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三國志12 機種:PC 作曲者:大塚正子 発売元:コーエーテクモゲームス 発売年:2012年 概要 三國志シリーズの12作目。前作と同じく君主プレイ専用。 都市に施設を作る内政パートと、シリーズでは初めてリアルタイム戦闘を導入した戦争パートを繰り返していくのがプレイの流れ。 いろいろと簡略化されプレイ自体はしやすくなったが、その分武将数が減少するなど多数の要素がカットされてしまいゲームの評価はいまいち。 音楽はコーエーテクモゲームス所属の大塚正子氏が作曲。外注ではなく社内の作曲家が担当するのはこれがシリーズ初。 オーケストラ主体の壮大な曲が中心で、BGMの出来はとても良く過去作に劣らない。グラフィックと並んでこのゲームの長所としてよく挙げられる。 大塚正子氏は後の『13』・『14』でもメインコンポーザーを任されることになる。 サントラはトレジャーボックスに付属されているほか、「三國志歴代サウンドトラックCD 三國志30th anniversary」にも収録。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 補足 順位 雄飛 オープニング 萌芽 メインメニュー 魏のテーマ 蜀のテーマ 呉のテーマ 呂布のテーマ 群雄のテーマ 河北のテーマ 内政画面(河北) 中原のテーマ 内政画面(中原) 西北のテーマ 内政画面(西北) 呉越のテーマ 内政画面(呉越) 荊楚のテーマ 内政画面(荊楚) 巴蜀のテーマ 内政画面(巴蜀) 手練手管 静寂の一刻 軍議 河北の戦い 戦争(河北) 中原の戦い 戦争(中原) 西北の戦い 戦争(西北) 呉越の戦い 戦争(呉越) 荊楚の戦い 戦争(荊楚) 巴蜀の戦い 戦争(巴蜀) 好機到来 秘策使用時 危急存亡 対峙 一騎打ち 戦いの果てに 矜持 心友 風雲急を告げる 泡沫人 一陣の風 権謀 木漏れ日の中で 一縷の光 幾星霜を経て エンディング 終天 スタッフロール サウンドトラック 三國志12 TREASURE BOX サントラが付属。 三國志歴代サウンドトラックCD 三國志30th anniversary 「三國志」30周年記念歴代タイトル全集に付属。
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「修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。 依頼内容は、総評のパワーアップキットについての記述の変更です。 三國志12 【さんごくしとぅうぇるぶ】 ジャンル 歴史シミュレーションゲーム 対応機種 Windows XP/Vista/7 発売・開発元 コーエーテクモゲームス 発売日 2012年4月20日 定価 パッケージ版 11,340円TREASURE BOX(限定版) 15,540円ダウンロード版 8,800円※それぞれ税込 判定 クソゲー ポイント 凄まじい下方修正の数々極悪仕様のオンライン認証無料の体験版と対戦版だけDLすれば十分無印版(特にPC版)はシリーズ中最もシンプル 三國志シリーズリンク 概要 システム 問題点 賛否両論点 評価点 総評 余談 概要 三國志シリーズの12作目。前作『三國志11』から6年の歳月を隔てて製作された。 発表当初は久方ぶりの新作ということで喜びの声と共に迎えられたが、具体的なゲーム内容が明かされてくるに連れて不安視する声の方が大きくなっていった。 結局幾度かの延期(2012年3月2日→3月30日→4月20日)を経てようやく発売されたのだが、蓋を開けてみるとその出来はシリーズファンの期待を大きく裏切るものだった。 キャッチコピーの「最強の三國志。」「舞台はととのえた。物語をつくれ。」も、実際のゲーム内容を見る限りは自虐ネタとしか思えない。 システム 伝統的なターン制・君主プレイの国取りゲーム。 プレイヤーはシナリオ毎に異なる君主の内の一人を選び、中華統一を目指す事になる。 内政は都市に施設を作り、そこに武将を配置して働かせると言うシステム。 前作やコーエーの他作品と違い施設造りや増築自体には武将は不要で、建ててからの施設運用で武将が必要となる。武将なしの施設はほぼ効果を発揮しないので技能や能力を考えて施設への配備を考える必要がある。 このために、前作までの箱庭内政では建ててしまえば恒久的に物資等が補充できたために後半では内政担当の武将は冷遇気味(*1)だった。しかし今作では領地が増えても武将を配置をしなければ国力の充実を実感できず、特に領地が増える後半はそれこそ能力の低い武将でも配置していく必要があり、どんな武将でも最後まで出番が存在する。 今までは前線から離れた都市を内政都市として、ひたすら一人の武将に物資を運搬させるのが一般的だったが、今作では通用しない。戦略的に重要な都市を見極めて武将を固める必要がある。 戦闘は専用マップで行われ、シリーズ初のリアルタイム戦闘を採用している。 形式は『信長の野望 天下創世』のシステムに似ている。信長の野望ではこの形式のリアルタイム戦闘は一般的だが、三國志で採用されたのは初めて。 武将は必ず1人に付き1つ「戦法」を持っている。戦争では全部隊で共有の采配ポイントを消費する事により、戦法を使って様々な効果を得られる。 詳しくは問題点で述べるが以前までと違い効果や有効範囲が抑えられておりただ使うだけで勝利確定とはならずうまく活用していく必要がある。 本作の大きな特徴として「秘策」が存在する。武将三名に一定期間開発させる事により、各勢力3つまで所有する事が出来る。使い捨てで、発動すると一定期間の間、戦略、あるいは戦術面で恩恵が得られる。 問題点 今作は前作までにあったシステム、データ等が大幅にカットされている。簡略化や削減などはこれまでの三國志や他のコーエー製ゲームにもゲームコンセプト上の関係で行われていたが今作は明らかに度を超えている。 武将数の大幅カット 前作と比べると2/3程度まで激減している。今回の最晩年シナリオ(後述)に合わせたのか特に三国鼎立以降の武将が重点的にカットされており、220年頃から内政すら覚束ぬ程人手が足りなくなり、240年頃にはゲーム自体が成立しなくなる。上記の仕様の通り、武将の存在が今までのシリーズ以上に重要なので武将の大幅リストラはゲームのバランスに響く事になる。 カットされた武将も、鮑信・王基・賀斉・傅彤・羅憲(*2)といった名脇役かつ前作でも優遇されていた武将がカットされている。また三国の皇帝でも後半の人物(曹芳・曹髦・曹奐・孫亮・孫休・孫皓)が消されており、『三國志』のタイトルすら怪しくなった(*3)。 一応今回リストラを喰らった武将は、異民族を中心にPS3・WiiU版では100名程、さらにPKでは50人程復帰している。 リストラ武将が大勢いるにも拘らず、追加に疑問ある武将の顔ぶれ 戴員・嬀覧(*4)(孫翊暗殺事件の犯人)はシリーズ初で、范彊・張達(張飛暗殺事件の犯人)は『V』以来。でもコイツ等を出すよりは(以下略) 女性武将も増加。無双ファンに媚びているとの意見もあるが、そもそも今までの三国志シリーズでも女性武将は登場している。無双に出ていて今回初めて出た女性武将は王元姫と歩練師の2人のみ。しかもこの2人にはしっかりとした逸話がある。但しシナリオの都合上生年の遅い王元姫(217年生まれ)は登場自体が非常に遅くまともに使う事ができない。 クリア特典シナリオではどういうわけか戦国武将が数十人登場する。しかも戦国武将はどいつもこいつも高性能っぷりを発揮しており、能力に癖が強く中途半端な三国武将は存在が一気に霞む。言っておくがこれは「三國志」であって「信長の野望」ではない。 一応、これまでの作品でも(三国志以外の)歴史上の人物や他作品の(勿論コーエーの)歴史SLGからSP武将が登場する事があったし三國志の武将が信長の野望等に出張する事があったので今作だけの問題ではない(今作もあくまで架空シナリオ扱い)。 