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+ロマーニャ公国 ロマーニャ公国ロマーニャ空軍 ロマーニャ海軍 ロマーニャ公国 イメージモデル イタリア王国/イタリア社会共和国 ロマーニャ空軍 イメージモデル イタリア王国空軍/共戦国空軍/共和国国民空軍(ANR) ロマーニャ海軍 イメージモデル イタリア王国海軍
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ストライクウィッチーズ世界のウィッチ一覧を作ろう! 修正、追記、変更などの編集はお気軽に。 記述の体裁など細かいことは気が向いた人がやってくれるでしょう。 2010年9月19日にページの分割について提案されました。編集人の方はご意見をお願いします。 注意:各ウィッチの英字表記・誕生日はイメージモデル等からの推測も含まれます。 + ロマーニャ公国 ロマーニャ公国ロマーニャ空軍ジョヴァンナ・ボネ シルヴィ・カリエッロ ジュゼッピーナ・チュインニ マルチナ・クレスピ フェデリカ・N・ドッリオ ユーナ・ドラーゴ フランチェスカ・ルッキーニ フェルナンディア・マルヴェッツィ テレーザ・マルティノーリ ルチアナ・マッツェイ カルラ・ルースポリ アウローラ・サンソン エンリーカ・タラントラ ルイーサ・トルキオ アドリアーナ・ヴィスコンティ ロマーニャ海軍デ・ラ・ペンネ ロマーニャ公国 イメージモデル イタリア王国/イタリア社会共和国 ロマーニャ空軍 イメージモデル イタリア王国空軍/共戦国空軍/共和国国民空軍(ANR) ジョヴァンナ・ボネ GIOVANNA BONET 所属ロマーニャ空軍モンテフスコ・ボネ補助飛行隊ロマーニャ防衛に当たっていたリベリオン325戦闘航空群の支援任務のための部隊。 名目上は支援だが実際は派遣に等しく、共に防衛を行なっていた。 階級 大尉 誕生日 7月24日 使用機材ファロット G55(MM91065号機) ファロット G55S(MM91147号機) イメージモデル ジョヴァンニ・ボネ (1914-1944)撃墜数 8 その他イタリアと連合国の休戦後にANRのモンテフスコ補助飛行隊に参加。 1944年3月29日にフィアットG.55でB-17を1機落とした後にアメリカ第325戦闘航空群のエース、ハーシェル・グリーンに撃墜されて戦死。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第三集/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第三集 シルヴィ・カリエッロ SILVIE CARIELLO 所属 ロマーニャ公国空軍 第56派遣航空団1944年3月当時、ブリタニア、エセックス州ハリッジ駐留。 階級 軍曹 身長 162cm 年齢 15歳(時期不明) 誕生日 10月11日 愛称 「シルヴィ」 使い魔 羊の「ペコラスチャン」 固有魔法 不明 使用機材 ノースリベリオン AT-6 テキサン明 担当 ボーカル・衣装担当 パーソナルカラー オレンジ その他ロマーニャ生まれロマーニャ育ち。 ファッションにこだわりがあり隊内でも衣装担当。ただし裁縫経験などはなく、しょっちゅう指を傷つけている。 努力家で訓練時での成績は良好。にもかかわらず音楽隊への転属となってしまう。お嬢様言葉を覗かせて慌てて言い直すといった様子がある。 本名はシルヴァーナ・アデライーデ・ディ・カリニャーノ。ロマーニャ公族カリニャーノ公爵家の一人娘。 ロマーニャ公演以降、ジョーから贈られた白いリボンで髪をポニーテールにしている。 声優琴坂みう(~2021/09) 吉北梨乃(2021/12~) イメージモデル 不明名前から一致するイタリア人歌手は見当たらない。誕生日が一致するイタリア人歌手シルヴィーナ・フィオレージの可能性が指摘されている。 その他普段着はドイツ軍のヴィントブルーゼと思われる。 出典 TVアニメ(2022年)/『ルミナスウィッチーズ』公式HPなど ジュゼッピーナ・チュインニ GIUSEPPINA CENNI 所属カールスラント空軍第4航空群第2大隊(『スオムスいらん子中隊』、カールスラント国境防衛戦において) ロマーニャ空軍第97急降下爆撃航空群第239飛行隊 階級曹長(1937年) 准尉(1939年)准尉さんってのは、現場叩き上げの腕っこきです by エルマ 身長 156cm 年齢 14歳(1937年)16歳(1939年) 誕生日 2月27日 使い魔 山猫 使用機材ファロット G50 使用武器12.7mmSAFAT機関銃 その他ロマーニャ空軍出身だが、カールスラント空軍第4航空群第2大隊に編入され(『スオムスいらん子中隊』での設定)国境防衛戦闘に参加。 ヒスパニア戦役で実戦経験を積んでおり、既にエースとして高い空戦技術を持っていた。 急降下爆撃隊を率い、地中海方面からカールスラント国境までを転戦。 ロマーニャ国内で「チュインニ方式」と呼ばれる、低空を水平飛行して目標の手前の水面に遅延信管を付けた爆弾を投下、水切りのように爆弾を移動させる反跳爆撃(スキップボミング)を実戦で初使用。部隊は「ワルツを踊る少女たち」の異名で知られた。 この戦法で沿岸部の要塞型ネウロイの破壊にも成功している。 ネウロイ勢力圏内で戦闘行動中行方不明の認定を受け、一時は生存が絶望視される。徒歩による自力帰還を果たすが、記憶を喪失しており、同時に華麗な空戦機動のテクニックも失っていた。 リハビリを兼ねてスオムス義勇独立飛行中隊に配属された。 + 作中の発言より パスタ准尉 by ハルカ この子はガチだ by 智子 マンマミーヤ! by ジュゼッピーナ そこのパスタ食い! by ハルカ わたしこれでも、ロマーニャ娘よ? by ジュゼッピーナ 実に陽気なロマーニャ娘。 りんごより、トモコ中尉が剥きたいなぁ…… by ジュゼッピーナ 声優 齋藤小浪 イメージモデル ジューゼッペイ・チェンニ (1915-1943)所属 イタリア王立空軍(Regia Aeronautica) 通称 「ワルツを踊る小人」この場合の「小人」は少年の意。 彼が第5飛行連隊第102大隊第239中隊の急降下爆撃開始の無線の合図に使った言葉が「Valzer ragazzi!(英訳すると「Waltz boys!」。「ワルツを踊れ坊やたち!」くらいの意と思われる)」だった。 撃墜数 8すべてスペイン内戦における戦果。 急降下爆撃の名パイロットで急降下爆撃隊の名指揮官として有名。ユンカース Ju87 スツーカやレジアーネ Re.2002に搭乗。 少数ながらも精鋭のイタリア急降下爆撃隊を率いてギリシャ・イタリア戦争や地中海の戦いにおける対地攻撃や対艦船攻撃で戦果をあげた。 跳飛爆撃(スキップ・ボミング)を最初に実戦で採用。「チェンニ方式」として知られる。 第二次世界大戦の前のスペイン内戦では戦闘機のパイロットとしてフィアット CR.32に搭乗。 急降下爆撃のパイロットになる前の第51飛行連隊第354中隊に所属時はフィアット G.50にも搭乗。 キャラクターデザイン作品中の役割から、ミステリアスな雰囲気に。出身地由来の健康的な褐色肌も、極力見せないように抑えた色調に統一しました。 by 島田フミカネ 出典 『スオムスいらん子中隊』/『スオムスいらん子中隊ReBOOT!』/世界の航空歩兵シリーズ/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第三集/WORLD WITCHES 2018 マルチナ・クレスピ MARTINA CRESPI 所属ロマーニャ空軍第4航空団第9航空群第97飛行隊 赤ズボン隊〝パンタローニ・ロッシ〟書類上はその他三軍から独立した指揮権があるロマーニャ公室直属精鋭部隊。 階級 曹長(第504統合戦闘航空団所属時) 身長 153cm 年齢 16歳(1944年末) 誕生日 9月2日 愛称 「ティナ」 使い魔 ボロニーズ 使用機材ファロット G55チェンタウロ ファロット G55Sストレーガ 使用武器MG42 その他ロマーニャ南部の名家出身。礼儀作法やマナーの勉強、おしとやかにする事を押しつけられる事に反発し、軍に入る。父親からは士官学校に行くよう指示されたが、それにも反発しあえて一般入隊した。 明るく社交的な性格だが、細かい事が大嫌いな面倒臭がり屋で、気楽でのんきに好きな事だけをしていたいという道楽家。一人称は「僕」。名家のレディとしては行動的に過ぎる少年のような性格が両親を悩ませている。 ロマーニャ良家子女の基礎教養としてクラシックバレエを修めており、抜群の運動神経を持つ。個人的な興味としてモダン・バレエも学び、美しい体の動かし方や優雅なステップ、綺麗なジャンプや回転も身に付けた。 本人としてはバレエよりもサッカーに興味があるようで、バレエのステップを活かした華麗なボールさばきを披露した時には、相手チームが驚いて動きを止め、その間にゴールを決めたという話も伝わっている。 元々体が柔らかい上、バレエやサッカーで身に付けた独特の身体操作感覚によって、ウィッチとなってからも独特の空中機動が見受けられる。 戦闘時には遊撃ポジションの為、前衛で突撃し、超近接格闘戦を好む。その接近と回避の技術は通常では考えられないようなアクロバティックなもので、周囲の人間が誰も真似できないような動きであるという。 ネウロイのコアを蹴って破壊するという珍しい戦果も記録している。 反面、目の前の敵にこだわりすぎる等の戦略眼に欠ける部分も見受けられる。 小回りの利く扶桑の零式艦上戦闘脚に興味があり、一度使用してみたいと思っている。(秘め声CD弐 4) 原隊である第4航空団第9航空群第97飛行隊から当時の隊長であるマルヴェッツィ中尉、同僚のマッツェイ少尉と共に「赤ズボン隊」へ異動、その後第504統合戦闘航空団に3人揃って転属した。マルヴェッツィ中尉とはケンカ友達のような関係で、マッツェイ少尉に懐いている。 父からは軍を辞めたら家に戻れと言われているが、将来は何かスポーツを本格的にやってみたいと思っている。(秘め声CD弐 4) 料理は無理で、食べるのが専門。(秘め声CD弐 4) 声優 水橋かおり イメージモデル クレスピ軍曹フェルナンド・マルヴェッツィの部下。 その他1941年1月10日に、イギリス海軍タウン級軽巡洋艦サウサンプトンを攻撃したマルヴェッツィの僚機を務めていた。 出典 next world witches/TVアニメ(2010年)/いやす・なおす・ぷにぷにする/秘め声CD弐 4/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第五集 フェデリカ・N・ドッリオ FEDERICA N DOGLIO 所属ロマーニャ空軍第51航空団第20航空群第151飛行隊長 赤ズボン隊〝パンタローニ・ロッシ〟(1942年)書類上はその他三軍から独立した指揮権があるロマーニャ公室直属精鋭部隊。 階級中尉(1942年) 少佐(1944年) 身長 166cm 年齢18歳(第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集による) 19歳(1944年末)(next world witchesによる) 誕生日 4月24日 使い魔 イタリアン・グレーハウンド 使用機材ファロット G55Sストレーガ 使用武器MG151 MG30 その他当初からウィッチに関わる仕事に就く事を希望していたが、学生時代には魔法力が発現していなかった。 機械好きで技術者を志望し、ストライカーユニット技術者を目指し軍でストライカー等の研究に従事していたが、後に魔法力が発現し、試験的に受けた飛行訓練で高い空戦ウィッチとしての適正が判明。技術学校から士官学校に入校し直し、航空ウィッチへの道を進んだ。 技術職へのこだわりから、正規教育を受けて少尉に任命された後、戦闘部隊には入隊せず民間メーカーのテストパイロットとなった。テストパイロット時代には新型ユニットの開発と従来型ユニットの改良に努め、試作・実験機での速度記録達成、水上型ユニット部門の高度記録樹立等の優秀な実績でロマーニャ空軍用ユニットの発展に大きく貢献。 ネウロイ侵攻が本格化すると軍に復帰し戦果を重ね、第151飛行隊長を経て、精鋭部隊「赤ズボン隊」に抜擢される。タラントラ准尉を僚機として着実に撃墜機数を伸ばし、一時期はロマーニャのトップエースとなっている。 その戦果は大々的に報道され、また明るくサービス精神旺盛な性格から国民に絶大な人気を博した。 マルタ島防衛戦で撃墜され重傷を負い、安静を宣言され、実質的な現役引退状態となった。 第504統合戦闘航空団が設立された際に司令として現役復帰。長年の実戦ブランクに加え年齢的に魔力の減衰期である事から、前線での戦闘任務には就いていない。 部隊指揮は戦闘隊長の竹井大尉に一任し、自らは上層部との折衝や組織の維持運営と管理に専念している。 技術者ではあるが、堅実な理論よりは一瞬の閃きを重視する。戦いの際は天才肌の動きを見せる。 組織運営においても同様の傾向で、組織の下支えや基礎作りに関しては書類仕事含め有能だが、その上で遊び心も必要という方針。赤ズボン隊在籍時、前線への戦意高揚等の目的でウィッチの「せくしーカレンダー」を企画。「高揚し過ぎちゃうから危ない」という理由でロマーニャ公からやんわりと止められた。これに対し一部の過激派青年将校の間でクーデターが計画されたという噂がある。 カレンダーの代案に赤ズボン隊グッズを企画、販売している。第501統合戦闘航空団の宮藤軍曹がローマ市街へ買出しに出た際、赤ズボン隊旗をイメージした枕を購入した。(二期5話) 赤ズボン隊の後輩であるフェルナンディア中尉に目をかけ可愛がっているが、まだ統合戦闘航空団の指揮を任せるには経験不足だとも感じており、竹井大尉による育成に期待している。 イメージモデル フリオ・ニクロ・ドッリオ (1908-1942)撃墜数 7 その他22歳で航空技師になると民間操縦士の免許を所得し、CNAでテストパイロット兼地元飛行学校の教官を、そして移籍してブレダで主席テストパイロットを務め、両社において飛行に関する世界記録達成のための記録飛行を実施し、いくつかの世界記録を達成した。CNAに勤めている間にイタリア王立空軍で国民兵役を終え、飛行少尉となったが任官はしなかった。 1932年にCNAにおいて水上旅行機部門の世界高度記録を、1938年にブレダにおいてブレダBa.88の試作機で距離100kmと1000kmの世界速度記録を樹立。 イタリアの第二次世界大戦参戦に伴い、自ら志願してイタリア王立空軍に大尉として現役復帰し第51航空団第20航空群第353飛行隊に配属、次いで第151飛行隊長に任命され北アフリカ、シチリア島等で戦果を挙げた。第151飛行隊においてエンニオ・タラントラは彼の僚機を務めた。 1942年7月27日、マルタ航空戦においてジョージ・F・バーリングに撃墜される。空中爆発で遺体は確認されず。 出典 第五〇一統合戦闘航空団要略増補記録集/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第一集/next world witches/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第六集 ユーナ・ドラーゴ UNA DRAGO 所属 ロマーニャ空軍第150航空群第363飛行隊長 階級 大尉 誕生日 3月3日 使用機材ファロット G55(MM91077号機) メッサーシャルフ Bf109G-2 その他大戦初期はバルカン半島で、その後は北アフリカやシチリア島で船団護衛任務を行なった。 イメージモデル ウーゴ・ドラーゴ (1915-2007)撃墜数 17 その他ローマ体育大学で学位を得、教職の後空軍に志願。 1939年に操縦資格を取得し、仮少尉としてCR.42装備の第150航空群第363飛行隊に配属されると、1942年6月には指揮官となり休戦までこの航空群に留まる。 ギリシャ軍との戦闘で初戦果を挙げるが、後に船団護衛と戦術支援任務のため北アフリカに配置変更、その後シチリアに移動し、イタリア王軍空軍部隊として初めてBf109Gに機種転換。 イタリア王国の降伏後は共和国側に移り第II戦闘航空団に参加。第1(後に第4と改称)飛行隊長となりG.55・Bf109Gで個人撃墜11機を挙げ大尉に進級。ヨーロッパ戦終結時にはマーリオ・ベッラガンビ大尉と並びANR(イタリア社会共和国国民空軍)最多撃墜エースとなった。 戦後はアルゼンチンに移住し飛行教官の職を得る。1953年帰国、アリタリア航空に入社し機長となった。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第三集 フランチェスカ・ルッキーニ FRANCESCA LUCCHINI 所属 第4航空団第10航空群第90飛行隊 階級 少尉 (Sottotenente) 身長 148cm 年齢12歳(一期) 13歳(二期1話以前に誕生日を迎えている) 誕生日 12月24日 使い魔 黒豹の 「オンブラ」イタリア語でオンブラと発音する単語"ombra"は「日陰」を意味する パーソナルマーク 樹の上で寝ている黒豹 通称 「ガッティーノ」(子猫)テイクオフ時のコールサインでは「ネロ・ガッティーノ」 愛称 「フランカ」テレビシリーズでは「ルッキーニ」としか呼ばれた事がない。 劇場版OVAにて母親からフランカと呼ばれている。 使用機材ファロット G55チェンタウロ(84-1号機)(一期) ファロット G.55Sストレーガ(84-1号機)(二期) 使用武器ブローニングM1919A6 (Brownig M1919A6) ブレダ-SAFAT 12.7mm (Breda-SAFAT machine gun 12.7mm) ベレッタM1938A (Beretta M1938) 固有魔法 『光熱攻撃/多重シールド』攻撃系に分類される。魔法力を熱として放出する。 自らを守るシールドを幾重にも張り巡らせ、その頂点が光熱を持つ魔法なので、対象と接触しないと効果を発揮できない。 威力は大きく、ネウロイの表面装甲程度なら簡単に貫通する。 その他ロマーニャ公国首都ローマ出身で、10歳にして強大なウィッチの力を認められウィッチ隊にスカウトされる。 少尉候補生としてトスカーナのグロッセート基地で訓練を受け、その後地中海方面に派遣された。その際に宿舎に迷い込んできた子猫を可愛がっていたが、実は黒ヒョウの子供であり、後の使い魔となる。 魔法力は極めて高く、敢闘精神旺盛で射撃能力も名人級と、優秀なウィッチの素質を秘めている。が、猪突猛進が過ぎるきらいがあり、体当たりでのストライカーユニット破壊や強引な突撃での被弾を度々繰り返し、部隊の問題児となっていた。また、母親を恋しがって部隊から抜け出すこともしばしばで、ロマーニャ空軍からも持て余されかけていた。 そのような折、第501統合戦闘航空団からロマーニャへの増員要請があり、これ幸いとブリタニアに送り込まれる。やはり配属当初は問題行動が多かったが、同隊のイェーガー大尉(当時中尉)が面倒を見るようになってからは落ち着き、本来の能力を発揮するようになる。 暇さえあれば愛用の毛布を敷いて昼寝ばかりしており、特に樹上や梁といった高いところで寝るのが好み。基地のあちこちに隠れ家を作っており、あまり部屋は使用していない。これはヴィルケ中佐が「工作活動・破壊活動さえしなければ自由に使って構わない」と許可を出した為。(秘め声CD 3) 部屋自体には半年に1回しか戻っていない(秘め録 上巻) 魔力のおかげなのか常人離れした身体能力を見せており、高いところから宙返りで飛び降りたり、空中で二段蹴りをするなどはお手のものである。(二期4話、5話) 訓練嫌いで協調性も皆無だが、楽しそうな事には積極的に首を突っ込む。またイェーガー大尉とは息のあった掛け合いを披露する事が多い。 料理の腕は壊滅的。専ら食べる専門で、湯沸しと缶詰を開ける以外に特筆すべき点はない。(秘め声CD 3) リベリオン軍のレーションに飽きたため、パスタを茹でる程度の事はできるようになった。 ボロボロになった母親の写真を常に持ち歩いている。写真に写された母親は豊満を通り越して肥満である。(秘め歌コレクション 5) 重度のおっぱい星人であり、無邪気ながら積極的に触ろうとする。特にイェーガー大尉のそれを高く評価している。