約 197,920 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1058.html
ゼロの奇妙な白蛇 第一話 ゼロの奇妙な白蛇 第二話 ゼロの奇妙な白蛇 第三話 ゼロの奇妙な白蛇 第3.5話 ゼロの奇妙な白蛇 第四話 ゼロの奇妙な白蛇 第五話 ゼロの奇妙な白蛇 第六話 ゼロの奇妙な白蛇 第七話 ゼロの奇妙な白蛇 第八話 ゼロの奇妙な白蛇 第九話 ゼロの奇妙な白蛇 第十話 前編 ゼロの奇妙な白蛇 第十話 後編 ゼロの奇妙な白蛇 第十一話 ゼロの奇妙な白蛇 第11.4話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/733.html
ゼロの奇妙な道連れ 第一話 ゼロの奇妙な道連れ 第二話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/493.html
ギーシュの奇妙な決闘 第一話 祭りの後 第二話 決闘の顛末 第三話 『平賀才人』 第四話 『決闘と血統』前編 第四話 『決闘と血統』中編 第四話 『決闘と血統』後編 第四話 『決闘と血統』完結編 第五話 『灯(ともしび)の悪魔』 第六話 『向かうべき二つの道』前編 第六話 『向かうべき二つの道』後編 第七話 『フェンスで防げ!』 第八話 『STAND BY ME!』 第九話 『柵で守る者』前編 第九話 『柵で守る者』中編 第九話 『柵で守る者』後編 第十話 『Shall We Dance?』 第十一話 『星屑の騎士団』 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』前編 第十二話 『香水の乙女の誇りに賭けて』後編 第十三話 『魂を蝕む毒』前編 第十三話 『魂を蝕む毒』後編 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』前編 第十四話 『暴走! 惚れ薬バカップル!』後編 第十五話 『三つのタバサ』(前編) 第十五話 『三つのタバサ』(後編)
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/98.html
幻想郷の奇妙な物語 第壱話 ゆかりんのぷち家出 第弐話 結納は博麗神社で 第参話 愛を取り戻せ! 第四話 セトとスキマと永遠亭 第伍話 永遠亭?いいえ、幼女亭です。 第六話 反逆のアレッシー 幕間 十六夜咲夜の野望 第七話 1ドル25セント 第八話 アレッシーの冒険 第⑨話 かりすまれみりあ、うー♪ 第拾話 そして彼女達は動き出す 第拾壱話 筍、美味と不味さの境界 幕間その弐 親馬鹿えーりん 第拾弐話 筍符『タケノコブリット』~食べ物は粗末にしちゃいけないって慧音が言ってた~ 第拾参話 さよならアレッシー(完結) 幻想郷の奇妙な物語 番外編 幻想郷の奇妙な物語 番外編 幻想郷の平穏な正月 TOPページへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5180.html
「ときめき☆もののけ女学園」の世界に事故でルイズが転移する話 ときめき☆ぜろのけ女学園-01 ときめき☆ぜろのけ女学園-02 ときめき☆ぜろのけ女学園-03 ときめき☆ぜろのけ女学園-04 ときめき☆ぜろのけ女学園-05 ときめき☆ぜろのけ女学園-06 ときめき☆ぜろのけ女学園-07 ときめき☆ぜろのけ女学園-08 ときめき☆ぜろのけ女学園-09 ときめき☆ぜろのけ女学園-10 ときめき☆ぜろのけ女学園-11
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1997.html
ジョジョとサイトの奇妙な冒険-1 ジョジョとサイトの奇妙な冒険-2
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1060.html
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、万全を期していた。 トリステイン魔法学院で二年生に進級する時に行われる『春の使い魔召還の儀』に向けての練習、そしてコンディション。共に完璧。 魔法が使えなくとも、せめて使い魔だけはと言う思考があったのは認めるが、彼女が召還に拘ったのは別の理由がある。 そもそも使い魔とは召喚者。 つまりはメイジのその後の属性を決めるのに重大さを持っている。 確かに、自らのパートナーとしての側面も持ち合わせてはいるが、それは飽くまで二次的なモノ。その証拠に使い魔には代えが利くが、新たに呼び出される者は全て、決定された属性に関係のある生物だからだ。 ルイズは、この属性を決めると言う箇所に望みを掛けていた。 つまり、自らが召還した使い魔の属性を辿れば、自分の魔法の属性を知ることが出来るのでは無いかと。 それ故に、ルイズはこの召喚に失敗する訳にはいかなかった。 「宇宙の果てのどこかを彷徨う私のシモベよ……神聖で美しく、そして強力な使い魔よ、 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに…答えなさいッ!!」 呪文はオリジナルのモノであったが、自分の中にある全ての魔力を注ぎ込んだ呪文は、それに見合っただけの大爆発を起こしてくれたのだった。 「ゲホッ……ゴホッ……」 爆発によって舞い上がった粉塵が、喉に張り付く不快感に咳が出る。 こんなはずじゃない。こんなはずじゃない。 自分は、最高の使い魔を召喚するはずだったのに、なんで爆発が…… 己が『ゼロ』であると再認識させられたルイズは、心の中にあった最後の自尊心すら、自らが放った爆発で粉々に吹き飛ばしてしまい、力なく、その場に座り込んだ。 「あっはっはっ、見ろよ。やっぱり失敗だったんだ」 「所詮、『ゼロ』は『ゼロ』って事よねぇ」 「あ~、これであいつも、ようやく退学になってくれるだなぁ~」 「これで、やっと授業を安全に受けられるよ」 ゲラゲラと耳障りな嘲笑を受けながら、ルイズは空っぽになった心で思っていた。 魔法学校を退学になった自分は、どうなるのだろう。 実家に戻る? あの由緒正しきヴァリエール家に、魔法も使えない自分が? それは我慢ならない。プライドがどうこうでは無い。 そんなものは、先で述べたように砕け散っている。 あるのは、家族に迷惑が掛かるという思いだけだ。 「どうしよう……」 失意の呟きを口に出すが、答えてくれる者はこの場に居ない。 ただ、ゲラゲラと耳障りな笑い声だけが辺りに響く。 何が引き金だったのか、行動を起こしたルイズ自身、分からなかった。 単に堪忍袋の尾が切れただけなのかも知れないし、もしかしたら、ただの気紛れだったのかも知れない。 ともかく、ルイズは思ったのだ。 この喧しい笑い声をしている連中を今すぐ黙らせたいと。 変化は劇的だった。 一際大きな笑い声を上げていた肥え過ぎた生徒の悲鳴が響いたかと思うと、辺りの生徒達もまた、一斉に悲鳴を上げ始めた。 あまりにも煩わしい悲鳴だったので、ルイズはなんとなく顔をそちらへ向けた。 何か、白い何かが生徒の身体を殴りつけている。 その何かは、ルイズがこちらを見ている事に気がついたのか、精肉場に胸を張って持っていける生徒に最後の蹴りを入れ、青草を踏み鳴らしルイズの目の前へと立った。 奇妙な姿だとルイズは思った。 全身が太い白の線と細い黒の線の横縞模様で、その縞模様の間に「G」「△」「C」「T」という形のマークがある。 そして、これが一番の特徴になるのだろうが、頭部に黒いマスクを被っている。 ―――こいつだ 妙な確信がルイズの中で蠢き、契約の呪文を紡がせる。 全ての言葉が自分の口から出終わり、相手の唇に口付けをしようとすると、奇妙な姿の者もルイズが何をしたいのか分かったらしく、膝を折り、中立ちになってルイズの唇を受け入れた。 「あんた……何?」 契約が完了したと同時に、ほぼ無意識の内にルイズの口から言葉が漏れる。 その漏れた言葉に、契約が完了し、左手にルーンを刻まれている奇妙な姿の者は 「ホワイトスネイク―――ソレガ私ノ名ダ」 神託のように深き言葉を紡ぎだした。 「それでコルベール君、被害の方はどの程度に治まったのかのぉ」 厳格な態度と雰囲気を持つ、このトリステイン魔法学校の長であるオールド・オスマンは、冷や汗でただでさえ光を反射する頭皮を、さらに鏡近くまで存在を昇華させている、 コルベールを見ながら厳かに問い質した。 ミス・ロングビルに蹴られながら どうかと思う。 「はい、その、ミス・ヴァリエールが呼び出した使い魔は、召喚されたショックからか、生徒達の中で最も肥満な……失礼、最も体積が大きく目立った、ミスタ・グランドプレを襲って、彼に全治半年の大怪我を負わせました。 幸い、すぐに治療した甲斐もあって、半年が一ヶ月に縮まりましたが、それでも大怪我には変わりありません」 コルベールは必死だった。必死で目の前の光景から目を逸らし続ける。 見たら終わりだ。見たら自分もアレに巻き込まれる。 そんな思いで冷や汗を掻きながらの報告を終えると、丁度良い感じに蹴られ続けたオスマンが立ち上がり、革張りの椅子へ蹴られ続けたお尻を気にしながら座る。 ロングビルも、蹴り飽きたのか自分の仕事へと戻っていた。 「ほ~、中々酷い有様のようじゃったらしいが、ミス・ヴァリエールは『コンタクト・サーヴァント』は済んだのかの?」 「はい。ミスタ・グランドプレを医務室に運んだ後に、私自身が使い魔のルーンを確認しました」 ふむ、とオスマンは一度頷き窓の外へと視線を向ける。 窓の外では、黒い髪のメイドと料理長が雇ってくれと頼み込んできた黒髪の少年が洗濯物を干し、太陽の光を体一杯に浴びていた。 そんな如何にも平和な光景を目にしながら口を開く。 「契約が完了したのならばそれで良い。ミスタ・グランドプレには災難だが、召喚の際の事故は誰にでもある。 このわしでさえ、召喚したての使い魔には色々と苦渋を舐めさせられたものじゃ」 そういって、顔を顰めるオスマンにコルベールは、確かにと同意を口にする。 