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東の砦とは、開門都市外部にある4つの砦の一つ。第二次聖鍵遠征軍が兵士2000人を駐留させていた。 東の砦将が治めていた。全体的に素行が悪い第二次聖鍵遠征軍の中で唯一まとも。 初出 2-1 2スレ149レス 2009/09/06(日) 17 39 37.43 魔族娘「東の砦の人は、あんまり乱暴……しないって。 その代わり、街にもあまりきませんけど……。 魔族なら、逃げたら東に向かえって…… いわれてます……」 地名 開門都市の地名 魔界の地名
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東の砦将(ひがしのさいしょう)とは、この物語の主人公の一人である。元傭兵。 第二次聖鍵遠征軍では傭兵として参加し、魔界開門都市外部の4つの砦の一つ東の砦の将軍だった。 3年目年始、第二次聖鍵遠征軍の開門都市撤退の際、司令官(片目司令官)に兵士500名を残して開門都市に置き去りにされた。その後、周辺の有力魔族、開門都市の有力魔族や有力商人と交渉。開門都市臨時自治政府を開いた。 3年目晩夏に、開門都市連絡議会当日に東方風の祭りである縁日を行うことを提案したことから、勇者と同じく東方人の子孫ではないかと考えられる。 初出 2-3 2スレ677レス 2009/09/07(月) 17 51 00.73 東の砦将「そんな声荒げなくたってよぉ」 別名 東の大将 関係者 黒騎士(勇者) 友人 火竜公女 開門都市自治委員会議員。 魔族娘 火竜公女の侍女 司令官(片目司令官) 第二次聖鍵遠征軍司令官。元上司 将官 第二次聖鍵遠征軍の将官。元上司。 ○その他面識のある人物 人間商人 魔族商人 主人公 人物 人間 氏族長 男性 衛門族の人物 開門都市の人物
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概要 遭遇敵 奪還宝物 解放ユニット コメント 概要 人間が作った4つの砦の1つ。 選ばれしナイトが守護しているらしい。 最大階層 最小戦力 最大戦力 属性 敵種類 奪還宝物数 解放ユニット数 難易度 奪還時間 魔王経験値 総経験値 5F 30 70 無 10 5 15 5 1h30m~2h41m(約1h45m) 1,840~1,875 2,047 遭遇敵 各敵のランク・属性・能力については、敵辞典を参照すること。 敵 経験値 遭遇階層 1 2 3 4 5 B ルーキーファイター 12 ファイター 18 ルーキーアーチャー 13 アーチャー 18 ルーキースピアーマン 16 スピアーマン 21 ルーキーソーサラー 12 ルーキープリースト 9 ナイト・セイリュウ 64 - インドラ 奪還宝物 奪還宝物詳細については、アイテム辞典を参照すること。 宝物名 奪還階層 レッドカウ(中) 1 2 3 4 5 T ダークスト(中) 1 2 3 4 5 T リゲケル(中) 1 2 3 4 5 T コカプシ(中) 1 2 3 4 5 T ソーサラー・ワンド 1 2 3 4 5 T 解放ユニット 解放ユニットのランク・属性・能力については、ユニット辞典を参照すること。 ユニット名 解放階層 ゴブリンウォーリアー 1 2 3 4 5 ゴブリンソーサラー 1 2 3 4 5 ゴブリンプリースト 1 2 3 4 5 オーク 1 2 3 4 5 コボルトウォーリアー 1 2 3 4 5 巨大クモ 1 2 3 4 5 スケルトンファイター 1 2 3 4 5 スケルトンウォーリアー 1 2 3 4 5 スケルトンソーサラー 1 2 3 4 5 スケルトンプリースト 1 2 3 4 5 シャドー 1 2 3 4 5 グール 1 2 3 4 5 ワーウルフ 1 2 3 4 5 リザードマンファイター 1 2 3 4 5 リザードマンウォーリアー 1 2 3 4 5 コメント (ログはこちら) ただいま新wikiに移行作業中…ttp //wikiwiki.jp/bokumaka/ - 2014-04-05 13 14 26 燭台や鍵(代替パッシブも同様)、幸運、不幸の不使用コンプ。作戦回数31回、総作戦時間66h44m。最後はオーク2-4。 - 2013-05-23 23 21 03 コンプ15回18h - 2013-01-26 08 03 36 戦地別コンプ37回、23h - 2013-01-06 23 37 17 訓練 - 2012-12-26 23 58 31 奪還に3h7m確認 - 2012-12-10 11 19 21 奪還に1h26m確認 - 2012-10-29 01 09 34 ここまで反映 - 2012-10-13 06 27 22 2-2リザードマンウォーリアー - 2012-10-10 12 21 34 4-4巨大クモ - 2012-10-10 12 20 01 ノードープで調子に乗って出撃したら、一軍が全滅したwww 引退する! - 2012-10-05 16 33 40 ここまで反映 - 2012-08-20 22 39 32 スケルトンソーサラー 3-4と4-3で解放 - 2012-08-12 12 02 30 シャドー3-2 - 2012-07-11 04 02 53 スケルトンソーサラーが出ない!! - 2012-07-08 18 41 54
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ここを編集 魔王の攻略推奨レベル:Lv.6以上 平均攻略時間:2h (±30m) 初期の難所の一つ 敵一体一体が強いため、まっすぐ来れてしまった場合はかえって全滅しやすい。 弱いユニットはかえって邪魔なので、強い仲間を厳選して挑む必要がある。 ユニット自体のレベルよりも、ステータスの高いユニットをまず最優先にして選ぼう。 作戦時間を60m辺りにセットして様子を見てみたり、強いユニットのレベルを上げておいたり、 早めに魔王レベル10前後にして数で押し切ってしまう作戦もありだろう。 また、推奨レベルは6以上となっているが、そのレベルでは全滅の可能性がある。 そのレベルで安全にクリアするにはその時点で最高クラスのユニットが必要になる。 全滅のリスクなくすには魔王レベル8程度を勧める。(レベル6でボスで全滅した者)
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東の砦将の別名 初出 3-1 3スレ90レス 2009/09/08(火) 19 22 34.47 魔族商人「こりゃぁ、東の大将じゃねぇですか」 別名
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評定 なし 軍議 孔明→援軍を待つ 勝利条件/ヒミコを敗走させる 敗北条件/劉備が敗走する、時間切れになる 部隊 味方部隊 部隊長 小隊長 小隊長 小隊長 備考 劉備 姜維 (徐庶) - 孔明 (魏延) - - - - - - 味方増援 部隊長 小隊長 小隊長 小隊長 備考 鳳統 (祝融) - - 西砦に出現 孫麗 馬謖 - - 西砦に出現 黄忠 (蔡文姫) - - 西砦に出現 美三娘 (蔡瑁) - - 東砦に出現 馬超 (馬岱) - - 東砦に出現 関羽 関平 周倉- - 北砦に出現 趙雲 法正 - - 北砦に出現 張飛 理理 瑠瑠 - 北砦に出現 - - - - 敵部隊 部隊長 小隊長 小隊長 小隊長 備考 ヒミコ - - - 平原に布陣 虎稚 呉偉 - - 平原に布陣 夏侯覇 張任 - - 平原に布陣 登涯 - - - 西の砦防衛 張興 程育 - - 西の砦中 徐晃 - - - 北の砦防衛 郭昭 - - - 北の砦中 陸遜 - - - 東の砦外 甘寧 太史慈 - - 東の砦中 呂蒙 - - - 東の砦中 - - - - 敵増援 部隊長 小隊長 小隊長 小隊長 備考 - - - - イベント 時間経過で西砦に鳳統、孫麗、黄忠が到着。 さらに時間経過で東砦に美三娘、馬超が到着。 さらにさらに時間経過で北砦に関羽、趙雲、張飛が到着。 攻略 こちらの部隊編成は蜀魏決戦の時と同じ。孔明隊が一人なのが地味にキツイ。 7章で樊城を選べば魏延が付く。劉備隊と速度が同じになるので動きやすくもなる。 劉備隊は鱗の陣のままだと劉備小隊の戦闘参加が遅くなり、開幕で斬り込みを使えない。後方警戒もできる月の陣あたりに変えておくのをオススメ。 敵部隊のほとんどは砦の中にいるが、開戦後すぐに城門を開けて概ね南西端を目指して進軍する。 どうせこれで終わりだし別に敵を全滅させて経験を稼ぐ必要もない…が、全滅させたい場合は開始位置でぼんやり待機するのが良い。笑えるくらい包囲されるし、劉備と孔明はかなり危険な状態まで追い込まれるが一応なんとかなる。 包囲されすぎて増援が来てもなかなか援護できないが、劉備隊には鼓舞が2枚あるのでそうそう落ちることはない。孔明は微妙だが、どうせ最後だし落ちても気にしなくて良いでしょう(ぇ そんな安定感も何もない乱戦はやりたくねえよ!という人は、劉備と孔明を砦or南東の森へ逃げ込ませるのが目標になる。 安全に戦いたい場合1 劉備はまず孔明の東側を通って南端へ移動させる。南端に着いたら南東の森へ。南端から出っ張ってる森の北側を目標地点にすると良い。そして森の中を通って東砦の中へ。 夏侯覇がしつこく追って来るが、離脱を繰り返して砦に入ってから迎撃する。砦の前に甘寧がいたら戦闘にならないように一時停止して西へ行かせる。 孔明は劉備を通すためにまずは南へ移動。劉備をかわしたら北西端へ向かう。張興が西砦を出たのを確認してから西砦に入る。孫麗と孔明を前衛に、鳳統と黄忠は遠距離攻撃で迎撃する。 敵の城門通過中も遠距離攻撃する配置にできると特技を使う必要がないほどの速度で殲滅できる。ここまで遠距離攻撃をほとんど使わなかった人はその恐ろしさを知れるだろう。 敵のほとんどの部隊は西砦へ向かう。西にいない部隊は劉備を追って東砦にいる。 北砦に敵は向かわないので猛将3人は別に何もしなくて良い。外に出て適当に戦っても良い。 登涯がなかなか砦から出て来なかった場合、孔明は登涯に迎撃されて砦に入るのが難しくなる。 その時は孔明を見捨てて敵が孔明に集中するのを待ち、北砦の増援を向かわせて背後から各個撃破していけば良い。 孔明の妖術をヒミコに全部当てれば壊滅寸前まで追い込めるので、速攻クリアを狙うという手もある。 コメント 名前 コメント
