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~部室にて~ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「……」 長門「……」ペラ ハルヒ「ねぇ有希」 長門「なに?」 ハルヒ「あたしたち友達よね?」 長門「そう認識している」 ハルヒ「それじゃあさ、なんか悩み事とかない?」 長門「何故?」 ハルヒ「何故って、特に理由は無いけど」 長門「そう」 ハルヒ「ほら、あたしたちってあんまりプライベートな話しないじゃない?」 長門「?」 ハルヒ「あたしこんな性格だからあんまり同性の友達いないの」 長門「朝比奈みくるがいる」 ハルヒ「みくるちゃんってなんだかんだで年上だし、有希が一番一緒にいる同い年の友達なのよ」 長門「そう」 ハルヒ「だから、その、もっと仲良くなりたいなぁ、って」 長門「つまり『普通』の交友関係を望むと?」 ハルヒ「うっ、団長としてあんまり『普通』を強調されると耳が痛いわね」 長門「他意はない」 ハルヒ「わかってるわよ。そうね、普通に友達と付き合いたいと思ってる」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「一緒に買い物に行ったり、恋愛の話したり」 長門(お腹がへった) ハルヒ「そうだ!有希って好きな人いたりするの?」 長門「好きな人?」 ハルヒ「そう!好きな人!」 長門「それは異性という意味?」 ハルヒ「当たり前じゃない」 長門「自分から答えないとフェアではない」 ハルヒ「え?」 長門「こういった質問の場合、自分から答えずに相手にのみ回答を求めるのはフェアではない、と本に書いてあった」 ハルヒ「え?」 長門「先に言うべき」 ハルヒ「あたしが?」カァァ 長門「……」コク ハルヒ「あ、あ、あ、あたしは、その」チラ キョン「Zzzz…」 長門「?」 ハルヒ「あたしは、今はいないわ!……多分」 長門「そう、わたしは彼が気になる」 ハルヒ「彼?」 長門「そう」チラ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「え?あれ?」 長門「そう」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「友達に嘘はつかない」 ハルヒ「うっ」 長門「なにか問題が?」 ハルヒ「あ、あれはダメよ!止めときなさい」 長門「何故?」 ハルヒ「だって、その、見た目だってよくないし、冴えないし、馬鹿だし、有希には釣り合わないわ」 長門「それを決めるのはわたし」 ハルヒ「そうだけど……」 長門「……」 ハルヒ「でも、あいつは……その」 長門「嘘」 ハルヒ「え?」 長門「さっきまでの発言は嘘だと言った」 ハルヒ「だってさっき友達に嘘言わないって」 長門「それも含めて嘘」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「今度は本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「くどい。友達の思い人を取ったりしない」 ハルヒ「だ、誰があいつのことなんか」カァァ 長門「なら貰う」 ハルヒ「それはダメ!」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「な、なによぉ」 長門「別に。……ただ」 ハルヒ「ただ?」 長門「人をからかうのはなかなか楽しい」 ハルヒ「なっ!」 長門「友達なら冗談の一つや二つは言うもの」 ハルヒ「そうだけど」 長門「あなたは私に普通の友達を求めた」 ハルヒ「うん」 長門「だからそれに答えられようにしてみた。何か違った?」 ハルヒ「……あたしも普通の友達ってよく分からないけど、多分あってると思う」 長門「そう」 ハルヒ「ここじゃ言えないけど、今度有希にはあたしの好きな人教えるはね」 長門「わかった」 ハルヒ「それじゃあこの話はこれでお終いね」 長門「……」コク ハルヒ「有希はあたしに何かないの?」 長門「なにかとは?」 ハルヒ「質問よ」 長門「質問……。趣味は?」 ハルヒ「不思議なこt」 長門「それはもういい」 ハルヒ「えぇ~。他には、料理とかかな?こう見えて結構お母さんと一緒に作ったりしてるから上手なのよ」 長門(案外普通。しかし) ハルヒ「似合わないかな?」 長門「興味がある」 ハルヒ「そ、そう。有希は一人暮らしなのよね。自分で作ったりしてるんでしょ?」 長門「……」フルフル ハルヒ「もしかしてコンビニ中心?」 長門「……」コク ハルヒ「有希らしいと言えばそれまでだけど、それじゃ全然ダメじゃない」 長門「?」 ハルヒ「いい。女の子は料理くらい出来ないと後々大変よ?」 長門「今日のあなたは少し変」 ハルヒ「そ、そうかしら」 長門「いつもなら『女の子らしい』などということを一々強調しない。それは朝比奈みくるの役割」 ハルヒ「そうかもね。でもなんだか有希とはなんていうの?腹を割って話したいというか、そんな感じなのよ」 長門「それは私が友達だから?」 ハルヒ「そう。それに有希って口堅そうだし」 長門「望むなら他言はしない」 ハルヒ「頼むわよ。SOS団の団長がこんなだったら他のみんなに示しがつかないわ」 長門「……」コク ハルヒ「でも、有希さっき嘘ついたしなぁ~」 長門「しつこい。それよりもさっきの話」 ハルヒ「さっき?あぁ料理の話ね」 長門「なにが得意?」 ハルヒ「ありきたりだけどカレーね」 長門「!!!」 ハルヒ「市販のルーを何種類か混ぜると美味しいのよ。あたしの場合、味の決め手はコンビーフね」 長門「……」ゴク ハルヒ「後は、大量の玉葱と人参にカボチャ。お肉は豚バラと手羽先」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「後は香り付けに月桂樹の葉も必要ね。それとた~か~の~つ~め~、って知ってる?」 長門「知らない。興味がない」ググゥ~ ハルヒ「な、なんか今日の有希はアグレッシブね」 長門「あなたが望んだ結果こうなった」 ハルヒ「まぁ、悪い気はしないわ」 長門「そう」グググゥ~ ハルヒ「お腹空いてるの?」 長門「あなたの話を聞いたら俄然空いてきた。カレーはとても好き」 ハルヒ「そっか……。ねぇ、今日あたしん家両親が出かけてて夜一人なのよ」 長門「それで?」 ハルヒ「せっかくの機会だし有希の家に泊まりに行っていい?」 長門「さっきのレシピ通りにカレーを作るなら許可する」 ハルヒ「じゃあ決まりね♪あたし家に着替えとか取りに行ってくるわね。で、ついでに買い物して行くわ」ガタ 長門「私もついて行く」ガタ ハルヒ「今日は夜通し遊ぶわよ!」 長門「構わない」 バタンッ キョン「ふぁぁ~……、あれ、誰もいない」 Fin ~涼宮邸前~ ハルヒ「おまたせ有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「じゃあ行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「有希の家の近くにスーパーってある?」 長門「ある。問題ない」 ハルヒ「ならいいわ」 長門「そう」 ハルヒ「有希は料理作れるの?」 長門「カップ麺ならお手の物」キラ ハルヒ「……それは料理じゃないわよ」 長門「?」 ハルヒ「ま、まさか家に調理器具ないとかいわないでしょうね」 長門「……。大丈夫用意した」 ハルヒ「用意した?」 長門「問題ない」 ハルヒ「よく分かんないけど、あるんならいいわ」 長門「……」コク ハルヒ「~♪」 長門「……」ジー ハルヒ「ん?どしたの有希?」 長門「別に」 ハルヒ「?変な有希♪」 長門(精神状態が非常に良好) ハルヒ「有希の部屋って本いっぱいありそうよね」 長門「家にはあまりない」 ハルヒ「そうなの?」 長門「そう」 ハルヒ「ちゃんと片付いてる?」 長門「……」コク ハルヒ「そうよね。有希ってなんか几帳面っぽいし」 長門「……」 ハルヒ「先に家行っていい?荷物持ったままだと買い物しずらいし」 長門「構わない」 ハルヒ「♪」トテトテ 長門「……」トテトテ ~長門宅にて~ ハルヒ「お邪魔しまーす」 長門「どうぞ」 ハルヒ「ほんとに誰もいないのね」 長門「私だけ」 ハルヒ「今は二人よ」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「こっちがリビング」 ハルヒ「へー、って何にもないじゃない!?」 長門「机がある」 ハルヒ「見りゃ分かるわよ。こんなシンプルな部屋なんて初め てみたわ」 長門「そう」 ハルヒ「普通年頃の女の子なら小物の一つでも……」 長門「普通?あなたは普通は求めいていないのでは?」 ハルヒ「もう!いちいち突っ込まないでよ。あくまで一般論よ 、一般論」 長門「……」ジー ハルヒ「な、なによ」 長門「別に」 ハルヒ「気になるじゃない」 長門「別にと言った」 ハルヒ「わかったわよ」 ハルヒ「それじゃあ買い物行きましょう」 長門「行く」 ハルヒ「それじゃあ案内してね」 長門「任せて」 ~スーパーにて~ ハルヒ「まずは野菜ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「まさか、お米何も無いとは思わなかったわ」 長門(お菓子もある) ハルヒ「とりあえず、カボチャに玉葱、にんじんっと」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「次はお肉ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「やった、豚バラ半額よ。得したわね」 長門「……」コク ハルヒ「手羽も見つけたし、後は香辛料ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あった」 長門(することが無い) ハルヒ「それじゃあレジ行ってくるから、お金は後で割りカンね?」 長門「わかった」 注:調理シーン及び食事シーンは割愛で。 ~再び長門宅~ 長門「ごちそうさま」 ハルヒ「おそまつさまでした」 長門「美味しかった」 ハルヒ「カレー好きの舌を満足させれてよかったわ」 長門「牛、豚、鳥が全部入ったカレーは初めて」 ハルヒ「そうなの?家であれが普通よ。実際安いお肉だけで済んでるし」 長門「今後の参考にする」 ハルヒ「どうぞ。それにしてもよく食べるわね。見てるだけでお腹痛くなりそう」 長門「いつもこのくらい」 ハルヒ「この小さい体にどんだけ入るのよ」ポンポン 長門「お腹を叩くのはやめて」 ハルヒ「あっ、ごめん。でもあれね、次回の不思議探索は有希の胃袋の限界調査ね」 長門「構わない」キラッ ハルヒ「いずれはSOS団を代表して、大食い女王決定戦に出てもらおうかしら」 長門「一向に構わない」キラッ ハルヒ「あはは、流石に冗談よ」 長門「……そう」 ハルヒ「……有希はさ」 長門「?」 ハルヒ「一人暮らしで寂しくないの?」 長門「特に」 ハルヒ「でも学校から帰ったらここには誰もいないじゃない?」 長門「……」コク ハルヒ「あたしなら寂しいなぁ、って」 長門「やはり今日のあなたは変」 ハルヒ「またそれ?なかなか弱みを見せないあたしが見せてるんだから、少しは相槌しなさいよ」 長門「弱みを見せるということは私を信用している?」 ハルヒ「家族の次に」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「……私は、あまり寂しくない」 ハルヒ「有希は強いのね」 長門「なぜなら」 ハルヒ「なぜなら?」 長門「普段なら今頃、彼とメールのやり取りをしている」 ハルヒ「え?」 長門「寝るまで」 ハルヒ「か、彼って?」 長門「そう、彼」 ハルヒ「そ、そんな話聞いてないはよ!」ガタ 長門「それはそう。言ってない」 ハルヒ「な、な、な、だって有希好きじゃないって、い、言ったじゃない」 長門「そろそろメールを送る」カチャ ハルヒ「え!?」 長門「……」メルメル ハルヒ「……」ドキドキ 長門「完了」 ハルヒ「……なんて送ったの?」 長門「……」 ハルヒ「ちょっと、なんかいいなs」ピリリリ ハルヒ「こんな時誰からよ?」 FROM ♪ユッキー♪ 本文 あなたは単純すぎ(笑) だから面白い(笑) さっきのはもちろん真っ赤な嘘(笑) 長門「ユニーク」 ハルヒ「……」 長門「……ユニーク」 ハルヒ「有希」 長門「……ユ、少し調子に乗った」 ハルヒ「……そう、有希でもそんなことがあるのね」 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「まぁいいわ。でも後で覚えてなさいよ?」 長門「わかった」 ハルヒ「ったく、もぉー」 長門「牛?」 ハルヒ「え?」 長門「なんでもない」 ハルヒ「そう」 長門「そう」 ハルヒ「……なんか不思議よね」 長門「?」 ハルヒ「SOS団で、とかじゃなくて有希と二人だけじゃない?」 長門「SOS団があるから今がある」 ハルヒ「そうなんだけど……」 長門「?」 ハルヒ「あのね、一つ前からどうしても聞きたいことがあったの」 長門「なに」 ハルヒ「あたしが文芸部の部室をなかば強引に頂いたじゃない」 長門「……」コク ハルヒ「う、肯定された。で、それって迷惑じゃなかった?」 長門「問題ない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「今更だけど、迷惑だったら謝んなきゃ、ってずっと思ってたのよ」 長門「迷惑ではない。むしろ良かった」 ハルヒ「え?」 長門「あれは必然。あなたが来て、彼が来て、朝比奈みくると古泉一樹が来た。そのおかげで今に至る」 ハルヒ「有希……」グス 長門「だからあなたは謝罪ではなく、謝礼を言うべき」 ハルヒ「ん?」グス 長門「私があの部室を保有していたおかげでSOS団がある」 ハルヒ「……なんか有希って性格ちょっと悪くない?」 長門「あなたが望んだ」 ハルヒ「あたしが望んだのは友達よ!」 長門「友達なら関係は同等。あなたに合わせると自然とこうなる」 ハルヒ「また聞き捨てならないわね」 長門「気のせい」 ハルヒ「……今回も貸しにしとくわ」 長門「そう」 ハルヒ「ふぅー、ねぇお風呂入っていい?」 長門「構わない。バスタオルは脱衣所にある」 ハルヒ「ありがとう。……有希一緒に入らない?」 長門「一緒に?」 ハルヒ「そう、たまには裸の付き合いも悪くないでしょ」 長門「それは一般に男性の台詞」 ハルヒ「細かいことは気にしないの、ほら行くわよ♪」ガシ 長門「分かったから引きずらないで欲しい」ズルズル ~脱衣所にて~ ハルヒ「~♪」スル 長門「……」 ハルヒ「~♪」スルスル 長門「……」 ハルヒ「あれ?有希脱がないの?」 長門「すぐ入る。先に行って」 ハルヒ「?わかったわ」 長門「……」 長門(これは今日の仕返し?) 浴室にて~ 長門「遅くなった」 ハルヒ「先にお風呂頂いてるわよ」 長門「構わない」ジャー ハルヒ「はぁ~、暖まるわ~」 長門「そう」ゴシゴシ ハルヒ「……」ジー 長門「何?」ゴシゴシ ハルヒ「え?いや、有希って肌綺麗だなぁって、なんか使ってるの?」 長門「何も」ゴシゴシ ハルヒ「いいなぁ、うらやましい」 長門「私はあなたがうらやましい」ジー ハルヒ「ん?あぁ、これ?そうね有希にないもんね」ニヤニヤ 長門「私にもある」ジャー ハルヒ「え?どこ?」 長門「……涼宮ハルヒを敵性と判断」キュ ハルヒ「ちょ、冷たいわよ、有希!冷水は卑怯よ!」 長門「聞こえない」 ハルヒ「こんなけエコーかかって聞こえないわけないでしょ!もう、冷たいってば」 長門「潜ればいい」 ハルヒ「!その手が」ザブ 長門(今のうち) ハルヒ「ぷはっ、息続かない」ガン ハルヒ「って、イタ!」 長門「注意力が足りない」 ハルヒ「潜ってる時にふた閉めないでよ!驚いたじゃない」 長門「それが目的。今だけはあなたは私の手のなかで踊る」 ハルヒ「なによそれ」 長門「なんでもない」 ハルヒ「それより入んないの?風邪ひくわよ」 長門「入る。詰めて」 ハルヒ「ん」 長門「あたたか、くない……ぬるい」 ハルヒ「ふん、自業自得ね」 長門「お湯を足す」 ハルヒ「賢明ね。これじゃ誰かさんのせいで風邪引いちゃうわよ」 長門「……」 ハルヒ「だんだん暖かくなってきたわね」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ有希。後ろ向いてこっちに背中あずけて」 長門「何故?」 ハルヒ「なんか有希ってちっちゃいから妹みたいに見えて」 長門「妹?」 ハルヒ「ほら、キョンの妹ちゃんいるじゃない?あの娘見てから、あたしにも妹いたら良かったのになぁ、とか考えちゃうのよ」 長門(あまり強く考えられると現実になりかねない) ハルヒ「だから有希、お姉ちゃんとこおいで。なんてね」 長門「わかった」クル ハルヒ「いやに素直じゃない♪」ギュ 長門「……」ムニ ハルヒ「ふぅ」ムニ 長門「……」イラ ハルヒ「暖かい」ムニ 長門「背中に当たるものが非常に不愉快」ザバァ ハルヒ「もう出るの?」 長門「出る」 ハルヒ「じゃあ、あたしも上がr」 ピシャッ!! ハルヒ「ちょっとなに閉めてんのよ!あけなさい!」 ~寝室にて~ ハルヒ「もう、せっかく夜通しで遊びたいとこだけど明日も学校なのよね」 長門「仕方がない」 ハルヒ「わかってるわよ」 長門「布団はここでいい?」 ハルヒ「どうせなら隣通しにしましょうよ。それでどっちかが寝るまでずっと話してましょ♪」 長門「構わない」 ハルヒ「決まり♪」 長門「歯を磨いてくる」 ハルヒ「あらまだだったの?あたしなんかとっくに」イー 長門「そう」トテトテ ハルヒ「ったく、つれないわねぇ」 ハルヒ「先に横になってよ」 ハルヒ「……」 ハルヒ「……」バタバタ ハルヒ(あたし今友達とお泊りしてるんだよね?なんか楽しい♪案外普通も悪くないじゃない) 長門「戻った。……ほこりが出るからあまり騒がないでほしい」 ハルヒ「あっ、ごめん」 長門「別にいい」ストン ハルヒ「それじゃあ寝ましょ」 長門「明かりを落とす」カチ ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「なんか喋りなさいよ!このままじゃ寝ちゃうじゃない」 長門「……あいうえお」 ハルヒ「……今、はっきりしたわ。どうやら今日の有希はあたしにケンカ売ってるみたいね?」 長門「……」フルフル ハルヒ「いいえ、許さないわ。ちょっとそっちに詰めなさい」モゾモゾ 長門「何を?」 ハルヒ「罰として、今晩は有希を羽交い絞めにして寝る」 ハルヒ「観念しなさい」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ」 長門「何?」 ハルヒ「これから先も皆でやってけるかなぁ」 長門「何を?」 ハルヒ「SOS団」 長門「今は何の問題もない」 ハルヒ「そうじゃないの。あたしにとってSOS団ってほんと特別なのよ。こんなに皆でワイワイやって楽しかったことなんて今までなかった」 長門「……」 ハルヒ「有希に、みくるちゃんに古泉君、鶴屋さんもそうね、ついでにキョン」 長門「……」 ハルヒ「皆とだから上手くやってけてる気がする。大人になったら、流石にあたしも少しは丸くなってると思う」 長門「丸く?」プニプニ ハルヒ「有希」 長門「……ジョーク」 ハルヒ「はぁぁ。だからね、大人になっても皆で楽しくやってけるかなぁって」 長門「……」 ハルヒ「今が楽しすぎるから不安になってくのよ」 長門「大丈夫」 ハルヒ「何がよ」 長門「あなたが望めば願いはきっと叶う。もちろん私も望んでる」 ハルヒ「……有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「そうだよね」 長門「そう」 ハルヒ「ありがとう。それとね……」 長門「?」 ハルヒ「昼間話してた、その、あたしの好きな人なんだけど……」 長門「別に言わなくていい」 ハルヒ「え?」 長門「気付いてないと思ってるのはあなただけ」 ハルヒ「……え?」 長門「朝比奈みくるも古泉一樹も知っている」 ハルヒ「……」カァァ 長門(抱きしめる力が強くなった)ギュウゥゥ ハルヒ「……あいつも知ってるの?」カァァ 長門「残念ながら彼の鈍さは尋常でない」 ハルヒ「そ、そっか」 長門「そう」 ハルヒ「も、もう寝ましょ」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしたちこれからもずっと友達よね」 長門「友達」 ハルヒ「……親友と思っていい?」ボソ 長門「何?」 ハルヒ「な、なんでもないわ!おやすみ!」 長門「?おやすみ」 ~通学路にて~ ハルヒ「おはよう、古泉君」 古泉「おはようございます。おや今日は長門さんと一緒ですか?めずらしいですね」 ハルヒ「そうなのよ。有希が寂しいからどうしてもって言われて、昨日はお泊りだったのよ」 長門「明らかに事実と違う」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「まぁ、どっちでもいいじゃない」 長門「……昨夜の恥ずかしい寝言を話す」 古泉「おやおや、それは興味がありますね」 ハルヒ「え?何?寝言なんてあたし知らないわよ!?」 長門「それはそう。寝言だから」 古泉「それで涼宮さんはいったいなんと?」 長門「まず、ky」 ハルヒ「ワーー、ワーー、ストップよ有希!あたしが悪かったから」 長門「反省してる?」 ハルヒ「してるしてる」 長門「そう、ならいい」 鶴屋「おや、皆朝から元気いいねぇ」 みくる「みなさん、おはようございますぅ」 ハルヒ「鶴屋さんにみくるちゃん!おはよう」 古泉「おはようございます」 鶴屋「いったい何騒いでたんだい?」 長門「涼宮ハルヒの弱みを握った」 鶴屋「なんだって!それはでかしたよ!」 ハルヒ「有希、喋ったら死刑よ!」 長門「なら、死刑になる前に今全て暴露する」 ハルヒ「ちょ。ウソ!ウソよ!有希!落ち着いて」 みくる「みんな朝から元気ですねぇ」 古泉「えぇ、ほんとに。もし可能なら、こんな日がずっと続けばいいですね」 みくる「そうですねぇ」 Fin?
