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244 :創る名無しに見る名無し:2008/11/26(水) 04 24 44 ID bGmzkk2p メリー!メリー!メリー!メリーぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!メリーメリーメリーぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!メリーたんの金色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ハロウィンのメリーたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 4コマ漫画も描いてくれて良かったねメリーたん!あぁあああああ!かわいい!メリーたん!かわいい!あっああぁああ! 創作発表にもスレが出来て嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!メリーさんスレなんて現実じゃない!!!!あ…SSも絵もよく考えたら… メ リ ー ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!目理 伊三ぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?絵リクスレのメリーちゃんが僕を見てる? 絵リクスレのメリーちゃんが僕を見てるぞ!メリーちゃんが僕を見てるぞ!メリーたんに萌えるスレ@Wikiの絵保管庫のメリーちゃんが僕を見てるぞ!! 絵のメリーちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはメリーちゃんがいる!!やったよリカ!!ひとりでできるもん!!! あ、私メリーさんスレのメリーちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっありああっあありあリカ様ぁあ!!カ、カシマー!!ヒキコぉおおおおおおお!!!クチサケオンナぁあああ!! ううっうぅうう!!俺の想いよメリーへ届け!!メリーさんスレのメリーへ届け! 反省してる
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メリーとジョン 第1話
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87 :創る名無しに見る名無し:2008/11/13(木) 23 12 55 ID 3REoPlq0 「メリーさんの電話、ってのを知ってるか?」 開口一番──というわけでもないが、しばらくぶりに会った奴は挨拶を交わすのもそこそこにそう切り出した。 手に持ったビールのグラスを見つめ、割りと茶化した風もなく。 となればそれなりに真面目な話なのだろう。しかしいかんせん場所が渋いおでんの屋台ときてる。 思い出話や愚痴に花咲かせるものだと思い込んでいた俺はまったく予期していなかった台詞に面食らっていた。 「……えと、メリーさんって、あの電話がかかってくるメリーさん……だよな?」 「ああ」 俺の認識が正しければ、それは都市伝説の一つである。特にオカルト好きな奴ではなかった気がするが。 「で、そのメリーさんがどーしたんだ? まさか……電話がかかってきたって言うんじゃねーだろーな……?」 恐る恐るといった感じの口調を意識しながら言う。 もしかすると、こういうノリから始めて驚かせ、その後の会話を盛り上げるネタを覚えたのかもしれない。 となれば乗ってやらないわけにはいかないだろう。 そんなことを考えていると、奴はふっと笑った。 俺はその笑いに違和感を覚える。引っかかったという感じではなく、演技を見透かしたような含みがあったからだ。 「私のとこにはかかってきてないよ。ただ、気になってね」 「気になるって、なにが?」 話が見えない上に酒の席で意味不明な話題をふられていることもあり、少しだけもどかしさを感じ始めていた。 「メリーさんの話にはいくつか説がある。一番基本なのが、女の子が捨てたメリーって人形が電話をかけてきて、最後には『あなたの後ろにいるの』で終わるってパターンだな」 「ほお」 「そっから派生して、振り向いたら殺されるだとか、ひき逃げした運転手に被害者の少女から電話がかかってくるなんていくつかの話がある」 「ふぅん」 「あとは、メリーさんが相手にしてもらえずに泣いたり、少女が超高層マンションに住んでて、たどり着く前にメリーさんがギブアップしたり、なんていう話もあったな」 「ぶっ、それは初耳だな」 想像したらメリーさんがちょっと可愛く思えてきた。まあ都市伝説というか誰かが考えたギャグなんだろうけど。 「まあそんな具合に色々派生があるが……お前の知ってるメリーさんの話は、どういう感じだった?」 「は? いや、どういう感じって言われても……お前が言ってるのと同じだけど。詳しいことなんて知らないし」 「いいから、詳しく知らないでもいいからお前がイメージしてたメリーさんの話を大ざっぱでいいから聞かせてくれ」 一体なんだってんだろうか。最初は冷静だったのに話しているうちに興奮してきたのか、奴は少し強引に話を迫る。 「あー……だから、女の子から電話がかかってきて、今どこどこにいるから、ってのが続いて最後は後ろにいる……って感じだよ」 「女の子については? 元の話が人形だとか知ってたか?」 「いや、知らなかったけど」 「後ろにいる、ってなった後の展開は?」 「さあ……ただ、なんとなく殺されるイメージがあるけど」 「そっか……」 奴は今度こそ神妙な顔をして黙り込んでしまった。