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目次 1.価値観変革のための指導者 2.地獄観について 3.天国も地獄もあなた自身の心の中にある 4.神は、地獄霊救出のために永遠の時間と機会を与えられている 5.鮭のように自分の生れ故郷の川(神の国)を忘れず帰ってきて欲しい 6.地獄霊は病人、地獄界は神が用意された病院である 7.地上での光の天使は医師の役割 8.人はこの世で例題に学び、答えのない応用問題を解かねばならぬ 9.天上界にもリーダーは居る。ただしそれは「村長(むらおさ)」というかたちで 10.健康な人間には真の健康の有難さが分らない 11.悠々たる大河の大らかさに学べ (1968年7月、GLA主宰、高橋信次師が、始めて雪道を開いた時に現われた、初期の師の守護霊フワン・シン・フワイ・シンフォーといわれる方の本名は、天台智顗大師であります。) 11.悠々たる大河の大らかさに学べ 智顗 ―― 私がいまあなたに助言したいこと、一つありますが、それは窮屈な自分を中心にした価値世界ですね、価値の階梯、そのようなものを捨てて、もっと大らかな、すべてを包み込むような大らかな気持、大らかな愛、これを持ってほしいのですね。あなたは自分で作り上げた、過去の自分がっくり上げたいろんな価値概念、価値意識、これで自分自身を、がんじがらめにして、自分の世界を徒らに小さくしています。あなたに私が言いたいこと、あなたに私がアドバイスしたいこと、それは一つであります。それは大らかに生きてほしい、大らかな気持を持ってほしい、そういうことですね。人間が大らかな気持になった時、偉いとか、偉くないとか、そういうことも無くなってくるのですね。優れている、秀れていないというようなことも、余り関係はなくなってくるのですね。大らかな気持、それを持ってほしいと思います。 富山 大らかな心を持てば、大らかな環境が生れてくるわけですね……。 智顗 そうです。大らかな気持、あなたはいま苦しんでいます。さまざまなことに苦しんでいます。それは自分が作り出した価値観に、現にある自分の姿が適応しない、自分がつくった価値の体系の中に位置づけると、自分は好ましくない状態にある。だからあなたは苦しむわけです。自分で自分を苦しめているんですね。大らかな気持を持ってほしいんです。たとえあなたが自分が考え出した価値の階梯において上位に居られなくても、しかしそういうことに関りなく、神の愛は流れているのです。 神の愛は、永遠に流れているのです。あなたの意識も、あなたの生命も、永遠に流れているのです。あなたは、永遠の流れ、永遠の川の流れの中の、ある地点をいま通過しているのです。 川の流れは、太くなることもあれば、細くなることもあります。遅い時も、速い時もあるのです。或は大雨が降って濁ることもあるのです。流木が流れることもあります。川は様々な形をして流れて行きます。過去から未来へ、その流れは止まることを知りません。或は細くなっているかも知れません。或は急流になっているか、或はせせらぎになっているか分らないけれども、あなたという個人は、あなたという魂は、永遠の生命の中を、神の愛の中を、流れている一本の川だという意識を忘れないでほしいのです。 川として、滔滔と流れる川としての、ゆったりとした、のびやかな、大らかな気持、これを忘れないでほしいのです。いま、あなたはある地点を通過し、その時に川の形が望ましくない形であるかも知れませんが、そういう雄大な心を持ってほしいのです。いまあなたは、私の川は、こんな浅瀬ではないと、もっと深い川のはずだと、おかしい、おかしいと言うかも知れませんが、やがてそのような場合も出てくるわけです。なんでこんなに流れが遅いんだ、おかしい、とあなたは思うかも知れない。しかし急流の場面もあるわけですね。そのように自分の人生を、一本の川の流れの中のある地点をいま流れているんだというそういう認識を持ってほしいのです。そういう大きな考えを持ってほしいのです。そうしたならば、あなたが持っている価値尺度ですね、今の例えば、川は大きく深く豊かに流れなければならないと、あなたはそういう価値尺度を持っているとします。ところが、あなたは、小川のようなひじょうに小さなところですね、窮屈なところを流れているわけです。濁りもあるんですね。川は清らかに澄んで、巾も広く、深く豊かに流れなければいけないという、あなたの価値尺度があります。しかし、自分の川をいま見るならば、自分の川の水がいま濁っているわけですね。これはいけないと、あなたは思うわけですね。あっ、底も浅い、巾も狭い、曲りくねっている。これはいけない、真直ぐと堂々と流れなければいけないと、その思いそのものは悪くはないのですね。しかし、そういう場面もあるということです。それはそれとして見なければならないということですね。 川は濁ることもあります。しかし一週間もすれば澄んでいくでしょう。いまあなたの川は濁っていますが、濁っているということにおいて自分の、自分の流れを否定してはいけません。濁っているから、いま流れを止めてしまおうと、澄むまで止めてしまおうと、そのようなふうに考えてはいけないのです。流れて行きなさい。流れているうちにまた澄んでくるでしょう。―― かくあるべきだという姿、それは大事なのですが、それだけに縛られて、現在の自分のあるべき姿を、いたずらに貶(おとし)めないということ、それは大切です。 富山 ―― たとえば、常に最高のものを求めるというのではなく、うまくいかない時もあるという割り切りというか、それも必要なわけですね……。 智顗 ―― いや、心が広く狭く流れ、速く流れ遅く流れ、濁り、或は澄み、それで川として堂々たる川になるわけですね、それが川であるわけです。最初から最後まで一貫して同じように流れるものであれば、それは、人工的水路ですね、用水です。用水は確かに見た眼には、いいかも知れませんし、役にも立ちますね、田畑に水を引くのに役に立ちます。いつも同じような流れでね、底も同じ、巾も同じ、流れも速さも同じようなもの、水量も似たようなもの、これはひじょうに有難いかも知れない。しかし、用水路というのは何か、何かが欠けているわけですね。何が欠けているのでしょう。天然の川と、用水、とでは何かが違うわけですね。その違いを分ってほしいのです。望ましいのは用水路のように、真直ぐにですね、真直ぐにいつも役に立つような形で、規則正しく水が流れることは望ましいかも知れませんが、しかしだからといって、真直ぐ流れていないからといって、川は、川の値打が無くなるわけではないのです。そういうことですね、わかってほしいんです。 ―― 大らかな気持、あなたにアドバイスは、大らかな気持、持ってほしいということです。それから、永遠の視点、過去から未来に流れる永遠の視点ですね、これを持ってほしいんですね。現在、只今というのは余り詰めて考えないということですね、余り自分自身をいじめないということです。永遠の流れの中にあなたはあるのだということを、認識してほしいということですね。要するに雄大なものの考えの中に、自分の現在の悩みの小ささ、つまらなさというものを感じとってほしいのです。 富山 ―― 現在の自分だけにとらわれているということですね。 智顗 そうです。 富山 大体解りました。 智顗 私の用は済みましたか。ほかに何かありましょうか。 富山 ―― いま一つお伺いしたいのですが、こういうふうな、例えばいま私は仏教の勉強をしているのですが、こういうふうな過去の思想とかを勉強していくということは、やはり大切なことでしょうか。 智顗 大切なことではありますが、それによって自分を狭くしないようにするという配慮だけはしておいてほしいと思います。 富山 要するにこういうあらわれ方をしているというぐらいにみればいいわけですね。 智顗 そうです。縛られないように、窮屈にならないように。ともすれば知識は人間を狭く窮屈にしてしまいます。知識を得るということは大切ですが、それで自分を狭める方向に行かないように、窮屈にならないように、そういうことだけ留意して下さい。 富山 ―― はい、分りました。 智顗 一般的な話は終りました。何か他にありますでしょうか。個別な話は他の人がよければ他の人に替ってもよろしい。 富山 それではいま一つお伺いしたいのですが、あなた様は、私の魂の過去から未来にわたっての想念のテープというものを読みとることができましょうか。 智顗 読みとれます。 富山 たとえば地獄界に居る人達はそれが読みとれるのでしょうか。 智顗 現在は分っても過去と未来については読みとれないことが多いです。光の天使達は、あなたの想念のテープを簡単に読みとることができます。 富山 ―― はい、わかりました。 智顗 他に何かありますか。 富山 たいへん有難いお訓えを長時間お聡かせ頂いてありがとうございました。 智顗 よろしいですか。それでは、私の役目はこれで終りということで、帰ります。 富山 シンフォー様ですね。 智顗 そうです。フワン・シン・フワイ・シンフォーです。 富山 ありがとうございました。
