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(情報掲載日:2011-09-16) 第4次募集受付開始! 平成23年10月10日前後で出発! ●被災地から道内への避難のための交通費は北海道が負担 ※当団体で人数をまとめての移動が条件となります。 ●子どもたちの編入手続きを簡素化 ●家賃は平成25年3月末日まで無料 ●被災世帯への緊急小口資金貸付制度 ●手続き完了から入居までのサポート制度 ●道内企業による被災者雇用 ●家具、家電などマッチングサイト利用サポート ●被災地からの転院患者の受け入れなど治療継続サポート・・・他 北海道庁リーフレット~北海道が皆様のためにできること~ http //www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sth/hisaisyanominasamahe.htm 窓口・お問い合わせ 特定非営利活動法人みんな地球の子どもじゃん! TEL:03-5389-0430 FAX 03-3366-5644 Mail minna@chikyuunokodomo.com 担当 木村まで NPO法人みんな地球の子どもじゃん!は「オペレーションコドモタチ」に参加しています。 避難を希望される方々を取りまとめ、北海道庁と連携、オペレーションコドモタチと協力し、 子どもたちの未来をつなげていくため各種サポートを行う特定非営利活動法人です。 北海道避難に関するQ&A集 対象となる地域はどこですか? 福島県全域になります。 どのようにして交通費が出るのですか? およそ10 名ほどのグループとし、一度の移動とすることで(福島~北海道)交通費支給を受けることが出来ます。 お問い合わせを頂いた方々を私たちが取りまとめてグループとしています。 ※ご自身で10 名集めて頂く必要はありません。※ご希望の日に行けるわけでは無いというデメリットもございます。 ※復路も同様、10名以上の団体で帰ることが条件となります。 家賃は無料ですか?また実費は何がかかりますか? 平成25 年3 月末日まで家賃は無料になります。途中半年ごとの更新がございます。 ご希望により最大上記までとなります。光熱費、共益費がかかります。(桜台共益費3150 円) 個人で行った場合どうなるのですか? 基本は北海道が行っている支援になりますので、交通費をご自身でご負担する場合は直接お問い合わせ 頂く事になります。その場合でも生活支援については同様の内容となります。すぐにでも避難をしたいと お考えの場合は、個人で避難された方が早い移動が可能です。 移動は何になりますか? 現在のところバス、フェリーでの移動となります。 どこに住む事になりますか? 札幌市の厚別区にあります「桜台雇用促進住宅」または札幌市手稲区の「宮の沢住宅」を予定しています。 ただし空き状況は変動しますのでその限りではありません。 状況により変動しますことをご理解ください。 住居の空き状況は? 当団体のみが窓口になっているわけではありませんので、随時変動する事をご了承ください。 桜台だけで言いますと、平成23 年9月2日現在で20部屋空きがあります。 ※雇用促進住宅借受申請書を提出して初めて、部屋の確保となります。 ※団体での避難の場合スケジュール調整に時間がかかるため上記申請書提出までの時間を要します。 家電セットはいつもらえるのですか?何にも用意しなくて住めますか? 家電セットは日本赤十字社から進呈されるものになります。現在のところ手続きに時間がかかっていまして 実際に移動されてから約一ヶ月の時間がかかっています。その他のサポート体制もありますが 現実的にはご自身である程度の必要家電はご用意頂く必要があります。 家財を送る費用は出ますか? 家財などの配送に関してはご自身でのご負担となります。 車を持って行けますか? 北海道で車を使用する事は可能です。運搬費用はご自身でのご負担となります。※車の運搬費は前払いとなります。 ペットを連れて行けますか? 雇用促進住宅入居、各種生活支援サポートを受ける場合はペットは不可となります。 北海道へ行ってからのサポートはありますか? 私たちの取りまとめで行く場合は連携の現地NPO法人がサポート致します。避難される際にお知らせします。 ※生活支援サポート、学校の編入手続き、雇用に関する件、医療関係・・・など一覧をお渡ししています。 どのように申し込みすればいいですか? ※只今10月10日前後で出発で取りまとめております。その後は現在は団体取りまとめは未定となります。 ※個人での(交通費自己負担)避難は可能です。 上記をよくお読みになり、避難を決意された場合 ・避難希望者の名前、生年月日 ・現住所(被災時の住所) ・連絡先番号、メールアドレス ・同居者氏名、続柄、生年月日 ・10月10日前後での移動に関して了承されましたか? ・家電などご自身で持って行くことに了承されましたか? ・申請書のやり取りの方法の記載 ※FAXがあればFAX番号 ※メールからプリントアウトが出来ればアドレス Mail minna@chikyuunokodomo.com ※郵送(極力FAX、プリントアウトが望ましいです。) をご記入の上メールにてお問い合わせ下さい。 ※お電話での申し込みは受け付けていませんので申し込みはメールにてお願いします。 ※携帯メールからお問い合わせをいただいた場合、携帯電話のメール受信設定で ”パソコンからのメールを受信する" に必ず設定をお願い致します。 こちらからの返信メールが届かないお問い合わせには対応する事が出来ませんので予め御了承下さい。 情報元リンク(PDF) http //www.befinetomorrow.com/press/kibounodaichi.pdf この情報に付けられたタグ 北海道・東北地方 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 旅費支援 福島県民限定 長期避難 雇用促進住宅
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スカイプおもじゃん配信とは おもじゃん荘βとは Twitterアカウントを使用し、ブラウザ上で簡単におもじゃんがプレイできるWEBサイトです。 簡単ルール説明 1.言葉が7つ配られます 2.お題が出ます 3.配られた言葉を前か後ろにくっつけます 4.制限時間内に、面白い言葉を作ります 5.面白いものに投票します 6.上記を4回繰り返します! 見ればすぐわかる遊び方動画はこちら→遊び方動画 スカイプおもじゃん配信とは おもじゃん荘をプレイしていると 「このワードはこういう読み方なんだけど伝わらないよなぁ~」 とか 「このワード、一言説明つけたら爆笑なのに!!!」 とか 「おもじゃんやってる人同士でしゃべりながらしたら楽しいのに!!」 とか 「このおもじゃんををみんなにも見てもらいたい!!!」 という気持ちが出てきます。 そこで、プレイヤー同士がスカイプで音声通話して、それを配信しよう というのがスカイプおもじゃん配信です。 あなたも自分なりのスタイルでレッツおもじゃん配信!! ↓スカイプおもじゃんの様子の動画(4局1戦分、25分くらいの動画です)↓ 丫戊个堂スカイプおもじゃんで11点達成 参加者:Revin、丫戊个堂、すずきさん、ぱぱ☆vip 必要なもの プレイヤー4人 Skype マイク・スピーカー・ヘッドホン・ヘッドセット等 配信ツール あふれるやる気 配信でスカイプおもじゃんをするときのちょっとした注意 おもじゃん荘βの解答制限時間は360秒に設定しておこう! 配信の画面取り込みで自分の手牌が配信に映らないように工夫しよう! 投票の際に自分の投票が配信に映らないように工夫しよう! みんななかよく!
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週刊少年ジャンプ連載の予定な漫画っ! 作は神海英雄。 ストーリー ちきゅーのこナンパしてこんしたあ! 宇宙飛行士が石化して宇宙を漂い、赤ちゃんは超人的なパワーを持つ。 地球の子 いるだけで世界の均衡を保っている。 いないので早くも世界に綻びが生じているんだ。 まず犯罪率上昇、凶悪犯罪組織も活発化、人類の力だけでは救えない命が急増。 地球の子ありきで何とか保っていた危うい関係もる。 キャラクター わ佐和田令助 ただの凡人だった。 赤ちゃん衛 生まれながらにして超能力が使えます。 令助、彼を介してかれりと会話しています。 かれり 地球外で石化しているんだが、テレパシーは使えるんだ。 10歳で増水した川に流される犬を見つけた、犬を救いたい強い意思で犬が浮き上がる。 そこから使えるようになったらしい。 片桐 粕谷 他のキャラクター 自称世界の主人公アルベール・グラハシ 中二病のWastE.本部職員アルベール・グラハシ、日本支部に来たぜ。
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子どもの権利委員会・一般的意見20号:思春期における子どもの権利の実施(後編) 一般的意見一覧 (思春期の子どもの権利 前編より続く) IX.子どもに対する暴力 あらゆる形態の暴力からの保護 49.委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての一般的意見13号(2011年)および有害慣行についての一般的意見18号(2014年)に掲げられた、あらゆる形態の暴力を終わらせること(あらゆる場面における体罰を法律で禁止することを含む)およびあらゆる有害慣行を変容させかつ終わらせることを目的とした包括的な立法上、行政上、社会上および教育上の措置に関する勧告を参照するよう、求める。締約国は、防止およびリハビリテーションならびに被害を受けた思春期の子どもの社会的再統合に関する制度的プログラムの規模拡大のために、いっそう多くの機会を設けなければならない。委員会は、防止戦略および暴力被害者に対する保護対応の策定に思春期の子どもたちの関与を得る必要があることを強調する。 X.家庭環境および代替的養護 親および養育者への支援 50.子どもに安全、情緒的安定、励ましおよび保護を提供する親および養育者の役割は、思春期全体を通じて依然として重要である。委員会は、条約第18条第2項および第3項に掲げられているように親および養育者に適切な援助を与え、かつ、第27条第2項と一致するやり方で、最適な発達のために必要な支援および生活条件の提供に関して親を援助する締約国の義務が、思春期の子どもの親についても平等に適用されることを強調する。このような支援においては、思春期の子どもの権利および発達しつつある能力、ならびに、思春期の子どもが自分自身の生活に対して行なう貢献度の高まりが尊重されるべきである。各国には、伝統的価値観の名のもとで、暴力を黙認しまたは容認し、家族環境における不平等な権力関係を強化し、かつ、そのことによって思春期の子どもから基本的権利の行使の機会を奪うことがないようにすることが求められる [24]。 [24] A/HRC/32/32 参照。 51.委員会は、思春期の子どもたちが暮らしている、デジタル時代とグローバル化を特徴とする環境と、思春期の子どもたちの親および養育者が成長した環境との間で分断が大きくなりつつあることの重要性に対し、締約国の注意を喚起する。思春期の子どもたちは、世代間の理解を阻害しうるグローバルな商業世界(この世界は、親またはコミュニティの価値観に媒介されないままの場合もあれば、これらの価値観による統制を受けている場合もある)にさらされており、かつその影響を不可避的に受けている。このような状況の変化は、思春期の子どもと効果的なコミュニケーションを図り、かつ子どもの生活の現在の実情を考慮に入れたやり方で指示および保護を提供する親および養育者の能力にとって、課題を突きつけるものである。委員会は、各国が、世代間の経験の相違への対処に役立てるために必要な指針、援助、研修および支援はどのようなものかについての調査を、思春期の子どもたちならびにその親および養育者とともに実施するよう勧告する。 代替的養護を受けている思春期の子ども 52.大規模な長期入所施設で生活している思春期の子どもが十分な成果を達成できていないこと、および、程度ははるかに弱まるとはいえ他の形態の代替的養護(里親養護および小規模集団養護など)を受けている思春期の場合も同様であることについては、相当の証拠が存在する。このような思春期の子どもは、成績の低下、社会福祉への依存、ならびに、住む場所の喪失、収監、望まない妊娠、早期の出産、有害物質の誤用、自己危害および自殺のリスクの高まりを経験している。代替的養護を受けている思春期の子どもは16~18歳になった時点で離脱を求められるのが通例であって、支援システムまたは保護を欠いており、かつ自分自身を守るためのスキルおよび能力を獲得する機会も与えられてこなかったことから、性的虐待および性的搾取、人身取引および暴力の被害をとりわけ受けやすい状況に置かれる。障害のある思春期の子どもは、コミュニティで生活する機会を否定されて成人施設に移送されることが多く、そこで引き続き権利を侵害されるおそれがますます高まる。 53.各国は、代替的養護を受けている思春期の子どもの支援に対する強い決意を示し、かつそのような支援への投資を増やすべきである。里親養護および小規模ホームを優先する方針を補完するものとして、差別と闘い、思春期の子どもが置かれている個別の状況が定期的に検討されることを確保し、これらの子どもの教育を支援し、自己に影響を及ぼす手続において真の発言権を認め、かつ、複数回の移動を回避するために必要な措置をとる必要がある。各国は、施設措置が最後の手段としてのみ用いられることを確保するとともに、秘密が保持される苦情申立て機構および司法へのアクセス等を通じ、施設で生活しているすべての子どもの適切な保護を確保するよう、促される。各国はまた、代替的養護を受けている思春期の子どもの自立を支援し、かつそのライフチャンスを高めるための措置、および、代替的養護を離脱するのに十分な年齢に達するなかでこれらの子どもが直面する特別な脆弱性および不安定性に対処するための措置もとるべきである。 54.代替的養護を離脱する思春期の子どもには、移行の準備、就労、住居および心理的支援へのアクセス、家族との関係修復への参加(これが子どもの最善の利益に合致する場合)ならびにアフターケアサービスへのアクセスに関わる、子どもの代替的養護に関する指針 [25] に一致する方法で提供される支援が必要である。 [25] 国連総会決議64/142付属文書。子どもの権利委員会の一般的意見9号も参照。 思春期の子どもが世帯主である家庭 55.相当数の思春期の子どもが、自らが親であるために、または親が死亡しもしくは失踪しまたは存在しないために、家族の主たる養育者となっている。条約第24条および第27条が求めるところにしたがい、思春期の子どもである親および養育者に対しては、子どもの健康、栄養および母乳育児に関する基礎的知識が提供されなければならず、また自らが責任を負っている子どもへの責任を果たせるよう援助するための適切な支援、ならびに、必要なときは栄養、衣服および住居に関する物質的援助が提供されなければならない。思春期の子どもである養育者が教育、遊びおよび参加に対する権利を享受するためには、追加的な支援が必要となる。とくに、各国は、ライフサイクルの重要な段階における社会的保護のための支援策を導入し、かつ、思春期の子どもである養育者に特有の要求に対応するべきである。 XI.基礎保健および福祉 保健ケア 56.保健サービスが思春期の子どもに特有の健康上のニーズに配慮して整備されていることはまれであり、この問題は、年齢、性別および障害ごとに細分化された人口動態上および疫学上のデータおよび統計が存在しないためにいっそう悪化させられている。思春期の子どもが援助を求めても、法律上および金銭上の障壁、差別、秘密保持および尊重の欠如、暴力および虐待、スティグマならびに保健ケア関係者による審判的態度を経験することが多い。 57.思春期の子どもの健康に関わる状況は、主として、個人、同世代、家族、学校、コミュニティおよび社会の各レベルに存在する、行動および活動によって媒介された社会的および経済的決定因子ならびに構造的不平等の結果である。したがって、締約国は、思春期の子どもたちと連携し、今後の包括的な保健政策、プログラムおよび公衆衛生戦略の基盤とするため、思春期の子どもの健康問題の性質および程度ならびに思春期の子どもがサービスへのアクセスにあたって直面している障壁についての、多面的な関係者による包括的検討を実施することが求められる。 58.自殺、自己危害、摂食障害および抑うつのような精神保健上の問題および心理社会的問題は、思春期の子ども、とくに脆弱な状況に置かれた集団の子どもの健康障害、疾病および死亡の主たる原因である [26]。これらの問題は、遺伝的、生物学的、人格的および環境的原因の複雑な相互作用から生じ、かつ、たとえば紛争、避難、差別、いじめおよび社会的排除の経験ならびに身体イメージに関わる圧力および「完璧」志向の文化によっていっそう悪化させられている。レジリエンスおよび健康的発達を促進し、かつ精神的健康障害からの保護につながることがわかっている要因としては、重要な大人との強い関係およびこのような大人からの支援、肯定的な役割モデル、適切な生活水準、良質な中等教育へのアクセス、暴力および差別からの自由、影響力の行使および意思決定の機会、精神保健に関する知識、問題解決および対処のスキル、ならびに、安全かつ健康的な地域環境などがある。委員会は、各国が、過剰な医療化および施設措置ではなく公衆衛生および心理社会的支援を基盤とするアプローチをとるべきであることを強調する。親、同世代の子ども、より幅広い家族および学校の関与を得た統合的な思春期精神保健ケア制度、ならびに、訓練を受けたスタッフによる支援および援助の提供を通じた、包括的な部門横断型の対応が必要である [27]。 [26] 到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)、パラ38参照。 [27] A/HRC/32/32 参照。 59.委員会は、各国に対し、思春期の子どもを対象として、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる、ジェンダーおよびセクシュアリティに配慮した包括的な政策を採用するよう促すとともに、思春期の子どもがこれらの情報、物資およびサービスに平等にアクセスできないことは差別にあたることを強調する [28]。このようなサービスにアクセスできないことは、思春期の女子が、妊娠および出産の際に死亡しまたは重大なもしくは生涯にわたる外傷を負う危険性がもっとも高い集団になることを助長する。思春期のすべての子どもが、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる、無償の、思春期の子どもへの反応性が高くかつ差別のない、オンラインでも対面でも利用可能なサービス、情報および教育にアクセスできるべきである。これには、家族計画、避妊(緊急避妊を含む)、性感染症の予防、ケアおよび治療、カウンセリング、受胎前のケア、母子保健サービスおよび生理衛生に関するものが含まれる。 [28] 経済的、社会的および文化的権利に関する差別の禁止についての社会権規約委員会の一般的意見20号(2009年)、パラ29参照。 60.セクシュアル/リプロダクティブヘルスならびにこれらに関わる権利についての物資、情報およびカウンセリングに関しては、第三者による同意または許可の要件などのいかなる障壁も設けられるべきではない。加えて、たとえば思春期の女子、障害のある女子ならびにレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子どもがこのようなサービスにアクセスする際に経験する、スティグマおよび恐怖の障壁を克服するために特段の努力が必要である。委員会は、締約国に対し、女子が安全な中絶および中絶後のサービスにアクセスできることを確保するために中絶を犯罪化し、思春期の妊婦の最善の利益を保障する目的で法律を見直し、かつ、中絶関連の決定において思春期の妊婦の意見が常に聴かれかつ尊重されることを確保するよう、促す。 61.科学的根拠および人権基準を基盤とし、かつ思春期の子どもたちとともに開発された、年齢にふさわしい、包括的かつインクルーシブなセクシュアル/リプロダクティブヘルス教育が、必修学校カリキュラムの一環に位置づけられるべきであり、かつ、学校に行っていない思春期の子どもにも提供されるべきである。ジェンダー平等、性の多様性、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる権利、責任のある親としてのあり方および性的活動ならびに暴力の防止に対して、また若年妊娠および性感染症の予防に対して注意を向けることが求められる。情報は、思春期のすべての子ども、とくに障害のある思春期の子どもにとってのアクセシビリティを確保するため、代替的形式で利用可能とされるべきである。 HIV/AIDS 62.思春期の子どもは、AIDSによる死亡数が増加している唯一の年齢層である [29]。思春期の子どもは、抗レトロウィルス治療にアクセスし、かつ治療を受け続けるうえで課題に直面する場合がある。HIV関連の治療にアクセスするために保護者の同意を得なければならないこと、情報を開示されるおそれがあることおよびスティグマを付与されることは障壁の一部である。思春期の女子は人口比に照らして不均衡なほどの影響を受けており、新たな感染者数の3分の2を占めている。思春期の子どものうち、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダーである子ども、金銭、現物または好意と引き換えにセックスをする子どもおよび薬物静注を行なう子どもも、HIVに感染するリスクがいっそう高い。 [29] http //apps.who.int/iris/bitstream/10665/112750/1/WHO_FWC_MCA_14.05_eng.pdf?ua=1, p.3 参照。 63.委員会は、各国に対し、思春期の子どもの多様な現実を認めて、これらの子どもが、訓練を受けた要員(これらの者はプライバシーおよび差別の禁止に対する思春期の子どもの権利を全面的に尊重するものとする)によって提供される、秘密が守られるHIV検査およびカウンセリングサービスならびに科学的根拠に基づくHIV予防・治療プログラムにアクセスできることを確保するよう、奨励する。保健サービスには、HIV関連の情報、検査および診断、避妊およびコンドームの使用に関する情報、ケアおよび治療(HIV/AIDSのケアおよび治療のための抗レトロウィルス薬その他の医薬品および関連技術を含む)、適切な栄養に関する助言、霊的および心理社会的支援、ならびに、家族、コミュニティおよび自宅を基盤とするケアが含まれるべきである。HIVに特化した立法のうち、意図せずにHIVを感染させたことおよび自分がHIV感染者である旨を明らかにしなかったことを犯罪とする法律の見直しを検討することが求められる。 思春期の子どもによる薬物の使用 64.思春期の子どもは、薬物の使用へと引きこまれる可能性および薬物関連の危害を受けるリスクが大人よりも高く、かつ、思春期に開始された薬物の使用は依存へと至ることがより多い。薬物関連の危害を受けるリスクがもっとも高いことがわかっている思春期の子どもは、路上の状況にある子ども、学校から排除された子ども、トラウマ、家族の崩壊または虐待の経験がある子どもおよび薬物依存に対処中の家族と生活している子どもである。締約国には、麻薬および向精神薬の不法な使用から思春期の子どもを保護する義務がある。締約国は、このような有害物質ならびにタバコ、アルコールおよび溶剤の使用に関わる思春期の子どもの健康権を確保するとともに、予防、ハームリダクション(危害軽減)および治療のためのサービスを、差別なく、かつ十分な予算を配分して整備するべきである。思春期の子どもとの関連では、懲罰的または抑圧的な薬物統制政策に代わる措置をとることが歓迎される [30]。思春期の子どもに対しては、有害物質の使用から生ずる害の防止および最小化を目的とする、科学的根拠に基づく正確かつ客観的な情報も提供されるべきである。 [30] A/HRC/32/32 参照。 受傷および安全な環境 65.不慮の事故による受傷または暴力による受傷は、思春期の子どもの死亡および障害の主たる原因のひとつである。不慮の事故による受傷のほとんどは、路上での交通事故、溺水、火災、転落および毒物摂取によって生じている。締約国は、リスク低減のため、部門横断型の戦略を策定するべきである。このような戦略には、保護装置の使用を義務づける立法、飲酒運転および免許発行に関する政策、教育、スキル開発および行動変容に関するプログラム、環境への適応、ならびに、受傷した者のケアおよびリハビリテーションのためのサービスの提供を含めることが求められる。 十分な生活水準 66.貧困の影響は思春期において深甚な意味合いを有しており、極度のストレスおよび不安定感ならびに社会的および政治的排除につながることもある。経済的苦境に対処するために思春期の子どもが余儀なくされるまたは自らとる戦略には、学校を中退すること、児童婚または強制婚の対象となること、性的搾取または人身取引の対象となること、危険なもしくは搾取的な労働または教育の妨げとなる労働に従事すること、ギャングの構成員になること、民兵に加入することおよび移住することなどがある。 67.各国は、身体的、精神的、霊的、道徳的および社会的発達のためにふさわしい生活水準に対するすべての子どもの権利を想起するよう求められるとともに、思春期の子どもおよびその家族が基礎所得の安定を保障され、経済的衝撃および長期の経済的危機から保護され、かつ社会サービスにアクセスできるようにする、社会的保護の最低基準を導入するよう促される。 XII.教育、余暇および文化的活動 教育 68.普遍的、良質かつインクルーシブな教育および訓練に対する権利を保障することは、思春期の子どもの直近の発達および長期的発達を確保するために各国が行ないうる、単独の投資としてはもっとも重要な政策投資であり、とくに中等教育の肯定的影響を明らかにする証拠はますます増えつつある [31]。各国は、すべての者が広く利用できる中等教育を緊急に導入するとともに、高等教育を、すべての適切な方法により、能力に基づいてすべての者がアクセスできるようにするよう、奨励される。 [31] www.unicef.org/adolescence/files/SOWC_2011_Main_Report_EN_02092011.pdf 参照。 69.委員会は、女子および男子の平等な就学を達成し、かつ初等教育後も女子が教育を受け続けるようにするうえで多くの国が直面している課題を深く懸念する。女子の中等教育への投資は、条約第2条、第6条および第28条を遵守するために必要な公約であり、児童婚および強制婚、性的搾取ならびに若年妊娠から女子を保護するのにも役立つとともに、女子およびその子どもの将来の経済的可能性を高めることに相当に貢献する。女子にとっての障壁となっている法的、政治的、文化的、経済的および社会的障壁を克服する目的で、肯定的なジェンダー関係および社会的規範を促進し、性暴力およびジェンダーを理由とする暴力(学校におけるものを含む)に対応し、かつ、肯定的な役割モデル、家族支援および女性の経済的エンパワーメントを促進する戦略への投資も行なわれるべきである。さらに、各国は、就学しない男子および在学し続けない男子の人数が増えていることを認識し、その原因を特定し、かつ、男子の継続的教育参加を支えるための適切な措置をとるよう求められる。 70.委員会は、周縁下された状況に置かれている思春期の子どもであって中等教育進学の機会を与えられない子ども(貧困下で暮らしている子ども、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである子ども、マイノリティに属する子ども、心理社会的障害、感覚障害または身体障害のある子ども、移住している子ども、武力紛争または自然災害の状況下にある子どもならびに路上の状況にある子どもまたは働いている子どもなど)の人数が多いことに、懸念とともに留意する。集団化された集団が教育へのアクセスについて直面している差別に終止符を打つための積極的措置が必要である。このような差別を終わらせるための手段には、現金移転プログラムを設けること、マイノリティおよび先住民族の文化ならびにすべての宗教コミュニティの子どもを尊重すること、障害のある子どものインクルーシブ教育を促進すること、教育制度におけるいじめおよび差別的態度と闘うこと、ならびに、難民キャンプで教育を提供することなどが含まれる。 71.