プレイヤーが武将同士の婚姻や義兄弟を結んだりすることはできない。前作ではロマンはもちろん部隊能力や支援攻撃にも影響する重要な要素だったのだが…。 前作で好評だった武将の老顔グラが存在しない。 もっとも顔グラの老化は前作のウリであった為、今作でも必ずしも採用しなければいけないというわけではない。 戦争の要素の大幅カットと詰めの甘さ 戦争パートは露骨に『三国志大戦』の影響を受けた……というかパクったとしか思えない様に見えてしまう。 特に「時間経過で溜まる采配ポイントを消費して、武将固有の戦法が出せる」というシステムは、『三国志大戦』の「士気」を采配ポイントに、「計略」を戦法にと名前を変えただけの代物である。更に戦法使用時や城門突破時の演出等は三国志大戦と似た物になっているのもパクリ疑惑を増長させてしまっている。 一応描写と戦法の出し方を除けば上記の通り雛形は既にコーエー側が信長の野望で使用されていたシステムの流用なので一方的なパクリ呼ばわりは心外ではあろう…がその場合は既に旧作(*5)のシステムを流用しているという点で手抜き呼ばわりされるのだが…。 戦争は専用の戦闘マップで行われるが、戦闘マップが狭くなったため戦略性が失われ、ごり押しが全てに。物量で圧倒しているなら完全委任でも負ける要素がない。 …であったが、視界が限られる上にアップデートにより敵が寡勢でも本陣を狙ってくるようになったため、完全委任や部隊一塊は危険になった。 部隊の兵科は槍兵、騎兵、弓兵の3種類。兵器も2種類。戦法は変えられず、陣形の概念も無い。 部隊の最大出撃数はたった6部隊(援軍4部隊)。副将も付けられない。このため、率いる事ができない兵力は予備兵として本陣に待機という形になる。 陣や防壁を建設することはできない。 従来の様な火計はおろか、水上戦すら削除されているため、OPムービーの赤壁の戦いがシステム的に全く実現できない(ただし前述の「戦法」に火計、神火計は存在する)。 一騎討ちはしょぼいムービーを垂れ流しながらのカードを使った三すくみじゃんけん。『X』や『11』と比べると、駆け引きの要素が乏しい。 しかもCPUは後出しじゃんけんしてくるため理不尽さ満点。加えてムービーなどの演出があるため無駄に時間がかかりテンポが悪い。 援軍は自発的に退却できないという謎の仕様のせいで、うっかり負け戦に加担してしまうと全員捕縛されてしまう。 内政の要素の大幅カットと詰めの甘さ 『11』と比べると施設作りが簡略化されてしまった。建てられる施設の数は少なく、国造りの工夫どころか見た目の変化すらも乏しい。また、序盤の弱小勢力は必要に応じて施設を建て直さなくてはならないため、達成感に乏しい。 さらに作った施設に武将を配置しなくてはならないが、この武将が外交や輸送を行うたびに、改めて配置しなおさなくてはならないため、内政のテンポが悪い。 武将なしの施設はほぼ役立たずなので内政を終えた後方都市にもある程度の能力を持った武将を配置しておかねばならず、特に優秀な文官は後方で忘れられやすい。ある意味、現実的な光景であり、プレイヤーに人材の管理能力を求めると言う意味においては、悪い事でもないのだが…。 異民族の存在はまるまるカット。異民族の存在は三國志を語る上でも時代考証的にも絶対に無視できない要素であるのだが…。 初代ですら存在していた災害や住民反乱もカット。 異民族及び、災害はPKで対応。ただ、今までのシリーズでは普通に存在していた要素をPKで加えるのはコーエーの悪い癖である。 人材登用や外交での重要な要素であった舌戦もカット。 シリーズの伝統とも言える軍師の助言もカット。軍師の役目は他国の防御度を下げたり、兵器を盗んできたりすることになっている。 ゲームシステムの拙さ 戦略時のイベント強制介入が復活。勝手に領地が変わってしまう。 例えば黄巾の乱の孫堅プレイ、黄巾党を攻め滅ぼして何進から褒美として長沙の太守の任命を受けると、それまで手に入れた領土を全て奪われ、長沙1国のみになる。どう見ても左遷です)『X』でも同様の問題があり、大きく非難を浴びていたが、再発する事となった。 更にアップデート前はAIが噛み合っておらず、イベントで曹操の捕虜になった関羽がイベントと関係ない所でCPUに処断されるという、その後の流れが全く意味のない状態になっていた。 プレイヤーが不利益を被る場合は選択肢次第で回避する事も可能だが、CPUはイベントで次々と版図が変わってしまう。 外交ではアイテムや捕虜、秘策などを交渉材料にする事が出来るようになり、『11』などよりも交渉の幅が広がった。それ自体は進歩である。が、その中で捕虜のウェイトが大きすぎる。凡将でも2、3人捕まえておけば、容易に停戦が結べるため、CPUを自在に操る事が出来てしまう。 ただ、意図的にやったのか、バランス調整不足なのかは不明。一軍の将を捕虜にすれば外交で大きく優位に立てるのは当然だし、捕虜を使った外交を積極的に行わないと詰む局面があるのも確か。「信長の野望・革新」の坊主停戦よりはマシかも知れない。なお、捕虜を交渉材料に同盟を結ぶ事すら出来る。もちろん、同盟を結んだ後、互いの捕虜は、きちんと全員、解放される…ん? 容易にキャラを育成できてしまうイベントが頻発するため、プレイヤー側の武将は超人レベルにまで簡単に育ってしまう。 シナリオは前作以上に三国志前半に偏っている。史実最後年のシナリオですら214年という有様。前述の追加武将と言い三国志後半を軽視(*6)していると言わざるを得ない。 ちなみに、初代『三國志』ですら史実最後年のシナリオは215年である。こちらは最初のシナリオが3年遅いが。 PK追加シナリオではなく無印だけで遊べるものでも、前作『11』では225年、前々作『X』では227年(PKで253年追加)と10年以上も違う。末期が充実した『IX』に至っては263年(決戦制覇なら279年)のシナリオまである。 出陣や輸送等がキャンセル不可能。うっかり兵力や兵器の手配が済まないまま決定してしまうと悲惨… 一応、事前にセーブしておいてロードすればいいだけなのだが、そんな手間を取らせるよりは取りやめる為のコマンドを用意しておけよ…ということになる。 秘策・戦法のバランスの悪さ 秘策の効果が強すぎる。特に絶道の策(=軍隊派遣が封印される策)はあまりにも凶悪すぎるため、中盤以降はこれを防ぐ手段を常時投入するハメになる。 なお、秘策の開発には特定の特技が必須になる為、人材に乏しい弱小勢力では開発すらできない。 秘策発動時に挿入されるムービーは妙に諄い上に長ったらしく作り込まれている。力の入れ処が間違っている。 戦法のバランスの悪さ 特に有名武将専用の戦法があまりにも強力過ぎる。 例としては、範囲全体の戦闘力強化+負傷兵の回復効果で脅威のゾンビアタックを可能とする劉備の戦法「義勇兵」・範囲全体の戦闘力強化+伏兵化効果で相手の戦力をガタガタにしつつ攻められる諸葛亮の戦法「八陣の法」・名前そのままの鄧艾の戦法「伏兵神速」。 ただ、劉備に関しては魅力のパラメータが無くなった事による個性付けと言えばそこまでであるし、諸葛亮に関しても天候を自在に操作し落雷を落として敵部隊を一撃瀕死や火計→風変で敵に向かって火攻め(IV等)に比べれば今作はまだマイルドな方である。 戦法が似たようなものばかりで、武将の個性をイマイチ表現できていない。 一応超有名武将には固有の特技が設定されているが、三国志素人でも知っているような超有名武将だけである。脇役の重要性を認知できているとは思えない。 例えば孫策と張遼と孟獲が同じ戦法であったり、孫堅と郭嘉と董卓が同じ戦法であったりする。前作は少なくとも本作よりは特技によって個性を表現できていた。 そんな武将固有戦法ですらゲーム開始直後から新武将に普通に付けられるのも問題。今まで強力な特技等は1度クリアしないと設定できないように自重された作品もあり、せめて各人の固有戦法位は1回クリアした後にしか付けられない、と言う事はできなかったのだろうか…。 