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目次 1.価値観変革のための指導者 2.地獄観について 3.天国も地獄もあなた自身の心の中にある 4.神は、地獄霊救出のために永遠の時間と機会を与えられている 5.鮭のように自分の生れ故郷の川(神の国)を忘れず帰ってきて欲しい 6.地獄霊は病人、地獄界は神が用意された病院である 7.地上での光の天使は医師の役割 8.人はこの世で例題に学び、答えのない応用問題を解かねばならぬ 9.天上界にもリーダーは居る。ただしそれは「村長(むらおさ)」というかたちで 10.健康な人間には真の健康の有難さが分らない 11.悠々たる大河の大らかさに学べ (1968年7月、GLA主宰、高橋信次師が、始めて雪道を開いた時に現われた、初期の師の守護霊フワン・シン・フワイ・シンフォーといわれる方の本名は、天台智顗大師であります。) (一九八二年八月五日の霊示) 1.価値観変革のための指導者 ―― はじめに中国語で語りかけてくる ―― 富山 あなは様は、どなたでしょうか ――。 ―― なお、中国語が続けられる ―― 智顗 私は、フワン・シン・フワイ・シンフォーです。 富山 以前に中国でお生れになった方ですか。 智顗 そうです。 富山 あなたの心性といいますか、そのお心がイエス様に近いといいますか、似ていると言われているお方ですか ――。 智顗 そうです ――。わたくしは、イエス・キリストと、あなた方が呼んでいるひとの魂の兄弟です。 富山 その魂の兄弟ということは、面白いというか、ひじょうに興味あることですが……。 智顗 わかりにくい概念だと思います。しかし、現に魂の兄弟というものはあるのです。わたくしたちは、はっきりと、その魂の兄弟について認識しておりますが、霊であっても、通常の霊達は、それほど分っていないのです。 富山 その仕組ですが、物理的な原理と関係していると言われていますが ――。 智顗 あなた方の世界の認識では、ひじょうに関係あります。 富山 そこに言わば、神の宇宙創造的な秘密が含まれているといってよろしいのですね。 智顗 その通りです。 富山 高橋信次先生がお説きになったあれでもまだ……。 智顗 じゅうぶんではありませんが、一応そういうような仕組は明らかにされました。 富山 高橋先生をご指導されたのは、あなただったのですね。 智顗 私も出てきてはおりました。 富山 仏教関係でご指導されたのはあなただけではないのですか。 智顗 高橋信次さんも誰の意見か判らなくなっていたような面も相当あったように思います。 富山 では先ずお伺いしたいのですが、高橋先生のお説では、地球上に人類が発生したのではなく、人類は他の惑星から円盤に乗って地球に来たというのですが、その点については間違いないことでしょうか。 智顗 これは、ひじょうに重要な問題であります。わたくしは、ある見解のもとに、いまあなたのその質問に対しては、答えを留保したいと思います。 富山 はい、わかりました。ところで現代は、地球の人類にとって、ひじょうに重要な時期であるということについては、間違いないですね。 智顗 それは間違いないです。 富山 その重要さの意味ということですが、過去三億年来、一番重要な時期という訳でしょうか。 智顗 そんなことはありません。 富山 こういう時に類する危機は何回もあったわけですね。 智顗 あります。 富山 エルランティ様という方は、三億年間に一度も出ては来られなかったのですか。 智顗 わたくしはよく存じません ――。 富山 実在される方でありますね。 智顗 はい。 富山 現在、天上界でのテーマとしては、仏教とか、キリスト教とか、イスラム教とかいう思想の流れを一つのもとに帰すという意図なんですか、これは、高橋先生の説かれた方向に……。 智顗 そうです。 富山 かなりの部分を切り捨てることになるのですが、そういう意味においての統一でしょうか。 智顗 どういう意味ですか。 富山 まあ今までの仏教、キリスト教、の中にはいろんなことがありますが、高橋先生の方向とは必ずしも一致しない面がかなりありますが、これらを含めた……。 智顗 もし一致するのであれば、出てくる必要ありません。一致しなくなったため、出てくる必要があったのです。 富山 これはどうなんですか、一つの宗教という方向での統一ではなく、一種の価値観、世界観的な面での統一がなされたらよいと思うのですが、必ずしも宗教的な意味、形でなくても……。 智顗 別に高橋さんも、自分で宗教を創るつもりはありませんでした。 富山 それがまあ今日、誤解というか、誤解されつつあるような状況にありますね。 智顗 そうですか……。 2.地獄観について 富山 あなたは、もと僧侶をしておられましたか。 智顗 そうです。 富山 では、仏教のことについてお伺いしてもよろしいか。 智顗 どうぞ、ある程度のことは分っております。 富山 まず一つ伺いたいのは、地獄についてでありますが。 智顗 はい ――。 富山 仏教の世界観と、キリスト教の世界観とでは、地獄についての概念が違うのですが ――、根本的な違いということについて。 智顗 先ずあなたのお考えを陳べて説明して下さい。どう違うというふうにあなたは考えておられるのか、あなたのお考えを説明してみて下さい。 富山 まず、閻魔大王というか、地獄の番卒長というか、そういう人が居ますが、それに対し仏教的というか、全インド的な考え方によれば、派遣されてそこへ行っている光の指導霊だというふうに考えられていますが。 智顗 それが仏数的な考え方だというのですね ――。 富山 はい。 智顗 それで……。 富山 キリスト教では明らかに、敵対というか対立しているといった概念がでてくるのですが。 智顗 キリスト教に閻魔大王が出てくるのですか……。 富山 いいえ、あのルシファーが出てくるんですが。 智顗 ルシファーが閻魔大王と同じ人だというのですか? 富山 まあ位置的には一応そういうことになると思うんですが、責任者ということになりますれば……。 智顗 それなれば、仏教の方の概念が未熟なのです。仏教の概念は、地獄のサタンの頭と、或は地獄に墜ちて行く霊を裁く役割にある人の役人と、これと混同しているのです。 富山 そうですか。それと東洋では、仏教系の僧侶がつぎつぎと、多く出てこられたのですが、例えば仏陀以降の人々と、仏教の流れについてお釈迦様は関与しておられるのでしょうか。 智顗 しております。 富山 そうすると、その後の仏教の動きについては……。 智顗 知っております。 富山 知っておられますね。それが意図された方向と違った方向へ行っているのでしょうか。 智顗 違います。 富山 かなり違った方向へでしょうか。 智顗 違います ――。時代というものがあります。時代の流れがあります。あるいは先人の意向を受継ぐということもあります。次第次第に変えられてきております。肉を持つ前はそれぞれ正しい考えを持って生れてくるつもりでも、生れてきた時代、その時代に合った学問、経験、そのようなものが違ってくるわけであります。例えば私が生れた中国においては、もはや釈迦が説いた教え、そのまま適用はできなかったわけであります。わかりますでしょう。 富山 つかぬことをお伺いしますが、あなた様は、どういう派の僧侶であったのでしょうか。 智顗 派とは? 富山 派と言うか、何宗というか……。 智顗 天台関係であります。 富山 天台関係の方ですか。 智顗 そのとおりです。 富山 と、言いますと智顗様以降に出られた方ですね。 智顗 ――。(注、この章では本名の智顗を名のっていなかった。) 富山 次にお伺いしたいことは、地獄界といいますか、この地獄界の存在意味というものについてお伺いしたいのですが、これは当初には予定されていなかったのでしょうか。 智顗 誰がですか。 富山 つまり地球霊団としては、地獄界が出来ることは……。 智顗 私のような下の者には分りません。