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〔わるだくみ〕 詠唱(複) コスト2/太陽/土星 このカードは墓地から発動してよい。 そうしたなら、このカードをゲームから除外する。 敵プレイヤー1人を対象とし、 そのプレイヤーは自身の手札を公開する。 あなたはその中から魔法少女1枚を選び、 捨てさせる。 あなたはカード1枚を引く。 WONDERLAND CASTERSで登場のコスト2の太陽・土星の詠唱。 墓地から発動できる能力と敵プレイヤー1人の手札をピーピングし、魔法少女1枚を捨てさせ、1ドローする能力を持つ。 カード情報 フレーバー・イラストレーター え、そこまでやっちゃう? illust 祀花よう子 収録 WONDERLAND CASTERS WACA-080 N
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もくじを見る 概要 使用ポケモン 関連項目 コメントフォーム 概要 使用ポケモン No. ポケモン レベルアップ わざマシン 関連項目 わざ あ行 アーマーキャノン アームハンマー アイアンテール アイアンヘッド アイアンローラー アイススピナー アイスハンマー アイスボール あおいほのお アクアカッター アクアジェット アクアステップ アクアテール アクアブレイク アクアリング あくうせつだん アクセルブレイク アクセルロック あくのはどう あくび あくまのキッス あくむ アクロバット あさのひざし アシストギア アシストパワー アシッドボム アストラルビット あてみなげ あなをほる あばれる アフロブレイク あまいかおり あまえる あまごい あやしいかぜ あやしいひかり アロマセラピー アロマミスト あわ アンカーショット アンコール あんこくきょうだ いあいぎり いえき イカサマ いかり いかりのこな いかりのまえば いじげんホール いじげんラッシュ いたみわけ いちゃもん いっちょうあがり いてつくしせん いとをはく イナズマドライブ いにしえのうた いのちがけ いのちのしずく いばる いびき いやしのすず いやしのねがい いやしのはどう いやなおと いわおとし いわくだき いわなだれ インファイト ウェーブタックル ウェザーボール うずしお うそなき うたう うたかたのアリア うちおとす うつしえ ウッドハンマー ウッドホーン うっぷんばらし うらみ うらみつらみ エアカッター エアスラッシュ エアロブラスト エコーボイス えだづき エナジーボール エラがみ エレキネット エレキフィールド エレキボール エレクトロビーム えんまく おいうち おいかぜ おいわい おうふくビンタ オウムがえし オーバードライブ オーバーヒート オーラウイング オーラぐるま オーロラビーム オーロラベール おかたづけ おきみやげ オクタンほう おさきにどうぞ おしおき おしゃべり おたけび おだてる おちゃかい おどろかす おにび おはかまいり おまじない おんがえし おんねん か行 ガードシェア ガードスワップ かいでんぱ かいふくしれい かいふくふうじ かいりき カウンター かえんぐるま かえんだん かえんのまもり かえんほうしゃ かえんボール かかとおとし かぎわける かくばる かげうち かげぬい かげぶんしん かぜおこし かたきうち かたくなる カタストロフィ かなしばり かふんだんご かまいたち がまん かみくだく かみつく かみなり かみなりあらし かみなりのキバ かみなりパンチ がむしゃら からげんき からてチョップ からではさむ からにこもる からみつく からをやぶる ガリョウテンセイ かわらわり がんせきアックス がんせきふうじ がんせきほう きあいだま きあいだめ きあいパンチ ギアソーサー ギアチェンジ ギガインパクト ギガドレイン きしかいせい きつけ キノコのほうし ギフトパス きまぐレーザー きゅうけつ きょけんとつげき きょじゅうざん きょじゅうだん キラースピン きりさく きりばらい きりふだ ぎんいろのかぜ キングシールド きんぞくおん クイックターン くさのちかい くさぶえ くさむすび くさわけ くすぐる くちばしキャノン クモのす くらいつく グラススライダー グラスフィールド グラスミキサー クラブハンマー グランドフォース クリアスモッグ くろいきり くろいまなざし グロウパンチ クロスサンダー クロスチョップ クロスフレイム クロスポイズン クロロブラスト げきりん けたぐり ゲップ げんしのちから コアパニッシャー こうげきしれい こうごうせい こうそくいどう こうそくスピン ゴーストダイブ コーチング コートチェンジ こおりのいぶき こおりのキバ こおりのつぶて コールドフレア ゴールドラッシュ こがらしあらし こごえるかぜ こごえるせかい こころのめ コスモパワー ゴッドバード コットンガード こなゆき このは このゆびとまれ コメットパンチ こらえる ころがる こわいかお こんげんのはどう さ行 さいきのいのり サイケこうせん サイコウェーブ サイコカッター サイコキネシス サイコシフト サイコショック サイコノイズ サイコファング サイコフィールド サイコブースト サイコブレイク サイコブレイド サイドチェンジ さいはい さいみんじゅつ サウザンアロー サウザンウェーブ さきおくり さきどり さしおさえ さばきのつぶて さむいギャグ さわぐ サンダーダイブ サンダープリズン 3ぼんのや シードフレア Gのちから ジェットパンチ シェルアームズ シェルブレード ジオコントロール しおづけ しおふき しおみず シグナルビーム じこあんじ じごくぐるま じごくづき じこさいせい シザークロス じしん しぜんのいかり しぜんのちから しぜんのめぐみ したでなめる じたばた じだんだ しっとのほのお しっぺがえし しっぽきり しっぽをふる じならし しねんのずつき じばく じばそうさ しびれごな しぼりとる しめつける ジャイロボール シャカシャカほう シャドークロー シャドースチール シャドーダイブ シャドーパンチ シャドーボール シャドーボーン シャドーレイ じゃどくのくさり じゃれつく ジャングルヒール じゅうでん 10まんばりき 10まんボルト じゅうりょく じょうか しょうりのまい しろいきり じわれ しんくうは シンクロノイズ しんそく じんつうりき しんぴのちから しんぴのつるぎ しんぴのまもり シンプルビーム じんらい スイープビンタ すいとる すいりゅうれんだ スカイアッパー スキルスワップ スケイルショット スケイルノイズ スケッチ スターアサルト スチームバースト ずつき すてゼリフ すてみタックル ステルスロック ストーンエッジ すなあつめ すなあらし すなかけ すなじごく スパーク スピードスター スピードスワップ スプーンまげ スポットライト スマートホーン スモッグ すりかえ スレッドトラップ せいちょう せいなるつるぎ せいなるほのお ぜったいれいど そうでん ソウルクラッシュ ソウルビート ソーラービーム ソーラーブレード ソニックブーム そらをとぶ た行 ダークホール タールショット たいあたり だいちのちから だいちのはどう だいばくはつ ダイビング だいふんげき ダイマックスほう だいもんじ ダイヤストーム たがやす タキオンカッター たきのぼり だくりゅう たくわえる たこがため ダストシュート たたきつける たたみがえし たたりめ たつまき たてこもる タネばくだん タネマシンガン ダブルアタック ダブルウイング ダブルチョップ ダブルニードル ダブルパンツァー タマゴうみ タマゴばくだん だましうち たまなげ ダメおし だんがいのつるぎ ちいさくなる ちからをすいとる ちきゅうなげ チャージビーム チャームボイス ちょうおんぱ ちょうのまい ちょうはつ ついばむ ツインビーム つきのひかり つけあがる つじぎり ツタこんぼう つつく つっぱり つのでつく つのドリル つばさでうつ つばめがえし つぶらなひとみ つぼをつく つめとぎ つららおとし つららばり つるぎのまい つるのムチ であいがしら DDラリアット てかげん デカハンマー テクスチャー テクスチャー2 テクノバスター デコレーション デスウイング てだすけ てっていこうせん てっぺき テラクラスター テラバースト テレキネシス テレポート てをつなぐ でんきショック でんげきくちばし でんげきは でんこうせっか でんこうそうげき てんしのキッス でんじは でんじふゆう でんじほう とおせんぼう トーチカ とおぼえ とぎすます ときのほうこう どくガス どくづき どくどく どくどくのキバ どくのいと どくのこな どくばり どくばりセンボン どくびし とぐろをまく とげキャノン どげざつき ドゲザン とける とっしん とっておき とどめばり とびかかる とびげり とびつく とびはねる とびひざげり ともえなげ トライアタック ドラゴンアロー ドラゴンエール ドラゴンエナジー ドラゴンクロー ドラゴンダイブ ドラゴンテール ドラゴンハンマー トラップシェル トラバサミ ドラムアタック トリック トリックガード トリックフラワー トリックルーム トリプルアクセル トリプルキック トリプルダイブ ドリルくちばし ドリルライナー ドレインキッス ドレインパンチ どろあそび どろかけ どろばくだん トロピカルキック どろぼう ドわすれ とんぼがえり な行 ないしょばなし ナイトバースト ナイトヘッド なかまづくり なかよくする なきごえ なげつける なしくずし なまける なみだめ なみのり なやみのタネ なりきり ニードルアーム ニードルガード にぎりつぶす にどげり ニトロチャージ にほんばれ にらみつける ねがいごと ねこだまし ねごと ネコにこばん ねこのて ネズミざん ねっさのあらし ねっさのだいち ねっとう ねっぷう ねばねばネット ねむりごな ねむる ねらいうち ねをはる ねんりき のしかかり のみこむ のろい は行 バークアウト ハートスタンプ ハートスワップ ハードプラント ハードプレス ハードローラー はいすいのじん ハイドロカノン ハイドロスチーム ハイドロポンプ ハイパードリル ハイパーボイス はいよるいちげき はかいこうせん ばかぢから はがねのつばさ はきだす ばくおんぱ ばくれつパンチ ハサミギロチン はさむ はじけるほのお はたきおとす はたく はっけい はっぱカッター ハッピータイム はどうだん バトンタッチ はなびらのまい はなふぶき はねやすめ はねる ハバネロエキス バブルこうせん はめつのねがい はやてがえし はらだいこ パラボラチャージ バリアー バリアーラッシュ はるのあらし バレットパンチ ハロウィン パワーウィップ パワーシェア パワージェム パワーシフト パワースワップ パワートリック パワフルエッジ ヒートスタンプ ひかりのかべ ひけん・ちえなみ ひっかく ひっくりかえす ビックリヘッド ひっさつまえば ひのこ ひみつのちから ひゃっきやこう ひやみず ひょうざんおろし ピヨピヨパンチ びりびりちくちく ビルドアップ ファストガード ふいうち Vジェネレート ふういん フェアリーロック フェイタルクロー フェイント フェザーダンス フォトンゲイザー ふきとばし ぶきみなじゅもん ふくろだたき ふしょくガス ぶちかまし ふぶき ふみつけ フライングプレス ブラストバーン プラズマシャワー プラズマフィスト フラッシュ ブラッドムーン フラフラダンス フラワーガード フラワーヒール フリーズドライ フリーズボルト フリーフォール ブリザードランス プリズムレーザー ふるいたてる フルールカノン フレアソング フレアドライブ ブレイククロー ブレイズキック ブレイブチャージ ブレイブバード プレゼント ブロッキング ふんえん ふんか ふんじん ふんどのこぶし ぶんまわす ヘドロウェーブ ヘドロこうげき ヘドロばくだん ベノムショック ベノムトラップ ヘビーボンバー へびにらみ へんしん ホイールスピン ポイズンテール ぼうぎょしれい ほうでん ぼうふう ほうふく ほえる ほおばる ボーンラッシュ ほごしょく ほしがる ほたるび ほっぺすりすり ボディパージ ボディプレス ホネこんぼう ホネブーメラン ほのおのうず ほのおのキバ ほのおのちかい ほのおのパンチ ほのおのまい ほのおのムチ ポルターガイスト ボルテッカー ボルトチェンジ ほろびのうた ま行 まきつく まきびし マグニチュード マグネットボム マグマストーム マジカルシャイン マジカルフレイム マジカルリーフ マジックコート マジックルーム マッドショット マッハパンチ まとわりつく まねっこ まほうのこな まもる まるくなる マルチアタック まわしげり みかづきのいのり みかづきのまい みがわり みきり ミサイルばり みずあそび みずあめボム みずしゅりけん みずでっぽう ミストバースト ミストフィールド ミストボール みずのちかい みずのはどう みずびたし みだれづき みだれひっかき みちづれ みねうち みやぶる ミラーコート ミラーショット ミラータイプ みらいよち ミラクルアイ ミルクのみ みわくのボイス みをけずる ムーンフォース ムゲンダイビーム むしくい むしのさざめき むしのていこう むねんのつるぎ めいそう メガドレイン メガトンキック メガトンパンチ メガホーン めざましビンタ めざめるダンス めざめるパワー メタルクロー メタルバースト メテオドライブ メテオビーム メロメロ もえあがるいかり もえつきる ものまね もりののろい もろはのずつき や行 やきつくす やけっぱち やつあたり やどりぎのタネ やまあらし ゆうわく ゆきげしき ゆきなだれ ゆびをふる ゆめくい ようかいえき ようせいのかぜ ヨガのポーズ よこどり ら行 らいげき ライジングボルト らいめいげり ラスターカノン ラスターパージ リーフストーム リーフブレード リサイクル リフレクター リフレッシュ リベンジ りゅうせいぐん りゅうのいかり りゅうのいぶき りゅうのはどう りゅうのまい りんごさん りんしょう ルミナコリジョン レイジングブル れいとうパンチ れいとうビーム れんごく れんぞくぎり れんぞくパンチ ローキック ロケットずつき ロックオン ロックカット ロッククライム ロックブラスト わ行 ワイドガード ワイドフォース ワイドブレイカー ワイルドボルト わたほうし わるあがき わるだくみ ワンダースチーム ワンダールーム コメントフォーム 名前 コメント すべてのコメントを見る ※こちらは「情報提供欄」です。質問や雑談はご遠慮ください。
