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サイコロジカル 投資家の複雑な心理を映す鏡のような指標! サイコロジカルとは「心理的な」という意味で、市場心理を測って売買ポイントにするというもの。例えば、コインを10回投げてすべて裏だったら次は表がくるかもしれないと予想するだろう。このような心理を利用したのが、「サイコロジカル」なのだ。 計算方法は驚くほど単純! サイコロジカルは、RSIなどと同じように、相場の「買われすぎ・売られすぎ」を見るテクニカル分析である。しかし、一番簡単に計算できる指標でもある。相場の上昇や下落に関係なく、一定期間の中で上昇・下落した日数が何%になっているか、というもの。 基本的な考え方は、コインの表と裏のように、相場の上昇と下落はいつまでも続くものではないというもの。上げ続けた・下げ続けた日数をある一定期間で割って計算する。この期間は12日間とするのが一般的だ。これを%に直して表すだけだ。この計算で算出された点を結んだ線をサイコロジカル・ラインという。 サイコロジカル・ラインは、見方も単純で、75%以上は上げ過ぎなので今後反落する可能性が高くなり、逆に25%以下は下げ過ぎなので今後反発する可能性が高くなるという見方ができる。したがって、75%まで買われ過ぎた・25%まで売られ過ぎた場合には、逆張りを仕掛けるのが有効になる。サインが出にくい場合には、割る日数を変更して分析してもよい。また、上げ下げの値幅も考慮に入れて計算するタイプのものもある。 計算が単純なだけに、意外に投資家に人気のあるテクニカル分析だ。 トップページへ
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サイコロジカル(戯言シリーズ) サイコロジカル 青青青 インスタント 呪文1つを対象とする。6面ダイスを1個振る。そのダイスの出目により、それは以下の効果のいずれか1つを持つ。 1 - それを打ち消す。 2 - それを打ち消す。そうした場合、それをそのオーナーの墓地に置く代わりに、そのオーナーの手札に加える。 3 - それを打ち消す。その後、土地を最大3つまでアンタップする。 4 - それを打ち消す。カードを1枚引く。 5 - それを打ち消す。これによりそれが打ち消された場合、それをオーナーの墓地に置く代わりに時間カウンターが3個置かれた状態で追放する。それが待機を持っていない場合、それは待機を得る。 6 - それを打ち消す。その呪文がこの方法で打ち消された場合、それをそのオーナーの墓地に置く代わりに追放する。それが追放されている限り、あなたはそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。 まったくもって絶悪論理。 投稿時から修正されている。
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サイコロジカル・ラインとは、一定日数の間で、前日比プラスになった日数を数えて、それがどのくらいの割合を占めるかを示したものです。 市場心理を示す指標として投資判断に用いられています。 【参考サイト】 http //www.daiwa.jp/ja/glossary/jpn/00289.html http //www.investechno.com/et/help/shihyou/techoff/B13.htm 【担当】 1.あきね
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サイコロジカルとは心理的なという意味で、投資的心理を表す指標。株価の終値が前日から上がれば勝ちとして、検証日数の中で何勝したかを勝率として出す。100%に近いほど買われすぎ、0%に近いほど売られすぎとされる。この考え方に上昇幅・下落幅を導入したのがRSIである。
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(エコロジカルメディスンへの道 作成中) 頭の中をシフトする 機械論的パラダイム ホリスティックパラダイム エコロジカルパラダイム 新しいやり方を身につける
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(ホリスティックヘルスとエコロジカルヘルス 作成中 2008年9月15日) 自分自身は、植物療法を学ぶことで、ホリスティックな視点というものに出会い、 治療をする上で、人間を症状だけではなく、心、体、魂、取り巻く環境といった、 全体から見ていくという考え方に共感を覚えた。 そのあとに、植物療法を通して、「自然療法を行っているつもりだけれど、 本当に、自然とつながっているのか?」という疑問がわいてきて、パーマカルチャーを学ぶことになった。 そのあとに、エコロジカルメディスンという概念にもであった。 ホリスティックといった時に、当然、環境にも意識が及んでいるはずなので、 ホリスティックメディスンと、エコロジカルメディスンはそう変らないものと思っていたが…。 もしかすると、ホリスティックメディスンの場合、「人間を中心として全体を見る」という感覚なのかもしれない。 私自身は、なんとなくそんなイメージでとらえていたと思う。無意識ではあるけれど。 一方のエコロジカルメディスンの場合、別項の「エコリテラシー」に鑑みて考察すると、 決して人間中心ではなく、人間はあくまでも生態系の一部であるという人間観になろうかと思う。 ホリスティックな人間観は、人間を心、体、魂、環境の総和と見て要素の足し算ではなく相乗作用で存在していると見る。 エコロジカルな人間観は、人間は生態系の一員としてみる。 そうした、人間を中心として広がっているのか、 環境全体から人間を見るのかという違いがあるのではないかということに最近気づいた。 ということは、エコロジカルメディスンはホリスティックメディスンの考え方の延長上にあるのではなく、 ホリスティックからもパラダイム転換が必要だということになる。 これから、このあたりは要考察である。 ■ホリスティックヘルス 日本ホリスティック医学協会HPより「ホリスティックヘルス」 ■エコロジカルヘルス
