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中学の夏休み、僕は両親と祖父の家に泊り掛けで遊びに来ていた。 久々に訪れたそこは、以前来た時と全く変わっておらず、家のすぐ裏の山は緑が生い茂っていて、門前と庭に植えられた花たちも、静かに吹く風に心地よさそうに揺られていた。 これから一週間、この清々しい環境の中で過ごすのかと思うと、心踊る気分だった。 両親、祖父と祖母の四人でお茶を飲みながら会話をする中、僕は一人暇になって彼らに何も言わず外へ遊びに出かけることにした。土地鑑があるというわけでもないから、そんなに遠くには行けない。でも田舎だから近くにゲームセンターがある様子もないし、 と何処へ行こうか色々考えた挙句、 小さい頃――確か五歳くらいだった筈――によく遊びに行っていた裏山に遊びに行くことにした。 家の裏に回って、山の中へと続く、細い長い道を目の前にして、今年で中学卒業だと言うのにも関わらず、まるで幼稚園児のような冒険心が湧き上がって来る。 僕はよぅし、と自分に意味もなく気合を入れて、久々に訪れた山へと足を進めていった。 木々の間から差し込む陽の光を眺めつつ、楽しげに鳴く小鳥の声を聞きながら歩くこと数十分。歩きながら、僕は幼い日の記憶を呼び起こしていた。 ――あの頃は小さかったというのもあり、必ず後ろに父がついて来ていた。あんまり先に行くなよーという心配そうな父の声を無視して、僕はただ只管に突っ走って、やがて開けた場所に出た。 後ろから追いかけてきた父に、先に行くなって行ってるだろーと息も絶え絶えに言われたのだが、僕はそれよりも目の前に突然現れた初めて見る物体に興味津々で、そんな父の声でさえ無視し、その物体を指差して何かと問うた。 「お…?あぁこれはなー祠って言って、神様とかを祀ってあるんだ。ここの神様はなぁ―――ってコラ祐!」 自慢気に口を開いた父の説明が、長そう、と、子供心に察知した僕は、父の言葉を遮るように祠に手をばして―――戸を壊した。 「あああああ!何してんだお前!」 壊すつもりは勿論なかった。でも、古くて今にも壊れてしまいそうだったんだから、仕方ない。 壊れたーと、僕は然して悪気もなさそうに父に言うと、父は酷く困り果てた様子で、 「…直さなくていいから、元の位置に置いておきなさい、帰るよ」 と言って、素直に壊れた戸を祠の中に置いた僕を抱き上げて山を下りて行った。その時、祠の中から白い靄のような物が出てきたのは、僕しかしらないのだと思う。 僕はその事を思い出して、白い靄のことは気になったが、とにかくその祠がある場所まで行って見る事にした。 オカルト物には強いと自分では思っているけど、実際お化けとかが出ないように祈りつつ。 白い靄がなんだったのか、と、まだその場所はあるかどうかと不安になりながらも更に進んでいくと、いつかのあの日と同じ開けた場所に出た。その円状に開けた地の真ん中には、あの時から何ら変わった様子のない祠。 良かった、と安心して、僕は祠に近付く。戸はやはり直されていないようだった。 懐かしい気分に浸りながら、その戸を取ろうと手を伸ばしたとき、突然白い――あの時見たような靄が、祠から飛び出してきた。 「うわぁ!」 悲鳴をあげて、僕は飛び退く。すると靄は見る見るうちに形を作り上げていき、やがて真っ白な着物を着た、これまた白い長髪の女が現れた。 これが幽霊と言う奴か!と僕は咄嗟に両の掌を合わせて握った――がこれじゃ、神に祈りを捧げる修道女じゃないか。違う、えーと…。 「そうだ!南無阿弥陀仏!」 思い出したように僕がそう紡ぐと、女は呆れたように溜息を吐いた。 「何やってんの?アンタ。十年振りだってのに、いきなりお経?」 「じゅ、十年ぶり?…え?」 訳が判らず問い返すと、彼女は先程よりも深い溜息を吐いて、頭を抱えた。 「覚えてないの?まぁ…ガキんちょの頃だったから仕方ないと思うけど…」 「いや、だからあの…何が?」 「十年前の夏の日、アンタ父親と一緒に此処に来て、あたしの家ぶっ壊して行ったでしょう。ったく、親父は親父で直さなくていいからとかのたまうし、アンタは悪気なさげな顔してるし、こっちは十年ずーっと苛々してたのよ!」 あぁ、そうか。あの時の白い靄の正体は、彼女だったのか。しかし、今のようにこうして実体化?して現れたわけじゃないし、僕自身も実体化した彼女を見るのは初めてなのに、なんで覚えてるんだろう。 もしかして靄の状態でも見えたりするんだろうか。 きっとそうなんだろう。 そう言うことにしておく。 「で?」 「へッ?」 自分ひとりで納得していると、明らかに怒ってますと言う声でそう声を掛けられ、突然のことにひどく素っ頓狂な声をあげてしまった。 それに、彼女はストレスを感じたのか、今度は背中に黒いオーラを背負った。気のせいだろうか、白かった髪も、着物も黒くなっているように見える。 ―――ごめんなさい許して。 「だぁから、この戸、直してくれるんでしょ?