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ましかりんLOVE【登録タグ VOCALOID ま アッサガオリ ウゴP 三重の人 曲 曲ま 殿堂入り 鏡音リン】 作詞:ウゴP・アッサガオリ 作曲:ウゴP 編曲:ウゴP イラスト:Ixy 動画:三重の人 唄:鏡音リン 曲紹介 これで☆「アナタはアタシに恋する!!!」 ウゴP式リン呪文を織り交ぜた電波ちっくな歌詞と、POPで可愛らしいサウンドに、リン独特の可愛い歌声をフィーチャー! 曲名:『マジカリン☆☆☆Love♡』 G・Tワークス プロデュースの 7th web single。ボカロとしては2作目。 特設ページへはこちらから。 恐るべきリン廃のパワーのお陰で殿堂入りを見事に達成。 歌詞 マジカ!リリリン☆ルルルン♪ラララン♥ アナタへと アナタのココロの隙間埋めるため 魔法の☆(ほし)「ボカァ~ロ」から来たんだヨ 可愛く華麗にステッキを回すからネ (ぷりぷりぷりぷりぷれすぷれす) 目を離しちゃヤだヤだヤなんだモン! (マジカリン☆☆☆ドキュン!でLOVEリン☆☆☆) 暗示かけて準備出来た さあイくからね!!! マジカリン☆☆☆リリン☆☆リン☆リンリ☆☆リン☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ アナタはアタシに恋する! 不思議な魔法の言葉真剣(マジ)!唱えちゃうから 良い?覚悟決めてよネ!! マジカリン☆☆☆リリン☆☆リン☆リンリ☆☆リン☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ ギュっ!としてチュっ!!としてキュンっ!!!させて 優しく甘えさせてあげるの LOVE♥しよ! どうかな?アタシの想い伝わった??? 今度はアナタの想い感じたい! 言葉じゃなく態度で示して欲しいナ? (ぷりぷりぷりぷりぷれすぷれす) じゃないと「デレ」から「ツン」になっちゃうの (マジカリン☆☆☆ドキュン!でLOVEリン☆☆☆) ステッキ回しても一度 さあイくからね!!! 真剣(マジ)!本気(マジ)!!マジカリ☆☆リン☆ リン☆リン☆リリン☆☆リン☆リン☆リリン☆☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ アナタとアタシは恋する! 不思議な魔法の言葉本気(マジ)!!唱えちゃうから 良い?覚悟決めてよネ!! マジカリン☆☆☆リリン☆☆リン☆リンリ☆☆リン☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ スキスキスキキスキスキスが欲しい!? 優しく甘えさせて欲しいの!? LOVE♥しよ! 優しく HUG! HUG! ギュッ!して!!! HUG! HUG! HUG! ギュッ!し・て!!! 耳元で甘くささやいてあ・げ・ゆ♥ 痛いくらいの胸キュンっ!!! キュンっ!!!キュンっ!!!あ・げ・る トキメキ☆は永遠だよ? 可愛く華麗にステッキを回すからネ (ぷりぷりぷりぷりぷれすぷれす) 絶対!!目を離しちゃヤなんだモン! (マジカリン☆☆☆ドキュン!でLOVEリン☆☆☆) 暗示かけて準備出来た さあイくからね!!! マジカリン☆☆☆リリン☆☆リン☆リンリ☆☆リン☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ 二人の大切な時間 マジカリン☆☆☆と唱えればヴァーチャル(あたし)とリアル(あなた) 次元を越えて会えるから! マジカリン☆☆☆リリン☆☆リン☆リンリ☆☆リン☆リン☆ マジカルン♪♪♪ルン♪ルン♪ルルン♪♪ルン♪ スキスキスキスキスキスキなんだモン! アタシの魔法&愛(ココロ)でアナタ撃ち抜く マジカルリン☆リン☆リン☆リン☆リン☆ マジカルルン♪ルン♪ルン♪ルン♪ルン♪ LOVE♥×8 コメント これは悶え死ぬっ!!!かわぇぇええええええ!!!(*´д`*) -- 名無しさん (2010-11-18 23 38 02) リンちゃん可愛いよ!! -- 名無しさん (2010-11-19 09 49 17) 萌え死んだ!! -- 名無しさん (2010-11-21 10 23 46) 可愛いぃぃ(*´ω`*)(*´ω`*) -- リン廃 (2010-11-22 03 28 12) む、胸がぁあ゛ああぁぁぁあ゛ぁあぁぁぁあ゛ぁぁあ -- 名無しさん (2010-11-22 20 10 32) リンかわいいよぉぉぉ!! -- 名無しさん (2010-11-25 00 58 40) 卑怯なくらいリンちゃんの可愛さが出てるwww -- リンちゃん愛してる! (2010-11-25 13 38 44) リン廃の聖地! -- 名無しさん (2010-12-08 13 01 48) リン!今いくぞ!! -- 次元を越える俺 (2010-12-09 17 41 36) 可愛すぎる!リン廃のツボをおさえてるな -- 名無しさん (2010-12-12 18 43 43) 撃ち抜かれ、た… -- 名無しさん (2010-12-21 23 19 13) 毎日聞いても飽きないくらい凄いイイ曲♪♪ -- 名無しさん (2010-12-30 22 38 43) 転調するとこかわいすぎゆ!! -- 名無しさん (2010-12-30 22 51 51) なんつってんのかわからん。が、可愛い -- 名無しさん (2011-01-09 02 26 11) これは可愛い -- あああああ (2011-01-27 10 05 55) かわいいいいいいいいいいぞおおおおおおお!!!おれのものにしたいZE! -- 名無しさんさんさんさん (2011-02-25 21 02 30) これは本当にリン廃の聖地だったw -- 名無しさん (2011-03-14 23 17 58) もっと伸びてもいいかと思うんだがなぁ -- 発注Σ (2011-03-15 02 18 44) げはぁっ…馬路かわいすぎる吐血もの^p^ -- 名無しさん (2011-03-17 19 27 16) リンの歌は最高!嫁にしたいくらい -- とある舞台の歌音機人 (2011-04-28 20 16 48) 一発で撃ち抜かれたwww -- 名無しさん (2011-05-16 21 25 55) ちょ、おま可愛いすぎだろ(*^o^*) -- 名無しさん (2011-05-31 19 26 14) リン廃の聖地というより、リン廃ジェネレーターだわ -- 名無しさん (2011-08-09 00 01 52) 俺は鏡音リンが大好きだ☆ -- 名無し (2011-11-28 11 16 35) リンが可愛すぎて、発狂しそう。 -- 竜奇 (2011-11-28 11 28 59) \リンチャーン/ \リンチャーン/ \カワイイヨー/ \最高!/ -- 名無しさん (2011-12-23 10 38 28) サビが驚異の中毒性wwwwやばいリン大好き -- 鏡音レン (2012-02-16 11 51 18) 大好き! -- はっちゃん (2012-04-12 00 17 47) ヤベェ( ;´Д`) -- リント (2012-06-18 22 25 56) リンちゃんの可愛さ大爆発!俺にも魔法をかけてくれ! -- 竜奇 (2012-07-06 10 35 49) キスならいくらでもしてあげるよ! -- リン廃 (2012-10-10 18 28 02) ルカがきたぁあ! -- 名無しさん (2012-11-12 20 03 01) リンちゃん、可愛すぎっ♡ 聴いてよかった、この曲‼ -- MAGICAL*GIRL (2013-01-02 13 05 28) リン可愛いすぎて死にそう~~(*´Д`*) -- 名無しさん (2013-01-27 13 56 15) リンちゃん可愛すぎ -- (2013-04-07 14 12 16) ぐはあっ☆ -- 名無しさん (2013-04-08 12 27 49) りんちゃぁ可愛ゆいいいぃ!!!!! ぎゅぅううぅうぅうううううぅって したあぁああぁいいいい☆ \(*´・д・*`)/ -- リンチャンを可愛がる人 (2013-05-10 19 20 14) 一家に1人リンちゃん♪(o´∀`)ノ -- リンちゃんに踏まれ隊 (2013-05-13 10 04 49) リン、好きだーー!! -- 名無しさん (2013-06-05 19 30 49) おぉ、LOVEする?大歓迎だあっ!(妄想) -- 名無しさん (2013-06-13 18 13 21) リンちゃん大好きだぁ~~~~!!!!ヽ(´▽`)/☆☆☆ -- なつ (2013-11-05 06 34 03) かわえええ -- 名無しさん (2013-11-23 18 00 39) リン----------------------- -- 妄想少女 (2014-07-17 07 23 59) 再生数三千台の時に知った曲で、今もリフレインしてる!! -- 名無しさん (2016-08-30 22 31 18) リンちゃん可愛すぎる! -- リンに洗脳された廃人 (2019-04-03 23 04 31) 名前 コメント
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ミラクリン・マジカリン C 自然文明 (4) UMAクリーチャー:UMAワイルド・ベジーズ 3000 ■このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、パワーの合計がこのクリーチャーより小さくなるように、クリーチャーを自分のマナゾーンから好きな数選び、バトルゾーンに出す。 変身前⇒《大地の果実》 作者:切札初那 フレーバーテキスト 収録 NDM-07 「冒険編 ステージ2 ドラフの森」 名前 コメント
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5.『リング』 カトレアは、ディルの様子を聞きながら魔法管理室の前に立っていた。 魔法管理室――局長であるカトレアだけにしか入れない、危険な魔法が封印されている部屋である。 IDカードをリーダーに通しながら、カトレアは否応なしに聞こえてくる剣戟(けんげき)音を耳にしていた。 だが、おかげでディルが善戦していることがよく分かる。 続いて指紋、声紋のチェック。さらに目の網膜の照合など。 ひと通りのパーソナル・チェックを終えて、ようやくカトレアは部屋に入ることができた。 部屋の中は、以外にも整然とした空間が広がっていた。 部屋には、ジュエリー・ショップにあるようなガラスケースがひとつ。 この中に、銀色に輝く腕輪が保管されていた。 おそらく、これが彼らの言う「リング」なのだろう。 「『転送』開始」 カトレアは、持ってきたパソコンの端末をガラスケースにつないだ。 このケース、実はケースなどではなく立派な『転送』装置である。 パソコンで温度、気圧、湿度、風向き、魔力濃度などのデータを分析し。 多くの魔法管理局支部の中で最も安全な場所、およびそこまでの角度や距離を求める。 一ミリの狂いもなく、支部に送らなくてはならないからだ。 あとは、カトレアがガラスケースに手を置き『転送』の鍵言葉(キーワード)を言うだけ。 だが、それには数分――パソコンが答えを導くまでにかかる時間を必要とした。 まだ、ディルと侵入者の戦いは続いている。 『転送』を一刻も早くすませ、ディルの援護をしなければ。 カトレアの中に、義務感だけが募っていく。 だが……、どんな時でも冷静でなくてはならない。 最悪の事態に備えて。 だが、カトレアの予期した「最悪の事態」はすぐやって来てしまう。 「プロード!」 「しまった!」 男のキーワードが、そしてディルの叫び声が、カトレアの耳に届いてきた。 建物内に響く爆発音とともにパキンという、乾いた音が響く。 おそらく――剣が折れ飛んだ音。 そして、何かが倒れる音。 まさか、ディルが……!? 「ディル? ディル!?」 『遠話』で何度も呼びかけるが、ディルから返事はない。 ディルの身に何が起こったのか、カトレアははっきりと悟っていた。 だが、この『遠話』の魔法では呼びかけることしかできない。 残酷なようだが――今は『転送』に集中しなければ。 「リング」が奪われれば、もっと大変なことが起こってしまう……。 カトレアは、『遠話』では何も出来ないことが、そしてすぐに助けに行ってやれないことがただもどかしかった。 「終わった!」 パソコン上に「終了」の文字が浮かぶと当時に、カトレアは緊急用の魔力封鎖カットのボタンを押した。 魔力封鎖とは、テレポート系の魔法で建物に侵入されるのを防ぐためのシステム。盗難防止などの目的で広く一般に普及している。 システムが発動すると、先程のカトレアのように建物内での移動はできるが、外から中、中から外の移動はできなくなる。 魔力封鎖を解いたのは、これから行う『転送』も「テレポート系の魔法」に含まれるためである。 そんなとき、再び『爆発』が巻き起こる。 今の音、『遠話』で聞こえたんじゃない。まさか、直接!? もう……たどり着いたっていうの!? 信じたくはなかった。 だが、仮面の男は、もうカトレアの目の前にいた。 「リングを……」 生まれた一瞬のためらい。 「センド!」 そののちに、カトレアは『転送』のキーワードを発動した。しかし、それと同時に、仮面の男が「リング」に向かって飛びこむ姿が一瞬目に映った。 「……えっ、いったい何が……」 何が起こったのかは、まったく分からなかった。 ただ、リングと仮面の男は、その場から姿を消していた。 だが、今はそんなことを考えている場合ではなかった。 ディルの身に何があったのか。 今はそれだけが気がかりだった。 倒れているディルを見つけるのに、そう時間はかからなかった。 カトレアは、ディルのいる場所を、自分が案内した場所を正確に記憶していたからだ。 「ディル!」 カトレアはディルを抱き起こした。 「ディル! ディル!」 冷静沈着なはずのカトレアが、取り乱して何度もディルの名を呼んだ。 ディルは、身動き一つすることはなかった。 「リング」は穏やかな空間の中、どこかを目指していた。 まるで、「リング」自らの意志で動いているかのように。 「どこ……?」 目指す場所には「リング」の「望みし者」がいる。 「リング」は、時間も場所も分からない世界を捜し続けた。 「……やっと、見つけた」 やがて、「リング」は自らが「望みし者」の存在を確認した。 と同時に、「リング」は空間の出口を作り出した。 「……見つけた」 「リング」は出口をくぐって、穏やかな空間を抜け出した。
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12.病院 ディルは、目を覚ました。 白い部屋、白いカーテン、白いベッドという清潔感の中に、かすかに混じる薬品の匂い。 どうやら、病院に担ぎこまれたらしい。 何とか生きのびたようだが……体中は包帯が巻かれ、無理に動こうとすると強い痛みが走る。 かなりの重傷だな、こりゃ。 と、自らの置かれた状況を笑ってみせるディル。 だが、このお気楽さだけは大したものだった。 (ん? 看護婦さんか?) ディルは気配に気付いてふと、隣に目をやる。すると、そこではカトレアが、リンゴの皮をナイフでシャリシャリと剥いていた。 「……来てたのか」 わざわざ見舞いに来てくれたのいうのか。 「あ、起きたの」 カトレアの声は相変わらず冷たかった。どうやら、まったく心配などしていなかったようだ。 「なあ、カトレア……」 「何?」 カトレアは、ここでディルが何を言い出すのか興味があった。 何か真面目な話のようだが、万が一告白でもされたら、どう対処すればいいだろう。 はっきり言って、こんな奴相手にしたくない。 「……リンゴくれ。腹減った」 完全に雰囲気ぶち壊しの発言に、カトレアはディルの口にクシ型のリンゴを全部押し込んだ。 「ムグムグ……」 ディルを黙らせた彼女は、スッと立ちあがり病室を出ていく。 「かほれあ、どこひくんだほ?(カトレア、どこ行くんだよ?)」 ディルはリンゴを頬張りながら、カトレアを呼びとめたが、はっきり言って間抜け。説得力まったくなし。 「リングを捜しに」 まずい! このままではカトレアに逃げられてしまう! ディルは、あわててリンゴを飲みこんだ。 「……じゃあ、オレも行く!」 「駄目よ。あなたは怪我人なんだから。しばらくそこでおとなしく……」 おとなしくしてなさい。 こう言いかけたカトレアは、一瞬だけ意識を失い、ディルのベッドに倒れ込んでしまう。 「おい! カトレア!?」 あわてて、ディルはカトレアを抱きとめる。 体を無理に動かしたせいで、傷が痛む。だが、そんなことに構ってはいられない。 「……大丈夫よ。たいした事はないわ」 強がってはいたが、あからさまに無理をしていることは、無神経なディルでさえ分かった。 「もしかして、オレの回復に魔力を……」 さらに、ディルは悟る。 「……」 無言でうなずくカトレア。 そう。彼女は、ディルの応急手当てをするために、すべての魔力を 『治療』に費やしたのだ。 それだけではない。事件後の指揮、そして情報操作。カトレアは一睡どころか、休憩さえできずにいた。 「バカヤロー! 何で、そんな無茶すんだよ!」 「……今、あなたを失うのは管理局にとって大きな痛手。それだけよ」 怒鳴りつけるディルをよそに、カトレアは、いつもの冷静な口調で言い切る。 しかし、カトレアは理解していた。 「とにかく、オレも行く。文句はないな」 「……」 この状況では、再びうなずくしかないことを。
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35.ラブレター(1) Cattleya 「なあ、なんであの二人を管理局に誘ったんだ?」 カトレアは、いったい何をしようとしているのだろう。 どうにも腑に落ちないディルは、ためらうこともなく疑問を口にした。 「あの二人が『リング』を持っている可能性が高かったのよ」 カトレアは局長の椅子に座り、淡々とデスクワークをこなしている。 そんな彼女の手が一瞬だけ止まった。 「でも、はずれだったみたいだけど」 ミラに手錠をかけたこと。 アイリスの手首に『治癒』魔法をかけたこと。 これらは、二人が『リング』を身に付けていないか確認するためのカムフラージュだった。 もし『リング』の件がなかったら、少年に手錠をはめるなどという手荒な真似はしなかっただろう。 アイリスのケガは、この馬鹿のせいなので絶対に『治癒』していたが。 「なるほどな。それでオレに『リング』探しをさせてたってわけか」 そもそも、ディルは『リング』探しの報告に来ただけのはず。 用件を済ませて、とっとと出て行って欲しいものだ。 いや、出て行くどころか、局長室に来る必要すらない。 ディルには緊急連絡用のため『遠話』――離れていても会話を可能とする魔法を発動させてある。 今でも魔法は有効なのだから、わざわざここに来ないで『遠話』で連絡してくればいいではないか。 「で、『リング』探しはどうだったの?」 それとも、直接報告に来るだけの進展があったのか。 いや、このいい加減男にそれはありえない。 「全然見つからなかった」 やはり。 「だったら『リング』探しは継続よ。お願いね、ディル」 外の寒さよりも冷ややかなカトレアとは対照的に。 「あいよっ!」 ディルの能天気さは南国、常夏の楽園にいるかのようだった。 Dill 「あいよっ!」 局長室を飛び出したディルは、何者かの気配に気が付いていた。 気配を感じたのは、局長室に入るさらに以前、自分が魔法管理局に戻ってきてからずっと。 どうやら、自分の後を追ってきているらしい。 姿は見えなくても、足音や息づかいなどで「彼女」がすぐそこに隠れていることは明らかだ。 ディルに言わせれば、はっきりいって素人丸出し。 とりあえず害はなさそうだし、しばらくほったらかしにすればあきらめてくれるはず。 だが、彼女はずっと待っていた。 「出てこいよ」 ディルは、そんな彼女の「熱心さ」が気に入っていた。 だから、こちらから呼んでやることにしたのだ。 「ディル先輩……」 物陰から出てきたのは、まだ少女と呼んでもおかしくないくらいの女性だった。 動きやすそうな赤毛のショートカットは、活発というよりはおとなしい印象を与える。線も細く、どこかの美少女ゲームにヒロインとして出てきそうだ。 ディルは、彼女に見覚えがあった。 確か、半年前の春に入局してきたばかりの新人の一人。 ディルのような現場で働く人間ではなく、どちらかというと事務やオペレータといった仕事を担当していたはずだ。 それゆえ、ディルとはほとんど顔をあわせることがない。 「あの……、これ、読んでください……」 すると彼女は、後ろに隠していた封筒を差し出した。 きれいな字で「ディル先輩へ」と書かれている。封の部分には、鳥のマークをかたどったシール。 この街、フォールス・バードの紋章である。 このシールを貼ると、なぜか恋愛が成就するというおまじないが流行っているのだ。 「悪りぃな。こういうのは、受け取らないことにしてるんだ」 だが、ディルはあっさり断ってしまう。 ディルが、このような手紙を受け取るのははじめてのことではない。 クールな雰囲気と整った顔立ち。ぶっちゃけ、ディルはかなりモテた。 だが、手紙を渡しても告白しても、すべて断られてしまう。 「……どうして受け取ってくれないんですか?」 彼女は、断られるならせめてその理由を知りたかった。 「もしかして、ディル先輩は局長のことが好きなんですか?」 他に好きな人がいるなら、あきらめることができるから。 「悪りぃな。それも答えられねぇんだ」 だが、ディルはあっさりとそれをかわし。 「じゃ、ちょっくらパトロールしてくる!」 そのまま、外へと飛び出していった。 赤毛の女性は、ただ呆然とディルの後姿を見つめていた。 Cattleya カトレアは、『遠話』によって事の一部始終を聞いていた。 何も、手紙の受け取りまで拒否することはないだろう。 この手のラブレターは、半分はお遊び、半分は本気。 一番重要なのは、相手に受け取ってもらえるかどうかなのだ。 その後両想いになるとか、付き合いはじめるというのはほんのオマケ程度に過ぎない。 しかし、局内ではあのディルに惚れられているとい噂が広まっているのか。 はっきり言って、迷惑な噂である。 唯一の救いは、あのバカがいきなり「好きだ」とか言い出さなかったことか。 噂がこれ以上広まるのは最悪だし、あんな奴に好かれてると思うだけでおぞましい。 鈍感男――。カトレアは心の中でそうつぶやいた。
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17.中央公園 街の中央に位置する公園は、管理局の裏手にあることから、局員たちの憩いの場となっている。 制服姿はもちろん、遊具に戯れる子供と母親や、楽しそうにいちゃつくカップルなどなど。さまざまな人の姿が目立つのは、今がちょうどお昼時だからだろう。 「ふうっ。やっぱ、そう簡単には見つからねえか」 ディルは、公園のベンチに倒れるように座り込むと、どこぞで大量に買い込んだハンバーガーにかぶりつく。いわゆる、平日半額というやつか。 「……」 カトレアは、ディルのことを無視して『リング』の捜索を続ける。 探す方法は簡単だった。 まず、このような人が集まる場所に行く。続いて『リング』の写真を見せながら、このように尋ねる。 「これに見覚えはありませんか?」 「いえ、別に……」 聞かれた子連れの母親は、横に首を振った。 「そうですか。もし、見かけましたら管理局までご連絡を。わずかばかりですが、謝礼を差し上げますので」 カトレアは、この『リング』に懸賞金をかけることを決めていた。といっても、管理局の正式な決定ではなく、局長権限での話だが。 『リング』なら、それだけの価値はあるだろう。見た目高価なものではないが、危険な魔法と関係しているのだから。 これは必要経費だ。なんだったら、自腹を切ってもいい。 カトレアは、どんな犠牲を払ってでも『リング』の回収をするつもりだった。 「食うか?」 ディルがカトレアにハンバーガーを差し出す。彼女のこわばった表情を和らげようとしたのだろうか。 「いらない」 カトレアは、きっぱりと断った。 こんなときに食欲など出ない。それに、ディルが気を使っているわけでもない。 食べきれず余ってもったいないから。おそらく、この程度の理由だろう。 しかし、あれだけのケガをして、よくこれだけ食欲が出るものだ。 カトレアがあきれていることを知ってか知らずか、ディルは真面目な話を切り出した。 「なあ……、捜す人数を増やせばいいんじゃないか?」 「それはダメ。あの事件で混乱している中、多くの人員は割けないわ」 ディルの提案を、直ちに否定するカトレア。 「それに、『リング』はトップ・シークレット。なるべく知られたくないの。特に、局員には」 「一般人ならともかく、局員に知られたくないとはどういう……。んっ?」 疑問を抱いたディルだったが、あることに気付き言葉を止めた。 「……カトレア。あれ見てみろよ」 「とっくに気付いてるわ」 名前を呼ばれたことに嫌悪を感じるカトレア。 彼女もまた気付いていた。 魔術学院の方向が、やけに明るいことに。 ゆらめく紅蓮の光。あれは――炎だ。 「火事か?」 魔術学院が、燃えている。 素人目には、そうとしか見えないだろう。 しかし、煙は出ていないし、何より炎が明るい。魔法に詳しい者がよく観察すれば、あれが魔力による炎だということが分かる。 「いいえ――、あれは、暴走よ」 カトレアはきっぱりと言いきった。彼女にあわてた様子はない。まるで道端の石ころを見ているかのようだ。 「面白そうじゃねえか! 行ってみようぜ?」 ディルのほうは、お祭りか何かと勘違いしているかのようだ。 「つまらないわよ。でも――」 滅多に笑わないカトレアが、微笑を浮かべる。 魔術学院と『リング』、いかにも何か関係がありそうではないか。 「――行ってみる価値はありそうね」
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24.『消去』 一瞬の光がやんだとき、あたりは静けさに包まれていた。 「彼」は、状況に変化がないかあたりを見回してみたが、一見した限りでは何も起こっていない。 (くっ、ただの目くらましか!) おもわず目を閉じてしまった「彼」は、一杯食わされたことに腹を立てる。 少年が苦し紛れに放った『光』ごときに驚いてしまうとは。 (最後の最後まで楽しませてくれるとはな。だが、これで終わりだ!) 「彼」は『炎』の球をミラの頭上へと向かわせ、頭上から襲いかかるように『操作』した。 目標は、ミラとかいうあの少年。 『炎』は、徐々に落下速度を加速させ、ミラへと迫っていく。 だが、ミラはこんな状況にも関わらずニッコリと笑ったのだ。 無邪気な、子供のような笑顔で。 ミラの様子は、誰の目から見てもおかしい。 (観念したようだな) だが、「彼」はそんなミラの様子を死を覚悟した人間のそれと解釈する。 『炎』が、ミラの眼前に迫り……。 ミラは、『炎』に焼かれて骨さえも残らず消えてしまう……はずだった。 (バカな!?) だが、目の前で展開されている光景は「彼」の理解を超えていた。 消えてしまうはずのミラの両手には、ナイフとフォークが握られていたのだ。 しかも、ただのナイフとフォークではない。それらの長さは、ミラの身長を一回り、いや二回りほども上回っていた。 「いっただっきまーす!」 そして、「彼」はさらに信じられない光景を目の当たりにする。 ミラは、落ちてくる『炎』にナイフとフォークを突き刺し、その動きを止めると。 ナイフをカチャカチャと動かし、『炎』をひとかけら切り取ったのだ。 (まさか……!) 「彼」は、目の前の光景が何であるかを理解した。 ミラは、ひとかけらの『炎』にフォークを突き刺すと。 口元へとフォークを運び、『炎』のかけらをパクッと口の中に入れたのだ。 『炎』の風味を味わったら、モグモグとしっかり咀嚼する。よく噛まないと、消化に悪いから。 そして、ゴックンと飲み込んだ。 「おいしぃー!」 次いで、二切れ目を切り分ける。 最初に全部切り分けるのはマナー違反。それに、小さく切り分けると冷めてしまい味が落ちてしまうのでやらない。 二切れ目の『炎』もパクッと口の中へ。 「彼」には、この光景をある一言でしか表現できなかった。 いや、この光景を見たものすべてがこう思っただろう。 『炎』を食べている、と。 「『炎』を、食べてる……」 クフェアは、ついに『治療』の発動を中断してしまった。 目の前で起きている光景が理解できなかったのだ。 「いっただっきまーす!」 ミラは、幼い子どものようにはしゃいでいる。 あれは、魔法の暴走なのだろうか? これまで、クフェアはさまざまな暴走を目の当たりにしてきた。だが、あんな形での暴走を見るのは初めてだった。 「下がりなさい! 二人とも!」 先ほど近づいてきた少女が叫んでいる。 だが、クフェアは呆然としたままその場を動かなかった。 「あれは、『消去』の魔法。早くしないと、あなたの『治療』も食べられるわよ!」 治療を食べられる。 少女の言葉に、ようやくクフェアは事態を飲み込んだ。 『消去』――ディスペル・マジックともよばれる、発動している魔法を消し去る魔法。 今は中断してしまったが、まだ『治療』は続けなくてはいけない。 ルビアの火傷は、ほぼ完治している。だが、傷跡を完全に消し去るためにはまだ魔法を使う必要があった。 「分かりました」 ミラのことも心配だった。だが、クフェアはルビアの治療を続けることにした。 もしアイリスがルビアの傷を見たら、どう思うだろうか? ずるずる、ずるずる……。 クフェアは、ルビアを引きずって後ずさった。 魔療士としての技能や医療の知識を教え込まれているクフェア。知識の中には、倒れている人を抱える方法というのもある。だが、非力な少女の力で人間一人を運ぶのはさすがに苦しい。 「手伝います」 見かねたアランは、クフェアからルビアを奪い取ると。 いわゆるお姫様だっこの体制で、スタスタと先に行ってしまった。 いや、それすでに手伝うってレベルじゃないんですけど。 「ありがとうございます」 お礼を言いながらも、クフェアはアランを追いかける。 「とりあえず、ここまでくれば大丈夫ですね」 アランは、ルビアを一度クフェアに預けると。 いきなり、魔道服を脱ぎだしたのだ。 「きゃっ!」 小さく悲鳴をあげてしまうクフェア。 ついにアランがその本性をさらけ出したのか!? 「ここに彼女を寝かせてあげてください」 だが、アランは脱いだ魔道服を地面へと広げた。 ルビアの魔道服には、倒れたときに付いたのだろう、土ぼこりが付着している。 彼女を『治療』していたクフェアの魔道服も同様だった。 これ以上、女の子を泥まみれにするわけにはいかない。それゆえの配慮だった。 「ごめんなさい。ヘンな声を上げてしまって……」 クフェアは、ルビアを魔道服の上に寝かせる。 アランの魔道服が汚れてしまうが、ためらっている時間はなかった。 だが、半袖のシャツに薄手のズボン姿のアランは寒そうだ。 「ヒーリエル!」 すぐに気持ちを集中し、『治療』を再開する。 「では、彼女をよろしくお願いします」 それを見たアランは安心したのだろう。 一度お辞儀をすると、またミラたちのところに向かっていった。 クフェアは、そんな彼の後姿を見つめてしまう。 (……やだ、私ったら何考えてるんでしょうか……。私が好きなのは、ミラ君なのに……)
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18.暴走(3) 「ウソ……だろ?」 ミラは、自分の目を疑った。 アイリスの手のひらから放たれた『炎』は、校舎を完全に包みこんでいた。 「逃げろ!」 「助けて!」 かすかな声が聞こえてくる。生徒の一部が、中に取り残されているというのか。 しかし、出入り口すべてが炎で塞がれているため、逃げることはおろか、窓や扉を開けることさえ出来ない。 「中の人は……まだ無事みたいね」 こんな状況だというのに、メイプルはやたらと落ち着きはらっていた。 「姉ちゃん! そんな場合じゃないだろ!」 姉の態度にミラが怒り出す。しかし彼も、今の状況を冷静に分析していた。 これは、魔法の暴走。学院ではよくあることだが、これだけ大きな魔力が暴走したのは初めてだろう。 「ひぃ~! 何たることじゃ!」 「命あっての物種、さっさと逃げるぞぃ!」 何しろ、こういった事態に対処すべきはずの検定員が逃げ出してしまうくらいだから。 しょせん、お偉いさんなどこんなものだ。 「でも……そう長くはもちそうにないわね」 今のところは建物の魔力封鎖によって『炎』をしのいでいるが、封鎖が解けてしまうのはもはや時間の問題。 それでも、メイプルの落ち着きぶりには変化がなかった。 「そんなこと分かってる!」 ミラは、焦りの色を隠せずにいた。 「……さぁ、私たちも逃げるわよ!」 そんな彼に、メイプルは手を差し出す。 しかし、ミラはその場を動こうとはしない。 「気持ちは分かる。でも……」 メイプルには、弟の気持ちが痛いほどよく分かる。 自分の大切な人が誰かを傷つけたら、どんな気持ちになるだろうか。 「……助けに行く!」 でもそれは……、時に命取りとなってしまう。 「ダメよ!」 メイプルは、ミラの頬を叩いた。 弟を殴ったのは、初めてのことだっただろうか? 「……誰かが何とかしてくれる。ミラがどうにかする必要はないわ。それに――運がよければ、術者だって助かるかもしれない」 ここでミラを行かせてしまえば、何が起こるか予想は出来ていた。 なんとしてでも、ここでミラを止めなければならない。 「……いやだっ!」 メイプルが無理に引っ張るその手を、ミラは振り払った。 そして、『炎』へと向かっていく。 アイリスの暴走を止めるために。 「ミラのバカ……! 『封印』が……解けちゃうかもしれないのに」 メイプルの漏らしたつぶやきに、ミラは気付いていない。 「アイリスさん! アイリスさん!」 クフェアは、アイリスのことを揺らし続けていた。 すでに意識がないのだろうか。アイリスは何の反応も示さない。 『炎』の魔法は、まだ発動しているというのに。 「まさか……、こんなことになるなんて……」 一方のルビアは、一瞬でもあんなことを考えていた自分を悔やんでいた。 現実となってしまったことが、ただ恐かった。 (あっ!) ルビアの目の前に、『炎』の欠片が迫ってくる。といっても、あれだけ巨大な『炎』の欠片だ。それは、ルビアの身長よりも一回り大きい球を成していた。 (よけられない!) 覚悟を決めたルビアは、目を堅く閉ざす。 これは――バチが当たったんだ。 「シルディア!」 キーワードと共に、「バシュッ!」という、魔力と魔力がぶつかる独特の音が聞こえる。 ルビアがおそるおそる目を開けると――、目の前にはクフェアがいた。 「……何を!?」 ルビアは一瞬、何が起こったのか理解できなかった。 (まさか……、私を助けたっていうの!?) そうだ。あれは『魔護』の上級キーワード、シルディア。術者の目の前に、いかなる魔力も通さない壁を作り出す魔法。 『治療』だけでなく、あんな上級魔法まで使えたというのか。 「大丈夫ですか?」 「何のつもりよ! そんなにあなたの力を見せつけたいの!」 ルビアは、やり場のない怒りをクフェアにぶつける。 「いえ……。私は……誰かが傷つくのがイヤなんです」 「傷つくですって? だったら、アイリスを助けなさいよ!」 「それは……」 クフェアは言葉を詰まらせる。 「あの子も苦しんでるでしょ。だったら、助けてみせなさいよ!」 「でも、発動している魔力を押さえることは、『消去』か『中和』くらししか……。でも、私には使えませんし……」 「じゃあ、あなたにはできないのね? できないと認めるのね?」 クフェアにできないことをやってみせる。 「ルビアさん……、『消去』使えるんですか?」 それならば、今までの屈辱だって晴らすことができるのではないか。 「使えないわ。でも……」 ルビアは、勝ち誇るように宣言した。 「あの『炎』を止めてみせてあげる」 「予想通り、だな」 「いいえ、予想以上だわ」 ディルとカトレアのコンビは、すでに魔術学院に到着していた。 公園と学院は目と鼻の先。走ればものの数分とかからない。 「あの『炎』、もしかすると……」 「……『リング』の可能性も十分に考えられるわね」 『リング』にどんな力があるのか、カトレアはよく知らない。というよりは、知らされていないと言った方が正しい。 分かっていることは、『リング』が危険なであるということだけ。 その力は想像で語るしかないが、もし、『リング』に巨大な『炎』を生み出す魔法が封印されているとしたら? こじつけではあるが、それならすべてのつじつまが合う。 「とりあえず、助けに行こうぜ!」 「……それは無理よ」 カトレアには分かっていた。 「あなたは重傷を負ってるし、私は魔力のほとんどを使い果たした。私たちには……暴走を止めることは出来ない」 今の自分たちができるのは……傍観することだけだと。
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11.ルビア 「やれるだけのことをやりましょう」 彼女は、このクフェアの一言に反感を覚えた。 朝日にきらめく、長い金色の髪に、パッチリとした金色の瞳。さらに、透き通るような白い肌。かなりの美少女だ。 「……ふふっ。やれることだって」 彼女、ルビア・エルダーはあざけるような笑みを浮かべる。しかし、見ての通り、性格はあんまし良くない。 「誰の性格が良くないですって?」 あっ、ルビアさん。聞こえてました? 「…‥だいたいね、もう少し文学的に表現できないの!?」 わがままだなぁ。じゃあ、やってみるよ。もう。 ルビアは、気が強く強情、意地っ張りで負けず嫌いという極めて最悪な性格の持ち主だった。 「……どこが文学的なの?」 言葉が難しくなったじゃないか。他にどうしろと? 「そうね、清楚で可憐とか、気丈だけどそれは友情と愛情の裏返しだとか……」 却下。では、いいかげんに続きを。 「アイリスさん。魔力も大してあなたがどうにかなるとでも思ってるわけ?」 「……」 ルビアの言葉に、アイリスは何も言い返せなかった。ルビアの言っていることは、すべて事実だからだ。 ルビアは、クフェアと同様に高い魔力を持つ魔道士。主に、殺傷力のある魔法、リーサル・マジックを得意としていた。 「ルビアさん……」 クフェアは、困った表情でルビアを見つめた。 「あら、クフェアさんがいらしたの」 ありったけの嫌みをこめるルビア。彼女はクフェアのことをライバル視し、なおかつ嫌っていた。 優等生、しかもハイレベルの魔療士。 しかも、クフェアがそれをまったく自覚していないのだから、これほど腹立たしいことはない。 だが、ルビアはクフェアを「つぶす」ことは決してなかった。 クフェアを敵にまわすということは、学院そのものを敵にまわすことになりかねないからだ。 クフェアは魔療士としての能力を持っていることから、学院内で怪我人を治療することがたびたびあった。そのため、彼女に恩を感じている生徒は数多くいた。 やはりクフェアは気付いていないが、生徒や先生の中に隠れキリシタンよろしく、隠れファンがいるとか、「クフェア親衛隊」が結成されたという噂まである。 「アイリスさん。せいぜい派手に失敗してみんなを笑わせてくださいね」 ルビアは、クフェアに手を出せないもどかしさをアイリスにぶつけていた。あのクフェアと仲良くしているのが、どうしても許せなかった。 「実習を楽しみにしているわ」 ルビアは捨てゼリフを残すと、スタスタとその場を去っていく。 「……ありがと、クフェア」 アイリスは、クフェアに手のひらを向けた。 「気にしないでください。ただ、なんか……嫌なんです。魔力があるとかないとか、どうでもいいことなのに」 「じゃあさ、魔法なんて……なくなっちゃえばいいかもね」 この何気ない一言に、クフェアは心の中でうなずいた。 えっ? どうしてそんな事が分かるって? いや、それは分かったからもういい? えっ、でもクフェアの心の声は聞きたいだって? わがままだなぁ、もう。じゃあ、少しだけ聞いてみよう。 (うん、そうだよね。魔法なかったら私も……。あっ、そろそろ来る時間だ……) おや。もうすぐ、クフェアの待つ人物が来るようだ。 すると都合よく、チャイムが鳴り出す。 十数秒間のベルの音を聞いて、クフェアは確信した。 「来る」 チャイムと同時に、一人の少年が後ろのドアから駆けこんで来る。クフェアの予想した通りだ。 クフェアは少年をじっと見つめた。ちょっとばかり目が悪いので、少しぼやけて見える。でも、その少年がミラであることに間違いなかった。 「ふう、ぎりぎりセーフっと……」 そんなこととはつゆ知らず、ミラは小さくつぶやいた。 まったく、こんな女の子みたいな奴のどこがいいんだろう? 「誰が女の子だって?」 あっ、また聞こえました? じゃあ、清楚で可憐、それでいて気丈だけどそれは友情と愛情の裏返し……。 「それ、さっきルビアさんが言ったやつじゃ?」 ちっ、バレたか。 「人の表現パクるのは、著作権に……」 それを言うな、それを。 さて、いいかげんにまじめなシーンを始めよう。 「……」 ミラは、誰とも「おはよう」を交わすこともなく、一人無言で席についた。 クラスメイトから、避けられている。ただ、ミラにとってはそれが当たり前のこととなっていた。 何が原因なのかはよく分かっている。単に、魔法が使えないからだ。 魔法以外の成績なら常にトップクラスのミラだが、こればかりはどうしようもなかった。 魔法が使える、使えないというのは生まれつきによるところが大きい。努力次第でなんとかなる、ということはなかった。 だから、ミラは学校に来るとじっと押し黙ってしまう。 ヒネクレ者ではあるが、やさしく明るい性格。普段の彼とは別人のようだ。 もし、ミラのことを見つめている少女に気がつけば、少しは心の支えとすることができるかもしれない。 クフェアだけは、普段のミラのことをずっと覚えていた。 いいや、忘れたくても忘れられるはずがなかった。 「クレア」というニックネームを考えてくれたのは、他ならぬミラなのだから。 (もしかして……こっち見てる?) だが、ミラが見つめていたのは、クフェアではなく。 その隣にいるアイリスだった。
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16.暴走(2) (あれ、上級キーワード……!?) マロウは、クフェアの使った『治療』魔法に驚きを隠せなかった。 短めにまとめた金髪の髪。ピッタリとした紺色のローブからは、ほのかに女性の色香が感じられる。胸には、この街のシンボル・マークである鳥の紋章をあしらったバッジ。これはそう、検定員の証だ。 彼女は二十代後半と、検定員としては極めて若かった。こう言っては失礼だが、検定員のほとんどが年季の入ったオジさんオバさんだったりする。 (あんな魔法を使える子がいるなんて……) 子供の魔力は、大人よりも劣っている。十歳そこそこの少女が上級キーワードを使いこなす、なんてことは聞いたことがない。クフェアは十四歳だが、マロウの目にはもっと幼く見えるらしい。 検定員であるマロウには、魔法を暴走させた少年を助ける義務があった。 しかし、いざ暴走を目の前にすると、彼女は取り乱してしまい何もできなくなっていた。若さゆえの未熟さ、というやつか。 「……えーっと、そこのあなた。認定です」 混乱しながらも、マロウはクフェアを呼びとめる。検定員としての仕事を成すことで、自らを落ち着けようとしたのだろう。 「えっ、私ですか? いいです」 しかし、クフェアは何の迷いもなく首を横に振った。 「……えっ?」 今のは、幻聴だろうか。マロウは、ますます混乱してしまう。 「認定は、いりません」 いや、幻聴などではない。 (この子、何を言っているの? あれだけの力を持っていながら、認定を拒否するなんて……) マロウには、クフェアの考えが理解できなかった。いや、マロウでなくてもほとんどの人間がクフェアの考えを理解できないだろう。 もちろん、クフェアはクフェアなりにちゃんとした考えや理由がある。 魔療士にはならない。 クフェアは、幼いときからそう決心していた。 この魔力は……生まれつきのもの。自らが努力して手に入れたものではないから。 自分の魔力や『治療』の魔法が嫌いではないけれど、自分のやりたいことは自分の力で叶えたい。 そんな思いがクフェアにはあった。 「『いりません』ですって!? 余裕気取っちゃって!」 ルビアは、ずっとクフェアをにらみつけていた。 クフェアの行動すべてが気に食わない。 あれは、謙遜でもしているつもりなのだろうか。みえみえな遠慮は、はっきり言ってイヤミにしか見えないというのに。 それに少年を助けたことだって、ただ単に偽善者ぶっているだけ。 ルビアは勝手にそう決めつけることで、自らの怒りを押さえていた。 「次の人、どうぞ」 検定員の呼び出しだ。 「私のキーワードを見て、腰抜かさないでよ!」 ようやく順番が回ってきたルビアは、いささか興奮気味でまくしてたる。が、クフェアには声は届いていない。気付かないのも無理はないだろう。それは、ルビアの一方的な逆恨みにすぎないのだから。 「いくわよ!」 目の前のワラ人形に趣味の悪さを感じつつも、ルビアは徐々に意志力を高めていく。 これから使う魔法は、上級キーワード。無論、クフェアに対抗してだ。 上級魔法を使えるのは、あなただけではない。ルビアは、この場にいる全員にそれを証明してみせるつもりだった。 「カティーシア!」 手刀に構えたルビアの右手に、刃が生まれる。 これが『切断』のキーワード。ルビアの得意とする攻撃魔法(リーサル・マジック)の中でも上位に位置する魔法である。 「でやーっ!」 ルビアは右腕を勢いよく振り下ろす。刃は彼女の手を離れ、数メートル離れたワラ人形に襲いかかった。 「やったわ!」 居合抜きのごとく、例のワラ人形が、切断面の乱れもなくスッパリと切れている。魔法は、見事成功だ。 今の瞬間、あのクフェアは見ていただろうか。きっと、驚きのあまり何も言えないに違いない。 「アイリスさん、がんばってね」 「うん!」 ……見ちゃあいなかった。 (まあ、いいわ……) ルビアは気を取り直すと、今度は検定員を凝視する。 彼らからは、いったいどのような評価を受けるだろうか。いや、そんなことを考えるのは無駄なことだ。大絶賛を受けるのは、まず間違いないのだから。 「近年、魔力の攻撃利用は禁止される動きがありますからな」 「一応認定はしますが、これからは攻撃魔法以外も使えるといいでしょうなぁ」 (なんですって……!) ルビアは、検定員たちの冷ややかな反応に衝撃を受けた。 何よ、それ! その、「ワシらが認定をあげました。だから感謝しなさい」みたいな口調は! 検定員がいる手前、さすがに声には出さなかったが、あと一言でもいちゃもんをつけてられていたら、間違いなく食ってかかっていただろう。 攻撃魔法が得意なのは生まれつきのこと。いまさら変えようなんてない。そんなの、私が選んだことじゃないのに。 (それとも、この私にクフェアと同じ回復魔法でも使えっていうの!?) ルビアは、再度クフェアに目を向ける。 「失敗しても、来年がありますよ」 「ひっどーい!」 「冗談ですよ、冗談」 「アハハハッ!」 アイリスと楽しそうに微笑む姿が、ただ許せなかった。 そうだ――。 アイリスの魔法が、失敗してしまえばいいんだ。 それにクフェアが巻き込まれてしまえば……。 ルビアは、まだ知らなかった。 嫉妬心から生まれたやつ当たりが、やがて現実のものになってしまうことを。 「ファイア!」 アイリスが解き放ったキーワードは、『火』系の初級魔法。彼女が唯一使える魔法だった。 (やった、成功だ!) しかも、いつもよりもずっと炎が大きい。 やっぱり、去年よりも魔力が上がっている。 もしかしたら……中級のキーワードだって使えるかもしれない。 そうだ、試してみよう! クフェアの言う通り、失敗しても来年があるわけだし。 「フレイア!」 『火』系の中級のキーワードを口にして―― アイリスの意識は、ここで途切れてしまう。