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「あ、あの……あそこに、人がいますね」 「みたいだね」 モカとエイジの前方にいるのは、白いTシャツに白いハーフパンツを履いた男と、体操服にランドセルを背負った少年の二人。 間抜けそうな面構えをした男と、年相応の幼い顔立ちをした少年のコンビである。 人に遭遇するのは市街地に入ってからだと思っていたエイジだったが、これはこれでチャンスだろうと思考を切り替える。 ――なにせ相手は間抜け面と年端もゆかぬ子供、これほど騙しやすい相手はそう簡単に出会えはしないだろうからだ。 「よし、まずはあの二人からにしよう。君はいつも通りに振舞って、余計なことは喋らないように。いいね?」 「は、はい……」 警戒はしておくに越したことはない。この場合は問題はないであろうが、それでも万が一ということは起こり得る。 人は見かけによらないと言うし、あの何も考えていなさそうな面構えの男が、実は天才肌のポケモントレーナーという可能性もある。 子供の方にしたって、無邪気な振りをしていて実は腹黒いという可能性だって有り得るのだし、用心はするべきだろう――さすがにあんな年齢の少年が、そうであるとは考えたくないが…… そんなことを考えながら前方の二人の方へ向けて歩いていくと、どうやら向こうも自分たちに気付いたようで、 「あ、あそこに人がいるゾ!」 「ほんとだ、お兄さん!」 間抜け面の男は何の警戒もすることなく、コチラを指差しながら大きな声で、自分たちの存在を隣にいる小学生に教える。 少年も無邪気にコチラに大きく手を振り、おーいとやはり大きな声で呼びかけてきていた。 殺し合いの場であるという緊張感を彼らは持ち合わせていないのか、あるいは純粋に誰かに遭遇できたことが喜ばしいことであるのか。 どちらにしても大した違いなどはないが、どちらにしても自分たちには好都合だ。 「すみません、貴方たちは殺し合いには乗っていないと見受けますが……」 「もちろん! 殺し合いをするなんてとんでもないですよ! ね?」 「そうだよ。当たり前だよなぁ?」 傍から見たら、一回り上の男が子供の発言に便乗したという風に見えるが、間抜け面の男は男で確固たる意思を持っているようである。 間違いなくこの男は殺し合い反対派で、確固たる意思とは対主催であろう。 成る程――面白い冗談だ。本人の戦闘能力すら皆無そうで、しかもポケモンバトルの知識すらロクに無さそうな――何なら機械についても付け足そうか、そんな間抜け面が対主催とは実に笑わせる。 ポケモンバトルに関しては自身が言えることではないにしろ、この程度の男が何かできるとは到底思えない。 これはポケモンに期待するしかない。ポケモンが使えるのであれば、まだこの男の価値はマシだったといえるだろう。 「それはよかった。僕の名前はエイジ。かいじゅうマニアのエイジです。コチラはオカルトマニアのモカ」 「モ、モカです……よろしく、お願いします」 隣にいるモカがお辞儀すると、慌てて間抜け面の男もお辞儀をした。 それを見て子供もお辞儀をする。ぎこちなさを感じる男よりも、自然な動作で少年はお辞儀をした。 ――その動作にほんの僅かであるが、エイジは違和感を感じる。 格好からしてじゅくがえりで間違いないであろうこの少年は、しかし年齢と態度とは裏腹に、しっかりとしたお辞儀ができることに違和感を感じたのだ。 そういった子供はいないことはないであろうが、それにしたってお辞儀に入るまでの動作があまりにも冷静すぎやしないだろうか。 慌ててお辞儀をするのではなく、ゆっくりと体をこちらへ向け、正面を向いて相手を見据え、腕を横にしっかりと置いて、首を真っ直ぐに体を曲げ、数秒の間静止して、元の態勢に戻る。 はたして、ここまで完璧にできるものであろうか。 だがその違和感はエイジにとってほんの僅かで、少し気になった程度のことだったので、そんな子もいるだろうとエイジは片付けてしまった。 「ぼくひで。じゅくがえりのひでだよ」 「俺はからておうのミウラだゾ。よろしく頼むゾ」 少年の方は予想通りだとしても、ミウラが発した肩書きをエイジは頭の中で反芻し、虚を衝かれた面持ちでミウラの全身を見回した。 どこからどう見てもポケモンコレクターみたいな容姿――いや、それはポケモンコレクターに失礼だろう、だがそれくらいに、からておうに見えない服装をミウラはしていた。 とするならば、彼自身に戦闘能力は多少あるということなのか。 人は見かけによらないものだ――エイジはそう、心の中で呟いた。 ◇◇ ミウラが指摘をする以前より、ヒデは二人の存在に気が付いていた。 黒のドレスを着た女性と、不健康な見た目と服装の男性の二人。前者はオカルトマニアだろうが、後者は――どの肩書きか服装からは掴めないので、トレーナーと仮称する。 現時点で分かることは、トレーナーの男がオカルトマニアの女をリードしているということだけだった。 ヒデは思案する――果たしてコイツらのスタンスは一体何であるのか、殺すならばどちらを先に殺すべきか。 後者は簡単な問いであるから抜きにするとして、はてさて彼らは利用価値のある駒であるのか、それとも愚かな人間であるのか、それが問題だ。 ミウラがどういう人間であるかを確認した時と同じく、どこかへ隠れて観察したかったのだが、残念ながらここいらに身を隠す場所は無かった。 それに身を隠す場所があったとしても、ミウラが疑問に思って行動が遅れるかもしれないので、どの道無理な話なのだが。 ならば取るべき行動は会話しかない。ミウラも気付いたようだし、あの二人と接触して観察をする―― 「へぇ、からておう……ってことはそれなりに戦えるってことですかね」 「そうだゾ! その代り、ポケモンバトルは全く駄目だけど……」 どうやらトレーナーの男――かいじゅうマニアのエイジは愚かな人間だったようだ……オカルトマニアのモカはその愚かな人間に付き従う、奴隷のような存在であったが。 さっきから僕らが持っている情報を尽く引き出そうとしていて、現にミウラが正直に何もかも話してしまった。 といっても自分の情報は全く出してないので、実質ミウラの情報を引き出しているだけである――その情報も、役に立つ可能性は皆無のものばかりだ。 