神の御意(みこころ)は深く、遠く、高いものであります。神の御意がどの辺にあるのか、わたくしのようなものには解し兼ねるところがあります。しかし現に、地獄というものがあるということ、これは厳然たる事実であります。 私たちの課題は、この与えられた教材を、どのように活用するかということにかかっているのであって、なぜ、このような教材が与えられたかという根本の理由は判らないのです。 富山 ではあなた方のような高い霊域に居られる方々は、居ながらにして地獄の様子というものが分るのでしょうか。 智顗 わかります。 富山 どのような状況になっているかということは、わざわざ行かなくともお分りになりますか。 智顗 わかります。 富山 彼らの考え方というか、心の状態ということについては……。 智顗 わかります。 富山 それについては、しかし、積極的に関与することは許されていないわけですね。つまりその地獄界に居る者は、その堕ちて行ったもの自身の問題として……。 3.天国も地獄もあなた自身の心の中にある 智顗 例えばあなたはそういう地獄というような世界を切り離して考えていますが、いま、あなたの心の中には、天国も地獄もあるのです。そのあなたの心の、地獄だけをどうやって消滅させるのか言えますか、天国も地獄もあなたの心の中にあるのです。そのあなたの心の地獄の部分だけをどうやって切って捨てることができるというのですか、できないのです。天国にも地獄にもどちらにも動いています。天国地獄は、空間的なものではないのです。あなたの心の中、その中にも広大無辺な天国も地獄もあるのです。この地獄だけをどうやって、私たちの力で抹消するのですか。分りますか。わたくしが言っていることが判りますか。――あなたの心だけで全宇宙、全宇宙の天上界、地獄界、全てが入っているのです。わかりますか ――。どうして地獄が出来るのか、それはあなたが地獄を造り出しているからなのです。どうして天上界があるか、あなたが天上界を造り出しているのです。私がもし地獄界を抹殺するならば、あなた自体を抹殺して、天国も地獄も無くしてしまわなければいけなくなってしまいます。それはできないことなのです。 富山 それは……。 智顗 別のものではないのです。一つのものなのです。一つのものの陽の当っている部分と、陰の部分なのです。わかりますでしょう、太陽の光が燦々と輝いても、光の当る部分と当らない部分、あらゆる物体にはあるのです。 富山 それでひとつお伺いしたいのですが。如来仏のこころというものなんですけれども、仏のこころというものにおいては、いわゆる天国的な部分と、地獄的な部分とがどんなふうな状況で同居しているのでしょうか。 智顗 同居とはどういう意味でしょうか ――。 富山 当然その地獄も含まれているのですね心の中に……。 智顗 地獄を思えば地獄ができるはずです。思わなければないわけです。 富山 ただ、その実在界というのは、今いる状態の心からその心の変化がないのでしょうか。例えば地上界だと、天国か、地獄的ないろんな心を出しますけれども、ある固定的な、固定されたような範囲をもった心の状態に止まって居られるのでしょうか。たとえばあなた様のような方だと……。 智顗 固定的とはどういうことでしょうか。 富山 固定的というか、ある一定のレベルの心、例えば失礼ですが、地獄界の心を出すということは。 智顗 わたくしたちの心は、愛と慈悲に満ち溢れております。愛と慈悲の塊です。そうでなければ、私たちは私たちで居ることができないのです。 富山 私たちは、神の子であるという自覚を持ちつつも、こんないろんな心の状態を、地上界で出すということは、肉体と結びつけられているということが一つの条件になっているわけでしょうか。 智顗 というよりも、この地上界が、天上界、地獄界の、二つの力の場の丁度影響され合う中間地点にあろということであって、両方からの影響を受けていることであり、だからあなたの心の中も、両方からの力が働いて来ているわけでありますし、あなたの心の状態によっては、どちらの方により強く引っ張られるか、違ってくるわけです。 富山 そうしますと、高橋先生の本では、地獄界とは、四次元の幽界の一部として設定しているのですけれども? 智顗 空間ではないのです。人間の数だけの天国と地獄があると思えばいいのです。 あなたが死んであの世に帰っても、あなたが判る天国も地獄も、あなたの天国と地獄に過ぎないということなのです。あなたじゃない人の天国と地獄は、またあなたの天国と地獄と違うのです。分りますでしょうか。 富山 と、いうことは、人はその人の心を通してしかその世界を理解することはできないということなのでしょうか。 智顗 その世界もそうなのです。判りますでしょうか、ひじょうにむつかしい概念なのです。今あなた方の物質世界においてはひじょうに解りにくい概念なのです。すべて、例えば蜂の巣のようなものです。入口があります。つきつめていくと最後には、頂点は一つなのですが、それぞれの蜂の巣の中でみんな、これが天国へ通じる天国の世界、そういうふうに、自分の都合の中だけで考えているわけです。だから、天上界へあなたが帰られたとしても、あなたは、私たちが経験している天国地獄の図と、同じものをあなたが観るかどうかは、これは分らないのです。全く異う世界かも知れないのです。あなたが観る世界は ――。 富山 すくなくとも、あなたと何時もご一緒にお仕事をしておられる方々が観る世界は同じなのでしょうか ――。 智顗 そうです、私たちの仲間たちは同じ世界を観ております。しかし私の眼から観える天国、地獄の様相と、他の者が観る天国、地獄の様相は、恐らく異っているでしょう。様相が異っているということは、そのような世界が違う世界に見えるということなのです。 富山 それぞれの心のフィルターが……。 智顗 違うのです。例えば映画館があります。画面に映りますね、そのようなのではなくて、例えば立体映画としてですね、空中に映画が映し出されるとします。観客はいろんな席に座っております。それぞれの席によって見え方が違ってくるわけですね、実際は一つなんですけれど、座っている位置によっていろんな風にみえるわけです。いつも人間の背中しか見えない人も居るんです。横面しか見えない人も居るんです。前ばかり見える人もいるんです。ですから私たちにしてもすべてを見通していると言い切るだけの自信というものはないのですが、しかしその立体映画の全体像の輪郭を、かなり解っているという自信はあるわけです。 富山 そうすると、その四次元以上の世界は、多様性というか、つまり観る者の心によって変ってくるということなのでしょうか。 智顗 そうです。みんな同じものを観ているのではないのです。あなたの観る天国地獄は、広大無辺な世界でありますが、それはあなたの天国、地獄なのです。 富山 例えば、この同じ地上界でも、幸せな人にとっては天国に思え、苦しんでいる人にとっては地獄に思えるということなんですね。しかしそこにもまた座席、つまり質といいますか、価値基準の格差が自ずからあるというわけなんですね……。 智顗 そうです。同じことがもっと明確になってくるわけです。 富山 例えば、地上界では、地上を天国と思う人がいても、地獄と思う人がいても、客観的な世界としては一つの世界としてあるわけですが、実在界ではその客観的な世界に当る部分が変わるわけですね。 智顗 そうです。 富山 するといま地獄という世界は、地獄界に居る人たちの心がつくり出している世界ですね。 智顗 だからあなたがいまの立場で地獄というものを見ているのであって、例えば実際に地獄界に棲んでいる人、或は地獄界に近い所に住んでいる人が見た世界は違うものなのです。彼らにとっては、それなりに生き易い場所なのです。わかりますでしょう。普通の世界なのです彼らにとっては。地獄に棲んでいる人びとにとってみたら、地獄は普通の世界なのです。あなたがこういう世界に住んでいるように、彼らにとっては、普通の日常生活を行っているのです。 私たち天上界の眼からみれば、地獄とは闘争と殺戮、悲しみと苦しみに充ちた世界であり、このような世界は何んとかして無くしたいと思います。しかし彼らにとっては、それは普通の世界であり、日常の世界なわけなのです。分りますでしょう。何故地獄が存在しているかという意味、それを分ってほしいのです。そこに棲んでいる人達は、それで普遥だと思っているのです。それがあたりまえの世界、日常の世界なのです。わかりますか。 例えば、K町というこの町に住んでいるような人が居ます。彼らはこれを当然のこと、あたりまえのこと、日常の生活とみております。しかし、たとえば、ある外国の都会の人達がこれを見たなら、この世界って何という世界なのだろう、こういう世界は無くしたい、これは不幸だと思うかも知れません。また或は、アフリカ、インドの地において、いろんなことで苦しんでいる人道が居ります。あなたの側からみれば、生地獄であります。このような生地獄はなんで無くせないんだろうと思います。しかし彼らはそこに生れ、その地に育っているのです。それが彼らの世界なのです。 富山 お言葉を返すようですけれど、この地上界と、地獄界とは違うわけでしょう。 智顗 ―― はい ――。 富山 地上界の場合は、そういう貧しい地域に生れて苦しんでおります、精神的に。 智顗 あなたは苦しんでいませんか……。 富山 いいえ違います、地獄界に居る人は苦しみはないんでしょうか。 智顗 あります。天上界の人々も苦しみ哀しみはあります。 富山 そうすると、苦しみの種類が違うわけですね。 智顗 違います。だからさき程から私があなたに言いたいことは、例えば私たちの立場からみれば、地獄というものは、いいことは何もない、ひじょうに住みにくい、悲しみ苦しみ真暗な世界なわけです。しかし彼らにとってはそれが普通の世界だということです。ということは、彼らにとってそれが普通の世界だということは、その世界はその世界としての存在意義があるということなのです。現に、そうした人が生きているということなのです。 富山 そうすると地獄界を無くするという意味が、いまひとつ分りにくくなってくるのですけれども。 智顗 ―― はい ――。 富山 地上にユートピアを建設するに当っては、地獄を無くするということが目標ではないのでしょうか。 智顗 だから彼らは彼らで抵抗しているわけです。彼らは彼らの世界を守りたいと思っているのです。しかしながら私たちが、いま一つ正しいところ、―― まあ彼らと、私たちだけであれば、お互に対立したものとみえるかも知れません。しかしながら私たちは、神というものを知っております。神の意向がどこにあるか、ということを知っています。そこに私たちの使命があり、自覚があるわけです。神というものを信じるか信じないかによって最後の一線が変わるわけであります。もし、神というものが、地獄の側についているものならば、私たちのやっていることは間違っていることになってしまいます。 富山 つまり、あなた方の考えておられること、あなた方自身の神に包まれている心が、地獄に居る人違より広いわけですね。 智顗 私たちは、この世界が神によって創られたものであり、神のために日夜働いているということを自覚しております。 富山 神によって生かされているという自覚が強いわけですね。 智顗 そうです。だから私たちは、神の国により近い世界を、実現しようとしているわけです。しかし神についての認識は、彼らの頭達(かしら)は私達とは違ったものです。だから彼ら頭達の側にとってみれば、われわれの存在はひじょうに厭な存在であるわけです。 どちらもどちらであります。しかしながら神という絶対の存在を考えた時に、どちらの方が正しいか、ということが明らかになってきます。その使命の遂行を私たちはしようとしているわけです。 神というものがなければ、私たちはそのようなことをする必要もないでありましょう。それぞれの人間が、それぞれの世界で住んでおれば、それで済むわけですが、私たちは、神の意図の下に生きているわけであります。なぜ、そのような意図を持っておられるのか……、それは不思議であります。 富山 神の意図というか、神の心を切り離して、自分たちの心だけで生きようとしたところに、地獄界が成立した原囚があるわけですね。 智顗 そうです ――。 富山 そうすると、彼らは彼らなりに満足している状況で生活しているんですね。 智顗 満足しているかどうかは知りません。しかしこの世界以外に棲む世界を、彼らは分らないでおります。ですから私たちは、もっと他に世界があるんだということを彼らに知らせたいのです。 富山 つかぬことをお伺いしますが、あなた様は地獄界へ行くことができますか。 智顗 行けます。 富山 行かれたことがありますか。 智顗 あります。 富山 何か抵抗を受けることがあるんですか。 智顗 何の抵抗ですか ――。 富山 あなた方のような方が行かれると、地獄界の人たちは……。 智顗 大騒ぎです ――。彼らは私の姿を見ろことができないのです。私がなにものであるかわからないのです。大騒ぎです。 富山 つまり暗闇の中に急に光が出て来て、まぶしくてたまらない、何も見えないというような……。 智顗 そんな感じです、大事件です。 富山 それはいわゆる地獄界の大幹部、といいますか、上の方達……。 智顗 そういう考えは捨てなさい。あなたの考え方のそういう部分が病んでいる部分、そこです、そんな考え捨てなさい ――。 富山 ―― はい ――。 4.神は、地獄霊救出のために永遠の時間と機会を与えられている 富山 こういう世界構造を知らないで、亡くなった人がかなり多いと思いますが。 智顗 大部分です。 富山 大部分ですね。そういう方たちに対して、どうも割り切れないものがあるのですがね―、そのままにして置くということに対して……。 智顗 そのために神は、永遠の時を与えておられるのです。そのために神は、転生輪廻という機会を与えておられるのです。もし一回切りの人生であるならば、それを知らさないというのは罪であります。しかしながら神は永遠の時を待っておられます。永遠の転生輪廻をくり返させておられます。私たちは、その大きな慈悲、転生輪廻という慈悲の中に生きております。何度も何度も生れ変る機会を与えられております。そして小学校から中学校へ、高等学校へと、あなたが長い間、親から教育を受けたように、神もまた教育の機会を何度も与えておられるのです。 富山 そうしますと、こういう状況にあるということは、霊団としては、全休が一つの転生輪廻の過程にあるといってよいのでしょうか……。 智顗 あなたの言っていることの意味がよくわかりません。 富山 例えば、霊団全休としてのこういう状況にピリオドを打って、新しい状況に入るという……。 智顗 私は、あなたのいまのご質問にお答えするべき任にありません! 富山 はい ――。それではいま一つ、例えば元の守護霊の方や、魂の兄弟達は、自分の関係した霊が地獄へ陥ちた者については、常に気にかけているのですね。 智顗 ――。 富山 そうしたら、心が熟したら上へ引き上げる準備はできているのですね。 智顗 そのような言葉の使い方、余り私は好みません。 富山 引き上げるがいけなければ、変化させる。 智顗 好みません。わたくしたちは、わたくしたちの世界へ来て戴きたいと思っております。引き上げるとかいうような考え方は嫌いです。懐しい友達に帰ってきて欲しいという気持です。 富山 そうすると、救いたいなどという気持があった場合は、例えば親子、肉親、友人であった場合……。 智顗 あなたの救うなどという言葉は明らかに間違っております。私達はそういう気持じゃないのです。懐かしい人、親しい人、そういう人達と逢いたい、帰って来て欲しい、という気持、わかりますでしょう。これは郷愁に似たものです。故郷に帰って来て欲しいという念いです。天上界に引き上げるとか、そういうおもいじゃないのです。救済するとかいう思いじゃないのです。あなたの心のそこがいま病んでいるんです。よくよく間違わないでほしいのです。ここを間違うと、多くの宗教家達が間違った同じ道を歩むことになるのです。 富山 ―― はい分りました。それじゃ戦争ではなく、平和を求める気持ですね。
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「シンおめでとー」 「あっ、こらスバル! 私が一番に言おうとしたのになんちゅうことをしてくれたんや!」 「主、他の者達も次々とアスカにおめでとうと告げてますが」 「んぐっ! 出遅れてしもた」 「あはは……みんな、ありがとう」 今日は9月1日、シンの誕生日。 何で私が知っとるかというと、誘導尋――じゃなくて何気ない会話で聞き出したからや。 初めはシンを家に招待して身内だけでパーティーをしようと思うとったんやけど、いつの間にか情報が漏れて こうして六課の食堂で催す事になった。 まぁ、人数が多い分準備も捗ったし、豪華な料理も作れたしで結果オーライというとこかな。 「おらシン、お前も一杯いくか?」 「ちょ、それ酒じゃないですか!」 「ヴァイス、おめー何酒持ち込んでんだ? 未成年が多いから酒は禁止しただろ」 「お、ヴィータ副隊長。いやぁ二次会で飲もうかと……って姐さん持ってかないでくださいっ!」 あらら、シグナムも手厳しいなぁ。まぁヴァイス君の自業自得やけど。それにしても、初めにシンがロウソクを消してみんなで乾杯をしてからは主役そっちのけで 盛り上がっとる気がするなぁ。 「シンお兄ちゃん、サンドイッチ取って~」 左隣に座ってるヴィヴィオが俺の服の裾を引っ張りながらねだる。 タマゴサンドやハムサンドなどを 皿に取り分けてヴィヴィオに渡してやる。 「ん……ほら、色んな種類取ったからな」 「えへへ、ありがとっ」満面の笑みを浮かべてから、ヴィヴィオは早速サンドイッチを頬張り始める。 「シンお兄ちゃ~ん、私にも取って♪」 美味しそうに食べてるヴィヴィオを見ていると、右から猫なで声が聞こえてくる。そちらを向くと 「……何言ってんだ。お前は手が届くだろ?」 あまり歳の変わらないスバルがヴィヴィオのようにねだってくるのは何だか微妙だ。 「スバル、ヴィヴィオの真似しちゃダメだよ~」「あぅ、ごめんなさい」 悪ノリしていたスバルを一言で諌めるとは、さすがはなのはさんだ。 時折黒いオーラを発していて近寄りがたいことがあるけど。 「シン、何か言いたい事があるのかな?」 「い、いえ何も!」 ――やっぱり恐かった。 《そろそろやな。シャマル、手筈の通りに頼むで》 《了解ですはやてちゃん♪》 念話越しのシャマルの声は心なしか面白そうな感じや。 私もワクワクとドキドキが止まらへんけど。 「さぁー皆さん!パーティーも盛り上がってきた所であるゲームをしたいと思いま~す」 突然食堂に響く声。 見るといつの間にかマイクを持ったシャマル先生がいた。 「ゲーム?そんなことやるなんて聞いてなかったけど……」 疑問符を浮かべているのはフェイト・T・ハラオウン執務官。 すぐに隣に座ってた部下2人に確認を取る。 「じゃあエリオもキャロもゲームなんてのは知らなかったんだね?」 「はい。少なくとも僕達2人は」 「私達は隊長の皆さんが企画したものだとばかり思ってましたけど」 よく見ると、スバルやティアナ、なのはさんまで首を傾げている。 俺が知らないのは当然かも しれないけど、何だか妙だ。 「さて、このゲームの参加者は5人なんですが、うち1人は本日の主役であるシン・アスカ君で決まりです!」 「んなっ、強制参加かよ!」 「その通り!拒否権はありませんよ~♪」 なんでそんなに楽しげなんですか、とツッコミたい。 参加するのが嫌ってわけじゃないけど、どんなゲームを するのかってのが全く説明されてないのに二つ返事はしたくない。 「シン、諦めて参加したほうがいいかもしれないわよ。どうやら八神部隊長も絡んでるみたいだし…」 ティアナにそう言われ、俺ははやて隊長に視線を向ける。 「いやー盛り上がってきたなぁ♪」 ……なんだろう、今のはやて隊長の発言が棒読みに聞こえたのは。 これはティアナの言うことが 当たってるのかもしれない。 「それでは残りの4人をくじ引きで決めたいと思います。一人ずつ私の所に来てくださいね」 そしてくじの結果、選ばれた4人は―― ティアナ 「こういうのは運がよかったのか悪かったのか、わからないわね」 ヴァイス 「まぁ、楽しめりゃそれでいいか」 キャロ 「どんなゲームなのかな?」 はやて 「ふっふっふ、今日は運がいいなぁ~」 「それにしても、最後に八神部隊長が引くまで当たりくじが1つ残っていたなんてね~」 「……たまにはそういう事もあるんじゃないか?」 確かにスバルの言うとおり当たりくじが最後まで残ってる事なんてかなり低い確率だろう。 いや、でも……止めよう。 くじが細工されてたなんて考えるのは。 「では、参加者はこちらのテーブルへどうぞ」 俺達がそのテーブルへと移動すると、そこには様々な種類のケーキが。 いつの間に準備したんだろう? などという疑問を頭の隅に浮かべながら席に着く。 「それではルールを説明します。参加者のみんなは順番を決めて1人ずつこのテーブルを回していき、 自分の目の前に止まったケーキを残さず食べる。これがルールです」 クルクルとゆっくりテーブルを回しながらシャマル先生は説明してるが―― 「あの、勢い良く回したらケーキが吹っ飛ぶんじゃ?」 思わず手を上げて質問してしまった。 いや、誰もが考える疑問だろこれは。 「…………」 沈黙が流れる。 あれ、俺別に変な事言ってないよな? 「管理局の技術力、嘗めてもらっちゃ困るなぁ。 遠心力を無視するなんて朝飯前やで!」 「そ、そうなんですか……」 どうやら心配することでもなかったらしい。 力説するはやて部隊長の言葉を聞き流しながら テーブルのケーキを見る。 ケーキは全部で12種類。 ポピュラーなものもあれば高級感漂う、洒落たケーキもある。 「ちなみにこのケーキはなのはちゃんの実家が経営してる、喫茶『翠屋』からの提供でございまーす」 シャマル先生の言葉に少々照れながら微笑むなのはさん。 そういえば実家が喫茶店ってことは前に聞いたな。 目の前にあるケーキはどれも美味しそうだ。 けど、ただ自分の目の前に来たケーキを食べるだけでは ゲームとして面白くなさそうなんだけど、何かあるんだろうか。 そんな俺の疑問を吹き飛ばしてくれたのはティアナの質問だった。 「あの、もしかしてケーキに何か仕込んであったりするんですか?」 「そりゃあもちろん♪ 何が仕込んであるかは秘密ですが、そのケーキを食べてしまった人は 失格で以降ゲームには参加できませんのでそのつもりで」 随分と単純なゲームだ、などと思いながら順番を決める。 ――ジャンケンの結果、ヴァイスさん、キャロ、俺、ティアナ、はやて隊長という順になった。「んじゃ、行かせてもらいますぜ。うおりゃっ!」 ヴァイスさんが威勢のいいかけ声と共にテーブルを回す。 なるほど、ケーキが吹っ飛ぶような様子はなかった。 少ししてからテーブルの回転が落ちていき、ゆっくりと止まる。 ヴァイスさんの目の前に止まったのは―― 「これは、モンブランか」 フォークを手に取り、一口サイズに切ってから突き刺し、口に入れる。「さぁ、先陣を切ったヴァイス陸曹が食べたケーキはモンブラン です。 果たしてどうなるか!」 「さぁ、先陣を切ったヴァイス陸曹が食べたケーキはモンブランです。 果たしてどうなるか!」 シャマルは随分と熱のこもった実況をするなぁ。 ちょお意外だったわ。 さて、そろそろヴァイス君に変化が現れるはずなんやけど。 「むぐ……ぐっぎゃああああああっ!口がっ!舌がぁぁっ!」 「ちょっ、ヴァイス陸曹!?」 「水っ!水をくれえぇっ!」 結局ヴァイス君はコップ4杯の水を飲んでようやく落ち着いた。 でも、いきなりの脱落やな。 「なんという不運!ヴァイス陸曹が食べてしまったのは激辛モンブラン。 その辛さは未知の領域です!」 厳密に言うと、この辛さを味わったのはザフィーラくらいやろ。 あ、シンが青ざめてるな。 心配しなくてもシンにハズレのケーキは引かせへんよ。 絶対にな……。 なんつーゲームだ。 まさか転げ回るほどの激辛ケーキが混じってるとは。 心臓に悪いってレベルじゃねぇぞ! 順番が回ってこないのに手が汗ばんできた。 何でこんな事にプレッシャーを感じなきゃいけないのか……。 「そ、それじゃあ、次行きますね」 どこか緊張した面持ちでキャロがテーブルを回す。 先程よりもゆっくりとした回転で止まるのも早かった。 そしてキャロの目の前に来たケーキは―― 「……シフォンケーキか。 見た目は普通だけど」 「それを言ったら、ヴァイス陸曹が食べたモンブランだって見た目は普通だったわよ」 「キャロ、ちょっとでも変な味がしたらすぐに吐き出すんだよ?」 「大丈夫です。私、頑張りますから!」 「い、いや、頑張るとかそういう話じゃないと思うんだけど」 フェイトさんやエリオの心配も何のその、とキャロは一口大にしたシフォンケーキを口に運ぶ。 そんなキャロを見守る一同。 特にフェイトさんとエリオはハラハラしてるのが目に見えてわかる。 当のキャロはそんなことお構いなし、というように口を動かし、よく噛んでから飲み込む。 「ど、どう?大丈夫?」「うん、とっても美味しいよ」 心配そうに聞くエリオに対しにこやかな笑顔で答えるキャロ。 どうやら普通のシフォンケーキらしく、 あっという間にキャロのお腹に収まってしまった。 これで残りのケーキは10個、次は俺の番だな。 さて、ようやくシンの番か。 ふふふ、そんなかしこまらんでもシンが食べるケーキは決まってるんよ。 誰にも気付かれないような微かな笑みを口の端に浮かべながらテーブルの下に手を伸ばす。 そこにあるのは見なくてもわかる、この日のためにシャーリーに作らせた仕掛け。 これを使う事で誰の前にどんなケーキを止めるのかを選ぶことができる。 稼働テストはしてなかったけど ヴァイス君に試してみたところ、見事狙い通りのケーキを食べさせることができた。 ちょお気の毒かなぁ思うけどシャマルも着いて行ってるし大丈夫やろ。 その代わり実況がいなくなって盛り上がりに掛けてしまうけど。 「ほら、次はシンの番よ」 「わかってるって。どんなケーキ食うことになるかわからないんだから心の準備させろよな」 なんやシンも可愛いとこあるやないか。 いや、可愛いんは元々か。 シンにはヴァイス君が食べたようなケーキは食べさせへんよ。 シンが食べるのは私の愛がたっぷり入ったケーキやからな♪ 「――よし。シン・アスカ、いきます!」 自分を奮い立たせるつもりで気合いの入った声を出しながらテーブルを回す。 ティアナやキャロはビクっと驚いたようだが気にしない。 っていうか変な目で見るなよティアナ。 俺だって好きで言ったわけじゃないんだ。 徐々にテーブルの回転スピードが落ちてくる。 いったいどんなケーキを食べることになるのか。 いや、ケーキの種類は関係ないか。 見た目じゃどれがはずれかわからないのだから。 そして、ゆっくりと止まり、俺の目の前に立ちはだかったケーキは―― 「ショートケーキ?随分普通だね」 そう、ごく普通のショートケーキだ。 イチゴが乗ってる以外目立った特徴のない地味なケーキ。 だが、この何の変哲もないショートケーキにどんな物が仕込まれているのかはわからない。 ヴァイス陸曹みたいな目に遭うのは正直ゴメンだ。 とはいえ、食べてみないことには事態は進まない。 意を決した俺は、一度深呼吸してからフォークをケーキに入れた。 「何だか、見てるこっちもハラハラしてきちゃうよね」 「……」 「なのは?どうしたの?」 「フェイトちゃん。あのね、ショートケーキは私、持ってきてないんだけど……」 よっしゃああっ!私の勝ちや! シンに食べさせたショートケーキ、あれにはシャマルに頼んで 特製の薬を仕込んだんや。 そう、私だけしか目に入らなくなり、私に惚れてしまう薬をな。 何でこんなことを計画したかというと、シンに“私”をプレゼントしたいから。 シンにとってシンプル且つ最高のプレゼント、きっと喜んでくれるはずや♪ 「シンさん、どうですか?」 「ちょっとアンタ大丈夫? 一口食べたっきり動いてないわよ」 ティアナの言う通り、シンはフォークを持ったまま俯いていて表情が読めない。 おかしいなぁ 一口だけでも効果はちゃんと出るはずなんやけど。 「…………」 そう思っていた矢先、シンが無言で立ち上がり、私の方に歩み寄って来た。 来た来た来たぁっ! 「シ、シン?どないしたん?」 できる限り心配そうな声で聞いてみたけど、内心ウハウハ。 意識して表情作ってなきゃ今にもニヤけてしまそうや~。 「――はやて隊長」 「なんや? ってひゃっ!?」 と、突然肩を掴むなんてちょっと大胆やな。 けどそんなシンもええなぁ。 どこからか殺意が滲み出てるのを感じるけど、そんなこと気にせえへん。 今は目の前のシンだけに集中や。 「はやて隊長、あんたって人は……」 うんうん、私がなんや? シンにならちび狸って呼ばれてもええよ。 「あんたって人は……なんつーもんを食わせてくれたんだぁっ!」 食堂中に響きわたるシンの叫び。 と、次の瞬間、私の肩に体重がかかってきた。 何事かと思ったら、シンが脱力し、そのまま倒れてしまっていた。 へ、倒れた? 「んななななっ! シンどないしたんや!?」 「は、はやて落ち着いて! 見たところ気絶してるだけだから!」 「ザフィーラ、すぐにアスカを医務室まで運んでくれ!」 「心得た」 人間形態になったザフィーラがシンを医務室に運んで行ってから、ようやく落ち着けた。 なんでや、なんでシンが倒れてしまったんや? 「あの、シンが倒れた原因って」 「このショートケーキじゃ」 うっ!やっぱり皆そう思ってるんか。 いや、考えてみればそう思うのが自然やけど……。 「……ちょっといいかな?」 「なんだよなのは。 手なんか上げて」 「フェイトちゃんにはもう言ったんだけど…私…ショートケーキ持ってきてないよ?」 「はい?何言うてるん。シャマルに確認したらちゃんとショートを含めた12個のケーキ……」 そこまで言ってから、ある一つの考えが浮かび上がった。 「なぁ、シグナム。もしかして」 「言うな。私も同じ事を考えた……」 そう、我が八神家は何度も経験し、何度も(主にザフィーラが)被害に遭ってる―― 「シャマルのせいかぁぁぁぁっ!」 先程のシンに負けず劣らずの絶叫。 せっかくの作戦が台無しになってしもたんや! 叫びたくもなるよ。 「あ、主……どうか気を落とさず」 そうは言うけどなシグナム、シャマルの料理は見た目はまともでも味はヤバいんよ。 時折上手く作れるくせに酷いときは毒物並やからな。 「はぁ、主役がいない以上ゲームは中止やな。そのケーキは好きなの食べてええよ」 「本当ですか!?やったぁ♪」 「ちょっとスバル、何が入ってるかわからないのよ?」 「へーきへーき。私頑丈だし。いっただっきまぁ~す」 言うが早いかチーズケーキをパクつくスバル。まぁ、激辛ケーキと例の薬以外はそんな変なもん入れてないし大丈夫やろ。 けど、現実は非情やった……。 突然飛びついてきたスバル。 床に押し倒された私は抵抗してみたけど、さすがはアタッカー わたしの力じゃびくともせえへん! 「何あれ?」 「スバルお姉ちゃんとはやておばさんプロレスやってる~」 「は、はやておばさん……プッ」 ヴィヴィオ、私はまだ“お姉さん”な歳やで。 フェイトちゃんには後でラグナロクかましたる。 って、今はそんなことよりも―― 「はーやてさん♪ 好き好き大好き~」 「ちょ、わかったから離れんかい! はっ、やっぱ離れんでもええ! スバルの胸柔らかいわぁ~」 「お二人とも幸せそうでよかったね」 「う……うん。いや、それでいいのかな?」 「エリオ、細かいことを気にするのは男らしくないわよ」 「はぁ、そうですか」 ふふ……八神部隊長、そう簡単にシンはあなたの物になりませんよ。 新アンカー氏の作品-02へ戻る 新アンカー氏の作品-03へ進む 一覧へ
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なのは「私は白だと思うの。」 はやて「私は水色がええと思うよ?」 フェイト「そうかな?私は金色と言うより檸檬色が良いと思うよ。」 ティアナ「私はオレンジとかそう言う色の方が良いと思いますよ。」 ことり「違うっすよ~、きっと赤とかの方が似合いますよ。」 言葉「私もそう思います、ほらシン君って眼が赤いですし、赤服でしたし…」 水銀燈「違うわぁ、銀色の方が似合うと思うわぁ。」 翠星石「待つですぅ~、シンは翠色が似合うに決まっているですぅ!!」 蒼星石「違うよ、シン君は蒼色が似合うと僕は思うよ。」 楓「私は茶色が良いと思います。」 ネリネ「わ、私は…紫色が良いかと思います。」 シア「私は亜麻色の方が似合うと思うよ~」 デスティニー「インパルス、彼女達は一体何の話をしているんだ?」 インパルス「主様に合う色の話をしている様だ。」 デスティニー「それで今、何色が上がっているんだ?」 インパルス「白、水色、檸檬色、オレンジ、赤、銀色、翠色、蒼色、茶色、紫色、亜麻色だ。」 デスティニー「お約束な色ばかりだな、一部、自分の色を挙げている人物がいそうだな。」 アスラン「パーソナルカラーなんて人の自由であると思わないかい?キラ。( ´∀`)」 キラ「アスラン…君、最近変わったね…」 アスラン「キラ、人は変わるものだよ?年月を重ねる事によってね。( ´∀`)」 レイ「アスラン、どこかで頭でも打ちましたか?それとも何か悪い物でも食べましたか?」 キラ「明日は槍でも降ってくるのかな?心配だな…」 アスラン「酷いなぁ(; ´∀`)…でも…」 キラ「どうかしたの?」 アスラン「シン、異世界でちゃんと元気にやっているかな?大丈夫かな?ちゃんとご飯食べているかな?怪我していないかな?泣いてないかな? 周りから苛められてないかな?(´・ω・`)」 レイ「あなたはどこぞの溺愛保護者ですか?」 アスラン「いや、可愛い可愛い後輩が心配だと思うとついね。( ´∀`)」 レイ「あの「超主至上主義の主馬鹿」である。インパルスとデスティニーもついているので大丈夫だと思いますが……」 インパルス「……」 言葉「どうかしましたか?」 インパルス「今、誰かに馬鹿にされた様な気がしてならん…」 デスティニー「我もだ……」 ティアナ「何か、アンタ達からキレたシンに凄く近い殺気を感じるんだけど……」 デスティニー「何故か、分からんが暴れたくなって来た!!(MS形態へ変化し、ライフルと長距離砲を乱射。)」 インパルス「我も我慢が限界だ、もう我慢できぃぃん!!(同じくMS形態へ変化後、ブラストインパルスになり、全砲門一斉発射。)」 楓「はわわわ~。」 翠星石「ひゃ~~、怖いですぅ~」 はやて「こんな所で暴れられたら私らじゃ対処できへん!」 なのは「ティア!被害が大きくなる前に早くシンを呼んで来て!」 ティアナ「は、はい!分かりました。」 ティアナによって呼ばれたシンが大激怒し、MS形態のまま2人はシンに正座させられ、怒涛の説教を受けており、 シンが今まで見せた事のない程の大激怒っぷりに女性陣は少々ビビリ気味である。 その後、2人が出した損害の後片付けは引き起こした2人がやったと言う。 因みにシンに何色が合うかというのはまた別の話となる。 おまけ デスティニー「(インパルス…)」 インパルス「(何だ?)」 デスティニー「(意外な人物こそ怒らせてはならないとはこの事だな……)」 インパルス「(あぁ……)」 シン「聞いているのか?!インパルス!!!デスティニー!!!」 インパルス「は、はい!!き、聞いております!!」 デスティニー「同じく!聞いております!!」 シン「全く……」 レイ「(ピキ~ン!)む?」 アスラン「どうしたんだい?( ´∀`)」 レイ「先ほどから地雷的な発現をしてならない気がしてならない……」 一覧へ
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ピンポ~ン シン「客?デス子達はまだ学校だし…珍しいな。――ハイ……アンタ…」 アスラン「――すまないな、急に訪ねて来てしまって…。」 シン「いえ。珍しい…よりも、アンタがオレを訪ねてくるなんて正直驚きました。」 アスラン「そうだな――お前には二度と顔向け出来ないとは自覚してるんだが…」 シン「で?何か大事な要件でも?」 アスラン「ん、あ、ああ。…単刀直入に言う。いや、頼みがある。シン…お前の力を貸して欲しい。」 シン「オレに、ザフトに復隊しろって事ですか?」 アスラン「ああ。今、宇宙では大規模なテロ活動が起きているのは知ってるか?」 シン「そういえば最近のニュースはそれ関係でいっぱいですね。」 アスラン「地球とプラントで連携しながら対処してはいるが…正直な所、奴らに裏をかかれているのが現状なんだ。」 シン「へぇ。」 アスラン「俺やキラ、イザーク達も頻繁に出撃してはいるが。奴らは余程人材が豊富なのか、一向に数が減らない…」 シン「で?アンタ達のボスは何と言ってるんですか?『何故戦うのですか?』とか、『戦闘を中止しろ!』とかのたまってんですか?」 アスラン「……いや。ラクスもカガリも、今回ばかりは…な。」 シン「へぇぇ…じゃあアンタ達のお題目の『不殺』を捨てたんですね。」 アスラン「いや、そんな」 シン「そんな事無いですか?アンタ達が達磨にしたテロ機はアンタ達の味方のいい的だと思いますけど。ボスがGOサイン出したんですから、皆嬉々として撃墜してるんじゃないんですかね。」 アスラン「――本当は…そんな事したくはないさ。だが、今は…!」 シン「いいんじゃないですか。」 アスラン「え?」 シン「いいんじゃないですかね。夢想やら理想しか言えなかった連中が現実を見れるようになったんですから。」 アスラン「シン…」 シン「でも、アンタやキラ『隊長殿』がいるのに何でオレが必要なんですか?いらないでしょ、こんな『負け犬』は。」 アスラン「シン、あの時は俺が」 シン「ザフトのスーパーエース二人相手に『無傷で勝利』したアンタ達がいれば事足りるでしょう?話はお終いです。」 アスラン「聞いてくれシン、あの時は!」 シン「すみませんけど、アンタが何言っても気休めなんですよ。負け犬の気持ちは判らないでしょ?同じ言葉を、のうのうと居座ってるキラ隊長殿とボスに伝えておいて下さい。」 アスラン「………そう…だな。スマン、筋違いなのは判ってた。お前の復隊の事は諦めるよ。」 シン「そりゃどうも。――あ、コーヒーのおかわり要ります?」 アスラン「…帰れと言わないのか?」 シン「言って欲しいんですか?」 アスラン「あ…そんな事は…でも驚いたよ。すぐに叩き出されるかと思ったからな…」 シン「まぁ、少し前までならそうしたでしょうけど。今は…オレも、ほんの少しだけ余裕ができてきましたから。」 アスラン「そうか。…それは同居人のおかげか。」 シン「あ、気付きました?」 アスラン「ああ、ざっと見て、子供の物があるからな。失礼だったか、じろじろ見てしまって。」 シン「構いませんよ別に。ちょっとワケありで、小さい女の子と一緒に住んでて…素直に言うと…オレ、そいつに凄く救われてます。」 アスラン「みたいだな…雰囲気が柔らかくなった。」 シン「朴念人のアンタが判る位だから、よっぽどですかね?」 アスラン「はは、酷い奴だなぁ。」 シン「……少し言い過ぎたって思います。でも、今オレは軍には戻りません。戻りたく……ありません。」 アスラン「…ああ。無理を承知で来たんだ。予想はしてたさ。今のお前の平穏を、俺も奪いたくは無い。もう…お前から奪いたくは無いんだ。」 シン「…ありがとうございます、アスラン。」 アスラン「――ごちそうになったな。コーヒーありがとう。」 シン「いえ…」 アスラン「シン。また…来ても、いいか?」 シン「仕事抜きならね。」 アスラン「ありがとう…」 ――かつてあれほど憎んだアスランに、自然に接する事が出来たのは…デス子がいるから。自分に驚くシン。 しかし…復隊要請の理由・大規模テロ活動がシン達にも押し寄せてくる事を知る由もない…そんなお話。
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シンとデス子⑬ プラント内、シンの住居 『ご覧下さい、地球は今真冬の風物詩である雪景色で――』 シン「雪か…」 デス子「ゆき…ですかぁ。」 シン「どうしたんだよデス子…どこか痛いのか?」 デス子「ううん、痛くないですマスター…でも」 シン「でも…?」 デス子「デス子…ゆきって見たくないですぅ…」 シン「デス子…(ニュースの雪見て…何かあったのか…?)なぁデス子、何でもいいよ、言ってご覧。怖いのか?」 デス子「こわい、とかぁ…淋しいとか…デス子思うです…一番思うのが、マスターとおわかれしなきゃいけないって…」 シン「お別れ…?そりゃまた突拍子も無いな。(デス子を抱きしめ)大丈夫だよデス子。オレはちゃんとここにいる。雪が降っても…お前の傍にいるよ。」 デス子「マスタぁ…(ぎゅっ)」 シン「ニュース変えようか。それはそうと、明日学校だろ?」 デス子「そうでしたぁ!明日デス子、さんすうのもんだい当たるんでした!早く寝るです、ちゃんと正解するですよぉ~!」 シン「ハハ、じゃあ早いとこ風呂入って、ご飯食べて寝ないとな?」 その夜… デス子「すぅ…すぅ…」 シン「雪が怖い…淋しい…お別れ…か。」 (シン…好き…) シン「あの時も…雪が降ってたっけ……あの時…お別れ…?」 デス子「むにゃ…」 シン(そういえば…前々から思ってたけど……そうだ、似てるんだ…) シン「………デス子…お前は…何で、そんなに『似てる』んだ…?」 ――デス子に『彼女』を見るシン。疑問は疑問のままか…考え過ぎなのか…そんなお話。
