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野比のび太&キャスター ◆ZTnr6IpaKg 「きりーつ、礼、さよーなら!」 「「「「「「「「さよーなら!!!」」」」」」」 つまらない学校が終わった。 そそくさと帰り支度をする。 つまらないというのは、ぼくが勉強ができないからじゃない。 運動ができないからでもない。 この学校に違和感がぬぐえないから、現実感が無いからだ。 学校に来ているのに、学校という感じがしないのだ。 友達と遊ぶ気もしない。 彼らが、ぼくの友達と思えないから。 別に仲が悪いわけじゃない。 少し前までは、日が暮れるまで空き地で一緒に遊んでいたはずだ。 でも、いつの間にか遊ばなくなった。 誘われても、何かかしら理由を付けて断った。 学校からの帰り道を一人で歩く。 帰り道の途中、遊び場だった空き地を通りかかった。 ちょっと前までは、遊んでいたのに。 ここで楽しく遊んでいたこと自体に違和感を感じる。 「ただいまー…」 「のびちゃんおかえりー」 ママの声に適当に返事をして、 二回の自分の部屋に上がっていく。 顔を出すのも面倒だ。 …こんな扱いをしようものなら怒られても文句は言えないけど、 別にそれでもかまわないと思う。 例えママに叱られても、ママに叱られている気がしないからだ。 変な表現だけど、本当にそうとしか思えない。 襖をあける。 誰もいない。 当然だ。 この部屋は、ぼくだけの部屋なのだから。 勉強もやる気はしない。 昼寝でもしよう。 愛用の座布団を丸めて枕を作り、さあ眠ろうとして、ふと気になった。 押入れを開けてみる。 布団が入っている。 机の引き出しを開ける。 空っぽだ。 ……あれ? ぼくは、何が気になったんだっけ? …変だな。 違和感が気になって昼寝する気にならない。 がらんとした部屋の中。 膝を抱えて蹲る。 じっと机を見る。 何もない机を。 何もなくなった机を あの時も、こうしていたような…。 □ ◆ ◇ ■ 『けんかなら、■■■■■ぬきでやろう』 『ぼくだけの力で、きみに勝たないと……』 『■■■■■が安心して……帰れないんだ!』 『勝ったよ、ぼく』 『見たろ、■■■■■。勝ったんだよ。ぼくひとりで』 『もう安心して帰れるだろ、■■■■■』 『■■■■■、きみが帰ったら、部屋ががらんとしちゃったよ』 『でも……すぐになれると思う』 『だから………心配するなよ』 『■■■■■』 □ ◆ ◇ ■ ……!! 部屋を見渡し、思い出した自分の部屋と違うことに気付く。 立ち上がって部屋を飛び出、転げ落ちるように階段を下りる。 音に驚いたのか、ママが居間からこちらを見た。また気付く。知らない顔だ……! そのまま走って外に出る。 違う…。ここは違う! 走る。走る。走る。 歩き慣れていたと思っていた筈の、今や馴染みの無くなった道を。 違う!こんな町は知らない! 脳裏に浮かぶ空き地への道を、■■■ちゃんの家への道を、 ■■■や■■■■■の家への道を無理やりに辿ろうとして、 全く違う方向へ続く道に阻まれ、とにかくがむしゃらに走っていく。 そうだ。 ここは、ぼくがいた町じゃない。 あそこは、ぼくの家じゃない。 みんな、ぼくが知っている人じゃない。 走って、走って、走って、 もう走れなくなって、 気が付いたら見覚えのない河川敷にいた。 涙が溢れる。 恐ろしくなった。 ぼくは、知らない場所にいて、みんなのことを忘れていた。 忘れたまま、それが当たり前だと思って過ごしていた。 し■■ちゃんがいない。 ■ャ■ア■がいない ス■夫がいない。 パ■がいない。 ■マがいない。 ■■え■んがいない。 ■ラえ■んが。 ■ラえもんが…! 「ドラえもぉ~~~ん!!!」 「どうしたんだい?のび太くん」 「……!!」 返事があったことに、驚き、後ろを振り返る。 ドラえもんが、そこにいた。 ちょっと困ったような笑顔を浮かべ、いつものように。 「ド……」 「のび太くん、よく思い出してくれたね」 「ドラえもぉぉぉぉん!!来てくれたぁ!うわああ~ん!!」 「よしよし、頑張ったね」 みっともないくらいに泣いてドラえもんに抱き着く。 ドラえもんも泣きながら頭を撫でてくれた。 あれだけ怖かったのに、心が安心と感謝で溢れていく。 最高の親友と会えたことが、ただただ嬉しかった。 □ ◆ ◇ ■ 「それで……どうするの、のび太くん?」 「うん…」 ドラえもんと再会して、記憶を取り戻した。 それと共に、聖杯戦争のことも知った。 与えられた知識と、『サーヴァント』となったドラえもんから教えられたこと。 ぼくは… 「ぼくは……この戦争を止めたい。 願いを叶えるために、みんなで殺し合うなんて悲しいこと、絶対にあっちゃいけないんだ。 多分、ぼくみたいに巻き込まれただけの人もたくさんいると思う。 その人たちを助けるためにも、こんな戦いはやめさせないと駄目だ」 「…わかったよ。のび太くんならきっとそう言うと思ってた。 こういう時のきみは勇敢だしね。 ぼくたちで、この聖杯戦争を止めよう」 「ドラえもん……ありがとう!」 ドラえもんも止めてくれると言ってくれた。 それは本当にうれしい。やっぱりドラえもんだ。 でも… 「でも…。ドラえもんにも何か願いがあるんじゃないの? だからサーヴァントになったんじゃないの?」 ここにいるドラえもんは、サーヴァントとしてここにいる。 幽霊の様なもので、確かに『ドラえもん』だけど、 ぼくの家にいるドラえもんとは厳密には別人みたいだ。 だから、ドラえもんにも何か願いがあるのかもしれない。 そう言うと、ドラえもんはまた少し困ったように笑って。 「ぼくはのび太くんを助けたいと思っただけさ。 願いがあるとすればそれ以外には無いよ。 サーヴァントとしてでも、のび太くんと一緒に居れるだけでとても嬉しいよ。 だから、その辺は気にしなくても大丈夫」 「ドラえもん……」 「うーん、そうだね。 のび太くんが帰ったら、家にいるぼくと今まで通り仲良くしてくれればいいよ。 今回のお礼なら、ぼくと、家のぼくにもどら焼きの一つでもおごってくれればいいかな?」 「…うん! とびっきりのどら焼きを買うからね!一緒に食べよう!」 「フフフ…。 楽しみにしているから、そっちのぼくにもよろしくね」 少しのうれし涙を滲ませながら二人で笑い合う。 …よし、ぼくたちで、この戦いを止める! もう何度目になるかわからない、ぼくたちの新しい冒険の始まりだ! 【サーヴァントステータス】 【出典】 ドラえもん 【CLASS】 キャスター 【マスター】 野比のび太 【真名】 ドラえもん 【性別】 雄 【属性】 中立・善 【ステータス】 筋力D 耐久E 敏捷E++ 魔力- 幸運A 宝具- 【クラス別スキル】 陣地作成:- 陣地作成能力は有していない。 道具作成:- 道具作成能力は有していない。 【固有スキル】 科学という名の魔法:EX 『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』 魔法というべき領域に踏み込んだ科学を扱うことが可能であることを示す。 キャスターのキャスタークラスたる所以のスキル。 神秘が薄れた未来において純然たる科学技術でつくられた キャスターおよびキャスターの持つ宝具・道具は、一切の神秘を持たない。 しかし、一切の神秘を帯びないままに、あたかも魔法域の神秘を持っているかのように 他の神秘に干渉することを可能とする。 但し、逆に一切の神秘を帯びていない物理現象からも干渉を受ける。 また、キャスターは本来は高位の神秘である英霊としての特性も最低限しか持つことしかできない。 単独行動(偽):A マスター不在でも行動できる。 本来の単独行動スキルとは異なり、キャスターは神秘を持たず 現界に魔力を消費しないために単独行動が可能となっている。 機械知識:C 機械に関する知識。 自身の道具のメンテナンスが可能な他、あまりに複雑な機械でなければ修理や改造が可能。 言語理解:D ネコの言語を理解し、意思疎通が可能。 異形:E 大小の球体と青白の色彩を組み合わせた、実に奇妙な姿を持つヒトガタである。 本人はその姿をネコを模したものだと主張しているが、とてもそうは見えない。 せいぜいタヌキであろう。 キャスターの姿を見た相手に、タヌキであるという印象を強く与えてしまう。 ちなみに、この装備(スキル)は外せない。 【宝具】 『夢詰まるすこしふしぎな袋(四次元ポケット)』 ランク:- 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 キャスターの腹部に装着されているポケット。 宝具として扱われているが、一切の神秘を持たない故にランクは存在しない。 内側が四次元空間に繋がっており、無限に物品を収納できる。 中には未来の科学で製造された様々な『ひみつ道具』が入っており、 キャスターはそれらを取り出して自在に扱うことができる。 この宝具や中の道具の使用には真名解放も魔力も不要。 また、キャスターの腹部から取り外したり、キャスター以外の者が使ったりすることもできる。 【Weapon】 『ひみつ道具』 魔法と見紛う奇跡を実現する未来の科学で作られた道具。 数えきれないほどの種類がある。 ただし、聖杯戦争を直接的に破綻させる類のものは使用や機能に制限をつけられている。 【人物背景】 何をやらせてもダメな小学生、野比のび太。 ある日、彼の机の引き出しから、一体のロボットが現れた。 そのロボットが言うには、自分は22世紀の未来からやってきた子守用のネコ型ロボットであり、 のび太を一人前にするためにのび太の玄孫であるセワシに送り込まれたと言う。 混乱するのび太であったが、そのロボットが取り出す不思議な道具に魅せられて、 ロボットを受け入れることを決める。 こうして、一人の子供と一体のロボットの友情の物語が幕を開けた。 【サーヴァントの願い】 聖杯戦争を止める。 のび太を守り、家に帰す。 【基本戦術、方針、運用法】 神秘を持たないために、魔力や神秘の格を感じ、判断材料とする 大抵の魔術師やサーヴァントに対する初見殺しとなる。 また、神秘の無さの副次的な効果として、サーヴァントの気配が無いため そうと知られない限りサーヴァントだとばれない。先手をとるのに少し有利。 尤も、姿が姿なので一般人だとは思ってくれないだろうが。 勝ち筋は、できれば初手でひみつ道具で相手を制圧するか、 あるい味方を作り、多彩な道具を活かして支援するかが基本。 魔力が感じられないとひみつ道具に対しおざなりな対応をする相手を そのまま行動不能に追い込めれば理想的。 直接戦闘では、能力が低く、本人の気質も相まって勝利は難しい。 時間をかけるほど神秘に関するトリックと能力の低さが露呈するので不利になる。 たとえ道具がいくら強力であってもである。 初見ですらひみつ道具の危険性を察知し得る直感や心眼(偽)の持ち主は天敵。 苦手な荒事を想定せざるを得ない状況である以上、信頼できる協力者を探すことも重要であろう。 下手に守りに入ると、とたんに不利になる可能性がある。 ただの物理攻撃でもキャスターには有効であるためである。 敵マスターからの攻撃にも十分な注意を払う必要があるだろう。 【マスターステータス】 【出典】 ドラえもん 【名前】 野比のび太 【性別】 男性 【参加方法】 『方舟』による召喚だと思われるが、詳細は不明。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争を止める。 【能力・技能】 勉強もスポーツも、何をやらせても駄目な小学生。 ことあるごとにキャスターに泣きつき、頼る。 だが、ひみつ道具の応用に関しては天才的な頭脳を発揮することもある。 基本的に能力の低さは生来の怠け癖によるもので、実際頭の回転は悪くない。 ここぞというときは勇敢さを見せることもしばしばあり、現在はその状態である。大長編補正。 あやとりと射撃に関しては天才的な才能があり、射撃は宇宙でも有数の腕前といっても過言ではない。 プロの殺し屋に勝利したこともあり、また射撃戦においては作戦立案能力も優れる。 しかし、心根が優しすぎるため相手を直接殺傷する武器はとても扱えない。 それでも、使うひみつ道具と状況次第ではサーヴァントにも通用するかもしれない。 【人物背景】 万事において冴えない駄目人間。 のんびり屋かつ怠け者の弱虫。 しかし、性根はとても優しく、友情に厚い。 そんな性格に心惹かれる人は多い。 彼の駄目っぷりをなんとかしようと 未来の子孫がドラえもんを送り込んだことから、すべての物語は始まる。 【方針】 殺し合いは止める。 聖杯戦争を止める具体的な方法を探す。 【その他】 ○敏捷E++? ネズミ。 ○異形? 何となく付けた。 ○道具の制限は? あんまりしっかりとは考えていない。 移動系の道具で直接方舟の外に出るのは禁止。 四次元ポケットからスペアポケットへの移動禁止。 ウソ800禁止。 もしもボックス禁止。 とりあえず思いついたのはこれだけ。 ○キャスターが持つサーヴァントとしての性質は、 「マスターとラインで繋がっている」「令呪の命令に従う」 「キャスターをサーヴァントだと知るマスターであれば、キャスターのステータスを閲覧できる」 この3点だけ。それ以外の全てのサーヴァントとしてのメリットとデメリットは無い。 霊体化不可。念話不可。魔力による再生不可。物理攻撃有効。 魔力消費無し。マスター不在のペナルティ無し。
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「きりーつ、礼、さよーなら!」 「「「「「「「「さよーなら!!!」」」」」」」」 つまらない学校が終わった。 そそくさと帰り支度をする。 つまらないというのは、ぼくが勉強ができないからじゃない。 運動ができないからでもない。 この学校に違和感がぬぐえないから、現実感が無いからだ。 学校に来ているのに、学校という感じがしないのだ。 友達と遊ぶ気もしない。 彼らが、ぼくの友達と思えないから。 別に仲が悪いわけじゃない。 少し前までは、日が暮れるまで空き地で一緒に遊んでいたはずだ。 でも、いつの間にか遊ばなくなった。 誘われても、何かかしら理由を付けて断った。 学校からの帰り道を一人で歩く。 帰り道の途中、遊び場だった空き地を通りかかった。 ちょっと前までは、遊んでいたのに。 ここで楽しく遊んでいたこと自体に違和感を感じる。 「ただいまー…」 「のびちゃんおかえりー」 ママの声に適当に返事をして、 二回の自分の部屋に上がっていく。 顔を出すのも面倒だ。 …こんな扱いをしようものなら怒られても文句は言えないけど、 別にそれでもかまわないと思う。 例えママに叱られても、ママに叱られている気がしないからだ。 変な表現だけど、本当にそうとしか思えない。 襖をあける。 誰もいない。 当然だ。 この部屋は、ぼくだけの部屋なのだから。 勉強もやる気はしない。 昼寝でもしよう。 愛用の座布団を丸めて枕を作り、さあ眠ろうとして、ふと気になった。 押入れを開けてみる。 布団が入っている。 机の引き出しを開ける。 空っぽだ。 ……あれ? ぼくは、何が気になったんだっけ? …変だな。 違和感が気になって昼寝する気にならない。 がらんとした部屋の中。 膝を抱えて蹲る。 じっと机を見る。 何もない机を。 何もなくなった机を あの時も、こうしていたような…。 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ 『けんかなら、■■■■■ぬきでやろう』 『ぼくだけの力で、きみに勝たないと……』 『■■■■■が安心して……帰れないんだ!』 『勝ったよ、ぼく』 『見たろ、■■■■■。勝ったんだよ。ぼくひとりで』 『もう安心して帰れるだろ、■■■■■』 『■■■■■、きみが帰ったら、部屋ががらんとしちゃったよ』 『でも……すぐになれると思う』 『だから………心配するなよ』 『■■■■■』 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ ……!! 部屋を見渡し、思い出した自分の部屋と違うことに気付く。 立ち上がって部屋を飛び出、転げ落ちるように階段を下りる。 音に驚いたのか、ママが居間からこちらを見た。また気付く。知らない顔だ……! そのまま走って外に出る。 違う…。ここは違う! 走る。走る。走る。 歩き慣れていたと思っていた筈の、今や馴染みの無くなった道を。 違う!こんな町は知らない! 脳裏に浮かぶ空き地への道を、■■■ちゃんの家への道を、 ■■■や■■■■■の家への道を無理やりに辿ろうとして、 全く違う方向へ続く道に阻まれ、とにかくがむしゃらに走っていく。 そうだ。 ここは、ぼくがいた町じゃない。 あそこは、ぼくの家じゃない。 みんな、ぼくが知っている人じゃない。 走って、走って、走って、 もう走れなくなって、 気が付いたら見覚えのない河川敷にいた。 涙が溢れる。 恐ろしくなった。 ぼくは、知らない場所にいて、みんなのことを忘れていた。 