その機動は時に世界最高のウィッチの一人であるマルセイユ大尉ですら凌駕する。(二期10話) ガリア解放による第501統合戦闘航空団一時解散後はイェーガー大尉と共にアフリカ戦線に赴いており、第31統合戦闘飛行隊のマルセイユ大尉と面識がある。(キミにつながる空)ヴェネツィア陥落の報を受けて無断で戦線離脱し、第501統合戦闘航空団に合流する。(二期1話、2話) ローマ市内で偶然遭遇し市内を案内した事から、ロマーニャ公国第一公女マリアと交友がある。(二期5話) 声優 斎藤千和 イメージモデル フランコ・ルッキーニ (1917-1943)所属 イタリア王立空軍(レジーナ・アエロナウティカ) 撃墜数 22スペイン内戦における1機を含む。 第二次世界大戦における撃墜数ではイタリア第二位。 その他アムレート・モンテルミーチ(撃墜数5。たびたびルッキーニの僚機を務めた)は「彼はいつでも戦う心構えが出来ていて、あらゆる機会をとらえ、勇敢に敵を捜し求めていた。多くの戦闘機操縦士と同様、すばらしく目がよく、敵を見つけて、その攻撃に先手を打つことができた。地上では生真面目かつ内気で、ときには臆病なほどだったが、空に上がると恐るべき攻撃的な戦士に変身した」とルッキーニについて語っている。 出典 TVアニメ(2008年) など多数 フェルナンディア・マルヴェッツィ FERNANDIA MALVEZZI 所属ロマーニャ空軍第4航空団第9航空群第97飛行隊 赤ズボン隊〝パンタローニ・ロッシ〟書類上はその他三軍から独立した指揮権があるロマーニャ公室直属精鋭部隊。 階級 中尉佐官になったら事務仕事ばかりになるので、気楽なこの階級は気に入っている。(秘め声CD弐 2) 身長 161cm 年齢 17歳(1944年末) 誕生日 10月22日 愛称 「フェル」 通称 「三変人」 使い魔 マーモット 魔法技術 軽度の治癒魔法 使用機材ファロット G55チェンタウロ ファロット G55Sストレーガ(97-1号機) 使用武器MG42 (Maschinengewehr 42) その他直情径行で勝ち気、自信家ながら憎めない人懐っこさがあり、他人を強引に巻き込むパワーを持ったリーダー気質。一つ間違うとわがままで自分勝手な性格に見えるが、開けっぴろげで裏表のない性格のお陰で妙に人に好かれる所がある。 「オーケーオーケー」が口癖。(いやす・なおす・ぷにぷにする) ロマーニャのウィッチ養成軍学校出身。軽度の治癒魔法が使えたため、魔法医学科に編入されたが、本人が強く戦闘職を希望。ロマーニャ空軍では倍率の低かった地上攻撃ウィッチ部隊に強引に潜り込む。魔法医学科を中途で脱退してしまったため、簡単な治療しか出来ないのが今となっては残念だと感じており、平和になったらもう一度医学の勉強をやり直したいと思っている。(秘め声CD弐 2) カールスラントにて急降下爆撃戦術を学んだ後、軍学校時代からの親友であるマッツェイ少尉、クレスピ曹長らと共に北アフリカ戦線に配属される。ロマーニャでは急降下爆撃ウィッチは少なく、周囲から「三変人」と称されながらも地上攻撃任務に尽力。 当初は軍部による評価も低かったが、チームとして着実に戦果を挙げ、大型地上ネウロイの撃破を認められると栄誉ある赤ズボン隊のメンバーとなった。 その後機種転換訓練を受け、航空戦闘ウィッチに転属。 敵に肉薄する戦い方が身上で、部隊では指揮官ながら前衛を担当する。 マッツェイ少尉とクレスピ曹長の2人からは、原隊で隊長だった事もあり、第504統合戦闘航空団に異動した後も「隊長」と呼ばれている。 作戦立案や部隊指揮、実戦は大好きだが、書類仕事が大嫌いで、マッツェイ少尉に全て押しつけている。 通常の部隊では、戦闘時に2人1組のロッテを戦闘単位とする事が多いが、マルヴェッツィ中尉はマッツェイ少尉やクレスピ曹長と共に3人小隊のケッテを組むのが通例。どうしても4人で組む場合は、かねてから親交のあるヒスパニアのララサーバル中尉と組んでいる。 第501統合戦闘航空団の宮藤軍曹を個人的に気に入っており、第504統合戦闘航空団に勧誘するも断られる。(いやす・なおす・ぷにぷにする、秘め声CD弐 2) 将来の夢は、医者になって週末はのんびりと自家用機を飛ばす生活。(秘め声CD弐 2) 故郷の特産であるパルミジャーノ・レッジアーノや生ハムを使ったパスタ・リゾット等が得意料理。(秘め声CD弐 2) 声優 森永理科 イメージモデル フェルナンド・マルヴェッツィ(1912-)撃墜数 10 その他 性格は「直情径行、元気に溢れ、きわめて自信が強かった」と言われている。 学業よりスポーツを好み、大学の医学部を中退しイタリア王国空軍の操縦士官に応募。 偵察機の乗員としてエチオピア侵攻作戦に参加し、帰国後、正規将校として任官するためフィレンツェの空軍学校で学ぶ。 開戦の直前、イタリアでは「変人(Picchiatello)」とあだ名されていた急降下爆撃機操縦士に選ばれ、シュトゥーカの飛行訓練を受けると、第236飛行隊長に仮任命されシュトゥーカ乗りとして二次大戦の開戦を迎え初出撃。 1941年1月10日、イギリス海軍タウン級軽巡洋艦サウサンプトンに250kg爆弾を命中させ大破。翌日の軍公報に引用「マルヴェッツィ中尉(指揮官)とマッツェイ曹長、クレスピ軍曹の『変人』3機小隊はこの巡洋艦に大型爆弾を命中させた」 1941年7月28日、第4航空団第9航空軍第96飛行隊に転属し戦闘機パイロットに復帰。マルタ上空で初戦果を上げると地中海~アフリカを転戦し撃墜数を伸ばした。 戦後はトラック運送事業で成功し、パルマ飛行クラブに属して自家用のSF-260を飛ばす生活を送った。 出典 next world witches/TVアニメ(2010年)/いやす・なおす・ぷにぷにする/秘め声CD弐 2/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第三集 テレーザ・マルティノーリ TERESA MARTINOLI 所属 ロマーニャ空軍第4航空団第9航空群第73飛行隊 階級 曹長 誕生日 3月26日 使用機材ファロット G55(73-4号機) その他ロマーニャ公国最強のエースウィッチ。 優れた視力、射撃の腕、敵発見の能力を兼ね備える。 イメージモデル テレシオ・マルティノーリ (1917-1944)フルネーム テレシオ・ヴィットリオ・マルティノーリ 撃墜数 22第二次世界大戦における撃墜数ではイタリア第一位。 その他グライダー操縦士のライセンスを取得し、動力機の訓練を受け操縦記章に進み資格を得るとイタリア軍の動員により空軍に徴兵され、ゲーディで飛行訓練を受け卒業して軍曹となる。 初め第53航空団第151航空群第366飛行隊、次いでシチリア島トラーパニの第157航空群第384飛行隊に転出し、開戦後はCR.42を乗機としチュニス上空で初戦果を挙げる。 リビアへ転出し戦果を伸ばすがMC.200への機種改変のため帰国、後MC.202に改変すると劇的に戦果を伸ばす。 ロンメルの大攻勢に参加するため部隊をあげて北アフリカに戻り、連合軍相手にスコアを重ねるが、1943年になると本土防衛を命じられMC.205Vを駆り戦う。この時の戦いで同僚のルッキーニとフェルッリは戦死。 イタリア王国の降伏後は第4航空団の大多数の同僚共々共和国側に参加するが、1944年8月25日、支給されたばかりのP-39への転換教育中に事故死。 ジューリオ・レイネル(撃墜数10。マルティノーリが第73飛行隊にいたときの隊長)は「彼の慎重で打ち解けない性格の背後には、視力抜群の戦闘機操縦士がいて、射撃の腕は名人芸だった。実際、敵の存在をかぎつけることにかけては、マルティノーリには第六感があるのかと思えたほどで、我々がまだ誰も気づかぬうちに、いつも彼は相手を見つけていた」とマルティノーリについて回想してる。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第三集 ルチアナ・マッツェイ LUCIANA MAZZEI 所属ロマーニャ公国空軍第4航空団第9航空群第97飛行隊 赤ズボン隊〝パンタローニ・ロッシ〟書類上はその他三軍から独立した指揮権があるロマーニャ公室直属精鋭部隊。 階級 少尉 身長 173cm 年齢 18歳(1944年末) 誕生日 1月10日 通称 「三変人」 使い魔 グレイハウンド 使用機材ファロット G55チェンタウロ ファロット G55Sストレーガ 使用武器ボーイズMk1対装甲ライフル S-18対装甲ライフルヘルウェティア製。大火力が必要な際に使用する。(秘め声CD弐 3) その他小さい頃から裁縫や服飾デザインが大好きで、将来は服飾関係に進もうと考えていた。平和になったら服飾関係の仕事に就くのが夢で、アントウェルペン王立美術アカデミーで本格的にファッションの勉強をしたいと思っている。(秘め声CD弐 3) 軍の被服省でウィッチの装備品を開発する仕事にも興味がある。(秘め声CD弐 3) ファッションの都パリがあるガリアに憧れている。(秘め声CD弐 3) ウィッチの力が発現した為、ウィッチ用の装備や制服を作る仕事に就こうと思い直し、軍学校へ入校。当初は被服科へ進もうと考えていたが、射撃の腕に目をつけたマルヴェッツィ中尉に強引に誘われ戦闘科へと転属。そのまま少尉任官後、戦闘部隊へと配属された。 配属後は地上攻撃ウィッチ部隊に所属し、カールスラントで急降下爆撃戦術を学んだ後に北アフリカに転戦。「三変人」唯一の常識人としてマルヴェッツィ中尉やクレスピ曹長の暴走を止める役割を担う。常識人とはいうものの、時折ぼそっと呟く台詞には意外と珍妙なものが含まれており、その点が「三変人」の一角を担わされている原因。 大型地上ネウロイ撃破の功績等によって「赤ズボン隊」へと入隊、航空戦闘ストライカーユニットへの機種転換訓練を受けた。 無口でおとなしく、優しい性格の反面、スポーツ万能で特に射撃に優れるため、後方からの狙撃を得意としており、チームでは狙撃・サポートを担当。 研究熱心かつ理論家でもあり、事務手続きが苦手なリーダーのマルヴェッツィ中尉に代わり、上層部との折衝や報告書の作成を行っており、部隊をまとめる名参謀でもある。第504統合戦闘航空団では負傷が癒えていない司令のドッリオ少佐の右腕として書類仕事をこなしている。 クレスピ曹長には特に懐かれており、名前が似ている事もあって時々間違えられる事もあるが本人は苦笑いで済ませている。他に同隊のゴッドフリー大尉と仲が良い。 得意料理は母に教わったムール貝やアサリの炒め蒸し、イカ墨のスパゲティ、魚介のミックスグリル、ジェラート。(秘め声CD弐 3)故郷がロマーニャでもヴェネツィア寄りだったので、魚介を使った料理が多い。 声優 広橋涼 イメージモデル マッツェイ曹長フェルナンド・マルヴェッツィの部下。 その他1941年1月10日に、イギリス海軍タウン級軽巡洋艦サウサンプトンを攻撃したマルヴェッツィの僚機を務めていた。 出典 next world witches/TVアニメ(2010年)/いやす・なおす・ぷにぷにする/秘め声CD弐 3/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第四集 カルラ・ルースポリ CARLA RUSPOLI フルネームはカルラ・マウリツィア・ジュゼッピーナ・エドガルダ・デイ・プリンチペッサ・ルースポリ(Carla Maurizia Giuseppina Edgarda dei Principessa Ruspoli)であると推測される。 所属ロマーニャ空軍第4航空団第9航空群第73飛行隊長 ロマーニャ空軍航空映画部 階級 大尉 誕生日 8月25日 使用機材ファロット G55(91-3号機) その他ロマーニャ公国空軍映画部部長で、自ら飛行しての空撮もこなす。ウィッチのお尻からのアングルが得意。迫力のある映像の為の構図だと新聞で主張している。 どこからともなく接近し決定的なショットを撮影する事から、加東少佐共々ステルス能力を持っているのではないかとさえ思われる事が多かった。(闇文twitter) その撮影フィルムは膨大な量にのぼり、うち幾つかは貴重なカラーフィルムが使用されている事から、ストライカーユニットのカラーリングからウィッチのズボンに至るまで詳細な資料となっている。(闇文twitter) カールスラントの宣伝省から、同国宣伝映画の撮影の為に第501統合戦闘航空団への出向を依頼される。(秘め歌コレクション 3) 一連の『第五〇一統合戦闘航空団全記録』に掲載されている写真(アニメ本編画像)の大半はルースポリ大尉の撮影によるものとされている。 イメージモデル カルロ・ルースポリ (1906-1947)フルネーム カルロ・マウリツォ・ジュゼッペ・エドガルド・デイ・プリンチピ・ルースポリ一般には「カルロ・マウリツォ・ルースポリ・ディ・ポッジオ・スアーザ」という名前で知られる。 撃墜数 10 その他古代から続く貴族のルースポリ家の一族でポッジオ・スアーザ二代目領主のマリオ・ルースポリの息子。 乗機のマッキMC.200に映画撮影カメラを取り付け、ギリシャとロシアの両戦線で空戦をフィルムに収めた。これはもともと私的な記録が目的だったが、すぐに公的に実施する裁可が下りて、イタリア王立空軍内に航空映画部が設立されると共に彼はその部長に任命された。 第91飛行隊の指揮官として北アフリカでエル・アラメインの戦いなどイギリス空軍と戦う。 少佐に進級の後、空軍省勤務となりローマに帰還。法律の学位を持ち3ヶ国語に堪能だったためネルソン艦上でのバドリオ元帥とアイゼンハワー大将が会談した際、通訳を務める。 ドイツ軍占領下にあるローマに空からビラを撒く任務を成功させる。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第三集/秘め歌コレクション 3/『紅の魔女たち』 アウローラ・サンソン AURORA SANSON 所属 ロマーニャ空軍第II戦闘航空群第5飛行隊通称「赤い悪魔(ディアヴォロ・ロッソ)」。 カールスラント軍と共同作戦を行なった。 階級 准尉 使用機材ファロット G55(黄の5号機)カールスラント風の迷彩が施されており、Bf109Gと誤認される事もあった。 イメージモデル アッティーリオ・サンソン撃墜数 12 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第三集 エンリーカ・タラントラ ENRICA TARANTOLA 所属ロマーニャ空軍第51航空団第20航空群第151飛行隊 赤ズボン隊〝パンタローニ・ロッシ〟書類上はその他三軍から独立した指揮権があるロマーニャ公室直属精鋭部隊。 階級 准尉 誕生日 1月19日 愛称 「バナナ」 使用機材ファロット G55(151-2号機) その他実家が八百屋。 「赤ズボン隊」の一員で、一時期ドッリオ少佐の僚機を務めていた。 マルタ島防衛時に、後に第504統合戦闘航空団に招聘されたブリタニアのシェイド中尉と意気投合する。 イメージモデル エンニオ・タラントラ (1915-2001)愛称 「バナナ」イタリア王立空軍に入る前は郷里コモのカヴール広場で果物売りだったことから。 撃墜数 11スペイン内戦における1機を含む。 その他機首に「Dai Banana!(それ行けバナナ!)」と書かれたマッキMC.202で知られる。 果物売りの仕事に飽き、イタリア王立空軍に志願して戦闘機のパイロットに。 スペイン内戦に従軍しI-15を撃墜。 イタリアの第二次世界大戦参戦時にはフィアットCR.32装備の第155飛行隊に所属。 まもなく引き抜かれてジューゼッペイ・チェインニ率いるJu 87装備の急降下爆撃隊に転属。 駆逐艦ウォーターヘンに直撃弾を1発与える。このイタリア急降下爆撃隊とドイツ空軍による攻撃によりウォーターヘンは沈没。 その翌日、彼の乗るJu 87は海上で撃墜され救命筏で18時間漂流後に救助される。 この経験により急降下爆撃機のパイロットから戦闘機のパイロットに戻ることを決心。フィアット G.50装備の第155飛行隊に復帰。 第155飛行隊はマッキMC.202に機種改変。第151飛行隊においてはフリオ・ニクロ・ドッリオの僚機を務める。スピットファイア、P-40、P-38を撃墜するなど地中海の戦いで活躍。 イタリアの連合国への降伏後はANRのモンテフスコ・ボネ補助飛行隊に参加。 フィアットG.55から落下傘降下で脱出した際に重症を負い、治療中にヨーロッパにおける第二次世界大戦は終結。 戦後は定年まで空軍に勤務。 亡くなるまで彼を知るすべての人は彼を「バナナ」と呼んだ。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第三集/第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第一集/『アフリカの魔女 ケイズ・リポート』 ルイーサ・トルキオ LUISA TORCHIO 所属 ロマーニャ空軍独立第337飛行隊 階級 中尉 使用機材ファロット G55(377-4号機) その他ロマーニャ公国の数少ないナイトウィッチ。 イメージモデル ルイージ・トルキオ撃墜数 5 その他夜間戦闘機型のフィアットCR.42での戦果が1機ある。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録 第三集 アドリアーナ・ヴィスコンティ ADRIANA VISCONTI 所属 ロマーニャ空軍第54航空団第7航空群第76飛行隊 階級 大尉 身長 175cm 誕生日 11月11日 使い魔 カラカル その他没落貴族ではあるが一時期はミラノの支配者一族だったヴィスコンティ家の出身(故郷はピサ)。 ロマーニャでも有数の名指揮官で、カリスマ性もあり勇敢。自らの技量も極めて高いが、やや独善的な性格。国を守りたいという意識が強く、その為に不合理な命令に従わず戦い続ける姿勢が上層部と衝突する一因。 軍に志願して少尉任官後、最初は地上攻撃部隊に送られ、トブルク駐在の第50航空団第12航空群第159飛行隊に配属される。軍規違反を繰り返した為に辺境の部隊に左遷されたが、左遷先で地上攻撃用ユニットを使いネウロイを撃破するなど活躍し、原隊に復帰。同大尉が左遷された後、トブルクにはマルセイユ大尉が送られているが、原隊復帰前にマルセイユ大尉はトブルクから移動しており、二人が顔を合わせる事はなかった。 もし二人が同じ基地にいたら、大喧嘩をするか仲良くなるかどちらかだろうという冗談が当時現地ではよく言われていたという。 卓越した操縦技量を買われ戦闘部隊である第76飛行隊へと転属、空中戦闘と写真偵察を主任務とした。ここで撃墜数を伸ばして頭角を現し、優秀な指揮官として成長。 反面、上層部に対して反抗的な態度や軍規違反も多く、ロマーニャの誇る赤ズボン隊に所属する事はなかった。 第504統合戦闘航空団設立時にもメンバー候補に挙がらなかった為、ロマーニャ空軍上層部が第506統合戦闘航空団に推薦したのは、厄介払いという意味合いもあったと思われる。 声優 山崎はるか イメージモデル アドリアーノ・ヴィスコンティ (1915-1945)撃墜数 26イタリア一位。 様々な出版物で認知されている数字だが、彼自身は10機より多い数を主張した事はなかったとされる。 その他カリスマ的な指揮統率力と有能かつ勇敢な操縦士としての実績により、ANRのシンボル的な存在となったエース。 トリポリの名門の家に生まれ、愛国心に溢れた家庭環境で育つ。父ガレアッツォが北アフリカの植民地化遠征隊に加わり、当地に留まっていた為。 高等教育を終えると空軍士官学校に志願、卒業後に少尉任官し、トブルク駐在の地上攻撃部隊である第50航空団第12航空群第159飛行隊に配属。 軍規上の問題を起こし植民地防衛第2航空群第23飛行隊に飛ばされたが、当地での功績により程なく原隊復帰を許され、青銅勲章を獲得。 復帰後はイギリス軍機甲部隊を相手にBa.65を駆って出撃を重ねたが、ブレダの被弾の弱さから損害が大きく、第50航空団は1941年1月に解隊。 トレヴィーゾに基地を置く第54航空団第7航空群第76飛行隊に転属すると、C.200を駆り爆撃隊の護衛や空中偵察任務を数多く遂行。 パンテッレリーア島攻防戦の最中の1942年6月15日、C.202を駆り初撃墜を記録。枢軸軍降伏に至るまで北アフリカ戦線を戦い抜く。 アフリカ脱出後はグイドニアに新設された第310空中撮影戦闘飛行隊の指揮官となり、改造型のC.205Vで武装偵察任務に従事。 休戦後の命令が送られて来なかったことから見捨てられたと感じANRに転身。初め第1戦闘飛行隊、次いで第I航空群「アッソ・ディ・バストーニ」全体の指揮を任され少佐に進級。 1945年4月29日、第I航空軍の降伏交渉の為に赴いたミラノで副官ステファニーニ少尉と共にパルチザンに背後から狙撃され、殺害された。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第五集/ストライクウィッチーズ 劇場版 オフィシャルファンブック コンプリートファイル/『ノーブルウィッチーズ』 ロマーニャ海軍 イメージモデル イタリア王国海軍 デ・ラ・ペンネ DE LA PENNE 所属 ロマーニャ海軍「デチマ・マス」部隊 階級 中尉 誕生日 2月11日 その他『第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第二集』掲載写真の一部を撮影。 ウィッチとは明言されていない。 イメージモデル ルイジ・ドゥランド・デ・ラ・ペンネ (1914-1992)その他人間魚雷「マイアーレ」指揮官。 出典 第五〇一統合戦闘航空団全記録弐 第二集
