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流星のロックマン3に登場するボスキャラクター。 人間ではない。正体はバトルウィザード。 流星サーバーにアクセスしてファイナライズすることができる。 必殺技はグレイブメテオレーザー。 ギガクラスカードにもGメテオレーザーという物がある。 強化するとファントムスラッシュ同様の力を得ることができるかもしれない。 +... スバルに敗北し自ら自爆。 ちなみに委員長を消したのがこのジョーカー。 アイスペ…又はエグゼGXなどで委員長が死んだ。と勘違いされることが多い。 確かに帰ってこないかもしれないが死んだとは言えない。 誰だ。一番最初に死んだって言ったの。 ちなみに、盗まれたアイテムのどれを選んでも委員長が消えることには変わりはない。 誰だ、ミソラのポーチを選んだらミソラが死ぬって言ったの。
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委員長 学級委員長・クラス委員長・組長など 女子 名前 作品 学校 所属 備考 赤沢 泉美 Another 夜見山北中学校 3年3組 秋山 文緒 月は東に日は西に ~Operation Sanctuary~ 蓮見台学園 2年 朝倉 涼子 涼宮ハルヒの憂鬱 (西宮北高等学校) 1年5組 朝比奈 英理子 ぱにぽに 桃月学園 2年A組 風紀委員長兼任。ぱにぽにWiki 天宮 小百合 ときめきメモリアル Only Love 私立つむぎの高校 2年 生徒会書記兼任 綾瀬川 霧乃 えむえむっ! 私立桜守高校 1年 絢辻 詞 アマガミ 輝日東高校 2年A組 創設祭実行委員。アマガミwiki 杏藤 子々 ヒャッコ 上園学園高等部 1年6組 安藤 都子 euphoria 六慶館学園 2年 飯田 秋乃 W~ウィッシュ~ 私立桜浜学園高等部 1年B組 井伊野 みき いいんちょ。 区立真園中学校 2年A組 伊院 千代 瀬戸の花嫁 磯野第八中学校 一条 ぱにぽに 桃月学園 1年C組 ぱにぽにWiki 上野 錐霞 C3 シーキューブ 私立大秋高校 C3 -シーキューブ-wiki 大塚 舞 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年C組 大塚 光子 はつゆきさくら 白咲学園 3年 大音 灯花 車輪の国、向日葵の少女 大森 みのり ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 3年D組 図書委員兼任 御茶ノ水 撫子 いいんちょ。 区立真園中学校 3年B組 生徒会副会長兼任 神楽 ひなた H2O ~FOOTPRINTS IN THE SAND~ 柏葉 巴 ローゼンメイデン 2年6組 ローゼンメイデンWiki 川村 くみ エイリアン9 第9小学校 1~5年生 北神 未海 極上!!めちゃモテ委員長 武蔵野森山学園高等部 2年6組 北嶋 由香 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 1年D組 ぱにぽにWiki 木ノ下 りんご おとぎ銃士赤ずきん 清浦 刹那 School Days 榊野学園 1年3組 久沢 佳織 奴隷委員長 ~孕ませ調教~ 櫛名田 眠 おおかみかくし 九代 涼子 発情女子校生 DEVOTE2 ~いけない放課後~ 私立 倉永 梢 ヨスガノソラ 香坂 彩乃 もしも明日が晴れならば 後醍 珠緒 いいんちょ。 区立真園中学校 1年E組 近衛 光莉 学☆王- THE ROYAL SEVEN STARS - 近衛ヶ原学園 5回生 此花 ルチア Rewrite 風祭学院高校 Rewrite wiki 小嶺 幸 グリザイアの果実 私立美浜学園 1年 近藤 繭佳 お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!! 榊 しのぶ 天使のいない12月 榊 千鶴 マブラヴ 白陵大付属柊学園 3年 坂崎 嘉穂 よくわかる現代魔法 1年 嵯峨野 小霧 いいんちょ。 区立真園中学校 1年C組 桜木 ゆかり Another 夜見山北中学校 3年3組 笹田 純 夏目友人帳 2年2組 佐藤 千夏 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 1年D組 ぱにぽにWiki 佐藤 良美 つよきす~Mighty Heart~ 私立竜鳴館 2年C組 生徒会執行部 沢井 麻耶 D.C.II ~ダ・カーポII~ 風見学園付属 3年3組 三条 海里 しゅごキャラ! 聖夜学園 元 地蔵 亜美 オオカミさんと七人の仲間たち 御伽学園高等部 2年 篠宮 初乃 いいんちょ。 区立真園中学校 1年D組 嶋村 有 おまもりひまり 白梅 梅 ベン・トー 私立烏田高等学校 1年 生徒会長兼任 白鳥 マリア 絶対無敵ライジンオー 陽昇学園 5年3組 スージー天羽 いいんちょ。 区立真園中学校 2年B組 杉浦 小春 WHITE ALBUM2 峰城大付属 3年A組 涼月 奏 まよチキ! 私立浪嵐学園 2年 瀬川 泉 ハヤテのごとく! 白皇学院 1年7組 瀬名 愛理 ましろ色シンフォニー 私立結姫女子学園 2年T組 瀬奈 雪絵 ぱにぽにだっしゅ! 桃月学園 2年B組 ぱにぽにWiki 園崎 魅音 ひぐらしのなく頃に 染井 ヨシノ メゾン・ド・ペンギン 高良 みゆき らき☆すた 私立陵桜学園 3年B組 武田 桂 元気爆発ガンバルガー 4年 地井 恵美梨 いいんちょ。 区立真園中学校 2年C組 千鳥 かなめ フルメタル・パニック! 陣代高校 鶴眞 心乃枝 この中に1人、妹がいる! 私立深流院学園 2年 冬野 桜子 世界征服彼女 湘西学園 2年 桐元 葛葉 はぐれ勇者の鬼畜美学 JPNバベル Bクラス 飛び級 中慈馬 早苗 すもももももも 地上最強のヨメ 2年C組 長津田 夕美 キスベル 2年 流 静 せんせいのお時間 興津高校 2年A組 七転 ふみつき HAPPY★LESSON 私立こよみ学園高等部 3年B組 鳴子 叶絵 迷い猫オーバーラン! 