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空の上では太陽がぽかぽかと大地を照らしている。 そのこぢんまりとした神社の拝殿で、巫女服姿の少女が新聞を広げている。 その横では、制服姿の少年が寝そべっている。まるでネコのようだ。 少女の名前は真樹と言い、少年は武井と言う。 「ふうん……育児放棄ねえ……」 寝そべりながら武井が、真樹の持っている新聞の片隅の記事を読み上げた。 「親が子を見捨てるとは、なんとも悲しい世の中よ」 うんうん、と大仰に頷いてみたりしている。無論寝っ転がったままだが。 その様子に、真樹がハンと冷笑し、 「バカが何難しいこと考えようとしてやがる」 とあしらった。 「何おう! 俺だって普段色々むつかしいコト考えてるんだぞ!」 がばと起き上がり反論する武井。 「この少子高齢化社会において、育児放棄をする親がいると言う事が、日本の未来ならびに我国の経済に及ぼす影響を憂慮すると憤懣やる方ないのだよ! 僕は!」 「ほう」 べらべらとそれっぽい事を語り始めた武井に、真樹は少しだけ感心したような目を向ける。 「それがサブプライム問題をからめて福田総理内閣はダメなんだよ」 「………は?」 「しかも石油は高騰で株価が下がると日銀人事がチベットを円が急騰するんだよ!」 「……お前もう帰れ」
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アタシはタブンネちゃんよ。さっきからうるさいガキ(実子)につきまとわれていらいらしてんの。 おいクソガキ共!ウザイからとっととどっかいっちまいな! 全く…あのクソガキ共のせいで♂達の人気がだだ下がりだよ… 子タブンネ「うぅ…ママ、お腹すいたよぅ、お乳がのみたいよう…」 ミルタンク「あら?あんた達どうしたの?ママはどこだい?」 子タブンネ「ぼくたち、ママにすてられたの…」 ミルタンク「ふーん…、平気でポケモンを捨てるのは人間だけだと思ってたてけど、そんな奴もいるのねぇ…」 ミルタンク「よしわかった!おばちゃんがあんたらのママになってあげるわ!」 子タブンネ「本当!ありがとうおばちゃん!」 ミルタンク「ははは、次からはママって呼びな」 母タブンネ「ガキ共いねーし、本当にうざい奴等」 ミルタンク「アンタね?あのこ達を捨てた奴は」 母タブンネ「…あんなの捨てて何が悪いの?」 ミルタンク「あんた、最低だよ!」ころがる 母タブンネ「いぎゃっ!や…やめてください…何でもするから殺さないで…」 ミルタンク「うるさい!」 母タブンネ「み"っ!」 その後ミルタンクと子タブンネ達は平和に暮らしました さらにその後、子タブンネ達はみんな、それぞれの子どもを大事にしすぎて 「お父さん(お母さん)、嫌いっ!」といわれ自害するのでした おせまい 名前 コメント すべてのコメントを見る
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アタシはタブンネちゃんよ。さっきからうるさいガキ(実子)につきまとわれていらいらしてんの。 おいクソガキ共!ウザイからとっととどっかいっちまいな! 全く…あのクソガキ共のせいで♂達の人気がだだ下がりだよ… 子タブンネ「うぅ…ママ、お腹すいたよぅ、お乳がのみたいよう…」 ミルタンク「あら?あんた達どうしたの?ママはどこだい?」 子タブンネ「ぼくたち、ママにすてられたの…」 ミルタンク「ふーん…、平気でポケモンを捨てるのは人間だけだと思ってたてけど、そんな奴もいるのねぇ…」 ミルタンク「よしわかった!おばちゃんがあんたらのママになってあげるわ!」 子タブンネ「本当!ありがとうおばちゃん!」 ミルタンク「ははは、次からはママって呼びな」 母タブンネ「ガキ共いねーし、本当にうざい奴等」 ミルタンク「アンタね?あのこ達を捨てた奴は」 母タブンネ「…あんなの捨てて何が悪いの?」 ミルタンク「あんた、最低だよ!」ころがる 母タブンネ「いぎゃっ!や…やめてください…何でもするから殺さないで…」 ミルタンク「うるさい!」 母タブンネ「み"っ!」 その後ミルタンクと子タブンネ達は平和に暮らしました さらにその後、子タブンネ達はみんな、それぞれの子どもを大事にしすぎて 「お父さん(お母さん)、嫌いっ!」といわれ自害するのでした おせまい
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いくじほうきP【登録タグ 作い 作り手】 【ニコニコ動画】 特徴 候補はいろいろあったが、面白そうなのでこのP名にした。なお、育児どころか結婚もしていないらしい。 リンク Piapro Twitter 曲 Cold Distortion Need not to know Solid Feast CD 瀬戸内コンピ 瀬戸内コンピ2 動画 コメント 名前 コメント
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このページはhttp //www.asahi.com/national/update /0730/OSK201007300109_01.htmlからの引用です 「育児放棄し殺してしまった」逮捕の母親 大阪2児変死 2010年7月31日1時17分 大阪市西区南堀江1丁目のマンションの一室で30日未明、幼い女児と男児の遺体が見つかった事件で、府警は同日午後、この部屋に住んでいた風俗店員 下村早苗容疑者(23)を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。府警は西署に捜査本部を設置し、殺人や保護責任者遺棄致死容疑の適用 を視野に捜査している。 捜査1課によると、亡くなったのは下村容疑者の長女の羽木(はぎ)桜子ちゃん(3)と、長男の羽木楓(かえで)ちゃん(1)。下村容疑者は2人の遺体を 部屋に放置した疑いが持たれている。府警の調べに対し、下村容疑者は6月下旬ごろ、2人を残したままマンションを出たと供述し、「ご飯も水も与えなければ 生きていくことはできないとわかっていた。私自身が育児放棄したことによって殺してしまった」と話しているという。 遺体は腐敗や白骨化しており、一部ミイラ化していた。司法解剖の結果、死因は不詳で、死後1〜2カ月たっていた。胃や腸に食料は残っておらず、府警は少 なくとも数日間は何も食べておらず、餓死の可能性もあるとみている。骨折や皮下出血など外傷はなかった。遺体発見時、2人は部屋の中央付近に裸で仰向けに 倒れ、布団などは敷かれていなかった。 府警に対する供述によると、下村容疑者は風俗店に勤め始めた今年1月ごろ、店が借りているこの部屋に住み始めた。そのころから2人に食事を与えたり、風 呂に入れたりするのが嫌になり、「子どもなんていなければいいのに」と思うようになった。6月下旬ごろ、2人を残してマンションを出た後、友人宅を転々と した。今月29日午後6時ごろいったん部屋に戻り、2人が亡くなっているのを見つけたが、そのまま部屋を出たという。 その後、住民から異臭の苦情があり、風俗店の従業員が下村容疑者に電話したところ、同容疑者は「大変なことをした。中で子どもが死んでいる」と話した。 従業員はマンションで同容疑者と待ち合わせたが、姿を見せなかった。さらに30日午後、大阪市浪速区のコンビニエンス店前で待ち合わせ、同容疑者が現れた ところで府警が身柄を確保した。 捜査関係者によると、下村容疑者は三重県四日市市出身で、2006年12月に元夫と結婚し、大阪に来た。その後離婚し、下村容疑者が子ども2人を引き 取ったという。
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2020年7月23日 出題者:従業員よっしー タイトル:「育児放棄」 【問題】 女は娘を独り家に残して男の家に遊びに出掛けたが、 そのおかげで娘は幸せをつかんだ。 一体どういうことだろう? 【解説】 + ... シンデレラの話。 継母たちがシンデレラを家に残して王子様のいるお城へいったが、 なんやかんやあってシンデレラは王子様と結ばれ幸せとなった。 《モチーフ有》《瞬殺》《全年齢向け》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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「ゆっくり育児放棄」(後編) 前 “ちーちー”の描写が薄っすらと含まれてるよ!! 「ゆーん!!いっぱいとれたよ!!あかちゃんたちゆっくりよろこぶね!!」 「そうだね!!たくさんたべさせてあげようね!!ゆっくりさせてあげようね!!」 れいむとまりさの2匹は、取った食べ物を頬に含んだまま見つめ合って微笑んだ。 早く赤ちゃん達の喜ぶ顔が見たい。逸る気持ちを抑えきれず、ゆっくりしないで巣の中へと戻っていく。 巣の一番奥……赤ちゃん達が眠っているはずの場所。 ぴょんぴょんと跳ねて、れいむとまりさがそこにたどり着くと… 「ゆっくちしちぇいってね!!」 「ゆゆ?あなたたちはゆっくちできりゅひと?」 「できないならでていってね!!ここはありすたちのおうちだよ!!」 目の前で“自分の家”宣言する、赤ちゃんありすと赤ちゃんまりさ。 その背後に散らばっている餡子カスと、小さな帽子やリボン。れいむとまりさは、ここで何が起きたのか理解できなかった。 ただ…見覚えのある帽子とリボンが転がっていることから、とてもよくないことが起こったのはわかる。 れいむとまりさは、驚きのあまり口に含んでいた食べ物をこぼしてしまった。 「しらないひとはでていってね!!」 「ここはまりしゃたちのおうちだよ!!」 「ゆっ!?たべものをもってきちぇくれたの?だったらおうちにいてもいいよ!!」 「ゆ!!ゆっくりだまってね!!そこをどいてね!!」 「おまえもどくんだよ!!どかないとゆっくりさせないよ!!」 目障りな赤ちゃんゆっくりを押しのけて進む、れいむとまりさ。 2匹はわかっていた。赤ちゃんありすはともかく、この赤ちゃんまりさが自分達の子供ではないことを。 自分の子供が“出て行ってね”などというわけがない。ゆっくりという生き物は、母親の顔は一度見たら忘れないのだから。 目の前で喚いている赤ちゃん達は……別の親が生んだゆっくりだ。 だから、一刻も早く確認する必要がある。 そのリボンや帽子は、一体誰のものなのか。 「ゆべっ!!いちゃいよ!!ゆっくちやめてにぇ!!」 「ゆあああぁっぁあん!!ゆっくちしゃせてよおおおぉぉぉ!!!」 突き飛ばされて泣き喚く赤ちゃん達を無視して、れいむとまりさは周囲に散らかっているリボンと帽子を凝視した。 れいむはよく知っていた。 そのリボンは、ちょっと薄い赤色だった。ピンクに近いかもしれないが、どちらかというと赤だ。 結び目がとても硬くて、ちょっとやそっとでは解けない。 これならリボンをなくすことはない、と安心したのを覚えてる。 まりさはよく知っていた。 その帽子は、黒というよりはどちらかというと紺色に近かった。 とても頑丈に出来ていて、川を渡るときも水が染み込まないほどだ。 これなら川を渡ってずっと遠くに行けるね、と呟いたのを覚えてる。 なんでそんな事がわかるのか。 何度も見たからだ。 “それ”が生まれたのが嬉しくて、何度も見ても飽きなかったから。 