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●ストライクウィッチーズとは (すとらいくうぃっちーずとは) - ニコニコ大百科 ●コミュニティ 【MAD】ストライクウィッチーズ【AMV】 - ニコニコミュニティ ●YouTube - KADOKAWAanime チャンネル ●【ストライクウィッチーズ専用、ニコニコ動画ランキング】 ニコニコランキングジェネレータを利用して作成 【ニコニコ動画】ストライクウィッチーズ動画ランキング(Top90) 【ニコニコ動画】注目のストライクウィッチーズ動画 【ニコニコ動画】新着のストライクウィッチーズ動画
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2010年、秋。 学生として平穏に暮らしていた俺は、何故か突然、なんの前触れも無く 奇妙な世界に連れてこられてしまった。 そこは、魔法と機械で空を飛ぶ少女達と、 黒くて赤い奇妙な生命体が争っている世界だった。 見知らぬ異世界で、果たして俺は何を見て、何を思うのだろうか・・・。 異世界のウィッチ 異世界のウィッチその2 異世界のウィッチその3 異世界のウィッチその4 異世界のウィッチその5 異世界のウィッチその6 異世界のウィッチその7 異世界のウィッチその8 異世界のウィッチその9 番外編 ある日の朝の出来事 ある日の昼の出来事 ある日の夕暮れの出来事 ある日の夜の出来事 ある日の夜明けの出来事 投下スレ 俺「ストライクウィッチーズだよ」 俺「ストライクウィッチーズだってさ」 俺「ストライクウィッチーズだな」 俺「ストライクウィッチーズらしい」 俺「ストライクウィッチーズだと・・・?」 俺「ストライクウィッチーズですの」 俺「ストライクウィッチーズだってね。」 異世界のウィッチ2へ
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異世界のウィッチ1 名前・・・俺 年齢・・・17歳 生年月日・・・1994年6月1日 出身・・・日本 階級・・・軍曹 武器・・・銃・扶桑刀 使い魔・・・犬 固有魔法『異世界の魔力』 ・・・時空と次元を超えるほどの影響を受けた際に手に入れた異質な力。 シールドを張れなくなる代わりに、時空を歪めながら飛行することで高速移動をし、 次元を歪める力を刀に込めて叩き込むことで敵を崩壊させる。 次元歪曲によって攻撃されたネウロイは再生できなくなる。 本来はこの世に存在しない力。 なので予想もつかない現象を引き起こす可能性もある。ちなみに紫色をしている。 未来の別世界からやってきた元学生。突然ロマーニャ上空から落ちてきたところをストライクウィッチーズに保護された。 連れてこられた当初は「元の世界に帰るとき、なんの後悔も無く帰れるように」と周りとの関係を拒絶していたが、 突き放されても見放そうとせず諦めないで交流しようとしたウィッチーズの努力もあり、次第に心を開くようになる。 戦いの中で成長し、交流の中で徐々に打ち解けていき、 最後には元の世界への悔いを固有魔法を使って解決し、この世界で生きていく決心を固めた。 口調は良いとは言えず上官に敬語は使おうとしないが、 本来はまじめで優しく、人との対話が好きな青年。 そんな俺がこの世界で生きていくと決意した、その後のお話。 異世界のウィッチ2・その1 異世界のウィッチ2・その2 異世界のウィッチ2・その3 異世界のウィッチ2・その4 異世界のウィッチ2・その5 異世界のウィッチ2・その6 異世界のウィッチ2・その7 異世界のウィッチ2・その8 異世界のウィッチ2・その9 異世界のウィッチ2・その10 異世界のウィッチ2・その11 『彼女』について 異世界のウィッチ3へ 投下スレ 俺「ストライクウィッチーズである」 俺「ストライクウィッチーズねぇ……」 俺「ストライクウィッチーズぅ?」 俺「ストライクウィッチーズって?」 俺「ストライクウィッチーズ?」 俺「ストライクウィッチーズどすえ」 俺「ストライクウィッチーズでしたか」 俺「ストライクウィッチーズ……なのかもしれない」
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ウェイター「お待たせ致しました。ご注文のアールグレイになります」 白と黒を基調とする制服を着こなした若いウェイターがトレーの上に乗せていたティーカップを目の前に差し出すと一礼し、戻っていった。 ロンドン市内の某カフェのオープンテラスで俺は手にした新聞を読み漁っていた。 経済、国際情勢といった記事が並ぶなかで彼の目を引き付けたのは「切り裂きジャック再び!」というトピック。 俺「時代遅れの殺人鬼か」 カップの縁を口元まで運ぶとわざとらしく音を立てて中身を啜り、にんまりと微笑む。流石は本場ブリタニアだ。夕食後の紅茶がいつになく美味く感じられる。 そもそもペテルブルクにいるはずの俺が何故ブリタニアのロンドン市内で紅茶を啜っているのだろう。 仲間B「一昔前にロンドンを騒がせた奴だ。聞いたことぐらいはあるだろう?」 真後ろの席でベーグルを頬張る男が俺の呟きに返す。 傍からは背中を向け合うだけの無関係な客同士に見えるが実際は異なっていた。 男の名前は仲間B。かつて傭兵であった俺と組み、非正規遊撃隊の一員として活動していたウィッチたちの一人だ。 俺「あぁ……そういえば小説のネタにもされていたな。確か娼婦を狙った犯行だったよな?」 あくまで視線を新聞に注いだまま続ける。 それにしても妙な話だ。切り裂きジャックが世に出たのは1888年。 つまり今から50年以上も前の事件になる。当然、犯人もとっくに死んでいるか老体となっているかのどちらかだろう。 どのみち同一人物による犯行でないことは確かなのだ。 二代目だろうが何だろうが完璧な模倣が行えるとは考え難い。 だが、現に何件も発生しているところを見ると、そういった考えも捨てたほうが良いのかもしれない。 仲間B「そうだ。だが今のジャックが殺した中にはウィッチも混じってる」 不幸にも通り魔の標的として選ばれたのか。 それとも初めからウィッチを狙うために他の人間を殺害したのかは定かでないが、自分が消去するべき標的であることに何ら変わりはない。 普段と同じように赴いて、始末する。それだけだ。 仲間B「既に犠牲者が二人も出た。スコットランド・ヤードも軍関係者も面子をかけて全力で捜査に当たってはいるが……目ぼしい報告は来ていない」 俺「それで“あの人”が俺をペテルブルクから呼んだってことか。言っておくが俺は警察まがいのことなんざ出来ないぞ?」 仲間B「それでもやるのが俺たちの仕事だ」 俺「わぁってるよ」 ペテルブルクにいるはずの俺が遠く離れたブリタニアの地に訪れた理由。 それは今ここロンドンを騒がせている連続殺人鬼を秘密裏に消去することであった。 毒を以って毒を制す――そう思いついた、ある人物が彼をここまで呼び寄せたのだ。 仲間B「あっ、そうそう。依頼人が会いたがってたぞ? 顔でも見せに行ったらどうだ?」 俺「あの人は苦手だ。何だか俺のお婆ちゃんに似てるんだよ」 頭を掻き毟りながら懐から財布を取り出す。 死線を潜り抜けてきた歴戦の猛者をブリタニアまで引きずり出し、こうまで言わせる依頼人とは一体何者なのだろうか。 俺「それによ。気軽に入っていける場所でもないだろう」 仲間B「それもそうだな。ちょっと通りますよって言って通れるほどの警備体制じゃあないのはたしかだわな」 俺「許可証がなきゃ蜂の巣にされちまうよ。あいつら容赦ないからなぁ」 仲間B「率いてるのが第一次ネウロイ大戦のときにブリタニア最強戦力とまで言われたおっさんだ。誰であろうと突破できるとは思えねぇな」 俺「ちげぇねぇ。って……そろそろ行かないとまずいな」 大きく伸びをした俺が腕に嵌めた時計に目線を移す。 あと二時間足らずで基地に行かなければ配属初日から遅刻という失態を晒してしまう。 仲間B「期限は一週間。必ずブッ殺せ」 俺「わかってる。もう、これが本職みたいなもんだからな」 白昼堂々と物騒な言葉を口にする戦友にぶっきらぼうな口調で返した俺は勘定を置いてテラスを去っていった。 ――連合軍第501統合戦闘航空団ブリタニア基地、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐執務室内 差し出された書類を坂本美緒は何度も読み返した。 午後の訓練が終わるのを見計らったかのようにミーナに呼び出され、執務室へと入った彼女が受け取った書類には今日から一週間の間だけ501統合戦闘航空団の一員としてネウロイと戦う男性ウィッチの情報が記載されていた。 ただの補充要員ならば彼女も豪快な笑い声とともにミーナの杞憂を一蹴しただろう。 