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クラリーチェ、ティリアナ・リッピ、リョーコ・バッシス-ロマーニャ空海軍三人娘編 *一九四四年四月六日〇九三五時、ロマーニャ公国空軍第一八航空群司令部 ロマーニャ南部というのは、地中海という温暖な海に近いため、欧州のイメージを裏切り、かなり高温多湿である。年間降雨量こそ、それほどではない。されど、湿った海風により、およそ快適とは言い難い状態であるのは、確かであった。 さりながら現在、ロマーニャ公国の後方を守備する・・・というよりは、実質的な教育部隊である第一八航空群司令部は、弱り切った表情を浮かべた男達が数名、雁首を並べていた。リベリオン製フレオンガス使用の空調設備の恩恵があっても、彼等の顔色がさえることはない。当然である。自国の北部にネウロイの巣を作られて、欣喜雀躍する人間がいるとすれば、彼は精神科で気長な治療を受けた方が良い。 「間違いないのだな?」 「はい。ブリタニア空軍の高速偵察機が、危険を冒して写真を撮ってきてくれました。間違いなくネウロイのハイヴ(巣)です。オストマルク、カールスラントに現出したのと同様の」 飛行群司令は空軍参謀本部より、緊急に回されてきた航空写真を眺め、深々と嘆息した。彼とて、ベテランパイロットが危険を冒して撮影した結果を疑うつもりなど、毛頭ない。只、その現実を受け入れるのが、余りに苦痛であった。ロマーニャと連合国家を形成するヴェネチア公国北部上空には、瀟洒な都市部。今は緊急避難やネウロイの攻撃により、ゴーストタウンとなった市街地上空に浮かぶ、忌々しい茸雲のような、間違えようのないネウロイの巣が写されていた。 「確かに、な。それで上は何と言っている」 「悪い知らせと複雑な知らせです。悪い方から申し上げれば、成績優秀者のウィッチを一人でも多く、戦線へ供出すること」 「畜生め」 航空群司令は、参謀自身も苦々しい顔立ちをしている内心を察しつつも、溜息代わりに盛大に吹かしていた葉巻を、くしゃりと灰皿へ押しつけた。 この部隊はウィッチのみで編成された、些か変則的な航空群である。そうであるならば、ネウロイに対する強力な戦力となるのでは・・・と普通は思うが、実体はようやくストライカーを、怖がらずに飛ばせるようになった若年ウィッチ。あるいは、若年さ故に部隊で問題を起こした、あるいは心労の蓄積が酷いウィッチの、教育部隊とリハビリ施設を兼ねていた。 司令自身はパイロットでもなんでもない、先の第一次怪異大戦に於いては、輜重士官として勤務しただけである。さりながら、妻子を持つ身になってから、幸いにしてウィッチの才能など無かった娘。それと同年代の少女がストライカーを履き、機銃を握り、一握りのベテラン教官-といったところで、精々が一八歳だ-の指導の元、訓練を行う様。そして、技量や固有魔法の優秀さを認められながらも、前線で戦闘神経症となったウィッチを、心療内科を開業していた軍医の診察。そして、やはり一握りのベテランの1人が、箒で飛ぶところから再教育しているような、とても戦闘に出せる部隊ではない。 「今のところ、成績優秀者はどの程度いる。敢えて厳しく見積もれ」 「少尉に成り立てが三人、MC202型ストライカーでようやく飛行四〇〇時間を超えたところです。一応、一通りの教育飛行はマスターしていますが」 「年齢は?」「・・・・一三歳から一五歳です」 「参謀本部のクソッタレどもに伝えろ、成績優秀者三名を送る。されど、即時前線任務には適さず、第二線における防空任務が妥当と思われる、と。私の名前でだ」 ロマーニャ公国やヴェネチア公国は、意外なほど優秀なウィッチを多数輩出している。実際、彼女たちが戦線を支えているお陰で、自分たちは安穏としていられるのだ。しかし、素質が優秀だからと言って、誰もが精神まで耐えられるわけではない。嘗てこの部隊に送り返され、再教育を受けた上で、連合軍第五〇一統合戦闘航空団へ「栄転」した、「一三歳の少尉」など、情緒不安定による極端に攻撃的なスタイル。そして、ホームシックによる脱柵が相次いだために、連合軍へ「捨て子」されたようなものだ。航空群司令部も手を焼いたのは確かだが、一三際で少尉の階級を生前供養のように与えられ、ネウロイと戦え等と言われれば、当たり前だと、口には出せなくても思わざるを得なかった。 「複雑な知らせの方ですが」 「悪い知らせよりはマシなのか?」 「ある意味では。扶桑皇国海軍が現在、新型艦へ載せるウィッチを各国へ、連合軍経由で募集をかけております・・・・但し、航空母艦ではありません。子細は、資料を見て頂いた方が」 写真と、その「新型艦」の詳細な要目が記載された書類を見て、飛行群司令は露骨に嫌な顔をした。航空参謀も軽く肩をすくめている。 「私は輜重出身で海軍のことはよく分からない。しかし、扶桑の伊勢型といえば、我が国やヴェネチアの改装戦艦に匹敵する主力戦艦だったと思う。それがどうしてこうなった?ましてウィッチを載せるなど、正気か?」 「海軍からの話ですと、第五砲塔が大爆発を起こし、その後にリベリオンで改修。主砲、高角砲火力とウィッチの連携のための実験航空戦艦だそうで」 「やりたいことは分かるがなあ・・・・でもって、あれか?流石にあの扶桑海軍といえど、まともな母艦航空隊のウィッチは出したくない。だから連合軍経由で人集めに奔走してる、か?」 「うちの部隊に回ってきた当たり、まさにその通りでしょうね」 フネのことは分からずとも、輜重という物資。そして時には人員の割り振りにさえ、一枚噛む兵科出身の司令は、即座に意図を悟った。大方空軍参謀本部も、第一線が務まるような、まともな普通のウィッチなど、出来れば回したくない。それでここへ真っ先に、話が回ってきたのだろう。暫しの間、男達は半ば嘆息と愚痴が混じり合った議論を重ねた。この部隊は若年ウィッチか、戦闘神経症からのリハビリ途中のウィッチか、一握りのベテランか、あるいは問題児か・・・・問題児?そうか、彼女がいたか! 「アルベティーニ少尉を司令公室へ呼んでくれ・・・後、航空参謀。輜重参謀。君達は他の部隊や海軍にも顔が広かったはずだ、彼女のおもりが務まりそうで、何とか手放してくれそうなウィッチを。無理難題なのは承知しているが、頼む。島流しなのは承知だが、私は無駄に子供を海外に売り飛ばし、殺した人間になるのは御免だ」 同年同日一六〇五時、第一八航空群司令公室 「司令、アルベティーニ少尉。入りまーす」 「入りたまえ」 相変わらずの陽気な、軍隊の礼則からいえば少々ずれている発音の申告に苦笑しながら、司令は入室許可で応じた。入ってきたのは、身の丈は150cmにやや届かない程度だが、程々に手入れされた金髪をツインテールにした、勝ち気そうな少女であった。クラリーチェ・アルベティーニ少尉。第一八航空群の中では中堅どころの一五歳、技量とセンス、固有魔法はなかなかのもの。飛行時間も六五〇時間と比較的長い。性格も悪くはないが、司令には頭痛八割、苦笑二割の存在であった。 「よく来てくれた。まあ、座りたまえ。扶桑のストライカーユニットの具合はどうだい」 「もっとパワーを、更にパワーを、精々毎時五〇〇キロとか何の拷問ですか?」 のっけからこれである。そう。彼女は飛行機動から戦闘スタイル、あるいは日常生活においても「パワーこそ正義」という、勝ち気な性格の延長線上で物事を判断し、実行してしまう癖があった。どうも、元陸軍大尉でカーマニア警官である父親。ミケーレ・アルベティーニの影響を、濃厚に受け継いでしまったらしい。以前の部隊は戦闘爆撃飛行群であり、そこでCR.42やJu-87など、旧式。あるいは速度に劣る爆撃型ストライカーユニットを用いながらも、かなりの戦果を挙げている。また、固有魔法は魔力銃弾に焼夷効果を持たせ、ネウロイの再生を阻害する強烈なもので、多脚戦車など大型種の多いネウロイを始末するのに、打ってつけの若手のホープであった。 最終的には才能を見込まれ、ロマーニャ空軍の主力戦闘ストライカーユニット、MC202。そして意外な高性能で、歩兵部隊からも評価の高いブレダM37重機関銃をドラム弾倉式に改造した航空機銃を装備し、ロマーニャ北部での防空戦闘も経験している。かように若手の中では、かなり見所のある人材なのだが・・・ 「君なあ、今までその戦闘スタイルで何機ストライカーを破壊したと思ってるんだ?確かにウィッチが無事に帰ればいい、それは分かる。しかし我が国の国庫も無限ではないんだよ」 「だからといって、幾ら魔導レーダーがあるとはいえ、こんなんじゃ空対空戦闘も出来ませんよ!」 そう。彼女は攻撃的な戦闘スタイルと陽気な性格から、自然と先陣を切って突入することが多く、それはかなりの戦果と同時に、多数のストライカーを損傷。最悪破棄に至る事故を生み出している。同僚や上官曰く、「歩く火薬庫」「バーサークウィッチ」「彼女がロマーニャ空軍にいられることが、ある意味で奇跡」と、輝かしい戦功と共に、頭を抱えながら記したであろう評価で考課表は埋まっている。 「まあ、そう言わないでくれ。あの扶桑のストライカー・・・テンザンといったか。あれに君を乗せたのは、今回の命令。特殊な任務に関するものだったんだ」 「特殊な任務・・・ですか?」 勿論真っ赤な嘘である。 扶桑皇国海軍が低空対地攻撃、あるいは魔導空対空レーダーを搭載した哨戒任務のために開発。少数を製造したストライカーユニット「天山」一二型。この機体は速度こそそれほど大きくないが、シールド出力補助機能、そして航続距離が長く、足の短い戦闘機やストライカーが中心のロマーニャ空軍が、それらを補完するための空中警戒手段として導入したのだ。そんな貴重品を、全く適正の会わない彼女が装備して、後方での警戒に当たっている理由は只一つ。 大人しい機材に載せて、当面はネウロイもやってこない方面を飛ばしておけば、これ以上、高価なストライカーを破壊されることもない。そして幾ら天性の固有魔法と戦闘スタイルを持つとは言え、無鉄砲すぎる彼女の頭を冷やす、良い機会だと誰もが判断したのだった。ストライカーだけではなく、彼女自身も数度、軽傷を負っている。正直なところ、ネウロイの圧力が高まる中で、将来性のある若手を無為に潰すわけにもいかない。そう言う配慮も存在していた、今回の命令も含めて。 「ああ、その天山を作った扶桑皇国が、ブリタニアやスオムスにある統合戦闘航空団のような、一種の多国籍部隊を作ろうとしている。それも専用母艦を準備してな」 「随分と良い話に聞こえますけれど、額面通りには取れない話ですよね」 「君はそう言うところは、意外と鋭いな。相変わらず」 一転して無表情になり、半眼の呆れかえったような目元でこちらを見ているアルベティーニ少尉。彼女は戦闘スタイルこそ猪突猛進であるし、パワーこそ正義と考えつつも、地道な捜査任務が日常である父親。その背中を見て育っているだけに、世の中はそうそう額面通りには受け取れない。うまい話には裏があるという、冷静な側面も持っていた。 「まあ、その通りだ。この写真を見てくれ、見ての通り戦艦を改装、半分空母にしたような代物だ。艦上機ユニットに慣れた人間じゃないと、とても回せないんだよ」 「命令とあれば、再考の余地はないんでしょうね」 「残念だがね、君のお父上。ミケーレからもメッセージを預かっている。『迷わず行けよ、行けば分かるさ!』だそうだ。彼も変わらないね」 「はぁー・・・因みに母からのメッセージは」 嘆息したアルベティーニ少尉に、航空群司令はやや意地の悪い笑みを浮かべて応じた。 「残念なことに、君と同じ趣味にふけっていて、妄想の世界から帰ってこなかったと、ミケーレも向こうで頭を抱えていた。母娘は似ると言うことだな」 「駄目だあの事務員、早く何とかしないと・・・それと私の趣味は、母とは違います!あんな節操無しではありません!」 そう、彼女のもう一つの困った性質。それは主に青少年の同性愛をタイトルとした小説やコミックを、あろうことか自ら執筆、印刷の上で部隊の同僚達に読ませ、趣味を伝染させてしまうことであった。これに関しては彼女の母親、ミラノ市の歌唱学校で事務員を勤めるナディア・アルベティーニの性癖を、濃厚に受け継いでしまった。 ナディア自身は、若い頃は非常に優れた資質を持つウィッチであり、クラリーチェに魔法力コントロールを教えた良い教師でもある。今でも年齢以上に若く見える美貌、かなりの事務能力、事務員とは思えない高い歌唱力、夫と娘を深く愛し家事上手と、概ね理想的な家庭人なのだが・・・。そう、クラリーチェに小説やコミックの書き方、同性愛への憧憬を植え付け、更には妄想癖まで与えるという、とんでもない置きみやげをしでかした張本人でもあった。 「まあ、命令は命令だ。拝命したまえ、何よりだ。君の資質は誰もが認めている、後は慎重さだけだ。扶桑はウィッチの戦闘飛行隊を作り出して長い。あの国で、確たる技量と判断力を身につけて、何ならあの国の新型ストライカーを分捕って、帰ってきたまえ」 「そこまで仰られては。但し、司令。一つお願いがあるのですが。私の武器はオラーシャの対装甲ライフルです、射程に申し分はないですが近接防御火器の在庫はありませんか?」 「うむ・・・確かリベリオン陸軍のBAR自動小銃が、員数外で余っている。それでどうだ?」 「分かりました、天山はペイロードはありますからそれで何とかします」 そう。彼女の現在の火器は、天山の早期警戒能力を最大限活用。同時に、焼夷徹甲弾による火炎発生により、友軍へ警告のに促すのに最適な、射程の長いオラーシャ製PTRD41対装甲ライフルを用いていた。単発式ながら、幼少から父にカルカノライフルによる射撃を教わった彼女には苦ではなく、毎分二〇発という速射砲のような発射速度を叩き出している。初速も毎秒一〇〇〇メートルを超えており、命中精度も威力も申し分ない(何故こんなものがロマーニャにあるかは、ミケーレが持ち込んだからである。自治警察の一警部が物騒な重火器を合法的に入手する手管は、未だに誰も分かっていない)。 しかし、近接戦闘火器の欠如は、こんな後方の基地ならまだしも、怪しげな多国籍軍部隊では致命的である。BAR自動小銃なら、速射も効く上に四〇発弾倉も使える。信頼性も高く、悪い火器ではない。本来ならカールスラントの名銃、MG42でも欲しいところだが、そういった高性能火器は最前線に軒並み回されており、贅沢は言えたものではない。 「出発は四日後の一一〇〇時、タラントからの水上連絡機が君を含め、三名のウィッチをかの国に送る・・・思うところはい多いだろう。不満かもしれない、しかし、無事に生きて帰れ。これは飛行群司令として、そして・・・・君の親父の親友としても、だ。クラリーチェ」 「有り難うございます、“おじさま”。そして司令、お世話になりました。行って参ります」 この時ばかりは、表情を引き締め、同時に感謝に満ちた敬礼を捧げると、クラリーチェ・アルベティーニ少尉は退室した。司令は深々と溜息をつくと、押し殺すような声で呟いた。 「俺がしてやれるのはここまでだ、ミケーレ・・・神よ。彼女を含め、戦地へ赴くウィッチへ、子供達へご加護を」 *一九四四年四月七日、一三三五時、タラント軍港内、空母「アクィラ」艦長公室 「すまない、バッシス中尉。私の力不足だ・・・」 自分の眼前で力無く頭を垂れている、ロマーニャ・ヴェネチア連合海軍でも貴重な正規空母「アクィラ」を任されている、マランツァーノ大佐。彼に対してリョーコ・安良城(アラシロ)・バッシス中尉は、何とも複雑な感情を抱いていた。 彼女は一八歳、飛行一五〇〇時間以上、そして何より貴重なことに、この半島連合国家に於ける数少ない艦上型ストライカーを操り。更には水上機さえ長く飛ばしてきたウィッチであった。身の丈は168cmと、女性としては高い方であるが、彼女は名前の通り、扶桑の。それも何でも、南方の島々の王族。そのハーフらしい。名前にもそれが現れているが、ボブヘアーに近い、肩まで掛かるかかからない程度に伸ばされた黒髪、少しきつい印象を与える、つり目の剽悍な顔立ちにも、それは現れている。 一度、ブリタニア海軍の貴族士官が、紳士気取りで若年のウィッチに手を伸ばそうとしたのを、目の笑っていない笑顔のまま腕をねじり挙げ「ナッツを砕かれたくなかったら失せな」と叩きだし、そのことが祟り万年中尉である。しかし、実質的にはそこらの大尉よりも、指揮官としてもテストウィッチとしても、技量は優れている。魔力だけに依存せず、日頃から琉球武術の型稽古、長距離走に至るまで鍛錬を描かさず、細いが引き締まった体躯は、山岳歩兵と言っても良い精悍な雰囲気を漂わせている。性格も外観そのまま、豪放磊落であり、面倒見の良い。上官からも部下からも、概ね愛される姉御肌であったが、今の彼女はその顔つき、体つき、技能に似合わぬ、困惑した表情を浮かべていた。 「あれは仕方ありません、メーカー側のハードウェアトラブルです。それに、それがきっかけでカワニシから格安で新型が一個飛行隊相当来るんです。安いものですよ」 そう。彼女はこのアクィラに於いて、新型艦上戦闘脚のテストウィッチを任されていた。扶桑皇国山西航空機が作り上げた、「紫電」一一型である。ロマーニャ国産のMC202/205、G55。あるいはカールスラントより輸入したメルスことBf109Gに比して、速度こそ毎時六一〇キロとさして優れたものは見いだせない、しかし(欧州基準では)長い航続距離と良好な運動性を発揮し、当初は大いに期待された。しかしながら、この一一型が搭載した魔導エンジンは、未だに未成熟な長島飛行脚製「誉」魔導エンジンの初期型であった。 ストライカーユニットの大型化を防ぎつつ、一八〇〇馬力以上の大出力を誇る新世代魔導エンジン。後には抜本的な構造改修と性能、信頼性改善が図られ、長島飛行脚のベストセラーとなる魔導エンジンであるが、初期型は兎に角、扱いの難しいエンジンであった。幸いにして、「アクィラ」飛行隊へ寄越されたのは、実質的に職人芸に等しい(リベリオン式の流れ作業が得意な長島としては珍しい)作りのエンジンであり、暫くはトラブルも何も起こさなかった。 無論、後々に紫電を含む「誉」搭載ユニットは、改良型の「誉/マ-45」、あるいは宮菱「マ-43」等のエンジン換装を含む、全面改修を受けることになる。しかし彼女が「紫電」一一型の試験を受け持った、四四年明け当時は、まだそのフィードバックが輸出先にまで間に合っていなかった。一月一八日、アクィラを発艦し、テスト任務を含む哨戒飛行を行っていた彼女の紫電は、いよいよ往復一〇〇〇キロの飛行を終えて、着艦に移る段階で、誉魔導エンジンが深刻な不調。出力の不安定な暴走を始めたのだ。咄嗟にバッシス中尉は、暴走した魔導エンジンへの魔法力をカットして着艦したが、暴走により一時不安定となった機体進路、八〇ノット以上に跳ね上がった着艦速度が祟った。 彼女の紫電一一型は、丁度飛行甲板に於いてエンジン試験運転を行っていた、他の紫電一個飛行隊相当に突っ込み、自身を含め一二機の紫電。その半数以上を修理不可能なまでに破損してしまったのである。幸い、彼女自身は医務室の応急処置で済む程度の軽傷で済み、他に人的被害はない。また、彼女の破損したユニットを調べた整備班により、明らかに整備上とは異なるマシントラブルと判断された。 艦と乗員をウィッチを含めて等しく愛する、ロマーニャの好男子そのものと言えるマランツァーノ艦長。