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「いったいどないなってんねん……私らこれからどうなんるんや……」 朝日が木漏れ日となって温かに森を照らす。 そんな穏やかな景色に似つかわしくない暗い表情の少女が肩を落として歩いていた。 彼女の名は末原恭子。全国屈指の麻雀強豪校、姫松高校麻雀部の大将を務めている。 その打ち筋は『堅実』。常に格下に負ける可能性を意識し、対戦相手の打ち筋の分析と対策を徹底する。 華やかな麻雀ができない『凡人』であるからこそ、常に勝利への情報収集を怠らない。それが彼女の麻雀における信念である。 その努力の甲斐あって、大会では部員からの全幅の信頼を寄せられる参謀役として活躍してきた。 その信頼は下級生だけでなく、同じ三年生の麻雀部主将にして絶対的エースたる愛宕洋榎も彼女の分析力に信頼を置いていた。 恭子は忘れない。あの屈辱的な二回戦の勝利。 完膚無きまで叩き伏せられた挙げ句、麻雀において常識外れの点数調整をされて姫松高校は二位で準決勝に勝ち進んだ。 全てはあの宮永咲の手のひらで踊らされ得た勝利。 準決勝で再戦する清澄高校。そして辛酸を舐めさせられた宮永咲の打倒を目指して特訓に励んでいたのだが―― 「なんやねん……あの三メートルの宇宙人みたいな元総理は……」 ハトヤマユキヲと名乗る、元総理大臣による友愛ゲーム(殺し合い) ただの麻雀が少し強いだけの女子高生にはあまりにも過酷なサバイバルゲームであった。 「何が友愛やねん……友愛は人を殺すことちゃうやろ……あんなんが元総理大臣とか……座るのは首相官邸の椅子やなく鉄格子の付いた病室のベッドやん……」 至極もっともな言葉であるが、完全に自分ひとりの世界に旅立って演説をする元総理にその言葉の意味を正しく理解しろというのも無茶なものである。 あの場にいた誰もがあの男を狂人だと思っていただろう。 普通の女子高生である恭子ですらもあれを『触れてはいけないもの』と感じていた。 「メゲるわ……」 どうすればいい? あの男の言いなりになって最後のひとりとなるべく殺し合いに参加する? そんなことできるわけがない。 もし、この会場に洋榎が、絹恵が、大切な仲間たちが呼び寄せられていたらどうする? 彼女たちをその手にかけて生き残ることなんて考えたくもない。 「こんな時、主将は――洋榎やったらどうするんですか……って聞くまでもないなあ」 恭子ははぁ、とため息をついて近場の朽ち木に腰をかける。 穏やかな風。風に揺れてざわめく緑。温かな木漏れ日。 森林浴にはもってこいの環境なのに恭子の気は暗い。 殺したくない。 でも殺されたくない。 フラッシュバックするプロレスラーめいた男の首なし死体。 リング上に広がる赤がいまだ恭子の脳裏にこびりついている。 何もしなければ次は恭子自身がああなる番。 ならば――殺されないために殺される前に殺せ。 そんな内なる声が聞こえたような気がして恭子ははっと顔を上げた。 「ッ――! あかん、やっぱ私にはでけへんよ……でも……」 自分にその気がなくても相手がその気だったらどうすればいい? せめて何か最低限自衛の手段があれば―― (でもそれがあの男の狙いなんやろなあ……) 例え殺し合いに乗るつもりがなくても、襲われてしまったときは応戦せざるをえない。 生き残りたいと願うのは生きている者として当然の願望。もし無抵抗で命を差し出す者がいればそれはそれで異常者と同じである。 全員が殺し合いに乗らず協力して知恵を出し合えば何かしら現状を打開できるかもしれない。 ハトヤマはそうせないために参加者に殺し合いに役に立つアイテム――武器を配っている。 たとえ自分に殺す気がなくても正当防衛で殺めてしまえばハトヤマにとってそれは殺し合いに参加しているのと同義。 武器を持ったまま最後までそれを使わないことなんてありえないだろう。 人間が生き残りたいと思う願望を持っているかぎり、武器を持ちつつ一致団結は不可能である。 必ず、自らの利益と保身で団結に綻びが生じてくる。 (まるで、囚人のジレンマ……それ以上やな。ほんまよーできとるシステムやわ) 恭子も殺し合いに参加するつもりはなくても自衛の手段は欲しい。 それがハトヤマの目論み通りなのは理解しつつも、死にたくない、生き残ってインターハイを優勝したいという自らの願望のためにデイバッグの中に手を伸ばした。 そして―― 「なんや……これ、ただの雑誌……? 『Vやねん!タイガース』ってアホかっ!」 出てきたのはなんの役にも立たない野球雑誌。 それもとある球団のファンにとっては『何がVやねん!』と苦々しい思い出の象徴でもあった。 「中身はしょーもない雑誌だけ……アホらし……なんか気ぃぬけたわ」 残りは地図やコンパスなどの戦闘には役に立ちそうにないものばかり。 それでもどこかほっとする恭子だった。 これで自分が誰かを殺すことはなくなった。 もう殺人者になることはない―― ぞくり。 「ひっ……」 突然。恭子の背筋に悪寒が走る。 この感覚――まるで麻雀で誰かの待ち――それも役満クラスに振り込む直前に感じるモノを何十倍に濃縮したような感覚。 喉元に鋭い刃を突き付けられたようなそれはまさしく殺気。 (あかん、うち……ここで死んでしまうん――……?) 諦めが恭子を支配する。ここでもう終わりなのか。 そんな彼女に耳に『動くと、当たっちゃいますよ』と声が響いた。 髪を掠める風と同時に背後にあった木にぶら下がる実が破裂する。 ほんのワンテンポ遅れて銃声が森に響いた。 「え、あ……? 何が起こって……」 何が起こったのか恭子自身もわからず混乱する。 ややあって森の茂みから黒い人影が姿を見せる。 長い銃身を持つ狙撃銃を持った人間、だがその姿は恭子にとってあまりにも珍妙な外見をしている。 白い和風の装束に身を包んだ怪人物。それはまるで歴史物語から抜け出してきた侍か忍者か。 恭子が見ても息を飲むほど綺麗な黒髪を結わえたその人物は端正な顔立ちで、一見すると男か女かもわからないほどの美貌を誇っている。 そしてその人物は美しい和装にあまりにも不釣り合いな無骨な狙撃銃を携えていた。 「信長殿の火縄銃とはかなり形は違いますが、火薬を用いて弾を飛ばす構造は一緒のようですね。ばてれんの技術は大したものです」 声から察するに男のようで。男は興味深そうに狙撃銃をしげしげと眺めている。 そして恐れおののく恭子を察してかにこりと微笑んで言った。 「申し訳ございませぬ。少しばかりこれの試し撃ちをしとうございまして。例えいくさ場とはいえさすがに私も無抵抗のおなごを好きこのんで殺める物狂いにございませぬゆえに」 見た目通り少し時代がかった言葉遣いの青年は妖艶な笑みを浮かべて恭子に詫びた。 「しかし……殺気を殺して撃ったつもりだったのですが先に感づかれるとは私の鍛錬も足りませぬなぁ」 「あ、あの……あなたは一体……」 「――申し遅れました。私は与一、那須資隆与一で御座います」 青年は飄々とした口調のままにこやかな笑みを浮かべ名を名乗った。 「は……? 那須与一ってあの?」 「はぁ、私以外に那須与一を名乗る者がいればお目にかかりとうありますが……」 「だって……那須与一って源平の――」 「ああ――あなたも信長殿や豊久殿と同じでございますか。は、ははっ数百年たっても名が残るとはもののふの誉れでございましょう」 不敵に笑う青年は恭子にとって信じられない名を口にする。 那須与一。800年以上前の人間が生きて目の前に立っているのだから。 ◆ 「まさか信長殿や豊久殿よりもさらに後の世の方とは……くっくくく……げに浮世は面白きことで」 「……ほんまにあなたは那須与一なんですか。私には信じられない話ばっかりなんですけど」 彼の言葉は恭子にはあまりに信じられないものであった。 