彼らにとって役に立つであろう情報は、ミウラが持つポケモン、ミウラの超がつくほどのバトル下手、そしてミウラ自体の戦闘能力、この三点だけだった。 特にミウラが話した中で――役に立たない話、例えば生い立ちとかを除く――1番深く掘り下げられたのはバトル下手に関することで、自身がどれ程下手糞かを事細かに語っていた。 本来ならば失敗談なぞ人に語るものではないだろうが、エイジが相槌を打ったり共感したりするお蔭で、ミウラはべらべらと自分の弱点を曝け出してしまった。 ミウラは友好を深める為に話をしているつもりなので、エイジの思惑に全く気付かない。 彼が、僕ら二人を殺そうとしていることに、気付かない。 (うーん、これすごくまずいぞ。さて、さてさてどうするべきかな……) 「俺とポッチャマは凄く仲良しなんだゾ!」 「そうなんですか。是非、見てみたいです。ミウラさんとポッチャマの友情」 そんな思考をしている内に、ミウラはエイジの口車に乗せられてポッチャマを召喚しようとしていた。 エイジの狙いはポッチャマを召喚した後に自身もポケモンを召喚し、強制的にバトルに持ち込むことであろう。 例えエイジもポケモンバトルは苦手というタイプの人間であろうと、それを下回る凄まじいバトル下手なので負けることはまずない。 加えてミウラの手持ちはハズレも良いところで、いや使い方が良ければ活躍するかもしれないが、ミウラの実力では到底不可能な話なので、勝つことはまずない。 ポケモンコンバータの使い方すら知らなかった程の男なのだ。僕が懇切丁寧に教えたから何とか使えるようになったものの、そうでなければ一体この男はどう生き残っていくつもりだったのか。 余談だが口出ししたらミウラの脳がパンクする恐れがあったので、どういう調整をしたら良いかについてまでは言わなかった。恐らく技の構成は、彼の趣味による物が多いだろう。 それはさておき、このままではミウラは負けるのはほぼ確定で、盾としての役目を果たすどころか果たす前に死んでしまう。 それはまずいだろう。コイツのような間抜けで使いやすくて、しかも戦闘能力がある人間など、この先会えるわけがない。 何としてでも死守しなければ――だがすでにミウラはポッチャマを召喚すべく、モンスターボールを地面に叩きつけようとしていた。 ちなみに僕の扱いはどうなるのかというと、まあミウラとバトルする前に殺されるだろう。とりあえずそれは、さておくべきことだ。 「だ、だめ! おにいさん!」 「あっ、おい!」 叩きつけられる前にヒデはミウラの手を掴み阻止。 ミウラは訝しげにヒデを見つめる。 「どうした? 急に腕を掴むなんて……」 「お兄さん、マズいよ。この人たちは僕らを殺そうとしてるよ。ポケモンは出しちゃ駄目だよ」 「そんなわけないゾ。もしそのつもりだったら、とっくにポケモンバトルが始まってるゾ」 「そうですよ。ミウラさんの言う通り、僕もその立場だったらそうします」 妙なところで正論を吐く男だ。だが、この男は普通ポケモンバトルのことしか考えていないのだろう、ヒデは溜め息を吐きたくなるが何とか堪える。 トレーナー同士は目と目が合えばバトルを開始しなければならないのが暗黙の了解だが、それはあくまでも暗黙の了解なだけで、ここでそんなルールなどは存在しない。 ポケモンを使った不意打ちだってあろうに、トレーナー全員がきっちりバトルの形式に則って勝負をするとでも思っているのか? 仮にとっくにポケモンバトルが発生したとしても、やはり普通のポケモンバトルではありえない、トレーナーを狙う技、不意打ちが発生するのは目に見えているだろうに。 頭を抱えたくなるヒデであったが、ともかく何としてでもポケモンバトルは避けたい。 どうにかして、どうにかやって、何としてでも、阻止しなければならない。 「大体会って僅か数分だよ? 数分の間にここまで根掘り葉掘り人のことなんか聞くわけないよ! 普通は今後どうしようとか、対策を練るんじゃないの?」 「言われてみれば、そうだな……?」 いやそうだろうよ。人の生い立ち何て聞いたところで、何にも役に立たないんだから、聞くわけないだろうに。 まあ、出会って数分で即会議も珍しいだろうが。それでもここまで友好的に接してはこないだろう。 というか、エイジ側からはまだ肩書きだけしか提示されてはいないではないか。 ともあれ僕の言葉を信用し始めたミウラであるが、しかし間抜けなこの男が話を理解するのには、かなり時間を有するであろう。 あまり悠長に物事を進めていたら、シビレを切らしてエイジが攻撃を仕掛けてくれるかもしれないので、ここいらで決めに入るとしよう。 「ねえ、危ないから早く何処かへ行こうよ……僕恐いよ……」 「あっ、泣くなよ、泣くなって……」 ここいらで泣けば子供っぽいだろうし、話を強引に進めることができると思ったヒデは泣く演技へと入る。 予想通りミウラはおろおろしはじめ、どうしたものかとエイジと僕を交互に見やり始めた。 この状態でエイジが不自然な行動をとれば、自分の言っていたことが虚構ではないということがミウラでも直ぐに分かるだろう。 そうでなければミウラは僕の意見を尊重し、彼ら二人から放れてくれるだろう。 「あ、あの……ヒデくん?」 「……う?」 しかし、全く眼中になかった方向から、予想だにしなかった発言が僕の耳に入ってきた。 この話には絶対混ざらないと思っていた、エイジに脅されて付き従うだけの存在だと思っていた彼女――オカルトマニアのモカが発言をした。 カモフラ程度の存在だろうと思っていた、なのに発言をしたというのは僕の中で衝撃であった。 良心の呵責に耐えきれなかったのか、エイジのための行動なのか、判断はできない。 「大丈夫ですよ……、そんな泣かなくても。エイジさんはそんなことをする人じゃないです」 泣く子を宥めるような声。僕からしれみれば、それは人を惑わす声でしかなかったが。 とはいえ、完全に目論見が外れてしまい、さてどうしたものかとヒデは思案する。 泣くのを止めて人を信じ始める言動にするべきか、泣き続けてその言葉を否定する言動をすべきか、ヒデは悩みに悩む。 ヒデが思考する間にも、モカは笑顔で言葉の続きを言う。 「だから、安心してください。私たちは貴方たちを殺したりはしませんから……」 「……ほんとう?」 悩んだ末にヒデがとった演技は、泣くのを止めて人を信じ始めるという演技だった。 恐らくエイジには不自然がられただろうし、警戒もされるであろう。だが、モカは気付いていない。 物事に少しだけ懐疑的だけれど、ただそれだけの年相応のメンタルの少年、その程度にしか思っていないであろう。 ここがつけ入る隙となるであろうし、この関係性は大切にしたいものだ。 それに、だ。 駒が二人も増えるというチャンスを、みすみす逃すほど僕も馬鹿ではない。 ミウラより思考できるという点では厄介だが、ミウラよりも信用できないのは駄目だが、いざとなればエイジだけを殺せば済む話で、そして負けるビジョンは思いつかない。 何故ならば、自身は選ばれたもの。主人公はストーリーを成し終えるまで死ぬわけがないからだ。 