オスマンの使い魔をコルベールは見た事は無かったが、彼ほどのメイジならばドラゴン並みの魔獣の類を召喚したのだろう。 「では、ミス・ヴァリエールにはお咎め無しと言うことで?」 「うむ」 重厚なオスマンの頷きにコルベールは先程の光景をすっかりと忘れ、では、自分は仕事に戻りますと部屋を出て行った。 オスマンとロングビル。 二人きりになった部屋で、ロングビルが思い出したように呟く。 「先程……」 「んっ?」 何かな、と疑問な顔でロングビルのお尻を撫で回そうと手を伸ばすオスマン。 「召喚したての頃は色々と苦渋を舐めさせられたと言っておりましたが、それは今も変わっていないのでは?」 静かに返答をしながら、伸びてきた腕を思いっきり抓るロングビル。 「何を言っておる」 痛みの所為か涙目になっているオスマンが言葉を返すと、机の一番上の引き出しを開けた。 そこには、彼が楽しみにしていた菓子折りが入ってるはずであったが、 開けた瞬間、彼の目に飛び込んできたのか、白いハツカネズミ。 「なっ、モートソグニル……お主……わしが楽しみにしていた、ゲルマニア産の菓子折りを……」 オスマンは苦渋を舐めたような渋面で、菓子折りの中身をボリボリと食べる使い魔のネズミを見つめるしかなかった。 「う~~~ん」 部屋に戻ってきたルイズは唸っていた。 拙い……拙すぎる。 何が拙いと言うと、先程の自分の醜態である。 召喚の際、爆発が起こり失敗したと思った自分は、一瞬、何もかもが馬鹿らしくなり、全てを投げてしまった。 今になって冷静に考えてみると、一回の失敗であんな風に落ち込むなど自分らしくなく、明らかに普段思い描いている貴族像からも逸脱していた。 さらに痛恨なのが、その落ち込んでいた場面を、あのキュルケに見られてしまった所だ。 (あ~、明日は絶対に弄られるじゃないっ!) キュルケがその豊満な肉体を見せつけながら、自分に対してからかってくる様を想像して、それがあんまりにもリアルだったので、ルイズの唸り声は、一段高くなった。 (それにしても……) とりあえず、キュルケの問題は棚上げにし、ルイズは自分の使い魔となった亜人と思われる生き物を見上げた。 自分のすぐ傍に立っているその亜人は、ホワイトスネイクと名乗り、召喚してからすぐ、マリコルヌを精肉屋に持っていける程にしてしまった。 その様を見たルイズは、胸がスッとしたが、とりあえずあの時は自分の召喚が 成功していたと言う事実の方が頭に浮かび、あまり記憶が残っていない。 それでも、ファーストキスでもある『コンタクト・サーヴァント』をした事は、確りと憶えている。 (あっ、そうか、よくよく考えると、私ってこいつとキスしたんだ……) 人間、何事でも始めての相手には情が移る者である。 ルイズもまさにそのとおり――――――ではなかった。 (こんな……こんな奴が、私のファーストキスだなんて、ぜっっっっっったい、認めないわっ!!) 流石に言葉には出さなかったが、頭を抱えて、う~う~と唸るその様は、傍から見ると不気味以外の何者でもない。 その唸っている自分の本体を余所にホワイトスネイクは、ただ部屋の入り口に立っていた。 ホワイトスネイクは、自分の存在について考えていた。 天国へと行く為の方法によって、ホワイトスネイクと言う存在は、さらなる高みの存在へと昇華し、記憶をDISCとする能力を持った自分は、確かに別の存在になったはずであった。 それが、今はどうだろうか? さらなる高みの存在―――『メイド・イン・ヘヴン』の時の記憶もあれば、世界が『一巡』した新世界における記憶すら今のホワイトスネイクは持っている。 (ドウイウコトナノダ、コレハ……) 自分が、まったく別の存在になった時の記憶も持っている事に、本来ならそのようなモノとは無縁であるはずのホワイトスネイクに、言い知れぬ『不安』と言うものを感じさせていた。 ……感じさせていたが、すぐにその『不安』をホワイトスネイクは忘れた。 『不安』に思う過去など自分には必要無い。何故なら自分はスタンドだ。 自分に必要なものは、本体に絶対服従の忠誠心と能力だけである。 他の事柄など、思考を割くのも無駄である。 そうして、ホワイトスネイクは、自身が何故、存在しているかと言う疑問と、自分と言う存在でない者の記憶が何故あるのかと言う、二つの疑問を無意識のさらに底まで封印した。 これで良い。これで自分は『不安』を持つことは無い。 次にホワイトスネイクは、左手の奇妙な痣の事を考え始めた。 ホワイトスネイクを現す四つのマークではなく、明らかにそれとは違う形をしているこの奇妙な痣。 解析する為に、DISCとして形にしてみると、面白いことが分かってきた。 どうやら、この奇妙な痣は使い魔のルーンと言うらしく、武器を持つことによって自分の上がるものらしい。 さらに言えば、性能を上げるだけでなく、その武器の使い方を瞬時に理解することさえ可能と言う、まさに『兵士』の為のルーン。 (ダガ……私ニハ、不要ノ長物ダナ) ホワイトスネイクの戦闘方法は、まず、敵に触れることにある。 記憶をDISCと出来る自分にとって、相手に触れると言う事は、すでに相手の命を手にしていると同意義なのだ。 その敵に触れる攻撃が一番しやすいのが、徒手空拳。 つまり、素手による殴打である。 確かに、性能の補正は魅力的だが、補正の条件が感情を高ぶらせる事であり、スタンドで、尚且つ冷静と言うよりは、無感動に近い自分には大した補正は乗らないだろう。 以上の事等から、武器などを使うと、逆に自分の戦闘能力は下がってしまうと、ホワイトスネイクは考えた。 そして、最後の問題である現在の自分の本体をホワイトスネイクは見た。 桃色の髪をした幼い少女。 高慢であり自尊心だけが無駄に肥えたこの少女が自分の本体であることに、ホワイトスネイクは特に何の感慨も抱かなかった。 ただ、前の本体のような性能を自分は発揮できないであろうな、と思っていた。 スタンドとは、もう一人の自分である。 肉体的な自分が本体とするのならば、精神的な自分であるスタンドの強さは、本体の精神の強さに依存する。 その点で言うならば、ルイズの精神は、元の本体のような、『絶対の意思』を持っておらず、ただ只管に脆弱であるだけ。 弱くなるのも当然であった。 「ねぇ、ちょっと、あんた」 自分の使い魔に、精神的に弱い奴と思われていることを知らずに、ルイズはホワイトスネイクを呼ぶ。 ようやく、あのキスは契約の為に仕方なくしたものであり、ノーカンであると言う結論に至ったので、ホワイトスネイクに使い魔として役割を言い聞かせることにしたのだ。 「召喚されたばっかのあんたに、使い魔の役割を説明してあげるから、ありがたく思いなさいよ 良い、まず、第一に使い魔は主人と目となり、耳となる能力が与えられるわ」 そこまで言ってから言葉を区切る。理由は些細な好奇心。 ホワイトスネイクの見ている世界は、どんなものなのだろうと思い、意識を集中してみるが……見えない。 「ちょっと! どういうことよ!」 詐欺られた気分だ。本来なら、簡単に使えるはずの使い魔との視聴覚の共有が出来ないなんて。 心の奥底には、自分が『ゼロ』だから出来ないのでは? と言う考えも浮かんでいたが、それは認める事の出来ない原因だ。 なので、使い魔の所為にすると言う暴挙に出たのだが、ホワイトスネイクは冷淡な目で自分を見るだけ。 ルイズはもしかして、こいつも自分の事を見下しているじゃないのかと、段々と疑心暗鬼の思いで心が侵食されるのを感じていたが、その冷淡な目付きのまま、使い魔が口を開く。 「ソンナ『認識』デハ、出来ルコトモ出来ナイ。モット、強ク『認識』スル事ダ。 空気ヲ吸ッテ吐クコトノヨウニ、HPノ鉛筆ヲヘシ折ル事ト同ジヨウニ、自分ナラ、出来テ当然ノコトト思ウノダ」 「わっ、わかってるわよ!」 ホワイトスネイクの説教染みた言葉に、プッツンしそうになるが、なんとか堪えて意識をまた集中させる。 ―――集中 ――――――集中 ―――――――――集中 ――――――――――――っ! 一瞬、ほんの一瞬だが、自分の姿が視えた。 自分より背の高い者から見た、見下ろされた自分の姿。 それが、ホワイトスネイクの見ている風景だと気付いた時、喜びと……怒りが同時に込み上げてきた。 「なんで一瞬なのよっ!」 そう、何故だか一瞬で消えた映像にルイズは怒りを爆発させていた。 もっと、持続できなければ視界を共有しているとは、まったくもって言えない。 「マダ、『認識』ガ足リナイラシイ。モット、時間ヲ掛ケテ、私ヲ、自分デアルト『認識』スレバ、自然ト見エテクル」 悔しいが、使い魔の言う通りだろう。もっと、もっと、時間を掛けなければ、自分は使い魔の視聴覚を感じられない。 しかし、逆に考えて見れば、時間さえ掛ければ自分は使い魔の目と耳を感じられると言う事だ。他のメイジのように。 「まったく、今、出来ないんじゃ意味無いわよ。次よ、次」 さも不機嫌な感じで言葉を口にするが、内心は自分も、ようやくメイジらしいことが出来るようになるかも知れないと、今すぐにも踊りだしそうであった。 「次は、そう、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば、秘薬とかね…… と言うか、あんた亜人だけど、秘薬って分かるの?」 秘薬を見つけるのは、主に動物系の使い魔の仕事だ。 見るからに亜人なこいつでは、見つけるのは無理かなと、聞いてみると、予想通りに首を横に振ってきた。 「まぁいいわ。秘薬なんて、どうせ買えば済む話だし…… それより、これが使い魔の役割で一番大切な事なんだけど、使い魔は主人を守る存在なのよ」 マリコルヌをフルボッコにしたホワイトスネイクをルイズは見ていたが、それで満足する程、ルイズの使い魔に対する注文は低くない。 自分の使い魔であるならば、最強、最優。 そうでなければ、自分の使い魔として意味が無い。 「私を守る為の存在のあんたは、強いの?」 「世界ヲ操ル男ガ、私ノ元本体ニ言ッタ言葉ガアル。 ドンナ者ダロウト、人ニハソレゾレノ個性ニアッタ適材適所ガアル。 王ニハ王ノ…… 料理人ニハ料理人ノ……ナ」 「何が言いたいのよ」 「『強イ』『弱イ』ト言ウ概念ハ、ソレ単体デハ存在シナイ。 