約 1,288,515 件
https://w.atwiki.jp/nanoha_executor/pages/16.html
第1世界ミッドチルダ所属の次元航行艦隊 保有艦艇 戦艦 LZ級 RX級 LFA級 巡洋艦 XV級 XJR級 L級 LS級 GS級 空母 CS級 駆逐艦 揚陸艦 E級 フリゲート IS級
https://w.atwiki.jp/npsu/pages/33.html
ミッドチルダ島 ・概要 政治、経済の中心を担う中央島と東部の食糧生産を担う環状島によって構成される。 中央島東部と南東部、南西部に大規模な工業地帯を有し、島全体の工業生産を支えている。 また、島の各地に鉱石の採掘場、豊富な可採量を誇る油田を有し、島全体の資源はとても豊富である、しかし、近年の人口増加により国内の石油需要が逼迫、需要に見合う新たな原油資源の発見が急がれている。 N.P.S.Uへの加盟が遅かったこともあり、軍備が他の諸国に比べて遅れていて、実力に見合った軍備を早急に整備する事を軍部より求められていて、近々大幅な軍備予算拡張法案が可決される見通し。 公用語:日本語 通貨:ミッドチルダ$(以降M$と書く、またレートは1M$=1アメリカ$) 国民の平均所得:3万5千M$ 経済志向:工業志向 ・歴史 国の歴史はとしては発見が8000ターン目と浅く、開拓当初はU.H.I.S.に所属していた。 当時の国内事情は平和ボケしている議員が国会の大部分を占め、軍備予算は微々たる物に過ぎなかった。 後に起きた戦争によりU.H.I.S.は解散、一時期無所属となるが、ターン9300にN.P.S.Uへの加盟処理が完了、現在に至る。 U.H.I.S.所属時の議員の多くは罷免され、現在国会ではより活発な論議が行われている。 経済的な観点では歴史が浅い事もあり特に災害などは発生しておらず、開拓当初から現在に至るまで経済成長率は5%以上を維持して順調に成長している。 ・政治 議会制民主主義執務官制を採用、執務官の任期は4年 現在の執務官はF.T.H 執務官は上院の解散をさせることができるが、法案を国会に提出する事は出来ない、だが可決された法案を一度だけ拒否権を発動し無効化することが出来る。 国会は上院と下院の2院制で上院は定数100人、任期は5年、解散がある下院は定数300人、任期は同じく5年、解散はなし 上院は憲法改正の発議権を持ち、執務官の罷免決議を発議することも出来る。 下院は解散する事はなく、長期的視野に立つ政治が行われている。 提出された法案は下院法案委員会で審議された後本会議で採決され、上院法案委員会で審議された後同じく本会議で採決を行う。 両院で可決された場合のみ法案は成立する。 憲法改正は両院で可決された後、国民投票が行われ、賛成多数の場合成立 選挙権は18歳以上の男女が有する。 政党は保守党と自由党の二大政党制で、現在の与党は自由党。
https://w.atwiki.jp/nanoha_executor/pages/13.html
次元世界の中心地 次元世界最大最強を自認する巨大星間国家 クラナガンのある本星のほか資源採掘惑星がいくつかある 登場組織 ミッドチルダ海軍
https://w.atwiki.jp/nanohahearts/pages/103.html
赤い文字 このお話はデジタル同人となっております。ご購入はこちらからお願いいたします。 ・ストーリー ・内容 ミッドチルダに連れてって(後編) ミッドチルダ小旅行反省会 再会の姉弟 吉里吉里ステージ 夏と水着とあやしい人たち
https://w.atwiki.jp/nanohahearts/pages/79.html
赤い文字 話リンク ・ストーリー ・内容 ミッドチルダに連れてって(前編) ミッドチルダに連れてって(後編) 再会の姉弟 ミッドチルダ小旅行反省会
https://w.atwiki.jp/omoidesyouzyo/pages/18.html
魔法大国 産業は大体魔法の副産物 他国に割と攻められるらしいが攻めには行かない 神はヴィヴィオ幼女形態
https://w.atwiki.jp/nanohahearts/pages/78.html
赤い文字 話リンク ・ストーリー ・内容 はやてなんて嫌いだ ミッドチルダに連れてって(前編) ミッドチルダに連れてって(後編)
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1315.html
「ん~……さくらちゃんとモコナちゃんは問題ないにして。 後の三人……特にファイさんは、どない誤魔化そうかな……? 幾ら魔法は使わんって言っても、魔道士に変わりはないんやし……」 機動六課隊舎、部隊長室。 六課の若き部隊長―――八神はやては、六課の部隊表を見直していた。 話は、遡る事数十分前。 このミッドチルダに突如として、五人(正確には、四人と一匹)の来訪者が現れた。 それが全ての発端であった…… ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- ~ミッドチルダ編~ 第1話「必然の出会い」 「八神部隊長、失礼します」 「ん、なのはちゃん? はいはい、どうぞ~」 はやてはドアをノックする音を聞き、なのは達に中へと入るよう促す。 すると部屋へと入ってきたのは、彼女にとって見慣れぬ者達であった。 見た所、スバルやティアナと同世代程度の少年一人と少女一人。 いかにも達人と言う風格をした目つきの悪い男に、笑顔を浮かべた好青年。 それに加えて、うさぎが丸っこくなったかのような謎の生物ときた。 当然ながら、はやては目を点にせざるをえない。 そして、一方小狼達はというと……こちらも驚いている。 