約 1,738,519 件
https://w.atwiki.jp/tsuvoc/pages/276.html
女豹のポーズ めひょうのぽーず (名, 95)四つん這いになり背中を反らせる姿勢。ヒナがグラビアにおいて前かがみポーズの次によくとっていたポーズとして知られる。伊集院がヘルニア?になった時、痛くない姿勢を探していたらこれになったという。
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/88.html
「お姉ちゃ~ん、早くしないと遅れるよ~」 「おい、こなたー!おいてくぞー!」 外からの声だというのに、二人の声がガンガン頭に響き渡ってくる。 「ま、待って…ふああぁ…」 急いで荷物をまとめ、靴を履いて外に出ようとしたわけだが、まだ完全に起きれてない。 昨日はコミケやらカウントダウンやらで、はしゃぎすぎたのが悪いのだろう。 まぁ、大きな理由はもう一つあったりするんだけどね…。 『かがみまもり』 クリスマスにかがみから告白されて丁度一週間後の昨日、ほとんど一緒に一日を過ごした。 まず、朝一番でひよりやパティと一緒に冬コミへ突撃。 ひよりは自分のサークルもあるし、パティも一緒に手伝っていたようで、二人の休憩時間以外は、 ずーっとかがみと一緒に回った。 かがみも朱に染まったか、何冊か買っていた。頬も染まってたけどね。 その後、かがみの家に行ったわけだけど、半ば無理やり神社の手伝いをすることに…。 かがみ曰く、「毎年コミケに付き合ってるんだから、手伝ってくれたっていいじゃない」だそうだ。 一緒に本買ってたのに、理不尽だー!って言ったら、急に赤くなっちゃってさ。 買った本のことかと思って弄ろうとしたら、 「そ、それに、手伝ってくれた方が、長く…一緒にいられるじゃなぃ…」 声は尻すぼみで小さくなって、顔を真っ赤にしながら言うんだよ?!もう最終兵器だよ?! そんなかがみに敵うはずもなく、私は巫女のコスプレで遅くまでお手伝いしてんだよね~。 引いたくじは二年連続で凶だし、かがみと立場が逆転したりしてネ。 まぁ、カウントダウンは言わなくても分かると思うけど、ゆい姉さんが暴れだしたのが大変だったヨ。 さっそくのおみくじ効果だったかな…。 して、今はどういう状況かというと、初日の出をみんなで見ようというのだ。 みんな、というのは私たち泉家、柊家、高良家、岩崎家+ひよりん、パティ、みさきちと峰岸さんだ。 おっと、それに黒井先生もね。もちろんゆい姉さんとゆーちゃんは泉家に含む形だよ。 全員そろって「いざ行かん、海へ!」ってことになったんだけど、今の私にそんなこと言う元気はない。 でも、行かないわけには行かないし、なんてたってかがみを独りには出来ない。1人じゃないけどね。 「う~、さぶっ!…でも、ねむぅ~…。」 「ほら、こなた!早く乗りなさい!」 「わ、分かってるってばぁ。ふわあぁっ…。」 外に出ると、風が吹いて目が覚め…るかと思ったが、眠気の方が勝っていた。 「こなた、まさかずっとネトゲしてたんじゃないだろうな?」 「いやぁ、昨日は挨拶だけしてすぐ寝たんだけどね~、なれないことしたからかなぁ。」 「でも、巫女さんの仕事ちゃんと出来てたの、凄かったなぁ。さすがお姉ちゃんだよね!」 「う、うん、まぁね…。」 今までずっとかがみの事を見てたから、やることとか覚えちゃった、なんて言えるわけないネ。 もちろん本人の前で言ったら即弄られるネタになっちゃう。 「とりあえず、着いたら起こして~。私、寝るから~、はうぁっ…」 「ったく、しょうがないな。ゆーちゃん、代わりに前に来てくれるかな?」 「あ、はい。…お姉ちゃん、大丈夫?無理しないでね?」 「うん、ありがとうゆーちゃん。おやすみ~」 わたしとかがみは手を繋いで海辺を歩いてた。海からの風が当たるのに、凄い暖かい感じがしてた。 となりにかがみがいるだけで私は嬉しくて、なにより幸せで。 すると、不意に向こう側から大勢の人を抜けてつかさ達がやってくる。 …あれ皆、どうしたの?顔が暗いんだけど…。 「お姉ちゃんとこなちゃん、そろそろやめにしない?」 「私も潮時だと思います。やはり、いろいろと危ないと思いますし。」 「え…?あー、満ち潮が近づいてるってこと?そだね、海を侮ると怖いっていうし…」 「違うよ、お姉ちゃん達のことだよ。」 その言葉で、何か大きな剣で心を貫かれた衝動に駆られた。 会話の始めから感じていた違和感から来る不安が、現実になった。 いや、もっと前から感じていた感情で、自分の中に閉じ込めていただけだ。認めたくないと。 「べ、別に私は世間体とか気にしないし、本人達の気持ち次第だよ、そんなの!」 私はつかさ達に向けられるとは思えないような大声で言い返す。 「では、かがみさんはどう考えてるんですか?」 「わ、私は…」 「な、なんで、そこで口ごもるの?ねぇ、かがみ!」 「やっぱり、世間の目が…少し…気になるかな、どうしてもね…。」 貫いていた剣が爆発を起こしたかのように、私の中の不安が破裂した。 明らかに手が震え、顔もこわばっているのが自分でも分かる。それでも、かがみは言葉を続ける。 「ごめん、こなた…。自分で言っておいてだけど、前みたいに戻ろう?やっぱり私、今後の不安とか、周りからの視線が耐えられない……みゆきの言うとおり潮時なのよ…。」 ちょ、ちょっと待ってよ!かがみ、どういう… 「ごめんね…っ!」 かがみは後ろを向いて勢い良く走り出した。つかさとみゆきさんも一緒に。 「ま、待ってよかがみ!戻ろうってどういうこと?!ねぇ、待ってよ…そんなのって…ないよっ……」 私は、何も感じられない状態で、絶望と孤独によるショックでただ立っていた。 考えることができないというより、もはや、生気を感じられないレベル、かかし状態だ。 周りは真っ暗で、先ほどまでの人も海もなにもなくて、ただ自分だけ取り残されたようだった。 虚無にいた私の口に、不意にスポンジケーキのようなやわらかさと淡い甘さが襲ってきた。 (…何だろう、やわらかくて、気持ちいい…んっ……って、い、息が!く、くるし!) 「ぷはあっ…、はあっ、な、なに…?」 「ようやく起きたわね、まったくもう。」 「か、かがみ?!な、なんで、ここに?」 若干意識が朦朧としていたのか、今の状態が把握できていない。 周りを見渡すと未だに暗いが真っ暗ではなく、自分は椅子に座っているようだ。天井も近い。 そして、さっき別れを告げて走っていったはずのかがみが目の前にいて、いまされたのが…? 「なーに言ってんの!もう海に着いたわよ!」 「あ、あれ?だって、さっき〈ごめんね〉って走り去って行って…」 「…なんのこと?あんたが全然目覚まさないっておじさんに言われたから起こしに来たのよ。 目、覚めたでしょ?新年早々、恥ずかしいことさせんなっつーの。」 (じゃあ、さっきのは全部ただの夢?…よ、良かった…。) かがみが悪戯っぽく微笑んで、私のほうを見てくる。その言葉と顔に安心して、思わず抱きついた。 「うぅっ、かがみぃ~~!!!」 「な、いきなりなによ!ほ、ほら、他の皆も何事かって来てるから!って、あんた泣いてる?」 どうやら、無意識に泣いていたみたいだけど、今はそんなことよりかがみがいることが嬉しかった。 「ど、どうしたのよ、あんた!どこか痛いの?」 「…うん、もう大丈夫だヨ。ごめんね、心配かけて。ありがと。」 「なら、いいんだけどね。…ってほら、みんなの前でいつまで甘えてるつもりだ!」 ちょっと強引に離されたが、かがみの存在を心と体で感じて、ひとまず落ち着くことが出来た。 まだ説明してないお父さんとかがいるから、自重しないとネ。 まぁ、親以外は全員知ってることになるから、そろそろ頃合いを見計らって言うつもりだけど。 この間のクリスマスの時点で、つかさにみゆきさん、それとゆーちゃんまですでに知っていた。 ひよりんやパティはすぐに感づいて問い詰めてきたし、みなみちゃんにもゆーちゃんがしゃべったみたいだから、正直他に知らない人はいない。みさきちと峰岸さんには、かがみが自分で伝えたみたい。 あー、親じゃないけど、ゆい姉さんと黒井先生も知らないね。ゆい姉さんには言うにしても、先生にはどうしたものかな? 起きて車を降りると、みんなが待っていてくれた。 「お姉ちゃん、やっと起きたね。全然起きないから心配しちゃったよ。」 「ごめんごめん、色々疲れててさ。今は顔も変わって、元気100倍だよ!」 「また懐かしいネタやなぁ。どないにしても、泉にしては幼稚すぎへんか?」 すかさず突込みが入る。でも、これはかがみじゃなくて、 「あ、先生、明けましておめでとうございます。いやぁ、寝起きだから頭のキレが悪いんですよ。」 「おぉ、そういえばまだ挨拶してへんかったな。明けましておめでとうな。」 ちらっとかがみの方を見ると、なにやら不機嫌そうな顔をしている。可愛いねぇ~。 でも、ここはあえて気づいてない振りをして、先生との会話を続ける。 「そういえば、ゆい姉さんの運転は平気でしたか?」 「何もなくて、全然平気やったで?しいて言えば、運転上手かったなぁ。」 「運がいいですね、先生。いつもはリバース地獄ですよ。全ての道が酷道と化します。」 「そーなんか?まぁ、帰りを楽しみにしとるわ。」 そういって笑ってるけど、帰りにゆい姉さんの本気を見ても知らないヨ? ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― その後、まだ挨拶していないみゆきさんとみなみちゃんの親にも挨拶を済ませた。 私とかがみのお父さんとゆい姉さんは場所を探しにいってたみたいで、しばらくしたら戻ってきた。 他にも大勢の人が来ていて、砂浜では全員で取れるような場所がなかったらしく、かろうじて見つけた場所は砂浜から少し離れた岩場だった。 「いやぁ、すいません皆さん。こんな場所になってしまいまして。」 「いえ~、全然構わないですよ~。せっかく探してくれたんですもの。ねぇ、みゆき?」 「はい。それに他の方々から若干離れているので、静かでいいです。」 どっちが親なのか分からないような反応だが、そこはさすが高良家。 「それに、砂浜よりは僅かに高いから、ちょっと早く拝めてラッキーかも?」 「そんなん大して変わらんがな。特に泉の場合はな。」 「先生、さりげに気にしてる事をズバッと言いますね…。」 そんな話をしていると、岩場の上は大人グループ、下は私たち高校生という構図が出来上がった。 そんな中で、私だけ岩場の上で先生とネトゲや受験などの話をしては、突っ込まれていた。 すると、何かを感じて下を見ると、なにやら不吉なオーラを出しているかがみんがいるわけで。 (ちょ、かがみ!?いくらなんでもオーラはまずいよ、オーラは!) 「って、うおっ!」 急いでかがみの方へ寄ろうとしたら、暗かったため、石に躓いて派手に転んでしまった。 そこが岩場の上だったため、岩場の側面に沿いながら下の砂浜に転げ落ちた。 「ぐえっ…ま、まだ、死ねない…」 「こなたっ!大丈夫!?立てる?」 「お姉ちゃん、大丈夫?!」 「おい、泉ぃ!無事か?」 「こなたー、大丈夫かい?骨とか折ってない?」 かがみとゆーちゃんが慌てて駆け寄ってくる。上からも先生とゆい姉さんが心配そうにのぞいてくる。 特にかがみは顔面蒼白だ。とりあえず必要以上の心配はかけたくない。 「大丈夫だヨ、そんなに心配はいらn、うぐっ…」 無事だと見せるため、立ち上がろうとしたら右足に激痛が走った。思った以上に痛めたかもしれない。 「ちょっと、こなた?!あんた、本当に大丈夫なの?」 「…待って。動かないでください…足をくじいてるかもしれないから…。泉先輩、懐中電灯を…。」 懐中電灯を渡すと、みなみちゃんが丁寧に足を診てくれた。かがみや周りの皆も心配そうに見ている。 高さは2メートルぐらいだったし、厚着していたのも手伝って外傷はほとんどなかったけど… 「…軽い捻挫だと思います…。けど、あまり動かさない方がいいです…。待っててください、今…。」 そう言うと、持っていたバックの中から湿布と包帯を取り出し、手当てしてくれた。 「おぉ、さすが保健委員。ありがとう、みなみちゃん。」 「いえ、お役に立ててよかったです。」 「私からもお礼を言うわ、ありがとう、みなみちゃん。」 何か親がするお礼をかがみがやってる感じで、嬉しいんだけど、恥ずかしいし、それに複雑。 「それにしても、良く持ってたね。常備してるって凄いなー。」 「本当、みなみちゃんはすっごい頼りになるんだよ。」 「さすがネ、みなみン!」 つかさにゆーちゃん、パティが褒めるもんだから、みなみちゃんは顔を赤くして顔を逸らしてしまった。 今は慣れたから分かるけど、知らない人から見たら怒ってるようにしか見えないんだろうね、これが。 まぁ、本当の意味が分かると、これはこれで可愛いんだけどね~。 「…ゆたかに何があっても対処できるように…いつも持ってるから…」 「そ、そうなんだ!ありがとう、みなみちゃん。そう言われると恥ずかしいな、えへへっ。」 