書類に添付された顔写真を見るまでは。 ミーナ「その人は既に魔力減衰を迎えてシールドを失っているのよ。でもガランド少将からの頼みである以上は……むやみに断るわけにもいかないし……」 心臓が激しく脈を打ち、鼓動がはっきりと耳まで届いてくる。 逆に、困惑した様子で溜息をつくミーナの声はやけに遠くから聞こえた。 坂本「……」 ミーナ「美緒? どうしたの?」 まるで全身を氷付けにでもされたかのように微動だにしない友人の姿にミーナは形の良い眉根を寄せて、彼女の顔を覗きこむ。 シャープな顔立ちは青ざめ、魅力的な黒い瞳は大きく見開かれていた。 坂本「そんな……馬鹿なっ」 男性ウィッチの名は俺。 かつての扶桑海事変で僚機を庇って墜落し、最終的には戦死者として処理された男。 今日このときまで戦死者の一人として記憶していただけに坂本は何かの間違いだと思った。それとも、七年前に死んだはずの人間が時を経て現世に蘇ったとでもいうのか。 坂本「俺大尉……」 窓の外に視線を移す。 大空は茜から紺碧色へとその色を変えていた。 出会いというものはいつだって緊張するものだ。 だからといって、いちいちビクついていては始まらない。 「どうぞ」 扉をノックすると、歌手を思わせる澄んだ声が返ってきた。 凛として、それでいて耳にした者の心を柔らかく包み込む優しさも兼ね揃えた声音に綺麗な声だなと思いつつ扉を開けて、足を踏み入れる。 窓際の執務用デスクにつく女性とその傍らに控える女性の姿が目に入った。 「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」 執務用チェアに腰掛けた赤髪の女性は俺が胸中に押し込んでいた緊張をいとも容易く見透かした上で柔らかな笑みを作った。 どうやら彼女がここのトップらしい。なるほど穏やかな物腰や笑顔とは裏腹に硝子細工を思わせる澄んだ瞳には指揮官特有の強い意志の光が宿っている。 俺「ありがとうございます」 ミーナ「私が第501統合戦闘航空団の司令を務める、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」 俺「はじめまして、俺と申します。短い間ですがお世話になります」 後頭部に手を当て頭をさげる。 俺がその基地に配属された際に見せる恒例行事のようなものだった。 坂本「俺大尉……!!」 簡単な自己紹介を終えると、それまでミーナの傍らで控えていたもう一人の女性が足早に歩み寄る。 髪と肌の色から同じ扶桑の人間だと分かるが、俺はその女性と初めて会う気がせず、凝視していると見覚えのある眼帯を身に着けていることに気が付いた。 俺「その眼帯……まさか、坂本か?」 坂本「やはり、俺大尉でしたか……」 最初はやたら綺麗な子がいるなぁと感心していた俺であったが、彼女の右目を覆う眼帯の模様から、自身に詰め寄る美女が遠い過去に出会った坂本美緒であると思い出し目を丸くした。 彼女とは片手で数えられる程度しか話したことはないが、まさかこんなところで再会するとは。 坂本「俺大尉……! あなたは、戦死したはずでは……!?」 そういえば俺は死んだことになっていたなと他人事のように思い出す。 俺自身顔見知りと再び出会うことになるとは予想しておらず、本当のことを話すべきかどうか悩んだが、 ミーナ「そのことで俺さんに伺いたいことがあります」 指揮官として素性の知らない者に隊員たちの背中を任せるわけにはいかない――彼女の瞳が無言でそう物語っているのを捉え、俺は今日に至るまで自身の軌跡を淡々と口にし始めた。 扶桑海事変の際に僚機を庇って墜落したこと。 運よく助けられ、意識と体力を取り戻したときには自分は既に戦死者として処理されていたこと。 扶桑を去り、傭兵として世界の各地を旅していたときにガランドと再会し、それ以降は彼女の私兵となり今日まで戦い続けてきたこと。裏の仕事を除き自身の今までを語り終えた。 ミーナ「(……この人は……)」 凄惨な過去であるにもかかわらず、当の本人が思い出話でもしているかのように楽しげな口調で語るためミーナは言葉を口にすることが出来なかった。 帰る場所に背を向け、かつての仲間からも死んだ人間として思われているというのに、どうしてこの男はこんなにも快活な笑みを浮かべることが出来るのだろう。 俺「そんな黙りこまないでくださいよ。確かにあいつらとはもう一緒に飛ぶこともできないと思いますけど……今の俺には俺のことを家族だって言ってくれる子たちがいます」 胸に手を当て、瞼を閉じれば、これまで出会った多くの者たちの笑顔が脳裏に蘇った。 自分のことを友と呼び互いに背中を預け合った者、憎まれ口を叩き合う者。 中には志半ばに散っていった者もいれば、風の噂で幸せな生活を送っている者もいる。 俺にとって激戦地を駆け抜けてきたことよりも彼、彼女らとの出会いこそ、今の自分を形成しているといっても過言ではない。 同時に幾多の戦友たちの存在が俺の誇りでもあった。 瞼を開き、だから寂しくはありませんよと付け加え白い歯を見せて笑う俺にミーナは自然と口元に微笑を浮かべていた。人好きのする彼の笑みにつられるように。 俺「坂本も! そんな顔しないでくれ」 坂本「はい……」 快活な微笑を前に坂本の容貌に差し込んでいた影が消えうせていった。 もしかすると他人の影を吹き払う力を彼は持っているのかもしれないと感じつつ、書類をファイルに納めて席を立つ。 ミーナ「ではブリーフィングルームに案内します。俺さんにはそこでみなさんに簡単な自己紹介をしてもらいますね」 ―――ブリーフィングルーム 俺「……」 ミーナと坂本に挟まれる形で立ちつつ、九人分の好奇に満ちた視線を真正面から浴びる俺は居た堪れない気持ちを何とか押さえ込んだ。 俺「本日から一週間。ここ第501統合戦闘航空団でお世話になる俺です。よろしくお願いします」 まずい。 腹も痛み出してきた。 が、ここで情けなく腹を押さえる姿など見せるわけにもいかず、歯を喰いしばって堪える。 その際に顔が引き攣ってしまっていたのか、 「こ……怖いよぉ」 「リーネちゃん。大丈夫?」 などという小声が耳に届き、俺はなんとも居た堪れない気分を味わった。 すまんな。リーネという少女よ――と心の中で謝罪すると怯える彼女の顔が古い友人のそれと重なった。もしかして姉妹なのだろうか。 つい食い入る様に見つめると隣の小柄な女の子の影に隠れてしまった。 また怖がらせてしまったか、と少し反省。 「はいはーい! しつもんしつもーん!」 長い黒髪を左右で結ぶ少女――おそらくこの部隊の中で最年少だろう――が身を乗り出す。 今まで多くのウィッチと出会ってきたが、ここまで年齢が低いのは初めてだ。 ミーナ「もう……」 隣ではミーナが困ったような表情を浮かべつつも、瞳で答えてもらえないかしらと言っているように見えた。 俺「えっと……」 ルッキーニ「フランチェスカ・ルッキーニだよ! ねぇねぇ!? 俺は虫とか好き!?」 俺「虫かぁ……」 少女――フランチェスカ・ルッキーニの問いに俺はしばし黙考した。 虫といえば傭兵時代食べるものに困ったときはよくお世話になったことがある。 だが、ルッキーニの問いは味覚とかではなく純粋に虫が好きか嫌いかのことだろう。それくらいの分別は俺にも備わっている。 俺「嫌いじゃあないな」 ルッキーニ「本当に!? じゃあじゃあ! 今度アタシと一緒に虫捕りにいこうよ!?」 同じ趣味を持った者が現れて喜んでいるのか。 楽しいよと続けて今にも駆け寄ってきそうな勢いの少女と俺との間にミーナが入り込み、残りの部隊員に視線を配る。 ミーナ「まだまだ聞きたいことはあると思いますけど、俺さんもペテルブルクからの長旅で疲れているので今日はここまでにしておきます。続きはまた明日にしましょう」 大人しく従いブリーフィングルームから出て行く少女たちの中に胡散臭そうな眼差しでこちらを見つめている者が二人いた。 上質な絹糸を思わせる金色の髪と丸いフレームの眼鏡を身に着けた少女と茶色の長髪を首筋に近い箇所で二つに縛った少女。 前者はどこか嫉妬じみた感情を瞳に宿し、後者は初対面の俺が見てもはっきりと分かるほどの警戒心を露にしている。 俺「何か?」 ペリーヌ「別にっ! 何でもありませんわ!」 俺「ふむ……えっと……ペリーヌ・クロステルマン中尉だったな。そんなに俺が坂本の隣にいることが気に食わないか?」 ペリーヌ「なっ!? なななななな! 何を言っているんですの!?」 俺の指摘にペリーヌの白い頬が一気に真っ赤に染まる。 俺「(あぁ。わっかりやすいなぁ……この子は)」 ペリーヌ「冗談は、ほどほどにしてくれませんこと!?」 俺「いやだって。お前さん明らかにしっtもががが!?」 ペリーヌ「い・い・で・す・わ・ね!?」 両手で口元を塞ぎ鋭い眼光を突きつけるペリーヌの剣幕に大人しく首を縦に振らざるをえなかった。 