約 354,820 件
https://w.atwiki.jp/chugokugo/pages/72.html
一度+v ※過去にしかつかえない 上小学时,他的身体不太好,曾一度休学。 (曾)一度+v过
https://w.atwiki.jp/q-pitch/pages/99.html
日本はいま、100年に一度の経済危機に直面している。 ①Japan is in a once-in-100 year/once-in-a century economic crisis. ②Japan is facing once-in-100 year/once-in-a-century economic crisis.
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2572.html
一度だけ 1話 一度だけ 2話 一度だけ 3話
https://w.atwiki.jp/hattan/pages/40.html
月一度 そんな約束 交わすより 逢いたいときに 逢えたらいいな 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/taka741/pages/13.html
一度も目覚まし時計を使 った事が無い私には、このサービスを遣うこと自身が凄くもったいない様な気がして・・・・・。でも、1人で住んでいる人には凄くいいと思う。コールの回数で電話代行が格安 で受けれるか決まってくる。30・50・70コール。これによって金額が変わってくるようだ。でも、30回もコール されれば自然と起きられると思うのだが・・・・・・。 おすすめ br a href="http //mizubousou.biyoudekirei.com/kaji/osaka.htm" 家事代行 大阪 /a a href="http //mizubousou.biyoudekirei.com/crean/" 宅配クリーニング 品川区 /a a href="http //mizubousou.biyoudekirei.com/crean/miniato.htm" 宅配クリーニング 港区 /a a href="http //www.iwai7.com/baby/" ベビーシッター 東京 /a a href="http //www.iwai7.com/baby/chiba.htm" ベビーシッター 千葉 /a a href="http //www.kenkosokushin.com/ikaiyou/elite" スリープトラッカープロ /a a href="http //ukiuki777.com/jinzo/kariumu.htm" カリウム 腎臓病 /a a href="http //www.galu-himeji.com/denwa/osa.htm" 家事代行 大阪 /a a href="http //www.galu-himeji.com/denwa/yago.htm" 家事代行 名古屋 /a a href="http //mizubousou.biyoudekirei.com/crean/hukuoka.htm" 宅配クリーニング 福岡 /a
https://w.atwiki.jp/vermili/pages/359.html
発言者:クロウ・ムラサメ 対象者:アシュレイ・ホライゾン クロウ・ムラサメからアシュレイ・ホライゾンへ、師から弟子への最後の指導、その一シーン。 命を懸けてアッシュへ技を伝えていくムラサメの命はもはや風前の灯で余命幾許もない状態だが、それでも彼は最高の後継者へ剣を教えていく。 既に七割の型は伝え終え、そして残る技は限定的な応用のみであり、各々が独自に築き上げていく、正真正銘、己の剣にほかならない。 よって寂しいものの、次が最後の教えとなる。なぜならここから先は、本人が自分の力で構築すべきものなのだから。 だからもう、これで終わり。この技を最後まで見せ終えれば、後は晴れ晴れと免許皆伝を言い渡すだけなのだが……。 けれど……。 ああ、けれど……しかし。 「次は……そうだな、アレでいこう。癖はあるが使いこなせば中々便利だ。必ず役に立つだろう」 剣を振るたびに、ムラサメの中に湧いてくるのは未練だった。 あと一撃、もう一撃、そうともまだ伝えることがあるじゃないか。 「さあ、次だ……もう一度、あと一度」 繰り出した一撃を拙く受ける弟子がなんとも放っておけなくて、ムラサメは更にもう一度と、尽きたはずの魂に喝を入れる。 そうして何度も未練がましく、何度も……何度も。 止め処ない救いと感謝に突き動かされながら、剣を振る度に先とまったく同じことを願う。 あと少しだけ、もう一度だけ。 死にたくない、死にたくない。生まれて初めて心の底から、生きていたいと希う。 生きていたい、生きていたい。死の瀬戸際で命の意味を掴み、ムラサメはまたも最高の弟子に救われる。 作中屈指の感涙シーンが続くクロウ・ムラサメとアシュレイ・ホライゾンの剣舞の一シーン。 もう一度、あと一度と剣を振るムラサメ師匠の姿から、彼がどれほどアッシュに救われたのか伝わってくるシーンの一つ。 伝わってくれ、この想いよ。鳴り響く断刃(ムラサメ)の剣戟と共に。 言葉に出来ない幾千万の喜びを籠めて、天頂の星ではなくたった一人の誰も知らない英雄へ己のすべてを献上していく。 だから、いざ……あと一太刀、もう一太刀。 どうかあと一度だけ……もう一回だけ、ああ願わくばと。 願いながら何度も、何度も―― 何度も―― 師匠のかっこよさがにじみ出ている。泣くわこんなの -- 名無しさん (2017-02-08 04 55 33) やめろよ…これだけは真剣に涙止まらなかったんだよ -- 名無しさん (2017-02-08 05 26 06) 涙腺を切り刻まれましたよ、ええ… -- 名無しさん (2017-02-08 06 13 52) 潔いのもいいが、こういう未練がましさもとても良かった -- 名無しさん (2017-02-08 06 36 19) 諦めていた人生を救ってくれた人のために捧げたいってのはよくあるけど、救ってくれた人のためにもっと生きたいってのは珍しいよな。 -- 名無しさん (2017-02-08 06 50 51) この一連のシーンで泣かない奴がいたら、それはスキップ読みしていた奴か、心が乾いている奴に違いない(真顔) -- 名無しさん (2017-02-08 07 37 51) 師匠との決闘稽古はアッシュと師匠の魅力がこれでもかと詰め込まれた作中屈指の名シーン。これを見るだけでもトリニティは買う価値があるよ -- 名無しさん (2017-02-08 07 45 41) lightの燃えゲーってこういう泣かせに来るシーンがあんまりない印象だから結構不意打ち気味にやられた感ある。これは回避不可能だよ -- 名無しさん (2017-02-08 07 46 02) ここで涙腺を枯らしきったら後は魔法の言葉まで一気にノンストップ -- 名無しさん (2017-02-08 08 56 37) この稽古含めて、天地の狭間で舞うが流れる場面はは本当に泣きたくなる… -- 名無しさん (2017-02-08 16 38 51) 確かに…感動する…(どうしよう…ゼファーさんがミリィちゃんに金せびってる台詞かと思ったのに、凄く真剣な項目で巫山戯られない…) -- 名無しさん (2017-02-08 18 29 20) ゼファー「もう一度、あと一度」・・・発言した人と状況って重要だよねー -- 名無しさん (2017-02-08 19 31 55) パチンコやっているようにしか思えねぇよゼファーさん… -- 名無しさん (2017-02-08 19 33 44) ギルベルト「もう一度、あともう一度」 -- 名無しさん (2017-02-08 20 17 16) ルシード「も……もう一度、あと一度だけ!」 ヴェンデッタ「……」 -- 名無しさん (2017-02-08 20 21 08) ↑……………。 -- 名無しさん (2017-02-08 20 24 18) 5432↑感動返せ!! -- 名無しさん (2017-02-08 20 55 10) 6543↑ようやっと総て終わらせてウキウキで俺的作中最高のシーンの項目見に来た感動と期待と高揚を帰せ! -- 名無しさん (2017-02-08 23 24 21) 二人が「推して、参る」って言った時の名前の所が師弟になってたのが地味に感動した -- 名無しさん (2017-02-09 04 12 42) Gガンの影響をもろに受けた高濱ァ -- 名無しさん (2017-02-11 08 59 54) 今作で一番泣いたシーンだった -- 名無しさん (2017-02-11 20 25 52) この後のアッシュの泣きの演技が凄まじかった。 -- 名無しさん (2017-03-04 22 31 26) グランドでの佐和さんの演技はまさに熱演やで -- 名無しさん (2017-03-04 22 40 08) 状況的には師匠の行動は最悪の責任放棄になる筈だったのに、実感はアッシュに境界線のイメージと剣の極みという救世主を止める鍵を与えるという作中最高峰のファインプレーになったんだよなぁ -- 名無しさん (2017-03-04 22 43 54) 地の文「無論、それら一連の流れが趨勢に影響を及ぼすことは一切ない(大嘘)」「どちらが勝ち、どちらが生き残り、何をどう継承したかということに大局的な意味はなかった(大嘘)」 -- 名無しさん (2017-03-04 22 49 49) どう見ても「まだだ(和解)」と同じレベルの決定打です、ありがとうございました -- 名無しさん (2017-03-04 22 53 08) ↑2公式サイトの糞眼鏡共の説明文を見てみ。要するにそういうことよ -- 名無しさん (2017-03-04 23 09 20) ↑糞眼鏡のキャラ紹介文は本当のことを書いてないだけでよく読むと「公明正大な好漢」以外は嘘はあんま書いてないぞ。嘘は。 -- 名無しさん (2017-03-04 23 14 30) ↑「公明正大な好漢」というのが致命的過ぎる、アレは言語に絶する腐れ悪党だったぞ -- 名無しさん (2017-03-04 23 16 26) 「能力評価主義者」「実力ある相手には敵でも敬意を払う」「人望が厚い」「ヴァルゼライドを今でも深く尊敬」「不断の努力を何より好む」とアッシュの言うとこの「こちらが勝手に常識的な範囲で解釈してしまう」ってだけで糞眼鏡はだいたい書いてること本当 -- 名無しさん (2017-03-04 23 22 26) 二号の想いであり心も嘘は言ってないから困る -- 名無しさん (2017-03-05 00 37 58) 「公明正大な好漢」……総統と出会う前の眼鏡だったら実際そんな奴だったんだろうなぁ(遠い目 -- 名無しさん (2017-03-05 04 59 50) 総統と会う前だと好漢ではないと思う。今みたいに「誰しも正しく生きられるはず。すべては心一つなり!」とか光に満ち溢れてないからね -- 名無しさん (2017-03-05 22 57 29) 字面で見ればその通りなんだが、現実はなあ -- 名無しさん (2017-03-05 22 58 32) 総統もカグツチもヘリオスさんも本気おじさんもだけど歯止め効かないということがどれほどおぞましいことなのかということよ。師匠はその点ごく普通の人だからこそアッシュの師匠足りえたね -- 名無しさん (2017-03-05 23 02 01) ↑「まだだ」 -- 名無しさん (2017-03-05 23 03 36) ↑2アッシュに出会い指導することは師匠にとって、第二の人生の始まりに等しかったんだろうな -- 名無しさん (2017-03-05 23 06 33) ↑2投稿ミス。「まだだ」と「もう一度」で、似た言葉を並べる事で、光の亡者と只人の対比にしてる -- 名無しさん (2017-03-05 23 11 44) 嬉しかったと同時にああこうやってこれもエスペラントの糧にされてしまうかと思ったんだ。だがやってみるとこれが意外に中々楽しくてなの部分にじんわりくる -- 名無しさん (2017-03-05 23 14 13) 師匠の最期はグランドこそが至高と言うのは異論無しだが、個人的にはアヤ√で弟子のために命を捨てて道を示した場面もいいと思う -- 名無しさん (2017-03-05 23 19 13) ↑いいよねあのシーン -- 名無しさん (2017-03-05 23 29 59) そのあとに奮起したアッシュが猛攻をもってして格上のギルベルトを追い詰めていったのは燃えたわ -- 名無しさん (2017-03-05 23 33 43) ミステルさん√やレイン√でも弟子たちを助けている師匠マジ師匠 -- 名無しさん (2017-03-05 23 34 56) その後追い詰められたギルベルトがまだだの想い一つで覚醒するところはトシローさんVS伯爵思い出したなぁ。大切な人との想いでようやく主人公が出来たことを独力でやってしまうボスキャラ -- 名無しさん (2017-03-05 23 35 50) 糞眼鏡「もう一人、あと一人」 -- 名無しさん (2018-05-17 23 06 22) トリニティで好きなシーンランキングとか作ったらベスト3に入りそうな名シーン -- 名無しさん (2018-05-17 23 42 29) ↑2邪竜「(改造を)あと一回、もう一回……………!!!!」 -- 名無しさん (2018-05-17 23 43 31) アッシュ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!何でもしますから許してください!」 -- 名無しさん (2018-05-18 23 24 20) ↑糞眼鏡「ん?今何でもするって言ったよね。じゃあ、英雄になろうか(ポチッ」 光堕ちビーム照射 -- 名無しさん (2018-05-22 11 57 20) ↑肉も、心も・・・・魂も何もかもを差し出して、僕は光に堕ちていったんだ・・・・・・。 -- ある被検体の独白 (2018-05-22 18 16 58) 師匠とかいう師匠。ヘリオスの反応を見てみると総統閣下に本当に足りないのは親だったんだろうなと思います -- 名無しさん (2018-05-23 21 51 29) いやぁ、親いても止められんだろうあれは -- 名無しさん (2018-05-24 08 19 59) 育った環境が人の人格を作り上げるからなぁ…ゼファーと総統が対照的ではあっても同質の人間になったのはスラム育ちがデカいと思うし -- 名無しさん (2018-05-24 10 29 32) 腐敗したアドラーに生まれた時点で、ある程度総統の進む方向性は固まる気がする。おっちゃんがカグツチばりにやり合えれば、「ぶつかり合うより共に歩む方が民を救える」みたいな理由でワンチャンあったんだろうけど……そうなるとおっちゃんに求められるものが超人的すぎるよなぁ -- 名無しさん (2018-12-02 16 59 15) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/f_go/pages/1661.html
│ステータス│入手方法|詳細情報|性能|性能比較│その他│コメント│ ただ一度の嘘 No.373 礼装名 ただ一度の嘘 初期最大 Rare 4 LV 80 Cost 9 HP 100 タイプ 絆礼装 ATK 100 トリスタン(アーチャー)装備時のみ、自身がフィールドにいる間、 - 味方全体のクリティカル威力をアップ 25% 詳細情報 イラストレーター --- キャラクター詳細 そう、あれは黒い帆の木船だったのです。 私のような、どうしようもない人間が救いを 求めることが間違いだったのです。 だから、あれは黒い帆でした。 ―――思えば、私は人を傷つけるだけの存在だった。 音で、弓で、言葉で、親しい者を、愛すべき者を、 誰も彼も傷つけ続けた。 故にこれは黒い帆なのです。 彼女の言葉は紛れもない真実なのです。 私に、白き帆の船を待つ資格はないのだから。 追伸 どうか彼女を責めぬようお願いします。 私にとって、あれは黒い帆だったのです。 入手方法 トリスタンの絆レベル10達成報酬 要156.5万ポイント 性能 コメント 名前 すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2575.html
233 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 31 51 ID RSTZxU7k 何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのだろうかそれは分からないが、確かにそれは彼の為にしてあげる事だとは分かっていた。ただ、彼にとってそれは理解し難いのかもしれない、事実、目の前の彼は困惑して状況を掴めないでいた。 でも、そんなことを一切掻き消してくれる言葉をあたしは知っている。 「一度だけ……」 中学2年生の夏、秋山 葉子はイジメを苦に自殺した。直人にとって初恋の人であったが無惨にも夢と散り、悲しく苦しい気持ちに満たされていく中、彼女は直人を呼び出し告白した。ロマンスとは掛け離れたその場違いな告白を勿論、跳ね退け彼女を罵倒した、どうして、何故、人の尊厳は、分からない……。思いつく限りの言葉を吐いた後、彼女の口から出た言葉は酷く重く、酷く冷たく、極めて現実だった。 葉子の死をきっかけにこのクラスでイジメは無くなった、いや、元の鞘に収まったというべきか。まるで何事も無かったかのように接し始めるクラスメートに浮足立ち、ついには僕は孤独となっていった、。 234 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 33 18 ID RSTZxU7k 気がつくと百草は腹部から血を垂れ流し、悶えながらも彼女を睨みつけ目的を果たそうとジリジリと這い寄ってくる。 