私立梅ノ森学園 2年 鳴海 ナクル まよチキ! 私立浪嵐学園 1年 仁科 葵 いいんちょ。 区立真園中学校 1年B組 ニナモリ・エリ フリクリ 6年 丹生谷 森夏 中二病でも恋がしたい! 羽川 翼 化物語 私立直江津高校 3年 柊 かがみ らき☆すた 私立陵桜学園 (1年時) 元 一橋 はるか いいんちょ。 区立真園中学校 1年A組 日向 伊吹 星空へ架かる橋 山比古南学園 2年 日比生 咲苗 大番長 聖域学園 姫川 風花 カミカゼ☆エクスプローラー! 澄之江学園 2年 藤乃 なつき ひなたテラス 陽崎学園 2年 藤林 杏 CLANNAD 光坂学園 3年E組 藤林 椋 CLANNAD 光坂学園 3年D組 毒島 みく らき☆すた 私立陵桜学園 3年C組 保科 智子 To Heart 2年A組 洞木 ヒカリ 新世紀エヴァンゲリオン 第壱中学校 2年A組 美浜 ちよ あずまんが大王 (1、2年時) 美坂 香里 Kanon 2年 水無月 大和 神風怪盗ジャンヌ 2年 皆村 愛理 With Ribbon 刻泉学園 宮前 かなこ まりあ†ほりっく 天の妃女学院附属中学高等学校 2年A組 美作 アリス 俺の彼女はヒトでなし 2年逸見組 美輪 椿姫 G線上の魔王 自由ヶ咲学園 生徒会長兼任 睦 芽依 いいんちょ。 区立真園中学校 1年F組 森野 苺 おねがい☆ティーチャー 県立木崎高校 1年 おねがい☆ツインズでは生徒会長に 山乃 檸檬 あの夏で待ってる 3年 雪城 ほのか ふたりはプリキュア ベローネ学院女子中等部 3年桜組 キュアホワイト 雪広 あやか 魔法先生ネギま! 麻帆良学園中等部 2年A組・3年A組 若瀬 いずみ らき☆すた 私立陵桜学園 2年E組 男子 名前 作品 学校 所属 備考 東 ひろし いいんちょ。 区立真園中学校 3年C組 生徒会書記兼任 池 速人 灼眼のシャナ 御崎高校 1年 臼井 影郎 さよなら絶望先生 2のへ組 瓜生 新吾 ましろ色シンフォニー 私立結姫女子学園 2年T組 風見 智彦 Another 夜見山北中学校 3年3組 北原 春希 WHITE ALBUM2 峰城大付属 3年E組 前期のみ委員長 北村 祐作 とらドラ! 大橋高校 2年C組 生徒会副会長兼任 東郷 雅一 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年D組 飛田 裕 学園アリス アリス学園 初等部B組 錦織 猿之助 ジュエルペット サンシャイン サンシャイン学園 3年ウメ組 花井 春樹 スクールランブル 矢神学院高等学校 2年C組 羽田 鷹志 俺たちに翼はない 私立美空学園 3年A組 一橋 まなぶ いいんちょ。 区立真園中学校 3年A組 生徒会長兼任 丸尾 末男 ちびまる子ちゃん 清水市立入江小学校 3年4組 流崎 力哉 元気爆発ガンバルガー 名前 コメント
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副委員長 女子 名前 作品 学校 所属 備考 オパール ジュエルペット サンシャイン サンシャイン学園 3年ウメ組 小牧 愛佳 To Heart2 2年 高内 昌子 俺たちに翼はない 私立美空学園 3年A組 花菱 美希 ハヤテのごとく! 白皇学院 1年7組 生徒会役員 男子 阿良々木 暦 化物語 私立直江津高校 3年 名前 コメント
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道化師<ジョーカー> 基本情報 物腰柔らか・やってる事はえげつないホワイトさんと、口は悪いが案外良い人(かもしれない)ブラックさんの二人組 季節変更とミニゲーム担当(手加減して下さい) 個別ENDは2つ 個別ルートは無く、イベントはジョーカーの好感度に関係なく発生します。 ジョーカーのイベントは各ルートの恋愛イベント・恋愛ENDの条件に関係するため、同時攻略が必要です。 END条件 【ジョーカー・監獄END】 ジョーカーEND、ホワイトさんver. 好感度に関係なく、選択肢の回答(※)によってブラックさんver.と分岐 ルートキャラの恋愛イベント17、及びジョーカー10まで発生済 恋愛ENDの条件を満たしていない 【ジョーカー・サーカスEND】 ジョーカーEND、ブラックさんver. ジョーカー好感度35以上、選択肢の回答(※)によってホワイトさんver.と分岐 ルートキャラの恋愛イベント17、及びジョーカー10まで発生済 恋愛ENDの条件を満たしていない (※)回答の一例です。何パターンかあるそうなので、如何しても見れない場合の参考にして下さい。 発生場所 質問 監獄END サーカスEND 備考 OP ジョーカー(仮面)は好き? あまり好きになれない 好き サーカスの森訪問 ジョーカー2 滞在地の季節 嘘をつく 滞在地の季節を答える ジョーカー4 楽しいことはおこった? たまに楽しくないことがある 楽しいことなどない 恋愛イベント7 ジョーカーの事は? 好き あまり好きになれない ルートキャラの好感度も増減 恋愛イベント12 前回のサーカスは? 楽しめた あまり楽しめなかった ルートキャラの好感度も増減 ジョーカー9 監獄に慣れた? 多少は慣れた 慣れない・慣れたくない 恋愛イベント17 今は、君とここにいる ここにいる 一緒にいたくない ゲーム終盤になってからの監獄ENDの回避は少々面倒なため、恋愛END、ジョーカーEND以外を見たい場合、サーカスENDになる様に回答を調節すると良いかも知れません。 