ふんと鼻を鳴らし、“まったく何て失礼な殿方なんですの!”という捨て台詞を吐いて去っていくペリーヌの後姿を見送っていると、入れ違いに別のウィッチが俺の前に現れる。 先ほど俺に対して露骨なまでに警戒心を表していた少女だ。 バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルン。階級は大尉だ」 俺「よろしく頼むよ。大尉殿」 バルクホルン「正直に言おう。いくらガランド少将の命令とはいえ……私はお前を信じることはできない」 坂本「バルクホルン」 俺「大尉がそう感じるのも無理はないと思う。特に俺はもうシールドが張れないからな」 バルクホルン「ならば!」 俺「だからといって、おめおめと帰るわけにもいかないさ。 俺にも俺の“仕事“がある。それに帰っちまったらフィーネの顔に泥を塗っちまう……それだけは避けたいんだ。悪いが一週間だけ我慢してくれ。期限が過ぎれば、もう会うこともないだろうしな」 バルクホルン「……好きにしろ。足を引っ張らないように努力するんだな」 俺「ご忠告ありがとう。お嬢さん」 俺の言葉に何を感じ取り、俺の瞳に何を見たのか。 拍子抜けしてしまうほどあっさりと踵を返すバルクホルンの背に小さく言葉を投げかける。 坂本「すみません、俺大尉」 俺「良いさ、自分の力は自分で示すだけだ。だから変に特別扱いなんかしないでくれよ?」 顔見知りだからといって気を遣ってもらう必要はない。 彼女たちの信頼を勝ち取るのは自分自身なのだから。 坂本「はい。俺大尉」 俺「あー……その大尉ってやめてくれないか? 俺はもう陸軍じゃないわけだしさ」 坂本「……分かりました。それでは改めて、よろしくお願いします。俺さん」 俺「こちらこそ、よろしく」 ミーナ「サーニャさん。俺さんを部屋に案内してもらえますか?」 ミーナがまだブリーフィングルームの隅に残っていた銀髪の少女に声をかける。 俺はその名を聞いた途端に何かが胸の奥に引っかかったような感覚を覚えた。 サーニャ「私……ですか?」 エイラ「だったら私もいくゾ! こんな得体の知れない男とサーニャを二人っきりにさせるわけにはいかないからナ!!」 すかさず横に座っていた少女が立ち上がり、こちらを睨みつけてきた。 どうやら、ここの部隊の中では特殊な関係が構築されているようだ。 俺「得体の知れない男って……」 彼女から見れば今日突然上がりこんできた俺は十分得体の知れない男に見えるのだろうが、そう呼ばれた本人は胸の痛みを感じていた。 相手が可憐な少女だけに痛みがいっそう激しいものへと悪化する。 ミーナ「エイラさんにはお話があります。このまま執務室まで来てください」 エイラ「うぇ!? ここじゃ駄目なのカ……?」 坂本「なぁに。すぐ終わるさ」 エイラ「うぅぅぅ……おいおまえ!」 俺の前につかつかと歩み寄り形の良い眉を吊り上げ、睨みつける。 俺「ん?」 刃にも似た鋭利な眼差しを俺は何処吹く風と受け流して返した。 エイラ「いいか!? サーニャに手を出したりしたら許さないからナ!?」 一体自分はどんな風に見られているのだろうか。 顔を合わせて一時間も経っていないというのに。 俺「わかった。手なんか出さないから安心しろ」 エイラ「絶対ダゾ!? 絶ッッッッッ対だからナ!?」 俺「わかったから。坂本、ヴィルケ中佐。頼む」 エイラ「サーニャァァァァァァ!!!」 引き摺られるようにして部屋から連れ出されたエイラという少女の叫びが大分離れた廊下のほうから伝わってきた。 サーニャ「あのっ。エイラのこと……悪く思わないであげてください……エイラはただ……」 俺「……君のことを思っての行動だったってのは俺でも分かるさ。良い友達だな」 サーニャ「はいっ……!」 親友を褒められサーニャが柔らかな笑みとともに声を弾ませる。 その笑顔から彼女にとってエイラがいかに大切な存在であるかが伺えた。 俺「えっと……」 サーニャ「アレクサンドラ・V・リトヴャク中尉です」 俺「よろしく、中尉」 サーニャ「サーニャで……良いです。みんなにもそう呼んでもらっていますから……」 俺「あぁ。ってサーニャ……?」 サーニャ「……どうしましたか?」 俺「いや……なんでもない」 どうも引っかかる。 随分前に彼女の名前を何かで知ったことがあるような気がする。 中々浮かび上がってこない記憶に首を傾げながら廊下を歩いていた俺が不意に足を止めた。 視線の先には開けっ放しにされた扉の先にある談話室。 俺「あ……」 サーニャ「どうかしましたか……?」 俺「いや。すごく立派なピアノだなぁって」 俺の眼差しの先には丁寧に手入れされた大きなピアノが艶やかな光沢を放っていた。 そういえばピアノを目にしたのはあの男性の演奏を耳にした日以来だな。 サーニャ「ピアノ……お好きなんですか?」 俺「聴く専門だけど……ってこんなやり取りをどこかでやったなぁ」 許可を得て談話室へと入り、ピアノへと近づく。 サーニャ「……私のお父様もピアノをとっても上手に弾けるんですよ」 俺「へぇ……って……ん!?」 サーニャ、ピアノ、お父様。 これら三つの言葉が一つのピースとなり俺の頭の中にあるパズルに音を立てて埋め込まれた。 俺「聞き難いことだけど……もしかしてサーニャの両親は」 サーニャ「ネウロイが侵攻してきた時に……はぐれてしまいました……」 そうか。やはりこの子があの夫妻の娘の“サーニャ”だったのか。 だとしたら、あの手紙も渡す必要がある。 俺「大丈夫か?」 不意に身を屈めるサーニャ。彼女の肩が小刻みに震えているのを見つけ顔を覗きこむと、 サーニャ「すみません……お父様とお母様の話でつい……」 エメラルドを思わせる翡翠色の宝玉に若干の涙が浮かんでいた。 いくら軍人とはいえ十四歳の少女だ。まだまだ親に甘えたい年頃のはずだ。 教えて欲しいことも、話したいことも沢山あるだろう。 彼女の白い頬を伝う透明な雫を拭い終えたとき、 エイラ「おい!!!!」 俺「ん?」 サーニャ「エイ、ラ……?」 静寂を破るかのように怒号が舞い込み、入り口を見てみると全身から憤怒の感情を露にするエイラが俺のことを睨みつけていた。 エイラ「サーニャっ!? お前……サーニャを泣かせたナ!!!」 俺「え?」 同じように振り向いたサーニャの瞳に涙が浮かんでいるのを見つけ、エイラは拳を握り締めた。 彼女の位地からだと自分がサーニャに手を出しているように見えていることに気が付き、あ、と呟く。 エイラ「よくも! よくも!!」 俺「待ってくれ! 俺は何もしてないぞ!?」 エイラ「うるさい! そんなこと信用できるか!! こいつ!!!」 サーニャ「エイラ!! 駄目!!!!」 エイラ「サーニャに! 手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 猛スピードで繰り出される剛拳が鋭い風切り音を奏でながら、俺の額へと向かっていく。 華奢な体躯の彼女のどこにこれほどまでの力が秘められているのだろうか。 重い衝撃が額に叩きつけられ、視界が大きく回転する。 頬に伝わる冷たい感触から床に倒れ伏したことが分かった。 暗くなっていく視界の隅で、倒れる自分に手を伸ばしながら、エイラに連れて行かれるサーニャの姿があった。 ※8.5話の最後に三話構成と書きましたが、プロットを見直したところ三話じゃとても足りないことに気付き、七話構成へと変更になってしまいました。
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「お待たせ致しました。ご注文のアールグレイになります」 白と黒を基調とする制服を着こなした若いウェイターがトレーの上に乗せていたティーカップを目の前に差し出すと一礼し、戻っていく。 ロンドン市内の某カフェのオープンテラスで俺は手にした新聞を読み漁っていた。 経済、国際情勢といった記事が並ぶなかで彼の目を引き付けたのは「切り裂きジャック再び!」というトピック。 俺「時代遅れの殺人鬼、か」 カップの縁を口元まで運ぶとわざとらしく音を立てて中身を啜り、にんまり。流石は本場。夕食後の紅茶がいつになく美味く感じられる。 ここはブリタニア連邦。目と鼻の先に、ネウロイに占領されたガリアが存在する人類の反攻拠点。 本来ペテルブルグにいるはずの俺は古くから海洋交易が盛んな島国の霧の都にて紅茶を啜っていた。 仲間B「一昔前にロンドンを騒がせた奴だ。聞いたことぐらいはあンだろ?」 真後ろの席でベーグルを頬張る男が俺の呟きに返す。 乱暴に切り揃えられた灰の頭髪に顎元を覆う無精髭。およそ清潔といった言葉とは無縁な風貌。 二人の関係を知らぬ第三者がこの光景を目の当たりにすれば、背中を向け合うだけの無関係な客同士に見えているだろうが実際は異なっていた。 男の名前は仲間B。かつて傭兵として世界を旅していた俺と組み、非正規遊撃隊の一員として活動していたウィッチたちの一人である。 俺「あぁ……そういえば小説のネタにもされていたな。確か娼婦を狙った犯行だったか?」 あくまで視線は新聞に注いだまま。それにしても妙な話だ。 切り裂きジャックが世に出て、その凶刃を振るったのは1888年。 つまり今から50年以上も前の事件になる。当然ながら犯人もとっくに死んでいるか、老体となっているかのどちらかだろう。 どのみち同一人物による犯行でないことは確かだ。二代目だろうが何だろうが完璧な模倣が行えるとは考え難い。 だが現に何件も発生しているところを見ると、そういった考えも捨てたほうが良いのかもしれない。 仲間B「そうだ。だが今の切り裂き魔が殺した中にはウィッチも混じってる」 不幸にも通り魔の標的として選ばれたのか。あるいは初めからウィッチを狙うために他の人間を殺害したのか。 どちらにせよ、切り裂き魔は手を出してはならないものに手を出してしまった。 どんな理由があるにせよウィッチに危害を加えた以上、自分たちが消去すべき標的となるのは当然の帰結である。故に俺は何も感じない。 ただ普段と同じように赴いて、始末する。それだけだ。 仲間B「既に犠牲者が二人も出た。スコットランド・ヤードも軍関係者も面子をかけて全力で捜査に当たってはいるが……目ぼしい報告は来ていねえ」 かつて自国を騒がせた通り魔が国防の要であるウィッチを手にかけたのである。 スコットランド・ヤードは自身の庭を荒らした不忠者を。軍は貴重なウィッチを二人も減らされたことへの義憤を抱き、連日連夜血眼になって切り裂き魔をこの手で掴みあげんと霧の都を走り続けている。 だというのに、事件発生から今日にかけて何一つ手がかりが掴めていないのが現状だ。 俺「それで“あの人”がフィーネに頼んで俺をペテルブルグから呼んだってことか。言っておくが俺は警察まがいのことなんざ出来ないぞ?」 仲間B「それでもやんのが俺たちの仕事だ。見つけて殺す。これだけだ」 俺「わぁってるよ。仲間Fは? あいつ確か警察だったろ」 仲間B「そういや、そんなこと言ってたな」 ペテルブルグにいるはずの俺が遠く離れたブリタニアの地に訪れた理由。 それは今ここロンドンを騒がせている連続殺人鬼を秘密裏に消去することであった。 毒を以って毒を制す――そう思いついた、ある人物が彼をここまで呼び寄せたのだ。 仲間B「そうそう。依頼人が会いたがってたぞ? 顔でも見せに行ったらどうだ?」 俺「あの人は苦手だ。何だか俺のお婆ちゃんに似てるんだよ」 頭を掻き毟りながら懐から財布を取り出す。 死線を潜り抜けてきた歴戦の猛者をブリタニアまで引きずり出し、こうまで言わせる依頼人とは一体何者なのだろうか。 俺「それによ。気軽に入っていける場所でもないだろう」 仲間B「そりゃそうだろうよ。ちょっと通りますよって言って通れるほどの警備体制じゃあねえのはたしかだわな」 俺「許可証がなきゃ蜂の巣にされちまうよ。あいつら容赦ないからなぁ」 仲間B「率いてるのが第一次ネウロイ大戦のときにブリタニア最強戦力とまで言われたおっさんだ。誰であろうと突破できるとは思えねぇな」 俺「違いない。って……そろそろ行かないとまずいな」 大きく伸びをした俺が腕に嵌めた時計に目線を移す。かつて共に命を預けあった大切な仲間から贈られた あと二時間足らずで基地に行かなければ配属初日から遅刻という失態を晒してしまう。 仲間B「期限は一週間。見つけたら必ずブッ殺せ。まっ! 俺も見つけたら殺すから……どっちが先に標的消すか勝負しようじゃねぇか」 俺「お互いこれが本職みたいなもんだからな。まぁ、ベストを尽くそうじゃないか」 白昼堂々と物騒な言葉を口にする戦友にぶっきらぼうな口調で返した俺は勘定を置いてテラスを去っていった。 ――同刻、連合軍第501統合戦闘航空団ブリタニア基地、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐執務室内 差し出された書類を坂本美緒は何度も読み返した。凛々しさが占める整った美貌に刻まれた情は驚愕一色。 午後の訓練が終わるのを見計らったかのようにミーナに呼び出され、執務室へと入った彼女が受け取った書類には今日から一週間の間だけ501統合戦闘航空団の一員としてネウロイと戦う男性ウィッチの情報が記載されていた。 ただの補充要員ならば彼女も豪快な笑い声とともにミーナの杞憂を一蹴しただろう。 書類に添付された顔写真を見るまでは。 ミーナ「その人は既に魔力減衰を迎えてシールドを失っているのよ。でもガランド少将からの頼みである以上は……むやみに断るわけにもいかないし」 心臓が激しく脈を打ち、鼓動がはっきりと耳まで届いてくる。 逆に、困惑した様子で溜息をつくミーナの声がやけに遠くから聞こえた。 ミーナ「美緒? どうしたの?」 まるで全身を氷付けにでもされたかのように微動だにしない友人の姿にミーナは形の良い眉根を寄せて、彼女の顔を覗きこむ。 シャープな顔立ちは青ざめ、魅力的な黒い瞳は大きく見開かれていた。 坂本「そんな……馬鹿なっ」 男性ウィッチの名は俺。 かつての扶桑海事変で僚機を庇って墜落し、最終的には戦死者として処理された男。 今日このときまで戦死者の一人として記憶していただけに坂本は何かの間違いだと考えた。それとも、七年前に死んだはずの人間が時を経て現世に蘇ったとでもいうのか。 坂本「俺大尉……」 窓の外に視線を移す。 大空は茜から紺碧色へとその色を変えていた。 出会いというものはいつだって緊張するものだ。 だからといって、いちいちビクついていては始まらない。 「どうぞ」 扉をノックすると、歌手を思わせる澄んだ声が返ってきた。 凛として、それでいて耳にした者の心を柔らかく包み込む優しさも兼ね揃えた声音に綺麗な声だなと思いつつ扉を開けて、足を踏み入れる。 窓際の執務用デスクにつく女性とその傍らに控える女性の姿が目に入った。 「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」 執務用チェアに腰掛けた赤髪の女性は俺が胸中に押し込んでいた緊張をいとも容易く見透かした上で柔らかな笑みを作った。 どうやら彼女がここのトップらしい。なるほど穏やかな物腰や笑顔とは裏腹に硝子細工を思わせる澄んだ瞳には指揮官特有の強い意志の光が宿っている。 俺「ありがとうございます」 ミーナ「私が第501統合戦闘航空団の司令を務める、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」 俺「はじめまして、俺と申します。短い間ですがお世話になります」 後頭部に手を当て頭をさげる。 俺がその基地に配属された際に見せる恒例行事のようなものだった。 坂本「俺大尉……!!」 簡単な自己紹介を終えると、それまでミーナの傍らで控えていたもう一人の女性が足早に歩み寄る。 髪と肌の色から同じ扶桑の人間だと分かるが、俺はその女性と初めて会う気がせず、凝視していると見覚えのある眼帯を身に着けていることに気が付いた。 俺「その眼帯……まさか、坂本か?」 坂本「やはり、俺大尉でしたか」 最初はやたら綺麗な子がいるなと感心していた俺であったが、彼女の右目を覆う眼帯の模様から、自身に詰め寄る美女が遠い過去に出会った坂本美緒であると思い出し目を丸くした。 彼女とは片手で数えられる程度しか話したことはないが、まさかこんなところで再会するとは。 坂本「俺大尉……! あなたは、戦死したはずでは……!?」 そういえば俺は死んだことになっていたなと他人事のように思い出す。 俺自身顔見知りと再び出会うことになるとは予想しておらず、本当のことを話すべきかどうか悩んだが、 ミーナ「そのことで俺さんに伺いたいことがあります」 指揮官として素性の知らない者に隊員たちの背中を任せるわけにはいかない――彼女の瞳が無言でそう物語っているのを捉え、俺は今日に至るまで自身の軌跡を淡々と口にし始めた。 扶桑海事変の際に僚機を庇って墜落したこと。 運よく助けられ、意識と体力を取り戻したときには自分は既に戦死者として処理されていたこと。 扶桑を去り、傭兵として世界の各地を旅していたときにガランドと再会し、それ以降は彼女の私兵となり今日まで戦い続けてきたこと。裏の仕事を除き自身の今までを語り終えた。 ミーナ「(……この人は……)」 凄惨な過去であるにもかかわらず、当の本人が思い出話でもしているかのように楽しげな口調で語るためミーナは言葉を口にすることが出来なかった。 帰る場所に背を向け、かつての仲間からも死んだ人間として思われているというのに、どうしてこの男はこんなにも快活な笑みを浮かべることが出来るのだろう。 俺「そんな黙りこまないでくださいよ。