あたしの左手は赤に染まり、握られたナイフに至っては赤黒く、どこか艶美で魅入ってしまっていて……。 「何の用?………。」 彼の声はこの静まりきった中を優雅に通り過ぎると即座に百草の顔は喜びに溢れ、それくらいこの場所はホントに静かだった。 ポトリと落ちた携帯電話を拾い、アドレス帳から直人の文字を探し電話をかけた。一瞬だが待受には直人が居て、腸が煮え繰り返り彼女を見下した。しかし、妖艶なナイフと彼の声とで引き戻される。 「ナオ……あたし。」 彼女の声に驚き、素っ頓狂な声をあげ「花さん!?」と驚くとも困惑とも言える声を出すすや否や、今度は「どうして?」と疑問に満ちていた。 「百草が怪我して倒れてるの。助けてあげて。」 有無を言わす暇も与えず、場所を告げ通話を切るとまたもや彼の顔が現れだす。この女の口が直人に触れたと思うと憎しみがこぼれ、この女の味を知らされたと思うと悲しみが溢れた。 235 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 33 49 ID RSTZxU7k 彼女になればあたしを好きになってくれるかも、そんな淡い恋心を胸に抱き、花は髪を伸ばし始めた。丁寧に丁寧に整え、葉子よりも綺麗な髪になり始めるや今度は仕草や言葉遣いを真似するようになり、より完璧にオリジナルを超える為に己に磨きをかけ、そうしてオリジナルを始末する計画を練った。 残酷だったかもしれないがあたしはお手頃なイジメを選んだ、しかしその頃のあたしは罪悪感など無く、早く居なくなれと日に日に想いは強まるばかりで、比例してイジメも過激になっていき……。 遂に彼女は自殺した。 百草は彼女に経過を常に報告していた、今日はあれをした、こんなことをした、どんなに些細な事だろうと、勝ち誇った顔で、喜びであふれ、優越感に浸り、花を煽る。 百草は気付いていたのではないだろうか、少なからず花は彼に好意を抱いていると、そんな不安に苛まれた結果としてこうした惚気話をすることに至ったのだろう。 とうとう彼女は約束を破り、花にビデオを見せてしまった。 「どう花ちゃん?羨ましいでしょ?」 耳元で百草は何か喋っていたがあたしには届かない、好きな人が他人と寝てる姿なんて見たくもないし考えたくもない、直人が彼女の事を好いてる風に見えなかったから邪魔をしなかった、別れることが目に見えたからだ。 でも、この女は違う。 こいつは自分さえ良ければそれで良いんだ、直人の気持ちを汲まず自己の理想の為にあれやこれやと理由を付けては彼との関係を引き延ばそうとする卑しい女だ。 ナオが可哀相。 236 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 34 22 ID RSTZxU7k ここは本当に静かな所ね、こんな騒動があったにも関わらず人一人通らず、まるでここだけ別の世界みたいで何をしても許されそうな気がして、百草の背中にまわり両手を固定して彼女の耳元で囁いてあげた。 「あなたの言葉……頂戴?」 ナイフを首筋にあてがい、一度だけ…一度だけねと呟きだすと彼女は今までの威勢は消え去り死にたくないと願い出すが、それでも直人とあれをしてない、これをしてないなどと言い出すものだから。 「花さん!?」 やはり場所が場所なだけに直人は5分と経たず公園に着いた。彼を見るなり百草はそれまでの絶望を忘れ、希望が生まれ笑みがこぼれた。 彼の名を呼ぶ刹那、彼女の首に一筋を描く。もう、この女からあの名前は呼ばせない、見せない、触らせない、聞かせない、彼の為に何もさせない。 一瞬だけ血が吹き出した後は鼓動に沿って溢れ出し、その中でヒューヒューと空気が漏れる音が聞こえる。 横目でチラリと彼女を見るとその顔は未だ笑みでいて、あたしの殺意をより膨らませる。 237 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 34 55 ID RSTZxU7k 「百草さん!花さん……どうして?」 どうして? 何でそういうことを聞くのだろうか。全部……全部ナオのためにしてるのにどうして?そう聞きたいのはあたしの方だ。 葉子だって百草だって所詮はナオの外面しか見えていない、あたしだけが外面も中身も見えて愛しているのに……。 徐々に動かなくなる彼女を放り、彼の元へと向かおうとすると悲鳴を上げ逃げていった。 彼を追わず再び百草の元に向かいとどめを刺す、多少体中に血は浴びたがどうでも良かった。彼女はナイフで自分の髪を切り、百草の言葉を受け継いだ。 大丈夫、ナオは素直じゃないから、今は驚いてるけど最後は必ず受け入れてくれる。 238 :一度だけ 3話 ◆sin1r3oXGY:2012/11/25(日) 08 35 29 ID RSTZxU7k 「ごめんね。」 彼女は謝った、百草とも葉子とも言える様な優しい口調で、己のした事を悔やんでいるのか、僕に迷惑をかけたと思っているのか、所々血に染まった顔には涙がポロポロと滴り落ちる。 「でも、一度だけで良いから愛されたかったの。一度だけでも。」 彼に抱き着き弁解するようにブツブツと「一度だけ」と繰り返す姿は正に百草そのものだった。 どうして百草のことばかり思い出すのだろうか直人は考えた、もしかしたら僕はいつの間にか彼女を好きになっていたのかもしれない。 「ゴメン。」 彼は謝った、誰に対してそう言ったのか葉子や百草の面影か、それとも花に言ったのかな。 分からないけど、それでも嬉しい気がする、ようやく花を見てくれた気がして、想ってくれる気がして。 その好意に甘えたくて、やっと手の届く所まで来たのが嬉しくて。 「ねぇ、一度だけで良いから好きだと言って。一度だけ……一度だけで良いから。」 最上 花に好きという意思を嘘でも良いから言ってほしい、それさえあれば何も要らない。 「うん。ゴメンね。」 ナオ君は頷きまた謝る、何をそんなに謝ることがあるのだろうか不思議だが今のこの一時を愉しもう。 魔法が全て溶け落ちる前に彼に口づけした。 今もサイレンは鳴り止まない。 だから、少し休むとしよう、そうすればまた私は自分を取り戻せるような気がして、警告音も消える気がして……… あたしだけが彼を素直にさせる言葉を知っている、それは酷く甘美で誘惑で、決意に満ちてはいるものの脆く崩れやすい。 「ねぇ、一度だけ」
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2573.html
199 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 08 48 28 ID f6Z.ygSk 「一度だけ…」それが彼女の口癖で、何かとこの「一度だけ…」を強調して話す、いや、交渉すると言った方が正しいかもしれない。 この他にも「試しに…」や「…してみないと」と言った具合に様々な口癖があり、これほど約束性や信頼性が薄いものは無い。 もしかしたら、彼と付き合えた事に味を占めてるのかもしれないし、そうして自分を良いように正当化させているのかもしれない。 ただ今は、この扉の向こうから聞こえてくる「一度だけ……一度だけ」という彼女の声に耳を傾けてはいけないし従ってもいけないのだ。 「あの…告白の返事、考えてくれました?」 昼休みが始まるや否や彼の前に彼女はわざわざ隣のクラスから尋ねに来たのだ。告白から一週間、暇さえあれば昼休みや放課後は勿論、HR前や休み時間にも来ては僕の返事を待つ光景にクラスメイトも次第に興味を失い、ああ、また来たなと位にしか思わなくなっていった。 特に彼女に不満があるわけではないし彼女が欲しくないわけでもないがこうも朝から夕方まで催促されると何か裏があるのではと勘繰ってしまい今だに考えあぐねているところである。 「ごめん。まだ考えてる。」 お決まりのこの答えに横にいる友人も呆れ顔で正面にいる彼女は悲しそうで、僕自身申し訳なく思っているのだが内心、何て優柔不断な男なのだと失望して諦めてくれないかとも願ってもいるが口が裂けても言いたくない。 「そっか。じゃあ、また放課後来ますね。」 そうかと思えば彼女は暖かい笑みで言うものだから益々女心は分からないものだと感じた。後腐れもなく去る彼女、橘 百草(たちばな もぐさ)は男女分け隔てなく接するせいか人望を集め、人気もあるらしい。 彼の友人も勿体ないだの早く付き合えだのと小煩く、それもまた、その彼女の性質がそう言わせているのだろうなぁと購買部で買った惣菜パン片手にしみじみと思う。 201 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 08 53 19 ID f6Z.ygSk 「ねぇ菅野君……一度一緒に帰りませんか?」 放課後になると予告通り百草は来たが彼女の頬は少しばかり赤く、髪も梳かしたようで艶っぽかった。 「今日は友達と帰らないの?」 返事はせず、質問を質問で返してしまったが彼女は気にせずに答えてくれる。 