ソレガ存在スルノハ、比較スル対象ガ居ル場合ニ限ル。 ダガ、私達ニハ、比較スルベキモノガ存在シナイ。 一人、一人、役割ガマッタク違ウノダカラナ」 確かに同じ役割の中でなら強さを測ることは出来る。 しかし、僅かにでも役割が違う者同士で強さを測ることなど不可能なのだ。 スタンドもそれと同じ。 スタンドの能力は、特別な場合を除き、被る事などありえない。 それ故に役割は決して被らず、その為比較すべき対象が存在しないので『強さ』や『弱さ』も存在しないと言いたかったのだが、 ルイズはその真意を汲み取る事など出来ず、訝しげな顔で饒舌な使い魔を見ている。 「そんな小難しいことを聞いてるんじゃなくて、私はあんたがどのくらい強いかを聞いてるのよ!!」 これにはホワイトスネイクも参る。 仕方なく、子供が遊びで話すスタローンとジャン・クロード・バンダムはどっちが強い? と言うレベルで説明するしかないかと思い、窓の外を飛んでいた梟を窓枠に近づいてきた瞬間、恐るべき速さで梟に反応される前に体をがっしりと掴んだ。 「あんた……」 その早業にルイズは驚きで声を上げそうになったが、使い魔の手前、外見上は眉を動かすだけだ。 こいつ……とてつもなく、早い。 これは期待できるかも、と内心の期待からホワイトスネイクを見つめていると――― ―――ぞぶり、と生理的嫌悪の走る、おぞましい音がルイズの耳に届いた。 なるほど、梟の頭に自分の指を突き刺したのか。 いきなりの使い魔の凶行に、ルイズは完全に思考停止し、その様を見つめていたが、きっかり三秒後には再起動を果たす。 「あっ、あんた、何してのよー!!」 寮の窓近くを飛んでいた事から、誰かの使い魔と思われる梟を、自分の使い魔が、何を思ったのか、頭に指を突っ込んで殺してしまった。 そのあまりのショッキングな内容に金切り声をあげるが、ホワイトスネイクは 「―――出来タ」 と謎の言葉を発し、指を刺した時から動かない梟を、 興味を失った玩具を捨てる子供のように、ポイッと気持ちの良いぐらい、あっさりと窓の外に捨てた。 「なっ!」 その行動に驚きの声をあげるルイズであったが、次の光景を目にした瞬間、自分は現実にいるのか心配になってしまった。 頭に指を刺され、死んだはずの梟が、また窓の外を飛んでいるのだ。 「嘘っ……なんで」 死んでなかった? いや、指を刺されてからぴくりとも動かなかったのに……そんなはずは…… 混乱しているルイズを尻目にホワイトスネイクが、片手を窓の外に振ると、梟がそれに気付き、窓枠に留まる。 ホーホー、と良く響く声で一頻り鳴いた後、梟の頭から何かが出てきた。 ピザをもっと平べったくしたような形をした何かが、からんと音を立てて床に落ち、それにあわせ、梟も先程のようにぴくりとも動かなくなる。 ゆっくりとした動作で梟から落ちた円形の何かを拾う自分の使い魔に、ルイズは知らず、ジリジリと後退していた。 それは恐怖か? それとも、驚きからか? どちらにしても、今のルイズには関係無い。 空気を求める金魚のように、彼女はパクパクと口を開けて、ホワイトスネイクを見ることしかできない。 ホワイトスネイクは、そんな自分の本体に見向きもせずに、手の中で梟から抽出した何かを弄んでいる。 「コレハDISCト呼バレルモノダ」 感情の色がまったく込められていないはずのホワイトスネイクの声が何処となく得意げに聞こえるのは、その力が彼の存在理由だからだろうか。 「私ノ能力ハ、生物ノ『記憶』ヲDISCトシテ抜キトル事ガ出来ル」 記憶を抜き取る。 今、自分の目の前にいる使い魔は確かにそう言った。 「……本当に?」 そんなことが出来るのか? いいや、できるはずが無いと否定の考えが頭に浮かぶが、部屋の床に転がった梟の虚ろな瞳を見て、もしや……と疑問が鎌首を擡げる。 もし、仮にこの使い魔の言う事が全て真実であるとするならば、自分はなんてものを召喚してしまったのだろうか。 記憶を抜き取る自分の使い魔の力に、ルイズの身体は震えていた。 それは、恐るべきものを召喚してしまった恐怖か――― それとも、そのような強力な力を持つ者を召喚してしまった喜びか――― ――――――自分の身体だと言うのにルイズ自身、どちらなのか分からなかった。 『風上』のマリコルヌ……全身を乱打され、重症。 クヴァーシル……『記憶』DISCを抜かれ、生きる目的を失い、再起不能 戻る 第二話
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/23.html
ジョジョの奇妙な歌い手 新手のスタンド使いたちのジャケット紹介ページ 絵:スタンド描きさん ※スタンド名あいうえお順に表示 現在のジャケット状況 スリーピング・ベイビー ライト・ザ・リリックス スレイヴ・トゥ・ザ・ドゥーン追加いたしました!! 兄スイさん/アニスイ・ブラザーダウン【Annisui Brotherdown】 曲リスト 「コッペパン」でザ・ワールド-歌ってみた 「青春いいじゃあないかッ!」(5部三人組)-歌ってみた? ふたりのぼすぴったん-歌ってみた じょ☆すた もってけ!レクイエム-歌ってみた アンインストール ver.ジョジョ五部(アバッキオ)二番煎じ-歌ってみた God knows..ジョジョ5部ver.ブチャラティ-歌ってみた うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! ロマンティックあげるよ-吉良&しのぶ- ハイな挨拶のおにーさん/アルティメット・ハイ【Ultimate High】 曲リスト ジョジョ2部でエアーマン 柱の男が倒せない ジョジョ1~2部でみくる ストレイツォ伝説 ジョジョ二部(シュトロハイム)で 創聖のアクエリオン ジョジョ五部の三人で 青春いいじゃないか ジョジョ五部で 夢・覚悟・ネアポリスにて ジョジョ五部で ”Roman” 朝と夜の物語 ジョセ伝とか(ryさん/ウィッシングウェル【Wishing Well】 曲リスト 恋のジョセフ伝説(ジョジョ ハルヒ) 恋のジョセフ伝説(ジョジョ ハルヒ 歌ってみた) 恋のジョセフ伝説(ジョジョ ハルヒ 修正版) ミクル伝説シーザー版(ジョジョ ハルヒ)歌ってみて 仗助&億泰なら大丈夫(ジョジョ) エアーマンが倒せないver.SPWの愚痴に画像をつけてみた 空気さん/エアークイーン【Air Queen】 曲リスト 恋のヨシカゲ伝説(歌ってみた) 典明忘れちゃレロレロよ!歌ってみた(かきょーん成分含有) 階段がのぼれない(FULL版)歌ってみた ザ・ワールドが倒せない 歌ってみた(DIO様混入?) 卑し系魔法中年チョコラータ歌ってみた ニコニコ組曲『黄金の風』歌ってみた 跪いてWRYYYYYYYY歌ってみた うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! 素敵な鈴美さん 改めギンボさん/エコーズ・イン・ハート【Echoes in Heart】 曲リスト きしめんで替え歌(ドッピオ時々ボス) 「歌ってみた」 究極生物カーズさま☆「歌ってみた」 God knows..ver.5部 「歌ってみた」 鈴美さんで[なみだがとまらない] 「歌ってみた」 amp;quot;You amp;quot; ver.ジョジョ4部(川尻しのぶ)「歌ってみた」 amp;quot;You amp;quot; ver.ジョジョ4部(川尻早人)「歌ってみた」 スタンドのうた 「歌ってみた」 闇の紳士録(吉良吉影)「作って歌ってみた」 ハンサムさん/オー・ハンサム・ミー【Oh! Handsome Me】 曲リスト WRYYYYYY EDISIONジョジョ3部 スマン好き過ぎて歌っちゃった 仗助&億康なら大丈夫!(ジョジョ ハルヒ) 歌い直し(トニオ乱入) 岸部露伴なら大丈夫 歌ってみた (ジョジョ ハルヒ) ミクル伝説シーザー台詞入り (ジョジョ ハルヒ) 歌い直してみた トッニーオ↓スペクタクル (ジョジョ ハルヒ) うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! ジョジョキュア 歌ってみた(一人でデュエット) 砂女さん/サ(ウ)ンド・ガール【Sound Girl】 曲リスト キューティーハニーver.ジョジョ5部『女がいただいてみた』 ひぐらしのなく頃にver.ジョジョ4部 女が歌ってみた 魂のルフラン ver.ジョジョ6部 女が歌ってみた(歌の後におまけ付き) God knows...verジョジョ5部『女が歌ってみた』 God knows...verジョジョ5部『一緒に歌ってみた』 ハレ晴レユカイ~ジョジョ第3部ver~女が歌ってみた お知らせ ~ジョルノver.~ 砂女さん 各部についてのお知らせ ~娘と母ver.~ うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! nerukoさん/スリーピング・ベイビー【Sleeping Baby】 曲リスト 岸辺露伴ならだいじょーぶ(ジョジョ+ハルヒの流れに乗ってみた) 岸辺露伴ならだいじょーぶ(歌ってみて) ジョジョ5部の3人で「青春いいじゃあないかッ!」(歌詞のみ) 青春いいじゃあないかッ!(1'58'' ミスタ死亡) 「典明忘れちゃレロレロよ!」をできる限りキョンの妹風で歌ってみた 「敵、覚悟、イタリアにて」を歌ってみた 「敵、覚悟、イタリアにて。」を歌ってみた(修正版) うぇるかむASSASSINIO(ジョジョ5部暗殺チーム)【歌詞のみ】 うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム 替え歌)【編集中だった】 うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! ECHOES?/広瀬康一(ジョジョ+ハルヒ 替え歌) 「かえして!トーキング・ヘッド!」