なにせ数百年前の人間であるばかりではなく、ここに来る前まであの織田信長や島津豊久と言った戦国時代の武将と行動にしていたというのだから。 おまけに耳の長いエルフが住まう世界というまるでゲームか漫画のような話でにわかには信じられなかった。 「私もあなたの話を聞けば信じがたきことばかりですよ? まさか800年先の世は武士の世どころかただの民草が世を治めているなんて私たちの世からすれば想像もしないものですなあ」 「…………」 「しかし、800年の時が流れても世はいくさに満ちあふれている。世は移り変わっても人の本質は変わらぬものでございましょう」 「……どうして、わかるんですか」 「だってコレはあなたの時代の武器なのでしょう? 私の世よりも遥かに進んだ人を効率よく殺めるモノですよね?」 与一の言葉は真理を突いていた。 恭子は平和な時代の日本に住んでいるものの、世界には紛争はいまだ続いている。 そしてこの場もいずれ人同士が殺し合う戦場になるのだから。 「ひとつ、聞いてもええですか?」 「はいどうぞ」 「与一さんは……人を殺したことあるんですか?」 「くっくっく……は、ははは、何をあたりまえのことをおっしゃる。私はもののふですよ。たくさん、たくさん殺しました。そういう世なのだから当然でございましょう。不本意ながら根切りも……ね」 「ネ、キリ……?」 「一族郎党皆殺し、老若男女お構いなく殲滅ですよ」 皆殺し。与一の言葉が恭子重くのし掛かる。 同じ言葉が通じて、同じ日本人だというに与一がまったくの別世界の人間のよう。 800年という歳月はこうも人の意識を変えてしまうのかと思う恭子であった。 【G-4/森/一日目-朝】 【末原恭子@咲-saki-】 [参戦時期]:全国大会二回戦終了後~準決勝開始前 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品*1、Vやねん!タイガース 2008激闘セ・リーグ優勝目前号@現実 [スタンス]:対主催 [思考] 基本:死にたくない。でも殺し合いには乗りたくない 1:与一さんはどうするつもりなんやろか…… 【那須与一@ドリフターズ】 [参戦時期]:エルフ占領地解放後~黒王軍襲来前 [状態]:健康 [装備]:レミントンM700(5/6 予備弾50発)@現実 [道具]:基本支給品*1 [スタンス]:対主催? [思考] 基本:??? 1:未来の世の話をもっと聞きたい 黒い白馬に跨った詐欺師が少女と共に前へ前へとバックした 投下順 Boy meets Devil GAME START 末原恭子 GAME START 那須与一
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依頼主 雷神 出現条件 雷神第一進化 クリア条件 7/12 12 00までに以下の神様を解放する雷神 成功報酬 天ぷら豪華盛り合わせ食材を衣で包み油で揚げた日本の伝統料理の盛り合わせ。揚げたてサクサクをいただこう。親密度が2500も上がります! 依頼時 あと一回で俺が最終進化できるねん!ここまできたら是非アンタに俺の本当の姿、見てほしいわー クリア時 ほんまおおきに!アンタはもう連れやなぁ!俺と風神と3人でトリオ組まんか?
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オリックス・バファローズが好きやねん! ケーブルテレビ(J:COMウエスト、ベイコミュニケーションズ)で放送 オリックス・バファローズの注目選手インタビューを中心に、 熱パで奮闘する地元球団Bsを熱く応援する番組。 略称は「Bs好き!」。ケーブルテレビならではの熱いBs情報が満載。 詳細はこちら http //baycom.jp/cable_tv/community/orix/index.html 動画 ttp //www.privet.ru/user/buffaloes
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夏休みやのに毎日学校。なんやねん!! またひさしぶりに大学に行きました ほんとは卒業研究のために毎日行かないと行けませんが。。。 最高にだるい 精神的にだるい 最近いつも思う なんで夏休みやのにいってんねんと・・・ 周りはみんな夏休みで遊んでるのに ばかみたいや なので極力、全エネルギーをこめてサボりたい しかし、さぼりたいが卒業に影響あるしなぁ 卒業研究とかありえんし まずは就職活動するからって休みまくるしかないな
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すってんぱかりこプロジェクトのイレギュラー番組であるABDラヂオ「プロやねん!ワイ」の特別番組。 5年に2回ほど放送される。 過去に放送された朝までプロやねんワイ! 非スペシャル番組「赤魂出るまでプロやねん!ワイ」 放送日時:2005年6月31日2 45~4 35 出演者:紺野ブルマ、小川蕁麻疹、亀頭絵里、田中わいな 緊急特番「朝までハロプロやねん!2」 放送日時:2005年12月18日2 45~4 35 出演者:高橋愛、亀井絵里、道重さゆみ、田中れいな スペシャル番組「朝までハロプロやねん!3」 放送日時:2006年6月11日2 45~4 35 出演者:吉澤ひとみ、紺野あさ美、亀井絵里、田中れいな スペシャル番組「朝までハロプロやねん4!」 放送日時:2006年12月17日2 45分~4 35 出演者:新垣里沙、亀井絵里、道重さゆみ スペシャル番組「朝までハロプロやねん5!」 放送日時:2007年12月16日2 45~4 35 出演者:Berryz工房 スペシャル番組「朝までハロプロやねん6!」 放送日時:2008年6月9日2 45~4 35 出演者:道重さゆみ、田中れいな、光井愛佳 2024-01-19 19 32 51 (Fri)編集 タグ ラジオ 名前 コメント
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あ
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これかなりうざい。 -- 心愛 (2011-04-22 17 56 31) だのぉ でも押すのが悪いwww -- かいと (2011-04-24 18 16 41) ぇー、これに2回ひっかかってさ、2回も電源消したり入れたりしたのにっ!!! -- 心愛 (2011-04-29 18 02 25) 二回とかwwwwwwwwwwwwww -- るんと (2011-05-04 21 16 15) わらわれた・・・ -- 心愛 (2011-05-05 19 43 24) 連打君持っててよかったのぉ} -- ERISU (2011-05-06 17 18 26) これ、もう既に怪しいだろwww気が付けよwwww しかもタスクから消せるわww -- kaito (2011-05-06 21 22 25) 名前 コメント 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。
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そのことばは、もっぱら「なおいり」君にみんなから一斉に向けられることがほとんどである。 勘違いをしてはいけないが、これは紛れもなく立派な 「ほめ言葉」 である。 同義語は 年齢詐称疑惑 である。 その問題は、今生存しているおっさんどもが青春時代、もしくはまだ子供の頃の時代の 芸能問題だっつーの。 それを何故に君は誰よりも早く解答権を得、何故に即答できるんだい?