嬉しくて嬉しくて、何度も何度も。 綺麗なリボンでよかったね。綺麗な帽子でよかったね。 絶対リボンを解いちゃダメだよ。 帽子を脱ぐのは、川を渡るときだけだよ。 一番最初に教えてあげたことだった。 じゃあ、なんで? なんで、それがここに転がってるの? どうして周りは餡子で汚れているの? どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして? 「ねぇ、おちびちゃんたち」 「ここに、ちいさなれいむとまりさがいなかった?」 れいむとまりさは、感情のまったく篭っていない声で背後の赤ちゃん達に問いかけた。 顔は笑っているが……それは生まれつきである。れいむとまりさは決して笑っていない。 でも、赤ちゃん達は笑顔で答える。れいむとまりさが“笑っていた”から。 「ゆぅ?れいむとまりしゃ?いにゃかったよ!!」 「でもね!!れいむとまりしゃのニセモノならいたよ!!」 「そうだよ!!れいみゅとまりさによくにた“まんじゅう”ならいたよ!!」 饅頭。 赤ちゃん達とは違い、れいむとまりさはその言葉の意味をよく知っていた。 甘い餡子の詰まった美味しい食べ物であること。 そして自分達の身体の中には、饅頭と同じく餡子が詰まっているということを。 「しゅごくおいしかったよ!!もっとたべたいよ!!」 「そうだよ!!じぇんじぇんたりなかったよ!!もっとたべさせてね!!」 「おいしいごはんをたくさんもってきてね!!そしたらまりしゃたちのおうちにいてもいいよ!!」 「ゆっくりたべちゃったんだね……れいむたちのあかちゃんを」 「ゆっ?なにいってるの?あれはれいむじゃなかったよ!!まんじゅうだよ!!」 「おねーさんたちばかにゃの?ゆっくりとまんじゅうをまちがえるわけぶちっぇ!?」 「……ゆっくりだまってね」 騒ぎ立てる赤ちゃんゆっくりの中の一匹を、まりさが黙らせた。その全体重を乗せて潰すことによって。 しんと静まり返る巣の中。赤ちゃんゆっくりたちは、目の前で起こったことを理解することができずにいる。 まりさが身を起こすと、うすっぺらになった赤ちゃんまりさの死に顔が、まりさの身体からぺらりと剥がれ落ちた。 「うがああぁあぁあぁぁぁぁぁああぁ!!!ありしゅのいぼうどがああああぁぁぁぁ!!!」 「まりしゃのおねーちゃんにどぼぢでえええええええええええぇえぇぇぇえぇぇ!!??」 その悲鳴に誘われたように、れいむとまりさも怒声を上げる。 「おまえたちがれいむたちのあかちゃんをたべちゃったんだ!!ぜったいにゆるさないよ!!」 「どうしてこんなことをしたのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 押さえ切れなかった怒りが、爆発した。 赤ちゃんゆっくりより遥かに大きい巨体が、生まれたての赤ん坊に全力で突進する。 「ゆゆっ!?ゆっくちにげりゅよ!!」 「そうはいかないよ!!ゆっくりにげないでしんでね!!」 「う゛ゅえ゛っ!?」 赤ちゃんゆっくりたちを逃がさぬよう、れいむとまりさは巣の出口を背にして、赤ちゃん達を追い詰める形を取る。 そうやって赤ちゃん達を巣の奥へと追い詰めていき、近くにいる赤ちゃんから手当たり次第に潰していく。 「ぶぎゅあぁあぁぁぁぁん!!!やめでね!!ゆっぐりやめでうぼっぁ!!」 「どぼぢでごんなごどずるのおおおおぉぉぉぉ!!?ありしゅはわるぐないぴゅえっ!?」 「まんじゅうたべでゆっぐりしでただげなのにいいぃぃいいぃぃぃあろっん!?」 「れいむたちのあかちゃんをころしたやつは、ゆっくりしんでね!!」 「もっとあかちゃんとゆっくりしたかったのに!!おまえらのせいだよ!!ゆっくりしね!!」 怒りに任せて、一匹ずつ潰していく。 一匹ずつ、あの世へと送っていく。 「あのよでゆっくりはんせいしてね!!」 「おそらのうえで、あかちゃんたちにゆっくりあやまってね!!」 れいむとまりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 これからずっとゆっくりするはずだったのに。大きくなったら、一緒に狩りに出かけるはずだったのに。 一緒にご飯を食べて、一緒にお散歩して、一緒にゆっくりするはずだったのに。 全部!!全部!!お前らのせいで!!ぶち壊しじゃないか!! 「ぢがっ!!まりじゃはっ!!あがぢゃんだべでないでぼりご!!?」 「ゆっぐりやめでねっ!!ありしゅはわるぐないよ!!だがらんぼあぅ!?」 何かおかしなことを口走っているが、聞く耳持たず。 自分の赤ちゃんを食べてしまうような悪魔の言葉に、耳を貸す必要はない。 こいつらはゆっくりじゃない。悪魔だ。だから殺してしまえ。殺してしまえ。 「もうやめでえ゛え゛え゛え゛え゛ええ゛え゛え゛ええ゛え゛ええぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「ゆッぐじさせでよお゛お゛おおお゛お゛おお゛ぉぉお゛お゛ぉぉぉお゛!!!!」 「ゆっくりしねえええぇええぇぇぇぇぇえぇ!!!」 そして、赤ちゃんゆっくりは残り一匹になった。 目の前で19匹の姉妹を殺された赤ちゃんありすは、同じ穴からちーちーとうんうんを同時に漏らしていた。 恐怖に塗りつぶされた顔。その顔を大河のように流れる涙。ありすの心は半分壊れていた。 その頃には、れいむとまりさも冷静さを取り戻しつつあった。 だが、怒りだけはおさまらない。たとえ赤ちゃんゆっくりを100匹殺そうと、怒りだけは消えない。 だから、最後の一匹も躊躇い無く潰す。その決意に揺るぎはなかった。 「おまえでさいごだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 「あのよでまりさたちのあかちゃんにあやまってね!!」 最後の一匹は苦しめて殺してやろう。れいむとまりさは、そう心に決めてゆっくりと子ありすを追い詰めていく。 「ゆっ、ゆっぐりやめでね!!ありしゅはわるぐないよ!!“おかーしゃん”がまんじゅうたべなさいっていったんだよ!!」 ありすにとっては、自分だけでも助かろうと必死に紡いだ言葉だ。 とにかく自分の命が最優先であり、言葉の内容など落ち着いて考えてられる余裕はない。 一方、冷静さを取り戻していたれいむとまりさは、その言葉を聞き逃さなかった。 お母さん。 お母さんが『饅頭食べなさい』と言った。 お母さんが。 お母さんが。 饅頭を、食べなさい、と言った。 「そのおかーさんはどんなひと?ゆっくりこたえてね」 「ゆっくりこたえたらたすけてあげるよ」 冷めた目で子ありすを見下ろし、問いかけるれいむとまりさ。 「ゆっ!!くろいぼうしをかぶってたよ!!いもうとのまりさとおなじかたちだったよ!!」 子ありすは助かりたい一心で、必死に自分が目にしたものを答える。 その言葉を聞いて、れいむとまりさは全てを理解した。 スッと、静かに巣の外へと這っていく2匹。 それを見た子ありすは、自分が見逃してもらえたのだと思い込んだ。 「ゆっ!!ゆっくりたすけてくれてありがちょう!!ゆっくちおかーしゃんのところにちゅれていってね!!」 ぶちんっ!! 「ぴっ!?」 その直後、2匹の巨体が子ありすを押しつぶした。 飛び散るカスタードクリーム。ぐにゃぐにゃに歪んだ眼球。型崩れした髪飾り。 べたりと地面に張り付く、驚愕の表情のまま固まった子ありすの皮。 れいむとまりさは、それを見ても何も言わなかった。 昼。 まりさは思う存分ゆっくりして、おうちに帰ってきた。 その頭には、かつて蔓が生えていた名残が残っている。 草原でゆっくりしているうちに蔓は枯れ落ちたが、本来食べさせるべき赤ちゃんゆっくりがその場にいなかったので放置してきた。 「ゆー!!とってもゆっくりできるよ!!」 昨夜は、発情したありすにレイプされて酷い目に遭ってしまったが、それももう昔のこと。 生まれてしまった赤ちゃんも別のゆっくり夫婦に押し付けて、自分は自由にゆっくり出来る。 まりさは、自分のしたことに何の罪悪感も感じていなかった。 ぴょんぴょんと跳ねて、おうちの入り口に到着。 真っ直ぐおうちの中に入ろうとしたとき、まりさは入り口のすぐ近くにあるものを見つけた。 「ゆゆっ!?これはなあに?」 それは、赤いリボンだった。 たぶんれいむ種のゆっくりがつけていたのを、うっかり落としてしまったのだろう。 その大きさから、かなり小さな……生まれたての赤ちゃんれいむのリボンだと思われた。 「ゆーん!!うっかりさんだね!!」 かわいそうだとは思ったが、まりさは大して気にしなかった。 見ず知らずの赤ちゃんゆっくりの行く末よりも、今は自分がゆっくりする事が大切なのだ。 と、ぴょんぴょん跳ねて巣の奥へと進んでいくと、再び赤いリボンを発見した。 「ゆん!?どうしてりぼんがおちてるの!?」 能天気なまりさも、おかしいと気づく。 自分のおうちの中に、どうして赤ちゃんれいむのリボンが落ちているのか。 あのリボン、どこかで見た事がある気がする。 どこだろう?どこで見たんだろう? ……まあ、いいか。 まりさは気にしないで、巣の奥へと進んでいく。 だが、その一番奥でまりさが見たものは、今まで見てきた中で最も奇妙なものだった。 「ゆゆっ!?なんなのこれ!?ゆっくりできないよ!!」 巣の一番奥の、まりさの寝床。とても広くてゆっくり出来る、まりさの自慢のゆっくりプレイス。 そこには、赤いリボンや黒い帽子、そして見覚えのあるカチューシャが散乱していた。 餡子やカスタードクリームにまみれ、所々に皮も付着していることから、それらの持ち主が無事ではないことがわかる。 「ゆぐぐぐぐ!!!だれなの!?こんなゆっくりできないことをした……のは…」 まりさはゆっくりと思い出した。つい4時間ほど前のことを。 幸せそうな夫婦に憎い子供を押し付けようと、夫婦が不在になった隙に巣に入り込んだことを。 赤いリボン。黒い帽子。それらを身に着けた饅頭を、子供たちに食べさせたことを。 そして、その子供たちを置き去りにして、自分だけでゆっくりしたことを。 考え込むまりさは、背後で何かが動いた気がしてゆっくり後ろを振り向いた。 そこには、あの2匹が鎮座していた。 「あかちゃんをゆっくりかえしてね」 「まりさたちのかわいいあかちゃんをかえしてね」 「ゆっ!?どうじでごごにいるのぉ!?」 ゆっくり夫婦は、じりっと這うようにまりさを巣の壁へと追い詰めていく。 まりさは最初、体当たりで押しのけようとしたが、その攻撃にまったく顔を歪めない2匹を見て怖気づいてしまった。 ただ、笑っているだけ。笑っているだけの顔がこれほど怖いものだとは、まりさは知らなかった。 「ゆっ……ゆっくりやめてね!!まりさはわるくないよ!!ありすがむりやりすっきりしたのがわるいんだよ!!」 「かわいいあかちゃんをゆっくりかえしてね」 「どうしてかえしてくれないの?ゆっくりかえしてね」 会話がまったく成り立っていない。 まりさの声は、ゆっくり夫婦には届いていなかった。 壊れたおもちゃのように、『かえして』『かえして』とひたすら繰り返すゆっくり夫婦。 「ゆ?どうしていじわるするの?どうしてあかちゃんをかえしてくれないの?」 「それいじょうあかちゃんをかえしてくれないなら……」 「「まりさがあかちゃんになってね」」 「ゆびゃあああああぁぁgぁぇれlがぇ!!??」 一瞬の隙を突いてまりさに飛び掛り、思い切り突き飛ばす親れいむ。 