そして俺は今度こそわけの分からん話にもどかしさが怒りに変わった。 「なあ、お前一体何が言いたいのさ? ……こっちは久しぶりに会って楽しく酒が飲めるって思ってたの」 「妹が蒸発した」 「…………は?」 「妹が行方不明になっちまったんだよ……。消える前に家族とか友達にメリーさんが来る、って言ってたんだ。だから……な」 おでん屋の店主のグラスを磨く手が止まる。背中に当たる秋風が嫌に冷たくなってきた。まるでそこに冷気を帯びた何者かがいるかのように。 123 :メリー譚 ◆izRqNgc0hU :2008/11/20(木) 22 13 31 ID YX6gTJh6 自宅への帰宅途中、俺の頭の中では奴に相談された話が混沌と渦巻いていた。 帰り際にかっくらったビールは今まで生きてきた中で最もまずく、思わず吐き捨てたくなるほどだった。 おまけにたった一口しか飲んでいないのに頭がくらくらして嫌な胸焼けまでする。 頭を押さえて舌打ちをしながら緩慢な足取りで帰路を行く。 『…………』 思わず口を開き──けれど言葉は出なかった。 言われたことの意味が分からなくて……いや、もちろんどっちの単語も理解はできる。だがあまりに現実味がなくて。 冗談にしてもマジにしてもすこぶる性質の悪い話だと思った。 『……ごめんな。信じらんないよな……』 「あ、いや……』 特に失望したような様子もなく、きっと俺のリアクションが予想の範囲内だったのだろう、奴はすまなそうな顔をする。 正直……まるで対応の仕方が分からなかった。 現実的に考えて行方不明ならば事件か何かで完全に警察の仕事だ。 本当にメリーさんという幽霊(人形?)に殺されたり消されたりしたのなら……それもそれで警察か霊能者の仕事だろう。 何故近頃まったく会っていなかった俺にわざわざ連絡を取ってまでそんな話をしたのか、少しも奴の思考が読めなかった。 『え…っと……と、とりあえず話を簡単に整理してくれよ。悪い、俺も混乱しちまってさ……』 奴は両手で持ったグラスに目を落としながら話し出す。 『妹…お前も知ってるだろ、あいつが一週間くらい前にいなくなった。部屋の状態から考えて、警察は事件の可能性が高いって言ってる』 『あ、一応警察には届けたんだな』 メリーさんとか言い出すから、てっきり警察にも届けずに騒いでいるのかと思ってた。 というか警察が事件の可能性が高いっていうくらいだから、こいつが勝手に怪談話を信じ込んでいるだけなのかもしれない。 奴は一度じとりとした目を俺に向ける。思わず怯むと、目を逸らして奴はまた話し始めた。 『部屋には争った跡みたいなのがあったからな。メリーさんなんてオカルト話より、現実的な線で捜査を進めるのは当然だとは思う』 『……もしかして、警察にもメリーさんの話……したのか?』 『そりゃあな。あいつもいなくなる前には異常に怖がってたし、それに……』 そこで一旦言葉を切ると、目を閉じてしばらく考えるような表情をした後、奴はまた口を開いた。 『何が手がかりになるか分かんないから話さないわけにはいかないだろ』 『まあ……そういうもんか』 『私はな……ストーカーか何かなんじゃないかと思ってるんだ』 124 :メリー譚 ◆izRqNgc0hU :2008/11/20(木) 22 14 35 ID YX6gTJh6 ストーカー。オカルト話を信じ切っていると思っていた奴の口から漏れたその現実的で危険性の高い言葉に、俺は目を見開く。 『メリーさんってのが比喩か何かで、ストーカーのことを指してるんじゃないか……って、そう思って色々調べたんだよ』 『……だから俺が知ってるメリーさんのイメージみたいなのを聞いたのか』 『メリーさんの特徴的な印象が犯人に繋がってるかもしれないから……悪いとは思ったけど、お前なら真剣に聞いてくれると思って』 そう言うと奴は突然立ち上がり、先ほどとは打って変わって声のトーンを上げ、 『悪かったなっ、久しぶりに会ったのに辛気臭い話しちまってさ。今度また飲み直そうぜ。ここは多めに払っとくから、せめて腹膨らませて帰ってくれな』 『あ、おい!』 止める間もなく、奴は万札を置いて風のように消えて行ってしまった。放心した後、俺はグラスのビールを一気に煽り立ち上がった。 今考えるとあいつ、かなり切羽詰ってる感じだったな……。 そこまで特別に妹との仲が良かったわけじゃないと記憶してるが、やはり肉親がストーカー被害とかでいなくなれば落ち込むものか。 メリーさん……。 都市伝説とあいつの妹の蒸発……一体どういう関係があるのだろうか。中途半端に聞かされただけだとどうにも歯がゆい。 人形…電話…あなたの後ろに…… 「!!」 背筋が急に薄ら寒くなり、慌てて後ろを振り返る。 ……もちろん何もいるわけはない。街灯で等間隔に照らされた暗い夜道が続くだけだ。 やはり大人になっても作り話だと理解していても、何か得体の知れない存在がいるかもしれないと思ってしまうのは人間の性なのか。 バカバカしい。明日も仕事だ。早く帰って寝、 ──急に携帯の着信音が鳴り響く。 タイミングがタイミングだけに心臓が口から飛び出しそうなほどに跳び上がり、激しい動悸に襲われながら犬のように息をする。 震える手で携帯のディスプレイを見れば、なんてことはない、あいつからの電話だった。 マジで死ぬかと思ったじゃねえか……。何か言い忘れたことでもあったのだろうか、とりあえず文句を言わなければと通話ボタンを押す。 「もしもし。どうし」 「私メリーさん」 時間が一瞬止まった気がした。声が出ない。 「今、北江公園の前にいるの」 「……お……お、おお、おいおいおい……ははっ、げ、げ、幻滅だぞ。このタイミングでそんな冗談……」 「今、あなたの方に向かって全速力で走ってるの」 「言……い……、…………」 もう、本当に言葉が出ない。さぁーっと体温が下がっていくのが分かる。手が汗でヌルヌルする。背中が冷や汗で気持ち悪い。 そういえば……北江公園って……この近く。そう──さっき数分前に前を通ったばかりの……。 待て、待て待て待て待て。さっきこいつなんて言った!? 今、あなたの方に向かって全速力で走ってるの──。