彼の、部下の身がメーカーの怠慢で危険に晒された怒りは深く、海軍参謀本部を介して山西航空機に辛辣な抗議を突き付けた。既に山西は改良型誉エンジン、あるいは宮菱製「マ-43」へ換装したユニットを管制させ、自国の海軍には配備していることも、彼の怒りに油を注いだ。適切ではあるが、辛辣極まりない抗議書を兼ねた報告書を見た山西の技術営業は、顔面蒼白になったと言われている。 山西航空機としても、三菱の「烈風」としのぎを削る艦上/海軍陸上戦闘脚。その貴重な海外顧客からの怒りに顔面蒼白となり(山西は欧州の足の短いストライカーの弱点に目を付け、欧州海軍全般への売り込みを考慮していた。この悪評が伝播した場合、経営は著しく悪化する)、直ちに破損した一一型七機、残存の五機を、改良型「誉」魔導エンジンを搭載し、機体設計を全面的に見直した二二型相当に改修する予備部品を無償で。追加で、当初予定額に比して二割以上値びいた価格で、最新の。高々度飛行にも対応した五三型一個飛行隊相当を、赤字覚悟で売り込んだのだ。 「そう言ってもらえると・・・幾らかは助かる。幾ら扶桑が、君の御母堂の祖国とは言え、正直、このような中途半端な艦へ、君を出向させねばならんのは辛い。だが、頼む」 「ロマーニャにも海鷲がいる、そのことを世界第三位の海軍に教えてやりますよ」 しかし、事故の当事者を何の処分もしないわけにもいかない。そして、ロマーニャ・ヴェネチア連合海軍にとっては、好都合なことに、扶桑皇国海軍の。今やある意味で、世界各国の海軍の注目の的になっている、航空戦艦「日向」に降りられるウィッチの志願募集が連合軍経由でもたらされた。何より結果として、最新の足の長い戦闘ストライカー二四機の供与を受け、何も帰さないわけにもいかない。何らかの処分が必要な事故の当事者であり、扶桑語にも堪能で、紫電の癖を知り尽くし、指揮官としても腕利きのバッシス中尉に白羽の矢が立ったのだ。 当然、マランツァーノ大佐は「これはメーカー側の事故であり、部下に責任はない。このような決定は承伏しかねる」と、あらゆる証拠を揃えて海軍参謀本部に抗議を行ったが、参謀本部のみならず連合軍、そして何故か空軍からさえ、依願という形の圧力をかけられては、如何に海軍部内で良好な実績を重ねている、新進気鋭の艦艇指揮官であっても、あらがえる範囲には限度があった。せめてもの温情措置は、彼女の用いるストライカーには最新の五三型の使用が許可されたこと、俸給は大尉相当の額がドルで支給されること。私物持ち込みの規定量を、通常の将校の倍程度が許可されたことであろうか。 「それに、艦長にそこまでしていただいて、母の祖国が助けを求めているのを断れば、武士道にもとります。ウィッチが只の魔女ではなく、もののふであることを彼等に教育しましょう」 「全く・・・君にはかなわんな。すまん、醜態を晒したな」 マランツァーノ大佐は、先ほどとは打って変わり、何時も通りの朗らかな、しかし張りのある声で朗々と命じた。 「バッシス中尉、扶桑皇国海軍戦艦『日向』飛行隊へ、空軍の派遣要員を含む三名の先任将校として、出向を命じる。私と、海軍参謀本部からの正式な通達だ。拝命したまえ」 「確かに、拝命いたしました・・・このタラントから連絡機ですか、楽で良いですね。空軍の輸送機ですか?」 「いや、それがな・・・君、リッピ商会の名前を聞いたことは?」 「それはまあ。私の実家が食料品を納品してる、お得意さんですし」 バッシス中尉の実家は、父方の祖先が香辛料貿易商であったことを代々引き継ぎ、今では中堅どころの食料品交易業を営んでいる。リッピ商会はこのタラントを含む、周辺の県複数にまたがる、ロマーニャではそれなりに名の知れた、総合商社である。社長は些か着道楽であることを除けば、概ね手堅い経営で知られており、軍関係へもシェアを伸ばしている。彼女の実家としても、信頼の高い小切手。そして売掛金を着実に支払ってくれる、有り難い取引先であった。 「そこのお嬢さんもウィッチでな、一六歳でメルスを操り、腕はなかなか。階級も中尉と悪くない人材なのだが・・・」 「わけありそうですね?」 その通りだと、些か困ったような、何と言えばいいのか暫く躊躇した後、マランツァーノ大佐は慎重に言葉を選んで、告げた。 「どうしてもお嬢様でな、ガラの良くない部隊に悪意なく暴言を吐いたことが数度あり、一部からの印象が、控えめに言って宜しくない。当人は悪い子でないだけに、尚更始末に終えん」 「それが私が先任として、扶桑で責任を持つべき部下というわけですね。それで、連絡手段とどのような関係が?」 「彼女の私有飛行艇で、君達は赴任することになっている」 大概のことには動じないバッシス中尉も、一瞬呆気にとられた、確かに飛行艇という航空機は、概して足が長い。しかしあのリッピ商会の私有飛行艇を?一体何でまた?連合軍なり空軍が多用している、タンテ(Ju-52)ダコダ(DC-3)や、最悪輸送船でも十分だろう。第一、誰が飛ばすと言うんだ?私も水上機は飛ばせるが、私有品を無責任に触ることなどは、流石にためらわれる。 「誰が何を飛ばすんだ、そんな顔だね。当たり前だな。飛ばすのは当のお嬢様・・・ああ、ティツィアナ・リッピ空軍中尉だ。戦闘第六航空群所属の、中隊長だった」 ・・・・ああ、あのちょっと抜けてるお嬢様か。バッシス中尉も紫電の試験飛行に際し、一度空中で見かけたことがある。戦闘爆撃タイプのラロス十数機を相手に、彼女の率いる飛行中隊が戦闘を展開している様を。メルスが一撃離脱に向いた機体であることを十分に理解し、MG34機銃2挺の火力で目標を駆逐する戦術は、なかなかのものであった。しかし、多少、中隊の連携が甘い印象があった。事実、雲海に潜んでいる残存数機に気づいた様子はなく、指揮官としての彼女の面子を傷つけるわけにもいかず、バッシス中尉はその日、4機の撃墜スコアを密かに稼ぐことになる。 「ものは扶桑の九七式大型飛行艇の民間仕様。何でも、その飛行艇だけで五〇〇時間以上飛んで、最前線へ糧食やストライカー、武器弾薬の輸送までやってのけたらしい。腕は確かなんだよ、世間知らずなのは困ったものだが」 「勇気にも不足はなさそうですね、それに水上機でしたら私もコパイ程度は務まります。給油、休養地点などの設定は決まっているので?」 マランツァーノ大佐は手早く執務机の上に、海図を広げた。そこには、激戦地のアフリカを極力避けて、未だに人類の後方拠点となっている南アフリカ、インド、シンガポール、台湾、そして母の郷里の近い沖縄。その上で最終目的地、佐世保へのルートが引かれていた。 「手回しの良いことに、参謀本部とリッピ商会が合同で寄越してきた。リッピ商会としては、何れ来ることになっている扶桑海軍への販路獲得と、ご令嬢に最適な休養地点を。海軍としては自前の航空機を使わないで済むと分かった途端に、ね」 「人間、率直なのは健全ですよ」 「出発は四月一〇日一一〇〇時だ、それまでに飛行隊指揮の引継等々を済ませて欲しい。それと、暫くは忙しくなる」 この空母の艦長は、一体どんな手品を使ったのか。彼女の母の郷里、沖縄南西諸島の銘酒。「花酒」の一升瓶を引き出しより取り出した。 「餞別だ。君が離れることを寂しがっている若手も多い、士官食堂の一角を貸し出す。今晩は皆で存分にやってくれ」 全くのたらしぶりだ、この艦長は。ネウロイ相手の、優位とは言えない戦争が長く続く中、開戦当初は駆逐艦副長として。それ以降、常に水上艦艇を指揮し続け、強大なネウロイの航空戦力を前にして、少なからぬ商船軍艦が、幾多の命と共に失われる中、彼の指揮する艦艇がモラルブレイクを起こしたことは、一度もなかった。寧ろ、劣勢な状況の中で、欧州とアフリカ戦線の海洋通商航路を守り続けた、貴重な指揮官の1人であった。そして、艦を失わずに任務を達成し続け、部下の能力を最大限に引き出すことの天才が、このマランツァーノという男であった。 「有り難く、頂戴いたします。艦長は間違っても来られてはいけませんよ?これは強烈です。誰か泥酔して、艦長の頭を木魚と間違って叩くかもしれません」 「御母堂の祖国の仏具だったか?構わん、ポクポク叩いて宜しい!」 2人の海軍将校はひとしきり大笑いすると、互いに見事な敬礼と答礼を交わすと、退室という形で去っていった。後々彼女は、思いも寄らない形でマランツァーノ大佐に再会することになるが、それはまた、少し遠い将来の話である。 *一九四四年四月一〇日、一〇三〇時、タラント軍港 「話には聞いていたけれど、豪快な飛行艇だねえ・・・」 バッシス中尉はあの盛大な壮行会、引継。何とでも言える酒宴の翌日。多くの隷下ウィッチや整備兵が、六〇度に達する強烈な泡盛の二日酔い、頭痛に苦しむ中、平然と事後処理。部隊建制から紫電二二型・五三型混載となるであろう、アクィラ整備班への中尉手順などを纏め始めていた。「あの人のアルコール分解機能は、スーパーチャージャーでも付いているのか?」と、度々言われる彼女の酒豪ぶり、まさに極まれりである。まあ尤も、花酒は度数だけでなく、非常に美味い古酒であり、それを大いに中隊の皆が、楽しんでくれたことは、素直に喜びたいところだが。 結果として概ね、昨晩までに火器、弾薬、ストライカー、やや多めの携帯が許された私物などの積み込み。そして、二日酔いから立ち直った部下達に、自分の作成した概案の提示、打ち合わせを終え、今、彼女はタラントの埠頭に係留された、大型飛行艇の前にいる。カラーリングこそリッピ商会の、ブルーストライプとホワイトカラーであるが。 そこにあるのは紛れもない、扶桑皇国山西航空機製。九七式大型飛行艇であった。 全幅は四〇メートルと戦艦の艦幅よりも広く、全長も二五メートルを超え、機内は大人が立って歩けるほどの容積らしい。また、一九三七年に完成した旧い機体でありながら、未だに機能美を失わない、伸びやかな姿は、素直に綺麗な飛行艇だとバッシス中尉も気に入った。どうもエンジンは、原型のそれにと異なるものに変わっているらしいが、それも、この飛行艇の優美さを損ねるほどではない。 「中尉、失礼いたします。空軍第一八航空群所属、クラリーチェ・アルベティーニ少尉です。扶桑出向班指揮官の、リョーコ・バッシス中尉で宜しいでしょうか?」 自分より二、三歳年下らしい少女の声に振り向けば、今は生真面目そうな表情を浮かべた。しかし、如何にも勝ち気そうな空軍少尉が直立不動で敬礼を捧げている、空軍少尉がそこにはいた。バッシス中尉は練れた海軍式答礼を帰しながら、これはこれで相当なじゃじゃ馬だろうなあ、と、素早く人間観察を終えていた。 「ああ、リョーコ・アラシロ・バッシス中尉。空母アクィラからの出向組で、君達の上官を仰せつかってる。で・・・・これが連絡機らしいね」 「大きいですね、エンジンは・・・一五〇〇馬力級以上、機体構造もあちこち弄ってますね」 「へぇ、少尉は機械にも造詣があるのかな?」 「パワー不足の機材を押しつけられて以来、否応なしに」 そりゃあ違いないねと苦笑しながら、バッシス中尉はアルベティーニ少尉の考課表を思い出していた。技量は中の上、伸びしろは大いにあり。但し大火力と大馬力を望みすぎる傾向と、猪突猛進な戦闘技術の矯正に留意されたし、と。彼女の後ろに、自分と同じくトラックより降ろされたストライカーユニット固定機材、火器弾薬収納箱、弾薬箱、私物行李などを眺めつつ、彼女はふと気づいた。 「もしかして、そっちも扶桑のユニット?」 「ええ。天山という艦上機ユニットなんですが、戦闘脚じゃないので正直どんくさくて仕方ありません」 「多分、向こうに行ったら何とかなるでしょう・・・・おっと、彼女かな?」 「みたい・・・ですね」 民間仕様の九七式飛行艇改造型。その意外と絞り込まれた胴体側面の、原型より随分と大きな貨物搬入口が開かれ、些か機械油で汚れた、上半身は作業服、下半身は飛行服を着込んだ。クラリーチェとは違う意味で、かなり気の強そうな。しかし、彼女ほどあくの強くない、良くも悪くもお嬢様風の少女が、顔立ちに似合わぬ大声で、こちらに呼びかけた。 「転属予定のぉ、バッシス中尉とアルベティーニ少尉ですかぁ!?そこの、ドラム缶を使った桟橋を、上手に渡ってきてくださぁい!!貨物、機材はランチで運び込みます!」 意外と肺活量の大きい、無駄にでかい声ではなく、海風に遮られないよう、フレーズを区切った分かりやすい大声に「ほぅ」「へぇ」と、2人は「只のお嬢様」という認識を、少し改めた。こういう発音が出来るのは、洋上や港湾での作業を頻繁にこなした船乗りか、船舶工兵か、港湾要員などに近い。彼女が前線へ、この飛行艇を用いて何度も危険な輸送さえ請け負ったのは、本当なのだろう。 少々不安定ではあるが、見かけよりはしっかり出来ている、ドラム缶の連なりの上に、薄い鋼板を渡した「桟橋」を渡りきり、飛行艇の内部へ、飛行服姿のお嬢様へ抱きかかえられるような形で、搬入口から入り込んだ。内部は外観ほど優美ではなく、簡易寝台や書類机の役割を果たす、小さな金属製のテーブルなどはあるが、殆どは輸送区画むき出しである。あろうことか、飛行艇内部には簡易なウィンチクレーンまで準備されている。程なくして、焼き玉式エンジンの音が近づくと、彼女は「失礼!」と言い残し、器用にハシゴを渡り、機体上面に出ると「オーライ、オーライ!」と、2人のストライカーが収まった固定ユニット。火器弾薬。私物行李を、手際よくランチから機内へ、クレーンで運び込んでしまった。 「やるもんですね、お嬢様って聞いたのでどんなかと思いましたけど」 「空で見かけたときは、もう少し・・・と思っていたけど、案外勇気だけじゃなく、要領も良くなってるね」 するすると、搬入誘導が終わったときと同様、器用に上面ハッチを閉じ、ハシゴを滑り降りてきた「お嬢様」は作業帽を取ると、一礼した。 「ご挨拶が遅れました。扶桑皇国海軍派遣隊にこの度、志願いたしました戦闘第六航空群ティツィアナ・リッピ空軍中尉です」 「第一八航空群、クラリーチェ・アルベティーニ少尉です。もしも防御機銃の仕事が必要なら、何時でも大丈夫です」 「空母アクィラ戦闘飛行隊長、リョーコ・アラシロ・バッシス中尉。この度、2人の先任となった。宜しくお願いするよ、飛行艇もコパイ程度なら経験がある」 「それは良かった」 作業帽の中にたくし込んでいた、、こればかりはお嬢様らしい、丁寧に手入れされた赤みがかったブルネット。機械油にまみれてはいるが、育ちの良さそうな顔にリッピ中尉は素直に安堵の笑みを浮かべた。 「以前は北部戦線至近へ、私だけで、糧食弾薬を運び込みに言ったこともありましたから。原隊が護衛を出してくれたとは言え、勇気の要る作業でしたよ」 「流石はうちの実家の取引先、商売相手への仁義は忘れてないねえ」 「実家・・・ああ、バッシス交易の。ええ、当家は博打は打つな、買掛金と売掛金は迅速に処理しろ、顧客への仁義は忘れるな。それが家訓で社是ですから」 「気に入った!」「長い目で金儲けできるのが、皆で幸せになる最短ですよね!」 どうやら眼前の少女は、只の勇猛果敢なお嬢様という評価を、大分改めた方が良い。2人の飛行将校はにゅっと笑い、リッピ中尉に手を差し出し、三人で見事なハイタッチを決めた。何とも、ある意味では男らしい光景であったが、男勝りなバッシス中尉、勝ち気そうなアルベティーニ少尉、やや抜けていても見るところは見ている逞しさが出ているリッピ中尉が決めると、不思議とサマになった。 「火器、弾薬、ストライカー、私物は防護貨物区画に収まっています。簡単に撃ち抜かれはしません、自衛用にブレダM37重機が2挺あります。緊急時は・・・」 「ああ、M37なら使い慣れてるから大丈夫。射撃の腕はちょっとしたもんだから、任せて貰えれば」 「それは重畳、しかしお二人のストライカー・・・・メルスに比べると随分太いですね、攻撃機ですか?」 「・・・・あ”ん?」 あー、こういうことか。バッシス中尉は軽く額に手をやりながら、彼女の失言癖の項目を思い出した。横では一転して、今にも噛みつきそうなアルベティーニ少尉がいる。そう、彼女は恐らく何の悪意もなく、細身のメルスに比してやや胴回りの太い紫電、天山を「攻撃機」と判断してしまったのだ。余り乗りたがるウィッチがいないという事情を、何処かですっ飛ばして。実際、顔に悪意はなく、クラリーチェの怒り顔にもきょとんとしている。 「少尉、後でよく言って聞かせるから。それと、念のためだけど上部機銃座お願い。最近のラロスは低空侵入も覚えてる・・・中尉、操縦席へ。航法の打ち合わせと発進準備」 「分かりました!」 「・・・了解」 まあ、実際の所、クラリーチェの天山は対地攻撃機でもある。だから間違ってはいない。しかし望んでこんなものに乗っているわけではないのだ。悪意満面で言われたならまだ良かったのに。ブレダ重機の据えられた上部銃座に収まりながら、彼女は思った。正直、売られた喧嘩なら幾らでも買うし、負ける気はないけど、本当に無邪気に言われるとなあ。しっかりと銃座のドームから、上空を監視しつつも、彼女は何とも言えない表情を浮かべていた。が、しかし。 「そうか、喧嘩じゃなければ良いのよね」 きんぱつあくま。嘗て同じ部隊の戦友達から、そのような異名を頂戴した邪悪な笑みが、彼女の顔に広がった。流石に長旅になり、交代で休養を取る際。あるいは飛行記録や航法資料などを収めるため、三人のウィッチは、殆どの荷物を防護貨物区画に放り込む反面、最低限の小型トランクの携帯を、機内でも許されている。クラリーチェの場合、72が・・・・もとい何が収まっているか、言うまでもない。 「旅は道連れ、世は情け。扶桑にそんなことわざがあったわね。リッピ中尉、バッシス中尉、染めてあげます・・・・ゆっくりしていってね」 程無くてして、リッピ商会が独自に改修を行った、改造型九七式輸送飛行艇は、その優美な姿を数百メートル滑水した末に、大空へ浮かべた。改装により速度を稼ぐ代償として、航続距離は落ちている。ペイロードにより、それは更に下がるが、それでも二五〇〇キロは一足で飛んでしまうのが、この飛行艇であった。 本来ならば、この道中において何があったか。途中に立ち寄った補給地点での小旅行じみた休養などを描くべきだが、冗長になりすぎるので割愛する。但し、出雲少佐から、大概の外語をこなせることにより、三人の出迎えを。佐世保軍港の埠頭で、まさか飛行艇で本当にやってくるとは思わなかった。その点で驚いた後に、降り立った三人。意気投合した2人の中尉と少尉、軽く頭痛をこらえているバッシス中尉。彼等の申告と、盛り上がっている話題を耳にした、樫城中尉の言葉で、締めくくりたい。 「腐ってやがる、遅すぎたんだ・・・・・バッシス中尉、ご愁傷様です」