直後、バランスを崩したまりさの底部を、親まりさが噛み千切った。 「いびっ!?ど、どぼぢえごんなごどをずるのぉ!?ひぎぃ!?」 このままでは命が危ないと思い、跳びはねて逃げようとしたのだが……身体は言うことを聞かなかった。 底部を噛み千切られたまりさは自力で移動できない。無理に移動しようとすれば、全身を激痛が駆け巡る。 下手に動く事だって出来ない。傷口から中身が漏れれば、それこそ命の危機である。 まりさは逃げ出したくても、まったく動く事が出来ずにいた。 「やっとゆっくりおとなしくなったね」 「これからは、れいむおかーさんとまりさおかーさんが、まりさをゆっくりさせてあげるからね」 「ゆっ…ゆっぐ……ゆっくりたすけてね……ゆっくりさせてね……」 すすり泣くまりさを尻目に、親れいむは巣の中に保管してあった食べ物を口に含んで、噛み砕いていく。 そして十分な軟らかさになったと判断すると、地面に横たわっているまりさの口の中にそれを捻じ込んだ。 噛む力が不十分な赤ん坊に食べ物を与えるのと同じように、愛情を込めて口移しする。 「ゆべっ!!ゆっぐじやめでね!!きたないよ!!うごぅ!?」 涎まみれの食べ物を口に押し込まれたまりさは、必死にそれを吐き出そうとする。 しかし、ゆっくり夫婦に口を閉ざされてしまったので、いくら吐き出そうとしても口の中で舌がもごもご動くだけだ。 「ゆっくりたべてね。たべないとおおきくなれないよ。ゆっくりできないよ」 「おかーさんのいうことをゆっくりきいてね。そうしないとゆっくりさせてあげないよ」 「やめっ!!でっ!!まりざば!!あが!!ぢゃん!!じゃないっ!!」 身を捩じらせて何とか口の隙間を作るが、途切れ途切れに声を発するだけで食べ物を吐き出すには至らない。 結局、諦めたまりさは口移しで食べ物を食べることを受け入れた。 この夫婦が怖かったから。ずっと笑っているこの夫婦が怖かったから。怒られるより怖かったから。 「ゆっぐ…むーしゃ…むーしゃ…ゆっぐううううぅぅぅ!!」 「なくほどうれしいんだね。れいむおかーさんもうれしいよ」 「つぎは“ちーちー”のじかんだね。まりさおかーさんがゆっくりてつだってあげるよ」 まりさの顔が、凍りついた。そして、さらに怖くなった。 目の前の2匹のゆっくりが、ゆっくりに似た別のものだと思えてきた。 「ゆっ!?それだけはやめてね!!ゆっくりやめてね!!ゆっくりできないいぃぃいいぃぃぃ!!!」 まりさの拒絶はあっさり受け流され、親まりさがまりさの顎―――排泄用の穴がある部分を、ぺろぺろ舐め始める。 赤ちゃんゆっくりは自力で排泄穴を開ける事が難しいので、親がこうして手伝ってやる事が多い。 「いやっ!!やめで!!だぢだぐない!!いひっ!ちーちーいやぁ!!ゆっくりさせてよおおおぉぉおおぉぉ!!!!」 そして、赤ん坊と同じように排泄穴を刺激されたまりさは…………我慢できなくなった。 「ゆあああああああああぁぁあぁあぁぁ!!!みないでええぇえええぇぇえぇぇええぇぇぇ!!!!」 その一部始終を、まばたききせず見つめているゆっくり夫婦。 ピクリとも動かないその笑顔に、まりさは自分の中の何かが崩れていくのを感じた。 もう、だめだ。自分は、この悪魔達から、逃げられない。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 とても大きな、とてもゆっくりした、可愛い赤ちゃん。 みんなの分まで、ゆっくりさせてあげようね。 これからは、お母さん達と一緒にゆっくりしようね。 可愛い赤ちゃんに、れいむとまりさは呼びかける。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは泣きながら頷いた。 ご飯を口移しで食べさせてあげたり、ちーちーやうんうんのお世話をしてあげたり。れいむは張り切っていた。 もうちょっと大きくなったら一緒に狩りにいきたいな。まりさの密かな願いである。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 たった1匹だけど、かけがえの無い子供。 れいむとまりさは、そのたった1匹の子供を思い切りゆっくりさせてあげることにした。 死んでしまった20匹の赤ちゃんの分も、ゆっくりさせてあげることにした。 ずっと、ずっとゆっくりしようね。 いつまでも、いつまでもゆっくりしようね。 おかーさんたちが、いつまでもゆっくりさせてあげるからね。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは狂ったように泣き叫びながら頷いた。 何度も何度も……声にならない叫びを上げながら、必死に頷いた。 (終) あとがき 低脳下等生物が托卵の真似事をしてうまくいくと思ったの?バカなの? そんなバカまりさには、自ら赤ちゃんになってもらうことにしました。 ……テンポ良く書ける時に限って、こういう変な話になるわけですが。 まったく意図しない方向に突っ走っちゃうし。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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「ゆっくり育児放棄」(後編) 前 “ちーちー”の描写が薄っすらと含まれてるよ!! 「ゆーん!!いっぱいとれたよ!!あかちゃんたちゆっくりよろこぶね!!」 「そうだね!!たくさんたべさせてあげようね!!ゆっくりさせてあげようね!!」 れいむとまりさの2匹は、取った食べ物を頬に含んだまま見つめ合って微笑んだ。 早く赤ちゃん達の喜ぶ顔が見たい。逸る気持ちを抑えきれず、ゆっくりしないで巣の中へと戻っていく。 巣の一番奥……赤ちゃん達が眠っているはずの場所。 ぴょんぴょんと跳ねて、れいむとまりさがそこにたどり着くと… 「ゆっくちしちぇいってね!!」 「ゆゆ?あなたたちはゆっくちできりゅひと?」 「できないならでていってね!!ここはありすたちのおうちだよ!!」 目の前で“自分の家”宣言する、赤ちゃんありすと赤ちゃんまりさ。 その背後に散らばっている餡子カスと、小さな帽子やリボン。れいむとまりさは、ここで何が起きたのか理解できなかった。 ただ…見覚えのある帽子とリボンが転がっていることから、とてもよくないことが起こったのはわかる。 れいむとまりさは、驚きのあまり口に含んでいた食べ物をこぼしてしまった。 「しらないひとはでていってね!!」 「ここはまりしゃたちのおうちだよ!!」 「ゆっ!?たべものをもってきちぇくれたの?だったらおうちにいてもいいよ!!」 「ゆ!!ゆっくりだまってね!!そこをどいてね!!」 「おまえもどくんだよ!!どかないとゆっくりさせないよ!!」 目障りな赤ちゃんゆっくりを押しのけて進む、れいむとまりさ。 2匹はわかっていた。赤ちゃんありすはともかく、この赤ちゃんまりさが自分達の子供ではないことを。 自分の子供が“出て行ってね”などというわけがない。ゆっくりという生き物は、母親の顔は一度見たら忘れないのだから。 目の前で喚いている赤ちゃん達は……別の親が生んだゆっくりだ。 だから、一刻も早く確認する必要がある。 そのリボンや帽子は、一体誰のものなのか。 「ゆべっ!!いちゃいよ!!ゆっくちやめてにぇ!!」 「ゆあああぁっぁあん!!ゆっくちしゃせてよおおおぉぉぉ!!!」 突き飛ばされて泣き喚く赤ちゃん達を無視して、れいむとまりさは周囲に散らかっているリボンと帽子を凝視した。 れいむはよく知っていた。 そのリボンは、ちょっと薄い赤色だった。ピンクに近いかもしれないが、どちらかというと赤だ。 結び目がとても硬くて、ちょっとやそっとでは解けない。 これならリボンをなくすことはない、と安心したのを覚えてる。 まりさはよく知っていた。 その帽子は、黒というよりはどちらかというと紺色に近かった。 とても頑丈に出来ていて、川を渡るときも水が染み込まないほどだ。 これなら川を渡ってずっと遠くに行けるね、と呟いたのを覚えてる。 なんでそんな事がわかるのか。 何度も見たからだ。 “それ”が生まれたのが嬉しくて、何度も見ても飽きなかったから。 嬉しくて嬉しくて、何度も何度も。 綺麗なリボンでよかったね。綺麗な帽子でよかったね。 絶対リボンを解いちゃダメだよ。 帽子を脱ぐのは、川を渡るときだけだよ。 一番最初に教えてあげたことだった。 じゃあ、なんで? なんで、それがここに転がってるの? どうして周りは餡子で汚れているの? どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして? 「ねぇ、おちびちゃんたち」 「ここに、ちいさなれいむとまりさがいなかった?」 れいむとまりさは、感情のまったく篭っていない声で背後の赤ちゃん達に問いかけた。 顔は笑っているが……それは生まれつきである。れいむとまりさは決して笑っていない。 でも、赤ちゃん達は笑顔で答える。れいむとまりさが“笑っていた”から。 「ゆぅ?れいむとまりしゃ?いにゃかったよ!!」 「でもね!!れいむとまりしゃのニセモノならいたよ!!」 「そうだよ!!れいみゅとまりさによくにた“まんじゅう”ならいたよ!!」 饅頭。 赤ちゃん達とは違い、れいむとまりさはその言葉の意味をよく知っていた。 甘い餡子の詰まった美味しい食べ物であること。 そして自分達の身体の中には、饅頭と同じく餡子が詰まっているということを。 「しゅごくおいしかったよ!!もっとたべたいよ!!」 「そうだよ!!じぇんじぇんたりなかったよ!!もっとたべさせてね!!」 「おいしいごはんをたくさんもってきてね!!そしたらまりしゃたちのおうちにいてもいいよ!!」 「ゆっくりたべちゃったんだね……れいむたちのあかちゃんを」 「ゆっ?なにいってるの?あれはれいむじゃなかったよ!!まんじゅうだよ!!」 「おねーさんたちばかにゃの?ゆっくりとまんじゅうをまちがえるわけぶちっぇ!?」 「……ゆっくりだまってね」 騒ぎ立てる赤ちゃんゆっくりの中の一匹を、まりさが黙らせた。その全体重を乗せて潰すことによって。 しんと静まり返る巣の中。赤ちゃんゆっくりたちは、目の前で起こったことを理解することができずにいる。 まりさが身を起こすと、うすっぺらになった赤ちゃんまりさの死に顔が、まりさの身体からぺらりと剥がれ落ちた。 「うがああぁあぁあぁぁぁぁぁああぁ!!!ありしゅのいぼうどがああああぁぁぁぁ!!!」 「まりしゃのおねーちゃんにどぼぢでえええええええええええぇえぇぇぇえぇぇ!!??」 その悲鳴に誘われたように、れいむとまりさも怒声を上げる。 「おまえたちがれいむたちのあかちゃんをたべちゃったんだ!!ぜったいにゆるさないよ!!」 「どうしてこんなことをしたのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 押さえ切れなかった怒りが、爆発した。 赤ちゃんゆっくりより遥かに大きい巨体が、生まれたての赤ん坊に全力で突進する。 「ゆゆっ!?ゆっくちにげりゅよ!!」 「そうはいかないよ!!ゆっくりにげないでしんでね!!」 「う゛ゅえ゛っ!?」 赤ちゃんゆっくりたちを逃がさぬよう、れいむとまりさは巣の出口を背にして、赤ちゃん達を追い詰める形を取る。 そうやって赤ちゃん達を巣の奥へと追い詰めていき、近くにいる赤ちゃんから手当たり次第に潰していく。 