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_. -‐……‐- .. . ´. `ヽ、, -…‐ 、 /. \ ∧ , '. .'., ',. /. .'. ',. /. | | | i |. .l |\ |\| | | |. .| | | >、l´ ! ト、 | |. .|∧ \| ,ィf卞| l '. ,′ ハ ‘, ト、 弋rソ| ,′ノ. ,.ヘ l \ . 'ハ | ,' イ / ', |. | .ソ | / `ヽ. / , |. | \ ‐- | / 〈__ l |. ∨ | \ __| ハ , ´ | | | \ | ,r|/ニレ´ ', | | ` __/∠/ ', | | , '´//´-/ , -‐- 、', | | / // ̄/ / ヽ〉 ノィ |───────────────────────────────────────┤【キョン子】[人間][メイン:DランクMM][サブ:地図士]Lv5 つっこみきしつST…20/20 MP…20/20 OP…0/2【MM特技】応援解析隊列変更スカウトアタック餌付け【戦闘指令】[OP0]能力上昇:自分のモンスター一体の能力値を選んで1上昇させる[1/T]:E[OP1]異状治療:自分のモンスター一体の状態異常を回復する[1/戦]:E[OP1]解析命令:相手モンスター一体に対して[解析]を行う[1/T]:E【職業特技】[MP]地形調査 味方1体の素早さを1上げる【パッシブスキル】[PS]戦闘直感:一度も見たことがないスキルが発動した時、その効果を理解する【アクティブスキル】なし【固有スキル】[PS]女子力:スカウトアタックで超過したダメージも与えた扱いになる[PS]ピンキーハート:成長限界を迎えたモンスターからモンスターハート(ピンク)を受け取る??? キョン子の中で何かが目覚めだしているようだ・・・---------------------------------------------●職業の特徴(地図士)・移動中、地形によるトラブルを回避しやすくなり、ダンジョンなどで帰り道が分からなくなるのを防ぐことが出来る・戦闘中、毎ターンモンスター1体の素早さを上げることが出来る
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8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 16 10.80 ID T5yi+IuyO ハルヒ「キョン!気がついた?」 キョン「……ここは……」 みくる「良かったぁ……、もしキョンくんの目が覚めなかったら、あたし……」 キョン「……?お前ら……誰だ?」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 19 43.76 ID T5yi+IuyO ハルヒ「……嘘……、嘘でしょ?ねぇ、キョン……」 みくる「あ……あたしのせいだ……ふ、ふぇえ」 長門「……記憶喪失」 キョン「え?」 長門「あなたは記憶を失った」 キョン「……ドッキリだろ?」 長門「真実」 ハルヒ「みくるちゃんとあたしを庇って、あんた達車に引かれちゃったのよ」 キョン「あんた達……?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 23 47.38 ID T5yi+IuyO 長門「そこの男子生徒と共に」 キョン「こいつもひかれたのか」 みくる「あたしがあの時飛び出さなかったら涼宮さんも危ない目に遭わなくて済んで、 キョンくんと古泉くんも……うぅっ……」 ハルヒ「あれは仕方なかったのよ……」 キョン「何が何だかサッパリだ、少し考える時間をくれよ」 ハルヒ「……あたし……帰る、みくるちゃん、行きましょ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 28 37.04 ID T5yi+IuyO キョン「嵐は去ったか」 古泉「…………ぅ」 キョン(起きたか?) 古泉「……うぅん……」 キョン「よ、よう」 古泉「今何時……?」 キョン「いや、俺もわかんねーや」 古泉「うわ!あんた誰」 キョン「お前も記憶喪失かな」 古泉「何ここ……病院?」 キョン「俺達、なんか女子を庇ってひかれたらしい」 古泉「どんな子?」 キョン「栗毛でロングヘアで……」 古泉「知らないなぁ……」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 38 58.43 ID T5yi+IuyO 古泉「いきなり記憶喪失とか言われたって……」 キョン「なあ?」 古泉「ちょっと考えさせて」 キョン(俺の一番新しい記憶は授業終わって家に帰る時だな) 古泉(授業終わって、それから演劇部に……) キョン「……今6時か……」 古泉「僕達やっぱり入院するのかな」 キョン「お前、名前は?」 古泉「……古泉一樹」 キョン「俺は――――、まあキョンでいいよ、とりあえず宜しく」 古泉「……変なあだ名だな、宜しく」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 47 10.78 ID T5yi+IuyO ナース「起きましたか?」 キョン「は、はい」 ナース「命に別状も(略)ですが、明後日まで二人とも入院です」 古泉「明後日まで……か」 キョン「どうしたもんかね」 古泉「やる事無いし何か話す?」 キョン「そうだな」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 53 58.23 ID T5yi+IuyO キョン「お前も北高生?」 古泉「そうだよ、何組?」 キョン「俺5組だけど……お前は?」 古泉「僕9組」 キョン「9組って理系の特進じゃねーか!」 古泉「まあね……そうそう、僕5月に転校してきたんだよ」 キョン「へぇ、なんで?」 古泉「親の都合。いやぁ、案外兵庫も平和だよね、評判は悪いけど」 キョン「そうだな……」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01 01 39.90 ID T5yi+IuyO キョン「俺お前の事どっかで見たような事ある気すんだよな」 古泉「お、記憶復活しそう?」 キョン「うーむ……やっぱ駄目だな……」 古泉「そっか……あ、でもなんか僕も知ってるような気がする、キョンの事」 キョン「知り合いだったのかもな……カチューシャ女とか知らね?」 古泉「今時カチューシャ?どんなの?」 キョン「なんか黄色でリボンつきの」 古泉「あー……2つついてるやつ?」 キョン「そうそう!」 古泉「……知ってる気はするんだけどなー……思い出せないや……」 キョン「うーん……謎だな……」 やっぱ寝る 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 01 58.98 ID T5yi+IuyO 16 古泉「……まあいいや、その内何とかなるでしょ」 キョン「だな、焦らなくてもじきに思い出すさ、日常生活に支障がある程忘れたわけじゃない」 ~中略~ 古泉「病院食あんまり美味しくなかったね……」 キョン「おかゆ味無しって……どうよ」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 14 29.04 ID T5yi+IuyO 古泉「ねぇ、なんか部活入ってた?」 キョン「え?あー……帰宅部だな」 古泉「僕も帰宅部、んで演劇部行こうと昨日思ったんだけど……記憶が……」 キョン「俺も帰る時から記憶無いんだよな」 古泉「そう……。……ふぅ、なんか疲れたな」 キョン「無理もない、……にしても、本当病院って何もないよな」 古泉「ゲームしたいなぁ……」 キョン「どんなゲームやるんだ?」 古泉「ボードゲーム」 キョン「そりゃまた古いな……」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 21 45.77 ID T5yi+IuyO 古泉「まだ8時か……」 キョン「寝るか?」 古泉「でもさっきまで寝てたわけだし」 キョン「だよな、眠くないよな」 コンコン 古泉「はい」 ガチャ 長門「…………」 キョン「さっきの……」 古泉「え?知ってる人ですか?」 長門「……古泉一樹」 古泉「はい?」 長門「私とあなたは知り合い」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 32 27.15 ID T5yi+IuyO 長門「あなたとも」 キョン「俺か?」 長門「そう、私達と先程の女生徒二人は同じ部活」 古泉「えーと……何部ですか?」 長門「SOS団」 キョン「……すまん、それは一体どういう……」 長門「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団、活動内容は、 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶ事」 キョン「…………」 古泉「……あ、あの……」 長門「私は宇宙人、あなたは超能力者」 キョン「邪気眼遊びか……」 長門「違う。実際の事。涼宮ハルヒには願望を実現する能力がある。 今回あなた達が記憶を失ったのも何か理由があるはず。 涼宮ハルヒに何らかのアクションを検知させる必要がある」 キョン「待て、涼宮ハルヒって誰だ」 長門「黄色いカチューシャ」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 52 10.24 ID T5yi+IuyO 古泉「朧気ながら言っている事は理解出来ました、しかし……困りましたね」 キョン「俺も何となく解った気がするが……涼宮ハルヒが何を求めているのかわからんな」 長門「その鍵を見つけるのがあなた達の役割。……それじゃ」 キョン「お、おい、待てよ!」 キョン「……行っちまったよ」 古泉「超能力者って……どういうものかな」 キョン「さぁな……だが何故か信じられる気がする、多分実際、前にその事を知ってたんだろ」 古泉「確かに……物事を手際よく解決させる為……?」 キョン「だとしたら涼宮ハルヒは相当の実力者だろうな……」 古泉「でも鍵なんて言われてもどうしようもないような」 キョン「…………」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 58 51.92 ID T5yi+IuyO キョン「宇宙人ねぇ……」 古泉「……まあ、なんか、でも結局全部忘れてるんだし……今の僕達じゃ……ねぇ?」 キョン「……そうだよな……機を待つしかないな」 古泉「……寝ようか」 キョン「そうだな、寝よう」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 20 59.11 ID T5yi+IuyO 朝 キョン「……ああ、そうか、病院……か」 古泉「…………」 キョン「7時か……あんな時間に寝たしな……」 キョン「おい、古泉、起きてるか?」 古泉「うぅ……、……ああ、キョン……おはよう」 キョン「おはようさん」 古泉「今何時かな?」 キョン「7時だけど……」 古泉「そっか……、……」 キョン「とりあえず起きておいた方が良いだろ、誰か来たら何か話しておきたいしな」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 31 07.61 ID T5yi+IuyO ナース「何か必要な物があったらいつでも呼んでください」 キョン「えっと……ボードゲームとか……ありませんよね」 ナース「あ、オセロならありますよ」 古泉「!」 キョン「じゃあ、宜しくお願いします」 古泉「なんか……嬉しいなぁ」 キョン「この位覚えてるって」 古泉「ところでご飯どうすんの?」 キョン「お粥だけはちょっとなぁ……残すわ」 古泉「……ふふっ」 キョン「理系ってやっぱりオセロも強いのか?」 古泉「まあやってみれば分かると思うよ」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 44 30.11 ID T5yi+IuyO キョン「弱い、弱すぎるぞお前」 古泉「やっぱりこうなるか……」 キョン「にしても、退院したらどうなるんだろうな」 古泉「どう、とは?」 キョン「いや……記憶戻るかなって」 古泉「戻ったら良いよね」 キョン「お前と俺同じ部活だっけ?」 古泉「そういえば……、どんなだったのかな、記憶無くす前は」 キョン「確かに気になるな、だがどうせこんなもんだろうよ」 古泉「もし険悪だったら嫌だな」 キョン「いやそれは無いだろ」 古泉「……なんか妙な感覚になりそうだな」 キョン「俺は既に混乱寸前だ」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 59 57.41 ID T5yi+IuyO キョン「テレビつけてみるか?」 古泉「暇だしつけてみようか」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 46 13.58 ID T5yi+IuyO 55 古泉「超能力特番の再放送かぁ」 キョン「お前の超能力もこんなもんなのかね」 古泉「案外スプーンとか曲げれたりして!」 キョン「お、丁度スプーンあるしやってみるか?」 古泉「貸して、……」 キョン「…………」 古泉「曲がんない……」 キョン「そりゃそうだろ……」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 03 37.22 ID T5yi+IuyO 112 古泉「もういいや、超能力とか絶対無理」 キョン「あれじゃね?記憶喪失とかいう話もドッキリじゃね?」 古泉「でも確かに記憶無いような気もするし……」 キョン「それはあるな……」 ~中略~ キョン「岡部のやつどう考えてもおかしいだろ」 古泉「ふふふっ、確かにあの先生ならやりそうだ」 キョン「はは……、ああ、もう3時半か」 古泉「もう授業終わる頃だね」 キョン「結局今日は話してばっかだったな」 古泉「明日で退院かぁ……なんかちょっと名残惜しいかも」 キョン「課題がないからか?」 古泉「いや、まあ特進だしそれもあるけど……、……ふぁ」 キョン「眠いか?」 古泉「……寝る、「6時には起こして……、んじゃ」 キョン「……寝つくのはえーな」 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 47.88 ID T5yi+IuyO 119 キョン「ふぅ……、……暇だな……」 コンコン キョン「はい」 ガチャ ハルヒ「キョン、元気?」 みくる「こんにちはぁ」 長門「…………」 キョン「昨日の……」 ハルヒ「体痛くなったりしてない?」 キョン「まあ……大丈夫だけど」 ハルヒ「やっぱりあたしの事思い出せてないみたいね、……古泉君は?」 キョン「寝てるよ」 ハルヒ「まさか昨日から寝っぱなしなんて事ないわよね?」 キョン「いや、さっきまでは起きてたんだが……眠かったらしい」 212 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 14.16 ID mntryc5n0 3レスのみちょいっと失礼 125 ハルヒ「そう……寝ちゃったのね」 キョン「えーと……涼宮だっけ?」 ハルヒ「そうよ! ……あれ、そういえばあたし言ってなかったわよね、古泉君から聞いたの?」 キョン「いや、古泉もお前さんの事知らないみたいだ」 ハルヒ「そうなの!?古泉君まで……、……あ、じゃあ、誰から?」 長門「私が言っておいた」 ハルヒ「あらそう……」 キョン「あー、……っと、あんたと……そこの人は何て名前かな」 みくる「あたしは、朝比奈みくるです」 長門「長門有希」 みくる「改めて挨拶すると、なんか変ですねえ……」 ハルヒ「そうね……、あれだけ長いこと一緒に居たのに」 キョン「……思い出せれたら良いんだがな……。すまん」 ハルヒ「……きっといつか思い出すわよ!そうだ、古泉君起こしてみてくれない?」 キョン「ああ、……古泉ー?」 213 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 30.54 ID mntryc5n0 古泉「うっ……、……うう……ん、…………」 キョン「おい、起きろよ、こら」 古泉「う~~……、…………」 キョン「……駄目だ、起きない」 ハルヒ「む……、仕方無いわね、ちょっと話したかったんだけど……、 あ、そうだ!古泉君とは仲良くやれてる?古泉君あんたの事覚えてた?」 キョン「長門さんとやらに聞いたSOS団ってものの事は俺達二人とも知らねーや」 ハルヒ「有希、いつのまにそんな事話してたの?」 長門「電話」 ハルヒ「ふーん、ならいいけど」 キョン「……? そうそう、古泉とは結構気があってさ。話してると楽しいよ」 ハルヒ「えっ、そうなの!? なんか意外だわ」 214 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 49.37 ID mntryc5n0 キョン「しかし……爆睡だな、疲れちまったんだろうか」 ハルヒ「まあ、病院って何も無いし……、でも良かった。 あんた達よく一緒には居たけどそんなに仲良くなかったような気がするから」 キョン「マジか! 記憶戻った時どうなってるか逆に楽しみな気もする」 ハルヒ「早く戻ると良いわね、……そうだ、退院明日だっけ」 キョン「明日のいつかな? 学校に行くのは明後日になると思うが」 ハルヒ「北高の事はちゃんと覚えてるわよね? でも部活は……」 キョン「俺帰宅部だったような気がするんだが」 ハルヒ「あんたどんだけSOS団の事だけスッポリ忘れちゃってるのよ……、 ……まあいいわ! 学校来たら古泉君とあんたにSOS団の事を1から叩き込んでやるから!」 キョン「はは……そいつは有難いな……、……(宇宙人、か……)」 ハルヒ「……本当古泉君起きる気配無いわね、あたし帰った方が良いかしら」 キョン「いや、どっちでも構わんが……」 みくる「静かにしてあげた方が良さそうですねぇ……」 ハルヒ「そうね……、まあ明後日になったら部室に強制連行するし いつだって話す機会はあるわよね。じゃ、またね、キョン!」 キョン「おう。じゃあな」 みくる「またね、キョンくん。お大事に」 キョン「どうも」 長門「……また」 キョン「あ、ああ……」 452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 47 08.96 ID 4dJCEG8FO 214 キョン「いきなり静かになったな……」 古泉「……すぅ、……すぅ」 キョン「マジで起きないなこいつ」 ベシッ 古泉「あうっ!?」 キョン「…………」 古泉「いっ、いきなり何すんの!!」 キョン「おはようさん、もう客人はお帰りになっちまったぞ」 古泉「誰か来てたの? 今何時……?」 キョン「えーとだな……涼宮ハルヒと、長門有希と……朝比奈さんだっけ」 古泉「長門さんが鍵の人だっけ、あぁもう! なんで起こしてくれなかったんだよ!」 キョン「起こしても起きなかったんだよ!」 古泉「嘘だッ!」 キョン「まあどっちにしろ涼宮ハルヒの前で鍵とか言うのはあまり良くないと思うぞ」 古泉「そうかな? 絶対なんか言った方が良いと思う」 キョン「どうかな……」 古泉「……5時か……、あーあ、……記憶……記憶……」 453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 48 14.20 ID 4dJCEG8FO 452 キョン「ハルヒが言ってたんだけどさ、明後日は俺達の部活についてまた教えてくれるらしい。その時また手掛かりがあるかも」 古泉「なんか実験椅子とかありそうで嫌だな」 キョン「いや、それは流石にないだろ……」 ~また中略~ 古泉「風呂入りたい!」 キョン「俺もそれには同意するが……いきなりでかい声出すなよ」 コンコン 古泉「どーぞ!」 キョン(不機嫌だな……) 長門「…………」 キョン「またあんた一人か?」 長門「そう」 古泉「長門さんか……」 長門「鍵……」 キョン「全然手掛かり無しだ」 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 50 47.14 ID 4dJCEG8FO 453 長門「そう……」 キョン「……」 古泉「……えっと」 長門「…………古泉一樹、あなたは涼宮ハルヒの前では敬語を使って」 古泉「偉い人なんですか?」 長門「あなたの立場上はそうした方が良いというだけの話」 古泉「うーん……、なんか納得いかないけど、……解った」 長門「そうすれば起きる事が出来た」 古泉「え?」 長門「口調の相違は涼宮ハルヒの理想に反する」 古泉「もしかして理想の上で関係が成り立ってるの……?」 長門「そういうわけではない。それじゃ」 バタン 古泉「……記憶戻らなかったらどうなってるのかな」 キョン「そうだ、お前生活はどうよ?」 古泉「生活? 何も問題ないよ、なんで?」 キョン「そうか。いや、なんとなくだ」 古泉「看護婦さん、明日の昼帰らせて貰えるって言ってたね」 キョン「やっと帰れるな。にしてもお前と同室で良かったよ」 古泉「誰かが手を回したんだと思うけど……僕もキョンと話せて楽しかったよ」 キョン「ああ、そんな事全然考えてなかったぜ……、なんかどっかの超能力関係の機関とかが介入してたりしてな」 古泉「そんな非現実的な話があるもんか」 キョン「だよな……」 古泉「……ふぅ」 キョン「……」
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8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 16 10.80 ID T5yi+IuyO ハルヒ「キョン!気がついた?」 キョン「……ここは……」 みくる「良かったぁ……、もしキョンくんの目が覚めなかったら、あたし……」 キョン「……?お前ら……誰だ?」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 19 43.76 ID T5yi+IuyO ハルヒ「……嘘……、嘘でしょ?ねぇ、キョン……」 みくる「あ……あたしのせいだ……ふ、ふぇえ」 長門「……記憶喪失」 キョン「え?」 長門「あなたは記憶を失った」 キョン「……ドッキリだろ?」 長門「真実」 ハルヒ「みくるちゃんとあたしを庇って、あんた達車に引かれちゃったのよ」 キョン「あんた達……?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 23 47.38 ID T5yi+IuyO 長門「そこの男子生徒と共に」 キョン「こいつもひかれたのか」 みくる「あたしがあの時飛び出さなかったら涼宮さんも危ない目に遭わなくて済んで、 キョンくんと古泉くんも……うぅっ……」 ハルヒ「あれは仕方なかったのよ……」 キョン「何が何だかサッパリだ、少し考える時間をくれよ」 ハルヒ「……あたし……帰る、みくるちゃん、行きましょ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 28 37.04 ID T5yi+IuyO キョン「嵐は去ったか」 古泉「…………ぅ」 キョン(起きたか?) 古泉「……うぅん……」 キョン「よ、よう」 古泉「今何時……?」 キョン「いや、俺もわかんねーや」 古泉「うわ!あんた誰」 キョン「お前も記憶喪失かな」 古泉「何ここ……病院?」 キョン「俺達、なんか女子を庇ってひかれたらしい」 古泉「どんな子?」 キョン「栗毛でロングヘアで……」 古泉「知らないなぁ……」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 38 58.43 ID T5yi+IuyO 古泉「いきなり記憶喪失とか言われたって……」 キョン「なあ?」 古泉「ちょっと考えさせて」 キョン(俺の一番新しい記憶は授業終わって家に帰る時だな) 古泉(授業終わって、それから演劇部に……) キョン「……今6時か……」 古泉「僕達やっぱり入院するのかな」 キョン「お前、名前は?」 古泉「……古泉一樹」 キョン「俺は――――、まあキョンでいいよ、とりあえず宜しく」 古泉「……変なあだ名だな、宜しく」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 47 10.78 ID T5yi+IuyO ナース「起きましたか?」 キョン「は、はい」 ナース「命に別状も(略)ですが、明後日まで二人とも入院です」 古泉「明後日まで……か」 キョン「どうしたもんかね」 古泉「やる事無いし何か話す?」 キョン「そうだな」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 53 58.23 ID T5yi+IuyO キョン「お前も北高生?」 古泉「そうだよ、何組?」 キョン「俺5組だけど……お前は?」 古泉「僕9組」 キョン「9組って理系の特進じゃねーか!」 古泉「まあね……そうそう、僕5月に転校してきたんだよ」 キョン「へぇ、なんで?」 古泉「親の都合。いやぁ、案外兵庫も平和だよね、評判は悪いけど」 キョン「そうだな……」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01 01 39.90 ID T5yi+IuyO キョン「俺お前の事どっかで見たような事ある気すんだよな」 古泉「お、記憶復活しそう?」 キョン「うーむ……やっぱ駄目だな……」 古泉「そっか……あ、でもなんか僕も知ってるような気がする、キョンの事」 キョン「知り合いだったのかもな……カチューシャ女とか知らね?」 古泉「今時カチューシャ?どんなの?」 キョン「なんか黄色でリボンつきの」 古泉「あー……2つついてるやつ?」 キョン「そうそう!」 古泉「……知ってる気はするんだけどなー……思い出せないや……」 キョン「うーん……謎だな……」 やっぱ寝る 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 01 58.98 ID T5yi+IuyO 16 古泉「……まあいいや、その内何とかなるでしょ」 キョン「だな、焦らなくてもじきに思い出すさ、日常生活に支障がある程忘れたわけじゃない」 ~中略~ 古泉「病院食あんまり美味しくなかったね……」 キョン「おかゆ味無しって……どうよ」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 14 29.04 ID T5yi+IuyO 古泉「ねぇ、なんか部活入ってた?」 キョン「え?あー……帰宅部だな」 古泉「僕も帰宅部、んで演劇部行こうと昨日思ったんだけど……記憶が……」 キョン「俺も帰る時から記憶無いんだよな」 古泉「そう……。……ふぅ、なんか疲れたな」 キョン「無理もない、……にしても、本当病院って何もないよな」 古泉「ゲームしたいなぁ……」 キョン「どんなゲームやるんだ?」 古泉「ボードゲーム」 キョン「そりゃまた古いな……」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 21 45.77 ID T5yi+IuyO 古泉「まだ8時か……」 キョン「寝るか?」 古泉「でもさっきまで寝てたわけだし」 キョン「だよな、眠くないよな」 コンコン 古泉「はい」 ガチャ 長門「…………」 キョン「さっきの……」 古泉「え?知ってる人ですか?」 長門「……古泉一樹」 古泉「はい?」 長門「私とあなたは知り合い」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 32 27.15 ID T5yi+IuyO 長門「あなたとも」 キョン「俺か?」 長門「そう、私達と先程の女生徒二人は同じ部活」 古泉「えーと……何部ですか?」 長門「SOS団」 キョン「……すまん、それは一体どういう……」 長門「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団、活動内容は、 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶ事」 キョン「…………」 古泉「……あ、あの……」 長門「私は宇宙人、あなたは超能力者」 キョン「邪気眼遊びか……」 長門「違う。実際の事。涼宮ハルヒには願望を実現する能力がある。 今回あなた達が記憶を失ったのも何か理由があるはず。 涼宮ハルヒに何らかのアクションを検知させる必要がある」 キョン「待て、涼宮ハルヒって誰だ」 長門「黄色いカチューシャ」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 52 10.24 ID T5yi+IuyO 古泉「朧気ながら言っている事は理解出来ました、しかし……困りましたね」 キョン「俺も何となく解った気がするが……涼宮ハルヒが何を求めているのかわからんな」 長門「その鍵を見つけるのがあなた達の役割。……それじゃ」 キョン「お、おい、待てよ!」 キョン「……行っちまったよ」 古泉「超能力者って……どういうものかな」 キョン「さぁな……だが何故か信じられる気がする、多分実際、前にその事を知ってたんだろ」 古泉「確かに……物事を手際よく解決させる為……?」 キョン「だとしたら涼宮ハルヒは相当の実力者だろうな……」 古泉「でも鍵なんて言われてもどうしようもないような」 キョン「…………」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 58 51.92 ID T5yi+IuyO キョン「宇宙人ねぇ……」 古泉「……まあ、なんか、でも結局全部忘れてるんだし……今の僕達じゃ……ねぇ?」 キョン「……そうだよな……機を待つしかないな」 古泉「……寝ようか」 キョン「そうだな、寝よう」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 20 59.11 ID T5yi+IuyO 朝 キョン「……ああ、そうか、病院……か」 古泉「…………」 キョン「7時か……あんな時間に寝たしな……」 キョン「おい、古泉、起きてるか?」 古泉「うぅ……、……ああ、キョン……おはよう」 キョン「おはようさん」 古泉「今何時かな?」 キョン「7時だけど……」 古泉「そっか……、……」 キョン「とりあえず起きておいた方が良いだろ、誰か来たら何か話しておきたいしな」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 31 07.61 ID T5yi+IuyO ナース「何か必要な物があったらいつでも呼んでください」 キョン「えっと……ボードゲームとか……ありませんよね」 ナース「あ、オセロならありますよ」 古泉「!」 キョン「じゃあ、宜しくお願いします」 古泉「なんか……嬉しいなぁ」 キョン「この位覚えてるって」 古泉「ところでご飯どうすんの?」 キョン「お粥だけはちょっとなぁ……残すわ」 古泉「……ふふっ」 キョン「理系ってやっぱりオセロも強いのか?」 古泉「まあやってみれば分かると思うよ」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 44 30.11 ID T5yi+IuyO キョン「弱い、弱すぎるぞお前」 古泉「やっぱりこうなるか……」 キョン「にしても、退院したらどうなるんだろうな」 古泉「どう、とは?」 キョン「いや……記憶戻るかなって」 古泉「戻ったら良いよね」 キョン「お前と俺同じ部活だっけ?」 古泉「そういえば……、どんなだったのかな、記憶無くす前は」 キョン「確かに気になるな、だがどうせこんなもんだろうよ」 古泉「もし険悪だったら嫌だな」 キョン「いやそれは無いだろ」 古泉「……なんか妙な感覚になりそうだな」 キョン「俺は既に混乱寸前だ」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 59 57.41 ID T5yi+IuyO キョン「テレビつけてみるか?」 古泉「暇だしつけてみようか」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 46 13.58 ID T5yi+IuyO 55 古泉「超能力特番の再放送かぁ」 キョン「お前の超能力もこんなもんなのかね」 古泉「案外スプーンとか曲げれたりして!」 キョン「お、丁度スプーンあるしやってみるか?」 古泉「貸して、……」 キョン「…………」 古泉「曲がんない……」 キョン「そりゃそうだろ……」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 03 37.22 ID T5yi+IuyO 112 古泉「もういいや、超能力とか絶対無理」 キョン「あれじゃね?