どこから見ても立派な恋人にしか見えない二人は、本当に微笑ましい絵になる。 「ふぉー、もう駄目ッス!この二人は反則ッス!いくら、つきぁ(むぐっ」 「ひよりン!それはまだ言っちゃだめネ!」 「あ、ごめんごめん…。つい、暴走しそうになっちゃった。」 「まだ、あの二人のことも言ってないんだから、気をつけてもらわないと困るよ、ひよりん…。」 そう、私たちと時を同じくして、無事カップルになったのがゆーちゃんとみなみちゃんだ。 まぁ、あの二人はなんだかんだで、前から似たような感じだったから、違和感ないけどね。 みゆきさんとかからすれば、あの二人にそういう考えがあったのことに皆は驚いてたみたいだけど、 私たちの時同様、みんなでサポートする形になったんだよね。本当、いい人に恵まれてるよ、私たち。 それにいつ見ても、あの二人は萌えるからね~。 「な~に馬鹿なこと考えてんの?どうせ、あの二人を見て萌えとか考えたんでしょ?」 「うぉ?!かがみん、いつの間にか読心術を?!」 「あんたの考えてることなんて分かるわよ、単純だしね。ほら、支えてあげるから立ちなさいよ。」 「一言余計だヨ…。でも、ありがとう、かがみ。」 憎まれ口をたたきながらも、照れながら肩を貸してくれた。やっぱりツンデレだよね~。 でも、そんなことを言ったら座らされて、しばらく放って置かれそうだから止めとく。 「…それにしても、さっきは妬いてたのかなぁ?ねぇ、かがみぃ~。」 ただ、やっぱり自分がかがみを弄りたいという心は抑えられない。だって、ねぇ…いじると可愛いし。 私は支えられているというのに、にやけ顔全開でかがみを見つめる。 「んなっ?!そ、そんな訳ないでしょ!ただ、先生の方が突っ込み速かったなぁって思っただけよ。」 ボンッと音が出たように聞こえるほど、すぐにかがみの顔は真っ赤に沸騰した。それでも私は続ける。 「それで自分の専売特許を奪われて、やきもち妬いてたんだ~。可愛いねぇ~かがみは♪」 「う、うるさ~い!ただ、こっちに戻ってこないかなって思ってだけで、別に妬いてたわけじゃ…!」 「かがみ…耳元で大声はきついよ…。それにかがみもバレバレだよ、ある意味単純だし。」 「ご、ごめん。でも、ある意味単純ってどういうことよ?」 ちょっと反省したのか、声を極端に小さくして問いかけてきた。 「だって、かがみは何でもかんでも顔とかしぐさに出るもん。まぁ、そこが可愛いんだけどネ♪」 「うぅ~、みんなの前でそれ以上恥ずかしいこと言うの禁止…。それにそんなに顔に出てる…?」 「だって、今も真っ赤だし。それに多分皆もそう思ってるよ?ねぇ、つかさ?」 急に話を振られて、つかさはボーっとしてたのか慌てた様子で答えてきた。 「ふえっ?ご、ごめん、こなちゃん、何の話?」 「いや、かがみってなんでも顔とかしぐさに出るよねって話。」 「確かにお姉ちゃんって表情豊かだよね~。うれしい時とか、悩んでる時ってすぐ分かるよ~。」 「それに、なんかオーラでも分かるよな!隠し事とかあんまできないタイプだぜ。」 そういってみさきちが会話に飛び込んできた。後ろから峰岸さんもやってくる。 …何か1人だけ苗字で呼んでるし、仲間外れみたいだから呼び方変えようかな? 「あぁ~、分かる分かる。そういうとこあるよね、かがみって。」 「柊ちゃんは隠してるつもりでも、結構分かりやすいのよね。照れてる時は反対に取ればいいし。」 「あれだな、この間ちびっ子に聞いた通り、柊はツンデレなんだってヴぁ。」 「じゃあ、あんたはあれだな、馬鹿素直ってやつで決まりね。」 「お、お姉ちゃん、容赦ないね。」 「みゅう~。あやのん、この寒いのに、柊がドライアイスみたいだぜ…。」 いつものみさきちのあしらわれ方、そしていつもの峰岸さんのフォロー。 私でもちょっとばかしかわいそうに思えるが、いつものことだから華麗にスルーする。 「気になったんだけど、かがみとつかさは苗字で呼ばない方がいいんじゃないかな?ややこしいヨ。」 「う~ん、考えてみれば確かにそうね。それに5年間も一緒何だし、下で呼んでもらって構わないわよ?私もこれからはそうするわ。」 「そう?じゃあ、これから私もそうするね。よろしく、つかささんにかがみさん。」 「じゃあ、私もそうしよっかな?よろしくね、あやちゃん。」 つかささん、それはマジっすか?いきなりあだ名で呼ぶとは、さすが天然系。 「…つかさ、いきなりあだ名で呼ぶのは…。」 「うふふ、私は別に構わないからいいわよ。みさちゃんもみさちゃんでいいと思うわ。ね?」 「おう、よろしくな、つかさにかがみん!」 む!かがみのことをそう呼んでいいのは私だけだというのに!…そんなルール決めてないけど。 「お前までかがみんと呼ぶな!普通に呼べ。」 「えー、いいじゃんかよー。ちびっ子だってたまにそう呼んでんじゃん。」 「いいからかがみと呼べ。なんでも構わないから、かがみんと呼ぶな。」 「ちぇー、つまんねぇの。まぁ、いっか。よろしくな、かがみ~。…おぉ、何か新鮮だ。」 「分かればよろしい。こっちこそよろしく、みさおにあやの。」 かがみが〈かがみん〉という名を私だけが呼んでいいことにしてくれているのが、正直嬉しかった。 別段かがみは私のことをあだ名で呼ばないけど、私は全然構わないし、今頃変えられても違和感がある。 「よろしくね~。それとつかささんにかがみさん、私もあだ名で呼んでいいかしら?」 「うん、全然いいよ~。でも、今まで呼ばれたことないかも…。」 「私も構わないわ、かがみんでなければね。まぁ、あやのがそう呼ぶとは考えにくいけど。」 「ありがとう、二人とも。どんなのがいいかしら。柊からとって、〈ひーちゃん〉とかどうかしら?」 (うぉ、それってつかさが自分でつけた場合として考えた奴ジャン!似たもの同士だからかな?) 「わあ、前に私が自分で考えたのと一緒だね♪私もOkだよ。」 「そうなの?じゃあ今度からそう呼ばせてもらうわね。」 「いや、それじゃあ苗字で呼んだときに逆戻りしてるだろ。区別がつかないわよ。」 確かにそうだ。親しくはなった感じは出るけど、この二人の差がつかない状態に戻っては意味がない。 「それじゃあ、お姉ちゃんは〈きょうちゃん〉にしたらどうかな?私が前に考えたやつなんだけど。」 「なるほど、名前を変換して音読みにしたのね。かがみさんもそれでいい?」 「まぁ、あやのだったらいいかな?」 「えー、私が呼んだ時は散々嫌がったのに、なんでさ?」 「あのときはいきなり呼ぶからでしょ。決めてもないあだ名に普通は反応できないわよ。」 ちょっと不満だけど、正論を言われると反論できない。でも、一番あだ名らしいのがなぁ…。 「な~に?あんたも妬いてんの?あんたも人のこと言えないじゃない。」 また心を読まれて図星を指された。なんか最近、私が主導権を握るペースが崩されてるヨ。 「うお、またしても読まれた?!…前より、敏感になったネ。」 「当たり前じゃないの。前よりあんたのこと見てんだから。」 私は顔を赤く染めてしまったが、暗さでごまかせる範囲だと思う。すぐさま逃げに入る。 それにしても、かがみの方は当たり前じゃないのと言わんばかりで、恥ずかしがってない。 私がいじる側で固定されてたのに…まさか、今年から下克上?! おみくじにそんなこと書いてあったかなぁ?…凶だからろくな事じゃないだろうけどネ。 「そ、そういえば、峰岸さんだけ上の名前で呼んでるから、私も下でいいかなぁ?」 話しかけた相手は、どう見ても暖かい目としか言い様がない眼差しでこちらを見ていた。 逃げたな、という視線をかがみから感じながらも私は返答を待った。断られることはないと思うけど。 そのため、峰岸さんは急に方向転換した話にビクッと驚きながらも、快く了承してくれた。 「え?うん、もちろんいいわよ~。私も下の名前で呼ばせてもらってもいいかな?」 「もちのろんだヨっ。じゃあ、あやのさんヨロシク!」 そんなこんなで話は収束し、後は初日の出を待つばかり…のはずだった。 2へ続く
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/1161.html
管理人注:作者さんからの前書きはこちらです 1 「拝啓 柊かがみさま 突然のお手紙で驚かれるかもしれません。不躾なことを先にお詫び致します。しかし、私は陵桜学園で過ごすこの最後の日を迎えるにあたって、かがみさんにどうしてもお伝えしておきたいことがあるのです。このことを決心をするまでには約二年もかかりました。それも、直接ではなく、このようなお手紙という形になってしまいました。さぞ意気地のない人だと思われるかもしれません。実際その通りです。私は臆病者です。ですが、これは私の、ない勇気を振り絞っての、最初で最後のお手紙です。少々冗長かもしれませんが、最後までお読みいただけると嬉しいです。 最初にお伝え致します。私は、かがみさんが好きです。クラス中の、学年中の、学校中の、いや世界中の誰よりもかがみさんを好きでいる自信があります。このお手紙には、その想いを全て詰め込んだつもりです。 私は、かがみさんを一目見たその瞬間から、現世にいながら至高天が垣間見えた気が致しました。稲妻にでも打たれたという表現が適当かもしれません。運命の出会い、などと形容すれば陳腐になってしまいますが、私にとってのかがみさんは、まさにそれだったのです。 かがみさんと私が同じクラスになったのは3年になってからでしたね。同じクラスになれたとわかったその日ほど、運命の神に感謝した日はありません。その日から、私の学校生活は大きく変わりました。明日またかがみさんに会える。かがみさんと一緒のクラスにいられるのだと考えるだけで夜も眠れませんでした。 椅子にかけて授業を真面目に聞いていらっしゃるかがみさん。お友だちの方と楽しそうにお喋りしているかがみさん。いや、何もせずにただそこにいるかがみさんでも構いません。とにかく、私はかがみさんの一挙手一投足に心奪われておりました。最初はただ一緒の空間にいられるだけで、心が満たされました。しかし、徐々に近づきたいと思う気持ちが押さえきれなくなっていったのです。3年生になってから、私がどれだけかがみさんとお話したかったか、どれだけあのお友だちの方たちが羨ましかったか、ここでは語りつくせないほどです。 それに、あの桜藤際でのチアダンス。これがこの世の光景かと疑いたくなりました。自分の認識している世界が信じられなくなりました。それほどにまで、あまりに美しいお姿でした。私は感動すら覚え、あの日のその後の自分の行動が思い出せないほどです。 一回だけ、たった一回だけですが、私はかがみさんとお話する機会がありました。覚えていらっしゃいますでしょうか。私は銃を突きつけられて忘れろと言われても絶対に忘れることができません。3年の、修学旅行のときです。 私は2日目の夜、かがみさんをホテルの前にお呼び致しました。正直に申しますと、そのときに、この気持ちをお伝えするつもりでした。ですが、もし断られてしまったら、私はこれから先、何を支えにして生きていけばよいかわからなくなってしまいます。もし断られたら…もし断られたら…そのことばかりが頭を巡り、ついにかがみさんへの想いを口にすることはできませんでした。それで、あの場では取り繕うように『人形を下さい』と言うに留まってしまったのです。 さぞかしご迷惑であったかと思います。本当であれば、私のような及び腰の人間がかがみさんとお話するなどということ自体がおこがましいです。身の程知らずです。とてもかがみさんに釣り合う人間であるとは、自分でも思えません。申し訳ありませんでした。 しかし、機会は逃してしまったものの、私のかがみさんへの想いは消し去ってしまうことができませんでした。あのとき頂いた人形は、今でもケースに入れて、大事に机の上に飾ってあります。この人形を見るたびに、かがみさんの笑顔が思い出されて、胸がいっぱいになります。かがみさんが私に語りかけて下さっている、そんな錯覚さえ起こさせるほどです。 あのとき、私はかがみさんと直接お話できるという至福を得ていました。事実、修学旅行が終わってからしばらくの間も、いえ、今現在もですが、私はかがみさんとのあのときの情景を思い返すことで、これまでの人生の中で最高の幸せに浸ることができます。 ですが、それは本当に最高の幸福ではありません。最高の幸福とは、かがみさんが私に振り向いて下さることです。 高校生活中は、私はかがみさんに何もして差し上げることができませんでした。私はかがみさんを好きでいられるという、この気持ちを存分に頂いたにもかかわらずです。こんな失礼な話もないかもしれません。唐突なことで大変失礼かとも思います。しかし、私はかがみさんの横に立てる人間として、精一杯努力してきたつもりです。大学も、超一流とは言えませんが、難関校と言われるところに入ることができました。もしかがみさんが私に振り向いて下さるなら、必ず幸せな将来を切り開いていくことをお約束致します。 このお手紙を読んで、かがみさんから私に何らかのご返答を頂けるようであれば、本日の卒業式が終わった後、午後1時に校舎裏の花壇の前にいらしてください。