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◇ ◇ デパート十四階にて、なかなかにシュールな光景が繰り広げられていた。 ぐるぐると渦を巻いた瞳が特徴的な学生とおぼしき少年が、一匹の狼と会話をしている。 ぐるぐる目の少年の名前は分からない。名簿にも「四字熟語」としての名前しか載っていないだから、分かる訳がない、というものである。 彼は紆余曲折。 つい先刻、熱帯魚コーナーで小学生と交戦し、危うく殺されかけていた。 もっともあそこまで極端な状況でなかったなら苦戦することは無かっただろうが、偶然にも相手のとってきた手段が彼のとある能力で切り抜けられないものだった。 まさに間一髪のところで、隣にいる一匹の狼に助けられ、こうして何とか命を保てている。 狼の名前は香坂幹葦というらしく、警察官をしているとのことだった。 狼男だのの下りは正直ついていけないものはあったが、目の前でこうして狼の姿をしているところを見れば、自ずと彼の語っていることが嘘でないことくらいは見抜けるだろう。 「本当に怪我は無いんだな、紆余くん」 「はい。……ただ、服は濡れてるわ塩臭いわ、散々ですけどね」 先程相間見えた小学生の使ってきた、なんというか子供らしさの欠片もない手段。 電流をより強くするために塩水を思い切りぶっかけられたのだったが、それがここにきて予想外の形で紆余曲折にダメージをちょっと別のベクトルで与えていた。 何といっても服が濡れていて体温が奪われ、結構寒い。 更に時折鼻を擽る塩の香りが非常に不快だったりと、ちまちまと嫌な効果を産み出してくるのだ。 出来ればこのデパートで服をどうにか着替えて、気分新たに一歩を踏み出したいところだった。 ……着替えている最中は無防備を晒してしまうことになるが。 「香坂さんは体調すっかり良さそうですけど、貴方の方こそ大丈夫なんですか?」 香坂に助けられた紆余曲折だが、その時の香坂といえば足取りはふらふらで、まさに身体に芯が通っていないというべき有り様だった。 本人から話を聞くに、他の参加者に妙な薬を打たれてしばらく変な気分に襲われて辛かったらしい。 このまま悪化すると不味いんじゃないか、と心配もしたが、数分前からめきめきと回復の方向に向かっているのか、次第に口数も増えてきて身体の倦怠感も取れたようだ。 獣性活性薬。 紆余曲折の預り知らぬところでの話だが、香坂は自分が助けた筈の相手に裏切られている。 その時にこの薬を打ち込まれ、強制的に狼の姿でいることを余儀なくされた。 本来ならば催淫状態はもう少し長く持続するのだが、実は香坂幹葦は元々特殊な人種なのだ。 狼の姿に変化することも度々あった彼には強制獣化はともかくとして、催淫の効果は短時間だった。 その体質のせいでしばらく重度の体調不良に襲われこそしたが、それももう無い。 残念ながら身体能力の方も劇的な変化は望めないようではあるものの、それでも獣としての運動能力は以前より僅かであっても増している。 皮肉にもこの薬は、香坂に良い効果しかもたらさなかったようだった。 良いことをしたいと願う彼にとって獣の力は心強い味方となるーー現に、こうして一人助けられた。 普段の運動神経のままだったなら、愛崎一美を止める前に電流は流されていただろう。 (やれるんだ……! こんな僕でも、良いことが出来る……!!) 悪いことをしたいと思っていた頃からずっと空回りしてきただけあって、漸く自分のやりたいことが出来るようになった喜びは、相当以上に大きいものだった。 ブルース・ヤスパースを撃ってしまったのは大失敗だったが、まだ取り返せない訳じゃない。 マイナスに傾いた針なら、それよりずっと大きなプラスで振り切ってやればいいのだ。 どうしてこんなに簡単なことが分からなかったのだろうかと、香坂はかつての自分を恥じる。 彼は自分の思いが真実でないことさえ知らないまま、人助けの喜びに陶酔していた。 その喜びさえ、香坂幹葦の本来の感情ではないことに、彼は気付けない。 現在の自分がとある四字熟語に束縛され、反転の力によって作られただけの偽物だと、疑いもしない。 どうして悪いことをしたいと願っていた筈の自らがこうして「心機一転」しているのか、ずさんとさえいえる改竄の不自然さなど気にも留めずに、真実を知らないまま喜ぶばかり。 極上の道化という他ない醜態を晒しているにも関わらず、それを咎めてくれる者はここにはない。 紆余曲折は香坂を自分を助けてくれたとして信用している。 まさかこれは偽物の心で、本性がその正反対であるなどとは思うまい。 「香坂さん、そういえばひとつ、聞いてほしいことがあります」 そんなことは露知らずの紆余曲折は、ついさっき得たばかりの情報を香坂に打ち明けることにした。 愛崎一美が漏らした「白崎」という名前――悪人・白崎ミュートン。 無垢な小学生をマインドコントロールで悪人に仕立てあげた要注意人物として、ただでさえ記憶に残りやすい変わった名前は紆余曲折の脳に深く刻み込まれていた。 ハーフなのかはたまた偽名なのか、情報量はとにかく少ない。 紆余曲折のように何かしら不可思議な力を持っている危険性も考えなければならないだろう。 自身のルール能力については、既に香坂に打ち明けてある。 四字熟語の殺し合いなんて信じられないという顔をされたが、こうしてバトルロワイアルが行われている以上信じてもらうことは出来た。 一応念の為、どうして愛崎一美を切り抜けられなかったかについても説明はした。 彼にすればらしくない無用心さだったが、人間は恩人と認識した者には心を許す生物だ。 無意識の内に紆余曲折は、香坂幹葦に大分心を開いていた。 