確かにあいつらとはもう一緒に飛ぶこともできないと思いますが……今の俺には俺のことを家族だって言ってくれる子たちがいます」 胸に手を当て、瞼を閉じれば、これまで出会った多くの者たちの笑顔が脳裏に蘇った。 自分のことを友と呼び互いに背中を預け合った者、憎まれ口を叩き合う者。 中には志半ばに散っていった者もいれば、風の噂で幸せな生活を送っている者もいる。 俺にとって激戦地を駆け抜けてきたことで培った技量よりも彼、彼女らとの出会いこそ、今の自己を形成しているといっても過言ではない。 同時に幾多の戦友たちの存在が俺の誇りでもあった。 瞼を開き、だから寂しくはありませんよと付け加え白い歯を見せて笑う男にミーナは自然と口元に微笑を浮かべていた。人好きのする彼の笑みにつられるように。 俺「坂本も! そんな顔しないでくれ」 坂本「はい……」 快活な微笑を前に坂本の容貌に差し込んでいた影が消えうせていった。 もしかすると他人の影を吹き払う力を彼は持っているのかもしれないと感じつつ、書類をファイルに納めて席を立つ。 ミーナ「ではブリーフィングルームに案内します。俺さんにはそこでみなさんに簡単な自己紹介をしてもらいますね」 俺「……」 ミーナと坂本に挟まれる形で立ちつつ、九人分の好奇に満ちた視線を真正面から浴びる俺は居た堪れない気持ちを何とか押さえ込んだ。 俺「本日から一週間。ここ第501統合戦闘航空団でお世話になる俺です。よろしくお願いします」 まずい。 腹も痛み出してきた。 が、ここで情けなく腹を押さえる姿など見せるわけにもいかず、歯を喰いしばって堪える。 その際に顔が引き攣ってしまっていたのか、 「こ……怖いよぉ」 「リーネちゃん。大丈夫?」 などという小声が耳に届き、俺はなんとも居た堪れない気分を味わった。 すまんな。リーネという少女よ――と心の中で謝罪すると怯える彼女の顔が古い友人のそれと重なった。もしかして姉妹なのだろうか。 つい食い入る様に見つめると隣の小柄な女の子の影に隠れてしまった。 また怖がらせてしまったか、と少し反省。 「はいはーい! しつもんしつもーん!」 長い黒髪を左右で結ぶ少女――おそらくこの部隊の中で最年少だろう――が身を乗り出す。 今まで多くのウィッチと出会ってきたが、ここまで年齢が低いのは初めてだ。 ミーナ「もう……」 隣ではミーナが困ったような表情を浮かべつつも、瞳で答えてもらえないかしらと言っているように見えた。 俺「えっと」 ルッキーニ「フランチェスカ・ルッキーニだよ! ねぇねぇ!? 俺は虫とか好き!?」 俺「虫かぁ……」 少女――フランチェスカ・ルッキーニの問いに俺はしばし黙考した。 虫といえば傭兵時代食べるものに困ったときはよくお世話になったことがある。 だが、ルッキーニの問いは味覚とかではなく純粋に虫が好きか嫌いかのことだろう。それくらいの分別は俺にも備わっている。 俺「嫌いじゃあないな」 ルッキーニ「本当に!? じゃあじゃあ! 今度アタシと一緒に虫捕りにいこうよ!?」 同じ趣味を持った者が現れて喜んでいるのか。 楽しいよと続けて今にも駆け寄ってきそうな勢いの少女と俺との間にミーナが入り込み、残りの部隊員に視線を配る。 ミーナ「まだまだ聞きたいことはあると思いますけど、俺さんもペテルブルクからの長旅で疲れているので今日はここまでにしておきます。続きはまた明日にしましょう」 大人しく従いブリーフィングルームから出て行く少女たちの中に胡散臭そうな眼差しでこちらを見つめている者が二人いた。 上質な絹糸を思わせる金色の髪と丸いフレームの眼鏡を身に着けた少女と茶色の長髪を首筋に近い箇所で二つに縛った少女。 前者はどこか嫉妬じみた感情を瞳に宿し、後者は初対面の俺が見てもはっきりと分かるほどの警戒心を露にしている。 俺「何か?」 ペリーヌ「別にっ! 何でもありませんわ!」 視線を向けると顔を背けられてしまった。 その際に舞い上がった金色の髪から発せられた花の香が俺の鼻腔をくすぐった。 見た目を裏切らない、どこか上品な香り。 俺「ふむ。えっと……ペリーヌ・クロステルマン中尉だったな。そんなに俺が坂本の隣にいることが気に食わないか?」 ペリーヌ「なっ!? なななななな! 何を言っているんですの!?」 指摘を受けた瞬間にペリーヌの白い頬が一気に紅潮する光景を前に俺は得心が言ったかのように二、三度頷いた。 先ほどから隣に立つ坂本に対する視線。邪気がなく、あこがれとも好意とも判断できる熱い視線に俺は坂本美緒という女が既に自分の知る少女とは違う現実を察した。 他者を惹きつける魅力は師である北郷少佐から見事受け継いだようである。 俺「(わっかりやすいなぁ……この子は)」 ペリーヌ「冗談は、ほどほどにしてくれませんこと!?」 俺「いやだって。お前さん明らかにしっtもががが!?」 ペリーヌ「い・い・で・す・わ・ね!?」 返す言葉は少女の白く柔らかな繊手によって遮られた。 両手で口元を塞ぎ鋭い眼光を突きつけるペリーヌの剣幕に大人しく首を縦に振らざるをえなかった。 ふんと鼻を鳴らし、“まったく何て失礼な殿方なんですの!”という捨て台詞を吐いて去っていくペリーヌの後姿を見送っていると入れ違いに別のウィッチが俺の前に現れる。 先ほど自身に対して露骨なまでに警戒心を表していた少女だ。 バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルン。階級は大尉だ」 俺「よろしく頼むよ。大尉殿」 バルクホルン「正直に言おう。いくらガランド少将の命令とはいえ……私はお前を信じることはできない」 坂本「バルクホルン」 俺「大尉殿がそう感じるのも無理はないと思う。特に俺はもうシールドが張れないからな」 バルクホルン「ならば!」 俺「だからといって、おめおめと帰るわけにもいかないさ。俺にも俺の“仕事“がある。それに帰っちまったらフィーネの顔に泥を塗っちまう……それだけは避けたいんだ。悪いが一週間だけ我慢してくれ。期限が過ぎれば、もう会うこともないだろうしな」 バルクホルン「……好きにしろ。足を引っ張らないように努力するんだな」 俺「ご忠告ありがとう。お嬢さん」 俺の言葉に何を感じ取り、俺の瞳に何を見たのか。 拍子抜けしてしまうほどあっさりと踵を返すバルクホルンの背に小さく言葉を投げかける。 坂本「すみません、俺大尉」 俺「良いさ、自分の力は自分で示す。だから変に特別扱いなんかしないでくれよ?」 顔見知りだからといって気を遣ってもらう必要はない。 彼女たちの信頼を勝ち取るのは自分自身なのだから。 坂本「はい。俺大尉」 俺「あー……その大尉ってやめてくれないか? 俺はもう陸軍じゃないわけだしさ」 坂本「……分かりました。それでは改めて、よろしくお願いします。俺さん」 俺「こちらこそ、よろしく」 ミーナ「サーニャさん。俺さんを部屋に案内してもらえますか?」 ミーナがまだブリーフィングルームの隅に残っていた銀髪の少女に声をかける。 俺はその名を聞いた途端に何かが胸の奥に引っかかったような感覚を覚えた。サーニャ――初めて聞く名前ではない気がする。 サーニャ「私……ですか?」 エイラ「だったら私もいくゾ! こんな得体の知れない男とサーニャを二人っきりにさせるわけにはいかないからナ!!」 すかさず横に座っていた少女が立ち上がり、こちらを睨みつけてきた。 どうやら、ここの部隊の中では特殊な関係が構築されているようだ。 俺「得体の知れない男って……」 彼女から見れば今日突然上がりこんできた俺は十分得体の知れない男に見えるのだろうが、そう呼ばれた本人は胸の痛みを感じていた。 相手が可憐な少女だけに痛みがいっそう激しいものへと悪化する。 ミーナ「エイラさんにはお話があります。このまま執務室まで来てください」 エイラ「うぇ!? ここじゃ駄目なのカ……?」 坂本「なぁに。すぐ終わるさ」 エイラ「うぅぅぅ……おいおまえ!」 俺の前につかつかと歩み寄り形の良い眉を吊り上げ、睨みつける。 俺「ん?」 刃にも似た鋭利な眼差しを俺は何処吹く風と受け流して返した。 エイラ「いいか!? サーニャに手を出したりしたら許さないからナ!?」 一体自分はどんな風に見られているのだろうか。 顔を合わせて一時間も経っていないというのに。 俺「わかった。手なんか出さないから安心しろ」 エイラ「絶対ダゾ!? 絶ッッッッッ対だからナ!?」 俺「わかったから。坂本、ヴィルケ中佐。頼む」 エイラ「サーニャァァァァァァ!!!」 引き摺られるようにして部屋から連れ出されたエイラという少女の叫びが大分離れた廊下のほうから伝わってきた。 サーニャ「あのっ。エイラのこと……悪く思わないであげてください……エイラはただ……」 俺「……君のことを思っての行動だったってのは俺でも分かるさ。良い友達だな」 サーニャ「はいっ……!」 親友を褒められサーニャが柔らかな笑みとともに声を弾ませる。 