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注)本SSは『HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました』スレに掲載された作品です。 「HELLSING」のシュレディンガーを召喚 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第一話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第二話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第三話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第四話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第五話 確率世界のヴァリエール - Cats awaking the Box! - 第六話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第七話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第八話 確率世界のヴァリエール - Cats out of a Box - 第九話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十一話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十二話 確率世界のヴァリエール - a Cat, in a Box - 第十三話 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十四話 前編 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十四話 後編Aパート 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十四話 後編Bパート 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第十四話 後編Cパート
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ZM/W03-108 カード名:ミス・ヴァリエール カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:3000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? あんたたち、ホントおめでたいわね! レアリティ:PR illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 0/0/3000バニラ。色・特徴含めてセーラー服のルイズと同スペック。 ただし、ネームに「ルイズ」?を含まないため、それらのシナジーには対応できない。 使われているイラストはティファニア・ウエストウッドのブースター版のものと並ぶ。
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autolink ZM/W03-008 カード名:ヴァリエール公爵夫人 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:8500 ソウル:1 特徴:《魔法》? この子は本当にいくつになっても心配をかけて… レアリティ:U illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 何の変哲もないバニラカード。ルイズの母。
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./. . . . . . . . ..//. . . . . . . . . /;. . . .、-. '. . . . .,. . '´ /. . /. ./// . . .;. .',. . .;. . ' //. . ./. /. /. /. /;.ィ .}!. ;. . '. ./. . ///. .;. '.,.'\. . _/イ !-. .'. . ;. ..' .//. . , ' /ー'ト、_.ヘ '/.i l. l_;/. // . . ;. '/ lツi'' ,.'. ./|.l . . . . //. . // r'. . ./.,';'二,;/. . // 〉. / 〃__;,;/ / ヽ>_// / 三二 ' /´\ , ‐'´ /´ ./.ヽ、 .イ'v ニ二三彡 / 、 ', ̄` ',ヽ二三/. ヽ .', i .! .}', .\ .、 | | .i. ,' .l〉 ミx\l、 l V/ .| _l} ```ヽxヽ `ヽハ ト.、 // ', ヽ `ヽ. }| // .', .ハ '., ! У ' ̄〉 .、.', }__ . },|_ 、〉 ヽ', .イl}〉zz《Ⅶl|i,. ,ィ 〉 \、 __, イツ' ニ二ニ.Ⅶ|!/.〈/、 〉===-‐'´ イ{′ヽ{`ー、 , ィニ二,人 ', ./ハ. ヽ _, ̄'´ ̄ ', ',.`ー‐' .',zz≦イ /, / _,ノ.`‐ /州!-‐.'/==r‐.'´ 【沈利・ヴァリエール】 (AA 麦野沈利) AAは暫定 備考 ヴァリエール家の長女であり、ルイズの姉。 原子魔法使い。
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/ ,ヘ \ / / ヽ \ / / ィェェ、\ / / 〃i{ リ}! ヽ ヘ _ゝ / !i__ニ=彡、 ', ) ハ ,r` >-、 _, ィ、___ _`二´_, ィ 、 ノーくこ} ヽV_ゝ「ヽ r<_ / ハ _ゝ, r< / ~,ヘ」/ }___ f――z___j ̄L.」 ヽ , / / / /,イ.レイ 〃/|l _А| 川 } ノ / ノ〃 / フ7ナトノ /// jイ_ム,ル' ,リ ハl / /./ {{ 〃 //ナフメ 〃 /,仏ィヤ ハ / / /,´ ,バヾハ{ ,仆ヤモテ7ヾ 上ソ ,ハ,ノルく , 八 { ( ノ リノⅥトゝ  ̄ { イ ヽ{ く \ ハ{ ヾシ′{/ ツハ _____ ノル ) ハ ヽ{ ヽ l{ 〃 {{ _,.斗 ´ .|  ̄ 7 <_ |ト- -ゞルi八,.ゝ< | / >、 { ル'′\ | ./ / \ `y′ \. | / / ヽ / \ | ./ / ∧ r<_> 、 \ | / / ハ `y〈_fヽ,>.__ \ .| , ´ / `ー√ヽ> _, - う > ´ _ノ ノ_r 、>/ ̄ <_ > ´ / \ハ/ `ヽ ,___ハ/ / \ノ一′ ノ! / 〉 / 【幽々子・ヴァリエール(西行寺幽々子)】 属性:大貴族・魔法使い・召喚士・死霊術師 特徴:アンデッド 精神:高貴 関係:依頼者の1人 予定:あとは誰に声をかけようかしら 能力 【大貴族】国政にまつわる大貴族の家柄。極めて珍しい「死」属性 【死霊術】国内有数の術者、死者に呼びかける技術である。訳あって身体的に死んでいるが、自分自身を死霊魔術で動かしている。 【召喚士】蝶、を呼び出し、操る力を持つ。 【パイ膨法】生と死の相反する属性を持つ母乳を生成する禁呪。とにかく濃厚で生クリームのよう。 【幽々子改造案3】 【魔乳】で【反魂法】を【パイ膨法】に おっぱいに生と死の属性を母乳に変換し膨乳させる魔法で生と死のそれぞれを濃縮した禁忌の母乳を出す様になる 痛いほどにやられる事で生と死を感じ効率よく母乳を生産し搾乳でき尚且つ気持ち良くなるマゾおっぱいである 生の母乳や死の母乳は死霊術や反魂法の強化に使えると言うがやる夫位の筋力がないと上手く搾乳出来ないように 調整されており出し切れない分は溜まり搾乳欲求を押し上げ搾乳できる人に屈服しやすくなる 備考 ヴァリエール家の次女であり、ルイズの姉。 黄泉から反魂蝶召喚が可能。 その43 9062にて依頼人としてついに登場。 「反魂蝶の捕縛」をスターゲイザーに依頼してきた。