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~部室にて~ ガチャ 鶴屋「やぁ!みんな!」 キョン「どうも」 みくる「鶴屋さんどうしたんですかぁ?」 鶴屋「今日はちょっとハルにゃんに話があるっさ!」 みくる(あぁ、あのことかぁ) ハルヒ「え?あたし」 鶴屋「そっさ!」 ハルヒ「?」 鶴屋「明日、ハルにゃんと長門ちゃん、みくるとあたしで遊び行くよ!」 ハルヒ「でも明日は団活が」 鶴屋「名誉顧問の権限を行使させてもらうよ!」 ハルヒ「えっと……有希はいいの?」 長門「構わない」 ハルヒ「みくるちゃんは?」 みくる「わたしは鶴屋さんから、事前に言われてましたからぁ」 ハルヒ「古泉君とキョンは?」 古泉「つまり男性禁制ということですよね?僕は大丈夫ですよ」 キョン「あぁ、俺も問題ない」 鶴屋「ハルにゃんはどうなのさ?」 ハルヒ「う~ん、そうね。たまにはいいかも」 鶴屋「じゃあ決まりっさ!」 みくる「ふふふ」 長門「……」ペラ 鶴屋「さぁ、こっからは女の子同士の話し合いの時間だよ!男子諸君は出てった、出てった!」シッシッ 古泉「そういうことなら帰りますが、よろしいですか涼宮さん?」 ハルヒ「そうね。今日は鶴屋さんに免じて二人とも帰っていいわよ」 キョン「じゃあそうさせてもらうぞ」 古泉「それでは、みなさん。また来週」 みくる「お気をつけて」 鶴屋「バイバ~イ」フリフリ ガチャ 鶴屋「さて、男子は追い払ったね。それで明日は何時頃なら大丈夫?」 ハルヒ「どっちにしろ朝から団活のつもりだったから、何時でも平気ね」 鶴屋「長門ちゃんは?」 長門「大丈夫」 鶴屋「みくるも大丈夫?」 みくる「はい」 鶴屋「じゃあ朝十時に駅前ね!」 ハルヒ「わかったわ」 鶴屋「それとさ、お弁当は持参だよ!」 みくる「近くにお店はないんですかぁ?」 鶴屋「ないことはないけど」 ハルヒ「別にいいんじゃない?」 鶴屋「さすがハルにゃん、話が分かるっさ!」 ハルヒ「どうせだから勝負しましょうよ?」 みくる「勝負ですかぁ?」 ハルヒ「そう料理対決!学年別のチーム戦よ!」 鶴屋「ってことは、あたしとみくる対ハルにゃんと長門ちゃんだね?」 ハルヒ「そうよ」 鶴屋「望むところっさ!ねっ、みくる!」 みくる「ふふふ。そういうことなら頑張っちゃいますよぉ」 ハルヒ「有希もそれでいいわよね?」 長門「いい」 ハルヒ「じゃあ今夜は有希のうちに泊まりいくわよ?」 長門「構わない」 鶴屋「それならあたしもみくるんとこ泊まりに行こっかなぁ」 みくる「わ、わたしの部屋はちょっと~」 鶴屋「いつになったら部屋片付けんの?」 みくる「そ、そういうわけじゃないですってばぁ~」 鶴屋「なら今夜はあたしんとこ来なよ!」 みくる「わかりましたぁ」 ハルヒ「それで、鶴屋さん。明日はどこ行くの?」 鶴屋「それは明日のお楽しみっさ!」 ハルヒ「団活休みにするくらいなんだから、楽しみにしてるわね!」 鶴屋「あんまりプレッシャーかけられると困るんだけどな~」 みくる「ふふふ」 長門「……」ペラ みくる「涼宮さん、今日はこの後どうしますかぁ?」 ハルヒ「そうね、あの二人帰しちゃったし……」 鶴屋「じゃあ解散でいいじゃん!あたしは明日のレシピをみくると相談せねばね」 ハルヒ「そうしましょっか」 みくる「それじゃあ、一度家に帰って着替えを取りに行きますねぇ」 鶴屋「あたしもついt」 みくる「鶴屋さんはおうちで待っててくださいね」 ハルヒ「みくるちゃん随分かたくなに拒否するわね……何かあるの?」 みくる「そ、そういうわけではないんですけどぉ……」 鶴屋「ハルにゃん、ハルにゃん、みくるはきっと部屋に男を飼ってるんだよ」ボソ ハルヒ「ウソ!?」 みくる「つ、鶴屋さ~ん、そんわけないじゃないですかぁ~」 ハルヒ「みくるちゃんがね~」 みくる「涼宮さんまで~」 鶴屋「あはは、それじゃ解散しよっか!」 長門「……」パタン ハルヒ「有希もきりがいいみたいだしね」 みくる「部屋に男の人なんかいませんからね?」 鶴屋「分かった分かった、ほら帰るよ!」 みくる「適当じゃないですかぁ」 ハルヒ「有希、あたしも家帰って、それから六時半くらいにはマンション行くわ」 長門「……」コク ハルヒ「それじゃあ鍵閉めるわよ?みくるちゃん早く」 みくる「は、はーい」トテトテ ガチャ ハルヒ「よしっと、それじゃ行きましょ」 鶴屋「はいよ~」 ~帰り道にて~ ハルヒ「さすがに夏ね。五時前だってのにこんなに明るい」 鶴屋「日が長くなると一日が無駄に長く感じるよ」 みくる「でも、お洗濯とか出来るし、いいことも多いですよ?」 ハルヒ「みくるちゃん主婦みたいね」 鶴屋「そりゃ仕方ないよ、ハルにゃん。家で主婦やってんだから」 みくる「まだ言うんですかぁ」 鶴屋「あっはっはっはっ!もう止めたげるよ」 みくる「もう!」 ハルヒ「話戻すけど、どうせなら夏が日が短く、冬が日が長く、この方がいいわよね」 長門「それでは生態系がおかしくなる」 ハルヒ「初めっからそうだったらそうゆう進化をするでしょ?」 長門「……」コク ハルヒ「別に、今から変われー!、ってわけじゃないわよ。あくまで希望よ、希望」 みくる(そ、それでも涼宮さんにそう希望されるのは) 長門(非常に困る) 鶴屋「でも、夏の日が長いおかげでいっぱい遊べるんだし、ハルにゃんとしては結果オーライじゃないのかい?」 ハルヒ「う~ん、それもそうね」 みくる「ほっ」 鶴屋「どしたの、みくる?」 みくる「な、なんでもないですよ」 鶴屋「?」 長門「……」トテトテ ハルヒ「それじゃこのへんで別れましょ」 鶴屋「そうだね、明日は覚悟していなよ、ハルにゃん?」 ハルヒ「例え鶴屋さんでもそうはいかないわよ」 みくる「それじゃあまた明日」 ハルヒ「ばいばい」 鶴屋「ばいば~い」フリフリ ハルヒ「それじゃあ有希。またあとでね」 長門「……」コク ~長門宅にて~ ピンポーン 長門「……」 ???「あたしよ」 長門「知らない」 ???「有希!」 長門「ジョーク。今開ける」 カチャ ハルヒ「毎回毎回よくも飽きないわね」 長門「反応がいい」 ハルヒ「余計なお世話よ。とりあえずあがるわね」 長門「どうぞ」 ハルヒ「お邪魔しま~す。おっ、前より小物が増えてきたわね」 長門「あなたが選んだものがほとんど」 ハルヒ「だって有希全然選ぼうとしないじゃない」 長門「そうでもない」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「よっこいしょっと」バフ 長門「そこは私のベッド」 ハルヒ「知ってるわよ。なんか落ち着くのよね~」 長門「そう」 ハルヒ「なんでかしらね?このまま寝ちゃってもいい?」 長門「構わない」 ハルヒ「いいわけないでしょ、明日のお弁当のおかず買ってこなきゃ」 長門「……」コク ハルヒ「財布は持った?」 長門「持った」 ハルヒ「鍵閉めた?」 長門「閉めた」 ハルヒ「じゃあ行くわよ」トテトテ 長門「……」トテトテ ~移動中~ ハルヒ「有希って小さいくせに歩くの早いわね」トテトテ 長門「あなたが遅い」トテトテトテ ハルヒ「言ったわね」トテトテトテトテ 長門「……」トテトテ ハルヒ「ほら、あたしのほうが早い」トテトテトテ 長門「急ぐ理由がわからない」トテトテ ハルヒ「ぐっ」 ハルヒ「有希って晩御飯まだでしょ?」 長門「……」コク ハルヒ「なんか食べたいものある?」 長門「カレー」 ハルヒ「いつもそれじゃない?作る方としてはもっとレパートリーを増やしてくれた方が、作りがいあるんだけど?」 長門「……」 ハルヒ「って、なんか奥さんの台詞ね、これ」 長門「ハンバーグ」 ハルヒ「いいわよ。それもあたしの得意料理のレパートリーにあるから」 長門「期待する」 ~スーパーにて~ ハルヒ「さて、明日のお弁当の中身どうしようかしら」 長門「カr」 ハルヒ「いい加減にしなさい」 長門「……」 ハルヒ「……そもそも、何を基準で勝ち負けにするか決めてなかったわね」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「明日みんなで決めればいっか」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「さっきからなに探してるの?」 長門「弁当箱」 ハルヒ「え?」 長門「明日お弁当を持っていくなら箱は必要」 ハルヒ「いや、だから、有希ってお弁当学校持ってたりしたことないの?」 長門「ない」 ハルヒ「……」 長門「?」 ハルヒ「いつもどうしてるの?」 長門「禁則事項」 ハルヒ「は?」 長門「ジョーク」 ハルヒ「はぁ、まぁいいわよ。食材コーナーにはないからあっちに探しに行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「スーパーにしては結構種類あるわね」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「どれにするの?」 長門「これ」 ハルヒ「それは保存用のタッパーよ、それ以前に大きすぎよ!」 長門「いける」 ハルヒ「ダメよ」 長門「……」ジー ハルヒ「そもそもそれだと鞄に入らないじゃない」 長門「……うかつ」 ハルヒ「有希は大食いだからなぁ……これくらいが妥当じゃない?」 長門「小さい」 ハルヒ「あたしの二倍はあるわよ?」 長門「……わかった」 ハルヒ「なんか子供をあやしてるみたい」 長門「肉体的には同年齢」 ハルヒ「肉体的?有希の方が幼く見えるけど?」ニヤ 長門「……」 ハルヒ「明日のお弁当のおかずはこんなもんね。他食べたいものある?」 長門「カr」 ハルヒ「ないみたいね。それじゃレジ行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「今日もワリカンよ?有希っていつも全部払おうとするんだもの」 長門「作るのは私ではないから」 ハルヒ「じゃあ今日は有希も一緒にやりましょ?」 長門「一緒に?」 ハルヒ「そう、あたしのお手伝い」 長門「いい」 ハルヒ「まったく、どっちのいいよ?」 長門「肯定」 ハルヒ「よろしい」 ~帰宅中にて~ ハルヒ「日が落ちると涼しくていいわね」 長門「……」コク ハルヒ「……あっ、流れ星だ」 長門「……」トテトテ ハルヒ「流れ星が消えるまでにお願い事を、三回言えば願いが叶うかぁ。まず無理ね」 長門「無理」 ハルヒ「なんか短文でないかしら……」 長門「………」 ハルヒ「死ね死ね死ね、とか?」 長門「あなたが言うと笑えない」 ハルヒ「いつもの有希みたいにジョークよ」 長門「あなたのジョークは厄介すぎる」 ハルヒ「そう?」 長門「故に笑えない」 ハルヒ「そもそも笑わないくせに」 長門「あなたには才能がない」 ハルヒ「言ってくれるわね」 長門「言った」 ハルヒ「いつか笑わせてやるんだから」 長門「そう」 ~長門宅にて~ ガチャ ハルヒ「ただいまー」 長門「……」 ハルヒ「有希も言いなさいよ」 長門「中には誰もいない」 ハルヒ「いいから」 長門「ただいま」 ハルヒ「おかえり。ね、いるときはいるのよ」 長門「そう」 ハルヒ「そうなのよ」 ハルヒ「とりあえず今日買った食材を冷蔵庫に閉まっておいて」 長門「わかった」 カチャカチャ パタン 長門「閉まった」 ハルヒ「じゃあ少し休んでから、夜ご飯の支度しましょ」 長門「……」コク ピッ ハルヒ「どの番組もつまんないわね」 ピッ 長門「そう」 ピッ ハルヒ「どれもこれも前見た番組のパクリみたいな内容じゃない」 ピッ ハルヒ「TV見ててもつまんないし、晩御飯作りましょ?」 長門「それがいい」 ~食事後~ 長門「ごちそうさま」 ハルヒ「おそまつさま。なんかこの雰囲気にも慣れてきたわね」 長門「?」 ハルヒ「あたしが有希の家に来て、二人でご飯食べて、ゴロゴロして、色々話して、と言っても有希は聞くのが専門よね」 長門「……」 ハルヒ「ふふ。悪くない、悪くないわ。なんか通い妻みたいで変な気分だけど」 長門「悪くない」 ハルヒ「有希も?」 長門「……」コク ハルヒ「そっか。……あたしね、これからも有希とはずっと一緒にいたい」 長門「大丈夫。私が守る」 ハルヒ「ふふふ。私よりちびっ子の癖になに言ってんのよ」 長門「……」 ハルヒ「お風呂ありがと」 長門「構わない」 ハルヒ「明日はお弁当作んなきゃだし、早く寝ましょう」 長門「……」コク ハルヒ「あたしは髪乾かしてから寝るわ。おやすみ、有希」 長門「おやすみなさい」 ハルヒ「……」 ~翌日~ ???「……ルヒ、……う朝、起……」 ハルヒ「う~ん」 ???「もう……、……て」 ハルヒ「あ、あとごふん」 ???「わかった」 ハルヒ「……ん」Zzzz ???「いい加減に起きて」ポカ ハルヒ「……えぇ?ふわぁ~あ、おはよう有希」 長門「おはよう」 ハルヒ「なんか有希のうちって安心して寝れるわ」 長門「そう」 ハルヒ「そうなの。ところで今何時?」 長門「午前八時ちょうど」 ハルヒ「……え?」 長門「午前八時ちょうどと言った」 ハルヒ「……!や、やばいじゃない!約束まで二時間しかない!」 長門「正確には一時間五十八分三じゅ」 ハルヒ「やばいわ!ご飯に火入れなきゃ!」 長門「もう入れた」 ハルヒ「でかしたわ有希!」 長門「当然」 ハルヒ「それじゃあ、すぐ顔洗ってくるから台所で待ってて!」 長門「わかった」 ~駅前にて~ 鶴屋「おはようハルにゃん!」 みくる「おはようございます」 ハルヒ「おはよう、ほぼ同時についたわね」 鶴屋「そうだね!ちゃんとお弁当は持ってきたかい?」 ハルヒ「ばっちりよ!ね、有希?」 長門「……」コク ハルヒ「それで今日はどこ行くの?」 鶴屋「ふふふ。実はこの間、こんなものを貰ったのさ」バッ みくる「チケット、ですか?」 鶴屋「そうさ!五月の半ばにオープンしたばかりの、あの遊園地のチケットだよ!」 ハルヒ「あの遊園地!CMとか見て興味があったのよね、実は」 みくる「あ、あそこってジェットコースターが目玉なんですよねぇ……」 鶴屋「んふふふふ。頑張ろうね、みくる♪」 みくる「ひぃ」ビク ハルヒ「あれ?遊園地ならお弁当いらないんじゃないの?」 鶴屋「あそこの飲食店って、めがっさ混むみたいなんだよ」 ハルヒ「そうゆうことか」 鶴屋「そう、せっかく遊びに行くんだから、少しでも遊ばないとね」 ハルヒ「賛成だわ。それじゃあとっとと行きましょ!」 鶴屋「おー!」 ~遊園地にて~ ハルヒ「……これは」 みくる「……想像以上に」 鶴屋「……人だらけだね」 長門「……うるさい」 ハルヒ「なにはともあれ……遊ぶわよ!有希、あれ、あれ乗ろ!」グイ タタタッ 鶴屋「ありゃ、行っちゃた」 みくる「ですね」 鶴屋「あたしたちも行くよ!」 みくる「は、はぁい」 タタタッ ワーー! みくる「こ、これに」ブルブル キャーー! みくる「の、乗るんですか?」ブルブル ギャーーーーー! ハルヒ「だってこれが目玉なんでしょ?みくるちゃんが自分で言ってたじゃない?」 鶴屋「観念しなよ、みっくる♪」 みくる「そ、そんなぁ」ブルブル 長門「面白そう」 みくる「長門さんまでぇ~」 ハルヒ「女は度胸よ!」ガシッ みくる「ひ、ひぇ~」ズルズル みくる「ど、どんどん高くなってきましたよ?」 みくる「レ、レ、レ、レールが、み、見えませんよ?」 みくる「え?落ち……キャアァァッァァァァァ!!!」 みくる「わぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」 みくる「ひゃぁあっぁぁぁぁぁぁ!!!」 みくる「……、……。……」 ハルヒ「いやー!凄かったわね、有希!」 長門「ユニーク」 鶴屋「たしかにみくるはめがっさユニークだったっさ!ほんとに悲鳴上げるんだもん!あっはっはっはっはっは!」 みくる「す、少し、うっ、や、休ませてくださぃ」 ハルヒ「何言ってるの、まだ一つ目じゃない!次行くわよ、次!」 みくる「こ、これって」 長門「ホラーアトラクション」 ハルヒ「さぁ行くわよ!」 みくる「む、無理ですよぉ~」 鶴屋「結構怖いみたいだよ、ハルにゃん」 みくる「あれ?」 ハルヒ「そうなんだ、でもどんと来いよ!」 みくる「わ、わたし入らなくていいんですかぁ?」 ハルヒ「こういうとこって本物が出たりするらしいじゃない?」 みくる「あ、あの~」 鶴屋「TVで見たことあるっさ!」 ハルヒ「出てきたら捕まえてやるわ!ね、有希」 長門「……」コク スタスタ みくる「置いてかれた……。わ、わたしもい、行きます!」トテトテ ハルヒ・鶴屋(作戦通り!) みくる「ふぇ~、ま、真っ暗ですよぉ」ブルブル みくる「ひゃ!い、今向こうに、だ、誰かいましたよ~」ブルブル みくる「え?後ろ?……ひぃゃぁぁあああっぁぁぁぁ!!!」パタパタ みくる「きゃ!ひっ!」コテン みくる「……うぅ、うぅ、うぅぅぅ」ポロポロ ハルヒ「ご、ごめんね、みくるちゃん。まさかこんなに怖がるとは思ってなかったのよ」 みくる「ひっく、ひっく」ポロポロ 鶴屋「悪ノリしすぎたよ、あたしからもごめんね?」 みくる「うぅっ、も、もう大丈夫です、ひっく」グス 長門「ユニーク」 ハルヒ「こら!有希!」ポカ みくる「もうそろそろ、お昼だしお弁当にしませんかぁ?」 鶴屋「そうしよ!あそこの芝生を陣取ろうよ!」 ハルヒ「賛成!」 長門「……」グゥゥ トテトテ ~芝生にて~ ハルヒ「昨日話した勝負のこと覚えてるわね?」 鶴屋「もちろんっさ!」 ハルヒ「基準は見た目と味でいいわよね?」 みくる「はい」 鶴屋「一生懸命作ったからね。この勝負いただいたよ!」 ハルヒ「ふふふ、ではいざご開帳!」 パカッ 鶴屋「あ」 みくる「そんなぁ~」 ハルヒ「こんなのって」 長門「……」 ハルヒ「……そういえば鞄持ったままアトラクション回っちゃたわね」 長門「グチャグチャ」 鶴屋「これはさすがにショックだよ……」 みくる「でも、形は悪くても食べられますから」 ハルヒ「わかってる、わかってるわ」 鶴屋「それでも、苦労が水の泡ってのはねぇ……」 長門「……」モグモク ハルヒ「勝負はお預けね……」 ~食事後~ ハルヒ「それじゃあ、あたしと鶴屋さんでフリーフォールみたいの乗ってくるわね」 鶴屋「みくるはそこのベンチで休んでて!」 みくる「わかりましたぁ」 ハルヒ「有希も来る?」 長門「……」フルフル ハルヒ「そう、それじゃあそこであたしたちの勇姿を見てなさい」 長門「……」コク みくる「ふぅ、お二人とも元気ですねぇ」 長門「……」コク みくる「……」 長門「……」 みくる(き、気まずいよぉ~) 長門「朝比奈みくる」 みくる「は、はひ!」 長門「?」 みくる「なんでもないです、続けてください」カァァァ 長門「質問がある」 みくる「質問ですか?」 長門「この先はどうする?」 みくる「え?多分ご飯でも食べにいくんじゃないですか?」 長門「違う。今後の動き。私は涼宮ハルヒの力の観察」 みくる「わたしは……監視です。もとよりそれが目的ですから」 長門「なぜ監視を?」 みくる「禁則事項です」 長門「この後世界は、涼宮ハルヒはどうなる?」 みくる「禁則事項です」 長門「今まで起きてきた出来事は全て予定通り?」 みくる「禁則事項です」 長門「そう。ならいい」 みくる「……。長門さんは観察が目的なんですよね?」 長門「……」 みくる「観察の対象と仲良くなるのは、いいことなんですか?」 長門「私だけではないはず」ジー みくる「わたしはそんなつもりではなかったんです!でも長門さんは涼宮さんとは……親友なんですよね?」 長門「そう」 みくる「わたしは、わたしはこんなはずじゃなかった……なかったんです……」 長門「?」 みくる「……これ以上は言えません」 長門「そう」 みくる「長門さんはどうするんですか?」 長門「変わらない。いつも通り。しかし」 みくる「?」 長門「私という個体は涼宮ハルヒのそばにいたいと思っている」 みくる「……」 長門「これは私の意志。涼宮ハルヒは私を必要としてくれている」 みくる「……そうですよね」 長門「それに答えるのは親友として当然」 みくる「……わたしは」 長門「古泉一樹に新たな鍵は私だと言われた」 みくる「古泉君が?」 長門「そう。そのことでどうなるかはわからない。ただ、涼宮ハルヒに危害を加えるなら、誰であっても容赦しない」 みくる「……わたしに関しては大丈夫です。そんなことをする理由がありませんから」 長門「そう」 みくる(……わたしは、わたしはただの監視者だから……これからもただ見ているだけの……) 鶴屋「みっくる~!いや~めがっさすごかったよ~!こう、ビューンとさ、ってみくる?」 みくる「……え?」 鶴屋「なんか元気ないよ?