彼等が驚いている理由は、部隊長であるはやてが、想像に反して若かったから……というのもあるが。 それ以上に大きな要因として、はやてのすぐ隣にある小さなデスクに座っていた、リィンフォースの姿にあった。 一応、小人が海底に住む世界というのは以前に一度見た事があるのだが、それを直接目にしたのは小狼のみ。 他のメンバー、特に黒鋼は免疫が全くない為、これには大いに驚いている。 「えっと……なのはちゃん、フェイトちゃん、そちらの人達は?」 「うん、この事で相談に来たんだ。 実は……」 早速なのはとフェイトは、はやてへと事情を説明する。 フォワード四人の訓練の最中、突如として小狼達が自分達の目の前に現れたこと。 彼等には一切敵意はなく、こちらと事を構えるつもり等は全くないということ。 そして、彼等が異世界から現れたということである。 詳しい事情に関しては、部隊長であるはやてと共に聞くべきであると感じ、まだ聞いていないのだが。 まずはと、小狼達は自己紹介に移る。 「小狼です、よろしくお願いします」 「さくらです、よろしくお願いします」 「黒鋼だ」 「ファイ=D=フローライトだよ、よろしくね~」 「モコナだよ♪」 「私は、リィンフォースです♪」 「私は八神はやて、この機動六課の部隊長です。 えぇと、皆さん異世界から来たって事らしいですけど……詳しい事、聞かせてもらえます?」 「はい、勿論そのつもりです」 一同を代表し、はやての問いに小狼が答える。 まず小狼達は、自分達が異世界を旅することとなった理由について話し始める。 各々が旅する目的は、驚く事に全くのバラバラだった。 まず黒鋼は、自分がいた世界―――日本国へと帰る為である。 ちなみにこの日本国というのは、なのは達がミッドチルダに来る以前に住んでいた場所とは同名だが、しかし違う場所。 日本国と言う名の、とある次元世界の事である。 黒鋼は、一行の中でも文句なしに最強の実力者。 彼がいた国においては、誰も彼に敵う者はいなかったのだが…… 「俺が仕えている主……知世姫は、俺にこう言いやがった。 俺は本当の強さって奴を知らない。 だから異界を旅して、本当の強さを学んで来いってな」 黒鋼の主にして、日本国に聳える白鷺城が姫巫女である知世。 彼女こそが、黒鋼を秘術によって異界に飛ばした張本人である。 黒鋼は確かに強い。 しかし知世は、それが真の強さではないと感じていた。 何故ならば彼は、無益な殺生をしすぎるからだ。 今でこそ、そういう事態は無くなったものの……かつての黒鋼は、言うなれば修羅。 強くなる為に、ただ強敵との戦いを求めていたのだった。 それを見かねた知世は、黒鋼に真の強さが何たるかを学ばせるべく、彼に異界を旅させる事を決意したのだ。 そしてそれを可能とする次元の魔女の元へと、彼を己が秘術で送り届けたのである。 勿論、旅先で無益な殺生をしないように予防をしておいて。 「呪なぁ……うちらの使ってる、非殺傷設定に近い代物やね。 まあそっちのは、デバイスやなくて直接戦闘する人にかけるって違いもあるけど……」 「非殺傷なんて便利な代物じゃねぇよ。 ……やろうと思えば、やれるんだからな」 「でも、やらないんだよね?」 「今の所、やるような場面に立ち会ってねぇだけだ」 黒鋼は次元の魔女の元へと送られる寸前に、知世に『呪』と呼ばれる術をかけられた。 その呪の効力は、人を一人殺すごとに強さが減っていくという物である。 流石に、肝心な強さが無くなるのではどうしようもない。 その為黒鋼は、これまで誰一人の命も奪わずに戦い抜いてきたのだった。 尤も、相手を殺す気で挑まなければならない程に危険な状況に追い込まれたことは、何度かあったのだが。 「で……その後は、こいつ等と一緒に旅するハメになった。 色んな異世界を巡っていけば、いつかは日本国に帰れるだろうってあの魔女に言われてよ」 「そうなんですか……それで、その本当の強さというのは……?」 「……さあな」 「さあなって、黒鋼さん……」 「まあまあ。 黒ぽん、そういうの説明するの苦手だしね~」 「……黒ぽん?」 「ああ、他にも色んなあだ名があるよ。 黒様とか、黒りんとか……」 「テメェ、あだ名付けるのやめろっつってるだろ!!」 ファイの言葉に対し、黒鋼は思い切り怒鳴り散らす。 今現在、ファイとモコナは、黒鋼に対して40個以上のあだ名を付けている。 そして当然の反応ながら、その全てを黒鋼は嫌がっていた。 一番悲惨な時には、そのあだ名を偽名として使わされた事もあった。 その為、毎回二人に対して黒鋼は怒っているわけなのだが、マイペースなファイはそれを全く意に介さず。 見事にスルーして、自分の事に関して説明を始めた。 「俺は、セレス国って場所にいたんだ。 そこで君達と同じように、魔術士やってたんだけど……色々あってね。 セレス国にだけは帰りたくないし、あまり一つの世界に留まりすぎると、ばれちゃうからさ」 「え……ファイさんって、魔道士なんですか?」 「うん、君達とは全く術式とかは違うけどね。 ……まあ、もう魔法は使わないって決めてるし、あまり関係ないかな?」 「使わない……?」 「本当、色々あってさ~……期待させちゃって、ごめんね」 ファイは、セレス国という異世界からやって来た魔道士。 実はここになってやっと話したのだが、ファイだけは唯一、なのは達が魔道士である事に最初から気付いていたらしい。 彼が旅立った理由は、セレス国にだけは絶対に帰りたくないから。 そして、あまり一つの世界に長居しすぎていると、いつセレス国の追っ手がくるかも分からない。 だから様々な次元世界を渡って、逃げに徹したいというのが、彼の願いである。 何やら物騒な話なのだが、ファイはそれに関しては「とても怖い人がいる」とだけ言い、後は話そうとはしなかった。 真偽を確かめようにも、セレス国についてなのは達は何も知らない。 