直さないとは言わせないわよ?」 そう言って浮かべた笑みは、そこらへんのホラー映画よりも怖く見えて、はいはい、直します直します!と思わず言ってしまった。 直す道具なんて何も持ってきてないのに。 「でもアンタ、素手で直せるの?」 ――いいトコついた幽霊さん! 「いや、それは無理であります!」 「………あぁ、そう。じゃあ取りに行って来なさい、待ってるから」 僕のふざけた調子に、彼女はひどく呆れていたが、まぁ気にしないことにする。とにかく、自分で壊したものは直さなきゃいけないし、 それに彼女にも随分と迷惑をかけてしまったようだから、 速攻で戻って道具を取ってくることにした。 その時に、戻ってこなければ怖い思いをしなくて済むとも思ったのだが、それこそ本当に呪われそうだからやめておいた。 「えと…じゃあすぐ戻ってくるから!行ってきます!」 無駄なハイテンションで言うと、彼女は呆れたままのようすで、はいはい、と返事をしてくれた。 慌てて山を駆け下りて、祖父の家に戻って工具を探していたのはいいのだが、途中で父に捕まり、なんとか逃げ出せたところで、 祖父に捕まってながーい話を聞かされたあと、挙句祖母と母に夕飯の手伝いまでさせられた。 そうして居る内に、外はすっかり暗闇で覆われてしまった。これじゃ山に登るのは困難そうだが、何とかして今日中に行きたかった。すぐ戻ってくる、 と言ったのもあるし、なんでか、彼女に会ってあげなきゃいけない気がしたから。 両親と祖父、祖母が団欒する中、僕はこっそりと広間を抜け出して、昼間探し当てておいた工具と、それプラス懐中電灯を持って、何が出るか判らない夜の山へと向かった。 何度も転びそうになりながらも、僕はやっとのことで祠のある場所まで辿り着いた。だが、ライトを当てつつ辺りを見回してみても、昼間の彼女の姿はなかった。 「幽霊さーん?」 失礼な呼び方だというのは判っていたが、名前を知らないのでそう呼んでみる。すると、背後に気配を感じて振り返った。ホラー映画なら、ここで振り返ってみたら物凄く怖い幽霊とかが立ってて、それを見たら死ぬとか言うストーリーになるのだろうけど、 後ろに立ってたのは、昼間の綺麗な彼女。 「んな名前じゃないわよ!」 「いや、名前、教えて貰ってなかったし」 「む…そうだったわね。名前は…ミカド。あんただって、教えてくれてないけど?」 「あ、そう言えばそうだったね。僕は祐って言います、よろしく」 僕は名乗って手を差し出す。――が、彼女は握ろうとしてくれない。 「あんた…幽霊の常識って知らないの?」 言われて思い出して、僕は苦笑を浮かべつつ手を引っ込めた。そうだ、基本的に幽霊は人間に触れないし、人間は幽霊に触れないのだ。彼女の姿があまりに鮮明なものだから、忘れてしまっていた。 それにしても、こんなにも綺麗な彼女が、幽霊―――とは。それに、こんな山奥で一人で何十年も過して来たなんて、少し可哀想だ。だが、彼女が何故こんな山奥の、こんなボロボロな――と言うか、僕がボロボロにしたのか ――祠に住んでるのか聞こうとは思わないし、 なんでか聞いてはいけないような気がして、僕はそのことに関して深く触れはしなかった。 そうして考え込んでいると、ミカドは不思議そうに顔を覗き込んできて、慌ててなんでもないよ、と笑顔を浮かべた。取り敢えず、彼女がどうこうと考えている場合じゃない。祠をどうにかしてあげないと。 「今直しちゃうから、少し待ってて」 「えッ…あ、うん」 僕は暗くて見えにくい中、祠の修理に取り掛かった。 どれだけ経過したのか判らないが、悪戦苦闘しつつも、漸く修理を終えた。不恰好と言っちゃ不恰好だが――彼女は納得してくれるだろうか。 「あ、あの…直り、ました、一応!…一応!」 ミカドは不満そうに祠を見詰める。やはり駄目か。そう思った時、彼女はぶはッ、と笑いを噴出した。 「え?ちょっと、ミカド…?」 「あっはっはっはっはッ!な、何その不器用さ!ガタガタじゃない!あっはっはっは!」 彼女は瞳の端に涙を浮かべて、腹を抱えて笑う。 何もそこまで笑わなくてもいいじゃないか、と落ち込んでいると、 「ご、ごめん、ごめんなさい。でもッ…面白ッあっはっはっは!男の子なのに!」 と、一度は謝ってくれたが再び笑い出したので、僕は溜息を吐いた。悪気があるというわけではないのだろうけれど、それでもやっぱり悲しい。こんなことなら美術の授業とかちゃんと受けとくんだった。 「と、とにかく!これで住めるだろ!?」 「うん、うん…有難う。はー、これでやっと落ち着いて暮らせるわ」 彼女は息を整えながら言う。 彼女はこのまま戻ってしまうんだろうか。このまま、僕の前から消えてしまうんだろうか。 唐突に、僕の中に不安が姿を現す。 ほんの少しの時間しか触れ合ってなかったのに、気付かぬ内に僕の心の隅に、大切な感情が生まれていた。それに今、不安が現れて始めて、気が付いた。 ここまで惚れっぽかっただろうか。 