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4月 CV. 生天目仁美 公式設定 マルチアーノ12姉妹の第1世代アンドロイド 黒髪ロングの12姉妹リーダー 武器はゴールドのルガーP08 「死の天使」のリーダー。冷静、冷徹を装っているが隠れた激情家。 (コミック1巻 巻末資料より) エイプリル→(ゆずる気はない)→ジャニアリー エイプリル←(ライバル)←ジャニアリー エイプリル→(親友だけど時々うるさい)→メイ エイプリル←(ほっとけない親友)←メイ エイプリル→(扱いづらい)→ジュライ エイプリル←(いちおう、従います)←ジュライ エイプリル→(悪い気はしない)→オーガスト エイプリル←(好き!)←オーガスト エイプリル→(尊敬・心酔)→マルチアーノ (コミック2巻 巻末相関図より) クリミナルギルド「死の天使」のリーダー。マルチアーノから譲り受けた「ルガーP08カスタム」を持つ。戦闘では前に出ず、後方での支持がメイン。冷静、冷徹を装っているが隠れた激情家。戦闘力は彼女達の中では中程度。覚醒能力ありか? (DVD5巻ブックレット 落書きイメージ集part6. キャラクター性格設定より) ※初期設定らしく、本編と異なる可能性がある キャラデザの発注をうけて、最初に書いたのがこのエイプリルです。頭ン中にあったのをそのまま出した感じです。昔から妄想で、リーダーは黒髪に赤い瞳というのをやりたかったのでいい機会でした。 エイプリル(仮)17才くらいと設定画に書き込みあり (DVD5巻ブックレット 落書きイメージ集part1. キャラクターデザイン須藤友徳氏のコメントより 口紅あり (DVD5巻ブックレット 設定資料集より) コミック版設定 マルチアーノと肉体関係?半裸でダブルベッドに… (コミック3巻より) 大気圏突入可能なフライトユニット(キャノン、レーザー?柄つき手榴弾あり)を装備可能。胸アーマーにはハートマーク (コミック3巻より) スラム時代のマルチアーノの仲間ベスがモデル。外見だけ真似たか生体部品を使っているかは不明だが、コミック版でセプがミスターに「化顔面だけは人間の様だな」と言われている。また、マルチアーノが「心…そんなものを貴女達に鋳れた覚えはないわ…鋳れたくとも私にはできないことよ」と言ってることから、知能は人工的なものと推察される。 (コミック1,2,3巻より) 二次裏設定
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彼女の休日 オーガストの場合 「「」、あたしの帽子知らない?」 オーガストが訪れてきたのは、明日は皆で旅行に行こうというある日の夕方だった。 荷造りを終え、一息ついているときに、何やら焦っている様子で部屋にやってきたのだった。 「帽子? あのいつも被ってる黒いシルクハットのこと?」 「ううん。いつも被ってるのとは違う帽子なの。折角だから明日は特別な帽子を被ろうと思ったんだけど、探したら無くて…」 「特別な帽子? どんな帽子なんだい?」 「一言で言うと……特別な帽子」 「いや、訳分かんないよ」 「もー! 特別なのは特別なのぉ! こうなったら「」も一緒に探して!」 「」に有無を言わせず、オーガストは手をつかんで部屋から連れ出した。その足で一番最初に辿り着いたドアにはジャニアリーと 書かれたプレートが掛かっている。 「ジャニお姉ちゃんいる!?」 「やかましいですわよオーガスト。なんの用ですの?」 苛立たしげにジャニアリーがドアから顔を出した。その手に何やら怪しい発信機のようなものを持っているのは、とりあえず 気のせいにしておこうと「」は思った。 「あたしの特別な帽子知らない?」 「特別な帽子? オーガスト、貴方何を言っていますの? 生憎、私は貴方の戯れに付き合う暇が無いのですわ。そういったことは メイにでもお聞きなさい」 それだけ言うとドアをぴしゃりと閉めてしまった。 オーガストは頬を膨らませて、むーと唸ったがすぐに気を取り直して、再び「」を引き連れて廊下を歩き出した。 メイの部屋を訪れたが本人の姿はなく、通りかかったジュライに居場所を聞き、リビングへと向かった。 メイはソファーで旅行先のパンフレットを見て、どうやって楽しもうと想像の翼を広げている真っ最中であった。 「メイお姉ちゃん!」 「ん? 「」を引き連れてどうしたんだよ」 「あたしの特別な帽子知らない?」 始めはきょとんとしていたが、次第に何かかんぐるような目つきでオーガストと「」を見た。 まるで引っ掛け問題を聞かれて、その意図に気がついたような感じだ。 「なるほどね、確かに上手いクイズだよオーガスト。でも、このあたしを引っ掛けようとしたってそうはいかない。次はフェブにでも 聞いてみな」 「メイお姉ちゃん、何言ってるのかさっぱりだよ」 「まぁ、とりあえずフェブさんのところに行って見よう」 意味深に笑うメイを背に、納得のいかない顔のオーガストと「」はリビングを去り、一階奥にある書斎へと向かった。 他の部屋よりもずっと静かな書斎なら、落ち着いて同人誌の原稿に没頭できるとフェブは、よく書斎に引きこもっているからだ。 同人誌がズラリと並ぶ棚をすり抜け、二人は奥の机で最近買った同人誌を読んでいるフェブに行き着いた。 「あら、どうしたの? 何か困ったことでもあったのかしら?」 「フェブお姉ちゃん、あたしの特別な帽子知らない?」 「? えっと何が言いたいの?」 「もういい!」 フェブがとぼけたと思い、オーガストは踵を返してスタスタと書斎を去っていった。 フェブは頭を傾げ、去って行く背を見送った。 「私、何か悪いことを言ってしまったかしら?」 「さぁ、ボクにもさっぱり分かんないよ」 「それよりも「」さん、今度書く同人誌のモデ――」 「激しくお断りします」 「残念」 「」が書斎を出てオーガストを探すと、キッチンのほうから話し声が聞こえた。 話し合っているのはオーガストとエイプリルのようだ。少しばかりオーガストの声が大きく聞こえるが、その声には若干の苛立ちが感じ取れた。 しばらくしてから、可愛らしくぷりぷり怒りながらオーガストが出てきた。 「どうだったの?」 「エイプリル。お姉ちゃんたら『貴方、幸せの青い鳥という話をご存知?』だって。失礼しちゃうよね」 「幸せの青い鳥? どういう意味だろう。自分の身近にあるって事かな?」 「あたしの身近に? ということはあたしの部屋かなぁ、とにかく行って探してみよう」 オーガストの後に追う形で、「」はオーガストの部屋の前に辿り着いた。 そこでくるりと腰に手を当ててオーガストは振り向いた。そして、「」の前に人差し指をびしっと差し出す。 「あたしの部屋に入るのはいるのはいいけど変なことしないでよ。これでもあたしは乙女なんだから!」 「うん、わかってる」 「本当だね。ロリコンで痴漢だったら股間吹っ飛ばすから」 初めて入るオーガストの部屋は、こじんまりとしていて、綺麗に整理整頓されていた。 部屋の隅には荷造りを終えてあったのか、小さめのボストンバッグとポシェットが置かれている。 ポツンとベッドの脇に、白くてやっつけ感バリバリの禍々しいオーラを放つ、デッサンぶっ壊れまくりのぬいぐるみが 奇妙な存在感を出しているが「」はスルーすることにした。 「うーん、とりあえずクロゼットからかな」 そう言うなりオーガストは、クローゼットを空けて中の物をポイポイと後ろへ放り投げた。 ぬいぐるみであったり、靴下だったり、代えの服だったりと様々だ。時折、ゴトリと床に転がるペンキ缶に柄が刺さった物体は、 何なのか「」は見覚えがある。 「オーガスト、もしかしてあれって……」 「不発弾だよ、時々混じってるんだよね」 「ふ、不発弾!?」 「気にしない気にしない」 動揺する「」を全く気にすることなく、オーガストはクローゼットを調べ続ける。 「」は気を落ち着かせようとベッドに座り込むと。目に何かが留まった。 机の上には写真と何かノートのようなものが広げられていた。近づいて見てみると、写真には「」とマルチアーノが並んでいて 中央ではオーガストが帽子を自慢げに被っていた。一方、ノートは日記のようだ。 ●月○日 メイがロリコン「」にプロレス技をかけて遊んでた。今度あたしが相手をしてあげよう ●月×日 ロリコン「」は今日はいない。ギルドへ用事で行ったらしい。何か退屈でしかたない ●月□日 明日は皆でお買い物。可愛い服を買ってもらえるといいな。 ●月△日 今日は大好きなお母様とロリコン「」に大切で特別な―― 「「」……!」 後ろでシュピンと破壊の開始音が鳴った。 振り向けば、オーガストが頬をリスのように膨らませて、こちらを睨み付けている。 口をへの字に曲げて、むーと唸っている様は怖いというか可愛らしい。 「もー、ここは乙女の部屋なんだから勝手な事しないでよね。金玉蹴るよ!?」 「ごめんね。ついつい……あれ?」 「どうしたの?」 「そうか、幸せの青い鳥ってこういうことだったのか。全然気づかなかったよ」 「」が呆けたオーガストから被っている帽子を取り上げた。そして帽子の内側を見ると、何かに確信したようだった。 「オーガスト、これを見てみなよ」 「?」 オーガストが帽子の内側を覗き込んだ。真っ黒な内張りはいつもと被っている帽子と同じだ。 しかし、一箇所に赤い糸で刺繍が施されている。その刺繍は文字を象っており、こう書かれていた。 【我が愛すべき姉妹の1人 オーガストへ捧ぐ マダム・マルチアーノと「」より】 「ボクとマルチアーノさんの小さなプレゼントが【特別な帽子】か。なんか光栄だな嬉しいよ」 「こ。これは……その……」 「もしかして、明日の旅行が楽しくてしょうがないから、朝から被ってたんだね」 「ち、違うもん! これは特別な帽子だけど、「」の言うことは絶対絶対絶対違うから!」 「まぁ、とにかく探し物が見つかってよかったよ。ボクは部屋に戻るね」 「」が部屋を出ようとドアノブに手をかけた。オーガストは刺繍を親指でなぞってから目深に帽子を被りなおし、「」へ向いた。 「「」! 明日は一緒に遊んでくれる?」 「もちろん」 「ありがとう。それとこの帽子、ずっと大切にするからね!」 オーガストは自慢げに帽子のつばに手を添え、満面の笑顔で笑った。
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「メイ、何ですの、その書類?」 「ああ、フェブ。えーっと……新兵共なんだけどさ。訓練隊を決めるんだ。この時期の風物詩って奴さね。見るかい?」 「いいんですの? 勝手に部外者に見せて」 「部外者ってこたぁないさ。アタシたちは姉妹なんだし、誰がお前の隊に所属することになるか、先に知っとくのも悪くないだろ?」 「そうですわね……うーん、この方と、この方と、この方は絶対私の隊に回して下さるかしら? 後、この方と、この方も」 「また男だけか。むさ苦しいな、おい。女性隊員がいないのはお前の隊だけだぜ? 大体、お前の隊が何て呼ばれてるか知ってるのか?」 「『督戦隊』ですってね、この間小耳に挟みましたわ」 「ああ、『後ろは見せたくない』って意味らしいけどな。ところでフェブ、あんた暇かい?」 「やることはありませんが、暇ではありませんわね」 「それを暇だってんだよ。ジャニアリーとジューン、オーガストを呼んで来てくれないか? 残りをあいつらに振り分けようと思ってな」 「あら、面倒になりましたの?」 「面倒見のいい奴を選んだだけだよ。おっと、ジュライのことは口にするな。エイプリルったら、名前だけで不機嫌になるんだからな」 「大変ですわね、右腕も……呼びましたわ、すぐに来るって言ってますわよ」 「ありがとさん。さてと、新兵共を分類しとくかね。今回は何別に並べようか」 「顔の良さとか」 「黙ってな」 「はーい、メイお姉様」 * * * 熱い。暑い。どっちも、現況を表す言葉としては合っていた。日差しは僕の肌を焼くだけに留まらず、気温さえも上昇させているからだ。 だが僕は汗を垂れ流しながらも、しかし心は冷え込んでいた。それは今日この日が、僕にとりとても大切な日であるからという理由の他、 説明のしようが無い。僕はマルチアーノ十二姉妹隊の兵士候補生として、選び抜かれた八百二名から、何度もの体力テストや射撃テスト、 白兵戦や分隊指揮のテストなど、あらゆる戦闘に関する知識を二ヶ月間も試され続けて尚残った、三十八名の幸運な兵士の一人だった。 そう言うと僕がとてつもなく凄い戦争マシーンのように聞こえるかもしれないが、実際には叫びながら飛んで跳ねてぶっ放してただけだ。 残れたのが不思議なほどだったが、兎に角僕は、夢にまで見た栄誉と喜びを享受する立場にあった。そして、もう一つの喜びもあった。 選抜試験日程全終了後、僕と三十七名の戦友は話し合ったものだ。何処の隊に配属されることを希望するか。出所の怪しい噂によれば、 僕らは全て求めた希望を叶えられるということだった。つまり、ジャニアリー様の隊を志願すればそうなり、セプ様の隊なら、そうなる。 そういう話を聞いていた。そして僕は戦友たちと後に教えあった。噂通り配られた希望調査票に、どの隊の名前を書いたかということを。 僕はオーガスト隊と書いたと言った。瞬間、場は二つに割れた。一つは僕を同胞と呼ぶ何だかやけに馴れ馴れしい奴ら。もう一つは、 小児性愛者だの何だのとからかって来る子供っぽい連中。どっちもはっきり言ってアレな感じだったが、僕らは非常に仲が良かったので、 お互いのことを貶し合って騒いでその場は終わった。それで今日が来た。僕は候補生用宿舎に眠る生物の中で、最も早く目覚めただろう。 きっと僕のベッドの下にある穴で生活している鼠一家よりも早起きだった筈だ。それどころか、眠ったかどうかに関する記憶が無かった。 起きた後は、三十八名が誓った早朝訓練であった。僕らは姉妹兵となる。ならば少しでも高い身体能力を維持しなければならないだろう。 そう考えた末がこれだった。朝、昼、夜、深夜、いつでも僕たちは必要な時に訓練をしたし、しばしば必要でない時でさえ訓練を続けた。 昼食時などが正にその必要でない時である。この時はスープの入った皿をひっくり返すという醜態を演じた為、僕らは控えることにした。 そうこうしている間に皆が起き始め、朝の挨拶代わりの訓練を始めた。僕は先に始めた分先に終わったが、少し多めにやると決定した。 思えばこのような少し多めにという考えが、試験官が僕を三十八名中に見出す遠因となったのかもしれない。そう思えば、やる気が出る。 その後、今がやって来ていた。僕はカレンダーを見た。日捲りの奴で、仲間の几帳面な奴が毎朝捲ってくれているので、確実である。 二月だ。でも熱かった。はっきり言ってこれは夏の気候だった。でも僕は驚かなかったし、皆も驚かなかった。もうとっくに慣れていた。 そういうところなのだ、ここは。仕方ないじゃないか。エアコンは壊れているので使えないと知った時には流石に顔を歪めはしたが、 僕を含めて皆の諦めは早かった。それに今日に関しては、そんなことを言っていられない話があった。今日こそが、訓練隊への配属日。 つまり、見習いの姉妹兵としてではあるが、一応、隊員名簿に名前が載り、装甲服にも姉妹隊のマークを付けられる、ということなのだ! どの隊で訓練をするのかというのも僕らの噂にするところだった。これもまた出所の怪しげな噂では、訓練隊が正式配属隊になるらしい。 なるほど、兵士が求めたところで働けるというのは、確かに士気を上げるには手っ取り早くて確実な方法である。尤もらしい感じだった。 ただ実際にそういうことをすると、誰かの隊に偏るということがある。一方では隊員が超過し、一方は過疎化が進んでいるということも、 起こり得ないこともあるまい。それを防ぐ為に、例え原則は訓練隊イコール正式配属隊としても、ある程度は希望を無視されるだろう。 だがあれこれ考えてみても僕の心配事は一つだけだった。訓練隊はオーガスト様の隊なのか? 正式配属隊もそうであるのだろうか? それはもうすぐ明らかになる筈だった。それまで、当直の番だったので、その仕事を片付けたりして時間を潰し続けて、昼過ぎになった。 昼食は手早く済まされたのは、当然のことだろう。何が次に起こるのか皆、はらはらしている。食事なんてしている余裕は欠片も無い。 考えてみればそれこそルーキーの証なのだが、僕にも誰にもそんなことは思い浮かばなかった。僕らのヒヨコっぷりは、明白だった。 「当直! 当直はいるか!」 突然、ドアが開く音と、僕を呼ぶ声がした。その時、僕は自室にいた。他にやることも無いし、食後に訓練して腹痛に悩むのは嫌なので、 僕は本を読んでいた。勿論、放り出して部屋から飛び出たとも。すると僕の前には背丈二メートルはありそうな男が一人立っていた。 横幅も結構なものだ。第一こっちとは、雰囲気からして違う。ベテランとはこういう男か女のことを言うんだろう。その場に立つだけで、 勝手に体が敬礼しようとするくらいの凄みだった。しかし、彼は別段怖い顔をしているのではないのだ。寧ろ、優しげな顔をしていた。 彼みたいなごつい人がそんな顔をしているのは意外だったので、僕はどんな風に振舞えばいいのか分からなかったが、問題は無かった。 「当直、候補生たちを連れて来るんだ。どの隊で訓練するか、知りたいだろ?」 「はい!」 この時が来たのだな、と分かった。僕は声を荒げて走り回り飛び回って叫んで叩き起こしたりして回った。集合に一分も掛からなかった。 三十七と僕一人がぴたっと列を乱さず並ぶまでが集合である。よって、僕らは普通を基準にして考えたら、凄いことをやったのだった。 「優秀だな。当直、名前は……としあきか。としあき、上手くやれば分隊長どころか小隊長も夢じゃないな」 ベテランが言う。僕は焦る。名前をいきなり呼ばれるなんて今までに何度もあったことじゃない。しどろもどろになりそうなのを抑えた。 僕の隣にいたお調子者で通っている赤毛の男が、敬礼して発言許可を求めるとすぐ、彼の得意な冗談のネタ元である、規定を持ち出した。 「規定によれば自分よりも階級が下の者を呼ぶ時は、姓と階級名で呼ぶことになっていると記憶しておりますが」 「そんなもんはゴミ箱に突っ込んじまえ。俺は八年前にそうしたぜ。じき、お前もそうするよ」 彼は真面目な顔になった。お、何か来るぞと僕は思った。焦りの反動で冷静に物事を見られるようになっていたのかもしれない。 「俺は他隊を知らん。他所にいたのは随分前のことだからな。だが、ここでは姓と階級をくっつけて相手を呼ぶような真似はせんのだ。 分かったか? お前らが言っていい階級と役職名を教えておいてやる。『新兵』『お偉いさん』『分隊長』『小隊長』それから一番、 一番に重要な奴は何か分かるな? そう、『衛生兵』だ。分かったら俺について来い、新兵! 十二姉妹を待たせる気じゃないだろ?」 僕はこの大ベテランであり後に僕の親友となった男──エルネスト“エル・メディコ”イ・オルバネハ──のこの言葉を聞いた瞬間、 かつて、もう遠い昔に思えるあの昔日に、名誉ある十二姉妹隊を目指したのは絶対に間違いではなかったのだと、心の底から確信した。 * * * 「……よりヘンリー・アンソニーまで、ジャニアリー隊。ジョージ・ガムメルからロバート・ルドウィクまで、マーチ隊。 ケネス・スコットから……」 僕らには番号が振られている。整理番号みたいなもので、希望調査票の回収後暫くして、与えられたものだ。その時には既にきっと、 訓練隊は決まっていたのだろう。ヘンリーの奴、嬉しそうな顔で歩いて行ってる。あ、前方不注意で壁に激突した。馬鹿だあいつ。 「……までジュライ隊。マーガレット・マリーから……あれ、番号がバラけてるぞ。くそっ、いい加減な仕事しやがって、誰だ? まあいいか。ええっと、オーガスト隊は、オーベッド・マーシュ、ホール・カットナー、ジョン・ディー、ロイ・ウィタカー、 ケイシー・コリンズ……それだけか?」 僕は愕然とした。 「あ、いや、すまん。としあき、お前もだ。次、セプ隊は──」 がくっ、と膝を突く。オーガスト隊に配属になった他の仲間たちが、良かったじゃないかと口々に言うが、心臓が握り潰されたような、 あの失望感を感じもしないでそんなことを言って欲しく無いものだ。が、候補生に訓練隊を伝え終わった大ベテランのエル・メディコが、 心底申し訳ないという顔で謝って来たのには流石に戸惑った。上の人間が下に謝るのは、珍しいことである。残念なことながらだが。 それを目の前で僕相手にやられたのだから挙動不審にもなるというものだ。僕は慌てて彼に謝る必要はないのだと言った。彼はその顔に、 音をつけるなら『にかっ』というような笑いを見せた。それから彼と、僕と、オーガスト隊の仲間たちは、揃って次の目的地へ向かった。 自分と僕とはとことん縁があるようだ、と彼は言った。オーガスト隊を訓練隊にする人間の案内が、彼に任されていた仕事の一つらしい。 そう言えば確かに、さっきまで僕たちがいた何やらだだっ広いだけに思えた部屋には、他にも彼のような風格の男や女が何人かいた。 彼ら彼女らは、姉妹隊の各隊から派遣された現役の姉妹兵だそうだ。因みに今は姉妹兵は全員休暇らしく、彼ら彼女らエル・メディコは、 休日出勤扱いによって出る賞与が欲しくてこういうことをやっているらしい。倍率は結構高いそうで、彼はこの任務を得る為の努力を、 饒舌に語ってくれた。彼は話し好きなのだろう。口が止まることも、舌を噛んでしまうことも一切無い様子であった。僕らは楽しく、 暢気に話しながら、会議室Aと書いた札のある部屋の前へと到着して、入った。僕は多分、エル・メディコが悪いんじゃないと思う。 間が悪かっただけなのだ。運が悪かっただけなのだ。だって考える訳が無いのだ、中でオーガスト様が手榴弾を積み上げてるだなんて。 「オーガスト様、新兵を連れて来ました!」 あ、いや、やっぱり彼も悪かったかもしれない。大声出さなかったら、部屋のソファーに座り、テーブルの上でバベルの塔を作っていた、 我らが隊長オーガスト様がびくぅっ! と体を震わせたりしなかっただろうから。しかしまあそういうことが結局は起こってしまった。 バベルの塔は神話通り完成されることは無かった。ばらばらと崩れて行く人類の自惚れの象徴。オーガスト様は固まっていた。僕らもだ。 どんな反応をすればその場を収められるか、新兵連中では誰にも分からなかった。エル・メディコは僕らを退出させた。鈍い音がした。 ドアが開いてオーガスト様がにこにことしながら出て来て、僕らを先導すると言う。僕はエル・メディコが出て来ないので部屋を覗いた。 彼は……何か、股の間を押さえて転がっていた。これは、僕を含む新兵たち全員が、後に体験することになる、最もキツい罰であった。 図体のでかさが僕に教える通り彼は重かったが、何とか肩を貸して立たせると、先を行ってしまった仲間たちとオーガスト様を追う。 訓練場が彼らと彼女の向かった先だった。エル・メディコがそのことと、道を教えてくれた。僕らは遅れて入って行ったけれども、 責められたのはエル・メディコだけだった。寧ろ、オーガスト様は僕のことを褒めまでしたので、後で僕は、仲間に飲み物を奢らされた。 オーガスト様は僕らが座学や基礎訓練を十分にやり込んでいることを指摘、実戦的訓練に最初から入ることを告げたが、それはどの隊も、 同じことだった。三十八名からオーガスト隊に配属された六名の兵士は、銃を撃ち、手榴弾を投げ、土嚢を積んで陣地を設営したりした。 途中から、休暇の筈のオーガスト隊兵士たちが幾人かやって来て、訓練教官代わりになったので、実に為になる時間となった。 訓練熱心な方らしく、オーガスト様はロイに手取り足取り教えまでしている。いいなあ。僕も手榴弾投げる姿勢について注意されたいぞ! まあ、わざと手を抜くなんて出来ないから真面目にやるんだけど。そうこうしていると、見たことのある特徴的な銀髪が近づいて来た。 メイ様だ。反射的に訓練の手を止めて敬礼してしまった。呆気に取られた彼女を見て、僕は何か間違ったことをやったんだと知った。 顔を赤らめないで済んだのは、普段の性格からは分からないが聡明だと言われるメイ様が、楽にしろ、と僕にとって分かり易い形で、 敬礼を止めさせてくれたからだ。僕は腕を下ろし謝罪したが、彼女はさっきの僕がそうだったように謝る必要が何処にあるのかと言った。 それから、彼女は僕の訓練中ずっと教導してくれた。オーガスト様は複雑な顔をしていたが、それは自分の新兵を取られるのではという、 可愛い考えがあったからじゃないだろうか。そうだといい。本当にそうだといい。彼女は僕の射撃の腕は平均レベルだと言ったけれども、 白兵戦に関しては感じるところがある、と言った。どうも僕は気に入られたようで、何だか知らない内に、毎日の訓練後、彼女の指導で、 様々な訓練を受けさせられるということになってしまった。他の奴らは可哀想にと僕を評したが、しかし己を高めるのは重要なことだ。 選抜試験に費やした二ヶ月が、僕を訓練狂にしてしまったのかもしれない。トレーニング・ジャンキーという奴だ。僕は見たことがある。 その経験からすると、僕はまだあれではない。あれは人間ではない。ミュータントとかそういう、何かが変異してしまった成れの果てだ。 オーガスト様による訓練は、午後七時二十分に終わった。但し、メイ様の気が変わったとの理由で、明日から始める筈だった特別訓練は、 今日からもう始めることになった。午後八時だそうだった。うん、やっぱり僕はトレーニング・ジャンキーではないようだ。安心した。 * * * 一週間が経過した。オーガスト隊の正規兵たちの休暇も既に終わってから四日が経っており、その関係で僕たちはもう仲良くなっていた。 驚いた訳じゃないが、この隊には女性が多い。六対四で男性が六だが、他の隊では一部の例を除いて四を超えることは無いと聞いている。 因みに、一部の例とはエイプリル様の隊とジュライ様の隊らしい。頷ける話である。詳しく理由を聞かれたら黙秘するしかないけれども。 十二姉妹では、オーガスト様のみならず、メイ様とも仲良くなった。と同時に、エイプリル様ともある程度の面識を持つようになった。 そして、エイプリル様からの派生でジャニアリー様とジュライ様に僅かな面識を持ち、更にはジャニアリー様からの派生でセプ様と、 ジュライ様からの派生でジューン様とも名前や顔ぐらいなら知っているという関係に到った。怒涛の一週間であったことは言を俟たない。 特にメイ様とは随分仲良くなったような気がする。彼女がまるで、同期の兵士みたいに話し掛けて来るので最初はそりゃ、戸惑ったが、 慣れてみればこれほど話し易い相手はいなかった。こういうところに、メイ隊を希望した幾らかの友人は惹かれたのだろうな、と思った。 毎日のオーガスト様がする訓練では、射撃、格闘、爆発物取り扱い、陣地建築、脱出&回避、細やかな知識、それに兵器取り扱いを学び、 夜にメイ様が行う特別訓練では、僕は映画に出て来る諜報員もどきの格闘術や知識を教わった。キッチンにある道具で爆弾を作る必要が、 どんなシーンで発生するのかと思って尋ねたら、彼女はDVDを二本貸してくれた。なるほど、乗っ取られた戦艦や暴走する特急の中で、 必要になるらしい。更に言うと、メイ様が僕に合っているとして教えた格闘術は、格闘術の中では珍しく一対多数を念頭に置いているが、 オーガスト様の訓練中に使ってたら冷たい声で「とっしー変な動き」と言われた。愛称で呼んでくれたことを喜べばいいのか、それとも、 変な動きと言われたことにダメージを受ければいいのか分からなかったので、喜びつつ落胆しておいた。これで正解だったならいいけど。 後、スコップを投げて的に刺したりする訓練は、楽しいし役に立つだろうけど、標的の周りを十二姉妹の写真で覆うのは勘弁して欲しい。 でもそういう点を除けば、午後八時からの訓練はどれも興味深くて楽しいものである。メイ様も教官役を根っから楽しんでいる様子だ。 今現在もそうである。と言っても訓練は終わり、訓練後には付き物となりつつある二人のコーヒーブレイクタイムを楽しんでいるのだが。 「なんつーかさー、としあきは教えてて面白いんだよ」 「はあ、と言うと」 と、ここまで言って、僕は口を止めた。ジト目でこっちを見て来るメイ様に気付いたからであり、その原因は僕の言葉遣いにあった。 彼女は言ったものだ──十時以降は勤務時間外だ! と。十二姉妹は仕事じゃないんだから無茶ですよと言ったが、彼女は聞かなかった。 堅苦しい喋り方をするのもされるのも好きではないのだろう。兎に角、僕らはこの十時という訓練終了の時間からは、対等の関係として、 振舞うことにした。でも言葉遣いやら何やらを変えるのは僕だけだ。その上、ジト目で睨まれまでする。あれ、損ばっかりしてないか? 「って言うと、どんなところが面白いんだ?」 これが正しい現時刻における喋り方、言葉遣いだ。メイ様はコーヒーを口に運んで唇を湿らせてから、その面白いところを並べ始めた。 僕の吸収力は大したものだというのが彼女の評価の大約で、少々買い被り過ぎなところもあったが、僕の耳には優しい言葉ばかりだった。 一週間前にオーガスト様がエル・メディコを蹴り上げたあの会議室Aは、僕とメイ様のプライベート空間であったと言ってもいいだろう。 色んな話をしたものだが、決まって後からメイ様には「あんたはオーガストのことばかり喋っても飽きないんだな」と言われるのだった。 そんなにオーガスト様の話をしたのだろうか? 僕はその日あったことや、オーガスト様と話した内容や訓練中の彼女のことを話したり、 大して細かい話やほぼどうでもいいような話はしていない筈なのだけれども、メイ様によればオーガスト様の話が八割を占めるらしい。 が、そうだったとしても責められることではない。僕はオーガスト様に惚れ込んでいると言っても良い。小さな少女であることは認める。 ロリコンと言われても傷つかないだけの図太さもある。さあ、聞こう。恋した女性のことをあれやこれや喋っても、足りるということが? 無論、無いに決まっているのである。僕はそう熱弁したがまともに取り合って貰えなかった。無念である。誤解は残ってしまったのだ。 話題を変えようと思って、僕は訓練終了日のことを口にした。一ヶ月で実戦的訓練を施し、その後は正式所属隊で必要な訓練を実行する、 というのが姉妹隊の方針である。僕は当然、訓練隊の人間は正式所属隊の人間になると思っていた。メイ様は片方の眉を上げて否定した。 これこそ青天の霹靂であった。彼女が言うには、そうなることが多いが、時に人員調整があるといい、そして現在、ジュライ隊の兵数が、 二十数名ほど不足しているそうだった。僕は、終わったな、と思った。でもその日のコーヒーブレイクが終わって別れてから思い直した。 メイ様の冗談に違いない! そうとも、そんな馬鹿げたことがあってたまるか、だ! 僕はまだ起きていたエル・メディコと話した。 「いや、本当だ。そういうことがある。証明出来るぜ」 「本当なのか」 「俺ジュライ様の隊志願で訓練隊もそこだったんだよ。俺も調整を聞いた時は悲しかったなあ。まあ今はオーガスト様万歳なんだけどね」 僕は黙って寝た。 * * * 毎朝六時が、私の訓練が始まる時刻だ。一週間に一回の休みは無い。流した汗一クォートは、一ガロンの流血を阻止出来るのである。 ということは、二ガロンも流せば、一ブッシェルの流血を阻止出来る訳だ。オーガスト隊の流血が無くなる日は近そうね。私は微笑んだ。 今日も、新兵たちは並んで射撃を始めるところから訓練する。マラソンだの体操だのは、そこまではやらない。やっても意味が無い。 メイお姉様がまた来てるのを見つける。自分の部隊の訓練はどうするんだろうとふと思ったけど、ちゃんとやることはやってるんだろう。 何せエイプリルお姉様の右腕と呼ばれるメイお姉様なんだから……なんだから。どうしよう、やっぱり不安だ。大丈夫なのかな、メイ隊。 「頭じゃなくて下腹部を狙って撃って。狙撃兵になりたいなら、まず的に当てる練習からしなくっちゃ駄目なんだからね」 「はい、オーガスト様」 ケイシー・コリンズの射撃成績は秀、と。その調子でやってたら分隊狙撃手になれるよ、と励ますと、彼は子供みたいに喜んだ。 その無邪気さはオクト、ノヴェ、ディッセに似ていた。メイお姉様が私の傍を通って、とっしーの……としあきのところに向かった。 ちょっとだけ、『変な気持ち』になる。でも、それがいけないものだって思えて、私はそれを押し込めた。別の候補生のところへと行く。 暑いから、と装甲服のヘルメットを外しているとしあきの、指導して貰えないことが残念そうな横顔が、心に小さな痛みを感じさせた。 彼は問題ないから指導しなくてもいいんだと自分に言いながら歩き、ロイ・ウィタカーの伏せている場所まで来る。彼の成績は優だけど、 引き金の引き方にまだまだ直せるところがある。それを二三指摘するとより良くなった。うんうんと頷きながら次の被指導者のところへ。 ホール・カットナーの射撃技量は、姉妹兵の基準を下回っているが、その優れた医療技術と立ち回りの上手さがそれをカバーしている。 けど、技量が向上することについて悪いということは無い。彼の小銃の保持方法について助言を幾つか与え、落ち着いて撃つように言う。 彼は指切による三点バーストで撃っているが、正確にバースト射撃することを求める余りに、銃撃自体の精度が下がってしまっている。 それから何人か巡って、残ったのはとしあきだけになった。私は内心いい気分ではなかったが、メイお姉様と並んで伏せる彼のところに、 ゆっくりと歩いて行った。メイお姉様はとしあきの撃った的を見ている。私もそれに倣った。十数発の命中と失敗を見た後に、告げる。 「とっしー、下を狙い過ぎだよ。幾ら銃弾が放物線を描くからって、それじゃ当たらないよ」 「はい、修正します」 彼は構え直し、狙いをつけて撃った。弾丸はマンターゲットの右の太腿辺りに当たった。これでは駄目だが、まだ一発目だ。待とう。 それからまた十数発、撃たせた。心持ち多めに適切な場所に当たっているようだが、彼の射撃成績は姉妹兵の基準値では到底無い。 私は苛々して、自分でも口調にそれが出ているな、と頭か心の何処かで冷静に自分を観察しながら、としあきに対して注意した。 「修正出来てないじゃない」 「頑張ってます」 「アタシが保障するけど、すぐ出来るようになるよ、としあきならな」 かちん、と来た。マズい、と思った。けど、もう止まらなかった。私の口はこんなことを言う為にある訳じゃないのに、口が止まらない。 言葉が止まらない。『変な気持ち』が大きくなる。ああ、もう駄目だ。私は言葉を止めることを放棄した。冷たい言葉が喉を通って行く。 「頑張ったって当たってなかったら無駄じゃない。ちゃんとやってるの?」 「申し訳ありません」 「謝っても意味がないでしょ!」 メイお姉様が私を呼んで、肩を掴んで揺さぶった。それで私はとしあきを睨みつける目をお姉様に向けて、自分の言ったことを理解した。 私は慌てて謝った。でも私はとしあきの目を見てしまった。私には、彼の目が私を責め立てて、苛むようなものに見えていた。私は思う。 彼はそんな風に思ってなどいないのだろう。そうに違いなかった。短い間だが、それでもその程度のことくらいは分かった。でもだから、 だからこそ、私は私のことを許せなかった。周囲の視線が私たち三人の周りに集まっていたが、メイお姉様が手を振って訓練に戻らせた。 「おい、オーガスト、落ち着けよ。どうしたんだ?」 「ううん、何でもない。何でもないの。何でもないから……」 私はそう言って、何も答えずに、ただメイお姉様に、調子が悪いから後はいつも通りに訓練させて欲しい、と頼んで、そこから逃げた。 ……私は──最低だ。 * * * エイプリルは彼女の姿を見るや否や、すぐに、有無を言わせずに、意気消沈した自分の妹を自室へと連れて行った。それは彼女の妹が、 特に彼女を慕っているということを知っていたからでもあるが、しかしそうでなかったとしても、彼女は何らかの手立てを講じただろう。 それはエイプリルの性格に起因していた。オーガストも微かにその性格に期待していたが、しかしオーガストの期待は最終的には外れた。 暖かい紅茶を出されたので、オーガストはシルクハットを脱いでそれを一口飲んだ。その温かみが、彼女の落ち着きを加速させた。 姉は妹に詳しいことを問い質したい気持ちに駆られたが、それを抑える自制心が、彼女を十二姉妹隊のリーダーたらしめているのだった。 彼女はオーガストが自分から話してくれるのを待つことにした。オーガストがそうしたいと思っているからこそ、ここで紅茶を飲み、 体と心を暖めて落ち着きを取り戻そうとしているのだと彼女は思っていた。それは正しかった。オーガストはカップを空にして、やっと、 口を開いた。彼女は嘘を言ったりはしなかった。あったことをただ正直に徹して話し、エイプリルはそれを何も言わずにじっと聞いた。 全てを聞き終えてから、オーガストは何か言われるのだろうと直感したが、エイプリルは何も言わなかった。聞きたいことがまだあった。 「それで、あなた自身はどう思っていますの? このことに関してではなく、このことの後にどうするかに関しての話、ですわよ」 「私は……」 彼女は言葉に詰まった。どうすればいいのだろう? 彼女は考え込んだ。エイプリルは急かさなかった。その心遣いがオーガストを、 追い詰めもしたが、考える時間があったのはオーガストにとって幸いなことだった。しかし、彼女の理性は何も囁かなかった。 どうするべきかを最後に教えたのは彼女が持つ感情であった。謝るべきだと彼女は思って、エイプリルに言った。彼女は頷いたが、 それは同意の頷きではなく、相槌のようなものだった。エイプリルは、謝った後にどうするのかを尋ねた。オーガストは、再び詰まった。 浅い考えしか持てない自分を責めるオーガストだったが、姉はそんな彼女を優しく励ます。エイプリルは深い信頼を彼女に寄せていた。 決して、そう、決して、彼女は、自分の愛する妹が、間違った選択をする筈は無いと思っていたし、もし間違えそうになっていたなら、 自分がその時は間違いを教え、気付かせればいいと思っていた。そして妹は、実に見事に、姉の期待と愛情に応じたのであった。 「謝った後なんて分からないよ。受け入れてくれるか分からないのに、考えられる訳が無いんだから。でも謝らなくっちゃいけないって、 それは分かるの。お姉様、やっぱり、私は何よりもまず、謝らなくちゃいけないと思う。例えそれが間違ってたとしたって、謝りたい」 「それがあなたの決めたことなんですのね?」 姉は妹を優しく見つめた。妹は意気消沈していたのを引き摺っていたせいで弱々しい感じではあったけれども、にこりと、笑いを見せた。 答えはそれだけで十分だった。今度は同意の意味を含んだ頷きを返して、エイプリルはオーガストのカップにまた、紅茶を注いであげた。 彼女は砂糖を少しと、ミルクを同じように少し入れて、それを口に含む。それから、どうしてこんなことになったのかということへの、 姉の意見を聞きたく思い、それを直接尋ねた。エイプリルは、すぐにではなかったけれど、オーガストの独占欲が第一の要因ではないか、 と推測した。他にもメイの構い過ぎだって原因の中にはあっただろうが、オーガストには自分の独占欲が問題だったのだ、というのが、 一番しっくり来る、この事件の発生原因だった。エイプリルはくすくすと声を立てて笑った。オーガストは何故笑われたのか分からず、 首を可愛らしく捻ったが、それも姉の微笑を生まれさせる理由になった。元気をほぼ完全に取り戻して、彼女は膨れっ面を作って見せる。 「何だか……それ、独占欲が強いのかなあ、私。だって、エイプリルお姉様が誰かとお話してるのを見ても、変な気持ちになるんだもん」 「あらあら、オーガストったら」 優美な微笑みを見て元気付けられ、オーガストは紅茶を飲み干して席を立った。エイプリルは妹の成長を喜んでいることを隠したけれど、 それは彼女がちょっぴり恥ずかしかったからだった。妹は姉に抱き付いてお礼を言ってから、部屋を出て通路を駆け出して行った。 入れ替わりに、ノックの後、メイがやって来る。彼女はオーガストがさっきまでそこにいたことを知っており、それで問題は解決し、 もう自分たちに出る幕は無いようだと考えていた。エイプリルも概ね同じ考えだった。どうやら、メイはとしあきを担当したようだ。 何を言ったのか、興味本位で尋ねてみた。メイは、滔々と語ったが、大体において、単なる励ましの言葉を羅列しまくっただけだった。 後は独占欲のこと。そこだけが、メイとエイプリルの話したことで共通した点だった。 「メイ、あなた本当に適当ですわね」 「失礼だな、アタシだってあいつらが仲直りしてくれりゃいいって思ってるさ。エイプリル、お前もそれは同じだろ?」 「当たり前でしょう? あの子は私の妹ですのよ?」 「おいおい、アタシの妹でもあるんだぜ」 * * * オーガストは僕のところまで、走ってやって来た。僕は一人っきりで会議室Aにいた。一人で飲むコーヒーは、全然美味しくなかった。 メイ様は励ますだけ励まして何処かへ行ってしまったし、特別訓練も今日は無しだそうだ。だから僕は一人で、温い飲み物を啜っていた。 そんなところに、駆け足でやって来たら、その足音が僕に聞こえない筈が無かった。とたとたとた、という音がこの部屋で止まったので、 僕は余計にその音の持ち主が誰かを理解させられた。その後ドアが開き赤と黒が目に入って、僕は彼女に微笑まねばならなかったのだが、 どうも引き攣り気味で上手く行かなかった。オーガスト様も同じだった。僕らはすぐに、無理をすることを止めた。笑うよりももっと、 重要なことがある。自分から切り出したものか、それとも相手から切り出したものか、お互いに同じことで悩んでいたんだろう。 僕ら二人は黙り込んで見詰め合った。五分か、それ以上か。いたたまれなくなって、僕は彼女の分のコーヒーを淹れることにした。 その間に彼女は会議室の椅子に座った。僕の隣だ。それは、相手を見詰めることでお互いの身動きが取れなくなることを恐れてのことだ。 賢い行動だったが、僕はどぎまぎすることになった。オーガスト様は僕が淹れたコーヒーにミルクと砂糖を入れてから、一口飲んだ。 甘党なのか、コーヒーの苦さが嫌いなのか、砂糖を多めに入れていたのが印象的だった。彼女は一口飲んで、美味しいね、と言った。 恐らく嘘だ。そのマズさは僕がとうに知っているところであった。だから彼女は優しい嘘を吐いたのに違いなかったが、僕は首肯した。 「ごめんね」 僕は彼女が何を言ったのか、ちゃんと聞いていなかったので分からなかった。それにそれは、美味しいね、の後に来る言葉ではなかった。 彼女は繰り返して言った。聞いてなかったことが分かったからじゃない。繰り返したのは彼女が、一回言った程度では、と思ったからだ。 「ごめん、としあき」 「いいんですよ、オーガスト様」 「良くないよ!」 大声を出してから、また、訓練場の時みたいな表情を見せる。激情が冷めた時の、あの表情だ。僕はそんな顔をしていて欲しくなかった。 女の子には笑顔が似合う。でもそんな歯の浮くようなこと、僕がオーガスト様に言っていいようなことじゃなかった。特に今の状況では。 彼女は僕に語った。恥ずかしいのか、様々なことをぼかして語ったが、彼女が言いたいことを本当に大雑把に要約するとしたのならば、 自分の隊員、それも自分とそれなりに仲のいい隊員を姉に取られる気がして気に食わない上にその隊員も鼻の下伸ばしてるのムカつく、 と言ったところだろう。独占欲である。メイ様の言った通りなところがあったので、僕はそこまでびっくりはしなかったが、代わりに、 にっこりと微笑んだ。誰のところにも行きません、誰のものにもなりません、自分は、オーガスト様の隊員なのですから。そう言う。 これだって大体歯の浮くような言葉ではあるが、さっきのよりはマシだと思う。僕の感性はズレていると良く言われるから不安だけど。 彼女は恥ずかしがった。それで、独占欲でないと否定しまくった。僕は思いっきりにこにこしてあげた。しまいには叩かれる始末だった。 「いいんですよ、オーガスト様。それは誰にだってあるものなんです。僕にも、オーガスト様にも、メイ様にも、エイプリル様にも」 「それでも、私は恥ずかしいの!」 「あの、その答えは独占欲が原因であると告白しているようなものなのですが」 「あああっ! としあきーっ!」 頭を抱え込んでしまう。僕は彼女の小さな肩を抱きたい気持ちに襲われたが、何とか我慢した。それから、オーガスト様の優しさを褒め、 再度、独占欲が恥ずかしいものではないのだと言い、最後に、実は僕も、オーガスト様が他の隊員たちと話してると、変な気持ちになる、 と言った。これは効果覿面だった。実際にまあ少しだけ、ほんの少しだけだけど、僕にも話し掛けて欲しいなあ、と思ったりするけどさ。 彼女は顔を上げた。顔はほんのり赤かったが、僕の言葉に耳を傾けてくれるようだった。僕は、僕も同じように感じるんですから、 心配しないで下さい、と言った。あなただけじゃないんですよ、と。それは自分の心を中々表せない少女には、嬉しかったらしかった。 「ありがとう」 彼女は言った。僕は頷いた。でもそれだけじゃ何か気に入らないようだ。自分に出来ることは無いか、と彼女は聞いて来た。僕は考えた。 それから、言った。 「また、とっしーって呼んでくれたら嬉しいです」 「……とっしー!」 そうして、僕らは仲直りして、前よりもっと仲良くなったのだった。 * * * 約三週間が経った。僕や僕以外のオーガスト隊所属新兵、それに他の姉妹の下で訓練されている三十数名の同期たちもようやくのことで、 十二の文字と羽のマークが入った装甲服を着こなせるようになり、姉妹兵らしい振る舞いと言う奴も板に付いて来た。だが僕は凡そ、 一週間前からずっと、憂鬱な気分が離れなかった。僕はいつまでもオーガスト隊ではいられないのだ。ジュライ様の隊に回されるのだ。 このことを知っているのは、少なくともオーガスト隊にいる新兵の中では、僕だけだ。それが僕を余分に苛むのだった。オーガスト様は、 それを知っているのか知らずにか、教練中しばしば会いに来ては、僕の体調が悪そうだ、と心配するのだった。僕は力なく笑ってみせる。 だって、それ以外に何が出来た? どうして、僕らの正式な配属先が決まっていたにも関わらず、訓練を受ける隊は自由希望だったのか。 分からなかった。何かの拍子に、溌剌とした笑顔の、シルクハットを被った少女の幻影が、瞼の裏に張り付いて離れなくなってしまう。 そんなことを繰り返して──その末が、今日だった。二月最後の日だ。明日、僕ら新兵は、単なる新兵などでは無くなる。姉妹兵になる。 本物の姉妹兵だ。十二姉妹隊正規兵となるのだ。理由は分かっていたが、それだというのに、僕は明日という日が来るのを悲しんでいた。 オーガスト様の横で迎えられない任命式に何の意味があるだろう? 十二の文字と羽──その羽に、八ではない数を表す記号が入るなら、 その部隊章に、どうして喜びを感じられるだろう? 全教練課程が終わったことを祝し、訓練場では迫撃砲を使った花火が上がっていた。 僕はそれを、ある程度距離がある、屋外射撃場から眺めていた。目を凝らせば兵士たちを見て取れる。それに射撃用のスコープがあった。 相変わらず一人で飲むとマズいコーヒーを飲みながら、僕はパイプ椅子に座って、ぼんやりと彼らを見つめる。向こうは馬鹿騒ぎだった。 ジャニアリー隊とマーチ隊は空に空砲を撃ちまくっている。実包でない辺りが彼ら彼女ららしい。ジューン隊、ジュライ隊の兵士たちは、 この馬鹿騒ぎの為に用意された食事の給仕に回っていた。何故かは良く分からないが、交代制ででもあったのだろう。だがしかし彼らは、 既にアルコール飲料を摂取していた為に、スープ類のものを求める者は漏れなく、服に染みを作ることになってしまっている様子だった。 騒ぎまくっている連中の中に、ちらほらと十二姉妹の姿も見ることが出来た。ジャニアリー様はべろんべろんに酔っ払ってしまっている。 四方八方に撃ちまくっているのは誰かと思ったが、マーチ様だった。彼女も酔ったら酔ったで、それなりに『開放的』になるらしい。 フェブ様は彼女の隊の男たちと『楽しんでいる』らしかったが、絶えずその目は兵士たちの各部位に注がれているので、居心地悪そうだ。 ジューン様は、ジュライ様と、ちょっと離れたところから喧騒を楽しんでいる。あ、こっちに気付いた。手を振られる。僕は会釈した。 酔っ払った一群が大挙して突撃した先にはエイプリル様がいる。流石の十二姉妹隊リーダーと言えど、これには即応出来なかったようだ。 あっという間に彼女は囲まれ、平伏した彼女の兵士たちに何やら叫ばれ始めた。「我らが女神!」「じゃなくて天使!」「そうだった!」 とか聞こえる。僕は目を閉じて、音をシャットアウトして、ゆっくりと一人っきりで涙を流しでもしようかと考えていた。続けるならば、 思ったのみならず、泣く寸前まで実際に行った。それを止めたのは背中に掛けられたメイ様の声だった。シャットアウトは不完全だった。 振り返って敬礼する前に、時間を確かめる。十時は過ぎている。つまり、敬礼も敬語も必要は無い、ということだ。振り返り、夜の挨拶。 彼女は僕の傍にやって来た。彼女のお祭り好きは誰もが知り、また誰もが認めるところなのだが、それがどうしてここに来たのだろうか? 「一人で過ごすのがそんなに好きなのか?」 「嫌いじゃない」 彼女は軽く笑った。明るい笑いだった。僕はそれが羨ましかった。明るくやってられるということが、最早僕にとっては羨ましかった。 「便利な表現だな、それ」 「それを言いにここまで来たのか?」 怒るなよ、と彼女は言った。僕は、そう取られても仕方の無いような物の言い方をしていたことに気付き、彼女に謝った。彼女は許した。 彼女は肩を軽く回すと、僕の前に椅子を持って来て、こう形容するのは何だが、どっかと腰掛けた。彼女と過ごしたのは四週間だけだ。 それでも、その感情の動きを少し読み取ることは出来た。彼女は何かに苛立っているか、不安であるか、気に入らないものがあるようだ。 僕は率直に尋ねた。本来の性格からすると回りくどい尋ね方をするのがいつものことなのだが、今日はそんな面倒はしていられなかった。 メイ様は答えを渋らず、待っていたかのように答える。というか、待っていたんだろう。僕が気付き、そのことについて尋ねて来るのを。 彼女が淡々と告げるには、自分が手塩に掛けて育てた兵士の一人が、何かに悩んでいる。それが気に入らないのだ、ということだった。 勿論それは僕のことなのだろう。それ以外に誰がいる? これは自意識過剰ではなく僕のことだ。僕は三度、彼女をはぐらかそうとした。 だがメイ様は逃げようとする僕の肩をがしりと掴んで離さず、目には真剣な輝きを灯している。僕はとうとう、観念させられてしまった。 全て話す。明日配属される隊の話を出した時には、彼女はエル・メディコに対しての一言二言の文句を呟いたが、後は黙って聞いていた。 オーガスト様に言わなければならない言葉の話もした。僕はその時にはもう、それを言うのをすっかり諦めてしまっていたのだけれども。 今日の教練、最後の訓練で、僕は何も、言わなければならないことを言えなかったからだ。メイ様は上手くやってやると言ったが、僕は、 それを信じなかった。そうして少しの間、花火と馬鹿騒ぎを、僕らは眺めていたが、やがて彼女は立ち上がって僕の肩を優しく叩くと、 射撃訓練場を後にした。再び一人だけになる。再び涙がやって来る。結論から行くと、それはまたも止められたのだが、今回は遅かった。 ちょっぴり遅かった。涙の攻勢が始まったのが、メイ様が去って十分後ほどで、止まる原因が来たのが十分と三十秒ほど後だったからだ。 僕の目から幾粒かの涙が零れ落ちていた。大の男が泣かないというのは、大嘘だ。僕は泣いていた。振り返った先に、メイ様が十分前に、 そうであったことよりも不可解なことにそこにいたオーガスト様は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、僕の前に立ち尽くしていた。 僕の涙は瞬間、引っ込んだ。無様なところを見せた、見られてしまったものだと思って、とても恥ずかしく感じ、バツが悪くて下を向く。 「こんばんは」 微笑を浮かべて、僕はそう言った。ちゃんと作れていた筈だ。顔には微笑があった筈だ。オーガスト様も笑った。僕らは挨拶を交わした。 その頃には僕も冷静になっていたので、彼女が何故ここにいるかの理由を確信していた。メイ様だ。その他に考えが一つも浮かばない。 彼女がオーガスト様をここに来るように仕向けたに違いない。しかしどうやって? 僕は少しばかりの好奇心を抱いた。どんな理由で? もう十時は過ぎ去っているのだ。幾ら第三世代の中では一番大人に近いとしても、今の時間帯は彼女が起きているのには向かないだろう。 「どうしてここへ来られたのですか」 「来ちゃいけなかったかな?」 否定で返す。そんな訳は無い。彼女はメイ様がそうしたように腰掛けたが、彼女がすると『どっか』ではなく、『ちょこん』だった。 僕のすぐ前に、彼女がいる。運が良かったのは、もう真っ暗だったということだ。彼女の顔は殆ど見えない。僕の顔もそうだといいけど。 だって、赤くなっている。その顔を見られるのは、泣いている顔を見られるのと同じか、それ以上に、恥ずかしく避けたいことだった。 「オーガスト様」 彼女はこっちを向き直った。はっきり見えなくとも、その動作は分かった。 「──僕は、心配していました」 「何を?」 「僕が所属する隊……十二姉妹隊の兵士として、一人前になれるかどうかです。自信が持てませんでした。でも」 僕は空を見上げた。星が光っている。迫撃砲の花火の光があっても、星々の輝きは僕の網膜に薄く焼きつくほどの光だった。 「明日僕は、この隊を離れて、別の隊に所属するようになります。正規兵として。一人前の兵士として」 実を言ったなら、こんなことを言いたいのではなかった。僕には、彼女に、このような戯言よりももっと先に、言うべきことがあった。 だが僕は、非常に臆病なのだった。伝えたいことが伝えたいように伝わるとは限らない。だから、思ったように伝わるよう、気をつける。 それがこのどうでもいいに等しい話だった。言うなれば会話のレールを敷いたようなものだ。それで、終着点はもうすぐのところだった。 「だからそうなる前に言っておきたいんです。隊長、オーガスト様。“あなたのお陰だ”と……ありがとうございました」 僕は深々と頭を下げた。僕が言いたかったのは最後の一言だけだった。それがどんな伝わり方をするか、僕には知る術は一つも無い。 ここまで鍛え上げてくれたことにありがとうなのか? ここまで良くしてくれたことへのありがとうなのか? 何もかもへの言葉なのか? どう取られるかは問題ではなかった。僕がそれを彼女に言ったということが重要だった。独り善がりな考えだと、心の中で自嘲した。 この時の彼女の顔、僕の顔は一体どうなっていたのか。メイさんが『上手くやって』くれなかったら、きっと一生悩んでいたに違いない。 迫撃砲の発射音がして、数秒後に赤や黄色の光が暗い空を飛んだ。だから僕は、彼女の表情を見ることが出来た。愛らしいその顔を。 「多分それは」 彼女は、大変な勢いで発射され続ける迫撃砲の光を見つめながら、呟く時の声で言った。その小さな囁きは、空に吸い込まれていく。 微笑んでいた。彼女は微笑んでいた。何かを知っているような微笑みだった。炸薬の破裂音がして、ほんのコンマ数秒、世界が瞬く。 「それはとっしーの努力の賜物っていうもので、“私のお陰”じゃあないと思う」 二つ目の破裂音は、照明弾のものだった。パラシュート付照明弾の強い光は、オーガスト様の横顔をはっきりと照らして見せてくれた。 「けど」 彼女は下を向いて、何だか照れ臭そうにしたが、すぐに僕の方を向く。 「それでもとっしーが“私のお陰”だと言うのなら、私も言おうと思うの。……ありがとう、としあき」 にこり、と彼女は笑った。僕もやっと、力なく笑うのではなく、心からいい気分で、笑うことが出来た。明日を迎える覚悟が出来ていた。 僕らは暫く、迫撃砲弾の花火を見つめていた。程なく、オーガスト様は椅子から立つと数歩歩いて、僕を見て、手招きをしてから言った。 「帰ろうよ、とっしー。もう遅いよ?」 「そうですね、隊長。眠いでしょう」 彼女のベッドへの道を歩き始めるが、それは生憎すぐそこにあるものだった。だから僕たちに最後の会話を楽しむ余裕は、ほぼ無かった。 「私、子供じゃないもん。全然眠くないもん」 「ふかふかのベッドに柔らかい枕」 「ふわぁ……」 「ほらやっぱり」 「ね、眠くないよ! 条件反射だよ!」 「はいはい」 部屋の前に到着する。僕は足を止める。彼女はドアを開けて、振り返り、今日一番の笑顔で、言った。 「お休み、としあき」 「お休みなさい、オーガスト様」 * * * そこから先は覚えていない。僕は帰って眠ったらしい。起きた後には、即刻事務室へ全員出頭を命じる書類が、ご丁寧に届けられていた。 事務室にはエル・メディコがいて、以前新兵だった者たちに悲報を与えていた。彼は不愉快そうな顔だったが、部屋に僕が入って来ると、 幾分かはその顔も和らいだ。彼は仕事をする前に、僕に愚痴を散々言った。ジュライ隊への人数合わせの配属が、愚痴の九割だった。 そう言えば、僕も九割の話の内なのだった。でも僕はもう、それで憂鬱になりはしなかった。昨日、覚悟出来ていたからだと思う。 エル・メディコは、あれこれの文句──エアコンが壊れたまま修理されていない、ペンのインクがどれも切れ掛けなど──を言ってから、 彼の本来の仕事に取り掛かった。僕の名前を探してくれている。何しろ、彼のファイル整頓術はどうしようもなく乱雑なものなので、 たった三十八名のファイルからだって、探すのに数分を要するのだった。そのことはもう知っていたので、僕はそこまで苛つかなかった。 「えーっと、としあき、としあきと……おお、あったぞ、これだな。オーガスト様の部隊だ。次呼んで来い」 「何ですって?」 僕は耳を疑った。そんなことがある訳が無かった。他の殆ど誰もがジュライ隊へと配属されたのだ。だというのに僕だけが何故そこに? 「聞こえなかったのか? オーガスト様の部隊だ。考えられるのは、ジュライ様の隊の欠員が丁度埋まったんだろうな、お前以外の兵で」 「何故です!」 エル・メディコは大げさに溜息を吐いた。半目で、にやにやしながら、彼は僕に突き放すような口ぶりで言った。 「知らんよそんなこと。とっとと案内役と一緒に挨拶しに行って来いよ、正規兵。きっとお前を、『お待ちかね』だぞ」 何てことだ、知ってたんだ。彼女は知ってたんだ。くそ、何て恥ずかしいことをやってしまったんだ! 彼女の微笑はこれだったんだ! 彼女の……メイ様の言葉は嘘じゃなかった。彼女は本当に、『上手くやっ』たのだ! ちくしょう、一体なんだってこんなことが起こる? 思いとは裏腹に僕は喜びに体を震わせていた。足は崩れ落ちそうになっているかのようであり、がくがくと音でも立てそうなほどだった。 僕はしかし部屋を飛び出すと、大いに喚き立てながら走り出した──愛しいあの少女の許へ。そして彼女は、きっと笑ってくれるだろう。
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オーガストの朝はそれなりに早い。セプ(と、当日何か楽しみな予定のある三つ子)には劣るが、かなり早い方だ。 午前六時半、彼女は目を覚ます。 鳴り出す五分前の目覚まし時計を余裕な手付きで止め、目を擦りながら暫しの勝利に酔う。 寝る時には下着だけになるので、彼女の着替えはまず下着を脱いで丁寧に畳むところから始まる。 この間、もし伝令など何らかの必要性があったとしても、ギルド兵が不用意に訪れようものなら、 用件の後に戦死者リストに人数分の名前が追記されることになるだろう。 可愛らしいピンク色の、フリルが付いた下着を脱ぎ、新しいそれを身に着ける。 実はクローゼットの奥に色っぽい黒下着があるのだが、未だに使っていない。 使う相手が居ないのだからとオーガストは自分に言い訳するが、どうせ使っても合わないだろう。 因みに本人は隠し通しているつもりだが、フェブ経由でとっくの昔にギルド兵にさえバレている。 彼女の服については、ニルソンからプレゼントされたものをいつも着ている。 今日もそうで、オーガストはお気に入りの一着を着込んだ。 ただ、シルクハットは別だ。シルクハットには只ならぬ愛着があり、専用の収納ケースもあった。 毎朝毎朝、彼女は髪を整えるとシルクハットと睨み合いをする。 ウールフェルトを糊掛けしてハードに仕上げた一品。コットンで出来ている、長く使ってきた歴史ある一品。 うんざりするほどのシルクハットがある。その中から、今日という一日に相応しいものを探すのである。 最後に、蹴りの練習。彼女の日課だ。暇があり、気が向けば、いつでもやっている。 膝蹴りを試したり、コンボを探してみたり、新しい蹴り技を考案してみたり、尽きぬ情熱を傾ける。 それが済めば、後は殆ど何もしない。予定があるならば実行して、何もなければ体の鍛錬をしたり遊んだりする。 確認の為にカレンダーを見ると、今日はまず検閲があるようだった。 畳んだ下着と、前日眠る際に畳んで置いていた服を持って、十二姉妹専用の洗濯室に向かう。 大型の洗濯乾燥機の中に放り込み、電源を入れ、設定をして部屋を出た。 入れ違いにセプと会う。朝の挨拶をして、オーガストは検閲の為、 彼女の住む屋敷から少し離れた場所にある練兵場に向かった。 自転車でも使えばすぐ着くのだが、そうしない。彼女曰く、道のりを楽しむのだということだ。 で、これはどうでもいいことではあるが、ギルド兵の間では単に乗れないだけなのだと実しやかに囁かれている。 歩きながら伸びをして、まだ完全に起き切っていない体を本調子にした。 すっきりとした心持で道を歩く。朝のひんやりとした空気は、一層彼女の気持ちを良くした。 練兵場に近づくにつれて、地響きが聞こえて来るようになる。 オーガストが検閲の詳細を確かめると、こう表記してあった。 『迫撃砲部隊の射撃、閲兵、新入隊員への手榴弾投擲訓練の見本』 うんうんと何度か頷いて、自らの身長をかなり超える大きさの両開きの扉を開け、練兵場に入る。 と、大分に離れたところに居たにも関わらず、他のギルド兵の訓練を指揮していた兵が、駆け寄って来た。 その目の良さに呆れるオーガスト。 彼は朝早くから手を煩わせたことへの謝辞を述べ、一応ですがと断ってから説明した。 「これからあの迫撃砲分隊五つが、同時に別々の目標を攻撃します。彼らは鍛え抜かれていますから、百発百中ですよ」 二人は少し離れた場所から、言葉通りになるものかどうか見守っていたが、一向に発射しようとしない。 焦った隣の兵は手短に謝ってから、彼らの傍に走り寄った。 その時に交わされた会話は幸いにもオーガストに聞かれはしなかった。 彼らの会話はこうだ。 「おい、どうして撃たないんだ? 俺が恥を掻くだろう」 「あんたがさっきからバカスカ撃たせるから、オーバーヒートして撃てやしねえんだよ」 「水は?」 「さっき休憩の時に飲んじまった」 「なるほど。じゃあ体内から出すか」 「戦争映画の見過ぎだ」 「いや俺昨日はプロジェクトA見てた」 後は予想に任せるが──まあ、想像に難くはないだろう。 兎に角彼らは液体で筒を冷やすと、迫撃砲弾を発射した。 それは撃ち出した彼らも驚くような綺麗な曲線を描き、三発が続けざま、各々の目標の上に落ちる。 隊長の評価を待ち、固唾を呑んで、オーガストを見る隊員たち。 返答は拍手だった。彼女は喜んでくれたのだ。隊員たちの間に安堵と喜びが走る。 次は閲兵である。隊員たちはヘルメットの下のにやにやした顔を引き締めた後、ヘルメットを外し整列する。 オーガストはその横を、緩やかな足取りで通る。ある一人の前で足を止めた。 「ヘルメットの部隊章が曲がってるね」 呟くと、慌てて直す。それを、唇の端を吊り上げながら見る少女。隊員の何名かは、羨ましそうに彼を見つめる。 勿論だが、部隊章が曲がっていることを指摘された隊員とその仲間たちは、 オーガストがそれを気に入らないから直させたのではないと知っていた。 彼女は自分の立場を心底気に入っているのだ。 だから、立場を利用して、相手より高い位置にいると思って(実際そうだけども)、喜んでいる訳である。 外見に相応の子供らしい行動だから、オーガストが胸を張って自分の優位を示しても、誰も本気で相手にしない。 ああ、オーガスト様は今日も可愛いなあで終わる。気付かれないように目を細める辺りはちゃんとしているが。 閲兵を終えた後、新入隊員とそれ以前から入っていた隊員に分かれる。 新入隊員はオーガストの見本を見せて貰い、実践する。それ以前のものは観賞だ。 何人かは新入りの中にヘルメットをつけて潜り込もうとしたが、取り押さえられた。 「じゃあ、まずは一般的な手榴弾から説明するね。これはM24型柄付手榴弾と言って……」 事細かな逸話から、為になる雑学まで交えて新入隊員に手榴弾とは何たるかを教えるオーガスト。 それでも十分間に纏め、実際に投げてみるところまで進める。 「今回はこの演習用の模擬手榴弾を使うから爆発はしないよ。えっと、何処に投げようか」 あちこち向いて標的を探す間に、古参の兵たちは五、六歩後ろに下がった。 それは、こんな会話があったからである。 「ところで昨日プロジェクトA見てたんだけどさ」 「聞いたよ」 「模擬弾と実物取り替えた」 「いい加減にしろよお前。万が一こっちに飛んできたらどうするんだ」 やっと標的を決めたオーガストが振り向くと、新兵たちから古参が離れていた。 が、別にそこに立って居ろと言ったのではなかった為、気にせずに進める。 「じゃあ投げるよ。まず投げるにはこのリングの付いた紐を引っ張ります。 遠くに投げる時はリングを指に嵌めて、そのまま投げるといいよ。で、引っ張ってすぐ、投げる!」 ぶん、と宙を舞う手榴弾。幸い、人の居る場所には落ちなかった。 一、二、三、四、五秒が立ち、爆発する。 新兵は腰を抜かした。古参たちは笑いに笑う。何人かは耐え切れず地面に這い蹲って笑った。 その中で、何とか震えながら耐えていた男の体が、ぴたりと止まる。視線はオーガストに釘づけだ。 何なのだろうと思って仲間が見てみると、そいつも固まった。 驚いたオーガストは躓いて転び、こちらに体を向けていたのだ。 更に体勢の問題で、丁度下着が見えるか見えないかの位置だった。 立ち上がるオーガスト。埃を払い、落ちてしまったシルクハットを被り直す。 それから緩慢な動作でその二人の前に立つと、鍛えられた肉体で、鍛えられた数々の技の内二つを披露した。 三十分後。新入隊員を帰らせ、古参隊員全員に練兵場を、 二十キロ分フル装備で走るよう通達した後、オーガストは屋敷に戻った。 自室から二冊の本を持ち出して、居間のソファーに座る。運のいいことに誰も居らず、静かに本が読めそうだった。 懐からフェブの古い眼鏡を取り出し、掛ける。別に目が悪いのでもないし、インターフェイスを使うのでもない。 そうした方が大人っぽいような気がしただけだ。 読むのは図書室から借りて来たゲーテやその他、一般人なら見ているだけで眠気を誘発するような書の数々。 オーガストはそれにも良く耐え、十分間字を追っていたが、遂に本を閉じると、もう片方の本を読み始めた。 題名だけ紹介しておこう。『手榴弾と歴史』である。 四時間たっぷりと味わって、彼女は本を読み終えた。充足感が心に満ちる。 予定を確認した。もう入っていないらしい。 久しぶりに、彼女の憧れ尊敬する、エイプリルの部屋に遊びに行くことにする。 気取られぬよう足音を忍ばせ、ドアを開ける。机に向かった敬慕の対象の姉は何かに熱中しているようだった。 かちゃかちゃと金属音を鳴らせている。背中に飛びついた。乾いた音が鳴って、硝煙の臭いが鼻をつく。 ひくひくと震えるエイプリルの眉。手には、実包を込めていたのだろうルガー。銃口から白煙が立ち上っている。 状況を総合的に考え、冷静に検討した結果オーガストは、先手必勝で謝ることにした。 「そこにお座りなさいオーガスト。ええ、そこ、床ですわ。ああ、正座で座りなさい」 けれども、こういうことに厳しいエイプリルはそれを許さない。 みっちり数時間のお説教を食らう羽目になった。 途中、気の毒そうな、それでいて何も考えてなさそうな顔で、三つ子が通った。 自分が畏敬する人から叱られたことで意気消沈し、 そのまま退室しようとするオーガストの頭をエイプリルは優しく撫でる。 性格の捩くれたマーチが見たら、『飴と鞭』と言って笑っただろう。 だがオーガストからすれば、救済に等しかった。調子を取り戻した彼女は、ほんの思いつきで射撃場に向かう。 今日は新型の焼夷手榴弾が大量に入荷する日なのだ。 実際に手にとって、暫く弄繰り回す。 ピンを少し引っ張ってどれくらいで抜けるのか調べたり、重さを確かめてたりする。 その後、通常通りの手順で投げた。四秒の遅発信管がセットされた手榴弾は、空中で二秒半を過ごし、 一秒を地上に当たってバウンドしている間に過ごし、残りの半秒を地面で過ごした。 爆発し、テルミット反応で鉄をも溶かす高温に達する周囲。匂いが届く。良い匂いだ、と、オーガストは思った。 それから彼女は狂ったように投げ続けた。 肩の接合部分に異常がないか検査する必要があると、途中から来たメイが思うほど投げた。 防御型手榴弾、攻撃型手榴弾、黄燐手榴弾、先ほどの焼夷手榴弾、 催涙手榴弾、発煙筒、音響手榴弾、閃光手榴弾、特殊音響閃光手榴弾、 一々固有の名を挙げて行けば、全く切りがないほどに投げた。 途中、昼食を食べる為に屋敷に戻ったりもしたが、ありったけの手榴弾を投げた頃には夕方になっていた。 運動の為に脱いでいたシルクハットを被り、同じく帰ろうとしていたメイと一緒に歩く。 メイとオーガストは歩幅が違うので、オーガストが追いかける形になっていた。 それを見て、メイが妹の体を抱え上げ、肩車する。 恥ずかしがってオーガストは姉の鋭角的な頭を叩いたが、それ以上の拒否はしなかった。 帰ると、夕食が始まる少し前で、今から呼びに行こうと思っていた、とセプに言われる。 メイはオーガストを下ろすと、自分の席に座った。妹もそれと同じように、自分の席に座る。 不思議なことに空腹になると時間が遅く感じるもので、 オーガストはいつまで待っても料理が来ないような気がして来た。 用意されたフォークで皿を軽く叩く。きん、という音が鳴った。 オクトがそれを見て、スプーンで皿の中央を叩く。こん、という音がする。 ノヴェも真似して、彼女はコップをとん、と机に置きなおした。 困ったのがディッセだ。何を使うか迷った彼女は、手を水で濡らすと、それで皿を擦った。 きん。オーガストがリズムを取るように叩く。 とん。ノヴェが間に挟むようなタイミングでコップを置いた。 こん。音のない空白部分が一対一対一になる時を見計らって、オクトはスプーンで叩く。 締めくくるように、ディッセが皿を長々と擦った。 咳払い。マダムが視線でたしなめていたので、四人は諦めて素直に料理を待つことにする。 彼女たちが作曲を取りやめてすぐに、セプの自信作らしい料理が運ばれて来た。 それについては割愛する。十二姉妹で一、二を争う料理上手の悲しみの声が聞こえそうだが、省略する。 で、食べ終えた後。 三つ子は早々にベッドに退却して行った。 オーガストは、大人は夜更かしをするものと信じて止まないので、寝ようとしない。 寝ようとしないが、体は睡眠の必要性を切実に訴えていた。よって、オーガストはテレビを見ている最中に眠ってしまった。 「う、うう……空飛ぶOTO M35……!」 何やら奇怪な寝言を呟きながら魘され、寝返りを打つ彼女の体を優しく抱き上げる女性。 彼女、オーガストの敬するエイプリルだ。 普段はきつめきつめに接する彼女の今の態度をからかうメイを黙らせ、部屋に運んでいく。 ベッドの上に横たわらせて、起こさないよう注意して服を脱がせ、畳む。 毛布を掛けると、心なしか落ち着いた風に見えた。 エイプリルは何か他にやっておくことがないか確かめた後、可愛い妹の寝顔に微笑んで、部屋を出た。 オーガストの夜は早い。三つ子には劣るが、姉妹では早い方だ。 午後九時半、彼女は眠りに就く。これが、余り変わり映えしないが大切な、彼女の日常だ。
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エイプリル / APRIL 【エイプリル】 ポップンミュージック14 FEVER!で初登場したキャラクター。 エイプリル / APRIL 誕生日 担当曲 ポップン14 アクション(pm14) キャラクターポップ 関連キャラ、用語リンク 出身地 趣味など すきなもの きらいなもの AC6で登場した女スパイ・「メイ」の過去の姿で、スパイとして初の任務についた時の姿である。 誕生日 4月1日 エイプリル=4月。 担当曲 モンドロック ジャジードラムンベース [Danza Pantera] ポップン14 アクション(pm14) NEUTRAL GOOD GREAT FEVER MISS JAM DANCE 【左右移動型】 WIN FEVER WIN LOSE キャラクターポップ 【色違い】 関連キャラ、用語リンク メイ ジューン ジュライ このキャラクターが描かれているレアカード 【シークレット・ミッション!】 キャラクター一覧/ポップンミュージック14 FEVER!
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独立戦争編Ⅱにおけるオーガスト セプ喪失後、同じ第三世代でありながら、 オクトらの面倒見役として頼られるようになる。 本人は大人扱いされた気がして嬉しい半分、 オクトたちの悪戯の標的にされたりなどして、 困ることもあった。 今もエイプリルを慕っているが、一年前や、 それ以前と比べ、表面的には姉離れが進んでいる。 独立戦争編Ⅱにおける戦闘スタイル 手榴弾と梱包爆薬、可塑性爆薬を使って活躍するが、 拳銃程度の自衛用武装は持つようにしている。
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登録日:2011/12/20 Tue 19 16 57 更新日:2022/11/02 Wed 12 17 27NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 8月7日 DTB DTBG MI6 エージェント オーガスト7 ゴランの有様だよ! ←でもなかった シルクハット ネタキャラ マジシャン 契約者 手品師泣かせ 水着はブーメラン 赤コート 赤ザコ ←違う 銀髪 私はマジシャンなんだ タネも仕掛けも無い DARKER THAN BLACK -流星の双子-に登場する契約者。 イギリス秘密情報局秘密情報部「MI6」に所属するエージェント。 赤いコートにシルクハットを被った銀髪のイケメン。本当に諜報員か? 某赤ザコとは関係無い。 ○人物 契約者らしい合理的かつ冷静な一面もあるが基本的に饒舌。 自身の「マジシャン」というあだ名を気に入っているらしくよく名乗っている。 能力の対価を「拷問」と称してウンザリして見せるなどノーベンバー11ほどではないがユーモアもある。 常に舞台じみた言動を取るがその技能・戦闘能力はMI6でも最高クラスと思われる。 ○契約能力 能力「タネの無い本物のマジック」 正確に言うと自分の周囲の空間を歪めてしまう能力。 懐から刀剣や銃を次々に取り出す 飛んできた銃弾を一方通行のように反射する(正確には放たれた弾丸をそのまま排出させてるだけ) 体をすり抜けさせナイフによる攻撃を無効化 等、非常に汎用性が高く戦闘ではかなり有効な能力。 弱点は常時発動ではないので不意打ちに弱いこと。 対価「マジックのタネを明かすこと」 肉体的な消耗は無いが一回一回払わなければならないため手品の研究が要るという地味に面倒くさい対価。 マジシャンであるオーガスト7的には「拷問」に等しいものらしい。 本編中では「タバコがコインをすり抜けるマジック」、「人を箱に入れてサーベルを刺すマジック」のタネを明かした。 ある意味手品師泣かせ。 「流星の双子」本編には第一話から登場。 パブリチェンコ邸に潜入していたエイプリルの支援の為ウラジオストクに派遣される。 エイプリルが死亡したため翌日、ジュライとは別行動で紫苑の探索を開始。 同日、蘇芳と流星核を狙った黒とFSBの戦闘に介入。 蘇芳を連れ逃亡した黒と戦闘になる。 「タネの無い本物のマジック」で黒を翻弄したがコートを使った不意打ちに視界と動きを封じられたうえ電撃を喰らわされ気絶。 蘇芳と黒が逃亡した後現場に現れた弦馬に気絶したまま頭を潰され死亡した。 放送前の情報からノーベンバー11のようなライバルキャラかと期待されていたが序盤であっさり死んだためゴラン同様ネタにされてしまった。 しかし、なんと最終回で再登場。 黒の電撃を受ける前に身代わりと入れ替わっていたらしく地獄門中心部でジュライの前に全くの無傷な姿で現れる。 任務の終了と撤収の命令を伝えるが蘇芳と一緒にいることを望みジュライが命令を拒否。 ドールの進化に驚きながらもその意思を認めシルクハットを残して姿を消した。 三期での登場が期待される。 あればいいけど… 増刊YGに掲載された特別編の料理対決にもMI6チームで参戦。 料理が出来るメンバーがいなかったため能力で料理を取り出した 8月「三ツ星レストラン直送。豪華絢爛本格フランス料理の数々!」 「これがタネのない本物のマジックの力さ!」 マダム「はい失格」 4月「おバカ」 7月「おバカ」 ちなみに初期デザインではロングコートに髭面のオッサンだった。 追記・修正はマジックのタネを明かしてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ぶっちゃけ能力だけならアンバーの次くらいには強いよなこいつ -- 名無しさん (2015-03-26 11 19 13) 黒の契約者時代の黒は5ブルーノに、 -- 名無しさん (2015-06-06 23 56 41) 訂正、黒の契約者時代の黒は5dsブルーノのブルーノっぽく見えたが、この人は最初は鬼柳に見えた -- 名無しさん (2015-06-07 00 00 32) クロードの上位互換だよなこいつ -- 名無しさん (2018-04-11 23 23 20) こいつと戦うときのBGMカッコいいよなあ……音楽の人替わったって聞いて不安だったけどこれなら大丈夫だと思っ -- 名無しさん (2020-12-16 17 50 49) 名前 コメント
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エイプリル PL:アンフェンス 初登場:鴎の戦旗の物語 第一話 年齢:20歳(後述) 性別:女 クラス:投影体 スタイル:地球人 所属・拠点:流浪中 ライフパス 出自:孤独 経験1:事故 経験2:迫害 目的:定住 禁忌:愛 ◆趣味嗜好◆ 甘いものは別腹 恋バナが大好き ◆家族構成◆ 家族と呼べるものはなし 経歴 15歳の時にアトラタンへ投影 その後、迫害されたりなどいろいろあった結果、自身で傭兵団を結成 傭兵団で受けていたとある仕事の最中に半ば亡命する形でブレトランドへ その後亡命先であるモラード地方付近を散策しながら、ウリクル村の手伝いをする日々。だったが・・・? 性格 恋バナが好きな地球人 恋の香りを感じると拙い隠密も駆使して出刃亀する その代わりに自身は『この世界と深くかかわらない』ことを信条に掲げており、他者と深い関係にはならないようにしている 因縁 ●マヘリア・イシュトガルド 関係:忘却 感情:―/― 特記事項なし。 ●ヴィーガム 関係:目が離せない 感情:呆れ/期待 成り行きで同行することになった少年 早く一人前になるよう祈っているが、一人前になったらなったらで面倒なことにはなるな、と思っている 登場話(登場の仕方) 【ブレトランド水滸伝】第8話(BS60)「天罡之壱〜魔書は二度死ぬ〜」(PC) 彼女にとって運命のセッション。 ひょんなことから知り合った少年が所有している本がこの世界を根幹から揺るがしかねないものだということを知る。 その少年こそがヴィーガムだった。 彼の行く先が不安になった彼女は彼についていくことを決意する。 【ブレトランド水滸伝】第11話(BS63)「天罡之弐〜猫と炬燵と新聞屋〜」(PC) ヴィーガムについて行った場所は温泉で有名なビルト村 本来の目的を忘れかけるヴィーガムに呆れながらもこの村で発生している問題に首を突っ込む その最中でヴィーガムとの関係について尋ねられるが一蹴した 実際のところはエイプリル、ヴィーガムともに『こいつはないな』と思っている模様 【ブレトランド水滸伝】第16話(BS68)「天罡之参〜水月鏡禍〜」(PC) ビルト村に滞在していると領主からスパルタ村に援軍として向かうよう指示を受ける そこで偶然知り合ったニーアやウィルバート、ベーナとともに援軍へ向かう スパルタ村ではヴィーガムのほんのちょっとの成長に感心しつつも、最終的には怒鳴る羽目に 早くゲルハルト並みの優秀なメイジがついてほしいと祈るばかりであった セッション中の裏話 メイキング秘話 もともとはブレトランドとはほぼ関係のないキャラ ヴィーガムが例の本を持ってきさえしなければ一回こっきりの乱入キャラになる予定だった 裏設定 明らかに日本人の名前じゃないよね? エイプリルは偽名で、本命は刈谷 舞(かりや まい) 偽名の由来は地球での最後の記憶が4月だったため 偽名を使っている理由は自分が地球人だということを隠すため 20歳?15歳? 彼女はアトラタンに5年在住している そのため20歳と名乗っている カテゴリ:地球人 投影体
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【妄想属性】邪気眼 【作品名】ナイトメア・ルート 【名前】オーガスト 【属性】『名も無き者達』所属 最高幹部『虚空の門』 【大きさ】177cmぐらいの男性 【攻撃力】手を向けて衝撃波のようなものを発射 300m先の「星」と同レベルの結界を吹き飛ばせる ティンダロスの猟犬:右腕の袖から現れる液体 袖から出ると1m超のやせ細った犬になる 噛み付かれるとアーサーと同レベルの身体能力の奴でも瀕死の重傷を負う また、呼吸器官やそれに類するものがあるとそこから体内に液状になって入って 中から食い殺したり脳を乗っ取る 標的を指示すると、たとえ海だろうが宇宙だろうが別次元だろうが埒外の世界だろうが 過去や未来や時間軸を無視して追いかけてくる 速さは必ず対象の移動速度・反応の1.2倍になる 防御は500mの爆発で消滅するが、術者の右腕がある限り、20秒程度で再生する ハスターの翼:背中から現れる2枚の羽 羽ばたかせておきる風は範囲1000kmほどで霊的なものを全て消滅させる また翼の羽にふれた人間は精神を乗っ取られる ダゴンの触手:地面から召喚する高さ100m、太さ40mほどの1本の触手 触手を中心に円状に秒速1mほどの速さで自分や指定した生物以外の「生物を魚に変える」呪いが発生する 触手の防御力は大きさ相応 クトゥグアの炎:両手をかかげ、2秒ほど呪文を唱えて発動 太陽と同じ大きさの星の4割が消滅する火炎をおこす 呪文は 「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ いあ いあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ いあ」 ガタノトーアの目:空中に2秒ほどで魔方陣を書き発動 魔方陣を見た自分以外の全ての知能あるものは石化する 【防御力】 地球並みの大きさの星の半分が消滅する火炎で多少怪我する程度 太陽破壊級攻撃で瀕死 ただし、元々オーガストはあらゆる時間と空間と次元に存在してるため それらを全て倒さないと完全には消滅せず 【素早さ】 マッハ20相当の銃弾を5mから撃たれても指で掴める反応 ただし、顕現時は時間に縛られずに行動可能 移動は一般人並 ビヤーキーの羽: 5mほどの蝙蝠に似てる生物 翼が片方折れてても地球から火星まで4秒で、最高時は 地球からアンドロメダ銀河まで1分半でいけるらしい 背中に乗れる 召喚時は 「いあ! いあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ! あい! あい! はすたあ」と呪文を唱える 【特殊能力】 過去や未来、異空間や別次元や宇宙に念じるだけで移動し また全ての時間と空間になにがあるか把握できる 顕現:一個が100m~3kmまで常に変化している数百の虹色の輝く球の集積に変化する この状態だと太陽が消滅する攻撃でも無傷 ただし、この状態だとクトゥグアの炎しか使えない また、オーガスト一人が死んでも、他の世界に居るオーガストがやってくることも 可能 【備考】 正真正銘の邪神なため、今までのキャラとは次元が違う 首領は更に上の存在 【戦法】他世界から自分を呼び、猟犬を放ちつついろいろやる 駄目なら全員顕現化、 ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 577 格無しさん sage 2007/09/01(土) 16 18 04 オーガストまとめ 【攻撃力】射程300mの空間攻撃 大きさ1mの犬召喚 5km爆発以上の噛み付き(短射程・狭範囲攻撃) 液状化→生物破壊 500m爆発で消滅+20秒で再生 敵の移動速度・反応の1.2倍+時間無視 範囲1000kmの霊体消滅 対人精神支配 秒速1mの生物の魚化 溜め2秒で恒星破壊の0.4倍の炎 溜め2秒で視認即石化攻撃 【防御力】惑星破壊の0.5倍で怪我 恒星破壊で瀕死 時間・空間・次元に偏在 【素早さ】 マッハ20に5mから対応 顕現時は時間無視 溜め数秒で別銀河まで90秒で移動する乗り物 【特殊能力】 思考発動の時空間移動 顕現:100m~3kmの球×数百に変化し恒星破壊で無傷化 炎以外の攻撃使用不能 防御が異常。攻撃力が低めだがどのあたりだろう? 620 格無しさん sage 2007/09/05(水) 01 36 17 近年稀にみる考察する気が無くなる面子だな オーガストは分け連発しそうだな それと質問 オーガストはテンプレ見るに 戦闘開始後に平行世界から無限に犬やら炎で攻撃とかできるのかな? 778 格無しさん sage 2007/09/28(金) 15 51 31 オーガスト考察 無茶苦茶な防御力と顕現時は時間軸にとらわれないのでかなりいける めんどくさいから顕現状態で開始 時間超越キャラは常時発動より早い扱いなので単一全能から下がる △悪ガキE 勝てない負けない ×アラン・スミシー 単一宇宙万能負け △シューマッハマン 倒されないが倒せない ×エニックスマン 先手とられるので負け ×black・blade・master 時間超越同士だが相手のほうが規模上 そのうち負け ○∞大吉ラッキーマン以下 能力発動タイミングの関係で勝てる 最低でも分け ∞大吉ラッキーマンの上