お待ちしております。もしお返事がノーであったとしても、私はこれまでかがみさんに頂いたこの気持ち、それだけでこれからの人生を乗り切っていけると思います。もう浮き足立った自分とは決別します。かがみさんにはかがみさんの人生があります。私と一緒にならないこと、それがかがみさんの幸せでもあると判断すれば、私はこれまでのことだけで、かがみさんを見送っていくことができると思います。 かがみさん。直接私と何かあったわけではありませんが、それでも、これだけは言わせて下さい。本当にありがとうございました。かがみさんのおかげで、高校生活がとても彩り豊かなものになりました。もっと早くに何か手を打って、かがみさんとこの幸せだった日々を共有できていたなら、と思うと残念でなりません。ですが、かがみさんが私を認めて下さるのであれば、まだ手遅れではありません。これからは、私が感じていた以上の、誰よりも幸福な生活を二人で送っていけると確信しております。 今後のかがみさんの人生にも関わる重要なことです。よくお考えの上、ご返答をお待ちしております。 では、長々と失礼致しました。午後一時、お待ちしております。 敬具」 2 …「敬具」っと…。 私はそこまで書いてペンを投げ出し、大きく伸びをした。 キーボードに慣れきっているせいで疲れる疲れる。おまけに私は悪筆なので、できる限り丁寧に書かねばならない。ほんとに神経を使うね、こういう作業は…。何枚書き直しただろう。ゴミ箱にはくしゃくしゃになった便箋が既に二桁はたまっている。これを始めてから2時間以上が経過していた。 まあでも、一応こんな感じかな? 誤字脱字がないかどうか最終チェックを入れる。 大丈夫のようだ。よし。これでいこう。 二枚の便箋を、用意してきた白い封筒に入れて封をする。あとはこれを明日の朝、かがみたちが来る前にかがみの机の中に仕掛けるだけだ。かがみ、これを読んだときどんな顔をするかな?今からちょっと楽しみだ。 思いっきりストレートに愛情表現を押し出したつもりだ。ラブレターなんて書くのは初めてだったから、どんなふうにすればいいのかかなり手探り状態だったけど、ネットに上がってるのを参考にしたりして、なんとか形にはできたと思う。自分で書いといてなんだけど、これならかがみも引っかかってくれそうな気がする。ネタに使わせてもらったあの男子には悪いけど、えーとあれだよ、どうせもう卒業なんだし、いいよね?私が知ってる、かがみと関わりのありそうなC組の男子ってこの人しかいないし。 今私が何をしてるかというと、かがみへの偽ラブレターを書き終わったところだ。差出人の名前は私ではない。「とある男子より」にしておいた。フルネームを知らないので仕方ない。みさきちにでも聞いておけばよかったな…。 なんで卒業式を明日に控えた今日になってそんなことをしているかというと、それは勿論かがみに最後のイタズラをするため…。 でもあるんだけど、けど、もう一つ、伝えておきたいことがあったから。 かがみはあの日、私がかがみに想いを伝えた日から、いやその前からずっとなんだけど、私を支え続けてくれた。私が寂しくないように、一人でも生きていけるようにって、それでこんな私の側に居続けてくれた。そして、かがみはこうも言った。私がかがみを必要としなくなるくらいにまで成長してくれるのが何よりだと。 この偽ラブレターはかがみへのお礼と、私の今の気持ち。かがみがしてきてくれたことへの私なりの答。 そういうこと。 3 次の日。実行日当日。 いつもより一本早い電車で学校へ向かう。 首尾よく3-Cに潜入した私は、周りに見知った顔がないことを確かめてから、かがみの机に例の物を仕掛ける。かがみ…読んでくれるかな?これだけ手間暇かけたんだから、読んでくれないとかなりへこむんだけど…。 しばらくして、かがみたちがやってきた。 私は何食わぬ顔で朝の挨拶をする。 そして卒業式。 つかさやみゆきさんは、やっぱり泣いてたね…。こう…感極まるとこもあるんだろうとは思うよ?でも…。 「いやー、不思議なカンジはするけど、思ってたより特別感動することもないねぇ。卒業式って」 思った通りを口にしてみる。私、卒業式の記憶って妙に薄いんだよねー…。 「まあそんなもんでしょ。その辺りは人によると思うけど。私はそれなりにジンときたし」 みゆきさんはつかさの涙をぬぐってあげてるところなので、かがみが答えてくれた。かがみの方は割りといつも通りだ。…ということは…もしや…。 「だってほら、漫画とかだと卒業式って『感動のクライマックス!』ってカンジじゃん?何かあるかもって期待しちゃうんだよね――。何かこの調子だと、また数年後にはよく覚えてなそうな気が…ネ?」 こういう言い方ならどうだ? 「突っ込みたいところだけど――言われてみると私も小中の式自体はあまり覚えてないような――。あれ?その後皆で遊んだのは覚えてるけど」 …かがみ、変化ナシ。おいおい…ちょっと待ってよ…。 「そんなこんなで何か拍子抜けなカンジでねぇ」 「だからそんなもんだって」 いつも通りに返してくるかがみ。 つかさも涙を拭きつつあははと笑う。 まだだ…まだ終わらんよ! 「こう『卒業式の日に告白――!!』みたいなイベントはないもんかね」 「あんたはそういうのに毒されすぎだ…。そーゆートコだけは夢見がちだな」 もう…気づけかがみんめ! 「…ところで皆様、今日この後のご予定は?」 「急になによ。今日はこのまま家族で外食ね~」 「うちもそうですねぇ」 「…そっかー」 …確定。かがみ、机の中見てない。 しかも、このままいくと見ないで帰る可能性大。 …うー…。 …私のあのがんばりは何だったの?あれだけ頭フル回転させて何枚も何枚も書き直して…。大好きなかがみのために…やったのに…。 もうこうなったらしょうがない。リスクは覚悟の上だ。 「かがみさー、実はラブレターとかもらったりしてんじゃないの?」 「はぁ?何言ってんのよ?」 かがみが怪訝な表情をつくる。 「だってさー、卒業式だよ?もうお別れなんだよ?かがみくらいツンデレでツインテっ娘でツッコミキャラで成績優秀で照れ屋で寂しがりでお人よしでかわいくて…絶対かがみのこと好きだったって人、一人くらいはいるって」 「…本気で言ってんのか?」 部分的に本気だ。 でもそれは悟られないようにする。 「勿論!だからさー、例えばー、下駄箱とか…机の中、とかにこっそり置いてあったりしたんでしょー?」 「…ないものはないわよ。それに、…そんなのあってもあんまり嬉しくないし」 「またまたー!照れちゃってー!ほんとはもらっちゃってるんでしょー?で、今はもう何て返事しようか頭の中ぐるぐるなんでしょー」 「何よ…食い下がるわね…」 …これだけ言えば伝わったかな? いや、念のためもう一押し。 「もらってないのー?だったらさ、帰る前にさ、もう一回色んなトコ見て回った方がいいかもよー?だって、その人の一世一代の大勝負なんだよ?断られたならまだしも、無視されました、じゃあんまりだと思わない?」 「…それはそうかもだけど…」 かがみがだんだん心配顔になってきた。 …そろそろか。あんまりやりすぎると、余計な手間かけさせちゃうしね。 「ま、そんなわけだから。よし、教室戻ろっか。つかさ、みゆきさん」 「あ、そうだね」 「もう最後のホームルームが始まりますね。では、参りましょうか。かがみさんも」 「え…ええ、そうね」 かがみがちらっと私に視線を走らせる。 私も少しだけ見つめ返す。ちょっと笑みをつくって、すぐにまた前を向いて歩き出す。 かがみがそれをどう受け取ったのかはわからないけど、かがみもすぐに目線を外した。 かがみ…ちゃんと見つけてね?読んでね?お願いだよ…。 4 さて、何事もなく家に帰ってきてしまったわけだが…。 かがみ、見つけてくれたよね?見つけた筈だよね?私が「一緒に帰ろ」って言ったら、「ちょっと用事ができたから」って言ってた。「ある」じゃなくて「できた」って言った。多分、手紙を読んだんだよね…?そうじゃなかったら…うう…やっぱへこむなー…。私も学校に残って確かめるべきだったかなー…?でも、伝えることはちゃんと伝えておきたいし…だったら、あの手紙だけで十分だよね…? 制服のまま自分の部屋のベッドに転がりながら、ぼんやりと時計を見る。 あ…もうすぐ一時だ…。かがみ、今頃校舎裏にいるのかな…。どんな顔してるんだろ…。あの男子のこと、ずっと待ってたりして…。ふふ、かがみだもん、日が沈むくらいまでは待ってそうだよね…。 そのシーンを直に見られないのが、ちょっと残念…。 不意に、携帯が鳴った。 ちょっと気だるい身体を起こして机の上の携帯をとる。 メールが来たようだ。今頃誰かな…と思ってみてみると、かがみからだ。 一瞬息がつまる。かがみ? 本文を読むと、たった一行、こう書いてある。 『今すぐ校舎裏に来て』 …えと、これは…どう解釈すればいいんだろう?色々考えられるけど…。 まあいいや。他ならぬかがみが呼んでるんだもん。行かなきゃ。 お父さんに「もっかい学校行ってくる」って言ったら妙な顔をされた。そりゃそうか。「忘れ物か?それとも先生からなんか呼び出しでもあったのか?…待てよ…もしかして…いや、こなたに限ってそんなことは…でも、こなたすごくかわいいし…今日は卒業式…そして皆が帰った後に一人で呼び出し…まさか…万が一ということもある…こなた!待ってくれ!父さんも一緒に行く!何かあってからじゃかなたに申し訳が立たない!」などと言い出したのではぐらかすのに苦労した。まあ、最終的には勝手に一人で妄想にはまりこんでしまい、「こなたああああ!父さんは!父さんはあああ!見捨てないでええええ!」とか頭を抱えて泣きながら叫び、部屋中ぐるぐる回りだしたので、ゆーちゃんがとりなしているその隙に逃げ出したような感じになったけど…。 後でちゃんと説明しとこう…。このままだと「何かあった」が既成事実化されかねない。 こんなに早くもう一度陵桜学園の門をくぐることになるとは思わなかった。かがみ…どれくらいわかってくれたのかな?ちょっとでも伝わってれば嬉しいんだけど…。 校舎裏へと足を運ぶ。まだ日は高い。ようやく春めいてきて、制服越しに感じられるお日様の光がちょっとぽかぽかして気持ちいい。さてかがみは…と。 校舎裏。滅多にこないけど、ここで怪しげな取引が行われているとかいないとかいう噂はよくきく。それだけ人目につかないってことなんだけど…。 校舎の影とひだまり、そのちょうど境目辺りに、人が一人、ぽつんと立っているのが見えた。見慣れた制服、見慣れた髪型、見慣れた後姿…かがみだ。間違いなかった。 「はろーかがみー。来たよー」 肩を叩きながら、できるだけいつもの声を出す。かがみがどんな反応をしてくれるのか…ちょっぴり不安。これで全然見当違いのこととか言われちゃったら…ねぇ?私たちの今まで過ごしてきた時間は何だったの?ってことになる。でも、だから逆に少し楽しみでもある。 かがみ…。どうしたの?何考えてるの? 「こなた…」 かがみが振り向いた。いつもの顔…?じゃないね?あれ?なんか違う…。 「…あのさ…」 何かを言いかけるが、その後が続かない。 「…えっと…」 「ん?どしたの?かがみ…」 しばらく、沈黙が続いた。 「ごめんっ…!」 それを破ったのはかがみだった。 それと同時に私をぎゅっと抱きしめてきた。 いきなりのことでちょっとびっくりする。 「か、かがみ?」 「ごめん…ごめんね…」 かがみは謝り続ける。私の方は正面から抱かれているので表情は見えない。 ただ、ほっぺたに暖かい雫が落ちたのがわかった。 かがみ…泣いてる? 「かがみ?どうしたの?」 かがみの背中を撫でながらゆっくり問いかける。 「あの…手紙くれたの…こなただよね…?」 かがみが途切れ途切れに言葉をつむぐ。 ばれてるなら隠してもしょうがない。正直に言おう。 「うん。昨日がんばって書いたんだよー…」 かがみ、わかっててくれた…。…嬉しいな…。 「じゃあさ…こなたの今の気持ち…私の考えてる通りで…いいんだよね?」 …全部わかってくれてる? ほんとに? 「多分そうだと思うよ…」 「そっか…。でも、ちゃんと言わせて。あんな手紙くれたのは…今のこなたの気持ちは…」 そう、今の私の気持ち。あの手紙いっぱいにこめた私の気持ち。 かがみは、あの日からも私が一緒にいたいと言うといてくれた。本当にあの日言ったように、一晩中話し通したこともあった。手をつないで同じお布団で寝てくれたこともあった。私なんかのために。 そのおかげで、私の寂しいって思いは、陵桜学園に入った頃に比べれば殆どなくなったと言えるくらいにまで薄まっていった。かがみがいてくれた。かがみがずっといてくれたから。だから、これから先、何があっても、私の中にかがみがいてくれるなら、一人でも生きていける思う。もし私が心細くなったとしても、『ほら、そんな顔してないで。私が一緒にいるから』ってかがみが言ってくれる。笑いかけてくれる。私にはその声が聞こえるよ。 もう大丈夫だよ。 かがみがいなくても、私、大丈夫だよ。 