でも、僕は確かに彼女のことを―――――。 「あ、そうだユウ?」 不安を掻き消すような楽しそうな声が、僕を現実へと引き戻す。はっとして顔を上げると、ミカドはにっこりと笑顔を浮かべていて。 「これ、お礼よ。ちょっと不恰好だけど、ちゃんと私の家…直してくれたしね」 「え、でも…」 「ヒミツのおまじないかけてあるから、アンタでも触れるわよ」 彼女がそう言うから、素直に受け取ってみると、その小さい鈴はしっかりと僕の掌の上に乗った。だがやはり――彼女の手には、触れられなかった。 握ろうとして、僕の手を冷たい感覚が包む。 「ユウ…だから私は」 「判ってる…判ってるよ!でも、どうにかして触れないの?だってほら、この鈴には僕でも触れるおまじないってのをかけたんだろ?だったら…」 「…ユウ……」 彼女は何を言っていいか判らなくなった様子で、手を下ろした。彼女を落ち込ませようとは全く思っておらず、自分が感情に任せて発言した言葉を取り消すように、僕は慌てて笑顔を浮かべて、 「あ、でも触れなくてもいっか。こうやって喋れてるだけで、僕は満足だし」 と、然して満足もしていないのにそう言った。しかし彼女は更に沈んだ表情をする。何かいけないことを言ってしまったかと、心配しながら顔を覗き込むと、彼女はすっと僕に背を向けた。 「話を…話をしていられるのも、あと少しの間だけよ」 「……えッ…?」 「帰らなきゃいけないでしょ?もう、時間だから」 彼女は―――ミカドは、こっちを向かずに、俯いて言葉を綴る。 「アンタと話せて『少しは』楽しかったわ!また…いつか機会があれば、会いたい…でも…」 それ以上の言葉を聞いてはいけない、と僕の中の誰かが言った。 この先の彼女の言葉を聞けば、永遠の別れになってしまいそうな気がして、聞きたくなかった。でも、僕が口を開こうとすると、彼女はそれを遮るように言葉を吐き出す。 「もう、会えないかもしれないのよ。私は、消えなきゃいけないから―――あ、でも。でもね!」 言いかけて振り返った彼女の顔は、嬉しそうな、でも何処か悲しげな、笑顔だった。 「アンタの為にこんなこと言うのはイヤだけど…でも、頑張るから。だから、だからまた―――」 「一緒に笑ってよね」 彼女が言葉を口にすると共に、彼女の頬に綺麗な一筋が描かれた。それとほぼ同時に、僕がさっき直した祠の扉が開いて、中から青白い光が発せられる。 「ほんとに、帰らなきゃね」 「ミカドッ!!」 彼女の身体は光の中に引き込まれるようにして、薄く、薄くなっていく。笑顔が、涙が、手が、全てが、薄く―――。 僕は咄嗟に彼女に手を伸ばすが、まるで触るなと言っているかのように、発せられた光が強風を帯び、身体に襲い掛かる。少し力を抜けば、山の下まですっ飛ばされそうなその勢いに、顔を歪める。 「な、んで…なんで、だよ!理由を言えよ!消えちゃう理由を!会えなくなる理由を!…こッ…ここに現れた理由を!!」 「……言えないのよ」 「なんで!!」 またミカドは背を向ける。なんで、こっちを見てくれない。なんで、最後くらい―――いや、最後にしたくないけど、でもせめて、こっちを向いてくれよ。 「これからもずっとアンタと話してたい、笑ってたい。でも―――駄目なのよッ!!」 泣いていた。彼女は、辛そうに涙を流していた。こっちを向いてくれることはないけれど、声色で判った。 「ミカドッ…なんで、なんで…」 僕は、届かないと判っていながらも、必死にミカドに手を伸ばす。こうしている間にも、彼女の身体はどんどん薄くなっていき、やがては―――。 「どんな理由があるのか判らないけど、行かせたくないっ!」 「…私だって行きたくない!ユウっ、まだアンタと―――!!!」 ミカドは泣き顔で振り返る。そして、消え入ってしまいそうな色の薄くなった細い手を、僕に伸ばしてくれる。そんなに距離は離れていない筈なのに、彼女の存在が、手が、とても遠く感じる。 僕はずっと吹き付けている強風に耐えながら、最後の力と言わんばかりにぐん、と手を伸ばして、彼女の名を呼んだ。 ―――――ミカド!!! そのとき、ほんの一瞬だけ、僕の手に温もりが伝わった気がした。驚いた顔で彼女を見ると、彼女は先ほどの涙が嘘のように、綺麗な笑顔を浮かべていた。 そうしてそのあと、言葉を交わす暇もないほど急速に光は消え、そしてそれと共に、ミカドの笑顔も消え去った。 僕は最後の最後に触れたのだ、彼女の手に。 大事にしていた祖父がなくなって、僕は仕事を休んで十年ぶりに祖父の家にやってきていた。 葬式が一昨日、納骨などは昨日の内に全て終わってしまっているから、今日は特にすることがない。 僕の部署の部長は随分と優しい部長で、一週間休みをやるからゆっくりして、気持ちを落ち着かせてこい、と言ってくれた。しかし、失礼だがこんな田舎じゃやることがない。 葬式の片付けだって、母と祖母がせっせと動いてくれたお陰で、僕と父は邪魔者扱いで、することもなかったし。 あー暇だーと縁側に寝転んで呟くと、近くに座っていた父がそうだなーと相槌を打ってくれた。