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めりーさんとは メリーさんとは、有名な都市伝説の一つである。 説明は1スレ目の1さんの書き込みより 1 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[] 投稿日:2005/07/15(金) 02 22 52 ID v0Q5ZgBv 有名な都市伝説メリーさん。 突然電話で「私メリーさん」 マンション(或いは家)の外から電話をかけ、徐々に近づいてきて、最後には。 「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」 ここで、一つの疑問が生まれる。 【後ろさえ見なければ危害は無いのでは?】 そうなれば、彼女はずっと後ろに憑いていることになる。 貴方の私生活にずっと憑いて行く彼女に萌えてみませんか? ただし、後ろを見ないように、どうなっても責任はとりません。 参照:ttp //cthulhu.hp.infoseek.co.jp/dic.merytel.html
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メリーの居る年越し 作:◆Rei..HLfH. ID b36ttV/c 年の明ける30分前に書き始めて、20分で仕上げたタイムアタックなSS AM0 00 「ふぁ~…。寝よっと…」 「あ、メリー」 「ん?どうしたの隆一」 「あけましておめでとうございます」 (立ちながらのお辞儀) 「な、何よ?いきなり改まって」 「いや、正月なんだし、コレくらいはキチンとやらないとな」 「…あっそ。私は寝るから、静かにしてね」 「待て待て待て、布団にもぐりこむな」 「何よ…」 「いや、僕が言ったんだから、メリーもやっとこうや。な?」 「まったく…妙なところが爺臭いわね」 「新年はすっきり迎えたいだろ?」 「わかったわよ…。おめでとぅ…」 「はーい。もっと大きく声だそうねー!!」 「くっ…。あ…あけまして…おめでとう…///」 「照れないで、ちゃんと喋ろうや」 「…!!照れてなんか無いわよ!!」 「じゃあ、ちゃんとやって見せてみ」 「分ったわ。見せてあげる」 (両膝をつき、両手をハの字に置き、恭しくお辞儀をする) 「新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」 「え?あ、どうも、こちらこそ…」 (隆一も頭を下げる) 「…どう?」 「むむ…。文句なしだ…」 「さて、私は寝るわね」 (布団に潜り込む) 「あ、おばあちゃんが年越しそばを作ってるから、まだ寝ない方がいいぞ」 「うぅ…。眠いのに…」 (ごそごそと出てくる) 「起きるんかい」 「当たり前でしょ…。年越しは蕎麦に限るのよ」 「…どっちが爺臭いんだか…」 「何ですって!?」 (ガンッ!!) 「あ痛ーっす!!」 「今年もばっちり鍛えてあげるから、覚悟しなさい」 「『いじめる』の間違いだろ…イデデデ!!耳を引っ張―イデデデデ!!」 「私はどっちでもいいのよ、アンタの傍に…(ハッ!!)///」 「え?僕の蕎麦?…僕の分はやらんぞ」 「うっさい!!」 (ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!) 「うぎゃああああああああああ!!」 夜の町に届く2006年の到来を告げる除夜の鐘には、 少し悲鳴が混ざっていた。 拍手っぽいもの(感想やら) なんか照れてるところというか、照れ隠しにいじめるところがいいですね。今年も、来年もメリーさんと一緒にいられるといいですね。タイムアタックSSはメリーさんのじゃないけど、バレンタインとかホワイトデーにあわせて掲示板にかいたことあったな・・・。 -- 317 ID pVfVF/lr (2006-01-13 01 59 16) 続きが気になります!!-- ななし (2007-07-30 12 35 34) あなたのかくメリーさんはほんとにかわいいです。すごく今さらですが、続きを書く予定があるなら頑張って下さい! -- ななし (2015-06-01 20 20 09) 名前 コメント
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8 :SS一号・俺のメリーさん。:2008/11/10(月) 00 53 51 ID /A7f6fJU 十年ぐらい前の話。 俺はまだ五歳ぐらいで、東京に住んでいた。 その時の俺は人形に夢中だった。 おもちゃ屋に行けばぬいぐるみコーナーに走って行って目をキラキラ輝かせながらすべてのぬいぐるみに抱きついていた。 俺の当時のお気に入りは俺の親父が誕生日の時に買ってくれたフランス人形だった。 顔はものすごく整っていて、黒いフリル付きのドレスを着ていて。 十代前半の女の子みたいに華奢で。 すぐ壊れてしまいそうだった。 俺はその人形をメリーと呼んで可愛がっていた。 買ってもらってから一カ月ぐらい過ぎたころ、俺はメリーを連れてゴミ捨て場に行った。 ゴミ捨て場は当時の俺にとって秘密基地のようなところだった。 そこで見つけたプラスティックの板とかで実際に小さいシェルターを作ったこともあった。 