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,,..-――-..、、 /、ヾ`ゞヾミヾ` ヾ、 /ミ' ミ, l= il |彡 ''´^ヽ、 ,,.''^ |. r=、!'´ , , =。、 '., =。、 | |l`,| 、 ̄フ l、 ̄ノ| ll、| ,. ! }. ゝ'l ゝ ‐イ' | | ,r===、 ,! l ` ̄ / ,}、`ヽ.,,_ _ノ、 --― / l ヽ、 / / ヽ、,,_ _/' '7 | ` ‐ ''´ / l´! !! /'「 '7 l /、;;;;;; \ / 「 7 || ‐コンスタンチン・コンスタンチノヴィチ・ロコソフスキー元帥ポーランド出身のソ連軍人。戦後はポーランド国防相・ポーランド軍元帥となる。ソ連邦英雄2回、レーニン勲章7個、勝利勲章、赤旗勲章6個、一級スヴォーロフ勲章、一級クトゥーゾフ勲章他
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スキル パンツァー司令官 機動戦 オープンウォーフェアエキスパート 補正 歩 130% 装 130% 砲 120% 空 115% 海 100% 動 +3 HP 145% 費用 2300→課金580円 概要 能力がグデリアンと全く同じのAC最強クラスの装甲将軍。パンツァー司令官・オープンウォーフェアエキスパート・機動戦とスキルに無駄がない。 2023/9/9のアップデートによりソビエト仲間のコーネフ・ジューコフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。 史実 コンスタンチン・コンスタンチノヴィチ・ロコソフスキー(ロシア語 Константи́н Константи́нович Рокоссо́вский、ポーランド語 Konstanty Rokossowski、1896年12月21日 - 1968年8月3日)は、ソ連、ポーランドの軍人、政治家。ソ連邦元帥、ポーランド元帥。ソ連邦英雄(2度)。(Wikipediaより引用) コメント 名前
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スキル パンツァー司令官 機動戦 オープンウォーフェアエキスパート 補正 歩 130% 装 130% 砲 120% 空 115% 海 100% 動 +3 HP 145% 費用 2300→課金580円 概要 能力がグデリアンと全く同じのAC最強クラスの装甲将軍。パンツァー司令官・オープンウォーフェアエキスパート・機動戦とスキルに無駄がない。 2023/9/9のアップデートによりソビエト仲間のコーネフ・ジューコフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。 史実 コンスタンチン・コンスタンチノヴィチ・ロコソフスキー(ロシア語 Константи́н Константи́нович Рокоссо́вский、ポーランド語 Konstanty Rokossowski、1896年12月21日 - 1968年8月3日)は、ソ連、ポーランドの軍人、政治家。ソ連邦元帥、ポーランド元帥。ソ連邦英雄(2度)。(Wikipediaより引用) コメント 名前
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第256話 決戦へ向けて 1485年(1945年)11月8日 午前8時 ヒーレリ領クィネル その日の朝、アメリカ第2軍集団司令官を務めるドニー・ブローニング大将は、軍服のネクタイを整えながら、司令官公室の窓から空を見上げていた。 「……天候が回復するとはいえ、あまりよろしくない空模様だな……」 そう言うなり、仏頂面を浮かべたブローニングは、小さく溜息を吐いてから席に座った。 閉ざされたドアの向こうから2度ほどノックする音が響いた。 「司令官、失礼いたします。」 訛りのある声音が聞こえた後、ドアが開かれた。 「おはようございます。」 ドアを開けた士官は、事務的な口調でブローニングに朝の挨拶を送った。 「おはよう、参謀長。」 ブローニングも入室して来た参謀長に返事をする。 髪を短く刈り揃え、がっしりとした体格ながら理知的な顔立ちの参謀長は、今から1ヵ月前の10月1日に第2軍集団の参謀長として、本国から赴任して来ている。 参謀長は、小脇に今日の作戦会議に使う資料を携えていた。 「会議に使う資料は出来たかね?」 「はい。こちらに……」 第2軍集団参謀長コンスタンティン・ロコソフスキー中将は、ブローニングに資料を手渡した。 ブローニングは資料を一読した後、頷いてから机に置いた。 「よろしい。あとは、参加者達にこの内容を説明し、作戦をいつ結構するか決めるだけだな。」 ブローニングはそう言った後、語調を変えてからロコソフスキーに尋ねた。 「ところで参謀長。新天地での仕事には慣れたかね?」 「慣れたかどうかはまだ申せませんが……足を引っ張ってはいないと思っています。」 ロコソフスキーは謙虚な口調でブローニングに答えた。 ロコソフスキーは、元々はソビエト連邦陸軍の軍人である。 1896年に生まれた彼は、第1次大戦時にロシア帝国軍に入隊し、大戦の終わりまで騎兵部隊に従軍していた。 ロシア革命ではボリシェヴィキに参加し、内戦時には赤軍の一員として活躍し、勲章を授与されている。 内戦終結後は順当に軍務をこなし続け、歩兵師団長や騎兵師団長、機械化軍団長にも任ぜられた。 だが、37年より開始されたスターリンによる軍の大粛清の余波は、ロコソフスキー自身にも及んだ。 NKVDに逮捕されたロコソフスキーは苛烈な拷問を受け、一時は彼の処刑も実施されかねない状況だったが、ゲオルギー・ジューコフ将軍の 口添えのお陰で、最悪の事態を免れる事が出来た。 1941年7月に釈放されたロコソフスキーは、満身創痍ながらも再び軍務に戻れる事を喜んだが、彼に与えられた任務は、彼を愕然とさせる には充分な代物であった。 ロコソフスキーに与えられた任務……それは、アメリカ駐在ソ連大使館武官として米本土の情報を収集せよ、と言う物であった。 形こそはいいが、実質的には“左遷”そのものである。 ロコソフスキーは失意の内にアメリカへ派遣され、そのまま転移を迎えた。 転移直後、祖国が消えてしまった事に、ロコソフスキーも深いショックを受けた。 彼は、本国に妻子を残していた。 愛する祖国と……それ以上に、愛する妻と子が居なくなった現実の前に、ロコソフスキーの精神状態は崩壊しかけた。 そんなロコソフスキーを支えてくれたのが、同じく駐在武官として派遣されたアンドレイ・ウラソフであった。 ヴラソフは、失意の打ちひしがれる武官や大使館員の中でも素早く立ち直った人物であり、彼の行動のお陰で、ショックから立ち直った仲間が多かった。 1942年2月、ロコソフスキーはウラソフと共に、アメリカ側から軍に協力してはどうかという要請に応じ、2月の中旬にアメリカ陸軍に入隊した。 ロコソフスキーは陸軍省の特命参謀という肩書で、陸軍の作戦立案や軍の編成計画の作成に携わっており、そこで地味ながらも、着実に実績を重ねて行った。 その中でも特筆する物は、43年9月に行われた攻勢作戦の作戦名立案であり、味方からも実に紛らわしいと言われたあの作戦名は、彼の提案をもとに決められていた。 ロコソフスキーは元来現場向きの実戦指揮官であったが、陸軍省での長い参謀勤務のお陰で、参謀将校としての能力も開眼させていた。 そんな彼も、今年の10月1日付けをもって前線勤務となり、今では、ブローニング大将の右腕として辣腕をふるっている。 その一方で、ウラソフはロコソフスキーと同様、入隊当初は陸軍省で働いていた物の、43年6月からは陸軍第78歩兵師団の指揮官をつとめ、翌年3月からは 第55軍団指揮官に任命され、エルネイル上陸作戦中に行われたジャスオ南部での攻勢作戦に参加していた。 45年5月になると、ウラソフは休養で米本国に帰還したが、その際、それまでの功績を認められ、新設の第29軍司令官に任命されており、8月には 歩兵4個師団、機甲2個師団を指揮する軍司令官として北大陸に舞い戻って来た。 ロコソフスキーとウラソフ以外にも、米軍に志願した将校や、情報機関に採用されたNKVD諜報員等が多く、彼らは二度と戻れぬ祖国に、時折思いを馳せつつも、 新しい働き場所で懸命に仕事をこなし続けていた。 「足を引っ張っているどころか、むしろ、司令部要員達を見事に纏め上げていると思うがね。着任から大して時間がたっていないにも関わらず、だ。」 ブローニングは微笑しながらそう言う。 「ウェデマイヤーの代わりは十分に務めておるよ。いや、それ以上と言った所かな。」 「いえ、それほどでもありませんよ。」 ブローニングの褒め言葉に、ロコソフスキーは苦笑しながら、謙遜した口調で返す。 ウェデマイヤーとは、第2軍集団の前参謀長を務めていたアルバート・ウェデマイヤー中将の事である。 ウェデマイヤーは現在、南部戦線に展開している第8軍(歩兵4個師団、山岳4個師団編成である)の司令官となっている。 「相変わらず、君は謙遜しかしないな。私は、ソ連軍の将軍は誰もが勇ましく、謙遜と言う言葉を知らんとばかり思っていたが。」 「そのお考えは少し、違いますな。」 ロコソフスキーは首を振りながら言う。 「ソ連邦の軍人も千差万別ですよ。最も………クレムリンの周辺に居座っていた将軍達は、閣下の言う様な者が多かったですが。」 「ふむ……なかなか重い言葉だな。」 ブローニングは頷きながらそう答える。 「……ところで、会議の開始は8時半からだが、西部戦線の各軍司令官は予定通り来るのだろうな?」 「はい。連合各国の各軍司令官も、ここクィネルに集まっているようです。」 「……西部戦線に展開している軍は、計17個軍にも上る。今回は、軍司令官と随員の2名だけが来る予定になっているが、それだけでも 34名がこの司令部の会議室に集まる事になっている………あの狭い会議室に全員入れると思うかね?」 「一応、人数分の椅子とテーブルは用意させておりますが、狭苦しくなるのはほぼ確実でしょうな。」 ロコソフスキーの発した言葉を聞いたブローニングは、室内で気難しげな顔を浮かべて座る多数の将軍達の顔を思い起こして、思わず苦笑してしまった。 「さぞかし、壮観だろうね。」 ブローニングはそう言ってから、大きく肩を竦めた。 軽く溜息を吐いたブローニングは、椅子から立ち上がると、背後の窓に体を向けた。 「……天気が気になりますか?」 空模様を見上げるブローニングにロコソフスキーが話しかける。 「ああ。」 ブローニングは空を見つめたまま言葉を返す。 「予報では、明日からは晴れになるんだったな?」 「はい。海軍の観測情報によりますと、明日から向こう一週間は気象が好転する予定との事です。それ以降は、本格的な冬が始まるでしょう。」 「冬が始まるか……」 ブローニングは、机の側に置いてあるコートハンガーにちらりと目を向けた。 