大丈夫?」 みくる「だ、大丈夫ですよぉ」 ハルヒ「どうせ有希が変なこと言ったんでしょ?最近辛口なのよね、このコ」 みくる「ち、違いますから、はしゃぎすぎて気分が悪いだけですよ」 鶴屋「無理しちゃダメだかんね?」 みくる「もう平気ですよ」ニコ ハルヒ「それじゃあ激しいアトラクションは一旦休憩にしましょ」 鶴屋「そうっさね。……さっきまでみくるは長門ちゃんと話してたの?」 みくる「はい。長門さんとあんなにおしゃべりしたの初めてです」 ハルヒ「有希と会話が続くなんて凄いわね。あたしですら難易度が高いのに」 鶴屋「なに話してたの?」 みくる「長門さんとの秘密なんです」 ハルヒ「有希、教えなさいよ~」 長門「禁則事項」 みくる「……」 鶴屋「……。みくる、なんか飲み物買ってくるけど何がいい?」 みくる「ありがとうございます。お茶がいいです」 鶴屋「わかったよ。長門ちゃん、一緒に買いにいこ?」 長門「……」コク ハルヒ「有希、あたし炭酸がいい」 長門「わかった」 ~自販機前にて~ 鶴屋「……ねぇ、長門ちゃん?」 長門「何?」 鶴屋「みくるに何言ったの?」 長門「質問をしただけ」 鶴屋「質問?どんな?」 長門「言えない」 鶴屋「なんで?」 長門「言えない」 鶴屋「なら、単刀直入に聞くけど、……みくるをいじめてたのかな?」 長門「……」フルフル 鶴屋「信じていいの?」 長門「どちらでも」 鶴屋「……」 長門「……」 鶴屋「……うん、疑ってごめんよ?みくるってあんなんだからさ、友達として不安だったんだよ」 長門「そう」 鶴屋「長門ちゃんだって、ハルにゃんのこと見捨てられないでしょ?」 長門「もとより見捨てない」 鶴屋「だよね、とはいえ、疑ってほんとにごめんね」 長門「いい。ただ」 鶴屋「なに?」 長門「今小銭がない」 鶴屋「先輩にたかる気かい?」 長門「違う、悪いと思っているなら、お金を貸して欲しい」 鶴屋「いいよ、後輩のぶんくらいお姉さんが買ったげる♪」 長門「感謝する」 鶴屋「はい、みくる」 みくる「ありがとうございます」 ハルヒ「……抹茶の炭酸ってなによ?」 長門「あった」 ハルヒ「炭酸と言ったのはあたしだけど……これはないわよ」 長門「飲まず嫌い?」 ハルヒ「うっ……、いいわ、飲んでやるわよ!」ゴク 鶴屋「ど、どお?」 ハルヒ「……」フルフル 長門「ユニーク」 ハルヒ「……デコピンよ」ピシ 長門「……」ナデナデ ハルヒ「鶴屋さん、今日はありがとね」 鶴屋「なに、いつもみくるがお世話になってるからね。そのお礼さ♪」 みくる「ふふふ」 ハルヒ「あたしだってみくるちゃんにお世話になってるわよ?」 みくる「涼宮さん……」 ハルヒ「コスプレとか、部室の掃除とか、お茶汲みとか」 みくる「え、えぇ~」 鶴屋「先輩をパシリ扱いとはいけない子だね?こうしてやる!」 ハルヒ「や、やめて、鶴屋さん、アハハ、うそ!冗談だから!アハハちょ、くすぐったいってば~」 鶴屋「参ったか!」 ハルヒ「……このあたしが、はぁーはぁー、やられて、黙ってる、とでも?」 鶴屋「ん?」 ハルヒ「えい!」 鶴屋「ハルにゃん、ひ、卑怯だよあっはっはっは、そこは、はんそ、反則だよ、あっはっはっは」 ハルヒ「やられたらやり返さないとね」 鶴屋「覚えてろよ~」 ハルヒ「返り討ちにしてやるわ!」 鶴屋「せっかくだしこの後ご飯でも食べ行く?」 ハルヒ「そうね。どこ行く?」 長門「……」クイクイ ハルヒ「ん?どしたの有希?」 長門「あれ」 ハルヒ「あれ?」 鶴屋「あれはバイキングだね!」 みくる「も、もう怖いのいやですよぉ」 ハルヒ「みくるちゃん、ただの食べ放題よ。有希あそこがいいの?」 長門「……」コクコク ハルヒ「二人ともあそこでいい?」 鶴屋「あたしは構わないっさ!」 みくる「大丈夫です」 ハルヒ「それじゃあ、行きましょっか」 長門「……」トテトテ ~帰り道にて~ 鶴屋「いや~めがっさお腹いっぱいだよ」 長門「満腹」ケプ 鶴屋「女四人がバイキングでがっついてる光景は、シュールだったろうね」 ハルヒ「がっついてたのは鶴屋さんと有希だけでしょ?あたしとみくるちゃんは腹八分よ」 みくる(それでも食べすぎちゃいました……) 鶴屋「それじゃあ、ここらでお別れだね」 ハルヒ「そうね、今日は楽しかったわ。ね、有希?」 長門「……」コク 鶴屋「そりゃ良かった。誘ったかいがあったってもんだよ」 ハルヒ「じゃあまた学校でね。鶴屋さん、みくるちゃん」 鶴屋「バイバイ」 みくる「あ、あの、長門さん」 長門「何?」 みくる「少し、少しだけいいですか?」 長門「構わない」 みくる「お二人は少しだけ待っててください」 鶴屋「わかったっさ」 ハルヒ「有希はあたしのだから持って帰っちゃダメよ」 鶴屋「おっ、ラブラブだねぇ~」 ハルヒ「ジョークよ、ジョーク」 みくる「ちゃんとお返ししますから」ニコ 長門「何?」 みくる「本当はこんな事を言うのは禁止されています」 長門「……」 みくる「でも、でもわたしも長門さんも、望む望まないに関わらず、主要人物の一人になってしまいました」 長門「……結果的に私は望んだ」 みくる「そ、それは長門さんの場合です!」 長門「わかっている」 みくる「……同じ『部活仲間』としての忠告です。涼宮さんとは距離を置いてください」 長門「……何故?」 みくる「……この間私向けにそういう指令がきました。内容は知りません」 長門「禁則事項では?」 みくる「……話は以上です。また」スタスタ 長門「……」 ハルヒ「それでみくるちゃんはなんだって?」 長門「秘密」 ハルヒ「仕方ない、くすぐってでも吐かせてやるわ」 長門「無駄」 ハルヒ「どうよ!ほらほら!」 長門「まるで無駄」 ハルヒ「この不感症め!」 長門「なんとでも」 ハルヒ「あぁ、つまんなーい」 長門「そう」 ハルヒ「まぁ、いいわ。帰りましょ」 長門「?」 ハルヒ「~♪」 長門「あなたの家はこっちではない」 ハルヒ「あれ?言ってなかったけ?あたしの家今誰もいないから、有希の部屋泊まるって」 長門「初耳」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「一泊も二泊も変わんないでしょ?さ、帰るわよ」 長門「……」コク ~長門宅にて~ ガチャ ハルヒ「ただいま~」 長門「……」 ハルヒ「……ただいま~」 長門「……」 ハルヒ「た・だ・い・ま」 長門「……ただいま」 ハルヒ「違う!あたしがただいまって言ったら、有希はおかえりでしょ?」 長門「……」 ハルヒ「もう一度よ。ただいま」 長門「おかえり」 ハルヒ「次は有希」 長門「ただいま」 ハルヒ「おかえり」 ハルヒ「あぁ~楽しかったぁ~、けど疲れたぁ~」 長門「六時間遊んだ」 ハルヒ「あれ?そんなもんだった?」 長門「充分」 ハルヒ「そうね、これ以上疲れたら明日筋肉痛になっちゃうわ」 長門「そう」 ハルヒ「有希は平気?」 長門「……」コク ハルヒ「文学少女のくせに丈夫ね」 長門「……そう」 ハルヒ「実はね」 長門「?」 ハルヒ「今日の団活中止になって嬉しかったの」 長門「何故?」 ハルヒ「一応表には出さないようにしてるけど、まだちょっとあいつと一緒に行動するのが、ね」 長門「……」 ハルヒ「そりゃ、盛大にふられてるもの、気にしてないっていったらウソじゃない?」 長門「そう」 ハルヒ「やっぱり気になっちゃう……ほんとに恋ってめんどくさい」 長門「……」 ハルヒ「未練がましいのなんてらしくないわね」 長門「……」コク ハルヒ「今の話忘れて!お終いお終い!さぁ明日も休みだし!今日こそ夜通し遊ぶわよ!」 長門「構わない」 ハルヒ「しっかり朝日を拝んでやるんだから!」 長門「そう」 ハルヒ「……」Zzzz 長門(まだ十二時) ハルヒ「……」Zzzz 長門「……」 ハルヒ「……ん……いや」グス 長門「?」 ハルヒ「……ゆ……き」グス 長門「……何?」 ハルヒ「おねが……いかな……いで」グス 長門「私ならここにいる」ギュ ハルヒ「……ん……」Zzzz 長門「……」ギュー --同じ『部活仲間』としての忠告です。涼宮さんとは距離を置いてください-- 長門(どこにも行かない。ここが私の場所) ~To Be Continued~
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~部室にて~ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「……」 長門「……」ペラ ハルヒ「ねぇ有希」 長門「なに?」 ハルヒ「あたしたち友達よね?」 長門「そう認識している」 ハルヒ「それじゃあさ、なんか悩み事とかない?」 長門「何故?」 ハルヒ「何故って、特に理由は無いけど」 長門「そう」 ハルヒ「ほら、あたしたちってあんまりプライベートな話しないじゃない?」 長門「?」 ハルヒ「あたしこんな性格だからあんまり同性の友達いないの」 長門「朝比奈みくるがいる」 ハルヒ「みくるちゃんってなんだかんだで年上だし、有希が一番一緒にいる同い年の友達なのよ」 長門「そう」 ハルヒ「だから、その、もっと仲良くなりたいなぁ、って」 長門「つまり『普通』の交友関係を望むと?」 ハルヒ「うっ、団長としてあんまり『普通』を強調されると耳が痛いわね」 長門「他意はない」 ハルヒ「わかってるわよ。そうね、普通に友達と付き合いたいと思ってる」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「一緒に買い物に行ったり、恋愛の話したり」 長門(お腹がへった) ハルヒ「そうだ!有希って好きな人いたりするの?」 長門「好きな人?」 ハルヒ「そう!好きな人!」 長門「それは異性という意味?」 ハルヒ「当たり前じゃない」 長門「自分から答えないとフェアではない」 ハルヒ「え?」 長門「こういった質問の場合、自分から答えずに相手にのみ回答を求めるのはフェアではない、と本に書いてあった」 ハルヒ「え?」 長門「先に言うべき」 ハルヒ「あたしが?」カァァ 長門「……」コク ハルヒ「あ、あ、あ、あたしは、その」チラ キョン「Zzzz…」 長門「?」 ハルヒ「あたしは、今はいないわ!……多分」 長門「そう、わたしは彼が気になる」 ハルヒ「彼?」 長門「そう」チラ キョン「Zzzz…」 ハルヒ「え?あれ?」 長門「そう」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「友達に嘘はつかない」 ハルヒ「うっ」 長門「なにか問題が?」 ハルヒ「あ、あれはダメよ!止めときなさい」 長門「何故?」 ハルヒ「だって、その、見た目だってよくないし、冴えないし、馬鹿だし、有希には釣り合わないわ」 長門「それを決めるのはわたし」 ハルヒ「そうだけど……」 長門「……」 ハルヒ「でも、あいつは……その」 長門「嘘」 ハルヒ「え?」 長門「さっきまでの発言は嘘だと言った」 ハルヒ「だってさっき友達に嘘言わないって」 長門「それも含めて嘘」 ハルヒ「ほんとに?」 長門「今度は本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「くどい。友達の思い人を取ったりしない」 ハルヒ「だ、誰があいつのことなんか」カァァ 長門「なら貰う」 ハルヒ「それはダメ!」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「な、なによぉ」 長門「別に。……ただ」 ハルヒ「ただ?」 長門「人をからかうのはなかなか楽しい」 ハルヒ「なっ!」 長門「友達なら冗談の一つや二つは言うもの」 ハルヒ「そうだけど」 長門「あなたは私に普通の友達を求めた」 ハルヒ「うん」 長門「だからそれに答えられようにしてみた。何か違った?」 ハルヒ「……あたしも普通の友達ってよく分からないけど、多分あってると思う」 長門「そう」 ハルヒ「ここじゃ言えないけど、今度有希にはあたしの好きな人教えるはね」 長門「わかった」 ハルヒ「それじゃあこの話はこれでお終いね」 長門「……」コク ハルヒ「有希はあたしに何かないの?」 長門「なにかとは?」 ハルヒ「質問よ」 長門「質問……。趣味は?」 ハルヒ「不思議なこt」 長門「それはもういい」 ハルヒ「えぇ~。他には、料理とかかな?こう見えて結構お母さんと一緒に作ったりしてるから上手なのよ」 長門(案外普通。しかし) ハルヒ「似合わないかな?」 長門「興味がある」 ハルヒ「そ、そう。有希は一人暮らしなのよね。自分で作ったりしてるんでしょ?」 長門「……」フルフル ハルヒ「もしかしてコンビニ中心?」 長門「……」コク ハルヒ「有希らしいと言えばそれまでだけど、それじゃ全然ダメじゃない」 長門「?」 ハルヒ「いい。女の子は料理くらい出来ないと後々大変よ?」 長門「今日のあなたは少し変」 ハルヒ「そ、そうかしら」 長門「いつもなら『女の子らしい』などということを一々強調しない。それは朝比奈みくるの役割」 ハルヒ「そうかもね。でもなんだか有希とはなんていうの?腹を割って話したいというか、そんな感じなのよ」 長門「それは私が友達だから?」 ハルヒ「そう。それに有希って口堅そうだし」 長門「望むなら他言はしない」 ハルヒ「頼むわよ。SOS団の団長がこんなだったら他のみんなに示しがつかないわ」 長門「……」コク ハルヒ「でも、有希さっき嘘ついたしなぁ~」 長門「しつこい。それよりもさっきの話」 ハルヒ「さっき?あぁ料理の話ね」 長門「なにが得意?」 ハルヒ「ありきたりだけどカレーね」 長門「!!!」 ハルヒ「市販のルーを何種類か混ぜると美味しいのよ。あたしの場合、味の決め手はコンビーフね」 長門「……」ゴク ハルヒ「後は、大量の玉葱と人参にカボチャ。お肉は豚バラと手羽先」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「後は香り付けに月桂樹の葉も必要ね。それとた~か~の~つ~め~、って知ってる?」 長門「知らない。興味がない」ググゥ~ ハルヒ「な、なんか今日の有希はアグレッシブね」 長門「あなたが望んだ結果こうなった」 ハルヒ「まぁ、悪い気はしないわ」 長門「そう」グググゥ~ ハルヒ「お腹空いてるの?」 長門「あなたの話を聞いたら俄然空いてきた。カレーはとても好き」 ハルヒ「そっか……。ねぇ、今日あたしん家両親が出かけてて夜一人なのよ」 長門「それで?」 ハルヒ「せっかくの機会だし有希の家に泊まりに行っていい?」 長門「さっきのレシピ通りにカレーを作るなら許可する」 ハルヒ「じゃあ決まりね♪あたし家に着替えとか取りに行ってくるわね。で、ついでに買い物して行くわ」ガタ 長門「私もついて行く」ガタ ハルヒ「今日は夜通し遊ぶわよ!」 長門「構わない」 バタンッ キョン「ふぁぁ~……、あれ、誰もいない」 Fin ~涼宮邸前~ ハルヒ「おまたせ有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「じゃあ行きましょ」 長門「……」コク ハルヒ「有希の家の近くにスーパーってある?」 長門「ある。問題ない」 ハルヒ「ならいいわ」 長門「そう」 ハルヒ「有希は料理作れるの?」 長門「カップ麺ならお手の物」キラ ハルヒ「……それは料理じゃないわよ」 長門「?」 ハルヒ「ま、まさか家に調理器具ないとかいわないでしょうね」 長門「……。大丈夫用意した」 ハルヒ「用意した?」 長門「問題ない」 ハルヒ「よく分かんないけど、あるんならいいわ」 長門「……」コク ハルヒ「~♪」 長門「……」ジー ハルヒ「ん?どしたの有希?」 長門「別に」 ハルヒ「?変な有希♪」 長門(精神状態が非常に良好) ハルヒ「有希の部屋って本いっぱいありそうよね」 長門「家にはあまりない」 ハルヒ「そうなの?」 長門「そう」 ハルヒ「ちゃんと片付いてる?」 長門「……」コク ハルヒ「そうよね。有希ってなんか几帳面っぽいし」 長門「……」 ハルヒ「先に家行っていい?荷物持ったままだと買い物しずらいし」 長門「構わない」 ハルヒ「♪」トテトテ 長門「……」トテトテ ~長門宅にて~ ハルヒ「お邪魔しまーす」 長門「どうぞ」 ハルヒ「ほんとに誰もいないのね」 長門「私だけ」 ハルヒ「今は二人よ」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「こっちがリビング」 ハルヒ「へー、って何にもないじゃない!?」 長門「机がある」 ハルヒ「見りゃ分かるわよ。こんなシンプルな部屋なんて初め てみたわ」 長門「そう」 ハルヒ「普通年頃の女の子なら小物の一つでも……」 長門「普通?あなたは普通は求めいていないのでは?」 ハルヒ「もう!いちいち突っ込まないでよ。あくまで一般論よ 、一般論」 長門「……」ジー ハルヒ「な、なによ」 長門「別に」 ハルヒ「気になるじゃない」 長門「別にと言った」 ハルヒ「わかったわよ」 ハルヒ「それじゃあ買い物行きましょう」 長門「行く」 ハルヒ「それじゃあ案内してね」 長門「任せて」 ~スーパーにて~ ハルヒ「まずは野菜ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「まさか、お米何も無いとは思わなかったわ」 長門(お菓子もある) ハルヒ「とりあえず、カボチャに玉葱、にんじんっと」 長門「……」キョロキョロ ハルヒ「次はお肉ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「やった、豚バラ半額よ。得したわね」 長門「……」コク ハルヒ「手羽も見つけたし、後は香辛料ね」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あった」 長門(することが無い) ハルヒ「それじゃあレジ行ってくるから、お金は後で割りカンね?」 長門「わかった」 注:調理シーン及び食事シーンは割愛で。 ~再び長門宅~ 長門「ごちそうさま」 ハルヒ「おそまつさまでした」 長門「美味しかった」 ハルヒ「カレー好きの舌を満足させれてよかったわ」 長門「牛、豚、鳥が全部入ったカレーは初めて」 ハルヒ「そうなの?家であれが普通よ。実際安いお肉だけで済んでるし」 長門「今後の参考にする」 ハルヒ「どうぞ。それにしてもよく食べるわね。見てるだけでお腹痛くなりそう」 長門「いつもこのくらい」 ハルヒ「この小さい体にどんだけ入るのよ」ポンポン 長門「お腹を叩くのはやめて」 ハルヒ「あっ、ごめん。でもあれね、次回の不思議探索は有希の胃袋の限界調査ね」 長門「構わない」キラッ ハルヒ「いずれはSOS団を代表して、大食い女王決定戦に出てもらおうかしら」 長門「一向に構わない」キラッ ハルヒ「あはは、流石に冗談よ」 長門「……そう」 ハルヒ「……有希はさ」 長門「?」 ハルヒ「一人暮らしで寂しくないの?」 長門「特に」 ハルヒ「でも学校から帰ったらここには誰もいないじゃない?」 長門「……」コク ハルヒ「あたしなら寂しいなぁ、って」 長門「やはり今日のあなたは変」 ハルヒ「またそれ?なかなか弱みを見せないあたしが見せてるんだから、少しは相槌しなさいよ」 長門「弱みを見せるということは私を信用している?」 ハルヒ「家族の次に」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 長門「……私は、あまり寂しくない」 ハルヒ「有希は強いのね」 長門「なぜなら」 ハルヒ「なぜなら?」 長門「普段なら今頃、彼とメールのやり取りをしている」 ハルヒ「え?」 長門「寝るまで」 ハルヒ「か、彼って?」 長門「そう、彼」 ハルヒ「そ、そんな話聞いてないはよ!」ガタ 長門「それはそう。言ってない」 ハルヒ「な、な、な、だって有希好きじゃないって、い、言ったじゃない」 長門「そろそろメールを送る」カチャ ハルヒ「え!?」 長門「……」メルメル ハルヒ「……」ドキドキ 長門「完了」 ハルヒ「……なんて送ったの?」 長門「……」 ハルヒ「ちょっと、なんかいいなs」ピリリリ ハルヒ「こんな時誰からよ?」 FROM ♪ユッキー♪ 本文 あなたは単純すぎ(笑) だから面白い(笑) さっきのはもちろん真っ赤な嘘(笑) 長門「ユニーク」 ハルヒ「……」 長門「……ユニーク」 ハルヒ「有希」 長門「……ユ、少し調子に乗った」 ハルヒ「……そう、有希でもそんなことがあるのね」 長門「ごめんなさい」 ハルヒ「まぁいいわ。でも後で覚えてなさいよ?」 長門「わかった」 ハルヒ「ったく、もぉー」 長門「牛?」 