忘れたまま、それが当たり前だと思って過ごしていた。 し■■ちゃんがいない。 ■ャ■ア■がいない ス■夫がいない。 パ■がいない。 ■マがいない。 ■■え■んがいない。 ■ラえ■んが。 ■ラえもんが…! 「ドラえもぉ~~~ん!!!」 「どうしたんだい?のび太くん」 「……!!」 返事があったことに、驚き、後ろを振り返る。 ドラえもんが、そこにいた。 ちょっと困ったような笑顔を浮かべ、いつものように。 「ド……」 「のび太くん、よく思い出してくれたね」 「ドラえもぉぉぉぉん!!来てくれたぁ!うわああ~ん!!」 「よしよし、頑張ったね」 みっともないくらいに泣いてドラえもんに抱き着く。 ドラえもんも泣きながら頭を撫でてくれた。 あれだけ怖かったのに、心が安心と感謝で溢れていく。 最高の親友と会えたことが、ただただ嬉しかった。 □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ □ ◆ ◇ ■ 「それで……どうするの、のび太くん?」 「うん…」 ドラえもんと再会して、記憶を取り戻した。 それと共に、聖杯戦争のことも知った。 与えられた知識と、『サーヴァント』となったドラえもんから教えられたこと。 ぼくは… 「ぼくは……この戦争を止めたい。 願いを叶えるために、みんなで殺し合うなんて悲しいこと、絶対にあっちゃいけないんだ。 多分、ぼくみたいに巻き込まれただけの人もたくさんいると思う。 その人たちを助けるためにも、こんな戦いはやめさせないと駄目だ」 「…わかったよ。のび太くんならきっとそう言うと思ってた。 こういう時のきみは勇敢だしね。 ぼくたちで、この聖杯戦争を止めよう」 「ドラえもん……ありがとう!」 ドラえもんも止めてくれると言ってくれた。 それは本当にうれしい。やっぱりドラえもんだ。 でも… 「でも…。ドラえもんにも何か願いがあるんじゃないの? だからサーヴァントになったんじゃないの?」 ここにいるドラえもんは、サーヴァントとしてここにいる。 幽霊の様なもので、確かに『ドラえもん』だけど、 ぼくの家にいるドラえもんとは厳密には別人みたいだ。 だから、ドラえもんにも何か願いがあるのかもしれない。 そう言うと、ドラえもんはまた少し困ったように笑って。 「ぼくはのび太くんを助けたいと思っただけさ。 願いがあるとすればそれ以外には無いよ。 サーヴァントとしてでも、のび太くんと一緒に居れるだけでとても嬉しいよ。 だから、その辺は気にしなくても大丈夫」 「ドラえもん……」 「うーん、そうだね。 のび太くんが帰ったら、家にいるぼくと今まで通り仲良くしてくれればいいよ。 今回のお礼なら、ぼくと、家のぼくにもどら焼きの一つでもおごってくれればいいかな?」 「…うん! とびっきりのどら焼きを買うからね!一緒に食べよう!」 「フフフ…。 楽しみにしているから、そっちのぼくにもよろしくね」 少しのうれし涙を滲ませながら二人で笑い合う。 …よし、ぼくたちで、この戦いを止める! もう何度目になるかわからない、ぼくたちの新しい冒険の始まりだ! 【東京/2014年7月21日(月)1630】 【サーヴァントステータス】 【出典】 ドラえもん 【CLASS】 キャスター 【マスター】 野比のび太 【真名】 ドラえもん 【性別】 雄 【属性】 中立・善 【ステータス】 筋力D 耐久E 敏捷E++ 魔力- 幸運A 宝具- 【クラス別スキル】 陣地作成:- 陣地作成能力は有していない。 道具作成:- 道具作成能力は有していない。 【固有スキル】 科学という名の魔法:EX 『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』 魔法というべき領域に踏み込んだ科学を扱うことが可能であることを示す。 キャスターのキャスタークラスたる所以のスキル。 神秘が薄れた未来において純然たる科学技術でつくられた キャスターおよびキャスターの持つ宝具・道具は、一切の神秘を持たない。 しかし、一切の神秘を帯びないままに、あたかも魔法域の神秘を持っているかのように 他の神秘に干渉することを可能とする。 但し、逆に一切の神秘を帯びていない物理現象からも干渉を受ける。 また、キャスターは本来は高位の神秘である英霊としての特性も最低限しか持つことしかできない。 単独行動(偽):A マスター不在でも行動できる。 本来の単独行動スキルとは異なり、キャスターは神秘を持たず 現界に魔力を消費しないために単独行動が可能となっている。 機械知識:C 機械に関する知識。 自身の道具のメンテナンスが可能な他、あまりに複雑な機械でなければ修理や改造が可能。 言語理解:D ネコの言語を理解し、意思疎通が可能。 異形:E 大小の球体と青白の色彩を組み合わせた、実に奇妙な姿を持つヒトガタである。 本人はその姿をネコを模したものだと主張しているが、とてもそうは見えない。 せいぜいタヌキであろう。 キャスターの姿を見た相手に、タヌキであるという印象を強く与えてしまう。 ちなみに、この装備(スキル)は外せない。 【宝具】 『夢詰まるすこしふしぎな袋(四次元ポケット)』 ランク:- 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 キャスターの腹部に装着されているポケット。 宝具として扱われているが、一切の神秘を持たない故にランクは存在しない。 内側が四次元空間に繋がっており、無限に物品を収納できる。 中には未来の科学で製造された様々な『ひみつ道具』が入っており、 キャスターはそれらを取り出して自在に扱うことができる。 この宝具や中の道具の使用には真名解放も魔力も不要。 また、キャスターの腹部から取り外したり、キャスター以外の者が使ったりすることもできる。 【Weapon】 『ひみつ道具』 魔法と見紛う奇跡を実現する未来の科学で作られた道具。 数えきれないほどの種類がある。 ただし、聖杯戦争を直接的に破綻させる類のものは使用や機能に制限をつけられている。 【人物背景】 何をやらせてもダメな小学生、野比のび太。 ある日、彼の机の引き出しから、一体のロボットが現れた。 そのロボットが言うには、自分は22世紀の未来からやってきた子守用のネコ型ロボットであり、 のび太を一人前にするためにのび太の玄孫であるセワシに送り込まれたと言う。 混乱するのび太であったが、そのロボットが取り出す不思議な道具に魅せられて、 ロボットを受け入れることを決める。 こうして、一人の子供と一体のロボットの友情の物語が幕を開けた。 【サーヴァントの願い】 聖杯戦争を止める。 のび太を守り、家に帰す。 【基本戦術、方針、運用法】 神秘を持たないために、魔力や神秘の格を感じ、判断材料とする 大抵の魔術師やサーヴァントに対する初見殺しとなる。 また、神秘の無さの副次的な効果として、サーヴァントの気配が無いため そうと知られない限りサーヴァントだとばれない。先手をとるのに少し有利。 尤も、姿が姿なので一般人だとは思ってくれないだろうが。 勝ち筋は、できれば初手でひみつ道具で相手を制圧するか、 あるい味方を作り、多彩な道具を活かして支援するかが基本。 魔力が感じられないとひみつ道具に対しおざなりな対応をする相手を そのまま行動不能に追い込めれば理想的。 直接戦闘では、能力が低く、本人の気質も相まって勝利は難しい。 時間をかけるほど神秘に関するトリックと能力の低さが露呈するので不利になる。 たとえ道具がいくら強力であってもである。 初見ですらひみつ道具の危険性を察知し得る直感や心眼(偽)の持ち主は天敵。 苦手な荒事を想定せざるを得ない状況である以上、信頼できる協力者を探すことも重要であろう。 下手に守りに入ると、とたんに不利になる可能性がある。 ただの物理攻撃でもキャスターには有効であるためである。 敵マスターからの攻撃にも十分な注意を払う必要があるだろう。 【マスターステータス】 【出典】 ドラえもん 【名前】 野比のび太 【性別】 男性 【参加方法】 『方舟』による召喚だと思われるが、詳細は不明。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争を止める。 【能力・技能】 勉強もスポーツも、何をやらせても駄目な小学生。 ことあるごとにキャスターに泣きつき、頼る。 だが、ひみつ道具の応用に関しては天才的な頭脳を発揮することもある。 基本的に能力の低さは生来の怠け癖によるもので、実際頭の回転は悪くない。 ここぞというときは勇敢さを見せることもしばしばあり、現在はその状態である。大長編補正。 あやとりと射撃に関しては天才的な才能があり、射撃は宇宙でも有数の腕前といっても過言ではない。 プロの殺し屋に勝利したこともあり、また射撃戦においては作戦立案能力も優れる。 しかし、心根が優しすぎるため相手を直接殺傷する武器はとても扱えない。 それでも、使うひみつ道具と状況次第ではサーヴァントにも通用するかもしれない。 【人物背景】 万事において冴えない駄目人間。 のんびり屋かつ怠け者の弱虫。 しかし、性根はとても優しく、友情に厚い。 そんな性格に心惹かれる人は多い。 彼の駄目っぷりをなんとかしようと 未来の子孫がドラえもんを送り込んだことから、すべての物語は始まる。 【方針】 殺し合いは止める。 聖杯戦争を止める具体的な方法を探す。 【備考】 ○敏捷E++? ネズミ。 ○異形? 何となく付けた。 ○道具の制限は? あんまりしっかりとは考えていない。 移動系の道具で直接方舟の外に出るのは禁止。 四次元ポケットからスペアポケットへの移動禁止。 ウソ800禁止。 もしもボックス禁止。 とりあえず思いついたのはこれだけ。 ○キャスターが持つサーヴァントとしての性質は、 「マスターとラインで繋がっている」「令呪の命令に従う」 「キャスターをサーヴァントだと知るマスターであれば、キャスターのステータスを閲覧できる」 この3点だけ。それ以外の全てのサーヴァントとしてのメリットとデメリットは無い。 霊体化不可。念話不可。魔力による再生不可。物理攻撃有効。 魔力消費無し。マスター不在のペナルティ無し。
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のび太ブレイク 制作者:nobina 氏 翻訳者:有志数人 制作ツール:RPGツクール2003 The Nobita Within哆啦A梦回未来后,大雄的妈妈病倒住院了,大雄坐车去医院看望他的妈妈,却无意中被卷入了一个残忍而诡异的地狱…… 概要 RPGツクール2003での改造版。 BIO HAZARDシリーズではなく、The Evil Within(サイコブレイク)というゲームをモチーフとしている。 本家からの変更点 シナリオ・マップ・敵・システム全て。 隠しストーリーやクリア特典などのおまけ要素が多く追加されている。 ゲーム内の通貨を使って、武器やアイテム等のアップグレードができる。 敵に気付かれないように行動できる機能として、スニークが追加されている。 場所によっては戦闘や謎解きの難易度が高い。 その他 有志により日本語化パッチが作られている。
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前へ 舞台は戻って、ヒワダタウン。 人よりも大幅に遅れをとっていたのび太とドラえもんも、ようやくここまでは到着していた。 二人の話し合いの結果、早速ジムに挑戦しようという事になった。 こちらは3個目どころか、やっと2個目のバッジである。 ジムに挑戦する順番については、直前にワニノコが進化して有頂天になっていたのび太が、 「僕が最初に行くよ!」 と名乗りを挙げて、ドラえもんはのび太の挑戦の後に挑戦する事になった。 のび太のジム戦は、ようやく龍の舞の使い方が解ってきたのび太が、またもや運にも恵まれて快勝した。 そして今、ドラえもんがジムに挑戦する番がやって来たのである。 「じゃ、じゃあ僕も行ってくるからね。 ちゃんと待っててね、のび太君」 のび太に確認の挨拶をしたドラえもん。 のび太は、楽観的な感じでそれに応える。 「大丈夫、大丈夫。 それに、ドラえもんなら、ジム戦なんてすぐに終わるさ!」 「そ、そうかな!? まあ頑張ってみるよ!」 のび太におだてられ、ドラえもんの表情は少し明るくなる。 こうして、ドラえもんはジムの中へと進んでいった。 「ごめんくださ~い。 ジムリーダーの人はいますか~?」 ドラえもんがそう声をあげると、ジムの奥の方から声がした。 「おっ、また挑戦者かい? ……っと思ったが違うようだな。 色違いのビーダルかなんかが紛れ込んできちゃったのか。 ここは君の住処じゃあ無いから帰りな」 この声の主は勿論、ジムリーダーのツクシである。 「僕はビーダルじゃない! ドラえもん、猫型ロボットだ!」 そしてドラえもんがすかさず反論する。 お決まりのパターンである。 「ドラエモン? まさか、鼠に耳をかじられて、ヤケ酒かまして変色したっていう、 あのドラエモンか?」 余談だが、ドラえもんのこのエピソードは、未来でネタにされている。 有名なコピペとして、様々な形で、多くの人々に知れ渡っていたりするのである。 ……但し、コピペ改変前の内容、つまりは元ネタが、正確に伝わっているケースは珍しいとされている。 それは、今ドラえもんの目の前にいる人物も、例外ではなかった。 「僕はヤケ酒なんてしてない! 適当な事を言うな!」 「おっかしーなー、じゃあ偽物か? まあ、いいか。 で、何だ? そのドラエモンもジム戦をしに来たのか?」 「そうだ! ジムリーダーの貴方に挑戦しに来たんだ!」 ドラえもんはかなり苛々しているが、その怒りは抑えて要件を告げる。 「よし、言いたい事はよーく分かったぞ、うん。 じゃあ早速だが、ジム戦を 始 め よ う か 出てこい、俺のトランセル!」 ドラえもんは、要件がツクシに伝わったのを確認して一安心する。 しかし、バトルが始まったので、すぐに頭の中を切り替える。 「よーし! 頑張ってくれ、コイル!」 それからしばらくして、トランセルとコクーンが破られたツクシが、最後のポケモンを取り出す。 「行けェ! ストライク!」 「あ、いよいよ敵の大将がお出ましだね。 コイル、あと少しだ、頑張れ!」 ドラえもんはそう言って、コイルに傷薬を投与する。 尤も、コクーンの毒針を一度喰らっただけのコイルには、特に様子に変化は見られ無い。 「ストライク、連続斬りだぁぁああぁ!」 「コイル、電気ショックゥゥウ!」 やけに熱い二人。いや、熱いのは二人だけでは無い。 しかし、それに二人が気づく気配は無い。 バトルは続く 電気ショックをダイレクトに喰らい、もう後が無いストライク。 それに対し、まだまだ余裕しゃくしゃくのコイル。 バトルは早くも、大詰めという空気を醸し出している。 「ストライクゥゥウウゥ! もう、斬るしか無いんだぁぁああ! 行けぇええ!」 「コイル、電気ショックを撃てえええ! トドメをさすんだぁあああ!」 鬼の様な形相で斬りかかるストライク。 コイルも、それに負けじと電撃を放って応戦する。 そして―― 「負けたよ」 結局、最後まで立っていた、いや浮いていたのは、大方の予想通りの結果だった。 そう、ドラえもんのコイルである。 しかし、タイプの相性の壁を超えた熱戦に、トレーナーの二人は燃え尽きたような顔をしている。 「よし、じゃあジムバッジと技マシンをやろう。 受け取りたまえ」 そう言われて、一礼をしてから戦利品を受け取るドラえもん。 そして、すっかりバトルで打ち解けた二人には、奇妙な友情が芽生えていた。 「ありがとうございます。 しかし、それにしても暑い! これはどうなっているんだ!」 「なーに、ドラエモンとのバトルが熱かっただけさ。 いい事じゃないか」 「ですよねー。アハハハハ」 ……。 …………。 「で、俺は言ってやったんだ。 『もう一度ジムバトルを や ら な い か 』ってな。 それなのに、その挑戦者はすっ飛んで逃げて行きやがったんだ。 そんなに俺のトランセルが嫌だったんだろうか?」 「アハハハハ。でもそれトランセル関係無いと思うけどなあw じゃあ僕は外でのび太君が待っているから、そろそろ行かなきゃ。 ツクシさん、また会いましょう!」 「おう、これから先は長いだろうが頑張れよ」 「ハイ!」 ツクシと暫くの間世間話をしたドラえもんは、名残惜しそうにジムを後にする。 しかし、ジムを出たドラえもんの目の前には、ツクシとの和やかムードを一瞬でぶち壊すような光景が広がっていた。 「あ、遅いよドラえもん!」 ジムから出て来たドラえもんに、一目散に駆け寄ってきたのび太。 その顔からは、焦りのようなものが見られる。 「のび太君、これは一体何が起こっているんだ!?」 「何がって、見ての通りだよ! ドラえもんがジムに入ってからすぐ、この火事を見つけたんだ! ワニノコの水鉄砲で消そうとしたんだけど、全然消えないんだ!」 見ると、辺り一面に炎があがっている。 炎の勢いはかなりのもので、少し話していた間にもドンドン大きく広がっていく。 「水鉄砲で消えないって事は、タダの火事じゃあ無いって事だね。 これは何だろう……? 炎の渦……かな? まあとにかく消さないと! これ以上火が広がるとマズい!」 即決で結論を出したドラえもん。 しかし、珍しくまともなのび太の意見に、その結論は否定される。 「消すってどうやるんだよドラえもん! 僕のワニノコがいくら頑張っても消えないし、ドラえもんのコイル一匹じゃどうにもならないだろ!」 気まずい雰囲気になる二人。 それは周りにも伝染し、村全体が重い雰囲気になっていく。 しかし、その間にも火はどんどん広がっていく。 村の周りの木が勢いよく燃え続けるのを、誰も止められずにいた。 そこで、この様子を打開しようと、野次馬の一人が案を思い付く。 「こうなったら『拡声器』を使って助けを呼べば……」 「それだ!」 「でも誰か拡声器を持っているのか?」 「こんな事で、有料アイテムの拡声器を使うのはなあ…」 再び村全体に沈黙が流れる。 しかし今度の沈黙は、長くは続かない。 「パラス、あの木の陰に向かって痺れ粉だ!」