ハンガーには、彼が愛用しているコートが掛けられている。 「3日前から気温が低下しつつある。既に、冬は始まっているのかも知れんな。」 午前8時30分 旧クィネル村役場跡 第2軍集団司令部 第2軍集団司令部は、クィネル村の半壊した役場を修復して使用しているが、司令部として使うにはやや手狭な印象があった。 だが、司令部として使える建物は、この村役場しかなく、ブローニングを始めとする司令部要員は、多少の事には目を瞑りながら、ここで軍務をこなしていた。 ブローニングが会議室に入室した時には、既に各軍の司令官、随員達が中で集まっており、彼の姿を見るなり、全員が一斉に立ち上がった。 「おはよう諸君。席に座っててくれ。」 ブローニングは、黒幕に覆われた壁の前に立つと、参加者各位にそう述べた。 席を立った参加者達は、ブローニングに言われた通りに席に座っていく。 「作戦参謀、資料の配布は終わっているかね?」 彼は作戦参謀のアレックス・ロー大佐に聞いた。 「はい。全員分は既に配り終わっています。」 「よろしい。それでは、始めるか。」 ブローニングは軽く頷きながら言った後、参加者達に向けて会議の開始を告げる言葉を放った。 「……諸君。任地からここまで来てくれて、本当にご苦労であった。今日、諸君らを呼んだ理由だが……近い内に、連合軍はシホールアンル本土に対して、 本格的な侵攻を開始する。」 ブローニングの放った言葉は、会議室の参加者達に驚きの声を上げさせた。 「作戦謀長、後ろの幕を開けてくれ。」 ブローニングは、ロー大佐に指示を下す。 ロー作戦参謀が頷き、手早く幕を引いて行く。 黒幕が左右に別れる。そこに現れたのは、西部戦線のみならず、バイスエの東部戦線に展開している各軍の配置図であった。 「我が第2軍集団は、各国連合軍と、バイスエの第1軍集団と共同でシホールアンル帝国本土に侵攻し、敵国本土南部を敵本国から完全に分断する……作戦参謀。」 ブローニングは作戦参謀に顔を向けた。 作戦参謀は、壁の前のテーブルに置いてあった指示棒をブローニングに手渡した。 「第2軍集団は、ヒーレリ、シホールアンル国境線に近い前線に配置している7個軍を攻撃に使う。そのうち、主攻は合衆国軍第6軍、第5軍、第7軍、カレアント軍第13軍に 務めて貰う。残りのミスリアル第1軍、カレアント第8軍、バルランド第62軍はそれぞれ敵前線に圧力をかけつつ、敵本国軍を牽制して貰う予定だ。」 ブローニングは、指示棒で各軍を指しながら説明を続けて行く。 「バイスエからは、合衆国第1軍集団の第1軍、第3軍、第4軍、第28軍が主攻として行動を開始し、敵国の本土南部と中部を両側から分断する形で前進する。 この作戦が成功すれば、シホールアンル帝国は本土南部を分断され、推定で100万以上の敵正規軍を包囲出来るだろう。」 ブローニングの説明聞いていた各軍司令官達が、再びざわめき始めた。 ブローニングは、それを無視する形で更に話を続けた。 「攻撃部隊が作戦を行っている間、西部戦線では残りの第41、44、42軍、第18空挺軍を中心に、ヒーレリ領北部に展開しているシホールアンル軍部隊に備えて貰う。 この4個軍は、シホールアンル本土分断作戦が終了するまで臨戦態勢で待機。分断終了後は、最低でも2個軍を増援につけてヒーレリ領の完全奪還を開始する予定だ。 なお、第29軍並びに、第15軍はシホールアンル本土攻撃部隊の予備として、グレンキア軍第12軍とレースベルン第23軍はヒーレリ領北方防衛軍の予備として後方に 待機させる。」 ブローニングは地図から指示棒をおろし、参加者達に体を向けた。 「今回のシホールアンル本土分断作戦……オペレーション・コロネットは、11月16日をもって開始される予定となっている。攻撃に当たる軍は、それまでに攻撃準備を 整えて貰いたい。なお、陸軍航空隊は翌日から、敵前線、並びに敵戦線後方への攻撃を開始する予定となっているが、攻勢開始日にも、航空支援はしっかり行う手筈だ。 諸君らは、気兼ねなく任務に当たって貰いたい。」 ブローニングは手短に作戦の概要を伝えた。 「私からの説明は以上になるが、質問のある者は手を上げてくれ。」 ブローニングの言葉に触発されたかのように、5人の将官が手を上げた。 「……ウラソフ将軍から話を聞こうか。」 ブローニングは、すぐ近くに居る第29軍司令官、アンドレイ・ウラソフ中将に向けてそう言い放った。 「それでは、発言させていただきます。先程、ブローニング閣下は私の指揮する第29軍と第15軍を予備にするとおっしゃられていましたが……以前行われた会議では、 シホールアンル本土攻撃には29軍と15軍も参加する筈でした。ですが、何故。29軍と15軍を当初の攻撃任務から外したのでしょうか?」 「前線の7個軍で充分であると判断した事と、万が一の場合に備えての事だ。」 「万が一の場合と申しますと……?」 ブローニングの言葉を受けたウラソフは、怪訝な表情を浮かべて更に質問する。 「これは、参謀長からの提案だが……戦争とは常に、相手がある事だ。これは軍事にとっては常識だが、もし、現状の兵力で攻勢を行った場合、唐突に北方戦線で シホールアンル軍の攻勢が行われ、戦線が崩壊しかけた時に、君らを使って突破部隊の阻止を図る事が出来る。つまり、味方部隊が危なくなった時の助っ人役、と言う事だ。」 「ですが、北方戦線の予備兵力には、グレンキア軍第12軍とレースベルン軍第23軍が充てられています。彼らだけでも充分な筈ですが。」 「防御主体ならば充分だろう。」 ブローニングにかわって、ロコソフスキーが答えた。 「だが、攻勢に移るとなればそれだけでは足りない。もし、主戦線である敵本土が堅かった場合、敵兵力の誘因を目的としたヒーレリ北方領の攻勢も、作戦の予備案として 考えられている。その場合、攻勢に使える兵力は最低でも5~6個軍。最良ならば、7、8個軍は欲しい所だ。その部隊の中に、貴官の指揮する第29軍や第15軍も 含まれる可能性は高い。また、敵が北方で攻勢にでても、数の差を活かして敵戦線を突破し、敵の幾らかを包囲殲滅して戦線の安定化を図る事も可能になる。これは、 敵本土戦線の場合でも同じだ。」 「ふむ……要するに、火消し専門の部隊、と言う事か。」 ウラソフの隣に座っている第15軍司令官、ヴァルター・モーデル中将が納得したように言う。 「火消し専門と言うには、規模が大き過ぎるような気がするが。」 「大きな火を消すには大量の消火剤が必要になる。我々は、その消火剤の役割を与えられたのさ。参謀長やブローニング閣下の考えは正しいと言えるよ。」 モーデルの言葉を聞いた参加者達が、一様に頷く様子をウラソフはちらりと見つつ、自らも自然と頭を縦に動かしていた。 「軍集団司令部の考えはよくわかりました。ならば、我々はそれに従いましょう。」 「……せっかくの本番でレギュラー落ちを宣告したような結果になってしまったが、そこの所は理解してくれ。」 ブローニングは申し訳ないとばかりにそう言った。 「では、次の質問に応えたいが、よろしいかな?」 「はっ。私の質問はこれで終わりました。」 「それでは……クルーガー将軍の質問に答えるとしよう。」 ブローニングは、第6軍司令官であるフランクリン・クルーガー中将に目を向けた。 「第6軍のクルーガーであります。来る作戦では空爆も同時並行で行われるとの事ですが……シホールアンル本土国境地帯にあります堅固な要塞陣地に対しても、 空爆は行われるのでしょうか?」 「勿論やるつもりだ。要塞地帯の空爆は、20AFが担当する事になっている。」 「20AFですと?」 その言葉を聞いたクルーガーは、思わず首を捻ってしまった。 「20AFはB-29が主体の戦略航空軍であり、主任務は敵本国への戦略爆撃の筈です。その20AFが航空支援……それも要塞爆撃を行うとは……解せませんな。」 「私も最初はそう思った。だが、ルメイ将軍の話によれば、最近、新たな新型爆弾が開発され、それが20AFに配備されたようなのだ。その爆弾なら、堅固な要塞にも 大打撃を与えられると、自信満々に言っていたな。」 「新型爆弾と言いますと……例のクラウドメーカー、という名の大型爆弾でしょうか?」 クルーガーの問いに、ブローニングはゆっくりと頷いた。 「爆弾自体が大きすぎて、B-29には1発しか積めないようだが、20AFは600機以上のB-29を有している。どれほどの爆弾を与えられたかは私も分からんが、 例え100発だとしても、敵要塞陣地には相当な打撃を与えられるだろう。」 「なるほど……要塞地帯には敵の防衛部隊主力がおりますからな。その主力が爆撃で手酷い損害を受ければ、我が軍の進撃もそれだけ容易になる………ある意味、 最高の支援と言えますな。」 「クルーガー将軍の言う通りだが、クラウドメーカーでどれだけの打撃を与える事が出来るかはまだわからん。もしかしたら、予想よりも小さな損害しか与えられぬ 可能性もある。爆撃の効果を過度に期待せずに、地上部隊は地上部隊で作戦に集中した方が良いだろう。」 「わかりました。ひとまず、作戦期間中は充分な航空支援が行われる、と言う事でよろしいですな?」 「そう考えて貰って結構だ。」 クルーガーの念押しの質問に、ブローニングはそう断言したが、その直後に、ロコソフスキーは胸中でこう付け加えた。 (天候が安定すれば、という前提だが……) 北大陸の天候は、5日前より悪化の一途を辿って行った。 季節は既に冬に突入しており、最高気温は日々低下し続けている。 その上、5日前から続く曇天と、その合間を狙ったかのように降りしきる雨は、気温の低下に拍車を掛けており、11月1日には、24度と、 丁度良いぐらいであった気温も、今日に至っては最高気温だけでも15度とかなり落ち込んでいる。 原因は、北大陸北西から吹き付ける強い北風と、大陸北西部分から流れつつある低気圧にあった。 このまま天候が悪化し続ければ、11月末どころか、下旬を迎えぬうちに気温はマイナスを割ると予想されている。 そうなれば、航空支援は十二分に行えなくなり、場合によっては、連合軍側は空の援護なしにシホールアンル軍と殴り合いを余儀なくされる可能性もある。 だが、希望が無い訳では無かった。 現在、戦線に近付きつつある低気圧だが、海軍の観測機からの報告では、前線は予想よりも南向きに向かっているとあり、この情報を得た軍集団司令部の分析では、 この状態が続けば、完全に晴れるとまでは行かぬものの、航空支援が出来る程度の空模様が、予定していた作戦開始日から少なくとも2週間近くは 続くであろうと判断されていた。 ブローニングは、それも踏まえた上でクルーガー将軍に答えたのであろう。 (閣下の考えは間違っている訳ではない……が、私としては、そう簡単に楽観できるとは思えんな……そもそも、この世界の天気は、元居た世界以上に気紛れだからな) ロコソフスキーは、ブローニングの判断に肯定的な言葉を心中で呟きつつも、彼自身としては、ブローニングほど楽観的にはなれなかった。 「失礼ですが、発言してもよろしいでしょうか?」 唐突に誰かが手を上げた。 「……モーデル将軍か。何かね?」 