まあ本当のところ、よく考えたら背を向ければミウラはまだしも、僕が殺されるかもしれないという可能性に行き当たったから、仕方なくそうしたというだけなのだが。 ◇◇ 目論見が大きく外れたことに、エイジは心の中で憤慨していた。 ミウラがポッチャマを召喚したら、即座に自分もポケモンを召喚して、先に子供を殺して死体を回収してから、ミウラとポケモンバトルをするつもりであった。 ミウラの手持ちのもう一体はニョロボン、戦うにはさして問題ないポケモンだ。 だからポケモンバトルに持ち込んでしまえば、味方を無くしてやれば、勝てると思っていたのだが、まさか邪魔が入ってくるとは予想していなかった。 モカの咄嗟のフォローのお蔭で、何とか逃がさずに済んだからいいものの、逃がしていたら謂れのない悪評を流されていたかもしれない。そうならない可能性もあるが。 勘が良いのか、不安からくる妄想からなのか。子供だからという理由ならば後者で話は通るが、最初に感じていたほんの僅かな違和感が、形になって表れ始ているとエイジは感じた。 ――まさかそんな可能性が現実に現れ始めるとは思っていなかったが。 からておうである男ではなく年端もゆかぬ子供に警戒をしなければいけないというのは、何ともおかしな話だが、この違和感を拭えない以上そうするしかない。 モカは気付いていないようだし、指摘しても意味はないだろう。 変に意識されてミウラに気付かれたら、それこそ本末転倒だ。 (……仕方ないミウラは利用するだけ利用して切り捨てる。ヒデは……早く殺さないと手遅れになるかもしれない) まるで得体の知れない何かを相手しているようで、このままでは危険だと感覚が告げている。野放しにしていれば自分にデメリットしかもたらさないだろう。 どうやら引き寄せたのはチャンスではなく、災いの元であったらしい。 元である本人は、無邪気に笑うばかりだった。 【B-4/はらっぱ/一日目/日中】 【オカルトマニアのモカ 生存確認】 [ステータス]:精神疲労(中) [バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3 [行動方針]:死にたくない 1:エイジの指示に従う ※交換でエイジにオーダイルを渡しました ▽手持ちポケモン ◆【オーロット/Lv50】 とくせい:??? もちもの:??? 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? ◆【???/Lv50】 とくせい:??? もちもの:??? 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? 【かいじゅうマニアのエイジ 生存確認】 [ステータス]:良好 [バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3 [行動方針]:優勝する 1:無害な参加者を装いながら殺せそうな奴を殺していく 2:モカは一応守る。殺害も自身が主に行なって行く 3:できれば卵グループが怪獣のポケモンで手持ちを固めたい 4:ヒデを何とかしないとこの先マズいかもしれない ※交換でモカにオーロットを渡しました ▽手持ちポケモン ◆【オーダイル/Lv50】 とくせい:??? もちもの:??? 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? ◆【カブトプス/Lv50】 とくせい:??? もちもの:??? 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? 【からておうのミウラ 生存確認】 [ステータス]:良好 [バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3 [行動方針]:対主催 1:サカモトに立ち向かう 2:ヒデを家に送り届ける 3:エイジとモカと同行する ▽手持ちポケモン ◆【ポッチャマ/Lv50】 とくせい:??? もちもの:なし 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? ◆【ニョロボン/Lv50】 とくせい:??? もちもの:なし 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? ※技の構成は自身の趣味によるものが大きいです 【じゅくがえりのヒデ 生存確認】 [ステータス]:良好 [バッグ]:基本支給品一式、ランダム支給品×3 [行動方針]:マーダー 1:ゲームに優勝する。 2:ミウラをとことん利用する 3:殺されない為に二人と同行 4:いざとなればエイジを殺す ▽手持ちポケモン ◆【ラティオス/Lv50】 とくせい:??? もちもの:なし 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? ◆【エンテイ/Lv50】 とくせい:??? もちもの:なし 能力値:??? 《もっているわざ》 ??? ??? ??? ??? 第33話 たんけんはっけんはいきょのまち 第34話 わるだくみ 第35話 SEKAI NO LEVEL
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「また見つけた。ほら、食いなよ」 「助かるホ」 キノガッサが見つけ出したオボンの実を受けとり、ガブリとかじった。 そのまろやかさのある魅惑の味と、蓄えられた自然のエネルギーが、ボロボロの肉体を癒していくのを実感させる。 島の中央、森林の奥深く。ここには自然からの恵みが多く実っている。 オボンの実もその恩恵の一つ……しかし、それを探し出すにはある程度の経験が必要とされるだろう。 野生の世界を生き抜いてきたキノガッサのような者でなければ、簡単には見つからないような場所にある。 しかしその貴重さに見合うだけの価値はあり、口にした者の体力を回復させる効能は、オレンの実を大きく上回る。 「ヒーホー! これだけ食えば殴り合いには困らないホ」 全快とは言えずとも、ジャックフロストにとっては十分なだけの力を補給出来た。 重くなっていた体も、先ほどと比べると格段に軽い。残っている疲労も、多少なものであればむしろ心地よい。 そう、全力を振り絞ったとは言え、彼はまだ目覚めてから一回しか喧嘩をしていないのだ。 何時間にも渡る激戦を連続でくぐり抜けてきた彼にとっては、こんなもの前菜に過ぎない。 エンジンのかかった肉体がうずき、思わずシャドーボクシングをするジャックフロスト。 燃え上がる雪だるまに対し、キノガッサはむしろ冷静な様子で尋ねた。 「それで、モリーをぶっ潰すには一体どこに行けばいいと思う? いきなりこんな島に放り出されたせいで、どうすりゃいいのか見当がつかねぇ」 「知らんホ」 「だろうな。……まったく、主催者の居どころさえ掴めれば話は早いんだがな」 「それよりまず、呪いをどうにかするのを先決にするべきだホ。 