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前へ 暫くしてナナカマド研究所には5人が集まっていた。 呆然としているジャイアンとスネ夫。 この二人ほどでは無いがまだ信じられないような表情をしているしずかとドラえもん。 そしてこの4人の目線の先でエムリットをナナカマドを見せているのび太の5人だ。 「感情の神!そんなに凄いポケモンだったんだね、君は」 のび太の言葉を聞いてエムリットが嬉しそうに研究所内を飛び回る。 「うむ、これは間違いなくエムリットだ・・・!生きている内にこのポケモンを見れるとは!」 ナナカマド博士が興奮しながらエムリットを観察している。 「しかしのび太くんが伝説ポケモンを捕まえるなんてなんでまた・・・」 ドラえもんが不思議そうに呟く。 「本当だぜ!おい、のび太どうやって捕まえたんだ?俺様にも教えろ!」 余程、のび太に伝説ポケモンを手に入れられたのが悔しいのだろう。 ジャイアンがのび太の胸倉をつかんで詰め寄る。 「そ、そんな事言われたって・・・ただ突然現れて僕にまとわり付いてきただけだよ!」 慌てふためきながらのび太が必死に説明しようとする。 「馬鹿言うなよ!理由も無く伝説のポケモンが仲間になる訳が――」 「ああ、その通りだ」 その重みのある声に思わずジャイアンがのび太を離す。 声の主は当然ナナカマド博士だ。 「野比のび太と言ったか・・・このエムリットに会う前に本当に何も無かったのか?」 目は飛び回るエムリットを観察しながらものび太に問いかける。 「えっと、あの湖で昼寝してたらムックルに襲われてその時に何かが光ってそしたらエムリットが出てきたんだ」 (のび太くん、草むらで眠るなんてすごい度胸だな・・・) ドラえもんが妙な関心をする。 「その前は何をした?」 あまりこの件には興味が無いらしい。 「ドラえもん達と逸れて草むらの中を歩いてて・・・そこで湖に行って綺麗な湖だなぁって言って――」 「それだ!」 突然目を見開き鋭い声を出すナナカマド博士・・・怖すぎる。 「エムリットは感情ポケモン、人々に感情を伝えたと言われるポケモン・・・ということは知っているな?」 ナナカマドの言葉に全員が頷く。 「つまり、エムリットには信用できる人間かどうかを見分ける位は容易いことなのだ」 そこまでいえば分かるだろう、とナナカマド博士が口を閉じる。 もちろん、そんな説明で把握できるほどのび太の頭は柔軟ではない。 「ねぇドラえもん、どういう意味?」 いつもの様に困ったときのドラえもん頼りだ。 「あのねぇ、のび太くん。せっかく褒められてるのに・・・」 呆れたような表情で言うドラえもん。 「僕が褒められてる?」 まだ意味が分かっていない彼を見かねたのかしずかが一歩前に出た。 「博士、のび太さんは伝説のポケモンに信頼できると認められたってことですよね?」 しずかの問いにナナカマド博士が大きく頷く。 「・・・君」 「は、はい!」 突然ナナカマドにしっかり見据えられて思わず焦るのび太。 ――暫くの沈黙、そして・・・ 「伝説のポケモンに認められたトレーナーか・・・行く末が楽しみだな」 そう言ったナナカマド博士の目から僅かに笑みがこぼれていた。 その後、ナナカマド研究所を出た5人は一旦集合していた. 「それじゃあ色々とあったけど・・・そろそろ旅に出ようか」 「ああ、さっさと解散しようよ!のび太のせいでただでさえ出遅れてるんだから」 スネ夫お得意の辛辣な言葉が炸裂するが当ののび太は余裕な表情をしていた。 「悪いね、スネ夫。待たせた上に僕だけ伝説のポケモンを手に入れちゃって」 そう言ってさりげなくエムリットを入れたモンスターボールをチラつかせる。 こっちもスネ夫に負けず劣らず嫌な奴だ。 「それにしても・・・出木杉さんは何処に行ったのかしら?」 しずかがまだ帰ってこない天才を心配する。 「確かに心配だね、まさかのび太くんみたいにポケモンに襲われてるんじゃ・・・」 ドラえもんも不安顔だ。 だが、その二人にジャイアンとスネ夫が反論する。 「出木杉はもうポケモンを持ってるし襲われても大丈夫だろ、それにのび太じゃねぇんだから」 ジャイアンにしてはまともな意見だ。 そこにスネ夫が追い討ちをかける。 「僕は出木杉がのび太を探すとき次の街の方へ行ったのを見たんだ、どっちにしろ僕達もその方向へ向かうだろ?」 そして最後のダメ押し。 「出木杉なんて気にしないでさっさと旅に出ようよドラえもん!」 物凄く個人的な意見をのび太が述べた。 「う~ん、みんながそこまで言うならしょうがないか・・・分かった、旅に出よう」 遂にドラえもんから旅に出る宣言が出された。 「よっしゃ、俺様のチャンピオンへの伝説の幕開けだぜ!行くぞスネ夫!」 「あっ、待ってよジャイアン!」 一目散に駆け出したジャイアンをスネ夫が追いかける。 「じゃあねドラちゃんとのび太さん、私も行くわね!」 しずかが続いて走り出す。 「みんな行っちゃったね・・・それじゃあ僕らも行こうか」 そう言ってのび太の方を振り向くドラえもん。 だが、その少年からは予想外の答えが返ってきた。 「ドラえもん・・・僕は一人だけで冒険するよ!」 ~102番道路~ 「ムックル!体当たりだ!」 短パン小僧の声でムックルが勢いを付けて急降下をしていく。 ――だが、次の瞬間 「竜の怒り!」 激しく燃える炎の玉が灰色のポケモンの口から放たれた。 それが急降下するムックルを飲み込み・・・地面に墜落した 「はあ・・・戻れムックル」 短パン小僧が焼き鳥となったムックルをボールに戻す。 「完敗だよ、はい賞金」 「ありがとう、機会があったらまた勝負しよう」 そう言って短パン小僧のなけなしの賞金を貰っているのは・・・出木杉英才だ。 (フカマルのレベルも上がったしそろそろ行くか・・・) 次の街、コトブキシティを目指そうとしている出木杉。 そう、彼は元々のび太を探すつもりは無かったのだ。 「野比くんには悪いが僕は出木杉・・・勝負事には負けられないな」 爽やかそうに見えてなかなかの野心家だ。 そんな事を考えながら歩いているうちに巨大な街が見えて来た。 「あれがコトブキシティか、フラゲ人の話ではポケッチが手に入れるんだっけ」 どうやら情報収集もバッチリらしい。 (そういえば、ドラえもんと野比君はどんなポケモンを貰ったんだろう・・・まぁいっか) のび太が伝説のポケモンを持っている事も知らず出木杉はコトブキシティに一番早く足を踏み入れるのだった。 もうドラえもん達が旅を始めて1時間ほど経過したころ。 「ほっほ~い!よく見つけれたねぇ!そんなお嬢ちゃんにはポケッチをプレゼント~!」 「え、ええ。どうもありがとうございます・・・・」 しずかがやけにテンションの高いピエロからポケッチを受け取る。 (余り役に立ちそうに無いけど機能も増えてくらしいし持ってて損は無いわね) と、小型の機械を眺めていたその時、見慣れた声が聞こえてきた。 「スネ夫、速く先へ進むぞ!」 「ジャ、ジャイアン。もう少し休憩しない?この街にも役に立つアイテムがあるかも・・・」 しずかが振り返るとコトブキシティの出口でジャイアンがスネ夫を必死で引っ張っている所だった。 「ジャイアン、あそこでポケッチキャンぺーンなんてものが――」 「後だ後!俺たちにのんびりしてる余裕は無いんだ!」 1分後、ジャイアンとスネ夫の姿はコトブキシティから消えていた。 少年の悲痛な叫びは少しの間残っていたが。 その姿を遠くから見届けたしずかは思った。 (無駄に急いでも後半で詰まるだけなのに・・・私は焦らないで進まないと) どうやら彼女も相当の策略家のようだ。 そしてしずかがもう少し街の散策をしようと振り返ったその時、彼女はまた見慣れた姿を見つけた。 後姿なので表情は見えないがその青い体と特徴的な体型は他の誰かと間違えようが無い。 「ドラちゃん!」 しずかがその青い体の物体に声をかける。 「あぁ・・・しずかちゃん」 ゆっくりとこちらを見たドラえもんの表情がどこか沈んでいるようにしずかは感じた 数分後、二人は近くにあったテレビ局のロビーで話をしていた。 「えっ!のび太さんがそんな事を言ってたの?」 「うん、そうなんだ・・・・」 ドラえもんが相変わらず抑揚のない声で話す。 「この世界ではドラえもんに頼らず自分の力で旅をするって言って聞かなくてさ・・・無謀すぎるよ」 そう言って再びため息を付く。 どうやら彼が元気が無いのはのび太に一人旅ができるのかという心配が原因らしい。 「だけどドラちゃん、のび太さんは伝説ポケモンを持ってるのよ?きっと一人でも大丈夫よ」 しずかが何とかドラえもんを元気付けようとする。 「そうなんだけど・・・何だか嫌な予感がするんだよなぁ、のび太くんだし」 付き合いの長さから来るものなのか、まだドラえもんは浮かない顔をしている。 (・・・否定できないわ) その妙な説得力のある言葉にしずかも黙り込む。 (気まずいわね) 何とかこの空気を変える話題は無いかとしずかが辺りを見渡す。 そしてそれは自分の腰に付いている小さな球を見て解決する。 「ドラちゃん、心配ばっかりしてもしょうがないしバトルでもしない?」 そう言ってモンスターボールの開封スイッチを押す。 ドラえもんは暫く黙っていたがやがて立ち上がり同じくボールを持つ。 「そうだよね・・・うん。よし、勝負だ!」 こうして初めてのポケモン世界に来た者同士の戦いが始まろうとしていた。 一方その頃、噂の人物はというと 「Zzz・・・」 寝ていた。 改めて30分後 「ふぁ~、休憩もしたしそろそろ僕も行こうかな」 ポケモンセンター前でのび太が気だるそうに言う。 勿論、彼が今いるのはコトブキではなくマサゴタウンのポケモンセンターだ。 「みんなはどれ位進んだかな・・・まぁ僕にとっては丁度良いハンデってとこだな、うん」 もはや完全に図に乗っている。 その余裕の源は彼の右手の中にあるモンスターボールだ。 「そういえば出木杉はこいつを知らないんだよな、くく・・・どんな顔するだろうなぁ」 色々と妄想にふけりながら草むらに入っていくのび太。 まさか今の自分にとんでもない落とし穴が待っていることにも知らずに・・・。 マサゴタウンを出てからのび太は特に変わったこともなく道路を歩いていた。 「う~ん、一匹くらいポケモンが欲しいけど中々出てこないな・・・まぁいっか」 そう呟きながらも進んでいくと大きな町並みが見えてきた。 「でっかい街だなぁ~!よし、速く行こう!」 のび太が駆け出そうとしたその時―― 「そこの君!俺と勝負しないか?」 突如、横から呼び止められる。 見るとそこにはゲームではお馴染みの短パン小僧がこちらを見ていた。 「・・・つまりポケモンバトルってこと?」 ようやく事態を理解したのび太が問いかける。 「ああ、目が合った以上勝負は断らせないぜ、行けムックル!」 短パン小僧の声でボールから出てきたムックルが勢いよく飛翔する。 それを見てのび太は笑いを隠すことができなかった。 (可愛そうに、相手を選ぶのを間違えたな・・・) 「君、本当に僕と勝負するんだよね?」 のび太が言う。 「ああ、そっちも速くポケモンを出してくれよ!」 ニヤついている相手にイライラしているのか短パン小僧が急かす。 「後悔しても知らないけどな~・・・いけっ、『感情の神』エムリット!」 のび太のボールが炸裂した次の瞬間、辺りを不思議な威圧感が包み込む。 その威圧感の原因はもちろん額に水晶を持ったピンク色のポケモン、エムリットだ。 「な、なんだよ、この空気」 短パン小僧が思わず声を震わせる。 空中にいるムックルも相手が誰なのか分かるのかうろたえている。 そしてのび太はその様子を見て得意げに笑う。 「さて、じゃあ悪いけど本気を出させてもらうよ・・・!エムリット・・・相手を消し飛ばせぇ!」 「どうぞ、お預かりしたポケモンは――」 「うわあああああああああああああああああああああああ!」 「ポケモンは元気に――」 「うわああああああああああああああああああああああ!」」 「もう・・・またのご利用をお待ちしています!」 ジョ―イが半ば無理やりボールをのび太に押し付ける。 ――そう、ここはポケモンセンターだ。 しかも、そこはのび太の前に見えていた大都市ではなくマサゴタウンのポケモンセンターだ。 「ひっく、なんで・・・なんで・・・」 のび太が何故泣いているのか、そして何故マサゴタウンに戻ってきたのか。 全てはこの一言が何もかも証明していた。 「なんで『眠る』しか覚えてないんだよおおおおおおおおおおおおおお!」 こうしてのび太の壮絶な冒険は幕を開けたのだった。 ~マサゴタウンのポケモンセンター~ 「今日はリッシ湖のほとりにあるレストラン『七つ星』を紹介しました!それではまた~!」 アナウンサーの甲高い声で夕方のニュース番組がEDに入る。 そしてその画面をつまらなそうに見ているのは・・・のび太だ。 「はぁ~あ、やっぱ何処の世界もこの時間はつまんない番組しかやってないな」 そう言って愚痴をこぼしながらベットの上で寝転がる。 「今日は疲れたしもう寝ようかな」 そう言って本格的に寝る体勢に入るのび太。 一瞬で寝ることが特技ののび太の事だ、当然数秒後には―― 寝ていなかった。 (みんなは今頃次の町か・・・いや、次の次の街かな・・・出木杉とかは今頃ジムに挑戦してるかも・・・) そう、仲間への凄まじい劣等感が彼の睡眠を妨げていたのだ。 「だけど、どうしろって言うんだよ!攻撃技も使えないなんて!」 そう言って腰に付いているボールを恨めしそうに見つめる。 最初は誇らしかったエムリットも短パン小僧に散々打ち負かされた今となっては只のピンク海月にしか見えなかった。 (ポケモンを捕まえようとしても体力を削れないしボールは当たらないし・・・) 彼の-思考モードが完全に始動してしまったようだ。 「やっぱり僕は駄目なんだ、この世界でも負け犬まっしぐらなんだぁ!」 布団を頭まで深く被る。 ――もう諦めてしまおう。 無理やり眠ろうとする・・・意識が少しずつ遠のいていき、そして・・・ 「カラナクシ、濁流だぁ!」 「ド、ドラえもん?」 慌てて布団を放り投げ辺りを見渡す。 だが、部屋の中にあの青狸の姿はない。 「一体どこに・・・」 次の瞬間、のび太は言葉を失った。 消し忘れていたテレビの中でドラえもん、そしてのび太の将来の婚約者しずかがポケモンバトルをしているのだ。 「な、何で二人が・・・?」 慌ててテレビの目の前に座るのび太。 画面の右上には『新人トレーナー、謎の青狸ポケモン現る!?』という文字が出ている。 「いいぞ、カラナクシ、その調子だ!」 ドラえもんに褒められたカラナクシは自慢げにこちら 「ポッチャマ、大丈夫?」 濁流を受けたポッチャマは少し苦しそうだったがそれでも主人のために立ち上がる。 その意思が通じたのかしずかが笑顔になる。 「ありがとう、ポッチャマ・・・泡攻撃よ!」 「カラナクシ頑張れ!水の波動だ!」 二匹の攻撃が激しくぶつかり合う・・・そして次の瞬間―― 「・・・・・・」 のび太はテレビの電源を切った。 そして糸が切れたように再びベットに倒れこむ。 (何やってるんだ僕は・・・一人で調子に乗ってみんなに追い抜かれてそれを全てエムリットのせいにして・・・) 思えばエムリットはこの世界でのび太のピンチを助けてくれた命の友人だ。 それなのに自分は・・・ 「伝説ポケモンを持っているとか言う前に完全に他のみんなと負けてるじゃないか!」 そう言葉に出した瞬間、のび太の中で何かが目覚めた。 「エムリット、出てきてくれ!」 ベットから起き上がりボールを足元に落とす。 そして出てきたエムリットは何故か目を伏せていた。 「エムリット、何で目を伏せてるんだい?」 のび太が尋ねるがエムリットは更に目を伏せてしまう。 最初は良く分からなかったが、ようやくのび太はピンと来た。 「ひょっとして今日バトルで何回も負けたから僕が怒ってると思ったの?」 その言葉を聞いたエムリットが小さく頷ずく。 