記憶喪失とかいう話もドッキリじゃね?」 古泉「でも確かに記憶無いような気もするし……」 キョン「それはあるな……」 ~中略~ キョン「岡部のやつどう考えてもおかしいだろ」 古泉「ふふふっ、確かにあの先生ならやりそうだ」 キョン「はは……、ああ、もう3時半か」 古泉「もう授業終わる頃だね」 キョン「結局今日は話してばっかだったな」 古泉「明日で退院かぁ……なんかちょっと名残惜しいかも」 キョン「課題がないからか?」 古泉「いや、まあ特進だしそれもあるけど……、……ふぁ」 キョン「眠いか?」 古泉「……寝る、「6時には起こして……、んじゃ」 キョン「……寝つくのはえーな」 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 47.88 ID T5yi+IuyO 119 キョン「ふぅ……、……暇だな……」 コンコン キョン「はい」 ガチャ ハルヒ「キョン、元気?」 みくる「こんにちはぁ」 長門「…………」 キョン「昨日の……」 ハルヒ「体痛くなったりしてない?」 キョン「まあ……大丈夫だけど」 ハルヒ「やっぱりあたしの事思い出せてないみたいね、……古泉君は?」 キョン「寝てるよ」 ハルヒ「まさか昨日から寝っぱなしなんて事ないわよね?」 キョン「いや、さっきまでは起きてたんだが……眠かったらしい」 212 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 14.16 ID mntryc5n0 3レスのみちょいっと失礼 125 ハルヒ「そう……寝ちゃったのね」 キョン「えーと……涼宮だっけ?」 ハルヒ「そうよ! ……あれ、そういえばあたし言ってなかったわよね、古泉君から聞いたの?」 キョン「いや、古泉もお前さんの事知らないみたいだ」 ハルヒ「そうなの!?古泉君まで……、……あ、じゃあ、誰から?」 長門「私が言っておいた」 ハルヒ「あらそう……」 キョン「あー、……っと、あんたと……そこの人は何て名前かな」 みくる「あたしは、朝比奈みくるです」 長門「長門有希」 みくる「改めて挨拶すると、なんか変ですねえ……」 ハルヒ「そうね……、あれだけ長いこと一緒に居たのに」 キョン「……思い出せれたら良いんだがな……。すまん」 ハルヒ「……きっといつか思い出すわよ!そうだ、古泉君起こしてみてくれない?」 キョン「ああ、……古泉ー?」 213 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 30.54 ID mntryc5n0 古泉「うっ……、……うう……ん、…………」 キョン「おい、起きろよ、こら」 古泉「う~~……、…………」 キョン「……駄目だ、起きない」 ハルヒ「む……、仕方無いわね、ちょっと話したかったんだけど……、 あ、そうだ!古泉君とは仲良くやれてる?古泉君あんたの事覚えてた?」 キョン「長門さんとやらに聞いたSOS団ってものの事は俺達二人とも知らねーや」 ハルヒ「有希、いつのまにそんな事話してたの?」 長門「電話」 ハルヒ「ふーん、ならいいけど」 キョン「……? そうそう、古泉とは結構気があってさ。話してると楽しいよ」 ハルヒ「えっ、そうなの!? なんか意外だわ」 214 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 49.37 ID mntryc5n0 キョン「しかし……爆睡だな、疲れちまったんだろうか」 ハルヒ「まあ、病院って何も無いし……、でも良かった。 あんた達よく一緒には居たけどそんなに仲良くなかったような気がするから」 キョン「マジか! 記憶戻った時どうなってるか逆に楽しみな気もする」 ハルヒ「早く戻ると良いわね、……そうだ、退院明日だっけ」 キョン「明日のいつかな? 学校に行くのは明後日になると思うが」 ハルヒ「北高の事はちゃんと覚えてるわよね? でも部活は……」 キョン「俺帰宅部だったような気がするんだが」 ハルヒ「あんたどんだけSOS団の事だけスッポリ忘れちゃってるのよ……、 ……まあいいわ! 学校来たら古泉君とあんたにSOS団の事を1から叩き込んでやるから!」 キョン「はは……そいつは有難いな……、……(宇宙人、か……)」 ハルヒ「……本当古泉君起きる気配無いわね、あたし帰った方が良いかしら」 キョン「いや、どっちでも構わんが……」 みくる「静かにしてあげた方が良さそうですねぇ……」 ハルヒ「そうね……、まあ明後日になったら部室に強制連行するし いつだって話す機会はあるわよね。じゃ、またね、キョン!」 キョン「おう。じゃあな」 みくる「またね、キョンくん。お大事に」 キョン「どうも」 長門「……また」 キョン「あ、ああ……」 452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 47 08.96 ID 4dJCEG8FO 214 キョン「いきなり静かになったな……」 古泉「……すぅ、……すぅ」 キョン「マジで起きないなこいつ」 ベシッ 古泉「あうっ!?」 キョン「…………」 古泉「いっ、いきなり何すんの!!」 キョン「おはようさん、もう客人はお帰りになっちまったぞ」 古泉「誰か来てたの? 今何時……?」 キョン「えーとだな……涼宮ハルヒと、長門有希と……朝比奈さんだっけ」 古泉「長門さんが鍵の人だっけ、あぁもう! なんで起こしてくれなかったんだよ!」 キョン「起こしても起きなかったんだよ!」 古泉「嘘だッ!」 キョン「まあどっちにしろ涼宮ハルヒの前で鍵とか言うのはあまり良くないと思うぞ」 古泉「そうかな? 絶対なんか言った方が良いと思う」 キョン「どうかな……」 古泉「……5時か……、あーあ、……記憶……記憶……」 453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 48 14.20 ID 4dJCEG8FO 452 キョン「ハルヒが言ってたんだけどさ、明後日は俺達の部活についてまた教えてくれるらしい。その時また手掛かりがあるかも」 古泉「なんか実験椅子とかありそうで嫌だな」 キョン「いや、それは流石にないだろ……」 ~また中略~ 古泉「風呂入りたい!」 キョン「俺もそれには同意するが……いきなりでかい声出すなよ」 コンコン 古泉「どーぞ!」 キョン(不機嫌だな……) 長門「…………」 キョン「またあんた一人か?」 長門「そう」 古泉「長門さんか……」 長門「鍵……」 キョン「全然手掛かり無しだ」 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 50 47.14 ID 4dJCEG8FO 453 長門「そう……」 キョン「……」 古泉「……えっと」 長門「…………古泉一樹、あなたは涼宮ハルヒの前では敬語を使って」 古泉「偉い人なんですか?」 長門「あなたの立場上はそうした方が良いというだけの話」 古泉「うーん……、なんか納得いかないけど、……解った」 長門「そうすれば起きる事が出来た」 古泉「え?」 長門「口調の相違は涼宮ハルヒの理想に反する」 古泉「もしかして理想の上で関係が成り立ってるの……?」 長門「そういうわけではない。それじゃ」 バタン 古泉「……記憶戻らなかったらどうなってるのかな」 キョン「そうだ、お前生活はどうよ?」 古泉「生活? 何も問題ないよ、なんで?」 キョン「そうか。いや、なんとなくだ」 古泉「看護婦さん、明日の昼帰らせて貰えるって言ってたね」 キョン「やっと帰れるな。にしてもお前と同室で良かったよ」 古泉「誰かが手を回したんだと思うけど……僕もキョンと話せて楽しかったよ」 キョン「ああ、そんな事全然考えてなかったぜ……、なんかどっかの超能力関係の機関とかが介入してたりしてな」 古泉「そんな非現実的な話があるもんか」 キョン「だよな……」 古泉「……ふぅ」 キョン「……」
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キョン 【出展】涼宮ハルヒの憂鬱 【種族】人間 【性別】男 【カオスロワでの活躍】 ハルヒと同じく、1期からの常連。四人に増えたり、ポケモンになったり、女体化したり、神の力を手に入れたり。 お前のような凡人がいるか! 【カオスロワ外伝での主な行動】 +ネタバレ注意 キョンのカオスロワ外伝における動向、設定。 初登場話 034:国会見学とか正直一つたりとも記憶に残ってねェ 死亡話 [[]] 登場話数 3話 スタンス 脱出 現在状況 一日目・夕方の時点で生存 設定 【性格】 【一人称】俺 【二人称】 【解説】 描写話 判明した設定 備考 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 喜緑江美里 知り合い 喜緑さん 【台東区・ファミレス跡地/一日目・夕方】 【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】驚愕 【装備】団長腕章@らき☆すた 【道具】支給品一式、ランダム品0~2(本人確認済み) 【思考】 基本:殺し合いからの脱出 0:なぁにこれぇ…… 1:早急にハルヒを探して、合流する。 【備考】 ※ハルヒがこの会場にいないことに気付いていません。
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県立北高校に通う高校生。 入学当初は普通な一般高校生だったが、涼宮ハルヒに関わったことから非日常な生活を送ることになる。 キョンとはあだ名である。→あだ名の由来 本名は不明だが、推測は多様に存在する→キョンの本名 1年5組で、2年時は2年5組。 下に小学5年生のキョンの妹がいる。両親はいるし、姪や甥もいるといった親戚が多い様子。 ちなみに初恋は歳の離れた従姉妹のねーちゃんだが、そのねーちゃんはロクでもない男と駆け落ちしちまったらしい。 子供にやたらとなつかれる性質で、「田舎で一同勢揃いしたときなんかによく世話をさせられていた習性からくるものだと思われる。」と言っていることから、一家の歳年長であると思われ、上に兄姉はいない様子だが、姪や甥がいるとなるといるのかもしれない。 宇宙人、長門有希、未来人、朝比奈みくる、超能力者、古泉一樹からそれぞれアプローチを受け、ハルヒは普通な人間ではないことを知る。 同時に本人も様々な事件に巻き込まれていくが、そんな日常も楽しいと思っている。 口癖は「やれやれ」。 成績については、さまざまなウンチクや文学、映画、宗教などの知識を持っているが、理数が苦手で、谷口と同じぐらい。 ちなみに、キョンは1年5組で、2年進級時も5組だった。 ちなみにいつも後ろの席にはハルヒがいる。古泉いわく、願望を実現する能力の影響だとか。 同級生の友達としては、国木田、谷口が同じ高校で仲もいい様子。古泉とは親友と認めてやってもいいらしい。 中学の同級生には、中河、佐々木、須藤、岡本、などがいる。 とくに佐々木とは中学生時代にけっこうな交流があり、9巻 分裂で再開する。 また、キョンはポニーテール萌えと言っており、かなりのポニーテール属性。 さらに4巻 消失時、ハルヒや長門ですら持ってない改変後の記憶を持っていることから、異世界人ということにもなる→異世界人はキョン だが、もともとは古泉ら機関が調べた結果、完璧な普通の人と保障されている。 ハルヒの言っていることを唯一阻止できる人間で、相当重要な人物。 そのため、キョンを殺せば涼宮ハルヒはなんらかのアクションを起こすとして朝倉涼子に殺されかけた。
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58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 14 09.45 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「あれキョン?まだ部室にいたの?有希も。今日の活動は終わったのよ? 私は忘れ物とりに来たんだけど」 キョン「キョンって俺のことか?」 ハルヒ「は?あんた何言ってんの?」 キョン「どうも記憶喪失ってやつになっちまったみたいで…」 ハルヒ「それマジで言ってんの?私が誰なのかわからないの?」 キョン「いやあ、かわいい子だとは思うが、名前までは…」 ハルヒ「なっ、何言ってるのよ!わ、わかったわ。嘘ついてるようにはみえないし、 病院に行った方がいいわ。その前に家に連絡した方がいいかしら…」 キョン「すまん」 ハルヒ「でも何で…有希何か知らない?」 長門「・・・」 ハルヒ「まあいいわ。キョン、とりあえずここを出るわよ!」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 15 36.54 ID rfGUtfRd0 テクテクテクテク… ハルヒ「ほんっとうに何も思い出せないの? もし冗談で言ってるなら死刑よ死刑」 キョン「物騒だな。でもホントなんだよ」 ハルヒ「だってついさっき、30分くらい前まで普通だったじゃない。いったいその間に何があったっていうのよ」 キョン「さあ・・・なにせ何も覚えてないからな」 ハルヒ「あんたねぇ・・・」 キョン「まず、俺とあんた達はいったいどういう関係なんだ? それを教えてほしいんだが」 ハルヒ「~~ッ!!」 長門「・・・・」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 17 23.27 ID rfGUtfRd0 病院に着くまでの間俺は二人に、いやほとんど黒髪の方からだけだが、いろいろと事情を聞いた。 どうやら俺はキョンという名前(なんだそりゃ)で、北高という高校の生徒であること。 そして、世界をおおいに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、通称SOS団のヒラ団員であるということ。 そこは何度も繰り返して教えられた。どうやら重要なポイントらしい。そうは思えないが。 ハルヒ「しかし本当に記憶喪失なんてあるのね・・・おもしろいといえばおもしろいけど、さすがに困ったわね」 キョン「まったくだ」 ハルヒ「あんた自分のことなんだから少しは焦りなさいよ!」 キョン「とは言ってもな・・・」 ハルヒ「まったく三日間ぶっつつげで寝っぱなしにはなるわ、記憶喪失にはなるわ、ホントに迷惑なヒラ団員ね!」 キョン「そんなこともあったのか。すまんな」 長門「・・・・」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 18 41.10 ID rfGUtfRd0 ───── 医者「記憶喪失だって?」 キョン「はあ」 医者「何にも覚えてないの?」 キョン「ええ、まあ」 医者「ふむ・・・」 少し困ったように腕を組んだ後も医者は質問を続けてきたが、そのほとんどに俺は答えることができなかった。 30分ほど同じ問答の繰り返しをして、結局何の解決策も見つからないまま俺は医者の元から解放かれた。 ハルヒ「どうだった?」 む、二人ともわざわざ待っててくれたのか。口は悪いけどいいヤツなんだな。 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 19 32.62 ID rfGUtfRd0 キョン「よくわからん。どうしてこうなったのか、原因がわからない以上手の施しようがないってよ」 ハルヒ「そう・・・」 長門「・・・・」 キョン「まあ、なんだ。きっとなんとかなるんじゃないか?」 ハルヒ「軽いわねー・・・ちょっとくらい困った素振りしたらどう?」 キョン「だって実際特に困ってないしなー」 ハルヒ「もう・・・」 キョン「そういえば」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 20 19.25 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「何?」 キョン「二人とも、まだ名前を聞いてなかったな。教えてくれないか」 ハルヒ「・・・・」 長門「・・・長門有希」 ハルヒ「あ、あたしは・・・涼宮ハルヒよ。名誉あるSOS団の団長なんだから」 キョン「あ、なるほど。あんたが涼宮ハルヒだからそれでSOS団なのか。いったいの何のことかと思ったぜ」 キョン「よろしくな。涼宮さん。長門さん」 ハルヒ「ハルヒでいいわよ」 長門「有希でいい・・・」 ハルヒ「!?」 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 22 27.95 ID rfGUtfRd0 二人に送ってもらって無事我が家に到着した。そうか、ここが俺の家か。 なかなかいい家じゃないか。 キョン「じゃ、ありがとな二人とも。本当に助かったよ」 ハルヒ「別にいいわよ・・・団員を助けるのは団長の仕事だしね」 キョン「そうか」 ハルヒ「それよりいい!? 今日一日ぐっすり寝て、明日までには記憶を戻しておきなさい! 命令よ!」 無茶言ってくれるなこいつは。それができるなら俺だってそうしたいさ。 キョン「ま、努力はしてみるよ。それじゃあな」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 23 56.44 ID rfGUtfRd0 その後、俺はとりあえず両親らしき人達に、自分が記憶喪失になってしまったということを説明した。 二人はポカンと口を開けて聞いていたが、病院で今のところ打つ手はないと言われたことを教えると、 急に慌てたように心配しだした。 キョン「別に生活に支障があるわけでもないから、多分大丈夫ですよ」 キョン「疲れたんで、今日はもう寝ます」 妹「キョンくん~・・・」 ん、なんだこの子は。もしかして妹か? 随分かわいいじゃないか。さっき鏡見たけど全然俺に似てないな。 キョン「大丈夫だよ。明日になりゃ全部戻ってるかもしれん」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 25 15.61 ID rfGUtfRd0 制服のままベッドに倒れこんで、俺は枕に顔を突っ込み目を瞑った。 記憶喪失か・・・まさか本当にそんなもんがあるとはな。しかも自分の身に降りかかってくるとは。 しかしどうにも他人事のような気分が抜けないな。実際俺自身全然焦ってないし。 ま、きっとそのうち戻るだろ。 疲れたから今は寝よう。 ・・・深い海に落ちていくような感覚が襲ってくる。 その時、ふいに枕元に置いておいた携帯電話が鳴った。 キョン「・・・なんだ、こんな時間に・・・」 手に取って着信の画面を見ると、そこには「長門 有希」という文字が映し出されていた。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 29 45.85 ID rfGUtfRd0 キョン「長門・・・? 長門って・・・さっきの二人のちっちゃい子の方か・・・?」 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「長門さん・・・か・・・? どうしたんだいったい」 長門「話したいことがある」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 37 45.84 ID rfGUtfRd0 早口でとある公園の場所を説明され、最後に、そこまで来て、と言われて俺がしゃべる間もなく電話は切れた。 まったく・・・いったいなんだってんだ。12時だぞ12時。 なんて常識はずれな子だ。 しぶしぶ上着を羽織り制服のまま家を出で、庭に置いてあった自転車にまたがった。 俺のだよなコレ。 外はまだ寒い。吐きだした息がわずかに白ずむ。 指示された公園には10分ほどで着いた。 中を覗くとさきほどまで一緒にいた少女が、俺と同じく制服のままでベンチに座っていた。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 37 55.44 ID rfGUtfRd0 キョン「すまん、待たせた」 長門「・・・・平気」 キョン「そんな格好で寒くないか?」 長門「少し寒い・・・」 ならなんか着てくればいいのに・・・ さっきから思っていたが、本当にちょっとかわった子だな。 そう思っていたら長門さんは無言でスタスタと歩きだした。 キョン「お、おいどこ行くんだ?」 長門「私の家・・・」 キョン「え?」 長門「ついてきて」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 42 31.60 ID rfGUtfRd0 ガチャリ 長門「・・・入って」 キョン「あ、ああ・・・」 ・・・ なんだ? なんなんだ。 普通、こんな夜中に男を自分の家に呼んだりするか? 話したいことってなんだ。いったい何が始まろうというんだ? コポコポコポ… 長門「飲んで」 キョン「・・・」 ズズッ 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 47 28.45 ID rfGUtfRd0 ・・・しかしでかくていい家だな。 少しばかり殺風景なのが気になるといえば気になるが。 キョン「そういえば、親は?」 長門「・・・両親は外国・・・」 キョン「外国。じゃあ長門さんはこの家に一人で住んでるのか・・・へえー」 長門「有希」 キョン「え?」 長門「記憶を失う前のあなたは私のことをそう呼んでいた」 キョン「あ・・・そうなのか・・・」 長門「呼んで」 キョン「え・・・」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 51 39.12 ID rfGUtfRd0 キョン「い、今?」 長門「そう」 キョン「えーっと・・・じゃ、じゃあ」 キョン「有希」 長門「・・・・」 ・・・あいかわらずの無表情だが、嬉しそう、というか満足しているように見える。 俺とこの人はいったいどういう関係だったのだろう。 キョン「あー・・・それでだな、有希さん」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 55 04.58 ID rfGUtfRd0 キョン「電話で言っていた、話したいことってのは結局なんなんだ?」 長門「・・・・」 長門「重要なこと」 キョン「うむ」 長門「さっきは涼宮ハルヒが近くにいたから言えなかった」 キョン「うん」 長門「あなたと私は、現在交際中の関係にある」 キョン「・・・・」 キョン「うえっ!?」 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 01 26.26 ID rfGUtfRd0 キョン「ま、マジ・・・で?」 長門「マジ」 キョン「・・・そ、そうだったのか・・・」 長門「・・・しかし、涼宮ハルヒをはじめあなたが所属しているSOS団の面々には」 長門「そのことは秘密にする、ということになっている」 長門「なので今日中にあなたに伝えておきたかった」 キョン「・・・」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 10 34.28 ID rfGUtfRd0 な、なんてこった。 まさか、自分に付き合ってる女の子いようとは。 これは喜ぶべきことなんだろうか? キョン「・・・・」 実際よく見たら、この有希という子はすごくかわいい。胸はないが。 少し変わっているところもあるが、別に悪い子じゃなさそうだし。 でもなぜだろう。今の俺にはとても素直に喜ぶことはできない。むしろ逆に困った気分だ。 長門「思いだした?」 キョン「いや・・・思い出せはしないけど・・・」 キョン「でも、わかったよ。俺と有希はさんは付き合っていたんだな。それはわかった」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 15 34.82 ID rfGUtfRd0 長門「そう」 キョン「ごめんな。こんな大切なことまで忘れちまって」 長門「構わない。あなたの責任ではない」 キョン「ん・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・で」 長門「?」 キョン「その・・・今から・・・やっぱり何かした方がいいのかな・・・」 長門「したい?」 キョン「え・・・あ、いや・・・」 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 19 56.21 ID rfGUtfRd0 したい? と言われても・・・ 自分がどんな人間だったか覚えていないので、この後どんな行動をとっていいのかわからない。 でも、こんな夜中に俺を家に呼びだしたということは、この子はそういうつもりなんだろうか・・・ 長門「私は別に構わない」 キョン「・・・!」 や、やっぱりそうなのか。 そりゃ記憶を無くしてはいるが俺だって男だ。何してもいいっていうならそりゃしたい。 しかし・・・ 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 22 55.64 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・ごめん」 長門「?」 キョン「なんか・・・悪いけど・・・今はそういうことする気分にはなれない。本当にスマン」 長門「・・・・」 長門「そう」 そう言った有希さんは、心なしか残念そうだった。 長門「あなたがそう言うなら構わない。これからいつでもできる」 キョン「うん・・・そうだな」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 27 07.88 ID rfGUtfRd0 キコキコ… キョン「じゃ、また明日学校でな」 長門「また・・・」 キコキコ… キョン「・・・ふう」 今まで深く悩んではいなかったが、やはり記憶を無くすということはどうにもいろいろと大変なことらしい。 さっさと治さないといけないな。このままじゃいろんな人に迷惑をかけちまう。 せめてこうなった原因がわかりさえれば・・・ とりあえず、今だけは何も考えずに眠りたかった。 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 39 19.99 ID rfGUtfRd0 翌日。 もしかしたら、と考えていたが、やはり朝になって目が覚めても俺の頭は何も思い出してはくれなかった。 くそ・・・いったいどうすりゃいいってんだ。 キョン「なあおい・・・どうすりゃいいと思う?」 シャミ「知らん」 キョン「!!?」 シャミ「ミャー」 ・・・ 今、一瞬この猫しゃべったような・・・ やばい。幻聴まで聞こえるようになっちまったらお手上げだぞ。 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 45 42.81 ID rfGUtfRd0 学校までは無事たどり着いた。 昨日帰る時は下りだったから気付かなかったが、あの坂、あんなにきついとは。 これからあと二年間毎日あそこを登らなきゃいけないと思うと、ぞっとするな。 谷口「ようキョン! 元気か! あいかわらずしけたツラしてんな!」 む、なんだこの失礼な野郎は。いきなり。 キョン「すまん、あんた誰だ」 谷口「な、何ぃ?」 谷口「おいおいその歳にしてすでに健忘症かよ! 早すぎるだろ!」 キョン「いや、実はだな・・・」 国木田「おはよー二人とも」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 53 16.62 ID rfGUtfRd0 後から入ってきた国木田ってヤツにもいっしょに、俺が昨日から記憶喪失になっちまったってことを説明した。 どうやらこの谷口と国木田ってヤツは俺の友達らしい。特に国木田の方は中学時代からの腐れ縁だとか。 かわいい顔してるなこいつ。 キョン「と、まぁそういうわけなんだ」 国木田「へー、記憶喪失ねぇ・・・」 谷口「おまえ本当に変わってるな。記憶喪失になるヤツなんかいねーぞ普通」 キョン「? 俺は変わってるヤツなのか?」 谷口「あー変わってるよ。人のうんこ食いたがったりよぉ」 キョン「何!?」 国木田「谷口、嘘教えないように」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 02 39.45 ID rfGUtfRd0 国木田「でもその割に全然焦ってるところがないね」 キョン「まーな。・・・でも治せるもんならさっさと治したいね。あたり前だけど」 国木田「SOS団のことも忘れちゃったの?」 キョン「あー、そのなんとか団のことなんだが・・・」 みくる「キョン君!」 キョン「!?」 いきなり後ろのドアを開けて、目を見張るような美少女が教室に入ってきた。 な・・・なんだこの人は! ものっすごいかわいいぞ。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 08 47.30 ID rfGUtfRd0 みくる「キョン君・・・聞きましたよ。記憶喪失になっちゃったんですって・・・?」 キョン「は、はあ・・・」 俺を知ってる・・・ってことはこの人も俺の友達かなんかなのか。 美人の知り合い多くないか? 俺。 ハルヒ「あんた、やっぱりまだ治ってないの?」 さらに後ろから、昨日俺を病院まで連れて行ってくれた・・・そう、涼宮さんが入ってきた。この子もかわいいよな。 あともう一人、なんか笑顔がサワヤカな男もついでにいる。なんでだろう。なんかこいつムカツクぞ。 古泉「記憶喪失ですか・・・あなたも困った人ですね」 キョン「なんだよあんたは」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 19 57.36 ID rfGUtfRd0 古泉「おやおやこの僕のことまで忘れてしまうとは・・・悲しいかぎりです」 なんか本当に悲しそうだ。 ハルヒ「今ここにいる3人はね、みんなあんたと同じSOS団の団員よ!」 キョン「この人たちもSOS団なのか」 みくる「そうですよぅ」 話を聞くと、どうやらこの恐ろしくかわいい・・・そして巨乳の方が、朝比奈みくるさん。 そして後ろにいた男が古泉というらしい。 むう、古泉とかいうヤツはどうでもいいとして。 いいじゃないか。SOS団。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 24 31.44 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「ホントにもう、さっさと思い出しなさいよ!」 キョン「そう言われてもなぁ」 キーンコーンカーンコーン みくる「あ・・・予鈴。あたし達も戻らないと」 古泉「そうですね・・・おっとその前に、少々失礼をば」 キョン「な、なんだよ」 古泉「ふむ・・・頭には特に外傷はないようですね。失礼しました。それではまた」 みくる「キョン君・・・元気出してくださいね・・・」 そう言って二人は教室から出て行った。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 29 30.24 ID rfGUtfRd0 ───── 古泉「どう思います?」 みくる「は、はあ。何がですか?」 古泉「彼の記憶喪失のことです」 みくる「どう思う、と言われましても・・・」 古泉「頭に衝撃を受けたような様子もなかった。しかしその割には突然すぎる」 みくる「はあ」 古泉「涼宮さんの話によれば、彼は昨日、僕たちが解散した後、なぜか部室に残っていたそうです。 そして横には長門さんがいた」 みくる「???」 古泉「・・・・」 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 45 43.74 ID rfGUtfRd0 ───── キーンコーンカーンコーン 四時間分の授業が終わり、ようやく昼休みに入った。 不思議だったのが、なぜか授業で勉強したことなんかは、朧気にだけど覚えているってことだ。いったいどういう記憶喪失なんだろう。 ま、その朧気ってのは、単純に俺の頭が悪かったからなのかもしれないが。 谷口の話によると俺は赤点の常習犯だったらしいからな。 キョン「ふあ~・・・」 チョイチョイ キョン「ん・・・おわっ!」 長門「・・・」 キョン「なが・・・いや、有希さん・・・」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 50 23.25 ID rfGUtfRd0 長門「ダメ」 キョン「え?」 長門「今はそう呼んではダメ。他の人に私たちの関係を気付かれる恐れがある。なので、ここでは長門と呼んでほしい」 キョン「あ、うん・・・わかった」 長門「・・・二人きりの時は、有希と呼んでほしい」 キョン「・・・・」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 58 00.74 ID rfGUtfRd0 長門「それより」 長門「お弁当を作ってきた」 キョン「お弁当?」 