「ぶぎゅあぁあぁぁぁぁん!!!やめでね!!ゆっぐりやめでうぼっぁ!!」 「どぼぢでごんなごどずるのおおおおぉぉぉぉ!!?ありしゅはわるぐないぴゅえっ!?」 「まんじゅうたべでゆっぐりしでただげなのにいいぃぃいいぃぃぃあろっん!?」 「れいむたちのあかちゃんをころしたやつは、ゆっくりしんでね!!」 「もっとあかちゃんとゆっくりしたかったのに!!おまえらのせいだよ!!ゆっくりしね!!」 怒りに任せて、一匹ずつ潰していく。 一匹ずつ、あの世へと送っていく。 「あのよでゆっくりはんせいしてね!!」 「おそらのうえで、あかちゃんたちにゆっくりあやまってね!!」 れいむとまりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 これからずっとゆっくりするはずだったのに。大きくなったら、一緒に狩りに出かけるはずだったのに。 一緒にご飯を食べて、一緒にお散歩して、一緒にゆっくりするはずだったのに。 全部!!全部!!お前らのせいで!!ぶち壊しじゃないか!! 「ぢがっ!!まりじゃはっ!!あがぢゃんだべでないでぼりご!!?」 「ゆっぐりやめでねっ!!ありしゅはわるぐないよ!!だがらんぼあぅ!?」 何かおかしなことを口走っているが、聞く耳持たず。 自分の赤ちゃんを食べてしまうような悪魔の言葉に、耳を貸す必要はない。 こいつらはゆっくりじゃない。悪魔だ。だから殺してしまえ。殺してしまえ。 「もうやめでえ゛え゛え゛え゛え゛ええ゛え゛え゛ええ゛え゛ええぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「ゆッぐじさせでよお゛お゛おおお゛お゛おお゛ぉぉお゛お゛ぉぉぉお゛!!!!」 「ゆっくりしねえええぇええぇぇぇぇぇえぇ!!!」 そして、赤ちゃんゆっくりは残り一匹になった。 目の前で19匹の姉妹を殺された赤ちゃんありすは、同じ穴からちーちーとうんうんを同時に漏らしていた。 恐怖に塗りつぶされた顔。その顔を大河のように流れる涙。ありすの心は半分壊れていた。 その頃には、れいむとまりさも冷静さを取り戻しつつあった。 だが、怒りだけはおさまらない。たとえ赤ちゃんゆっくりを100匹殺そうと、怒りだけは消えない。 だから、最後の一匹も躊躇い無く潰す。その決意に揺るぎはなかった。 「おまえでさいごだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 「あのよでまりさたちのあかちゃんにあやまってね!!」 最後の一匹は苦しめて殺してやろう。れいむとまりさは、そう心に決めてゆっくりと子ありすを追い詰めていく。 「ゆっ、ゆっぐりやめでね!!ありしゅはわるぐないよ!!“おかーしゃん”がまんじゅうたべなさいっていったんだよ!!」 ありすにとっては、自分だけでも助かろうと必死に紡いだ言葉だ。 とにかく自分の命が最優先であり、言葉の内容など落ち着いて考えてられる余裕はない。 一方、冷静さを取り戻していたれいむとまりさは、その言葉を聞き逃さなかった。 お母さん。 お母さんが『饅頭食べなさい』と言った。 お母さんが。 お母さんが。 饅頭を、食べなさい、と言った。 「そのおかーさんはどんなひと?ゆっくりこたえてね」 「ゆっくりこたえたらたすけてあげるよ」 冷めた目で子ありすを見下ろし、問いかけるれいむとまりさ。 「ゆっ!!くろいぼうしをかぶってたよ!!いもうとのまりさとおなじかたちだったよ!!」 子ありすは助かりたい一心で、必死に自分が目にしたものを答える。 その言葉を聞いて、れいむとまりさは全てを理解した。 スッと、静かに巣の外へと這っていく2匹。 それを見た子ありすは、自分が見逃してもらえたのだと思い込んだ。 「ゆっ!!ゆっくりたすけてくれてありがちょう!!ゆっくちおかーしゃんのところにちゅれていってね!!」 ぶちんっ!! 「ぴっ!?」 その直後、2匹の巨体が子ありすを押しつぶした。 飛び散るカスタードクリーム。ぐにゃぐにゃに歪んだ眼球。型崩れした髪飾り。 べたりと地面に張り付く、驚愕の表情のまま固まった子ありすの皮。 れいむとまりさは、それを見ても何も言わなかった。 昼。 まりさは思う存分ゆっくりして、おうちに帰ってきた。 その頭には、かつて蔓が生えていた名残が残っている。 草原でゆっくりしているうちに蔓は枯れ落ちたが、本来食べさせるべき赤ちゃんゆっくりがその場にいなかったので放置してきた。 「ゆー!!とってもゆっくりできるよ!!」 昨夜は、発情したありすにレイプされて酷い目に遭ってしまったが、それももう昔のこと。 生まれてしまった赤ちゃんも別のゆっくり夫婦に押し付けて、自分は自由にゆっくり出来る。 まりさは、自分のしたことに何の罪悪感も感じていなかった。 ぴょんぴょんと跳ねて、おうちの入り口に到着。 真っ直ぐおうちの中に入ろうとしたとき、まりさは入り口のすぐ近くにあるものを見つけた。 「ゆゆっ!?これはなあに?」 それは、赤いリボンだった。 たぶんれいむ種のゆっくりがつけていたのを、うっかり落としてしまったのだろう。 その大きさから、かなり小さな……生まれたての赤ちゃんれいむのリボンだと思われた。 「ゆーん!!うっかりさんだね!!」 かわいそうだとは思ったが、まりさは大して気にしなかった。 見ず知らずの赤ちゃんゆっくりの行く末よりも、今は自分がゆっくりする事が大切なのだ。 と、ぴょんぴょん跳ねて巣の奥へと進んでいくと、再び赤いリボンを発見した。 「ゆん!?どうしてりぼんがおちてるの!?」 能天気なまりさも、おかしいと気づく。 自分のおうちの中に、どうして赤ちゃんれいむのリボンが落ちているのか。 あのリボン、どこかで見た事がある気がする。 どこだろう?どこで見たんだろう? ……まあ、いいか。 まりさは気にしないで、巣の奥へと進んでいく。 だが、その一番奥でまりさが見たものは、今まで見てきた中で最も奇妙なものだった。 「ゆゆっ!?なんなのこれ!?ゆっくりできないよ!!」 巣の一番奥の、まりさの寝床。とても広くてゆっくり出来る、まりさの自慢のゆっくりプレイス。 そこには、赤いリボンや黒い帽子、そして見覚えのあるカチューシャが散乱していた。 餡子やカスタードクリームにまみれ、所々に皮も付着していることから、それらの持ち主が無事ではないことがわかる。 「ゆぐぐぐぐ!!!だれなの!?こんなゆっくりできないことをした……のは…」 まりさはゆっくりと思い出した。つい4時間ほど前のことを。 幸せそうな夫婦に憎い子供を押し付けようと、夫婦が不在になった隙に巣に入り込んだことを。 赤いリボン。黒い帽子。それらを身に着けた饅頭を、子供たちに食べさせたことを。 そして、その子供たちを置き去りにして、自分だけでゆっくりしたことを。 考え込むまりさは、背後で何かが動いた気がしてゆっくり後ろを振り向いた。 そこには、あの2匹が鎮座していた。 「あかちゃんをゆっくりかえしてね」 「まりさたちのかわいいあかちゃんをかえしてね」 「ゆっ!?どうじでごごにいるのぉ!?」 ゆっくり夫婦は、じりっと這うようにまりさを巣の壁へと追い詰めていく。 まりさは最初、体当たりで押しのけようとしたが、その攻撃にまったく顔を歪めない2匹を見て怖気づいてしまった。 ただ、笑っているだけ。笑っているだけの顔がこれほど怖いものだとは、まりさは知らなかった。 「ゆっ……ゆっくりやめてね!!まりさはわるくないよ!!ありすがむりやりすっきりしたのがわるいんだよ!!」 「かわいいあかちゃんをゆっくりかえしてね」 「どうしてかえしてくれないの?ゆっくりかえしてね」 会話がまったく成り立っていない。 まりさの声は、ゆっくり夫婦には届いていなかった。 壊れたおもちゃのように、『かえして』『かえして』とひたすら繰り返すゆっくり夫婦。 「ゆ?どうしていじわるするの?どうしてあかちゃんをかえしてくれないの?」 「それいじょうあかちゃんをかえしてくれないなら……」 「「まりさがあかちゃんになってね」」 「ゆびゃあああああぁぁgぁぇれlがぇ!!??」 一瞬の隙を突いてまりさに飛び掛り、思い切り突き飛ばす親れいむ。 直後、バランスを崩したまりさの底部を、親まりさが噛み千切った。 「いびっ!?ど、どぼぢえごんなごどをずるのぉ!?ひぎぃ!?」 このままでは命が危ないと思い、跳びはねて逃げようとしたのだが……身体は言うことを聞かなかった。 底部を噛み千切られたまりさは自力で移動できない。無理に移動しようとすれば、全身を激痛が駆け巡る。 下手に動く事だって出来ない。傷口から中身が漏れれば、それこそ命の危機である。 まりさは逃げ出したくても、まったく動く事が出来ずにいた。 「やっとゆっくりおとなしくなったね」 「これからは、れいむおかーさんとまりさおかーさんが、まりさをゆっくりさせてあげるからね」 「ゆっ…ゆっぐ……ゆっくりたすけてね……ゆっくりさせてね……」 すすり泣くまりさを尻目に、親れいむは巣の中に保管してあった食べ物を口に含んで、噛み砕いていく。 そして十分な軟らかさになったと判断すると、地面に横たわっているまりさの口の中にそれを捻じ込んだ。 噛む力が不十分な赤ん坊に食べ物を与えるのと同じように、愛情を込めて口移しする。 「ゆべっ!!ゆっぐじやめでね!!きたないよ!!うごぅ!?」 涎まみれの食べ物を口に押し込まれたまりさは、必死にそれを吐き出そうとする。 しかし、ゆっくり夫婦に口を閉ざされてしまったので、いくら吐き出そうとしても口の中で舌がもごもご動くだけだ。 「ゆっくりたべてね。たべないとおおきくなれないよ。ゆっくりできないよ」 「おかーさんのいうことをゆっくりきいてね。そうしないとゆっくりさせてあげないよ」 「やめっ!!でっ!!まりざば!!あが!!ぢゃん!!じゃないっ!!」 身を捩じらせて何とか口の隙間を作るが、途切れ途切れに声を発するだけで食べ物を吐き出すには至らない。 結局、諦めたまりさは口移しで食べ物を食べることを受け入れた。 この夫婦が怖かったから。ずっと笑っているこの夫婦が怖かったから。怒られるより怖かったから。 「ゆっぐ…むーしゃ…むーしゃ…ゆっぐううううぅぅぅ!!」 「なくほどうれしいんだね。れいむおかーさんもうれしいよ」 「つぎは“ちーちー”のじかんだね。まりさおかーさんがゆっくりてつだってあげるよ」 まりさの顔が、凍りついた。そして、さらに怖くなった。 目の前の2匹のゆっくりが、ゆっくりに似た別のものだと思えてきた。 「ゆっ!?それだけはやめてね!!ゆっくりやめてね!!ゆっくりできないいぃぃいいぃぃぃ!!!」 まりさの拒絶はあっさり受け流され、親まりさがまりさの顎―――排泄用の穴がある部分を、ぺろぺろ舐め始める。 赤ちゃんゆっくりは自力で排泄穴を開ける事が難しいので、親がこうして手伝ってやる事が多い。 「いやっ!!やめで!!だぢだぐない!!いひっ!ちーちーいやぁ!!ゆっくりさせてよおおおぉぉおおぉぉ!!!!」 そして、赤ん坊と同じように排泄穴を刺激されたまりさは…………我慢できなくなった。 「ゆあああああああああぁぁあぁあぁぁ!!!みないでええぇえええぇぇえぇぇええぇぇぇ!!!!」 その一部始終を、まばたききせず見つめているゆっくり夫婦。 ピクリとも動かないその笑顔に、まりさは自分の中の何かが崩れていくのを感じた。 もう、だめだ。自分は、この悪魔達から、逃げられない。