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ついに本物のVやねん!タイガースを発刊することが出来ました。 折角ですので、今期の阪神戦士の活躍を紹介したいと思います。 51期優勝記念選手紹介 メーヴェ(北) 1番レフト 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .345 203 32 84 85 0 0 .983 今期獲得タイトル:野手MVP(2)、B9(2) 評価 今期1番に抜擢され大活躍。.345 32HRの他、85四球で出塁率.427と 切り込み隊長として100点の仕事。野手MVPを獲得した。 今期阪神打線の活性化は、彼の活躍による物が大きい。 2失策と16FPの守備面の活躍も見逃せない。 ヴんヴん(TAL) 2番セカンド 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .293 177 7 51 62 3 58 .991 今期獲得タイトル:盗塁王(6)、B9(5)、GG(2) 評価 本塁打以外は何でも出来る万能プレイヤー。毎年3割前後の打率、 30以上のファインプレー、成功率7割以上で50以上の盗塁は安定して残す、 高レベルな守備走塁型プレイヤー。今期も変わらず、攻守に渡り貢献をした。 モア2(モア) 3番ファースト 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .320 189 21 101 69 0 0 .989 今期獲得タイトル:B9(初) 評価 神主打法を特徴とする、攻撃面に関しては既にハイレベルな所で安定をしている打者。 今期も.320 101打点 .391の出塁率と、メーヴェ同様、阪神打線を活性化させた。 この選手の凄い所は、まだ一度も不調のシーズンがない所だ。(フラグ) 彼が試合を決めると、ついサンキューモッアと声を掛けたくなる。 ジラフ(モッツァレラ) 4番サード 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .337 205 66 168 37 0 0 .950 今期獲得タイトル:本塁打王(6)、打点王(4)、B9(7) 評価 いわずと知れた野獣先輩。阪神打線の大ボス。50HRは既にノルマ。 今期、リアルプロ野球小鶴誠の記録である161打点を大きく更新。 満塁時の打席での彼の気迫を受けると、ついに投手は甘い球を投げたくなるという?今期6満塁本塁打。 まるさか(まるさか) 5番DH 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .283 167 27 75 40 0 0 .000 今期獲得タイトル:B9(初) 評価 ここ最近、開花。ジラフが仮に仕留め切れなくても、 後ろを打つまるさかによる打撃が待っている。 打率、本塁打、打点とも年齢で求められる成績の及第点以上を残した。 さっふー(さふー) 6番センター 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .337 185 16 58 63 0 0 .991 今期獲得タイトル:B9(初) 評価 堅実な守備で今期4失策。打撃面では、出塁率4割突破。 22歳で求められる成績は大きくクリア。 阪神下位打線を活発化させる燃料となれた。 また、日本シリーズ第2戦の延長20回裏の 死闘を制するサヨナラヒットはファンの胸に深く刻まれた。 俺(豪州のヒゲ長髪) 7番キャッチャー 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 阻止率 .283 158 20 60 42 0 0 .304 評価 25歳と非常に若いプレイヤーだが、プレイングマネージャーとして地位を確立。 今期、捕手として守備に気を使いながらも、.280 20本塁打を達成。 下位打線に一発がある選手がいると、投手は気が抜けない。 コンディショニングが課題であったが、今シーズンオフに習得したとの報告が有り、 来期から一層の活躍が期待される。 ヴェール(グリーン) 8番ショート 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .260 141 13 44 36 7 0 .961 評価 非常に荒削りな選手だが、今後の可能性を感じさせる大型遊撃手。 俺 同様、下位で一発がある選手として、今期は活躍した。 素材は十分であり、細かい技術を鍛えていけば、 球界を代表する選手になれる可能性を十分に秘めている。 鳥谷敬(真弓明信) 9番ライト 打率 安打 本塁打 打点 四球 犠打 盗塁 守備率 .263 142 17 66 51 0 0 .979 評価 筆者は、この年に求められる成績をクリアし、 俺、ヴェールと共に下位打線を活性化させた貢献値は高かったと思うが、 本人曰く『今期は不調』向上心の塊の彼の今後に大きく期待。 来期は、やってくれるでしょう。 マダックス(画像飽食) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 0.77 23 3 0 0 234 0/3 .215 170 52 今期獲得タイトル:投手MVP(1)、サイヤング賞(1)、B9(初)、最優秀防御率(2)、最多勝利(2) 評価 今期、まさにエースの活躍。彼は立場上エース同士の投げ合いになる登板を強いられる事が多いが、 強く前を向き、ファンはもちろん、全チームメイトが見守る中で完封勝利を連続して挙げ、 チームを鼓舞してきた。【精密機械】と呼ばれるコントロールを今期オフに習得し、 来期以降、更にエースとしての活躍が期待される。 ジョナさん(とまそん) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 1.16 23 6 0 0 240 0/3 .222 226 55 今期獲得タイトル:最多勝利(3)、最多奪三振(3) 評価 マダックス、ヤッホンスと共に今期の阪神を支えた3本柱の1人。 鍛えに鍛えた懸河のドロップは、並大抵の打者はバットにかする事も出来ない。 年齢を重ねて、身体的には大分衰えが来たが、【大エース】と呼ばれる不屈の精神は衰えない。 まだまだ、阪神投手陣を支え続ける。 ヤッホンス(ヤッホンス) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 1.33 23 6 0 0 258 0/3 .234 175 59 今期獲得タイトル:最多勝利(2) 評価 阪神3本柱の一角を担う。今期23勝。ダイナミックな【トルネード投法】から繰り出される キレのある変化球と、ノビのあるストレートはなかなかタイミングが合わない。 中継ぎ時代に鍛えたタフネス振りがこの投手の1番の特徴。 力こそパワー(問コク) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 1.70 11 0 0 0 111 1/3 .240 57 11 評価 今期敗戦無しの11勝。1敗が命取りになる状況で、 若手投手に求められる仕事を完璧に遂行。 