その日も俺はその小さな小屋でメリーとままごとをして遊ぼうとした。 がしかし。俺はすぐに後悔した。 ゴミ捨て場には俺の幼稚園のいじめっ子共がいたのだ。 いじめっ子共は俺を見るなり笑い出した。 「見ろよ、人形なんか持ってるぞー!」だとか、「赤ちゃん!」みたいなことを言いながら。 怒った俺は泣きながらいじめっ子の一人に向かっていったが、返り討ちにあった。 顔面に一発くらって俺は人形を落として地面に寝転がって泣いた。 そして俺を殴ったいじめっ子はメリーを掴んで投げた。ガラクタの山に向かって。 俺はメリーが放物線を描いてゴミとゴミの間に落ちるのを泣きながら眺めていた。 いじめっ子共はそれを見るなり笑いながら自分の家に帰って行った。 俺はメリーが落ちたあたりを必死に探した。 皮が切れても、爪が剥がれそうになっても。 夕方になってもメリーは見つからなかった。 辺りが暗くなったころ、親が俺を探しに来て俺を連れて帰った。 次の日も俺はゴミ捨て場に行ってメリーを探した。 その日は前の日よりもう少し広い範囲を探したが見つからなかった。 その次の日も俺はメリーを探した。その日はもう少し深くを探した。 けど、見つからなかった。 その次の日も探したが、見つからなかった。 その次の日も探した。その次も探した。その次も、その次も。 けど、見つからなかった。 当時の俺は気付かなかった。毎日ゴミの山が変わっていることを。 そして毎日ゴミが、処理されていることを。 メリーを探し始めてから半年が経った頃、俺は鎌倉に引っ越すことになった。 結局メリーは見つからなかった。 そして今。 大学生になった俺は寮に住んで学校に通っている。 成績は中の上、運動神経は並。彼女はできたことはないが、別に顔は悪くはない。 友達も普通にいて、いじめにも遭っていない。将来の夢は特にない。 俺はそんな普通の人生を過ごしている。 「はぁ…何で今頃人形のことを思い出すかなぁ…」 窓から夕焼けを見ていた俺は深くため息をついた。 特に理由はないと思うが、なぜか冬になると無くした人形のことを思い出す。 毎年のことなので特に深く考えずに終わるのだが。 (しゃあねぇ、今日は早めに晩飯食って寝るとすっかな) そして俺は夕暮れに染まる街に出た。 自転車を漕いで十分ぐらいのところに行きつけのラーメン屋があるので週一ぐらいのペースで俺はそこで食べることにしていた。 ガラッとガラス戸をあけてカウンターに座る。 「チャーシューメン大盛りお願いしまーす」 「あいよ!」 一時期毎日のように通っていたことがあるのでほとんどの店員は俺の顔を覚えていた。 「チャーシューメン大盛り、お待ち!」 「どーもっす」 俺は渡されたラーメンを両手で持ち上げて目の前に置いた。 そして同時に俺の携帯が鳴り始めた。 9 :創る名無しに見る名無し:2008/11/10(月) 00 54 23 ID /A7f6fJU ちょうど割り箸を割ろうとしていた最中だったため、割りばしが妙な形に割れてしまった。 (誰だよ、こんな時に…) ポケットから携帯を取り出して電話に出た。 「ぁいもしもし?」 向こう側は静かだった。 「もしもーし?誰ですか?」 『私…メリーさん…ひさ…ぶりだね………くん』 俺の名前を言っているようだが声が聞き取れない。 「メリーさん?そんな人俺知りませんが…」 『今日…会いに…くよ…』 そういうなり電話が切れた。 (なんだ、いた電か…) 俺は妙な形に折れた割り箸を捨ててもう一本折った。 自転車を漕いで俺は寮に戻った。 そして戻るなり俺の携帯が鳴った。 すぐポケットから出して電話に出た。 「はいもしもし?」 『私メ…ーさん。今坂道…上…てる…ころよ』 またあのいた電だった。 「またお前か。いたずら電話はやめてください」 しばらく誰も何も言わなかった。 『……も…かして…村く…私の…と忘れ…ゃっ…の?』 声が途切れ途切れに聞こえてくる。 「俺はあなたのことなんか知りませんが?」 正直に言ってやった。 また静かになる。 『…っ……っ』 向こうからすすり泣くような音が聞こえた後、電話が切れた。 (何なんだよ、たく…) 俺は携帯を顔の横に置いてベッドに寝転がって読みかけの本を読み始めた。 十一時を過ぎたころ、また電話が鳴り始めた。 携帯を取る前からわかる。これはまたあのメリーさんだ。 呆れながら電話を取る。 「またメリーさんですか?」 『…ん…植村君、まだ思…出し…くれな…?』 途切れ途切れだが何となく言いたいことは分かった。 「知りませんよメリーさんなんか。そういう名前の人形は持ってたけど」 しばしの沈黙。そして電話が切れた。 (意味がわからない。まったく、意味が分からない) そして俺はまた本を読み始めた。 本を読み終えた俺は友達の清水と電話で話し始めた。 『だからさ、担任の前原がよ…』 「マジ!?そんなことしたんあいつ!?」 俺は部屋で腹を抱えながら笑い出した。 いつもこの友達は俺のことを笑わせてくれる。 落ち込んでるときも、怒っている時も。 『ハァー…あ、そうだ』 「ん?どうした?」 清水がいきなり声色を変えた。 『さっきな、俺んちに十五、六の女の子が来たんだよ』 「へぇー…で、どれがどうしたん?」 『いや、な?その女の子が俺に聞くんだよ。植村はどこですかー?って』 なんだか嫌な予感がする。 『俺は植村はこの道を真っすぐ行った寮にいますよ、って親切に教えてあげたんよ。そしたらありがとうってお辞儀して その子そっち行ったんだわ』 「…で、それがどうしたん?」 『いや、な?俺、見ちまったんだよ。あの子の背中の帯のところに包丁が』 10 :SS1号・俺のメリーさん。:2008/11/10(月) 00 55 43 ID /A7f6fJU ブツっと言って電話が切れた。 「もしもし?おい清水?もしもし?