今まで一緒にいてくれてありがとう。 かがみからもらったこの気持ち…支え、強さ。ちょっとでも伝えたいな。 またいつか会える日まで、お互い、がんばろうね。 「…てことだよね?」 かがみ…すごい…。ここまでわかってくれてたなんて…。 「さすがだね…。大当たりだよ」 「なら…やっぱり…ごめん…」 かがみがそう言って、もっと強く抱いてきた。 「ち、ちょっと、かがみ?…いつもより…強いんだけど…」 でもこれはこれで…こうされるのも悪くないね…。 いいにおいと優しい温もりに包まれる。 かがみ…。 かがみは返事をしない。 ただ、泣いている。 「…何がごめんなの?」 たっぷり間を空けて、かがみが口を開いた。 「…今してること、全部…。私がこんなんじゃ…いけないよね…。こなたはちゃんと…気持ちの整理つけてきたのに…私は…こなたが…」 …そっか。そういうことか。 「かがみ。さよならなんて思わないで。あの日言ったよね。私、ずっとかがみのこと好きでいられるから。かがみがいなくても、ずっとかがみが好きでいられるから。だから、大丈夫だよ」 「うん…ありがと…」 かがみが腕を解く。 そして、私を正面から見る。 まだ目は赤かったけど、でも、しっかりした視線だった。 「あのね、本当は呼ぶはずじゃなかったの。この手紙がこなたからだってわかって、こなたがどんなつもりでこれ書いたのかなって考えてからは…私と会ったりしたら、その気持ちに水を差すことになっちゃうし…。でも、どうしても、伝えておきたかった…。まだ私…自分がどうしたいのかわかんないけど…それでも」 ちょっと息を吸った。 それから、泣きながらだったけど、笑ってくれた。本当に、心から。 「こなた…卒業、おめでとう…。よくがんばったよね…。私…とっても嬉しいよ…」 「ありがと…。なんか、正面から言われると、照れちゃうね…」 照れ隠しにちょっと微笑む。 「私は…ほんとは、あの日に皆と…こなたとお別れするつもりだった。けど、こなたが正直に思いをぶつけてきてくれて…それで、もうちょっとの間だけど、また一緒に過ごすことができた…。なくなったはずの時間…過ごせないはずの時間…それがまたできて、それで、こなたもしっかりしてくれて…もう私からこれ以上望むことなんて何もないよ。これまでのことで、十分幸せ。まだあるとしたら…これから先、いつかまた、こなたと同じ時間を、過ごせるようになること…かな。だから、そのときまで…こなた…」 「かがみ…」 今度は私の方から抱きしめてあげる。かがみも私に腕を回してくれる。 ちょっとの間そうした後、私たちは最後に、一回だけ軽いキスをした。 唇がほんの少し触れるだけ。 でもそれでも。私たち、ちゃんとわかってるよね…? 私はかがみのこと、よくわかってる。 かがみも私のこと、全部わかってる。 だったら。これが、一番なんだよ。 ただただ、嬉しかった。 こんなにも想いが通じあってるって思えることなんてないだろう。 かがみは私の一番。 私はかがみの一番。 けど、くっつくんじゃなくて。 離れるのでもなくて。 そんな距離を、つくっていきたいな…。 5 帰りの電車の中で、かがみと最後のお話をした。 「そういえば聞いてなかったけど、あんたさ、何学部に入ったのよ?さすがに『団長』とか『何とか神拳伝承者』とかいうのじゃないだろうな」 「ん、そりゃまあね。教育学部だけど」 「教育?先生になるつもりなの?」 「いやー…それはちょっと…人間関係とかめんどくさそうだし…。それに私、お父さんみたく、ロリコンてわけじゃないし」 「先生の全てがロリコンだと思うなよ…。じゃ、なんで教育なのよ?」 「いやね、色々調べてたら、教育学部には新課程ってのがあって、ここに入ると先生にはならないけど教育の勉強ができる、みたいなのらしくて。私もさ…人を支えるってことがどういうことなのか、もうちょっと知りたくなって…。そういうとこから考えていくことが、私がかがみを好きな理由に向き合うことに繋がるんじゃないかと思って」 「…そっか…」 「うん。さすがに法学部とかは手が届かなかったんで、これにすることに決めた。でも、なんだかんだいっても陵桜はさすが進学校だよね。勉強真面目に始めたのはあんな遅い時期だったのに、私みたいなのでもそこそこの大学には入れたし。教育学部なのに先生にならないわけだから、就職は大変そうだけど。ちゃんと勉強してみてからじゃないとなんとも言えないけど、まあ、いざとなったら先生にもなれるみたいだし、なんとかなるでしょ」 「…あんたは…そんなゆるい感覚で大丈夫なの?」 「当たり前だよ!かがみには色々お世話になったからね。今度は私に頼ってもらえるくらいにまで、がんばるよ」 「…わかった。それならもう、ほんとに心配いらないみたいね」 「はっはっは。かがみんも人のことばっか言ってないで、がんばんなねー」 「わかってるわよ!それと最後までかがみんか!」 降りる駅が近づいてくる。 けど、私たちの間には、笑顔だけが、花開いていた。 そして、最後の瞬間。 私は笑って大きく手を振る。 かがみも笑って返してくれる。 「かがみー!じゃ、またねー!」 「うん!またね!」 電車が視界から消えていく。 私は完全に見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていた。 大好きなかがみ…またね。 今まで一緒にいてくれてありがとう。 またいつか会える日まで、お互い、がんばろうね。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-08-22 21 47 37) もうだめ・・・モニターが見えん!! -- kk (2010-03-13 22 57 26) 泣いた; -- 名無しさん (2010-03-13 14 38 45) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/89.html
さすがにずっと支えてもらっているのもかがみが辛いと思ったから、岩に腰掛けていた。 すると、たまたまそばにいたひよりん目掛けて、どこからともなくチェリーが突進してきた。 かがみがすぐに助け出してくれたものの、その乱闘の巻き添えを食らって体中が砂だらけになるわ、 その上持っていた小銭をいくつか落として、それを探そうと手伝ってくれてたつかさに、 痛めてたのと逆の足を踏まれるはで、もう色々と最悪だヨ…。 元々、岩場から落ちたときから砂はついてたけど、そんなレベルじゃないしね、今は…。 今はかがみとつかさが必死に砂を落とそうとしてくれてるけど、服の中まで入ってきてるし、 こんな真冬に脱いで水で洗うわけにも行かないから、じゃりじゃり感はあんま変わらない。 「ごめん、ありがとう、かがみにつかさ。」 「いいのよ、別に。」 「私こそごめんね…足踏んじゃって…。」 かがみもしゅんとしてて、つかさなんか今にも泣き出しそうだ。 「私もごめんなさい…。ちゃんと、見ておくべきだった…。」 みなみちゃんもチェリーのことで責任を感じて謝りに来た。 「いいんだヨ、気にしなくってさ。チェリーは止めようがないし、つかさもわざとじゃないんだしね。」 つかさは少し気が楽になったのか顔を上げ、みなみちゃんも少しだけど明るくなった気がした。 「もうすぐ日の出だし、過ぎたことは気にしない気にしない~。新年何だから、楽しくしよーヨ。」 「うん、ありがとう、こなちゃん。これからはもっと気をつけるね。」 「…(コクリ)…ありがとうございます。お大事にしてください。」 そういって、みなみちゃんはゆーちゃんの方へ向かった。今はチェリーもおとなしくしてるみたいだね。 「おーい、もうすぐ初日の出やでー。」 先生からの声に皆はふと上を向き、次に水平線を見た。確かに空が明るくなり始めている。 慌てて立ち上がり、バランスを崩しそうになったところをかがみが支えてくれた。 「皆、上がってらっしゃい。ほら、つかさもこなたちゃんを助けてあげなさい。」 他のみんなも岩場の上に移動し、少し遅れて私達も合流した。 お父さんがカメラをスタンバイさせ、私達は前後二列に並んで待っていた。 もちろん私は前の方で座り、かがみも隣にいる。ゆーちゃんペアも同じ感じだ。 遠隔操作用のリモコンを持って、お父さんも列に入り、準備完了。 初日の出が上がると同時に、おおーという声が辺りから聞こえてきた。私達も含めて。 そしてシャッターの音がする。いきなりのことで、みんなはちゃんと顔を整えてなかった。 「ちょっと、おとーさん!撮るなら言ってよネ!」 「ごめんごめん、初日の出の瞬間は撮りたかったからさ。それじゃあ皆さん、改めて、ハイチーズ!」 撮り終わり、すぐにお父さんは初日の出の写真や私達の写真を撮るため、色々動いたりしていた。 みんなは若干ばらけ、何人かのグループに分かれて話してる感じ。もちろん海のほうを見ながら。 私も例外なくだけど、さっきの場所から動かずかがみと話していた。 「いやぁ、綺麗だね~。心があらわれるヨ。」 「そうね…海がキラキラ輝いてて、宝石みたいで…。」 そう。目の前の光景は、光が海面を乱反射しながら太陽が昇っていて、美しいとしかいえないぐらいだ。 新しい一年が始まったんだと思うと、不思議な気持ちになる。でも、かがみ弄りは忘れない。 「かがみって、やっぱり結構ロマンチストだよね~。」 「悪いか!」 「いんや、別に~。そういや、朝日が昇るところ見ること自体が久しぶりかな。」 「あんたは早起きなんて普通しないものね。って、コミケの時は?」 「そんときは朝日のことなんて頭にないよ~。朝日より同人だね!」 はぁ、と呆れるような感じでかがみがため息をつく。 「本当にこの陽光で、心を洗ってもらったほうがいいんじゃないか?」 「むぅ、最愛の人に対してそれは酷いよ、かがみん…。それにかがみだって見てないんじゃないの?」 「えっ?!」 何故かこの一言で慌てだし、何故か照れはじめた。ちょっと予想外の反応だ。 「だからさぁ、一緒にコミケ行ったじゃん。そんとき、かがみも日の出なんて見てないんじゃないの?」 「そ、それは…」 明らかに照れてるし、何か隠してる。朝日のせいには出来ないぐらい、顔も赤くなり始めた。 「ん~、もしかして誰かかっこいい男の人でも見てたの?私というものがありながら!」 「違うわよ!男なんて見てないわよ!私が見てたのは、ウキウキ輝いてたあんたの顔っ…じ、じゃなくて、ただの電車の広告よ!」 (く~、やっぱりツンデレだね、かがみは。この反応、最高だヨ~。) 「やっぱりかがみも見てないんじゃん~。それに私を見てたってことは、煩悩だよね~♪」 「こ、恋人の顔を見て何が悪い!!全く、もう…。」 大声でそう宣言した後、下を向いてしまった。こういうところも可愛く見えちゃうんだよね~。 でも、大声だったのはまずいよ、かがみん…。 「か・が・み~、恋人って誰のことかな~。」 「?!?!げっ、まつり姉さん…に、いのり姉さん。い、いや仮想の話よ、仮想の!」 あちゃ~、やっぱり聞こえてるよ…。他の大人は気付いてないみたいだから、一応セーフ? でも、必死でかがみが逃げようとしてるけど、全くもって信用されてない。 普通に考えて、あれを聞かれたら逃げられないと思うヨ、かがみん。 諦めて、とりあえずこの二人には打ち明けたらと、小声で耳打ちしてみた。 ちょっと驚きの顔をこちらに向けて、指を唇に当てながら数分間考えた後、頷いた。 かがみは決心したのか、深呼吸。お姉さん方お二人は、物凄い形相でこっちを見ていた。 「実は…」「こういうことですヨ!チュ。」 と、クリスマスと同じ展開でかがみに軽くキスをした。 「?!…ば、こここ、こなたああああああ!!!!!」 かがみはいろんな意味で大噴火、お姉さん方は目を点にしている。まぁ、普通はそういう反応だよネ。 やっと意味がある程度理解できたのか、いのりさんが反応した。 「ああ、そういうことなんだ~。かがみがそういう趣味だったのは意外ね。」 「え、どういうこと??」 「だ、だから、その…付き合ってるのよ、私とこなたが…。」 「えええぇーーー!!!だって、こなたちゃんも女の子でしょ?!」 物凄い大声を出してまつりさんが驚いた。 「うっ…だから、言いたくなかったのよ…。」 「かがみ、本気?」 「…本気じゃなかったら、こんなこと改まって言わないわよ。」 「そう…。私は賛成できないけど…」 ああ、やっぱり一般人の考えはこうだよね。車での悪夢が少し蘇り、嫌な汗が出始めた。 かがみも顔を曇らせて、下を向いた。実の姉に話しているかがみの方が、ダメージは大きいんだろうな。 「でも、私は反対もしないわ。」 『えっ?』 私とかがみ、それにまつりさんの声が被った。 「だって、これはあんたの人生だもの。私がどうこう言うもんじゃないしね。」 「ありがとう、いのり姉さん…。」 私とかがみは少しだけど、ほっとした顔を見せ合う。 「姉さん?!」 「あら、まつりだってどうなるか分からないわよ?それに、素性の知れない変な男よりよっぽどいい気がするわ。何か親が言うことみたいだけどね。」 