「大丈夫、怒ってないよ・・・それより今から手伝って欲しいことがあるんだけど」 のび太とピンク海月の逆襲作戦が始まろうとしていた。 ~クロガネシティのポケモンセンター~ 「それでは、最後にカメラに向かって一言どうぞ!」 「はい、えっとこれからチャンピオン目指して頑張りたいです」 「そうですか、頑張ってくださいね!それではこちらの着ぐるみの方も感想を――」 「中の人などいない!・・・じゃなくて、僕も頑張ります」 「というわけで今日の期待の新人は『しずかさん』と『ドラえもん』でした~!」 のび太が途中まで見ていた「シンオウnow」という人気番組がテレビで流れている。 そしてこの番組を観ながら、何かを思案するような表情をしているのは・・・出木杉だ。 (これは生放送じゃないようだな・・・建物の中だったから断言できないがさっきのバトルは4時~5時に撮ったものだろう) テレビを見ている時もしっかり敵の分析をしていたらしい。 (つまりだ、何処かで道草を食っていない限りこの二人はクロガネシティにいる可能性が高――) 突然、隣の部屋から大きな声が聞こえてきた。 「なんだよスネ夫!一緒に部屋使った方が安いだろうが!」 「何言ってるんだよ、ジャイアンと一緒の部屋で寝るなんて拷問に等し――」 荒々しい声と生意気そうな声、そして正義の鉄槌の音がポケモンセンター内に響く。 (・・・これで4人の状況は分かったな) 唯一のび太の事だけは全く分からないが彼は特に気にも留めなかった。 「フフ、『コールバッジ』を手に入れている時点で僕が1枚上手・・・勝つのは僕だ」 そう華麗に決めて、出木杉は早めの就寝に就くのだった・・・。 深夜にジャイアンのいびき地獄を食らうことも知らずに。 ――夜 「ふぁっくしょん!・・・ふふ、どうやらあいつらはいなくなったみたいだな」 夜風に体を震わせながらも得意げに笑うのび太。 真夜中に一人笑う姿は傍から見ればなんとも不気味だろう。 最も、本当に誰もいないんだから気にする必要が無い気もするが。 「僕の全財産の半分を削った奴らに逆襲できないのは残念だけど・・・まぁいいや、勝利は目前だ!」 暗闇の中でそう言い放った後、のび太の『作戦』は開始された。 のび太が最初に向かったのは草むらだった。 「う~ん、中々出てこいな」 暗闇の中を必死で目をこらしながら歩き回るのび太。 何を探しているかは・・・大体草むらという時点で大体分かるだろう。 そして、数分後。 野生のムックルが飛び出してきた! 「ムックルか・・・色々と嫌な思い出があるけどゲットするには申し分ない!」 そう言って彼が華麗なフォームでボールを投げる。 出てきたのは勿論―― 「感情の神エムリットおおおおおおお!すごいぞ~かっこいいぞ~!」 今日散々打ち負かされたトレーナーとは思えないハイテンションっぷりだ。 「いいね、エムリット。作戦通りにいこう!」 のび太の言葉にしっかり頷くエムリット。 その姿からはもう期待は裏切りたくないという主人への想いが感じられた。 そんなエムリットが最初にした行動とは・・・ 「あいつの周りを飛び回れ!」 エムリットが俊敏な動きでムックルの周りを飛び回る。 当然ムックルは攻撃をしかけてくるが、伝説のポケモンだけあって中々攻撃を当てることができない。 その光景をのび太は真剣な表情で見ていた (エムリット・・・もう少し耐えてくれよ!) 必死にその様子を見つめるのび太の右手にはモンスターボールが握られていた (ここでポケモンを捕まえれなかったら・・・もう僕は本当に負け組みじゃないか!)) そう自分を奮い立たした直後。 (エムリット!) ムックルの体当たりがとうとうエムリットに直撃したのだ。 更にその一発でエムリットがよろめいた所にムックルが一気に追撃をかけてきたのだ。 「エムリット、大丈夫――」 声は途中で途切れた。 必死にムックルの攻撃を避けながらも、エムリットがこちらを見つめているのだ。 その眼差しは・・・のび太を信じきっている。 「分かった、エムリット。今がチャンスって言いたんだね」 小声で呟きボールをしっかり握り締める。 決める! すっかりエムリットへの攻撃に夢中になっているムックルに狙いを定める。 ――そして 「いけぇ!モンスターボール!」 「アハハハ、エムリット。見てよ、あんなに買い溜めしたのにもう一個だよ」 のび太の作戦は上策だった。 攻撃できないとは言え伝説のポケモンのエムリットに攻撃を受けさせる。 そして注意を引いた所でのび太が野生のポケモンに近づきボールを投げる・・・単純だが最も効果的だ。 だが、この作戦には予想外の穴があったのだ。 のび太の悲惨すぎるボールコントロールだった。 いくら近づこうとも何故かボールは明後日の方向へ飛んでいき、そしてポケモンはのび太に気付き逃げ出す・・・。 これを10回ほど繰り返しているうちにボールと時間だけが過ぎていったのだ。 「はぁ・・・もう、コトブキシティまで行こうか」 のび太が諦めの言葉を吐く。 今ここでポケモンを手に入れないと自分の旅が終わってしまうのは分かっている。 だが、散々歩き回った疲労と眠気が彼を蝕んでいたのだ。 「馬鹿だなぁ・・・やっぱ僕は駄目なんだ・・・」 激しく落胆するのび太にエムリットが駆け寄ってくる 「君のせいじゃないよ、全て僕の責任問題――いてっ!」 突然ピンク海月が頭を突いて来たのだ。 「な、何するんだよ!急に」 文句を言おうとしたその時、のび太の耳に鈴のような音色が入ってきた 「この音、綺麗だなぁ」 体を癒してくれるような音色に思わず聴き入るのび太。 どうやら音の発信源は茂みの中のようだ。 「なんか気になるな・・・見に行こうか」 そうのび太が言うや否やエムリットが某電気鼠の如く彼の肩に乗っかってきた。 どうやらエムリットがのび太を小突いたのはこれが理由らしい。 こうして、一人と一匹は謎の音の正体を調べることになったのだった。 そんな事してる暇あるのか? 次へ
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(我ながらなんて完璧な計画なんだ!・・・だけど、何か卑怯なような・・・) 自分の良心がうずく。 そして、彼が最終的に出した答えは―― 「しずかちゃん、僕とバトルしない?」 ……色気より食い気、か。 「勝負は2VS2、道具禁止でいいわね?」 意外にもしずかはバトルにすんなり応じてくれた。 ……まぁここで断られたら物語が全く進まないから当然だけど。 (フヒヒ・・・しずかちゃんには悪いけどジム戦したばっかの相手なら僕が勝つに決まってる!) まさに外道。 「それじゃあ、まずは・・・頼むわスボミー!」 しずかのボールから現れた緑色のポケモンにのび太は何処か見覚えがあった。 「確かそのポケモンってロゼリアの進化前だよね?」 「ええ、事前情報でこの子を見てから絶対捕まえようと思ってたの!」 嬉しそうにしずかが話す。 だが、そんなしずかを見てのび太が心の中でガッツポーズをした。 (ロゼリアの進化前ということは草・毒タイプ、つまりエスパーの鴨だ!) 不思議な事に頭の悪い人間に限ってこういうゲームの知識はしっかりしていたりするものだ。 「それじゃあこっちも行くよ、まずは・・・リーシャン君に決めた!」 『まずは』も何も後の一匹は全く使い物にならないのだが。 「それじゃバトル開始だ!」 「連戦だけど頑張ってねスボミー」 いよいよバトルが始まった。 スボミーとリーシャン、可愛いポケモン同士が小さな火花を散らす・・・。 「悩みの種!」 先に動いたのはスボミーだった。 その頭の蕾から放たれた小さな種のようなものが弧を描きリーシャンの頭に付着する。 ――だが、リーシャンは特にダメージを受けていないようだった。 安心して今度はのび太が命令をする。 「リーシャン、念力だ!」 命令を聞いたリ-シャンが目を瞑る・・・すると、スボミーが突然苦しげな声を上げた。 どうやら弱点攻撃は確実にスボミーの体力を奪っているようだ。 (よし、相手はもう体力を消耗してるしこれならいける・・・?) そう勝利を確信したその瞬間、彼は信じられない光景を見た。 リーシャンが墜落した。 「え?え?リ-シャンどうしたんだ!」 突然、浮遊していた風鈴が墜ちたのを動揺するのび太。 ――その一瞬をしずかは見逃さなかった。 「スボミー、今の内に接近して」 その声とともにスボミーが墜落したリーシャンに一気に近づいてくる。 「まずい!浮遊するんだ」 このまま相手に接近させられるのは危ないと感じたのび太。 だが、リーシャンが必死に飛び跳ねようとしても浮遊する事はできない。 「何で飛べないんだ・・・」 訳が分からず混乱するのび太。 ――だがそうやって考え込んでしまう事こそポケモンバトルで最もやってはいけない事なのだ。 「さぁ、そのまま一気に攻撃よ!」 しずかの声で我に返ると、リーシャンがメガドレインによって体力を着々と奪われていた。 「・・・!くそっ、驚かすんだ!」 とっさにのび太が命令を下した。 リーシャンが自分の体を震わせ恐ろしく高い音を放つ。 それによって近くにいたスボミーが思わず怯む。 「そこからえっと念力ぃ!」 のび太が物凄く必死の形相で命令する だが、それが的確な判断というか運が良かったというか・・・。 怯んで碌に身構えていないスボミーに念力は見事に炸裂した。 ゲームで言う所の急所に当たった!という奴だろう。 「ありがとう、スボミー!ゆっくり休んでてね」 しずかが優しく言ってボールにポケモンを戻す。 「リ-シャン大丈夫かい?」 のび太が急いで問いかけるとリ-シャンが鈴の音を出す。 まだ戦える、というサインなのだろう。 「これで1VS2・・・私も本気を出さないと」 そうしずかは言っているがのび太は内心物凄く焦っていた。 (なんで浮遊ができないんだよ、しかも体力吸収されたし実質1VS1だしくぁwせdrftgyふじこlp;) もはや焦っていると言うよりご乱心だ。 「じゃあ2体目のポケモンを出すわね」 (頼む・・・弱くて体力が限りなく少ないポケモンを出してくれ!) だが、出てきたポケモンは彼の期待を思いっきり裏切ってくれた。 「ポッタイシ、行きなさい!」 「ぽっ・・・大使?」 梟のような顔をした可愛げの無いポケモン。 だが、その体の色や名前からして思い当たる物と言えば一つ・・・。 「ポッチャマの進化系か!」 「ええ・・・ジム戦の途中で進化したの」 (あの可愛らしいペンギンがこの梟顔になるなんて進化は恐ろしいな・・・) しみじみと思うのび太。 だが、そんな事を戦いの最中に考えている暇は無かった。 「ポッタイシ、泡攻撃!」 「わわっ・・・念力!」 こちらに向かってくる大量の泡がリーシャンに当たる直前で静止した。 (危ない危ない、もう少しで泡まみれになる所だった・・・、!) 不意にその泡を見たのび太の頭にある作戦が浮かんできた。 (これは・・・いけるかも知れない!) 「ポッタイシ、突く!」 しずかの命令で嘴を前に突き出しながらこちらに向かってくるポッタイシ。 ――今がチャンスだ。 「その泡を相手にお返ししてやれぇ!」 「な、なんですって!?」 空中で静止していた泡がいきなりポッタイシに襲い掛かった。 頭を前のめりにしていた事もあり、その梟顔が大量の泡で埋め尽くされる。 「ふふふ、目が見えなきゃ何もできない・・・リーシャン巻きついてやれ!」 相手の視界を閉ざしてその間に拘束技をかけ後は念力で体力を奪い続ける。 (我ながら完璧な作戦じゃないか!やっぱ伝説のポケモンに認められた者の真の力って奴がここで――) そう自画自賛していた矢先。 「水遊びよ」 「え?」 一瞬にしてポッタイシの泡が洗い流される・・・そして 「メタルクロー!」 ポッタイシの懐に入り込む寸前だったリ-シャンが硬化した爪で激しく吹き飛ばされた。 丸い体が宙に浮き、地面に叩きつけられる。 「リーシャン!」 急いで駆け寄るとリ-シャンは目を回して完全にダウンしていた。 「・・・戻ってくれ、リ-シャン」 苦い顔でボールの開閉スイッチを押す。 「さぁ、これで1対1ね!」 これからが本番といったような口ぶりだ。 そしてのび太が出すポケモンは勿論・・・ 「もうヤケだぁぁぁぁぁぁ!行ってこいエムリット!」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「のび太さん・・・まさかそのエムリット・・・」 「・・・・・・何も言わないで下さい」 こうして彼の卑怯な作戦はバトルに負けた上しずかに全てを説明しなければならないというクソミソな結果に終わったのであった。 「つまり僕のエムリットは眠るしか使えなくてお金も無くて・・・まぁそういう訳だよ」 かなり投げやりに今の自分の状況を説明するのび太。。 そしてそんなのび太をしずかはただ何も言わず見ている。 「あ、賞金払って無かったね。はい・・・それじゃあ」 なけなしのお金をしずかに差し出して足早に去ろうとするのび太。 もう何というか余りにも自分が惨めで情けなさすぎてこの場から消えてしまいたかったのだ。 「・・・待って!のび太さん」 「ごめん、しずかちゃん賞金は悪いけど本当にあれだけしかないんだ・・・って何してるの?」 振り返って見ると何故かしずかが自分のリュックの中をごそごそと漁っていた。 「ちょっと待ってて・・・あったわ!」 そう言ってリュックから何かを取り出し、のび太に押し付けた。 「のび太さん、これ持っていって。私には必要の無い物だから」 そう言い残ししずかは去っていった。 「一体何なんだろ?」 手渡されたCDのような物をよく調べてみる。 「技・・・マシン・・・1・・・0・・・」 それから30分ほど彼は未来の婚約者に感謝の念を唱え続けるのだった。 クロガネジム認定トレーナー 出木杉、ジャイアン、スネ夫、ドラえもん、しずか、のび犬 「う~ん……こうして見るとやっぱ達成感ってのが湧いてくるなぁ」 ジムの入り口の石像に刻まれた自分の名を見ながらのび太は勝利の余韻に浸っていた。 初めてのジム戦はかなり呆気ないものだった。 バトルルールは2VS2のシングルバトルだったが彼は一匹だけでヒョウタの持ちポケ2体を瞬殺してしまったのだ。 最もその理由の9割と1割はしずかに渡された技マシン10なのだが。 「目覚めるパワー……うぅ、神様仏様しずか様だ」 改めてしずかに感謝の念を唱え続けるのび太。 それを止めるきっかけを作ったのは彼の腹だった。 「そういえば、まだご飯食べてないんだった……ポケモンセンターの食堂にでも行こう」 お腹を抱えてジムを去ろうとしたそのとき。 「あっ、ちょっと待った!」 後ろからのび太を呼び止めてきた相手はさっきフルボッコにしたばかりのヒョウタだ。 「なんですか?ジムバッジならもう貰いましたけど……」 「いや、実はこれを渡すのを忘れていてね、ほらっ」 ヒョウタが渡してきたのは茶色のCDのようなものだった。 「技マシンですか?」 受け取った後、のび太が尋ねる。 そしてその問いにヒョウタが自慢げに答えた。 「ただの技マシンでは無い、これはこの街の必需品でもある秘伝マシン『岩砕き』さ!」 「秘伝マシン……こんなのジムリーダーがくれるんですか?」 のび太の疑問はある意味当然だった。 今までプレイしてきたポケモンでは秘伝マシンは街の住人などが渡してくれたりするものだ。 少なくともジムリーダーから勝って渡されるものではない。 すると、ヒョウタから思いも寄らぬ言葉が飛び出した。 「実を言うと数日前に突然ポケモン連盟からジム戦の勝者に配布するよう言われてね……まぁ君の役に立つと思うよ」 (数日前か……なんか随分都合がいいなぁ) そう思いながらも秘伝マシンを受け取る。 今すぐ誰かに覚えさせようとも思ったが今はお腹を満たすのが先決だ。 そう思い秘伝マシンをバッグの奥深くに仕舞い込んだのび太。 「それじゃあ僕はこれで失礼しま~す!」 「あぁ、ただ忠告しとくが誰か覚えるかくらい確認した方が――」 ヒョウタの言葉も聞かず急いでポケモンセンターのレストランに駆け込んだのび太。 ……そして。 「――なんで誰も覚えないんだよ~!」 コトブキシティとソノオタウンの通過点となる荒れた抜け道。 その中で間抜けな声が反響する事となるのだった。 「はぁ……そりゃあリーシャンは覚えないとは思ってたけどまさかエムリットまで駄目なんて……」 ぼやきながら目の前に立ち並ぶ巨大な岩を見つめる。 その岩の大きさ、配置から考えて小柄なのび太でも先へ進むのは不可能だろう。 ――クロガネを出てからここまでの道のりは限りなく順調だった。 エムリットは目覚めるパワーのお陰でかなり戦えるようになったしリーシャンのLvも上がってきた。 ここに来てからどうしようもなかった流れが変わってきたとのび太自身も感じてきた矢先にこれである。 「まさかここに来て誰も岩砕きを覚えないなんて……全く少しは空気読んで欲しいよ」 愚痴をこぼしながら冷たい岩場にごろんと寝転ぶのび太。 こんな洞窟でもだらけられるのはある種の才能だろう。 「わざわざ引き返す気も起きないし、少し眠ろう……そしたらいい考え……ん?」 完全に寝る体勢に入ろうとしたその時、のび太が不意に上を見上げた。 そこには――二つの目玉が彼の顔を覗き込んでいた! 