その為、これ以上の質問は無意味であると感じ、ここで話題を打ち切った。 ちなみに彼は、自分で転移魔法を使い次元の魔女を訪れているのだが、それが今現在、彼が最後に使った魔法である。 何故、彼は魔法を使わなくなったのか。 その理由に関しても……先程と同様、彼は話そうとしない。 『なのはちゃん、フェイトちゃん……どう思う?』 『何か、私達……というよりも、小狼君達に言えない秘密があるのは間違いないと思うけど……』 『でも、悪い人には全然見えないよね。 ……話をしてる時、凄く悲しそうな顔してたし……』 『……まあ、どんな人にも触れて欲しくない過去ってのはあるもんやしね』 なのは達は念話を使い、ファイに関する不信感について話し合っていた。 彼が悪人には見えないというのは、三人の共通意見である。 尤も、自分達に対して、隠し事をしているのは間違いないが……どうやらそれは、仲間である小狼達に対しても同様らしい。 いや、寧ろ……小狼達にばれてはならない事を抱えているようにも見える。 彼は何か、重大な闇―――例えば、かつてのPT事件や闇の書事件の様な辛い過去―――を持っている様に感じられたのだ。 しかし小狼達は、そんな彼を信用している。 ならば……少なくとも今は、自分達がどうこう言う問題ではないのかもしれない。 何か大きな事件に繋がるようであれば、勿論手出しをせねばならないが、今は要注意ということだけでいいだろう。 そういう形で、三人の中で決着がついたとき……小狼とさくらが、自分達の境遇について話し始めた。 そして彼等の話こそが、一行の旅の根幹ともいえる物である。 「俺達は、姫の記憶の羽根を捜して旅をしているんです。」 「記憶の羽根?」 「はい……私の記憶は、羽根の形になって色んな世界に飛び散っているんです。 今は、結構昔の事も思い出せているんだけど……」 小狼とさくらが旅をしている理由。 それは、さくらの失われた記憶を求める為であった。 彼女の記憶は、無数の羽根となって異世界に飛び散っている。 その羽根を手にする事により、さくらは失われた記憶を取り戻す事が出来るのである。 これまでの旅で、それなりの数の羽根を手にする事が出来た。 御蔭で、さくらは記憶の多くを取り戻しているのだが……それまでの道のりは、決して楽なものではなかった。 さくらの羽根の入手は、とてつもない困難が伴うものばかりだったからだ。 何故ならば、彼女の羽根には強力な力があるからだ。 ある世界では、強力な秘術の増幅装置として扱われていた。 ある世界では、極めて強力な電力を秘めた永久機関として存在していた。 ある世界では、仮想空間を実体化させるという離れ業を見せた。 在り方こそ、世界ごとに異なっているが……どの世界においても、羽根が危険な代物であるという事は共通している。 「……それって、ロストロギアにならないのかな……?」 「うん、私もそう思う。 話を聞いてた限りじゃ、ジュエルシード並かそれ以上の危険度が有りそうだし……」 「ロストロギア?」 「ああ、ロストロギアって言うのは、過去に何らかの要因で消失した世界で造られた遺産や、未知の技術で作られた道具の総称や。 使い方次第じゃ、世界を一つ簡単に壊せるほどの危険物も中にはあってね。 そういうのを回収して管理するのも、時空管理局の仕事の一つなんよ」 羽根の話を聞き、もしかしたら羽根はロストロギアに分類されるのではないかという考えが、なのは達の脳裏によぎった。 様々な用途に使える危険物で、しかも様々な次元世界に散らばっているときた。 ならば、ロストロギアと認定されるには十分すぎる。 もしかしたら、管理局が知らず知らずに内に回収している可能性すらもある。 (……でもそれだったら、あの魔女の屋敷にゃどんだけロストロギアって奴があるんだ……?) (だったら、モコナもロストロギア認定されちゃってるかもしれないなぁ) 「……小狼君、よかったらその羽根ってどんなんか、教えてくれへんかな? ちょっと、時間がかかるかもしれへんけど……」 「はい、勿論です。 ただその間、姫や皆さん達が……」 「ああ、そやね。 じゃあ、一応皆さんはお客様って事になるし……フェイトちゃん、リィン。 隣の部屋に皆案内して、お茶菓子とか出してあげてくれんかな?」 「うん、わかった」 「はいです♪」 「そんな、私達の事は別に……」 「いいですよ、気にしないで下さい。 それじゃあ、こちらにどうぞ」 「わ~い♪」 リィンが、さくら達を隣の部屋へと案内する。 ちなみに小さい者同士と言う事があってか、いつの間にやらリィンとモコナが打ち解けあった雰囲気の様になっている。 この二人は、性格的にも結構相性がいいらしい。 その様子を見て、さくらやなのは達は、自然と笑みを浮かべた。 ……しかし、その一方。 黒鋼だけが真剣な顔をして、一瞬だけ小狼とはやて達の方へと視線を向けた。 その理由は、どうやら二人とも分かっているようである。 そして、さくら達が外へとで、部屋にはなのはとはやて、小狼の三人だけとなる。 ここでようやく、はやてがその口を開いた。 「さて、と……さくらちゃんが席を外してくれたから、話してもらえるかな?」 「はい……最初から、俺もそのつもりでいました」 小狼が一人だけ部屋に残った、その本当の理由。 それは、さくらがいる状態では聞くことが出来ない事に関して、彼から聞くためであった。 黒鋼は確実に、恐らくはファイも気付いているであろうが……実は、小狼とさくらに関して一番重要なことが話されていない。 何故、彼女の記憶が羽根となって異世界に飛び散ったのかである。 小狼は、それについてを目の前の二人へと話し始めた。 「……俺と姫は、元々玖楼国という世界に住んでいました。 そこで俺は、考古学者として生活をしてたんです。 姫とは、幼馴染だったんです」 「……幼馴染の男女で、その片方が考古学者かぁ。 