ブローニングは、クルーガーとの話が終わっていないにも関わらず、横から入って来たモーデルに、胸の内では何事かと呟きつつも、彼の発言を許した。 「先程、司令官閣下は、作戦期間中は充分な航空支援を行うとおっしゃっておりましたが……ここ最近は天候がすぐれず、いつ回復するか分からぬ状況にあります。 待機予定の予備軍司令官が何を言うかと思われるかもしれませんが、それを承知で質問させていただきたい。」 モーデルは、鋭い目付きでブローニングを見つめた。 「もし、作戦開始までに天候が回復しない上に……更に悪化した場合、航空支援は無きに等しい状態になると思われますが、それでも、攻勢作戦は予定通り実施 されるのでしょうか?」 「……なかなか、痛い所を突いて来たな。」 ブローニングはやられたとばかりに、苦笑を浮かべた。 「状況にもよるが……もし、猛吹雪でも吹こうものならば、作戦は困難になる。その場合、私は上層部に作戦の延期を進言してみるつもりだ。」 「では………航空支援が機能しない場合は、無理な侵攻は行わない、と言う事でよろしいのですな?」 「そうなるな。」 ブローニングはきっぱりと言いはなった。 「ただ、私としてはなるべく、作戦は予定通りに進めたい。と言うのも……東側の相棒が恐ろしく凶暴な相手でね。もし、私が作戦中止を宣言しようものならば、 東の相棒は私の司令部に殴りこんで来るかも知れん。そんな異常事態を避けるためにも、私は作戦開始が予定通りに行って欲しいと思っている。」 彼はそう言った後、語調を変えて言葉を続けた。 「まぁ、諸君らにとっては、私がパットンに平手打ちをされようが関係ない事だろうが。」 その一言が発せられた途端、室内でどっと笑いが湧き起こった。 しばし笑い声が響き続けたが、ブローニングが両手で静かにするように伝えると、参加者達も口を閉ざし、室内は再び静寂に包まれた。 「さて、モーデル将軍の言う事は良く分かった。今後は、悪天候時の対応についても検討しよう。ただ、天候の問題に関してだが、早朝に届いた海軍からの 気象情報では、前線付近に接近中の低気圧は、予想よりも南側に逸れつつあると言う。そのため、作戦開始から最低でも、2週間程は航空支援を行える見込みだ。 モーデル将軍が危惧する状況はその後になりそうだが、それまでは、我々は敵に対して、航空優勢を活かした戦いを行えるだろう。クルーガー将軍、他に質問する 事は無いかね?」 「いえ、私からは以上になります。」 クルーガーは自らの質問を終えると、一礼しながら顔をブローニングから反らした。 「次は……デヴァース将軍の話を聞こうか。」 ブローニングは、第30軍司令官であるジェレミー・デヴァース中将の質問を聞く事にした。 「第30軍を預かります、デヴァースです。閣下、今作戦は、季節柄冬季戦と言う事になりますが……戦闘時には必ず損耗が生じます。 武器、弾薬、車両、食料は当然ですが……それと同じように、衣類の補充も必要になります。冬の戦いでは、夏と違って凍傷という 脅威にも気を配らなければなりません。現在、第30軍を含む各軍は冬季装備が行き渡っておりますが、戦闘が長引けば、兵士の体を 守る衣類の消耗も馬鹿になりません。そこでお聞きしますが……軍集団司令部は、これら軍需物資の補給を継続させる上で、今作戦の 兵站線確保においてどのような考えを持っておられるのか、お聞かせ願いたい。」 「兵站線確保に関しては、兵站参謀から説明をさせて頂く。兵站参謀、頼む。」 ブローニングは、兵站参謀のウォルス・ウィンゲート少将に声を掛けた。 「今作戦の実行に当たりましては、カイトロスクの後方20キロにあるクルクコスに物資集積所を設け、作戦期間中はそこから補給隊を差し向けて補給を 継続させます。侵攻部隊が前進を続けた場合、軍集団司令部としては、第15軍、または第29軍を後詰部隊として投入しつつ、戦線各地に小規模な 物資集積所を設営して補給効率の維持を図ります。ただ、作戦期間中は侵攻軍全部隊に纏まった補給を継続する事は難事であり、時には、一部部隊の補給が 滞る事もあるでしょう。」 「その場合はどうされるのか?」 「天候が航空機の運用に適していた場合は、輸送機を使用して補給物資の空中投下を行います。輸送機が使えぬ場合は、予備のトラック隊を動員し、補給の 滞った部隊への輸送を最優先させる予定です。」 「それでも万全な補給が出来ぬ場合は、軍の前進を停止させる予定だ。」 ウィンゲートの言葉にブローニングがそう付け加えた。 「それでは、補給路には部隊を置きつつ、我々は過度に進軍しないように注意しながら、作戦に当たれば良い、と言う事でいいのですかな?」 「そう考えて貰って結構だ。」 「となりますと、パットン軍との連絡が遅くなりそうですな。」 デヴァースは複雑そうな表情を浮かべる。 「かといって、過度に損害を出しては元も子もない。兵は拙速を尊ぶとも言うが、戦力を温存しつつ、進撃して行くのも手だぞ。」 「戦力を温存しつつ……となると、主要進撃路以外の場所で敵を引き付ける必要があります。こういう場合は、どこかで敵を揺さぶらねばなりませんな。」 デヴァースの向かい側に座っている、エルフの士官……ミスリアル第1軍を預かるフラヴィナ・ウィロティクス中将が口を開いた。 「ウィロティクス将軍のおっしゃる通りですが、閣下は何か考えをお持ちですかな?」 ロコソフスキーがすかさず聞く。 「これは、以前の焼き直しになるかもしれませんが……我が軍の戦線正面で部隊を浸透させた後に機甲戦力を押し立て、敵の増援を引き付ける。 その間、主攻撃部隊は戦線北方を走破し、東側のパットン軍集団と連絡を図る、と言う物ですが……」 ウィロティクス中将はすらすらと答えるが、ロコソフスキーは首を横に振った。 「流石に、前回のヒーレリ領侵攻時のような成功は見込めないかと思われます。第一に、シホールアンル軍と我が連合軍の間には、森林地帯と思しき物は 一切見受けられぬ上に、戦線は敵が構築した防御線が幾重にも積み重なっております。確かに、ヒーレリ攻略戦での貴軍の働きは素晴らしい物がありましたが、 敵もそれを学んでいる筈です。」 「……つまり、主要防御線のシホールアンル軍には、浸透戦術は通用しないと言う事ですかな。」 ウィロティクスは、ロコソフスキーをじろりと見つめたが、彼はそれに動じることなく答えた。 「その通りです。」 「……参謀長閣下の言う通りですぞ、ウィロティクス閣下。それ以前に、戦線南部の連合軍は兵力の関係上、今回は支援役に徹する以外にありませんから、 過度に攻勢を強める必要はないかと思われます。」 ウィロティクスの右隣に座っている虎耳の士官…カレアント第8軍司令官、クリーネ・ブリンクトフ中将がウィロティクスを諌めた。 「……わかりました。ロコソフスキー閣下の言われる通り、浸透戦術はやらぬ方が良いでしょうな。ならば、我がミスリアル軍は、事前に決められた通り、 貴軍の支援に専念いたします。」 「ご理解いただき、感謝します。」 ロコソフスキーはウィロティクスに礼を言ってから、ブローニングに向き直った。 「司令官。次の話に移るとしましょう。」 「そうだな……では、次の質問に答えたいと思うが、誰か質問のある者は居ないか?」 作戦会議は、実に5時間に渡って行われ、会議が終了した時には、時計の針は午後1時40分をさしていた。 会議を終えたブローニングは、ロコソフスキーと共に自らの執務室に戻って来た。 「……やっと終わったな。」 「ええ。なかなか、良い会議が出来ましたね。」 半ば疲れた口調で言葉を吐くブローニングに、ロコソフスキーは事務的な声音で相槌を打った。 「あとは、残りの準備を行いつつ、作戦開始を待つだけだな。」 「確かに。現在も、物資集積所には、接収した鉄道を使用して補充物資の運搬と備蓄が続けられておりますからな。備えは一応、整っているといえます。」 「一応………か。君は相変わらず、どこかで謙遜する様な言葉を使うな。」 ブローニングは苦笑しながらそう言った。 「戦争と言う物は、どこか確定的でありながら、どこか曖昧的な物でもありますからな。」 ロコソフスキーは意味深な言葉を吐いた。 その時、彼はある事に気付いた。 「……良く考えて見ると………今回の作戦では珍しく、海軍の出番はありませんな。」 「今までは、沿岸部での戦いが多かったからね。海軍さんのお世話になる事も多々あったが、今回は陸軍主導で戦う事になる。少しばかり寂しい気持ちも するが、今までよく援護してくれた海軍の為にも、ここはしっかりと、勝負を決めなければならんな。」 ブローニングの言葉に、ロコソフスキーは深く頷く。 「となりますと、海軍はこの作戦期間中、ずっと待機状態のままになりますな。」 「……それはどうかと思うな、参謀長。」 ブローニングの口から出たその一言は、ロコソフスキーの首を傾げさせた。 「と……言いますと?」 「俺も詳しくは分からんが……昨日、リーシウィルムにニミッツ提督が訪れたようなのだ。」 「ニミッツ提督……太平洋艦隊司令官が、でありますか?」 「ああ。この時期に、それも唐突にだ。」 ブローニングは、ロコソフスキーの目を見据えた。 「どうやら、海軍さんも何かをやろうとしているようだぞ。」 同日 午後2時 リーシウィルム港 クィネル方面で陸軍の作戦会議が終わった後、ここリーシウィルム沖では別の会議が始まろうとしていた。 リーシウィルム沖2マイル洋上にある第5艦隊旗艦、戦艦ミズーリの会議室では、各任務群の指揮官と任務部隊指揮官が集められ、太平洋艦隊司令長官 チェスター・ニミッツ元帥と、フォレスト・シャーマン参謀長同席のもと、会議は開かれた。 「諸君、早速本題に入る。」 第5艦隊司令長官フランク・フレッチャー大将は、開口一番、そう言い放った。 「第5艦隊は、近々新たな作戦行動を行う事になった。その次期作戦についてだが……大まかな内容はまず、太平洋艦隊司令部のシャーマン参謀長に話して貰おう。」 フレッチャーはシャーマン少将に発言を促した後、用意されていた椅子に腰を下ろす。 座ったフレッチャーに代わって、シャーマン少将は淡々とした口調で説明を始めた。 「先日、統合参謀本部の決定により、太平洋艦隊司令部にクロスロード作戦発動準備命令が下りました。太平洋艦隊司令部は、第5艦隊にシェルフィクル攻撃、 並びに、シホールアンル艦隊主力の撃滅を命じます。」 シャーマン参謀長の口から出た言葉の前に、各任務群の司令官達から驚きの声があがり、誰もが互いに目を見合わせた。 「第5艦隊は、11月28日にリーシウィルム港を出港後、洋上補給を受けつつシェルフィクル沖に接近。進撃途上で敵主力部隊の迎撃を受けると思われますが、 第5艦隊はこれを撃滅後、シェルフィクル工業地帯の総攻撃を行って貰います。」 「シェルフィクルか……昨年9月以来になるのか。」 TF58司令官、シャーマン中将が感慨深げな口調で呟いた。 シャーマン中将は、昨年の9月のレビリンイクル沖海戦で第37任務部隊第2任務群を率いていたが、あの時の任務は、先程、自分と同じ性の参謀長が 話した物と同じであった。 シャーマンは、空母12隻を有する大艦隊がシェルフィクルに襲い掛かれば、それこそ一揉みであり、主要工業地帯を失ったシホールアンルは経戦能力を 喪失して、戦争の終結も早まるだろうと思っていた。 