「白崎ミュートン、愛崎ちゃん――さっきの女の子をあんな風にした張本人らしいんですけど、この名前に聞き覚えはありますか?」 「……そんな名前、一度聞いたら忘れないだろうからな。でも危険な奴だってのは分かったよ」 「何か力を持ってるかもしれません……用心しておくに越したことはありませんね」 「油断大敵だ」 良いことをすることを望む香坂にとって、そんな悪人は許せなかった。 悪いことをして楽しむなんて――過去の彼が望んでいたことだが――、香坂には到底理解できない。 それ以上に、無垢な子供をあんな風に変貌させてしまう外道さに、香坂は背筋が寒くなった。 この世にはそういう、常軌を逸した人間が理由もなく生まれることがある。 歴史に名を残す犯罪者のことにも警察官という立場上精通している彼も知っていることだが、こんな狭い箱庭同然の空間に存在していると考えると不安になるのも無理はない。 身体は強くなっても、香坂幹葦はメンタル面で少々難があるのだから。 (駄目だ駄目だ、恐れるな……!) 折角強さを手に入れたというのに、また臆病に戻りかけた心に喝を飛ばす。 偽りの強さであろうと、今の彼にはそんなこと最早眼中になかった。 とにかくこのまま強いままで、もっと良いことをしたい――それだけしか残ってはいない。 姿形はどうあれ、その思考は既に自己満足のスパイラルに陥りつつあった。 助けられる側より、自分が助けるという行為自体に満足してしまっている。 そんな彼の幻想を粉々に打ち砕くように、紆余曲折のものではない別の男の声が、鼓膜を叩いた。 「よぅ、そこのお二人さん。ちょっといいか」 突然の声に、香坂と紆余曲折は同時に声の方向を向く。 そこに居たのは一人の精悍な顔立ちをした男で、その手には銃がしっかりと収まっている。 香坂幹葦はその顔に見覚えがあったが、あちらは知らないようだ。 まだ悪人になることを目指していた時に、殺そうとしてしまった相手。 狼の姿だから気付かれてはいないが、香坂は急に申し訳なさを感じた。 男が銃の引き金を引く様子はなく、見た限り危害を加えようとしているようにも見えない。 「そう警戒しないでくれ―――はっきり言って俺も滅茶苦茶ビビってんだ。何せあんなもんを拾っちまったんだからな……あんた達に話し掛けたのも、この不安を紛らわせたかったんだ」 そう言う男の声は本当に震えていて、何かに凄く恐怖しているように見えた。 この距離で銃撃されればひとたまりもないだろうが、引き金に指をかける様子はない。 香坂は考える。 この状況、一体どうすることこそが『良いこと』なのか。 あの男を不審と糾弾し、悪者として追い払うことか? いや、違う。それは良いことなんかじゃなく、ただの自分勝手じゃないか。 怯える人がいるなら、守ることこそが良いことだ。 極端すぎる思考に任せて、香坂は結局出会ったばかりの男を信用することにした。 「分かりました。だからまず、その銃をしまってくれますか?」 「ありがとう、信用してくれて嬉しいぜ―――ほら、これでいいか?」 銃をディパックにしまうと、男は両手を空に掲げて攻撃の意思が無いことを示した。 本来ならば用心を重ねて、衣服の中に隠し持っている可能性も疑うべきなのだろうが、大の男が何かとてつもない恐怖に怯えているのだ、そこに追い討ちをかけるような真似は憚られた。 紆余曲折の方をちらりと見やると、その表情は芳しくない。 これで本当にいいのだろうか、と何かを案じているようにも見える。 きっと、初対面で銃を持っていた男を簡単に信用することを不安に思っているのだろう。 しかし彼は武器を装備していないし、まして香坂は獣性活性薬の効果で強化されているのだ。 銃を出すまでのラグがあれば、男を組伏せてやれるくらいの自信はあった。 「俺は大崎年光。殺し合いに乗っちゃいないが、いい年してビビっちまってる。ったく、情けねえぜ」 「僕は香坂幹葦で、こっちが紆余曲折くんです。……あの、何があったか教えてくれませんか?」 その言葉を待っていた、と言わんばかりの勢いで、男――大崎年光はディパックに手を突っ込んだ。 銃を取り出すのではないかと二人は身構えたが、銃ならまだ良かったかもしれない。 大崎が取り出した「それ」を見て、二人は絶句を禁じ得なかった。 何と言えばいいのか、上手い言葉が見つかってくれなかった。 大崎の手が掴んでいるのは、ばっさりと切断された人間の右腕。 青ざめた顔で、震える手でそれを掴む大崎に、恐る恐る香坂は聞く。 「そ……それ、どうしたんですか……!?」 「分からねえ。分からねえんだ……! ディパックを開けたらこんなもんが入ってた…… 支給品ってことなんだろうが、最初の頃はまだ血が滴ってて、それでこの様だ」 確かに、大崎の身体にはかなりの量の血が付着していた。 このディパックの構造もなかなかミステリーなのだから、そういう支給品もあるのかもしれない。 確かにこんなものをいきなり引いたりしたら気が滅入るのも納得だ。 まるで死の宣告を食らったような気分になること請け合いである。 捨てるのも憚られるし、だからといってこんな物を持っていると知られれば九割五分誤解を受ける。 外れ支給品にも程があるだろう、と香坂は思わず溜め息を漏らした。 「なあ、ひとつ頼みがあるんだけどよ……あんた警察官だろ? 俺のこれ、預かってくんねえか?」 これ、とは勿論この誰のものかも分からない右腕のことである。 正直なところ香坂だって、不謹慎てはあるがこんな物を好き好んで持っていたいとはとても思えない。 何の意味があるのかは知らないが、とにかくこれがディパックに入っているだけで何だか気分が重くなりそうだ。しかし、無下に断るなんてあまりにも酷いとも彼は思った。 良いこと悪いことの前に、自分は警察官なのだ。 こういった物の管理は警察官の仕事だろうし、それにこれは誰が見たって「良いこと」の筈。 自分が嫌な思いをするだけで大崎年光という一人の人間が安心できるなら本望ではないか。 しかも自分は一度、この人を襲っているのだから。 早くも二つ目の良いことだ――彼はしばし考えるような素振りを見せていたが、やがて承諾した。 