3本柱引退後のエース候補として、名乗りを挙げた。 ジョニキ飛翔(帆迎) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 3.75 7 2 0 0 69 2/3 .276 39 22 評価 鳥谷と同じく、本人は不調と訴えるが、筆者としては今期、7勝2敗と若手としては十分な仕事を果たしたと感じる。 球団内次代エース競争は、問コクが今期1歩先に進んだが、この選手はエースとしての理論を年々学んでおり、 それが開花された時の事を踏まえると、素質は相当高いと見える。 A.smith(峰岸) 先発 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 2.01 11 1 0 0 107 0/3 .241 46 27 評価 力こそパワー、ジョニキ飛翔のエース争いに割って入る投手。 今期11勝1敗。通算勝率.758と斉藤和巳の.774に肉薄している程。 打者の手元で大きく曲がる変化球がこの選手の特徴。 【負けない】投球がこの選手には既に出来ており、次代の阪神3本柱として大きな期待がかかる。 大将(さいてょ) 中継 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 0.64 11 0 4 23.9 56 2/3 .216 23 9 評価 これぞ中継ぎエース!と言わんばかりの内容。 大将という名前はどこへやら、全く席を埋めない熱い入店拒否振りで 中継ぎながら11勝、敗戦無しの4セーブ。 この選手筆頭にリアル阪神さながらの手厚いリリーフ陣が居る事は プレーする選手達に大きな安心感を与え、思い切ったプレーを呼び起こす。 ドライソフト(飲茶) 中継ぎ 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 3.07 0 1 3 7.3 29 1/3 .265 26 9 評価 阪神の頼れる中継ぎ陣の一角。キレの良いフォークを武器とする、 三振が欲しい場面に三振を奪える投手。今期3セーブを挙げる。 中継ぎのセーブは先発が5-6回を投げ、リードしていたが 突如連打を食らって、一発逆転もある場面で登板して、 そこを抑えて、打線が9回までに4点差以上を付ければ 抑えが登場する事なく最後まで投げられる事が出来るので、 セーブが付く。よって、そういう場面をきっちり抑えて投げきれた証。 カルロ(ス) 中継 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 1.59 2 0 2 9.8 34 0/3 .246 24 9 今期獲得タイトル:GG(3) 評価 阪神の頼れる中継ぎ陣の一角。負け無しの2勝0敗2セーブと非常に良い内容。 この選手の特徴は、接線に強い、ノビのある速球もそうだが、 ロングリリーフが可能な所。中継というより、第2先発としての立ち位置の方が強い。 来期も、そういった活躍が期待される。 斉藤一(たつ) 中継 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 1.80 3 0 3 15.8 40 0/3 .277 22 9 評価 大きく曲がるスローカーブを特徴とする軟投派投手。 このスローカーブに相対した時、打者はタイミングどころかフォームも大きく崩されるという。 今期3勝0敗3セーブとこちらも非常に良い内容。 中継ぎ3本柱は既に全員高年齢という事で、この選手に次代中継ぎエースとして大きな期待がかかる。 藤川球児(直球勝負) 中継 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 4.50 0 0 0 0.6 6 0/3 .230 5 2 評価 入団1年目という事で、あまり登板機会は得られなかったが、 その中でも甲子園の雰囲気を数試合味わい、経験を積めた。 直球を鍛えに鍛え、自分の色を出し、 抑えのボンヘーイが引退に近付いてきているので、 次代の抑えとして、名乗りを挙げて欲しい。 ボンヘーイ(巨人笠原) 抑え 防御率 勝ち 負け セーブ RP 投球回 被打率 奪三振 与死四球 3.64 0 1 26 0.0 29 2/3 .360 16 16 今期獲得タイトル:GG(1) 評価 チームメイトの大将が大将らしからぬピッチングを見せたが、 代わりにボンヘーイが阪神寿司の大将となった。 Whip2.16と常に席は満席状態。だが、29登板26セーブ敗戦は1と 鋼の精神で阪神の9回を締め続けた。元々は9回に強いという意味で【寸前に強い】と評されていた選手だが、 今期は本当の意味で、追い詰められてからの寸前の強さを発揮した。 しかし、監督の胃はボロボロになり死亡が確認された。 抑えりゃええんや! 編集後記 日本一、おめでとうございます。長い間、待ち続けた甲斐がありました。
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第14話 Vやねん!透華ーズ-スッタン- ひたすら同じ景色を眺め、黙ったまま座り込む。 気不味い空気もあって、その作業は時間の流れを非常に遅く感じさせた。 ちらりと時計に目を落とす。長針が間も無く9を回ろうとしていた。 (もうこんなに経っているのか……) 誰かが来てくれるのを期待していたわけではない。 むしろその逆。 誰かが来るということは、危険を招くだけだと考えいていた。 だから、誰ひとりとしてやってこない現状は、それほど悪いことではない。 (1時間近く待ってるのに、誰も来ない……) だからだろうか。 まだ1時間経過するまで15分もあるというのに、もうすでに1時間誰も来ていないような気になっているのは。 どうせ来ないという思い込みが、“来ていない時間”を長めに勘定させてしまう。 そして1時間誰も来ていないという思い込みは、このまま座り込んでいても仕方が無いという考えを誘発する。 (これだけ待っても来ないってことは……やっぱり、無駄だったってことかな……) 勿論、危険がなかったとはいえ、これはベストな結末ではない。 ここまで来た最大の理由、龍門渕透華。 彼女に会えるということが、一にとってはベストな結末だったのだ。 しかしもう、それは望めないだろう。 いや、元々望んではいけないことだったのかもしれない。 生きていてくれたというだけで十分幸運なのだ。 偶然呼びかけが聞こえる範囲に居て、なおかつ応えてくれるなんて期待する方が虫が良すぎる。 (もう少ししたら、移動を切り出そう……ここに居ても、仕方がないし) 膝を抱えて俯いてる片岡優希へ視線を向ける。 彼女は未だに地面とにらめっこをしていた。 その表情を窺い知ることは出来ない。 人集めの発案者にして実行犯(犯というのもおかしな話ではあるが、勝手なタイミングで勝手な内容を叫ばれた恨みがあるので、敢えて犯と表現しておく)なのだから、もう少し周囲を見てくれていてもいいのではと思うんだけど。 結局ここ数十分で彼女がやったことと言えば、不定期に鼻を啜ることで、まだ清澄の仲間の死を引きずっていると教えてくれたことくらいか。 一も純が死んだことは未だに整理は出来ていないし気持ちは分かるが、いつまでも塞ぎ込まれるわけにもいかない。 