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その名の通り実況を休憩する編成のこと。 具体的には全日帯の子供向けアニメが放映される時間帯。 2010年春期・夏期は主に水曜日が相当する。 基本的に深夜アニメが見たいのに地上波では放映されないためAT-Xに加入する変態紳士にとって子供向けアニメはキッズかアニマでおkというスタンス。 また10代のアイドルが声優やっていても特に興味は無く、必然的に実況する気も自然に失せるため休憩時間となる。
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リリース 2007年8月8日 レーベル GIZA studio プロデュース 稲葉浩志長戸大幸 『休憩時間10分』(きゅうけいじかん じっぷん)は、宇浦冴香の4枚目のシングル。 作曲・音楽プロデューサーして稲葉浩志が参加している。 表題曲「休憩時間10分」の作詞は宇浦であり、宇浦の作った詞に稲葉が曲を付けるといった形で制作された。 収録曲 休憩時間10分作詞:宇浦冴香 作曲:稲葉浩志 編曲:葉山たけし 君がいた作詞:宇浦冴香 作曲・編曲:岡本仁志 休憩時間10分(Instrumental) タイアップ よみうりテレビ・日本テレビ系全国ネットアニメ『結界師』エンディングテーマ テレビ金沢『びービーみつばち』2007年8月度エンディングテーマ テレビ東京『PVTV』2007年8月度エンディングテーマ 名前 コメント
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ある日。 いつものようにソファで寝ていた鳴神は、近づいてくる気配で起きた。 だが、それが誰かわかった彼はもう一度意識を閉ざす。 少女は男の隣に座って本を読む。 小さな子供が、わざわざ親の近くまで絵本を持ってきて開くのと同じように―― 「……何してるんですか、支部長」 「ん? 何って、本を読んでいるんだけれども」 嘘だった。 「何で、ここで本を読んでるんですかっ!?」 「休憩時間にどこで何してようが私の勝手でしょうが」 男の隣に座っていた少女、水橋麻耶。少女と称すると怒る。年齢的には少女というより妙齢と言ったほうがいい。私の意志は読まれるわけではないから別にいいが。 普段、そこで本を読もうとする少女。茅原千草。こっちは年齢的には微妙だが、その外見、性格から少女と称するのがいいだろう。そもそも未成年の女性を少女というから呼称などどうでも。 「ど、どいてくださいよぅ」 「休憩時間にどこで何してようが私の勝手でしょうが」 先ほどと同じセリフを、今度は顔をあげて、楽しそうな笑みを浮かべて言う。 彼女とすごした時期はそれほど長くはないが、性格はある程度理解している。人の嫌がることをして、困っている姿を見ることに喜びを感じる、良い性格ではない。 対して茅原は優しく穏やかな性格だ。笑顔か困惑顔かが多い。良い性格であるのだが、ああいった類の者にいじられる可能性は高い性格だ。今こんなふうに。 「あう、ううぅぅ~」 「……わかったならどこか行けば? 本なんかどこでも読めるでしょうに」 また本に目を落とし、それでも口調は楽しげにしている。ちなみに言っておくが、休憩時間は規定で定められているわけではない。一応普通の企業の体裁を保っているため、一般職員は定められた時間に休憩を取っているが、あの支部長はいつも自分の好きな時間で休憩している。たまに一日中休憩をしているような時もあるが。 「わ、私はここで読みたいんですっ!」 「そう。なら床にでも座って読めば?」 必死な訴えをバッサリ切り落とす。いったい何が楽しいんだろうか。 「そ、そんなことっ!!」 「……彼、静かに寝たいようだけど」 茅原の大声に、鳴神がぴくりと動く。それを見た水橋が、にこやかな笑みを浮かべて彼女に告げる。普通、その言葉にその表情は組み合わない。 「あう、ううぅ……」 本を抱きしめ、恨めしそうに見つめる茅原。水橋はそれをみると、よりうれしそうな表情で本に視線を落とす。 「何やってるんだ、あの二人は……」 人形の研究が進まない中、席を外したと思ったら。 私はため息をつきながら、また研究室に戻った。
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「ユグドラシル~南と北の十字架~」 「休憩時間第一」 俺「小説って疲れるわー」 十字「あ、管理人だ」 俺「どうもw」 十字「ねぇねぇ、質問いい?」 俺「どうぞw」 十字「アンタ、第二話初登場の闇音・・・」 俺「だぁ~~~~!!」 十字「うお、いきなり大声出すなよ」 俺「闇福音月?誰それ?」 十字「あれ、知らないの?作者なのに」 俺の使い魔「第二話初登場の闇福音月は、作者の事ですよ」 俺「あ、おい!使い魔・・・・」 使い魔「何か悪い事しましたか?」 俺「・・・・・」 十字「で、何で、作者が小説に登場したんだよw」 俺「だってー、入りたくってー」 十字「そっか、第二話ではよくも雷を落としてくれたねw」 俺「ん?」 十字「逝って見る?」 俺「すぅいぃまぁせぇんでぇしぃたぁ」 十字「・・・・」 ドカッゴキッグチャッ 【ピー】(グロテスクな音声のため放送できません) しばらくお待ちください 十字「ではでは、皆さん、第三話も楽しんでくださーい」 使い魔「さようなら」 翌朝 【キモゴミ】として、管理人は捨てられた
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33◆休憩時間 1*空白時間 あの男がこちらを殺しに来る。それを躱し、こちらはあの男を倒す。 しばしの話し合いのあと、五人は傍若無人の提示した”最終戦”に合意した。 「では、時間は四時間後。それだけ頂きます」 代表して紆余曲折が宣言し、貰った休憩時間は四時間。 これは自分たちの回復時間を取ると言うより、相手の回復を阻止するための時間設定だ。 最悪、四時間後に延長を申し込むということもできる。所詮はルール外の口約束。使える手は、全部使う。 だけどその”手”を考えるにも時間が必要。 プラス現状の把握が大優先だという考えは、この場に生き延びた全員の共通認識だった。 それから彼ら5人は、改めて自己紹介をした。 ◆休憩開始より 三十分◆ 「……切磋琢磨だ。どうにも、戦いには目が無いようになってる。先手必勝とさっき手合って、結果、殺した」 「紆余曲折です。……さっきは変に音頭を取ってしまってすいません。僕が殺したのは猪突猛進さんです」 「一刀両断。青息吐息に致命傷を与えたのはあたしだ。キルカウントに入ってるかどうかはわからねぇけど」 「あー、優柔不断っす。心機一転を殺したのはオレだ。えーっと、そんで……」 「勇気凛々です。一望千里さん、軽妙洒脱さん、それに酒々落々を殺しました。わたしが、殺しました」 ハリボテの車を動かしてバリケードを作り、車止めの縁石におのおのが座ると、自己紹介が始まった。 自己紹介……といっても、実験の開始前に”自己”を奪われた彼ら五人が語れるのは、 与えられた四字熟語の名前と、誰と出会い、誰を殺したかということくらいしかなかったのだが。 切磋琢磨は少し重めに、紆余曲折は気持ち頭を下げつつ。一刀両断はサバサバと。 急な合流をした優柔不断は言いづらそうに。勇気凛々は誠実に真っ直ぐ、これまでの罪を告白した。 告白されたその罪――いや、正確には殺し合いの実験故、罪と言えるかは定かではないが、 ともかくその殺害報告を聞いて――三人と二人は、素直に驚く。 「やっぱり……みんな、誰かしらやっちまってんのか」 「俺は、一番殺しているのが君の連れのその少女だってのに一番驚かされたよ。一体何があったんだ」 一方は、生き残りの誰もが殺し合いを生き延びてきたという事実に。 もう一方は、目の前の小さな少女、勇気凛々が三人を死に至らしめているという事実に。 「わたしがやったのは確かです」 切磋琢磨に訊かれた少女は、少し目を伏せつつもやはり誠実に答える。 「でも、わたしにもよく分からない部分があるんです。ふわふわしていて、頼りないんです。 なぜわたしが《間違えて》しまったのか……ごめんなさい。今は、上手くお伝えすることができません」 「すまねぇ、タクマさん。凛々ちゃんもオレも、人を殺したときのことについては色々混乱してるんだ。 もうちょっと、考える時間をくれないか。あるいは、傍若無人は知ってるのかもしれないが……」 「ってことは――”ルール能力”がらみ、ってことかな。優柔不断さん、それに、凛々ちゃん」 「ああ、そうだ」 「はい、そうです。わたしたち二人は殺しをするに至ったその前に、同じ人物に接触している……。 傍若無人は確か、とくべつな名簿を。大まかなルール能力が記載されている名簿を持っていると言ってました。 その紙にあの人の、心機一転のルール能力が記載されていれば、謎に迫れるはずなんです」 「……なるほど。ルール能力が確定できないまま死んでしまったパターン、か……」 「どうする、紆余。俺はこの二人が嘘をついてるとは思えないが」 「僕もそう思います。・……分かりました。今からの決戦には関係ないことみたいですし。 それに二人ともすでに、殺しをしたことを”背負っている”。なら僕らからは、何も言わない」 「ハイパー感謝いたみいる。紆余くんだっけ、キミいい奴だな」 「ありがとうございます、みなさん」 優柔不断が、勇気凛々が、紆余曲折におじぎをする。 勇気凛々は後ろでひとつ結びにした長い髪の毛がくたりと前に垂れるくらいに深く。 ――切磋琢磨はその髪の毛に、洗い落としきれなかっただろう乾いた血の破片がいくつもこびりついているのを見逃さなかった。 身体についた傷も、その憔悴度も、五人の中でこの少女が一番多い。 三人を殺してしまうような・……どんな”戦闘”をくぐってきたのか。 彼はそれに興味があったが、今は他に優先すべきことがあった。 切磋琢磨は右を向く。ポニーテールを切ってさっぱりとした髪になった一刀両断がじっと目を閉じている。 「じゃあ、一刀両断」 「ああ」 自己紹介からだんまりを決め込んでいた彼女は目を開くと、持っていた日本刀をコンクリートに突き刺す。 《まるで水面に木の棒を差し込むかのように、するりと切っ先は入っていく》。そしてぱっと手を離すとそこで止まる。 彼女は他の四人に向けて、真正面からきっぱりと言った。 「これから、あたし達はあの男を倒すわけだが。その前に、聞いてほしいことがある」 「あー、オレもあんたにゃ聞きたいことがある」 と、遮って手を上げる者がひとりいた。優柔不断だ。彼は日本刀を指差し、 「その日本刀――空から落ちてきた。あれ、なんだよな。てことは」 「ああ」 「じゃあさっき、オレたちのことを知らないフリをしたのは……」 「ああ、嘘だ。それもこれから話す」 「……言い切るねぇ。随分かっけえこと。そんじゃ、聞かせてもらうとするわ」 いくつか質問して、一刀両断はそれに答える。 答えに納得したらしい優柔不断は、もう何も言わないよとばかりに両手を頭の後ろに組んで唸った。 一刀両断は一呼吸おいて、再び話し出した。彼女の戦いを。 「傍若無人と。あの男とあたしは、闘った。 そして、未だ不明なあいつのルール能力――その手がかりを掴んだんだ。 結論から言うぜ。”傍若無人には、ルール能力が効かないかもしれない”。 あの男の前では、全てが無になってしまうのかも、しれない」 それは一刀両断が紆余曲折や切磋琢磨と離れてから、彼らの下に戻ってくるまでの話。 青息吐息や先手必勝との戦い、傍若無人との対話、 さまざまなことに邪魔されて伝えられなかった、空白の時間について。 ◆休憩開始より マイナス二時間四十八分◆ あるべき場所から消えてた日本刀を探すために、あの時あたしは紆余たちから一旦離れた。 十分で戻るとは言ったが――実際のとこ、十分で戻るつもりは、なかった。 日本刀が見つかるか、あたしが日本刀を諦めることができるかの二択だった。 あたしのルール能力に使う刃物はこれじゃなくてもいいことは知っていた。 