた。 紬「メール……律ちゃんから……」 律『明日の放課後、どうか音楽室に来てほしい。これは軽音部の部長としてじゃなく、田井中律として、友達としてのお願いなんだ』 紬「澪ちゃんからも来てる……」 澪『律からメールが行ったと思うけど……。私はムギの意思を尊重したいと思ってる。 でもこのまま終わっちゃうのだけは絶対にいやなんだ。私たち、 ムギが来るまでずっと、待ってるから』 律と澪のことだ。きっと2人で額をより合わせて、悩んだ挙句、このメールを送ってきているに違いない。 そう思うと紬は胸が締め付けられる思いがした。 紬「今度は梓ちゃん……」 梓『私、ムギ先輩のことが好きです。このまま終わりなんて絶対に嫌です!』 紬「唯ちゃんも……」 唯『ムギちゃん……私たち、みんなムギちゃんのこと、大好きだよ?』 最後の二人はもはや、趣旨がよくわからない感情の吐露となっていた。 しかし、そんな文面だからこそ紬の心にはまっすぐストレートに伝わった。 紬「みんな……。どうして……? 軽音部を捨てていく私のためにどうして……?」 結局、その日紬は枕を濡らすこととなるのであった。 3
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▲20周年記念パーティー ▲松井顧問挨拶 ▲道場にネーム完成