一応、これまでの作品で猛威を振るった強力すぎる常駐効果や直接ダメージ、回復系は撤廃や無難な物のみ採用、使用者が激減し消費采配も高めで連続で使用できなくなっている。 オンライン対戦の詰めの甘さ 本作最大の売りであるオンライン対戦は、劣化『三国志大戦』である。 オンライン対戦には制限があり行動力最大値の十分の一を使わないといけない。 所有できる武将カードに制限がある。 発売当初は毎週調整が行われていたが、現在は放置されている。 公式コミュニティが荒れている時なにもしないなど、運営のやる気のなさが窺える。 極悪仕様のオンライン認証システム 色々と酷い本作の中でも、特に極悪仕様とまで呼ばれるのが"オンライン認証システム"(いわゆる「アクティベーション」「アクチ」)。 本作は基本、オフラインゲームなのであるにもかかわらず、毎日オンライン認証しなければゲームがプレイできない。しかもサーバーが落ちていて認証出来ない場合もあり、その場合はプレイ不可能。 酷いものだと土日に20時間以上サーバーを落としっぱなしにし、ゲームが全くプレイ出来なくなると言う事すらあった。 これでは毎回ネットワーク認証を要求され、しかもプログラムアップデート以外にオンライン要素が皆無な『真・三國無双3 ハイパー』の失敗と同じ轍を踏んでしまっている。 毎日午後八時を過ぎる度に認証がリセットされ再び認証を要求されるようになるが、プレイ中であっても容赦なく認証を要求してくる。 中古対策・海賊版対策が目的とされているが、わざわざ手間を掛けてまでまっとうなユーザーが頭を抱える仕様にしてしまうのは…。 なお、パワーアップキットでは1週間に1回の認証に緩和されたが、あまり根本的な解決にはなっていない。またシブサワ・コウアーカイブス版ではSteam認証に切り替わったため、 ようやく アクティベーション作業が不要となった。 賛否両論点 武将個々の仕様の大幅カット 武将の兵科は固定。好きな兵科を割り当てることは不可能。前作の『11』では自由に決められる上、武将一人一人に各兵科適性が定められていた。 ただ、前作の優秀な武将は揃って全ての兵科適正が高くて隙が無く、そういった武将に対して能力の低い武将でも付け入るスキを与えたというバランス調整にもとらえられる。 3すくみをバランスよく出さなくては対処できないため、以前のシリーズよりは色々な武将が戦場に出る事が多くなったとも言える(呂布が兵科の都合上、張飛に苦戦する…といった面もあるが)。 各パラメータのインフレが激しい。特に「統率」で顕著であり、華雄、顔良、文醜、周泰と言った猛将達が前作と比べて軒並み5~10上昇している。さらに文官の中では郭嘉が統率51→88と再評価だとしても異常な上昇を見せている。ちなみに統率88は賈詡と同値。 一応擁護しておくと、今回の統率は純粋に部隊の戦闘力及び率いることが出来る兵士の数に影響している。しかも今回は部隊に副将を組めない為武将個人の能力が物を言う事になる。つまり例え武力が100であっても統率が低いというだけで戦闘ではまるっきり役に立たなくなってしまう。猛将の統率上昇は「武勇で有名な武将なのに殴り合いに弱い」事を避ける為とも考えられる。 武将の顔グラフィックについて 本作は登場する武将の顔グラフィック(正確には上半身を含めた肖像)が全て新規描き下ろしとなっている。 前作のグラフィックに似ている(アングルや表情が変わった程度の)武将も多いが、三國志VIIから5作にわたって顔グラを使い回されていた武将に新たに顔グラを描き下ろしたのは評価点と言えるだろう。 シリーズが進む事につれ、顔グラが古い武将はやけに顔が小さいといった(*7)違和感があったが、本作でようやく一定のクオリティに統一された。 『演義』寄りの顔グラフィックが多く、『正史』としても通用していた一部の武将に違和感を覚える部分(学者で名を馳せた闞沢や強かな知将の李恢が『演義』での役所の説客として、剛直で名を馳せた田豊がただの因業親父として、老獪ながらも味のあった司馬懿がすっとぼけた腹黒爺として、それぞれ描かれている)もある。 もっとも『正史』のイメージが色濃い武将も少なくはない。野心を抱いていそうな悪人面の劉焉、獰猛な顔つきの馬超、悠然と碁を指す費禕はその一例であろう。礫を操る丁奉のように、民間伝承のイメージを取り入れた武将もいる。 また、キャラ付けの為か、『演義』の特定シーン(有体を云えば本人の最期)を強調している物が多く、討ち取られる(枝に袖が引っかかっている)陳武、明らかに死亡フラグの立っている(いわゆる殿馬状態)曹昴、憤死する辛評など、シチュエーションを考え直すべき顔グラも見られる 口を開けて叫ぶカットがやけに多い。内政・外交でも怒った顔グラフィックがよく出るので、もう少しでも汎用性を持たせるべきだったかもしれない。 上記の武将大幅リストラも「イラストレーターが全員分描ききれなかったのでは?」と言う意見も見られる。 余談だが、本作と同じように全ての武将のグラフィックを描き下ろした『信長の野望 天下創世』では発売当時はグラフィックが間に合わずに 同じ顔の武将が何人も登場し、非難を浴びた(*8)。 項羽や劉邦といった、特別武将も『三國志Internet(*9)』以来の新規描き下ろしである。 評価点 グラフィックが美しい。 BGMが良い。 戦略面での敵AIの思考は(このシリーズにしては)優秀で、かなり手強い。前述の「絶道」の存在もあって、中盤以降も気が抜けない。 シンプルな分、こちらがシステムの裏をかきにくい事とAIがシステムに沿って行動し、無駄が無い事もあると思われるが。 秘策は弱小勢力の救済措置としてはしっかり機能している。195年孔融のような人材的にどう考えても詰んでいる勢力でも「求賢の策」を開発出来るようになれば何とかならない事もない。リセット前提だが、このシリーズではいつもの事である。 シングルコアのノートブックなど、比較的低スペックのPCでも快適に動作する。参考までに本作の動作環境はこちらを参照。 もっとも、前述したオンライン認証があるため常時インターネットに接続していないパソコンには向いていない。 オンライン対戦の出来自体は悪くない。 本作のオンライン対戦だけが楽しめる「対戦版」が無料で配信されているため、作品自体の出来と相俟って「これ(対戦版)だけ落とせば良い」と当たり前のように言われている。 一応、製品版の方が所有できる武将カードが多めだったりなど優遇されているが、対戦版をやるためだけに1万円近く出すのは無駄である。 ごく少数ではあるが、本作のゲーム性を「シンプルで気軽に遊べる」と肯定的に捉える意見もないわけではない(*10)。 もっとも、定価一万超えの老舗歴史SLGシリーズ最新作に大多数のユーザーが何を求めるか、と考えれば、さすがに今作の出来で満足する層は稀であろうが。 総評 バグの多さとバランスの悪さなどで散々悪評を買った前作とはまた違う方向性の酷い出来である。 「糞藝爪覧」事件さえも慈悲深い心で受け入れて、健気に新作を待ち続けた古参のシリーズファンであっても、その多くが見切りをつけるのに躊躇しなかったであろう。 むしろ古参のシリーズファンや純粋な「三国志好き」であればあるほど、失望と憤りを感じる作品に仕上がっている。 ゲームシステム自体は決して悪いものではなく、評価できなくもない部分もあったが、シリーズ最新作という値段にも看板にも見合わない出来、その上に認証が毎日必要でプレイできるかはサーバー側に委ねられていると言う最悪のシステム(*11)ではユーザーが激怒するのも当然である。 その評価点についても、低スペックPCでの快適な動作や顔グラの新調は、これまで築き上げた三國志を彩る重要な要素を大幅に削ってまで実現するニーズがあったかと言われると疑問の残るポイントであり、「最強の三國志」と称するにはかなり寂しい出来となってしまった。 余談 公式サイトには「『三國志』武将名鑑」と言うコーナーがあり、本作に登場する武将を毎日ひとりピックアップしてイラスト付きで紹介していたが、2012年5月1日をもって更新が終わり、現在はそれまで掲載してきた武将を一覧で閲覧出来る。 