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パーソナリティ 名前 "あたしだけの魔法"セティエ・ルー Non Image アルカナ(聖痕位置) 過去:フルキフェル.エルフ(首筋)/ 現在:アクシス(瞳)/ 未来:エフェクトス(影) 種族/性別/年齢 エルフ / 女 / 23歳 身長/体重 172cm / 58kg 外見 肌:白色 / 髪:白色 / 瞳:藍色→淡青色(共振時) 口調など 一人称:あたし 二人称:だいたいファーストネーム呼び捨て口調は荒くはないが雑。時折ひねくれた言いまわしを好んで使いたがるが、あまり長くは続かない。 因果律(過去) 【前世】昔のあたしはもっと素直な子だった気がするんだ。覚えてないけどね。 因果律(現在) 【捜索】次の魔法を探そうか。世界は不思議に満ちている。それが見つかるかはあたし次第。 因果律(未来) 【夢幻】魔法は所詮夢まぼろしなのかもね。探求をやめる理由にはならないけど。 因縁(関係) ニコラ・ライシュタイン(信頼)ローザリンデ・バーデルボルン(主従) 経歴など 辺境のエルフの里に生まれる。魔術の才を見出され、森の民の伝統的な魔法の後継者として育てられる。15歳の時、「エルフの魔術はだいたい覚えたから」と言い出し、里を出る。その時、周りが引き止めるのを無視してかなり強引に出てきたので、里での評判はすこぶる悪い。その後、アクシスの理論的な魔術や元力使いの魔術を学ぶも、どれも深奥を極めようとはせず、ある程度のレベルに達すると他の魔術を求めて旅に出ることを繰り返す。やがて今までに見てきた魔術を自分なりに組み合わせた"あたしだけの魔法"の使い手となる。その独特の魔法がローザリンデの目に留まり、現在に至る。 SS(ショートストーリー) +01-セティエ・ルーの奔放魔術師ライフ 『01-セティエ・ルーの奔放魔術師ライフ』 セティエ・ルーは、ケルファーレン公国公女ローザリンデ・バーデルボルンに「非公式に」仕える魔術師である。「ケルファーレンの魔女」ローザリンデには当然「ちゃんとした」魔術師が仕え、宮廷魔術師となっているのだが、セティエ・ルーの名はその中にはない。彼女はローザリンデに個人的に仕える魔術師だった。これの第一の理由は彼女が森の種族エルフである事である。ハイデルランドにおいて、他の異種族よりかは幾分ましであるものの、裏切りの使徒フルキフェルの系譜であるエルフはどうしても公的な役職には就きづらい。彼女が宮廷魔術師の職に就こうとした場合、それに反対する者もいるだろう。もう一つの理由、前記以上の大きな理由は、彼女の性格によるものだ。宮廷魔術師として真面目に国の行く末を考え、役人たちと仕事をするには彼女は少々奔放すぎた。与えられた部屋を手製の魔導具と資料で埋め尽くして文字通りの魔窟を作り、そこにこもって飯時も出てこないかと思えば、いつの間にかその姿は消えており、数日後にまたふらりと帰ってくる。そんな人物に宮廷魔術師が務まる訳がなかった。 +02-エルフの里の天才児 『02-エルフの里の天才児』 セティエがもっとも早くに習得した魔術は、彼女の故郷エルフの里に伝わる伝統魔術であった。幼いセティエがいつぐらいから魔術を使い始めたのかは本人もよく覚えていない。高い枝の林檎を取ろうとして魔法を使っていたのを長老に見かけられて、里の伝統魔術を習うことになった。何百年に一度の天才(もっとも、エルフの言う何百年は人間の言うそれより彼らにとってのスケールは小さいのだが)だとか、遥か昔に里の危機を救った何とかという偉大な魔術師の再来だとか、随分周りのエルフたちはセティエを評価していたようだが、セティエはその言葉にどうしても納得がいかなかった。里の外にはこの里の何百倍、何千倍もの人がいる。あたしの知らない魔術もある。たかだか、曾爺さんの代までたどれば住民の半分が親戚のような里で一番の魔術師と言われたところで、そんなのは何も嬉しくなかった。里では15歳で一応の大人として扱われる。15歳になったセティエは里の魔術師(この里における魔術師は薬師とか占い師みたいな立ち位置でもあるので里の住民からは敬意をはらわれる立場である)として生きていくものだと、里の皆は疑いなく、期待していた。だが、成人の祝いの席でセティエはさも当然かのように「あたしは里を出て魔法を学びに行くから。里にあたししか魔術師がいない訳じゃないし、大丈夫でしょ?」と言ってのけた。優しく魔術を教えてくれた長老が初めて怒った。そしてちょっと、悲しそうな顔をした。里の皆が疑問とか怒りとか優秀な魔術師が里からいなくなってしまう不安とかでざわめいた。そして翌日、説得をしようと人々がセティエの部屋を訪れたとき、彼女は既にそこにいなかった。里から出たセティエは森を出るまでに1度だけ、振り返った。 +03-融け合う叡智 『03-融け合う叡智』 里を出たセティエは魔術を学ぶため、各地を訪れた。森を出てきた当初のセティエは他の魔術の知識などほとんどない状態であったが、エルフの長老の見立て通り生まれつき魔法の素養はあったようで、新しいことも数か月も学んでいればだいぶんその魔術を使いこなせるようにはなっていった。ただ、基礎的な部分を大体覚えたところで、セティエは別の魔術に手を出さんと旅に出てしまうのが常であった。アクシスの系譜の魔術理論を教授した老魔術師は別れ際に「もう少しここに留まって研鑽を積めば、いずれはわしを超える魔術師になるかと思うのじゃがのう」と残念そうな顔をしたし、旅の途中で出会ってしばし同行した女元力使いは「貴女は何を目指して生きているの?全能の魔導士にでもなるつもり?」と呆れた。ある街では二コラと名乗る錬金術師の女性と出会った。彼女の語る錬金術の話はセティエの興味を強く惹きつけた。魔法ではない純粋な技術に適性はないとセティエが見限るのも早かったが、魔法的な不思議な力をモノとして集約する技術はまた一つ彼女の「あたしだけの魔法」の元となった。ちなみにケルファーレンに来て以降のセティエの私室には、手製の魔導具が大量に積み上げられているが、これはもはや錬金術という技術は跡形もないほどに彼女なりのアレンジ(魔改造)が加えられており、余程の鑑定眼の持ち主でもなければそこに錬金術の影響は見いだせない。けれど、確かに二コラの錬金術は今もセティエに影響を与えているのである。 +04-あたしだけの魔術 『04-あたしだけの魔術』 その後もセティエは目についた魔法を片端から学んだ。秘儀魔法とかいう魔法系統を見てその万能性に舌を巻いたし、言霊師と名乗る青年にも出会った。教会の者が使う癒しの奇跡の御業も見てきた。唯一、偶然であった純真な少女が発揮した邪を退ける不思議な力だけはよく分からなかったが(使っている本人も分からないようなもんを説明できる訳もない)。いつしか、セティエの魔法は見てきた魔法を全て取り込んだ訳の分からないものになっていた。攻撃魔法1つ放つにしても、矢に魔法を乗せて弓を用いて放つ技術はエルフの伝統魔法に含まれる技術の1つだし、矢に乗せた魔力を安定させ、精密に制御しているのはアクシスの魔術理論だ。乗せる魔力は自身の持つ元力を由来としているし、矢はセティエ自身手製の魔導具の1つだったりする。秘儀魔法の考え方は異なる力を1つにまとめるのに非常に都合が良かった。そんな、「あたしだけの魔術」を手に入れたセティエだが、未だ特に行くあてなど無かった。魔術の指南役などとして雇ってもらうにはあまりにも彼女の魔術は特殊過ぎた(こんな魔術を教えられてまともに理解しうる人などほとんどいない)。第一、まともな職に就いて腰を落ち着けるには性格が奔放すぎる。そんなことも自分では承知してるから、行くあてのない魔法探しを続ける。「ケルファーレンの魔女」に出会ったのはそんな頃だった。 +05-ケルファーレンの魔女 『05-ケルファーレンの魔女』 ケルファーレンの街に立ち寄った時、セティエはケルファーレン公女ローザリンデに出会った。この出会いも詳しいところは覚えていない。確か、偶然見かけた追い剥ぎだかひったくりだかを適当に魔法で叩きのめしたら、助けた相手がそこそこの偉いさんだったとか、そんな話だ。そんな経緯でローザリンデの眼前に立った訳だが、これが天の配剤とも言えるほどに互いに目の前の「魔女」に興味を引かれた。当初、セティエは高名な魔女様に会うことなど面倒くさがっていた。そこで、セティエは以前にもどこそこの偉いさんに「うちの魔術師にならんか?」的なことは言われているが、そのときは自分の組み上げた魔術について訥々と語ったら「すまん、そんな魔法は流石に分からん」と言われていたのを思い出し、同じことを試みてみた訳だが、ローザリンデがその理屈を即座に理解して、あまつさえいくつかの改善案を提示してきて、セティエが感服したのはその直後のことである。こうして、セティエは「ケルファーレンの魔女の雑な方」とか言われるようになったわけである。 データ +能力値・技能 能力値・技能 体格 反射 共感 知性 希望 5 12 12 15 13 精霊魔法 ●●● 事情通 ●● 射撃 ●● +取得特技 取得特技 弓魔法 魔の血統 魔力操作 連続魔法 元力・炎 元力乱舞 魔法知識 +装備・アイテム 装備・アイテム 武器 ロングボウ 防具 ガードローブ レザーキャップ レザーグリーヴ 所持アイテム 牙の護符 真実の書 シャッハ盤 …etc