長門「コクリ」 長門「いっしょに食べる」 キョン「そ・・・そうだな。そうするか」 キョン「でも、付き合ってるのバレたらまずいんだろ? いっしょに食ってるの見られたらまずくないか」 長門「平気」 長門「この前いい場所を見つけた。ついてきて」 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 10 16.88 ID rfGUtfRd0 ガチャン 長門「ここなら誰にも見られることはない」 キョン「へー、屋上かぁ。いい眺めだなーここ。高い場所にあるだけあるな」 長門「座って」 キョン「ん」 パカッ キョン「おお、長門さんの手作り弁当か。すごいな。うまそうだ」 長門「あーん」 キョン「!?」 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 14.64 ID rfGUtfRd0 長門「食べて」 キョン「・・・」 こ、これは・・・ な、なんという照れ臭いシチュエーション。断固拒否したいところだが・・・ けど、きっと記憶を失う前の俺には、これが普通だったんだろうな。 長門さんを悲しませるわけにもいかない。ここは素直に従うか。 パク キョン「モグモグモグ…」 長門「・・・おいしい?」 キョン「うん。うまい。絶品だ」 長門「そう」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 16 51.28 ID rfGUtfRd0 ───── ハルヒ「あれ? ねえ、キョン知らない?」 国木田「いや? 僕たちも見てないけど」 谷口「トイレでも行ってんじゃねーのか」 ハルヒ「あ、そ・・・」 ハルヒ「・・・」 ハルヒ「・・・何よ・・・せっかく元気出させてあげようと思ってお弁当作ってあげてきたのに・・・」 ハルヒ「いいわよ全部一人で食べるから」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 25 20.19 ID rfGUtfRd0 ───── ランチタイムを終えて授業開始ギリギリの時間に自分の教室に戻ると、なぜか後ろの涼宮さんにとんでもなく不機嫌な目つきで睨まれた。 なんだいったい。 ハルヒ「あんた、どこいってたのよ」 キョン「俺? あー、なが・・・」 やばい。秘密なんだった。 キョン「・・・ちょっと考え事したくてな。中庭で一人でパン食ってたよ」 ハルヒ「あーそう。ふーん」 キョン「なんだよ」 ハルヒ「うるさい馬鹿」 ・・・なんだってんだよ。俺なんか悪いことしたか。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 40 44.66 ID rfGUtfRd0 放課後がくると涼宮さんは問答無用で俺のことを引きずり廊下に出た。 キョン「お、おい。どこに行くんだ」 ハルヒ「部活よ! 決まってんでしょ!」 例のSOS団とやらか。 ハルヒ「緊急会議よ。絶対に意地でもあたしのこと思い出させてやるんだから」 キョン「あたしのこと?」 ハルヒ「・・・! あたしたちよ、あたしたち!」 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 50 34.67 ID rfGUtfRd0 バンッ! ハルヒ「緊急会議をはじめます」 ハルヒ「みんなもう知っての通り、この馬鹿キョンがなんと記憶をなくしてしまいました」 ハルヒ「今までのSOS団の活動のことも! そんなことは断固許さないわ!」 キョン「・・・・」 ハルヒ「そこで!」 ハルヒ「いったいどうやったらこいつの記憶が戻るかどうか、みんなで考えてちょうだい!」 ハルヒ「何かいい案が出たら即実践するわ!」 なんか微妙に怖いこと言ってやがるな、こいつ。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 55 45.95 ID rfGUtfRd0 古泉「ふむ・・・」 みくる「ふえ~・・・」 長門「・・・」 ハルヒ「あたしはもう一つ考えてあるわ」 キョン「ほう」 ハルヒ「記憶を失った時と同様に頭に強い衝撃を与えるってのは、基本的だけどやっぱり一度はやっておかないとね」 キョン「ちょ、ちょっと待て!」 ハルヒ「はい、せーのっ!!」 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 01 59.38 ID rfGUtfRd0 キョン「待てって! そんなのは迷信だ! 誇大妄想だ! 非科学的な原始人の言う戯言だ!」 ハルヒ「なによ、いっくじなしね~」 キョン「それにな、俺、頭に衝撃受けた覚えなんて一つもないぞ。古泉もさっき言ってたろ」 古泉「そうですね。彼の頭にそれらしい外傷はありませんでした」 ハルヒ「何よつまんない」 キョン「・・・もうちょっとマシなこと考えてくれよ・・・」 古泉「やはり、あなたがなぜ記憶を失ってしまったのか、その原因を突き止めるのが最初にするべきことなのではないでしょうか」 そうだ。古泉とやら、いいこと言うな。 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 12 24.37 ID rfGUtfRd0 古泉「記憶を失う前後のこと、本当に何も覚えてないんですか?」 キョン「む・・・ああ。気が付いたらここに立ってたんだ。それ以前のことは何一つ覚えてない」 古泉「長門さん」 古泉「あなたは、涼宮さんが戻ってきた時、彼といっしょにこの場にいたんですよね?」 長門「・・・・」 長門「いた」 古泉「あなたは何か見てないんですか」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 16 29.66 ID rfGUtfRd0 長門「・・・・」 古泉「・・・・」 長門「何も見ていない」 古泉「そうですか。では質問を変えます」 古泉「僕たちが解散したあと、あなたはなぜこの部室に戻ってきたんですか?」 長門「・・・・」 キョン「???」 ハルヒ「???」 みくる「???」 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 21 26.39 ID rfGUtfRd0 長門「・・・」 長門「カーディガンをここに置き忘れた。なので、取りに戻った。すると彼がそこに立っていた」 長門「それ以前に彼に何があったのかは、私も見ていない」 古泉「・・・・」 古泉「・・・そうですか」 ハルヒ「な、なんかよくわかんないけど、結局私たちが解散したあと、キョンは一人でここに戻ってきて、 そしてその空白の30分程度の間に何かがあったってことね」 古泉「そういうことになりますね」 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 32 41.48 ID rfGUtfRd0 その後の話し合いでは、結局何の解決策も見つからなかったし、俺が記憶を失った原因もわからなかった。 しかし部活と名乗っているくせに、顧問もいないしまともに活動もしてもいないようだが、いいのかねこれ? ハルヒ「・・・あ、もうこんな時間じゃない。しょうがないわ。今日はもう解散!」 キョン「ふう・・・」 ハルヒ「キョン! あんたはあたしといっしょに帰るわよ!」 キョン「え、な、なんで!?」 ハルヒ「あんた一応重度の記憶喪失者なのよ!? 何かあったら困るじゃない。家まで送るわよ!」 キョン「ちょ・・・」 涼宮・・・いや、ハルヒに腕を引っ張られて部室を出る寸前、有希の顔を見た。 どこか寂しそうな顔をしている・・・ような気がする。 しかたないな。後で謝っておこう。 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 36 29.07 ID rfGUtfRd0 ───── 長門「・・・・」 長門「帰る」 古泉「あ、長門さん。それと朝比奈さんも。少しお話があります」 みくる「は、はい?」 長門「・・・なに?」 古泉「いえ・・・今の彼に涼宮さんの能力のことや、僕たちの正体も教えておいた方がいいのか、意見を聞いておきたいのです」 みくる「ああ・・・」 長門「・・・・」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 40 28.35 ID rfGUtfRd0 長門「・・・教えるべきではないと思われる」 古泉「? なぜです」 長門「今の彼に余計な情報を与えれば、さらに記憶の混乱を招く恐れがある」 古泉「ふむ・・・」 長門「・・・今、考えるべきは涼宮ハルヒのことより彼のこと」 古泉「・・・なるほど」 長門「帰る」 古泉「はい。ありがとうございました」 みくる「さ、さよぉならぁ~・・・」 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 44 35.60 ID rfGUtfRd0 ───── トボトボトボ… ハルヒ「・・・・」 キョン「・・・・」 キョン「・・・どうしたんだ? 急にしおらしくなったな。さっきまではあんなに元気だったのに」 ハルヒ「・・・! べ、別に何でもないわよっ・・・!」 キョン「そうか・・・」 ハルヒ「・・・・」 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 49 15.14 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「・・・ねえ、キョン」 キョン「ん?」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ホントに忘れちゃったの?」 キョン「・・・え?」 ハルヒ「・・・だって・・・」 ハルヒ「だってだって! あたし達SOS団じゃない! いろんなことやったじゃない! いろんな場所いったじゃない!」 ハルヒ「映画だって撮った! 合宿だって行った! 野球もした!」 ハルヒ「・・・ホントに・・・あんなに楽しかったじゃない・・・」 キョン「・・・・」 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 53 06.75 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「それなのに・・・」 ハルヒ「それなのに・・・全部・・・忘れちゃうなんて・・・」 ハルヒ「・・・あんまりよ・・・」 キョン「・・・ハルヒ・・・」 ズズッ ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ごめん」 ハルヒ「本当にごめん。これはあんたのせいじゃないもんね。それなのにあたし勝手に怒って・・・」 ハルヒ「・・・ごめん・・・でも・・・」 ハルヒ「・・・なんか悔しくて・・・」 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 58 04.75 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・」 ・・・その後。 俺はハルヒに、結局何も言ってやることができなかった。 そのまま、無言のまま、俺たちは同じ歩幅で歩き続けた。 ハルヒ「・・・じゃ」 ハルヒ「あたし、こっちだから」 キョン「ああ」 ハルヒ「ここまで来れば、もう一人で帰れるでしょ」 キョン「ああ。ありがとなわざわざ」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 01 47.31 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「いいわよ別に」 キョン「ん、じゃ・・・」 ハルヒ「あ、ねえキョン・・・」 ハルヒ「さっきは本当に・・・ごめんね・・・」 キョン「いいって。そんな謝るなんておまえらしくないぞ」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・それもそうね。それじゃ」 キョン「おう」 キョン「・・・あれ?」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 06 52.98 ID rfGUtfRd0 なんか・・・今、一瞬だけど・・・ ふっと、自然にアイツの表情が浮かんだような・・・ そうだよ。それじゃなきゃ、おまえらしくないなんて言えるはずもない。 キョン「記憶、戻りかけてるのかも・・・」 まるで出口のない暗闇の中を手探り歩いているような感覚だったが。 あいつの言葉が、少しだけ光を照らしてくれたみたいだ。 まだまだ完全に思い出すには時間がかかりそうだが。 キョン「ありがとな、団長さん」 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 11 54.42 ID rfGUtfRd0 家に帰って、風呂に入り、メシを食って寝る準備をしていると、またもや枕元に置いておいた携帯が鳴った。 着信画面には「長門 有希」。 なんだろう。また何か用だろうか。 それにしても夜中に電話かけるのが好きな子だな。 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「おー、えっと、有希。どうした?」 長門「・・・・」 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 14 20.68 ID rfGUtfRd0 キョン「あ、そうだ。今日はごめんな。おまえ置いて帰ったりして」 長門「・・・別にいい。あなたのせいじゃない」 キョン「ん」 長門「・・・それより」 長門「明日は休日」 キョン「え?」 長門「明日は休日」 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 16 55.45 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・・」 長門「・・・・」 ・・・なんだろう。 つまりこれは、明日どっか連れてって、ってことか? キョン「あー、・・・有希」 長門「・・・・」 キョン「明日、どっか遊びに行こうか」 長門「そう」 やっぱりそうだったのか・・・ 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 21 18.15 ID rfGUtfRd0 キョン「どこ行きたい?」 長門「どこでも・・・」 キョン「有希が行きたい場所でいいぞ。やっぱり図書館か?」 長門「・・・・どうして」 キョン「ん?」 長門「どうして覚えているの?」 キョン「あ・・・」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 24 32.83 ID rfGUtfRd0 そうだ。 なんで俺、有希が図書館が好きだなんてことを知っている? 長門「・・・・」 キョン「ははは・・・何かよくわからんけど、少しずつ記憶、戻ってきてるのかもしれん。 さっきも同じようなことあったしな」 長門「・・・そう」 あれ? おかしいな。喜ぶと思ったのに、逆になんか落ち込んだ? キョン「まあ、そのことはいいよ。とりあえず明日は図書館でいいか?」 長門「・・・いい」 キョン「ん」 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 30 51.52 ID rfGUtfRd0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 350 名前: 167[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 37 44.45 ID csSw3BMQ0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 38 10.71 ID csSw3BMQ0 さて翌日。 俺は自転車をフルスピードでかっとばしていた。なぜかというと、まあ簡単に言えば寝坊したからだ。 どうやら俺は朝に弱い体質だということが判明した。なにせ三つかけておいた目覚ましが全部知らないうちに止まっていたからな。 しかし(今の俺にとっては)最初のデートでいきなり遅刻をかますとは。なんというダメ男なんだ。 待ち合わせ場所の駅前のベンチに、彼女はこの前と同じくちょこんと縮こまって座っていた。 くそ、やっぱり間に合わなかったか。 長門「・・・・」 キョン「有希っ」 長門「・・・・」 キョン「すまん。遅れちまった」 長門「平気・・・・」 352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 39 18.53 ID csSw3BMQ0 そう言って立ち上がった有希は、いつもの制服姿ではなく、水色のワンピースを着ていた。 うおうっ、か、かわいい・・・ 彼女の私服姿は新鮮で、彼女という素材がより一層引き立って見えた。 キョン「・・・・」 長門「なに?」 キョン「あ、いや・・・その、な・・・」 ちょいと照れ臭いが、ここは正直に自分の思ったことを言ったほうがいいってもんだろう。 キョン「その服、似合ってるぞ。めちゃめちゃかわいい」 長門「・・・・」 長門「そう」 キョン「ああ」 353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 21.56 ID csSw3BMQ0 その後、一方的に俺がどうでもいい内容の話しをしゃべりかけながら、歩いて図書館まで移動した。 彼女の反応は「そう」とかそんな素っ気ないものばっかりで、全然会話になっていなかったけど、でもなぜか全然苦痛にはならないんだよな。 このくらいが心地よいというか。なんとも不思議なもんだ。 ウィーン 長門「・・・・」 図書館の中に入ると、有希の目がキラキラと輝きだした。・・・ように見えた。 いや、実際の表情はまるで変わってはいないんだ。でも、俺にはなんとなくわかる。 多分それであっているんだろう。 キョン「好きなだけ見ていっていいぞ。時間ならタップリあるから」 長門「わかった」 354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 46.97 ID csSw3BMQ0 さてと・・・ ただ待っているだけってのも退屈だな。俺も本の一つでも読んでみるとするか。 ん、なんだこれ・・・バトルロワイヤル? ほう。中学生同士の殺し合いね。はっ、どうせあれだろ、中二病の痛い話だろ。 だいたい最近のラノベとかはどれもこれもバトルものに走り過ぎなんだよな・・・どれ。 ペラッ キョン「・・・・」 ペラッ キョン「・・・・」 355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 05.64 ID csSw3BMQ0 ───── キョン「・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・・」 チョイチョイ キョン「ん、どうした有希」 長門「もう閉館・・・」 キョン「はあ? 嘘言えよ・・・ってええ!!?」 壁に掛けられた時計を見て俺は思わず声を上げた。 針は確かに5時ちょうどを指している。 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 51.57 ID csSw3BMQ0 なんてこった。まさかこんなに時間が経っていようとは。 どうもあまりのおもしろさに熱中しすぎていたらしい。そういえばメシも食ってない。 キョン「悪い有希・・・腹減らなかったか?」 長門「平気・・・」 キョン「そうか・・・それにしても、くそ。あと少しで終わるというのに」 長門「大丈夫・・・また来ればいい」 キョン「ん・・・それもそうだな」 いや・・・にしても悔しいぜ。 来週も必ず有希と来よう。 357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 51 51.45 ID csSw3BMQ0 キョン「さてと」 キョン「どうしようか。とりあえず、なんか食べにでもいくか?」 長門「・・・・」 長門「私の家に来てほしい」 キョン「え、いいのか?」 長門「コクリ」 長門「夕飯を振るまいたい」 キョン「そ、そうか。そいつは楽しみだな」 358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 56 37.19 ID csSw3BMQ0 ───── ジャージャー… キョン「・・・・」 キョン「なあ、なんか手伝おうか?」 長門「ダメ」 長門「あなたはお客さん。まかせて」 いや、でも・・・ なんていうか・・・どことなく危なっかしいんだよな。 キョン「いや、でもさ。二人で共力して作るってのも、それはそれで味があると思うぞ?」 長門「・・・・」 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 57 05.78 ID csSw3BMQ0 長門「確かにそうかもしれない」 長門「でも、今日は私が作りたい」 長門「あなたに食べてもらいたい」 長門「二人で作るのは、今度」 キョン「ん、そうか・・・わかった」 そこまで言うならしかたない。手伝うのは諦めよう。 俺はできる限り腹を空かせる努力して、有希の手料理を待つことにした。 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 12 58.87 ID csSw3BMQ0 それから数分くらいすると、キッチンからカレーのいい匂いが漂ってきた。 やっぱりカレーだったか。夕飯を振るまいたい、と言った時点でだいたい想像はできていたが。 キョン「あいつホントにカレー好きだなぁ・・・」 キョン「・・・あ」 ・・・まただ。 覚えているはずのないことが、無意識のうちに頭の中に浮かんできていた。 有希がカレーが好きだったことなんて、なぜ覚えている? 長門「おまたせ・・・」 363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 22.67 ID csSw3BMQ0 コトリ キョン「・・・・」 長門「・・・? どうしたの・・・」 キョン「あ、いや、今な。有希がカレーが好きだってことが、自然と頭に浮かんできたんだよ。 やっぱり記憶、戻りかけてるのかもしれない。この調子ならもうすぐ完全に戻るかもな」 長門「・・・・」 キョン「・・・有希?」 長門「そう・・・」 キョン「嬉しくないのか・・・?」 364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 43.70 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 長門「嬉しい」 キョン「・・・・」 なんでだ。それ、あからさまに嘘っぽく聞こえるぞ。 有希は俺に記憶が戻ったら何か不都合なことでもあるんだろうか? キョン「・・・ん。まあ、それよりも。あったかいうちにカレー、食べよう」 キョン「すげー旨そうだな。ていうか、めちゃめちゃ腹減った」 長門「・・・・」 365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 14 03.59 ID csSw3BMQ0 有希が作ってくれたカレーは、普通に旨かった。なんというか、カレー屋の味に近い感じ。 そのカレーを3杯食った後に、大量のポテトサラダが出てきた時にはさすがに焦ったが、 俺はそれもなんとか完食した。愛がありゃなんでもできるもんだぜ。 ふと時計を見ると、すでに時刻は9時半を回っていた。 幸せな時間が過ぎるのは早い。 ・・・本当なら泊まっていきたいところではあるが、明日も学校だ。 そろそろ帰らないとまずいだろう。 キョン「さてと・・・」 長門「・・・もう帰る?」 キョン「ああ。ご飯ありがとな。本当においしかったよ」 長門「・・・・」 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 01.59 ID csSw3BMQ0 ガチャリ キョン「じゃ、有希。ごちそうさま。また明日な」 長門「待って」 長門「・・・ありがとう」 キョン「え?」 長門「楽しかった」 そう言うと、彼女は俺の肩を掴んで、背伸びをしながら触れるように軽い口づけを交わしてきた。 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 21.16 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・・」 長門「・・・また・・・明日・・・」 ガチャン… キョン「・・・・」 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 42.68 ID csSw3BMQ0 ───── 帰り道、俺は半ば放心状態のまま、自転車のペダルをこいでいた。 おかげで危なく電信柱に衝突しそうになることが2回ほどあった。 キョン「・・・・」 キョン「・・・キス・・・されたな・・・」 あれが、俺が覚えている限りのファーストキスだ。まあ当然っちゃ当然だが。 キョン「・・・・」 キョン「・・・早く記憶取り戻さなきゃ・・・」 有希と、もっといっしょにいたい。もっと話したい。笑っているところが見てみたい。 今の俺は、それしか考えられなくなっている。 そのためには、早く失った記憶を取り戻さなくてはならない。 369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 27 11.87 ID csSw3BMQ0 ───── プルルルルルル…ピッ 長門「・・・・」 古泉「長門さん・・・ですか?」 長門「・・・なに?」 古泉「お伝えしたいことがあります」 長門「・・・・」 古泉「本日、過去最大規模の閉鎖空間が発生されました」 長門「・・・・」 長門「そう」 古泉「僕が何を言いたいのか、あなたならもうおわかりでしょう」 370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 27 30.32 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 古泉「今回の事件、僕にはもうわかっています」 長門「・・・・」 古泉「このようなこと・・・あなた以外にできるはずがありませんからね」 長門「・・・・」 古泉「・・・あなたの気持ちもわかります。ですが今は・・・一時の感情に流されないように行動してください」 古泉「今ならまだ間に合います。それでは」 ピッ 長門「・・・・」 372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 45 43.37 ID csSw3BMQ0 ───── 谷口「ようキョン。どうだ、一日経って記憶は戻ったか」 キョン「いや、それがまだなんだ。時々断片的には思い出すんだが・・・」 谷口「ほー。ま、おまえ記憶あってもなくても全然変わんねーからよ。別にどっちでもいいんじゃねーか」 妹と同じセリフ吐きやがって・・・ 国木田「頭に強い衝撃を与えたら戻るんじゃない?」 谷口「お、それやるなら俺が手伝ってやるぞキョン。野球部からバット借りてきてやるよ」 キョン「だからそんなもんは迷信だって」 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 46 39.51 ID csSw3BMQ0 その日も特に何もなく、平和に一日は進んでいった。 うん、これなら確かに谷口の言う通り、記憶があっても無くてもどっちでもいいような気がしないでもない。 しかし・・・やはりSOS団・・・いや、有希との今までの思い出だけは、どうしても思い出したいのだ。 チョイチョイ キョン「ん・・・っとうわ!」 長門「・・・・」 頭の中にいた本人がそこに立っていた。 驚いた・・・気配を絶って接近するのがホントに上手いな、こいつは。 キョン「どうしたゆ・・・長門」 長門「・・・・」 374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 47 24.70 ID csSw3BMQ0 キョン「どうした? 何か話があるなら遠慮するなよ」 長門「・・・・」 長門「・・・今日、SOS団の活動が終了した後」 長門「一度部室に戻ってきて」 キョン「?」 キョン「ああ・・・わかった」 長門「・・・・」 スタスタスタ… 行ってしまった。なんだったんだろう。 何か少し言い淀んでたように聞こえたけど・・・ でも、部活が終わった後にわざわざ? 今言えないような話でもあるんだろうか。 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 47 49.92 ID csSw3BMQ0 放課後になり、部活という名のダベリタイムをぐだぐだと過ごしているうちに、 すでに外はすっかり夕闇に覆われていた。 そして窓際のパイプ椅子に座っていた有希が膝の上でパタン、と読んでいた本を閉じた時、活動は終了し、俺たちは解散することになった。 みくる「キョン君・・・まだ思い出せそうにないですか?」 キョン「はあ・・・でも、時々少しずつ思い出したりもするんですよ」 ハルヒ「もう。だったらついでに全部思い出しなさいよ!」 有希と古泉は用事があるとかで別の道から帰り、朝比奈さん、ハルヒ、俺の3人は、いつも通り、あの坂を下って歩いていた。 ハルヒに一昨日のしおらしさはすっかりない。 うん、こいつはやっぱり元気なのが一番似合ってるよ。 381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 15 59.01 ID csSw3BMQ0 それから3人で5分ほど歩いたところで、俺は振り返った。もうそろそろいいだろう。 ハルヒ「? キョン、どうしたの?」 キョン「あー・・・悪い。ちょっと教室に忘れものしちまったんだ。取りに行ってくるから先帰っててくれ」 ハルヒ「ちょ、ちょっとあんた一人で大丈夫なの!?」 キョン「ああ、もう道もバッチリ覚えたし平気だ。じゃあな」 そう言って二人に手を振ってから、早足で俺は今降りてきた坂を駆け上がった。 386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 30 11.76 ID csSw3BMQ0 ───── 戻ってくると、部室のドアの下からわずかに明かりが漏れていること気が付いた。 どうやら有希がすでに戻ってきて待っているらしい。 また遅れちまったかな。 ガチャリ キョン「よっ」 長門「・・・・」 キョン「また待たせちゃったか?」 長門「平気・・・」 387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 30 40.05 ID csSw3BMQ0 キョン「それで、どうしたんだいったい? わざわざみんな帰ってから呼びだすなんて」 長門「・・・・」 キョン「何か話でもあるのか?」 長門「・・・・」 長門「重要な話」 長門「私は・・・」 長門「あなたにまず、謝らなければいけない」 キョン「え?」 長門「ごめんなさい」 388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 31 48.40 ID csSw3BMQ0 キョン「???」 なんだ、いきなり? ごめんなさい・・・って、有希がなんか悪いことしたのか? キョン「な、なんで謝る必要があるんだ?」 長門「私はあなたに嘘をついた」 キョン「え・・・嘘?」 長門「そう」 長門「記憶を無くす前のあなたと私は、付き合ってなどいなかった」 キョン「・・・・」 キョン「・・・え?」 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 32 27.56 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 キョン「・・・え、ってことは・・・」 長門「そう」 長門「あなたは私に恋愛感情など持ってはいなかった」 キョン「・・・・」 長門「私はあなたを騙した。本当にごめんなさい」 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 33 16.26 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・でも・・・」 キョン「じゃあなんで、そんなこと・・・」 長門「・・・・」 長門「私の中に積もり積もったバグが、そうすることを余儀なくさせた」 バグ? 