中には明らかに武将でない人物もちらほらいるが…。 アクティベーションによってソフトがひも付けされてしまうため、ソフトを手放す際に買取に出せず、購入した人は泣き寝入りするしかない。 1万円を越えるクソゲーを掴まされ、なおかつ売るなどして僅かばかりでもお金に換える事すら許されないショックは計り知れない。 ある意味で、後述の評価点に掛るサントラや画集と言ったグッズが手元に残る分、トレジャーボックスの方が救いがある(*12)と言えるかも知れない。 故に購入予定者が採るべき手段は「トレジャーボックスを購入してグッズ以外を売却する」であろう。 この出来であるにもかかわらず、何と発売前に体験版を無料配布(現在はPK版の追加要素付き体験版を配布中)。 限定的ではあるが、内政、戦闘などのシステムは一通り体験出来るため、プレイした多くのユーザーは、「PK待ち」と言う結論を下したようだ。コーエーにしては極めて良心的な販売姿勢である。 2012年12月13日にPS3/Wii U向けに発売、更には2013年2月にはPS Vita向けに発売されることが決まった。 PS3/Wii U版では新システムや新規シナリオなどの追加要素があることが明らかになっているが、Win版の汚名をどこまで雪げるのだろうか。 PS3/Wii U版公式サイトでは「今日の武将対決」というコーナーが開設され、こちらでは毎日2名の武将とそれぞれの列伝をイラスト付で紹介していたが、こちらも2012年12月16日をもって更新終了し、現在は「三國志名勝負」としてそれまで更新された対決を見る事ができる。 家庭用版はゲームプレイ時に認証が不要、武将の追加、武将抜擢(*13)、戦場の陣に耐久と特性が追加と不満だった要素が改善され遊びやすくなっている。 2013年3月1日にパワーアップキットが発売された。 システムとしては上記のコンシューマ版の要素を一部引き継いだ上で更に強化した形になっているが、コンシューマー版との明らかな違いは末期武将が登場しているか否かだったりする。 無印の発売当初よりプレイヤーからは「パワーアップキットが出ても追加ディスクである以上、無印の動作環境に縛られる(=無印がギリギリ動くようなPCを追加ディスクで切り捨てる事が出来ない)し、大掛かりな仕様変更は期待出来ない」「ベースが悪過ぎるから、幾ら要素を追加しようがどうにもならない」と、出た所で大して変わらないと悲観視する意見もかなり多く上がっていた。
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2012年4月20日(金)発売 http //www.gamecity.ne.jp/sangokushi/12/ 希望小売価格:¥10,800(税込み¥11,340)、ダウンロード価格:¥8,800(税込み¥9,240) 三國志12 TREASURE BOX:¥14,800(税込み¥15,540)オリジナルサウンドトラック、シブサワコウ秘伝攻略法、武将アートブック、武将絵飾り扇子、限定武将カード5種、特製クリーニングクロス付き 動作環境 本体CPU Celeron 1.2GHz以上 ATOM 1.5GHz以上 システムソフトウェア Windows XP SP3以降/Vista/7 日本語版 (32bit/64bit) メモリ 1GB以上 ハードディスク 5.0GB以上の空き容量 DVD-ROMドライブ DVD-ROMドライブ必要 ※ ダウンロード版をインストールし、パッケージ版のシリアルを入力してプレイする場合は必要ありません。 ディスプレイ 1024×576ピクセル以上表示可能なディスプレイ ネットワーク環境 ネットワーク接続環境必須※さらにオンライン対戦を楽しむには高速ブロードバンド接続環境を推奨 2013年3月1日win版パワーアップキット発売 パワーアップキット公式 http //www.gamecity.ne.jp/sangokushi/12pkwin/ 希望小売価格:¥5,800(税込み¥6,900)、ダウンロード価格:¥5,400(税込み) 三國志12withパワーアップキット 希望小売価格:¥12,800(税込み¥13,440)、ダウンロード価格:¥11,200(税込み) 現行スレ 【三国志12】三國志12 2ちゃんねる現行スレ検索 【三国志12】三國志12 オンライン対戦版 2ちゃんねる現行スレ (スレタイが【三国志12】三国志~となっている場合があるので注意)
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【TOP】【←prev】【Wii U】【next→】 三國志 12 タイトル 三國志 12 機種 Wii U 型番 WUP-P-AG9J ジャンル シミュレーション 発売元 コーエーテクモゲームス 発売日 2012-12-13 価格 8800円(税別) 三國志 関連 Console Game FC 三國志 三國志 II SFC SUPER 三國志 SUPER 三國志 II 三國志 III 三國志 IV MD 三國志 II 三國志 III SCD-R 三國志 III MCD 三國志 III 3DO 三國志 IV 32X 三國志 IV SS 三國志 IV 三國志 IV with パワーアップキット 三國志 V 三國志 リターンズ 三國志 バリューセット PS 三國志 II 三國志 III 三國志 IV 三國志 IV with パワーアップキット 三國志 V 三國志 リターンズ 三國志 V with パワーアップキット 三國志 VI 三國志 VI with パワーアップキット 三國志 VII コーエー2002 SPRING PACK 三國志 VII 信長の野望 烈風伝 with パワーアップキット DC 三國志 VI 三国志 VI with パワーアップキット Wii 三國志 11 with パワーアップキット 信長の野望 革新 with パワーアップキット&三國志 11 with パワーアップキット ツインパック WiiU 三國志 12 三國志 12 with パワーアップキット Handheld Game GB 三國志 ゲームボーイ版 三國志 ゲームボーイ版 2 WS 三國志 for WonderSwan 三國志 II for WonderSwan 三國志 for WonderSwan エクセレントセット GBA 三國志 駿河屋で購入 Wii U
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ゲーム名 三國志12 (→ソフトウェアカタログ) 対応フォーマット PS3 CERO A (全年齢対象) ジャンル 歴史シミュレーション プレイヤー人数 1人 オンライン 1-2人 販売価格等 8,000円 (BD版 9,240円, PREMIUM BOX 11,340円) 容量 ダウンロード容量 3792MB セーブデータ必要容量 1878KB以上 配信開始日 2012/12/13 体験版 備考/PSN等 トロフィー対応 対応周辺機器 映像出力 NTSC, 480p, 720p 音声出力 Linear PCM 2ch 販売元 コーエーテクモゲームス 開発元 コーエーテクモゲームス まとめサイト 関連スレor板 追加コンテンツ カテゴリ コンテンツ名 販売価格 容量 配信日 追加内容 チケット 国力3000 2,100円 不明 2012/12/13 VITA版と共通で利用可 チケット 国力1000 800円 不明 2012/12/13 VITA版と共通で利用可 チケット 国力500 450円 不明 2012/12/13 VITA版と共通で利用可 チケット 国力300 300円 不明 2012/12/13 VITA版と共通で利用可