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 とても大きな、とてもゆっくりした、可愛い赤ちゃん。 みんなの分まで、ゆっくりさせてあげようね。 これからは、お母さん達と一緒にゆっくりしようね。 可愛い赤ちゃんに、れいむとまりさは呼びかける。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは泣きながら頷いた。 ご飯を口移しで食べさせてあげたり、ちーちーやうんうんのお世話をしてあげたり。れいむは張り切っていた。 もうちょっと大きくなったら一緒に狩りにいきたいな。まりさの密かな願いである。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 たった1匹だけど、かけがえの無い子供。 れいむとまりさは、そのたった1匹の子供を思い切りゆっくりさせてあげることにした。 死んでしまった20匹の赤ちゃんの分も、ゆっくりさせてあげることにした。 ずっと、ずっとゆっくりしようね。 いつまでも、いつまでもゆっくりしようね。 おかーさんたちが、いつまでもゆっくりさせてあげるからね。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは狂ったように泣き叫びながら頷いた。 何度も何度も……声にならない叫びを上げながら、必死に頷いた。 (終) あとがき 低脳下等生物が托卵の真似事をしてうまくいくと思ったの?バカなの? そんなバカまりさには、自ら赤ちゃんになってもらうことにしました。 ……テンポ良く書ける時に限って、こういう変な話になるわけですが。 まったく意図しない方向に突っ走っちゃうし。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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「ゆっくり育児放棄」(後編) 前 “ちーちー”の描写が薄っすらと含まれてるよ!! 「ゆーん!!いっぱいとれたよ!!あかちゃんたちゆっくりよろこぶね!!」 「そうだね!!たくさんたべさせてあげようね!!ゆっくりさせてあげようね!!」 れいむとまりさの2匹は、取った食べ物を頬に含んだまま見つめ合って微笑んだ。 早く赤ちゃん達の喜ぶ顔が見たい。逸る気持ちを抑えきれず、ゆっくりしないで巣の中へと戻っていく。 巣の一番奥……赤ちゃん達が眠っているはずの場所。 ぴょんぴょんと跳ねて、れいむとまりさがそこにたどり着くと… 「ゆっくちしちぇいってね!!」 「ゆゆ?あなたたちはゆっくちできりゅひと?」 「できないならでていってね!!ここはありすたちのおうちだよ!!」 目の前で“自分の家”宣言する、赤ちゃんありすと赤ちゃんまりさ。 その背後に散らばっている餡子カスと、小さな帽子やリボン。れいむとまりさは、ここで何が起きたのか理解できなかった。 ただ…見覚えのある帽子とリボンが転がっていることから、とてもよくないことが起こったのはわかる。 れいむとまりさは、驚きのあまり口に含んでいた食べ物をこぼしてしまった。 「しらないひとはでていってね!!」 「ここはまりしゃたちのおうちだよ!!」 「ゆっ!?たべものをもってきちぇくれたの?だったらおうちにいてもいいよ!!」 「ゆ!!ゆっくりだまってね!!そこをどいてね!!」 「おまえもどくんだよ!!どかないとゆっくりさせないよ!!」 目障りな赤ちゃんゆっくりを押しのけて進む、れいむとまりさ。 2匹はわかっていた。赤ちゃんありすはともかく、この赤ちゃんまりさが自分達の子供ではないことを。 自分の子供が“出て行ってね”などというわけがない。ゆっくりという生き物は、母親の顔は一度見たら忘れないのだから。 目の前で喚いている赤ちゃん達は……別の親が生んだゆっくりだ。 だから、一刻も早く確認する必要がある。 そのリボンや帽子は、一体誰のものなのか。 「ゆべっ!!いちゃいよ!!ゆっくちやめてにぇ!!」 「ゆあああぁっぁあん!!ゆっくちしゃせてよおおおぉぉぉ!!!」 突き飛ばされて泣き喚く赤ちゃん達を無視して、れいむとまりさは周囲に散らかっているリボンと帽子を凝視した。 れいむはよく知っていた。 そのリボンは、ちょっと薄い赤色だった。ピンクに近いかもしれないが、どちらかというと赤だ。 結び目がとても硬くて、ちょっとやそっとでは解けない。 これならリボンをなくすことはない、と安心したのを覚えてる。 まりさはよく知っていた。 その帽子は、黒というよりはどちらかというと紺色に近かった。 とても頑丈に出来ていて、川を渡るときも水が染み込まないほどだ。 これなら川を渡ってずっと遠くに行けるね、と呟いたのを覚えてる。 なんでそんな事がわかるのか。 何度も見たからだ。 “それ”が生まれたのが嬉しくて、何度も見ても飽きなかったから。 嬉しくて嬉しくて、何度も何度も。 綺麗なリボンでよかったね。綺麗な帽子でよかったね。 絶対リボンを解いちゃダメだよ。 帽子を脱ぐのは、川を渡るときだけだよ。 一番最初に教えてあげたことだった。 じゃあ、なんで? なんで、それがここに転がってるの? どうして周りは餡子で汚れているの? どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして? 「ねぇ、おちびちゃんたち」 「ここに、ちいさなれいむとまりさがいなかった?」 れいむとまりさは、感情のまったく篭っていない声で背後の赤ちゃん達に問いかけた。 顔は笑っているが……それは生まれつきである。れいむとまりさは決して笑っていない。 でも、赤ちゃん達は笑顔で答える。れいむとまりさが“笑っていた”から。 「ゆぅ?れいむとまりしゃ?いにゃかったよ!!」 「でもね!!れいむとまりしゃのニセモノならいたよ!!」 「そうだよ!!れいみゅとまりさによくにた“まんじゅう”ならいたよ!!」 饅頭。 赤ちゃん達とは違い、れいむとまりさはその言葉の意味をよく知っていた。 甘い餡子の詰まった美味しい食べ物であること。 そして自分達の身体の中には、饅頭と同じく餡子が詰まっているということを。 「しゅごくおいしかったよ!!もっとたべたいよ!!」 「そうだよ!!じぇんじぇんたりなかったよ!!もっとたべさせてね!!」 「おいしいごはんをたくさんもってきてね!!そしたらまりしゃたちのおうちにいてもいいよ!!」 「ゆっくりたべちゃったんだね……れいむたちのあかちゃんを」 「ゆっ?なにいってるの?あれはれいむじゃなかったよ!!まんじゅうだよ!!」 「おねーさんたちばかにゃの?ゆっくりとまんじゅうをまちがえるわけぶちっぇ!?」 「……ゆっくりだまってね」 騒ぎ立てる赤ちゃんゆっくりの中の一匹を、まりさが黙らせた。その全体重を乗せて潰すことによって。 しんと静まり返る巣の中。赤ちゃんゆっくりたちは、目の前で起こったことを理解することができずにいる。 まりさが身を起こすと、うすっぺらになった赤ちゃんまりさの死に顔が、まりさの身体からぺらりと剥がれ落ちた。 「うがああぁあぁあぁぁぁぁぁああぁ!!!ありしゅのいぼうどがああああぁぁぁぁ!!!」 「まりしゃのおねーちゃんにどぼぢでえええええええええええぇえぇぇぇえぇぇ!!??」 その悲鳴に誘われたように、れいむとまりさも怒声を上げる。 「おまえたちがれいむたちのあかちゃんをたべちゃったんだ!!ぜったいにゆるさないよ!!」 「どうしてこんなことをしたのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 押さえ切れなかった怒りが、爆発した。 赤ちゃんゆっくりより遥かに大きい巨体が、生まれたての赤ん坊に全力で突進する。 「ゆゆっ!?ゆっくちにげりゅよ!!」 「そうはいかないよ!!ゆっくりにげないでしんでね!!」 「う゛ゅえ゛っ!?」 赤ちゃんゆっくりたちを逃がさぬよう、れいむとまりさは巣の出口を背にして、赤ちゃん達を追い詰める形を取る。 そうやって赤ちゃん達を巣の奥へと追い詰めていき、近くにいる赤ちゃんから手当たり次第に潰していく。 「ぶぎゅあぁあぁぁぁぁん!!!やめでね!!ゆっぐりやめでうぼっぁ!!」 「どぼぢでごんなごどずるのおおおおぉぉぉぉ!!?ありしゅはわるぐないぴゅえっ!?」 「まんじゅうたべでゆっぐりしでただげなのにいいぃぃいいぃぃぃあろっん!?」 「れいむたちのあかちゃんをころしたやつは、ゆっくりしんでね!!」 「もっとあかちゃんとゆっくりしたかったのに!!おまえらのせいだよ!!ゆっくりしね!!」 怒りに任せて、一匹ずつ潰していく。 一匹ずつ、あの世へと送っていく。 「あのよでゆっくりはんせいしてね!!」 「おそらのうえで、あかちゃんたちにゆっくりあやまってね!!」 れいむとまりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 これからずっとゆっくりするはずだったのに。大きくなったら、一緒に狩りに出かけるはずだったのに。 一緒にご飯を食べて、一緒にお散歩して、一緒にゆっくりするはずだったのに。 全部!!全部!!お前らのせいで!!ぶち壊しじゃないか!! 「ぢがっ!!まりじゃはっ!!あがぢゃんだべでないでぼりご!!?」 「ゆっぐりやめでねっ!!ありしゅはわるぐないよ!!だがらんぼあぅ!?」 何かおかしなことを口走っているが、聞く耳持たず。 自分の赤ちゃんを食べてしまうような悪魔の言葉に、耳を貸す必要はない。 こいつらはゆっくりじゃない。悪魔だ。だから殺してしまえ。殺してしまえ。 「もうやめでえ゛え゛え゛え゛え゛ええ゛え゛え゛ええ゛え゛ええぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「ゆッぐじさせでよお゛お゛おおお゛お゛おお゛ぉぉお゛お゛ぉぉぉお゛!!!!」 「ゆっくりしねえええぇええぇぇぇぇぇえぇ!!!」 そして、赤ちゃんゆっくりは残り一匹になった。 目の前で19匹の姉妹を殺された赤ちゃんありすは、同じ穴からちーちーとうんうんを同時に漏らしていた。 恐怖に塗りつぶされた顔。その顔を大河のように流れる涙。ありすの心は半分壊れていた。 その頃には、れいむとまりさも冷静さを取り戻しつつあった。 だが、怒りだけはおさまらない。たとえ赤ちゃんゆっくりを100匹殺そうと、怒りだけは消えない。 だから、最後の一匹も躊躇い無く潰す。その決意に揺るぎはなかった。 「おまえでさいごだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 「あのよでまりさたちのあかちゃんにあやまってね!!」 最後の一匹は苦しめて殺してやろう。れいむとまりさは、そう心に決めてゆっくりと子ありすを追い詰めていく。 「ゆっ、ゆっぐりやめでね!!ありしゅはわるぐないよ!!“おかーしゃん”がまんじゅうたべなさいっていったんだよ!!」 ありすにとっては、自分だけでも助かろうと必死に紡いだ言葉だ。 とにかく自分の命が最優先であり、言葉の内容など落ち着いて考えてられる余裕はない。 一方、冷静さを取り戻していたれいむとまりさは、その言葉を聞き逃さなかった。 お母さん。 お母さんが『饅頭食べなさい』と言った。 お母さんが。 お母さんが。 饅頭を、食べなさい、と言った。 