なんか、なのはちゃんとユーノ君みたいやなぁ……」 「にゃはは……って、あれ? 幼馴染『だった』って……どういう事?」 「……姫は今、俺と以前にどういう関係があったのか、何も覚えていません」 「でも、それって記憶が消えたからじゃ……」 「いえ……記憶が戻っても、俺に関係している記憶だけは絶対に戻らないんです」 「え……?」 数ヶ月前……さくらの記憶が羽根となり、異世界に飛び散った日。 小狼は、新たに発掘された謎の遺跡の調査を行っていた。 その遺跡の最深部には、玖楼国では見る事の出来ない謎の文様が見られた。 小狼は、それに関して色々と調べようとしていたのだが……そんな時、遺跡の最深部へとさくらが降りてきたのだ。 さくらは丁度、玖楼国の王である兄桃矢の遺跡視察に同行し、小狼の元へと差し入れを届けにきていたのだった。 そして、その時に……悲劇は起きた。 突如として、遺跡に刻まれていた文様から光があふれ出し、それがさくらを包み込んだのだ。 その瞬間、彼女の背に光り輝く翼が出現し……そして、翼は無数の羽根を散らせながら消えていった。 この羽根こそが、彼女の記憶……この瞬間に異世界へと飛び散っていった、さくらの羽根である。 「その後、遺跡が急に崩れだしたんです。 俺は急いで、姫を連れて外に出たんですが……」 「……ってことは、遺跡の正体は分からずじまいってわけか……」 「はい……けど、問題はそれだけじゃなかったんです」 小狼はさくらを連れて遺跡の外へ出、そして外の光景に言葉を失った。 さくらが記憶の羽根を散らせたのとほぼ同じタイミングで、遺跡の外では信じられない事態が起こっていたのだ。 それは、武装した謎の集団による遺跡の強襲であった。 幸い、敵は桃矢と神官の雪兎、そして玖楼国の兵達が健闘した御蔭ですぐに追い返せたのだが…… さくらの問題は、正反対に深刻なものとなっていた。 「……あの時、姫の体はとても冷たくなっていました。 雪兎さんは、姫は記憶を全て失った所為で、体から心が消えてしまったからだと…… 姫を助けるには、飛び散った羽根を手に入れるしかありませんでした」 術で小狼の記憶を読み取った雪兎は、飛び散った羽根はさくらの記憶、さくらの心であると彼に告げた。 そして……心が完全に消えてしまったさくらの体は、このままでは確実に死を迎えてしまうということも。 それを防ぐ方法は、ただ一つ。 異世界へと飛び散っていった羽根を、さくらの体へと戻す事だけだった。 雪兎は一国の猶予もないと判断し、自らの持てる全ての魔力を使い、転移魔法を発動させた。 小狼とさくらを助ける事が出来る、唯一の存在……次元の魔女の元へと、二人を送り届ける為に。 「そこで俺は、同じタイミングで次元の魔女さんの所に来ていた、黒鋼さんとファイさんと出会ったんです」 「ってことは……異世界に渡るっていう目的が一致しとったから、一緒にってこと?」 「はい……次元の魔女さんは、俺達にこう言いました。 『異世界に渡る手段を授ける事は出来るけど、貴方達の一番大切なものを対価としてもらう』と」 「……ちょ、ちょっと待って。 対価って……まさか……?」 なのはとはやてが、ここで全ての事情を把握した。 次元の魔女は、自分の下を訪れる者の願いを叶える代わりに、それに見合った対価を貰う事で力を発揮する。 そして、異世界を渡る術を手にするという三人の願いを叶えるのには、とてつもない対価が必要であった。 次元の魔女は、個人個人の願いを叶えるのには、彼等のいかなるものを対価としても不可能と断言した。 しかし……三人で一つの願いというのであれば、辛うじて可能であると告げたのだった。 その対価は、三人にとって一番大切なもの。 黒鋼は、今は亡き父が持つ物と同じ銘の退魔刀「銀竜」を。 ファイは、自らの魔力を押さえ込む役割をしており、それ無しでは絶対に魔法を使わないと決めた、背中の刺青を。 そして小狼は……さくらとの関係性を、対価として差し出すように告げられたのである。 「じゃあ、小狼君はさくらちゃんを助ける為に……!!」 さくらの記憶が全て戻っても、その中に小狼の姿はない。 彼女のこれまでの記憶の中から、小狼に関する記憶は全て失われてしまう。 それを思い出させようとしたり、また、さくらの方から聞き出そうとしても、その瞬間にその記憶は失われてしまう。 これまでに過ごした全ての日々を、永遠に消し去ってしまうというのが、小狼の代価だったのだ。 最も大切な、愛する者を守る為に……愛する者の心から、自分自身は消えてしまう。 余りに重く残酷な対価だが……小狼は決心を揺るがさず、それを受け入れたのだ。 例え自分がどうなっても、必ずさくらを助けたいと……そう願ったから。 そして、同じく対価を差し出した黒鋼とファイと共に、彼は時空を越える力を手に入れた。 その術を持った生物……モコナを。 『……凄い子だね、小狼君って』 『うん……さくらちゃんも、本当に幸せやろね。 こんな風に、想ってくれる人がいてくれて……』 『……あの時のヴィータやシグナム達も、こんな風に考えてくれとったんかな……』 なのはとはやては、かつてのヴォルケンリッターの姿を、ついつい小狼に重ねてしまった。 彼女等も、はやてを助ける為にと決死の覚悟で動いてくれた。 そんな彼女等を、近くで見ていたからだろうか。 なのは達には、小狼が……いや、小狼達が他人の様にはとても思えなくなっていたのだ。 『フェイトちゃん、リィン、聞こえとるよね?』 『うん……全部、聞かせてもらったよ。 私も、はやての意見に賛成』 『リィンもです♪』 『勿論、私もだよ。 きっとスバル達やヴィータちゃん達だって、分かってくれると思うしね』 『じゃあ、決まりやね♪』 「あの……はやてさん、なのはさん?」 「あ、ごめんごめん。 えっとね、小狼君……君達って、まだ宿泊先とか決めてないんよね?」 