ハルヒ「え?」 長門「なんでもない」 ハルヒ「そう」 長門「そう」 ハルヒ「……なんか不思議よね」 長門「?」 ハルヒ「SOS団で、とかじゃなくて有希と二人だけじゃない?」 長門「SOS団があるから今がある」 ハルヒ「そうなんだけど……」 長門「?」 ハルヒ「あのね、一つ前からどうしても聞きたいことがあったの」 長門「なに」 ハルヒ「あたしが文芸部の部室をなかば強引に頂いたじゃない」 長門「……」コク ハルヒ「う、肯定された。で、それって迷惑じゃなかった?」 長門「問題ない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「今更だけど、迷惑だったら謝んなきゃ、ってずっと思ってたのよ」 長門「迷惑ではない。むしろ良かった」 ハルヒ「え?」 長門「あれは必然。あなたが来て、彼が来て、朝比奈みくると古泉一樹が来た。そのおかげで今に至る」 ハルヒ「有希……」グス 長門「だからあなたは謝罪ではなく、謝礼を言うべき」 ハルヒ「ん?」グス 長門「私があの部室を保有していたおかげでSOS団がある」 ハルヒ「……なんか有希って性格ちょっと悪くない?」 長門「あなたが望んだ」 ハルヒ「あたしが望んだのは友達よ!」 長門「友達なら関係は同等。あなたに合わせると自然とこうなる」 ハルヒ「また聞き捨てならないわね」 長門「気のせい」 ハルヒ「……今回も貸しにしとくわ」 長門「そう」 ハルヒ「ふぅー、ねぇお風呂入っていい?」 長門「構わない。バスタオルは脱衣所にある」 ハルヒ「ありがとう。……有希一緒に入らない?」 長門「一緒に?」 ハルヒ「そう、たまには裸の付き合いも悪くないでしょ」 長門「それは一般に男性の台詞」 ハルヒ「細かいことは気にしないの、ほら行くわよ♪」ガシ 長門「分かったから引きずらないで欲しい」ズルズル ~脱衣所にて~ ハルヒ「~♪」スル 長門「……」 ハルヒ「~♪」スルスル 長門「……」 ハルヒ「あれ?有希脱がないの?」 長門「すぐ入る。先に行って」 ハルヒ「?わかったわ」 長門「……」 長門(これは今日の仕返し?) 浴室にて~ 長門「遅くなった」 ハルヒ「先にお風呂頂いてるわよ」 長門「構わない」ジャー ハルヒ「はぁ~、暖まるわ~」 長門「そう」ゴシゴシ ハルヒ「……」ジー 長門「何?」ゴシゴシ ハルヒ「え?いや、有希って肌綺麗だなぁって、なんか使ってるの?」 長門「何も」ゴシゴシ ハルヒ「いいなぁ、うらやましい」 長門「私はあなたがうらやましい」ジー ハルヒ「ん?あぁ、これ?そうね有希にないもんね」ニヤニヤ 長門「私にもある」ジャー ハルヒ「え?どこ?」 長門「……涼宮ハルヒを敵性と判断」キュ ハルヒ「ちょ、冷たいわよ、有希!冷水は卑怯よ!」 長門「聞こえない」 ハルヒ「こんなけエコーかかって聞こえないわけないでしょ!もう、冷たいってば」 長門「潜ればいい」 ハルヒ「!その手が」ザブ 長門(今のうち) ハルヒ「ぷはっ、息続かない」ガン ハルヒ「って、イタ!」 長門「注意力が足りない」 ハルヒ「潜ってる時にふた閉めないでよ!驚いたじゃない」 長門「それが目的。今だけはあなたは私の手のなかで踊る」 ハルヒ「なによそれ」 長門「なんでもない」 ハルヒ「それより入んないの?風邪ひくわよ」 長門「入る。詰めて」 ハルヒ「ん」 長門「あたたか、くない……ぬるい」 ハルヒ「ふん、自業自得ね」 長門「お湯を足す」 ハルヒ「賢明ね。これじゃ誰かさんのせいで風邪引いちゃうわよ」 長門「……」 ハルヒ「だんだん暖かくなってきたわね」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ有希。後ろ向いてこっちに背中あずけて」 長門「何故?」 ハルヒ「なんか有希ってちっちゃいから妹みたいに見えて」 長門「妹?」 ハルヒ「ほら、キョンの妹ちゃんいるじゃない?あの娘見てから、あたしにも妹いたら良かったのになぁ、とか考えちゃうのよ」 長門(あまり強く考えられると現実になりかねない) ハルヒ「だから有希、お姉ちゃんとこおいで。なんてね」 長門「わかった」クル ハルヒ「いやに素直じゃない♪」ギュ 長門「……」ムニ ハルヒ「ふぅ」ムニ 長門「……」イラ ハルヒ「暖かい」ムニ 長門「背中に当たるものが非常に不愉快」ザバァ ハルヒ「もう出るの?」 長門「出る」 ハルヒ「じゃあ、あたしも上がr」 ピシャッ!! ハルヒ「ちょっとなに閉めてんのよ!あけなさい!」 ~寝室にて~ ハルヒ「もう、せっかく夜通しで遊びたいとこだけど明日も学校なのよね」 長門「仕方がない」 ハルヒ「わかってるわよ」 長門「布団はここでいい?」 ハルヒ「どうせなら隣通しにしましょうよ。それでどっちかが寝るまでずっと話してましょ♪」 長門「構わない」 ハルヒ「決まり♪」 長門「歯を磨いてくる」 ハルヒ「あらまだだったの?あたしなんかとっくに」イー 長門「そう」トテトテ ハルヒ「ったく、つれないわねぇ」 ハルヒ「先に横になってよ」 ハルヒ「……」 ハルヒ「……」バタバタ ハルヒ(あたし今友達とお泊りしてるんだよね?なんか楽しい♪案外普通も悪くないじゃない) 長門「戻った。……ほこりが出るからあまり騒がないでほしい」 ハルヒ「あっ、ごめん」 長門「別にいい」ストン ハルヒ「それじゃあ寝ましょ」 長門「明かりを落とす」カチ ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「なんか喋りなさいよ!このままじゃ寝ちゃうじゃない」 長門「……あいうえお」 ハルヒ「……今、はっきりしたわ。どうやら今日の有希はあたしにケンカ売ってるみたいね?」 長門「……」フルフル ハルヒ「いいえ、許さないわ。ちょっとそっちに詰めなさい」モゾモゾ 長門「何を?」 ハルヒ「罰として、今晩は有希を羽交い絞めにして寝る」 ハルヒ「観念しなさい」 長門「……」コク ハルヒ「……ねぇ」 長門「何?」 ハルヒ「これから先も皆でやってけるかなぁ」 長門「何を?」 ハルヒ「SOS団」 長門「今は何の問題もない」 ハルヒ「そうじゃないの。あたしにとってSOS団ってほんと特別なのよ。こんなに皆でワイワイやって楽しかったことなんて今までなかった」 長門「……」 ハルヒ「有希に、みくるちゃんに古泉君、鶴屋さんもそうね、ついでにキョン」 長門「……」 ハルヒ「皆とだから上手くやってけてる気がする。大人になったら、流石にあたしも少しは丸くなってると思う」 長門「丸く?」プニプニ ハルヒ「有希」 長門「……ジョーク」 ハルヒ「はぁぁ。だからね、大人になっても皆で楽しくやってけるかなぁって」 長門「……」 ハルヒ「今が楽しすぎるから不安になってくのよ」 長門「大丈夫」 ハルヒ「何がよ」 長門「あなたが望めば願いはきっと叶う。もちろん私も望んでる」 ハルヒ「……有希」 長門「大丈夫」 ハルヒ「そうだよね」 長門「そう」 ハルヒ「ありがとう。それとね……」 長門「?」 ハルヒ「昼間話してた、その、あたしの好きな人なんだけど……」 長門「別に言わなくていい」 ハルヒ「え?」 長門「気付いてないと思ってるのはあなただけ」 ハルヒ「……え?」 長門「朝比奈みくるも古泉一樹も知っている」 ハルヒ「……」カァァ 長門(抱きしめる力が強くなった)ギュウゥゥ ハルヒ「……あいつも知ってるの?」カァァ 長門「残念ながら彼の鈍さは尋常でない」 ハルヒ「そ、そっか」 長門「そう」 ハルヒ「も、もう寝ましょ」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしたちこれからもずっと友達よね」 長門「友達」 ハルヒ「……親友と思っていい?」ボソ 長門「何?」 ハルヒ「な、なんでもないわ!おやすみ!」 長門「?おやすみ」 ~通学路にて~ ハルヒ「おはよう、古泉君」 古泉「おはようございます。おや今日は長門さんと一緒ですか?めずらしいですね」 ハルヒ「そうなのよ。有希が寂しいからどうしてもって言われて、昨日はお泊りだったのよ」 長門「明らかに事実と違う」 ハルヒ「そうだっけ?」 長門「そう」 ハルヒ「まぁ、どっちでもいいじゃない」 長門「……昨夜の恥ずかしい寝言を話す」 古泉「おやおや、それは興味がありますね」 ハルヒ「え?何?寝言なんてあたし知らないわよ!?」 長門「それはそう。寝言だから」 古泉「それで涼宮さんはいったいなんと?」 長門「まず、ky」 ハルヒ「ワーー、ワーー、ストップよ有希!あたしが悪かったから」 長門「反省してる?」 ハルヒ「してるしてる」 長門「そう、ならいい」 鶴屋「おや、皆朝から元気いいねぇ」 みくる「みなさん、おはようございますぅ」 ハルヒ「鶴屋さんにみくるちゃん!おはよう」 古泉「おはようございます」 鶴屋「いったい何騒いでたんだい?」 長門「涼宮ハルヒの弱みを握った」 鶴屋「なんだって!それはでかしたよ!」 ハルヒ「有希、喋ったら死刑よ!」 長門「なら、死刑になる前に今全て暴露する」 ハルヒ「ちょ。ウソ!ウソよ!有希!落ち着いて」 みくる「みんな朝から元気ですねぇ」 古泉「えぇ、ほんとに。もし可能なら、こんな日がずっと続けばいいですね」 みくる「そうですねぇ」 Fin?
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「あけましておめでとー!」 SOS団団員には既にお馴染となったマンションの玄関前。 前日の夜…といっても数時間前だが、団員達に「初詣行くから有希んちに集合」と突然すぎるメールを送りつけてきた団長様が、満面の笑みで手を振っている。 「おめでとうございます」 「今年もよろしくな」 肌を刺すような早朝の空気は元旦だからといって手を緩める気はないらしく、肩をすくめるみくるは、手袋にくるまった指先をさすりながら、 「長門さんは?」 白い息とともにハルヒに疑問を投げ掛ける。 新年、SOS団の初顔合わせとなったその集合場所には、本来、一番早く到着できるはずの少女の姿が見えなかった。 聞かれたハルヒがふふんと笑う。 不思議そうなみくるに、なぜか胸を張ると、 「有希、いいわよ!」 自動ドアに向かって呼び掛けた。 その合図を待っていたかのように、透明なガラスの死角、壁の裏から小さな人影が現れて――、 「…」 眠そうだった団員達の目が、普段の倍ほどの大きさに見開かれる。 「じゃーん!」 ありきたりな効果音とともにハルヒの横まで歩いてきたのは、 着物姿の長門だった。 さかのぼること、一時間ほど。 「ごめんねー。早い時間に」 集合時間にはまだまだだというのに、長門の部屋には既に団長の姿があった。 新年早々ワクワク顔の彼女の右手には、かなり大きな紙袋が握られている。 長門は早朝にも関わらずいつも通りの制服姿で、ハルヒはそれを横目でちらと確認すると、 「やっぱり、制服だと思った」 小さな子どもに語りかけるみたいに呟く。 そして、持参の紙袋をごそごそと探り、 「これ、着てみてよ」 赤い着物を取り出してみせた。 「中学校か、小学校高学年くらいのときに買ってもらったやつなのよ」 意外と本格的なその着物の帯を締めつつハルヒが言う。 「入らなくなったし、片付けちゃうつもりだったんだけど、有希なら着れるかなと思って」 「…そう」 てきぱきと着付けをこなすハルヒに身を任せる長門だが、 「うん!やっぱり似合うわ!」 赤い着物を纏った姿を上から下まで見渡した団長様は、仕上がりにとても満足のようだ。 「前々から、有希は和服が似合うかなと思ってたのよ」 それは暗に体の凹凸が少ないと言っているようなものなのだが…。 誉められた長門は素直に嬉しいらしい。 「ありがとう」 小さく呟いて… ハルヒの方に歩み寄ろうとして、僅かに足をよろけさせた。 「…少し動きづらい」 「ふふ、大股で歩いちゃダメよ」 ふらふらとする小さな少女に、ハルヒは笑いかけて、 「それ、あげる」 飾りっ気のないショートカットをふわりと抱き寄せた。 「それは有希が一番似合うから」 「…私が?」 「うん…。最高に可愛いわ」 その言葉は、いつもみくるが着せかえ人形のごとく遊ばれているのを横目で見ていた長門の心に、なにかしら響いたようだった。 着物に包まれた小さな体が、寄り添うようにハルヒの肩に頭を預けた。 周りの空気にあてられて、長門の髪は冷たくなっていた。 ハルヒはその髪を撫でながら… 集合時間までに、和服らしくアップにしてあげようかな、とか考えていた。
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~部室にて~ 長門「……」ペラ ハルヒ「有希、明日遊びいきましょ」 長門「明日は土曜、団活がある」 ハルヒ「なんだかキョンが、ど~しても外せない用事があるらしいのよ」 長門「用事?」 ハルヒ「そうなのよ。団長であるあたしに理由も話さないのよ」 長門「その用事が理由だと思われる」 ハルヒ「わ、分かってるわよ!あたしが言いたいのは」 長門「言いたいことは分かる。でもそれはプライベート」 ハルヒ「それは分かるけど……」 長門「なら今回は仕方ない」 ハルヒ「とにかく!団員が揃わないから明日の団活は中止よ」 長門「そう」 ハルヒ「だから……遊び行かない?」 長門「二人で?」 ハルヒ「そう二人で。どっかいきましょ」 長門「どっかとは?」 ハルヒ「どっかよ」 長門「そう」 ハルヒ「行き当たりばったりでもいいじゃない」 長門「……」 ハルヒ「……それとも行きたくない?」 長門「……」フルフル ハルヒ「なら決まりね!時間とかは後でメールして決めましょう」 長門「……」コク ハルヒ「ところで、さっきからなに読んでるの?」 長門「これ」 ハルヒ「『僕らが死体を拾○わけ』?気味の悪いタイトルね。ホラーかサスペンス?」 長門「最初はそう思って借りた」 ハルヒ「最初は?」 長門「そう。実際は体験談中心の博物誌」 ハルヒ「面白いの?」 長門「ユニーク」 ハルヒ「ふーん」 長門「……」ペラ ハルヒ「そういえば、有希って休みの日はなにしてるの?」 長門「家にいる」 ハルヒ「出かけたりしないの?」 長門「たまに」 ハルヒ「どこ行くの?」 長門「図書館」 ハルヒ「……まぁ、予想どうりの答えね」 長門「そう。あなたは?」 ハルヒ「あたし?」 長門「……」コク ハルヒ「街を散策してるわ。団長たるもの、休みの日でも不思議探索を欠かさないのよ」 長門「実際は?」ペラ ハルヒ「……小物とか服とか探しまわってる」 長門「そう」ペラ ハルヒ「べ、別にいいじゃない!休みの日くらい」 長門「何も言っていない」 ハルヒ「うっ、とりあえずみんなにはいわないでね?」 長門「善処する」 ハルヒ「頼むわよ、こんなこと言えるの有希だけなんだから」 長門「……」コク ハルヒ「それにしてもみんな遅いわね」 長門「……」ペラ ハルヒ「なんか聞いてる?」 長門『何も』 ガチャ キョン「悪い遅れた」 ハルヒ「ちょっと遅いわよ、キョン」 キョン「だから、悪いって。それに同じクラスなんだし俺が掃除当番なの知ってるだろ?」 ハルヒ「知ってるわよそんなの、でも遅いのよ」 キョン「おまえは人と会話する気あるか?」 ハルヒ「後は、古泉君とみくるちゃんね」 キョン「はぁ、もういい」 ガチャ 古泉「遅くなりました」 ハルヒ「あ、古泉くん」 古泉「少し職員室に寄っていまして」 ハルヒ「構わないわ。後はみくるちゃんね」 キョン「なんだ、古泉には苦言しないのか?」 ハルヒ「は?ちゃんと理由があるじゃない」 キョン「……」 ハルヒ「しいて言うなら、副団長とヒラの人徳の差かしら」 キョン「ふん、言ってろ」 古泉「まあまあ、お二人とも。僕のためにケンカしないで下さい」 キョン「お前な」 古泉「んふ。冗談ですよ」 キョン「ったく」 カチャ みくる「遅れちゃいましたぁ~」 ハルヒ「遅いわよ!みくるちゃん」 キョン「みんな今来たばかりだから大丈夫ですよ」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「みくるちゃんには優しいのね?」 キョン「さぁな、誰かさんと比べた人徳の差じゃないのか?」 ハルヒ「……」 キョン「ふん」 みくる「え~と、着替えるんでキョン君と古泉君、部屋出てもらっていいですかぁ?」 キョン・古泉「分かりました」 ガチャ ハルヒ「なによ!キョンのやつ」 長門「……」ペラ みくる(うぅ~、涼宮さん機嫌が悪いみたいですぅ) ハルヒ「ねぇ有希!どう思う!?」 長門「しいて言うならあなたに非がある」 ハルヒ「!?」 みくる(な、長門さん!?) 長門「彼といる時のあなたの態度は、あまり良くない」 みくる(そんなこと言ったら涼宮さんが……) ハルヒ「……そうかなぁ」 長門「そう」 みくる「?」 ハルヒ「……分かった、気をつけてみる」 長門「その方が賢明」 ハルヒ「一言多いのよ」 長門「……」ペラ みくる(あれ?) コンコン キョン『朝比奈さん。もういいですか?』 みくる「あっ、どうぞぉ」 ガチャ 古泉「さて涼宮さん。今日は何を?」 ハルヒ「まず、明日の団活は中止にするわ」 みくる「じゃあ、お休みですねぇ」 ハルヒ「そう、誰かさんが出れなくて欠員がでちゃうからね」 長門「……」ジー ハルヒ(あっ、やっちゃた) キョン「悪かったな」 古泉「おや、どちらかへ行かれるんですか?」 キョン「あぁ、ちょっと中学時代の友達とな」 ハルヒ「なんで古泉君には言うのよ!」 キョン「いちいち突っかかってくるなよ。友達に会うだけだし、言ったところで誰だか知らないだろ」 長門「……」ジー ハルヒ(そんなに見なくても分かってるわよ、有希) キョン「それより、古泉。今日はなにをやるか?」 古泉「……ふぅ、あなたと言う人は。まったく」 キョン「なんだ?」 古泉「いえ、何でも」 みくる「涼宮さんは土曜はどうされるんですかぁ?」 ハルヒ「有希と遊びに行くわ」 みくる「えぇぇ~!ほんとですかぁ?」 ハルヒ「ほんとよ。ねぇ、有希?」 長門「……」コク 古泉「……」 キョン「どうした、古泉?」 古泉「いや、珍しい組み合わせだなと」 キョン「たしかにそうだな」 古泉(まさか長門さんが直接彼女へのコンタクトを取りに?) 長門「それは考えすぎ」 古泉「おっと、ばれましたか」 長門「これは普通の交友関係」 古泉「それはそれは。余計な詮索をしてすいません」 ハルヒ「みくるちゃんはどうするの?」 みくる「溜まってるレポート(仕事)があるから、それをやりますぅ」 ハルヒ「そうなの?大変ね。古泉君は?」 古泉「僕ですか?う~ん、どうですかね。まだ分かりません」 ハルヒ「デートとかしないの?古泉くんって結構モテそうじゃない」 古泉「デートですか?……そうですね。たまにはいいかもしれません。後で誘ってみます」 キョン「待て古泉。お前彼女いるのか?」 古泉「えぇ」 ハルヒ(い、いたんだ) キョン「俺はそんな話聞いてないぞ!」 古泉「聞かれてませんので」 キョン「全く。いいよな、お前は。俺なんか影も形もないぞ」 ハルヒ「……」 長門「……」 みくる(な、なんてことを) 古泉(これは、流石にあきれますね) キョン「?」 長門「……」バタン キョン「長門、もう帰るのか?」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしも一緒に帰る」 長門「わかった」 みくる「わたしは着替えちゃったんで、少しお掃除してから帰りますぅ」 キョン「俺も少し残ってきます。女性を一人残すのは危険ですので」 古泉「なら僕もお供しますよ」 ハルヒ「あっそ、それじゃね……」 古泉(やれやれ、今日は久々にバイトですかね) ガチャ ~帰り道にて~ ハルヒ「……」トボトボ 長門「……」トテトテ ハルヒ「……はぁ」 長門「前にも言った。彼の鈍さは異常」 ハルヒ「べ、別にそれで溜息ついたんじゃないわよ」 長門「あなたにも反省点は多々あった」 ハルヒ「だ、だから」 長門「だから?」 ハルヒ「……キョンは関係ないって」 長門「本当に?」 ハルヒ「……うん」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……やっぱり……ほんとじゃない」 長門「わかってる」 ハルヒ「あいつがいるとなんか落ち着かないのよ。それで思ってることと逆の行動とっちゃうの」 長門「……」 ハルヒ「……どうすればいいんだろう」 長門「私には恋愛の知識はない。だから上手く説明出来ない」 ハルヒ「……」 長門「ただ」 ハルヒ「?」 長門「私といる時のあなたはとても優しい」 ハルヒ「……」 長門「だから感情のコントロールを身に付けるべき」 ハルヒ「コントロールかぁ.まさかそれを有希に言われるとはね」 長門「よくは分からない。ただ、私なりの推論」 ハルヒ「ん~ん。ありがと、有希」 長門「別にいい。友達なら当たり前」 ハルヒ「ふー、有希のおかげで少し楽になったわ」 長門「そう」 ハルヒ「うん。それで明日だけど、何時だったら大丈夫?」 長門「何時でも」 ハルヒ「それじゃあ十一時にいつもの駅前はどう?」 長門「構わない」 ハルヒ「決まりね」 長門「……」コク ハルヒ「もうお別れね。あたしこっちだから」 長門「……」コク ハルヒ「また、明日ね。ばいばい」 長門「また」 ~次の日~ 長門「遅い。今日はあなたの奢り」 ハルヒ「遅いって、まだ十一時前じゃない?」 長門「あなたはいつも彼に同じ台詞を言ってる」 ハルヒ「それはそうだけど……」 長門「だけど?」 ハルヒ「だけど……なんでもない」 長門「そう。奢りは嘘だから気にしなくていい」 ハルヒ「いや、おごるわよ」 長門「いい。代わりにそのうちまたカレーを作ってもらう」 ハルヒ「有希がそれでいいなら」 長門「それがいい」 ハルヒ「わかったわ。それじゃ行きましょ?」 長門「……」コク ハルヒ「どっか行きたいとこある?」 長門「よくわからない」 ハルヒ「実はあたしも特にないのよ」 長門「……」ジー ハルヒ「だ、だって昨日の今日よ?」 長門「……あなたには誘った責任がある」 ハルヒ「分かったわよ。……えっと~……そうだ!」 長門「決まった?」 ハルヒ「この辺りは団活で散々練り歩いたでしょ?」 長門「……」コク ハルヒ「そして今、あたしたちは駅前にいます」 長門「……」コク ハルヒ「なのでどっか行きます」 長門「……」 ハルヒ「な、なによ」 長門「振り出しに戻っただけ」 ハルヒ「だから!電車乗って知らない街に行って色々見て回るのよ」 長門「色々?」 ハルヒ「そうよ。なんか美味しいものあるかもしれないでしょ?」 長門「わかった」キラ ハルヒ「それじゃ切符買いに行くわよ」 ~駅にて~ ハルヒ「有希、頭のなかで数字思い浮かべて?」 長門「数字?」 ハルヒ「そう、なんでもいいわ」 長門「浮かんだ」 ハルヒ「いくつ?」 長門「百」 ハルヒ「却下」 長門「……」 ハルヒ「ニから十まで」 長門「なら、四」 ハルヒ「それじゃあここから四つ先の駅で降りましょ」 長門「わかった」 ~目的地にて~ ハルヒ「なんていうか。意外に街ね」 長門「そう」 ハルヒ「有希は初めて?」 長門「……」コク ハルヒ「そっか。あたしも初めて」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「お腹減ったの?」 長門「……」コク ハルヒ「じゃあ先にお昼にしましょうか。なに食べたい?」 長門「……あれ」 ハルヒ「あれ?……バイキング」 長門「行く」トテトテ ハルヒ「わかったわよって、ちょっと置いてかないでよ!」パタパタ ~バイキングにて~ 長門「……」モグモグ ハルヒ「まだ入るの?」 長門「次を盛ってくる」 ハルヒ「あたしはアイス食べて終わりにする」 長門「そう」 ハルヒ「この後は、さっき可愛い服屋さん見つけたから有希の服選びましょ」 長門「服?」 ハルヒ「だって有希の部屋って、私服全く置いてないんだもの」 長門「ない」 ハルヒ「だから、古着屋とかでもいいから色々探して見ましょうよ」 長門「わかった」 ハルヒ「で、まだ食べるの?」 長門「後はデザート」 ハルヒ「もう好きにして」 ~商店街にて~ ハルヒ「結局1時間半きっかり食べてたわね」 長門「満腹」 ハルヒ「よかったわね」 長門「……」コク ハルヒ「それじゃ、服見に行きましょ」 長門「わかった」 ハルヒ「なんとなく有希に似合いそうなのがあったのよ」 長門「そう」 ハルヒ「そうなの♪有希ももうちょっと可愛くするべきよ」 長門「あなたは?」 ハルヒ「あたしはこれでも結構モテるのよ。ナンパもひっきりなしなんだから」 長門「……そう」 ハルヒ「なによ今の間は?」 長門「少し哀れんだ」 ハルヒ「有希じゃなかったらひっぱたいてたわね」 長門「そう」 ハルヒ「あたしの心の広さに感謝なさい」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あっ、ちょっと待ちなさいよ」 ~古着屋~ 長門「ここ?」 ハルヒ「そうよ。電車の窓から見えたの」 長門「そう」 ハルヒ「あっ!これこれ。有希ちょっと来て」 長門「?」トテトテ ハルヒ「これよ、これ。結構生地薄いわね。でもいいわ」 長門「これは?」 ハルヒ「ちょっと着てみなさいよ」 長門「……」 ハルヒ「こうして胸元のチャック少し下ろして」 長門「……」 ハルヒ「フード被って」 長門「……」 ハルヒ「ほら鏡の前に立ってみて」 長門「耳」 ハルヒ「そうなのよ!このパーカーどう?この犬とも猫とれない微妙な耳!今日の有希がスカートで良かったわ」 長門「よくわからない」 ハルヒ「なに言ってんのよ。すごく似合ってるわよ。値段も手ごろだし」 長門「そう」 ハルヒ「店員さん!これ頂戴!」 長門「まだ買うとは言ってない」 ハルヒ「あたしが買ったげるわ。いつも有希には助けてもらってるし」 長門「?そんな覚えはない」 ハルヒ「こっちの話よ。おとなしくおごられなさい?」 長門「……わかった」 ハルヒ「任しといて!」 店員「そちらの商品ですか?」 ハルヒ「そうです。これもうちょっと安くなりませんか?」 店員「え~と、これでも安くしてる方なんですよ」 ハルヒ「そこをなんとか!」 店員「う~ん……わかりました」 ハルヒ「やった!」 店員「ただし、また今度友達でも連れてきてくださいね?」ニコ ハルヒ「わかりました!」 ハルヒ「有希。今度はみくるちゃんとかも連れて来ましょ?」 長門「構わない」 店員「よろしくね。それじゃあ二千五百円になります」 ハルヒ「はい」 店員「丁度頂きます。またのお越しを」 ハルヒ「今何時?」 長門「十五時半すぎ」 ハルヒ「そんなもんか。そういえばさっきのお店のBGMなんか良かったはね」 長門「あれはFriendly Fi○es」 ハルヒ「え!知ってるの?」 長門「たまたま」 ハルヒ「有希ってああいう洋楽っぽいの聴くんだ」 長門「私が聴くわけではない。以前、古泉一樹が聴いていた」 ハルヒ「へぇ~、古泉君が。でもなんか似合うわね。キョンが聴いてたらなんだか、背伸びしてるみたいで似合わないもの」 長門「そう」 ハルヒ「そうだ有希、CD見ていこ」 長門「……」コク ~二時間後~ ハルヒ「もう六時か」 長門「夕暮れ」 ハルヒ「もう地元に帰りましょうか」 長門「そうする」 ハルヒ「……」トテトテ 長門「……」トテトテ ハルヒ「今日は楽しかった?」 長門「悪くなかった」 ハルヒ「厳しいわね」 長門「つまらないとは言ってない」 ハルヒ「はいはい。次はちゃんと面白そうなこと探しとくわよ」 長門「期待している」 ハルヒ「わかったわよ」 ~帰り道にて~ 長門「疲れた」 ハルヒ「そうね、歩き疲れたわ。それに色々買ったし」 長門「……重い」トテトテ ハルヒ「後は帰るだけね」 長門「……」コク ???「もうこんな時間か。ついでだしどっかで飯でも食ってくか?」 ???「そうだね。家の人に夕飯はいらないと連絡しておくよ。しかしついでとは失礼じゃないかい?」 ???「ん?そうか?次は気をつけるよ」 ???「全く君ってやつは」 ハルヒ「あれ?今の声って?」 長門(間の悪さも異常) ???「くつくつ。ところで美味しい店をちゃんと知ってるんだろうね、キョン?僕の舌は以外にグルメだよ?」 キョン「そういわれてもなあ。自称グルメの佐々木と違って、俺の舌はあくまで一般のものなんだが」 佐々木「まあいいよ。きっとキョンと一緒ならどこでも美味しく感じる」 キョン「またそうやってプレッシャーを」 佐々木「くつくつ」 ハルヒ「……なによあれ」 長門「彼と彼の中学時代の友人のはず」 ハルヒ「手なんか繋いで、どう見てもデートじゃない」ジワ 長門「まだ分からない」 ハルヒ「どう分からないのよ!団活サボって!高校生の男女がこんな時間まで!二人でいて、手も繋い、で……どう見てもデートじゃない!」ポロ 長門「落ち着いて」 ハルヒ「ゴメン。……有希に当たっても仕方ないのに」ポロポロ 長門「別に平気」 長門(精神状態が非常に不安定。古泉一樹の健闘を祈る) ハルヒ「あいつ、彼女なんて影も形もないって言ってたくせに……」ポロポロ 長門「……」 ハルヒ「……今から有希の家行っていい?こんな顔して家帰れないわ」 長門「構わない」 ハルヒ「……ごめん、ね」ポロポロ ~長門宅にて~ ハルヒ「うん、もう遅いから泊まってく。ちゃんと明日中に帰るから。へ?違うわよ。長門有希って。前話したでしょ?あたし、彼氏なんて、いないし……うん、心配しないで。それじゃあおやすみ」 長門「おわった?」 ハルヒ「大丈夫よ。なんかお母さん、あたしが男のところに泊まると思ってたみたい」 長門「そう」 ハルヒ「笑っちゃうわよね。彼氏どころか失恋直後だっていうのに」 長門(以前のように閉鎖空間が発動しない。何故?) ハルヒ「あ~あ。月曜からどんな顔して会えばいいのよ」 長門(精神状態も安定しはじめてる) ハルヒ「ほんと、久しぶりにボロ泣きしたわ」 長門「……」 ハルヒ「ねぇ、有希」 長門「何?」 ハルヒ「あたし、どうしたらいいかな?」 長門「どうとは?」 ハルヒ「実際あたしの一方的な片思いだったわけじゃない?」 長門「それはまだ分からない」 ハルヒ「いいのよ。もう慰めてくれなくて」 長門「以前行った通り、彼の鈍さは異常。一緒にいた異性はほんとに友達かもしれない」 ハルヒ「もういいって」 長門「よくない」 ハルヒ「もういいのよ!」 長門「私はあなたに元気になってほしい」 ハルヒ「……大丈夫よ、あたし強いから」 長門「それは表向き」 ハルヒ「……」 長門「私の知ってるあなたは優しく、脆弱」 ハルヒ「有希……」ポロポロ 長門「あきらめるのは早い」 ハルヒ「有希、有希。う、うぅぅぅ~」ポロポロ 長門「私はあなたの友達」 ハルヒ「うぅっ、うっ、あ、ありが、とう」ポロポロ 長門「……大丈夫」ギュ 長門「落ち着いた?」 ハルヒ「……うん。ぐす。大丈夫」チーン 長門「そう」 ハルヒ「……今日、一緒に寝よ?」グス 長門「いい」 ハルヒ「どっちのいいなのよ?」グス 長門「肯定」 ハルヒ「分かったわ。……きっと一晩寝たら元気になる」 長門「そう」 ハルヒ「うん。あ、それと」 長門「?」 ハルヒ「さっきあたしのこと脆弱って言ったでしょ?言いすぎよ」コツッ 長門「言葉のあや」 ハルヒ「ふふ、今ので許してあげるわ」 長門「助かる」 ハルヒ「シャワー借りていい?」 長門「……」コク ~布団にて~ ハルヒ「はあぁ、有希って暖かーい」 長門「私は苦しい」 ハルヒ「我慢してよ」 長門「なるべくそうする」 ハルヒ「……有希?」 長門「何?」 ハルヒ「だーい好き」ギュ 長門「……悪い気はしない」 ハルヒ「あ~あ、有希になら素直に言えるのに」 長門「そう」 ハルヒ「そうなのよ。……オヤスミ」 長門「オヤスミ」 ~月曜~ ハルヒ(気にしちゃダメよ、涼宮ハルヒ。いつも通り、いつも通りよ) ガラ キョン「おぉ珍しく早いな。どうした?」 ハルヒ「べ、べ、別にどうしよもないわよ」 キョン「?そうか」 キョン「土曜は長門と一緒だったんだろ?どこ行ったんだ?」 ハルヒ(キョンはあのコと朝からいたのかなぁ) キョン「なに、お前と長門の組み合わせでなにをやってるのか、気になってな」 ハルヒ(なんでそんなに普通にしてられるの?) キョン「お~い。聞いてるのか?」 ハルヒ「キョ、キョン!?」 キョン「ん、なんだ?」 ハルヒ「一昨日、有希と一緒に歩いてたら……駅前で……」 キョン「駅前で?」 ハルヒ「あ、あんたが……その、女の子と歩いてるの見たんだけど……」 キョン「ん?あーその、見られたか」 ハルヒ「そりゃ、あんな地元ならね」 キョン「だよな」 ハルヒ「……彼女?」 キョン「いや、ただの腐れ縁の友達だったんだ」 ハルヒ「だった?」 キョン「あの時点まではな。あの後帰り道でな、まあ、恥ずかしい話だが告られたんだ」 ハルヒ「!!!」 ハルヒ「そ、それで?」 キョン「で、一週間後にまた会おうって。その時に答えがほしいって、言われた」 ハルヒ(いっ、一週間!?長すぎ!生きた心地しないじゃない) ハルヒ「それで、どうするの?」 キョン「さぁな、せっかく一週間も猶予もらったんだ。ゆっくり考えるさ」 ハルヒ「あんた、そのコのこと……好きなの?」 キョン「あぁ、大事な友達だからな。嫌いになれるはずがない」 ハルヒ「……そう」 キョン「?」 ~昼休み~ 長門「普段どおりどころか、根掘り葉掘り聞いたと?」 ハルヒ「ウン……聞いた」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「あなたはどうする?」 ハルヒ「わかんない」 長門「そう」 ハルヒ「どうすればいいかな?」 長門「私には分からない」 ハルヒ「……」 長門「でも、悔いは残さないほうがいい」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「そうだよね。別にまだ付き合ってるわけじゃないし」 長門「……」 ハルヒ「あたしも答えを出す」 長門「そう」 ハルヒ「いますぐ言う勇気はないけど、きっと……明日言うわ」 長門「頑張って」 ハルヒ「うん。ありがと有希。また放課後ね」 長門「また」 ガチャ 長門「……」 ガチャ 古泉「やってくれましたね」 長門「古泉一樹」 古泉「長門さん、下手をしたら世界が一瞬で改変することになりますよ」 長門「……」 古泉「なぜあんな軽率なことを?」 長門「土曜の夜」 古泉「は?」 長門「閉鎖空間は発生した?」 古泉「大規模なのが一つ。でも一分もたたずに消えましたよ」 長門「そう」 古泉「なにがあったんです?」 長門「……」 古泉「なるほど。そんなことが」 長門「最近の涼宮ハルヒの精神は、非常に落ち着いていた」 古泉「あくまで個人的な推論ですが」 長門「何?」 古泉「原因はあなたかも知れませんね」 長門「?」 古泉「もしかすると結果がダメでも」 長門「まだ分からない」 古泉「あくまで過程ですよ。恐らく告白が失敗に終っても、改変は行われないでしょう」 長門「……」 古泉「彼女のここ最近のあなたへの依存度は高い」 長門「……」 古泉「長門さんとの触れ合いで、彼女の精神が成長したと考えると多少つじつまが合います」 長門「成長?」 古泉「えぇ。実は土曜日の閉鎖空間は、大小あわせて実に四十九日ぶりのものでした」 長門「……」 古泉「わずかですが、感情のコントロールが可能になってきてるとみていいでしょう」 長門「そう」 古泉「今回の件、機関のほうでどうされるか分かりませんが、僕は関与しないようにします。では」 ガチャ 古泉(しかしこの場合。鍵が彼ではなく長門さんに移るということになる。厄介ですね) ~帰り道~ ハルヒ「明日、あいつに言ってみる」 長門「そう」 ハルヒ「これでダメなら諦めるわ」 長門「本当に?」 ハルヒ「……頑張る。それ以上に迷惑かけてSOS団がおかしくなっちゃうのは、嫌だし」 長門「……」 ハルヒ「なんか言ってくれないの?頑張れ、とか、きっと大丈夫、とか」 長門「せいぜいフラれてくるといい」 ハルヒ「有希!怒るわよ!」 長門「冗談。でもそのくらいの元気があなたには必要」 ハルヒ「ちょっとはTPOを考えなさいよ」 長門「気をつけてみる」 ハルヒ「有希?」 長門「?」 ハルヒ「あたしたちって、親友、よね?」 長門「親友?」 ハルヒ「そうやって聞き返されると、なんか恥ずかしいんだけど」 長門「私は一向に構わない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「私の言葉を信じられないなら親友ではない」 ハルヒ「た、ただ確認しただけじゃない」 長門「そう」 ハルヒ「あらためて、これからもよろしくね?あたしの親友」 長門「こちらこそ」 ~Fin~ ~次の日の昼休み~ ハルヒ「キョン!!」 キョン「おう。どうした?」 ハルヒ「後で話しがあるのよ。だから放課後、部室行く前に屋上に来なさい!」 キョン「ここじゃ言えんのか」 ハルヒ「放課後ったら放課後なのよ!いい?必ず……必ず来るのよ」 キョン「あぁ?わかった」 ハルヒ「じゃあ、あたし行くとこあるから」ダッ キョン「行っちまった」 ~部室にて~ 長門「放課後?」 ハルヒ「呼び出した」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……もし」 長門「?」 ハルヒ「もしダメだったどうしよう」 長門「諦めるのでは?」 ハルヒ「……出来るかな」 長門「私はあなたではない」 ハルヒ「あたし、中学時代から告白されることはあった」 長門「……」 ハルヒ「今でもたまにあるわ」 長門「自慢?」 ハルヒ「そうじゃなくて、いざ自分もされる側から、する側になるとこんなにも違うんだなぁって」 長門「……」 ハルヒ「もうこのまま、ここからいなくなっちゃいたいわ」 長門「もう弱気?」 ハルヒ「……」 長門「いつものあなたではない」 ハルヒ「あたしだって……なんだかんだ普通の女の子なのよ」 長門「普通?」 ハルヒ「普通よ。お腹だってすくし、試験前は勉強するし、友達と一緒に遊びたい。……どうしよもなく好きなやつだっている」 長門「……」 ハルヒ「一番嫌ってた普通をあたしがしっかり体現してるの。おかしいわよね」 長門「そんなことはない」 ハルヒ「ありがと」 長門「……」フルフル ハルヒ「とにかく、そういうことだから今日の部活遅れるわ」 長門「わかった」 ハルヒ「昼休み終るからもう行くわね」 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「なに?」 長門「健闘を」 ハルヒ「ありがと、有希」 ガチャ 長門(……頑張って) ~放課後の屋上にて~ ハルヒ(キョン、あんたのことが好きなの) ハルヒ(なんかシンプルすぎるわね) ハルヒ(あんたをあたしの彼氏にしてあげるわ。感謝なさい!) ハルヒ(だ、ダメよ。これのどこが素直なのよ) ハルヒ(一人じゃ勇気出ない。今から有希を呼びに……それもダメよね) ハルヒ(どうしようどうしようどうしよう) ハルヒ(やっぱり止めればよかったかな?) ドクンドクン ハルヒ(あぁ~もう!心臓がうるさい!) ガチャ ハルヒ「!!!」 キョン「おう。待たせたな。なんか谷口のやつに絡まれてな」 ハルヒ「そ、そう」 キョン「それで、話ってなんだ?」 ハルヒ「……」 キョン「他の連中に聞かれたくない話なんだろ?」 ハルヒ(……キョン) キョン「まあ、これで案外口が堅い方なんだ」 ハルヒ(キョン) キョン「だから信用してくれていいぞ?」 ハルヒ(なんであんたは、そんなにあたしに優しくしてくれるのよ) キョン「……そんなに言いづらいことか」 ハルヒ(あんたがあたしに構ってくれたせいで) キョン「大丈夫か?」 ハルヒ(あんたのせいなんだから) キョン「おい、顔真っ赤じゃないか?熱でもあるのか」 ハルヒ(とっくに頭に血が上りきってるわよ) キョン「別に無理しなくていいぞ?」 ハルヒ「無理なんかじゃない!!!」 キョン「うぉ!いきなり大声出すなよ」 ハルヒ「キョン!聞いて!」 キョン「さっきから聞いてるって」 ハルヒ「最初はそんなことなかった」 キョン「?」 ハルヒ「あんたの提案でSOS団を作って、今のみんなが集まった」 キョン「……」 ハルヒ「あたしがわがまま言ったときも、あんたは口では文句言いながらも着いてきてくれた」 キョン「わがままな自覚はあったんだな」 ハルヒ「お願いだから、今は変な横槍いれないで」 キョン「すまん」 ハルヒ「みんなと、あんたと出会って一年。色んなことがあった」 キョン「……」 ハルヒ「昨日あんたが昔の友達に告白されたって言ったわよね?」 キョン「あぁ」 ハルヒ「それを聞いて、あたしは、生きた心地がしなかった」 キョン(そういうことかよ) ハルヒ「あたしは、あたしは……」 キョン「……」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「あたしは、あんたのことが好きなの。好きになっちゃったのよ」 キョン「……そうか」 ~部室にて~ キョン「遅くなったな」 古泉「今日は随分遅かったですね」 キョン「あぁ。野暮用があってな」 長門「……」 古泉「そうでしたか。ご苦労様です」 キョン「男からの労いの言葉はないな」 古泉「それはすいません」 みくる「あのぉ~」 キョン「なんですか?」 みくる「涼宮さんは一緒じゃないんですかぁ?」 