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<前5-4へ|次6スレ目へ> 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」5-5 881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 13 17 41.28 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、客室・姉妹 メイド妹「すごいすごーい! お布団ふっかふかぁ!」 ぼふんっ! ぼふんっ! メイド姉「こら。いもーと。そんなことしないの」 メイド妹「だって、ふっわふわだよぉ? すっごいよ?」 メイド姉「そ、そう?」 メイド妹「うんっ♪」 メイド姉「そうなんだ……」 メイド妹「お姉ちゃんもしようよっ!」 ……ぼ、ぼふっ メイド姉「わ、すごいっ」 メイド妹「でしょー? これ何で作るのかな? 綿かな、藁かな」 メイド姉「鳥の羽で布団を作るって読んだことがあるわ」 ぼふんっ! ぼふんっ! メイド妹「そうなんだ! すごいねぇ。鳥さんの羽で こんなふわふわ布団になるのかなぁ。――あ」 メイド姉「どうしたの?」 メイド妹「こっちにドアついてる」 とてて、ガチャ メイド妹「わぁーっ!」 メイド姉「どうしたの?」 882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 13 18 33.66 ID z6GJxeoP メイド妹「なんかね、洋服が一杯掛かってる。 あと、リネンとか、お風呂もついてるよー」 メイド姉「温泉? 広間くらい広いの?」 メイド妹「ううん。お屋敷のと同じくらいだよ」 メイド姉「そうよね。メイド長も人が悪いから……。 大広間ほどのお風呂があるなんて、大げさよ」 メイド妹「だよねっ!」 とてて メイド姉「でも、とっても素敵なお風呂ね」 メイド妹「うんっ。あ、お姉ちゃん!」 メイド姉「なに?」 メイド妹「この石鹸、薔薇の花の形してるよ?」 メイド姉「わぁ……」 メイド妹「すっごいね!」 メイド姉「うん、うんっ」 メイド妹「後で入ろうね!」メイド姉「そうね。二人で入るには大きいくらい」 メイド妹「お姉ちゃんとお風呂だぁ」 メイド姉「そんなにはしゃがないの」 メイド妹「髪も洗って~♪」 メイド姉「はいはい」 にこっ 887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 13 34 15.13 ID z6GJxeoP ――魔王城、最下層、冥府殿の扉 女魔法使い「……」 メイド長「どうでしょう?」 女魔法使い「……反応はない」 メイド長「消失しましたか?」 女魔法使い「……判らない。でも」 メイド長「はい」 女魔法使い「この扉を破ったのは、勇者?」 メイド長「そうです」 女魔法使い「……」 メイド長「……」 女魔法使い「……残留思念の止揚結界も、破壊されている」 メイド長「やはり……」 女魔法使い「おそらく、もう継承は行えない。もしくは」 メイド長「もしくは?」 女魔法使い「……世界全てで無秩序に継承が行われる」 メイド長「では、魔王の霊は?」 女魔法使い「世に、放たれた」 893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 03 21.90 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、客室・姉妹 こんこんっ 魔王「おーうい、姉~。妹~」 ぱたぱたっ 魔王「わたしだ」 ガチャ メイド姉「あ、はい当主様っ」 メイド妹「当主のお姉ちゃん、どうしたの-?」 魔王「なにをしていたのだ?」 メイド姉「いえ、お風呂に入って、着替えようかと」 メイド妹「うん。あのね、あのねっ。石鹸が可愛いんだよっ」 魔王「丁度良かった。お風呂に入るぞ」 メイド姉「はい?」 魔王「風呂は、少し離れた場所にあるのだ。案内に来た」 メイド姉「え? ……そのぅ、別の場所?」 魔王「そうだ。着替えだけ持ってゆこう」 メイド姉「は、はいっ」 メイド妹「ぱ、ぱんつー。ぱんつどこやったっけー」 メイド姉「妹のは、こっちの袋っ」 魔王「ふふふっ」 894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 04 22.81 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、大温泉 ドドドドドド! メイド姉妹 ぽかーん 女騎士「んぅ。熱くて心地よいな」 メイド長「手前に行くほど浅くて温くなっていますよ」 女騎士「わたしは熱い湯が好みなのだ」 女魔法使い「……茹で騎士」 ドドドドドド! メイド姉妹 ぽかーん 魔王「何を硬直しているのだ?」 メイド姉「だ、だって。お風呂に滝がありますよっ!?」 メイド妹「お風呂なのに天井がないよぅっ!?」 魔王「そんなことを云われても。それが温泉なのだ」 メイド姉「そ、そんな」おろおろ メイド妹「湯気で真っ白でふわふわだよぅ」わたわた メイド長「これ。取り乱さないで落ち着きなさい」 メイド姉妹「はいっ」びしっ 895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 05 28.33 ID z6GJxeoP メイド姉「温かい……」 メイド妹「うん、熱々~」 メイド長「真っ赤ですよ、妹」 メイド妹「でも、平気~」ふらふら 女騎士「こらこら。ふらついているじゃないか」 女魔法使い「……南方寒冷地に住む人々は、 普段このような熱い湯に長時間つかる習慣がない。 それだけに耐性が低い」 魔王「そうなのか。風土的なものなのだな」 メイド姉「妹ったら、みんなと一緒のせいではしゃいでるんです。 ごめんなさい。ちょっとあがってれば平気だよね?」 メイド妹「うー」 女魔法使い「……“氷の息吹”」ひやっ メイド妹「ひゃうっ!?」 女魔法使い「……回復した」 ざざーん 魔王「うん。久しぶりだが、心地よいな」 女魔法使い「……」じぃっ 魔王「どうした? 魔法使い殿」 女魔法使い「なんでもない」 魔王「同じ一族ではあるが、入れ違いになり、 あまり話も出来なかったな」 女魔法使い こくり 896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 07 41.63 ID z6GJxeoP 魔王「わたしは魔王で、専門は経済学と金融史だ」 女魔法使い「……魔法使い、伝承学」 魔王「そうか。勇者の、仲間だったのであるな」 女魔法使い こくり 魔王「勇者は、どんな人だった?」 女魔法使い「ばか」 魔王「そうか」 女魔法使い「……人を救うばか。損ばかりしている」 魔王「そうか……」 女魔法使い「魔界の勇者」 魔王「ん?」 女魔法使い「――人界の魔王は、好ましい?」 魔王「勇者のことは……。うん、大事な人だ。 ……勇者は、なぜ王にならなかったんだろう? あれだけの戦闘能力、行動力、優しさ、 そして勇者であるという、その名前の価値からすれば 王になっていて当然なのに」 女魔法使い「……」 魔王「魔界に勇者がやってくる時、それはわたしの予想では まだ5年は先だったけれど、その時はきっと地上の王として やってくると思っていた」 897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 08 37.17 ID z6GJxeoP 女魔法使い「……ばかだから」 魔王「そうか」 女魔法使い「……」 魔王「勇者が人間の、地上の世界を統べる王となり、 地下世界に攻め込む。 わたしは魔族の希望を一身に背負う一人の勇者として 地上世界にいる勇者を目指して討伐の旅に出る。 ……そんな物語もあったのかな」 女魔法使い「意味はない」 魔王「ない、か」 女魔法使い「……その旅にきっとあなたはいない」 魔王「そうだろうな。わたしは、戦闘はからきしだ」 女魔法使い「……」 魔王「……」 女魔法使い「……」じぃっ 魔王「どうしたのだ? 