「はい、来たばっかりで何も予定なんてないですけど……」 「……もしよかったらさ。 このミッドチルダで、羽根が見つかるまでの間……私達と一緒に六課で仕事してみないかな?」 「え……!!」 なのはの口から出た意外な言葉に、小狼は驚き声を上げた。 まさか、こんな風に誘いがかかるなんて思ってもみなかった。 確かに自分達には、予定と言える予定は何もない。 渡りに船とは、この事であるが…… 「でも、どうして……?」 「さくらちゃんの羽根は、ロストロギア認定されてもおかしくない代物だからね。 もしも羽根がミッドチルダにもあるんだったら、私達にも無関係じゃなくなってきちゃうんだ」 「まあ、それにな……困った人を見捨てるなんて、出来るわけがないやんか」 目の前で困っている人がいて、その人を自分達の力で助けられるのであれば、進んで助けたい。 それは、自分達が魔法と出会った頃から今まで、ずっと変わらずに思い続けてきた願いである。 羽根という共通の目的があるという事も手伝って、なのは達は、是非とも小狼達を助けたいと感じていたのだった。 「ただ、六課も六課で仕事があるから、それを手伝ってもらう形にはなっちゃうかな……? 勿論、私達も羽根探しは精一杯協力するよ」 「なのはさん……」 「まあ、いきなり言われていきなり答えを出すってのも無理な話やな。 小狼君一人だけで結論を出す問題やないし……部屋用意しとくから、今日は六課の隊舎に泊まっていくとええよ。 一日ゆっくり相談して、それから答え聞かせてもらえへんかな? ああ、勿論断ったからって、無下に扱ったりするつもりはあらへんよ。 その時はその時で、ちゃんと宿泊先とかの問題はこっちが何とかするし、羽根っぽい情報も教えてあげるから」 尤もこの場合、与えられる情報は限られる事になってしまう。 やはり、ただの民間人と局員とでは、色々と情報のやり取りには問題があるからだ。 民間協力者・嘱託扱いとあらば、一応は何の問題もない。 最悪の場合、ヴォルケンリッター同様に私兵扱いという事で、上手く誤魔化しとおすことも可能である。 「……なのはさん、はやてさん、ありがとうございます」 「私は、お礼言われる程の事はしてないよ。 部隊長ははやてちゃんなんだしね」 「あはは……じゃあ、とりあえず今日はここまでってことで。 また明日、返事聞かせてな?」 「はい……!!」 小狼は、二人へと深く一礼をする。 そして、部屋を出てさくら達が待つ隣の部屋へと向かっていった。 その姿を見届けた後、なのはもフォワード達へと事情を説明するべく、部屋を出て行った。 こうして、一人残った部隊長はやてはというと…… 「さて……それじゃあ、一応準備はしとかへんと」 早速、小狼達の事について検討をし始めていた。 彼等が申し出を承諾したとしても、断ったとしても、どちらにしても色々とやる事はある。 羽根に関する情報について、本局のロストロギア保管庫並びに無限書庫への調査要請。 彼等が今後動きやすいようにする為の、聖王教会への根回し。 その他諸々、やるべき事は多い。 「さあて、結構忙しくなってきそうやなぁ……」 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1302.html
「レリック、時空管理局……アルハザード。 これも、必然の出会い」 雨が降りしきる昼下がり。 大きな屋敷の庭先で、その屋敷の主人と思わしき人物が、一人空を見上げていた。 その女主人―――次元の魔女こと壱原侑子は、数月程前に己が元を訪れた、ある者達の事を思っていた。 それぞれの目的を胸に、彼等は今も旅を続けている。 一枚の羽根を求めて、ここからは遠き場所で。 そう……遠き異世界で。 「飛王=リード……あなたはこの接触に、何を見出すかしらね。 時空を越える術を持ち、そして時空を統合する彼等を前に……あなたはどう動くのかしら……?」 ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- ~ミッドチルダ編~ プロローグ 「それじゃあ皆さん、ありがとうございました」 「君達も、頑張ってな」 「はい」 その日、とある異世界を去ろうとしている旅人達がいた。 愛する者の為、その者の記憶を求める若き考古学者―――小狼。 失われし自身の記憶を求め、大切な者と共に道を歩む王女―――さくら。 己が故郷へと帰るために、そして本当の強さを知るが為に刃を振るう剣士―――黒鋼。 忌まわしき故郷を離れ、数多くの異世界を渡り歩く事を望んだ魔道士―――ファイ=D=フローライト。 次元の魔女より彼等四人が授かった、世界を渡る為の力を持つ生物―――モコナ=ソエル=モドキ。 彼等は世話になったこの世界の住人達へと別れを告げ、新たな世界に渡ろうとしていた。 モコナの足元に魔方陣が展開され、そしてその背中から大きな光輝く翼が現れる。 「異世界でも、元気でな!!」 「しっかりやれよ!!」 大勢の者達が、手を振りそして声援を送った。 小狼達はそれに笑顔で答え、そしてその直後。 モコナが大きく口を開き、その体内へと四人を吸い込んだのだ。 そして、モコナ自身もそこから姿を消失させる。 これが彼等の、異世界を渡る術。 五人は今、次なる世界へと繋がる空間内へといる。 「次の世界は、どんな所でしょうね」 「モコナ、美味しいものがあるところがいい♪」 「俺も同じ~。 でも、御寿司は嫌だなぁ……あれはとても食べられなかったし」 「とりあえず、宿とかがすぐに見つかる場所ならいいですが……」 「おい、見えてきたぞ」 空間の出口へと、五人が差し掛かった。 次は一体、どんな世界が待ち受けているのだろうか。 期待や不安といった、様々な思いを胸中に秘め、五人は出口を抜ける。 そして、彼等が現れた場所は…… 「……あら?」 