けどこの日本刀はあたしにとって、けっこう大事な物なんだ。 もともとあたしに支給されてたのは日本刀じゃない。これは猪突猛進の支給品だ。 あたしが偶然、一番最初にあの子に出会って。あの子と支給品を交換したから、あたしは紆余と戦うことができた。 そう考えるとどうしても必要だったんだ。とくに、猪突猛進のやつのことを忘れてしまいそうなのが怖かった。 馬鹿だよな。それだけ大切なら、すぐに取りに行けばいいのに。 でも大切なものって失って初めてその重さに気付くだろ、そういうものだろ。だからあたしは、焦ってたんだ。 焦って、独断で紆余たちから離れてまで、施設の中をかけずって。 そしたら案外早く、あたしはあの場所にたどりついた。 優柔不断、勇気凛々、お前らは知ってるよな。なにしろ”当事者”なんだから。そう、C-1の中央階段だ。 日本刀を探すのに、まず二階に行って一階に下りるルートを使ってたから、あたしは二階にいた。 ちょうどレストラン街のあたりだ。そこに着くのとほぼ同時だったかな、 中央階段の下から物音がしたから覗いたら、ちょうどそこの小さいのがふっとばされてくるところだった。 ――え? お前それで十五なの? すまねえ、干支一回りは離れてると思ってた。 とにかく着いたと同時にそれを目撃したあたしはすぐレストラン街に向かった。 適当な店を見つけて、中に入って包丁を取った。身を守るため、そして、もしもの時に他の参加者を殺せるように。 なるべく使いやすい、かつ刃渡りの長いやつを選んだ。 戻ってみると状況が変わっていた。傍若無人と凛々、お前が無謀な戦いをしてるのが見えただけじゃない。 階段の裏に新たな登場人物がいたんだ。そう、優柔不断、お前だ。 きっとあたしがレストランに向かってすぐ中央階段に着いたんだろうな。 お前はずいぶん長いこと震えていたみたいだった。 あたしが戻ってきたのは――びくびくしながら戦いを見てたその男が、ちょうどデイパックから獲物を取り出すところだった。 お前がこの日本刀を取り出した時、あたしのやることは決まった。 ――あたしは一刀両断。紆余曲折の盾だ。 そしてあたし自身としては、あたしは盾だけでなく剣も兼ねる必要があると思っている。 つまり、状況に応じて最善の対応をするってことだ。 目の前に三人の参加者が居て、そのうち一人があたしの目的の獲物を持っている。 紆余を優勝させるためにこの状況をどうするか。答えは簡単、全員殺すことだ。 そうだ、 あたしがお前を蹴り飛ばして戦場のただ中に放り込んだのは、凛々を助けさせるためじゃねぇ。 お前を傍若無人に突撃させて、殺すためだ。 準備は万端にした。 死んだお前から傍若無人が日本刀を取り上げたその瞬間にあたしがそれを奪えるように、 先に踊り場の手すりを包丁で《上手く斬って》、蹴りでがれきを下に落とせる状態にしておいた。 お前を突き飛ばして、傍若無人に殺させて……タイミングを合わせてがれきを落とし、 同時に二階から飛び降りて日本刀を奪い、傍若無人の首を獲る。 しかるのちに瀕死の勇気凛々も殺す。あたしはそのつもりだった。 まさかお前が《斬撃を無効にする》だなんてルール能力を持ってて、凛々を助けちまった上に、 傍若無人にまで一撃与えるだなんてあたしは思ってもいなかったんだ。 作戦は変更を余儀なくされて――傍若無人の意識を逸らすためのがれき攻撃が、 タイミングのずれでお前らを逃がす手助けになっちまって。 それでも、傍若無人から日本刀を奪うっていう本来の目的だけはなんとか果たせた。 で、ここからが。 ここからが、あたしとあの男しか知らない場面だ。 あたしの目的は変わらない。ここで一人でも多く殺しておけば後で紆余に有利になることは確定しているし、 さらに優柔不断のおかげで傍若無人は痛手を負っている。絶好のチャンスだと思ったよ。 すぐに駆けだした。相手は斧を持っていたから、まず一合、あたしのルール能力であの斧を《斬って》やろうとした。 問題はここからだった。 ”あたしの斬撃が――斧に弾かれた”んだ。 日本刀が。《何だろうと無条件に切り裂く》はずのこの日本刀が、あいつの斧には”通用しなかった”。 ……幸いこの初撃ではあたしはダメージを負わなかった。 タクマは気づいてるだろうが、《何でも切れる日本刀》には、これ特有の戦い方がある。 斬るのに力が全くいらないから、どちらかといえば逃げ腰で戦うのが正解なんだ。あたしとしては嫌な戦い方だがな。 まあ、このときはそのお陰で、日本刀が弾かれたときにはあたしは斧の攻撃線から逸れていた。 斧が地面を打った。 地面の、床のカーペットが割れて、その下のコンクリに突き刺さった。 構え直したあと、傍若無人はあたしの方を見て笑ったよ。そう上手くはいかないぞって言いたげな顔でな。 ――なぜ日本刀が弾かれちまったのか、だなんて考える暇はなかった。 そこからは防戦一方だ。ルール能力無しでの戦いじゃ、あたしは破顔一笑にすら通用しない。 手負いとはいえ歴戦の猛者に勝てるわけがねえ。 頑張ったとか誤魔化すこともしないさ、普通にボコボコにされかけた。 逃げ回って逃げ回って、致命的なダメージをどうにか防ぐだけの戦いだった。 絵面だけ見りゃ、ちょっと前の中央階段下となんら変わりねぇ。 凛々があたしに代わって、お前が挑んでは薙ぎ払われてたのが、あたしが逃げたり追われたりするのに代わっただけだ。 お笑い種さ。 最終的に、しっぽを掴まれた。 後ろ髪を引かれて吊り上げられた。 あの野郎、身長と腕力があるくせに乙女心ってもんが分かってねぇよな。 髪引っ張って吊り上げるとか屈辱以前に髪が傷んでしゃーねえっていう話だぜ。そんな場合じゃなかったけど。 つーか死ぬかと思った。 あの男がそこから斧を振るわずに、デイパックからあれを取り出さなきゃ――実際に死んでたよ。 ん? あれって何かって、お前、それに優柔不断も気にならなかったのか? あの場には明らかに足りないものがあっただろ。 無かっただろ、あるべきものが。人を人だと示すために、いちばん大事なものが。 首が。 そう、動けないあたしに向かって、あの男はそれを使った。 破顔一笑の、その頭部を。あたしの顔を《破る》道具として、死体の首を使ったんだ。 効果を試したかったんだろうな。まさか、あたしがそいつとすでに一回戦ってるとは思ってもみなかったんだろうよ。 笑顔のまま死んだ破顔一笑の顔があたしの前に差し出される。 あたしはそれに気づいた瞬間、目を瞑ってジャージのポケットからこれを取り出した。 二階に置いてあった誰かの――え、お前のだったのか、そりゃ奇遇だなまた。 えーっと、二階に置いてあった凛々のデイパックから拝借してあった、この手鏡を使ったんだ。 ふふ、用意がいいことだろ? あたしもここだけは自分を誉めていいと思ってる。 結局これが決め手になったからな。破顔一笑のルール能力は手鏡によって跳ね返されて、 奴自身の顔が《破れて》、首はただの首になった。 そうして出来た隙を使ってあたしはもう片方の手に握った日本刀で自分の髪を《斬って》、 傍若無人から解放されると全速力で走ったんだ。 全速で、全力で、傍若無人の前から姿をくらませるために娯楽施設の中を走り回った。 逃げて逃げて、逃げ切ったんだ。そりゃもうただただ純粋にな。 拡声器のバカデカい音であたしがB-2へと移動することになるのは、その少し後の話だ。 以上が顛末だ。 カッコよく助けているように見えたかもしれないけど、実際は酷いか情けないことしかしてない一刀両断の独白だ。 まったく、本当は隠しておきたいくらい恥ずかしい話だよ、でも、あたしはこれを伝えなきゃならなかった。 ”あたしのルール能力が通用しなかった”こと。そしてもう一つ。 あの男から逃げる時、あたしは確かにこの手鏡で破顔一笑のルール能力を跳ね返したはずだ。 なのに――”あの男の顔は破れなかった”。あの男も確かに、鏡に映ったそれを見たはずなのに。 だから、あたしの私見はこうだ。 あいつのルール能力は、おそらく。”自分に対するルール能力の無効化”だ。 これを踏まえた上で対策と作戦を考えねぇと……あたし達は、一秒かからず殺されちまうと思うんだ。 ◆休憩開始より 一時間◆ 「……どう思う、凛々ちゃん」 「何についてですか。さっきの話なのか、もっと前か、それともちょっと前のことか」 「全部だよ全部。オレたちが考えなきゃいけないのは全部だ。きっと一つでも思考停止したら、死ぬぜ」 「そうですね……。わたしもそう思います、優柔不断さん」 傍若無人からの一方的な最終戦の宣告から一時間。 彼が語る”脱出の方法”という撒き餌につられる形で共闘を決めた五人の参加者は一通りの情報交換を終え、 三時間後に迫る決戦に向けてグループ別に固まって休息を取っていた。 円形に並べたハリボテの車が形作る防衛サークルの中、東の端に紆余曲折と一刀両断のペア。 少し離れて真ん中に切磋琢磨、そして西の端に、優柔不断と勇気凛々は居た。 二人は赤い車に体を預けるようにして、すこし離れて座っている。 「まずは、さっきの一刀両断の話についてからだ」 優柔不断は隣の同行者の少女へ顔を向けると、しゃべらないと落ち着かないといった様子で話し出す。 「あれを……あいつが語った話を、オレたちは本当に信じていいのか? ルール能力が効かないったってよ、聞く限りじゃもう残ってる奴の中で傍若無人に通用しないのはあいつの《一刀両断》だけだろ。 切磋琢磨さんのルール能力も、紆余くんのルール能力も対象は傍若無人自身じゃねえし、オレたちのもそうだ。 《一刀両断》が効かないってのは確かに重要な話だけど、自分が戦いたくねーから嘘ついたと思われても仕方ねーぜ」 不安げな表情でそう言った優柔不断を見て、もっともな反応だ、と勇気凛々は思う。 凛々自身も一刀両断の発言には疑問を呈している。 そもそも傍若無人による放送以前に彼女が自分たちに出会ったとき、彼女は自分たちのことを知らないフリをしたうえ、 自分たちを危険人物と断じるかのように振る舞って話し合いの余地をつぶそうとしていた。 さらに先の話では、自分たちに関して、傍若無人を殺すための囮に使ったことを告白してきたのだ。 明らかな悪意がそこにはあって。勇気凛々はこれまで、そういうことをする人を悪い人だと断じてきた。 だから彼女の話を真正面から信じろだなんて、普通なら到底無理な話だ。 けれど。……悪い人が必ずしも悪いことばかりするわけではないことを、少女はすぐ隣に座る男から学んだばかりなのだ。 「わたしは――そうは思いません」 「マジか。信じるってのか?」 「いえ。話自体には、わたしも素直に賛同できかねるところがあります。傍若無人と打ち合ったのはわたしも同じですが……、 ”あの人の斧が床のカーペットごとコンクリを割った”というのは少し、納得できません。そこまでの力があったかどうか」 「作り話かもしれない、ってことか」 「これだけじゃ判断できませんけどね。わたしの《りんりんソード》は、わたし自身は軽く扱えるんですが、実際はかなり重い武器。 一刀両断さんが日本刀であの斧と打ち合うのとでは勝手が違うでしょうし。それに、わたしが違うと思うのはそこじゃないんです」 「……?」 「あの人は……一刀両断さんは、自分のために嘘を吐く人じゃない気がするんです。 自分が戦いたくないって理由で嘘はつかない……嘘を吐くにしても、何か、誰かのために吐いている」 「はあ? どうしてそう思うんだ?」 「上手くは言えませんが、あの人もわたしと同じで……うーん、すいません、言葉にするのが下手で。 ともかく一刀両断さんは自分のことを、紆余曲折さんの盾だと言っていました。 わたしたちに対する行動もすべて紆余曲折さんのために行ったことだと言っていました。だったら……」 会話を一旦止め、少し離れたところにいる一刀両断を二人は見る。 彼女は紆余曲折と何かを話しながら、彼の顔に巻かれた包帯を新しいものに取り換えているところだった。 破顔一笑の恐ろしいルール能力をもろに食らったという少年の顔は遠目に見てもひどい有様で、 顔のいたるところがずたずたになってしまっている。目も閉じたまま、もう開かず、何も見えないのだという。 ――放送はもう過ぎた。 破顔一笑の名前もちゃんと呼ばれた。しかし、紆余曲折の顔はまだ傷だらけだ。 この事実は二人にとってとても重要なことだった。激辛団子の痛みを癒しながら二人が行っていた推理では、 現時点で紆余曲折の顔は治っていなければならないはずだった。 もちろん理由はいくらでも思いつく。効果が消えても傷は消えない場合。心機一転のものだけが特別だった可能性。 だがあまりにも不確かだ。ふわふわしている。一刀両断の話の真偽と同程度に、これも答えの出ない問題なのだ。 そしてその答えを出すには……。 優柔不断は再び勇気凛々の方を向いて、そのほっぺたをつんと人差し指で付く。 「わっ」 「おー、さすがにぷにぷにしてるじゃん」 「ち、ちょ、やめてくださいっ! なにするんですかいきなり」 「いやすまんつい弾みで」 「斬りますよ」 「それは殴りますよのノリで言っていい言葉じゃないぞ凛々ちゃん!」 むすっとして睨んでくる勇気凛々に半笑いで返事をして、優柔不断は両手をホールドアップする。 「えーっとだな、それはそれとして! どっちみちオレらにゃ傍若無人の能力を推理することなんかできないんだ、 共闘すると決めた以上疑ってばっかもよくないだろ。一刀両断の話は保留にしようぜ。 今はただ、来るべき決戦に備える時間だろーとオレは思う! 無駄な争いはやめようやめよう」 「ええ確かにこの《りんりんソード》であなたを斬っても《斬れません》。 ですがわたしのストレスは発散されますよね? それって十分、あなたを斬る理由になると思うんです」 「おいおいソード出さないでー! 凛々ちゃん、君は一番疲れてんだからオレのひざまくらで寝るべきだと思う! いやむしろオレが凛々ちゃんのひざまくらで寝たいかもしれない! これっていい案だと思いませんかね奥さん」 「そういうのは全部終わった後にしてください。 大体、五対一とはいえ、わたしたちで傍若無人を倒せるかもわからないのに、遊んでる時間なんて……」 「倒せるさ。いや、倒す」 不意に別方向から聞こえた声に、二人は一斉にそちらを向いた。 さっきまでバリケードの中央で座禅を組んでいた赤髪の格闘家、切磋琢磨が二人を見下ろすように立っている。 その目は紅く燃えているように見える。自力、プラスのルール能力で鍛えられた身体から放たれるオーラも、燃えている。 呆然とそんな切磋琢磨を見やる二人を真っ直ぐ見据えて、切磋琢磨はもう一度言った。 「倒す。俺が。傍若無人は俺が倒す。 老師の仇でも、あの男がジョーカーだからでもない。 あの男を倒せば脱出できるかもしれないとか、その真偽すらもはや、関係ない。 俺が強くなったことを――正しく強くなったことを証明するために。俺はあの男を倒さなければならないんだ」 「タクマさん?」 「だから休む間もなくてすまないが、君たち二人には協力してほしい」 脇を締め、足でとんとんとリズムを取る。右手左手にはボクシンググローブ。構えは小さく、”待機”。 切磋琢磨は明らかな戦闘前体勢を取りながら、いまだ事態が呑み込めない二人に向けて説明した。 「俺のルール能力は《戦うたびに強くなる》能力。そしてそれは、《一人一回》《対象からダメージを受けた時に》発動する。 今から俺と君たち二人で、本気の練習試合をしたい。俺はまったく手を抜かないから――俺にダメージを与えてくれ」 「あ、あんたにオレと凛々ちゃんでダメージを!? 無理だろ、あんた聞く限りすげー強いんだろ!?」 「わかりました、やりましょう」 「凛々ちゃあん!?」 「どのみち今のあなたにすらダメージを与えられないようでは、最終決戦でわたしは役に立たないでしょうから。 不束者のわたしで良ければ、お手合わせ願います、切磋琢磨さん」 「ああ。じゃあ、始めよう」 「ちょっと待てオレの意思はぐえっ!?」 風が吹く暇すらない速度で距離を詰めた切磋琢磨は、 セリフを言い終わる前の優柔不断の首に手刀を振りおろし、気絶させる。 はらほれひれはれ、古典的なフレーズを呟きながら一回転し、優柔不断は車にもたれかかるようにすとんと倒れこんだ。 一人を仕留めた切磋琢磨はもう一人の少女がいる方を見る。 何も居ない。 上か。 「《りんりんソード》ッ!」 「むっ――!」 左。 地面に向けてソードを《出現》させ、その反動で小さな体を跳ばしていた勇気凛々が、再度の跳躍で切磋琢磨に迫る! 咄嗟に防御の構えに切り替え、筋肉硬直させた腕を前に突き出す切磋琢磨、 その腕に向かって、全力で振り下ろされた《りんりんソード》が火花を上げてぶち当たる――! 両者は目線を交わして、お互い高揚の笑みを浮かべた。 せっかくの休憩時間だというのに、此処から少なくとも一時間、優柔不断が気絶しつづけ、その眼前で練習試合が行われた。 最期通牒 前のお話 次のお話 休憩時間2 用語解説 【練習試合】 大会などを想定して同一ルールで行う模擬演習のこと。試合の練習。 はからずも、作中では試合っていうか殺し合いの練習の意味となっていて掛詞になっていた。 今気づいた。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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35◆休憩時間 3*女子戦陣 ◆ 休憩開始より 三時間◆ 一、二、三、四、五。 六。 七回目の鍔迫り合いを終えたあと、勇気凛々は一刀両断に向けて言った。 「やっぱり。あなたは乱れていないですね」 「……お褒めの言葉と受け取っちゃうぜ?」 「誉めていますよ。でも、分かりません……どうして……どうしてあなたは、そんなに」 ”ガールズトーク”は一方戦。強いて言わずとも少女が劣勢。 少女は一滴の汗が頬を伝うのを感じながら、もう一回《りんりんソード・凛》を握りこむ。 くらくら、ふらふらと視界が揺れる。度重なる戦いによる疲れも少しはあるが、最も大きな理由は少女自らの精神にあった。 人に刃物を向けている、ということ。 ヒーローを志して偶像の見様見真似をしていた実験の開始当初には考えてもみなかったその重みを、 自らの手で三人を殺した――殺してしまった今の勇気凛々は、苦しいほどに感じているのだ。 現在一刀両断と行っている”ガールズトーク”は人の死なない茶番にすぎない。 でも両者の手に握られているのは、プラスチックやビニールで出来た模造品などではなく、本物の刃物だ。人を殺せる、殺器だ。 ほんの半日前まで一般人のつもりだった少女がそれを握って……簡単に凛と出来るわけがない。 「落ち着けよ、凛々。凛とするんじゃなかったのか? 手が震えてる、呼吸も乱れてるが」 対して……臨戦態勢を崩さないまま、軽い調子で少女を煽る一刀両断は、心も体も全く動じていない。 集まった五人のなかで唯一直接人を殺していないからだろうか? いや、違うと少女は断じる。 目の前に立つ女の人には迷いがない。殺すのも、闘うのも、生きるのや死ぬのにだって、きっと迷うことなく応じる。 もう死んでいるって思ってるから、捨て鉢に。まだ生きているはずなのに! 「ここは殺し合いの場だ。もしこれが”ガールズトーク”じゃなかったら。 あるいはタクマとのさっきのレクリエーションが、本番だったら。お前はもう三回は死んでるな」 「……否定はしません。できません。言葉でいくらカッコいいことを言ったって、わたしは弱いままです。 そんなに急には、変われません……でもあなたは、変わったんですよね? 聞く限りでは、それはもう手のひらを返すように、紆余曲折さんのために自分を犠牲にすることを即決で選んだと」 「ああ、そうだ」 「どうして。どうしてそんなに簡単に――自分を捨ててしまうんですか」 言いながら駆け、肩をいからせ力をためて、右手で握った《りんりんソード》を強く振る。 一刀両断は軌道上に日本刀をかざして防御するが、勇気凛々は刃と刃が触れ合う前にするりと剣を消滅させた。 「《りんりんソード》ッ!」 「お、っと」 勢いで一回転し、一刀両断に背中を見せつつ左手に再出現させた《りんりんソード》で再度横薙ぎ。 防御刃を下にスライドさせてどうにかこれを一刀両断は防ぐが、タイミングをずらされた所への一撃は身体をしびれさせる。 「まだですっ!」 すでに右手は高く挙げている。消滅・再出現、少女の剣は再度右手に握られ、無防備な一刀両断の頭を狙う! 左と右の瞬時入れ替えにより擬似的に作られた二刀流――《凛の型》で初めて使えるようになった少女の真骨頂だ。 しかしそれすらも冷静に対処される。 「よっと……ん、だいぶ”切り替え”タイミングが良くなってきたな。だが」 防御が無理とわかれば、バックステップで回避に映るだけ。 空しく空気を裂く《りんりんソード》の切っ先を見て、選評を吐く余裕すらある。 距離を取った一刀両断は、両手で握った刀の鍔を腰へ当て、体勢を沈める。居合の構え。対し勇気凛々は左の剣で突きを出す。 狙いはしっかり真ん中で。 教科書通りで、読みやすい。 「あたしの番だ」 一刀両断は突きの刃に向かって刀を斜め上方に振、らない。 「!」 片手を柄から外して、少女の刃に向かって手の甲を叩きつける動作。 驚く少女。 手の甲は空を切る。 そこにあった剣は消えている。 突きの剣は最初から囮にするつもりだったのだろう。先と同じように。同じじゃだめだというのに。 一歩踏み出した一刀両断は、乱暴にもう片手を振り――そちらに握っている日本刀を勇気凛々に向かって叩きつける。 「っ!」 「出現と消滅を繰りかえす《りんりんソード》で二刀流、悪かない戦術だ。だけどま、効くのは初見までだよな。 スピード良く次の動作に映るために、剣を持ってないほうの手も剣を持ってる時と同じように動かさなきゃならねぇ以上、 両手をしっかり見てれば何をやってくるか予測できちまう」 慌てて防御に回る勇気凛々の《りんりんソード》と、一刀両断の日本刀がかち合い音を鳴らす。 もう一歩踏み込みながら一刀両断は、両手で日本刀を握りなおしてさらに押し込む。苦しそうな表情で、勇気凛々は唇を噛む。 女性同士といえど、小さな勇気凛々と紆余曲折より背の高い一刀両断。 体格の差による力の差は覆せない。徐々に剣をいいように動かされ、八回目の鍔迫り合いの体勢へ。 こうなればもう、剣を消滅させたり出現させたりする小細工は通用しない。 「あたしがなんで簡単に自分を捨てたか、って聞いたな」 カタカタ音を立てる刃と刃の交差の向こう側、一刀両断が少女に向かってそっと言葉を差し込んだ。 「それはな。……そうしないと生きていけないからだよ、お嬢ちゃん。ここだけじゃなくて、どんな場所でもな。 お前ももうちょい大人になったら、きっと分かっちゃうかもしれないぜ」 「……わたしは。わたしにはやっぱり、分かりません」 「いや、でもな――」 「あなたは何故、”本当のことを言わないんですか”っ!」 吠えると同時に膠着が終わる。 一刀両断の日本刀が勇気凛々の剣を払い、大きく振りかぶられる。 問いには答えず、一刀両断はそれを振り下ろした。逃げられない。不恰好な体制で、《りんりんソード》を横にして防御。 また振り上げて。いつかの少女のように、身動き取れない相手に向かって――振り下ろす。 勇気凛々は強い打ち込みに堪えながら防御態勢を続けるしかなくなった。眉間にしわをよせ……その状態から、まだ叫ぶ。 「響いてきませんっ」 「なにが」 「言葉がです! 文字が! あなたの紡ぐ言葉からは、心が伝わってこないんですっ! どうしてですか……こんなに潔くて、なんでも決めてしまえて、後ろを振り返らないあなたが、なんでそんなっ!」 「よく分からねーな。どうしてそう思う」 「あなたは、わたしたちを助けてくれたからですっ!」 「……」 「あの中央階段で、優柔不断さんに助けられたとき! わたしはもう辛くて苦しくて、わたしを殺してくれる人を求めてました。 三人殺した自分は汚くて、醜くて、最低でっ。こんな自分は捨てたくて! だけどほんとは生きたくて……! わたしを終わらせてくれる人を、自分勝手に求めてたんです! でも、優柔不断さんはわたしを殺さなかった! わたしのままで生きていいんだって言ってくれた。 