を歌った? ペッシさん/スレイヴ・トゥ・ザ・ドゥーン【Slave to the Dawn】 曲リスト God knows...5部Verブチャラティ歌ってみたVerペッシ God knows...5部Verブチャラティ歌ってみた(修正版)Verペッシ God knows..verジョジョ5部(ブチャラティ) リベンジVerペッシ ハレ晴レユカイ~ジョジョ第3部ver~歌ってみたVerペッシ ナランチャで青春いいじゃないか 歌ってみたVerペッシ ミクル伝説シーザー版(ジョジョ ハルヒ)歌ってみたVerペッシ 刑務所Days(ジョジョ6部 替え歌)歌ってみたVerペッシ 敵、覚悟、イタリアにて。歌ってみた(削除やっぱやめ)Verペッシ 敵、覚悟、イタリアにて。歌ってみたVerペッシ(歌いなおし) WRYYYYYY EDISIONジョジョ3部偽キャラソン 歌ってみたVer.ペッシ 典明忘れちゃレロレロよ!を歌ってみたVerペッシ 勝手にながら創世のアクエリオンジョジョ2部(シュトロハイム)Ver.ペッシ 柱の男が倒せないを歌ってみたVerペッシ DIOぴったん歌ってみたVerペッシ ブラ晴ラユカイVerペッシ(未完成) ブラハレユカイ(完成版)Verペッシ ハレ晴レユカイ~ジョジョ第2部ver~歌ってみたVerペッシ ポル窓辺にて。歌ってみたVerペッシ 創世のジョースター歌ってみたVerペッシ 「作ってみた」ツェペリの魂Verペッシ 大スタンド峠歌ってみたVerペッシ(DIO崩壊注意) お知らせ ~ペッシver.~ 各部についてのお知らせ ~ジャイロとジョニィver.~ うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! ピャー太郎さん/セブンズボイス【Sevens Voice】 曲リスト ハレ晴レユカイ~ジョジョ第3部ver~歌ってみた ハレ晴レユカイ~ジョジョ第3部ver~歌ってみた 修正版 まっがーレロレロ↓スプラッシュ~ジョジョ3部偽キャラソン vol.1~ 見つけてHapPolnareff ~ジョジョ3部偽キャラソン vol.2~ 策士のジョセフ・リターンズ!~ジョジョ3部偽キャラソン Vol.3~ WRYYYYYY EDISION~ジョジョ3部偽キャラソン vol.4~ WRYYYYYY EDISION~ジョジョ3部偽キャラソン vol.4~ 歌ってみて プラチナDays ~ジョジョ3部偽キャラソン vol.5~ 小指でぎゅっ!ver.DIO様と朝倉さん(ジョジョ替え歌) 歌ってみた ハレ晴レユカイ~ジョジョ3部 花京院典明ver.(vol.1 c/w)~ のりあキッス ~レロレロだも~ん~ 歌ってみた じょー☆すた ~ジョジョ3部ver.~ 歌だけFULL作ってみた 階段がのぼれないFULL版(歌ってみた) 私はアヴドゥル ~ジョジョ3部偽キャラソン 幻のvol.6~ 組曲でジョジョ3部敵キャラを紹介する(歌ってみた?) 跪いてWRYYYYYYYY【歌ってみた】 【ジョジョ】ハイエロファント外伝 すごいよ!!ノリアキさん うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! ジョジョからの奇妙なお知らせ 各部についてのお知らせ ~叔父と甥ver.~ 懲りずに~の人さん/プライムパワーズ【Prime Powers】 曲リスト God knows..ジョジョ5部ver.ブチャラティ+歌ってみた+ God knows..ジョジョ5部ver.ブチャラティ+懲りずに歌ってみた+ アンインストール ジョジョ5部Ver.アバッキオ+歌ってみた+ アンインストール ジョジョ5部Ver.アバッキオ+懲りずに歌ってみた+ WRYYYYYY EDISIONジョジョ3部 +歌ってみた+ WRYYYYYY EDISIONジョジョ3部 +懲りずに歌ってみた+ +吉良 吉影、杜王町にて+ (雨、無音、窓辺にて。verジョジョ4部) 吉良 吉影、杜王町にて。 verジョジョ4部 +自分でハモってみた+ 跪いてWRYYYYYYYY +歌ってみた+ 『杜の歌』+歌ってみた+ 妹さん/ティンクル・リトル・シスター【Twinkle Littele Sister】 曲リスト 時のパズルver.エリナ イギー・哀愁のボレロ~コーヒーガムよこせ ロマンティックあげるよ-吉良&しのぶ- 【ジョジョ】一部 Phantom・Imitation~歌わせて頂いた~ 本家さん/ライト・ザ・リリックス【Write the Lyrics】 曲リスト ハレ晴レユカイver.ジョジョ1部作ってみた ハレ晴レユカイ~ジョジョ第2部ver~『作ってみた』 ハレ晴レユカイ~ジョジョ第3部ver~作ってみた ハレ晴レユカイver.ジョジョ3部『作ってみた』修正版 創世のアクエリオンver.ジョジョ2部(シュトロハイム)『作ってみた』 創世のジョースター『歌ってみた』ver.リリックス God knows..verジョジョ5部(ブチャラティ)『作ってみた』 GodKnows..ver.ジョジョ5部『作ってみた』ナチスのマイク編 God knows...verジョジョ5部『一緒に歌ってみた』 勝手にオールスター Godknowsverジョジョ5部 組曲「ニコニコ動画」ver.ジョジョ1巻~SBR8巻『作ってみた』 エアーマンが倒せないver.SPWの愚痴『作ってみた』 ダイアーさんじゃ倒せない『作ってみた』 まっじーお↓リトル・フィート歌ってみたbyリリックス お知らせ ~ホルマジオver.~ キューティーハニーver.ジョジョ5部『女がいただいてみた』 うぇるかむASSASSINO(ジョジョ5部暗殺チーム替え歌)全員集合ゥッ!! コメントがありましたらどうぞ -- (管理人) 2007-07-29 20 48 38 あいうえお順に並べた方がいいんじゃないですかね? -- (名無しさん) 2007-07-29 21 00 55 すげええええ!感動だ感動!でもスタンド発現した順に変えた方がいいと思います(一番上だと恐れ多いんで…) -- (neruko) 2007-07-29 21 15 56 あいうえお順か発現順か…は、発現順が分からないのですが教えていただけますか!?(汗 -- (管理人) 2007-07-29 21 18 50 本家→ピャー→砂女→nerukoまでは覚えてる。ペッシいつだったっけ? -- (名無しさん) 2007-07-29 21 25 23 うああああああ、マジすげぇぇぇぇぇ!!ジョジョ好きでよかった…。 -- (名無し) 2007-07-29 21 35 51 あいうえお順でいいと思いますよ -- (名無しさん) 2007-07-29 23 37 26 順番入れ替え了解です。…とりあえず歌い手さんではなくスタンド名の入れ替えでやってみます。 -- (管理人) 2007-07-30 09 07 24 リンク集つくってみました(http //www10.atwiki.jp/jojoson/pages/98.html) -- (名無しさん) 2007-08-21 22 31 39 名無し様、有難う御座います!そちらの方が綺麗にまとまってる…!有難う御座いますー!! -- (管理人) 2007-08-22 01 00 52 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1265.html
才人は、今まで馬に乗った事など無い。 元の世界では、バリバリのインドアタイプであった才人が、馬と触れ合う機会などある訳が無いし、仮にあったとしても、馬に任せて走らすのが関の山だろう。 だと言うのに―――――― 「こら~、もっとスピード上げなさい。 こんなんじゃあ、街に着く前に夜になっちゃうわよ~」 「あの……ミス・ヴァリエール。やはり、私がやった方が……」 「良いんですよ、ミス・ロングビル。 今は使用人の教育期間ですから。馬車の御者ぐらいさせませんと って、こらっ! 揺れが激しくなってきたわよ! もっと揺らさずに走りなさい!!」 「無茶言うな!!」 たは~、と溜め息吐く才人は、馬の手綱を確りと握り、あ~でもない、こ~でもないと必死に操作するのであった。 (とほほ……なんでこんな事に……) 思い出すのは今朝のやり取りである。 「サイト、今日は街へ行くわよ」 虚無の曜日。 元居た世界なら日曜に相当するその日も、休む事無くルイズの世話をしていた才人は、唐突に出された言葉に、目を丸くした。 「街に? 何、買い物でも行くの?」 ちなみにこの時点で才人は、もうすでにルイズに対して敬語を使っていない。 と言うか、普段からあまり敬語を使わない才人は、誰に対してこうである。 最初の頃は、それが気に食わなかったルイズであったが、もう慣れてしまったので何も言わない。 「買い物ねぇ……そういえば、あんた武器を持つと強くなるんだっけ?」 「えっ? 何言ってんだお前?」 思い出したかのように呟くルイズに、才人は頭大丈夫かと言うニュアンスの視線を送ると、思いっきり急所を蹴り上げられた。 「おまっ……オレの…………切ない部分を…………」 「使用人なら自分の役割ぐらい、きちんと認識しときなさいよ!! あんたの手にあるルーンはね、武器を持ったら、滅茶苦茶強くなるって言うルーンなの!?」 確か、そうよね? と後ろに待機しているホワイトスネイクに振ると、肯定の返事が返ってくる。 「ほらね、私の言ったとおりでしょ? 分かったらさっさと、準備して馬を駆りに行くわよ。 あっ、うん、やっぱり馬車ね。まだ怪我が完全に治ってないから、傷に響くの嫌だし って、何寝てるのよ! ほら、早く起きて、さっさと馬車を借りてきなさい! 早く!!」 「お前…………マジで無茶言うな……」 切ない部分の痛みに気絶しそうな才人は、それだけを呟くのが精一杯であった。 あの後、息絶え絶えで馬車を借りに行った才人は、馬車を借りる所でミス・ロングビルと出会って、何故か彼女と一緒に行く事で話が纏まってしまった。 類稀なる会話術と言うべきか、彼女の言葉に、ついころころと返事をしてしまったのだ。 おかげで、相乗りの事をご主人様に伝えて、もう一度切ない部分を蹴り上げられてしまったが。 「あれは……マジで勘弁して欲しいよなぁ……」 優しく踏まれるならまだしも、力の限り蹴り上げられるのはどう足掻いても、ドメスティク・バイオレンスだ。 