「くぁwせdrftgyふじこlp;」 日本語でおkと言いたくなる言葉を発しながら慌てて起き上がる。 「はぁ……はぁ……何だお前はぁ!」 まだ頭が混乱している中、ようやくまともな言葉を発したのび太。 だが、改めて『それ』を見た途端、のび太は思いっきり気の抜けた表情になった。 「な、なんだ……ただのコダックじゃないか!」 コダック あひるポケモン 不思議な力を持っているが使ったときの記憶が無いのでいつも首を傾げている 図鑑を見ながら怒った様に言うのび太。 改めて全体像を見てみるとこの間抜け顔に一瞬でも驚かせたのかと馬鹿馬鹿しく思えてくる。 「野生のポケモンだよな、僕に何か用?」 尋ねてみるがコダックは何の反応も示さない。 ただその間抜けな顔をしながら首をかしげるだけだ。 「バトルしたいわけでもなさそうだし……用が無いならどっか行けよ」 追い払おうとしたがやはり動じない。 「はぁ、少しは反応してよ……ん?」 ここでのび太の頭にある事が頭をよぎった。 「君、そこでちょっと動かないでね……」 そう言いながらコダックに近づく。 そしてバッグから何かを取り出した。 「えっと、ここをこうしてっと……どうだぁ!」 『おめでとう!コダックは新しく岩砕きを覚えた!』 何処からとも無く聞こえて来た声が成功を伝えた。 「よし……ねぇ、君。ちょっとあそこの岩の前まで行ってくれない?」 駄目元で頼んでみる。 だが今度は意外な程従順にてくてくと岩の前まで歩き出した。 ――ここまで来たら命令するしかない。 「コダック……岩砕きだぁ!」 言ったとほぼ同時に岩が砕け散る快音が鳴り響いた。 「やったぁ!これで先へ進めるぞ!」 よほど嬉しいのか小躍りするのび太。 と、不意にまたコダックと目が合った。 相変わらず何も考えていなさそうな表情でのび太を見つめている。 だが、今ののび太には初めてコダックを見た時と全く違う感情が芽生えていた。 「……なぁ、コダック僕達について来ないかい?」 「ぐわっ」 こうしてまた新たな手持ちを加えたのび太は意気揚々と荒れた抜け道を出るのであった。 ~たにまの発電所前~ 「狸さん、頑張ってね!」 「だから僕は猫……まぁいいや、ドンと任せてよ!」 (勢いであんな事を言ってしまったけど大丈夫だろうか……) 発電所の周りをうろうろしながらドラえもんは考え込んでいた。 今まで順調に旅を進めてきたドラえもんだったが突然現れたようじょの頼みでこんなイベントに巻き込まれてしまったのだ。 その幼女が言うにはギンガ団に乗っ取られた発電所から父親を助け出してほしいと言うのだ。 「そんな酷い輩は当然許せないけど……まずどうやって潜入するか」 研究所の入り口前では怪しい服装の男二人が立っているし、易々と入ることはできないだろう。 「できればあそこからは入りたくないけど他に入り口は……あっー!」 突然、ドラえもんが声にならない声を上げた。 そしてポカポカと自分の頭を叩き出す。 「馬鹿だなぁ、僕は。通り抜けフープを使えばいいんだ!」 何で最初に気がつかなかったのかといった表情をしながらポケットに手を伸ばすドラえもん。 ――だが、彼の手はポケットに触れる寸前で静止した。 「はぁ……そうだった。確かポケットはマジックセメントで使えなくしたんだ」 この世界に入る前は快く了承したものの、やはり秘密道具が使えないのも困り物だ。 まぁだからこそ出木杉の判断は正しかったのかもしれないが。 「さて、結局道具を使うという案は潰れたしやっぱり突撃するしか……だけど一人だけじゃ心細いし……」 ふと、のび太の顔が脳裏を掠める。 「まぁ、のび太くんに期待するのは止すとして誰か来ないかな……ん?」 突然ドラえもんがハクタイの森の方向を凝視し出した。 こちらにゆっくりと近づいてくるあの人影は―― 「ジャイアンじゃないか!」 オレンジ色の服、大柄な体型、どう見てもジャイアン以外に間違えようが無かった。 「お~いジャイア~ン!」 嬉しそうに共に旅立った仲間に駆け寄るドラえもん。 勿論、理由は発電所の突入を手伝ってもらいたいからだ。 「ジャイアン丁度良かったよ、実はこれからあの研究所にね――」 「……」 「それでその女の子がさぁ――」 「……魔だ」 「だから突撃をしようと――ってジャイアン聞いてるの――」 「邪魔だっつってんだろうがぁ!」 「ひでぶっ!」 次の瞬間、ドラえもんは地面に思いっきり叩きつけられていた。 「俺様の邪魔をする奴はみんなこうなるんだ!覚えときやがれ!」 そうはき捨ててジャイアンは再びソノオに向けて歩き出した。 ――そして残された青狸は。 「こ、こういうのはのび太君の担当だろ、常識的に考えて……ぐふっ」 気絶した。 突如ドラえもんに殴りかかったジャイアン。 完全にノックアウトされてしまったドラえもん。 そしてジム戦を華麗に省略されたのび太。 色々と謎を残しながら物語は後半へ続く。 次へ
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時は2115年 とある会見場で、ポケットモンスター・on-line ver. の公式発表が行われていた。 120周年記念により、MMO風の本格的なオンラインゲーム化が決められていた。 その舞台を決めるにあたって行われたファン投票では、全世界から累計5000万票以上が集まったとの発表等があった。 会見も終盤となり、最も注目の集まる、ゲームのベースとなる地方の発表の時が来た。 果たして、世界のポケモンファンの支持一番多く受けたのは―― 「今作の舞台は、ポケットモンスター・・・ 金銀です!」 所変わってここはまだ21世紀はじめ頃の、とある平穏な町。 そこには一人の冴えない少年が歩いていた。 名前はのび太。後の主人公になる存在なのだがそれは置いといて・・・ 彼はあるところに呼ばれていた。彼はとにかく急いでいた。しかし予定時間を大幅に過ぎていた。それは更なる焦りを呼んでいた。 「くっそー。なんで僕ばっかりこんな目に・・・ 」 それにしてもこの少年、あまりにも惨めな格好である。 服はボロボロ、足は血だらけ、顔は涙でぐしゃぐしゃと、端から見るとまるで虐めでも受けているのかと疑われる程だ。 しかし原因はそうでは無かった。単純にツイてなかったのである。 出掛けようとした矢先に、母親に0点のテストが発覚し説教を受け、野良犬には追いかけられ、ドブに落ちたり電柱にぶつかったり(ry と、酷い有り様であった。 まあそうこうしている内に、ようやくのび太少年は目的地に着いたようである。 ピンポ―ン 「遅いよのび太~。あっ、のび太に急げなんて言っても無理か。あはははは。」 「のび太クン遅いよ~。みんな待ってるんだからさぁ~。」 「俺様をいつまで待たせたと思ってんだ! ぶん殴ってやる!」 「まあまあ武さん落ち着いて。」 「まあやっと全員揃った訳だし、早速始めないか?」 さて、のび太少年を迎え入れたのは、同じ学校に通う4人の少年少女達( プラス狸・・・ では無く猫型ロボット ) である。 のび太少年( 以下のび太 )に話しかけた順に、スネ夫、ドラえもん、ジャイアン、しずか、出木杉といった。 「いや~それにしても、まさか未来のポケモンができるとは思わなかったよ~。 ドラえもんはこういう時は凄い役立つ・・・、いや何でもない。」 「おう! しかも未来のポケモンだって言うから全然ワケ分かんなくなるかと思ったけど、金銀ならやり込んだから大丈夫だぜ! 何故なら俺様はエンテイをレベル100まで育てたからな! ガハハハハハハ!」 「オンラインゲームか・・・? 未来の技術も見れるならいい勉強にもなりそうだね。」 「ピッピと一緒に冒険できるのね。 早くやりたいわね!」 ここまでの会話を聞き終わり、ドラえもんがポケットからパンフレットのコピーを取り出す。 「これが未来デパートの懸賞で当たったんだ! ポケットモンスターオンライン、βテストサーバーのアクセス権、つまりこれがあればタダで未来のポケモンが出来るんだ!」 そう渡されたパンフレットを眺めた出木杉は、ドラえもんに対し 「 『抽選で50名様』 なのに、なんで5人分も当たったんだい?」 と尋ねる。 それに対してドラえもんは 「よく分からないよ。 まあ当たったんだからいいじゃないか!」 と楽観的な感じで答え、出木杉はそれ以上突っ込まなかった。 「そうは言っても、5人分だから僕は出来ないだけどね… まあ僕の事は忘れて、思いっ切りみんなで楽しむといいよ! それより、そろそろ準備を始めようかな。 スネ夫~? 例の物は準備オーケー?」 「バッチリさ。それより、ドラえもんがどうしても必要と言うからわざわざ従兄のお兄さんに頼んで、借りてきたんだぞ。 ダメだなんていったらタダじゃおかないからな!」 「絶対に大丈夫なんて一言も言ってないじゃないか。やって見るまで分からないよ。」 そう言った後、ドラえもんは傍にあったパソコンの電源を付ける。 「さて、準備ができるまでの間、ゲームについておさらいしておこうか。」 「じゃあまずのび太クンに問題。このゲームはどこを舞台にしているのかな? 」 「ポケモン金! それくらい簡単だよ! 」 「正確には場所で言うならジョウト地方だね、ドラえもん。」 「ご名答~。流石出木杉クン。 じゃあ次はジャイアンだ。このゲームの一番大きな目的はな~んだ?」 「勿論、チャンピオンになる事だぜ! 」 「そう、普通のシリーズと同じ様に、バッジを集めてチャンピオンに勝つんだ。 「ところでドラえもん、もう準備が出来たようだよ。」 「あっ、ホントだ。」 そうしてドラえもんは四次元ポケットの中から小さなメモと、何かの冊子を取り出す。 「スネ夫に頼んでおいたパソコンのスペックは大丈夫だし、あとはこの紙に書いてあるアドレスからゲームをダウンロードすれば・・・ ああっ!? 」 ドラえもんの突然あげられた、謎の叫び声に驚く一同。 一番乗りで声をあげたのは、のび太だった。 「どうしたの!? まさか出来ないの? 」 一瞬沈黙の時が流れる。 しかし、その沈黙を破り、申し訳無さそうに声を絞り出すような感じで口を開けるドラえもん。 「そのまさかだよ・・・ 。」 すかさず出木杉がドラえもんに尋ねようとする 「・・・・・。 どういう事なんだい? 君が試す前からそんな事を言うという事は、何かしら根拠があるんだろう?」 「うん・・・。 実は・・・ このパソコンじゃ駄目なんだ・・・。」 溜め息そして落胆の声をあげる一同。 重い雰囲気のまま時が流れる。 しかしそれは長くは続かない。手を震わせながら立ち上がったのは― 立ち上がったのは意外にも、スネ夫だった 「どういう事だよドラえもん! 君に頼まれたスペックは全て満たしたハズだよ!」 「うん…。 スペック的には問題ないんだ。でも…」 「でも何なんだよっ! 僕は従兄の兄さんにどう顔を合わせればいいんだ!」 続く言葉が出てこないドラえもん。少し考え込むようにした後、再び口を開く。 「えっと… 、このままじゃ納得いかないだろうから、一から説明するよ。みんなしっかり聞いてよね… まず、このゲームをダウンロードするのは勿論未来のホームページ。これはみんな分かるよね?」 のび太を除く全員が頷く。 どうやらこののび太、この時点で話についていけない様である。 しかし、そんなのび太を無視して話は続く 「この時代のパソコンじゃダウンロードページにアクセスできないんだ・・・ 勿論、無理やりインストールする事は出来る。 未来からダウンロードデータを持ってくればいい話だからね。」 しかし、スネ夫は一向に食い下がろうとしない。 「じゃあそうすればいいじゃないか! ダウンロードごときに手段を問う必要なんてないだろ!」 ここで急に、ドラえもんの口調が説明的になる 「オンラインゲームは、自分達以外にも相手がいる・・・、 俗に言うNPCに対するPCのことだ。未来の世界では、タイムマシンの操作による不正が無いようにという事で、タイムプロキシというものが導入されているんだ。 タイムプロキシは、ゲームに干渉するタイムマシンプログラムを遮断する優れものなんだ。 未来のゲームは、これが無いと出来ないようになってるんだ。ここまでみんな大丈夫かな?」 「タイムふろしき? それなら僕がこの前借りてたから返すよ!」 「ふろしき じゃない。 プ ロ キ シ だ! そういえばタイムふろしきが無くなったと思ってたら、また君が勝手に借りてたのか!」 「もういいからのび太は引っこんでろ!」 「そうだそうだ!」 「ヒドいよぉおお、みんなぁあ~!」 のび太が騒ぎだし、雰囲気がグダグダになりそうな所で、出木杉が続きを催促して、話は戻る。 「ドラえもん、それで続きは?」 「今回出来ないのは全て、タイムプロキシが無いのが原因さ。これが無いとまるで歯が立たないからね……」 ――――― 結局、この日は全体的に落ち込んだような、暗い雰囲気のままお開きという事になった。 数日後―― のび太は相変わらず堕落した毎日を過ごしていた。 (最近ドラえもんが日中いないなあ。まあ僕は昼寝するからどうでもいいけど) そう言って今日ものび太が長い昼寝を堪能し始めようとした時、未来に繋がっているハイテクな彼の机は、勢い良く開かれた。 「おーい、のび太クン~!!」 しかしのび太の体は起きない。ドラえもんはそれを揺すって起こす。 「なんだよドラえもん~。僕の昼寝をじゃましないでよ~」 「じゃあのび太君はポケモンやらないのね?」 ここでようやく、のび太の他人より段違いに働きの遅い脳が動き出す。 ポケモン――…? 「ああっ! パソコンの!?」 「そうだよ!」 「えっ、本当にできるの!?」 「今のパソコンで無理なら未来に行けば良かったんだよ! それで、今からドラミのパソコンを借りていいことになったんだ!」 「よ、よ~し! みんなを呼んでくる!」 数十分後― 「みんな集まったね?」 「おう! 早く行こうぜ!」 「じゃあ行こうか。ちゃんと帰る時間になったら帰るんだよ。」 「あら? ドラちゃんは来ないの?」 「僕だって行くよ。ああ、なんでこんな事わざわざ言うのかって? 時間通りに帰らないとドラミが怒るからね。だからみんな時間になったら止めて帰るんだよ。」 「話が長げーよドラえもん! 早く行かねえと!」 「バカだなぁジャイアンは。ゲームが逃げる訳ないのn ボカン☆ 「じゃあ行こうか。」 スネ夫は耐えた。しかし、スネ夫の未来は決して明るくはならないということは、まだ彼は知る由もない 2115年―― タイムマシンに乗って、ドラミが居候している家に到着した一同は、いてもたってもいられないというような感じのようだ。 無邪気にワクワクしている素振りを見せる5人は、ドラえもんの第一声を待っていた。 「・・・うん、・・・・・ 」 「・・・ね。・・・・・ 」 「・・・分かったよ、ただ・・・・・ 」 「・・・よ、・・・・・から・・・・・ 」 ドラえもんとドラミが話を終わらせて、ドラえもんは大人しく待っていたのび太達の方を向く。 「よし、じゃあ早速やろうか! あっ、IDは僕がみんなの分をとっておいたよ。」 「おっしゃー! やるぜー!」 「んじゃあ僕も~。お先に失礼~♪ 」 「私もやるわよ! 」 「僕も僕も! 」 と喜びの声をあげるジャイアン、スネ夫、静香、のび太の4人に、ドラえもんは各自のIDとパスワードが記された紙を渡す。 「じゃあ、ジャイアンは向こうのパソコン、スネ夫はあっちのパソコン、静香ちゃんはこのパソコンでやるんだよ。 くれぐれも変な事はしちゃダメだよー。」 『はーい!! 』 「ど、ドラえも~ん! 僕のは~? 」 「ああ、君のはね、違う部屋のパソコンだよ。壊すといけないからね。」 「それどういう意味~? てか、僕だけ別の部屋って酷いよ~。」 「まあ、気にするなよ。 それよりみんなはもう始めてるようだけど…」 「ああっ、僕も早くやらないと! じゃーねドラえもん!」 「頑張ってね~・・…。さて、僕はみんなの様子でも見て回るかな。」 「ところでドラえもん。 この家には5台もパソコンがあるのかい? 」 「そうだよ。1台は家のパソコン、3台はそれぞれ家族のパソコン、残りの1台はドラミに借りたんだよ。 …って出木杉君じゃないか。君はやらなくていいのかい?」 「それが気になっただけだよ。 そういえばここの家の人はいないのかい? 」 「家族旅行に行ったらしいよ。 ドラミは用事があるとかでお留守番。 さあ出木杉君にもこのIDを渡すから早くやってきな。」 「じゃあ、そうさせてもらうよ。」 「急いで出遅れを取り戻さないのでいいのかい?」 「大丈夫だよ。」 「ならいいけど。」 出木杉の考えはこうである。 この前のパンフレットを見た限り、根本的なゲームシステムや、ダメージ計算式は本編とは違うみたいだ。 だから、先に彼等に好き放題やらせておいて、それを観察した後の方が効率的なハズだ。 こんな事に気づいているのはこの僕だけだろう…。フフフ…。我ながら名案だな。 (あ、そろそろ始めてもいい頃合だな…) そして、数時間後―― 「みんなー、もう帰るよー。」 『え~!? 』 と、保護者的な立場のドラえもんに反抗する一同。しかしドラえもんは断固として 「帰るって言ったら帰るんだ! さあ早く! 」 と、子供達に譲る気配を見せないため、彼らは渋々元の時代に帰る事になる。 しかし、普段は優しいハズのドラえもんが、ここまでかたくなになっていたのには別の訳があった。 (いいなあ、みんな。本当は僕もやりたかったのに…。 あっ! そういえばいい方法があるじゃないか! ふふふふふ…。) それから約一ヶ月後―― 「お~いのび太ク~ン! また未来に行こうよ~!」 「ん、何だっけか? ああ! もしかしてポケモン!? すっかり忘れてたよ! でも急にどうしたんだい? 」 「これを見てよ! 」 ちゃらららっちゃらー 「バーチャルゲームプレーヤー、Winbows Destaバージョン! 」 「……何コレ?」 「これはゲームの世界を体験できる道具さ。 実際はパソコンに入り込んで、ああだこうだって感じだけど、どうせ分からないだろうから説明は省くよ。 まあつまりは、ポケモンがリアルにできるって事だよ! 」 「凄いよドラえも~ん!! 早速みんなを誘ってやりに行こう! でも、どうしてこんな凄い物をドラえもん持ってるのさ?」 「懸賞で当たったんだ! “新・22世紀、絶対当たる懸賞術” のおかげかな!」 (名前からして胡散臭い本だな…) それから間もなく、野比家には5人の子供とロボットが集まった。 そして再び2115年へ―― 『着いたー!』 「早速早くやろうよ~!」 「そうだ! 早く準備しろドラえもん!」 「ドラちゃんだって完璧じゃないのよ。 急かすのは良くないわ。」 「そっ、そうだね静香ちゃん! ドラえもんもじっくりゆっくりとやればイインダヨー。」 「よし、出来た!」 『おおー!』 「どうやるんだドラえもん!」 「えっと、今パソコンと繋いだから、このバーチャルコントローラーを握って、マスターボタンを僕が押せばいいんだ。」 「よーし! みんな行くぞ―!」 「みんな準備は~?」 「オーケー!」 「それじゃあ、みんなでポケモンの世界へ・・・ 」 『レッツ、ゴー!!』 次へ