「うん。今日は菅野君と歩きたくて……菅野君、峰方面だよね?」 うんと頷くと彼女は「私も」とはにかむ。 この時になると頼りの友人は姿を消し、逃げの手はなく、否応なく頷くしか無かった。 帰り道、百草はやれ好物は何、やれ趣味は何としきりに話しかけてくるものだから答えない訳にもいかない。答える度に彼女は嬉しそうに笑い、自分のことを知ってもらおうと答え返す。 「一度付き合ってみませんか?」 あまりに唐突だった。向かい合い、両手を握られ出た言葉はお願いに近いもの。 「そうしましょ。一度付き合ってみて駄目だったら別れればいいんですよ。そうすれば、お互いに利害は五分五分ですし。」 202 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 08 55 39 ID f6Z.ygSk 思えばあの時から彼女は狂っていたのかもしれない。しかし、彼女の言葉には不思議な魅力が帯びていて、少なからず僕はその言葉を信じてみようと、駄目なら別れればいいのだと、だから納得してしまって、頷いてしまった。 「ねぇ、ナオ君。試しにちょこっと開けてみてよ。何もしないから。ね?ちょこっと……ね!ナオ君の顔、見たいから。一度だけで良いから。一度だけ。」 扉の前まで行くと無意識にドアノブを回していた。それと同時に向こう側から扉を引っ張られたがガチッとチェーンが音をたて少しばかり開く。すかさず、その隙間に足を挟め、彼女は身を乗り出し直人を見つめた。 「ナオ君、久しぶり。あのさ、イキナリであれなんだけど手繋ぎたいな。大丈夫。何もしないから、ね?一度だけ。一度だけだから。」 付き合いだしてからは彼女はみるみる変わっていった。二人とも一人暮らしで住まいも近所である理由から百草はわざわざ彼の部屋に訪れ朝食を作るようになるが、それだけでなく昼食は勿論、夕食も一緒に食べるようになった。その時の言い訳も「一度一緒にご飯を食べてみたかった」からと「夫婦生活を送りたかった」らしいがいつの間にか「一人分作るのも二人分作るのも一緒だから」になり「二人分作る方が食費とか光熱費とかが安くなるから」と変化していく。 そうして、いつの間にか機会から責任に、責任から義務へと変わり、義務から必然に変わる。 直人自身、一緒に食事することに抵抗がなくなり、何時しか楽しみになっていった。それは百草にとってどんなに喜ばしいことか、彼が料理を口に入れる度に彼女の中で次第に渦巻いていく欲情と恋情は遂に理性を飲み込み始める。 「そろそろさ、次の段階に進んで良いんじゃないかな?」 百草の言葉で直人は目を醒ます。友達の少ない彼にとって彼女の存在は大きく、一緒に居て、確かに楽しかったのだがそれより先に進みたいとは思わなかった。 「その事なんだけどさ、僕たち、別れた方が良いんじゃないか…な……。」 彼女の笑顔は崩れ、今にも泣きそうな位に唇を噛み締め目に涙を浮かべ、わなわなと体全体が震え出して、「何で?」と尋ねてきた。 「私と居て楽しくなかった!?」 両肩を掴まれ揺さぶられ、遂には涙は川の様に流れだし、それでも彼の目から視線は外さない。直人は嘘をつくつもりが彼女の涙で動揺してしまい「楽しいよ。」と言ってしまった。それが彼女を高ぶらせ、僕自身の逃げ場を無くしてしまう。 203 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 08 56 13 ID f6Z.ygSk 「じゃあ、しよう!?…………あ!それじゃあ一回だけ。一回だけキスしてから。それから考えよう?」 「落ち着いてね。落ち着いて。」と彼にも自分にも言い聞かせるように呟き、泣き腫らした目には既にギラギラとした性欲が見えて息も荒く、顔の赤みは更に増す。逃げようにも両肩を爪が食い込む位に掴まれて逃げられず、段々と近付く顔にただただ背けるしかなく最後には彼女と唇を重ねてしまう。 歯を食いしばり、唇を頑なに閉じていても百草の舌は唇と歯の間へと侵入し歯を愛撫し始める。 鼻息を荒くして、舌は歯の壁の先、彼の舌との重なりを求め蠢いていたが、ふと左肩の痛みが消えたものだから彼女の右手の行き先を探すと右手にはハンディカメラを持ち、二人の行為を一部始終映していた。 唇を無理矢理離し、注意しようとしたのが間違いだった。それを狙ってか、左手で顔を掴み無理矢理近付け口づけしてきた。突然のことで歯を食いしばるのを忘れ、百草に舌の侵入を許してしまうと先ほどよりも愛撫は激しく、直人の口内を、舌を、唾液を貪り、彼女の唾液を流し込む。 どちらがどちらの舌か唾液か分からなくなるくらいに蕩けた頃にようやく唇を離す。 唇と唇との間には幾つものねとついた糸が出来、ひとつひとつと切れて最後の糸がぷつりと切れた時、百草は唾液にまみれた笑みで「気持ち良かったね。」と悪気も無く囁く。 ようやく僕から離れるとカメラを弄りだし、録画された内容を確認しだす。途中、うわぁとか唸り声をあげ生唾を飲む。 確認し終わると呆然と立ち尽くす直人に微笑み、カメラを向ける。 「別れるなら、コレみんなに見せて自慢していいよね?」 204 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 08 57 06 ID f6Z.ygSk 「ナオ君の手気持ちいいね。………ゴメンね。あんなことするつもりじゃ無かったの。でも、ああでもしないと振り向いてくれないんじゃないかって不安で不安で…でも、こうして触れて触れられて嬉しい。だからね……。」 一度だけ……そう言うと、視線をチェーンに落とす。彼女のその短い髪が濡れていて、嗚呼、外は雨だったのかと思いながらチェーンを外してしまった。 彼女が寒そうだったから?可哀相だから? いや、既に彼女の魅力に囚われてるからか、また、味わいたいと感じているからか、そして、それが無意識であるからか。 彼には分からない。 「ねぇ、あと一度だけ……ね?」 「ナオ。今日の放課後、委員会あるから。」 彼の前で無愛想に話し、終えると有無を聞かず自分の席へと戻っていった。直人は彼女が苦手だった。小学校からの同級で彼女はいつも中心人物の一人で彼に対してはいつも高圧的か先程のように全くの無愛想であるかのいずれかで接しづらかった。しかし、中学校を機にあまり話さなくなったので余計に話しづらい。 ただ何かの縁なのか、百草の親友なのが驚きでそれが彼女とあまり付き合いたくない原因でもあった。 「他の人は?」 既に作業を始めている彼女の後ろ姿に尋ねた。最上 花(もがみ はな)はその長い髪を後ろで一つに束ねていた。 美化委員であるため彼らは運動着に着替え、校舎の正面に位置する花壇にいた。 「ここの草むしりだけだからあたしたちだけなんだって。」 そうなんだと呟き彼女の隣に座り草をむしる。座る瞬間ビクッと驚いたみたいだが気にせず草をむしり、ポツリポツリと尋ねてきた。 「何で、あいつなの?」 花の言ってることが分からず、え?としか答えられず、彼女は「百草」とだけつけ足した。 「あいつ、約束なんて守る気無いよ。」 先程の答えも聞かず淡々と話し淡々とむしるものの百草の話になると明らかに手に力はこめられはじめた。その証拠に雑草の根まで抜けず葉ばかりがむしられていた。 「ビデオ撮られたでしょ?」 ビデオと彼女の口から出た瞬間、心臓が止まりそうになり、それでも「何で?」と聞こうとしたが言葉は出てこない。代わりに空気が漏れてくるだけだった。 「見せつけられたよ。あいつが『見て』って『羨ましいでしょ』って。自慢してたよ。」 ただただ何でと疑問しか浮かばなかった。誰にも見せないって約束したのに。誰にも言わないって約束したのに。 205 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 09 00 32 ID f6Z.ygSk 「記念に撮っておかないと。」 そう言って性行為も撮られた。その時も、「一回だけさせてくれたら諦めるから」なんて言って、行為が終われば、「別れるんだから、みんなに見せて自慢して良いよね」なんて脅迫してくる。 キスの時も同じだったんだから、注意すれば分かることだし策だって練れた。だのに彼女の言葉を鵜呑みにしてしまって、結局は深みに陥り永遠に抜け出せなくなる。 キスだって性行為だって恥じることではない。でも、彼は、彼の環境はそうでは無かった。簡単に言えば昔ながらのお堅い人間といった具合で、百草の事は好きでも嫌いでもない。だから、付き合うのも気が引けたが彼女のあの甘い響きが判断を鈍らせる。 「一度だけ。」そう、一回すれば彼女は満足して別れてくれるんだと。思っていたのに……。 206 :一度だけ ◆sin1r3oXGY:2012/11/23(金) 09 01 13 ID f6Z.ygSk 「ナオ君。私も手伝うよ。」 メールで遅くなる由を伝えたがそれでも、手伝いに行くねと返信してきた。 「遅くなってゴメンね。クラスメイトに数学教えててさ。ちゃっちゃと終わらせてさ、早く帰ろうよ。ね?」 そういうと、彼の耳元で「帰り遅いからさ」と囁く。誰がとは聞かなかった。百草の赤みがかった顔を見れば言わんとしてることが判ってしまった。 「あっちの草抜こうよ。」 こっちは花ちゃんに任せてさ、そう言いながら手を引っ張り向こう側に行こうとすると反対側の手が掴まれた。 「二人で足りてるから。」 百草は振り返らず尚も引っ張る力を緩めない。「手伝った方が早く終わるよ」彼女の声はいつにも増して低く、そしてどこまでも冷酷だった。 「他の委員が手伝うと後々面倒なの。」 「じゃあ、ナオ君以外の人使ってよ。ナオ君忙しいだからさ。」 「どうせ、百草の家にでも行ってするんでしょ。あのビデオみたいに。」 ふと、二人の力は緩み、覗き込むように彼女を見るとばつの悪い顔をしていて、少し震えてもいるようで「言わないって約束したじゃん。」と力弱く言った。 「やっぱり見せたんだ。」 直人は聞こえるか聞こえないか分からない声量で呟いた。 「違うの!花ちゃんなら大丈夫だと思って。」 彼に釈明する百草は余りに滑稽で暗くなる直人の顔とは対象に興奮して赤くなり、涙目になる彼女の顔。そうして理解して貰えないと思うや否やあの言葉が出始める。 「ごめんなさい。もう誰にも見せないから。もう一回だけ付き合い直そう。もう一度だけ。許して下さい。……もう一度だけ、一度だけ。」