「おい……またこれかよ!!」 地上から少しばかり離れた地点……上空だった。 これで、何度目になるのだろうかというパターン。 当然のことではあるが、五人はまっ逆様に落ちるしかない。 とっさに小狼はさくらの手を引き、抱きかかえた。 モコナはそんな彼の肩に、しっかりとしがみ付いていた。 一方、黒鋼とファイはというと、最初は動揺こそしていたものの、既に冷静さを取り戻している。 問題なく着地出来る様、二人は既に体勢を整えていた。 そして、五人は無事着地に成功。 流石と言うべきだろうか、誰一人として怪我一つしていない。 「さくら姫、大丈夫ですか?」 「うん、ありがとう小狼君」 「で、到着して早々なんだが……」 「あれ……ちょっと、厄介な状況になっちゃってるっぽいかな?」 まずは黒鋼が、それに僅かに遅れて四人も、自分達が置かれている状況を即座に理解する。 周囲には、廃ビルらしき建物が立ち並ぶ、しかし廃墟とは思えない街並。 そして……目の前にいる、唖然とした表情の者達。 その内何人かは、明らかに武器に違いないであろう物をその手に握っている。 これも過去にあったパターンだが……いつぞやの様に、戦いの最中に落ち込んでしまったのかもしれない。 即座に、小狼・黒鋼・ファイの三人は臨戦態勢を取る……が。 直後に黒鋼と小狼が、やや遅れてファイが構えを解いた。 「……そうでもねぇみたいだな。 殺気とか、そういうのが全く感じられねぇ……訓練中ってところか?」 「みたいですね……」 戦にしては、敵意や殺意といった類の気配が感じられない。 その為、三人は構えを解いたのだった。 すると……その様子を見て、一人の人物が彼等へと歩み寄ってきた。 制服らしく服を着た、ポニーテール状に髪を束ねている女性。 エースオブエースの異名を持つ、凄腕の魔道士。 「あ、なのはさん……」 「大丈夫、この人達に敵意は無いみたいだから……すみません。 見た所、転移魔法らしきものを使っていましたけど……もしかして、異世界からやって来たんですか?」 「えっ!?」 なのはと呼ばれた女性の言葉を聞き、たまらずさくらが声を上げた。 小狼達も、声こそ出していないものの、それなりに驚いている。 これまでにも、何かしらの方法で自分達が異世界から来たという事を見破ってきた者達はいたが…… それがこんなに早いケースは、初めてである。 「へぇ~……僕達が異世界から来たって、分かるんだ」 「はい、仕事上何度か似たケースを見てきましたから。 私は時空管理局一等空尉、高町なのはです」 「時空……管理局?」 「よかったら、お話を聞かせてもらえませんか?」 次元の魔女の力により、記憶の羽根を求めて異世界を旅する者達。 数多く存在する次元世界の平穏を守ることを務めとする、時空管理局。 目的こそ違えど、様々な異世界を見てきた両者。 今、二つの道が交わる…… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― それは、遠き異世界。 全てを知り、そして裏で暗躍する者達の根城。 黒衣の男―――飛王=リードは、モニターに映し出された光景を前に、仏頂面をしていた。 モニターに映し出されているのは、他ならぬ小狼達の姿。 そして、彼等と共にいる者達―――時空管理局の職員達の姿である。 「時空管理局……ロストロギアの収拾を目的にしている組織と、彼等は出会ってしまいました。 このままじゃ、予定が狂うのでは?」 「確かに、姫の羽根はロストロギアと断定されても何らおかしくはない。 彼等と協力する道を選び、歩みを止めるようならばそこまでになる。 だが……だからといって、彼等はここで止まりはせぬ。 次元の魔女もそれが分かっているからこそ、干渉をしないのだろう。 それに寧ろ、ここで己が魔力の資質に気付いたならば……目覚めが早くなるやもしれん」 飛王は、傍らの女性―――星火の問いに答え、席を立つ。 そして……彼は、すぐ隣の部屋に置かれているあるカプセルへと目を向けた。 その内部は水で満たされており、そして一人の少年がいる。 右目に眼帯を着けた、モニターの向こうの彼と瓜二つの存在…… 「なあ……『小狼』」 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1927.html
「……これは、ちょっとやばいことになったかもしれへんな……?」 機動六課隊舎、部隊長室。 はやては書類を眺めながら、溜息をついた。 悩みの種は、他ならぬ小狼達の事である。 話は、数十分前に遡る…… ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- ~ミッドチルダ編~ 第2話「模擬戦」 「それじゃあ、よろしくな」 「はい、こちらこそよろしくお願いします」 小狼達が機動六課に現れた、その翌日。 彼等ははやて達へと、機動六課に協力するという旨を伝えた。 勝手の分からない異世界において、はやて達の申し出はこの上なくありがたかった。 羽根を探す上で都合もいいので、小狼達は機動六課に協力する事にしたのだ。 「ほな早速やけど、ちょっと皆にやってもらわなあかんことがあるねんな」 「何ですか?」 「リンカーコアの検査と、魔力レベルの測定だよ。 一応、魔力の有無に関して知っておきたいからね」 小狼達が機動六課に所属する上で、やっておかねばならぬ事。 それは、彼等のリンカーコアの有無の検査と、魔力レベルの測定であった。 部隊の運用上、これははっきりとさせておかねばならぬ事である。 早速小狼達はなのはに案内され、医務室にいるシャマルの元へと向かった。 ちなみにモコナだけは、流石に例外として検査は受けなくていい。 検査自体には然程時間はかからない。 はやては、自室で結果を待つ事にしたが…… この検査が、彼女にとって思わぬ悩みの種となったのである。