長門「……」 古泉「……」 キョン「……あいつは。……長門」 長門「何?」 キョン「ちょっと廊下にいいか?」 長門「……」コク 古泉(長門さん、後は頼みましたよ) ガチャ キョン「あのよ、あいつ今屋上にいるんだ」 長門「……」 キョン「あいつのそばに行ってやってくれないか?」 長門「何故」 キョン「ん?」 長門「何故、彼女ではダメだったの?」 キョン「なんだ、知ってたのか」 長門「何故?」 キョン「先に好きになっちまったやつがいるんだ。ほんとに、ただそれだけだ」 長門「そう。行ってくる」タタッ キョン(悪いな) ~屋上にて~ ガチャ!! 長門「……」 ハルヒ「あ、有希じゃない。どうしたの?」 長門「……彼から聞いた」 ハルヒ「そっか。隣座んない?」 長門「……」コク ハルヒ「うん、ダメだった」 長門「そう」 ハルヒ「正直ちょっと、いや違うわね。かなり落ち込んでるわ」 長門「……」 ハルヒ「そりゃね、少しはいけるんじゃないかな?って期待もあったのよ」 長門「……」 ハルヒ「でもね、ダメだった。ダメだったのよ」ジワ 長門「……」 ハルヒ「やっぱり人並みに普通なんか求めたからかなぁ」 長門「……」 ハルヒ「ねぇ、有希。なんか言ってよ」 長門「私には何を言っていいか分からない」 ハルヒ「なんでもいいわよ。有希の言葉は何でもあたしに届くわ」 長門「……なら、前言撤回する」 ハルヒ「え?」 長門「あなたは弱くない。とても強い」 ハルヒ「……強くないわよ」 長門「そんなことはない」 ハルヒ「……」ポロ 長門「もっと胸を張るべき」 ハルヒ「それはちょっと出来ないわ」 長門「……そう」 ハルヒ「失恋ってこんなに辛いのね」 長門「私には経験がない」 ハルヒ「自慢?」 長門「違う。恋愛経験そのもの」 ハルヒ「そうなんだ」 長門「そう」 ハルヒ「……あいつ、この間のコのことが好きなんだって」 長門「そう」 ハルヒ「それでね聞いたの」 長門「何を?」 ハルヒ「変に未練がましくしたくなかったけど、もし、もしよ?」 長門「……」 ハルヒ「あたしが先に告白してたらどうだった?って」 長門「……」 ハルヒ「それでもダメだって」 長門「そう」 ハルヒ「でも、そこで肯定されたら、あいつ女なら誰でもいいってなっちゃうじゃない?」 長門「それなら私にも可能性はあった」 ハルヒ「こら」コツ 長門「ジョーク」 ハルヒ「もう。……それでね」 長門「……」 ハルヒ「それであたし良かった、って思ったのよ」 長門「?」 ハルヒ「あたしの好きになったやつは、そういう真っ直ぐな人だったわけじゃない?」 長門「……」 ハルヒ「あたしは間違えてなかったんだなぁ、って。こいつを好きになって良かったんだ、って」 長門「そう」 ハルヒ「それでね……有希、あたしのこと褒めて?」 長門「褒める?」 ハルヒ「うん。あたしね……泣かなかったの。悔しいからあいつの前では泣かなかったの」ポロポロ 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「泣きた、かった、けど、な、泣かなかったの」ポロポロ 長門「やっぱりあなたは強い」 ハルヒ「もう、うっ、泣いて、ヒック、いいよね」ポロポロ 長門「構わない。私しかいない」ギュ ハルヒ「あたし、や、やっぱり、あいつのこ、と、うっ、好きなのよ」ポロポロ 長門「そう」 ハルヒ「うっ、ヒック、うぅぅ~」ポロポロ 長門「……」ギュ ハルヒ「なんだかあたし泣いてばっかりね」グス 長門「いい」 ハルヒ「こんな情けない顔して部活行けないわね」 長門「そう」 ハルヒ「古泉君に行けないってメールしとく」 長門「わかった。私は鞄を持ってくる」 ハルヒ「うん。校門でね」 長門「……」コク ~部室にて~ ガチャ 古泉「おかえりなさい、長門さん」 長門(古泉一樹がここにいるということは) 古泉「えぇ。あなたのおかげですよ」 長門「!」 古泉「いつぞやのお返しですよ」ニコ 長門「そう」 キョン「長門……」 長門「大丈夫。でも今日はもう帰る」 キョン「そうか。わかった。よろしくな」 長門「……」コク ガチャ みくる「え?あのぉ~、どういうことですかぁ?」 古泉「ふむ。朝比奈さんがご存知ないということは、今回のことは未来で想定の範囲内ということですか」 みくる「ふぇ?」 キョン「おい、古泉。お前もしかして」 古泉「いったいどうしました?」ニコ キョン「……なんでもねぇよ」 みくる「わ、わたしにも教えてくださいよぉ~」 ~帰り道にて~ 長門「待たせた」 ハルヒ「全然」 長門「そう」 ハルヒ「さっ、帰りましょ?」 長門「今日は私の家に?」 ハルヒ「ありがとう。でも大丈夫よ」 長門「そう」 ハルヒ「一人で頭冷やしてるわ」 長門「わかった」 ハルヒ「多分、泣いちゃうと思うけど」 長門「そう」 ハルヒ「もし辛くて、辛くてどうしようもなくなったら……電話してもいい?」 長門「構わない」 ハルヒ「真夜中かもしれないわよ?」 長門「大丈夫。眠かったら無視する」 ハルヒ「有希のブラックジョークにも慣れてきたわ」 長門「それは困る」 ハルヒ「なんでよ」 長門「あなたの反応はユニーク」 ハルヒ「勝手に言ってなさい」 長門「そうする」 ハルヒ「……もしあたしが明日学校に来なくっても、心配しないでね?」 長門「する。当然」 ハルヒ「大丈夫よ。もしかしたら一日くらい落ち込んでないと、やってらんないかもしれないし」 長門「……」 ハルヒ「それで、伝言をお願い」 長門「伝言?」 ハルヒ「もしかしたら、みくるちゃんは分かんないけど、古泉君って勘が鋭いから今回のこと分かっちゃうかもしれない」 長門「……」コク ハルヒ「気を使わないで、って。普段どおりにしててほしいの」 長門「わかった。伝える」 ハルヒ「もちろん、有希もね」 長門「わかった。……彼は?」 ハルヒ「あいつは自分でなんとかするわ?自分で蒔いた種だもの」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 ハルヒ「それじゃあ、またね」 長門「……」コク ハルヒ「ちゃんと元通りになってくるから」 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「ん?なに?」 長門(感じていることを上手く言語化できない) ハルヒ「?」 長門「今日はお疲れ様」 ハルヒ「?変な有希」 長門「それはお互い様」 ハルヒ「あっそう」 長門「そう」 ハルヒ「ふふ♪こんどこそ、またね」 長門「また、明日」 ~次の日の朝~ キョン(昨日の今日だし顔合わすのは辛いな) ガラガラ ハルヒ「……おはよ」 キョン「お、おう」 ハルヒ「……」 キョン「……」 キョン(ダメだ、耐えられん) ハルヒ(……今言わないと) ハルヒ・キョン『き、昨日のことだけど』 キョン「あ」 ハルヒ「な」 キョン「あ、あぁっと。先いいぞ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒ「昨日のことだけどね、やっぱり忘れてなんて言えない。言いたくない。でもね、気にしないでほしいのよ」 キョン「……」 ハルヒ「あたしたちがギクシャクしたら、SOS団にも迷惑かかる」 キョン「そうだな」 ハルヒ「だから今まで通りでいてほしいの。あたしが馬鹿やったら、あんたがそれを止めて、有希や古泉君に助けてもらって、みくるちゃんは……よくわかんない」 キョン「それは朝比奈さんに失礼だろ?」 ハルヒ「冗談よ」 キョン「ったく、とはいえそれには賛成だ」 ハルヒ「……」 キョン「虫のいい話だが、俺も同じ事を言おうと思っていた」 ハルヒ「うん」 キョン「そういうわけだ。これからもよろしくな。団長さん?」 ハルヒ「よろしく。今まで以上に引っ張りまわしてやるわ」ニコ キョン「それは勘弁してくれ」 ~放課後・部室にて~ ハルヒ「昨日は来れなくって悪かったわね!」 古泉「いえいえ。団長にも休みは必要ですよ」 みくる「はい、涼宮さん。お茶です」 ハルヒ「ありがと。そうだ、みくるちゃん!」 みくる「ふぇ?なんですかぁ?」 ハルヒ「昨日、ネットで面白いもの見つけたのよ!」 みくる「面白いものですかぁ?」 ハルヒ「ふふ、そのうち届くから楽しみにしといてね」ニヤ みくる「なんだか、笑い顔が怖いですよぉ~」アセ ハルヒ「それと今週末も団活は中止」 古泉「おや?」 ハルヒ「キョンが用事あるんだって。でしょ?」 キョン「あぁ、悪いな」 ハルヒ「悪いと思ってるなら今すぐにみんなにジュース買って来なさい。あたしは百パーセントのオレンジね」 キョン「な!」 古泉「ぼくはコーヒーを。微糖がいいですね」 キョン「おい」 長門「カルピス」 キョン「長門まで」 みくる「わ、わたしは何でもいいですよぉ」 キョン「はぁ、分かったよ」 ガチャ ハルヒ「みくるちゃん、ちょっと用事があるから一緒に来て」 みくる「は、はい」 ガチャ 古泉「僕たちだけになりましたね」 長門「……」ペラ 古泉「どんな魔法を使ったんです?」 長門「情報操作しか出来ない」 古泉「比喩ですよ。今回は過去最大級の閉鎖空間が発動すると、機関のほうでも準備していました」 長門「……」 古泉「だけどあなたはそれをくい止めた」 長門「……」 古泉「とてもありがたいことですが、それは同時に脅威でもあります」 長門「何もしていない」 古泉「ご冗談を」 長門「本当。これは涼宮ハルヒの精神の強さ」 古泉「しかし」 長門「それがわからないのであれば、機関の観察力も程度がしれる」 古泉「言ってくれますね」 長門「事実」 古泉「そういうことにしておきましょう」 長門「……」 古泉「最後に一ついいですか?」 長門「何?」 古泉「あなた個人への質問です。あなたにとって涼宮ハルヒとはなんなんですか?」 長門「親友」 古泉「しかし、あなたは正確には人間ではない」 長門「それでも彼女にそう望まれた。なら拒む理由はない」 古泉「彼女には逆らわないと?」 長門「違う。これは私の意思でもある」 古泉「……分かりました。失礼なことを聞いて申し訳ありません」 長門「いい」 古泉「僕の見立てでは、彼女の新しい鍵はあなたです。どうか彼女を裏切らないでやってくださいね?」 長門「心配いらない。涼宮ハルヒは私の親友。彼女は私が守る」 ~Fin~
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~部室にて~ 長門「……」ペラ ハルヒ「有希、明日遊びいきましょ」 長門「明日は土曜、団活がある」 ハルヒ「なんだかキョンが、ど~しても外せない用事があるらしいのよ」 長門「用事?」 ハルヒ「そうなのよ。団長であるあたしに理由も話さないのよ」 長門「その用事が理由だと思われる」 ハルヒ「わ、分かってるわよ!あたしが言いたいのは」 長門「言いたいことは分かる。でもそれはプライベート」 ハルヒ「それは分かるけど……」 長門「なら今回は仕方ない」 ハルヒ「とにかく!団員が揃わないから明日の団活は中止よ」 長門「そう」 ハルヒ「だから……遊び行かない?」 長門「二人で?」 ハルヒ「そう二人で。どっかいきましょ」 長門「どっかとは?」 ハルヒ「どっかよ」 長門「そう」 ハルヒ「行き当たりばったりでもいいじゃない」 長門「……」 ハルヒ「……それとも行きたくない?」 長門「……」フルフル ハルヒ「なら決まりね!時間とかは後でメールして決めましょう」 長門「……」コク ハルヒ「ところで、さっきからなに読んでるの?」 長門「これ」 ハルヒ「『僕らが死体を拾○わけ』?気味の悪いタイトルね。ホラーかサスペンス?」 長門「最初はそう思って借りた」 ハルヒ「最初は?」 長門「そう。実際は体験談中心の博物誌」 ハルヒ「面白いの?」 長門「ユニーク」 ハルヒ「ふーん」 長門「……」ペラ ハルヒ「そういえば、有希って休みの日はなにしてるの?」 長門「家にいる」 ハルヒ「出かけたりしないの?」 長門「たまに」 ハルヒ「どこ行くの?」 長門「図書館」 ハルヒ「……まぁ、予想どうりの答えね」 長門「そう。あなたは?」 ハルヒ「あたし?」 長門「……」コク ハルヒ「街を散策してるわ。団長たるもの、休みの日でも不思議探索を欠かさないのよ」 長門「実際は?」ペラ ハルヒ「……小物とか服とか探しまわってる」 長門「そう」ペラ ハルヒ「べ、別にいいじゃない!休みの日くらい」 長門「何も言っていない」 ハルヒ「うっ、とりあえずみんなにはいわないでね?」 長門「善処する」 ハルヒ「頼むわよ、こんなこと言えるの有希だけなんだから」 長門「……」コク ハルヒ「それにしてもみんな遅いわね」 長門「……」ペラ ハルヒ「なんか聞いてる?」 長門『何も』 ガチャ キョン「悪い遅れた」 ハルヒ「ちょっと遅いわよ、キョン」 キョン「だから、悪いって。それに同じクラスなんだし俺が掃除当番なの知ってるだろ?」 ハルヒ「知ってるわよそんなの、でも遅いのよ」 キョン「おまえは人と会話する気あるか?」 ハルヒ「後は、古泉君とみくるちゃんね」 キョン「はぁ、もういい」 ガチャ 古泉「遅くなりました」 ハルヒ「あ、古泉くん」 古泉「少し職員室に寄っていまして」 ハルヒ「構わないわ。後はみくるちゃんね」 キョン「なんだ、古泉には苦言しないのか?」 ハルヒ「は?ちゃんと理由があるじゃない」 キョン「……」 ハルヒ「しいて言うなら、副団長とヒラの人徳の差かしら」 キョン「ふん、言ってろ」 古泉「まあまあ、お二人とも。僕のためにケンカしないで下さい」 キョン「お前な」 古泉「んふ。冗談ですよ」 キョン「ったく」 カチャ みくる「遅れちゃいましたぁ~」 ハルヒ「遅いわよ!みくるちゃん」 キョン「みんな今来たばかりだから大丈夫ですよ」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「みくるちゃんには優しいのね?」 キョン「さぁな、誰かさんと比べた人徳の差じゃないのか?」 ハルヒ「……」 キョン「ふん」 みくる「え~と、着替えるんでキョン君と古泉君、部屋出てもらっていいですかぁ?」 キョン・古泉「分かりました」 ガチャ ハルヒ「なによ!キョンのやつ」 長門「……」ペラ みくる(うぅ~、涼宮さん機嫌が悪いみたいですぅ) ハルヒ「ねぇ有希!どう思う!?」 長門「しいて言うならあなたに非がある」 ハルヒ「!?」 みくる(な、長門さん!?) 長門「彼といる時のあなたの態度は、あまり良くない」 みくる(そんなこと言ったら涼宮さんが……) ハルヒ「……そうかなぁ」 長門「そう」 みくる「?」 ハルヒ「……分かった、気をつけてみる」 長門「その方が賢明」 ハルヒ「一言多いのよ」 長門「……」ペラ みくる(あれ?) コンコン キョン『朝比奈さん。もういいですか?』 みくる「あっ、どうぞぉ」 ガチャ 古泉「さて涼宮さん。今日は何を?」 ハルヒ「まず、明日の団活は中止にするわ」 みくる「じゃあ、お休みですねぇ」 ハルヒ「そう、誰かさんが出れなくて欠員がでちゃうからね」 長門「……」ジー ハルヒ(あっ、やっちゃた) キョン「悪かったな」 古泉「おや、どちらかへ行かれるんですか?」 キョン「あぁ、ちょっと中学時代の友達とな」 ハルヒ「なんで古泉君には言うのよ!」 キョン「いちいち突っかかってくるなよ。友達に会うだけだし、言ったところで誰だか知らないだろ」 長門「……」ジー ハルヒ(そんなに見なくても分かってるわよ、有希) キョン「それより、古泉。今日はなにをやるか?」 古泉「……ふぅ、あなたと言う人は。まったく」 キョン「なんだ?」 古泉「いえ、何でも」 みくる「涼宮さんは土曜はどうされるんですかぁ?」 ハルヒ「有希と遊びに行くわ」 みくる「えぇぇ~!ほんとですかぁ?」 ハルヒ「ほんとよ。ねぇ、有希?」 長門「……」コク 古泉「……」 キョン「どうした、古泉?」 古泉「いや、珍しい組み合わせだなと」 キョン「たしかにそうだな」 古泉(まさか長門さんが直接彼女へのコンタクトを取りに?) 長門「それは考えすぎ」 古泉「おっと、ばれましたか」 長門「これは普通の交友関係」 古泉「それはそれは。余計な詮索をしてすいません」 ハルヒ「みくるちゃんはどうするの?」 みくる「溜まってるレポート(仕事)があるから、それをやりますぅ」 ハルヒ「そうなの?大変ね。古泉君は?」 古泉「僕ですか?う~ん、どうですかね。まだ分かりません」 ハルヒ「デートとかしないの?古泉くんって結構モテそうじゃない」 古泉「デートですか?……そうですね。たまにはいいかもしれません。後で誘ってみます」 キョン「待て古泉。お前彼女いるのか?」 古泉「えぇ」 ハルヒ(い、いたんだ) キョン「俺はそんな話聞いてないぞ!」 古泉「聞かれてませんので」 キョン「全く。いいよな、お前は。俺なんか影も形もないぞ」 ハルヒ「……」 長門「……」 みくる(な、なんてことを) 古泉(これは、流石にあきれますね) キョン「?」 長門「……」バタン キョン「長門、もう帰るのか?」 長門「……」コク ハルヒ「……あたしも一緒に帰る」 長門「わかった」 みくる「わたしは着替えちゃったんで、少しお掃除してから帰りますぅ」 キョン「俺も少し残ってきます。女性を一人残すのは危険ですので」 古泉「なら僕もお供しますよ」 ハルヒ「あっそ、それじゃね……」 古泉(やれやれ、今日は久々にバイトですかね) ガチャ ~帰り道にて~ ハルヒ「……」トボトボ 長門「……」トテトテ ハルヒ「……はぁ」 長門「前にも言った。彼の鈍さは異常」 ハルヒ「べ、別にそれで溜息ついたんじゃないわよ」 長門「あなたにも反省点は多々あった」 ハルヒ「だ、だから」 長門「だから?」 ハルヒ「……キョンは関係ないって」 長門「本当に?」 ハルヒ「……うん」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……やっぱり……ほんとじゃない」 長門「わかってる」 ハルヒ「あいつがいるとなんか落ち着かないのよ。それで思ってることと逆の行動とっちゃうの」 長門「……」 ハルヒ「……どうすればいいんだろう」 長門「私には恋愛の知識はない。だから上手く説明出来ない」 ハルヒ「……」 長門「ただ」 ハルヒ「?」 長門「私といる時のあなたはとても優しい」 ハルヒ「……」 長門「だから感情のコントロールを身に付けるべき」 ハルヒ「コントロールかぁ.まさかそれを有希に言われるとはね」 長門「よくは分からない。ただ、私なりの推論」 ハルヒ「ん~ん。ありがと、有希」 長門「別にいい。友達なら当たり前」 ハルヒ「ふー、有希のおかげで少し楽になったわ」 長門「そう」 ハルヒ「うん。それで明日だけど、何時だったら大丈夫?」 長門「何時でも」 ハルヒ「それじゃあ十一時にいつもの駅前はどう?」 長門「構わない」 ハルヒ「決まりね」 長門「……」コク ハルヒ「もうお別れね。あたしこっちだから」 長門「……」コク ハルヒ「また、明日ね。ばいばい」 長門「また」 ~次の日~ 長門「遅い。今日はあなたの奢り」 ハルヒ「遅いって、まだ十一時前じゃない?」 長門「あなたはいつも彼に同じ台詞を言ってる」 ハルヒ「それはそうだけど……」 長門「だけど?」 ハルヒ「だけど……なんでもない」 長門「そう。奢りは嘘だから気にしなくていい」 ハルヒ「いや、おごるわよ」 長門「いい。代わりにそのうちまたカレーを作ってもらう」 ハルヒ「有希がそれでいいなら」 長門「それがいい」 ハルヒ「わかったわ。それじゃ行きましょ?」 長門「……」コク ハルヒ「どっか行きたいとこある?」 長門「よくわからない」 ハルヒ「実はあたしも特にないのよ」 長門「……」ジー ハルヒ「だ、だって昨日の今日よ?」 長門「……あなたには誘った責任がある」 ハルヒ「分かったわよ。……えっと~……そうだ!」 長門「決まった?」 ハルヒ「この辺りは団活で散々練り歩いたでしょ?」 長門「……」コク ハルヒ「そして今、あたしたちは駅前にいます」 長門「……」コク ハルヒ「なのでどっか行きます」 長門「……」 ハルヒ「な、なによ」 長門「振り出しに戻っただけ」 ハルヒ「だから!電車乗って知らない街に行って色々見て回るのよ」 長門「色々?」 ハルヒ「そうよ。なんか美味しいものあるかもしれないでしょ?」 長門「わかった」キラ ハルヒ「それじゃ切符買いに行くわよ」 ~駅にて~ ハルヒ「有希、頭のなかで数字思い浮かべて?」 長門「数字?」 ハルヒ「そう、なんでもいいわ」 長門「浮かんだ」 ハルヒ「いくつ?」 長門「百」 ハルヒ「却下」 長門「……」 ハルヒ「ニから十まで」 長門「なら、四」 ハルヒ「それじゃあここから四つ先の駅で降りましょ」 長門「わかった」 ~目的地にて~ ハルヒ「なんていうか。