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~9日27日~ 「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・!」 一人の少年が息を弾ませ颯爽と町内を駆け抜ける 赤の他人が見れば陸上でもしているかと思うだろう ……しかし、この少年のゴールは自分の家の2階だった 「ドォラえぼ~ん!だすけてぇ!」 部屋に入るなり鼻水と涙を噴水のように噴出する少年 「窓から見てたけどのび太くん、ずいぶん足が速くなったね」 その少年を「またか」というような目でみつめているのは猫型ロボット、ドラえもん 「で、今度はなんだい?ジャイアンに虐められた?しずかちゃんに嫌われた?それとも――」 「これだよこれ!」 そう言ってドラえもんに一つの本を押し付ける 「・・・そういうことか」 ドラえもんが目を付けたのはその本、『コロコロ』のポケモン最新情報というぺ―ジだった 「世の中は不受理だよ、こんなに純粋な子供に少しのご褒美も与えてくれないなんて――」 ……面倒なのでのび太の演説は割合しよう 「つまり、ポケモンダイアモンド&パールを買いたいけどお金がない、だから道具で何とかして欲しいと・・・」 「流石ドラえもん!話が分かる!」 さっきまでの涙が嘘のように笑顔になるのび太・・・本当に嘘かもしれない しかしドラえもんの言葉は厳しかった 「駄目」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 「ああもう、なんでまた泣き出すんだ!」 話は再びふりだしに戻っていた 「ドラえもん頼むよ~!一生のお願いだから!」 「あのねぇのび太くん、僕は君に欲しいものを買ってあげるために来たわけじゃないんだ」 至極真っ当な事を言うドラえもん しかしそんな理論は駄目人間代表ののび太には通じない 「だって、明日が発売日だよ?もしポケモンが買えなかったら僕は負け組みだ~!二―トまっしぐらだ~!」 「別にポケモン買えないくらいで・・・」 「いいや、これはとても重要だよドラえもん!」 もう呆れきっているドラえもんの言葉を遮りさらに言うのび太 「もしポケモンを買えなかったらみんなの話題に付いて行けなくなる、劣等感を感じた僕は学校を休みがちに――」 ――やはり面倒なので割合しよう 「あ~もういい、わかったわかった」 のび太の演説が10分を過ぎた頃、ついにドラえもんが根を上げた 「やったぁ!ありがとうドラえもんソフト代はいつか必ず・・・」 しかしその青狸の返答は意外なものだった 「のび太くん、みんなを連れてきなよ僕は準備をしてるから」 「えっ、どういう意味?」 しかしのび太が聞き返した時にはもうドラえもんは机の引き出しに入っていた。 30分後、のび太の部屋には4人の客がいた 「なんだよ急に呼び出して!これから野球に行くところだったのによ!」 そう言っている大柄な少年はジャイアン、典型的なガキ大将だ 「そうだぞ、のび太。面白くなかったらすぐ帰るからな!」 ジャイアンに便乗している彼はスネ夫、狐のような性格の持ち主だ 「のび太さん、ポケモンとか言ってたけど・・・一体何をするの?」 この紅一点のオニャノコはしずか、のび太の未来の婚約者だったりする 「あと1時間後塾があるんだけど・・・面白いことをやるって聞いたからさ」 そして端正な顔立ちのこの少年は出木杉、なぜか苗字でしか呼ばれない 「よし、全員揃ったね・・・じゃあ後はドラえもんを待つだけ――」 その言葉を待っていたかのようにドラえもんが引き出しから出てきた 「みんなお待たせ!いや、交渉に少し時間がかかって」 誰もドラえもんの話を聞いていない、なぜなら全員その青狸が持っているゲーム機のようなものに注目していたからだ 「ドラえもん、その機械は何だ?」 ジャイアンが興味津々の表情で聞く 「ふふふ・・・よくぞ聞いてくれました」 不適な笑みを浮かべるドラえもん 「なんとこれは・・・2130年発売のゲーム機、「WII360」なのだぁ!」 何かが混ざったようなゲーム名だがそこは気にしないでおこう 「すごい、未来のゲーム機なんて夢みたいだ!」 出木杉が感嘆の声を上げる 「ねぇドラえもん、そんなゲーム機買うお金どこにあったの?」 「のび太くん、僕はこう見えても人脈は広いんだ」 ……カッコイイことを言ってるように見えるが要は借りてきたという事だろう 「ドラえもん、それでどんなゲームをするんだい?」 スネオが聞く 「ああ、そういえば説明してなかったか・・・これだよ」 そういってドラえもんがみんなに見せたのは・・・ 「ポケモンじゃねぇか!」 そう、今この場にいる全員が一番欲しいゲーム、ポケモンダイヤモンド&パールだ 「やったぁ、ダイパだぁ!」 のび太が歓声を上げる 「驚くのはまだ早い・・・このゲーム機はそのソフトの世界に入って遊べるんだ」 ――沈黙 「そ、それって・・・本当にポケモンと旅ができるってこと?」 のび太が恐る恐る言う 「そういうことだね」 そのドラえもんの一言で全員がワッと騒ぎ出した 「すげぇぜ!」 「やった、流石ドラえもん!」 「本物のピカチュウを早く触りたいわ!」 「ゲームの世界に人が入れるなんて・・・未来の技術はすごいな」 「ドラえもん、早く行こうよ!」 「まぁ落ち着きなよ、ちょっと設定を確認するから・・・」 ドラえもんがルールを言っていく チャンピオンに誰かがなった時点で終了 ゲームの中での1日は現実世界の1秒 ゲーム内でした怪我は現実世界に帰れば治る 他プレイヤーといっしょに行動することは可能 「ルールはこのくらいで良いかな・・・それじゃ起動を――」 「ちょっと待った」 そう言ったのは出木杉だ 「ん?どうしたんだい出木杉」 「ゲームはフェアな条件でやるべきだろ?だからドラえもんのそれは卑怯だと思うんだ」 出木杉が指差したのは・・・四次元ポケットだ 「僕がポケットなんて使うわけ無いじゃ――」 「いや、あるね」 今度はスネ夫が遮る 「ドラえもんはともかくのび太が道具をせがむかもしれないじゃないか」 「確かに、それに鼠ポケモンが出てきたらドラえもんだって使うかもしれないぜ」 「この!ドラえもんはともかく僕が道具をせがむわけが・・・」 自分だけ弁解する所がなんとものび太らしい 「はぁ・・・もう分かったよ、みんなの言う事も分かったし」 結局はマジックセメントでポケットをくっつける、ということで解決した 「では、改めて・・・起動!」 こうして6人の旅が始まった ここはマサゴタウン うみにつながる すなのまち 「うおおおおおおおお!これがポケモンの世界か!」 「見て、あそこにいるのってムックルじゃないかしら!?」 「すごい!本物だ!本物だ!」 実際ポケモンの世界の人から見たら奇妙な発言だろう しかしそんな事も考えず一行は騒いでいた それを見て満足そうに微笑んでいるのはドラえもん (やっぱりこのゲームにして正解だったな・・・) 最初はゲームをのび太に無料でやらせるのは気が進まなかったがこれなら別だ。 旅をさせるのは教育上悪くないし、のび太の運動不足解消にもなる (それにみんなと協力することで道徳の心も身につくし目標を目指す競争心も・・・) のび太の本当の親はドラえもんなのかもしれない 「ドラえもん、一つ聞きたいんだけど」 騒いでいるジャイアン達の方から離れてきた出木杉が尋ねる 「なんだい出木杉?」 「いや、最初の町が何故マサゴタウンなのか聞きたかったんだ・・・ゲームはワカバタウンが最初だからね」 流石秀才、目の付け所が違う 「う~ん、このゲーム機はプレイヤーが遊びやすくする為に設定を少し変更したりするからね・・・だけどキャラとかは忠実だよ」 「成る程・・・ありがとう、ドラえもん」 納得したように言う出木杉 そのとき、少女の声が聞こえた 「ドラちゃ~ん!スネ夫さん達はもう研究所に行っちゃったわよ」 「ん、そういえばポケモンを貰わないとね・・・行こうか出木杉」 そう言ってしずかの方へ走り出したドラえもんと出木杉 しかし・・・この時ドラえもん一行はある過ちを犯していたことに気付かなかった ~ナナカマド研究所~ 「お、おいスネ夫。お前が話しかけろよ」 「い、いやここはジャイアンが第一声を・・・」 研究所の入り口でしどろもどろしているジャイアンとスネ夫 その理由は・・・研究所の奥の方で背を向けながらなにか作業をしている男だ 作業をしているだけなら良いのだが、その背中から発せられる恐ろしく重い空気に二人は縮こまっているのだ 「ジャ、ジャイアン、一旦出直そうよ。ドラえもんの所へ戻ろう」 「そ、そうだよな・・・あいつはこっちに気付いてないみたいだし」 そう言って出口の方向を向く二人・・・だが 「・・・勝手に入ってきて帰るのは失礼じゃないか?」 低く、重苦しい声が研究所に響いた 「くぁwせdrftgyふじこlp;」 「ママー!助けてええええええええええええええ!」 完全にパニッくってる二人を男は気にもとめず見ている 「・・・ポケモンが欲しいのか?」 男が静かに言う 「あ、いやまぁその・・・はい」 スネ夫が動揺しながらも答える 「・・・なら、さっさと言えば良いだろう・・・さぁ、ポケモンをあげよう」 「・・・へ?」 余りにもあっさりとした言葉に呆然とする二人 だが次第に彼らの顔に笑みがこぼれ始める 「や、やったぜ!遂に俺のポケモンが貰えるんだな!」 「やったねジャイアン!」 さっきの重い雰囲気も忘れて喜ぶ二人・・・と、ここで研究所に新たな来客が現れた 「失礼しま~す」 しずか、出木杉、ドラえもんだ 「・・・君たちもポケモンを貰いに来たのか?」 「はい、ナナカマド博士」 出木杉が礼儀正しく答える 「そうか5人か・・・困ったな、今この研究所には新人用ポケモンが3匹しかいないんだ」 その言葉に騒ぎ出すジャイアン達 ……だが一人だけは別の部分に反応していた 「ちょっと待ってください・・・5人?」 ナナカマドの言葉を繰り返すドラえもん そして・・・研究所をよく見渡してこう叫んだ 「の、ののののび太くんがいない!」 「みんな~!どこにいるんだよ~!ドラえも~ん!」 少年が草むらを掻き分けながら歩き続ける その少年というのは勿論・・・野比のび太だ 「ムックルをみんなで見てたはずなのに・・・さてはみんな迷子になったんだな」 そう愚痴をこぼしながらみんなを探すのび太 ……が、実際はマサゴタウンからどんどん離れていっていることを彼は知らない 「それにしても早くポケモンが欲しいなぁ・・・ジャイアンをバトルで打ち負かしてしずかちゃんに・・・フヒヒ」 どうみても不審人物だがそこには触れないでおこう。 しかし、しばらく歩いているうちに段々彼の暢気さも続かなくなってきた 「さ、流石に歩き続けるのも疲れたな・・・本当にみんなどこに行ったんだろう・・・」 息を切らしその場に座り込むのび太、彼の運動神経の無さはある意味才能だ 「もういっそここで誰かが来るのを待とうかな・・・」 そんな弱音を吐いた直後 ――爽やかな風がのび太の体を癒すように流れていった 「この風・・・」 自然の素晴らしさなんて考えたことのない彼でもこの風には人を惹き付ける力があると感じた 彼がゆっくりと風が吹いてきた場所を見ると古びた掲示板を見つけた 『この先、シンジ湖』 「・・・」 暫く悩むような表情を見せるのび太 が、やがてゆっくりと吸い寄せらるかのようにその掲示板の向こうへと歩き始めた・・・ 「綺麗だなぁ~!こんな湖初めてだ!」 賞賛の言葉を述べるのび太。 彼が見ているのはシンジ湖、シンオウ地方の3大湖として名高い湖だ。 「なんか不思議な湖だなぁ・・・この世界中の宝石をちりばめたような輝き・・・実にいい」 普段からは考えられない言葉を並べながら湖を覗き込む。 湖の輝きと爽やかな風、温かい日差しがのび太を包み込んでいく。 「うん・・・こんないい天気は・・・昼寝でもしたいな~・・・」 一応口では「したい」と言ってるが彼の体はもう完全に寝る体制に入っている。 「今日も1日晴天なり・・・むにゃむにゃ」 草むらで大の字になっていびきを掻き始めるのび太、もはや当初の目的を忘れている。 ――そう、彼はこの世界で草むらに入るという行為がどういう意味かすっかり忘れていたのだ。 「――!」 「な、なんだぁ!?」 不意に鳴り響いた甲高い声に思わず起き上がる。 まだ寝ぼけ眼ののび太が見たものは・・・ 「ム、ムックルだ・・・!」 そこにいたのはこの世界に来たときのび太達が飛んでいるのを見ていた椋鳥ポケモン、ムックル。 ただ少し違うのは・・・ムックルが目の前にいて群れで彼を威嚇していることだろう 「・・・助けてドラえも~ん!」 まさしくお約束。 一方、ナナカマド研究所では・・・ 「こんな所にいる場合じゃない!すぐにのび太くんを探さないと!」 「そうね・・・野生のポケモンに会ったら大変だわ」 のび太のことを心配して研究所を出ようとするドラえもんとしずか だが、それを快く思わないのが二人いた。 「おいおい!のび太なんて探してたらいつ旅に出られるんだよ!」 「そうだよ、どうせのび太の事だからその辺で昼寝でもしてるだけさ」 そう言っているのはジャイアンとスネ夫だ。 「二人とも、のび太くんだぞ!今頃間違いなく災難に巻き込まれてるに決まってる!」 ドラえもんが負けじと言い返す。 「んなこと言ったって――」 ……と、口論が激化する寸前、あの博士が口を開いた。 「私が口を挟む問題ではないが・・・ポケモンを持ってないのに友だちを探すのは危険だと思うぞ」 その重い声にジャイアンが出かかった声を飲み込む。 「・・・だ、だけどポケモンは3匹しかいないんじゃ・・・」 しずかが恐る恐る尋ねる。 「ポケモンはいる」 ナナカマドが静かに答える 「ただ新人用ポケモンは3匹までだ・・・誰がもらうかは相談して決めるんだな」 ――数分後、5人の手の中にはモンスターボールがあった 「こいつが俺のポケモンか・・・」 (ジャイアンに勝てそうに無いのは残念だが・・・まぁいいか) 「やったわ!私この子が一番欲しかったの!」 「良かったね、しずかちゃん」 「さぁみんな!早く手分けしてのび太くんを探そう!」 こうしてのび太以外は全員ポケモンを手に入れたのだった。 そして再び場面はシンジ湖に戻る 「うわあああああああああ!誰か助けてええええええええええ」 なにもかも透き通る湖の周りで鳥と戯れる少年・・・と言えば聞こえはいいが現実は違う。 半べそ掻いた少年が敵意丸出しの鳥の群れに襲われるという何とも情けない状況だった。 「くそ・・・こんな時にポケモンを持ってれば・・・ん?」 不意にのび太が走りながらも何かを閃いたような表情を見せた (そうだ・・・確かゲームではナナなんたらのバックからポケモンを手に入れるんだ) とことん低い記憶力を奮い立たせながら走り続ける。 (バックが落ちているのは確か湖で・・・ん?湖?) その瞬間、彼の記憶が一気に蘇った 「そうだ、そうだよ!この湖、シンジ湖にナナカマド博士のバックが落ちてるんだ!」 そういって興奮しながら自分の足元を見るのび太。 「・・・なんで何もないんだよおおおおおおおおおおおおお!」 現実のあまりの理不尽さにその場でへたり込むのび太。 