識字能力を身につけないまままたは資格を取得しないままの早期退学の水準の高さに鑑み、学校への継続的参加を妨げる障壁について思春期の子どもたちと協議するための取り組みが行なわれるべきである。委員会の見るところ、助長要因には次のようなものがある――授業料および関連費用が必要であること、家庭の貧困であることおよび十分な社会的保護制度(十分な健康保険を含む)が存在しないこと、女子のための十分かつ安全な衛生設備が設けられていないこと、妊娠した女子生徒および母親となった女子が排除されること、残虐な、非人道的なおよび品位を傷つける処罰が根強く使用されてること、学校におけるセクシュアルハラスメントを解消するための効果的措置がとられていないこと、女子が性的に搾取されていること、環境が女子の包摂および安全に資するものになっていないこと、教授法が不適切であること、カリキュラムが関連性を有しておらずまたは時代遅れになっていること、生徒を自分自身の学習に関与させられていないこと、ならびに、いじめが行なわれていることである。加えて、学校には、思春期の子どもが仕事および(または)家族のケアの責任と教育を両立できるようにするために必要な柔軟性が欠けていることが多く、思春期の子どもは就学関連費用を負担し続けることができなくなる場合がある。各国は、条約第28条第1項(e)およびSDG〔持続可能な開発目標〕4にしたがい、これらのすべての要因への対処、ならびに、就学および通学の状況の向上、早期退学の減少および退学した者への教育修了の機会の提供を目的とした、包括的かつ積極的な措置を導入するべきである。 72.委員会は、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)に対して注意を喚起する。委員会はそこで、教育は子ども中心の、子どもにやさしい、かつ子どものエンパワーメントにつながるようなものでなければならないと主張するとともに、より協働的なかつ参加型の教授法の重要性を強調している [32]。中等教育のカリキュラムは、思春期の子どもが主体的参加の力を身につけられるようにし、人権および基本的自由の尊重を発展させ、市民的関与を促進し、かつ思春期の子どもが自由な社会で責任ある生活を送れるようにすることを目的として立案されるべきである。思春期の子どもの可能性を最大限に発達させ、かつこれらの子どもが退学しないようにするため、思春期の子どもの学習能力、同世代の仲間とともに活動する動機およびエンパワーメントを活用し、経験学習に焦点を当て、かつ試験を限定的に用いるような学習環境を確保する目的で、学習環境のあり方の検討を行なうことが求められる。 [32] 教育の目的に関する子どもの権利委員会の一般的意見1号(2001年)、パラ2参照。 教育から訓練および/またはディーセントワークへの移行 73.思春期の子どもの相当数が教育もしくは訓練を受けておらず、または就労していないことから、成人期への移行にかけて不均衡なほどの水準の失業、不完全就労または搾取につながっている。委員会は、各国に対し、就学していない思春期の子どもがディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に移行することを促進する目的でこれらの子どもをその年齢にふさわしいやり方で支援する(教育法と労働法の整合性を確保することも含む)とともに、これらの子どもの将来の就労を促進するための政策を採択するよう、促す [33]。条約第28条第1項(d)にしたがい、各国は、思春期の子どもが教育上および職業上の情報および指導を利用しかつこれらにアクセスできるようにするべきである。 [33] 持続可能な開発目標のターゲット8.6は「若者」(15~24歳の思春期の子ども)に関連したものである。国連総会決議70/1参照。 74.教育および訓練は、公式なものであれ非公式なものであれ、現代労働市場で必要とされる21世紀型スキル [34] を目的として設計されなければならない。これには、ソフトスキルおよび転換可能なスキルをカリキュラムに統合すること、経験学習または実践学習の機会を拡大すること、労働市場の需要に基づいて職業訓練を発展させること、起業、インターンシップおよび実習に関する官民パートナーシップを確立すること、ならびに、学業上および職業の機会に関する指導を提供することが含まれる。各国はまた、労働組合および職能団体への加盟に関する権利を含む就労者の権利についての情報も普及するべきである。 [34] 「21世紀型スキル」とは、今日の世界、とくに大学プログラムならびに現代的職業および職場で成功するために決定的に重要であると――教育者、学校改革論者、大学教授、雇用主等によって――考えられている、一連の幅広い知識、スキル、労働習慣および性格特性をいう。 余暇、レクリエーションおよび芸術 75.休息および余暇に対する思春期の子どもの権利、ならびに、思春期の子どもが、オンラインとオフラインの双方で、遊び、レクリエーション活動および芸術活動に自由に従事しかつ参加する権利は、思春期の子どものアイデンティティの模索にとって根本的に重要であり、思春期の子どもが、自己の文化を模索し、新たな芸術形態を創り出し、人間関係を形成し、かつ人間として成長していくことを可能とする。余暇、レクリエーションおよび芸術は、人間の尊厳、最適な発達、表現の自由、参加およびプライバシーに対する権利にとって根本的に重要である、自分はかけがえのない存在であるという感覚を思春期の子どもに与えるものである。委員会は、これらの権利が、とくに女子について、思春期において広く軽視されていることに遺憾の意とともに留意する。公共の空間で思春期の子どもたちに恐怖および敵意が向けられており、かつ思春期の子どもにやさしい都市計画、教育施設および余暇施設が存在しないことは、レクリエーション活動およびスポーツに従事する自由の妨げとなりうる。委員会は、条約第31条に掲げられた諸権利、および、休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する子どもの権利についての一般的意見17号(2013年)にまとめられている委員会の勧告に対し、各国の注意を促すものである。 XIII.特別な保護措置 移住 76.生活水準の向上、教育または家族再統合を求め、出身国の内外に移住する思春期の子どもの人数が増えつつある。多くの子どもにとって、移住は重要な社会的および経済的な機会を提供してくれるものである。しかし、身体的危害、心理的トラウマ、周縁化、差別、排外主義、性的搾取および経済的搾取、ならびに、国境を越える場合には入国管理当局による摘発および収容を含むリスクを突きつけるものでもある [35]。移住者である思春期の子どもの多くは、教育、住居、保健、レクリエーション、参加、保護および社会保障へのアクセスを否定されている。サービスに対する権利が法律および政策で保護されている場合でさえ、思春期の子どもは、そのようなサービスへのアクセスに関して行政上その他の障壁に直面する場合がある。身分署名書類または社会保障番号を要求されること、有害かつ不正確な年齢鑑別手続がとられていること、金銭面および言語面の障壁があること、ならびに、サービスにアクセスすることによって収容または退去強制の対象とされることなどである [36]。委員会は、移住者である子どもについて詳細に述べた委員会の包括的勧告を参照するよう求める [37]。 [35] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2012/DGD2012ReportAndRecommendations.pdf 参照。 [36] Fundamental Rights Agency, "Apprehension of migrants in an irregular situation - fundamental rights considerations"(2012年9月9日付)参照。https //fra.europa.eu/sites/default/files/fra-2013-apprehension-migrants-irregular-situation_en.pdf より入手可能。 [37] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2014/DGD_report.pdf 参照。 77.委員会は、条約第22条において、難民および庇護希望者である子どもがその権利を享受し、かつ国際難民保護体制を通じて与えられる追加的保障措置の利益を受けられるようにするためには特別な措置が必要であることが認められていることを強調する。難民および庇護希望者である思春期の子どもは、国外追放のための迅速手続の対象とされるべきではなく、むしろその入国を認める方向で検討がなされるべきであり、また、子どもの最善の利益についての判断が行なわれ、かつ国際的保護の必要性が確認される前に送還されまたは入国を拒否されるべきではない。自国の管轄内にあるすべての子どもの権利をその地位にかかわらず尊重しかつ確保する第2条上の義務にしたがい、各国は、難民および庇護希望者である思春期の子どもであって保護者のいない者および養育者から分離された者ならびに移住者の双方を規律する、年齢およびジェンダーに配慮した立法を導入するべきである。このような立法は、最善の利益の原則を土台とし、出入国管理法上の地位の決定よりも保護のニーズの評価を優先させ、出入国管理関連の収容を禁止し、かつ、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)の勧告を参照しながら、これらの思春期の子どもが有する特別な脆弱性に対応するものであることが求められる [38]。各国はまた、思春期の子どもを移住へと向かわせる諸要因、ならびに、親が移住した場合に残された思春期の子どもが直面する脆弱性および権利侵害(退学、児童労働、暴力および犯罪活動の被害の受けやすさならびに負担の大きい家事責任を含む)に対処するための措置も導入するべきである。 [38] 出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する一般的意見6号(2005年)参照。 人身取引 78.多くの思春期の子どもが、経済的理由または性的搾取を目的とした人身取引の対象とされるおそれに直面している。各国は、子どもの売買、人身取引および誘拐に関するデータ収集のための包括的かつ体系的な機構を確立するとともに、当該データが細分化されることを確保し、かつもっとも被害を受けやすい状況で生活している子どもに特段の注意を払うよう、促される。各国はまた、被害を受けた子どもを対象としたリハビリテーションおよび再統合のためのサービスならびに心理社会的支援への投資も行なうべきである。脆弱性および搾取が有する、ジェンダーを基盤とする諸側面に注意を払うことが求められる。国内の人身取引および国際的人身取引双方の危険性を親および子どもたちが理解するようにするため、ソーシャルメディア等も通じた意識啓発活動を行なわなければならない。各国は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を批准し、かつ、同議定書にしたがって立法の調和を図るよう促される。 紛争および危機 79.武力紛争および人道上の災害の状況により、社会的規範ならびに家族およびコミュニティによる支援体制の崩壊がもたらされている。そのため、思春期の子どもであって避難民となった子どもおよび危機の影響を受けている子どもの多くが、大人としての責任を引き受けることを余儀なくされ、かつ性暴力およびジェンダーを理由とする暴力、児童婚および強制婚ならびに人身取引のおそれにさらされている。さらに、このような状況に置かれた思春期の子どもは、教育、スキル訓練、安全な就労機会、ならびに、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる適切なサービスおよび情報へのアクセスを否定され、かつ、孤立、差別およびスティグマ、精神保健〔上の問題〕ならびにあえてリスクを冒す行動に直面する可能性が高い。 80.委員会は、人道プログラムにおいて思春期の子どもの特有のニーズおよび権利への対応が行なわれていないことを懸念する。委員会は、締約国に対し、保護システムの開発および設計ならびに和解および平和構築のプロセスにおいて主体的役割を果たす体系的機会が思春期の子どもたちに提供されることを確保するよう、促すものである。紛争後および移行期の再建への明確な投資は、思春期の子どもたちが、自分の国の経済的および社会的開発、レジリエンスの構築ならびに平和的移行に貢献する機会ととらえられるべきである。加えて、緊急事態対応準備プログラムでは、思春期の子どもたちの脆弱性および保護に対する権利のいずれをも認識し、かつ、コミュニティの支援およびリスク緩和の援助に関してこれらの子どもたちが果たしうる役割を認めながら、これらの子どもたちに対応することが求められる。 軍隊および武装集団への徴集 81.委員会は、思春期の男子および女子が、ソーシャルメディアの利用等も通じて、国の軍隊、武装集団および民兵に徴集されていることに深い懸念を表明するとともに、すべての締約国に対し、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう促す。委員会はまた、思春期の子どもが、テロリストのプロパガンダ、過激主義的見方およびテロ活動への関与にそそのかされやすいことも懸念するものである。思春期の子どもをそのような活動への参加に駆り立てる要因を模索するための調査研究が思春期の子どもたちとともに実施されるべきであり、各国は、社会的統合を促進する措置に特段の注意を払いながら、当該調査研究で得られた知見に応じた適切な対応をとるべきである。 82.各国は、軍隊および武装集団に徴集された思春期の子ども(移住の状況にある子どもを含む)の回復およびジェンダーに配慮した再統合を確保するとともに、あらゆる敵対行為において、かつ和平または停戦に関わる武装集団との交渉および協定において、思春期の子どもの徴集または使用を禁止するべきである [39]。各国は、支援介入の持続可能性および文化的適切性を確保する目的で、平和運動に思春期の子どもたちが参加する機会、および、地域コミュニティに根ざした非暴力的紛争解決に対する同世代間働きかけアプローチを支援するよう求められる。委員会は、締約国に対し、思春期の子どもに対して行なわれた紛争関連の性暴力、性的搾取および性的虐待ならびにその他の人権侵害の事案について迅速かつ適正な対応がとられることを確保するため、断固たる措置をとるよう促すものである。 [39] A/68/267、パラ81-87参照。 83.委員会は、世界の多くの場所で、思春期の子どもがギャングおよびパンディーヤ〔訳者注/ギャングを意味するスペイン語〕に引きこまれていることを認識する。これらの集団は、社会的支援、生計維持手段、保護およびアイデンティティの感覚を、合法的な活動を通じてこのような目標を達成する機会が存在しないなかで提供してくれることが多い。しかし、ギャングの構成員が生じさせる恐怖、危険、脅威および暴力の雰囲気は、思春期の子どもの権利の実現を脅かすものであり、思春期の子どもの移住を助長する主要な要因のひとつである。委員会は、攻撃的な法執行アプローチに代えて、少年の暴力およびギャングへの加入の根本的原因に対処する包括的な公共政策の策定をいっそう重視するよう、勧告する。学校、家庭および社会的包摂のための措置を重視しながら、危険な状況に置かれた思春期の子どもを対象とする防止活動、思春期の子どもにギャングを離脱するよう奨励するための支援介入、ギャングの構成員の更生および再統合、修復的司法、ならびに、犯罪および暴力に反対する自治体連合の創設への投資を進めることが必要である。委員会は、各国に対し、ギャングの暴力に関連する理由で自国を離れることを余儀なくされた思春期の子どもに正当な考慮を払い、かつ、このような子どもに難民資格を付与するよう、促す。 児童労働 84.委員会は、思春期のすべての子どもに経済的搾取および最悪の形態の児童労働から保護される権利があることを強調するとともに、各国に対し、条約第32条第2項ならびに国際労働機関の最低年齢条約(1973年、第138号)および最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)の規定を実施するよう促す。 85.年齢にふさわしい形態の労働への導入は、思春期の子どもの生活において重要な発達上の役割を果たすのであって、これによって思春期の子どもはスキルを身につけるとともに、責任を学ぶこと、ならびに、必要なときは、家族の経済的安寧に貢献し、かつ自らの教育へのアクセスを支えることができるようになる。児童労働に反対する行動は、学校から労働への移行、社会的および経済的開発、貧困根絶プログラム、および、良質かつインクルーシブな初等中等教育への普遍的かつ無償のアクセスを含む、包括的措置から構成されるべきである。思春期の子どもには、国内法上の最低就労年齢(これは国際基準および義務教育に整合したものであるべきである)に達した段階で、教育ならびに休息、余暇、遊び、レクリエーション活動、文化的生活および芸術に対する権利を正当に尊重されながら、適切な条件下で軽易労働を行なう権利があることを強調しておかなければならない。 86.委員会は、各国が、思春期の子どもの生活において労働が果たす積極的役割と、義務教育に対する思春期の子どもの権利を差別なく確保することとの間でバランスをとることに向けた経過的アプローチをとるよう勧告する。学校教育およびディーセントワークへの導入は、思春期の子どもの生活において、その年齢にしたがって両方を促進するための調整が図られるべきであり、またそのような労働を規制し、かつ思春期の子どもが搾取の被害を受けた場合に救済措置を与えるための効果的機構が導入されるべきである。18歳未満のすべての子どもを危険な労働から保護する旨を、具体的な有害労働の明確な一覧とともに規定することが求められる。有害な労働および労働条件を防止することに向けた努力が、家事労働に従事している女子およびその他のしばしば「不可視化された」労働者に特段の注意を払いながら、優先課題として行なわれるべきである。 思春期の子どもを対象とした司法 87.思春期の子どもは、法律に触れたことによって、犯罪の被害者もしくは証人として、または養護、監護もしくは保護のようなその他の理由で、司法制度と関わりを持つ場合がある。思春期の子どもが、被害者としても犯罪加害者としても権利を侵害されやすい立場に置かれにくくするための措置が必要である。 88.締約国は、条約第37条および第40条ならびに少年非行の防止に関する国連指針に一致するやり方で社会的要因および根本的原因に対応するため、修復的司法、司法手続からのダイバージョン、拘禁に代わる措置および予防的介入を重視する包括的な少年司法政策を導入するよう促される。少年司法における子どもの権利についての一般的意見10号(2007年)に掲げられた勧告にしたがい、焦点は、テロリズムに分類される活動に関与した思春期の子どもを対象とするものも含む、更生および再統合に当てられるべきである。拘禁は、最後の手段として、かつもっとも短い適切な期間でのみ用いられるべきであり、また思春期の子どもは成人とは分離して収容することが求められる。委員会は、18歳未満のときに行なった犯罪について有罪とされたいかなる者に関しても死刑および終身刑を禁止することが絶対要件であることを強調するものである。委員会は、刑事責任年齢を引き下げようとしている国が多いことを深刻に懸念するとともに、各国に対し、刑事責任年齢を漸進的に18歳まで引き上げるよう奨励する。 XIV.国際協力 89.委員会は、条約の実施は締約国にとって協力的な営みであることおよび国際協力が必要であることを強調する。委員会は、締約国に対し、思春期の子どもの権利の実施について貢献を行ない、かつ、国際連合および地域機関の技術的援助を適宜活用するよう奨励するものである。 XV.普及 90.委員会は、締約国が、この一般的意見を、すべての関係機関、とくに議会およびすべての段階の行政機関(省庁および自治体/地方当局内の部局を含む)、ならびに、思春期のすべての子どもに対して広く普及するよう勧告する。委員会はまた、この一般的意見を関連のすべての言語に翻訳するとともに、思春期の子どもにやさしい版および障害のある思春期の子どもにとってアクセシブルな形式として刊行することも勧告するものである。 更新履歴:ページ作成(2016年12月25日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/274.html
子どもの権利委員会・一般的意見20号:思春期における子どもの権利の実施(前編) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 CRC/C/GC/20(2016年12月6日/原文英語) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 I.はじめに(パラ1-6) II.目的(パラ7) III.思春期の子どもに焦点を当てることの正当性(パラ8-13) IV.条約の一般原則(パラ14-25)A.発達に対する権利(パラ15-20) B.差別の禁止(パラ21) C.最善の利益(パラ22) D.意見を聴かれる権利および参加権(パラ23-25) V.特別な注意を必要とする思春期の子ども(パラ26-36) VI.一般的実施措置(パラ37) VII.子どもの定義(パラ38-40) VIII.市民的権利および自由(パラ41-48) IX.子どもに対する暴力(パラ49) → 思春期の子どもの権利 後編 X.家庭環境および代替的養護(パラ50-55) XI.基礎保健および福祉(パラ56-67) XII.教育、余暇および文化的活動(パラ68-75) XIII.特別な保護措置(パラ76-88) XIV.国際協力(パラ89) XV.普及(パラ90) I.はじめに 1.子どもの権利条約は、子どもを18歳未満のすべての者(ただし、子どもに適用される法律の下でより早く成年に達した者を除く)と定義するとともに、国は、いかなる種類の差別もなく、自国の管轄内にある子ども1人ひとりに対し、条約に掲げられた権利を尊重しかつ確保するべきであると強調している。条約では18歳未満のすべての者の権利が認められているが、権利の実施にあたっては、子どもの発達状況および発達しつつある能力を考慮に入れることが求められる。思春期の子どもの権利の実現を確保するためにとられるアプローチは、より年少の子どもを対象としてとられるアプローチとは相当に異なるのである。 2.思春期は、機会、能力、大望、エネルギーおよび創造性の増進を特質とするライフステージであるが、あわせて相当の脆弱性をもその特質としている。思春期の子どもは変革の主体であり、かつ、その家族、コミュニティおよび国に前向きに貢献できる可能性を持った重要な資産および資源である。思春期の子どもは、世界的に、保健・教育キャンペーン、家族支援、ピアエデュケーション、コミュニティ開発の取り組み、参加型予算編成および創造的芸術を含む多くの領域で前向きな活動に従事しており、また平和、人権、環境の持続可能性および気候の公平性に向けた貢献を行なっている。思春期の子どもの多くはデジタル環境およびソーシャルメディア環境の最前線に立っているが、これらの環境は、思春期の子どもの教育、文化および社会的ネットワークにおいてますます中心的な役割を果たすようになっているとともに、政治参加および説明責任の監視という観点からも可能性を有している。 3.委員会の見たところ、思春期の子どもの可能性は、締約国が、これらの子どもが自己の権利を享受できるようにするために必要な措置を認識せずまたはこのような措置への投資を行なわないために、広く損なわれている。年齢、性別および障害によって細分化されたデータはほとんどの国で利用可能となっておらず、政策の参考とし、欠点を明らかにし、かつ思春期の子どものための適切な資源の配分を支えることができていない。子どもまたは若者を対象とする一般的な政策は、思春期の子どものさまざまな多様性に対応していないことが多く、これらの子どもの権利の実現を保障するためには不十分である。不作為および失敗のコストは高い。情緒的安定、健康、セクシュアリティ、教育、スキル、レジリエンスおよび権利の理解という観点から思春期に整えられた基礎は、個々の最適な発達にとってのみならず、現在および将来の社会的・経済的発展にとっても深甚な影響を及ぼすことになろう。 4.委員会は、この一般的意見において、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」も認識しながら、思春期において子どもの権利の実現を確保するために必要な措置についての指針を各国に提示する。ここで強調されるのは人権を基盤とするアプローチの重要性であり、これには、思春期の子どもの尊厳および主体性の承認・尊重、思春期の子どものエンパワーメント、市民性および自分自身の生活への積極的参加、最適な健康、ウェルビーイングおよび発達の促進、ならびに、思春期の子どもの権利を差別なく促進し、保護しかつ充足していくことに対する決意が含まれる。 5.委員会は、思春期の定義が容易ではないこと、および、個々の子どもが成熟に至る年齢もさまざまであることを認める。第二次性徴が表れる年齢は男女で異なっており、またさまざまな脳機能が成熟する時期も異なる。子ども期から成人期へと移行していく過程は文脈および環境の影響を受けるのであり、このことは、各国の国内法において思春期の子どもに対する文化的期待が著しく異なっており、大人の活動への参入についてもさまざまな基準が定められていること、および、国際機関も思春期を定義するために多様な年齢幅を採用していることに表れている。したがって、この一般的意見では思春期の定義は試みないこととし、データ収集における整合性を促進する目的で、子ども期のうち10歳から18歳の誕生日に至るまでの期間に焦点を当てる [1]。 [1] www.who.int/maternal_child_adolescent/topics/adolescence/dev/en/ 参照。 6.委員会は、委員会の一般的意見のいくつか、とくに思春期の健康と発達、HIV/AIDS、女性と子どもにとって有害な慣行の根絶、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに少年司法に関連するものが、思春期の子どもについて特段の共振性を有していることに留意する。委員会は、デジタルメディアと子どもの権利に関する一般的討議を受けてまとめられた勧告が、思春期の子どもにとってとりわけ重要であることを強調するものである。この一般的意見は、思春期のすべての子どもとの関連で条約を全体としてどのように理解しかつ実施しなければならないかについての概要を示すために作成されたものであり、他の一般的意見および一般的討議の勧告を受けてまとめられた文書とあわせて理解することが求められる。 II.目的 7.この一般的意見の目的は次のとおりである。 (a) 各国に対し、思春期の子どもの権利の実現と一致する包括的な思春期の発達を促進するために必要な立法、政策およびサービスについての指針を示すこと。 (b) 思春期によって与えられる機会および思春期のあいだに直面する課題についての意識を高めること。 (c) 思春期の子どもの発達しつつある能力およびそれが思春期の子どもの権利の実現にとって有する意味合いについての理解および尊重の念を増進させること。 (d) 思春期の子どもをいっそう目に見える存在とし、かつ思春期の子どもについての意識を高めること、および、思春期の子どもが成長していく過程全体を通じてその権利を実現できるようにするために投資することの正当性を強化すること。 III.思春期の子どもに焦点を当てることの正当性 8.委員会は、思春期の子どもの権利の実現を促進し、前向きかつ漸進的な社会変革に対して思春期の子どもが行ないうる貢献を強化し、かつ、グローバル化および複雑さの度を増しつつある世界において、子ども期から成人期への移行の際に思春期の子どもが直面する課題を克服していくために思春期の子どもに焦点を当てることが強力な正当性を有することについて、締約国の注意を喚起する。 9.思春期の子どもは急速な発達局面に位置している。思春期における発達上の変化の重要性は、乳幼児期に生じる変化と同程度にはまだ広く理解されていない。思春期は、その後の人生のあり方を左右する、人間発達におけるかけがえのない段階であり、急速な脳の発達および身体的発育、認知能力の増進、第二次性徴および性的意識の開始ならびに新たな能力、強さおよびスキルの出現を特質としている。