正直、目から塩水がでちゃいますよ俺的な状態である。 「サイト~、着くまで暇だから歌でも歌いなさい~」 横暴だ。あんまりにも横暴だ。 後ろから響く、歌えコールにサイトは涙を堪えて、ドナドナの歌を歌い、そんな暗い歌を歌うな! と、後ろから、杖で思いっきり叩かれるのであった。 一方その頃、キュルケはタバサの部屋で紅茶を飲んでいた。 本当なら、ルイズの所で飲もうと思っていた代物だが、訊ねた時にはすでに部屋はもぬけの殻であった為に、もう一人の親友であるタバサの部屋へやってきたのだ。 無論、部屋の扉はアンロックで開けた訳だが。 「それにしても、ルイズは何処に行ったのかしらねぇ」 不思議そうに呟くキュルケの声に、タバサは反応しない。 ただ、目の前の、自分の顔より大きい本に読み耽っている。 別にその事にキュルケは腹を立てたりはしない。 何故ならこの娘は、本の虫であり、どんな時でも本を手放さない、本フェチだからだ。 そんな娘が、本を読んでいる時に返答をしてくれるなど、これっぽっちも考えていない。 「まぁ、街に秘薬でも探しに行ったか、何かなんでしょうね。 ルイズの怪我、まだ治っていないみたいだし」 加害者がその場に居ると言うのに話題にする内容では無いが、タバサは気にした様子は無い。 いや、少しだけ、本当に少しだけ目頭がピクリと動き、その事に関する事に何かしらの思いがある事を示していたが、残念ながら、それだけの変化で気付ける人間など、それこそ居ない。 実の所、タバサはルイズの事を警戒している。 あれだけの怪我を負わしたのだ。 自分の所に報復に来てもおかしく無い。 いや、彼女の性格から鑑みても、報復に来るはずなのだ。 今日、何処かへ出掛けたのも、恐らく怪我を完全に治す為の秘薬を手に入れる為だろう。 そして、怪我を完全に治癒した時、こちらに仕掛けてくる。 少なくとも、タバサはそう思っていたし、その為の準備もしている。 来るなら来れば良い。だけど、今度は仕留め損なわない。 そんなタバサの感情を表すように、手に握られている表紙が、少し歪んだ。 「ってな訳で、学院長ったら、わしはまだまだ現役だぞぃとか言って、私の事を口説いてくるのよ」 他愛無い話を耳から耳に流している中、キュルケが思い出したかのように 「あっ、そうそう、ギーシュの奴なんだけど、きちんと回復したわよ」 と、タバサにとって聞き捨てられない一言を漏らした。 「…………なんと言った?」 「えっ?」 「今、なんと言った?」 普段、読書中には返事をしないはずのタバサからの返事に、キュルケは一瞬たじろいだが、すぐに先ほどの言葉を繰り返す。 「えっ、あっ、いや、だから、ギーシュの奴なんだけど、きちんと回復したわよ」 ギーシュの症状を見たタバサは、その答えに思わず読んでいた本に栞を挟まずに閉じた。 そして、キュルケを真っ直ぐと見据えたタバサは、真剣な目つきでその先を促す。 「もっと……詳しく」 まるで砂漠の放浪者が、オアシスを発見したような必死さで聞くタバサに、キュルケはただならぬモノを感じて自分が知っている、ギーシュに関する事の顛末を聞かせるのだった。 「それでは、私はこちらに用事があるので、失礼します。 あぁ、それから、私の事は待たなくて結構ですよ。別の馬を借りて帰りますから」 ミス・ロングビルは街へと着くと、そう言って狭い路地の雑踏へと姿を消していった。 その後ろ姿が去っていくのを確認した後、ルイズは思いっきり不満げに、フンッ、と鼻を鳴らした。 「どうしたんだよ?」 「別に……ただ、ああいう手段が好きじゃないだけよ」 「?」 頭に疑問符を浮かべる才人を一瞥して、ルイズは街へと歩き出す。 (まったく……監視だなんて、やる事が陰湿なのよ) おまけに、ご丁寧にも一緒の馬車に乗って、監視している事をアピールしているあたり、これを仕掛けた人間は相当に性格が悪い。 (言われなくても、こっちだって、今は、騒動はごめんよ。 怪我だった治ってないしね) そう言って、学院の方を鷹のように鋭いを目で睨む。 「大方……学院長あたりでしょうね……」 ルイズの言動の意味が分からない才人は、先程から浮かべている疑問符の数を増やす事しか出来なかった。 「とりあえず、武器屋ね、その後は何処か人の集まる場所に行きましょう」 「武器なんて、誰が使うんだよ?」 大通りと比べると、どうにも不潔な感じがする路地裏を歩きながら、ルイズと才人は言葉を交わす。 「あんたに決まってるでしょ」 「あっ、やっぱり」 使用人として扱き使われた挙句に、武器を持って戦えなんて理不尽だなぁ、と才人は嘆いたが、口には出さなかった。 なんというか、そんな予感はしていたし、これから先も自分は決して平穏と言える生活なんて出来ないだろう。 そんな確信めいた予感に、才人は目頭が熱くなった。 「寂れた所ね」 開口一番にそう告げたルイズは、店主が唖然としているのにも関わらず、店の中の武器を観察し始めた。 横に居るホワイトスネイクと談議しながら買う物を真剣に選ぶ様子は、どう贔屓目に見ても少ないお小遣いで買う物を迷っている中学生だ。 「この槍はどうかしら?」 「槍ト言ウニハ持チ手ノ部分ガ脆スギル。コレデハ、相手ヲ突イタ瞬間ニ折レル可能性ガアル」 うん、ボクは何も聞いてないし、聞こえないよ。 あれは、楽しく物を選んでいる中学生。 断じて、相手が死ぬ様を想像しながら、武器を選んでいるメンヘラっ娘じゃあ無い!! 「脆い武器が多いわね。こんな強度じゃあ、首一つ落とせないんじゃないの?」 「ソウデモナイ。骨ト骨ノ間ヲ通スヨウニ斬レバ、肉ト脊髄ノ中身ヲ断ツダケダカラナ コンナ玩具ノヨウナ強度デモ可能ダ」 ――――――断じて無いよ。多分。 「貴族の旦那。うちはまっとうな商売をしてまさぁ。 ここにある武器達も、まっとうな所から流れてきた正規のもので、脆いだなんて、そんな事、決してありませんぜ」 ようやく、ルイズの容姿と発言のギャップから復活した店主が、店の品の擁護を始めるが、相手が悪い。 店主の脆くない発言を聞いたルイズは、長さが2メイルもありそうな大剣へ視線を向けると、瞬時にホワイトスネイクがその大剣に拳を打ち込み、ぶち壊した。 唖然とする店主と才人。 ルイズは、フンッ、と偉そうに鼻を鳴らし 「どう、これでもまだ脆くないなんて言い張るつもりなの?」 堂々と、脆さを認識させた。 「良い、私が欲しいのは、武器なの。 武器が素手に負けちゃあ、話にならないわよね」 まるでホワイトスネイクの喋り方が移ったかのような粘着質なルイズの声に、店の店主は、ひぃぃと喉から声を出して、店の奥へと消えていく。 恐らく、一番頑丈な武器を探しに行ったのだろう。 「すげぇな……ホワイトスネイクさん」 店主に続いて現実に帰還した才人は、感嘆の声をあげながら、砕けた剣の欠片を拾う。 「別にこれぐらいなら訳無いわよ。 と言うか……なんで、あんた、こいつに“さん”付けなのよ」 私の事は呼び捨ての癖してと、じと目で睨んでくるルイズに才人は、いや、なんかね、と口篭る。 才人は、チラリと名前の話題が挙がっているホワイトスネイクへと視線を送る。 172センチある才人を見下ろす2メートルの身長を持つホワイトスネイク。 さらに、その目の奥は、何か言い表せぬ恐怖を讃えるように瞳の形を取っていない。 そんな存在と、ルイズが気絶している間、才人はずっと同じ部屋で過ごしていたのだ。 ぶっちゃけて言おう。 才人は、ホワイトスネイクに、めっさビビッている。 “さん”付けもそこから来たものだ。 動物が腹を見せるように抵抗の意思はありませんと伝えるのと同じモノである。 「いや……まぁ、なんとなく」 一応、プライドがある才人は、それを悟られないように言葉を濁す。 ルイズは、目を細め暫く才人を見ていたが、はぁ、と溜め息を吐いて 「こいつの事は呼び捨てで良いわよ。 そんな呼び方されちゃあ、あんたも落ち着かないでしょ?」 同意を求めるようにホワイトスネイクに視線を向けると同時に、店の奥から店主が顔を覗かせる。 「あの~、こいつなんか如何でしょう?」 宝石が散りばめられ、豪華の限りを尽くされたその大剣は、先程の剣よりも一回り程小さい。 「これ、ほんとに丈夫なの?」 「えぇ! えぇ! かの高名なゲルマニアの錬金術師のツュペー卿が鍛えた剣ですぜ。 さっきの剣なんか比べちゃあなりませんさ!」 自信満々の店主の態度に、ルイズは、とんとんと刀身を叩きながら、じろじろと見る。 「私……ゲルマニアってあんまり好きじゃないのよ。 そんな国の高名な錬金術師さんが作った剣……悪いけど、信用ならないわ」 ホワイトスネイクがルイズの言葉に呼応するように右手を振り上げ、剣を壊そうとするのを察すると、 主人は大急ぎで剣を抱きかかえ、一本の錆びた剣と取り替えた。 「何コレ?」 「いやぁ、実はこっちの方が頑丈だったのを思い出しまして これなら、幾らでも叩いて確かめてくださって結構でさぁ」 店主がヘコヘコして差し出した剣は、そんな店主の態度に、驚いたような『声』を上げた。 「おい! おいおいおい!! てめぇ、せっかく人が黙って、おっかねぇのが居なくなるのを待っていたのに、わざわざ目の前に出すたぁ、どういうことだ!?」 「るっせい! お前みたいなボロ剣とこの剣とじゃ、価値が違うんだよ、価値が!?」 店主と言い争うボロ剣に、才人は、うわぁ、と驚きの声を上げ、ホワイトスネイクは振り上げた手を、ゆっくりと元の位置へ戻す。 「すっげぇ、この剣喋る!?」 「へぇ、インテリジェンスソードなんて……面白いものを置いているのね」 物珍しげに才人は、ジロジロと店主と叫びあっている剣を観察し、ルイズは、顎の下に手を当てながら、何かを考え込んでいる。 「お前見てぇな、ボロ剣はさっさと壊されちった方が世の為なんだよ、このスカタン!」 「んだと、ゴラァ!! やれるものならやってみろ! 言っとくが、てめぇ如きに壊される程、俺ぁ、柔じゃねぇぞ!!」 剣のやれるものならの発言を聞いた瞬間、ルイズの口元は面白いぐらいに吊り上がる。 「じゃあやってみましょう」 店主と言い合いをしていたはずの剣は、ひょいっとホワイトスネイクにその柄を掴まれ、ようやく自分の現状を思い出した。 