だが、そんな彼の目の前には・・・ 「あははは・・・君たち何の用だい?」 散々のび太に逃げられてイライラしているムックルの群れだった 「・・・はぁ・・・逃げないと・・・」 なんとか震える足を奮い立たせ逃げようとする・・・が 「に、逃げ道が・・・」 のび太がへたり込んでいる隙にムックル達がのび太を囲んでいたのだ そして背後はシンジ湖・・・まさに絶対絶命の状況だ。 (ゲームの世界でなんでこんなひどい目にあわなきゃいけないんだろう・・・) ムックル達が徐々に囲いを縮めていく (こんなことなら大人しくDSが安くなるのを待てば良かった・・・) ――群れの中の1羽がのび太に向かって飛び掛かる (・・・ジャイアンのパンチほど痛くありませんように!) ――その瞬間、彼は自分がムックルに殺されたのではないかと思った 何も見えない、見えるのは眩い紫の光だけ・・・ だがどこか暖かなその光はのび太にやすらぎを与えてくれた (これが天国なら悪くないな・・・) そんな事を漠然と考えていたその時、光は少しずつ薄れていった。 「・・・ん?ここは?」 まるで寝起きのように辺りをキョロキョロ見渡すのび太 最初に見たときと何も変わらない、綺麗なシンジ湖だ 「・・・あ、あれ?そういえばムックルはどこだ?」 自分がさっきまで危機的状況だったことを思い出し慌てるのび太。 だがその慌てっぷりに答えるかのようにムックル達が高音を出しながら上空を飛翔する 「どうやら行ったみたいだ・・・それにしてもあの光は何だ――」 突然のび太が言葉を止めた。 しばらくの沈黙・・・そして 「・・・君は何?」 そう言ったのび太が見ているのは・・・シンジ湖の中心に浮かんでいるピンク色の生き物だった ~219番道路~『マサゴの浜』 マサゴタウンの特徴とも言われるこの浜辺、海の先には珍しいポケモンが生息しているらしい。 「ジャイアン、もうここにはのび太もいないし他の場所を探そうよ」 「いいや、まだだ!この俺様の勘がここにレアアイテムがあると告げているぜ!」 何も無い静かな砂浜を一人で探索しているジャイアン。 そんな滑稽な光景をスネ夫はイライラした表情で見ていた。 (くそっ、ジャイアンの馬鹿さ加減はここでも同じか) この浜辺は現時点でどう考えてもただの通過点、スネ夫はそう確信していた。 分かりやすく転がっていたのは毒消し一つ、貴重な道具がこんな所に隠されているとは思えない (おまけにトレーナーさえ一人もいやしない・・・みんながのび太を探してる隙にレベル上げしようと思ったのに!) 自分の計画が潰された事に思わず舌打ちをするスネ夫。 だが―― 「ん?スネ夫なんか言ったか?」 ジャイアンが砂浜を漁るのを止めてスネ夫の方を振り返る。 「な、なんにも言ってないよジャイアン!そ、それよりあっちの方が怪しくないかな?」 とっさに遠くにある岩陰を指差す。 ジャイアンがしばらくその指先を訝しげに凝視する。 (ま、まさか適当に言ったのがばれたんじゃ・・・) だがその心配は杞憂に終わる 「成る程、確かに怪しいな・・・流石、俺様の子分だ!」 そう言ってジャイアンは岩のほうへ猛然と走り出したのだ。 「・・・・・・ふぅ」 その姿が小さくなってきた時、スネ夫が小さくため息をつく (あぶないあぶない、ここで一番重要な計画を台無しにする所だった) そう、序盤でのセコいLv上げなんてどうでもいいのだ 「勝つのは僕だ・・・見てろナエトル、僕が馬鹿の扱い方を見せてやるよ」 モンスターボールを握り締めながら呟く彼の眼には卑屈な闘志が浮かんでいた。 ~201番道路~ 「のび太く~ん!いるなら返事をしろ~!いなくても返事しろ~!」 ドラえもんの独特なだみ声が草むらに響く 「そんな遠くには行っていないと思うけどポケモンも持ってないしな・・・」 元々はのび太の頼みだったとは言え、このゲームを提案したのは自分だ。 今頃ポケモンにボコボコにされているかもしれない、と思うとドラえもんの胸に罪悪感が押し寄せる。 (早く見つけないと・・・待ってろよのび太くん!) と、ドラえもんが走り出そうとしたその時―― 「わっ、何だこいつは!」 突如ドラえもんの目の前に立ち塞がったのは前歯が特徴的なポケモン「ビッパ」だ。 円らな瞳で青狸を興味深げに見つめている 「野生のポケモンか・・・こういう時はこれだ!」 そう言ってドラえもんが投げたのはナナカマドから貰ったモンスターボールだ。 そのボールから出てきたのは・・・ 「ラプラス?」 ピンク色の体をしたラプラスのようなポケモン、『カラナクシ』だった。 「こいつ、ラプラスの進化前とかかな・・・。だけどラプラスは青色だし・・・」 目の前のカラナクシに色々な思考をめぐらすドラえもん。 だが、今はそんな事を考えている時間は無い。 「えっと・・・ひとまず君ができる技をあのビッパに使ってくれない?」 目の前のポケモンに命令するドラえもん。 だが、動かない 「ちょ、ちょっと!動いてくれよ!」 慌てて命令し直すがカラナクシは全く動じない。 と、そんなやりとりをしている内にビッパが遂に動き出した。 「まずい!おい、動くんだ!頼むから!」 助走を付けたビッパがカラナクシに飛び掛る―― ドラえもんは一瞬何が起こったのか理解できなかった 「な、何でビッパが・・・」 何故か飛び掛ってきたはずのビッパが逆方向に吹き飛ばされて地面に叩き付けらダウンしているのだ。 そしてカラナクシが自慢げにドラえもんの方を振り向く 「・・・ひょっとして君がやったの?」 恐る恐る聞くドラえもんにカラナクシが首を縦に振る。 「すごいじゃないか!どうやったか知らないけどすごい!」 『カウンター』を使っただけなのだかそんな事も知らずドラえもんはカラナクシを褒め称えている ――と、そこへ一人の少女が近づいてきた 「ドラちゃん、一体何してるの?」 しずかだ。 「あ、しずかちゃん。実はさっきビッパと戦ってて・・・それはどうしたの?」 ドラえもんが目を付けたのはしずかがも持っている小型の機械だ。 「ポケモン図鑑、ナナカマド博士から貰ったのよ!だけどドラちゃんったら直ぐに研究所を出て行くから・・・」 そう、ドラえもんは博士からボールを受け取るなり話も聞かず飛び出して行ったのだ どうやら図鑑を貰ってないのはドラえもん、そしてのび太だけらしい。 「そうだったのか・・・そうだ、しずかちゃん。ちょっと図鑑貸してくれないかな?」 カラナクシ タイプ・水 みずべに せいそくする。 せいそくちの かんきょうに あわせて からだの かたちが へんかした。 「カラナクシって言うのか・・・これから宜しく、カラナクシ!」 ドラえもんの声に応えるようにカラナクシが鳴き声を出す。 「良かったわね、ドラちゃん。可愛いポケモンが貰え――きゃっ!」 不意にしずかが悲鳴を上げる。 突然、しずかの前にピンク色の影が飛び出してきたのだ。 「野生のポケモンか・・・カラナクシ、もう一回頼むよ!」 「ちょっと待って!ドラちゃん、このポケモン少し普通のポケモンと違うと思わない?」 しずかに言われて改めてドラえもんはそのポケモンをじっくり見た。 ピンク色の頭に薄紫色の体・・・頭に付いている紅の水晶のような物体 そして何よりその小柄な体から威厳のような物をドラえもんは感じた 「確かになんか妙なポケモンだね」 「それにね、この草むらにはムックルとビッパしか出てこないって確かに書いてあったわ!」 しずかが意外と発売前情報を知っているのはともかく本当にこのポケモンは只のポケモンでは無いようだ。 だが、当の本人は子供のように純真な目でしずかと青狸を観察している。 「一体どうすれば・・・そうだ!」 ドラえもんが秘密道具を出すような口調でエムリットの前に突きつけたのは・・・ポケモン図鑑だ。 (これでポケモンの正体が分かるぞ・・・) だが、次の瞬間。ドラえもんはこのポケモン図鑑が不良品では無いかと疑った エムリット タイプ・エスパー かなしみの くるしさと よろこびの とうとさを ひとびとに おしえた。 かんじょうのかみ と よばれている。 「感情の神かなるほど・・・・・・って神だって!?」 「ド、ドラちゃん、『神』って事はこのポケモン、ひょっとして伝説のポケモン?」 それから暫くドラえもんは頭をガンガン両手で殴りつけていた 「僕の馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、伝説のポケモンが野生で出てくるなんて有り得るか、設定も碌にできないロボなんて・・・」 「ドラちゃん落ち着いて!ね?」 自分を責めるドラえもんと必死でそれを宥めているしずか。 そしてその二人をクスクス笑いながら浮遊しているエムリットというおかしな光景が完成していた。 「ったくもう、笑わないでくれよ・・・」 エムリットを恨めしそうに見るドラえもん。 その時、少年の弱弱しい声が草むらに響いた 「はぁ・・はぁ・・お~い!どこ行ったんだよ~!」 と、その声に反応するようにエムリットがドラえもん達から離れていった。 「見て、ドラちゃん!」 しずかの指の先では小柄な少年とその影に飛び込んでいくエムリットがいた。 その少年は走り疲れたらしく直ぐその場にへたり込み、その周りをエムリットが楽しそうに旋回している。 「しずかちゃん・・・僕は目の機能も駄目になったボンコツなのかな」 「違うわ、ドラちゃん・・・確かにあれは・・・」 やがて、その少年が二人の方を何気なく見た。 少年は目を見開き、そして大声で言った。 「ドラえも~ん!しずかちゃあ~ん!一体どこ行ってたんだよ~!」 涙をボロボロこぼしながらこっちに向かって来る「伝説ポケモンの使い手」を二人は呆然と迎えることになった。 次へ
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キャラクターファイル目次 野比 のび太野比 のび太(ダンテコスチューム) 野比 のび太 出典:ドラえもん 登場作品:本家のび太のBIOHAZARD他多数 原作ドラえもん 『ドラえもん』の副主人公。東京都練馬区在住の小学4年生。アニメでは小学5年生だが、放送初期は小学4年生だった。 時間経過による成長は基本的にない。原作で唯一、全話登場している。 勉強は駄目、スポーツも駄目、何をやらせても冴えない少年。 物語は彼の不幸な将来を変えるために、未来の子孫であるセワシから、主人公であるドラえもんが送られたことから始まる。 以降、困りごとがあったり、トラブルに巻き込まれるとドラえもんに泣きつき、ひみつ道具に頼ろうとする。 それに応じて出したひみつ道具を応用することに関しては、時折天才的なひらめきを見せるが、結果的に失敗することの方が多い。 大長編シリーズおよび映画シリーズでは上に述べた欠点もあるにはあるが、これをカバーして余りある勇敢な少年として描かれる傾向がある。 このことは作品内でもスネ夫に、のび太は大長編だとかっこよくなるという旨のセリフを言わせている。 (この傾向はのび太に限らずジャイアン等にも見られ、俗に「映画版補正」などと呼ばれることがある。) テーマソングとして「のんきなのび太くん」(作詞:ばばすすむ、作曲・編曲:菊池俊輔、歌:小原乃梨子)と「のび太くん0点」(作詞:マイクスギヤマ、作曲・編曲:沢田完、歌:大原めぐみ、セリフ:水田わさび) がある。 前者はテレビアニメ第2作1期、後者はテレビアニメ第2作2期の曲となっている。 よく小学生であるのび太が実銃を発砲したり、(例えゾンビ化しているとしても)人間を殺傷するのは不可能だ、と主張する人をみかけることがあるが、これは必ずしも正しいとは言えない。 こういった主張をする人々は、原作におけるのび太の能力や活躍を良く知らない場合が多いだろう。 原作漫画、とりわけ大長編においてのび太は天才的な射撃の才能を持っていると描写されている。 現に大長編「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」においては、プロの殺し屋であるギラーミンと早撃ちで対決し、見事これに勝利をおさめている。 外典ではあるが、漫画「ザ・ドラえもんズ スペシャル」においては早撃ちの名手であるドラ・ザ・キッドからも一目置かれている描写もある。 原作「ガンファイターのび太」においては、西武開拓時代のアメリカにて村を荒らす無法者相手に実銃で立ち向かい、実際に2発命中させ無法者を殺傷している。 この際のび太は、相手を負傷させてしまった罪悪感や血を見た恐怖で失神しているものの、その活躍により保安官に任命され、その後再び無法者が襲ってきた際は、勇敢に立ち向かっている。 このケースをみれば、仲間を救うためなどいざとなれば実銃で人(それもゾンビではなく生身の)を撃つことも不可能でないことが分かる。 (ただしアニメ版では、「うわぁ、重い!本物ってこんなに重かったの?」と実銃の重さに驚くだけで、発砲する描写はカットされている。) 残念なことではあるが、現実世界においても海外ではのび太達とそう歳の変わらない少年少女が、銃乱射事件を起こしたり、少年兵として戦うケースもある。 拳銃に限らず、ライフルやロケットランチャー等も含めて物理的に子供が銃を撃つことが不可能だというわけではない。 そもそも、のび太達が生活している「ドラえもん」の世界は、雷に打たれたり爆発に巻き込まれたりしても、全身が煤まみれになって髪がボサボサになるだけで済むような世界である(=ギャグ漫画の世界)。 我々が住む世界の常識と彼らが住む世界の常識が一致するとは限らず、そういった議論をすること自体が不毛であろう。 よく、ドラえもんの主人公はのび太だろ、と主張する人もいるが、これについては原作者が生前のインタビューで「ドラえもんが主人公でのび太は副主人公」と発言している。 本家のび太のBIOHAZARD 原作では副主人公であるが、本作では主人公として登場する。 作品のタイトルから分かる通り、本作品は劇場版ドラえもんシリーズに多用される、「ドラえもん のび太の○○」といったタイトル表記に、BIO HAZARDを当てはめたパロディー的作品である。 そのため、劇中でののび太の描写は原作やアニメ版のものよりも、大長編や映画版の様な、所謂「映画版補正」がかかった描かれ方をしている。 また作品の世界観やシナリオ展開が、ドラえもんよりもバイオハザード寄りとなっており、彼の台詞も原作バイオのキャラクターからそのまま借用されたものも多く、その結果原作ドラえもんの描写より冷静かつ大人びた印象を与えている。 尤も、これは本作だけに限らず、本作の製作者であるaaa氏の作品全般において見られる傾向でもある。 またaaa氏の作品に限らず、ドラえもんを題材にした二次創作作品においては、のび太が原作漫画、ひいては劇場版作品以上に「劇場版補正」がかかっているケースは少なくない。 kimeramode 何故かキャラクターの役割(というか存在そのもの)がそっくりそのままキメラに置き換えられているため、本作においては一切登場することはない。 「"のび太"のBIOHAZARD」派生作品において、この様なケースは非常に珍しい。 キルハウス編 本作は緑川 聖奈を主人公にしたミニゲーム作品であるため、のび太は登場しない。 無理のないバイオⅤ、のびハザT どちらものび太以外の視点から描かれた外伝作品であるため、のび太が全く登場しないわけではないものの端役としての役割に終始している。 無理のないシリーズ 原作ドラえもんの世界観を入れたために、どちらかと言えばドラえもんよりになった。 だが、それもII以降では通じなくなっている。 野比 のび太(ダンテコスチューム) 出典:オリジナル(ドラえもん、デビルメイクライシリーズ) 登場作品:新訳版、最終闘、迷宮大消毒 新訳版 主人公であるのび太が、アクションゲーム「デビルメイクライシリーズ」に登場するデビルハンター、ダンテの衣装を着たもの。 パスワードを入力することでのみ使用できる隠しキャラクターである。 対応するパスワードは「めいくらい」「ねばーくらい」「ますとだい」「だんておわた」の4つ。 最終闘、迷宮大消毒 操作キャラクターの一人として参戦。 セワシ(バージルコスチューム)と対になるキャラクターである。 デマオンの逆襲 本作の主人公として登場。 他の作品と違い、全編通してこの姿で戦う。 過去作のアクションの他コマンドでさまざまな技を発動できる。 キャラクターファイル目次