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セティエナ 種族:獣人族 登場作品:姫狩りインペリアルマイスター 解説 獣人族の魔導魔術師。 魔導兵器の開発者として優秀であるらしく、また獣人族では珍しく自身の武器としても魔導銃を使っており、その腕前も優れている。 まおーさまとの戦いに敗れて捕らえられた後に魔導兵器の開発技術を求められ、当初は要求を拒絶したものの最終的には凌辱に屈して軍門に降った。 雑感・考察 優秀なのだが、喋り方は割とアホっぽい。 名前
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#blognavi すずっちと結婚しました!式中のSSです! 会話ログ取ってる余裕がありませんでしたので台本と合わせてお楽しみください。 セティエ=リモージュ それでは今から二人の結婚式を執り行いたいとおもいます セティエ=リモージュ あー・・・・ セティエ=リモージュ そのまえに・・・ セティエ=リモージュ ・・・塩・・・オマエ俺に惚れてるとちゃうんか? salt Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) セティエ=リモージュ スズ セティエ=リモージュ おまえ、そんなに弱くて セティエ=リモージュ これから塩を守っていけるというんか?! 【清白】 (;゜Д゜)!? セティエ=リモージュ 100万年はやいぞ! 【清白】 むぅ・・・ salt 私知ってるの・・・ セティエ=リモージュ ? salt セティエ様はほんとは死んでるの・・・ セティエ=リモージュ !!! salt 私がすずっちと出会うまで salt 私を守ってくれていたのでしょ・・・? セティエ=リモージュ な・・なにを・・・ 【清白】 俺も知ってたよ・・・ 【清白】 俺 【清白】 あんたの分まで強くなるから! 【清白】 だから認めてほしいんだ・・・ 【清白】 俺はソルトを・・・ 【清白】 一番愛しているから! セティエ=リモージュ ・・・・・・そうか・・・・(フッ セティエ=リモージュ 試すようなことを言って悪かったな・・・ セティエ=リモージュ いつの間にか・・・ セティエ=リモージュ 俺の役目はもう・・・・ セティエ=リモージュ 終わってたんだな・・・・ salt セティエ様っ・・・!? セティエ=リモージュ しあわせになれよ・・・・!!! 【清白】 セティエ様!? セティエ毒飲んで ばたっ セティエログアウト れもんログイン れもん 邪魔者は去った! れもん さぁ、結婚しれ! れもん 塩!れもんよりかわいくなるためにネカマ道に精進することを誓うか!? salt 極めます! れもん すずっち!セティエよりも萌えキャラになることを誓うか!? 【清白】 俺萌えキャラじゃないやい! れもん そしてROで楽しむことをeternalにoathすることをここに・・ れもん 誓え!!!!!m0っ(゚∀゚) salt 誓います! 【清白】 誓います! ゴーン れもん おめでとう!暖かい祝福を! れもん さぁ、コンサルタントに話しかけてらっしゃい 二人:はいっ(`・ω・´)ゞ 以上、台本でした~。 二次会はPvです!よく死にましたっ! あの格好でPv部屋と往復するのは恥ずかしかったです! 三次会は亀将軍! いーさんがばっちりMVP取れましたし最高でした! ご参加ありがとうございました! とても楽しい時間を過ごしました! れもんさん!司会進行ありがとうございました! セティエ様ノリノリでしたねっ! こんなに楽しませてもらって、私は幸せ者です;; これからもよろしくお願いします! カテゴリ [おみそ日記] - trackback- 2006年05月11日 23 51 06 おめでとw3番目のSSいいなぁ、タイトルにパクっていい? -- たろ (2006-05-12 09 07 26) しあわせにな・・・(フッ -- セティエ (2006-05-12 13 50 47) ありがとです!どんどんパクってください!セティエ様は、永遠のアイドルですw -- おみそ (2006-05-12 20 09 50) 名前 コメント #blognavi
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エスセティアシーカー本部 正式名称:エスセティアシーカ 部隊レベル5 部隊ポイント:2000 隊員数5 部隊長:にゃーせんせぃ
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ファンタジーアースゼロのストーリー クリスタルより創造された世界「メルファリア」 メルファリアは、後にはじまりの王と呼び習わせられる、マルクティス・エスセティア王率いる 「エスセティア王国」によって統治され、生きとし生きるものすべてがクリスタルの恩恵を受け、 人々は平和に暮らしていた。 しかし、クリスタルの力によって発達した人間は、次第に野望を抱くようになった。 世界各地で争いが起こり、長きにわたって続いたエスセティア王国の時代は終わりを告げた。 大国亡き後、二大王国時代、帝国時代、英雄の時代を経て、それぞれの思惑を抱えた 五人の王が、大陸の平定を目指して立ち上がる。 再び訪れる戦乱の時代に、終わりはあるのだろうか。 (FEZ公式より)
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脳内セティエ様・ME詠唱中(*´∀`*) -- りんご (2006-10-24 16 36 13) 惚れてもいいですか(*´ω`*)? -- すず (2006-10-30 23 43 00) ヤケドするぜ・・・?フッ -- セティエ (2006-10-31 11 57 52) 名前 コメント
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「美食の宴」 ※注:ブレカナ以外のセッションで登場したキャラと同名・同イラストのNPCが登場したりしますが、他人の空似です。あまり気にしないで下さい。 1、郷土料理の品評会 救世主オーレリアとの戦いから数ヶ月後、ケルファーレン公国の首都カルデンブルクにて、国内外の様々な地方から料理人を招いた上での「郷土料理の品評会」が開催されることになった。発案者は「ケルファーレンの魔女」の異名で知られる公女ローザリンデ(下図)であり、経済・流通・文化の活性化を目的とした企画として、国内外に大々的に告知され、多くの料理人達が地元の特産品を手にカルデンブルクへと集まりつつあった。 ****** ケルファーレン西岸に位置する漁村クロノスからは、村一番の海鮮料理の達人と名高いブラーヴォ(下図)が名乗りを上げる。その上で彼は、(いつの間にか)「村の土地神様」として崇められる立場に祭り上げられていたアーデルハイト(PC②)に対して、「新鮮な海の幸を、鮮度を落とさないまま、内陸の人達にも味わってほしい」という思いから、彼女の聖痕の持つ空間転移の奇跡の力を貸して欲しいと懇願する。 聖痕の力をそのような形で使用することに当初は困惑したアーデルハイトであったが、臨月を迎えつつあるセリーナ(下図)からも「魚は脳の成長にいいらしいし、生まれてくる子のためにも、今後もブラーヴォさんのお店にはお世話になると思う」と言われたこともあり、その申し出を受け入れることにする。どのような形であれ、自分の力が平和的な形で人のために役立つのであれば、それはアーデルハイトにとっては望ましい話であった。 ****** 一方、内陸北部のオデット村では、小料理屋の店主であるフレア(下図左)への出場依頼がカルデンブルクから届いていた。その上で、料理品目についても、「湖水魚のムニエル」を公女が直々に指定してきたのである。確かにフレアの作るニジマスのムニエルは村でも評判の名物料理ではあるが、全国的な知名度がある訳でもなく、しかもこの時期は特にニジマスが旬の季節という訳でもなかった。この状況をやや不自然に思った領主のマレー(下図中)は、何かこの品評会には「裏」があるのではないかと考え、念のため、村の自警団長であるレイ・シュピーゼル(PC③)に、彼女の護衛を命じる。 レイは元来は孤児で、この村の司祭マリア・ヴァレフスカ(上図右)に育てられた少女であり、聖痕者の力に目覚めてからは、自警団長として、身を挺してこの村を守り続けてきた。これまで彼女が村の外に出たのは、数ヶ月前の救世主達との戦いの時だけなので、その意味では、今回の任務を彼女の様な「都会知らず」の少女に任せて良いかどうかは不安ではあったが、その戦いの折に知り合った聖痕者達の中には、公女ローザリンデの直属の部下もいたらしい、という話を聞いていたため、何かあった時にはその時の縁が彼女を救ってくれることを期待して、マレーとマリアはレイに幾人かの護衛兵を預けた上で、フレアと共にカルデンブルクへと送り出すことにしたのである。 ****** 更に、同様の出演依頼は、河人族(ザルム)達が住む「河の王国」にも届いていた。この国の王子カープ(PC④)は、救世主達との戦いを終えた後、行き場を失った6人の「量産型アイレナ」を引き取り、それぞれに「新たな名前」を与えた上で、自身の従者として、様々な家事や雑用などを任せていた。その中の一人である「料理担当メイド」のエミリア(下図)の作る「河魚を用いた料理」は絶品であるという評判が、河の王国の内部で徐々に広まりつつあったのである。 その評判をどこから聞きつけたのかは不明であるが、カルデンブルクからの招待状には、そのエミリアの料理の出展を所望する旨が記されていた。河の王であるゲリンゼル(下図)は息子のカープに対して「この機会に、乾いた人々とのよしみを深めておくのも悪くあるまい」と言って、エミリアを連れてカルデンブルクへと向かうよう命じる。カープもその命令を快諾し、久しぶりに河の外の美しいLady達と出会える機会に心を弾ませるのであった。 2、謎の白猫 上記の他にも、国内外から次々と有名料理人達がカルデンブルクへと集いつつある中、エレシス村の領主代理であるセティエ・ルー(PC①)は、やや腑に落ちない表情を浮かべながら、公女ローザリンデとの会談に臨んでいた。 エレシス村には、(オデット村のフレアの双子の姉である)クレアという有名な料理人がいる。半年前に起きた香辛料の不正入手事件の際には大きく評判を落としたが、彼女自身がその入手経路には関わっていなかったため罪には問われず、その後も特製のクリームシチューを初めとする新たな料理を次々と開発したことで、高価な香辛料を用いなくとも上質の料理を作れることを実証した彼女の店の評判は、再び村の内外で高まりつつあった。 だが、ローザリンデからの依頼状で指定されていた料理は、クレアの「クリームシチュー」ではなく、領主代行のセティエ・ルーが作った「水飴」だったのである。確かに、セティエは水飴を「村の新名物」にしようと考えて開発してはいたが、それは「料理」としてではなく、むしろ工芸品的な商品として想定していただけに、それを料理品評会に出展しろと言われること自体、どうにも不可解に思えた。 そんなセティエに対して、彼女を一人で自室に呼び出したローザリンデは、ある一つの「密命」を下す。実は、これこそが、彼女がこの品評会を開いた「裏の理由」であった。 半月ほど前、カルデンブルクの公立図書館にて、一匹の「白猫」が目撃された。その猫は四足歩行で歩いはいたものの、その前足を器用に使って、閲覧室の中にある「魚料理」関連の書物を本棚から取り出し、ページをめくり、その本の中身を読んでいたらしい。その話を聞いたローザリンデがすぐさま現場に赴き、その正体を確かめるため、コロナの奇跡の力でその白猫を自身の近くに呼び寄せようとしたものの、なぜかその猫には通用せず、即座に図書館の外へと走り去ってしまったという。 また、ちょうどその目撃事件と前後して、カルデンブルクの城下町にて、「魚の盗難事件」が続出しているという苦情が寄せられるようになった。どうやらそれは、「最近になって城下町に出没するようになった一匹の白猫」に率いられた野良猫集団の仕業のようで、ただの猫とは思えないような統率の取れた集団行動で、町中の魚屋が被害に遭っているという。 ローザリンデとしては、この「謎の白猫」に俄然興味が湧いてきた。突然変異で生まれた知性を持つ猫なのか、誰かの使い魔なのか、あるいは小型の猫人族(カヴィーナス)なのか、いずれにしても、その正体を確かめたいと考えた彼女は、その猫をおびき寄せるための罠として、この「料理品評会」の開催を思いついたらしい。無論、結果的にこの企画が地域経済の活性化に繫がることも期待しているが、この機に「魚」目当てに現れるであろう白猫を捕縛して、その正体を確かめたい、というのが彼女の本音であった。 そのために、さほど郷土料理が有名という訳でもない辺境のオデット村や河人族の王国にまで、「魚料理」の出品を依頼する招待状を出したのである。そして、このような「面白そうな話」に対して、セティエが食いつかない訳がない、ということも、ローザリンデは見抜いていた。つまり、セティエを「出場者」としてこの地に招いたのは、あくまでも名目であって、実際には彼女には、白猫が食いつきそうな魚料理の出展者達を監視させることが主目的であった。幸い、セティエの水飴は彼女一人の魔力から作り出せる代物なので、特に機材の設営などが必要という訳でもないため、前準備の片手間に他の出場者の様子を観察する程度の余裕は、十分にある筈である。 それに加えて、オデット村にも河の王国にも、セティエの「お友達」がいる以上、周囲を警戒させずに表敬訪問するには最適の関係である。なお、クロノス村に関しては、公女は「元々、海産物が主産業である以上、呼ばなくても来るだろう」と考えて、あえて招待状は送らなかったらしい。一方、実は(アイルーとメラルーが住む)猫人族の里からも出場の申請はあったのだが、今回は「衛生上の理由」という名目で、断ることにした。もっとも、あくまでもそれは建て前で、実際のところは「もしかしたら、猫人族の里が裏で糸を引いているのかもしれない」という警戒心が主な理由であった。 一通りの事情を聞かされたセティエは、公女の意図を了解した上で、その任務を快諾する。名目とはいえ、自身の水飴を「料理」として出品することへの違和感はどうにも拭えない彼女ではあったが、その「謎の白猫」への興味は、確かに彼女の中でも俄然高まっていたのである。とはいえ、この時点で既に品評会の開催は翌日に迫っており、セティエとしては、一刻も早く調査行動を始める必要があった。 3、救世主軍の残党 セティエはまず、品評会が開催される予定の城下町の広場に出て、人々の動向を観察しようとする。品評会の当日は、広場の各地にそれぞれの出場者ごとの「持ち場」が定められ、その区域内に「出店」のような形で「簡易調理場」と「飲食用の席」が用意されている。広場の中央に設置された舞台の上には「審査員席」が設けられ、名だたる貴族や美食家達が順番に各地の料理を品評しつつ、それ以外の一般の来訪者達も、好きな出店で各地の料理を頼むことを推奨する、というのがこの「美食の祭典」の趣旨であった。その開催を直前に控えた今、各地からの出場者が次々と到着し、下準備を始めている。 そんな中、最初にセティエと遭遇したのは、アーデルハイトでもレイでもカープでもなく、カリスト村の吟遊詩人ラルフであった。どうやら彼も、村の料理人を品評会に参加させるにあたり、その護衛兼水先案内人として派遣されたらしい(もしかしたら、彼もまた「ウェントスの奇跡」要員としての能力を見込まれたのかもしれない)。 しかし、彼の任務はそれだけではなかった。彼はセティエに、一人の「剣士」の似顔絵(下図)付き手配書を見せる。そこに描かれていたのは、かつてカリスト村を襲撃した「救世主オーレリアの四天王筆頭Dr.エベロの配下の五虎将軍の一人」であるケッセル・リンクであった。 Dr.エベロの五虎将軍のうち、アーデルハイト達によって倒された三人に関しては、オロンジョは(神聖騎士団経由で)ミンネゼンガー公国、ヤヤッキーは(Dr.エベロの本拠地を領有していた)ブレダ公国、そしてタンズラーはケルファーレン公国(正確に言えば、その中でもセティエが治めているエレシス村)にて、それぞれ収監されている。 一方、残りの二人であるルパート・リンクとケッセル・リンクの兄弟に関しては、彼等の戦いと同時並行で発生していたカリスト村での戦いにおいて、ソラ、ラルフ、レムス、ユピテルといった面々との戦いに敗れ、兄のルパートはその場で戦死したと見られているが、弟のケッセルに関しては、未だに行方不明のままである。そのケッセルと思しき人物をこのカルデンブルクの近辺で見たという情報を聞いたカリスト村の領主のソラが、この機にその動向の調査を試みるように、ラルフに依頼したらしい。 「あの兄弟は、殺戮者ではなかったようですが、かなりの強敵でした。それに、見た目は普通の人間のようでしたが、どこか人間離れした不思議な力を用いていたのです。もしかしたら、ただの聖痕者ではなかったのかもしれません」 ラルフはセティエにそう告げつつ、もし、ケッセルらしき人物を見かけた時には連絡をもらえるように、自分の泊まっている宿の位置を彼女に伝える。セティエの方からも、逆に「怪しい白猫」を見たら教えるように、と彼に通告した上で、ひとまずこの場は分かれて、それぞれの「裏任務」へと戻る二人であった。 4、猫達の襲撃 その頃、広場の片隅では、「河の王国」からの輸送品を乗せた馬車が到着していた。指揮しているのはカープと(量産型アイレナ3号改め)エミリアである。 だが、二人の指示に従って、雇われた輸送業者が荷物を下ろし始めた直後、一匹の白猫に率いられた野良猫と思しき集団が、一斉に彼等に向かって襲い掛かったのである。突然のことに、カープもエミリアも従業員達も困惑する中、何匹かの猫達が横に並ぶと、別の猫達がその並んだ猫達の背中に「河魚が入った樽桶」を乗せ、そしてそのまま一斉に(樽桶を乗せたまま)走り出したのである。それは、明らかに「ただの野良猫」がおこなえるような動作ではなかった。 カープは魚を奪還するために猫達を追いかけるが、さすがに初めての地では裏路地の構造などが分かる筈もなく、すぐに見失ってしまう。そんな中、彼はフレアと食料輸送隊を護衛してこの町に到着したばかりのレイと遭遇した。 事情を説明する前に、まず(条件反射的に)久しぶりに再会したレイを口説き始めるカープに対してレイが困惑していると、今度はそこに、騒動を聞いて駆けつけたセティエも姿を現わす。当然のごとくセティエに対しても甘い言葉を囁き始めるカープであったが、セティエはそれを軽く受け流しつつ、カープから「猫による窃盗被害」の情報を聞き出す。到着が一歩遅れたことで、その白猫を見逃してしまったセティエであったが、ローザリンデの狙い自体は間違っていなかったことを確信し、改めて詳しい話を、カープが連れてきた輸送業者の者達からも聞き始める。 そんな中、まだ呆然とした表情のエミリアが、少し遠い目をしながら、訥々と語り出した。 「ワタシ、アノネコ、シッテル。デモ、ドコデアッタカ、オモイダセナイ……」 エミリアは、アイレナの量産型として造られた個体の一人ではあるが、オリジナルのアイレナの記憶までは引き継いでいない。つまり、彼女の中にある記憶は「量産型アイレナ3号」としてDr.エベロの居城で造られた時以降の記憶の筈である。そして、彼女はDr.エベロが殺されるまでは、基本的にあの城の内部で生活していた。ということは、Dr.エベロもしくは彼と何らかの形で関係を持っていた誰かが、あの白猫に関わっている可能性が高い、ということになるだろう。 とはいえ、今の時点ではそれ以上、これといって特定出来る情報もないため、ひとまずセティエは別の店舗の調査へと向かい、レイはフレアと共に、出展予定の場所へと輸送隊を率いて移動するのであった。 5、猫を探す剣士 それとほぼ時を同じくして、クロノス村から、アーデルハイトの「ウェントスの奇跡」の力により、海鮮料理人のブラーヴォと、その助手の料理人達と、村の漁港で取れた新鮮な「海の幸」が、カルデンブルクの近辺の野原に一瞬にして転移された。本来なら、彼等の出展予定地である広場の区画に直接移動出来れば良かったのだが、この街の土地勘がないアーデルハイトにとっては、いきなり街中に出現場所を特定して移動するのは難しかったようである。 とはいえ、ブラーヴォにとっては、移動距離を大幅に短縮出来ただけでも、魚の鮮度という点では十分すぎるほどにありがたい話である。彼はアーデルハイトに深く礼を言った上で、出展予定地へ向かけて、助手達と共に荷車を引いて行く。 そして、この時点で実質的に仕事を終えてしまったアーデルハイトが、特にやることもなく街の中を散策していると、そこに一人の「剣士」が姿を現した。 「そこのお嬢さん、このような猫を見たことはありませんか?」 彼が差し出した紙には、一匹の白猫の絵が描かれていた。しかし、アーデルハイトにはまるで見覚えがない。なぜこの猫を探しているのかと問うと、彼は「私の主人が飼っていた猫です」と答えるが、特にそれ以上の説明はしなかった。ひとまずアーデルハイトとしては「見つかった時の連絡先」として、彼の泊まっている宿の場所を聞き出した上で彼と分かれると、それと入れ違いに、今度はカープと再会した。 いつもの如く口説き始めるカープの美辞麗句を右から左に聞き流しつつ、カープの運んできた河魚が猫達に奪われたという事実を彼女も知ることになるが、さすがにこの時点では、それを率いていた白猫が、先刻の剣士が探している白猫かどうかを判別することは、アーデルハイトには不可能であった。 ****** その後、アーデルハイトとカープが白猫探しを兼ねてそのまま街の中を歩き回っていると、やがて路地裏から響き渡る物騒な物音が二人の耳に届く。それは、明らかに「誰かと誰かが争っている物音」であった。急いで現場に向かって二人が急行すると、そこには一人の男が倒れていた。それは、カリスト村の吟遊詩人ラルフであった。 カープが即座に手当をすると、どうにかラルフは息を吹き返す。ラルフ曰く、街中で「Dr.エベロの五虎将軍の一人のケッセル」と思しき人物を見かけ、路地裏に入ったところで捕縛しようとしたものの、返り討ちに遭ってしまったらしい。ラルフがそのケッセルの似顔絵を二人に見せると、そこに描かれていたのは紛れもなく、アーデルハイトに「白猫」の居場所を訪ねていた、あの剣士であった。 なぜ、彼が白猫を探しているのか? もし彼の言っていたことが本当だとしても、その白猫を飼っていた「主人」とは、エベロなのか、それともオーレリアなのか。いずれにしても、相応の実力を持つ聖痕者である筈のラルフでも歯が立たなかったという現実を目の当たりにしたカープは、アーデルハイトと共に、セティエやレイとも合流して対策を練った方が良いのではないか、と考え始める。ケッセルの目的が不明とはいえ、このような危険な人物が街の中を徘徊している状況で、美しきLady達を一人にしておくことは、彼にとっては由々しき事態であった。 6、南国の樹木 その頃、オデット村から初めて都会に出て来たレイは、慣れない人混みの中で、いつの間にかフレアとはぐれてしまっていた。必死で街中を歩き回って、町はずれの城壁の近くでどうにかフレアを見つけたレイであったが、フレアは壁の向こう側に広がる森林地帯を見ながら、不思議そうな顔を浮かべていた。 「あそこに見える木って、この地方に生えている木じゃないわよね?」 そう言ってフレアは首を傾げる。言われた方向にレイが目を向けると、確かにそこには、一般的な針葉樹林の中に、およそハイデルランドでは見たことがない奇妙な形状の樹木が、一本だけ混ざっていた。それは、かつてレイが育ての親であるマリアに読み聞かせてもらった絵本の中に登場する 南国の木 のような姿であり、現実にこのような樹木を目の当たりにしたのは、レイもフレアも初めてである(というよりも、絵本の中でしか見たことがない木が本当に実在すること自体、レイにとっては驚きであった)。 二人が呆然とその木を眺めているところで、再びセティエが彼女達の前に現れる。未知なる存在への好奇心旺盛なセティエが、このような奇妙な樹木を見て、黙っている筈がない。フレアが以前に読んだ本によると、この南国の木の果実は食用としても重宝されているらしい、という話を聞いたセティエは、ひとまず、元素魔法の風の力を用いて、その木の実を落としてみようと試みる。ところが、セティエの魔法によって作り出された「風の刃」がその木の上部に実った「果実」の根元に当たろうとした瞬間、その南国の木は、明らかに不自然な動きを見せて、その風を「避けた」のである。 これは明らかに「ただの木」ではないと判断した三人は、城壁の外に出てその木を直接調べようと試みるが、彼女達が近付こうとすると、その木は突然動き出し、彼女達から遠ざかるように「移動」を始める。遠目には上部しか見えないため、どのような原理で動いているのかは不明だが、結局、三人が城壁の外に出た頃には、その木は完全に姿をくらましてしまっていた。 ハイデルランドには「樹人族(エント)」と呼ばれる「意志を持って行動する植物型の亜人種」が存在する。しかし、一般的な彼等の形状は、カシやブナといった「ハイデルランドの各地に生えている樹木」によく似た形状であり、あのような「生態系的に明らかに異様な姿」ではない。未だ猫探しの途中ではあるものの、これはこれでローザリンデに報告すべき事案なのではないか(もしかしたら、ローザリンデが密かに植えていた代物なのかもしれない)と判断したセティエは、ひとまずレイと共にフレアを「オデット村の人々用に割り当てられた出展予定地」へと案内した上で、彼女が翌日に向けての準備を始めたのを確認しつつ、レイと共にローザリンデの元へと向かうのであった。 7、猫と錬金術 「やられたわ。あの猫、今度は貴重書室の本を盗んでいったのよ……」 謁見を許されたセティエが、レイを伴ってローザリンデの前に姿を現した瞬間、ローザリンデはセティエからの報告を聞く前に、開口一番そう呟いた。 「しかも、今度はただの料理本じゃないわ。錬金術に関する専門書よ」 困惑した表情で、ローザリンデはそう続ける。猫が魚の本を見ていただけなら、(それ自体、かなり異様な光景ではあるが)猫の純粋な本能として理解出来なくもない。だが、貴重書室の中の、しかも錬金術に関する書物を盗み出したとなれば、これはもはや「ちょっと知性を得ただけの猫」とは考えにくい。その白猫そのものが人間以上の知識を持つか、もしくは、錬金術に関わる人物の命令を忠実に遂行出来るだけの知性を持った猫である、ということになる。 しかも、それに加えてもう一つ、公女は衝撃的なことを口にする。前回、「コロナ」の奇跡の力で止めることが出来なかったローザリンデは、今度は「ファンタスマ」の奇跡の力を用いて、その白猫に言うことを聞かせようとした。コロナの奇跡(紋章)は、多くの人々を同時に従えることは可能だが、聖痕者には通用しない。一方、ファンタスマの奇跡(真名)は一人に対して用いることしか出来ないが、たとえ相手が聖痕者であろうとも、その言葉には逆らえない筈である。ところが、その白猫は、そのファンタスマの奇跡の力を以ってしても、言うことを聞かせることは出来なかったという。 こうなると、可能性は二つ。白猫が、何らかの形でその奇跡の力そのものを打ち消したか、あるいは、その白猫は「どんな奇跡の力をも通用しない特異体質」なのか、である。前者であれば、まだ人知の及ぶ範囲で、色々な可能性が想定出来る。だが、もし後者であった場合、それはもはや「神の使徒(アルカナ)よりも強大な何か」ということになる。 困惑するローザリンデに対して、セティエはひとまず「南国の木」のことを報告するものの、どうやら公女もそのような樹木には全く心当たりがないらしい。今回の品評会への出場者の中にも、そのような特殊な食材を用いる者達がいるという話は聞いたことがないという。 こうして、ますます事態は混迷を深める中、セティエとレイは、ひとまずカープと合流して対策を講じるべきであろうと考え、再び城下町へと戻ることにしたのであった。 8、第二の魚強盗 一方、くしくも街中でそのセティエとレイを探していたカープとアーデルハイトの前に、クロノスの料理人ブラーヴォが、血相を変えて姿を現わす。 「申し訳ございません、土地神様! せっかく運んで頂いた魚が、盗まれてしまいました!」 ブラーヴォ曰く、彼等が翌日に向けて出店で準備を進めていた時、白猫に率いられた野良猫集団が現れたという。ここまでは「河の王国」の荷馬車が襲われた時と同様なのだが、長年、海鮮料理店を経営してきたブラーヴォ達は、猫への対処法自体は手馴れており、様々な方法で猫の注意を分散させながら、彼等を追い払おうとした。 ところが、今回の強盗団は、猫だけではなかった。ブラーヴォ達が猫への対応で四苦八苦している間に、いつの間にか彼等の背後に現れた「覆面をつけた謎の剣士風の男」が、魚の入った箱桶を盗み出して行ったらしい。どうやら猫達の襲撃は陽動で、その覆面剣士が実働部隊だったようである。 覆面をしていたため、その男の顔は確認出来なかったらしいが、白猫と共闘していたということは、もしかしたら、例の「白猫を探していた剣士=ラルフを襲った剣士=五虎将軍のケッセル」が、あれから白猫と合流した上で、魚を奪うための共同戦線を張るようになったのかもしれない。とはいえ、救世主軍の主力であった男が、何のために猫と一緒になって魚を奪おうとしているのか、現時点ではカープにもアーデルハイトにも、さっぱり見当がつかない。 皆が困惑する中、そこにセティエとレイが姿を現わす。問題の白猫を探す上で、次に狙われる可能性の高い魚系の出店を回ろうとして、クロノスの出展場所に到着した彼女達であったが、どうやら到着が一歩遅かったらしい。とはいえ、ひとまずこれでどうにか合流を果たした四人は、これまでの互いの情報を共有した上で、次に狙われる可能性が高そうな「オデット村の出展場所」へと向かうことにした。 9、猫と覆面剣士 そして、彼女達の予感は見事に的中することになる。 「この女の命が惜しければ、ニジマスを全てそこの樽の中に入れろ!」 オデット村の出店の前で、フレアの首筋に剣を突きつけた覆面の男が、レイと共に村から派遣された護衛兵達に向かって、そう叫ぶ。兵達は当惑しつつも、やむなくその命令に従おうとしていた。ちなみに覆面剣士が指定した樽は、オデット村から持ってきた代物ではない。覆面剣士が自前で用意した樽のようである。 その様子を遠目に見たアーデルハイトは、その剣士の背格好が明らかに「白猫の行方を聞いていた剣士」と一致していることを確認する。その上で、彼女とレイとカープはフレアを助け出そうと試みるが、その動きはすぐに覆面剣士に察知されてしまう。 「動くな! お前達、何者かは知らんが、そこから一歩でも動けば、この女の命はないぞ!」 そう言われて、やむなく三人は動きを止める。ちなみに当事者であるフレアはこの時、「あらあら、困りましたね」とでも言いたそうな、緊張感のない表情を浮かべていた。カープとしては、この剣士が一瞬でも隙を作れば、その間にどうにか出来ると考え、会話を通じて精神面を揺さぶろうと試みる。 「なぜ、そこまでしてニジマスを奪おうとする?」 「今の私には、どうしても魚が必要なのだ! 兄上を救うために!」 「よく事情は分からんが、そんなに魚が欲しいなら、今から私がここで『石』を吐き出してやってもいいぞ」 「どういうコトだ?」 「そうすれば、ここに一匹の『巨大な魚』が現れる」 カープが言うところの「石」とは、「スマラクト」と呼ばれる、河の王国に伝わる特殊な石のことであり、河人族はこのスマラクトを口の中に入れることで、その姿を人間そっくりに変えることが出来る(陸上にいる時のカープは、常にこの石を口内に含んでいる)。もっとも、その数は非常に希少であり、王族以外の者の手に渡ることは殆どなく、その存在自体も河人族以外の間ではそれほど有名な訳でもないので、カープとしても、自分が言っていることをこの男が理解出来るとは考えず、あくまでも、相手を混乱させるための軽口をたたいたつもりであった。 だが、どうやらこの覆面剣士は、存外博識だったらしい。河人族の中でも、スマラクトを口にすることが許されている者は非常に珍しい、ということを知っていたようである。そして、このことが、彼が伝え聞いた情報の中にあった「ある人物」を思い出させることに繋がってしまう。 「貴様、河人族か? ということは……、まさか貴様……、Dr.エベロ様と救世主様を殺した、あの連中の一人なのか!?」 どうやら、思わぬ形でカープの「素性」が判明してしまったらしい。思わずカープは苦笑しつつも、逆に彼の側もこの反応から、この覆面剣士が「五虎将軍の生き残りのケッセル・リンク」である可能性が極めて高い、ということを確信する。 そんなやり取りが繰り広げられている中、四人の中でセティエだけが、近くの建物の上に潜む「観察者」の存在に気付いた。それは、大きさも形状も一般的な「一匹の白い猫」であった。 「ちょっと、いいかな? お話がしたいんだけど」 密かに建物の屋根の上に登ったセティエが、そう言って白猫に近付こうとすると、白猫は警戒しつつも、静かに口を開く。 「お主は、あの者達の仲間か?」 そう言いながら、白猫はカープ達を指差す。それは、確かに「人間の言葉」であった。セティエは内心でこの「未知なる生物」に対する好奇心を強めつつ、肯定の意を示す。その上で、その白猫の足元を見ると、そこには一冊の本があった。表題までは確認出来なかったが、その装丁のデザインから察するに、おそらくは何らかの秘術に関する書物であろうことが伺える。 この本こそが、ローザリンデが言っていた「図書館の貴重書室から盗まれた本」なのだろうか? 仮にそうだとして、なぜこの白猫がその本を持っているのか? あの覆面剣士と白猫はどんな関係なのか? そもそも、この白猫は何者なのか? 立て続けに沸き起こる疑問点を、一つ一つ彼女が確認しようとして会話を進めつつある中、その様子に気付いた覆面剣士が叫んだ。 「ポルンガ! お前、誰と話をしている!?」 そう言って、覆面剣士が猫のいる方向に目を向けた一瞬の隙をついて、カープがフレアを彼の手から奪還する。その直後、覆面剣士はカープに向かって斬りかかろうとするが、それをレイが身を挺して庇う。人質を失ったことで、状況的優位を失ったことを察した覆面剣士は、すぐにその場から走り去ろうとするが、そんな彼を逃すまいと、カープは走って追跡する。 だが、そんなカープに対して、覆面剣士はアルドールの奇跡の力を発動し、カープを一刀の下に斬り捨てようとした。それに対して、レイはアダマスの奇跡の力によってその効果を打ち消そうとするが、その力が突然、何者かによってかき消されてしまう。この時、レイもカープもアーデルハイトも、何が起きたのかは理解出来なかったが、白猫の近くにいたセティエだけは、正確に事態を把握していた。レイの発動しようとした奇跡は、白猫の発動した「アングルスの奇跡」によって、打ち消されていたのである。 その結果、カープは身体に致命傷を負って、その場に倒れる。そこから(河人族の)フルキフェルの奇跡によって起き上がろうとしたカープであったが、その奇跡の力をも、その白猫は再び打ち消したのである。困惑するレイとアーデルハイトに背を向けて、その間に覆面剣士が一目散にその場から逃げ去っていく様子を、白猫は「役立たずめ……」と呟きながら眺めつつ、その白猫は隣にいたセティエに視線を向けた。 「お主、私のために働く気はあるか? あるなら、お主の仲間を助けてやっても良いぞ」 そう問われたセティエは、この猫の目的が何なのかも分からない状態ではあったものの、このまま放置してカープを死なせる訳にはいかない(そして、現状では彼女自身にはカープを助ける手段がない)以上、ひとまず白猫に協力する意を示す。すると、その白猫は、直前に用いた自身の「アングルスの奇跡」を、更にその上から「アングルスの奇跡」を上書きすることで打ち消した。この結果、カープは自身の用いた奇跡の力によって、かろうじて一命を取り留めることになったのである。 その後、フレアや他の衛兵達(とニジマス)の無事を確認した上で、より一層の警戒を周囲の人々にも呼びかけつつ、四人は近くの宿屋の一室を借りて、白猫との「対談」に臨むことになった。 10、白猫の正体 「私の名はポルンガ。今は亡きクロストンの領主Dr.エベロによって造られた、猫型の機械人形じゃ」 白猫は四人に向かって、そう告げた。動物の姿をした機械人形は、確かにこの世界には存在する。だが、ここまで精巧に「本物の猫」と見まごうほどの外見で、しかも人の言葉を解する機械人形など、誰も見たことがない。それは、カープの傍に佇むマリモ(マリウス・モントゴメリー・フォン・グリューネヴァルト)ですらも同様であった。とはいえ、「人間並みの知性を有する機械人形」を作る技術が存在する以上、理論上はそれほど難しい話ではないのかもしれない。 ただ、先刻の戦いを見る限り、この白猫の身体には「アングルスの聖痕」が刻まれている可能性が高い。人型以外の機械人形自体は存在するとしても、四つ足の機械人形が「聖痕者」として出現する事例は、かなり稀であろう。もっとも、カープのような河人族や、カリスト村のエウロパのような樹人族も、その本来の姿は「手足を持つ人間」とは全く異質な生き物であることを考えれば、それもさほど不自然なことではないのかもしれない。 むしろ、彼等を驚愕させたのは、その次の一言である。 「私の体内には、数百年前に作られた『擬似奇跡を生み出す回路』とほぼ同じものが備わっている。それ故に、Dr.エベロは私のことを『世界を革命する力を持つ猫』であると評し、それはもう大層丁重に扱ってくれていた」 ポルンガと名乗るその白猫は、淡々とした口調でそう語る。だが、この発言は四人(特にその中でもアーデルハイトとカープ)にとっては、あまりにも衝撃的すぎる内容であった。これはすなわち、彼等がその身を賭してこの世界から抹消した筈の「世界を揺るがす力」の完成型が、実は既にDr.エベロの手によって完成されていた、ということを意味している。 もっとも、ポルンガの証言によると、ポルンガはあくまでも「奇跡的に生み出された唯一の事例」であり、生前のDr.エベロの研究室においても、まだそれを量産出来る体制には程遠い状態であったらしい。 ポルンガはもともと「聖痕を持つ機械人形」として生み出された。これは、いかに天才的な能力を持つ錬金術師といえども、そう簡単に意図的に創り出せるものではない(数百年前に「七人の聖痕を持つ機械人形」を同時に作り出せたのは、当時の最高の技術を持つ13人の錬金術師が、持てる力の全てを結集することが出来たからである)。しかも、ポルンガは過去・現在・未来の全てのアルカナが「アングルス」という、これまた極めて稀な存在であった。 そして、Dr.エベロが再現しようとして試行錯誤を重ねていた「擬似奇跡装置」の試作品が、なぜかポルンガの体内でのみ、有効に機能することが発覚したのである。これはおそらく「純粋なアングルス」という、ある意味で「極めて単純化された聖痕の構造」だからこそ可能となった事例なのであろう。 通常の「聖痕者の機械人形」は「クレアータの聖痕」を持って生まれてくるものだが、ポルンガにはそれがない。もしかしたらそれは、ポルンガが「人型ではない人造生命体」であることが関係しているのかもしれないが(実際、たとえば同じ人造生命体であっても、武具の形を持つ者には「クレアータ」ではなく「ディアボルス」の聖痕が宿ることを考えれば、クレアータの聖痕は人型以外の機械人形には宿らないのかもしれない)、いずれにせよ、もう一度再現しろと言われても極めて困難な「例外中の例外的な存在」として誕生した「純粋なアングルスの機械人形」だけが、Dr.エベロの研究にとっての「唯一のほぼ完全な成功例」だったのである。 その上で、エベロは同じ回路をその他の「聖痕を持つ機械人形」にも適用出来るように調整しつつ量産しようとしたが、結局、その試みが実を結ぶことはなかった。そうして挫折と失敗を繰り返していくうちに、やがて「七人の機械人形達」が大陸各地で次々と目覚め始めたことで、彼等の持つ回路そのものを手に入れる方向へと、活動の主軸が移行していったのである。 それでも、自分一人の力で、「数百年前の13人の天才錬金術師達」に匹敵する力を再現出来たことは、Dr.エベロにとっては大きな誇りであり、ポルンガのことを重宝する心は変わらなかった。それ故に、ポルンガは無闇に前線に出されることはなく、自身の居城の一角で、毎日高級な魚をあてがわれて、密かに大切に扱われていた。 だが、そんなポルンガにとっての幸せな日々は、一瞬にして崩れ去った。 Dr.エベロが「謎の侵入者達」の急襲によって、惨殺されてしまったのである。知らぬ間に主人を失ってしまったポルンガは、このままこの城にいても魚を得ることは出来なくなったことを悟り、城を出て、各地を放浪することになる。そして、多くの人々が集まる都会の地に入れば、労せずして様々な魚が手に入るということに気付き、このカルデンブルクに住み着き、やがて街の猫達を傘下に加えて、町中の魚屋をいつでも襲えるだけの「戦力」を手に入れたのである。 11、それぞれの事情 「そしてつい先刻、同じクロストン城で暮らしていたケッセルという男が私の前に現れて、『この街の図書館にある、錬金術に関する本を手に入れて欲しい』と言って来たのだ。まぁ、あやつは私から見れば兄弟のようなものだし、協力してやっても良いだろうと思って、盗み出してきてやった。もっとも、ただでくれてやる道理もないから、その代りに、魚の入手に協力させることにしたのだが、結局、あのような失態を犯してしまうようでは、どうにも協力相手としては頼りない。そこで、お主達が奴の代わりに、私に高級魚を定期的に提供すると約束してくれるのであれば、お主達と手を組んでも良い、と考えている。どうじゃ? 協力する気はあるか?」 この話を聞かされたセティエは、純粋に「面白い」と思った。城下町の魚屋を襲撃されるのは困るが、合意の上で高級魚を与え続けることでこの「奇跡の白猫」を手に入れられるのであれば、彼女の主人であるローザリンデも、喜んで国費を費やしてでも魚を提供し続けるであろう。セティエとしては、この話を断る理由は特にない。 一方、カープとアーデルハイトは、内心で冷や汗をかいていた。理由は二つ。まず、この白猫にとっての「幸せな環境」を壊したのは、紛れもなく彼等自身である。正確に言えば、とどめを刺したのはアイルーであり、アーデルハイトとしては生かしたまま捕らえるつもりだったのだが、白猫の立場からしてみれば、それで責任が逃れられるという問題でもないだろう。その真実を知った時に、この白猫が彼等に対して牙を剥く可能性は十分にある。 もう一つの問題は、魔神オクルスとの密約である。オクルスは救世主軍との戦いにおいて、アーデルハイト達に協力する条件として、「機械人形の内部に組み込まれている擬似奇跡回路を全て放棄すること」を挙げていた。ここで(アングルスの奇跡限定とはいえ)「ほぼ同じ回路を持つ存在」であるこの白猫の存在を放置することは、オクルスとの約束を反故にする行為であると判断されかねない。その場合、強大な力を持つ魔神の一人を完全に敵に回すことになる。この白猫が自ら進んで能力の放棄を受け入れてくれるのであれば、もう一度、セリーナやバルゴ達の力を借りて除去手術を行うことも可能であろうが、その提案を受け入れてくれると思われる要因は、今のところ見つからない。 この状況下で、まずは四人の間で色々と方針を確認する必要があると考えたカープは、「一度、別室で自分達だけで相談したい」と提案すると、ポルンガはひとまず了承する。こうして、カープ達は急遽、宿主に頼んで、もう一室を借りきることになったのである。 12、裏交渉 片方の部屋にポルンガを残しつつ、その世話と監視を(ポルンガにとっては妹のような存在である)エミリアに任せた上で、カープ、アーデルハイト、セティエ、レイの四人は、別室で相談を始める。まず、カープがセティエとレイに対して、上述の二点について説明すると、二人はその事情については概ね納得はするものの、その後の対応に関しては、意見が衝突することになる。 最終目標として「ポルンガを仲間に加えた上で、救世主軍の生き残りであるケッセルと対峙する」という方針については、四人は一致している。ケッセルが何を目指しているのかは不明であるが、少なくとも不穏な動きを見せていることは確かである以上、このまま放置しておくことは出来ない。そして、ポルンガが「アングルスの奇跡」を何度も使うことが出来る身である以上、ケッセルとポルンガが協力関係にある状態では、彼等を倒すことは極めて困難である。高級魚を提供することでポルンガが味方になるのであれば、それは確かに「安い条件」であろう。 ただ、問題はポルンガに対して、上記の「Dr.エベロ殺害」の真相を伝えるか否かである。カープはそのことを伏せたまま話を進めるべきだと主張したのに対し、セティエは「隠し事をしたままの交渉は、隠し事がバレた時の不信感を招く」と言って、全ての事情を明かした上での猫との交渉を提案したのである。確かに、ケッセルとの間で戦いが発生した場合、戦場においてケッセルがそのことをポルンガに伝えることで、ポルンガがその言葉を信じて途中で寝返る可能性もあり得る(先刻の戦いで、既にカープ達の顔はケッセルに知られている)。それならば、確かに最初から話しておいた方が無難なのかもしれない。 しかし、その場合、その交渉の段階でポルンガが逆上して、カープ達に襲いかかる可能性がある。そう考えると、いっそのこと、現状においてポルンガとの関係が最も良好そうなセティエ(とレイ?)だけで同盟交渉を進めた上で、カープとアーデルハイトはこの件から手を引く、という選択肢もあるだろう。だが、その場合、自動的にポルンガはセティエの手元に残ることになり、そのままローザリンデの管轄下に置かれることになる。この白猫の力のことを「ケルファーレンの魔女」が知った場合、「自身の望む世界」を実現するため、「この世界を揺るがす方向」へとその猫の力を使いかねない。そうなると、今度は魔神オクルスが動き出す可能性がある。それ故に、カープとしては、ここで自分達が手を引く訳にはいかなかった。 よって、カープとしては、自分達がエベロを殺した張本人だということを事前に明かすのであれば、その条件として、もしポルンガと自分達が対立することになった場合、全員が協力してポルンガを殺す、という約定を四人の間で結ぶことを提案する。今のところ、ポルンガには「アングルスの奇跡」以外にどのような力があるのかは分からないが、もし通常の機械人形以上の戦闘能力を備えていた場合、それなりに苦戦を強いられる可能性はある。更に、もしセティエかレイのどちらかが「自分はDr.エベロの殺害には関与していない」と言った上で、単独でポルンガと手を組んだ場合、ほぼ間違いなく、カープ側は敗北するだろう。カープとしては、そのような形での犬死にだけは避けたいと考えていた。 アーデルハイトは、消極的にながらもこのカープの提案に同意を示す。結果的にポルンガを騙し討ちにしてしまうことへの罪悪感はあるが、仲間であるカープがポルンガと戦うことになってしまった場合は、全力で戦わざるをえない。 これに対して、レイはよりラディカルな答えを提示した。 「そのDr.エベロという人物は、殺戮者だったのでしょう? ならば、あなた方が彼を殺したのは、致し方のないことです。そのことをきちんと説明した上で、それでもあの猫があなた方のことを許せないというのであれば、あの猫も殺戮者の仲間ということになります。ですから、その場合は、あの猫も殺さなければなりません」 レイは、かつて大切な人を殺戮者に殺された過去があり、殺戮者に対しては人一倍強い敵意を抱いている。たとえ自分が犬死にすることになったとしても、そうなった場合はポルンガを倒すために戦うという、強い覚悟に満ちていた。 そして、問題はセティエである。彼女にとっては、ポルンガとカープ達との因縁は、「自分とは関係のない話」であり、セティエの中では「自分がポルンガを殺さなければならない理由」は何もない。その上で、もしセティエとポルンガが手を組んで他の三人と敵対した場合、セティエの奇跡で一方的に残り三人が虐殺されて終わり、ということになる公算が高いのであるが、彼女の中では(結果としてポルンガの所有権を一人で独占出来るのは大きな魅力ではあるが)「カープ達を殺さなければならない理由」も存在しない。よって、セティエは(たとえポルンガとカープ達が戦うことになったとしても)あくまでも「私は、猫は殺さない。あなた達のことも殺さない」という形で、実質的な「中立宣言」を提示することで、どうにか他の三人からの合意を得る。 こうして、彼等は激論の末に、なんとか方針をまとめることに成功した。その上で「最終的にポルンガの身柄を誰が引き取るのか」という点については、ひとまず「先送り」という形で落ち着いたのであった。 13、残党達の思惑 神妙な面持ちで四人が再びポルンガの前に姿を現すと、その雰囲気から、ポルンガの方も何やらただならぬ気配を感じ取り、警戒した表情を浮かべる。そんな中、カープとアーデルハイトは、Dr.エベロが「この世界にとって危険な存在」であったことをポルンガに説明した上で、自分達がDr.エベロを殺したことを正直に伝える。 「なるほど。つまり、我が楽園を壊したのはお主達、ということじゃな?」 皮肉めいた口調でそう問いかけるポルンガに対して、アーデルハイトは申し訳なさそうな声で答えようとする。 「はい。ですが、それは……」 「御託はいい。あの男がこの世界にとって危険だったかどうかなど、私にとってはどうでも良いことだ。大事なのは、お前達が我が楽園を奪った。そして、今のお前達を殺したところで、楽園は帰っては来ない、ということだ。そうだろう?」 「その通りです……」 「ならば、私がお主達に要求することは一つだ。Dr.エベロが提供した以上に高品質な魚を、我に与えよ。それがお主達に可能な唯一の贖罪。それ以外の選択肢は認めぬ」 ポルンガは鋭く睨んだ瞳でそう言い放つ。だが、ポルンガのこの反応は、四人にとってはまさに理想的な答えであった。クロノスも、オデットも、河の王国も、それぞれ海水魚・湖水魚・河川魚に恵まれた地域であり、おそらく内陸部のクロストンよりも新鮮な魚を提供するには適した環境と言える。無論、このままカルデンブルクに残って(多少鮮度は落ちるものの)全国各地から集まる多種多様な魚を味わい続けるという選択肢もある。いずれにしても、きちんとそれぞれの地の領主と契約した上での魚提供ということであれば、決して難しい話ではない。 その旨を四人が伝えると、ポルンガは喜んで協力を申し出る。その上で、彼はケッセルと、そして(死んだと思われていた)その兄のルパートについての、驚くべき事実を伝えた。 先刻、ポルンガはケッセルのことを「私の兄弟のようなもの」だと言ったが、実はケッセルとその兄のルパートは、Dr.エベロによる「人体改造手術」を受けている身であるらしい。それも、機械の身体ではなく、「亜人種の力」をその身に注入しているのだという。ポルンガの身体がどう見ても「有機体の猫」にしか見えないことや、人間しか見えない姿の量産型アイレナを自力で生産していたことからも分かる通り、Dr.エベロは人工的に「有機的な身体」を作り出す技術を持っていたことは明らかであったが、それだけでなく、既存の有機体(生命体)そのものを掛け合わせる技術も開発していた、ということである。 「ルパートには樹人族(エント)の、そしてケッセルには豚人族(オーク)の身体を構成する物質が注入されておる。もっとも、ルパートの方に注ぎ込まれているのは、南国系の特殊な樹人族の力らしいがな」 この時点で、セティエとレイは、あの「南国の木」の正体がルパートなのではないか、という仮説に到達する。そのことをポルンガに伝えると、おそらくそれが正解であろうというのが彼の判断であった。 ポルンガ曰く、ルパートとケッセルは、いずれも日頃は人間の姿をしているが、本気を出すと、徐々にその身体が「樹人族」や「豚人族」に近付いていき、それに伴って、自分で自分の身体を統御することが難しくなるらしい。そして、二人は数ヶ月前に敵軍との戦いで負傷し、特に深手を負ったルパートは、自身の「限界」を超えた形でその内なる力を発動しなければならない状態になった、とケッセルは言っていたという。おそらく、それは「殺戮者」と化してしまった、ということを意味しているのであろうことは、四人ともすぐに想像出来た。 そして「限界を超えたルパート」は、「人の姿」に戻ることが出来なくなり、徐々に「人としての感情」すらも失われつつあるという(ルパートが死んだと思われていたのも、おそらく「人としての姿」が戦闘中に失われたことが原因であろう)。その状況から兄を救う方法を探すために、ケッセルは錬金術に関する本を手に入れてくるよう、ポルンガに頼んだのだという。 だが、ケッセル自身は錬金術師ではないので、彼が仮にこの「ポルンガが盗み出した本」を手に入れたところで、その内容をどこまで理解出来るかは不明である。更に言えば、もしルパートが既に殺戮者と化してしまっているのなら、どんな錬金術の力を用いたところで(「人間の姿」に戻すことは可能かもしれないが)「聖痕者」に戻ることは出来ないだろう。だとすれば、ケッセルがルパートを守ろうとする限り、アーデルハイト達とは対立せざるをえない。 ともあれ、現時点ではまだ全ては仮説であり、ケッセルとの和解の可能性も完全に潰えた訳ではない。それにポルンガとしても、どのような事情であれ、出来ることならばケッセルと戦うことは避けたいというのが本音である。そのことを踏まえた上で、ひとまずはポルンガの道案内に基づき、四人はケッセルとルパートが潜伏しているという、城下町の近くの森の中へと向かうことを決意したのであった。 14、豚と木の宴 こうして、カルデンブルクの近隣の森の中に足を踏み入れた四人は、その中で聳え立つ一本の「南国の木」と、その前に仁王立ちする剣士ケッセルの姿を目の当たりにする。 「ポルンガ、なぜお前がそいつらと一緒にいる? まさか、寝返ったのか1?」 「お主がどうにも役に立ちそうにないから、選択肢を広げただけだ。私とて、別にお主には何の恨みもない以上、お主と争う気もない。ただ、此奴等はDr.エベロを殺した償いに、私により高品質な魚を提供すると約束してくれた。だから、お主と此奴等が争うのであれば、どちらにも協力はしない。戦って勝った方に、これから先の『私への魚供給係』としての栄誉を与えるだけだ」 「貴様! そいつらが『生みの親』の仇だと知った上で、それでも手を組むというのか?」 「お主達人間は、『身内への情』などという、くだらぬ邪念にとらわれているようじゃが、私の中にはそのようなものは存在しない。私にとって大切なのは、魚だけだ。魚こそこの世界の全て。この世界には、『私に魚を与える者』と『与えない者』の二種類しかいない」 ある意味、それは「完全なるアングルス」ならではの発想でもあった。「純粋なる猫の本能」を抱いてこの世界に生まれたポルンガにとっては、それこそが唯一にして絶対の正義なのである(もっとも、そうは言いつつも「兄弟同然のケッセルとの戦闘」に対して消極的になる程度の情は、ポルンガの中でも無意識の内に備わっていたようであるが)。 そして、彼等がそんな会話を繰り広げている中、アーデルハイト達四人はケッセルの背後に立つ南国の木を改めて凝視すると、明らかにそれは「ただの樹木」ではなく、明確すぎるほどの「殺戮者の気配」が漂っていたのを感じ取っていた。 「そうか、分かった。お前が『身内への情』を邪念と断ずるなら、俺はその邪念を抱いて生きる。兄上がこのような身になってしまった以上、私は兄上を救う道を探し続ける。そして、仮にもう人間には戻れぬのだとしても……、兄上一人にその業を背負わせはしない!」 ケッセルはそう言い放つと、それまでの「均整の取れた人間の剣士としての身体」を捨て、「大柄な豚人族の姿」へと変身する。どうやら彼も、兄を救うための道を模索する過程で、いつの間にか殺戮者となってしまっていたらしい。こうして、 真の姿を現したルパート&ケッセル兄弟 は、自分の主人達の仇を討つべく、「殺戮の宴」の開会を高らかに宣言するのであった。 これに対して、ポルンガは当初の宣言通りに戦場から離脱し、残された四人の聖痕者は、重武装したレイが残りの三人を守るような陣形で、ケッセルからの攻撃を迎え撃つ。当初、ケッセルは序盤から、持てる力の全てを叩き込んで聖痕者達をまとめて葬ろうとするが、連携のとれた四人の防御の壁を崩せず、逆にセティエとアーデルハイトの連続攻撃によって、徐々に窮地に陥っていく。それに対して、後方にそびえ立つルパートは、その根と枝を限界まで伸ばして四人を同時に攻撃することでルパートを援護するが、カープとレイの必死の防戦により、どうにか彼等は戦線を維持し続けた。 そして、セティエからの二度目の複合魔法攻撃(自称「セティエの全部ごちゃまぜ☆あたしだけの大魔術!」)が直撃したことで、ケッセルの身体機能は完全に停止し、無念の表情を浮かべながら、前のめりに倒れ込む。その姿を目の当たりにしたルパートは、自身の中に残されていた「人間」としての感情が爆発し、己の身を守ることすらも放棄した上で、全力で四人に対して襲いかかってきた。これに対して、カープは残る力の全てを出し切ってでもその猛攻も食い止めようとしたが、運悪くアーデルハイトだけがこの攻撃の瞬間においてカープの「直接庇える範囲」の外側に取り残されてしまっていた。カープは即座に防壁を創り出すことで彼女を守ろうとするが、一歩及ばず、アーデルハイトは瀕死の重傷を受けて、その場に倒れてしまう。 それでもまだ彼女にはかろうじて息があることを確認したレイは、一刻も早くこの戦いを終わらせるべく、自身の中に秘められていたグラディウスの奇跡の力を発動させてルパートへと斬りかかるが、あと一歩のところで致命傷には至らない。しかし、その間にカープがオービスの奇跡の力を用いて神がかり的な速さでアーデルハイトの傷を手当すると、起き上がった直後のアーデルハイトが放った光の矢の一撃がルパートの幹を貫き、遂に南国の大樹は崩れ落ちた。 こうして、Dr.エベロの五虎将軍の中でも最強と謳われた二人の兄弟は、主人達の仇を取れぬまま、異形の殺戮者として、非業の死を遂げることになったのである。 15、白猫の結論 その後、ひとまず当面の脅威を除去することに成功した四人は、ポルンガと交渉を重ねた結果、ポルンガ達が奪った魚を一旦返却させた上で、翌日の品評会開始の直前の時点で、ブラーヴォ、フレア、エミリアの三人が、それぞれにポルンガのための「絶品魚料理」を用意することになった。その上で、ポルンガの今後の扱いに関しては、彼(?)が最も気に入った料理人のいる場所を新たな居住地とする、という形で決着させることにしたのである(なお、セティエに関しては「どの地で引き取られることになったとしても、その後のポルンガの能力に関する研究には関与し続ける」という条件で、どうにか合意を得るに至った)。 そして、三者三様にそれぞれの郷土の魚の特色を生かした料理を提示されたポルンガは、それぞれをじっくりと味わった上で、最終的な決断を下す。 「お主の魚が最も美味であった! よって、以後はお主に、我が空腹を満たす特権を与える」 それは、ブラーヴォが用意した海鮮料理であった。何が決め手であったのかはポルンガは明言していないが、おそらく、アーデルハイトが奇跡の力を使って運ぶことで保たれた「鮮度」も、一つの大きな要素だったと推測される。この後、この白猫がクロノス村でどのような運命を辿ることになるのかは、誰にも分からない。だが、仮にこの白猫を巡って何らかの事件が引き起こされることになったとしても、アーデルハイトとオリバー、そしてセリーナの三人が集うこの村であれば、大抵の困難は乗り越えられるであろう。そしていざとなれば、彼等を救うための仲間達は、いつでも世界中から駆けつけてくれる筈である。 そして、無事に「前哨戦」を終えた三人の料理人は、その直後の「本戦」としての品評会に向けての準備を始める。それと同時並行で、裏任務を終えたセティエが、出品予定の「今日のアナタのキブン色、セティエのマジカル☆ひやしあめ」を生成し始める中、やがて主催者であるローザリンデが会場に現れ、全国から集まった料理人と美食家達を相手に、高らかに宣言するのであった。 「捧げよ、食材! 今宵は美食の宴なり!」
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セティ 聖戦の系譜・トラキア776に登場するフュリーの息子。クラスはセイジ。 母のフュリーが病に倒れ、せめて一度父に会わせたいと思い立ち、故郷のシレジアを旅立つ。 流れ着いたマンスターにて、持ち前の正義感から圧政に苦しむ市民達を見捨てられず、反乱の指導者となり、勇者セティと呼ばれている。 聖戦の系譜 セリスたちのコノート開放と同時にマンスターを開放するも、トラキア軍の侵攻を食い止めるため、市民を逃し一人マンスターに残る。 駆け付けたセリスとの会話で、子供狩りを止められなかったことを悔いて自分を臆病者と嘲るも、一人では何もできないからこそ皆の力でここまで来れとの励ましを受けつつ、セリス軍に加入する。 彼の強さは父親が誰かによって大分異なり、戦士系の父だと魔力が上がらずその兵種が生かせない。(フィーにスキル見切りを持たせたいから、と父親をアレクにしたりすると悲惨な事になる) そのため、一般的には彼の父親はレヴィン・クロードが基本とされている。 レヴィンを父にする最大の特徴は、フォルセティ継承とそれにまつわる父レヴィンとの絡みであろう。 セイジという兵種で登場し、颯爽とフォルセティで敵を葬り去るその姿はまさに風神フォルセティ。 というか、名前にセティが入っている時点でから普通にセティの父はレヴィンとしか思えない。 ただ、実際の所レヴィン父の彼の強さはフォルセティと兵種で保たれている印象が強いのが本音。 パラメータ成長だけで見るならば、実際はクロード父の方が圧倒的に上だったりする。 下手をするとマジックリングを装備した上で、イシュタルやユリアにスリープやサイレスをかけるのが最後の役目となってしまう。 まあ、セティという名に恥じない子にするならばやっぱりクロード・レヴィンが一番父としていいんだろう。 名実共に"フォル"セティにしたいならレヴィンだけなんだが。 トラキア776 (あくまでパラレルだが)公式でレヴィン父になり名実共にフォルセティ継承者になった。 凶悪なパラメータ補正・高い初期値・サイアスとの二択のはずなのにサイアスより圧倒的に強いと サイアスがかわいそうになるぐらい強く、全作品通しても最強クラスのセイジとして君臨した。 レヴィンが父親の場合はそのままシレジアへと帰還し、荒廃したシレジアの大地を復興させたとされている。
https://w.atwiki.jp/eseeker/pages/12.html
エスセティアシーカーカセドリア支部 正式名称 ESカセドリア支部 部隊レベル1 部隊ポイント15 隊員数1 部隊長:クレインクィン
https://w.atwiki.jp/plum1122/pages/149.html
セティ autolink ある時は風の勇者,ある時はマギ団のリーダー,そしてまたあるときはシレジアの王子。そしてその実体は……フュリーの息子。 フォルセティを持っている彼はハマりすぎていて色々怖いが,フォルセティを持っていない場合の「セティ」という名前は,彼にとって重すぎるのではなかろうか。 どっちにしても元々のクラスがアスベルのように「マージ」ではなくホメロスのごとく「バード」であったことは確かなようで,男女を問わず,歌詞のような恥ずかしいセリフを言ってのけることが出来る。 自分がフケて見えるのは自覚しているらしく,たいして年はかわらないが子どもだ未熟だと悩むリーフに,うっかり励ますつもりで「私は子どもに助けられたとでも言うのか?」と言ってしまったりもする。 タグ: 【トラキア】 【聖戦】 せ シレジア 人名 男性 魔導士 上へ