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~デス子に付き合って公園に遊びに来たシン~ デス子「マスター、滑り台!滑り台で滑るです!」 シン「ああ、行ってこいよ。高い場所だから気をつけろよな?」 デス子「はーい了解で~す!」 シン「(無邪気に滑り台で遊ぶデス子を眺め)……今更だけど…あれで元はMSだなんて信じられないよなぁ……。」 デス子「わ~~~い!!」 シン「――見た目も子供だけど、中身だってまだ子供なんだよな…仕方ないか、元のデスティニーはロールアウトしてまだ間も ないんだし………だから今、学習してるんだろうな。」 デス子「マスター見てて下さ~い!次は逆さ滑りするで~す!」 シン「―――って、おいデス子!それは危ないから―――」 ――(SE)ドガッ…ズザザァ! デス子「びゃぁぁぁん!痛いです鼻擦り剥いたですお腹打ったですぅぅぅっ!(うつ伏せで地面に転がりながら大泣き)」 ――シン、泣きながら立てないデス子に近寄り―― シン「…デス子、立てるか?」 デス子「うぇぇぇ…マスタァ…」 シン「手は貸さない。痛くても、自分で起きろ。」 デス子「――ふぇ…?でもマスター、あちこち痛いですよぉ…立てないで――」 シン「何で立てないって解るんだよ?まだ立とうともしてないだろ?やる前から決め付けるんじゃない―――さぁ、立てるか?」 デス子「(暫し呆然とし、次第に力を入れて徐々に起き上がる)…痛っ…うぅ…くぅぅっ…」 シン「―――ほら、ちゃんと立てたろ?」 デス子「ぐすっ………はいです…。」 シン「デス子、顔上げてみな。」 デス子「―――ますたぁ…?」 シン「(デス子の顔を眺め)―――鼻、擦り剥いちゃったな。…ティッシュで拭いて……ほら。 (ポケットから絆創膏を出し、デス子の鼻に張る。)」 デス子「……あぅぅ。」 シン「もう覚えたよな?今度からあんな危ない事はするなよ。」 ――デス子の頭をぽんぽん軽く叩くシン。 デス子「―――はいですマスター、ごめんなさい!」 シン「うん。解ればいいさ。―――ほらデス子、向こうに砂場があるぞ?」 デス子「おーすーなーあーそーびー!!(砂場へダッシュ)」 シン「(ダッシュするデス子を微笑で見送りながら)………まだ子供だからな。色んな事、覚えないとな。 ―――オレみたいになんて、絶対させたくないし…な。」 ~~砂場でミネルバもどきを作るデス子。それを優しく複雑に見守るシン。 デス子も学んで、シンもデス子に癒される…そんなお話。 前へ 次へ 一覧へ
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~自宅にてツリーを飾る二人~ デス子「も~い~くつね~る~と~、ク~リスマス~!」 シン「おいおい、それは『お正月』。クリスマスはジングルベル、だぞ?」 デス子「ふぇ?じんぐるべえ?」 シン「ジングルベルな、ジングルベル。……さて、これで完成。」 デス子「うわぁ!スゴいです!きれいです!ねえねえマスター、これが『クリスマス』なんですかぁ?」 シン「ああ。まあ細かい理由やしきたりはまた今度教えてあげるから。今の所はツリーを飾って、ケーキ食べる日だって覚えとけ。」 デス子「ケーキ大好きで~す!」 シン「ハハ、子供はケーキ大好きだからな。」 デス子「マスターもデス子位の時、クリスマスしてたですかぁ?」 シン「ん?――ああ…そうだな…。」 ――メリークリスマス。シン、マユ… ――さぁ、お母さん張り切ってケーキ作ったわよ~…――ねえお兄ちゃん、マユにサンタさん来てくれるかなぁ… デス子「――たぁ…マスタ~?」 シン「――…っ、あ…うん、どうしたデス子?」 デス子「マスター、早くケーキ食べたいですよ~!(ぐいぐい)」 シン「判った判った、じゃあお待ちかねのケーキ出すぞ。」 デス子「は~い!!」 ~深夜~ デス子「す~…むにゃ…」 シン「…うん、よく寝てるな…。初めてのクリスマスだったもんな、デス子にとっては。」 デス子「…むにゃ…ますたぁ…」 シン「ん?寝言…?」 デス子「ますたぁ…ですこ…ずぅっと…いっしょ…むにゃむにゃ…」 シン「……『ずっと一緒』…か。」 (デス子の手を握り) シン「一緒だ、ずっと。また来年も…ずっと、一緒にクリスマス迎えて、色々楽しもうな、デス子。」 シン「オレ、お前を大事にするから。お前の事、守るから…ずっと。」 (デス子の枕元に包装された包みを置く) シン「初めてのクリスマスに、初めてのサンタクロースから…メリークリスマス、デス子。」 ――初めてのクリスマスにとても楽しくはしゃいだデス子。翌朝、サンタクロースからリリカルマジカルな玩具のバルデ○ッシュが枕元にプレゼントされており、更に大はしゃぎ。 そんなデス子を見ながら、微笑むシンは『一人じゃない幸せ』を噛み締めて…そんなお話。
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デス子「え~っと、2×2=4で、2×3=6でぇ…」 シン「ん?宿題か。帰って来てすぐやるなんて、偉いな。」 デス子「(頭撫でられ)えへへ~、宿題すぐにやって、ミューちゃん達と遊びに行くです。だから宿題なんて『えいっ』てやっちゃうですよ!」 シン「そっか、そりゃそうだな。…にしても、どうだった?初めての学校は。」 デス子「(目を輝かせ)すっごく楽しいです!あのねあのねマスター、デス子沢山手を挙げて、先生や皆に『凄いね』って言われたですよ! それでね、お弁当の時間に皆でお話しながらマスターのお弁当食べたです!」 シン「へぇ、楽しそうだな。」 デス子「はい!…でもですね…体育の時、デス子転んでばかりいたですよぉ。逆上がりや縄跳びとか、跳び箱飛べなかったです…」 シン「(……あ~…やっぱアレか。MSの時アロンダイトやら長射程高エネルギー砲やらバランス悪くてごつい武装ばっかりついてたし、 機体出力も安定してなかったから…人間になったらバランス感覚が悪くなってるんだな…)」 デス子「あ、でもですねマスター、デス子、野球のボール投げると凄いんですよぉ。ボールさんがぐーって曲がっていくですよ!」 シン「(……えっと、それってフラッシュエッジ……だよな?多分…)」 デス子「それでですね~、デス子がボールさんを受け止める時ですね、おててがぴかーって光ってボールさんが止まるです! 皆凄いって褒めてくれたです!えっへん!」 シン「(……それパルマフィオキーナ……ってか、光るのはまずいよな…流石に…)」 デス子「ほぇ?マスター、どうしたですか?」 シン「(思考停止5秒)―――うん?あ、ああ。何でもないよ。…そうか、楽しいなら何よりだな。」 デス子「はいです!デス子学校大好きです!」 シン「はは、そんな事言えるのも今の内だけかも知れないぞ?」 デス子「ぶー、そんな事無いですよ。マスターのいじわる!(膨れっ面)」 シン「悪い悪い。――っと、時間いいのか?」 デス子「はう!そうでした、デス子遊びに行くでした!マスター、ミューちゃんとプラント中央公園に行って来るです!」 シン「ああ、気を付けてな。ちゃんと5時までには帰って来いよ?今日の夕飯は何がいい?」 デス子「デス子お鍋が食べたいで~す!」 シン「よっし、じゃあ帰って来たら手伝って貰うからな。――行ってらっしゃい!」 デス子「は~いマスター、行って来ま~すです!」 シン「(窓からデス子に手を振り)―――俺もあの位の頃、父さんや母さんに毎日学校の事とか話したり、友達と遊びに行ったりしたっけ…。」 シン「(頭を掻きながら)…デス子。うんと遊んで、うんと毎日楽しんでくれな…。」 ――やはりMSだった頃の名残がある事に脱力しつつ、楽しそうなデス子を見て自分の幼かった頃を思い出すシン…そんなお話。 前へ 次へ 一覧へ
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シンとデス子⑪ 入浴中~ シン「デス子、目ぇ瞑ってろよ?(わしゃわしゃとデス子の頭を洗う)」 デス子「はいです、マスター(リンス中)」 シン「よし…痒い所とか無いか?」 デス子「ないで~す!」 シン「ん、じゃあ流そうか。(お湯かけ)」 デス子「ぷひゃあ…ぷるる(頭振り振り)」 浴槽~ シン「――デス子、今日は何して遊んだ?」 デス子「(首まで浸かり)えーっとですねぇ、学校のお友達とお砂遊びして~、ジャングルジムにのぼって~、それから…いっぱい遊んだです!」 シン「そりゃ楽しかったろ。元気に遊んだなら何よりだな…」 デス子「えへへ…」 シン「なあ、デス子。毎日楽しいか?」 デス子「楽しいです!デス子いっぱい遊んで、学校行って、ミューちゃん達と仲良くしてウキウキですよ~!」 シン「そうか…。」 デス子「でもでもマスター。」 シン「ん?」 デス子「デス子がいちばん嬉しいのは、マスターと一緒なのがいちばん嬉しいです。」 シン「デス子…」 デス子「マスターとお掃除したり、お料理したり、絵本読んで貰ったり、お昼寝したり…デス子、『にんげん』にしてくれたかみさまにありがとうございますっていつも思ってるです。」 シン「…なんだよ。面と向かって言われたら照れくさい――だろ!(お湯を飛ばす)」 デス子「わひゃあ!?マスターひどいです、お返しで~す!(反撃)」 シン「うぉっ!?両手使って飛ばすなっ!――よーし…おりゃおりゃっ!」 デス子「きゃははは!」 ――家族の語らいはお風呂でホンワカ、ゆったり…時に騒がしくするもの。シンとデス子の『家族のコミュニケーション』…そんなお話。