つづけて、父は言葉を綴る。 「暇なら山にでも言って遊んでくるといい」 「…もう二十五なんだけど」 「少年の心は忘れちゃいかんぞ。ほれほれ」 言いつつ、父は自分が寝転がりたいからなのか、腹をばしばしと叩いて、追い出そうとする。いつもならそれに何が何でも抵抗して譲らなかったのだが、今回ばかりはそうすることが凄く面倒に感じて、僕は立ち上がって、和室を出た。去り際に縁側に目をやると、 嬉しそうに寝転がる父の姿が見えた。 父に言われたことを素直に実行に移すのは少々気が引けたが、特にコレといってすることも、やはりないので、素直に裏の山へ行って見ることにした。 山の入口まで言って、何か重要なことを忘れているような気がして、足を止めた。頭を捻ってうーん、と考えてみたが、思い出せない。 思い出せないなら大して重要なことじゃないのかもしれないな、と自分の中で適当に完結させて、止めていた歩みを進め始める。 昔とどこも変わっちゃいない。緑は沢山あるし、真夏のさわやかな風も吹いている。 僕はただ只管に歩いて歩いて歩いて、時には木の根に足を引っ掛けて転びそうになりながらも、どんどんと上って行く。そしてやがて、開けた場所に出た。 その場所は凄く大切なものを失った場所――だと思ったのだけれど、全く思い出せない。辺りを見回しても、これと言って珍しいものはないし、強いて言うなれば、円状に広がったこの場所の真ん中辺りに綺麗な一輪の花が咲き誇っているくらいだ。 意味も無くその花に近寄って、しゃがんで凝視する。 本当に綺麗な花だ。白くて、光が当たって綺麗に輝いて、まるで、まるで誰かのような―――誰かの――。 不思議な感覚に包まれつつ、もう少しで思い出せそうな記憶の欠片を探るが、やはり上手いこと見つかってはくれない。 溜息を吐いて、立ち上がって、結局何の収穫もなければ、ほんの少しの暇つぶしにしかならなかったな、と落胆しつつ帰ろうと俯いて踵を返す。 もと来た道の方へ身体を向けて、目の前に気配を感じてはっと顔をあげると、そこには綺麗な女性が立っていた。 「お久しぶり」 彼女は――どこか見覚えのある彼女は笑顔を浮かべてそう言ったが、僕は思い出せなかったし、驚いたしで、何も口にすることが出来ずに、呆然と彼女を見詰めた。白のワンピースが眩しい。 「…はぁ…またこのパターン…?十年経とうが百年経とうが、アホっぷりは変わらないのね、ユウ」 名前を呼ばれて、隠れていた記憶の欠片の光が、頭の中に見えた気がした。もう少し――もう少しで、全部を思い出せる。 「そこ、何もなくなっちゃってごめんね。折角アンタが扉直してくれたってのに。ま、でも変わりにほら。花、植えておいたから」 ――扉…?直して?――僕が、確か…。 「そうだユウ。覚えてる?これ」 彼女はそう言って、拳を開いて小さな鈴を出して見せた。それには見覚えがあった。僕もあれを持っている。何故か捨てもしないで、小さなケースに入れて、棚の中に仕舞ってある筈だ。でも、どうしてそれと同じものを彼女が? 何もかもが中途半端に記憶に絡み付いて、混乱していると、彼女は鈴を持っている方とは逆の手を、すっと差し出してきた。 「アンタが最後に触ってくれた感覚、まだ残ってるんだからね。あの時はまだ、あんな身体だったから、感覚は少ししか伝わらなかったけど、でも、ちゃんと覚えてやってるんだから」 ―――感覚。手を、触ったときの。光の中で、風の中で、必死に手を伸ばしてやっと触れられた、あの感覚。 あぁ、そうだ――祠があった。彼女がいた。僕は壊れた祠を笑われながらも直した。彼女は消えると言った。信じられなかった。でも…彼女は消えた。だけどそのときに、彼女に、触れられない筈の彼女の手に、触れたのだ。 僕が好意を寄せた人。惚れっぽいわけでもないのに、何故か惹かれてしまって、大好きになってしまった人。 そうだ。そうだそうだそうだ!名前は――名前は。 「ミ…カド…」 小さく、そう口にすると共に、僕の頭の中に鮮明な『あの時』の映像が過った。 「ミカド…ミカド!」 「やっと思い出したの?やっぱアホね。なんで私もアンタなんか―――」 嬉しくて、信じられなくて、僕は咄嗟に彼女を抱き締めた。触れるまで、触れられない、なんてことは考えていなかったが、抱き締めて始めて、自分は彼女の身体に触れているんだ、と言うことに気が付いた。 暖かい感触が僕の腕に、胸に伝わって、嬉しくて涙が溢れた。 もう会えないと思っていたが、いつしか彼女との記憶は消えていって、でも大事なことを忘れているような感覚にはいつも囚われていて。 でも、忘れていた僕に、彼女は会いに来てくれた。そして、思い出させてくれた。僕と彼女の思い出を。僕が彼女を―――好きだったことを。 抱き締めたまま、何を言っていいか判らずに、ただ名前を呼んでいると、彼女の腕がそっと僕の背に回されて、小さく、でも嬉しそうに、彼女は耳元で言葉を綴った。 「なんでアンタなんか、好きになっちゃったんだろ、私」 言ったあとに、彼女はくすりと笑んだ。それに僕も笑んで、言葉を綴る。 「もう、離したりしないから」