「そのおかーさんはどんなひと?ゆっくりこたえてね」 「ゆっくりこたえたらたすけてあげるよ」 冷めた目で子ありすを見下ろし、問いかけるれいむとまりさ。 「ゆっ!!くろいぼうしをかぶってたよ!!いもうとのまりさとおなじかたちだったよ!!」 子ありすは助かりたい一心で、必死に自分が目にしたものを答える。 その言葉を聞いて、れいむとまりさは全てを理解した。 スッと、静かに巣の外へと這っていく2匹。 それを見た子ありすは、自分が見逃してもらえたのだと思い込んだ。 「ゆっ!!ゆっくりたすけてくれてありがちょう!!ゆっくちおかーしゃんのところにちゅれていってね!!」 ぶちんっ!! 「ぴっ!?」 その直後、2匹の巨体が子ありすを押しつぶした。 飛び散るカスタードクリーム。ぐにゃぐにゃに歪んだ眼球。型崩れした髪飾り。 べたりと地面に張り付く、驚愕の表情のまま固まった子ありすの皮。 れいむとまりさは、それを見ても何も言わなかった。 昼。 まりさは思う存分ゆっくりして、おうちに帰ってきた。 その頭には、かつて蔓が生えていた名残が残っている。 草原でゆっくりしているうちに蔓は枯れ落ちたが、本来食べさせるべき赤ちゃんゆっくりがその場にいなかったので放置してきた。 「ゆー!!とってもゆっくりできるよ!!」 昨夜は、発情したありすにレイプされて酷い目に遭ってしまったが、それももう昔のこと。 生まれてしまった赤ちゃんも別のゆっくり夫婦に押し付けて、自分は自由にゆっくり出来る。 まりさは、自分のしたことに何の罪悪感も感じていなかった。 ぴょんぴょんと跳ねて、おうちの入り口に到着。 真っ直ぐおうちの中に入ろうとしたとき、まりさは入り口のすぐ近くにあるものを見つけた。 「ゆゆっ!?これはなあに?」 それは、赤いリボンだった。 たぶんれいむ種のゆっくりがつけていたのを、うっかり落としてしまったのだろう。 その大きさから、かなり小さな……生まれたての赤ちゃんれいむのリボンだと思われた。 「ゆーん!!うっかりさんだね!!」 かわいそうだとは思ったが、まりさは大して気にしなかった。 見ず知らずの赤ちゃんゆっくりの行く末よりも、今は自分がゆっくりする事が大切なのだ。 と、ぴょんぴょん跳ねて巣の奥へと進んでいくと、再び赤いリボンを発見した。 「ゆん!?どうしてりぼんがおちてるの!?」 能天気なまりさも、おかしいと気づく。 自分のおうちの中に、どうして赤ちゃんれいむのリボンが落ちているのか。 あのリボン、どこかで見た事がある気がする。 どこだろう?どこで見たんだろう? ……まあ、いいか。 まりさは気にしないで、巣の奥へと進んでいく。 だが、その一番奥でまりさが見たものは、今まで見てきた中で最も奇妙なものだった。 「ゆゆっ!?なんなのこれ!?ゆっくりできないよ!!」 巣の一番奥の、まりさの寝床。とても広くてゆっくり出来る、まりさの自慢のゆっくりプレイス。 そこには、赤いリボンや黒い帽子、そして見覚えのあるカチューシャが散乱していた。 餡子やカスタードクリームにまみれ、所々に皮も付着していることから、それらの持ち主が無事ではないことがわかる。 「ゆぐぐぐぐ!!!だれなの!?こんなゆっくりできないことをした……のは…」 まりさはゆっくりと思い出した。つい4時間ほど前のことを。 幸せそうな夫婦に憎い子供を押し付けようと、夫婦が不在になった隙に巣に入り込んだことを。 赤いリボン。黒い帽子。それらを身に着けた饅頭を、子供たちに食べさせたことを。 そして、その子供たちを置き去りにして、自分だけでゆっくりしたことを。 考え込むまりさは、背後で何かが動いた気がしてゆっくり後ろを振り向いた。 そこには、あの2匹が鎮座していた。 「あかちゃんをゆっくりかえしてね」 「まりさたちのかわいいあかちゃんをかえしてね」 「ゆっ!?どうじでごごにいるのぉ!?」 ゆっくり夫婦は、じりっと這うようにまりさを巣の壁へと追い詰めていく。 まりさは最初、体当たりで押しのけようとしたが、その攻撃にまったく顔を歪めない2匹を見て怖気づいてしまった。 ただ、笑っているだけ。笑っているだけの顔がこれほど怖いものだとは、まりさは知らなかった。 「ゆっ……ゆっくりやめてね!!まりさはわるくないよ!!ありすがむりやりすっきりしたのがわるいんだよ!!」 「かわいいあかちゃんをゆっくりかえしてね」 「どうしてかえしてくれないの?ゆっくりかえしてね」 会話がまったく成り立っていない。 まりさの声は、ゆっくり夫婦には届いていなかった。 壊れたおもちゃのように、『かえして』『かえして』とひたすら繰り返すゆっくり夫婦。 「ゆ?どうしていじわるするの?どうしてあかちゃんをかえしてくれないの?」 「それいじょうあかちゃんをかえしてくれないなら……」 「「まりさがあかちゃんになってね」」 「ゆびゃあああああぁぁgぁぇれlがぇ!!??」 一瞬の隙を突いてまりさに飛び掛り、思い切り突き飛ばす親れいむ。 直後、バランスを崩したまりさの底部を、親まりさが噛み千切った。 「いびっ!?ど、どぼぢえごんなごどをずるのぉ!?ひぎぃ!?」 このままでは命が危ないと思い、跳びはねて逃げようとしたのだが……身体は言うことを聞かなかった。 底部を噛み千切られたまりさは自力で移動できない。無理に移動しようとすれば、全身を激痛が駆け巡る。 下手に動く事だって出来ない。傷口から中身が漏れれば、それこそ命の危機である。 まりさは逃げ出したくても、まったく動く事が出来ずにいた。 「やっとゆっくりおとなしくなったね」 「これからは、れいむおかーさんとまりさおかーさんが、まりさをゆっくりさせてあげるからね」 「ゆっ…ゆっぐ……ゆっくりたすけてね……ゆっくりさせてね……」 すすり泣くまりさを尻目に、親れいむは巣の中に保管してあった食べ物を口に含んで、噛み砕いていく。 そして十分な軟らかさになったと判断すると、地面に横たわっているまりさの口の中にそれを捻じ込んだ。 噛む力が不十分な赤ん坊に食べ物を与えるのと同じように、愛情を込めて口移しする。 「ゆべっ!!ゆっぐじやめでね!!きたないよ!!うごぅ!?」 涎まみれの食べ物を口に押し込まれたまりさは、必死にそれを吐き出そうとする。 しかし、ゆっくり夫婦に口を閉ざされてしまったので、いくら吐き出そうとしても口の中で舌がもごもご動くだけだ。 「ゆっくりたべてね。たべないとおおきくなれないよ。ゆっくりできないよ」 「おかーさんのいうことをゆっくりきいてね。そうしないとゆっくりさせてあげないよ」 「やめっ!!でっ!!まりざば!!あが!!ぢゃん!!じゃないっ!!」 身を捩じらせて何とか口の隙間を作るが、途切れ途切れに声を発するだけで食べ物を吐き出すには至らない。 結局、諦めたまりさは口移しで食べ物を食べることを受け入れた。 この夫婦が怖かったから。ずっと笑っているこの夫婦が怖かったから。怒られるより怖かったから。 「ゆっぐ…むーしゃ…むーしゃ…ゆっぐううううぅぅぅ!!」 「なくほどうれしいんだね。れいむおかーさんもうれしいよ」 「つぎは“ちーちー”のじかんだね。まりさおかーさんがゆっくりてつだってあげるよ」 まりさの顔が、凍りついた。そして、さらに怖くなった。 目の前の2匹のゆっくりが、ゆっくりに似た別のものだと思えてきた。 「ゆっ!?それだけはやめてね!!ゆっくりやめてね!!ゆっくりできないいぃぃいいぃぃぃ!!!」 まりさの拒絶はあっさり受け流され、親まりさがまりさの顎―――排泄用の穴がある部分を、ぺろぺろ舐め始める。 赤ちゃんゆっくりは自力で排泄穴を開ける事が難しいので、親がこうして手伝ってやる事が多い。 「いやっ!!やめで!!だぢだぐない!!いひっ!ちーちーいやぁ!!ゆっくりさせてよおおおぉぉおおぉぉ!!!!」 そして、赤ん坊と同じように排泄穴を刺激されたまりさは…………我慢できなくなった。 「ゆあああああああああぁぁあぁあぁぁ!!!みないでええぇえええぇぇえぇぇええぇぇぇ!!!!」 その一部始終を、まばたききせず見つめているゆっくり夫婦。 ピクリとも動かないその笑顔に、まりさは自分の中の何かが崩れていくのを感じた。 もう、だめだ。自分は、この悪魔達から、逃げられない。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 とても大きな、とてもゆっくりした、可愛い赤ちゃん。 みんなの分まで、ゆっくりさせてあげようね。 これからは、お母さん達と一緒にゆっくりしようね。 可愛い赤ちゃんに、れいむとまりさは呼びかける。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは泣きながら頷いた。 ご飯を口移しで食べさせてあげたり、ちーちーやうんうんのお世話をしてあげたり。れいむは張り切っていた。 もうちょっと大きくなったら一緒に狩りにいきたいな。まりさの密かな願いである。 れいむとまりさの夫婦は、20匹の赤ちゃんを授かった。 とても残念なことに、その赤ちゃんはみんなゆっくりできないやつに殺されてしまった。 でも、れいむとまりさはとてもゆっくりしていた。 何故なら、21匹目の赤ちゃんを、こうして授かる事が出来たから。 たった1匹だけど、かけがえの無い子供。 れいむとまりさは、そのたった1匹の子供を思い切りゆっくりさせてあげることにした。 死んでしまった20匹の赤ちゃんの分も、ゆっくりさせてあげることにした。 ずっと、ずっとゆっくりしようね。 いつまでも、いつまでもゆっくりしようね。 おかーさんたちが、いつまでもゆっくりさせてあげるからね。 その呼びかけに、可愛い赤ちゃんは狂ったように泣き叫びながら頷いた。 何度も何度も……声にならない叫びを上げながら、必死に頷いた。 (終) あとがき 低脳下等生物が托卵の真似事をしてうまくいくと思ったの?バカなの? そんなバカまりさには、自ら赤ちゃんになってもらうことにしました。 ……テンポ良く書ける時に限って、こういう変な話になるわけですが。 まったく意図しない方向に突っ走っちゃうし。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