「そうかもしれないけど…やっぱ、変じゃない?」 「でも、それを覚悟でこの二人は付き合ってるんでしょ?だったらいいじゃない、変でも。」 「まぁ、私も別に構わないけどさぁ…。」 そういって、まつりさんは渋々引き下がった。 「色々あると思うけど、がんばりなさいよ、二人とも。それと、後でちゃんと母さん達にも言うのよ?」 「うん、ありがとう、いのり姉さん。それに、まつり姉さんも。」 「私は別に何もしてないよ。ほら、お邪魔みたいだし行こう、姉さん。」 そういって、二人はつかさの方へ歩いていった。 「ふぅ、なんとかなって、良かったヨ。」 「そうね。渋ってたけど、なんだかんだで認めてくれたというか、分かってくれたみたい。」 ようやく収まって、一息つく。これで落ち着いて二人でいられるかと思った。 が、しかし、そうは問屋が卸さなかった。 「こなた、ちょっといいか。」 「かがみ~、こっちにいらっしゃい。」 ビクッ いやーな予感が思いっきり頭を通り抜けた。恐る恐る後ろを向くとお父さんがいた。 かがみも冷や汗が出ているように見えた。すっと立ち上がって離れていく。 「さて、さっきのはなんの話だ?女の子がどうだの、付き合ってるだのって。」 「はぅあ?!おとーさん、聞いてたの…?」 なんだろう、このありきたりなドラマのシチュは。 しかもかがみも呼ばれて行っちゃうし、バッドエンドフラグじゃん、これって? 「あれだけ大声だと、どうしても気になってな。んで、説明してもらおうか?」 「い、いやぁ、えーと…そう!ネトゲの話だよ!ほら、私ネカマじゃん?それで、嫁の話とかを…」 「目が泳いでるぞ、こなた。正直に言ってもらおうか?」 目が本気だし、表情も硬いし、声のトーンも低い。お正月からなんでこんな修羅場の連続が…。 もはや逃げ道はないし、変にごまかそうとすると自分の首を絞めることになる。 チラッとかがみのほうを見ると自分の両親と話をしている。お父さんだけの私はまだ楽かナ? いつか話さないといけないし、早い方がいいだろうか? かがみの了承を得てないけど、ここは覚悟を決めるしかない。 ここで引いたら、まさしくゲームオーバーだろう。しかも、ゲームみたいにリセットはできない。 深呼吸をして、自分で出来る限りの意思を込めてお父さんの目を見た。本気だと伝えるために。 「…私、付き合ってるんだ……かがみと。もちろん本気。意味も理解してる。覚悟も…できてる。」 不安というより、恐怖が心の半分を覆っていて、今にも泣きそう…。 どんなホラー映画もお化け屋敷でも泣いたことはないのに、今は心が裂けそうなほど怖いよ。 目が潤み始めて、視界がぼやけてきてるけど、お父さんと目を合わせたまま離してない。 さっきから真剣な顔のまま、私を見ているだけで何のリアクションもないけど、私はやめない。 どれだけお互いを見詰め合っていたか分からないけど、もうそろそろ涙腺の限界だヨ。 断られるのが、認められないのが怖くて、もはやそれだけで頭が一杯になりそうだった。 「…良く、本当のことを言ってくれたな、こなた。」 「…えっ?」 先ほどまでの硬い表情ではなく、真剣だけど優しい顔と声になっていた。 「この後も、嘘でごまかそうとすれば怒って認めないつもりだった。それは相手がかがみちゃんだから でも、同姓だからでもなく、親にすら言う覚悟ができていないから反対するつもりだった。」 「おとーさん…。」 「でも、こなたは正直に言ってきたし、ずっと俺の目を見て訴えてきた。不安な気持ちも伝わってきた けど、必死でそれに耐えて、俺に気持ちを伝えてきた。だから、俺はもう何も言わない。」 「いいの…?」 「社会的に見たらおかしいと思われるだろうけど、俺は誰でもないこなたの親だ。俺は、お前が幸せだ と思う道を応援するべきだ。こなたにとって何が幸せかは、こなたにしか分からないことだからな。 …きっと、かなたもそう言うはずだ。」 自分はどう考えても、親不孝な子どもなんだと思っていた。絶対反対されると怖がっていた。 でも、お父さんは反対せず、認めてくれた。それが嬉しくて、ほっとして涙が流れてしまった。 「うぅっ…ご…めんね…グズッ…おとう、さん…。」 「泣くなよ、こなた。それに、〈ごめんね〉なんて言われる覚えはないぞ?一度きりの人生、好きなよ うに生きればいいさ。俺だって、かなたと色々やったんだしな。かがみちゃんなんていい娘と付き合う なんて、さすが俺の娘だ。」 「…うん、ありがとう。」 「ほら、かがみちゃんの方も終わったみたいだぞ。行ってあげなさい。」 振り返ると、親との話を終えたかがみも涙目ながら顔はどこか晴れやかで、こちらを見ていた。 「…かがみっ!」 そう言って私は足の痛みも忘れて、かがみの方へ走り出し、思いっきり抱きついた。 「うわっ!もう、こなたっ!…ったく。でも、その様子だと良かったみたいね。」 「かがみの方も、結果は顔に書いてあるよ。」 今まで抱えてきた悩みがなくなったかのように晴れやかな顔が、全てを物語る。 「ふふっ、そうね。お父さんが反対気味で駄目かと思ってたけど、お母さんのおかげもあって何とか認 めてくれたわ。お母さんは、前から気付いてたみたいらしいしね。」 「私の方もOKだってさ。いやぁ、お互い良い親を持ったねぇ~。」 「なんだその言い方は…でも、そうね。始めはどうなることかと思って、本当にヒヤヒヤしてたわ。」 「これで隠れて付き合わなくてもいいんだよね?」 「そうね…これだったら、もっと早く言うべきだったかしらね。」 あははっ、と笑って太陽のほうを見た。もうほとんど全てが見えるぐらいに出てきていて、まぶしい。 その後、私達はゆい姉さんや黒井せんせーにも話して、周りの人で知らない人はいなくなった。 先生にいたっては「前からそうだったんちゃうんか?」とまで言われた。取り越し苦労だったみたいだ。 さらに、ゆーちゃんとみなみちゃんも私達に乗じて決心したらしく、帰り際にゆい姉さんとお父さんに 話していて、相当驚いていたのが見えた。最初は珍しくゆい姉さんが怒り気味に見えたけど、どうやら その矛先はゆーちゃんたちじゃなく、お父さんに向けられてたみたい。最終的にOKを貰ったのか、ゆ ーちゃんもそうだけど、あのみなみちゃんまで満面の笑みで抱き合ってた。 後で聞いた話だと、ゆい姉さんはゆーちゃんが変なアニメやゲームの影響で、同性って考えが生まれた んじゃないかと怒ってたらしい。でも、ゆーちゃんが違うって否定した上に本気だったのを見て、観念 したらしい。…まぁ、原因はひよりんだと思うから、あながち間違ってないと思うけどね…。 みなみちゃんは既に親に打ち明けていたらしく、ゆーちゃんも了承していたらしい。 うちらより手際がいいというか、積極的じゃないかな? あともう少しで帰るということになり、私とかがみは二人きりで話していた。 「う~ん、とんだ初日の出だったなぁ。おみくじ通り災難だらけだよ。悪夢が初夢になるわ、足は痛めるわ、砂まみれになってお金落とすわ、逆の足を踏まれるわ、修羅場になるわ…どんだけ~だヨ。」 「でも、悪いことばかりじゃなかったじゃない。晴れて公認になったんだしさ。」 「そうだけど、できればもっと綺麗にさ。例えば、かがみがとなりにいる状態で親に紹介するって感じが、交際とか結婚を認めてもらうときの王道イベントじゃん?」 「そうだとしても贅沢言えないわよ、私達の場合は。認めてもらえただけ良しとしなきゃね。」 確かにかがみとの付き合いを認めてもらえたのは大きいんだけど、やっぱり不満な部分があるわけで。 「でもやっぱりついてないよ…。毎日がこんなんじゃ、体がもたないヨ。」 「ほーら、ブツブツ言わない!確かに運はついてないかもしれないけど、私が付いてるじゃない。それとも何、私じゃ安心できない?」 「そ、そんなわけないよ!かがみがついてくれてるのが一番だヨ!」 「そんなに必死にならなくても分かってるわよ。そういうところが可愛いんだけどね~♪」 「あうぅっ…」 あ~、またかがみに主導権が…でも、これはこれで悪くないかもネ。 そっとかがみが腕を肩にまわしてくれて、私も体を寄り添う形でかがみに預ける。 いつも思うことだけど、暖かくて安心できる。さっきの仕返しを思いつき、即座に決行する。 「やっぱりかがみの体温が一番安心できるね!」 「ゴホゴホッ…い、いきなり、何を言って…っ!」 「あれ~、どうしたのかなぁ、そんなに顔を赤くして?いやらしいことでも考えちゃった?♪」 「ち、違うわよっ!」 明らかに顔が真っ赤で、目を逸らしてる。誰から見てもバレバレだ。 「怪しいな~、かがみぃ。」 「うるさい!…でも、私もあんたの体温が一番落ち着くわ。」 そういって、私の上から覆いかぶさるように抱きついてきた。 「ちょ、かがみ?!は、恥ずかしいってば…」 「わ、私だって恥ずかしいけど、こうしてたいの!いいでしょ!」 「デレ覚醒ですか、かがみ様。」 「デレとか言うな、馬鹿っ。」 かがみがさらに強く抱きしめてくる。私はされるがまま、身をかがみに任せた。 腕ごと抱かれてるから、かがみに手をまわしてあげられないのが残念だけどネ。 お互いの体温を感じている間、朝日と輝く海が私達を照らしていた。 初日の出さえ癒せなかったケガの痛みも、精神的な疲れも全て癒えていくような気がした。 しばらくしてかがみが力を緩め、お互いを見つめ合って、顔を近づけた…。 「お姉ちゃーん、もう出発するって…わわわ、ごめんなさい!」 うん、お約束のタイミングだネ。萌え要素としてはGJだよ、ゆーちゃん。 出来ればあと数秒待って欲しかったけどね…。 「あ、ゆ、ゆーちゃん!う、ううん、教えてくれてサンキュー。」 「き、気にしないでね。ほ、ほら、こなた肩貸してあげるから立ちなさいよ。」 最も理解してもらってる人の1人でも、キス目前を見られるのは、してるのを見られるより恥ずかしい。 かがみは顔が真っ赤で、なんとか平静を保とうとしてるのが分かる。おそらく私もそうなんだろうね。 名残惜しくも車の方へ向かった。 「それじゃあ、気をつけなさいよ。これ以上痛めたら、どこもいけないわよ?」 車に乗せるのを手伝いながら、かがみが言う。素直に私の身が心配だといわないのは、らしいな~。 「もう、素直に私が心配だって言えばいいのに~。遠まわしに言ったって、バレバレ何だからさぁ。」 「う、うるさいっ…。どう心配しようと私の勝手でしょ?」 「う~ん、これはツンデレじゃなくてデレツンなのカナ?」 「私はどっちでもないわよ!全く、もう行くからね。…チュ、じゃあね。」 そういって、さりげなく頬にキスをして、車から降りた。 私のシチュのツボだったか、顔は大噴火を起こしたかのように火が上がる。 でも、当のかがみはほんのり頬と耳が赤いぐらいだ。 …もはやかがみはキスすることに対して、抵抗がないような気がしてきたヨ。 「あ、かがみちゃん、丁度いいところに。」 どこからあらわれてか、一時的に車を離れていたお父さんがやってきた。 「さっき、そちらのご両親と話をしていたんだが、良かったら今日は家に泊まらないかい?」 『えっ?』 「いや、かがみちゃんの意思次第だけど、ご両親は良いと言っているし、どうだい?」 「本当にいいんですか?」 「ああ、構わないよ。大勢の方が楽しいからね。あ、でも部屋はゆいちゃんとゆたか、それにみなみち ゃんがくるから、必然的にこなたの部屋に泊まってもらうけど、いいね?」 「は、はいっ。よろしくお願いします。」 「じゃあ、乗った乗った!…ほら、ゆーちゃん達も早く!」 そんなこんなで、5人で車に乗ることになった。 前にお父さんとゆーちゃん、そして私達とみなみちゃんは後ろの座席に。 ゆーちゃん達にはちょっと我慢してもらうけど、私けが人だし、いいよね? 帰り道、再び眠気が襲ってきたけど、暖かい感触を感じながら、今度はいい夢が見れそうな気がした。 かがみが付いてくれてると、何でもいい方向に進む気がするしネ。 やっぱりかがみには守られてるみたいだよ、いろんな意味でさ。 ありがとう、かがみ…。あとで、たっぷりお礼しないとネ♪ - Fin - 『かがみ開きすぎっ!』(続編)へ コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-03-04 23 26 06)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/191.html