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三國志11 機種:PC,PS2,Wii 作曲者:池頼広 発売元:コーエー 発売年:2006年 概要 三國志シリーズの第11作目。再び君主プレイへと回帰したほか、今作からタイトルナンバーがローマ数字からアラビア数字へと変更された。 音楽は前作と同じく池頼広氏が担当。主にゲーム後半(*1)で流れる戦争曲「破竹」の人気が高い。 ただ今作の戦争曲は地域ごとではなく戦況ごとによって変化するものなので、天下の趨勢がほぼ定まるゲーム後半の戦争ではずっと「破竹」を聞くことになりがち。 ちなみに今作では武将のボイスが全て日本語ではなく中国語になっているので、中国語の勉強にもなる。PK版では日本語にも変更可能。 サントラはPK版のプレミアムボックスに付属しているほか、「三國志歴代サウンドトラックCD 三國志30th anniversary」にも収録。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 補足 順位 三國志11 オープニング 悠久 メニュー画面 事典 事典 春の萌芽 政略画面・春 夏の進軍 政略画面・夏 秋の豊穣 政略画面・秋 冬の静寂 政略画面・冬 戦 戦争 優位 戦争・優勢時 劣勢 戦争・劣勢時 破竹 戦争・優勢時(ゲーム後半) 威風 戦争・劣勢時(ゲーム後半) 外交 外交 一騎打ち 一騎打ち 舌戦 舌戦 序章 イベント 戦略 勇気 友情 至福 謀略 悲劇 往時 終極 エンディング サウンドトラック 「三國志11」オリジナルサウンドトラック PK版プレミアムボックスに付属 三國志歴代サウンドトラックCD 三國志30th anniversary 「三國志」30周年記念歴代タイトル全集に付属。
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三國志13 機種:PC,PS3,PS4,Xbox1 作曲者:大塚正子、五十嵐一歩、増岡郷太 発売元:コーエーテクモゲームス 発売年:2016 概要 三國志シリーズの13作目にして三國志シリーズの30周年記念作品。 『三國志X』以来となる全武将プレイが可能になったほか、武将数が少なかった前作の反省を生かし、過去最大級の武将数を誇る。 システムは内政モードも戦争モードも同時進行するセミリアルタイム制を採用。 音楽は前作同様にコーエーテクモゲームスの大塚正子氏が中心となって制作。 吉川晃司が歌う主題歌が収録されており、シリーズで主題歌が収録されたのはこれが初。 また新たに武将のテーマが用意されているほか、菅野よう子氏が作曲した初代『三國志』のBGMのアレンジも使われている。 サントラはTREASURE BOXに付属。パワーアップキット版のサントラは歴代三國志シリーズのBGMももれなく収録。 収録曲(サウンドトラック順) 曲名 作・編曲者 補足 順位 Disc 1 猛き荒波の如く オープニングテーマ 燦爛たる時代 三國志への誘い 覇者への道 曹操のテーマ 慈しみの眼差し 劉備のテーマ 固き絆の軌跡 孫権のテーマ 秘めたる決意 諸葛亮のテーマ 眩き光の旋律 趙雲のテーマ 鳴り響く鼓動 関羽のテーマ 澄明なる空の彼方へ 周瑜のテーマ 孤高なる炎 呂布のテーマ 妖艶なる芳しき罠 女性のテーマ 桃園の誓い 皇帝のテーマ『三國志』のアレンジ 黄河~揚子江 柴桑のテーマ『三國志』のアレンジ 愁眉の急 ~幕開け~ 戦闘(通常) 愁眉の急 ~優勢~ 戦闘(優勢) 愁眉の急 ~劣勢~ 戦闘(劣勢) 麗らかな日差し 平穏 灼然たる矜持 勇壮 殷賑極む 成就 Disc 2 揺るぎなき勇決 ~幕開け~ 攻城戦・関戦(通常) 揺るぎなき勇決 ~優勢~ 攻城戦・関戦(優勢) 揺るぎなき勇決 ~劣勢~ 攻城戦・関戦(劣勢) 冬天の暁 河北のテーマ 息吹漲る丘 中原のテーマ 動乱の足音 西北のテーマ 移ろいゆく時代の中で 呉越のテーマ 朝未き空 荊楚のテーマ 茫洋たる草原 巴蜀のテーマ 蹶然たる進撃 進軍 栄光の道 戦後 迫り来る戦慄の音 防衛 鬩ぎ合う魂の叫び 一騎討ち 六韜三略 策略 宿命を告げる鐘 政庁 血の律動 戦場 突き刺す光 舌戦 鎧袖一触 激突 仕掛けられた密やかな罠 陰謀 奈落への誘い 危機 星空に眠る淡き夢 悲哀 波濤天剋 ~幕開け~ 水上戦(通常) 波濤天剋 ~優勢~ 水上戦(優勢) 波濤天剋 ~劣勢~ 水上戦(劣勢) 赤壁の酌 短歌行 光風霽月 中華統一 遍く広がる世界 新しき時代へ PK版サントラのみ収録 滔々たる時代の趨勢 威名・豪華 芳声、甲走る 威名 季節が変わる頃 編集 / コレクション『三國志』のアレンジ 陶冶の宿 本拠 降り注ぐ木漏れ日の中で 家族のテーマ 嫡流昇華 PK版スタッフロール サントラ未収録 Dance To The Future 吉川晃司菅原弘明 エンディングテーマ歌:吉川晃司 サウンドトラック 三國志13 30周年記念TREASURE BOX サントラが付属。 三國志13 パワーアップキット TREASURE BOX サントラが付属。
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「修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。 注意 本稿では、元であるPC版『三國志11』と、そのパワーアップキット版(以下「PK版」)について紹介する。 PC版(パッチ修正分を含む)は「クソゲー」、PK版は「改善」判定。 三國志11 概要 システム 問題点 賛否両論点 評価点 総評 余談 三國志11 パワーアップキット(Win) 三國志11 with パワーアップキット(Win/PS2/Wii) 概要(PK) 追加要素 未だに残るAIの拙さ 総評(PK) 余談(PK) 三國志11 【さんごくしいれぶん】 ジャンル 歴史シミュレーションゲーム 対応機種 Windows 2000/XP 発売・開発元 コーエー 発売日 無印初期版 2006年3月17日 判定 クソゲー ポイント フリーズ含むバグまみれ客を完全に有料デバッガー扱い糞藝爪覧 三國志シリーズリンク 概要 コーエーの看板とも言える三國志シリーズの第11作目。これまでローマ数字だったタイトルナンバーがアラビア数字になった。 前作は個人武将を選んでプレイするスタイルだったが、本作にて再び君主プレイに戻った。 マップは1枚マップだが、本作では3Dマップとなったため、従来より高性能のビデオカードを要求するスペックとなっている。 システム 内政はいわゆる箱庭形式。全体的に「信長の野望 革新」に近いスタイルで、各都市に存在する空き地に農地や市場などを建設することで、その都市の収入を高める。徴兵や武器生産も対応した施設を建設して初めて可能になる。 どんな低能力の武将1人でも、時間はかかるが施設は必ず建てられる。武将が多いほど行動力も増すので、まずは在野武将の発掘などを行って武将の頭数を揃えるのが重要になる。 隣接する市場や農場の収入を上げる施設もあるため、施設の並びを考えながら配置していくことになる。基本的に大都市ほど、開発地が多い上に場所も固まっていて隣接効果を得やすい。 施設は敵の攻撃で破壊される事があり、施設が壊されると物資や後述の技巧ポイントが失われる。よって敵の攻撃に晒されやすい開発地は防衛施設を建てて防御したり、重要な施設の建設を避けたりしなければならない。守れそうにない都市は開発自体を最小限に止めなければならない事もある。通り一遍の開発は通用しないが、逆に言えば時と場合によって臨機応変に開発を進める楽しみがある。 一方で敵の施設を破壊すれば物資や技巧ポイントを多く奪うことが出来る。拠点を落とせずとも施設さえ破壊すれば、相手の内政を遅らせつつ自分の資源を増やし、戦略を有利に進められる。 戦争や内政によって技巧ポイントを得ることができ、それを消費することで兵科強化や施設強化が可能。これを「技巧研究」という。 