だが、シェルフィクルの手前にあるレビリンイクル諸島沖で、TF37は待ち構えていたシホールアンル軍航空部隊と、シホールアンル機動部隊本隊の猛攻を受けた。 TF37は敵の猛攻の合間をぬって敵機動部隊に航空攻撃を仕掛け、竜母1隻を撃沈し、他の艦艇にも損害を与えたが、衆寡敵せず、TF37は指揮官パウノール 提督が戦死した上、空母5隻、戦艦1隻を始めとする多数の艦艇を失い、他の空母も殆どが大中破し、実質的に壊滅状態に陥った。 ボロボロに打ちのめされたTF37は、帰還中にレンフェラルの攻撃を受けて更に損害を受け、帰還後、すぐに使える空母は正規空母2隻、軽空母1隻のみと言う 有様であった。 出港前は空母12隻も有していた大機動部隊が、帰還後に使える戦力は、僅かに3隻…… 損耗率は、母艦戦力だけでも実に70%以上という異常事態であり、当時のシャーマンは強いショックを受けた物だった。 だが、アメリカの圧倒的な工業力は、その損耗もたちどころに回復させ、TF37は解体され、後にTF58指揮下に組み込まれたものの、 レビリンイクル沖海戦から僅か4ヶ月後に起きたレーミア沖海戦では、大小19隻の空母、並びに航空戦力を揃えて、反撃にやって来た シホールアンル機動部隊を撃退した事は記憶に新しい。 とはいえ、無敵と思われた太平洋艦隊が、敵の待ち伏せで無様にも失敗したシェルフィクル攻撃を、再び実行すると言う事実の前に、彼の地で苦杯を なめさせられたシャーマンは心中で、真の復仇の機会を与えられたと思い始めていた。 シャーマンの思いをよそに、同じ性を持つ参謀長はすらすらと喋り続ける。 「シェルフィクル付近には、シホールアンル海軍の拠点が存在しており、そこには竜母を主力とする機動部隊が展開している可能性があります。 潜水艦部隊からの情報では、敵竜母は少なくとも、14、5隻は居ると見られます。」 「レビリンイクル諸島や、シェルフィクル周辺に展開している航空戦力はどれぐらいおりますかな?」 第5艦隊航空参謀を務めるエルンスト・ヴォーリス中佐が質問する。 「太平洋艦隊情報部の調べでは、シホールアンル軍はレビリンイクル諸島には航空戦力を展開させてはいないが、シェルフィクル周辺には、 総計で500~700機以上の兵力を展開させているようだ。昨年のレビリンイクル沖海戦と比べて、数は少ない物の、重要拠点を守る 航空部隊であるから、質の面では油断ならぬかと思われる。」 「参謀長。第5艦隊としては、どれぐらいの兵力を派遣させるお積りですか?」 第58任務部隊第2任務群司令官のマイルズ・ブローニング少将が質問してきた。 「シェルフィクル侵攻部隊についてですが、参加兵力は第5艦隊所属の高速空母部隊全てと、随伴の水上打撃部隊……TG58.7も含めます。 第58任務部隊の支援には、補給船団2つを用意し、それぞれをシェルフィクルとリーシウィルム間に待機させます。これらの補給船団も、 臨時に第5艦隊の指揮下とし、護衛に護衛空母と、第54任務部隊を当てる予定となっております。」 シャーマン参謀長の言葉に、室内にいる群司令達から再度驚きの声が漏れた。 現在、第5艦隊は第58任務部隊と第54任務部隊、上陸部隊輸送船団である第53任務部隊で編成されている。 第58任務部隊は、正規空母、軽空母を主力とする5個空母群と、水上打撃部隊1個群で編成されている。 TG58.1からTG58.5の主力は、全てエセックス級、リプライザル級正規空母、インディペンデンス級軽空母で構成されている。 母艦戦力は、今日現在で22隻に上る。 また、護衛艦艇も着々と増強しており11月中旬までには、新たにウースター級防空巡洋艦の3番艦サヴァンナⅡ、4番艦ブレマートンが TF58に配備される予定だ。 また、水上打撃部隊であるTG58.7は、アイオワ級戦艦3隻、サウスダコタ級戦艦2隻で編成された高速打撃部隊であり、これらの打撃艦隊は、 シホールアンル側の水上部隊に対する備えると共に、航空攻撃で破壊を免れた、シェルフィクルの沿岸工場の掃討を目的として編成されている。 第5艦隊の主力b部隊を支える2つの補給船団には、第54任務部隊の旧式戦艦と護衛空母が上空支援と敵艦隊襲撃の備えとして配置される予定で、 編成は着々と進んでいるとの事である。 太平洋艦隊司令部は、第5艦隊の主力である第58任務部隊全てを、シェルフィクル攻撃に投入しようとしているのである。 前回の苦闘を味わったシャーマンは、まさに万全の布陣であると確信していた。 「シェルフィクル周辺の敵航空部隊と、敵機動部隊の艦載機を合わせた場合、敵側は約1000から1200程の航空戦力を有している事になります。 それに対して、第58任務部隊は高速空母22隻、航空戦力約2000機となりますから、制空権の奪取は充分に可能であると思います。ただし、 敵側の航空戦力は推定ですので、前回のレビリンイクル沖海戦同様、シホールアンル側はそれ以上に航空戦力を有している事も考えられます。」 「だが、シホールアンル軍は昨年よりもかなり消耗している。」 唐突に、ニミッツ元帥が口を開いた。 「どんなに航空戦力をかき集めた所で、TF58以上に航空兵力を用意する事は、実質的に不可能だろう……以前は空母攻撃に参加したケルフェラクも、 今はB-29の戦略爆撃対策のために多数が主要都市周辺に張り付けられている、という情報もある。」 「少なくとも、航空戦力に関してはTF58が有利なのは変わらない、と言う事ですね?」 シャーマン中将の言葉に、ニミッツは深く頷いた。 「前回は、敵の航空戦力の多さに泣かされたが……今回はこっちが敵を殴り倒し、大泣きさせる番だ。シャーマン提督にとっては、今回の作戦は実に やりがいのある物となるだろうな。」 「はっ。こうして復仇の機会を与えられた事は、軍人として嬉しい限りです。」 ニミッツ提督の言葉に、シャーマン中将は恐縮しながら答えた。 「第5艦隊の主力を全て差し向ける限りは、前回の様な結果にはなり難いかもしれんが……相手はシホールアンル海軍だ。ミスターフレッチャー。 君からも、皆に対して気を抜かぬようにやれと伝えてくれ。」 ニミッツの言葉に、フレッチャーは微笑みながら頷く。 「無論、そのつもりです。むしろ、艦隊の将兵には、猛獣に立ち向かう古来の狩人のような気概で臨めと伝えた方が宜しいでしょうな。」 「猛獣に立ち向かう狩人か……今の状況はまさにそうだな。」 ニミッツはフレッチャーの言い回しに感心しながら、脳裏にはある情景が思い浮かんだ。 それは、悪天候の中、傷を負って凶暴化した猛獣を討ち果たさんとする複数の人影といった構図であり、その人影と猛獣が何を指しているのかは、一目瞭然だった。 「第5艦隊の出港は、恐らく、敵にも察知されるでしょう。そうなれば、シホールアンル海軍も否応なしに出撃して来る事は、ほぼ確実と言えますな。」 シャーマン中将が顎に手を掛けながらそう言う。 「迎え撃たなければ意味が無いからね。さて、敵機動部隊と戦うとなると、やはり……ここになるか。」 ニミッツは、机に置いていた指示棒を手に取り、シェルフィクルから南300マイルにあるレビリンイクル沖周辺を棒の先で撫で回した。 「……勝敗がどうなるかはともかく、海軍省の発表する報道の最後が、第2次レビリンイクル沖海戦と呼ばれる事は確実ですね。」 フレッチャーの発した言葉の前に、作戦室内の誰もが一様に頷いていた。
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第261話 決戦への道標 1485年(1945年)11月28日 午前3時 ヒーレリ領クィネル アメリカ北大陸派遣軍第2軍集団司令部では、深夜3時にもかかわらず、司令部要員の怒号や指示を仰ぐ声、新たな情報を入手し、それを読み上げる声が ひっきりなしに響いていた。 「第42軍司令部より続報です!第78軍団は目下応戦中なるも、敵石甲部隊並びに、快速部隊の猛攻を受け損害続出、戦線の維持は極めて困難なり!」 「第79軍団には機甲師団がいただろう?それを回す事はできんのか?」 第2軍集団司令官であるドニー・ブローニング大将は、机に広げられた作戦地図を指さしながら、参謀長のコンスタンティン・ロコソフスキー中将に聞く。 「第79軍団も敵の猛攻を受けておりますので、第78軍団に増援を回す余裕は無いかと。」 ロコソフスキーは指示棒の先で第78、79軍団を記す駒を叩いた。 「両軍団は現在、推定でも1個軍相当の敵部隊の攻撃を受けています。このまま現地で防戦しても、あたらに犠牲を増やす上に、戦線の薄い所を突破されて 1個軍丸ごと包囲殲滅される危険があります。ここは、第42軍に遅滞戦闘を命じながら、敵の突破力を削ぎ落とさねばなりません。」 「参謀長の言う通りだが……しかし、何故シホールアンル軍は、いきなり攻勢に打って出たのだろうか。第42軍と対峙している敵部隊は、情報によれば歩兵師団で 構成された防御主体の部隊だった筈だ。」 「いつの間にか、防御主体の編制から、攻撃主体の編制に変わった、と言う事もあり得ると思います。」 作戦参謀のアレックス・ロー大佐が発言する。 「第42軍司令部からの報告では、敵の攻撃部隊は、強化型キリラルブスと、兵員輸送型キリラルブス……こちらでいう、ハーフトラック装備の機甲歩兵部隊を 主体とした、諸兵科連合部隊が主力となっていたとあります。それが第78、79軍団の各前線部隊の前に現れておりますから、敵はひそかに、歩兵師団から 石甲師団主体の部隊に入れ替え、我が方の主力が敵本土国境で戦っている隙を衝いてきたのでしょう。」 「これはまた、痛い時に来られた物だが……しかし、第42軍も防衛態勢を整えていた筈だ。それが、なぜあっさりと防衛線を破られそうになっているのだ?」 「もう少し、情報を集めない限りは、的確な判断が出来ませんが……推測は出来ます。」 ブローニングの疑問に、ロコソフスキーが答える。 「シホールアンル軍は、先のヒーレリ戦で、装甲と砲力を強化した発展型キリラルブスを投入しています。このキリラルブスは、シャーマン戦車の砲撃を正面から受けても 弾くほど頑丈であり、主砲は1600メートル先からシャーマン戦車の正面装甲を打ち抜き、パーシングでも300メートルの近距離ならば、やはり貫通が可能です。 現在、第42軍所属の戦車部隊の中に、パーシングを装備しているのは、第79軍団の第37機甲師団のみで、数も1個大隊、36両のみです。大半はM4シャーマンか M3、M24軽戦車。その他に、M10駆逐戦車が多少混じっているだけです。」 「歩兵師団にも、一応は1個戦車大隊が配備されているが……相手は連隊単位でキリラルブスを投入しているから、どうしても数では不利になる。となると、敵は十分な 石甲戦力を活用して、歩兵部隊主体の戦線を突破できる……と言う事か。」 「ですが、この他にも疑問は残ります。」 ロコソフスキーは説明を続ける。 「今回の敵の攻勢ですが……敵が単に、部隊を入れ替えただけにしては余りにも数が多く、かつ、手際が良い。」 「……それはどういう事かね?」 