こんなわたしを許してくれた……そんな優柔不断さんをわたしと引き合わせてくれたのは、あなたなのにっ!」 「……あれは偶然だって言ったろ。ホントはお前ら二人とも殺すつもりで」 「わたしたち二人を殺すつもりなら! あなたはあんな回りくどいやり方はしないですっ!」 一刀両断の眉がぴくりと動いたのを、勇気凛々は見逃さなかった。 攻撃の手は止まないが、その雨の中の一瞬一瞬の隙間を縫って息を吸い、言葉を吐く。 「さっきの作戦会議や、最初の情報交換で話を聞いて、そして闘ってみて。 頭の固いわたしでもきっと、すこしは一刀両断さんのこと、理解できたんじゃないかって思います。 あなたは頭もいいし、判断力もすごいし、なにより行動を起こすのに躊躇いがない。 だったら、って考えてみました。……だったらあなたなら、わたしたちをあの時、もっと簡単に殺せたんじゃないかっ、てっ」 ついに耐え切れなくなり、《りんりんソード》を取り落とす勇気凛々。 それを確認すると一刀両断は、涼しい顔でもう一度日本刀を振り上げ、そこで――いったん刀を止めた。 勇気凛々を見る彼女の目は挑発していた。 文句があるなら、言ってみろと。 ――言われるまでも無かった。勇気凛々は自らの推測を、息切れしながら話し出す。 「あの時。あなたの話であなたがわたしたちを見つけた時。 わたしは傍若無人に挑んでは返り討ちにされていて、優柔不断さんはそれを見て足を震えさせていました。 あなたは日本刀を手に入れた上で、この三人を全員殺そうとしていた。そうですよね?」 「ああ」 「なら、なんで”優柔不断さんを殺さなかった”んですか……? 日本刀を持っていたのは優柔不断さんです。そして優柔不断さんは階段下の目立たない場所に居ました。 最初に優柔不断さんを殺して日本刀を手に入れる。その後、傍若無人がわたしにとどめを刺す隙を見計らって、 傍若無人を殺す。最後に瀕死のわたしを殺す。こうするのが一番てっとり早かったはずです」 「バカかよ、あたしがそのとき持ってたのは包丁だぜ」 「”だから優柔不断さんには刃物は効かなくて、殺せなかった”――? それこそ、おかしいです。矛盾してます。 なぜなら、そのときのあなたはもうすでに、わたしのデイパックを漁り終えてるんです。 ”わたしのデイパックの中に入っていた、心機一転さんのボウガンを手に入れている”んです。 断てないならば矢で貫けばいい――そう考えることは、あなたなら簡単なはず。そうでなくとも、後ろから首を絞めればいい」 「……叫ばれたらあたしの存在がバレるけどな?」 「それだけじゃありません。あなたはさっき、”優柔不断さんがわたしを助けられるとは思ってなかった”と言ったとき、 ”あんなルール能力があるなんて知らなかった”とも言いました。 だからあなたはまだ一回も、優柔不断さんに刃を向けていないはずです。どうして嘘をつくんですか」 あえて嘘でないとするならば、刃を向けはしたものの、《包丁が通らない》ことに驚いて思わず蹴ったという以外にない。 ルール能力が《刃物が通用しない》だと知ったのはその直後のことで、蹴った時点ではそれがルール能力だとは思わなかったと。 だがもしそうだとするなら、今度はその後の動きに支障が出てしまう。 最初から優柔不断を殺すつもりでいたならば、二階の柵に切れ目をいれておく必要はない。 優柔不断を殺して日本刀を得たあとは階段の裏に隠れていればいいだけだ。 蹴ったあとに急いで階段を上がり、広範囲の柵に切れ目を入れる? 時間的に無理だ。 つまり。勇気凛々の推測が正しければ。彼女は最初から優柔不断の背中を蹴るつもりだった。 それはおかしいと、勇気凛々は声を荒げたのだ――だが。 「別に、あたしの取った作戦が間違いだったわけじゃねーよな? ただ……あたしのキャラじゃないってだけで。 もっというなら凛々、お前の中の”あたし像”が、”一刀両断はそんなことしない”と言っているだけにすぎないわけだ。 現実は国語の問題じゃない。そんときのあたしの感情くらい、あたしに決めさせろよな」 どれだけおかしな行動だろうと、勇気凛々の推測は証拠のない言いがかりに過ぎない。 一刀両断は、少女の言い分を認めなかった。 「それに――国語の問題だったとしても大間違い、でっかい×印だ。前提からしてありえないんだよ、 ”紆余曲折の盾であるあたしが、紆余以外の参加者を助ける”だなんて――裏切り行為だ、それこそ」 「……それは」 さらに、刃を下ろし、くるり背を向けた一刀両断が勇気凛々に向けた言葉は、少女の心の虚をついた。 確かにそうなのだった。紆余曲折のために動いているはずの彼女は、 ぼろぼろになっている参加者を見捨てこそすれど、助ける理由はないはずだ。 回りくどい作戦をとったのも、色んな参加者を傍若無人にぶつけることで観察しようとしたのかもしれないし、 単純に勇気凛々の言ったような策を思いつかなかっただけかもしれない。外からの観察だけじゃ、当人の心までは分からない。 今、一刀両断が嘘をついたのも、勇気凛々の話を早く終わらせるために適当に返事していたからともとれる。 いくらでも。万華鏡のように。 誰かの”行動”ひとつを取り出して、その”理由”づけをすることは、簡単すぎるがゆえに複雑だ。 「分かったら、戻ろーぜ。もう大分”最終戦”での動きの確認も出来ただろ。傍若無人を倒して、さっさとこんな実験を終わらせる。 それが今のあたしたちに出来る、いちばん単純でいちばん大切なことじゃねーかな?」 「……まだ、何も分かってないです。わたしはあなたのことを何も分かってない」 「無理に分かろうとする必要なんてあるのか? 分かって、それで、なんになるんだ。 お前が満足するまであたしはお前の戯言に付き合わなきゃならないのか? ガールズトークにも限度ってのがあるんだが」 でも、響いてこないのだ。 勇気凛々には目の前の一刀両断の言葉が、冷たい仮面を通した機械音声に聞こえる。 話せば話すほどにその思いは強くなっていった。今の一刀両断は、おそらく間違いなく無理をしていて。 その無理を道理で捻じ曲げようと、必死で仮面をかぶっている。だから声が響かないし――こちらの声も届かない。 けれど。勇気凛々はまだ、一刀両断に言ってないことがあるのだ。 伝えなければいけないことが残っているのだ。そしてそれを行うには、彼女の仮面が邪魔なのだ。 「それでも」 勇気を振り絞って、少女は言う。 「わたしはあなたに。一刀両断さんに、ありがとうが言いたいんです……! どんな意図があったにせよ――あの時わたしが助かったのは事実だから。”助けてくれてありがとう”って言いたいんです。 なのに、殺すつもりだったなんて言われたら。素直にこんなこと言えないじゃないですかっ!」 「……ああ、そうかい。そりゃ、悪ぃな」 「だから、どうして。どうしてそんな辛そうな顔をするんですか……? なんで本当のことを言わないんですか? 言いたいことがあるなら言えばいいってわたしには言うのに、どうしてあなたのことは教えてくれないんですか。 考えたくない――絶対に信じたくないですが。まさか、あなたは、わたしたちの、て」 「あーストップ。そこまでだ」 一閃。ざっと踏み込んで振り切られた日本刀が、勇気凛々の眼前3センチメートルに軌跡を残した。 少女の前髪が数ミリばかりカットされ、細い木の葉のようにはらりと舞う。一刀両断の表情は、変わっていない。 「っ!」 「駄目だぜ、凛々。それ以上勝手な推測をあたしに対してぶちまけるようなら、あたしはお前を斬らなきゃならない。 こんな場所で。今。”こと”を構えることはお互いにとって得策じゃねーと思うけど、どうだ?」 「……それはあなたの信条ですか。それともそれが、今のあなたの真実ですか」 「ノーコメント。じきに分かる。だからお前は、それまで待て」 一刀両断はなおも勇気凛々の眉間に日本刀を突き付け、飄々とした態度で少女の真摯な問いを受け流した。 ただし、もしこれ以上少女が何か言おうものなら容赦はしないという。 そのセリフにもまた、二通りの解がある――信条か、真実か。 白でありながら黒とされることに憤っているのか、本当に黒でありながらそれを装っているのか。 人間の、裏表。 勇気凛々が一番嫌いで、一番苦手で、それでも絶対にそこにあるものが、少女の目の前にあった。 それはまるで高い高い壁のように、少女の前に立ちはだかった。 「…………いじわる、ですね」 「……そうだな」 「こまってるなら、たすけたいのに。手をさしだしてくれないのは、わたしが弱いからですか?」 「どうだろうな。あたしは別に困ってないから、わからん」 「間違ってますか? わたしは。わたしに出来ることは、ないんでしょうか? わたしはただ、子供番組のヒーローみたいに、だれかを勇気づけられるひとになりたくて。だれかの力になりたくて。 でも、《間違えてしまって》、いっぱい間違えてしまって、どうしようもないくらい取り返しのつかないことを、してしまって。 それでも、どれだけ間違いだったとしても、誰かを助けたいって気持ちだけは間違いじゃないって、悪くなんかないんだって、 だから、だから、わたし、わたしはっ……」 「なあ、勇気凛々」 と。 果て無くそびえる壁の前で目に涙を浮かべかけた勇気凛々は、急に頭に手をのせられた。 一刀両断の手だった。人間である彼女の手は、不思議となんだか、あったかかった。 「お前、料理できないだろ」 「……え?」 「米の炊き方からレンジで魚を焼く方法まで全部分からないと見た。いっつも食べてるのは菓子パンかコンビニ弁当」 「あ、あのちょっと、意味が分からないんですけど。確かにわたし料理は絶望的に苦手ですが」 「いや、なんでもねーよ。ただちょっと、かわいい奴だなと思っただけ」 がしがしっ。乱暴に髪の毛を撫でまわされて頭をくらくら揺らされて、勇気凛々は脳内に星を巡らせた。 さっきまで一体何を話していたんだっけ? と言わんばかりの急激な話題転換。 いやいやこれはおかしい。明らかに話がそらされている。 頭をぐらつかせながらも勇気凛々は、一刀両断にいろんな疑問を丸めこまれようとしていることをなんとか察した。 ただ、その代わりに――なぜだろうか? あんなに重かった空気が、軽くなったような。 「お前は間違ってないよ、勇気凛々」 ひとしきり少女の頭を撫でたあと、一刀両断はふわふわした気分になっている勇気凛々に背中を向けながらこう言った。 「……ただまあ、一つ勘違いしてんのは。お前が”ありがとう”を言う相手は、あたしじゃないってことだけだな」 勇気凛々には彼女が何を言っているのかはぜんぜん理解できなかったけれど、 背中を向けるその瞬間に見えた彼女の口元が少しだけ笑っていたのには気づくことが出来た。 すごい遠くにあった心が、その一瞬だけ近寄ってきてくれたような、そんな感覚がした。 分からないことだらけだけれど……その感覚を引き寄せられたという事実は、確かに少女の心を満たしたのだった。 よかった。 どれだけ口が悪くても、たくさん隠し事をしていても、これから先、敵に回るとしても。 この人は――わるいひとじゃ、ない。 わるいひとなんて、そうそうこの世界には、いないのだ。 ガールズトークを終えた勇気凛々が得たものは、きっとずっと少女の心に残り続けるだろう確信のようなものだった。 例えどれだけ残酷な現実が少女に襲いかかろうと。 少女はきっと、忘れないだろう。 休憩時間2 前のお話 次のお話 休憩時間4 用語解説 【ガールズトーク】 少なくともこのSSで使われている用法ではない。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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34◆休憩時間 2*信頼関係 ◆ ほぼ同時刻 ◆ 「うわ、タクマのやつ凛々とおっぱじめやがった。全然回復する気ねぇなあいつら」 「タクマさんは思ったより戦闘狂ですよ……まあ、いいんじゃないでしょうか。 多分タクマさんは寝てても身体がなまるだけだと思いますし、自由にさせておいたほうがいいかと」 「まあそうだけどよ。――よし、包帯巻きなおしたぞ。