「いやはは、その、今のは言葉の綾ってやつでな。 いや、マジで勘弁して欲しいかなぁ――――――」 なんとか延命を希望する剣に、ルイズは無言で首を横に振る。 才人は、不憫な奴だなぁ、と十字を切り、せめて安らかな眠りをと祈りを始める。 「おい、こら! そこの奴! 見てねぇで助けろ! いや、頼む、助けてください!」 そんなことを言われても困る。 才人としても、本日三回目となる切ない部分へのダメージは、遠慮したいのだ。 と言う訳で、素敵な笑顔を浮かべ、左手の親指を遥か天の上へと向け、歯を輝かせて 「うん、それ無理」 キッパリと切り捨てた。 「テメェェェェェェ!!」 剣の悲痛な叫び声と、ホワイトスネイクの拳が風を切る音は、ほぼ同時であった。 「……痛い」 ホワイトスネイクの拳打は、ルイズのそんな一言で終わった。 驚くべき事であるが、ホワイトスネイクの幾重の拳も、あの剣を砕く事は出来なかった。 逆に、打ち続けたホワイトスネイクの拳の方が砕けはしないが、幾らかのダメージを負っている。 「ハァー……ハァー……貴族の娘ッ子……おめぇ、随分と無茶してくれるじゃねぇか……」 泣きそうな声で、ボロ剣が呟く。 どうやら、マジで砕かれる可能性を考慮していたらしい。 そんな剣の様子に、ルイズは僅かに溜め息を吐いた後 「これ、お幾ら?」 店主にこの剣の値段を聞くのであった。 店主と値段交渉しているルイズを横に、才人は自分の相棒となる剣を握っていた。 案の定、剣を握った時、左手の奇妙な痣が淡い光を放ち、身体が軽くなったような不思議な感触に才人は襲われていた。 「おでれーた。おめぇ『使い手』か」 使い魔のルーンが発動中の才人に、剣はそう声を掛ける。 「『使い手』?」 台詞を鸚鵡返しした才人に、剣は、しばし、黙り、そして 「うっし、俺の名はデルフリンガーって言うのだが、これからもよろしく頼むぜ、相棒」 何故だか『使い手』については語らず、自己紹介をしたのであった。 その事に疑問を感じた才人であったが、まぁ、別に良いかと、自分もボロ剣改め、デルフに名前を教える。 そうこうしている内に、値段交渉を終えたらしく、ルイズはつかつかと出口へと向かって行く。 「ほら、行くわよ。次は人が集まる場所に行かなくちゃならないんだから」 ルイズの横柄な態度に、才人は、あいつはツンデレ、あいつはツンデレ、と辛い時に唱えると楽になる呪文を唱えつつ、その後を追うのであった。 次にルイズが訪れたかった場所は、人が多く集まる場所であった。 何故、そんな所が御所望かと問えば、情報が欲しいとの一言が返ってきた。 情報、情報ねぇ、と才人は首を捻り、RPGゲームで情報と言えば、酒場と言う事で、大通りの近くにあった、それっぽい店に入る事となった。 「「「いらっしゃいませ~!!」」」 店の中に入ると大勢の少女が、きわどい衣装に身を包み給仕をしていた。 いや、何ここ? ヘヴン? ボクは天国にでも迷い込んでしまったのかなぁ、と才人がぼーとしていると後ろから、本日三度目の切ない部分を直撃する蹴りが飛んできた。 「こんな所で情報なんて集められる訳無いじゃない! ほら、出るわよ!!」 自分のした事の重大さを理解していないルイズは、何度喰らおうと慣れない痛みに地面をのた打ち回っている才人に、さっさと店の外に行くと告げるが、動かない。 「おまっ……本当、本当……ここだけは勘弁してください……」 どうやらダメージが蓄積していたらしく、少々深刻な事態に陥っているようだ。 (しまった……やり過ぎたみたいね…… む~、こいつが回復するまでここに足止めか。それにしても良い匂い…… そういえば、お腹も空いてきたし、食事も取れるみたいだから、少しぐらい居ても良いかな) どのみち、才人が再起するまで動くに動けない。 とりあえず、近場のテーブルの椅子に才人を無理矢理座らせ(勿論、やったのはホワイトスネイク)自分も同じテーブルの椅子に座る。 「ご注文を伺います~」 胸を強調した服を着た黒髪の給仕が、注文を聞きにきたので、メニューから適当に品を選ぶ。 「そちらのお客様、ご注文はお決まりになりましたか?」 悶える才人に答えられる道理は無い。 「無理みたいだから良いなよ」 「わかりました、では、しばらくお待ちください」 「あぁ、ちょっと待って。 ここも、一応酒場でしょ? 噂話に詳しい奴って居ない?」 黒髪の給仕は、ルイズの問い掛けに目を輝かせ、 「それなら、あたしが一番詳しいですよ!」 と、豊満な胸を張って答えた。 ルイズが運ばれてきた食事を取りながら、黒髪の娘(ジェシカとか言うらしい)と会話している横で、才人は奇妙な容貌の者と対峙している。 「………………」 「………………」 その者の名は、ホワイトスネイク。 彼はルイズが話し込んでいる事もあり、暇を持て余しているのか、才人の事をじっと見据えていた。 「…………あの……」 「……………………」 無言で。 どうかと思う。 「あの、ホワイトスネイク……さん?」 “さん”は要らないとルイズに言われたばかりであるが、 どうにも無言で、しかも無表情と来ているホワイトスネイクに、どうしても、“さん”を付けてしまう才人であったのだが 「ルイズガ、言ッテイタロウ……“サン”ハ、必要ナイ」 「あっ、はい、すんません」 唐突に返された言葉に思わず頷いてしまった。 そこで、才人は気が付く。 今のが、ホワイトスネイクとまともに成立した初めて会話であった。 会話を交わした。その事実に気が付いた才人は、どうせルイズの話も長引きそうだし、粘って、もう少し会話をしてみようと決心する。 「なぁ、あんたってさ、パッと見て人間みたいだけど、種族って何なの?」 「種族、ト言ウモノガ、ソノ存在ノ分類ヲ示スノデアレバ『スタンド』ト言ウ呼ビ名ガ、私ノ種族ダロウナ」 「『スタンド』ねぇ……聞いた事無いや」 「ソレハソウダロウナ。コノ呼ビ名ヲ付ケタノハ、DIOト言ウ名ノ男ダ。 私モ、便宜上、ソレヲ使ッテイルダケニ過ギナイ」 「はぁ~、あだ名みたいなものなんだ?」 「ソウダナ……個々ガ好キ名デ呼ブ場合モアルカラナ。 『守護霊』『悪霊』皆、好キ勝手ニ呼ンデイル」 「『守護霊』に『悪霊』って……あんた、幽霊だったの!?」 驚くような声を上げた才人は、ホワイトスネイクを確りと見る。 がっしりとした肉体に、へんてこな頭部。体に刻まれた変なマークに……足はキチンとある。 「いやいやいや、足だって、あるし、何より、触れるじゃん」 そう言って手を伸ばし、ホワイトスネイクの手に触れた才人であったが、ホワイトスネイクは、首を横に振った。 「触レラレルカ触レラレナイカハ、些細ナ問題ダ。 我々ハ、本来、スタンド使イ……要スルニ、我々ヲ扱ウ者ニシカ見ル事ハ出来ナイ精神体ダ」 「えっ? でも、見えてるじゃんか?」 そう言う才人は、テーブルに置いてある水の数を数える。 ひぃ、ふぅ、みぃ。 きちんと三人分。 つまり、ホワイトスネイクの分もあり、これは少なくとも給仕の娘には、ホワイトスネイクが見えてる事に他ならない。 「ソウダナ……私モ、ソレガ疑問ダッタガ、マァ、ドウデモ良イ。些細ナ事ダ」 そう言い切るホワイトスネイクに、才人は、こいつ……理知的な喋り方してるけど、実は大雑把な奴なんだなぁと、妙に親近感が湧いてきた。 出会ってから感じていた、苦手意識も自然と消えていく……ように感じる。 「なんだ、あんたって、案外大雑把なんだな。 俺、てっきり気難しい細々とした奴かと思ってたんだけど」 よく物事を考えずに言葉を口にしてしまうのは、才人の悪い癖であるが、ホワイトスネイクは、別に気にしていなかった。 と言うか、才人はおろか、他の人間の言う事もホワイトスネイクにとっては瑣末事だ。 彼にとって、自分が自発的に動くべきは本体の為だけであり、それ以外は全て面倒な出来事である。 今、こうやって才人と会話しているのも、彼にとってこの数日間で目覚めた、暇に対する拒否反応だ。 暇を潰す事だけが目的であり、それ以上でも、それ以下でも無い。 「ってな感じなんだけど……参考になった?」 「えぇ、助かったわ。ありがとう」 才人とホワイトスネイクが、適当な会話に花を咲かせているうちに、ルイズと黒髪の娘の話も終わり、食事に集中しようとしたルイズが、ふと顔を上げる。 「あんた、全然食べてないじゃないの? 何、お腹空いてないの?」 才人の手前に置かれた食事の類は、痛みに耐えていた才人が注文出来なかった代わりに、ルイズが頼んでおいた代物だ。 焼き立てのパンと、具材たっぷりのスープに、ドレッシングの掛かった何か良く分からない野菜のサラダ。 見るからに美味そうなラインナップであるが、ホワイトスネイクとの会話に集中していた才人は、まったくそれらを食べてない。 「食べないなら食べないでも良いんだけど、 私が食べ終わったら、店から出るから、食べるなら早くしなさいよ」 そう言って、残り僅かな鶏肉の照り焼きを、パクパクと食べるルイズに、才人は早食いで答えるのであった。 その頃、才人とルイズが居ない学院では、キュルケとタバサが、ギーシュの部屋の扉を開け、モンモラシーがギーシュに対して、あ~んをしている現場を押さえていた。 ギーシュとモンモラシーは勿論だが、そういうウブな行為をあまりしたことが無いキュルケですら顔を赤らめ、黙ってしまった中で、タバサだけが、つかつかと靴音を荒く立てながらギーシュへと近づく。 「質問がある」 「なっ、なんだい?」 いつもの無感情で起伏の無い声ではなく、何か言い知れぬ凄みを含む声に話しかけられたギーシュは、どもりながらも返事をする。 「貴方の今の状態とそうなった理由を詳しく教えて」 「状態と……理由?」 何を聞いているんだと首を傾げるギーシュだが、タバサの目があんまりにも鋭いので、仕方なく、つらつらと言葉を述べていく。 「状態と言われても……気分が凄く良いぐらいだね。 魔法も、また使えるようになったし……後、そうなった理由って言うのは、僕が正気に戻った理由かい? 正直に言うと、ルイズと決闘した後から今日までの記憶が、すっぽりと抜け落ちていてね。 モンモラシーに、今までの事を聞かなかったら、自分が壊れていたなんて、さっぱり分からなかったよ。 でも、聞いた話では、ルイズが僕の事を元に戻してくれたんだろう?」 