技巧研究で開発できる技巧は、強力な投石で攻撃できる「投石開発」など戦略を一変させる物ばかり。技巧ポイントを意識して稼ぎながら技巧研究を進めるのも大事である。 最初から特定の技巧が開発済みの勢力もある。たとえば「白馬義従」の公孫瓚は騎兵系の技巧が非常に充実しており、騎兵の強烈さが目を惹く勢力となっている。 武将には1武将につき1つの「特技」が設定されている(特技を持たない武将もいる)。 内政に役立つ物、戦争に役立つ物と様々。能力値が中途半端な武将でもいぶし銀な特技を持っていることがあり、個性付けがされている。 戦争は、マップ上の自部隊を移動させて敵部隊や敵施設を攻める方式。マップ上で取れる主な行動に通常攻撃、計略、戦法、建設がある。 通常攻撃は気力を消費せずに相手部隊に損害を与えるが、付与効果はなく、相手からの反撃も痛い。 計略は複数種類あり、成功率は部隊を率いる武将の知力に依存する。使用時は部隊気力を消費する。 戦法は部隊の兵科によって異なり、それぞれの兵科に複数の戦法が存在する。使用時は部隊気力を消費する。 建設コマンドで、マップ上に攻撃施設や気力回復などの補助施設、さらに火計用の罠などを作れる。 拠点や開発地を守るのに使ったり、逆にこちらが侵攻する際に有利な展開に持ち込んだりするのに使える。上手に使いこなせれば寡兵で大軍を撃退する事も可能。 戦場で戦法を使うのに必要な兵科は「槍兵・戟兵・騎兵・弩兵・兵器・水軍」の6種。 槍兵・戟兵・騎兵・弩兵は兵士1人につき対応する武器(槍、騎馬など)が必要。いくら兵士がいても武器が無ければ非常に弱い剣兵でしか出陣できないため、「鍛冶(騎馬は厩舎)」を建設して対応する武器を作らなければならない。兵器、水軍用の艦船は1部隊1つで良いが、開発には専用の施設を必要とし、開発にかかる資金と時間も多い。また、水軍は艦船がないと非常に弱い。 武将によって得意な兵科、苦手な兵科が存在し、兵科適性としてS,A~Cのランクが振り分けられている。使用可能な戦法の数もこれによって決まる。 「部隊」は主将1人、副将2人で編成される。強力な部隊を編成するには率いる武将の組み合わせが肝心となる。 副将は主将の能力や兵科適性を底上げしてくれる。 1部隊は所属する武将全員の特技が使えるため、最大3つの特技を持つことができる。上手く組み合わせれば一騎当千の部隊を作るのも夢ではない。 問題点 AIが馬鹿。 金と時間と労力をかけて一生懸命城の周りに防壁を築いても、都市行動を「委任」にした途端、真っ先に自国の防壁を全力で破壊し始める。 委任すると褒美や治安を無視して行動するため、委任軍団の武将が次々と裏切り、都市には賊が次々と発生する。 かといって大勢力では委任を活用しないと、ゲームの性質上都市管理に大幅な労力を強いられてしまう。 戦闘委任は特に酷い。圧倒的優勢にもかかわらず行動を停止したり、自軍が仕掛けた罠を壊して回るなど暴走する。 武将の引き抜き条件を「相性」優先にし過ぎたのか、忠誠度100でも引き抜けるor引き抜かれることがある。これまでの同シリーズ作品なら、初期を別にすると(*1)多少差異はあるが忠誠度が94あたりを切らないかぎり引き抜きは出来なかった。 孫堅、孫策、孫権という実の親子軍団で出兵したところ突然孫策の旗の色が変わって何ごととか思ったら、「大変です!孫策様がひきぬかれました!!」 ゲームバランスを崩している強力な特技が存在する。 例としては諸葛亮の特殊能力「神算」。この特技は、自分より知力の低い相手に対する計略がクリティカルで必ず成功するというもの。諸葛亮の知力は100であり、同知力の三国志武将はいない。そのため、相手が防計系特技を持っていない限り100%計略が成功する。 その為に敵が攻めてきても、諸葛亮で偽報を流せばほとんどの敵が必ず撤退。同士討ちのみで敵を撃退することも可能。 おまけに蜀には、計略使用時の消費を1にする特技(百出、馬謖)や、隣接している敵将も巻き込める特技(連環、龐統)持ちもいる。この2人と組む事でどんな大軍相手だろうと計略連打で蹂躙できてしまう。 龐統は寿命が短いので史実シナリオではあまり組む機会に恵まれないが、寿命が存在しないIFシナリオ「英雄集結」では最初から最後までこの3人が組める。おかげで「英雄集結」は劉備軍の強さがえらい事になっている。 他の「条件を満たせば100%クリティカル」系の特技もほとんどが自分より武力の低いものを対象にする(所持者は大抵トップクラスの武力)のでバランスブレイカー。その一方で防御系の特技はほぼ全てが存在しないも同然のものであり、同じ一流武将でも(特に蜀とその他の勢力との間に)理不尽な格差が生じてしまっている。 何故か毎年「豊作」になる都市が固定で、その都市さえ押さえておけば兵糧問題が解決する。 数ある書物アイテムの効果が全て同じで、舌戦で全話術が使えるようになると言うもの。 城や港・関(以下拠点)が脆すぎる。拠点への籠城など自殺行為にしかならない。 いくら兵士を多数駐屯させていても、敵兵に隣接されるだけで耐久が減って簡単に落とされる。入口を敵部隊で塞がれると中から迎撃部隊を出す事もできなくなる。 拠点を攻撃した部隊へは自動的に反撃がなされるが、威力はたかが知れたもの。そもそも戦法へは反撃不可能なので兵器や弩兵には全くの無力。 港関は特に脆く「棺桶」と揶揄されている。そのためあえて敵に取らせて港関ごと撃破する「棺桶作戦」なる身も蓋も無い戦法も生まれた(*2)。 BGMの出来そのものは素晴らしいが、戦線が広がった後半は同じ曲ばかり流れる傾向があり間違いなく聞き飽きる。 お約束のフリーズバグ。強制終了も存在。あまりのバグの多さにユーザーが公式サイトの掲示板に突撃し炎上。とんでもない有様となった。 そのため2006年4月10日に既存のバグを修正し、バランス調整を図った修正パッチが発表された。通常コーエーの出す修正パッチは、中古対策のためにゲームのシリアルナンバーを入力してユーザーズページに登録しなければダウンロードすることができないが、今作のVer1.1パッチは登録していなくても修正パッチを落とすことができる(Ver1.2以降のパッチは他作品同様ユーザー登録が必要)。 そのパッチだが、敵はとことん攻めてくるわ、武将はとことん引き抜きにくくなるわと、まるでコーエーが逆ギレしたかのような内容だったため、ユーザーからは「コーエー逆ギレパッチ」とまんまな呼び名を付けられている。 ユーザーからの不評があまりにも大きかったためか、コーエーはバグの修正パッチ配布だけでなくディスク交換も無償で応じるという対策を採った。ただ、ディスク交換は後述の糞藝爪覧を隠すためではないかとの見方もある。同年4月17日にはバグを修正したバージョンを再発売した。 賛否両論点 それまでの作品では日本語であった「武将の掛け声」などのボイスが、何の断りもなく北京系中国語に置き換わった。 それだけならまだしも、日本語音声が一切入っていないため、CV音量を変更しない限り常に空耳同然の謎ボイスを聞かされることになる。 声自体も(顔グラへのこだわりに比べれば)種類が少なく、特にザコ武将では同じようなボイスを聞かされる。 とは言え問題点として挙げられている理由はあくまで日本語ボイスが入っていないからであり、中国語ボイスの導入自体に関しては「さながら本場中国の三国志ドラマ・映画を見ている雰囲気になる」等の擁護意見も一部で存在しており、決して不評意見ばかりでは無い。 この点は後述のPK版で改善されている。また中国語ボイスは『13』にて復活し、そちらでは本作PK版同様に無印の段階で最初から日本語ボイス・中国語ボイスの選択が可能になった。 評価点 火種・火球といった火罠のおかげで、工夫すれば寡兵でも大軍を撃退できるようになっている。 罠や攻撃用施設を建てて都市周辺を要塞化すること自体はそれなりに楽しい。 技巧研究の効果が目に見えて優秀。 戦争を重ねると物資を消耗するが、同時に技巧ポイントが得られる為に研究が進み戦力が上がるように調整されている。 