呪いさえなければ、さっき洞窟で見つけた隠し部屋に入ることが出来るんだが……」 「ちょ、アンタ隠し部屋なんて見つけたのかよ!? 詳しく聞かせろ!」 ジャックフロストは語る。洞窟の奥深く、地下に隠されていた悪魔の結界が広がる空間のことを。 そこはターミナルルーム――転送装置。十中八九、自分たちはそれを介してここへ連れてこられたのであろう。 それさえ利用出来れば、おそらく自分たちは悠々と島から脱却出来るに違いない。 ジャックフロストの読みでは、モリーにかけられた死の呪いは「この会場の中」に限定されている。 それが正解だとすれば、一度脱出してしまえば呪殺される心配は無い。 ……しかし、ターミナルルームに近づくと呪いは発動する。 ゆえに呪いに対する策を講じなくては、結局脱出は叶わないということだ。 「つまり、その呪いの源を探し出して押さえ込む必要があるってわけか……。 とはいっても場所がわからないことには手の打ちようがないじゃねぇか。ムカつく話だぜホント」 「そんなのしらみつぶしで探せばいいホ。3日もありゃ多分見つかるホ」 「タイムリミットは3日か、ほとんど時間無いじゃねぇか……」 キノガッサは藍色に染また空を見上げた。 「まぁ、あんたがやるんなら出来るかもね」 「当たり前だホ」 普通に考えればいささか無茶な話である。 そこそこの規模があるこのフィールドをくまなく調べ上げ、どういった物かもわからない呪いの源を探し出すなど。 それも、たった3日間のうちに。……いや、モリーに意図を知られれば、その場でゲームオーバーになるかもしれない。 それでも何となく上手くいくんじゃないか、と――あくまでも予感だけれども、心からそう思えた。 一面に生い茂る背の高い草をかき分けて歩くモンスターが一体。 青と黒の毛並みに、二足歩行の狼のような姿。キノガッサは、彼がなんという生き物かを知っている。 はどうポケモンルカリオ。 素早く、力強く、勇ましいポケモンとして、相まみえたことが合った。 もちろん、その個体とはまた別の者であるが。 「おーい、そこの犬の兄ちゃん」 当然、ジャックフロストは接触を図る。 そこで始めて気がついたのか、ゆっくりと顔をこちらに向ける。 その目は虚ろで、心なしかやつれているように思えた。 「……何か用か?」 「オイラたちは島からの脱出策を探してる者だホ。何か情報があれば聞かせて欲しいホ」 「情報は無いことは無い。だが、君たちが求めるような、脱出に関するものとは違うだろうな……」 「な~んか覇気が無さすぎるホ。もしかして、連れがやられでもしたのかホ?」 あまり単刀直入に聞くべきでは無い事を、平然と尋ねた。 ルカリオは無表情で、力無く頷いた。 詳しく教えてくれと聞くと、そのまま彼は語りだした。 「私と共に行動していたボナコンは、私の作り上げた波動弾を飛行船へと放ったがために、人間によって殺された。 モリーの言っていた『呪い』が使われたんだ。呪いによって命を抜き取られ、ボナコンはまるで抜け殻のようになってしまった。 ……そして私は見た。飛行船の人間どもが我々の姿を見て嘲笑う姿を。命を張ったボナコンのことを、嘲笑するその顔を」 拳を強く握り締め、ぎりりと歯噛みをする。 静かでいて、怒りと憎しみが込められており、そしてどこか諦めの含まれた口調であった。 「あの飛行船は攻撃をそのまま反射する。それがわかっただけでもボナコンの死は無駄ではなかっただろう。 だが、それと同時に私にはもう奴らに対して打つ手が無いということも思い知らされた。 ミラーコートとは違う、飛行船は無傷のまま跳ね返すんだ。どれだけ攻撃しても、決して敵わない。 ボナコンの死を嘲笑ったあいつらに一矢報いてやることが出来ない。……あいつら全員を殺してやりたいのに」 荒々しく息を吐いた。 心の奥から、怒りが炎のようにこみ上げる。 だが、それをぶつけたい相手は空の彼方にいる。 しかも、攻撃反射と言う"超えることの出来ない壁"も存在している。 湧き上がる感情に思わず、叫び声を上げながら傍にあった樹木に拳を叩き込んでいた。 波導の込められたその一撃に、樹木は悲鳴のような音を立てながら破片を散らす。 太く、硬い樹木には、深々とクレーターが出来上がっていた。 「……殺してやりたい」 それは自分には結局、果たせそうに無い願い。 自分はあまりにも非力なのだ。 シャドームーン相手に成す術無く、クーフーリンを犠牲にしてしまった。 飛行船にいるクソッタレな人間たちの手によって、ボナコンを犠牲にしてしまった。 そして、この殺し合いに連れてこられる以前にも、たくさんの仲間が犠牲になっていった。 そう、非力だ。あまりにも非力なんだ。 衝動の込められた一撃では、樹木の一本すら殺せない。 そんな自分に、誰かを救うことなんて出来るわけがなかったのだ。 「喝ッ!!」 次の瞬間、頭が思い切り引っ張られて、重力がひっくり返るような錯覚に陥った。 今自分は、ジャックフロストにぶん殴られて、地面に倒れたのだと理解するのに、そこから約2秒を要した。 「な……何をする……!?」 「弱音を吐くなホ!!」 「別に何も言ってないだろう!」 「言わなくても見りゃわかるホ!! 自暴自棄になるやつには喝を入れるホ!」 「クッ……私は、自分を弁えているだけだ……!」 「あんたにだって出来るよ」 キノガッサはクレーターのついた樹木の前に立ち、瞳を閉じていた。 静寂の中、自然と調和するような呼吸の音が、草木を吹き抜ける夜風のような音が聞こえる。 すぅっと、彼女が右腕を構える。ゆっくりと瞳を開き、その拳を鋭く打ち付けた。 鼓膜に直接突き刺さるような、バキバキという強烈な音。 インパクトした箇所を境目として、樹木はゆっくりと傾き、やがて、ずん、と大地を揺らした。 「こうだよ。別に難しいことじゃない」 地面に伏したまま呆然と見上げるルカリオに、そう言った。 「なんか昔のあたしみたいだな。間違いなくその手には、十分な力があるはずだ。 でも、その拳の力を最大限に引き出すのには、一つだけ足りないものがある」 「力以外に足りないもの……?」 「心」 こころ……。と、ルカリオは呟く。 「勿論、怒りや憎しみによって生み出される力も、十分に強いもんさ。 でもその憎悪を全身からメラメラと煮えたぎらせて、闇雲に拳を振り回すようじゃ無駄遣いだ。 そんな焦点の定まらないような目じゃあ、ろくに見えやしないだろ」 そう言ってキノガッサは、先程より一回り大きな樹木の前に立つ。 「倒すべき相手を、目の前の敵/的をしっかりと見定めよ。 そしてその感情を、目標を、信念を、己の拳一点に集中せよ。 その意志に応じて、道は自ら切り開かれるだろう」 彼女は目前の樹木を見つめる。見定める。打ち砕くビジョンを描く。 一呼吸、その細く長い腕を前方へと突き出す。赤い拳が風よりも早い速度で表皮に接触する。 発される轟音、続いて崩壊。容易く木は打ち砕かれ、顔を出した夜空から月光が差し込んだ。 「師の教えだ」 ふと、ルカリオには彼女の姿がクーフーリンと重なって見えた。 彼もまた言っていた。乱暴者であった自分が英雄に変われたのは、師のおかげだと。 羨ましく思った。自分も、心から尊敬する師に出会えれば、このような強さと価値観を持つことが出来ただろうか。 「勉強になるホ」 「え、てっきりあんたもわかってるもんだと……」 「オイラは闇雲に拳を振り回してたホ」 「……マジかよ、じゃあ全部台無しじゃねぇか……」 気の抜けた会話が交わされる中、ルカリオは痛みの残る頬をさすり、ゆっくりと立ち上がった。 息を深く吸い込み、精神統一を行う。 そうしてキノガッサと同じように、樹木へと拳を叩きつけた。 樹木を折るには至らない。 「あんたは拳にどんな意志を乗せる? どんな目標を掲げる? それともどんな夢を描くんだ?」 「私の……夢……?」 「そう、それを鮮明に思い描くんだ。そうすれば、あんたの波導だってそれに答えてくれる」 未来について、思いを馳せた事は無かった。 目の前にいる人間、逃げ惑う仲間たち、そういったものを見るので精一杯だったから。 そうして深い憎しみを抱き、無力な自分を嘆き、過去を悔み、現在を見据えていた。 『もしここを抜け出し、森に帰って仲間を助けたとして、その後はどうする? 人間と敵対して生きるのか、それとも人間達のいない場所でひっそり生きるのか?』 『それもいいだろう。だが、それではお前は何も変われない。 何のために戦うのか、何がしたいのか、それを知っておかなければ、お前は未来を生きることはできないだろう』 クーフーリンの助言。 きっと彼は私の本質を、ひと目で見抜いたのだろう。 ……私の夢……、……私の目標……。 私が夢見る世界はどんな姿をしている? 始めて自分の胸に、そう問いかけてみた。 回答はすぐに返ってきた。 目に映る光景は美しい平和な世界ではない。 真っ赤に染まる空の下で、真っ赤な液体に浸ったものを踏みつけにしている。 それは積み上げられた人間の死体。その上でとても愉快そうに笑う自分の姿があった。 我々が受けた苦しみを、人間たちに報復出来る未来を。 すべての人間がいなくなる世界を。 それが、自分が望む夢だ。 ……と。 ――異常だ。歪んでいる。こんなものは間違っている。 自分は本来、もっと美しいものを望んでいたのではないのか? 何度も問い掛け直す。しかし、返ってくる答えは変わらない。 仲間と共に平和な暮らしをする、そんな未来――違う。それでは気が収まらない。 復讐を果たしたい。そうでなくては死んでいった者たちが報われない。 ……これが私の答えだというのか……? 人間を殺したいと言う願いは、平穏な日々を送るための手段だったはずだ。 そうだ、それが本来の目的なんだ。自分が純粋な殺戮を望んでいるだなんて信じられない。 あぁ、それでも私はその光景を甘美な物だと感じている。人間を殺す快楽を味わいたいと願っている。 違う。正常じゃない。間違いだ。私が戦う理由は一体どこに……。 「いいよ、無理に急いで見つけるものじゃないさ」 「……あ……、あぁ、すまない……」 答えあぐねているルカリオを察し、キノガッサは声をかけた。 申し訳なく思い、頭を下げる。 ……流石にこんな夢を彼らに話せるわけがない。すぐさま脳内から振り払った。 「それで、飛行船ってのはどこにあるんだホ?」 「ここからでは木々に遮られて空があまり見えないが……おそらく時計回りに周回をしている。 山の裏側の方面に差し掛かっているかどうか、というところだろう」 「よし、引きずり下ろしてやるホ!」 「おいおい、随分と簡単に言うんだな……いったいどうやってそんなことするってのさ? あっちがその気になれば、『呪い』でやられる可能性もあるし、何より空中の相手だぜ?」 「そんな作戦を考えついてから走ってたら間に合わないホ! 考えながらとりあえず行っておけばいいだろヒーホー」 「ほほう、一理あるね。いいよ、上等だ、あたしも付き合おうじゃねぇか! 大回りで進んでるんだったら、陸を直進すりゃ先回り出来るだろ」 「よろしい、ならば走るホ!」 そう言って二人は意気込んだ。 可能性を前にして体力を惜しむ必要など、どこにも無いのだから。 「私に協力してくれるのか……!」 「兄ちゃんの言う"殺す"ってのは、正直オイラは賛同しかねるホ。 だからってその感情を無理やり押しとどめるのはさらに許せないホ! その怒りを拳に込めるホ、それを全力でぶち込んで、人間に思い知らせてやればいいホ!!」 「思い知らせる……」 「モリーに、いや、人類に対して喧嘩を吹っ掛けてやるんだホ!!」 ジャックフロストは拳を突き上げ、走りだす。 キノガッサもそれに着いていく。南側の海沿いを目指して。 ……"殺す"ことに賛同しない……。 そこだけはジャックフロストの性格に甘さを感じた。 だが、慈悲だって一つの強さに間違いはない。だから否定はしない。 それに考え方が多少違えども、皆の目的は一致している。 ――あの飛行船を落としてやる、と。 ルカリオは、彼らの協力が得られることを非常に心強く思った。 考えるほどに荒唐無稽な行為、成功できる保証はどこにも無い。 しかし、この胸の奥に湧き上がる自信はなんだろうか。この二人と共に行けば、不可能ではないと確信出来た。 そうだ、ボナコンの無念を、仲間たちの無念を晴らせるかもしれないのだ。 思い知らせてやる。我々を散々利用してきた苦痛を、恨みを、人間どもに。 「私も行くぞ!!」 『しんそく』を発動し、疾風の如き速さで彼らのあとを追った。 胸が高鳴る、心が躍る。人間への誅伐に思いを馳せる。 【D-4/祠付近/一日目/夜】 【ルカリオ@ポケットモンスター】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(小) [装備]:なし [所持]:ふくろ [思考・状況] 基本:主催者・観戦者・殺し合いに乗った奴を殺す 0:ジャックフロスト、キノガッサを追う 1:飛行船を落とす。乗員は全て殺す 2:ボナコンが身を張って残してくれたものを、呪いの解除や飛行船対策に役立てる 3:クーフーリン、ボナコン、私は…… [備考] ※オス。仲間思いな性格。悪人達によって仲間が連れ去られ、人間に怒りを感じていた。一人称は「私」。 ※ボナコンの最後を見届けました。詳細はわからずとも、飛行船や呪いについて、幾らか情報を得たと思われます。 ※判明しているわざ構成ははどうだん、あくのはどう、しんそくです。 【ジャックフロスト@女神転生シリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(小)、流血、覚悟 [装備]:GAKU-RAN(ガク-ラン)@デジモンシリーズ [所持]:ふくろ [思考・状況] 基本:東京に帰る 1:頑張る 2:喧嘩を売られたら殴る 3:殴って勝てなかったら蹴る [備考] オス。皆様も御存知の通り、数々の激戦を繰り広げた猛者。 一人称はオイラで、語尾はホ。 あと、ヒーホー。 精神異常無効、身体状態異常無効、テトラジャ、デクンダ、タルカジャ、気合、鉄拳制裁、万魔の一撃。 純粋に最高の状態で殴りあう事に特化したビルド。 いろんなシリーズのが混ざり合ってる? いやだってこいつ皆勤みたいなものだし、そりゃ色んなシリーズに呼び出されてるさ。 E-6でターミナルルームらしき部屋を発見しました。 目印としてオレンのみを起きました。 D-7洞窟がD-4まで開通しました。 そのことによる山部分などへの影響は不明です。 D-4の大地は荒れました。 【キノガッサ@ポケットモンスターシリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(小)、流血、覚悟 [装備]:なし [所持]:ふくろ(不明支給品1) [思考・状況] 基本:殺し合いに抗う 1:心と拳を磨き続ける 2:飛行船を落とす策を考える 3:呪いを解除する方法を探す [備考] メス。かつては喧嘩っ早く、暴力で全てを解決し、自尊心を満たしていたが、師と仰ぐ人間との出会いにより、“心”を知った。 それでも荒々しい性格は健在で、あまり口はよろしくない。 一人称は「あたし」。 技はきあいパンチ、マッハパンチ、ローキック、きのこのほうし。 ジャックフロストからターミナルの情報、呪いに関する推測を聞きました。 ルカリオから飛行船に関する情報を聞きました。 No.72:CALLING YOU 時系列順 No.70:僕たちは世界を変えることができない。 No.72:CALLING YOU 投下順 No.74:黄昏の影を踏む No.57 我ハココニ在リ ルカリオ No.75 Theme of Evil Lucario No.60 意志の凱旋 妖精ジャックフロスト No.75 Theme of Evil Lucario No.60 意志の凱旋 キノガッサ No.75 Theme of Evil Lucario
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わるだくみを笑いとばせ 依頼主 :モキシア(黒衣森:東部森林 X22-Y26) 受注条件:レベル48~ 概要 :シルフの仮宿のモキシアは、冒険者に悪い子シルフたちの悪巧みについて相談したいようだ。 モキシア 「シルフ領の悪い子シルフが、騒がしいのでふっち。 やつらは「ハンギングバーブ」に集まって、 何やら、よからぬことを企んでいるみたいなのでふっち。 そこで、わたぴは考えたんでふっち。 やつらの悪巧みを「ボーガイ」してやるんでふっち! くふふふふ・・・・・・。 わたぴの作った「ヘロヘロ粉末爆弾」を、 悪い子シルフたちに使うんでふっち! こいつは、ミルクルートを粉末にした特製の爆弾でふっち。 こいつを吸ったら、酔っぱらって、 ぐでんぐでんのべ~ろべろになるのでふっち。 きっと、悪巧みなんて、ど~でもいい気分になるでふっち! 冒険者さん、この「ヘロヘロ粉末爆弾」を、 ハンギングバーブの密談するシルフたちに使うんでふっち! 3組ほどこらしめれば、やつらもあきらめるでふっち!」 モキシア 「この「ヘロヘロ粉末爆弾」を、 ハンギングバーブの密談するシルフたちに使うんでふっち! 3組ほどこらしめれば、やつらもあきらめるでふっち!」 ハンギングバーブの密談するシルフたちにヘロヘロ粉末爆弾を使う (密談するシルフたち 「毒気をまき散らす キノコを植えるでふっち」 「ふふ、それは名案でふっち・・・」) (ヘロヘロ粉末爆弾を使う) 悪い子シルフ 「ほわあぁ・・・・・・なんかいい気分でふっち・・・・・・。 こりゃ、楽しいでふっち! みんな、帰って踊るでふっち~!」 (密談するシルフたち 「オオグチソウを 改良するでふっち!」 「ふふ、それは名案でふっち・・・」) (ヘロヘロ粉末爆弾を使う) 悪い子シルフ 「うふふふ、なんか酔っぱらったみたいでふっち。 ふわぁ~、とっても眠いでふっち・・・・・・。 おうちに帰って、ぐっすりと休むでふっち・・・・・・。」 (密談するシルフたち 「罠をしかけるでふっち・・・」 「フ~ムフムでふっち」) (ヘロヘロ粉末爆弾を使う) 悪い子シルフ 「すーはー・・・・・・うふふ、あはは、でふっち。 あれ? なんだか笑いが止まらないでふっち。 あははははははは・・・・・・でふっち。」 (密談するシルフたち 「仮宿のヤツらを やっつけるでふっち~」 「フ~ムフムでふっち」) (ヘロヘロ粉末爆弾を使う) 悪い子シルフ 「うおおっ、なんか楽しくなってきたでふっち! お仕事なんて、やってる場合じゃないでふっち! ふっちっち~!」 モキシアに報告 モキシア 「よくやってくれたでふっち! 悪い子シルフの悪巧みを、防いでやったでふっち! わたぴの作ったヘロヘロ粉末爆弾は「サイキョー」でふっち! どんな悪い子シルフだって、敵じゃないでふっち!」 ヘロヘロ粉末爆弾:粉末にしたミルクルートを込めた爆弾。シルフ族に使うと酔っ払う
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校長室に差し込む自然光を遮る分厚いカーテン。 薄暗い部屋に鮮やかな絨毯。その上に直立した4つの影と、これらに向かいあう1つの影が伸びている。 そして影の一つ、この部屋の主が口を開く。 恥女クール校長(以下恥) 「報告を。」 これに答える4つの影。 トウバンジャン(以下豆) 「はっ。本日0800時、ターゲットが監視レベル3の生徒と接触しました。」 四天王が筆頭、私立新醤油学園生徒会会長は答える。 テンメンジャン(以下甜) 「接触した生徒は初代教頭の子息です。…しかしターゲットも監視対象も互いの立場に気づいていない様子でした。」 四天王が一人、私立新醤油学園生徒会副会長も続ける。 チーマージャン(以下芝) 「………………………。」 四天王が一人、私立新醤油学園生徒会会計は顔を赤くしてモジモジしている。どこかの誰かを妄想してるらしく、上の空のようだ。 豆が振り下ろしたハリセンでこちら側には戻ってきたが、ちょっと涙目だったりする。 エックスオージャン(以下X)「………………………。」 四天王が一人、私立新醤油学園生徒会書記の立ち位置にはマネキンが立っている。 その手にはボイスレコーダが握られており、動作中であるランプが点灯している様子に甜は眉をしかめる。 どうやら仕事に対するモチベーションの個人差は大きいようだ。そんな様子の生徒会幹部に対し、校長が再度口を開く。 恥「すぐに私に逆らう様子はないか…。しかし監視は絶やすな。不穏な動きがあれば身柄を拘束してこい。」 豆 甜 芝「「「はっ!」」」 そして消える3つの影。マネキンが握っていたボイスレコーダーも共に姿を消していた。 そして手元の冊子に目を落とす校長。 恥「ふふふふ。不穏な動きがあった時はコレに役にたってもらうか。」 そのページにはSMグッズの品々。ギャグボールと手錠の項目に付箋が貼られていたりする。 おもむろに席を立ち、窓際のカーテンを開ける。視線を向けた先には一組の男女の姿があった。 恥「児童ポルノ法施行以来ご無沙汰だからな…ハァハァ。」
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悪だくみ(わるだくみ) たまによく土場藩で行われていること。 編集履歴 水性絵の具ホープ@土場藩国(2007/10/30)