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『キール×フレイ』 作者 おんぷ ◆1mfEMO/rGNP8 「ふんふんふ~ん♪」フレイは朝からずっとご機嫌だった。なぜなら、今日は恋人のキールが泊まりに来るから。 「『フレイさんのおうちに泊まってみたいなー♪って、さすがにまだちょっと早いか☆』なんて可愛く言われたら、断れるはずないよねぇ。」 フレイは独り言を言いながら、夕食の準備をする。 キールはきっとケーキを焼いてきてくれるだろうから、フレイはメインの料理を作ること決めていた。 (それにしても、泊まるってことはつまり……そういうことだよね。) フレイは包丁を持ったまま、何度となく考えていたことをまた考えはじめた。 キールとはまだキスしかしたことがないが、泊まるとなればさすがにそういうわけにはいかないだろう。 (キールくんはきっと緊張しちゃうだろうから、わたしがリードしなきゃ!) 行為の途中「フレイさん、すごいよぉ……!」などと言いそうなキールを想像すると、自然に顔がにやけるフレイだった。 ―その夜― 「フレイさんこんばんはー!僕だよー!」 「あっ、キールくん!いらっしゃい!」 急いで出迎えると、やはりキールはホールケーキを持っていた。 「あ、これ?今日はシンプルにショートケーキにしてみました!……と言いたいところなんだけど、まだ未完成なんだよね。」 「えっ、なんで?」 「ホイップクリームはやっぱり直前に立てたほうがおいしいからさ、フレイさんのとこで仕上げさせてもらおうと思って。」 「へぇ!さすがキールくん!」 キールのこだわりに感心したフレイは、台所へ案内しボウルと泡立て器を用意した。 「ありがとう!じゃあすぐに仕上げるから待っててね。できたらすぐディナーにしよう♪」 キールはそう言うと、フレイの頬に小さくキスをした。 (キールくん、なんだか奥さんみたい……) 「主夫」という言葉が間違いなくセルフィア一似合うであろうキールを見て、フレイは思わず笑ってしまった。 それから30分後。 「お待たせー!やっとできましたー!」 キールがきれいにデコレーションされたケーキをテーブルに置く。 「わぁ!すごい!プロのパティシエさんが作ったみたい!」 「でしょでしょ?僕がんばったんだー♪フレイさんの料理も全部おいしそうだね!それじゃあ食べようか!」 「「いっただっきまーす!」」 フレイは可愛い恋人とのディナーを思う存分楽しんだ。 そして夜も更けてきた頃。 「あのさ、キールくん。」 「ん?なぁに?」 「そろそろ…ほら、寝ない?もう遅いし…ね?」 「うわぁ、もうこんな時間かぁ!おしゃべりしすぎちゃったね。じゃあ寝よっか!」 そう言ってキールは無邪気な様子でベッドにもぐり込む。 「ほら、フレイさんもおいでよ!今日は寝かさないよー!なんてね?」 似合わないセリフを言う茶目っ気たっぷりの彼を見て、フレイは覚悟を決めた。 「キールくん」 フレイはキールに抱きつくと、自ら服を脱いだ。 「ほら、さわってみて?」 そう言って、胸のふくらみにキールの手を押し付ける。 「えっ、ちょっ、ちょっと…フレイさんっ!」 「キールくん、大丈夫。わたし、こうなってもいいってずっと思ってたから。」 「えっ、でも僕、恥ずかしいよ……。」 「キールくん……」 フレイはキールの頭を愛しそうに撫でた。 するとそのとき。 「なーんてね」 キールの冷たい声が、静かな部屋全体に響いた。 それと同時に、ポケットから紐のようなものを取り出しフレイの腕を素早くベッドに縛り付ける。 「えっ!?ちょっとキールくんっ!?これどういうことっ!?」 「ごめんねフレイさん。僕、実はリードされるよりリードしたいタイプなんだぁ♪」 そう言ってにこっと笑うキール。 その純粋な笑顔が今は逆に怖い。 「だっ、だからってこんなっ!縛り付けるなんてどうして!」 「どうして?うーん。難しい質問だなぁ。しいて言えば、僕がこういうの好きだから?」 「そんなぁ…!でもこんな乱暴なのって…!」 「あれ、縛ってるとこ痛い?痛くはないでしょ?」 「そ、そう言われればそうだけど…」 確かに腕は全くといっていいほど痛くない。 それなのに、がっちりとホールドされていて動かすことはできない。 普通の縛り方ではないようだ。 「でしょでしょ♪この前アーサーさんに『フレイさんをいじめてあげたいんだけど』って言ったらさ、いろんな縛り方が載ってる本を外国から探してきてくれたんだぁ♪」 「へっ!?アーサーさんに言ったの!?」 「うん!ダメだった?他にもレオンさんにも言ったけど。」 「ええええっ!」 「レオンさんはね、こういうのを教えてくれたんだぁ」 キールはベッドに縛り付けられたフレイをそのままにし、台所へ何かを取りに行った。 戻ってきた彼の手には、絞り袋があった。 「こうやってねぇ、フレイさんをケーキみたいにしてみるのはどうだって、レオンさんが。さすが大人なだけあって、いろんなことをよく知ってるよねー!」 そう言いながらあっという間にフレイの服を脱がせ、胸や秘部にホイップクリームを絞っていく。 「ちょ、ちょっと待ってよキールくん!わたしこんなことしていいって言ってないじゃない!」 あまりの恥ずかしさに、フレイは怒ったような口調になる。 すると、キールは驚いたような顔をし、そしてうふふっと笑った。 「フレイさんの許可なんて必要ないよね?だって、フレイさんはもう僕のものなんだから。」 フレイは完全に言葉を失った。 (キールくんがこんなオレ様系だったなんて……!) 絶句するフレイに気付いているのかいないのか、キールは歌うように続ける。 「さぁフレイさん。可愛いケーキができたよ。さっそく食べてみよーっと♪」 キールは胸のクリームをぺろっと舐めた。 「ひゃぁっ!」 思わず声が漏れる。 キールはお構いなしといった様子で、ぺろぺろとクリームを舐め続ける。 「うん、とってもおいしいよフレイさん。よーし、このイチゴチョコも食べちゃおっと」 そう言うと、フレイの乳首を優しく噛んだ。 「あぁっ!そこはだめぇ!」 「だめ?まっさかぁ。こんなに硬くしてるのに、だめなわけないよね?気持ちいいんでしょ?」 「ちっ、ちがっ……あぁん!」 「ほら、僕に委ねて。」 フレイの髪を撫でながら、キールは舌を動かし続ける。 フレイはもう抵抗できなくなっていた。 「じゃあこっちも味見。」 キールはフレイの脚を開き、ゆっくりと舌を這わせた。 ぴちゃぴちゃといやらしい音が響く。 「ひゃぁっ!そんなとこだめぇ……!んぁぁっ!」 「すっごくおいしいよ。フレイさんの味がする。」 「あぁぁっ!……っはぁ!」 キールは舌に加えて指も器用に動かし、フレイの感じるポイントを責め立てる。 「フレイさんのシロップがいっぱい出てきたよ?そんなに気持ちいい?」 「あぁっ…!いや、そんなの……!あんっ!」 「フレイさんの下のお口、こんなにヒクヒクしてる。『ここにください』っておねだりしてるみたいだよ?」 キールは指を挿入し、ズポズポと動かした。 「あぁぁぁぁ!だめっだめぇ!!!んっ!んはぁぁっ!」 「可愛いよ、僕のフレイさん。」 「もぉだめぇっ!気持ちぃよっぁぁあ!キールくっ……!あぁぁっ!」 フレイは大きな声を上げ、体をビクビクと震わせはじめた。 すると、キールは動かしていた指をスッと抜いてしまった。 「おっと!だめでしょ。フレイさんだけ勝手にイっちゃ。」 「えっ……ふえぇっ……」 一番いいところで止められたフレイは、目に涙を浮かべながら体を震わせている。 「ほら、ここに何が欲しい?ちゃんと言えなきゃおあずけだよ?」 キールはフレイの入り口をツンツンとつつきながら唇だけで笑う。 「そっそんな……!別にわたしは……!」 「ふーん。そーなんだぁ。じゃあずっとこのままだね。」 拒否するフレイの中に指の第一関節だけを入れたキールは、ゆっくりゆっくりと中をかき回す 「いやぁ……っ!おねがっ…!キールくんのっ……!」 「ん?なーに?聞こえない。」 「だからっ……ぁぁ!キールくんの入れてっ……入れてよぉ……!」 フレイは消え入りそうな声で懇願する。 それを見たキールは満足そうにうなずいた。 「ん。いいこ。」 キールはズボンを脱ぐと、フレイに覆い被さった。 「あ、その前に。」 手を伸ばし、フレイの腕の紐をほどいた。 「やっぱりこういうときは抱き合わなきゃね。僕たち恋人なんだし。」 キールはフレイの頭を持ち上げ、自分の顔を傾けてキスをした。 「愛してるよ、フレイさん。」 そう言うのと同時に、キールはフレイの中にグッと入っていった。 「ふぁっっ!!キールくんの……おっき!ぃ!!」 「ちょっとー、それどういう意味?小さいと思ってたの?」 キールは唇をとがらせ、腰を突き上げる。 「えっ!?ち、ちが……あんっ!」 「うそばっか。僕もう怒っちゃったもんね。」 キールはさらに腰の動きを速める。 フレイは急に強くなった刺激に耐えられず、キールにしがみついた。 「キールくっ!もっと……もっ…と!ゆっく……!」 「だーめ。」 キールはフレイの脚を抱え、さらに奥を責める。 フレイの中からとめどなく溢れたものがベッドを濡らし、ぐちゅぐちゅという音がいっそう大きくなった。 「あはぁぁあ!んっ!!んくっっ!」 「フレイさんの中、とっても気持ちいいよ……っ!」 「わたしも…!気持ちっ…かも……っ!奥のほ……あぁっ!」 「奥がいいの?ここ?」 キールはグリグリと押し付ける。 「あぁぁっ!キールく……っん!イっちゃいそ……っ!あっ!」 「いいよフレイさん、もっと感じて!」 キールが中でドクっと脈打ったとき、フレイは体を痙攣させて達した。 ―後日― 「フレイさーん!見て見て!これすごくない?」 キールが嬉しそうに持ってきた本を見ると、男性器の形をした玩具がずらりと並んでいる。 「なっ!なにこれ!」 「バドさんがね、掘り出し物だゾーって!」 「っ……!」 「ん?どうかした?」 「も、もう勘弁してぇ!」 【End】
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『ビシュナル×フレイ』 1. 枯葉が舞う季節、農場の脇道を燕尾服姿の男が急ぎ足で過ぎ去った。 旬の作物が大地を艶やかに彩るこの場所へ彼は毎朝、業務の一環で足を踏み入れるが、 この日は特別な用事で向かっていた。 「今日に限ってどうして……せっかく姫のお役に立ってみせるはずだったのに」 自分を戒めるようにビシュナルは呟いた。 彼は、農場の管理者兼この地セルフィアの(かりそめの)姫、フレイに仕える執事である。 ビシュナルは自分の特技である掃除を生かし農場で働くモンスター達の住む、モンスター小屋の掃除を 手伝うとフレイに懇願するが約束の時間は過ぎ、空は茜色に染まっていた。 肌寒い風が頬を撫でるとビシュナルは焦燥感を覚え、足取りはさらに早まった。 数分後、彼は小屋の入口に到着した。小屋と呼ぶには少々大きすぎるこの建物は、人が数人暮らす事も 可能だろう。 周囲に畑仕事に従事する小屋の住民達の姿が見て取れた。 「まだ姫のペット達が外にいるという事は、少しくらいお手伝いできるかも」 ビシュナルは急ぎ小屋の中へ入った。きっと姫は怒っているだろう、それとも呆れているかもしれない、 言い訳などせず平身低頭、詫び入るつもりだった。 「姫? こんな所でお休み……ですか?」 干し草の上に眠り姫が横たわっていた。声を掛けるが反応は無い。 小屋内の大半は既に手をつける箇所が殆ど無いほど片付けられており、取り替えたばかりであろう 干し草のベッドからは 甘く安らぐ香りを漂わせている。ビシュナルは四肢を折り曲げ熟睡する無防備な主人を凝視した。 二つに結われた若苗を思わせる淡い髪が干し草の上に無造作に垂れかかり、純白のノースリーブの ブラウスから伸びる、 熟れた桃の様なやわらかさを見せる白い細腕、その両腕の隙間からかいま見える山なりの膨らみ。 丈の短い薄桃色と黒チェックのスカートから覗く、絡み合う二本の若木を思わせる艶やかでしなやかな脚、 そして二枚の小さな花びらのような唇からは静かな寝息が漏れている。 豊満な女体から溢れ出る色気とは異なる健康的な色気を漂わせていた。 「姫……綺麗だなぁ……じゃなくてお疲れ様です」 ビシュナルは危うく時を忘れ、彼女の肢体を延々と眺めそうになるが理性を働かせた。 室内とはいえ今の季節にこんな薄着で寝ていては体調を崩しかねない。ビシュナルは近くの棚から未使用の ペット用毛布を取り出して静かに主人へ歩み寄り、その毛布をそっと身体へ掛けた。 「すみません、すぐに代えの毛布を用意しますので今はこれでお許し下さい」 起きる様子は無い、この広い小屋内の清掃を一人で行っていたのだから相応の疲労が溜まっているのだろう。 「残りは僕にお任せ下さい」 囁くように話し掛け、ビシュナルは静かに清掃を開始した。 2. 緩やかに目蓋が開かれていく。 落日が雲を青紫色に染め上げている様が窓から覗き込む。 干し草の甘い香りが再び心地良い眠りへと誘惑するが、目に映る風景に違和感を覚え堪えた。 目を移すと視界には吊り下げられた照明から不安定な灯かりに照らされ、周囲の影がゆらゆらと躍るように 映り込む。 フレイは上体をゆっくりと起こし辺りを見回すが、まどろむ意識では何故自分がベッド以外の場所で 目覚めたのか理解出来なかった。しばらく遠くを見つめていると小屋の入口から男の呼び声が小屋に響いた。 「姫! お目覚めでしたか」 毎朝この声の主に起こしてもらっている事を思い出し、すぐに意識が鮮明に戻る。 「ビシュナルくん、どうしてここに? 私、小屋で寝てたの?」 フレイが開口一番に問いかけると、ビシュナルはフレイの前に歩み寄る。 「はい、部屋までお運びしようかと思ったんですが、起こしてしまうかと思い……」 そこで言葉をつぐみ、伝えようとしていた話に切り替えた。 「姫……僕は姫との約束を破ってしまいました」 「え? やくそく?」 「今日この小屋の掃除を手伝いたいと、僕の方からお願いしておきながら遅刻しました」 そういえば昨日言っていた、とフレイは思い出す。 「姫、ごめんなさい!」 頭を下げ、謝罪の言葉を述べるビシュナル。一見、女性と見分けのつかない端整な顔立ちから発せられる、 優しさを帯びた低い声。毎日顔を合わせ見慣れているがフレイはじっと彼の顔を黙って見つめていた。 眺めるだけで身体中に熱を感じ、自身の鼓動が全身を揺さぶると錯覚した。 「姫、やっぱり怒ってますよね……」 ビシュナルは重そうに顔を上げそう言った。沈黙を守っていた所為かあらぬ誤解を与えてしまったようだ。 「えっ!?」 話を聞いていたにも関わらず、返答すべき言葉を何も考えなかった。 焦り、顔を紅潮させ周囲を見回すとフレイは小屋の変化に気付いた。 「小屋の中、疲れて寝ちゃう前よりすごくキレイになってるよ。ビシュナルくんがしてくれたんだよね?」 ビシュナルに視線を戻して微笑み問いかけた。 「いいえ、ほとんど姫がされたんですよ。僕は全然何も……」 「そんなことないよ。まるで新築した時みたいキレイだし、私だけじゃここまで出来ないよ」 事実、新築と遜色ないほどに仕上げられている。 「姫、勿体ないお言葉です。でも、遅刻して姫に負担をかけた事に変わりはありませんよ」 「私はビシュナルくんの都合さえよければ、って言ったよね? 時間まで約束してないよ。 それに私の仕事なんだから私が一番頑張るのはあたりまえだよ」 フレイは立ち上がり、干し草のベッドから降りて長身のビシュナルを見上げる。 「だから約束は破ってないしキチンと守ってくれたよ。ありがとう」 主人の満面の笑みをビシュナルは見つめる。愛しさが溢れ、何より心満たされた。 「ですが僕の方から持ちかけた約束ですから! 執事としてけじめをつけさせて下さい!」 本当に実直過ぎる人だと笑顔を崩さぬままフレイは閉口した。 「姫、僕に罰を与えて下さい! 畑仕事でもペットの世話でも何でもやります! 僕の事は召使いとでも思ってください!」 「ちょっと! 執事が召使いって……えぇー!?」 突拍子もない事を口にするビシュナル、フレイは困惑を隠せないが彼の何でもやるという言葉に心惹かれた。 きっと彼なら手前勝手な要求でも承諾してくれる、と心が強く彼を求めた。 「ほんとになんでも?」 「はい! 執事に二言はありません!」 彼は間髪を容れず返答した。 その答えを聞きフレイの心はさらに過熱する。 「……じゃあ、今夜は私の恋人に……なって?」 我知らず言葉を漏らした直後、フレイは我に返った。彼は真剣につぐないをしようとしてくれているのに、 その思いを踏みにじったのではないか。フレイは俯いた。 「えぇっ! 姫、本気ですか!?」 フレイは以前、勇気を振り絞りビシュナルに自分の想いを伝えた事があった。 その時、ビシュナルは本気にしなかったのか結局冗談話と思われた。 「いえ、ひ、姫のお望みであれば、是非その大役を僕におまかせ下さい!」 フレイは耳を疑った。見上げると顔を紅潮させ全身を震わすビシュナルの姿が目に入った。 「今夜だけ、というのはすごく残念ですけど……」 「……え?」 彼の呟いた声はフレイの耳に届いていた。 「で、では姫、早速ですが恋人同士らしくデート……しませんか?」 ビシュナルの両手がフレイの手を取り、温かく包み込む。 「あ、う、うん。でもこんな時間から?」 既に日は落ちていた。祭事やホタルの舞う夏であれば夜のデートも素敵なものと成りえるだろう。 だが木枯らし吹く夜を楽しむ方法など二人は知らなかった。 「じゃあ他に恋人同士がする事……」 二人は顔を見つめ合う。ほんの数秒見つめ合っただけが何倍もの時間に感じられた。 「ひ、姫、いくらなんでも早すぎるのでは……」 ふいに口を開き、握っていたフレイの手を離し、後ずさる。 ある日は彼女を抱きしめキスを交わし愛を囁き合う。またある日は自分と繋がり淫らに喘ぐ。 そんなフレイの姿を妄想し、目を泳がせ顔を火照らせていた。 「え、早いって?」 突然の反応にフレイはきょとんとする。 どちらかの自室で遊ぼうかとフレイは考えていたが、ビシュナルは別の事を想像しているようだ。 興奮した彼の様子を見ていると、何を考えているのかおおよそ見当はつきフレイも顔が紅潮した。 彼からその行為を求められるのに抵抗は無い。もしそれを受け入れる事で彼が自分だけを見てくれるなら これはチャンスかもしれない、とフレイは思い立った。 「私は部屋で遊ぼうかなって思ったんだけど、ビシュナルくんはなにを考えてるの? 顔、真っ赤だよ」 フレイはわざとらしくほくそ笑んでビシュナルへ問う。 「え!? 僕はその、変な事なんて……何も考えてませんよ」 「変な事ってなにかな?」 フレイはビシュナルとの距離を詰め、はにかみつつ上目使いに見つめた。 「姫、ち、近い……それに分かってて意地悪してますよね……?」 「ね、教えて。ビシュナルくんの考えてる事をしてみせて。今夜だけなんだよ?」 互いの息づかいが確認出来るほど迫る。 「なんでもしてくれるんだよね?」 二人の心臓は、未だ体感した事無いほど打ち鳴らされていた。 「は、はい僕達は今恋人同士ですし、姫がお望みなら何でもします……だから意地悪は無しですよ?」 意を決したのか、ビシュナルは一歩下がり凛とした態度へ戻った。 恥ずかしさで頭が炎上しそうなフレイは、彼が離れた事に安堵した。 「ぼ、僕の知識で姫に満足して頂けるか不安ですが、今夜は精一杯姫にご奉仕します」 強引に誘惑したも同然だが、これで彼への想いが冗談でない事を証明出来る。 彼が自分に好意を持ってくれているのなら、今夜だけの関係で終わらせる気は無かった。 フレイはこれからされる事への期待と少しの不安を抱きつつ思案していた。 その時、空を漂っていた視界が急に影で覆われた。何の影か理解した頃にはゆっくりと その小さな唇を温かな熱にふさがれていった。 3. ビシュナルはフレイの背後に回り、彼女の小さな身体に手を回し抱き寄せた。 うっかり彼女の胸の膨らみに触れた事に驚き、バランスを崩しフレイを抱いたまま 干し草の上に広がる毛布に尻餅をついた。 「きゃっ」 「わわっ、ごめんなさいっ姫」 フレイがビシュナルにもたれ掛かる体勢となった。 服越しでもお互いの温もりが伝わるかのように二人の身体は熱を帯びた。 「姫……すごくやわらかくて温かい……」 囁きがフレイの耳を撫でる。 「ビシュナルくん、こうしてるとやっぱり男の子なんだね」 フレイはしなやかな木の枝を思わせる両腕に捕らえられ、背中には暖かな日差しの中で腰掛けた、 木の幹のような温もりとたくましさが伝わった。 「僕はいつだって男ですよ」 ビシュナルは不満気に言葉を漏らす。 「えへへ、だって女の子みたいな、ん……」 言葉を遮らせたのか、ビシュナルは片腕をフレイの服の中に侵入させ、彼女のお腹を撫でその柔肌を弄んだ。 もう片方の腕で膝を折り曲げた足に手をやり、やや強引に一足ずつブーツを脱がせると、彼女の汚れ一つ無い 艶やかで弾みのある脚はむき出しとなった。 足先から太ももの付け根までを余す所無く、丹念に優しく揉みしだくと、フレイは甘い吐息を漏らし細脚を 絡ませる。 「ビシュナルく、ん……やらしい、よ」 脚に残っていた疲労感がくすぐったい痺れに変わる。 心地よいが自分の一部ではないような感覚をフレイは味わった。 「姫が僕をいやらしくさせるんですよ……」 「私、なにも、んっ」 横を向いたフレイの首筋に吸い付いた。まるで子犬がじゃれるように絶え間無く、彼女の香りと味を脳裏に 焼き付ける。 「や、あ……私、汗かいたから汚いってば」 ビシュナルは無言で更に強く吸い付いてくる。 誰にも預けた事の無い自分の身体が、少しずつ愛しい彼にだけ知れ渡る。 初めて味わう感覚がフレイの胸奥をじりじりと炙る。 ふと気付くとビシュナルの両手がお腹をゆっくり撫でながら上へ向かっていた。 その手は少し震えている。彼の緊張が伝わる気がしたが、その動きは少しむず痒かった。 心地よい暖かさとむず痒さから逃れるように、腰が反射的に小刻みに捩れた。 ビシュナルは本能的にフレイの身体を抱き寄せ強く密着し、その動きを味わった。 抱き寄せた動きの弾みで両手の位置が変わり、フレイの柔肌に手を戻したつもりが二つの山なりを両手に 収めていた。 「あっ」 二人同時に口にした声は異なる意味が含まれていたかもしれない。 ビシュナルはフレイの顔を見つめた。紅潮し目を少し細め恥じらう表情。 フレイも目線をビシュナルの顔へ移すと、彼もまた同様の表情。 きっとお互い似たような顔を見せているのだろうと二人は感じた。 「……姫」 ビシュナルは囁き、両手の指を徐々にフレイの膨らみに沈めた。 「あぅ……ん……」 下着越しとはいえ、初めて触れるその柔らかさに驚きを隠せない。触れると沈み、離せば即座に戻る弾力。 このような果実が存在しえるのが不思議でならなかった。 思い通りに形を変えるフレイの部分に酔い、さらに撫で回すように両手を這わせる。 豊満とまでいかないが、決して小さくはないそれはビシュナルの手により歪み続ける。 度々下着越しに触れる先端からチクリと電流がフレイの体幹を巡り、疼きが全身に芽ぐむ。 「んっ……ちょっと、あぅ……苦しい、かも……」 ビシュナルは即座に手を服の中から取り出し、フレイの様子を伺った。 「す、すみません姫、強すぎましたか?」 「ううん、そうじゃなくて服が……」 呼吸を乱しながらフレイは口にする。 小屋に着いた時もビシュナルはフレイの姿を少し眺めていたが、彼女のブラウスはボディラインを強調する タイトな物だ。 普段は胸当てやポーチ、装飾品の類で目立たないがくびれた腰、はっきりと分かる瑞々しい胸の膨らみ、 改めて間近で見ると、よくこの姿に目を奪われずに済んだものだ。 ともあれ、窮屈な服であるに関わらず強引に手を押し込んだ自分をビシュナルは恥じた。 「……コレ、脱いじゃうね」 言葉を漏らすとフレイはビシュナルから少し離れ、背を向けたまま手早く脱ぎだした。 「えぇ!?」 彼女の急な行動にビシュナルの心臓は跳ね上がるようだった。燃え上がるような体温を逃そうと汗が全身から にじみ出す。 燕尾服を着ていられず彼も上着、ネクタイ、ベスト、シャツと次々と脱ぎ捨てた。 「えっと、コレも外した方がいいの、かな?」 背を向けたフレイの両手は白い下着の肩ひもを触れていた。 曲線を描く小さな肩、白く儚げな背中とくぼみ、その両脇を彩る淡い緑の髪。ビシュナルは再度抱きしめたい 欲求に駆られる。 「はい、僕におまかせ下さい」 「えっ?」 言い終わるが否や下着のホックが背中にある事を確認すると、ゆっくりとフレイの背中を味わうように 指を這わせた。 「ひゃあ!」 背中まで弄られるとは予想外で思わず声を上げ、腕をピンと下に伸ばし背中を反らせた。 同時に胸元が少し寒くなったと思うと、自分の胸部を覆う物が無い事に気付き、外気が直に伝わっていた。 飾り気の無い無地の下着が膝下の干し草に横たわっている。 こんな事になるなら、もっとかわいい下着をつけておけば……とフレイの心が呟く。 「ビ、ビシュナルくん? あの、なんだか手際いいんだね……?」 素肌の大半と、はだけた双丘を晒す恥ずかしさを堪えながら疑問にする。 「執事ですから、男女いかなる着付けは必須知識ですよ」 得意げに語るビシュナル。 「そ、そういうものなのかな」 納得出来るような出来ないような面持ちでいると、フレイの背中に細く引き締まったビシュナルの肉体が 密着した。 直に触れ合う肌、服越しとは比較にならない暖かさがお互いの心身を熱くする。 フレイは温もりを堪能していると、自身の二つの先端から激しい電流が内側に伝った。 「ゃあんっ!」 ビシュナルの両手は彼女の素肌の双丘を捕らえ、再度弄んだ。 先端を指で挟み、その側面を弱く時々強く擦る度にフレイの口から甘く熱い声が響く。 「姫、僕はちゃんと……ご奉仕出来ていますか?」 答える余裕も与えず撫で回し敏感な所を擦りあげ、そこを上から小さく押した。 「やぁっ……!」 フレイは嬌声を上げ身を捩ろうとするが、ビシュナルの身体に捕らえられ逃げ場が無い。 自分の意思とは無関係に快楽を求めつつある身体に対し羞恥を感じた。 やがて止む事の無い愛撫に切なさを覚えはじめると、彼女は自身の中心から熱と疼きが沸きあがる事に 気付いた。 羞恥心から膝を上げ、愛撫を続けるビシュナルの手の前で膝をもじもじと擦り合わせる。 無意識にさらに強い快楽を彼に求めたのかもしれない。 「っ姫……」 それ以上の言葉は発さず、両手をフレイの丸く張った二つの桃肉へと添えた。 「ふぁ……」 その手がどこへ行こうとしているのか瞬時に理解した。 密着した身体からお互いの高鳴る鼓動が感じられる。 ビシュナルは緊張のあまり手が痺れ、思うように動かせられずにいた。 そのせいか、焦らすように手を這わされているフレイは全身の疼きがさらに沸き立った。 「姫、あの……ショーツを脱いだ方がいいと思いますので……」 フレイの耳元で力無く話す。 「はぁ……はぁ、そう……だね」 視線を僅かに交わし承諾を得たビシュナルは、痺れる両手で僅かな部分のみ覆い隠すだけの、 その扇情的なスカートを捲りあげた。スカートの内側だった所へ侵入しショーツのサイドを掴むと 力を込めてそれを下ろした。 フレイは力の入らない腰をなんとか浮かせると白い繊維が脚と擦れ、シュルシュルと音を立てながら ビシュナルの両手と共に足首を離れていった。 外気が自分の秘部に触れる感覚に慣れず脚を閉じようとすると、すかさずビシュナルの指が フレイの中心の閉じられた部分へ添えられた。 「あっ、あぅ……」 物言いたげなフレイの横顔。上体を伸ばし彼女の唇を自分の唇で挟むようにふさいだ。 ビシュナルの中指が裂目を擦りはじめる。横へ撫でると一瞬秘部が露わになり潤い続ける柔肉に触れ、 彼の指とフレイのそれは灯りに照らされ、徐々に雨後のごとく濡れた光沢を見せていた。 「ぁんっ……くぅ……ん」 淫らな声を押し殺し、下腹部を襲う快感から逃れようと何度も腰を捩るが、やはり彼がそれを許さなかった。 やがて空いていたもう片方の手で裂目を開き、濡れた指を中に這わせ秘部を探った。 「ビシュ……ナ、んぁあっ!」 意図せず、探る手が敏感な小さなつぼみに軽く擦れた。 痛みと快感の熱波がフレイの中心から広がる。程なくして彼の探る指がフレイの中へ侵入した。 濡れた肉壁へ辛うじて指は入るが、異物の侵入を拒むように締めあげられ半分も通れそうに無い。 「すごい……」 ビシュナルは自分自身がこの中に居たならどうなるかと想像すると、ただでさえ痛いほど怒張したものが さらに血を滾らせる。 奉仕なのだからと、これ以上無理に押し入れ苦痛を与える訳にはいかないので、そのまま指で撫で回すように フレイの中を愛撫する。 「やぁ! んっ……あぁ……」 切ない喘ぎ声とぬちゅりと卑猥な水音が小屋へ静かに響かせる。 裂目を開いていた手を放し、再度双丘の片割れを掴みその先端を強めに挟み込むと淫らな声は押し殺せなく なり、捩る身体は淫猥な踊りに思えた。 幾度も執拗にフレイの中の肉壁を撫で回すと、水音はさらに深みを増していく。 ふとフレイの秘部を見下ろすと、彼女の乗った毛布には広がる染みが見えていた。 「んやぁ……ビ……シュ、あぁっ……!」 ビシュナルはどれほどの時間、フレイの大切な部分を責めたのか。何かを訴えたそうな様子に気付き 愛撫の手を緩める。 「ぁ……あの、ね。えと……そろそろ……」 俯き羞恥に耐えるフレイの横顔がビシュナルの目に映った。その視線は虚ろだが虚空とぬめる秘部に 差し込まれた指とを交差していた。 「ひ、姫、それだけは……」 不意に拒絶するように言った。 「……やっぱり、私じゃ嫌……かな」 消え入りそうな震える声で呟く。 「違いますっ! これ以上は姫が本当に好きになられた方とするべきです!」 「す、好きでもない人にこんな事してもらうワケないよ!」 ビシュナルは目を大きく広げ呆然とした。 「えっ……? 僕はご奉仕を、その……主人の欲求不満を解消するのも執事の務めと昔、本で……」 信じられないといった面持ちで独り言のように呟く。 「仕事だからしてくれたの?」 ビシュナルは首を大きく横へ振る。 「それも違います! 僕が姫を女性として大好きだからですよ! 僕だって男です。こんなにも大好きで 可愛い人から誘われて、ノーなんて言えませんよ……!」 反射的に言葉にし、ビシュナルは押し黙るが、その言葉を聞いたフレイは心から至福を感じ、心身を 取り巻く快楽が激しく燃え上がった。 「私だってずっと前から大好きだよ……」 ビシュナルは心臓を鷲掴みされたような気分を味わった。だがそれは生まれて初めて味わう心地のよい ものだった。 4. お互いに問いたい事がいくつかあった。 しかし燃え上がった二人の若い情欲がそれを暫く掻き消した。 ビシュナルはフレイを毛布の上に仰向けに寝かせ、彼女の両脚を開いた。 正面から覗くフレイの露わになった肢体と、男を待つ蜜液に塗れた秘部。 眺めるだけで情火に焼かれそうなほど彼の脳を痺れさせる。 「姫、それでは……」 怒張した彼の肉茎がフレイの目に映る。初めて見る彼の一部を前にして目を丸くした。 「あっ……そ、ソレ……」 怖気づきそうになり、ビシュナルの顔へ視線を移した。 女性と見紛う彼の顔は愛らしいと思えるほど羞恥に歪んでいた。でもそれはお互い様かとフレイは微笑む。 ビシュナルの下腹部が迫り、彼の穂先がフレイの小さな花弁とつぼみを撫でると、愛しい嬌声が漏れる。 ゆっくりと穂先が花弁を押し分け、水音を響かせながらフレイの中へ飲み込まれていく。 「うっ……くぅ……!」 ひだが穂先に触れたと思うとそれはたやすく押し広げられた。 苦痛の色を示す声が耳に入り、ビシュナルの侵入は止まった。 半分ほどが彼女に飲まれ、彼の敏感な先端をぬめりうごめく肉壁が圧する。 「くっ姫、大丈夫ですか……?」 「う、うん。だいじょうぶだよ」 微笑み返答するが、眉は少し寄せられていた。慣れない異物感が呼吸を乱す。 ビシュナルは自分自身を愛しい主人の中へ突き立てる喜びと背徳感に陶酔し、これまで感じた事の無い 快楽を受けていた。 「うぅ……姫……無理はしないで下さいね。や、やめたくなったらいつでも……」 「へ、へーきだよ……まだまだガマンできるよ」 ビシュナルは頷き、再び肉茎が彼女の中を進み出した。 「はっ……ぁ、やっ……あぁ!」 肉を裂くような痛みと、愛しい人を自らの中に受け入れる快楽が天秤に揺れていた。 やがてビシュナルの侵入が止まると、フレイの最奥と触れ合った。 フレイの顔はさらに紅潮し頬を涙が伝う。 「ぁ、あ……奥に」 ビシュナルとの距離はゼロになっていた。 太い彼のものを余さず包み込む感覚が不思議でならなかった。 「姫、一旦……抜きますか?」 気遣う声がフレイの耳に入った。 「ううん、このままがいい」 「では、しばらくこうしていましょう」 これ以上動くと限界に達しそうな程、彼のものは太くなり脈打っている。 温かくぬめるフレイの中を、刺激して締め上げられぬように堪能した。 しばらくしてお互いの呼吸が整った頃、フレイは腰を僅かに前後した。 「あぅ! 姫? まだ痛みがあるんじゃ……」 「ゆっくりなら大丈夫みたいだから……ビシュナルくんもガマンしてて辛いだろうし」 唇を噛み締めた彼の表情から察したのか、自分の中で強く脈打つ肉茎から感じ取ったのか、 ビシュナルの思いは見透かされた。 「その、あんまり激しく……しないでね?」 紅潮したフレイの笑みが浮かぶ。 「……はいっ」 ビシュナルはフレイの脚に両腕を絡めると、ゆっくりと注送が始まった。 大きく腰を引き、時間を掛け感触を余さず味わうよう差込み、最奥を突いた。 「はぁ……あぁ、や、あぁっ……!」 敏感な入口付近を穂先の傘で引掻かれ、最奥を突かれると彼女の中に留め止めなく蜜液が溢れ、卑猥な 水音が部屋に響き渡る。 その音に耳を犯されるような悦びを覚えビシュナルの腰は何度もフレイと離れ、密着した。 繰り返す内に最奥に辿り着く時間が早く感じ、結合した部分を見ると自分の動きに合わせ、小さく フレイの腰が前後している。 「ひ、姫……気持ち、いいです……」 彼は肩で呼吸しながら穂先が痺れるような熱さを感じていた。 「ん……ぁんっ!」 フレイは無意識に自らペースを早めた。再び擦り切るような痛みが襲うが、敏感な部分を彼の肉茎に 犯される感触を一秒でも早く味わいたかった。 「姫、無理は……だ、ダメです!」 彼女の身と自分の限界の事を案じて言った。 「あぁんっ! なに……これ……!」 腰の動きが徐々に早くなり、自分と別人のものが動いていると錯覚した。 「んくっ……姫、もう……!」 フレイは中で注送を繰り返す彼の肉茎の震えを感じた。 彼が動く度にぐちゅりぐちゅりと秘部が音を立て新たな蜜液を吐き出し、強く彼のもの締めつける。 やがて彼自身の注送が激しくなり、上体をフレイと重ね合わせ、彼女の細腕ごと抱きしめた。 「んんっ! あぁぁーっ!」 一際大きな嬌声を上げるフレイ。 そしてビシュナルは大きくフレイの最奥を突いた。 「くぅっ!」 ビシュナルが震え呻いた瞬間、彼の先端から熱い飛沫が撒き散らされた。 何度も何度も、フレイの最奥の果てを自らのもので満たそうと肉茎が震えた。 「ぁ……ぁ……」 フレイの視線は虚空を泳ぎ、声にならない喘ぎを上げる。 最奥がうねる気がした、彼の吐き出したものを得ようとする為に。 二人はしばらく肩で呼吸し、繋がっていた。 ビシュナルの穂先はまだ思い出すかのようにピクリと跳ね、残滓をフレイに送る。 ビシュナルは名残惜しさを堪え肉茎をゆっくりと引き抜いた。 フレイのひどく濡れた秘部は彼女の血が混じり、薄赤い蜜液が溢れている。 最後の最後で欲望の赴くまま彼女を犯した事をビシュナルは恥じていた。 「初めて姫に好きと言われた日は、心臓が飛び出そうだったんですよ? でもどうして僕の事を?」 「セルフィアに来て何も分からない私に、生きる術を教えてくれたのはビシュナルくん。 私が危険な場所へ向かうとき、いつも横にいてくれたのもビシュナルくん」 毛布の上で二人は裸で抱き合い語り合う。 「それはビシュナルくんにとって仕事だからかもしれないけど……でも、いつの間にかこんなに好きに なっちゃった」 満面の笑みを彼に向けた。 「それで僕の為に……身を捧げてまで僕の事を……」 嬉しさに胸を貫かれ、彼の頬に涙がこぼれた。 「んっ」 ビシュナルの唇をフレイの小さな唇がふさいだ。 「最初は嫌われちゃうかと思ったけど、思い出で終わらなくてよかったよ」 「……僕は幸せ者です。それなのに姫の事は主人だ、自分は見習いだ……なんて言い訳して 自分の気持ちを伝えもしなかった僕は本当にダメですね」 「じゃあもう一度、改めて伝えて?」 悪戯っぽくフレイは笑う。 「え?! ……はい、姫……一目見たときから好きでした。今は大好きです!」 真直ぐにフレイの目を見て想いを伝えた。 「あ……えへへ……」 恥ずかしくなり、フレイの顔は紅潮し口をつぐんだ。 静寂が小屋を包み二人は安息を感じ取っていた。今ここはまさに二人だけの世界……そう思っていた。 「ところで姫、夜も更けてきましけどペット達は?」 「あ!」 この場所が彼らの家だという事を、二人は情欲に溺れ忘れていた。 反射的に二人は起き上がり入口を見るとそこには、仕事を終えたペット達が入り辛そうにこちらを見ている。 「い、いつから見られてたんでしょう……?」 「……」 恋人達は早々に後始末をして逃げるように小屋を後にした。 小屋を出ても、背後から刺さるような視線を感じた気がした。 その後、誰も棲まないモンスター小屋が一軒建ったとか建たなかったとか。 end
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『レオン×フレイ』 レオンさん出てこないフレイさん自慰ネタです。 念のため告白・デートイベバレ注意。 「はあぁ……」 愛しい恋人を見送った後、フレイはベッドにぼふっと体を沈め、落胆の色濃いため息を吐き出した。 テーブルの上には空になった二人分のティーカップが乗ったままだが、片付ける気力もわかない。 ――また今日も、何もなかったなぁ……。 なけなしの勇気を振り絞ったんだけど、と先日買い換えたばかりの真新しいシーツに顔を埋め、一人ごちる。 女が恋人を自室に誘う意味、まさかあのレオンに分からないはずがない。 実際、それらしい雰囲気にはなったのだ。いつも通り冗談で済まされただけで。 その後は頬にキスして、真っ赤な顔でお返しされて、それでおしまい。悲しいほどにいつものデートだ。 どうにもならないむず痒さが、フレイの腹の奥にもやもやと渦巻く。 期待したのに。すごく期待したのに。 思い起こすのは耳元で囁かれる低い声。それだけで体が火照る。 ぎゅっとシーツを握り締めていたフレイの手が、下半身に伸びる。 「んっ……」 スカートの中に手を差し入れ、下着の上から中心を撫で上げる。 何度も指を往復させて擦りあげると、そこを覆う布が次第にしっとりと濡れはじめた。 今日は場所が場所だっただけに輪をかけて効いたようだが、最近のフレイはデートから帰る度にこうだった。 肝心の恋人は、煽るだけ煽っておいて何もしない。結局手付かずで残された据え膳は、自分で自分を慰めるしかないのだ。 時刻はまだ夕方に差し掛かったところ。オレンジ色の西日が差し込む部屋の中で、惨めな気持ちでいっぱいになりながら、それでもフレイは行為に没頭していった。 ごろんと仰向けになり、すっかり濡れそぼった下着を下ろした。そのまま脚を開いて膝を立てる。 まだ明るさの残る部屋の中で開放された秘壺にぞくぞくとした羞恥を覚えながら、フレイはおそるおそる中指を沈めた。 「ふっ……ぅ」 白く細長い指は、いとも簡単にぬるりと飲み込まれた。 初めてというわけでもないのに、未だ慣れない異物感と少しの圧迫感に、深呼吸をひとつ挟む。 少し落ち着いたところでぐっと根元まで差し入れて、指の腹でざらざらとした内壁を擦る。 「ぁっ……は……ぅんっ」 きゅんと走った快感に、反射的に腰を反らせる。 くぷりと指を抜き差ししながら、反対の手で蜜を掬い、肉芽をくりくりと押しつぶす。 「ふっ……ぅく……っレオンさん……ぁあっ」 恋人に犯されていると自らを錯覚させて、焦がれるように名前を呼ぶと、それに応えるように体内がぴくっとひくついた。 「レオンさっ、レオンさぁん……っ」 狂ったように恋人の名を呼ぶ毎に、フレイの興奮は高まっていく。 中を掻き回す指はいつのまにか二本に増えており、ぐちゅぐちゅとあられもなく立てられる水音が、更にフレイを快楽へと駆り立てた。 「あっ、ふ、あ、ぁああっ」 赤く熟れた核を摘まみ上げると、一際高い嬌声とともに背中がびくんと跳ねた。 びくびくと内壁が収縮し、奥から手前、手前から奥へと波打ちながら二本の指を締め上げる。 ひとしきり絶頂の余韻を味わったフレイは、息を荒げたまま力なくベッドに四肢を投げ出した。 なぜレオンは触れてくれないのか、頭では分かっている。 フレイが想いを告げたとき、レオンは結婚できないのだと、しないと決めているのだと言い切った。 誰よりも軽いように見えて、誰よりも真面目で他人思いな彼のこと。万一の折、責任の取れない行為などできるはずもない。 それでも構わないと言ったとて、首を縦に振ることはないだろう。 そもそも初めは恋人になることをすら拒んだレオンを、無理矢理押し切ったのはフレイだ。少しも負い目がないと言えば、嘘になる。 理解はしているのだ。承知の上で恋仲になった。けれど、込み上げる胸の疼きはどうしようもなく。 「レオンさんのばかぁ……」 矛盾した想いを乗せて小さく吐き出された言葉は、夕闇の帳に消えていった。
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『ダグ×フレイ (2)』 日が短くなり始めたとはいっても、いまだセルフィアの朝は早い。 「……ん、」 目蓋を通して突き刺さる光に深く沈んでいた意識が浮上する。 なんだかいつもと方角が違うと訝しむながら、カーテンを閉めようと伸ばした手が宙を掻いて初めて感じた違和感。 腕の中の温かさの理由と存在を思い出して開いた視界の先には、淡翠色の髪の少女、フレイがいた。 「……あ、あー…そっかそっカ……」 フレイの顔を見た途端に甦った昨夜の記憶に、意味もなく髪を掻き回す。 穏やかな寝顔に安心してしまうのは、昨夜辛い思いをさせた自覚があるからだ。 本人は否定するだろうが、この強い……肉体的にも精神的にも……フレイが泣きながら「痛い」と口にしたのだから、少なくとも彼女の身体には負担を強いたはず。 ただ、とても嬉しそうに「幸せ」と囁いたのもフレイで。 (やべェ、朝から勃ちそうダ) 健康的な朝の日差しの中で思い出すべきではなかったと反省してみる。 しかし目の前には紅い華がいくつも咲いた首筋と柔らかさを知っている唇、柔らかな曲線二つで作られた谷間。 フレイに触りたいと思うけれど、肌に触れると熱がぶり返しそうで、枕の上に広がっている髪を一房手にとりその滑らかさを堪能するに留めた。 頭を撫でるときとはまた違う感触を楽しんでいると、フレイが小さく愚図るような声を上げ、ぼんやりとした瞳を見せた。 「ん……だぐ……?」 「はヨ、フレイ」 「ぅん……」 舌足らずに「おはよう」と返し、フレイは俺に擦り寄る。 早朝の空気は彼女の肩を震わせるには充分に冷たく、俺もフレイをぎゅっとしてみる。 このまま布団から出たくないなと思いながらも、フレイは農場やらの仕事、こっちは店の開店準備でそうもいかない。 名残惜しさを振り切るつもりでおでこにキスをすると、フレイは嬉しそうに笑った。 「お、おはようっございます!!」 ……そう、俺達はイチャイチャしていた。人の気配に気付かぬほどに。 「……」 「……」 「「!?」」 一瞬状況が理解できなかった俺達は飛び起きた。 パジャマの上を着損ねていた俺は温かさから離れて微かに寒さをかんじたがそれどころじゃなくて、目の前で顔を真っ赤にして目を泳がせているビシュナルを凝視する。 隣ではフレイもビシュナルを凝視していて、彼は俺達の視線から逃げようとしているようにも見えた。 「きょ……今日は、おまおまつり、で、すよ……」 噛み噛みでそれだけ言い切ったビシュナルは、今度は小声で「執事は動揺しない執事は動揺しない」と繰り返す。 彼の大先輩の教えだと理解するのに時間はかからなかった。 主人の恋愛に口を出さない、執事は動揺しない、主人の命令は絶対。 「フレイ!モーニングコールは停止しとけヨッ!?」 「忘れてたんだもんっ!」 半泣きでシーツを胸に引き寄せるフレイに悪気があるとは思えなくて、俺はため息をつく。 フレイの普段着なら見えないであろう位置につけたキスマークも、彼女のパジャマでは丸見えだろう。 ビシュナルが何を想像しているかもわかるし、それは真実だから、弁解の必要性はない。 「それでは僕はこりぇで!!」と裏返った声で告げて走り去る友人の背中を見送りながら、次に会ったら過剰反応されそうだなと心配になる。 「……明日からは解除しとけヨ……」 「うん……」 俺達のためにも、彼のためにも。 「ま、さっさと起きるカ。今日は祭らしいしナ」 ベッド近くにかけられているカレンダーを見るといろいろ釣り大会と書いてある。 フレイと、気にくわないがディラスが壮絶な優勝争いを繰り広げる祭りのひとつ。じ っと待つのが苦手な自分にはあまり縁のない祭りだ。 ……まぐれで入賞することはあるが。 脚に絡むシーツを軽く蹴飛ばして、ベッドから降りる。 伸びをしながら手に取った服は昨日着ていたやつだが、下着しか替えを持ってきていないから仕方がない。 あとで部屋で着替えてこよう、そう考えながら着替えていた俺の後ろで、ドサッという、軽いのか重いのかわからない音がした。 「……どうしタ?」 振り返ると、そこには床に座り込んだフレイがいた。 俺も驚いたが本人も驚いたらしく、もともと大きい目がさらに大きく円くなっている。 立たせてやろうと手を差し出した俺を見上げて、一拍置いて、フレイは顔を真っ赤にした。 「?」 「ぁ…脚、力入らない……」 「…………」 「ばかぁっ……」 「……!!」 俺も真っ赤になったのは当然で。……こんな体調のフレイが釣りなどできるわけもなく。 街の皆に不思議がられながら三位に甘んじたフレイの腰を労りながら、これもなかなかに幸せな過ごし方だなんて思った。
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作者・春野菜 トリップ・無し 「ぁいたっ!」 デート帰りに食べた夕食の時間がはやかったせいか、この時間になって改めて腹が空いてしかたがない 。料理上手な恋人がなにか置いていないかと……彼女はあの細身に反してよく食べる……冷蔵庫を覗き込んでいた時に隣室から聞こえてきた悲鳴に、弾かれたように顔を上げた。 「フレイ、おい、どうしタッ!?」 まさか不埒な輩が入り込んだのかと慌ててしまう。ゼークスが今さら仕掛けてくるとは思えないが、あの国はなにをするかわからない恐ろしさがある。 捨て鉢の報復、それがなによりも恐ろしい。 「あっ、ゃっ来ちゃ駄目っ!」 「駄目ってなに、ガ……」 飛び込んだ部屋で最初に目に入ったのは、若草色の髪の間から覗く緩やかな曲線を描く背中だった。 普段は高く結ってあるフレイの髪が解かれ彼女の背に流れている。 隙間から覗く小振りな尻を覆うのは純白の布地1枚。太股裏の張りのある肌の眩しいまでの白さに、言葉を失い、フレイの再度の悲鳴で我に返った。 「きゃあぁぁああっ!!」 「うわぁッ!ななななんで脱いでるんだヨ!!」 急いで逸らした視界の端に、フレイの急な動きで翻った髪の動きが見えた。 「きっ着替えるって言ったじゃない!!!」 そうだった、パジャマに着替えると言ってフレイは部屋を出たのだったか。確かに目をそらす前に見た部屋の中には、服用の棚があったような気がする。 「ダグのバカっ、いきなり入ってこないでよっ」 「そっちがいきなり叫ぶからだロっ!」 「だって絡まっちゃったんだもん!」 「ハァ?」 「……っブラに、髪が引っ掛かったの!!」 泣きそうな声に目線だけでフレイを見る。 恥ずかしがって向けられている背中と睨み付けてくる真っ赤な顔に派手な音をたてる心臓を宥めすかして視線を動かすと、 一様に美しいラインを描いて流れているように見えた髪の一部が、肩甲骨の下あたりで下着に引っ掛かり蟠っているのがわかった。 あぁなるほどブラに、と考えて、改めてフレイが下着のみだという事実が頭に入ってきた。 下着姿の恋人と1つの部屋にいる。その事実の理解が進むにつれて、先ほど目に入った光景が鮮明になる。 癖のない腰まである髪、背中の真ん中に背骨のラインの窪み、そこから続く尻を包む布地のパンと張った部分と割れ目に添ってシワの出来た部分。 顔だけで振り返ったフレイの微かに傾いた上半身は、背中側からであっても、豊かな胸の膨らみをうかがわせた。 「あの、ダグ?」 「っな、なんダ!?」 鮮明に覚えてしまったそれから与えられたドキドキが、下半身に直結してしまい焦った瞬間にかけられた言葉に、声が裏返ってしまった。 「えっと……その、後ろ見えなくて……外して、くれないかな?」 「は、」 外すって、ホックをか?いやいや違うだろ。 状況からして絡まってしまった髪を下着から外すということだろう。脱がせるための選択肢が真っ先に出てくるのは男の性だ仕方がない。うん、仕方がない。 「っえーとじゃあ、後ろ向けヨ」 「うん」 素直に背中を向けたフレイに近付く。遠目に見たときと変わらず染み1つない滑らかな肌に、無意識に喉が鳴る。 髪が引っ掛かっている付近に指を伸ばし戯れに肌に触れると、ぴくりとフレイの身体が震える。 なかなか盛大に絡まっている髪をほどくことに集中しようとしても、指先が触れるごとに小さく反応する目の前の身体が、少しずつ桃色に染まっていく肌が、誘っているようにしか思えない。 「な、なんカ、可愛いの着てんだナ」 「……え?」 「あっいや、変な意味はないゾ!その、いや、エーット!!」 「…………」 変な気分を散らそうと咄嗟に出た言葉の話題選びの下手さに慌てる。フレイは丸くした空色の瞳でこちらを見たあと、無言で顔を背ける。 純白の布地の所々に青いりぼんがあしらわれた下着を可愛いと思ったのは事実だが、今、この状況で伝えるのは間違ったとしか思えなかった。 性的な意図はない……性的な目で見ていることは否定できないが……言葉だったのだと言い募ろうとしたとき、 フレイが真っ赤な顔を手で覆い、蚊の鳴くような声でなにかを呟く。それを聞き取ろうと背後から身を寄せると、羞恥にであろう震える言葉が耳に入った。 「勝負下着……で、す……」 「…………」 「…………」 「…………」 「……だ、ダグ……?」 声を絞り出したフレイは、しばらくたっても無言なことを訝しんだのか、俺の名前を呼ぶ。振り返るまでは出来ないらしい彼女の耳元に唇を寄せると、びくりと肩を震わせた。 「外した方が早そうだかラ、後ろ外すゾ」 「え、きゃっ……」 フレイの返事を待たずにホックを外すと、彼女は背中側の支えを失ったために役目を果たさなくなった布地を慌てて前で押さえた。輪になっていた部分がただの紐になると拍子抜けするほどあっさりと髪はほどけて、癖のない彼女の髪はあっさりと他の髪に混ざりわからなくなる。 「外れた、の?ダグ……っあっ?」 フレイの身体が跳ねる。無防備になっていた側面からブラの下に差し込まれた俺の手が、彼女の両胸の膨らみをわし掴んだからだ。 「ゃあっ!だ、ダグっまって……っひぅ、んっ!?」 弾力のある膨らみは手に少し余る大きさで、その弾力で手を押し返すくせに、女性の肌の滑らかさをもって手のひらに吸い付いてくる。谷間にほんのり汗をかいていることにたまらなくエロさを感じる。 「きゃぅっあ、んっぅ……っんぁっふ、ん……っ!」 指に当たった飾りを指の腹で転がすと、フレイは俺の腕を掴んでいた手で自分の口を塞いだ。 喉の奥で抑え込んでいるらしい声が聞きたくて、色の境目らしい場所を円を描くように撫でたり、硬くなったそれを強めに引っ張ったり押し潰したりする。 ガクガクと脚を震わせて背を丸めたフレイを好都合だと彼女の尻に自分の腰を擦り付けると、桃色の唇から抑えきれなかった「あっ」という嬌声が漏れた。 「んっ、んん……っや、ダグ、ダグっ」 「フレイ、いいカ?」 フレイの両の脚の間に片足を差し込み、ズボン越しにでもはっきりわかるほど勃起した性器を押し付ける。 ここに挿れたいのだという明確な意思表示に、彼女の受け入れるべき場所がキュンと震えるのがわかる。 「ん、うんっ……っぁの、せめて、ベッド、で……ぁっ」 「ン、わかってル……」 手触りのいい若草色の髪を払って首筋に強く吸い付くと、フレイの唇から苦痛の混ざった甘い声が漏れる。白い肌に赤い痕がついたのを確認して、何度もそれを繰り返す。 「フレイ……っ」 「ぁんっ、ダグ……っ大好「フレイ殿、明日の祭についてですが」 「…………」 「…………」 「…………」 聴こえた声に、俺たちはそのまま固まる。先ほどまでとは違う冷たい汗が吹き出して来るのを背中に感じながら、振り返れないまま数秒の沈黙が落ちた。 「……失礼、お取り込みのところ申し訳ありませんでした。」 「っちが、ヴォルカノン誤解ダ!いや誤解じゃないけど、その、あの、とにかくちがウッ!!」 「いえ、私ヴォルカノン、若人の営み、さらに言えば姫の麗しき色恋事に口を出すような野暮はいたしませんぞ。執事ですからな」 「あのっこれはね、あのですね!?」 「しかし私個人の意見としましては、ベッドでの方が色々と都合がよろしいかと存じ上げますぞ。では、祭の件は明日の朝改めて参ります。」 何も見ていないかのようにスッと居なくなったヴォルカノンに「いっそ普段通り接しないでほしかった……!!」と羞恥に震えた俺達が一線を越えたかどうかは、想像にお任せする。
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タイトル『アーサー×フレイ』 作・おんぷ トリップ ◆1mfEMO/rGNP8 街のみんなが寝静まった頃。 フレイはこっそりヴィヴィアージュ邸に向かった。 試してみたいことがあるのだ。 それは、付き合って三ヶ月になるアーサーをからかってみること。 突然押しかけていってアーサーのベッドに入るフリをすると、いつも冷静な彼もさすがにうろたえるだろう。 (ふふっ、アーサーさん、びっくりしすぎてメガネ落としちゃったりして) フレイはくすくすと笑った。 ―ヴィヴィアージュ邸・アーサーの部屋― 「こんばんは」 「おや、あなたでしたか。今日はもう会えないかと思っていましたよ。」 「……。」 「フレイさん?」 (アーサーのベッドだ。) →寝てみるのも悪くない いや、悪い 「えいっ!」 「フレイさんなら、私は構いませんよ。」 「えっ……!?」 アーサーはメガネを外し、冷静な様子で言った。 (思ってたのと違う……!?) 「どうしたんですか、フレイさん。寝てみるのでは?」 「いえ、えっと……。」 「さあ、どうぞ。どちらにせよ、私は忙しくてあまりベッドで寝ている暇はありませんからね。ふふっ、ベッドもたまには寝てほしがっているんじゃありませんか。」 「……そんな!わたしなんかが寝ちゃ、よけいダメじゃないですか!アーサーさんもちゃんとベッドで寝ないと、働きすぎは体に毒ですよ!」 「おや、フレイさんまでポコリーヌさんのようなことを言うのですね。でも、私は大丈夫ですよ。いつものことですから。」 「ダメです!!!」 フレイはため息を一つついて続ける。 「わたし……アーサーさんをちょっとからかおうと思って来たんです。急にベッドに入るって言ったらびっくりするかなって思って。けど、そんなことどうでもよくなっちゃいました。アーサーさん、お願いです。今日だけでいいですから、ベッドで寝てください!」 「……ふぅ。」 アーサーはメガネを外しながら息を吐いた。 「フレイさん。」 「はい……。」 「取引、しませんか?」 「えっ……?まだお仕事するつもりですか?」 ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、アーサーは言った。 「あなたが私のベッドで寝るなら、私もご一緒しましょう。でも、もしあなたがそうしないと言うなら、私は仕事を続けることになりますね。」 まるで、簡単な商談を進めているかのような口ぶりで言う。 「そ、そんな……!そんなのずるいです!」 「ずるい?ふふっ、それはこちらのセリフですよ。こんな遅くに訪ねてきて、私をびっくりさせようなどとする可愛いあなたのほうがよっぽどずるいです。」 「……っ!」 「さあ、どうしましょう。取引はスムーズに行うのが鉄則ですよ。」 フレイは目をぎゅっと閉じ、そして答えを出した。 「わかりました。一緒に寝ます。でも……でも、寝るだけですよ!本当に!」 アーサーは一瞬驚いたような顔をし、笑いながら続けた。 「ふふっ、可愛い人ですね。寝る以外に何をするというんです?」 「そっ……それは……!」 「冗談ですよ。」 「もう!」 フレイは頬を膨らませ、アーサーを睨んだ。 アーサーは何食わぬ顔でベッドを整え、フレイに言った。 「さあ、寝ましょう。ベッドで寝るのは1週間ぶりです。」 「は……はい……。」 フレイは心臓を高鳴らせながら、しぶしぶといった様子でベッドに入った。 大好きな彼と一緒に寝られるなど夢のようだったが、それを態度に出すとはしたない女と思われそうで気が引けたのだ。 すぐにアーサーもベッドに入ってくる。 フレイは慌てて壁のほうを向き、布団をかぶった。 「じゃ、じゃあアーサーさん!おやすみなさい!」 「はい、おやすみなさい。」 アーサーはただ挨拶をするのみだ。 (なんだかちょっと寂しいような……ううん、でも寝るだけなんだし、なに期待してるのわたし!) 1分ほどが経過し、ようやく心も落ち着いてきた。 (アーサーさん、寝たかな……って、さすがにまだだよね) と思っていると、おもむろに背後から抱きすくめられた。 ふわっと包み込むような優しさだったが、ためらいは一切感じられない。 「ア、アーサーさん!?ちょっと……!」 「すみません。こんなに可愛い抱き枕があると、抱かずにはいられなかったものですから。」 「抱き枕って…。だって寝るだけって!」 「ええ、寝ますよ。では改めておやすみなさい。」 (うう…こんな状態のまま寝られるわけないじゃない……。) しかしその言葉通り、アーサーが何かをしてくる気配はない。 背中に神経を集中させていたフレイは、アーサーに気取られないように、そっとそっと顔を後ろに向けた。 アーサーは目を閉じ、微動だにしない。 (寝た……のかな?) 「…アーサーさん」 フレイは小さな声で呼びかけてみた。 返事はない。 「…寝ちゃったんですか?」 やはり聞こえるのは規則的な寝息だけだ。 フレイはアーサーの腕の中で静かに反対側を向いた。 恥ずかしさのあまり壁のほうを向いてしまっていたのだが、やはり彼の寝顔が見たくなってしまったのだ。 (アーサーさんの寝顔なんて、初めて見た) サラサラと顔にかかる金色の髪、閉じられた切れ長の目を縁取る同じく金色のまつげ、白くなめらかな肌、形の良い唇……。 (きれい……) フレイは思わず見とれてしまった。 自分の恋人を、こんなにまじまじと見たのは初めてかもしれない。 その美しい顔を眺めているうちに手が無意識に彼の顔に伸び、唇にそっと触れようとした。 と、そのとき。 「!!!!!!!」 急に身動きが取れなくなり、目の前には冷たくフレイを見下ろすアーサーの顔が迫っていた。 抵抗しようとするが、両手が押さえられておりびくともしない。 「ちょっと!アーサーさん!どうしたんですかっ!」 アーサーはふっと軽く笑い、すぐに真顔に戻った。 「どうしたんですか?それはこちらが聞きたいですね。あなた、寝るだけだったのではないのですか?」 「え、いや、寝るだけ……ですけど、あの……」 「こちらはあなたとの約束通り必死に寝ようと努めました。しかし、当のあなたはおとなしく寝るどころか私を艶めかしい目で見つめたり、唇に触れようとしたり……誘っているのですか?」 「えっ、ちがっ…っていうか、見てたんですか!?」 「ええ、見てたんです。あなたのその物欲しそうな顔をね」 そう言い終わるが早いか、アーサーは自分の唇でフレイの唇を強く塞いだ。 「む…!んんん!」 いつもの、触れるような優しいキスとは全く違う、激しいキス。 彼の舌が口中をまさぐり、息もできない。 どれくらい経っただろう。 アーサーは唇を離し、息を整えながら言った。 「すみません。フレイさん。私は王子である前に一人の男です。ここまできてしまったらもう戻れないことくらい、わかりますよね?」 「あっ……えっと…」 「今夜あなたを、いただいてもいいですか?」 「えっ!あの……!」 「い い で す ね ?」 フレイはコクリとうなずいた。 こんな時間に彼のベッドで寝ようとした時点で、こうなることを心のどこかで望んでいたのかもしれない。 そしてなにより、いつも紳士的でおだやかな彼の荒々しい部分を目のあたりにし、体の奥がキュンと疼いたのも事実だった。 「交渉成立です。」 アーサーのその言葉を合図に、フレイはゆっくりと目を閉じた。 そこからのアーサーはさっきの激しさがうそのように、極めて冷静で穏やかないつもの彼だった。 ゆっくりとフレイの服を脱がせ、あらわになった胸のふくらみをそっと包み込む。 「…可愛いですね。」 「ちょっと…それって小さいってことですか?」 フレイは少し不服そうに言い返す。 「いえ、可愛いということですよ。」 「それ、全然答えになってな、んぁっっっ!」 話の途中で、アーサーはフレイの胸の一番敏感なところを指でつまんだ。 そしてそのままくりくりと弄ぶ。 「だめっ……アーサーさ…んっ……!」 「だめ?なにがでしょう?」 アーサーは余裕の表情で聞き返す。 「だから……ぁあっ…そんなにいじっちゃ……!」 「そうですか、だめですか。では、こちらのフレイさんにも聞いてみましょう。」 そう言いながら、彼の手は静かに、しかし素早く下腹部へ降りてくる。 くちゅっ。 恥ずかしい音が響いた。 「どうやら、こっちのフレイさんはだめじゃないみたいですよ。それどころか、もっと欲しいようで。」 アーサーの指が激しく動く。 「あぁん!あっ……!ん!はぁっっ!んんん…!」 「どうでしょう。やめますか?」 「やっ!やめ……るのやっぁぁ!やだぁぁ…!」 「ふふっ、何を言っているのかわかりませんよ。私の可愛い人。」 その白く長い指は奥へと入り込み、お腹の裏側のほうをぐいぐい押し上げる。 「ひあああぁ!っ…!やだっぁお腹の裏きもちっ!きもちぃよぉ……」 「フレイさん、あまり大きい声を出すとポコリーヌさんに聞こえてしまいますよ?」 そう言いながらも、指の動きは激しさを増すばかりだ。 「ふえっ…だっ……て…!んぁぁ!」 フレイは完全に何も考えられなくなっていた。 大きく脚を開き、普段恋人が寝ているベッドの上で溢れる蜜をまき散らしているのに、それなのに快感が体も心も支配する。 「アーサーさんっ……!ねぇっ…あぁっ…ねぇ!」 「はい、なんでしょう?」 「ねぇ好きっ…!好き好き好き!あぁんっ!好きですっ……!」 フレイは喘ぎ声を必死にこらえ、アーサーの頭を掴むようにしながら言う。 「好きなのっ…あっきもちっ……!ねぇ大好きですっあぁ!」 今度はアーサーのほうが限界だった。 「……っ!あなたって人は……!」 自分の愛撫に我を忘れながら、狂ったように愛を叫ぶ恋人……。 男として、我慢などできるはずがない。 濃いブラウンのローブを脱ぎ捨て、痛いほど大きくなったものをフレイの入り口に押しつけた。 「フレイさんっ!」 切ない叫びとともに二人が一つになろうとしたその瞬間。 「super!!!ポコリーヌターーーーーーーーーーーーイム!!!!!」 「!?」 「!?」 突然、クイズ大会でおなじみのあのフレーズがヴィヴィアージュ邸全体に響いた。 さきほどまでの興奮が一気に冷め、二人は同時にドアのほうに顔を向けた。 (誰も…いない?) しかしアーサーはとっさにフレイに覆い被さり、その上から布団をかぶった。 「あ…の……アーサーさん……お腹に…」 (硬いものが当たってます……) そう言いたかったが、口を塞がれてしまった。 彼は隣の部屋のほうをじっと見つめている。 そのとき、バタンという音と同時にまた声がした。 「おい!どうしたんだ!?なにかあったのか!」 どうやらディラスの声らしい。 大声に驚いて、ポコリーヌさんの部屋に様子を見に行ったようだ。 「おい!ポコさん…」 「12…5ポコポ…差し上げ…す…ワタシ…お腹いっぱ……」 ポコリーヌさんの声が小さく聞こえた。 「…っなんだよ!寝言かよ!びっくりさせるんじゃねーよまったく…!」 続いてディラスのぼやきも聞こえる。 「…はぁ」 「…ふぅ」 重なり合った二人は、同時に息を吐き出した。 「寝言でしたか。」 「寝言だったんですね。」 また声が重なり、二人はくすくすと笑った。 「フレイさんが大きな声を出すからですよ。」 「そんな!アーサーさんがいじわるするから……。」 「こんなふうにですか?」 アーサーは再び指を入れ、くちゅくちゅと動かした。 「あっ…だから…!」 急に続きを始められ、不意打ちに体が反応してしまう。 「さぁフレイさん、力を抜いて。」 アーサーは優しく微笑みながら指を引き抜くと、かわりに硬くなったものをぐっと押しつけた。 フレイはその感触に驚く。 「えっ!だめですよこれ以上はポコリーヌさん起きちゃう!」 「大丈夫ですよ。あの人は一度寝たら朝まで起きませんから。」 アーサーは微妙な体勢のまま余裕の笑みを浮かべる。 「あっでも!ディラスが起きちゃうかもしれないし!」 「ディラスくんのところにまで聞こえるくらい大きな声を出すつもりなんですか、フレイさんは。」 「えっ……違いますけど、その、だから!」 フレイは必死だ。 ディラスがまだ眠りについていない可能性も大いにあるし、我に返ってしまった今、周囲にバレたらどうしようという思いが圧倒的に強い。 「もしディラスくんがまだ寝ていなかったらどうしよう…と、こういうことですか?」 アーサーはフレイの考えていたことをぴたりと言い当てる。 さすがは恋人だ。 「すごい、その通り…って!感心してる場合じゃなくて!」 「ディラスくんのことなら大丈夫ですよ。」 「えっ?」 きっぱりと断言するアーサー。 「最近、ディラスくんがあなたに特別な感情を抱いているらしいことには気づいていました。あなたにもらったニンジンを、ニヤニヤしながら見つめていましたしね。でも、これがいい機会です。あなたが私のものだということを、ディラスくんにも知らしめてあげなければ。」 「えっそれって……!」 「まぁ、好きな人と同居人の愛し合う声を聞かされる彼は少しばかりかわいそうな気はしますが、私の大切なフレイさんにちょっかいを出した仕返しということで。」 「えっ!?えっ!?待っ…!」 「待てません。」 その瞬間、アーサーはフレイの中に強引に入っていった。 「ひゃっ!いたっ…!痛い…!」 フレイは思わず体を反らした。 (こんなに痛いなんて…!) 「フレイさん」 アーサーは耳元で名前をささやき、フレイをぎゅっと抱きしめた。 「痛くなくなるまで、ずっとこうしていますね。」 「アーサーさん……」 フレイはアーサーにしがみつくと、頬に小さくキスをした。 彼の優しさが、うれしかった。 「わたしなら大丈夫です。その……今すごく幸せですから。」 「本当ですか?無理はいけませんよ。」 「本当に大丈夫です。だから」 今度は熱く、激しいキスをする。 アーサーは一瞬戸惑ったが、すぐそれに応えた。 そして、ゆっくりと腰を動かし始める。 「あっ…!あっ…!」 「フレイさん、痛いですか?」 「んんっ…ちょっと…でも…なんか変な感じです……あぁっ!」 アーサーはフレイの痛みを和らげようと、入り口近くの最も敏感な突起を指で撫でた。 「んはぁぁぁっ!そんなとこ……だめぇ……っ!」 「あなたにも気持ちよくなってもらわなければ、意味がありませんから。」 「あんっ!あぁっ!……んぁぁぁぁ!!!」 完全に痛みを忘れたフレイの中からは、とろとろと蜜が溢れ出していた。 「フレイさんっ…!」 フレイの変化に気づいたアーサーはたまらなくなり、腰の動きを速めた。 フレイもそれに応じる。 「あああぁぁぁ!奥に当たっ……てぇ!んぁぁ!」 「……っ!」 「いやぁぁぁっ……へんなのっ…へんになる……っぁ!」 アーサーの息は荒くなり、フレイの喘ぎ声はどんどん大きくなる。 「きもちぃ……ですっ…!アーサー!ぁぁっ!なんかきます……なんかきもちぃの……くるっ!」 じゅぷじゅぷという音が激しさを増すとともに、腰の動きも最高潮に達していた。 「フレイさんっ……くっ!」 「あぁぁぁぁぁっ………っ!………!」 フレイの体がびくっと波打ったのと同時に、アーサーはフレイの中で果てた。 二人は肩で息をしながら、そのまま抱き合っていた。 「フレイさんがこんなに可愛いだなんて……。全く、あなたはいつも反則ばかりする。」 アーサーはしみじみと言う。 フレイは恥ずかしくなり、彼の胸に顔を押しつけた。 「わたしだって、アーサーさんがあんなに…その、激しいとは思いませんでした。」 おや、という顔をしたアーサーは、ニヤリと笑う。 「本当の私はあんなものではありませんよ。今日はだいぶ我慢していましたから。」 「えっ!」 (じゃあ本当のアーサーさんってもっと…?) 「おや、もうこんな時間です」 アーサーがメガネをかけて時計を見ると、そろそろ朝が来ようとしていた。 「うそ!帰らなきゃみんな起きちゃう!それじゃあアーサーさん!また!」 フレイは飛び出すようにしてアーサーの部屋をあとにした。 「ふふっ、全く、本当に可愛い人ですね。」 ―翌朝― 「おいポコさん、昨日すっげぇ大きい声で寝言言ってたぞ。びっくりしたぜ。」 「ディラスくん、なぜそれを……まさか、キャッ」 「おっおい!なに顔を赤くしてんだよ!あんだけ大きい声出しゃあ、いやでも聞こえるだろ!なぁアーサー?」 「……えっ、あっ」 「そういえばお前、昨日は寝てたのか?そういえば俺が飛び起きたとき、お前の部屋はめずらしく電気消えてたからな」 「えっ…えぇ…最近忙しくて疲れがたまっていたのかもしれませんね」 ディラスはさして疑うこともなく、朝食用の魚を釣りに出かけていった。 「ふぅ」 昨日のことがバレたのではないかと思ったアーサーは、ほっと胸をなで下ろした。 すると、 「アーサーくん」 「はっはい!」 ポコリーヌが意味深な目でアーサーを見つめ、「キャッ」と言い残して去って行った。 「!?」 アーサーはそれからしばらく、ポコリーヌと目を合わせられなかったという。 【End】
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『ディラス×フレイ』 作者 伊古 ◆x.khw6mpQk 春も半ばにさしかかった、心地よい季節の静かな夜。 ディラスはダブルベッドに腰掛けて、ガチガチに身体を強張らせていた。 ……どうしろってんだよ! 今にも叫んで逃げ出したい気分でいっぱいである。 とはいえ、ここで姿を消してしまえば、妻になったばかりのフレイには呆れられ、事の次第を知った住人達からは冷たいのか生ぬるいのかわからぬ視線を受けるはめになることは必至。 ならば、心を鎮め、腹を括らなければいけないというのに、ディラスの心臓は壊れんばかりの鼓動を繰り返している。誰かがそこで太鼓でも叩いているんじゃないのかというぐらいである。 その音が耳元で鳴り響く中、ディラスの脳裏にいくつもの言葉がよみがえってくる。 それは、今日の昼ごろ、ポコリーヌキッチンの片隅でのことだ―― 守り人になる前も、無愛想で不器用で、人とろくに関わることなく生きていたせいで、はっきりいってディラスには色事の知識と経験が圧倒的に不足していた。 そもそも誰かに恋をして、それを受け入れてもらえて、結婚に至るなど、守り人として眠りにつく前は考えもしなかった。 そんなディラスであったが、結婚式後の初夜が、二人にとってなによりの一大イベントとなることくらいは、わかっていた。 だが、式の緊張と疲労、住人達を巻き込んだ祝宴などで気力と体力を使い果たし、その夜は互いにそのまま寝入るという失態をおかした。 それからなんとなくいいだせなくなり、数日が経過。 職場であるポコリーヌキッチンで、どうしたものかと考えているところに、よく知る男たちが集まってきた。 口々に、フレイとの新婚生活はどうなんだと、からかいまじりにきかれたものの、ディラスは情けなくも沈黙で応えるしかできず。 それですべてを察したらしい彼らから、同情と哀れみをうけつつ、なぜか色事のいろはを教え込まれることとなり――結果、ディラスは頭を抱えていた。 「……」 羞恥と衝撃と、もうすでに襲い掛かってきた緊張に、疲労困憊である。 知らないわけではなかった。男と女がなにをしてどうして子を成すかくらい。でもそれは初歩の初歩だったようだ。 今教えられたことを、自分たちに置き換えてみると、血が体内を駆け巡った。 ほんとうに、俺とフレイが、そ、そそそそんなことをぉぉぉ?! あれこれと妄想しつつ、激しく動揺しつつ、熱く火照った頬を隠す。 脳内には、乱れたフレイの姿が、次から次へと浮かんでは消えていく。自分の妄想で鼻血がでそうである。 と。 ぽん、と優しく肩を叩かれた。 のろりと顔をあげれば、上品に微笑むアーサーがいた。さすが一国の王子といえる麗しさだ。 でもついさきほどまで、あれこれと女の扱いについて詳しく語っていたのはアーサーだったりする。王族としての教育の一環であったということらしいが、あんな卑猥なことをなんでもないようにしゃべっていたとは思えないくらいの爽やかさ。 「そんなに緊張せずとも、なんとかなります。そう気負わず楽にされてはいかがですか? 案外あっさりとしたものですよ」 ああ、おまえはそうだろうよ! 経験者にくってかかろうとしたディラスが口をひらく寸前、もう片方の肩が激しく叩かれた。 いてぇと思いつつそちらを向けば、にやにやと笑うダグがいる。力いっぱいぶっとばしてやりたくなったが、なんとか堪える。相談にのってもらったことは、事実だからだ。 「そうそう、たいしたことじゃねーっテ! 失敗しないように頑張れヨ!」 「ダグ、てめえ……」 ぐっ、と親指をたてながら、応援しているのか、失敗すればいいと思っているのかわからぬことをいってくる。 ぴくぴくと頬を引き攣らせると、前方から伸びてきた手が、ディラスの手を強く握り締めた。 「そうですよ! 案ずるより産むが安しです! 当たって砕けろという言葉もあります!」 「俺は産まねえし、砕けたくねーよ!」 励ましているつもりなのだろう真剣な顔をしたビシュナルに、ディラスは叫ぶ。 愛する妻との初夜で下手なことして、ほんとうにいろいろと砕けたらどうしてくれる。フレイに、「嫌い!」とか「へたくそ……」とかいわれたら、街の展望台から身投げするしかない。 嫌な想像をして顔を青くするディラスの前で、にこりと天使の笑顔が花ひらく。 「がんばって! きっとうまくいくよ。フレイさんのこと大好きなんだよね? なら、大丈夫!」 「そ、そうか……?」 これが本当の応援だろうことをキールにいわれ、ディラスは幾分か気が和らいだ。 その向こうで、背の高い青年が、口元を扇で隠しながら目を細める。きっと口元は弧を描いているのだろう。 「いや、いっそのこと盛大に失敗してきてもいいんだぞ? そうしたら、俺がたっぷりとなぐさめてやろう」 「……どっちをだ……?」 失敗してレオンに自分が慰められるなど想像したくはない。かといって、夫との夜の生活が順調でないフレイをレオンに任せるなど、もっと想像したくない。 なにをいっているんだといわんばかりに、レオンが目を見開く。 その様子が、なんだかわざとらしくて腹が立つ! 「それはもちろんフレイにきまっている。俺は男をなぐさめるような趣味はない」 ふふん、と流し目でいってのけるレオンに、ぷちっとディラスのどこかが切れた。 「てめええええ!」 椅子を倒す勢いで立ち上がったディラスは、ははは、と爽やかに笑いながら身を翻すレオンを追いかける。 そんな二人をみて、どっと沸き立つ賑やかな笑い声が、ポコリーヌキッチンに響いた―― 「あいつら、他人事だと思いやがって……」 思い返したら、余計に憂鬱になってきた。はああ、と深く深く息をつく。 家に帰ってきてから、フレイに本当の夫婦になりたいと伝えたときに、すでに精神力はゼロになったような気がする。 いやいや、こんなに緊張することではないのだ。夫婦となった男と女ならば、して当然の行為なのだから。アーサーもはじめてのときは、こんなものかと思ったというし。 きっと、経験のない男が夢見るほどの素晴らしいことはないのだ。きっとそうに違いない。現実をみれば、案外あっさりとしたものに違いない。 そうだそうだと、自分に言い聞かせ落ち着こうと、深呼吸を繰り返す。 すると、ふいにディラスの顔を影が覆った。ん? と、わずかに顔をあげた瞬間。 「ディラス?」 「うおおあああ?!」 真正面から覗き込まれて、ディラスは飛び上がった。その様子に、寝間着に着替えてきたフレイが目を丸くする。 「な、なななんだ! 驚かせるな!」 せっかくおさまりかけていた心臓が、さきほどよりなお激しく打ち鳴らされる。 「呼んでもこたえてくれないから、どうしたのかなーって」 ディラスのそんな様子がおかしいのか、くす、とフレイが笑う。 その愛くるしい笑顔にあてられて、ディラスの頬が熱くなる。 「どうしたって……べつに、なにも……」 くそ、嫁になったらますます可愛いと思いながら、わずかに顔を背ける。 「そっか」 照れ隠しにそっけなくなるディラスの態度にも、すっかり慣れたフレイが、無防備に隣へと腰掛けてくる。 結ばれた長い髪から、石鹸の匂いがする。く、とディラスの胸が甘く痛む。どうしてこんなに、いい匂いがするのだろう。 ちらりと、視線を送れば、薄い寝巻きだけをまとったフレイがいる。 みられていることに気づいたフレイが、ほんのりと頬を染めて、はにかむ。 「えと、えへ……よろしく、ね?」 いつものように、なかなか言葉にもできず、行動にもうつせないディラスへ、フレイが手を重ねようとしてくる。 それを空中で捕まえて、きゅっと握れば、フレイが驚いた表情をみせて、恥ずかしげに顔を伏せる。かすかに震える細い手とその仕草に、自然と熱い息がもれた。 「……よろしくな」 「ん……」 顔を傾けながら近づけば、フレイがわずかに顎を上げてくれる。 自分だけを待つその唇に、ちゅ、と小さな音とともに口付ける。 それは、いつもの行為であるはずなのに、びりりとディラスの背骨が痺れさせた。 この空気が、これからへの期待が、感覚を鋭くさせているのかもしれない。 そのまま、フレイの丸い肩を掴んで引き寄せる。 ディラスは、このうるさい動悸がばれなければいいと思うが、それは難しいというもの。 こんなにも寄り添えば、きこえないはずがない。 フレイの手が、ディラスの胸に添えられる。ふふふ、と楽しそうな笑い声が零れる。 「ディラス、すごくどきどきしてる」 「……ああ」 さらにきつく抱きしめる。 「あのね……私もだよ?」 「わかってる」 ぴったりと隙間なく身を寄せ合えば、異なる二つの命を支える鼓動が重なっていくような気がする。 少しだけ顔を離し笑いあって、もう一度キスをする。今度は深く、互いの奥を教えあうように、探り合うように舌を絡める。 夢中になりそうになるのをなんとかおさえ、ディラスはゆっくりと顔を離す。 名残惜しそうに、自分の唇をみつめてくるフレイに、くらりと揺れる意識がどこかへ飛んでいきそうになるが、それではいけない。 ここからが本番である。 髪を括るリボンをしゅるりとほどく。春の若葉を思わせる髪が、さらりと流れる。 そのまま、ゆっくりとフレイを寝台の押し倒したディラスは、ごくりと喉を鳴らして、手を伸ばしていく。 頬に触れ、細い首をたどり、自分にはない胸のふくらみへと手を添える。指先に力をこめる。そこは、驚くほどに柔らかかった。ふにゃりと、ディラスの思うとおりに形を変える。 たよりない寝巻きの肩紐を引き下ろせば、目の前にフレイの裸体があらわになる。 恥ずかしいに違いないのに、ディラスを制することもなく、目元を赤く染めて震えるフレイを目に焼き付けながら、色づいた頂に指をかける。 全体に手を添えつつ、温かさと柔らかさを堪能しながら、ひっかく。 赤く張り詰めたそれは、柔らかな乳房とはまた違うさわり心地だ。硬さを確かめるように、親指と人差し指で、きゅう、と摘みあげてみる。 「あ……、あん……!」 「!!!」 ふいに響いたフレイの声に、ディラスは弾かれたように手を離した。 乱暴にしてしまっただろうかと、慌ててフレイの様子を伺う。 自分の口から、あんな声が飛び出したことに驚き恥じらい、口を押さえたフレイが、ディラスからの視線に耐えられないというように横を向く。 「い、痛かったか……?」 それに言葉で応えることなく、フレイが頭を振る。そうではない、ということだろうが、どうしたらいいのかディラスにはわからない。 いろいろと彼らから教えてもらったことが、吹っ飛んだ。頭の中が真っ白になっていく。 本気で逃げ出したい気分に駆られながら、だらだらと嫌な汗を流していると、フレイが口を開いた。 「あ、あのね、……ちょっと、びっくりしただけ、だから」 「そ、うか」 大丈夫だから、と頷くフレイをみて、ディラスはまた手を伸ばした。おそるおそる触れる。あまりにもそれがおっかなびっくりだったせいか、フレイが笑う。 「ん、くすぐったい、よ……」 「あ、ああ……わりい……」 もう少し強く揉みながら、また先端をひっかく。くぅ、と声を押し殺すフレイの表情から、嫌がったり痛がったりしているわけではないと確かめつつ、ディラスはフレイの胸へと顔を埋めた。 そして、ふにょ、ふにょ……と、顔全体を数度押しつけ、思う。 やわらけえー! 触っていたのだからわかっていたことだが、あまりの感動にディラスは泣きたくなってきた。 「ディ、ディラス……?」 戸惑うようなフレイの呼びかけに、はっとディラスは意識を戻した。 顔を赤くしつつも、なんでもない、とそっけなく呟いて、動きを再開させる。 頬をすりよせ、唇で触れ、すぐそこにある赤い果実に似たものを、ちゅ、と吸い上げてみる。 「ひゃ……! っ、う、んっ」 そうすれば、またフレイが啼いた。 自分が動けば、フレイが艶めいた反応してくれる。そのことに、ぞわぞわとした歓喜が腹の底からあふれ出す。 そんなふうにフレイをさせているのは自分で、きっと世界の誰もこんなフレイは知らない。この声も、表情も、美しい体も、すべて自分だけのもの。そう考えれば、たまらない幸せを覚える。 どうやら、思っていた以上に、フレイに対する独占欲は強かったらしい。 もっとその顔がみたい、もっと感じている声がききたい。 フレイの胸を揉みながら、つんと上向く蕾を刺激していく。 べろりと舌で押し込み、擽る。離せば、ぷるりとたちあがるのが可愛い。きつく吸い上げると、フレイの背がしなった。 「ふぁ?! あ、あっ……!」 堪えられなくなったらしい甲高い声が、ディラスの鼓膜を震わせる。 もっと、もっとみせろ、きかせろ。 獲物をおさえつけて貪る獣のような衝動が、ディラスの手を、フレイのなだらかな腹から太ももまで降りさせていく。 上等な絹によく似た肌の滑らかさを堪能し、ゆっくりと怖がらせないように足の付け根へと指を差し入れる。白い下着の上から、教えられたそこをゆっくりと辿ってみる。そこは、しっとりと、湿り気を帯びていた。 「ん、んっ、あ、ディラ、ス……! そこ、きゃあっ……?!」 く、と指を曲げ、確かめるように動かせば、ことさら大きくフレイが跳ねた。 ぎゅっと瞳を閉じて、ついディラスの腕をおさえにかかるフレイの姿に、熱があがっていく。 「フレイ……」 ちゅ、ちゅ、と白い肌に唇を落とし痕をつけながら、ディラスは顔をさげていく。 なだらかな腹をこえ、へそあたりを擽りながら、足の両脇をなぞって下着に指をひっかける。 白いレースの下着を、ゆっくりと引き降ろす。 するる、と細い足を抜けていったそれを、寝台の向こうへと放り出し、ディラスはフレイの膝裏に手をかけた。 結ばれることを受け入れたとしても、恥ずかしさのせいで反射的にこもるフレイの力を無視し、左右に大きくひろげさせる。 そして、ディラスはごくりと喉を鳴らした。髪と同じ色をした淡い翳りと、やわらかなそうな肉が形作る秘裂。 「こう、なってんのか……」 付け焼刃の知識と、目の前の現実を照らし合わせるように凝視していると、フレイが身をよじった。 「やだっ、あ、あんまり、みないでっ……! はず、かし……!」 「わ、わるい……! でも、しかたねえだろうが……お、俺、はじめてだしよ」 ぽろりと涙を零すフレイに、無神経かとは思うがそう言う。 なにしろ初心者なのだ。ちゃんと確かめなければ、肝心の場所もわからない。 男達からのアドバイスを思い出しつつ、ディラスはそっと花の中心に触れた。 「んっ、う、ん……!」 ぴったりと閉じているが、わずかにぬめる液を滲ませる場所を、ほぐすように指の腹で撫でる。 ぐ、と指先を押し込むと、フレイが全身を強張らせる。 申し訳ない気持ちになるが、かといってここで遠慮してしまえば、元も子もない。 覚悟を決めて、ディラスは指を根元まで押し込み、ゆっくりと引き抜く。きゅ、とフレイの中はディラスの指を抱きしめてくる。 「は、あ……う……! んっ、んんっ」 「すげ……」 くぷくぷと、自分の指が飲み込まれ、そして吐き出されるさまに、ディラスは熱のこもった視線を向ける。 眉を下げ真っ赤な顔で口元を覆うフレイの恥らう表情と、ディラスによってすこしずつとろけていく下半身の淫らさは、対照的かつ扇情的な光景で、ずっとみていても飽きそうにない。 そういえば、ここが女にとっては気持ちがよいといっていたなと、あいた手を伸ばす。 「ふ、う……! う、あう……! ひゃ、あっ、や、や……! ディラ、ス……!」 くに、と小さな肉の芽を優しく刺激する。指を動かすたびに滴る蜜をぬりこめるようにしてやると、がくがくとフレイの腰が震えた。 それがあんまりにも可愛いものだから、ディラスは花に引き寄せられる虫のように、自然と唇を寄せた。 「ふあああっ、あ、やぁ……ん、うぅ~……!」 ちゅっと吸い上げると、フレイの手がディラスの頭にかかった。 いやいやというわりには、指先に力がはいらないようだ。ディラスには、それがもっとして欲しいというもどかしさを伝えてくるものに思えてならなかった。 蜜をすすり、ひどく敏感なその一点を刺激しながら、中を探る指の本数を増やしていく。 硬く侵入を拒んでいたところが、ディラスの愛撫にゆっくりと応えてくる。 いまにも焼き切れてしまいそうな理性をなんとか繋ぎとめていたディラスは、「そろそろいいか?」と顔をあげ、息を飲んだ。 下のほうにばかり意識をむけていたせいで気づくのが遅れたが、フレイはいままでみたこともないような、陶然とした顔をしている。 明るく、活発で皆に愛されるフレイが、こんなに蕩けた表情するとは。 返事をきく余裕もなく、ディラスは開かせたフレイの足のあいだへと、体を落ち着かせ、汗を吸い込んだ寝間着を勢いよく脱ぎ去る。 みてみれば、今まで触れてもいなかったというのに、自身はすでに硬く張り詰めている。準備万端とばかりに天を指しているそれは、どれだけディラスが興奮し、フレイを欲しているかを知らしめていた。 うまくできるかわからないという不安はまだ消えないが、恐れていてもどうにもならない。 ディラスは、さきほどまで指を飲み込んでいたフレイの秘所に、先端を押し付けた。 ぴくん、とフレイが反応する。 「……あ……?!」 のろり、と視線を動かしたフレイが、顔色を変えた。びっくりしたようすで、それとディラスの顔を何度も見比べる。 