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フランソワーズ・ド・ヴァリエール 性別 : 女 所持武器 : 狙撃用特殊機甲兵装 フリースキル : なし 攻撃力 : 7 防御力 : 2 体力 : 3 精神力 : 7 残弾数 : 6 特殊武器:『神弾の射手』 四肢を機械へと変える特殊武器。 右腕と一体化した長距離狙撃用レールガンを持ち、各種探査機能により正確無比の狙撃を可能としている。 後ろ以外、前左右五マスに攻撃力分の狙撃をおこなう。 [命中率:-50% ] <計算式> 基本 100% 縦横5マス(後方以外) -95% 効果範囲内の対象全員に有効 -25% 弾数補正 +0% 弾6発だから休み無し -20% 遠距離通常攻撃 -10% キャラクター説明 軍隊に強力なコネクションを持つヴァリエール財閥のお嬢様。 地球の平和を守る!というお嬢様のわがままにより秘密裏に製作された 特殊兵装「魔弾の射手」を手に、世界を脅かす魔人に勝負を挑むが、 魔人の特殊能力の前に敗北する。 この戦いでは、オオツキの手によりパワーアップした特殊機甲兵装 「神弾の射手」を装備。魔人へのリベンジと世界平和に熱く燃える。 ちなみに基本的には自分の理屈でしか動かないバカ貴族
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前ページ次ページ確率世界のヴァリエール 意識を集中する。 コツはつかめている。 そういうものだったのだ、魔法とは。 最初の成功こそがカギだったのだ。 子供の頃、初めて口笛を吹けた様に。 指を鳴らせた様に。 そして、そう。 雛鳥が空へ舞い上がるように。 肝心なのは、イメージだったのだ。 たとえば、目の前の石を真鍮に錬金するイメージ。 心が澄み渡っていく。 今なら何でもできそうな気がする。 「イル・アース・デル!!」 「ルイズちゃあん~? 何か言う事があるんじゃなくって~?」 いち早く机の下に隠れて被害を最小限にしたキュルケが 瓦礫を押しのけススを払いながら立ち上がる。 当のルイズは腕組みをしたまま小難しい顔で立ち尽くし、 隣で目を回して倒れている使い魔には目もくれない。 「ん~。 もうちょっっと、なのよねー」 「、、、教室を全壊するまでに?」 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第三話 「明日、服を買いに行くわよ!」 服を脱ぎ散らかしながら勢いよくベッドに倒れこむ。 今日一日教室の掃除、というか復旧でくたくただった。 「あんたこっち来てから着たきりスズメでしょ」 むしゃくしゃした時には買い物をするに限る。 そう考えながらルイズはもう眠りの中にいた。 「ルイズ、おはよー。 おはよーってば、ご主人様!」 「んゆ、、、うっさいわね~。 今日は虚無の曜日なんだから、昼まで寝ゆの、、」 ねむねむと目をこする。 「もう、ルイズってばだらしないなぁ~。 僕はもう洗濯を終わらせたってのに」 シュレディンガーがカーテンを開けると、朝の光がルイズを包む。 素肌に薄手のキャミソールのみをまとった体のラインが陽に透ける。 スラリとしたウエスト、スラリとしたヒップライン。 そしてスラリとしたバスト。 実に無やましい。 眩しさに目が慣れて、、、一気にルイズの目が覚める。 「あ、おきた! どお、似合う~?」 猫耳頭がひらりとグレーのプリーツスカートをひるがえす。 「あ、な? ああ゛? あんた、何を着てんのよ!!」 「だってー、着たきりスズメは恥ずかしいって言ってたでしょお? 僕の服はルイズのと一緒に洗濯しちゃったし」 すっきりと伸びた足に濃紺のオーバーニーを通し、白のブラウスに フリルの付いたピンクのロングカーディガンを重ねている。 学院の制服に身を包んだ猫耳が目の前でくるくると回る。 「ちょ、それ! この前買ったばっかの春物! 返しなさいよ!」 「んじゃね~」 ============================== がごす。 「うっふっふ、、」 テーブルの足に鼻っ柱をぶつけたまま低く笑う。 一人きりになった部屋の中、鼻血もぬぐわずゆっくりと立ち上がる。 「ご主人様を無礼(ナメ)るなんて、良ぃ~い度胸だわ!!」 「なぁーにやってんのよ朝っぱらから。 うるっさいわねー」 スケスケの真っ赤なベビードールに黒いショーツだけのキュルケがドアを開ける。 「あんたには関係ないわよ露出狂」 「パンツも履かないあんたに言われたかないわね」 「部屋の中でどんなカッコしようがあたしの勝手でしょ。 うー、あのバカ猫!」 「あらやだ、あんたシュレちゃんと喧嘩? あの子あたしにおはようのキスしてどっかいっちゃったわよ? あー、確か食堂行くとか何とか」 「はああ゛?! ぁんなカッコでどこ行ってんのよあの猫耳頭!!」 キュルケを押しのけるなりドアを開けて廊下を駆けていく。 「え、あ、ちょっと、ルイズ?!」 猛然と走り去っていく後姿を見送り、立ち尽くす。 「、、、服は?」 。。 ゚○゚ ギーシュは窮地の真っ只中に居た。 休日の『アルヴィーズの食堂』、目の前には阿修羅が二人。 恋人のモンモランシーと、新しい恋人のケティ。 「ま、まあまあ落ち着いて二人とも。 きれいな顔が台無しだよ?」 そしてその横にはおろおろと涙目で平謝りに謝るメイド。 「も、申し訳ありませんでした! わたしが目配せに気付かなかったばっかりに!」 ああ、この子も可愛いな。 懲りずにギーシュはそんな事を思う。 「あっはっは。 いやいや、良いんだよ」 「そうよ、そんな事はどうだって、良・い・の!」 モンモランシーがメイドを押しのけ凄む。 「ギーシュ様、どういう事かきちんと説明して下さい!」 ケティも身を乗り出す。 マズイ、非常にマズイ。 「あ、いたいた。 ねえ、ギ~シュ~!」 遠くから可愛らしい声が響く。 今度は誰だ? 四面楚歌か? いや、地獄に仏にしてみせる! そう決意して笑顔で振り向く。 「いやあ、どうしたんだい? 何か用かな?」 目の前には学院の制服に身を包んだ少女が一人。 フリルの付いたピンクのカーディガンが良く似合う。 そして頭にはピコピコと猫耳。 猫耳?! 「どおどお? 似合う似合う?」 シュレディンガーが楽しそうにくるくると回る。 「ギ、ギーシュ様! 私たちの他にもまだこんな娘が?!」 ケティが涙目で叫ぶ。 「い、いやいや、違うんだよケティ。 この子はミス・ヴァリエールの使い魔くんで。 っていうか君、男の子だろ!」 「え? え、え? 男の子? なんですか??」 「え~? ボクはそんな事ひとっことも言ってないけどナ~。 確 か め て み る ぅ ? 」 上目遣いにスカートの裾をつまみ上げ、絶対領域を見せ付ける。 「な、何をバカな事を言ってるんだ君は! そ、そんな事する訳、う、する訳ないだろう」 「ありゃ、残念。 そうそう。 実はギーシュにお願いがあるんだ」 胸の前でぱん、と手を合わせる。 「ほう、僕にどんな用かな?」 思考停止したままの二人を置いて話に乗る。 「これ!」「むぐっ?!」 うっちゅう~~。 「え?あ、わわわ!」 「ななな、何してんのよあんたたち!!」 自分の恋人がいきなり現れた猫耳の男の子? に 首根っこをつかまれキスされ押し倒されている。 止まっていた頭が動き出し、別の角度でフリーズする。 「ギギ、ギーシュ様、なななんて破廉恥な! え、でもこの子も男の子で? 男? 女? 男男女男女♂♂? はにゃ~」 ケティが目を回してその場に倒れこむ。 「ちょ、な、なにしてんのよこの猫耳! ギーシュから離れなさいよ!」 モンモランシーが掴もうとしたその時、猫耳頭の姿が消える。 下になっていたギーシュは同じく目を回し、 なぜか幸せそうな顔で気を失っている。 