もしもし!?」 『私…メ…ー…ん…植村君…』 メリーが、電話に、でた。 「う、ああ、あああ…」 『私、今君の寮の外にいるよ…今からそっちに行くよ…』 そして電話がまた切れた。 俺は必死に考えていた。 メリーは何者なのか。 彼女は俺のことを知っている。 (知り合いか?) 違う。俺の知り合いにメリーなんてふざけた名前のやつはいない。 だとしたら可能性は一つだけだった。 …だけど俺はそれが信じられなかった。 信じたら何かいろいろ終わっちゃいそうな気がしたから。 そしてまた電話が鳴った。またメリーだろう。 恐る恐る電話を取る。 「も、もしもし…」 声が震える。怖い。 『今、私寮の階段を上がってるんだ…聞こえる?この音…』 外でカン、カンと何かが昇ってくる音がする。 『もう少し…もう少しでまた会えるよ、植村君…』 そしてまた電話が切れた。 それから十秒ぐらいしたらまた電話が鳴った。 受話ボタンを押して電話を取る。 『もう、ついたよ…ドア、開けて…?』 「ひぃあ、ああぁぁあ!?」 ブツ、と電話を切った。 十分ぐらいずっと電話が鳴り続けている。 俺は部屋の隅で足を抱えながらそれを見ていた。 さらに十分が過ぎる。まだ電話が鳴りやまない。 …もしもの話。メリーが俺の好きだった人形だった場合。俺はどうすればいいのか。 俺は殺されるのか。それとも生きるのか。 あの時人形を無くしたのは今でも少し後悔している。 親父に悪いことしたな~とか、値張ったんだろうな~、とか。 けど一番後悔したことは、もう二度と見つからないだろう、ということだった。 (俺、本当にあの人形が好きだったんだな…) 覚悟を決めて俺は玄関に向かった。 俺はドアの前でとまった。 「…なぁ、メリーさん」 ドアのすぐ外に人の気配がある。 「…うん。なに?植村君」 「お前、俺の人形だったメリーか?それとも別の何かか?」 沈黙。 「……暗かった。あのゴミ捨て場」 「……」 この子は俺の人形だったメリーだ。 「夜は寒くて…苦しくて…狭くて…寂しかった」 胸が苦しい。 「やっと出れたと思ったらね?私、壊されちゃったんだ…他の物と一緒に」 涙が出そうになる。 「ずっと捨てられたんだ、て思ってたの。だからもし君に会えたら同じ目にあわせてやろうって誓ったの」 下唇を力一杯噛んだ。 「それで気づいたら、人間になってた。嬉しかった。やっと復讐できる。やっと同じ目にあわせてやれるって」 怖い。怖い。とても怖い。 だから必死に腹の奥から声を絞り出した。 「…俺を、殺すのか?」 11 :SS1号・俺のメリーさん。:2008/11/10(月) 00 56 17 ID /A7f6fJU また沈黙。 「…わかんない。殺したいのかどうかもわからない」 「……」 「変でしょ?さっきまで殺したかったのに今じゃ会ったってだけですごいうれしいの…」 「……」 「なんか妙なの…なんだか言葉にできないの、今の感情…」 「なぁ、メリー」 「…なぁに?植村君…」 俺は部屋の扉を開けた。 そこにいたのは黒いフリルのついたドレスを着た金髪藍眼の十五、六の女の子だった。 思わず息をのむ。 「……とりあえず部屋に入ってきてくれ。話がしたい」 「…うん」 メリーは小さくうなずき部屋に入った。 メリーを床に座らせ、俺もメリーの前に座る。 ちょっと気恥ずかしい。 「…なぁメリー」 「ん…?」 「ゴミ捨て場のこと…本当にごめんな…」 メリーの顔が陰る。 「言い訳するわけじゃないけどさ…俺も必死に探してたんだ…お前のこと」 メリーはうつむいたまま何も言わない。 「半年ぐらい探したんだ…でも見つけられなかった。それにすぐ俺達引っ越しちゃったし…」 どう説明しても言い訳にしか聞こえない。 「だから、その、なんだ…」 言葉が詰まる。 メリーもうつむいたまま何も言わない。 どうする…?どうする、俺!? 「…好きだったよ、お前のこと」 メリーがこっちを向く。 驚いているように見えた。 俺の顔が燃えるように熱い。真っ赤なんだと思う。 「今もすごいかわいいと思うし…何を言ってんだ俺…」 声がかすれる。 「わ、私も!」 メリーの不意打ちに心臓が飛び出しそうになる。 「私も、別にゴミ捨て場のことは全部植村君のせいだとは思わないし…その…」 沈黙。静寂。誰も何も言わない。 「うん…やっとわかった。この気持ち」 メリーが立ち上がって俺のほうに近づいて抱きついた。 「これが「大好き」って、感情なんだね…」 意味が、わからない。 心臓が不整脈を打っているような気がしてならない。 けど俺の中でもやっと物事が落ち着いた。 そしてわかった。 俺もこのメリーが好きだってことに。 「俺も、好きだよ…メリー」 「なぁメリー」 「?どうしたの植村君」 「陸久でいいよ。それよりさ。俺と一緒に暮さない?」 俺の中でももう整理できている。 そして何より、もしもここで彼女と別れたら… もう二度と会えない気がした。 「…いいの?」 「うん。いいよ」 「陸久が困るだけなのに?」 「俺はメリーが居てくれるだけでいいんだ」 「本当に?」 12 :SS1号・俺のメリーさん。:2008/11/10(月) 00 57 07 ID /A7f6fJU 「本当に」 メリーが俺に抱きついてくる。 「…大好き」 「俺も好きだよ…」 これからは忙しくなりそうだが、なんとかできると思う。 俺の愛しのメリーがいてくれるから…