シーン回想 回想 ターン その他発生条件 ジョーカー01 1 サーカスの森初回訪問時(OPは除く) ジョーカー02 12 恋愛イベント1発生済み、ミニゲーム1回以上(勝敗は問わない) ジョーカー03 34 恋愛イベント3発生済み ジョーカー04 56 恋愛イベント5発生済み ジョーカー05 111 恋愛イベント10発生済み ジョーカー06 122 恋愛イベント11発生済み ジョーカー07 133 恋愛イベント12発生済み ジョーカー08 144 恋愛イベント13発生済み ジョーカー09 166 恋愛イベント15発生済み ジョーカー10・城 188 恋愛イベント17発生済み(ハートの城共通・ペーター) ジョーカー10・遊園地 188 恋愛イベント17発生済み(遊園地共通・ゴーランド) ジョーカー10・帽子屋 188 恋愛イベント17発生済み(帽子屋屋敷共通・ブラツド) ジョーカー10・塔 188 恋愛イベント17発生済み(クローバーの塔共通・ユリウス) ジョーカー・監獄END 198 ジョーカーの好感度は関係なく選択肢でフラグが立つ。詳細は別項 ジョーカー・サーカスEND 198 フラグは選択肢と好感度。詳細は別項 Congratulation! ジョーカー・監獄END/サーカスENDを見ている Complete! ジョーカーのシーン回想率100%
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|手武器|肩武器| 射撃武器 アサルト武器 マシンガン ラプター|グレイブ|レオソシアル|アールアッソー|セメテリー|クローニク ショットガン ゲイル|キャッツレイ|霧島55式|ジリーノ|ステイト|コベット 火炎放射器 ホットリバー|ウォーマ|ヒートラット|ファイアアント ガンナー武器 ガトリングガン レオスタン|FV-24|グラウクス|ウーラン|フジャン|バーチェル ライフル イグチ5式|ウィニー|グロウタスク|アイビス|ファイアーバード|スラブ バズーカ ボア|グノーツ|Be-11|バニッシュ|グロム|ブルギバ 格闘武器 ストライカー武器 ナックル ボーンバスター|アイアンランプ|ソウルバスター|ダブルネイル ロッド F-1ハンドロッド|アゴーニ|クルセイダー|キーンセイバー パイルバンカー ヘビーパイル|プレスニードル|ラストステイク|バトルタスク シールド シールド ライトシールド|WS|SN|SP06 グレイブ|分岐|性能 グレイブ 分岐 No. 1 2 3 4 5 6 7 Rank.1 グレイブ ┃ Rank.2 グレイブ ┃ Rank.3 グレイブ ┃ Rank.4 グレイブ ┏ ━ ┫ Rank.5 グレイブ2 グレイブ ┃ ┃ Rank.6 グレイブ2 グレイブ ┃ ┃ Rank.7 グレイブ2 グレイブ ┃ ┃ Rank.8 グレイブ2 グレイブ ┃ ┣ ━ ┓ Rank.9 グレイブ2 グレイブ グレイブSP ┃ ┃ ┃ Rank.10 グレイブ2 グレイブ グレイブSP ┃ ┃ ┃ Rank.11 グレイブ2 グレイブ グレイブSP ┃ ┃ ┃ Rank.12 グレイブ2 グレイブ グレイブSP
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階段の板を規則正しく踏む音が聞こえてきたと思ったら、すぐに足音の主は現れた。 「おはよう」 「……おはよう。あなた、昨日勉強が終わってすぐに寝たの?」 「うん。すぐに寝たよ。もう眠かったから」 「ということは私と同じくらいに寝たってことよね……」 寝ぼけ眼を擦りながら委員長は言葉を漏らす。 「私にはもう朝ご飯が出来てる気がするのだけど」 「できてるよ?」 「…………」 不満そうというか、不思議そうというか、委員長はいつもよりも目を幾分か細めて僕とテーブルの上の朝食を交互に見た。 「あ、もしかして朝はパンの方が良かった?」 「別に。家ではご飯だったから」 「そっか。それならほらほら、早く座って」 僕は委員長に昨日と同じ、向かい側に座って貰うように言う。まだ小さな欠伸が止まらず、だけどさすがに既に制服に着替えている委員長は操り人形がごとくやおら頷き、椅子に座った。 「いただきます」 「……いただきます」 どうやら委員長は朝が弱いようで、夢にまた片足を突っ込んだままみたい。その瞳もどこか焦点が合わないような様子でいつもよりも随分柔らかな印象を受ける、なんて言ったら怒られるかな。「普段は嵐か何かみたいじゃない」とか。 「……まさか朝起きたら包丁の音が聞こえるなんて生活が体験できるとは思ってもみなかったわ」 「あれ、普段は委員長って朝ご飯どうしてるの?」 「私が全部作ってるわ。母は朝が弱いし、父と妹はからっきし家事は駄目だから」 「そうなんだ。……あれ? それじゃあ今、委員長の家は誰が料理してるの?」 「知らないわね。多分それぞれ勝手に食べてるんじゃないかしら」 「……いいのかな」 「構わないわよ。うちのことは気にしないで」 なんだか素っ気無いけれども、味噌汁の椀を傾けてほうっと溜め息を吐いている委員長はなんだか本当にいつもの委員長とは全く雰囲気が違う。何か 別の人に乗り移られたんじゃないかっていうくらいに。どっちの方がいいかと言うと……どっちも委員長なのには変わりないから別にどちらとも言えないかな。 焼き鮭を突付いていると、夢遊病にでも掛かったかのようにふらふらと立ち上がって台所へ向かう委員長。 「どうしたの?」 「飲み物が欲しいわ」 「麦茶でもいい?」 「ええ」 「じゃあ座ってて。持ってくるから」 委員長は素直に頷いて再び椅子に座った。好きなように家のものを使っても構わないんだけど、今の委員長の状態はぼんやりしすぎていてちょっと危ないから、もしかすると間違えて醤油を持ってきたりしそうだ。 僕が冷蔵庫を開けて麦茶を作ったボトルを取り出した直後に、突然椅子をひっくり返しそうにしながら委員長が立ち上がった。なんか昨日もそんなことあったような。 「し、7時40分!?」 「え?」 「もう出ないと間に合わないわ!」 