「うーん、ギーシュも駄目かー。 じゃあ次はっ」 突然の後ろからの声にモンモランシーは振り返り、 「んむっ?!」 そのまま押し倒された。 嵐が過ぎ去った食堂で、モンモランシーは呆然と座り込む。 ギーシュとケティ、ついでにシエスタも複雑な表情で倒れたままだ。 「な、なんだったのよあの猫耳頭。 いきなりキスしてくるなんて。 大体なんであんなカッコしてんのよ。 男の子なのに女の子の格好して、ギーシュに、なんて、、、」 思い出してもじもじと頬を赤らめる。 「男の子なのにギーシュに襲い掛かるなんて! ああ、駄目よそういうのは。 それは駄目よ。 大体ギーシュの方がリードしてくれるイメージなのに。 そうよ、ギーシュがあの猫耳に迫るんならもうちょっと何とか。 嫌がりながらもまんざらでもない感じの猫耳をギーシュが、、 いやいや、そういう事じゃなくって! って、わっ!!」 突然の気配に振り返ると、タバサが椅子に座ったまま本を読んでいる。 「い、いつからいたのタバサ。 、、、もしかして、聞いてた?」 「キモい。」 「え、あの、ちが!」 「ギーシュ攻めなんて信じられない。」 「、、、へ?」 。。 ゚○゚ 「ま、あんたの無やましいカラダを 朝っぱらから拝めた男どもは眼福だわねー」 「う゛う゛ぅ、 どれもこれも全部あのバカ猫のせいだわ、、、」 制服に着替え、肩を落として廊下を歩くルイズをキュルケが慰める。 「まあまあ、減るもんじゃなし。 って、あらやだ」 「、、、何よ?」 かがみ込んでルイズの胸元をじっと見つめ、 顔を上げて深刻な面持ちでルイズを見すえる。 「減った?」 「減らないわよ!! あんたの無駄口と一緒よ!」 中庭に出たとたん、たむろしていた男子生徒たちがルイズを見つける。 「あ、おい。 みんな見てみろよ。 おーい、今度はちゃんとパンツはいたか? 胸がゼロのルごばっ!!」 ファイヤーボールで吹き飛ばした相手を気にも止めず、キュルケが呼びかける。 「ねえちょっとあんたたちー。 ルイズの使い魔見なかったー?」 「うわっ、は、はいっ! ミス・ツェルプストー! と、図書室で、猫耳が、とか、さっき女子が言ってた、ました、、」 「あっそ、ありがとー、ええと」 「ママ、マリコルヌ、です」 「あっそ、ありがとー、おデブちゃん」 「だってさ。 どーする? ルイズ」 「どーするもこーするもないわ。 いくわよ、キュルケ!!」 のっしのっしと歩き出す。 。。 ゚○゚ 学院長室では、コルベールが挨拶もそこそこに学院長に切り出していた。 「で、ミス・ヴァリエールの召喚した使い魔についてなんですが」 「ほうほう、あのネコくんかね、さっそく私の部屋にも遊びに来たよ」 オールド・オスマンが好々爺然と目を細める。 「そ、そうですか、でしたら話は早い。 実は彼のルーンについてなんですが、、、」 言いかけた時、突然ドアが開く。 「おや、どうしたね? ミス・ロングビル」 「大変です、オールド・オスマン。 そのミス・ヴァリエールの使い魔なんですが」 「あのネコくんがどうかしたかの?」 「女装して学院内を飛び回り生徒および教員に無差別に接吻をして回っています」 。。 ゚○゚ 「ありゃー、すっごい事になってるわねー」 図書室に着くなり、キュルケがため息をつく。 目を回している者や呆然と中を見ている者の中で いい年をした太目の女性教師が、 「だめよ、私もうおばさんなのに、あのネコちゃんってば、、、」 などと、火照った顔つきで陶然とつぶやいている。 「ああ、ミス・ヴァリエール。 こちらに居ましたか。 至急学院長室に来て下さい。 理由は判っていますね」 ルイズが振り向くと、ミス・ロングビルが鋼の表情でそこに立っている。 「あーあ、ルイズ。 ご愁傷様」 「ぐっ、わ、判りました。 この責任は、、」 「の゛わ゛ーーーーーっっ!!!」 突然廊下の向こうから皺がれた悲鳴が響く。 「え、え? あっちって? ががが学院長室?!」 「しまった、学院長!」 「あっちゃー、知ーらない」 三人が駆け付けた時、オールド・オスマンは仰向けになり 何かを抱え込むように両手を上に向けていた。 「大丈夫ですか? 学院長!」 ロングビルが声をかける。 「お゛、、、」 怒気をはらんだ声に思わずルイズは身を縮ませる。 怒られる! いや、停学? いや、もしかして、、、 オールド・オスマンが叫ぶ。 「おちんちんランド上等ぉ!!」 「ミス・ヴァリエール。行き先に心当たりは?」 ロングビルがひげ面を蹴りながら問いかける。 「判りません。 でも、人の多い所とか?」 ルイズがひげ面を踏みにじり答える。 「じゃ、広場にでも行ってみましょ」 キュルケがひげ面を踏みつけて学院長室の外へ向かう。 。。 ゚○゚ ヴェストリ広場も惨々たる有様だった。 「ふう。 で、シュレちゃんにこんな事させて何企んでるの?」 「企んでなんかないわよ! 大体、何でこんな事やって回ってんのよあのバカ猫!」 「言い合っていても仕方がありません。 ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー。 手分けして探しましょう」 「シュレー! シュレディンガー! どこにいんのよ、返事しなさーい! ああもう!」 くたくたと座りこみ、学院の外壁にもたれかかる。 「ふう、もう、どこに行ったのよあのバカ猫、、、」 ため息をついて空を見上げる。 「あ。 おーい、ルイズー」 外壁の上から手を振る猫耳頭が見えた。 「何やってんのよあんた!」 降りてきたシュレディンガーを怒鳴りつける。 「ああ、あれ? ルイズ以外の魔法使いとでも 一緒に跳べるかどうか確かめてたんだ。 でもやっぱり駄目みたい」 やれやれと肩をすくめた。 ひくり、とルイズの額に青筋が浮かぶ。 「へ、へー。 新しいご主人様探しってワケ? ま、まあそうよね。 こんな魔法も使えないご主人様なんてあんたもイヤよね。 止めないからどこでも好きな人のとこに行けば?」 驚いた顔をしたシュレディンガーが、すぐに笑い出す。 「あははっ、嬉しいなー。 ルイズってば、やきもち妬いてくれるんだ?」 「な、何言ってんのよ! 昨日の失敗で判ったでしょ!! どうせ! どうせあんただって私の事んむっ?!!」 ============================== 三度の空の上。 不思議と恐怖は無かった。 うっすらと溜まっていた涙が空に散っていく。 「他のどんな魔法が使えなくったって」 抱き合った体を離して、シュレディンガーが空を舞う。 「僕を『死の河』から助けてくれたのは他の誰でもない、ルイズだよ。 他のどんな魔法使いでもない。 この世界で、たったひとり」 微笑んで顔を寄せる。 「でも、でもあたし!」 片方だけつながった、か細い絆に力を込める。 シュレディンガーはかぶりをふる。 「キュルケと最初に会った時の事、覚えてる? 『メイジの実力を見るには使い魔を見よ』って言ってたでしょ? これからは、いつでも、なんどでも、どこへだって、 ルイズが望む場所に連れて行ってあげる。 そんな魔法を使える人、他にいる?」 「い、いない、かも」 「でしょ? じゃあルイズも、これからは世界でたったひとり! どこにでも行ける、たったひとりの魔法使いで、 たったひとりの僕のご主人様!」 風が二人を吹き抜ける。 悩みや迷いを払い飛ばすように。 「ふう」 ため息と一緒に、心のもやも空に散っていく。 「じゃあ、そういう事にしといてあげるわ」 そう言ってルイズは自分の使い魔に口付けた。 ============================== 「学院長。今回のミス・ヴァリエールが発見しました 簡易コントラクト・サーヴァントによる メイジの使い魔への支配的能力共有現象についてですが」 「おお、ミス・ロングビル。 報告がまとまったかね?」 オールド・オスマンが自らの使い魔である白ネズミの頭を撫でる。 「有志を募り検証致しましたところ、現象の発生自体は 追確認できましたが、有用な能力共有のケースはありませんでした」 「まあ、あんな都合のいい能力はそうそう無いじゃろうからな」 「それと、生徒間でも使い魔との能力共有が流行っているようですが」 「使い魔と仲が良いのは結構な事じゃな。 それで?」 「はい。能力共有で被害が少々。 後ろ髪が燃え出したものが一名。 土を掘ろうとして爪を傷めたものが一名。 そのまま噴水に飛び込んだものが一名。 その他、眩暈や幻覚を訴えたものが若干名。 ところで学院長。 何をなさっておいでで?」 使い魔に口付けをしているオスマンを怪訝そうな目で見る。 「おお、このモートソグニルはずいぶんと物覚えの良い子でな。 この子が今朝何を覗いて、じゃなくて、 今日は何色をはいてたか、でもない。 そう、この子が何を食べていたかを、な。 使い魔の体調管理もメイジの仕事じゃからの」 「ああ、それでしたら。 その子さっき廊下でゴキブリ食べてましたわ」 盛大に吹いたという。 。。 ゚○゚ 前ページ次ページ確率世界のヴァリエール
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前ページ次ページ確率世界のヴァリエール 鼻も高々に廊下を歩く。 ふっふっふ。 知らず笑いがこみ上げる。 皆もそりゃあ使い魔は呼べたでしょうけど、 しょせんはけだもの、畜生よ畜生。 でも、私が呼んだのは何たって猫耳の亜人よ。 こんな使い魔を喚べるメイジなんてのはちょっと居ないわ! 昨日の醜態も睡眠不足も何のその、若い心は回復も早かった。 物珍しげにきょろきょろと挙動不審な使い魔を従えて 足取りも軽やかに食堂へ向かう。 げ。 「あらー、おはよう。 泣き虫ルイズちゃん。 ご機嫌はもう直ったのかな? 残念だわー、泣き顔も可愛かったのに」 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第二話 赤毛のウシチチ女が嫌味ったらしく声をかけてくる。 昨日喚び出してたなんたら言う火トカゲも一緒だ。 「ふん、後ろのあたしの使い魔が見えないの? 昨日のアレはアレよ、ちょ、ちょっとかわいい所を 見せてあげただけよ! キュルケ、あんたの使い魔も中々スゴそうだけど、 私の使い魔には敵いっこないわ」 ふふん、と鼻を上げる。 「あらー、この子?」 キュルケが後ろを振り返りしゃがみ込む。 「ま、スゴそうだー、なんてありがとね、ルイズ。 『メイジの実力を見るには使い魔を見よ』、なーんて言うけど、 この子ってばあたしにぴったりでしょ? 火のメイジにサラマンダーなんて。 ねー、フレイム?」 キュルケは自分の後ろに付き従うトラ程もある大トカゲの首を撫でさする。 のんきな顔をもたげて目をつぶりきゅるきゅると鳴くと、尻尾にともる火がゆれる。 喜んでいるようだ。 キュルケもニコニコと笑う。 「で、私にはその子を紹介してくれないの?」 「わー、お姉さん、オッパイ大きいねー。 僕の名前はシュレディンガー! よろしくね、お姉さん」 すぱぁんっ! 後頭部を勢い良くはたく。 「こんな奴に挨拶なんてしなくていいのよ、この猫畜生!」 「あらー、使い魔に手を上げるなんて こまったご主人様ねー。 ねえ?」 猫耳頭を胸に抱いて優しくなでる。 「ねえ?」 シュレディンガーも胸に顔を埋めたまま上を見上げて同意する。 「なにを手なずけられてんのよ! ほらっ、行くわよ!」 襟首をむんずと捕まれズルズルと引きずられながらも、 シュレディンガーはパタパタと手を振る。 「キュルケにフレイム、まったねー♪」 。。 ゚○゚ 「おやおや、ルイズ。 聞いてた通り使い魔は戻ってきた様だね。 そりゃあ良かった。 しかし、まあったく君は非常識なやつだな、使い魔を食堂に入れるなんて。 そんなだから「ゼロのルイズ」なんて呼ばれるのだ」 食堂に入るなり、またこれだ。 なまっちろい顔のキザな男が困り顔で呼びかける。 ウキウキ気分を害す事この上ない。 「まったく、どいつもこいつも。 ギーシュ! 後ろのこの子が見えないの? 私の召喚魔法は成功したの! 成功させたの!! 魔法を成功させたんだから、もうゼロなんて呼ばせないわ。 「ゼロ」なんて汚名は今日を限りに返上よ! 、、、って、何よそのモグラ! あ、あんただって食堂に使い魔を連れてるじゃない!」 「やれやれ、ルイズ。 この子は使い魔なんかじゃあなくって僕の親友だよ。 なあ? 僕の可愛いヴェルダンデ」 ヒクヒクと鼻を動かす大モグラにうっとりと顔を寄せる。 「魔法が使えないから「ゼロ」なんじゃあない。 そういう風に常識が無いから「ゼロ」と呼ばれているんだよ。 んーでも、ゼロの汚名を返上されてしまったら今度から君をなんと呼ぼう? ああ、泣き虫ルイズってのはどうだい? いつも怒っている君が見せた涙も、、、中々にステキだったよ?」 ウインクを飛ばす。 「うぐっ」 ど、どいつもこいつも口の減らない奴ばっかり。 「そんな可憐な姿を見せてくれた君にプレゼントだ」 赤い石の嵌ったブローチをテーブルの上に載せて、そっとこちらに向ける。 「な、何よそれ?」 「ステキだろう? 昨日ヴェルダンデが土の中から見つけてくれた ルビーの原石を、僕が錬金で細工したのさ。 土のメイジであるこの僕にとって、このヴェルダンデは最高の友人だよ。 そうは思わないかい? ルイズ」 「そ、そういうのは彼女のモンモランシーにでもあげなさいよ!」 「おやおや、振られてしまったようだ、慰めてくれるかい? ヴェルダンデ」 大げさな身振りと悲しげな顔で大モグラを撫でる。 「で、君の使い魔クンにはどんなチカラがあるのかな?」 う。 そういえば、昨日からいろいろありすぎて シュレディンガーにはそんなことを聞いてもいない。 「そ、そーいうのは秘密よ!」 「なあんだ、残念」 そこへ、ハゲたおっさんが食堂に入ってくる。 もう少し髪の毛があれば少しはましな顔立ちなのに。 本当に残念なおっさんだわ。 「ああっ、ルイズ。 ハゲだ、ハゲが居るよー!」 宝物を見つけたかの様に猫耳頭が指をさす。 すぱぁんっ! 快音を響かせ後頭部をはたく。 「おはよう御座います。ミスタ・コルベール。 昨日はご迷惑をおかけいたしました」 「い、いやあ。 おはよう、ミス・ヴァリエール。 噂どおり使い魔は戻っていたようだね。 それは何よりだ」 「昨日は恥ずかしい所をお見せしてしまいまして まことに申し訳ありませんでしたわ」 「いやいや、あれだって君の魔法への真摯さゆえだ。 学問に真摯であるのは良い事だよ。 で、あちらが君の使い魔だね?」 自分の後ろを覗き込むコルベールの視線を追って、 大モグラと本気でじゃれあう猫耳頭を見つける。 何やってんのよコラ。 「え、ええ、そうですわ。 いらっしゃいな、シュレディンガー」 猫耳頭が呼ばれてトトトっ、とかけてくる。 「はーい、僕がこの怒りっぽいご主人様の使い魔、 シュレディンガーです。 よろしく、 えと、は、ハゲ、べ、、?」 すぱぁんっ! 「コルベールよ! コ・ル・ベ・エ・ル!! 「ハ」も「ゲ」も入ってないでしょこのバカ猫!」 「あ、あのー、ミス・ヴァリエール?」 「あら、いやですわ。 ミスタ・コルベール。 うちの使い魔が粗相をしまして」 「もう、ルイズってばすぐぶつんだもん」 すぱぁんっ! 「いやあ、あ、あはは。 それで、ミス・ヴァリエール。 コントラクト・サーヴァントはもう済ませたのかな?」 あ。 、、、忘れてた。 。。 ゚○゚ 昨日と同じく晴れ渡る青空の下、校外の草原でルイズは級友に見守られていた。 まだ日も高くない草原に春先のさわやかな風が吹き抜けるが、 ルイズはひとり、知らず生唾を飲み込む。 (大丈夫、昨日だって結局は成功したんだから大丈夫、、、) 今までに無い緊張だった。 失敗して当たり前、今思えば一種諦めの気持ちさえあった、昨日までは。 しかし成功の喜びを知った今、心は失敗を恐れていた。 (大丈夫、大丈夫、大丈夫!) 心を決めて目を見開く。 ぺたりと内股で座り込んでニコニコと小首をかしげる顔がある。 頭からは「?」マークを出して猫耳をパタつかせている。 (はあ。 気が抜けるわ、実際) 「それではみなさん、今日の授業は昨日の続きからです。 春の使い魔召喚の儀式、その締めくくりを ミス・ヴァリエールに行ってもらいます。 召喚の儀式に用いられる呪文は二つ。 そう。 そうですね。 召喚のための『サモン・サーヴァント』。 そして、 契約のための『コントラクト・サーヴァント』ですね。 そもそも使い魔とは、、、、」 コルベールが昨日も語った講義を車座に囲む生徒たちにおこなっている。 今からただ一人魔法を行使するために、精神を集中させるルイズ。 その時間を持たせてやるための彼なりの配慮だったが、 長々としたその講釈は、彼女を刑の執行を待つ囚人の心持ちにさせていた。 すでにその状況に飽きて辺りをきょろきょろと見回していた シュレディンガーが、突然耳をピンっと立てて叫ぶ。 「わ! ルイズ、ルイズ! あれ見て! 月がふたつあるよ?!」 コルベールが困ったように微笑みながら振り返った。 周りからはくすくすと笑いが漏れる。 「し、失礼しましたっ」 使い魔の首根っこをつかみ、ぐいっと頭を寄せる。 (もう、恥ずかしい! 静かにしときなさいよ!) (だってルイズ、月が) (月がふたつなんて当たり前でしょ!) ヒソヒソと問答を繰り返す。 (すごいや、どうなってんだろあれ) ルイズに叱られ口を閉ざしても、火の付いた好奇心は消えない。 「、、、では、お待たせしたね、ミス・ヴァリエール」 コルベールがルイズに語りかける。 (ってゆうか、ここってホントにどこなんだろ?) 「は、はいっ。 では。 我が名はルイズ・フランソワーズ、、、」 ルイズが詠唱を始める。 (雲が邪魔だな、もっと近くで見たいな、、) 「五つの力を司るペンタゴン、、、」 (もっとちかくに、、) 「この者に祝福を与え、我の使い魔と、なせ」 (あの雲の上に、、、) 契約の、口づけ。 そして。 ルイズの世界は、反転した。 ============================== ごうごうと風が耳を切る。 「え?」 地面が青く透き通る。 「え゛?」 空のかなたの雲の果てには緑の大地が浮かび、 大気が体に渦を巻く。 「ええ゛ーーっっ?!」 ちがう。 チガウ。 違う。 理解が追いつく。 状況を把握する。 ルイズは、さかさまに、空の上に、雲の上に居た。 「あれ、ルイズ?」 風きり音の向こうから、のんきな声が届く。 「何でルイズもここにいんの?」 「は? え? なななn何があくぁwせdrftgyふじこlp!」 「えー、なに? 聞こえないー」 (おおお落ち着いてルイズ素数を数えるのよって素数って何よ!) 「すごいやルイズ! もしかして君も『跳』べるの?!」 「はあ?! 何! 聞こえない!! なななポブッ!!」 雲の固まりに抱き合ったままに突っ込んだ。 。。 ゚○゚ 残された生徒たちは混乱の中に居た。 「おいおい、また消えたぞ?!」 「って、今度はルイズも一緒か?!」 「み、みなさん、とにかく落ち着いて!」 コルベールが落ち着き無く叫ぶ。 「うっわ、どーなってんのよコレ。 ん? なに? 上がどうかした?」 自分の袖を引く眼鏡をかけた少女に釣られ、キュルケは上空を見やる。 「あれ。」 空を指さし一言つぶやく。 「え? なに?」 首をかしげて指差された方角を睨むキュルケをよそに、 眼鏡の少女は指をかぎに曲げて唇につける。 指笛が辺りに鳴り響くと、翼持つ影が鮮やかに彼女をさらった。 大きな爪に抱え込まれたままに滑空するその翼を両手でつかむと、 くるりと逆上がりをして翼の上に飛び移る。 親しげに顔を近づける飛竜の耳元で 「あの二人。」 とだけ話しかけ、雲の合間を指さす。 そして、少し考えてから 「食べちゃだめ。」 と付け加えた。 「わかったのね姉さま!」 飛竜は体に似合わぬ幼い声で返事をすると、 二度、三度と羽ばたいて太陽めがけ上昇した。 。。 ゚○゚ 「おちる落ちる落ちてるってばあぁああっー!!」 むなしい絶叫が響き渡る。 「って、え、え? あれ? シュレディンガー!?」 辺りを見渡す。 どこに行った? どこにも居ない! 「どどどどこいったのよシュレ!?」 手足をばたつかせてもがく。 その時、上空から猛スピードで人影が近づく。 「え? え? ああ、あんたは?」 ルイズと同じ学院の制服を着た少女は、 自分と同じく逆さまに自由落下しつつ器用に接近してくる。 「静かに。」 眉一つ動かさず一言つぶやいて彼女を両手で抱きしめると、 手馴れた様子で呪文を詠唱する。 ふわり、と二人の落下速度がゆるやかに減速した。 「こ、これって、『レビテーション』!?」 ゆっくりと下降する二人を飛竜がその背中に迎え入れた。 「たたたt助かったわ、え、ええと」 「タバサ。」 「タバサ、あ、ありがと」 「うん、ありがとー! タバサ」 聞き慣れた間の抜けた声に振り返る。 「あ、あんたいつから?!」 「え? さっき」 シュレディンガーがのほほんと返事を返す。 「あ、ダメなのね! そこはお姉さまの特等席なのね!」 ごす。 無言で杖を伸ばしてタバサが飛竜の頭を小突く。 きゅい、と悲鳴が上がる。 「ご、ごめんなさいなのねお姉さま。 シルフィードってば、他の人の前で喋らないって 約束したのにうっかり忘れてたのね」 「タ、タバサ? この飛竜喋れ」 「内緒。」 「で、でもあ」 「内緒。」 「こ」 「内緒。」 「、、わかったわ」 。。 ゚○゚ 歓声がルイズを迎え入れた。 「やるじゃないのルイズ! 今までのあなたじゃないとは思ってたけど、 まさか失敗のバリエーションを変えて来るなんて! 私の負けだわ。完敗よ」 キュルケの言葉に他の皆も拍手交じりに喝采をあげる。 周りのヤジを無視してコルベールに歩み寄り、告げる。 「もう一度、やります!」 そして。 ============================== 契約の口付けとともに ルイズの世界は二度目の反転を迎えた。 「なんでまたああぁーー!!」 さかさまに落ちながらも、運命の理不尽な仕打ちに絶叫する。 「やっぱりだ、すごいやルイズ!」 「ええ? やっぱりって、な何がっ?!」 二度目で少しは慣れたのか、一度目よりは言葉が耳に入る。 「だからー、コントラ何とかでキスしたでしょお? さっきもそうだったから、もしかしたらって思ったんだ。 そしたらホラ! 一緒に『跳』べた!!」 抱き合ったまま、風を切って落ちるままに、 シュレディンガーは子供のように喜ぶ。 「て、え? じゃあさっきのは、あんたがやってたの?!」 「うん!」 ニコニコと返事をする。 「すごいやルイズ! 魔法使いってスゴいや!!」 「スゴイのはわかったから! ま、まずは下に! 下に戻って!」 「え? あー、はいはい」 「むぐ?」 無理やりに、今日三度目のキスをした。 ============================== 「そんな力がこの使い魔君に? それは凄い! いや、実に興味深い。 そんな魔法は聞いたことも無いな。いや、伝承にあったか? おお、そうだ、契約のルーンを見せてくれるかな? 体のどこかに刻まれたはずだ」 騒然となった生徒たちを放ったままで コルベールが興奮した面持ちでまくしたてる。 「んー。 魔法じゃなくって、体質かなあ?」 「体質?」 「そ。 僕はどこにでもいてどこにもいない。 だからどこにでもいれるんだ」 コルベールの質問に胸を張り自慢げに答える。 「そ、それは何ともはや、、、」 「でもびっくりだよ! 今まで僕と一緒に『跳べる』人なんて見たことも無かった。 すごいんだね、魔法使いって!」 「ほお、そうなのかね? 契約の魔法はメイジと使い魔との心を結ぶためにある。 それが関係しているのかもしれないねえ」 「ふっふっふ」 ルイズが不敵に笑う。 「キュルケ、ギーシュ! 見た? コレがこの子の持つチカラよ! 驚きなさい!」 「えー、ルイズもさっき気づいたばっかのクセにー」 すぱぁんっ! 快音が青空にこだました。 。。 ゚○゚ 前ページ次ページ確率世界のヴァリエール
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..-‐''" ̄ ̄ ̄'''' ー 、 ,...< 、 、`\ / ` i ヽ ヽ ヽ、 ./ { ハ ! ハ ハ ヽ ハ / i i i { ハ i ハ ハ、. | ! i i i l、 .ハ ト、 i }i .i i { .ハ.i i {、ゝ、 ハ /,人 } iリ l| i ハ l ムヾ`iー. ヾ ハ ;ィ=-,ハ jll j リ ./ | i ハ | .ム ,ィ灯沁,`ノ/ .ヒソ〃 ,'ク〃}、 / ノ i ム i ム ゞ斗 ′ 、`´彡´/ィ/ノ ヘ / / i y i ムu , 、 .// ./´ ヘ、 `ー-- 、 / / / } 丿 } ,ト ._ ¨ ,// 〃 / ヽ、\ ムハ / / l/ / _ノ`ー≧ ‐匕{ ( ハ/ ∧ } / / / _彡´彡三ミlムl工l ミハ ヽ;;_ } / / / // / / //ム‐^´, =ヾ''ミ{水}彡ミゝ、l /, 、. / ∩r 、 / /,' / ,-‐′ ////./ `,-ヤー、--、/.ハ l { .ヽ\ | l || { l.i/ / ノ/////./., { / { ヽ,Vi ヽ///∨ ハ . \\ノ !}| {_/ / ゝし ‐ X // .{ ..ヽ{. ヘ、 | ゝ、 ∨i }`ー ∨ r――へ. ヽ l' /―- .、 / ./ V ハ. ゙''ーく`キへ ヘl',__〉J}、 \  ̄ ̄} .ノ \ / / ,仆 、__,, 丿 } .ハ ''"`ー≧t ∨i、、 \ _{ ./‐ - 、_. 、 ヽ / / / | ///// / | , i .∨i、、 ノ了│ / \ } | ./ ,イ { / ! .//,/ / .| |. i .∨i、ー´ { ヽ__/ \ \ _ノ { { i |〃' i // / .', / .〃 i .i.∨i、 `ー彳ヘ ヽ ∧ j ∧ | ゝ,' / / Y ./ i | .i( ) ....‐´ ヽ i ヽ ヽ、 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━File.031 【ルイズ・F・ヴァリエール】 ━[データ] .━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<タイプ> エスパー <分類>まほうつかいポケモン<特性> シンクロ(状態異常になると、相手を同じ状態異常にする) マルチスケイル(HPが満タンのとき相手の攻撃を半減する)(進化前の特性)━[種族値] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<HP> ? <こうげき> ? <ぼうぎょ> ?<とくこう> ? <とくぼう> ? <すばやさ> ?(スバルが抜いたのでB以下) 【合計】 ?━[わざ] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・リフレクター ・アポート アポート /特殊/エスパー/威力70/命中100/一体/攻撃後、控えと交代する。━[ポケパワー] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・減衰障壁 … 攻撃の威力か威力上昇を減衰させる能力?(詳細不明) ・緊急テレポート … テレポートの威力を0にすることにより、好きなタイミングで使用することが出来る。(回数制限あり) ・瞬間同期 … 攻撃以外で受けたダメージを相手にも与える。(回数制限あり)━[解説] . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ルイズが進化した姿。特殊攻撃が使えないという弱点を克服している。努力するトレーナーのみがこの姿に進化させられると言われており、本人もとても努力家。それでいて性格は素直ではなく、プライドが高い。しかし仲良くなると良き友となってくれるだろう。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 弱点 2倍 むし・ゴースト・あく耐性 1/2 かくとう・エスパー
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前ページ次ページ確率世界のヴァリエール 「土下座」 土下座(どげざ)とは、土の上に直に坐り、平伏して座礼を行うこと。 日本の礼式のひとつで、極度に尊崇高貴な対象に恭儉の意を示したり、 深い謝罪、お願いの意を表す場合に行われる。 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 「土下座」の項より引用 http //ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%9C%9F%E4%B8%8B%E5%BA%A7 oldid=28443311 確率世界のヴァリエール - Cats in a Box - 第七話 「真に申し訳御座いませんでしたっ、姫殿下!! 気が動転していたとはいえ、姫殿下にあの様な無礼な物言いを! それに勝手に大使を名乗ったり勝手な振る舞いをしたり、、 どうか、どうかお許しください!!」 額を床にこすり付けるルイズにアンリエッタはうろたえる。 「や、やめて頂だいな、ルイズ。 あなたに感謝こそすれ、あなたが謝る事など何一つありませんわ!」 「そう、君は何も間違ったことはしてはいないよ」 窓からの声にルイズが顔を上げる。 「え? え? ワルド、、様?!」 「はっはっは、久しぶりだね、僕の可愛いルイズ」 「ええと、あの、ワルド? 、、、い、いつから、、そこに?」 アンリエッタが赤面しつつ尋ねるのへ、ワルドは黙ってそっぽを向いた。 絶望の涙に暮れるアンリエッタをキュルケが部屋の外へ引きずり出すと、 ワルドはルイズに朝食後に学院長室を訪れるよう告げて部屋を後にした。 しばしの仮眠から目覚めると、ルイズの猫耳は消えていた。 「やたっ!!」 喜びの声を上げて自分の頭をなでさする。 「ちぇー」 シュレディンガーが不満の声を上げるが気にしない。 朝食を取り、学院長室に向かう。 ============================== 「ちょ、部屋の前に行けって言ったでしょ! 何でいきなり中入っちゃうのよ!」 「えへへ、ついクセで」 「なるほど、どこにでも行ける能力、というのは本当のようだな」 二人の目の前には白髪頭の痩せこけた、しかし威厳のある男が立っていた。 「ほう、カリーヌ殿に面差しがよく似ておられる。 お初にお目にかかる、ミス・ヴァリエール」 「こ、こちらこそ初めまして、マザリーニ枢機卿」 トリステインの重臣へのいきなりの面会に緊張しながらも挨拶を返す。 「私をご存知か、それは光栄。 で、オールド・オスマン。 彼女のこの能力をどの程度の人間が存じているので?」 「そりゃこの学院におる者みんなじゃ」 「、、、はあぁ?! 何を考えている! 彼女のこの力が国防上 どれほどの意味を持つかも判らんほど老いぼれたかジジイ?!」 「おヌシこそ昨日何があったか忘れるほどボケたか? おヌシとて数十年前、おヌシに仕える定めとなった哀れな使い魔を この学院で衆人の眼前に晒したじゃろが」 使い魔のお披露目会に同席していなかったマザリーニはガリガリと頭をかく。 「だからといって馬鹿正直に晒す奴があるものか! ああ、もうよい、今からでも情報統制を、、」 「バッカじゃねえのおヌシ。 トリステイン内外の王族や大貴族の子息令嬢が集まっとるんじゃぞココ。 そんなもんできる訳がなかろうに。 そんなことより早う本題に入らんかい、鳥の骨め」 「むぐ! くそう、判ったわ! この老いぼれめ」 ため息をつき皆に向き直る。 ルイズもあらためて学院長室を見回す。 まだ不満げなマザリーニの横にはアンリエッタとワルド。 そして髭をなでニヤつくオスマンの横にはキュルケが居た。 「ちょ、何でアンタもいんのよ」 「あたしに聞かないでよ」 「中途半端に知るのが一番危険ですのでな。 ミス・ツェルプストーにもすべてを知って頂く」 マザリーニがジロリと二人をねめつける。 「では、本題に入る前に。 このマザリーニ、殿下にお詫びをせねばならぬ事が御座います。 承知のとおりアルビオンは内乱のただ中に御座います。 貴族派の阿呆どもは打倒王政、ハルケギニア統一を旗印に掲げており 内乱終わらばその矛先がわが国へ伸びるは必定。 しかしながら今現在はあくまで内乱、先手を打とうにも こちらから攻め入らば内政干渉を口実に他国がわが国へ侵攻、 野火の如くにその戦火はハルケギニアを覆いましょう。 しかるにこのマザリーニ、その他の手を講じておりました。 殿下にご尽力頂きましたゲルマニアとの同盟もその一つ。 そして今ひとつが、アルビオン貴族派への内偵に御座います」 「内偵、と言うと、スパイ?」 「で、御座いますな、殿下。 して、その内偵者の一人が、このワルド子爵に御座います」 「ええっ?!」 驚きの声を上げるアンリエッタへ、ワルドが深々と礼をする。 「職務の性質上止む無しとは言え、殿下に伏せていた事を このワルド、お詫び致します」 「い、いえ、良いんです。 それよりマザリーニ」 「は。 ではここからは子爵より説明を」 「かしこまりました」 受けたワルドが一歩前に進み出る。 「さて。 枢機卿も仰いました通り、打倒王政とハルケギニア統一が 彼らアルビオン貴族派の掲げる旗印です。 しかしそれはあくまで表向きのもの。 彼らの真の目的は始祖ブリミルの裔たる四王家に伝わる 『始祖の秘宝』、そして、聖地の奪還」 「『始祖の秘宝』? それに、聖地の奪還、、ですか?」 「その通り、ルイズ。 君が土くれのフーケから 取り返してくれた「コレ」を覚えているかい?」 ワルドが黒塗りのケースを中央のテーブルに置く。 「それって、、『破壊の杖』!」 「そう。 実はコレは私が彼らから秘密裏に盗み出したものだ。 この『破壊の杖』を初めとして、聖地の付近では 現在の技術では作り得ぬ様な様々な武器や道具が見つかっている。 ロマリアでは『場違いな工芸品』と呼ばれているそうだが。 彼らによれば聖地には別の世界への門があり、これらの品は そこからの『漂流物(ドリフターズ)』だと言う」 ワルドがケースを開け、禍々しい空気をまとう黒い銃を取り出す。 「その異界への門を開くための鍵、それこそが『始祖の秘宝』。 我らの世界では成し得ぬ技術、持ち得ぬ武力。 それを手にする事が出来れば、ハルケギニア大陸全土、、 いや、全世界を手にする事も夢ではない、、、」 「それが、、、」 アンリエッタが息を呑む。 「そうです、殿下。 アルビオン貴族派の陰に潜み、 この世界の覇を狙う狂気の集団。 『レコン・キスタ』 それこそが、我らの真の敵の名です」 「なんとまあ。 おっとろしい事もあったもんじゃ。 しかし、その銃が異界からの漂流物ということは」 「そーよ学院長、その銃ってシュレちゃんの故郷のなんでしょ? ってことはー、聖地と繋がってるその異界って」 部屋の皆がいっせいにシュレディンガーを見る。 「何よシュレ! あんた東方から来たんじゃなかったの?!」 「あっれぇー? ルイズには言ってなかったっけ?」 「聞いて無いわよ!!」 「ちょ、ちょっと待ち給えミス・ヴァリエール! 使い魔の、シュレディンガー君と言ったかな。 君が、その異界から来たというのは本当かね?」 マザリーニが驚いた顔で詰め寄る。 「ええ。まあ」 「これはまた、なんという」 天を仰ぎ、ため息をつく。 「で、わしらの敵の何たるかは判ったがの、 それをどうするつもりじゃ、マザリーニ」 「異界への感慨にふける間も無しか。 ロマンのかけらもないジジイめ」 現実に戻され、悪態をつく。 「まずはミス・ヴァリエール。 今後は今日の様な軽挙妄動はお控え願う」 「そんな、マザリーニ! ルイズはウェールズのためを思い命を懸けて!」 「左様で御座いましょう。 が、殿下。 それでは国を危くいたします。 ワルド子爵。 これより王宮に戻り、不安定になった国境警備の為の 巡回および不明勢力への攻撃権限を持つ部隊を設立する。 が、それはタテマエだ。 予算の8割は『ゼロ機関』の創設資金とする。 上はわしだけ。 人選は任せる、階級なしの実力主義だ。 これを対レコン・キスタの工作部隊とする」 「はっ!」 「ミス・ヴァリエール、勿論貴女にも参加してもらう。 今後はアルビオンの為、ウェールズ皇太子の為では無い、 トリステインの為、姫殿下の為に命を懸けて頂く。 宜しいか?」 「は、はいっ!!」 奮い立ち、返事を返す。 「結構。 オールド・オスマン、彼女の身辺の情報管理は任せるぞ」 「おヌシに言われずとも生徒の身を安んじるはワシの務めじゃ」 「それと、ミス・ツェルプストー」 「判っておりますわ、枢機卿。 聞いてみれば対岸の火事とも行かぬ様子、 それに乗りかかった船ですわ。 出来うる限りの協力はさせて頂きます」 「有難い」 「しかしワシは心配じゃのう。 シュレ坊よ、この鳥の骨に変な事をされそうになったら キチンとこの爺に言うんじゃぞ?」 オスマンがシュレディンガーの頭をなでる。 ( (お前が言うな!!) ) ルイズとキュルケは笑顔のまま心の中で突っ込んだ。 「で、何から始めるつもりじゃ? マザリーニ」 「そう急くな、爺。 もう仕込みは済んでおるわ。 子爵、首尾は?」 ワルドに向き直る。 「は。 枢機卿の命どおり、チェルノボーグ監獄にいた 土くれのフーケを脱獄させ、レコン・キスタへと 渡りを付けておきました」 「ええっ! フーケを?!」 驚くルイズをよそにオスマンがニヤリと口を歪ませる。 「成る程の。 内乱のままではこちらから手出しは出来ん。 しかし、トリステインに恨みを持つ者が あちらから仕掛けてくれば話は別、か。 しかも内乱の只中であれば、挟撃も出来ようて。 火の無いところに火薬を仕込む。 おヌシ、学生時代から変わらず陰険じゃのう」 「ぬかせ、人聞きの悪い。 火なら轟々と燃えておるわ。 ワシはただ火中に栗を投げ入れたに過ぎん」 クックック。 と、二人が悪役然とした顔で笑い合う。 ルイズが思わず考え込む。 (フツーの大人はこの組織に居ないのかしら) いません。 マザリーニが懐を探る。 「そうそう、ミス・ヴァリエール。 これが君への初任務だ、『エージェント・ゼロ』。 この手紙をアルビオンへ届けてくれ給え」 トリステイン王家の花押の入った封筒を差し出す。 「皇太子は君に「王家の務めを果たす」と言ったそうだね。 ならば、果たして貰おうではないか。 例え卑怯者の汚名を着る事になろうともな」 「マザリーニ? それはどういう、、」 「つまりはですな、殿下。 王族に死に際を選ぶ権利なぞ無い、と言う事で御座いますよ。 アンリエッタ殿下も肝に銘じて置かれるが宜しい。 泥をすすり、石に噛り付いてでも生き延びる。 それこそが「王家の務め」で御座います」 。。 ゚○゚ 「はあ、とんでもない事になっちゃったわねー」 その日の晩、ルイズは自室の窓から星空を見上げていた。 マザリーニからの手紙を一読した後の、ウェールズの表情を思いだす。 ほんの一瞬だけ垣間見せた、絶望と憎悪の入り混じった表情。 あれは、何へ、誰へ向けてのものなのか。 「死」という約束を自分から奪った、私へのものなのだろうか。 判らない。 ただ、一生忘れることは出来ないだろう。 その後、皇太子はいつもの凛々とした表情に戻り、 トリステインとの同盟と、地下への潜伏を確約した。 ルイズの中に、逝くあての無い罪悪感だけが残った。 「判って無いなあー、ルイズってば。 君が世界を「とんでもない事にした」んだよ」 ルイズの横でシュレディンガーが二つの月を見上げる。 罪悪感と言えば。 「ねえ、シュレディンガー」 仕方が無いとはいえ、この使い魔も自分が無理やりに喚び寄せたのだ。 月が一つしかないという、聖地の向こうにある『異世界』から。 「あんた、もしかしてさ。 自分の世界に、、戻りたい?」 「ん~? 今は別に。 なあに? ルイズ。 僕の世界へ行ってみたいの?」 「へ?」 「よーし! じゃあ、案内しちゃお!!」 突然のキスに、世界が揺れた。 ============================== 「へー、こっちはお昼なんだ」 眩しい光に目が眩む。 ごう、と風が髪を巻き上げる。 天を突かんばかりに立ち並ぶ、キラキラと陽光を反射する幾百の銀の塔。 地平へと続く巨人の塔の連なりの、そのあまりに広大な景色に距離感を失う。 ルイズ達はその中でもひときわ高い塔の頂上付近にいる様だった。 おそるおそる、数百メイル下の地上を見下ろす。 シュレディンガーが手を広げ笑う。 「ハルケギニアのお姫様、ニューヨークへようこそ!」 「ななななにこれ何これ何コレ!!」 上から見下ろしたときに見えていた無数の点は、やはり人間だった。 興奮と驚愕を隠そうともせずに、ごった返す人ごみの中を歩く。 先ほどまで自分達がいた塔を見上げる。 あまりの高さに脳の芯が冷えていく様だ。 「シュレ、これって?!」 「これはエンパイア・ステート・ビル。 この街のランドーマークだよ」 見上げた視界を翼の生えた白い何かが轟音と共に横切る。 「あれは?! シュレ!」 「あれは飛行機。 ボーイングかな?」 「あれは?! あれは?!」 「あれは車。 わお、カマロだ!」 「人が写ってるあれは?! おっきい!」 「あれはモニター。 あは、ミコラス・ケイジ!」 見えるもの全てをシュレディンガーに尋ねつつ、 顔を輝かせ手を繋いで通りを走る。 「すごい、すごい、すごい!!」 「ねえ、シュレ! あの人が履いてるのって?!」 作業服の様な生地だが、刺繍が入ったその青色のズボンは スリムでいかにも格好良さげだ。 スカートの女性もいるが、道を行く若い女性の結構な数が 腰周りの素肌も露わなその服を身に着けている。 「あれはジーンズ。 へえ、ローライズがまた流行ってるんだ」 シュレディンガーがルイズを覗き込む。 「ルイズも着る?」 照れながらこくこくとうなずく。 「えへへー」 ちらりとのぞくおへそに少しはにかみながらも、 白色のギャザーの着いたタンクトップにローライズジーンズ、 黒のリボン付きローヒールで街を歩く。 「やだ、おいし」 マスタードの利いた肉汁たっぷりのホットドックを シュレディンガーと半分こしながら、それをペプシで流し込む。 「あ、あれ!」 シュレディンガーが指差す先には巨大な絵が飾られてある。 「007だ! わ、新作やってるんだ!」 「ダブルオーセブン? 何それ」 「映画だよ! ええと、観れば判るよ!!」 シュレディンガーに手を引かれ、絵の下にある入り口から 少し薄暗い建物の中に入る。 数十分後、ルイズはダニエル・クレイグを応援する声と共に 手に持ったキャラメルポップコーンを握り潰していた。 映画が終わって通路に出てくるなりルイズが叫ぶ。 「すすすすごいわすごいわコレってナニ?! 他にもあるの? 他にもやってる! 他にも観たい!!」 数十分後、ルイズはキャメロン・ディアスを襲う悲劇に 手に持ったジンジャーエールと共に悲嘆の涙を床にこぼした。 「偉いわ、、偉いわ、彼女はよくやったわ、、 努力は報われるべきなのよ!」 涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら ルイズはえぐえぐとハッピーエンドに感涙する。 「他は?他は? まだ観たい~!!」 「もう、また今度!」 未練がましくシュレディンガーに引きずられ、表通りに出る。 衝撃で揺さぶられた脳が、地面をたわんで見せる。 「わ、もうこんな時間?」 外灯に照らされた街の上には、夕映えの空が広がっている。 「うわー、、! 綺麗、、、」 ルイズは視界を埋め尽くすイルミネーションを見上げる。 「夜景もいいけどー、これもまた今度ね」 そう言いつつキスをした。 ============================== きりりと冷えた空気がルイズを包む。 「ここは? って、うわっ!!」 大きな車輪のついた針金細工にまたがった人々が 二人の周りを猛スピードで通り抜ける。 「これが北京名物の自転車通勤ラッシュだよ! さ、中華中華~♪」 屋台の小えびのたっぷり入った朝がゆと北京ダック風のチキンに 舌つづみを打ち、小籠包で二人そろって口の裏を火傷した。 ============================== その後二人は万里の長城に感嘆し、 タイガーバウムガーデンで驚嘆し、 ディズニーランドの夜景を堪能し、 エアーズロックからの夕景に涙し、 エベレストの頂で鼻風邪を引いた。 ============================== 「ひぐしゅ!! そりゃ確かにもっと見晴らしのいい所って言ったけど、 ものには限度ってもんがあるでしょ!」 「だから今度はあったかい所に来たでしょー? もう」 「ふわー、今度もまたずいぶんと賑やかな所ねえ。 ここは何ていうの? 何か北京に似てるけど」 「ここはトーキョー! さあ、おスシ!」 スシローできゃあきゃあと20貫を平らげ、外に出ても トビッコとえんがわの美味しさについて熱く語るルイズの目に 先ほどスクリーンごしに応援した映画俳優が飛び込んだ。 「ボンド! ほらシュレ、ボンドがいる!」 「ふえー、ポータブルDVDプレイヤーかあ。 すごい時代だなあ。 ほら、ルイズ。 このDVDっての一枚に映画が一本入っててー、 画面はちっちゃいけど、これでどこでも映画を観れるの。 へー、新作の封切りにあわせて昔のやってんだー」 「シュシュシュシュレ、あの、あれって?」 「ああ、あの奥の棚の? うん、全部DVDだね」 あまりの感動にぐらりと傾き、体勢を立て直してから もじもじとシュレディンガーを観る。 「シュレ、あのね、、あのね、、」 「欲しいの?」 真剣にこくこくとうなずく。 入り口のカゴを引っつかみ歓声を上げて店の奥へ突撃した ルイズを目で追うと、シュレディンガーは感慨深げに街を見上げる。 (懐かしいな、、少佐と来たのも、もうずいぶんと昔なんだろうな) ルイズと出会ってから忘れかけていた、甘い感傷にしばし浸る。 彼の趣味に付き合ってよくこの街へ来た。 この国の言葉もカタコトながらその時に覚えた。 彼が世界の全てを滅ぼしたとしても、なぜかこの街だけは残っている、 そんな気がする不思議な街だった。 「うわ、ラスト・バタリオンじゃん!」 後ろから急にかけられたその言葉に、思わず身をちぢこませる。 振り返ると、二人の若者が携帯電話を自分に向けている。 「ナアニ?」 おそるおそる尋ねる。 「スッゲ、ネコミミ! 動いてるしw あー、ガイジンさん? キャンニュースピーチジャパニーズ?」 「うわー、クオリティー高けーw えーと、写メオーケー? それってアレでしょ? ラスト・バタリオンのコスでしょ?」 若者が指し示したその先には、赤と黒の飛行船を挟んでにらみ合う 英国空軍のフライトジャケットを羽織り髭を蓄えたトム・クルーズと 頭をツーブロックに剃り上げナチス士官服を着たキアヌ・リーブスの姿があった。 「ぶふうっ?!」 思わず吹きだす。 「おー! もうやるんだ、ラスト・バタリオン。 そーいや人権団体がどーたらってどうなったん?」 「何かドキュメント風やめてバリバリフィクションらしーよ。 ナチス側は凶悪な改造人間勢ぞろいでー、 イギリス側は吸血鬼だの狼男だの古い怪物が味方してんの」 「ナチスの科学力は世界一ィ!! ってやつ?w」 「それそれw んで、興行収入も半分くらいロンドン復興資金にすんだって」 「うはw、さすがジョークの国イギリス」 「でもさー、このトム・クルーズのペンウッド卿さー、 本人つべで観たけどスゲーデブだったよw」 「みたみたw 美化しすぎだろハリウッドw」 写メを撮り終えた若者二人と別れ、もう一度映画のポスターをみる。 自分の力なぞはるかに及ばない、この世界の持つ「どうでも良さ」を 思い知らされ、知らずにやけ笑いがほおに浮かぶ。 「おまたせー! って何よ、にやけちゃって。 知り合いにでも合った?」 「あはは、知り合いっていえば知り合いかな?」 ふてぶてしくトム・クルーズを見下ろすキアヌ・リーブスに目をやる。 「ふふ、やっぱり別人だったみたい。 っていうかルイズ、何その山! そんなに買うの?!」 「えー、いーじゃない! てゆうか、向こうは何時くらいなんだろ?」 「もう朝方じゃない?」 「うぇ?! うそっ! 帰るわよ、シュレ!」 空を見上げ、大きく息を吸い込み、自分の主人を振り返る。 繋いだ手に力を込め、にっこりと微笑む。 「うん! 帰ろ、ルイズ。 『僕たちの世界』に」 。。 ゚○゚ 前ページ次ページ確率世界のヴァリエール