憑き物が落ちたような笑顔で、大崎はありがとう、と言った。 腕を渡すために、大崎が歩いてくる。 切断面付近を持つなんて、余程早くこれを手放したいんだな…と香坂は同情めいた感情を懐く。 しかし、そうではない。 彼も紆余曲折も、この切り取られた腕が何を意味しているのか、理解していないのだ。 大崎が差し出した右腕が、開かれた香坂のディパックを素通りして、彼の胸に触れた。 その時にはもう、何もかもが遅かった。 間違いは反転され、正しい「香坂幹葦」に戻る。 だがそれを待たずに、生じた隙を突いて大崎年光はディパックから勢いよく自らの得物を引き出す! 「……バカが。こんなもんが支給されるわけねえだろ」 「――――」 自分が何をしていたのか、どうしてそんなことをしていたのかを思い出し呆然となっている香坂の頭に、大崎は微塵の躊躇いも見せずに銃口を向けた。 この距離で外す訳がない。 そんな確信と共に彼は引き金を引いたが、狼の身体能力でギリギリかわされてしまう。 次の瞬間、四字熟語、紆余曲折が香坂を庇うようにその前に立ちはだかった。 無論、それがどうしたという話だ。 獲物がのこのこ飛び出てきてくれたなら、丁重に撃ち殺してやるだけのこと。 引き金を引くと同時に放たれる弾丸。 が、大崎のミスは紆余曲折という「四字熟語」の意味を考えなかったことだ。 「《死に急がば回れ》――――!!」 「おうっ!?」 真っ直ぐに飛来した弾丸が、紆余曲折の言葉を皮切りに《迂回》した。 攻撃を四秒間迂回させるルール能力。 如何に銃弾といえど四秒もの迂回時間があれば、香坂ごと飛び込むような形で逃げることは容易だ。 直ぐにポケットに仕込んでいた銃を取り出し、大崎に向けて躊躇することなく引き金を引く。 体勢が体勢なだけに髪の毛を掠める程度に留まり、紆余曲折は歯噛みする。 だがやれないことはない。 また殺すのは嫌だったが、このままでは埒が明かないのだ。 大崎年光を射殺する覚悟を決め、再び引き金に指をかけた瞬間、本能的に紆余曲折は身を反らした。 瞬間押し寄せる焼けるような痛み。 自分の右肩が裂け、傷は浅いとはいえ熱い液体が染み出すのが分かった。 「こう、さかさん」 「ハハハハハ……何してんだよ僕は……悪いことをしたい、それが僕だろ……!」 明らかな豹変を見せた香坂。 その爪には紆余曲折の血が付着しており、あの攻撃が彼の放ったものであることの動かぬ証拠だった。 それを見て紆余曲折は確信する。 あの「右腕」には、触れた者の心に干渉する力があるのだ。 もっと言うならあれは紆余曲折と同じ四字熟語の腕なのだが、それだけ気付ければ十分。 そしてそれは、大崎年光が最初から自分達を崩壊させる目的だったことの裏付けになる! (しかし……これは不味い……!) 何しろ二対一。 片方は狼で片方は銃弾だ、どちらも油断してかかっていい相手ではない。 しかも紆余曲折のルール能力には、不意討ちに咄嗟に反応できないという欠陥があるのだ。 彼が攻撃と認識していなければ迂回出来ない故、彼が気付いてすらいないものには使えない。 にわかに不味い状況だ。 そこで紆余曲折は香坂への罪悪感を確かに感じながらも、ある手段を使うことを即座に決断した。 「《死に急がば回れ》!」 一発の銃弾なら当たらない可能性だって十分ある。 ここで気を払うべき相手はむしろ意志を持って追いかけてくる獣、香坂幹葦だ。 香坂の攻撃を迂回させつつ、商品棚の間を器用に縫って二人から距離を取っていく。 銃弾一発ではもう仕留められないだろう。 後はエレベーターに乗り込んでしまえば、このデパートを出ることで窮地を脱することが出来る。 自分を助けてくれた相手を見捨てたことに呵責を覚えつつも、紆余曲折は静かに開いたエレベーターのドアの中に入り込み、極めて冷静な態度で一階のボタンを押した。 こうして、四字熟語・紆余曲折は一足先に悪人揃いの戦場から抜け出したのである。 【C-2/デパート1階・エレベーター前/一日目/午前】 【紆余曲折@四字熟語バトルロワイアル】 [状態]:疲労(小)、ずぶぬれ、右肩に裂傷 [服装]:特筆事項無し [装備]:コルトM1908ベストポケット(5/6) [道具]:基本支給品一式、コルトM1908ベストポケット弾倉(1)、お徳用ストロー [思考] 基本:生き残る。進んで殺し合いをするつもりは無い。 1:デパートから出る。 2:香坂さん………… 3:タクマさんを捜す。 4:刀の男(野村和也)には要注意。 [備考] ※四字熟語バトルロワイアル18話「取捨選択」直後からの参戦です。 ※ルール能力に規制はありません。 ※野村和也の外見のみ記憶しました。 ◆ ◆ 大崎年光は、香坂幹葦の頭に銃口を突き付けていた。 表情は猛禽類を思わせる獰猛な笑顔で、自分の行おうとしている行為に微塵の忌避感も懐いていない。 薬の効果によって身体能力が向上したとはいえ、銃弾で頭部を撃たれてはどうしようもないのだ。 鋭い爪や牙も、攻撃の素振りを見せた瞬間に発砲されては形無しだ。 二度目の反転によって元に戻った香坂は、いきなりいわゆる詰みの状態に入っていた。 指先一つでいとも容易く命を奪われる状況に、経験が伴っていない香坂は恐怖する。 「紆余曲折くんは逃がしちまったけどな、お前なら殺せそうだ」 「なん、で……お前が!」 「ああ――そういや俺を襲ってくれた香坂さんだったな」 挑発とも取れる笑いを溢して、いよいよ大崎はシグプロSP2340の引き金にその指をやる。 二度の反転を経て、それぞれ真逆の人間性を振り撒いてきた香坂。 最期まで、「心機一転」の四字熟語に縛られたバトルロワイアルだったと言えよう。 参加者の中にはもっと高い身体能力を持つ輩はいるにしろ、彼も人間よりはそこそこ強い筈だ。 なのにどうしてこうも簡単に死へのカウントダウンを許しているのか。 それはひとえに、紆余曲折のルール能力のせいだった。 四秒間の迂回に呆然となっているところを、容赦なく大崎は叩いた。 二兎を追うもの一兎をも得ずだ――彼は紆余曲折を諦め、間近の香坂幹葦を狙うことにしたのである。 