長門「私は・・・あなたといっしょにいたかった」 キョン「・・・・」 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 34 17.64 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・ん・・・」 キョン「えーっと・・・」 キョン「・・・なんか俺、ちょっとまだよく状況を理解できてないんだけど・・・」 キョン「でも、あれだ。もし記憶を無くす前の俺が有希と付き合ってなかった、てのが本当だとしても」 キョン「今の俺は、おまえが大好きだ」 キョン「だから、謝ることなんかない。嘘でもなんでも関係ないさ」 キョン「これからも二人でいっしょにいよう」 長門「・・・・」 長門「それはできない」 キョン「え・・・ど、どうしてだ?」 392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 34 53.66 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 長門「実は」 長門「あなたの記憶の消去を行ったのも、私」 キョン「は?」 長門「あなたといたかった。だから、そうした」 長門「ごめんなさい」 キョン「・・・・」 いやいやいや、ちょっと待て。 394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 35 43.49 ID csSw3BMQ0 キョン「記憶を消すなんて、そんなこと人間にできるはずないだろ。何言ってんだよ有希」 長門「そう」 え? 長門「私は人間ではない」 長門「情報統合思念体によって作られた、対人間用インターフェース。それが」 長門「わたし」 キョン「・・・・」 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 36 54.35 ID csSw3BMQ0 情報統合思念体・・・対人間用インターフェース・・・ キョン「う・・・・」 宇宙人・・・未来人・・・超能力者・・・ キョン「・・・あああ・・・」 長門・・・朝比奈さん・・・古泉・・・ ハルヒ・・・ キョン「・・・!!!」 長門「・・・思い出した?」 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 37 55.16 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・ああ」 キョン「思い出した、全部」 自分のことも。SOS団のことも。朝比奈さんのことも。古泉のことも。ハルヒのことも。 そして・・・ おまえのことも。 長門「そう」 398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 38 50.44 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 長門「・・・・」 長門「あなたはすごい」 キョン「え?」 長門「私が記憶を消去したにも関わらず、自力でそれを取り戻した」 長門「普通の人間にできることではない」 そう言われて、俺は思わず苦笑した。 キョン「いや、長門。そんなことないよ」 キョン「俺はごく普通の高校生だ」 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 39 48.70 ID csSw3BMQ0 そう言った時、長門の顔が僅かにだけど微笑んだような気がしたのは、 俺の気のせいだったんだろうか。 長門「この四日間」 長門「あなたには本当に申し訳ないことをした」 長門「私の身勝手な行動に付き合わせてしまった」 長門「ごめんなさい」 キョン「・・・謝ることなんかない」 キョン「前にも言ったろ? 我慢なんかする必要ないんだ」 キョン「長門がやりたいと思ったら、好きにやればいい。俺はいくらでもそれに付き合うから」 キョン「それに・・・俺の方こそ、楽しかったしな」 402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 42 20.85 ID csSw3BMQ0 長門の瞳はただジッと俺の目を見つめつづけ、そして、また平坦な声で言った。 長門「ありがとう」 長門「でも」 長門「私は、あなたからこの四日間の記憶を奪わなくてはならない」 キョン「えっ?」 長門「それは、規定事項」 キョン「ちょ、ちょっと待てよ」 403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 42 57.52 ID csSw3BMQ0 キョン「なんだよそれ、そんなの俺、認めないぞ。俺、この四日間でわかったことがあるんだ」 長門「・・・・」 キョン「それを・・・その記憶まで消されたりしたら・・・また忘れちまうじゃないか。嫌だ。俺は・・・」 長門「ごめんなさい」 キョン「長門っ!!」 長門「・・・・」 長門は、ゆっくりとこちらに向かって手を伸ばした。 そして、何度も何度もピンチの場面で聞いた、あのへんてこなインチキ呪文を静かに唱えだしてていた。 408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 07 03.56 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・長門」 長門「・・・なに?」 キョン「・・・もう、どうしようもないなら、最後にこれだけは言っておく」 キョン「俺、長門が好きだ。ハルヒでも、朝比奈さんでもなく。おまえが好きだ」 キョン「多分、元に戻った俺はもう、そんなことは言わないと思う。でも・・・」 キョン「・・・俺はいつでも、おまえのことが好きだ。それだけは・・・」 キョン「忘れないでくれ。頼む・・・」 長門「・・・・」 長門「ありがとう」 長門「─────」 409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 07 58.94 ID csSw3BMQ0 ────── キョン「・・・・」 キョン「・・・・」 キョン「・・・!!? あ、あれ!?」 なんだ? なんか今一瞬、意識が飛んでいたような気がする。 立ったまま寝てた?そんなまさか。 キョン「・・・って、なんだこれ、うわっ」 目を拭うと、なぜだか知らんが大量の涙がこぼれていた。 なんだよこれは。やっぱり寝てたのか? キョン「あ、おい長門」 411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 08 50.36 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 隣りで長門がこっちをじーっと見ている。 そうだ。俺は部活が終わった後に、長門に話があると言われてここに呼び出されたんだ。 キョン「なあ・・・俺、今一瞬もしかして寝てたか?」 長門「・・・寝てない」 キョン「だよな」 じゃあ、なんだったんだろう。あの不思議な感覚は。 随分長いこと夢を見ていたような気がする。 キョン「長門。今、いったい何があったかわかんないか? なんだかすごく不思議な感覚に襲われたんだが」 412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 09 43.35 ID csSw3BMQ0 長門「何もない」 キョン「うーん・・・」 わからん。わからんが・・・ 長門が何もないというなら、まあ、本当に何もなかったんだろう。 キョン「あ、それで長門。話たいことってのはなんだ?」 長門「・・・・」 長門「忘れた」 キョン「はあ?」 413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 10 03.15 ID csSw3BMQ0 長門「帰る」 キョン「お、おい。ちょっと待てよ長門」 スタスタと部室から出ていく長門を慌てて追いかける。 長門が伝えたかったことを忘れただって? そんなことあるもんなんだろうか。 早足で廊下を行く長門の背がピタッと突然止まった。 前を見ると、古泉がいつものサワヤカ笑顔で立っていやがった。 古泉「おや、お二人とも今お帰りですか」 415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 10 51.07 ID csSw3BMQ0 キョン「あれ。おまえも残ってたのか。何やってんだ?」 古泉「いえ、ちょっとした野暮用でしてね」 長門「古泉一樹」 古泉「なんでしょう?」 長門「あなたには迷惑をかけた。申し訳なかった」 古泉「ふふ。いいんですよ。気にしないでください」 古泉「今回の件は他言しません。恐らく、実情を知っているのは僕とあなただけでしょう。ですから誰にも咎められることはありませんよ」 長門「・・・・」 キョン「???」 なんのこっちゃ。 417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 11 56.07 ID csSw3BMQ0 古泉「それでは」 キョン「あ、おい古泉。おまえは帰らないのか」 古泉「いえ、僕がいたら邪魔になりそうなので、遠慮しておきます。今日は長門さんといっしょに帰ってあげてください」 キョン「? なんだあいつ」 わかっちゃいたけど変なヤツだな。 長門「・・・・」 長門「帰る」 キョン「ん。そうするか」 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 12 52.27 ID csSw3BMQ0 ヒョオオオオオ… この時期になっても、夜はまだやはり寒い。 吐き出した息がかすかに白く淀んで、霧散しては消えていく。 キョン「・・・寒くないか? 長門」 長門「・・・寒い」 そりゃそうだ。そんな薄っぺらいカーディガン一枚じゃ寒いに決まってるぜ。 いくら宇宙人だからといって変な無茶するもんじゃないぞ。 バサッ 長門「?」 キョン「俺のジャケット、貸すよ。着て帰れ」 420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 13 34.41 ID csSw3BMQ0 長門「ダメ。あなたが体調を壊す」 キョン「いいって。こういう時はな、男がちょっと無理してでも我慢するもんなんだ」 長門「・・・・」 ・・・なんか俺、地味に恥ずかしいこと言ってるな。 長門「・・・ありがとう」 キョン「ん」 422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 14 30.53 ID csSw3BMQ0 ───── キョン「・・・じゃ、俺こっちだから」 長門「そう」 キョン「また明日、学校でな」 長門「あ・・・」 キョン「ん?」 長門「・・・明後日、土曜日。図書館に行くこと希望する」 キョン「へ?」 長門「あなたと」 423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 15 21.95 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 なんだそりゃ。随分とまた突拍子がないな。 長門「ダメ?」 ・・・そんなかわいい顔で言われて、俺が断れるはずないだろ。 キョン「いや、全然ダメじゃない。オーケーだ」 長門「そう」 キョン「明後日な。覚えておくよ。それじゃあな」 長門「・・・また」 427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 26 50.37 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・」 今のは・・・あれだったのかな。 もしかして、長門流のデートの申込みだったんだろうか。 だとしたら嬉しい限りだ。あいつも少しずつ、でも確実に、人間に近づいていってるんだな。 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 27 08.44 ID csSw3BMQ0 ───── 翌日。 ハルヒ「キョン!!」 キョン「なんだ。朝っぱらからやかましいな」 ハルヒ「あんた、どうなのよ。まだ治らないの!?」 キョン「あ? 何の話だ」 ハルヒ「え?」 キョン「あ、そうだハルヒ。春休みの合宿のことなんだけどよ。俺、やっぱ釣りがやりたいな。今度は釣りツアーなんてどうだ?」 ハルヒ「・・・・」 429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 27 48.35 ID csSw3BMQ0 ハルヒ「キョン・・・」 キョン「ん?」 ハルヒ「もしかして、治ったの・・・?」 キョン「だから、さっきからおまえは何言ってんだ。ていうかさ。今日って金曜日だったっけ? 俺よくわからんけど、火曜日の道具持ってきちまったよ。何か昨日からちょっと変なんだよな」 ハルヒ「・・・・」 バシイッ! キョン「!!! 痛ってええええええ! いきなり何しやがんだこの馬鹿!!」 ハルヒ「馬鹿はどっちよ!! 治ったならすぐに電話しなさいよこの馬鹿! あんたね、あたしがどんだけ・・・!」 キョン「だから! 何の話だって聞いてんだよ! 痛っ! やめっ、やめろーー・・・・・!!!」
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58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 14 09.45 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「あれキョン?まだ部室にいたの?有希も。今日の活動は終わったのよ? 私は忘れ物とりに来たんだけど」 キョン「キョンって俺のことか?」 ハルヒ「は?あんた何言ってんの?」 キョン「どうも記憶喪失ってやつになっちまったみたいで…」 ハルヒ「それマジで言ってんの?私が誰なのかわからないの?」 キョン「いやあ、かわいい子だとは思うが、名前までは…」 ハルヒ「なっ、何言ってるのよ!わ、わかったわ。嘘ついてるようにはみえないし、 病院に行った方がいいわ。その前に家に連絡した方がいいかしら…」 キョン「すまん」 ハルヒ「でも何で…有希何か知らない?」 長門「・・・」 ハルヒ「まあいいわ。キョン、とりあえずここを出るわよ!」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 15 36.54 ID rfGUtfRd0 テクテクテクテク… ハルヒ「ほんっとうに何も思い出せないの? もし冗談で言ってるなら死刑よ死刑」 キョン「物騒だな。でもホントなんだよ」 ハルヒ「だってついさっき、30分くらい前まで普通だったじゃない。いったいその間に何があったっていうのよ」 キョン「さあ・・・なにせ何も覚えてないからな」 ハルヒ「あんたねぇ・・・」 キョン「まず、俺とあんた達はいったいどういう関係なんだ? それを教えてほしいんだが」 ハルヒ「~~ッ!!」 長門「・・・・」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 17 23.27 ID rfGUtfRd0 病院に着くまでの間俺は二人に、いやほとんど黒髪の方からだけだが、いろいろと事情を聞いた。 どうやら俺はキョンという名前(なんだそりゃ)で、北高という高校の生徒であること。 そして、世界をおおいに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、通称SOS団のヒラ団員であるということ。 そこは何度も繰り返して教えられた。どうやら重要なポイントらしい。そうは思えないが。 ハルヒ「しかし本当に記憶喪失なんてあるのね・・・おもしろいといえばおもしろいけど、さすがに困ったわね」 キョン「まったくだ」 ハルヒ「あんた自分のことなんだから少しは焦りなさいよ!」 キョン「とは言ってもな・・・」 ハルヒ「まったく三日間ぶっつつげで寝っぱなしにはなるわ、記憶喪失にはなるわ、ホントに迷惑なヒラ団員ね!」 キョン「そんなこともあったのか。すまんな」 長門「・・・・」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 18 41.10 ID rfGUtfRd0 ───── 医者「記憶喪失だって?」 キョン「はあ」 医者「何にも覚えてないの?」 キョン「ええ、まあ」 医者「ふむ・・・」 少し困ったように腕を組んだ後も医者は質問を続けてきたが、そのほとんどに俺は答えることができなかった。 30分ほど同じ問答の繰り返しをして、結局何の解決策も見つからないまま俺は医者の元から解放かれた。 ハルヒ「どうだった?」 む、二人ともわざわざ待っててくれたのか。口は悪いけどいいヤツなんだな。 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 19 32.62 ID rfGUtfRd0 キョン「よくわからん。どうしてこうなったのか、原因がわからない以上手の施しようがないってよ」 ハルヒ「そう・・・」 長門「・・・・」 キョン「まあ、なんだ。きっとなんとかなるんじゃないか?」 ハルヒ「軽いわねー・・・ちょっとくらい困った素振りしたらどう?」 キョン「だって実際特に困ってないしなー」 ハルヒ「もう・・・」 キョン「そういえば」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 20 19.25 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「何?」 キョン「二人とも、まだ名前を聞いてなかったな。教えてくれないか」 ハルヒ「・・・・」 長門「・・・長門有希」 ハルヒ「あ、あたしは・・・涼宮ハルヒよ。名誉あるSOS団の団長なんだから」 キョン「あ、なるほど。あんたが涼宮ハルヒだからそれでSOS団なのか。いったいの何のことかと思ったぜ」 キョン「よろしくな。涼宮さん。長門さん」 ハルヒ「ハルヒでいいわよ」 長門「有希でいい・・・」 ハルヒ「!?」 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 22 27.95 ID rfGUtfRd0 二人に送ってもらって無事我が家に到着した。そうか、ここが俺の家か。 なかなかいい家じゃないか。 キョン「じゃ、ありがとな二人とも。本当に助かったよ」 ハルヒ「別にいいわよ・・・団員を助けるのは団長の仕事だしね」 キョン「そうか」 ハルヒ「それよりいい!? 今日一日ぐっすり寝て、明日までには記憶を戻しておきなさい! 命令よ!」 無茶言ってくれるなこいつは。それができるなら俺だってそうしたいさ。 キョン「ま、努力はしてみるよ。それじゃあな」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 23 56.44 ID rfGUtfRd0 その後、俺はとりあえず両親らしき人達に、自分が記憶喪失になってしまったということを説明した。 二人はポカンと口を開けて聞いていたが、病院で今のところ打つ手はないと言われたことを教えると、 急に慌てたように心配しだした。 キョン「別に生活に支障があるわけでもないから、多分大丈夫ですよ」 キョン「疲れたんで、今日はもう寝ます」 妹「キョンくん~・・・」 ん、なんだこの子は。もしかして妹か? 随分かわいいじゃないか。さっき鏡見たけど全然俺に似てないな。 キョン「大丈夫だよ。明日になりゃ全部戻ってるかもしれん」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 25 15.61 ID rfGUtfRd0 制服のままベッドに倒れこんで、俺は枕に顔を突っ込み目を瞑った。 記憶喪失か・・・まさか本当にそんなもんがあるとはな。しかも自分の身に降りかかってくるとは。 しかしどうにも他人事のような気分が抜けないな。実際俺自身全然焦ってないし。 ま、きっとそのうち戻るだろ。 疲れたから今は寝よう。 ・・・深い海に落ちていくような感覚が襲ってくる。 その時、ふいに枕元に置いておいた携帯電話が鳴った。 キョン「・・・なんだ、こんな時間に・・・」 手に取って着信の画面を見ると、そこには「長門 有希」という文字が映し出されていた。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 29 45.85 ID rfGUtfRd0 キョン「長門・・・? 長門って・・・さっきの二人のちっちゃい子の方か・・・?」 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「長門さん・・・か・・・? どうしたんだいったい」 長門「話したいことがある」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 37 45.84 ID rfGUtfRd0 早口でとある公園の場所を説明され、最後に、そこまで来て、と言われて俺がしゃべる間もなく電話は切れた。 まったく・・・いったいなんだってんだ。12時だぞ12時。 なんて常識はずれな子だ。 しぶしぶ上着を羽織り制服のまま家を出で、庭に置いてあった自転車にまたがった。 俺のだよなコレ。 外はまだ寒い。吐きだした息がわずかに白ずむ。 指示された公園には10分ほどで着いた。 中を覗くとさきほどまで一緒にいた少女が、俺と同じく制服のままでベンチに座っていた。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 37 55.44 ID rfGUtfRd0 キョン「すまん、待たせた」 長門「・・・・平気」 キョン「そんな格好で寒くないか?」 長門「少し寒い・・・」 ならなんか着てくればいいのに・・・ さっきから思っていたが、本当にちょっとかわった子だな。 そう思っていたら長門さんは無言でスタスタと歩きだした。 キョン「お、おいどこ行くんだ?」 長門「私の家・・・」 キョン「え?」 長門「ついてきて」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 42 31.60 ID rfGUtfRd0 ガチャリ 長門「・・・入って」 キョン「あ、ああ・・・」 ・・・ なんだ? なんなんだ。 普通、こんな夜中に男を自分の家に呼んだりするか? 話したいことってなんだ。いったい何が始まろうというんだ? コポコポコポ… 長門「飲んで」 キョン「・・・」 ズズッ 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 47 28.45 ID rfGUtfRd0 ・・・しかしでかくていい家だな。 少しばかり殺風景なのが気になるといえば気になるが。 キョン「そういえば、親は?」 長門「・・・両親は外国・・・」 キョン「外国。じゃあ長門さんはこの家に一人で住んでるのか・・・へえー」 長門「有希」 キョン「え?」 長門「記憶を失う前のあなたは私のことをそう呼んでいた」 キョン「あ・・・そうなのか・・・」 長門「呼んで」 キョン「え・・・」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 51 39.12 ID rfGUtfRd0 キョン「い、今?」 長門「そう」 キョン「えーっと・・・じゃ、じゃあ」 キョン「有希」 長門「・・・・」 ・・・あいかわらずの無表情だが、嬉しそう、というか満足しているように見える。 俺とこの人はいったいどういう関係だったのだろう。 キョン「あー・・・それでだな、有希さん」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 55 04.58 ID rfGUtfRd0 キョン「電話で言っていた、話したいことってのは結局なんなんだ?」 長門「・・・・」 長門「重要なこと」 キョン「うむ」 長門「さっきは涼宮ハルヒが近くにいたから言えなかった」 キョン「うん」 長門「あなたと私は、現在交際中の関係にある」 キョン「・・・・」 キョン「うえっ!?」 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 01 26.26 ID rfGUtfRd0 キョン「ま、マジ・・・で?」 長門「マジ」 キョン「・・・そ、そうだったのか・・・」 長門「・・・しかし、涼宮ハルヒをはじめあなたが所属しているSOS団の面々には」 長門「そのことは秘密にする、ということになっている」 長門「なので今日中にあなたに伝えておきたかった」 キョン「・・・」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 10 34.28 ID rfGUtfRd0 な、なんてこった。 まさか、自分に付き合ってる女の子いようとは。 これは喜ぶべきことなんだろうか? キョン「・・・・」 実際よく見たら、この有希という子はすごくかわいい。胸はないが。 少し変わっているところもあるが、別に悪い子じゃなさそうだし。 でもなぜだろう。今の俺にはとても素直に喜ぶことはできない。むしろ逆に困った気分だ。 長門「思いだした?」 キョン「いや・・・思い出せはしないけど・・・」 キョン「でも、わかったよ。俺と有希はさんは付き合っていたんだな。それはわかった」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 15 34.82 ID rfGUtfRd0 長門「そう」 キョン「ごめんな。こんな大切なことまで忘れちまって」 長門「構わない。あなたの責任ではない」 キョン「ん・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・で」 長門「?」 キョン「その・・・今から・・・やっぱり何かした方がいいのかな・・・」 長門「したい?」 キョン「え・・・あ、いや・・・」 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 19 56.21 ID rfGUtfRd0 したい? と言われても・・・ 自分がどんな人間だったか覚えていないので、この後どんな行動をとっていいのかわからない。 でも、こんな夜中に俺を家に呼びだしたということは、この子はそういうつもりなんだろうか・・・ 長門「私は別に構わない」 キョン「・・・!」 や、やっぱりそうなのか。 そりゃ記憶を無くしてはいるが俺だって男だ。何してもいいっていうならそりゃしたい。 しかし・・・ 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 22 55.64 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・ごめん」 長門「?」 キョン「なんか・・・悪いけど・・・今はそういうことする気分にはなれない。本当にスマン」 長門「・・・・」 長門「そう」 そう言った有希さんは、心なしか残念そうだった。 長門「あなたがそう言うなら構わない。これからいつでもできる」 キョン「うん・・・そうだな」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 27 07.88 ID rfGUtfRd0 キコキコ… キョン「じゃ、また明日学校でな」 長門「また・・・」 キコキコ… キョン「・・・ふう」 今まで深く悩んではいなかったが、やはり記憶を無くすということはどうにもいろいろと大変なことらしい。 さっさと治さないといけないな。このままじゃいろんな人に迷惑をかけちまう。 せめてこうなった原因がわかりさえれば・・・ とりあえず、今だけは何も考えずに眠りたかった。 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 28 12.80 ID lvqh+iQW0 まさかこれで ID rfGUtfRd0も眠りにつくわけじゃ・・・ 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 39 19.99 ID rfGUtfRd0 翌日。 もしかしたら、と考えていたが、やはり朝になって目が覚めても俺の頭は何も思い出してはくれなかった。 くそ・・・いったいどうすりゃいいってんだ。 キョン「なあおい・・・どうすりゃいいと思う?」 シャミ「知らん」 キョン「!!?」 シャミ「ミャー」 ・・・ 今、一瞬この猫しゃべったような・・・ やばい。幻聴まで聞こえるようになっちまったらお手上げだぞ。 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 45 42.81 ID rfGUtfRd0 学校までは無事たどり着いた。 昨日帰る時は下りだったから気付かなかったが、あの坂、あんなにきついとは。 これからあと二年間毎日あそこを登らなきゃいけないと思うと、ぞっとするな。 谷口「ようキョン! 元気か! あいかわらずしけたツラしてんな!」 む、なんだこの失礼な野郎は。いきなり。 キョン「すまん、あんた誰だ」 谷口「な、何ぃ?」 谷口「おいおいその歳にしてすでに健忘症かよ! 早すぎるだろ!」 キョン「いや、実はだな・・・」 国木田「おはよー二人とも」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 53 16.62 ID rfGUtfRd0 後から入ってきた国木田ってヤツにもいっしょに、俺が昨日から記憶喪失になっちまったってことを説明した。 どうやらこの谷口と国木田ってヤツは俺の友達らしい。特に国木田の方は中学時代からの腐れ縁だとか。 かわいい顔してるなこいつ。 キョン「と、まぁそういうわけなんだ」 国木田「へー、記憶喪失ねぇ・・・」 谷口「おまえ本当に変わってるな。記憶喪失になるヤツなんかいねーぞ普通」 キョン「? 俺は変わってるヤツなのか?」 谷口「あー変わってるよ。人のうんこ食いたがったりよぉ」 キョン「何!?」 国木田「谷口、嘘教えないように」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 02 39.45 ID rfGUtfRd0 国木田「でもその割に全然焦ってるところがないね」 キョン「まーな。・・・でも治せるもんならさっさと治したいね。あたり前だけど」 国木田「SOS団のことも忘れちゃったの?」 キョン「あー、そのなんとか団のことなんだが・・・」 みくる「キョン君!」 キョン「!?」 いきなり後ろのドアを開けて、目を見張るような美少女が教室に入ってきた。 な・・・なんだこの人は! ものっすごいかわいいぞ。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 08 47.30 ID rfGUtfRd0 みくる「キョン君・・・聞きましたよ。記憶喪失になっちゃったんですって・・・?」 キョン「は、はあ・・・」 俺を知ってる・・・ってことはこの人も俺の友達かなんかなのか。 美人の知り合い多くないか? 俺。 ハルヒ「あんた、やっぱりまだ治ってないの?」 さらに後ろから、昨日俺を病院まで連れて行ってくれた・・・そう、涼宮さんが入ってきた。この子もかわいいよな。 あともう一人、なんか笑顔がサワヤカな男もついでにいる。なんでだろう。なんかこいつムカツクぞ。 古泉「記憶喪失ですか・・・あなたも困った人ですね」 キョン「なんだよあんたは」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 19 57.36 ID rfGUtfRd0 古泉「おやおやこの僕のことまで忘れてしまうとは・・・悲しいかぎりです」 なんか本当に悲しそうだ。 ハルヒ「今ここにいる3人はね、みんなあんたと同じSOS団の団員よ!」 キョン「この人たちもSOS団なのか」 みくる「そうですよぅ」 話を聞くと、どうやらこの恐ろしくかわいい・・・そして巨乳の方が、朝比奈みくるさん。 そして後ろにいた男が古泉というらしい。 むう、古泉とかいうヤツはどうでもいいとして。 いいじゃないか。SOS団。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 24 31.44 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「ホントにもう、さっさと思い出しなさいよ!」 キョン「そう言われてもなぁ」 キーンコーンカーンコーン みくる「あ・・・予鈴。あたし達も戻らないと」 古泉「そうですね・・・おっとその前に、少々失礼をば」 キョン「な、なんだよ」 古泉「ふむ・・・頭には特に外傷はないようですね。失礼しました。それではまた」 みくる「キョン君・・・元気出してくださいね・・・」 そう言って二人は教室から出て行った。