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「ふたば系ゆっくりいじめ 641 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中/コメントログ」 赤まりさ気付けよWWW流石餡子脳WWWW -- 2010-10-24 02 22 41 最終鬼畜鬼異山カッケェーWWW -- 2011-11-26 06 08 57 もしかして子作りに使われてたまりさって、まりさの帽子を被ったれいむなんじゃ… -- 2012-03-24 16 38 43 つーか、「赤まりさをもう一匹『くれたら』帰らせてやる」って言う前提を見事に忘れてるよね 赤まりさの帽子を被ってまりさ種に偽装(笑)した赤れいむが 自分をゆ身御供にして家族を帰そうなんて殊勝な事考えてるとは思えない反応だし 流石は都合の悪い事は忘却して良い事だけしか認識しない餡子脳 …まぁ実際は作者も場面演出が先行して忘れてたんだろうけど -- 2013-03-31 05 21 45 この鬼異山最高だわww -- 2013-03-31 22 22 04 ↓↓新しく生まれたゆっくり限定だよ?りかいしてる? -- 2014-09-28 21 44 04 あ、悪魔だ❗ -- 2015-05-11 23 51 56 ↓↓↓↓↓確かに お前凄いな! -- 2015-12-26 13 35 10 この鬼威惨おもしろいわ -- 2016-01-26 16 59 26 鬯シ諢乗Κ?橇汳 -- 2016-09-25 23 48 13 ↓×8、↓×3 「まりさ帽子を被ったれいむ」は新しく生まれたれいむだから、ルール通り「バレた時」に殺されているだろ?(描写が無いけど) -- 2018-01-03 00 26 45 邨占ォ悶%縺ョ莠コ繧、繧、莠コ笶暦ク鞘摎?鞘摎?鞘摎? -- 2018-03-30 12 05 51
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「ふたば系ゆっくりいじめ 640 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 前/コメントログ」 お兄さんの喋りがいちいち面白いwww -- 2010-09-10 17 25 38 良い感じにクレイジーだなw -- 2010-10-01 18 33 24 おお、なんか斬新なスタイルだw -- 2010-10-30 00 33 16 CRAZYお兄さんwww 36番あきキターーーーーー!! -- 2011-10-17 23 58 51 ミニスカ閻魔様の~スカートのくだりセンスと狂気を感じる -- 2011-11-26 05 54 25 ゆっくりがぞうたくさんだしてね -- 2012-01-20 20 47 03 のーびのーびしたゆっくりのトンでもないキモさwww -- 2012-10-16 21 44 47 俺お兄さんと結婚したいw -- 2013-01-28 18 35 22 おおwHENTAIHENTAI -- 2014-08-08 11 32 01 この人の文章好きだwww -- 2014-11-03 02 31 18 一つ一つの虐待が最高におもしろいね! -- 2015-02-02 21 02 01 やめろー何てひどいことするんだ❗ -- 2015-05-11 23 49 51 本当にのーびのーびは苛々するなwww -- 2016-01-26 16 47 57 お兄さんと結婚したいな本当にちゅぶりぇりゅぅぅぅぅ!!!でワロタ -- 2016-09-25 23 26 27 出た、彼の有名な頭おかしいお兄さんwww -- 2018-01-02 23 50 48 友達に欲しいw -- 2022-01-24 19 47 00
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「ふたば系ゆっくりいじめ 641 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中」からの続きです ========== 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 今日は仕事が長引き、帰宅したのは茎に実った赤ゆ達がとっくに生まれ落ちたであろう時間になった。 で、帰宅一番、れいむ達の様子を見に行ったら、もう生まれ落ちている筈の赤ゆ達の姿がどこにも見当たらない。 「あ、あかちゃん? なんのこと? れ、れいむしらないよ!」 「知らないって…今朝いただろ、ここに。ほら、こう茎が生えて、かーわいいのが」 れいむの頭上、茎が生えていた辺りの中空をとんとんと指差すと、れいむが目を逸らす。 「お、おにいさんがおでかけのあいだに、く、くきさんが無くなっちゃったんだよ! ほんとだよ! れいむうそなんかついてないよ!」 「へー、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったの?」 問いかけた先は、れいむではなく、れいむの影に隠れていた赤ゆ達。 「しょ、しょうだよ…!」 「あ、あか、あかしゃんはきえちゃったんぢゃよぉぉ…!」 「ふーん、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったのぉ?」 「しょ、しょ、しょ…しょうぢゃよぉぉ…!? う、うしょじゃにゃいよぉぉ!?」 「れ、れれ、れみゅ、れみゅ、れいみゅ、うちょちゅいてにゃいよ!?」 ふむ。 特に怪しいところもないし、消えちゃった物は仕方ないね。 水槽内の石の影や、れいむの口の中もチェックしたけど、赤ゆは隠れてないし、土を掘り返した跡もない。 本当にいなくなったようだ。 この世から。 「そっか。なら仕方ないね。じゃ、また赤ちゃん作ってもらおうかな」 次の出産に向けての仕込みだけ済ませると、虐待部屋を後にした。 そして、次の出産日。 仕事は早く終わり普通に帰宅したが、のんびり晩飯を食って時間を潰してから虐待部屋に向かう。 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 まあ予想通りの展開と、同じ問答の繰り返し。 「そっか。消えちゃったんじゃ仕方ないね。 そうそう、赤ゆちゃん達にお土産あるよ。とっても甘くて美味しいお菓子だよ。食べる?」 「「ゆっ? あみゃあみゃしゃん!? たべりゅ!!」」 それまで、やたらとオドオドしていた赤ゆ達が、帰りがけに買ったお土産の箱を見せた途端、突然元気になる。 現金なものだが、それがまたかわいい。 箱を開けて、赤ゆ達に向けて差し出す。 「ハハハ、一杯食べていいからね。とっても美味しいんだよ~、このお店の…」 「ゆっ! おいちしょうなにおいがしゅるよ!」 「あみゃあみゃぁ~♪」 甘い匂いに誘われ、赤ゆちゃん達が俺の元へとよちよちと這ってきて、 「赤ゆっくり焼き」 「「ゆびゃああぁああっ?!」」 こんがりキツネ色に焼けた同族の姿を見て悲鳴を上げた。 ……… 「いや~悪いな~お兄さん一人で美味しい物食べちゃってぇ~」 赤ゆちゃん達が急に食欲を無くしたみたいなので、お土産は俺一人で食べる事になった。 二匹は母れいむに縋り付き、もみあげに抱かれて、ぷるぷる震えている。 「むーしゃむーしゃ! し、し、ししししし、しあわせ~~~!!! うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ! はふっほふっ!! あまあましあわせー!!」 ゆっくり達に見せつけるように、両手に赤ゆっくり焼きを持ち、交互にガツガツと貪りつく。 「いや~! 本当にね! 赤ゆっくりちゃんは食べると美味しいんだよねぇ! がーつがーつ! んほおおぉぉ! あまあま~!! 特にね! まだ生まれたばかりの小さな赤ちゃんをね、生きたまま食べるとすっご~く美味しいんだよね! ね? れいむは知ってる? あっれ、美味しいよね~!!」 七個目の赤ゆっくり焼きを頬張りながら、母れいむに向けて首を傾げる。 「な、なななな、なじいっべるのおおぉぉ?! ででででいぶが、あがっあがっあがぢゃんたべぢゃうばげないでじょおおぉぉ?!」 多少口ごもりながら、盛大に汗を噴き出させたれいむが首を横に振る。 汗の感触が不快だったのか、れいむに縋り付いていた赤ゆ達が、れいむから離れて、じりじりと後ずさる。 怯えたような視線でれいむを見上げながら。 「お、おおおおぢびぢゃんっっ?! ぢ、ぢがうよおおぉ?! あれはぢがうよおぉぉ!? どおおおじでそんなおめめでおがーざんをみるのおおぉぉ!?」 「むーしゃむーしゃ…げっぷ…し、し、し、しあわせ~~! うっめ! うっぷ…! これめっちゃ…うっ……うっめ!!」 そのまた次の出産日 「ゆっ…お、おにいさん…」 「あーはいはい。赤ちゃん消えちゃったのね」 口を開きかけたれいむには目もくれず、怯え切った目でこちらを見ている二匹の赤ゆを水槽から摘みだして手のひらに乗せた。 「ところで、赤ゆちゃん達。お兄さんに何か内緒にしてる事ないかなぁ?」 「「ゆんぴゃあああぁぁあ?!」」 笑顔で尋ねた俺に、二匹が文字通り飛び上がって悲鳴を返す。 「ちちちちち、ちりゃにゃいよぉ!? まりしゃはちりゃないよぉぉ!!?」 「れ、れれ、れびゅ、れいびゅぶっ、ちり、ちりっ、ちりまちぇんんん!!」 「あっ、そう。それならいいんだけど。 れいむお母さんがなかなか赤ちゃん産んでくれないからさー ひょっとして何かズルしてるんじゃないかなーーー?って疑っちゃったよ。 ごめんね、変な事聞いて。 良い子の赤ゆちゃん達は、お母さんがズルしても、ちゃんとお兄さんに教えてくれるもんね? ね?」 赤ゆ達がぷるぷるぷると上下に小刻みに震えて頷くのを見て、俺も満足げに大きく頷く。 「そうだよね。お兄さん良い子の赤ゆちゃんは大好きだよ! お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶときには、良い子の赤ゆちゃんだけは選ばないようにしてあげるからね! でもウソつきの悪い子は殺す。たっぷり苦しめて殺す」 赤ゆ達を水槽に戻しながら俺が言うと、赤ゆ達がビクッと震え、家族全員に何とも言えない緊張が走る。 しかし、暫く待っても、赤ゆ達は震えながら黙りこくったままだ。 ……フッ、カマかけ失敗か。 まあ、強い親子愛と信頼で結ばれているこの家族の結束はこんな事では揺るがないよね。 「…さて、じゃ、今度こそ赤ちゃん産んでもらおうかな…すっきりーの準備準備と…あ、そうだ。れいむ」 「ゆ?」 「この前相談したどっちの赤ちゃんから先に殺すかって話だけど…」 「…ゆっ?? ゆゆっ?! な、なにそれ?! れいむそんなはなししてないよ!?」 立ち上がりかけながら、何気なく話し掛けた俺の言葉にれいむが目を白黒させる。 実際そんな話はしてないから無理もない。 「…あっ…! あ、ご、ごめ…そ、その…お、お兄さんの勘違いだったよ! ごめんね! 忘れてね!」 「お、おちびちゃん?! おかあさん、そんなはなししてないよ! しんじてね!?」 あたふたと手を振ってから、チラッと赤ゆ達に視線を落とす。 二匹の赤ゆは、大きく目を見開き、先ほどまで以上に青白い顔でガクガクと震えている。 特に片方が。 ややあって、その片方がゴクリと唾を飲み込んだ。 「お、お、おにいしゃん…! ……お、おきゃあしゃん…おきゃあしゃんがぁ……」 「ゆっ?! お、おぢびぢゃん?!?!」 口を開いた赤ゆに不穏な物を感じたか母れいむが押さえようとするが、一歩遅かった。 「おきゃあしゃんが れいみゅのいもうちょ たべちゃったのおぉぉ!! ゆんやああぁぁあ!!」 「おぢびぢゃぁぁぁん?!?! ど、ど、どおじでしゃべっちゃうのおぉぉ!? せっがぐうまぐいっでだのにぃぃ!?」 「だっちぇえぇ! れいみゅぅぅ…! れいみゅは いりゃないこぢゃないのにぃぃ!! れいみゅもおきゃあしゃんのれいみゅなのにぃぃ!! おきゃあしゃんがあぁぁ! おきゃあしゃんがあぁぁぁぁ!」 訂正、「強い親子愛と信頼で結ばれて"いた"この家族」だ。 生まれても祝福されず、落胆されるばかりの自分と同じ姿の妹達。 "まりさじゃなくてれいむだから" それだけの理由で家族から暖かく迎えられない妹達を見る赤れいむの胸中はいかばかりか。 まりさ種を生もうと意識して、まりさの写真に目を向ける母れいむ。 俺が見ている限り、母れいむの赤れいむへの対応は、それほどおざなりになっているようにも見えなかったが、 当の赤れいむからしてみれば、ほんのわずかな疎外感もこの状況下では大きな物に感じるだろう。 些細な悪戯のつもりで仕掛けた事だったが、それがこんなにも生きてくる状況になるとは思わなかった。 自分と同じ姿をしたれいむ種の妹を食い殺す母親。 当然母れいむは、姉達を助けるためと説明しているだろうし、事実その通りだろう。 子供思いのれいむは、さぞや慚愧の念に満ちた悲痛な「むーしゃむーしゃ」を繰り返していたに違いない。 だが、「赤ゆっくりは美味しい物」という情報を与えられたことで、 赤れいむは母の行為に「自分達への愛情故」以外の可能性を見出す。 それでも赤れいむは、自分が母れいむの中で唯一無二の大切な存在であると信じ切ることができるだろうか。 自分達の小細工がいつかはバレるのではないかという恐怖。 そして、母れいむと俺が次に殺す赤ゆを密約しているかもしれないという疑念。 信じがたい話ではあるが、もし、万に一つ、その疑念が事実だった場合、母れいむが選ぶのはどちらか。 以前の赤れいむなら、自分は見捨てられないと、何の根拠もなく盲目的に信じただろう。 だが、今の赤れいむはどう考えるか。 一つ一つの疑念や不信はほんの小さなしこり。 この母娘の信頼関係の前では、気のせいに違いないと、無視できる程度の物。 だが、そのしこりが繋ぎ合わさったら? 死の恐怖の渦中にぶら下げられた、保身という甘い餌。 それに釣られる程には、母れいむに対する赤れいむの信頼は綻んでいたのだ。 ……… 「なるほどねぇ…そんなズルをしていたんだ、れいむは。 お兄さん、れいみゅちゃんが教えてくれなかったら、全然気付かなかったよ」 「あ…あの゛…おにいざん…ごれは…ごれは…ぢがうよ…そうじゃないよ……」 「さて、赤ちゃんが生まれてて、全員れいむちゃんだったんなら…わかってるよね?」 苦しげに言い分けを捻り出そうとするれいむを他所に処刑宣言を下すと、赤まりさがチロチロと漏らしながら震え上がる。 赤れいむは、俺の処刑選択枠から外れている。 となれば… 「よし、れいむ。どっちを殺すか選べ」 予期せぬ俺の言葉に母れいむが目を丸くする。 それ以上に赤れいむが。 「ゆ?! ゆ?! お、おにいしゃん?! れ、れいみゅは…」 「うん。お兄さんはれいみゅちゃんを選ばないよ。お母さんがどっちを選ぶかまでは知らないけどね」 「ゆっ?! ゆうぅぅっ?! ……う…うっ…うしょちゅきいぃぃ!!」 「え? お兄さんはウソついてないよ? 『お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶとき』って言ったんだからね? お兄さんが選ばないときは知らないよ。さ、れいむ、どっち? まりしゃちゃん? れいみゅちゃん?」 「え、えらべないよおおぉぉ?! ぞんなのえらべるわげないでじょおおぉ!?」 「そう? じゃあ、まりしゃちゃんでいっか。まりしゃちゃん、死のうね」 背を向けて逃げ出した赤まりさを悠々と掴むと、顔だけを出させるようにして握りしめ、徐々に力を込める。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!! きゅ、きゅるちぃよおぉぉ!!」 「ゆあ…やめ゛…おにいさん…あかちゃん…しんじゃ…う……」 ギュッ 「ゆぶううぅぅっ?! ゆぶっ!! ぶっ!」 「や、やめで…! やめで、やめで、やめでよおぉぉ! おねがいだよぉぉ!」 赤まりさの顔がパンパンに膨らみ始める。 餡子を吐くまいと必死に口を閉じ、真っ赤になりながら。 ギュゥッ…! 「ゆ゛っ…?! ゆ゛ぼっ!!」 「……っ!! ……っ!!」 赤まりさの奮闘虚しく、口から少量の餡子が漏れてれいむの顔に降りかかる。 俺は、閉じられた赤まりさの目蓋を小指で押し開け、笑いかけた。 「さよなら! まりしゃちゃん!」 「ごろずのはごっぢのおぢびぢゃんにじでよおおぉぉぉ!!」 そのれいむの叫び声に、叫びを上げたれいむ自身がハッと息を飲んだ。 そして、赤れいむも息を飲む。 俺の手の中でもがき苦しむ赤まりさ以外の全員が、その叫びに時を止めた。 「…うん、わかった」 俺がそう答えて赤まりさを水槽に戻すと、再び時が動き出した。 それまで涙目で赤まりさを見上げていた赤れいむが、ゆっくりと母れいむの方を振り返った。 「お……きゃ……あ……しゃん…………?」 赤れいむの呆然とした表情を目にした母れいむが、ずり…と後ずさる。 「ゆ…あ…ち…ちがうよ……い、いまのは…ちがうよ……そうじゃなくて……ちがうよ…ちがうよ…おちび…ちゃん…」 こちらも呆然とした表情で、母れいむが首を振りながら後ずさる。 眼前で失われ行く命を助けようと躍起になるあまり、考え無しに別の選択肢に飛びついただけか 愛するはにーのまりさによく似たおちびちゃんを優先したか 赤まりさを産むためには、まりさ種が傍にいた方が確立が上がるという迷信じみた打算があったか それとも姉妹を売った赤れいむへの怒りか 何がれいむにそう言わしめたか、正直俺にはわからない。 きっとれいむ自身にもわかってはいないのだろう。 だが、確かにれいむはその言葉を発した。選択の言葉を。 そして、一度発した言葉は、もう元には戻らない。 「おきゃあ…しゃん………………ごめんにゃ……しゃい…………」 消え入りそうな言葉と共に、母れいむを見つめる赤れいむの頬を涙の滴が伝って行く。 喜び、哀しみ、怯え、いつも生の感情に満ちて輝いていた、その幼い瞳から輝きが消えて行く。 幼い赤ゆにとってのたった一つの拠り所、母れいむ。その母に見捨てられた。 疑念に過ぎなかったそれが、確信へと変わった。真実へと"変えられた"。 その深い、深い、絶望の色にベッタリと塗りつぶされて、輝きが消え失せて行く。 ああ…どうしてだろう……… どおおぉぉしてそんなに素敵なお顔をするのおおおぉぉぉ?! れいみゅちゃああぁぁん!! れいみゅちゃんの妹もお姉ちゃんもそんなお顔はしなかったよおぉおぉぉ!? どれだけ絶望したらそんなお顔ができるのおおおぉおぉ!? とってもかわいいよほおぉぉぉ!!! 待っててええぇぇえぇ! お兄さんの魔法のスパイスで ほんのちょっとだけ絶望の味を甘くて美味しくしてあげるからねえぇえぇ!! 「のーびのーびするよ! ほら! れいみゅちゃん! のーびのーび! のーびのーびっ!!」 「ぴっ…! い…! あっ…! ゆぴっ…! たち…! おきゃ…! おきゃーしゃ…!!」 俺の目の前で賑やかに声を上げているのは、赤れいむちゃんだ。 母れいむのいる水槽前の床で、のびのび練習の真っ最中だ。 左目から入って後頭部に抜けたピアノ線を上へ引っ張られるたびに、元気よく体を伸ばしている。 「のーびのーび♪」 「ゆきっ…! や…! ぴっ…!」 ピアノ線を持ち上げる度に、細い鋼線が目の上の餡子に食い込み、必死に体を伸ばしてその痛みから逃れようとする。 ピアノ線を下げれば、体を戻し、上げれば、またのーびのーび。その繰り返し。 とは言え、まだ思うようにはのーびのーびできない幼い赤ゆ。 段々と、食い込んだピアノ線が饅頭皮と餡子を切り裂き、傷口が頭へと向けて縦に広がって行く。 「やめでぐだざいっ! おにいざんもうやめでっ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでっ!!」 「何言ってるんだい、れいむ? れいむがれいみゅちゃんを殺してって頼んだんだよ?」 「ぢ、ぢがうのおおおぉぉ!! あではぢがうのおおぉぉ!!」 「違わない。はっきり言ったじゃないか。 ね、れいみゅちゃんも聞いたもんね。のーびのーび。 れいみゅちゃん、家族を裏切るのはとってもゆっくりできない事なんだよ。 だかられいみゅちゃんはお母さんから捨てられちゃったんだよ。 ゆっくり理解できるよね? のーびのーび」 「ゆぴぃっ…! ぴっ…! ごめ…! にゃしゃいっ…! ぴぎっ…! ごめっ…! しゃいいぃ…!!」 文字通り身を切り裂かれる痛みの中にあって、頻りに謝罪を繰り返す赤れいむ。 母れいむは、必死に己の言葉を打ち消そうとするが、果たしてそれは赤れいむの心には届かない。 どれだけ否定の言葉を紡ごうとも、あの時の言葉には一抹の真実が含まれていたから。 「のーびのーび、のーびのーび、のーびのーび」 「あ゛…! ゆ゛っ…! ご…! め…! きぴっ…! にゃっ…! ちゃっ…! ゆぴぃっ…!」 素敵な絶望の表情を見せてくれた後でも、その生存本能は生を拒否する事を許さず、 縮んで伸びて縮んで伸びてのかわいいのびのびダンスを繰り返す。 だが、どれだけ楽しいダンスもいつかは終幕を迎える。 ブチッ 「ゆびいいいぃぃぃいぃっ!!!」 「あがぢゃあああぁああんっっ!!」 遂にのびのびが追いつかなくなり、ピアノ線が赤れいむの頭を切り裂いて抜け出た。 鋼線による束縛から解放されて床に転がった赤れいむの目の前にあったのは、水槽の中の母の顔。 傷口から餡子を漏らし、体をブルブルと震わせながら、母れいむに向かって叫ぶ。 「おきゃあしゃああぁああんっ! ごめんにゃしゃいぃぃぃっ!! れいみゅぅぅぅ! れいみゅわりゅいこだったにょおぉぉ!! ゆるちちぇえぇぇえ!」 「あがぢゃああぁんっ! ぢがうよぉぉっ!! あがぢゃんはなにも… ブスリ 「ぴっきゃあああぁあぁぁああぁっっ!!!」 「ぼうやべでええぇえぇっ!!!」 アンコール。 赤れいむを仰向けにして押さえつけ、残った目に再びピアノ線をねじ込んだ。 寒天の目玉から涙に混じってドロリとした物が零れる。 そのままピアノ線をまっすぐ押し込み、先端を赤れいむの後頭部から突き出させる。 「みえにゃいよおぉぉっ!? おきゃあしゃああぁあん! どきょおぉぉ?! れいみゅここにいりゅよぉぉ!! れいみゅをぉぉ! れいみゅ 「のーびのーび」 ぴにいぃっ…!!! おきゃあ 「のーびのーび」 ゆびぃぃっ! おきゃっ 「のーびのーび♪」 あ゛っ゛!!」 赤れいむの呼びかけに母れいむはもう答えを返さない。 もう諦めたんだろ? 裏切り者の赤れいむに愛想が尽きたんだろ? 違う。れいむの母性をみくびるな…! 俺がボロ布を口一杯に押し込んで声を出せなくしたからだ。 しかし、両目の潰れた赤れいむは、その沈黙をどう捉えるだろう。 「おきゃあしゃああんっ! ごめんにゃしゃいっ! ゆぎっ! ごめんにゃしゃいぃっ! ぴっ! いちゃいよぉ! ぴいぃっ! ゆるちちぇぇ! ゆびっ! もうわりゅいこちょ…ぴぎゃっ! ちまちぇぇんっ! ぴっ! れいみゅ…きぴっ! いいこになりゅかりゃ…ゆぴぃぃ!」 赤れいむにとっては、その沈黙は完全な拒絶の証しだった。 餡子を切り裂く鋼の痛みに泣きながらも、痛みよりも死よりも恐ろしい孤独の恐怖に苛まれ、ただひたすらに赦しを乞う。 決して答えることのない母れいむに向けて。 ブチッ 「ゆぎいぃいぃぃっ!!」 頭に二筋目の切れ目を入れて、再びダンスから解放される。 そして、饅頭側の切れ端を振り回しながら、母れいむがいない方向に向けて懸命に叫び続ける。 「おきゃあしゃああん!! れいみゅをおいちぇかにゃいぢぇええぇ! れいみゅをすてにゃいでえぇぇ! れいみゅわりゅいこでちたあぁぁ! あやまりましゅうぅ! これかりゃはいいこになりましゅからぁぁ!! いたいいたいしゃんも がみゃんちましゅうぅぅ! にょびにょびも がんばりまちゅきゃりゃあぁぁ! れいみゅをすてちゃやぢゃあああぁぁっっ!! おぎゃああしゃああぁぁぁぁん!!!」 錯乱し、俺に強要されてるのびのびダンスすら、母れいむからの制裁と思っているようだ。 潰れそうになるぐらいにベッタリと水槽に顔を押しつけて、赤れいむを見つめて涙を流す母れいむの顔。 あの悲しみに満ちた顔を見せてあげる事ができたならば、赤れいむにも救いは訪れるのだろうか? その両の目が光を失った今となっては、もはや叶わぬ事ではあるが。 話は変わるがピアノ線の差し込み口がまだ残ってる。無くても開ければいいだけだけど。 「さあ、れいみゅちゃん! 今度はのーびのーび上級編! 逆さのーびのーびだよ! 頑張って!」 俺は赤れいむを上下逆さにひっくり返して、しーしーの穴からピアノ線をねじ込んだ。 お母さんが許すと言ってくれるまで、頑張ってのーびのーび♪ しようねええぇ!! [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×0 ========== 今日はれいむの出産日! 泣いても笑っても、今日で最後! というわけで今日は一日、水槽の横でれいむ達を観察しよーう! 仕事? 休んだ。 「ゆにぇぇん! おきゃあしゃあんっ…! どうちて あかしゃん ひとりだけにゃのおぉ!?」 「ゆうぅぅ…どうしてぇ…どうしてなのぉ…」 母れいむが、頭上の茎を見上げながら不安げに呟く。 そこには、まだ種族不詳の実ゆっくりが、ポツンと一つだけ実っていた。 ストレスでれいむの母体としての能力が早々に限界に来たか、出産促進剤を与えつづけた副作用か、 れいむが実らせた赤ゆは、この一匹だけだったのだ。 「いもうちょが まりしゃじゃなかっちゃら…まりしゃ…ゆっくちできにゃくなっちゃうよぉ…! もっちょ たくしゃん うんじぇよぉぉぉ…!!」 「だ、だいじょうぶだからね…おちびちゃん… おかあさん、がんばるから…がんばってまりさとおなじおちびちゃんをうむから… …ぜったい…ゆっくりさせてあげるからね……」 赤まりさに答えるれいむの顔は蒼白。とても大丈夫なようには見えない。 昨日れいむの茎に実ゆっくりが実ってから、こんなやり取りを繰り返している。 まだ生えてくるかもしれないと希望を持っていたようだが、今時点で生えてないなら一匹で打ち止めだろう。 「おやおや。結局ひとりだけなんだ。大丈夫なのかい、れいむ? 最後の赤ちゃんの命がかかっていると言うのに随分と余裕だね。 …まりしゃちゃん……お母さん諦めたのかも?」 「ゆええぇぇん!!」 ふふふ! 泣き顔かわいい! まあ、一匹だろうが、千匹だろうが、赤まりさなんて生まれるわけないんだけどね! ふふふ! うふっ、うふふふ! ゆふふふふふぅぅ!! 「………ゆふ???」 数時間後、俺は水槽の前でそんな間の抜けた声を漏らした。 「おにいしゃん! みちぇみちぇ! まりしゃのいもうちょは まりしゃぢゃよおぉぉ! とっちぇもゆっくいしちぇるよぉぉぉ!!」 ぽよーんぽよーんと渾身のジャンプで飛び跳ねるのは、最後に残った赤まりさ。 その笑顔が向く頭上の茎には、目を瞑ったまま穏やかな笑顔でユラユラ揺れている赤ゆっくり。 髪も生え始め、お飾りも形づくられている。 金髪。そして、小さいが、はっきりとお帽子の形をしている黒いお飾り。 以前のような他のゆっくりのお帽子を被せたような小細工ではない。 間違いなく、まりさ種の赤ゆっくりだった。 何故だ? そんな筈はない。そんな馬鹿な事がある筈がない。 「ゆっ! おにいさん、どお! ちゃんとあかちゃんのまりさだよ! こんどこそ、れいむたちをおうちにかえしてね! やくそくしたよね!」 困惑する俺に、れいむが胸?を張って頭上に実った赤ゆを見せつける。 「……そ、そう……だね……………ふ…ふふ……うふふふ……」 「ゆ?」 いきなり笑い出した俺に、れいむが不安そうな表情を浮かべる。 「ゆふっ! ゆふふふっ! ゆふふふふふふふふふふふ…!!……ゆふう~…凄い! お前ら凄いな! れいむ!」 「ゆ…ゆっへん!!」 「いいよ! もちろん約束は守るよ! いや、大サービスだ! この赤ちゃんも一緒に帰らせてあげるよ!」 「ゆゆっ?! ほんと!?」 「やっちゃあ! いもうちょもおうちかえれりゅね!」 言っておくが、ウソじゃない。騙しでもない。 本気で帰らせてあげるつもりだ。五体満足で。体も心も飾りも。 しつこいな。ホントに何もしないって。 れいむは、それだけの事をやり遂げたんだ。 「あかしゃあん! はやくうまれちぇねぇ! まりしゃ まちきれにゃいよ!」 「ゆっ! だめだよ! おちびちゃん! あかちゃんは、うまれるまえに たくさんゆっくりしているほど、ゆっくりしたあかちゃんになるんだよ!」 「ゆぅ~? そうなにょ?」 「そうだよ! おちびちゃんもたくさんゆっくりしてたんだよ!」 母れいむが、赤まりさに微笑みかけ、その小さな頬に自分の頬を寄せる。 赤まりさが少しくすっぐたそうにしながら、目を細める。 「ゆぅ…しゅーりしゅーり…おきゃあしゃんと、しゅーりしゅーり… ……おきゃあ…しゃん……まりしゃたち……ゆっくちできりゅよね……?」 「ゆ…! もちろんだよ! れいむのだいじなおちびちゃん! おちびちゃんと、いもうとのあかちゃんと、おかあさんと…みんなで…たくさんゆっくりしようね…! みんなの…ぶんまで……ゆっくり……ゆっぐり……じよう…ねえぇぇ……!」 「ゆ…ぅぅ…! まりしゃゆっくちしゅるよっ! れいみゅたちの…ぶんも…ゆっくちしゅるよ! ゆぐっ…! まりしゃたちのぶんもぉ…ゆぐっ…! ゆっぐち…しゅるよぉ! いもうちょ…の…ぶんも……ゆっくち…ゆっく…ちぃぃ……!! ゆっ…ゆえっ…! ゆえっ! ゆええぇぇん!! おきゃあしゃあぁぁん!!」 「おぢび…ぢゃん……なかないで…ねぇ…ないてたら…あかちゃんが…ゆっくりできないよぉ…!」 「ゆぐっ…! まりしゃ…ゆっぐ…なかにゃいよ…! おねえしゃんだかりゃ…なかにゃいよぉ! ゆううぅ…! あかしゃん! まりしゃのいもうちょのあかしゃん! ゆっくちうまれちぇね! おねいちゃんと…たくしゃん…たくしゃんゆっくちしようにぇ!!」 「ゆふふ… ゆっ! れいむのあかちゃん…! ゆっくりうまれてきてね!!」 「ゆっくちうまれちぇきちぇにぇぇ!!」 ………うん。 あ、ごめん。さっきの嘘。 いや、逃がしてはあげるけど、心だけちょっぴり傷つけちゃうかも。 他の赤ゆ達が何故死んで行ったのか、それだけは知っておいて貰おうじゃないか。 「いやぁ、ホント凄いよ! れいむは!」 れいむ達が落ち着いたところで、れいむの後頭部をバンバンと叩きながら話しかける。 「ゆっへん!!……ゆ? なにが…?」 「なにって、そりゃ…」 透明な箱を持ってきて、ずっとれいむのすっきりー相手を務めていた"まりさ"を取り出す。 暴れようとするソイツを押さえつけながら、頭にお帽子を縫い付けていた糸をカッターで切って帽子を取り上げた。 「ゆ? ……ゆ…? ……ゆゆっ?!?! ど、ど、どどっ、どぼっ、どぼじで?!」 れいむの目玉がこぼれ落ちそうになるくらいに見開かれ、そして叫びを上げた。 「どおおぉぉぉじて "まりざ" が "れいむ" なのおおぉぉ?!?!?!」 もし同好の士に今回の一件について話をしたら、きっと早い段階で俺の細工を言い当てた事だろう。 こうも都合良くれいむばかりが生まれるなんて事があるわけがない。 簡単なトリック。 タネはれいむのすっきりー相手の"まりさ"。 最初の二匹は正真正銘、本物のまりさだったが、三匹目のこいつはまりさ種の帽子を被せたれいむだ。 ゆっくりであるれいむ達の目からは、まりさにしか見えなかっただろうが。 当然、れいむ種同士のすっきりーで、まりさ種なんか生まれる訳が無い。 確率はゼロ、コンマとか整数位未満切り捨て・四捨五入とか余計な物なし、正しく0%。 …の筈だった。だが、生まれた。 考えられる理由があるとすれば……ゆっくりの思い込みの力というヤツなのだろう。 "まりさ"だと"思った"から、まりさ種の赤ちゃんを産んだ。 己の遺伝法則すら捻じ曲げてしまうとは、恐ろしい力だ。 今回は、俺の計画を見事に覆したその力に敬意を表し、素直に負けを認めるとしよう。 俺がそんな殊勝な気持ちになっている最中、その気持ちをくれた当のれいむは大層お冠だった。 「なんなのこれはあぁぁ?! れいむがれいむとすっきりしたって、まりさのあかちゃんなんかうまれるわけないよおぉぉ!! こんなのぉ…こんなのずるいよおおぉぉ…!!」 俺を見上げて半泣き状態で叫ぶ。 そう! れいむのかわゆ~い赤ちゃん達は、初めっから助かる筈なかったの! ずるいかなぁ? ずるいよねえぇ! 悔しいよねぇ! どうせ全員殺されるってわかってたら、新しい赤ちゃん産まなかったよねぇ!? そしたら、新しい赤ちゃんは苦しい思いして死ななくて済んだのにねぇ!? れいむのその顔が見たかったんだよ! …でもね、れいむ。 きっと赤ゆちゃんを助けたいというれいむの気持ちが神様に通じたんだね。 れいむは奇跡を起こしたんだよ。すっごく出鱈目な奇跡をね。 お兄さん、ガラにもなくちょっと感動しちゃったよ。悔しいけどね。 「なーに言ってるんだよ、れいむぅ! ずるくなんかないだろう?! だって、ほら! こうしてちゃーんと、赤ちゃんまり…さ……を………え?」 れいむの頭上の赤ゆっくりを指で軽く小突いてから、俺は言葉を飲み込んだ。 「え? …なに…? これ…? え? …ちょ………は、はは…凄い…やっぱ凄いよれいむは……」 「ゆゆっ? な、なにこれ…? なにごれええぇぇ?!?!」 茎に実った赤ゆの黒いお帽子が、いつの間にか、赤茶色に変わり、少し縮んできている。 金色の髪も、黄土色へと変わっている。 金色は黒へ、黒は赤へ、お帽子はリボンへと向かって 少しずつ、少しずつ変化してきている。 「変わってる! 変わってるよれいむ! 赤ちゃんがれいむに変わってるよ! そうだよね! れいむがれいむとすっきりーしてるのに、まりさの赤ちゃんが生まれるなんておかしいよね! れいむの言う通りだよ! そんな事あるわけないよ!」 「ゆわわああぁぁ!? やめてね! れいむのあかちゃん!? れいむになっちゃだめでしょおおぉ!?!?」 「ゆうぅぅぅ?!?! やめちぇえぇ!! れいみゅはゆっくちできにゃいいいぃぃ!!」 思い込みの力で成し遂げた奇跡は、思い込みが解ければ消え去るのか。 れいむ母娘の叫びも虚しく、赤ゆの姿は刻々と変化を続け、遂には普通の赤れいむの姿に成り果てた。 暫くの間、呆然としていたゆっくり達だったが、れいむが目に涙を浮かべながら俺の方を向いた。 「お、おにいさん!? れいむたちかえらせてくれるんだよね!? やくそくしたよね!? ね!? ねえっ?! ゆああぁぁ!! かえらせてぇぇ! かえらせてよおぉぉ! おねばいじまずぅぅぅ!!」 「は? 何いっちぇるのおおぉ。 生まれたのがれいむなんだから帰らせるわけないでしょ。まりしゃちゃんも約束通りブチッ殺っそうねえ!」 「ゆみゃあぁぁあ!? どうちちぇええぇ?! ちにたくにゃいぃぃ! ちにゅのやぢゃああぁっ!! まりしゃおうちかえりゅのおぉぉ!! まりしゃゆっくちしゅるのおぉぉ!!」 「ああ、そうだ。この赤ちゃんが茎から落ちるまで待ってあげるよ。それまでにまりさに戻ったらお家に帰れるよ」 「ゆっ?! れ、れいむのあかちゃん! もどってね! まりさにもどってね!」 「れいみゅのいもうちょはゆっくちできにゃいよぉぉ!」 「おねがいだよ! まりさにもどってくれないと、みんなゆっくりできないんだよ!」 「れいみゅはやめちぇよぉぉ! まりしゃにもどっちぇよぉぉぉぉ! まりしゃがちんじゃうよぉぉぉ!!」 母れいむと赤まりさが頭上の赤れいむに向けて声を張り上げ続ける。 しかし遺伝法則すらねじ曲げた強大なる思い込みの力。 それが正しく補正された今、その力を覆す事など誰にもできはしない。 「おー、そろそろ生まれそうだね! ぷるぷる震えちゃってかーわいいなぁ~! まりしゃちゃあん! お兄さんねぇ、まりしゃちゃんがた~っぷり苦しんで死ねる方法考えてあるんだよぉ? いっぱいいっぱい泣いてね! かわいい泣き顔、お兄さんにい~っぱい見せてねえぇぇ!」 「ゆやああぁああぁ! うまれちゃだめえぇ! あかちゃんうまれちゃだめえぇ!」 「うまれちゃ やああぁあぁ! まりしゃゆっくちちたいよぉぉ!!」 「おまえじゃないいぃぃ! おまえがうまれるんじゃないいいぃぃ!! やべろおおぉぉ!」 「おきゃあしゃぁん! こんなあかしゃん いりゃないよぉぉ! たべちゃっちぇよぉぉ!」 「おっと! 食べちゃうとかズルはなし! ズルしたらこの前のれいみゅちゃんみたくのーびのーび♪するよっ!」 「ゆにぇぇぇぇん!! れいみゅはゆっくちしないでうまれちぇこにゃいでよぉぉ!! どーちちぇ おねいちゃんに こんなこちょしゅるのぉぉぉ!!」 「おねがいいぃぃ…! れいむのあがぢゃあぁぁん! うまれで…うまれでぐるなあぁぁぁ…!」 あー…なんか赤れいむちゃんかわいそ… あんなに善良でゆっくりした家族だったのに…何がこの家族をそこまで追いつめたのやら… 茎から一匹ポツンとぶら下がる赤れいむの体は、プルプルと震えている。 いよいよ誕生が近いから、だけではない。 家族から浴びせられる、自分の誕生を、存在を、全否定する罵声に、身をわななかせて泣いているからだ。 悲しみの表情を浮かべ、まだ開かない目から涙がポロポロと零れ落ちる。 お母さんもお姉ちゃんも、さっきまでは、ゆっくり生まれてきてね!、ゆっくりしょうね!と言ってくれていたのに。 それなのに、いきなり怒鳴られた。 怒りながら。悲しみながら。憎みながら。 お前はゆっくりできない、れいむはだめだ、まりさでなければだめだ、お前はいらない、生まれてくるな それでも…それでも、きちんとゆっくりとしたご挨拶をすれば、きっとお母さんもお姉ちゃんもゆっくりしてくれる。 きっとれいむと一緒にゆっくりしてくれる。 その希望を胸に地上へと生まれ落ちる。 ひゅ~…… (おかあさん…!) (おねえちゃん…!) ぽとっ 「……ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!!」 悲しみを振り払おうとするかのような、とびきり元気な、この上なくゆっくりとしたご挨拶。 相手のゆっくりをただ願うだけの、無垢な言葉。 「ゆっぎゅちぢゅるにゃあぁ!!」 ぽゆん! 「ゆぴいいぃぃっ!!」 だが、返ってきたのは、姉である赤まりさの怒りの籠もった体当たりだった。 姉の柔らかい体に弾き飛ばされ、赤れいむが土の上をコロコロと転がる。 何をされたかわからないと言うように、目をパチクリさせ、その目にじんわりと涙が浮いてくる。 「ゆ…? れーみゅのおかおがいちゃいよ……? おねい…ちゃん……? どうちちぇ…? どうちちぇ…きゃわいいれーみゅに…こんにゃことしゅりゅの…?」 「うるぢゃあいっっ!!」「ゆぴっ! ゆぴっ! いちゃああい!」 ぽゆん!ぽゆん!と赤まりさが体当たりを繰り返し、赤れいむは涙を流しながら水槽の中を転がる。 更には赤れいむのお尻に噛み付いたり、髪を咥えて引っ張ったりとエスカレートし、赤れいむの泣き声も大きくなって行く。 「ゆぴゅぅ…! ゆぴゅぅ…! れ、れいみゅのちぇいでまりしゃはぁ! まりしゃはぁ…!! …ゆやあぁぁあぁ! まりしゃ、ちにたくにゃぁい! おにいしゃんこあいよおぉぉ! ちぬのやぢゃああぁあ! ゆっくいちたあぁい! ゆっくいちたいのにぃぃ!!!」 息を切らした赤まりさが、その場に立ち尽くしてゆんゆんと泣き始める。 その隙に、赤れいむはずりずりと這って助けを求める。 優しい、れいむお母さんに。 「ゆぴ…おきゃあしゃ…たちゅけて…いちゃいよおぉ…おねいちゃんがぁ…」 「ゆ………ゆあっ…ゆあっ…!…ゆああぁあぁあああぁぁぁっっ!!!! なんでおまえがうばれるんだあぁぁ! れいむはばりざをうんだんだあぁぁあ! おまえなんがぁ…! おまえなんがれいむのこどもじゃないぃぃ!!」 「ゆ…? おきゃあ…しゃん…どうしちぇぇ…? れーみゅ…れーみゅはおきゃあしゃんの……」 「うるざああい! ゆっぐりでぎないあがぢゃんなんがあっ! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇっっ!!!!」 「おきゃ… ブチュンッ ……… 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 水槽の中に、れいむの悲痛な叫びが木霊する。 母れいむが赤れいむを踏み潰して殺した後、最後の処刑として赤まりさを円筒形のガラス瓶に閉じ込めた。 中にはあんよが浸かる程度に水を入れておいた。 ふやけて破れたあんよから、緩やかに餡子が水に溶け出し、じわじわと死んで行くという寸法だ。 お帽子は破いてから一緒に入れてあげたので、お帽子に乗って水を避ける事もできない。 「だしてえぇぇ! おちびちゃんをだしてよぉぉ! びんさんいじわるじないでよぉぉ! れいむのおちびちゃんがしんじゃうよぉぉ!」 水槽の中に転がした硬いガラス瓶に、母れいむが砂糖菓子の歯を立てるが、割れるのは歯の方だけ。 瓶には傷一つつかない。 「ゆっぐ! たすけるよ! おかあさんがいまたすけるよ! ゆっ! まっててぇ! おちびちゃんまっててねぇっ!! ゆうっ!」 瓶を割ろうとその上に乗って跳ねる。 何度も何度も跳ねて、れいむのあんよの皮だけが潰れて薄くなって行く。そのうち破れるかもしれない。 「いしさん! ゆっくりしないではやくでてきてね! はやく! はやくぅぅ!! ゆっくりしないでよぉ!! れいむのおちびちゃんがくるしがってるよぉぉ!!」 瓶を水槽内の石にぶつけて割ろうとしていたので、石は片付けてしまった。 でも小さいのを一個だけ、残してあげた。土の中に埋めて。その土を叩いて固めて。 れいむが地面に突っ伏して土を食うが、何の道具も無しに平らな地面を掘るのはさぞや難しかろう。 時間だけが浪費されて行く。 瓶も強化ガラス製なので、ゆっくりの力ではどのみち割れないと思うのだが。 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 またガラス瓶に歯を立て始める。 ずっと、そんな虚しい行動の繰り返し。 「あのさ、れいむ」 「おにいざあぁぁん! おねがいじまずうぅぅ! さいごのぉ!! さいごのおちびちゃんなんでずぅぅ!! とってもゆっくりとじだぁ! まりざによぐにだぁ! かわいいおちびちゃんなんでずうぅぅ!! だずげであげでっ! だずけてあげでぐだざいっっ! れいむなんでもじまずがらあぁぁ!」 「まりさちゃん、死んでるから。とっくに」 ガラス瓶の中では、もうずっと前から黒い液体がチャプチャプと音を立てて揺れていた。 その中で、ふやけてバラバラになった、黒いお帽子と、金色の髪と、肌色の皮とが漂っている。 助けて 死にたくない あんよが動かないよ まりさが溶けちゃうよ ゆっくりできないよ 餡子さん出ていかないで ゆっくりしたいよ 死ぬのやだよ お家に帰りたいよ お母さん助けて お母さん お母さん お母さん ずっと叫んでいたお口も、もう何処に行ったのかわからない。 辛うじて原型を留めているのは、ふやけた肌色の断片の間に浮かぶ、白い寒天の目玉だけ。 その目が、助けを求めるかのようにれいむを見つめている。 「じんでないいぃぃ!! じんでないよおぉぉっ!! どおぉぉじでぞんなごどいうのおぉ?! ぎごえるでじょおぉ!? おぢびぢゃんが だずげでえぇっで よんでるでじょおぉ!? れいぶをよんでるでじょおぉ!! ゆううぅ…!! おぢびぢゃあん!! いばだずげるよぉっ! まっででねえっ!! ぜっだい…! ぜっだいおがあざんがだずげるがらねえぇっ!!」 赤まりさの目は、れいむをじっと見つめたまま、いつまでもプカプカと浮かんでいた。 [残り赤ゆ] まりさ×0 れいむ×0 ========== 「がえぜええぇええぇ! れいぶのおぢびぢゃんをがえぜええぇ! ごのくずうぅぅ!!」 俺の腕に抱えられたまま、俺に向かって吠えているのは、れいむ。 水槽にいたれいむではなく、透明な箱にいた、"まりさ"だったれいむ。 口を縛り付けていた紐を切ってやり、喋れるようにしてやった。 「れいむ、今までご苦労様。とっても楽しかったね」 笑いかけた俺の言葉に、れいむが何かを思い出したかのようにハッとし、途端に青くなって震え出す。 「ゆ……や…やべでっ…!? れいぶ、まだじにだぐない…! つぶっ…つぶさないでっ…! れいぶおうぢがえるぅ! おうぢがえっで! すでぎなゆっくりと…! ゆっぐりじでっ! また…! また…あがぢゃんうぶのおおおぉぉ!!」 命乞いを始めたれいむをそっと床に降ろし 「お兄さんがまた遊ぼうねって言ってたよって、赤ちゃん達に伝えてね。さよなら、れいむ」 「おべがいやめでええぇええ!」 一撃で頭を踏み抜いた。 ……… 「ありがとう、れいむ」 床に広がった餡子に向かって一礼。俺を楽しませてくれた事への感謝を込めて。 それから、もう一匹の"れいむ"に向き直る。 ようやく最後の赤ちゃんの死を受け入れて、落ち着いたところで水槽から出してやった。 今は、能面のように無表情に俺の顔を見据えたまま、微動だにしない。 いや、よく見ると小刻みに震えているか。 そして、れいむが口を開いた。 「おにいさん……」 「ん? なんだい、れいむ?」 「れいむをだましたの…」 「そうだよ!」 「はじめから…れいむのあかちゃん…みんな…ゆっくりできなくしちゃうつもりだったの…」 「そうだよ!」 「さいしょにうまれたあかちゃんたちは…」 「あ、お兄さんが連れていった赤ちゃん達の事だよね? 死んだ!! あの赤ちゃん達、友達にあげるなんて、ウソ。すぐにお兄さんが殺しちゃったよ。ごめんね! こうね、赤ちゃんの小さなお体をね、ネジネジッとしたらね、ブチンって切れちゃったの。ブッチィン!って! ネジネジのときも、ブッチンのときも、みんなとおぉぉってもかわいい声で泣いてくれたよおぉ! それとね? すっきりーして死んじゃったまりさちゃん達いたよね? アレ、お兄さんがふたりですっきりーすればお家に帰れるよって、教えてあげたんだよ! ふたりとも、とっても素直ないい子だったね! あ、でもれいむが食べちゃった赤ちゃんは、お兄さんのせいじゃないよね! れいむはゆっくり反省してね! …でも旨かっただろ? 自分の赤ちゃんの餡子は?」 「…どおして……」 「なにが?」 「どおしてええぇ…!? どおしてこんなことするのおぉ?! あかちゃんはとってもかわいいのにいぃ! とってもゆっくりできるのにいぃ! どおしてこんなひどいことするのおぉ?! れいむたちなんにもわるいことしてないのにぃぃ!!」 「………」 「ねえっ?! どおしてえ!? おにいさん、どおしてなのお!? こたえてよおぉ…!! どおして…どおぉぉして…こんな…ひどいことぉ…できるのおぉ…!? れいむたちは…れいむたちはいきているんだよおおぉ!?」 「れいむ達は生きているんだよおおぉ! れいむ達は生きているんだよほおおぉぉぉっ! あはっ! あははは!」 れいむの言葉を鸚鵡返しにして笑い出した俺に、一瞬、れいむは驚きに目を見開き、体をブルッと震わせた。 だが、その表情は、すぐに、ゆっくりとは思えない程の凄まじい憤怒の形相に変わった。 既にボロボロになっている歯を、砕けてしまうのではないかとこちらが心配になるほどに軋ませ、俺に向かって吠えた。 「ゆ…ゆ…ゆんんぎぎぎいいぃぃっ……! な・に・がぁ! なにがおがじいんだぁあぁ! わらうなああぁぁっ!」 「そう! そうだよ! れいむ! れいむ達だって生きている! もちろん! もちろん知ってるよ! 生きているから! 美味しいごはんを食べればしあわせー!になれる! 大好きなゆっくりと一緒にいれば、しあわせー!になれる! ゆっくりとしたかわいい赤ちゃんがいれば、しあわせー!になれる! 素晴らしい! これはとっても素晴らしいことなんだよ! れいむ! れいむ達は生きている! 生きているからしあわせーになれる! だから! だからこそさ!」 「俺がっ! そのしあわせーをっ! グッチャグチャァァにぃっ! 踏んみにじぃってっ! 楽しむ事ができるんだよおぉっ!!」 「…な…なに…なにいって……なにいっでるの゛ぉぉぉ…!!!」 「いいかい、れいむ? これは大事な事だからよく聞いてね? 君達のしあわせは、グチャグチャに踏みにじられるために生えてくるんだ。 君達の赤ちゃんは、痛くて熱くて苦しくて悲しくてちゅぶれりゅううぅな事されるために生まれてくるんだ。 君達は、ゆっくりできなくされる、ただそのためだけにゆっくりしているんだよ」 「おがじなごどいうなあぁ!! ぞんなばずないいぃぃ!」 「いや、それがそうなんだって! れいむ! だかられいむのおちびちゃん達は、虐められるとあんなにかわい~い声で、あんなにかわゆ~いお顔で泣いてくれるんでしょ? 虐めて欲しいから、虐められるために生まれてくるから。 わかってる! お兄さんわかってるよー! それにね? 今日れいむが生んだ赤ちゃん、どうしてまりさかられいむに変わったと思う? 殺されるためだよ! お姉ちゃんのまりさちゃんも一緒にね! まりさのままだったら、虐めてもらえないから、れいむに変わったんだよ! まりさに生まれた赤ちゃんが途中でれいむに変わるなんて、こんな出鱈目な事、ゆっくりじゃなきゃ絶対に起きないよ? 虐められるために生きている、君たちゆっくりじゃなきゃね! れいむとれいむの赤ちゃんがその事を証明しくれたんだよ!」 「ゆっがああぁああっ!! なにいっでるううぅぅっ!! じねええええぇぇえええっ!!! あだまのおがじいじじいはじねええぇぇ!!! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇ!!!!!」 「はははははは! 怒った? 怒ったかい? れいむ? いいよ! もっと怒るんだ! もっと俺にぶつかるんだ! ほら! もっと! もっと! ちっとも痛くないよ! もっとがんばって! 君達がどう頑張っても死んだおちびちゃんの無念は晴らせないと思い知るんだ! 君達のしあわせは何をやっても守れないと思い知るんだ! 君達の怒りは、そのために湧いてくるんだよ!」 「ゆがあぁぁ! ゆがああぁぁぁっ!!」 「れいむ! れいむ達は生きている! ありがとう! れいむ! ありがとう! 俺にしあわせを踏みにじられてくれるために! わざわざ生まれてくれて! 育ってくれて! 赤ちゃんを産んでくれて! 生きてくれてありがとう! 赤ちゃん達もありがとう! お兄さんにかわいい悲鳴を聞かせてくれるために、生まれてきてくれてありがとう! 全てのゆっくりにありがとう! ゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくりできなくなるために、ゆっくりしていってね!!」 「ゆがあがああぁがああ! じねええぇ!! じねええぇぇ!! じねえええぇぇえぇえぇええーーーっ!!!!」 …箱の外に頭のおかしい人間の顔が見える。 その死を願う言葉を吐こうとするが、縫いつけられた口は開かない。 それでも叫ぶ。箱に体当たりをしながら叫ぶ。 箱にぶつかる度に、何度も針を刺されて何かを縫いつけられた頭が痛む。そんなの構うものか。 れいむは、必ずこの人間をゆっくりできなくさせてやる。おちびちゃん達の仇を取るんだ。 それから、ここを出て、お家へ帰って、大好きなまりさの所へ帰って、 また、たくさん、たくさん、赤ちゃんを産むんだ。 永遠にゆっくりしちゃった赤ちゃん達の分まで。たくさん。たくさん。 そして、みんなで、いつまでもゆっくりするんだ。 人間がれいむの入った箱を抱えて運ぶ。 その先に何かがいた。 透明な箱の向こう側。 そこにいるのは、れいむと同じれいむ。 れいむがいたのと同じ水槽の中で、 れいむの赤ちゃんと同じ、かわいい赤ちゃんに囲まれて。 れいむと同じれいむが、れいむを見て呟いた。 「ゆうぅぅ…なんだかゆっくりできない"まりさ"だよ…」 "れいむ"と同じ おわり ========== by お説教されたいあき これまでに書いたもの * ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー * ふたば系ゆっくりいじめ 344 ゆっくりで漬け物 * ふたば系ゆっくりいじめ 404 ただ一つの * ふたば系ゆっくりいじめ 471 えーき様とお義母様 * ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車
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「ふたば系ゆっくりいじめ 641 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中」からの続きです ========== 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 今日は仕事が長引き、帰宅したのは茎に実った赤ゆ達がとっくに生まれ落ちたであろう時間になった。 で、帰宅一番、れいむ達の様子を見に行ったら、もう生まれ落ちている筈の赤ゆ達の姿がどこにも見当たらない。 「あ、あかちゃん? なんのこと? れ、れいむしらないよ!」 「知らないって…今朝いただろ、ここに。ほら、こう茎が生えて、かーわいいのが」 れいむの頭上、茎が生えていた辺りの中空をとんとんと指差すと、れいむが目を逸らす。 「お、おにいさんがおでかけのあいだに、く、くきさんが無くなっちゃったんだよ! ほんとだよ! れいむうそなんかついてないよ!」 「へー、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったの?」 問いかけた先は、れいむではなく、れいむの影に隠れていた赤ゆ達。 「しょ、しょうだよ…!」 「あ、あか、あかしゃんはきえちゃったんぢゃよぉぉ…!」 「ふーん、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったのぉ?」 「しょ、しょ、しょ…しょうぢゃよぉぉ…!? う、うしょじゃにゃいよぉぉ!?」 「れ、れれ、れみゅ、れみゅ、れいみゅ、うちょちゅいてにゃいよ!?」 ふむ。 特に怪しいところもないし、消えちゃった物は仕方ないね。 水槽内の石の影や、れいむの口の中もチェックしたけど、赤ゆは隠れてないし、土を掘り返した跡もない。 本当にいなくなったようだ。 この世から。 「そっか。なら仕方ないね。じゃ、また赤ちゃん作ってもらおうかな」 次の出産に向けての仕込みだけ済ませると、虐待部屋を後にした。 そして、次の出産日。 仕事は早く終わり普通に帰宅したが、のんびり晩飯を食って時間を潰してから虐待部屋に向かう。 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 まあ予想通りの展開と、同じ問答の繰り返し。 「そっか。消えちゃったんじゃ仕方ないね。 そうそう、赤ゆちゃん達にお土産あるよ。とっても甘くて美味しいお菓子だよ。食べる?」 「「ゆっ? あみゃあみゃしゃん!? たべりゅ!!」」 それまで、やたらとオドオドしていた赤ゆ達が、帰りがけに買ったお土産の箱を見せた途端、突然元気になる。 現金なものだが、それがまたかわいい。 箱を開けて、赤ゆ達に向けて差し出す。 「ハハハ、一杯食べていいからね。とっても美味しいんだよ~、このお店の…」 「ゆっ! おいちしょうなにおいがしゅるよ!」 「あみゃあみゃぁ~♪」 甘い匂いに誘われ、赤ゆちゃん達が俺の元へとよちよちと這ってきて、 「赤ゆっくり焼き」 「「ゆびゃああぁああっ?!」」 こんがりキツネ色に焼けた同族の姿を見て悲鳴を上げた。 ……… 「いや~悪いな~お兄さん一人で美味しい物食べちゃってぇ~」 赤ゆちゃん達が急に食欲を無くしたみたいなので、お土産は俺一人で食べる事になった。 二匹は母れいむに縋り付き、もみあげに抱かれて、ぷるぷる震えている。 「むーしゃむーしゃ! し、し、ししししし、しあわせ~~~!!! うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ! はふっほふっ!! あまあましあわせー!!」 ゆっくり達に見せつけるように、両手に赤ゆっくり焼きを持ち、交互にガツガツと貪りつく。 「いや~! 本当にね! 赤ゆっくりちゃんは食べると美味しいんだよねぇ! がーつがーつ! んほおおぉぉ! あまあま~!! 特にね! まだ生まれたばかりの小さな赤ちゃんをね、生きたまま食べるとすっご~く美味しいんだよね! ね? れいむは知ってる? あっれ、美味しいよね~!!」 七個目の赤ゆっくり焼きを頬張りながら、母れいむに向けて首を傾げる。 「な、なななな、なじいっべるのおおぉぉ?! ででででいぶが、あがっあがっあがぢゃんたべぢゃうばげないでじょおおぉぉ?!」 多少口ごもりながら、盛大に汗を噴き出させたれいむが首を横に振る。 汗の感触が不快だったのか、れいむに縋り付いていた赤ゆ達が、れいむから離れて、じりじりと後ずさる。 怯えたような視線でれいむを見上げながら。 「お、おおおおぢびぢゃんっっ?! ぢ、ぢがうよおおぉ?! あれはぢがうよおぉぉ!? どおおおじでそんなおめめでおがーざんをみるのおおぉぉ!?」 「むーしゃむーしゃ…げっぷ…し、し、し、しあわせ~~! うっめ! うっぷ…! これめっちゃ…うっ……うっめ!!」 そのまた次の出産日 「ゆっ…お、おにいさん…」 「あーはいはい。赤ちゃん消えちゃったのね」 口を開きかけたれいむには目もくれず、怯え切った目でこちらを見ている二匹の赤ゆを水槽から摘みだして手のひらに乗せた。 「ところで、赤ゆちゃん達。お兄さんに何か内緒にしてる事ないかなぁ?」 「「ゆんぴゃあああぁぁあ?!」」 笑顔で尋ねた俺に、二匹が文字通り飛び上がって悲鳴を返す。 「ちちちちち、ちりゃにゃいよぉ!? まりしゃはちりゃないよぉぉ!!?」 「れ、れれ、れびゅ、れいびゅぶっ、ちり、ちりっ、ちりまちぇんんん!!」 「あっ、そう。それならいいんだけど。 れいむお母さんがなかなか赤ちゃん産んでくれないからさー ひょっとして何かズルしてるんじゃないかなーーー?って疑っちゃったよ。 ごめんね、変な事聞いて。 良い子の赤ゆちゃん達は、お母さんがズルしても、ちゃんとお兄さんに教えてくれるもんね? ね?」 赤ゆ達がぷるぷるぷると上下に小刻みに震えて頷くのを見て、俺も満足げに大きく頷く。 「そうだよね。お兄さん良い子の赤ゆちゃんは大好きだよ! お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶときには、良い子の赤ゆちゃんだけは選ばないようにしてあげるからね! でもウソつきの悪い子は殺す。たっぷり苦しめて殺す」 赤ゆ達を水槽に戻しながら俺が言うと、赤ゆ達がビクッと震え、家族全員に何とも言えない緊張が走る。 しかし、暫く待っても、赤ゆ達は震えながら黙りこくったままだ。 ……フッ、カマかけ失敗か。 まあ、強い親子愛と信頼で結ばれているこの家族の結束はこんな事では揺るがないよね。 「…さて、じゃ、今度こそ赤ちゃん産んでもらおうかな…すっきりーの準備準備と…あ、そうだ。れいむ」 「ゆ?」 「この前相談したどっちの赤ちゃんから先に殺すかって話だけど…」 「…ゆっ?? ゆゆっ?! な、なにそれ?! れいむそんなはなししてないよ!?」 立ち上がりかけながら、何気なく話し掛けた俺の言葉にれいむが目を白黒させる。 実際そんな話はしてないから無理もない。 「…あっ…! あ、ご、ごめ…そ、その…お、お兄さんの勘違いだったよ! ごめんね! 忘れてね!」 「お、おちびちゃん?! おかあさん、そんなはなししてないよ! しんじてね!?」 あたふたと手を振ってから、チラッと赤ゆ達に視線を落とす。 二匹の赤ゆは、大きく目を見開き、先ほどまで以上に青白い顔でガクガクと震えている。 特に片方が。 ややあって、その片方がゴクリと唾を飲み込んだ。 「お、お、おにいしゃん…! ……お、おきゃあしゃん…おきゃあしゃんがぁ……」 「ゆっ?! お、おぢびぢゃん?!?!」 口を開いた赤ゆに不穏な物を感じたか母れいむが押さえようとするが、一歩遅かった。 「おきゃあしゃんが れいみゅのいもうちょ たべちゃったのおぉぉ!! ゆんやああぁぁあ!!」 「おぢびぢゃぁぁぁん?!?! ど、ど、どおじでしゃべっちゃうのおぉぉ!? せっがぐうまぐいっでだのにぃぃ!?」 「だっちぇえぇ! れいみゅぅぅ…! れいみゅは いりゃないこぢゃないのにぃぃ!! れいみゅもおきゃあしゃんのれいみゅなのにぃぃ!! おきゃあしゃんがあぁぁ! おきゃあしゃんがあぁぁぁぁ!」 訂正、「強い親子愛と信頼で結ばれて"いた"この家族」だ。 生まれても祝福されず、落胆されるばかりの自分と同じ姿の妹達。 "まりさじゃなくてれいむだから" それだけの理由で家族から暖かく迎えられない妹達を見る赤れいむの胸中はいかばかりか。 まりさ種を生もうと意識して、まりさの写真に目を向ける母れいむ。 俺が見ている限り、母れいむの赤れいむへの対応は、それほどおざなりになっているようにも見えなかったが、 当の赤れいむからしてみれば、ほんのわずかな疎外感もこの状況下では大きな物に感じるだろう。 些細な悪戯のつもりで仕掛けた事だったが、それがこんなにも生きてくる状況になるとは思わなかった。 自分と同じ姿をしたれいむ種の妹を食い殺す母親。 当然母れいむは、姉達を助けるためと説明しているだろうし、事実その通りだろう。 子供思いのれいむは、さぞや慚愧の念に満ちた悲痛な「むーしゃむーしゃ」を繰り返していたに違いない。 だが、「赤ゆっくりは美味しい物」という情報を与えられたことで、 赤れいむは母の行為に「自分達への愛情故」以外の可能性を見出す。 それでも赤れいむは、自分が母れいむの中で唯一無二の大切な存在であると信じ切ることができるだろうか。 自分達の小細工がいつかはバレるのではないかという恐怖。 そして、母れいむと俺が次に殺す赤ゆを密約しているかもしれないという疑念。 信じがたい話ではあるが、もし、万に一つ、その疑念が事実だった場合、母れいむが選ぶのはどちらか。 以前の赤れいむなら、自分は見捨てられないと、何の根拠もなく盲目的に信じただろう。 だが、今の赤れいむはどう考えるか。 一つ一つの疑念や不信はほんの小さなしこり。 この母娘の信頼関係の前では、気のせいに違いないと、無視できる程度の物。 だが、そのしこりが繋ぎ合わさったら? 死の恐怖の渦中にぶら下げられた、保身という甘い餌。 それに釣られる程には、母れいむに対する赤れいむの信頼は綻んでいたのだ。 ……… 「なるほどねぇ…そんなズルをしていたんだ、れいむは。 お兄さん、れいみゅちゃんが教えてくれなかったら、全然気付かなかったよ」 「あ…あの゛…おにいざん…ごれは…ごれは…ぢがうよ…そうじゃないよ……」 「さて、赤ちゃんが生まれてて、全員れいむちゃんだったんなら…わかってるよね?」 苦しげに言い分けを捻り出そうとするれいむを他所に処刑宣言を下すと、赤まりさがチロチロと漏らしながら震え上がる。 赤れいむは、俺の処刑選択枠から外れている。 となれば… 「よし、れいむ。どっちを殺すか選べ」 予期せぬ俺の言葉に母れいむが目を丸くする。 それ以上に赤れいむが。 「ゆ?! ゆ?! お、おにいしゃん?! れ、れいみゅは…」 「うん。お兄さんはれいみゅちゃんを選ばないよ。お母さんがどっちを選ぶかまでは知らないけどね」 「ゆっ?! ゆうぅぅっ?! ……う…うっ…うしょちゅきいぃぃ!!」 「え? お兄さんはウソついてないよ? 『お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶとき』って言ったんだからね? お兄さんが選ばないときは知らないよ。さ、れいむ、どっち? まりしゃちゃん? れいみゅちゃん?」 「え、えらべないよおおぉぉ?! ぞんなのえらべるわげないでじょおおぉ!?」 「そう? じゃあ、まりしゃちゃんでいっか。まりしゃちゃん、死のうね」 背を向けて逃げ出した赤まりさを悠々と掴むと、顔だけを出させるようにして握りしめ、徐々に力を込める。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!! きゅ、きゅるちぃよおぉぉ!!」 「ゆあ…やめ゛…おにいさん…あかちゃん…しんじゃ…う……」 ギュッ 「ゆぶううぅぅっ?! ゆぶっ!! ぶっ!」 「や、やめで…! やめで、やめで、やめでよおぉぉ! おねがいだよぉぉ!」 赤まりさの顔がパンパンに膨らみ始める。 餡子を吐くまいと必死に口を閉じ、真っ赤になりながら。 ギュゥッ…! 「ゆ゛っ…?! ゆ゛ぼっ!!」 「……っ!! ……っ!!」 赤まりさの奮闘虚しく、口から少量の餡子が漏れてれいむの顔に降りかかる。 俺は、閉じられた赤まりさの目蓋を小指で押し開け、笑いかけた。 「さよなら! まりしゃちゃん!」 「ごろずのはごっぢのおぢびぢゃんにじでよおおぉぉぉ!!」 そのれいむの叫び声に、叫びを上げたれいむ自身がハッと息を飲んだ。 そして、赤れいむも息を飲む。 俺の手の中でもがき苦しむ赤まりさ以外の全員が、その叫びに時を止めた。 「…うん、わかった」 俺がそう答えて赤まりさを水槽に戻すと、再び時が動き出した。 それまで涙目で赤まりさを見上げていた赤れいむが、ゆっくりと母れいむの方を振り返った。 「お……きゃ……あ……しゃん…………?」 赤れいむの呆然とした表情を目にした母れいむが、ずり…と後ずさる。 「ゆ…あ…ち…ちがうよ……い、いまのは…ちがうよ……そうじゃなくて……ちがうよ…ちがうよ…おちび…ちゃん…」 こちらも呆然とした表情で、母れいむが首を振りながら後ずさる。 眼前で失われ行く命を助けようと躍起になるあまり、考え無しに別の選択肢に飛びついただけか 愛するはにーのまりさによく似たおちびちゃんを優先したか 赤まりさを産むためには、まりさ種が傍にいた方が確立が上がるという迷信じみた打算があったか それとも姉妹を売った赤れいむへの怒りか 何がれいむにそう言わしめたか、正直俺にはわからない。 きっとれいむ自身にもわかってはいないのだろう。 だが、確かにれいむはその言葉を発した。選択の言葉を。 そして、一度発した言葉は、もう元には戻らない。 「おきゃあ…しゃん………………ごめんにゃ……しゃい…………」 消え入りそうな言葉と共に、母れいむを見つめる赤れいむの頬を涙の滴が伝って行く。 喜び、哀しみ、怯え、いつも生の感情に満ちて輝いていた、その幼い瞳から輝きが消えて行く。 幼い赤ゆにとってのたった一つの拠り所、母れいむ。その母に見捨てられた。 疑念に過ぎなかったそれが、確信へと変わった。真実へと"変えられた"。 その深い、深い、絶望の色にベッタリと塗りつぶされて、輝きが消え失せて行く。 ああ…どうしてだろう……… どおおぉぉしてそんなに素敵なお顔をするのおおおぉぉぉ?! れいみゅちゃああぁぁん!! れいみゅちゃんの妹もお姉ちゃんもそんなお顔はしなかったよおぉおぉぉ!? どれだけ絶望したらそんなお顔ができるのおおおぉおぉ!? とってもかわいいよほおぉぉぉ!!! 待っててええぇぇえぇ! お兄さんの魔法のスパイスで ほんのちょっとだけ絶望の味を甘くて美味しくしてあげるからねえぇえぇ!! 「のーびのーびするよ! ほら! れいみゅちゃん! のーびのーび! のーびのーびっ!!」 「ぴっ…! い…! あっ…! ゆぴっ…! たち…! おきゃ…! おきゃーしゃ…!!」 俺の目の前で賑やかに声を上げているのは、赤れいむちゃんだ。 母れいむのいる水槽前の床で、のびのび練習の真っ最中だ。 左目から入って後頭部に抜けたピアノ線を上へ引っ張られるたびに、元気よく体を伸ばしている。 「のーびのーび♪」 「ゆきっ…! や…! ぴっ…!」 ピアノ線を持ち上げる度に、細い鋼線が目の上の餡子に食い込み、必死に体を伸ばしてその痛みから逃れようとする。 ピアノ線を下げれば、体を戻し、上げれば、またのーびのーび。その繰り返し。 とは言え、まだ思うようにはのーびのーびできない幼い赤ゆ。 段々と、食い込んだピアノ線が饅頭皮と餡子を切り裂き、傷口が頭へと向けて縦に広がって行く。 「やめでぐだざいっ! おにいざんもうやめでっ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでっ!!」 「何言ってるんだい、れいむ? れいむがれいみゅちゃんを殺してって頼んだんだよ?」 「ぢ、ぢがうのおおおぉぉ!! あではぢがうのおおぉぉ!!」 「違わない。はっきり言ったじゃないか。 ね、れいみゅちゃんも聞いたもんね。のーびのーび。 れいみゅちゃん、家族を裏切るのはとってもゆっくりできない事なんだよ。 だかられいみゅちゃんはお母さんから捨てられちゃったんだよ。 ゆっくり理解できるよね? のーびのーび」 「ゆぴぃっ…! ぴっ…! ごめ…! にゃしゃいっ…! ぴぎっ…! ごめっ…! しゃいいぃ…!!」 文字通り身を切り裂かれる痛みの中にあって、頻りに謝罪を繰り返す赤れいむ。 母れいむは、必死に己の言葉を打ち消そうとするが、果たしてそれは赤れいむの心には届かない。 どれだけ否定の言葉を紡ごうとも、あの時の言葉には一抹の真実が含まれていたから。 「のーびのーび、のーびのーび、のーびのーび」 「あ゛…! ゆ゛っ…! ご…! め…! きぴっ…! にゃっ…! ちゃっ…! ゆぴぃっ…!」 素敵な絶望の表情を見せてくれた後でも、その生存本能は生を拒否する事を許さず、 縮んで伸びて縮んで伸びてのかわいいのびのびダンスを繰り返す。 だが、どれだけ楽しいダンスもいつかは終幕を迎える。 ブチッ 「ゆびいいいぃぃぃいぃっ!!!」 「あがぢゃあああぁああんっっ!!」 遂にのびのびが追いつかなくなり、ピアノ線が赤れいむの頭を切り裂いて抜け出た。 鋼線による束縛から解放されて床に転がった赤れいむの目の前にあったのは、水槽の中の母の顔。 傷口から餡子を漏らし、体をブルブルと震わせながら、母れいむに向かって叫ぶ。 「おきゃあしゃああぁああんっ! ごめんにゃしゃいぃぃぃっ!! れいみゅぅぅぅ! れいみゅわりゅいこだったにょおぉぉ!! ゆるちちぇえぇぇえ!」 「あがぢゃああぁんっ! ぢがうよぉぉっ!! あがぢゃんはなにも… ブスリ 「ぴっきゃあああぁあぁぁああぁっっ!!!」 「ぼうやべでええぇえぇっ!!!」 アンコール。 赤れいむを仰向けにして押さえつけ、残った目に再びピアノ線をねじ込んだ。 寒天の目玉から涙に混じってドロリとした物が零れる。 そのままピアノ線をまっすぐ押し込み、先端を赤れいむの後頭部から突き出させる。 「みえにゃいよおぉぉっ!? おきゃあしゃああぁあん! どきょおぉぉ?! れいみゅここにいりゅよぉぉ!! れいみゅをぉぉ! れいみゅ 「のーびのーび」 ぴにいぃっ…!!! おきゃあ 「のーびのーび」 ゆびぃぃっ! おきゃっ 「のーびのーび♪」 あ゛っ゛!!」 赤れいむの呼びかけに母れいむはもう答えを返さない。 もう諦めたんだろ? 裏切り者の赤れいむに愛想が尽きたんだろ? 違う。れいむの母性をみくびるな…! 俺がボロ布を口一杯に押し込んで声を出せなくしたからだ。 しかし、両目の潰れた赤れいむは、その沈黙をどう捉えるだろう。 「おきゃあしゃああんっ! ごめんにゃしゃいっ! ゆぎっ! ごめんにゃしゃいぃっ! ぴっ! いちゃいよぉ! ぴいぃっ! ゆるちちぇぇ! ゆびっ! もうわりゅいこちょ…ぴぎゃっ! ちまちぇぇんっ! ぴっ! れいみゅ…きぴっ! いいこになりゅかりゃ…ゆぴぃぃ!」 赤れいむにとっては、その沈黙は完全な拒絶の証しだった。 餡子を切り裂く鋼の痛みに泣きながらも、痛みよりも死よりも恐ろしい孤独の恐怖に苛まれ、ただひたすらに赦しを乞う。 決して答えることのない母れいむに向けて。 ブチッ 「ゆぎいぃいぃぃっ!!」 頭に二筋目の切れ目を入れて、再びダンスから解放される。 そして、饅頭側の切れ端を振り回しながら、母れいむがいない方向に向けて懸命に叫び続ける。 「おきゃあしゃああん!! れいみゅをおいちぇかにゃいぢぇええぇ! れいみゅをすてにゃいでえぇぇ! れいみゅわりゅいこでちたあぁぁ! あやまりましゅうぅ! これかりゃはいいこになりましゅからぁぁ!! いたいいたいしゃんも がみゃんちましゅうぅぅ! にょびにょびも がんばりまちゅきゃりゃあぁぁ! れいみゅをすてちゃやぢゃあああぁぁっっ!! おぎゃああしゃああぁぁぁぁん!!!」 錯乱し、俺に強要されてるのびのびダンスすら、母れいむからの制裁と思っているようだ。 潰れそうになるぐらいにベッタリと水槽に顔を押しつけて、赤れいむを見つめて涙を流す母れいむの顔。 あの悲しみに満ちた顔を見せてあげる事ができたならば、赤れいむにも救いは訪れるのだろうか? その両の目が光を失った今となっては、もはや叶わぬ事ではあるが。 話は変わるがピアノ線の差し込み口がまだ残ってる。無くても開ければいいだけだけど。 「さあ、れいみゅちゃん! 今度はのーびのーび上級編! 逆さのーびのーびだよ! 頑張って!」 俺は赤れいむを上下逆さにひっくり返して、しーしーの穴からピアノ線をねじ込んだ。 お母さんが許すと言ってくれるまで、頑張ってのーびのーび♪ しようねええぇ!! [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×0 ========== 今日はれいむの出産日! 泣いても笑っても、今日で最後! というわけで今日は一日、水槽の横でれいむ達を観察しよーう! 仕事? 休んだ。 「ゆにぇぇん! おきゃあしゃあんっ…! どうちて あかしゃん ひとりだけにゃのおぉ!?」 「ゆうぅぅ…どうしてぇ…どうしてなのぉ…」 母れいむが、頭上の茎を見上げながら不安げに呟く。 そこには、まだ種族不詳の実ゆっくりが、ポツンと一つだけ実っていた。 ストレスでれいむの母体としての能力が早々に限界に来たか、出産促進剤を与えつづけた副作用か、 れいむが実らせた赤ゆは、この一匹だけだったのだ。 「いもうちょが まりしゃじゃなかっちゃら…まりしゃ…ゆっくちできにゃくなっちゃうよぉ…! もっちょ たくしゃん うんじぇよぉぉぉ…!!」 「だ、だいじょうぶだからね…おちびちゃん… おかあさん、がんばるから…がんばってまりさとおなじおちびちゃんをうむから… …ぜったい…ゆっくりさせてあげるからね……」 赤まりさに答えるれいむの顔は蒼白。とても大丈夫なようには見えない。 昨日れいむの茎に実ゆっくりが実ってから、こんなやり取りを繰り返している。 まだ生えてくるかもしれないと希望を持っていたようだが、今時点で生えてないなら一匹で打ち止めだろう。 「おやおや。結局ひとりだけなんだ。大丈夫なのかい、れいむ? 最後の赤ちゃんの命がかかっていると言うのに随分と余裕だね。 …まりしゃちゃん……お母さん諦めたのかも?」 「ゆええぇぇん!!」 ふふふ! 泣き顔かわいい! まあ、一匹だろうが、千匹だろうが、赤まりさなんて生まれるわけないんだけどね! ふふふ! うふっ、うふふふ! ゆふふふふふぅぅ!! 「………ゆふ???」 数時間後、俺は水槽の前でそんな間の抜けた声を漏らした。 「おにいしゃん! みちぇみちぇ! まりしゃのいもうちょは まりしゃぢゃよおぉぉ! とっちぇもゆっくいしちぇるよぉぉぉ!!」 ぽよーんぽよーんと渾身のジャンプで飛び跳ねるのは、最後に残った赤まりさ。 その笑顔が向く頭上の茎には、目を瞑ったまま穏やかな笑顔でユラユラ揺れている赤ゆっくり。 髪も生え始め、お飾りも形づくられている。 金髪。そして、小さいが、はっきりとお帽子の形をしている黒いお飾り。 以前のような他のゆっくりのお帽子を被せたような小細工ではない。 間違いなく、まりさ種の赤ゆっくりだった。 何故だ? そんな筈はない。そんな馬鹿な事がある筈がない。 「ゆっ! おにいさん、どお! ちゃんとあかちゃんのまりさだよ! こんどこそ、れいむたちをおうちにかえしてね! やくそくしたよね!」 困惑する俺に、れいむが胸?を張って頭上に実った赤ゆを見せつける。 「……そ、そう……だね……………ふ…ふふ……うふふふ……」 「ゆ?」 いきなり笑い出した俺に、れいむが不安そうな表情を浮かべる。 「ゆふっ! ゆふふふっ! ゆふふふふふふふふふふふ…!!……ゆふう~…凄い! お前ら凄いな! れいむ!」 「ゆ…ゆっへん!!」 「いいよ! もちろん約束は守るよ! いや、大サービスだ! この赤ちゃんも一緒に帰らせてあげるよ!」 「ゆゆっ?! ほんと!?」 「やっちゃあ! いもうちょもおうちかえれりゅね!」 言っておくが、ウソじゃない。騙しでもない。 本気で帰らせてあげるつもりだ。五体満足で。体も心も飾りも。 しつこいな。ホントに何もしないって。 れいむは、それだけの事をやり遂げたんだ。 「あかしゃあん! はやくうまれちぇねぇ! まりしゃ まちきれにゃいよ!」 「ゆっ! だめだよ! おちびちゃん! あかちゃんは、うまれるまえに たくさんゆっくりしているほど、ゆっくりしたあかちゃんになるんだよ!」 「ゆぅ~? そうなにょ?」 「そうだよ! おちびちゃんもたくさんゆっくりしてたんだよ!」 母れいむが、赤まりさに微笑みかけ、その小さな頬に自分の頬を寄せる。 赤まりさが少しくすっぐたそうにしながら、目を細める。 「ゆぅ…しゅーりしゅーり…おきゃあしゃんと、しゅーりしゅーり… ……おきゃあ…しゃん……まりしゃたち……ゆっくちできりゅよね……?」 「ゆ…! もちろんだよ! れいむのだいじなおちびちゃん! おちびちゃんと、いもうとのあかちゃんと、おかあさんと…みんなで…たくさんゆっくりしようね…! みんなの…ぶんまで……ゆっくり……ゆっぐり……じよう…ねえぇぇ……!」 「ゆ…ぅぅ…! まりしゃゆっくちしゅるよっ! れいみゅたちの…ぶんも…ゆっくちしゅるよ! ゆぐっ…! まりしゃたちのぶんもぉ…ゆぐっ…! ゆっぐち…しゅるよぉ! いもうちょ…の…ぶんも……ゆっくち…ゆっく…ちぃぃ……!! ゆっ…ゆえっ…! ゆえっ! ゆええぇぇん!! おきゃあしゃあぁぁん!!」 「おぢび…ぢゃん……なかないで…ねぇ…ないてたら…あかちゃんが…ゆっくりできないよぉ…!」 「ゆぐっ…! まりしゃ…ゆっぐ…なかにゃいよ…! おねえしゃんだかりゃ…なかにゃいよぉ! ゆううぅ…! あかしゃん! まりしゃのいもうちょのあかしゃん! ゆっくちうまれちぇね! おねいちゃんと…たくしゃん…たくしゃんゆっくちしようにぇ!!」 「ゆふふ… ゆっ! れいむのあかちゃん…! ゆっくりうまれてきてね!!」 「ゆっくちうまれちぇきちぇにぇぇ!!」 ………うん。 あ、ごめん。さっきの嘘。 いや、逃がしてはあげるけど、心だけちょっぴり傷つけちゃうかも。 他の赤ゆ達が何故死んで行ったのか、それだけは知っておいて貰おうじゃないか。 「いやぁ、ホント凄いよ! れいむは!」 れいむ達が落ち着いたところで、れいむの後頭部をバンバンと叩きながら話しかける。 「ゆっへん!!……ゆ? なにが…?」 「なにって、そりゃ…」 透明な箱を持ってきて、ずっとれいむのすっきりー相手を務めていた"まりさ"を取り出す。 暴れようとするソイツを押さえつけながら、頭にお帽子を縫い付けていた糸をカッターで切って帽子を取り上げた。 「ゆ? ……ゆ…? ……ゆゆっ?!?! ど、ど、どどっ、どぼっ、どぼじで?!」 れいむの目玉がこぼれ落ちそうになるくらいに見開かれ、そして叫びを上げた。 「どおおぉぉぉじて "まりざ" が "れいむ" なのおおぉぉ?!?!?!」 もし同好の士に今回の一件について話をしたら、きっと早い段階で俺の細工を言い当てた事だろう。 こうも都合良くれいむばかりが生まれるなんて事があるわけがない。 簡単なトリック。 タネはれいむのすっきりー相手の"まりさ"。 最初の二匹は正真正銘、本物のまりさだったが、三匹目のこいつはまりさ種の帽子を被せたれいむだ。 ゆっくりであるれいむ達の目からは、まりさにしか見えなかっただろうが。 当然、れいむ種同士のすっきりーで、まりさ種なんか生まれる訳が無い。 確率はゼロ、コンマとか整数位未満切り捨て・四捨五入とか余計な物なし、正しく0%。 …の筈だった。だが、生まれた。 考えられる理由があるとすれば……ゆっくりの思い込みの力というヤツなのだろう。 "まりさ"だと"思った"から、まりさ種の赤ちゃんを産んだ。 己の遺伝法則すら捻じ曲げてしまうとは、恐ろしい力だ。 今回は、俺の計画を見事に覆したその力に敬意を表し、素直に負けを認めるとしよう。 俺がそんな殊勝な気持ちになっている最中、その気持ちをくれた当のれいむは大層お冠だった。 「なんなのこれはあぁぁ?! れいむがれいむとすっきりしたって、まりさのあかちゃんなんかうまれるわけないよおぉぉ!! こんなのぉ…こんなのずるいよおおぉぉ…!!」 俺を見上げて半泣き状態で叫ぶ。 そう! れいむのかわゆ~い赤ちゃん達は、初めっから助かる筈なかったの! ずるいかなぁ? ずるいよねえぇ! 悔しいよねぇ! どうせ全員殺されるってわかってたら、新しい赤ちゃん産まなかったよねぇ!? そしたら、新しい赤ちゃんは苦しい思いして死ななくて済んだのにねぇ!? れいむのその顔が見たかったんだよ! …でもね、れいむ。 きっと赤ゆちゃんを助けたいというれいむの気持ちが神様に通じたんだね。 れいむは奇跡を起こしたんだよ。すっごく出鱈目な奇跡をね。 お兄さん、ガラにもなくちょっと感動しちゃったよ。悔しいけどね。 「なーに言ってるんだよ、れいむぅ! ずるくなんかないだろう?! だって、ほら! こうしてちゃーんと、赤ちゃんまり…さ……を………え?」 れいむの頭上の赤ゆっくりを指で軽く小突いてから、俺は言葉を飲み込んだ。 「え? …なに…? これ…? え? …ちょ………は、はは…凄い…やっぱ凄いよれいむは……」 「ゆゆっ? な、なにこれ…? なにごれええぇぇ?!?!」 茎に実った赤ゆの黒いお帽子が、いつの間にか、赤茶色に変わり、少し縮んできている。 金色の髪も、黄土色へと変わっている。 金色は黒へ、黒は赤へ、お帽子はリボンへと向かって 少しずつ、少しずつ変化してきている。 「変わってる! 変わってるよれいむ! 赤ちゃんがれいむに変わってるよ! そうだよね! れいむがれいむとすっきりーしてるのに、まりさの赤ちゃんが生まれるなんておかしいよね! れいむの言う通りだよ! そんな事あるわけないよ!」 「ゆわわああぁぁ!? やめてね! れいむのあかちゃん!? れいむになっちゃだめでしょおおぉ!?!?」 「ゆうぅぅぅ?!?! やめちぇえぇ!! れいみゅはゆっくちできにゃいいいぃぃ!!」 思い込みの力で成し遂げた奇跡は、思い込みが解ければ消え去るのか。 れいむ母娘の叫びも虚しく、赤ゆの姿は刻々と変化を続け、遂には普通の赤れいむの姿に成り果てた。 暫くの間、呆然としていたゆっくり達だったが、れいむが目に涙を浮かべながら俺の方を向いた。 「お、おにいさん!? れいむたちかえらせてくれるんだよね!? やくそくしたよね!? ね!? ねえっ?! ゆああぁぁ!! かえらせてぇぇ! かえらせてよおぉぉ! おねばいじまずぅぅぅ!!」 「は? 何いっちぇるのおおぉ。 生まれたのがれいむなんだから帰らせるわけないでしょ。まりしゃちゃんも約束通りブチッ殺っそうねえ!」 「ゆみゃあぁぁあ!? どうちちぇええぇ?! ちにたくにゃいぃぃ! ちにゅのやぢゃああぁっ!! まりしゃおうちかえりゅのおぉぉ!! まりしゃゆっくちしゅるのおぉぉ!!」 「ああ、そうだ。この赤ちゃんが茎から落ちるまで待ってあげるよ。それまでにまりさに戻ったらお家に帰れるよ」 「ゆっ?! れ、れいむのあかちゃん! もどってね! まりさにもどってね!」 「れいみゅのいもうちょはゆっくちできにゃいよぉぉ!」 「おねがいだよ! まりさにもどってくれないと、みんなゆっくりできないんだよ!」 「れいみゅはやめちぇよぉぉ! まりしゃにもどっちぇよぉぉぉぉ! まりしゃがちんじゃうよぉぉぉ!!」 母れいむと赤まりさが頭上の赤れいむに向けて声を張り上げ続ける。 しかし遺伝法則すらねじ曲げた強大なる思い込みの力。 それが正しく補正された今、その力を覆す事など誰にもできはしない。 「おー、そろそろ生まれそうだね! ぷるぷる震えちゃってかーわいいなぁ~! まりしゃちゃあん! お兄さんねぇ、まりしゃちゃんがた~っぷり苦しんで死ねる方法考えてあるんだよぉ? いっぱいいっぱい泣いてね! かわいい泣き顔、お兄さんにい~っぱい見せてねえぇぇ!」 「ゆやああぁああぁ! うまれちゃだめえぇ! あかちゃんうまれちゃだめえぇ!」 「うまれちゃ やああぁあぁ! まりしゃゆっくちちたいよぉぉ!!」 「おまえじゃないいぃぃ! おまえがうまれるんじゃないいいぃぃ!! やべろおおぉぉ!」 「おきゃあしゃぁん! こんなあかしゃん いりゃないよぉぉ! たべちゃっちぇよぉぉ!」 「おっと! 食べちゃうとかズルはなし! ズルしたらこの前のれいみゅちゃんみたくのーびのーび♪するよっ!」 「ゆにぇぇぇぇん!! れいみゅはゆっくちしないでうまれちぇこにゃいでよぉぉ!! どーちちぇ おねいちゃんに こんなこちょしゅるのぉぉぉ!!」 「おねがいいぃぃ…! れいむのあがぢゃあぁぁん! うまれで…うまれでぐるなあぁぁぁ…!」 あー…なんか赤れいむちゃんかわいそ… あんなに善良でゆっくりした家族だったのに…何がこの家族をそこまで追いつめたのやら… 茎から一匹ポツンとぶら下がる赤れいむの体は、プルプルと震えている。 いよいよ誕生が近いから、だけではない。 家族から浴びせられる、自分の誕生を、存在を、全否定する罵声に、身をわななかせて泣いているからだ。 悲しみの表情を浮かべ、まだ開かない目から涙がポロポロと零れ落ちる。 お母さんもお姉ちゃんも、さっきまでは、ゆっくり生まれてきてね!、ゆっくりしょうね!と言ってくれていたのに。 それなのに、いきなり怒鳴られた。 怒りながら。悲しみながら。憎みながら。 お前はゆっくりできない、れいむはだめだ、まりさでなければだめだ、お前はいらない、生まれてくるな それでも…それでも、きちんとゆっくりとしたご挨拶をすれば、きっとお母さんもお姉ちゃんもゆっくりしてくれる。 きっとれいむと一緒にゆっくりしてくれる。 その希望を胸に地上へと生まれ落ちる。 ひゅ~…… (おかあさん…!) (おねえちゃん…!) ぽとっ 「……ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!!」 悲しみを振り払おうとするかのような、とびきり元気な、この上なくゆっくりとしたご挨拶。 相手のゆっくりをただ願うだけの、無垢な言葉。 「ゆっぎゅちぢゅるにゃあぁ!!」 ぽゆん! 「ゆぴいいぃぃっ!!」 だが、返ってきたのは、姉である赤まりさの怒りの籠もった体当たりだった。 姉の柔らかい体に弾き飛ばされ、赤れいむが土の上をコロコロと転がる。 何をされたかわからないと言うように、目をパチクリさせ、その目にじんわりと涙が浮いてくる。 「ゆ…? れーみゅのおかおがいちゃいよ……? おねい…ちゃん……? どうちちぇ…? どうちちぇ…きゃわいいれーみゅに…こんにゃことしゅりゅの…?」 「うるぢゃあいっっ!!」「ゆぴっ! ゆぴっ! いちゃああい!」 ぽゆん!ぽゆん!と赤まりさが体当たりを繰り返し、赤れいむは涙を流しながら水槽の中を転がる。 更には赤れいむのお尻に噛み付いたり、髪を咥えて引っ張ったりとエスカレートし、赤れいむの泣き声も大きくなって行く。 「ゆぴゅぅ…! ゆぴゅぅ…! れ、れいみゅのちぇいでまりしゃはぁ! まりしゃはぁ…!! …ゆやあぁぁあぁ! まりしゃ、ちにたくにゃぁい! おにいしゃんこあいよおぉぉ! ちぬのやぢゃああぁあ! ゆっくいちたあぁい! ゆっくいちたいのにぃぃ!!!」 息を切らした赤まりさが、その場に立ち尽くしてゆんゆんと泣き始める。 その隙に、赤れいむはずりずりと這って助けを求める。 優しい、れいむお母さんに。 「ゆぴ…おきゃあしゃ…たちゅけて…いちゃいよおぉ…おねいちゃんがぁ…」 「ゆ………ゆあっ…ゆあっ…!…ゆああぁあぁあああぁぁぁっっ!!!! なんでおまえがうばれるんだあぁぁ! れいむはばりざをうんだんだあぁぁあ! おまえなんがぁ…! おまえなんがれいむのこどもじゃないぃぃ!!」 「ゆ…? おきゃあ…しゃん…どうしちぇぇ…? れーみゅ…れーみゅはおきゃあしゃんの……」 「うるざああい! ゆっぐりでぎないあがぢゃんなんがあっ! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇっっ!!!!」 「おきゃ… ブチュンッ ……… 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 水槽の中に、れいむの悲痛な叫びが木霊する。 母れいむが赤れいむを踏み潰して殺した後、最後の処刑として赤まりさを円筒形のガラス瓶に閉じ込めた。 中にはあんよが浸かる程度に水を入れておいた。 ふやけて破れたあんよから、緩やかに餡子が水に溶け出し、じわじわと死んで行くという寸法だ。 お帽子は破いてから一緒に入れてあげたので、お帽子に乗って水を避ける事もできない。 「だしてえぇぇ! おちびちゃんをだしてよぉぉ! びんさんいじわるじないでよぉぉ! れいむのおちびちゃんがしんじゃうよぉぉ!」 水槽の中に転がした硬いガラス瓶に、母れいむが砂糖菓子の歯を立てるが、割れるのは歯の方だけ。 瓶には傷一つつかない。 「ゆっぐ! たすけるよ! おかあさんがいまたすけるよ! ゆっ! まっててぇ! おちびちゃんまっててねぇっ!! ゆうっ!」 瓶を割ろうとその上に乗って跳ねる。 何度も何度も跳ねて、れいむのあんよの皮だけが潰れて薄くなって行く。そのうち破れるかもしれない。 「いしさん! ゆっくりしないではやくでてきてね! はやく! はやくぅぅ!! ゆっくりしないでよぉ!! れいむのおちびちゃんがくるしがってるよぉぉ!!」 瓶を水槽内の石にぶつけて割ろうとしていたので、石は片付けてしまった。 でも小さいのを一個だけ、残してあげた。土の中に埋めて。その土を叩いて固めて。 れいむが地面に突っ伏して土を食うが、何の道具も無しに平らな地面を掘るのはさぞや難しかろう。 時間だけが浪費されて行く。 瓶も強化ガラス製なので、ゆっくりの力ではどのみち割れないと思うのだが。 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 またガラス瓶に歯を立て始める。 ずっと、そんな虚しい行動の繰り返し。 「あのさ、れいむ」 「おにいざあぁぁん! おねがいじまずうぅぅ! さいごのぉ!! さいごのおちびちゃんなんでずぅぅ!! とってもゆっくりとじだぁ! まりざによぐにだぁ! かわいいおちびちゃんなんでずうぅぅ!! だずげであげでっ! だずけてあげでぐだざいっっ! れいむなんでもじまずがらあぁぁ!」 「まりさちゃん、死んでるから。とっくに」 ガラス瓶の中では、もうずっと前から黒い液体がチャプチャプと音を立てて揺れていた。 その中で、ふやけてバラバラになった、黒いお帽子と、金色の髪と、肌色の皮とが漂っている。 助けて 死にたくない あんよが動かないよ まりさが溶けちゃうよ ゆっくりできないよ 餡子さん出ていかないで ゆっくりしたいよ 死ぬのやだよ お家に帰りたいよ お母さん助けて お母さん お母さん お母さん ずっと叫んでいたお口も、もう何処に行ったのかわからない。 辛うじて原型を留めているのは、ふやけた肌色の断片の間に浮かぶ、白い寒天の目玉だけ。 その目が、助けを求めるかのようにれいむを見つめている。 「じんでないいぃぃ!! じんでないよおぉぉっ!! どおぉぉじでぞんなごどいうのおぉ?! ぎごえるでじょおぉ!? おぢびぢゃんが だずげでえぇっで よんでるでじょおぉ!? れいぶをよんでるでじょおぉ!! ゆううぅ…!! おぢびぢゃあん!! いばだずげるよぉっ! まっででねえっ!! ぜっだい…! ぜっだいおがあざんがだずげるがらねえぇっ!!」 赤まりさの目は、れいむをじっと見つめたまま、いつまでもプカプカと浮かんでいた。 [残り赤ゆ] まりさ×0 れいむ×0 ========== 「がえぜええぇええぇ! れいぶのおぢびぢゃんをがえぜええぇ! ごのくずうぅぅ!!」 俺の腕に抱えられたまま、俺に向かって吠えているのは、れいむ。 水槽にいたれいむではなく、透明な箱にいた、"まりさ"だったれいむ。 口を縛り付けていた紐を切ってやり、喋れるようにしてやった。 「れいむ、今までご苦労様。とっても楽しかったね」 笑いかけた俺の言葉に、れいむが何かを思い出したかのようにハッとし、途端に青くなって震え出す。 「ゆ……や…やべでっ…!? れいぶ、まだじにだぐない…! つぶっ…つぶさないでっ…! れいぶおうぢがえるぅ! おうぢがえっで! すでぎなゆっくりと…! ゆっぐりじでっ! また…! また…あがぢゃんうぶのおおおぉぉ!!」 命乞いを始めたれいむをそっと床に降ろし 「お兄さんがまた遊ぼうねって言ってたよって、赤ちゃん達に伝えてね。さよなら、れいむ」 「おべがいやめでええぇええ!」 一撃で頭を踏み抜いた。 ……… 「ありがとう、れいむ」 床に広がった餡子に向かって一礼。俺を楽しませてくれた事への感謝を込めて。 それから、もう一匹の"れいむ"に向き直る。 ようやく最後の赤ちゃんの死を受け入れて、落ち着いたところで水槽から出してやった。 今は、能面のように無表情に俺の顔を見据えたまま、微動だにしない。 いや、よく見ると小刻みに震えているか。 そして、れいむが口を開いた。 「おにいさん……」 「ん? なんだい、れいむ?」 「れいむをだましたの…」 「そうだよ!」 「はじめから…れいむのあかちゃん…みんな…ゆっくりできなくしちゃうつもりだったの…」 「そうだよ!」 「さいしょにうまれたあかちゃんたちは…」 「あ、お兄さんが連れていった赤ちゃん達の事だよね? 死んだ!! あの赤ちゃん達、友達にあげるなんて、ウソ。すぐにお兄さんが殺しちゃったよ。ごめんね! こうね、赤ちゃんの小さなお体をね、ネジネジッとしたらね、ブチンって切れちゃったの。ブッチィン!って! ネジネジのときも、ブッチンのときも、みんなとおぉぉってもかわいい声で泣いてくれたよおぉ! それとね? すっきりーして死んじゃったまりさちゃん達いたよね? アレ、お兄さんがふたりですっきりーすればお家に帰れるよって、教えてあげたんだよ! ふたりとも、とっても素直ないい子だったね! あ、でもれいむが食べちゃった赤ちゃんは、お兄さんのせいじゃないよね! れいむはゆっくり反省してね! …でも旨かっただろ? 自分の赤ちゃんの餡子は?」 「…どおして……」 「なにが?」 「どおしてええぇ…!? どおしてこんなことするのおぉ?! あかちゃんはとってもかわいいのにいぃ! とってもゆっくりできるのにいぃ! どおしてこんなひどいことするのおぉ?! れいむたちなんにもわるいことしてないのにぃぃ!!」 「………」 「ねえっ?! どおしてえ!? おにいさん、どおしてなのお!? こたえてよおぉ…!! どおして…どおぉぉして…こんな…ひどいことぉ…できるのおぉ…!? れいむたちは…れいむたちはいきているんだよおおぉ!?」 「れいむ達は生きているんだよおおぉ! れいむ達は生きているんだよほおおぉぉぉっ! あはっ! あははは!」 れいむの言葉を鸚鵡返しにして笑い出した俺に、一瞬、れいむは驚きに目を見開き、体をブルッと震わせた。 だが、その表情は、すぐに、ゆっくりとは思えない程の凄まじい憤怒の形相に変わった。 既にボロボロになっている歯を、砕けてしまうのではないかとこちらが心配になるほどに軋ませ、俺に向かって吠えた。 「ゆ…ゆ…ゆんんぎぎぎいいぃぃっ……! な・に・がぁ! なにがおがじいんだぁあぁ! わらうなああぁぁっ!」 「そう! そうだよ! れいむ! れいむ達だって生きている! もちろん! もちろん知ってるよ! 生きているから! 美味しいごはんを食べればしあわせー!になれる! 大好きなゆっくりと一緒にいれば、しあわせー!になれる! ゆっくりとしたかわいい赤ちゃんがいれば、しあわせー!になれる! 素晴らしい! これはとっても素晴らしいことなんだよ! れいむ! れいむ達は生きている! 生きているからしあわせーになれる! だから! だからこそさ!」 「俺がっ! そのしあわせーをっ! グッチャグチャァァにぃっ! 踏んみにじぃってっ! 楽しむ事ができるんだよおぉっ!!」 「…な…なに…なにいって……なにいっでるの゛ぉぉぉ…!!!」 「いいかい、れいむ? これは大事な事だからよく聞いてね? 君達のしあわせは、グチャグチャに踏みにじられるために生えてくるんだ。 君達の赤ちゃんは、痛くて熱くて苦しくて悲しくてちゅぶれりゅううぅな事されるために生まれてくるんだ。 君達は、ゆっくりできなくされる、ただそのためだけにゆっくりしているんだよ」 「おがじなごどいうなあぁ!! ぞんなばずないいぃぃ!」 「いや、それがそうなんだって! れいむ! だかられいむのおちびちゃん達は、虐められるとあんなにかわい~い声で、あんなにかわゆ~いお顔で泣いてくれるんでしょ? 虐めて欲しいから、虐められるために生まれてくるから。 わかってる! お兄さんわかってるよー! それにね? 今日れいむが生んだ赤ちゃん、どうしてまりさかられいむに変わったと思う? 殺されるためだよ! お姉ちゃんのまりさちゃんも一緒にね! まりさのままだったら、虐めてもらえないから、れいむに変わったんだよ! まりさに生まれた赤ちゃんが途中でれいむに変わるなんて、こんな出鱈目な事、ゆっくりじゃなきゃ絶対に起きないよ? 虐められるために生きている、君たちゆっくりじゃなきゃね! れいむとれいむの赤ちゃんがその事を証明しくれたんだよ!」 「ゆっがああぁああっ!! なにいっでるううぅぅっ!! じねええええぇぇえええっ!!! あだまのおがじいじじいはじねええぇぇ!!! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇ!!!!!」 「はははははは! 怒った? 怒ったかい? れいむ? いいよ! もっと怒るんだ! もっと俺にぶつかるんだ! ほら! もっと! もっと! ちっとも痛くないよ! もっとがんばって! 君達がどう頑張っても死んだおちびちゃんの無念は晴らせないと思い知るんだ! 君達のしあわせは何をやっても守れないと思い知るんだ! 君達の怒りは、そのために湧いてくるんだよ!」 「ゆがあぁぁ! ゆがああぁぁぁっ!!」 「れいむ! れいむ達は生きている! ありがとう! れいむ! ありがとう! 俺にしあわせを踏みにじられてくれるために! わざわざ生まれてくれて! 育ってくれて! 赤ちゃんを産んでくれて! 生きてくれてありがとう! 赤ちゃん達もありがとう! お兄さんにかわいい悲鳴を聞かせてくれるために、生まれてきてくれてありがとう! 全てのゆっくりにありがとう! ゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくりできなくなるために、ゆっくりしていってね!!」 「ゆがあがああぁがああ! じねええぇ!! じねええぇぇ!! じねえええぇぇえぇえぇええーーーっ!!!!」 …箱の外に頭のおかしい人間の顔が見える。 その死を願う言葉を吐こうとするが、縫いつけられた口は開かない。 それでも叫ぶ。箱に体当たりをしながら叫ぶ。 箱にぶつかる度に、何度も針を刺されて何かを縫いつけられた頭が痛む。そんなの構うものか。 れいむは、必ずこの人間をゆっくりできなくさせてやる。おちびちゃん達の仇を取るんだ。 それから、ここを出て、お家へ帰って、大好きなまりさの所へ帰って、 また、たくさん、たくさん、赤ちゃんを産むんだ。 永遠にゆっくりしちゃった赤ちゃん達の分まで。たくさん。たくさん。 そして、みんなで、いつまでもゆっくりするんだ。 人間がれいむの入った箱を抱えて運ぶ。 その先に何かがいた。 透明な箱の向こう側。 そこにいるのは、れいむと同じれいむ。 れいむがいたのと同じ水槽の中で、 れいむの赤ちゃんと同じ、かわいい赤ちゃんに囲まれて。 れいむと同じれいむが、れいむを見て呟いた。 「ゆうぅぅ…なんだかゆっくりできない"まりさ"だよ…」 "れいむ"と同じ おわり ========== by お説教されたいあき これまでに書いたもの * ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー * ふたば系ゆっくりいじめ 344 ゆっくりで漬け物 * ふたば系ゆっくりいじめ 404 ただ一つの * ふたば系ゆっくりいじめ 471 えーき様とお義母様 * ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車
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「ふたば系ゆっくりいじめ 640 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 前」からの続きです ========== れいむ、5回目の妊娠 「おっ、順調に育ってるね~、みんなゆっくり早く生まれてきてね!」 仕事から帰ってくると、れいむの額から伸びた茎に、そこに生えた七つの実ゆっくりに話しかける。 まだ髪や飾りが生えてきていない状態なので、種族はわからない。 判別つくようになるのは、明日の日中だろう。 れいむは、今回から妊娠方法を数を産める植物型に切り替えていた。 意識的にか、無意識にかはわからないが、いい判断と言えよう。 ゆっくりの交配において、産まれてくる子供の種族は必ず両親いずれかと同じ種族になる。 記憶などは祖父母以前の代まで遡って継承する事もあるが、種族を決定する遺伝餡までは隔世で発現しない。 え? チェンジリング? 何それおいしいの? まあ、ポンデちゃんのお友達? 上がって待っててね。すぐ帰ってくると思うから。 スタンダードなれいむとまりさの組み合わせで交配を行った場合、それぞれの種族の子供が生まれる確率は、ほぼ五分五分。 片親が他の基本種や希少種だった場合、その確立は変わってくるが、まあその話はどうでもいいだろう。 という訳で、まり×れいで交配を行った場合であれば、7匹全部がれいむ種になる確率は(1/2)^7=1/128。 ご都合主義に支配された世界でも無い限り、そうそう起こる出来事ではない。 しかし、コトはかわいい赤ゆちゃん達の命に関わる。 微力ながら、赤まりさが生まれる確率を上げる手助けをしようではないか。 ……… 「フンフフフ~ン♪ おお、このまりさちゃんかわいいねぇ!」 「ゆ…おにいさん…なにしてるの…?」 水槽の横で雑誌を切り抜いている俺に、れいむが不思議そうに聞いてくる。 「んー? これはね~…お! この子もか~わいいなぁ~!」 チョキチョキ 切り抜いてるのは、ゆっくり愛好家向けの雑誌。 読者によるゆっくり写真投稿ページから、とびきりかわいい子ゆっくり・赤ゆっくりの写真を選り抜いているのだ。 選んだのは、全てまりさ種。 「お兄さん、れいむがまりさちゃんを産めるようにお手伝いしようと思ってね!」 写真を水槽の外側、中のゆっくりから見える向きにセロテープで貼り付けながら、れいむに答える。 フカフカクッションの上で姉妹ですりすりをしている赤まりさちゃん カメラに向けてウインクをしている見返り姿の子まりさちゃん ちょっと涙目になりながら、洗面器の中でお帽子で浮く練習をしている子まりさちゃん ああ…飼い主さん、この子達捨てないかなぁ…俺すぐ拾いに行くのにぃ… 「どーだい!? みんなかわいいまりさちゃんだよねぇ! こうやってゆっくりしたまりさちゃんの姿をたくさん見れば、れいむの赤ちゃんもまりさちゃんになるかもしれないよ?」 「ゆゆっ?! そうなの!?」 そんな話は聞いたことないけどね! でも、胎教みたいな感じで案外そんな効果もあるかもしれないし…ま、病は気からというヤツだ。 「れいむ、アレも水槽に入れてあげようか?」 俺が指差したのは、いつも水槽から少し離れたところに置いてある透明な箱。 「ゆっ? い、いやだよ! あのまりさはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないとはひどいな~、いつもすっきりーしている仲じゃないか。それに頭の赤ちゃん達のおとうさんだよ?」 「おにいさんがむりやりすっきりーさせたんでしょおぉ! あんなゆっくりしてないまりさをみてたら、またあかちゃんのまりさがうまれなくなっちゃうよ!」 随分な嫌われようだ。 まあ、無理もないか。さっきからずっと透明な箱の中でこっちを睨みつけて暴れてるからな。 あんなの見てたら、かわいいまりさちゃん写真集の神通力も薄れてしまうというものだ。 ……… 「まりしゃはゆっくちできりゅね!」 「おきゃあしゃん! いもうちょのまりしゃ、たくしゃんうんでにぇ!」 「ゆっ! おちびちゃん! こんどこそだいじょうぶだよ! おかあさん、じしんあるよ!」 「ゆわーい! おうちにかえれりゅのじぇー♪」 水槽に貼られた写真を眺めながら、既に勝利を確信したか和気藹々と笑い合う母れいむと赤まりさ達。 一方、赤れいむ達はどこか複雑そうな表情を浮かべていた。 「おきゃあしゃん! れいみゅも! れいみゅもゆっくちしちぇるよ!」 「ゆふふ! そうだね! おちびちゃん! おうちかえってみんなでゆっくりしようね! ゆゆ~ん♪」 「ゆ……」 一匹の赤れいむが構ってほしげに母れいむに話しかける。 だが、浮かれている母れいむは答えはするものの、視線はすぐに写真の方に戻ってしまった。 「ゆー…おにいしゃん! れいみゅは!? れいみゅのしゃちんもはっちぇね!」 「いや、れいむちゃんの写真は貼れないよ。また赤ちゃんが全員れいむちゃんだったらどうするの? そしたられいみゅちゃん達、ゆっくりできなくなっちゃうでしょ?」 「ゆぅ……」「れいみゅはゆっくちできりゅ ゆっくちなにょに………」 疎外感を感じ、しょんぼりする赤れいむ達。 大丈夫! お兄さんはれいむちゃんもまりさちゃんもどっちも大好きだからねえぇぇ! そして、日付は変わり翌日 仕事から帰った俺は、早速れいむの茎に実った赤ゆをチェックした。 「れいむちゃん、れいむちゃん、…(中略)…れいむちゃんに~………れいむちゃん!」 結果は7匹全部、とってもかわいいれいむちゃん! 穏やかな笑顔で「ゆぅ…ゆぅ…」と寝息を立てている。 まだプチトマト大だが、出産促進剤が効いているのでもう生れ落ちる頃合だ。 「お、おかしいよぉ…! こんなのへんだよぉ…!?」 ずっと呆然と頭上の赤ゆを見つめているだけだった母れいむが、ようやく口を開いた。 そんなれいむを諫める。 「こら、れいむ。自分の赤ちゃんの事、変だなんて言っちゃだめだよ。こんなにゆっくりとした赤ちゃんじゃないか?」 「ち、ちがうよおぉ…! そうじゃなくてぇ…! どおしてあかちゃんこんなにいるのに、みんなれいむとおなじれいむなのぉ…?!」 「いや、そんな事言われても、産んだのれいむだし」 「ゆえっ…ゆええぇ…! おきゃあしゃーん! どうちてまりしゃを うんでくれにゃいのー?!」 「ゆっぐ…まりしゃたち…おにいしゃんに いたいいたいされぢゃうぅ…まりしゃやぢゃよぉぉ……!」 「れいみゅのいもうちょがちんじゃうよぉ! ゆああぁん!!」 今朝までは、今度こそお家に帰れると楽しそうにしていた一家が一転して恐怖に包まれ泣き喚く。 そんな家族達の声が聞こえたか、或いは、母れいむの恐怖が茎を通して伝わったか、 それまで穏やかな寝顔を浮かべていた新生赤ゆ達の表情も不安げになってくる。 「さーて、れいむちゃんしか生まれなかったことだし! お兄さんも心を鬼して処刑タイムにしっましょっかね~♪」 「ゆっ?! お、おにいさん、まってね! これはなにかのまちがい…な、なにするのぉぉ?!」 お楽しみ開始の宣言をした俺は、ゴトゴトと準備しておいた小道具を引っ張り出す。 水槽から取り出した母れいむを、れいむの直径と同じぐらいの板の上に乗せ、ビニール紐で縛り付ける。 これで跳ねる事も這う事もできない。 「やめてね! やめてね! れいむにひどいことしないでね!」 「「「おきゃあしゃんにひぢょいことちないでえぇ!」」」 「大丈夫、大丈夫。ちょっと大人しくしててもらうだけだから」 動けなくなったれいむを再び水槽に戻し、ここからが本番。 茎の真下を中心に、地面の上に落ちてくる赤ゆを受け止めるためのクッションを並べる。 「お、おおお、おにいざあぁん?! なにおいでるのおぉ!?」 「これは剣山って言うんだよ。とってもとかいはなクッションでしょ?」 「やめでよおぉぉ!! あがぢゃん ぢんじゃうでじょおぉぉ?! それどかしでえぇぇ!?」 「いや、殺すためにやってるんだし」 いや増した恐怖が伝わったか、茎に実った赤ゆ達の表情が更に不安の色を濃くする。 無理もない。これから何が起こるかわからない未知のゆん生。 先の見えない未来に不安を抱くのは、人間もゆっくりも同じではないだろうか? というわけで、その不安を払拭するために、ゆん生の先輩であるお姉ちゃんにこれからのゆん生を語ってもらうことにしよう。 「えーと、今日殺しちゃうお姉ちゃんは……ニ連続れいみゅちゃんだったから…れいみゅちゃんでいいか」 「ゆひ…ゆひいぃぃ……れいみゅ…ちにたくにゃい……こっちこにゃいでえぇぇ……」 角形の剣山を何枚か敷き詰め終えた後、 水槽の中で腰餡を抜かして動けなくなっている赤れいむを摘み上げ、茎と同じ高さから剣山の上に落とす。 ひゅ~ プスプスプスプスプスプスプスプス 「ぴんぎゃああぁぁぁああぁあぁぁあっっ!?!?」 何本もの針があんよに突き刺さる。 体重の軽い赤ゆであるが、ある程度落下距離があったので、饅頭皮に深く突き刺さった。 針先は中の餡子まで到達しているだろう。 「ぴぎっ! ぴぎいいぃっ! いちゃいっ! やめっ、とげとげしゃんやめちぇっ! いちゃいっ! ゆきいぃぃ!」 赤れいむはなんとか針を抜こうと身を捩るが、 足場のない針山の上、あんよに針が刺さった状態では、思うようには動けない。 お尻を持ち上げてはあごに食い込む針に泣き、あごを持ち上げてはお尻に食い込む針に叫びをあげる。 そんな堂々巡りを繰り返す内に、針はますます深く赤れいむの餡子に食い込んで行く。 「ぴいぃっ! いちゃいよぉ! とげとげしゃあんっ! ぴきっ! れいみゅにちくちくちないでえぇ!」 「「「「「「「……!? ……!?」」」」」」」 下で待つ姉赤れいむの呼び声に、まだ目の開いていない妹の赤ゆ達も素敵な未来を予感したか、ブルブルと震え出す。 その震動で茎が揺れる事で、赤ゆ達が生まれ落ちるのが早まる。 (ゆ? ゆっくちうまれりゅよ!) ひゅ~ プスプスプス 「ぴゅきいいぃぃっ?!」 (ゆゆっ?! きょわいよぉぉ!) ひゅ~ プスプスプス 「ゆぴいいぃぃっ!!」 (れいみゅまだうまれちゃくないぃぃ!) ひゅ~ プスプスプス 「いぢゃああぁいっ!!」 悲鳴で最初のご挨拶をする妹赤ゆ達。 その声に、まだ茎に残っている赤ゆ達は下で何か恐ろしい事が待ち受けている事を確信する。 「「「「……!!」」」」 茎から落ちまいと、茎に繋がった頭頂部に力を込めているのか、眉間に皺を寄せて何かを踏ん張っている。 だが、恐怖から来る震えは止まらず、次々に茎から切り離されて、悲鳴を上げる。 中にはパニックに陥りバタバタと暴れ出し余計に落下を早める者もいた。 「ぴいぃっ! ゆぴいぃっ!」「あんよいちゃいよおぉぉ!」「ゆっきちできにゃいぃ!!」 「おきゃーしゃあん!」「たちけちぇよおぉ! ぴきぃっ!!」 無事生まれ落ちた7匹の赤ゆ。 姉よりも軽いプチトマト大のため、針はあまり深くは刺さっていない。 そのため、身動きを取ることはできるのだが、動いた先もまた針のむしろ。 一歩這って悲鳴を上げて身をのけぞらせ、バランスを崩してコロンと転がってはまた悲鳴を上げる。 泣き叫び、じたじたと体を曲げて蠢き踊る7匹の赤ゆちゃん達の姿は、まるで楽しいお遊戯会。 よじよじ じたじた ころりん ぴこぴこ 「わ~赤ゆちゃん達かわいいなあ! みんなダンスがお上手だよ~!」 俺も手拍子のリズムで応援するが、みんなめいめいまちまちに動くのでリズムの取りようがない。 しかし、この自由奔放さこそが赤ゆちゃんのダンスの魅力だ。 「おにいさぁん…! もう…もう…やめてよぉぉ! あかちゃんがいたがってるよぉぉっ!?」 親御さんはこの線から出ないでくださーい。 でもヒートアップする親の気持ちもわかる。 今まさに赤ゆちゃん達がかわいいソロパートを披露してくれている真っ最中なのだから。 「いぢゃいいぢゃいいぢゃぁいっ! とっちぇええ! これとっちぇええぇ!」 転がる内に頭から針に突き刺さり、逆さまになった状態であんよを虚しくグネグネ動かす赤れいむ。 「ちくちくいちゃいよぉ! やめちぇえぇ…ゆぎゃああぁあっ! にぇいみゅのきゃわいいおべべぎゃああぁぁ!!」 前のめりに倒れて両目にサックリとサミングをくらう赤れいむ。 「おねいぢゃあぁあん!」 「やべぢぇええぇ! のっきゃらないぢえぇ! ぎゅぎゃああぁあぁっ!!」 唯一の安全地帯、動けない姉赤ゆに辿り着き、その上によじ昇ろうとする赤れいむ。 妹の分だけ重量が増した姉は、更に餡子深くに針が突き刺さり絶叫する。 半狂乱で振り回したもみあげが妹赤ゆの目に入り、のけぞった妹赤ゆは再び針山に転がり落ちる。 「いちゃいぃ…ゆーちょ…! ぴぎっ!? …ゆ、ゆーちょ…! ゆぴいぃっ!」 次々と刺さる針の痛みに泣きながらも、針山の端に向かって着実に這い進む赤れいむ。 無論、そんなにあっさり逃げられる程ゆん生甘くはない。 「ゆ…もーちょっとりゃよ……ゆーちょ… …?! ぴっ?! ゆびぎいいぃいいぃっ!?!?」 剣山クッションの外周近くの針には、ベットリとタバスコを塗りつけてある。 傷口から染み込む辛み成分に、赤れいむは狂ったように針のむしろを転げ回り、更に傷を増やしてはまた転げ回る。 そして、口からタバスコ付きの針山にダイブ、タバスコ味の針に舌を縫い付けられて動きを止めた。 「ゆぎっ…! かりゃっ…!? こりぇ…! どくっ…! ゆぴいぃ…! にゅいちぇっ…! にゅいちぇぇ……!」 数分後 「いちゃ…いよ……」「ゆひっ…ゆひっ…」「ゆ゛…ゆ゛…」 流石に踊り疲れたか、もう一歩も動けなくなった赤ゆ達が、剣山の上に横たわる。 垂れ流した涙とちーちー、傷口から零れた餡子が剣山の土台をたっぷりと汚していた。 「ふふふ! 赤ゆちゃん達ぃ! とってもかわいいダンスだったよぉ! それじゃお昼寝の時間にしようねえぇ!」 俺の声に、背中が針山に刺さって動けなくなっていた赤ゆがこちらに目を向け、その視線が俺の手の上の物に吸い寄せられる。 「ゆ…? ……!? や…やぢゃやぢゃやぢゃあぁっ!!! ゆんやああぁぁっ!!」 「ゆっくりおやすみ…れいみゅちゃああん……ふふ…うふふふ……ゆふふふふ……!」 剣山のベッドで眠る赤ゆちゃん達の上に、ゴトッ、ゴトッと、そっと剣山のお布団を被せてあげた。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×1 ========== れいむ、6回目の妊娠 今日は仕事の都合で帰りが遅くなってしまった。 茎に実っていた赤ゆ達も、もう生まれ落ちている頃だろう。 果たして今日こそは無事赤まりさが生まれてくれただろうか… 「ゆ、ゆっ! お、おにいさん! うまれたよ! あかちゃんのまりさがうまれたよ!」 虐待部屋に入るなりれいむの方から声をかけてきた。 へー産まれたんだー、どれどれ。 水槽の中には、プチトマト大の新生赤ゆが5匹。 見ると確かに、一匹だけ黒いお帽子を被った子が交じっている。 「わー! ほんとだ! とってもかわいいれ…赤ゆちゃんだね!」 「ゆ? ゆっくちちちぇいっちぇね!」 かわいいと褒められた赤ゆちゃんが、ブカブカお帽子の下で左右のもみあげを元気よくピコピコ動かしながら、俺に挨拶をする。 「はいはい、ゆっくりしていってね!」 「ね? ね!? ちゃんとあかちゃんのまりさでしょ!? だ、だかられいむたちをおうちにかえしてね!」 「うん! 勿論だよ! 約束通りお家に帰らせてあげようね!」 「あ、ありがとう! おにいさん! で、で、いつかえらせてくれるの?」 ダラダラと全身に汗を浮かべている母れいむを水槽から出し、透明な箱に移す。 続いて赤ゆ姉妹も。 箱に移された母れいむと姉の赤ゆ達が、チラチラと水槽の方に目をやる。 「ゆっ? ゆっ?! ちょ、ちょっとまっておにいさん!? い、いまかえるの?!」 「あっれー? お姉ちゃん達どうしたの? お家に帰れるよ? 嬉しくないの?」 「「「「ゆぴゃああぁあっ?!」」」」 れいむの言葉を無視し、やたらビクビクとしている姉の赤ゆ達に声をかけると、素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。 何をそんなに怯えてるんだろうね! ふふふ…! 「ああ…そっか…妹やお姉ちゃん達…ゆっくりできなくなっちゃったもんね…みんなゆっくりできないよね… そうだ! お土産に食べ切れないぐらいのあまあまさんをあげようね! だからみんなでゆっくりしてね!」 「ゆ…ゆわーい! あ、あかちゃんたち! よ、よかったね! ね?!」 「「「「ゆわあぁぁ! あみゃあみゃしゃん!!」」」」 れいむがどうやら笑顔のつもりらしい歪な表情で目を泳がせながら大喜びする。 妹の赤ゆ達も笑顔で大喜びをしているが、お姉ちゃんの赤ゆ達はまだ水槽にご執心のままで気もそぞろだ。 俺も水槽にチラチラと視線を送ってみると、れいむが更に全身から汗を垂れ流す。 「あ、あ、あ、あの、おにいざん! きょ、きょうは、もうよるざんだから、れいぶだぢおうぢかえるのはあじだに…」 「じゃあみんなお家に帰ろうねえ! ゆっくりできるあまあまさんも一杯あげるからねえ! みんなで仲良くゆっくりと暮らしてねえ! それじゃあね! さようならああぁぁ!」 れいむの声を遮るように、俺が大声を張り上げる。すると 「ゆやああぁあっ! まりちゃをおいちぇかないでえぇぇ!? どうちちぇおいちぇくのおぉ!? おきゃあしゃあんっ!!! やぢゃあぁ! まりちゃもおうちかえりゅううぅぅ!!」 水槽の中から、大きな泣き声が聞こえた。 改めて説明するまでもないと思うが、 今回生まれた赤"まりさ"は、赤れいむに姉である赤まりさのお帽子を被せてまりさに見せかけたもの。 で、水槽でひとりおいてけぼりにされたのが、お帽子を貸した姉赤まりさ。 水槽の中に入れてある石の影に隠れていた。お尻が見えてたけど。 ゆっくりは飾りで個体識別をしているので、 飾りを他のゆっくりにつけると、そのゆっくりを本来の飾りの持ち主のゆっくりとして誤認識する。 これは親子や姉妹であっても区別がつかないほどだ。 今回みたく、自分達自身が目の前で飾りを渡した場合には、流石に"擦り替わった"と認識できるようだが、 それでも、帽子付きの赤れいむは赤まりさそっくりに見えていたのだろう。 餡子脳ではかんっぺきっな偽装だと思っていたのかもしれないが、 人間である俺からすれば、どう見てもまりさ種の帽子を被った赤れいむにしか見えない。 まんまと俺を欺き、帰宅の確約を取り付けたら、後は帰る直前に隙を見て赤まりさを口の中に隠すつもりだったらしい。 しかし、その"隙"はなく、赤まりさ一匹おいてけぼり。あの時の泣き顔のかわいらしさと言ったら…! こんな間抜けな抵抗が見られるから、監禁ゆ虐は楽しいよなぁ… 「やめちぇ! やめちぇ! やめちぇええぇっ! まりちゃのおぼうちしゃん、もうちょきちょきちないでえぇぇっ!!」 なんて事を考えながら、赤まりさが妹れいむに貸したお帽子をハサミで細かく切り刻んで行く。 「ほーら、まりちゃちゃん? 大事な大事なお帽子を他の子に貸しちゃうから、お帽子さん切られちゃったよぉ?」 「まりちゃじゃにゃいよぉぉ!? おきゃあしゃんが おぼうちとっちゃのおぉ! まりちゃ、いやっていっちゃのにぃぃ!!」 「おにいざんごべんなざいいぃ! でいぶがわるいんでずうぅ! おちびちゃんはわるぐないんでずうぅ! もうやべであげでぐだざいぃぃ!!」 「ちょーきちょーき! お帽子さんちょーきちょーき!」 「まりちゃのしゅてきなおぼうちしゃんがあぁぁーっ?!」 ……… 「ゆぐっ…おぼうちしゃん……ゆっぐ…もどっちぇ…いじわりゅちないで…もちょにもどっちぇよおぉ…」 「さ、じゃあ赤ちゃんまりさも生まれてなかった事だし、いつものヤツ行っとく?」 べそをかく赤まりさが、細切れになったお帽子だった物を舌で並べてなんとか元の形にしようとしているのを 指先でグシャグシャにしてから、本日の処刑タイム開始を宣告する。 「今日はどの子がいいかなぁ……よし! れいみゅちゃんだ!」 「ゆんやああぁぁっ!?」 「…と、思ってたけど、大事なお帽子貸しちゃった悪い子まりちゃちゃんが死のうねっ!」 「ゆっ…ぐ…ゆっぐ…まりちゃ…わりゅいこじゃにゃいよぉ… おきゃあしゃんが…おきゃあしゃんがあぁぁぁ……ゆびええぇぇん…!」 うんうん。いい泣き顔だね。 「良い子のまりさちゃん達はちゃんと覚えておいてね! とっても大事なお帽子! 他の子に貸しちゃったらゆっくりできなくなっちゃうからねえぇ! ……わかったか?」 ブルブル震えていた他の赤まりさ達が俺の言葉に涙目でコクコクと何度も頷く。 お間抜けイベントを見るのは楽しいが、同じネタを使われても萎えるので一応釘を刺しておく。 「よーし、今日はコレでいこうかな~」 取り出したものは、一本の竹ひご。 そこに"ある物"を被せてから、妹の赤ゆを一匹摘み上げ、あにゃるにブッスリと突き刺す。 「ゆびいぃぃ! いぢゃいぃぃ! れーみゅのあにゃりゅしゃんがあぁぁ! ゆげっ?!」 最後のゆげっ、は竹ひごを貫通させて赤ゆの口から突き出させた時に鳴った音だ。 串刺し状態になった赤ゆは、目を白黒させながら自分の喉を突き破って生えてきた竹ひごを見つめている。 「ゆげぇっ…! いぢゃっ…! のぢょっ…! あにゃりゅしゃ…! たっ、たちけちぇ…!」 さて、竹ひごに被せてあった物は、ゴム風船。長い棒状に膨らむタイプの物だ。 この風船の先っぽを指で摘み、中の竹ひごだけを引き抜く。 はい、これで風船が赤ゆの体を貫いた状態になりましたー じゃあ、いってみようか。 大きく息を吸い込みー フウーーーー!!! 思いっきり風船に向けて吹き込んだ。 「ゆぎゃ ブチンッ 一気に膨らませたので、悲鳴が終わる前に赤ゆの体が千切れ、上下に分断されて水槽の中に落ちた。 「「「「ゆびゃああぁっ!?!?」」」」 ボトボトと落ちてきたモノに、姉妹達が悲鳴をあげる。 口の上と下で離れ離れになってしまった赤ゆの方は、流石に声が出せない。 何かを言おうとしているのか、下半分にくっついた舌がピクピクと蠢いてはいるが、まったく声は出てこない。 その様子を、逆さまに転がった上半分が涙を流しながら見つめている。 そして、舌の動きが止まったのを見届けてから、上半分は暫く痙攣した後、目玉をグルリと反転させ、こちらも動きを止めた。 「あがぢゃんがああぁっ!?」 「まりしゃのいもうちょがああぁぁ!!」 「こあいよおぉ! おきゃあしゃあん! おねえちゃあん!」 「は~い、じゃあ次」 「ゆにゃあぁぁ! やめちぇぇ! ゆっくいちたぁい! ゆっくいちたいよぉ!」 悲鳴をあげて怯える妹赤ゆ達から一匹を選んで摘み上げる。 今度は口からあにゃるへと逆方向に風船を貫通させてから口に咥える。 俺と赤ゆの目が合う体勢だ。 「やめちぇ…! れいみゅぶっちんしゃんやあぁ…! ゆっくちでき フー… ゆぶっ?!」 今度は少しずつ息を吹き込み、直径1センチほどまで膨らませる。 それでもプチトマトサイズの赤ゆにとっては相当の圧迫感があるだろう。 「ゆぶぶ…! いちゃ…! れ…みゅ…おかお…ちぎれちゃ…! やめ…! おにいしゃ…!」 俺の眼前で、涙目で必死に助けを請う赤ゆ。 大きく開いたお口の端の饅頭皮がビロンと伸び、中の餡子が透けて見える程に薄くなる。 その表情を楽しみながら、更に息を吹き込む。 「ゆ…ぶっ…いぢゃっ…ちぎれ…りゅ…ゆごっ…! も゛ぼっ……!」 口をあんぐり開けたままの変則ぷくーで膨らみ、こちらを威嚇してくる赤れいむ。 口の端の皮がぷちぷちと裂け始めたかと思うと、みるみる頬まで裂け目が広がり、中の餡子が露になる。 更にもう少し息を吹き込む。 「も゛…! も゛っ…!!」 喉を完全に塞がれ、まともに出せなくなった言葉の代わりに、 ボロボロ涙を流す目とピコピコ揺れるもみあげが俺に何かを語りかけているようだ。 「もうやめでえぇぇえ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでええぇ!!」 ブチ切れ寸前の赤ゆが母れいむの声に気づき、助けを求めるかのように視線を水槽の方に彷徨わせたところで、とどめのもう一息。 ブチッ…ブチブチ…ブチッ! ボトッ 再び赤ゆの部品が、水槽の中に落ちる。 だが、落ちたのは下半分だけだった。 上半分は膨らんだ風船の上にバランスよく乗った状態でそこに留まっていたからだ。 ピコピコピコピコピコピコ…! 風船を咥えたままの俺の目の前で、もみあげが激しく動き続け、暫くして、止まった。 「あがぢゃあああんっ!! ゆああぁ!! どおじでごんなあぁぁ!」 「よし! 最後はみんな仲良くいこうね! お姉ちゃんも一緒だよ!」 「ゆぴゃあぁぁっ!! ゆぎっ!?」 「おきゃあぢゃああんっ!! ぎびゅっ!!」 「た、たちっ…たちけちぇぇ…たちけちぇえぇ!! ゆぴぃっ!」 「ゆやぢゃああぁっ! まりちゃをぶちぶちちないでえぇ!! ゆげえっ!」 姉の赤まりさと残った妹赤れいむ3匹を捕まえ、一つの風船にまとめて通し、少々の事前準備を施す。 なお、俺の側から見て、こちらにお尻を向けた赤れいむ3匹が連なり、その妹と対面する向き一番外側に赤まりさの順だ。 フーーー… 息を吹き込むと、ポンと風船が膨らむ。 「「「「ゆぎゅぷっ!!」」」」 体の芯から外側に向けて強い圧迫を受けた4匹が一斉に声を上げた。 こちらに向いた赤れいむ達のお尻が振られる。 プリンプリンと振られるのではなく、プルンプルンと小さく震えるような振られ方だ。 あにゃるに風船が通ってる状態なので、あまり派手な振り方ではないが、その奥ゆかしい動きがまた愛らしいではないか。 俺からは赤まりさの涙目顔しか見えないのが残念ではあるが、きっと妹達もいい表情を浮かべてくれているのだろう。 フー… 「「「ゆも゛ぉっ…!!」」」 「やめ゛っ…おにいしゃ…! まりぢゃの…いもおぢょ…! ちんじゃうっ…!」 体の小さな妹達は、既にお口が一杯一杯に広がったのか、もうまともな言葉を発音できない。 替わりにまだ余裕のあるお姉ちゃんが、苦しそうに妹達を気遣う声を上げる。 さっきまではお帽子を細切れにされて泣いていたというのに。麗しきかな姉妹愛。 フー… 「「ゆぼっ!!」」 「ゆも゛…! いも゛っ…ぢょ…があぁっ…!」 上がった悲鳴は赤れいむ2匹と赤まりさ1匹分。 赤まりさの目の前にいた赤れいむは上下バラバラになって脱落した。 その光景を目の前で見ていた赤まりさと、すぐ後ろの妹赤れいむがちーちーを漏らす。 「「ゆぶぶ…! ゆぶぶ…!」」 残った赤れいむ達は、まだ千切れていない。 予めほっぺにセロテープを張って饅頭皮を補強しておいたお陰で伸びにくくなっているのだ。 あにゃるの周りの皮が裂け、俺からは見えないがおそらくは口も裂け、苦しそうに呻いているが、まだまだ健在。 元気にもみあげをピコっている。 さあ、もう少し息を吹き込んでみようか。 フー… 「ゆぎょおっ?!」 おっといい声が聞こえたね。 声の主、真中にいた赤れいむちゃんの様子を見てみよう。 こちらからは、大幅に拡張されたあにゃるしか見えないので、風船を折り曲げて、顔をこちらに向けさせる。 小さなお口は、顔の端まで真一文字に裂けているが、セロテープのおかげで裂傷はそこで止まり、 かろうじてお口の上と下がサヨナラするのを引き止めている。 縦方向の引っ張りにかなり強くなっているのだ。 しかし、風船は縦にばかり膨らむ訳ではない。 横方向への膨らみで、顔の中心線上の饅頭皮が伸びて薄くなり始め、赤れいむの両目が離れてきている。 こうして俺が見ている最中にも、ミチミチ…と伸びきった顔の皮が破れ始め、中の餡子が見え出してきた。 更にもう一息。 フー… ブチ…ブチ…ブチブチィッ ボトッ 「ゆ゛…ぶ…!」 「ゆ…や゛あ゛…ぶっ…まり…の…いもお…ぢょ…ゆもっ…!」 メリメリと真ん中から左右にゆっくり裂けて、水槽へと落下して行った。 最後の赤れいむ、俺の口から一番近い子は、まだ耐えている。 こちらはほっぺだけじゃなく、側面を一周させてセロテープを巻いてあるから、大変丈夫である。 フーーー…! 「……!!!」 「ゆぼっ…!? ぼっ…! びぼ…うぢょぉ……!」 再び風船が膨らむ。 最後の赤れいむのいる箇所だけ風船が窄まった状態で。 セロテープの輪が内からの圧力に耐えて、その場所だけ風船の膨張を押さえ込んでいるためだ。 だが、セロテープが圧力に耐えたところで、セロテープと風船の間の物も耐えるかと言うと、そうではない。 セロテープの輪と風船に挟まれて残っているのは、薄く潰れた饅頭皮一枚のみ。 その下にあった筈の餡子は、口とあにゃるの饅頭皮を押し広げて、水槽の中へボトボトと落ちてしまっていた。 さてさて、最後に残るはお姉ちゃんのまりさちゃん。 一番の特等席から、妹達が千切れたり、饅頭の抜け殻になって行く姿をつぶさに見ていたその目が、 今はその感動のラストシーンを反芻するかのように、固く閉じられ、涙を流している。 フー… 「んも゛ぉっ…!?」 眼底からの圧力に、目玉が半分ほど飛び出し、閉じていたおめめが再び開いて、俺を見る。 その怯えきった涙目に笑いかけてから、空気が抜けないようにして一旦風船から口を放す。 「まりちゃちゃあん、これから妹達みたくブッチィンって千切れちゃうよ? 怖い? ブッチンはイヤ?」 「ゆも゛ぉっ…!! も゛ぼっ…!!」 言葉は発せなくとも、目は口ほどに物を言う。 その涙が全てを俺に伝える。 「うんうん、わかる、わかるよー。そうだよねぇ。ブッチンはヤだよねぇ。 じゃあ、お兄さんがまりちゃちゃんがブッチンにならないようにしてあげるねええぇぇ!」 別の風船−大きくて透明度が高いもの−を取り出し、ハサミで切り開き、一本のゴムの帯状にする。 これを赤まりさと、その前後を囲むようにぐるっと巻き付ける。 被せた風船の下に透けて見える赤まりさちゃんが、 イヤイヤをするように目だけを左右に動かしている姿がかわいすぎて生きてるのがつらい。 「始まるよ! 始まるよ! かわいいまりちゃちゃんのすーぱーぷくぅタイムが始まるよ!」 そう言って再び風船を口に咥える。 水槽の中の姉妹達からゆんやゆんやの大喝采が聞こえてくる。 お母さんも感激の涙を流している。 フーーー…! 「ゆ゛ぼお゛っ………!?!?」 内側の風船が伸び、あっという間に赤まりさのお口とあにゃるが横に裂ける。 だが、一緒に伸びた外側の風船に押さえつけらているお陰で、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「~~!? ~~!!」 口元から、赤まりさの顔に縦に亀裂が走り始める。 ミチミチと皮が破れ、餡子色の亀裂が眉間へ、おでこへ、頭へと広がって行く。 風船の下で行き場のない涙を滲ませ、俺に向かって命乞いをする両目が徐々に離れて行く。 だが、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「………!!!」 風船と風船の間の空間に、赤まりさの餡子がじわじわと滲み出す。裂けたお顔やあにゃるから。 喉やあにゃるを通ってから排出された分は別として、 裂けた皮から漏れ出た分は、風船で押さえつけられているお陰でまだ体内の餡子と一つに繋がった状態。 言ってみれば、皮を剥がれた状態と変わらない。 だからまだ、命を奪うには至らない。 どんどん、どんどん、餡子が広がる。皮も広がる。広く広く、薄く薄く。 それでも命を奪うには至らない。 潰れて倍ぐらいに広がった小さなおめめが、遂に破裂して円形を留めなくなった。 その下からも、餡子が溢れ出してくる。 フーーー…! フーーー…! フーーー…! ……… ……… 外側の風船をそっと剥がし、内側の風船の空気を抜く。 「はい、プレゼント」 水槽の中で固まって震えている赤ゆ達の頭上から、風船に貼り付いていたソレを落とす。 約束通り千切れることなく繋がったままの、ペラペラの餡子のリングがパサリと音を立てて落ち、赤ゆ達の周りを囲む。 落ちたリングの外側の一部が捻れて裏返り、赤ゆ達の方を向いた。 そこに貼り付いていたのは、髪の毛、そして薄く引き延ばされた丸い穴の開いた饅頭皮。 赤まりさのお顔の右上側だった。 「「「「ゆぴ…ゆぴぴ……ゆぴいいぃぃぃぃーー!!」」」」 赤ゆ達が、一声鳴いた後、口から餡子の泡を吹いて気絶する。 餡子リングは暫くブルブルと震えていたが、やがて動かなくなった。 「あがぢゃん……あがぢゃああぁん……かえれると…おもっだのにぃ……」 愕然とした表情で餡子リングを見つめながら、母れいむが涙を流す。 そんなれいむの髪をそっと撫でて、静かに声をかける。 「れいむ…元気出しなよ…れいむがしっかりしないと赤ゆちゃん達がゆっくりできないよ… ほら、死んだまりさちゃんも言ってるよ…聞こえない…? …ゆやあぁぁあぁ、まりちゃちにたくないよー おかーさんがおぼうしとらなかったら、まりちゃはちななくてすんだのにー どーちて、まりちゃのおぼうししゃんとっちゃったのー おかーさんはまりちゃのこときらいなんだーゆええええん」 「ゆっぐ…ぢ、ぢがうのぉ…れいぶのあがぢゃん……れいぶ…れいぶ…ぞんな…づもりじゃ…」 「おかーさーん、くるちいよぉぉー、いたいよー、おくちがさけちゃうよー、からだがちぎれちゃうよー、 おかーさーん、まりちゃちゅぶれちゃうよー、まりちゃをたしゅけてー、 おかーさーん、まりちゃのおぼうしかえしてよー、まりちゃゆっくりできないよぉぉ…… …どう、れいむ? 少しは元気出た?」 「ごべ…ごべんね…あがぢゃん……ごべん…ねえ…ゆる…じでねえ…おがあざんをゆるじでえぇぇぇ……」 俺はれいむの涙を餡子リングでそっと拭ってやった… [残り赤ゆ] まりさ×3 れいむ×1 ========== 今日は日曜日。 積んであった本を虐待部屋に持ち込み、読書に勤しむ。 とは言え、実は本の内容はほとんど頭に入っていない。 俺のすぐ横の水槽で楽しいイベントが発生しているせいだ。 「ゆ…こうなのじぇ…」 「ちがうよ…こうぢゃよ…」 何やらボソボソと言葉を交わしているのは、二匹の赤まりさ。 母れいむの背後で身を寄せ合って、嬉しそうにお喋りをしている。 その二匹にチラリと視線を送り目配せをすると、二匹がぽいんと跳ねて答えてくれた。 母れいむは今はお昼寝の時間。 食事に微量のゆっくり用睡眠薬を混ぜておいたので、ご飯が終わるとすぐに舟を漕ぎ始めた。 額からは茎が伸び、四つの実ゆっくりが実っている。 予定日は明日。まだ種族不明。 きっと今度こそ無事赤まりさが生まれて、みんなでおうちでゆっくりしている夢でも見ていることだろう。 「ゆ…ゆっ…にゃんだか………きちゃよ……」 赤まりさ達の様子を横目で伺う。 そこで起きている事を見て、顔のニヤけが止まらない。 「「………………ぃぃぃーーー!」」 一際大きい声を聞いた瞬間、思わず噴き出しそうになり、慌てて本で顔を隠す。 赤ゆの声に反応して、母れいむが目を開いた。 だが、まだ夢うつつのようだ。 「ゆうぅ…いまのこえなに…? おちびちゃん…? ゆっくりしていってね…ゆぴー…」 眠たげに目を開いたれいむだったが、すぐに目蓋が下りる。 母れいむが再び眠りに落ちたのを確認して、赤ゆ達がまたお喋りを開始する。 「みょういっきゃい……」 「ゆぅ…にゃんだか…しゅっごく……のじぇ…」 ……… 「「………………りいいぃぃぃーーー!」」 またもや上がった大きな声に母れいむの目が半分ほど開くが、すぐに閉じる。 「ゆっ…こんぢょは…まりしゃが……」 「ゆっ…ゆふん…ゆぅぅん……」 「まりしゃたち なにちてるにょ? れいみゅもいれちぇね!」 「し、しじゅかに…! しゅ…しゅるのじぇ!」 「れ、れいみゅは…ゆぅ…! あっち…いっちぇよぉ!」 「ゆぅぅ…どうちてなかまはじゅれにしゅるのぉ…」 再び何事か始めた赤まりさ達に気付き、赤れいむが近づいて来たが、興奮した様子の二匹に追い返される。 「ゆえぇぇ…おきゃあしゃーん! まりしゃがいじわりゅしゅるー!」 ポインポインと跳ねて行った赤れいむが、母れいむのもみあげを引っ張って泣きつく。 それでようやく母れいむも目を覚ます。 「ゆぅ~ん…? どうしたの、おちびちゃん……? ゆ…この声…何……?」 キョロキョロと周囲を見回し、やがて、背後にいる赤まりさ達に向き直った、その直後 「「ちゅっ! ちゅちゅちゅちゅちゅっ! ちゅっきりいいいいいぃぃぃぃぃーーーー!!!」」 粘液にまみれた頬をくっちょくっちょと擦り合わせていた赤まりさ達が、幼いすっきりを終えた。 「ゆああぁぁぁっ!? おぢびちゃん!? なにやっでるのおおぉぉ!? まだあかぢゃんなのにすっきりしちゃだめでしょおぉぉ!」 「ゆぴっ!?」「ゆべちっ!?」 れいむが悲痛な叫びを上げながら、もみあげで赤まりさ達を叩いて引き離す。 そのもみあげの先に、ネットリとした粘液がこびりつく。 すっきり三回分の粘液が。 「いちゃちゃ……ゆっ! おきゃあしゃん! まりしゃたち、おうちかえれりゅよ!」 「ゆぅ! しょうなのじぇ! まりしゃがいもうちょのまりしゃを……ゆ…?」 誇らしげに笑顔を浮かべていた、のじぇまりさの言葉が止まり、顔が苦悶に歪み始める。 その額が小さく盛り上がった。 「…ゆひっ…! かひゅっ…! ゆぎゅ……く、くりゅ……ち……」 母れいむが叱ったとおり、赤ゆっくり・子ゆっくりのすっきりは御法度だ。 赤ゆっくりを宿した母体は、赤ゆっくりに体内の栄養分を吸収される。 生まれる赤ゆっくりは、母体のサイズに関係なく普通の赤ゆサイズに成長するまで母体の栄養を吸収しようとする。 それが実った赤ゆの数分だ。当然、体の小さなゆっくりが賄いきれる量ではない。 栄養状態が極めて良好な子ゆっくりであれば一命を取りとめるケースもあるが、赤ゆっくりでは120%助からない。 「ゆが……が………ゆ゛………」 「あがぢゃあぁん! しっかりじでえぇ! しんじゃいやあぁぁ!」 のじぇまりさの額から茎がニョキニョキと伸び始め、更にもう一本、茎が伸び始める。 と、同時に饅頭皮が急速に黒ずみ、体のあちこちがボロボロと崩れ落ちる。 「も゛……ゆ゛……」 「ゆわああぁあぁ! れいぶのあがぢゃんがあぁぁ!?」 そして完全に黒ずんで枯れたのじぇまりさは、何も言わない黒い塊になった。 二本の茎からは、西瓜の種のような黒い物体が糸を引きながら幾つもぶら下がっていた。 「まりしゃあぁ!? どうちちぇえぇ!? にゃんでえぇえぇ?!」 一緒にすっきりをしていた赤まりさが叫ぶ。 その様子を水槽の上から覗き込みながら、俺が口を挟む。 「あー…まだ赤ちゃんなのにすっきりーしちゃったのかぁ…そりゃ、死んじゃうよねぇ…」 「ゆうぅぅ?! な、なにいっちぇるのおおぉぉ?! だっちぇ…ゆ…? ゆゆ…?」 「だって」、ね。 そうそう、そうだったよね、まりしゃちゃん。昨夜は楽しかったねぇ… ~~~~~~~~~ 「「「ゆぴー…ゆぴぴー……」」」 夜十時 ゆっくり達が眠れるように、夜は照明を絞っている暗い室内にゆっくり一家の寝息が響く。 足音を立てずに水槽に忍びより、そっと様子を窺うと寝息以外の声が聞こえてきた。 「ゆうぅ…おなきゃがすいちゃよ…」「あみゃあみゃしゃんたべちゃいのじぇ…」 空腹で寝付けないのか、ボソボソとお喋りをしているのは、二匹の赤まりさ達。 起きているのがいると都合が悪かったのだが、この二匹ならばちょうど良い。 ヒョイヒョイと二匹を摘み上げ、掌に乗せた。 「ゆっ?」「まりしゃおしょらをとんでりゅのじぇ! ふーわふーわ!」 「夜更かししてるいけない子はだーれだ?」 「「…!?」」 大好きなお兄さんこと俺の掌の上にいる事に気付いた二匹が、かわいい目ん玉を飛び出させる。 悲鳴を上げられる前に素早く赤ゆ達の頭を押さえつけ、小声で囁く。 「騒がないでね? 騒いだら、お兄さん、びっくりしてゆっくりできない事しちゃうかもしれないよ? ゆっくりりかいできる?」 お口を開けない赤ゆ達が、揃っておそろちーちーで肯定の返事をする。 やめてね! そんな目でお兄さんを見ないでね! 握り潰したくなっちゃうよおぉ! ……… 「むーちゃむーちゃ! ち、ち、ちあわちぇえぇぇ!!!」 「おいちいのじぇぇ! これめっさおいちいのじぇぇぇ!」 「ははは、麦チョコおいしいかい? さっきは驚かせてごめんね!」 俺の部屋に連れてこられた赤ゆ達は、最初はこの世の終わりを迎えたような顔をしていたが、 麦チョコを三粒食べさせてあげただけで、すっかりご機嫌になった。 「おにいしゃん! もっちょちょうだい!」「むぎしょこしゃんはゆっくちできりゅのじぇ!」 「だーめ、もう終わりだよ」 「「ゆうぅぅ…」」 途端に涙目。コロコロと変わる表情は見ていて飽きない。 もっちょよこちぇぇ! こんにょくっしょじじいいぃ! とか言わないトコもかわいくっていいよね! まあ、アレはアレで身の程を知らないおバカさ加減がまたかわいいんだけどね。ふふふ! あぁ、ホント赤ゆちゃんはかわいいなぁ…はぁ…潰したい…潰したい…潰したいなぁ…… 「ゆー? おにいしゃん、どうちたにょ?」 「ん? 何でもないよ? 麦チョコはあげられないけどね、お兄さん、かわいいまりさちゃん達だけに特別にいいこと教えてあげるね」 ……… 「ゆゆーっ! しゅごいのじぇ!」 「やっちゃあ! まりしゃたち、おうちかえれりゅにぇ!」 興奮気味にポヨンポヨンと飛び跳ねる赤ゆ達。 俺が教えてあげたのは、赤ゆでも理解できる簡単な事。 まりさとまりさですっきりーをして赤ちゃんが"生まれれば"、絶対にまりさの赤ちゃんになる ゆっくりのすっきりー行為は、赤ゆ同士でも実行可能だ。その後の事を考えなければ。 やり方もすりすり型なら至極簡単。 母れいむのすっきりーをいつも見せているし、後は本能でどうとでもなる。 俺からそれを聞いた赤まりさ達は、楽しげな計画を思いついて大喜びしていた。 「そうだ。この事はれいむお母さんには内緒にしておこうね」 「ゆ…? どうちちぇ…?」 「お母さんをビックリさせてあげるためだよ! そうだね、お母さんがお昼寝しているときにでも、こっそりすっきりーをしてごらん。 お母さんが起きたら、まりさちゃん達の赤ちゃんを見せてあげるんだ! きっとお母さん、大喜びして、すっごくゆっくりしてくれるよ~!」 「「ゆうう~ん♪ ゆっくち! ゆっくちぃ!!」」 「ふふふ! ゆっくり! ゆっくりぃ!」 ~~~~~~~~~ 「ゆ…だっちぇ…ゆぎ…?! …ゆ…おにいしゃ…ゆぎっ?! く、くりゅちぃ…!」 だって、お兄さんが教えてくれたんでしょおおぉ?! かなぁ? まりしゃちゃん。 そうだね。お兄さんが教えてあげたんだよね。 赤ちゃんがすっきりーしたら、死んじゃう事までは教えてあげなかったけどね。 ふふふ…なんでお兄さんの事、信用しちゃうのかな? 今まで、お兄さんがまりしゃちゃんの姉妹達に何をしてきたか覚えてないのかな? ばかなの? 黒ずんで死ぬの? なんでそんなにかわいいの? ふふ…うふふふ…… 3回目のすっきりーで母体となったのが、残った方の赤まりさだったようだ。 こちらは茎一本分なので、最初に死んだ姉妹よりも緩やかに死へと向かって行く。 「ゆ…ゆぐっ……くりゅちい…! …おきゃあ…しゃ……」 「お、おちびちゃん?! おちびちゃんもなのぉ?! ゆやあぁあぁ! じっかりいぃ! しんじゃいやあぁ!」 額から茎が伸び始め、体内の栄養分を急速に吸い出して行く。 それと共に赤まりさの体の各所が崩壊を始める。 「ゆぎっ……かひぃ……ゆひっ……くりゅ……し……きひっ……」 「おぢびぢゃあぁあん!!」 まずは呼吸器系…だろうか? ゆっくりに呼吸器があるのかは知らないが、息を詰まらせているような声を上げ始め、苦悶の表情を浮かべる。 「い…ちゃ…おかおが…いちゃ…かひっ…あんよしゃ…いちゃ……ぺりょ…ぺ……ちちぇ…」 「いだいの? おぢびぢゃん、いだいのぉっ?! おがあざんがぺーろぺーろじであげるがらあぁ!」 饅頭皮が黒ずみ始め、その表面がハリを失ってひび割れ、崩れ始める。 髪の毛も縮んで黒ずみ、三つ編みのお下げがボロッと崩れて地面に落ちる。 「みえ……にゃい……まっきゅ…ら……かはっ……こあい……よ……おべべ……いちゃ…けひっ…」 「おにいざあぁん! あがぢゃんだずげであげでえぇぇ! いばならまだぁぁ!」 「いや無理でしょ、これは。もうこんなだし」 片方の目がドロリと溶け、頬を伝って滑り落ちて行く。 その目玉を追うようにして、餡子と混ざった黒い涙が滴り落ちる。 残った目は、まだ眼窩に嵌ってはいるが、こちらも溶け始めている。 もはや眼球としての機能は果たしていないようだ。 「かっ……ひっ……いちゃ…い…くりゅち……ちぬ…にょ……や……ぢゃ……まり……しゃ……」 「おねがいぃ! おねばびじまずうぅぅぅ!!!」 歯が歯茎ごと次々に崩れて抜け落ち、舌は干涸らびたように縮んで行く。 体内の餡子がグズグズになったのか、体が球形を維持できなくなりベシャリと潰れてくる。 「も゛っ……ぢょ……………ゆ゛…………」 「あがぢゃあああああぁぁん!!」 目や口、あにゃる、しーしー口、その他、体に開いた穴から、ドロリと粘液状になった餡子が漏れ出す。 そのまま、黒い茎を生やした赤まりさは何も言わなくなった。 「ゆっぐ……あかちゃん……どおして……どおしてこんなこと……したのぉ……?」 黒ずんだ二匹の赤ゆの前で涙を流して呆然とする母れいむ。 「お兄さんにもわからないよー でも、ひょっとして…自分達がれいむの替わりに赤ちゃんまりさを産めば、お家に帰れると思ったのかな…」 「ゆっぐぐ……ごべんね……あかぢゃんごべんね……おかあざんが……おかあざんが…だめなばっがりにぃぃ……!」 笑いを噛み殺しながら投げかけた俺の言葉に、れいむが地面に頭を擦りつけながら、黒ずんだ赤ゆに向けて何度も謝る。 それから、ひしっと、残った二匹の赤ゆをもみあげで抱きしめた。 「おがあざん…ふたりを…しなせないからねぇ…なにがあっでも…たすげるがらねえぇ……!」 三匹の親子は抱き合いながら、ゆんゆんと泣き続けていた。 [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×1 後編に続きます
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「ふたば系ゆっくりいじめ 640 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 前」からの続きです ========== れいむ、5回目の妊娠 「おっ、順調に育ってるね~、みんなゆっくり早く生まれてきてね!」 仕事から帰ってくると、れいむの額から伸びた茎に、そこに生えた七つの実ゆっくりに話しかける。 まだ髪や飾りが生えてきていない状態なので、種族はわからない。 判別つくようになるのは、明日の日中だろう。 れいむは、今回から妊娠方法を数を産める植物型に切り替えていた。 意識的にか、無意識にかはわからないが、いい判断と言えよう。 ゆっくりの交配において、産まれてくる子供の種族は必ず両親いずれかと同じ種族になる。 記憶などは祖父母以前の代まで遡って継承する事もあるが、種族を決定する遺伝餡までは隔世で発現しない。 え? チェンジリング? 何それおいしいの? まあ、ポンデちゃんのお友達? 上がって待っててね。すぐ帰ってくると思うから。 スタンダードなれいむとまりさの組み合わせで交配を行った場合、それぞれの種族の子供が生まれる確率は、ほぼ五分五分。 片親が他の基本種や希少種だった場合、その確立は変わってくるが、まあその話はどうでもいいだろう。 という訳で、まり×れいで交配を行った場合であれば、7匹全部がれいむ種になる確率は(1/2)^7=1/128。 ご都合主義に支配された世界でも無い限り、そうそう起こる出来事ではない。 しかし、コトはかわいい赤ゆちゃん達の命に関わる。 微力ながら、赤まりさが生まれる確率を上げる手助けをしようではないか。 ……… 「フンフフフ~ン♪ おお、このまりさちゃんかわいいねぇ!」 「ゆ…おにいさん…なにしてるの…?」 水槽の横で雑誌を切り抜いている俺に、れいむが不思議そうに聞いてくる。 「んー? これはね~…お! この子もか~わいいなぁ~!」 チョキチョキ 切り抜いてるのは、ゆっくり愛好家向けの雑誌。 読者によるゆっくり写真投稿ページから、とびきりかわいい子ゆっくり・赤ゆっくりの写真を選り抜いているのだ。 選んだのは、全てまりさ種。 「お兄さん、れいむがまりさちゃんを産めるようにお手伝いしようと思ってね!」 写真を水槽の外側、中のゆっくりから見える向きにセロテープで貼り付けながら、れいむに答える。 フカフカクッションの上で姉妹ですりすりをしている赤まりさちゃん カメラに向けてウインクをしている見返り姿の子まりさちゃん ちょっと涙目になりながら、洗面器の中でお帽子で浮く練習をしている子まりさちゃん ああ…飼い主さん、この子達捨てないかなぁ…俺すぐ拾いに行くのにぃ… 「どーだい!? みんなかわいいまりさちゃんだよねぇ! こうやってゆっくりしたまりさちゃんの姿をたくさん見れば、れいむの赤ちゃんもまりさちゃんになるかもしれないよ?」 「ゆゆっ?! そうなの!?」 そんな話は聞いたことないけどね! でも、胎教みたいな感じで案外そんな効果もあるかもしれないし…ま、病は気からというヤツだ。 「れいむ、アレも水槽に入れてあげようか?」 俺が指差したのは、いつも水槽から少し離れたところに置いてある透明な箱。 「ゆっ? い、いやだよ! あのまりさはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないとはひどいな~、いつもすっきりーしている仲じゃないか。それに頭の赤ちゃん達のおとうさんだよ?」 「おにいさんがむりやりすっきりーさせたんでしょおぉ! あんなゆっくりしてないまりさをみてたら、またあかちゃんのまりさがうまれなくなっちゃうよ!」 随分な嫌われようだ。 まあ、無理もないか。さっきからずっと透明な箱の中でこっちを睨みつけて暴れてるからな。 あんなの見てたら、かわいいまりさちゃん写真集の神通力も薄れてしまうというものだ。 ……… 「まりしゃはゆっくちできりゅね!」 「おきゃあしゃん! いもうちょのまりしゃ、たくしゃんうんでにぇ!」 「ゆっ! おちびちゃん! こんどこそだいじょうぶだよ! おかあさん、じしんあるよ!」 「ゆわーい! おうちにかえれりゅのじぇー♪」 水槽に貼られた写真を眺めながら、既に勝利を確信したか和気藹々と笑い合う母れいむと赤まりさ達。 一方、赤れいむ達はどこか複雑そうな表情を浮かべていた。 「おきゃあしゃん! れいみゅも! れいみゅもゆっくちしちぇるよ!」 「ゆふふ! そうだね! おちびちゃん! おうちかえってみんなでゆっくりしようね! ゆゆ~ん♪」 「ゆ……」 一匹の赤れいむが構ってほしげに母れいむに話しかける。 だが、浮かれている母れいむは答えはするものの、視線はすぐに写真の方に戻ってしまった。 「ゆー…おにいしゃん! れいみゅは!? れいみゅのしゃちんもはっちぇね!」 「いや、れいむちゃんの写真は貼れないよ。また赤ちゃんが全員れいむちゃんだったらどうするの? そしたられいみゅちゃん達、ゆっくりできなくなっちゃうでしょ?」 「ゆぅ……」「れいみゅはゆっくちできりゅ ゆっくちなにょに………」 疎外感を感じ、しょんぼりする赤れいむ達。 大丈夫! お兄さんはれいむちゃんもまりさちゃんもどっちも大好きだからねえぇぇ! そして、日付は変わり翌日 仕事から帰った俺は、早速れいむの茎に実った赤ゆをチェックした。 「れいむちゃん、れいむちゃん、…(中略)…れいむちゃんに~………れいむちゃん!」 結果は7匹全部、とってもかわいいれいむちゃん! 穏やかな笑顔で「ゆぅ…ゆぅ…」と寝息を立てている。 まだプチトマト大だが、出産促進剤が効いているのでもう生れ落ちる頃合だ。 「お、おかしいよぉ…! こんなのへんだよぉ…!?」 ずっと呆然と頭上の赤ゆを見つめているだけだった母れいむが、ようやく口を開いた。 そんなれいむを諫める。 「こら、れいむ。自分の赤ちゃんの事、変だなんて言っちゃだめだよ。こんなにゆっくりとした赤ちゃんじゃないか?」 「ち、ちがうよおぉ…! そうじゃなくてぇ…! どおしてあかちゃんこんなにいるのに、みんなれいむとおなじれいむなのぉ…?!」 「いや、そんな事言われても、産んだのれいむだし」 「ゆえっ…ゆええぇ…! おきゃあしゃーん! どうちてまりしゃを うんでくれにゃいのー?!」 「ゆっぐ…まりしゃたち…おにいしゃんに いたいいたいされぢゃうぅ…まりしゃやぢゃよぉぉ……!」 「れいみゅのいもうちょがちんじゃうよぉ! ゆああぁん!!」 今朝までは、今度こそお家に帰れると楽しそうにしていた一家が一転して恐怖に包まれ泣き喚く。 そんな家族達の声が聞こえたか、或いは、母れいむの恐怖が茎を通して伝わったか、 それまで穏やかな寝顔を浮かべていた新生赤ゆ達の表情も不安げになってくる。 「さーて、れいむちゃんしか生まれなかったことだし! お兄さんも心を鬼して処刑タイムにしっましょっかね~♪」 「ゆっ?! お、おにいさん、まってね! これはなにかのまちがい…な、なにするのぉぉ?!」 お楽しみ開始の宣言をした俺は、ゴトゴトと準備しておいた小道具を引っ張り出す。 水槽から取り出した母れいむを、れいむの直径と同じぐらいの板の上に乗せ、ビニール紐で縛り付ける。 これで跳ねる事も這う事もできない。 「やめてね! やめてね! れいむにひどいことしないでね!」 「「「おきゃあしゃんにひぢょいことちないでえぇ!」」」 「大丈夫、大丈夫。ちょっと大人しくしててもらうだけだから」 動けなくなったれいむを再び水槽に戻し、ここからが本番。 茎の真下を中心に、地面の上に落ちてくる赤ゆを受け止めるためのクッションを並べる。 「お、おおお、おにいざあぁん?! なにおいでるのおぉ!?」 「これは剣山って言うんだよ。とってもとかいはなクッションでしょ?」 「やめでよおぉぉ!! あがぢゃん ぢんじゃうでじょおぉぉ?! それどかしでえぇぇ!?」 「いや、殺すためにやってるんだし」 いや増した恐怖が伝わったか、茎に実った赤ゆ達の表情が更に不安の色を濃くする。 無理もない。これから何が起こるかわからない未知のゆん生。 先の見えない未来に不安を抱くのは、人間もゆっくりも同じではないだろうか? というわけで、その不安を払拭するために、ゆん生の先輩であるお姉ちゃんにこれからのゆん生を語ってもらうことにしよう。 「えーと、今日殺しちゃうお姉ちゃんは……ニ連続れいみゅちゃんだったから…れいみゅちゃんでいいか」 「ゆひ…ゆひいぃぃ……れいみゅ…ちにたくにゃい……こっちこにゃいでえぇぇ……」 角形の剣山を何枚か敷き詰め終えた後、 水槽の中で腰餡を抜かして動けなくなっている赤れいむを摘み上げ、茎と同じ高さから剣山の上に落とす。 ひゅ~ プスプスプスプスプスプスプスプス 「ぴんぎゃああぁぁぁああぁあぁぁあっっ!?!?」 何本もの針があんよに突き刺さる。 体重の軽い赤ゆであるが、ある程度落下距離があったので、饅頭皮に深く突き刺さった。 針先は中の餡子まで到達しているだろう。 「ぴぎっ! ぴぎいいぃっ! いちゃいっ! やめっ、とげとげしゃんやめちぇっ! いちゃいっ! ゆきいぃぃ!」 赤れいむはなんとか針を抜こうと身を捩るが、 足場のない針山の上、あんよに針が刺さった状態では、思うようには動けない。 お尻を持ち上げてはあごに食い込む針に泣き、あごを持ち上げてはお尻に食い込む針に叫びをあげる。 そんな堂々巡りを繰り返す内に、針はますます深く赤れいむの餡子に食い込んで行く。 「ぴいぃっ! いちゃいよぉ! とげとげしゃあんっ! ぴきっ! れいみゅにちくちくちないでえぇ!」 「「「「「「「……!? ……!?」」」」」」」 下で待つ姉赤れいむの呼び声に、まだ目の開いていない妹の赤ゆ達も素敵な未来を予感したか、ブルブルと震え出す。 その震動で茎が揺れる事で、赤ゆ達が生まれ落ちるのが早まる。 (ゆ? ゆっくちうまれりゅよ!) ひゅ~ プスプスプス 「ぴゅきいいぃぃっ?!」 (ゆゆっ?! きょわいよぉぉ!) ひゅ~ プスプスプス 「ゆぴいいぃぃっ!!」 (れいみゅまだうまれちゃくないぃぃ!) ひゅ~ プスプスプス 「いぢゃああぁいっ!!」 悲鳴で最初のご挨拶をする妹赤ゆ達。 その声に、まだ茎に残っている赤ゆ達は下で何か恐ろしい事が待ち受けている事を確信する。 「「「「……!!」」」」 茎から落ちまいと、茎に繋がった頭頂部に力を込めているのか、眉間に皺を寄せて何かを踏ん張っている。 だが、恐怖から来る震えは止まらず、次々に茎から切り離されて、悲鳴を上げる。 中にはパニックに陥りバタバタと暴れ出し余計に落下を早める者もいた。 「ぴいぃっ! ゆぴいぃっ!」「あんよいちゃいよおぉぉ!」「ゆっきちできにゃいぃ!!」 「おきゃーしゃあん!」「たちけちぇよおぉ! ぴきぃっ!!」 無事生まれ落ちた7匹の赤ゆ。 姉よりも軽いプチトマト大のため、針はあまり深くは刺さっていない。 そのため、身動きを取ることはできるのだが、動いた先もまた針のむしろ。 一歩這って悲鳴を上げて身をのけぞらせ、バランスを崩してコロンと転がってはまた悲鳴を上げる。 泣き叫び、じたじたと体を曲げて蠢き踊る7匹の赤ゆちゃん達の姿は、まるで楽しいお遊戯会。 よじよじ じたじた ころりん ぴこぴこ 「わ~赤ゆちゃん達かわいいなあ! みんなダンスがお上手だよ~!」 俺も手拍子のリズムで応援するが、みんなめいめいまちまちに動くのでリズムの取りようがない。 しかし、この自由奔放さこそが赤ゆちゃんのダンスの魅力だ。 「おにいさぁん…! もう…もう…やめてよぉぉ! あかちゃんがいたがってるよぉぉっ!?」 親御さんはこの線から出ないでくださーい。 でもヒートアップする親の気持ちもわかる。 今まさに赤ゆちゃん達がかわいいソロパートを披露してくれている真っ最中なのだから。 「いぢゃいいぢゃいいぢゃぁいっ! とっちぇええ! これとっちぇええぇ!」 転がる内に頭から針に突き刺さり、逆さまになった状態であんよを虚しくグネグネ動かす赤れいむ。 「ちくちくいちゃいよぉ! やめちぇえぇ…ゆぎゃああぁあっ! にぇいみゅのきゃわいいおべべぎゃああぁぁ!!」 前のめりに倒れて両目にサックリとサミングをくらう赤れいむ。 「おねいぢゃあぁあん!」 「やべぢぇええぇ! のっきゃらないぢえぇ! ぎゅぎゃああぁあぁっ!!」 唯一の安全地帯、動けない姉赤ゆに辿り着き、その上によじ昇ろうとする赤れいむ。 妹の分だけ重量が増した姉は、更に餡子深くに針が突き刺さり絶叫する。 半狂乱で振り回したもみあげが妹赤ゆの目に入り、のけぞった妹赤ゆは再び針山に転がり落ちる。 「いちゃいぃ…ゆーちょ…! ぴぎっ!? …ゆ、ゆーちょ…! ゆぴいぃっ!」 次々と刺さる針の痛みに泣きながらも、針山の端に向かって着実に這い進む赤れいむ。 無論、そんなにあっさり逃げられる程ゆん生甘くはない。 「ゆ…もーちょっとりゃよ……ゆーちょ… …?! ぴっ?! ゆびぎいいぃいいぃっ!?!?」 剣山クッションの外周近くの針には、ベットリとタバスコを塗りつけてある。 傷口から染み込む辛み成分に、赤れいむは狂ったように針のむしろを転げ回り、更に傷を増やしてはまた転げ回る。 そして、口からタバスコ付きの針山にダイブ、タバスコ味の針に舌を縫い付けられて動きを止めた。 「ゆぎっ…! かりゃっ…!? こりぇ…! どくっ…! ゆぴいぃ…! にゅいちぇっ…! にゅいちぇぇ……!」 数分後 「いちゃ…いよ……」「ゆひっ…ゆひっ…」「ゆ゛…ゆ゛…」 流石に踊り疲れたか、もう一歩も動けなくなった赤ゆ達が、剣山の上に横たわる。 垂れ流した涙とちーちー、傷口から零れた餡子が剣山の土台をたっぷりと汚していた。 「ふふふ! 赤ゆちゃん達ぃ! とってもかわいいダンスだったよぉ! それじゃお昼寝の時間にしようねえぇ!」 俺の声に、背中が針山に刺さって動けなくなっていた赤ゆがこちらに目を向け、その視線が俺の手の上の物に吸い寄せられる。 「ゆ…? ……!? や…やぢゃやぢゃやぢゃあぁっ!!! ゆんやああぁぁっ!!」 「ゆっくりおやすみ…れいみゅちゃああん……ふふ…うふふふ……ゆふふふふ……!」 剣山のベッドで眠る赤ゆちゃん達の上に、ゴトッ、ゴトッと、そっと剣山のお布団を被せてあげた。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×1 ========== れいむ、6回目の妊娠 今日は仕事の都合で帰りが遅くなってしまった。 茎に実っていた赤ゆ達も、もう生まれ落ちている頃だろう。 果たして今日こそは無事赤まりさが生まれてくれただろうか… 「ゆ、ゆっ! お、おにいさん! うまれたよ! あかちゃんのまりさがうまれたよ!」 虐待部屋に入るなりれいむの方から声をかけてきた。 へー産まれたんだー、どれどれ。 水槽の中には、プチトマト大の新生赤ゆが5匹。 見ると確かに、一匹だけ黒いお帽子を被った子が交じっている。 「わー! ほんとだ! とってもかわいいれ…赤ゆちゃんだね!」 「ゆ? ゆっくちちちぇいっちぇね!」 かわいいと褒められた赤ゆちゃんが、ブカブカお帽子の下で左右のもみあげを元気よくピコピコ動かしながら、俺に挨拶をする。 「はいはい、ゆっくりしていってね!」 「ね? ね!? ちゃんとあかちゃんのまりさでしょ!? だ、だかられいむたちをおうちにかえしてね!」 「うん! 勿論だよ! 約束通りお家に帰らせてあげようね!」 「あ、ありがとう! おにいさん! で、で、いつかえらせてくれるの?」 ダラダラと全身に汗を浮かべている母れいむを水槽から出し、透明な箱に移す。 続いて赤ゆ姉妹も。 箱に移された母れいむと姉の赤ゆ達が、チラチラと水槽の方に目をやる。 「ゆっ? ゆっ?! ちょ、ちょっとまっておにいさん!? い、いまかえるの?!」 「あっれー? お姉ちゃん達どうしたの? お家に帰れるよ? 嬉しくないの?」 「「「「ゆぴゃああぁあっ?!」」」」 れいむの言葉を無視し、やたらビクビクとしている姉の赤ゆ達に声をかけると、素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。 何をそんなに怯えてるんだろうね! ふふふ…! 「ああ…そっか…妹やお姉ちゃん達…ゆっくりできなくなっちゃったもんね…みんなゆっくりできないよね… そうだ! お土産に食べ切れないぐらいのあまあまさんをあげようね! だからみんなでゆっくりしてね!」 「ゆ…ゆわーい! あ、あかちゃんたち! よ、よかったね! ね?!」 「「「「ゆわあぁぁ! あみゃあみゃしゃん!!」」」」 れいむがどうやら笑顔のつもりらしい歪な表情で目を泳がせながら大喜びする。 妹の赤ゆ達も笑顔で大喜びをしているが、お姉ちゃんの赤ゆ達はまだ水槽にご執心のままで気もそぞろだ。 俺も水槽にチラチラと視線を送ってみると、れいむが更に全身から汗を垂れ流す。 「あ、あ、あ、あの、おにいざん! きょ、きょうは、もうよるざんだから、れいぶだぢおうぢかえるのはあじだに…」 「じゃあみんなお家に帰ろうねえ! ゆっくりできるあまあまさんも一杯あげるからねえ! みんなで仲良くゆっくりと暮らしてねえ! それじゃあね! さようならああぁぁ!」 れいむの声を遮るように、俺が大声を張り上げる。すると 「ゆやああぁあっ! まりちゃをおいちぇかないでえぇぇ!? どうちちぇおいちぇくのおぉ!? おきゃあしゃあんっ!!! やぢゃあぁ! まりちゃもおうちかえりゅううぅぅ!!」 水槽の中から、大きな泣き声が聞こえた。 改めて説明するまでもないと思うが、 今回生まれた赤"まりさ"は、赤れいむに姉である赤まりさのお帽子を被せてまりさに見せかけたもの。 で、水槽でひとりおいてけぼりにされたのが、お帽子を貸した姉赤まりさ。 水槽の中に入れてある石の影に隠れていた。お尻が見えてたけど。 ゆっくりは飾りで個体識別をしているので、 飾りを他のゆっくりにつけると、そのゆっくりを本来の飾りの持ち主のゆっくりとして誤認識する。 これは親子や姉妹であっても区別がつかないほどだ。 今回みたく、自分達自身が目の前で飾りを渡した場合には、流石に"擦り替わった"と認識できるようだが、 それでも、帽子付きの赤れいむは赤まりさそっくりに見えていたのだろう。 餡子脳ではかんっぺきっな偽装だと思っていたのかもしれないが、 人間である俺からすれば、どう見てもまりさ種の帽子を被った赤れいむにしか見えない。 まんまと俺を欺き、帰宅の確約を取り付けたら、後は帰る直前に隙を見て赤まりさを口の中に隠すつもりだったらしい。 しかし、その"隙"はなく、赤まりさ一匹おいてけぼり。あの時の泣き顔のかわいらしさと言ったら…! こんな間抜けな抵抗が見られるから、監禁ゆ虐は楽しいよなぁ… 「やめちぇ! やめちぇ! やめちぇええぇっ! まりちゃのおぼうちしゃん、もうちょきちょきちないでえぇぇっ!!」 なんて事を考えながら、赤まりさが妹れいむに貸したお帽子をハサミで細かく切り刻んで行く。 「ほーら、まりちゃちゃん? 大事な大事なお帽子を他の子に貸しちゃうから、お帽子さん切られちゃったよぉ?」 「まりちゃじゃにゃいよぉぉ!? おきゃあしゃんが おぼうちとっちゃのおぉ! まりちゃ、いやっていっちゃのにぃぃ!!」 「おにいざんごべんなざいいぃ! でいぶがわるいんでずうぅ! おちびちゃんはわるぐないんでずうぅ! もうやべであげでぐだざいぃぃ!!」 「ちょーきちょーき! お帽子さんちょーきちょーき!」 「まりちゃのしゅてきなおぼうちしゃんがあぁぁーっ?!」 ……… 「ゆぐっ…おぼうちしゃん……ゆっぐ…もどっちぇ…いじわりゅちないで…もちょにもどっちぇよおぉ…」 「さ、じゃあ赤ちゃんまりさも生まれてなかった事だし、いつものヤツ行っとく?」 べそをかく赤まりさが、細切れになったお帽子だった物を舌で並べてなんとか元の形にしようとしているのを 指先でグシャグシャにしてから、本日の処刑タイム開始を宣告する。 「今日はどの子がいいかなぁ……よし! れいみゅちゃんだ!」 「ゆんやああぁぁっ!?」 「…と、思ってたけど、大事なお帽子貸しちゃった悪い子まりちゃちゃんが死のうねっ!」 「ゆっ…ぐ…ゆっぐ…まりちゃ…わりゅいこじゃにゃいよぉ… おきゃあしゃんが…おきゃあしゃんがあぁぁぁ……ゆびええぇぇん…!」 うんうん。いい泣き顔だね。 「良い子のまりさちゃん達はちゃんと覚えておいてね! とっても大事なお帽子! 他の子に貸しちゃったらゆっくりできなくなっちゃうからねえぇ! ……わかったか?」 ブルブル震えていた他の赤まりさ達が俺の言葉に涙目でコクコクと何度も頷く。 お間抜けイベントを見るのは楽しいが、同じネタを使われても萎えるので一応釘を刺しておく。 「よーし、今日はコレでいこうかな~」 取り出したものは、一本の竹ひご。 そこに"ある物"を被せてから、妹の赤ゆを一匹摘み上げ、あにゃるにブッスリと突き刺す。 「ゆびいぃぃ! いぢゃいぃぃ! れーみゅのあにゃりゅしゃんがあぁぁ! ゆげっ?!」 最後のゆげっ、は竹ひごを貫通させて赤ゆの口から突き出させた時に鳴った音だ。 串刺し状態になった赤ゆは、目を白黒させながら自分の喉を突き破って生えてきた竹ひごを見つめている。 「ゆげぇっ…! いぢゃっ…! のぢょっ…! あにゃりゅしゃ…! たっ、たちけちぇ…!」 さて、竹ひごに被せてあった物は、ゴム風船。長い棒状に膨らむタイプの物だ。 この風船の先っぽを指で摘み、中の竹ひごだけを引き抜く。 はい、これで風船が赤ゆの体を貫いた状態になりましたー じゃあ、いってみようか。 大きく息を吸い込みー フウーーーー!!! 思いっきり風船に向けて吹き込んだ。 「ゆぎゃ ブチンッ 一気に膨らませたので、悲鳴が終わる前に赤ゆの体が千切れ、上下に分断されて水槽の中に落ちた。 「「「「ゆびゃああぁっ!?!?」」」」 ボトボトと落ちてきたモノに、姉妹達が悲鳴をあげる。 口の上と下で離れ離れになってしまった赤ゆの方は、流石に声が出せない。 何かを言おうとしているのか、下半分にくっついた舌がピクピクと蠢いてはいるが、まったく声は出てこない。 その様子を、逆さまに転がった上半分が涙を流しながら見つめている。 そして、舌の動きが止まったのを見届けてから、上半分は暫く痙攣した後、目玉をグルリと反転させ、こちらも動きを止めた。 「あがぢゃんがああぁっ!?」 「まりしゃのいもうちょがああぁぁ!!」 「こあいよおぉ! おきゃあしゃあん! おねえちゃあん!」 「は~い、じゃあ次」 「ゆにゃあぁぁ! やめちぇぇ! ゆっくいちたぁい! ゆっくいちたいよぉ!」 悲鳴をあげて怯える妹赤ゆ達から一匹を選んで摘み上げる。 今度は口からあにゃるへと逆方向に風船を貫通させてから口に咥える。 俺と赤ゆの目が合う体勢だ。 「やめちぇ…! れいみゅぶっちんしゃんやあぁ…! ゆっくちでき フー… ゆぶっ?!」 今度は少しずつ息を吹き込み、直径1センチほどまで膨らませる。 それでもプチトマトサイズの赤ゆにとっては相当の圧迫感があるだろう。 「ゆぶぶ…! いちゃ…! れ…みゅ…おかお…ちぎれちゃ…! やめ…! おにいしゃ…!」 俺の眼前で、涙目で必死に助けを請う赤ゆ。 大きく開いたお口の端の饅頭皮がビロンと伸び、中の餡子が透けて見える程に薄くなる。 その表情を楽しみながら、更に息を吹き込む。 「ゆ…ぶっ…いぢゃっ…ちぎれ…りゅ…ゆごっ…! も゛ぼっ……!」 口をあんぐり開けたままの変則ぷくーで膨らみ、こちらを威嚇してくる赤れいむ。 口の端の皮がぷちぷちと裂け始めたかと思うと、みるみる頬まで裂け目が広がり、中の餡子が露になる。 更にもう少し息を吹き込む。 「も゛…! も゛っ…!!」 喉を完全に塞がれ、まともに出せなくなった言葉の代わりに、 ボロボロ涙を流す目とピコピコ揺れるもみあげが俺に何かを語りかけているようだ。 「もうやめでえぇぇえ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでええぇ!!」 ブチ切れ寸前の赤ゆが母れいむの声に気づき、助けを求めるかのように視線を水槽の方に彷徨わせたところで、とどめのもう一息。 ブチッ…ブチブチ…ブチッ! ボトッ 再び赤ゆの部品が、水槽の中に落ちる。 だが、落ちたのは下半分だけだった。 上半分は膨らんだ風船の上にバランスよく乗った状態でそこに留まっていたからだ。 ピコピコピコピコピコピコ…! 風船を咥えたままの俺の目の前で、もみあげが激しく動き続け、暫くして、止まった。 「あがぢゃあああんっ!! ゆああぁ!! どおじでごんなあぁぁ!」 「よし! 最後はみんな仲良くいこうね! お姉ちゃんも一緒だよ!」 「ゆぴゃあぁぁっ!! ゆぎっ!?」 「おきゃあぢゃああんっ!! ぎびゅっ!!」 「た、たちっ…たちけちぇぇ…たちけちぇえぇ!! ゆぴぃっ!」 「ゆやぢゃああぁっ! まりちゃをぶちぶちちないでえぇ!! ゆげえっ!」 姉の赤まりさと残った妹赤れいむ3匹を捕まえ、一つの風船にまとめて通し、少々の事前準備を施す。 なお、俺の側から見て、こちらにお尻を向けた赤れいむ3匹が連なり、その妹と対面する向き一番外側に赤まりさの順だ。 フーーー… 息を吹き込むと、ポンと風船が膨らむ。 「「「「ゆぎゅぷっ!!」」」」 体の芯から外側に向けて強い圧迫を受けた4匹が一斉に声を上げた。 こちらに向いた赤れいむ達のお尻が振られる。 プリンプリンと振られるのではなく、プルンプルンと小さく震えるような振られ方だ。 あにゃるに風船が通ってる状態なので、あまり派手な振り方ではないが、その奥ゆかしい動きがまた愛らしいではないか。 俺からは赤まりさの涙目顔しか見えないのが残念ではあるが、きっと妹達もいい表情を浮かべてくれているのだろう。 フー… 「「「ゆも゛ぉっ…!!」」」 「やめ゛っ…おにいしゃ…! まりぢゃの…いもおぢょ…! ちんじゃうっ…!」 体の小さな妹達は、既にお口が一杯一杯に広がったのか、もうまともな言葉を発音できない。 替わりにまだ余裕のあるお姉ちゃんが、苦しそうに妹達を気遣う声を上げる。 さっきまではお帽子を細切れにされて泣いていたというのに。麗しきかな姉妹愛。 フー… 「「ゆぼっ!!」」 「ゆも゛…! いも゛っ…ぢょ…があぁっ…!」 上がった悲鳴は赤れいむ2匹と赤まりさ1匹分。 赤まりさの目の前にいた赤れいむは上下バラバラになって脱落した。 その光景を目の前で見ていた赤まりさと、すぐ後ろの妹赤れいむがちーちーを漏らす。 「「ゆぶぶ…! ゆぶぶ…!」」 残った赤れいむ達は、まだ千切れていない。 予めほっぺにセロテープを張って饅頭皮を補強しておいたお陰で伸びにくくなっているのだ。 あにゃるの周りの皮が裂け、俺からは見えないがおそらくは口も裂け、苦しそうに呻いているが、まだまだ健在。 元気にもみあげをピコっている。 さあ、もう少し息を吹き込んでみようか。 フー… 「ゆぎょおっ?!」 おっといい声が聞こえたね。 声の主、真中にいた赤れいむちゃんの様子を見てみよう。 こちらからは、大幅に拡張されたあにゃるしか見えないので、風船を折り曲げて、顔をこちらに向けさせる。 小さなお口は、顔の端まで真一文字に裂けているが、セロテープのおかげで裂傷はそこで止まり、 かろうじてお口の上と下がサヨナラするのを引き止めている。 縦方向の引っ張りにかなり強くなっているのだ。 しかし、風船は縦にばかり膨らむ訳ではない。 横方向への膨らみで、顔の中心線上の饅頭皮が伸びて薄くなり始め、赤れいむの両目が離れてきている。 こうして俺が見ている最中にも、ミチミチ…と伸びきった顔の皮が破れ始め、中の餡子が見え出してきた。 更にもう一息。 フー… ブチ…ブチ…ブチブチィッ ボトッ 「ゆ゛…ぶ…!」 「ゆ…や゛あ゛…ぶっ…まり…の…いもお…ぢょ…ゆもっ…!」 メリメリと真ん中から左右にゆっくり裂けて、水槽へと落下して行った。 最後の赤れいむ、俺の口から一番近い子は、まだ耐えている。 こちらはほっぺだけじゃなく、側面を一周させてセロテープを巻いてあるから、大変丈夫である。 フーーー…! 「……!!!」 「ゆぼっ…!? ぼっ…! びぼ…うぢょぉ……!」 再び風船が膨らむ。 最後の赤れいむのいる箇所だけ風船が窄まった状態で。 セロテープの輪が内からの圧力に耐えて、その場所だけ風船の膨張を押さえ込んでいるためだ。 だが、セロテープが圧力に耐えたところで、セロテープと風船の間の物も耐えるかと言うと、そうではない。 セロテープの輪と風船に挟まれて残っているのは、薄く潰れた饅頭皮一枚のみ。 その下にあった筈の餡子は、口とあにゃるの饅頭皮を押し広げて、水槽の中へボトボトと落ちてしまっていた。 さてさて、最後に残るはお姉ちゃんのまりさちゃん。 一番の特等席から、妹達が千切れたり、饅頭の抜け殻になって行く姿をつぶさに見ていたその目が、 今はその感動のラストシーンを反芻するかのように、固く閉じられ、涙を流している。 フー… 「んも゛ぉっ…!?」 眼底からの圧力に、目玉が半分ほど飛び出し、閉じていたおめめが再び開いて、俺を見る。 その怯えきった涙目に笑いかけてから、空気が抜けないようにして一旦風船から口を放す。 「まりちゃちゃあん、これから妹達みたくブッチィンって千切れちゃうよ? 怖い? ブッチンはイヤ?」 「ゆも゛ぉっ…!! も゛ぼっ…!!」 言葉は発せなくとも、目は口ほどに物を言う。 その涙が全てを俺に伝える。 「うんうん、わかる、わかるよー。そうだよねぇ。ブッチンはヤだよねぇ。 じゃあ、お兄さんがまりちゃちゃんがブッチンにならないようにしてあげるねええぇぇ!」 別の風船−大きくて透明度が高いもの−を取り出し、ハサミで切り開き、一本のゴムの帯状にする。 これを赤まりさと、その前後を囲むようにぐるっと巻き付ける。 被せた風船の下に透けて見える赤まりさちゃんが、 イヤイヤをするように目だけを左右に動かしている姿がかわいすぎて生きてるのがつらい。 「始まるよ! 始まるよ! かわいいまりちゃちゃんのすーぱーぷくぅタイムが始まるよ!」 そう言って再び風船を口に咥える。 水槽の中の姉妹達からゆんやゆんやの大喝采が聞こえてくる。 お母さんも感激の涙を流している。 フーーー…! 「ゆ゛ぼお゛っ………!?!?」 内側の風船が伸び、あっという間に赤まりさのお口とあにゃるが横に裂ける。 だが、一緒に伸びた外側の風船に押さえつけらているお陰で、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「~~!? ~~!!」 口元から、赤まりさの顔に縦に亀裂が走り始める。 ミチミチと皮が破れ、餡子色の亀裂が眉間へ、おでこへ、頭へと広がって行く。 風船の下で行き場のない涙を滲ませ、俺に向かって命乞いをする両目が徐々に離れて行く。 だが、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「………!!!」 風船と風船の間の空間に、赤まりさの餡子がじわじわと滲み出す。裂けたお顔やあにゃるから。 喉やあにゃるを通ってから排出された分は別として、 裂けた皮から漏れ出た分は、風船で押さえつけられているお陰でまだ体内の餡子と一つに繋がった状態。 言ってみれば、皮を剥がれた状態と変わらない。 だからまだ、命を奪うには至らない。 どんどん、どんどん、餡子が広がる。皮も広がる。広く広く、薄く薄く。 それでも命を奪うには至らない。 潰れて倍ぐらいに広がった小さなおめめが、遂に破裂して円形を留めなくなった。 その下からも、餡子が溢れ出してくる。 フーーー…! フーーー…! フーーー…! ……… ……… 外側の風船をそっと剥がし、内側の風船の空気を抜く。 「はい、プレゼント」 水槽の中で固まって震えている赤ゆ達の頭上から、風船に貼り付いていたソレを落とす。 約束通り千切れることなく繋がったままの、ペラペラの餡子のリングがパサリと音を立てて落ち、赤ゆ達の周りを囲む。 落ちたリングの外側の一部が捻れて裏返り、赤ゆ達の方を向いた。 そこに貼り付いていたのは、髪の毛、そして薄く引き延ばされた丸い穴の開いた饅頭皮。 赤まりさのお顔の右上側だった。 「「「「ゆぴ…ゆぴぴ……ゆぴいいぃぃぃぃーー!!」」」」 赤ゆ達が、一声鳴いた後、口から餡子の泡を吹いて気絶する。 餡子リングは暫くブルブルと震えていたが、やがて動かなくなった。 「あがぢゃん……あがぢゃああぁん……かえれると…おもっだのにぃ……」 愕然とした表情で餡子リングを見つめながら、母れいむが涙を流す。 そんなれいむの髪をそっと撫でて、静かに声をかける。 「れいむ…元気出しなよ…れいむがしっかりしないと赤ゆちゃん達がゆっくりできないよ… ほら、死んだまりさちゃんも言ってるよ…聞こえない…? …ゆやあぁぁあぁ、まりちゃちにたくないよー おかーさんがおぼうしとらなかったら、まりちゃはちななくてすんだのにー どーちて、まりちゃのおぼうししゃんとっちゃったのー おかーさんはまりちゃのこときらいなんだーゆええええん」 「ゆっぐ…ぢ、ぢがうのぉ…れいぶのあがぢゃん……れいぶ…れいぶ…ぞんな…づもりじゃ…」 「おかーさーん、くるちいよぉぉー、いたいよー、おくちがさけちゃうよー、からだがちぎれちゃうよー、 おかーさーん、まりちゃちゅぶれちゃうよー、まりちゃをたしゅけてー、 おかーさーん、まりちゃのおぼうしかえしてよー、まりちゃゆっくりできないよぉぉ…… …どう、れいむ? 少しは元気出た?」 「ごべ…ごべんね…あがぢゃん……ごべん…ねえ…ゆる…じでねえ…おがあざんをゆるじでえぇぇぇ……」 俺はれいむの涙を餡子リングでそっと拭ってやった… [残り赤ゆ] まりさ×3 れいむ×1 ========== 今日は日曜日。 積んであった本を虐待部屋に持ち込み、読書に勤しむ。 とは言え、実は本の内容はほとんど頭に入っていない。 俺のすぐ横の水槽で楽しいイベントが発生しているせいだ。 「ゆ…こうなのじぇ…」 「ちがうよ…こうぢゃよ…」 何やらボソボソと言葉を交わしているのは、二匹の赤まりさ。 母れいむの背後で身を寄せ合って、嬉しそうにお喋りをしている。 その二匹にチラリと視線を送り目配せをすると、二匹がぽいんと跳ねて答えてくれた。 母れいむは今はお昼寝の時間。 食事に微量のゆっくり用睡眠薬を混ぜておいたので、ご飯が終わるとすぐに舟を漕ぎ始めた。 額からは茎が伸び、四つの実ゆっくりが実っている。 予定日は明日。まだ種族不明。 きっと今度こそ無事赤まりさが生まれて、みんなでおうちでゆっくりしている夢でも見ていることだろう。 「ゆ…ゆっ…にゃんだか………きちゃよ……」 赤まりさ達の様子を横目で伺う。 そこで起きている事を見て、顔のニヤけが止まらない。 「「………………ぃぃぃーーー!」」 一際大きい声を聞いた瞬間、思わず噴き出しそうになり、慌てて本で顔を隠す。 赤ゆの声に反応して、母れいむが目を開いた。 だが、まだ夢うつつのようだ。 「ゆうぅ…いまのこえなに…? おちびちゃん…? ゆっくりしていってね…ゆぴー…」 眠たげに目を開いたれいむだったが、すぐに目蓋が下りる。 母れいむが再び眠りに落ちたのを確認して、赤ゆ達がまたお喋りを開始する。 「みょういっきゃい……」 「ゆぅ…にゃんだか…しゅっごく……のじぇ…」 ……… 「「………………りいいぃぃぃーーー!」」 またもや上がった大きな声に母れいむの目が半分ほど開くが、すぐに閉じる。 「ゆっ…こんぢょは…まりしゃが……」 「ゆっ…ゆふん…ゆぅぅん……」 「まりしゃたち なにちてるにょ? れいみゅもいれちぇね!」 「し、しじゅかに…! しゅ…しゅるのじぇ!」 「れ、れいみゅは…ゆぅ…! あっち…いっちぇよぉ!」 「ゆぅぅ…どうちてなかまはじゅれにしゅるのぉ…」 再び何事か始めた赤まりさ達に気付き、赤れいむが近づいて来たが、興奮した様子の二匹に追い返される。 「ゆえぇぇ…おきゃあしゃーん! まりしゃがいじわりゅしゅるー!」 ポインポインと跳ねて行った赤れいむが、母れいむのもみあげを引っ張って泣きつく。 それでようやく母れいむも目を覚ます。 「ゆぅ~ん…? どうしたの、おちびちゃん……? ゆ…この声…何……?」 キョロキョロと周囲を見回し、やがて、背後にいる赤まりさ達に向き直った、その直後 「「ちゅっ! ちゅちゅちゅちゅちゅっ! ちゅっきりいいいいいぃぃぃぃぃーーーー!!!」」 粘液にまみれた頬をくっちょくっちょと擦り合わせていた赤まりさ達が、幼いすっきりを終えた。 「ゆああぁぁぁっ!? おぢびちゃん!? なにやっでるのおおぉぉ!? まだあかぢゃんなのにすっきりしちゃだめでしょおぉぉ!」 「ゆぴっ!?」「ゆべちっ!?」 れいむが悲痛な叫びを上げながら、もみあげで赤まりさ達を叩いて引き離す。 そのもみあげの先に、ネットリとした粘液がこびりつく。 すっきり三回分の粘液が。 「いちゃちゃ……ゆっ! おきゃあしゃん! まりしゃたち、おうちかえれりゅよ!」 「ゆぅ! しょうなのじぇ! まりしゃがいもうちょのまりしゃを……ゆ…?」 誇らしげに笑顔を浮かべていた、のじぇまりさの言葉が止まり、顔が苦悶に歪み始める。 その額が小さく盛り上がった。 「…ゆひっ…! かひゅっ…! ゆぎゅ……く、くりゅ……ち……」 母れいむが叱ったとおり、赤ゆっくり・子ゆっくりのすっきりは御法度だ。 赤ゆっくりを宿した母体は、赤ゆっくりに体内の栄養分を吸収される。 生まれる赤ゆっくりは、母体のサイズに関係なく普通の赤ゆサイズに成長するまで母体の栄養を吸収しようとする。 それが実った赤ゆの数分だ。当然、体の小さなゆっくりが賄いきれる量ではない。 栄養状態が極めて良好な子ゆっくりであれば一命を取りとめるケースもあるが、赤ゆっくりでは120%助からない。 「ゆが……が………ゆ゛………」 「あがぢゃあぁん! しっかりじでえぇ! しんじゃいやあぁぁ!」 のじぇまりさの額から茎がニョキニョキと伸び始め、更にもう一本、茎が伸び始める。 と、同時に饅頭皮が急速に黒ずみ、体のあちこちがボロボロと崩れ落ちる。 「も゛……ゆ゛……」 「ゆわああぁあぁ! れいぶのあがぢゃんがあぁぁ!?」 そして完全に黒ずんで枯れたのじぇまりさは、何も言わない黒い塊になった。 二本の茎からは、西瓜の種のような黒い物体が糸を引きながら幾つもぶら下がっていた。 「まりしゃあぁ!? どうちちぇえぇ!? にゃんでえぇえぇ?!」 一緒にすっきりをしていた赤まりさが叫ぶ。 その様子を水槽の上から覗き込みながら、俺が口を挟む。 「あー…まだ赤ちゃんなのにすっきりーしちゃったのかぁ…そりゃ、死んじゃうよねぇ…」 「ゆうぅぅ?! な、なにいっちぇるのおおぉぉ?! だっちぇ…ゆ…? ゆゆ…?」 「だって」、ね。 そうそう、そうだったよね、まりしゃちゃん。昨夜は楽しかったねぇ… ~~~~~~~~~ 「「「ゆぴー…ゆぴぴー……」」」 夜十時 ゆっくり達が眠れるように、夜は照明を絞っている暗い室内にゆっくり一家の寝息が響く。 足音を立てずに水槽に忍びより、そっと様子を窺うと寝息以外の声が聞こえてきた。 「ゆうぅ…おなきゃがすいちゃよ…」「あみゃあみゃしゃんたべちゃいのじぇ…」 空腹で寝付けないのか、ボソボソとお喋りをしているのは、二匹の赤まりさ達。 起きているのがいると都合が悪かったのだが、この二匹ならばちょうど良い。 ヒョイヒョイと二匹を摘み上げ、掌に乗せた。 「ゆっ?」「まりしゃおしょらをとんでりゅのじぇ! ふーわふーわ!」 「夜更かししてるいけない子はだーれだ?」 「「…!?」」 大好きなお兄さんこと俺の掌の上にいる事に気付いた二匹が、かわいい目ん玉を飛び出させる。 悲鳴を上げられる前に素早く赤ゆ達の頭を押さえつけ、小声で囁く。 「騒がないでね? 騒いだら、お兄さん、びっくりしてゆっくりできない事しちゃうかもしれないよ? ゆっくりりかいできる?」 お口を開けない赤ゆ達が、揃っておそろちーちーで肯定の返事をする。 やめてね! そんな目でお兄さんを見ないでね! 握り潰したくなっちゃうよおぉ! ……… 「むーちゃむーちゃ! ち、ち、ちあわちぇえぇぇ!!!」 「おいちいのじぇぇ! これめっさおいちいのじぇぇぇ!」 「ははは、麦チョコおいしいかい? さっきは驚かせてごめんね!」 俺の部屋に連れてこられた赤ゆ達は、最初はこの世の終わりを迎えたような顔をしていたが、 麦チョコを三粒食べさせてあげただけで、すっかりご機嫌になった。 「おにいしゃん! もっちょちょうだい!」「むぎしょこしゃんはゆっくちできりゅのじぇ!」 「だーめ、もう終わりだよ」 「「ゆうぅぅ…」」 途端に涙目。コロコロと変わる表情は見ていて飽きない。 もっちょよこちぇぇ! こんにょくっしょじじいいぃ! とか言わないトコもかわいくっていいよね! まあ、アレはアレで身の程を知らないおバカさ加減がまたかわいいんだけどね。ふふふ! あぁ、ホント赤ゆちゃんはかわいいなぁ…はぁ…潰したい…潰したい…潰したいなぁ…… 「ゆー? おにいしゃん、どうちたにょ?」 「ん? 何でもないよ? 麦チョコはあげられないけどね、お兄さん、かわいいまりさちゃん達だけに特別にいいこと教えてあげるね」 ……… 「ゆゆーっ! しゅごいのじぇ!」 「やっちゃあ! まりしゃたち、おうちかえれりゅにぇ!」 興奮気味にポヨンポヨンと飛び跳ねる赤ゆ達。 俺が教えてあげたのは、赤ゆでも理解できる簡単な事。 まりさとまりさですっきりーをして赤ちゃんが"生まれれば"、絶対にまりさの赤ちゃんになる ゆっくりのすっきりー行為は、赤ゆ同士でも実行可能だ。その後の事を考えなければ。 やり方もすりすり型なら至極簡単。 母れいむのすっきりーをいつも見せているし、後は本能でどうとでもなる。 俺からそれを聞いた赤まりさ達は、楽しげな計画を思いついて大喜びしていた。 「そうだ。この事はれいむお母さんには内緒にしておこうね」 「ゆ…? どうちちぇ…?」 「お母さんをビックリさせてあげるためだよ! そうだね、お母さんがお昼寝しているときにでも、こっそりすっきりーをしてごらん。 お母さんが起きたら、まりさちゃん達の赤ちゃんを見せてあげるんだ! きっとお母さん、大喜びして、すっごくゆっくりしてくれるよ~!」 「「ゆうう~ん♪ ゆっくち! ゆっくちぃ!!」」 「ふふふ! ゆっくり! ゆっくりぃ!」 ~~~~~~~~~ 「ゆ…だっちぇ…ゆぎ…?! …ゆ…おにいしゃ…ゆぎっ?! く、くりゅちぃ…!」 だって、お兄さんが教えてくれたんでしょおおぉ?! かなぁ? まりしゃちゃん。 そうだね。お兄さんが教えてあげたんだよね。 赤ちゃんがすっきりーしたら、死んじゃう事までは教えてあげなかったけどね。 ふふふ…なんでお兄さんの事、信用しちゃうのかな? 今まで、お兄さんがまりしゃちゃんの姉妹達に何をしてきたか覚えてないのかな? ばかなの? 黒ずんで死ぬの? なんでそんなにかわいいの? ふふ…うふふふ…… 3回目のすっきりーで母体となったのが、残った方の赤まりさだったようだ。 こちらは茎一本分なので、最初に死んだ姉妹よりも緩やかに死へと向かって行く。 「ゆ…ゆぐっ……くりゅちい…! …おきゃあ…しゃ……」 「お、おちびちゃん?! おちびちゃんもなのぉ?! ゆやあぁあぁ! じっかりいぃ! しんじゃいやあぁ!」 額から茎が伸び始め、体内の栄養分を急速に吸い出して行く。 それと共に赤まりさの体の各所が崩壊を始める。 「ゆぎっ……かひぃ……ゆひっ……くりゅ……し……きひっ……」 「おぢびぢゃあぁあん!!」 まずは呼吸器系…だろうか? ゆっくりに呼吸器があるのかは知らないが、息を詰まらせているような声を上げ始め、苦悶の表情を浮かべる。 「い…ちゃ…おかおが…いちゃ…かひっ…あんよしゃ…いちゃ……ぺりょ…ぺ……ちちぇ…」 「いだいの? おぢびぢゃん、いだいのぉっ?! おがあざんがぺーろぺーろじであげるがらあぁ!」 饅頭皮が黒ずみ始め、その表面がハリを失ってひび割れ、崩れ始める。 髪の毛も縮んで黒ずみ、三つ編みのお下げがボロッと崩れて地面に落ちる。 「みえ……にゃい……まっきゅ…ら……かはっ……こあい……よ……おべべ……いちゃ…けひっ…」 「おにいざあぁん! あがぢゃんだずげであげでえぇぇ! いばならまだぁぁ!」 「いや無理でしょ、これは。もうこんなだし」 片方の目がドロリと溶け、頬を伝って滑り落ちて行く。 その目玉を追うようにして、餡子と混ざった黒い涙が滴り落ちる。 残った目は、まだ眼窩に嵌ってはいるが、こちらも溶け始めている。 もはや眼球としての機能は果たしていないようだ。 「かっ……ひっ……いちゃ…い…くりゅち……ちぬ…にょ……や……ぢゃ……まり……しゃ……」 「おねがいぃ! おねばびじまずうぅぅぅ!!!」 歯が歯茎ごと次々に崩れて抜け落ち、舌は干涸らびたように縮んで行く。 体内の餡子がグズグズになったのか、体が球形を維持できなくなりベシャリと潰れてくる。 「も゛っ……ぢょ……………ゆ゛…………」 「あがぢゃあああああぁぁん!!」 目や口、あにゃる、しーしー口、その他、体に開いた穴から、ドロリと粘液状になった餡子が漏れ出す。 そのまま、黒い茎を生やした赤まりさは何も言わなくなった。 「ゆっぐ……あかちゃん……どおして……どおしてこんなこと……したのぉ……?」 黒ずんだ二匹の赤ゆの前で涙を流して呆然とする母れいむ。 「お兄さんにもわからないよー でも、ひょっとして…自分達がれいむの替わりに赤ちゃんまりさを産めば、お家に帰れると思ったのかな…」 「ゆっぐぐ……ごべんね……あかぢゃんごべんね……おかあざんが……おかあざんが…だめなばっがりにぃぃ……!」 笑いを噛み殺しながら投げかけた俺の言葉に、れいむが地面に頭を擦りつけながら、黒ずんだ赤ゆに向けて何度も謝る。 それから、ひしっと、残った二匹の赤ゆをもみあげで抱きしめた。 「おがあざん…ふたりを…しなせないからねぇ…なにがあっでも…たすげるがらねえぇ……!」 三匹の親子は抱き合いながら、ゆんゆんと泣き続けていた。 [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×1 後編に続きます
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れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 後 39KB 虐待-凄惨 理不尽 妊娠 赤子・子供 透明な箱 虐待人間 「餡子ンペ09」 善良ゆっくり虐待 「ふたば系ゆっくりいじめ 641 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中」からの続きです ========== 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 今日は仕事が長引き、帰宅したのは茎に実った赤ゆ達がとっくに生まれ落ちたであろう時間になった。 で、帰宅一番、れいむ達の様子を見に行ったら、もう生まれ落ちている筈の赤ゆ達の姿がどこにも見当たらない。 「あ、あかちゃん? なんのこと? れ、れいむしらないよ!」 「知らないって…今朝いただろ、ここに。ほら、こう茎が生えて、かーわいいのが」 れいむの頭上、茎が生えていた辺りの中空をとんとんと指差すと、れいむが目を逸らす。 「お、おにいさんがおでかけのあいだに、く、くきさんが無くなっちゃったんだよ! ほんとだよ! れいむうそなんかついてないよ!」 「へー、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったの?」 問いかけた先は、れいむではなく、れいむの影に隠れていた赤ゆ達。 「しょ、しょうだよ…!」 「あ、あか、あかしゃんはきえちゃったんぢゃよぉぉ…!」 「ふーん、赤ちゃんの茎さん、無くなっちゃったのぉ?」 「しょ、しょ、しょ…しょうぢゃよぉぉ…!? う、うしょじゃにゃいよぉぉ!?」 「れ、れれ、れみゅ、れみゅ、れいみゅ、うちょちゅいてにゃいよ!?」 ふむ。 特に怪しいところもないし、消えちゃった物は仕方ないね。 水槽内の石の影や、れいむの口の中もチェックしたけど、赤ゆは隠れてないし、土を掘り返した跡もない。 本当にいなくなったようだ。 この世から。 「そっか。なら仕方ないね。じゃ、また赤ちゃん作ってもらおうかな」 次の出産に向けての仕込みだけ済ませると、虐待部屋を後にした。 そして、次の出産日。 仕事は早く終わり普通に帰宅したが、のんびり晩飯を食って時間を潰してから虐待部屋に向かう。 「あれっ? れいむ、赤ちゃんは?」 まあ予想通りの展開と、同じ問答の繰り返し。 「そっか。消えちゃったんじゃ仕方ないね。 そうそう、赤ゆちゃん達にお土産あるよ。とっても甘くて美味しいお菓子だよ。食べる?」 「「ゆっ? あみゃあみゃしゃん!? たべりゅ!!」」 それまで、やたらとオドオドしていた赤ゆ達が、帰りがけに買ったお土産の箱を見せた途端、突然元気になる。 現金なものだが、それがまたかわいい。 箱を開けて、赤ゆ達に向けて差し出す。 「ハハハ、一杯食べていいからね。とっても美味しいんだよ~、このお店の…」 「ゆっ! おいちしょうなにおいがしゅるよ!」 「あみゃあみゃぁ~♪」 甘い匂いに誘われ、赤ゆちゃん達が俺の元へとよちよちと這ってきて、 「赤ゆっくり焼き」 「「ゆびゃああぁああっ?!」」 こんがりキツネ色に焼けた同族の姿を見て悲鳴を上げた。 ……… 「いや~悪いな~お兄さん一人で美味しい物食べちゃってぇ~」 赤ゆちゃん達が急に食欲を無くしたみたいなので、お土産は俺一人で食べる事になった。 二匹は母れいむに縋り付き、もみあげに抱かれて、ぷるぷる震えている。 「むーしゃむーしゃ! し、し、ししししし、しあわせ~~~!!! うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ! はふっほふっ!! あまあましあわせー!!」 ゆっくり達に見せつけるように、両手に赤ゆっくり焼きを持ち、交互にガツガツと貪りつく。 「いや~! 本当にね! 赤ゆっくりちゃんは食べると美味しいんだよねぇ! がーつがーつ! んほおおぉぉ! あまあま~!! 特にね! まだ生まれたばかりの小さな赤ちゃんをね、生きたまま食べるとすっご~く美味しいんだよね! ね? れいむは知ってる? あっれ、美味しいよね~!!」 七個目の赤ゆっくり焼きを頬張りながら、母れいむに向けて首を傾げる。 「な、なななな、なじいっべるのおおぉぉ?! ででででいぶが、あがっあがっあがぢゃんたべぢゃうばげないでじょおおぉぉ?!」 多少口ごもりながら、盛大に汗を噴き出させたれいむが首を横に振る。 汗の感触が不快だったのか、れいむに縋り付いていた赤ゆ達が、れいむから離れて、じりじりと後ずさる。 怯えたような視線でれいむを見上げながら。 「お、おおおおぢびぢゃんっっ?! ぢ、ぢがうよおおぉ?! あれはぢがうよおぉぉ!? どおおおじでそんなおめめでおがーざんをみるのおおぉぉ!?」 「むーしゃむーしゃ…げっぷ…し、し、し、しあわせ~~! うっめ! うっぷ…! これめっちゃ…うっ……うっめ!!」 そのまた次の出産日 「ゆっ…お、おにいさん…」 「あーはいはい。赤ちゃん消えちゃったのね」 口を開きかけたれいむには目もくれず、怯え切った目でこちらを見ている二匹の赤ゆを水槽から摘みだして手のひらに乗せた。 「ところで、赤ゆちゃん達。お兄さんに何か内緒にしてる事ないかなぁ?」 「「ゆんぴゃあああぁぁあ?!」」 笑顔で尋ねた俺に、二匹が文字通り飛び上がって悲鳴を返す。 「ちちちちち、ちりゃにゃいよぉ!? まりしゃはちりゃないよぉぉ!!?」 「れ、れれ、れびゅ、れいびゅぶっ、ちり、ちりっ、ちりまちぇんんん!!」 「あっ、そう。それならいいんだけど。 れいむお母さんがなかなか赤ちゃん産んでくれないからさー ひょっとして何かズルしてるんじゃないかなーーー?って疑っちゃったよ。 ごめんね、変な事聞いて。 良い子の赤ゆちゃん達は、お母さんがズルしても、ちゃんとお兄さんに教えてくれるもんね? ね?」 赤ゆ達がぷるぷるぷると上下に小刻みに震えて頷くのを見て、俺も満足げに大きく頷く。 「そうだよね。お兄さん良い子の赤ゆちゃんは大好きだよ! お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶときには、良い子の赤ゆちゃんだけは選ばないようにしてあげるからね! でもウソつきの悪い子は殺す。たっぷり苦しめて殺す」 赤ゆ達を水槽に戻しながら俺が言うと、赤ゆ達がビクッと震え、家族全員に何とも言えない緊張が走る。 しかし、暫く待っても、赤ゆ達は震えながら黙りこくったままだ。 ……フッ、カマかけ失敗か。 まあ、強い親子愛と信頼で結ばれているこの家族の結束はこんな事では揺るがないよね。 「…さて、じゃ、今度こそ赤ちゃん産んでもらおうかな…すっきりーの準備準備と…あ、そうだ。れいむ」 「ゆ?」 「この前相談したどっちの赤ちゃんから先に殺すかって話だけど…」 「…ゆっ?? ゆゆっ?! な、なにそれ?! れいむそんなはなししてないよ!?」 立ち上がりかけながら、何気なく話し掛けた俺の言葉にれいむが目を白黒させる。 実際そんな話はしてないから無理もない。 「…あっ…! あ、ご、ごめ…そ、その…お、お兄さんの勘違いだったよ! ごめんね! 忘れてね!」 「お、おちびちゃん?! おかあさん、そんなはなししてないよ! しんじてね!?」 あたふたと手を振ってから、チラッと赤ゆ達に視線を落とす。 二匹の赤ゆは、大きく目を見開き、先ほどまで以上に青白い顔でガクガクと震えている。 特に片方が。 ややあって、その片方がゴクリと唾を飲み込んだ。 「お、お、おにいしゃん…! ……お、おきゃあしゃん…おきゃあしゃんがぁ……」 「ゆっ?! お、おぢびぢゃん?!?!」 口を開いた赤ゆに不穏な物を感じたか母れいむが押さえようとするが、一歩遅かった。 「おきゃあしゃんが れいみゅのいもうちょ たべちゃったのおぉぉ!! ゆんやああぁぁあ!!」 「おぢびぢゃぁぁぁん?!?! ど、ど、どおじでしゃべっちゃうのおぉぉ!? せっがぐうまぐいっでだのにぃぃ!?」 「だっちぇえぇ! れいみゅぅぅ…! れいみゅは いりゃないこぢゃないのにぃぃ!! れいみゅもおきゃあしゃんのれいみゅなのにぃぃ!! おきゃあしゃんがあぁぁ! おきゃあしゃんがあぁぁぁぁ!」 訂正、「強い親子愛と信頼で結ばれて"いた"この家族」だ。 生まれても祝福されず、落胆されるばかりの自分と同じ姿の妹達。 "まりさじゃなくてれいむだから" それだけの理由で家族から暖かく迎えられない妹達を見る赤れいむの胸中はいかばかりか。 まりさ種を生もうと意識して、まりさの写真に目を向ける母れいむ。 俺が見ている限り、母れいむの赤れいむへの対応は、それほどおざなりになっているようにも見えなかったが、 当の赤れいむからしてみれば、ほんのわずかな疎外感もこの状況下では大きな物に感じるだろう。 些細な悪戯のつもりで仕掛けた事だったが、それがこんなにも生きてくる状況になるとは思わなかった。 自分と同じ姿をしたれいむ種の妹を食い殺す母親。 当然母れいむは、姉達を助けるためと説明しているだろうし、事実その通りだろう。 子供思いのれいむは、さぞや慚愧の念に満ちた悲痛な「むーしゃむーしゃ」を繰り返していたに違いない。 だが、「赤ゆっくりは美味しい物」という情報を与えられたことで、 赤れいむは母の行為に「自分達への愛情故」以外の可能性を見出す。 それでも赤れいむは、自分が母れいむの中で唯一無二の大切な存在であると信じ切ることができるだろうか。 自分達の小細工がいつかはバレるのではないかという恐怖。 そして、母れいむと俺が次に殺す赤ゆを密約しているかもしれないという疑念。 信じがたい話ではあるが、もし、万に一つ、その疑念が事実だった場合、母れいむが選ぶのはどちらか。 以前の赤れいむなら、自分は見捨てられないと、何の根拠もなく盲目的に信じただろう。 だが、今の赤れいむはどう考えるか。 一つ一つの疑念や不信はほんの小さなしこり。 この母娘の信頼関係の前では、気のせいに違いないと、無視できる程度の物。 だが、そのしこりが繋ぎ合わさったら? 死の恐怖の渦中にぶら下げられた、保身という甘い餌。 それに釣られる程には、母れいむに対する赤れいむの信頼は綻んでいたのだ。 ……… 「なるほどねぇ…そんなズルをしていたんだ、れいむは。 お兄さん、れいみゅちゃんが教えてくれなかったら、全然気付かなかったよ」 「あ…あの゛…おにいざん…ごれは…ごれは…ぢがうよ…そうじゃないよ……」 「さて、赤ちゃんが生まれてて、全員れいむちゃんだったんなら…わかってるよね?」 苦しげに言い分けを捻り出そうとするれいむを他所に処刑宣言を下すと、赤まりさがチロチロと漏らしながら震え上がる。 赤れいむは、俺の処刑選択枠から外れている。 となれば… 「よし、れいむ。どっちを殺すか選べ」 予期せぬ俺の言葉に母れいむが目を丸くする。 それ以上に赤れいむが。 「ゆ?! ゆ?! お、おにいしゃん?! れ、れいみゅは…」 「うん。お兄さんはれいみゅちゃんを選ばないよ。お母さんがどっちを選ぶかまでは知らないけどね」 「ゆっ?! ゆうぅぅっ?! ……う…うっ…うしょちゅきいぃぃ!!」 「え? お兄さんはウソついてないよ? 『お兄さんが殺す赤ゆちゃんを選ぶとき』って言ったんだからね? お兄さんが選ばないときは知らないよ。さ、れいむ、どっち? まりしゃちゃん? れいみゅちゃん?」 「え、えらべないよおおぉぉ?! ぞんなのえらべるわげないでじょおおぉ!?」 「そう? じゃあ、まりしゃちゃんでいっか。まりしゃちゃん、死のうね」 背を向けて逃げ出した赤まりさを悠々と掴むと、顔だけを出させるようにして握りしめ、徐々に力を込める。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!! きゅ、きゅるちぃよおぉぉ!!」 「ゆあ…やめ゛…おにいさん…あかちゃん…しんじゃ…う……」 ギュッ 「ゆぶううぅぅっ?! ゆぶっ!! ぶっ!」 「や、やめで…! やめで、やめで、やめでよおぉぉ! おねがいだよぉぉ!」 赤まりさの顔がパンパンに膨らみ始める。 餡子を吐くまいと必死に口を閉じ、真っ赤になりながら。 ギュゥッ…! 「ゆ゛っ…?! ゆ゛ぼっ!!」 「……っ!! ……っ!!」 赤まりさの奮闘虚しく、口から少量の餡子が漏れてれいむの顔に降りかかる。 俺は、閉じられた赤まりさの目蓋を小指で押し開け、笑いかけた。 「さよなら! まりしゃちゃん!」 「ごろずのはごっぢのおぢびぢゃんにじでよおおぉぉぉ!!」 そのれいむの叫び声に、叫びを上げたれいむ自身がハッと息を飲んだ。 そして、赤れいむも息を飲む。 俺の手の中でもがき苦しむ赤まりさ以外の全員が、その叫びに時を止めた。 「…うん、わかった」 俺がそう答えて赤まりさを水槽に戻すと、再び時が動き出した。 それまで涙目で赤まりさを見上げていた赤れいむが、ゆっくりと母れいむの方を振り返った。 「お……きゃ……あ……しゃん…………?」 赤れいむの呆然とした表情を目にした母れいむが、ずり…と後ずさる。 「ゆ…あ…ち…ちがうよ……い、いまのは…ちがうよ……そうじゃなくて……ちがうよ…ちがうよ…おちび…ちゃん…」 こちらも呆然とした表情で、母れいむが首を振りながら後ずさる。 眼前で失われ行く命を助けようと躍起になるあまり、考え無しに別の選択肢に飛びついただけか 愛するはにーのまりさによく似たおちびちゃんを優先したか 赤まりさを産むためには、まりさ種が傍にいた方が確立が上がるという迷信じみた打算があったか それとも姉妹を売った赤れいむへの怒りか 何がれいむにそう言わしめたか、正直俺にはわからない。 きっとれいむ自身にもわかってはいないのだろう。 だが、確かにれいむはその言葉を発した。選択の言葉を。 そして、一度発した言葉は、もう元には戻らない。 「おきゃあ…しゃん………………ごめんにゃ……しゃい…………」 消え入りそうな言葉と共に、母れいむを見つめる赤れいむの頬を涙の滴が伝って行く。 喜び、哀しみ、怯え、いつも生の感情に満ちて輝いていた、その幼い瞳から輝きが消えて行く。 幼い赤ゆにとってのたった一つの拠り所、母れいむ。その母に見捨てられた。 疑念に過ぎなかったそれが、確信へと変わった。真実へと"変えられた"。 その深い、深い、絶望の色にベッタリと塗りつぶされて、輝きが消え失せて行く。 ああ…どうしてだろう……… どおおぉぉしてそんなに素敵なお顔をするのおおおぉぉぉ?! れいみゅちゃああぁぁん!! れいみゅちゃんの妹もお姉ちゃんもそんなお顔はしなかったよおぉおぉぉ!? どれだけ絶望したらそんなお顔ができるのおおおぉおぉ!? とってもかわいいよほおぉぉぉ!!! 待っててええぇぇえぇ! お兄さんの魔法のスパイスで ほんのちょっとだけ絶望の味を甘くて美味しくしてあげるからねえぇえぇ!! 「のーびのーびするよ! ほら! れいみゅちゃん! のーびのーび! のーびのーびっ!!」 「ぴっ…! い…! あっ…! ゆぴっ…! たち…! おきゃ…! おきゃーしゃ…!!」 俺の目の前で賑やかに声を上げているのは、赤れいむちゃんだ。 母れいむのいる水槽前の床で、のびのび練習の真っ最中だ。 左目から入って後頭部に抜けたピアノ線を上へ引っ張られるたびに、元気よく体を伸ばしている。 「のーびのーび♪」 「ゆきっ…! や…! ぴっ…!」 ピアノ線を持ち上げる度に、細い鋼線が目の上の餡子に食い込み、必死に体を伸ばしてその痛みから逃れようとする。 ピアノ線を下げれば、体を戻し、上げれば、またのーびのーび。その繰り返し。 とは言え、まだ思うようにはのーびのーびできない幼い赤ゆ。 段々と、食い込んだピアノ線が饅頭皮と餡子を切り裂き、傷口が頭へと向けて縦に広がって行く。 「やめでぐだざいっ! おにいざんもうやめでっ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでっ!!」 「何言ってるんだい、れいむ? れいむがれいみゅちゃんを殺してって頼んだんだよ?」 「ぢ、ぢがうのおおおぉぉ!! あではぢがうのおおぉぉ!!」 「違わない。はっきり言ったじゃないか。 ね、れいみゅちゃんも聞いたもんね。のーびのーび。 れいみゅちゃん、家族を裏切るのはとってもゆっくりできない事なんだよ。 だかられいみゅちゃんはお母さんから捨てられちゃったんだよ。 ゆっくり理解できるよね? のーびのーび」 「ゆぴぃっ…! ぴっ…! ごめ…! にゃしゃいっ…! ぴぎっ…! ごめっ…! しゃいいぃ…!!」 文字通り身を切り裂かれる痛みの中にあって、頻りに謝罪を繰り返す赤れいむ。 母れいむは、必死に己の言葉を打ち消そうとするが、果たしてそれは赤れいむの心には届かない。 どれだけ否定の言葉を紡ごうとも、あの時の言葉には一抹の真実が含まれていたから。 「のーびのーび、のーびのーび、のーびのーび」 「あ゛…! ゆ゛っ…! ご…! め…! きぴっ…! にゃっ…! ちゃっ…! ゆぴぃっ…!」 素敵な絶望の表情を見せてくれた後でも、その生存本能は生を拒否する事を許さず、 縮んで伸びて縮んで伸びてのかわいいのびのびダンスを繰り返す。 だが、どれだけ楽しいダンスもいつかは終幕を迎える。 ブチッ 「ゆびいいいぃぃぃいぃっ!!!」 「あがぢゃあああぁああんっっ!!」 遂にのびのびが追いつかなくなり、ピアノ線が赤れいむの頭を切り裂いて抜け出た。 鋼線による束縛から解放されて床に転がった赤れいむの目の前にあったのは、水槽の中の母の顔。 傷口から餡子を漏らし、体をブルブルと震わせながら、母れいむに向かって叫ぶ。 「おきゃあしゃああぁああんっ! ごめんにゃしゃいぃぃぃっ!! れいみゅぅぅぅ! れいみゅわりゅいこだったにょおぉぉ!! ゆるちちぇえぇぇえ!」 「あがぢゃああぁんっ! ぢがうよぉぉっ!! あがぢゃんはなにも… ブスリ 「ぴっきゃあああぁあぁぁああぁっっ!!!」 「ぼうやべでええぇえぇっ!!!」 アンコール。 赤れいむを仰向けにして押さえつけ、残った目に再びピアノ線をねじ込んだ。 寒天の目玉から涙に混じってドロリとした物が零れる。 そのままピアノ線をまっすぐ押し込み、先端を赤れいむの後頭部から突き出させる。 「みえにゃいよおぉぉっ!? おきゃあしゃああぁあん! どきょおぉぉ?! れいみゅここにいりゅよぉぉ!! れいみゅをぉぉ! れいみゅ 「のーびのーび」 ぴにいぃっ…!!! おきゃあ 「のーびのーび」 ゆびぃぃっ! おきゃっ 「のーびのーび♪」 あ゛っ゛!!」 赤れいむの呼びかけに母れいむはもう答えを返さない。 もう諦めたんだろ? 裏切り者の赤れいむに愛想が尽きたんだろ? 違う。れいむの母性をみくびるな…! 俺がボロ布を口一杯に押し込んで声を出せなくしたからだ。 しかし、両目の潰れた赤れいむは、その沈黙をどう捉えるだろう。 「おきゃあしゃああんっ! ごめんにゃしゃいっ! ゆぎっ! ごめんにゃしゃいぃっ! ぴっ! いちゃいよぉ! ぴいぃっ! ゆるちちぇぇ! ゆびっ! もうわりゅいこちょ…ぴぎゃっ! ちまちぇぇんっ! ぴっ! れいみゅ…きぴっ! いいこになりゅかりゃ…ゆぴぃぃ!」 赤れいむにとっては、その沈黙は完全な拒絶の証しだった。 餡子を切り裂く鋼の痛みに泣きながらも、痛みよりも死よりも恐ろしい孤独の恐怖に苛まれ、ただひたすらに赦しを乞う。 決して答えることのない母れいむに向けて。 ブチッ 「ゆぎいぃいぃぃっ!!」 頭に二筋目の切れ目を入れて、再びダンスから解放される。 そして、饅頭側の切れ端を振り回しながら、母れいむがいない方向に向けて懸命に叫び続ける。 「おきゃあしゃああん!! れいみゅをおいちぇかにゃいぢぇええぇ! れいみゅをすてにゃいでえぇぇ! れいみゅわりゅいこでちたあぁぁ! あやまりましゅうぅ! これかりゃはいいこになりましゅからぁぁ!! いたいいたいしゃんも がみゃんちましゅうぅぅ! にょびにょびも がんばりまちゅきゃりゃあぁぁ! れいみゅをすてちゃやぢゃあああぁぁっっ!! おぎゃああしゃああぁぁぁぁん!!!」 錯乱し、俺に強要されてるのびのびダンスすら、母れいむからの制裁と思っているようだ。 潰れそうになるぐらいにベッタリと水槽に顔を押しつけて、赤れいむを見つめて涙を流す母れいむの顔。 あの悲しみに満ちた顔を見せてあげる事ができたならば、赤れいむにも救いは訪れるのだろうか? その両の目が光を失った今となっては、もはや叶わぬ事ではあるが。 話は変わるがピアノ線の差し込み口がまだ残ってる。無くても開ければいいだけだけど。 「さあ、れいみゅちゃん! 今度はのーびのーび上級編! 逆さのーびのーびだよ! 頑張って!」 俺は赤れいむを上下逆さにひっくり返して、しーしーの穴からピアノ線をねじ込んだ。 お母さんが許すと言ってくれるまで、頑張ってのーびのーび♪ しようねええぇ!! [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×0 ========== 今日はれいむの出産日! 泣いても笑っても、今日で最後! というわけで今日は一日、水槽の横でれいむ達を観察しよーう! 仕事? 休んだ。 「ゆにぇぇん! おきゃあしゃあんっ…! どうちて あかしゃん ひとりだけにゃのおぉ!?」 「ゆうぅぅ…どうしてぇ…どうしてなのぉ…」 母れいむが、頭上の茎を見上げながら不安げに呟く。 そこには、まだ種族不詳の実ゆっくりが、ポツンと一つだけ実っていた。 ストレスでれいむの母体としての能力が早々に限界に来たか、出産促進剤を与えつづけた副作用か、 れいむが実らせた赤ゆは、この一匹だけだったのだ。 「いもうちょが まりしゃじゃなかっちゃら…まりしゃ…ゆっくちできにゃくなっちゃうよぉ…! もっちょ たくしゃん うんじぇよぉぉぉ…!!」 「だ、だいじょうぶだからね…おちびちゃん… おかあさん、がんばるから…がんばってまりさとおなじおちびちゃんをうむから… …ぜったい…ゆっくりさせてあげるからね……」 赤まりさに答えるれいむの顔は蒼白。とても大丈夫なようには見えない。 昨日れいむの茎に実ゆっくりが実ってから、こんなやり取りを繰り返している。 まだ生えてくるかもしれないと希望を持っていたようだが、今時点で生えてないなら一匹で打ち止めだろう。 「おやおや。結局ひとりだけなんだ。大丈夫なのかい、れいむ? 最後の赤ちゃんの命がかかっていると言うのに随分と余裕だね。 …まりしゃちゃん……お母さん諦めたのかも?」 「ゆええぇぇん!!」 ふふふ! 泣き顔かわいい! まあ、一匹だろうが、千匹だろうが、赤まりさなんて生まれるわけないんだけどね! ふふふ! うふっ、うふふふ! ゆふふふふふぅぅ!! 「………ゆふ???」 数時間後、俺は水槽の前でそんな間の抜けた声を漏らした。 「おにいしゃん! みちぇみちぇ! まりしゃのいもうちょは まりしゃぢゃよおぉぉ! とっちぇもゆっくいしちぇるよぉぉぉ!!」 ぽよーんぽよーんと渾身のジャンプで飛び跳ねるのは、最後に残った赤まりさ。 その笑顔が向く頭上の茎には、目を瞑ったまま穏やかな笑顔でユラユラ揺れている赤ゆっくり。 髪も生え始め、お飾りも形づくられている。 金髪。そして、小さいが、はっきりとお帽子の形をしている黒いお飾り。 以前のような他のゆっくりのお帽子を被せたような小細工ではない。 間違いなく、まりさ種の赤ゆっくりだった。 何故だ? そんな筈はない。そんな馬鹿な事がある筈がない。 「ゆっ! おにいさん、どお! ちゃんとあかちゃんのまりさだよ! こんどこそ、れいむたちをおうちにかえしてね! やくそくしたよね!」 困惑する俺に、れいむが胸?を張って頭上に実った赤ゆを見せつける。 「……そ、そう……だね……………ふ…ふふ……うふふふ……」 「ゆ?」 いきなり笑い出した俺に、れいむが不安そうな表情を浮かべる。 「ゆふっ! ゆふふふっ! ゆふふふふふふふふふふふ…!!……ゆふう~…凄い! お前ら凄いな! れいむ!」 「ゆ…ゆっへん!!」 「いいよ! もちろん約束は守るよ! いや、大サービスだ! この赤ちゃんも一緒に帰らせてあげるよ!」 「ゆゆっ?! ほんと!?」 「やっちゃあ! いもうちょもおうちかえれりゅね!」 言っておくが、ウソじゃない。騙しでもない。 本気で帰らせてあげるつもりだ。五体満足で。体も心も飾りも。 しつこいな。ホントに何もしないって。 れいむは、それだけの事をやり遂げたんだ。 「あかしゃあん! はやくうまれちぇねぇ! まりしゃ まちきれにゃいよ!」 「ゆっ! だめだよ! おちびちゃん! あかちゃんは、うまれるまえに たくさんゆっくりしているほど、ゆっくりしたあかちゃんになるんだよ!」 「ゆぅ~? そうなにょ?」 「そうだよ! おちびちゃんもたくさんゆっくりしてたんだよ!」 母れいむが、赤まりさに微笑みかけ、その小さな頬に自分の頬を寄せる。 赤まりさが少しくすっぐたそうにしながら、目を細める。 「ゆぅ…しゅーりしゅーり…おきゃあしゃんと、しゅーりしゅーり… ……おきゃあ…しゃん……まりしゃたち……ゆっくちできりゅよね……?」 「ゆ…! もちろんだよ! れいむのだいじなおちびちゃん! おちびちゃんと、いもうとのあかちゃんと、おかあさんと…みんなで…たくさんゆっくりしようね…! みんなの…ぶんまで……ゆっくり……ゆっぐり……じよう…ねえぇぇ……!」 「ゆ…ぅぅ…! まりしゃゆっくちしゅるよっ! れいみゅたちの…ぶんも…ゆっくちしゅるよ! ゆぐっ…! まりしゃたちのぶんもぉ…ゆぐっ…! ゆっぐち…しゅるよぉ! いもうちょ…の…ぶんも……ゆっくち…ゆっく…ちぃぃ……!! ゆっ…ゆえっ…! ゆえっ! ゆええぇぇん!! おきゃあしゃあぁぁん!!」 「おぢび…ぢゃん……なかないで…ねぇ…ないてたら…あかちゃんが…ゆっくりできないよぉ…!」 「ゆぐっ…! まりしゃ…ゆっぐ…なかにゃいよ…! おねえしゃんだかりゃ…なかにゃいよぉ! ゆううぅ…! あかしゃん! まりしゃのいもうちょのあかしゃん! ゆっくちうまれちぇね! おねいちゃんと…たくしゃん…たくしゃんゆっくちしようにぇ!!」 「ゆふふ… ゆっ! れいむのあかちゃん…! ゆっくりうまれてきてね!!」 「ゆっくちうまれちぇきちぇにぇぇ!!」 ………うん。 あ、ごめん。さっきの嘘。 いや、逃がしてはあげるけど、心だけちょっぴり傷つけちゃうかも。 他の赤ゆ達が何故死んで行ったのか、それだけは知っておいて貰おうじゃないか。 「いやぁ、ホント凄いよ! れいむは!」 れいむ達が落ち着いたところで、れいむの後頭部をバンバンと叩きながら話しかける。 「ゆっへん!!……ゆ? なにが…?」 「なにって、そりゃ…」 透明な箱を持ってきて、ずっとれいむのすっきりー相手を務めていた"まりさ"を取り出す。 暴れようとするソイツを押さえつけながら、頭にお帽子を縫い付けていた糸をカッターで切って帽子を取り上げた。 「ゆ? ……ゆ…? ……ゆゆっ?!?! ど、ど、どどっ、どぼっ、どぼじで?!」 れいむの目玉がこぼれ落ちそうになるくらいに見開かれ、そして叫びを上げた。 「どおおぉぉぉじて "まりざ" が "れいむ" なのおおぉぉ?!?!?!」 もし同好の士に今回の一件について話をしたら、きっと早い段階で俺の細工を言い当てた事だろう。 こうも都合良くれいむばかりが生まれるなんて事があるわけがない。 簡単なトリック。 タネはれいむのすっきりー相手の"まりさ"。 最初の二匹は正真正銘、本物のまりさだったが、三匹目のこいつはまりさ種の帽子を被せたれいむだ。 ゆっくりであるれいむ達の目からは、まりさにしか見えなかっただろうが。 当然、れいむ種同士のすっきりーで、まりさ種なんか生まれる訳が無い。 確率はゼロ、コンマとか整数位未満切り捨て・四捨五入とか余計な物なし、正しく0%。 …の筈だった。だが、生まれた。 考えられる理由があるとすれば……ゆっくりの思い込みの力というヤツなのだろう。 "まりさ"だと"思った"から、まりさ種の赤ちゃんを産んだ。 己の遺伝法則すら捻じ曲げてしまうとは、恐ろしい力だ。 今回は、俺の計画を見事に覆したその力に敬意を表し、素直に負けを認めるとしよう。 俺がそんな殊勝な気持ちになっている最中、その気持ちをくれた当のれいむは大層お冠だった。 「なんなのこれはあぁぁ?! れいむがれいむとすっきりしたって、まりさのあかちゃんなんかうまれるわけないよおぉぉ!! こんなのぉ…こんなのずるいよおおぉぉ…!!」 俺を見上げて半泣き状態で叫ぶ。 そう! れいむのかわゆ~い赤ちゃん達は、初めっから助かる筈なかったの! ずるいかなぁ? ずるいよねえぇ! 悔しいよねぇ! どうせ全員殺されるってわかってたら、新しい赤ちゃん産まなかったよねぇ!? そしたら、新しい赤ちゃんは苦しい思いして死ななくて済んだのにねぇ!? れいむのその顔が見たかったんだよ! …でもね、れいむ。 きっと赤ゆちゃんを助けたいというれいむの気持ちが神様に通じたんだね。 れいむは奇跡を起こしたんだよ。すっごく出鱈目な奇跡をね。 お兄さん、ガラにもなくちょっと感動しちゃったよ。悔しいけどね。 「なーに言ってるんだよ、れいむぅ! ずるくなんかないだろう?! だって、ほら! こうしてちゃーんと、赤ちゃんまり…さ……を………え?」 れいむの頭上の赤ゆっくりを指で軽く小突いてから、俺は言葉を飲み込んだ。 「え? …なに…? これ…? え? …ちょ………は、はは…凄い…やっぱ凄いよれいむは……」 「ゆゆっ? な、なにこれ…? なにごれええぇぇ?!?!」 茎に実った赤ゆの黒いお帽子が、いつの間にか、赤茶色に変わり、少し縮んできている。 金色の髪も、黄土色へと変わっている。 金色は黒へ、黒は赤へ、お帽子はリボンへと向かって 少しずつ、少しずつ変化してきている。 「変わってる! 変わってるよれいむ! 赤ちゃんがれいむに変わってるよ! そうだよね! れいむがれいむとすっきりーしてるのに、まりさの赤ちゃんが生まれるなんておかしいよね! れいむの言う通りだよ! そんな事あるわけないよ!」 「ゆわわああぁぁ!? やめてね! れいむのあかちゃん!? れいむになっちゃだめでしょおおぉ!?!?」 「ゆうぅぅぅ?!?! やめちぇえぇ!! れいみゅはゆっくちできにゃいいいぃぃ!!」 思い込みの力で成し遂げた奇跡は、思い込みが解ければ消え去るのか。 れいむ母娘の叫びも虚しく、赤ゆの姿は刻々と変化を続け、遂には普通の赤れいむの姿に成り果てた。 暫くの間、呆然としていたゆっくり達だったが、れいむが目に涙を浮かべながら俺の方を向いた。 「お、おにいさん!? れいむたちかえらせてくれるんだよね!? やくそくしたよね!? ね!? ねえっ?! ゆああぁぁ!! かえらせてぇぇ! かえらせてよおぉぉ! おねばいじまずぅぅぅ!!」 「は? 何いっちぇるのおおぉ。 生まれたのがれいむなんだから帰らせるわけないでしょ。まりしゃちゃんも約束通りブチッ殺っそうねえ!」 「ゆみゃあぁぁあ!? どうちちぇええぇ?! ちにたくにゃいぃぃ! ちにゅのやぢゃああぁっ!! まりしゃおうちかえりゅのおぉぉ!! まりしゃゆっくちしゅるのおぉぉ!!」 「ああ、そうだ。この赤ちゃんが茎から落ちるまで待ってあげるよ。それまでにまりさに戻ったらお家に帰れるよ」 「ゆっ?! れ、れいむのあかちゃん! もどってね! まりさにもどってね!」 「れいみゅのいもうちょはゆっくちできにゃいよぉぉ!」 「おねがいだよ! まりさにもどってくれないと、みんなゆっくりできないんだよ!」 「れいみゅはやめちぇよぉぉ! まりしゃにもどっちぇよぉぉぉぉ! まりしゃがちんじゃうよぉぉぉ!!」 母れいむと赤まりさが頭上の赤れいむに向けて声を張り上げ続ける。 しかし遺伝法則すらねじ曲げた強大なる思い込みの力。 それが正しく補正された今、その力を覆す事など誰にもできはしない。 「おー、そろそろ生まれそうだね! ぷるぷる震えちゃってかーわいいなぁ~! まりしゃちゃあん! お兄さんねぇ、まりしゃちゃんがた~っぷり苦しんで死ねる方法考えてあるんだよぉ? いっぱいいっぱい泣いてね! かわいい泣き顔、お兄さんにい~っぱい見せてねえぇぇ!」 「ゆやああぁああぁ! うまれちゃだめえぇ! あかちゃんうまれちゃだめえぇ!」 「うまれちゃ やああぁあぁ! まりしゃゆっくちちたいよぉぉ!!」 「おまえじゃないいぃぃ! おまえがうまれるんじゃないいいぃぃ!! やべろおおぉぉ!」 「おきゃあしゃぁん! こんなあかしゃん いりゃないよぉぉ! たべちゃっちぇよぉぉ!」 「おっと! 食べちゃうとかズルはなし! ズルしたらこの前のれいみゅちゃんみたくのーびのーび♪するよっ!」 「ゆにぇぇぇぇん!! れいみゅはゆっくちしないでうまれちぇこにゃいでよぉぉ!! どーちちぇ おねいちゃんに こんなこちょしゅるのぉぉぉ!!」 「おねがいいぃぃ…! れいむのあがぢゃあぁぁん! うまれで…うまれでぐるなあぁぁぁ…!」 あー…なんか赤れいむちゃんかわいそ… あんなに善良でゆっくりした家族だったのに…何がこの家族をそこまで追いつめたのやら… 茎から一匹ポツンとぶら下がる赤れいむの体は、プルプルと震えている。 いよいよ誕生が近いから、だけではない。 家族から浴びせられる、自分の誕生を、存在を、全否定する罵声に、身をわななかせて泣いているからだ。 悲しみの表情を浮かべ、まだ開かない目から涙がポロポロと零れ落ちる。 お母さんもお姉ちゃんも、さっきまでは、ゆっくり生まれてきてね!、ゆっくりしょうね!と言ってくれていたのに。 それなのに、いきなり怒鳴られた。 怒りながら。悲しみながら。憎みながら。 お前はゆっくりできない、れいむはだめだ、まりさでなければだめだ、お前はいらない、生まれてくるな それでも…それでも、きちんとゆっくりとしたご挨拶をすれば、きっとお母さんもお姉ちゃんもゆっくりしてくれる。 きっとれいむと一緒にゆっくりしてくれる。 その希望を胸に地上へと生まれ落ちる。 ひゅ~…… (おかあさん…!) (おねえちゃん…!) ぽとっ 「……ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!!」 悲しみを振り払おうとするかのような、とびきり元気な、この上なくゆっくりとしたご挨拶。 相手のゆっくりをただ願うだけの、無垢な言葉。 「ゆっぎゅちぢゅるにゃあぁ!!」 ぽゆん! 「ゆぴいいぃぃっ!!」 だが、返ってきたのは、姉である赤まりさの怒りの籠もった体当たりだった。 姉の柔らかい体に弾き飛ばされ、赤れいむが土の上をコロコロと転がる。 何をされたかわからないと言うように、目をパチクリさせ、その目にじんわりと涙が浮いてくる。 「ゆ…? れーみゅのおかおがいちゃいよ……? おねい…ちゃん……? どうちちぇ…? どうちちぇ…きゃわいいれーみゅに…こんにゃことしゅりゅの…?」 「うるぢゃあいっっ!!」「ゆぴっ! ゆぴっ! いちゃああい!」 ぽゆん!ぽゆん!と赤まりさが体当たりを繰り返し、赤れいむは涙を流しながら水槽の中を転がる。 更には赤れいむのお尻に噛み付いたり、髪を咥えて引っ張ったりとエスカレートし、赤れいむの泣き声も大きくなって行く。 「ゆぴゅぅ…! ゆぴゅぅ…! れ、れいみゅのちぇいでまりしゃはぁ! まりしゃはぁ…!! …ゆやあぁぁあぁ! まりしゃ、ちにたくにゃぁい! おにいしゃんこあいよおぉぉ! ちぬのやぢゃああぁあ! ゆっくいちたあぁい! ゆっくいちたいのにぃぃ!!!」 息を切らした赤まりさが、その場に立ち尽くしてゆんゆんと泣き始める。 その隙に、赤れいむはずりずりと這って助けを求める。 優しい、れいむお母さんに。 「ゆぴ…おきゃあしゃ…たちゅけて…いちゃいよおぉ…おねいちゃんがぁ…」 「ゆ………ゆあっ…ゆあっ…!…ゆああぁあぁあああぁぁぁっっ!!!! なんでおまえがうばれるんだあぁぁ! れいむはばりざをうんだんだあぁぁあ! おまえなんがぁ…! おまえなんがれいむのこどもじゃないぃぃ!!」 「ゆ…? おきゃあ…しゃん…どうしちぇぇ…? れーみゅ…れーみゅはおきゃあしゃんの……」 「うるざああい! ゆっぐりでぎないあがぢゃんなんがあっ! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇっっ!!!!」 「おきゃ… ブチュンッ ……… 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 水槽の中に、れいむの悲痛な叫びが木霊する。 母れいむが赤れいむを踏み潰して殺した後、最後の処刑として赤まりさを円筒形のガラス瓶に閉じ込めた。 中にはあんよが浸かる程度に水を入れておいた。 ふやけて破れたあんよから、緩やかに餡子が水に溶け出し、じわじわと死んで行くという寸法だ。 お帽子は破いてから一緒に入れてあげたので、お帽子に乗って水を避ける事もできない。 「だしてえぇぇ! おちびちゃんをだしてよぉぉ! びんさんいじわるじないでよぉぉ! れいむのおちびちゃんがしんじゃうよぉぉ!」 水槽の中に転がした硬いガラス瓶に、母れいむが砂糖菓子の歯を立てるが、割れるのは歯の方だけ。 瓶には傷一つつかない。 「ゆっぐ! たすけるよ! おかあさんがいまたすけるよ! ゆっ! まっててぇ! おちびちゃんまっててねぇっ!! ゆうっ!」 瓶を割ろうとその上に乗って跳ねる。 何度も何度も跳ねて、れいむのあんよの皮だけが潰れて薄くなって行く。そのうち破れるかもしれない。 「いしさん! ゆっくりしないではやくでてきてね! はやく! はやくぅぅ!! ゆっくりしないでよぉ!! れいむのおちびちゃんがくるしがってるよぉぉ!!」 瓶を水槽内の石にぶつけて割ろうとしていたので、石は片付けてしまった。 でも小さいのを一個だけ、残してあげた。土の中に埋めて。その土を叩いて固めて。 れいむが地面に突っ伏して土を食うが、何の道具も無しに平らな地面を掘るのはさぞや難しかろう。 時間だけが浪費されて行く。 瓶も強化ガラス製なので、ゆっくりの力ではどのみち割れないと思うのだが。 「れいむのおちびちゃん! しっかりしてね!? すぐたすけるからね!?」 またガラス瓶に歯を立て始める。 ずっと、そんな虚しい行動の繰り返し。 「あのさ、れいむ」 「おにいざあぁぁん! おねがいじまずうぅぅ! さいごのぉ!! さいごのおちびちゃんなんでずぅぅ!! とってもゆっくりとじだぁ! まりざによぐにだぁ! かわいいおちびちゃんなんでずうぅぅ!! だずげであげでっ! だずけてあげでぐだざいっっ! れいむなんでもじまずがらあぁぁ!」 「まりさちゃん、死んでるから。とっくに」 ガラス瓶の中では、もうずっと前から黒い液体がチャプチャプと音を立てて揺れていた。 その中で、ふやけてバラバラになった、黒いお帽子と、金色の髪と、肌色の皮とが漂っている。 助けて 死にたくない あんよが動かないよ まりさが溶けちゃうよ ゆっくりできないよ 餡子さん出ていかないで ゆっくりしたいよ 死ぬのやだよ お家に帰りたいよ お母さん助けて お母さん お母さん お母さん ずっと叫んでいたお口も、もう何処に行ったのかわからない。 辛うじて原型を留めているのは、ふやけた肌色の断片の間に浮かぶ、白い寒天の目玉だけ。 その目が、助けを求めるかのようにれいむを見つめている。 「じんでないいぃぃ!! じんでないよおぉぉっ!! どおぉぉじでぞんなごどいうのおぉ?! ぎごえるでじょおぉ!? おぢびぢゃんが だずげでえぇっで よんでるでじょおぉ!? れいぶをよんでるでじょおぉ!! ゆううぅ…!! おぢびぢゃあん!! いばだずげるよぉっ! まっででねえっ!! ぜっだい…! ぜっだいおがあざんがだずげるがらねえぇっ!!」 赤まりさの目は、れいむをじっと見つめたまま、いつまでもプカプカと浮かんでいた。 [残り赤ゆ] まりさ×0 れいむ×0 ========== 「がえぜええぇええぇ! れいぶのおぢびぢゃんをがえぜええぇ! ごのくずうぅぅ!!」 俺の腕に抱えられたまま、俺に向かって吠えているのは、れいむ。 水槽にいたれいむではなく、透明な箱にいた、"まりさ"だったれいむ。 口を縛り付けていた紐を切ってやり、喋れるようにしてやった。 「れいむ、今までご苦労様。とっても楽しかったね」 笑いかけた俺の言葉に、れいむが何かを思い出したかのようにハッとし、途端に青くなって震え出す。 「ゆ……や…やべでっ…!? れいぶ、まだじにだぐない…! つぶっ…つぶさないでっ…! れいぶおうぢがえるぅ! おうぢがえっで! すでぎなゆっくりと…! ゆっぐりじでっ! また…! また…あがぢゃんうぶのおおおぉぉ!!」 命乞いを始めたれいむをそっと床に降ろし 「お兄さんがまた遊ぼうねって言ってたよって、赤ちゃん達に伝えてね。さよなら、れいむ」 「おべがいやめでええぇええ!」 一撃で頭を踏み抜いた。 ……… 「ありがとう、れいむ」 床に広がった餡子に向かって一礼。俺を楽しませてくれた事への感謝を込めて。 それから、もう一匹の"れいむ"に向き直る。 ようやく最後の赤ちゃんの死を受け入れて、落ち着いたところで水槽から出してやった。 今は、能面のように無表情に俺の顔を見据えたまま、微動だにしない。 いや、よく見ると小刻みに震えているか。 そして、れいむが口を開いた。 「おにいさん……」 「ん? なんだい、れいむ?」 「れいむをだましたの…」 「そうだよ!」 「はじめから…れいむのあかちゃん…みんな…ゆっくりできなくしちゃうつもりだったの…」 「そうだよ!」 「さいしょにうまれたあかちゃんたちは…」 「あ、お兄さんが連れていった赤ちゃん達の事だよね? 死んだ!! あの赤ちゃん達、友達にあげるなんて、ウソ。すぐにお兄さんが殺しちゃったよ。ごめんね! こうね、赤ちゃんの小さなお体をね、ネジネジッとしたらね、ブチンって切れちゃったの。ブッチィン!って! ネジネジのときも、ブッチンのときも、みんなとおぉぉってもかわいい声で泣いてくれたよおぉ! それとね? すっきりーして死んじゃったまりさちゃん達いたよね? アレ、お兄さんがふたりですっきりーすればお家に帰れるよって、教えてあげたんだよ! ふたりとも、とっても素直ないい子だったね! あ、でもれいむが食べちゃった赤ちゃんは、お兄さんのせいじゃないよね! れいむはゆっくり反省してね! …でも旨かっただろ? 自分の赤ちゃんの餡子は?」 「…どおして……」 「なにが?」 「どおしてええぇ…!? どおしてこんなことするのおぉ?! あかちゃんはとってもかわいいのにいぃ! とってもゆっくりできるのにいぃ! どおしてこんなひどいことするのおぉ?! れいむたちなんにもわるいことしてないのにぃぃ!!」 「………」 「ねえっ?! どおしてえ!? おにいさん、どおしてなのお!? こたえてよおぉ…!! どおして…どおぉぉして…こんな…ひどいことぉ…できるのおぉ…!? れいむたちは…れいむたちはいきているんだよおおぉ!?」 「れいむ達は生きているんだよおおぉ! れいむ達は生きているんだよほおおぉぉぉっ! あはっ! あははは!」 れいむの言葉を鸚鵡返しにして笑い出した俺に、一瞬、れいむは驚きに目を見開き、体をブルッと震わせた。 だが、その表情は、すぐに、ゆっくりとは思えない程の凄まじい憤怒の形相に変わった。 既にボロボロになっている歯を、砕けてしまうのではないかとこちらが心配になるほどに軋ませ、俺に向かって吠えた。 「ゆ…ゆ…ゆんんぎぎぎいいぃぃっ……! な・に・がぁ! なにがおがじいんだぁあぁ! わらうなああぁぁっ!」 「そう! そうだよ! れいむ! れいむ達だって生きている! もちろん! もちろん知ってるよ! 生きているから! 美味しいごはんを食べればしあわせー!になれる! 大好きなゆっくりと一緒にいれば、しあわせー!になれる! ゆっくりとしたかわいい赤ちゃんがいれば、しあわせー!になれる! 素晴らしい! これはとっても素晴らしいことなんだよ! れいむ! れいむ達は生きている! 生きているからしあわせーになれる! だから! だからこそさ!」 「俺がっ! そのしあわせーをっ! グッチャグチャァァにぃっ! 踏んみにじぃってっ! 楽しむ事ができるんだよおぉっ!!」 「…な…なに…なにいって……なにいっでるの゛ぉぉぉ…!!!」 「いいかい、れいむ? これは大事な事だからよく聞いてね? 君達のしあわせは、グチャグチャに踏みにじられるために生えてくるんだ。 君達の赤ちゃんは、痛くて熱くて苦しくて悲しくてちゅぶれりゅううぅな事されるために生まれてくるんだ。 君達は、ゆっくりできなくされる、ただそのためだけにゆっくりしているんだよ」 「おがじなごどいうなあぁ!! ぞんなばずないいぃぃ!」 「いや、それがそうなんだって! れいむ! だかられいむのおちびちゃん達は、虐められるとあんなにかわい~い声で、あんなにかわゆ~いお顔で泣いてくれるんでしょ? 虐めて欲しいから、虐められるために生まれてくるから。 わかってる! お兄さんわかってるよー! それにね? 今日れいむが生んだ赤ちゃん、どうしてまりさかられいむに変わったと思う? 殺されるためだよ! お姉ちゃんのまりさちゃんも一緒にね! まりさのままだったら、虐めてもらえないから、れいむに変わったんだよ! まりさに生まれた赤ちゃんが途中でれいむに変わるなんて、こんな出鱈目な事、ゆっくりじゃなきゃ絶対に起きないよ? 虐められるために生きている、君たちゆっくりじゃなきゃね! れいむとれいむの赤ちゃんがその事を証明しくれたんだよ!」 「ゆっがああぁああっ!! なにいっでるううぅぅっ!! じねええええぇぇえええっ!!! あだまのおがじいじじいはじねええぇぇ!!! ゆっぐりじないでざっざどじねええぇぇ!!!!!」 「はははははは! 怒った? 怒ったかい? れいむ? いいよ! もっと怒るんだ! もっと俺にぶつかるんだ! ほら! もっと! もっと! ちっとも痛くないよ! もっとがんばって! 君達がどう頑張っても死んだおちびちゃんの無念は晴らせないと思い知るんだ! 君達のしあわせは何をやっても守れないと思い知るんだ! 君達の怒りは、そのために湧いてくるんだよ!」 「ゆがあぁぁ! ゆがああぁぁぁっ!!」 「れいむ! れいむ達は生きている! ありがとう! れいむ! ありがとう! 俺にしあわせを踏みにじられてくれるために! わざわざ生まれてくれて! 育ってくれて! 赤ちゃんを産んでくれて! 生きてくれてありがとう! 赤ちゃん達もありがとう! お兄さんにかわいい悲鳴を聞かせてくれるために、生まれてきてくれてありがとう! 全てのゆっくりにありがとう! ゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくりできなくなるために、ゆっくりしていってね!!」 「ゆがあがああぁがああ! じねええぇ!! じねええぇぇ!! じねえええぇぇえぇえぇええーーーっ!!!!」 …箱の外に頭のおかしい人間の顔が見える。 その死を願う言葉を吐こうとするが、縫いつけられた口は開かない。 それでも叫ぶ。箱に体当たりをしながら叫ぶ。 箱にぶつかる度に、何度も針を刺されて何かを縫いつけられた頭が痛む。そんなの構うものか。 れいむは、必ずこの人間をゆっくりできなくさせてやる。おちびちゃん達の仇を取るんだ。 それから、ここを出て、お家へ帰って、大好きなまりさの所へ帰って、 また、たくさん、たくさん、赤ちゃんを産むんだ。 永遠にゆっくりしちゃった赤ちゃん達の分まで。たくさん。たくさん。 そして、みんなで、いつまでもゆっくりするんだ。 人間がれいむの入った箱を抱えて運ぶ。 その先に何かがいた。 透明な箱の向こう側。 そこにいるのは、れいむと同じれいむ。 れいむがいたのと同じ水槽の中で、 れいむの赤ちゃんと同じ、かわいい赤ちゃんに囲まれて。 れいむと同じれいむが、れいむを見て呟いた。 「ゆうぅぅ…なんだかゆっくりできない"まりさ"だよ…」 "れいむ"と同じ おわり ========== by お説教されたいあき これまでに書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 229 たくすぃー ふたば系ゆっくりいじめ 344 ゆっくりで漬け物 ふたば系ゆっくりいじめ 404 ただ一つの ふたば系ゆっくりいじめ 471 えーき様とお義母様 ふたば系ゆっくりいじめ 519 ゆっくりの電車 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 「何がれいむ一家を切迫させているのか」お前だよ~!!ww ※主演の親れいむは数ヶ月後にお兄さんと再会し、”まりさの帽子装着””口の縫合”をされましたとさ。www -- 2018-01-03 01 10 10 寧ろ死にたくなる程の傑作 -- 2016-11-20 16 38 45 無限ループーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーだ -- 2016-05-26 22 25 36 「氏ね」と嫉妬されるほどの才能…クッ…!おれも頑張らないとな。 -- 2016-05-16 22 14 25 真面目に頭おかしいから死ね -- 2016-04-16 02 40 48 名作! -- 2016-03-05 05 59 30 これは良作だった -- 2016-01-26 17 08 21 凄い傑作 -- 2015-10-07 23 07 49 すごいよ!まれにみるけっさくだよ! -- 2015-08-21 13 58 53 最高〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 -- 2015-07-19 11 08 16 このためにやるんですか?すげえ悪魔だ❗ -- 2015-05-11 23 57 42 いいわぁ... -- 2015-03-15 23 28 22 こんなちゅばらちぃゆぎゃくがみれて ち、ちあわちぇ~! プルプル -- 2014-08-13 16 23 44 挿絵が気に入って読んだけど、良作 -- 2014-05-09 06 42 25 久々に名作に出会えましたありがとうございました。 -- 2014-04-06 03 43 30 鬼威惨ぇ…。おお、ブラボー!今までで最高の鬼威惨だったわ! -- 2014-01-25 16 41 26 虐待鬼威惨がキチガイテンションな作品は苦手だけど、ここまで狂ってると面白いね。 れいむが思い込みの力でまりさ作ったところからの急転落下は、ネタは分かっててもすげぇや。 -- 2013-09-03 11 37 37 いや、てっきり最後の赤ちゃんは、赤ゆ魔理沙との近親しゅっきり~の結果できた子だと思ってしまったよ。 ゆっくりの思い込みの力はすごいんだね。 伏線は、正直バレバレだったかもしれない。でも程よい塩梅のしゅっきり感のある作品だと思ったよ。 面白かったです。ごちそうさまでした。 -- 2013-08-31 01 39 27 凄いね、ネタもオチも素晴らしいが、何といってもお兄さんとゆっくり親子の攻防が臨場感あった。 途中からいつの間にかゆっくり親子応援してたよ。 れいむが常識の壁を打ち破って思い込みでまりさ実らせた時はマジで感動した。 そしてそのあとのどんでん返しとループエンドで震えたわ。 -- 2013-08-29 16 07 59 神さま素晴らしい作品をありがとうございました。 -- 2013-04-14 16 26 18
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・餡子ンペ09出展作品、テーマは 「1.親子-期待外れ」です ・普通の頭のおかしい虐待お兄さんによる普通の虐待詰め合わせ話です ========== 「のーびのーび! のーびのーび!」 「みてみて! まりしゃがいちばんのーびのーびじょうずだよっ!」 「ゆっ! まりちゃだってまけないよ! のーびのーび♪」 「れいみゅもっ! れいみゅものーびのーびできりゅよっ!」 「ゆ~! みてみて! おにいしゃんっ! まりしゃのーびのーびだよ!」 のーびのーび! ふふふ! ここは、とある山奥のキャンプ場。 俺の目の前で賑やかに声を上げているのは、まだ赤ゆ言葉の抜け切らない子ゆっくりの姉妹達。 丸太で作られたテーブルの上で、のびのび競争の真っ最中だ。 テーブルの上で仰向けやうつ伏せに寝そべって一列に並び、元気よく体を伸ばしている。 「まりしゃおねいちゃん、ぎゃんばれー!」 「れいみゅおねいちゃんもがんばっちえぇ!」 「にょーびにょーび! まりちゃもにょーびにょーびだよ!」 「れいみゅもにょびにょびしゅるよ!」 「ゆぅ~ん! れいむのおちびちゃんたちとってもゆっくりしてるね!」 そして、子ゆっくり達の周りには妹の赤ゆっくり達。 声援を送ったり、姉達を真似て自分ものーびのーびをしたりと、思い思いのゆっくりを楽しんでいる。 彼女らの母親であるれいむが、そんなおちびちゃん達の様子を微笑みながら見守っている。 全員合わせて十数匹の大家族だ。 このキャンプ場は取り立てて人気スポットでもなく、しかも平日とあって俺とゆっくり達の他には誰もいない。 つまり、可愛いゆっくりちゃん達を俺が独占しちゃってるわけだ! 「ふふふ! みんなとってものーびのーびが上手だね!」 ゆっくり達の笑顔に釣られて、俺の顔も綻びっぱなしである。 「ゆうぅぅ…まりちゃ…うまくのーびのーびできないよぉ…」 おや、ひとりだけのーびのーびが苦手な子もいるようだね。 精一杯体をのーびのーびしようとしているけど、体がやや楕円系になる程度だ。 立派ななすび型になっている他の姉妹達に較べると、のび方はその半分にも満たない。 「ほら! まりちゃちゃん! がんばって! おなかに力を入れてぇ…ほら! のーびのーび!」 「ゆぎゅぎゅ…! のーび…のーび…!」 「おっ! ちょっと伸びたよ! その調子、その調子! のーびのーび!」 「ゆ…ゆぅ! のーびのーび! のーびのーび!」 正直さっきと全然変わっていないが、俺が元気づけてあげたらすぐに明るい表情を取り戻してくれた。 何だって一人寂しく無人のキャンプ場へ来てるかって? それは、こうしてゆっくり達と遊びたかったからだ。 キャンプ場の近くで見つけたこの一家は、最初に声をかけたときこそ警戒されたが、 持参したクッキーを食べさせてあげたらすぐに心を許してくれた。 その後、ここに連れて来て一緒にお菓子を食べたり、"おうた"を聞かせてもらったりする内に、あっと言う間に仲良しになった。 で、今は何をしているかと言うと、俺の発案でどの子が一番のーびのーびできるかなぁ? 競争をしている。 なんと一番になった子ゆっくりちゃんには! じゃっじゃ~ん! デパ地下で買ってきた1カット630円のケーキ! を! 1ホールプレゼントでーす! という事でみんな大張り切りでのーびのーびしているという訳。 「あっ、ほら~まりしゃちゃんダメだよ~、ちゃんとあんよをここに付けてね!」 別の子まりさの体を優しく引っ張り、テーブルの上に置いてある角材にあんよをくっつけさせる。 誰が一番のびのびかわかりやすくするために、全員この角材にあんよをくっつけてもらっている。 子ゆっくり達の大きさは皆同じぐらいなので、こうしてあんよの位置を揃えておけば、 お顔の位置を見れば誰が一番か一目瞭然という仕組みだ。 この子まりさは、張り切りすぎる余りにあんよが離れてしまったのだろう。 「ゆぅ…おにいしゃん、ごめんなしゃい…」 怒られたと思ったか、子まりさがしょぼんとして謝る。 大丈夫! わざとじゃないって、お兄さん、ちゃんとわかってるからねええ! 「いいんだよ! さあ! もう一回!」 そう言って笑いかけてあげると、子まりさもニッコリ笑って、またのーびのーびを始めた。 ああ、なんてかわいいんだろう、子ゆっくりちゃん達。 そもそもからして、だ。 「子ゆっくり」 この言葉の響きの時点で、もうかわいさが炸裂してはいないだろうか? もし今、職場や教室、あるいは、電車やバスの中にいるのなら、是非声に出して言ってみて欲しい。 「こゆっくり」「コユックリ」「こゆっくり!」 どう!? かわいいよね!? そうでもない? そう… いや~でもいいよね~! 無垢な野生ゆっくり! お行儀のいい飼いゆや、必死に生きる街中の野良ゆにもそれぞれの良さがあるけど、 やっぱり俺は元気溌剌・天真爛漫にのびのび育った野生ゆっくりが好きだなぁ~ 「のーびのーび♪」 「ゆわ~♪ まりしゃはすっごくのーびのーびできるね!」 「ゆゆ~ん! れいみゅだってのーびのーびしてるのじぇ! まりしゃもまけないのじぇ!」 豪華賞品がかかっているにも関わらず、子ゆっくり姉妹は互いに敵意剥き出しで争うでもなく、 競争という名の遊びを純粋に楽しんでくれてる。 とってもゆっくりとした子ゆっくり達だ。 きっとこの子ゆっくり達なら、誰が勝ってケーキさんを手にしても、家族みんなで分け合って食べてくれるだろう。 むーしゃむーしゃ、しあわせー! みんなであまあまさんたべるとゆっくりできるね! おにいしゃんもいっしょにたべようね! とか言ってね! うふ! うふふふ! 「ゆうう…まりさぁ…! まりさとれいむのおちびちゃん達、とってもゆっくりしてるよぉ…!」 母れいむが目の端に涙を浮かべながら、感慨深げにそんな言葉を呟く。 先程聞いたところによると、つい最近つがいのまりさがれみりゃから家族を守って死んでしまったらしい。 いわゆる、しんぐるまざーだ。 今は餌が豊富に取れる時期なので、これだけたくさんの子供達を養っていけているようだが、やはり相当の苦労がある筈だ。 それ故、子供達がこうしてゆっくりできている姿を目にするのは、ゆ一倍感慨深い物があるのだろう。 …この子供達もやがて自然の摂理に従って淘汰され、冬ごもりをする頃には適正数にまで減ってしまうのだろうが、 今この瞬間だけでも、家族揃ってのゆっくりを楽しんでもらいたいではないか… 「そうだね…れいむ…れいむのおちびちゃん達はとってもゆっくりしてるよ! お兄さんも見ているだけで、とおってもゆっくりしちゃぬぅおうりゃあああぁっっっ!!!」 メッシャアッ!!! 袖口に隠し持っていた竹刀を取り出し、テーブルの上面、 その上で元気にのーびのーびしていた子ゆっくり達の、一列に並んだ柔らかいお腹に向けて渾身の力で叩きつけた。 余りに力を込めすぎたせいで、竹刀が割れてしまう。 両の腕にジンジンと心地よい痛みと痺れが伝わってきているのだろうが、今はこれっぽっちも感じない。 何故なら、この一家を目にしたときからずっと待ち望んでいた、この瞬間の光景を視る事に全神経を集中させていたからだ。 その待望の光景は、スローモーションのように俺の眼前でゆっくりと流れて行く。 割れた竹刀の破片が宙を舞う。 その中に混ざるように、潰れたお腹から飛び散った黒い餡子もキラキラと黒く輝きながら宙を舞う。 テーブルの上には、小さなお口からもりもりと餡子がこぼれて盛り上がる。 あにゃるからも餡子がこぼれ、テーブルの上に黒い筋を描く。 破れたお腹の饅頭皮が捲れ上がり、そこからも餡子が飛び出す。 素晴らしい。素晴らしい光景。俺の口からも笑みがこぼれる。 スッと竹刀を上げ、そのまま放り捨てる。 一列に並んで寝そべる子ゆっくり達。 そのお腹が、竹刀の形にベッコリと潰れ、お饅頭山を切り開いて作った一本の直線道路を描く。 向かって左に見えますのがお顔山、右に見えますのがあんよ山でございます。 どちらのお山もピクッピクッとかわいく痙攣している。 ああ哀れ、子ゆっくりちゃん達のかわいいお腹、綺麗に まっ! ぷたぁっ! つぅぅぅ! んっほおおおぉぉっ!!! 「ゆ…ゆびっ……ゆびいいぃぃっ?!」 何が起きたのか理解できず、?マークを浮かべていた子ゆっくり達だったが、数秒遅れで一匹が白目を剥きながら悲鳴を上げた。 それが引き金となり、他の子ゆっくり達も極上の調べを奏で始める。 「いぢゃいいい…! まりしゃの…おなががぁ! いぎゃいよおおぉ…!!」 「いちゃ…おなきゃ…ゆえっ…ゆげっ! あ、あんござん…でないでなのじぇ…ゆげえっ!!」 「ゆぎっ…ぎ…れいみゅの…あんよざん…どじで…そごにいるの…? れいみゅ…ぴょんぴょ…でぎなくなっぢゃう…」 「ゆぎいいぃ…! おにゃかがないよおぉ! おにゃかがないのに おにゃかいだいよおぉぉ!!」 テーブルから生えた頭達が泣き声を上げる。 砂糖水の涙を飛び散らせながら半狂乱で振られる頭、のけぞって天を仰ぎながら餡子を吐く頭。 お尻達も頭に負けじとグネグネ元気に振られている。 ブルンブルンと勢いよく振られていたお尻の一つが、テーブルから剥がれて転がって行き、地面に落ちた。 潰れたお腹もまだ餡神経が通っているのか、所々でピクピクと蠢き、テーブルから剥がれようと少し浮き、力尽きてまたへばり付く。 ああ…のーびのーびが苦手だった子まりさちゃんだけは、竹刀の位置に頭があったので中枢餡ごと… でも残ったお尻はまだプリンプリンと元気良く…あ、止まった。 「おきゃあじゃ……ぽんぽん…いぢゃいよ…ぺーりょぺーりょ…じでぇ…ゆっぐじ…でぎないぃ…」 「ゆげっ…! やぢゃ…じにだぐ…ない…! おねえぢゃんを…だじゅげで…れいみゅぅ…まりぢゃぁ…ゆげえぇ…」 子ゆっくり達が助けを求めて母れいむや妹の赤ゆ達を呼ぶ。 だが、頼みの綱の家族は突然の状況変化に餡子脳の処理が追いつかず、(◯) (◯) と目を見開いたまま完全フリーズ状態だ。 「おにいしゃ…たしゅけ…れいみゅの…あんよしゃ…くっづげでぇ…いちゃいよぉぉ…! くりゅしいよぉ…!」 おっとぉ、俺ェ? 俺に助けろと? れいむちゃああん! 誰のおかげでこうなってるかわかってないみたいだね! ああ! もう! ホントにおつむがかわいいよほぉぉ! よっしゃー! 俺に任せろおおぉ! 「ほーら! あんよさん、くっつけー!」 「ゆ…あ、やめ゛ 分断された子れいむの頭とあんよを手に取り、雪合戦の雪玉を固める要領でギュウギュウ握ってくっつけてあげた。 「いっちょあがりぃ!」 ベッシャアッ! 饅頭皮や赤いリボンの混ざった餡子玉を瀕死の子まりさの目の前に叩きつけ、放射状に広げる。 「ゆ…おにい…しゃん…どじで…? まりしゃたち…わりゅいこと…しぢゃっだの…? のーびのーび…じだだけだよね…?」 その子まりさがボロボロと涙をこぼしながら、俺の顔を見上げて聞いてくる。 ………びきぃ 「なにがのーびのーびだあっ!! お前らかわいいぃぃんじゃあぁっ!! QNッQNッするんじゃあぁっ!! もっとかわいい泣き声聞かせろおぉぉおふっ…ふ…うふっ…! うふ…うふふふ…! 潰れてね! ゆっくり潰れてね! うふ! うゆふふ! うひゅひゅ…! ゆふひゅひゅぅ!!」 「ゆびゅぶっ…やめ…おにいしゃ…くりゅし…! まりしゃちゅぶれっ…!」 「あ、あの゛~…」 「ん?」 楽しくヒャハってる所に、今までフリーズしていた母れいむが遠慮がちに声をかけてきた。 ちょっと引きつった笑顔で左右のもみあげをもじもじと擦り合わせ、上目遣いに俺の顔を窺っている。 「おにいざんはぁ…もしかじてぇ~………"ぎゃくだいおにいざん"?」 「え? …そうだけど?」 「でずよねえ!!」 何をわかりきった事をと不思議そうに答えた俺に対し、れいむが大口を開けて、パアァ…!といい笑顔を浮かべた。 それから、その笑顔のまま赤ゆっくり達の方に向き直る。 「ゆっ! あかちゃんたち! それじゃ、おかあさんのおくちのなかにはいろうね! ゆっくりいそいではいってね!」 「ユー!」「ユ!」「ユッユッ」「ユッキュリ ユッキュリ」 俺が見守る中、赤ゆ達がどこかぎこちない動きでよちよちとれいむのお口に入って行く。 そして、全員がれいむの口の中に収まった。 「じゃあ、れいぶだぢ、これでしつれいじまぁず!」 「お疲れさまー!」 こちらに向かって、後頭部を曲げて礼儀正しく笑顔のお辞儀をしたれいむに、俺も右手を上げて笑顔で応えた。 ========== 「だしてえぇ! おにいさん、ここからだしてよぉ! れいむたちをおうちにかえしてよぉ!」 「おきゃあしゃん…れいみゅたちも おねえちゃんみちゃく…いちゃいことしゃれりゅのぉ…? やぢゃよぉぉ…いちゃいのやぢゃよぉぉ…」 「ゆえええぇん! まりしゃ ちにたくないよぉぉ!」 「ゆわあぁぁん! ゆっくちできにゃいのじぇぇ!!」 そんなわけで、母れいむと赤ゆ達は我が家にお持ち帰りした。 当然ながら、れいむからの抵抗はあったが、その辺は"テンプレ"とだけ言っておこう。 "虐待お兄さん"の存在を知っていただけあって、彼我の力の差を理解してくれるまでが早くて楽だった。 ゆっくり達は虐待部屋に置いてある水槽に閉じ込めてある。 水槽は成体ゆっくりが優に4匹は入るサイズ。もちろん強化ガラス製。 中には土を敷き詰めた。 それだけでは殺風景だし、ゆっくり達も落ち着かなかろうと、拳大から両手の平に乗るサイズまで大小の石を適当に入れてやった。 防音機能とか無粋な物はないので、ゆっくり達の泣き声をたっぷりと楽しめる。 無論、虐待お兄さんの嗜みとして部屋自体は防音にしてあるので近所迷惑にはならない。 「まあ落ち着いてよ。お兄さん、別にみんなを殺すために連れてきたんじゃないんだよ?」 「ゆゆっ? じゃ、じゃあ、はやくれいむたちをおうちにかえらせてよぉ! おにいさんとはゆっくりできないよ!」 「ゆにぇぇん! おうちかえちちぇー!」 「ゆっぐ…おうちぃ…おうちかえりちゃいぃ…」 「すぐに帰らせるわけにはいかない。だったら初めから連れてこないよ。 実はね…れいむにお願いしたいことがあるんだ」 「ゆ…ゆぅ…なあに…?」 疑いの眼差しを向けながらも、他に何ができるでもないと理解しているのか、素直に俺の話を聞く母れいむ。 「うん、お兄さんね、赤ちゃんまりさが欲しいんだよ」 「ゆぴゃああぁっ!! やぢゃやぢゃあ! きょわいおにいしゃんはゆっくちできにゃいいぃ!」 「おきゃあしゃあん! まりしゃを あげにゃいでにぇぇ! まりしゃ、いいこにしゅるかりゃあぁ! ゆにゃあぁあぁ!」 俺の言葉に真っ先に反応して泣き出したのは、赤まりさ達だ。 無理もない。お姉ちゃん達を殺した怖い人間さんに貰われたら何をされるかわからない。 でも大丈夫! そんなに怖がらなくていいよ! 「いや、違う違う。君達のことじゃないよ。お兄さん友達から頼まれててね。 生まれたばかりの赤ちゃんまりさを欲しいって言われてるんだ。君達じゃ少し育っちゃってるからダメなんだ」 「ゆっぐ…ほんちょ…? ゆっぐ…」 「うん、ほんちょほんちょ」 友達云々とかのくだりは本当じゃないが、大筋においては嘘ではない。 適当に答えて泣いている赤まりさ達をあやすと、用意しておいた透明な箱を水槽の横に置いた。 そこに入っているのは、一匹の成体ゆっくり。 ゆっくりまりさ。 「ここで産んで欲しいんだ。れいむに」 ========== それから数日後 「ゆぅ…あかちゃぁん…」 箱に入れられ俺に連れていかれる二匹の赤ゆを、母れいむが涙の滲む目で見上げている。 赤ゆは、れいむが今産んだばかりの赤まりさと赤れいむだ。 「おきゃーしゃーん! おねいちゃーん!」「ゆえええぇん! ゆっくちしゃせちぇー!」 「れいみゅのいもうちょを つれちぇかにゃいでえぇ!」「いもうちょかえちてー!」 離れ離れになる姉妹達も泣きながらに互いを呼び合う。 始めての「ゆっくりしていってね!」の挨拶を交わす間もなく引き離され、 二度と逢えない事を予感しているのか、しきりに泣き声を上げる。 今回がここに来てから二回目の出産。 一回目には、赤まりさが二匹生まれた。 そのときは、母れいむも今の赤ゆ達と同じように赤ちゃんを返してと泣き叫んでいたが、もともと俺が貰うために産ませた赤ゆ。 返す道理もない。 今回れいむが騒いでいないのは、それを理解して諦めているからだろう。 一匹生まれた赤れいむも"ついでに"俺が貰うと伝えたときには、多少の抵抗はあったが。 「れいむ、お疲れさま。今日もとってもかわいい赤ちゃんだったよ。 じゃあ、またすっきりー頑張ってくれるかな?」 俺は水槽の横にれいむの三回目のすっきりー相手が入った透明な箱を置いた。 ========== 「ゆうぅぅ…なんだかゆっくりできないまりさだよ…」 そう口にしてしまってから、れいむはハッとする。 (本ゆんの前でそんなこと言うなんて、れいむゆっくりしてなかったよ…でも…) これまで、赤ちゃんまりさを産むために、二回、別々のまりさと無理矢理すっきりーをさせられた。 ふたり共、ゆっくりしていないまりさだった。 お肌も、髪も、お帽子も、どこも薄汚れていて、汚い色の染みがこびりついていた。 れいむのはにーのまりさとは大違いだった。 お兄さんは、「まちののらゆっくり」だから汚いんだよと言っていた。 それでもれいむは、面と向かって他のゆっくりにゆっくりできない等と口にするような事はしなかった。 (ゆぅ…でも、このまりさは…) だが、今度のまりさはどうだ。 体そのものは前の二人程には汚れていない。山に住んでいたれいむ達とさほど変わらない。 でも、大きく見開いた、真っ赤に血走った目が怖かった。 まりさはその目でお兄さんを睨んでいた。 とっても怖い目。 れいむが子ゆっくりだった頃に群れを襲った、怖い"れいぱー"よりももっと怖い目をしていた。 それにまりさは、何かでお口を縫いつけられて、開けなくなっているみたいだった。 (お兄さんにいじめられたのかな…?) それなのに、開けないお口でお兄さんに向かって何かを叫ぼうとしていた。 あんまり叫ぼうとするので、縫いつけられたお口が切れて餡子さんが少し漏れていた。 見ているだけで、れいむのお口まで痛くなってきた。 まりさは何かに怒っていた。狂ったように怒って、箱の中で暴れていた。 とてもゆっくりできないまりさだった。 れいむが「ゆっくりできない」と口走ってしまったとき、まりさの怖い目がれいむを見た。 そして、怖い目でれいむを見て、ますます目を見開いて、れいむにも何かを叫んだ。叫ぼうとしていた。 とっても怖くて、思わず目を逸らしてしまった。 れいむのまりさと同じまりさの筈なのに、全然ゆっくりできなかった。 このまりさには悪いけど、一緒にすっきりをするなんて、考えただけでゆっくりできなかった。 すっきりしたくないのは、今までのまりさもそうだったけど。 (れいむはれいむのはにーのまりさのれいむなのにぃ) でも、お兄さんは最初に言った。笑いながら。 「赤ちゃんまりさを産んでくれないなら、れいむの赤ちゃん全員殺すね。どっちがいい? 産む? 産まない?」 だかられいむは、すっきりーをするしかなかったんだよ。ごめんね、まりさ。ごめんね。 (でも、それでも、こんな怖いまりさは嫌だよ。せめて前のまりさにして欲しいよ) でも、お兄さんは、れいむにこのまりさとすっきりーをさせようとする。 「前のまりさはもう死んじゃったんだ。もうこんなのしかいないから、コレで我慢してね」って笑いながら。 いつものように、お兄さんがまりさに"おくすり"を"ちゅうしゃ"をする。 怒っていたまりさの目がドロリと濁って、お顔がトロンと蕩ける。 前のふたりのまりさと同じ顔。れいぱーみたいな顔。 この後に起こる事も同じ。 ここでの生活で、一番ゆっくりできない時間の始まり。 泣いている赤ちゃん達が見ている前で、ベトベトの頬を擦りつけられて、無理矢理すっきりーをさせられて、 お兄さんがまりさを箱に戻してくれるまでの、とてもゆっくりできない時間。 ========== 「むーちゃむーちゃ…ちあわちぇ…」 「ゆ…おいちい…」 赤ゆ達が食べているのは、クッキー。 れいむが赤まりさを産んだ日だけの特別なご褒美だ。 にも関わらず、目の前で母親が"変な事"をされるのを延々と見せられ泣き続けた直後とあって、 辛い事を忘れ易い餡子脳でも、流石にべそをかきながらのお食事タイム。 ちなみに普段は腐りかけの生ゴミ、しかも赤ゆが衰弱し過ぎない程度に抑えた量しか食べさせていない。 赤ゆを産ませる都合上、母れいむだけは栄養価の高い食事を十分に食べさせているが。 「そうそう。実はみんなに良いお知らせがあるんだよ」 「ゆ…?」 いきなり話しかけた俺に、ゆっくり達が顔を向ける。 「あとひとり…あとひとりだけ、赤ちゃんまりさをお兄さんにくれたら…みんなをお家に帰してあげる。 ひとりだけくれれば、一緒に生まれた他の赤ちゃんも一緒に帰してあげるよ」 「…ゆ…ゆっ!? ほんと?! おにいさん、ほんとに!?」 「ああ、本当だよ」 「かえれりゅの? れいみゅたちおうちにかえれりゅの?」 「ゆっくちできりゅよ! まりしゃたちゆっくちできりゅよ!」 「おきゃあしゃん! はやきゅう! はやきゅ あかしゃんうんでなのじぇ!」 暗闇の中、突如現れた光明に、ゆっくり一家が色めき立つ。 「ゆっ! だいじょうぶだよ! おちびちゃん! もうすぐ…! もうすぐかえれるんだよ! おにいさん! やくそくだよ! ぜったいだよ!」 はいはい。わかってます。約束は守るよ。 安心してね。お兄さん、ゆっくりとの約束はそんなに破ったことないんだよ。 ========== それからまた数日後 「ゆぐぐうぅ…! う、うばれるうぅぅ!」 水槽の中には、りんっげつっのお腹を抱え、いきんでいる母れいむの姿があった。 「おきゃあしゃあん! がんばっちぇええ!」 「うまれりゅよ! れいみゅのいもうちょがうまれりゅよ!」 「あかしゃん! ゆっきゅりうまれちぇにぇ!」 「ゆ! れいみゅもあかしゃんうむよ! う、うみゃれりゅううぅ!」 れいむの周りでは、これからお姉ちゃんになる赤ゆ達がはしゃいでいる。 汗をダラダラ流してじんっつうっの痛みに呻く母れいむの表情も、心なしか笑っているように見える。 既に二度、生まれたばかりの赤ちゃんとの辛い生き別れを経験していると言うのに、よくこれだけ喜べるものだ。 餡子脳だからというのもあろうが、やはりゆっくりにとって、愛くるしい赤ゆっくりの存在こそが至上のゆっくりの素だからだろう。 しかも、今回、赤まりさが誕生すれば、念願叶ってお家に帰ることができるのだ。 一匹を除けば、新しい妹達も一緒に。 「れいむ! ヒッ、ヒッ、フーだ! ヒッ、ヒッ、フー!」 「ゆぐぐ…! ひっ、ひっ、ゆぅー! ひっ、ひっ、ゆぅー!」 実のお父さんは、透明な箱で別居させているので、出産立ち会いは僭越ながら俺が努めている。 れいむの射出口の前に使い古しのタオルを丸めたクッションを用意し、飛び出してくる赤ゆを受け止める態勢も万全だ。 「おきゃあしゃん! ぴっ、ぴっ、ゆぅー!」 「ゆゆっ?! あかしゃんの おかおがでちゃのじぇぇ!!」 「まりしゃがおねえちゃんぢゃよぉ! ゆっきゅちちchっちぇ! ゆっきゅちちい☆い#cっへえぇ!!!」 うん。落ち着け。 「ひ…ひっ…ゆぅぅー! うば…! うばれるうぅぅぅ…!!」 赤ゆの顔が、ムリムリとれいむの産道からせり出してくる。そして すっぽーん!! 間の抜けた音と共に、遂に新しい饅頭がこの世に生を受けた。 柔らかいクッションが赤ゆを傷つけることなく優しく抱き止める。 「うばれるっ…! またっ…うばれるよおぉ!!」 すっぽーん!! すっぽーん!! 先に生まれた赤ゆにぶつからないよう俺がタオルをずらしたところで、更に立て続けに二匹。 計三匹の赤ゆが誕生した。 胎生出産だが、れいむの餌に出産促進剤を混ぜて促成したため、大きさはピンポン玉大。 姉の赤ゆ達と同じくらいのサイズだ。 タオルの上でプルプルと震えている三匹の赤ゆを、家族達がこちらもプルプルと震えながら期待に満ちた視線で見守る。 最初のご挨拶、「ゆっくりしていってね!」の瞬間を待ちかまえているのだ。 そして、遂にその時が、ゆっくりのゆん生における最初の祝福の時がやってくる。 「「「…ゆ…ゆっ…ち………ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」」」」」」 家族全員、満面に笑顔を浮かべてのご挨拶。 正に今がしあわせーの絶頂期だろう。そう。絶頂期だ。 「ゆううぅ…! れいむのあかちゃん、とってもゆっくりしてるよおぉ! れいむによくにた…ゆ?」 そこで母れいむの言葉が止まる。ある事実に気付いたからだ。 勿論、俺も最初からその事に気付いていた。 生まれた赤ゆは、全てれいむ種だったのだ。 「ゆ…ゆ? お、おにいさん…」 れいむが俺の顔を窺う。 「うん、ごめんね、れいむ。お兄さんが欲しい赤ちゃんはまりさだからね。お家に帰るのはまだだね」 「ゆう……」 れいむの表情が曇る。 そう。"もう一匹赤まりさをくれたら"、お家に帰らせる約束だ。 残念ながら、今回は条件を満たせなかったようだ。 「ゆっ…! お、おにいしゃん! れいみゅのいもうちょたち、つれてっちゃやぢゃあ!」 「ん? 連れていかないよ。まりさちゃんじゃないからね」 ぴょんと一跳ね前に出た姉の赤れいむが、震えながらも妹を連れていかないでと俺に直訴してくる。 その赤れいむに返事をしながら、事前に用意しておいたペットボトルの蓋を開ける。 「やっちゃあ! いもうちょとゆっくちできりゅね!」 「ゆう~♪ みんにゃ! おねいちゃんと、いっちょにゆっくちちようにぇ!」 「あー…一緒にゆっくりはちょっと無理かな」 新生赤ゆ達が乗ったタオル、その外周に沿ってペットボトルの中の灯油を振りかけた。 「ゆぴいいぃぃっ!! あちゅぅぅ!! あちゅううぅぅ!!」 「みゃみゃあああぁあ!!」「おにぇいちゃあああん!!」 「ゆびゃああぁあっ?! れーみゅのいもうちょがああぁっ!?!?」 「まりじゃのいもうぢょがああぁぁあっ!?!?」 「いもおちょがあづがっでるよおお!!」 三匹で寄り添って泣き声をあげる、生まれたての赤ゆ達。 その周りをメラメラと音を立てて燃えさかる炎の壁がぐるりと囲んでいる。 生まれたてと言えど、よちよち這うぐらいはできるが、 わずかに炎に近づくだけでジリジリと身を焼く熱に晒され、それ以上進むことはできない。 姉の赤ゆ達も、同様に燃えさかる炎の壁に近づく事ができず地団駄を踏んでいる。 赤い炎の壁のすぐ向こうに、姉妹はお互いの泣き顔を窺うことができる。 少し跳ねれば、あるいは這えば、赤ゆでも簡単に到達できる距離。 にも関わらず赤ゆでは絶対に越えることのできない壁。 そうしている間にも、炎の壁はジリジリと妹赤ゆ達に迫ってくる。 「れいむのあがぢゃああん!! はなじでえぇえ! はなじでよおぉぉ!! おにいざあん!! あがぢゃんがあぁあ! れいむのゆっぐりどじだあがぢゃんがああぁあ!」 母れいむならば相応の被害を覚悟すれば赤ゆを救出する事ができるかもしれない。 だが生憎、俺の手に押さえつけられジタバタともがくのに忙しくて、助けに行ってあげられない。 なんたる間の悪さ。 しかし救世主は別の所からやってきた。 「ゆうぅぅ! おねいちゃんがたちゅけりゅよ! ぴいぃぃっ!! あちゅいよおぉ!!」 小さな救世主の伝説は2秒で終了した。 一匹の姉赤れいむが、妹を助けようと果敢にも炎の壁に挑んだが、 瞬く間にもみあげに引火、火を消そうと水槽の土の上を転げ回る事になった。 だが、この赤れいむは幸運だ。 もう一歩深く踏み込んでいたら、一瞬で全身火ダルマ饅頭になっていた。 まあ…踏み込んでいようといまいと最終的には同じ事なんだけど… 空いている方の手を伸ばし、ようやく火を消し止めてゆぐゆぐ泣いている赤れいむを掴む。 そして、妹達が助けを待つ炎の壁の中に放り込んだ。 「ゆびいいぃぃっ!」 炎の熱さから逃れたと思ったのも束の間、四方から饅頭皮を焼く熱波に襲いかかられ、姉赤れいむが再び悲鳴を上げる。 「おにぇいちゃああん!!」「ゆぴぃー! ゆぴぃー!」「あちゅあちゅしゃんけちてえぇ!!」 「ぴぎゃあぁあっ!! あちゅいよおぉ! やめちぇえぇ! こっちこにゃいでぇえぇ!!」 既に体に火が回り、燃え始めていた妹赤ゆ達が、救いを求めて姉赤れいむに縋り付いてくる。 姉赤れいむは妹達を振りほどこうとするが、妹とは言え体格はほぼ変わらない、 お姉ちゃんなら自分達を助けてくれるに違いないと信じ、無我夢中で三方から擦り寄って来られては跳ね除ける事もできない。 そうする内に妹達の体を焼いていた炎は姉赤れいむにも燃え移る。 姉赤れいむだけではない。 妹達同士でも、互いの纏う炎が互いの体に燃え移り、肌も髪もリボンも瞬く間に炎に包まれる。 全身を炎に包まれ、一つの塊になって燃えさかる姉妹達。その願いも一つ。 「「「「たちゅけちぇえぇっ!! れいみゅあちゅいよおぉぉっ!! おぎゃあじゃああぁぁぁんっ!!」」」」 無慈悲な赤い炎に焼き尽くされて行く小さな命。仲良く揃ったかわいい悲鳴。 「あがじゃああん!! おにいざんおねがいじまずうぅ!! あがぢゃんだずげであげでえぇっ!」 「ああ…綺麗だなぁ…かわいいなぁ…ふふ……ふふふふ……」 俺のすぐ下でれいむが大声で何かを喚いているが、まったく耳に入ってこない。 それほどまでに、目の前の光景は美しく、聞こえる音色は甘美だった。 ……… 「あかちゃん…? れいむのあかちゃん…? …おねがいだよ…おへんじしてね……おへんじしてよぉ……!」 母れいむが頬をすり寄せているのは、湯気を上げる四つの真っ黒な丸い消し炭。 球形のそれには窪みが三つ。 つぶらなおめめが嵌っていた、小さな窪みが二つ。 「おかあさん」 その言葉の形に大きく開いたままの、お口だった窪みが一つ。 他は全て焼け落ちて、何にもない、のっぺらぼうの消し炭。 他の赤ゆ達は、その光景から逃れようとするかのように水槽の隅に固まって涙を流しながらブルブルと震えている。 「ゆぅ……ゆぅぅ…! あか…ちゃん……れいむの……あかちゃんがぁ…! …どーしてぇ…? どーしてこんなことするのおぉぉ…!! おにいさあぁぁん!?」 「ああ、ゴメン。言い忘れてたね。 れいむが赤ちゃんれいむしか産まなかったら、産まれた赤ゆちゃんは全員殺すから。 あとオマケでお姉ちゃんの赤ゆちゃんも一人殺すから。 そういうルールだから、これ」 後付はゆっくりできないが、忘れていたものは仕方がない。 改めて、俺が決めていた"ルール"をれいむに説明する。 「な、なにそれえぇぇ!? ぞんなのれいむ ぎいでないよおぉぉ!?」 「だからゴメンってば。じゃあ、もう一回選んでいいよ」 「ゆ…? え、えらぶって…なにを…? ゆっ? おそら?」 れいむの髪の毛を鷲掴みにし、その顔が俺の顔の真ん前に来る位置まで持ち上げる。 「俺が、決めた、ルールで、赤ちゃんまりさを産むか、それとも、産まないで全部の赤ちゃんを殺されるか、だ。 言っておくが俺が決めるルールに文句は言わせないぞ? 文句があるなら、もうれいむには頼まない。自動的に『全部の赤ちゃんを殺される』だ。 さあ、選べよ。どっちがいい? ん?」 「ゆっ…ゆぅぅ…そんなぁ…そんなのぉ……ゆぅ……ゆぇ……ゆえええぇん!」 俺の言葉をゆっくりと飲み込んだれいむが、涙を流す目から、更に溢れるように涙を滲み出させて赤ゆのように泣く。 「泣いてちゃわからないよ、れいむ? どっち? 答えないなら…」 「ゆううぅぅ…うびばず……ゆっぐ…あかちゃん…うびばずがらぁ…もうれいむのあかちゃん…ゆっぐ…ころさないでよぉ…!」 「なあんだ! やっぱりそっちでいいのか! だったら先にルールを説明してても、結局あの赤ゆちゃん達が死ぬのは変わらなかったね! あ、あとね、れいむの赤ちゃんが死んじゃうかどうかは、れいむ次第だからね? 赤ちゃんまりさを産まなかったら、また赤ちゃん死んじゃうからね? お兄さんのせいにしないでね? ゆっくり理解したかい?」 「……ゆっ……ぐい………りがい………じだよ……」 「さっすが、れいむ! ものわかりが良くて、お兄さんうれしいよ! それじゃ、早速かわいい赤ちゃん作ろうか!」 俺はれいむを水槽に降ろすと、次のすっきりーに取りかからせるべく準備を始める。 楽しいショーはまだこれからだ。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×3 ========== れいむが俺の家に来てから4回目の出産を終えた。 「「「ゆっくしちちぇいっちぇね!!」」」 「はい、今度もれいむちゃんでしたー! 残念だったねぇ…みんな」 気の毒そうに声をかける俺に、ゆっくり一家は何も言葉を返さず押し黙ったままだ。 今回もれいむは3匹の赤ゆを産み落としたが、運命の悪戯か、或いはもっとタチの悪い別の何かの仕業か、全て赤れいむだった。 タオルのクッションの上では、生まれたての赤れいむ達がキリッと眉を上げてプルプル震えながら、 最初のゆっくりしていってね!のご挨拶を叫ぶ。 しかし、母親と姉達は呆然とその姿を見つめるだけで、青ざめた表情のまま誰も挨拶を返そうとはしない。 「ゆ…? ゆっくしちちぇいっちぇね! ゆっくしちちぇいっちぇね!」 「ゆっくしちちぇいっちぇねえぇぇ! ゆっくちいぃい…!?」 「ゆっくち…? ゆっくち…しちぇいっちぇね…? ゆぅぅ…ゆええぇ…」 挨拶を返してくれない家族に、生まれたての赤ゆ達の表情も曇り、すぐに泣き顔に変わる。 お母さんのお腹にいるときから、ずっと待ち望んでいたゆっくりしていってね!のご挨拶。 お外から聞こえてきた、お母さんとお姉ちゃん達のゆっくりとした声。 (れいむのあかちゃん! ゆっくりうまれてね!) (いもうちょはゆっくちできりゅよ!) (ゆんゆ~ん♪ れいみゅのおうちゃをきいて、ゆっくちちちぇね!) (おきゃあしゃん! いもうちょのまりしゃも いりゅよね!) (ゆっ! こんどはだいじょうぶだよ!) 自分達の誕生を待ち望む家族の声。 れいむは"まりさ"じゃないけど、それでもかわいいれいむを見れば、お母さんもお姉ちゃんもゆっくりしてくれる。 祝福で迎えられる誕生、そう信じて疑わなかった。 それなのに、お母さんもお姉ちゃんも、誰もゆっくりしていってね!と答えてはくれない。 れいみゅはゆっくりしちゃいけないの? ゆっくりできないの? ゆっくりしたいよ… 輝けるゆん生への希望は、生まれ落ちた瞬間から落胆へと変わった。 まだ己の運命を知らない妹達も、これから待ち受ける運命を知る家族達も、一様に悲しみに沈む。 そして楽しい時間は始まる。 「ど・の・こ・が・し・ん・じゃ・う・の・う・か・な」 水槽の中に並ばせた姉赤ゆ達を俺の指が順番に指し、指を向けられた赤ゆがその度にビクッと震える。 言うまでもなく、今回の処刑赤ゆを選んでいるのだ。 最後に指が止まった先にいた子が死んじゃうからね!と説明してあるので、俺の指が向くたびにおめめからじんわり涙が溢れてくる。 「え・い・き・さ・ま・の・い・う・と・お・り」 俺の言葉が進むにつれ、赤ゆ達の緊張感は増していく。 もう既に全員涙目。か~わいいなあ! そしていよいよクライマックス! 一音一音に力を込める。 「ラ・ス・ト・ジャ・ツ・ジ・メ!・ン!・トォォォ!!」 「ゆぴゃああぁっ!? やぢゃやぢゃやぢゃあぁっ! ちにたくにゃいよぉ!」 俺の指がビシィッと差した先にいた赤まりさが甲高い絶叫を放った。 その横では、難を逃れた姉妹達が安堵の表情を浮かべている。 まさに天国と地獄の境目だ。 特に赤まりさの次の順番だった赤れいむに至っては、泣き喚く姉妹に気遣うでもなく露骨に安堵を口に出す。 「ゆぅ…たしゅかっちゃよ…これでれいみゅはゆっきゅ 「『ピチュゥゥーンッ!』 はい! れいみゅちゃんに決定~!」 その赤れいむをリボンごと摘み上げ、俺の頭上に高々と掲げた。 「ゆわあぁ?! れいみゅのきゃわいいおしょらをたちゅけちぇえぇ! おきゃあしゃんがとんでりゅみちゃーい!!」 やや錯乱気味になりながら、大空を羽ばたこうとするかのように、もみあげとあんよをバタバタ動かす赤れいむ。 天から飛び散るおそろしーしーが俺の顔に降り注ぐが、この業界ではご褒美だ。 「にゃんでえぇぇ?! れいみゅじゃなくちぇ、まりしゃでちょおおぉ?!」 「うちの田舎ではラストジャッジメントピチューン!まででワンセットなんだよ! ゆっくり理解してね!」 「ゆやああぁぁっ!! れいみゅちぬのやああぁぁっ!」 泣いても無駄だ。ミニスカ閻魔様の決定は絶対。 俺達地べたを這う者に許されるのは、その足元にひれ伏し、スカートの中をチラチラ覗き見る事だけだ。 さーて、じゃあ、お楽しみ処刑タイムいっちゃおうかなあ! 処刑道具はコレ! 透明なアクリルケ~スぅぅ! ゆっくりを閉じこめておくアレじゃなくて、20cm角ぐらいで小物入れとかにする蓋無しのヤツだ。 水槽から処刑赤れいむを取り出し、床の上に置く。 「ゆやあぁぁ! こ、ころちゃないでぇ! やぢゃああぁっ! れいみゅちにたくにゃいよおぉぉっ!!」 叫び声を上げて、赤れいむがぴょんぴょん跳ねて俺から逃げる。 「あ、ちょっとれいみゅちゃん! 動かないでじっとしててもらえるかな?」 「ゆんやあぁぁ! ゆんやあぁぁあぁぁ!!」 ははは、聞いてないね。 赤れいむを捕まえて、あんよを紙やすりでザリッと一擦り。 「ぴいいぃいぃっ!?!?」 んー! いい声! 俺の言う事を素直に聞いて大人しくなってくれた所で、再度、床に置く。 「おねーちゃんにひぢょいことちないでー!」 「ゆう…おにいしゃん…おねえちゃんをいじめにゃいでね…?」 「どうちておねえちゃんに こんなこちょちゅるの! れいみゅおこりゅよ! ぷきゅううぅ!!」 今度は、まだ状況を理解していない妹の赤ゆ達が、姉の窮状を見て抗議の声を上げてきた。 俺に向かってぷくうをしてくる威勢のいい赤ゆちゃんまでいる。おお、こわいこわい! 怖いのでここは穏便に許してくれるようお願いしよう。 「れいみゅちゃん、やめてね!? やめてね!? ぷくうしないでね!」 「ちゃんとはんしぇいちたの!? はんしぇいちたらおねえちゃんにあやまっちぇね! しょしたらゆるちちぇ バチィン! 「ゆぴいいぃっ!?」 ぷくう赤れいむを掴んで、顔面にデコピンを一発。 顔面がベコンとへこみ、顔の内側に埋没した目から涙が滲み出してくる。 少し待つとへこんだ顔が戻り、顔の真ん中を真っ赤に腫らして…お、俺をキッと睨んできたよぉ!? 強気な赤ゆちゃんもかわいいよね~! 「ゆっ…きゃわいいれいみゅになにすりゅ バチィン! 「びぎいぃっ!?」 「いちゃいよ! やめちぇ バチィン! 「ぴいぃっ!!」 「い、いいきゃげんにちないと バチィン! 「ゆびぃっ!!」 「や、やめちぇ! いちゃいのやめちぇ バチィン! 「いぢゃあっ!!」 「ばっちんやめちぇえぇ バチィン! 「ぴぎいっ!!」 「たちゅけてえぇ! おきゃあ バチィン! バチィン! 「ぶぎゅうぅ!!」 「おにいさあぁん! もうゆるじであげてぐだざいぃ! れいむのあかちゃんがいだがってるよぉぉ!! あかちゃんも おにいざんに さからっちゃだめえぇ! いたいいたいされちゃうよぉぉ!! あやまっでえぇ!」 「ゆぴいぃぃ! ごめんにゃしゃいぃぃ! もうぷきゅうちましぇ バチィン! 「ぎにぃっ!!」 「謝らなくていいんだよ! お兄さん、怒ってなんかないからね! 赤ゆちゃんの強気をへし折って粉々にしてあげたときのかわいいお顔が見たいだけだからね! ほらほらぁ! もっとかわいいお声で泣いてよおぉ! れいみゅちゃあん!」 「ゆんや バチィン! 「あやまりまちゅ バチィン! 「はんしぇいちまち バチィン! 「ゆっくちちた バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! 一カ所だけ叩くとすぐに皮が破れるので、お顔に、ほっぺに、頭に、背中に、あんよにと四方八方からデコピンを喰らわせる。 このね! 赤ゆちゃんの柔らかい体にボフンと指が食い込むときの感触がなんとも言えないんだよねっ! ……… 「ふう~! れいみゅちゃん! すっごくかわいいお顔になったよ!」 「ぶ゛ぎゅ…ぶっぐ…ぢぃ………」 赤れいむの顔はブクブクに腫れ上がり、垂れ流した涙としーしーのお池にデコピンで折れた小さな歯が浮く。 残った二匹の妹赤ゆ達は、ようやく自分達の置かれている状況が少し理解できてきたか、母れいむに縋って泣いている。 「さ、じゃあ、みんなもお姉ちゃんと一緒に並んでね!」 抵抗しなくなった四匹の赤ゆを、何センチか間隔をあけて正方形を描くように床に配置。 対角にいる姉妹と顔が向き合うようにする。 これで素敵な赤ゆちゃん台座のできあがり。 早速、台座にアクリルケースを載せる。 「ゆぎゅ!」 「ゆゆ?!」 「おみょいよぉ!」 「や、やめちぇくだちゃい! れいみゅいいこにちまちゅかりゃ、やめちぇくだちゃあい!」 突然頭上に物を載せられ、これから何をされるのかと赤ゆ達が怯えた声を上げる。 特にデコピン責めにされた赤れいむが激しく怯えている。 ここで取り出しましたるは、一本のペットボトル。 中身はしゅわしゅわあまあまジュース、サイダーさん。 「赤ゆちゃん達! 驚かせちゃってごめんね! お詫びにあまあまで美味しいジュースさんをあげようね!」 「ゆゆっ?! あみゃあみゃ?! ほちい!」「れいみゅも! れいみゅも!」「ゆ…? あみゃあみゃしゃん…?」 自分達がどういう結末を迎えるか知らない妹赤ゆ達が、あまあまという言葉に先程までの怯えぶりが嘘のようにおねだりを始める。 泣いていたデコピンれいむもあまあまが気になるようだ。 リクエストにお答えすべく、ジョボジョボとサイダーをケースに注いであげると、シュワァァと炭酸の泡が心地よく弾ける音が響く。 「ゆぴー! ゆぴー! あみゃあみゃあ!」 赤ゆ達が頭上のケースに降り注ぐ甘露を求め、餌を待つ雛鳥のように舌を伸ばす。 当然、アクリル板の向こうのジュースは飲めないが。 「ゆっくちあみゃあみゃしゃんちょうだいにぇ!」 「ぺーりょぺーりょ!」 「あみゃあみゃちあわ…ゆ? あみゃくにゃいよ?」 赤ゆ達の舌がケースの底面を這い、夢中で注がれたあまあまにありつこうとするが、舌に感じるのは無機質なアクリルの味ばかり。 お間抜けな光景が繰り広げられる間にも、ジュースは注がれている。 「ゆゆ…?! にゃんだか あちゃまが おもくなっちゃよ!?」 「「「ゆぴー! ゆぴー! ゆ?」」」 最初に異変に気づいたのは姉赤れいむ。妹達も続いて異変に気づく。 当然ながら、注がれた液体の分だけ頭上のケースが重量を増したためだ。 「ゆぎぎ…! おみょいよぉぉ!」 「やめちぇにぇ! おみょいよ!」 「ゆっくちできにゃいよ! あみゃあみゃさん! れいみゅにいじわりゅちないでにぇ!」 「れいみゅおこりゅよ!? ぷきゅううぅぅ!」 更に重量が増し、赤ゆ達が平たくひしゃげて行く。 ぷくうしていた姉妹がどうなったかもう忘れたのか、頭上のジュースにぷくうで威嚇する妹赤ゆもいるが、 ケースに頭を押さえつけられているので不格好に横方向だけにほっぺが膨らむ。 ジョボジョボ… 「ゆきゅうぅぅ! あみゃあみゃさんごめんなしゃいぃ! ゆるちちぇぇ! もうぷきゅぷきゅしないかりゃぁぁ!」 ジュースさんと重力さんにそんな威嚇が効く訳もなく、頭上の重みは増すばかり。 ぷくうしていた赤れいむは、ちたちたともみあげで床を叩きながら必死に謝るが、ジュースさん達は許してくれない。 ジュースさんおこっちぇるよ!? 勿論、赤ゆちゃん全員の連帯責任だ。 更にジュースを注いでやり、アクリルケースがまた一段沈み込む。 「ゆっ…ぎゅ…おみょ…おみょいよぉ…! ゆっくち…できにゃいいぃ…」 「ゆぎゅうぅぅ…!」 「たちけちぇ…! おねい…ちゃぁん!」 妹れいむが対面にいるお姉ちゃんに助けを求めるが、そう言われても、お姉ちゃんだって一杯一杯だ。 目に涙を浮かべながら踏ん張ってはいるが、時間と共に増える重量の前に奮闘虚しく押しつぶされて行く。 そろそろくる頃かなーと思いながらゆっくりとジュースを注いでいると… 「「「「ちゅ……ちゅ……ちゅっ…!」」」」 お? これはぁ?! 来た? 来たの?! 来たんだね! よーし!! ジュースを注ぐスピードを少し早め、タイミングを見計らう。 「行くよぉ! 赤ゆちゃん達ぃ! せーの!!」 「「「「「ちゅぶれりゅうぅぅぅ!!!」」」」」 はい! 「ちゅぶれりゅう」いただきましたぁ! みんな息ピッタリだね! とってもかわいかったよおおぉ! ちなみに俺も赤ゆちゃん達と一緒にちゅぶれりゅうコールに参加した。 いやぁ、楽しいなぁ! 「ちゅぶれりゅう」! かぁわいいよね~ もし今、満員電車の中にいるのなら…おっと、そんな事言ってる暇はない。赤ゆちゃん達がお待ちかねだ。 ささ、もっとあまあまさんあげるからねええ! 「ゆぶっ…ぶっ!」「ぢゅ…ぶぅ…!」「ぶっ…! ゆぎゅううぅ…!」 いよいよ危なくなってきたか、赤ゆ達はあにゃるをキュッと窄め、歯を食いしばり、餡子の噴出に耐えている。 顔を真っ赤にして、ぷくうと大きく膨れた両のほっぺたは、まるでほおずきの実のようだ。 甘い匂いのする脂汗を浮かせながら、ブルブルと震えている様は実に愛らしい。 「ちゅっ! ちゅぶれっ…! ちゅぶれりゅう! ちゅぶれりゅうぅ! ちゅぶれりゅううぅぅっ!!」 今のは俺だ。 赤ゆちゃん達喋る余裕無さそうだし代弁してみた。 「ちゅぶれりゅうぅぅ! おきゃあしゃあん! れいみゅたちちゅぶれちゃうよおぉ! たちけちぇええ! ゆんやあああぁ!」 「ゆっぎっぎっぎっ……!!」 今のも俺。 水槽にへばり付いて赤ゆ達の様子を見守る母れいむに、赤ゆちゃんの言葉を通訳してあげたのだが、なんか睨まれた。 かわいさが足りなかったせいかもしれない。 「ゆぶううぅぅっ!!!」 そうしている内に、遂に耐えきれずに一匹が口から餡子を噴き出した。デコピン赤れいむだ。 歯をへし折ってしまったので、閉じた唇だけでは吐餡を抑えられず真っ先に限界に来たようだ。 透明なケースとジュースを通して、赤ゆの前にこんもりと餡子が盛り上がる様子がはっきりと見て取れる。 勿論、水槽の中で泣きながら赤れいむ達の様子を見守っているゆっくり達にも、その様子はよく見えている。 噴出した餡子の一部は、遠くまで飛び散り、デコピンれいむの対面にいた姉赤れいむの顔にもかかった。 「ゆ゛…ゆ゛…ゆ゛え゛っ!! ゆっぶ!? ゆぶろろおぉおおぉぉっ!?」 妹の吐餡を見て気分が悪くなったか、姉赤れいむがえづき、そのまま餡子を吐き出す。 「ゆぶっ! ぶびゅうぅっ!?」 「ゆ゛んむ゛~!?」ブビュビュビュ… それを見た残りの妹赤ゆの一匹も吐餡を始め、最後まで耐えていた一匹は先にあにゃるが決壊した。 どの赤ゆも再びブルブル震えて餡子の噴出に耐える作業に戻るが既に限界が近い。 少し餡子を吐いては、涙ながらに歯を食いしばりあにゃるを窄める、その連続だ。 じゃあ、そろそろフィニッシュといきますかあ! ドボドボと一気にジュースをケースに流し込む。 「「「「ゆぎゅうぅぅぅっ?!?!」」」」 急激に増加した重量に、赤ゆ達は一声泣いた後、みるみるうちに平面に近づいて行く。 口元から、あにゃるから、餡子が次々と溢れ出す。 それでも急速に高まる圧力には追いつかず、饅頭皮まであちこち破れ、ぷつぷつと餡子色の蕾をつけ始める。 その蕾はふわっと広がり、アクリル板の下で幾輪もの餡子色の花が咲き乱れた。 黒い餡子の花に囲まれた八対の白い目が、頭上のアクリル板に押しつけられながら 水槽から自分達を見下ろしている家族達を見つめていたが、その目玉もやがて弾け飛び、白い花となって咲いた。 「死んじゃった♪」 俺の手がピラピラと振るのは、アクリルケースの下敷きとなってグシャグシャに潰れた4匹の赤ゆ。 潰れてベッタリと広がった姉妹達の餡子と饅頭皮が混じり合い、どこまでが誰の物かその境界も曖昧だ。 まるで一枚の大きなのし饅頭。 そののし饅頭を水槽にベタンと貼り付ける。 「ゆんやあぁぁあ! ぎょわいよおぉぉ! ぎょわいよおぉぉ!!」 「いもおぢょがぁ……まりしゃのいもおぢょがぁ……」 「れいみゅがぁ…れいみゅがちんじゃったぁぁ…」 「ゆえぇえ…! ゆっくちできにゃいぃぃ…! ゆっくちできにゃいよぅ…!」 「あが…ぢゃん……れいむの………あがぢゃん………」 のし饅頭が乾いて剥がれ落ちた後も、ゆっくり一家は泣き続けていた。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×2 中編に続きます
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・餡子ンペ09出展作品、テーマは 「1.親子-期待外れ」です ・普通の頭のおかしい虐待お兄さんによる普通の虐待詰め合わせ話です ========== 「のーびのーび! のーびのーび!」 「みてみて! まりしゃがいちばんのーびのーびじょうずだよっ!」 「ゆっ! まりちゃだってまけないよ! のーびのーび♪」 「れいみゅもっ! れいみゅものーびのーびできりゅよっ!」 「ゆ~! みてみて! おにいしゃんっ! まりしゃのーびのーびだよ!」 のーびのーび! ふふふ! ここは、とある山奥のキャンプ場。 俺の目の前で賑やかに声を上げているのは、まだ赤ゆ言葉の抜け切らない子ゆっくりの姉妹達。 丸太で作られたテーブルの上で、のびのび競争の真っ最中だ。 テーブルの上で仰向けやうつ伏せに寝そべって一列に並び、元気よく体を伸ばしている。 「まりしゃおねいちゃん、ぎゃんばれー!」 「れいみゅおねいちゃんもがんばっちえぇ!」 「にょーびにょーび! まりちゃもにょーびにょーびだよ!」 「れいみゅもにょびにょびしゅるよ!」 「ゆぅ~ん! れいむのおちびちゃんたちとってもゆっくりしてるね!」 そして、子ゆっくり達の周りには妹の赤ゆっくり達。 声援を送ったり、姉達を真似て自分ものーびのーびをしたりと、思い思いのゆっくりを楽しんでいる。 彼女らの母親であるれいむが、そんなおちびちゃん達の様子を微笑みながら見守っている。 全員合わせて十数匹の大家族だ。 このキャンプ場は取り立てて人気スポットでもなく、しかも平日とあって俺とゆっくり達の他には誰もいない。 つまり、可愛いゆっくりちゃん達を俺が独占しちゃってるわけだ! 「ふふふ! みんなとってものーびのーびが上手だね!」 ゆっくり達の笑顔に釣られて、俺の顔も綻びっぱなしである。 「ゆうぅぅ…まりちゃ…うまくのーびのーびできないよぉ…」 おや、ひとりだけのーびのーびが苦手な子もいるようだね。 精一杯体をのーびのーびしようとしているけど、体がやや楕円系になる程度だ。 立派ななすび型になっている他の姉妹達に較べると、のび方はその半分にも満たない。 「ほら! まりちゃちゃん! がんばって! おなかに力を入れてぇ…ほら! のーびのーび!」 「ゆぎゅぎゅ…! のーび…のーび…!」 「おっ! ちょっと伸びたよ! その調子、その調子! のーびのーび!」 「ゆ…ゆぅ! のーびのーび! のーびのーび!」 正直さっきと全然変わっていないが、俺が元気づけてあげたらすぐに明るい表情を取り戻してくれた。 何だって一人寂しく無人のキャンプ場へ来てるかって? それは、こうしてゆっくり達と遊びたかったからだ。 キャンプ場の近くで見つけたこの一家は、最初に声をかけたときこそ警戒されたが、 持参したクッキーを食べさせてあげたらすぐに心を許してくれた。 その後、ここに連れて来て一緒にお菓子を食べたり、"おうた"を聞かせてもらったりする内に、あっと言う間に仲良しになった。 で、今は何をしているかと言うと、俺の発案でどの子が一番のーびのーびできるかなぁ? 競争をしている。 なんと一番になった子ゆっくりちゃんには! じゃっじゃ~ん! デパ地下で買ってきた1カット630円のケーキ! を! 1ホールプレゼントでーす! という事でみんな大張り切りでのーびのーびしているという訳。 「あっ、ほら~まりしゃちゃんダメだよ~、ちゃんとあんよをここに付けてね!」 別の子まりさの体を優しく引っ張り、テーブルの上に置いてある角材にあんよをくっつけさせる。 誰が一番のびのびかわかりやすくするために、全員この角材にあんよをくっつけてもらっている。 子ゆっくり達の大きさは皆同じぐらいなので、こうしてあんよの位置を揃えておけば、 お顔の位置を見れば誰が一番か一目瞭然という仕組みだ。 この子まりさは、張り切りすぎる余りにあんよが離れてしまったのだろう。 「ゆぅ…おにいしゃん、ごめんなしゃい…」 怒られたと思ったか、子まりさがしょぼんとして謝る。 大丈夫! わざとじゃないって、お兄さん、ちゃんとわかってるからねええ! 「いいんだよ! さあ! もう一回!」 そう言って笑いかけてあげると、子まりさもニッコリ笑って、またのーびのーびを始めた。 ああ、なんてかわいいんだろう、子ゆっくりちゃん達。 そもそもからして、だ。 「子ゆっくり」 この言葉の響きの時点で、もうかわいさが炸裂してはいないだろうか? もし今、職場や教室、あるいは、電車やバスの中にいるのなら、是非声に出して言ってみて欲しい。 「こゆっくり」「コユックリ」「こゆっくり!」 どう!? かわいいよね!? そうでもない? そう… いや~でもいいよね~! 無垢な野生ゆっくり! お行儀のいい飼いゆや、必死に生きる街中の野良ゆにもそれぞれの良さがあるけど、 やっぱり俺は元気溌剌・天真爛漫にのびのび育った野生ゆっくりが好きだなぁ~ 「のーびのーび♪」 「ゆわ~♪ まりしゃはすっごくのーびのーびできるね!」 「ゆゆ~ん! れいみゅだってのーびのーびしてるのじぇ! まりしゃもまけないのじぇ!」 豪華賞品がかかっているにも関わらず、子ゆっくり姉妹は互いに敵意剥き出しで争うでもなく、 競争という名の遊びを純粋に楽しんでくれてる。 とってもゆっくりとした子ゆっくり達だ。 きっとこの子ゆっくり達なら、誰が勝ってケーキさんを手にしても、家族みんなで分け合って食べてくれるだろう。 むーしゃむーしゃ、しあわせー! みんなであまあまさんたべるとゆっくりできるね! おにいしゃんもいっしょにたべようね! とか言ってね! うふ! うふふふ! 「ゆうう…まりさぁ…! まりさとれいむのおちびちゃん達、とってもゆっくりしてるよぉ…!」 母れいむが目の端に涙を浮かべながら、感慨深げにそんな言葉を呟く。 先程聞いたところによると、つい最近つがいのまりさがれみりゃから家族を守って死んでしまったらしい。 いわゆる、しんぐるまざーだ。 今は餌が豊富に取れる時期なので、これだけたくさんの子供達を養っていけているようだが、やはり相当の苦労がある筈だ。 それ故、子供達がこうしてゆっくりできている姿を目にするのは、ゆ一倍感慨深い物があるのだろう。 …この子供達もやがて自然の摂理に従って淘汰され、冬ごもりをする頃には適正数にまで減ってしまうのだろうが、 今この瞬間だけでも、家族揃ってのゆっくりを楽しんでもらいたいではないか… 「そうだね…れいむ…れいむのおちびちゃん達はとってもゆっくりしてるよ! お兄さんも見ているだけで、とおってもゆっくりしちゃぬぅおうりゃあああぁっっっ!!!」 メッシャアッ!!! 袖口に隠し持っていた竹刀を取り出し、テーブルの上面、 その上で元気にのーびのーびしていた子ゆっくり達の、一列に並んだ柔らかいお腹に向けて渾身の力で叩きつけた。 余りに力を込めすぎたせいで、竹刀が割れてしまう。 両の腕にジンジンと心地よい痛みと痺れが伝わってきているのだろうが、今はこれっぽっちも感じない。 何故なら、この一家を目にしたときからずっと待ち望んでいた、この瞬間の光景を視る事に全神経を集中させていたからだ。 その待望の光景は、スローモーションのように俺の眼前でゆっくりと流れて行く。 割れた竹刀の破片が宙を舞う。 その中に混ざるように、潰れたお腹から飛び散った黒い餡子もキラキラと黒く輝きながら宙を舞う。 テーブルの上には、小さなお口からもりもりと餡子がこぼれて盛り上がる。 あにゃるからも餡子がこぼれ、テーブルの上に黒い筋を描く。 破れたお腹の饅頭皮が捲れ上がり、そこからも餡子が飛び出す。 素晴らしい。素晴らしい光景。俺の口からも笑みがこぼれる。 スッと竹刀を上げ、そのまま放り捨てる。 一列に並んで寝そべる子ゆっくり達。 そのお腹が、竹刀の形にベッコリと潰れ、お饅頭山を切り開いて作った一本の直線道路を描く。 向かって左に見えますのがお顔山、右に見えますのがあんよ山でございます。 どちらのお山もピクッピクッとかわいく痙攣している。 ああ哀れ、子ゆっくりちゃん達のかわいいお腹、綺麗に まっ! ぷたぁっ! つぅぅぅ! んっほおおおぉぉっ!!! 「ゆ…ゆびっ……ゆびいいぃぃっ?!」 何が起きたのか理解できず、?マークを浮かべていた子ゆっくり達だったが、数秒遅れで一匹が白目を剥きながら悲鳴を上げた。 それが引き金となり、他の子ゆっくり達も極上の調べを奏で始める。 「いぢゃいいい…! まりしゃの…おなががぁ! いぎゃいよおおぉ…!!」 「いちゃ…おなきゃ…ゆえっ…ゆげっ! あ、あんござん…でないでなのじぇ…ゆげえっ!!」 「ゆぎっ…ぎ…れいみゅの…あんよざん…どじで…そごにいるの…? れいみゅ…ぴょんぴょ…でぎなくなっぢゃう…」 「ゆぎいいぃ…! おにゃかがないよおぉ! おにゃかがないのに おにゃかいだいよおぉぉ!!」 テーブルから生えた頭達が泣き声を上げる。 砂糖水の涙を飛び散らせながら半狂乱で振られる頭、のけぞって天を仰ぎながら餡子を吐く頭。 お尻達も頭に負けじとグネグネ元気に振られている。 ブルンブルンと勢いよく振られていたお尻の一つが、テーブルから剥がれて転がって行き、地面に落ちた。 潰れたお腹もまだ餡神経が通っているのか、所々でピクピクと蠢き、テーブルから剥がれようと少し浮き、力尽きてまたへばり付く。 ああ…のーびのーびが苦手だった子まりさちゃんだけは、竹刀の位置に頭があったので中枢餡ごと… でも残ったお尻はまだプリンプリンと元気良く…あ、止まった。 「おきゃあじゃ……ぽんぽん…いぢゃいよ…ぺーりょぺーりょ…じでぇ…ゆっぐじ…でぎないぃ…」 「ゆげっ…! やぢゃ…じにだぐ…ない…! おねえぢゃんを…だじゅげで…れいみゅぅ…まりぢゃぁ…ゆげえぇ…」 子ゆっくり達が助けを求めて母れいむや妹の赤ゆ達を呼ぶ。 だが、頼みの綱の家族は突然の状況変化に餡子脳の処理が追いつかず、(◯) (◯) と目を見開いたまま完全フリーズ状態だ。 「おにいしゃ…たしゅけ…れいみゅの…あんよしゃ…くっづげでぇ…いちゃいよぉぉ…! くりゅしいよぉ…!」 おっとぉ、俺ェ? 俺に助けろと? れいむちゃああん! 誰のおかげでこうなってるかわかってないみたいだね! ああ! もう! ホントにおつむがかわいいよほぉぉ! よっしゃー! 俺に任せろおおぉ! 「ほーら! あんよさん、くっつけー!」 「ゆ…あ、やめ゛ 分断された子れいむの頭とあんよを手に取り、雪合戦の雪玉を固める要領でギュウギュウ握ってくっつけてあげた。 「いっちょあがりぃ!」 ベッシャアッ! 饅頭皮や赤いリボンの混ざった餡子玉を瀕死の子まりさの目の前に叩きつけ、放射状に広げる。 「ゆ…おにい…しゃん…どじで…? まりしゃたち…わりゅいこと…しぢゃっだの…? のーびのーび…じだだけだよね…?」 その子まりさがボロボロと涙をこぼしながら、俺の顔を見上げて聞いてくる。 ………びきぃ 「なにがのーびのーびだあっ!! お前らかわいいぃぃんじゃあぁっ!! QNッQNッするんじゃあぁっ!! もっとかわいい泣き声聞かせろおぉぉおふっ…ふ…うふっ…! うふ…うふふふ…! 潰れてね! ゆっくり潰れてね! うふ! うゆふふ! うひゅひゅ…! ゆふひゅひゅぅ!!」 「ゆびゅぶっ…やめ…おにいしゃ…くりゅし…! まりしゃちゅぶれっ…!」 「あ、あの゛~…」 「ん?」 楽しくヒャハってる所に、今までフリーズしていた母れいむが遠慮がちに声をかけてきた。 ちょっと引きつった笑顔で左右のもみあげをもじもじと擦り合わせ、上目遣いに俺の顔を窺っている。 「おにいざんはぁ…もしかじてぇ~………"ぎゃくだいおにいざん"?」 「え? …そうだけど?」 「でずよねえ!!」 何をわかりきった事をと不思議そうに答えた俺に対し、れいむが大口を開けて、パアァ…!といい笑顔を浮かべた。 それから、その笑顔のまま赤ゆっくり達の方に向き直る。 「ゆっ! あかちゃんたち! それじゃ、おかあさんのおくちのなかにはいろうね! ゆっくりいそいではいってね!」 「ユー!」「ユ!」「ユッユッ」「ユッキュリ ユッキュリ」 俺が見守る中、赤ゆ達がどこかぎこちない動きでよちよちとれいむのお口に入って行く。 そして、全員がれいむの口の中に収まった。 「じゃあ、れいぶだぢ、これでしつれいじまぁず!」 「お疲れさまー!」 こちらに向かって、後頭部を曲げて礼儀正しく笑顔のお辞儀をしたれいむに、俺も右手を上げて笑顔で応えた。 ========== 「だしてえぇ! おにいさん、ここからだしてよぉ! れいむたちをおうちにかえしてよぉ!」 「おきゃあしゃん…れいみゅたちも おねえちゃんみちゃく…いちゃいことしゃれりゅのぉ…? やぢゃよぉぉ…いちゃいのやぢゃよぉぉ…」 「ゆえええぇん! まりしゃ ちにたくないよぉぉ!」 「ゆわあぁぁん! ゆっくちできにゃいのじぇぇ!!」 そんなわけで、母れいむと赤ゆ達は我が家にお持ち帰りした。 当然ながら、れいむからの抵抗はあったが、その辺は"テンプレ"とだけ言っておこう。 "虐待お兄さん"の存在を知っていただけあって、彼我の力の差を理解してくれるまでが早くて楽だった。 ゆっくり達は虐待部屋に置いてある水槽に閉じ込めてある。 水槽は成体ゆっくりが優に4匹は入るサイズ。もちろん強化ガラス製。 中には土を敷き詰めた。 それだけでは殺風景だし、ゆっくり達も落ち着かなかろうと、拳大から両手の平に乗るサイズまで大小の石を適当に入れてやった。 防音機能とか無粋な物はないので、ゆっくり達の泣き声をたっぷりと楽しめる。 無論、虐待お兄さんの嗜みとして部屋自体は防音にしてあるので近所迷惑にはならない。 「まあ落ち着いてよ。お兄さん、別にみんなを殺すために連れてきたんじゃないんだよ?」 「ゆゆっ? じゃ、じゃあ、はやくれいむたちをおうちにかえらせてよぉ! おにいさんとはゆっくりできないよ!」 「ゆにぇぇん! おうちかえちちぇー!」 「ゆっぐ…おうちぃ…おうちかえりちゃいぃ…」 「すぐに帰らせるわけにはいかない。だったら初めから連れてこないよ。 実はね…れいむにお願いしたいことがあるんだ」 「ゆ…ゆぅ…なあに…?」 疑いの眼差しを向けながらも、他に何ができるでもないと理解しているのか、素直に俺の話を聞く母れいむ。 「うん、お兄さんね、赤ちゃんまりさが欲しいんだよ」 「ゆぴゃああぁっ!! やぢゃやぢゃあ! きょわいおにいしゃんはゆっくちできにゃいいぃ!」 「おきゃあしゃあん! まりしゃを あげにゃいでにぇぇ! まりしゃ、いいこにしゅるかりゃあぁ! ゆにゃあぁあぁ!」 俺の言葉に真っ先に反応して泣き出したのは、赤まりさ達だ。 無理もない。お姉ちゃん達を殺した怖い人間さんに貰われたら何をされるかわからない。 でも大丈夫! そんなに怖がらなくていいよ! 「いや、違う違う。君達のことじゃないよ。お兄さん友達から頼まれててね。 生まれたばかりの赤ちゃんまりさを欲しいって言われてるんだ。君達じゃ少し育っちゃってるからダメなんだ」 「ゆっぐ…ほんちょ…? ゆっぐ…」 「うん、ほんちょほんちょ」 友達云々とかのくだりは本当じゃないが、大筋においては嘘ではない。 適当に答えて泣いている赤まりさ達をあやすと、用意しておいた透明な箱を水槽の横に置いた。 そこに入っているのは、一匹の成体ゆっくり。 ゆっくりまりさ。 「ここで産んで欲しいんだ。れいむに」 ========== それから数日後 「ゆぅ…あかちゃぁん…」 箱に入れられ俺に連れていかれる二匹の赤ゆを、母れいむが涙の滲む目で見上げている。 赤ゆは、れいむが今産んだばかりの赤まりさと赤れいむだ。 「おきゃーしゃーん! おねいちゃーん!」「ゆえええぇん! ゆっくちしゃせちぇー!」 「れいみゅのいもうちょを つれちぇかにゃいでえぇ!」「いもうちょかえちてー!」 離れ離れになる姉妹達も泣きながらに互いを呼び合う。 始めての「ゆっくりしていってね!」の挨拶を交わす間もなく引き離され、 二度と逢えない事を予感しているのか、しきりに泣き声を上げる。 今回がここに来てから二回目の出産。 一回目には、赤まりさが二匹生まれた。 そのときは、母れいむも今の赤ゆ達と同じように赤ちゃんを返してと泣き叫んでいたが、もともと俺が貰うために産ませた赤ゆ。 返す道理もない。 今回れいむが騒いでいないのは、それを理解して諦めているからだろう。 一匹生まれた赤れいむも"ついでに"俺が貰うと伝えたときには、多少の抵抗はあったが。 「れいむ、お疲れさま。今日もとってもかわいい赤ちゃんだったよ。 じゃあ、またすっきりー頑張ってくれるかな?」 俺は水槽の横にれいむの三回目のすっきりー相手が入った透明な箱を置いた。 ========== 「ゆうぅぅ…なんだかゆっくりできないまりさだよ…」 そう口にしてしまってから、れいむはハッとする。 (本ゆんの前でそんなこと言うなんて、れいむゆっくりしてなかったよ…でも…) これまで、赤ちゃんまりさを産むために、二回、別々のまりさと無理矢理すっきりーをさせられた。 ふたり共、ゆっくりしていないまりさだった。 お肌も、髪も、お帽子も、どこも薄汚れていて、汚い色の染みがこびりついていた。 れいむのはにーのまりさとは大違いだった。 お兄さんは、「まちののらゆっくり」だから汚いんだよと言っていた。 それでもれいむは、面と向かって他のゆっくりにゆっくりできない等と口にするような事はしなかった。 (ゆぅ…でも、このまりさは…) だが、今度のまりさはどうだ。 体そのものは前の二人程には汚れていない。山に住んでいたれいむ達とさほど変わらない。 でも、大きく見開いた、真っ赤に血走った目が怖かった。 まりさはその目でお兄さんを睨んでいた。 とっても怖い目。 れいむが子ゆっくりだった頃に群れを襲った、怖い"れいぱー"よりももっと怖い目をしていた。 それにまりさは、何かでお口を縫いつけられて、開けなくなっているみたいだった。 (お兄さんにいじめられたのかな…?) それなのに、開けないお口でお兄さんに向かって何かを叫ぼうとしていた。 あんまり叫ぼうとするので、縫いつけられたお口が切れて餡子さんが少し漏れていた。 見ているだけで、れいむのお口まで痛くなってきた。 まりさは何かに怒っていた。狂ったように怒って、箱の中で暴れていた。 とてもゆっくりできないまりさだった。 れいむが「ゆっくりできない」と口走ってしまったとき、まりさの怖い目がれいむを見た。 そして、怖い目でれいむを見て、ますます目を見開いて、れいむにも何かを叫んだ。叫ぼうとしていた。 とっても怖くて、思わず目を逸らしてしまった。 れいむのまりさと同じまりさの筈なのに、全然ゆっくりできなかった。 このまりさには悪いけど、一緒にすっきりをするなんて、考えただけでゆっくりできなかった。 すっきりしたくないのは、今までのまりさもそうだったけど。 (れいむはれいむのはにーのまりさのれいむなのにぃ) でも、お兄さんは最初に言った。笑いながら。 「赤ちゃんまりさを産んでくれないなら、れいむの赤ちゃん全員殺すね。どっちがいい? 産む? 産まない?」 だかられいむは、すっきりーをするしかなかったんだよ。ごめんね、まりさ。ごめんね。 (でも、それでも、こんな怖いまりさは嫌だよ。せめて前のまりさにして欲しいよ) でも、お兄さんは、れいむにこのまりさとすっきりーをさせようとする。 「前のまりさはもう死んじゃったんだ。もうこんなのしかいないから、コレで我慢してね」って笑いながら。 いつものように、お兄さんがまりさに"おくすり"を"ちゅうしゃ"をする。 怒っていたまりさの目がドロリと濁って、お顔がトロンと蕩ける。 前のふたりのまりさと同じ顔。れいぱーみたいな顔。 この後に起こる事も同じ。 ここでの生活で、一番ゆっくりできない時間の始まり。 泣いている赤ちゃん達が見ている前で、ベトベトの頬を擦りつけられて、無理矢理すっきりーをさせられて、 お兄さんがまりさを箱に戻してくれるまでの、とてもゆっくりできない時間。 ========== 「むーちゃむーちゃ…ちあわちぇ…」 「ゆ…おいちい…」 赤ゆ達が食べているのは、クッキー。 れいむが赤まりさを産んだ日だけの特別なご褒美だ。 にも関わらず、目の前で母親が"変な事"をされるのを延々と見せられ泣き続けた直後とあって、 辛い事を忘れ易い餡子脳でも、流石にべそをかきながらのお食事タイム。 ちなみに普段は腐りかけの生ゴミ、しかも赤ゆが衰弱し過ぎない程度に抑えた量しか食べさせていない。 赤ゆを産ませる都合上、母れいむだけは栄養価の高い食事を十分に食べさせているが。 「そうそう。実はみんなに良いお知らせがあるんだよ」 「ゆ…?」 いきなり話しかけた俺に、ゆっくり達が顔を向ける。 「あとひとり…あとひとりだけ、赤ちゃんまりさをお兄さんにくれたら…みんなをお家に帰してあげる。 ひとりだけくれれば、一緒に生まれた他の赤ちゃんも一緒に帰してあげるよ」 「…ゆ…ゆっ!? ほんと?! おにいさん、ほんとに!?」 「ああ、本当だよ」 「かえれりゅの? れいみゅたちおうちにかえれりゅの?」 「ゆっくちできりゅよ! まりしゃたちゆっくちできりゅよ!」 「おきゃあしゃん! はやきゅう! はやきゅ あかしゃんうんでなのじぇ!」 暗闇の中、突如現れた光明に、ゆっくり一家が色めき立つ。 「ゆっ! だいじょうぶだよ! おちびちゃん! もうすぐ…! もうすぐかえれるんだよ! おにいさん! やくそくだよ! ぜったいだよ!」 はいはい。わかってます。約束は守るよ。 安心してね。お兄さん、ゆっくりとの約束はそんなに破ったことないんだよ。 ========== それからまた数日後 「ゆぐぐうぅ…! う、うばれるうぅぅ!」 水槽の中には、りんっげつっのお腹を抱え、いきんでいる母れいむの姿があった。 「おきゃあしゃあん! がんばっちぇええ!」 「うまれりゅよ! れいみゅのいもうちょがうまれりゅよ!」 「あかしゃん! ゆっきゅりうまれちぇにぇ!」 「ゆ! れいみゅもあかしゃんうむよ! う、うみゃれりゅううぅ!」 れいむの周りでは、これからお姉ちゃんになる赤ゆ達がはしゃいでいる。 汗をダラダラ流してじんっつうっの痛みに呻く母れいむの表情も、心なしか笑っているように見える。 既に二度、生まれたばかりの赤ちゃんとの辛い生き別れを経験していると言うのに、よくこれだけ喜べるものだ。 餡子脳だからというのもあろうが、やはりゆっくりにとって、愛くるしい赤ゆっくりの存在こそが至上のゆっくりの素だからだろう。 しかも、今回、赤まりさが誕生すれば、念願叶ってお家に帰ることができるのだ。 一匹を除けば、新しい妹達も一緒に。 「れいむ! ヒッ、ヒッ、フーだ! ヒッ、ヒッ、フー!」 「ゆぐぐ…! ひっ、ひっ、ゆぅー! ひっ、ひっ、ゆぅー!」 実のお父さんは、透明な箱で別居させているので、出産立ち会いは僭越ながら俺が努めている。 れいむの射出口の前に使い古しのタオルを丸めたクッションを用意し、飛び出してくる赤ゆを受け止める態勢も万全だ。 「おきゃあしゃん! ぴっ、ぴっ、ゆぅー!」 「ゆゆっ?! あかしゃんの おかおがでちゃのじぇぇ!!」 「まりしゃがおねえちゃんぢゃよぉ! ゆっきゅちちchっちぇ! ゆっきゅちちい☆い#cっへえぇ!!!」 うん。落ち着け。 「ひ…ひっ…ゆぅぅー! うば…! うばれるうぅぅぅ…!!」 赤ゆの顔が、ムリムリとれいむの産道からせり出してくる。そして すっぽーん!! 間の抜けた音と共に、遂に新しい饅頭がこの世に生を受けた。 柔らかいクッションが赤ゆを傷つけることなく優しく抱き止める。 「うばれるっ…! またっ…うばれるよおぉ!!」 すっぽーん!! すっぽーん!! 先に生まれた赤ゆにぶつからないよう俺がタオルをずらしたところで、更に立て続けに二匹。 計三匹の赤ゆが誕生した。 胎生出産だが、れいむの餌に出産促進剤を混ぜて促成したため、大きさはピンポン玉大。 姉の赤ゆ達と同じくらいのサイズだ。 タオルの上でプルプルと震えている三匹の赤ゆを、家族達がこちらもプルプルと震えながら期待に満ちた視線で見守る。 最初のご挨拶、「ゆっくりしていってね!」の瞬間を待ちかまえているのだ。 そして、遂にその時が、ゆっくりのゆん生における最初の祝福の時がやってくる。 「「「…ゆ…ゆっ…ち………ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」」」」」」 家族全員、満面に笑顔を浮かべてのご挨拶。 正に今がしあわせーの絶頂期だろう。そう。絶頂期だ。 「ゆううぅ…! れいむのあかちゃん、とってもゆっくりしてるよおぉ! れいむによくにた…ゆ?」 そこで母れいむの言葉が止まる。ある事実に気付いたからだ。 勿論、俺も最初からその事に気付いていた。 生まれた赤ゆは、全てれいむ種だったのだ。 「ゆ…ゆ? お、おにいさん…」 れいむが俺の顔を窺う。 「うん、ごめんね、れいむ。お兄さんが欲しい赤ちゃんはまりさだからね。お家に帰るのはまだだね」 「ゆう……」 れいむの表情が曇る。 そう。"もう一匹赤まりさをくれたら"、お家に帰らせる約束だ。 残念ながら、今回は条件を満たせなかったようだ。 「ゆっ…! お、おにいしゃん! れいみゅのいもうちょたち、つれてっちゃやぢゃあ!」 「ん? 連れていかないよ。まりさちゃんじゃないからね」 ぴょんと一跳ね前に出た姉の赤れいむが、震えながらも妹を連れていかないでと俺に直訴してくる。 その赤れいむに返事をしながら、事前に用意しておいたペットボトルの蓋を開ける。 「やっちゃあ! いもうちょとゆっくちできりゅね!」 「ゆう~♪ みんにゃ! おねいちゃんと、いっちょにゆっくちちようにぇ!」 「あー…一緒にゆっくりはちょっと無理かな」 新生赤ゆ達が乗ったタオル、その外周に沿ってペットボトルの中の灯油を振りかけた。 「ゆぴいいぃぃっ!! あちゅぅぅ!! あちゅううぅぅ!!」 「みゃみゃあああぁあ!!」「おにぇいちゃあああん!!」 「ゆびゃああぁあっ?! れーみゅのいもうちょがああぁっ!?!?」 「まりじゃのいもうぢょがああぁぁあっ!?!?」 「いもおちょがあづがっでるよおお!!」 三匹で寄り添って泣き声をあげる、生まれたての赤ゆ達。 その周りをメラメラと音を立てて燃えさかる炎の壁がぐるりと囲んでいる。 生まれたてと言えど、よちよち這うぐらいはできるが、 わずかに炎に近づくだけでジリジリと身を焼く熱に晒され、それ以上進むことはできない。 姉の赤ゆ達も、同様に燃えさかる炎の壁に近づく事ができず地団駄を踏んでいる。 赤い炎の壁のすぐ向こうに、姉妹はお互いの泣き顔を窺うことができる。 少し跳ねれば、あるいは這えば、赤ゆでも簡単に到達できる距離。 にも関わらず赤ゆでは絶対に越えることのできない壁。 そうしている間にも、炎の壁はジリジリと妹赤ゆ達に迫ってくる。 「れいむのあがぢゃああん!! はなじでえぇえ! はなじでよおぉぉ!! おにいざあん!! あがぢゃんがあぁあ! れいむのゆっぐりどじだあがぢゃんがああぁあ!」 母れいむならば相応の被害を覚悟すれば赤ゆを救出する事ができるかもしれない。 だが生憎、俺の手に押さえつけられジタバタともがくのに忙しくて、助けに行ってあげられない。 なんたる間の悪さ。 しかし救世主は別の所からやってきた。 「ゆうぅぅ! おねいちゃんがたちゅけりゅよ! ぴいぃぃっ!! あちゅいよおぉ!!」 小さな救世主の伝説は2秒で終了した。 一匹の姉赤れいむが、妹を助けようと果敢にも炎の壁に挑んだが、 瞬く間にもみあげに引火、火を消そうと水槽の土の上を転げ回る事になった。 だが、この赤れいむは幸運だ。 もう一歩深く踏み込んでいたら、一瞬で全身火ダルマ饅頭になっていた。 まあ…踏み込んでいようといまいと最終的には同じ事なんだけど… 空いている方の手を伸ばし、ようやく火を消し止めてゆぐゆぐ泣いている赤れいむを掴む。 そして、妹達が助けを待つ炎の壁の中に放り込んだ。 「ゆびいいぃぃっ!」 炎の熱さから逃れたと思ったのも束の間、四方から饅頭皮を焼く熱波に襲いかかられ、姉赤れいむが再び悲鳴を上げる。 「おにぇいちゃああん!!」「ゆぴぃー! ゆぴぃー!」「あちゅあちゅしゃんけちてえぇ!!」 「ぴぎゃあぁあっ!! あちゅいよおぉ! やめちぇえぇ! こっちこにゃいでぇえぇ!!」 既に体に火が回り、燃え始めていた妹赤ゆ達が、救いを求めて姉赤れいむに縋り付いてくる。 姉赤れいむは妹達を振りほどこうとするが、妹とは言え体格はほぼ変わらない、 お姉ちゃんなら自分達を助けてくれるに違いないと信じ、無我夢中で三方から擦り寄って来られては跳ね除ける事もできない。 そうする内に妹達の体を焼いていた炎は姉赤れいむにも燃え移る。 姉赤れいむだけではない。 妹達同士でも、互いの纏う炎が互いの体に燃え移り、肌も髪もリボンも瞬く間に炎に包まれる。 全身を炎に包まれ、一つの塊になって燃えさかる姉妹達。その願いも一つ。 「「「「たちゅけちぇえぇっ!! れいみゅあちゅいよおぉぉっ!! おぎゃあじゃああぁぁぁんっ!!」」」」 無慈悲な赤い炎に焼き尽くされて行く小さな命。仲良く揃ったかわいい悲鳴。 「あがじゃああん!! おにいざんおねがいじまずうぅ!! あがぢゃんだずげであげでえぇっ!」 「ああ…綺麗だなぁ…かわいいなぁ…ふふ……ふふふふ……」 俺のすぐ下でれいむが大声で何かを喚いているが、まったく耳に入ってこない。 それほどまでに、目の前の光景は美しく、聞こえる音色は甘美だった。 ……… 「あかちゃん…? れいむのあかちゃん…? …おねがいだよ…おへんじしてね……おへんじしてよぉ……!」 母れいむが頬をすり寄せているのは、湯気を上げる四つの真っ黒な丸い消し炭。 球形のそれには窪みが三つ。 つぶらなおめめが嵌っていた、小さな窪みが二つ。 「おかあさん」 その言葉の形に大きく開いたままの、お口だった窪みが一つ。 他は全て焼け落ちて、何にもない、のっぺらぼうの消し炭。 他の赤ゆ達は、その光景から逃れようとするかのように水槽の隅に固まって涙を流しながらブルブルと震えている。 「ゆぅ……ゆぅぅ…! あか…ちゃん……れいむの……あかちゃんがぁ…! …どーしてぇ…? どーしてこんなことするのおぉぉ…!! おにいさあぁぁん!?」 「ああ、ゴメン。言い忘れてたね。 れいむが赤ちゃんれいむしか産まなかったら、産まれた赤ゆちゃんは全員殺すから。 あとオマケでお姉ちゃんの赤ゆちゃんも一人殺すから。 そういうルールだから、これ」 後付はゆっくりできないが、忘れていたものは仕方がない。 改めて、俺が決めていた"ルール"をれいむに説明する。 「な、なにそれえぇぇ!? ぞんなのれいむ ぎいでないよおぉぉ!?」 「だからゴメンってば。じゃあ、もう一回選んでいいよ」 「ゆ…? え、えらぶって…なにを…? ゆっ? おそら?」 れいむの髪の毛を鷲掴みにし、その顔が俺の顔の真ん前に来る位置まで持ち上げる。 「俺が、決めた、ルールで、赤ちゃんまりさを産むか、それとも、産まないで全部の赤ちゃんを殺されるか、だ。 言っておくが俺が決めるルールに文句は言わせないぞ? 文句があるなら、もうれいむには頼まない。自動的に『全部の赤ちゃんを殺される』だ。 さあ、選べよ。どっちがいい? ん?」 「ゆっ…ゆぅぅ…そんなぁ…そんなのぉ……ゆぅ……ゆぇ……ゆえええぇん!」 俺の言葉をゆっくりと飲み込んだれいむが、涙を流す目から、更に溢れるように涙を滲み出させて赤ゆのように泣く。 「泣いてちゃわからないよ、れいむ? どっち? 答えないなら…」 「ゆううぅぅ…うびばず……ゆっぐ…あかちゃん…うびばずがらぁ…もうれいむのあかちゃん…ゆっぐ…ころさないでよぉ…!」 「なあんだ! やっぱりそっちでいいのか! だったら先にルールを説明してても、結局あの赤ゆちゃん達が死ぬのは変わらなかったね! あ、あとね、れいむの赤ちゃんが死んじゃうかどうかは、れいむ次第だからね? 赤ちゃんまりさを産まなかったら、また赤ちゃん死んじゃうからね? お兄さんのせいにしないでね? ゆっくり理解したかい?」 「……ゆっ……ぐい………りがい………じだよ……」 「さっすが、れいむ! ものわかりが良くて、お兄さんうれしいよ! それじゃ、早速かわいい赤ちゃん作ろうか!」 俺はれいむを水槽に降ろすと、次のすっきりーに取りかからせるべく準備を始める。 楽しいショーはまだこれからだ。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×3 ========== れいむが俺の家に来てから4回目の出産を終えた。 「「「ゆっくしちちぇいっちぇね!!」」」 「はい、今度もれいむちゃんでしたー! 残念だったねぇ…みんな」 気の毒そうに声をかける俺に、ゆっくり一家は何も言葉を返さず押し黙ったままだ。 今回もれいむは3匹の赤ゆを産み落としたが、運命の悪戯か、或いはもっとタチの悪い別の何かの仕業か、全て赤れいむだった。 タオルのクッションの上では、生まれたての赤れいむ達がキリッと眉を上げてプルプル震えながら、 最初のゆっくりしていってね!のご挨拶を叫ぶ。 しかし、母親と姉達は呆然とその姿を見つめるだけで、青ざめた表情のまま誰も挨拶を返そうとはしない。 「ゆ…? ゆっくしちちぇいっちぇね! ゆっくしちちぇいっちぇね!」 「ゆっくしちちぇいっちぇねえぇぇ! ゆっくちいぃい…!?」 「ゆっくち…? ゆっくち…しちぇいっちぇね…? ゆぅぅ…ゆええぇ…」 挨拶を返してくれない家族に、生まれたての赤ゆ達の表情も曇り、すぐに泣き顔に変わる。 お母さんのお腹にいるときから、ずっと待ち望んでいたゆっくりしていってね!のご挨拶。 お外から聞こえてきた、お母さんとお姉ちゃん達のゆっくりとした声。 (れいむのあかちゃん! ゆっくりうまれてね!) (いもうちょはゆっくちできりゅよ!) (ゆんゆ~ん♪ れいみゅのおうちゃをきいて、ゆっくちちちぇね!) (おきゃあしゃん! いもうちょのまりしゃも いりゅよね!) (ゆっ! こんどはだいじょうぶだよ!) 自分達の誕生を待ち望む家族の声。 れいむは"まりさ"じゃないけど、それでもかわいいれいむを見れば、お母さんもお姉ちゃんもゆっくりしてくれる。 祝福で迎えられる誕生、そう信じて疑わなかった。 それなのに、お母さんもお姉ちゃんも、誰もゆっくりしていってね!と答えてはくれない。 れいみゅはゆっくりしちゃいけないの? ゆっくりできないの? ゆっくりしたいよ… 輝けるゆん生への希望は、生まれ落ちた瞬間から落胆へと変わった。 まだ己の運命を知らない妹達も、これから待ち受ける運命を知る家族達も、一様に悲しみに沈む。 そして楽しい時間は始まる。 「ど・の・こ・が・し・ん・じゃ・う・の・う・か・な」 水槽の中に並ばせた姉赤ゆ達を俺の指が順番に指し、指を向けられた赤ゆがその度にビクッと震える。 言うまでもなく、今回の処刑赤ゆを選んでいるのだ。 最後に指が止まった先にいた子が死んじゃうからね!と説明してあるので、俺の指が向くたびにおめめからじんわり涙が溢れてくる。 「え・い・き・さ・ま・の・い・う・と・お・り」 俺の言葉が進むにつれ、赤ゆ達の緊張感は増していく。 もう既に全員涙目。か~わいいなあ! そしていよいよクライマックス! 一音一音に力を込める。 「ラ・ス・ト・ジャ・ツ・ジ・メ!・ン!・トォォォ!!」 「ゆぴゃああぁっ!? やぢゃやぢゃやぢゃあぁっ! ちにたくにゃいよぉ!」 俺の指がビシィッと差した先にいた赤まりさが甲高い絶叫を放った。 その横では、難を逃れた姉妹達が安堵の表情を浮かべている。 まさに天国と地獄の境目だ。 特に赤まりさの次の順番だった赤れいむに至っては、泣き喚く姉妹に気遣うでもなく露骨に安堵を口に出す。 「ゆぅ…たしゅかっちゃよ…これでれいみゅはゆっきゅ 「『ピチュゥゥーンッ!』 はい! れいみゅちゃんに決定~!」 その赤れいむをリボンごと摘み上げ、俺の頭上に高々と掲げた。 「ゆわあぁ?! れいみゅのきゃわいいおしょらをたちゅけちぇえぇ! おきゃあしゃんがとんでりゅみちゃーい!!」 やや錯乱気味になりながら、大空を羽ばたこうとするかのように、もみあげとあんよをバタバタ動かす赤れいむ。 天から飛び散るおそろしーしーが俺の顔に降り注ぐが、この業界ではご褒美だ。 「にゃんでえぇぇ?! れいみゅじゃなくちぇ、まりしゃでちょおおぉ?!」 「うちの田舎ではラストジャッジメントピチューン!まででワンセットなんだよ! ゆっくり理解してね!」 「ゆやああぁぁっ!! れいみゅちぬのやああぁぁっ!」 泣いても無駄だ。ミニスカ閻魔様の決定は絶対。 俺達地べたを這う者に許されるのは、その足元にひれ伏し、スカートの中をチラチラ覗き見る事だけだ。 さーて、じゃあ、お楽しみ処刑タイムいっちゃおうかなあ! 処刑道具はコレ! 透明なアクリルケ~スぅぅ! ゆっくりを閉じこめておくアレじゃなくて、20cm角ぐらいで小物入れとかにする蓋無しのヤツだ。 水槽から処刑赤れいむを取り出し、床の上に置く。 「ゆやあぁぁ! こ、ころちゃないでぇ! やぢゃああぁっ! れいみゅちにたくにゃいよおぉぉっ!!」 叫び声を上げて、赤れいむがぴょんぴょん跳ねて俺から逃げる。 「あ、ちょっとれいみゅちゃん! 動かないでじっとしててもらえるかな?」 「ゆんやあぁぁ! ゆんやあぁぁあぁぁ!!」 ははは、聞いてないね。 赤れいむを捕まえて、あんよを紙やすりでザリッと一擦り。 「ぴいいぃいぃっ!?!?」 んー! いい声! 俺の言う事を素直に聞いて大人しくなってくれた所で、再度、床に置く。 「おねーちゃんにひぢょいことちないでー!」 「ゆう…おにいしゃん…おねえちゃんをいじめにゃいでね…?」 「どうちておねえちゃんに こんなこちょちゅるの! れいみゅおこりゅよ! ぷきゅううぅ!!」 今度は、まだ状況を理解していない妹の赤ゆ達が、姉の窮状を見て抗議の声を上げてきた。 俺に向かってぷくうをしてくる威勢のいい赤ゆちゃんまでいる。おお、こわいこわい! 怖いのでここは穏便に許してくれるようお願いしよう。 「れいみゅちゃん、やめてね!? やめてね!? ぷくうしないでね!」 「ちゃんとはんしぇいちたの!? はんしぇいちたらおねえちゃんにあやまっちぇね! しょしたらゆるちちぇ バチィン! 「ゆぴいいぃっ!?」 ぷくう赤れいむを掴んで、顔面にデコピンを一発。 顔面がベコンとへこみ、顔の内側に埋没した目から涙が滲み出してくる。 少し待つとへこんだ顔が戻り、顔の真ん中を真っ赤に腫らして…お、俺をキッと睨んできたよぉ!? 強気な赤ゆちゃんもかわいいよね~! 「ゆっ…きゃわいいれいみゅになにすりゅ バチィン! 「びぎいぃっ!?」 「いちゃいよ! やめちぇ バチィン! 「ぴいぃっ!!」 「い、いいきゃげんにちないと バチィン! 「ゆびぃっ!!」 「や、やめちぇ! いちゃいのやめちぇ バチィン! 「いぢゃあっ!!」 「ばっちんやめちぇえぇ バチィン! 「ぴぎいっ!!」 「たちゅけてえぇ! おきゃあ バチィン! バチィン! 「ぶぎゅうぅ!!」 「おにいさあぁん! もうゆるじであげてぐだざいぃ! れいむのあかちゃんがいだがってるよぉぉ!! あかちゃんも おにいざんに さからっちゃだめえぇ! いたいいたいされちゃうよぉぉ!! あやまっでえぇ!」 「ゆぴいぃぃ! ごめんにゃしゃいぃぃ! もうぷきゅうちましぇ バチィン! 「ぎにぃっ!!」 「謝らなくていいんだよ! お兄さん、怒ってなんかないからね! 赤ゆちゃんの強気をへし折って粉々にしてあげたときのかわいいお顔が見たいだけだからね! ほらほらぁ! もっとかわいいお声で泣いてよおぉ! れいみゅちゃあん!」 「ゆんや バチィン! 「あやまりまちゅ バチィン! 「はんしぇいちまち バチィン! 「ゆっくちちた バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! バチィン! 一カ所だけ叩くとすぐに皮が破れるので、お顔に、ほっぺに、頭に、背中に、あんよにと四方八方からデコピンを喰らわせる。 このね! 赤ゆちゃんの柔らかい体にボフンと指が食い込むときの感触がなんとも言えないんだよねっ! ……… 「ふう~! れいみゅちゃん! すっごくかわいいお顔になったよ!」 「ぶ゛ぎゅ…ぶっぐ…ぢぃ………」 赤れいむの顔はブクブクに腫れ上がり、垂れ流した涙としーしーのお池にデコピンで折れた小さな歯が浮く。 残った二匹の妹赤ゆ達は、ようやく自分達の置かれている状況が少し理解できてきたか、母れいむに縋って泣いている。 「さ、じゃあ、みんなもお姉ちゃんと一緒に並んでね!」 抵抗しなくなった四匹の赤ゆを、何センチか間隔をあけて正方形を描くように床に配置。 対角にいる姉妹と顔が向き合うようにする。 これで素敵な赤ゆちゃん台座のできあがり。 早速、台座にアクリルケースを載せる。 「ゆぎゅ!」 「ゆゆ?!」 「おみょいよぉ!」 「や、やめちぇくだちゃい! れいみゅいいこにちまちゅかりゃ、やめちぇくだちゃあい!」 突然頭上に物を載せられ、これから何をされるのかと赤ゆ達が怯えた声を上げる。 特にデコピン責めにされた赤れいむが激しく怯えている。 ここで取り出しましたるは、一本のペットボトル。 中身はしゅわしゅわあまあまジュース、サイダーさん。 「赤ゆちゃん達! 驚かせちゃってごめんね! お詫びにあまあまで美味しいジュースさんをあげようね!」 「ゆゆっ?! あみゃあみゃ?! ほちい!」「れいみゅも! れいみゅも!」「ゆ…? あみゃあみゃしゃん…?」 自分達がどういう結末を迎えるか知らない妹赤ゆ達が、あまあまという言葉に先程までの怯えぶりが嘘のようにおねだりを始める。 泣いていたデコピンれいむもあまあまが気になるようだ。 リクエストにお答えすべく、ジョボジョボとサイダーをケースに注いであげると、シュワァァと炭酸の泡が心地よく弾ける音が響く。 「ゆぴー! ゆぴー! あみゃあみゃあ!」 赤ゆ達が頭上のケースに降り注ぐ甘露を求め、餌を待つ雛鳥のように舌を伸ばす。 当然、アクリル板の向こうのジュースは飲めないが。 「ゆっくちあみゃあみゃしゃんちょうだいにぇ!」 「ぺーりょぺーりょ!」 「あみゃあみゃちあわ…ゆ? あみゃくにゃいよ?」 赤ゆ達の舌がケースの底面を這い、夢中で注がれたあまあまにありつこうとするが、舌に感じるのは無機質なアクリルの味ばかり。 お間抜けな光景が繰り広げられる間にも、ジュースは注がれている。 「ゆゆ…?! にゃんだか あちゃまが おもくなっちゃよ!?」 「「「ゆぴー! ゆぴー! ゆ?」」」 最初に異変に気づいたのは姉赤れいむ。妹達も続いて異変に気づく。 当然ながら、注がれた液体の分だけ頭上のケースが重量を増したためだ。 「ゆぎぎ…! おみょいよぉぉ!」 「やめちぇにぇ! おみょいよ!」 「ゆっくちできにゃいよ! あみゃあみゃさん! れいみゅにいじわりゅちないでにぇ!」 「れいみゅおこりゅよ!? ぷきゅううぅぅ!」 更に重量が増し、赤ゆ達が平たくひしゃげて行く。 ぷくうしていた姉妹がどうなったかもう忘れたのか、頭上のジュースにぷくうで威嚇する妹赤ゆもいるが、 ケースに頭を押さえつけられているので不格好に横方向だけにほっぺが膨らむ。 ジョボジョボ… 「ゆきゅうぅぅ! あみゃあみゃさんごめんなしゃいぃ! ゆるちちぇぇ! もうぷきゅぷきゅしないかりゃぁぁ!」 ジュースさんと重力さんにそんな威嚇が効く訳もなく、頭上の重みは増すばかり。 ぷくうしていた赤れいむは、ちたちたともみあげで床を叩きながら必死に謝るが、ジュースさん達は許してくれない。 ジュースさんおこっちぇるよ!? 勿論、赤ゆちゃん全員の連帯責任だ。 更にジュースを注いでやり、アクリルケースがまた一段沈み込む。 「ゆっ…ぎゅ…おみょ…おみょいよぉ…! ゆっくち…できにゃいいぃ…」 「ゆぎゅうぅぅ…!」 「たちけちぇ…! おねい…ちゃぁん!」 妹れいむが対面にいるお姉ちゃんに助けを求めるが、そう言われても、お姉ちゃんだって一杯一杯だ。 目に涙を浮かべながら踏ん張ってはいるが、時間と共に増える重量の前に奮闘虚しく押しつぶされて行く。 そろそろくる頃かなーと思いながらゆっくりとジュースを注いでいると… 「「「「ちゅ……ちゅ……ちゅっ…!」」」」 お? これはぁ?! 来た? 来たの?! 来たんだね! よーし!! ジュースを注ぐスピードを少し早め、タイミングを見計らう。 「行くよぉ! 赤ゆちゃん達ぃ! せーの!!」 「「「「「ちゅぶれりゅうぅぅぅ!!!」」」」」 はい! 「ちゅぶれりゅう」いただきましたぁ! みんな息ピッタリだね! とってもかわいかったよおおぉ! ちなみに俺も赤ゆちゃん達と一緒にちゅぶれりゅうコールに参加した。 いやぁ、楽しいなぁ! 「ちゅぶれりゅう」! かぁわいいよね~ もし今、満員電車の中にいるのなら…おっと、そんな事言ってる暇はない。赤ゆちゃん達がお待ちかねだ。 ささ、もっとあまあまさんあげるからねええ! 「ゆぶっ…ぶっ!」「ぢゅ…ぶぅ…!」「ぶっ…! ゆぎゅううぅ…!」 いよいよ危なくなってきたか、赤ゆ達はあにゃるをキュッと窄め、歯を食いしばり、餡子の噴出に耐えている。 顔を真っ赤にして、ぷくうと大きく膨れた両のほっぺたは、まるでほおずきの実のようだ。 甘い匂いのする脂汗を浮かせながら、ブルブルと震えている様は実に愛らしい。 「ちゅっ! ちゅぶれっ…! ちゅぶれりゅう! ちゅぶれりゅうぅ! ちゅぶれりゅううぅぅっ!!」 今のは俺だ。 赤ゆちゃん達喋る余裕無さそうだし代弁してみた。 「ちゅぶれりゅうぅぅ! おきゃあしゃあん! れいみゅたちちゅぶれちゃうよおぉ! たちけちぇええ! ゆんやあああぁ!」 「ゆっぎっぎっぎっ……!!」 今のも俺。 水槽にへばり付いて赤ゆ達の様子を見守る母れいむに、赤ゆちゃんの言葉を通訳してあげたのだが、なんか睨まれた。 かわいさが足りなかったせいかもしれない。 「ゆぶううぅぅっ!!!」 そうしている内に、遂に耐えきれずに一匹が口から餡子を噴き出した。デコピン赤れいむだ。 歯をへし折ってしまったので、閉じた唇だけでは吐餡を抑えられず真っ先に限界に来たようだ。 透明なケースとジュースを通して、赤ゆの前にこんもりと餡子が盛り上がる様子がはっきりと見て取れる。 勿論、水槽の中で泣きながら赤れいむ達の様子を見守っているゆっくり達にも、その様子はよく見えている。 噴出した餡子の一部は、遠くまで飛び散り、デコピンれいむの対面にいた姉赤れいむの顔にもかかった。 「ゆ゛…ゆ゛…ゆ゛え゛っ!! ゆっぶ!? ゆぶろろおぉおおぉぉっ!?」 妹の吐餡を見て気分が悪くなったか、姉赤れいむがえづき、そのまま餡子を吐き出す。 「ゆぶっ! ぶびゅうぅっ!?」 「ゆ゛んむ゛~!?」ブビュビュビュ… それを見た残りの妹赤ゆの一匹も吐餡を始め、最後まで耐えていた一匹は先にあにゃるが決壊した。 どの赤ゆも再びブルブル震えて餡子の噴出に耐える作業に戻るが既に限界が近い。 少し餡子を吐いては、涙ながらに歯を食いしばりあにゃるを窄める、その連続だ。 じゃあ、そろそろフィニッシュといきますかあ! ドボドボと一気にジュースをケースに流し込む。 「「「「ゆぎゅうぅぅぅっ?!?!」」」」 急激に増加した重量に、赤ゆ達は一声泣いた後、みるみるうちに平面に近づいて行く。 口元から、あにゃるから、餡子が次々と溢れ出す。 それでも急速に高まる圧力には追いつかず、饅頭皮まであちこち破れ、ぷつぷつと餡子色の蕾をつけ始める。 その蕾はふわっと広がり、アクリル板の下で幾輪もの餡子色の花が咲き乱れた。 黒い餡子の花に囲まれた八対の白い目が、頭上のアクリル板に押しつけられながら 水槽から自分達を見下ろしている家族達を見つめていたが、その目玉もやがて弾け飛び、白い花となって咲いた。 「死んじゃった♪」 俺の手がピラピラと振るのは、アクリルケースの下敷きとなってグシャグシャに潰れた4匹の赤ゆ。 潰れてベッタリと広がった姉妹達の餡子と饅頭皮が混じり合い、どこまでが誰の物かその境界も曖昧だ。 まるで一枚の大きなのし饅頭。 そののし饅頭を水槽にベタンと貼り付ける。 「ゆんやあぁぁあ! ぎょわいよおぉぉ! ぎょわいよおぉぉ!!」 「いもおぢょがぁ……まりしゃのいもおぢょがぁ……」 「れいみゅがぁ…れいみゅがちんじゃったぁぁ…」 「ゆえぇえ…! ゆっくちできにゃいぃぃ…! ゆっくちできにゃいよぅ…!」 「あが…ぢゃん……れいむの………あがぢゃん………」 のし饅頭が乾いて剥がれ落ちた後も、ゆっくり一家は泣き続けていた。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×2 中編に続きます 挿絵:36番あき