「私の推測ですが……敵は、第42軍に対して、温存していた精鋭部隊を当てているのではないでしょうか。」 「精鋭部隊だと……どうして敵が精鋭部隊だと言えるのかね?」 「閣下。これまでの報告で、第7軍を初めとする本土侵攻部隊は幾度となく、敵石甲部隊と戦火を交えておりますが、報告を見る限り、敵は石甲部隊に、今では時代遅れに なった短砲身型のキリラルブスを多数配備していようなのです。無論、長砲身キリラルブスもかなりいると思われ、少ないながらも、装甲強化型のキリラルブスとも、 いくつか交戦記録が残っています。ですが、敵は我々の進軍停止から、4カ月近くもの猶予期間を与えられていないがら、西部国境地帯の重要拠点を守る部隊には、 装甲強化型のキリラルブスを多く配置せず、“旧式”の短砲身型キリラルブスばかりを配備していた……私は最初、航空隊の戦略爆撃のせいで、新型キリラルブスの量産が 間に合わず、数が余っている旧型キリラルブスを穴埋めとして配置したのかと思っていました。」 「……ですが、参謀長閣下は、実際はそうではないとおっしゃられるのですか?」 ロー大佐の問いに、ロコソフスキーは頷く。 「あくまでも、推測に過ぎん。もう少し時間と、情報を入手しなければ、まだはっきりとした事はわからんが。」 「第42軍の報告を待つしかないな……」 ブローニングは渋面を浮かべながら呟いた。 「それに、敵の狙いも気になる。参謀長、君は、シホールアンル側がどこに向かうと思う?」 「………考えられる行動としては、まず、敵の侵攻部隊が西南方向に進撃し、西部方面にいる連合軍部隊と侵攻部隊本隊を分断する可能性が挙げられます。」 ロコソフスキーは、オスヴァルス方面からリーシウィルム方面にかけて、指示棒の先でなぞる。 「これをやられた場合、我が方は3個軍を包囲される恐れがあります。ですが、我々としてはむしろ、好都合と言えるでしょう。」 彼はそう言いながら、リーシウィルム東方にある5つの駒の周りを棒の先でなぞる。 「リーシウィルム東方には、戦略予備として温存している部隊がおります。シホールアンル軍が近付いてきたのならば、この戦略予備部隊を総動員して迎撃します。 この辺りは平野部と言う事もありますので、軍の一部に側面を衝かせて、ある程度の敵部隊を包囲殲滅する事も可能でしょう。」 「まさに、飛んで火に居る夏の虫ですな。」 ロー大佐がしたり顔でそう言い放った。 「……そうなればいいが、この場合、敵が得られるメリットは少ない。」 「と、言いますと?」 「まず、第1に……例え分断が成功したとしても、国境を攻撃中の第5、6、7、30軍とカレアント第13軍には、何ら影響を与えられぬままそのまま敵国本土の 奥深くに攻め入っていく。そして、第2に、待機していた予備軍に叩かれ続けられ、包囲成功は一時的な物にしかならず、逆に、敵は我が方に包囲殲滅される危険が ある。まぁ、これは敵が戦略予備軍の存在を知らないことを前提にした物だから、あまり当てにはならんが……それから、第3の懸念として、敵が今では敵国領同然 ともいえる、ヒーレリ領を長距離にわたって行軍する事にある。」 ロコソフスキーは棒の先で、ヒーレリ領全体を撫で回す。 「ヒーレリ領の国民は、ほぼ全てが南部付近に避難しており、少し前までは首都であったオスヴァルスや、カイトロスク等の大都市はおろか、周囲の寒村ですら人は 全くいない。そんな中、占領地から延々と500キロ以上も行軍して、補給線を維持できると思うかね?」 「難しいかと思われます。」 兵站参謀のルイス・クリントン中佐が発言する。 「特に、冬季においては、補給量の維持は、全軍がほぼ自動車化された我が軍でさえ難事です。補給に馬車を多用しているシホールアンル軍では、補給量を維持するどころか、 線を確保できる事すら難しいでしょう。」 「それでもやるかもしれんが……閣下、私としては、敵がリーシウィルム方面、または、西部方面軍の分断を図るのは現実的ではないと推測します。」 「では……敵はどのように打って出るかね?」 ロコソフスキーの言葉に反応したブローニングは、更なる質問を飛ばす。 「こうなるかと………」 ロコソフスキーは、指示棒の先を、第42軍が布陣している辺りから、カイトロスク南方まで動かした。 「移動距離は、約300キロと、決して短くはありませんが……それでも、要塞線でミスリアル第1軍と睨み合っている部隊からの支援が期待できる上に、本命の本土侵攻部隊の 大半が国境沿いに前のめりになるような形で前進している今、リーシウィルム行きよりはかなりやり易い物になるかと思われます。」 「何たることだ……」 ブローニングの顔色が更に暗くなった。 「最も、これも推測に過ぎませんが……ただ、こちらのように動くのが現実的ではあります。幸か不幸か……この進み方は、先のリーシウィルム侵攻を予測した物とは異なり、 我が戦略予備軍を避けるような形となっております。」 「我々にとっては、不幸以外の何物でもないな。」 ロコソフスキーの説明を聞いたブローニングが吐き捨てるように言う。 「戦略予備軍がすぐに敵へ向かえないばかりか、敵に向かおうとしている最中に、カイトロスクに踏み込まれ、そこにある物資集積所を抑えられる可能性がある。それも、高確率で。」 「閣下、敵反撃部隊の規模に関しての情報は今の所、正確にはわかりませんが……」 ロコソフキーは指示棒で南下しつつあるシホールアンル軍の駒をつつきながら、自らの胸の内に浮かんだ言葉を口から吐き出していく。 「装備の整った1個軍が圧倒的に不利な状況に陥っている事を考える限り……敵は少なくとも、2個軍ないし、3個軍以上の戦力をぶつけて来たものと考えられます。」 「3個軍………」 彼の言葉を聞いたロー大佐が驚きとも取れる呟きを発する。 「仮に、敵が2個軍だけとしても、この2個軍は相当な練度と、優秀な装備を有している可能性が極めて高いでしょう。これでは、我が軍が“現状”のまま出撃し、敵の進出を食い止めようと しても、航空支援が無い限り、容易に返り討ちにされるだけです。」 「参謀長閣下の言われる通りです。」 クリントン中佐が頷きながら言う。 「戦略予備軍として待機している第15軍と第29軍は、元々はシホールアンル西部国境の前線に投入される前提で待機していたため、燃料は豊富ですが、弾薬に関しては完全にカイトロスク集積所の 物を頼りにしています。一応、この2個軍は一定量の弾薬は有していますが、それも3日戦える分しかありません。満足に戦えるようにするには、4日間程待機し、カイトロスクとは別の物資集積所を作り、 そこに弾薬類を運ばなければいけません。」 「だが、それまでにカイトロスクが占領されてしまえば、前線で戦っている我が連合軍地上部隊はたちまち、燃料、弾薬の補給を受けられなくなる。そうなれば、敵の逆襲を受けて危険な状態に 陥りかねない!ここは、弾薬の備蓄量には目を瞑り、第15軍と第29軍が総出で反撃に出れば、敵の攻勢はなんとか食い止められるのではないか?」 作戦参謀のロー大佐が、慎重策を唱えようとするクリントン中佐に強い口調で問いかける。 「交戦開始から3日間で敵を撃退できる保証はありますか?作戦参謀、貴方も合衆国軍人ならば、兵站の大切さがよく分かっている筈ですぞ。いくら強力な軍勢を敵侵攻軍の前に部隊を配置しても、 弾が無ければ敵に蹴散らされるだけです!ここは、戦略予備軍の補給体制が確立してから、敵に対する反撃を行うべきです!」 「第42軍は敵と防戦中で、カイトロスクへ後退しようにもできない状態にある。カイトロスクに弾薬がたんまりとあるのなら、第15軍と第29軍をすぐに急行させれば良い。敵がカイトロスクへ 来るのならば、そこで迎撃すればいいだろう。」 「しかし、カイトロスクへ向かう街道は、この一連の悪天候のために大部隊での通行が難しい状態にあります。現在、工兵隊が24時間体制で交通状態の確保に当たっておりますが、降雪は数日前よりも 多く、今では吹雪同然です。こんな状況で軍規模の部隊を一気に送る事は、不可能ではありませんが難しい事に変わりありません。」 「だがな、兵站参謀……敵が第42軍を圧倒している以上、いつ戦線崩壊が起きてもおかしくはない。そうなれば、敵は一気にシホールアンル領侵攻部隊の背後に回り込んでしまう。そうならん内に 戦略予備軍を送るべきだ。例え、事故が起きてもだ!」 「いえ、私は反対です!事故が起きれば事態は尚更酷くなります!」 ロー大佐は睨み付けながらクリントン中佐に言うが、クリントン中佐も負けじとばかりに反対する。 「カイトロスク周辺に進出できる道路の数は、工兵隊が急造した物も含めて4本しかありません!そのうち、2本は積雪で通行不能になっており、後の2本は、工兵隊の努力のおかげで辛うじて通行状態が 可能な程度に維持出来ているだけであり、大軍が移動するには些か不向きな状況です。そこで無理に行軍を行い、事故でも起こそうものならば、進撃路を阻まれた戦略予備軍は、カイトロスクへ向かわぬまま 道路の真ん中で立ち往生してしまいます。そうなれば、カイトロスクへの増援はおろか、敵の側面を衝く事も難しくなります。」 「だが、こうしている間にも、敵は着実に前進を続けている。ここは多少の無理を承知で行動を超こすべきだ!」 「……何度も申し上げますが!」 「2人とも熱くなるな。」 互いに譲らぬ議論が、横から入った声によって中断された。 「君達は、敵がカイトロスクへ侵攻すると頭から決めてかかっているようだが、連中が私の予想通りに進撃するとは限らん。それに、戦闘はまだ始まったばかりだぞ。」 ロコソフスキーが言うと、クリントンとローは済まなさそうに一礼してから口を閉じた。 「司令官。彼らはああ言っておりますが…やはり、、もうしばらく様子を見たほうが良いと考えます。」 「様子を見るだと?第42軍が押しまくられているこの状況でか?」 その提案を受けたブローニングが眉をひそめる。 「状況が余りにも不明瞭すぎます。確かに、敵がカイトロスク方面を向かう可能性は少なくありませんが、同時に、リーシウィルムに向かうとも限りません。軍事的な観点から言えば、 後者はあり得ないかもしれませんが……相手はシホールアンル軍です。我々の常識で考えてはいけません。」 「しかし参謀長閣下!戦略予備軍は前線部隊の危急を救うために編成されております!戦場は想定した物とは異なりますが、今を置いて、行動する時は無いと愚考いたしますが……」 「ああ、それこそ愚考に過ぎんぞ。」 ロコソフスキーはあっさりと言い放った。 「作戦参謀。貴官は軍司令部の作戦立案を担当する身だ。作戦を考えるからには、常に冷静にならなければいかんはずだが、君は今、第42軍担当区域の戦線崩壊……ひいては、カイトロスクの侵攻に 伴う様々な悪影響を恐れるあまり、知らず知らずの内に感情的になっている。少し、頭を冷やせ。」 「!!」 ロー大佐はその言葉を受けるや、目を見開いた。 ロコソフスキーはしばしの間、ロー大佐の顔を見つめ続けた。 「………失礼いたしました。参謀長閣下の言われる通り、些か慌てておりました。」 「それで良い。常に、冷静になれ。」 