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エーリカ「ん~! 美味しかったね、パフェ」 店を出て、背伸びをするエーリカ 俺「そうだな」 俺とエーリカは次の目的地、ロマーニャ写真館へと進路を向けた ― ロマーニャ写真館 ― 俺「えっと、今すぐ撮影できますか?」 店内に入り、近くに居た男性店員に声をかけた 店員「はい、大丈夫ですよ」 俺は、エーリカとの写真を撮りたいと店員に告げ、撮影に移った エーリカ「ねぇねぇ! 服、ちゃんとビシッてなってる?」 こういう時に、身だしなみを気にするエーリカを見て、改めて乙女なんだなと実感した 俺「大丈夫だ。それと、いつもと同じ可愛いエーリカだ」 エーリカ「あ、ありがと…///」 最近、エーリカは感情を素直に出すようになった 前なら、恥ずかしがる表情を見せることは絶対に無かっただろう エーリカ「俺だって……その…かっこいい…よ……////」 俺「ふっ、ありがとな」 エーリカの身体をそっと引き寄せて、頭を撫でた エーリカ「……にしし…///」 店員「あの……撮影…しますよ?」 俺「あ、すみません!」 つい、エーリカとのトークに夢中になって、俺たちの今の状況をすっかり忘れていた 店員「じゃ、いきますよ! 」 店員の声の後、カメラのフラッシュがたかれた 店員「もう一枚、いきます!」 パシャっと最後の撮影が終わった 店員「では、写真が出来上がるまで30分ほどお待たせしてもよろしいでしょうか?」 俺「はい、わかりました。 エーリカ、出来上がるまでバルクホルン大尉に頼まれた物、買いに行かないか?」 エーリカ「そうだね」 俺たちは、ロマーニャ写真館を後にした 俺たちは、写真館の近くにあった本屋へと入った その本屋は、少し古びているものだった エーリカ「どれにしようかな?」 俺とエーリカで本棚にある絵本を探していく 俺「ん? これは…扶桑の絵本…?」 俺の乏しい扶桑語知識で、絵本に書かれている文字を読み取った 俺「……もも…たろう…? エーリカ、これなんかどうだ?」 俺は隣に居るエーリカにひょいと、その本を渡した エーリカ「んー 扶桑語だから読めない……」 俺「だよなぁ…俺もあまり内容はわからないな…」 扶桑の絵本の内容が理解できないで困っている時に、一人の老人が話しかけてきた 老人「何かお困りですか?」 話しかけてきた年配の男性は、この店の者と推測された 俺「えっとですね…この絵本の扶桑語が読めなくて…」 老人「でしたら、こちらにその絵本をブリタニア語や、カールスラント語などに訳した物がありますよ」 そう言うと老人は、何冊かの本を取り出した エーリカ「おじさん、ありがとう!」 エーリカはお礼を告げると、カールスラント語の物を手に取った エーリカは、しばらくその絵本を読み続けた 俺「どうだ?」 エーリカ「これ、おもしろ~い!!」 子供のようにはしゃぐエーリカ その姿は、まさしく天使だった 俺「どれどれ、俺も」 エーリカから本を受け取り、俺も読み始めた 俺「うん、これはいいな!」 いい歳した俺でも、この扶桑の絵本に魅了させられた 俺「じゃ、これ買います。いくらですか?」 俺は、老人から言われた金額を支払った 店内に掛けてあった時計を見ると、そろそろ写真が出来上がる時間だった 俺「エーリカ、そろそろ写真できたんじゃないか?」 エーリカ「そうだね、行ってみようか」 俺たちは老人にお礼を告げて、店を後にした 写真館で写真を受け取り、俺たちは車を駐車した場所に戻っているところである 俺「なかなか綺麗に写ってるじゃん」 エーリカ「そうだね~」 2枚撮った写真を、お互い1枚ずつ手に取った 俺「これなら、俺がスオムスに行ってても大丈夫だよな?」 エーリカ「んー やっぱり、俺が傍に居ないと駄目だよ…」 エーリカは俺にそっと抱きついてきた 俺「俺だって傍に居たいさ… でも、仕方が無いこともあるんだ…」 俺は、溜息をつきながら写真をポケットにすっと入れた 俺「…そろそろで車のところか?」 その時、突然雲行きが怪しくなり、あっという間に雨が降りだしてきた しかも、先が見えなくなるような物凄い雨だ 俺「おわっ!? 雨降ってきやがった!!} エーリカ「つ、強い雨だねっ!」 俺たちは雨宿り出来る所を捜した すると、都合よく誰も使っていなさそうな小屋を見つけた 俺「エ、エーリカ! ひとまず、あそこの小屋で雨宿りするぞ!」 エーリカ「う、うん!」
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1945年7月、ヴェネツィア沖50km。 扶桑海軍儂中将率いる連合軍統合戦闘艦隊、第一遊撃部隊は空を覆わんばかりに押し寄せるネウロイと激烈な対空戦闘を展開していた。 ガリアに続く欧州における第二の決戦に臨むにあたって、統合艦隊司令部は可能な限りの戦力を結集していた。 主力艦だけで扶桑の空母天城、千歳、千代田、戦艦大和、カールスラントの戦艦ビスマルク、ロマーニャの戦艦リットリオ、ドージェ 、そしてブリタニアからはプリンス・オブ・ウェールズを含むKGV級戦艦が4隻参加している。 空母3隻、戦艦9隻に加えて、その周囲を固める駆逐艦群は-防空性能が高いことでしられるリベリオンのフレッチャー級を含む-各国の新鋭駆逐艦14隻がその防空任務に付いていた。 まさに 人類が今持てる戦力全てを結集した艦隊だった。 統合艦隊旗艦天城の昼戦艦橋から艦隊司令長官儂中将は、睨むように戦況を見据えていた。主要防御区画内にCIC--中央指揮所--を持たない扶桑の艦艇では、総司令官以下の艦隊司令部員全てが危険な昼戦艦橋に集まっている。儂中将の目前では無線から伝えられる艦隊に所属する各艦からの報告に対して、参謀たちが次々と戦術的な議論を交わしていた。 「電探より報告、敵第二波後退していきます」 「各艦に連絡、被害報告セヨ」 「損傷の激しい艦は後退させろ」 「戦闘可能な艦を下げさせるなよ、決戦だぞ」 全艦に防空戦闘を命じたこの段階では、彼の指揮権で出来ることは--艦隊総司令という肩書きから一般人が想像するそれより--驚くほどに少ない。 乗艦である天城の操艦及び戦闘指揮は杉田艦長以下の士官の任務であるし、戦隊行動、空母航空隊、そして第501統合戦闘航空団、それぞれの部隊の指揮官が彼の描いた戦局図を実現するために全力を尽くしている。 彼が次に命令を発することが出来る局面は、戦況が決定的な状況に達したときだけだった。 すなわち、決戦兵器たる大和がネウロイの巣を粉砕したときに発する追撃命令、そしてもうひとつは、作戦が失敗したときに発する全軍退却の命令だけだからだ。 頼むぞ、杉田艦長、坂本少佐。儂は自身の無力に歯噛みする気持ちで思った。大和を曳航するこの天城が損傷を受けることはそのまま、作戦の成功率の低下を意味する。そのために儂中将は、旗艦の直衛には、恐らく世界一であろう戦闘力を持つ501航空団を付けたのであるし、扶桑海軍一の操艦術を持つ杉田大佐を大和から引きぬいて天城に乗せていた。 圧倒的な数で迫る敵の攻勢に対して、501が行う戦闘は見事としか言うことのできないほどのものであったが、百倍にも達している数の暴力に対して度重なる爆撃を許していた。つまり、機動性の低い空母がここまで一度も被弾せずに来れたのは、杉田艦長の巧みな操艦のみがなせた奇跡であった。 統合艦隊旗艦天城-防空指揮所- 艦橋の最上部に位置する防空指揮所では、天城艦長の杉田大佐が操艦の指揮をしていた。露天の防空指揮所は言うまでもなく危険な場所だが、その危険の何にも勝る見晴らしの良さから大抵の艦長はここで防空指揮をを行っている。 「敵機複数右ヒトゴーマル(150)度、旋回運動」 「本艦の中心線上を占位しつつあり!」 「取舵ヒトマル(10)」 八方に各二人ずつ位置する見張り員から次々と飛び込む報告を受けて、杉田は回避運動の準備行動を指示した。すでに獲物を睨む狩人のような厳しい視線を上空の敵機編隊に向けている。敵機が爆弾を投下しようとするその瞬間を見極めようとしているのだ。敵機が艦の直後方に位置した瞬間、杉田は操舵員に向けて叫んだ。見張り員の報告がそれに重なる。 「取舵一杯!」 「敵機急降下!!」 取舵方向に行き足のついていた艦はその巨体からは、驚くほど機敏に方向を変えた。 ネウロイが投下した光弾は、目標を見失い海中で炸裂し、虚しく海水を巻き上げた。海水が雨のように吹きつける中で、杉田は杉田は背筋に冷たいものを感じていた。 「被害報告!」 「各部異常なし。全力発揮可能です」 輪形陣を組む艦隊の中央に位置する天城についに至近弾があった。それが意味することはすなわち、艦隊の防空に穴が生じたということに他ならない。既に501の支援に繰り出した艦載機の半数が未帰還となっている。 幸いにもウィッチに損害はないがこの戦況ではいつ迄持つかわからん。杉田は思った。 「敵第三波来ます!」 見張り員の言葉に、杉田はネウロイと航空部隊の入れ乱れる戦闘空域を再び見据えた。(なんだ。何かおかしい?)杉田は前方に広がる光景に違和感を覚えた。(爆撃機が少ない……いや!いない!まさか!?) 「空戦型ネウロイ多数と確認、艦長!これは!?」 「敵機全機大和に向かいます!狙いはウィッチです!」 「なんだとっ!?」 大和上空2000m- 『司令部ヨリ空戦指揮官へ、敵援軍ハ空戦型多数ト認ム。十分ニ注意サレタシ。援護ノ要望アラバ全力デ之ニ応エン』 「あぁっ!?」 「囲まれたっ!?」 度重なる敵の攻勢に、幾度かの着艦休憩を挟んで防空戦闘を繰り広げていた501だったが、敵の主目標の突然の変更に対応する一瞬の隙を突かれて各機の連携に乱れが生じていた。そしてついに、大和直上でお互いの背後を守るように飛んでいたペリーヌ、リーネがその数の暴力の前に捕まった。数機のネウロイが彼女たちの後方についている。 「リーネちゃんっペリーヌさん!」 そう叫ぶ宮藤だったが、数十のネウロイによる大和への一斉砲火を防いでいる最中であり援護にまわる余力はなかった。あるいはネウロイはこの巨大なシールドを持つウィッチをそこに釘付けにするために 、それを行っているのかも知れなかった。 後方より迫り来るネウロイの火線をかろうじて掻い潜っていた二人だったが、最高速度、機動性共に勝る相手を振り切るのことは生半可な技量でなせることではなかった。いや、あるいはペリーヌひとりであったらそれは可能だったはずだ。しかし彼女には僚機がいた。リーネは才能の優れたウィッチであったが、一流のエースとなるにはまだ経験が圧倒的に不足していた。そしてなにより、格闘戦は彼女の最も苦手とするものであった。 リーネが追従できるぎりぎりの機動で敵の追撃をかわし続けるペリーヌであったが、このままではいずれ限界を迎えることが彼女にもわかっていた。 「ペリーヌさん……。私を置いて逃げてくださいっ! 私が足を引っ張って」 前方を飛ぶペリーヌに向けて言うリーネ。それに遮るようにペリーヌは叫んだ。 「お黙りなさいっ! 貴女はわたくしに親友を置いて逃げる恥知らずになれと言うんですの!? そんな世迷い事を口走る暇があるなら、戦闘に集中しなさいっ!」 自力ではどうしようもない状況だが、彼女はひとりではない。こうして飛んでいる限り、仲間がきっと援護に入ってくれるはずだと、ペリーヌは信じていた。彼女の仲間は世界一のエースたちなのだから。 しかしついにその希望も水泡に帰した。最初に被弾したのはリーネだった。 「リーネさん! 上から来ます!」 直上から迫る空戦ネウロイにペリーヌは無意識に、戦闘脚を操った。右ヨーからのハイGバレルロール。敵機の狙いを完全に外すことに成功する。しかし、次の瞬間後方より響いた悲鳴に、全身が粟立った。 上方からの奇襲に完璧に対応したペリーヌであったが、その高度な空戦機動にリーネは完全に取り残されていた。 ネウロイの光線がリーネの左脚をかすめる。マーリン魔道エンジンは2、3度大きく振動した後、黒煙を吐いてその機能を停止した。きりもみしながら落下するリーネを見てペリーヌは血相を変えた。二人がいたのは大和の直上。落下すればその体は海上ではなく、硬い甲板に叩きつけられることになる。 もちろんそんなことを考えるより先にペリーヌはリーネを助けるために急降下に入っていた。その判断の速さと幾分の幸運によってペリーヌは墜落死寸前でリーネを抱き抱えることに成功した。 しかし幸運の女神はいつまでも微笑んでいてはくれなかった。被弾していたリーネの飛行脚が爆発。その余波にやられてペリーヌのストライカーもその機能を停止した。 こうなってはガリアのエース、青の一番といえどもただ出来る限りのシールドを貼って落下の衝撃に備えることしか出来ない。 僚機の墜落、その光景を前にして宮藤は弾かれたように飛び出した。 「リーネちゃああんっ!!!ペリーヌさあああん!!」 当然指揮官から叱責が飛ぶ。 「宮藤さん!待ちなさいっ」 「いや、いいミーナ。このままでは宮藤は戦えないだろう。宮藤ぃ!!大和内で二人の治療を行え!上は私たちが守る!」 それに割りこむように坂本が叫んだ。 「!?……もうっ。これだから扶桑の魔女って!」 「すまんな。ミーナ……」 「いいわ。編隊各機に告げます。フォーメーション・ドーラ。大和防衛に全ての力を注ぎます」 各機から了承の声が上がる。依然として大和に集中する火線の中で501部隊は劣勢を強いられていた。もともとの数で圧倒されていた上に、三機が戦線を離脱したことで濃密に貼られていたはずの防空網に穴が空いていた。 「第四波……爆撃型ネウロイ約50機来ます」 サーニャの魔導針が敵の第四波を捉える。 「うじゅぅ…防ぎきれないよー」 「主要区画以外なら通しても構わん!大和は戦艦だ!沈みはしない」 事実だった。戦艦は同級艦との直接打撃戦を想定して設計されている。46センチ砲の直撃クラスでなければ傷はついても沈むことはない。だがしかしそれには例外もあった。 「しかし少佐!中には宮藤たちがっ!」 バルクホルンが声をあげる。 頑丈に作られた艦が無事でも中の人員はそうはいかない。そして扶桑海軍の設計思想には、伝統的にダメージコントロールの中に人員を含めないという悪癖があった。 「大丈夫だ!大和の防御力を信じろ!!」 扶桑海軍軍人の坂本がそれを知らないわけがない。しかし彼女には佐官としての責任があった。大和の性能を過大に発して、部隊の士気を維持する。指揮官としての判断だった。 「それより中佐。あとどれくらい守ればいいんだ?こっちはそろそろ打ち止めだぜ」 不毛な議論に割りこむように、シャーリーの冷静な声がインカムに入った。部隊の調整役の彼女らしい配慮だった。その言葉に込められた意味を読み取って、歴戦のウィッチ達は防空戦闘に意識を戻した。 ミーナが返答する。 「八分よっ! 各機僚機と支援しあってちょうだいっ」 「りょーかい! いくぞおおルッキーニぃぃ」 「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁぁ!」 ルッキーニを連れてシャーリーが勢い良く飛び出した。しかしその心中は勢いとは真逆だった。 (この戦況で八分か……) シャーリーはふと後ろを飛ぶルッキーニに振り返った。目が合ったルッキーニが微笑んだ、戦場に似合わない無邪気な笑みだ。その笑顔が、シャーリーの中にあった迷いを吹き晴らした。シャーリは思う。 何かを守るために……か。宮藤のやつが言っていたことが少し分かった気がする。少なくともこの小さな笑顔だけは絶対に守りぬいてやろう。そう、たとえこの身に代えることになっても。 眼前に高速で迫る中型爆撃ネウロイに向けてBARを打ち鳴らす。 しかし7.62mm弾ではその厚い装甲を撃ち抜くには足りなかった。 「シャーリー!!」 ルッキーニが心配の声を上げる。(ルッキーニ、そんな悲しい声で私の名前を呼ばないでくれよな。こんなやつ私があっという間に吹き飛ばしてやるからさ)そう心中で告げると、シャーリーは全速でネウロイに向けて突進した。前方に貼ったシールドがネウロイと接触する。衝撃に全身の骨がみしみしと音を立てている。(堅いな。だけど!!)シャーリーは自身の持つ超加速の魔法を発動させた。P-51Dのマーリンエンジンが咆哮をあげる。 「いっけぇー!!」 シャーリーが叫ぶと同時に、シールドがネウロイの装甲を完全に粉砕した。シャーリーの目が正面のネウロイのコアを捉える。照準を合わせる。射撃。BARのあげる金切り声がネウロイの悲鳴のように響いた。そして、その7.62mmがネウロイのコアを貫いた。ネウロイの破片がきらめく中心で、シャーリーは叫んだ。 「さあ来い!今日のグラマラス・シャーリーは一味違うぜ!」 急速に悪化する戦況の中で奮闘する彼女たちを救ったのは、戦場の主役としての座をとうの昔に奪われた一隻の戦艦だった。 「大和直衛ウィッチ被弾。大和内で治療を開始」 「艦長!落ちたのは宮藤軍曹だそうです!」 副長の言葉に、艦橋がどよめいた。統合艦隊派遣ロマーニャ艦隊旗艦、ヴィットリオ・ヴェネト級二番艦リットリオ。アドリア海でウィッチーズに、宮藤に救われた恩を彼女は忘れてはいなかった。艦長である俺大佐が口を聞いた。 「ふむ。副長。近頃の連合軍内に広まる我が軍に対する不名誉な噂を知っているかね」 「は?」 「なんでもロマーニャ軍はヘタレの集まりで、仲間にしない方がマシ、勝率があがるそうだ」 突然の俺の言葉だったが、彼がまだ水雷艇の艇長だったころから付き従ってきた副長はそれだけで彼の決意を理解する。 「はっ。なんとも不名誉な噂ですな。しかしまるっきりの中傷というわけでもありますまい。我が国民は一般的な戦場での勇敢さに欠けるところがありますからな」 副長の言葉に、否定の声が上がった。勤務態度に難があることで知られる、砲術長だ。 「しかし副長!今はそんなくだらない戦場なんかじゃありませんぜ!!」 「その通りだ砲術長。目の前でお姫さまが困っている。ならば我々は何かね?ヘタレ国家ロマーニャの弱兵かね?それとも……」 砲術長の言葉を継いだ俺の問いかけに艦橋にいた全ての男達が立ち上がる。それを代表して副長が答える。 「決まっています。我々は騎士です。イイ女の前で意地も張れぬなどと、男としてありえませんな」 「艦長!連合軍の連中に教育してやりましょう本当のロマーニャの男の勇気というものを」 我が意を得たりと、俺艦長は大きく頷き命令を発した。 「これより本艦は艦隊指揮下を離れる!全速前進。全砲門使用自由。大和の前に回りこめぃ!」 それが当然と言わんばかりに副長が答える。 「了解!男の見せどころですな」 大和の前に出る。つまりネウロイの巣と大和の間に位置することでネウロイの攻撃を自らの方に逸らそうと言うのだ。ネウロイ化後の自己修復を想定して無人曳航されていた大和とは違い、彼女は兵員を乗せていた。 「左砲戦用意。射撃準備急げ」 「機関全速発揮中。本艦現在31ノット」 「射撃準備完成!」 「撃てぃ!」 しかしそれでもだれも恐れていなかった。かつてその身を救ったウィッチが、墜落した仲間を助けるために大和内にいる。その状況で黙っていられるほど彼らの誇りは安くはなかった。ロマーニャの男は女性を守るためなら世界で最強。その言葉を、彼らは自らの血肉をもって示そうとしていた。 轟音が響き船体が大きく揺れた。身体を揺らす衝撃にリーネは目を覚ました。あたりを見回す。薄暗いがどこかの艦艇の中のようだ。 「リーネちゃん!よかったぁ……」 リーネの足元から聞きなれた声が聞こえた。芳佳の手は回復魔法の光で輝いていた。そうか私ネウロイにやられて…。確かペリーヌさんに助けられて、そしたら私のストライカーが……っ。 「芳佳ちゃん!ペリーヌさんはっ?私のせいで!!」 「大丈夫だよ。ペリーヌさんはもう気が付いて自分のストライカーを修理してるの。それよりまだ動いちゃ駄目。すっごい怪我だったんだから 」 装着状態のストライカーの爆発によりリーネは足の付根に大きな傷を負っていた。今まがりなりにも繋がって動いているのは宮藤の迅速的確な処置の賜物だった。船室の扉が乱暴に開かれペリーヌが飛び込んで来る。 「宮藤さんっ。修理が終わりましたわ。脱出しますわよ」 「でもまだ治療が終わっていません!動かすのは危険です」 宮藤の言葉は事実だった。リーネの怪我は宮藤の魔法で、かろうじて塞がってはいるものの本格的な治療が必要だった。 「でももなにもありませんわ。この場の最上級者はわたくしです。従ってもらいますわ。……それに、先程の攻撃で前方で大和の身代わりになっていた戦艦が被弾いたしました。次の攻撃には大和はともかく、私たちは耐えられませんわ」 「!?っロマーニャの戦艦が……」 巧みな操艦とその強靭な装甲で、大和の盾となっていたリットリオだったが、度重なるネウロイの攻撃の前についに避けきれずに主要部への被弾を許していた。 「でもっまだみんなが!」 「いいえ中佐を含む全員が既に魔力切れを起こして天城に退避しています」 退くことさえ出来ない戦況で絶望的な抵抗を続けていた501だったが、リットリオの乱入により担当空域が減少、魔力切れの隊員から順次着艦していたのだった。 「リーネさんはわたくしが背負います。いきますわよ」 言いながらも、既にリーネを背負いペリーヌは走り出していた。目的地はストライカーを収納した後部格納庫だ。 「……了解」 宮藤はペリーヌを追って駈け出した。しかしこの場にもう一人居れば気づいただろう。宮藤の手が治療中も含めて常に脇腹に当てられていたことに、駆け出す宮藤の顔が一瞬苦痛に歪んだことに。だがペリーヌは気づかない。声に張りがないことすらも、彼女には医者として了承しかねる部分があるのだろうと考えてしまっっていた。 ストライカーを装着しエレベーターで後部甲板に出た三人が見たものは、 大火災を起こし、天を衝かんばかりに黒煙をあげるリットリオの姿だった。 「戦艦が……」 「……沈む」 しかしその艦首はは本来ならありえない方向、天に向かっていた。いや 彼女の命運を考えれば、あるいはその艦首は進撃する方向に向いているのかもしれなかった。 衝撃と轟音が発生した。俺大佐は身体に力を込めてなんとかその衝撃をやり過ごした。 「各部被害報告!」 「右舷艦尾被弾。火災発生」 「機関部に直撃弾、出力維持出来ませんっ!」 「左舷後方第五区画漏水発生。右舷応急注水開始します」 「傾斜角戻りません!現在4度」 手の施しようのない大傾斜をおこした艦の防空指揮所にて俺は最後の命令を発した。俺の命令を受けて通信員が全艦に総員退艦を伝えた。 「もはや……、ここまでか。総員退艦せよ」 俺は生き残りの士官を見回した。全員に向けて敬礼をする。軍隊では敬礼は本来下級者から行うものであるが、何故かこのとき俺はそうしたかった。全員からの答礼を確認し告げる。 「今まで俺によく従ってくれた。諸君らの祖国と海軍への忠誠に感謝する。副長!退艦の指揮を頼む」 「はっ!お別れですな。なに我々もすぐに行きます」 副長の指示に従い、艦橋部の生き残りが退艦を開始する。生き残りの中からは俺の心意気に心服し、退艦を拒むものが続出するが、俺はその一人一人の肩を叩き、「しっかりやれよ」と激励して、水中に付き落とした。 艦内に一人残った俺は最後の信号を発信すると、自身の身体を羅針盤にきつく巻きつけた。あんだけカッコつけて生き残ったら洒落にもならない。 海水が侵入してくる。俺が黒煙の向こうにみた最後の光景は、大和の中から人を背負ったウィッチが飛び出すところだった。よかった、俺達の突撃は無駄じゃなかったんだ。 しかし海中に沈んだ彼は、知らない。彼が最期に見たウィッチはペリーヌ・クロステルマン中尉、背負われていたのはリネット・ビショップ曹長であるということを。彼と彼の艦をかつて救った恩人、宮藤軍曹は、未だその身を大和内に置いているということを。 その身をポセイドンの神殿へと沈めたリットリオ。彼女の沈没により戦場はさらに混迷を極める。ウィッチの退いた戦場で男たちの戦いが始まる。そしてその身に宮藤を抱いたまま、大和が飛翔する。次回男たちの最終回~儂中将編~。お楽しみに~
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1945年7月、ヴェネツィア沖50km。 扶桑海軍儂中将率いる連合軍統合戦闘艦隊、第一遊撃部隊は空を覆わんばかりに押し寄せるネウロイと激烈な対空戦闘を展開していた。 ガリアに続く欧州における第二の決戦に臨むにあたって、統合艦隊司令部は可能な限りの戦力を結集していた。 主力艦だけで扶桑の空母天城、千歳、千代田、戦艦大和、カールスラントの戦艦ビスマルク、ロマーニャの戦艦リットリオ、ドージェ 、そしてブリタニアからはプリンス・オブ・ウェールズを含むKGV級戦艦が4隻参加している。 空母3隻、戦艦9隻に加えて、その周囲を固める駆逐艦群は-防空性能が高いことでしられるリベリオンのフレッチャー級を含む-各国の新鋭駆逐艦14隻がその防空任務に付いていた。 まさに 人類が今持てる戦力全てを結集した艦隊だった。 統合艦隊旗艦天城の昼戦艦橋から艦隊司令長官儂中将は、睨むように戦況を見据えていた。主要防御区画内にCIC--中央指揮所--を持たない扶桑の艦艇では、総司令官以下の艦隊司令部員全てが危険な昼戦艦橋に集まっている。儂中将の目前では無線から伝えられる艦隊に所属する各艦からの報告に対して、参謀たちが次々と戦術的な議論を交わしていた。 「電探より報告、敵第二波後退していきます」 「各艦に連絡、被害報告セヨ」 「損傷の激しい艦は後退させろ」 「戦闘可能な艦を下げさせるなよ、決戦だぞ」 全艦に防空戦闘を命じたこの段階では、彼の指揮権で出来ることは--艦隊総司令という肩書きから一般人が想像するそれより--驚くほどに少ない。 乗艦である天城の操艦及び戦闘指揮は杉田艦長以下の士官の任務であるし、戦隊行動、空母航空隊、そして第501統合戦闘航空団、それぞれの部隊の指揮官が彼の描いた戦局図を実現するために全力を尽くしている。 彼が次に命令を発することが出来る局面は、戦況が決定的な状況に達したときだけだった。 すなわち、決戦兵器たる大和がネウロイの巣を粉砕したときに発する追撃命令、そしてもうひとつは、作戦が失敗したときに発する全軍退却の命令だけだからだ。 頼むぞ、杉田艦長、坂本少佐。儂は自身の無力に歯噛みする気持ちで思った。大和を曳航するこの天城が損傷を受けることはそのまま、作戦の成功率の低下を意味する。そのために儂中将は、旗艦の直衛には、恐らく世界一であろう戦闘力を持つ501航空団を付けたのであるし、扶桑海軍一の操艦術を持つ杉田大佐を大和から引きぬいて天城に乗せていた。 圧倒的な数で迫る敵の攻勢に対して、501が行う戦闘は見事としか言うことのできないほどのものであったが、百倍にも達している数の暴力に対して度重なる爆撃を許していた。つまり、機動性の低い空母がここまで一度も被弾せずに来れたのは、杉田艦長の巧みな操艦のみがなせた奇跡であった。 統合艦隊旗艦天城-防空指揮所- 艦橋の最上部に位置する防空指揮所では、天城艦長の杉田大佐が操艦の指揮をしていた。露天の防空指揮所は言うまでもなく危険な場所だが、その危険の何にも勝る見晴らしの良さから大抵の艦長はここで防空指揮をを行っている。 「敵機複数右ヒトゴーマル(150)度、旋回運動」 「本艦の中心線上を占位しつつあり!」 「取舵ヒトマル(10)」 八方に各二人ずつ位置する見張り員から次々と飛び込む報告を受けて、杉田は回避運動の準備行動を指示した。すでに獲物を睨む狩人のような厳しい視線を上空の敵機編隊に向けている。敵機が爆弾を投下しようとするその瞬間を見極めようとしているのだ。敵機が艦の直後方に位置した瞬間、杉田は操舵員に向けて叫んだ。見張り員の報告がそれに重なる。 「取舵一杯!」 「敵機急降下!!」 取舵方向に行き足のついていた艦はその巨体からは、驚くほど機敏に方向を変えた。 ネウロイが投下した光弾は、目標を見失い海中で炸裂し、虚しく海水を巻き上げた。海水が雨のように吹きつける中で、杉田は杉田は背筋に冷たいものを感じていた。 「被害報告!」 「各部異常なし。全力発揮可能です」 輪形陣を組む艦隊の中央に位置する天城についに至近弾があった。それが意味することはすなわち、艦隊の防空に穴が生じたということに他ならない。既に501の支援に繰り出した艦載機の半数が未帰還となっている。 幸いにもウィッチに損害はないがこの戦況ではいつ迄持つかわからん。杉田は思った。 「敵第三波来ます!」 見張り員の言葉に、杉田はネウロイと航空部隊の入れ乱れる戦闘空域を再び見据えた。(なんだ。何かおかしい?)杉田は前方に広がる光景に違和感を覚えた。(爆撃機が少ない……いや!いない!まさか!?) 「空戦型ネウロイ多数と確認、艦長!これは!?」 「敵機全機大和に向かいます!狙いはウィッチです!」 「なんだとっ!?」 大和上空2000m- 『司令部ヨリ空戦指揮官へ、敵援軍ハ空戦型多数ト認ム。十分ニ注意サレタシ。援護ノ要望アラバ全力デ之ニ応エン』 「あぁっ!?」 「囲まれたっ!?」 度重なる敵の攻勢に、幾度かの着艦休憩を挟んで防空戦闘を繰り広げていた501だったが、敵の主目標の突然の変更に対応する一瞬の隙を突かれて各機の連携に乱れが生じていた。そしてついに、大和直上でお互いの背後を守るように飛んでいたペリーヌ、リーネがその数の暴力の前に捕まった。数機のネウロイが彼女たちの後方についている。 「リーネちゃんっペリーヌさん!」 そう叫ぶ宮藤だったが、数十のネウロイによる大和への一斉砲火を防いでいる最中であり援護にまわる余力はなかった。あるいはネウロイはこの巨大なシールドを持つウィッチをそこに釘付けにするために 、それを行っているのかも知れなかった。 後方より迫り来るネウロイの火線をかろうじて掻い潜っていた二人だったが、最高速度、機動性共に勝る相手を振り切るのことは生半可な技量でなせることではなかった。いや、あるいはペリーヌひとりであったらそれは可能だったはずだ。しかし彼女には僚機がいた。リーネは才能の優れたウィッチであったが、一流のエースとなるにはまだ経験が圧倒的に不足していた。そしてなにより、格闘戦は彼女の最も苦手とするものであった。 リーネが追従できるぎりぎりの機動で敵の追撃をかわし続けるペリーヌであったが、このままではいずれ限界を迎えることが彼女にもわかっていた。 「ペリーヌさん……。私を置いて逃げてくださいっ! 私が足を引っ張って」 前方を飛ぶペリーヌに向けて言うリーネ。それに遮るようにペリーヌは叫んだ。 「お黙りなさいっ! 貴女はわたくしに親友を置いて逃げる恥知らずになれと言うんですの!? そんな世迷い事を口走る暇があるなら、戦闘に集中しなさいっ!」 自力ではどうしようもない状況だが、彼女はひとりではない。こうして飛んでいる限り、仲間がきっと援護に入ってくれるはずだと、ペリーヌは信じていた。彼女の仲間は世界一のエースたちなのだから。 しかしついにその希望も水泡に帰した。最初に被弾したのはリーネだった。 「リーネさん! 上から来ます!」 直上から迫る空戦ネウロイにペリーヌは無意識に、戦闘脚を操った。右ヨーからのハイGバレルロール。敵機の狙いを完全に外すことに成功する。しかし、次の瞬間後方より響いた悲鳴に、全身が粟立った。 上方からの奇襲に完璧に対応したペリーヌであったが、その高度な空戦機動にリーネは完全に取り残されていた。 ネウロイの光線がリーネの左脚をかすめる。マーリン魔道エンジンは2、3度大きく振動した後、黒煙を吐いてその機能を停止した。きりもみしながら落下するリーネを見てペリーヌは血相を変えた。二人がいたのは大和の直上。落下すればその体は海上ではなく、硬い甲板に叩きつけられることになる。 もちろんそんなことを考えるより先にペリーヌはリーネを助けるために急降下に入っていた。その判断の速さと幾分の幸運によってペリーヌは墜落死寸前でリーネを抱き抱えることに成功した。 しかし幸運の女神はいつまでも微笑んでいてはくれなかった。被弾していたリーネの飛行脚が爆発。その余波にやられてペリーヌのストライカーもその機能を停止した。 こうなってはガリアのエース、青の一番といえどもただ出来る限りのシールドを貼って落下の衝撃に備えることしか出来ない。 僚機の墜落、その光景を前にして宮藤は弾かれたように飛び出した。 「リーネちゃああんっ!!!ペリーヌさあああん!!」 当然指揮官から叱責が飛ぶ。 「宮藤さん!待ちなさいっ」 「いや、いいミーナ。このままでは宮藤は戦えないだろう。宮藤ぃ!!大和内で二人の治療を行え!上は私たちが守る!」 それに割りこむように坂本が叫んだ。 「!?……もうっ。これだから扶桑の魔女って!」 「すまんな。ミーナ……」 「いいわ。編隊各機に告げます。フォーメーション・ドーラ。大和防衛に全ての力を注ぎます」 各機から了承の声が上がる。依然として大和に集中する火線の中で501部隊は劣勢を強いられていた。もともとの数で圧倒されていた上に、三機が戦線を離脱したことで濃密に貼られていたはずの防空網に穴が空いていた。 「第四波……爆撃型ネウロイ約50機来ます」 サーニャの魔導針が敵の第四波を捉える。 「うじゅぅ…防ぎきれないよー」 「主要区画以外なら通しても構わん!大和は戦艦だ!沈みはしない」 事実だった。戦艦は同級艦との直接打撃戦を想定して設計されている。46センチ砲の直撃クラスでなければ傷はついても沈むことはない。だがしかしそれには例外もあった。 「しかし少佐!中には宮藤たちがっ!」 バルクホルンが声をあげる。 頑丈に作られた艦が無事でも中の人員はそうはいかない。そして扶桑海軍の設計思想には、伝統的にダメージコントロールの中に人員を含めないという悪癖があった。 「大丈夫だ!大和の防御力を信じろ!!」 扶桑海軍軍人の坂本がそれを知らないわけがない。しかし彼女には佐官としての責任があった。大和の性能を過大に発して、部隊の士気を維持する。指揮官としての判断だった。 「それより中佐。あとどれくらい守ればいいんだ?こっちはそろそろ打ち止めだぜ」 不毛な議論に割りこむように、シャーリーの冷静な声がインカムに入った。部隊の調整役の彼女らしい配慮だった。その言葉に込められた意味を読み取って、歴戦のウィッチ達は防空戦闘に意識を戻した。 ミーナが返答する。 「八分よっ! 各機僚機と支援しあってちょうだいっ」 「りょーかい! いくぞおおルッキーニぃぃ」 「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁぁ!」 ルッキーニを連れてシャーリーが勢い良く飛び出した。しかしその心中は勢いとは真逆だった。 (この戦況で八分か……) シャーリーはふと後ろを飛ぶルッキーニに振り返った。目が合ったルッキーニが微笑んだ、戦場に似合わない無邪気な笑みだ。その笑顔が、シャーリーの中にあった迷いを吹き晴らした。シャーリは思う。 何かを守るために……か。宮藤のやつが言っていたことが少し分かった気がする。少なくともこの小さな笑顔だけは絶対に守りぬいてやろう。そう、たとえこの身に代えることになっても。 眼前に高速で迫る中型爆撃ネウロイに向けてBARを打ち鳴らす。 しかし7.62mm弾ではその厚い装甲を撃ち抜くには足りなかった。 「シャーリー!!」 ルッキーニが心配の声を上げる。(ルッキーニ、そんな悲しい声で私の名前を呼ばないでくれよな。こんなやつ私があっという間に吹き飛ばしてやるからさ)そう心中で告げると、シャーリーは全速でネウロイに向けて突進した。前方に貼ったシールドがネウロイと接触する。衝撃に全身の骨がみしみしと音を立てている。(堅いな。だけど!!)シャーリーは自身の持つ超加速の魔法を発動させた。P-51Dのマーリンエンジンが咆哮をあげる。 「いっけぇー!!」 シャーリーが叫ぶと同時に、シールドがネウロイの装甲を完全に粉砕した。シャーリーの目が正面のネウロイのコアを捉える。照準を合わせる。射撃。BARのあげる金切り声がネウロイの悲鳴のように響いた。そして、その7.62mmがネウロイのコアを貫いた。ネウロイの破片がきらめく中心で、シャーリーは叫んだ。 「さあ来い!今日のグラマラス・シャーリーは一味違うぜ!」 急速に悪化する戦況の中で奮闘する彼女たちを救ったのは、戦場の主役としての座をとうの昔に奪われた一隻の戦艦だった。 「大和直衛ウィッチ被弾。大和内で治療を開始」 「艦長!落ちたのは宮藤軍曹だそうです!」 副長の言葉に、艦橋がどよめいた。統合艦隊派遣ロマーニャ艦隊旗艦、ヴィットリオ・ヴェネト級二番艦リットリオ。アドリア海でウィッチーズに、宮藤に救われた恩を彼女は忘れてはいなかった。艦長である俺大佐が口を聞いた。 「ふむ。副長。近頃の連合軍内に広まる我が軍に対する不名誉な噂を知っているかね」 「は?」 「なんでもロマーニャ軍はヘタレの集まりで、仲間にしない方がマシ、勝率があがるそうだ」 突然の俺の言葉だったが、彼がまだ水雷艇の艇長だったころから付き従ってきた副長はそれだけで彼の決意を理解する。 「はっ。なんとも不名誉な噂ですな。しかしまるっきりの中傷というわけでもありますまい。我が国民は一般的な戦場での勇敢さに欠けるところがありますからな」 副長の言葉に、否定の声が上がった。勤務態度に難があることで知られる、砲術長だ。 「しかし副長!今はそんなくだらない戦場なんかじゃありませんぜ!!」 「その通りだ砲術長。目の前でお姫さまが困っている。ならば我々は何かね?ヘタレ国家ロマーニャの弱兵かね?それとも……」 砲術長の言葉を継いだ俺の問いかけに艦橋にいた全ての男達が立ち上がる。それを代表して副長が答える。 「決まっています。我々は騎士です。イイ女の前で意地も張れぬなどと、男としてありえませんな」 「艦長!連合軍の連中に教育してやりましょう本当のロマーニャの男の勇気というものを」 我が意を得たりと、俺艦長は大きく頷き命令を発した。 「これより本艦は艦隊指揮下を離れる!全速前進。全砲門使用自由。大和の前に回りこめぃ!」 それが当然と言わんばかりに副長が答える。 「了解!男の見せどころですな」 大和の前に出る。つまりネウロイの巣と大和の間に位置することでネウロイの攻撃を自らの方に逸らそうと言うのだ。ネウロイ化後の自己修復を想定して無人曳航されていた大和とは違い、彼女は兵員を乗せていた。 「左砲戦用意。射撃準備急げ」 「機関全速発揮中。本艦現在31ノット」 「射撃準備完成!」 「撃てぃ!」 しかしそれでもだれも恐れていなかった。かつてその身を救ったウィッチが、墜落した仲間を助けるために大和内にいる。その状況で黙っていられるほど彼らの誇りは安くはなかった。ロマーニャの男は女性を守るためなら世界で最強。その言葉を、彼らは自らの血肉をもって示そうとしていた。 轟音が響き船体が大きく揺れた。身体を揺らす衝撃にリーネは目を覚ました。あたりを見回す。薄暗いがどこかの艦艇の中のようだ。 「リーネちゃん!よかったぁ……」 リーネの足元から聞きなれた声が聞こえた。芳佳の手は回復魔法の光で輝いていた。そうか私ネウロイにやられて…。確かペリーヌさんに助けられて、そしたら私のストライカーが……っ。 「芳佳ちゃん!ペリーヌさんはっ?私のせいで!!」 「大丈夫だよ。ペリーヌさんはもう気が付いて自分のストライカーを修理してるの。それよりまだ動いちゃ駄目。すっごい怪我だったんだから 」 装着状態のストライカーの爆発によりリーネは足の付根に大きな傷を負っていた。今まがりなりにも繋がって動いているのは宮藤の迅速的確な処置の賜物だった。船室の扉が乱暴に開かれペリーヌが飛び込んで来る。 「宮藤さんっ。修理が終わりましたわ。脱出しますわよ」 「でもまだ治療が終わっていません!動かすのは危険です」 宮藤の言葉は事実だった。リーネの怪我は宮藤の魔法で、かろうじて塞がってはいるものの本格的な治療が必要だった。 「でももなにもありませんわ。この場の最上級者はわたくしです。従ってもらいますわ。……それに、先程の攻撃で前方で大和の身代わりになっていた戦艦が被弾いたしました。次の攻撃には大和はともかく、私たちは耐えられませんわ」 「!?っロマーニャの戦艦が……」 巧みな操艦とその強靭な装甲で、大和の盾となっていたリットリオだったが、度重なるネウロイの攻撃の前についに避けきれずに主要部への被弾を許していた。 「でもっまだみんなが!」 「いいえ中佐を含む全員が既に魔力切れを起こして天城に退避しています」 退くことさえ出来ない戦況で絶望的な抵抗を続けていた501だったが、リットリオの乱入により担当空域が減少、魔力切れの隊員から順次着艦していたのだった。 「リーネさんはわたくしが背負います。いきますわよ」 言いながらも、既にリーネを背負いペリーヌは走り出していた。目的地はストライカーを収納した後部格納庫だ。 「……了解」 宮藤はペリーヌを追って駈け出した。しかしこの場にもう一人居れば気づいただろう。宮藤の手が治療中も含めて常に脇腹に当てられていたことに、駆け出す宮藤の顔が一瞬苦痛に歪んだことに。だがペリーヌは気づかない。声に張りがないことすらも、彼女には医者として了承しかねる部分があるのだろうと考えてしまっっていた。 ストライカーを装着しエレベーターで後部甲板に出た三人が見たものは、 大火災を起こし、天を衝かんばかりに黒煙をあげるリットリオの姿だった。 「戦艦が……」 「……沈む」 しかしその艦首はは本来ならありえない方向、天に向かっていた。いや 彼女の命運を考えれば、あるいはその艦首は進撃する方向に向いているのかもしれなかった。 衝撃と轟音が発生した。俺大佐は身体に力を込めてなんとかその衝撃をやり過ごした。 「各部被害報告!」 「右舷艦尾被弾。火災発生」 「機関部に直撃弾、出力維持出来ませんっ!」 「左舷後方第五区画漏水発生。右舷応急注水開始します」 「傾斜角戻りません!現在4度」 手の施しようのない大傾斜をおこした艦の防空指揮所にて俺は最後の命令を発した。俺の命令を受けて通信員が全艦に総員退艦を伝えた。 「もはや……、ここまでか。総員退艦せよ」 俺は生き残りの士官を見回した。全員に向けて敬礼をする。軍隊では敬礼は本来下級者から行うものであるが、何故かこのとき俺はそうしたかった。全員からの答礼を確認し告げる。 「今まで俺によく従ってくれた。諸君らの祖国と海軍への忠誠に感謝する。副長!退艦の指揮を頼む」 「はっ!お別れですな。なに我々もすぐに行きます」 副長の指示に従い、艦橋部の生き残りが退艦を開始する。生き残りの中からは俺の心意気に心服し、退艦を拒むものが続出するが、俺はその一人一人の肩を叩き、「しっかりやれよ」と激励して、水中に付き落とした。 艦内に一人残った俺は最後の信号を発信すると、自身の身体を羅針盤にきつく巻きつけた。あんだけカッコつけて生き残ったら洒落にもならない。 海水が侵入してくる。俺が黒煙の向こうにみた最後の光景は、大和の中から人を背負ったウィッチが飛び出すところだった。よかった、俺達の突撃は無駄じゃなかったんだ。 しかし海中に沈んだ彼は、知らない。彼が最期に見たウィッチはペリーヌ・クロステルマン中尉、背負われていたのはリネット・ビショップ曹長であるということを。彼と彼の艦をかつて救った恩人、宮藤軍曹は、未だその身を大和内に置いているということを。 その身をポセイドンの神殿へと沈めたリットリオ。彼女の沈没により戦場はさらに混迷を極める。ウィッチの退いた戦場で男たちの戦いが始まる。そしてその身に宮藤を抱いたまま、大和が飛翔する。次回男たちの最終回~儂中将編~。お楽しみに~