「え……?! え?! な、なんか、すごくおっきいよ……?!」 「ば、ばっか……! 知るかそんなもん!」 フレイにそんなことをいわれて、ディラスは顔を赤くする。こんなもの、いままで誰かと比べたことなどない。 ん、まてよ、とディラスは表情を硬くする。 そんなことを言うということは、フレイは誰かと比べられるような記憶があるのか? そんな邪推しかける。 しかし、ちらちらとみながら、「え、ええ~……みんなそんななの……?」と、ぶつぶつと呟いているところから、単にフレイの予想とはあまりにも違っていて驚いたのだろうことがわかって、すぐにほっとする。 「い、いいか……?」 「ふぇ?! ……う、うん……いいよ……」 もう一度問えば、今度は意識がはっきりしていたらしく、フレイが顔を真っ赤にしたあと、小さく頷いてくれた。 了承を得たディラスはゆっくりと腰を進めていく。 「く……せまいし、きつい、な……」 「う、く、ぅ~……!」 いくらほぐしたといっても、指よりはるかに質量のあるものを、フレイの中心はなかなか飲み込もうとはしない。 フレイも、痛いのか苦しいのか、唇を噛みながら耐えている。その姿に、ひどいことをしているという罪悪感を覚える。かといって、ここまできてやめられるわけもない。 ディラスは、ぐっとさらに身を沈めた。 「あ、ああっ!」 なにかを押し開いた、ごつ、とした感覚に怯みそうになる。でも、ひとつになりたい本能が、それをおさえつけた。 ゆっくりと割りいるようにすべてを押し込み、ディラスは熱い息をつきながら、眉根を寄せる。 ようやくひとつになったフレイのなかは、初めての快楽をディラスに与えてくれる。 はっきりいおう、きもちいい。 なんだこれは。こんなきもちいいことがあるなんて、知らなかった。 きつく苦しいところもあるけれど、それすらもきもちいい。 う、く、と呻きつつ、奥歯を噛み締めつつ、ディラスは思う。今にも爆発しそうだ。 くそ、たいしたことないとか、嘘じゃねぇか! 適当なこと教えやがって、あいつら全員ぶっとばすとまで考えたものの、理性がたもったのはそこまでだった。 あとはもう、考えらることはフレイと、ひとつになった喜びと――腰から脳に駆け上がり全身を支配していく快楽のことだけだった。 「フレイ、わるい……!」 それでもなけなしの意識でそう侘びて、ディラスはフレイに覆いかぶさった。 「え……? あ、きゃっ、ひ、うっ、ああ――!」 本能が、ディラスの体を動かしていく。 フレイに過度な負担を強いているとわかっているのに、止められない。 交わるたびに、粘着質の音が大きくなる。フレイから零れる蜜が、ディラスの動きを助けていく。 わななくフレイの肉を強く擦り上げ、奥を突いて、引き抜いてまた深く犯す。 何度も何度も繰り返す。 ほろぽろと、フレイが涙をこぼしても、それすらディラスの心を滾らせる。 「は、あ、あっ! んくっ……! あ、ディラス……っ、もう……!」 許して、とフレイの悲鳴が部屋に響いたころ、ディラスのほうもまた、限界がきていた。 「っ、フレイ……! フレイっ!」 愛しい名を呼びながら、ディラスはその瞬間に手を伸ばす。さらなる快楽を引き寄せようとする。 「っ、く……!」 「あう、う……! ふ、あぁ……!」 ぐ、と一際フレイを強く突き上げ、ディラスは腰を震わせる。 ふたつがひとつと錯覚するくらいにフレイを強く抱きしめ、動きをとめたディラスは、熱い精をフレイに一滴残さず注ぎ込んでいく。 やがて、体の力を抜けば、はぁ、はぁ、と互いの乱れきった荒い呼吸が部屋に満ちていることに気づいた。 フレイが、ちいさくみじろぎする。視線があうと、ふわり、微笑まれた。 「ディラ、ス……ぅ、ん……すき……」 「フレイ……」 掠れ気味に己の名を囁き、その心を伝えてくる唇を、やわらかく塞ぐ。小さな舌先が懸命にのびてくる。力の入らぬ腕が、ディラスの背へとまわる。きゅっと抱きしめられて、たまらなくなる。 ああ、おかしくなりそうだ。いや、もうおかしいのかもしれない。 ぼんやりと天に昇ったような浮ついた心地でそう思う。 ゆるり、とディラスは腰を動かす。まだ、くすぶっていた熱が、炎に変わる。 「ん、ん……?!」 繋がったままの場所の違和感にようやく気づいたのか、フレイが声をあげる。 「ひゃ、んっ! え、ディラス……?! あ、あんっ」 円を描くように緩やかに腰を動かせば、フレイが戸惑いながらも甘く啼く。 「フレイ、もう一回……!」 一度吐き出したくらいでは、満足できない。もっともっと、この体を味わいたい。自分だけを刻みたい。 「……ええっ?! あ、ふぁ……んっ!」 細いフレイの足を抱えなおし、ディラスは早急に、引いた腰を突き上げる。 声にならない悲鳴をあげて、喉を逸らすフレイを激しく揺さぶりながら、ディラスは愛する女を抱く快楽へとますます溺れていった。 太陽もすっかり昇りきったお昼時。 足音もけたたましく、ディラスはポコリーヌキッチンに駆け込んだ。自分の職場で、恩人の店であるという意識は、いまは遥か彼方に吹っ飛んでいる。 「おい! おまえらよくも騙してくれたな!」 勢いよく扉をあけ、全員がそろっていること確認したとたん、ディラスは叫んだ。 「騙したなんて人聞きの悪い。どうしたんです?」 食後の紅茶を優雅に口に運んでいたアーサーが、カップを下ろして目を丸くする。 そんなことをいわれるようなことなどしていないという顔である。 いきなり怒鳴られたほかの面々――ディラスに、色事のいろはを教えてくれた男達である――も、似たような反応をしている。 その「自分達はなーんにも関係ないですよ」といった様子が、ディラスを余計に苛立たせた。 ぴきき、とこめかみあたりを引き攣らせつつ。 「おまえら、さんざんよってたかってたいしたことねえとか、いってただろうが!」 ぶるぶると握り締めた拳を震わせながら、再び叫ぶ。 と。 「「「「「……」」」」」 どうやらなにかを察したらしい彼らは、一様に沈黙し――そうして、顔を見合わせ目配せしあう。 「お、おかげでフレイに悪いことしちまった……くそ!」 暴走し、フレイがベッドから起き上がれなくした張本人であることは棚に上げ、ディラスは悔しげに顔を歪めた。 フレイとのはじめての交わりは、理性がどろどろに溶けてしまうくらいに、よかった。こんなにもいいものだと教えてくれていたならば、もっと別の覚悟を決めたというのに。いやまあ、聞かされていたとしても、理性が本能をおさえたかというとあやしいが。 できるなら、朝一番に彼らを責め立ててやりたかったが、フレイの代わりに畑やらペットの世話をしていたため、この時間になってしまった。 どうしてあんなにしちまったんだ、と、くったりとダブルベッドで眠るフレイを思い出し、後悔しきりのディラスに向けて、アーサーが商談のときにみせるような笑顔をむける。 「それはそれは、随分と楽しまれたんですね」 「どうりで今日はフレイの顔をみないと思った」 なるほど、と言いながら、何事か納得したらしいレオンが手にした扇をしなやかに閉じる。 他の面々は、とくになにもいわないが、どこかものいいたげである。 「……はっ!」 その、じっとりとしたいくつもの視線に、ディラスはようやく、自分が口にしたことのあやうさに気づいた。 明確には言ってはいない。だけれども、相談に乗っていた彼らにしてみれば、すぐになんのことかわかるだろう。 まずい、と僅かに逃げ腰になった瞬間。 「よーし、つかまえろ」 レオンが、たたんだ扇でディラスをさした。 「おウ!」 「はい!」 まっていましたといわんばかりに、いつの間にか距離をつめていたダグとビシュナルが、ディラスの腕に飛びついた。 「いだ、いだだだ?!」 容赦なく、ぎりぎりと後ろへと腕を回されて、ディラスは思わず声をあげる。 そこへ。 「はい、あーんして?」 にっこりと、今日も眩しいくらいの天使の笑顔で、キールが自分のデザートであろうケーキを差し出していた。 フォークの先に乗った真っ白いクリームの向こうにあるのは、いつもの笑顔だ。無垢な子供の愛らしさが滲むような、キールの笑顔。だれもが思わずつられて笑いたくなるような。 だがそれが、いまのディラスには空恐ろしいものにみえた。 「う、ぐっ……?!」 ひっ、と悲鳴をあげて薄く開いた口へと、ねじ込まれるケーキ。その甘さが、ディラスを苛む。 「次はこれだよ!」 にっこにっこと、クッキーをとりだして押し込んでくるキールからの攻撃に、体が震える。 ああ、忘れていた。こいつらもにくからずフレイを想っていたことを。 そんな彼らに、我を忘れるくらいフレイとの夫婦の営みに没頭したといえば、こうなることはある程度予想できただろうに。 菓子を口に詰め込まれるという拷問に等しい行為を受けながら、ディラスは遠のく意識で己のうかつさを呪った。 夕方頃、よろよろとした足取りで、帰ってこない夫を探しにきたフレイに発見されるまで、ディラスはポコリーヌキッチンの片隅で、甘い菓子に囲まれたまま放置されていたという。 やりすぎには、ご注意を。
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『ディラス×フレイ (2)』 作者 伊古 ◆x.khw6mpQk じょうろやクワといった農作業道具を携えて、よし! とフレイは気合をいれた。 目の前には、綺麗に整えられた畑が広がっている。 はじめてきたときには、木の株や石がたくさんあって、それらを処理するだけでも一苦労だったが、いまやこうして瑞々しい野菜を育てられるようになったのだから、感慨深い。 ここは、街の外にある秋の季節がめぐり続ける畑。いまは、白菜やサツマイモを植えてある。 今日は、そこからいくつか収穫して、そのあとに花の種を撒くつもりだ。 「ごめんね、すぐ終わらせるから」 どこかにでかけないかと誘ってくれた夫であるディラスに、フレイは申し訳なさそうに伝える。 ほんとうなら、お弁当を作って、肩を並べてのんびりと釣りでもしたかったのだけれど、まだ畑の世話が残っていたのだ。 誘いに二つ返事で頷いたあとにそれを思い出し、ディラスには街で待っていてもらおうと思ったのだが、彼はついてきてくれた。 興味深そうにあたりと見まわしていたディラスが、ふ、と笑う。 「いや、そんなに焦らなくてもいい。俺も手伝う」 ディラスからの申し出に、フレイは顔を輝かせた。 「ありがとう! じゃあ、このじょうろで水をあげてくれる?」 「わかった」 可愛らしい幸せのじょうろを手渡せば、真面目な顔をしてディラスが頷く。 そのまま、いささかおぼつかない手つきではあるが、一生懸命に水やりをはじめたディラスが可愛いくて、フレイは頬を緩ませる。 とはいえ、いくら夫が可愛いといっても、いつまでもみているわけにはいかない。 フレイは、鼻歌交じりに、まるまるとした白菜を収穫しはじめる。 そうして手分けをして畑の世話をしていると。 「!」 ぽつん、とフレイの鼻先で冷たいものが弾けた。 見上げた空には、いつのまに忍び寄っていたのかわからない、暗く重そうな灰色の雨雲が広がっていた。 「わわっ」 ぽつぽつ、と地面を穿っていた滴が、一気に強く地面を叩きはじめる。 慌てて立ち上がると、ディラスが駆け寄ってくる。 「フレイ、大丈夫か?」 「うん! ディラス、こっち!」 「お、おい?!」 フレイはディラスの手をとると、一目散に駆け出した。 てっきりエスケープで町にもどるとでも思っていたのか、ディラスが目を丸くする。 「この先にね、あまやどりできるとこ、あるから!」 フレイは雨音にまけないような声をあげて、ディラスを連れて畑をあとにする。 秋の畑を抜けた先。マーヤ山道から帝国領内まで繋がる道のすぐわきに、小さな家がひとつある。 フレイは扉を手早くあけると、室内へと駆け込んだ。 「おい、勝手に入ってもいいのか?」 長時間外にいたわけでもないのに、ディラスの長い髪からはぽたぽたと雨が滴っている。それほど強い雨であったということだ。 「平気だよ。ここ、私の別荘だし」 「は?!」 驚きの表情を浮かべるディラスに、『あれ、いってなかったっけ?』と、フレイは首を傾げる。 「結婚する前に買ったんだ。あったら便利かなって思ったから」 にこり、と笑いながらそういえば、ディラスの顔が若干ひきつった。 「お前……すごいな。高かったんじゃないか?」 畑仕事にも慣れ、調合だって料理だってなんでもできるようになった今のフレイには、金策すらもお手の物だった。交渉術はさほどないけれど、あのアーサーさえ舌を巻くくらいだ。 「そうだね。でも今日役に立ったんだから、よかったよ」 「まあな」 額にはりつく髪が鬱陶しいのか、かきあげる仕草をみせるディラスにちょっと見惚れそうになりながら、フレイは小さなタンスをあける。 「ちょっと待ってて、タオルあるから」 「おう、サンキュ」 使えるようになったとき、日用品をいくつかもちこんでいたフレイは、目的のものを探し当てるとディラスに渡した。 「それにしてもすごい雨だね」 「だな」 がしがしと頭を拭くディラスを横目に、フレイもまた長い髪にタオルをあてる。 服もかなり濡れている。ぴったりと張りついていて、いささか気持ち悪いし寒い。 フレイは、胸元を飾るブローチやスカーフ、胸あてをはずしていく。 と。 「お、お、お前! な、なに、を……!」 ばばっと、ディラスが後ろに飛びのいた。そんな行動に出られて、フレイは目を瞬かせる。 「だって、寒いし……。ディラスも脱いだら?」 真っ赤になって大きな声をだす理由が、フレイにはよくわからない。グローブもはずしながら近づけば、余計にディラスが赤くなった。 「いや、待て、まだ日も高い……!」 「なにいってるの? ほら、脱いで」 「……っ!」 手を伸ばして、ディラスのベストのリボンをほどく。なぜかすっかり固まってしまったディラスの首筋を伝う滴に気付き、何気なくタオルで拭き取ろうとした、次の瞬間。 「――っ?!」 力強く引き寄せられて、きつく抱きしめられた。ぱさり、とタオルが床に落ちる。 予想外の行動に、フレイが息を飲むと、ちゅっと耳たぶに冷たい唇が触れた。 「ひゃんっ」 心の準備もなくそんなことをされて、ひどく甘ったるい声がフレイの口から飛び出した。 慌てて口を閉じて、唇をディラスの肩口に押し付ける。 「フレイ……」 ちゅ、と今度はこめかみに口づけたディラスが、するりとフレイのワンピースの裾から中へと忍び込んでくる。 「ふ、ぁ、あん、ディラ、ス……?!」 太ももから、お尻までを優しく撫でられて、びくんとフレイは体を跳ねさせる。 不埒な手を服の上から抑えながら、フレイは慌ててディラスを見上げた。 「な、なに、どうしたの、こんなきゅう、に……んっ!」 雨でしっとりと濡れた下着の中にまで指が入ってくる。