意外に街ね」 長門「そう」 ハルヒ「有希は初めて?」 長門「……」コク ハルヒ「そっか。あたしも初めて」 長門「……」グゥ~ ハルヒ「お腹減ったの?」 長門「……」コク ハルヒ「じゃあ先にお昼にしましょうか。なに食べたい?」 長門「……あれ」 ハルヒ「あれ?……バイキング」 長門「行く」トテトテ ハルヒ「わかったわよって、ちょっと置いてかないでよ!」パタパタ ~バイキングにて~ 長門「……」モグモグ ハルヒ「まだ入るの?」 長門「次を盛ってくる」 ハルヒ「あたしはアイス食べて終わりにする」 長門「そう」 ハルヒ「この後は、さっき可愛い服屋さん見つけたから有希の服選びましょ」 長門「服?」 ハルヒ「だって有希の部屋って、私服全く置いてないんだもの」 長門「ない」 ハルヒ「だから、古着屋とかでもいいから色々探して見ましょうよ」 長門「わかった」 ハルヒ「で、まだ食べるの?」 長門「後はデザート」 ハルヒ「もう好きにして」 ~商店街にて~ ハルヒ「結局1時間半きっかり食べてたわね」 長門「満腹」 ハルヒ「よかったわね」 長門「……」コク ハルヒ「それじゃ、服見に行きましょ」 長門「わかった」 ハルヒ「なんとなく有希に似合いそうなのがあったのよ」 長門「そう」 ハルヒ「そうなの♪有希ももうちょっと可愛くするべきよ」 長門「あなたは?」 ハルヒ「あたしはこれでも結構モテるのよ。ナンパもひっきりなしなんだから」 長門「……そう」 ハルヒ「なによ今の間は?」 長門「少し哀れんだ」 ハルヒ「有希じゃなかったらひっぱたいてたわね」 長門「そう」 ハルヒ「あたしの心の広さに感謝なさい」 長門「……」トテトテ ハルヒ「あっ、ちょっと待ちなさいよ」 ~古着屋~ 長門「ここ?」 ハルヒ「そうよ。電車の窓から見えたの」 長門「そう」 ハルヒ「あっ!これこれ。有希ちょっと来て」 長門「?」トテトテ ハルヒ「これよ、これ。結構生地薄いわね。でもいいわ」 長門「これは?」 ハルヒ「ちょっと着てみなさいよ」 長門「……」 ハルヒ「こうして胸元のチャック少し下ろして」 長門「……」 ハルヒ「フード被って」 長門「……」 ハルヒ「ほら鏡の前に立ってみて」 長門「耳」 ハルヒ「そうなのよ!このパーカーどう?この犬とも猫とれない微妙な耳!今日の有希がスカートで良かったわ」 長門「よくわからない」 ハルヒ「なに言ってんのよ。すごく似合ってるわよ。値段も手ごろだし」 長門「そう」 ハルヒ「店員さん!これ頂戴!」 長門「まだ買うとは言ってない」 ハルヒ「あたしが買ったげるわ。いつも有希には助けてもらってるし」 長門「?そんな覚えはない」 ハルヒ「こっちの話よ。おとなしくおごられなさい?」 長門「……わかった」 ハルヒ「任しといて!」 店員「そちらの商品ですか?」 ハルヒ「そうです。これもうちょっと安くなりませんか?」 店員「え~と、これでも安くしてる方なんですよ」 ハルヒ「そこをなんとか!」 店員「う~ん……わかりました」 ハルヒ「やった!」 店員「ただし、また今度友達でも連れてきてくださいね?」ニコ ハルヒ「わかりました!」 ハルヒ「有希。今度はみくるちゃんとかも連れて来ましょ?」 長門「構わない」 店員「よろしくね。それじゃあ二千五百円になります」 ハルヒ「はい」 店員「丁度頂きます。またのお越しを」 ハルヒ「今何時?」 長門「十五時半すぎ」 ハルヒ「そんなもんか。そういえばさっきのお店のBGMなんか良かったはね」 長門「あれはFriendly Fi○es」 ハルヒ「え!知ってるの?」 長門「たまたま」 ハルヒ「有希ってああいう洋楽っぽいの聴くんだ」 長門「私が聴くわけではない。以前、古泉一樹が聴いていた」 ハルヒ「へぇ~、古泉君が。でもなんか似合うわね。キョンが聴いてたらなんだか、背伸びしてるみたいで似合わないもの」 長門「そう」 ハルヒ「そうだ有希、CD見ていこ」 長門「……」コク ~二時間後~ ハルヒ「もう六時か」 長門「夕暮れ」 ハルヒ「もう地元に帰りましょうか」 長門「そうする」 ハルヒ「……」トテトテ 長門「……」トテトテ ハルヒ「今日は楽しかった?」 長門「悪くなかった」 ハルヒ「厳しいわね」 長門「つまらないとは言ってない」 ハルヒ「はいはい。次はちゃんと面白そうなこと探しとくわよ」 長門「期待している」 ハルヒ「わかったわよ」 ~帰り道にて~ 長門「疲れた」 ハルヒ「そうね、歩き疲れたわ。それに色々買ったし」 長門「……重い」トテトテ ハルヒ「後は帰るだけね」 長門「……」コク ???「もうこんな時間か。ついでだしどっかで飯でも食ってくか?」 ???「そうだね。家の人に夕飯はいらないと連絡しておくよ。しかしついでとは失礼じゃないかい?」 ???「ん?そうか?次は気をつけるよ」 ???「全く君ってやつは」 ハルヒ「あれ?今の声って?」 長門(間の悪さも異常) ???「くつくつ。ところで美味しい店をちゃんと知ってるんだろうね、キョン?僕の舌は以外にグルメだよ?」 キョン「そういわれてもなあ。自称グルメの佐々木と違って、俺の舌はあくまで一般のものなんだが」 佐々木「まあいいよ。きっとキョンと一緒ならどこでも美味しく感じる」 キョン「またそうやってプレッシャーを」 佐々木「くつくつ」 ハルヒ「……なによあれ」 長門「彼と彼の中学時代の友人のはず」 ハルヒ「手なんか繋いで、どう見てもデートじゃない」ジワ 長門「まだ分からない」 ハルヒ「どう分からないのよ!団活サボって!高校生の男女がこんな時間まで!二人でいて、手も繋い、で……どう見てもデートじゃない!」ポロ 長門「落ち着いて」 ハルヒ「ゴメン。……有希に当たっても仕方ないのに」ポロポロ 長門「別に平気」 長門(精神状態が非常に不安定。古泉一樹の健闘を祈る) ハルヒ「あいつ、彼女なんて影も形もないって言ってたくせに……」ポロポロ 長門「……」 ハルヒ「……今から有希の家行っていい?こんな顔して家帰れないわ」 長門「構わない」 ハルヒ「……ごめん、ね」ポロポロ ~長門宅にて~ ハルヒ「うん、もう遅いから泊まってく。ちゃんと明日中に帰るから。へ?違うわよ。長門有希って。前話したでしょ?あたし、彼氏なんて、いないし……うん、心配しないで。それじゃあおやすみ」 長門「おわった?」 ハルヒ「大丈夫よ。なんかお母さん、あたしが男のところに泊まると思ってたみたい」 長門「そう」 ハルヒ「笑っちゃうわよね。彼氏どころか失恋直後だっていうのに」 長門(以前のように閉鎖空間が発動しない。何故?) ハルヒ「あ~あ。月曜からどんな顔して会えばいいのよ」 長門(精神状態も安定しはじめてる) ハルヒ「ほんと、久しぶりにボロ泣きしたわ」 長門「……」 ハルヒ「ねぇ、有希」 長門「何?」 ハルヒ「あたし、どうしたらいいかな?」 長門「どうとは?」 ハルヒ「実際あたしの一方的な片思いだったわけじゃない?」 長門「それはまだ分からない」 ハルヒ「いいのよ。もう慰めてくれなくて」 長門「以前行った通り、彼の鈍さは異常。一緒にいた異性はほんとに友達かもしれない」 ハルヒ「もういいって」 長門「よくない」 ハルヒ「もういいのよ!」 長門「私はあなたに元気になってほしい」 ハルヒ「……大丈夫よ、あたし強いから」 長門「それは表向き」 ハルヒ「……」 長門「私の知ってるあなたは優しく、脆弱」 ハルヒ「有希……」ポロポロ 長門「あきらめるのは早い」 ハルヒ「有希、有希。う、うぅぅぅ~」ポロポロ 長門「私はあなたの友達」 ハルヒ「うぅっ、うっ、あ、ありが、とう」ポロポロ 長門「……大丈夫」ギュ 長門「落ち着いた?」 ハルヒ「……うん。ぐす。大丈夫」チーン 長門「そう」 ハルヒ「……今日、一緒に寝よ?」グス 長門「いい」 ハルヒ「どっちのいいなのよ?」グス 長門「肯定」 ハルヒ「分かったわ。……きっと一晩寝たら元気になる」 長門「そう」 ハルヒ「うん。あ、それと」 長門「?」 ハルヒ「さっきあたしのこと脆弱って言ったでしょ?言いすぎよ」コツッ 長門「言葉のあや」 ハルヒ「ふふ、今ので許してあげるわ」 長門「助かる」 ハルヒ「シャワー借りていい?」 長門「……」コク ~布団にて~ ハルヒ「はあぁ、有希って暖かーい」 長門「私は苦しい」 ハルヒ「我慢してよ」 長門「なるべくそうする」 ハルヒ「……有希?」 長門「何?」 ハルヒ「だーい好き」ギュ 長門「……悪い気はしない」 ハルヒ「あ~あ、有希になら素直に言えるのに」 長門「そう」 ハルヒ「そうなのよ。……オヤスミ」 長門「オヤスミ」 ~月曜~ ハルヒ(気にしちゃダメよ、涼宮ハルヒ。いつも通り、いつも通りよ) ガラ キョン「おぉ珍しく早いな。どうした?」 ハルヒ「べ、べ、別にどうしよもないわよ」 キョン「?そうか」 キョン「土曜は長門と一緒だったんだろ?どこ行ったんだ?」 ハルヒ(キョンはあのコと朝からいたのかなぁ) キョン「なに、お前と長門の組み合わせでなにをやってるのか、気になってな」 ハルヒ(なんでそんなに普通にしてられるの?) キョン「お~い。聞いてるのか?」 ハルヒ「キョ、キョン!?」 キョン「ん、なんだ?」 ハルヒ「一昨日、有希と一緒に歩いてたら……駅前で……」 キョン「駅前で?」 ハルヒ「あ、あんたが……その、女の子と歩いてるの見たんだけど……」 キョン「ん?あーその、見られたか」 ハルヒ「そりゃ、あんな地元ならね」 キョン「だよな」 ハルヒ「……彼女?」 キョン「いや、ただの腐れ縁の友達だったんだ」 ハルヒ「だった?」 キョン「あの時点まではな。あの後帰り道でな、まあ、恥ずかしい話だが告られたんだ」 ハルヒ「!!!」 ハルヒ「そ、それで?」 キョン「で、一週間後にまた会おうって。その時に答えがほしいって、言われた」 ハルヒ(いっ、一週間!?長すぎ!生きた心地しないじゃない) ハルヒ「それで、どうするの?」 キョン「さぁな、せっかく一週間も猶予もらったんだ。ゆっくり考えるさ」 ハルヒ「あんた、そのコのこと……好きなの?」 キョン「あぁ、大事な友達だからな。嫌いになれるはずがない」 ハルヒ「……そう」 キョン「?」 ~昼休み~ 長門「普段どおりどころか、根掘り葉掘り聞いたと?」 ハルヒ「ウン……聞いた」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「あなたはどうする?」 ハルヒ「わかんない」 長門「そう」 ハルヒ「どうすればいいかな?」 長門「私には分からない」 ハルヒ「……」 長門「でも、悔いは残さないほうがいい」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「そうだよね。別にまだ付き合ってるわけじゃないし」 長門「……」 ハルヒ「あたしも答えを出す」 長門「そう」 ハルヒ「いますぐ言う勇気はないけど、きっと……明日言うわ」 長門「頑張って」 ハルヒ「うん。ありがと有希。また放課後ね」 長門「また」 ガチャ 長門「……」 ガチャ 古泉「やってくれましたね」 長門「古泉一樹」 古泉「長門さん、下手をしたら世界が一瞬で改変することになりますよ」 長門「……」 古泉「なぜあんな軽率なことを?」 長門「土曜の夜」 古泉「は?」 長門「閉鎖空間は発生した?」 古泉「大規模なのが一つ。でも一分もたたずに消えましたよ」 長門「そう」 古泉「なにがあったんです?」 長門「……」 古泉「なるほど。そんなことが」 長門「最近の涼宮ハルヒの精神は、非常に落ち着いていた」 古泉「あくまで個人的な推論ですが」 長門「何?」 古泉「原因はあなたかも知れませんね」 長門「?」 古泉「もしかすると結果がダメでも」 長門「まだ分からない」 古泉「あくまで過程ですよ。恐らく告白が失敗に終っても、改変は行われないでしょう」 長門「……」 古泉「彼女のここ最近のあなたへの依存度は高い」 長門「……」 古泉「長門さんとの触れ合いで、彼女の精神が成長したと考えると多少つじつまが合います」 長門「成長?」 古泉「えぇ。実は土曜日の閉鎖空間は、大小あわせて実に四十九日ぶりのものでした」 長門「……」 古泉「わずかですが、感情のコントロールが可能になってきてるとみていいでしょう」 長門「そう」 古泉「今回の件、機関のほうでどうされるか分かりませんが、僕は関与しないようにします。では」 ガチャ 古泉(しかしこの場合。鍵が彼ではなく長門さんに移るということになる。厄介ですね) ~帰り道~ ハルヒ「明日、あいつに言ってみる」 長門「そう」 ハルヒ「これでダメなら諦めるわ」 長門「本当に?」 ハルヒ「……頑張る。それ以上に迷惑かけてSOS団がおかしくなっちゃうのは、嫌だし」 長門「……」 ハルヒ「なんか言ってくれないの?頑張れ、とか、きっと大丈夫、とか」 長門「せいぜいフラれてくるといい」 ハルヒ「有希!怒るわよ!」 長門「冗談。でもそのくらいの元気があなたには必要」 ハルヒ「ちょっとはTPOを考えなさいよ」 長門「気をつけてみる」 ハルヒ「有希?」 長門「?」 ハルヒ「あたしたちって、親友、よね?」 長門「親友?」 ハルヒ「そうやって聞き返されると、なんか恥ずかしいんだけど」 長門「私は一向に構わない」 ハルヒ「ほんと?」 長門「本当」 ハルヒ「ほんとにほんと?」 長門「私の言葉を信じられないなら親友ではない」 ハルヒ「た、ただ確認しただけじゃない」 長門「そう」 ハルヒ「あらためて、これからもよろしくね?あたしの親友」 長門「こちらこそ」 ~Fin~ ~次の日の昼休み~ ハルヒ「キョン!!」 キョン「おう。どうした?」 ハルヒ「後で話しがあるのよ。だから放課後、部室行く前に屋上に来なさい!」 キョン「ここじゃ言えんのか」 ハルヒ「放課後ったら放課後なのよ!いい?必ず……必ず来るのよ」 キョン「あぁ?わかった」 ハルヒ「じゃあ、あたし行くとこあるから」ダッ キョン「行っちまった」 ~部室にて~ 長門「放課後?」 ハルヒ「呼び出した」 長門「そう」 ハルヒ「……」 長門「……」 ハルヒ「……もし」 長門「?」 ハルヒ「もしダメだったどうしよう」 長門「諦めるのでは?」 ハルヒ「……出来るかな」 長門「私はあなたではない」 ハルヒ「あたし、中学時代から告白されることはあった」 長門「……」 ハルヒ「今でもたまにあるわ」 長門「自慢?」 ハルヒ「そうじゃなくて、いざ自分もされる側から、する側になるとこんなにも違うんだなぁって」 長門「……」 ハルヒ「もうこのまま、ここからいなくなっちゃいたいわ」 長門「もう弱気?」 ハルヒ「……」 長門「いつものあなたではない」 ハルヒ「あたしだって……なんだかんだ普通の女の子なのよ」 長門「普通?」 ハルヒ「普通よ。お腹だってすくし、試験前は勉強するし、友達と一緒に遊びたい。……どうしよもなく好きなやつだっている」 長門「……」 ハルヒ「一番嫌ってた普通をあたしがしっかり体現してるの。おかしいわよね」 長門「そんなことはない」 ハルヒ「ありがと」 長門「……」フルフル ハルヒ「とにかく、そういうことだから今日の部活遅れるわ」 長門「わかった」 ハルヒ「昼休み終るからもう行くわね」 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「なに?」 長門「健闘を」 ハルヒ「ありがと、有希」 ガチャ 長門(……頑張って) ~放課後の屋上にて~ ハルヒ(キョン、あんたのことが好きなの) ハルヒ(なんかシンプルすぎるわね) ハルヒ(あんたをあたしの彼氏にしてあげるわ。感謝なさい!) ハルヒ(だ、ダメよ。これのどこが素直なのよ) ハルヒ(一人じゃ勇気出ない。今から有希を呼びに……それもダメよね) ハルヒ(どうしようどうしようどうしよう) ハルヒ(やっぱり止めればよかったかな?) ドクンドクン ハルヒ(あぁ~もう!心臓がうるさい!) ガチャ ハルヒ「!!!」 キョン「おう。待たせたな。なんか谷口のやつに絡まれてな」 ハルヒ「そ、そう」 キョン「それで、話ってなんだ?」 ハルヒ「……」 キョン「他の連中に聞かれたくない話なんだろ?」 ハルヒ(……キョン) キョン「まあ、これで案外口が堅い方なんだ」 ハルヒ(キョン) キョン「だから信用してくれていいぞ?」 ハルヒ(なんであんたは、そんなにあたしに優しくしてくれるのよ) キョン「……そんなに言いづらいことか」 ハルヒ(あんたがあたしに構ってくれたせいで) キョン「大丈夫か?」 ハルヒ(あんたのせいなんだから) キョン「おい、顔真っ赤じゃないか?熱でもあるのか」 ハルヒ(とっくに頭に血が上りきってるわよ) キョン「別に無理しなくていいぞ?」 ハルヒ「無理なんかじゃない!!!」 キョン「うぉ!いきなり大声出すなよ」 ハルヒ「キョン!聞いて!」 キョン「さっきから聞いてるって」 ハルヒ「最初はそんなことなかった」 キョン「?」 ハルヒ「あんたの提案でSOS団を作って、今のみんなが集まった」 キョン「……」 ハルヒ「あたしがわがまま言ったときも、あんたは口では文句言いながらも着いてきてくれた」 キョン「わがままな自覚はあったんだな」 ハルヒ「お願いだから、今は変な横槍いれないで」 キョン「すまん」 ハルヒ「みんなと、あんたと出会って一年。色んなことがあった」 キョン「……」 ハルヒ「昨日あんたが昔の友達に告白されたって言ったわよね?」 キョン「あぁ」 ハルヒ「それを聞いて、あたしは、生きた心地がしなかった」 キョン(そういうことかよ) ハルヒ「あたしは、あたしは……」 キョン「……」 ハルヒ「……」 キョン「……」 ハルヒ「あたしは、あんたのことが好きなの。好きになっちゃったのよ」 キョン「……そうか」 ~部室にて~ キョン「遅くなったな」 古泉「今日は随分遅かったですね」 キョン「あぁ。野暮用があってな」 長門「……」 古泉「そうでしたか。ご苦労様です」 キョン「男からの労いの言葉はないな」 古泉「それはすいません」 みくる「あのぉ~」 キョン「なんですか?」 みくる「涼宮さんは一緒じゃないんですかぁ?」 長門「……」 古泉「……」 キョン「……あいつは。……長門」 長門「何?」 キョン「ちょっと廊下にいいか?」 長門「……」コク 古泉(長門さん、後は頼みましたよ) ガチャ キョン「あのよ、あいつ今屋上にいるんだ」 長門「……」 キョン「あいつのそばに行ってやってくれないか?」 長門「何故」 キョン「ん?」 長門「何故、彼女ではダメだったの?」 キョン「なんだ、知ってたのか」 長門「何故?」 キョン「先に好きになっちまったやつがいるんだ。ほんとに、ただそれだけだ」 長門「そう。行ってくる」タタッ キョン(悪いな) ~屋上にて~ ガチャ!! 長門「……」 ハルヒ「あ、有希じゃない。どうしたの?」 長門「……彼から聞いた」 ハルヒ「そっか。隣座んない?」 長門「……」コク ハルヒ「うん、ダメだった」 長門「そう」 ハルヒ「正直ちょっと、いや違うわね。かなり落ち込んでるわ」 長門「……」 ハルヒ「そりゃね、少しはいけるんじゃないかな?って期待もあったのよ」 長門「……」 ハルヒ「でもね、ダメだった。ダメだったのよ」ジワ 長門「……」 ハルヒ「やっぱり人並みに普通なんか求めたからかなぁ」 長門「……」 ハルヒ「ねぇ、有希。なんか言ってよ」 長門「私には何を言っていいか分からない」 ハルヒ「なんでもいいわよ。有希の言葉は何でもあたしに届くわ」 長門「……なら、前言撤回する」 ハルヒ「え?」 長門「あなたは弱くない。とても強い」 ハルヒ「……強くないわよ」 長門「そんなことはない」 ハルヒ「……」ポロ 長門「もっと胸を張るべき」 ハルヒ「それはちょっと出来ないわ」 長門「……そう」 ハルヒ「失恋ってこんなに辛いのね」 長門「私には経験がない」 ハルヒ「自慢?」 長門「違う。恋愛経験そのもの」 ハルヒ「そうなんだ」 長門「そう」 ハルヒ「……あいつ、この間のコのことが好きなんだって」 長門「そう」 ハルヒ「それでね聞いたの」 長門「何を?」 ハルヒ「変に未練がましくしたくなかったけど、もし、もしよ?」 長門「……」 ハルヒ「あたしが先に告白してたらどうだった?って」 長門「……」 ハルヒ「それでもダメだって」 長門「そう」 ハルヒ「でも、そこで肯定されたら、あいつ女なら誰でもいいってなっちゃうじゃない?」 長門「それなら私にも可能性はあった」 ハルヒ「こら」コツ 長門「ジョーク」 ハルヒ「もう。……それでね」 長門「……」 ハルヒ「それであたし良かった、って思ったのよ」 長門「?」 ハルヒ「あたしの好きになったやつは、そういう真っ直ぐな人だったわけじゃない?」 