ロコソフスキーは軽く頷きながら言うと、顔をブローニングに向けた。 「司令官。第42軍からもう少し情報を集めましょう。今は1にも2にも、情報が必要です。」 「君の言う通りだな。」 ブローニングは深く頷いたが、その顔は相変わらず、苦悩に満ちていた。 「それにしても、敵がどこへ向かっているのかがわからんと、こっちもどうすれば良いか分からん物だな。リーシウィルムに行くのか………それとも、カイトロスクへ回るのか……」 「カイトロスクへ行かないとなると、後方ががら空きのままになりますな。せめて……カイトロスクへの出入り口となるクヴェキンベヌには有力な部隊を配置したい所です。」 クリントン中佐がそう言いながら、右手の一指し指でカイトロスクから北方6キロにある地名をなぞった。 「クヴェンキンベヌはカイトロスクへ続く唯一の道が繋がっているからな。カイトロスク周辺は思ったよりも悪路が続いていて、攻撃側はここを抑えん限りカイトロスクに簡単に 行けなくなる。行くとすれば、クヴェンキンベヌを大きく西に迂回してからになるが……迂回路は150キロ以上もの長い細道だ。」 ブローニングが地図に指をさしながら説明する。 「実質的に、クヴェンキンベヌを制する者がカイトロスクを制すると言っても過言ではない。」 「となりますと……早急に部隊を送りたい所ですな。クヴェンキンベヌには憲兵しかおりませんし。」 クリントンがそう言いつつ、目で部隊を送れる余裕がある軍を探す。 「第42軍は例外だな。あそこから軍を引き抜こうものならば、即戦線崩壊だ。」 ロー大佐が左手を振りながらクリントンに言う。 「戦略予備軍も、道路の都合上……即座に動けない。送るとしても、敵の侵攻までに2個師団遅れれば上出来でしょうな。」 「その2個師団をどこに配備するかによって、迎撃作戦の様相が異なってくる。また、どの部隊を送るかでも状況は変わって来るぞ。」 ロー大佐の言葉に、クリントン中佐はしばし考えてから答える。 「機甲師団は……突破戦に必要な上に、防御には些か不向きです。となれば、歩兵師団が最適でしょうな。我が軍の歩兵師団は、実質的に自動車化師団のような物ですから、トラックや ハーフトラック等で迅速に運ぶことが出来ます。」 「完全充足の2個師団を派遣か……しかし、2個師団だけで足りるのかね?」 ロコソフスキーがすかさず質問する。 「2個師団の内、1個師団はクヴェンキンベヌに置く必要がある。となると、残り1個師団はカイトロスクに置くしかない。」 「……この2個師団は自然と、敵に包囲される事になりますな。」 ロー大佐が唸りながら言う。 「そうだ。しかも、敵は何倍もの兵力を動員しているだろう。特に、クヴェンキンベヌの部隊は弾薬、食料の補給が切れた状態での戦いを余儀なくされる。そこに力押しで来られれば…… 結果は自ずと見えて来る。」 「そもそも、戦略予備軍は敵機動集団の反撃を側面から衝き、敵の攻勢を頓挫させることを目的として編成されております。そのためには、多くの兵力を必要とします。その戦略予備軍から 部隊を抽出するのは、反撃開始時に兵力不足と言う問題を抱える事になりはしませんか?」 「言われてみれば……」 ブローニングの顔がより険しくなる。 「レースベルン軍とグレンキア軍はどうでしょうか?」 「第23軍と第12軍の事かね?この部隊も、第41軍と第44軍の機動予備として展開している部隊だ。前線の逆侵攻に備えるためには、ここから動かす事は難しいが……」 「閣下、全部隊を引き抜くのではありません。せめて3個師団程を抽出すればよいのです。」 戦力の抽出を躊躇うブローニングに対して、ロー大佐が促すように言う。 「待って下さい。同盟軍部隊は我が軍と違って、兵站の面においてはいささか不安があります。それに加えて、レースベルン軍とグレンキア軍の部隊は練度に置いても不安が否めない点もあり、 攻撃には使えるでしょうが、数十個師団の敵に包囲されるような極限状況に耐えられるとは、彼らには悪いですが……私はとても思えませんな。」 クリントン中佐がロー大佐の案に異を唱えた。 「では……すぐに動けそうな部隊は第18空挺軍しか無さそうだな。」 ロコソフスキーは、地図上のとある駒に視線を向けた。 第18空挺軍は、2日前に前線から後方のオスヴァルスに休養のため移動していた。 「確かに。第18空挺軍は練度も高いですからな。」 「……作戦参謀。カイトロスクとクヴェンキンベヌを守るとしたら、どれぐらいの兵力が必要になるかね?」 ブローニングがすかさず問い質す。 「最低でも3個師団は欲しい所です。」 「3個師団か……」 「第18空挺軍は第10空挺軍団と第11空挺軍団で成っていますが、練度の最も高い第10軍団は2個師団と1個旅団と、少々足りませんな。」 「もう1つの第11空挺軍団は2個師団か……転用するとなると、第10軍団の方が適しているようだが、最後の部隊は旅団規模だからな。せめて、あと1個師団欲しい所だ。」 ブローニングはそう言いながら、地図上に置かれた友軍部隊の駒を眺め回した。 「第18空挺軍から戦力を転用するにしても、カイトロスクへ向かう街道を確保し続けなければなりません。第42軍の状況からして、敵の攻勢に長期間耐えられる事はほぼ不可能です。」 「作戦参謀、そうなると……戦力の転用は即座に行わなければならんが。」 ブローニングがロー大佐に言う。 「無い物ねだりしても始まらない。ここは、第10空挺軍団を早急に送り、クヴェンキンベヌとカイトロスクを確保する事を決めたいと思うが……諸君、どうかね?」 ブローニングは、幕僚達を見まわしながらそう問いかけた。 「作戦参謀、何かあるかね?」 ロコソフキーが、ロー大佐に顔を向けて聞く。 「……現状では、それ以外に方法は無いかと思われます。」 「小官もその案でよろしいかと思います。第10空挺軍団は前線に近い所に布陣して居た事もあり、弾薬も相当量保持しておりますから、防御主体で行くのならば、軽く1週間…… 長ければ2週間は耐えられるでしょう。最も、敵が予想以上に強ければ、この予想は外れるかもしれませんが。」 「閣下、私も異存はありません。」 ロコソフスキーが一段と張りのある声音でブローニングに言った。 「決まりだな。」 ブローニングは深く頷くと、命令を伝え始めた。 「では、第10空挺軍団にカイトロスク・クヴェンキンベヌへの移動を命じよう。それから、第42軍には極力、遅滞戦闘を行いつつ、最低3日はカイトロスク-オスヴァルス間を結ぶ街道の 確保を命じよ。ここを取られれば、敵の反撃は成功したも同然になる。」 「……しかし閣下。第42軍は現在、必死の防戦に当たっている最中です。ウェリントン街道(カイトロスク-オスヴァルス間を結ぶ街道の綽名である)を確保し続ける余裕は無い物と思われますが。」 「だが、やらねばならん。敵も無茶をしてきているんだ。ならば……こっちも無茶をせんといかん。第42軍の将兵には申し訳ないが……ここは踏ん張ってもらうしかないだろう。」 午前4時 ヒーレリ領クィネル しばしの間休憩を取るため、ロー大佐と共に作戦室から退出したロコソフスキーは、淹れたてのコーヒーが入った紙コップを片手に休憩室まで足を運んだ。 「4時ですか……どうも、時間の流れが曖昧な感じがしますな。」 「曖昧と感じるだけ幸せだろう。」 ロコソフキーはコーヒーを啜ってからロー大佐に言う。 「第42軍の将兵達は、苦しい状況の中で戦っている。恐らく、彼らは一秒でも早く、この大苦戦から逃れたいと思っているだろう。彼らの中で流れる1分間は、俺達が今感じている1分間とは 全く異なる物となっている筈だ。」 「……その彼らに、自分らは酷な命令を下してしまいましたな。」 ロー大佐は浮かぬ口調でロコソフスキーにそう告げる。 「今は戦争をしているんだ。どこかの部隊が死力を尽くして戦わん限りは、勝利は望めない物だ。指揮官たるもの、時には心を鬼にする事も必要だよ。」 「……何はともあれ、やるべき事は決まりましたな。」 「ああ。第42軍には、何としてでも街道を守り切って貰いたい。航空支援があれば、ここまで苦労する事もなかったのだが……この際、やむを得ん。」 「勝つためには仕方ない事……なのでしょうね。」 ロー大佐の吐いた言葉に、ロコソフスキーは2度頷いた。 「………作戦参謀。第42軍を襲っている部隊だが…もしかして……」 急に、ロコソフスキーの語調が変わり始めた。 「参謀長。何か思い当たる事でも?」 「いや、これは今しがた思い立った事なんだが……今後の情報で、第42軍を襲っていた部隊が、今まで温存されていた敵地上軍の主力部隊だとしたら、第42軍の苦戦もわかるが…… これは同時に、連中に致命的な損害を負わせられる機会が俺達に巡って来たともいえるかもしれん。」 「致命的な損害ですと?参謀長閣下、唐突にそのような事をおっしゃられても……」 「馬鹿者。よく考えてみろ。」 ロコソフスキーは胸ポケットから手帳を取り出し、ペンで簡単な地図を書き始めた。 「合衆国軍はこのように……東に向かって進んでいるが、敵はその背後を衝くような形で第42軍を襲った。第42軍が目下苦戦中なのは周知の通りだが……この伏兵集団が、 シホールアンルにとって切り札とも言うべき装甲集団であったならば……そして、こいつらを包囲殲滅できれば、あとはどうなると思う?」 「………戦線の維持は不可能になり、前線はより奥へ押し込まれていきますな。」 「そうだ。そして、その果てにあるのは敵の本国……ウェルバンルだ。」 「なるほど……つまり、参謀長閣下は、温存していた敵精鋭部隊がのこのこ出張ってきたかもしれないと思われるのですな。となりますと……我が軍の現有戦力で、この敵精鋭部隊を 果たして包囲できるのでしょうか。」 「……今は真冬という事もあるし、戦略予備軍の準備が整い、反撃を行っても……敵の狙いは潰せるかもしれんが、敵を包囲殲滅できるかと言われれば、難しいかもしれん。」 ロコソフスキーは渋面を浮かべ、ペン先で紙面を叩きながら言う。 「さっきも話した通り、まずは1にも2にも情報が必要になるが、第42軍の苦戦ぶりからして敵がかなり強いという事は容易に想像できる。ここで判断するのは早すぎるかもしれないが、 私としては、この敵が敵主力であると考えている。だから、この敵主力を叩き潰すのは、並大抵の事ではない。では……どうするべきか。」 「動員可能兵力は、第15軍と第29軍の10個師団です。総兵力は17万程になります。歩兵師団は自動車化されており、機甲師団も4師団配備されていますから強力な布陣と言えますが…… 例の伏兵集団は2個軍ないし、3個軍で攻め立てている事も考えられますから……攻撃しても一進一退の攻防を繰り返すだけですな。」 「ほかに使えそうな部隊は無いかね?」 ロコソフスキーの問いに、ロー大佐はしばらく考え込んだ。 「……第5水陸両用軍団はどうでしょうか?」 「第3海兵師団と第5海兵師団か。」 「ええ。この2個師団は強襲上陸専用師団となっていますが、第3海兵師団は陸軍の機甲師団並みに機械化されている上、第5海兵師団も師団直属の戦車大隊を有しており、駐屯地には迅速に 移動できるようにトラックも配備されています。