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メリーの居る生活 質問箱(試設ページ) 『メリーの居る生活』に関する質問を「メリー」「隆一」「俊二」など、本編の登場キャラが答えます。 「○○の好きな食べ物は?」やら「本編にこんなネタをやって欲しい」などで結構。 このページは、ほとんどお遊びで作ってるので、あまり難しく考えないでください、お願いします。 すみません。今僕の後ろに居るロザリーさんはメリーさんのお知り合いですか? -- 名無し (2005-11-18 22 57 33) あら?ロザリーがあなたの後に居るの?ロザリーは内気な子だから、優しく話しかけてあげなさい。多分あなたに心開くと思うわ。まぁ、あなたにできるかどうか見物だわ。その子を泣かせたら、私がただじゃ済まさなくてよ? -- メリー (2005-11-18 23 48 52) いきなり失礼な質問ですが、メリーさんは本当に恐ろしい存在なのでしょうか?いつか暇な時があったなら、是非僕の後ろに立って欲しいです!全裸で -- 名無しさん (2005-11-24 19 50 09) …ん?何か顔を赤らめたメリーが、カマを持って出かけたけど、どこ行ったんだ? -- 隆一 (2005-11-25 22 23 48) えとえと、隆一さんと、メリーさんは一緒に幸せになれるのかな。なんてきいたら、これから先の話のネタばれですよね・・・。ズバリ聞きます。二人は両思いですか?PS隆一さん、ただ逃げるだけじゃなくて、立派に運命に立ち向かってます。かっこいいです。 -- 名無しさん (2005-11-26 01 28 27) 俺から見ればこうだな。隆一→メリー【恐怖の対象】メリー→隆一【的】まぁ、人生には無数の道がある。二人がどのような関係になるかも未知数だな。運命に立ち向かう…かあいつ曰く、「何か見えない力によって行動させられてる」…だそうだ。 -- 俊二 (2005-11-26 02 49 34) 新作見ました。謎を残して次作の伏線ですかい?こいちゃんは何者だったのか気になるし…バイクに跳ねられた幽霊?秘密基地を掃除してたのは誰かも謎。気になるので早く続きを…-- 名無しさん (2005-12-08 21 22 52) スマソ、ここ感想書くトコじゃなかったorz-- 名無しさん (2005-12-08 21 25 36) とある所からの情報ですが、メリーさんが『隆一っぽい人形』を作ってるとの話を聞いたのですが、真相はどうなのでせう? -- 名無しさん (2005-12-25 18 41 45) 最近、体中のあちこちが痛くなったり、体の一点が、針で刺されたような痛みがあるのは、確認済みです。 -- 隆一 (2005-12-28 00 47 36) 隆一さん先刻から部屋をメリーさんに占拠されているのですがどうしたらう罠にくぁwせdrftgyふじこlp@;「 -- 名無しさん (2006-06-19 00 15 08) うちのメリーなら、甘い物で釣れるかもしれないけど…。ばれたら何されるか分ったもんじゃないな。いきなり部屋を暗くすれば、後ろ向いてもすぐには分らないから、その隙に何か仕掛ければいいんじゃない?罠の種類の発言は控えておくよ。メリーに見られたら、罠にかけられる立場になりかねない…。やべ…、き…筋肉痛が酷い…。 -- 隆一 (2006-06-19 00 58 38) クリスマス編では料理にチャレンジなさっていたメリーさん。今度も隆一にしてあげたいな、と思うことはありますか?あったらこっそり教えてください! -- 名無しさん (2007-01-23 21 22 18) メリー=マエリベリー・ハーンでおk? -- 名無しさん (2009-03-01 16 50 58) 名前 コメント
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247 :メリーさんエフェクト 1/2:2008/11/26(水) 12 44 58 ID gWddG+gd 全世界、全人民に告ぐ。私はメリーさんだ」 社員食堂のテレビが突如として変な映像を映す。 おかしい、さっきまではお昼の定番長寿番組を見ていたはずなのだが。 「あれ、なんですかね」 テレビを指さして先輩に訪ねる。 「春だからね」 回答になってない。が感覚の領域では納得している自分を感じる。 日本人に共通して「春」のイメージがあることの証明になるかもしれない。 季節を理由にするのは季節のある国にしかできないな、と思った。 「繰り返す、私はメリーさんだ」 テレビは相も変わらず意味不明な映像を映し続けている。 青一色の背景。少女が自分の名前を連呼している。 他の社員達は全員奇妙なものを映すテレビにくぎ付けになっている。 「あっ、ちょっと待ってくださいよ」 先輩が席を立ったので呼び止める。 後輩の食事が終わるのくらい待ってくれてもいいじゃないか。 いや、そこで待たないのが先輩らしい、とも思える。 我ながら矛盾してる。でも矛盾は嫌いじゃない。 248 :メリーさんエフェクト 2/2:2008/11/26(水) 12 46 55 ID gWddG+gd 「メリーさん、知らないの」 知らないから聞くんだろうが、とは口が裂けても言えない。 コクッ、と頷いて次の発言を促す。 先輩から話し始めること自体、珍しいケースだ。 変なことを口走って機嫌を損ねてはいけない。 先輩が説明してくれたメリーさんとはよくある怪談だった。 デモンズウォールみたい、と思ったけど口にはしない。口は災いのもとだ。 「で、そのメリーさんがなんでテレビに」 「春だからね」 興味がない、という意味だと判断。 先輩は私が食べ終わったのを見て返却口まで早足で歩いていく。 その後ろを慌てて追いかけてい行く。 先輩の後ろには私がいる。 ふと、先輩がテレビに映るメリーさんに大して何にも思わなかったのは、 後ろに常に私がいるからじゃないか、という考えが浮かぶ。 「俺の背後には君がいるから」 そんな台詞が先輩の口から出るのを想像する。 気持ちが悪い。先輩の柄ではない。 それに私がいたいのは先輩の後ろではなく隣なのだ。 さっきのメリーさんの怪談にはオチがない。 語り手が後ろにいるメリーさんにどうされたのか分からない。 そこに想像の余地があるから広まった話なのかもしれない。 後ろの次はどうなったのか、その疑問への回答は人の数だけあるに違いない。 今はまだ先輩の後ろでも、いつか先輩の隣にいれるように。