その笑顔から彼女にとってエイラがいかに大切な存在であるかが伺えた。 俺「えっと……」 サーニャ「アレクサンドラ・V・リトヴャク中尉です」 俺「よろしく、中尉」 サーニャ「サーニャで……良いです。みんなにもそう呼んでもらっていますから……」 俺「あぁ。ってサーニャ……?」 サーニャ「……どうしましたか?」 俺「いや……なんでもない」 やはりどうも引っかかる。 随分前に彼女の名前を何かで知ったことがあるような気がする。 中々浮かび上がってこない記憶に首を傾げながら廊下を歩いていた俺が不意に足を止めた。 視線の先には開けっ放しにされた扉の先にある談話室。 俺「あ……」 サーニャ「どうかしましたか……?」 俺「いや。すごく立派なピアノだなぁって」 俺の眼差しの先には丁寧に手入れされた大きなピアノが艶やかな光沢を放っていた。 そういえばピアノを目にしたのはあの男性の演奏を耳にした日以来だな。 サーニャ「ピアノ……お好きなんですか?」 俺「聴く専門だけど……ってこんなやり取りをどこかでやったなぁ」 許可を得て談話室へと入り、ピアノへと近づく。 サーニャ「……私のお父様もピアノをとっても上手に弾けるんですよ」 俺「へぇ……って……ん!?」 サーニャ、ピアノ、お父様。 これら三つの言葉が一つのピースとなり俺の頭の中にあるパズルに音を立てて埋め込まれた。 俺「聞き難いことだけど……もしかしてサーニャの両親は」 サーニャ「ネウロイが侵攻してきた時に……はぐれてしまいました……」 そうか。やはりこの子があの夫妻の娘の“サーニャ”だったのか。 だとしたら、あの手紙も渡す必要がある。 俺「大丈夫か?」 不意に身を屈めるサーニャ。彼女の肩が小刻みに震えているのを見つけ顔を覗きこむと、 サーニャ「すみません……お父様とお母様の話でつい……」 エメラルドを思わせる翡翠色の宝玉に若干の涙が浮かんでいた。 いくら軍人とはいえ十四歳の少女だ。まだまだ親に甘えたい年頃のはずだ。 教えて欲しいことも、話したいことも沢山あるだろう。 彼女の白い頬を伝う透明な雫を拭い終えたとき、 エイラ「おい!!!!」 俺「ん?」 サーニャ「エイ、ラ……?」 静寂を破るかのように怒号が舞い込み、入り口を見てみると全身から憤怒の感情を露にするエイラが俺のことを睨みつけていた。 エイラ「サーニャっ!? お前……サーニャを泣かせたナ!!!」 俺「え?」 同じように振り向いたサーニャの瞳に涙が浮かんでいるのを見つけ、エイラは拳を握り締めた。 彼女の位地からだと自分がサーニャに手を出しているように見えていることに気が付き、あ、と呟く。 エイラ「よくも! よくも!!」 俺「待ってくれ! 俺は何もしてないぞ!?」 エイラ「うるさい! そんなこと信用できるか!! こいつ!!!」 サーニャ「エイラ!! 駄目!!!!」 エイラ「サーニャに! 手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 猛スピードで繰り出される剛拳が鋭い風切り音を奏でながら、俺の額へと向かっていく。 華奢な体躯の彼女のどこにこれほどまでの力が秘められているのだろうか。 重い衝撃が額に叩きつけられ、視界が大きく回転する。 頬に伝わる冷たい感触から床に倒れ伏したことが分かった。 暗くなっていく視界の隅で、倒れる自分に手を伸ばしながら、エイラに連れて行かれるサーニャの姿があった。 続く ※8.5話の最後に三話構成と書きましたが、プロットを見直したところ三話じゃとても足りないことに気付き、七話構成へと変更になってしまいました。
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異世界のウィッチ 異世界のウィッチ2 異世界のウィッチ3・その1 異世界のウィッチ3・その2 異世界のウィッチ3・その3 異世界のウィッチ3・その4 異世界のウィッチ3・その5 異世界のウィッチ3・その6 異世界のウィッチ3・その7 番外編 サーニャが部屋を間違えた 月下の二人 投下スレ 俺「ストライクウィッチーズだってさ」避難所 俺「ストライクウィッチーズだな」避難所 俺「ストライクウィッチーズだと思いますよね?」 俺「ストライクウィッチーズは砕けない」避難所 ※この作品は「作者の書きたいこと」が最優先しているため、 設定やこれまでの展開に矛盾点などが生じるかもしれませんが、 生暖かい目で見てやってください。 ―オールスターについて― ご自由にお使いください。 3キター応援!待ってたよ! -- 名無しさん (2011-01-27 20 55 43) ヒャッホー! -- 名無しさん (2011-01-27 23 54 05) やっぱり、面白いです! -- 名無しさん (2011-02-01 17 16 41) いやいや、俺は超待ってるからね かわいいサーニャをもっと見せてくれ -- 名無しさん (2011-02-26 13 35 31) 番外編でのサーニャとのいちゃいちゃも素晴らしいけど、本編の続きも気になるなぁ! -- 名無しさん (2011-06-19 23 44 05) コレ続きこないのか?書いてくれよ・・・・・・・・ -- 名無しさん (2011-09-20 16 20 56) 本編だけでも完結させてくれ、頼む・・・・ -- 名無しさん (2011-09-21 20 13 42) 続きはまだかー・・・ -- 名無しさん (2012-02-28 11 47 43) 続きカモン -- 名無しさん (2012-05-19 15 49 56) ミストさん的な俺だな -- 名無しさん (2015-11-09 11 57 02) 続きカモン! -- 名無しさん (2015-11-13 13 02 16) 面白い -- 朝日 (2015-11-20 23 26 07) 続編はよ -- 名無しさん (2016-01-08 00 25 20) 更新はよ -- 名無しさん (2016-02-15 13 22 17) 面白いから続編はよ! -- 名無しさん (2016-12-14 02 06 57) 本当に面白いから、続きをよろしくお願いします。 -- 名無しさん (2017-02-07 18 03 24) 避難所スレにリメイク版投稿されてるの今更知ったわ。相変わらずサーニャ可愛いし俺は前より性格柔らかくなってて好感持てるし、続きが見たいぞ -- 名無しさん (2020-04-02 18 26 58) 名前 コメント
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第弐話 『宮藤芳佳に誓います』~再結成ストライクウィッチーズ+1~ ~1950年 とある戦場 最前線基地 宮藤少佐自室~ 芳佳「すー・・・すー・・・zzz」 俺「こうして寝ている顔は、あの頃のまんまだな」 つい先刻まで思い出話を語り合っていた自らの主君を見つめながら、毛布をかける 俺「俺は・・・ちゃんとあの日の誓い通りに守れているのかな?」 彼女の身体には大小問わず、無数の傷跡が残っている 俺「何を弱気になっているんだ!誓ったんだろうが、全てを懸けてこの少女を守ると」 もう一度自分を戒めよう 彼女が「恥ずかしい誓い」と呼ぶ あの日を思い出して ~1945年 ロマーニャ 第501統合戦闘航空団基地~ お久しぶりです、宮藤芳佳です 突然ですが私は再び、ストライクウィッチーズとして戦う事になりました そこに至るまでの理由は死んでしまったはずの父からの突然の手紙や、親友であるリーネちゃんの危機 坂本さんの私を戦わせたくないという優しさ 私の誰かを守りたいという決意がありました 突然のネウロイの襲来による危機に絶体絶命の私達のために かっての仲間達が助けにきてくれた事 ミーナさんの努力もあって(具体的な事は難しくてよくわかりません) 私達ストライクウィッチーズは再結成されました あ、もちろん非公式にはだけど、俺さんも一緒です ――――――――――――――――――――――――――――― 芳佳「リーネちゃん、また一緒に頑張ろうね!!」 リーネ「うん!芳佳ちゃん!」 ルッキーニ「うじゅ~」 ルッキーニちゃんがこちらを警戒した目で見つめている シャーリー「どうしたルッキーニ?いつもみたいに芳佳の胸の成長確かめないのか?」 ルッキーニ「だって~、触ろうとすると・・・あいつが~」 そう言いながら近づいてきたルッキーニちゃんが私の胸を触ろうとした瞬間 カカッ ルッキーニちゃんのすぐ真下、どこからともなく手裏剣が投げつけられる ルッキーニ「ほらね~、私フソーニンジャきら~い」 シャーリー「あっはっは、相変わらず過保護にされてんだな、お姫様は!」 芳佳「もーう、その呼び方やめてくださいってばぁー!!」 ゲルト「久しぶりなんだ、顔くらい見せたらどうだ?俺」 シーン エーリカ「ププッ」 ゲルト「笑うなハルトマン!そして無視するな俺!」 ペリーヌ「相変わらず宮藤さん以外の命令は聞きませんのね、全く、こんな豆狸が姫だなんて、ちゃんちゃらおかしいで・・・」 カカッ 再び地面に刺さる手裏剣、一体何枚持ち歩いているんだろう? ペリーヌ「きぃ―――っ!宮藤さん!下僕の躾くらいしっかりしておきなさいな!!」 芳佳「俺さんは下僕じゃありません!」 芳佳「それと俺さん、みなさんに謝って!!」 どこからともなく、俺さんが音も無く現れる、一体どこにいたのだろうか? いつも気になる 俺「すいませんでした!」 ゲルト「宮藤に対してだけ、あきれる程忠実なのも変わらんな」 シャーリー「まぁともかく、これからもよろしくな、俺」 俺「・・・」 芳佳「俺さん」 ニコッ 俺「よ、よろしくお願いします」 ~同日 夜 ミーナ執務室~ ミーナ「ふぅ・・・」 姫の上官でもあり、ストライクウィッチーズの司令官でもある彼女は先程から机に向かい、大量の書類と格闘していた ミーナ「で、何か用かしら俺さん?」 驚いた、気配は消していたのに、ハルトマンは勘の良さ、リドヴャクは固有魔法で、ミーナは・・・年の功か?とにかく気配に敏感な奴が多すぎる流石は各国のエースを集めた精鋭部隊だという訳だ 俺「いえ、感謝の言葉を言いにきました」 ミーナ「あら珍しい、どういう経緯でかしら?」 俺「俺がここに・・・姫の側にいられるように、便宜を計ってくれた件についてです」 ミーナ「あぁ、その件については感謝される必要は無いわ」 ミーナ「非公式の忠実で強力な戦力がどれほど便利なものかは、ブリタニアの最終決戦時に十分に理解できたから」 ミーナ「これは取引のような物です、あなたをここに置く代わりに、天駆忍者の戦力を借りるというね」 俺「どちらにせよ姫が戦場に出る以上、俺も戦場に出なければならないのでそんな事は問題では無いのですが・・・」 ミーナ「そうね」 美しい司令官は微笑んでいる、そうか、俺がここにいられるだけの理由を・・・作ってくれたのか・・・ 俺「もう一度いいます、ありがとうございます」 それからの姫は朝には早く起きて朝食を作り、昼は訓練、その合間を縫って家事をするというブリタニア時代と変わらない日々を過ごしている 一見いつも通りに笑顔でひたむきに努力を続ける姫の姿が、俺にはどうしてもどこか無理をしているように見えていた そう、一郎さんから届いた手紙がまたしても生存の決定的な証にならないと知った時から姫の笑顔に少し陰を感じるのだ ある日、いつも通りに家事を終えた姫は、一郎さんから届いた手紙を手に、基地の外へ向かう ~滑走路~ ついて行ってはいけないと感じもしたが、何かあってからでは遅いので、尾行をする 職業上の事とはいえ、誰にでもある知られたくない部分を覗き見するというのはやはりいい気分がしないものだ 芳佳「・・・」 姫は滑走路の端に腰かけ、海の先を見つめている、やはりその目はどこか寂しそうに感じる 芳佳「俺さん、どうせいるんでしょ?」 姫にもバレている、忍者廃業しようかな 俺「はい」 芳佳「少し、お話聞いてもらっていいかな?」 黙って姫の隣に腰掛ける 芳佳「私ね、お父さんから2回目の手紙が届いた時、もしかしてって期待しちゃったんだ」 芳佳「私、頑張ったんだよ」 芳佳「お父さんとの約束を守れるように」 芳佳「その力を多くの人のために・・・」 芳佳「お父さんに・・・褒めて・・・もらえると・・・」 目から涙が溢れている、その先は言葉になっていなかった 空を駆け、世界のために戦っているとはいえ、彼女はまだ15歳の少女である 最愛の父が生きているかもしれないという可能性を示され、2度も裏切られたのだ、その衝撃は俺には計り知れない 俺「・・・」 いつの間にか、姫は俺にしがみついて泣いていた 俺には、泣いている女の子にどんな言葉をかけてあげればいいのか解からない どれくらいの時間が流れたのだろうか いつの間にか姫も泣きやんでいる 芳佳「俺さん、ありがとう」 お礼を述べる姫 芳佳「聞いてくれてありがとう、思いっきり泣いたらスッキリしたよ」 俺には何もできなかったのに、目の前で泣いている女の子の涙を拭ってあげる事すらできなかったのに 芳佳「俺さんは、いなくならないでね」 姫が望む、側にいてくれと 芳佳「いなくなったら・・・嫌だよ」 悲しむ彼女を救えなかった俺に、望む 芳佳「さて!そろそろ戻ろうか」 俺は、無力だ・・・何も守れていないじゃないか!! 立ち上がり、背を向け歩き出す姫に向け、俺は叫ぶ 俺「我が主君!宮藤芳佳に再び誓います!」 これは戒め、俺が誰よりも強くなるための 芳佳「え?」 姫が驚き振り返るが気にせず続ける 俺「彼方に降りかかる脅威を弾く盾となり!」 俺「彼方を悲しませる全てを払う刀となり!」 俺「彼方の流す涙を拭えるような強き男になる事を!」 俺「一郎様との約束を果されるその時まで!」 俺「彼方の為に生き!彼方のために死ぬ事を!」 俺「ここに再び誓います!」 もう、姫の涙を見たくないから ―――――――――――――――― 芳佳「え、えっと、それは私が『誰かのために戦う』事を助けてくれるって事?」 俺「は、はい」(あれ、伝わらなかったか?) お、驚いた・・・プ、プロポーズかと思ってしまった 私のために生きて、死ぬなんて言うんだから もう! 芳佳「その誓いは受け取れません」 俺「え!?」 芳佳「私のために死ぬなんて、絶対認めませんから」 芳佳「だから、宮藤芳佳が命じます、私のために生きてください」 跪いている俺さんに手を差し伸べる 芳佳「これからも、よろしくお願いします」 俺さんが私の手を握る きっと俺さんは知らないんだろうな、私の支えになってくれている事も そうだ、明日は俺さんの大好物の卵焼きを作ろう 喜んでくれるといいな ~1950年 とある戦場 前線基地 芳佳自室~ 俺「とりあえず、俺は生きている」 かって己の全てを懸けて守ると誓った少女は今なお、父親との約束を守り続けている 俺「そして、これからも・・・」 俺「もっと強くならないと」 ――――――――――――――――――― 俺さんが出て行った、また修練だろう 芳佳「大丈夫、ちゃーんと守れてるよ」 芳佳「ありがとう」 芳佳「よーし、今日の朝御飯は卵焼きにでもしようかな」 《次回予告》 ~1950年 とある戦場 前線基地 芳佳自室~ ガチャ 芳佳「お帰り、御飯できてるよ」 俺「あ、卵焼き・・・」 芳佳「えへへ」 芳佳・俺「「いただきます」」 芳佳「最近思い出話が多かったから思い出したよ、俺さんバルクホルンさんと卵焼きを巡ってケンカしてたよね?」 俺「そんな事もありましたね」 芳佳「それで模擬戦で決着つけよう!ってなって・・・ネウロイが襲撃してきて、私がピンチになって・・・」 芳佳「あー、思い出すなぁーバルクホルンさんと俺さんがキスしたのー」 俺「あ!あれは魔力補給のために仕方なく!!」 芳佳「はいはい」
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公式サイト→ストライクウィッチーズ 2008年7月 過去90日間に書かれた、ストライクウィッチーズを含む全ての言語のブログ記事 このグラフをブログに貼ろう! ブログ記事 #blogsearch2 ニュース記事 本格海戦ゲーム『蒼焔の艦隊』、『劇場版 ハイスクール・フリート』とのコラボイベント本日より後半戦開始! - PR TIMES 【誕生日占い】6月5日生まれ|性格や向いてる職業・2022年運勢は?有名人や出来事まとめ - マイナビウーマン 『文スト』『まどマギ』『ラブライブ!』など人気タイトルの限定・先行アイテムがいっぱい!冬コミケ・KADOKAWAブースの全商品情報が公開! - 電撃ホビーウェブ 「Pストライクウィッチーズ2HCL」「P大工の源さん超韋駄天ブラックCS」「PAギンパラ夢幻カーニバルHBA」「SデビルメイクライファイブXA」が検定通過 | 『遊技日本』 - 遊技日本 「シュタインズ・ゲート」フゥーハハハ! 今度のコラボは「アリスギア」だ! ティザーPV公開(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 魔女が空駆ける全方位シューティング『ワールドウィッチーズ UNITED FRONT』カウボーイ衣装のウィッチが登場!さらにアップデートで「信頼度」上限解放♪ - PR TIMES 玉置成実さん出演決定!12月5日(日)開催【超アニソンライブ2021】チケット発売中! - アニメイトタイムズ アニメ『ストライクウィッチーズ』空港見学ツアーが開催! - 電撃オンライン ストライクウィッチーズ シークレット・オペレーション 関西国際空港編 「守りたいから私は飛ぶ」【2日目】 - アニメハック 美少女Vチューバー 「表現の自由」論争過熱 - 産経ニュース 『ルミナスウィッチーズ』声優が次々脱落!? 相次ぐ“体調トラブル”によから?... - まいじつ 『アリスギア』×『ストライクウィッチーズ』コラボは8月26日15時より! - 電撃オンライン 「アリスギア」×「ストライクウィッチーズ」コラボが復刻。宮藤芳佳ら 3キャラをもらえる - 4Gamer.net フォワードワークス、『ワールドウィッチーズ UNITED FRONT』でウィッチ&メモカをピックアップ! | gamebiz - SocialGameInfo TVアニメ「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」の全てを収録したオフィシャルファンブック、本日発売!! - PR TIMES 7月21日(水)発売「ワールドウィッチーズ秘め歌コレクション‐デン・ヘルダー篇-」「ワールドウィッチーズ秘め歌コレクション-オラーシャ北西部篇-」のジャケット写真や収録内容が解禁! - PR TIMES 『ストライクウィッチーズ』シリーズより、宮藤芳佳、坂本美緒、ミーナ、フランチェスカのコスプレ特集!人気キャラのかわいい写真をお届け - アニメイトタイムズ 「ストライクウィッチーズ第501統合戦闘航空団歌唱集」発売記念ライブのチケット先行が5月14日より開始!「ワールドウィッチーズ 秘め歌コレクション」よりデン・ヘルダー篇とオラーシャ北西部篇が発売決定 - PR TIMES 『ストライクウィッチーズ』シリーズより、宮藤芳佳、ミーナ、坂本美緒、エイラなど女性キャラクターのコスプレ特集! - アニメイトタイムズ 第501統合戦闘航空団が歌うTVアニメ「ワールドウィッチーズ発進しますっ!」EDテーマと劇中のBGMを収録したアルバムが本日発売!「カラフルエブリデイ」の試聴動画が公開! - PR TIMES 【ストライクウィッチーズ】第501統合戦闘航空団の人気ランキングTOP12! 第1位はお姉ちゃんこと、「ゲルトルート・バルクホルン」【2021年最新投票結果】(1/2) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ TVアニメ『連盟空軍航空魔法音楽隊 ルミナスウィッチーズ』声優・古仲可奈さんがマリア・マグダレーネ・ディートリヒ役に決定! ルミナスウィッチーズ新アー写公開、3rdシングル発売決定 - アニメイトタイムズ 冬アニメ『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』第9話《501篇・その5》「501、陰謀動き出しちゃいます?」の先行カット公開!記録映画の内容に山場が無い、と懸念するハルトマンとシャーリーは…… - アニメイトタイムズ 「ストライクウィッチーズ」人気投票! あなたが一番好きな「501」のウイッチは?【アンケート実施中】 | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 『第501統合戦闘航空団 ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』のAni-Art 商品2種の受注を開始!!アニメ・漫画のオリジナルグッズを販売する「AMNIBUS」にて - PR TIMES 「くじ引き堂」にて、『ブレイブウィッチーズ』のオンラインくじが登場! 島田フミカネ先生によるレアなイラストを使用したオリジナルグッズに注目!! - PR TIMES 冬アニメ『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』第4話《502篇・その2》のあらすじ&先行カット公開!雁淵孝美(CV:末柄里恵)が配属される事になった第502統合戦闘航空団とは…… - アニメイトタイムズ TVアニメ「ワールドウィッチーズ発進しますっ!」EDテーマ&劇伴収録アルバムが発売決定! - PR TIMES 冬アニメ『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』第3話《501篇・その2》「501、お礼参り始めちゃいます?」の先行カット到着! 501部隊の再結成が頓挫しそうだと聞いた宮藤は…… - アニメイトタイムズ 『ストライクウィッチーズ』初のキャラ別アルバムより「サーニャ」「エイラ」「坂本」の収録内容・ジャケ写・新曲試聴動画を公開! - アニメイトタイムズ 冬アニメ『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』第2話《502篇・その1》「ひかり、選抜試験しちゃいます?」の先行カット到着! 雁淵ひかりは、一人前のウィッチになる訓練を受けているが…… - アニメイトタイムズ アニメ『ストライクウィッチーズ RtB』オーケストラコンサート開催へ! - 電撃オンライン 全12キャラクター別アルバム『ストライクウィッチーズ第501統合戦闘航空団歌唱集』より、ミーナ、ハルトマン、バルクホルンの収録内容&試聴動画公開 - ザテレビジョン 石田燿子が歌う、TVアニメ「ワールドウィッチーズ発進しますっ!」OPテーマ「Wanna Fly?」が2021年2月17日に発売決定! - PR TIMES アニメ『ストライクウィッチーズ RtB』10話。ベルリン奪還作戦が開始! - 電撃オンライン TVアニメ『ワールドウィッチーズ発進しますっ!』2021年1月12日よりTOKYO MX他にて放送スタート! 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37スレ 俺「ストライクウィッチーズですから。」762~768 762 :ウィッチーズが家族だったら 三日目:2010/12/15(水) 19 45 26.63 ID n6DMtpBI0 突然目が覚める。時計を見てみると深夜2時半。回りが真っ暗な理由がわかった。 もう一眠りしようとするが目が覚めてきてしまって眠れない。 水でも飲もうとリビングに向かったのだが電気がついている。誰か起きてるのかな。 ミーナ「あら、まだ起きてたの?」 中にはミーナ姉ちゃんがいた。ミーナ姉ちゃんはこの家のお財布担当だ。 両親は海外にいるため、毎月生活費と兄妹全員分の小遣いが振り込まれてくる。 本来は美緒姉ちゃんがやることなんだけど、のうき・・・細かい仕事は苦手だから ミーナ姉ちゃんに任せているらしい。 ミーナ「どうしたの?いつもはもう寝てるじゃない?」 俺「水飲みに起きただけだよ。姉ちゃんは?」 ミーナ「私はちょっと・・・家計簿の整理をね、それとあなたたちの お小遣いの分配もね」 そういえば今月の分はまだもらってなかったな。今日来たのか。 763 :ウィッチーズが家族だったら 三日目:2010/12/15(水) 19 49 53.13 ID n6DMtpBI0 ミーナ「はい、これがあなたの分よ。無駄遣いは控えてね。」 そういってお金を受け取る。姉ちゃんは大変そうだな・・・ 俺「よかったら、何か手伝おうか?」 ミーナ「いえ、もう終わるからいいわ。」 美緒姉ちゃんが父親代わりだとすれば、ミーナ姉ちゃんは母親代わりだな。 ミーナ姉ちゃんが言いながら肩をたたく。やっぱり疲れてるみたいだな。 俺「姉ちゃん、肩揉もうか?」 ミーナ「ん?ええ、お願いするわ」 姉ちゃんはそういって微笑む。 姉ちゃんの後ろに移動しようとすると・・・ 766 :ウィッチーズが家族だったら 三日目 支援感謝:2010/12/15(水) 19 54 59.88 ID n6DMtpBI0 俺「うわっ!?」 ミーナ「きゃ!? 大丈夫!?」 何かにつまずく・・・が転ぶ前に姉ちゃんに受け止めてもらう。 む、むねがあたってる・・・ ミーナ「大丈夫?怪我してない?」 俺「だ、だいじょうぶ・・・とりあえずはなしt」 ガチャ 美緒「騒がしいな・・・どうしたんだミーナ・・・」 美緒「・・・」 空気が凍る。ミーナ姉ちゃんと俺は事情を分かっている。でも美緒姉ちゃんから見たら 俺がミーナ姉ちゃんに抱きついてるという風にしか見えない。 美緒姉ちゃんなら説得すればまだ分かってくれるはず・・・ 768 :ウィッチーズが家族だったら 三日目 支援感謝:2010/12/15(水) 20 00 02.27 ID n6DMtpBI0 美緒「あー・・・邪魔したみたいだな・・・その・・・気をつけろよ」 そう言ってリビングから出て行く。すっかり勘違いされていた。 俺「待った美緒姉ちゃん!悪いミーナ姉ちゃん、また今度ってことで!」 ミーナ「ふふっ ええ、わかったわ。」 美緒姉ちゃんを追ってリビングから出る。急がなきゃ ミーナ「続きはまた今度・・・ね」