https://w.atwiki.jp/kakiterowa/pages/428.html
カツリ、カツリと独楽が踊る。 パチリ、パチリと駒が並ぶ。 ガソリン・重油・軽油・灯油・菜種油……ありとあらゆる油が盤に注がれる。 もう少し、もう少しで全てに火がつく。燃え盛るのは紅蓮の炎かそれとも灰も残さない白炎か。 最早着火は避けられない。既に燃料は気化してしまった。何もしなくても何れ着火するだろう。 ならば私達にいったい何ができるというのか? 私達が出来る事が未だ残っているのだろうか? ―――あるとも、私達は「愉しむ事が出来る」。 火を消す力は無くても、さらに薪をくべる事が出来る。『混じってはいけない生木を取り除くことが出来る』 もっと炎を大きく! もっともっともっと!! その為に些細なイカサマをしようじゃないか。 なあに、案ずることは無い。どうせこんな子供の悪戯程度の繋ぎだ、圧倒的な炎の前では何も残らない!! ジョーカー陣営は愛媛を派遣した後、相変わらずもっしゃもっしゃ飯を食っていた。 「愛媛の方は順調か?」 ナナシが机に肩肘を立てながらマッ○ポテトを齧る。 「詳しいことは帰ってから私が動画を受け取ってからですが……多分大丈夫ですよ」 リキュールをがぶ飲みしながらガチホモが答える。 黒さにかけてはニコロワジョーカー随一である。夜にさしかかろうとした今短期間で彼女を捕捉し切れる参加者はそうはいない。 便りが無いのがいい便りと言わんばかりに無言で飯を食い続けるジョーカー達に一報が下される。 ガチホモにプー太が耳打ちし、それにガチホモは微かに笑った。 「666氏が病院に仕掛けました。……随分思い切りましたね。動くにしても放送まで待つと思っていたのですが」 「どうなりますかね、この勝負? テイルズロワの方には心が躍ると思うのですが」 プー太の言葉にナナシが口元を歪めて自嘲した。やっぱりあの第六クールの業は切っても切れないらしい。 「……勝負というには各人勝利条件も敗北条件も不明瞭だ。 単純に対主催が生き残るかマーダーが生き残るか、という話でも難しい。だが、敢えて楽観的な希望を口にさせてもらうなら」 ニイィとその光景を想像して、想像の中の光景を楽しみながら言った。 「全滅が楽しそうだ」 全員が全員己の意思で戦い、足掻き、そして希望の一つも見出せずに滅んでいく…… 彼が書き上げたテイルズロワのNormalENDはその集大成である。 たとえ今はアナザーで熱血を書いていてもその黒い衝動を否定するものではない。 「……恐ろしいですね。その考え方も、『その為ならば手段を選ばない策も』」 そう言ったガチホモの眼前にはテイルズロワのジョーカーが二人しかいない。 「別に、意地でも全滅にしたいわけじゃないさ。ただ、全滅もありえるほどの惨劇の方が気分がいい。 書き手ロワ2最大の祭りだ。ここまでフラグが集まってしまったら完全燃焼の方がいい」 「うい~~~っすWAWAWA忘れ……って、アレ? 何でテイルズの方も一人消えてるんですか?」 トイレから帰ってきた人外がナナシの笑顔に若干ヒきながらも、異変に気づく。 「派遣したからだが何か?」 ナナシがさも当然のように言い返した。 「いやそんな当たり前のように言わないで下さいよ!! そっちが一人って決めたんじゃないですか!!」 『私はこれを憂慮し、「我らの中から一人、この事態に限定した監視員を会場に派遣する」ことを妥当と判断します』 そういえば言っていた、と今思い出したように手を打ち、名無しはバツが悪そうに言った。 「ですから派遣したらしいですよ『それぞれのロワから一人』」 一瞬顎が外れかけるほどに口をあんぐりさせた後、人外が突っ込みを入れる。 「完全に屁理屈っすよそれ!!」 「屁理屈も立派な理屈です、って七氏さん言ってましたからねえ」 それも屁理屈だろ、という突っ込みを無視する名無しでは話にならないと人外が両ロワのトップに向き直る。 「まあ、一人は一人だし、な」 「固いことは言いっこ無し。硬いのはアレだけで十分ですよ」 ダメだこいつら早く何とかしないと……とばかりに目の前の光景に絶望する人外。 間違いなく気づいてたよこの二人……と、打ちひしがれる。 「大丈夫ですよ。念のため感電さんと読み手さんに、まったく同じ許可を貰いましたから」 慈しみに満ちた母のようにそっと背中をさするプー太。お前もかプルー太ス。 許可を二つ貰えば二人出撃って、そりゃどこの「二つの塔で苦労も二倍!」だよ。 結局自分以外の全員がこうするつもりだったと分かり、何ともいえない悲しみが差してくる。オー人事オー人事。 そこで人外ははたと気付く。自分以外の全員? 「派遣されたのは七氏さんですよね? 何処に派遣されたんです? お姉さまの所以外は色々不味いんじゃ」 派遣はあくまで事態に限定されたものである。お姉さまを監視する名目が無ければ、少し危ういのでは。 ガチホモがイイ男を見つけたように笑いながら言う。 「それも無問題。あくまで監視するべきはこの事態……つまり、この事態を引き起こした元凶である666氏を含みます。 その666氏が引き起こそうとしている事態を、放送まで監視する。それが私達に与えられた許可ですよ」 「もう好きにしてください」 もう誇大妄想の域に達したと言っていい屁理屈を前に、人外は諦めて席に座ろうとしたときだった。 「そこ………私の席………」 「うわぁお!! ビックリして耳がデッカクなっちゃった…って、えーりん!えーりん!」 条件反射で腕を振るその先には、八意永琳ことC.M.超展開はデフォなのかが立っていた。 「貴方がハッテンしている間に目を覚ましましてね」 トイレと書いてハッテンと読むの止めて下さい。と人外は内心毒づきながら座る。 そういえばこの人もしばらく空気だったな。俺も似たようなものだけど。 セルフ突っ込みに軽く鬱になりかけながらマントの中で人外は涙を流した。 「彼女が起きてくれて助かりましたよ。彼女の力が無くてはアレほどまでに早くあそこに派遣できませんでした」 ガチホモがポンポンと超展開の頭を撫でると、彼女は黙ったまま頬を赤く染めてうつむいた。 西瓜じゃあるまいしそんなフラグ要らん。と残りの全員が心の中で突っ込む。 そんな中、ナナシが誰に言うでもなく言葉を虚空に投げかける。 「俺達が介入できる切欠を作ってくれた礼だ。時間は稼いでやる」 派遣した名無しの異能を思い出し、ナナシは目で笑った。 「だが、手を貸すのはここまでだ666。一部キャラに手を貸すなんて、ジョーカーとしてあるまじき行為だからな」 それが、ジョーカーが暴れる機会を作ってくれたマーダーに対する報酬だというように。 皆さん結構忘れているかもしれないが、E6にはもう二人の参加者がいる。 「あ、あれ一体なんなんですか!?」 「わ、私に聞かれてもッ!?」 その二人……静かなる ~Chain-情~と衝撃のネコミミストが見上げる先には まるで日本昔○なしのような龍が一匹うねうねと泳いで東に向かっていたのだ。大きさを考えれば、気付かないほうがおかしい。 傍から見ればとても滑稽な光景だが、書き手ロワイアルの特性を考えれば到底看過できない。 直ぐに後を追おうと二人は頷きあい、東に踵を向けようとした、その時だった。 「!? ネコミミストさん危ない!!」 Chain-情の警告に反応し、頭上を見上げネコミミストは驚きに口を大きく開けた。 「わ、ワープスター!?」 彼が見たそれは、ピンク球が敵陣に突撃するときによく使われる星型小型飛行機械「ワープスター」であった。 なぜそんなものがここに、どこの支給品にも無いだろと驚く前にその異様なでかさに驚かされる。 カービィが使うそれよりも一回り大きく、まるで人間一人乗っても十分な程。 「!! 誰か乗ってるのか!?」 彼がそこに気付いたのと同時に雷に撃たれたかのような音が鳴り、流星が道路の真ん中に着弾し、小さな星を撒き散らした。 