つかさ「お姉ちゃん、ホントにこなちゃんのことが好きなんだね」 かがみ「うん、まあ……ってななな何言い出すのよあんたは!?」 みゆき「羨ましいまでに百合フラグ満開でしたね」 かがみ「ちょ、み、みゆきまで、何を……」 つかさ「えへへ~、実は聴いちゃったんだぁ、私達」 かがみ「!? ま、まさか“アレ”を……?」 つかさ「うん♪ ア・レ・を♪」 みゆき「かがみさん、大変お上手でしたね」 かがみ「つ、つかさ、みゆき……違うのよ、あれはその……」 つかさ「何が違うのカナ?カナ?」 かがみ「いや、そのね、えっと……」 みゆき「どう見ても泉さんへのラブソングでしたよ本当にありがとうございました」 かがみ「だ、だから……」 つかさ「宿題ならしぶしぶ教える♪」 みゆき「怪しいグッズ買うのも付き合う♪」 かがみ「!! ちょ……」 つかさ「あきれながら」 みゆき「ほら!」 つかさ「こっちだよ」 みゆき「ほら!」 つかさ「元気出しなさいよ♪」 かがみ「あ、あう……」 (中略) つかさ「な~んで~ なんで なんで♪」 みゆき「クラスは別なの な~んで~♪」 つかさ「神様な~んで~ なんで なんで♪」 かがみ「……こ、殺して下さい……もう一思いに殺して下さいッス……」 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-18 11 25 38) 最後ひよりん? -- かがみんラブ (2012-09-17 23 34 38) この歌妖しすぎるゾ!(勿論いい意味で)そして恥ずかしがるかがみん萌え! -- アオキ (2012-01-28 13 55 14) 私も 初めてこの曲聴いたときは 悶えました。 -- 名無しさん (2011-10-23 17 34 53) かがみんや、恥ずかしがることはないぞ。あの曲はこの保管庫の住人みんなが認める「神曲」だから。 -- 名無しさん (2009-12-07 19 52 43)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/769.html
「トイレ、借りるね」 いつになく重い雰囲気のまま、こなたが腰を上げた。 「…………」 話がある、と言ってアポも取らずにやって来たのはこなたの方なのに、何の話も切り出さないまま30分余りが経過していた。 (こなたのやつ、何考えてるのよ……) かがみは言い知れぬ不安を感じていた。 普段ならくつろぎの場であるはずのこの居間が、全く違う異次元の空間であるかのような気さえしていた。 その時、かがみの携帯が軽快な着信音を奏でた。 「……こなた?」 携帯の液晶パネルは、たった今この部屋から出て行ったばかりの少女の名前を表示していた。 『題名:かがみへ』 「……?」 不審に思いながらも、かがみはメールを開く。 本文は何も書かれていない……かのように見えたが、改行が何回も入れられていた。 かがみはそれに促されるように画面をスクロールしていく。 連続する改行マークが途絶えた先、最後の一行にたった四文字。 それが、かがみの目に飛び込んできた。 『愛してる』 「かがみ!」 次の瞬間、こなたの声が背後から響いた。 「!?」 かがみがその方向に振り返ると同時、こなたがかがみの胸に勢いよく飛び込んできた。 「こ、こな……こな、こ、こなあああッ!!??」 ぶっしゃああああああ。 興奮の余り、かがみは鼻腔から血流を噴出した。 「あ、あぐあっあ……」 そのとてつもない量の出血は、一瞬にしてかがみを貧血状態に陥れた。 眩暈がし、足元がふらつく。 こなたが飛び込んできた衝撃もあって、かがみは勢いそのままに仰向けに倒れこんだ。 「う、うぐっ。う……」 まずい。なんとか出血を止めなければ。 慌てるかがみ。 しかし、かがみの上半身には。 「!?」 涙をぼろぼろこぼしながら、非難するような目で自分を見ているこなたがいた。 (あ……あかん!!) ぶっしゃああああああ。 涙目こなたを間近で見たことにより、またしても大量の血液がかがみの鼻腔から放出された。 「う、げほっ、ごほっ……」 やばい。このままでは失血死してしまう。 しかしなおも、こなたは攻撃の手を緩めなかった。 「ひどいよ、かがみ……昨日一緒にゲマズ行こうって言ってたのに! みさきちとの約束を優先して!」 それはそっちの約束の方が先だったから……とかなんとか言おうとしたかがみだったが、血液が口内にも流れ込んできて言葉にならない。 ぐぼっ、がぼっと醜い音を立てることしか出来なかった。 「ずるいよ! 自分ばっかり、みさきちと幸せになろうなんて!」 あるぇー? なんか話変わってないかー? とかなんとかツッコもうとしたかがみだったが、目を真っ赤に晴らして自分を責めているこなたを見ていると、 なんかもう興奮の絶頂を通り越して新世界の神にでもなってしまいそうなエクスタシーを感じた。 (ふ、ふふふ……私は神、神なのよ……ああっ) ぶっしゃああああああ。 三度目の血液を鼻腔から放出し、かがみは力尽きた。 その表情は恍惚そのものであり、泉そうじろうをして「これぞまさに萌死にの体現だッ!」と言わしめるほどであったという。 ――その後、買い物から帰宅したつかさがかがみの亡骸を発見し、すかさず「ど、どんだけ~~!!??」とツッコミを入れ、 私今のツッコミちょっと上手かったよねエヘヘと一人で悦に入っていたのはまた別の話である。 終 コメントフォーム 名前 コメント なんという惨劇・・・ -- 名無しさん (2008-12-28 12 07 13)
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/99.html
私とこなたが付き合い始めてから数ヵ月。 その日、こなたはずっとソワソワしているみたいだった。 「かがみ~、何かして欲しいこととかない~?」 「薮から棒になによ」 「何だって良いじゃないか、かがみんよ」 う~~ん、こなたにして欲しいこと、かぁ……。 「ん~……宿題や受験勉強かな?」 「う゛……私がするんじゃなくて、かがみにしてあげたいんだよね……」 こなたに私がしてもらうことかぁ。 美味しいご飯でも作ってもらおうかな……。 ……でも、最近体重が……。 あんまり重くなって、こなたに嫌われたら嫌だから、我慢しなきゃね……。 「かがみ~、ないの~?」 「そうね、特にないわ」 「それじゃぁ困るんだよ、かがみん」 「なんで困るのよ」 おうむ返しについ聞いてしまう。 「むぅ、かがみは今のままでマンゾクなのかね~?」 「そうね……強いて言えば……」 キ、キスとかしてくれたら、嬉しいけど……。 で、でもそんなこと言えるわけないわ!! 「やっぱりないわね」 ま、マズイわね、顔が熱くなってる……。 こなたに見られたら、また……。 「かがみ、顔真っ赤になってるよ~?何想像してるのかなぁ~?」 遅かったみたいね……。 「な、何でもないわよ……」 「ほらほら、怒らないから、お姉さんに正直に言ってみなよ~」 「アンタみたいな姉をもった覚えはないわよ!」 「あはっ☆」 「『あはっ☆』じゃないわよ。もう、いったい何が目当てなのよ」 絶対なにかあるわね……。こなたが理由もなしに、こんなこと言い出すなんて信じられないわ。 付き合ってからも、こなたはこなたのまま、ちっとも変わってない。 まぁ、そんなこなたが好きなんだけどね……。ってなに恥ずかしいこと言わせてるのよ! 「そんなのないよ。ただ純粋にかがみに、喜んでもらいたいんだって~」 「こなたが?私に?何か裏がありそうね……。ドッキリでした、とかじゃないでしょうね……」 こなたが私に普通に優しくしてくれるなんて初めてだから、なんか恥ずかしい……。 「そんな信用されてないのね、私は……」 「自分のいつもの言動を省みてから、もう一度同じことを言ってみなさい」 もっと、いつも優しくしてよ………。 「そうだね~、目当てがあるって言えばあるかな?」 やっぱりね……。どうせそんなことだろうと思ってたけど……。 「また宿題?それとも寄り道?」 だいたいこのどっちかのパターン。 さ、どっち?私の予想では、ゲ○ズ行こう、ね! 「恋人である、かがみの笑顔を見たいだけだよ」 なぁッ………!? 「こ、こここ、こなぁ……!?」 「呂律がまわってないよ、かがみん」 は、恥ずかしいことを堂々と……!! こなたの顔がニヤニヤしてる……。私の反応見て楽しんでるな……! それはわかってるけど、やっぱり……。 「まぁ、そんなわけだから、遠慮なく言ってよ」 「う、うん…………」 私の完敗……。 「かがみ、ホントにこんなので良いの?さっきも言ったけど、遠慮しなくていいよ?」 「いいのよ、これで」 『こなたと少し散歩したい』 それが、私の頼んだお願い。 こなたと私がいつまでも一緒にいられるとは限らない。 違う大学になったら、今みたいに毎日会うなんて出来ないし……。 それに、もし……こなたのことを信じてるけど……万が一、こなたに飽きられたら……。 そんなときのことを考えたら、それまで少しでも、1秒でも良いから……。 こなたの側にいたい……。 温もりを感じていたい……。 私は臆病で寂しがりだから、いつも嫌なことばっかり考えちゃうけど、こなたが一緒にいるときだけは、それも忘れられる……。 「かがみん」 「なに?」 「今………幸せ?」 「えっ………?」 こなたの突然の意味深長な言葉に、私はこなたの方を見た。 その横顔は、どこか寂しそうで、どこか畏れてて、どこか弱々しかった。 「かがみ、今日は鏡開きの日だよ」 「そうね……」 鏡開きと幸せになんの関係があるの……? そう思ってると、こなたは携帯をポケットから出して、私に見せながら文字をうち始めた。 液晶画面には、こなたの指にあわせて文字が表示されていく。 かがみびらき ピッ かがみ日らき 「かがみ、わかんない?」 「う、うん、ちょっと……」 かがみ 日 らっきー そこまできて、ようやく私は気付いた。 「鏡開きの日は、かがみにとってラッキーな日であって欲しいんだ」 「こなた……」 こなたがそんなこと思ってたなんて……。 私、勘違いしてた……。ごめん、こなた……。 少しの間続く静寂。 それを破ったのは、こなた。 「かがみはいつまでも、変わらないでいてくれる?」 えっ……? 私は、思わず聞き返しそうになる気持ちを抑えた。 ―――こなたが、泣きそうな顔になってるから。 「私の性格、他の人の視線、マンネリ化……」 こなたがぽつりぽつり、と言っていく。 「かがみの気持ちが、もし変わって……私ともう一緒にいれないって言われたら………」 ―――ッ!!? 私は驚いて、声が出せなかった。 そんな私を気にせず間髪をいれないで、こなたはすぐいつものこなたに戻った。 「なんてね~。ごめん、かがみ、ちょっとふざけて言ってみただけだから、忘れてネ」 そうやって笑いながら言うこなた。 でも、強がってるのが分かる。 そっか―――。 こなたも、私と一緒だったんだ―――。 その小さな身体の中に、いっぱい憂いを溜めていたのね……。 不安だったんだ。怖かったんだ。 そんな最愛の人を、安心させてあげたい。あげなくちゃいけない。 私に出来ることって、何があるだろ? そう思う前に、口が開いていた。 「ねぇこなた、私が一番欲しい物、もらっていい?」 「うんうん、良いよ~。今日は大奮発しちゃうよ~?」 「ありがと、こなた」 「それで、愛しのマイハニーの欲しいものは何かな?」 「それは……ね――――」 私とこなたの距離。 それを、0にした。 こなたの驚いた顔がすぐ近くにある。 こなたの顔の温度が伝わってくる。 少しして、私は後ろ髪を引かれる思いで、ゆっくりこなたから離れた。 「か、かがみ……?」 こなたはさっき以上に驚いた顔をしている。 「私は、こなたと一緒にいれるだけで、毎日が幸せで、ラッキーよ」 「え……?」 突然言った私の言葉を理解できていないこなた。 「私も、こなたと一緒だったのよ。 こなたに嫌われたらどうしようって不安だった。怖かった。 でも、こなたはそんなこと考えてなさそうなのに、 私がそんなこと考えるのって、こなたに失礼でしょ? だから、出来るだけ表に出さないようにしてたの」 「かがみ……」 「でも、こなたも同じってわかったら――」 これ以上は言わなくても、こなたならきっと分かってくれる。 「ねぇ、こなた、手繋ごっか?」 「もう仕方ないな~。もう、うさちゃんかがみはホントに寂しがりやなんだから~」 「うさちゃんとか言うな!」 「うひひ、可愛いうさぎさんが寂しがらないように、手を握ってあげますよ~」 そういって、こなたは私の手を握った。 こなたと繋がっている左手は、とっても温かかくて、心地よかった。 「こなた、いつも私の側にいてくれて、ありがとね」 「かがみも、私なんかと一緒にいてくれて、ありがと。ちゅっ」 一瞬だけど、また、こなたと私の距離が0になった。 「も、もう……き、キスするなら、ちゃんと言ってよね」 「ふふ、さっきかがみにやられたからね。お返し。やっぱりデレかがみは可愛いね~」 「バカ……。今度、覚えてなさいよ?」 握られた手から感じる、私たちの繋がり。 今、それはきっと他の誰のどんなものよりも強い。 ――――そう思ってもいいよね、こなた? コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦) それと明けましておめでとうございます! -- 名無しさん (2023-01-03 18 36 22)
https://w.atwiki.jp/kagamin_bocchi/pages/72.html