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れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 中 37KB 虐待-凄惨 理不尽 妊娠 赤子・子供 透明な箱 虐待人間 「餡子ンペ09」 善良ゆっくり虐待 「ふたば系ゆっくりいじめ 640 れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ 前」からの続きです ========== れいむ、5回目の妊娠 「おっ、順調に育ってるね~、みんなゆっくり早く生まれてきてね!」 仕事から帰ってくると、れいむの額から伸びた茎に、そこに生えた七つの実ゆっくりに話しかける。 まだ髪や飾りが生えてきていない状態なので、種族はわからない。 判別つくようになるのは、明日の日中だろう。 れいむは、今回から妊娠方法を数を産める植物型に切り替えていた。 意識的にか、無意識にかはわからないが、いい判断と言えよう。 ゆっくりの交配において、産まれてくる子供の種族は必ず両親いずれかと同じ種族になる。 記憶などは祖父母以前の代まで遡って継承する事もあるが、種族を決定する遺伝餡までは隔世で発現しない。 え? チェンジリング? 何それおいしいの? まあ、ポンデちゃんのお友達? 上がって待っててね。すぐ帰ってくると思うから。 スタンダードなれいむとまりさの組み合わせで交配を行った場合、それぞれの種族の子供が生まれる確率は、ほぼ五分五分。 片親が他の基本種や希少種だった場合、その確立は変わってくるが、まあその話はどうでもいいだろう。 という訳で、まり×れいで交配を行った場合であれば、7匹全部がれいむ種になる確率は(1/2)^7=1/128。 ご都合主義に支配された世界でも無い限り、そうそう起こる出来事ではない。 しかし、コトはかわいい赤ゆちゃん達の命に関わる。 微力ながら、赤まりさが生まれる確率を上げる手助けをしようではないか。 ……… 「フンフフフ~ン♪ おお、このまりさちゃんかわいいねぇ!」 「ゆ…おにいさん…なにしてるの…?」 水槽の横で雑誌を切り抜いている俺に、れいむが不思議そうに聞いてくる。 「んー? これはね~…お! この子もか~わいいなぁ~!」 チョキチョキ 切り抜いてるのは、ゆっくり愛好家向けの雑誌。 読者によるゆっくり写真投稿ページから、とびきりかわいい子ゆっくり・赤ゆっくりの写真を選り抜いているのだ。 選んだのは、全てまりさ種。 「お兄さん、れいむがまりさちゃんを産めるようにお手伝いしようと思ってね!」 写真を水槽の外側、中のゆっくりから見える向きにセロテープで貼り付けながら、れいむに答える。 フカフカクッションの上で姉妹ですりすりをしている赤まりさちゃん カメラに向けてウインクをしている見返り姿の子まりさちゃん ちょっと涙目になりながら、洗面器の中でお帽子で浮く練習をしている子まりさちゃん ああ…飼い主さん、この子達捨てないかなぁ…俺すぐ拾いに行くのにぃ… 「どーだい!? みんなかわいいまりさちゃんだよねぇ! こうやってゆっくりしたまりさちゃんの姿をたくさん見れば、れいむの赤ちゃんもまりさちゃんになるかもしれないよ?」 「ゆゆっ?! そうなの!?」 そんな話は聞いたことないけどね! でも、胎教みたいな感じで案外そんな効果もあるかもしれないし…ま、病は気からというヤツだ。 「れいむ、アレも水槽に入れてあげようか?」 俺が指差したのは、いつも水槽から少し離れたところに置いてある透明な箱。 「ゆっ? い、いやだよ! あのまりさはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないとはひどいな~、いつもすっきりーしている仲じゃないか。それに頭の赤ちゃん達のおとうさんだよ?」 「おにいさんがむりやりすっきりーさせたんでしょおぉ! あんなゆっくりしてないまりさをみてたら、またあかちゃんのまりさがうまれなくなっちゃうよ!」 随分な嫌われようだ。 まあ、無理もないか。さっきからずっと透明な箱の中でこっちを睨みつけて暴れてるからな。 あんなの見てたら、かわいいまりさちゃん写真集の神通力も薄れてしまうというものだ。 ……… 「まりしゃはゆっくちできりゅね!」 「おきゃあしゃん! いもうちょのまりしゃ、たくしゃんうんでにぇ!」 「ゆっ! おちびちゃん! こんどこそだいじょうぶだよ! おかあさん、じしんあるよ!」 「ゆわーい! おうちにかえれりゅのじぇー♪」 水槽に貼られた写真を眺めながら、既に勝利を確信したか和気藹々と笑い合う母れいむと赤まりさ達。 一方、赤れいむ達はどこか複雑そうな表情を浮かべていた。 「おきゃあしゃん! れいみゅも! れいみゅもゆっくちしちぇるよ!」 「ゆふふ! そうだね! おちびちゃん! おうちかえってみんなでゆっくりしようね! ゆゆ~ん♪」 「ゆ……」 一匹の赤れいむが構ってほしげに母れいむに話しかける。 だが、浮かれている母れいむは答えはするものの、視線はすぐに写真の方に戻ってしまった。 「ゆー…おにいしゃん! れいみゅは!? れいみゅのしゃちんもはっちぇね!」 「いや、れいむちゃんの写真は貼れないよ。また赤ちゃんが全員れいむちゃんだったらどうするの? そしたられいみゅちゃん達、ゆっくりできなくなっちゃうでしょ?」 「ゆぅ……」「れいみゅはゆっくちできりゅ ゆっくちなにょに………」 疎外感を感じ、しょんぼりする赤れいむ達。 大丈夫! お兄さんはれいむちゃんもまりさちゃんもどっちも大好きだからねえぇぇ! そして、日付は変わり翌日 仕事から帰った俺は、早速れいむの茎に実った赤ゆをチェックした。 「れいむちゃん、れいむちゃん、…(中略)…れいむちゃんに~………れいむちゃん!」 結果は7匹全部、とってもかわいいれいむちゃん! 穏やかな笑顔で「ゆぅ…ゆぅ…」と寝息を立てている。 まだプチトマト大だが、出産促進剤が効いているのでもう生れ落ちる頃合だ。 「お、おかしいよぉ…! こんなのへんだよぉ…!?」 ずっと呆然と頭上の赤ゆを見つめているだけだった母れいむが、ようやく口を開いた。 そんなれいむを諫める。 「こら、れいむ。自分の赤ちゃんの事、変だなんて言っちゃだめだよ。こんなにゆっくりとした赤ちゃんじゃないか?」 「ち、ちがうよおぉ…! そうじゃなくてぇ…! どおしてあかちゃんこんなにいるのに、みんなれいむとおなじれいむなのぉ…?!」 「いや、そんな事言われても、産んだのれいむだし」 「ゆえっ…ゆええぇ…! おきゃあしゃーん! どうちてまりしゃを うんでくれにゃいのー?!」 「ゆっぐ…まりしゃたち…おにいしゃんに いたいいたいされぢゃうぅ…まりしゃやぢゃよぉぉ……!」 「れいみゅのいもうちょがちんじゃうよぉ! ゆああぁん!!」 今朝までは、今度こそお家に帰れると楽しそうにしていた一家が一転して恐怖に包まれ泣き喚く。 そんな家族達の声が聞こえたか、或いは、母れいむの恐怖が茎を通して伝わったか、 それまで穏やかな寝顔を浮かべていた新生赤ゆ達の表情も不安げになってくる。 「さーて、れいむちゃんしか生まれなかったことだし! お兄さんも心を鬼して処刑タイムにしっましょっかね~♪」 「ゆっ?! お、おにいさん、まってね! これはなにかのまちがい…な、なにするのぉぉ?!」 お楽しみ開始の宣言をした俺は、ゴトゴトと準備しておいた小道具を引っ張り出す。 水槽から取り出した母れいむを、れいむの直径と同じぐらいの板の上に乗せ、ビニール紐で縛り付ける。 これで跳ねる事も這う事もできない。 「やめてね! やめてね! れいむにひどいことしないでね!」 「「「おきゃあしゃんにひぢょいことちないでえぇ!」」」 「大丈夫、大丈夫。ちょっと大人しくしててもらうだけだから」 動けなくなったれいむを再び水槽に戻し、ここからが本番。 茎の真下を中心に、地面の上に落ちてくる赤ゆを受け止めるためのクッションを並べる。 「お、おおお、おにいざあぁん?! なにおいでるのおぉ!?」 「これは剣山って言うんだよ。とってもとかいはなクッションでしょ?」 「やめでよおぉぉ!! あがぢゃん ぢんじゃうでじょおぉぉ?! それどかしでえぇぇ!?」 「いや、殺すためにやってるんだし」 いや増した恐怖が伝わったか、茎に実った赤ゆ達の表情が更に不安の色を濃くする。 無理もない。これから何が起こるかわからない未知のゆん生。 先の見えない未来に不安を抱くのは、人間もゆっくりも同じではないだろうか? というわけで、その不安を払拭するために、ゆん生の先輩であるお姉ちゃんにこれからのゆん生を語ってもらうことにしよう。 「えーと、今日殺しちゃうお姉ちゃんは……ニ連続れいみゅちゃんだったから…れいみゅちゃんでいいか」 「ゆひ…ゆひいぃぃ……れいみゅ…ちにたくにゃい……こっちこにゃいでえぇぇ……」 角形の剣山を何枚か敷き詰め終えた後、 水槽の中で腰餡を抜かして動けなくなっている赤れいむを摘み上げ、茎と同じ高さから剣山の上に落とす。 ひゅ~ プスプスプスプスプスプスプスプス 「ぴんぎゃああぁぁぁああぁあぁぁあっっ!?!?」 何本もの針があんよに突き刺さる。 体重の軽い赤ゆであるが、ある程度落下距離があったので、饅頭皮に深く突き刺さった。 針先は中の餡子まで到達しているだろう。 「ぴぎっ! ぴぎいいぃっ! いちゃいっ! やめっ、とげとげしゃんやめちぇっ! いちゃいっ! ゆきいぃぃ!」 赤れいむはなんとか針を抜こうと身を捩るが、 足場のない針山の上、あんよに針が刺さった状態では、思うようには動けない。 お尻を持ち上げてはあごに食い込む針に泣き、あごを持ち上げてはお尻に食い込む針に叫びをあげる。 そんな堂々巡りを繰り返す内に、針はますます深く赤れいむの餡子に食い込んで行く。 「ぴいぃっ! いちゃいよぉ! とげとげしゃあんっ! ぴきっ! れいみゅにちくちくちないでえぇ!」 「「「「「「「……!? ……!?」」」」」」」 下で待つ姉赤れいむの呼び声に、まだ目の開いていない妹の赤ゆ達も素敵な未来を予感したか、ブルブルと震え出す。 その震動で茎が揺れる事で、赤ゆ達が生まれ落ちるのが早まる。 (ゆ? ゆっくちうまれりゅよ!) ひゅ~ プスプスプス 「ぴゅきいいぃぃっ?!」 (ゆゆっ?! きょわいよぉぉ!) ひゅ~ プスプスプス 「ゆぴいいぃぃっ!!」 (れいみゅまだうまれちゃくないぃぃ!) ひゅ~ プスプスプス 「いぢゃああぁいっ!!」 悲鳴で最初のご挨拶をする妹赤ゆ達。 その声に、まだ茎に残っている赤ゆ達は下で何か恐ろしい事が待ち受けている事を確信する。 「「「「……!!」」」」 茎から落ちまいと、茎に繋がった頭頂部に力を込めているのか、眉間に皺を寄せて何かを踏ん張っている。 だが、恐怖から来る震えは止まらず、次々に茎から切り離されて、悲鳴を上げる。 中にはパニックに陥りバタバタと暴れ出し余計に落下を早める者もいた。 「ぴいぃっ! ゆぴいぃっ!」「あんよいちゃいよおぉぉ!」「ゆっきちできにゃいぃ!!」 「おきゃーしゃあん!」「たちけちぇよおぉ! ぴきぃっ!!」 無事生まれ落ちた7匹の赤ゆ。 姉よりも軽いプチトマト大のため、針はあまり深くは刺さっていない。 そのため、身動きを取ることはできるのだが、動いた先もまた針のむしろ。 一歩這って悲鳴を上げて身をのけぞらせ、バランスを崩してコロンと転がってはまた悲鳴を上げる。 泣き叫び、じたじたと体を曲げて蠢き踊る7匹の赤ゆちゃん達の姿は、まるで楽しいお遊戯会。 よじよじ じたじた ころりん ぴこぴこ 「わ~赤ゆちゃん達かわいいなあ! みんなダンスがお上手だよ~!」 俺も手拍子のリズムで応援するが、みんなめいめいまちまちに動くのでリズムの取りようがない。 しかし、この自由奔放さこそが赤ゆちゃんのダンスの魅力だ。 「おにいさぁん…! もう…もう…やめてよぉぉ! あかちゃんがいたがってるよぉぉっ!?」 親御さんはこの線から出ないでくださーい。 でもヒートアップする親の気持ちもわかる。 今まさに赤ゆちゃん達がかわいいソロパートを披露してくれている真っ最中なのだから。 「いぢゃいいぢゃいいぢゃぁいっ! とっちぇええ! これとっちぇええぇ!」 転がる内に頭から針に突き刺さり、逆さまになった状態であんよを虚しくグネグネ動かす赤れいむ。 「ちくちくいちゃいよぉ! やめちぇえぇ…ゆぎゃああぁあっ! にぇいみゅのきゃわいいおべべぎゃああぁぁ!!」 前のめりに倒れて両目にサックリとサミングをくらう赤れいむ。 「おねいぢゃあぁあん!」 「やべぢぇええぇ! のっきゃらないぢえぇ! ぎゅぎゃああぁあぁっ!!」 唯一の安全地帯、動けない姉赤ゆに辿り着き、その上によじ昇ろうとする赤れいむ。 妹の分だけ重量が増した姉は、更に餡子深くに針が突き刺さり絶叫する。 半狂乱で振り回したもみあげが妹赤ゆの目に入り、のけぞった妹赤ゆは再び針山に転がり落ちる。 「いちゃいぃ…ゆーちょ…! ぴぎっ!? …ゆ、ゆーちょ…! ゆぴいぃっ!」 次々と刺さる針の痛みに泣きながらも、針山の端に向かって着実に這い進む赤れいむ。 無論、そんなにあっさり逃げられる程ゆん生甘くはない。 「ゆ…もーちょっとりゃよ……ゆーちょ… …?! ぴっ?! ゆびぎいいぃいいぃっ!?!?」 剣山クッションの外周近くの針には、ベットリとタバスコを塗りつけてある。 傷口から染み込む辛み成分に、赤れいむは狂ったように針のむしろを転げ回り、更に傷を増やしてはまた転げ回る。 そして、口からタバスコ付きの針山にダイブ、タバスコ味の針に舌を縫い付けられて動きを止めた。 「ゆぎっ…! かりゃっ…!? こりぇ…! どくっ…! ゆぴいぃ…! にゅいちぇっ…! にゅいちぇぇ……!」 数分後 「いちゃ…いよ……」「ゆひっ…ゆひっ…」「ゆ゛…ゆ゛…」 流石に踊り疲れたか、もう一歩も動けなくなった赤ゆ達が、剣山の上に横たわる。 垂れ流した涙とちーちー、傷口から零れた餡子が剣山の土台をたっぷりと汚していた。 「ふふふ! 赤ゆちゃん達ぃ! とってもかわいいダンスだったよぉ! それじゃお昼寝の時間にしようねえぇ!」 俺の声に、背中が針山に刺さって動けなくなっていた赤ゆがこちらに目を向け、その視線が俺の手の上の物に吸い寄せられる。 「ゆ…? ……!? や…やぢゃやぢゃやぢゃあぁっ!!! ゆんやああぁぁっ!!」 「ゆっくりおやすみ…れいみゅちゃああん……ふふ…うふふふ……ゆふふふふ……!」 剣山のベッドで眠る赤ゆちゃん達の上に、ゴトッ、ゴトッと、そっと剣山のお布団を被せてあげた。 [残り赤ゆ] まりさ×4 れいむ×1 ========== れいむ、6回目の妊娠 今日は仕事の都合で帰りが遅くなってしまった。 茎に実っていた赤ゆ達も、もう生まれ落ちている頃だろう。 果たして今日こそは無事赤まりさが生まれてくれただろうか… 「ゆ、ゆっ! お、おにいさん! うまれたよ! あかちゃんのまりさがうまれたよ!」 虐待部屋に入るなりれいむの方から声をかけてきた。 へー産まれたんだー、どれどれ。 水槽の中には、プチトマト大の新生赤ゆが5匹。 見ると確かに、一匹だけ黒いお帽子を被った子が交じっている。 「わー! ほんとだ! とってもかわいいれ…赤ゆちゃんだね!」 「ゆ? ゆっくちちちぇいっちぇね!」 かわいいと褒められた赤ゆちゃんが、ブカブカお帽子の下で左右のもみあげを元気よくピコピコ動かしながら、俺に挨拶をする。 「はいはい、ゆっくりしていってね!」 「ね? ね!? ちゃんとあかちゃんのまりさでしょ!? だ、だかられいむたちをおうちにかえしてね!」 「うん! 勿論だよ! 約束通りお家に帰らせてあげようね!」 「あ、ありがとう! おにいさん! で、で、いつかえらせてくれるの?」 ダラダラと全身に汗を浮かべている母れいむを水槽から出し、透明な箱に移す。 続いて赤ゆ姉妹も。 箱に移された母れいむと姉の赤ゆ達が、チラチラと水槽の方に目をやる。 「ゆっ? ゆっ?! ちょ、ちょっとまっておにいさん!? い、いまかえるの?!」 「あっれー? お姉ちゃん達どうしたの? お家に帰れるよ? 嬉しくないの?」 「「「「ゆぴゃああぁあっ?!」」」」 れいむの言葉を無視し、やたらビクビクとしている姉の赤ゆ達に声をかけると、素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。 何をそんなに怯えてるんだろうね! ふふふ…! 「ああ…そっか…妹やお姉ちゃん達…ゆっくりできなくなっちゃったもんね…みんなゆっくりできないよね… そうだ! お土産に食べ切れないぐらいのあまあまさんをあげようね! だからみんなでゆっくりしてね!」 「ゆ…ゆわーい! あ、あかちゃんたち! よ、よかったね! ね?!」 「「「「ゆわあぁぁ! あみゃあみゃしゃん!!」」」」 れいむがどうやら笑顔のつもりらしい歪な表情で目を泳がせながら大喜びする。 妹の赤ゆ達も笑顔で大喜びをしているが、お姉ちゃんの赤ゆ達はまだ水槽にご執心のままで気もそぞろだ。 俺も水槽にチラチラと視線を送ってみると、れいむが更に全身から汗を垂れ流す。 「あ、あ、あ、あの、おにいざん! きょ、きょうは、もうよるざんだから、れいぶだぢおうぢかえるのはあじだに…」 「じゃあみんなお家に帰ろうねえ! ゆっくりできるあまあまさんも一杯あげるからねえ! みんなで仲良くゆっくりと暮らしてねえ! それじゃあね! さようならああぁぁ!」 れいむの声を遮るように、俺が大声を張り上げる。すると 「ゆやああぁあっ! まりちゃをおいちぇかないでえぇぇ!? どうちちぇおいちぇくのおぉ!? おきゃあしゃあんっ!!! やぢゃあぁ! まりちゃもおうちかえりゅううぅぅ!!」 水槽の中から、大きな泣き声が聞こえた。 改めて説明するまでもないと思うが、 今回生まれた赤"まりさ"は、赤れいむに姉である赤まりさのお帽子を被せてまりさに見せかけたもの。 で、水槽でひとりおいてけぼりにされたのが、お帽子を貸した姉赤まりさ。 水槽の中に入れてある石の影に隠れていた。お尻が見えてたけど。 ゆっくりは飾りで個体識別をしているので、 飾りを他のゆっくりにつけると、そのゆっくりを本来の飾りの持ち主のゆっくりとして誤認識する。 これは親子や姉妹であっても区別がつかないほどだ。 今回みたく、自分達自身が目の前で飾りを渡した場合には、流石に"擦り替わった"と認識できるようだが、 それでも、帽子付きの赤れいむは赤まりさそっくりに見えていたのだろう。 餡子脳ではかんっぺきっな偽装だと思っていたのかもしれないが、 人間である俺からすれば、どう見てもまりさ種の帽子を被った赤れいむにしか見えない。 まんまと俺を欺き、帰宅の確約を取り付けたら、後は帰る直前に隙を見て赤まりさを口の中に隠すつもりだったらしい。 しかし、その"隙"はなく、赤まりさ一匹おいてけぼり。あの時の泣き顔のかわいらしさと言ったら…! こんな間抜けな抵抗が見られるから、監禁ゆ虐は楽しいよなぁ… 「やめちぇ! やめちぇ! やめちぇええぇっ! まりちゃのおぼうちしゃん、もうちょきちょきちないでえぇぇっ!!」 なんて事を考えながら、赤まりさが妹れいむに貸したお帽子をハサミで細かく切り刻んで行く。 「ほーら、まりちゃちゃん? 大事な大事なお帽子を他の子に貸しちゃうから、お帽子さん切られちゃったよぉ?」 「まりちゃじゃにゃいよぉぉ!? おきゃあしゃんが おぼうちとっちゃのおぉ! まりちゃ、いやっていっちゃのにぃぃ!!」 「おにいざんごべんなざいいぃ! でいぶがわるいんでずうぅ! おちびちゃんはわるぐないんでずうぅ! もうやべであげでぐだざいぃぃ!!」 「ちょーきちょーき! お帽子さんちょーきちょーき!」 「まりちゃのしゅてきなおぼうちしゃんがあぁぁーっ?!」 ……… 「ゆぐっ…おぼうちしゃん……ゆっぐ…もどっちぇ…いじわりゅちないで…もちょにもどっちぇよおぉ…」 「さ、じゃあ赤ちゃんまりさも生まれてなかった事だし、いつものヤツ行っとく?」 べそをかく赤まりさが、細切れになったお帽子だった物を舌で並べてなんとか元の形にしようとしているのを 指先でグシャグシャにしてから、本日の処刑タイム開始を宣告する。 「今日はどの子がいいかなぁ……よし! れいみゅちゃんだ!」 「ゆんやああぁぁっ!?」 「…と、思ってたけど、大事なお帽子貸しちゃった悪い子まりちゃちゃんが死のうねっ!」 「ゆっ…ぐ…ゆっぐ…まりちゃ…わりゅいこじゃにゃいよぉ… おきゃあしゃんが…おきゃあしゃんがあぁぁぁ……ゆびええぇぇん…!」 うんうん。いい泣き顔だね。 「良い子のまりさちゃん達はちゃんと覚えておいてね! とっても大事なお帽子! 他の子に貸しちゃったらゆっくりできなくなっちゃうからねえぇ! ……わかったか?」 ブルブル震えていた他の赤まりさ達が俺の言葉に涙目でコクコクと何度も頷く。 お間抜けイベントを見るのは楽しいが、同じネタを使われても萎えるので一応釘を刺しておく。 「よーし、今日はコレでいこうかな~」 取り出したものは、一本の竹ひご。 そこに"ある物"を被せてから、妹の赤ゆを一匹摘み上げ、あにゃるにブッスリと突き刺す。 「ゆびいぃぃ! いぢゃいぃぃ! れーみゅのあにゃりゅしゃんがあぁぁ! ゆげっ?!」 最後のゆげっ、は竹ひごを貫通させて赤ゆの口から突き出させた時に鳴った音だ。 串刺し状態になった赤ゆは、目を白黒させながら自分の喉を突き破って生えてきた竹ひごを見つめている。 「ゆげぇっ…! いぢゃっ…! のぢょっ…! あにゃりゅしゃ…! たっ、たちけちぇ…!」 さて、竹ひごに被せてあった物は、ゴム風船。長い棒状に膨らむタイプの物だ。 この風船の先っぽを指で摘み、中の竹ひごだけを引き抜く。 はい、これで風船が赤ゆの体を貫いた状態になりましたー じゃあ、いってみようか。 大きく息を吸い込みー フウーーーー!!! 思いっきり風船に向けて吹き込んだ。 「ゆぎゃ ブチンッ 一気に膨らませたので、悲鳴が終わる前に赤ゆの体が千切れ、上下に分断されて水槽の中に落ちた。 「「「「ゆびゃああぁっ!?!?」」」」 ボトボトと落ちてきたモノに、姉妹達が悲鳴をあげる。 口の上と下で離れ離れになってしまった赤ゆの方は、流石に声が出せない。 何かを言おうとしているのか、下半分にくっついた舌がピクピクと蠢いてはいるが、まったく声は出てこない。 その様子を、逆さまに転がった上半分が涙を流しながら見つめている。 そして、舌の動きが止まったのを見届けてから、上半分は暫く痙攣した後、目玉をグルリと反転させ、こちらも動きを止めた。 「あがぢゃんがああぁっ!?」 「まりしゃのいもうちょがああぁぁ!!」 「こあいよおぉ! おきゃあしゃあん! おねえちゃあん!」 「は~い、じゃあ次」 「ゆにゃあぁぁ! やめちぇぇ! ゆっくいちたぁい! ゆっくいちたいよぉ!」 悲鳴をあげて怯える妹赤ゆ達から一匹を選んで摘み上げる。 今度は口からあにゃるへと逆方向に風船を貫通させてから口に咥える。 俺と赤ゆの目が合う体勢だ。 「やめちぇ…! れいみゅぶっちんしゃんやあぁ…! ゆっくちでき フー… ゆぶっ?!」 今度は少しずつ息を吹き込み、直径1センチほどまで膨らませる。 それでもプチトマトサイズの赤ゆにとっては相当の圧迫感があるだろう。 「ゆぶぶ…! いちゃ…! れ…みゅ…おかお…ちぎれちゃ…! やめ…! おにいしゃ…!」 俺の眼前で、涙目で必死に助けを請う赤ゆ。 大きく開いたお口の端の饅頭皮がビロンと伸び、中の餡子が透けて見える程に薄くなる。 その表情を楽しみながら、更に息を吹き込む。 「ゆ…ぶっ…いぢゃっ…ちぎれ…りゅ…ゆごっ…! も゛ぼっ……!」 口をあんぐり開けたままの変則ぷくーで膨らみ、こちらを威嚇してくる赤れいむ。 口の端の皮がぷちぷちと裂け始めたかと思うと、みるみる頬まで裂け目が広がり、中の餡子が露になる。 更にもう少し息を吹き込む。 「も゛…! も゛っ…!!」 喉を完全に塞がれ、まともに出せなくなった言葉の代わりに、 ボロボロ涙を流す目とピコピコ揺れるもみあげが俺に何かを語りかけているようだ。 「もうやめでえぇぇえ! れいむのあがぢゃんにひどいごどじないでええぇ!!」 ブチ切れ寸前の赤ゆが母れいむの声に気づき、助けを求めるかのように視線を水槽の方に彷徨わせたところで、とどめのもう一息。 ブチッ…ブチブチ…ブチッ! ボトッ 再び赤ゆの部品が、水槽の中に落ちる。 だが、落ちたのは下半分だけだった。 上半分は膨らんだ風船の上にバランスよく乗った状態でそこに留まっていたからだ。 ピコピコピコピコピコピコ…! 風船を咥えたままの俺の目の前で、もみあげが激しく動き続け、暫くして、止まった。 「あがぢゃあああんっ!! ゆああぁ!! どおじでごんなあぁぁ!」 「よし! 最後はみんな仲良くいこうね! お姉ちゃんも一緒だよ!」 「ゆぴゃあぁぁっ!! ゆぎっ!?」 「おきゃあぢゃああんっ!! ぎびゅっ!!」 「た、たちっ…たちけちぇぇ…たちけちぇえぇ!! ゆぴぃっ!」 「ゆやぢゃああぁっ! まりちゃをぶちぶちちないでえぇ!! ゆげえっ!」 姉の赤まりさと残った妹赤れいむ3匹を捕まえ、一つの風船にまとめて通し、少々の事前準備を施す。 なお、俺の側から見て、こちらにお尻を向けた赤れいむ3匹が連なり、その妹と対面する向き一番外側に赤まりさの順だ。 フーーー… 息を吹き込むと、ポンと風船が膨らむ。 「「「「ゆぎゅぷっ!!」」」」 体の芯から外側に向けて強い圧迫を受けた4匹が一斉に声を上げた。 こちらに向いた赤れいむ達のお尻が振られる。 プリンプリンと振られるのではなく、プルンプルンと小さく震えるような振られ方だ。 あにゃるに風船が通ってる状態なので、あまり派手な振り方ではないが、その奥ゆかしい動きがまた愛らしいではないか。 俺からは赤まりさの涙目顔しか見えないのが残念ではあるが、きっと妹達もいい表情を浮かべてくれているのだろう。 フー… 「「「ゆも゛ぉっ…!!」」」 「やめ゛っ…おにいしゃ…! まりぢゃの…いもおぢょ…! ちんじゃうっ…!」 体の小さな妹達は、既にお口が一杯一杯に広がったのか、もうまともな言葉を発音できない。 替わりにまだ余裕のあるお姉ちゃんが、苦しそうに妹達を気遣う声を上げる。 さっきまではお帽子を細切れにされて泣いていたというのに。麗しきかな姉妹愛。 フー… 「「ゆぼっ!!」」 「ゆも゛…! いも゛っ…ぢょ…があぁっ…!」 上がった悲鳴は赤れいむ2匹と赤まりさ1匹分。 赤まりさの目の前にいた赤れいむは上下バラバラになって脱落した。 その光景を目の前で見ていた赤まりさと、すぐ後ろの妹赤れいむがちーちーを漏らす。 「「ゆぶぶ…! ゆぶぶ…!」」 残った赤れいむ達は、まだ千切れていない。 予めほっぺにセロテープを張って饅頭皮を補強しておいたお陰で伸びにくくなっているのだ。 あにゃるの周りの皮が裂け、俺からは見えないがおそらくは口も裂け、苦しそうに呻いているが、まだまだ健在。 元気にもみあげをピコっている。 さあ、もう少し息を吹き込んでみようか。 フー… 「ゆぎょおっ?!」 おっといい声が聞こえたね。 声の主、真中にいた赤れいむちゃんの様子を見てみよう。 こちらからは、大幅に拡張されたあにゃるしか見えないので、風船を折り曲げて、顔をこちらに向けさせる。 小さなお口は、顔の端まで真一文字に裂けているが、セロテープのおかげで裂傷はそこで止まり、 かろうじてお口の上と下がサヨナラするのを引き止めている。 縦方向の引っ張りにかなり強くなっているのだ。 しかし、風船は縦にばかり膨らむ訳ではない。 横方向への膨らみで、顔の中心線上の饅頭皮が伸びて薄くなり始め、赤れいむの両目が離れてきている。 こうして俺が見ている最中にも、ミチミチ…と伸びきった顔の皮が破れ始め、中の餡子が見え出してきた。 更にもう一息。 フー… ブチ…ブチ…ブチブチィッ ボトッ 「ゆ゛…ぶ…!」 「ゆ…や゛あ゛…ぶっ…まり…の…いもお…ぢょ…ゆもっ…!」 メリメリと真ん中から左右にゆっくり裂けて、水槽へと落下して行った。 最後の赤れいむ、俺の口から一番近い子は、まだ耐えている。 こちらはほっぺだけじゃなく、側面を一周させてセロテープを巻いてあるから、大変丈夫である。 フーーー…! 「……!!!」 「ゆぼっ…!? ぼっ…! びぼ…うぢょぉ……!」 再び風船が膨らむ。 最後の赤れいむのいる箇所だけ風船が窄まった状態で。 セロテープの輪が内からの圧力に耐えて、その場所だけ風船の膨張を押さえ込んでいるためだ。 だが、セロテープが圧力に耐えたところで、セロテープと風船の間の物も耐えるかと言うと、そうではない。 セロテープの輪と風船に挟まれて残っているのは、薄く潰れた饅頭皮一枚のみ。 その下にあった筈の餡子は、口とあにゃるの饅頭皮を押し広げて、水槽の中へボトボトと落ちてしまっていた。 さてさて、最後に残るはお姉ちゃんのまりさちゃん。 一番の特等席から、妹達が千切れたり、饅頭の抜け殻になって行く姿をつぶさに見ていたその目が、 今はその感動のラストシーンを反芻するかのように、固く閉じられ、涙を流している。 フー… 「んも゛ぉっ…!?」 眼底からの圧力に、目玉が半分ほど飛び出し、閉じていたおめめが再び開いて、俺を見る。 その怯えきった涙目に笑いかけてから、空気が抜けないようにして一旦風船から口を放す。 「まりちゃちゃあん、これから妹達みたくブッチィンって千切れちゃうよ? 怖い? ブッチンはイヤ?」 「ゆも゛ぉっ…!! も゛ぼっ…!!」 言葉は発せなくとも、目は口ほどに物を言う。 その涙が全てを俺に伝える。 「うんうん、わかる、わかるよー。そうだよねぇ。ブッチンはヤだよねぇ。 じゃあ、お兄さんがまりちゃちゃんがブッチンにならないようにしてあげるねええぇぇ!」 別の風船−大きくて透明度が高いもの−を取り出し、ハサミで切り開き、一本のゴムの帯状にする。 これを赤まりさと、その前後を囲むようにぐるっと巻き付ける。 被せた風船の下に透けて見える赤まりさちゃんが、 イヤイヤをするように目だけを左右に動かしている姿がかわいすぎて生きてるのがつらい。 「始まるよ! 始まるよ! かわいいまりちゃちゃんのすーぱーぷくぅタイムが始まるよ!」 そう言って再び風船を口に咥える。 水槽の中の姉妹達からゆんやゆんやの大喝采が聞こえてくる。 お母さんも感激の涙を流している。 フーーー…! 「ゆ゛ぼお゛っ………!?!?」 内側の風船が伸び、あっという間に赤まりさのお口とあにゃるが横に裂ける。 だが、一緒に伸びた外側の風船に押さえつけらているお陰で、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「~~!? ~~!!」 口元から、赤まりさの顔に縦に亀裂が走り始める。 ミチミチと皮が破れ、餡子色の亀裂が眉間へ、おでこへ、頭へと広がって行く。 風船の下で行き場のない涙を滲ませ、俺に向かって命乞いをする両目が徐々に離れて行く。 だが、千切れるまでには至らない。 フーーー…! 「………!!!」 風船と風船の間の空間に、赤まりさの餡子がじわじわと滲み出す。裂けたお顔やあにゃるから。 喉やあにゃるを通ってから排出された分は別として、 裂けた皮から漏れ出た分は、風船で押さえつけられているお陰でまだ体内の餡子と一つに繋がった状態。 言ってみれば、皮を剥がれた状態と変わらない。 だからまだ、命を奪うには至らない。 どんどん、どんどん、餡子が広がる。皮も広がる。広く広く、薄く薄く。 それでも命を奪うには至らない。 潰れて倍ぐらいに広がった小さなおめめが、遂に破裂して円形を留めなくなった。 その下からも、餡子が溢れ出してくる。 フーーー…! フーーー…! フーーー…! ……… ……… 外側の風船をそっと剥がし、内側の風船の空気を抜く。 「はい、プレゼント」 水槽の中で固まって震えている赤ゆ達の頭上から、風船に貼り付いていたソレを落とす。 約束通り千切れることなく繋がったままの、ペラペラの餡子のリングがパサリと音を立てて落ち、赤ゆ達の周りを囲む。 落ちたリングの外側の一部が捻れて裏返り、赤ゆ達の方を向いた。 そこに貼り付いていたのは、髪の毛、そして薄く引き延ばされた丸い穴の開いた饅頭皮。 赤まりさのお顔の右上側だった。 「「「「ゆぴ…ゆぴぴ……ゆぴいいぃぃぃぃーー!!」」」」 赤ゆ達が、一声鳴いた後、口から餡子の泡を吹いて気絶する。 餡子リングは暫くブルブルと震えていたが、やがて動かなくなった。 「あがぢゃん……あがぢゃああぁん……かえれると…おもっだのにぃ……」 愕然とした表情で餡子リングを見つめながら、母れいむが涙を流す。 そんなれいむの髪をそっと撫でて、静かに声をかける。 「れいむ…元気出しなよ…れいむがしっかりしないと赤ゆちゃん達がゆっくりできないよ… ほら、死んだまりさちゃんも言ってるよ…聞こえない…? …ゆやあぁぁあぁ、まりちゃちにたくないよー おかーさんがおぼうしとらなかったら、まりちゃはちななくてすんだのにー どーちて、まりちゃのおぼうししゃんとっちゃったのー おかーさんはまりちゃのこときらいなんだーゆええええん」 「ゆっぐ…ぢ、ぢがうのぉ…れいぶのあがぢゃん……れいぶ…れいぶ…ぞんな…づもりじゃ…」 「おかーさーん、くるちいよぉぉー、いたいよー、おくちがさけちゃうよー、からだがちぎれちゃうよー、 おかーさーん、まりちゃちゅぶれちゃうよー、まりちゃをたしゅけてー、 おかーさーん、まりちゃのおぼうしかえしてよー、まりちゃゆっくりできないよぉぉ…… …どう、れいむ? 少しは元気出た?」 「ごべ…ごべんね…あがぢゃん……ごべん…ねえ…ゆる…じでねえ…おがあざんをゆるじでえぇぇぇ……」 俺はれいむの涙を餡子リングでそっと拭ってやった… [残り赤ゆ] まりさ×3 れいむ×1 ========== 今日は日曜日。 積んであった本を虐待部屋に持ち込み、読書に勤しむ。 とは言え、実は本の内容はほとんど頭に入っていない。 俺のすぐ横の水槽で楽しいイベントが発生しているせいだ。 「ゆ…こうなのじぇ…」 「ちがうよ…こうぢゃよ…」 何やらボソボソと言葉を交わしているのは、二匹の赤まりさ。 母れいむの背後で身を寄せ合って、嬉しそうにお喋りをしている。 その二匹にチラリと視線を送り目配せをすると、二匹がぽいんと跳ねて答えてくれた。 母れいむは今はお昼寝の時間。 食事に微量のゆっくり用睡眠薬を混ぜておいたので、ご飯が終わるとすぐに舟を漕ぎ始めた。 額からは茎が伸び、四つの実ゆっくりが実っている。 予定日は明日。まだ種族不明。 きっと今度こそ無事赤まりさが生まれて、みんなでおうちでゆっくりしている夢でも見ていることだろう。 「ゆ…ゆっ…にゃんだか………きちゃよ……」 赤まりさ達の様子を横目で伺う。 そこで起きている事を見て、顔のニヤけが止まらない。 「「………………ぃぃぃーーー!」」 一際大きい声を聞いた瞬間、思わず噴き出しそうになり、慌てて本で顔を隠す。 赤ゆの声に反応して、母れいむが目を開いた。 だが、まだ夢うつつのようだ。 「ゆうぅ…いまのこえなに…? おちびちゃん…? ゆっくりしていってね…ゆぴー…」 眠たげに目を開いたれいむだったが、すぐに目蓋が下りる。 母れいむが再び眠りに落ちたのを確認して、赤ゆ達がまたお喋りを開始する。 「みょういっきゃい……」 「ゆぅ…にゃんだか…しゅっごく……のじぇ…」 ……… 「「………………りいいぃぃぃーーー!」」 またもや上がった大きな声に母れいむの目が半分ほど開くが、すぐに閉じる。 「ゆっ…こんぢょは…まりしゃが……」 「ゆっ…ゆふん…ゆぅぅん……」 「まりしゃたち なにちてるにょ? れいみゅもいれちぇね!」 「し、しじゅかに…! しゅ…しゅるのじぇ!」 「れ、れいみゅは…ゆぅ…! あっち…いっちぇよぉ!」 「ゆぅぅ…どうちてなかまはじゅれにしゅるのぉ…」 再び何事か始めた赤まりさ達に気付き、赤れいむが近づいて来たが、興奮した様子の二匹に追い返される。 「ゆえぇぇ…おきゃあしゃーん! まりしゃがいじわりゅしゅるー!」 ポインポインと跳ねて行った赤れいむが、母れいむのもみあげを引っ張って泣きつく。 それでようやく母れいむも目を覚ます。 「ゆぅ~ん…? どうしたの、おちびちゃん……? ゆ…この声…何……?」 キョロキョロと周囲を見回し、やがて、背後にいる赤まりさ達に向き直った、その直後 「「ちゅっ! ちゅちゅちゅちゅちゅっ! ちゅっきりいいいいいぃぃぃぃぃーーーー!!!」」 粘液にまみれた頬をくっちょくっちょと擦り合わせていた赤まりさ達が、幼いすっきりを終えた。 「ゆああぁぁぁっ!? おぢびちゃん!? なにやっでるのおおぉぉ!? まだあかぢゃんなのにすっきりしちゃだめでしょおぉぉ!」 「ゆぴっ!?」「ゆべちっ!?」 れいむが悲痛な叫びを上げながら、もみあげで赤まりさ達を叩いて引き離す。 そのもみあげの先に、ネットリとした粘液がこびりつく。 すっきり三回分の粘液が。 「いちゃちゃ……ゆっ! おきゃあしゃん! まりしゃたち、おうちかえれりゅよ!」 「ゆぅ! しょうなのじぇ! まりしゃがいもうちょのまりしゃを……ゆ…?」 誇らしげに笑顔を浮かべていた、のじぇまりさの言葉が止まり、顔が苦悶に歪み始める。 その額が小さく盛り上がった。 「…ゆひっ…! かひゅっ…! ゆぎゅ……く、くりゅ……ち……」 母れいむが叱ったとおり、赤ゆっくり・子ゆっくりのすっきりは御法度だ。 赤ゆっくりを宿した母体は、赤ゆっくりに体内の栄養分を吸収される。 生まれる赤ゆっくりは、母体のサイズに関係なく普通の赤ゆサイズに成長するまで母体の栄養を吸収しようとする。 それが実った赤ゆの数分だ。当然、体の小さなゆっくりが賄いきれる量ではない。 栄養状態が極めて良好な子ゆっくりであれば一命を取りとめるケースもあるが、赤ゆっくりでは120%助からない。 「ゆが……が………ゆ゛………」 「あがぢゃあぁん! しっかりじでえぇ! しんじゃいやあぁぁ!」 のじぇまりさの額から茎がニョキニョキと伸び始め、更にもう一本、茎が伸び始める。 と、同時に饅頭皮が急速に黒ずみ、体のあちこちがボロボロと崩れ落ちる。 「も゛……ゆ゛……」 「ゆわああぁあぁ! れいぶのあがぢゃんがあぁぁ!?」 そして完全に黒ずんで枯れたのじぇまりさは、何も言わない黒い塊になった。 二本の茎からは、西瓜の種のような黒い物体が糸を引きながら幾つもぶら下がっていた。 「まりしゃあぁ!? どうちちぇえぇ!? にゃんでえぇえぇ?!」 一緒にすっきりをしていた赤まりさが叫ぶ。 その様子を水槽の上から覗き込みながら、俺が口を挟む。 「あー…まだ赤ちゃんなのにすっきりーしちゃったのかぁ…そりゃ、死んじゃうよねぇ…」 「ゆうぅぅ?! な、なにいっちぇるのおおぉぉ?! だっちぇ…ゆ…? ゆゆ…?」 「だって」、ね。 そうそう、そうだったよね、まりしゃちゃん。昨夜は楽しかったねぇ… ~~~~~~~~~ 「「「ゆぴー…ゆぴぴー……」」」 夜十時 ゆっくり達が眠れるように、夜は照明を絞っている暗い室内にゆっくり一家の寝息が響く。 足音を立てずに水槽に忍びより、そっと様子を窺うと寝息以外の声が聞こえてきた。 「ゆうぅ…おなきゃがすいちゃよ…」「あみゃあみゃしゃんたべちゃいのじぇ…」 空腹で寝付けないのか、ボソボソとお喋りをしているのは、二匹の赤まりさ達。 起きているのがいると都合が悪かったのだが、この二匹ならばちょうど良い。 ヒョイヒョイと二匹を摘み上げ、掌に乗せた。 「ゆっ?」「まりしゃおしょらをとんでりゅのじぇ! ふーわふーわ!」 「夜更かししてるいけない子はだーれだ?」 「「…!?」」 大好きなお兄さんこと俺の掌の上にいる事に気付いた二匹が、かわいい目ん玉を飛び出させる。 悲鳴を上げられる前に素早く赤ゆ達の頭を押さえつけ、小声で囁く。 「騒がないでね? 騒いだら、お兄さん、びっくりしてゆっくりできない事しちゃうかもしれないよ? ゆっくりりかいできる?」 お口を開けない赤ゆ達が、揃っておそろちーちーで肯定の返事をする。 やめてね! そんな目でお兄さんを見ないでね! 握り潰したくなっちゃうよおぉ! ……… 「むーちゃむーちゃ! ち、ち、ちあわちぇえぇぇ!!!」 「おいちいのじぇぇ! これめっさおいちいのじぇぇぇ!」 「ははは、麦チョコおいしいかい? さっきは驚かせてごめんね!」 俺の部屋に連れてこられた赤ゆ達は、最初はこの世の終わりを迎えたような顔をしていたが、 麦チョコを三粒食べさせてあげただけで、すっかりご機嫌になった。 「おにいしゃん! もっちょちょうだい!」「むぎしょこしゃんはゆっくちできりゅのじぇ!」 「だーめ、もう終わりだよ」 「「ゆうぅぅ…」」 途端に涙目。コロコロと変わる表情は見ていて飽きない。 もっちょよこちぇぇ! こんにょくっしょじじいいぃ! とか言わないトコもかわいくっていいよね! まあ、アレはアレで身の程を知らないおバカさ加減がまたかわいいんだけどね。ふふふ! あぁ、ホント赤ゆちゃんはかわいいなぁ…はぁ…潰したい…潰したい…潰したいなぁ…… 「ゆー? おにいしゃん、どうちたにょ?」 「ん? 何でもないよ? 麦チョコはあげられないけどね、お兄さん、かわいいまりさちゃん達だけに特別にいいこと教えてあげるね」 ……… 「ゆゆーっ! しゅごいのじぇ!」 「やっちゃあ! まりしゃたち、おうちかえれりゅにぇ!」 興奮気味にポヨンポヨンと飛び跳ねる赤ゆ達。 俺が教えてあげたのは、赤ゆでも理解できる簡単な事。 まりさとまりさですっきりーをして赤ちゃんが"生まれれば"、絶対にまりさの赤ちゃんになる ゆっくりのすっきりー行為は、赤ゆ同士でも実行可能だ。その後の事を考えなければ。 やり方もすりすり型なら至極簡単。 母れいむのすっきりーをいつも見せているし、後は本能でどうとでもなる。 俺からそれを聞いた赤まりさ達は、楽しげな計画を思いついて大喜びしていた。 「そうだ。この事はれいむお母さんには内緒にしておこうね」 「ゆ…? どうちちぇ…?」 「お母さんをビックリさせてあげるためだよ! そうだね、お母さんがお昼寝しているときにでも、こっそりすっきりーをしてごらん。 お母さんが起きたら、まりさちゃん達の赤ちゃんを見せてあげるんだ! きっとお母さん、大喜びして、すっごくゆっくりしてくれるよ~!」 「「ゆうう~ん♪ ゆっくち! ゆっくちぃ!!」」 「ふふふ! ゆっくり! ゆっくりぃ!」 ~~~~~~~~~ 「ゆ…だっちぇ…ゆぎ…?! …ゆ…おにいしゃ…ゆぎっ?! く、くりゅちぃ…!」 だって、お兄さんが教えてくれたんでしょおおぉ?! かなぁ? まりしゃちゃん。 そうだね。お兄さんが教えてあげたんだよね。 赤ちゃんがすっきりーしたら、死んじゃう事までは教えてあげなかったけどね。 ふふふ…なんでお兄さんの事、信用しちゃうのかな? 今まで、お兄さんがまりしゃちゃんの姉妹達に何をしてきたか覚えてないのかな? ばかなの? 黒ずんで死ぬの? なんでそんなにかわいいの? ふふ…うふふふ…… 3回目のすっきりーで母体となったのが、残った方の赤まりさだったようだ。 こちらは茎一本分なので、最初に死んだ姉妹よりも緩やかに死へと向かって行く。 「ゆ…ゆぐっ……くりゅちい…! …おきゃあ…しゃ……」 「お、おちびちゃん?! おちびちゃんもなのぉ?! ゆやあぁあぁ! じっかりいぃ! しんじゃいやあぁ!」 額から茎が伸び始め、体内の栄養分を急速に吸い出して行く。 それと共に赤まりさの体の各所が崩壊を始める。 「ゆぎっ……かひぃ……ゆひっ……くりゅ……し……きひっ……」 「おぢびぢゃあぁあん!!」 まずは呼吸器系…だろうか? ゆっくりに呼吸器があるのかは知らないが、息を詰まらせているような声を上げ始め、苦悶の表情を浮かべる。 「い…ちゃ…おかおが…いちゃ…かひっ…あんよしゃ…いちゃ……ぺりょ…ぺ……ちちぇ…」 「いだいの? おぢびぢゃん、いだいのぉっ?! おがあざんがぺーろぺーろじであげるがらあぁ!」 饅頭皮が黒ずみ始め、その表面がハリを失ってひび割れ、崩れ始める。 髪の毛も縮んで黒ずみ、三つ編みのお下げがボロッと崩れて地面に落ちる。 「みえ……にゃい……まっきゅ…ら……かはっ……こあい……よ……おべべ……いちゃ…けひっ…」 「おにいざあぁん! あがぢゃんだずげであげでえぇぇ! いばならまだぁぁ!」 「いや無理でしょ、これは。もうこんなだし」 片方の目がドロリと溶け、頬を伝って滑り落ちて行く。 その目玉を追うようにして、餡子と混ざった黒い涙が滴り落ちる。 残った目は、まだ眼窩に嵌ってはいるが、こちらも溶け始めている。 もはや眼球としての機能は果たしていないようだ。 「かっ……ひっ……いちゃ…い…くりゅち……ちぬ…にょ……や……ぢゃ……まり……しゃ……」 「おねがいぃ! おねばびじまずうぅぅぅ!!!」 歯が歯茎ごと次々に崩れて抜け落ち、舌は干涸らびたように縮んで行く。 体内の餡子がグズグズになったのか、体が球形を維持できなくなりベシャリと潰れてくる。 「も゛っ……ぢょ……………ゆ゛…………」 「あがぢゃあああああぁぁん!!」 目や口、あにゃる、しーしー口、その他、体に開いた穴から、ドロリと粘液状になった餡子が漏れ出す。 そのまま、黒い茎を生やした赤まりさは何も言わなくなった。 「ゆっぐ……あかちゃん……どおして……どおしてこんなこと……したのぉ……?」 黒ずんだ二匹の赤ゆの前で涙を流して呆然とする母れいむ。 「お兄さんにもわからないよー でも、ひょっとして…自分達がれいむの替わりに赤ちゃんまりさを産めば、お家に帰れると思ったのかな…」 「ゆっぐぐ……ごべんね……あかぢゃんごべんね……おかあざんが……おかあざんが…だめなばっがりにぃぃ……!」 笑いを噛み殺しながら投げかけた俺の言葉に、れいむが地面に頭を擦りつけながら、黒ずんだ赤ゆに向けて何度も謝る。 それから、ひしっと、残った二匹の赤ゆをもみあげで抱きしめた。 「おがあざん…ふたりを…しなせないからねぇ…なにがあっでも…たすげるがらねえぇ……!」 三匹の親子は抱き合いながら、ゆんゆんと泣き続けていた。 [残り赤ゆ] まりさ×1 れいむ×1 後編に続きます トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 邨占ォ悶%縺ョ莠コ繧、繧、莠コ笶暦ク鞘摎?鞘摎?鞘摎? -- 2018-03-30 12 05 51 ↓×8、↓×3 「まりさ帽子を被ったれいむ」は新しく生まれたれいむだから、ルール通り「バレた時」に殺されているだろ?(描写が無いけど) -- 2018-01-03 00 26 45 鬯シ諢乗Κ?橇汳 -- 2016-09-25 23 48 13 この鬼威惨おもしろいわ -- 2016-01-26 16 59 26 ↓↓↓↓↓確かに お前凄いな! -- 2015-12-26 13 35 10 あ、悪魔だ❗ -- 2015-05-11 23 51 56 ↓↓新しく生まれたゆっくり限定だよ?りかいしてる? -- 2014-09-28 21 44 04 この鬼異山最高だわww -- 2013-03-31 22 22 04 つーか、「赤まりさをもう一匹『くれたら』帰らせてやる」って言う前提を見事に忘れてるよね 赤まりさの帽子を被ってまりさ種に偽装(笑)した赤れいむが 自分をゆ身御供にして家族を帰そうなんて殊勝な事考えてるとは思えない反応だし 流石は都合の悪い事は忘却して良い事だけしか認識しない餡子脳 …まぁ実際は作者も場面演出が先行して忘れてたんだろうけど -- 2013-03-31 05 21 45 もしかして子作りに使われてたまりさって、まりさの帽子を被ったれいむなんじゃ… -- 2012-03-24 16 38 43 最終鬼畜鬼異山カッケェーWWW -- 2011-11-26 06 08 57 赤まりさ気付けよWWW流石餡子脳WWWW -- 2010-10-24 02 22 41