移動の前に、一旦きちんと話をつけておかねば。 (って言っても、どうしようかな……) 正直な所、合宿で同じ釜の飯を食べた仲とは言え、優希とは別段親しいわけではない。 それもあって、何と声をかけ励ますべきか分からなかった。 とはいえ、励ましの言葉もなく、淡々と移動する旨を伝えるのも、正直どうかと思うのだ。 一応タッグチームであり、当分は組んでいた方がいいであろう関係な以上、無用な争いは避けたい。 「ねえ……」 考えてる間に、時間は過ぎた。 声をかけるのは気まずいが、この沈黙をいつまでも続けているわけにはいかない。 「あのさ……言ってたよね。殺し合いを止めるって」 しかし、なんと言えばいいのかが分からない。 もう少し、自分は口が回る方だと思ってたけど。 「そういう前向きで、底抜けに明るくて、優しいところが、きっと二人共好きだったと思う。 だからさ……顔、上げなよ。そんな顔してたら、二人もきっと悲しむよ?」 我ながら、この台詞はどうかと思う。 歯の浮くような、それでいてありふれた台詞。 顔を上げてはくれたけど、優希の顔は依然暗く沈んでいた。 「……心苦しいけど……」 でも、言わないわけにはいかない。 ずっとここで座り込んでいるわけにもいかないのだから。 「呼びかけには、誰も応えてくれなかったんだよ…… もう1時間も待ってるし……そろそろ、諦めて移動しよう?」 優希の眉間に皺が寄る。 その唇が悔しそうに結ばれた。 「ダメなんだよ、多分、呼びかけじゃあ」 残酷な、真実。 けれどもそれは真実である以上、避けて通るわけにはいかない。 「だけど――希望がないわけじゃない。 ボクがそうだったように、きちんと対話の機会があれば、なんとかなるかもしれない。 一方的な呼びかけじゃあダメだったけど、対話にはまだ可能性が残ってる」 呼びかけという一つの希望は確かに潰えた。 けれどもそれは、希望が全滅したことを意味しているわけではない。 まだ、出会って対話をするという手段が残されている。 そのためにも、 「行こう? 待つんじゃなくて、探しに行くんだ。ボク達が、皆を」 まだ生きている、大切な人と会うためにも。 「――随分、勝手言ってくれますわね」 そう、大切な人。龍門渕透華―― 「勝手に呼び出しておいて、誰も来ません移動~だなんて、些か酷くありませんこと?」 彼女に会うには、もう自分で探すしかない。 そう思っていたのに。 「定期連絡も寄越さないわ、明確な目印も教えないわ、それじゃあ迷って当然ですわ」 「仰るとおり。状況が状況ゆえ頭が働かなかったとしても致し方なしですが、それにしても些か軽率ですね。 もう少し遅ければ、無駄足となるところでしたよ」 振り返ると、そこには。 「透……華?」 彼女が、居た。 「ようやく会えましたわね、はじめ」 「透華ぁ!!」 笑顔の透華に、思わず抱きついてしまう。 その姿を優希が何を思いながら見ていたのかも考えずに。 ☆ ★ ☆ ★ ☆ 「そっか……透華には、ちゃんと届いてたんだ」 透華は、無事だった。 どうやら拡声器の声を聞き、ここまでやってきたらしい。 こちらの位置が分からなかったために、無駄にうろつくはめになったと愚痴っていた。 「ええ。私と透華お嬢様が合流した頃に、呼びかけは聞こえました。 大体……第一回放送が終わった直後くらいだったかと思われますが、それまでお二人は何を?」 透華に出会え浮かれ気分な一の代わりに、ハギヨシが場を取り仕切る。 常に冷静に場を見渡し気を配るのが得意な彼は、例え一や透華に再会したところで狂喜乱舞などしない。 ただ淡々と、いつも通り最善の選択をし、奉仕し尽くすのみである。 「ボクは、地図の南に描かれてる村であの子にばったり会って…… そこであの子に支給されてた拡声器で呼びかけてみようってことになって」 だからハギヨシは、少しばかり再会を喜ぶ時間を取った後に、本題へと話題を移した。 情報の交換。 それは、この場に置いては最も大事なことだ。 情報の有無は、あらゆる局面で大きな影響をもたらす。 麻雀でも、殺し合いでもだ。 「なるほど。それでここに移動してきたと」 「うん。ここなら、襲われても逃走が出来そうだしね。 それに、一番高い所だから、相手が来るのも見られるし」 そう、ハギヨシは間違っていない。 一にはそれはよく分かっていた。 それにハギヨシがサクサクと話を進めてくれるから助かっている。 「そういうわりには、私達には気が付かなかったようですけど?」 「そ、それは、ちょっと他のことに集中してたから……」 だけど、それでもほんのちょっとだけど、優希のことが気になって仕方がなかった。 先程から、俯いたまま会話に入ってこない。 ハギヨシが改めて自己紹介した時は、軽く会釈くらいはしたが…… それでも、露骨に元気がなかった。 「では次は、私達がはじめに教える番ですわね……」 「うん、お願い。こっちとしても、どんな感じなのか知っておきたいから」 一瞬だけ、透華の顔が曇ったような気がした。 普段なら見間違いなんてするはずないと考えて「どうしたの」と聞くところだが、 今回は優希の方に意識が行っていたため、見間違いかもしれないという意識が働いてしまう。 故に、深くは聞かずに話を促してしまった。 「えっと……私は、地面に矢印と名前を書きながら移動してますの。あと、さっきは目的地も書きましたわ」 「…………へ?」 地面に、矢印。それと足あと。ついでに名前と目的地。 どう贔屓目に見ても、自殺行為そのものだった。 「ななな何やってんの!? そんなことしたら――」 「大丈夫ですわ。はじめは心配性ですわね。 現に私は無事! しかもアレのおかげで、ハギヨシと無事に合流できたのですわ!」 ホホホホホと声高々に笑う透華。 ヤバい、これはヤバい。 透華が善人だということは知っていた。 けれども、まさかそこまで危険を顧みないことまでしているなんて思わなかった。 思わず皺の寄った眉間を指で押さえてしまう。 なんとも頭の痛くなる話だった。 「そういえば片岡優希の支給品は拡声器と言ってましたけど、はじめの武器は何でしたの? 私はこのブローニング・ハイパワーとかいう拳銃でしたけど……」 「ボクはこの銃――S&W、だっけな? そんな名前の銃だよ」 そう言って、一は自身の銃を掲げた。 そしてハギヨシに今度は尋ねようとするが―― 「違うでしょう、透華お嬢様。まだ、言わねばいけないことがあるのではないですか?」 ハギヨシの言葉に、中断されてしまう。 「は、ハギヨシっ!」 透華の顔に、見るからに動揺の色が表れる。 何か、あったのだろう。 それも、話したくないようなことが。 「私は、透華お嬢様以外の人にもお会いしました」 「ハギヨシ!」 透華は、保身のために嘘を吐く人間ではない。 そのことを考えると、大体次に続く言葉は予想が吐く。 おそらくは、2人の人物の内1人の名前が挙がるのだろう。 ――優希が傷つくだろう、あの2人の内のどちらかの名前が。 「私と透華お嬢様は、染谷まこ様にお会いしました」 その予感は的中した。 純の名前が挙がるという可能性も無いわけではなかったのだが、透華の性格上家族の死体を発見したら埋葬しているだろうし、そのことを一に隠すことはないだろう。 家族の一人の問題は、家族全員の問題なのだ。 だから、一はそれほど驚かなかった。 むしろ咲や和といった放送で呼ばれていない優希の知り合いの名前が挙がってしまうことの方が恐ろしかった。 