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07/12/22(土)22 36 30 No.11203917 ■童話世界■ メリー あらゆる戦場に現れる「戦争お助け婦」 大きな傘と大きな帽子、そしてメイド服という姿でどんな戦場でも依頼を受ければどこでもあらわれ 戦闘、看護、参謀などなどあらゆる仕事をこなし必ずその戦争を勝利へと導くといわれている 「メリー」とは一人の人物を指すわけではなく、この組織「ポピンズ」に所属する戦争お助け婦全員がメリーと名乗る かなりの高齢のメリーもいれば僅か10歳程度の少女に見えるメリーもいるらしい しかし彼女達個人の素性はもちろん、このポピンズの詳細も未だに不明である ∥関連事項 ⇒童話世界
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メリーさんと一緒!!(メリースレ5th47-69) 作:771 ◆gnkv6j0F.. 「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」 鳥遊 成海(たかなし なるみ)はそれまで、それなりの人生を送ってきた、と自負していた。 別に幸せ、という訳では無いが、特に不幸だとも思って来なかった。 特段変わったところも無い、平凡な人生だと、彼は思っていた。 だが、その日は明らかに異常だった。いつの間に、自分の後ろにその少女は立ったのだろうか。 数日前から、携帯に繰り返しかけられた少女からの電話。ただのイタズラ、都市伝説を模した幼稚な行為。そう思っていた。 だが現にこうして、流布した噂の通りに、その少女はやって来た。 耳に電話を当てたまま、成海は立っていた。まだ振り返ってはいないが、その気配は確固たるものとして背筋を舐ぶり、背面の皮膚一面を汗で覆わせたが、しかしそこを舐めずっていくものは冷たい。 殺気―― 漫画等でしか見た事の無い気配が、そこにはあった。 「ああ、これがそうなのか」、と納得させるだけの威圧感が、湧き出る水のように怒濤の勢いで迫り、しかし腐汁のようにずるりとした粘りと不快な感触を持って、背中から染み渡って来る。 成海はまず、恐怖で弛緩した体を動かす事に努めた。 耳に当てたままの携帯を離し、ゆっくりと、ゆっくりと腕を降ろす。 それから、音を立てんばかりに凝り固まった首を後ろに回しながら、極度の緊張からか既に鈍痛さえ覚え始めた膝を動かして、後ろを振り向く。 そして、「見てはいけない」と警鐘を鳴らす己が本能を抑えながら、閉じようとする瞼を必死に見開いて、そこにいる少女を、視界に収めた。 「え・・・・・・」 そして、思わず声を漏らしてしまった。それと同時に、体を支配していた恐怖が一瞬で拭い取られるのを感じた。 何故なら、振り向いたそこに立っていた彼女が、あまりにも美しかったからだ。いや、可憐と言うべきだろうか? 大きな青い瞳とそう高くない背が創るは幼さ。それに反し、金に輝く長い髪と身を包む黒いドレスが作り出すは妖艶。 そして右手に携えられた、孤月を状の刃を持つ巨大な鎌は、日常から逸脱したものの象徴か。 三つの相反する要素。だが、それを一つにまとめて、なおかつそれらを美しさとして認知させるのは、彼女の表情故であろうか。 彼女は、ほとんどその顔に、感情を乗せてはいなかった。 だが、僅かにそこから滲み出るのは―― 「やっと、振り向いたの」 少女が、口を開いた。その声は、やはり感情を乗せていなかったが、しかし透き通った、心地のよい声色だった。 「あなたには、何も分からないかも知れないけど、死んでもらうの」 彼女は、右手の大鎌を構えた。 「・・・・・・おい」 成海は口を開いた。 「お前、マジで俺を殺すの?」 「・・・・・・、うん」 小さく、彼女は頷いた。 「・・・だったら、」 成海は、すっ、と彼女の顔に人差し指を向けた。 「何で、そんな悲しそうな顔してんだよ?」 そう言われて、彼女の瞼がぴくりと動いた。 「・・・・・・思ってない」 「けっ、嘘つけ」 吐き捨てるようにして成海が言った。 「何か知らねーけどよ、無性にムカついてきやがったぜ」 成海はがりがりと頭を掻き毟った。 彼の中に今、渦巻いているのはただ単純な怒り。 「手前、どうしても俺を殺すっての?」 「・・・・・・」 少女は、黙って頷いた。 「だったらよ・・・・・・」 成海は再び、少女に向けて人差し指を突出した。 「手前にこんな事させてる奴、ここに連れて来い」 「・・・・・・え?」 少女は驚いたのか、ぽかんと口を開いた。 「手前は他人をぶっ殺す時に泣いてやがる。それは、本当は殺しなんかやりたくねえ、って証拠。だったら、無理矢理やらされてるに決まってる。だったら俺がそいつを殴って、殺しを止めさせてやるって言ってんの」 少女は暫く唖然とした様子だったが、やがてきっ、と成海を睨み付けた。 「何を言ってるの? これは、私が自分で勝手にやって来た事。誰かにやらされてなんかない、私がやりたいと思ってやってる事!!」 始めは落ち着いた口調だったが、最後には彼女は激昂していた。 「誰かにやらされてるなら、とっくに自分で止めてるに決まってる・・・・・・止めたくても止められないの!!」 「だったら!!」 成海も、彼女を押す程の勢いで叫んだ。 「俺が止めさせてやる!! 俺が止めてやる!!」 「出来る訳ない!!」 