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 29 30.24 ID rfGUtfRd0 ───── 古泉「どう思います?」 みくる「は、はあ。何がですか?」 古泉「彼の記憶喪失のことです」 みくる「どう思う、と言われましても・・・」 古泉「頭に衝撃を受けたような様子もなかった。しかしその割には突然すぎる」 みくる「はあ」 古泉「涼宮さんの話によれば、彼は昨日、僕たちが解散した後、なぜか部室に残っていたそうです。 そして横には長門さんがいた」 みくる「???」 古泉「・・・・」 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 45 43.74 ID rfGUtfRd0 ───── キーンコーンカーンコーン 四時間分の授業が終わり、ようやく昼休みに入った。 不思議だったのが、なぜか授業で勉強したことなんかは、朧気にだけど覚えているってことだ。いったいどういう記憶喪失なんだろう。 ま、その朧気ってのは、単純に俺の頭が悪かったからなのかもしれないが。 谷口の話によると俺は赤点の常習犯だったらしいからな。 キョン「ふあ~・・・」 チョイチョイ キョン「ん・・・おわっ!」 長門「・・・」 キョン「なが・・・いや、有希さん・・・」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 46 13.58 ID T5yi+IuyO ちょちょいとだけ書いてく 本当にちょっとずつだからID rfGUtfRd0には続けてほしい 恐ろしき長門www 55 古泉「超能力特番の再放送かぁ」 キョン「お前の超能力もこんなもんなのかね」 古泉「案外スプーンとか曲げれたりして!」 キョン「お、丁度スプーンあるしやってみるか?」 古泉「貸して、……」 キョン「…………」 古泉「曲がんない……」 キョン「そりゃそうだろ……」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 50 23.25 ID rfGUtfRd0 長門「ダメ」 キョン「え?」 長門「今はそう呼んではダメ。他の人に私たちの関係を気付かれる恐れがある。なので、ここでは長門と呼んでほしい」 キョン「あ、うん・・・わかった」 長門「・・・二人きりの時は、有希と呼んでほしい」 キョン「・・・・」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 58 00.74 ID rfGUtfRd0 長門「それより」 長門「お弁当を作ってきた」 キョン「お弁当?」 長門「コクリ」 長門「いっしょに食べる」 キョン「そ・・・そうだな。そうするか」 キョン「でも、付き合ってるのバレたらまずいんだろ? いっしょに食ってるの見られたらまずくないか」 長門「平気」 長門「この前いい場所を見つけた。ついてきて」 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 10 16.88 ID rfGUtfRd0 ガチャン 長門「ここなら誰にも見られることはない」 キョン「へー、屋上かぁ。いい眺めだなーここ。高い場所にあるだけあるな」 長門「座って」 キョン「ん」 パカッ キョン「おお、長門さんの手作り弁当か。すごいな。うまそうだ」 長門「あーん」 キョン「!?」 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 14.64 ID rfGUtfRd0 長門「食べて」 キョン「・・・」 こ、これは・・・ な、なんという照れ臭いシチュエーション。断固拒否したいところだが・・・ けど、きっと記憶を失う前の俺には、これが普通だったんだろうな。 長門さんを悲しませるわけにもいかない。ここは素直に従うか。 パク キョン「モグモグモグ…」 長門「・・・おいしい?」 キョン「うん。うまい。絶品だ」 長門「そう」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 16 51.28 ID rfGUtfRd0 ───── ハルヒ「あれ? ねえ、キョン知らない?」 国木田「いや? 僕たちも見てないけど」 谷口「トイレでも行ってんじゃねーのか」 ハルヒ「あ、そ・・・」 ハルヒ「・・・」 ハルヒ「・・・何よ・・・せっかく元気出させてあげようと思ってお弁当作ってあげてきたのに・・・」 ハルヒ「いいわよ全部一人で食べるから」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 25 20.19 ID rfGUtfRd0 ───── ランチタイムを終えて授業開始ギリギリの時間に自分の教室に戻ると、なぜか後ろの涼宮さんにとんでもなく不機嫌な目つきで睨まれた。 なんだいったい。 ハルヒ「あんた、どこいってたのよ」 キョン「俺? あー、なが・・・」 やばい。秘密なんだった。 キョン「・・・ちょっと考え事したくてな。中庭で一人でパン食ってたよ」 ハルヒ「あーそう。ふーん」 キョン「なんだよ」 ハルヒ「うるさい馬鹿」 ・・・なんだってんだよ。俺なんか悪いことしたか。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 40 44.66 ID rfGUtfRd0 放課後がくると涼宮さんは問答無用で俺のことを引きずり廊下に出た。 キョン「お、おい。どこに行くんだ」 ハルヒ「部活よ! 決まってんでしょ!」 例のSOS団とやらか。 ハルヒ「緊急会議よ。絶対に意地でもあたしのこと思い出させてやるんだから」 キョン「あたしのこと?」 ハルヒ「・・・! あたしたちよ、あたしたち!」 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 50 34.67 ID rfGUtfRd0 バンッ! ハルヒ「緊急会議をはじめます」 ハルヒ「みんなもう知っての通り、この馬鹿キョンがなんと記憶をなくしてしまいました」 ハルヒ「今までのSOS団の活動のことも! そんなことは断固許さないわ!」 キョン「・・・・」 ハルヒ「そこで!」 ハルヒ「いったいどうやったらこいつの記憶が戻るかどうか、みんなで考えてちょうだい!」 ハルヒ「何かいい案が出たら即実践するわ!」 なんか微妙に怖いこと言ってやがるな、こいつ。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 55 45.95 ID rfGUtfRd0 古泉「ふむ・・・」 みくる「ふえ~・・・」 長門「・・・」 ハルヒ「あたしはもう一つ考えてあるわ」 キョン「ほう」 ハルヒ「記憶を失った時と同様に頭に強い衝撃を与えるってのは、基本的だけどやっぱり一度はやっておかないとね」 キョン「ちょ、ちょっと待て!」 ハルヒ「はい、せーのっ!!」 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 01 59.38 ID rfGUtfRd0 キョン「待てって! そんなのは迷信だ! 誇大妄想だ! 非科学的な原始人の言う戯言だ!」 ハルヒ「なによ、いっくじなしね~」 キョン「それにな、俺、頭に衝撃受けた覚えなんて一つもないぞ。古泉もさっき言ってたろ」 古泉「そうですね。彼の頭にそれらしい外傷はありませんでした」 ハルヒ「何よつまんない」 キョン「・・・もうちょっとマシなこと考えてくれよ・・・」 古泉「やはり、あなたがなぜ記憶を失ってしまったのか、その原因を突き止めるのが最初にするべきことなのではないでしょうか」 そうだ。古泉とやら、いいこと言うな。 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 12 24.37 ID rfGUtfRd0 古泉「記憶を失う前後のこと、本当に何も覚えてないんですか?」 キョン「む・・・ああ。気が付いたらここに立ってたんだ。それ以前のことは何一つ覚えてない」 古泉「長門さん」 古泉「あなたは、涼宮さんが戻ってきた時、彼といっしょにこの場にいたんですよね?」 長門「・・・・」 長門「いた」 古泉「あなたは何か見てないんですか」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 16 29.66 ID rfGUtfRd0 長門「・・・・」 古泉「・・・・」 長門「何も見ていない」 古泉「そうですか。では質問を変えます」 古泉「僕たちが解散したあと、あなたはなぜこの部室に戻ってきたんですか?」 長門「・・・・」 キョン「???」 ハルヒ「???」 みくる「???」 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 21 26.39 ID rfGUtfRd0 長門「・・・」 長門「カーディガンをここに置き忘れた。なので、取りに戻った。すると彼がそこに立っていた」 長門「それ以前に彼に何があったのかは、私も見ていない」 古泉「・・・・」 古泉「・・・そうですか」 ハルヒ「な、なんかよくわかんないけど、結局私たちが解散したあと、キョンは一人でここに戻ってきて、 そしてその空白の30分程度の間に何かがあったってことね」 古泉「そういうことになりますね」 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 32 41.48 ID rfGUtfRd0 その後の話し合いでは、結局何の解決策も見つからなかったし、俺が記憶を失った原因もわからなかった。 しかし部活と名乗っているくせに、顧問もいないしまともに活動もしてもいないようだが、いいのかねこれ? ハルヒ「・・・あ、もうこんな時間じゃない。しょうがないわ。今日はもう解散!」 キョン「ふう・・・」 ハルヒ「キョン! あんたはあたしといっしょに帰るわよ!」 キョン「え、な、なんで!?」 ハルヒ「あんた一応重度の記憶喪失者なのよ!? 何かあったら困るじゃない。家まで送るわよ!」 キョン「ちょ・・・」 涼宮・・・いや、ハルヒに腕を引っ張られて部室を出る寸前、有希の顔を見た。 どこか寂しそうな顔をしている・・・ような気がする。 しかたないな。後で謝っておこう。 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 36 29.07 ID rfGUtfRd0 ───── 長門「・・・・」 長門「帰る」 古泉「あ、長門さん。それと朝比奈さんも。少しお話があります」 みくる「は、はい?」 長門「・・・なに?」 古泉「いえ・・・今の彼に涼宮さんの能力のことや、僕たちの正体も教えておいた方がいいのか、意見を聞いておきたいのです」 みくる「ああ・・・」 長門「・・・・」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 40 28.35 ID rfGUtfRd0 長門「・・・教えるべきではないと思われる」 古泉「? なぜです」 長門「今の彼に余計な情報を与えれば、さらに記憶の混乱を招く恐れがある」 古泉「ふむ・・・」 長門「・・・今、考えるべきは涼宮ハルヒのことより彼のこと」 古泉「・・・なるほど」 長門「帰る」 古泉「はい。ありがとうございました」 みくる「さ、さよぉならぁ~・・・」 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 44 35.60 ID rfGUtfRd0 ───── トボトボトボ… ハルヒ「・・・・」 キョン「・・・・」 キョン「・・・どうしたんだ? 急にしおらしくなったな。さっきまではあんなに元気だったのに」 ハルヒ「・・・! べ、別に何でもないわよっ・・・!」 キョン「そうか・・・」 ハルヒ「・・・・」 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 49 15.14 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「・・・ねえ、キョン」 キョン「ん?」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ホントに忘れちゃったの?」 キョン「・・・え?」 ハルヒ「・・・だって・・・」 ハルヒ「だってだって! あたし達SOS団じゃない! いろんなことやったじゃない! いろんな場所いったじゃない!」 ハルヒ「映画だって撮った! 合宿だって行った! 野球もした!」 ハルヒ「・・・ホントに・・・あんなに楽しかったじゃない・・・」 キョン「・・・・」 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 53 06.75 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「それなのに・・・」 ハルヒ「それなのに・・・全部・・・忘れちゃうなんて・・・」 ハルヒ「・・・あんまりよ・・・」 キョン「・・・ハルヒ・・・」 ズズッ ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ごめん」 ハルヒ「本当にごめん。これはあんたのせいじゃないもんね。それなのにあたし勝手に怒って・・・」 ハルヒ「・・・ごめん・・・でも・・・」 ハルヒ「・・・なんか悔しくて・・・」 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 58 04.75 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・」 ・・・その後。 俺はハルヒに、結局何も言ってやることができなかった。 そのまま、無言のまま、俺たちは同じ歩幅で歩き続けた。 ハルヒ「・・・じゃ」 ハルヒ「あたし、こっちだから」 キョン「ああ」 ハルヒ「ここまで来れば、もう一人で帰れるでしょ」 キョン「ああ。ありがとなわざわざ」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 01 47.31 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「いいわよ別に」 キョン「ん、じゃ・・・」 ハルヒ「あ、ねえキョン・・・」 ハルヒ「さっきは本当に・・・ごめんね・・・」 キョン「いいって。そんな謝るなんておまえらしくないぞ」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・それもそうね。それじゃ」 キョン「おう」 キョン「・・・あれ?」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 06 52.98 ID rfGUtfRd0 なんか・・・今、一瞬だけど・・・ ふっと、自然にアイツの表情が浮かんだような・・・ そうだよ。それじゃなきゃ、おまえらしくないなんて言えるはずもない。 キョン「記憶、戻りかけてるのかも・・・」 まるで出口のない暗闇の中を手探り歩いているような感覚だったが。 あいつの言葉が、少しだけ光を照らしてくれたみたいだ。 まだまだ完全に思い出すには時間がかかりそうだが。 キョン「ありがとな、団長さん」 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 11 54.42 ID rfGUtfRd0 家に帰って、風呂に入り、メシを食って寝る準備をしていると、またもや枕元に置いておいた携帯が鳴った。 着信画面には「長門 有希」。 なんだろう。また何か用だろうか。 それにしても夜中に電話かけるのが好きな子だな。 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「おー、えっと、有希。どうした?」 長門「・・・・」 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 14 20.68 ID rfGUtfRd0 キョン「あ、そうだ。今日はごめんな。おまえ置いて帰ったりして」 長門「・・・別にいい。あなたのせいじゃない」 キョン「ん」 長門「・・・それより」 長門「明日は休日」 キョン「え?」 長門「明日は休日」 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 16 55.45 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・・」 長門「・・・・」 ・・・なんだろう。 つまりこれは、明日どっか連れてって、ってことか? キョン「あー、・・・有希」 長門「・・・・」 キョン「明日、どっか遊びに行こうか」 長門「そう」 やっぱりそうだったのか・・・ 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 21 18.15 ID rfGUtfRd0 キョン「どこ行きたい?」 長門「どこでも・・・」 キョン「有希が行きたい場所でいいぞ。やっぱり図書館か?」 長門「・・・・どうして」 キョン「ん?」 長門「どうして覚えているの?」 キョン「あ・・・」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 24 32.83 ID rfGUtfRd0 そうだ。 なんで俺、有希が図書館が好きだなんてことを知っている? 長門「・・・・」 キョン「ははは・・・何かよくわからんけど、少しずつ記憶、戻ってきてるのかもしれん。 さっきも同じようなことあったしな」 長門「・・・そう」 あれ? おかしいな。喜ぶと思ったのに、逆になんか落ち込んだ? キョン「まあ、そのことはいいよ。とりあえず明日は図書館でいいか?」 長門「・・・いい」 キョン「ん」 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 30 51.52 ID rfGUtfRd0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 23 44.28 ID csSw3BMQ0 乙。実におもしろかったぜ んでは俺も 161の続き投下させてもらおうっかなっ 350 名前: 167[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 37 44.45 ID csSw3BMQ0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 38 10.71 ID csSw3BMQ0 さて翌日。 俺は自転車をフルスピードでかっとばしていた。なぜかというと、まあ簡単に言えば寝坊したからだ。 どうやら俺は朝に弱い体質だということが判明した。なにせ三つかけておいた目覚ましが全部知らないうちに止まっていたからな。 しかし(今の俺にとっては)最初のデートでいきなり遅刻をかますとは。なんというダメ男なんだ。 待ち合わせ場所の駅前のベンチに、彼女はこの前と同じくちょこんと縮こまって座っていた。 くそ、やっぱり間に合わなかったか。 長門「・・・・」 キョン「有希っ」 長門「・・・・」 キョン「すまん。遅れちまった」 長門「平気・・・・」 352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 39 18.53 ID csSw3BMQ0 そう言って立ち上がった有希は、いつもの制服姿ではなく、水色のワンピースを着ていた。 うおうっ、か、かわいい・・・ 彼女の私服姿は新鮮で、彼女という素材がより一層引き立って見えた。 キョン「・・・・」 長門「なに?」 キョン「あ、いや・・・その、な・・・」 ちょいと照れ臭いが、ここは正直に自分の思ったことを言ったほうがいいってもんだろう。 キョン「その服、似合ってるぞ。めちゃめちゃかわいい」 長門「・・・・」 長門「そう」 キョン「ああ」 353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 21.56 ID csSw3BMQ0 その後、一方的に俺がどうでもいい内容の話しをしゃべりかけながら、歩いて図書館まで移動した。 彼女の反応は「そう」とかそんな素っ気ないものばっかりで、全然会話になっていなかったけど、でもなぜか全然苦痛にはならないんだよな。 このくらいが心地よいというか。なんとも不思議なもんだ。 ウィーン 長門「・・・・」 図書館の中に入ると、有希の目がキラキラと輝きだした。・・・ように見えた。 いや、実際の表情はまるで変わってはいないんだ。でも、俺にはなんとなくわかる。 多分それであっているんだろう。 キョン「好きなだけ見ていっていいぞ。時間ならタップリあるから」 長門「わかった」 354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 46.97 ID csSw3BMQ0 さてと・・・ ただ待っているだけってのも退屈だな。俺も本の一つでも読んでみるとするか。 ん、なんだこれ・・・バトルロワイヤル? ほう。中学生同士の殺し合いね。はっ、どうせあれだろ、中二病の痛い話だろ。 だいたい最近のラノベとかはどれもこれもバトルものに走り過ぎなんだよな・・・どれ。 ペラッ キョン「・・・・」 ペラッ キョン「・・・・」 355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 05.64 ID csSw3BMQ0 ───── キョン「・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・・」 チョイチョイ キョン「ん、どうした有希」 長門「もう閉館・・・」 キョン「はあ? 嘘言えよ・・・ってええ!!?」 壁に掛けられた時計を見て俺は思わず声を上げた。 針は確かに5時ちょうどを指している。 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 51.57 ID csSw3BMQ0 なんてこった。まさかこんなに時間が経っていようとは。 どうもあまりのおもしろさに熱中しすぎていたらしい。そういえばメシも食ってない。 キョン「悪い有希・・・腹減らなかったか?」 長門「平気・・・」 キョン「そうか・・・それにしても、くそ。あと少しで終わるというのに」 長門「大丈夫・・・また来ればいい」 キョン「ん・・・それもそうだな」 いや・・・にしても悔しいぜ。 来週も必ず有希と来よう。 357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 51 51.45 ID csSw3BMQ0 キョン「さてと」 キョン「どうしようか。とりあえず、なんか食べにでもいくか?」 長門「・・・・」 長門「私の家に来てほしい」 キョン「え、いいのか?」 長門「コクリ」 長門「夕飯を振るまいたい」 キョン「そ、そうか。そいつは楽しみだな」 358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 56 37.19 ID csSw3BMQ0 ───── ジャージャー… キョン「・・・・」 キョン「なあ、なんか手伝おうか?」 長門「ダメ」 長門「あなたはお客さん。まかせて」 いや、でも・・・ なんていうか・・・どことなく危なっかしいんだよな。 キョン「いや、でもさ。二人で共力して作るってのも、それはそれで味があると思うぞ?」 長門「・・・・」 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 57 05.78 ID csSw3BMQ0 長門「確かにそうかもしれない」 長門「でも、今日は私が作りたい」 長門「あなたに食べてもらいたい」 長門「二人で作るのは、今度」 キョン「ん、そうか・・・わかった」 そこまで言うならしかたない。手伝うのは諦めよう。 俺はできる限り腹を空かせる努力して、有希の手料理を待つことにした。 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 12 58.87 ID csSw3BMQ0 それから数分くらいすると、キッチンからカレーのいい匂いが漂ってきた。 やっぱりカレーだったか。夕飯を振るまいたい、と言った時点でだいたい想像はできていたが。 キョン「あいつホントにカレー好きだなぁ・・・」 キョン「・・・あ」 ・・・まただ。 覚えているはずのないことが、無意識のうちに頭の中に浮かんできていた。 有希がカレーが好きだったことなんて、なぜ覚えている? 長門「おまたせ・・・」 363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 22.67 ID csSw3BMQ0 コトリ キョン「・・・・」 長門「・・・? どうしたの・・・」 キョン「あ、いや、今な。有希がカレーが好きだってことが、自然と頭に浮かんできたんだよ。 やっぱり記憶、戻りかけてるのかもしれない。この調子ならもうすぐ完全に戻るかもな」 長門「・・・・」 キョン「・・・有希?」 長門「そう・・・」 キョン「嬉しくないのか・・・?」 364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 43.70 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 長門「嬉しい」 キョン「・・・・」 なんでだ。それ、あからさまに嘘っぽく聞こえるぞ。 有希は俺に記憶が戻ったら何か不都合なことでもあるんだろうか? キョン「・・・ん。まあ、それよりも。あったかいうちにカレー、食べよう」 キョン「すげー旨そうだな。ていうか、めちゃめちゃ腹減った」 長門「・・・・」 365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 14 03.59 ID csSw3BMQ0 有希が作ってくれたカレーは、普通に旨かった。なんというか、カレー屋の味に近い感じ。 そのカレーを3杯食った後に、大量のポテトサラダが出てきた時にはさすがに焦ったが、 俺はそれもなんとか完食した。愛がありゃなんでもできるもんだぜ。 ふと時計を見ると、すでに時刻は9時半を回っていた。 幸せな時間が過ぎるのは早い。 ・・・本当なら泊まっていきたいところではあるが、明日も学校だ。 そろそろ帰らないとまずいだろう。 キョン「さてと・・・」 長門「・・・もう帰る?」 キョン「ああ。ご飯ありがとな。本当においしかったよ」 長門「・・・・」
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あたしにとってキョンは何なんだろう? 放課後、文芸部部室で皆が皆何時もどうりに過ごしているのを団長席から眺めながらそう自分に問いかけてみる。 北高2年5組の男子生徒でクラスメイト。 ごくごく平凡で特徴の無い友人。 SOS団の団員その一かつ雑用係。 それから…。 「涼宮さん。」 「ありがと、みくるちゃん。」 みくるちゃんから受け取ったお茶から嗅ぎ慣れない香りがした。 「変わった香りね。これ何茶?」 「カモミール・ティーです。なんでもこれを飲むとリラックスできるそうですよ。」 「へえー。」 「カモミール。学名“Matricaria recutitia”キク科1種耐寒性一年草。ヨーロッパで最も歴史のある民間薬とされており、今から4000年前のバビロニアですでに薬草として使用されていたと言われている。」 「昔は健胃剤・発汗剤・消炎剤・婦人病の薬などに用いられていたそうですが、 今は安眠の薬と言われていますね。」 「詳しいな。」 「長門さんも古泉くんもさすがですね。」 本当、二人とも詳しいわね。…おっといけない、いけない思考が逸れたわね。 あたしにとってキョンは…。 「はい、キョンくん、古泉くん。」 「どうも。」 「ありがとうございます。」 バカ。 間抜け面。 みくるちゃんをや有希ばっか見てるやつ。 「…なんだよ。」 「別に…。」 他の女の子と仲良くしてるのを見たくない奴。 「みくるちゃんおかわり。」 「あっ。はーい。」 しかし、自分の事ながらキョンと”他の女の子が仲良くしてるの見たくない” という考えには理解しがたいものがある。 キョンは別にカッコイイわけじゃないし。スポーツができるとか頭がいいとか金持ちでもない。 まして宇宙人、未来人、異世界人、超能力者なんかであるはずが無い。 普通に考えればあたしがキョンに固執する理由は無いはず、…無いはずなのだ。 なのに、あたしはこのどこからどう見てもただの一般市民に何かしら特別な感情を抱いていて、その結果、あいつが他の女の子と仲良くしているのを見ると嫉妬してしまう。 理解できないのにもかかわらず、ごく自然に。 ここまで考えて、あたしは一度考えるのを止めた。 このまま考え続けると思考が無限ループに陥ることが予測できたからだ。 何でそんなことがわかるかって? 答えは簡単。悪夢を見た5月以降キョンのことを考えることはや1年、これ以降思考が進んだことがないからだ。 それにしても1年も同じ事を考え続けるなんて、あたしって…、いや敢えて言うのはよそう、自分が惨めに感じられるだけだ。 はあ…、一体全体あたしはあいつのことをどう認識しているのだろう。 それ以降も、あたしはキョンのことを考え続けていたわけだけど、いくらか時間がたった時に、どういうわけか、突然今までの思い出が頭の中を駆け巡り始めた。 始業式に始まり、キョンとの朝の会話、SOS団結成、始めての不思議探索、夏合宿に映画撮影。 それ以降も現在までの思い出がめまぐるしく駆け巡り、これで終わりかしらと思っていると、今度はキョンと相合傘して帰った日に記憶が戻り、その次はジョンとあった時にまで戻った。 ちょっと戻りすぎじゃない?しかもキョン関係ないじゃん。 そんなあたしの突込みをよそに思い出シアター(命名あたし)は続き、最後には実際にあった事ですらないあの5月の末に見た悪夢を上映し終わり告げた。 そして、それが終わるとともにあたしにキョンに対する答えが天啓のように舞い降りた。 そうか、あたしにとってキョンは――。 「おい、ハルヒ。」 「?」 「…ハルヒ!」 「へっ?」 「やっと、起きたか。」 起きた? あれいつの間にか皆いなくなってるし、外も暗くなってる。 「ひょっとして寝てた?」 「ああ。ぐっすり熟睡だったぜ。おかげでもう閉門時間だ。たくっ、カモミール・ティーあんなにがぶ飲みするからだぞ。」 そっか、あたし考え事したまま寝ちゃったんだ。 「皆は?」 「先に返した。」 そう、よかった。 「あんたは何で残ったのよ。」 「寝ている奴を一人置いて行くわけにいかんだろ。それに何時ぞやの借りもあるしな。」 「ふーん。」 それにしても、あたし寝る前に何考えてたんだっけ? 「とりあえず早く帰ろうぜ。腹減っちまった。」 「わかってるわよ。」 あたしはパソコンの電源を落として鞄を手に取った。 「ああっ!!」 「何だよ。」 思い出した。あたしが寝る前に何を考えていたのか。あたしは”キョンがあたしにとって何なのか”ってことを考えていたのだ。 そして夢の中でそれの結論が出たときに起こされたんだけど…、あれ?起こされた拍子に導き出した結論を忘れちゃった。 「あんた、何であたしを起こしたのよ!」 「はあ?」 「もうちょっとだったのに。もうちょっとで結論が出せたのに。」 「結論って、何の?」 「それは、あたしがあんたのことを…。」 「俺のことを?」 しまった。 「なっ、なんでもない!」 「おい、待てよ。」 あたしのバカ。キョンに何言おうとしてるのよ。 「急がないと門閉まっちゃうわよ。」 「それはわかってる。それよりお前さっk…。」 「何も言ってない!」 「嘘付け。確かに何か言いかけたろ。」 「うっ…。うるさい!そんなことよりさっさと行くわよ!ほら駆け足!」 ああ、今日はついてないわ。せっかくキョンがあたしにとって何なのかって問いに答えを見つけられたと思ったのに忘れちゃったし、しかもキョンに変なこと言って墓穴掘るし。 「はあ、はあ。たくっ、いくら閉門時間が迫ってるからって走ることは無いだろ。」 「走りたい気分だったのよ。」 「…そうかい。」 不思議ね、この間抜け面を見てるとキョンがあたしにとって何なのかなんてどうでも良くなってきたわ。 「これくらいでばてちゃってだらしないわね。」 「悪かったな。」 もう考えるのは止めた!所詮キョンはキョンであってキョンでしかないのよ。 トートロジー?知ったこっちゃ無いわ。今のあたしにはそれで十分よ。それに…、 「なあ、ハルヒ。」 「何よ。」 今のあたしにはそれより先に考えなくちゃなら事があるしね。 「お前部室で何か言いかけただろ。あれなんて言おうとしたんだ?」 そう、さっきの失態を誤魔化す方法を考えないと。 「あれはね…。」 「あれは?」 さて、何て言ってやろうかしら?