ギーシュの問い掛けに、モンモラシーとキュルケは、同時に首を縦に振る。 それを見て、タバサは何かを考えこむように、僅かに目を瞑った。 ギーシュの症状は誰が見ても、もう、治せない状態であった。 ある理由から、色々と精神の病気について調べているタバサですら、ギーシュは一生あのままだと思っていた。 しかし、彼は目覚めた。 記憶の欠落はあるが、それ以外は、元のギーシュそのままだ。 つまり、完治している。あそこまで精神的に壊れていたと言うのに。 「………………」 無言で閉じていた目を開き、タバサは自室へと戻っていく。 試す価値はある。 否、これだけの成果を出しているのだ。 望みは十分にある。 問題は――――――どうやって頼むかだ。 一人、足早に歩くタバサは、その事を只管に考えていた。 「あんた、よく、そんなの買うお金があったわねぇ」 「一週間だけ厨房で働いてたから、その駄賃を貰ってたんだよ」 帰りの馬車の上で、才人は手綱を上手く操りながら、ルイズの言葉を律儀に返していた。 行きで苦労した甲斐があったのか、今の才人の手綱捌きは、そこそこ上達しているように見て取れる。 「ふ~ん、で、それ誰に上げるのよ」 ルイズが興味津々で訊ねるのは、才人が買った一つの腕輪だ。 ヒスイ細工の綺麗な腕輪は、少々値は張ったがそれだけの価値に見合う輝きと美しさを持っているが、才人が自分で嵌めるにはサイズが小さく、明らかに誰かのプレゼント用の品物だった。 「いや、世話になっている同室の娘にな」 思えば、シエスタには随分世話になっている。 ルイズ付きの使用人になってからも、シエスタの部屋から通っている才人は、毎夜、シエスタと顔を合わせる事で、一日の疲れを癒しているのだ。 それに、この二、三日はマッサージまでしてくれている。 感謝するなと言うのが無理な話であった。 「ふ~ん……」 なにやら詰まらなそうに相槌を打つルイズに、はて、自分は何か気に障る事でも言ったかと恐慌する。 「……いや、別にあんたが誰と付き合おうが、私には関係無いんだけど 使用人としての本分を忘れてまで、付き合うの駄目だからね」 ふんっ! 鼻を鳴らして使用人として自覚を持てと言うルイズに、薄ら寒いものを感じた才人は、そういえば! と大きな声を上げて、話題を逸らす。 「給仕の娘と随分長話していたみたいだけど、一体、何を聞いてたんだ?」 「そうね……まぁ、世の中にどんな人間が居るかって言う世間話よ」 何が楽しいのか、ルイズの声は先程と打って変わって、幾分、楽しそうな韻を含んでいる。 「中でも、モット伯とか言うのが、一番興味を引いたわね。明日辺り、会いに行くのも悪くないわ」 「明日は馬が借りられないだろ?」 「学院から近いから、徒歩でも大丈夫よ」 明日が楽しみね、と笑うルイズに、明日は、足がパンパンになるまで歩かされるであろう予想が、頭に浮かぶ才人であった。 だが、その予想は少しばかり早く実現することとなる。 その夜、部屋からシエスタの荷物が無くなっている事に愕然とする才人に、料理長のマルトーが放った言葉によって 第六話 戻る 第八話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1473.html
翌朝、犯行現場である宝物庫の前に呼び出されたルイズは、丁度、教師達が醜い罪の擦り付け合いをしている最中に辿り着いた。 やれ宿直やら、責任やら、衛兵やら、とりあえず自分の所に火の粉が掛からないよう必死過ぎるその姿に、吐き気を堪えるのに精一杯だった。 さっさと自室に戻って、フーケを追う準備でもしたい所だが、呼び出された手前、そういう訳にもいかない。 仕方なく、なるべく教師の会話に耳を傾けないようにしていると、蒼髪の少女の姿が目に留まった。 「あんたも呼び出されたんだ」 「目撃者」 隣に立ち止まったタバサの簡潔な言葉に、ルイズは特に何の感慨も抱かなかった。 普通なら、素っ気無い対応に腹でも立てるところなのだが、昨晩、共通の敵に対して共闘した事で、破滅的であった関係に僅かだが上方修正が加わった為、タバサの必要最低限しか話さない対応も、そういう個性であると捉える事が出来るようになったのである。 それに――― 「そうそう……とりあえず、コレはあんたに預けておくわ」 そう言って、ルイズは制服のポケットから、一枚のDISCを取り出した。 昨日と同じ、そのDISCを受け取ったタバサは、傍目からでも強張ったのが見て取れる。 ルイズは、タバサの表情に、ニタリと哂ったが、すぐにこの頃、板についてきたポーカーフェイスに戻り、タバサへ言葉を続ける。 「何も、すぐに使えるようになれとは言わないわ。 だけど、昨日のあの力……使えれば便利だと思わない?」 昨日、自室に戻った後、ルイズはDISCを自分の頭に差し込んでみたが、案の定、吹っ飛ばされた。 ホワイトスネイク曰く、DISCのスタンドを扱えるようになるには、適正が第一条件であり、第二条件が、スタンドを制御する為の精神力であると言う。 ルイズは、その二つ共が欠落している為、DISCから弾かれ、タバサは、二つの内の前者、適正がある為にDISCから弾かれずに済んだのだが、スタンドを制御する為の精神力が足りなく、暴走と言う結果になったらしい。 つまり、精神力だけを補えば、暴走をせず、使いこなせるスタンド使いになれる可能性が、タバサにはあるのだ。 無論、今の所はDISCから弾かれているルイズも、適正は無いが、適性を補う程の精神力があれば扱えない事も無い。 事実、感情の高ぶりによって爆発的に増大した精神力で、一瞬だが、ルイズはDISCのスタンドを、その支配下に置いていた。 だが、持続的にその精神力を発揮出来るかと言われれば、ルイズは顔を顰めるだろう。 人の精神は、無尽蔵であるが、無限では無い。 一度に引っ張り出せる力の量には限りがあり、今だ成長段階にあるルイズがDISCのスタンドを完璧に使いこなせるように精神力の限界を上げるとしたら、後3年程度は必要になるだろう。 ホワイトスネイクから、この考察を聞いた時、3年と言う年月にルイズは、げんなりしたが、ある意味、決心がついた。 適正は、精神力よりも必要性が高い位置にある。 要するに、適正がすでにあるタバサは、ルイズよりも遥かに短い年月でDISCのスタンドを我が物として扱う事が出来るようになるのだ。 適材適所。 今、使えないモノが自分の手元にあるよりは、すぐに使えるようになる者の手元に置いておいた方が、よほど建設的であろう。 ルイズは、そう考えて、タバサにDISCを預けたのだった。 タバサはルイズの言葉をどう受け取ったのか、DISCを自分のポケットに仕舞うと 「努力する」 ルイズの目を真っ直ぐに見つめて、そう呟く。 やる気に満ちた目に、ルイズは上機嫌で、フフンと口ずさんだ。 「では、捜索隊を編成する。我と思う者は、杖を掲げよ」 タバサとルイズがDISCについて話している中、教師達の会話は、何処をどう転んだのか、フーケを捕まえ、盗まれた『破壊の杖』と言う代物を取り返すまでに進んでいた。 勿論、ルイズは捜索隊に志願する為に杖を掲げる。 回りから、生徒では頼りないだとか、『ゼロ』に何がとか聞こえてきたが、あえて全てを無視する。 「君は生徒なんだ、ミス・ヴァリエール。危険な事は教師に任せなさい!」 「なら聞きますが、ミスタ・コルベール。 30メイルもあり、宝物庫の壁も叩き壊したゴーレムと戦う覚悟がある方が、この場に他におりますでしょうか?」 本気で身を案じているのか、苦しげな表情で言葉を掛けてきたコルベールに対して、ルイズは問答無用と言わんばかりに返答する。 ルイズの口から出た言葉に、他の教師達はお互いの顔を見合わせるばかりで、誰一人杖を掲げる者は居なかった。 フーケを討伐すれば確かに名は挙がるが、基本的に皆、命が惜しいのだ。 自分以外、誰一人杖を掲げない光景に、ルイズは不満げに鼻を鳴らした。 教師とは、生徒を正しく導き、そして危険から守る為の人材だ。 それが、例え自分から志願したとは言え、危険に晒されようとしている教え子と同行しようとする者が一人も居ないとはこの学園も長くは無いなと、ルイズは思ったが、口には出さなかった。 「しかしなぁ、ミス・ヴァリエール……流石に君一人と言う訳には……」 困ったように一人はマズいと告げるオスマンの言葉に、ルイズの隣の少女が、その杖を掲げた。 「ミス・タバサ!! 君もなのか!?」 疲弊したかのようなコルベールの声に、タバサは掲げた杖を、無言でより高く掲げなおす。 「どういうつもり?」 「私にも責任の一旦がある」 タバサの言葉に、なるほどと呟いたルイズは、宝物庫に集まった教師を一度、じろりと見回した後に、 タバサを伴って、さっさとその場から立ち去ってしまった。 あわてて、フーケの居場所を知らせてくれたミス・ロングビルに道案内を頼んで、二人の後を追うように指示するオスマンだが、その顔は幾分、不安によって曇っていた。 「さぁ、どんどん食べてくださいね、サイトさん」 「お……おぉぉぉぉ!!」 朝の仕込みで忙しい厨房の片隅で、シエスタの朗らかな笑顔を見ながら、才人は目の前の豪勢な料理に叫び声を上げていた。 才人の様子に、厨房で働いている人々は本当に楽しそうに笑っている。 本来ならば、平民が貴族の屋敷に乗り込み、尚且つ、自分の意見を通すなど天地が逆さになってもありえないのだが、才人は、そのありえない事を仕出かし、シエスタを救い出してきたのだ。 噂好きのメイド達は、貴族に見初められた恋人を救い出した平民に狂喜乱舞し、料理人達は、才人の男らしい行動に、心の底から感心していた。 実際は、モット伯を再起不能に追い込んだのはルイズとホワイトスネイクであり、シエスタを救い出したのも、恋愛感情では無く、恩人の身を案じた為であるのだが、それは言わぬが花だろう。 ともあれ、厨房の面々が自分の為に、朝の仕込みの合間を縫って作ってくれた料理を食べる才人と甲斐甲斐しく給仕をしながら料理を頬張る才人を見ているシエスタは幸せオーラを振り撒いており、何人たりとも近づけない雰囲気を醸し出していた。 が―――――― 「―――ちょっと、探したわよ」 桃色のチェシャ猫は、その雰囲気を真っ向から打ち壊し、誰も近づけないはずの二人の至近距離まで近づいたのだった。 