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【検索用 くらすれっとのしょうそう 登録タグ 2015年 GUMI NexTone管理曲 △○□× く 悪ノP 憂 曲 曲か 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:悪ノP 作曲:悪ノP 編曲:悪ノP イラスト:憂 動画:△○□× 唄:GUMI 曲紹介 「もしも 変わらなければ」 全てが終わった後、彼女は回顧する。情欲に惑わされた彼の顔を描きながら。 曲名:『グラスレッドの肖像』(ぐらすれっどのしょうぞう) ヴェノマニア事件(E.C.136)の後日譚。作者が手掛けた小説『悪ノ大罪 ヴェノマニア公の狂気』の終盤にて仄めかされたグミナ=グラスレッドの心情が約2年1ヶ月ぶりに掘り下げられる。 メジャー2ndアルバム『七つの罪と罰』収録曲。 歌詞 「もしも 変わらなければ」 キャンバスの上へ筆を走らせ あの人の絵を描いた 思い出の隅にあるこの顔には もう会えない ずっと 変わってしまったのは いつからだっただろうか あなたがあなたのままなら 違う結末だったかも なんて 今さらだね ――絵の中の君はもういない 君の顔が好きだったわけじゃない それでもずっと描き続けた いつしか部屋は君の似顔絵で満たされた 求めたのは君の顔じゃない ありのままの本当の君 だけどね 君も私もその事に気づけなかった 燃やされた肖像画 「この顔は嫌いだ」と君は言った 本当に醜かったのは 君の顔じゃなく きっと…… 浅はかな考えで 君の事馬鹿にした 次に会った時あなたは 違う人になっていた そう まるで別人だった ――絵の中の君はもういない たとえ君が思い出の記憶と 違ったとしても 幸せならば それでもいいのかもしれないと思っていた 変わる事が悪いわけじゃない でも本当に必要なのは 変われない自分も受け入れるという事 気づけなかった 君は生き続ける 私の描いた絵の中で それがたとえ君の望んでいた姿ではないとしても そう君があの時 最後に言おうとしていた言葉 それがなんだかは分かっている ずっと前から知ってた 君の事が好きだったかもしれない だからずっと描き続けた いつしか部屋は君の思い出で満たされた 求めたのは君の顔じゃない ありのままの本当の君 だけどね 君も私もその事に気づけなかった コメント やたーー!待ってた -- 名無しさん (2015-01-31 17 08 41) すっごく感動した。ヴェノマニアは大罪を犯した後でもグミナに愛されてたんだ… -- *30__ (2015-01-31 17 16 00) 仕事早っ!はじめのセリフのとこ凄すぎる!!神曲とはまさにこの曲のことだと思う。 -- 悪斗 (2015-01-31 17 48 31) 追加乙です!!! -- 長部 (2015-01-31 17 54 17) 凄く切ないね 6分 長く感じないね グミナーー -- 風川 (2015-01-31 18 28 34) 一番最初の「もしも 変わらなければ」ってとこで鳥肌立った。いい曲(*º´^`°) -- 凛々 (2015-02-01 00 23 42) 失礼だけどけして調声上手いって訳じゃないのに、最初のセリフで涙が出かけた。そのあともうるっとくるばかりで。泣ける曲聞いても全然泣けないのに。悪ノPさんが作る曲本当に好き。長文ごめんなさい -- 名前はまだない名無しさん (2015-02-01 11 05 37) サイコーです!!!↑この上の人と同意!悪ノPさんの歌は本当に面白いです!!! -- 良太 (2015-02-01 19 43 40) お仕事早いです! 昨日早速聞いてもう悲しくなりました。確かに調声が上手いわけじゃないけど、感動……。本当に素敵です。 -- あやたんたん (2015-02-01 20 57 33) なんで あの時 グミナは あいつの屋敷から 出たの(・・? -- 楓 (2015-02-02 18 06 50) ↑ 例え小さな炎であっても、エレベーター内で火事が起これば誰でもその場所から離れたくなる。狭い地下室で見知らぬ男が知り合いをグサッて刺したら……。 -- 名無しさん (2015-02-03 01 48 53) あー そうゆうことか ありがとうございます -- 楓 (2015-02-03 07 07 48) 言葉ではないグミナの心情が、すごくよく伝わる。はっきりと断定された言葉でないからとても人らしいというか、この曲に共感できる人って多く現れると信じています! -- 藍瑠 (2015-02-03 10 02 01) グミナ…!!!!(ノд 。)゜。 -- 名無しさん (2015-02-08 16 19 30) いや、その時はただ自分の気持ちに気づいていなかっただけ。 -- 名無しさん (2015-02-16 09 04 27) 少しネタバレになるかもしれないが当時としては『色情公』を好きだった、とは少し違うからね -- 名無しさん (2015-02-16 09 05 37) テンポが遅く、やさしい感じがよかった!! -- 悪ノファン (2015-02-21 23 13 36) 両片思い…だっただと… -- 名産品 (2015-03-08 15 31 56) グミナの気持ちなんか共感します。聴きながら泣きました(。´ノω・`)。ウウゥゥ ほんと、悪ノPさんの曲好きです♡ -- 治らない僕の病 (2015-03-21 23 35 43) いつもと曲調が違くてびっくりしました!でも、頭に残る曲を作りますよね悪ノPさんは…。本当に素晴らしいと思います!!変われない自分も受け入れるということ……心にグッときます! -- 名無し (2015-03-22 16 54 19) 本当はグミナもヴェノマニアを見捨てたくなかったのかもしれませんね…。「もしも変わらなければ -- 名無しさん (2015-03-27 14 43 56) グミナさんの切ない気持ちに胸を打たれました -- 華鈴 (2015-04-11 06 01 11) 切ない・・・!サビで鳥肌が凄いことになりました・・・。PVの絵も好きです。 -- リノ (2015-06-21 11 09 14) うんうん。いい歌だよね -- 名無しさん (2015-10-24 20 14 10) グミナさん… -- 名無しさん (2015-11-03 11 50 35) すごい良いです!すごく切ない…。゜(゜´Д`゜)゜。 -- 私ノP (2015-12-17 18 48 34) グミナの愛が伝われば良かったのに -- 初華 (2016-08-09 18 01 49) すれ違いが一番悲しいです。あの馬鹿(ネタバレしたらすみません。)があんなこと考えなければ(T_T) -- 受験生 (2017-01-06 16 46 33) 気づいたらすでに20分泣いてた -- 名無しさん (2017-04-07 05 07 12) いろいろ見たから真実が辛い -- 名無しさん (2017-04-16 17 57 20) この2人はもしもが多いですね(もしも彼が賢明だったら)(もしも彼女がきちんと気持ちを伝えていたのなら)(もしもお互いがお互いの気持ちに気付いていたのなら) -- 名無しさん (2020-02-18 01 59 15) 切ないけどどっちも自業自得みたいなとこあるんだよなぁ… -- 名無しさん (2022-03-16 20 55 09) 曲調がほんとに切ない… -- 名無しさん (2022-03-30 21 27 01) 変われない自分も受け入れる…難しいけどそうだよなぁ… -- 名無しさん (2022-05-16 17 36 56) 両片思いとか私の好きなタイプのストーリーを歌に入れるな!泣けて舞うやろ! -- 悪の大罪シリーズ…友達にお勧めしても薄い反応しか帰ってこない…(泣) (2022-11-19 17 12 58) うわああああああぎゃああああどわああああああ(プロセカのコラボで色々見てみたけど続編ある曲ってやっぱ神すぎる) -- 名無しさん (2023-05-05 20 47 01) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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ネルの肖像 3 アーティファクト ネルの肖像は青であり、赤でもある。 1,T:あなたのマナ・プールに青赤を加える。 1青赤:ネルの肖像は、ターン終了時までプロテクション(赤)を持つ1/4のアドバイザー・荒らしクリーチャーになる。それは依然としてアーティファクトでもある。 亞北ネル[Neru Akita] (1990~ 日本) 避難所第1版の 12 [部分編集] 《イゼットの印鑑》+α。珍しい有色アーティファクト。 1枚で青赤の両方のマナを調達できるのは嬉しい。3マナとやや重いが、その代わりクリーチャー化する能力もあるので後半腐りにくい。 クリーチャー化時の性能は1/4プロテクション(赤)?とかなり防御的。 プロテクションのお蔭で一部の除去やアーティファクト破壊にも耐性がある事は評価すべきだろう。 さすが防火ロイドである。 イラスト `イ' ,.-'"⌒``ヽ _,.,,.-‐-,,, ソ_ / ヽ _,,.'' 彡ノヾ ``ヽ_」 ヽ ノ ミミ _,, ヽ ,,.-''" ミミ ,r 、 ヾ i i` ∧ }ヽ ソ } i i i ,' ', ', i ヽ , i ii i i i ii ,'=ェ, ', ', i ,ェ=i }i } .i i i/i ソi i_、、.