by発教育学部(コネチカット州) 第1話「プロローグ」 高校を卒業してもう3年。大学に進学したけど、馴染めなくて友達が出来ずに一人ぼっち。 だんだん大学にも行かなくなり、あまり外にも出なくなった。 毎日起きたらネットにテレビ漬け。すぐに1日が終わる。 そんな私にも、高校時代から付き合っている1つ年下の彼氏がいる。だけど、忙しいそうでなかなか会えなかった。 4月も終りに近いある日、彼氏から電話がかかってきた。 かがみ「もしもし?××君?」 彼氏「もしもし?久しぶり!元気だった?」 かがみ「ま、まぁまぁ元気よ…。」 もう何回目だろうか?また嘘をついてしまった。本当はすごく寂しいのに…。 彼氏「そっか。それは良かった。ところで、今度の日曜にかがみんの家に行ってもいいかな?出来れば夕方がいいんだけど…」 かがみ「良いわよ。夕方に来るならご飯作って待ってるね。」 彼氏「それは楽しみだなぁ。じゃあ日曜にね。…あ、それと、もしかしたら行けなくなるかも知れないから その時は電話するよ。じゃあねー。」…プツッ、ツー、ツー、ツー 久しぶりに××君が来る。しばらく誰とも会ってなかったから、すごくワクワクした。 第2話「大事な話」 5月最初の日曜日。今日は××君が遊びに来る。部屋を片付けて、久しぶりにたくさん買い物してきた。 ××君に料理を教わっていたので、ある程度の物なら作れるようになった。 ××君は7~8人前はあろうかという量をペロっとたいらげるから作り甲斐がある。大量の料理を作っていたらあっという間に夕方になった。 時計は18時5分を指している。その時『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。 かがみ「はーい」 彼氏「久しぶり。ちょっと遅くなっちゃったよ。」 かがみ「大丈夫。いろいろやってたらあっという間に日が暮れちゃった。」 かがみ「さぁ上がって!たくさん作ったわよ!今日は結構上手く出来たから自信作ね!」 彼氏「わぁ!こんなにたくさん!美味しそうだなぁ。早速食べていい?」 かがみ「どうぞ召し上がれ!」 彼氏「もぐもぐ…うん!おいし~い!かがみんに教えた甲斐があったよ!」 かがみ「良かった!さぁもっと食べて!」 こうして××君は全部食べてしまった。 彼氏「ふぅー。美味しかったー!ごちそうさま!」 かがみ「良かった。全部食べてくれるから作り甲斐があるわ!」 彼氏「また食べたいなぁ。今度は何時になるか判らないけど…」 食べ終わって二人で食休みしていたら、××君から話を切り出してきた。 彼氏「今日かがみんの家にきたのは大事な話があるからなんだけど…」 かがみ「大事な話?一体なに?」 彼氏「実は…アメリカに留学することにしたんだ。」 なんと××君はアメリカに留学するのだという。もしかしたら、本当に一人ぼっちなるかも知れないという不安がよぎった。 かがみ「えっ?」 彼氏「それで…、かがみんにも一緒に来て欲しいんだ。ダメかな?」 かがみ「きゅ、急に言われても困るわ…。」 彼氏「あ、いや…、今すぐに行くわけじゃないから…。ゆっくり考えてよ。」 かがみ「そう…じゃあ少し考えさせて…。」 彼氏「解った。アメリカに行くのは7月だからゆっくり考えてね。」 かがみ「あの…、どれ位アメリカに居るの?」 彼氏「留学して向こうの大学出た後も、日本にはしばらく帰って来るつもりは無いんだ。」 かがみ「じゃあ…もし一緒に行かなかったら、もう会えないの…?」 彼氏「そう…だね…。もう会えないと思う。」 どうしたらいいんだろう…。今までたくさん嘘をついて来たのに…。こんなに私のことを考えてくれてたなんて…。 このまま一緒に付いていけば、楽しい日々を過ごせるのは解っていた。 だけど、何かを忘れている気がして、二つ返事は出来なかった。 第3話「大切な人」 それから1週間。ずっと考えてた。一体なんだろう?この『何かが足りない感じ』は。 すると電話がかかってきた。見覚えのない番号だ…。一体誰だろう? かがみ「もしもし、どちら様ですか?」 ???「…もしもし?かがみん?」 かがみ「も、もしかして、こなた?」 こなた「そだよ。久しぶりだね。」 一昨年から電話が繋がらなくて、逢いたくても逢えなかった、その人は電話の向こう側にいる。そう思ったら、思わず涙が出てきた。 かがみ「ちょ、ちょっと…。ぐすっ…今まで…何してたのよ…心配してたんだから…」 こなた「心配させてごめんね。いろいろあってなかなか電話できなかったんだ。」 かがみ「一体何があったのよ…。」 こなた「いやぁ、電話を買い換えて電話帳を移そうしたらデータが飛んじゃってねぇ。 必死で番号を思いだそうとしたんだけど、番号を間違って覚えてたみたいで。いまさっき思いだせたんだ。」 かがみ「ちょ、まぁ、あんたらしいわね…。」 こなた「それはそうと、元気してた?」 かがみ「うん。あんたの声が聞けて元気が出たわ!」 くだらない話ばかりだけど、こなたとの電話は楽しかった。なんだか心が満たされる。この一時は寂しさを忘れていられた。 こなた「これからはいつでも話せるからね。遠慮せずに電話してね。かがみんが困った時は力になるから。」 かがみ「ありがとう。こなたがそう言ってくれて嬉しいよ。」 こなた「じゃあ、またね!」 プツッ、ツー、ツー、ツー 電話は切れた。でも、それと同時に疑問は確信に変わった。 『私はこなたの事が好き…。』 第4話「かがみの選択」 こなたとの電話から3週間。5月も終わりが近いある日、××君から電話がかかってきた。 彼氏「もしもし?かがみん?」 かがみ「あ、××君…久しぶりね…」 彼氏「どう?決まった?」 かがみ「うん…決めたわ…。」 彼氏「そっか。電話じゃなんだから、今からかがみんの家に行くよ。」 かがみ「そう…じゃあ待ってるわね…。」 彼氏「何だか元気ないみたいだけど大丈夫?」 かがみ「だ、大丈夫よ!待ってるわね。」 彼氏「じゃあ、後でね。」 プツッ、ツー、ツー、ツー 今から××君が来る。でも、もうワクワクしなかった。何故なら、私の心には××君とは違う人が居るから…。 夕方になり、『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。 かがみ「どうぞ…。上がって…。」 彼氏「やぁ。久しぶりだね。すごく忙しくなっちゃってなかなか電話出来なかったんだ、ごめん。」 かがみ「別に…気にして無いから大丈夫よ…。」 また嘘を付いてしまった。本当はもっと早く電話して欲しかった。もっと早く××君と電話していればこんな考えにはならなかったと思う。 夕方になり『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。 かがみ「どうぞ…。上がって…。」 彼氏「やぁ。久しぶりだね。すごく忙しくなっちゃってなかなか電話出来なかったんだ、ごめん。」 かがみ「別に…気にして無いから大丈夫よ…。」 また嘘を付いてしまった。本当はもっと早く電話して欲しかった。もっと早く××君と電話していればこんな考えにはならなかったと思う。 彼氏「この間のお返しと言ってはなんだけど、今日は自分がご飯作るよ。」 かがみ「あ、ありがとう。何か手伝おうか?」 彼氏「すぐ出来るから大丈夫だよ。座って待ってて。」 かがみ「そ、そう…。」 私は、座って待ちながらもう一度考える。でも、答えは決まっていたから無駄だった。 彼氏「さぁ出来たよ。」 かがみ「じゃあ食べよっか。」 彼氏とかがみ「いただきます」 やっぱり××君の料理は美味しい。いくら頑張ってもここまで追いつけないと思う。つかさが作った料理より美味しい。 食休みしていたら、××君が訊いてきた。 彼氏「ところで本題だけど、一緒に行く?」 かがみ「あの…言いにくいんだけど…、ごめんなさい。一緒には行かないわ…。」 彼氏「そっか…。やっぱり大学が忙しいから?」 かがみ「あの…その事なんだけど、実は…。」 私は正直に話す事にした。もう嫌われたっていい。むしろ嫌って欲しい。 彼氏「何?話せる事なら話してよ。」 かがみ「実はね、もう2年以上大学に行ってないの…。だから忙しいって言ったのは嘘なの…。ごめんなさい…。」 彼氏「なんだ、そんなことか。だったら大学辞めて一緒に行こうよ。ずっと一緒に居たいんだ。」 かがみ「でも…、私にはもっと大切な事がある気がするの。だから…一緒には行かないわ…。」 嘘をついていた事を咎めないばかりか、プロポーズとも取れる誘いをしてくれているのに私は断った。本当に私は最低だ。 彼氏「そっか……。どうしてもって言うんなら仕方ないね…。今まで楽しかったよ。 あと少ししか一緒に居られないけど、これからもよろしくね。」 かがみ「う、うん…。」 こんなに私の事を思ってくれているのに、冷ややかな返事しか出来なかった。そんな自分が嫌になる。 彼氏「おっと、もうこんな時間か。それじゃあまたね。電話するよ。」 かがみ「じゃあね…。」 ××君は帰っていった。今度なんて多分もう無い。気付いたら涙が出ていた。そして、こうつぶやいていた。 『もう私にはこなたしか居ない…。』 第5話「別れ」 もう7月も終り。結局電話は来なかった。何回も『やっぱり一緒に行こうかな…』と思った。だけど…。 30日の土曜日。『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。また勧誘かな…? かがみ「はーい…」 彼氏「やぁ。久しぶりだね。全然電話出来なくてごめんね。寝る暇も無い程忙しかったんだ。」 かがみ「そうだったの…。電話しても出てくれないから、もう日本には居ないのかと思ったわよ…。」 彼氏「本当にごめんね。それで今日、日本を発つからお別れに来たよ…。」 かがみ「えっ…?、今日行っちゃうの…?。」 彼氏「最後に一目逢えて良かったよ。それじゃ…、もう…行くね…。」 かがみ「ま、待って!」 彼氏「な、なんだい?」 かがみ「あ、あの…、本当に行っちゃうの…?」 彼氏「うん。昼過ぎの便だから、もう時間が無いんだ。 かがみんを幸せに出来なかった無力な自分を許してくれ…。それじゃあね…。」 かがみ「………。」 『一緒に行く』って言えなかった。××君を乗せたタクシーは足早に家の前から去って行った。 部屋に戻り、しばらく呆然としていた。 夕方になった頃、私は泣いていた。 『もう…一緒に居てくれる人は…居ないの…?』 第6話「告白」 ××君が日本を発ってから1週間。私は部屋で毎日泣いていた。すると電話が鳴った。…こなたからだ! かがみ「…もしもし?」 こなた「あ、もしもし?かがみん?」 かがみ「そう…だけど…。久しぶりね。」 こなた「なかなか電話出来なくてごめんね~(≡ω≡)。今からかがみんの家に行くよ~。」 かがみ「えっ、今から来るの?」 こなた「久しぶりにかがみんの顔が見たいし…ダメかな?」 かがみ「い、いいわよ。じゃあ待ってるわ。」 こなた「じゃあ後でね~。」 プツッ、ツー、ツー、ツー もうこなたとは2年以上会ってない。それに、どうしても伝えたい事がある…。 時計は19時を少し過ぎている。すかさず『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。 かがみ「はーい、どうぞ」 こなた「来たよ~かがみん!直接会うのは2年ぶりだね。」 かがみ「こ…、こなた!」 その顔、その小さな体を目の当たりにして、思わずこなたを抱きしめた。 こなた「ちょ、いきなりどうしたの?」 かがみ「私の話、聞いて…くれる…?」 こなた「いいよ。話したい事があるなら話してよ。」 私は、2年前からの出来事を全てこなたに話した。そして… かがみ「それで…、こなたに伝えたい事があるの…。」 こなた「なになに?」 かがみ「私は…、こなたの事が…好き…。」 こなた「私も好きだよ、かがみん。」 かがみ「違う…。そうじゃないの…。」 こなた「えっ…?」 かがみ「私が××君に付いて行かなかったのは、こなたと一緒に居たいからなの…。」 こなた「私のために…日本に残ったの?」 かがみ「そうよ…。もう一度言うわ。私は、こなたの事が…好き…!だから…ずっと一緒に居て…。」 私はそう言うと、こなたをベッドに押し倒した。 こなた「ちょ、何するの、かがみん!」 かがみ「もう…我慢出来ないよ…。」 正直言って、私は欲求不満だった。それが今、爆発している。 こなた「ちょ、ちょっと待ってよ…。」 その言葉で我に返った。お互いに目を合わせる事が出来ない。 それから小1時間が経った。先に言葉を発したのは、こなただった。 こなた「1回…。1回だけなら…良いよ…。」 かがみ「本当に…いいの?」 こなた「それでかがみんの気が済むならいいよ…。でも、1回だけだよ…。 でないと、かがみんが駄目になっちゃうから…。」 かがみ「こなた…。」 その夜は、二人にとって熱くて甘い、そして長い夜になった。 次の日、私はこなたに起こされた。 こなた「おはよう、かがみん。」 かがみ「おはよう…。こなた。」 こなた「さてと、私はそろそろ帰るね。」 かがみ「もう…帰っちゃうの?」 こなた「ごめん。今日は午後からバイトなんだ。だからもう帰らなきゃ。」 かがみ「そっか…。なら仕方ないわね…。」 こなた「まぁ、そんなに落ち込まないでよ。また来るからさ。」 かがみ「そうよね。何時でも会えるもんね。たまには遊びに来なさいよ。」 こなた「うん。それじゃ、かがみんも頑張ってね。またね。」 そしてこなたは帰っていった。その後、言いようの無い孤独感と虚無感に襲われて、私はまた泣いていた。 第7話「受け止めがたい現実」 こなたが帰った後、私は夕方まで泣いていた。すると電話が鳴った。公衆電話からだ。一体誰だろう? かがみ「…もしもし?」 つかさ「お姉ちゃん…!…こなちゃんが!こなちゃんが!!」 かがみ「ちょっと、こなたがどうしたのよ?落ち着いて話しなさいよ!」 つかさ「あ、あの…、ゆきちゃんに代わるね…。」 つかさが凄く焦っている。こなたに何があったんだろう? みゆき「お電話変わりました、みゆきです。」 かがみ「一体こなたに何があったの?」 みゆき「あの、大変申し上げ辛いのですが…、泉さんが…」 かがみ「こなたが?」 みゆき「泉さんが…お亡くなりに…なりました………。」 かがみ「えっ……………。」 私は思わず、ケータイを手から離してしまった。 みゆき「もしもし?かがみさん?」 かがみ「あぁ…ごめんなさい、今何処に居るの?」 みゆき「今は都内の病院です。それでは病院の場所をお教えしますね…。」 私は、みゆきから訊いた病院にすぐに向かった。そこには、信じられない光景があった…。 そうじろう「こなた、こなたぁ!起きてくれよ!こなたぁ!」 ゆたか「お姉ちゃん…、お願いだから目を覚まして…。ぐすっ…」 『えっ……』 『嘘…、こんなの嘘よね…、冗談でしょ?』 そう思いながら、眠っているかの様に綺麗なこなたの顔に触れる。 しかしその瞬間、嫌でも『現実』を思い知らされた…。 彼女の体は、もう…、冷たかった…。 かがみ「どうして…?、なんで…?さっきまで一緒に居たじゃない…。 …また私の家に来るって………言ったじゃない……………。」 最終話「エピローグ」 あの時から5年が経った。それから憑り付かれる様に勉強し、今は弁護士事務所で働いている。まだ見習いだけど。 私は毎年、正月と春と秋の彼岸に、ある場所に欠かさず通っている。 今日は秋分の日。今日も私はここに居る。 かがみ「こなた。今日も来たよ。」 しかし、話し掛けても返事は返って来ない。でも、それでも構わない。 あの日、こなたは一旦自分の家に帰り、改めてバイトに出掛けたそうだ。 しかし、私がもっと一緒に居たいって言って引き留めていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。 …って駄目ね。こんな事考えてもしょうがないか。 そして、こなたがバイトに行く途中に悲劇は起こった。 横断歩道を渡っていたこなたは、信号無視したトレーラーにはねられた。即死だった。 それから私は、時々自問自答する。 『やっぱり××君に付いて行けば良かったのかな…』 でも、その答えはもう出ない…。 Fin
https://w.atwiki.jp/kagatsuka/pages/27.html
212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/24(日) 21 41 42 ID VAssTSWUかがみんが風邪でぶっ倒れて「お姉ちゃんが死んじゃう!」とか言ってマジ泣きするつかさ 213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/24(日) 22 27 39 ID CAdocXWh「つかさはあんまり風邪ひかないけど、私はよくひくでしょ? だからそのたんびに大変でさー」 「……そういいつつ顔がにやけすぎだよ、かがみ」 214 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/25(月) 00 13 10 ID FA08KYFLかがみが寝込むと途端に甲斐甲斐しく面倒見るつかさ 寝てる時と学校行ってる時以外は部屋に常駐して、 アイスやらお菓子を常時補給しまくってるに違いない もちろんお着替えの時もね 215 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/25(月) 00 39 18 ID lcUMLnoMかがみんが風邪をひいたときだけは立場が逆になる双子であった 216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/25(月) 07 48 33 ID VbgI0Xqj「お姉ちゃん体拭くからパジャマ脱いで」 「ち、ちょっと!いいわよそこまでしなくても」 「私が風邪引いた時いつもしてくれてるから今日はそのお返しだよ」 そう言いいながら問答無用にボタンを全部外して下着姿にさせるつかさ。 「(フキフキ)どう?お姉ちゃん、気持ちいい?」 最初は恥ずかしかったけど優しく拭き上げてくれる感触になんだか心地よくなる。 「うん・・いい気持ち・・つかさ、ありがとう」 「えへへ」 217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/02/25(月) 13 29 03 ID lcUMLnoM普段あまり風邪をひかない分、めずらしくつかさが風邪をひいたときは かがみんはきっと必要以上に大げさに慌てて看病するのだろう
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/834.html
「かがみとわたし」 ちゃんと告白したっていうわけじゃないんだけど、私とかがみは『恋人』だった。 それは先週、かがみと二人だけで教室で話していた時。ついかがみのことをからかい過ぎて怒らせてしまった。 その後、私はいくらかがみに話し掛けても、振り向いてくれなくて、しまいにはかがみが教室から出て行ってしまって。 私はあまりに悲しくて、胸が潰れそうになって泣いちゃったんだ。 いくら今「ごめんね」って言っても、かがみの耳には届かないのに。 だけど、かがみは教室に戻ってきてくれた。 泣いてる私を見て、「ごめんね」って言ってくれた。 悪いのは私なのに。泣かせてしまったことをここまで心配してくれるなんて。 私は、いても立ってもいられなくて、かがみに抱きついた。 わんわん泣きながら謝った。 なのに、かがみの方まで「ごめんね」って言ってくれた。 悪いのは私なのに。 しばらく教室で抱き合ったままでいた。 かがみの体はあったかくて、やわらかくて、私より大きくて、どきどきした。 ふと気付くと、教室内はきれいな夕日に照らされて… とてもロマンチックな気分になってしまって。 それが、私の中の何かを壊してしまったのか、 キスをしてしまった。 唇を付けてから「しまった」と思い、慌てて離れたけど、 かがみは顔を赤くしてびっくりしていたけど、 その後かがみは、「もう」と言いながら困ったように笑って、 私のほほをなでてくれた。 帰り道、私とかがみは手をつないで一緒に帰った。 私は手をつなぐのは恥ずかしかったんだけど、かがみは嬉しそうだった。 その時、私は「ああ、かがみと恋人になったのかな」って思ったんだけど、 何も聞けなかった。 ある日、かがみの家で、私と、かがみと、つかさと、みゆきさんの4人でお泊まり会をすることになった時。 私は、夜中に目を覚ました。 起きていたかがみが「眠れないの?」って聞いた。 私は「うん」と答えた。 「ちょっと話しよっか」と言ったので、私たちは下の階のキッチンへ向かった。 かがみが、麦茶を冷蔵庫から取り出している時、私は言った。 「かがみ、私のこと、好き、だよね?」 するとかがみは、恥ずかしがる様子も見せず、 「そうよ」 と言ってくれた。 私の中で、夕焼けの教室の光景が甦った。 「かがみ…」 小さな声で聞いた。 「なあに?」 優しい顔で、優しい声でかがみが答えた。 「キスしていい?」 「…いいわよ」 かがみが、ふっと笑い直して、言った。 私は背伸びしてかがみの顔に近づこうとすると、かがみの両手が、私の肩に触れて制止させた。 私が一端離れて、足のかかとを床に付かせると、かがみは膝を曲げ、自分の両手を膝の上に乗せて、私の背と同じ高さに合わせてくれた。 なんだか、親が子供に話を聞かせる時の姿勢みたいなんだけど、それでもかがみの顔は優しくて、 私より大きい姿に母性を感じて、だけど恋人なんだって思って、どきどきしちゃった。 私が、心臓を高ぶらせながら、気持ちを落ち着かせながら、顔を近づけ、かがみの唇に自分の唇を重ねる。 …ちゅっ。 一瞬のことだけど、確かに感じた。 かがみのあったかい唇。熱を持った体。 私はどきどきが止まらなくて、でも嬉しくて嬉しくて、困った表情をしながらも笑ってみせた。 息がうまく吸えないよ。こんなに緊張したことないよ。もう。 だけど、かがみは言った。 「…一回だけ?」 …かがみはずるい。 一回なら思いきってできるけど、二回目となるとキスの味を知ってしまった私には恥ずかしくてたまらなかった。 でも、かがみとキスはしたい。 かがみも私にもっとキスしてほしいと言ってるみたいだし。 私は顔を近づける。 さっきの倍以上、緊張してしまう。 呼吸がうまくできず、えらく熱を持った息が出てしまい、はあはあ、と息が漏れてしまう。 心臓がばくばくして、手や顔が震えてしまう。 表情まで作る余裕もなくて、それこそ切なくて悲しそうな顔になってしまってる。 だってしょうがないもん。恥ずかしいんだから。 もう一度、かがみにキスを …したいんだけど。なぜか、かがみのすぐ目の前で顔が止まってしまった。 どうして。どうして? 恥ずかしさのあまり頭がショートした? なんとかもう少し前に出て、かがみとキスをしなくちゃ。 かがみの唇はすぐ目の前だ。 だからすぐに ちゅ。 かがみの方からキスされた。 私はびっくりして目を見開いてしまった。 かがみの顔が…目を閉じたかがみの顔がこんな間近に…!? 全く予期せぬことに私の頭がパンクしそうになる。 顔を離して、ちょっといたずらっぽく笑ったかがみ。 私は、それがちょっぴり悔しくて、頭がかあっとなって、かがみの胸元をぽかぽか叩いた。 するとかがみは、スネた私をなだめるように、優しい顔で頭をなでてくれた。 子供扱いされてるみたいでちょっと悔しいんだけど、でも私はかがみにこういうことをしてもらうのが好きだった。 その時。 私は、気付いてしまった。 つかさが、赤い顔でにこにこしながら私たちのことを見ていたことを。 なのに かがみは 「もっと」 って言った。 ばれちゃうよ。 みんなに私たちのこと、ばれちゃうよ。 でも、私はうなずいてしまうんだ。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-22 21 27 52) 母性全開のかがみ。 まるで幼子のこなた。 最強コンビだな! -- 名無しさん (2013-02-02 14 53 02) つかさがいるけど続ける2人萌え♪ -- かがみんラブ (2012-09-23 15 24 00) うぁぁぁぁぁ…/// -- 名無しさん (2010-09-07 22 21 45) 凄い…甘い…//// 何か私もドキドキするw こなた可愛い…/// -- 猫 (2010-05-23 03 00 13) なんか こっちまでドキドキしました -- 名無しさん (2010-05-09 16 22 06) 行間の取り方うめぇwこなたらしい女の子らしさが全開だw -- 名無しさん (2009-03-18 09 21 26) もう この甘さで俺は萌え死にそうですww -- 名無しさん (2009-03-16 02 31 08) こなたが可愛い… -- 名無しさん (2008-11-14 13 56 52) 流石ですGJ! これからもいっぱいいっぱいやりたい放題やっちゃってくださいw とりあえず文章力ぷりーず^^; -- naniw (2008-11-01 16 33 57) デレで大人な雰囲気な、かがみに悶えた!!! -- チハヤ (2008-10-31 07 07 24) すっっっっごく良かったです! -- 名無しさん (2008-10-28 23 13 10) おかえり&GJ!またあなたのSSが読めて嬉しいです。 これからも甘々な2人をいっぱい書いてくださいね! -- H1-52 (2008-10-28 14 17 17) 甘いよ〜…甘すぎるよ〜… とりあえず、GJ!を連呼しながら、畳の上をごろごろ転がっておきます -- にゃあ (2008-10-28 03 14 14) 完敗だぁ…orz -- 名無しさん (2008-10-28 02 51 40) 強力すぎてニヤニヤとまらねぇ!GJ! -- 名無しさん (2008-10-28 01 47 58) くっはぁー!! 甘い、甘すぎるぜ旦那!w -- 名無しさん (2008-10-28 01 28 10)