紆余曲折が工夫して逃げた意味は実際のところほぼ皆無に等しい。 背後から蹴りを叩き込んで床に倒し、そのまま銃口を突き付ける。 何ら危険を冒すこともなく、拍子抜けするほどあっさりとチェックメイトの構図は出来上がった。 「嫌だ……僕は…悪人に、なるんだ……ッ!」 「そいつぁ無理な話だろ。言っとくけどよ、お前が何かする瞬間に俺はお前の頭を吹き飛ばせるんだ」 香坂とて、どう足掻いても自分にこの詰みを打開出来る手段が無いのは分かっている。 しかし足掻かずにはいられない、足掻かなければ自分はここで死んでしまうのだ。 いっそ相討ち覚悟で大崎の喉笛に食らいついてみるか――そんなことさえ考えた時だった。 大崎は引き金に指をかけたままで、突然その顔を不敵な笑みの形に歪めた。 先程までの獰猛さは少し陰を潜め、何かを企んでいるようなそれに見える。 「良いことを思い付いた……条件次第では助けてやるよ」 突然差し伸べられた救いの手に、香坂は思わずその両目を見開いた。 あれほど偉そうに語った大崎年光がどうして、正反対も良いところの変化を遂げているのか。 どうして自分も、一度正反対の人間性に変わり、そしてまた戻ったのか。 あまりにも分からないことが多すぎてパニックになりつつある香坂だったが、指先一つに自身の命運が委ねられているこの窮地を脱する可能性が出たことで、混線していた思考がクリアになる。 そうだ、細かいことなどどうでもいい。 反転のように人間性が正反対になっていた不思議も何もかも、この際気にしなければいい。 ――ただ、どうにかしてこの場を潜り抜けることだけを考えろ。 大崎年光の印象が最初の時と随分異なっていることもあり、一体どんな条件が待っているのかなど想像もつかなかったが、多少の無理をしてでも条件に乗る。 いざとなれば寝首を掻くチャンスはきっと巡ってくるのだから、それまでの辛抱ではないか。 無言で肯定の意志を示すと、大崎は満足げに笑った。 「このデパートで、参加者を殺してこい」 ……一体どんな無茶苦茶を要求されるのかと身構えていたのもあり、少しばかり拍子抜けだった。 このデパートは階数が多いだけあってやたらに広い。 探せばもっと参加者を見つけられるし、今の香坂なら苦もなく殺人をこなせるだろう。 だが、逆に言えば契約を反故にして逃げてしまっても発覚の可能性は低いということでもある。 それどころか、もう少し状態を整えて臨めば大崎だって敵ではない。 そんな安堵の感情を必死に隠し通して、香坂は分かった、と短く返答した。 長い言葉を話せば、うっかりボロを出してしまいそうだった。 が、美味しい話には必ず裏があるものだ。 大崎は香坂の返答を聞いた後に、ひとつ付け足す。 「『まさか逃げるようなことはないと思う』が―――やる気なら止めておけよ」 まるで香坂の心中を見透かすように言うと、大崎は自らのディパックから何やら折り畳みの機械めいたものを取り出した。ノートパソコンのように見える。 しかしどうして今こんな物を出したのか。その答えはすぐに彼自身の口から語られた。 「こいつは「首輪探知機」っていうらしくてな? そのエリア内の参加者達の首輪を表示する。 流石にどの首輪が誰のものかとかは分からねえが、死んだ奴の首輪には×がつくんだ」 嘘をつけ、と叫びたかった。 どこから見ても普通のノートパソコンで、それが本当に首輪探知機であるかは分からない。 証拠も無いのに信じろというのは無理な話だが、もし本当なら逃げられないことになる。 「ま、信じるも信じねえもお前次第だけどよ――もし約束を破ったなら、どうなるか分かるよな? このデパートにだって放送室くらいはあんだろ。そこからお前の名前を放送する。 危険人物だ、絶対に近付かない方がいいってな。……ハハ」 信じるも信じないも、とはいうものの、実は大崎の言っていることは全て真っ赤な嘘である。 香坂が疑念を懐いた通りに、これは普通のノートパソコン。 デパートの家電売り場からちょろまかした一品で、ネットにも繋げない今では無価値な代物だ。 だがしかし、追い詰められた人間というものはこんな下手な嘘にも騙される。 目の前に死の危機があって、香坂の精神は彼自身も気付かない内に大分磨耗していた。 それに加えて彼からすれば首輪探知機の真偽はどちらだか分からない、シュレディンガーの猫箱状態。 嘘だと断じてしまうのは簡単でも、その時に生じるリスクは計り知れないものになるだろう。 デパートの中にはまだ参加者が居るだろう、と認めたのは香坂幹葦自身である。 その中で悪評を振り撒かれ、香坂幹葦が悪人であると情報が拡散したなら。 対主催もマーダーも問わず、すべての参加者に信用されないことが決まってしまうのだ。 必死に真偽を見極めんとする時点で道化だというのに、香坂は万が一の可能性を捨て切れない。 その様子を見た大崎は、心の中で思うのだった。 (……ま、どっちにしろ次に会ったら殺させて貰うんだけどな) 最初から条件も何も成立してはいない。 香坂は大崎が約束を守ることを前提としているようだが、彼はそもそもその前提さえ守る気は無かった。 殺すことが正義なのだから、殺さないことは極端に言ってしまえば悪だ。 故にここは香坂幹葦を利用し、下手なボロを出す前に処分するのが得策だと彼は考えていた。 自分の本性を知った相手なんて、生かしていたところで良いことの方が少ないのだから。 「分かった……言う通りにする。殺したらその、探知機で分かるんだよな?」 「そうだ。一人でも殺せたら後は好きにしな」 その言葉に安堵した様子を見せる香坂だが、彼はこの約束の穴を見落としている。 条件を達成したとしてもそもそもそれを確認する手段は大崎には無いのだ。 放送を流され悪評を振り撒かれることを恐れた彼は、大崎を無意識に信用し過ぎていた。 すべてはたったひとつの嘘を見抜けなかった――それだけの失敗が、彼を負の連鎖へと落とし込む。 しかし、この時は両者どちらも気付いてすらいなかった。 こうしている間に、この建物の内部でとんでもない巨悪が完成していることに。 正確に言えば、悪意の塊と言うべき同盟が、悪意の教義を持つ教団を産み出そうとしていることに。 気付かないまま香坂は参加者を捜す為に駆け出す。 同じく気付かないまま大崎は下階に降り、彼もまた参加者の抹殺に乗り出す。 このデパートは、今や狂った(サイコ)ロジカルに支配されていた。 ◇ ◇ カインツ・アルフォードは苦戦していた。 そもそも急性アルコール中毒の治療とは、集中治療室でなくてはほぼ出来ることがない難しいものだ。 しかしここはデパートの店内。 ちゃんとした設備さえあればカインツでも処置は可能だったが、こんな場所では厳しいものがある。 代用品となる物を探したいのは山々であっても、このデパートには先の厄介な連中がまだ留まっている可能性がある……迂闊に出歩けば、カインツまで正人の二の舞になりかねない。 だからと言って彼を一人にしておく訳にもいかない、状況は八方塞がりだった。 唯一幸いだったのは症状が死に至るほど深刻ではなく、ある程度の余裕を持って処置出来ることか。 とはいえ病院まで移動するとなれば万が一の危険性は非常に高いーー絶望的なことには変わらない。 「どうすればいいんだ……くそっ、分からない!」 若年者ながらも医者としてそれなりの経験を積んでいるカインツだが、こんな状況に陥ったことなどかつてない。アルコールを操る能力者などに出会った経験などないからだ。 しかもこれでも手加減されていたのだろう。 あの男がその気になっていれば、今頃古川正人は既に手遅れになっている筈である。 カインツ・アルフォードはバトルロワイアルの恐ろしさを今更になって実感していた。 難しい手術や患者は数あれど、本来あり得ない状況で起きる病ほど恐ろしいものはない。 心臓発作や脳卒中が恐ろしい病とされているのだって、いつ襲ってくるか分からない病魔だからだ。 それも相手は急性アルコール中毒。 これなら銃弾で撃ってくれていた方がまだやりようはあった。 こうして何も出来ずにいる間にも、古川正人の命のタイムリミットは刻一刻と迫りつつある。 騒ぎ立てる焦燥感に苛立ちすら覚えながら、カインツは店内に備えてある壁時計に目をやった。 ……もう結構な時間が経過している。 正人の症状の進行が極めて遅い理由は先も言ったように、相手に手加減されていたこと。 そして医者であるカインツが迅速かつ的確な処置を施したこと。 最後に、結局は古川正人という人間が幸運だったということだ。 正直な話ここまで進行が遅いのは珍しい、もう手遅れになっている例だって数多くあるのに。 それでも悠長に構えていられる筈はない、時間制限は確かに存在しているのだ。 カウントダウンは緩やかであろうとも既に始まっている。 カインツは焦る自らを深呼吸で鎮めて、頭の中の知識に検索をかけた。 急性アルコール中毒についてを、もう一度確認しておこうと思ったからだ。 何事も基本が一番大切――意外なところにヒントが隠れているかもしれない。 (意識を喪失しているところからすると昏睡期か……症状が緩和する例もあるけど) 昏睡期――血中アルコール濃度三十パーセント以上。 この段階から本格的に命の危険が出てくるものだが、稀に持ち直す者も存在する。 とはいえ結局治療を施さなくては危険ではあるものの、意識を回復したなら猶予があるということだ。 酒の強い弱いに関しては色々な議論が為されているが、案外馬鹿には出来ない。 呼吸は安定しているし、嘔吐する様子もないところを見るにまだ時間はあるか。 吐血する場合もあるこの中毒で、やはり彼は幸いにも軽い部類のようだった。 カインツはそこで一つ決意した。 ……そう。ここに居たところで時間の浪費にしかならない。 患者の容態は安定していてもいつ急変するか分からない以上、悠長にやっている暇はない。 ならば――― 「……っ、行くしかないのか……!」 賭けるしかない。 医者が患者の命運を天に委ねるなど、本来ならあってはならない暴挙である。 しかしカインツは今、心の底から天に祈る。 何とかその場所に辿り着くまで正人を死なせないでくれと、心から祈りを捧げる。 カインツ・アルフォードは決意した。 やはり病院を目指し、集中治療室でちゃんとした処置を施す以外に術はない。 確かに、ここから病院までの距離は地図を見る限り決して近いとは言い難いし、到着するまで正人のタイムリミットがもってくれるかも微妙なところではある。 手遅れになってしまう可能性だってある―――最悪、一人の命を喪ってしまうことも重々承知だ。 「けど、ここに居ても何も変わらない、変えられない」 残念だが、この場所で出来ることはもう全てやった。 ここに留まっていたところで古川正人を救えるかと言われたら、答えは断じて否である。 やがてタイムリミットは訪れ、正人は死ぬ。 奇跡なんてものが起こる確率は限りなく零だ。 が、病院を目指したところで彼を救える確率はかなり低いだろう。 しかし、カインツ・アルフォードは医者である。 善の塊とさえ称される、真っ直ぐな医者である。 「一パーセントと零パーセントなら……僕は賭けてやる」 救えない選択と救えない「だろう」選択とでは意味が異なる。 絶対に救えないならまだしも、ほんの僅かでも救える望みがあるならば、医者として見過ごせない。 ただ一人の患者を救うために命を懸ける、それが医者という聖職だ。 責任は全て自分が取る。だから、この少年を救うためのギャンブルに出ようと彼は決めた。 「そうと決まれば、まずはこのデパートを出るところからだな……」 生憎ここはなかなかの上階。 一階まで降りるにはエレベーターを使うのが得策だろうことは彼にも分かる。 しかし、万一危険な人物とそんな狭い空間で乗り合わせたらそれこそ逃げ場がない。 アルコール使いの男なんかにまた出会いでもしたら、今度はカインツもやられてしまうだろう。 正人を救うことはそうなってしまえば完全に不可能になる。 そんなことはあってはならない。 ……とすれば階段を使って降りなければならないのだが、正人に気を遣うのがまず第一だ。 吐瀉物を詰まらせて窒息死することは決して珍しくないし、急性アルコール中毒なら尚更危惧すべき。 背中に正人を背負い、周囲への警戒と正人への配慮、二つに気を付けて歩き出す。 さすがに重量はそこそこあったが、歩けないまでのそれではない。十分耐えられるレベルである。 交戦なんかに巻き込まれたらたまったものではないので、なるだけ足音も潜める。 忍者か暗殺者のような足取りで歩く自分に、思わずカインツは苦笑を漏らした。 その聞こえるか聞こえないかくらいの笑い声の後に、男の小さな声がした。 それは紛れもなくカインツの背中から発せられたもので、古川正人のものだ。 彼が意識を取り戻したことに驚くカインツだったが、患者にいらぬ心配をさせないのも医者の役目。 何事もなかったかのような口振りで、カインツは背中の正人に話し掛けた。 「調子はどうですか、正人くん」 「カインツさん……? あれ、俺……確か……」 「あまり喋らない方がいいですよ。これから病院に向かうところですからね」 正人の声は一見平常だが、実際は凄まじい体調不良に襲われている筈だ。 極度の泥酔状態にプラスして中毒症状、これで元気でいられる訳がない。 医者のカインツから見ても不味い状況であることは悟らせず、あたかも何でもないことのように話す。 医者としてこの程度のことも出来ないようなら医者失格というものである。 正人は自分の身に何があったのかをうっすらと思い出しているようだ―――普通ならば意識混濁に軽度の記憶障害が現れてもおかしくはないのだが、ここまで自分を維持できているのはひとえに古川正人の強さ故のことだった。 正人の声の調子にも気を配り、嘔吐などの兆候が無いかを話ながらも細かく観察していく。 「それにしても、訳の分からない奴でしたね」 何気なく言いながらも、カインツは少し前に出会った三人の「悪」のことを回想していた。 整った顔立ちをした青年に、サラリーマン風の男。そして黒髪の小さな女の子。 何の共通点もないような三人だったが、各個が見過ごせないまでの邪悪だったことは確かだ。 ほんの少しだけの問答で、現に正人は心を揺るがされかけてしまった。 彼にも何かしらの事情があるようだしそこに付け込んだのだろうが、それでも恐ろしい連中だった。 口先だけの雑魚ではなくちゃんと戦う術も持ち合わせていて、最悪と言う他ない。 出来れば二度とお目にかかりたくないものだ、とカインツは心中で弱気に呟いた。 「……悪いな、カインツさん。俺が油断してなかったら、こんなことには……」 「カインツで良いですよ。……契約も結んだことですし、気を遣う必要は全くありません」 "それに――、これが僕の仕事ですから"。 正人にはどうしてか聞かれたくなかった。 そんな決め台詞を他人にぽんぽん吐くのは何ともいえず、気恥ずかしいものがある。 善の塊と称されるカインツは、もしかすると相手が悪人でも情を見せるかもしれない。 さっきのような快楽で動く輩は別として、何かの為に戦うような相手だったら、有り得る話だ。 だけど、それでいいのだとカインツは思う。 むしろ誰も助けられないような人間じゃあ、医者を名乗るにはあまりに役不足ってもの。 医者にとっては「甘さ」こそが要求される。 「……カインツ。悪いな……回復したら、お前に俺の話をしようと思ったんだけど、まだ無理だ」 「無理は禁物ですよ。後でいくらでも聞いてあげましょう」 古川正人の抱える事情は、カインツの予想しているより遥かに重い。 バトルロワイアルに参加させられ、最愛の恋人を眼前で無惨に殺された。 助けられなかった悔しさと情けなさ、何より不甲斐ない自分への怒りが渦巻いている。 誰かに話さなければやってられないような、自己嫌悪の渦に囚われていた。 それを何となく察したカインツだったが、当然断る理由などない。 患者の精神管理も医者の大切な仕事で、メンタルケアを怠るなど言語道断。 どんな事情だろうと聞き、理解してやることがカインツ・アルフォードの使命。 ……契約に含まれている、医者としての力を貸すという条件を守らなければならない。 「っ、誰か来るぞカインツ」 全く気付かなかった。 普通なら気付かないだろうが、正人は普通以上の実力者である。 明らかな敵意を含んだ気配を感知することは決して不可能な所業ではなかった。 (どうする……? 正人くんを背負ったまま走って逃げる訳にはいかない……!) 絶対安静で容態がいつ急変してもおかしくない病人を背負って走るなど、非常識にも程がある。 こんなタイミングで危険人物とエンカウントする自分の運命をカインツは呪った。 正人を守りながら戦えるかといえば答えはノーだ、いくら何でもそんな真似は彼には荷が重い。 だが幸いにも件の危険人物の姿は見えていない――ならば、やることは一つだ。 少々荒々しい動きで近くの試着室のドアを開け、正人を寝かせる。 ここは子供服売り場なのだが、体勢に拘らなければ正人を休ませるくらいは可能なスペースがある。 「正人くん、いいですか。吐きたくなったら吐いても構いません。 でもなるべくゆっくりと、喉に詰まらないくらいの速度で吐いてくださいね」 「な……カインツ! お前まさか」 「患者に戦わせる医者が何処に居るというんですか?」 カインツ・アルフォードの選択は迅速にして的確だった。 最優先する目的は古川正人に危害が及ばないこと。 それを達成するにはまず、この試着室に決して近寄らせないことが大切である。 こういったことに卓越している訳ではないが、やらなければならない時が来たと思えばいい。 不審者ひとりを撃退するだけだ。重く捉える必要はない――と、カインツは不安を振り払う。 「心配は要りませんよ。僕は必ず帰ってくる。帰ってこなければならない。だって―――」 爽やかな笑顔で、 「―――患者を見捨るような医者がどこにいるんです?」 何故かとんでもなく頼り甲斐のありそうに見える笑顔で、カインツは言った。 正人の返事を待たずに試着室のドアを閉め、わざと音を立てて明後日の方向に走っていく。 その音を聞いて気付いたのか、やっと「危険人物」の焦ったような足音が聞こえ始める。 どうやら相手はこちらの場所さえ見当はつけられていなかったらしい。 恐らくは素人。 さっきの連中ほど厄介な相手とはとても思えないし、ここは適当に撃退してお帰り願うとしよう。 数分後、カインツ・アルフォードは狼――香坂幹葦との邂逅を果たす。 それが、鬼ごっこの始まりだった。 時系列順で読む Back Alice Magic/退廃の宴 Next Alice Magic/イカサマライフゲイム 投下順で読む Back Alice Magic/退廃の宴 Next Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 大崎年光 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 古川正人 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 カインツ・アルフォード 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 白崎ミュートン 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 酒々楽々 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 愛崎一美 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 香坂幹葦 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム 062 Alice Magic/退廃の宴 紆余曲折 062 Alice Magic/イカサマライフゲイム
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《サイコロジック》 通常魔法 自分のメインフェイズに1度、デッキからこのカードを選択し墓地に置く事ができる。 「サイコロジック」が墓地に存在する時、自分は以下の効果を得る。 ●自分のスタンバイフェイズにサイコロを1度振る。結果に応じて以下の効果を発動する。 1.このスタンバイフェイズ終了時に自分は手札からモンスターを1体特殊召喚できる。 2.このスタンバイフェイズ終了時に相手は手札からモンスターを1体特殊召喚する。 3.次の自分のドローフェイズに自分は通常のドローに加えてもう一枚ドローする。 4.次の自分のドローフェイズをスキップする。 5.このターン、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。 6.このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。 Part14-340 名前 コメント
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【検索用 さいころしすむ 登録タグ 2021年 CDさ VOCALOID さ オドロ オドロCD 全国配信 初音ミク 曲 曲さ 殿堂入り 鍵屋】 + 目次 目次 曲紹介 音楽配信曲目 歌詞 コメント 作詞:オドロ 作曲:オドロ 編曲:オドロ イラスト:鍵屋 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『サイコロジズム』 オドロ氏の処女作。 第6回プロセカNEXT応募楽曲。 各配信ストアで配信中。 音楽配信 この商品はAmazon商品紹介機能をご利用いただけません。 前作 今作 次作 - サイコロジズム - 流通:配信 発売:2021年9月3日 価格:150円 ジャケットイラスト:鍵屋 曲目 サイコロジズム (feat. 初音ミク) 歌詞 (動画概要欄より転載) 逢魔時の メンタライジング 泣いて居た 僕の氣も識らずに 「こんな筈じゃ」と 目暈 屹度また 憶い出す 万華鏡 明明白白 君は何時も眼を逸らして嘘を 空空寂寂 苦い記憶が胸の扉を叩く 「先生 なんで見て見ぬフリを」其処に応えは無く 戦戦慄慄 今夜は如何か優しくして下さい 投げ付けた正義を 私の眼に刺して 嗚呼 其れで満足なの? 逢魔時の メンタライジング 泣いて居た 僕の氣も識らずに 曇天の中 気配 振り返り 夢現に帰依た そんな話の リプライジング 吐いて居た 過去の傷に嘆き 「こんな筈じゃ」と 目暈 屹度また 憶い出す 万華鏡 平平坦坦 「明日の天気は雨のち土砂降りです。」 喧喧轟轟 害蟲の群 路地裏のマイノリティ 空は澄み渡り 裸足 屋上 サヨナラを告げたら 最悪の日日 落ちて 落ちて それなのに 了らせてくれないの? 逢魔時の メンタライジング 泣いて居た 僕の氣も識らずに 「こんな筈じゃ」と 目暈 屹度また 憶い出す 万華鏡 もう失くなれと リプライジング 愛ならば 疾っくに捨て去ったさ 救けて下さい 願い 願えど 此の聲は 泡沫に帰依て行く 滴る空の下で 賽が散っていくだけ コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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龍素記号Sp スペルサイコロジカ SR 水文明 (7) クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 8000 ■自分が手札から呪文を唱えたとき、相手に次のうちどちらかを選ばせてもよい。 ▼その呪文を墓地に置く代わりに手札に戻す。 ▼その呪文を墓地からコストを支払わずに唱える。 ■W・ブレイカー 作者:はんむらび スペルサイクリカのリメイク。マジック・コマンドに近い「相手に選択を強要する能力」。 「呪文を唱えても手札が減らない」か、「呪文を2度唱える」。 評価 名前 コメント