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「ゆっくり育児放棄」(前編) 後編に“ちーちー”の描写が薄っすらと含まれてるよ!! 「んほおおおおおおあおおあおあおあお!!!すっきりするううぅぅぅうっぅうぅぅぅぅ!!!!」 「れいむううううっぅぅぅぅぅう!!!すっぎりじでえええええぇえぇえぇぇ!!!」 飛び散る、汁、汁、汁。 木の根元に掘られた巣穴の奥。誰も入り込まない2人の愛の巣。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、生まれてはじめての“すっきり”をした。 「「んほほほほほあおあおおあおあおあおあおあおあ!!!すっきりいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーー!!!!」」 血走る目、大きく開かれた口。そこからばら撒かれる唾液と、その他のいろいろな粘液。 子供なら泣いて逃げ出してしまうだろう、バケモノのような風貌で2匹は同時に達した。 外は暗黒。れみりゃすら出歩かない真夜中。 2匹は、存分に余韻に浸っていた。 「んひゅうううぅぅぅ……すっきりしたよぉ…」 「まりさもぉ……すっきりぃー……」 ―――2匹がそれぞれの親元から離れ、共に新たなゆっくりプレイスを探す旅に出たのは、半年前ことだ。 それまで親の庇護の元、何不自由なくゆっくりしてきた2匹にとって、その旅は苦労の連続だった。 『ゆーん……おなかすいたよぉ……』 『がんばってね!!もうすぐおはなさんをたくさんたべられるからね!!』 度重なる野宿。3食満足な食事がとれる保証はなかった。 『ゆゆ!!あめさん!!ゆっくりやんでね!!』 『ゆっくりしすぎだよ!!まりさたちがゆっくりできないよ!!』 雨が3日間連続して降ったときは、このまま雨が二度と止まないのではないかと不安になった。 容赦ない雨に打たれ、溶けて死んでいったゆっくりを見て、2匹は恐ろしさに震えが止まらなかった。 『うー!!たーべちゃーうぞー♪』 『うわあああああああぁぁぁあぁぁぁ!!!れみりゃだああああぁぁああぁぁぁ!!!!』 『だべないでえぇぇえぇぇえっぇぇ!!!まりざはおいじぐないよおおおおおおぉぉぉ!!!』 寝床を見つけられないまま夜になってしまい、れみりゃと遭遇したときは死を覚悟した。 それでも運よく、れみりゃの入れない小さな洞穴を見つける事が出来、2匹揃って生き延びる事が出来た。 何度も何度も、命の危機を乗り越え……やっと見つけたゆっくりプレイス。 そこはゆっくりがみんな仲良くゆっくりしている最高の楽園。 れいむとまりさは、これ以上のゆっくりプレイスはないと確信し、定住を決意した。 『まりさ!!ここならずっとゆっくりできるよ!!』 『そうだね!!これからもいっしょにゆっくりしようね!!』 半年の旅を経て、2匹の愛は更に深まっていた。 共に危険を乗り越えてきた2匹。その愛を断ち切ることは、誰にも出来ない。 『れいむはまりさのあかちゃんがほしいよ!!とてもゆっくりしたあかちゃんがほしいよ!!』 『まりさもだよ!!れいむのゆっくりとしたあかちゃん!!ふたりでゆっくりつくろうね!!』 そして、今。 2匹は母ゆっくりから教わっていた方法で、記念すべき最初のすっきりをしたのだ。 「ゆー!!とてもゆっくりしたあかちゃんだよ!!」 「そうだね!!かわいいあかちゃんだね!!うまれたらみんなでゆっくりしようね!!」 れいむの頭の上に生えた、3本の蔓。 合計20個の実が、そこには実っていた。 2匹はなんとなく、こうなるだろうと思っていた。きっとれいむが子を実らせるだろう、と。 なんとなく、である。その方がゆっくり出来る気がした、それだけのことだ。 「ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「うまれてきたらいっしょにたくさんゆっくりしようね!!」 蔓に実った20匹のゆっくりに、微笑みながら話しかける2匹。 まだ目は開いておらず、口も閉じたまま。帽子もリボンも無いので、両親のどちらと同じ形で生まれるかもわからない。 でも、すでに耳は機能しているようで、両親の言葉を聞いてぴくりと身を震わす赤ん坊もいた。 「ゆぅぅぅぅ!!!ゆっくりきこえたんだね!!れいむはうれしいよおおおおおお!!!」 「これならうまれてからもゆっくりできるよおおおおお!!!」 2匹は嬉しさのあまり、大粒の涙を流した。 半年間の旅の苦労。至ることのできた最高のゆっくりプレイス。そして、これから生まれるであろうかわいい子供。 れいむとまりさが思い描く未来は、とても明るかった。ずっとずっとゆっくりできる。根拠はないけど、確信していた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 そんな、夜。2匹が輝かしい未来に思いを馳せている、その瞬間。 それほど遠くない場所で、悲劇は起こっていた。 「いや……どぼぢで…ごんなごどにいいぃぃ………」 暗い巣穴。全身ボロボロの状態で、目に涙を浮かべながら外を見つめるのは、ゆっくりまりさだ。 その視線の先には、背を向けて満足げに去っていくゆっくりありす。 「ひどいよ……ぜんぜんゆっぐじでぎないよおおおおおお………」 まりさの頭上には3本の蔓が生えていた。原因は、ありすによるレイプだ。 昼間に草原で出会ったありすに一目惚れし、自分のおうちに連れてきてしまった結果がこれである。 まりさは、今になってかつての母親の教えを思い出した。 『ありすとふたりきりになったら、ゆっくりできなくなるよ!!』 間違っても、ありすをおうちに連れ込んで2人きりになってはいけなかったのだ。 しかし、それを思い出したところで、今更遅い。まりさはありすとの子を実らせてしまった事実は、取り消せない。 まりさの頭上には、合計20匹の赤ちゃんゆっくりが実っていた。 「ゆぐうううぅぅぅぅ!!!どうすればいいのおおおおおおおお!!??こんなこどもいやだよおおおおおおお!!!」 レイプ魔ありすの子供なんて、生みたくないし育てたくもない。 だからといって殺すわけにもいかなかった。もし子供を殺している現場が他のゆっくりに見つかれば、集団リンチものである。 この群れに処刑という概念はないが、ゆっくりを殺してはいけないという最低限の倫理観は存在していた。 「……このままじゃゆっぐじでぎなぐなるよおおおおおおお!!!」 自分は、まだまだゆっくりしたい。望んでもいない子供の世話なんてまっぴらだ。 成体になったとはいえ、まだまだ遊び盛りのまりさにとって、子育て……それもレイプされて生まれた子供を育てるという行為は、苦痛でしかなかった。 可能ならば、子供は生みたくない。生まれたとしても、絶対に育てたくない。 そんなまりさの思いとは裏腹に、蔓に実った子供は順調に形を成していく。 うっすら閉じた目。きゅっと結んだ口。髪飾りはまだないので、親のどちらに似て生まれるかはわからない。 それでも、確実にゆっくりとしての形は形成していた。おそらく、数時間後……日の出直後には生まれてしまうだろう。 「ゆぅ……ゆっくりしたいよぉ……こんなあかちゃんいやだよおぉ………どうすればいいのぉ!?」 その時だった。そう遠くない、離れた巣から2匹のゆっくりの声がかすかに聞こえたのは。 「ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「うまれてきたらいっしょにたくさんゆっくりしようね!!」 赤ん坊が実ったことを祝福する、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの声だ。 2匹の明るい声色から、まりさは理解した。これから向こうで生まれる赤ん坊達は、みんな望まれて出来た、祝福されるべき赤ん坊なのだ。 まりさは、うらやましかった。存分に愛し合う2匹が。その結果生まれる、愛されることを約束された赤ん坊が。 それにくらべて、自分はどうだ。一目惚れしたありすに裏切られ、20匹もの赤ん坊を孕まされて独りぼっち。 もし、このまま赤ん坊が生まれれば、自分だけでその世話をしなければならない。 「ゆっぐ……ずるいよぉ………どうしてまりさだけ…ゆっくりさせてくれないのぉ……?」 まりさは、羨ましさを通り越して、2匹が憎くなった。 自分がこんな目にあっているのに、どうしてあいつらは幸せなんだ。ずるい。ずるい。こんなの不公平だ。 心の中で毒づくまりさ。自分の不幸を嘆き、そしてその不幸に対して何も出来ない、無力なまりさ。 その時、まりさは“ある事”を思いついた。 「ゆっ?………ゆゆゆゆゆゆゆゆっ!!」 まりさの表情が、一気に晴れた。自分の身に降りかかった不幸を払いのける、最良の方法を思いついたのだ。 自分で子供を殺す必要はなく、それでいて自分で子供を育てる必要もない……そんな最高の方法。 簡単なことだ。子供を育てるのが“自分”である必要はない。 「ゆふふ!!いいことおもいついたよ!!これでゆっくりできるよ!!」 まりさは、暗闇の向こうの……例の2匹の巣がある方向へ、視線を向けた。 早朝。 眠ることなく赤ん坊の誕生を今か今かと待っていた、れいむとまりさ。 かつて母ゆっくりに教わった事が本当なら、そろそろ生まれてもいい頃だ。 「ゆーん……あかちゃんたち、とてもゆっくりしてるね!!」 「そうだね!!でもまりさはそろそろうまれてきてほしいよ!!」 ゆっくり生まれてきて欲しいと望んではいるが、早く生まれた赤ちゃん達とゆっくりしたい。その気持ちも本物だ。 でも、無理やり蔓から切り離したら、赤ちゃん達がゆっくりできなくなる。 まりさはもどかしさに身悶えながら、誕生のときを待ち続けた。 そして。 「……ゆゆっ!?なんだかへんなかんじがするよ!!」 「れいむ!!あかちゃんがゆっくりうごいてるよ!!もうすぐゆっくりうまれるんだよ!!」 違和感を感じたれいむ。まりさはれいむの頭上を見上げた。 かすかに目を開き、もごもごと口を動かしている赤ちゃんゆっくり。出産のときが近いのだ。 その違和感の正体を知ったれいむは、その場にじっと留まって視線を上に向ける。 「ゆゆゆ!!うまれるよ!!ゆっくりうまれるよおおおおおお!!」 「がんばってね!!あかちゃんはゆっくりがんばってね!!」 ゆらゆらと、自分の力で実を揺らす赤ちゃんゆっくり。 母ゆっくりが手伝う必要はない。じっと待っていれば、そのうち自力で蔓から切り離れる。 赤ちゃんゆっくりは目をぎゅっと閉じ、力を振り絞って身体を揺らしている。 ぶち…ぶちぶち… 赤ちゃんゆっくりの頭と蔓とのつなぎ目が、少しずつ千切れていく。そして… ぶちっ!! ぽとん!! 最初の赤ちゃんゆっくりが、ぼよんと軽やかに弾みながら生れ落ちた。 「ゆっ…ゆゆ……ゆっくちしちぇいってね!!」 「ゆっくりしていってね!!れいむがおかーさんだよ!!」 「まりさもおかーさんだよ!!いっしょにゆっくりしようね!!」 これ以上ない幸福感だった。自分を生んだお母さんも、こんな思いだったのだろうか。 そんなことを考えながら、2匹の母親は最大級の歓迎でもって赤ちゃんゆっくりの誕生を祝福した。 「ゆっくちうまれりゅよー!!」「ゆっくちぃ~!!」 次々に生まれてくる、赤ちゃんゆっくりたち。 そのどれもがとてもゆっくりした、かけがえの無い子供たちだ。 10分ほどで、蔓に実っていた赤ちゃんゆっくり20匹全員が、無事に生まれ落ちた。 れいむ種が10匹、まりさ種が10匹、ちょうど半分ずつ。最適なバランスだった。 「ゆ~!!いっぱいうまれたね!!みんなとてもゆっくりしてるよぉ!!」 「そうだね!!これからはみんなでゆっくりするよ!!」 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「「「ゆっきゅちしていってにぇ!!」」」」」 「ずっとみんなでゆっくりしようね!!」 「おかーさんたちがゆっくりさせてあげるからね!!」 「「「「「ゆっくちそだててね!!!」」」」」 明るい声。明るい笑顔。誰もが幸せを感じ、それが永遠に続くと信じて疑わない。 たくさんの子供に囲まれて、れいむとまりさは幸せの絶頂に達していた。 そんな明るい笑い声が絶えない、木の根元の横穴。 すぐ近くの草陰に隠れているのは、頭上に3本の蔓を生やしたゆっくりまりさだ。 「ゆゆゆ!!まりさもゆっくりうまれそうだよ!!」 奇しくも、その蔓に実っているのは巣の中の赤ちゃんゆっくりと同じ、20匹。 だがまりさにとっては、赤ん坊の数などどうでもいいことだった。 とにかく、一刻も早く頭上の赤ちゃんを何とかしたい、それだけしか考えていない。 