その動き方はよく知っている。はじめて結ばれたときから、もう何度も肌を重ねてきた夫婦なのだ。わからないはずがない。 これはもしかして、とフレイは冷たい頬に血をのぼらせる。 そんなフレイを見下ろすディラスの瞳には、甘い光が宿っている。夜にフレイだけを求めてくれるときのものと同じ。みつめられれば、ぞくぞくと背骨が鳴いた。 「寒いってことは、その……こうして、あっためればいいんだよな?」 「え、え?」 水気を拭うためにくつろげていたワンピースの襟もとの隙間に、ディラスが顔をうずめてくる。 鎖骨を吸いあげられ、舐められて、「あん」とフレイは身を捩じらせる。思わず逃げようとした腰が、ひき寄せられる。 そのまま軽々と抱きあげられて、家の片隅に設置された寝台へと、ディラスは進んでいく。 「ちょ、ちょっと待って!」 「どうした?」 音も衝撃もなく、丁寧に柔らかに横たえられたと思ったら、ディラスが圧し掛かってくる。 伸ばした手は捕まえられ、熱を分け与えるようなキスを指先に落とされる。その行為が、じんと皮膚を痺れさせていく。 「んんっ……」と、小さく声を零したフレイは、このまま流されまいと大きく数度呼吸して、ディラスをみつめた。 「どうしたって、ディラスこそどうしたの? ……い、いきなり、こんな、あの……」 ワンピースの前をひろげていくディラスに、しどろもどろに理由を尋ねる。 好きだからこそ夫婦になったのだから、別に求められることが嫌ということはない。 ディラスは、あっためればいいんだな、とかそんなことをいっていたけれど、どうしてそんな風な思考になるのかがわからないのだ。 ようやくフレイが戸惑っていることに気づいたらしく、ぴたり、とディラスの指がとまった。 どうして、と問われるとは思っていなかったようだ。 「あ……え……、う、」 上手く言葉にできず、意味のない音だけを漏らすディラスの唇が、一度、きゅっと引き結ばれる。 「……こういう場合、女に寒いっていわれたらそういう意味だと教えられた」 絞り出すようなその声に、悔しそうな、不安そうな感情が滲んでいる。 「なにもしないのは、失礼で、馬鹿にしてるって……」 「だ、誰に?」 「……あ、あいつら、が」 ぼそぼそと小さくつぶやいて眉を下げていくディラスに、一瞬、ぽかんとしたフレイだったが、理由がわかればもう笑うしかなかった。 「ふ、ふふっ」 ディラスが言う『あいつら』というのは、なにかとつるんでいる彼らのことだろう。フレイの脳裏に初心なディラスの反応を楽しむ幾人もの友人たちの笑顔が浮かぶ。 彼らにしてみれば、無愛想でぶっきらぼうであるけれど、根っこが純粋で素直なディラスは、格好のからかい対象なのだろう。 結婚してからこういったことが増えたような気がしないでもないが、夫が友人たちと仲がいいのは、妻として嬉しい。 一転したフレイの様子に、ディラスが困惑したような、泣きだしそうな顔をする。 「……わるい、違ってたか……。俺、こういうのよくわかんねーから……その、」 「ううん」 離れていこうとするディラスを、フレイは微笑みながら抱きしめる。ディラスの背中は、ひんやりとしていた。 「私、ディラスにあっためてほしいな」 可愛い夫へ、妻からの甘いおねだり。 ぴくん、とディラスの肩が震える。 「……フレイ」 「ディラスのことは、私があっためてあげる」 だから、きて――と囁けば、熱っぽいディラスの吐息が応えてくれた。 「は、あ……ん、んんっ……」 濡れた衣服を脱がせあった後、フレイはディラスの熱に、冷えた肌を溶かされていた。 二人が動くたび、その重みで寝台が微かな悲鳴をあげる。 だがそれを打ち消すように、甲高く甘いフレイの嬌声が、小さな家に満ちていく。 「フレイ、フレイ……」 「ふ、ぅ……あ、あぁっ」 どうして、ディラスに触れられればどこもかしこも、こんなにも感じてしまうのだろう。 荒々しく乳房をつかまれたかと思ったら、その頂を唇と舌でやわらかに愛してくれる。 腕も、腹も足も。撫でられるだけで、電流のような快感が走り、フレイを高みへと誘う。 遠くにきこえる雨の音は相変わらず激しい。だが、まるでそれに反するように、二人の交わりはとても優しい。 あたためるというさきほどの言葉のとおり、二人は時間をかけて互いの熱をわけあっていく。 それはひどく心地いい行為。だけど――もっと、ほしいと思う。 なされるがまま、ディラスに身を任せていたフレイだったが、意を決すると震える手を伸ばした。 自分とは違う肌の質感を指先で感じ、長い髪に隠された首筋を撫でる。そうして、ほどよく筋肉のついた胸元へと唇を押し当てた。 ちゅ、と吸い上げて赤い痕を残したあと、ディラスの顔がみたくて視線をあげると、おかえしだとばかりに耳を食まれる。 「ね、ディラス……ん、あん、ねえ……」 「なんだ……?」 フレイの耳を舌先で辿っていたディラスが、かすれた声で鼓膜を擽る。 至近距離で甘い声を注ぎ込まれて、「んっ」とフレイは肩を竦める。その波が消えてから、ようやく唇を開く。 「もう、寒くないから……あの、ね」 もじ、と膝を擦りあわせながら、フレイは手をディラスの下半身へと滑らせる。 体格が違うので、なかなか届かない。身体ごとシーツの上を移動すれば、フレイはすっぽりとディラスの下に収まった。 遮るものはなにもない。すべてをさらけ出したお互いの、普段は隠されている場所に手を這わす。 びくり、震えるそれは、大きくて熱い。逞しさと硬さを確かめるように、大切に大切に愛撫すれば、く、う、と与えられる感覚を堪える声が聞こえてくる。 「フレ、イ……!」 それがたまらなく色っぽくて、胸の鼓動がさらに速くなる。 もっと聞きたくて、気持ちよくなってほしくて、フレイは手の動きに神経を集中させる。 女であるフレイにはない、男のひとのかたち。 これが自分の一番奥を知っているのだと思うと、とても不思議な気持ちになる。 見た目も質量も、決して可愛いなんていえないはずなのに、フレイにはたまらなく愛おしい。 それは、ディラスのものだからだ。不器用に、でも一生懸命に、世界の誰よりも愛してくれる、ディラスのものだからだ。 「ほしい、な……」 腹の底から湧き上がり、胸を満たして、フレイの唇から漏れた願いは、自分でも驚くほどの情欲に彩られていた。 「おい……あんまり、煽るなよ……!」 は、とディラスが息を飲んだのがわかった。 肌をたどればわかる激しい鼓動を繰り返す場所に口づけて、フレイはその顔をみようと伸びあがる。 だが、恥ずかしがり屋のディラスはフレイの意図を察したらしく、くるりとフレイを半転させた。 「あ、ディラス……?! ああっ、あ、ん!」 ともに寝台に横向きに寝転がるよう、背中から抱きかかえられたフレイが、不満げに夫の名を呼んだ瞬間。下半身から、びりりとした快楽が、フレイの神経を駆け上がった。 フレイのなだらかな腹を通り過ぎた先にある、身体の中で一番敏感なところを、ディラスの指が摘み、撫で、弾く。 「ふあ、あっ、あ、ん、あぅっ!」 フレイの脇の下をとおったディラスの手が、柔らかくまるい乳房を掴み、先端を指先で転がす。 同時に首筋を舐められて、フレイは喉をそらした。 「やだ、顔、みせて……! ひ、あ、ああっ、ん、ふああっ!」 首を後ろにひねろうとしても、ディラスはそれを許してくれない。 それどころか、肌をあわせていただけですっかり濡れていたフレイの秘所に、ディラスの指が潜り込んでくる。 くちゅん、と喜ぶように、待ち望んでいたように、そこは湿った音とともにディラスを受け入れる。 「は、あ……! あっ、やうっ……ん、ぅ~……!」 ぐぐ、と奥まで探られて、フレイは瞳を閉じ眉根を寄せて、背骨を這いあがって脳を融かそうとする快感に耐える。 正面から抱き合いたいと伝えたいのに。 でも、一本が二本に増えて、指の腹でわななく内壁を何度も何度も巧みに撫でられれば、フレイの口からは嬌声しか飛び出さなかった。 零れ、掻きだされた蜜が、とろりと太ももを流れていく。 「フレイ、足あげろ」 「ん、ん……?」 熱っぽく掠れた声で命じられ、ぼんやりとした意識で、フレイは上になっているほうの足をゆっくりと持ち上げる。 「ひあっ?! あ、あん!」 とたん、ぐちゅっ、と大きな音をたてながらディラスの指が、さらに奥をえぐった。 「あ、あっ、そ、んな、しちゃ……! あ、や、ひっ……、いっちゃ、う……! んんっ」 よがるフレイを容赦なく追い詰めていくディラスの息が、耳にかかる。潤んだやわらかな肉をあますところなく刺激されて、腰が跳ねる。 ちかちかと、意識が明滅するようなこの感覚を、フレイは知っている。そのまま身を任せれば、もっと気持ちよくなれることも。 「ふあ、あっ……! あああっ――!」 ディラスの愛撫を素直に受け入れ、フレイは達した。 全身が、陸にあげられた魚のように震える。きゅうぅ、と絶頂を与えてくれたものをきつく締めつけた内部が、緩やかに弛緩していく。 快感の名残に、ひくりと不規則に蠢くところから、ディラスの指が引き抜かれる。 まだ動きの鈍い身体をなんとか捻り、視線を彷徨わせる。すぐにディラスの顔をみつけ、ほっと息を吐いて微笑めば、ディラスが苦しそうな顔をする。それがまた、とても色っぽく、胸が甘く締めつけられる。 「そんな顔、するなって……」 「う、ん……ディラ、スぅ……」 後ろから覆いかぶさるように口づけられる。懸命に舌先を絡めて吸いあう。気持ちいい。 「……ふあ、あああっ!」 ちゅ、と唇を離して深く酸素を取り込んだ瞬間、張り詰めたディラス自身が、ぐん、とフレイの中へと押し入った。 「やあああっ! あ、だめ、私、まだっ……! んぁ、ああうっ、あん、だめえっ!」 まだ余韻に震えていたところへの急な挿入に、油断していたフレイは大きな声をあげて、身を捩らせる。 だがそれも、繋がったことへの快感を引き寄せるものにしかならない。 反射的に逃げ出そうとしたフレイの太ももを、ディラスが抱える。ぴんと張り詰めたフレイの小さなつま先が、揺すられるたびに空中で舞う。 「あ、ディラス、ディラス……! あ、ああっ、ひゃうっ」 「フレイ……!」 大きく開かされた足の間、二人が繋がる場所が動くたびに、卑猥な音をたてる。 雨はまだ強く屋根を叩いているのに、その水音のほうが、フレイにはひどく鮮明に聞こえて、羞恥を煽る。 正面から抱き合うものとはまた違う交わり方に、意識がぶれていく。 熱く硬いディラスのモノが、とろけきったフレイの中で暴れるたび、ここもあそこも気持ちいところなのだと教えられていく。 自分でも知らなかったところを擦りあげられるのが気持ちよすぎて、フレイ自身もいつしか腰を揺らめかせていく。 いやらしい、はしたないとわかっていても、止められない。 「ディラ、ス……! そこ、きもち、いい……!」 「俺、もだ……! っ、く……フレイ、そんな、締めんな……!」 「あ、あっ、だって、そんなこと、いわれ、たって……、ふあ、あっ!」 突き上げられ、犯されるたびに、わけがわからなくなっていく。フレイの意思に従わない身体が、ディラスから精を搾り取るように蠢動する。 「く、あ……も、う……!」 「あぅ、はっ……ひゃ、あんっ! や、あ……っ――!」 一層激しくなる抽挿に、ぎゅっと目を閉じれば、もうディラスと共にうみだす快感しかわからなくなる。 そうして、甘く高く啼きながら、フレイは二度目の絶頂を向かえた。ディラスに愛された身体全体に、ひときわ強く電流が走っていく。足の先から頭まで巡り、フレイの脳を揺さぶって弾ける。 「は、あ……、っく……」 そのすぐ後。 強くフレイを抱きしめて、胎の最奥を押し上げながら、ディラスが低く呻く。 「ふぁ、ん……」 待ち望んだ愛しい男の精が注がれて、フレイの身体がさらなる喜びに震える。 深く深く繋がったまま、ディラスが優しく首筋に、背に唇を寄せてくる。 ほんとうに気持ちよくて、心地よくて。 フレイはゆっくりと息をはきながら、すべてをゆだねるように、ディラスの身体へとすり寄った。 ぴったりと寄り添ったまま、行為の疲れもあってまどろんでいたフレイは、ふと雨の音がしないことに気づいた。 どうやら、夢中で求め合ううちに、天候は回復したらしい。 瞳をあければ、フレイを抱きしめたまま、おなじように夢と現の間を彷徨うディラスがすぐそこにいる。 頬にかかる長い髪を優しく透いて流し、フレイは唇を動かした。 「……雨、やんだみたいだね」 交じり合ったこと証明するように、その声は掠れていたが、これだけ近くにいれば届くだろう。 「……ん」 だが、夢の世界までたどり着くには力不足だったのか、ディラスは寝言のような声しか返してこない。 フレイは、その様子に苦笑しながら上半身を起こした。 外の様子を確かめようと、寝台から降りようとしたフレイの腰に、するりとディラスの腕が絡まる。 「ディラ、……!」 最後まで名を呼ぶ前に、フレイはふたたび寝台へと引きずり込まれた。 驚いて、自分に覆いかぶさるディラスを見上げれば、はらはらと天から降る恵みの雨のように、その青い髪がフレイの頬をくすぐる。 「なあ……今日は、このままってのは、だめか……?」 「え?」 せつなそうな顔をして、そんなことをいいながら、ディラスがそっとフレイの胸に顔を埋めてくる。 「デートしないの?」 今日の予定を忘れたのだろうか、とディラスの頭を撫でながら問えば、フレイを抱く腕に力がこもる。 「……」 ぎゅうう、と無言で抱きしめられて、フレイはくすくす笑う。 「じゃあ、今日は二人でごろごろしよっか。たまにはいいよね」 甘えられるのは、嬉しい。こんな風に時間を過ごすのも、いいだろう。いつもとは違うデートを、ゆっくりと楽しもう。 「……ああ」 同じことを思ってくれているのか、フレイの胸に頬を寄せたまま、ディラスが幸せそうに笑うから――フレイもまた、同じように笑った。 この日以降、いつまでもお熱い夫婦のデート先に、別荘という選択肢が増えたのはいうまでもない。
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【レナス】 フレイ・・・あなたとは戦いたくなかった
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フレイル今昔物語 こちらは、フレイルの過去見の館で見た情報を、自分なりにまとめています。 ただ、かなりアバウトなので、参考程度にご覧下さい(^_^.) ※タイトルは私が勝手につけています。 複数のイベントを混ぜて書いてますし、かなり主観も入ってますので、ご注意下さい(^_^.) 1年目8月・レイヴンとオオルリ 1年目8月・イカルとイビスとレンカクとシジュウカラ 1年目8月・チョウゲンボウとフェニックス