ミヾ ', i ,、、', i i ハi i i i ,イ i i{ i{ (℃ヽ\ヾi"(℃} i i ハi i i .,ノ ', ',' ',i `;;;-'' , ヽi'';;;''"i i ii ii i i ゙ ヽ ', ″ ノ ノ /` i i ヽ ',\ ⌒ /// i i ヽ ',ヾ` ‐-‐''"<ミ i i ヾ∨i い` i ii サイクル 避難所1版の肖像サイクル。 2ch用語をもじった名前を持つ(架空の)偉人の肖像。 3マナの多色マナ・アーティファクトで、3マナでクリーチャー化する起動型能力を持つ。 白黒 ウプレカスの肖像 レベル・ならず者 黒緑 ジップデークレの肖像 ならず者・同盟者 緑青 ユークリッシの肖像 同盟者・アドバイザー 青赤 ネルの肖像 アドバイザー・荒らし 赤白 ベルジャネーゾの肖像 荒らし・レベル
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?id=54.png 名前 ムクの肖像 分類 削除理由 説明 2011年9月1日に藤崎エヴァやゆとりバスターズなどの藤崎瑞希MADが突然削除された。MAD動画は個人の申し立てで著作権侵害として削除されたが、その削除理由が「ムクの肖像」という謎の理由だったために一部では騒がれたらしい。 配信での扱われ方 「ムクの肖像って理由で削除されそう」 関連項目 藤崎瑞希 ムク sm6656
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作詞:mothy 作曲:mothy 編曲:mothy 歌:GUMI 翻譯:kyroslee 葛拉斯雷德的肖像 「若然 沒有改變的話」 在畫布上揮筆 繪畫着那個人 與這張在回憶一角的臉龐 已經永遠 無法見面了吧 是什麼時候 有所改變了的呢 假如你依然沒有改變的話 結局說不定會有所不同呢 這種事 事到如今已經沒意義了 --在畫中的你已經不在了 並不是特別喜歡你的臉 卻依然不斷繪畫着 不知不覺間房間裹已充滿了你的肖像畫 我所追求的並非你的臉 而是本來的你 然而呢 不論是你或是我 亦沒能察覺得到這件事 被燃點起的肖像畫 「我討厭這張臉」你那樣說道了 真正醜陋的 並非你的臉呢 一定⋯⋯ 以膚淺的思考 看不起你 下次見面時 你已經變成不同的人了 沒錯 就像是另一個人似的 --在畫中的你已經不在了 即使你與我回憶之中 有所不同也好 若你能得到幸福的話 我想這樣或許也不錯呢 改變並非什麼壞事 真正必要的卻是 能夠去接受不變的自己 然而我並未能察覺得到 你於我的畫中 永遠長存 假若那是你所期望之事 即使並非實體 沒錯 你在那時 最後欲要說出的那句話 我從很久以前 就已經知道是什麼了 或許因為我喜歡你 才會一直繪畫着你 不知不覺間房間裹已充滿了我對你的回憶 我所追求的並非你的臉 而是本來的你 然而呢 不論是你或是我 亦沒能察覺得到這件事
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親愛の肖像 4 アーティファクト 親愛の肖像はタップ状態で戦場に出る。 X・T・親愛の肖像を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから、点数で見たマナ・コストがX点以下の プレインズウォーカー・カードを1枚探し、戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。 38版の 286 [部分編集] イラスト / ̄ ̄\ / ヽ_ .\ パシャッ! (>)(<)。 | ____ (__人__) ゚ | / \ l` ⌒´ | / ─ ─ \ . { |/ 。⌒ ⌒ o \ { / | (__人__) | ,-、 ヽ ノ、\ ` ⌒´ /_ / ノ/ ̄/ ` ー ─ '/>< ` ー─ ' ┌、 ヽ ...ヽ, / L_  ̄ / _l__( { r-、 .ト _,,二) / 〔― ‐} Ll | l) ) _,フ / }二 コ\ Li‐' 2011年10月29日 最高の友と共に
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鏡の肖像(かがみのポートレート)は、粕谷紀子の漫画作品。週刊セブンティーン1978年4/5号掲載。「Mr.グレイの手」に収録。 登場人物 ビリーJ - 都会のハイスクールを休学し、帰省した少女 ミス・サラー - オールドミスの善良な老女。田舎町で笑い者にされている