長門「……」 ハルヒ「あたしは間違えてなかったんだなぁ、って。こいつを好きになって良かったんだ、って」 長門「そう」 ハルヒ「それでね……有希、あたしのこと褒めて?」 長門「褒める?」 ハルヒ「うん。あたしね……泣かなかったの。悔しいからあいつの前では泣かなかったの」ポロポロ 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「泣きた、かった、けど、な、泣かなかったの」ポロポロ 長門「やっぱりあなたは強い」 ハルヒ「もう、うっ、泣いて、ヒック、いいよね」ポロポロ 長門「構わない。私しかいない」ギュ ハルヒ「あたし、や、やっぱり、あいつのこ、と、うっ、好きなのよ」ポロポロ 長門「そう」 ハルヒ「うっ、ヒック、うぅぅ~」ポロポロ 長門「……」ギュ ハルヒ「なんだかあたし泣いてばっかりね」グス 長門「いい」 ハルヒ「こんな情けない顔して部活行けないわね」 長門「そう」 ハルヒ「古泉君に行けないってメールしとく」 長門「わかった。私は鞄を持ってくる」 ハルヒ「うん。校門でね」 長門「……」コク ~部室にて~ ガチャ 古泉「おかえりなさい、長門さん」 長門(古泉一樹がここにいるということは) 古泉「えぇ。あなたのおかげですよ」 長門「!」 古泉「いつぞやのお返しですよ」ニコ 長門「そう」 キョン「長門……」 長門「大丈夫。でも今日はもう帰る」 キョン「そうか。わかった。よろしくな」 長門「……」コク ガチャ みくる「え?あのぉ~、どういうことですかぁ?」 古泉「ふむ。朝比奈さんがご存知ないということは、今回のことは未来で想定の範囲内ということですか」 みくる「ふぇ?」 キョン「おい、古泉。お前もしかして」 古泉「いったいどうしました?」ニコ キョン「……なんでもねぇよ」 みくる「わ、わたしにも教えてくださいよぉ~」 ~帰り道にて~ 長門「待たせた」 ハルヒ「全然」 長門「そう」 ハルヒ「さっ、帰りましょ?」 長門「今日は私の家に?」 ハルヒ「ありがとう。でも大丈夫よ」 長門「そう」 ハルヒ「一人で頭冷やしてるわ」 長門「わかった」 ハルヒ「多分、泣いちゃうと思うけど」 長門「そう」 ハルヒ「もし辛くて、辛くてどうしようもなくなったら……電話してもいい?」 長門「構わない」 ハルヒ「真夜中かもしれないわよ?」 長門「大丈夫。眠かったら無視する」 ハルヒ「有希のブラックジョークにも慣れてきたわ」 長門「それは困る」 ハルヒ「なんでよ」 長門「あなたの反応はユニーク」 ハルヒ「勝手に言ってなさい」 長門「そうする」 ハルヒ「……もしあたしが明日学校に来なくっても、心配しないでね?」 長門「する。当然」 ハルヒ「大丈夫よ。もしかしたら一日くらい落ち込んでないと、やってらんないかもしれないし」 長門「……」 ハルヒ「それで、伝言をお願い」 長門「伝言?」 ハルヒ「もしかしたら、みくるちゃんは分かんないけど、古泉君って勘が鋭いから今回のこと分かっちゃうかもしれない」 長門「……」コク ハルヒ「気を使わないで、って。普段どおりにしててほしいの」 長門「わかった。伝える」 ハルヒ「もちろん、有希もね」 長門「わかった。……彼は?」 ハルヒ「あいつは自分でなんとかするわ?自分で蒔いた種だもの」 長門「そう」 ハルヒ「そうよ」 ハルヒ「それじゃあ、またね」 長門「……」コク ハルヒ「ちゃんと元通りになってくるから」 長門「涼宮ハルヒ」 ハルヒ「ん?なに?」 長門(感じていることを上手く言語化できない) ハルヒ「?」 長門「今日はお疲れ様」 ハルヒ「?変な有希」 長門「それはお互い様」 ハルヒ「あっそう」 長門「そう」 ハルヒ「ふふ♪こんどこそ、またね」 長門「また、明日」 ~次の日の朝~ キョン(昨日の今日だし顔合わすのは辛いな) ガラガラ ハルヒ「……おはよ」 キョン「お、おう」 ハルヒ「……」 キョン「……」 キョン(ダメだ、耐えられん) ハルヒ(……今言わないと) ハルヒ・キョン『き、昨日のことだけど』 キョン「あ」 ハルヒ「な」 キョン「あ、あぁっと。先いいぞ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒ「昨日のことだけどね、やっぱり忘れてなんて言えない。言いたくない。でもね、気にしないでほしいのよ」 キョン「……」 ハルヒ「あたしたちがギクシャクしたら、SOS団にも迷惑かかる」 キョン「そうだな」 ハルヒ「だから今まで通りでいてほしいの。あたしが馬鹿やったら、あんたがそれを止めて、有希や古泉君に助けてもらって、みくるちゃんは……よくわかんない」 キョン「それは朝比奈さんに失礼だろ?」 ハルヒ「冗談よ」 キョン「ったく、とはいえそれには賛成だ」 ハルヒ「……」 キョン「虫のいい話だが、俺も同じ事を言おうと思っていた」 ハルヒ「うん」 キョン「そういうわけだ。これからもよろしくな。団長さん?」 ハルヒ「よろしく。今まで以上に引っ張りまわしてやるわ」ニコ キョン「それは勘弁してくれ」 ~放課後・部室にて~ ハルヒ「昨日は来れなくって悪かったわね!」 古泉「いえいえ。団長にも休みは必要ですよ」 みくる「はい、涼宮さん。お茶です」 ハルヒ「ありがと。そうだ、みくるちゃん!」 みくる「ふぇ?なんですかぁ?」 ハルヒ「昨日、ネットで面白いもの見つけたのよ!」 みくる「面白いものですかぁ?」 ハルヒ「ふふ、そのうち届くから楽しみにしといてね」ニヤ みくる「なんだか、笑い顔が怖いですよぉ~」アセ ハルヒ「それと今週末も団活は中止」 古泉「おや?」 ハルヒ「キョンが用事あるんだって。でしょ?」 キョン「あぁ、悪いな」 ハルヒ「悪いと思ってるなら今すぐにみんなにジュース買って来なさい。あたしは百パーセントのオレンジね」 キョン「な!」 古泉「ぼくはコーヒーを。微糖がいいですね」 キョン「おい」 長門「カルピス」 キョン「長門まで」 みくる「わ、わたしは何でもいいですよぉ」 キョン「はぁ、分かったよ」 ガチャ ハルヒ「みくるちゃん、ちょっと用事があるから一緒に来て」 みくる「は、はい」 ガチャ 古泉「僕たちだけになりましたね」 長門「……」ペラ 古泉「どんな魔法を使ったんです?」 長門「情報操作しか出来ない」 古泉「比喩ですよ。今回は過去最大級の閉鎖空間が発動すると、機関のほうでも準備していました」 長門「……」 古泉「だけどあなたはそれをくい止めた」 長門「……」 古泉「とてもありがたいことですが、それは同時に脅威でもあります」 長門「何もしていない」 古泉「ご冗談を」 長門「本当。これは涼宮ハルヒの精神の強さ」 古泉「しかし」 長門「それがわからないのであれば、機関の観察力も程度がしれる」 古泉「言ってくれますね」 長門「事実」 古泉「そういうことにしておきましょう」 長門「……」 古泉「最後に一ついいですか?」 長門「何?」 古泉「あなた個人への質問です。あなたにとって涼宮ハルヒとはなんなんですか?」 長門「親友」 古泉「しかし、あなたは正確には人間ではない」 長門「それでも彼女にそう望まれた。なら拒む理由はない」 古泉「彼女には逆らわないと?」 長門「違う。これは私の意思でもある」 古泉「……分かりました。失礼なことを聞いて申し訳ありません」 長門「いい」 古泉「僕の見立てでは、彼女の新しい鍵はあなたです。どうか彼女を裏切らないでやってくださいね?」 長門「心配いらない。涼宮ハルヒは私の親友。彼女は私が守る」 ~Fin~
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昼休み、ハルヒは昨日置き忘れた財布を取りにいくため、部室に向かっていた。 「もう!財布がなきゃ学食が買えないじゃない!」 蝶番が可哀相なくらい勢いよく部室のドアを開けるとそこには先客がいた。 「有希じゃない」 窓際でぽつんとパイプ椅子に座っていた長門は、今まで食べていた コンビニ弁当に向けていた無感動な目を、たった今入ってきた少女に向けた。 「いつもここでお昼食べてるの?」 「そう」 ハルヒは柔らかな光を受ける長門の顔をじろじろ見た後、 彼女の手のコンビニ弁当を見て表情を変えた。 「っ有希!あなたもしかして毎日コンビニ弁当だったりする!?」 静止していた頭がかすかに動く。 「ダメよ!育ち盛りの高校生が毎日そんなんじゃ!だからそんな細いままなのよ!!」 長門が何か反応を返す前に、ハルヒは長門の手を右手で、 長机の上に放置されていた財布を左手でわしづかみにした。 「学食行くわよ学食!今日は私がおごったげるからじゃんじゃん食べなさい!!」 長門は左手にコンビニ弁当を、箸を持った右手をハルヒにつかまれたまま、 自分の手を強引に引いて走り出す少女に抵抗することもなく、足を動かし始めた。 学食の机に向かい合わせで座る二人の間には、カレーと定食Aとサラダとデザートが 美味しそうな匂いと湯気を立ち上らせながらずらりと並んでいた。 ちなみにカレーは長門が指定したもの、定食Aはハルヒの昼食用のもの、 サラダとデザートはハルヒが長門に食べさせるために独断で注文した。 長門が代金を払おうとするのをハルヒは強引に止めて、全ての代金を自分で支払った。 「さ!食べて!遠慮はいらないわよ」 長門は目の前に置かれたスプーンを手にとると、そのスプーンをカレーライスに ゆっくり差し込み、カレーのからむライスをすくいあげて、自らの口に運んだ。 「美味しい?」 ハルヒが長門に問いかける。 長門はスプーンを口から出し、咀嚼し飲み込むと、よく見ていないとわからない程度に頷いた。 「そう、よかった。今日は好きなだけ食べなさいよ」 ハルヒは満足そうに微笑みながら言った。 長門は、先ほどとほとんど同じ動きでカレーライスをすくいあげると、 それをハルヒの顔の前にもっていった。 「?くれるの?」 ハルヒは少し驚いた様子でスプーンを差し出す少女を見る。 首がかすかに上下するのを見てハルヒは少し不思議に思いながらも 「じゃあいただこうかしら」 と言うと、横髪を手でおさえながらスプーンを口に入れた。 長門はスプーンがハルヒの口に入っていく光景を、人形のように静止したまま見つめた。 ハルヒはスプーンから口を離すと 「ちょっと甘いわねえ…私はもっと辛いほうが好きだわ」 と口をもぐもぐさせながら言った。 「よくわからないけどありがとね有希。でも残りはあなたが食べなさいよ!」 ハルヒはそう言いながら割り箸を小気味のいい音を立てて割ると、 自分の昼食である定食を食べ始めた。 長門はハルヒが定食に集中しているのを確認するように見つめた後、 ハルヒの口にカレーライスをからめとられて、今は何ものっていないスプーンの先端を軽くなめた。 そしてすぐにカレーライスをすくうと、ハルヒと同じようにもくもくと食べ始めた。 おわり
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710 名無しさん@秘密の花園 2007/11/10(土) 00 19 39 ID GYkJOveZ いつも妹(ノーマルでは弟)のように思っていて 「この子は(有希は)か弱いから、私が守ってあげなくちゃ」 とか言って可愛がっていた相手からある日突然押し倒されて・・・・ なんてシチュエーションはザラにある。 711 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 00 47 21 ID WML6t6cg 710 なんだそのもの凄く妄想させるシチュエーションは! 712 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 04 04 10 ID rQgdwuvb まぁ有希ハルを妄想する時に必ず通るシチュエーションだよな。 ハルヒの有希に対する溺愛ぶりは、まるで妹に対するそれだよ。 何も知らないハルヒは、自分より長門の方がか弱いんだと思い込み、だから守ってあげなきゃという使命感に燃えている。 でもいざ押し倒されてみると、圧倒的な力差と超宇宙的テクニックの前に為す術も無く、急に小動物化してしまう。 で、事が終わってから言い訳の様に ハルヒ「あたしが本気で抵抗したりしたら有希を怪我させてしまうかもでしょ!べ、べつに(ry」 有希「そう・・・」 713 名無しさん@秘密の花園 2007/11/11(日) 15 01 41 ID /XRDiFqt 「えっ?何?ちょっと有希やめなさいよ!」 「やめない」 「そんなことダメだってば!」 「でも身体は正直」 「そ、そんなことないんだから」 「ある」 「んあっ!」 722 名無しさん@秘密の花園 2007/11/12(月) 18 25 34 ID EeiKyVvu 百合も大好きなんだが、 同性異性問わずモテてモテてモテまくりで、 SOS団全員から花束でも贈られてて、 「えっ………!?(///」ってなってる超々愛されまくり 逆ハー総受けハルヒが好きなんだが そんな異端は俺一人で十分だ! ちくしょう仲間なんていらねぇぞ! さあ、みんなで今日も百合の話をしようぜ! 725 名無しさん@秘密の花園 2007/11/18(日) 19 25 28 ID n2BUGsMc 「これ」 「お花?私にくれるの?」 「そう」 「うん。ありがとう有希、団員として良い心掛けだわ」 「団員としてではない。長門有希個人として…」 「わっ!?ちょっと有希?」 「…」 ↓ 713
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建前は冬合宿、その実は今年度最後の大騒ぎ、または古泉劇団発表会の場となった鶴屋家別荘。 掘ゴタツに足を突っ込んで、俺達はハルヒと古泉が共同製作したスゴロクに興じていた。 「はい。次、有希の番ね!」 手元に転がって来たサイコロを拾い上げて、ハルヒが長門に手渡す。 長門はサイコロを手の平で受け止め、すぐに少しだけ手を傾けてテーブルに落とした。 「…に」 振ったサイの目に書かれた数を呟いて、長門はコマを二マス進めた。 げえ。それが俺が長門のコマが止まったマスの指令を読んだ感想だ。 「『団長を気分良くさせる言葉を五種類以上言う』…」 ぱちり、と一回だけ瞬きをして長門はそれを読み上げた。 どうする長門。お前は社交辞令とかには無縁な奴だよな。 天上天下唯我独尊が乗り移ったようなハルヒを褒めるなんて、罰ゲームにしかならないぞ。 そう俺が考えていると、 「有希? その…できなくても別にいいのよ? 有希は素直だから、褒め千切るなんてできないだろうし、キョンみたいに罰金なんて言わないわ」 と、ハルヒが少し困ったように長門の顔を覗きこんだ。 何かもう、文句を言う気にもなれんな。この俺限定の不平等にも長門限定の気ィ使いっぷりにも慣れちまった。 あと暗にそれは褒め千切る天才の古泉は素直じゃないって言ってることになるぞ。 いや、その通りだが。 ハルヒや俺の心配をよそに、長門はコタツの中で身をよじって、ハルヒの正面を向くように座り直した。 お、パスしないのか。 「活発」 ひとつ目だな。まあ嘘ではないだろう。 「健康的」 ふたつ目。あれ、それってひとつ目のと意味被ってないか? 「物怖じしない」 みっつ目。あー、まあな、当てはまるわな。 「優しい」 よっつ目。長門限定だがな…ところでハルヒよ、今のお前に鏡を見せてやりたくてたまらんのだが。 なんつーだらしない顔だ。 よっぽど嬉しいんだろうな。 最後の一個。 五種類以上ってことは、いつつより多くてもいいと言うことだが、最低限のいつつでも上出来だろう。 なんてたってハルヒを褒める言葉だからな、いつつは多過ぎるくらいだ。 さーて、長門は最後に何と言うかな? 「…好き」 それは…褒め言葉なのか?個人的な感情じゃないのか?? 長門の爆弾発言に、見ろ、朝比奈さんはおろか古泉まで固まってるじゃないか。 こんな時でも落ち着き払っている多丸さんは流石だな…鶴屋さん、大爆笑してるのなんてあなただけですよ。 いや、それよりも…おいハルヒ!! なんだってお前はタコみたいに真っ赤になってるんだ!? 「わ、私もよ…」 もじもじ、と効果音を背負えるほど顔を更に赤く染めて言うハルヒに、 「そう」 とあくまで無表情な長門。 朝比奈さんが何となく寂しそうに見えるのは…俺の気のせいだ、うん。 終わり。
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「そういえば有希の誕生日っていつなの?」 いつものように集まった喫茶店の席で、思い出したような顔でハルヒが聞いた。 長門は手元の分厚い本から目線を上げ、不思議そうな表情で団員それぞれの顔を見たあと、 ハルヒを見つめて固まってしまった。 「どうしたんだ?突然」 「やっぱり団長たるもの団員の誕生日くらいは祝ってあげないとね」 ハルヒは有難がれとばかりに胸を張っている。 俺の誕生日は知らんくせに。 「で、いつなの?過ぎてからではお祝いのしようもないからね」 続けられた質問に、長門はきょとんとした無表情のまま俺のほうに顔を向ける。 「どうすれば」と言わんばかりに。 そう言われてみると、長門の誕生日はいつになるのだろう。 厳密に言えば3年前の情報フレアとやらの日なんだろうが、それじゃこいつは3歳ということになってしまうしな。 まぁ誕生日なんて調べてわかるもんでもないだろう。 適当に決めちまえばいいさ。 ながとだから7月10日とかね。 産まれた日がいつかなんてハルヒも気にしやしないさ。 そんな風に考えながら笑顔を向けてやると、長門はわかったとばかりに数ミリだけうなずいて、ハルヒに向かって 「今日」 と告げた。 おいおい、お前の誕生日が何月何日でも誰も迷惑しないが、今日ってのはないだろ。 突然すぎるぞ。 しかし、言ってしまってはもう遅い。 ハルヒはテーブルに勢いよく手をついて立ち上がると、 「何で言わなかったのよ!?有希?」 店内に響き渡る声でツバを飛ばしながら叫んだ。 朝比奈さんまで 「そうですよー」 なんて言って困った顔をしている。 あなたは気付いてください。 それは長門が今設定した誕生日ですよ。 古泉は古泉で、 「プレゼントを用意していませんね」 などと肩をすくめて微笑んだ。 お前は芝居がかりすぎだ。 「そうよ!プレゼント!準備してないじゃない!」 ハルヒは立ったまま続け、 「有希、今欲しいものある?」 テーブル越しに、こればっかりは優しい口調で問いかけた。 「今日は有希の誕生パーティに変更するわ!さぁ、なんでも好きなものを言っていいのよ」 長門はやっぱり無表情のまま…それでも考えるような仕草をわずかに見せて、 「遠慮することないのよ」 と微笑みかけるハルヒの胸のあたりに視線を止めた。 「え?何?」 俺も興味があった。 ハルヒを見つめる長門が、何を欲しいと言い出すのか。 真っ黒な瞳が少しだけ動き、「いいのか?」と問うようにハルヒの顔を見上げて、 「洋服」 「…服?」 長門が見ていたのはハルヒの体ではなく、着ている布のほうだった。 「いいわ!有希、思いっきり可愛いの選んであげる!」 ハルヒは、先ほど驚いたときと同じ様に机を叩いて立ち上がり 長門の好みを問いただし始めたが、長門の視線はハルヒの胸あたりに固定されたまま動かない。 何かを言いそびれたように、俺には見えた。 「涼宮さん」 長門の表情を読もうとしている俺の向かい側に座っていた古泉が口をはさむ。 皆の顔が自分のほうに向くまでゆっくりと間をつくってから 「僕が思うに、長門さんは今涼宮さんが来ているそのカーディガンが欲しいのではないでしょうか。違いますか?」 微笑みたっぷりで妙なことを言いやがった。 確かに、長門の視線はそこに止まっていると言えなくもないが… 「そうなのか?長門」 重金属みたいな瞳がゆっくりとこちらを向いた。 「そう」 わずかに顎を引く。 「許されるなら」 そう言ってその瞳は、俺から視線をはずしてハルヒを見上げた。 その時俺は真っ白い能面みたいな無表情の中に、 小動物が抱いてくれと懇願するときの様な、そんな雰囲気を感じとった。 「そりゃいいけど…。お古でいいの?サイズもちょっと大きいかもよ」 若干照れながらハルヒは着ていたカーディガンを脱ぎ、顔の横で示すように広げた。 長門はそれを肩から先だけ動かして受けとると、確かめるように胸に抱き締めた。 「あなたが着ていたという事実が大切」 横で朝比奈さんが顔を真っ赤にして口元を押さえている。 俺も少し赤くなっていたかも知れないが…。 誰より赤面していたのは、他でもない、ハルヒだった。 次の週末、いつもの駅前には珍しく私服の長門がいた。 少し大きめの白いカーディガンの袖口から、生地よりもっと白い指先だけが見えている。