思春期の子どもは、依存の状態からいっそうの自律の状態へと移行していくなかで、社会における自己の役割に対する期待の増進および友人関係の重要性の高まりを経験する。 10.子どもは、生まれてから2度目の10年間を通過するなかで、自分自身の家族および文化史との複雑な相互作用に基づき、個人およびコミュニティとしての自分なりのアイデンティティの模索および形成を開始するとともに、しばしば言語、芸術および文化を通じて表明される新たな自己意識の生成を、個人としても、友人とのつながりを通じても、経験する。この過程は、多くの子どもにとって、デジタル環境との関わりをめぐって、かつデジタル環境による示唆および影響を相当に受けながら、進んでいくものである。アイデンティティの構築および表現の過程は、思春期の子どもにとってはとりわけ複雑なものとなる。思春期の子どもは、マイノリティ文化と主流文化とのあいだに隘路をつくり出すからである。 思春期をライフコースの一部として認識する 11.すべての子どもの最適な発達を子ども期全体を通じて確保するためには、人生の各期間がその後の段階に与える影響を認識する必要がある。思春期は、それ自体が子ども期における貴重な時期のひとつではあるが、ライフチャンスを高めるための移行および機会がともなうきわめて重要な時期でもある。乳幼児期の前向きな支援介入および経験は、乳幼児が思春期に到達していく際の最適な発達を促進することにつながる [2]。ただし、若者に対するいかなる投資も、思春期全体を通じた子どもの権利に対して十分な注意が向けられなければ無駄になってしまうおそれがある。さらに、思春期における前向きかつ支援的な機会は、乳幼児期にこうむった危害の影響の一部を相殺し、かつ、将来の被害を緩和するためのレジリエンスを構築する目的で活用することが可能である。そこで委員会は、ライフコースの視点の重要性を強調する。 [2] 乳幼児期における子どもの権利の実施に関する子どもの権利委員会の一般的意見7号(2005年)、パラ8参照。 環境の変化 12.思春期に達するということは、デジタル環境によって強化されまたは悪化させられたさまざまなリスク(有害物質の使用および有害物質への依存、暴力および虐待、性的もしくは経済的搾取、人身取引、移住、過激化またはギャングもしくは民兵への加入など)にさらされることを意味しうる。思春期の子どもが成人期へと近づくにつれて、地域的および国際的課題(貧困および不平等、差別、気候変動および環境悪化、都市化および移住、高齢化社会、学校での成績に関するプレッシャーならびに高まりつつある人道上および治安上の危機など)に取り組むための適切な教育および支援が必要となる。国際的移住が増加した結果、不均質性が高まった多民族社会で成長していくためには、理解、寛容および共生のための能力の強化も必要である。これらの課題を克服しまたは緩和し、思春期の子どもを排除しかつ周縁化させる機能を果たしている社会的動因に対応し、かつ、課題が多く変化しつつある社会環境、経済的環境およびデジタル環境に立ち向かっていくための備えを整える思春期の子どもの能力を強化するための措置に、投資していく必要がある。 健康上のリスクをともなう時期 13.思春期には他の年齢層に比べて死亡率が総体的に低いという一般的特質があるものの、思春期における死亡および疾病のリスクは現実のものであり、これには出産、安全性を欠いた中絶、交通事故、性感染症(HIVを含む)、個人間暴力による受傷、精神保健上の問題および自殺が含まれる。いずれも特定の行動と関連するものであり、部門を横断した連携が必要である。 IV.条約の一般原則 14.条約の一般原則は、実施過程のあるべき姿を映し出すレンズであり、かつ、思春期における子どもの権利の実現を保障するために必要な措置を判断する際の指針として機能するものである。 A.発達に対する権利 建設的かつホリスティックなアプローチ 15.委員会は、思春期およびこれに関連する特質を、子ども期の建設的な発達段階として評価することの重要性を強調する。委員会は、思春期の否定的なとらえ方が広がっているために、思春期の子どもの権利を保障し、かつその身体的、心理的、霊的、社会的、情緒的、認知的、文化的および経済的能力の発達を支援するための最適な環境を構築していくことを決意するのではなく、問題に焦点を当てた視野の狭い介入およびサービスが行なわれていることを遺憾に思うものである。 16.各国は、国以外の主体とともに、思春期の子どもたち自身と対話しかつこれらの子どもの関与を得ることを通じて、思春期の固有の価値が認知される環境を促進するとともに、思春期の子どもが豊かに成長すること、自己の新たに生じつつあるアイデンティティ、信条、セクシュアリティおよび機会を模索すること、リスクと安全とのバランスをとること、十分な情報に基づいて自由かつ前向きな決定および人生の選択を行なうための能力を構築していくことならびに成人期への移行をうまくやりとげることを援助するための措置を導入するべきである。これらの機会を阻害する障壁に対応しつつ、あらかじめ備わっている強さに立脚し、かつ思春期の子どもが自己および他者の人生に対して行ないうる貢献を認めるアプローチが必要とされる。 17.思春期の子どものレジリエンスおよび健康的発達を促進することがわかっている要因としては次のものがある――(a)人生における重要な大人との強い関係およびこのような大人からの支援、(b)参加および意思決定の機会、(c)問題解決および対処のスキル、(d)安全かつ健康的な地域環境、(e)個性の尊重ならびに(f)友情を構築しかつ維持する機会である。委員会は、思春期の子どもがこのような社会的資産を構築しかつ享受する機会を得ることにより、心身の健康の維持、リスクをともなう行動の回避、不運な出来事からの回復、学校における成功、寛容の実践、友情の構築およびリーダシップの発揮等の手段によって自己の権利に貢献する能力が高められることを強調する。 発達しつつある能力の尊重 18.条約第5条は、親の指示および指導が子どもの発達しつつある能力に一致する方法で行なわれることを要求している。委員会の定義によれば、発達しつつある能力とは、子どもが漸進的に能力および理解を身につけ、かつ、責任を引き受けかつ自己の権利を行使する主体性の水準を高めていく成熟と学習のプロセスを扱った、権利行使を可能にする原則 [3] である。委員会は、子ども自身の知識および理解力が高まるにつれて、親は指示および指導を注意喚起に、そして徐々に対等な立場での意見交換に変えていかなければならないと主張してきた [4]。 [3] 前掲、パラ17。 [4] 意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)、パラ84参照。 19.委員会は、高まりつつある水準の責任を行使する権利によって、保護を保障する国の義務 [5] が不要になるわけではないことを強調する。思春期の子どもは、家族またはその他の養育環境の保護から徐々に脱することにより、相対的な経験不足および権力の欠如とあいまって、権利侵害を受けやすい状態に置かれうる。委員会は、潜在的リスクの特定ならびに当該リスクを緩和するためのプログラムの策定および実施に思春期の子どもの関与を得ることが、より効果的な保護につながることを強調するものである。意見を聴かれる権利、権利侵害に異議を申し立てる権利および救済を求める権利を保障されることにより、思春期の子どもは自分自身の保護について漸進的に主体性を発揮できるようになる。 [5] たとえば条約第32~39条参照。 20.思春期の子どもの発達しつつある能力の尊重および適切な水準の保護とのあいだで適切なバランスをとろうと努める際には、意思決定に影響を及ぼすさまざまな要因を考慮するべきである。このような要因としては、関連するリスクの水準、搾取の可能性、思春期の子どもの発達に関する理解、能力および理解力は必ずしもすべての分野にわたって同一のペースで発達するわけではないという認識、ならびに、個人の経験および能力に関わる認識などがある。 B.差別の禁止 21.委員会は複数の形態の差別を特定してきたが、その多くは思春期において特有の意味合いを有しており、部署の枠を超えた分析および狙いを明確にしたホリスティックな措置を必要とするものである [6]。思春期そのものが差別の源となりうる。この時期、思春期の子どもは、そのような地位の直接的結果として、危険なもしくは好ましくない存在として扱われ、収容され、搾取されまたは暴力にさらされる場合があるのである。逆説的なことに、思春期の子どもは、能力を欠いており、自分の人生について決定を行なうことができない存在として扱われることも多い。委員会は、思春期のすべての男女のあらゆる権利が平等に尊重されかつ保護されること、および、あらゆる集団の思春期の子どもに対する、あらゆる理由に基づく直接間接の差別につながる条件を減少させまたは解消するために包括的かつ適切な積極的差別是正措置が導入されることを確保するよう、各国に促すものである [7]。各国は、異なる取扱いについての基準が合理性および客観性を有しており、かつ当該取扱いが条約に基づく正当な目的の達成を目指すものである場合には、すべての異なる取扱いが差別になるわけではない [8] ことを想起するよう求められる。 [6] www2.ohchr.org/english/issues/women/rapporteur/docs/15YearReviewofVAWMandate.pdf 参照。 [7] 条約の実施に関する一般的措置についての一般的意見5号(2003年)、パラ12参照。 [8] 差別の禁止に関する自由権規約委員会の一般的意見18号(1989年)、パラ147参照。 C.最善の利益 22.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利は実体的権利、法的解釈原理および手続規則であり、かつ個人としての子どもおよび集団としての子どもたちの双方に適用されるものである [9]。立法、政策、経済的および社会的計画策定、意思決定ならびに予算上の決定を含む条約のあらゆる実施措置は、子どもに関わるすべての活動において思春期の子どもを含む子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保する手続にしたがってとられるべきである。委員会は、自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての子どもの権利委員会の一般的意見第14号(2013年)において、子どもの意見が、その発達しつつある能力と一致する方法で [10]、かつその子どもの特質を考慮に入れながら考慮されるべきであることを強調している。締約国は、思春期の子どもが理解力および成熟度を身につけるにつれてその意見が適切に重視されることを確保しなければならない。 [9] 自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての子どもの権利委員会の一般的意見14号(2013年)、パラ6参照。 [10] 一般的意見12号、パラ70-74および14号、パラ43-45参照。 D.意見を聴かれる権利および参加権 23.条約第12条にしたがい、締約国は、自己に関わるすべての事柄について、その年齢および成熟度にしたがって意見を表明する権利を思春期の子どもに保障し、かつ、たとえば教育、健康、セクシュアリティ、家族生活ならびに司法上および行政上の手続に関わる決定においてその権利が正当に重視されることを確保するための措置を導入するべきである。各国は、学校ならびにコミュニティ、地方、国および国際社会の各レベルで、思春期の子どもの生活に影響を与えるすべての関連の立法、政策、サービスおよびプログラムの策定、実施および監視に思春期の子どもが関与することを確保するよう求められる [11]。オンライン環境は、思春期の子どもの関与を強化しかつ拡大するための、新たに生じつつある重要な機会を提供してくれる。これらの措置にあわせて、思春期の子どもが申し立てる請求について判断する権限を有する、安全かつアクセスしやすい苦情申立ておよび救済のための機構が導入されるべきであり、かつ、費用援助をともなうまたは無償の法律サービスその他の適切な援助へのアクセスが保障されるべきである。 [11] 一般的意見12号、パラ27参照。 24.委員会は、政治的および市民的関与の手段としての参加の重要性を強調する。思春期の子どもたちは、このような参加を通じて自己の権利の実現のための交渉および主張を行ない、かつ国の説明責任を問うことができるのである。各国は、主体的な市民性の発達において有用である政治的参加の機会を増やすための政策を採用するよう求められる。思春期の子どもは、仲間とつながり、政治的プロセスに関与し、かつ、十分な情報に基づく決定および選択を行なうための主体性の感覚を高めることができるのであり、したがって、デジタルメディアを含むさまざまな手段による参加を可能にする手段である団体の結成について支援を受けられなければならない。国が投票年齢の18歳未満への引き下げを決定するときは、市民性教育および人権教育、ならびに、思春期の子どもの関与および参加を妨げる障壁の特定およびこれへの対応等の手段により、思春期の子どもが主体的市民としての自己の役割を理解し、認識しかつ充足することの支援となるような措置に投資するべきである。 25.委員会は、思春期の子どもが参加権を享有するためにはこの権利に関する大人の理解および意識が重要であることに留意し、国に対し、とくに親および養育者、思春期の子どもとともにおよびこれらの子どものために働く専門家ならびに政策立案および意思決定に携わる関係者を対象とした研修および意識啓発に投資するよう奨励する。思春期の子どもが自分自身の生活およびまわりの人々の生活に対していっそうの責任を引き受けられるようにするため、大人がメンター(良き導き手)およびファシリテーターになれるようにするための支援が必要である。 V.特別な注意を必要とする思春期の子ども 26.思春期の子どもの一部の集団は、差別および社会的排除を含む複合的な脆弱性および権利侵害の対象にとりわけされやすくなる場合がある。思春期の子どもに焦点を当てた立法、政策およびプログラムに関わってとられるすべての措置において、相互に交差しあう権利侵害およびそれが関係の思春期の子どもに及ぼす複合的悪影響が考慮に入れられるべきである。 女子 27.ジェンダーの不平等は思春期にいっそう著しくなる。女子に対する差別、不平等およびステレオタイプ化の表れ方が激しさを増すことが多く、それがいっそう深刻な女子の権利侵害(児童婚および強制婚、若年妊娠、女性性器切除、ジェンダーを理由とする身体的、精神的および性的暴力、虐待、搾取ならびに人身取引を含む)につながる [12]。女子の地位を低めている文化的規範のために、家庭に閉じこめられ、中等教育および高等教育にアクセスできず、レジャー、スポーツ、レクリエーションおよび所得創出活動の機会を限定され、文化的生活および芸術にアクセスできず、かつ、負担の大きな家事および子どもの世話の責任を負わされる可能性が高まりうる。多くの国で、健康および生活満足度の指標の水準は女子のほうが男子よりも低く報告されており、その差は年齢とともに徐々に広がっていく。 28.各国は、市民社会、女性および男性、伝統的指導者および宗教的指導者ならびに思春期の子どもたち自身を含むすべての関係者と協力しながら、女子に対する直接間接の差別に対処していく目的で、女子のエンパワーメントを促進するための積極的措置に投資し、家父長制的その他の有害なジェンダー規範およびステレオタイプ化を問い直し、かつ、法改正を進めていかなければならない。あらゆる法律、政策およびプログラムにおいて、男子との平等を基礎として女子の権利を保障するための明示的措置が必要とされる。 [12] A/HRC/26/22、パラ21参照。 男子 29.伝統的な男らしさの概念ならびに暴力および支配と結びつけられたジェンダー規範は、男子の権利を阻害することにつながりうる。これには、有害な通過儀礼を課されること、暴力にさらされること、ギャング、民兵〔または〕過激主義的グループへの加入を強制されることならびに人身取引の対象とされることなどが含まれる。男子が身体的および性的虐待ならびに搾取の被害を受けやすいことを否定すれば、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる情報、物資およびサービスに男子がアクセスしようとする際に広範かつ相当な障壁が生じ、結果として保護サービスが存在しないことにもなりうる。 30.委員会は、国に対し、このような権利侵害に対処するための措置を導入するよう促すとともに、男子に対する否定的な見方を問い直し、建設的な男らしさを促進し、マチズモに基づいた文化的価値観を克服し、かつ、男子が経験する虐待のジェンダーの側面がいっそう認識されることを促進するよう、奨励する。各国はまた、ジェンダー平等を達成するためにとられるすべての措置において、女子および女性のみならず男子および男性の関与も得ていくことの重要性も認識するべきである。 障害のある思春期の子ども 31.委員会は以前、障害のある多くの子どもが直面している広範な偏見、排除、社会的孤立および差別に光を当てた [13]。障害のある思春期の子どもは、多くの国で、思春期の他の子どもが利用できる機会から排除されているのが通例である。社会的、文化的および宗教的通過儀礼への参加を禁止されることもある。相当数の子どもが中等教育もしくは高等教育または職業訓練へのアクセスを否定されており、その結果、将来就労先を見つけ、かつ貧困に陥らないようにするために必要な社会的、教育的および経済的スキルを獲得できないでいる。障害のある思春期の子どもは、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる情報およびサービスへのアクセスを広く否定されるとともに、権利の直接の侵害であり、かつ拷問または陵虐にも相当する場合がある強制的な不妊手術または避妊手術の対象とされる場合もある [14]。障害のある思春期の子どもは、身体的および性的暴力ならびに児童婚もしくは強制婚の被害を不均衡なほど受けやすい状況に置かれており、かつ司法または救済措置へのアクセスを恒常的に否定されている [15]。 [13] 障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)、パラ8-10参照。 [14] A/HRC/22/53 参照。 [15] A/66/230、パラ44-49参照。 32.締約国は、条約第23条および障害のある子どもの権利についての一般的意見9号(2006年)に掲げられた勧告と一致する方法で、このような障壁を克服し、障害のある思春期の子どもの権利の平等な尊重を保障し、その全面的インクルージョンを促進し、かつ思春期から成人期への効果的な移行を促進するための措置を導入するべきである。加えて、障害のある思春期の子どもに対し、自己に関わるすべての事柄への積極的参加を促進する目的で、支援を受けながら意思決定を行なう機会を提供することも求められる。 レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子ども 33.レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子どもは、虐待および暴力を含む迫害、スティグマの付与、差別、いじめ、教育および訓練からの排除に直面し、かつ、家族および社会による支援を受けられず、またはセクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わるサービスおよび情報にアクセスできないのが通例である [16]。極端な場合には、性的攻撃および強姦ならびに死にさえ直面している。これらの経験に関連する形で、自尊感情の低さならびにうつ病罹患率、自殺率およびホームレス率の高さが生じている。 [16] 子どもの権利委員会ならびにその他の国連人権機構および地域人権機構による2015年5月13日付の声明を参照。www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15941 LangID=E より入手可能。 [17] 前掲。 34.委員会は、思春期のすべての子どもに、表現の自由に対する権利ならびに自己の身体的および心理的不可侵性、ジェンダーアイデンティティならびに高まりつつある自律性を尊重される権利があることを強調する。委員会は、性的指向の修正を試みるための「治療」と称されるもの、および、インターセックスである思春期の子どもに対する強制的な手術または治療が押しつけられていることを非難するものである。委員会は、各国に対し、そのような慣行を解消し、性的指向、ジェンダーアイデンティティまたはインターセックスであることを理由として個人を犯罪者として扱いまたは差別するすべての法律を廃止し、かつ、これらの理由による差別を禁止する法律を採択するよう、促す。各国はまた、公衆の意識啓発を図ることならびに安全および支援のための措置を実施することにより、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子どもをあらゆる形態の暴力、差別またはいじめから保護するための効果的行動もとるべきである。 マイノリティおよび先住民族である思春期の子ども 35.マイノリティおよび先住民族の集団の出身である思春期の子どもの文化、価値観および世界観に対する注意および敬意が十分でないことは、差別、社会的排除、周縁化および公共空間での包摂拒否につながりうる。これにより、マイノリティおよび先住民族である思春期の子どもは、貧困、社会的不公正、精神保健上の問題(不均衡なほど高い自殺率を含む)、学業成績の低迷および刑事司法制度における拘禁の多さの被害をいっそう受けやすくなる。 36.委員会は、締約国に対し、マイノリティおよび先住民族のコミュニティの出身である思春期の子どもが自己の文化的アイデンティティを享有し、かつ自己の文化の長所に立脚しながら家族生活およびコミュニティ生活に積極的に貢献していけるようにするため、思春期の女子の権利に特段の注意を払いながら、これらの子どもを支援するための措置を導入するよう促す。その際、各国は、先住民族の子どもとその条約上の権利に関する委員会の一般的意見11号(2009年)に掲げられた包括的な勧告に対応するべきである。 VI.一般的実施措置 37.条約の実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条第6項)についての一般的意見5号(2003年)および子どもの権利実現のための公共予算(第4条)についての一般的意見19号(2016年)にしたがい、委員会は、思春期における子どもの権利の実現のための枠組みを確立するために次の措置を実施する締約国の義務に対して注意を喚起する。次に掲げるものを含むこれらのすべての措置を策定するにあたっては、思春期の子どもたち自身の経験および視点を十全に認識し、かつ真剣に受けとめるべきである。 (a) 思春期の子どもが直面している権利侵害の根底にある構造的な社会的および経済的原因に対応し、かつ政府省庁全体で調整のとれたアプローチを確保するための、思春期の子どもにもっぱら焦点を当てた、かつ条約に根差した、包括的および分野横断的な国家的戦略。 (b) 立法、政策およびサービスにおいて思春期の子どもの権利が尊重されることを確保するための、実施状況の監視。 (c) 思春期の子どもたちの生活を可視化するための、少なくとも年齢、性別、障害、民族および社会経済的状況ごとに細分化されたデータの収集。委員会は、各国が、思春期の子どもの権利の実施における進展を監視するために用いる共通の指標について合意を形成するよう勧告する。 (d) 競合しあう優先的支出の均衡を図り、かつ十分性、有効性、効率性および平等の原則を遵守する際に思春期の子どもたちについて正当な検討が行なわれることを確保するための、透明な予算上のコミットメント。 (e) 思春期の子どもとともにおよびこのような子どものために働くすべての専門家を対象として実施する、子どもの発達しつつある能力にしたがいながら思春期の子どもとともに働くために必要な能力に焦点を当てた、条約および条約関連の義務に関する研修。 (f) とくに学校カリキュラム、メディア(デジタルメディアを含む)および広報資料を通じて行なう、子どもの権利およびその行使の方法についてのアクセスしやすい情報の普及。その際、周縁化された状況に置かれている思春期の子どもに積極的に情報を届けるため、特段の努力を行なうものとする。 VII.子どもの定義 38.条約はジェンダーに基づくいかなる差別も禁じているのであり、年齢制限は女子および男子にとって平等であるべきである。 39.各国は、自己の生活に影響を与える決定についていっそうの責任を引き受けていく思春期の子どもの権利を認める立法を見直しまたは導入するべきである。委員会は、各国が、保護に対する権利、最善の利益の原則および思春期の子どもの発達しつつある能力の尊重と一致する方法で、法律上の最低年齢制限を導入するよう勧告する。たとえば、年齢制限においては、保健サービスもしくは治療、養子縁組に対する同意、名前の変更または家庭裁判所への申立てに関わる決定を行なう権利を認めることが求められる。いずれにせよ、当該最低年齢に達していないいかなる子どもについても、十分な理解力を有していることを実証できる場合には、同意を与えまたは拒否する資格を認められる権利が承認されるべきである。何らかの治療または医療措置については、親または保護者の同意が要件とされているか否かにかかわらず、自発的なかつ十分な情報に基づく思春期の子どもの同意を得ることが求められる。思春期の子どもは、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関わる予防的なまたは急を要する物資およびサービスを求めかつこれにアクセスする能力を有するという法的推定を導入することも検討されるべきである。委員会は、思春期のすべての子どもが、希望する場合、年齢にかかわらず、親または保護者の同意がなくとも秘密裡に医療上の相談および助言にアクセスする権利を有することを強調する。これは医療上の同意を与える権利とは異なるものであり、いかなる年齢制限の対象にもされるべきではない [18]。 [18] 一般的意見12号、パラ101参照。 40.委員会は、締約国に対し、18歳に達していない者にはあらゆる形態の搾取および虐待から引き続き保護される資格があることを認める義務を想起するよう求める。委員会は、関連するリスクおよび危害の度合いに鑑み、婚姻、軍隊への徴募、危険なまたは搾取的な労働への関与ならびにアルコールおよびタバコの購入および消費については、最低年齢制限は18歳とされるべきであることを再確認する。締約国は、性的合意に関する法定年齢を決定する際には、保護と発達しつつある能力とのバランスをとらなければならないことを考慮して、受け入れ可能な最低年齢を定めるべきである。各国は、事実として同意に基づいている非搾取的な性的活動について、年齢の近い思春期の子どもを犯罪者として扱うべきではない。 VIII.市民的権利および自由 出生登録 41.出生登録が行なわれなければ、思春期において、基礎的サービスを受けられないこと、国籍を証明できずまたは身分証明書類を受け取れないこと、搾取または人身取引の危険性が高まること、刑事司法制度および出入国管理制度において必要な保障措置の対象とされないことならびに法定年齢に達しないうちから軍隊に編入されることなど、相当のかつ複雑な追加的問題が生じる可能性がある。出生時または出生直後に登録されなかった思春期の子どもに対しては、遅れての出生証明書および民事登録が無償で提供されるべきである。 表現の自由 42.条約第13条は、子どもが表現の自由に対する権利を有すること、および、当該権利の行使に対しては第13条第2項に定められた制限しか課せないことを確認している。思春期の子どもの発達しつつある能力にしたがって適切な指導を行なう親および養育者の義務は、表現の自由に対する思春期の子どもの権利の妨げとなるべきではない。思春期の子どもには、情報および考えを求め、受け、かつ伝える権利およびそれを普及するための手段(話し言葉、書き言葉および手話ならびに画像および芸術作品のような非言語的表現を含む)を利用する権利がある。表現手段には、たとえば、書籍、新聞、パンフレット、ポスター、横断幕、デジタルメディアおよび視聴覚メディアならびに服装および個人的スタイルが含まれる。 宗教の自由 43.委員会は、締約国に対し、条約第14条に付したいかなる留保も撤回するよう促す。同条は、子どもには宗教の自由に対する権利があることを強調するとともに、子どもに対し、その発達しつつある能力と一致する方法で指示を与える親および保護者の権利および義務を認めたもの(第5条も参照)である。