このため1都市に籠城していると、そのうちに技巧研究の進んだ強力な敵軍に攻められるようになるため、単純な引きこもりプレイは通用しない。 洗練された一騎討ち、舌戦 一騎討ちは攻撃方針を選択して自動で戦わせるタイプ。仲間の救援、アイテムの使用、闘志を使った攻撃など奥が深い。 文官の一騎討ちにあたる舌戦は、武将ごとに定められた性格と所有話術によって歯ごたえのある勝負ができ、こちらも奥が深い。 バグやシステム面の問題に隠れがちだが、実は「三国志」を元にしたキャラゲーとしては意外に出来がいい。そのため「三国志が好きだから三國志11をやる」ユーザーにとっては、ロマンの面に限れば割と納得できる形となっている。本作はパワーアップキットである程度の回復を見せるが、この「キャラゲーとしての優秀さ」が大きな土台となったことは見過ごせないだろう(*3)。 + その内容 ほとんどの武将が持つ「特技」によって、強弱が固定されがちだった武将間に新たなバランスを見出している。 具体的には牛金、傅彤などの脳筋が渋い特技のおかげで活躍できたり、基本能力値の高い趙雲、郭嘉が強力だが決定力のある特技では無かったりする。皆ひと癖ありながらイマイチ表現できていなかった朱桓、陳武、蒋欽、徐盛らの呉将も上手く個性付けがなされている。 前述の諸葛亮のように基本能力値が高く特技も強力なバランスブレイカーもいるのだが、逆に考えればそれだけ有名武将の「手強さ」を再現できているとも言える。 特技の中には公式説明以外の隠し効果を持っているものもあり、以前は役に立たなかった特技がその効果が判明したおかげで一躍脚光を浴びる事態も起こっている。 特技の種類自体が非常に多いのも良点。「空気」な特技も多いのだが…。 個々の武将の持つ基本設定が非常に豊富。以下の設定は登場する700人近い武将全てに与えられている。 武将の基本能力値は年齢とともに変化する。その変化の仕方にも各能力ごとに成長期・能力持続期間が定められている。 一般的な武将は壮年時にピークを迎え年を重ねるごとに能力値が劣化してゆくため、世代交代のリアリティを感じつつプレイできる。 一方で黄忠の能力は老齢になるほど高くなったり、虞翻の魅力が能力維持型だったりと、ややシニカルな調整が垣間見える点も面白い。 武将の兵科適性はしっかり全ての兵科についてのS,A~Cが振り分けられている。 兵科による特化型・万能型の武将の個性付けができており、その場その場に合った武将の運用を考慮する戦略性を生んでいる。 兵科適性により、能力が高くても兵を実際に率いるのが苦手な純粋な軍師と、戦術・戦略の両面に優れた将軍型軍師の区別もしっかりなされている。 もっともこのように個性あふれる調整をされているのは中堅クラスまでであり、半分近くの武将は適当な設定であるが。 親愛・嫌悪武将が設定されており、それぞれにメリット・デメリットが存在する。 いくらか疑問符のつくものもあるものの概ね原典通りに再現されており、張飛と劉巴や袁術と陳矯といった細かな人間関係もしっかりカバーしている。 親愛だと同部隊引率時に部隊能力補正がついたり、嫌悪だと逆の補正がついたりと、しっかりシステム面にも人間関係が反映される仕組みになっている。 この他にも前述した性格、話術、さらには口調、在野時の都市移動傾向、出身地(武将推挙に関係)、婚姻、義兄弟、個人イベントなど武将ごとの設定は非常に多い。 有名武将には顔グラフィックが若年・老年の2種類存在する。 史実シナリオだと年代によって顔グラが変化するため、年齢的な顔グラの違和感がある程度解消されている。 特に趙雲、甘寧、姜維といった従来はお決まりのイケメンキャラだった武将が、渋みと威厳のある老将に変化することは非常に好評であった。 一方で、馬超、周瑜、陸遜など、何のために2枠用意されたのか分からないような武将もいる。 有名武将に戦法時、被ダメージ時、死に際、一騎討ち時などの専用セリフがあり、元ネタの分かる三国志ファンはニヤリとする場面も。 具体的には曹操攻撃時の馬超、戦法クリティカル時の賀斉、落雷を受けた時の劉備、処断時の陳寿など。 閻行、華覈、孫皎、張悌、傅僉といった武将にまでしっかり専用セリフが搭載されている点がなかなかニクい。 周泰や楽進のように「無口」という個性付けをされている武将もおり、顔グラや来歴と相まって評判は良い。 夏侯淵vs夏侯惇、孫策vs周瑜、果ては荀彧vs荀攸の一騎討ちにまで、しっかり専用セリフが盛り込まれている。 特に呂布と張飛はほぼ全てが専用セリフ。脳筋2人の舌戦時のセリフは非常に楽しませてくれる。 解りやすく「楽しめる」チュートリアル 劉備でプレイしながら段階を追って本作のプレイ方法を学ぶ事が可能。 登場する武将達の台詞が色々ぶっ飛んでおり見てるだけでも面白い。勿論ただのギャグになっておらず武将の特徴や演義等の設定を活かした上での台詞である。 舌戦と一騎討ち、PKの追加システムの説明は呉の武将たちが行う。こちらも呉の武将の特徴を旨く捉えているが、やや説明調が目立つきらいがある。 英雄集結シナリオに通好みな勢力が追加されている。 具体的には蜀の地で最期を遂げた鍾会と鄧艾や、淮南の三叛をまとめた毌丘倹などがそれに当たる。もちろん君主となるのは初。 総評 一万円を超えるバグゲーをリリースしてユーザーの信頼を大きく失ったコーエー。このような事態が起きた理由として、開発時期が決算間近であったことが挙げられる。 後述の「糞藝爪覧」事件についても、決算期に合わせる形で到底無理な納期を要求され、不本意な形で手放さざるを得なくなった現場の「ささやかな抵抗」であると言われている。 だがしかし、結局のところそういった現場の衝突によって実害を被るのは、他でもないユーザーなのである。 どんな理由があるにせよ、ユーザーを裏切る数多くのバグと企業問題レベルの悪ふざけは決して看過できる問題ではない。 余談 あるユーザーによって、武将データベースの中に「糞藝爪覧」という名前の武将が発見された。 当然だがゲームには登場せず、データベースを直接見ないと確認できない。 この武将は「フンゲイ ソウラン」と仮名振りされているが、「クソゲー つまらん」と読むことができ、武将説明文にも「あーつまらん」と一言だけ記述されていた。 悪ふざけとしては明らかに度が過ぎる。だが、逆に「何らかの理由によって開発陣の士気が大きく下がり、本作の開発が投げやりになっていたのではないか」と憶測を立てることもできる。 三國志11 パワーアップキット(Win) 【さんごくしいれぶん ぱわーあっぷきっと】 三國志11 with パワーアップキット(Win/PS2/Wii) 【さんごくしいれぶん うぃず ぱわーあっぷきっと】 対応機種 Windows 2000/XPプレイステーション2Wii 発売日 【Win】2006年9月8日【PS2/Wii】2007年3月21日 廉価版 【PS2/Wii】KOEI the Best 2008年11月13日/3,990円【PS2】コーエーテクモ定番シリーズ 2010年9月2日/2,079円 判定 改善 ポイント 粗も残るが及第点に足る内容CS版はさらに改善 概要(PK) 『三國志11』のPK版。 ユーザーからの第一印象こそ芳しくなかったものの、追加要素の充実などもあってまずまずの評判を獲得。 少なくともクソゲーでは無い内容となり、次作『三國志12』までに大きく時間が空いたこともあって多くのやりこみプレイも生まれた。 今ではその評価の回復ぶりは、作品自体の意外な奥の深さもあってシリーズ屈指の充実具合を誇る攻略wikiからも見てとれる。 追加要素 内政要素のパワーアップ 農場や市場などの一部の内政施設に「合併」の概念が加わった。 Lv1~3があり、合併することでLvが上がる。Lvが上がると収入が増加するが、その分建設までに時間も要する。 合併の際は同じ施設同士が隣り合うように効率よく配置する必要があるので、限られた建設地をどう使うか、というパズル的要素が加わっている。 主要な内政施設のレベルを全てLv3にすると見栄え的にも美しく、達成感がある。 