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エルの肖像 Elysion ~楽園幻想物語組曲~←クリックで前画面に戻る 白い結晶の宝石は 風を纏って踊る 樹氷の円舞曲 遠く朽ちた楽園 黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃って通る 樹氷の並木道 深い森の廃屋 少年が見つけた 少女の肖像画 『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった… 幼い筆跡の署名(Sign) 妙に歪な題名(Title)は 【最愛の娘エリスの八つの誕生日に…】 退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance) 痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ 第四の地平線─その楽園の名は『ELYSION』 ──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる…… やがて少年は彼の《理想》(idea"L")を求めるだろう… やがて少年は彼の《鍵穴》(keyho"L"e)を見つけるだろう… やがて少年は彼の《楽園》(e"L"ysion)を求めるだろう… やがて少年は彼の《少女》(gir"L")を見つけるだろう… 娘もまた母になり 娘を産むのならば 楽園を失った原罪を 永遠に繰り返す…… 始まりの扉と 終わりの扉の狭間で 惹かれ合う『E』(EL)と『A』(ABYSS)──愛憎の肖像 禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく 求め合う『E』(EVA)と『A』(ADAM)──愛憎の肖像 やがて少年は♂(おとこ)の為に自らを殺し 少女は♀(おんな)の為に自らを殺す 時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか? ──幾度となく『E』(ELYSION)が魅せる幻影 それは失ったはずの『E』(Eden)の面影 嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾らせてゆくのだろう──
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家族の肖像 かぞくのしょうぞう (歌・OhD, 94-95)後味の悪い川柳コーナーのテーマ曲。歌っているのは三浦綺音htmlプラグインエラー このプラグインを使うにはこのページの編集権限を「管理者のみ」に設定してください。というおヌード屋さん。歌いだしは「血がつながってないと 気付いたのはずっと前」。 シングル「家族の肖像/三浦綺音」94年8月24日発売 SXDR-123
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エルの肖像 白い結晶の宝石は 風を纏って踊る 樹氷の円舞曲 遠く朽ちた楽園 黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃って通る 樹氷の並木道 深い森の廃屋 少年が見つけた 少女の肖像画 『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった… 幼い筆跡の署名(Sign) 妙に歪な題名(Title)は 【最愛の娘エリスの八つの誕生日に…】 退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance) 痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ 第四の地平線─その楽園の名は『ELYSION』 ──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる…… やがて少年は彼の《理想》(idea"L")を求めるだろう… やがて少年は彼の《鍵穴》(keyho"L"e)を見つけるだろう… やがて少年は彼の《楽園》(e"L"ysion)を求めるだろう… やがて少年は彼の《少女》(gir"L")を見つけるだろう… 娘もまた母になり 娘を産むのならば 楽園を失った原罪を 永遠に繰り返す…… 始まりの扉と 終わりの扉の狭間で 惹かれ合う『E』(EL) と『A』(ABYSS)──愛憎の肖像 禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく 求め合う『E』(EVA)と『A』(ADAM)──愛憎の肖像 やがて少年は♂(オトコ)の為に自らを殺し 少女は♀(オンナ)の為に自らを殺す 時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか? ──幾度となく『E』(Elysion)が魅せる幻影 それは失ったはずの『E』(Eden)の面影 嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾らせてゆくのだろう──