これ以上、今の優希に追い打ちはかけられない。 「な……先輩はっ……染谷先輩は今どこにっ……!」 「教えてもかまいませんよ。彼女は間違いなく亡くなっていますが、ね」 縋るように尋ねる優希に、ハギヨシが現実を突き付ける。 そこで初めて、一は不味いと思った。 透華に会えて、自分は浮かれてしまった。 純の死という悲しみからも、一時的にも逃避することに成功している。 仲間が出来たということで、優希もそれは同じだと思っていた。 でも、違ったのだ。 結局の所、透華達の来訪は、優希にはさほど救いにならなかった。 それどころか、むしろ疎外感を与えたのかもしれない。 とにかく、依然優希は追い詰められたままだった。 そして優希がどれほど追い込まれているのか、ハギヨシと透華は知らない。 「そん、な……なん……で……染谷先輩…………」 優希が呟く。 その呟きは、死因を問うたものではない。 何故あの人が死ななくちゃあならないのか。 そういうニュアンスのものだ。 「――池田華菜様、お分かりになりますよね、風越女子の」 けれども、ハギヨシはその呟きに答えを示した。 宙へと消えるはずだった言葉を、拾い上げてしまった。 「染谷様は、彼女に――池田様に殺されました」 背筋に冷たいモノが走る。 名も知らない“殺人者”だった者の一人が、身近で知ってる人物へと変わったのだ。 一とて、動揺しないわけがない。 「イケダが……?」 だがその衝撃は、優希の方が遥かに大きい。 敬愛していた先輩を、顔見知りが殺したのだ。 「何で……アイツが、そんな……」 ましてや、優希は先日の合宿で華菜と親しくなっていた。 ショックは人一倍だろう。 「あれは事故! 事故でしたわ! それに……私にもその事故の原因の一端はありますわ!」 おいおい、冗談だろう? 透華もまこの死に一枚噛んでいるだって? にわかには信じられない。 事故の一因と言うこともだが、それ以上にそのことをこの状況でペラペラ喋るということが。 「ですから……許してあげて下さいませんこと? ……彼女……本当に、後悔していますから……貴女の口から、許すって言ってあげてもらえません?」 優希は、俯いている。 もしこれが顔も知らない奴が加害者だったら、許しなどせず遠慮なく罵倒出来ただろう。 しかし今回は、加害者も友人なのだ。 そのうえ殺人事件でなく事故だときている。 感情のやりどころを見失うのも無理はなかった。 「悪いけど……今は何とも言えないじぇ…… 許したいけど、でもやっぱり、まだ上手く整理できないじょ……」 ほっと胸をなで下ろす。 もっと時間をかければ、優希も華菜を許すことが出来るかもしれないのだ。 これは、小さいけれども重要な一歩だ。 ようやく、優希にも前を向ける兆しが見えた。 とはいえ、この発言のせいで沈黙が訪れてしまった。 透華も掛ける言葉に困り、「そう」とだけ返事をして黙りこくってしまっている。 悪いことを言ったわけでもないのに、空気は何やら重苦しかった。 「それと……私は他に津山睦月様と文堂星夏様も一方的に目撃しています」 再び訪れた沈黙を破り、ハギヨシが情報提供を再開する。 ハギヨシは、空気を読んでいないわけでも優希を虐めたいわけでもない。 ただ生存率を上げるため必要な情報交換を済ませようとしていたというだけなのだ。 今がそれがいい方向に働き、気不味い沈黙が去ってくれた。 「お二人とも自殺のようでした。彼女達の支給品――引越しで使うような紐と、ナタはこの通り回収済みです」 「自殺……って、つまりそれって……」 「ええ。殺人で死んだのは、多くてもニ名だけだということです」 放送で呼ばれた人物は五名(殺し合いゲーム開始前に死んだからか、藤田プロは呼ばれなかった) その内まこが事故で死に、睦月と星夏は自らゲームを降りたという。 つまりそれは、五名の内で『殺された』という可能性を持っているのは、優希の友人である須賀京太郎と一や透華の家族である井上純のニ名だけだということを意味していた。 「意外、だよね……」 「やっぱり、やる気になってる方なんているわけない、ですわっ! 落ち着いて希望を捨てないでいれば、きっと何とかなるはずですわ!」 「透華……」 先程から、一は感じていた。 透華に会えたことは嬉しい。 ようやく会えた、希望の光だ。 だがしかし、彼女との再会は、予期せぬ問題をももたらした。 彼女は、優希と同じく愚直に他人を信じ抜こうとしている。 それがどれほど危険なことか、本人は気付かずに。 最悪の場合切り捨てることが可能であった優希と違い、一は透華を絶対に切り捨てられない。 なのに、彼女は危険な道をズンズン進もうというのだ。 守るために合流したかった相手は、大人しく守らせてくれるお姫様などではなかった。 自ら動きトラブルを起こす困ったワガママプリンセスだったのだ。 危険を引き寄せ、労力を増やすお姫様。 ヘタをしたら、会わずに一人で人集めをしていた方が安全だし効率的に脱出出来たんじゃなかろうか。 「でも……残念だけど、多分純くんは誰かに、その……殺されちゃったんだと思うよ」 殺すという単語の使用に、僅かながら戸惑いが生じる。 透華や優希に比べ割り切った印象ではあるが、それでもやはり一も普通の少女なのだ。 死にたての友人の名を出して「殺す」だなんて単語は使いたがらなくて当然である。 「純くんは、自殺するような性格じゃないし……」 それに、事故を起こすほど間抜けとも思えない。 これは、事故死したまこを貶める発言に聞こえかねないということで、さすがに自重しておいたが。 「最初の頃にマシンガンの音がしたし、あれだったんじゃないかな……」 「その可能性は高そうですね。並の武器なら体格差で何とかハンデを埋められそうですし」 一達には分からぬことだが、そのマシンガンの音は、夢乃マホが竹井久を銃撃してしまった音だ。 純はというと、音のしないボーガン相手に隙を突かれてやられている。 「武器といえば……透華達のおかげで、ボクらの武器も充実しそうだよ」 「確かに、私達、何気に武器が充実してましたからねぇ」 「透華お嬢様のブローニング・ハイパワーにくわえ、私の支給品であるカラシニコフがありますからね」 そう言って、ハギヨシは肩に掛けたカラシニコフをカチャリと鳴らす。 それから、ポケットを探り小さな拳銃を出した。 「それと――デリンジャーです。染谷様が握っていたものを頂戴してきました。 名前はレミントン・ダブルデリンジャー。2発しか装填出来ないので、やや心許ないですね」 「ちょ、ちょっと、いつの間に……!」 「透華お嬢様が池田華菜様を説得なされてる間に、抜き取らせて頂きました。 あの時間まで放置している所を見ると、池田様にあのデリンジャーを受け継ぐ意志はなかったものと思われますので、 あのままでは勿体無く有効活用してやるべきだと判断致しました」 淡々と、ハギヨシが事実を述べる。 それは、透華にとってはあまり気分のいいものではない。 透華にはそれが、まこへの冒涜行為かのように感じられたのだ。 「指が死後硬直するにはまだまだ時間がかかりますから、取り外しは容易でした。 染谷様の分まで生き残れる確率を少しでも上げる為です、ご理解下さい」 「…………」 一には、透華の気持ちがよく分かった。 確かに、ハギヨシのしたことは決して気分のいいことではない。 だがしかしそれでも、ハギヨシに賛同せざるを得なかった。 