魔法使い殿。わたしの内側に、 何か見えるのだろうか」 女魔法使い「……でかい」 魔王「は?」 女魔法使い「……」 魔王「こっ、これは。い、いや。見ないでくれ」 899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 11 49.92 ID z6GJxeoP メイド長「いえいえ、そうは参りません」すちゃ 女魔法使い「……こっちは美乳」 魔王「なっ」 メイド長「彼我戦力差を考えた上でも、 ここは物量による飽和攻撃を敢行すべきかと存じます。 駆け引きや、胸を温めるような幼い想い。 そのようなものは圧倒的な戦力における理性の蹂躙の前には 小枝で支えた抵抗線です」 女騎士「小枝とか云うな」 女魔法使い「……ちっぱい」ぷくっ 魔王「そうはいっても、わたしはこの胸にそこまで自信が 持てないのだ。たゆたゆして落ち着かないし、形だって ちょっともったりしているというか……」 女騎士「重力に魂を引かれるのがそんなに自慢かっ」じわっ メイド妹「お胸のはなし?」 メイド姉「わたし達は年齢なりだから。 ほら、向こうで髪の毛洗おうね」 メイド長「いーえっ。男性の好みは女性の美意識とは 自ずと違うものっ。指ののめり込むような柔らかさの中に 殿方を引きつけてやまない甘い毒があるのですっ」 女騎士「~っ。一部の大国の専横が価値観を歪める。 そのような無法がまかり通って良いのかっ!? 我が湖畔修道院はそのような横暴には断じて抵抗するぞっ!」 901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 14 17.71 ID z6GJxeoP 魔王「そ、そうなのか? こんな駄肉でも価値があるのか?」 女魔法使い「……魔王は、だいたい傾城将軍たゆんと同じくらい」 魔王「第3巻で負けたではないかっ」 女魔法使い「……人気に応えて5巻で再登場」 女騎士「虐げられた、貧しい暮らしに甘んじている 心優しき人々の切なる願いを貴様はむげにするのかっ!」 女魔法使い「……大丈夫。そういう趣味の人もいる」 メイド長「あらあら、まぁまぁ。 せっかくの機会を設けましたのに、 審判たる勇者様がいませんと話にオチがつきませんね」 魔王「む、む、胸で人の価値を計るべきではないっ!」 女騎士「おお! 珍しく合意点が見つかったな!! そうだ! 人間の価値は胸のサイズで計られるべきではないっ」 女魔法使い「……理知の光で真実を照らす。啓蒙主義」 メイド妹「お姉ちゃん達、難しい話をしてるね」 メイド姉「そうね。ほら、お耳に水が入っちゃうわよ?」 ざざー。 メイド妹「ううっ」ぶるぶるっ メイド姉「あのお話は皆様に任せましょうね」 メイド長「こうなっては、決着は次の勝負に持ち越しでしょうか」 魔王・女騎士「勝負?」 メイド長「はい、宴席を用意しておりますから」にこっ 905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 14 24 09.44 ID z6GJxeoP ――辺境の森 きつね「きゅーん」 勇者「た、たのむっ。俺の友達になってくれっ!」 きつね ダダダッ たぬき「もっきゅー」 勇者「お友達からお願いしますっ!」 たぬき ビク くま「がぁぉ! ぐぉふぐぉっふ」 勇者「この際何でも構わんっ! ともだーちーぃ、ぼしゅぅぅぅぅ~ちゅぅ~!!!」 くま びくっ。だだだだっ 925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 32 31.82 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”畳の広間 魔王「勇者は遅いなぁ。冷めてしまうぞ」 メイド姉「どうしたんでしょうか?」 メイド妹「おぃひぃのにね♪ わぁ、こっちのお肉も美味しい!」 メイド長「援軍要請に手間取っているのですわ」 女騎士「宴会に遅れるとは間の悪い」 女魔法使い「……来た」 とっとっとっと、ガチャ! 勇者「待たせたなっ! ばぁあーんっ!」 東の砦将「……」 副官「……」 メイド姉「お帰りなさいませ」 メイド妹「お帰り、お兄ちゃん」 メイド長「あら、お二人ですね? すぐ食事とお酒を用意させますわ」 女騎士「勇者、遅いぞ~」 女魔法使い「……もぐもぐ」 魔王「話はともかく、まずはお酒だ。 せっかくの慰安旅行だからなっ!」 927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 33 59.26 ID z6GJxeoP 勇者「だよなっ! さぁ、座ってくれ。飲もうぜっ」 東の砦将「ちょ、お、おい」 勇者「なんだよ?」 東の砦将「ちょっとこい」 勇者「どうした?」 東の砦将「こっ、ここはまさか」 勇者「うん? 魔王城」 東の砦将「だって、お前。 黒騎士が、珍しく酒を驕るって云うから」 勇者「おう。おごり、おごり。無料宴会」 東の砦将「何がどうなってるんだよ。 ってか、どういう集まりなんだよ」 勇者「家族旅行みたいなものだよ」 メイド長「まずは一献どうぞ」 東の砦将「は、はい。……おおっと、ありがたい。 これは……鬼呼族の米の酒ですね。珍しい上物だ」 メイド長「わたくしは、当主様の世話をさせて頂いております メイドの束ねメイド長と申します」 東の砦将「はぁ、これはご丁寧に。……やい、黒騎士」 勇者「?」 東の砦将「魔王の側近ってのはふかしじゃなかったんだな。 こんな美人さんのメイド長がいるのか、 お前、実はすごいやつだったんだな」 928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 36 26.42 ID z6GJxeoP 勇者「俺のメイドじゃないって。魔王のだよ」 東の砦将「そうか、魔王か……。 もちろんあんな場所で執行委員なんてのをやってるから 疑ったことなんか無かったが、魔王がいるんだよな。 当たり前だが。 俺も様々な戦場をくぐってきたが あのクラスの美女をメイドとして使う魔王か。 やっと魔界の広大さが実感できた気がするぜ」 勇者「魔王か? 話すか? おい、魔王。魔王ー」 魔王「なんだ勇者? この魚も美味いぞ」のこのこ 東の砦将・副官「え?」 勇者「話してただろ? こいつが、東の砦将。 開門都市で自治政府のとりまとめをやってくれてるって。 こっちはその副官。いつも世話焼いて貰ってる」 魔王「おお! そうであったか! お初にお目に掛かる! 砦将どの。あの都市の最近の安定ぶり、復興発展ぶり、 全て聞き及んでいます。確かな手腕をお持ちのようだ」 東の砦将・副官「え?」 東の砦将「ちょっとまてやぁ!?」がしっ 勇者「いきなりなにするんだよ。 魔王城なんだから魔王がいたって仕方ないだろうっ」 東の砦将「サプライズアタックかよ! 心の準備させろよっ」 勇者「傭兵だろっ! 出たとこ勝負で行けよっ」 副官(副官で良かった……) メイド姉「ほら、こぼしちゃだめよ?」 メイド妹「はぁい♪」 929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 38 28.09 ID z6GJxeoP 勇者「で、こっちが湖畔修道委員長でもある女騎士。 時たま暇つぶしに将軍業もやってたりする」 女騎士「お目にかかれて光栄だ。東の砦将殿」 勇者「こっちは魔法使い。あー。眠そうに見えるが これでも結構強い。“出来が悪い悪夢”で判るかな」 女魔法使い「……もぐもぐ」ぶい 副官「そ、そ、それって」 東の砦将「救世の勇者の一行じゃないかっ!? なんでその英雄達が、魔王城で、し、しかも 魔王と酒を飲んでいるんだっ!? どこの世界の家族旅行がこんな状況になるってんだよっ!!」 女騎士「おい、勇者。何の説明もしていないのか?」 メイド長「あらあら、まぁまぁ」 副官「ゆ、ゆうしゃ?」 勇者「悪い、悪い。おれ黒騎士だけど勇者もやってるんだ。 いや、正確に言えば、勇者が黒騎士にスカウトされたんだよ。 魔王倒しに云ったら、一緒にやらないかーって」 東の砦将「……」 副官「……」 937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 54 13.03 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”畳の広間 ~♪ ~~♪ メイド妹「んっみぃはよ~♪ んみぃだよぉ~♪」 女騎士「――飲まれているか? 砦将殿」 東の砦将「先ほど情けのないところをお目にかけました。 すいません。女騎士様。頂いております」 女騎士「騎士様はよしてくれ。わたしのほうが年下ではないか。 砦将殿の長年の経験や、将軍としての姿勢を聞かされて 一度は会いたいと思っていたのだ」 東の砦将「は、はぁ……」 女騎士「さぁ、杯を交わそう。わたしのことは騎士と呼んでくれ」 東の砦将「じゃ、騎士殿」 とくっとくっとくっ 女騎士「……はぁっ!」 東の砦将「良い飲みっぷりですなぁ! ぷは!」 女騎士「そちらこそ、やるではないかっ」 東の砦将「はっはっは。傭兵ですからね。 剣の腕、度胸、気っ風。その次に大事なのが、酒の強さです」 女騎士「あははははっ。もう一杯行こう!」 東の砦将「はっ!」 女騎士「あの街の様子はどうなのだ?」 東の砦将「開門都市ですか?」 939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 56 17.51 ID z6GJxeoP 東の砦将「近頃では、随分人も増えましたよ。 最初は行商人ばっかりでしたけれどね。最近じゃぁ、 逃げ出した人や新しい人もぼちぼち戻ってきています。 人間の商人もね」 女騎士「人間の? ゲートは破壊されて大空洞になったのだろう? 正式な通行許可はどこも卸していないと思うのだが」 東の砦将「商人ってやつは逞しい。 許可があろうが無かろうが、商売のチャンスさえあれば、 やってきますよ。 もちろん見つかりゃぁ密貿易ってことになるんでしょうがね」 女騎士「ふぅむ」 東の砦将「……それにしてもね」 女騎士「ん?」 東の砦将「そうかぁ、勇者だったんですかい」 女騎士「どうしたのだ?」 東の砦将「いやいや。あの黒騎士ってのは、酒を飲むたんびに なんでこんなにいい加減なやつが、あんなに強いのかとも 思ってましたが、勇者だったんですかい」 女騎士「ああ。勇者だ」ふわり 東の砦将「……」 女騎士「……」 東の砦将「……」 女騎士「ん?」 東の砦将「いや、騎士殿は」きりっ 東の砦将「勇者を見つめる時はとても良い眼差しをされますな!」 女騎士「か、からかうなっ!」 943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 15 58 11.67 ID z6GJxeoP 東の砦将「ってことは、勇者達はやっぱり戦争を?」 女騎士「したくはないと云うことだ」 東の砦将「そうでしょうなぁ。黒騎士はあの都市でも、 随分そのことだけは口を酸っぱくしていっておられた。 “魔族が嫌いな人間は俺の所へ来い。代わりに殴られてやる” “人間が憎い魔族は俺の所へ来い。代わりに俺が憎まれてやる” ってね」 女騎士「……そうか」 東の砦将「どうしたんで?」 女騎士「いや、地上世界もぐちゃぐちゃでな。 魔族を許さないと燃え上がる中央と、 三ヶ国同盟は対立を続けている。 平和に暮らしたいはずなのに、誰もが手に剣を持っている時代だ」 東の砦将「そいつはぁ、仕方ありませんやね。 あんな物騒な街に住んでいるから思うのかも知れませんがね。 誰か偉い人が来て、全員から武器を取り上げれば そりゃ平和になるかも知れない。 けれど、そんなものはお父やお母にゴチンとやられて 喧嘩を止める子供のようなもんでしょう? そんなのは、本当に平和って云うんですかね? 武器を持ったままでも握手を出来るから 平和って云うんじゃないですかね」 女騎士「……」 東の砦将「いや、差し出がましい事を云っちまいましたね」 女騎士「出来ると思うか?」 東の砦将「魔族との共存ですか?」 944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/17(木) 16 00 45.74 ID z6GJxeoP 東の砦将「それは出来るでしょう」けろり 女騎士「そうかっ」 東の砦将「そんなことは自明ですよ。 もう穴っぽこだってあいちまってる。 今はまだ細い流れだけど、この流れが途絶えることは もう無いですよ。共存しなきゃ滅ぼしあいだ。 共存するっきゃないでしょう。 そんなものは『開門都市』を見ればすぐ判ります。 ええ、共存できますよ。 魔族だって人間だって、本当はたいした違いなんて無いんだ」 女騎士「うん」 女魔法使い「……問題は損害許容限界」 東の砦将「そうですな」 女騎士「どういうことだ?」 東の砦将「いずれ共存は出来ますよ。それは保証できる。 問題は、それまでに、どれだけの血が流れるかって事です。 その共存は五年後か、十年後か、百年後かは判らない。 それまでに流れる血は年月に比例して大きくなるでしょう。 もしかしたら、人間か魔族かどちらかの血を 全て流し尽くすほどの血が必要かも知れない。 共存は出来るでしょうが、それまで人間や魔族が 『保つ』かどうかは別問題です」 女騎士「……」 東の砦将「キツイでしょうが、それが傭兵の見立てです。 明日は来るけれど、今日流れる血の量は判らない」 947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 16 11 06.40 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”畳の広間 副官「美味しいですね、これは何でしょうね?」 メイド姉「これは、野菜?」 メイド妹「にんじんだよぉ」 副官「にんじんはこんなに甘いのですか!?」 メイド妹「多分、蜜で煮てあるの」 副官「初めて食べましたよ」 メイド姉「わたしもです」 メイド妹「わたしも~♪」 副官「やぁ、なんかすごいメンバーですねぇ」 メイド姉「そうですか?」 メイド妹「お兄ちゃん? お姉ちゃん?」 副官「いやいや。皆様すごいですよ」 メイド姉「あまり気にしたことはありませんが……」 メイド妹「ねーねー。これ! これすごく美味しいよっ!!」 副官「どれです?」 メイド妹「この赤い枝みたいなの」 副官「ああ、これは大沢カニですよ。割ると中身が美味しいです」 メイド姉「へぇ……わたしも」 メイド妹「うんうんっ。たべよう!」 ぱきっ! ほじほじ。 ぱきっ! きゅりきゅり。 副官「何か落ち着きますねぇ」 メイド姉「はい」 メイド妹「美味しいもんねぇ~」 949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 16 18 45.22 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”畳の広間 ~♪ ~~♪ 東の砦将「んっなみぃがおっどるぜぇ♪ っぽをたてろ~♪」 魔王「うむ。勇者」 勇者「どした?」 魔王「飲んでるか」 勇者「飲んでるよ」 魔王「わたしも飲んでいる」 勇者「知っているよ」 魔王「いや、知っていると云うことは知っている」 勇者「な、なんだそれ」 魔王「しかし、わたしは わたしが知っていると云うことを知っているか 勇者が知っているかについて確認したかったんだ」 勇者「こ、こんがらがってきた」 魔王「そんなことはどうでも良いんだ」 勇者「魔王が言い出したんだろうっ!?」 魔王「多数の耐久財、資本財がある経済でしか成り立たない 限定解などこの場合どうでも良い」 勇者「どうでもよさが難解になったっ」 魔王「勇者っ」 勇者「は、はいっ」 魔王「勇者、勇者、勇者っ」 勇者「さ、三連突撃ときたっ」 954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 16 22 52.29 ID z6GJxeoP 魔王「ほ」 勇者「ほ?」 魔王「ほーわこうげきっ!」 のしっ! 勇者「っ!?」 魔王「う。ダメだ。ここは譲らぬ、ぞ……。くぅ」 勇者「……えっと」 メイド長「あらあら、まぁまぁ。膝枕が気に入ったんですかねぇ」 魔王「……すぅ」 勇者「寝ちまったのか? 魔王」 魔王「……すぅ……すぅ」 メイド長「寝てしまいました?」 勇者「そうみたいだ」 メイド長「よっぽど思うところがあったのでしょうね。 ……たぬき寝入りかも知れませんけれど」 ぎく 勇者「?」 メイド長「いえ、勇者様。魔王様を寝室に連れて行って 差し上げていただけますか?」 勇者「うん、ああ」 メイド長「では、よろしくお願いします」にこっ ページトップへ <前5-4へ|次6スレ目へ>
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リスト 概要 遭遇敵 奪還宝物 解放ユニット コメント 概要 境界に存在する4つの砦の1つ。選ばれしナイト達が守護しているらしい。 能力の上昇をもたらす全てのアイテムの力を封じる結界がある。(ドーピング無効) 最大階層 最小戦力 最大戦力 属性 敵種類 奪還宝物数 解放ユニット数 難易度 戦闘回数 推定奪還時間 魔王経験値 総経験値 5F 12000 12400 無 24 26 28 ? 80回程度 1h30m 118,000 700,000 遭遇敵 各敵のランク・属性・能力については、敵辞典を参照すること。 敵 遭遇階層 1-1~1-4 2-1~2-4 3-1~3-4 4-1~4-4 5-1~5-4 5B マークィス・セイント デューク・セイント マークィス・ファイター デューク・ファイター マークィス・アーチャー デューク・アーチャー マークィス・スピアーマン デューク・スピアーマン 重武装ラクダ兵 機動型ラクダ兵 高機動型ラクダ兵 強行偵察型ラクダ兵 強襲型ラクダ兵 近衛ラクダ兵 重武装ゾウ兵 機動型ゾウ兵 高機動型ゾウ兵 強行偵察型ゾウ兵 強襲型ゾウ兵 近衛ゾウ兵 マークィス・ウィザード デューク・ウィザード バロン・セイリュウ カウント・ゲンブ 奪還宝物 奪還宝物詳細については、アイテム辞典を参照すること。 宝物名 奪還階層 1-1~1-4 2-1~2-4 3-1~3-4 4-1~4-4 5-1~5-4 ベリータケノコ(大) スーパータケノコ(大) ハイパータケノコ(大) ウルトラタケノコ(大) 風の護符 鉄の護符 命の護符 力の護符 戦神の杖 戦神の長杖 戦果の鐘 戦果の銀鈴 戦果の銀笛 智慧の鍵 覚者の鍵(小束) 銀塊 金石 金塊 青玉 紅玉の原石 紅玉 翠玉の原石 翠玉 金剛石の原石 解放ユニット 解放ユニットのランク・属性・能力については、各ユニット辞典を参照すること。 ユニット名 解放階層 1-1~1-4 2-1~2-4 3-1~3-4 4-1~4-4 5-1~5-4 5J ゴブリンナイト ゴブリンウィザード ゴブリンセイント オークナイト オーガナイト トロールナイト コボルトナイト コボルトウィザード コボルトセイント トロールコナウィザード スケルトンナイト スケルトンウィザード スケルトンセイント ガルルー リザードマンナイト リザードマンウィザード リザードマンセイント サイクロプス ギガンテス フォモール シパクナ カブラカン ヴクブ・カキシュ グレンデル ゲリュオネウス ウルリクムミ サブナック ヴィネ コメント (ログはこちら) ただいま新wikiに移行作業中…ttp //wikiwiki.jp/bokumaka/ - 2014-04-05 13 22 29 なんか今週くらいから異様に宝箱の量と質が悪化したような。魔神の羅針盤×2で150分到達がザラ・・ - 2013-06-28 21 15 09 体感先輩ちーっすw - 2013-07-21 22 16 42 近衛ゾウ兵DEX710で先制、DEX511で先制不可 - 2013-02-20 23 42 20 羅針盤無しだと6時間32分だたよ - 2013-01-05 06 44 52 サブナック5-Tで救出 - 2013-01-04 20 19 54 ヴィネ 5-4で救出 - 2012-12-22 14 45 54 自分も。Jだけじゃないんだね - 2014-03-10 06 11 27 とりあえず5T消して5Jの追加など変更しました - 2012-12-21 21 19 34
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<前5-5へ|次6-2へ> 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」6-1 22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 47 37.22 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”大きな客間 ガチャ 勇者「……ん、っせっと。っと」 魔王「……すぅ」 勇者「うわ、こりゃまた。……すげぇな。 良く判らんけど、ベッドに天井ついてるぞ」 魔王「……んぅ」 勇者「そぉっと、そぉっと……。 うわ、近寄ると余計すげぇ。 ……下手な宿屋の部屋と同じくらい でかいぞ、このベッド。どんな布団だよ」 ぼふっ 魔王「うー」 勇者「起こしちゃったか」 魔王「……うー」 勇者「気持ち悪いか? トイレ行くか」 魔王「……」きゅっ 勇者「いや、けろけろ吐くなら俺の服には吐くなよ?」 魔王「くっ……」 (メイド長っ。こんな発言にどうやってムードなんて 作ればいいのだっ!?) 23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 49 25.05 ID z6GJxeoP 魔王「むぅ。平気だ。……でも、少しついてて欲しい」 勇者「うん、判った」 魔王「……」くてっ 勇者「結構飲んでたもんな」 魔王「うん。久しぶりだ。楽しかった」 勇者「そりゃよかった」 魔王「勇者」くてん 勇者「なんだ」 魔王「権利保持者的言動をしていいか?」 勇者「ん? いいけど?」 魔王「そうか」にこ「じゃあな」 勇者「うん」 魔王「靴を脱がせてくれ……ないか?」 勇者「へ」 魔王「ぬ、脱がせてくれ。その……ベッドが汚れるか」 勇者「う、うん……」 魔王「早くぅっ、するのだっ」ぱたぱた 勇者「暴れるなよ。汚れるんだろ」 24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 50 34.69 ID z6GJxeoP 魔王「んぅ。くすぐったい」 勇者「ったく……。これでいいか?」 魔王「ん。楽になった」くてっ ごろごろ 勇者「転がって移動するなよ」 魔王「広いのだ。立つとふらふらする」 勇者「はいはい」 魔王「勇者は飲んでないのか?」 勇者「いや、飲んだけど。酩酊するほどじゃない」 魔王「そうか、つまらないな」 勇者「なんで?」 魔王「勇者も酔ってれば楽しいだろうに」 勇者「なにが?」 魔王「雇用、実質利子率、および収益率の関係について 2人で語り合うんだ。面白いぞう。ふふふふっ」 勇者「わかんないよ」 魔王「ぷくくくっ」 勇者「お前、相当に酔っぱらってるだろう?」 魔王「お酒は酔うために生産されたんだ。 つまり私が酔っていないと云うことは 酒類生産者の努力を無にしているではないか」ばふばふ 勇者「そりゃそうかも知れないけどさ」 25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 51 33.70 ID z6GJxeoP 魔王 ぽむぽむ 勇者「?」 魔王 ぽむぽむっ! 勇者「そこへ来いって?」 魔王「そうだ」 勇者「いいけど」 とさっ 魔王「勇者だ」のしっ 勇者「勇者だよ」 魔王「いいなぁ。暖かくて、触り心地がよい」 勇者「この酔っぱらいめ」 魔王「嗚呼! 自分を褒めたい。 あの時の私はなんて目利きだったんだろう。 自分の賢さを再確認できるというのは 人生における喜びの一つだと私は思うなぁ」 勇者「その喜びはどうやら俺にはないようだ」 魔王「そんなことはないぞ?」 勇者「そうか?」 26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 52 29.07 ID z6GJxeoP 魔王「だって、勇者はあのとき、 私を選んでくれたじゃないか……」 勇者「う、うん……」 魔王「勇者はとても賢い。本当だ。 本当にするために、私はあらゆる手を尽くすぞ? そうしたら、勇者はいつか “あのときの俺はなんて賢かったんだろう”って。 そう云えるようになるだろう?」 勇者「お、おう」 魔王「それでいいではないか、勇者」にこっ 勇者「おう。あんがとな」 魔王「いいんだ。私は、勇者のものだからな」 勇者「う、うん……」(どきどき) 魔王「……」 勇者「……そのぅ近くないか?」 魔王「離れないとだめか?」 勇者「だめ……じゃないんだけど」 魔王「それでこそ勇者だ」くたぁ 勇者「楽しそうな」 魔王「かなりな」 27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 53 33.42 ID z6GJxeoP 勇者「なんだかなぁ」 魔王「勇者もまったりしないか?」 勇者「へ?」 魔王「まったりして、しばらく喋ったりしよう。 どうせ戻っても、もう宴もお開きだろう。 まだ眠くはないし、たまにはいいだろう?」 勇者「えーっと」 魔王「場所開けてあげるぞ。広いし」 勇者「えーっと」 魔王「だめ……か?」 勇者「そう言われるとすごく断りづらいんだよな」 魔王「うむ。学習した。 その時は肩をぎゅっとすぼめるようにして、 半分泣きそうな表情でやると 効果が倍増するという分析も出た」 勇者「……ちょっと用を思い出したので、また」 魔王「わかった! すまん! 謝りますっ 以後乱用はしないっ。約束するっ!」 勇者「ふんっ。油断の隙もないな」 28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 55 32.81 ID z6GJxeoP 魔王「いいではないか。ちょっぴりごろごろするくらい」 勇者「魔王がごろごろするのに文句は言ってないよ」 魔王「いいではないか。ちょっぴり一緒にごろごろするくらい」 勇者「別にごろごろすることそのものじゃなくて あっさり魔王の手に乗っている自分自身に そこはかとないお手軽さを感じてきついわけだよっ」 魔王「難しい年頃だな」 勇者「簡単に生きたいのに、なんで難しくなる」 魔王「ほら、場所作ったぞ」 勇者「わぁったよ」 ぽふっ 魔王「脚を伸ばしてくれ」 勇者「なんで?」 魔王「靴を脱がせてやる」 勇者「いいよ! 自分で脱ぐよっ!」 魔王「いいではないか。私だって脱がせてもらった。 くすぐったくて、ぞくっとして、 正直未知の感覚だが、背徳的常習性を感じたぞ?」 29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 19 56 48.85 ID z6GJxeoP 勇者「そんな訳のわからない常習性を感じたくないよ」 魔王「面白いのに」 勇者「面白くないって云ってるのっ!」 こつん、こつん、こつん…… 勇者「誰だろう」 魔王「通路だな」 こつん、こつん、こつん…… 勇者「……」 魔王「……」 こつん、こつん、こつん…… 勇者「……何で息殺してるんだよ。魔王」 魔王「……勇者こそ、何か罪悪感でもあるのか?」 勇者「……少しもないよ」 魔王「……私だって堂々としたものだ」 こつん、こつん、こつん…… 勇者「……」 魔王「……やっぱり押し黙るじゃないか」 ギイィィィィ 勇者「っ!?」 39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 36 29.15 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”大きな客間 女騎士「えーっと、7番。……8番」 コツ、コツ、コツ 女騎士「9番目。っと……私の部屋はここか。 荷物は届いてるって云うけど……」 ギイィィィィ 勇者「っ!?」 魔王「……」 女騎士「……」 女騎士「なっ! 何をしているんだ、2人はっ!」 勇者「な、なにって」 魔王「夜のお茶会だ」 女騎士「魔王のごまかし方はそれだけかっ!」ぽかっ 勇者「いや、落ち着け」 魔王「だ、だって! だいたいっ! 女騎士こそ何をしているんだ。 こんな時間にいきなり訊ねてきてっ」 女騎士「いきなりも何も、この部屋は9番だろう? 私に割り振られた部屋だぞ」 魔王「何を言うんだ。9番は私の部屋だ!」 勇者「そうなのか? 俺も9番だぞ?」 40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 37 37.41 ID z6GJxeoP 魔王「そんな馬鹿な話がある物か。 クローゼットを見てみろ。ほら、これは私の鞄だ。 やっぱり私の部屋ではないか!」 女騎士「いや、その奥のケースは私のものだ。バッグも。 どうやら私の荷物もこの部屋に運び込まれているらしい」 魔王「じゃぁ、この風呂敷も?」 勇者「……いや、それは俺のです」 魔王「……」 女騎士「3人ともこの部屋なのか……」 勇者「誰が部屋割りしたかは予想がつくけど」 魔王「部屋が足りないわけでもあるまいに。 なんでこういうことになるのだ」 女騎士「なんか、檻に入れられて戦う、 コロセウムののライオンのような気分に……」 魔王「……せっかくこちらが攻めていたのにっ」 女騎士「何か言った?」 魔王「ううう。なんでもない」 女騎士「でも、やっぱり部屋割を組み直さないと」 勇者「そうだな。まぁ、2人で寝てくれ。 俺は何処でも寝れるし。んじゃ、またあした」しゅたっ 魔王「少し待て」 女騎士「ちょっと待って」 41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 39 03.38 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”大きな客間 女騎士「――。――――」 魔王「――――、――!」 勇者「なんだかなぁ」 魔王「あー。勇者。話がまとまったぞ」 女騎士「待たせて済まなかったな」 勇者「へ?」 魔王「今晩は3人で寝る」 女騎士「そう言うことでよろしく」 勇者「またまたぁ」 魔王「一度あったことだ。二度目は問題ない」 女騎士「教会の正義からすれば問題はあるのだが 精霊様が細かく諭しておられた分野でもないことだし 今回はお許し願おう」 勇者「……う、うう」じりじり 魔王「何でそう嫌がる」 女騎士「そうだ、嫌がるなんておかしいぞ」 勇者「別に一緒に寝るぐらいちっとも嫌じゃないけど お前達は空気が重すぎるんだっての!」 43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 41 03.84 ID z6GJxeoP 魔王「それなら安心しろ」 女騎士「今晩の所は休戦協定だ」 勇者「へ?」 魔王「いや、メイド長の作戦に乗って 毎回のように戦ばかりというのも面白くない。 だから今日は、喧嘩はしない」 女騎士「うん、私も魔王と喧嘩はしない。 張り合わない。すこし話をして、寝るだけだ」 勇者「そう……なのか?」 魔王「そうだ。……んっ」ひょい 魔王「このあたりの部屋には、全ての部屋に小さな浴室が ついているのだ。汗を流して夜着をきてくる」 女騎士「いいのか?」 魔王「休戦だから信頼しよう。勇者と話でもしていてくれ」 とっとっと、かちゃ 女騎士「そう怯えない。剣の主のくせに」 勇者「お前ら、すごい勢いで喧嘩するからなぁ」 女騎士「それもこれも勇者が原因だ」 44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 42 34.35 ID z6GJxeoP 勇者「うすうす、判ってはいるんだけど」 女騎士「まぁ、勇者らしいけれど」 勇者「はぁ……」 女騎士「ため息をつかない。 ……休暇の旅行に来てなんだけど、 なんとかっていう魔界の会議があるというしな」 勇者「ああ。忽鄰塔とかいう」 女騎士「それだ」 勇者「何か云ってたのか、魔王?」 女騎士「良くは判らないけれど、 随分厳しいのじゃないか? 何を目指すかにもよるが」 勇者「そういえば、最近は何だか 相談したそうだった気もするな……」 女騎士「私も知識はないのだがな」えへんっ 勇者「俺だって無いよ」 女騎士「私よりは、魔界の知識はあるだろう?」 勇者「細かい知識はあるけれど、仕組みや、 組織は良く判らない。地上みたいな意味での国家は あんまり感じたことがないな」 女騎士「そういえば、魔界でその種の国境を 感じたことはないな……」 45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 20 44 05.64 ID z6GJxeoP 勇者「氏族とか、種族とか云う言葉、何となくで使うけど よく考えると細かい部分が不明瞭だしな」 女騎士「とりあえず、知能がないのが魔物。 私たちの世界で云う、動物だよな。 知能があるのが魔族。 これはあちこちの都市や荒野に住んでいる」 勇者「忽鄰塔は、魔族の族長が集まり、重要事項を 決定する大会議、って云ってたな」 女騎士「そこでよい決議が出れば、人間との戦争は終わる?」 勇者「それだったらいいんだけど」 からからから、カチャン 魔王「ふぅ」 女騎士「早かったな」 魔王「さんざん風呂には入ったから、汗を流しただけだ」 女騎士「じゃあ、私も借りる」 勇者「いってらー」 魔王「暖まっているぞ」 とっとっと、かちゃ 勇者「忽鄰塔の話をしていたんだ」 魔王「ああ」 勇者「困っているのか?」 魔王「困っている、と言うわけでもないのだが 状況はあまり芳しくないな」 57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 21 34 33.16 ID z6GJxeoP 勇者「んー。そもそもの基本から聞きたいんだが、 魔族って云うのはどれくらいの氏族がいるんだ?」 魔王「判らないな」 勇者「おいおい。把握もしていないのか?」 魔王「増えたり減ったりしているんだ。 名乗りの問題でもあるからな。 例えばある若者が新しい氏族だと名乗りを上げるなら、 それは新しい氏族なんだ。 もちろん古い氏族から縁を切る必要はある。 魔族の社会は氏族を中心に動いているから “氏族から離れる”というのはなかなかに勇気のいることだ。 でも、勇気があれば誰にでも可能なことなんだ」 勇者「ってことは、その会議にはおびただしい族長が来るのか?」 魔王「そうなるな」 勇者「良くそんなんで会議になるな」 魔王「大会議に出席するのは八つの大氏族と魔王だけだ」 勇者「そうなのか?」 魔王「ああ。さっきも云ったように、 氏族というのは莫大な種類があるんだ。 正確な統計ではないが、おそらく魔族と呼ばれる 知的種族の4割は、そう言った雑多な氏族だよ。 残りの6割を八つの大氏族がしめている。 会議に出席する魔王は、4割の雑多な種族の信任を受けている。 そういう建前なんだ」 勇者「そういうことなのか」 58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 21 36 46.53 ID z6GJxeoP 勇者「で、会議の議題とかは誰が出すんだ?」 魔王「基本的には魔王だな。話の流れで他の族長が 出すこともあるが、進行は魔王だからな」 勇者「ふむふむ、その辺は人間の会議に似てるな」 魔王「普通だ」 勇者「で、話合う内容について、意見が割れたらどうなるんだ」 魔王「意見が割れないように話合う」 勇者「それでどうにかなるものなのか?」 魔王「意見をまとめるために、長い期間をかけるんだ。 話し合いで一ヶ月をかけることもある」 勇者「そうか……。ちょっと想像がつかないな」 魔王「数日ごとに会議を繰り返すんだが、 当然その間には各氏族が意見のことなる氏族に 個別に交渉を行ったりするんだ。 贈り物をしたり、婚姻の約束をしたりもする。 時には圧力をかけることもあるな。 そうして意見を調整するんだな」 勇者「ああ、そういうことか。多数派工作ってやつだな」 魔王「そうだな。それで、だんだんと意見をすりあわせて 最終的には全会一致で結論が出る」 勇者「ふぅん……。それでも結論が出ない、 っていうか、論が割れちゃったりしたらどうなるんだ?」 魔王「最終的には割れたことはないんだ」 勇者「――?」 魔王「300年ほど前の咬竜の焔魔王の治世に行われた 忽鄰塔において、獣人族の族長が頑として 同意しなかったことがある」 勇者「そうそう。あるだろう? そういうとだってさ」 魔王「そこで、焔魔王はその族長を消し炭にしてしまったんだ。 結論は全会一致で素直にまとまったそうだ」 60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 21 39 05.26 ID z6GJxeoP からからから、カチャン 女騎士「良いお湯だった」 勇者「お帰り」 女騎士「話の続きはどうだ?」 勇者「いま聞いてたよ、やっぱり地上とは いろいろ手続きが違うもんだなぁ」 女騎士「そうか……」 魔王「布団に入るぞ?」 もそもそ 勇者「聞く前から入ってるじゃないか」 魔王「べつに急いで入った訳じゃない」 女騎士「勇者は真ん中」 勇者「えーっと」 魔王「早く入れ。勇者」 女騎士「入らないと、わたしが入れないじゃないか」 勇者「おう」 もそもそ 魔王「ふぅ。なんだかこれはこれでよいものだな」 勇者「天井つきベッドなんて初めてだよ」 女騎士「天蓋って云うのだ」 魔王「まぁ、忽鄰塔の話はそんな感じだ」 女騎士「なかなかやっかいそうだ」 勇者「一筋縄ではいかなさそうだなぁ。 だいたい魔王だったら“消し炭にしてしまう”なんて しないだろう?」 魔王「そんな実力はないし、したくもないな」 61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 21 40 22.17 ID z6GJxeoP 女騎士「条件面で折り合うとか、説得するとか」 魔王「まぁ、一氏族ごとに地道に行くしかないのかも知れぬ」 勇者「……」 魔王「どうした? 勇者」 勇者「あ、いや。魔界で見聞きした色んな人を思い出していた。 あの人達はどの氏族だったのかなぁ、って」 魔王「様々な氏族の者どもがいるからな」 女騎士「戦った記憶ばかり鮮明だけど、考えてみると 生活していたり家族がいるんだな。不思議だ」 魔王「こちらだって不思議に思っている。 殆どの魔族は人間なんて見たことがないんだからな」 勇者「そうだよな」 魔王「……ぅぁぁぅ」 女騎士「眠そう」 魔王「少し眠い」 女騎士「寝るとするか」 勇者「話の続きは、また明日にでも」 魔王「そうだな。勇者」 女騎士「うん、勇者」 62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 21 41 19.33 ID z6GJxeoP むぎゅぅ すりっ 勇者 びきっ 女騎士「我ら二人が喧嘩をしなければ、良いのだろう?」 魔王「うむ。喧嘩さえしなければ勇者を堪能できるわけだ」 勇者「……寝るんじゃないですか」 女騎士「寝るから暖を求めてる」 魔王「落ち着きすぎて眠れないくらいだ」 勇者「すごく辛い気がするんですが」 女騎士「つらいのか? 剣の主。どこが辛いんだ?」 魔王「何か問題があるようだったら、わたしがすぐに解決するぞ?」 勇者「もういいっす」 女騎士「そうかそうか」 魔王「あいかわらず、もふもふだなぁ」 むぎゅぅ すりっ 勇者「多分幸せなんだけど」 女騎士「それについては早めに結論を出すべきだな」 魔王「そうしないと有利子負債が膨らむばかりだぞ、勇者よ」 79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 17 28.20 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”客室 メイド妹「んぅ……」ぼへぇ メイド姉「……すぅ……すぅ」 メイド妹「あ。おねーちゃんだ」 メイド姉「……すぅ」 メイド妹「おねーちゃん、おねーちゃん」ゆさゆさ メイド姉「……くぅん」 メイド妹「朝やよ ごはんつくららいと」ぼへぇ メイド姉「……んぅ」 メイド妹「パンやからいと、おねーちゃん」 メイド姉「……んぅー。……すぅ」 ほわぁ メイド妹「おいしいぱん。ほかほか……においする」ぼへぇ メイド姉「んー。いもーと。今日は、旅行よ……」 メイド妹「そか」きょろきょろ メイド姉「すぅ……。すぅ……」 メイド妹「わ! わぁ! あ、朝ご飯があるっ」ずざざっ 80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 18 44.99 ID z6GJxeoP メイド姉「すぅ……。すぅ……」 メイド妹「ど、ど、どうしよう? 作ってないのに朝ご飯があるよっ。 どうすればいい? お姉ちゃん、朝ご飯だよぅ」 メイド姉「……んぅ。……なかったらおなか減る癖にぅぅ」くて メイド妹「そっか」 メイド姉「……くぅ」 メイド妹「そういえばそうだよね」 メイド姉「すぅ……。すぅ……」 ほわぁ メイド妹「良い匂い」じゅるっ メイド妹「ど、どんなかなぁ……。わ。わ。黒いパンと、 白いパンと、ベーコンエッグと、黄色い果物と、 これなにかな。……ジャガイモのポタージュだぁ♪」 メイド姉「んっぅ」のびっ メイド妹「お姉ちゃん。起きた? ご飯だよ! ご飯できてたよっ!」 メイド姉「すごいね」にこっ メイド妹「食べて良い?」 メイド姉「二人で顔を洗ってからね」 81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 20 18.27 ID z6GJxeoP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”午前の岩風呂 ザパーン、ザプーン 東の砦将「おうっ」 勇者「おっす。おはよう」 東の砦将「何だ、顔色悪いな。眠れなかったのか」 勇者「いや、いろいろ……」 東の砦将「そうか。まぁ、色々あらぁな」 勇者「……主に自分が敵だったんだけど」 東の砦将「戦場では良くある事さ。しゃぁねぇな!」 勇者「なんだそれ?」 東の砦将「酒だ。用意してくれたんだ」 勇者「昼から飲んでるのか?」 東の砦将「昼からだから美味いんだろう」 勇者「うーん。一理あるな」 東の砦将「よし、いこうぜ」 トットット……トク、トクッ 勇者「うっす。では一献」 東の砦将「乾杯!」 勇者・東の砦将「ぷはぁっ!」 勇者「肴は何なんだ?」 82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 21 16.04 ID z6GJxeoP 東の砦将「ああ、焼いた小魚と、野菜の塩もみだ」 勇者「美味そうだな」 東の砦将「どんどん行こうぜ」 トク、トクッ 勇者「ああ……。ぷはぁ」 東の砦将「で、どうなんだ?」 勇者「なにがさ」 東の砦将「どれが本妻なんだよ」 勇者「へ? 何の話だ?」 東の砦将「おいおいおい。家族旅行だって云っただろう?」 勇者「“みたいなもん”だよっ」 東の砦将「ほぉ」にやり 勇者「ど、どうだっていいだろっ!」 東の砦将「隠すなって」 勇者「隠してないって」 女魔法使い「……興味津々」 勇者「うわっ!?」 東の砦将「ど、どこにいたんだっ」 女魔法使い「……潜っていた」 東の砦将「魔、魔、魔法使いの嬢ちゃん」 83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 22 28.09 ID z6GJxeoP 東の砦将「どういう人間なんだ」 勇者「こういうやつなんだ。 とらえどころはないけど、悪いやつじゃない」 女魔法使い「……本妻争奪戦勃発。実録極道物語」 東の砦将「えー」 勇者「……」 東の砦将「嬢ちゃんが本妻なのか?」 勇者「そんなわけがあるかっ!」 女魔法使い「……本妻なんかよりも深い仲?」くたっ 勇者「だいたいなんで魔法使いがここにいるんだ。男湯だぞ」 女魔法使い「……混浴」 勇者「混浴でも何でも問題有るだろう。ううう、なんとかしろ」 女魔法使い「……迷彩魔法で問題なし」 東の砦将「何か肌色をした四角が一杯ちらちらしてるが」 勇者「どこが迷彩なんだっ」 女魔法使い「……最先端の薄いぼかし」 東の砦将「本当にとらえどころがないなぁ」 勇者「これで魔法使いとしての腕は特級なんだ。 導師クラスだろうが小指でひねれる」 東の砦将「そいつはすげぇな」 女魔法使い「ごきげん」 109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 57 19.79 ID z6GJxeoP 東の砦将「こうして昼から風呂の使って酒を飲んでると 浮き世のしがらみが、すーっと抜けていくな」 勇者「うーん」 女魔法使い「……勇者はぬけないの? お尻が青いから?」 勇者「もう青かねぇよっ」 女魔法使い「……赤かったらお猿」 東の砦将「どうした? なんかあるのかい?」 勇者「あー。まぁ」 東の砦将「なんだい」 勇者「忽鄰塔って判るか?」 東の砦将「ああ、大族長会議だろう。 魔王……って昨晩のあの美人が招集したって云う。 その話は、今じゃ魔族なら四つの子供でも知ってるぜ」 勇者「そっか」 東の砦将「忽鄰塔がどうかしたのか?」 勇者「出来れば、その族長会議で、人間との共存の道を 探りたいんだけれど、どうなるか判らないんだよなぁ」 東の砦将「そいつぁ、無理ってもんだろう?」 勇者「へ?」 112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 22 59 43.56 ID z6GJxeoP 東の砦将「いや、だからよ。今度の忽鄰塔は人間世界への 遠征の規模を決めるもんなんだろう?」 勇者「誰がそんな話を?」 東の砦将「世間じゃもっぱらそういう話だ」 勇者「それは誤解だ。魔王はそんなことは望んじゃいない。 永久和平条約とは行かなくても、何とか停戦というか 少なくとも荒っぽくない結末を望んでいるんだ」 東の砦将「いや、そいつは昨日話を聞いたから判るけれど。 今度の忽鄰塔じゃ無理だろう?」 勇者「なんでだ?」 東の砦将「だって、魔族の間に“今度はどこまで攻め込む” なんて話がある時点で意識が そっちに向かっちまっているってことじゃないか。 みんなが戦争を望んでいるとは思わねぇが、 うわさ話がこう流れてるって事は 戦争したい誰かさんにとっては好都合なんだ。 そいつはきっとこの流れを利用している」 勇者「……っ」 東の砦将「戦ってのは、武器だの人数だの練度も大事だけど こういう数字には出せないような“雰囲気”ってのも 大事なんだよ。 雰囲気を持ってかれちまった軍は大抵負けるな。 傭兵生活が長いと、この匂いをかぎ分けるようになる。 負け戦の軍に傭兵が居着かないのはそのせいさ」 勇者「……うん」 113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 23 01 08.91 ID z6GJxeoP 東の砦将「その上、八大氏族だ」 勇者「ん?」 東の砦将「人魔族、蒼魔族、巨人族、竜族」 女魔法使い「……獣人族、鬼呼族、妖精族、機怪族」 勇者「それが八大氏族なのか?」 東の砦将「知らなかったのか? まぁ、とにもかくにも。 この八大氏族のうち、人間との和平……というか、 共存を望んでいるのは妖精族だけだ」 勇者「へ?」 東の砦将「妖精族だけなんだよ。共存を望んでいるのは」 勇者「だって開門都市には色んな氏族の人たちがいる じゃないか。それをいうなら火竜公女だって」 東の砦将「それは時勢、ってやつだ。 もし共存と決まれば、そりゃ共存するしかないだろう? 開門都市では少なくとも、当面共存と決まった。 だとすればその中でどう生きるかって話だよ。 俺たちは本当は共存なんて望んじゃいなかったんだ、 なーんて泣き言を言っても始まりゃしない。 それと同じように、共存を望んでいない派閥だって もし共存になったらと考えて、色々手は打ってるさ」 勇者「そうなのか……」 114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 23 02 18.16 ID z6GJxeoP 東の砦将「公女の嬢ちゃんの話によれば、 火竜の一族は頭は固いが馬鹿じゃないって事らしい。 竜族は大体のところ山岳部に住んで、 あまり他の魔族とも関わらない孤高の種族なんだ。 共存に反対って云うよりは放っておいて欲しいって事だな。 だが、竜族の住む山にはえてして鉱山物資が眠っている。 魔界では少ない純度の高い鋼の取れる山も竜族のものだ。 そういう場所に住んでいて、トラブル無しとは行かない。 だから、娘の一人には、出来る限りの学をつけて 人里に送り出したんだ。 もちろん公女の嬢ちゃん本人の性格もあるけどな」 勇者「そうだったんだ」 女魔法使い「……それぞれの氏族も内側は複雑」 東の砦将「まぁ、そうゆうこともある」 勇者「そうなのか?」 東の砦将「枝族といってな。 氏族の中も小さな氏族に分かれているんだよ。 たとえば公女の嬢ちゃんは竜族のなかの、火竜族、 その名門大公家の娘だ。 竜族はほかにも飛竜族だの土竜族だのがいる」 勇者「複雑なんだなぁ」 東の砦将「まぁ、生きてるんだから仕方ない」 117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 23 05 10.01 ID z6GJxeoP 勇者「……」 東の砦将「どうした」 勇者「でも、どうにかしなきゃ」 女魔法使い「……」 東の砦将「ふぅむ」 勇者「……」 東の砦将「黒騎士だの魔王の力でどかんと……やっちゃまずいか」 勇者「ああ」 東の砦将「そいつは親父のげんこつと一緒だもんな」 勇者「そうだ。出来れば俺たちは手を出さないで事が うまく運べばいいのに」 女魔法使い「……」 東の砦将「俺にもなんて云って良いのかは判らないが 例えばさっきの竜族みたいに“共存にしたい訳ではないが あえて云えば中立”みたいな氏族も他に探せばいるかも知れない。 あいにく公女みたいな知り合いは俺には他にいないから、 詳しい事情はわからんがよ」 勇者「ああ」 東の砦将「そういう氏族をきちんと調べてみるのが 手がかりかも知れねぇな」 勇者「そうだな」 119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/17(木) 23 07 24.85 ID z6GJxeoP 女魔法使い「……典範」 東の砦将「ん?」 勇者「なんだ、魔法使い」 女魔法使い「……」 東の砦将「は?」 勇者「……調べればいいのか?」 女魔法使い こくり 勇者「よく判らないけど、 テンパンってのを探せば良いんだな? たはぁ。捜し物ってのは苦手なんだよな」 東の砦将「ふはははっ。お互いな」 女魔法使い「……」 東の砦将「まぁ、いいさ。そいつは俺の副官にでも言いつける」 勇者「悪いな」 東の砦将「いや、良いってことよ。 戦争は避けられないかも知れないが、 そうやって努力しておけば無駄にはならないさ。 出兵する氏族が一つでも減るかも知れないし もし戦争になっても、 いざという時に情けが刃に乗るかも知れない。 俺だって、てめぇがいつか助かるために あがいてるにすぎないんだからな」 180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/18(金) 17 56 18.27 ID LAEzTxgP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”テラス メイド姉「お茶を入れました」 メイド長「ありがとう」 メイド姉「いえ……。静かですね」 メイド長「ええ」 メイド姉「……」こくっ メイド妹「~♪」 メイド長「メイド妹は何をしているのです?」 メイド妹「日記を書いてますー」 メイド長「日記?」 メイド姉「最近は良く書くんですよ」 メイド妹「へへ~」 メイド長「それは感心です。文字は毎日書くにつれ 理解が深まると云いますからね」 メイド姉「……えーっと」 メイド長「?」 メイド姉「絵が入ってても良いんでしょうか……」 メイド妹「これは、無いと、ダメなのっ」 メイド長「絵が入ってるんですか?」 181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/18(金) 17 58 19.26 ID LAEzTxgP メイド妹「じゃぁん♪ これは昨日食べたスープ!」 メイド長「あらあら」 メイド姉「そんなに気に入ったの?」 メイド妹「うん、美味しかった! 酪が入ってまーす」 メイド長「あら。レシピまで? 誰に聞いたのかしら」 メイド妹「黒っぽいもやもやのおねーさんに教わりましたー♪」 メイド長「……」 メイド姉「え? え?」 メイド妹「ほかにも、酪を塗って漬け込んだお肉を焼いたの の作り方はこれでーす」 かきかき メイド長「……はぁ。時々この子には驚かされます」 メイド姉「わたしなんて毎日ひやひやです……」 メイド妹「できたー!」 メイド長「ふふふっ。美味しい料理の研究ですか?」 メイド妹「はいっ。美味しいものは毎日書くの」 メイド長「料理以外のことも書くと良いですよ」 メイド妹「そうなのですか?」 メイド長「味の記憶は、印象ですからね。 その日起きた印象深い事を書いておけば、 後で味の記憶を思い出す時に役に立ちます」 メイド妹「そっかー! じゃぁ、女騎士のお姉ちゃんが 謳ったことも書いておこう♪」 メイド姉「あれは忘れたいんじゃないかしら……」 194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/09/18(金) 18 19 17.44 ID LAEzTxgP ――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”広間 メイド妹「これ、牛さんなのっ?」 メイド長「ええ」 東の砦将「牛なんて固くてまずくて食えたものじゃないと 思っていたけど、これは美味いな」 副官「ええ、豚よりも歯ごたえがあって、爽やかですね」 メイド妹「ね、どーしてっ? どーして柔らかいの?」 メイド長「普通の牛の肉が固くなるのは、 一杯働いているせいですよ。これは仔牛ですから」 勇者「へぇ、それで違うのかぁ」 女騎士「ふむ、こんな味だとはなぁ」 東の砦将「俺は気に入ったな。 これ、串焼きにしたら美味いんじゃねぇのか? 岩塩かけて」 副官「いいですね、わたしはこっちの団子が好きですよ。 スープに浮かべたり、ああ、煮込むのも良いかもしれません」 メイド姉「でも、あまり食べた事がないのはなぜかしら?」 魔王「それは生産性と関係がある。 馬と比べて気性が大人しい牛は、 農作業の大切なパートナーなのだ。 畑を耕したり、牛車で樽を運んだりとな。 馬車より遅いが、扱いは難しくない。 それに肉を食べるよりも、乳を搾る方が多くの農民に 取っては魅力的なのだろう。 豚に比べて子供の数も多くはないから、一家に乳を提供する 牛は家族の一員として扱われることもある」 勇者「そっかぁ」 女騎士「何にでも、子細はあるのだなぁ」 ページトップへ <前5-5へ|次6-2へ>