「出来る!! やってやる!! やってみせる!!」 一瞬の、静寂があった。 「・・・・・・何で?」 彼女がぽつりと漏らした。 「何で、見ず知らずの私の為にそこまで言ってくれるの?」 彼女のその問いに、成海は意外な反応を見せた。 「はぁ? 何言ってんの、手前」 彼は首を傾げて見せた。 「別に、手前の為に言ってんじゃねーよ。これは、俺自身の為だ」 成海は、自分の喉元に手を当てた。 「気に入らねー事をそのままにしとくと、ここになんか詰まるような気がして嫌なんだよ。嫌で嫌でたまらないんだよ。これは俺の為にやってんだ。だから、お前が気に病む必要はねーよ」 喉元を擦りながら、成海は言った。 「で、でも」 彼女は尚も食い下がる。 「私は、人殺し・・・・・・」 「だったら何だよ」 成海は、それを一言で切り捨てた。 「お前は誰も殺したくないって、思ってる。だったら、それが出来るようになるのが、死んだ奴に対して、やってやれる事なんじゃね? つーか、やらなきゃならない事じゃね? 責任持ってちゃんとさ」 その時、彼女は泣いていた。 彼の事を優しい人だ、と思った。 「ねえ」 「ん?」 「これから、一緒にいてくれる?」 「お前がそうして欲しいなら」 「私、人を・・・・・・」 「そんなの、俺は気にしない」 成海は、にかっと笑って見せた。 「だから、右手の鎌は置いてくれよ、メリーさん」 「・・・・・・ん、お」 成海は携帯のアラームで目を覚ました。 ベッドの上で大きく伸びをすると、部屋のカーテンを開けた。 「・・・・・・うん、今日も清々しい朝だ」 実に晴々とした顔でそう言ったが、携帯のアラーム音が「歌舞伎町の女王」で、果たして本当に清々しく目覚められるのだろうか。 暫く外を眺めた後、ベッドを振り返る。 そこでは、金髪の少女が静かに寝息を立てている。 その無邪気な寝顔に、成海の顔が思わず弛む。 成海の元にメリーがやって来てから数日。 元々一人暮らしの成海に、彼女を受け入れない理由は無かった。 「おーい・・・・・・メリー・・・・・・朝だよ・・・・・・」 そろそろと足音を忍ばせながら、成海はメリーの横に歩み寄った。 「朝ですよー・・・・・・起きてくださーい・・・・・・」 言葉でこそ彼女を起こしているが、その声量は余りにも小さい。 彼女が静かな呼吸で、ゆっくりと胸を上下させているのを確認すると成海は、そっと、メリーの頬を指で押した。 むにっ。 ふっくらとした、柔らかな頬の感触が、指先から伝わってくる。 ただ、指先から彼女の温もり、という奴は伝わって来ない。 それはやはり、彼女が人間では無く、妖怪や幽霊と言った存在だからだろうか。 でも、 「・・・・・・へへっ」 込み上げてくる笑みを、彼は抑える事が出来なかった。 「・・・・・・かーわいいよなぁ」 ぽつりと、彼は漏らした。 成海はもう、メリーが可愛くて可愛くて仕方が無かった。 その幼さの残る美貌の前に、彼女が何者か、と言う事はほんの小さな問題でしかなかった。 と、言うか、成海はあまり細かい事は気にしない、出来ない人間だった。 そして、そんな可愛らしい少女が無防備な状態にあれば、多少のちょっかいを出したくなるのが、男の幼心と言う奴では無いだろうか? 「・・・・・・へへー」 成海は続いて二回、頬を押してみた。 むにむにっ。 「・・・・・・んんっ」 ぱしっ、と成海の手を払い除けて、それでも目を覚ます事は無く、メリーは寝返りをうった。 「っ~~~!!」 成海は笑いを堪えるのに必死だった。 自分の太腿をつねって、吹き出しそうになるのを耐えた。 笑いが治まると、彼は更なるイタズラを思い付いた。 そっと、そうっとメリーの耳元に口を寄せると、ふぅ~、と優しく息を吹き掛けた。 「やっ、んっ・・・・・・」 ぴくん、とメリーが身を震わせた。 ・・・・・あれ? 成海は眉を潜めた。もう一度、息を吹き掛けてみる。 「ふあっ・・・・・・やあ、あ・・・・・・んっ・・・・・・」 頬を僅かに紅潮させて、少女は身を捩り、喘ぐ。 艶めかしさと言うか、そう、言うなれば「女性」を感じさせるようなものを振り撒きながら。 成海は首を傾げた。 これは自分が心のどこかで期待したものとは違う。しかし―― 「これはこれで・・・・・・」 良いんじゃなーい? つい先程まで彼がその内に抱いていたものは幼心。 しかしそれは、今やなんぞ別の黒々とした物へとメタモルフォーゼ、トランスフォーム、六神合体していた。 「も、もう一回だけ・・・・・・」 初めてエロ本を見た中学生のように胸を高鳴らせながら、成海は三度、メリーの耳に己の口をちかづけた。 その時、 「ん・・・・・・う・・・・・・」 手の甲でゴシゴシと目を擦りながら、メリーは身を起こした。 「・・・・・・おはよう、成海くん」 慌てて飛び退いて、足首を捻った成海に、彼女は会釈をした。 「あのね、成海くん」 サクサク、と朝食の食パンを囓りながら、メリーが口を開いた。 「ん? なんだ?」 「あのね、私、変な夢を見たの」 びしっ。 一瞬。一瞬だけ。成実の動きがカチンコチンに固まった。 「へ、へえぇえ。どど、どんな夢だよ? おぉ俺に話してみろよ?」 平然を装って、しかし全然誤魔化せて無い態度で成海は聞き返した。 「えっとね」 そんな成海の様子を気にするでも無く、メリーは答えた。 「ネズミにね、大きく作りすぎちゃった人形の耳を囓ってってお願いしたらね、私の耳に噛み付いてきたの」 「・・・・・・え、ドラ○もん?」 ―“into infernal days” closed― コメント 映画「メリーさんの電話」 三原光尋監督 出演:紗綾、長澤奈央、上杉奈央、安岡あゆみ、土井玲奈、麻倉みな、沙倉しずか 他 -- saaya_holic (2010-05-25 22 01 33) 名前 コメント