ただし市場・農場は高レベルの施設1つより低レベルの施設2つの方が効果が高く、そもそも敵に破壊されては元も子もない。時には戦略上あえて低いレベルに留めておくことも必要となる。 闇市場・軍屯農・人材府など、10種類の新内政施設が追加された。 どれもひと癖ある効果を持ち、一部を除いて有用性の高いものとなっている。 中には既存の内政施設の効果を高める隠し効果を持っているものもあり、建設地の割り振りなどの面で戦略性が増している。 研究システムのパワーアップ 一定期間をかけることで、特定の特技を武将に付加したり、武将の能力を限られた数値・回数まで育成できる「能力研究」が搭載された。 付与できる特技も能力を上昇させることができる回数も限られているため、計画的に使う必要がある。 愛着のある武将を自らの手で文武両道の名将に育てたり、能力の低い武将でも内政や物資輸送で活躍させることができる。 統率・武力・知力・政治のどの分野を重点的に研究するかは自分で選べるため、勢力状況に合わせた研究方針をしたりと、頭を使う場面でもある。 ランダムで強力な隠し特技が一定数出現するため、時間をかけて研究する楽しみが増している。 技巧研究に「内政」面に関する研究が追加された。 物資輸送の際の移動力を上昇させたり、使いにくい港関をある程度使いやすくしたりと、地味ながら嬉しいものが加わっている。 キャンペーンモードの搭載 限られたターン数内に決められた目標を達成するキャンペーンモードとして、「決戦制覇モード」が搭載された。 多くは史実を基にしており、全部で20シナリオにも及ぶ。難易度も初級者向けから非常に難易度の高いものまでさまざま。 通常プレイとは違う特殊な戦闘条件や勝敗条件があるため、一風変わったプレイを楽しむことができる。 PC版、CS版共に(内容は異なるが)クリア特典があるため、やりがいもある。 なお登場する武将たちの会話の中には、思わず笑ってしまうような秀逸なネタも含まれていて大変好評である。 CS版は、決戦制覇モードとは別に「ステージシナリオ」というキャンペーンモードも搭載されている。(CS版無印にも搭載) 名称こそ異なるものの、やる内容は決戦制覇モードと同じようなもの。決戦制覇モードの追加シナリオと考えるといいだろう。 全部で8シナリオで、決戦制覇モード以上にニヤリとするメタ色の強い会話が展開されるのが特徴。三国志ファンなら必見。 クリアするごとに呂伯奢、孟建といったCS版限定武将が使えるようになる。 追加シナリオ PC版PKはPC版無印に加えて6シナリオ、CS版PKはCS版無印に加えて6シナリオ追加されている。 数は同じだが、追加されたシナリオの内容はPC版PKとCS版PKで異なるので注意。くわしくはこちら。 このうちCS版PKのみは、全てのバージョンのシナリオ15本+CS版PK限定シナリオ1本が搭載されている。すなわちCS版PKだけが全公式シナリオを遊べる。 特にCS版PK限定シナリオである「英雄乱舞」は、シリーズ定番の「英雄集結」シナリオの亜種とも言えるシナリオで、劉備三兄弟や孫家三代や曹家三代がそれぞれ独立していたり、張遼・諸葛亮・鄧艾・羊祜・陸遜といった珍しい君主が数多くいたりと、シリーズでは非常に異彩なシナリオ。 単に君主や配下が特殊なだけでなく、勢力バランス的にも「英雄集結」より優れているおかげで評価は高い。 隠し武将 無印版でも使える隠し武将32人に加え、水滸伝武将50人、CS版限定武将18人が登場する。 水滸伝武将は、PC版ではPKの有無にかかわらずコーエーのユーザーズページ登録をしないと手に入れることはできない上、Steam版などは未対応。CS版ではPKのみ決戦制覇モードをクリアすることで追加されて行く。各武将の顔グラも好評で、特徴を捉えたものとなっている。水滸伝好きにはたまらない。 ただし『三國志12』の戦国武将と同様、「時代と無関係な武将を追加するくらいなら過去作から削除された三国時代の武将を追加しろ」といった意見は当然ある。 CS版限定武将は、ステージシナリオのクリアのほか、さまざまな条件を満たして本編をクリアすることで追加されてゆく。張氏、董白など他作品で話題になった武将(?)も含まれている。 その他 PC版無印にあった引き抜きや豊作都市の問題は改善されている。 中国語しかなかった無印に加え、日本語のボイスに切り替えることができるようになった。 マップ上に隠されている廟・遺跡(特技付与や能力アップが可能)の数が増え、廟によって修得できる特技の制限が無くなっている。 追加シナリオを含めても最も後年のシナリオが227年から始まるものなので、三国志後半を楽しみたいプレイヤーには残念だろう。 未だに残るAIの拙さ 上記のような追加要素やバグ修正により、当初のどうしようもない状態からすると相当な改善を遂げたPK版であるが、未だにAIの拙さは残る。シミュレーションのキモである「戦略性」を害する要因になっている以上は、やはり看過できない問題であろう。 最終版ともいえるCS版PKにまで受け継がれた具体的なAIの拙さとしては、例として以下のことが挙げられる。 合併システムや能力研究を使いこなせておらず、劣悪な並びで内政施設を建設したり、雑魚武将に優秀な能力依存系特技を与えたりする。 委任部隊が味方が作った土塁を壊したり、賊が出るまで徴兵したりする。 戦争に関しては特に稚拙。プレイヤーに不利な、CPUに有利な補正が大きくかけられる難易度・超級にしてようやく歯ごたえを感じられるほど。 他のCOM勢力に本拠地が攻められているにもかかわらず、執拗にプレイヤー勢力の城を狙ってくる。 兵科適性をまともに考えずに部隊を組む。平気で剣兵の部隊を出すわ、呂布や張飛を衝車に乗せるわといった、資源や人材の無駄としか思えない行為をやらかす。 下邳~曲阿港間の海上遠征を敢行して兵糧切れで自滅したり、港関に妙に執着して物資や人員を大きく失ったりする。一応、プレイヤーがこれを実際にされると非常にうっとうしいのだが、プレイヤーが求める「手ごたえ」とはなにか違う…。 やはり拙さのほうが目立つのだが、逆に以下のような面もあるため、「AIが完全にクソ」というわけではない。 城に優秀な武将が十分にいるときは、それなりに弱点を補完したような主将と副将の組み合わせで攻めてくることが多い。特技面でも同様。 こちらが騎兵で攻めると騎兵戦法の利かない地形に逃げたり、弩兵で攻めると森に隠れたりと、地形効果を考慮した部隊移動をしてくる。 意味のない場所に火罠や建設物を建てることもあるが、意味のあるところにもちゃんと建てる。意外に苦労させられることも多い。 火罠の使い方が意外と上手い。 総評(PK) 不満点も残るものの、クソゲーレベルの深刻な問題は解消したと言える。ボリューム的にも充実し、特にCS版PKはなかなかのもの。 内政施設合併システム、能力研究などの追加要素はどれも好評で、戦略ゲームとしての奥行きは無印に比べると格段に上がっている。 キャラゲーとしての優秀な土台もあるため、伝統的なおバカAIを三国志愛(脳内補完)でカバーできるプレイヤーにとっては、十分お勧めできる作品である。 ただ、逆にいえば脳内補完が必要なほどのおバカAIが未だ残っているわけで、PKを含めても「クソゲー」と評するプレイヤーがいることも致し方ない。 良くも悪くもシリーズ屈指のキャラゲーと言えよう。 余談(PK) PC版とCS版では、追加要素だけでなく、COM勢力の育成や騎兵の騎射の仕様などの細かい部分が異なる。購入の際は攻略wikiで確認するといい。 本作の発売以降、2011年に『三國志12』が発表されるまで数年間三國志シリーズはDS/3DSやPSPへの過去作のリメイク移植が行われるのみとなっていたが、 これは本作での失態というよりも、『オプーナ』の影響が尾を引いていた可能性のほうが高い。 Steam版のレビュー点数は非常に高い。歴史シミュレーションゲームとしてはCivilization III等、世界的なタイトルと並び、Koeiの歴史シミュレーションゲームの中では頭一つ抜けている。