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58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 14 09.45 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「あれキョン?まだ部室にいたの?有希も。今日の活動は終わったのよ? 私は忘れ物とりに来たんだけど」 キョン「キョンって俺のことか?」 ハルヒ「は?あんた何言ってんの?」 キョン「どうも記憶喪失ってやつになっちまったみたいで…」 ハルヒ「それマジで言ってんの?私が誰なのかわからないの?」 キョン「いやあ、かわいい子だとは思うが、名前までは…」 ハルヒ「なっ、何言ってるのよ!わ、わかったわ。嘘ついてるようにはみえないし、 病院に行った方がいいわ。その前に家に連絡した方がいいかしら…」 キョン「すまん」 ハルヒ「でも何で…有希何か知らない?」 長門「・・・」 ハルヒ「まあいいわ。キョン、とりあえずここを出るわよ!」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 15 36.54 ID rfGUtfRd0 テクテクテクテク… ハルヒ「ほんっとうに何も思い出せないの? もし冗談で言ってるなら死刑よ死刑」 キョン「物騒だな。でもホントなんだよ」 ハルヒ「だってついさっき、30分くらい前まで普通だったじゃない。いったいその間に何があったっていうのよ」 キョン「さあ・・・なにせ何も覚えてないからな」 ハルヒ「あんたねぇ・・・」 キョン「まず、俺とあんた達はいったいどういう関係なんだ? それを教えてほしいんだが」 ハルヒ「~~ッ!!」 長門「・・・・」 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 17 23.27 ID rfGUtfRd0 病院に着くまでの間俺は二人に、いやほとんど黒髪の方からだけだが、いろいろと事情を聞いた。 どうやら俺はキョンという名前(なんだそりゃ)で、北高という高校の生徒であること。 そして、世界をおおいに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、通称SOS団のヒラ団員であるということ。 そこは何度も繰り返して教えられた。どうやら重要なポイントらしい。そうは思えないが。 ハルヒ「しかし本当に記憶喪失なんてあるのね・・・おもしろいといえばおもしろいけど、さすがに困ったわね」 キョン「まったくだ」 ハルヒ「あんた自分のことなんだから少しは焦りなさいよ!」 キョン「とは言ってもな・・・」 ハルヒ「まったく三日間ぶっつつげで寝っぱなしにはなるわ、記憶喪失にはなるわ、ホントに迷惑なヒラ団員ね!」 キョン「そんなこともあったのか。すまんな」 長門「・・・・」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 18 41.10 ID rfGUtfRd0 ───── 医者「記憶喪失だって?」 キョン「はあ」 医者「何にも覚えてないの?」 キョン「ええ、まあ」 医者「ふむ・・・」 少し困ったように腕を組んだ後も医者は質問を続けてきたが、そのほとんどに俺は答えることができなかった。 30分ほど同じ問答の繰り返しをして、結局何の解決策も見つからないまま俺は医者の元から解放かれた。 ハルヒ「どうだった?」 む、二人ともわざわざ待っててくれたのか。口は悪いけどいいヤツなんだな。 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 19 32.62 ID rfGUtfRd0 キョン「よくわからん。どうしてこうなったのか、原因がわからない以上手の施しようがないってよ」 ハルヒ「そう・・・」 長門「・・・・」 キョン「まあ、なんだ。きっとなんとかなるんじゃないか?」 ハルヒ「軽いわねー・・・ちょっとくらい困った素振りしたらどう?」 キョン「だって実際特に困ってないしなー」 ハルヒ「もう・・・」 キョン「そういえば」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 20 19.25 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「何?」 キョン「二人とも、まだ名前を聞いてなかったな。教えてくれないか」 ハルヒ「・・・・」 長門「・・・長門有希」 ハルヒ「あ、あたしは・・・涼宮ハルヒよ。名誉あるSOS団の団長なんだから」 キョン「あ、なるほど。あんたが涼宮ハルヒだからそれでSOS団なのか。いったいの何のことかと思ったぜ」 キョン「よろしくな。涼宮さん。長門さん」 ハルヒ「ハルヒでいいわよ」 長門「有希でいい・・・」 ハルヒ「!?」 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 22 27.95 ID rfGUtfRd0 二人に送ってもらって無事我が家に到着した。そうか、ここが俺の家か。 なかなかいい家じゃないか。 キョン「じゃ、ありがとな二人とも。本当に助かったよ」 ハルヒ「別にいいわよ・・・団員を助けるのは団長の仕事だしね」 キョン「そうか」 ハルヒ「それよりいい!? 今日一日ぐっすり寝て、明日までには記憶を戻しておきなさい! 命令よ!」 無茶言ってくれるなこいつは。それができるなら俺だってそうしたいさ。 キョン「ま、努力はしてみるよ。それじゃあな」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 23 56.44 ID rfGUtfRd0 その後、俺はとりあえず両親らしき人達に、自分が記憶喪失になってしまったということを説明した。 二人はポカンと口を開けて聞いていたが、病院で今のところ打つ手はないと言われたことを教えると、 急に慌てたように心配しだした。 キョン「別に生活に支障があるわけでもないから、多分大丈夫ですよ」 キョン「疲れたんで、今日はもう寝ます」 妹「キョンくん~・・・」 ん、なんだこの子は。もしかして妹か? 随分かわいいじゃないか。さっき鏡見たけど全然俺に似てないな。 キョン「大丈夫だよ。明日になりゃ全部戻ってるかもしれん」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 25 15.61 ID rfGUtfRd0 制服のままベッドに倒れこんで、俺は枕に顔を突っ込み目を瞑った。 記憶喪失か・・・まさか本当にそんなもんがあるとはな。しかも自分の身に降りかかってくるとは。 しかしどうにも他人事のような気分が抜けないな。実際俺自身全然焦ってないし。 ま、きっとそのうち戻るだろ。 疲れたから今は寝よう。 ・・・深い海に落ちていくような感覚が襲ってくる。 その時、ふいに枕元に置いておいた携帯電話が鳴った。 キョン「・・・なんだ、こんな時間に・・・」 手に取って着信の画面を見ると、そこには「長門 有希」という文字が映し出されていた。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 29 45.85 ID rfGUtfRd0 キョン「長門・・・? 長門って・・・さっきの二人のちっちゃい子の方か・・・?」 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「長門さん・・・か・・・? どうしたんだいったい」 長門「話したいことがある」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09 37 45.84 ID rfGUtfRd0 早口でとある公園の場所を説明され、最後に、そこまで来て、と言われて俺がしゃべる間もなく電話は切れた。 まったく・・・いったいなんだってんだ。12時だぞ12時。 なんて常識はずれな子だ。 しぶしぶ上着を羽織り制服のまま家を出で、庭に置いてあった自転車にまたがった。 俺のだよなコレ。 外はまだ寒い。吐きだした息がわずかに白ずむ。 指示された公園には10分ほどで着いた。 中を覗くとさきほどまで一緒にいた少女が、俺と同じく制服のままでベンチに座っていた。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 37 55.44 ID rfGUtfRd0 キョン「すまん、待たせた」 長門「・・・・平気」 キョン「そんな格好で寒くないか?」 長門「少し寒い・・・」 ならなんか着てくればいいのに・・・ さっきから思っていたが、本当にちょっとかわった子だな。 そう思っていたら長門さんは無言でスタスタと歩きだした。 キョン「お、おいどこ行くんだ?」 長門「私の家・・・」 キョン「え?」 長門「ついてきて」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 42 31.60 ID rfGUtfRd0 ガチャリ 長門「・・・入って」 キョン「あ、ああ・・・」 ・・・ なんだ? なんなんだ。 普通、こんな夜中に男を自分の家に呼んだりするか? 話したいことってなんだ。いったい何が始まろうというんだ? コポコポコポ… 長門「飲んで」 キョン「・・・」 ズズッ 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 47 28.45 ID rfGUtfRd0 ・・・しかしでかくていい家だな。 少しばかり殺風景なのが気になるといえば気になるが。 キョン「そういえば、親は?」 長門「・・・両親は外国・・・」 キョン「外国。じゃあ長門さんはこの家に一人で住んでるのか・・・へえー」 長門「有希」 キョン「え?」 長門「記憶を失う前のあなたは私のことをそう呼んでいた」 キョン「あ・・・そうなのか・・・」 長門「呼んで」 キョン「え・・・」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 51 39.12 ID rfGUtfRd0 キョン「い、今?」 長門「そう」 キョン「えーっと・・・じゃ、じゃあ」 キョン「有希」 長門「・・・・」 ・・・あいかわらずの無表情だが、嬉しそう、というか満足しているように見える。 俺とこの人はいったいどういう関係だったのだろう。 キョン「あー・・・それでだな、有希さん」 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10 55 04.58 ID rfGUtfRd0 キョン「電話で言っていた、話したいことってのは結局なんなんだ?」 長門「・・・・」 長門「重要なこと」 キョン「うむ」 長門「さっきは涼宮ハルヒが近くにいたから言えなかった」 キョン「うん」 長門「あなたと私は、現在交際中の関係にある」 キョン「・・・・」 キョン「うえっ!?」 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 01 26.26 ID rfGUtfRd0 キョン「ま、マジ・・・で?」 長門「マジ」 キョン「・・・そ、そうだったのか・・・」 長門「・・・しかし、涼宮ハルヒをはじめあなたが所属しているSOS団の面々には」 長門「そのことは秘密にする、ということになっている」 長門「なので今日中にあなたに伝えておきたかった」 キョン「・・・」 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 10 34.28 ID rfGUtfRd0 な、なんてこった。 まさか、自分に付き合ってる女の子いようとは。 これは喜ぶべきことなんだろうか? キョン「・・・・」 実際よく見たら、この有希という子はすごくかわいい。胸はないが。 少し変わっているところもあるが、別に悪い子じゃなさそうだし。 でもなぜだろう。今の俺にはとても素直に喜ぶことはできない。むしろ逆に困った気分だ。 長門「思いだした?」 キョン「いや・・・思い出せはしないけど・・・」 キョン「でも、わかったよ。俺と有希はさんは付き合っていたんだな。それはわかった」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 15 34.82 ID rfGUtfRd0 長門「そう」 キョン「ごめんな。こんな大切なことまで忘れちまって」 長門「構わない。あなたの責任ではない」 キョン「ん・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・で」 長門「?」 キョン「その・・・今から・・・やっぱり何かした方がいいのかな・・・」 長門「したい?」 キョン「え・・・あ、いや・・・」 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 19 56.21 ID rfGUtfRd0 したい? と言われても・・・ 自分がどんな人間だったか覚えていないので、この後どんな行動をとっていいのかわからない。 でも、こんな夜中に俺を家に呼びだしたということは、この子はそういうつもりなんだろうか・・・ 長門「私は別に構わない」 キョン「・・・!」 や、やっぱりそうなのか。 そりゃ記憶を無くしてはいるが俺だって男だ。何してもいいっていうならそりゃしたい。 しかし・・・ 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 22 55.64 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・ごめん」 長門「?」 キョン「なんか・・・悪いけど・・・今はそういうことする気分にはなれない。本当にスマン」 長門「・・・・」 長門「そう」 そう言った有希さんは、心なしか残念そうだった。 長門「あなたがそう言うなら構わない。これからいつでもできる」 キョン「うん・・・そうだな」 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 27 07.88 ID rfGUtfRd0 キコキコ… キョン「じゃ、また明日学校でな」 長門「また・・・」 キコキコ… キョン「・・・ふう」 今まで深く悩んではいなかったが、やはり記憶を無くすということはどうにもいろいろと大変なことらしい。 さっさと治さないといけないな。このままじゃいろんな人に迷惑をかけちまう。 せめてこうなった原因がわかりさえれば・・・ とりあえず、今だけは何も考えずに眠りたかった。 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 39 19.99 ID rfGUtfRd0 翌日。 もしかしたら、と考えていたが、やはり朝になって目が覚めても俺の頭は何も思い出してはくれなかった。 くそ・・・いったいどうすりゃいいってんだ。 キョン「なあおい・・・どうすりゃいいと思う?」 シャミ「知らん」 キョン「!!?」 シャミ「ミャー」 ・・・ 今、一瞬この猫しゃべったような・・・ やばい。幻聴まで聞こえるようになっちまったらお手上げだぞ。 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 45 42.81 ID rfGUtfRd0 学校までは無事たどり着いた。 昨日帰る時は下りだったから気付かなかったが、あの坂、あんなにきついとは。 これからあと二年間毎日あそこを登らなきゃいけないと思うと、ぞっとするな。 谷口「ようキョン! 元気か! あいかわらずしけたツラしてんな!」 む、なんだこの失礼な野郎は。いきなり。 キョン「すまん、あんた誰だ」 谷口「な、何ぃ?」 谷口「おいおいその歳にしてすでに健忘症かよ! 早すぎるだろ!」 キョン「いや、実はだな・・・」 国木田「おはよー二人とも」 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11 53 16.62 ID rfGUtfRd0 後から入ってきた国木田ってヤツにもいっしょに、俺が昨日から記憶喪失になっちまったってことを説明した。 どうやらこの谷口と国木田ってヤツは俺の友達らしい。特に国木田の方は中学時代からの腐れ縁だとか。 かわいい顔してるなこいつ。 キョン「と、まぁそういうわけなんだ」 国木田「へー、記憶喪失ねぇ・・・」 谷口「おまえ本当に変わってるな。記憶喪失になるヤツなんかいねーぞ普通」 キョン「? 俺は変わってるヤツなのか?」 谷口「あー変わってるよ。人のうんこ食いたがったりよぉ」 キョン「何!?」 国木田「谷口、嘘教えないように」 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 02 39.45 ID rfGUtfRd0 国木田「でもその割に全然焦ってるところがないね」 キョン「まーな。・・・でも治せるもんならさっさと治したいね。あたり前だけど」 国木田「SOS団のことも忘れちゃったの?」 キョン「あー、そのなんとか団のことなんだが・・・」 みくる「キョン君!」 キョン「!?」 いきなり後ろのドアを開けて、目を見張るような美少女が教室に入ってきた。 な・・・なんだこの人は! ものっすごいかわいいぞ。 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 08 47.30 ID rfGUtfRd0 みくる「キョン君・・・聞きましたよ。記憶喪失になっちゃったんですって・・・?」 キョン「は、はあ・・・」 俺を知ってる・・・ってことはこの人も俺の友達かなんかなのか。 美人の知り合い多くないか? 俺。 ハルヒ「あんた、やっぱりまだ治ってないの?」 さらに後ろから、昨日俺を病院まで連れて行ってくれた・・・そう、涼宮さんが入ってきた。この子もかわいいよな。 あともう一人、なんか笑顔がサワヤカな男もついでにいる。なんでだろう。なんかこいつムカツクぞ。 古泉「記憶喪失ですか・・・あなたも困った人ですね」 キョン「なんだよあんたは」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 19 57.36 ID rfGUtfRd0 古泉「おやおやこの僕のことまで忘れてしまうとは・・・悲しいかぎりです」 なんか本当に悲しそうだ。 ハルヒ「今ここにいる3人はね、みんなあんたと同じSOS団の団員よ!」 キョン「この人たちもSOS団なのか」 みくる「そうですよぅ」 話を聞くと、どうやらこの恐ろしくかわいい・・・そして巨乳の方が、朝比奈みくるさん。 そして後ろにいた男が古泉というらしい。 むう、古泉とかいうヤツはどうでもいいとして。 いいじゃないか。SOS団。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 24 31.44 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「ホントにもう、さっさと思い出しなさいよ!」 キョン「そう言われてもなぁ」 キーンコーンカーンコーン みくる「あ・・・予鈴。あたし達も戻らないと」 古泉「そうですね・・・おっとその前に、少々失礼をば」 キョン「な、なんだよ」 古泉「ふむ・・・頭には特に外傷はないようですね。失礼しました。それではまた」 みくる「キョン君・・・元気出してくださいね・・・」 そう言って二人は教室から出て行った。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 29 30.24 ID rfGUtfRd0 ───── 古泉「どう思います?」 みくる「は、はあ。何がですか?」 古泉「彼の記憶喪失のことです」 みくる「どう思う、と言われましても・・・」 古泉「頭に衝撃を受けたような様子もなかった。しかしその割には突然すぎる」 みくる「はあ」 古泉「涼宮さんの話によれば、彼は昨日、僕たちが解散した後、なぜか部室に残っていたそうです。 そして横には長門さんがいた」 みくる「???」 古泉「・・・・」 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 45 43.74 ID rfGUtfRd0 ───── キーンコーンカーンコーン 四時間分の授業が終わり、ようやく昼休みに入った。 不思議だったのが、なぜか授業で勉強したことなんかは、朧気にだけど覚えているってことだ。いったいどういう記憶喪失なんだろう。 ま、その朧気ってのは、単純に俺の頭が悪かったからなのかもしれないが。 谷口の話によると俺は赤点の常習犯だったらしいからな。 キョン「ふあ~・・・」 チョイチョイ キョン「ん・・・おわっ!」 長門「・・・」 キョン「なが・・・いや、有希さん・・・」 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 50 23.25 ID rfGUtfRd0 長門「ダメ」 キョン「え?」 長門「今はそう呼んではダメ。他の人に私たちの関係を気付かれる恐れがある。なので、ここでは長門と呼んでほしい」 キョン「あ、うん・・・わかった」 長門「・・・二人きりの時は、有希と呼んでほしい」 キョン「・・・・」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 58 00.74 ID rfGUtfRd0 長門「それより」 長門「お弁当を作ってきた」 キョン「お弁当?」 長門「コクリ」 長門「いっしょに食べる」 キョン「そ・・・そうだな。そうするか」 キョン「でも、付き合ってるのバレたらまずいんだろ? いっしょに食ってるの見られたらまずくないか」 長門「平気」 長門「この前いい場所を見つけた。ついてきて」 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 10 16.88 ID rfGUtfRd0 ガチャン 長門「ここなら誰にも見られることはない」 キョン「へー、屋上かぁ。いい眺めだなーここ。高い場所にあるだけあるな」 長門「座って」 キョン「ん」 パカッ キョン「おお、長門さんの手作り弁当か。すごいな。うまそうだ」 長門「あーん」 キョン「!?」 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 14.64 ID rfGUtfRd0 長門「食べて」 キョン「・・・」 こ、これは・・・ な、なんという照れ臭いシチュエーション。断固拒否したいところだが・・・ けど、きっと記憶を失う前の俺には、これが普通だったんだろうな。 長門さんを悲しませるわけにもいかない。ここは素直に従うか。 パク キョン「モグモグモグ…」 長門「・・・おいしい?」 キョン「うん。うまい。絶品だ」 長門「そう」 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 16 51.28 ID rfGUtfRd0 ───── ハルヒ「あれ? ねえ、キョン知らない?」 国木田「いや? 僕たちも見てないけど」 谷口「トイレでも行ってんじゃねーのか」 ハルヒ「あ、そ・・・」 ハルヒ「・・・」 ハルヒ「・・・何よ・・・せっかく元気出させてあげようと思ってお弁当作ってあげてきたのに・・・」 ハルヒ「いいわよ全部一人で食べるから」 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 25 20.19 ID rfGUtfRd0 ───── ランチタイムを終えて授業開始ギリギリの時間に自分の教室に戻ると、なぜか後ろの涼宮さんにとんでもなく不機嫌な目つきで睨まれた。 なんだいったい。 ハルヒ「あんた、どこいってたのよ」 キョン「俺? あー、なが・・・」 やばい。秘密なんだった。 キョン「・・・ちょっと考え事したくてな。中庭で一人でパン食ってたよ」 ハルヒ「あーそう。ふーん」 キョン「なんだよ」 ハルヒ「うるさい馬鹿」 ・・・なんだってんだよ。俺なんか悪いことしたか。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 40 44.66 ID rfGUtfRd0 放課後がくると涼宮さんは問答無用で俺のことを引きずり廊下に出た。 キョン「お、おい。どこに行くんだ」 ハルヒ「部活よ! 決まってんでしょ!」 例のSOS団とやらか。 ハルヒ「緊急会議よ。絶対に意地でもあたしのこと思い出させてやるんだから」 キョン「あたしのこと?」 ハルヒ「・・・! あたしたちよ、あたしたち!」 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 50 34.67 ID rfGUtfRd0 バンッ! ハルヒ「緊急会議をはじめます」 ハルヒ「みんなもう知っての通り、この馬鹿キョンがなんと記憶をなくしてしまいました」 ハルヒ「今までのSOS団の活動のことも! そんなことは断固許さないわ!」 キョン「・・・・」 ハルヒ「そこで!」 ハルヒ「いったいどうやったらこいつの記憶が戻るかどうか、みんなで考えてちょうだい!」 ハルヒ「何かいい案が出たら即実践するわ!」 なんか微妙に怖いこと言ってやがるな、こいつ。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 55 45.95 ID rfGUtfRd0 古泉「ふむ・・・」 みくる「ふえ~・・・」 長門「・・・」 ハルヒ「あたしはもう一つ考えてあるわ」 キョン「ほう」 ハルヒ「記憶を失った時と同様に頭に強い衝撃を与えるってのは、基本的だけどやっぱり一度はやっておかないとね」 キョン「ちょ、ちょっと待て!」 ハルヒ「はい、せーのっ!!」 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 01 59.38 ID rfGUtfRd0 キョン「待てって! そんなのは迷信だ! 誇大妄想だ! 非科学的な原始人の言う戯言だ!」 ハルヒ「なによ、いっくじなしね~」 キョン「それにな、俺、頭に衝撃受けた覚えなんて一つもないぞ。古泉もさっき言ってたろ」 古泉「そうですね。彼の頭にそれらしい外傷はありませんでした」 ハルヒ「何よつまんない」 キョン「・・・もうちょっとマシなこと考えてくれよ・・・」 古泉「やはり、あなたがなぜ記憶を失ってしまったのか、その原因を突き止めるのが最初にするべきことなのではないでしょうか」 そうだ。古泉とやら、いいこと言うな。 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 12 24.37 ID rfGUtfRd0 古泉「記憶を失う前後のこと、本当に何も覚えてないんですか?」 キョン「む・・・ああ。気が付いたらここに立ってたんだ。それ以前のことは何一つ覚えてない」 古泉「長門さん」 古泉「あなたは、涼宮さんが戻ってきた時、彼といっしょにこの場にいたんですよね?」 長門「・・・・」 長門「いた」 古泉「あなたは何か見てないんですか」 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 16 29.66 ID rfGUtfRd0 長門「・・・・」 古泉「・・・・」 長門「何も見ていない」 古泉「そうですか。では質問を変えます」 古泉「僕たちが解散したあと、あなたはなぜこの部室に戻ってきたんですか?」 長門「・・・・」 キョン「???」 ハルヒ「???」 みくる「???」 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 21 26.39 ID rfGUtfRd0 長門「・・・」 長門「カーディガンをここに置き忘れた。なので、取りに戻った。すると彼がそこに立っていた」 長門「それ以前に彼に何があったのかは、私も見ていない」 古泉「・・・・」 古泉「・・・そうですか」 ハルヒ「な、なんかよくわかんないけど、結局私たちが解散したあと、キョンは一人でここに戻ってきて、 そしてその空白の30分程度の間に何かがあったってことね」 古泉「そういうことになりますね」 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 32 41.48 ID rfGUtfRd0 その後の話し合いでは、結局何の解決策も見つからなかったし、俺が記憶を失った原因もわからなかった。 しかし部活と名乗っているくせに、顧問もいないしまともに活動もしてもいないようだが、いいのかねこれ? ハルヒ「・・・あ、もうこんな時間じゃない。しょうがないわ。今日はもう解散!」 キョン「ふう・・・」 ハルヒ「キョン! あんたはあたしといっしょに帰るわよ!」 キョン「え、な、なんで!?」 ハルヒ「あんた一応重度の記憶喪失者なのよ!? 何かあったら困るじゃない。家まで送るわよ!」 キョン「ちょ・・・」 涼宮・・・いや、ハルヒに腕を引っ張られて部室を出る寸前、有希の顔を見た。 どこか寂しそうな顔をしている・・・ような気がする。 しかたないな。後で謝っておこう。 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 36 29.07 ID rfGUtfRd0 ───── 長門「・・・・」 長門「帰る」 古泉「あ、長門さん。それと朝比奈さんも。少しお話があります」 みくる「は、はい?」 長門「・・・なに?」 古泉「いえ・・・今の彼に涼宮さんの能力のことや、僕たちの正体も教えておいた方がいいのか、意見を聞いておきたいのです」 みくる「ああ・・・」 長門「・・・・」 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 40 28.35 ID rfGUtfRd0 長門「・・・教えるべきではないと思われる」 古泉「? なぜです」 長門「今の彼に余計な情報を与えれば、さらに記憶の混乱を招く恐れがある」 古泉「ふむ・・・」 長門「・・・今、考えるべきは涼宮ハルヒのことより彼のこと」 古泉「・・・なるほど」 長門「帰る」 古泉「はい。ありがとうございました」 みくる「さ、さよぉならぁ~・・・」 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 44 35.60 ID rfGUtfRd0 ───── トボトボトボ… ハルヒ「・・・・」 キョン「・・・・」 キョン「・・・どうしたんだ? 急にしおらしくなったな。さっきまではあんなに元気だったのに」 ハルヒ「・・・! べ、別に何でもないわよっ・・・!」 キョン「そうか・・・」 ハルヒ「・・・・」 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 49 15.14 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「・・・ねえ、キョン」 キョン「ん?」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ホントに忘れちゃったの?」 キョン「・・・え?」 ハルヒ「・・・だって・・・」 ハルヒ「だってだって! あたし達SOS団じゃない! いろんなことやったじゃない! いろんな場所いったじゃない!」 ハルヒ「映画だって撮った! 合宿だって行った! 野球もした!」 ハルヒ「・・・ホントに・・・あんなに楽しかったじゃない・・・」 キョン「・・・・」 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 53 06.75 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「それなのに・・・」 ハルヒ「それなのに・・・全部・・・忘れちゃうなんて・・・」 ハルヒ「・・・あんまりよ・・・」 キョン「・・・ハルヒ・・・」 ズズッ ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・ごめん」 ハルヒ「本当にごめん。これはあんたのせいじゃないもんね。それなのにあたし勝手に怒って・・・」 ハルヒ「・・・ごめん・・・でも・・・」 ハルヒ「・・・なんか悔しくて・・・」 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14 58 04.75 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・」 ・・・その後。 俺はハルヒに、結局何も言ってやることができなかった。 そのまま、無言のまま、俺たちは同じ歩幅で歩き続けた。 ハルヒ「・・・じゃ」 ハルヒ「あたし、こっちだから」 キョン「ああ」 ハルヒ「ここまで来れば、もう一人で帰れるでしょ」 キョン「ああ。ありがとなわざわざ」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 01 47.31 ID rfGUtfRd0 ハルヒ「いいわよ別に」 キョン「ん、じゃ・・・」 ハルヒ「あ、ねえキョン・・・」 ハルヒ「さっきは本当に・・・ごめんね・・・」 キョン「いいって。そんな謝るなんておまえらしくないぞ」 ハルヒ「・・・・」 ハルヒ「・・・それもそうね。それじゃ」 キョン「おう」 キョン「・・・あれ?」 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 06 52.98 ID rfGUtfRd0 なんか・・・今、一瞬だけど・・・ ふっと、自然にアイツの表情が浮かんだような・・・ そうだよ。それじゃなきゃ、おまえらしくないなんて言えるはずもない。 キョン「記憶、戻りかけてるのかも・・・」 まるで出口のない暗闇の中を手探り歩いているような感覚だったが。 あいつの言葉が、少しだけ光を照らしてくれたみたいだ。 まだまだ完全に思い出すには時間がかかりそうだが。 キョン「ありがとな、団長さん」 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 11 54.42 ID rfGUtfRd0 家に帰って、風呂に入り、メシを食って寝る準備をしていると、またもや枕元に置いておいた携帯が鳴った。 着信画面には「長門 有希」。 なんだろう。また何か用だろうか。 それにしても夜中に電話かけるのが好きな子だな。 ピッ キョン「もしもし」 長門「・・・もしもし」 キョン「おー、えっと、有希。どうした?」 長門「・・・・」 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 14 20.68 ID rfGUtfRd0 キョン「あ、そうだ。今日はごめんな。おまえ置いて帰ったりして」 長門「・・・別にいい。あなたのせいじゃない」 キョン「ん」 長門「・・・それより」 長門「明日は休日」 キョン「え?」 長門「明日は休日」 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 16 55.45 ID rfGUtfRd0 キョン「・・・・」 長門「・・・・」 ・・・なんだろう。 つまりこれは、明日どっか連れてって、ってことか? キョン「あー、・・・有希」 長門「・・・・」 キョン「明日、どっか遊びに行こうか」 長門「そう」 やっぱりそうだったのか・・・ 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 21 18.15 ID rfGUtfRd0 キョン「どこ行きたい?」 長門「どこでも・・・」 キョン「有希が行きたい場所でいいぞ。やっぱり図書館か?」 長門「・・・・どうして」 キョン「ん?」 長門「どうして覚えているの?」 キョン「あ・・・」 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 24 32.83 ID rfGUtfRd0 そうだ。 なんで俺、有希が図書館が好きだなんてことを知っている? 長門「・・・・」 キョン「ははは・・・何かよくわからんけど、少しずつ記憶、戻ってきてるのかもしれん。 さっきも同じようなことあったしな」 長門「・・・そう」 あれ? おかしいな。喜ぶと思ったのに、逆になんか落ち込んだ? キョン「まあ、そのことはいいよ。とりあえず明日は図書館でいいか?」 長門「・・・いい」 キョン「ん」 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15 30 51.52 ID rfGUtfRd0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 350 名前: 167[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 37 44.45 ID csSw3BMQ0 というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。 デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。 そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。 妹「キョンくん、どお~?」 キョン「ん、なにがだ」 妹「ちょっとは思い出した?」 キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」 妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ~」 さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 38 10.71 ID csSw3BMQ0 さて翌日。 俺は自転車をフルスピードでかっとばしていた。なぜかというと、まあ簡単に言えば寝坊したからだ。 どうやら俺は朝に弱い体質だということが判明した。なにせ三つかけておいた目覚ましが全部知らないうちに止まっていたからな。 しかし(今の俺にとっては)最初のデートでいきなり遅刻をかますとは。なんというダメ男なんだ。 待ち合わせ場所の駅前のベンチに、彼女はこの前と同じくちょこんと縮こまって座っていた。 くそ、やっぱり間に合わなかったか。 長門「・・・・」 キョン「有希っ」 長門「・・・・」 キョン「すまん。遅れちまった」 長門「平気・・・・」 352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 39 18.53 ID csSw3BMQ0 そう言って立ち上がった有希は、いつもの制服姿ではなく、水色のワンピースを着ていた。 うおうっ、か、かわいい・・・ 彼女の私服姿は新鮮で、彼女という素材がより一層引き立って見えた。 キョン「・・・・」 長門「なに?」 キョン「あ、いや・・・その、な・・・」 ちょいと照れ臭いが、ここは正直に自分の思ったことを言ったほうがいいってもんだろう。 キョン「その服、似合ってるぞ。めちゃめちゃかわいい」 長門「・・・・」 長門「そう」 キョン「ああ」 353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 21.56 ID csSw3BMQ0 その後、一方的に俺がどうでもいい内容の話しをしゃべりかけながら、歩いて図書館まで移動した。 彼女の反応は「そう」とかそんな素っ気ないものばっかりで、全然会話になっていなかったけど、でもなぜか全然苦痛にはならないんだよな。 このくらいが心地よいというか。なんとも不思議なもんだ。 ウィーン 長門「・・・・」 図書館の中に入ると、有希の目がキラキラと輝きだした。・・・ように見えた。 いや、実際の表情はまるで変わってはいないんだ。でも、俺にはなんとなくわかる。 多分それであっているんだろう。 キョン「好きなだけ見ていっていいぞ。時間ならタップリあるから」 長門「わかった」 354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 40 46.97 ID csSw3BMQ0 さてと・・・ ただ待っているだけってのも退屈だな。俺も本の一つでも読んでみるとするか。 ん、なんだこれ・・・バトルロワイヤル? ほう。中学生同士の殺し合いね。はっ、どうせあれだろ、中二病の痛い話だろ。 だいたい最近のラノベとかはどれもこれもバトルものに走り過ぎなんだよな・・・どれ。 ペラッ キョン「・・・・」 ペラッ キョン「・・・・」 355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 05.64 ID csSw3BMQ0 ───── キョン「・・・・」 長門「・・・・」 キョン「・・・・」 チョイチョイ キョン「ん、どうした有希」 長門「もう閉館・・・」 キョン「はあ? 嘘言えよ・・・ってええ!!?」 壁に掛けられた時計を見て俺は思わず声を上げた。 針は確かに5時ちょうどを指している。 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 43 51.57 ID csSw3BMQ0 なんてこった。まさかこんなに時間が経っていようとは。 どうもあまりのおもしろさに熱中しすぎていたらしい。そういえばメシも食ってない。 キョン「悪い有希・・・腹減らなかったか?」 長門「平気・・・」 キョン「そうか・・・それにしても、くそ。あと少しで終わるというのに」 長門「大丈夫・・・また来ればいい」 キョン「ん・・・それもそうだな」 いや・・・にしても悔しいぜ。 来週も必ず有希と来よう。 357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 51 51.45 ID csSw3BMQ0 キョン「さてと」 キョン「どうしようか。とりあえず、なんか食べにでもいくか?」 長門「・・・・」 長門「私の家に来てほしい」 キョン「え、いいのか?」 長門「コクリ」 長門「夕飯を振るまいたい」 キョン「そ、そうか。そいつは楽しみだな」 358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 56 37.19 ID csSw3BMQ0 ───── ジャージャー… キョン「・・・・」 キョン「なあ、なんか手伝おうか?」 長門「ダメ」 長門「あなたはお客さん。まかせて」 いや、でも・・・ なんていうか・・・どことなく危なっかしいんだよな。 キョン「いや、でもさ。二人で共力して作るってのも、それはそれで味があると思うぞ?」 長門「・・・・」 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07 57 05.78 ID csSw3BMQ0 長門「確かにそうかもしれない」 長門「でも、今日は私が作りたい」 長門「あなたに食べてもらいたい」 長門「二人で作るのは、今度」 キョン「ん、そうか・・・わかった」 そこまで言うならしかたない。手伝うのは諦めよう。 俺はできる限り腹を空かせる努力して、有希の手料理を待つことにした。 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 12 58.87 ID csSw3BMQ0 それから数分くらいすると、キッチンからカレーのいい匂いが漂ってきた。 やっぱりカレーだったか。夕飯を振るまいたい、と言った時点でだいたい想像はできていたが。 キョン「あいつホントにカレー好きだなぁ・・・」 キョン「・・・あ」 ・・・まただ。 覚えているはずのないことが、無意識のうちに頭の中に浮かんできていた。 有希がカレーが好きだったことなんて、なぜ覚えている? 長門「おまたせ・・・」 363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 22.67 ID csSw3BMQ0 コトリ キョン「・・・・」 長門「・・・? どうしたの・・・」 キョン「あ、いや、今な。有希がカレーが好きだってことが、自然と頭に浮かんできたんだよ。 やっぱり記憶、戻りかけてるのかもしれない。この調子ならもうすぐ完全に戻るかもな」 長門「・・・・」 キョン「・・・有希?」 長門「そう・・・」 キョン「嬉しくないのか・・・?」 364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 13 43.70 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 長門「嬉しい」 キョン「・・・・」 なんでだ。それ、あからさまに嘘っぽく聞こえるぞ。 有希は俺に記憶が戻ったら何か不都合なことでもあるんだろうか? キョン「・・・ん。まあ、それよりも。あったかいうちにカレー、食べよう」 キョン「すげー旨そうだな。ていうか、めちゃめちゃ腹減った」 長門「・・・・」 365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 14 03.59 ID csSw3BMQ0 有希が作ってくれたカレーは、普通に旨かった。なんというか、カレー屋の味に近い感じ。 そのカレーを3杯食った後に、大量のポテトサラダが出てきた時にはさすがに焦ったが、 俺はそれもなんとか完食した。愛がありゃなんでもできるもんだぜ。 ふと時計を見ると、すでに時刻は9時半を回っていた。 幸せな時間が過ぎるのは早い。 ・・・本当なら泊まっていきたいところではあるが、明日も学校だ。 そろそろ帰らないとまずいだろう。 キョン「さてと・・・」 長門「・・・もう帰る?」 キョン「ああ。ご飯ありがとな。本当においしかったよ」 長門「・・・・」 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 01.59 ID csSw3BMQ0 ガチャリ キョン「じゃ、有希。ごちそうさま。また明日な」 長門「待って」 長門「・・・ありがとう」 キョン「え?」 長門「楽しかった」 そう言うと、彼女は俺の肩を掴んで、背伸びをしながら触れるように軽い口づけを交わしてきた。 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 21.16 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・・」 長門「・・・また・・・明日・・・」 ガチャン… キョン「・・・・」 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 26 42.68 ID csSw3BMQ0 ───── 帰り道、俺は半ば放心状態のまま、自転車のペダルをこいでいた。 おかげで危なく電信柱に衝突しそうになることが2回ほどあった。 キョン「・・・・」 キョン「・・・キス・・・されたな・・・」 あれが、俺が覚えている限りのファーストキスだ。まあ当然っちゃ当然だが。 キョン「・・・・」 キョン「・・・早く記憶取り戻さなきゃ・・・」 有希と、もっといっしょにいたい。もっと話したい。笑っているところが見てみたい。 今の俺は、それしか考えられなくなっている。 そのためには、早く失った記憶を取り戻さなくてはならない。 369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 27 11.87 ID csSw3BMQ0 ───── プルルルルルル…ピッ 長門「・・・・」 古泉「長門さん・・・ですか?」 長門「・・・なに?」 古泉「お伝えしたいことがあります」 長門「・・・・」 古泉「本日、過去最大規模の閉鎖空間が発生されました」 長門「・・・・」 長門「そう」 古泉「僕が何を言いたいのか、あなたならもうおわかりでしょう」 370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 27 30.32 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 古泉「今回の事件、僕にはもうわかっています」 長門「・・・・」 古泉「このようなこと・・・あなた以外にできるはずがありませんからね」 長門「・・・・」 古泉「・・・あなたの気持ちもわかります。ですが今は・・・一時の感情に流されないように行動してください」 古泉「今ならまだ間に合います。それでは」 ピッ 長門「・・・・」 372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 45 43.37 ID csSw3BMQ0 ───── 谷口「ようキョン。どうだ、一日経って記憶は戻ったか」 キョン「いや、それがまだなんだ。時々断片的には思い出すんだが・・・」 谷口「ほー。ま、おまえ記憶あってもなくても全然変わんねーからよ。別にどっちでもいいんじゃねーか」 妹と同じセリフ吐きやがって・・・ 国木田「頭に強い衝撃を与えたら戻るんじゃない?」 谷口「お、それやるなら俺が手伝ってやるぞキョン。野球部からバット借りてきてやるよ」 キョン「だからそんなもんは迷信だって」 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 46 39.51 ID csSw3BMQ0 その日も特に何もなく、平和に一日は進んでいった。 うん、これなら確かに谷口の言う通り、記憶があっても無くてもどっちでもいいような気がしないでもない。 しかし・・・やはりSOS団・・・いや、有希との今までの思い出だけは、どうしても思い出したいのだ。 チョイチョイ キョン「ん・・・っとうわ!」 長門「・・・・」 頭の中にいた本人がそこに立っていた。 驚いた・・・気配を絶って接近するのがホントに上手いな、こいつは。 キョン「どうしたゆ・・・長門」 長門「・・・・」 374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 47 24.70 ID csSw3BMQ0 キョン「どうした? 何か話があるなら遠慮するなよ」 長門「・・・・」 長門「・・・今日、SOS団の活動が終了した後」 長門「一度部室に戻ってきて」 キョン「?」 キョン「ああ・・・わかった」 長門「・・・・」 スタスタスタ… 行ってしまった。なんだったんだろう。 何か少し言い淀んでたように聞こえたけど・・・ でも、部活が終わった後にわざわざ? 今言えないような話でもあるんだろうか。 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08 47 49.92 ID csSw3BMQ0 放課後になり、部活という名のダベリタイムをぐだぐだと過ごしているうちに、 すでに外はすっかり夕闇に覆われていた。 そして窓際のパイプ椅子に座っていた有希が膝の上でパタン、と読んでいた本を閉じた時、活動は終了し、俺たちは解散することになった。 みくる「キョン君・・・まだ思い出せそうにないですか?」 キョン「はあ・・・でも、時々少しずつ思い出したりもするんですよ」 ハルヒ「もう。だったらついでに全部思い出しなさいよ!」 有希と古泉は用事があるとかで別の道から帰り、朝比奈さん、ハルヒ、俺の3人は、いつも通り、あの坂を下って歩いていた。 ハルヒに一昨日のしおらしさはすっかりない。 うん、こいつはやっぱり元気なのが一番似合ってるよ。 381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 15 59.01 ID csSw3BMQ0 それから3人で5分ほど歩いたところで、俺は振り返った。もうそろそろいいだろう。 ハルヒ「? キョン、どうしたの?」 キョン「あー・・・悪い。ちょっと教室に忘れものしちまったんだ。取りに行ってくるから先帰っててくれ」 ハルヒ「ちょ、ちょっとあんた一人で大丈夫なの!?」 キョン「ああ、もう道もバッチリ覚えたし平気だ。じゃあな」 そう言って二人に手を振ってから、早足で俺は今降りてきた坂を駆け上がった。 386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 30 11.76 ID csSw3BMQ0 ───── 戻ってくると、部室のドアの下からわずかに明かりが漏れていること気が付いた。 どうやら有希がすでに戻ってきて待っているらしい。 また遅れちまったかな。 ガチャリ キョン「よっ」 長門「・・・・」 キョン「また待たせちゃったか?」 長門「平気・・・」 387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 30 40.05 ID csSw3BMQ0 キョン「それで、どうしたんだいったい? わざわざみんな帰ってから呼びだすなんて」 長門「・・・・」 キョン「何か話でもあるのか?」 長門「・・・・」 長門「重要な話」 長門「私は・・・」 長門「あなたにまず、謝らなければいけない」 キョン「え?」 長門「ごめんなさい」 388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 31 48.40 ID csSw3BMQ0 キョン「???」 なんだ、いきなり? ごめんなさい・・・って、有希がなんか悪いことしたのか? キョン「な、なんで謝る必要があるんだ?」 長門「私はあなたに嘘をついた」 キョン「え・・・嘘?」 長門「そう」 長門「記憶を無くす前のあなたと私は、付き合ってなどいなかった」 キョン「・・・・」 キョン「・・・え?」 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 32 27.56 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 キョン「・・・え、ってことは・・・」 長門「そう」 長門「あなたは私に恋愛感情など持ってはいなかった」 キョン「・・・・」 長門「私はあなたを騙した。本当にごめんなさい」 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 33 16.26 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・でも・・・」 キョン「じゃあなんで、そんなこと・・・」 長門「・・・・」 長門「私の中に積もり積もったバグが、そうすることを余儀なくさせた」 バグ? 長門「私は・・・あなたといっしょにいたかった」 キョン「・・・・」 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 34 17.64 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・ん・・・」 キョン「えーっと・・・」 キョン「・・・なんか俺、ちょっとまだよく状況を理解できてないんだけど・・・」 キョン「でも、あれだ。もし記憶を無くす前の俺が有希と付き合ってなかった、てのが本当だとしても」 キョン「今の俺は、おまえが大好きだ」 キョン「だから、謝ることなんかない。嘘でもなんでも関係ないさ」 キョン「これからも二人でいっしょにいよう」 長門「・・・・」 長門「それはできない」 キョン「え・・・ど、どうしてだ?」 392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 34 53.66 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 長門「実は」 長門「あなたの記憶の消去を行ったのも、私」 キョン「は?」 長門「あなたといたかった。だから、そうした」 長門「ごめんなさい」 キョン「・・・・」 いやいやいや、ちょっと待て。 394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 35 43.49 ID csSw3BMQ0 キョン「記憶を消すなんて、そんなこと人間にできるはずないだろ。何言ってんだよ有希」 長門「そう」 え? 長門「私は人間ではない」 長門「情報統合思念体によって作られた、対人間用インターフェース。それが」 長門「わたし」 キョン「・・・・」 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 36 54.35 ID csSw3BMQ0 情報統合思念体・・・対人間用インターフェース・・・ キョン「う・・・・」 宇宙人・・・未来人・・・超能力者・・・ キョン「・・・あああ・・・」 長門・・・朝比奈さん・・・古泉・・・ ハルヒ・・・ キョン「・・・!!!」 長門「・・・思い出した?」 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 37 55.16 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・ああ」 キョン「思い出した、全部」 自分のことも。SOS団のことも。朝比奈さんのことも。古泉のことも。ハルヒのことも。 そして・・・ おまえのことも。 長門「そう」 398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 38 50.44 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 長門「・・・・」 長門「あなたはすごい」 キョン「え?」 長門「私が記憶を消去したにも関わらず、自力でそれを取り戻した」 長門「普通の人間にできることではない」 そう言われて、俺は思わず苦笑した。 キョン「いや、長門。そんなことないよ」 キョン「俺はごく普通の高校生だ」 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 39 48.70 ID csSw3BMQ0 そう言った時、長門の顔が僅かにだけど微笑んだような気がしたのは、 俺の気のせいだったんだろうか。 長門「この四日間」 長門「あなたには本当に申し訳ないことをした」 長門「私の身勝手な行動に付き合わせてしまった」 長門「ごめんなさい」 キョン「・・・謝ることなんかない」 キョン「前にも言ったろ? 我慢なんかする必要ないんだ」 キョン「長門がやりたいと思ったら、好きにやればいい。俺はいくらでもそれに付き合うから」 キョン「それに・・・俺の方こそ、楽しかったしな」 402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 42 20.85 ID csSw3BMQ0 長門の瞳はただジッと俺の目を見つめつづけ、そして、また平坦な声で言った。 長門「ありがとう」 長門「でも」 長門「私は、あなたからこの四日間の記憶を奪わなくてはならない」 キョン「えっ?」 長門「それは、規定事項」 キョン「ちょ、ちょっと待てよ」 403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09 42 57.52 ID csSw3BMQ0 キョン「なんだよそれ、そんなの俺、認めないぞ。俺、この四日間でわかったことがあるんだ」 長門「・・・・」 キョン「それを・・・その記憶まで消されたりしたら・・・また忘れちまうじゃないか。嫌だ。俺は・・・」 長門「ごめんなさい」 キョン「長門っ!!」 長門「・・・・」 長門は、ゆっくりとこちらに向かって手を伸ばした。 そして、何度も何度もピンチの場面で聞いた、あのへんてこなインチキ呪文を静かに唱えだしてていた。 408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 07 03.56 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 キョン「・・・長門」 長門「・・・なに?」 キョン「・・・もう、どうしようもないなら、最後にこれだけは言っておく」 キョン「俺、長門が好きだ。ハルヒでも、朝比奈さんでもなく。おまえが好きだ」 キョン「多分、元に戻った俺はもう、そんなことは言わないと思う。でも・・・」 キョン「・・・俺はいつでも、おまえのことが好きだ。それだけは・・・」 キョン「忘れないでくれ。頼む・・・」 長門「・・・・」 長門「ありがとう」 長門「─────」 409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 07 58.94 ID csSw3BMQ0 ────── キョン「・・・・」 キョン「・・・・」 キョン「・・・!!? あ、あれ!?」 なんだ? なんか今一瞬、意識が飛んでいたような気がする。 立ったまま寝てた?そんなまさか。 キョン「・・・って、なんだこれ、うわっ」 目を拭うと、なぜだか知らんが大量の涙がこぼれていた。 なんだよこれは。やっぱり寝てたのか? キョン「あ、おい長門」 411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 08 50.36 ID csSw3BMQ0 長門「・・・・」 隣りで長門がこっちをじーっと見ている。 そうだ。俺は部活が終わった後に、長門に話があると言われてここに呼び出されたんだ。 キョン「なあ・・・俺、今一瞬もしかして寝てたか?」 長門「・・・寝てない」 キョン「だよな」 じゃあ、なんだったんだろう。あの不思議な感覚は。 随分長いこと夢を見ていたような気がする。 キョン「長門。今、いったい何があったかわかんないか? なんだかすごく不思議な感覚に襲われたんだが」 412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 09 43.35 ID csSw3BMQ0 長門「何もない」 キョン「うーん・・・」 わからん。わからんが・・・ 長門が何もないというなら、まあ、本当に何もなかったんだろう。 キョン「あ、それで長門。話たいことってのはなんだ?」 長門「・・・・」 長門「忘れた」 キョン「はあ?」 413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 10 03.15 ID csSw3BMQ0 長門「帰る」 キョン「お、おい。ちょっと待てよ長門」 スタスタと部室から出ていく長門を慌てて追いかける。 長門が伝えたかったことを忘れただって? そんなことあるもんなんだろうか。 早足で廊下を行く長門の背がピタッと突然止まった。 前を見ると、古泉がいつものサワヤカ笑顔で立っていやがった。 古泉「おや、お二人とも今お帰りですか」 415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 10 51.07 ID csSw3BMQ0 キョン「あれ。おまえも残ってたのか。何やってんだ?」 古泉「いえ、ちょっとした野暮用でしてね」 長門「古泉一樹」 古泉「なんでしょう?」 長門「あなたには迷惑をかけた。申し訳なかった」 古泉「ふふ。いいんですよ。気にしないでください」 古泉「今回の件は他言しません。恐らく、実情を知っているのは僕とあなただけでしょう。ですから誰にも咎められることはありませんよ」 長門「・・・・」 キョン「???」 なんのこっちゃ。 417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 11 56.07 ID csSw3BMQ0 古泉「それでは」 キョン「あ、おい古泉。おまえは帰らないのか」 古泉「いえ、僕がいたら邪魔になりそうなので、遠慮しておきます。今日は長門さんといっしょに帰ってあげてください」 キョン「? なんだあいつ」 わかっちゃいたけど変なヤツだな。 長門「・・・・」 長門「帰る」 キョン「ん。そうするか」 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 12 52.27 ID csSw3BMQ0 ヒョオオオオオ… この時期になっても、夜はまだやはり寒い。 吐き出した息がかすかに白く淀んで、霧散しては消えていく。 キョン「・・・寒くないか? 長門」 長門「・・・寒い」 そりゃそうだ。そんな薄っぺらいカーディガン一枚じゃ寒いに決まってるぜ。 いくら宇宙人だからといって変な無茶するもんじゃないぞ。 バサッ 長門「?」 キョン「俺のジャケット、貸すよ。着て帰れ」 420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 13 34.41 ID csSw3BMQ0 長門「ダメ。あなたが体調を壊す」 キョン「いいって。こういう時はな、男がちょっと無理してでも我慢するもんなんだ」 長門「・・・・」 ・・・なんか俺、地味に恥ずかしいこと言ってるな。 長門「・・・ありがとう」 キョン「ん」 422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 14 30.53 ID csSw3BMQ0 ───── キョン「・・・じゃ、俺こっちだから」 長門「そう」 キョン「また明日、学校でな」 長門「あ・・・」 キョン「ん?」 長門「・・・明後日、土曜日。図書館に行くこと希望する」 キョン「へ?」 長門「あなたと」 423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 15 21.95 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・・」 なんだそりゃ。随分とまた突拍子がないな。 長門「ダメ?」 ・・・そんなかわいい顔で言われて、俺が断れるはずないだろ。 キョン「いや、全然ダメじゃない。オーケーだ」 長門「そう」 キョン「明後日な。覚えておくよ。それじゃあな」 長門「・・・また」 427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 26 50.37 ID csSw3BMQ0 キョン「・・・」 今のは・・・あれだったのかな。 もしかして、長門流のデートの申込みだったんだろうか。 だとしたら嬉しい限りだ。あいつも少しずつ、でも確実に、人間に近づいていってるんだな。 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 27 08.44 ID csSw3BMQ0 ───── 翌日。 ハルヒ「キョン!!」 キョン「なんだ。朝っぱらからやかましいな」 ハルヒ「あんた、どうなのよ。まだ治らないの!?」 キョン「あ? 何の話だ」 ハルヒ「え?」 キョン「あ、そうだハルヒ。春休みの合宿のことなんだけどよ。俺、やっぱ釣りがやりたいな。今度は釣りツアーなんてどうだ?」 ハルヒ「・・・・」 429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10 27 48.35 ID csSw3BMQ0 ハルヒ「キョン・・・」 キョン「ん?」 ハルヒ「もしかして、治ったの・・・?」 キョン「だから、さっきからおまえは何言ってんだ。ていうかさ。今日って金曜日だったっけ? 俺よくわからんけど、火曜日の道具持ってきちまったよ。何か昨日からちょっと変なんだよな」 ハルヒ「・・・・」 バシイッ! キョン「!!! 痛ってええええええ! いきなり何しやがんだこの馬鹿!!」 ハルヒ「馬鹿はどっちよ!! 治ったならすぐに電話しなさいよこの馬鹿! あんたね、あたしがどんだけ・・・!」 キョン「だから! 何の話だって聞いてんだよ! 痛っ! やめっ、やめろーー・・・・・!!!」
https://w.atwiki.jp/kangaru/pages/19.html
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 16 10.80 ID T5yi+IuyO ハルヒ「キョン!気がついた?」 キョン「……ここは……」 みくる「良かったぁ……、もしキョンくんの目が覚めなかったら、あたし……」 キョン「……?お前ら……誰だ?」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 19 43.76 ID T5yi+IuyO ハルヒ「……嘘……、嘘でしょ?ねぇ、キョン……」 みくる「あ……あたしのせいだ……ふ、ふぇえ」 長門「……記憶喪失」 キョン「え?」 長門「あなたは記憶を失った」 キョン「……ドッキリだろ?」 長門「真実」 ハルヒ「みくるちゃんとあたしを庇って、あんた達車に引かれちゃったのよ」 キョン「あんた達……?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 23 47.38 ID T5yi+IuyO 長門「そこの男子生徒と共に」 キョン「こいつもひかれたのか」 みくる「あたしがあの時飛び出さなかったら涼宮さんも危ない目に遭わなくて済んで、 キョンくんと古泉くんも……うぅっ……」 ハルヒ「あれは仕方なかったのよ……」 キョン「何が何だかサッパリだ、少し考える時間をくれよ」 ハルヒ「……あたし……帰る、みくるちゃん、行きましょ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 28 37.04 ID T5yi+IuyO キョン「嵐は去ったか」 古泉「…………ぅ」 キョン(起きたか?) 古泉「……うぅん……」 キョン「よ、よう」 古泉「今何時……?」 キョン「いや、俺もわかんねーや」 古泉「うわ!あんた誰」 キョン「お前も記憶喪失かな」 古泉「何ここ……病院?」 キョン「俺達、なんか女子を庇ってひかれたらしい」 古泉「どんな子?」 キョン「栗毛でロングヘアで……」 古泉「知らないなぁ……」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 38 58.43 ID T5yi+IuyO 古泉「いきなり記憶喪失とか言われたって……」 キョン「なあ?」 古泉「ちょっと考えさせて」 キョン(俺の一番新しい記憶は授業終わって家に帰る時だな) 古泉(授業終わって、それから演劇部に……) キョン「……今6時か……」 古泉「僕達やっぱり入院するのかな」 キョン「お前、名前は?」 古泉「……古泉一樹」 キョン「俺は――――、まあキョンでいいよ、とりあえず宜しく」 古泉「……変なあだ名だな、宜しく」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 47 10.78 ID T5yi+IuyO ナース「起きましたか?」 キョン「は、はい」 ナース「命に別状も(略)ですが、明後日まで二人とも入院です」 古泉「明後日まで……か」 キョン「どうしたもんかね」 古泉「やる事無いし何か話す?」 キョン「そうだな」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 00 53 58.23 ID T5yi+IuyO キョン「お前も北高生?」 古泉「そうだよ、何組?」 キョン「俺5組だけど……お前は?」 古泉「僕9組」 キョン「9組って理系の特進じゃねーか!」 古泉「まあね……そうそう、僕5月に転校してきたんだよ」 キョン「へぇ、なんで?」 古泉「親の都合。いやぁ、案外兵庫も平和だよね、評判は悪いけど」 キョン「そうだな……」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 01 01 39.90 ID T5yi+IuyO キョン「俺お前の事どっかで見たような事ある気すんだよな」 古泉「お、記憶復活しそう?」 キョン「うーむ……やっぱ駄目だな……」 古泉「そっか……あ、でもなんか僕も知ってるような気がする、キョンの事」 キョン「知り合いだったのかもな……カチューシャ女とか知らね?」 古泉「今時カチューシャ?どんなの?」 キョン「なんか黄色でリボンつきの」 古泉「あー……2つついてるやつ?」 キョン「そうそう!」 古泉「……知ってる気はするんだけどなー……思い出せないや……」 キョン「うーん……謎だな……」 やっぱ寝る 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 01 58.98 ID T5yi+IuyO 16 古泉「……まあいいや、その内何とかなるでしょ」 キョン「だな、焦らなくてもじきに思い出すさ、日常生活に支障がある程忘れたわけじゃない」 ~中略~ 古泉「病院食あんまり美味しくなかったね……」 キョン「おかゆ味無しって……どうよ」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 14 29.04 ID T5yi+IuyO 古泉「ねぇ、なんか部活入ってた?」 キョン「え?あー……帰宅部だな」 古泉「僕も帰宅部、んで演劇部行こうと昨日思ったんだけど……記憶が……」 キョン「俺も帰る時から記憶無いんだよな」 古泉「そう……。……ふぅ、なんか疲れたな」 キョン「無理もない、……にしても、本当病院って何もないよな」 古泉「ゲームしたいなぁ……」 キョン「どんなゲームやるんだ?」 古泉「ボードゲーム」 キョン「そりゃまた古いな……」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 21 45.77 ID T5yi+IuyO 古泉「まだ8時か……」 キョン「寝るか?」 古泉「でもさっきまで寝てたわけだし」 キョン「だよな、眠くないよな」 コンコン 古泉「はい」 ガチャ 長門「…………」 キョン「さっきの……」 古泉「え?知ってる人ですか?」 長門「……古泉一樹」 古泉「はい?」 長門「私とあなたは知り合い」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 32 27.15 ID T5yi+IuyO 長門「あなたとも」 キョン「俺か?」 長門「そう、私達と先程の女生徒二人は同じ部活」 古泉「えーと……何部ですか?」 長門「SOS団」 キョン「……すまん、それは一体どういう……」 長門「世界を大いに盛り上げる為の涼宮ハルヒの団、活動内容は、 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶ事」 キョン「…………」 古泉「……あ、あの……」 長門「私は宇宙人、あなたは超能力者」 キョン「邪気眼遊びか……」 長門「違う。実際の事。涼宮ハルヒには願望を実現する能力がある。 今回あなた達が記憶を失ったのも何か理由があるはず。 涼宮ハルヒに何らかのアクションを検知させる必要がある」 キョン「待て、涼宮ハルヒって誰だ」 長門「黄色いカチューシャ」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 52 10.24 ID T5yi+IuyO 古泉「朧気ながら言っている事は理解出来ました、しかし……困りましたね」 キョン「俺も何となく解った気がするが……涼宮ハルヒが何を求めているのかわからんな」 長門「その鍵を見つけるのがあなた達の役割。……それじゃ」 キョン「お、おい、待てよ!」 キョン「……行っちまったよ」 古泉「超能力者って……どういうものかな」 キョン「さぁな……だが何故か信じられる気がする、多分実際、前にその事を知ってたんだろ」 古泉「確かに……物事を手際よく解決させる為……?」 キョン「だとしたら涼宮ハルヒは相当の実力者だろうな……」 古泉「でも鍵なんて言われてもどうしようもないような」 キョン「…………」 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 07 58 51.92 ID T5yi+IuyO キョン「宇宙人ねぇ……」 古泉「……まあ、なんか、でも結局全部忘れてるんだし……今の僕達じゃ……ねぇ?」 キョン「……そうだよな……機を待つしかないな」 古泉「……寝ようか」 キョン「そうだな、寝よう」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 20 59.11 ID T5yi+IuyO 朝 キョン「……ああ、そうか、病院……か」 古泉「…………」 キョン「7時か……あんな時間に寝たしな……」 キョン「おい、古泉、起きてるか?」 古泉「うぅ……、……ああ、キョン……おはよう」 キョン「おはようさん」 古泉「今何時かな?」 キョン「7時だけど……」 古泉「そっか……、……」 キョン「とりあえず起きておいた方が良いだろ、誰か来たら何か話しておきたいしな」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 31 07.61 ID T5yi+IuyO ナース「何か必要な物があったらいつでも呼んでください」 キョン「えっと……ボードゲームとか……ありませんよね」 ナース「あ、オセロならありますよ」 古泉「!」 キョン「じゃあ、宜しくお願いします」 古泉「なんか……嬉しいなぁ」 キョン「この位覚えてるって」 古泉「ところでご飯どうすんの?」 キョン「お粥だけはちょっとなぁ……残すわ」 古泉「……ふふっ」 キョン「理系ってやっぱりオセロも強いのか?」 古泉「まあやってみれば分かると思うよ」 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 44 30.11 ID T5yi+IuyO キョン「弱い、弱すぎるぞお前」 古泉「やっぱりこうなるか……」 キョン「にしても、退院したらどうなるんだろうな」 古泉「どう、とは?」 キョン「いや……記憶戻るかなって」 古泉「戻ったら良いよね」 キョン「お前と俺同じ部活だっけ?」 古泉「そういえば……、どんなだったのかな、記憶無くす前は」 キョン「確かに気になるな、だがどうせこんなもんだろうよ」 古泉「もし険悪だったら嫌だな」 キョン「いやそれは無いだろ」 古泉「……なんか妙な感覚になりそうだな」 キョン「俺は既に混乱寸前だ」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 08 59 57.41 ID T5yi+IuyO キョン「テレビつけてみるか?」 古泉「暇だしつけてみようか」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12 46 13.58 ID T5yi+IuyO 55 古泉「超能力特番の再放送かぁ」 キョン「お前の超能力もこんなもんなのかね」 古泉「案外スプーンとか曲げれたりして!」 キョン「お、丁度スプーンあるしやってみるか?」 古泉「貸して、……」 キョン「…………」 古泉「曲がんない……」 キョン「そりゃそうだろ……」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 03 37.22 ID T5yi+IuyO 112 古泉「もういいや、超能力とか絶対無理」 キョン「あれじゃね?記憶喪失とかいう話もドッキリじゃね?」 古泉「でも確かに記憶無いような気もするし……」 キョン「それはあるな……」 ~中略~ キョン「岡部のやつどう考えてもおかしいだろ」 古泉「ふふふっ、確かにあの先生ならやりそうだ」 キョン「はは……、ああ、もう3時半か」 古泉「もう授業終わる頃だね」 キョン「結局今日は話してばっかだったな」 古泉「明日で退院かぁ……なんかちょっと名残惜しいかも」 キョン「課題がないからか?」 古泉「いや、まあ特進だしそれもあるけど……、……ふぁ」 キョン「眠いか?」 古泉「……寝る、「6時には起こして……、んじゃ」 キョン「……寝つくのはえーな」 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13 13 47.88 ID T5yi+IuyO 119 キョン「ふぅ……、……暇だな……」 コンコン キョン「はい」 ガチャ ハルヒ「キョン、元気?」 みくる「こんにちはぁ」 長門「…………」 キョン「昨日の……」 ハルヒ「体痛くなったりしてない?」 キョン「まあ……大丈夫だけど」 ハルヒ「やっぱりあたしの事思い出せてないみたいね、……古泉君は?」 キョン「寝てるよ」 ハルヒ「まさか昨日から寝っぱなしなんて事ないわよね?」 キョン「いや、さっきまでは起きてたんだが……眠かったらしい」 212 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 14.16 ID mntryc5n0 3レスのみちょいっと失礼 125 ハルヒ「そう……寝ちゃったのね」 キョン「えーと……涼宮だっけ?」 ハルヒ「そうよ! ……あれ、そういえばあたし言ってなかったわよね、古泉君から聞いたの?」 キョン「いや、古泉もお前さんの事知らないみたいだ」 ハルヒ「そうなの!?古泉君まで……、……あ、じゃあ、誰から?」 長門「私が言っておいた」 ハルヒ「あらそう……」 キョン「あー、……っと、あんたと……そこの人は何て名前かな」 みくる「あたしは、朝比奈みくるです」 長門「長門有希」 みくる「改めて挨拶すると、なんか変ですねえ……」 ハルヒ「そうね……、あれだけ長いこと一緒に居たのに」 キョン「……思い出せれたら良いんだがな……。すまん」 ハルヒ「……きっといつか思い出すわよ!そうだ、古泉君起こしてみてくれない?」 キョン「ああ、……古泉ー?」 213 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 30.54 ID mntryc5n0 古泉「うっ……、……うう……ん、…………」 キョン「おい、起きろよ、こら」 古泉「う~~……、…………」 キョン「……駄目だ、起きない」 ハルヒ「む……、仕方無いわね、ちょっと話したかったんだけど……、 あ、そうだ!古泉君とは仲良くやれてる?古泉君あんたの事覚えてた?」 キョン「長門さんとやらに聞いたSOS団ってものの事は俺達二人とも知らねーや」 ハルヒ「有希、いつのまにそんな事話してたの?」 長門「電話」 ハルヒ「ふーん、ならいいけど」 キョン「……? そうそう、古泉とは結構気があってさ。話してると楽しいよ」 ハルヒ「えっ、そうなの!? なんか意外だわ」 214 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/10(木) 20 10 49.37 ID mntryc5n0 キョン「しかし……爆睡だな、疲れちまったんだろうか」 ハルヒ「まあ、病院って何も無いし……、でも良かった。 あんた達よく一緒には居たけどそんなに仲良くなかったような気がするから」 キョン「マジか! 記憶戻った時どうなってるか逆に楽しみな気もする」 ハルヒ「早く戻ると良いわね、……そうだ、退院明日だっけ」 キョン「明日のいつかな? 学校に行くのは明後日になると思うが」 ハルヒ「北高の事はちゃんと覚えてるわよね? でも部活は……」 キョン「俺帰宅部だったような気がするんだが」 ハルヒ「あんたどんだけSOS団の事だけスッポリ忘れちゃってるのよ……、 ……まあいいわ! 学校来たら古泉君とあんたにSOS団の事を1から叩き込んでやるから!」 キョン「はは……そいつは有難いな……、……(宇宙人、か……)」 ハルヒ「……本当古泉君起きる気配無いわね、あたし帰った方が良いかしら」 キョン「いや、どっちでも構わんが……」 みくる「静かにしてあげた方が良さそうですねぇ……」 ハルヒ「そうね……、まあ明後日になったら部室に強制連行するし いつだって話す機会はあるわよね。じゃ、またね、キョン!」 キョン「おう。じゃあな」 みくる「またね、キョンくん。お大事に」 キョン「どうも」 長門「……また」 キョン「あ、ああ……」 452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 47 08.96 ID 4dJCEG8FO 214 キョン「いきなり静かになったな……」 古泉「……すぅ、……すぅ」 キョン「マジで起きないなこいつ」 ベシッ 古泉「あうっ!?」 キョン「…………」 古泉「いっ、いきなり何すんの!!」 キョン「おはようさん、もう客人はお帰りになっちまったぞ」 古泉「誰か来てたの? 今何時……?」 キョン「えーとだな……涼宮ハルヒと、長門有希と……朝比奈さんだっけ」 古泉「長門さんが鍵の人だっけ、あぁもう! なんで起こしてくれなかったんだよ!」 キョン「起こしても起きなかったんだよ!」 古泉「嘘だッ!」 キョン「まあどっちにしろ涼宮ハルヒの前で鍵とか言うのはあまり良くないと思うぞ」 古泉「そうかな? 絶対なんか言った方が良いと思う」 キョン「どうかな……」 古泉「……5時か……、あーあ、……記憶……記憶……」 453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 48 14.20 ID 4dJCEG8FO 452 キョン「ハルヒが言ってたんだけどさ、明後日は俺達の部活についてまた教えてくれるらしい。その時また手掛かりがあるかも」 古泉「なんか実験椅子とかありそうで嫌だな」 キョン「いや、それは流石にないだろ……」 ~また中略~ 古泉「風呂入りたい!」 キョン「俺もそれには同意するが……いきなりでかい声出すなよ」 コンコン 古泉「どーぞ!」 キョン(不機嫌だな……) 長門「…………」 キョン「またあんた一人か?」 長門「そう」 古泉「長門さんか……」 長門「鍵……」 キョン「全然手掛かり無しだ」 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 12 50 47.14 ID 4dJCEG8FO 453 長門「そう……」 キョン「……」 古泉「……えっと」 長門「…………古泉一樹、あなたは涼宮ハルヒの前では敬語を使って」 古泉「偉い人なんですか?」 長門「あなたの立場上はそうした方が良いというだけの話」 古泉「うーん……、なんか納得いかないけど、……解った」 長門「そうすれば起きる事が出来た」 古泉「え?」 長門「口調の相違は涼宮ハルヒの理想に反する」 古泉「もしかして理想の上で関係が成り立ってるの……?」 長門「そういうわけではない。それじゃ」 バタン 古泉「……記憶戻らなかったらどうなってるのかな」 キョン「そうだ、お前生活はどうよ?」 古泉「生活? 何も問題ないよ、なんで?」 キョン「そうか。いや、なんとなくだ」 古泉「看護婦さん、明日の昼帰らせて貰えるって言ってたね」 キョン「やっと帰れるな。にしてもお前と同室で良かったよ」 古泉「誰かが手を回したんだと思うけど……僕もキョンと話せて楽しかったよ」 キョン「ああ、そんな事全然考えてなかったぜ……、なんかどっかの超能力関係の機関とかが介入してたりしてな」 古泉「そんな非現実的な話があるもんか」 キョン「だよな……」 古泉「……ふぅ」 キョン「……」 510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 21 36 06.26 ID TAtLH7kH0 506 「じゃ決定ね! いい? 遅刻しちゃ駄目よ? 午前10時に集合だから」 結構早い時間なんだな。勿論学校には及ばないが。 俺と古泉は適当にはいはい返事をして、やっとの事で部室に入れてもらった。が。 そこにはメイド姿で靴を履き替えている朝比奈さんが居た。 何だこれは。何故こんな辺境の学校に美少女メイドが居るんだ。 「みくるちゃんにはメイド服を着るように言ってあるのよ」 下の名前はみくるだったか。朝比奈さんの上履きが赤かった事により やっとその人が二年生という事を知った。まさか上級生だとは……。 ……部室の隅では長門が俺達を見向きもせず、広辞苑並に分厚い本を高速で読んでいた。 とことん変な部活だな、ここは。……不思議探し、ねえ。 511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 21 36 47.63 ID TAtLH7kH0 510 「あっ、キョンくん、古泉くん、あの……これ」 声を上げたのは朝比奈さんだった。なんかの箱を鞄から取り出し、 俺達二人に手渡して深々とお辞儀をした。 「このぐらいで謝罪出来るとは思えないけど、でもこのぐらいしか出来なくて……ごめんなさい」 中に何が入っているかは解らないが、謝罪の品物だろう。 「気にしないでくださいよ、俺はピンピンしてるんですし」 古泉と俺は朝比奈さんに意地でも悪気を感じさせないようにフォローを入れまくり、 涼宮も「気にしないこと! 団長命令よ!」とか、団長の特権らしきものを発揮してくれた。 その内、この前からあまり表情が無かった朝比奈さんにチューリップのような笑顔が咲く。 うん、やはり美少女には笑顔が似合うな。 「ところでキョン、古泉君。記憶喪失ってどこまで忘れたの?」 ここで涼宮の話題転換だ。俺としちゃ何かを忘れたという意識すらあまりないんだが。 ん? 今まで俺は帰宅部じゃなかったか……? なんとなく部室を見渡すと、目に入ったのは黒板に貼り付けてある写真だった。 近寄って見てみると、古泉と俺が海でツーショットで写っている写真、 同じ時に撮ったと思わしき、長門、涼宮、朝比奈さん、古泉が全員水着で写っている写真。 ……どうやら本当に俺達はこの部の部員だったらしい。 帰宅部だったと思った。そんな事を話したらおかしい奴と思われるか。 俺はその辺りは暈して、だがSOS団の事だけを忘れているようだ、という事は伝えた。 662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 17 39 34.51 ID 6ku8lFX50 511 俺が話し終えると、涼宮の顔色はあからさまに悪くなっていた。 正直すぎたか、少し後悔した。 「なんでそんなにあたし達の事だけ……」 その瞳は寂しそうに揺れた気がした。何か声をかけようかと迷っていたら、 「古泉君も同じ?」 「はい、なんだかよく解らないんです、今まで普通に生活してたような気もして」 「よくわかんないわね……」 ここでまた沈黙が走った。古泉と涼宮の会話によって考える時間はあったが それでもまだまだ足りず、ついでに言うタイミングも逃してしまっているような気がして、 「そうだ、あたし軽音楽部行かなきゃ! 後は好きにしてて、じゃあね」 悩んでいる間に涼宮はさっさと部室を飛び出してしまった。 ……好きにしてろと言われても困るんだが……。 「俺達は記憶喪失する前は何をしてたんですか?」 朝比奈さんに聞いてみると、どうやら部室の真ん中の机を挟んで毎日ボードゲームに励んでいたそうだ。 ロッカーの中を拝見させて頂くと、俺達のものと思わしきボードや駒が沢山入っていた。 そういや俺いつの間にチェスのルールなんて知ってるんだ? ……まあいい。長くなる。 「古泉、これやるか」 とりあえず病院でオセロはやり尽くしたし、囲碁の盤を取り出した。 部室内が夕日で紅く染まった頃、涼宮は再び部室に戻ってきて 「これにて解散! また明日ね!」 と叫んだ。 一瞬呆気に取られたが、解散なら解散でいい。どうせやる事がない部活だったんだろう。 672 名前:2番手はgdgdなようです[] 投稿日:2008/04/12(土) 19 42 39.10 ID 6ku8lFX50 「帰るか」 鞄を持って立ち上がる。古泉の能天気な声を途中まで聞き、 「途中まで一緒に帰ろうよ、そうだ、キョンは帰りどうす――」 「うわっ!?」 思わず驚いて声を上げた。いつの間にか古泉の背後に逆光で暗くなった長門の姿が 古泉も自分の背後を見て息を飲む。 長門は俺達のリアクションを意外だと思ったのか、一瞬言いようのない無言の空気が走った。 「古泉一樹。あなたも……、二人はまだ帰るべきではない」 「な、なんだ? なんかあるのか?」 「そう。ついてきて欲しい」 部室内に誰かの着信音が鳴ったと思ったら、長門の鞄からそれは聞こえている。 長門のもので間違いないだろう。 しかし本人はその電話に出ることもせず、何か呪文のような言葉を呟いた。途端。 「目を閉じて」 その一言と共に、いきなり鳩尾だけが重くなるような感覚に陥った。 しかしそれもたった一瞬の事で、「もういい」と声が掛かった。 俺達が居た場所は部室だったよな? 驚くことに現在俺達は何故かどっかの横断歩道の前に居た。 674 名前:2番手[] 投稿日:2008/04/12(土) 20 16 27.39 ID 6ku8lFX50 夕方の横断歩道。妙な既視感。この変な感覚もなんだか覚えがあるような気がした。 歩行者用信号機が青に変わる。長門は俺の服の袖と、 あわあわ言いながら辺りを見渡す古泉の手を掴みずんずん進んでいく。 「あなたは古泉一樹の右手を掴んで」 こうか。俺が右手を掴んだのを見て、長門は古泉の左手を掴んだ。 「な、なんだよ! 何かするなら言ってよ!!」 古泉は怯えきって俺達の手を振り払おうと暴れるが、それも長門が押さえつけ、 ついでに目も手で覆っている。ここまで来るとなんだか不憫だな、 そんでもって周りの冷ややかな視線も気になる……と思っていると、 多分瞬きをした直後だろう、世界の全てが灰色になっていた。 いいのか、これ。 開放され、文句を言おうと口を開いた古泉だったが 流石に周囲の異変に先に気がついたらしい。案の定青くなって開いた口を開けっ放しにしている。 「閉鎖空間」 静かすぎて耳鳴りがする程の空間に長門の澄んだ声が響き渡った。 676 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 20 37 20.07 ID 6ku8lFX50 「世界から断絶された次元断層の隙間」 そんな事言われてもな。 「この空間に入り込めたのは古泉一樹に力がまだ十分に残っていたから」 古泉は口を閉ざし、周囲を見渡す。正気に戻ったらしい。 「閉鎖空間だっけ? 一体なんなんだ、ここは」 「あっはっはっは、何ここ! もう無理だって、あはははは!」 かと思いきや急に噴き出して笑った。前言撤回。全然正気じゃない。 「涼宮ハルヒの精神状態がマイナス面に大きく変化した時に発生する。 この空間は放置すれば徐々に拡大していき、 私達が世界と呼んでいる元の場所と閉鎖空間は入れ替わる」 古泉の大笑いで耳が痛い。しかし自分でも思ったが、えらく冷静だな、俺。 潜在意識でこの場所を覚えているんだろうか。 683 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 21 05 37.07 ID 6ku8lFX50 「この場所を消すにはどうすればいいんだ?」 「古泉一樹の力が必要となる。これは私の役目ではない。あれ」 長門の白い人差し指の先を追う。遠くの高層ビルの向こうに、青い発光体があった。 「涼宮ハルヒのストレスが異次元で具現化されたもの。 あれで涼宮ハルヒは周囲の物を破壊する幻想を異次元で実現させている」 ゆっくりと歩き、ビルの陰から姿を見せる、……青い巨人。 そいつは腕を振り上げて、建物を破壊した。いつの間にか笑い声は止まっている。 「あれを消去するにはあなたの力が必要」 笑顔で放心している古泉の腕を長門が掴んだ。 「無理だってー!」 笑いながら涙目で巨人の方に引きずられていった。あんなのがあれと戦えるのか? 長門の静かな声に対し古泉が騒いでいたが、その内「あーもう」とか声が聞こえて、 赤い光がゆっくりと古泉の体を包んでいく。 まだ破壊活動を続ける巨人の周りを、古泉の今纏っている光と同じような色の発光体が旋回している。 巨人の腕があの数個の紅玉に切り落とされたと同時に古泉の姿は急に変化した。 球体の赤い光を纏い、不安定に揺らめきながら空に舞い上がり巨人へと向かう。 その古泉の成れの果ても加わって、青い巨人の姿はあっさり分解された。 684 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 21 08 19.68 ID 6ku8lFX50 赤い光はそれぞれコンタクトを取るように近くに集結し、 暫くお互いの周りをぐるぐる回り一斉にバラバラになった。 一つだけ動きの鈍い奴がのろのろとこっちに向かってくる。 俺達――いつの間にか長門は俺の横に居た――の頭上近くまで来た所で、 「うわあぁっ!?」 突如赤い光が消え、派手な音を立てて落っこちた。 「……大丈夫か?」 古泉は苦虫を噛んだような表情で自分の体をさすっている。 飛び立つ前と比べテンションが随分下がってるな。 気付くと、灰色の空にヒビが入っていて驚いた。 「そこは危険」 長門の手招きに慌てて古泉を引きずる。空をもう一度見上げると、既に亀裂は割れる寸前で。 俺がさっきまで居た横断歩道を車が走っていた。いつの間にかあの空間は崩壊していたらしい。 694 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 21 51 49.57 ID 6ku8lFX50 喧騒がやけに耳についた。しかし日常に戻ってきた事に安心を覚える。 「痛い……」 戻ってきて最初の台詞がそれか。 「後は大丈夫、古泉一樹。あなたは超能力の使い方はもう思い出したはず」 「うう、でも変な事ばかり思い出して頭が混乱しそう……!」 聞いてるこっちが焦りそうな声を出してから、そのまま頭を抱えて喋らなくなった。 そっとしておいてやりたいのは山々だが、人の目が気になる。 俺はやっぱり古泉を引きずって、とりあえず喫茶店の中まで入った。勿論長門も。 695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 21 52 00.42 ID 6ku8lFX50 「ああ、もう! なんかスッキリしない!」 喫茶店に入るや否や机に伏せ、ずっとだんまりだった古泉が突然顔を上げて叫んだ。 だからいきなり大声を出すなって。病院じゃないだけまだ良いのかもしれんが。 しかしこの不機嫌具合は入院してた時を思い出すな。 あと何か似たような愚痴り方をする奴がどっかに居たような覚えがある。 「俺は全然思い出せてないがな」 何を見ても驚かなかったのは俺の性格に合ってるような気もしてきた。 「ところで、思い出した事はなんなんだ?」 「涼宮ハルヒの能力がどうとか急に頭に流れ込んできて……ああ、もう理解出来ない」 超能力、……か。超能力者にしか解らない感覚があるってのはよく聞く話だな。 「もう帰りたい」 何も頼んでいないのに机に添えてあった割り箸を割ったり包装紙を千切ったりしている。 こりゃまともに話す気力も無さそうだ。 696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 21 54 16.24 ID 6ku8lFX50 俺も腕時計を見る。 「げっ! もう7時じゃねーか!」 思わず古泉と同じように声を上げてしまった。 ぶっちゃけここが何処なんだか解らないし、あれはテレポートと考えて間違いないだろう。 「長門、俺も早く帰らないと今度こそお袋に袋叩きされる」 古泉の横で静かに水入りコップを見ていた長門は非常に薄い反応で、 「わかった」 また呪文を唱え始めた。いきなり椅子を無くし尻餅をついて、 誰かに見られていないかと思ったのだが、幸いそこは俺の部屋だった。 ……いや、これはこれで不都合なんだがな。 いつの間に帰ってきてたのかとどやされそうだ。俺も訳わからん。 699 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 22 03 28.16 ID 6ku8lFX50 いやしかしあれだけ言って俺の部屋までテレポートさせるなんて…… 長門は気が利くんだかどうなんだか。 部屋から出て一階に降り、リビングに入ると たまたま母が出かけていると妹が教えてくれた。これはマジでラッキーだぜ。 さて、とりあえず俺は色々気にせずさっさと寝ることに決め込んで実行したわけだが、 突然の出来事が起きたせいで俺は起こされた。午前3時。 普段の俺なら熟睡タイムを返せと言う所だが、今回は仕方無かったといえよう。 夢の中に古泉と長門と涼宮が現れたと思ったらそれは夢ではなかったというわけだ。 712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 22 43 40.46 ID 6ku8lFX50 それは初めてどころか、既に見た事のある光景だった。 俺と古泉が部室で言い争っているシーン。 それはモニターのようなものに映っていて、俺(本体)と涼宮と長門が見ている。 涼宮は横で俺に何か非難の言葉を言っているが、夢のようにまるで聞こえない。 しかしモニターに映る俺達の声はしっかり聞こえていて、やっとそこで俺は思い出した。 事故る前日、古泉と俺の言い争いがあったんだ。 ハルヒが言えば易々と同意していたような事柄を俺が言ったら反論してきやがったから 思わず言い返して喧嘩になったんだっけな。 それを見たハルヒは、古泉にもっと自分の意見を言って欲しいと思ったんだろう。 713 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 22 43 52.74 ID 6ku8lFX50 最初俺が思い出したのはその断片だけで、その時の混乱ぶりは 閉鎖空間から戻ってきた古泉と同じ感覚だった事は間違いないだろう。 しかし思い出せる切欠が見つかり、やけに気分が高揚して 俺はえらく早い時間に駅前の待ち合わせ場所に行ってしまい、 まず来たハルヒを捕まえ、9時半にようやく現れた古泉に言ってやったのさ。 「もっと自分を晒け出せ、この前は悪かった」 とな。 言われた古泉の顔には?マークが浮かんでいたが、ハルヒの単純さはこの時点で解っていた。 俺の判断は正解だったらしい、市内探索のクジ引きでは俺と古泉が赤を引き、 ハルヒ達女子三人と別れた瞬間記憶が蘇ったってわけさ。 この前、という単語が出た時点で、ハルヒは俺が記憶を取り戻したと認識してくれたらしい。 714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/12(土) 22 44 09.64 ID 6ku8lFX50 あれだけで復活したって事に驚きだが、ハルヒも意外と団員の精神を尊んでいるという事実と、 古泉が超能力者でなければあんな感じだったのか、という面白さの両方を得て 俺はこの事件が起こってむしろ良かったかもしれない、とは思ったのだが。 古泉は頭を抱え肘で顔を隠し、ベンチに座って暫く悶えていた。 「忘れてください」と何度も言ってな。 あんな別人みたいな古泉を誰が忘れてやるもんかよ。 きっと古泉自身も忘れているはずだ、これから俺が思い出させてやる。 覚悟しとけ。 そう言い放ってやると、閉鎖空間で喚いていた時のあいつよりは少し落ち着いていたしぎこちなかったが、 「無理だって」 という、全く同じ一言が返ってきた。