「ゆーん!!もうすこしでゆっくりできるよ!!!」 まりさは、“その時”が来るのをゆっくりと待ち続けた。 朝。 赤ちゃんが生まれてから1時間半後。 赤ちゃんゆっくりたちは、れいむの頭から切り離した蔓を食べた後、仲良く眠りについた。 あれほど賑やかだったおうちの中も、赤ん坊が眠ってしまうと元通りの静けさを取り戻す。 「ゆー…ゆっくりねむってるね!!」 「れいむ!!いまのうちにたべものをとりにいこうよ!!」 「ゆゆ!!それはめいあんだね!!」 れいむとまりさは、赤ちゃん達のために食べ物を取りに行くことにした。 親が2匹とも健在ならば、片方は赤ちゃんを見守るために残るべきなのだが、2匹はそうしなかった。 この2匹の巣は、れみりゃにも発情ありすにも見つからない完璧なカムフラージュが施されている。 雨の日に雨宿りにやってくるゆっくりすらいないぐらいだ。 食べ物を取りに行っている間も誰も来ないだろうし、赤ちゃんが目覚める前に帰ってくる自信もあった。 だから、2匹は眠っている赤ちゃんを置いて、食べ物を取りに行くことにしたのだ。 「ゆっくりしないでとってこようね!!」 「そうだね!!あかちゃんがおきるまえにゆっくりかえってこようね!!」 若干食い違っているような会話を交えながら、れいむとまりさは巣の外へと飛び出していく。 協力して食べ物をたくさん集めて、子供たちを喜ばせてあげよう。 そう心に決めて、草原の彼方へと跳ねていった。 「ゆへへ!!やっとでてきたよ!!」 まりさは、その時を待っていた。 巣の中の幸せそうな2匹が、赤ん坊を置き去りにしておうちから離れる、その時を。 2匹が巣穴から飛び出してくるのをその目で確認し、完全に姿が見えなくなるのを待ってから、まりさはその巣穴へと飛び込んだ。 「ゆー……たくさんゆっくりしてるよ」 一箇所に固まって眠っている赤ちゃんゆっくりを見て、まりさは独り言をこぼした。 目の前に並ぶのは、これからゆっくりさせてもらうことが確定しているであろう、幸せな赤ちゃん達。 そんな赤ちゃん達の穏やかな寝顔を見て、まりさは可愛く思ったが同時に憎くも感じた。 可愛い赤ん坊の寝顔。幸せそうな夫婦の笑顔。そして、それを取り巻く愛情。すべてが憎かった。 「……どうしておまえたちだけゆっくりできるの?まりさだってゆっくりしたいんだよ!?」 その憎しみは、本来ならレイプ魔ありすにぶつけるべきものだ。 だが、その相手は昨夜に逃亡して行方知れず。怒りが湧き起こっても、それをぶつける相手はもういないのだ。 「ゆぐぐ!!さっさとうまれてね!!ゆっくりしないでうまれてね!!」 まりさは、自分がここへ来た目的を思い出し、頭上の蔓をゆっさゆっさと揺らし始めた。 ここには長居すべきではない。れいむとまりさの夫婦が帰ってこない間に、そして赤ん坊達が眠っている間に、出産を終えなければならない。 頭上の赤ちゃん達のことを考えれば、蔓を揺らして無理やり赤ちゃんを産み落とすのはよくないことだ。 しかし、望まない赤ちゃんと一刻も早く縁を切りたいまりさにとって、赤ん坊の生まれた後のことなどどうでもよかった。 「うぐぐぐっぐ!!!さっさとしてね!!はやくうまれないとおこるよ!!」 母親の怒声に覚醒した頭上の赤ちゃん達が、慌てて身を揺すり始める。 やっと生まれる気になったのか、悪魔の子供め。 まりさは半分呆れ顔で、蔓を揺らし続けた。 「ゆっくち!!ゆっくちゆらしゃないでね!!まりしゃはゆっきゅちうまれりゅよ!!」 「ありしゅもゆっきゅちうまれちゃいよ!!ゆらしゃないでね!!」 無理やり蔓を揺らされるのは、赤ん坊にとっては気分のいいものではない。 場合によっては乗り物酔いと同じような状態になり、中身を吐き出してしまうこともあるのだ。 「うるさいよ!!さっさとうまれないとゆるさないよ!!ゆっくりしないでうまれてね!!」 赤ん坊に対する言葉とは思えないぐらい、まりさはその声に怒気を込めている。 母の頭上で眠っているとき、誕生を祝福されることを夢見ていた赤ちゃん達にとって、その言葉は心にどう響くだろうか。 「ゆきゅぅ……わかっちゃよ!!ゆっくちしないでうまれるにぇ!!」 「ゆん!!おきゃーさんもてちゅだってね!!」 「いわれなくてもわかってるよ!!ゆっくりしないでうまれてね!!さっさとうまれてね!!」 さっきから怒ってばかりの母親を見て、赤ちゃん達は悲しげな表情を浮かべながら身体を揺らし続ける。 まりさの揺れと、赤ちゃん達の揺れ。その2つの揺れで、赤ちゃん達と蔓との繋ぎ目が千切れていく。 そして……ぶちん!ぶちぶちぶちん!!ぶちぶちん!! 「ゆっきゅちうまりぇたよ!!」「ゆっくし!!」「ゆっくりぃ~!!」 ほぼ同時に、20匹の赤ちゃんが生まれ落ちた。まりさ種が10匹、ありす種が10匹だ。 目の前にいる大きなゆっくりまりさを母親と認識し、揃ってまりさの方を向く。 そして小さな目をうるうると輝かせながら、赤ちゃん達は生まれてはじめて“挨拶”をした。 「「「「「ゆっきゅちしちぇいってね!!」」」」」 「うるさいよ!!ゆっくりだまってね!!」 赤ちゃん達は唖然としてしまった。元気な挨拶が返ってくると思っていたのに、母の口から飛び出した言葉は全然違うものだった。 その意味は正確には理解できなかったが、なんとなく……怒られたのだという事だけはわかった。 「ゆ……どおちておこるの?」 「まりしゃたちわりゅいことしちゃの?」 「ゆっくちおこりゃないでね!!ありしゅたちはおかーしゃんのかわいいこどもだよ!!」 「ゆっくりしゃべらないでね!!ゆっくりできなくするよ!!」 「「「ゆん……」」」 それっきり、赤ちゃんゆっくりたちは黙り込んでしまった。 赤ちゃん達は、自分が望まれないで生まれたということを知らない。 母まりさがこんなにも自分達につらくあたる理由が、まったくわからないのだ。 「おかーしゃん……まりしゃおなかすいたよ…」 「ありしゅも!!ありしゅもおなかすいた!!」 「まりさも!!」「ありすも!!」「おなかしゅいたー!!」 生まれたての赤ちゃんは、基本的に空腹である。 普通なら母ゆっくりに、蔓を噛み砕いたものを食べさせてもらうのだが、まりさはそれをしなかった。 「ゆぐぐぐぐぐ!!!そんなにおなかがすいたなら、そこらへんのものをたべればいいよ!!」 と、言い切ったところで……まりさの視界にあるものが入った。 それは、れいむとまりさの夫婦が生んだ、赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさである。 まりさはゆっくり考えた。 最初はこのまま赤ん坊達を置き去りにして、帰ってきたれいむとまりさに育てさせる予定だった。 でも、これだけ赤ちゃんが増えればさすがに気づかれてしまうだろう。そうしたら計画は水泡に帰してしまう。 だから、赤ちゃんの数を最初と同じ程度まで減らす必要がある。 そのためにはどうすればいい? ゆっくり殺しは、見つかればリンチものだ。こんなクソガキのために痛い目に遭いたくない。 どうすれば……どうすれば、子供の数を減らせる? 自分で殺さず、子供を減らす方法…… 「ゆっ!!ゆゆゆゆゆ!!!!」 その時、まりさの餡子脳に電撃が走った。 思いついたのだ。子供の数を減らす最良の方法を。自分の手を汚さず、子供を減らす方法だ。 簡単なことだ。子供を殺すのが“自分”である必要はない。 「みんな!!ゆっくりきいてね!!そこにころがってる“まんじゅう”をみてね!!」 「ゆっ?まんじゅう?」「ゆっくちできりゅの?」「おなかしゅいたよ!!」 “饅頭”という言葉を知らない赤ちゃん達は、それがゆっくりできるものなのか、腹を満たせるものなのか、そうでないのかわからない。 だが、その言葉が示しているのが目の前で眠っている赤ちゃんゆっくりだと分かると、赤ちゃん達は困ったように口々に呟いた。 「おかーしゃん!!それはまんじゅうじゃないよ!!れいみゅだよ!!」 「そうだお!!このまりしゃはまんじゅうじゃないお!!」 目の前のこれは、れいむとまりさである。だから饅頭ではない。そんな思考である。 それでもまりさは怒らず、大きな声でゆっくりと言い聞かせた。 「ゆ!!おまえたちにはそうみえるんだね!!でもこいつらはね、れいむとまりさによくにた“まんじゅう”なんだよ!!」 「「「ゆゆゆ!?そうにゃの!?」」」 饅頭がどんなものなのかは分からないが、目の前のれいむとまりさが、れいむとまりさに良く似た別のものだということは理解した。 そして、肝心の饅頭とはいったいどんなものなのか。赤ちゃん達は、母まりさの説明を待った。 「ゆっくりきいてね!!まんじゅうはとてもゆっくりできる“たべもの”だよ!!」 「ゆゆっ!!たべものなの!!ゆっくちたべたいよ!!」 「ゆっくりたべてね!!めをさましたらあばれるかもしれないけど、まけちゃだめだよ!!」 お膳立てはそれで十分だった。 生まれたての赤ちゃん達は、空腹にとても弱い。 目の前の“ゆっくりに似たもの”が食べ物だと教えられれば、もう迷うことはない。 赤ちゃんゆっくりは、眠っている赤ちゃん達に飛び掛って大きく口を開いた。 生まれてはじめての“食事”である。 「ゆっくち!!ゆっくちたべりゅよ!!」 「ありしゅもたべりゅよ!!おなかすいたもん!!」 「いびゃっ!?なに!?だれなにょ!?」 「やめでね!!まりしゃはたべものじゃないよ!!」 まりさが生んだ赤ちゃん達に食いつかれ、目を覚ますれいむとまりさたち。 だが、反撃することはできなかった。一度でも身体の一部分を食いちぎられれば、パワーで相手を押しのけることはできない。 体格が殆ど変わらない赤ちゃんゆっくりにとって、先攻を取ることは普通のゆっくり以上に重要なのだ。 「やめっで…たべぼのじゃ……ない…」 「うそつかないでね!!おかーさんがいってたよ!!おまえたちはたべものなんだよ!!」 「たべものはまりしゃたちにゆっくちたべられてね!!」 「いだいいだいいだいいだい!!もっど!!もっどゆっぎじじだいのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「おがーじゃんだじゅげでええええぇぇええぇぇ!!!!」 「もっどぉおおおお…ゆっぐじいいいぃぃ……しだが……った…」 あっという間だった。 突然起こされた赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさは、まともに反撃することもかなわず……一匹残らず食い殺された。 空腹だった赤ちゃん達によって欠片残さず飲み込まれ、周囲には小さなリボンと帽子だけが残されている。 生まれてから一時間も経たずして、赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさはこの世を去った。 「ゆー!!おなかいっぱい!!」「ゆっきゅりできゆよ!!」 これだけ赤ちゃんを減らせば、れいむとまりさの夫婦にも気づかれないだろう。 赤ちゃん達が満腹感に浸っている隙に、まりさはこっそりと巣穴から抜け出した。 「ゆへへ!!これでゆっくりできるよ!!ひとりでゆっくりできるよ!!」 身軽になったまりさは、ゆっくりするために草原へと跳びはねていった。 母親に捨てられてしまったことを、巣の中の赤ちゃん達はまだ知らない…… (続く)? 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける