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そこにあるみらい【登録タグ そ ゆよゆっぱ 初音ミク 曲】 作詞:ゆよゆっぱ 作曲:ゆよゆっぱ 編曲:ゆよゆっぱ 唄:初音ミク 曲紹介 前回の投稿から一年半以上のブランクがあったにも関わらず、みんなは覚えてた。これからもそんな皆さんのために、そして自分のためにも活動していこうと今回はそんな意味も含めて、、(作者コメ転載) 感謝の音楽。そしてどこか胸に響く曲。 歌詞 突如として襲い掛かる 惰性と幻想 忠誠心を欠いた本能 絶え間なく広がっていく 思考の奥に 鳴り止まない残響が もうお前には 辿り着けないと でも望んだよ この手で 誰かと約束していた未来 描き続けた軌跡が 今はあるんだ ここで失くした物を全て 補えるさ自分で 従えた自由も 隠れてしまった 築いた意味と共に 不確かな記憶の側で 蔑んでる 新しい現実が もうこの先は 何も届かない でも伸ばしたよ この手を 誰かと見ていた夢の続きを 探しし続けた想いが 今はあるんだ 其処に見えてるものをいつか 掴められるはずさ 誰かと約束していた未来 描き続けた 軌跡があるんだ ここで失くした物を全て 補えるさ自分で 誰かと約束してた 思い描いてた夢を コメント もっと評価されて欲しい。強さを感じる詩が大好きです -- 名無しさん (2011-10-20 13 01 57) 名前 コメント
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■永遠の蒼は其処に在りし 世界樹の迷宮に登場するクエスト。吹雪を操る竜の存在が判明したので退治してほしいという依頼。氷嵐の支配者と戦闘し、勝利すると依頼達成。 氷龍は3層にいるが、そこに到達するにはB16Fの隠し通路の先にある階段を上って行かなければならない。他の2匹の龍と比べて、道程が非常に長い。 ようやくたどり着いたその先に、後に〇リと呼ばれることになる竜が待ち受ける・・・。 君はこのクエストを一つの物語の終わりと考えてもいいし、地獄の始まりと考えてもいい 10回挑んで全部負けるとかどうゆうこと!?→転職(level76から→level30)level上げめんどいー! ↑無印ってキャップ解放無しだろ ↑新じゃね? 飲んだくれさんに、氷竜倒したのを伝えたかったな ↑きっと風が彼に、倒したと伝えてくれるさ。 ↑もう飲んだくれじゃなくなったのかも。気持ちに整理を付けて、お酒もやめて再出発したから酒場にはいないのかも 一回目 ミラーシールドでぶっ飛ばされる。 二回目 ディフェンスしてたら100ターン超える。(撃破に三回かかりました泣) ↑まあ、それが世界樹さ。あたしなんて七回目でやっとだぜ…… アーサーが光掌の術式2種類で16ターン持ちこたえが結局…… 1回目 ミラーシールドでhage 2回目 ラウダナム持ってくるの忘れて70ターンらへんでミラーシールドされてhage 3回目 ちゃんと対策してsage sageた時の達成感といったら・・・ 歴代の氷龍よりも今回の三龍の誰よりもとても強かった、主にミラーシールドが。こちらの攻撃を完全防御+全体ダメ連打さえなければアイツだけピクニックにしなくて済んだのに・・・ 炎龍倒してオレツエーテンションで十四日ぶりに再戦したら、かるく20回はhage。前回かけ損ねた水溶液を使う間も無く近年稀にミラー☆シールド X(クロス)にも登場。ワールドマップの僻地の草原に出現する氷嵐の支配者(氷竜)を倒すと達成。報酬は300000(30万)エン+レベルキャップ一段階開放(★+1)。クエスト「続・寒がり猫のために」をクリアしないと出現しない。 コメント
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773 名前: 774RR [sage] 投稿日: 2008/01/09(水) 17 29 48 ID U3sA4tk7 んじゃまぁ、皆も気をつけろよ…という警句も込めて書かせてもらう。 まず初めに断っておくが重い話になるので、嫌ならヌルーで。 何処かの漫画の台詞ではないが、年を取ってからのバイク病は重いという言葉は本当だ。 18の頃に某変態製のSSを見て以来ずっと乗りたいと思っていた。 大学卒業後に中免、2年後に大型を取得、ねんがんのジーエスエックスをてにいれたぞ! その頃職場に中途でやって来たAもバイク乗りと言う事で話は弾みよく夜中に二人で出かけている(現在進行中) しかしそのAはその道ではかなり名の知れた、所謂”走り屋”というヤツで俺なんかではとてもついていけない。 その日もAと一緒に夜中にふらふら~と出かけて行き、高速をかっ飛ぶAの姿はあっという間に見えなくなった。 しばらく走ると急に高速の流れが悪くなった。 高速で流れが悪くなる事=事故だ。 左右に止まるクルマを縫うようにバイクの特権すり抜けで道路を進むと、目の前にはAが駆る車体が転がっていた。 うわああああああ!!! ヘルメットの中で俺は絶叫していた。二人揃って貧乏な俺達はバイクを走らせる金を捻出するのも精一杯で その日のAは「もうそろそろタイヤがやばい」と言っていたのを思い出した。 ふと前方に目をやると赤いアルファロメオ、黒い国産(?)セダンが止まっている。 どっちだ!?ぶつかったのはどっちだ!?それよりAは何処にいる!? 俺は単車を止めて道路を探すとAと思しき人間が仰向けに転がっている。 A!!叫びながら駆け寄るがピクリとも動かない。 しかし…よく見るとツナギを着ていた筈なのにツナギ姿では無く、ヘルメットも違う。 どうやら別人のようだ。緊張の糸が切れてへなへなと地面に座り込む。 が、すぐさま我に返る。 目の前で転がっているこの男性、事故を起こしてどれくらい経つ?応急処置をした形跡は全く見えない。 知っている人も多いだろうが、心配停止後の5分以内に蘇生処置が行われるか行われないかで被害者が助かるか 助からないかが大きく分かれる。 俺は迷わずヘルメットに手をかけた。 「素人が触るな!」 黒いクルマのドライバーと思しき中年の男が怒鳴った。予想もしていなかった方向からの声に一瞬肩がビクリと震えた が俺は中年を睨み付けて 「僕には目の前で死に掛けている人を見殺しにする事は出来ません!」 と言い放ちヘルメットに再度手をかけた。 ちなみに俺は素人ではない。 事情があって医者の道を諦めたがその業界の人間として常人より多少は医学や応急救護の心得はある。 すると傍らにいた赤いアルファロメオの中年の女性ドライバーが俺に声をかけた。 「私が見つけた時には既に心配停止状態で意識もありません。鼻からの出血という事は脳の底部を強打している可能性が高いです」 一瞬何を生意気なこの女…と思ったが話を聞く限りただの通りすがりではなさそうだ。 「私もERでの勤務経験がありますからお手伝いしましょう」 成る程…この女医者か、ならば話が早い。 ドクターの連れが頭部を押さえ、俺はヘルメットを脱がす。 ヘルメットの下の男は目を閉じたままピクリとも動かない、血は鼻だけではなく口からも出ていた。 勿論自発呼吸は無い。 口元から溢れる血を拭おうにも生憎タオルと言ったものの類は持ち合わせていなかったが、俺より先に現場にいたメガ スポーツの人がタオルを貸してくれた。 赤黒い血を拭い、男の首を少し動かして彼の鼻を押さえると俺は大きく域を吹き込んだ。 男の胸が吹き込んだ息で上下する。 が、同時に鼻から吹き出る血…血?違う、血はこんな鮮やかなピンク色はしていないし小指の先程の塊なんて出ない。 脳だ。転倒した衝撃で頭から壁に突っ込み脳挫傷を起こした結果の脳漿だった。 流石にもう助からないのはわかったが、それでも彼をこのままにしておくのは忍びない。 俺は血と脳漿を浴びながらドクターと心配蘇生措置を行った。 それから少しして救急車がやって来た。後は彼らに任そうと思ったが、この男の名前も何もわからない。 そんな時に男の携帯電話が鳴った。相手は交際相手らしい。 サイレンと騒音の中で俺は言った。 「突然の事で驚かれるでしょうが、落ち着いて聞いて下さい。今この電話の持ち主の方が意識不明の重態です。 この方のお名前とご家族の連絡先を教えてください」 「え?」 相手は状況が把握出来ないようだ。俺は同じ言葉を繰り返した。 二回目には「私はどうすればいいんですか?」と泣き崩れてしまった。 その後どうにかして男の氏名と住所を確認出来たので、疲れ果てた俺はAに連絡を入れて今日はもう帰る…と言ったのだが、 事故を起こした男の事が気がかりだった。 明け方の午前3時くらいに救急隊から搬送先の病院が告げられた。 行ってどうにかなるワケではないが、動かずにはいられなかった。 しかし病院までの道がわからないので運助を捕まえその後についていく事にした。 到着後、救急外来の待合室に青い服を着た公僕がいるのを見つけ、事故の事を問い合わせてみた。 やはり彼は死んだ、それも即死の可能性が高かったという事だ。 ヘロヘロになって家に着いたのが午前10時過ぎ。 案の定2chには件の交通事故でのスレがいくつか建ち言いたい事ばかりが書かれていた。 そして事故の当事者が生前に出入りしていたスレッドに一つのレスがついた。 774RR 投稿日: 2007/06/11(月) 00 11 15 ID ZVtIzEeO ≫331 彼がここをよく見ていたので、もしかしたらと思って探してしまいました。 そんな状況で諦めないでくれて、本当にありがとうございました 俺はこの出来事を忘れる事は無いだろう。 お前らも無事に朝日が拝める感謝の気持ちを忘れずにライディング・ライフを送ってくれ。
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『其処』に似たこの場所で― Exist ― ◆Noo.im0tyw 結局、杉並は、襲っていたほうの少女を尾行することに決めた。彼が欲しいのは情報――――。 ならば、北へ向かうより、より多くの施設がある南側へと移動した方が得策だと考えたからだ。 南には、ホテル、学校に病院といった重要施設がたくさんある。ならばここに参加者が集まるのも必然。 そして何より南東側には彼の故郷である『初音島』を彷彿させる数々の場所があったのだ。 彼だってあの不思議に満ちたあの島が好きなのだ。知らない場所をうろつくより、慣れしたしんだ場所に似ている場所にいるほうが、精神的にも休まる、そう考えていたのだ。 そしてあの島を思うと必然的に浮かんでくるモノがあった。『学校』、そして『同士』と呼んでいたあの男を……。 「誰かとつるむ気は全くないんだがな……」 フッ…と溜息をつく。言葉とは裏腹に彼の脳裏には一人の男子学生の姿が思い浮かんでいた。――――朝倉純一。彼もまたこの不条理なゲームに参加させられている。 杉並の悪友として、そして親友として彼を心配しないはずはなかった。『風見学園』では杉並とペアを組んで、風紀委員ブラックリストに載った程の奴だ、運動神経は良い。奴なら易々と殺されることはないだろう。 しかし、奴の優しさが時に他人を傷つけ、そして己を傷つけていることを杉並は知っていた。 「同士朝倉よ…お前はいったい今どこで何をしているんだ……」 朝倉のコトを頭の片隅に入れておきながら、杉並は尾行を続けようとした。――――が,それは既に失敗に終わっていた。 考えすぎていたのだろうか。彼のレーダーには、1つとして【点】がなかった。 「……クソっ!!」 杉並は滅多に失敗をしない優秀な人物だった。たまに朝倉音夢や、天枷美春などの風紀委員にしてやられたこともある。ただ、その失敗とこの失敗は違う。ここでは、一度の失敗が己の身を滅ぼしてしまう危険があるのだ。 それ故に一度の失敗が彼の精神を大きく揺さぶっていた。傍にあった石を大きく蹴り飛ばし、地団駄を踏みながら思考を働かせる。 ………落ち着け。落ち着くんだ。クールになれ。自分に言い聞かせ、精神を落ち着かせる。今、自分がすべき行動は何かを考えなければ……。 既に尾行すべき少女は見失った。彼女の速さと自分の速さを比べてみれば圧倒的に自分のほうが有利であろう。だが、この暗闇の中を探し回るのはレーダーを持ってしてもリスクが高かった。 参加者全員が杉並より弱いという可能性はとてつもなく低い。探し回る途中で強敵に見つかり、そのまま戦闘ということになったらタダでは帰れないだろう。 最悪の場合も考えなくてはならない。ならば、とりあえず身を隠しながら南下し、先程の少女を探しつつ各種施設を回れば良い。 ――――方針は決まった。ならば後は行動するだけだ……。その時ふいに杉並の耳に波の音が聞こえてくる。その音はどこでも共通で杉並の心に深く染み渡る―――。俺はこんな所では死ねない。まだまだあの島には解明せねばならないコトがたくさんあるしな。 決意を胸に杉並は夜の道に姿を消していった。 【A-3 海の近く/1日目 黎明】 【杉並@D.C.P.S.】 【装備:鉄パイプ】 【所持品:支給品一式、首輪探知レーダー】 【状態:健康】 【思考・行動】 1)主な目的は情報収集 2)他者と行動を共にするつもりは現状無い。だが朝倉に遭遇したらその時は保護。共に行動する。 3)南下し、各種施設を回りつつ、他者を見張る。 4)何がなんでも生き残り、あらゆる不思議を解明したい。 5)先程の少女が途中にいたら、尾行を続ける。 ※ネリネの尾行に失敗しました。杉並がどこの施設に回るかは後続の書き手さんに任せます。 【備考】 レーダーは半径500mまでの作動している首輪を探知可能。爆破された首輪は探知不可 古手梨花を要注意人物・ネリネを危険人物と判断(共に容姿のみの情報) 【ネリネ@SHUFFLE】 【装備:永遠神剣第七位“献身”】 【所持品:支給品一式】 【状態:健康、催涙スプレーの効果は何とか消えた】 【思考・行動】 1:稟を探す。その途中であった人間は皆殺し(もう容赦は一切しない) 2:稟を守り通して自害。 【備考】 ネリネの魔法(体育館を吹き飛ばしたやつ)は使用不可能です。 ※これはネリネは魔力は大きいけどコントロールは下手なので、制限の結果使えなくなっただけで他の魔法を使えるキャラの制限とは違う可能性があります。 ※永遠神剣第七位“献身”は神剣っていってますが、形は槍です。 ※永遠神剣“献身”によって以下の魔法が使えます。 尚、使える、といっても実際に使ったわけではないのでどの位の強さなのかは後続の書き手に委ねます。 アースプライヤー 回復魔法。単体回復。大地からの暖かな光によって、マナが活性化し傷を癒す。 ウィンドウィスパー 防御魔法。風を身体の周りに纏うことで、防御力を高める。 ハーベスト 回復魔法。全体回復。戦闘域そのものを活性化させ、戦う仲間に力を与える。 古手梨花を要注意人物と判断(容姿のみの情報) ※ネリネは南部(A-4方面)へ移動を開始しました。 047 悲しい決意 投下順に読む 049 二人だけの音楽会― Concerto ― 047 悲しい決意 時系列順に読む 049 二人だけの音楽会― Concerto ― 041 彼女の決断、彼の選択 杉並 062 それぞれの失敗? 041 彼女の決断、彼の選択 ネリネ 069 淑女の嗜み
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其処へ至る道 by旭ゆうひ トップ > SS置き場 小学3年生。 大人か子供か。 100人に聞けば100人が「子供」だと答えるだろう。 ランドセルを背負い、元気に学校へ通い、笑顔で授業を受け、友人と語らい遊ぶ。 そんなイメージのあるのが小学3年生。 いや小学生にとどまらず子供なら共通したイメージだろう。 私立神戸山手学院初等部。 とある女の子が通う小学校。 日本中から超が付くほどの富裕層の子弟が集うエスカレーター式の学院。 その初等部。 初等部生徒は200人足らずの1学年は30人前後。 つまり1クラスしかない。 卒業生は一流企業や官僚など上流社会へと旅立つ事を期待されている。 ゆえに教師・学校側らは細心の注意を払い生徒たちに接することになる。 担任教師以外にもカウンセラーやトレーナーなど専門職が常駐する。 成績はもちろん人格形成にも重きを置いているからだ。 にも拘らず、彼女はクラスで浮いていた。 それは、あらゆる意味でだった。 黒髪、黒い瞳、日本人の特徴を持っていながらどこかエキゾチックな容貌。 大人になればさぞかし男を惑わすであろうが、今はまだあどけない女の子。 クラスで話題になるどころかすでにファッション誌等にも取り上げられ、常に芸能界入りの噂が付きまとう。 当然、クラスの女子たちには面白くない。 テストを受ければ常にトップだった。 小学校。中学校。高校。大学、あらゆるテストで満点を取る。 それはまるで子供向けのパズルを与えられた大人のように、いとも簡単に解いて見せた。 教師の彼らですら溶けない問題も、笑って解いてみせるのだった。 これでは教師たちも下手に扱えない。 家柄でマウントを取ろうとしたクラスメイトは即日後悔をすることになった。 彼女の家は古く名家であり且つ巨大企業の創始一族だった。 マウントを取ろうとした相手が親会社の令嬢だったのだ。 女の子をいじめ自分の優位を確立しようとしたその生徒は 親に引きずられその日の夕方、女の子の自宅まで謝罪に来た。 だれも家柄では女の子にかなわなかった。 同年代の子と比べれば、その体は小さく力も弱かった。 色も白く深窓の令嬢というにふさわしかった。 クラスの男子からは守りたくなる女の子。 女子からはやっかみを受ける女の子。 朝、家の者に見送られて校門をくぐる。 周りでは友人同士、生徒と教師がそれぞれに挨拶を交わす。 しかし、女の子に挨拶をする者はいない。 朝礼、出席を確認される。 教師は生徒の名前を五十音順に呼んでいく。 女の子の番が来た。 返事をする。 女の子の声は小さく教師には聞こえないが居るものとして出欠はとられた。 座学が始まる。 順に回答を求めらる中、彼女の順番は回ってこない。 どうせ正解しか出てこない。 教師にとっては関わりたくない生徒だからだ。 体育の授業では少し事情が違う。 人よりも身体が弱く力もない彼女は授業についていけなかった。 だから、いつも見学だった。 何より無理をさせて怪我でもされたら……教師たちは彼女の家を恐れていた。 可愛くて、頭がよく、家柄も良い。 体育のような疲れることは免除され 男子からの好意は独り占め。 とはいえ女の子に声をかけれた勇者はいなかったのだが……。 しかしだからといってクラスの女子から好かれることもなかった。 だから、その女の子は友達と遊んだことがなかった。 女の子は友人がいなかった。 「生きた」友人がいなかった。 だからだろう彼女の趣味は「人形遊び」だった。 学校が終れば迎えの車に乗り家路へと着く。 クラスメイトが談笑している姿を眺めながら。 帰宅すれば家の者に傅かれ風呂に入れられる。 まるで老舗高級旅館の風呂のようだが、女の子にはありがたみを感じることはなかった。 風呂から出れば用意された服を着て、習い事の時間が始まる。 お茶、お華、お琴と師範を招いて稽古が行われる。 どの習い事も目を見張る成長を遂げ、どこに出しても恥ずかしくない腕を得るに至ったが 師範は皆「心がこもってない」と評価した。 夕食の準備ができて稽古が終わる。 食卓を囲むはずの父母、兄弟姉妹の同席はない。 父母は忙しく兄妹は全寮制の学校へ通っている。 卓を囲むのは厳格な祖父と女の子だけだった。 女の子は祖父と挨拶しか交わさない。 女の子は祖父に甘えたことがなく、また祖父も女の子を甘やかそうとはしなかった。 それぞれの本心がどうであれ、甘えたことも甘やかしたこともなかった。 夕食が終ればもう一度風呂に入れられ就寝までのあいだが、ようやく自由時間となる。 女の子は祖父に就寝の挨拶をして離れに向かう。 そこは自室兼人形工房兼、女の子の家の歴史資料庫となっていた。 此処には所狭しと大小様々な人形やそのパーツが並べられ、天井からは整備中であろう人形の上半身がつられている。 前述したとおり、女の子の趣味は「人形遊び」だ。 だが、ままごとをするわけではない。 それは、この空間を見れば一目瞭然だろう。 これら全てが世界中から集められた「からくり人形」なのだ。 中央の整備台に寝かされた人形に、女の子は微笑みかけ整備を始める。 人形の名前は「紅桜」といった。 正式には「紅桜型自動人形肆式」という。 見た目は女の子と同じくらいの身長で遠目に見るならば、人間の女の子に間違えるくらいには精巧にできていた。 女の子は人間のような人形を作ろうとしていたが ここ最近はその研究も進んでいない。 サイズは人間の子供並みに抑えることができたが動きはぎこちなく重量も300kgを超えるものだった。 これではとてもではないが一緒に遊べない。 滑らかに動き、人間並みの重量の人形が作りたい。 様々な素材を入手し、加工し、実験し、取り付けてきたが、女の子が理想とする人形にはまだ遠かった。 ここ数か月、女の子は紅桜を解体しては組み立てを繰り返し、研究に明け暮れていたがやはり進展はなかった。 夏休み。 寮に入っていた兄姉たちが珍しく帰ってきた。 久しぶりに会う兄姉に緊張をしてしまう女の子。 兄姉たちはやさしく接してくれる。 学校の事、友達の事、恋や女の子の趣味の事。 いろんな話をした。 離れ離れだった時間を埋めるかのように。 兄姉たちは末の妹を大事に思い、なにかとかまってくれている。 女の子はそんな兄姉たちの事が大好きだったが どうしても不可解なことがある。 それは兄姉たちの通う学校での話し。 どれをとっても信じられない話ばかりだった。 いつもは女の子に誠実に向き合ってくれる兄姉たちが なぜかその学校の話になると嘘を話す。 やれ【生徒が飛行機を飛ばす】 やれ【生徒が電車を運用する】 【日本刀を持った生徒や銃を持った生徒もいる】 【お祭り騒ぎに興じて施設を破壊しても、翌朝にはその施設は元通りになっている】 【図書館には世界を7回滅ぼすことができるという古代文明が残した書物があり】 【学園の地下には巨大ロボットや巨大からくり人形が出撃の瞬間を待っている】 嘘ばかりだった。 ばかばかしいと思った。 兄姉たちはきっと女の子の事が嫌いになってしまったに違いない。 だからこんな嘘をつくのだ……。 でも……果たしてそうだろうか? 兄姉たちは女の子が知る限り、いつも誠実で女の子を一番に扱ってくれていた。 たしかに女の子は愛されている。 そんな兄姉たちがこんな見え透いた嘘をつくだろうか? もし……もし本当なら? 【生徒が飛行機を飛ばし】 【生徒が電車を運用し】 【日本刀を持った生徒や銃を持った生徒がいて】 【お祭り騒ぎに興じて施設を破壊しても、翌朝にはその施設は元通りになり】 【図書館には世界を7回滅ぼすことができる古代文明が残した書物があって】 【学園の地下には巨大なロボットやからくり人形が出撃の瞬間を待っている】としたら? もし、それらが全部本当だとしたら? この瞬間、女の子の心臓は動き出す。 壊れたゼンマイだと思っていた心臓が、生まれて初めて主張を始めた。 何事にも冷静に余裕をもって対応してきた。 其れなのに、いま心臓は早鐘のように打ち始め、焦燥感すら覚える。 女の子は兄妹たちに学校の話をせがみ一晩中聞き入った。 翌朝、朝食を済ました女の子は始めて祖父に甘えてみた。 「お爺様、わたくしを蓬莱学園へ入学させてください!」 葉車九重の冒険が始まった瞬間だった。
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以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/29b0f6052b8dbae63b67275c9c20987dから引用 閣下 かっかー 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/c88a507ec9d31d6809b972a6eee31ef3から引用 アニメ07-ghost最終回 感想 見ましたよ・。 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/a699934deeef156716c17c41dca04bb9から引用 レオン&エレフ 約7分で・・・。 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/d3883c41358c73607a959206325f8d6dから引用 風邪をこじらせました・・・ 風邪ひきました・・・・・・・・。 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/288e922149daaf540517252faa35263bから引用 あわわわわ(汗) すんごく長い期間ブログをさぼってしまいました・・・(汗 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/9d80aa2dc1c086301beab82aa5ca7e34から引用 Yield 曲を聴きながら一枚・・。 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/8ba923c7acbcd7245c899488a3aa363cから引用 エレ単品 エレを描いてみました。なんか異様にハガレンぽっく・・・・(汗) 以下はhttp //blog.goo.ne.jp/materia-gousei/e/13a36d7acc41dce6098cdc67a94c7722から引用 レオエレ レオエレです。
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火迅がよく口にする言葉。 一般人が聞いてもなんのこっちゃ分からないと思うが、サンホラーが聞くと反応してくれるはずである。 間違っても、火迅の前で使ってはいけない。 高確率で、サンホラーと見なされる可能性があるのだから。
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何が何だか理解できなかった。 突然現れた神を名乗る神々しき異形YHVHと、その僕サタンは殺し合いを強要してきた。 その声は一言一句たりとも聞き逃さなかったし、頭ではその内容も理解できていた。 だけど、そんな事は理解に繋がらない。 どうして裁きの名の下に殺し合わなければならないのか。 それが頭で理解できていなかった。 「神……」 ハルキゲニアにおける神とは始祖ブリミルと併せて広く信仰される存在だ。 唯一の神であるが故に、名で呼ばれる事は無く、ただ神とされている。 実体を持った信仰の対象は実在人物である始祖ブリミルであり、 ハルキゲニアにおける神は個体というよりも包括的な概念として信仰される節が有った。 言うならば、身近でありながらあまりに縁遠い存在なのだ。 彼女は元より信仰心が薄い事も有り、神がどんなものかなど想像した事も無かった。 あのYHVHという存在がハルキゲニアで信仰される神なのだろうか。 もしそうだとすればあの神は。 タバサに、何をさせようというのだろうか。 (そもそも、どうして私は神に捕らえられているの?) 彼女の記憶は父の仇に仕えるビダーシャルという名のエルフと戦い、一方的に破れ、 母と同じ城に軟禁された所で途絶えている。 タバサにとって残る人生とは、タバサの心を壊す薬が調合されるまでの僅かな時間を、 既に心を壊されている母と過ごすだけで終わるはずだった。 杖を持っていても象と蟻以上の実力差で完敗したビダーシャルの監視を逃れられる筈が無く、 ましてや杖を奪われたタバサに出来る事など何も無かったのだ。 若くして一流とされるトライアングル・メイジに上り詰め、 前述のエルフとの戦いにおいては、個人では最高峰のスクウェアにまで手が届いた、 過酷な戦いの中で若くして実戦経験に長けていたタバサでも、そこまでだった。 恵まれた才覚と、復讐心を原動力とした向上心を持ってしても、 ハルキゲニアにおける人間の魔法はその程度が限界だったのである。 それなのにタバサはここに居る。 限定的な自由を与えられ、殺し合いの舞台に落とされた。 (……生きなきゃ) 何よりもまず、そう思う。 状況は完全な手詰まりから未知数にまでは引き戻された。 あの神とやらに抗える気はとてもしない。 だけどそれでも、生きていれば何か見えてくるかもしれない。 サタンは言った。 八人を殺せば、望みの者の傷を癒して元の世界に返し、 最期の一人まで生き残ればそれに加えて如何な望みでも叶えようと。 それを信じて乗るか乗らないかさえも、まずは生きていなければ始まらない。 生きようと、その決意を固めた。 まずは現状把握の為、月明かりの下で参加者名簿に目を通す。 全体的に見慣れない法則性の名が多いが、今は保留しておく。 それよりも気になるのは、知り合いが何人か載っている事だった。 (平賀才人も居る……) サタンは裁きと言ったが、つい最近まで復讐の為に生きていたタバサはともかく、 殺し合いの最中でさえタバサを殺さなかった彼に裁かれる程の罪が有るのだろうか。 更に知り合いの名を幾つか見つける。 学友であり平賀才人の主人であるルイズ。同じく学友であるギーシュ。 学園のある国の女王、アンリエッタ。これで全員だ。 タバサの親友であるキュルケや、使い魔であるシルフィードは居ない事に安堵を覚える。 シルフィードとの契約まで切られているのは驚きと共に悔しさを感じたが、 こんな場所に彼女達が連れて来られてなくて、少しだけ良かった。 四人を捜そうとは思えなかった。 他の三人はともかく、才人は守ると誓った人だ。 殺す事は考えられないし、彼を守らなければならないと思っている。 しかしタバサの心中には、望みを叶えるという言葉に一抹の迷いが有ったのだ。 薄情かもしれないが、タバサにはこの時点で行動を決める事ができなかった。 (支給品は……) 更にバッグを漁り、支給されたと思しき物を見つけた。 だが案の定、自分の杖は支給されていなかった。 この状態のメイジに使えるのは基本的なコモン・マジックだけだ。 鍵開けや浮揚、魔力感知といった魔法だけで戦うのは難しい。 杖らしき物であれば、見たことも無いカードが一枚出てきたのだが……。 『Start up.』 奇妙な音声と共に、カードは金属的な杖へと変形した。 どうやら強い力を持った魔法の杖らしい。 使いこなせば強大な力となるだろう。 基礎からしてかなり違う魔法を、自力で使いこなす事が出来ればの話だが。 その杖の魔法はタバサの使う四系統魔法…… 自らの内に溜まる力で、四つの系統により、理を変化させ、事象を起こすそれと部分的に似ているのだ。 しかしエルフなど亜人が使う先住魔法より近いといっても、そのまま使いこなせる程でもない。 ちょっとした説明でも有れば別なのだが。 (平賀才人の剣みたいに喋るわけじゃないみたい) 最初に言葉らしき物を発した時はそれも期待したが、単に応答をするだけらしい。 判らない事を聞いていこうにも最初のとっかかりが掴めない。 自分の杖にしようにも、メイジと杖の契約は数日に及ぶ作業を要するのだ。 現時点では自由に収納できる打撃武器としてしか使えなかった。 支給品はそれに加えて、もう一つ有った。 そちらは書物の形をしていて、杖よりも更にとてつもない力を発散していた。 しかもこちらは、使える。 使うための技術も何も有った物ではない。 開くだけでその膨大な魔力は使用者の思うが侭になる。 その力を自らの魔法に使えば、スクウェアの魔法さえ使いこなせる事だろう。 更に命じるだけで、この書に記された秘蹟は世界に顕現するのだ。 制御を考えなければの話だが。 何よりその術を使う時に必要とされる媒体がおぞましかった。 (…………怖い) その感情に気づいたタバサは愕然となった。 如何な物であろうとも、ただの物を畏れている自分が信じられなかった。 だが、書は装丁を見ただけで判るおぞましさを放っている。 タバサは読書好きで暇さえ有れば本を読んでいたが、だからといって。 いやむしろ、だからこそこの書を開きたいとは思えなかった。 この書の形をした──。 微かに、かさりという音を聞いた。 タバサは即座に身を伏せた。 現在位置はどことも知れぬ森の中だ。小柄なタバサの全身は茂みの中に没する。 息を潜めて気配を消したタバサを見つける事は難しい。 もしこちらの音を聞かれたとしても、そう近い距離では無かったはずだ。 しかも今は深夜。空の明かりが有るとはいえ、木陰は暗闇に包まれている。 このまま隠れていれば、その内にこの場を離れてくれるはずだ。 「気のせいか? ふむ、見晴らしが悪いな」 だが、聞こえてきた男の声は。 厳然たる響きでもって、奇怪な言を告げた。 「拓け」 ざぁという音がした。 タバサは目を見張った。 周囲の木々が、消えたのだ。まるで最初からなかったように。 一瞬にして周囲十mほどが土の露出する地面と化していた。 その内側に居たタバサは何の影響も受けず、ただ周囲の茂みだけが消失したのだ。 「瞭然。これで露になった」 タバサの前には一人の男が立っていた。 純白のスーツを着た、髪を緑に染めた男だ。 降り注ぐ月の光が二人の姿を照らし出していた。 動揺は一瞬だった。 相手は奇怪な魔法を使うメイジで、間違いなく自分はその射程内に居る。 サタンはここが殺し合いの場だと告げた。 タバサに自分の杖は無く、この間合いで正面から戦いになれば殺される。 交渉よりも、先手を。反射的に体が動いていた。 (詠唱を封じる) タバサは全速で駆け出した。その手の中には展開された長杖がある。 メイジとの戦いでは杖か詠唱を抑えれば勝ちになる。 先手を打って鳩尾に一撃叩き込めば、詠唱は止まる。 しかし対する男は慌てた様子も無くゆったりとした声で。 「貴様は、これ以上こちらへ来るな」 短い言葉を告げた。 タバサは、そもそも男が木々を消し去った時も、一言で為した事を思い出した。 走り続けるタバサはすぐさま異変に気づく。 あと数歩の距離まで迫っていた男の場所に、辿り着けない。 地を蹴る感覚は有る。体が風を切る感覚も有る。 体は明らかに前へと進んでいる筈なのだ。 それなのに、辿り着けない。 タバサは、これ以上、近づけない。 (それなら) タバサは足を止めて地を踏みしめた。 槍投げの様に杖を構えると、男目掛けて全力で杖を投擲── 「少女よ、倒れ伏せ」 「うぁっ」 小さな呻き声が漏れる。 見えざる無数の手がタバサを捉え、大の字に組み伏せたのだ。 逃れようと足掻くが、見えない手の力は強く、完全に動きを封じられていた。 男はつまらなさげな表情でタバサを見下ろしている。 「必然。判断は悪くなかったが、貴様では私に届かん」 タバサは目の前の相手が圧倒的な存在である事を知った。 言葉にするだけで何もかも思い通りになるなんて、杖が有っても勝負にならない。 結局、タバサはここでもその程度だったのだ。 そう思うと、ここに来る前と同じどうしようもない諦めが体を包んだ。 深い息と共に全身から力が抜けていった。 男はさも無造作な様子で懐に手をやり、表情を僅かに顰める。 普段常備している、そこに有るべき物が無かったのだ。 代わりに男はしばらく息を整えてから、命じた。 「判然としないが。貴様は何故私に向かってきた? 喋れ」 「サタンはここを殺し合いの場だと言った。 そこで私を魔法の効果範囲に捉えたメイジに出会った。 私の杖は無くて、正面から戦いになったら手が無いから、交渉より先手を打とうとした」 言葉が頭に浮かび、唇が勝手に動き出す。 驚いたが、これも男にとって大した事ではないのだろう。 男はふむと頷いて、続けた。 「なるほど、それは必然だ。私も礼を欠いていたらしい。 だがもう一つ聞いておかねばなるまい。貴様はこの殺し合いに乗るか、反るか?」 「判らない」 出ていく言葉に嘘を交える事は出来なくて、動く口を止める事もできない。 タバサは最早人形だった。 動くも喋るも、全てが男の手に握られた人形だ。 人形は人形遣いの望むがままに、その内の心を語りだす。 「迷うだけの理由が有るのか。喋りたまえ。 貴様は八人を殺めてこの世界から逃れるのか。 最期まで生き残り願いとやらを叶えたいのか。 それともそれ以外か」 「知り合いが居る。四人。特にその内の一人や、それ以外でも敵でない人まで殺したくない。 でも、生きたい。生きて帰りたい。 叶うならば、願いも叶えたい」 「その願いとは、何だ?」 だけど。 「私の事すら判らなくなった母様を治す事」 男が息を呑んだ。タバサの表情が歪んだ。 ここまでは話したくない。 気心知れた者にならともかく、見ず知らずの者にまで教えたくない。 イヤだ。 (私の中を覗かないで) それでも言葉は止まらない。 タバサの息が吸い込まれ、意に反して口は動き、吐き出す息が言葉を紡ぐ。 男の命令がタバサの中身を暴き出す。 「父さまは伯父に殺された。母さまは私を庇って毒の杯を煽った。 母さまは幼い頃の私に送った人形のタバサを私だと思って抱えてる。 だから私は代わりにタバサとなった。 心を殺して、人形の様に命令に従って、何時か伯父を殺すために。 私の望みは伯父のジョゼフを殺す事。 だけどこれは私自身の手で果たす。誰の助けも必要無い。 私の願いは母さまの心を治す事。 毒で壊された母さまの心を癒す事。 それが私のねがいごと」 心は一息で吐き出された。 剥き出しのタバサを覗かれた。 ……タバサの心が俄かに凍え始めていた。 自分の根幹に有る秘めた憎しみを暴かれ、凍てつくような怒りが湧き上がってきたのだ。 あまり表に出さないが、タバサの秘めたる感情は苛烈だ。 その全てを雪風のヴェールに覆い隠しているだけで。 もし視線に力が有るならば呪い殺さんばかりの険しさで睨み付ける、その視線の先で。 男は、丁寧な仕草で頭を下げた。 「失礼した、少女よ。タバサ、で良いのかな」 「え…………うん」 意外な対応にタバサは出鼻を挫かれる。 同時に、体を押さえつけていた見えざる力が消失した事に気が付いた。 半身を起こし、男には警戒と反感の視線を向け続ける。 アウレオルスは丁寧に謝罪を重ねた。 「当然、そう見られる事だろう。 そこまで踏み込むつもりはなかったのだ。 だが魔術師にその願いを聞けばそうなってしまうのは必然であろうな。 失礼した。私の名はアウレオルス=イザード。魔術師にして錬金術師。 代わりといってはなんだが、私の望みも聞いていくと良い」 「あなたの望み?」 タバサの困惑をよそに、アウレオルスは訥々と語り始めた。 その人生の目的を。 彼の目的はインデックスという少女を救う事だった。 完全記憶能力という特異能力を持つ彼女は、膨大な猛毒の知識を頭に詰め込まれ、 記憶の容量が一年で張り裂けてしまうらしい。 だから一年ごとに全ての想い出を消去しなければならないのだ。 タバサは直感的に理解した。 つまりアウレオルスにとってのインデックスとは── 「彼女は私を見ても、それがかつて自分の隣に居た事を覚えていないのだよ」 ──タバサにとっての母親と似ていたのだ。 アウレオルスはインデックスという少女を助ける為に知識を広げ、様々な方法を試した。 しかし悉く叶わなかった。 インデックスという少女は自らの涙にさえ気づかぬまま、笑顔を作って、忘れたくないと言い。 アウレオルスの事を忘却した。 彼は打ちのめされ、彼女の側を離れ、それでも研究を続けた。 彼が完成させた黄金練成(アルス・マグナ)もその一つだという。 罪深い方法ではあるがそれを発動させたアウレオルスは、頭に描いた事を現実へ引き出せるようになった。 更に幾つかの手札を集め、遂に彼女を救う術を見つけた……という所で召還されたらしい。 「君にとっては余分な話であろうが、私は君の願いに共感を抱いたのだよ」 「そう」 タバサは少し冷めた声で返した。 アウレオルスはそう言うが、正確には少し違うだろう。 彼が共感を抱いたのは、タバサの受けた苦しみだ。 自分と同じ苦しみを味わった者として、他人とは思えなくなったのだろう。 それでも彼の曝け出した弱さは、タバサが彼を信用するには事足りた。 「詫びといってはなんだが、先ほど君は自分の杖が無いと言っていたな」 「……メイジと杖の契約には、何日も掛かるから」 タバサはアウレオルスが自分と違う魔法を使う事を考え、メイジにとっての常識を解説する。 メイジが自分の杖を決めるには、杖を手に何日もの間、何度も何度も呪文を唱えなければならない。 その内に少しずつ成功するようになり、やがて完全に自分の杖として手に馴染む。 契約というより慣らすと言うべきかもしれない。 アウレオルスは続けて聞いた。 「その杖は支給品のようだね。その杖の名前は?」 タバサは答えた。 「エス・ツー・ユー(S2U)」 アウレオルスは頷いて、言った。 「では繋げてあげよう。君と、その杖を」 「え……?」 それから、僅か数言だった。 たったの数言で、アウレオルスは通常数日かかるメイジと杖の契約を完了させた。 それこそが黄金練成。思うだけで全てを叶える力。 タバサは驚嘆を覚えながらも、一抹の疑問を抱いた。 思うだけで何もかも叶える事が出来る力。 そんな力を持っているのに、どうしてアウレオルスはこの世界に囚われているのだろう? インデックスという少女を救う為に、どうしてこの力だけでは足りなかったのだろう? 「さあ、試してみたまえ」 タバサはひとまずその疑問を押し込めた。 新たな自分の杖を軽く振り、簡単な魔法を発動させてみた。 問題無く発動した。普段の自分の杖より軽快な程だ。 だがそれだけではない。タバサは続けてイメージと共に力を流し込んだ。 S2Uが明滅した。 『Stinger Ray』 速射された高速の光の弾丸が木々を引き裂いた。 魔法自体は杖の中に内臓されていた。 必要なのはそれを最低限理解する程度の知識と、発動させる為に必要な魔力だけだったのだ。 アウレオルスによって杖との契約を施された今のタバサには、 まるで使い魔と視覚を共有するようにS2Uの情報が見えていた。 見えているからといって即座に理解出来たのは極々初級の魔法だけだったが、それでも大きな進歩だ。 しかもこの魔法の発動速度たるや、詠唱の速さでは並ぶ者無きタバサですら驚く程なのだ。 タバサは知る由も無いが、このS2Uが分類されるストレージデバイスは、 その発動速度の速さと堅実さから熟練の魔術師にも根強く愛用される杖なのである。 元より魔法発動の早いタバサにとって素晴らしく相性が良い。 何より内に秘められた魔法理論の桁が違う。 ハルキゲニアの魔法がこの領域に至るには数百年を要するのではないだろうか。 その上、この杖の力は攻撃だけではなかった。 「S2U。……バリアジャケット」 タバサの纏う衣服が、弾けた。 一瞬の時間がゆっくりと過ぎていく。 その中でタバサは感じる。この魔法は鎧を形成するものだと。 普段とは差別化の効く服で、かつ戦闘に適したデザインの衣服が必要になる。 タバサは一つの見落としに気づいた。 お洒落など興味の無いタバサは、それほど違う服を持っていない。 パーティードレスや寝巻きは有るが、そんな物を戦闘服にしてどうするのか。 困ったタバサは、仕方無く咄嗟に衣裳を思い描く。 色を考えている暇は無い。無地の白地で構わない。 形も華美な装飾は要らないし、厚みも防御効果に影響しないようだから必要無い。 ただしそれと防御面積は別の話だ。手足と胴体は十分に包み込む。 全身を包めばよかったのだが、イメージしにくかったのでパーツに分ける。 胴体を首元から股関節まで包むレオタード、腕は肘上までの長手袋、足も膝上までの同じく。 その直後、完全に肌に張り付いたそれは裸と変わらないことに気がついた。 人に裸を見られたって大した事は無いが、公衆風俗は無視できない。 急いで機能を阻害しない範囲の簡単な装飾を纏わせる。 足はブーツをイメージして前面には小さなグリーブを付ける。 腕は適当に宝石を着ける程度で十分だ。足にもお揃い。 それからレオタード状の胴体部は──はたと困った。近似する適当な服が無い。 咄嗟に思い描いたものをベースに普段の制服も混ぜワンポイントのミニネクタイと それからローブを纏おうと首から布を広げようとした所で。 インテリジェントデバイス(人工知能を持つもの)に比べてサポートの親切さに欠け、、 高速で処理を完了するストレージデバイスによる、初めてのバリアジャケット構成は終わった。 最後に纏おうとしたローブはマフラーに成り果てた。 バリアジャケット。 防御効果こそそれ程でも無いが、魔力消費が少なく長時間使用できる防御魔法だ。 そういった魔法、というより発想がハルキゲニアの人間には無かった。 硬化の魔法を防具にかけるなどやりようはあるはずだが、 戦争の際の慣習なども作用してか、戦闘中丸々持続するような防御魔法が発達していなかった。 タバサの知る限りでは──勝負にならなかった、エルフのビダーシャル位だろう。 ビダーシャルは哀れみの情すら篭めてタバサを見ているだけだったのに、 スクウェアの域にまで達したタバサの魔法が一方的に跳ね返されたのだ。 (でもこの杖とあの書が有れば……ううん、あの書無しでももしかしたら) 如何にエルフの使う絶対的な防御魔法といえど、限界は有るはずだ。 確かにハルキゲニアの人間が使う四系統魔法では歯が立たないかもしれないが、 このS2Uの力を使いこなす事が出来れば、打ち破れるのではないか。 優勝の願い抜きでもこの杖を手に元の世界に帰るだけで、 あのエルフを打ち倒し、彼から母を治療する術を聞き出せるのではないか。 そう思うほどに優秀な杖だった。 「憮然。ところでその服はどうにかならなかったのかね? まるで水着のようではないか」 「……考えてなかったから。デザイン」 アウレオルスの言葉に平然と答えるタバサ。 結局、胴体部のレオタード状の部分にまともな服飾を施す事は出来ず、 まるで学生が着る規定水着のような簡素な衣服になってしまったのだ。 上から下まで殆ど白ずくめの簡素な衣裳だ。 「動きやすいし、防御効果は有るみたいだから問題無い」 「ふむ、そうか」 アウレオルスはそれだけ答えて、視線を逸らした。 会話が途切れ、アウレオルスは気を紛らわそうと懐に手をやる。 また空振りした。そこに有るべき物が無い。 タバサは少しだけ興味を抱いて、聞いた。 「何か無いの?」 「悄然。鍼が必要なのだ」 アウレオルスの表情には若干の焦りが浮かんでいた。 聞けば普段の彼は、髪の毛のような細さの鍼を使い精神を落ち着けているのだという。 タバサは少し考えると、自分の髪の毛を一本抜いて差し出した。 「……使える?」 「否。幾ら髪の毛のような細さとはいえ髪の毛そのものでは……む? いや、感謝しよう」 否定に否定を重ねて肯定し、その蒼い髪の毛を受け取る。 アウレオルスの手に持たれても尚、その髪の毛は不自然なまでに真っ直ぐなままだった。 水のスペルにより付着する極僅かな水分ごと凍結してあるのだ。 つまりそれは氷の鍼だった。 アウレオルスは氷の鍼を手に取ると。 自らの首筋に、深々と突き立てた。 いつもより目を見開くタバサに、アウレオルスは尊大な仕草で心配は無いと告げる。 これ自体は魔術でも何でもない、東洋の医学にある鍼治療である。 細い鍼で神経を刺激して精神を昂揚させるのだ。 アウレオルスはいつのまにか萎びていた覇気を取り戻し、まるで演説でもするかの様に話し出す。 「さて、これからどうしたもの──」 遠くの方で、何かが光った。 「伏せて」 タバサの反応は早かった。 アウレオルスを引きずり倒すと共に翳したS2Uで魔法を発動する。 ラウンドシールド。 一方向のみながら防御効果は高く、特に対魔法防御に優れる簡易ながら有用な防御魔法。 更に重ねて自分の魔法を。 「エア・シールド」 トライアングル・クラスの堅固な大気の壁をそこに重ねる。 次の瞬間、衝撃波が吹き荒れた。木々を根こそぎ引き抜く破滅の嵐が。 正面からのそれをラウンドシールドが防ぎ、横から回り込むそれをエア・シールドで防護する。 まるで小さな砦の如き、並大抵の力では貫けない鉄壁の守りだ。 なのに、その鉄壁が紙細工の如く容易く千切れて弾けてく。 タバサが唖然となる。アウレオルスが告げる。 「衝撃を停止」 アウレオルスの言葉が世界の事象を捻じ曲げる。 衝撃は見る見るうちに止まり、きらない! アウレオルスは焦りと共に叫んだ。 「見えざる壁が我らを完全に守りぬく!」 まるで掘っ建て小屋の中で嵐の夜を過ごすようだった。 一瞬後には根こそぎ吹き飛ばされてもおかしく無いほどの理不尽な嵐が吹き荒れている。 それでも暴風はやがて勢いを弱め、そして。 過ぎ去った。 周囲の森は大きく抉られていた。 そこには一つの巨大なクレーターと、広い荒地が広がっていた。 タバサとアウレオルスは抉られた地面の窪みに体を押し込めて息を潜める。 二人の視線の先、遥か遠方には一人の人影が見えていた。 異形の少年だ。 すぐに理解する。彼の攻撃の余波がこの破壊をもたらしたのだと。 一体誰と戦っていたのかは判らないが、相手は間違いなく消し飛んだのだろう。 やがて少年はゆっくりと、二人とは違う方向に去っていった。 単純な距離が二人を少年の目から隠していた。 タバサとアウレオルスは地面の窪みの中に体を横たえると、思わず安堵の息を吐いた。 あまりにも圧倒的な力だった。 もしもタバサがS2Uとの契約を果たしていなければアウレオルスの守りも間に合わなかった。 何よりアウレオルスの力が無ければ、今頃二人とも少年の攻撃の余波によって吹き飛んでいた。 助けられた事を噛み締め、タバサは礼を言おうとして。 アウレオルスの顔に浮かぶ感情を見た。 「バカな……バカな…………っ。なんだ、あれは? なんなのだあれは……!?」 焦点の震える視線、引きつった頬、自らを抱く腕、震える体。 そう、その感情の名は。 「ありえん。ありえんだろう!? なんなのだ、あの力は! 大天使が受肉してでもいるのか!? やはりここは裁きの場という事なのか? やはり神は、我らを誰一人として生きて帰さぬつもりなのか!?」 ──全てを塗りつぶす程の、恐怖。 「アウレオルス」 タバサは彼の名を呼んだ。 アウレオルスは反応しなかった。恐怖に気を取られて耳に声が届かなかった。 だからもう一度呼んだ。 「アウレオルス」 彼の肩がぴくりと震えた。 だが、それだけだった。声が届いても言葉と認識できていなかった。 だからもう一度呼んだ。 「アウレオルス=イザード」 アウレオルスはゆっくりと、這うような速度で、振り返った。 その前にタバサは一本の髪の毛を差し出した。 髪の毛を凍結させて作った、一本の鍼だ。 アウレオルスはのろのろとそれを手に取り。 自らの首筋に、突き立てた。 「憮然。醜態を晒したようだ」 アウレオルスは深々と息を吐いて、そう言った。 表情には焦燥が残っていたが、先ほどよりは格段に落ち着いた様子だった。 少しだけ安堵して、タバサは聞いた。これからどうするの、と。 アウレオルスは答えた。 「当然、八人を殺すのだ。あの様な化け物を避けて、八人を。 それより他に私達が生き延びる術は無い」 空気が張り詰めた。 タバサは問いかけた。 「あなたはあんなに強い力を持っているのに?」 その問いに対してアウレオルスは、呻く様に答えた。 「……私のアルス=マグナでも、あれは殺せん」 事実上の敗北宣言を。 アウレオルスの黄金練成(アルス=マグナ)には致命的な弱点が一つ有った。 それは、頭の中に思う結果しか引き出せない事だ。 確かにアウレオルスは自らの力が届く範囲において、全能だ。 元居た世界では3333人掛かりの大規模攻撃儀式魔術グレゴリオ聖歌隊すらも、 それにより破壊された高層ビルを中に居た者達全ての命ごと再生した挙句に、 遠く一万km離れたローマの儀式場へ向けて叩き返して見せた。 それを完成させたアウレオルスの才覚も尋常なものではない。 何百年もの詠唱を必要とするアルス=マグナを、僅か半日に短縮する儀式を編み出したのだ。 その完成の為に潰した罪無き二千の命さえアルス=マグナの発動により再生した。 彼の才覚も、彼のアルス=マグナも、正に神の如き力と言っていい。 だがこの力を持ってしても、彼はインデックスという少女を救う事が出来なかった。 何故か? その答えが、頭の中に思う結果しか引き出せない事だ。 アウレオルスは初めてインデックスに出会った時に、感じた。 この少女を救う術は無い。自分の力でこの少女は救えない。 ……だから彼は、インデックスを救えたという結果を想像できなかった。 詰まるところ、彼の全能の力は自らを圧倒する存在には通用しないのだ。 心が怯んだ存在に対してアルス=マグナが効力を発揮する事は無い。 それどころか恐怖や不安に呑まれるだけでも危険だった。 彼のアルス=マグナは、頭の中に思う結果を引き出してしまうのだ。 先ほど恐慌状態に陥った時、あまりの恐怖により思考は一切の意味を為していなかった。 もしも先ほど── 『やはり神は、我らを誰一人として生きて帰さぬつもりなのか!?』 ──と叫んだ時に、その具体的な情景を想像してしまっていれば。 自分が殺される姿を想像してしまっていれば。 アルス=マグナは自動的に発動し、アウレオルス自身の命を奪っていたのである。 不安や恐怖を抱けば、文字通り敵対する相手を無敵に変えてしまう諸刃の剣。 それがアルス=マグナなのである。 彼はそれを使いこなす為の精神安定を、自身ではなく外部に求めていた。 精神を安定させる為の鍼を自ら作り出せなかったのも、 他人が開発した堅実な技術である鍼という形で自らの精神を安定させているのもそうだ。 不安を抱いた心で鍼を作っても、不安は鍼に篭り毒針に転じてしまう。 自らが落ち着く姿を落ち着かない心で想像できるはずも無い。 そして、彼は今。 自らの精神を安定させる為の存在を、外部に求めつつあった。 「君はあのような慄然たる存在と戦う事に意味が有ると思っているのかね?」 「それは……」 アウレオルスは熱弁を振るう。 その気迫は激しく、語る内容に反して厳然たる力強さに溢れた声だった。 タバサも理解している。 むしろ遠見の魔法を併用して少年を詳細に観察したタバサはより強く感じていた。 あれは次元の違う存在だ。 S2Uは確かに格の違う力を持った杖だった。 それでも足りない。全くもって足りなすぎる。 アウレオルスのアルス=マグナは遥か高みにある存在なのに、それすらも届かないのだ。 あの少年のもたらした破壊の力は次元が違う領域に存在していた。 更に上の存在であるYHVHの偉大さたるや、かくいわんや。 タバサの驚嘆したS2Uの力など、この殺し合いにおいては児戯にも等しいのだ。 「あの存在をもこの世界に捕らえた神に至っては、人の身で抗える存在では無い。 口惜しいが、罪深き私達は裁かれるのであろう。 神の恩赦にありつけた者以外は」 アウレオルスはタバサを説得する。 「帰らねばならぬ場所が有るのだろう? 帰って救わねばならぬ者が居るのだろう?」 「そう、だけど……」 「ならば私達は、私達と同じく罪深き羊達を八人殺し、この世界から逃れるべきだ。 あの絶対的な破滅の手が及ぶ前に」 殺し合いに乗って生き延びるべきだと。 力無く反論する。 「……名簿には私の知人達も載っている」 「当然、その者達は避けるとしよう」 タバサは迷い、惑っていた。 だけどそれはつまり。 「元の世界に帰り、仇を討ち、母を助けるのだろう?」 迷っていたのだ。 アウレオルスはその背中を押していた。 「さあ」 タバサは想う。 この選択の持つ致命的な意味を。 (あの少年のような圧倒的な強者を避けて、八人を……二人分なら十六人を殺そうというのなら) つまり自分達とあの少年以外47人の中から三人に一人以上も殺す必要が有る。 その中に自分の知っている者達を入れない事などできるのだろうか。 まだ詳しい情報交換はしていないが、アウレオルスもあの少年も両方ともが、 タバサの全く知らない、それでいて別々の種の魔法を使う存在だという事は理解している。 四系統魔法はその中では『弱い』魔法なのだろうという事も。 自分の杖無しでは基本的な魔法しか使えず、有っても圧倒的に弱いメイジ……ルイズ、アンリエッタ、ギーシュ。 弱者を選るのであれば間違いなく格好の獲物になる彼女達を含めない事など出来るのだろうか。 タバサは自分を助けた才人を殺す事など考えられない。 だけどそれ以外の三人がタバサの眼前に現れたら、その時、自分は……。 (………………殺す、の?) 迷いと惑いはタバサの中に色濃く蟠っている。 しかしタバサは背中を押され、歩き始めていた。 「わかった」 それどころか。 「でも、待って」 ある事を理解していた。 「私も、開始線に立つから」 アウレオルスから少し離れると、S2Uの先に威力を抑えたブレイドの魔法を展開する。 タバサが得意とするのは風の属性である為、杖の先には風が渦巻いて刃と化す。 そしてその風の刃で、左手首を切った。 派手に血が噴出した。 「何をする!?」 アウレオルスの動揺を無視して、タバサは自らの足元に鮮血を撒き散らす。 貧血にはならない程度、それでも周囲の土を真っ赤に染める程度の血を撒いた所で止めた。 水のスペルにより鋭いが浅い傷を治療すると、いよいよ。 タバサは、支給されたもう一つの物を取り出した。 それを見たアウレオルスが目を見開いた。 「それはまさか、魔道書か?」 魔道書。 アウレオルスの知るそれは猛毒の知識を収録した邪本の事を指す。 ただの人が目を通せば確実に発狂し、訓練した魔術師の精神さえ破壊する毒書。 本そのものが小型の魔法陣と化しているため破壊する事も干渉する事も出来ず、 ただただ封印され、目録を作られ管理されている災厄の塊。 そう、アウレオルスが助けようとする少女こそがそのインデックス(禁書目録)に他ならない。 「やめたまえ。それは人が手を出して良い物では無い。 その書の危険度は判らぬが、最悪魂の真髄まで汚染され尽くすぞ」 アウレオルスは本来、魔道の脅威に対抗する魔道書を記す例外役職、隠秘記録官であった。 だからこそ知っている。魔道書の『原典』という物がどれだけ怖ろしいかを。 だからこそ挫折した。そんな猛毒を十万三千冊も記憶して尚笑える聖女を救えなくて。 魔道書はただ一冊でも人の魂を汚染する邪本なのである。 タバサの手に有る物はアウレオルスの知る物とはやや様式が違ったが、紛れも無く魔道書であった。 おぞましい事に人間の皮で装丁された、まるで悪魔の臓物の如き存在感を放つ書。 ──螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)。 だがタバサは何の感慨も見せずに、答えていた。 「今のままじゃ、始まる事も出来ない」 タバサは理解していた。今の自分には何を選ぶ権利も持っていない。 ただただ蹂躙されるだけの存在でしかないのだと。 タバサの魔法とタバサ以外の間にはそれほどの力差が存在しているのだ。 このおぞましい書の力をもってして、ようやくタバサは最低限の権利を手に出来る。 選択肢すらなく周囲に翻弄されるだけの運命から、 最低の選択肢なら許される程度の権利を掴み取れる。 伯父の顔、エルフの顔、異形の少年の顔、YHVHの顔がタバサの脳裏を過ぎり。 アウレオルスの顔を見つめて。 開いた。 血煙が爆散した。 足元に広がる血溜まりから伸びる青黒くぬめる紐状の何かがタバサを絡めとったのだ。 オニヒトデの様なそれは小さな顎のような吸盤にびっしりと覆われた触手をうねらせる。 螺湮城教本。 それ自体が大出力の魔力炉を搭載し、独自の術式までも展開する恐るべき魔道書である。 その術式とは、生贄を用いたおぞましき怪魔の召還だ。 清らかな子供一人分の血肉につき、数匹の怪魔を召還する事が出来る。 タバサが使った血は極微量であったが、加えて強力な力を持ったメイジである事、 更に強いパスの繋がった術者自身の血である事から、一匹を召還するには十分であった。 そう、召還自体は容易い事だ。この魔道書と媒体が有れば素人にも可能である。 「瞿然、やめたまえ、怪魔の群れに呑まれるぞ!」 だが制御は術者が行わねばならない。 タバサに絡みついた奇怪な触手は、その華奢な小躯をぎりぎりと締め上げる。 バリアジャケットを展開していなければ骨が折れていたかもしれない。 それほどの力だ、タバサに振りほどける筈が無い。 アウレオルスは即座にタバサを解放しようとして、しかしその鋭い視線に遮られた。 苦痛の呻きと共に、タバサは吐き出すように詠唱を始める。 「ぐ……我が名はタバサ…………五つの力を……ペンタゴン……」 如何な感覚器も持たないように見える怪魔が、獲物の不穏な気配を感じ取って暴れだす。 更に力を増した触手が食い込み、胸の中の吸気が吐き出される。 苦痛の中で、それでも掠れた声は呪文を唱え続け。 「この者に…………我の………………な……」 ぞぶり、と。 詠唱を封じんとばかりに、その口腔に触手の一本が突きこまれた。 喉どころか食道を経てその胃まで醜悪な肉が詰め込まれる。 詠唱どころか呼吸までもが潰される。 痙攣するタバサに、アウレオルスは今度こそ血相を変えて怪魔を止めようとして。 ……怪魔の動きが、既に静止している事に気がついた。 ずるり音を立てて、タバサの喉から長大な触手が引き抜かれる。 裂けはしなかったものの痛む喉から吐き出された咳には若干の胃液まで混じっていた。 それでもタバサは粗い息を吐きながら、怪魔を睨みつけた。 タバサの喉元にまで突きこまれた触手には、ルーンが刻まれている。 彼女と使い魔契約を交わした怪魔は、肉塊と化して元の次元に帰還した。 タバサは魔道書を閉じて、一連の儀式を終えた。 「……帰ったら、あの子と契約し直さないと」 コンストラクト・サーヴァント。 召還したモノと使い魔契約を交わすスペルである。 タバサは本来の使い魔シルフィードとの契約が切られている事を逆手に取り、 怪魔の一匹と契約を交わし、それにより怪魔の法則性を理解したのだ。 あまりにも人間と違うそれに吐き気を催しながらも、それを御する術を身に着けた。 怪魔の軍勢はタバサの意のままに動くだろう。 最早螺湮城教本はタバサの魔道書だった。 「………………アウレオルス」 「あ、ああ。往こう」 おぞましき契約により怪魔を御したタバサに驚愕しながらも、頷きを返す。 アウレオルスとタバサは、ゆっくりと、その場から去っていった。 賽は投げられた。 焦燥に駆られる錬金術師と、禁書を抱いた雪風のメイジは、破滅の場を後にして歩きだす。 一刻も早くその手を八人の血に染めて、この世界から逃れる為に。 【E-Ⅳ荒地 1日目 深夜】 【アウレオルス=イザード@とある魔術の禁書目録】 【状態】:健康、思考に捩れ有り 【装備】:なし 【道具】:支給品、不明支給品1~3(確認済み) 【思考・状況】 基本:8人を殺し帰還する。タバサも生きて欲しい。 1.タバサを連れて八人を殺す。見ただけで圧倒されるような存在は狙わない。 2.魔道書を手にしたタバサが心配。 【タバサ@ゼロの使い魔】 【状態】:健康、バリアジャケット 【装備】:S2U@魔法少女リリカルなのは、螺湮城教本@Fate/zero 【道具】:支給品 【思考・状況】 基本:アウレオルスと共に8人を殺す? 1.アウレオルスと同行、協力する。 2.才人は殺したくない。他の知り合いは迷っている。 【備考】 螺湮城教本の力により、スクウェアクラスの魔法も使えます。 S2Uに入っているミッドチルダ式魔法の内、基本的な魔法は既に使えます。それ以上は徐々に習得。 バリアジャケットは白を基調とした長手袋、膝上までのブーツ、マフラー、制服と水着の合いの子のような物です。 怪魔の一匹と使い魔契約を交わした事で、召還される怪魔の群れが制御可能になりました。 使い魔契約によるその他の影響が有るかは不明です。 【この話のみの備考】 爆発は『それぞれの誠』で放たれたオーラフォトンブレイクによるものです。 統べし聖剣シュンが去った時点で背を向けた為、クロコダインは見ていません。 移動先は少なくとも統べし聖剣シュンとは別の方向です。 アウレオルスは上条当麻との決戦より前、タバサは十巻の軟禁後救出前に召還されました。