すなわち、宗教の自由に対する権利を行使するのは親ではなく子どもであって、親の役割は、子どもが選択権の行使に関して思春期全体を通じてますます主体的な役割を果たしていくようになるにつれて、必然的に後退する。宗教の自由は、学校その他の施設において、宗教の授業への出席をめぐる選択との関連も含めて尊重されるべきであり、また宗教的信条を理由とする差別は禁じられるべきである [19]。 [19] たとえば、CRC/C/15/Add.194、パラ32および33ならびに CRC/C/15/Add.181、パラ29および30参照。 結社の自由 44.思春期の子どもは、同世代の友人と過ごす時間を増やしたいと考えており、かつそうする必要がある。これに関連する利点は、社会的なものだけに留まらず、人間関係、就労およびコミュニティ参加の成功の基礎となる能力への貢献でもある。こうした時間は、とくに情緒的リテラシー、所属感、紛争解決などのスキルならびにいっそうの信頼感および親密感を構築することにつながる。同世代の友人とのつながりは思春期の発達における基礎的要素であり、その価値は、学校および学習環境、レクリエーション活動および文化的活動ならびに社会的、市民的、宗教的および政治的関与のための機会において認められるべきである。 45.各国は、あらゆる形態の結社および平和的集会の自由に対する思春期の子どもの権利が、女子および男子の双方を対象とする安全な空間の提供等を通じ、条約第15条第2項に定められた制限と一致する方法で全面的に尊重されることを保障するべきである。思春期の子どもが、学校の内外で自分たちの結社、クラブ、団体、議会およびフォーラムを結成し、オンラインネットワークを形成し、政党に加入し、かつ自分たち自身の労働組合に加盟しまたはこれを結成することを、法的に承認することが求められる。人権擁護のために活動している思春期の子ども、とくにジェンダー固有の脅迫および暴力に直面することの多い女子を保護するための措置も導入されるべきである。 プライバシーおよび秘密保持 46.プライバシーに対する権利の重要性は、思春期においてますます高まる。委員会は、たとえば医療上の助言の秘密保持、施設における思春期の子どもの居所および私物、家庭またはその他の形態の養育環境における通信その他の意思疎通ならびに刑事手続に関与させられた子どもの身元等の暴露との関連で、プライバシー侵害についての懸念を繰り返し表明してきた [20]。プライバシーに対する権利はまた、思春期の子どもに対し、教育、保健ケア、子どものケアおよび保護のためのサービス機関ならびに司法制度が保持している自己についての記録にアクセスする権利を認めるものでもある。このような情報は、適正手続上の保障を遵守して、かつ当該情報の受領および使用を法律で認められている者に対してのみ、アクセス可能とされるべきである [21]。各国は、思春期の子どもたちとの対話を通じて、プライバシー侵害(デジタル環境への個人的関与および商業的その他の主体によるデータの利用に関連するものを含む)が生じた場合には確認を行なうことが求められる。各国はまた、思春期の子どものデータの秘密保持およびプライバシーの尊重を、その発達しつつある能力に一致する方法で強化しかつ確保するためにあらゆる適切な措置をとるべきである。 [20] United Nations Children s Fund (UNICEF), Implementation Handbook on the Convention on the Rights of the Child (2007), pp.203-211 参照(www.unicef.org/publications/files/Implementation_Handbook_for_the_Convention_on_the_Rights_of_the_Child_Part_1_of_3.pdf より入手可能)。 [21] プライバシーに対する権利についての自由権規約委員会の一般的意見16号(1988年)、パラ2-4参照。 情報に対する権利 47.情報へのアクセスにはあらゆる形態のメディアが包含されるが、デジタル環境に特段の注意を向ける必要がある。思春期の子どもはますますモバイル技術を利用するようになりつつあり、またデジタルメディアは思春期の子どもがコミュニケーションならびに情報の受け取り、作成および流布を行なう第一次的手段になっているためである。思春期の子どもはとくに、自己のアイデンティティの模索、学習、参加、意見の表明、遊び、交流、政治的関与および就労機会の発見を目的としてオンライン環境を利用している。加えて、インターネットは、健康関連の情報、保護のための支援ならびに助言先および相談先にオンラインでアクセスするための機会を提供してくれるものであり、各国は思春期の子どもたちとのコミュニケーションおよび交流の手段としてこれを活用することが可能である。関連の情報にアクセスできることは、平等に対して相当に前向きな効果を発揮しうる。メディアに関する一般的討議(1996年および2014年)の結果としてまとめられた勧告は、思春期の子どもたちにとってとりわけ重要である [22]。各国は、障害のある思春期の子どもを対象とするアクセシブルな形式の促進等も通じて、思春期のすべての子どもがさまざまな形態のメディアに差別なくアクセスできることを確保し、かつ、デジタル・シティズンシップ〔適切かつ責任あるテクノロジー利用の規範〕への平等なアクセスを支援しかつ促進するための措置をとるよう求められる。思春期の子どものデジタルリテラシー、情報・メディアリテラシーおよび社会的リテラシーのスキルの発達を確保するため、基礎教育カリキュラムの一環として訓練および支援が提供されるべきである [23]。 [22] 1996年の討議については www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2014/DGD_report.pdf を、2014年の討議については www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/Recommendations/Recommendations1996.pdf を参照。 [23] www.ohchr.org/Documents/HRBodies/CRC/Discussions/2014/DGD_report.pdf〔2014年の一般的討議勧告〕、パラ95参照。 48.デジタル環境は思春期の子どもをリスクにさらすことにもなりうる。オンライン上の詐欺、暴力およびヘイトスピーチ、女子ならびにレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである思春期の子どもを対象とした性差別的発言、ネットいじめ、性的搾取、人身取引または児童ポルノを目的とする勧誘、過剰な性的対象化ならびに武装集団または過激主義集団による標的化などである。ただし、そのためにデジタル環境への思春期の子どもによるアクセスが制限されるべきではない。そうではなく、思春期の子どもの安全はホリスティックな戦略を通じて促進されるべきであり、これには、オンライン上のリスクおよび自分の安全を保つための戦略に関わるデジタルリテラシー、オンライン上の人権侵害に対処し、かつ不処罰の状況と闘うための立法および法執行機構の強化、ならびに、親をおよび子どもとともに働く専門家を対象とする研修などが含まれる。各国は、ピアメンタリング等も通じてオンライン上の安全を促進するための取り組みの立案および実施に際し、思春期の子どもたちの主体的関与を確保するよう促される。防止および保護に関するならびに援助および支援の利用しやすさに関する技術的解決策の開発への投資が必要である。各国は、デジタルメディアおよび情報通信技術を利用する際に諸リスクが子どもの権利の及ぼす影響を特定し、防止しかつ緩和する目的で、企業に対し、子どもの権利に相当の注意(デュー・ディリジェンス)を払うことを要求するよう奨励される。 (思春期の子どもの権利 後編に続く) 更新履歴:ページ作成(2016年12月25日)。
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子どもの権利委員会・一般的討議勧告:人権擁護者としての子どもの保護およびエンパワーメント 一般的討議勧告一覧 (第79会期、2018年) 原文:英語 日本語訳:平野裕二 5.勧告 DGD〔一般的討議日〕の討議に基づき、委員会は、人権擁護者である子どもの保護およびエンパワーメントを強化するための指針を締約国その他の関係者に提示することを目的として、以下の勧告への支持を表明する。これらの勧告は、主に第一義的な義務を負う主体である国に宛てられたものだが、国内人権機関、委員会および国連、市民社会、メディア、民間セクターならびに大人の役割についても考慮している。 5.1 国 5.1.1 一般的勧告 国は、人権擁護者である子どものため、これらの子どもが、自己の権利に関連するすべての事柄について、進んで、全面的にかついかなる恐怖も感じることなく意見を表明できる安全な空間をつくりだすためにあらゆる適切な措置をとるべきである。国は、人権擁護者である子どもを、いかなる形態の脅迫もしくは報復またはこのような脅迫もしくは報復の恐怖からも保護することが求められる。 国は、人権擁護者である子どもの意見が、これらの子どもに影響を与えるすべての事柄についての意思決定過程で正当に考慮されることを確保するべきである。 国は、人権擁護者である子どもの家族に対し、人権擁護者である子どもの保護およびエンパワーメントに際して役割を果たすための支援を提供するべきである。 国は、保護のための措置が、人権擁護者である子どもの活動範囲(オンライン空間におけるものを含む)を狭めるために利用されないことを確保するべきである。 5.1.2 立法、政策および実施 国は、人権擁護者(人権擁護者である子どもを含む)の保護およびエンパワーメントに関する包括的な法律および政策を策定しかつ採択するべきである。その際には、脆弱な状況にある子ども(人道状況下にある子ども、代替的養護を受けている子ども、先住民族の子どもおよび障害のある子どもを含む)にとくに注意を払いながら、ジェンダーおよび年齢に配慮したアプローチを統合することが求められる。国は、国内法の枠組みにおいて条約が遵守され、かつ子どもが人権擁護者として自由に行動することが認められることを確保するべきである。 国内法は、人権擁護者である子どもの意見に基づいて策定され、かつこれらの意見を包摂するべきである。国は、法律案を作成するにあたり、子どもたちを代表するグループ、子ども主導の団体および子ども参加のための機構(子ども議会など)と協議し、かつその勧告および要望を考慮することが求められる。 国は、必要な人的資源、技術的資源および財源を配分することにより、人権擁護者である子どものための法律および政策が効果的に実施されることを確保するべきである。 5.1.3 表現の自由および意思決定への参加 国は、人権擁護者である子どもが、自己の意見を表明し、かつ意思決定過程に参加できるように具体的、包括的かつ適切な情報を受け取ることを確保するべきである。国は、さまざまな手段(インターネットを含む)によって、すべての子どもを対象として無償のかつアクセスしやすい情報が提供されることを確保するよう求められる。 国は、脆弱な状況にある人権擁護者である子ども(障害のある子ども、人道状況下にある子ども、代替的養護を受けている子ども、貧困下で暮らしている子どもならびにマイノリティおよび先住民族である子どもを含む)も、自己の見解を自由に表明でき、かつ、自己に関わるすべての事柄への積極的参加を容易にするためのジェンダーおよび年齢にふさわしい支援を提供されることを確保するべきである。 国は、子ども議会および子ども参加のための他のあらゆる機関が、明確なかつ意味のある権限ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を与えられ、かつ、差別なくすべての子どもにとってアクセス可能でありかつ包摂的であることを確保するべきである。 5.1.4 教育 国は、人権擁護者としての子どものエンパワーメントにおいて教育が果たす役割を認識するとともに、普遍的な、無償のかつ質の高い教育を確保するためにあらゆる適切な措置をとるべきである。 国は、子どもが人権教育(子どもの権利および人権擁護者に関する国連宣言についての教育を含む)を受けることを確保するべきである。 国は、子どもが自己を表現し、自分の見解を発展させ、他人に耳を傾け、かつ主体的市民になることを学ぶ学習プロセスのきわめて重要な構成要素として、学校における子ども参加を確保するべきである。 学校カリキュラムにおいては、子どものエンゲージメントおよび子どもの前向きな人生設計を図ることが目指されるべきである。学校カリキュラムは、子どもたちの現実に関連したものであるべきであり、かつ、子どもたちが置かれた文脈およびそのニーズにあわせて恒常的に更新されるものであることが求められる。 国は、教育に紛争管理ツールが含まれ、かつ、非暴力的なやり方による対立(いじめおよびハラスメントなど)の解決が子どもたちに教えられることを確保するべきである。学校職員は、肯定的な、非暴力的なかつ参加型の形態の教育および規律維持を行なうための適切な研修を受けるべきであり、かつ、子ども同士の暴力に対処するために懲罰的措置だけを用いることはないようにすることが求められる。 5.1.5 環境 国は、環境問題に関する勧告に取り組み、かつそのような勧告を行なう環境人権擁護者である子どものために、安全でエンパワーメントにつながる環境を提供するべきである。 国は、環境人権擁護者である子どもに関する肯定的な言説(メディアにおけるものを含む)を促進するとともに、環境政策および環境プログラムの決定および実施に子どもおよび若者が参加するための便宜を図るべきである。 国は、環境人権擁護者である子ども(土地権、汚染、気候変動および天然資源へのアクセスについて取り組んでいる子どもを含む)が脅迫、ハラスメントおよび暴力から保護されることを確保するべきである。 国は、環境人権擁護者である子どもが組織する活動(広報および意識啓発の取り組みなど)を支援するとともに、このような子どもによるメディアへのアクセスの便宜を図るべきである。 5.1.6 オンラインへのアクセスおよびオンラインでの保護 国は、人権擁護者である子どものために、安全で自己の可能性を発揮できるオンライン空間(安全なオンライン・プラットフォームへのアクセスを含む)およびオンラインでの安全に関するトレーニングを提供するべきである。 国は、インターネット・プロバイダおよびインターネット企業がすべての子どもを対象とする接続可能性およびアクセス可能性を推進すること、ならびに、安全な環境が(障害のある子どもにとっても)明確でありかつアクセス可能であることを確保するべきである。 国は、情報通信テクノロジー企業に対し、オンラインにおける子どもの保護のための取り組みおよびツールの開発およびモニタリングに子どもたちの関与を得ることを奨励するべきである。 5.1.7 救済機構へのアクセス 国は、人権擁護者である子どもが、人権侵害の苦情を報告しかつ申し立てる目的で、国レベルおよび国際的レベルの子どもにやさしい苦情申立て機構にアクセスできることを確保するべきである。 国は、人権擁護者である子どもが、自己の人権の侵害に関する苦情を委員会に提出して実効的救済を求められるようにするため、通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書の批准を検討するべきである。 5.1.8 委員会への報告 国は、委員会に対する定期報告書において、人権擁護者である子どもの状況ならびにこれらの子どもの保護およびエンパワーメントのためにとった措置についての情報を提供するべきである。 国は、委員会に対する締約国報告書の作成に、人権擁護者である子どもが自由に参加する機会を奨励しかつ提供するべきである。 国は、委員会に対する報告プロセスへの子どもの参加を妨害し、またはこのような参加に干渉するべきではない。 5.2 子どもオンブズパーソンおよび国内人権機関 子どもオンブズパーソンおよび国内人権機関は、自己の任務および行なっている活動についての情報を、人権擁護者である子どもの間で普及するべきである。 子どもオンブズパーソンおよび国内人権機関は、人権擁護者である子どもといっそう緊密に協働するよう奨励される。 子どもオンブズパーソンおよび国内人権機関は、人権擁護者である子どもが人権侵害について報告しかつ救済を求めることを支援するべきである。 5.3 子どもの権利委員会 委員会は、締約国に対し、人権擁護者である子どもを保護するための法律を策定し、採択しかつ実施すること、および、そのような法律の策定および実施へのこれらの子どもの参加を確保することを勧告するべきである。 委員会は、引き続き、人権擁護者である子どもとのコミュニケーション回路を拡大するとともに、委員会の報告プロセスがすべての子ども(周縁化された集団の子どもを含む)にとってアクセスしやすいものとなることを確保するためにさらなる努力を行なうべきである。 委員会は、人権擁護者である子どもの保護およびエンパワーメントを国内法および国際政策に統合する方法について各国に指針を示すにあたり、人権擁護者の状況に関する特別報告者との協力を強化するべきである。 委員会は、望ましい実践、ならびに、条約およびその選択議定書の効果的実施に対するこれらの子どもの貢献を認知することにより、人権擁護者である子どもに関する肯定的な言説を促進するべきである。 5.4 国際連合 国際連合は、人権擁護者である子どもに対し、これらの子どもが国連人権システムに効果的に関与できるようにするための国際連合関連の情報を提供するとともに、子どもたちに対し、子どもが理解できる言語および形式で、年齢にふさわしい時宜を得た情報を提供するべきである。 国際連合は、子どもの権利に関連する活動への人権擁護者である子どもの参加を促進するとともに、直接のまたはバーチャルな子どもの関与を容易にするための、子どもにやさしいプラットフォームおよびプロセスを整備するべきである。 条約機関は、報告書の提出および会合への参加等を通じ、締約国〔報告書〕の審査への人権擁護者である子どもの参加を促進するよう奨励される。 条約機関は、締約国に対し、人権擁護者である子どもの保護およびエンパワーメントのための法律を採択する必要性を強調する勧告を行なうよう奨励される。 5.5 市民社会 市民社会は、人権擁護者である子どものエンパワーメントを図り、これらの子どもと協働し、その取り組みを支援し、かつその活動に関する情報を普及するよう奨励される。 市民社会は、子どもの権利および人権擁護者に関する知識を、すべての子どもがアクセス可能な形式も用いながら、さまざまな受け手を対象として促進するべきである。 市民社会は、人権擁護者である子ども(とくに女子)に対する肯定的態度の促進に貢献するべきである。 市民社会は、監視、報告およびアドボカシー活動を含む自らの人権活動への、人権擁護者である子どもの参加を確保するべきである。 市民社会は、人権侵害の報告および救済の追求に関して人権擁護者である子どもを支援するべきである。 市民社会は、人権擁護者である子どもに関与する際、これらの子どもの人権活動に及ぼされるいかなる悪影響も最小限に留めるためにあらゆる警戒措置をとるべきである。市民社会には、人権擁護者である子どもを、いかなる形態の脅迫もしくは報復またはこのような脅迫もしくは報復の恐怖からも保護することを目指すことも求められる。 5.6 メディア メディアは、人権擁護者である子どもの肯定的イメージを促進し、かつ子どもが行なう人権活動について報道するよう奨励される。 5.7 民間セクター 企業およびドナーは、自己の活動が人権擁護者である子どもに対して直接間接に害を及ぼさないことを確保するとともに、関連するときにはこれらの子どもの人権活動を促進するべきである。 企業およびドナーは、地方レベルにおける自らの活動の計画および実施への、人権擁護者である子どもの持続的なかつ意味のある参加を確保するべきである。 5.8 親、家族構成員、コミュニティの構成員および子どもとともにまたは子どものために働く大人 大人は、子どもの権利に関する情報を積極的に求め、子どもの保護およびエンパワーメントにおける自らの義務について学ぶとともに、子どもが人権擁護者として行動するときにはそのことを認識し、かつこれらの子どもたちから示唆を受けるべきである。 大人は、人権擁護者である子どもまたは人権擁護者になりたいと考えている子どもを尊重しかつ支援するべきである。 大人は、人権擁護者である子どもが意見を表明するための空間をつくりだし、意思決定過程へのこれらの子どもの参加を促進し、かつ、自己に影響を与える事柄においてこれらの子どもの意見が正当に考慮されることを確保するべきである。 更新履歴:ページ作成(2020年3月5日)。
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子どもの権利委員会・一般的意見11号:先住民族の子どもとその条約上の権利(1) 一般的意見一覧 子どもの権利委員会 第50会期(2009年1月12日~30日)採択 CRC/C/GC/11(原文英語〔PDF〕) 日本語訳:平野裕二〔日本語訳全文(PDF)〕 目次 はじめに 目的と構成 第30条と国の一般的義務 一般原則 市民的権利および自由 家庭環境および代替的養護 基礎保健および福祉 教育、余暇および文化的活動 特別な保護措置 締約国の義務および条約の実施の監視 はじめに 1.子どもの権利条約の前文で、締約国は「子どもの保護および調和のとれた発達のためにそれぞれの人民の伝統および文化的価値の重要性を正当に考慮」するとしている。条約に掲げられたすべての権利は、先住民族であるか否かに関わらずすべての子どもに適用されるが、子どもの権利条約は、先住民族の子どもへの具体的言及が多くの規定に含まれている、初めての中核的人権条約である。 2.条約第30条は次のように述べている。「民族上、宗教上もしくは言語上の少数者、または先住民が存在する国においては、当該少数者または先住民に属する子どもは、自己の集団の他の構成員とともに、自己の文化を享受し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、または自己の言語を使用する権利を否定されない」 3.さらに、条約第29条は、子どもの教育が、「すべての諸人民間、民族的、国民的および宗教的集団ならびに先住民間の理解、平和、寛容、性の平等および友好の精神の下で、子どもが自由な社会において責任ある生活を送れるようにすること」を目的として行なわれると規定している。 4.条約第17条も、締約国は「マスメディアが、少数者集団に属する子どもまたは先住民である子どもの言語上のニーズをとくに配慮することを奨励する」として、具体的言及を行なっている。 5.条約における先住民族の子どもへの具体的言及は、これらの子どもがその権利を全面的に享受するためには特別な措置が必要とされているという認識を示すものである。子どもの権利委員会は、条約締約国の定期報告書の審査において、先住民族の子どもの状況を一貫して考慮してきた。委員会の見るところ、先住民族の子どもは自己の権利の行使において相当の課題に直面しており、委員会はその総括所見においてその旨の具体的勧告を行なってきている。先住民族の子どもは、条約第2条に反し、保健ケアおよび教育へのアクセスを含むさまざまな分野で深刻な差別を経験し続けており、そのためにこの一般的意見を採択することが必要となったのである。 6.先住民族の子どもの状況およびこれらの子どもが差別を受けない権利への対応においては、子どもの権利条約に加え、さまざまな人権条約が重要な役割を果たしてきた。とくに、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(1965年)、市民的および政治的権利に関する国際規約(1966年)ならびに経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(1966年)がある。 7.独立国における先住民族および種族民に関する国際労働機関第169号条約(1989年)には、先住民族の権利を前進させる規定が含まれており、かつ、教育の分野における先住民族の子どもの権利が具体的に強調されている。 8.国連人権委員会は2001年に「先住民族の人権および基本的自由の状況に関する特別報告者」を任命し、これはその後2007年に人権理事会によって追認された。同理事会は、特別報告者に対し、先住民族の子どもの状況に特段の注意を払うよう要請してきており、特別報告者の年次報告書および現地訪問報告書に掲げられたいくつかの勧告では、これらの子どもの具体的状況に焦点が当てられている。 9.2003年、国連・先住民族問題に関する常設フォーラムは先住民族の子どもと若者をテーマとする第2会期を開催した。同じ年、子どもの権利委員会は、恒例の一般的討議を開催して先住民族の子どもの権利について取り上げ、主として締約国を、しかし国連機関、人権機構、市民社会、ドナー、世界銀行および地域開発銀行も対象とする具体的勧告を採択した。 10.2007年、国連総会は「先住民族の権利に関する宣言」〔市民外交センター仮訳(PDF)〕を採択した。同宣言は、多くの分野で先住民族の子どもの権利に具体的に言及していることを含め、先住民族の権利に関する重要な指針を提供するものである。 目的と構成 11.子どもの権利条約で規定されている先住民族の子どもの権利に関するこの一般的意見は、これまでに概観した法的発展および取り組みを参考にしたものである。 12.この一般的意見の第一義的目的は、各国に対し、先住民族の子どもとの関連で自国の条約上の義務をどのように実施したらいいかという点に関する指針を提供するところにある。委員会がこの一般的意見の基盤としているのは、先住民族の子どもとの関連で条約の規定を解釈してきた自らの経験である。さらに、この一般的意見は、先住民族の子どもに関する2003年の一般的討議後に採択された勧告をもととし、先住民族の子ども自身を含む関係者との協議のプロセスを反映している。 13.この一般的意見は、先住民族の子どもが自己の権利を全面的に享受できることを阻害する具体的課題について探求し、かつ、先住民族の子どもの権利の効果的行使を保障するために国がとる必要のある特別な措置を浮き彫りにしようとするものである。この一般的意見ではさらに、望ましい実践を奨励し、かつ先住民族の子どもを対象とした権利の実際的実施における積極的アプローチを強調しようと試みている。 14.条約第30条ならびに文化、宗教および言語の享受に対する権利が、この一般的意見の主要な要素である。しかしその目的は、先住民族の子どもとの関連で実施するさいに特段の注意が必要とされるさまざまな規定について探求するところにある。とくに重視されるのは、関連する規定同士の相互関係、とりわけ委員会が特定した条約の一般原則(すなわち差別の禁止、子どもの最善の利益、生命、生存および発達に対する権利ならびに意見を聴かれる権利)との関係である。 15.委員会は、条約ではマイノリティの子どもおよび先住民族の子どもの両方に言及されていることに留意するものである。この一般的意見で言及している内容の一部はマイノリティ集団の子どもにも関連する場合があり、委員会は今後、マイノリティ集団に属する子どもの権利について具体的に述べた一般的意見を作成する可能性がある。 第30条と国の一般的義務 16.委員会は、子どもの権利条約第30条と市民的および政治的権利に関する国際規約第27条との緊密なつながりを想起するものである。いずれの規定も、自己の集団の他の構成員とともに、自己の文化を享受し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、または自己の言語を使用する権利をとくに定めている。ここで確立された権利は個人的権利でも集団的権利でもあるととらえられており、先住民族の文化における集団的伝統および価値を認めた重要な規定である。委員会は、先住民族同士で文化的権利を行使する権利が、伝統的領域の使用および当該領域の資源の利用と密接に関係する場合があること[1]に留意する。 [1] 自由権規約委員会・第27条に関する一般的意見23号(CCPR/C/Rev.1/Add.5、1994年)、パラ3.2、7、ならびに子どもの権利委員会・先住民族の子どもに関する一般的討議勧告(2003年)、パラ4。 17.第30条は否定的文言で表現されているが、にも関わらず、同条は「権利」の存在を認め、かつその権利が「否定されない」ことを要求している。