実質的に、1個機械化歩兵師団と1個自動車化師団があるのと同じ状況ですな。」 「ほほう……どうにかこの2個海兵師団を使えない物かな。」 「そうなると、太平洋艦隊司令部と海兵隊司令部に話を通さないといけなくなります。あと、第5水陸両軍団の直属司令部である第5海兵遠征軍司令部にも話を付ける必要があるかと。」 「司令官は確か、ホーランド・スミス将軍だったか……私は会った事ないが、相当気性が荒いと聞いているぞ。話を持ち掛けたら何か文句を言ってこんかね?」 ロコソフスキーは不安気な口調でロー大佐に聞く。 「文句を言われても別に構わんでしょう。ここが勝負所だと説得すれば、スミス将軍も理解してくれる筈です。」 「確かにな……あと、他に使えそうな部隊は無いかな。」 「合衆国軍の中では……この2個海兵師団以外は難しそうです。となりますと、同盟軍の部隊に動いてもらうしかないでしょう。」 「同盟軍か……すぐに確認を取らねばならんな。」 ロコソフスキーはそう言ってから、慌ただしく手帳をポケットの中に戻し、席から立ち上がろうとした。 ふと……彼の頭の中に何かが閃いた。 「………出来るだろうか。」 「と、申しますと?」 「ん?」 ロコソフスキーは、急に声をかけて来たロー大佐を見て怪訝な顔つきを浮かべたが、それはロー大佐も同じであった。 「今、参謀長閣下は出来るだろうかとおっしゃってましたが……やはり、反撃を行うのは難しい事でしょうか。」 「ああ、いや、そうではないんだ。」 「……では、何か別の事を考えていたのですか?」 「別の事、とは言えんな。」 ロコソフスキーは苦笑した。それを見たロー大佐は更に首を傾げた。 「作戦参謀。第15軍と第29軍の各師団が保有している野砲や自走砲、ロケット砲の総数を調べたいんだが、これは兵站参謀にでも聞いた方がいいかな。」 「それがよろしいかと。しかし、なぜ野砲とロケット砲の数を調べるのでしょうか?」 「ああ……少しばかり古巣にいた時の事を思い出してね。」 ロコソフスキーは、どこか懐かしむような口調でロー大佐に言った。 「参謀長。それに作戦参謀もここにいらしたんですか。」 休憩室の入って来た通信参謀が、2人を見るなり頓狂な声を上げた。 「やぁ通信参謀。君も一服しに来たのかね?」 「ええ。すいませんが、お邪魔します。」 通信参謀はそそくさと室内に入ると、胸ポケットから煙草を取り出して火をつけようとした。 「そう言えば……先ほど司令部に、太平洋艦隊司令部から通信がありました。」 「ほう。何と言ってきたんだ?」 ロー大佐がすかさず問い質す。 「第5艦隊は予定通り、目的地に向けて出港するとの事です。」 「予定通りか。海軍さんも動き出したか。」 ロー大佐が何気ない口調で言葉を吐き出す。 「海軍は昨年の復讐をとばかりに、シェルフィクルを攻撃するようですが……上手く行くといいですね。」 「上手くいって貰わんと困るさ。でなきゃ、負担が減らない。特に前線の兵士はな。」 ロコソフスキーの軽いジョークが室内に響き、2人の幕僚は微かに微笑んだ。 11月28日 午前8時 シホールアンル帝国首都ウェルバンル リリスティ・モルクンレル大将は、この日の8時に総司令部に出勤した。 執務室に入る前に、彼女は背後から誰かに呼び止められた。 「おはようございます。次官。」 「おはよう、情報参謀。」 リリスティは何気ない口調でそう返しながら、後ろに体を向ける。 総司令部情報参謀を務めるヴィルリエ・フレギル大佐が、右手に1枚の紙片を持ちながら歩み寄ろうとしていた。 「出勤早々で申し訳ありません。報告したい事がありますが。」 「ちょっと待って、中でやりましょう。」 リリスティはドアの向こう側に右手の親指を向けながら、執務室に入っていく。 ヴィルリエもそれに続き、入るなりドアを閉めた。 「それで、報告とは?」 「ん。これかな。」 ヴィルリエはキセルをくわえながら、リリスティに紙片を手渡した。 彼女はその紙片に書かれている文を読み、短いため息を吐いた。 「リーシウィルムのアメリカ機動部隊が、遂に動き出したか……」 「報告は第4機動艦隊にも行っている。今頃は敵艦隊襲来に備えるため、出港準備を整えている頃だろうね。」 「今度の海戦は、第4機動艦隊にとって最も厳しい物になるかもしれない………それでも、出撃を命じなければいけないとは。」 「まぁ、相手の面子がねぇ……」 リリスティが浮かぬ顔で呟き、ヴィルリエも半ば諦めたような口調で言う。 「でも、集められるだけの戦力は集めた。必要な場合は、リリィにも交渉してもらったし、あの地方の戦力は、現状の帝国の戦力でいうと破格と言ってもいいよ。」 「あとは、戦いに臨む戦士達の奮闘を祈るだけか……待つだけというのが、後方勤務者の辛い所ね。」 「そうかな?別に辛いとは思わないけど。」 ヴィルリエは特に感情のこもらぬ口調で答えた。 「まぁ、リリィは少し前まで前線勤務だったからね。そう思うのも仕方ないかな。」 「どうもね……落ち着かなくなる。」 リリスティはため息を吐きながら、ヴィルリエに言う。 「竜母は、揃えられる限りは揃えられた。正規竜母の数は少ないけれど、それでも大小18隻。艦隊航空戦力は900以上……これに陸上基地のワイバーン、飛空艇、計540ほどが加わる。 昨年の戦いと比べて、それに近い数の航空戦力を揃えられたのは、今の帝国の状況から行ってまさに奇跡と言っていい。」 「でも、昨年と違ってあちらさんの数も多い。空母も最低、20隻は下らないし、質も大幅に上がっている。どっちにしろ……多くの血が流れるのは避けられないね。」 「ヴィル……一応、私たちはやるべき事は全てやり尽した。あとは、ムクの率いる艦隊が勝つ事を祈るしかない……」 リリスティは、語調に悲壮な響きを含ませながら言う。 「戦神よ……そして、これまでの戦いで散っていった英霊よ……どうか、第4機動艦隊にご加護を………」 「リリィ……」 ヴィルリエは、両目を紡ぎながら祈りの言葉を告げるリリスティを見るなり、口から出かけた言葉を飲み込んだ。 (リリィ……豪放磊落と言ってもいい性格の持ち主の貴方が、こうまでするなんて……それほど、貴方も精神的な余裕を無くしているのね) ヴィルリエはそう思いながら、リリスティの後姿を見つめる。 いつもは大きく見えたその姿も、この時ばかりは異様に小さく見えていた。 同日 午前8時20分 リーシウィルム 「出港用意!」 第5艦隊旗艦である戦艦ミズーリの艦橋内に、艦長の号令が響く。 この号令に反応した艦首の水兵達が手早く動き回る。 程無くして、艦首部から垂らしていた錨が駆動音と共に艦首に巻き上げられていく。 第5艦隊司令長官フランク・フレッチャー大将は、雪の降りしきる中、防寒着を身に着けた状態で環境の張り出し通路に出ていた。 「見事なまでに大雪だな。ここから1キロしか離れていないリーシウィルム港が霞んでいるぞ。」 「衝突事故を落とさぬか心配ですな。外海に出れば、気象も少しはマシになるのですが。」 航空参謀のホレスト・モルトン大佐の言葉に、フレッチャーは首を振りながら答える。 「事故対策は取ってあるから、何とかなるだろう。」 フレッチャーは左舷側に顔を向けた。 ミズーリから800メートルほど離れた海域を、複数の影がゆっくりと過ぎ去っていく。 その中の1つは一際大きい。 形からしてエセックス級空母のようである。その空母が、一定の間隔を置いて点滅を繰り返している。 「第2任務群のレンジャーが出港していきます!」 見張り員は、その空母から発せられる発光信号を読み取り、すかさず艦橋に報告する。 第2任務群の出港は程無く終わった。 第5艦隊は、この日の早朝より、主力部隊である第58任務部隊が出港を開始していた。 最初に出港したのはTG58.3であり、その次にTG58.2が続いた。 TG58.2の出港が終わると、ようやく、TG58.1の出番となった。 ミズーリの艦深部の唸りが徐々に高まっていき、ミズーリ以外の各艦もまた、出港を機関音を唸らせながら出港の時を待つ。 やがて、TG58.1の先導駆逐艦が最初に出港を開始した。 この駆逐艦4隻は、43年より続々と就役し始めたアレン・M・サムナー級駆逐艦の姉妹艦である。 先導艦が動き始めてしばらく経ってから、重巡洋艦ヴィンセンスと軽巡洋艦ビロクシーが艦を前進させる。 更に軽巡モントピーリアが出港を開始した後、任務群の主役である正規空母がゆっくりと前進していく。 最初に動き出した空母は、今や米海軍の標準空母とも言える、エセックス級空母のランドルフである。 ランドルフには、第58任務部隊の指揮官を務めるフレデリック・シャーマン中将が座乗しており、マストに将旗を掲げていた。 ランドルフに続いて、フランクリンが後を追っていく。 しばらくして、ランドルフ、フランクリンよりも一際巨大な空母が、ゆっくりと動き始めた。 「リプライザルも動き始めたか……」 フレッチャーは、目の前を行く巨大空母の名前を呟く。 今年より太平洋艦隊に配備され始めた、リプライザル級正規空母のネームシップ、リプライザルは、降雪下で視界が悪いのにも拘らず、 エセックス級とはひと味もふた味も違う存在感を滲ませながら、威風堂々と外海に向かって行った。 その後に、軽空母のラングレーが主人に仕える従者のように、雪で白く染まった飛行甲板を見せつけながら続行していく。 「出港!」 艦長の号令が響いた直後、それまで機関の圧力を高め、じっと待機していたミズーリがゆっくりと動き始めた。 「遂に出港か……」 フレッチャーはぼそりと呟く。 ミズーリが動き始めた直後、左舷側500メートルに位置している僚艦ウィスコンシンも行動を開始する。 2隻のアイオワ級戦艦は、ここ数日以来続く大雪で、艦隊の所々を白く彩られていたが、それがかえって、この2隻の巨大艦の威容を周囲に強く見せつけていた。 TG58.1が出港を終えた後も、残った3個任務群は順繰りに出港を続けた。 午前11時50分、戦艦5隻を主力とする水上打撃部隊……TG58.7の出港を最後に、第58任務部隊の出港は終わりを告げた。 陸軍部隊が2正面で死闘を繰り広げる中、海軍もまた、自らの決戦場へ足を運びつつあった。 