さっきまで夢と現実のどちらもの住人だったとは思えない勢いでリビングを出ようとする委員長に、僕は思わず麦茶の入ったお茶のケースを持ったまま目を点にして委員長を見ていたけど、 「待って!」 なんとか我に返った僕は慌てて引き止める。 「何?」 「委員長ってバス通学だったよね」 「そうだけど」 部屋の扉を掴んだまま、眉を1センチほど吊り上げて「早くして」との意思表示。その委員長を落ち着けるためにゆっくりと喋る。 「委員長の家からだともう出なきゃいけないかもしれないけど、ここは僕の家だよ」 「………………あ」 十分長い空白の後、呆気にとられた声で委員長が呟く。 「……不覚だったわ」 もう見慣れた溜め息を吐く姿を見せてから、ゆるゆると歩いて席に座りなおす委員長。なんというか、昨日から普段見れない委員長の姿が見れて面白いかな。お母さんや叔父さんには感謝しないといけないのかも。もちろん口が裂けてもそんなこと言えないけど。 「うちからだと徒歩でも10分も掛からないから、いつも8時30分くらいに出ると丁度いいくらいなんだ」 「確かに学校から近かったわね。徒歩で10分足らず、便利だわ」 「うん」 さっきまでの儚げな雰囲気とは打って変わって、完全に目を覚ましたもののどっと疲れた様子の委員長は僕が持ってきた麦茶を一気に飲み干した。 「ふう。朝からこんなにバタバタしたのも久しぶり」 「そうなんだ」 委員長の朝の様子って……なんか想像つかないな。両親も凄く真面目な人で委員長とさっき妹さんが居るって言ってたから4人とも無言で朝ご飯を食 べないと怒られそうな気がする。そうすると確かにこんなにバタバタすることなんて無さそう。学校でも全くそんな姿見たことが無いし。 朝ご飯を再開してすぐに委員長がお味噌汁をじっと見つめた。 「お味噌汁、赤なのね」 「白か合わせの方が良かった?」 「ううん、そうじゃなくて。うちは誰も味噌とか気にしないから、そのときそのときに安いもので済ませちゃうの。たまたま味噌が切れたときに白とか合わせが安くなってたから、このところ赤は全然飲んでなかったの」 「うちのお母さんは赤じゃなきゃ味噌汁じゃない! って言うからいつも赤なんだ。白はちょっと甘口だから好きじゃないんだって」 「分からないでもないけど、少し言い過ぎかしらね」 「うん、僕もそう思う」 こんな会話をしながら食事をするのも久しぶりな気がする。と言ってもまだ2週間くらいのはずだけど。お母さんは朝からでも良く喋ったから、ちょっとだけでも長く感じるのかもしれない。 「ごちそうさま」 「お粗末さまでした。食器はシンクの中に置いといてくれれば僕が洗うから」 「分かったわ」 委員長は割と遅めの僕よりもさらに遅いペースで食べていたから、時計を見ると8時をほんの少しだけ越した時間になっていた。 「私はそろそろ行くわね」 「早いね」 「この時間ならまだ学校の生徒の登校時間ではないから。人が増えれば増えるほど、見つかる可能性が高くなるし」 「あ、そういえばそうだね」 「……あなたは気楽でいいわね」 委員長、今日既に2回目の溜め息。 とんとんと規則正しい階段を上る音とすぐに取って返すように同じリズムで下りてくる音。多分鞄を取りに行ったんだと思う。 食器を洗おうと台所へ向かうと、足音はそのまま玄関の方へ向かったから、僕は慌てて玄関まで行く。 靴の爪先で玄関を打ちながら委員長が振り返って僕を見た。 「何? あなたも行くの?」 「ううん、そうじゃなくて」 委員長の家がどうかは知らないけど、うちは必ずお母さんがこうしていた。だから僕もしておこうと思う。 「いってらっしゃい」 呆けたような表情でしばらく僕を見ていた委員長は、いつもの溜め息とは違って、笑ったように息を吐いてから、 「いってきます」 扉を開けて出ていった。
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「必要な家具があったら、さっきの部屋から勝手に出していいよ」 「分かったわ」 持って来ていたスポーツバッグを部屋の片隅へ移動させ、中から学校指定の手提げ鞄を取り出す委員長。この中に入れてたんだ。 「……あれ? ってことは学校も一緒に行くの?」 「何で一緒に行かなきゃいけないのよ。私は勝手に学校へいくから、あなたも勝手にして」 振り返ることなく、中の物を出していろんな場所に配置する委員長。 「ん、分かった。着替えとかは?」 「もちろん持って来てるわ。だから箪笥が欲しいわね」 「そっか。それなら特に問題は無いかな。それじゃあ僕は1階に下りてるね」 「待ちなさい」 委員長の部屋を出ようと足を1歩出したところで声を掛けられ、僕はほとんど上半身のみで振り返る。 「どうしたの?」 「勉強、見て欲しいんでしょ。教科書と参考書も持って来てるから今からでも」 「あ、うん。でも夕飯の後でいいかな」 「別に構わないけど、何故?」 頬をかきながら僕は答える。 「お昼ご飯のときに食材使い切っちゃったから、ちょっと買いに行きたいんだ」 このままだと夕食が白いご飯と漬物のみになりそうだから、それは避けたいし。 「分かったわ。じゃあそれまでにどの教科を教わりたいのか考えておいて。私は部屋のレイアウトを考えたりして待ってるから」 「うん。あ、それとお風呂はご飯終わってからでいい?」 「構わないわ」 「了解」 頷いて僕は階段を駆け下りた。 夕食もお風呂も終わって、僕の部屋で勉強会が始まった。委員長の部屋の方が物が無くてすっきりしているけど、女の子の部屋でというのはやはり気が引けて、委員長を自分の部屋に招くことに。 お風呂に入った後も委員長は勉強をするからと普段はTシャツとハーフパンツというラフな格好で居るらしい。寝るときはまた別だって言ってたけど。 「パソコンにテーブル、本棚と箪笥……だけ?」 僕の部屋を物珍しそうに見回してぽつりと漏らす委員長。 「あまり物を置いてても部屋が汚くなるだけだから」 「……高校生とは思えない質素さね」 人差し指を額に当てて頭痛を示すようなポーズの委員長。 「そう?」 