したがって、締約国には、この権利の存在および行使が否定されまたは侵害されることのないよう保護されることを確保する義務があるのである。委員会は、締約国自身の行為(立法機関、司法機関または行政機関のいずれによるものであるかは問わない)のみならず、締約国内の他の者の行為にも対抗するための積極的な保護措置が必要であるという点について、自由権規約委員会[2]と見解を一にするものである。 [2] 自由権規約委員会・第27条に関する一般的意見23号(CCPR/C/Rev.1/Add.5、1994年)、パラ6.1。 18.この文脈において、委員会はまた、先住民族の際立った文化、歴史、言語および生活様式を、国の文化的アイデンティティを豊かにするものとして、かつその保全を促進する目的で認識しかつ尊重するよう締約国に求めている点について、人種差別撤廃委員会も支持するものである[3]。 [3] 人種差別撤廃委員会・先住民族に関する一般的勧告23号(1997年、A/52/18 Annex V所収)。 19.先住民族の存在は自己認識によって確定されるのであり、これは先住民族の存在について判断する基本的基準である[4]。先住民族がその権利を行使するためには締約国が先住民族を公式に承認しなければならないという要件は存在しない。 [4] 独立国における先住民族および種族民に関するILO第169号条約第1条2項。 20.締約国報告書を審査してきた経験にもとづいて子どもの権利委員会が見るところによれば、多くの締約国は、条約上の自国の義務を実施するにあたり、先住民族の子どもの権利およびこれらの子どもの発達の促進に対して十分な注意を向けていない。先住民族の子どもを保護するために立法および政策を通じてとる特別措置は、当該コミュニティと協議しながら[5]、かつ条約第12条で定められているとおり協議のプロセスに子どもの参加を得ながら、とられるべきであると委員会は考える。委員会は、締約国の公的機関その他の機関が、文化的に適切であり、すべての当事者に情報の入手可能性が保障され、かつ双方向的なコミュニケーションおよび対話が確保されるような方法で、積極的に協議を行なうべきであると考えるものである。 [5] ILO第169号条約第2条、第6条、第27条。 21.委員会は、締約国に対し、条約の実施において第30条に十分な注意が向けられることを確保するよう促す。締約国は、条約に基づく定期報告書において、先住民族の子どもが第30条で定められた権利を享受できるよう保障するためにとられた特別措置についての詳しい情報を提供するべきである。 22.委員会は、条約第30条に定められた文化的慣行は条約の他の規定にしたがって実践されなければならないのであり、子どもの尊厳、健康および発達にとって有害であると見なされる場合にはいかなる状況下でも正当化できないことを、強調する[6]。有害な慣行、とくに早期婚および女性性器切除が存在するのであれば、締約国は、その根絶を確保するために先住民族コミュニティと協働するべきである。委員会は、締約国に対し、態度の変革を目的とした意識啓発キャンペーン、教育プログラムおよび立法を発展させかつ実施するとともに、有害な慣行を助長するジェンダー上の役割およびステレオタイプに対応するよう、強く促す[7]。 [6] UNICEF Innocenti Digest No. 11, Ensuring the Rights of Indigenous Children, 2004, p.7. [7] 子どもの権利委員会・「思春期の健康」に関する一般的意見4号(2003年)、パラ24。 一般原則 (条約第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 23.第2条は、自国の管轄内にある子ども一人ひとりの権利を、いかなる種類の差別もなく確保する締約国の義務を定めている。差別の禁止は、委員会によって、条約に掲げられたあらゆる権利の実施にとって基本的重要性を有する一般原則のひとつに挙げられてきた。先住民族の子どもは、差別から自由である不可譲の権利を有する。子どもを差別から効果的に保護するため、差別の禁止の原則がすべての国内法に反映されること、ならびに、それが司法機関および行政機関を通じて直接に適用され、かつ適切に監視および執行されうることを確保することは、締約国の義務である。効果的な救済措置が時宜を得て提供され、かつアクセス可能であるようにすることが求められる。委員会は、締約国の義務は公的部門のみならず民間部門にも及ぶことを強調するものである。 24.以前に実施に関する一般的措置についての委員会の一般的意見5号で述べられたように、差別の禁止の義務は、各国に対し、権利を認めかつ実現するために特別な措置が必要となる可能性がある子ども個人および子どもの集団を積極的に特定することを要求している。たとえば委員会は、とくに、差別または潜在的差別が特定できるように細分化されたデータ収集の必要性を強調してきた。差別に対応するためには、さらに、立法、行政および資源配分の変更ならびに態度を変革するための教育上の措置が必要になる可能性もある[8]。 [8] 子どもの権利委員会・「実施に関する一般的措置」についての一般的意見5号(2003年)、パラ12。 25.委員会は、多数の締約国報告書の審査を通じ、差別の原因となる状況を解消することおよびこのような子どもが他の子どもと平等な水準で条約の権利を享受できるようにすることを目的とした積極的措置を必要とする子どもに、先住民族の子どもも含まれることに留意する。締約国はとくに、先住民族の子どもが保健、栄養、教育、レクリエーションおよびスポーツ、社会サービス、居住、衛生ならびに少年司法の分野で文化的に適切なサービスにアクセスできることを確保するため、特別措置の適用を検討するよう促されるところである [9]。 [9] 先住民族の子どもの権利に関する一般的討議(2003年)の勧告、パラ9。 26.締約国がとることを要求される積極的措置のひとつに、先住民族の子どもの差別が現に存在するまたはその可能性がある分野を特定する目的で細分化されたデータを収集することおよび指標を開発することがある。先住民族の子どもの権利の享受に関わる欠陥および障壁を特定することは、立法、資源配分、政策およびプログラムを通じて適切な積極的措置を実施するために不可欠である [10]。 [10] 前掲勧告、パラ6。 27.締約国は、先住民族の子どもの差別に対処するために広報措置および教育上の措置がとられることを確保するべきである。条約第17条、第29条第1項(d)および第30条とあわせて解釈した場合の第2条に基づく義務により、各国は、先住民族の子どもの権利、および、差別的な態度および慣行(人種主義を含む)の解消に焦点を当てた広報キャンペーン、配布用資料および教材(学校教材および専門家向け教材の双方)を発展させることを要求される。締約国はさらに、先住民族の子どもおよび先住民族ではない子どもが異なる文化、宗教および言語を理解しかつ尊重するための、意味のある機会を提供するべきである。 28.委員会に提出する定期報告書において、締約国は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画との関連で先住民族の子どもの差別に対処するためにとった措置およびプログラムを明らかにするべきである [11]。 [11] 先住民族の子どもの権利に関する一般的討議(2003年)の勧告、パラ12。 29.特別措置の立案にあたり、締約国は、多面的な差別に直面している可能性がある先住民族の子どものニーズを考慮するとともに、農村部および都市部の先住民族の子どもが置かれている異なる状況も考慮に入れるべきである。女子が男子との平等を基礎としてその権利を享受することを確保するために、女子に対して特別な注意を払うことが求められる。締約国はさらに、特別措置において、障害のある先住民族の子どもの権利への対応が行なわれることを確保するべきである [12]。 [12] 障害のある人の権利に関する条約前文。国連・先住民族の権利に関する宣言(A/RES/61/295)〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第21条および第22条。 子どもの最善の利益 30.先住民族の子どもに対して子どもの最善の利益の原則を適用する際には、特段の注意が必要である。委員会は、子どもの最善の利益は集団的権利としても個人的権利としてもとらえられていること、および、この権利を集団としての先住民族の子どもに適用する際にはこの権利が集団的文化権とどのように関連しているかについて検討する必要があることに、留意する。先住民族の子どもについては、本来対象とされるべき別個の検討が常に行なわれるわけではない。場合によっては、先住民族の子どもの特有な状況が、先住民族にとってのより幅広い関心事に関わるその他の問題(土地に関わる権利および政治的代表のあり方を含む)によって曖昧にされることもあった [13]。子どもの場合、集団の最善の利益を優先させることによって子どもの最善の利益をないがしろにしまたは侵害することはできない。 [13] UNICEF Innocenti Digest No. 11, Ensuring the Rights of Indigenous Children, 2004, p.1. 31.立法機関を含む国の機関がある先住民族の子どもの最善の利益を評価しようとするときは、先住民族であるその子どもの文化的権利、および、これらの権利を自己の集団とともに集団的に行使する必要性を考慮することが求められる。先住民族の子ども一般に影響を及ぼす立法、政策およびプログラムに関しては、先住民族コミュニティが協議の対象とされるべきであり、かつ、先住民族の子ども一般の最善の利益を文化的配慮のある方法でどのように決定できるかのプロセスに参加する機会を与えられるべきである。このような協議には、可能なかぎり、先住民族の子どもの意味のある参加が含められるべきである。 32.委員会は、子ども個人の最善の利益と集団としての子どもたちの最善の利益が異なる場合もあると考える。子ども個人に関する決定、典型的には裁判所による決定または行政決定においては、第一義的関心事となるのは特定の子どもの最善の利益である。しかし、子どもの集団的文化権を考慮することは、その子どもの最善の利益を判断することの一部である。 33.子どもの最善の利益の原則は、国に対し、自分たちの決定および行動が子どもの権利および利益にとってどのような意味合いを持つかを検討することによってこの原則を体系的に適用する立法制度、行政制度および司法制度全体を通じ、積極的措置をとることを要求する [14]。先住民族の子どもの権利を効果的に保障するため、このような措置には、子どもの最善の利益について判断するにあたり集団的文化権を考慮することの重要性について、関連する専門職の研修および意識啓発を行なうことが含まれよう。 [14] 子どもの権利委員会・「実施に関する一般的措置」についての一般的意見5号(2003年)、パラ12。 生命、生存および発達に対する権利 34.委員会は、人口比に照らして不相当に多くの先住民族の子どもが極度の貧困、すなわちその生存および発達に悪影響を及ぼす条件下で暮らしていることに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、先住民族の子どもの乳幼児死亡率の高さならびに栄養不良および疾病の多さを懸念するものである。第4条は、締約国に対し、利用可能な資源を最大限に用いて、かつ必要な場合には国際協力を得て、経済的、社会的および文化的権利に対応するよう義務づけている。第6条および第27条は、生存および発達ならびに十分な生活水準に対する子どもの権利を定めている。国は、とくに栄養、衣服および住居に関して文化的に適切な物質的援助および支援のプログラムを提供することにより、親および先住民族の子どもに責任を負う他の者によるこの権利の実施を援助するべきである。委員会は、先住民族の子どもが十分な生活水準に対する権利を享受すること、および、これに関する措置が、進展を測定するための指標とあわせて、子どもを含む先住民族とのパートナーシップに基づいて発展させられることを確保するため、締約国が特別措置をとることの必要性を強調する。 35.委員会は、子どもの発達とは「ホリスティックな概念であり、子どもの身体的、精神的、霊的、道徳的、心理的および社会的発達を包含するものである」という、一般的意見5号で述べた理解 [15] をあらためて繰り返す。条約前文は、とくに子どもの保護および調和のとれた発達に言及しながら、各人〔ママ、条約では「各人民」〕の伝統および文化的価値の重要性を強調している。先住民族の子どものコミュニティが伝統的生活様式を維持している場合、伝統的土地の使用は、子どもの発達および文化の享受にとって相当の重要性を有する。締約国は、生命、生存および発達に対する子どもの権利を可能なかぎり最大限に確保しつつ、伝統的土地および自然環境の質の重要性を緊密に考慮するべきである。 [15] 前掲。 [16] UNICEF Innocenti Digest No. 11, Ensuring the Rights of Indigenous Children, 2004, p.8. 36.委員会は、ミレニアム開発目標(MDG)の重要性を再確認するとともに、各国に対し、先住民族の子どもとの関連でMDGの全面的実現を確保するため、子どもを含む先住民族と交流するよう求める。 子どもの意見の尊重 37.委員会は、第12条との関連で、自己の意見を表明する個人としての子どもの権利と、自分たちに関係する事柄についての協議に子どもたちが集団として関与できるようにする、集団的に意見を聴かれる権利との間には違いがあると考える。 38.先住民族の子ども個人との関連では、締約国には、自己に影響を与えるすべての事柄について直接または代理人を通じて自己の意見を表明し、かつこの意見を子どもの年齢および成熟度にしたがって正当に重視される子どもの権利を尊重する義務が存する。この義務はいかなる司法上または行政上の手続においても尊重されなければならない。先住民族の子どもによるこの権利の行使を妨げる障壁を考慮し、締約国は、子どもの自由な意見表明を奨励する環境を提供するべきである。意見を聴かれる権利には、代理人を指名する権利、文化的に適切な通訳および意見を表明しない権利も含まれる。 39.この権利が集団としての先住民族の子どもたちに適用される場合、締約国は、このような子どもたちの参加を促進するうえで重要な役割を果たすのであり、このような子どもたちが自分たちに影響を与えるすべての事柄について協議の対象とされることを確保するべきである。締約国は、このような子どもたちの参加が効果的なものであることを保障するための特別戦略を立案するよう求められる。締約国は、この権利がとくに学校環境、代替的養護の現場およびコミュニティ一班で適用されることを確保するべきである。委員会は、締約国に対し、条約実施のためのプログラム、政策および戦略を策定、実施および評価するために先住民族の子どもおよびそのコミュニティと緊密に協働するよう勧告する。 市民的権利および自由 (条約第7条、第8条、第13~17条、第19条および第37条(a)) 情報へのアクセス 40.委員会は、条約第17条(d)および第30条にしたがい、メディアが先住民族の子どもの言語的ニーズにとくに配慮することの重要性を強調する。委員会は、締約国に対し、先住民族の子どもが自分自身の言語によるメディアにアクセスできることを支援するよう奨励するものである。委員会は、先住民族の子どもが意見を聴かれる権利を効果的に行使できるようにするため、情報(自分自身の言語によるものを含む)にアクセスするこのような子どもの権利を強調する。 出生登録、国籍およびアイデンティティ 41.締約国は、すべての子どもが出生後直ちに登録されることおよび国籍を取得することを確保する義務を負う。出生登録は無償であり、かつすべての人にとってアクセス可能であるべきである。委員会は、先住民族の子どもが先住民族ではない子供よりも出生登録されないままであることが多く、かつ無国籍となるおそれが大きいことを懸念する。 42.したがって、締約国は、先住民族の子ども(遠隔地に住んでいる子どもを含む)が滞りなく登録されることを確保するために特別措置をとるべきである。関係コミュニティとの協議後に合意されるべきこのような特別措置には、移動班を設けること、定期的に出生登録キャンペーンを行なうこと、またはアクセスしやすさを確保するために先住民族コミュニティ内で出生登録所を指定することなどが含まれうる。 43.締約国は、出生登録の重要性、および、出生登録の欠如が登録されていない子どもにとっての他の権利の享受に悪影響を及ぼす可能性について、先住民族コミュニティが十分な情報を提供されることを確保するべきである。締約国は、先住民族コミュニティが自分たち自身の言語でこの旨の情報を入手できること、および、関係コミュニティと協議しながら公的意識啓発キャンペーンが行なわれることを確保するよう求められる [17]。 [17] UNICEF Innocenti Digest No. 11, Ensuring the Rights of Indigenous Children, 2004, p.9. 44.さらに、条約第8条および第30条を考慮し、締約国は、先住民族の子どもが、その文化的伝統およびアイデンティティを維持する権利にしたがい、その親が選択する先住民族名を得られることを確保するべきである。締約国は、先住民族の親が自分の子どもに望みの名前を選べる旨を定めた国内法を設けることが求められる。 45.委員会は、子どもがそのアイデンティティの要素の一部または全部を違法に剥奪された場合、そのアイデンティティを速やかに回復するために適当な援助および保護が提供されなければならないことを確認した条約第8条第2項に、各国の注意を喚起する。委員会は、締約国に対し、国連・先住民族の権利に関する宣言〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第8条を念頭に置くよう奨励するものである。そこでは、先住民族(子どもを含む)の民族的アイデンティティを剥奪するいかなる行為をも防止し、かつそのような行為に対して救済措置を与えるための効果的機構が用意されなければならないと定められている。 家庭環境および代替的養護 (条約第5条、第18条(第1~2項)、第9~11条、第19~21条、第25条、第27条(第4項)および第39条) 46.条約第5条は、締約国に対し、親、または適用可能な場合には拡大家族もしくはコミュニティの構成員が、この条約で認められた権利を子どもが行使するにあたって、子どもの能力の発達と一致する方法で適当な指示および指導を行なう責任、権利および義務を尊重するよう求めている。締約国は、条約第3条、第5条、第18条、第25条および第27条第3項にしたがい、先住民族の家族およびコミュニティが子ども養育責任を果たすのを援助することによってこのような家族およびコミュニティの一体性を保護するために、効果的な措置がとられることを確保するべきである。[18] [18] 先住民族の子どもの権利に関する一般的討議(2003年)の勧告、パラ17。 47.締約国は、先住民族の家族およびコミュニティと協力しながら、先住民族の子ども(里親託置および養子縁組の手続中の子どもを含む)の家族状況に関するデータを収集するべきである。このような情報は、先住民族の子どもの家庭環境および代替的養護に関わる政策を文化的に配慮された方法で立案するために活用することが求められる。子どもの最善の利益ならびに先住民族の家族およびコミュニティの一体性を維持することは、先住民族の子どもに影響を及ぼす発達プログラム、社会サービス・プログラム、保健プログラムおよび教育プログラムにおいて第一義的に考慮されるべきである。[19] [19] 前掲。 48.さらに、国は常に、先住民族の子どもが代替的養護に措置されるいかなる事案においても子どもの最善の利益の原則が至高の考慮事項とされることを確保し、かつ、条約第20条第3項にしたがい、子どもの養育に継続性が望まれることについて、ならびに子どもの民族的、宗教的、文化的および言語的背景について正当な考慮を払うべきである。家庭環境から分離される子どものなかで先住民族の子どもが過度に多い締約国では、代替的養護の対象とされる先住民族の子どもの人数を減らし、かつその文化的アイデンティティの喪失を防止するため、先住民族コミュニティと協議しながら、とくに対象を明確にした政策措置を策定することが求められる。具体的には、先住民族の子どもがコミュニティ外へ措置されるときは、締約国は、その子どもが自己の文化的アイデンティティを維持できることを確保するために特別措置をとるべきである。 基礎保健および福祉 (条約第6条、第18条(第3項)、第23条、第24条、第26条および第27条(第1~3項)) 49.締約国は、すべての子どもが到達可能な最高水準の健康を享受し、かつ保健ケア・サービスにアクセスできることを確保しなければならない。先住民族の子どもは、とくに保健ケア・サービスが劣等であるためまたは保健サービスにアクセスできないために、先住民族ではない子どもよりも健康状態が悪いことがしばしばある。委員会は、締約国報告書の審査に基づき、これが先進国にも開発途上国にも当てはまることに懸念とともに留意するものである。 50.委員会は、締約国に対し、到達可能な最高水準の健康の享受に関して先住民族の子どもが差別されないことを確保するために特別措置をとるよう促す。委員会は、先住民族の子どもの死亡率が高いことを懸念するとともに、締約国には、先住民族の子どもが保健サービスに平等にアクセスできることを確保し、かつ栄養不良ならびに乳幼児、子どもおよび妊産婦の死亡と闘う積極的義務があることに留意するものである。 51.締約国は、先住民族の子どもが保健ケア・サービスに養育にアクセスできることを確保するために必要な措置をとるべきである。保健サービスは、可能なかぎりコミュニティを基盤とし、かつ関係民族と協力しながら計画および運営することが求められる [20]。保健ケア・サービスが文化的配慮を備えたものであることおよび当該サービスに関する情報が先住民族の原語で利用可能とされることを確保するため、特別の考慮がなされるべきである。農村部および遠隔地もしくは武力紛争地域に居住している先住民族、ならびに、移住労働者、難民または避難民である先住民族を対象として保健ケアへのアクセスを確保することに、特段の注意を払うことが求められる。締約国はさらに、障害のある子どものニーズに特別な注意を払い、かつ関連のプログラムおよび政策が文化的に配慮したものとなることを確保するべきである [21]。 [20] ILO第169号条約第25条第1項および第2項。 [21] 子どもの権利委員会・「障害のある子どもの権利」に関する一般的意見9号(2006年)。 52.先住民族コミュニティ出身の保健ケアワーカーおよび医療スタッフは、伝統的医療と通常の医療サービスとの懸け橋として機能することによって重要な役割を果たすのであって、地元の先住民族コミュニティのワーカーの雇用が優先されるべきである [22]。締約国は、通常医療が先住民族コミュニティによってその文化および伝統に目配りしたやり方で活用されることを可能にするため、必要な手段および訓練を提供することによってこのようなワーカーの役割を奨励することが求められる。この文脈において、委員会は、伝統的医療に対する先住民族の権利についてのILO第169号条約第25条第2項ならびに国連・先住民族の権利に関する宣言〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第24条および第31条を想起するものである [23]。 [22] ILO第169号条約第25条第3項。 [23] 国連・先住民族の権利に関する宣言(A/RES/61/295)〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第24条および第31条。 53.国は、先住民族の子ども、家族およびそのコミュニティが、栄養、母乳育児、産前産後のケア、子どもおよび青少年の健康、予防接種、感染症(とくにHIV/AIDSおよび結核)、個人衛生、環境衛生ならびに農薬および除草剤の危険性など、健康および予防ケアに関わる問題についての情報および教育を受けることを確保するために、あらゆる合理的措置をとるべきである。 54.思春期の健康に関して、締約国は、性および生殖に関する情報およびサービス(家族計画および避妊法、若年妊娠の危険性、HIV/AIDSの予防ならびに性感染症(STI)の予防および治療に関するものを含む)に先住民族の青少年がアクセスできるようにするため、具体的戦略を検討するべきである。委員会は、締約国に対し、この目的のため、HIV/AIDSと子どもの権利に関する一般的意見3号(2003年)および思春期の健康に関する一般的意見4号(2003年)を考慮に入れるよう勧告する。 [24] 子どもの権利委員会・「HIV/AIDSと子どもの権利」に関する一般的意見3号(2003年)および「思春期の健康」に関する一般的意見4号(2003年)。 55.一部の締約国では、先住民族の子どもの自殺率が先住民族ではない子どもよりも有意に高い。このような状況にある締約国は、影響を受けているコミュニティとの協議の後、予防的措置のための政策を立案および実施し、かつ、先住民族の子どもの精神保健ケアに対して追加的財源および人的資源が文化的に適切な方法で配分されることを確保するべきである。根本的原因を分析しかつそれと闘うため、締約国は先住民族コミュニティとの対話を確立および維持することが求められる。 教育、余暇および文化的活動 (条約第28条、第29条および第31条) 56.条約第29条は、すべての子どもの教育の目的が、他の目標のなかでもとくに、子どもの文化的アイデンティティ、言語および価値ならびに自己の文明と異なる文明の尊重を発展させることを志向するべきであると定めている。さらなる目標には、すべての諸人民、民族的、国民的および宗教的集団ならびに先住民族出身者の間の理解、平和、寛容、性の平等および友好の精神の下で、子どもが自由な社会において責任ある生活を送れるようにすることも含まれている。教育の目的はすべての子どもの教育に適用されるのであり、締約国は、これらの目的がカリキュラム、教材の内容、教授法および政策に十分に反映されることを確保するべきである。締約国は、さらなる指針として、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号 [25] を参照するよう奨励される。 [25] 子どもの権利委員会・「教育の目的」に関する一般的意見1号(2001年)。 57.先住民族の子どもの教育は、その個人としての発達およびコミュニティの発展にも、より幅広い社会へのこのような子どもの参加にも寄与する。良質な教育は、先住民族の子どもが、個人的利益のためにかつコミュニティの利益のために経済的、社会的および文化的権利を行使および享受することを可能とする。さらに、人権の保護の向上のために政治的政策プロセスに影響を与えるべく市民的権利を行使する子どもの能力も強化される。このように、教育に対する先住民族の子どもの権利を実施することは、個人のエンパワーメントおよび先住民族の自決を達成する不可欠な手段である。 58.教育の目的が条約と一致することを確保するため、締約国は、条約第2条に掲げられたあらゆる形態の差別から子どもを保護することおよび人種主義と積極的に闘うことについて責任を負う。この義務は、先住民族の子どもとの関係でとりわけ妥当するところである。この義務を効果的に実施するため、締約国は、カリキュラム、教材および歴史教科書において先住民族の社会および文化が公正に、正確にかつ豊かな情報とともに描写されることを確保するよう求められる [26]。文化的および伝統的服装の利用の制約のような差別的慣行は、学校現場では回避されるべきである。 [26] ILO第169号条約第31条。国連・先住民族の権利に関する宣言(A/RES/61/295)〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第15条。 59.条約第28条は、締約国が、平等な機会に基づいて初等教育が義務的なものとされかつすべての子どもに対して利用可能とされることを確保しなければならない旨、定めている。締約国は、中等教育および職業教育がすべての子どもにとって利用可能でありかつアクセスできるようにすることを奨励されている。しかし実際には、先住民族の子どもは先住民族でない子どもよりも就学する可能性が低く、かつ中退率および非識字率も依然として高い。ほとんどの先住民族の子どもは、教育上の便益および教員の不十分さ、直接間接の教育費負担、および、第30条にしたがった文化的対応済みの二言語カリキュラムの欠如を含むさまざまな要因により、教育へのアクセスを減殺されている。さらに、先住民族の子どもは学校現場で差別および人種主義に直面することがしばしばある。 60.先住民族の子どもが先住民族ではない子どもと平等な立場で教育への権利を享受できるようにするため、締約国は、そのための一連の特別措置がとられることを確保するよう求められる。締約国は、先住民族の子どもによる教育へのアクセスを向上させることをとくに目的とした政策およびプログラムを実施するため、対象を明確にした金銭的、物質的および人的資源を配分するべきである。ILO第169号条約第27条で定められているように、教育上のプログラムおよびサービスは、関係民族の具体的ニーズに対応するため、当該民族と協力しながら策定および実施することが求められる。さらに、政府は、先住民族が自分たち自身の教育機関および教育施設を設置する権利を認めるべきである(ただし、当該機関が、これらの民族との協議に基づき権限のある公的機関が定めた最低基準を満たすことを条件とする)[27]。国は、先住民族コミュニティが、教育の価値および重要性ならびに就学に対するコミュニティの指示の重要性を認識することを確保するため、あらゆる合理的な努力を行なうよう求められる。 [27] ILO第169号条約第27条。 61.締約国は、先住民族の子どもが暮らしている場所で学校施設に容易にアクセスできることを確保するべきである。必要であれば、締約国は、教育目的のラジオ放送および(インターネットを基盤とした)遠距離教育プログラムのようなメディアの活用を支援し、かつ、遊動生活の伝統を実践している先住民族のために移動学校を設置することが求められる。学校の年間スケジュールは、文化的慣行ならびに農繁期および儀式の期間を考慮に入れ、かつこれらに合わせることを追求するべきである。先住民族コミュニティから離れた寄宿制学校は、先住民族の子ども、とくに女子の就学をためらわせる可能性があるので、締約国は必要な場合にしかこれを設置するべきではない。寄宿制学校は、文化的に配慮された基準を遵守し、かつ定期的監視の対象とされるべきである。また、自分のコミュニティ外で暮らしている先住民族の子どもが、当該民族の文化、言語および伝統を尊重するやり方で教育にアクセスできることを確保するための試みも求められる。 62.条約第30条は、先住民族の子どもが自分自身の言語を使用する権利を定めている。この権利を実施するためには、子ども自身の言語による教育が必要不可欠である。ILO第169号条約第28条は、先住民族の子どもが、国の公用語を自由に操れるようになるための機会を提供される以外に、自分たち自身の言語で読み書きを教えられなければならないことを確認している [28]。二言語のおよび文化横断的カリキュラムは、先住民族の子どもの教育にとって重要な基準である。先住民族の子どもの教員は、可能なかぎり先住民族コミュニティから採用され、かつ十分な支援および訓練を与えられるべきである。 [28] ILO第169号条約第28条。 63.条約第31条に関して、委員会は、スポーツ、伝統的ゲーム、体育およびレクリエーション活動への参加に多くの積極的利益があることに留意し、締約国に対し、先住民族の子どもがこれらの権利の効果的行使を享受することを確保するよう求める。 特別な保護措置 (条約第22条、第38条、第39条、第40条、第37条(b)および(d)、第30条ならびに第32~36条) 武力紛争における子どもおよび難民の子ども 64.締約国報告書の定期的審査を通じ、委員会は、武力紛争の状況または国内不安の状況では先住民族の子どもがとりわけ被害を受けやすい立場に置かれるという結論に達した。先住民族コミュニティは、天然資源のために狙われている地域、または遠隔地にあるため国以外の武装集団の本拠地となっている地域に居住していることが多い。他に、先住民族コミュニティが、複数の国の紛争の対象となっている国境または辺境の付近に居住している状況もある。[29] [29] UNICEF Innocenti Digest No. 11, Ensuring the Rights of Indigenous Children, 2004, p.13. 65.そのような状況下にある先住民族の子どもは、死亡、強姦および拷問、強制避難、非自発的失踪、残虐行為の目撃、ならびに、親およびコミュニティからの別離という結果をもたらす、自己のコミュニティに対する攻撃の被害者となってきたし、そのような被害を受けるおそれに直面し続けている。軍隊および武装集団が学校を攻撃対象とすることによって、先住民族の子どもは教育へのアクセスを否定されてきた。さらに、先住民族の子どもは軍隊および武装集団によって徴用され、時には自分自身のコミュニティに対してさえ残虐行為を行なうことを強要されてきている。 66.条約第38条は、締約国に対し、人道法の規則の尊重を確保すること、文民を保護すること、および、武力紛争の影響を受けている子どもをケアすることを義務づけている。締約国は、敵対行為において先住民族の子どもが直面するリスクに特段の注意を払い、かつ、関係コミュニティと協議しながら最大限の予防措置をとるべきである。先住民族の領域における軍事的活動は可能なかぎり回避されるべきであり、委員会は、この点に関わって、国連・先住民族の権利に関する宣言〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第30条を想起する [30]。締約国は、18歳未満の先住民族の子どもの徴兵を要求するべきではない。締約国は、武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書を批准しかつ実施するよう奨励される。 [30] 国連・先住民族の権利に関する宣言(A/RES/61/295)〔市民外交センター仮訳(PDF)〕第30条。 67.武力紛争への徴用の被害を受けた先住民族の子どもに対しては、家族およびコミュニティへの再統合のために必要な支援サービスが提供されるべきである。条約第39条に一致する形で、締約国は、あらゆる形態の搾取、虐待、拷問または他のあらゆる形態の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰、または武力紛争の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を促進するために、あらゆる適当な措置をとらなければならない。先住民族の子どもの場合、このような対応は、子どもの文化的および言語的背景を正当に考慮しながら進められるべきである。 68.避難民または難民となった先住民族の子どもに対しては、文化的に配慮したやり方で特別な注意を向けかつ人道的援助を提供するべきである。安全な帰還ならびに集団的および個人的財産の回復を促進することが求められる。 経済的搾取 69.条約第32条は、すべての子どもが、経済的搾取から、かつ危険がありもしくはその教育を妨げ、またはその健康または身体的、心理的、精神的、霊的、道徳的もしくは社会的発達にとって有害となるおそれのあるいかなる労働に就くことからも、保護されるべきであると定めている。加えて、ILO第138号条約(最低年齢条約)および第182号条約(最悪の形態の児童労働条約)は、一方で廃止が必要とされる児童労働と、他方で子どもによって行なわれる容認可能な仕事(先住民族の子どもが生計手段を獲得する技能、アイデンティティおよび文化を習得できるようにするための活動を含む)とを峻別するための要素を掲げている。児童労働とは、子どもからその子ども時代、潜在的可能性および尊厳を奪い、かつその身体的および精神的発達にとって有害な労働のことである [31]。 [31] ILO, Handbook on Combating Child Labour among Indigenous and Tribal Peoples, 2006, p.9. 70.子どもの権利条約の諸規定は、薬物の不法な製造および取引における子どもの使用(第33条)、性的搾取(第34条)、子どもの人身取引(第35条)、武力紛争における子ども(第38条)に言及している。これらの規定は、ILO第182号条約に基づく最悪の形態の児童労働の定義と密接に関連するものである。委員会は、先住民族の子どもが、人口比に照らして不相応に貧困の影響を受けており、かつ、児童労働、とくに奴隷制、債務労働、子どもの人身取引(家事労働を目的とするものも含む)、武力紛争における使用、買春および危険な労働のような最悪の形態の児童労働で使用されるおそれがとくに高いことに、重大な懸念とともに留意する。 71.先住民族の子どもの間で生じている搾取的児童労働を(他のすべての子どもの場合と同じように)防止するためには児童労働に対する権利基盤アプローチが必要であり、またこのような防止は教育の推進と密接に関連している。先住民族コミュニティで生じている搾取的児童労働を効果的に解消するため、締約国は、教育を妨げている既存の障壁、ならびに、学校教育および職業訓練に関わる先住民族の子どもの具体的権利およびニーズを特定しなければならない。そのためには、教育の重要性および利益に関して先住民族のコミュニティおよび親との対話を維持するために特別な努力を行なうことが必要である。搾取的児童労働と闘うための措置をとるためには、さらに、子どもの搾取の構造的な根本的原因の分析、データ収集ならびに防止プログラムの立案および実施が必要となる。これは、締約国が財源および人的資源を十分に配分し、かつ先住民族のコミュニティおよび子どもと協議しながら進めなければならない。 性的搾取および人身取引 72.第20条の規定とあわせて考慮されるべき条約第34条および第35条は、国に対し、子どもが性的搾取および虐待から、ならびにいかなる目的による誘拐、売買または取引からも保護されることを確保するよう求めている。委員会は、貧困および都市への移住の影響を受けているコミュニティに属する先住民族の子どもが性的搾取および人身取引の被害者となるおそれが高いことを懸念するものである。若い女子、とりわけ出生時に登録されなかった女子はとくに被害を受けやすい。先住民族の子どもを含むすべての子どもの保護を向上させるため、締約国は、子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書を批准しかつ実施するよう奨励される。 73.国は、子どもを含む先住民族コミュニティと協議しながら防止措置を立案し、かつその実施のために対象を明確にした財源および人的資源を配分するべきである。国は、侵害のパターンの記録および根本的原因の分析も含む研究を基盤として防止措置を立案することが求められる。 少年司法 74.条約第37条および第40条は、国の司法制度内および当該司法制度との相互作用における子どもの権利を確保するものである。委員会は、先住民族の子どもの拘禁件数が人口比に照らして不相応に高いことが多く、かつ一部の事例ではその原因が司法制度および(または)社会の内部から生ずる組織的差別である可能性があること [32] に、懸念とともに留意する。このような高い拘禁率に対応するため、委員会は、締約国が条約第40条第3項に注意を向けるよう促すものである。同項は、国に対し、刑法に違反したとして申し立てられ、罪を問われ、または認定された子どもを、適当な場合には常に司法的手続によらずに取り扱う措置をとるよう求めている。委員会は、少年司法における子どもの権利に関する一般的意見10号(2007年)および総括所見で、子どもの逮捕、勾留または収監は最後の手段として以外には用いてはならないことを一貫して確認してきた [33]。 [32] 子どもの権利委員会・「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見10号(2007年)、パラ6。 [33] 前掲パラ23。 75.締約国は、先住民族による伝統的な修復的司法制度の立案および実施を、これらのプログラムが条約に掲げられた諸権利、とくに子どもの最善の利益にしたがうかぎりにおいて支援するため、あらゆる適切な措置をとるよう奨励される [34]。委員会は、少年非行の防止のためのコミュニティ・プログラムの発展を奨励する「少年非行の防止に関する国連指針」[35] に対し、締約国の注意を喚起するものである。締約国は、先住民族と協議しながら、先住民族の子ども、その家族およびコミュニティのニーズおよび文化を考慮した、コミュニティを基盤とする政策、プログラムおよびサービスの発展を支援しようと努めることが求められる。国は、先住民族が発展させかつ実施するものも含む少年司法制度に対し、十分な資源を提供するべきである。 [34] 先住民族の子どもの権利に関する一般的討議(2003年)の勧告、パラ13。 [35] 少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)(1990年)。 76.締約国は、条約第12条にしたがい、子どもに影響を与えるいかなる司法手続または刑事手続においても、直接にまたは代理人を通じて意見を聴かれる機会をすべての子どもが有するべきであることを想起するよう促される。先住民族の子どもの場合、締約国は、必要なときは通訳者が無償で提供されること、および、子どもが文化的に配慮されたやり方で法的援助を保障されることを確保するための措置をとるべきである。 77.法執行および司法府に関与する専門家は、先住民族の子どもおよび他の特定の集団のために特別な保護措置をとる必要性も含め、条約およびその選択議定書の規定の内容および意味に関する適切な研修を受けるべきである。[36] [36] 子どもの権利委員会・「少年司法における子どもの権利」に関する一般的意見10号(2007年)、パラ97。 締約国の義務および条約の実施の監視 78.委員会は、締約国が、子どもの権利条約を批准したことにより、その管轄内にあるすべての子どもに対して条約上のすべての権利の実現を確保するための措置をとるよう義務づけられていることを想起するよう促す。尊重しかつ保護する義務は、各締約国に対し、先住民族の子どもの権利の行使が、立法機関、司法機関もしくは行政機関による締約国のいかなる行為からも、ならびに締約国内の他のいかなる主体もしくは人の行為からも、全面的に保護されることを確保するよう要求するものである。 79.条約第3条は、締約国に対し、子どもに関するあらゆる行動において子どもの最善の利益が第一義的に考慮されることを確保するよう求めている。条約第4条は、締約国に対し、自国の利用可能な資源を最大限に用いて条約を実施するための措置をとるよう要求している。第42条は、締約国はさらに、子どもおよびおとなが条約の原則および規定に関する情報を提供されることを確保するよう要求される旨、定めている。 80.先住民族の子どもを対象として条約の権利を効果的に実施するため、締約国は、条約にしたがって適切な立法を採択する必要がある。先住民族の子どもが先住民族ではない子どもと平等な水準で自己の権利を享受できることを効果的に確保するため、一連の分野で十分な資源が配分されるべきであり、かつ特別措置がとられるべきである。先住民族の子どもの権利が実施されている度合いを評価する目的でデータを収集および細分化しかつ指標を開発するため、さらなる努力を行なうことが求められる。文化的配慮のあるやり方で政策およびプログラム展開の取り組みを発展させるため、締約国は、先住民族コミュニティと、かつ先住民族の子どもたちと直接、協議するべきである。先住民族の子どもとともに活動している専門家は、子どもの権利の文化的側面をどのように考慮すべきかについて研修を受けることが求められる。 81.委員会は、締約国に対し、適用可能な場合には、先住民族の子どもの権利の実施およびこの点に関わる特別措置の採択についての情報を、委員会に提出する定期報告書によりよい形で統合するよう求める。さらに委員会は、締約国に対し、監視プロセスに先住民族が積極的に参加できるようにするため、条約およびその選択議定書ならびに報告プロセスに関する情報を翻訳し、かつ先住民族コミュニティおよび先住民族の子どもの間で普及するための努力を強化するよう要請するものである。さらに、先住民族コミュニティは、条約を、自分たちの子どもの権利の実施を評価するための機会として活用するよう奨励される。 82.最後に委員会は、締約国に対し、条約ならびに他の関連の国際基準(ILO第169号条約および国連・先住民族の権利に関する宣言〔市民外交センター仮訳(PDF)〕など)に基づき、先住民族の子どもに対して権利基盤アプローチをとるよう促す。先住民族の子どもの権利の実施が効果的に監視されることを保障するため、締約国は、先住民族コミュニティとの直接の協力を強化し、かつ、必要なときは国連機関を含む国際機関の技術的協力を追求するよう、促されるところである。先住民族の子どものエンパワーメント、および、文化、宗教および言語に対する先住民族の子どもの権利の効果的行使は、人権法上の義務と調和しかつこれを遵守する文化的に多様な国の、欠かせない基盤である。 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子どもの権利委員会の報告プロセスへの子ども参加に関する作業手法 (第66会期、2014年5月26日~6月13日) CRC/C/66/2(2014年10月16日) 原文英語〔Word〕 日本語訳:平野裕二 I.序および目的 1.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられるすべての子どもの権利は、子どもの権利条約の基本的価値観のひとつである [1]。これはすべての子どもの権利であって、例外はない。子どもの権利委員会は、意見を聴かれる権利(第12条)を条約の4つの一般原則のひとつに位置づけてきた。このように、意見を聴かれる権利はそれ自体としてひとつの権利であるというのみならず、他のすべての権利の解釈および実施においても考慮されるべきものである。国際的レベルでは、委員会の活動への子どもの関与は、締約国による条約およびその選択議定書の実施に関する報告プロセス、一般的意見 [2]の作成、一般的討議の開催、国内訪問およびその他の行事におけるものも含めて、特段の関連性を有する。報告プロセスとの関連では、締約国は、子どもが委員会への締約国報告書の作成に参加するよう奨励され、かつ参加できることを確保する義務を有する。 [1] 子どもの参加権は条約第12条、第13条、第14条、第15条および第17条に掲げられている。 [2] 委員会は、人権規定の内容に関する委員会の解釈をテーマ別論点についての一般的意見の形式で公にしている。 2.条約第45条(a)に基づき、委員会は、専門機関、国際連合児童基金(ユニセフ)およびその他の資格のある機関に対し、条約の実施に関する専門的助言を提供するよう要請することができる。子どもが主導する団体またはグループは、条約の実際の実施に関する専門的助言を提供することができる「資格のある機関」(competent bodies)の定義に該当する。意見を聴かれる子どもの権利に関する一般的意見12号(2009年)で、委員会は、子どもが主導する団体および子ども代表者が報告プロセスで果たす役割を明示的に承認した。同一般的意見のパラ131で、委員会は、「締約国による子どもの権利の実施状況を監視するプロセスにおいて、子ども団体および子どもたちの代表から提出される文書による報告および口頭による追加情報を歓迎し、締約国およびNGOに対し、子どもたちが委員会に意見を提供することを支援するよう奨励」している。 3.この作業手法は、報告プロセスにおける子どもの有意味な参加を定義し、促進し、かつ推進するためにまとめられたものである。一般的討議への子ども参加など、委員会の他の活動分野に関する指針はあらためて作成される。この作業指針は、委員会の一般的意見12号のほか、委員会の作業手法、手続規則および会期前作業部会へのパートナー(NGOおよび個人専門家)の参加に関する指針(CRC/C/90, annex VIII)に基づくものである。ここでは、子どもから提出された文書の検討、子どもたちとの会見(後掲パラ23参照)および意見を聴かれる子どもの権利についての一般的討議(2006年)における委員会の経験も参考にされている。 II.報告参加への子ども参加の基本的要件 4.国際的レベルにおける子ども参加が効果的かつ意味のあるものとなるためには、子ども参加が一度きりのイベントではなくプロセスとして理解されなければならない。子どもたちに対しては、可能なかぎり、継続的な監視プロセスの一環として自分たち自身の団体および取り組みを組織するよう支援および奨励が行なわれるべきである。このような団体および取り組みは、自分たちの権利について話し合い、かつ条約およびその選択議定書の実施における自国の進展状況について意見を表明する環境づくりにつながることになろう。 5.NGOおよびユニセフは、国別審査の際、報告プロセスにおいて子どもが意味のある形で参加しかつ代表されることを確保するよう、強く奨励される。 6.報告プロセスへの子ども参加を促進するすべての者(締約国、NGOおよびユニセフを含む)は、報告プロセスにおいて代弁される利益および優先課題が子どもたち自身のそれであって、子どもたちがともに活動するおとなまたは団体のそれではないことを確保するべきである。 7.一般的意見12号にしたがい、子どもが意見を聴かれかつ参加するすべてのプロセス(報告プロセスを含む)において、以下の9つの要件が尊重されなければならない。 (a) 透明かつ情報が豊かである:子どもたちは、自己の意見を表明し、かつその意見を正当に重視される権利ならびにこのような参加が行なわれる方法、その範囲、目的および潜在的影響についての、十分な、アクセスしやすい、多様性に配慮した、かつ年齢にふさわしい情報を提供されなければならない。 (b) 任意である:子どもたちが意思に反して意見表明を強要されることはけっしてあるべきではなく、また子どもたちにはどの段階でも関与をやめてよいことが知らされるべきである。 (c) 尊重される:子どもたちの意見は敬意をもって扱われなければならず、また子どもたちにはアイデアおよび活動を主導する機会が提供されるべきである。子どもたちのためにおよび子どもたちとともに活動している者および組織は、公的イベントへの参加に関して子どもたちの意見を尊重するべきである。 (d) 子どもたちの生活に関連している:子どもたちが意見表明権を有する問題は、その生活に真に関連しており、かつ子どもたちが自分の知識、スキルおよび能力を活用できるようなものでなければならない。加えて、子どもたち自身が関連性および重要性を有すると考える問題に光を当て、かつ対処できるようにする余地も設けられる必要がある。 (e) 子どもにやさしい環境:環境および作業方法は子どもたちの力量に合わせて修正されるべきである。子どもたちが十分に準備を整え、かつ意見を表明する自信および機会を持てることを確保するため、十分な時間および資源を利用可能とすることが求められる。 (f) インクルーシブである:子どもたちは均質的集団ではなく、参加は、いかなる事由(年齢を含む)に基づく差別もなく、すべての子どもたち(周縁化されている子どもたちを含む)に対して均等な機会を提供し、かつ、あらゆるコミュニティ出身の子どもたちに対して文化的配慮を行なうものでなければならない。幼い子どもおよび周縁化されたコミュニティ出身の子どもを包摂するための特別措置がとられるべきである。 (g) 訓練による支援がある:おとなには、子ども参加を効果的に促進するための準備、スキルおよび支援が必要である。子どもたちにも、たとえば効果的参加、権利意識、公の場での話およびアドボカシーに関する訓練が必要とされる。 (h) 安全であり、かつリスクに配慮している:おとなはともに活動する子どもたちに対して責任を負っているのであり、子どもたちに対する暴力、搾取、または参加にともなう他のいずれかの否定的結果のリスクを最小限に留めるために、あらゆる予防措置をとらなければならない。報告プロセスへの子ども参加を促進する組織は、このプロセスに関連する活動に参加するすべての子どもを対象として、明確な子ども保護戦略を策定しておかなければならない。。 (i) 説明責任が果たされる:子どもが主導する団体、子どもグループ、NGOおよびユニセフは、子どもたちが、報告プロセスにおいて、またより具体的には委員会との会見において自分たちが有している役割を明確に理解していることを確保するべきである。フォローアップおよび評価に対するコミットメントが欠かせない。報告プロセス――それが調査であれ、協議であれ、報告書の起草であれ、または委員会との会見であれ――に参加した子どもたちには、その意見がどのように解釈されかつ活用されたかについての情報が提供されるべきである。 III.報告プロセスへの参加の方法 8.子どもたちが委員会の報告プロセスに参加できる主な方法は次のとおりである。 (a) 事前質問事項の採択および締約国報告書の審査に向けた、子どもたち自身のまたはNGOを通じた提出文書。 (b) 会期前作業部会の会合における口頭でのプレゼンテーション。 (c) 会期前作業部会の会合における委員会の委員との非公開の会見。 (d) ビデオ会議への参加。 (e) 委員会の本会議への参加。 A.背景情報 9.委員会は、第12条にしたがって子どもの意見および子どもから提供されるその他の形態の情報を正当に考慮することが、委員会の報告審査機能の不可欠な一部でなければならないことを強調する。委員会は、子どもたちに対し、条約およびその選択議定書が自国でどのように実施されているかについての視点を提供する目的で、NGOの報告書に貢献するか、または子ども主導の団体、非公式な子どもグループまたはNGOを通じて情報を提供するかのいずれかの手段により、報告プロセスに参加することを強く奨励する。このことは、当該国における条約およびその選択議定書の実施について委員会がよりよく理解することを可能にするとともに、事前質問事項、当該国との対話および総括所見で活用される情報の提供につながろう。 10.子ども主導の団体、子どもグループ、NGOおよびユニセフは、周縁化された状況および被害を受けやすい状況に置かれた子どもたち――女子、幼い子ども、貧困の影響を受けている子ども、路上の状況にある子ども、施設の子ども、障害のある子ども、難民および避難民である子ども、法律に抵触した子どもならびに先住民族集団およびマイノリティ集団に属する子どもなど――が他の子どもたちと平等に報告プロセスに参加することを奨励されかつ可能にされることを確保するための、特別措置をとるべきである。 11.委員会は、同伴するNGOおよびユニセフの代表に対し、代表団に参加する子どもたちおよびおとなが、会合に出席する他の人々の場合と同様に、子どもたちの秘密保持およびプライバシーについて情報を提供され、かつこれを尊重することを確保するよう、期待する。 B.子どもたちによる委員会への提出文書 12.委員会は、子どもたちの意見および勧告を反映した、子ども主導の団体および子どもグループから提供される情報(子どもたちによる報告書、映画、研究、写真および絵画など)[3] を歓迎する。このことは、他の非政府系の関係者から提供される報告書その他の形態の情報(NGOのオルタナティブレポートなど)の場合と同様である。 [3] 子どもたちの報告書には、条約で定義されているとおり18歳未満の子どもたちの意見のみが反映されるべきである。成人した若者の意見はNGO報告書に反映させることもできる。 13.委員会は、子どもが作成したまたは子どもの意見を反映した提出文書において、基本的要件に合致した報告プロセスに意味のある形で参加するために子どもたちがどのようなプロセスを経て選抜されたかについて、また子どもたちの意見を集め、解釈し、かつまとめるためにどのような手法が用いられたかについて、詳述するよう要請する。委員会は当該プロセスに関する詳細な情報を歓迎するものの、名前または写真によって子どもたちが特定できる状態になるべきではない。 14.委員会はまた、子ども主導の団体もしくは子どもグループによってまたはNGOもしくはユニセフを通じて提供される情報を、会期前作業部会の会合が始まる2か月前までに委員会の事務局に提出することも要請する。書面による情報の場合、可能であれば各文書について20部が事務局に提供されるべきである [4]。提供された情報は守秘の対象であると推定される。ただし、提出文書でそうではないことが明示されており、かつ公表に関する同意書が含まれている場合はこのかぎりでない。 [4] このプロセスにおける事務的対応の援助については、Child Rights Connect〔訳者注/旧「子どもの権利条約のためのNGOグループ」〕に問い合わされたい。 C.会期前作業部会 15.会期前作業部会の会合は、委員会が、締約国報告書の予備的検討を行ない、かつ、特定の国における子どもの権利の状況についての追加情報を非政府系の関係者(子どもたちを含む)から得るための機会である。委員会は、年に3回、4週間ずつ(3週間の会期と1週間の会期前作業部会)会合を持っている。委員会による会期前作業部会中の予備的検討は、当該締約国の報告書審査が予定される会期の2会期前に行なうのが通例である。 16.会期前作業部会の会合において、委員会は、国際連合の専門機関、子ども主導の団体、NGOおよび国内人権機関の代表ならびに子どもたちの代表と会見し、事前質問事項、当該国との対話および総括所見において活用される差し迫った問題についての意見を聴く [5]。事前質問事項とは、締約国報告書で提供された情報を明確にしもしくは補完するために、または報告書の提出以降、最近になって何らかの変化があれば当該変化について委員会の最新情報を提供するよう締約国に要請するために、委員会が作成する一連の質問または問合せである。 [5] 会期前作業部会、その作業手法および手続規則についてさらに詳しくはwww.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/WorkingMethods.aspx#a2aを参照。 17.会期前作業部会の会合は非公開であり、公衆に対して公開されておらず、かつ何人の傍聴も認められない。これらの会合において議論されたすべての内容および出席した人々または組織の身元は秘密のままにされるべきであり、当該会合に参加しなかったいかなる者に対しても伝えられるべきではない。この秘密保持条項により、すべての出席者が率直に発言できることが確保される。このことは、出席者および発言内容を明らかにすることが危険である場合もあるため、とりわけ重要である。子どもたちが仲間にフィードバックすることを望むのであれば、詳細に立ち入ることなく、議論されたトピックについて話すことはできる。 1.会期前作業部会への子どもの参加 18.会期前作業部会は子どもたちとの会見(後掲2参照)よりも技術的な性格のものであってそれほど子どもにやさしくはないが、子どもたちには、他の非政府系の関係者とともに作業部会の会合に出席して委員会にプレゼンテーションを行なう機会が与えられる。子どもたちは、締約国報告書についての意見を明らかにするとともに、自国で子どもたちが直面している主要な懸念および問題を強調することができる。議長は、子ども代表に対し、限られた数の主要な懸念事項および勧告を強調した短い導入的発言を行なうよう求めることになろう。 19.これらの会期前会合は公衆に対しては公開されないが、国内人権機関、国際連合機関およびNGOの代表も出席する場合がある。子どもたちは、これに加えてまたはこれに代えて、委員会との非公開の会見を要請することもできる(後掲2参照)。 20.作業部会の会合に参加したいと考える子ども主導の団体またはグループは、委員会への書簡でその旨はっきり述べることが求められる。委員会はその後、書面による情報の受領を確認し、かつ作業部会が当該報告書を検討する日時に出席するよう子ども代表を招請する書簡を送付する。委員会に文書を提出できる子どもたち(前掲III B参照)が優先されることになろう。委員会は、例外的な場合に、招請される子どもたちの人数を制限する権利を留保する。事務局は、Child Rights Connectと連携して、要請に応じ、出席するよう招請された子どもたちへの技術的援助を提供する。 21.2名以上の子ども代表が会合に出席する場合、その子ども代表は、自国の子どもたちのさまざまな集団および懸念を可能なかぎり代表していることが求められる。周縁化された状況および被害を受けやすい状況に置かれた子どもたちが会期前作業部会および子どもたちとの会見に参加できることを確保するため、NGOおよびユニセフを含むすべての主体によって特別な努力が行なわれるべきである。委員会は、このような子どもたちの出席の便宜を図るために可能なあらゆる措置をとる。 22.委員会は、子どもたちとの会見または会期前会合に参加する子どもたち個人の生活を改善する目的で直接介入することはできないので、子どもたちに対しては、同伴するNGOまたはユニセフによって、これらの会合は特定の締約国における条約および/またはその選択議定書の実施に影響を与えるさまざまな問題についての子どもたちの見方を示すための場であること、および、委員会は子どもたちの貢献によって当該締約国における子どもの権利の状況をより完全に理解できるようになることについて、十分な告知が行なわれるべきである。同伴者または支援者である子ども主導の団体、NGOおよびユニセフは、会期前作業部会の会合に出席する子どもたちが現実的な期待を持つこと、および、これらの子どもたちに対し、作業部会の会合または非公開の会合への参加が結果にどのように影響を及ぼしうるかについて明確な情報が提供されることを確保するよう求められる。子どもたちはまた、フォローアップ活動への参加も認められるべきである。 2.会期前作業部会中の子どもたちとの会見 23.会期前作業部会の会合への出席に加えて、子どもたちのグループまたは団体は、会期前作業部会の会合中、委員会または国別報告者と非公開で会見すること(以下「子どもたちとの会見」という)を要請することができる。このような非公開の会見を持つことにより、子どもたちは、委員会の委員と非公式にやりとりすることができる。このような会見の要請は委員会の事務局に対して送付されるべきであり、その要請に応じるかどうかは委員会が決定する。 24.子どもたちとの会見は、会見の時点で18歳未満である子どもたちをもっぱら対象とする。成人した若者が、18歳未満のときに子どもたちによる提出文書の作成に関与していた場合、おとなである他の代表と同様に、子どもたちとの会見中に――子どもたちから要請があれば――子どもたちに支援を提供するか、または会期前作業部会に参加するかのいずれかの対応をとることが可能である。委員会は、子どもたちとの会見に出席するおとなの人数を制限する権利を留保する。 25.子どもたちとの会見は1時間以内で行なわれ、また審査対象である国についての会期前会合と同じ週に設定される。この会見は子どもたちから提出される情報に焦点を当てるものであり、また会期前会合よりも子どもにやさしい形式がとられる。これらの会見の正式な進行方法は定められていないものの、子どもたちが口頭でまたはビデオを通じて主要な問題および勧告を提示するのが通例である。委員会の委員にも、当該国の状況についての理解を向上させられるよう、子どもたちに質問する時間が割り当てられる。 26.子どもたちとの会見は委員会の公式会合以外の時間帯に設定されるため、国際連合による通訳の提供は行なわれない。子どもたちが英語を話さない場合、子どもたちに同伴するおとなは、子どもたちの母語から英語への通訳を確保することが求められる。 27.子どもたちとの会見で主として発言するのは子どもたち自身である。会見中に子どもたちに同伴して支援を提供するおとなは、通訳するときまたは子どもたちに説明を行なうとき(必要不可欠な情報を明確にする必要があり、かつ子どもからおとなに要請があった場合、もしくは子どもが支援を必要としており、かつ明示的に支援を要請した場合)を除いて、発言するべきではない。同伴するおとなは子どもたちの支援に集中するべきであり、自分自身の意見を表明することまたは子どもたちの意見に影響を与えようと試みることは控えるべきである。同伴するおとなはまた、子どもたちが会見時以外の議論でコミュニケーションを図り、かつ当該議論に参加できることも確保するよう求められる。 28.委員会は、同伴するおとなの非常に重要な役割を認識するとともに、子ども参加を促進する国内関係者に対し、同伴するおとなが、そのケアのもとにある子どもたちの安全および福祉に対する第一次的責任をいかなるときも忘れないようにすることを期待する。委員会は、このような責任が、子どもたちが渡航のために親/養育者のもとを離れたときに始まり、かつ、帰国後、親/養育者に安全に引き渡されたときに初めて終了することを想起するものである。同伴するおとなが子どもたちをケアするやり方は、その子どもたちの年齢および成熟度にふさわしいものであることが求められる。 D.ビデオ会議による子ども参加 29.テクノロジーによって、子どもたちがさまざまな経路を通じて委員会とやりとりできるようになり、また距離または経済的状態によって生じる障壁が軽減されている。委員会は、周縁化された集団および遠隔地の子どもたちにとって、ジュネーブで委員会と交流する資源および機会が限られていることをとりわけ懸念する。委員会は、もっとも効果的かつ適切な手段を活用しながら、離れた場所で子どもたちとの会見を実施するために努力するつもりである。委員会は、たとえば電話またはビデオ会議を通じ、他の場所在住の子どもたちが報告プロセスに参加し、かつその意見および勧告を共有できるようにすることが可能かもしれない。委員会は、テクノロジーを通じてこのような子どもたちとやりとりするかどうか決定する際、子どもたちの保護を正当に考慮する。そのようなやりとりによって子どもたちおよびその家族に安全上のリスクが生じる場合にはなおさらである。 E.委員会の本会期 30.締約国報告書についての議論は委員会の公開会合で行なわれ、その際には締約国の代表および委員会の委員の双方が発言する。関連の国際連合機関、NGOおよび報道機関の代表は、ジュネーブで開かれる会期に出席して直接傍聴するか、ウェブキャストの生中継を通じて自国で会期をフォローしている。委員会は、子どもたちに対し、本会期に出席することおよび/またはウェブキャストを通じてさまざまな国との双方向的対話をフォローすることを奨励する。 31.子どもたちは、ジュネーブで委員会の会期が開かれている際、当該締約国を交えた公式審査が行なわれる前に、委員会の報告者または審査対象国を担当する委員会の委員(国別担当班)との非公式な会見を要請することもできる。 更新履歴:ページ作成(2015年3月29日)。
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国連・子どもの権利委員会:一般的討議日への子ども参加に関する作業手法 関連一般的討議のテーマ・勧告一覧 子どもの権利委員会の報告プロセスへの子ども参加に関する作業手法(2014年) CRC/C/155(2018年9月12日) 委員会が第78会期(2018年5月14日~6月1日)に採択。 原文:英語 日本語訳:平野裕二(日本語訳PDF) 子どもの権利委員会の一般的討議日への子ども参加に関する作業手法 目次 I.序および目的 II.子ども参加の基本的要件A.一般的原則 B.子どもの支援団体、付添いの大人および子どもファシリテーターの役割 C.パートナー組織の役割 III.子ども参加の手法A.テーマの選定 B.立案、計画および運営 C.資料の提出 D.一般的討議日および関連のサイドイベントへの参加 E.委員会の委員との非公開会合 F.フォローアップおよび評価 I.序および目的 1.子どもの権利委員会は、条約の内容および意味するところに関する理解を深められるようにするため、2年に1回、通常の会合が行なわれる日のうち1日を、子どもの権利条約のうち1もしくは複数の特定の条文または関連する主題についての一般的討議に充てている [1]。これは一般的討議日として知られている。国、国連人権機構、国連機関および専門機関、非政府組織(NGO)、国内人権機関、ビジネス部門ならびに個人専門家、子どもたちその他の関係者が参加し、かつ意見書を提出する。 [1] 委員会の手続規則(CRC/C/4/Rev.3)および委員会が第61会期に行なった決定による。 2.意見を聴かれ、かつ真剣に受けとめられる子どもの権利は条約の基本的原則のひとつである。子どもたちは、自己に影響を与えるすべての事柄および決定に関して自由に意見を表明し、かつ社会のあらゆるレベルでこれらの意見を考慮される権利を有している [2]。これはそれ自体で権利であるのみならず、他のすべての権利の解釈および実施においても考慮されるべきである。委員会は、子どもたちが一般的討議日に対等な立場で参加する権利を有しており、かつ、条約実施に関連する問題について委員会および関係者がよりよく理解できるようにするうえで重要な役割を果たしていることを強調する。子どもたちは、一般的討議日に自由にかつ積極的に参加し、かつその知識、スキル、意見、経験および勧告を共有するよう奨励されるところである。この目的のため、国連機関および専門機関、NGO、国内人権機関、ビジネス部門ならびにその他の関係者は、子どもの参加を奨励しかつ支援する責任を負う。 [2] 子どもの参加権は条約第12条、第13条、第14条、第15条および第17条に掲げられている。 3.一般的討議日に子どもたちが参加してくれることにより、委員会および参加するすべての関係者は、討議の対象である特定のテーマに関わって、それぞれの国および状況において子どもの権利がどのような状況にあるかについての理解を強化し、かつ子どもに直接影響を与える問題に関する子どもたち自身の見方を理解することが可能となる。委員会は、一般的討議日に対する子どもたちの貢献の価値を認識するとともに、子どもたちの意見、勧告および子どもたちから提供されるその他の形態の情報を正当に考慮することがこのような討議の不可欠な一部とされなければならないことを強調するものである。 4.一般的討議日に参加する子どもたちは、委員会等に対して子どもの意見の中心的重要性を教えてくれるとともに、自分たちの人権についておよびそれが日常生活にどのように関連しているかについての学びを深める機会を持つことになる。このような相互的機会は、委員会および子どもたちにとって、子どもの人権を知りかつ主張することおよび他の子どもの権利を尊重しかつ支持することのためのエンパワーメントにつながりうる。子どもたちは、(とくにそれぞれの自国における)これらの権利の実施を監視するうえで委員会が行なっている活動について、また人権のための活動に関与するその他の機会について、学ぶことができる。子ども参加は、子ども同士の学びを促進するとともに、子どもたちが他の子どもおよび関係者と交流し、かつその知識および経験から学ぶことを可能にする。子ども参加はまた、子どもたちの自信、主体性および声を聴かれる可能性ならびに子どもの権利を擁護する力量の強化にもつながる。子どもたちの声は委員会と共鳴し、権利に対して紙の上のものではない現実の文脈を与えるのである。 5.この作業手法は、一般的討議日への、すべての子ども(とくに不利な立場または脆弱な状況に置かれた子ども)の意味のある参加を容易にしかつ促進することを目的とするものである。ここでは、過去の一般的討議日の実際的かつ多様な経験、子どもたちからの提出物の検討および子どもたちとの会合で委員会が得た経験、意見を聴かれる子どもの権利についての2006年の討議、ならびに、人権擁護者としての子どもの保護およびエンパワーメントに関する2018年の一般的討議日の子ども助言グループとの協議が踏まえられている。この作業手法は、委員会の一般的討議日への子ども参加にとくに関わるものであるが、政府、国連機関および専門機関、NGO、国内人権機関、ビジネス部門ならびにその他の関係者が地域レベルおよび国際レベルでその他の会合を開催する際に活用することのできる原則および指針を掲げるものでもある。委員会は同時に、一般的討議日に参加する関係者の背景、経験および資源はさまざまに異なっており、かつ、この作業手法を柔軟な、協同的なかつ革新的なアプローチで適用する必要があることも認識するものである。 II.子ども参加の基本的要件 6.一般的討議日において子どもたちが効果的にかつ意味のある形で参加しかつ代表されることを確保するため、子ども参加は、ひとつの組織または主体が主導する1度きりのイベントとしてではなく、すべての関係者が寄与する協同的プロセスとして理解されなければならない。子どもたち(不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちを含む)が自由に意見を表明し、自分たち自身の団体、グループおよびイニシアティブを結成し、かつ平和的集会に参加できることを確保することによってコミュニティにおける子どもの市民的権利および自由の全面的実現を支援する目的で、子どもたちに対し、意味のある安全なやり方で一般的討議日に関与するための支援が提供されるべきである。子どもたちが参加するやり方は、インクルーシブであり、かつ子どもたち自身の視点に基づいたものでなければならない。一般的討議日のあらゆる段階で子どもたちの関与が求められるべきである。 A.一般的原則 7.子ども参加を確保するためのすべてのプロセスおよび活動において、意見を聴かれる子どもの権利の実施について委員会が掲げた基本的要件が全面的に尊重されなければならない [3]。 [3] 以下の要件は、意見を聴かれる子どもの権利についての委員会の一般的意見12号(2009年)および委員会の報告プロセスへの子ども参加に関する作業手法に掲げられているものである。 (a) 透明かつ情報が豊かである:子どもたちは、意見を聴かれる権利および耳を傾けられる権利がすべての子どもの権利であることを知っているべきである。子どもたちに対し、一般的討議日への参加の範囲、目的、方法、意味合いおよび潜在的影響に関する詳細なかつアクセスしやすい情報を提供することが求められる。 (b) 任意である:子どもたちは、自己の意見の表明は子ども自身の選択であって義務ではないことを理解しているべきであり、意思に反して意見表明を強要されることはけっしてあるべきではない。子どもたちが提示するすべての意見は子どもたち自身のものでなければならず、子どもたちを支援するファシリテーター、大人、団体またはグループの意見であってはならない。 (c) 尊重される:子どもたちの意見は、他の子どもおよび大人の両方から、敬意をもって扱われなければならない。あらゆる年齢の子どもたちに対し、一般的討議日の企画、運営およびフォローアップならびに一般的討議日への参加に際して自分たち自身のアイデアを提出し、かつ積極的役割を果たすための支援が提供されるべきである。意見を表明したことを理由に子どもたちが報復または脅迫の対象とされることはあってはならない。 (d) 子どもたちの生活に関連している:子どもたちは、DGD〔一般的討議日〕のテーマが自分たちの日常生活にとってどのような関連性および重要性を有しているか、ならびに、利用可能なさまざまな方法または子どもたちが提案する代替的方法を通じて討議に参加するために自分たちの知識、スキル、能力および経験をどのように活用できるかについて、理解できるべきである。 (e) 子どもにやさしい:一般的討議日に関連する情報および手続(すべての指針、書式その他の資料を含む)は、子どもに合わせて修正されなければならず、かつ、子どもたちの年齢および発達しつつある能力ならびにさまざまな能力および教育水準によって異なる支援水準および関与の形態を考慮したものであるべきである。 (f) インクルーシブである:一般的討議日への子ども参加はインクルーシブでアクセスしやすいものでなければならず、いかなる形態またはパターンの差別も回避されなければならない。 (g) 訓練による支援がある:子どもたちに対し、人権、効果的参加、コミュニケーション・スキル(文章作成、撮影、人前での話およびアドボカシーなど)およびおたがいの意見を尊重する方法に関する訓練が提供されるべきである。ファシリテーターも、子ども参加の重要性および利点ならびに子ども参加の効果的な準備およびファシリテーションの方法についての訓練を受けることが求められる。 (h) 安全であり、かつリスクに配慮している:子どもたちは危害から保護される権利について知っておかなければならず、また子どもたちと接するファシリテーターには、参加によるいかなる悪影響も最小限に留め、かつ子どもたちをいかなる形態の脅迫もしくは報復またはそのような行為に対する恐れからも保護するために、あらゆる予防措置をとる責任がある。 (i) 説明責任が果たされる:すべてのパートナー組織および子ども参加を支援しまたはファシリテートする者は、フォローアップおよび評価に対するコミットメントを有さなければならない。子どもたちは、自分たちの参加が討議にどのような影響を与えたかおよびどのようなフォローアップ活動が行なわれるかについての情報を提供され、かつ評価プロセスへの参加が保障されるべきである。 B.子どもの支援団体、付添いの大人および子どもファシリテーターの役割 8.国、国連機関および専門機関、NGO(子ども主導の組織および子どものグループを含む)、国内人権機関、ビジネス部門その他の関連機関ならびに子どもの付添いの大人および子どもファシリテーターなど、一般的討議日への子ども参加を支援しまたはファシリテートするすべての者は、以下の対応をとるよう奨励される。 (a) 子どもたちに対し、一般的討議日への参加の範囲、目的、方法、意味合いおよび潜在的影響に関する詳細な、年齢にふさわしい、かつアクセスしやすい情報を提供すること。これには、一般的討議日への参加がなぜ有益かつ有用であるか、および、その経験が国および(または)地方レベルで進行中のイニシアティブまたはプロジェクトにとってどのように参考になりまたはその前進につながりうるかについての情報も含まれる。このことはまた、一般的討議日(提出物および関連のイベントを含む)が公開されることを理解していなければならないということでもある。 (b) 一般的討議日に関連するすべての指針、書式その他の資料のチャイルドフレンドリー版を作成するとともに、それらの資料が、子どもたちに対し、アクセス可能なかつ子どもたちにとって意味のあるやり方で提示されることを確保すること。 (c) 参加は選択であって義務ではないこと、および、プロセスのいかなる段階でも参加を撤回できることを、子どもたちにあらためて保証すること。 (d) 参加について、子どもたちおよび該当する場合にはその親または保護者の同意を書面で得ること。 (e) 表現および思想の自由に対するすべての子どもの権利を尊重するとともに、すべての子どもが表明したすべての意見が尊重されることを確保すること。ファシリテーターは、複数の情報源から得られた多様な情報を提供することによって子どもたちの意見形成を援助し、かつ、さまざまな方法で情報を求めるよう子どもたちに奨励するべきである。大人(家族またはコミュニティの構成員および宗教的指導者または若い政治的指導者を含む)には、自分の意見を子どもたちに押しつけることがないよう配慮が求められる。 (f) 参加する子どもたちの期待に適正に対応し、一般的討議日が目指すものは子どもの人権に関する知識の構築および望ましい実践の収集であって個々の事案への介入ではない旨、念を押すこと。子どもたちは現実的な期待を持つべきであり、自分たちの参加には限界がある可能性があることを承知しておくべきである。 (g) 自分たちの問題および課題設定をもっともよく代弁してくれると考える仲間を子どもたちが選抜できるようにする、子ども同士の選抜アプローチを助長促進すること。透明かつインクルーシブなプロセスを確保するため、明確な選抜基準が設けられるべきである。同時に、テーマに関する事前知識は、必ずしも選抜の要件とされるべきではない。それどころか、組織および個人は、一般的討議日を、人権および選ばれたテーマに関する子どもたち等の能力ならびに子どもたち等のコミュニケーション・スキルおよび(または)アドボカシー・スキルを強化する機会として活用するべきである。 (h) 不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちが他の子どもたちと平等な立場で参加することを奨励されかつ可能とされることを確保すること。これには、とくに女子および男子、低年齢の子ども、貧困の影響を受けている子ども、路上の状況にある子ども、施設にいる子ども、障害のある子ども、移住者、難民および避難民である子ども、法律に抵触した子ども、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーおよびインターセックスである子ども、マイノリティまたは先住民族集団に属する子ども、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもならびに自らも親である子どもの関与を適宜得るための特別措置が含まれる。 (i) 子どもたちが意味のある参加のためのスキルおよび自信を構築できるようにするための訓練(子ども同士の学習を含む)を提供すること。これには、人権および権利意識、選ばれたテーマ、効果的参加、関連の指針にしたがった提出物および意見、コミュニケーション・スキル(文章作成、撮影、人前での話およびアドボカシーなど)ならびにおたがいの意見を尊重する方法に関する能力構築が含まれる。 (j) 自分たちにとってとくに関連性があり、興味深く、かつ重要である問題および関心事を強調する機会を提供するなど、一般的討議日に関連するすべてのプロセスに参加できるよう、子どもたちのエンパワーメントを図ること。たとえば、子どもたちからの提出物が討議中の活動で使用するために選ばれた場合、その提出物を作成した子どもたちは、当該活動の運営において積極的な役割を果たすことができるべきである。 (k) ファシリテーターが、子ども参加の重要性および利益を理解するための十分な訓練を受け、かつ、子どもたちの準備および子どもたちの参加のファシリテーションを効果的に進めるための適切なスキルおよび態度を獲得することを確保すること。訓練においては、子どもたちの意見に耳を傾け、子どもの発達しつつある能力にしたがって子どもたちを効果的に巻きこみ、参加のプロセス全体を通じて子どもたちの安全を確保し、かつ子どもにやさしい資料を作成するファシリテーターの能力を発展させることが目指されるべきである。 (l) 危害から保護される権利について子どもたちに知らせるとともに、リスクの防止、評価およびリスクへの対応に際して子どもたちの意見を考慮すること。子どもたちにとっては、安全ではないと感じた場合にどうすればよいかおよびどこに通報すればよいかを知っておくことまたは懸念を提起することも必要である。 (m) 国際的イベントへの子どもたちの参加について、一部の集団の子どもが直面する特有のリスクおよびこれらの子どもが援助を得ようとする際に直面する追加的な障壁を認識した、子どもの保護に関わる明確かつ包括的な方針および枠組みを用意すること。このような方針は、国、団体その他の関連機関が防止に対してどのように取り組むかを概観するとともに、子ども参加の結果として悪影響(報復または脅迫など)が生じた場合に適切に対応するための標準手続、方針の実施におけるスタッフの明確な責任(この分野でスタッフの能力構築を図るための関連の支援および研修を含む)、適切な子どもの安全保護手続および付随するモニタリングの枠組みを記載したものであるべきである。 (n) 委員会の作業言語(英語、フランス語およびスペイン語)を話せない子どもたちのために翻訳および通訳を用意し、かつ関連資料が地元言語で利用できることを確保すること。 9.加えて、一般的討議日に出席する子どもたちの付添いの大人および子どもファシリテーターは、以下の対応をとるよう奨励される。 (a) 自分がケアする子どもたちの安全および福祉に対する第一義的責任を常に維持すること。この責任は、子どもたちが渡航のために親または保護者のもとを離れたときに開始し、親または保護者のもとに安全に帰ったときに終了する。付添いの大人等は、たとえば、参加する子どもたちが、参加のプロセス全体を通じて子どもの保護の窓口として行動し、必要に応じて秘密を守りながら支援を提供する少なくとも1名の大人にアクセスできるようにし、かつ、子どもたちが、安全ではないと感じるようなことがあれば当該人物に相談できることを理解するようにするべきである。 (b) 子どもたちに対し、一般的討議日は公開であり、撮影され、オンラインでの投稿その他の用途のためにウェブ中継および録画が行なわれる可能性もあること、および、個別に撮影されることについての本人の同意(および該当する場合には親または保護者の同意)が参加の条件であることを知らせること。子どもたちに対しては、メディアとのやりとりおよびその意味合いについての説明も行なわれるべきである。 10.一般的討議日の後、すべての支援団体、子どもたちの付添いの大人および子どもファシリテーターは、以下の対応をとるよう奨励される。 (a) 子どもたちに対し、討議においておよびフォローアップ活動のあり方の決定において子どもたちの意見がどのように参考にされたかについてのフィードバックを行ない、かつ、自分たちの参加の成果に関する意見表明の機会を提供すること。 (b) 子どもたちが一般的討議日のフォローアップの取り組みを組織しかつこれに参加するのを支援すること。たとえば、参加団体が、選ばれたテーマに関して子どもたちを支援する旨の公的な誓約または決意表明を行なうとともに、第一義的には子どもたち自身が立案しかつ実施するフォローアップ・プロジェクトを組織するための補助金または奨学金を子どもたちに提供することが考えられる。 (c) 一連のプロセスおよび関連の活動の妥当性、有用性および効果に関する子ども参加者の自己評価およびフィードバックなども通じて、一般的討議日において子ども参加を確保するためのプロセスの評価を実施すること。団体はまた、将来の一般的討議日への子ども参加に関して得られた教訓を特定しかつ記録することも、子どもたちに対して奨励するべきである。 C.パートナー組織の役割 11.委員会は、計画の過程でテーマの提案の募集を開始し、かつ、テーマの関連性および一般的討議日を計画しかつ運営する提案団体の能力に基づいてひとつのテーマを選定する。委員会が選定した提案を提出した組織は、当該一般的討議日のパートナー組織となる。パートナー組織を選定する際の基準は、とくに、そのトピックに関する当該組織の専門性および経験、ならびに、一般的討議日への意味のある子ども参加の組織および確保に関わる当該組織の実証された能力、コミットメント、人的資源および財源である。パートナー組織はまた、討議の成果を子どもたちが属するコミュニティに持ち帰る能力、および、一般的討議日の前、最中および終了後に子どもたちによる意味のあるリモート参加を促進する能力も有していることが求められる。 12.選定されたパートナー組織は、明確に特定された役割および責任を有し、かつ金銭的貢献および子ども参加の確保のための活動を行なう、関係者によるアドバイザリーグループを設置するよう奨励される。このアドバイザリーグループは、この作業手法を一般的討議日に適用するための戦略も策定するべきである。委員会は、可能なかぎり早い段階で計画プロセスに子どもたちの関与を得るよう勧告するとともに、このことは、パートナー組織の能力、資源およびネットワークならびに選ばれたテーマの具体的内容に応じた多種多様なアプローチを通じて達成可能であることを認識する。ひとつのアプローチとして考えられるのは、事業に子どもたちの関与を得ている世界中の実施組織が構築している既存のネットワークを活用して、地方レベルで子どもワークショップを開催することである。これらの組織は、自分たち自身のプログラムの関係ですでに知っている子どもたちのグループとともに、それぞれの地元の背景に応じた一連のワークショップを開催することができる。これらのワークショップで、各グループが、一般的討議日でそのグループを代表する子どもをひとりまたは複数選出し、そのためのプレゼンテーションその他の資料の準備をすることも考えられよう。このようなプロセスは可能なかぎり早く、理想的には一般的討議日の12か月前には開始されるべきである。子どもたちの意見は、子ども団体、学校団体および子どもが主導するその他の取り組みを通じて集めることもできよう。 13.パートナー組織は、加えて、たとえばすでに存在する国際的ネットワークと協議しながら、子どもの権利、子どもの権利の促進および保護における地元の努力および優先課題の増進ならびに提案されているテーマへの関心を示してきた子どもたちから構成されるアドバイザリーグループを設置するよう奨励される。アドバイザリーグループの構成員の選抜基準では、年齢、性別、性的指向、障害、民族的出身、国民的出身、地理的所在および経済的背景の多様性が考慮されるべきである。可能であれば、かつ可能な場合には常に、子どもたちが幅広くかつ包摂的に代表されることを目指すよう求められる。アドバイザリーグループの各構成員は、自国の子どものいずれかの集団をそれぞれ代表するとともに、アドバイザリーグループの構成員としての役割の履行に関して援助を提供する組織 [4] の支援を得ることが考えられよう。子どもたちは、地方レベルのワークショップまたはアドバイザリーグループのどちらを通じてであれ、一般的討議日の準備、実施およびフォローアップに関して恒常的に協議の対象とされるべきであり、かつ自分たちの意見がどのように考慮されたかに関するフィードバックを受け取れるべきである。 [4] 支援する組織は、子どもの保護に関する十分な方針(国際的イベントへの子どもの安全な関与のための枠組みを含む)を有し、かつ、子どもアドバイザーの任務が終了するまでパートナー組織との恒常的連絡を維持するべきである。 14.パートナー組織は、各一般的討議日の前に、どうすれば子どもたちが一般的討議日に参加できるかについての情報を広く普及するとともに、子どもたちが(とくに離れた場所から)参加するための適切な回路を提供するべきである。これとの関連で、パートナー組織とは、子どもたちがアクセスしやすく興味の持てるさまざまな意識啓発キャンペーンおよびソーシャルメディアキャンペーンを通じてこのような議論を積極的に促進するため、一般的討議日の十分前に、アウトリーチ戦略を作成しかつ実施することが考えられる。このような戦略の一環として、選ばれたテーマに関する子どもたちの意見を集め、かつ協議から得られた主要なメッセージを一般的討議日へのインプットとしてとりまとめることを目的とした協議(対面型ワークショップ、ディベートおよびオンライン調査を含む)を実施することもできよう。このような協議の際、パートナー組織は、子どもたちに対し、自分たちの意見をさまざまな形式(経験談、写真、アートワーク、音楽および動画を含む)で表明するよう奨励してもよい。 15.パートナー組織は、討議のテーマに関する提出物の準備または開催される可能性があるサイドイベントもしくは一般的討議日のフォローアップ活動に関する意見の共有に関して、この作業手法にのっとって子どもたちをどのように支援するかについての詳細な指針を、大人に対して示すべきである。パートナー組織は、可能であれば、不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちおよびマイノリティまたは先住民族の集団に属する子どもたちの参加を確保するための財源を配分するとともに、子どもたちと共有すべき専門用語および略語の用語集を事前に作成するよう求められる。 16.一般的討議日に出席する子どもたちについて、パートナー組織は、子どもたちの付添いの大人および子どもファシリテーターに対し、子ども参加のファシリテーション方法に関する実際的指針(渡航、健康保険、天候、宿泊、滞在費用、登録、後方支援、アクセス、通訳・翻訳および安全に関わって生じる可能性がある問題についての情報を含む)を示すべきである [5]。加えて、パートナー組織は、子どもたちが開催場所に慣れ、委員会の委員と会見し、かつおたがいを知りあえるようにするため、遅くとも一般的討議日の前日にジュネーブでオリエンテーションプログラムを開催することを検討してもよい。オリエンテーションプログラムには、時間に応じて、一般的討議日の詳細(プログラム、確認された参加者およびパネリストの背景を含む)に関する準備トレーニングのような教育的活動、子どもたちがいっしょに問題についてのブレインストーミングを行ない、自己紹介のための共同声明を作成し、かつおたがいにプレゼンテーションのリハーサルを行なって仲間からフィードバックを受ける機会、および、ジュネーブの国際連合施設(一般的討議日の開催場所である会議室を含む)の見学などを含めることができよう。市内見学もしくはみんなで出かけるその他の活動および(または)委員会の委員との会見のような懇親的活動を子どもたちのために実施することも考えられる。 [5] たとえば、NGO Group for the Convention on the Rights of the Child, Together with Children - for Children A Guide for Non-governmental Organizations Accompanying Children in CRC Reporting (Geneva, 2011) に掲げられたガイドラインを参照。 17.一般的討議当日、パートナー組織は、子どもたちが離れた場所からも討議に参加できることを確保するべきである。そのための手段には、討議をオンラインでフォローする方法に関する情報提供、ソーシャルメディアでの生中継、および、子どもたちが離れた場所からパネリストに質問する機会の提供などがある。子どもたちが尊重される環境づくりのため、一般的討議日に参加するすべての関係者に対し、子どもたちの参加に関する情報、および、そのような参加に関して委員会が求めることを議事全体を通じて遵守するための考慮事項に関する情報が提供されるべきである。パネリスト、司会者その他の発言者に対しては、子どもにやさしい言葉遣いおよびアプローチを使用すること、ならびに、討議において子どもたちの意見が尊重されかつ反映されるようにすることを奨励するよう求められる。子どもたちは、可能なかぎり、専門用語および略語の説明を求める質問またはこれらの言葉を理解しようとするための質問をするよう奨励されかつ支援されるべきである。パートナー組織はまた、非公開の会合または非公式イベント(夜のレセプションや戸外での食事会など)のいずれかを通じ、子どもたちが発言者および関心のあるその他の人々と会う機会を設ける便宜を図ることも奨励される。 18.パートナー組織は、一般的討議日の終了後、参加した子どもたちに対し、成果報告書に関する情報および主要な成果をフォローアップするための取り組み(討論その他のイベントなど)に関与する機会を提供するよう奨励される。パートナー組織は、一般的討議日に出席した子どもたちを対象として、学んだ教訓を吟味しかつフォローアップの取り組みを計画するための振り返りを、ジュネーブで1日かけて行なうよう奨励されるところである。パートナー組織はまた、可能であれば、子どもたちがそれぞれの状況を踏まえて一般的討議日をどのようにフォローアップしているかに関する意見および経験談を集め、将来の一般的討議日のために得られた教訓としてそれらの意見および経験談を記録するよう求められる。パートナー組織はまた、一般的討議日に際して子ども参加を確保するためのプロセスに関する評価も実施し、当該評価の結果を成果報告書に記載するべきである。 III.子ども参加の手法 19.子どもたちは、一般的討議日に関連する以下の側面についての参加を奨励される。すなわち、(a) テーマの選定、(b) 立案、計画および運営、(c) 資料の提出、(d) 一般的討議および関連のサイドイベントへの参加、(e) 委員会の委員との非公開会合ならびに (f) フォローアップおよび評価である。 A.テーマの選定 20.各一般的討議日では、委員会が選定し、かつ討議の1年前に発表される特定のテーマに焦点が当てられる。委員会は、テーマに関する提案を歓迎するものである。その提案は、標準的書式(当該テーマを提案する根拠、当該テーマの条約との関連性、範囲、成果、目的、形式および考えられる発言者、ならびに、子ども参加およびそのための資金を確保する方法に関する情報を求めるもの)にしたがって、各一般的討議日の16か月前までに書面で提出することが求められる。子どもたちは、それぞれが関わる子ども主導の団体または子どもグループを通じ、委員会による検討のために提案を作成しかつ提出するよう勧奨される。子どもたちに対しては、提案の作成にあたって団体を支援することも奨励されるべきである。子どもたちの参加がはっきりと実証されている提案は、委員会によって好意的に検討される可能性があるためである。子どもたちに対しては、当該プロセスにどのように参加できるかについての関連の情報を提供することが求められる。テーマの選定に関して委員会が最終的決定を行なった後、提案を提出しまたは提案の作成を支援した子どもたちその他の者は全員、選定プロセスに関する情報を受け取る権利を有する。 B.立案、計画および運営 21.子どもたちは、以下のものをはじめとする方法を通じて、一般的討議日の立案、計画および運営に参加するよう奨励される。 (a) コンセプトおよびプログラム。子どもたちは、一般的討議日のコンセプトノート、背景文書およびプログラムの作成(発言者および分科会のトピックの特定を含む)に貢献するよう奨励される。とくに、プログラムを参加者全員(子どもたちを含む)にとってよりアクセスしやすくかつ興味深いものとする目的で、プログラムに盛りこむべき双方向的アクティビティの立案および実施に関して子どもたちと協議することが考えられる。 (b) 準備。子どもたちは、関連のワークショップに参加し、または関連のアドバイザリーグループの構成員に応募するなどの手段により、一般的討議日に関連するすべての計画上および運営上の問題に関してパートナー組織を援助するよう奨励される。子どもたちは計画・運営プロセスのすべての段階に貢献することが可能であり、これには、該当する場合には協議ワークショップの作業計画または子どもアドバイザリーグループの委任事項の起草、および、一般的討議日に向けた関連資料の作成の参考にするためにそれぞれの国で行なう協議の運営も含まれる。子どもたちは、関連する場合には対面の会合に出席する子どもたちの選出プロセスの決定、および、一般的討議日に参加する子どもたちおよび付添いの大人の訓練についても協議の対象とされるべきである。 (c) 普及。子どもたちは、一般的討議日のために作成された資料のチャイルドフレンドリー版(子どもにやさしい書式およびガイドラインを含む)の作成および普及に貢献するよう奨励される。子どもたちには、一般的討議日への子ども参加の動員およびそのようなプロセスが包摂的なものとなることの確保に関しても援助してもらうべきである。そのための手段には、関連の情報を普及すること、ならびに、不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちおよびマイノリティまたは先住民族の集団に属する子どもたちの参加を確保するための戦略を策定しかつ実施することなどがある。 (d) サイドイベントおよび関連の活動の運営。子どもたちは、考えられるサイドイベントおよび関連の活動(展示、パフォーマンス、夜のレセプション、発言イベントおよびワークショップなど)の立案、計画および運営に関する意見および勧告をパートナー組織と共有するよう奨励される。委員会は、サイドイベントの主催者および共催者に対し、子どもたちと協議するとともに、このようなイベントの準備は遅くとも一般的討議日の6~9か月前に開始されなければならないことを念頭に置きながら、子どもたちがこのようなイベントを運営しまたは意味のあるやり方で貢献する機会を提供するよう奨励するものである [6]。一般論として、パートナー組織は、いかなるサイドイベント(とくに展示)についても一般的討議日のプログラムそのものに組みこむことを検討するよう勧告される。 [6] 展示は、政府による後援および国際連合ジュネーブ事務所による事前の承認を受け、かつ、規模その他の詳細に関する具体的要件を満たすものでなければならない。主催者はまた、展示が行なわれるスペースの予約も十分な時間的余裕をもって確保しておかなければならない。 C.資料の提出 22.委員会は、一般的討議日のために選ばれたテーマに関する子どもたちの意見および勧告を反映した、子ども主導の団体および子どもグループからの情報(子どもたちの報告書、研究、写真、アートワーク、動画その他の視聴覚資料など)を歓迎する。子どもたちが作成するまたは子どもたちの意見が反映された提出物は、子どもたち自身の関心および優先事項を代表したものであるべきである。大人は、自分自身の意見を表明する機会として子どもたちの提出物を利用するべきではない。委員会はまた、各分科会のテーマ別焦点分野に関連する問題についての文書の提出も奨励する。このような情報は、一般的討議、成果報告書および委員会が締約国に宛てて採択する一連の勧告へのインプットとなる。このような情報により、委員会は条約の実施に関連する問題についての理解を向上させることもできよう。 23.子どもたちによる提出物はいずれの言語で作成することも可能であり、支援組織は、子どもたちに翻訳を提供するとともに、委員会への提出物がその作業言語(英語、フランス語およびスペイン語)のいずれかで送付されることを確保するべきである。文書による提出物は7ページ(2500語)以内とすることが求められる。子どもたちは、提出物で、問題に関する自分たちの見解を明らかにするとともに、これらの問題または権利に関連してそれぞれの国またはコミュニティで直面している主要な懸念および問題を強調するべきである。また、これらの問題に対処する際の優れた実践に関する情報を共有し、問題点を明らかにし、かつ討議対象のテーマとの関連で委員会がとりうる行動についての勧告を行なうことも求められる。提出物には、選ばれたテーマに直接関連する勧告(それぞれ5行以内)を最大5つ記載し、付属文書として提出物に添付するべきである。 24.子どもたちはまた、一般的討議日の前に、討議の具体的テーマに関してパートナー組織が行なう協議に、対面型ワークショップでの交流またはオンライン調査を通じた意見の提出を通じて参加することも奨励される。協議の結果および主要なメッセージは、パートナー組織によってとりまとめられ、一般的討議日に向けた提出文書として委員会に提出される。各国政府、国連機関および専門機関、NGO、国内人権機関、ビジネス部門ならびにその他の関係者は、子どもたちの関与を得ることおよび一般的討議日への子どもたちの参加を促進することを目的としてこれらの協議を活用するよう、強く奨励されるところである。 25.子どもたちのすべての提出物は、一般的討議日の6週間前までに委員会事務局に提出されるべきである。子どもたちの提出物では、意見を聴かれる権利に関して委員会が掲げた基本的要件にのっとって一般的討議日に意味のある形で参加するために子どもたちがどのように選抜されたか、および、子どもたちの意見を収集し、解釈しかつ展開するためにどのような手法が用いられたかについて、詳しく述べることが求められる [7]。提出物は登録された参加者に配布され、かつ委員会のウェブサイトに掲載されるので、子どもたちが作成する提出物には、当該提出物を公開することに対する子どもたち本人および該当する場合にはその親または保護者の同意書が含まれているべきである(このような同意がない場合、その情報は非公開にされるべきものであると推定される)。委員会は、内容が不正確であるまたは害を引き起こす可能性が高い言葉を含んでいると考えるコンテンツの公開を拒否する権利を留保するとともに、そのような場合、提出物の公開を拒否する理由を子ども(たち)に通知する。 [7] 提出物の作成に関する子どもにやさしいガイドラインとして、Child Rights Connect, "Day of general discussion" 参照。www.childrightsconnect.org/connect-with-the-un-2/committee-on-the-rights-of-the-child/days-of-iigeneral-discussion より入手可能。 D.一般的討議および関連のサイドイベントへの参加 26.委員会は、2年ごとに、委員会の通常会期の最中に一般的討議日を開催している。午前10時~午後1時および午後3時~6時にジュネーブのパレ・デ・ナシオン〔国連欧州本部〕で開催されるのが通例であり、時間外にサイドイベントも行なわれる。一般的討議日の形式はテーマおよびプログラム(子どもたちはこれに貢献することもできる)によって異なる場合があるものの、短い全体会から始まるのが通例であり、そこでは委員会の委員ならびにさまざまな国連機関、市民社会組織および子どもたちの代表による冒頭発言などが行なわれる。その後、意見交換を促進する目的で、参加者は2つ以上の分科会に分かれ、選ばれたテーマに関連する特定の焦点分野について意見交換を行なうのが通例である。最後に、一般的討議日の締めくくりとして閉会全体会が開かれ、各分科会による全体会への報告および委員会のいずれかの委員による閉会発言が行なわれる [8]。 [8] プログラムおよび登録手続に関する情報を含め、一般的討議日についてより詳しくは www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRC/Pages/DiscussionDays.aspx を参照。 27.子どもたちには、以下の立場で、離れた場所からまたは直接、一般的討議日を傍聴しかつこれに参加する機会がある。 (a) リモート参加者。すべての子どもは、以下の手段により離れた場所から参加することを奨励される。(i) ソーシャルメディアを含むメディア、および、国連によるウェブキャストが生中継で行なわれるときは当該ウェブキャストを通じて [9]、オンラインで討議をフォローする。パートナー組織が行なうソーシャルメディアでの実況(このような実況が行なわれることは一般的討議日の十分前から積極的に広報されるべきである)としては、一般的討議日全体を通じた同時進行のアップデートおよび動画配信、ならびに、子どもたちが討議に関与する機会(他のオンライン視聴者とのバーチャル討議への参加、トピックに関して行なわれる生アンケートへの投票、直接参加している有名人とのソーシャルメディア上のやりとりなど)の提供などが考えられる。 (ii) 選ばれたテーマに関する質問および意見表明を行なう。パートナー組織は、オンラインで参加する子どもたちに一般的討議日に寄与する機会が与えられることを確保し、かつ子どもたちのリモート参加の調整を行なうべきである。 (iii) テーマに関する意見を表明した短いビデオメッセージ(3分以内)を提出し、一般的討議日の際に流してもらえるようにする。 (iv) 一般的討議日に並行して国内の関係者が開催する関連の議論に参加する。 (b) 直接の参加者。子どもたちは、直接出席し、かつ以下の手段により参加することができる。(i) 分科会の会合で短い発言を行なう。このような発言では、選ばれたテーマに関する意見を述べ、自国で子どもたちが直面している主要な懸念および問題を強調し、かつ国に対する勧告についての子どもたちの意見を共有することなどができる。 (ii) 分科会の議長の要請に応じて、分科会の会合の共同議長を務め、または報告者として分科会の結論を全体会で紹介する。 (iii) 関連のサイドイベント、展示、動画視聴会または討議およびイベント前後のワークショップに参加し、かつ関連の資料を提出する。 (c) パネリストまたはスピーカー。子どもたちは、パネリストまたはスピーカーとして発言するよう招待される場合もある。 [9] 一般的討議日の生放送および録画は webtv.un.org で閲覧できる。 28.一般的討議日に直接参加することを希望する子どもたちについて、支援組織その他の関係者は、子どもたちが登録フォームに記入し、かつ提出期限までに委員会事務局に提出する際の支援を提供するべきである [10]。これは委員会の公開会合なので、登録料はかからない。委員会事務局によって登録の確認が行なわれる。一般的討議日への参加を認められるのは登録の確認を受けた者だけであり、参加者は、パレ・デ・ナシオンに入館するための身分証明バッジを受け取るため、パスポートまたは国際連合が承認する他の形態の身分証明書を警備職員に直接提示するよう要請される。18歳未満のすべての子どもは大人に付き添われていなければならず、子どもおよび付添いの大人の両方が、登録の確認を受けており、かつ身分証明バッジを受け取るためにパスポートを直接提示しなければならない。国際連合は、査証、渡航または宿泊の手配について援助を提供することはできない。参加者および(または)その支援組織は、一般的討議日への参加に関連するすべての費用および手配について責任を負う。 [10] 大規模学校グループについては、5~10歳の子どもの場合は10人ごと、10~16歳の子どもの場合は15人ごとに付添いの大人ひとりが必要である。17歳以上の子どもの大規模学校グループの場合、グループ全体について少なくともひとりの付添いの大人または保護者が必要とされる。11歳未満の子どもの大規模学校グループの場合、付添いの大人(たち)がグループ全体の身分証明バッジを受け取ってもよい。 29.委員会は、関心を表明するすべての子どもの参加を歓迎するものの、席数が限られていることから、各組織または機関ごとに一般的討議日への参加を認められる子ども代表の人数を制限する権利を留保する。登録申請数が利用可能な席数を超えた場合、子どもアドバイザリーグループの構成員および委員会に提出物を出した子どもが優先される。子どもたちはそれぞれの国またはコミュニティのさまざまな集団および懸念を可能なかぎり代表しておりかつ代弁するべきであり、かつ、不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたちの参加を確保するために特別な努力が行なわれるべきである。 30.委員会は、子どもたちの付添いの大人および子どもファシリテーターが、意見を聴かれる子どもの権利の実施に関して委員会が示した基本的要件を尊重し、かつ、敬意があって子どもの年齢および成熟度にふさわしい方法で子どもたちを支援することを確保することに関して、子ども参加を促進しようとしている国内の関係者に期待している。委員会事務局は、パートナー組織と連携しながら、子どもたち(とくに、不利な立場または脆弱な状況に置かれた子どもたち)の出席の便宜を図るためにあらゆる可能な措置をとるとともに、要請があれば参加する子どもたちに技術的援助を提供する。国際連合では委員会の作業言語(英語、フランス語およびスペイン語)について同時通訳を提供しているが、その他の言語の通訳を必要とする参加者は、自分自身の通訳者をともなって一般的討議日に出席し、かつ当該通訳者が適切な設備にアクセスできるようにするために事務局の支援を求めるよう、要請される。国際連合はさらに、その施設および会合を障害のある子どもにとってアクセシブルかつインクルーシブなものとすることも決意している。障害のある子どもたちは、アクセシブルなドア、傾斜路およびトイレに関する必要な情報を受け取れるよう、アクセシビリティに関して必要な条件および訪れる予定の会議室に関する情報を事前に事務局に提供しなければならない。アクセシビリティに関する具体的な質問および要望は事務局に送ることが求められる [11]。 [11] パレ・デ・ナシオンのアクセシビリティの特徴に関するさらに詳しい情報は、www.unog.ch/80256EE60057F2B7/(httpPages)/FE94243FCCEB3006C125815B0042BB1C?OpenDocument より参照できる。 E.委員会の委員との非公開会合 31.一般的討議日への直接の参加について確認を受けた子どもたちは、討議に関連する問題、とくにとりわけ配慮または秘密保持が必要とされる問題について議論するため、非公式にかつ非公開で行なわれる委員会の委員との会見に招待される。この会見は通常、一般的討議日よりも前に開催され、時間は1時間であり、委員会の通常の会合よりも子どもにやさしい方式で行なわれる。これは会合の時点で18歳未満である子どもたちだけが対象であり、委員会は、会合に出席する大人の人数を制限する権利を留保する。一般的に、付添いの大人がこの会合への参加を認められるのは、通訳のためにその大人の存在が必要な場合または子どもからとくに要請があった場合のみである。 32.委員会は、支援を提供してくれる政府、組織その他の関係者に対し、その代表団の子どもたちおよび大人が、これらの会合に参加する子どもたちの秘密保持およびプライバシーに関して情報を提供され、かつこれを尊重することを確保するよう期待する。これらの会合は委員会の公式会合の時間外に行なわれるため、国際連合による通訳は提供されない。付添いの大人は、委員会の作業言語(英語、フランス語およびスペイン語)のいずれも話すことのできない子どものために通訳を確保するよう求められる。 F.フォローアップおよび評価 33.委員会は、一般的討議日の際に自分たちの参加がどのように支援されたかについての意見(自分たちの参加が貴重なものとして扱われ、かつ自分たちの意見が尊重されたと感じたかどうかを含む)を子どもたちから集めるほか、委員会の将来の活動で子ども参加を確保する方法についての子どもたちの勧告を歓迎する。各一般的討議日の後、参加した子どもたちには委員会事務局が提供する評価フォームに記入してもらうことになる。子ども参加を確保するためのプロセスを評価し、かつ得られた教訓を将来の適用のために記録する目的で、同様の努力が関係者によって行なわれるべきである。子どもたちに対しては、一般的討議日のフォローアップのための取り組みを組織しかつこれに参加するための支援も提供することが求められる。 更新履歴:ページ作成(2020年4月24日)。