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「はやてちゃん、入るよ……って、どうしたの?」 「ああ、なのはちゃん、フェイトちゃん。 いやな……これ、見てくれへん?」 検査終了から数十分後。 隊長室へと入ってきたなのはとフェイトに、はやては検査結果が書かれた書類を見せた。 先日、小狼達に話を聞いた限りでは、魔力を持つのはファイとさくらのみだという。 自分が魔道士であると公言しているファイは兎も角、さくらの事に関しては、昨日小狼から聞いた。 尤も、それは「さくらには不思議な力があるから、魔力もあるのかもしれない」というレベルの話だったが。 しかし……検査の結果、予想を大幅に裏切られた。 「え……黒鋼さん以外、全員にリンカーコアが確認されたの?」 「それも、このレベルって……!!」 なのはとフェイトは、驚きを隠せなかった。 リンカーコアの存在が確認できたのは、何と小狼もであった。 黒鋼を除き、全員から魔力が検知されたのである。 しかし、これだけならまだよかった。 最大の問題点は……彼等の魔力レベルにある。 「小狼君はCランクで、全然問題はなさそうだけど……」 「……嘘」 小狼の魔力ランクはCと、それ程大きなレベルではない。 しかし、問題はさくらとファイのランクだった。 まずさくらは、A+……非戦闘要員であると聞いていた彼女が、まさかフォワード四人よりも上とは思ってもみなかった。 だが、これでもまだ許容範囲内である。 最大の問題は、ファイ……彼のランクは、SS+。 はやてを上回っての、機動六課最高レベルだったのだ。 まさかこんな結果が出ようとは、完全に想定外である。 彼等を六課の一員に加えるのには、色々と手間がかかりそうだ。 「ファイさん自身は、魔法は絶対に使わない言ってるけど……それでもこれは予想外過ぎたわ。 保護扱いにしても、レベルがこれだけあるとなぁ……ギリギリやね」 「そっか……大変だね、はやてちゃん」 「まあ、今日中に何とかするわ……それじゃあ、そろそろ行かんとね」 「そうだね……もう皆、そろそろ準備が出来てるだろうし」 はやては椅子から立ち上がり、大きく背伸びをした。 非戦闘要員であるさくらとモコナは別にして、残る三人に関しては戦闘能力を把握する必要があった。 幸い今日は、ヴォルケンリッターが四人とも手が空いている。 ならば彼女等と模擬戦をしてもらい、それを見て判断するのが一番である。 既に、小狼達は訓練場で待機している。 後は自分達が到着すれば、開始する事が出来る。 早速、訓練場へと向かおうと、はやてとフェイトは部屋を出ようとするが……その時だった。 「あ、ちょっと待って……少しだけ、時間いいかな?」 「なのは?」 「どしたん、なのはちゃん?」 「さくらちゃんの羽根の事で、ちょっと本局に連絡していいかな? 昨日言ったばかりだから、まだ全然だとは思うけど……」 なのはは、本局に連絡を取りたいと言い出した。 さくらの羽根について、彼女達は昨日本局へと連絡を入れていた。 もしかすると本局が確保したロストロギアの中に、さくらの羽根があるかもしれないから。 管理世界のどこかで、羽根の存在が確認されているかもしれないからだ。 その件に関して、何か分かった事がないかを確認したいというのが彼女の意見だが…… フェイトとはやては、そんななのはをニヤニヤしながら見る。 彼女の本当の目的ぐらい、二人にはお見通しである。 「なのはちゃ~ん……そんな事言って、本当はユーノ君と話がしたいだけちゃうん?」 「ふぇ!? え、えっとそんなことは……」 「なのは、顔真っ赤だよ?」 見事に図星を突かれ、なのはの顔が赤くなる。 確かに、さくらの羽根の事に関して聞きたいというのは本当である。 しかしそれ以上に、彼女は話したかったのだ。 無限書庫の司書長であり、そして自分の大切な幼馴染でもあるユーノと。 「アウグストの時も、凄い嬉しそうにしてたよね。 久しぶりにユーノに会えたって……」 「へぇ~……いやぁ、羨ましいなぁ本当。 そういう浮いた話って、私等には無いもんやし」 「ちょっと、二人ともぉ!!」 二人にからかわれ、なのはは困った顔をする。 今の所、お互いの関係は幼馴染以上恋人未満という形である。 傍から見れば、恋人同士といってもおかしくはないのだが。 とりあえず、これ以上は流石にと思いはやてはなのはをからかうのを止め、彼女の意見に答えた。 「まあ、連絡は確かに取っといた方がええやろね。 本局のロストロギア管理部には、小狼君達の事の報告ついでで私がしとくから、無限書庫の方に聞いてみよか」 「あ……ありがとう、はやてちゃん」 「ええってええって。 それじゃ、そうと決まったらさっさと連絡とろか」 早速はやては、無限書庫へと通信を繋ぐ。 さくらの羽根に関して、何か分かった事があればいいのだが。 昨日の今日だから少し不安ではあるが、それでも良い返事が来る事を三人とも期待する。 そして、無限書庫との通信が繋がり……スクリーンに、ユーノの姿が映し出される。 『なのは、フェイト、はやて。 こんにちわ、一体どうしたの?』 「こんにちわ、ユーノ君。 えっと、昨日言ったさくらちゃんの羽根の事なんだけど、何か分かった事ないかな?」 『ああ、その事なんだけど……』 ――――おい、ハラオウン提督からまた資料請求きやがったぞ!! ――――えぇ!?この前やりやがったばっかだろ、あの鬼提督!! ――――先輩、三課から請求された資料ってこれで全部ですかぁ!! ――――おーい、九区画にあるBB事件の資料誰か取ってくれー!! 何か、ユーノの背後からドタバタと聞こえてくる。 どうやら今日も、無限書庫は中々忙しいらしい。 無論、今こそこうして通信に応答してこそいるものの、ユーノもここ数日は激務続きである。 