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小学生は忙しい。 朝は遅刻すると先生におこられるし昼は早く校庭に出ないと場所がとれない。 学校が終わってから晩ご飯までの遊ぶ時間だってちょっとだし夜も遅くまで起きてちゃいけない。 そして朝、昼、夜とご飯の時間がある。 僕の家はおじいちゃんやおばあちゃんの住んでるところから遠く離れたとこにあって、お盆と正月の休みくらいにしか会いに行けない。 だからたまに会えると僕は緊張してしまって普段よりいい子にしようとする。 おじいちゃんもおばあちゃんも別に恐い人じゃないし僕も人見知りする方でもないと思うんだけど、やっぱりちょっとしか会えないから。 いつかの食事の時間のこと。 その頃の僕は家の中や庭の探検で忙しかったから食べるのがすごく早かった。 でもあるときおばぁちゃんが「お米は八十八回かみなさい」って。 叱ったつもりでもなかったんだろうけど、僕もちょっとびっくりしただけだったんだけど、それからはちゃんとご飯を一口食べるごとに八十八回数えてから食べるようになったんだ。 だから僕はご飯を食べるのがとっても遅い。 朝はいっつもお母さんにおこられて遅刻ギリギリだし昼休みもほとんど遊べない。 おやつを食べ終わるのも僕が一番最後だし晩ご飯が終わったらもう寝る時間だ。 みんな「あんたは本当に食べるの遅いねぇ」ってあきれてる。 おばあちゃんまでそう言って笑ってた。 でも癖になっちゃったからどうしようもない。 最近はおじいちゃんとおばあちゃんの前でも緊張しなくなってたんだ。 それなのに、こないだ急に体調が悪くなったおばあちゃんは入院してすぐに死んじゃった。 死んじゃう直前にぼくらはお見舞いに行って、そのときは普通にしゃべってたんだ。 風邪かな、とか話しながら。 そのとき病院のご飯がおいしくないって話から納豆の話になった。 納豆まで味が薄いってぼやいてたんだけど、おばあちゃんが言ったんだ。 「納豆を美味しく食べるには九百九十九回かきまぜるんだよ」 別に緊張してたわけではないし、僕にそうしろって言ったわけじゃないのは分かってるんだけど。 僕はまたご飯を食べるのが遅くなりそうだ。 -
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【種別】 登場人物・出演俳優(TVシリーズ ゲスト登場人物) 【名前】 おばあちゃん 【よみがな】 おばあちゃん 【キャスト】 佐々木すみ江 【9つの世界】 カブトの世界 【登場話】 第16話、第17話 【人物】 おでん屋「天堂屋」を営む高齢の女性。本名は不明。自分の作ったおでんの味にこだわりと絶対の自信を持つ。これまで生きてきた人生の経験と感で自分の中に哲学的な知恵袋をもっている。天堂屋のおでんを食そうとした門矢士と光夏海におでんの美味い味の秘訣を披露した。 自分の味を変えることを嫌っており、士が天堂屋のおでんの味を変更しようとした際は怒りを露にするほどである。これには理由があり、自分の孫のマユと死んだとされるマユの兄と自分が好きなおでんの具だけにするという事を守るためであり、死んだとされるマユの兄が本当に死んだと思いたくない気持ちがおでんに込められており、いつか帰ってくると信じてこのおでんの味をまもっている。 実はマユがワームである事情を知っており、「あの子の体には隅々まで、うちの汁の味がしみこんでるんだよ。」とその事情を受け入れた上で救いようのない事実ではあるが家族として受け入れている。マユがどのような経緯で擬態されていったのか、又兄のソウジが妹が擬態されてしまっていった事実を知る経緯はカブトの世界の物語では語られていない。 おばあちゃん語録 「世の中には、あわてて飲み込んではいけないものが二つある。テレビの言う事と、お正月のお餅だ。」 「食べ物は出てきた瞬間が。一番美味しいんだ!」 「真の才能は少ない。その事に気づくのはもっと少ない。」(マユ曰く) 「ツユの味は見ただけではわからない。見かけにだまされるな。」(士曰く) 満を持してのおばあちゃんの登場 オリジナルのカブトの物語で主人公の天道総司(日下部総司(*1))の「おばあちゃんが言っていた」で始まるキメ台詞の格言を総司に教えた人物。総司を態度のデカイ自信家に育て、強烈な存在感とインパクトのある格言を伝授するも、物語には最後まで登場しなかった人物。孤児になってしまった総司の養子先の天道家の人間。総司の両親が擬態され死んでしまった事と救いのない事実を受け入れ、総司を全てにおいて高いレベルの強い男に育てあげた。最後まで登場がなかった事でどのようなキャラクターなのか?どの女優さんならこの役があてはまるのか?という話がインターネット掲示板などで話題となった。このディケイドの物語のカブトの世界で実際に登場を果たした。 【関連するページ】 カブトの世界 マユ 佐々木すみ江 天堂屋
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おばあちゃん 正体は キスで殺してくれなか の もんすたー 安定のおばあちゃん 戦時中を体験している。 義心会での役職は 天ぷら定食
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おばあちゃん おばあちゃん (故)田中ハナ。祖母。晩年はツッコミじゃない方になり、ひじきを煮ては容器に詰め押し入れにしまっていたという。 [関]まさおさん
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蒼「お待たせしましたマスター、どうぞ召し上がれ。」 マ「うん、いただきます・・・。」 マスターに何やら元気がない。食も普段のように進んではいない。 体調が悪いというよりも、さっきからずっと何かを言い出そうと迷っているようだ。 蒼「どうしたの?何か言いたい事があるのなら言って?」 マ「ねえ蒼星石、一緒に暮らす人が一人増えたら・・・やっぱり嫌かな?」 いつになく神妙な面持ちで切り出した。 蒼「え・・・?やっぱり僕はマスターと二人だけの方が・・・。 あ、いや、その・・・全く知らない人とだと不安だしね・・・。」 マ「そっか、そうだよね。ごめんね。」 隠そうとしているのかもしれないが、気落ちしている様は到底隠し切れていない 蒼「マスター、その人って・・・すごい大切な人なの?」 マ「そうだね、とても大切な人だ。」 蒼「その人・・・ひょっとして女の人なのかな。」 マ「うん、まあ女性だね。」 しばらくの沈黙が生じる。 マ「・・・いや、もういいんだ。忘れて欲しい。」 蒼「僕の存在が・・・マスターにとって邪魔になると言うなら、僕は出て行くよ。」 マ「え、なんで?」 蒼「僕はマスターに幸せになって欲しいから、僕のせいでマスターを不幸にしたくないから・・・。」 マ「蒼星石の言いたい事が完全には分からないけれど、多分それは違うよ。 むしろ君の力を貸して欲しかったんだ。」 蒼「僕の力?」 マ「ああ、もしも君さえ良ければ・・・自分が家を空けている間に僕のおばあちゃんの世話をして欲しかったんだ。」 蒼「おばあさん、って・・・マスターの?」 マ「うん、僕のお母さんのお母さん、そのおばあちゃんが最近ボケ出してしまってね。 施設に入れられることになりそうだから、出来れば自分が引き取りたかったんだ。」 蒼「おばあさんが・・・。でもそういうのって、まずご両親がお世話をするんじゃ・・・。」 マ「本来は・・・そうなんだろうね。僕はまだ学生だしね。当然周囲からも反対された。」 蒼「それじゃあなんで?」 マ「事情が・・・あってね。出来れば自分が家を空けている間は蒼星石に面倒を見てもらうということで、 それでなんとか説得できないか、と思ってね。」 蒼「でも、僕の事は・・・。」 マ「分かってる。全部打ち明けてしまう訳にはいかない。その辺はぼやかしてだし、正直骨が折れるだろうね。 そもそも仮に『恋人が自分のいない間の面倒を見てくれます』と言ったとしても、 『よそのお嬢さんにそんな負担を強いるのか』という反対は当然出るだろうしね。」 蒼「それでも・・・。」 マ「うん、それでもやれるだけのことはやりたかったんだ。・・・後悔したくはなかったから。」 蒼「もう、マスターったら水くさいんだから!それならそうと最初から言ってくれればいいのに。」 マ「でも、蒼星石は気が進まないんじゃ?」 蒼「そういう事なら話は別だよ。マスターのためだもん、いくらでも頑張っちゃうよ!」 マ「・・・ありがとう。」 マスターがそのまま僕を強く抱きしめる。 蒼「マ、マスターちょっと力が強すぎて・・・」 そこでマスターの目に浮かぶ涙の存在に気づいた。 しばらくの間、じっと黙って何も見ていないふりをしていた。 先の連休中にマスターは実家に帰って親戚一同の説得に当たった。 その間に家に残った僕はおばあさんを受け入れるための準備を整えた。 二人して頑張った甲斐があってか、まずは期間限定の様子見でおばあさんを引き取れる運びとなった。 自分たちだけで無理をせず、必要に応じてヘルパー等を利用するようにという条件付きながらも、なんとか要求が通った形だ。 そして今日、ついに初めて僕一人でおばあさんの日中のお世話をすることになった。 ボケ始めたと言っても、行動自体は常軌を逸していないし、むしろ僕に疑念を抱かなかった分そんなに苦労はなかった。 マスターが学校からまっすぐ帰ってきた。本当にまっすぐ、大急ぎでわき目も振らずに来たのだろう、息も切れている。 最近はおばあさんを引き取るための説得や準備で駆けずり回っていたせいか、疲れ果てた様子がありありと窺える。 マ「どうだった?」 蒼「うん、今はお休みになってるよ。僕の事をご家族の誰かだと思っているのか、協力的で助かったよ。」 マ「そっか、それならいいけど・・・。」 蒼「なんだか僕を見てヒロミさんと呼んだりトシミさんと呼んだりしてたよ。なんとなく似てるのかな?」 マ「やっぱりそうか・・・。」 蒼「やっぱりって?」 マ「ヒロミと言うのは僕の母親の名で、トシミというのはおじさんの名前なんだよ。 きっと蒼星石を見て二人の子供の頃を思い出したんだろうね。」 蒼「マスター、それって僕が男の子みたいって事じゃないよね?怒っちゃうよ?」 元気のなかったマスターにも多少は余裕が出たのかと安堵して軽口に付き合う。 マ「そんな訳ないさ。そんな事一度でも思った事はないし、冗談でだって言うものか。」 蒼「え・・・あ、ありがとう。」 思惑に反して真剣な答えが返ってきたので戸惑ってしまう。 マ「・・・おばあちゃんは頭がボケ出した上に、目もほとんど見えていないみたいなんだ。 もうね、おばあちゃんには自分の娘と息子のことも分からないんだ。 ただ髪の短い子供の姿と、その時にたまたま思い浮かんだ思い出とで一致した名前を呼ぶだけなんだ。 時間も・・・場所も関係なくね。逆に・・・現在の二人を見てもそうとは分からないかもしれない。 だから自分の所に来た人は・・・母でもあり、おじさんでもあり、誰でもあり、そして・・・誰でもないんだ。」 蒼「そんな・・・。」 もしも自分が翠星石や真紅たちといった姉妹、そして・・・マスターといった大切な人たちが分からなくなってしまったら・・・。 その時おばあさんが目を覚まし、マスターに気づいた。 ば「あら、カズキさん帰ったの?」 マ「あ、おばあちゃん、さっき帰ってきたんだよ。元気だった?」 ば「ええ、さっきまで可愛いお嬢さんが・・・ひょっとして彼女がカズキさんの恋人?その子が面倒をみてくれたから助かったわよ。」 マ「そうなんだ。それは良かった。彼女にもお礼を言っておくよ。」 ば「ええ、そうして。それじゃあ私はもう少し休ませてもらうわね・・・。」 マ「うん、ゆっくりと休んでよ。」 おばあさんはそのまま再び眠りについた。 蒼「ねえ、マスターのおばあさんって・・・。」 マ「・・・おばあちゃんはもう誰も分からない・・・はずなんだ。 でもね、なぜか・・・孫である僕と僕の妹だけは分かってくれるんだ。 ちゃんと・・・ちゃんと僕の名前で呼んでくれる。 だから、だから僕もおばあちゃんを裏切って、ないがしろにするような事はしたくないんだ。」 泣くのを堪えるような表情で、遠い眼をしながらマスターが言った。 なぜマスターがああまでしておばあさんを引き取ろうとしたのかが少しだけ分かった気がする。 そして、なぜ自分を顧みずに無茶をしてしまっているのかも・・・。 蒼「ねえマスター、おばあさんの夢の中に行けば・・・もしかしたら、だけどおばあさんのボケも治るかも。」 マ「・・・いいんだよ、このままでも。それが人間の運命なんだよ。ボールを空へと放り投げたみたいにさ、 始めは上へ上へと、赤ちゃんからだんだんと成長していって・・・それがいつしか少しずつ落ち出して・・・ また少しずつ赤ちゃんへと戻って行くんだよ。それで最後はどこかへと帰って行くんだ。 だから、それまでは幸せな夢の中で過ごせばいい、それでいいんだ。・・・・・・ありがとう。」 蒼「だけどマスターがこんなに大切に思っているのにそれもしっかりと分からないなんて悲しいよ・・・。 それにボケが治ればまたおばあさんも他のご家族と以前のように暮らせるだろうし。何よりも・・・」 これじゃあマスターの方が先に参っちゃうよ、という言葉は言ってはいけない気がして飲み込んだ。 マ「・・・そうかもしれないね、蒼星石の言う事の方が正しいのかもしれない。逃げていちゃいけないのかもしれない。 辛くても現実と・・・向かい合わなければいけないのかもしれない・・・。蒼星石、お願いするよ。」 蒼「じゃあ、早速だけど行こうか。・・・・・・レンピカ、頼むよ・・・。」 おばあさんの夢の扉が開く。 マ「夢で何かするのなら翠星石がいた方がいいんじゃない?」 蒼「今はとりあえず下見でいいと思う。なんとかなりそうならそれから呼びに行けばいいよ。」 そう、今は心の樹の様子を見に行くだけでいいだろう。 マスターに対してではないから僕の庭師の鋏も存分に振るえる。 僕がしがらみを斬り払って翠星石が樹を育めば、きっと心の樹も活力を取り戻すだろう。 そうすれば多分おばあさんのボケも治って・・・マスターもまた元気になってくれるはずだ。 蒼「・・・それじゃあマスター、準備はいいかな?」 マ「ああ・・・・・・。」 そして僕らはおばあさんの夢の中へと入って行った。 →『おばあちゃん2』へ
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【obaachan】人名 正式 会長に同じ。ばあちゃん?がなまったもの。 主に機嫌が良いときのネテモ?によって用いられる。 [用例](機嫌の良いネテモが?)「おばあちゃん!何か買ってきてあげるよ」 「え?ネテモ?さんどうしたの」 [関連語]ばあちゃん?、バータ?
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おばあちゃん みみがすこしとおいけど、みきをとてもかわいがっている。
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【種別】 用語 【用語】 おばあちゃん 【よみがな】 【使用話】 劇場版、第32話 良太郎と愛理の祖母 幼い頃に両親(野上真一、加代子)を亡くした2人の面倒をみていた。 今も存命らしい。 物語にはセリフでのみ存在、登場はしていない。 【関連するページ】 用語
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さんしゃいん・ゆあのおばあちゃん 経営している和菓子屋に本スレ民が訪れ店が繁盛した。 松尾事件で唯一アドをとった人物。
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『おばあちゃん』← マ「ここがおばあちゃんの夢の中か・・・。」 蒼「なんだか和風の空間に仕上がってるね。」 周りは畳やふすま、木製の柱や梁といった和室のパーツのようなものが集合して構成されている。 マ「どことなくだけど見覚えがあるような・・・。きっと昔おばあちゃんが住んでいた家の再現なんだろうな。」 マスターがどことなく懐かしそうな顔になる。 蒼「あ、あそこ!おばあさんがいたよ。」 マ「本当だ。あと他にも・・・。」 蒼「男の人、だね。」 マ「多分あれはおじいちゃんだ。二人とも若いけど面影があるよ。」 蒼「夢の中だからね、あれはおばあさんの思い出なんだろうね。」 場面が変わる。 蒼「子供たちだね。」 マ「あれは多分お母さんとおじさんだろうな・・・。」 蒼「近くで見てみよっか?」 二人でおばあさんの方へと寄っていく。 マ「おばあちゃん、こっちにはまるで気がつかないみたいだね。」 蒼「多分、今のおばあさんの心が自分の夢に閉じこもってしまっている状態だからだと思うよ。」 マ「おじさんの方は良く分からないけど・・・多分あっちがお母さんなのは間違いないだろうな。」 再び場面が変わった。 蒼「あ、あれはお孫さんみたいだね。あっちの男の子がマスターかな?無邪気そうで可愛いね。」 マ「・・・子供なんてのは大抵みんな無邪気なものだからね。 無邪気で・・・それゆえに自分のしている事がいかに汚く残酷であるかに気づかない・・・。」 マスターが苦虫を噛み潰したような表情で言った。 蒼「え?」 マスターは子供好きだったはずなので少し意外だった。 さらに変化が起きて、少し成長したマスターとマスターの妹さんと思しき女の子が登場する。 マ「あれは・・・遊びに行った時にプレゼントを貰っているところかな・・・。 しょっちゅういろいろな物をくれてさ、ゲームなんかもせがんで買ってもらったりしたものだよ。」 蒼「ふうん、大切にされていたんだね。うらやましいな。」 マ「だけど・・・僕の方はおばあちゃんとおじいちゃんを大事にはできなかったんだ。」 次第に暗くなってきたマスターの表情に不安を覚える。 蒼「・・・また、変わるみたいだね。」 今度はおじいさんとおばあさん、それにさらに成長したマスターと思しき男の子。 一緒に談笑しながら楽しそうに食事をしている。 マ「こうやって・・・よく食事に連れて行ってもらったりもしたんだ。 両親が共働きだったんだけどさ、それで通学や塾へ送ってもらったりする関係でお邪魔する事も多かったからね・・・。」 食事が済んだらマスターがおじいさんの肩をもんだりと、とっても仲が良さそうだ。 蒼「なあんだ、マスターってばしっかりと孝行をしてるみたいじゃない。」 マ「違うんだ・・・あれは違うんだ。あんな事だけで、恩を返せているつもりになって・・・。」 蒼「え、だけどおじいさんもすごく喜んで・・・。」 そこでふと気が付く。そういえば、マスターのおじいさんは一体・・・。 今まで話題に上らなかったが、すでにどこかの施設で生活しているのか? いや、だったら多分おばあさんも一緒に・・・それじゃあ・・・。 マ「おじいちゃんは・・・もう死んでしまった・・・。僕が・・・殺したようなもんだ・・・。」 マスターが突然両手で頭を押さえて膝から崩れ落ちた。 マ「僕のせいだ!!僕が、僕が気づかずにおじいちゃんを殺したんだ!」 蒼「マ、マスター・・・急にどうしちゃったの?」 マ「僕がああやって負担をかけ続けたからだ・・・だから、おじいちゃんも・・・僕が・・・。」 蒼「落ち着いて、言ってる事が分からないよ!!」 マ「ずっと、ずっと、さっきみたいにいろいろしてもらって、それを当然と思って自分からもねだって・・・ そのせいで二人は手に負えない借金をして、おじいちゃんはくたびれて倒れてしまった・・・。 残されたおばあちゃんも・・・親戚から厄介者扱いされて・・・居場所を無くしてしまったんだ・・・。」 蒼「そんな馬鹿な!いくらなんでもマスターのことだけでそんな事態にはならないよ。 きっと他にも事情があったんだってば。」 マ「違う!僕が気づかずにあんな事をし続けていたからだ・・・。他に理由があったにせよ、自分も加担していたんだ!」 この時になってようやく僕は気づいた。あの時のマスターの発言・・・。 逃げる事なく現実と向かい合う、それがおばあさんの夢に入る際のマスター自身の覚悟だったという事に。 蒼「マスター・・・しっかりして!」 マスターを抱き寄せる。しかし胸の中のマスターは一向に泣きやむ気配を見せない。 こんなにマスターが小さく、頼りなげに見えたのは初めてだ。 さっきからずっと、まるで子供みたいに泣きじゃくっている。 マ「ごめんなさい!ごめんなさい・・・!うっ、う・・・。」 蒼「マスター、落ち着いてよ!しっかり・・・して!!」 マスターは先程からうわごとのように誰かに謝り続けている。 契約によって僕の心と一つにつながったマスターの心の苦しみがひしひしと伝わってくる。 僕の心まで押し潰されてしまいそうな、深い絶望と悲しみが。 ・・・僕のせいだ、僕がマスターの心の傷跡をほじくり返してしまったからだ。 僕が、自分の能力に溺れてマスターの心を結果的に攻撃してしまったからなんだ・・・。 僕が自分のことばかり考えて、事情もよく知らないくせに出しゃばって・・・。 結局僕がしようとしていた事は、おばあさんを再び以前のような苦境に追い込む事であり、 そして・・・マスターの心を追い詰めてしまう事だったんだ。 蒼「ごめんねマスター、僕のせいでこんな事に・・・。」 それでも僕の声など届かぬようにマスターの懺悔は終わらない。 どうしていいか分からないままに立ち尽くしていると、誰かがそばに来る気配がした。 ば「カズキさん、そんなに泣いてどうしたのかしら?」 マ「おばあ・・・ちゃん?」 蒼「え、でも・・・なんで僕らに気づいて・・・。」 ば「そんな風に大声で泣いていたら誰だって気づきますよ。」 おばあさんが僕の方ににこりと笑って言った。 そういえばおばあさんは元々マスターの事ははっきりと分かっていた。 ひょっとしたらだけどそのためなのかもしれない。 ば「カズキさん、私は良いおばあちゃんじゃなかったかもしれないけれど、あなたは良い孫でしたよ。 だからそんなに泣かないでちょうだい。」 マ「そんなことない。おじいちゃんとおばあちゃんは良くしてくれたのに、僕が・・・!」 ば「あなたは本当に優しい子ね。でももういいの、私のことで悩まないで。 ・・・私がああいった方法以外で愛情を示す術を心得ていればあなたをそんなに苦しめずに済んだのにね。」 マ「それは自業自得なんだ。恩を仇で返して二人にあんな苦労をかけたんだから。」 ば「私の方こそ・・・随分と苦労をかけたわね。あんな風に身をすり減らしながらお世話をしてもらって。 起きている時には伝えられないけれど、今まで本当にありがたかったわ。・・・でもね、もういいのよ。」 マ「でも・・・このままだとおばあちゃんは・・・。」 ば「ありがとう。その気持ちは本当にうれしいわ。 だけど・・・今のあなたには私よりもそばにいてあげるべき、もっと大切な人がいるのでしょう?」 マ「そうしたらおばあちゃんは本当に一人ぼっちになっちゃう!」 ば「いいのよ、離れた所にいても、忘れないでいてくれて、そして・・・笑顔でいてくれるのならさびしくはないわ。 無理してまでそばにいてくれなくたっていいの、そんなに泣いているのを見たらこっちまで辛くなっちゃうから。」 マ「おばあちゃん、ごめん、ごめんなさい!」 マスターがおばあさんにすがりつく。 ば「あらあら、言ってるそばから困ったわね。いいかしら、そういう時はね、謝らなくてもいいの。 にっこりと笑ってお礼を言ってくれれば。大事な人が笑ってくれるのが一番うれしいんだから。」 マ「・・・あ・・・ありがとう、おばあちゃん・・・。あはは、やっぱり涙は止められないや。ごめんね。」 ば「いままで本当にありがとう、また気が向いたらお顔を見せてね。」 マ「うん、分かった。そうするから元気で待っててね。」 その後、おばあさんはご実家近くの施設に預けられる事になった。 受け入れの準備が整うまでということで引き続きおばあさんのお世話をしていたが、ついに今日連れられていった。 蒼「ほんの数日だったのに、なんだか急にさびしくなっちゃったね。」 おばあさんの寝ていた布団が片付けられ、なんだか部屋ががらんとしてしまった気がする。 マ「そうだね、結局おばあちゃんには何かしてもらいっ放しだったな。」 マスターの表情は未だ晴れない。やはりまだ尾を引いているのだろうか。 蒼「マスター、ごめんね。僕が余計な事をしちゃったから・・・。」 マ「蒼星石そんな暗い顔して謝らないでよ。 おばあちゃんは言ってた、『大事な人に泣いて謝るくらいなら笑ってお礼を言え』って! だから・・・蒼星石ももっと笑って、笑ってよ・・・!!」 蒼「・・・でもさ、そう言っているマスターの方がもう泣きそうじゃない。」 僕の言葉に、マスターがかすかに笑った気がした。 マ「ごめんね、僕は弱い人間だから、またすぐに泣いてしまうかもしれない。 ・・・だからそんな時は蒼星石にそばにいて力づけてもらいたいんだ。 だから・・・蒼星石には笑っていて欲しい、自分の弱い心を支えて欲しい。」 蒼「・・・分かった。マスターを支えられるように頑張るよ。」 マ「ありがとう。・・・ごめんね、蒼星石の負担をまた増やしてしまって。」 蒼「いいんだよ、僕らは離れるわけにはいかないんだから。 喜びも、悲しみも、共に経験していけばいいんだ。 だから僕はマスターのことをきっと支え続けるよ。 その代わり・・・マスターも僕のことをちょっとだけ支えてくれないかな?」 そこで少し間が空く。 マ「・・・ちょっとだけだなんてけち臭い事を言いなさんな。嫌だと言っても全部支えちゃうからね!」 マスターの大きな手が僕の頭をやさしく撫でる。 そう言ってくれたマスターの顔には以前のまぶしい笑顔が戻っていた。