きつくないか?」 「大丈夫です。ありがとうございます、リョーコさん」 「ならいいんだ。次は背中の傷のほうだな。よし脱げ、さっさと脱げー」 「わわっ、わかりました、分かりましたって」 切磋琢磨と勇気凛々がレクリエーションじみたバトルを始めたその一方。 円形につくられたバリケードの反対側では、一刀両断と紆余曲折が包帯を巻き直しながら雑談をしていた。 彼らにとっては、薬局の診療室以来久しぶりの二人だけの会話の時間でもある。 積もる話も積もらない話も喉の奥に溜まっていて、会話が尽きることはなかった。 いま、車止めの置き石に座った紆余曲折と向かい合うようにしてしゃがみこんでいる一刀両断は、 一番始めの戦闘で彼女自身が彼につけてしまった背中の傷についても包帯を替えようとしているところだ。 「よいしょ……ほら、まず上から脱がすぞ。手を後ろに開け。 ん……オーケーだ。懐かしいなぁおい、あれからまだ半日も経ってないんだぜ、あたしたち」 「ですね。というかあの時、気絶してる間に僕はリョーコさんに一回脱がされてるんですよね……。 今さら恥ずかしいとは言いませんが、その時のことを思うと、なんだかなあ」 「別に恥ずかしい体でもないだろ。むしろ細いわりには意外に筋肉ついてんなって思ったぜ。 ただスポーツ野郎の筋肉の付き方じゃなかったから、少し不思議に思ったけど。……よし、Yシャツも」 「あー……それはたぶん、ゲーセン時代の名残りですね」 「?」 ボタンをぷちぷちと外したあとに、すらりとYシャツが紆余曲折の腕から抜けた。 包帯が胸から腹まで巻かれた紆余曲折の上半身があらわになる。 一刀両断が言うとおり、学ランのゆったりさに隠されていた彼の身体は思いのほかきっちりとしている。 脱いだらすごいとキャッチコピーを付けられる程ではないが、腕相撲で一刀両断に勝てるくらいはあるだろう。 考えてみれば彼は、最初の戦いでイノシシの突進を避けたりもしていたし、平均的な身体能力は持っているのだ。 とても運動系の人間とは思えない彼がどうしてあそこまで動けたのか。 一刀両断はかねて不思議に思っていたが、 紆余曲折はそれについてここで初めて、自らの過去に触れるワードを出した。 「ゲーセン?」 「あんまり覚えてないんですけどね。奇々怪々によって人間関係の記憶は奪われているうえ、 僕に――紆余曲折に”なる”前の僕にとっては、あまり思い出したくない事だったみたいなので」 「なんだよ珍しいじゃねーか。紆余が自分語りするなんて。聞かせてくれよそのへんのこと」 「いいですよ。でもかわりに、一刀両断さんも自分の”夢”について話してもらいましょうか。詳しくは聞いてなかったですよね?」 「あー、それはだな……」 一瞬口を開きかけた一刀両断は、そこではたと気づいたように目を見開くと、すぐに目を伏せる。 「別に、大した話じゃないんだが。今は……今は、無理だ」 「今は無理、ですか。何かあるんですか」 「いや、……あたしの気持ちの問題だ」 「そうですか。では、僕も今は話しません。そうですね――”最終戦”が終わった後にしましょう。 最後の戦いが終わったあと。全てが、何もかもが終わった後でなら、お互い気兼ねなく話せるでしょう?」 「……じゃあ、それで頼む。……包帯替えるぞ」 一刀両断は彼の胴に巻かれた緩んだ包帯をするすると取り、 地面のデイパックから医療セットを取り出して立ち上がると背中側に回る。 しばらく続けていた雑談も、これによって一旦中断になる。無言の包帯替え作業が始まった。 話すのをやめると喧騒が聞こえてくる。切磋琢磨と勇気凛々の熱い戦闘音や発声。 まだ戦う余力が残っているなんて、元気なものだ、と紆余曲折は思う。 動いていない彼でさえ、さまざまなことがありすぎて疲れているというのに。 するする。 包帯がするすると外されて、肌に新鮮な空気が当たる。爽快な気分で、紆余曲折はそれを味わう。 最初の戦闘で負った傷に巻かれた包帯を、こうして無事に替えることができている。 その事実は彼にとって驚くべきことでも、喜ぶべきことでもあった。懸念さえなければもっと清々しい気分だったろう。 懸念さえ、なければ。 彼には勇気凛々が優柔不断と一緒に考えていたのと同様に、考えなければならないことがいくつかあった。 傍若無人の行った”最期通牒”……そのあと一刀両断が話した、”空白時間の話”。 どちらの話にも紆余曲折は、拭いきれない違和感を抱えていた。 あれだけ情報が詰め込まれた話だったのに。どこか雲をつかむような、手をするりと抜けていくような、虚無感を感じるのだ。 (なんだろう……? 傍若無人の話も一刀両断さんの話も、信憑性はともかく話の筋は通っているはずなのに。 不思議なくらいに”合ってない”感じがする。これまでのキャラクターから、ぶれてしまっている) 傍若無人の方で言えば、”最終戦”なんてものを提案してくる時点でうさんくささが満点だ。 優柔不断や勇気凛々とのいさかいを収めるような絶妙なタイミングで始めたことで隠してはいるが、 あの時すでに五人は積極的に殺し合いに乗っている状態じゃなかった。 わざわざ放送をせずとも、”ジョーカー”であることを告白したり”脱出方法”をちらつかせたりしなくても、 今の「傍若無人vs他の五人」という構図にはほぼ間違いなくなったはずなのだ。 それを見ていたはずなのに――なんでわざわざ、積極的に自らの立場を明かしたのだろうか? 時間制限のほぼない休憩タイムまで許して、傍若無人にとって不利であろう五対一の決戦の場を作り出す理由は、 金のためではないんだとすれば、よけいにおかしい話だっていうのに。 (言わなくてもいいことを言いすぎなんだ。そのせいで話しの内容はおかしなところだ。一刀両断さんもそう。 僕の知っている”リョーコさん”なら、あんな事細かな描写はしない。話をもっと、簡潔にまとめてくれるはず。 それだけじゃない。一刀両断さんは明らかに、一つ以上は嘘をついている……!) 巻かれる包帯の感覚を確かめながら、紆余曲折は背後に座る一刀両断に意識を移した。 今もこうして紆余曲折のために尽くしている彼女だが……彼女はひとつ、彼にしか分からない嘘をついている。 まだ明かしていない紆余曲折の”切り札”は、そのお陰で”最終戦”まで隠すことが出来るようになった。 しかし非常に不可解なことに、一刀両断の話が真実であれば、その嘘をつくことは不可能になってしまうのだ。 ”一刀両断が傍若無人から逃げおおせた”のだとすれば”無い”はずのものが、見える場所に存在してしまっている。 つまり、つまりそれは――――。 「よし! 替え終わったぜ。新品で清潔、これで後に残ることはないだろうよ」 背後から聞こえた声に、紆余曲折は思考を切り替える。一刀両断による包帯の巻き替えが終わっていた。 新しくなった包帯はちょうどよいきつさで巻かれていて、しばらくは緩むこともなさそうだ。 「ありがとうございます……というのは変かもしれないですね。これはリョーコさんが付けた傷ですし」 「まあな。というか、お前はあたしに感謝する必要はないんだぜ、紆余。 この関係はお前があたしに強制したものであって、あたしは嫌々やらされているだけって設定なんだからよ」 「……そうですね。確かに、そうです。とてもそうは見えませんが」 「あんまし外面の態度だけで信じない方がいいぜ。女ってのはこれで、演技の上手い生き物なんだ」 「年をとればとるほど女性は怖くなるとは言いますよね。でも、僕から見てもリョーコさんはまだまだ若いと思いますけど――」 軽口をたたき合いながら彼は一刀両断のほうに向きなおる。そして瞑ったままの目で、髪を切ったという彼女の姿を見据える。 視線あわさずとも、正面で。紆余曲折は一刀両断と向き合う必要があった。 一刀両断は笑いながらこちらを見返したのかもしれないし、少し驚いた顔をしたのかもしれない、 ”リョーコさん”が”どんな表情で彼と接しているのか”は、今の彼には分からない。 顔に巻かれた包帯のたった数ミリの厚さが、一刀両断と紆余曲折の間にどうしようもない壁を作っている。 もし。もし紆余曲折の推測が正しければ、彼女から感じるあらゆる違和感はひとつの仮説に収束する。 ついでに線がつながって、傍若無人の思考も少し見えてくる。 それは紆余曲折にとってあまり考えたくない可能性だったが、思考から外していいことではなかった。 「ん? どうした? そんな見つめられると照れるぜ」 「リョーコさん。確認をとって、いいですか」 「ん」 だから、確認を。 曇天のように重い語り口で、紆余曲折は一刀両断に話を切りだす。 彼にしか分からないほんの些細な変化について。 背中の傷がぴりぴり痛みだすと同時に、場の空気が一気にぴりぴりと張り詰めた。 「僕は――僕はリョーコさんを、信じています。出会ってまだ間もなかろうと、敵だった過去があろうとも。 いや、敵だったことがあるからこそ。リョーコさんの、一刀両断としての生き様に間違いがないことを、信じています。 たとえ今僕の目の前にいるリョーコさんがリョーコさんでは無くなっているとしても、そこに違いはないと。僕は、信じます」 「……何の話だ」 「言いません。僕は、紆余曲折だから。僕も僕らしく。 あくまで回りくどく、核心には触れずに遠回りして確認をします。答えてください。僕は」 ――僕はあなたを信じていいですか。と。 紆余曲折はたった一言、それだけを言った。 言われた一刀両断は数秒沈黙した。 その沈黙の間、切磋琢磨と勇気凛々のレクリエーション戦闘音以外のすべての音が世界から消える。 信じるという行為は、とても難しい行為だ。 盲目的な信頼はむしろ相手の枷になるし、それすなわち裏切りの可能性を生むことにもなる。 ましてや殺し合いと言う場で同じ参加者に向かって「信じる」などという言葉を吐く危険性を認識していない二人ではない。 ゆえにこれまで二人の関係性は、あくまで事務的な取引の結果という体裁で行われている。 たった一回の口約束のもとに。そう、まるで傍若無人との”最終戦”の取引と同じ――それはとても不安定なものだ。 紆余曲折はしかし、信じていた。 一刀両断と自分の間にはたしかに信頼関係が生まれていることを信じてここまでやってきた。 だからこそあえて何も言わない。 彼が傍若無人の話や、一刀両断に感じている違和感も、そこから導き出される結論もここでは言わない。 なぜならば彼の信頼上のリョーコさんは、彼がそこまですでに考え付いていることを信じているからだ。 それに応えるために、全てを理論立てた上で最終確認をしているのだということを、分かってくれるはずだからだ。 「……ああ。信じていいぜ、紆余」 沈黙を破って放たれた一刀両断の言葉は短く、悲しげで、 しかしほんの少し嬉しそうな、よく分からないトーンだった。 「例えこれから何が起ころうと。あたしたちのすることは何一つ変わっちゃいない。 すべてが、すべてが終わった後に。きっとあたしとお前はまたこうやって下らない会話ができる。きっと、そのはずなんだ」 「そうですか。――わかりました。それが、聞きたかった」 紆余曲折はその言葉を肯定と受け取り、一刀両断に向かって礼をする。 これは感謝の礼でもあり、ここまでの非礼を詫びる礼でもあった。 そして。それだけでは終わらない。この礼は、彼の彼女に対する、”ここから”の非礼を詫びるものでもあるのだ。 「じゃあ、またすべてが終わったあとに。それと、一刀両断さんには僕の盾として、一つお願いをさせてもらいます」 「ああ分かった。じゃあ、すべてが終わったあとで」 彼はたった今から、一刀両断を信じない。 ◆休憩開始より 一時間半◆ 優柔不断が突然の気絶から目覚めると、そこにはアスファルトに寝転んで曇り空を見上げる少女と青年の姿があった。 鈴の髪留めをつけた少女と赤毛のムキムキな青年による”河原でケンカしたあと互いを認め合うメソッド”である。 「ああ、天晴だった凛々ちゃん。まさかあんな方法で俺にダメージを負わせるとは」 「空は曇りですけどね……タクマさんこそありがとうございました。 わたし、なりふり構わずにやればなんでも出来るんだってことを初めて知った気がします」 「えーっと、なんでこんなことになってるんだオイ? いてて」 急に首の後ろに痛みを感じて押さえながら、ハリボテの車によりかかっていた優柔不断はゆっくり体を起こす。 なんで自分がこんなところで寝ていたのか全く記憶にない。《反転》していたときですら記憶は残っているというのに、 一体誰の仕業だ――そう言おうとして刹那、いきなり《燃え上がり始めた》切磋琢磨の身体に彼は目を奪われた。 「……よし、来た。ありがとう凛々ちゃん。これで俺は――万全だ」 「あ、あんた……燃えて」 「これが俺のルール能力なんだ、優柔不断。見えるかな……俺が《強くなっていく》のが」 「うわ。わ、わかるぜ、わかる。なんだこれ、サイヤ人かよ」 その炎の色は藍色。理科実験のガスバーナが放つ青色よりさらに濃い青のゆらめき。 地面に寝転んでいる切磋琢磨は煌々と燃え上がりながら冷静に、自らが《強くなる》際の心臓の鼓動を確かめていた。 優柔不断はその心臓の鼓動を聞いた。 肥大しては縮小し、濃密さを増していく彼の筋肉を、そこに溜められていく力の大きさを見ただけで感じた。 これは、”強すぎる”――強大な力の本流に気圧された優柔不断は、ごくりと唾を呑んで目の前の男の顔色を伺う。 が、切磋琢磨は変わっていない。驚くほどに落ち着いている。 強さを手にすることによる驕りや邪念はもはや彼の心の中には無いのだ。 ついさっき卑劣な手を持って心を揺さぶってきた憎むべき傍若無人に対しても、一切の雑念なしに戦うことが出来るほどに。 崇高なまでの、切磋琢磨。 「……すっげえ」 優柔不断はそれを見て、手を震わせた。 純粋すぎるその強さに、尊敬すればいいのか、恐怖すればいいのか、分からなくなる。 ”四字熟語なんてくそくらえ”と優柔不断であることを投げた彼は、ほんの少しだけ思うのだ。 もし自分があのまま”優柔不断”で居続けたならば、この切磋琢磨のように”優柔不断”になっていたのかもしれないと。 そうなっていたらどうなっていたんだろうと――ほんの少しだけ。 優柔不断のそんな思考はつゆ知らず、切磋琢磨は寝転んでいた状態から立ち上がり、数回手のひらをグーパーする。 「よし……《強さ》は大体掴んだ。すぐ使える。今から傍若無人と戦ってもいいくらいだ」 「頼もしいです、タクマさん。ただまだ、わたしたちの方に休憩がほしいですけど」 地面にころんと転んでいた勇気凛々も上体を起こす。 と、近づいてくる足音が二つ。包帯を替えおわった紆余曲折と一刀両断だ。 「お、紆余! それに一刀両断! 包帯は替え終わったか」 「ああ。そっちもウォーミングアップは終わったみたいだな」 「ばっちしだ。凛々ちゃんのおかげで《段階》も上がった。これでようやく、作戦が立てられる」 「こっちまで戦闘音が聞こえるような激しいのをウォーミングアップって言うのかどうかは謎ですけど……作戦、そうですね。 そろそろ話し合いを再開しましょうか。おそらくみんな、気持ちの整理はついたと思いますし」 一刀両断に手を引かれながらおぼつかない足取りで立つ紆余曲折が、場に言葉を置いた。 ふと状況を見れば、いつのまにか五人が再び一か所に集い、きれいに円を描いて立っている。 あとはここにどすんと座りでもすれば、腰を据えて話し合いするのにはおあつらえ向きの体勢だった。 情報交換のあとの休憩タイムも約束の半分の時間を過ぎようとしている。 打倒傍若無人の方向性も五人の間で固まった。確かにそろそろ本腰を入れて”最終戦”での動きを確認しておいても問題ない時間だ。 「まあオレは気絶してたっぽいから正直話の展開についていけないんだけどねっ! もう五分く・れ・な・い・か」 「ええ、わたしも優柔不断さんも大丈夫です。話し合いを再開しましょう」 「あ、その……スルー……?」 全員その場に座って。話し合いは再開された。 ◆ 休憩開始より 二時間半 ◆ 一見なんてことないと思っていることでも、案外話し始めると深く考えることができるものだ。 そして同時に、意外とそれについて詳しかったり、逆に詳しくなかったり、あるいは興味があったりなかったり、 話題についての自分のスタンスを明確にすることもできたりする。 修学旅行の計画、好きなバンドの歴史、あの本の感想、そして――殺し合いの作戦。 「……こんなもの、ですかね。正直、こんなに盛り上がるとは思いませんでした」 「だなあ。祭りは準備期間が一番楽しいってのはよく言う話だけど、ある意味なんつーかオレらの神経もくるってきてんのかも。 異常な状況を楽しんじゃってるっていうか」 「だが、勝つため、生き残るためには必要なことだ。真剣にやらないと意味はないと俺は思う」 「あたしも同意だぜ。ってもなー、女子的にはまだ話し足りない感があるな。 一度火が付いちゃうとトークが止まらない。久しぶりの感覚だ。なあ、そこの凛々」 「はい。何でしょうか?」 「向こうでガールズトークしようぜ」 へ? と面を喰らった顔を勇気凛々がしたのも無理はない。 ガールズトークだなんて単語がこの殺し合いの場で出てくるだなんて考えがまず浮かばないからだ。 だが、突拍子のない発言をした一刀両断のほうを少女が見返すと、 散切りの髪を揺らす彼女はうきうきした様子で少女の瞳をまっすぐ見つめ、まるで少女が頷くのを待っているかのよう。 どうやら裏表のある発言のようだった。 B-2の駐車場、車で作られたバリケードに囲まれたかりそめの休憩空間を五人が作ってから二時間半が経過していた。 情報交換を終えたあと、しばし心を落ち着かせるためのインターバルを置いて、 先ほどまで五人は傍若無人打倒のための話し合いをし、そしてそれを今終えたところだ。 このタイミングで。 ガールズトーク? 「――いいでしょう。受けて立ちます」 「よしじゃああっち行こうぜ」 勇気凛々は一秒逡巡して二秒で返事をした。 言ってしまったあとにガールズトークは別に受けたり攻めたりするものではないと気付いたが、 今さら訂正できるはずもなく、また、一刀両断とのガールズトークがただの”トーク”ではないであろうと思ったので、 別にこれでいいやと思い直した。 それに勇気凛々にとって、この展開が願ったり叶ったりでないというわけでもない。 「《りんりんソード》――《凛ノ型》。」 掛け声とともに《りんりんソード》を生成する。ただし今までの大剣ではなく、その刀身は細く鋭い。 驚く顔を見せた一刀両断をぷいと一瞥すると、勇気凛々は立ち上がり円形バリケードの中央部へと歩を進めていく。 軽くなった剣を慈しむように撫でて、真っ直ぐに前を見た。対岸に立ち並んだ一刀両断には、その姿はずいぶんと潔く見えた。 「へぇ、剣、軽くしたのかよ。タクマとの戦いで、お前も得るものがあったみたいじゃねーか」 「威力は変わっていませんから安心してください。《勇ノ型》で反重力に使っていた分の力を込めることができるようなので」 「なるほどな。ずいぶん、肩の荷を下ろしたみたいだな。……三人殺しておいて?」 「――それを”背負う”ためにも、軽くならないといけません。わたしはもっと、わたしを凛とします。この剣みたいに、まっすぐに」 「ふぅん。じゃ、あたしはそれに”合わせよう”」 と、対する一刀両断はジャージのポケットから白い布きれのようなものを二つ取り出した。 ばらりと開くと、それを手に嵌める。布きれに見えたものは、薬局などにも置いてあるゴム手袋だった。 それを付けた手で、日本刀を鞘から抜く。直接触れなければ彼女のルール能力は発動しない。 つまり、彼女が語る最終戦と同じ条件だ。 「ガールズトーク(最終戦のリハーサル)、始めようぜ」 「よろしくお願いします。わたしもあなたと、一度話がしてみたかった」 ひとつ言葉を交わした後、両者中央へ進み出て一礼。二拍呼吸を置いたあと、三歩進んで剣を交えた。 火花散らす音と共に、語り合いが――始まる。 「えーっと……女子勢が急にバトりはじめちゃったんだけど。これ一体どういうことなんスかね紆余くん」 「すいません、僕が指示したんです。作戦会議が終わったら凛々ちゃんをここから連れ出すように、と」 「は?」 「……どういうことだ、紆余」 一方、残された男子勢、優柔不断・紆余曲折・切磋琢磨の三人は、 闘う女子たちを遠目に見ながら、いまだ円形バリケードの淵近くに座ったままだった。 先ほどまでの話し合いで全員のデイパックを検めたため、 彼らの周りには、五人に支給されていたor五人が会場で集めた支給品がところせましと転がっている。 *切磋琢磨が支給された釣り糸の束、 *紆余曲折が支給された鉄の盾(ただし真っ二つだ)、 *優柔不断が支給された団子の包み紙、 *彼が最初期に集めた雑貨類(主に食品。武器を取ることは考えなかったらしい)。 *そして勇気凛々が支給された手鏡と、 *彼女がデイパックに入れていた心機一転のボウガン。 *一刀両断からは日本刀と、 *一時的に使っていた長刃の包丁、 *薬局からせしめた救急用具。 *最後に、先手必勝が持っていた《百発百中》の銘入りの拳銃。 以上で彼らが使えうる物理的な武器は全てだ。他に弄せるものは、もう策くらいしかない。 「作戦会議です」 そして――紆余曲折は再度、今度は優柔不断と切磋琢磨の二人のみに対して、作戦会議を申し出た。 「作戦会議って……今してたじゃねーか!?」 「そうだぞ紆余。情報の共有、戦術やサインの確認、話し合うべきことはすべて終えたはずだ。これ以上なにか」 「あります。話し合うべきことが。そしてこの話題は、勇気凛々ちゃんには席を外してもらう必要がありました」 「……どういうことだよ?」 「これからする話は、おそらく正義感の強いあの子には、少し不快だろうからです」 どろり、と。 場にヘドロのような苦く重い空気が溜まるのを、三人は感じた。「勇気凛々が不快に思うであろう話」。 話し手の紆余曲折以外の二人はその言い回しから直感を働かせた。 二人ともあまり論理的思考が得意なタイプではないが、分かった。 これから決めることはおそらく……とても”正義”とは呼べないことなのだ、と。 「とはいっても。僕が何を話すつもりなのか、まだお二人には分からないと思います。 僕自身、確信があるというわけではなくて……あくまで可能性の話だと思っていただけると嬉しいんですが」 「――あいつのことか」 そして、紆余曲折の言わんとしたことに、切磋琢磨は先に気付いたのだった。 中央の方へ視線を向けてじっと見据える。 戦闘を行っている二人がいるが、彼の目線の先に居るのは小さな少女の方ではなく、もっと前から”仲間”だと信じている一人。 紆余曲折に至っては最初の一戦からずっと”仲間”として信じてきたであろう一人。 「はい。一刀両断さんについてです。 もっと言うのであれば、”傍若無人と一刀両断さんが繋がっている可能性”についてです」 「……なっ」 一刀両断に対して――紆余曲折は敵との繋がりの疑いを、議題に挙げたのだ。 これから行われる最終戦は”一対五”ではなく”二対四”なのかもしれないと。そう言ったのだった。 優柔不断でも勇気凛々でも切磋琢磨でもなく、紆余曲折が。 「な、何言ってんだよ。おまえ、おま……何言ってんだ?」 虚を突かれた優柔不断が、心底驚いた表情で紆余曲折に迫る。 紆余曲折が一刀両断の顔色を伺うことが出来なかったのと同じで、包帯に包まれた彼の表情は見ることが出来ない。 どんな顔でこんな言葉を言っているのか、わからない。 「一刀両断は。お前の”盾”なんじゃないのかよ。そりゃ俺だっていきなり斬られかけるわ、知らん間に囮にされてたらしいわ、 あいつに対していい印象は持ってねーけど……お前がそれを言うのかよ。さっきだって仲良さそうにしてたじゃんかよ!」 「つじつまが合うんですよ、優柔不断さん。傍若無人と一刀両断さんが繋がっていると考えれば。 ”一刀両断さんが傍若無人に従わされている”と考えれば、おおよそすべての疑問点に説明がつくんです」 「従わされて……いる?」 ただ冷えていた。 挙動も、口調も、精神も。 ドライアイスの海をくぐってきたかのような紆余曲折の冷たさは、思わず周りが熱くなってしまうような危うさすら持っていた。 その温度のまま――話は続く。 「はい。優柔不断さんには最初の情報交換の時に告げたと思いますが、もともと僕と一刀両断さんも敵同士でした。 でも僕が一刀両断さんを追いつめて、彼女が負けを認めて――殺してくれと懇願してきた彼女に、僕が”盾になって欲しい”と命じた。 だから一刀両断さんは僕の言うことを聞いてくれる……今、僕が指示したことも聞いてくれている」 勇気凛々が剣を振るう。一刀両断がそれを避け、斬り返す。 遠くに見える熱気ある戦いはあくまで練習、レクリエーションではあるが、しばらく終わりそうもない。 彼女らのガールズトークは、紆余曲折が一刀両断に命じたことだという。 そう、現在彼は一刀両断に命令を下せる立場にある。それは間違いない、だが。 「でも、これと同じことがもし、傍若無人との間でも起こっていたとしたら? あの男に、”最終戦までは僕の指示を聞くように”指示されていたとしたら? そう考えてみれば。どうでしょう?」 「……な」 「一刀両断さんが――いや、僕が一度殺して蘇らせた”リョーコさん”が。実はもう死んでしまっているのだとしたら。 傍若無人に”殺され”、また蘇らされた彼女が今あそこにいるのだとしたら……順を追って、話します」 休憩時間1 前のお話 次のお話 休憩時間3 用語解説 【口約束】 証文などによらない、言葉のうえでの約束。 法的には口約束でも一応契約としては成立するが、 いざ約束が存在することを確認する段階に至った場合に証明するものがないため、 一般的には大事な約束には契約書や念書を用いる。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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《休憩時間/Recess》 休憩時間/Recess イベント コスト:R 大日本帝國 あなたが雇用する全てのパーソンをターンオフする。ピリオド終了時まで、あなたが雇用する全てのパーソンはターンオフ状態である限り【カリスマ】【治療Lv.5】を得る。 全パーソンがダメージにより壊滅しそうになった時の、まさに最後の防衛線。これが(R)1点で撃てるのだからよい時代に生まれたものである。 ただし、5点を超えるダメージは当然漏れてくるし、全パーソンのターンオフをピリオドの最初のほうでやるとかなり不利になる。
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36◆休憩時間 4*熟読推理 ◆ ほぼ同時刻 ◆ 一方、ガールズトークが行われていたその最中、 男子勢が集まる円型バリケードの端では、紆余曲折の話がひととおり終わったところだった。 違和感の話。 一刀両断が行った話の前半、 傍若無人と戦うところまでのそれについては勇気凛々がすでに問いかけているが、 しかし、違和感はそれだけではない。 まず戦闘の終わり方。 自らのルール能力が効かないと分かったあと、一刀両断は逃げに徹していた。 しかして捕まって、傍若無人に破顔一笑の顔を突き付けられた。 そこで彼女は、破顔一笑の顔に残っていたルール能力をポケットから取り出した鏡で跳ね返し、 その隙に逃げたと証言している。 だが、傍若無人はそのときダメージを負わなかったとも言っているのだ。 ならば、傍若無人は一刀両断を追うことが出来たはず。 ――どうしてその時、一刀両断は逃げ切ることが出来たのだろうか? 次に放送の違和感だ。 あのとき、一刀両断はひとつだけ紆余曲折の意思を無視した行動を行っている。 傍若無人が”最終戦”を開いた動機の問いかけに返答するときだ。 ◆30◇ ここまで言えばモノどもにも分かるだろう? と。 放送が始まってから初めて、傍若無人はスピーカーの向こうの五人に問いかけるような言葉を発した。 拡声器を握る紆余曲折はつとめて冷静にそれに応えようと口を開きかけた。 ……が、その前に横から手が伸びて、彼が持っていた拡声器を乱暴にひったくった。 「ああ、分かったぜ」 ふてくされたような目で拡声器を構え、遠くの娯楽施設に向かって言葉を差し込んだのは一刀両断だった。 「つまりお前は――単純にあたしたちに潰し合ってほしくなかったんだな。 楽に優勝するより、五人殺して優勝したほうが金が稼げるから、このタイミングで”取引”を持ちかけたんだ」 ◇◆ それまで拡声器をマイク代わりに会話を引き受けていた紆余曲折から、彼女は拡声器を奪った。 紆余曲折は答えを言おうとしていたのにもかかわらず、だ。 これは”盾”として褒められる行動では決してない。 さらに、そんな行動をとってまで彼女が出した答えは、 その場にいる全員が思っていただろうチープな答えだった。 ――なぜ一刀両断は紆余曲折から拡声器を奪わなければならなかったのか? 紆余曲折はこの二つについて、ある推測を弾きだしていた。 「”最終戦”の動機について。 理由は金のためだと思っていた僕たちを代表して、一刀両断さんが拡声器でそのことを言いました。 が、傍若無人は違うと切り捨てました。そして直接的には言いませんでしたが、 血を見るためだと。殺し合うために”最終戦”を行う狂人であると自らを称しました。 僕たちは、たしかにそれに恐怖させられた。……だけど、よく考えてみれば矛盾しているんです」 ◆30◇ 『さあ、”取引”を始めよう。己の要求は”最終戦”。 己とモノども、一対五で最後の殺し合いを行う、ただそれだけだ。 場所はこちらが、時間はそちらが決める。指定された時間になったら、もう一度ここから放送を行う。 ルールは至って単純。――――己はモノどもを殺す。――モノどもは、己を止めてみるがいい。 もし。万が一、己が負けるようなことがあれば、己は己の持つ”情報”を開示しよう』 ◇◆ 「”脱出方法”なんてものをエサにしたせいで僕たちは傍若無人を”殺せない”。 向こうの望みとは逆に、最終戦は殺し合いじゃなくなってるんです。 これは明らかにおかしい。――だからまず僕はこれを、大男の吐いた嘘だととらえました」 「嘘、だと」 「はい。最初言われたときは僕も思わず戦慄しましたが、 あとから考えてみれば”ジョーカー”も”狂人”も、明かす必要はない情報です。 そんなことしなくても”最終戦”は出来たはず。 ならば、わざわざスタンスを明かしたのには意味がある。 ”ジョーカー”は本当でしょう。あの男はこちらの知らない情報を知りすぎている。 放送だって、どこから繋いだのか分からない。 でも”狂人”はやりすぎだ。盤石にしようとして、重ねようとして、矛盾を生み出している」 そこで新たな疑問が生まれる。 なぜ傍若無人は、自らを”狂人”と印象づけようとしたのか。 これはきっと、おそらく――ただのマーダーではダメな理由があったということだ。 特別さと異常さを、アピールする必要があったということだ。 そう、狼(マーダー)であれば群れを成す。 死神(ジョーカー)であれど、現存参加者と組む可能性はある。 しかし何人いようと……狂人(バーサーカー)は個人だ。 「傍若無人は、”ジョーカー”であり”狂人”であると宣言することで……。 ”仲間”がいるという可能性を考えさせないようにしたのではと、僕は思うんです」 ”狂人は徒党を組まない”と思わせたかったのではないか、と。 その発想に至れば、あとは逆算するだけだったと紆余曲折は語った。 なぜ逃げ切ることができたのか? ――そもそも逃げ切ることなどできていなかった。 なぜ拡声器をあえて奪ったのか? ――動機についてのミスリードにわざと乗り、台本を円滑に進めるためだった。 「一刀両断さんがもう一度殺され、彼のもとに付いたのではという推論は、ここから弾きだせます。 他にもいくつか不可解な点はありますが、分かりやすい点を挙げるとこんな感じですね。 どうでしょうか。何か間違っている点があれば、指摘してもらいたいんですが」 「いや、一理あると俺も思う。だが紆余、まさかお前がこんなことを考えるとは」 「僕は一刀両断さんを、信じています」 信じているからこそ、疑っているのだと。 驚く切磋琢磨に対して、握りこぶしを作りながら紆余曲折はそう答えた。 「リョーコさんがリョーコさんのままであるならば。 あの人はまず、戦いから逃げません。 僕には切磋琢磨さんがついていて、命の心配はほぼない状況でした。 その上で目の前には、その切磋琢磨さんが手こずった傍若無人がいる。 ……この状況を前にリョーコさんなら最低でも相討ちを選びます。 敵から逃げて僕の所に戻ってきた時点で、 あの人がリョーコさんだという根拠はとうに消え失せているんですよ、タクマさん」 体を震わせながら言う紆余曲折を、対面する二人は複雑な気持ちで見つめた。 優柔不断は紆余曲折の考察力の高さに驚くような形で。 切磋琢磨は、話を聞かされた自分の心の動きに驚く形で。 二人とも思ったことは違えど、優柔不断も切磋琢磨も、 紆余曲折が考えに考えに出したであろう”可能性の話”に信憑性を感じたのは確かだった。 「それでも。あくまでそれは、可能性、だ」 「――そうですね」 「そうだぜ」 だけど、信憑性はあっても――”証拠”はないのだった。 「……あ、もちろん。もちろんさ、 紆余くんが真剣に考えた結果出した結論だってのは十分わかった、わかってるんだ。 分かったけどなんつーか、やっぱりピンとこないっていうか。 何もないとこから問題を作り上げて、勝手に解答されたみたいな、変な感じだ」 「俺も……紆余の話には納得できるが、やはり根拠としては弱いと思う。 逃げるくらいなら死ぬ、というなら、 傍若無人に加担するくらいなら死ぬと一刀両断は考えるのではないか? あるいはそれさえ許されなかったのかもしれないが……」 「僕にも腑に落ちないところはあります。 一刀両断さんが向こうに付かされている、あるいは向こうに付いているとしても、 ”最終戦”を計画した動機、それに一刀両断さんが加担した理由は分かりません」 二人のもっともな意見に、紆余曲折も頷きを返した。 実際のところ、彼にも今回出した推論が正しいという確定的な証拠はない。 分からないこともまだ多かった。 「ですが、どちらにせよ僕たちにはまだ、考えなければいけないことが多いということです。 これまで一刀両断さんの話を信じて考えなかった事柄……たとえば、傍若無人の能力について」 それでも、分からないことが分かったことで、新たに議論の余地は出る。 紆余曲折が新たに議題に出したのは、傍若無人のルール能力についてだ。 「思えば一刀両断さんがあの話で特に強調したのは、傍若無人のルール能力でした。 あの話のおかげで、暫定的に傍若無人の能力は”ルール能力の無効化”になっている。 《一刀両断》が効かなかったって話を信じるなら、確かにその可能性が一番高いでしょう。 でも、一刀両断さんと傍若無人が繋がっている可能性があるなら――」 「傍若無人のルール能力を誤認させるために、一刀両断が嘘をついたかもしれないってことか?」 「はい」 もしそうだとすれば、あの大男はルール能力を推理されたくなかったということにもなり。 傍若無人のルール能力こそが彼の攻略法になるのかもしれないとも、紆余曲折は言った。 「全ての断片を集めれば完成するパズルでも、過剰なピースが一つ挟まれば完成できなくなる。 それを取り除いてもう一度見つめてみればきっと新たな視点が見つかるはずです。 とくに僕は傍若無人さんと実際に対面してないので、 みんなの情報を集めて、客観的に見ることができると思います。 だから――最後にもう一度全てを洗い直しましょう。もっと詳細に、些細なことまで」 「……すべては傍若無人を倒すため、か」 「はい」 紆余曲折は包帯の巻かれた目をせいいっぱい二人に向けて、 「傍若無人を倒して――すべてを終わらせましょう」 偽りないまっすぐな言葉を、彼らに向けて放った。 切磋琢磨と優柔不断は、不安や困惑も多々あれど、彼の言葉に頷くことにした。 結局、大男を倒してこの実験が終わるのかどうかさえ希望的観測にすぎない。 今はただ、すがるしかないのだ。 たった1パーセントの可能性、すぐ切れる糸のような道筋であっても、 傍若無人との”最終戦”に勝たない限りは辿り着くことさえ叶わないのだから。 