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前へ さて、のび太とドラえもんはどうしているかというと―― 「勝ったよ~。楽勝だよ!」 ジム戦を終えたドラえもんが、ジムの前で待機していたのび太と落ち合う。 「じゃあ僕も行ってくる!」 「頑張って~」 のび太も、先に勝利したドラえもんに勇気づけられて、ジムの中に進んでいく。 「ジムリーダーに挑戦しに来ました! のび太です!」 「おっ、また挑戦者か。俺がハヤトだ。まあ早速始めようか」 「よろしくお願いします! 行け、ワニノコ!」 「ポッポ、出てこい!」 戦いの場では、ワニノコとポッポが睨み合う。 「ワニノコ、噛みつくだ!」 「ポッポ、体当たり!」 先に動いたのはワニノコ、すかさずポッポに噛みつく。 鋭い歯を見せつけられた後に、思いっ切り噛みつかれたポッポは、怯んでしまう 。 「チィイ! ポッポ、とりあえず泥をかけつけろ!」 「ワニノコ、もう一回噛みつく!」 またしても先に動くのはワニノコ。ポッポはギリギリで耐えるが、またしても怯 んでしまう。 「トドメの噛みつくだ!」 ポッポは倒れた! どう見ても運ゲです本当に(ry 「この野郎、コケにしやがって! ピジョン、先制電光石火を決めろ!」 ボールから出てすぐに、電光石火でワニノコにぶつかっていくピジョン。 確実にワニノコにダメージを与えている。 「困ったなあ。相手の方が速いじゃないか。 あ、そうだ! 踊れワニノコ!」 のび太の指示を受け、踊り出すワニノコ。段々とその目に力が宿っていく。 「フッ。何がしたいのか知らんが、構わず電光石火で終わらせてやるさ。ピジョ ン、突撃だ!」 「近付いてくるピジョンに合わせて、力一杯噛みつけワニノコ!」 凄まじく速いスピードで襲い掛かるピジョン。しかし、ワニノコも素早く動いて 体勢を整える。 そして、ピジョンがワニノコに接触するとほぼ同時に、ワニノコは渾身の力で噛 みつく。 「マズい! 一旦ワニノコから離れろ! そして、遠距離から風起こしでトドメを さすんだ!」 「させないよ! ワニノコ、水鉄砲!」 ワニノコは、軽くステップを踏んだ後、残り少ない体力をいっぱいに込めた、激 しい勢いの水鉄砲を放つ。 風起こしで発生した風をも突破した水鉄砲が、ピジョンに直撃する。 そしてピジョンは、ゆっくりと地に墜ちていった。 「負けたぜ。 なかなか強いワニノコだったぞ」 「なんせこの僕のワニノコだからね!」 「…………。まあいい、ジムバッジと技マシンをやろう。決まりだからな」 「やったー! じゃあ僕はもう用は無いから帰るね、ハヤトさん」 (現金な奴だ……) ジムを出て―― 「勝ったよ!」 「おお、凄いじゃないかのび太君! じゃあどんどん先に進もうか!」 「嫌だよ。疲れたもん」 「…………、しょうがないなぁ…。 てれれてってれー♪ グルメテーブルかけ!」 「わーい、やったー! でもこの世界に来てからお腹空いてないよ」 「僕は現実世界にいる時もお腹は減らない。でも、どら焼きは好きだから食べる 。 つまり美味しい物を食べれば元気になれるのさ!」 「そーいう事ね! じゃあ早速いただきまーす!」 久々のご馳走を堪能する二人。 だが、この油断が後々響くかもしれない…… さて、ジャイアンの様子はというと―― 「うおおおおお! やっと着いたぜヒワダタウン! さて早速ロケット団をぶっ潰しに……ってアレ? いないな」 確かに井戸を見ても、ジムを見ても、ロケット団らしき者は見当たらない。 「ま、こういう時はジムリーダーにでも聞くか!」 ジャイアンはジムに向かった。 「たのもー! ジムリーダーのツクシ、いたら勝負しやがれ!」 「騒がしいなあ。あ、挑戦者ね。僕がそのツクシだよ」 「よし、準備はいいな。行け、マグマラシ!」 「ところで俺のトランセルを見てくれ。こいつをどう思う?」 「ハァ?」 「……いや、何でもない。失礼したね。 行くんだ、トランセル! まずは固くなれ!」 「マグマラシ、とにかく火の粉をまき散らして攻撃だ!」 何はともあれ、ジャイアンの二度目のジムバトルが始まった。 虫ポケモンしかいないツクシにジャイアンが負ける筈も無く、ジャイアンはあっ さりとジムバッジを手に入れた。 「おめでとう、完敗だ」 「そうだ、聞きたい事をすっかり忘れてたぜ。 どうしてこの町にはロケット団がいないんだよ?」 「えっと、話が長くなるけどいいね? 元からロケット団はイベントの時しか出て来ないし、ストーリーに絡む事も無い から、ロケット団の事は気にしなくて大丈夫なんだ。 大体、この先原作通りに進んだら、カントーで大規模な停電が起こる事は分かる よね? 毎回毎回ロケット団にそんな事をされたら困るから、普段はロケット団は出て来 ない設定になってるのさ。 これは大人の事情だから理由とか聞いちゃあ駄目だ」 「あ、ありがとうございます」 親切且つ丁寧に教えてくれたツクシに対して、思わず敬語でのお礼が飛び出した ジャイアン。 出る時、再度ツクシに一礼をしてジムを去ろうとした時、ツクシが口を開き 「あ、特別に君にこれをあげよう。小遣いの足しにでもするとよい」 「え、いいんですか!?」 「構わないよ」 こうしてジャイアンは、貰った物をフレンドリーショップに売りに行き、5000円 の臨時収入を得たのであった。 ▼みんなの手持ち ジャイアン マグマラシLv24 スネ夫 レディバLv15 ニョロモLv15 ゴースLv16 のび太 ワニノコLv17 ドラえもん コイルLv17 静香 ユンゲラーLv18 出木杉 ゴマゾウLv17 ベイリーフLv19 その頃、一番遅れをとっていた出木杉は、ようやく一つ目のバッジを手に入れた ところだった。 バトルの内容は、正にゴマゾウの独り舞台で、ゴマゾウは一度もダメージを受け ずに試合は終わった。 「負けたよ。ジムバッジの贈呈だ。 しかし君は強いな。もうこの辺じゃ負け無しだろう?」 「……いえ、これ位じゃ、まだアイツには勝てません。 自分にはまだまだ精進が足りないので」 「そうかそうか。まあ目標があるのは良いことだ。 頑張れよ少年」 「はい。ところで聞きたい事があるのですが…」 数十分後―― 「ご丁寧にありがとうございました。」 「いや、気にするなよ。それにしても変わった事を聞くんだな」 「情報収集は大切ですからね。 こういう事は、GMの貴方に聞くのが一番確実だと思ったもので」 「何だか知らんが、これからも頑張れよ」 「ハイ、では」 こうして出木杉はジムを後にした。 ★ 出木杉ノート 2ページ GM…ジムリーダーや四天王、その他特別な人物 →この数はかなり多い。プレ イヤーの相談に乗ってくれる時もある。 NPC…ショップの店員など →話かけても通じない。オートプログラムだとハヤトさんが言っていた。 PC…トレーナー →自分達も含め、自由に行動しているプレイヤーの殆どがこれに当たる。 アドバイスやDSなどで登場するような普通のトレーナー(虫取り少年、山男、 短パン小僧など)は、存在しない。 但し、『虫取り少年の格好をしたトレーナー』などは存在する。 ★ 出木杉ノート 2.5ページ ~参考資料~ オンラインゲームにおけるゲームマスター(GM) 個人運営のゲームの場合は、ゲームの管理者とほぼ同義である。ゲームの運用を 行い、不正ユーザに対処し、ユーザの要望に適切に対応し、さらに処理プログラ ムの開発やメンテナンス、あるいはゲームデザインそのものを行う場合もある。 テーブルトークRPGにおけるゲームマスターと異なり、「参加者の1人」という位 置付けに なる場合は少ない。 商用のオンラインゲームにおけるゲームマスターは、名称や個人運営のオンラ インゲームでの印象からゲームの管理者と取られがちだがゲームの管理者ではな く、主にサポートスタッフのことを指す。 一般的なゲームマスターの仕事内容は他業種でいうところのヘルプデスクに近く 、サポートする内容はゲーム内に関係する事柄に限定されているのが特徴。 (他 プレイヤーからハラスメント行為を受けた、キャラクターの持っているアイテム が消えてしまった、プレイヤーのクレーム処理など) 場合によってはゲームマスター専用のコマンドを駆使してプレイヤーを意のまま にすることができるゲームもあるため、ゲーム内では絶対の存在に見られること が多いが、あくまでもサポートスタッフであり、ゲームの管理者ではない。その ため、ゲーム内容を1ゲームマスターの権限で変更するなどということは無い。 さらにゲームに関連する事柄であっても、ハードウェアについてなどのゲーム外 になる質問に答えることは基本的に無い。この場合はテクニカル・サポートなど 専門の部署がサポートの担当になる。 しかし、実際の仕事内容は運営会社によってまちまちである。 ゲームマスター 専用のコマンドを駆使してインイベントを実行、テクニカル・サポート相当のゲ ーム外の質問に答える、NPCなどの会話を二次・三次翻訳、運営公式WEBサイトの 更新作業、アップデート時のデバッグ作業、公式WEBサイト掲示板のモデレータ、 など。 特に外国産のゲームを小さな会社が日本国内で運営するパターンのオンラインゲ ームでは、ゲームマスターが上記のようなサポートスタッフ以外の仕事を兼務す る傾向が強い。 (『ウィキペディア(Wikipedia)』、『GM (ゲームマスター) 』の項目から抜 粋) プレイヤーキャラクター(PC) プレイヤーキャラクター(Player Character)またはPCとは、ロールプレイングゲーム関連用語で、遊び手(プレイ ヤー)が操作を担当する登場人物(キャラクター)のこと。日本では「プレイヤ ーズ・キャラクター」と言うこともある。ストーリー性の強いゲームであれば、 いわゆる主人公キャラクターとPCはほぼ同一であることが多い。 (『ウィキペディア(Wikipedia)』、『PC (プレイヤーキャラクター) 』の項 目から抜粋) 出木杉がハヤトから必死に情報を聞き出していた頃、ドラえもんとのび太は繋が りの洞窟で苦戦していた。 のび太の好奇心旺盛なワニノコは、訳の分からない方向に迷走していき、途中の 池をも強引に突破してしまう。 その池は浅かったので何とか歩いて渡れた(野生ポケモンが運良く出なかったの も幸いした)が、ワニノコはとにかく突っ走っていったので、反対側の出口らし き所にまで出てきてしまったのだ。 「ドラえも~ん、ここはどこ~?」 「ここは、多分アルフの遺跡のどこかだと思うよ。 ポケギアのマップも、アルフの遺跡の近くを示してるから間違いないだろうね」 「成る程。で、どうやって帰ればいいの?」 「来た道を戻るか、原作だったら、遺跡のパズルを解けば遺跡からキキョウシテ ィに出られるね。 でもパズルは難しいから…」 「き、来た道を戻るなんて僕はやだよ。パズルを解けばいいじゃないか! …ドラえもんが」 「……結局他人任せになるのね、まあ仕方ないけど。 ところでのび太君、ここは時々野生のドーブルが出るはずなんだけどさ、捕まえ ていかないかい?」 「いいね! ロックオンと絶対零度を覚えさせれば最強さ!」 「……。まあ好きなようにやらせてあげようか」 「ドラえもん、あれがドーブルだね!」 「うん。のび太君が先に捕まえていいよ」 「分かった! 行け、ワニノコ! 水鉄砲だ! ……ってアレ? 僕のワニノコはどこだい?」 「……遺跡の中に入ってっちゃったみたいだね」 「ななな、なんだってー!? じゃあ僕は連れ戻しに行ってくるよ!」 そう言い終わると同時に、のび太は駆け足で遺跡の奥へと進んでいった。 「じゃあ先に僕が捕まえておこうかしら。 コイル、出てこい!」 コイルがボールから出てくる。かなり長い間ボールの中にいたので、外の空気を 満喫している。 「コイル、電気ショック!」 コイルに電気ショックを浴びせられたドーブル。 どうやら今の電撃で麻痺してしまったようだ。 「反撃が来ないな、麻痺したのかな? とりあえずボールを投げてみるか」 緩やかな軌道を描いてボールが飛んでいく。 …グラグラ……グラグラ………ポン ドーブルは捕まった。 「やったー! ドーブルを捕まえたぞー! って、のび太はまだ帰って来てなかったのか。しょうがないなあ」 ドラえもんはそう呟くと、ドーブルの入ったボールを拾い上げてから、遺跡の中 へと進んで行った。 「のび太くーん? どこだーい?」 「あ、ドラえもん! いや、ワニノコが変な石をいじっててね、ようやくそれが飽きたみたいだからさ 、これからドーブルを捕まえようと思うんだ。 ドラえもんはドーブルをもう捕まえたの?」 「あ、うん。捕まえたけど……」 「捕まえたけど、どうかしたの?」 「それよりのび太君?」 「何?」 「君、宙に浮いてるよ」 「馬鹿だなあドラえもんは。 タケコプターなんて使ってないんだから、飛べるわけなんて無いじゃない」 「いや、下を見てみなよ」 「何を言ってるんだい。地面はこの通り大理石で出来た床が…… って、えええええ!!! なんで無いのおおおぉぉ…‥」 「あ、落ちた。しょうがないな、追わないと」 ドラえもんはやれやれといった感じの顔をして、ポケットからタケコプターを取 り出す。 それがしっかり装着されたのを確認した後、ゆっくりとのび太の後を追っていっ た。 それからおよそ二時間後―― 「のび太君、起きろー!」 「あと5分、あと5分だけ……」 「いいから起きろー!」 「……なんだよドラえもん? って、何で僕はこんな所で寝てたの?」 「君が、アルフの遺跡で尻餅うって気絶したからだよ。僕がわざわざ運んで来た んだからな!」 「ああ、思い出した! そうか、僕は気絶していたのか!」 「まったく、僕の苦労も少しは考えてくれよ」 「ごめんごめん。って、あっー! ドーブル捕まえ損ねたー!」 「僕はちゃんと捕まえたけどね」 「ズルいズルい~! 僕にちょうだい~!」 「えー、でもこのドーブル『龍の舞』しか覚えてないから攻撃が出来ないよ」 「じゃあいいや」 (……のび太君、君は実にバカだな。まあいいんだけどさ) この時ドラえもんは、初めてのび太がバカで良かったと感じたのであった。 「あ、静香ちゃん!」 「あら、のび太さん。お久しぶり」 「静香ちゃんもこれから繋がりの洞窟に行くの?」 「ええ、そうよ」 「じゃあ僕が案内してあげるよ!」 「いや、いいわよ。のび太さんに悪いし」 「そ、そんな事ないよ!」 「……ええと、ほら! のび太さんは今日はしっかり休まないと! また元気な時に会いましょう」 「静香ちゃん…、僕の心配をしてくれるんだね! 分かったよ! 静香ちゃん、また会おうね!」 「ええ。じゃあね、のび太さん」 (危ない所だったわ。あんなのに道案内させたら一億光年かかるわ。 いや、一億光年は時間じゃない、距離よ!) 静香は独りボケツッコミをしながら、のび太から少しでも離れるために、先を急 ぎ走り去っていった。 その頃、スネ夫はヒワダジムに挑戦をしていた。 既に、ツクシの残りポケモンはストライクだけになっている。 「ストライク、連続斬りだ!」 「やるだけ無駄さ。タイプ相性が悪いと大変だねwww ゴース、ナイトヘッド!」 ゴースは命令に忠実に、ナイトヘッドで確実にダメージを与えていく。 「ヤバいなあ。でも連続斬りは効きが悪いしなあ。 あ、そうだ。ストライク、追い討ちだ!」 ツクシの命令を聞いたストライクは、その技の名前の通りに、追いかけるように してゴースに近づき、そして斬りつける。 効果抜群という壁は大きく、間も無くゴースは力尽きる。 「ひ、卑怯だぞ! ジムリーダーとしてのプライドを捨てるのか!」 「プライド? なんの事かな?」 「ツクシなんて虫技だけ使ってれば良かったんだよ!」 「まあそれはこっちの勝手だがな。 大体、こっちは仕事なんだから、細かい事は気にしないのが俺の三大ポリシーの 内の一つだ」 「糞、この野郎! 行けニョロモ、ボコボコにしてやれ!」 ボールからニョロモが出てくる。 「ニョロモ、水鉄砲だ!」 普段は補助技から入るスネ夫が、いきなり攻撃に出る。 後にスネ夫は、このミスが致命傷となったことを悔やむ事になる。 「ならこっちは傷薬を使わせてもらおうか」 「回復なんかするんじゃねええ! ニョロモ、水鉄砲を乱射しろ!」 ニョロモは水鉄砲をあちらこちらに撃ちまくる。 しかしストライクの素早い動きにより、その殆どがかわされる。 そしてストライクは、傷薬の効果もあって、ゴースの攻撃を受けた直後よりもピ ンピンしている。 「挑戦者、お前に俺の三大ポリシーの残り二つを教えてやろう。 まず一つは、このストライクが♂である事。 そして最後の一つは、このストライクがテクニシャンである事だ!」 「だからどうしたって言うんだ…」 「フフフ……。後悔するなよ。 喰らえ、テクニシャン電光石火!」 「ヤバイ、避けr……うわぁあああああ!!」 ニョロモは 倒れた! 結局最後のレディアンのマッハパンチが、運良く急所に当たり、辛くも勝利を収 める事ができた。 しかしスネ夫のプライドは、今まで見下していたジムリーダーに苦戦させられたという事で傷つけられ、 後味の悪いバトルの思い出となった。 (クソッ…、苛々するなぁ。) スネ夫はバッジと技マシンを受け取ると、足早にジムを出て行った。 すると―― 「あれ、ポケギアが鳴ってるな」 確かにポケギアのアラームが鳴っている。 スネ夫がポケギアを確認すると ―――――――――― 《新しいクエストが遂行できるようになりました。》 ―――――――――― クエスト名 【いなくなったカモネギ】 遂行条件…ジムバッジ二個以上取得 クエスト情報…スミ職人の見習いが、カモネギとはぐれてしまったようだ。 カモネギを捕まえて、スミ職人の小屋まで連れ帰ってこよう。 ―――――――――― と表示された。 (これは、『いあいぎり』の秘伝マシン入手のイベントの事かな。 早速このクエストを進行させてもらおう) 次へ