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D.H.N俺 第5話「憂愁のロマーニャ」 後半部 シャーリー「お~、このケーキおいしいな!!これ、あたしに1つ!いや2つ頼む!」 宮藤「あ、ずるいです!私もこのケーキをひとつお願いします!」 ウェイター「かしこまりました」 シャーリー「それにしてもルッキーニと俺はどこにいったんだろうなー」 宮藤「うーん、どこにいったんでしょう。でも俺さんがついてるなら大丈夫だと思いますけど」 シャーリー「うーん、でもちょっと心配だ」 宮藤「シャーリーさんはルッキーニちゃんのお母さんみたいですね」 シャーリー「なにぃ……?あたしはまだ16歳だぞー!!」 宮藤「でも二人をみてるとそんなふうに感じます」 シャーリー「なんてこった……あたしはもう一児の母に見えるのか」 宮藤「ほ、誇るべきですよ!母性があるってことですから!」 シャーリー「慰めにあまりならないぞ」 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! シャーリー「警報!?ネウロイのやつら、ここまで南下してきてるのか!!」 宮藤「行きましょう、シャーリーさん!!」 シャーリー「ああ!ルッキーニたちはあとでくるはずだ!!」 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! 俺「チッ!ネウロイか、こんなときに……!」 ルッキーニ「俺!戻らないと!」 俺「ああ、すぐに戻るぞ!」 マリア「ま、待ってください、ふたりとも!すぐに避難してください!!」 俺「マリアこそ避難しろ。俺たちは大丈夫だ」 マリア「私だけ避難するなどできません!!」 俺「……じゃあ人々の避難誘導と頼む。慌てているだろうから落ち着かせてな」 マリア「……わかりました。でもあなたたちは!」 ルッキーニ「あたしたちは行かなきゃ!」 マリア「どこへ!?」 ルッキーニ「あそこ!!」ビッ ルッキーニは小走りしながら上を向かずに指だけ空を指差す。 ふっと見上げたマリアがみたのは、空へと昇っていくすでに鉄の翼を持った二人のウィッチ。 その瞬間理解した、この二人もまた、ウィッチなのだと。 マリア「二人は―――あれ、いない……」 俺「ルッキーニ、マリアはな、このロマーニャの王女様だ。だからああやって言ったことを受け止めてやってくれ」 ルッキーニ「えぇっ!?マリアって王女様だったの!?」 俺「そうだ、たぶんにそろそろ公務をしなければならない年頃だろう」 ルッキーニ「……じゃあ会えなくなっちゃうの?」 俺「そんなわけはない。だが、ここでネウロイを倒さないと二度と会えなくなる」 ルッキーニ「むー!!それはダメー!」 俺「なら倒さないとな。それに、ロマーニャを守らないと」 ルッキーニ「うん!!俺、いくよ!!」 俺「この先をまっすぐいけばトラックがある。だから走れ。俺は街の人々を誘導する」 ルッキーニ「わかった!」 広場に差し掛かったところで俺は体の向きを変え違う方向へ。 ルッキーニはまっすぐトラックへと向かう。 俺は人通りが多いであろう大通りへと走る。 人はまだごった返しになっていると思ったからだが……。 予想に反し、大通りにたどり着いた時にはすでに人の姿は少なく避難が滞りなく進行していた。 ふとマリアを見つける。 俺「マリア!人は?」 マリア「たった今誘導しているところです。ここの大通りの方は大丈夫ですよ」 俺「かなりいい手際だな。軍もびっくりだ、助かるよ」 マリア「でもこの子供が……親とはぐれてしまったようで」 子供「ひぐっ……うわーん!!おがあ゛ざ~~ん゛!!!」 俺「困ったな。仕方ない、とりあえずこの子を連れて避難をしてくれ」 マリア「はい、わかりました」 俺「探すのは……まぁなんとなるだろう。マリアならな」 マリア「ふふっ、わかっています。それよりあなたは……俺さんなのですか?」 俺「……ふん、そんなことは後回しだ。行け!」 マリア「はい!」 マリアが子供の手を引っ張ってその場を去ろうとした瞬間。 視界の端に僅かな赤い線が走ったのを捉えた時、驚異的反応速度で俺はマリアの前に立ちふさがった。 俺「!!?? 待て!!動くな!!!」ヒュッ マリア「え?―――きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ビシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン―…ズガガガガガガッ!! フシュゥ…… マリアが子供を連れて逃げようとした突如、上方からの図太いビームが的確に飛来した。 そのビームは大通りの石床をがりがりと削り高く煙と砂を巻き上げる。 ルッキーニや宮藤、シャーリーは確実にビームに飲み込まれただろう、と思った、間違いなく。 大きな声が上から響く、ルッキーニの声が。 ルッキーニ「マリア!!俺!」 マリア「あぅ……うぅ……」ギュッ 子供「うぐっ……ひぅ……」 俺「ふっ!」ガラガラ… ルッキーニ『俺!!マリアは!??」 俺『大丈夫だ。すべてシールドで守りきった』 ルッキーニ『よ、よかった~……』 俺『全機、ネウロイの核は頭部付近だ。こぼれたビームは俺がすべて叩き落す。だから安心して戦え』 宮藤『一体どうやって……』 シャーリー『まさか俺、ネウロイ化するのか?』 俺『ああ、あまり乗り気じゃないがな。さて、三人とも、集中しろよ……!』 マリア「俺さん!腹部と右腕に怪我が!!」 俺「咄嗟のシールドでは全部守りきれなかったからな。体も盾にした」 マリア「そんな!い、今すぐ手当を!」 俺「必要ない。マリア、その子供の目を塞いでおいてくれ。ここからは嫌なものを見せる」 マリア「何をおっしゃって……」 俺「関係のないやつばかり狙いやがって。ふー……ぶっ飛ばしてやるぜ……」 マリア「―――!!」 T R A N S F O R M ! ! ! N E U R O I ! ! ! 〔―――SYSTEM CHECK―――〕 ACCESS CODE [SIg*op/VAQ] Nigritude... Exclusiveness... Ubiety... Reincarnation... Oppressor... Ideal... ...............ALL COMPLEAT! I m gonna kick neuroi s fucking ass! 〔―――STARTING―――〕 心臓部が一気に漆黒へと染まり、そこから黒のベールが溢れ出す。 そのベールが体を伝っていき、ドロリと輝くものがかちこちと固まっていく。 目を覆う赤いシールド、斬り殺すような黒い手、黒に輝くボディ、真紅のコア。 わずかに痛んだ心はすぐに敵への闘争心にかき消され、えぐれた腹部とひしゃげた右腕は恐ろしいスピードで回復し 悲しみを潜んだ瞳はすぐに憎しみが込められた。 俺『三人とも、一箇所を集中攻撃だ。全弾撃ちこんでやれ!』 マリア「あ……ひぅ……!そんな……」 俺「……マリア。避難するか、またはそこから動くなよ」ギリッ… 人型のネウロイである俺がマリアの瞳にはどう写っているだろうか。 ……想像には堅くないし、こういうのもずいぶんと慣れたものだ。 ありがたいことに子供はマリアがぎゅっと抱きしめて顔を隠しているので、俺の姿は見えない。 シャーリー『ルッキーニ!装甲を打ち破ったら突撃するぞ!宮藤は援護を頼む!』タタタタ ルッキーニ『うん!』 宮藤『了解です!』ダダダダダ 俺『三人とも!ネウロイをこれ以上南下させないようにも注意しろ!』 宮藤『了解です!俺さんも街をお願いします!』 俺『もちろん、任せろ』 シャーリー『俺!攻撃がくるぞ!』 俺『了解……!』キュィィィン 右腕にエネルギーが収束し始める。 そして圧縮した瞬時に解放。 ネウロイの全身から放たれた赤い閃光をすべて目で捉えると同時にその一つ一つに向けて寸分のズレもなく迎撃を開始。 ビームとビームが重なり合うたびに、ネウロイから放たれるビームはすべてへし折れるように屈折していく。 地上と空の中空で紅光のイルミネーションが展開され、光は消えては走り折れては駆けることを繰り返す。 俺『宮藤!次の攻撃にシールドを展開してくれ!次弾、高圧縮で攻撃する!!』 宮藤『わかりました!』 シャーリー『ルッキーニ!すぐ後に続くぞ!!』 ルッキーニ『うん!』 ネウロイ右翼・左翼から体中央部へと光を凝縮……そして俺への圧縮された殺人的ライナーなビームを撃つ。 しかし、俺にはその攻撃は届かない。 間に割入った宮藤がシールドを全力で展開、ビームと衝突。 宮藤『あくぅっ!!お、俺さん!!』 俺『感謝する宮藤!!砕けろ、ネウロイぃぃ!!』キュィィン 右腕に高圧縮された閃光をネウロイへと放つ。 宮藤のわずか横をひゅんと通り過ぎ……高速、空気を裂き……轟音、衝突。 ネウロイの本体を右翼含め大きくえぐりとった、そして白煙が舞い散る中その隙を狙う者は……。 俺『コアが見えたぞ!!いけ!!』 シャーリー『そぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!!!』ブンッ ルッキーニ『いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!』 ロマーニャの希望の星が、光の隙間を縫い、敵コアめがけての突撃。 多重のシールドに付加された魔法が光熱を開放、熱をまとった強力な一撃がコアを……。 貫通。 パキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン――…… ルッキーニ『へっへーんだ!!みったかー!』 シャーリー『あははっ!よくやったな、ルッキーニ』 ルッキーニ『でしょー!?ロマーニャに手出しなんかさせないんだから!』 俺『ふぅ……敵機の消滅を確認。宮藤、けがはしてないか?』 宮藤『あ、はい!全然大丈夫です!それより俺さんこそ怪我してませんか?』 俺『……いやしてない。大丈夫だ。それより街に被害はあるか?』 宮藤『えーと、ほとんど見当たりませんね』 俺『よかった。それなら安心だ』 ぎゅっと握った拳を解いた後、全身の力を抜いてネウロイ化を解除した。 パキンとガラスが割れるような音をたてて、黒いスーツは砕け散り元の人間らしき姿へと戻る。 俺「……マリア、怪我はないか?」 マリア「あり、ません」 俺「そう、か。ならいい。……この街への被害もほとんどないそうだ。たぶん負傷者もいないだろう」 マリア「それなら、いいです。でも避難の際怪我をした人もいると思いますから、それは」 俺「それは、他の人間に任せるんだな」 マリア「……」 俺「……」 俺とマリアの間を沈黙が支配する。 子供はマリアの腕の中で抱きしめられており、すでに泣き止んでいた。 その雰囲気が嫌になり自分から話し始める、目を逸らしながら、かつマリアが俺をみつめているのを無視して。 俺「今日はハプニングだらけだったな。本当にすまなかった」 マリア「あ、いえ、私のほうこそすみませんでした。色々迷惑ばかりかけて」 俺「そろそろ、公務につかなきゃいけない時期だろう。一回だけでも街を見ておきたかったのか?」 マリア「はい。私は、この街を見て、聞いて、知らなければならなかったのです。人々の暮らしや生活、文化などを……」 俺「自分の育った国で、街だしな。帰ったら他の者達に謝っておけよ」 マリア「わかっています、でも、どうしても知りたかったから」 ルッキーニ「おーい、マリアー!!」 マリア「?」 俺「ルッキーニ、どうした?」 ルッキーニ「マリア!!ロマーニャの街並みをみせてあげる!!きて!」 マリア「え?」 俺「ルッキーニが空からロマーニャを見せてくれるそうだ。いい機会だ、行ってきたらどうだ?」 マリア「……はい!最後にみてきます!」 ルッキーニがマリアの手をひっぱって少しだけ持ち上げた後、絵になるようなお姫様抱っこをして上空へとあがった。 シャーリー、宮藤はインカムを外し地上へと降り立った。 見上げながら思うが、あの二人が笑いながら何を話しているのだろうかは定かではない。 ただ、二人にとっては俺たちより思い入れのある街だから……きっとずいぶんと楽しい話なんだろうな、と密かに思っていた。 夕焼け時― 俺「じゃあなマリア。がんばれよ」 マリア「はい!任せてください!」 ルッキーニ「また遊ぼうね、マリア。絶対だよ!」 マリア「ふふ、じゃあずっと友達ですね」 ルッキーニ「あったりまえだよ!」 俺「寂しかったらまたお忍びで基地にでも来るんだな」 マリア「それじゃあまた皆に迷惑かけてしまいますから。でも、ぜひ」 ルッキーニはマリアに抱きついて離れなかったが、シャーリーの説得でなんとか離すことができた。 終始笑いながら俺達を見ていたマリアだが、ふと俺に聞きたいことがあると言ってきたので少し三人とは離れた。 俺「どうした?」 マリア「一つ、聞いてもよろしいでしょうか?」 俺「……どうぞ」 マリア「あなたは、人間……ですか?それとも―――ネウロイですか?」 俺「それは……」 マリア「質問を変えます。あなたは、なぜこの街を守ってくれたんですか?なぜ、ネウロイと戦うんですか?」 俺「……それは俺が―――」 迷った。 ウィッチであるから―――答えられるわけがない。 ヒーローであるから―――答えられない。 男であるから―――関係ない。 戦えるから―――漠然としすぎている。 憎んでいるから―――答えられない。 俺が街を守ったのは……同じ人間であるから? 今は……答えを出しにくい。 ただ1つだけ言えることがある。 俺「……」 マリア「答え、られませんか?私は、あなたの言葉で聞きたいんです」 俺「わかった、答えよう。それは―――きっと、俺が、誰かを守れる力を、持っているからだ」 マリア「……問います、本心ですか?」 俺「たぶん、本心だろうな」 マリア「……ふふっ、相変わらず曖昧な答えを返しますね」 俺「だが、今みんなと共にネウロイと戦っているってことは、そうなんだろうな、きっと」 マリア「ええ、そうだと思います。失礼な質問をして申し訳ありませんでした」 俺「いやいや、全然気にしないでくれ」 マリア「先程の私の問には私が答えましょう」 俺「?」 ……黒服の男たちが知らぬ間に俺の後方30mにいた。 マリアはそちらに軽い足取りで歩きながら、少しだけ笑う。 そして俺を通り過ぎると同時に、かすかな声で俺の耳元へむけて告げる。 俺さんは、俺さんです。私が保証します。 と、それだけを言って黒服の男たちのもとへと歩きさっていった。 俺はそれを見送りながら今日買ったタバコを取り出して一本だけ咥えて火をつける。 煙が夕日に紛れてオレンジ色に見える。 それを通してマリアの背中を見送りながら、後ろで呼ぶ声に引かれてゆっくりと歩き出す。 こんな返し方をされたのは初めてだな。 つまり、答えとしては、俺はまだ人間であると言いたかったのだろうか。 ……少しだけ嬉しかった。 俺「ありがとう」 軽く言い残した後、言いたかったことがあってふと振り返って口を動かす。 だが。 それでも。 俺はネウロイだ。 と。 ロマーニャの街をでて幾分か運転したところだ。 私は隣に座っている少し気分が落ち込んでいるような俺の顔をちらりと見る。 それが気になって、ルッキーニも寝ているだろうから、俺に声をかけた。 シャーリー「なぁ俺?」 俺「なんだ?」 シャーリー「ルッキーニに聞いたんだけどさ、俺ってマリアの古い友だちだったんだって?」 俺「ああ、そうだ。結構前にな。ちょっと怪我でロマーニャ公の宮殿に墜落して、運良く助かって、偶々マリアの教育係的なのをさせられていた」 シャーリー「へぇー、それはすごいな。てかロマーニャ公もよくそんなことをさせたなぁ」 俺「まぁ気まぐれか、はたまた俺を知っていたかのどちらかだろうな」 タイヤが地面と擦れてじゃりじゃりという音が車内に響く。 もう日は下がってきているのだが、基地に着くまでにあと少しかかるといった感じだ。 運転は実に温厚に落ち着いてしているつもりなのだが、実に私らしくなくて少しだけ違和感を感じる。 俺「……前に言わなかったが、俺はダイナモ作戦の折に死んだんだよ」 シャーリー「どうしたんだ、突然」 俺「マリアと会ったのはダイナモ作戦終了後。そして死んだのはその前」 シャーリー「……っていうことはその時にはネウロイの体になっていたのか?」 俺「正確には、ネウロイ化に耐えうる身体改造が始まっていたということだ」 シャーリー「マリアと会った頃にはすでに改造が……」 俺「そういうことだ。ネウロイ化が完璧にできるようになったのはここ1年半くらい前のことだ。……マリアを騙していたのさ、俺は」 最後の言葉だけ嫌に聞こえてしまった。 たぶんマリアに色々と聞かれたのだろう。 話の流れからするに……マリアが知っていた俺はネウロイだったのか、信じていたのはネウロイだったのか、ということだろう。 それで落ち込んでいるとしたら、何か言わなきゃいけない気がする。 シャーリー「騙してなんかないさ」 俺「?」 シャーリー「俺は、俺だからな。人間だろうとネウロイだろうと、変わらないさ」 俺「……すまない、ちょっと意味がわからないな」 シャーリー「わからなくてもいいって。とりあえず、大丈夫だって信じておいてくれ」 俺「無根拠すぎる」 シャーリー「私が大丈夫って思ってるから、ってのはだめか?」 俺「……ははっ、なんだそりゃ」 シャーリー「あたしの中じゃ今でも俺はリベリオンのヒーローだよ」 俺は顎に手をあてて考え事を始めた、いくら考えてもわからないっていうのに。 私は横で軽く笑いながら、俺を少しだけさらにからかう。 このことに関して、俺に対し少々勘違いしていたところもあって、私はちょっと意外だった。 私の想像上人間としてずば抜けていて、タフで、強靭な精神をもっているウィッチかと思っていたのだが。 接してみると繊細で臆病な男だった、別に失望したわけでもなくちょっと親近感が湧いたし。 シャーリー「なぁ、俺」 俺「ん?」 シャーリー「また色々と話してくれたらうれしいって思うんだがだめか?」 俺「そんなわけあるか。またいつか話せる時に話すさ」 シャーリー「でも、無理はするなよー」 俺「困ったら泣きつくさ」 シャーリー「そんときは私の胸で泣くといいさ!ってね」 俺「ははっ、本当にいいのか?存分に泣かせてもらうが?」ニヤ シャーリー「へ?……あ、いや、冗談だぞ!ジョークさ!」 俺「わかってるって」 シャーリー「わかってないだろ、そのにやにや顔はなんだよー!」 俺「なんてことないって」 シャーリー「あ、こら、セクハラで少佐にいうぞ!」 俺「おい、それは反則だろう。シャーリーが言い出して―――…… 第5話後半部終了