三人はそれから、一刀両断と勇気凛々が帰ってくるまでの数十分の間、 傍若無人のルール能力について改めて論議した。 切磋琢磨と優柔不断は、彼らが傍若無人に対峙した時のことを紆余曲折に伝える。 それら詳細と、第二放送後から最後通牒までに傍若無人がこちらに向けて発した言葉。情報。 すべてを考慮して紆余曲折は、彼のルール能力を考察する――。 ◆06◇ 筋骨隆々な体つき。軍人らしき防護服と帽子。 こちらを見つめているようで、その実こちらを意に介してないような目。 そして普通でない腕力で、普通車を持ち上げている浅黒い腕。 熊かと見違えるようなずいぶんな大男の名前は、 確か、傍若無人。 傍らに人など居ないかのようにふるまい、大暴れする四字熟語――! 「――死体では無いか。なら、問わねばな。そこの二つ、名は何という」 「「……!?」」 ぐ、と。 男がひとこと喋った瞬間、その場の空気が一変した。 世界が凍っていた、あるいは枯れていた。 渦を巻いた混沌が質量を持って、聞く側の二人に襲いかかる。 この男は。 傍若無人と言う、四字熟語は。 目の前に見えるはずの二人を――二つと言った。 人としてすら、見ていなかった。 ◇◆ 傍若無人と最初に相対したのは切磋琢磨さんと東奔西走老師。 このとき傍若無人は、彼らに名を問うている。 すでにこの時点から、大男は他の参加者を人として見ていない。 でも、少しだけひっかかる――そう。僕らに配られた名簿には、顔写真がついていたはずだ。 ◆25◇ 「うおおおぉおおぉおっ!」 「これはまた、随分とはき違えた闖入物だな。そして無策とは」 傍若無人は眉間に微かに皺をよせ、向かってくる男に対して斧を横から薙いで応戦。 だが、優柔不断は防御姿勢を取らない。 まるで捨て身の攻撃をするように、斧に目もくれず日本刀を突き出す。 ようやく顔を上げることが出来た勇気凛々は、その光景を見て思わず叫ぶ、 「危ないですっ! やめてくださ――え!?」 だが、《すり抜けた》。 《優柔不断の胴体を横にスライスするかと思われた斧の斬撃は、そのまま胴体をすり抜けていった》。 彼のルール能力は刃物による斬撃を完全に無効化する。その範囲は刀だけに留まらないのだ。 思わずバランスを崩した大男の懐に今度は優柔不断が入り込む。 膝蹴りのカウンターはそこにはない。本当の本当に、不意をついた一撃を叩きこめる! 「やめるかよ……オレにだってちょっとくらい、カッコイイことしたくなる時が! あるんだ!」 「無撃――? 優柔不断だと? 馬鹿な!」 「バカですが何か?! おりゃああぁあああぁあっ!」 勢いよく狙い澄ました一撃は、収まるべくして収まるように。 傍若無人の太股に、日本刀がざくりと深く、とても深く突き刺さった――! 「ぐ……ぬぅ!」 ◇◆ 優柔不断さんが勇気凛々ちゃんを助けに飛び込んだとき、少し不思議なことが起こっている。 勇気凛々ちゃんの話では、大男は凛々ちゃんのルール能力を知っていた。 でもこのとき、大男は明らかに、優柔不断さんの能力に驚いている、いや、どちらかといえば、 ”斬ってみて初めて、相手が優柔不断だと気付いた”かのようなふるまいをして、いる? ◆29◇ 切磋琢磨の《強化された》視力は、”それら”の中に見覚えのあるヘルメットが並んでいるのを見る。 ヘルメットを被った”顔”が、並べられているのを、見る。 「……老師?」 ものいわぬ東奔西走の生首が、テラスの柵に突き刺さっているのを、見た。 「ろ、ろうし、え?」 悲しげに下を向いて並べられているのは、東奔西走の顔だけではない。 柵に並べられているのは全て、彼ら五人のうち誰かが見覚えのある顔だ。 金髪の女、青息吐息。 野性味あふれる少女、猪突猛進。 B-1の惨劇で死んだ、一望千里、軽妙洒脱。 先ほどの放送で笑顔の効力を失ったばかりの――破顔一笑。 彼ら彼女ら六名の生首が、串に団子を刺すように一つずつ飾られ、柵を彩っている。 死体が禁止エリアにある心機一転、頭部の損傷が激しい酒々楽々など、 傍若無人たる大男がその首を斬ることが出来なかった参加者もいるが……、 しかしそこにあったのは、この実験の現在までの死者十人のうち、実に半数以上の”首”だった。 そう、”人”ではなく。 あくまで”モノ”として、それらは飾られていた。 ◇◆ 最後通牒の前に見せびらかすようにして、傍若無人は死体から斬った首をテラスに並べた。 並べられていた首は青息吐息、猪突猛進、一望千里、軽妙洒脱、破顔一笑、東奔西走の六名だ。 ただ、東奔西走が死んだはずのB-3が禁止エリアになったのは第一放送後。 それに首を斬られた破顔一笑の姿を凛々ちゃんと優柔不断さんが見ていることから、 傍若無人はあのためだけじゃなく、もともと殺した参加者や死体から首を刈っていたことになる。 なぜ首を刈るのか? そういう嗜好があるのだろうか? 残虐さを求めているのだろうか? いや――普通ならば別の意味がある。首を刈る意味。首。僕たちの首には、何が巻かれていただろう? ◆◇ 「タクマさん、見えましたか」 「ああ、ああ――確かにテラスに刺さっている首には、”首輪がない”。ひとりのこらずだ。 あとそういえば、破顔一笑の顔はちゃんとズタズタだな」 「……ありがとうございます。ということはやはり、傍若無人は死体から首輪を刈り取っているんだ。 おそらくテラスに並んでいない洒々落々からも。 ただ、酒々落々の頭部がほとんど形を留めていないから、テラスには刺せなかっただけで――」 二人から話を聞いた紆余曲折は、切磋琢磨にもう一度、 少し申し訳ないと思いながらも死者の首が並ぶテラスを見てもらうことにした。 やはり並んでいる首からは首輪が抜けていて。 一刀両断の話をわずかに裏付けるように、破顔一笑の顔はズタズタになっていた。 つまり。 つまりはきっと、そういうことなのだ。 「首輪を……? 紆余くん、待てよ、それってなんの意味があるんだ。 オレらが首輪を解析しようって思ってそうするならともかくよ、あいつはジョーカーのはずだろ?」 「その解析を阻止するため、という見方もあります。 でも――そう。あの大男の四字熟語は、傍若無人。”傍らに人無きが、若し”」 ◆00◇ 古来から、文字には力が宿っているとよく言われる。 人って手のひらに書いて飲み込むと緊張が和らいだりとか、そういうようなのから、 姦って字を見るとなんかエロい気がしてしまうとか、まあそういうのまで含めて。 文字の力は、あなどれない。 「――だから私たち幻想言語学者は、その力を長年に渡って解析していくことにしたのです。 ほんとうに、長い時間を要しました。ここに至るまでの過程で死者は数知れずでました、ええ。 しかしその甲斐あって、四字熟語クラスの明確性を持った言葉の力までなら、 我々は自在にそれを解釈し操ることが可能となりました」 ◇◆ 思い出すのはいちばん最初に奇々怪々が言った言葉だ。 彼女が言った通り、僕たちのルール能力は全員、 与えられた四字熟語の文字列やその意味に基づいて形作られている。 それは攻撃を迂回させる能力であったり、戦うほど強くなる能力であったり、 全てを一刀のもとに斬り伏せてしまう能力であったりするけれど、 四字熟語の意味であればその意味を反映し。 四字熟語の文字列であれば、その文字をほぼ全て反映した能力になっていたはずだ。 傍若無人の、能力も。 この法則に当てはまっていないわけがない。 ――首輪の回収。 ――参加者を人ではなく物として見るような振る舞い。 ――知られたら困るかもしれない、弱点かもしれない能力。 ――傍らに人無きが、若し。 ◆◇ 「もしかして、ですが」 導き出された結論は――紆余曲折が思わず眉をひそめるような答えだった。 「傍若無人には、僕たちが見えていないんじゃないでしょうか?」 休憩時間3 前のお話 次のお話 最終戦Ⅰ 用語解説 【首輪】 首に付ける輪。ファッションとしての首輪から、主従関係を示すためのものまで。 生命の重要な部分である首に付けるものとして、バトルロワイアルにおいては主催による支配を常に 感じさせるために参加者に付けられることが多い。実際に爆発させて反逆者を処罰したりすることもままある。 四字熟語バトルロワイヤルにおいては傍若無人のルール能力にも関わっている最重要アイテム。 じつは運営上でも最重要アイテムである。また、首輪にはいかなるルール能力も通用しない。 本編一覧へ 四字熟語ロワTOPへ 非リレーロワTOPへ
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休憩時間で変わる筋肉 ご意見・ご感想はこちら yuefeel@live.jp 訪問販売詐欺に注意 筋肉を強くする最大の手段が『超回復』 『超回復』とは身体の回復能力を最大限に活かした運動理論で現代の運動選手のほとんどが実行している 筋肉の仕組みは 「使えば使う程破壊される細胞で破壊されると必ず回復する」というもの 筋肉痛とは筋肉細胞が破壊された時に生じる痛みであって時間を置けば痛みが消えるのは筋肉細胞が回復した為 つまり筋力運動後筋肉痛にならない程度の運動量では筋肉細胞が破壊されていないので『超回復』を取り入れる事は出来ない 腕立て伏せ連続100回出来る人が10回だけやっても『超回復』は望めない 元の筋肉細胞を100とした場合 1・筋力運動を実施:筋肉細胞が破壊されて70まで減少 2・翌日は筋肉痛が生じる:この時点で100あった細胞が70まで減ったので身体が「30不足してるから注意」と痛みで警告する これが筋肉痛の仕組み 3・翌々日に筋肉痛が消える:この時点で最低でも100まで細胞が回復する 筋肉痛が消えたのは「もう不足してないから注意しない」という事 4・実は回復した後の上限が100を超えている:筋力運動を実行して筋肉細胞を破壊すると身体は破壊された筋肉細胞を必要以上に回復するので筋力運動前の100という数値を強引に増やそうとする 言葉口調ならば「何度も何度も回復するの面倒くさいからオマケで30ほど増やしておいてあげる」となり海岸の防波堤で比喩するのであれば「今回5mの防波堤に7mの津波が押し寄せて被害が出たから10mの防波堤にしておけば大丈夫だろう」という内容 筋力強化とは「筋肉細胞を壊し続けて以前より筋肉細胞を増やす行為」と理解しておくと予定も組みやすいので是非覚えておいてほしい 『昨日は腕を徹底的に鍛えて今日は腕が筋肉痛だから腕を使わずに休ませて脚を鍛えて明日は腹と背中を鍛える 明後日には腕が超回復しているから更に上を目指そう』 といった具合 悪い筋力強化とは「筋肉細胞が回復していない状態で筋力運動を実行する」という事 100あった筋肉細胞が70まで減少している状態で筋力運動を実行すると更に数値が減り続けてしまう 毎日運動していて栄養も取っていて規則正しい生活をしているのに筋肉がつかない・体調が良くならない場合は概ねこれらが原因とされている 陸上選手のような毎日長い距離を走っている人で筋肉質の人がほとんどいないのもこれが原因 毎日走り続けると筋肉細胞が増える事がないので極めて痩せ形の脚になりやすい 走る=脚の筋力運動 なので『超回復』が機能しない ただ単に痩せたいのであれば毎日走るのは良いが筋肉質になりたい場合は毎日走ると逆効果になる 毎日運動して実績が出ている人は『超回復』が人より早いからで必ずしも毎日運動すれば良いという事には結び付かない お酒が強い人と弱い人が存在するように『超回復』の回復時間も人によって随分と異なる 『超回復』の時間は24~72時間とされている 早い人でも24時間つまり丸1日費やす計算になり遅い人では72時間つまり丸3日費やす計算になる なおお酒の強い弱いの仕組みは「体内にあるアルコールを分解する時間と能力」でお酒が強い人はアルコール分解能力が飛び抜けて早い いくら飲んでもすぐに体内のアルコールを分解してしまうから酔わない・翌日残らない という仕組み 反対にお酒に弱い人はアルコール分解能力が低いからで二日酔いになる人も体内のアルコールが分解仕切れずにいる・変な分解をして体内細胞と変な科学反応を起こしている為