「とにかく始めましょう」 数学を教えて欲しいと夕食のときに言っておいたから、委員長は数学に関する本を全部持って来てくれていた。それにしても参考書合わせて……10冊くらい? 「そんなに読んだの?」 「まだ全部は解き終わってないわ。7割くらいってところ」 「それでも十分凄いよ」 満更でも無さそうな表情の委員長はこほんと咳払いして、「何からまずやるの?」と真摯な表情に戻って尋ねてきた。 「まずは学校で出された課題をやろうかな」 「そういえばあなたって課題提出率悪かったわね」 「うん……って、覚えてるのそんなこと?」 「特に提出物悪い人はね。あなたといつも一緒に居るもう1人の男子生徒……名前なんだったかしら。彼も悪かったと思うけど」 「隆二は……うん、まあそうだね」 多分委員長が言ってるのは澤田隆二という僕の友達のことを言ってるんだと思う。隆二は僕以上に成績も提出率も悪いけど、面白くていい奴。 「とにかく私の監視下に居るんだから、提出物が悪いなんてことは許さないわ」 「……お手柔らかにお願いします」 今日出されたのはプリントの課題。全部埋めて来いというものだけど……最初から分からない。 「ごめん、最初から……」 「最初から? ……ってここは高校2年のときにやったわよ」 「2年で?」 「そう。まだ今は新しい教科書始まったばかりだから課題のほとんどは2年のときのものばかりだわ。大問5のみね、新しい授業の内容は。……あなた真面目に授業聞いてたの?」 「あ、あはは」 実を言うとあまり授業は聞いていない、というか聞けていない。特に数学は数字の羅列を見ていると眠くなってくるし、教師の言っていることも良く分からなくてさらに眠気を誘われて……。 「じゃああなた、なんで理系選んだのよ。うちのクラスは理系のはずでしょう?」 「うーん、お父さんが理系だからかな」 「父親の背中を追うってわけ?」 「ちょっと違うけど……1番尊敬できる人がお父さんだから。その人に近づきたいと思うのは自然じゃないのかな」 お父さんの仕事はあちこち飛び回る必要があるから、家の中が疎かになるのが嫌な僕には合わないと思う。それでもやっぱり尊敬する人のやっている仕事には憧れがあるし、それに少しでも近づきたいから数学が苦手でも理系クラスに来た。……ちょっと後悔してるけど。 「それは、そうかもしれないわね」 「もう1つ」 「何?」 「文系科目の方がもっと酷いから、かな」 「…………はあ」 呆れた溜め息を吐かれた。委員長って溜め息吐くこと多いみたい。僕のせいっていうのもあるとは思うけど、それ以上に癖なんだと思う。 「そういえばまた質問なんだけど、委員長は何故こんな時期に来たの? お母さんは確か8日くらいには出掛けていったはずだから、時期考えると随分遅いような……」 「またその話? どうせ質問するなら最初にまとめて考えておきなさい」 「ご、ごめん」 委員長って学校と普段の態度、あまり変わらないんだ。文句言いながらも答えてくれるところとかも。 「昼にも言ったように、派遣する女子には条件が必要だったのよ。いくら学校長と親しいあなたのお母さんから言われたこととはいえ、簡単に頷いてた ら学校長として大問題でしょう? だから条件に当てはまる女子をまず決定して、その後に職員会議で本当にその女子でいいのか検討して……っていうのを繰り 返したそうよ。それでようやく私に決まったってわけ。その間が大体1週間くらい」 「そうだったんだ」 「もうこの話はいいでしょう。今更いろいろ聞いたって何も変わるわけじゃないんだから」 心底疲れたという表情で委員長は答える。確かに委員長としてはただでさえ進学する先とか勉強とかで頭がいっぱいなのに、さらに面倒なことを背負い込むことになったんだから大変だろうなあ。 「そうだね。……あれ、ここはどうだっけ」 2問目は自力で解けたけど、3問目は途中で詰まってしまった。1問目と同じように解けばいいと思ってたのに、なんかちょっと違う……? 「既にそれもやったわ」 「うーん……」 「……見なさい」 頭を押さえながら委員長が自分のノートの端に計算式を書いてくれる。ああ、ここが違ってたんだ。 「ありがとう」 「本当に全然駄目なのね」 「面目ないです……」 って言ってる傍から4問目で手が止まる。 見るに見かねてだと思うけれど、委員長は無言のまま立ち上がって部屋を出て行ってしまった。怒ったのかな、やっぱり。 大問5以外は2年の範囲だって言ってたっけ。 「2年の教科書って何処だったかな」 独り言で気づいた。自分の頭の悪さを自覚していたのに委員長に全部聞いて、自分で調べようとしなかった。もちろん授業のノートも普段取ってないから持って来ていない。今開いているプリントと計算用のメモ用紙のみ。 ……委員長も怒って当然だ。大分前、お母さんに勉強を教えて欲しいって言った時「教わるなら教わる側も最大限の努力をしろ」って言ってたっけ。 「確か全部隣の部屋に束ねて置いちゃったんだ」 眠くなってきたけど、もうちょっと頑張ろう。せめて委員長が起きてきたときに、間違ってるところだけでも教えてもらえるように。
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「全く。往来が激しい場所で人の悪口なんてよく言えるわね。腹が立つよりも先に呆れた」 「い、いやあ、これはこれは委員長。どうしたんですか。いつもはもう教室に着いておられる頃だと思うのですけど」 妙な敬語の隆二をジト目で見る委員長。 「……そういう態度を取るなら、こちらもそれなりに対応するけど、その方がいいなら続けなさい」 「うひい!」 隆二の方が5センチくらいは高いはずなのに、なんだか背負っているものが鼠と龍くらい違うように隆二は震え上がっていた。 これは隆二の気が特別弱いわけではなく、うちのクラスの男子ほとんどがこう。その原因はそれぞれ違う。委員長の目つきが見る人によってはそれなりにキツくて見えるのが原因だったり、喋り方が断定的であるのが苦手だったり。 とにもかくにも隆二にとっては唯一の天敵と言っていいと思う。 「向井君」 「は、はい」 唐突に名前を呼ばれて、僕も思わず敬語になってしまう。 「ちょっと来て」 「……はい」 少し離れた路地へ一足先に入った委員長は上半身だけ通路に戻し、ゆるりと眉を上げてじっと俺を見る。どう見てもその様子は「早く来い」と急かしている。 「頑張って来い。骨は拾ってやる」 既に念じるようにして目を瞑った隆二。 「縁起の悪いことを言わないでよ」 お小言はある程度覚悟しているけど、それでもちょっと行きづらい。かといって行かなければどうなるかは想像に難くない。 前門の虎後門の狼。 意を決して委員長が呼んだ路地へ赴くと、腕を組み片足に体重を掛けて委員長が待っていた。 「あの……さっきのは……」 「時間が無いから手っ取り早く用を済ませたいの。いいかしら」 「う、うん」 少しずれた眼鏡を右手人差し指で元の位置に戻しつつ即座に委員長が言う。 「家の鍵、貸してくれないかしら」 「家の、鍵?」 「数学の教科書忘れて取りに戻ったんだけど、鍵が開いてなくて。さっき見つけてようやく追いついたの」 溜息をついた委員長の姿を見て、僕もつられて溜息をつく。今からこってり絞られるのかなと思ってたから、この溜息は安堵の溜息。 たまに鍵を植木鉢の下とか、郵便受けの中とかに置いているのをドラマとか本で見るけど、いつそれが見られて勝手に家へ侵入されるか分からないから、ああいう共有の仕方はお母さんには許せないそうだ。だから家族1本ずつ鍵を持つようにして、それ以外のスペアキーは無い。 「そ、そうだね。良かった、今からお小言を貰うのかと思ってた」 「言ったでしょう。時間が無いの。お望みとあれば帰ってからゆっくりするけど」 「遠慮したいかな……あはは」 「そうね。あたしもそんな無駄なことに時間を割きたくないわ。それに……」 一旦目を閉じてから僕から目を逸らし、 「もうこれ以上、そういうキャラとして見られるのは御免だわ」 と再び溜息。ごめん、委員長。「そんなキャラに思われてないよ」と否定できない。 儚げな印象すらも儚く、委員長は再び良く通る声で尋ねた。 「とにかく家の鍵、借りれるかしら」 「うん、いいよ」 昨日委員長が僕に数学を教えてくれたとき、忘れていったのかも。 家の鍵だけ取り外そうとして、キーホルダーからなかなか抜けなかったからそのまま委員長に渡す。 「普段はちゃんと入れたか確認するのに、昨日に限って忘れたの。……なんて言い訳してる時点でまだまだね」 「夜遅くまで付き合わせちゃったから。ごめんね」 「悪いと思うのならそこを謝まる前にもっと授業に集中しなさい」 「そうするよ」 鍵を受け取った委員長はそれを握り締めて、 「放課後……帰り際に渡せばいい?」 と尋ねる。 「そうしてもらえると助かるかな」 皆が残っているうちに、学校内で堂々と渡されると委員長がうちに居ることがバレちゃうかもしれないから、なるべく人が居ないときの方がいいんじゃないかなと思う。 「今日は多分クラス委員の仕事は無いはずだからすぐに帰れると思うわ。そうしたら昨日の続きを」 「続きって……勉強?」 「私があなたの家に居ることで、それ以外に役立つことがあるのかしら」 昨日のことを思い出したのかは分からないけど、また溜息をついた。平均すると一言ごとに溜息を吐いているんじゃないかな。 「……夜じゃ駄目かな」 「私、普段は11時に寝るようにしてるの」 「そうなんだ」 昨日は朝の2時くらいまでやってたから、普段よりも3時間くらいは遅かったってことを暗に批難してるのかな、やっぱり。 「遅く始めたら遅く始めた分、私の睡眠時間が遅くなるから」 「分かった。帰ったらすぐで」 「理解が早くて助かるわ」 学校から帰ってすぐに勉強なんて今までやったことないけど、委員長がせっかくやってくれると言うのだから僕も見習わなきゃ。 鍵を受け取った委員長はくるりと踵を返し、通学路の方へ戻らずにそのまま路地を進もうとする。 「あれ、委員長。そっちからだと遠回りになっちゃうよ」 背中しか見えていなかったけど溜息を吐いたのは聞こえた。 「……あなたはすぐに忘れるのね。私が今、あなたの家に居候しているってこと。多くの生徒の通学路である、そこの道を逆走してそのままあなたの家に向かったらどうなる?」 「あ、そっか」 なるべく他の生徒に見つからないように、タイミングを見計らって。これが鉄則。 「もう1つ、委員長」 「何? もうかなり走らないと間に合わないんだけど」 腕時計に目を落とす委員長。 「もしかすると昨日僕の部屋に教科書置き忘れてるかもしれないから、自分の部屋に無かったら僕の部屋も探してみて」 「ん」 小さく頷いて委員長は駆け出し、あっという間に路地を通り過ぎて曲がっていった。確か委員長って帰宅部だった気がするけど、足速いなあ。昔は陸上部とかやってたのかもしれない。今度時間があったら聞いてみようかな。 通学路まで戻ると、隆二が神妙な顔つきで僕を見ていた。 「だ、大丈夫だったか誠一」 「うん、何とか」 「な、何とか……だと……! 何をされたんだ誠一! まさか改造手術をこの時間だけで!? おのれ怪人委員長!」 「大丈夫大丈夫。何もされていないから。後、怪人委員長ってなんかすごく変だよ」 いい加減に返事をしたせいで、奇妙なことを言い出したから慌てて言い直す。 「いや、あれは危ない。実はあれはだな……」 隆二の特撮的想像設定を聞きながら、僕らはゆっくり学校を目指した。
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「んあっ」 びくっとして、目を擦りながら上半身を起こす。何か嫌な夢を見ていた気がする。でも何を見ていたのか、細かくは思い出せない。 どうやら問題を解いてる途中で寝ちゃった様子で、記憶がおぼろげになっていた通り、大問3に入るよりも前で力尽きている。明日提出じゃないだけ良かったと思おう。 「あれ? 電気……」 僕の部屋の蛍光灯はよくある上から垂れてる紐を引かなきゃいけないタイプで、その紐は延長して無いからせいぜい15センチくらい。元のスイッチ はスイッチで入り口のすぐ脇。長い間放置していると勝手に消えるようなシステムは無い。少なくとも自分で消そうとしなければ消えないはずなんだけど……眠 る前に半分寝ながらも電気だけは消したのかな。 立ち上がろうとして肩から半纏がずり落ちた。 あれ、この半纏って確かまだ隣の部屋のカーテンレールに掛けておいたままになってた気がする。そろそろ寒くなってきたから出そうかなと悩んでて、結局出さなかったような。これも寝ている間に寒いからって取りに行ったのかな? 事実だとしたらもう夢遊病の域だなあ。 とにかく続きを解かなきゃと立ち上がりかけて、背中から入る電灯か月明かりか分からない光の影の中に僕以外の誰かが居るのに気づいた。 「わっ」 「きゃあっ」 僕は思わず大声を上げ、慌ててそこを離れる。同時に向こうも大声を出してひっくり返ったらしく、盛大に尻餅をつく音が聞こえた。僕は扉の方まで逃げて、蛍光灯のボタンを押した。 点かない。ってことはここで消したんじゃなくて蛍光灯の紐を引いたってこと? とりあえず泥棒かもしれないからここは一旦逃げ出して―― 「脅かさないでよね、もう」 「……へ?」 「そっちの電気点けて。こっちを点けてもそっちが消えてたら意味が無いわ」 聞き覚えがある声がそう告げた後、カチカチと音がした。 「蛍光灯、こっちは電源入れたからそっちもお願い」 「あ、うん」 言われるがままにスイッチを入れると蛍光灯が点灯し、その明かりのまぶしさに思わず目を瞑った。 ようやく慣れてきたところで目を瞬かせながらさっきの声の主の方を向くと、呆れ顔の委員長が立っていた。 「あれ、委員長。何してるの?」 「何、って……はあ。確かに私は何でこんなことしてるのかしらね」 僕の腰の抜けた姿を見て、委員長は溜め息を吐いた。 「……うわ」 「今度は何?」 「あ、あの……委員長」 「何?」 「その……服装が……」 「ん?」 自分の服装を見て委員長は、また溜め息を吐いた。今日だけでも吐いた溜め息は多分両手で数え切れないんじゃないかな。 「別に珍しいものでもないでしょう、ネグリジェなんて」 腰に手を当てて「また変なこと言って」とでも言いたげだけど素直に言わせて欲しい。論点が全然違う。 「一般的かどうかということよりもそのネグリジェ、透けてるよ……」 「……うっ」 ある意味絶妙な透け具合で、桃色のネグリジェは下着を着けているのは良く分かるけれど、その色や柄までは分からないという、人によっては1番危ない状況だったりする。さすがにこの格好はまずいと思うな、うん。 それに今まで意識したことは無かったけど、委員長って一般的な女子よりもスタイルがいいんじゃないかなと思う。だからこそこの状況は嬉しいような、困るような。 本気でそこに思い至っていなかったのか、それとも今まで僕が男であるという認識が無かったのか。後者ならば僕は悲しむべきなのかもしれないけ ど、とにもかくにも委員長は慌てて部屋の外へパタパタと走っていく。良く見ると足元にはウサギの人形みたいなものが付いたスリッパを履いていて、委員長が 走っていくのに合わせてそのウサギがヘッドバンギングでもしているかのようで、ちょっと笑えたのは眠たい頭を無理やり起こしているからかもしれない。 結局なんであんな暗がりで黙ってじっと立っていたのか良く分からなかったなあ。とにかく委員長が出て行ってからあまり進んでないし、さすがにもうちょっと頑張って続きを解かないと。 大きく伸びをして半纏を着てから机に向かうと、さっき部屋を出ていった委員長が同じ色のカーディガンを上に着て、今度はしっかり前を止めて戻ってきた。 「どうしたの? 忘れ物?」 「違うわ。……あなた、今日はもう寝るつもり?」 「全然進んで無いからもうちょっとやってから寝ようかなって思ってるよ」 また全然進まなければ、今度は学校でも委員長に怒られそうだから。学校でも家でもっていうのはちょっぴり勘弁してほしいかな。 「でしょうね。だからよ」 「……?」 僕は首を傾げる。その姿に一瞬眉を顰めた委員長だったけれど、すぐにその表情を溜め息に変えてから僕の右斜め前に座った。 「見てあげるわ、勉強」 「あ、でも……」 「さっきは悪かったわ。同じクラスの同じ年だからこれくらいは出来て当然、なんて思ってたけどそうとは限らないのよね。私が浅はかだったわ」 「ううん、そんなこと無いよ」 ちらりと僕を一瞥してから委員長はすまし顔で言う。 「ま、出来が悪いのには変わりないものね」 「うん」 「……ちょっとは否定しなさい」 僕の即答にまた溜め息が出る委員長。 「でも本当のことだから」 「本当でも、少しくらいは言い方に気をつけてくれとか、言うことはあるでしょう」 「言って欲しかったの?」 「別にそういうわけじゃないわ。……でも、プライドは無いの?」 あはは、と僕は笑って首を振る。 「プライドを持っていいのは努力した人間だけだってお父さんが言ってた。確かに僕もそうだと思うよ。努力もしないで言われることを否定するだけの人間はろくな人間にならないから、ちゃんと努力して結果を出してから十分に言い返すことにするよ」 「……そ。それでいいならそうすればいいんじゃないかしら」 「うん。だからもうちょっと頑張るよ」 それから勉強会は、委員長にまた何度も溜め息は吐かれたけど怒られたり、部屋を出て行ったりはされずに夜更けまで続いた。