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D.H.N俺 第5話「憂愁のロマーニャ」 前半部 シャーリー「ひゃっほー!!イェー!!」 ルッキーニ「きゃはははは!もっともっと~!!」 俺「風が気持ちいいぜー!!ひゃっはー!!」 ブロロロロロロロ……ギャリギャリギャリギャリ!! 宮藤「きゃあぁぁぁぁああ!シ、シャーリーさーん!!!もっとスピード落としてください~~~!!!」 シャーリー「なんだってー!??聞こえないぞー?!!」 宮藤「だからもっとスピードを――――…… 俺たちはロマーニャへの道を爆走していた、シャーリーの運転で。 換気の声と悲鳴の声を響かせながら走り回っていた。 今は食料調達のためにロマーニャの街へと繰り出している旅路途中だ。 こんなことをする理由となったのは……数時間前。 ―食堂 宮藤「あ……お米が尽きちゃった」 リーネ「ほんとだ……買い出しにいかないとね」 俺「ということは、今日の晩飯はなしか?」 リーネ「俺さんよく食べますもんね。晩ご飯なしはきついですよね」 俺「なかったら死ぬ」 宮藤「それは言いすぎだと思いますけど。どうしよう……」 坂本「おーい、宮藤!」ヒョッコリ 宮藤「あ、坂本さん。お米つきちゃったんです」 坂本「まぁこの基地は一気に人が増えたからなぁ。仕方ない」 俺「食料を調達しに行ってきていいか?」 坂本「そうだな、そのほうがいいだろう」 リーネ「え、じゃあ街に行っていいですか!?」 坂本「ああ、そのつもりだが。よし、宮藤、リーネ、行ってくれるか?」 宮藤・リーネ「「はい!!!」 俺「坂本、俺も行っていいか?」 坂本「ふむ……まぁいいだろう。お守としていってくれ」 俺「了解。じゃあ早速行ってこよう。坂本は何か欲しいものはあるか?」 坂本「そうだな、茶を頼む」 俺「茶?」 坂本「ああ、頼んだ。土方からも物資が届けられるのだが今回は思ったより早く消費してしまってな」 俺「ふむ、任された。買ってこよう」 坂本「頼んだぞ。ああ、あと皆にも希望のものを聞いてから買い物に行ってくれ、以上だ」スタスタ 宮藤「わかりました!……やったー!早速準備しよっ!」 リーネ「じゃあ私たちはみんなに聞いてくるね!」 俺「俺は車を回しておこう。準備できたら来てくれ」 リーネ「はい!お願いします!」 とまぁこんな感じになったのだが……このあとシャーリーが運転したい旨を申し出てきたところ。 リーネが買い物を辞退し基地に残ると言い出したのだ。 そしてロマーニャの街のことを俺たちはあまり知らないのでルッキーニに同行を頼んだ。 快く了解してくれて、結局宮藤、シャーリー、ルッキーニ、俺の四人で向かうことになった。 戻って旅路途中。 車内は散々である。 俺「意外とスピードでるもんだな」 ルッキーニ「シャーリー!もっとはやく~」 シャーリー「まっかせろー!」 宮藤「や、やめてくださいよ~!よ、酔っちゃいます~!」 俺「お~、ここらへんはいい景色だな」 宮藤「あ!本当です……うぷっ」 俺「おいおい、大丈夫か!」 宮藤「た、たぶん大丈夫です」 ルッキーニ「きゃはははは!芳佳ー!なれれば大丈夫だよ~」 宮藤「慣れないよー!」 シャーリー「しゃべりすぎて舌をかまないようにな」 宮藤「だったらもう少し速度をおとして……!」 シャーリー「それは無理な相談だな!」 俺「諦めろ……宮藤」 宮藤「そんな~~~~~~~~~!!!」 顔色が悪くなっている宮藤。 シャーリーの運転で酔ったのだろう。 なにせ荒い運転だ、酔うのも無理は無い。 俺「おいおい、大丈夫か?」 宮藤「だ、大丈夫じゃないです……うぇえ……」 俺「ほら、背中さすってやる」 宮藤「は、はい」 俺「で、どこに買い物にいくんだ?」サスサス ルッキーニ「えっとねー、この先にいろいろ揃ってるところがあるんだよー。そこで買うといいかも!」 シャーリー「じゃあそこに向かうか」 俺「あと市街地だから少しぐらいスピードを落とすんだぞ」 宮藤の背中をさすっては胃のあたりをグイグイとおしてやる。 街中をとろとろと走るトラックの外の景観は素晴らしく、時折宮藤は気分が悪いにもかかわらず目を輝かせていた。 シャーリー「よし、ついたぞー」 俺「ここで買い物をするのか。だが食料はそれほど売ってなさそうだが」 宮藤「とりあえず入りましょう!」 俺「もう元気になったのか?」 宮藤「はい!背中さすってくれてありがとうございます。もう大丈夫ですよ、えへへ」 俺「あんまり無理はするなよ」ナデナデ 宮藤「ひゃっ……わ、わかってますよ」 とりあえず店の中へ、色々と物色も兼ねてぐるりと中を見てまわる。 シャーリーと宮藤が色々と買うものを聞いてきているようなので任せることにし、俺はお茶を探しに行く。 そんなときに。 俺「……ん?なんだ、あれ」 ルッキーニ「どうしたの、俺?あ!あそこで女の子が男たちに誘拐されそうになってる!!」 俺「……助けるか。シャーリー!宮藤!ちょっとルッキーニと遊んでくるから買い物を済ませといてくれ!!!」 シャーリー「えっ?」 俺「頼んだぞ!」ガチャン 店を飛び出す直後にシャーリーにそう言い残す。 素っ頓狂な声を二人があげた途端にはすでにルッキーニと俺の姿はなく、どこかに消えていた。 ―路上 俺「ルッキーニ!」 ルッキーニ「わかってるよ~!す~~ぱ~~ルッキ~~ニ!キィィィィック!!!」 どごっ!!! 男1「ぐわっっ!!」ドサッ… 男2「な、なんだ!?」 俺「お前も寝ておけ」ヒュッ 男2「うべらっ!!」ドゴシャッ…ドサッ… 女「は、離しなさい……って、へ?あれ?」 ルッキーニ「大丈夫?」 俺「……おいおい、こいつ、まさか」 女「あ、あなたたちは?」 ルッキーニ「通りすがりのスーパーマンだよ!」 俺「ルッキーニの場合はスーパーウーマンじゃないか?」 ルッキーニ「あ、そうだった。ほらほら、いっくよー」グイ 女「え?」 俺「とりあえずこいつらが目を覚ます前にどこかに逃げるぞ」 女「はぁ……はぁ……」 俺「ここまでこれば大丈夫だろうな」 ルッキーニ「ねぇ、なんであの変なやつらに誘拐されそうになってたの?」 女「えっと……色々と事情がありまして」 俺「すみませんが、名前をお聞きしても?」 女「あ、申し遅れました、私はマリアと申します」 ルッキーニ「ルッキーニだよ!こっちが~、俺!」 俺「俺、というものだ」 マリア「俺?何か……懐かしい名前ですね」 俺「たぶん気のせいだ。どこかで聞いたことのある名前なだけだろう」 ルッキーニ「俺はね、男なのにウィッチなんだよ。珍しいでしょ!?」 マリア「ウィッチ、なのですか?ふふっ、確か私の知り合いにも男のウィッチで俺さんって方がいらっしゃいましたわ」 俺「へぇ、そりゃ偶然だな」 ルッキーニ「俺ってばマリアと知り合いなの?」 俺「……さぁな」 マリア「そうでしょうね、だってそのかたは……戦死したとお聞きしたものですから」 ルッキーニ「それってたぶん俺のk――モガモガモゴゴ!」 俺「ルッキーニ。別にどうでもいいだろう、そんなことは」 マリア「それはそうと、先程は助けていただきありがとうございます」ペコ 俺「ふぅ、連中も手を焼いてるか」ボソッ マリア「?」 俺「マリア様、といったところですね。今日はどうしたいんですか?」 マリア「!? えっと……今日は、ちょっとこの街に出てみたくて」 俺「捕まえる気はさらさらありませんよ。さて、ルッキーニ、ロマーニャを観光してみたいんだそうだ」 ルッキーニ「うじゃー!それならあたしが案内してあげるよ!」 マリア「本当ですか!?ぜひお願いします!」 ルッキーニ「それじゃあ早速いっくよー♪」 俺「今日は色々忘れて楽しんでください、秘密にしときますので」コソッ マリア「あ、ありがとうございます(だ、誰なんでしょうか……)」 俺たちは少女の手を引っ張り観光?へと駆りだした。 不安と嬉しさが混ざったような表情で引っ張られていく少女を見ながら少々思い出を漁っていた。 マリア……懐かしい名前だ。 ふむ、ずいぶんと大きくなったな。 ここで話は変わるが、実は俺とこの子は結構昔に会ったことがある、この子がもっと幼い時に。 カールスラント撤退戦の後、俺はごたごたになっている司令部にカールスラントの状況を偵察してくるように命じられた。 それとプラスでロマーニャやヴェネツィアの方にも文書と資料を送るということも含めて。 明らかに俺の領分ではない上に危険が危ないわけで。 司令部の方もかなり混乱していたのとウィッチの数が足りなさ過ぎるということだそうだ。 その途中で最後に負傷したためヴェネツィアへと寄り、加えて軍へと文書と資料を手渡した。 治療もろくにせず、ロマーニャへ。 だが限界を迎えたところで意識が琴切れ、大々的にロマーニャ公の宮殿へと突っ込んだのだ。 そこで治療を施してもらって目を覚ましたときにこの少女がいたという……。 いろいろあって気に入られてしまい、文書と資料を届けたあと数日間休暇と称して少女の相手をさせられていた。 だから、ちょっとは知り合いなのだ。 だが向こうは覚えていないようだ……好都合、なのだろうか。 久しぶりに会った男が気持ちの悪いものを心臓にぶちこんでいると知ったらどんな反応するかは気になるが。 恐らく非難と侮蔑を混じらせた目で俺を見るに違いないだろうな。 俺「ふむ……懐かしいな」 マリア「どうかなさったんですか?」 俺「いや少し思い出を嗜んでいたところだ。で、街にでるのは久しぶりか?」 マリア「はい、なかなか外にでるわけにもいかなくて」 俺「まぁそんなものだろう。普段なかなか楽しめないだろうし今日ぐらいは楽しんでくれ」 ルッキーニ「じゃああたしがいっぱい楽しませてあげる!!」 マリア「ふふっ、ありがとうございます。お願いしますね」 ルッキーニ「まっかせて~!次はね―――…… とりあえず俺たち三人はロマーニャの観光を楽しんでいた。 いろんな思い出を頭の中で反芻しながらも。 そういえばあの二人はどうしているだろうか、買い物は終わったのだろうか。 時間があるし同じように観光でもしているのだろうか。 第5話前半部終了
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労働意欲旺盛無職俺7後編 「初めてのおつかいinロマーニャⅡ」 前回 あまりに働きすぎてミーナから休養を無理やり取らされた俺はエーリカ、リーネ、芳佳と ロマーニャに買い物に向かう そこで気前よく、先輩をお金で煩わせまいと、俺自分のお金を使ってかわりに買ってあげていた また自由時間には一度無職のゴロツキどもにからまれるが、なんなくこれを大人の対応で退ける そしてエーリカ先輩とゆったりとしただれもが羨むような休養をすごすのであった しかしここで邪魔が入ってしまうが・・・ 無職はひたすらに求人を求む 俺「はっ!全員ティータイムは終わりだ。急いで外にでろ!」 芳佳「えっ!?どうしたんですか?」 俺「空に敵がいる。ここで騒げば無駄に不安をあおることになるから、なにごともなくでるぞ。」ボソッ リーネ「わかりました。俺さんはどうせお金ないと思いますので、ここは私がだしますから、早く外へ!」 俺「頼んだ!」ガタッ タッタッタ 店員「あぁっす!ありがとうございましたぁあっす!」 エーリカは俺の言葉を聞くなり、早々と出て行った 俺たちも外に出て車・・・トラックに向かう テントをはぎ、発進ユニットを準備する エーリカ「私が先にいくよ!」フォン 俺「芳佳。次頼む。シールドで町に降り注ぎそうなビームを防いでくれ。」 芳佳「わかりました!宮藤芳佳でます!」フォン 俺「リーネもきたか。いけ!」 リーネ「いきます!」フォン 逐次、空の敵に向かって出撃し翼を羽ばたかせていく 俺も急いで準備して、出撃し追いかけて空へ上っていく ロマーニャの空にはやはり俺の見たとおりネウロイが悠々と飛んでいた はやく攻撃してればいいものを・・・余裕出しやがって・・・ 面接じゃ余裕を出した方が勝ちだけどな エーリカ「ミヤフジとリーネ。俺は私に。街に被害を出さないように、敵の攻撃を防ぎながら撃墜するよ!」 三人『了解!』 俺「大型か・・・。今の武装は・・・これと、支給してもらった刀か。全然大丈夫か。」 エーリカ「俺!ついてこれるようにがんばって!」 俺「おう!」 いつもどおりだ・・・自分がなにかにのめりこんでいく感覚・・・ 心を水面のようにおちつけ、集中する 俺はエーリカに動きをあわせ、銃を構え、敵を見据える 幸運なことにネウロイはターゲットをまず俺たちに定めたらしく、俺たちにビームが飛んでくる 芳佳「はぁぁぁぁぁ!」ダダダダダダダッダダダ リーネ「・・・。」ダァンッ さすがの二人だ ビームを誘導しながら、うまい具合に銃を撃ち、敵に攻撃してる 俺も負けてられないな・・・ エーリカ「俺、私のあとに頼むよ。」ガガガガガガガガガガガ 俺「・・・もらった。」ガガガガガガガガガ エーリカと俺で弾丸の雨を降らせ装甲を少しずつこじ開ける しかし装甲を削るも再生がなかなかはやくコアには届かない 俺「くそっ。コアはわずかに見えたが、再生が速いな・・・。エーリカ!もう一度だ!」 エーリカ「わかってるよ!」 俺たちは上昇し、ネウロイの上を取って降下しながらまた銃を構える 芳佳とリーネはネウロイに隠れる感じで下にもぐりこみ攻撃をしながらもシールドで備える エーリカ「はぁぁぁぁぁ!」ガガガガガガ ネウロイ「ピキィィィン!」パキパキィン ビシュンビシュン 俺「さっさと落ちろ!」ドォンッ リーネ「落ちてください!」ダァンッ ネウロイ「シュィィィン!」ドゴォン バゴォン 芳佳「はあぁぁぁぁぁぁ!」ダダダダダダダダダダダ 上と下から一気に仕掛け、銃弾があふれ出すぐらい撃ち込んでいく ネウロイの装甲が大きくはがれ、コアを狙おうとする がしかし、そこにコアはなかった 俺「くっ!どういうことだ!さっきまでコアがあったのに!くそ、再生も速い・・・。」 エーリカ「敵はコア移動型!再生も通常の2倍くらい速い!私のシュトルムでやるから、破壊し損ねたら三人で狙って!」 うろたえる俺とは正反対にエーリカは冷静に指示を下していく それに勇気付けられ目を醒まし、俺は冷静になる 俺「了解!エーリカがシュトルムに入り、攻撃するまでの間俺は防御に回る。えぐった装甲からコアが見つかり次第狙うよ。」 芳佳「了解!こちらでも少し攻撃をかく乱します。」ダダダダダ リーネ「了解!ハルトマンさんいけます!」 エーリカ「いっくよー!シュトルムー!!」シュゥィィィィィィィン 風が黒い悪魔を中心に集められ一つの疾風となる その風はネウロイに噛み砕くように向かっていく そして面白いくらい、まるでかじったチーズのようにきれいにネウロイの体をむしりとる いや、えぐられたと言った方が正しいか しかし・・・ネウロイも感づいていたのかコアを見えないところに移動しており、削った面からは視認することができなかった でもなんとなく俺はそんな予感がしていたわけで その予感にしたがって俺はMG42を背中に背負い、すでに刀を抜き取っていた 芳佳「コアが移動してる・・・。装甲面からは見えません!」ダダダダダダダダ エーリカ「ならもう一度するまで!」 ネウロイ「フィィィィン」ビシュゥゥゥン 俺「(一点集中か!)エーリカ!危ない!くっ!」バシッ 俺はエーリカの目の前に入って、受け止める エーリカ「ありがと、俺。大丈夫だよ。」 俺「さっさと片付けるか・・・。」 さて・・・ 戦闘中に話は変わるが、俺は実は数日前に固有魔法を見つけたのだ まず最初に驚いて、次にはしゃいで、また次に全然扱えないのに気づいた そして昼寝する間も削って練習をしたら、思ったより扱えるようになって、今度の実戦でためそうとしていた だからこれが実は初めてなんだが、今の状態なら安心してかますことが出来そうだ 俺「へっ、今日は引導をわたしてやるぜ。はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 刀に魔法力をそそぎこみ一気に固有魔法も発動する するとどうだろうか、自分の体を中心に風がうずまいていく エーリカ「(なんだろう・・・この風・・・。ん?)俺!?」 俺「切り裂けッ!」シュゥィィィン シュバッ 俺の刀に集まった風を一気に纏め上げ、大きく上に振りかぶり、ネウロイに眼光をむける 振りかぶった刀を強く、空を断つように振り下ろし、刀に張り付いていた風を放つ 芳佳「えぇっ!」 と芳佳の驚きの声が聞こえてくる それを耳に遠くし、空気を切る音だけが聞こえたとき風の三枚の斬撃が欠けたネウロイに向かう 白緑色の斬撃は衝撃波のようになって、轟音をたてネウロイにぶち当たる ネウロイ「キュィィィィィン!」ドゴォォォォォォォン! 正直シンプルな技だが、威力強いはずだ それゆえにネウロイは叫び声のようなものをあげて、真っ向から受けていた おそらくヒットした場所にコアがあったのだろう・・・その瞬間砕け、美しくロマーニャの空を舞い散った 俺「・・・成敗完了!」ピッ シュー・・・カチャン リーネ「ほへ~・・・。」ポカーン 芳佳「・・・。すっ、すごいです俺さん!ネウロイ倒しましたよ!なんですか今の?」 俺「ふふ、俺の固有魔法だ!固有魔法がつい数日前にみつかったんだ!そしたらエーリカに似た風の攻撃系だったんだよ。」 エーリカ「やるじゃん俺!おどろいたな~。というか見つかったんなら教えてよー。」 俺「すまないな。最初は全然扱えなかったんだ。でも今はここまでになってね。」 リーネ「すごい威力でしたよ!初めて俺さんがすごいと思いました!」 俺「烈風斬には全然およばないけど、なかなか強いだろ?これするのにかなりかかったんだぜ。」 エーリカ「私のと一緒ってわけじゃないの?あ、戦闘終了だよー。全員おりてー。」 俺「ああ少し違うみたいだ。飛行補助みたいなのはできないし、ためないとそこまで強い魔法じゃないっぽい。」 芳佳「なんか俺さんに巻いてた風を見たとき、つむじ風を思い出しましたよ。」 俺「ふむ・・・。じゃあ固有魔法の名前は旋風、に決定だな!」 リーネ「センプウ・・・。ふふっ、いい名前ですね。」 俺たちは下に降りて、ストライカーユニットを脱いだ。 その瞬間周りにいた人たちから拍手喝采がわく。 なんというか、一部始終見ていたようだ。さっさと避難しろよ・・・・と密かに思った。 俺たちとしては、普通のことであるのに、それをほめられるというのは気恥ずかしいものだ。 しかし・・・必要とされているのがここまで心地よいものだと、初めて知った。 この世界は、俺を必要としてくれる。それを感じた俺は以前より複雑な気持ちになった。 だってそうだろう。本来の世界で必要とされないで、いることがおかしい世界で必要とされる。 うれしいけど、むなしい。 バイト落ちたときのようにむなしい。 苦々しい笑顔を崩さずにいる俺の横顔をみて、眉をひそめた人物が一人だけいた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~基地、談話室にて~ 芳佳「ただいま~。疲れました~。」 シャーリー「あはは!おかえり!ネウロイの襲撃もあったんだろ?」 リーネ「ええ。でもみんなで出撃して、俺さんが倒したんですよ。」 ルッキーニ「俺が!?どうやってー?」 エーリカ「固有魔法だよ。私と似た、風の攻撃系の魔法、かな。」 バルクホルン「それはすごいな・・・。というかそんなものを隠しているとは、あいつ・・・。」 ミーナ「ふふ、俺さんは最初扱えなかったみたいね。海辺で練習してるのをみたことがあるわ。そのときは全然だったけど・・・。」 もっさん「ほう・・・。ならあいつなかなか根性あるじゃないか。」 サーニャ「でも、ロマーニャにまたネウロイですか・・・。」 ミーナ「ええ、その件については検討しなければならないわね・・・。早めに手を打ちたいわ・・・。」 エイラ「偵察、トカナ。」 もっさん「その線もあるな・・・。それならば、今度は強いのがくるか・・・?」 シャーリー「でも、確証は・・・。ただ単に破壊目的じゃあないのか?」 エーリカ「どうだろうねー。でもここ最近ロマーニャ方面に向かうネウロイが多いのが事実だし・・・。」 ミーナ「そうね・・・。夜間の方にも人員を回して、今はいつでも対応できるようにしましょう。夜間専従班はサーニャさんと・・・。 エイラさんお願い出来るかしら?」 サーニャ「わかりました。」 エイラ「よし!(サーニャは私が守るカラナ!)」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ハンガーにて~ 俺「整備兵!買ってきたからな。ここにおいとくぞ。隠れて買うの苦労したんだからな。」 整備兵「おっ、すまないな。この本たちは他のやつら用だ。俺はこれだけだがな。それと機体の調子はどうだ?」 俺「あ、全然大丈夫だったぞ!驚いたな・・・。どうやったんだ?」 整備兵「すまん。ちょっと改造したんだ。あまり大声で言うなよ。」コソッ 俺「まじかよ・・・。軍規違反じゃーん。てかおまえ天才か・・・。」 整備兵「くくっ、まったく天才じゃないけどな。まぁ調子がいいならいいことだ。ま、買い物ありがとな。あ、お金だ。」 俺「おう。ありがとう!硬貨か・・・きれいだな。」 俺はなんとなくそれをポケットにしまう 整備兵「デートは楽しかったか?」 俺「ああ、幸せだったぜ。昇天するかと思ったわ。」 整備兵「くくっ、ならよかったじゃないか。ハルトマン中尉がこうなるとはな。」 俺「しかし、勝手に改造するとは・・・どんなやつだよ・・・。さて俺も部屋に戻って寝るか・・・。」 整備兵「おっ、わかった。すまないな。ありがとうよ。」ヒラヒラ 俺「おう!まぁいつでも頼みごとなら聞いてやるさ。・・・久々に働いてつかれたっちゃ。」ヒラヒラ 今日はいい日だったな。 エーリカとうふふなこともできたし、閃電も調子いいし、ネウロイは成敗できたし。 できれば褒美とか、そういうのが欲しかったけど、エーリカがあんなことしてくれたから満足だ・・・。 ああでも、今日はあれを思い出して興奮して眠れなさそうだ・・・。 一発抜けば大丈夫か。 ふふふ、明日からまたがんばって働かないとな!
https://w.atwiki.jp/lastbible3/pages/271.html
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