嫌な言い方をすれば、まこはもう過去の人なのだ。 過去に縛られ、生き残ってる人間が自ら危険に身を晒すなど愚の骨頂。 生存率を上げるため、使える武器を使えない人に代わって回収して使う。 その行為に、何も悪い所など見当たらなかった。 気分が良くないとしても、それはきっとやらねばならないことなのだ。 「何にせよ……これで銃は四丁あるってことになるね。 これなら、何かあっても切り抜けられるかも知れない」 「……何も起こりませんし、起こさせませんわ」 「……念のため、だよ」 まこの事故の一端を担ってしまったからだろうか。 透華は異常に他人を信じて手を取り合おうと考えている。 主君がそう考えてる以上それに従うつもりだが―― 付き人の仕事はただ追従するだけではなく、万が一主人が裏切られた時に、主人の被害を最小限に減らすべく行動することである。 いざという時は一人で泥を被る覚悟で、誰かを撃たなければいけない。 「とりあえず、キミはもう休んでなよ……色々あって疲れただろうし」 「そうですね。何も4人で突っ立っている必要性はないでしょう。 とりあえず、最初は片岡様が休まれるのが無難でしょうね」 「わ、私は……」 「そうですわね……少し、休むことも大事ですわ」 優希は何か言いたげだが、結局言葉に出来なかった。 本当は優希にとって休む時間も惜しいのだが、今の自分が普段と違うことくらい、今の優希にも自覚はできる。 そしてそれが、迷惑になりかねないということも。 「……でしたら、数十メートル離れた位置でお休みになるといいでしょう。 万が一こちらが襲撃を受けた場合にでも、全滅は避けられます。逆もまた然り」 「だから、そんなことにはならないと――」 「まぁまぁ、念には念をってやつだって。 それに少ないリスクや手間暇で最悪のケースを避けられるなんてローリスクハイリターンな戦略を、取らないわけにはいかないよ。 デジタル的にもそうだし、原村だってきっとそうするんじゃあないかな」 「むぅ……」 原村やデジタルという単語を用い、透華を納得させる。 基本的に、透華は単純で扱い易い人間に部類された。 「組み分けだけど……透華、悪いんだけど、あの子に付いててあげてくれるかな?」 「私が、ですの?」 「ええ。私と透華お嬢様の二人が山頂にいた場合、先に呼びかけていた二人を始末して待ち構える悪人という可能性を考慮される恐れあります」 「だから、あの子を休ませる以上、ボクは必ず山頂で人を待つ任に就かなくっちゃあダメなんだよ」 当然のように、山頂における参加者待ちは続ける前提で話が進む。 透華のリアクションを見るに、続ける気だろうと考えてのことだ。 「それに、ハギヨシさんが一番多くの死に遭遇しちゃってるし、休ませてあげるべきかなと」 「二人同時に休むわけにはいきませんからね……となると、この組み合わせが最善となるわけです。 私は一に見張りを任せて休憩し、片岡様は透華お嬢様に見張りを任せて休憩するという手筈です」 勿論それは建前だ。 本当は、龍門渕家に仕える者同士として、二人っきりで話がしたいだけだ。 人が好すぎるお嬢様のためどうするか等、話すべきことはたくさんある。 龍門渕家が殺し合いから逃げる際に役立つのではという仮説も、一応話しておきたかった。 これは皆に言っても良かったのだが、下手に希望を持たせすぎて楽天的になりすぎるなんてことになっても困るので、 いざという時に絶望を払拭するため取っておこうと考えている。 ハギヨシはどの道絶望なんてしないだろうし、したとしたら簡単な一つの希望なんかじゃ前向きにならないだろうと一は考えているので、例外として扱っていた。 「なるほど、一理ありますわね」 「でしょ?」 「でも、それなら――――」 言うが早いか、透華は地面に放置してあった拡声器を手に取った。 スイッチをONにすると、口に宛てがい叫び始める。 「私は龍門渕高校副将! 長野のアイドル・龍門渕透華ですわっ!!!」 キーーーーーーンと耳が痛くなる。 透華、そんなに大声出さなくても、拡声器が音を大きくしてくれるから!! もうちょっと声を抑えて! 「片岡優希とはじめの言葉に共感し、馳せ参じましたわっ!」 その声は、拡声器に乗り遠くまで飛んでいく。 勿論、池田華菜の所へも。 「ハギヨシも一緒ですわ! ですから、皆さん、恐れないでくださいましっ! 一緒に考えれば、こんな状況チョチョイのチョイで打破できましてよ!」 そう言うと、今度は押し付けるようにハギヨシへと拡声器を手渡した。 透華から押し付けられた拡声器を、ハギヨシもまた口へと宛てがう。 「……と、いうことです。依然変わらず、山頂で待っています」 それだけ言うと、拡声器を口から離した。 スイッチを切ろうとしたところで、再び透華が拡声器をひったくる。 電源スイッチを改めて入れ、再び透華は己の声を乗せ始めた。 「私達は、これからも定期的に声を届けていきますわっ! ですから! 気が向いたらでいい、勇気が出たらでいい―― それからでもいいですから、是非私達の声を頼りにここまで来て下さいまし」 そうしてようやく、透華はスイッチを切った。 それから満面の笑顔(というかドヤ顔)で、一達の方を向く。 「こうすれば、定期的に声を出してる人の元に皆集中してきますわ。 離れた場所で二人で休んでいる方が、幾分安全でしてよ?」 「……分かりました」 ハギヨシさんが、透華の意見を了承する。 きっと、はぁ、と深く溜め息を吐きたかったことだろう。 しかしそれをおくびにも出さず耐えている彼は凄い人だと一は思う。 「二人揃って寝るわけにはいかないでしょうが……確かに危険が少ない分、リラックスは出来るでしょう」 「まあ、確かに人が群がりかねない以上、山頂待機組は二人共起きておかなきゃいけなかっただろうしね」 「でしょう? だから、この組み合わせが一番でしてよ! 私の交渉力と人望ですぐに人の波を作って差し上げますわ!!」 透華よ、さすがの優希もちょっと苦笑いしてるぞ…… 「そういえば、武器はどういう風に分ける? 銃は一人一丁持てるけど」 「片岡優希にハギヨシが一丁差し上げたら早いんじゃなくて?」 「そうですね、それがバランス的にも丁度いいでしょう。 疲労してらっしゃる片岡様はお休みになるでしょうし、デリンジャーをお渡ししておきます。 襲撃に遭った場合は私が全力でカラシニコフでお守りするのでご心配なく」 「頼みましたわよ、ハギヨシ」 「はい」 あーあ、大変だ。 了承せざるを得ないとはいえ、守ると言い切ってしまった。 これでもう、簡単には切り捨てられなくなったぞ。 ……もっとも、切り捨てないで済むのならその方がいいんだけどさ。 それでも、先程からの会話に入らぬ姿を見ていると仲間に入れていて大丈夫なのか不安にはなる。 「ボクと透華も銃があるけど……一応、ナタも貰っていこうかな……」 「それがいいでしょう。そちらの方が襲撃される可能性が高いのですから」 透華がいることもあって、ハギヨシは武器を積極的に山頂待機組へ提供する。 ナタのみならず、ビニール紐まで一達に譲渡していた。 ……使い道があるのか甚だ怪しいため、押し付けたとも言えてしまうかもしれないが。 「15分毎に拡声器で呼びかけるから、騒音で熟睡とまではできないかもしれませんけど……少しは休んで体力を回復なさい」 「……分かったじぇ」 透華が優希の頭をぽんぽんと叩く。 不貞腐れた子供のように、優希の視線は地面を捉え続けていた。 「4時間程したら、帰ってきて下さいまし。 その時までにここに来た仲間を紹介したいですし、その後は放送を皆で待つ―― 依存はありませんわよね」 「了ー解」 「かしこまりました」 「……だじぇ」 透華の仕切りで、大まかな作戦は決まった。 優希を休ませている間、透華と一は15分毎に拡声器で呼びかけを続ける。 そうして仲間を集めるのだ。 透華達が人を引きつけてくれるとは言え、安全とは言い切れないということで、ハギヨシは優希の護衛をする。 そして、4時間後に再会。 大体のことはこれで決まりだ。 「それじゃあ、おやすみなさいまし」 「……おやすみ、だじぇ」 「では後ほど」 「それじゃあね」 とぼとぼと去る優希の背中と、それに付き従って歩くハギヨシの背中を一は目で追った。 その姿が完全に見えなくなってから、ようやく透華に向き直った。 「……それじゃ、ボクらはボクらの仕事をしようか」 問題も山積みにしてくれちゃう人だけど、それでもキミに逢えてよかった。 そんなことを思いながら、一はS&W――いわゆるコンバット・マグナムを構える。 そして会いたかった人と何を話そうか考えながら、見張りの任に再び着いた。 ――今度は先程と違い、時間の流れが早く感じる楽しい時間になりそうだ。 ☆ ★ ☆ ★ ☆ なんとか、間に合った。 国広一達が見つからなかった時は、間に合わなかったのかと冷や冷やしたものだが―― とにかく、自分達は間に合ったのだ。 「そういえば、透華はその銃使い方分かる?」 龍門渕透華。 彼女は、片岡優希と同じく、仲間を集めて脱出する算段だ。 透華に従うという行動指針を持つが故に脱出を選ぶ一やハギヨシとは違う。 そして、優希ともまた、少しばかり違っている。 「一応、取扱説明書は読みましたわ」 透華も優希も、最初は純粋に皆を信じて手を取り合えると考えていた。 だがしかし、その想いは裏切られたと放送にて知ることになる。 そして優希は悲しみに暮れた。 何故死んでしまったのかと、本当に死んでしまったのかと。 悲しさから、友の死という絶望から、拡声器を使用した。 染谷まこと須賀京太郎の死が、優希に大きな悲しみをもたらしたのだ。 一方で透華は、激しい後悔に襲われた。 何故自分は何も出来なかったのかと、もう少し上手く立ち回っていれば何とかなったのではないかと。 後悔から、自分自身への憤慨から、立ち上がることを決意した。 染谷まこと井上純の死が、透華に大きな誓いを立てさせたのだ。 「さすが透華、抜かりないね」 優希を支配する悲しみは、彼女の個性を押し殺した。 後ろ向きな考えや嫉妬などの普段無縁だった感情を呼び起こし、物静かな雰囲気にさせてしまう。 透華を支配する後悔は、彼女の個性を助長させた。 人を信じる心やお節介焼きなど、普段以上に周囲に気を配ってしまう。 それが、似ているようで異なっている、二人の決定的な違い。 「当然、ですわ」 だから、一とようやく再会できたというのに、透華の心は晴れなかった。 普段だったら明るく楽しく喋っていたところだろう。 しかし今は、そんな気分になれなかった。 肥大した責任感や罪悪感で、素直に幸せを甘受できないでいるのだ。 「……やっぱり、皆が心配?」 一に、気を使わせてしまった。 けれどもここで空元気を振舞っても、一にはお見通しだろう。 「ええ……そりゃあ、そうですわ」 だから、正直に喋る。 照れ臭さから苦笑いを浮かべながら。 「純みたいに遠い所に行かれないように、私達がしっかりしなくてはいけませんわ」 グッと拡声器を握り直す。 腕時計に目をやると、間もなく15分経過の時間だった。 「皆さん聞こえてますか? 龍門渕透華ですわ」 拡声器のスイッチを入れ、再び呼びかけを開始した。 自分達と同じく、最初の呼びかけに応えようとしたものの正確な位置が分からず迷っていた人達が、これを頼りに来てくれることを信じて。 「私達は山頂に居ますわ。共に殺し合いを打破しようと考える方は是非来て下さいまし」 ――出来ることなら、衣や智紀、歩にもこの声が届いていますように。 「またしばらくしたら呼びかけますから、その声を頼りにやってきて下さいまし。それじゃあ――」 スイッチを切り、再び腰を下ろす。 本当は、優劣を付けるなんていけないことだと思っている。 それでもやはり、身近な人をついつい優先してしまうのが人の常だ。 (……聞こえてますの?) そして、身内の他にもう一人。 優先して会いたい相手が存在している。 (後輩が、落ち込んでますのよ……福路美穂子) 池田華菜。 一時的にでも共に時間を過ごしたため、彼女には多少なりとも感情移入してしまっている。 彼女が再び前を向いて立ち上がるためにも、是非とも美穂子に来てもらいたいと考えていた。 (悔しいですけど、私じゃ池田華菜を励ますことは出来そうにないですわ) 華菜を立ち直らせることが出来るのは、もはや美穂子しかいない。 美穂子が命を落とした瞬間、華菜の未来は潰えると言っても過言ではないだろう。 言うならば、四暗刻の単騎待ち状態。 美穂子という牌を得ることができれば、こちらの勝ちは確約される。 華菜が立ち直り、二人の仲間を得られるという大勝利だ。 更に言うと、透華が無意識下で縛られている、染谷まこの事故死の件での呪縛からも解放される。 良い事尽くしである。 ただしもはや残された道は美穂子一牌。 他の近い風越でも確率は五分五分だろう。 最悪、風越の友人が華菜の弱った心にトドメをさしてしまう可能性すらある。 そんな危険な行為、そう易々とは冒せまい。 地獄待ちなうえ、美穂子の死という親満振り込みクラスの悲劇の可能性もそれなりにある。 というか、殺し合いが激化したら真っ先に命を落とすタイプに思えた。 実にリスキー。実にデンジャラス。 しかしそれでも、待たざるを得なかった。 華菜の為に、自分の為に。 可能性が薄くても。 「――透華っ!」 考え込んでいると、一が叫び声を上げた。 顔を上げると、銃を構えて一が立ち上がっている。 銃口の先には、生い茂る木。 「そこにいる人、両手を上げて出てきてもらえるかな。 そっちに殺る気がないなら、こっちも撃ったりしないから」 どうやら誰かが来たらしい。 影が見えたのか物音がしたのかは分からないが…… 何にせよ、迂闊だった。 考え事に没頭できる状況ではなかったのに。 「はじめ、銃を下ろして。それじゃあ出てきにくいですわ」 「でも……」 「いいから!」 渋々銃を下ろしたのを確認してから、やってきた人に声をかける。 努めて、優しい声で。 「呼びかけを聞いて来たのなら、歓迎しますわ。 だからまず、姿を見せて下さいまし」 くすっと、相手が笑ったような気がした。 「よかった……てっきり、歓迎されてないのかと思ったから……」 アタッシュケースを足元に置き、両手を軽く持ち上げている。 柔和な笑顔をたたえながら、彼女は言った。 「私も仲間に入れてもらっていいかしら?」 「ええ……ええ!」 つられてなのか、こちらも満面の笑みになる。 笑わずにはいられなかった。 「歓迎しますわ――――福路美穂子!!」 勝った! バトルロワイアル・完ッ!! 【残り25人】 第13話← 戻る →第15話 前へ キャラ追跡表 次へ 第12話 国広一 第19話 第12話 龍門渕透華 第17話 第12話 片岡優希 第19話 第12話 ハギヨシ 第19話 対局開始 福路美穂子 第17話