「一体、なんなの?」 唖然としたネコミミストが再び目を開く。既にChain-情の腕の感触は淡く消え、 彼は彼女とその突如現れた「何か」と対峙していた。 「ネコミミストさん……離れて。こいつ、なんか参加者と違う」 その屑星の中から現れたのは、綺麗な星など無縁とばかりの黒衣の男。 異質極まりないその気配が参加者のものではないことが、直感で理解できる。 「なるほど。これを脱ぐ前からそこまでを見抜くか。勘……というよりは、愛だな。 君達が自覚しようがしまいが、ともかく余程このバトルロワイアルから愛されているようだ」 ブツブツと独り言を言い始める黒マント。 ネコミミストはその人物を警戒し、身を屈めて衝撃波を手に集めた。 「待ってください!」 それを遮り、Chain-情が一歩前に出て黒マントに対峙した。 「その声……もしかしてカズマですか!?」 自分の耳に間違いが無ければアニロワでもよく慣れ親しんだカズマの声……つまり☆ボイスであった。 ならば誰であれあの熱いソウルを持った人物に違いない、 仲間には出来なくても戦闘を回避することができるのでは、と橘あすかを原型とした彼は値踏みした。 しかし、返答の変わりに来たものは……とても熱血とは懸け離れた陰鬱な笑い声だった。 「く、くっくっく……☆といえば熱血、対主催展開か……オメデタイ頭だ」 マントの奥の眼から発せられる感情を受けて、二人はぞくりと冷や汗をかいた。 その語調と吐息からにじみ出るのは、寧ろ怒りの方が強い。 「答弁にはこう答えよう……残念ながら僕はカズマでは無い。ついでに言うなら圭一でもキラでも倉成武でもない。 ……この姿でジョーカーというのは皮肉だな。僕は、あいつらのような天賦の才を持たない凡人だ」 そういいながら黒衣の男はマントを掴み一気に抜き取る。 その中から現れたのは、長身青髪でゆったりとしたローブを纏った男。 「自己紹介が未だだったな。僕は七氏、テイルズロワの七氏」 鉄槌のシェルブリッド、決闘、L5を打破しチート対主催まで上り詰めるetc……様々な熱血偉業を成し遂げた色々な☆キャラ達。 ☆といえば熱血展開……そういっても過言ではない中で一人、イレギュラーがいた。 曰く、外道。 曰く、人間の屑。 曰く、グロい死に方の見本市。 曰く、裏切り者。 曰く、究極のステルス。 アルターも無ければ羽入スタンドも無い。キュレイウイルスも無ければスーパーコーディネイターでもない唯の魔術師。 ただただ主人公補正無き己に出来ることを極限まで模索し、それを不屈の覚悟で成し遂げた。 だがそれは、他の参加者に取ってみれば唯の裏切りでしか無かった。 話の中の参加者はおろか読み手すら欺いて対主催主力メンバーを裏切り、あまつさえその主軸であるロイドを言葉で殺した人物。 そうして最後にはその外道が霞む程のグロの極致で殺された、哀れな凡人。 ☆という熱血の影に産み落とされた★。保志キャラの反英雄。 「お察しの通りジョーカーの一人だ」 キール・ツァイベル。それが七氏の持つキャラだった。 「カズマじゃない……いや、そんなことはどうでもいい! 貴方がnanasinnと同じジョーカーだというなら、つまりは敵……立ち塞がるならば、ここで!」 Chain-情がスタンドを出し戦闘態勢に入ろうとする。 それを手で制する七氏。 「早合点をしないで貰おうか。残念ながら、僕は争いに来たわけじゃない」 しかし、それを軽々と聞き入れるほど彼は楽観主義者ではなかった。 半歩、また半歩とじりじりと間合いを詰める。 「本当だ……といっても信じないのも当然か。だが、考えて見ろ。 僕はこの通り典型的な術使いの後衛だ。君達のような遠近両方の戦闘が可能な二人を相手取るなんて、それこそ自殺行為だろう? それとも君は、牙を持たぬ僕をその刃に掛けるのか?」 そんなことも分からないのか、と浅薄を嘲る様に七氏は笑った。 それが癇に障ったのか、スタンドに力を込めたその時だった。 「やめて、Chain-情」 「ネコミミスト……?」 先程のお返しとばかりに立場を変えて、今度は自らが前に立つネコミミスト。 「聡明な判断で助かるよ。君はどうやら君の為に失われた命を無駄にはしていないらしい」 「話があるならさっさと喋ってください……じゃなかったら帰ってください。ぶっ飛ばしてでも帰しますから」 湧き上がる怒気を努めて抑えながら、ネコミミストは言った。 寧ろ何処か煽る調子の七氏がどうにも生理的に受け付けない。 確かに力は無いのだが、何かいやな気配が七氏には充満している。 その予感が当たっていたと言わんばかりに、七氏の口から吐かれた言葉は二人にとって予想外だった。 「いや、今日は君を説得しに来たんだ。ネコミミスト――――――“ここで自害する気はないか?”」 呆気に取られた二人だが、直ぐに気を取り直して七氏の正気を疑う。 「何を馬鹿なことを言ってるんです!? 正気ですか貴方!!」 「少なくともあれだけの惨状を味わっておきながら平手一発で立ち直る君よりは正常だよ」 ぶちっと自分の血管が切れる音をChain-情は聞いた。 守りきれなかった愛する人、食い止め切れなかった惨劇、止められない悔恨。 そして、それでも前に進むことを教えてくれたネコミミスト。その全てが陳腐な言葉に穢されてしまったような気がした。 「七氏さん!! ……これ以上は、本気で怒りますよ」 ネコミミストのまるで泣くような脅迫に、七氏はふむと嘆息をついた。 「了解だネコミミスト。話を戻そう……何処まで話したか……そうそう、君に自害を勧めるという話だったな。 いや、これは単純に言葉通りの意味として受け取ってもらって構わない。 恐らく……いや、最早これは確信に近いが、ここで死んだ方が君の為だ。君は、物語に愛され過ぎているんだよ」 「どういう、意味ですか?」 「バトルロワイアルは群像劇だ。その意味において参加者は皆主人公といってもいい。 だがそれはあくまでもゲームを平面的に捉え、全ての参加者を均等な駒と認識した場合の解釈と言える。 これを縦に捉えた場合、つまり物語の推移として解釈する場合にはどうしても主人公が存在することになる」 分かるか? と眼で挑発する七氏。二人は釈然としないままだったが、書き手としてその言葉には幾分理解があった。 公平な殺戮ゲームとして見た場合、原作の参加者一クラス全員が皆等しい駒だ。 だが、小説としてこれを見た場合序盤で殺されたクラスメイトと七原や相馬を同列に解釈することは難しい。 ゲームの推移と共に物語が構築され、各人に役割が振られていく。 そして、重要な役割を振られた者は物語の寵愛を受ける。それを補正というのだ。 「生き残ったから主人公なのか、主人公だから生き残ったのかなんてのは主観に過ぎないから置いておくが…… ネコミミスト、君はどうにも主人公の役割を振られてしまった。“物語は君を中心と見た”ようだな」 七氏はしかめ面をしてネコミミストを観察する。 「わ、私が主人公? 無いですってそんなの!」 しかし、ネコミミストにはいま一つ理解が及ばない話のようだった。いきなり主人公などといわれても実感が湧くはずが無い。 「そうか? 君の今までの経歴は報告を受けている。決して空気になったわけでも無く、歴戦と呼べる程度に修羅場を潜っている。 そして、多くのものを失って、それでも健気に立ち上がろうとしている……主人公としての条件はそこそこ満たしていると思うが」 満更でもないのかネコミミストが少しだけ頬を緩ませるが、それをChain-情が肘で小突いて制す。 「調子に乗らないで下さいネコミミストさん! 貴方も、こんな小さな子をその気にさせない!!」 「何を言っているのか。君こそが彼女を主人公たらしめる確たる証拠だとは思わないか?」 「どういう、意味ですか…?」 「君はあの惨劇を唯一生き残り、そして気がつけばここに飛ばされた……相違ないな?」 沈黙を肯定と受け取ったのか、七氏は言葉を続けて綴る。 「真逆書き手ともあろうものが“それを偶然だと思っている”訳じゃ無いよな?」 七氏の言葉に、二人は思わず息を呑んだ。 偶然だと信じていた参加者としての自分と、書き手としての自分が相反する。 二人は、既に自然と七氏の言葉に耳を傾けていた。 「そうだ。たとえ参加者としてはそれが偶然発生した現象でも、書き手というもう一段階高い次元から俯瞰したときそれは偶然ではなくなる。 原因は何であれ、君達の出会いはある種の明確な意図を持って設置されたものだよ。今風に言えば、フラグとでも言うべきなんだろう。 そして状況から判断してワープしたChain-情がネコミミストの方に寄せられたと見るのが妥当だ」 「貴方は、その原因を知っているんですか?」 「知っているが教える気はない。それに勘違いするな。重要なのは原因ではなく、結果。つまり君が主人公に選ばれたということだ」 七氏が言葉をそこで区切る。 暫くの沈黙があったあと、場所を変えるかとぼそりと言った七氏が歩き始めた。 二人も黙ったまま七氏のあとに着いていく。既に七氏の術中にはまっていたとも言えなくは無かった。 「まだ信じられないし、実感も湧かないけど……私が主人公だって言う貴方の言い分は分かりました。 