流石は、管理局内における主要な情報が多く集う部署と言うべきだろうか。 「今日も大変そうだね……」 『あはは……えっと、さくらちゃんの羽根の事だよね。 僕も昨日、すぐに調べてはみたんだけど……今の所、それっぽいのは見つかってないんだ』 流石に、羽根に関する資料はまだ見つかっていなかった。 予想はしていたものの、やはり残念な事は残念である。 「そっか……ごめんね、ユーノ君。 忙しいのに、時間取らせちゃって」 『なのはが謝る事無いよ。 こっちこそ、期待に答えられなくってごめんね』 「ユーノ君……うん、ありがとう」 互いを気遣いあう二人の様子を見て、フェイトとはやては苦笑する。 やっぱりこの二人、中々いい感じである。 折角だし、ここは二人きりで話をさせてあげようか。 そう思って、フェイトとはやては部屋を出ようとするが……その時だった。 モニターの向こうから、雰囲気ぶち壊しな叫び声が聞こえてくる。 『し、司書長ォォォォォォォォォォッ!!!』 『うわっ!? い、一体どうしたんですか?』 『やべぇっす、十三区画の資料が崩れ始めました!! 一個資料取ったら、そいつが上手い具合につっかえてた奴らしくって…… 今は岐部さんが結界魔法で押さえつけてますけど、このままじゃ!!』 『えぇっ!? 分かった、すぐ行きます……ごめんなのは。 急がなきゃ……』 「あ……ううん、それより早く行ってあげなきゃ」 『うん、すぐに……』 ――――う、うわああぁぁぁぁぁ!!!?? うわらばっ!? ――――き、岐部さあぁぁぁぁぁぁん!? ――――やべぇ、岐部さんが本の雪崩に飲み込まれたぞ!! どうやら手遅れだったらしい。 悲鳴の内容から察するに、本棚の崩壊を食い止めていた岐部さんという司書が、飲み込まれたようである。 ユーノは一言なのはにごめんと謝ると、すぐに通信を切って現場へと向かっていった。 「……大変なんだね、無限書庫のお仕事って」 「こりゃ、下手したらうち等六課よりもきついんかもな……」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ごめん皆、お待たせ」 それからしばらくして。 なのは達三人が訓練場に到着し、ようやく全員揃った。 小狼達も、既に準備万端の様子である。 「それで、俺達の戦う人達は誰かな?」 「ああ、私達だ」 ファイの問いに対し、ピンク色の髪の女性―――シグナムが返答する。 六課から模擬戦の相手として選出されたのは、ヴォルケンリッターの三人。 ヴィータ、シグナム、ザフィーラである。 形式は一対一ずつのタイマン勝負。 誰と誰が当たるかは、まだ決まっていないが……ここで黒鋼が、口を開いた。 「なら……俺は、その女とやらせてもらうぜ」 「私とか?」 黒鋼は、シグナムを己の相手に指名してきたのだ。 別にそれ自体は全く問題ないのだが、流石に驚かざるを得ない。 どうして自分を選んだのだろうか、シグナムは少し考えるが……すぐに理由を察した。 そして黒鋼も、同時にその理由を告げる。 「見りゃ分かる。 お前、剣を使ってんだろ?」 「ふっ……やはり、そういう事か」 黒鋼は、シグナムが剣士である事を見抜いていた。 それ故に、同じく剣の使い手として彼女と戦ってみたいと思ったのである。 シグナムはそれを、潔く承知する。 彼女もまた、剣士として黒鋼と戦ってみたいと感じていたのだ。 お互いに好戦的な性格の二人。 既にこの時点で、激しく火花を散らせあっていた。 その様子を見て、ファイはシグナムの隣で控えていたザフィーラへと視線を向ける。 「それじゃあ、俺はそこのワンちゃんとしよっか♪」 「……ザフィーラだ」 ファイに対し、少しばかり不機嫌そうにザフィーラが答える。 流石に、ワンちゃん呼ばわりはあまりいい気分はしないらしい。 一見お気楽な性格のファイと、落ち着いているしっかり者のザフィーラ。 随分と対照的な二人の組み合わせとなったわけだが…… (しかし……シャマルからの話によると、この男の魔力は主を上回っていると言う。 魔法は使わないと言っているとはいえ、油断は出来んか……) 「あれ、急に黙り込んじゃったけど、どうしちゃったのかな?」 「……何でもない、気にするな」 「……ワンちゃんって言われたのがショックだったら、他の姿になったらどうかな?」 「!!」 ファイの言葉を聞き、ザフィーラは大きく目を見開く。 彼は、自分には他の姿がある事を知っている。 自分が人間の形態になれるということが、分かっているのだ。 やはりこの男は油断ならない。 これは、一層気を引き締める必要がありそうだ……ザフィーラは、息を呑んだ。 「それじゃあ、あたしはお前とだな」 「そうみたいですね」 そして残る小狼は、必然的にヴィータと当たる事になる。 これで組み合わせは決定した。 後は、誰から試合を始めるかだが……ここではやてが、ごく自然に口を開いた。 「それじゃあまずは、ザフィーラとファイさんでいってみよか」 「分かりました」 「うん、俺はいいよ」 はやてはまず最初に、ザフィーラとファイとで戦うよう指示を出した。 その理由は勿論、この中ではファイの実力が一番気になるから。 SS+という高いランクでありながらも、魔法は一切使わないと言う彼がどの様なものなのかを、真っ先に知りたかったのだ。 ファイが、自分の身長ほどの長さがある棒を構える。 何てこと無い、単なる普通の木の棒。 それに対しザフィーラも、すぐさま跳びかかれる様に構えを取った。 ファイの表情は笑顔だが、ザフィーラの表情は真剣そのもの。 これ程までに正反対の二人が、果たしてどの様な戦いを繰り広げるのか。 見学のフォワード四人も、これには期待せざるをえなかった。 そして、皆が見守る中……はやてが、勝負開始の合図を告げる。 「よし……はじめ!!」 戻る 目次へ 次へ