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「女の子要りませんか」 「……」 僕はきっと悪い夢を見ているんだ。 そうでなければうちのクラス委員長が「女の子要りませんか」なんてことを開口一番に言って、玄関の扉を開けた僕の目の前に要るわけが無い。 悪い夢だ。 ……あれ? でも別に悪いことでも無いような。 それに帰ってきてから寝た覚えがないなあ。ベッドへ向かった記憶も無い。確かさっきまで明日の予習を―― 「向井君」 「は、はい」 向井とは僕、向井誠一のこと。ずっと同じクラスではあったけど、委員長に名前を呼ばれたことは数えるくらいしか無かった気がする。 少し釣り目で、フレームが下にしかない眼鏡を掛け、上は耳に掛からないショートカット。「男女平等というのならば女性も男性と同じように長い髪 は禁止すべき」と言って聞かず、一時期学校であまり良い意味ではなく知られていたものの、成績はトップクラスで品行方正。学校からすれば「手の掛からない 優等生」との称号だったと思う。 誰からも『委員長』という名でしか呼ばれたことを見たことが無いけど一応本名は覚えている。 辻川友香さん。 高校3年になる今年まで全く校則違反になることはしたことが無いらしいし、した人間を見つけると直々に制裁していると囁かれていて風紀委員会なんてものが形骸化しているらしいのもこの人のせいだと友達から聞いた。 それくらいの情報は高校の誰もが知っていると言い切れるくらいに知らない人が居ないという人。次期生徒会長との呼び声も高いけれど、本人にやる気は無いとか。 「どう?」 「どう、と言われても、その、困ります」 「困られると困る」 「えっ?」 僕にどうしろと言うんだろう。 「なんで僕の家に?」 「上がらせてもらうわね」 僕の質問に答えずにずいっと部屋に入り込んだ委員長。 「ちょ、ちょっと待って待って。ど、どういうこと?」 「私聞いたわ」 こんなときでもきっちり靴を玄関で揃えた後に玄関のラグの上で背中をこちらに向けたまま、ようやく答えてくれる。 「あなた、一人暮らしなんですってね」 「え? あ、うん、そうだよ」 妻が夫の単身赴任に付いて行くことって漫画とかではたまにあるけど、実際は珍しいはず。でもお母さんは自分の実家が近いことを理由にお父さんの単身赴任についていってしまった。僕1人を残して。 振り返った委員長が胸を張るなり、腰に手を当ててこう言った。 「男1人の生活は辛いでしょ。食事とか掃除とか洗濯とか」 「大丈夫だよ」 「いいえ、大丈夫じゃないわね。平均的な男子高校生は家庭科の授業以外に料理や掃除、洗濯をしたことが無いはず。そんな男子高校生が1人、まして や昼は真面目に授業に出ているあなたが、こんな一軒家に住んでいるともなれば掃除がおろそかになるでしょう。食事もカップ麺やコンビニのお弁当ばかりで、 洗濯だって山積みになるわ」 「あ、あの……」 「だからあなたは私を買いなさい」 「買うって、その、無茶苦茶じゃない?」 人身売買は法律で禁止されているはずだし。 「じゃあ雇う」 「僕、人を雇うほどお金持ってないよ」 親からお小遣いは生活費と別に毎月振り込まれているけど、とてもじゃないけど人を雇うなんてできる分は無い。 綺麗に整えられた細い眉が少し釣りあがる。 「いくらくらい貰ってるの」 「月に1000円」 「…………」 委員長は僕を見たまま停止していた。 「え、どうしたの?」 「……あなた、それでよく生活できるわね」 溜め息と共に両手のひらを天井に向ける。 「そうかな。月に2冊本が買えれば十分だよ」 「たった2冊でしょう。……とにかく私はあなたの家に泊まるから。支払いについては後回しでいいわ。とりあえず掃除からやりましょう」 「ちょ、ちょっと」 今度は静止を振り切ってリビングの中へ踏み込む委員長。追いかけるようにして僕がリビングに入ると何かにぶつかった。 「痛い」 「え、あ、ごめん」 ぶつかったのは他でもない、委員長の背中にだった。 「誰か別に雇っているの?」 「え?」 「家政婦とか」 「全然」 「随分綺麗じゃない、リビング」 「ん、趣味が家事だから」 そう。それが僕を1人で残していった理由。 お母さんは掃除、というより家事全般が苦手で、それを承知でお父さんは結婚したって言ってた。だからその分、僕が全部やらないといけなかった。 幸いにも家事はどれもはやっていくうちに苦に思わなくなったし、やればやるほど結果が付いてくるものだったから別に嫌じゃなかった。ちゃんと生活費もお小遣いも振り込んでくれるから生活に困ることもないもんね。 「生活費は余ったりしないの?」 「するよ。それは全部貯金してる。帰ってきたらお父さんとお母さんに返そうと思って」 「……そっ」 「そ?」 「そ、掃除ができても料理はどうなの」 「料理もするよ。外食は高いからね」 「……じゃ、じゃあ食べさせてみなさい」 「うん、分かった。あ、そういえば久しぶりだなあ、他の人に食べてもらうのって」 何が冷蔵庫に残ってたかな。1人分でいつも考えてたから材料が足りるかどうかちょっと不安。 ってあれ? さりげなく僕、委員長を受け入れてる? 「……ま、いっか」 まだ雇う雇わないっていうのを決めるときではなくて、単にうちへ遊びに来たから夕飯を振舞うっていうだけだし。委員長もお金がどうとかいうのは後回しでいいって言ってたよね。 「ごめんね、量が少なくって」 「構わないわ」 そろそろ寒くなってきたし、クリームシチューを作ってみた。 初めて家に連れてこられた子犬のようにおそるおそるスプーンを口に運ぶ委員長。 「どう?」 「……おいしい」 僕は安堵の息を吐く。 「良かった。いつも自分とお父さん、お母さんの味覚でしか問題ないって言われてなかったから」 「…………」 でも何故だか委員長はさらに不機嫌そう、というか困ったような表情をしている気がした。 「何か……」 「え?」 「何か無いの!?」 バネが弾けたように両手をテーブルに突いて立ち上がる。 「何かって……あ、ごめん。シチューにはご飯よりもパンの方が良かった?」 「そういう何かじゃない!」 「おいしくなかったの?」 「おいしかったわよ!」 何故こんなに怒られてるのか、ちょっと分からない。 「困ってることとか、やれてないこととか!」 突然力説されても……あ。 「勉強、かな。あまり成績良くなくて」 「…………はあ」 力なくそのまま立ち上がった椅子に委員長は再び座り込んだ。 「まあ、それで」 「え?」 結局良く言いたいことが分からないまま、後は無言の食事が続いた。