でも、どうして私が死ななきゃいけないんですか?」 カツンカツンとまだ原型を保っていた廊下に靴の音が残響する。既に人の居ない学校の廃墟に、三人の姿があった。 「主人公というのは得をするだけじゃない。補正の対価として凄惨な体験をすることになるだろう。 ましてやこれはバトルロワイアルだ。君に与えられた役割がどれほど重くどれほど面倒か、分かると思うがな」 ネコミミストが遠い眼をして、かろうじて残った窓越しに外の景色を見る。 既に夕日の落ちかけた廃墟は暗く、遠くのほうはよく見えない。 体はスクライドでできている、幻夜、666、シャリダムの中のコ・ホンブック…様々な人間の思いを受け継いだ彼女には、少しだけ分かる気がした。 校舎の崩壊から唯一逃れた体育館に着いた七氏は壇上に立ち、二人を睥睨しながら言った。 「では聞こうか。ネコミミスト、恐らくこれが“君が自由に死ねる最後のチャンスだ”。 今物語は君に愛されようと必死で自らを高めようとしている。君を何処までも偏執に愛するために。 その物語が別の所を向いているこの間を逃せば、恐らく物語は君を見つめ続けるだろう。そうなれば……後は碌なことにならない」 七氏の問いに、Chain-情はネコミミストの方を向いた。 彼女は眼を瞑ったまま、暫く考えて、はっきりと眼を開けて答えた。 「私はやっぱり、生きようと思います。それがどれだけ辛い事になるとしても。 “たとえその先に、何があっても”、生きて生きて、生き抜くことが皆が教えてくれたことだから」 「ネコミミストさん……」 凛々しく強い意志を見せる顔を綻ばせるChain-情。 七氏はしばらく何かを考えるように天井を仰ぎ、やがて口を開いた。 「そうか。いや、どうやら僕は君を過小評価していたようだ……」 それを皮切りに、体育館を妙なプレッシャーが包み込む。 「物語が……『黒猫』が君を見込むのも解る気がするよ。キミは実に“壊し甲斐がある”。 出来ることならば僕がその鋼の意思の奥、その中の柔らかい純真を貪りたい所だが……それは黒猫に譲るとしよう」 「黒猫!? 一体それは何なの?」 「ネコミミストさん、気をつけて!」 黒猫という単語に反応するネコミミストを庇うようにしてChain-情は辺りを見回すと、体育館が一面霧に包まれていた。 体育館だけではない。学校跡地の全域が霧に覆われている。 「僕はテイルズロワの工兵。主に舞台仕掛けを得意としている。 これはその内の一つ、C3の霧だ。周囲が見えなくなるだけのチープなものだがな」 霧で相手を包み命中率を下げる魔法ディープミスト。 対人用のそれを村全体に拡散させる無茶運用が、テイルズロワの昔っぽい所である。 「何時の間に……」 ここまで霧が充満する前に気づかなかったことに驚きを隠せないChain-情は歯噛みした。 霧のような無形ではゴールドエクスペリエンスの力を生かしきれないのだ。 「何のことはない。準備自体はこの学校に入ったときから始めていたんだ。 現に、窓から景色が見えなかっただろう?」 ネコミミストが周囲の景色が見えなかった思い出し、あれが伏線だったのかと理解する。 しかし、幾ら暗くなっているからといって見過ごすほど小さな異変ではない。 主人公という話題でそれを誤魔化し抜いた話術こそが、七氏の能力。 「そうだ。これが僕の異能……『闇に囁く言葉責め』。パロロワがSSである以上、言葉はパワーだ。 キバヤシ理論で超展開を通すことも、設定を都合よく解釈することも、読み手に気づかれないように裏切らせることも不可能じゃない。」 七氏が言葉を弄ぶ間にも霧が充満し、ついに七氏の姿が霧に消えかける。 「……ッ、逃がさない!!」 それを逃すまいとネコミミストが二本のマテリアルブレードを投げつける。 しかし、一手早く七氏の体は霧に紛れ、双剣は白を少し切り裂いただけだった。 「穏便じゃないね。最初に言っただろう……僕の仕事は君達と戦うことじゃないんだ。 間も無く始まる『孤城の主』……その災禍に君達を混ぜるわけにはいかないんだよ」 「『孤城の主』だって!!」 その単語にもっとも縁のあるChain-情が声を荒げて反応する。 アーカードを軸とした決死の大乱戦……それが意味するところは大きい。 「孤城の……って、まさかさっきの龍!!」 ネコミミストもようやくその言葉の意味を理解し、そしてあの龍がそれに関わっているだろうことを本能で悟った。 ならば、あの龍の向かった先には恐らく血みどろの惨劇が発生するに違いない。 「気づいたようだな。だが、行かせる訳にはいかない。 物語は、黒猫は君がそこに介入することを未だ望んでいないからな」 「退いて下さい!! これ以上仲間たちが居なくなっちゃう前に、私は行かなきゃいけないんです!!」 ネコミミストが両手から衝撃波を発生させて霧を振り払う。 散った霧の向こうに、七氏が再び姿を現した。 「ち、やはり僕の貧弱な地力では押し負けるか……“だが、全ての準備は整った”」 七氏が徐に足で地面を強く突いた。 それと共に、体育館が……否、学校全体が大きく揺れだす。 「実はこの学校は本当は……巨大ロボになる予定だったんだ」 まったく別の話を言い出した七氏に、揺れに驚きながらも攻撃しようとしていた二人は思わず立ち止まる。 「いや、万が一初期段階で対主催がマーダーにボロ負けしたり話としてどうよ、という状況になった場合を想定してな。 スパロボに一度だけ絶対無敵ライジンオーが出たから、 学校なら変形してガンバスターなりキンゲなりソードフィッシュⅡなり出してもいいんじゃないかと…… そんな話があったんだが、スパロボ参加者が人間サイズのロボだったり地図氏の形態にキンゲあったじゃんとか問題が出たんだ。 結局予算の都合上、ロボは設置されず、残ったのは格納庫の基礎工事だけ……それが、この学校に隠された悲しい過去だ」 七氏が涙をぬぐうような真似を見せるが、二人は何か可哀想なものを見るようなジト目で睨む。 このままでも埒が明かないと、恐る恐るネコミミストが七氏に尋ねる。 「で、それが今どういう関係が……?」 「いや、地盤がものすごく緩いんだよ。学校もボロボロだし、もう限界だ」 そう七氏が宣言した瞬間、ネコミミストとChain-情の立つ位置を基点にして亀裂が一気に走る。 「一応聞いておきますが。それ、何時決まったんですか…?」 「今、後付けした設定に決まっているだろう」 「「そんなのありかーーーーーーー!!!!!!!!!!!」」 その宣告と共に、体育館が床を含めて一気に全壊する。 些細な一撃で建物が一気に粉砕する様は、まるでE2の悲劇のようだった。 「こんなドリフみたいなオチで終わるもんですか! グラールヴィンド、旅の鏡!!」 ネコミミストがデバイスを起動させ、Chain-情と自分、そして投げた剣を緊急転移させる。 着地に失敗し、尻餅をつく二人。 「痛タタタ……何よ、あの能力、ほとんどインチキじゃない!!」 「前に現れたジョーカーも相当インチキでしたから、ジョーカーは皆あんな感じなんですかね……って」 ブツクサ言いながらお尻をさするネコミミストをジョーカー経験者のChain-情が宥める。 しかし、その言葉は最後まで綴られる事はなかった。目の前の光景が、彼の言葉を奪っていた。 気が付けば、夜だと思っていた空は青く澄み渡っていた。 かろうじて残っている校門の向こうは既に別世界。 無限に広がる平原に吹く風は乾き、行軍日和だと言わんばかりに太陽が輝く。 地平線の彼方で大河が黄金のように燦然と輝いている。 大地の匂いが生気として溢れかえる、正に活きた大地。 そしてそこに並ぶ、ニコニコ動画(SP1)の猛者達。 「こここ、固有結界!?」 「ステルス鬼畜の技!?」 突然の異常事態にそれぞれの知識で反応する二人が立つのは、紛れも無く彼女の世界。 軍勢の先頭に立って佇む美人……月の賢者八意永琳ことC.M.超展開はデフォなのか? のニートの軍勢である。 無数の兵士を見渡せば地図氏戦の影響かそれなりに傷跡が目立つが、既に全快しているのようで威圧感は衰えていない。 それも当然、王の軍勢ならば一度滅べば暫くは使い物にならずとも、 それを指揮するのがあのチート回復薬に定評のあるえーりんである。 彼女の薬作成スキルがある限りは、中の兵士はほぼ不死といって過言ではない。 えーりんがすっと手を上げると、あらゆる兵士達がざっと戦闘態勢に入る。 「こ、こんな……」 見渡す限りの軍勢と、場違いとしか言いようの無いほどに浮いた学校跡。 そのあまりにも超展開としかいいようのない状況を目の前にして、ネコミミストとChain-情は声をそろえて叫んだ。 「攻撃…………開始……」 「「こんなのありかーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」」 E5の中心はまったく異質な状況となっていた。 そこにあったはずの学校が丸ごと抉れたように、すっぽり無くなっているのだ。 「ふう……どうやら作戦は成功したようだな。向こうでもナナシさんが上手くやってくれたらしい」 結果として残った光景を目にしながら七氏は無感動に言った。 その足にはエアリアルボート……風によって高速ホバー移動を可能にする魔術がかかっていた。 七氏が学校を霧に覆ったのは、自らを隠すためではない。 学校ごとあの二人をえーりんの固有結界に閉じ込めてしまうためである。 自分に注意をひきつけているその間に、ナナシの繋ぎ能力で学校という空間とニートの軍勢を繋ぎ合せる。 これによってジョーカー達はルールの穴スレスレを掻い潜り、あの二人をE5に封印することに成功したのだ。 えーりんには数時間足止めするだけで十分だと言い含めてある。 意気揚々とはいえ怪我人の軍団。威圧感は同じであるが、精々が足止めに使うのが限界だった。 「だが、それだけの時間が稼げれば十分。確実に孤城の主には間に合わないし、何より放送を聞き逃すというメリットがある」 放送を聞いてしまえば、黒猫…666の生存がネコミミストにバレてしまう。 それでは恐らく666の望むであろう運命的再会に水を差してしまう。 それを回避することが、彼女に対する報酬だとジョーカー達は判断した。 そして、グラールヴィントを持つネコミミストから情報を完全に奪い去るには、亜空間に密閉してしまうのが確実である。 そこまで考えた七氏のそばで「でっていう」という声が聞こえた。 七氏が振り向いたその先にはヨッシーが黙って上下に小刻みにジャンプしている。 ニートの軍勢を完全展開する場合は固有結界内でしか行えないが、 一人や一匹程度ならば通常空間に出現させることができる。 最初に七氏を運んだワープスター同様、でっていうはそうした軍勢の一匹だった。 「これが、僕の覚悟だ。カズマ、圭一……お前らが幾ら熱血展開を積もうが、僕はそれを全滅させてやるだけだ」 帰りの足として用意されたそれに乗り込み、七氏は夕闇に消えていく。 物語の主人公はこうして一時舞台を去り――――――業火は周囲のボヤなど遠慮なく、世界を呑みにかかる。 【夕方】【E-5 固有結界内(学校跡)】 【静かなる ~Chain-情~@アニロワ1st】 【状態】:健康 【装備】:ゴールド・エクスペリエンスのDISC@漫画ロワ、仗助の学生服@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、レインボーパンwith謎ジャム@ギャルゲロワ、CD『ザ・ビートルズ』、カエル×3 【思考】: 基本:殺し合いに反逆ゥ!そしてなるべく多くの仲間と生還し、死んだ書き手の分まで頑張る。 0:そんなのありかァァァァァ!!!!! 1:孤城の主!? こうしちゃ居られない! 2:フラグビルド………… 3:仲間達は?(ギャグ将軍、孤高の黒き書き手、シルベストリ、コロンビーヌ、パンタローネ、お姉さま、ルーキー) ※容姿はスクライド(アニメ)の橘あすか。 ※元々着ていた服は、転移の際の崩壊により行方知らずとなりました。 ※どたばたしていたため、無明幻妖side.の首輪と永遠神剣「誓い」は回収し損ねました。 ※ビックバン・パンチ。命を犠牲にして放つ最強の一撃。不発でもそれなりの破壊力ですが、一時間以上は気絶します。 ※フラグビルドの生存を絶望視しています。 ※感電より、怪しげな裏話を聞かされました。 【衝撃のネコミミスト@アニ2nd】 【装備】:マテリアルブレード@テイルズロワ、クラールヴィント@アニロワ1st、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、拡声器 【状態】:精神的に消耗。不死者化。 【外見】:バリアジャケットの白いリボンドレス。 【思考・行動】 基本:前に……進む! 1:こんなのありかァァァァァァァ!!!!!!!! 2:早くあの龍を追わないと! 3:スクライドの遺志を継ぎ、牙なき人の剣になる。積極的にマーダーキラー路線。 4:熱血王子と再会したら、今度こそ彼を止める。 ※衝撃波を使えます。掌からだけでなく、足の裏からも出せるようになりました。 ※「大あばれ鉄槌」を幼女好きの変態と勘違いしています。 ※シャリダムを通じて幻夜の死体を喰い、その記憶と知識と経験を得ました。 また、ブックがロワに来てからシャリダムが生まれるまでの経緯を体験しました。 ※自分が主人公、そして黒猫という単語に引っかかっているようです。 ※亜空間内なので、グラールヴィントで通常空間にアクセスできません ※亜空間内では放送は聞こえません 【C.M.超展開はデフォなのか?@ニコロワ】 【状態】:健康 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:ネコミミストとChain-情を数時間結界内で足止めする(最低放送直後まで) 2:終わったらニコニコ ※容姿はえーりん!えーりん!何故か無口なようです。 ※ニコニコ動画に存在する動画ゆかりの技を全て使えます。 ※少数に限りニート軍を現実に召還できます ※えーりんが無事な限りは、蓬莱の薬で兵士は超スピード回復します。 ※ナナシの繋ぎ能力との合成なので、結界開放後オートで主催本拠地に戻ります 【夕方】【E-5 学校消滅跡】 【七氏@テイルズロワ】 【状態】:健康 でっていう騎乗 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:本拠地に帰って、次の出番を待つ 2:チャネリングに対する反応を見る 3:熱血展開を全滅させる。特に☆系の熱血を。 ※容姿はキール・ツァイベル@テイルズオブエターニア ※テイルズロワの舞台ギミックを発生させることができます ※【異能・闇に囁く言葉責め】 言葉の力でいろんなものを誤魔化し、改変する能力。詳細不明。 大きな無理がない限りなら後付け設定も可能らしい。 【夕方】【主催本拠地】 【裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~@ニコロワ】 【状態】:健康 スッキリ 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず、部屋に戻って次の出番までニコニコ 2:地図氏と再会すれば、借りを返す ※容姿は阿部さん@くそみそ、性格は古泉@ハルヒ。その名はイイ男。キモカッコゲイ! ※地球破壊爆弾No.V-7を危険視しています。 ※ニコニコ動画に存在する動画ゆかりの技を使えます。 ※ニコニコに自分が見たものを動画としてうpできます。 ※「まっがーれ↓」と唱えることで色んなものを曲げられます どこまで曲げられるのかは不明 【人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~@ニコロワ】 【状態】:健康 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず、次の出番までニコニコ ※容姿やその能力は未だ不明。 ※地球破壊爆弾No.V-7を危険視しています。 【ナナシ@テイルズロワ】 【状態】:健康 (ただし左眼がない) 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず、部屋に戻って皿洗いの続き 2:次の出番まで縁側で茶を飲む 3:出会った二人とは生き残っていればもう一度戦う? ※容姿はヴェイグ=リュングベル@テイルズオブリバース ※氷で武器を生成できます ※【異能・姿無き縁の下】 空気王としての力を解放し、色んなものを「繋ぐ」能力。 時間だろうがカップリングだろうが何でも繋げるが、その繋ぎが良繋ぎで無いと十分な効果が得られない。 【名無し@テイルズロワ】 【状態】:健康 【装備】:なし 【道具】:不明 【思考】: 基本:主催者側の人間として活動。参加者の抹殺 1:とりあえず部屋に帰って次の出番まで茶を飲む ※容姿やその能力は未だ不明。 240 集まるヒダネ 投下順に読む 242 ギャルゲロワのなく頃に 想託し編 240 集まるヒダネ 時系列順に読む 242 ギャルゲロワのなく頃に 想託し編 232 傷だらけの天使たち 静かなる ~Chain-情~ 245 イマ賭ける、コノ命 232 傷だらけの天使たち 衝撃のネコミミスト 245 イマ賭ける、コノ命 237 ―――&Black Joker 裸になってすぐアッー~殺意のqwglOGQwIk~ 252 月に吠える者 237 ―――&Black Joker 愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました 252 月に吠える者 237 ―――&Black Joker 人外アドベンチャー~OZbjG1JuJMのウォーゲーム~ 252 月に吠える者 171 【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた C.M.超展開はデフォなのか? 245 イマ賭ける、コノ命 237 ―――&Black Joker ナナシ 252 月に吠える者 237 ―――&Black Joker 名無し 252 月に吠える者 237 ―――&Black Joker 七氏 252 月に吠える者