第2次レビリンイクル沖海戦 両軍戦闘序列 シホールアンル軍 第4機動艦隊(司令官ワルジ・ムク大将) 第1群 正規竜母モルクド ホロウレイグ 小型竜母ライル・エグ ゾルラー リテレ 戦艦クロレク ケルグラスト 巡洋艦フリレンギラ ルンガレシ エフグ 駆逐艦22隻 第2群 正規竜母マレナリイド プルパグント 小型竜母マルヒク ゴイロ・ブクラ 戦艦ロンドブラガ マルブドラガ 巡洋艦オルトバイド ウィリガレシ ルィストカウト 駆逐艦20隻 第3群 正規竜母ランフック クリヴェライカ 小型竜母マルクバ リョバリキス エランク・ジェインキ 巡洋戦艦マレディングラ ミズレライスツ 巡洋艦レイヴァリス フィキイギラ イシトバ 駆逐艦16隻 第4群 小型竜母クラボ・ルィク アンリ・ラムト リフクラナ 戦艦フェリウェルド フィレヴェリド クリヴェンシュ 巡洋艦ラビンジ シンファクツ キャムロイド マミラ・ルィシク フラミクラ 駆逐艦21隻 航空戦力960騎 陸軍第607混成飛行集団 第661空中騎士軍 第331飛空艇軍 ワイバーン320騎 飛空艇220機 計540騎 アメリカ軍 第5艦隊司令長官フランク・フレッチャー大将(旗艦ミズーリ) 第58任務部隊 司令官フレデリック・シャーマン中将(旗艦ランドルフ) 第58任務部隊第1任務群 正規空母リプライザル ランドルフ フランクリン 軽空母ラングレー 戦艦ミズーリ ウィスコンシン 重巡洋艦ヴィンセンス ボルチモア 軽巡洋艦ビロクシー モントピーリア サンディエゴ 駆逐艦22隻 (搭載機 リプライザル F7F32機、F8F48機、F4U20機、AD-1A36機、S1A9機 ランドルフ F8F48機、AD-1A48機、S1A12機 フランクリン F8F48機 AD-1A48機 S1A12機 ラングレー F8FN-1 16機 F8F12機 TBF7機) 航空戦力406機 第58任務部隊第2任務群 正規空母シャングリラ レンジャーⅡ アンティータム 軽空母タラハシー 戦艦アラバマ 重巡洋艦セントポール ノーザンプトンⅡ 軽巡洋艦フェアバンクス フレモント デンバー 駆逐艦20隻 (搭載機 シャングリラ F8F48機 F4U36機 AD-1A16機 S1A10機 レンジャーⅡ F8F56機 SB2C24機 TBF18機 S1A8機 アンティータム F4U56機 SB2C24機 TBF18機 S1A8機 タラハシー F6FN-5 8機 F8F24機 TBF8機) 航空戦力 362機 第58任務部隊第3任務群 正規空母ヴァリー・フォージ グラーズレット・シー サラトガⅡ 軽空母ノーフォーク 重巡洋艦リトルロック ピッツバーグ 軽巡洋艦ウースター ロアノーク ウィルクスバール メーコン 駆逐艦24隻 (搭載機 ヴァリー・フォージ F6F48機 SB2C24機 TBF18機 S1A10機 グラーズレット・シー F4U56機 AD-1A42機 S1A8機 サラトガⅡ F7F32機 F8F68機 AD-1A36機 S1A8機 ノーフォーク F6FN-5 8機 F8F24機 TBF8機) 航空戦力 394機 第58任務部隊第4任務群 正規空母キアサージ レイク・シャンプレイン ゲティスバーグ 軽空母サンジャシント プリンストン 巡洋戦艦コンスティチューション トライデント 重巡洋艦デ・モイン 軽巡洋艦ガルベストン アムステルダム アンカレッジ デナリ 駆逐艦24隻 (搭載機 キアサージ F6F48機 F4U36機 TBF16機 S1A10機 レイク・シャンプレイン F6F56機 SB2C24機 TBF18機 S1A8機 ゲティスバーグ F4U56機 AD-1A42機 S1A8機 サンジャシント F6FN-5 8機 F8F24機 TBF8機 プリンストン F6FN-5 8機 F8F24機 TBF8機) 航空戦力 402機 第58任務部隊第5任務群 正規空母キティーホーク オリスカニー モントレイⅡ 軽空母ロング・アイランドⅡ ライト 重巡洋艦カンバーランドⅡ ボイス 軽巡洋艦サヴァンナⅡ ブレマートン スポケーン メンフィス 駆逐艦24隻 (搭載機 キティーホーク F8F48機 F4U48機 AD-1A36機 S1A12機 オリスカニー F4U56機 SB2C24機 TBF18機 S1A10機 モントレイⅡ F6F56機 SB2C24機 TBF18機 S1A10機 ロング・アイランドⅡ F6FN-5 8機 F6F24機 TBF8機 ライト F6FN-5 8機 F6F24機 TBF8機) 航空戦力 440機 第58任務部隊第7任務群 戦艦モンタナ イリノイ ケンタッキー マサチューセッツ サウスダコタ 重巡洋艦セイレム シカゴ アストリア 軽巡洋艦ヘレナ フェニックス モントピーリア 駆逐艦18隻 第5艦隊航空戦力 計2004機
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スキル 砲兵司令官 メカニック オープンウォーフェアエキスパート 補正 歩 120% 装 120% 砲 125% 空 110% 海 100% 動 +3 HP 135% 費用 2050→課金580円 概要 このゲームの火砲将最強候補。基本火力の高さもさることながら、汎用性の高い平原で火力底上げも可能で、おまけに徐々に回復する。雇って損はないと思われる。いよっ流石某覇〇4最強の火砲将。 2023/9のアップデートによりソビエト仲間のロコソフスキー・ジューコフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。課金したくなければアップデートせずにコインを稼ぎましょう。 史実 イワン・ステパノヴィチ・コーネフ(ロシア語 Ива́н Степа́нович Ко́нев, ラテン文字転写 Ivan Stepanovich Konev, 1897年12月28日 - 1973年5月21日)は、ソ連の軍人。ソ連邦元帥。ゲオルギー・ジューコフとベルリン一番乗りを競った。ソ連邦英雄(2度)。(Wikipediaより引用) コメント 名前
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スキル 砲兵司令官 メカニック オープンウォーフェアエキスパート 補正 歩 120% 装 120% 砲 125% 空 110% 海 100% 動 +3 HP 135% 費用 2050→課金580円 概要 このゲームの火砲将最強候補。基本火力の高さもさることながら、汎用性の高い平原で火力底上げも可能で、おまけに徐々に回復する。雇って損はないと思われる。いよっ流石某覇〇4最強の火砲将。 2023/9のアップデートによりソビエト仲間のロコソフスキー・ジューコフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。課金したくなければアップデートせずにコインを稼ぎましょう。 史実 イワン・ステパノヴィチ・コーネフ(ロシア語 Ива́н Степа́нович Ко́нев, ラテン文字転写 Ivan Stepanovich Konev, 1897年12月28日 - 1973年5月21日)は、ソ連の軍人。ソ連邦元帥。ゲオルギー・ジューコフとベルリン一番乗りを競った。ソ連邦英雄(2度)。(Wikipediaより引用) コメント 名前
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スキル 砲兵司令官 歩兵司令官 トレーニング 補正 歩 130% 装 120% 砲 130% 空 115% 海 100% 動 +3 HP 145% 費用 2300→課金580円 概要 お店に入ってすぐ、1番目に登場するのがこの漢。陸軍ユニット全てに乗っけられる万能さはかなりのもの。 反面器用貧乏ということだが、体力が多いので持久戦になっても戦える。 2023/9/9のアップデートによりソビエト仲間のロコソフスキー・コーネフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。課金したくなければアップデートせずにコインを稼ぎましょう。 史実 ゲオルギー・コンスタンチーノヴィチ・ジューコフ(ロシア語 Георгий Константинович Жуков, ラテン文字転写 Georgy Konstantinovich Zhukov、1896年12月1日 - 1974年6月18日)は、ソビエト連邦の政治家、軍人。最終階級はソ連邦元帥。独ソ戦勃発後にモスクワ防衛司令官に就任。44年にはドイツ軍を撃破しベルリンへの入城を果たした。(出典 20世紀西洋人名事典) コメント 名前
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,.イ ,..-,. =- ( . i / /_ ヽ V / ´ . . . . ``ヽ、 ,.. . ´ . . . . . . . . . . . . . . . . . . ..ヽ / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ./ . ; . . . . . . . . . . . .、 .ヽ . . . . . . .ヽ. . .ヽ ! . .i . . .l . . . i .l . .ト . ヽ . ヽ . .ヽ . . .ヽ . . ! l . . .! . . .l . . .ハ !、 i ヽヽ -‐- ヽ . . ヽ . ! .! . .l . . . ト . .レ- ,.r=ミ、 ヽ . . .トl 、 . l . . . lX .l,r.=ミ. '.! !.' l 〉 . ! ヾト . . . l、 !( j. ` ." i' .lレ' ヽ . lヽ. ` ´ ._,`-r イル 二ゝ、 _ `-' / r' ´ .\  ̄ lj )`ヽ、 .l ヽ、, -‐' ´ ヽ、》_, .`ヽ i `f 〃 .\ / ! ! ! 〃 /´ / ! .! 〃 / ./ .i ! 〃 / / .! i 〃 / ./ l .! 〃 / ./ i ! 〃 / イ ハ l 〃. / / l / l 〃 / .l 菊地真 (出展:アイドルマスター 原作:リディア・ロコソフスキー ) □プロフィール(暫定) ソビエト軍提督。ロリコン(クワトロ)の部下。元気一杯で、いつも駆け回っている。 外見はカッコいいけど、少女趣味で、フリフリしたドレスとか大好き。あれ?実はロリ? □キャラ情報 ソビエト軍提督 クワトロの部下
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スキル 砲兵司令官 歩兵司令官 トレーニング 補正 歩 130% 装 120% 砲 130% 空 115% 海 100% 動 +3 HP 145% 費用 2300→課金580円 概要 お店に入ってすぐ、1番目に登場するのがこの漢。陸軍ユニット全てに乗っけられる万能さはかなりのもの。 反面器用貧乏ということだが、体力が多いので持久戦になっても戦える。 2023/9/9のアップデートによりソビエト仲間のロコソフスキー・コーネフ、仇敵ドイツのマンシュタイン・グデリアン・ロンメル、資本主義共のアイゼンハワー・モントゴメリー・パットンとともにこのゲーム初の課金将となった。課金したくなければアップデートせずにコインを稼ぎましょう。 史実 ゲオルギー・コンスタンチーノヴィチ・ジューコフ(ロシア語 Георгий Константинович Жуков, ラテン文字転写 Georgy Konstantinovich Zhukov、1896年12月1日 - 1974年6月18日)は、ソビエト連邦の政治家、軍人。最終階級はソ連邦元帥。独ソ戦勃発後にモスクワ防衛司令官に就任。44年にはドイツ軍を撃破しベルリンへの入城を果たした。(出典 20世紀西洋人名事典) コメント 名前