「ふぁっ! ふぁいづ!?」 ルイズと叫びたかったのだろうが、口の中に料理が詰め込まれている才人は、正しい発音が出来ず、あたふたと聞き苦しい言葉を発し続ける。 「食べてる最中は喋らないでよ、汚いわね」 そんな才人を、ルイズは嗜めると、当然と言わんばかりに才人の為に用意された料理の席に座る。 座席は才人の分しか用意されてない為に、才人から席を奪ったのは言うまでも無い。 「平民の癖に随分と豪勢なものを食べてるのね」 嫌味でも何でも無くただなんとなく口に出した言葉に、厨房の働き手達は一様に顔を顰めたが、ルイズはその事を特に気にした様子は無かった。 「何か御用なんですか?」 今だに口の中に物がある才人に変わって問い掛けたシエスタの言葉に、ローストビーフをフォークで突き刺しながら、ルイズは用件を告げる。 「サイト、今すぐに正門に来なさい。私の護衛としての初仕事よ」 簡潔にそう述べると、それだけで説明は終わりと、ルイズはローストビーフを口に運ぶ。肉厚のあるビーフは、咀嚼する度に肉汁と旨みを口内に広がらせ、一度食べれば病みつきになる事、間違いなしなまでに料理として完成度が高かった。 ルイズの傲慢とも取れる態度に、才人は溜め息を吐いてから、食べかけていた料理を一摘みする。 「行儀が悪いから止めなさい」 いや、お前がそこに座っているからだろ、と才人は言いたかったが、シエスタを救って貰う時の借りがある訳だし、強く言う事は出来ない。 とりあえず、破天荒を地で行くルイズの行動に目尻を吊り上げているシエスタと調理場の人々に一言謝ると、才人は部屋に置いてあるデルフを取りに調理場を後にする。 哀愁漂うその背中を見ながら、ルイズは絶妙な味付けの料理に舌鼓を打っていた。 タバサは自室で、フーケ討伐の為の準備を整えていた。 準備と言っても、何時も彼女と共にある大きな杖と彼女のトレードマークである眼鏡を布で拭いているだけなのだが、そこにはある種の気迫に満ち溢れていた。 「きゅいきゅい!!」 窓の外で、タバサの使い魔である風竜が、珍しく傍目から見てもやる気に溢れているタバサに驚きの鳴き声を上げているが、それすら、今のタバサの耳には入ってこない。 拭き終わった眼鏡を掛け、ぴかぴかに光る杖を右手に持ったタバサは、『雪風』の名に相応しく、ひんやりとした闘気を身に纏い、力強く、一歩を踏み出した。 「あら? タバサじゃない、こんな時間にどうしたの?」 一歩目から波乱に満ちていた訳だが。 「それで付いて来た訳?」 「不覚」 ぽりぽりと頭を掻くルイズとタバサの視線の先には、 赤髪の少女が、黒髪の使用人の少年と何事かを話している光景があった。 タバサが自室から正門の馬車へと移動する時、偶然廊下を歩いていたキュルケと鉢合わせしてしまい、あれよあれよと言う間に付いてくると言う方向で話が纏まってしまった。 勿論、タバサは危険だと反対したのだが、逆にそんな危険な所に友達を送り出すだけなんて出来ないと言われると、 もうキュルケのペースで話が進んでいってしまう。 結局、キュルケの同行を断り続ける事が出来なかったタバサは、仕方なく一緒に馬車へ移動してきたのだ。 「キュルケが強引なのは、今に始まった事じゃないけど……今回は、ね」 ルイズの言葉に、タバサは頷く。 二人とも、掛け替えの無い親友であるキュルケが危険な目に遭うのが、心配なのだが、当の本人は二人の苦悩を知ってか知らずか、馬車の席の中で、一番座り心地が良さそうな場所にさっさと陣取っていた。 「おーい、そろそろ出発するぞー!」 手綱を握った黒髪の使用人の声に、ルイズとタバサは杖を握る手の力を無意識に強めながら、馬車に乗り込んだ。 「それにしても……泥棒退治なんかする気になったわねぇ」 道中の暇潰しか、キュルケがタバサとルイズに訊ねるように言葉を呟くが、二人とも、フーケと戦う時の戦術を話に夢中になっており、キュルケの言葉に返答しない。 本来なら、ここでカチンとくるはずのキュルケであったが、二人の真剣な表情に文句を飲み込む。 プライド高く、目の前で行われた犯行を止められなかった事に対して、それなりに責任と怒りを感じているルイズはともかくとして。 普段物静かなタバサですら、何時も手にしている本を手放し、熱心に議論を交わしているのだ。 止めるのは野暮と言うものだろう。 「二人とも、随分とやる気に満ちてるみたいですね、ミス・ロングビル」 「………………」 「ミス?」 キュルケの言葉に気付かず、ロングビルは、対フーケについて話し合うルイズとタバサを、鷹のように鋭い目付きで見詰めていた。 「どうかされたんですか、ミス?」 「―――いえ、なんでもありませんよ、ミス・ツェルプストー」 再度の言葉に、ようやく返答するロングビルだが、やはり視線は二人に固定され、キュルケの方へと振り向こうともしない。 そこに何か、薄ら寒い感覚を感じたキュルケだったが、結局、ロングビルに話しかけるのも止め、道の凸凹に上下する馬車の揺れに身を任した。 フーケが潜伏していると情報があった小屋は、深い森の中にあり、 森の入り口まで来た五人は、目立つ馬車から降り、徒歩でその場所に辿り着いた。 森の中の開けた場所の中心にある小屋を、ギリギリ視界に入れられる地点で立ち止まった五人は、ルイズとタバサが道中立てた作戦を聞かされる。 一先ず、偵察役兼制圧役を小屋に突入させ、それでフーケを捕まえられれば良し。 捕まえられなければ、待機メンバー全員で各々の最大の火力を、小屋を出てきたフーケにぶつけると言う、今ある戦力で出来る最大限の作戦であった。 突入役には、才人、ホワイトスネイクが担当し、 待機メンバーは、ルイズ、タバサ、キュルケ、ミス・ロングビルである。 「あの、ミス・ヴァリエール。貴方の使い魔が突入役に入っていますが……一体何処に?」 突入メンバーにホワイトスネイクの名があるのに、その場に居ない事を疑問に思ったロングビルがルイズに訊ねると、彼女は右手を上げてそれに答えた。 「私ナラバ、ココニ居ル」 ルイズの右手が合図だったのか、ホワイトスネイクがルイズのすぐ傍に具現すると、ロングビルは思わず一歩後ろに下がってしまう。 ホワイトスネイクに慣れていないキュルケも同様である。 「サイトとホワイトスネイクは合図があるまで、小屋のすぐ傍で待機して」 「合図はどうするんだよ?」 「私が直接ホワイトスネイクに出すから、あんたはあいつの指示に従って」 ルイズの言葉に、才人は、溜め息を吐きながら頷くと鞘からデルフを抜く。 「あ~、ひさびさに外出たよ。あのメイド、きっちり鞘に入れやがって、喋れやしねぇじゃねえか」 ぶつくさと文句を吐くデルフを、片手で軽くノックをして黙らせてから、才人は静かに小屋に近づいていく。無論、後ろからホワイトスネイクも続く。 「タバサ、例の物は準備出来てる?」 小屋の窓から死角になる位置に到着し、合図を待つ才人とホワイトスネイクを見ながらルイズが問うと、タバサは僅かに首を動かし、鬱蒼と茂る森の木々の間にある空を指差した。 その返答に満足げにルイズは頷くと、キュルケとロングビルに杖を構えるように促し、自らもまた杖を小屋の方へと向ける。 それぞれが詠唱を終えるのを確認し、ルイズはホワイトスネイクへ合図を送るように指示を出す。 命令を受けたホワイトスネイクは、三本立てて指を才人に見えるようにすると、それを一本ずつ減らしていく。 3 2 1 0! 指が全て畳まれると同時に、才人とホワイトスネイクは小屋の中へと突入する。 才人とホワイトスネイクは意外性により相手の動きを止める為、わざわざ壁にデルフで穴を開け、その中から進入した。 中に入った瞬間、小屋全体へ視線を巡らす才人とホワイトスネイクだが、小屋の中には人っ子一人居ない。 「もぬけの空って……やつか」 「ドウヤラ、ソノヨウダナ。隠レル場所モ在リハシナイ」 警戒を解く才人とホワイトスネイクは、ルイズ達へ中には誰も居ない事を報告し、そのまま小屋の中の探索に入る。 普通なら、罠なりなんなり有りそうなのだが、その気配はしない。 「『破壊の杖』ね、仰々しい名前だけど、どんな形か分からないからには探しようが……」 ぼやく才人を尻目に、足で床に置いてある木箱を蹴るホワイトスネイクは、木箱の奇妙な重さに気がついた。 木箱だけを踏み壊すと、木箱よりも一回り小さい長方形の飾りつけられた箱が出てきた。 蹴ってみると、ずしりと重い。 どうやら中に何か入っているらしかった。 「どう、様子は?」 小屋の扉の方向から聞こえてきた声に、才人とホワイトスネイクは探索の手を止めて、扉の方向を見る。 そこには、ルイズとタバサとキュルケの姿があったが、ミス・ロングビルの姿が見当たらなかった。 「一人足りなくねぇか?」 「ミス・ロングビルなら辺りの偵察って言ってたわよ」 歩くだけで埃が舞う小屋に、顔を顰めながらキュルケが答えると、 一人じゃあ危ないから俺も一緒に偵察してくる、と言って、才人が小屋の外へと出て行く。 ちなみに、一人では危ないと考えていたのも事実だが、本音を言うと埃っぽい小屋の中に居たくなかったのだが。 ともあれ、才人が小屋の外へと出て、一人少なくなった小屋の中で、タバサとルイズはホワイトスネイクの足元にある奇妙な箱に気がついた。 明らかに木とは違う材質で作られたその箱に、二人は覚えがあった。 事前に、ロングビルから伝えられた情報によると、確かあのような形の箱に『破壊の杖』が保管されているらしい。 まさかと思いつつ、二人が箱を開けてみると、なるほど、その中には無骨なデザインの細長い筒のようなモノが入っていた。 見ようによっては、確かに杖に見えない事も無い。 「もしかして……これが『破壊の杖』?」 呆けたように呟くキュルケの言葉にルイズとタバサは、じっと『破壊の杖』と思わしき物体を見詰めていた。 もし、仮にこれが『破壊の杖』だとして、どうしてフーケはこんな場所に置いたままにしているのか。 まさか、ここに荷物を置いておいて、自分は何処かで朝食でも食べているとでも? どういう事なのか、ルイズとタバサがお互いの推測を述べようとした時、天を揺るがさんばかりの地響きが周囲に木霊する。 ざわざわと木の葉を揺らす地響きに、ルイズとタバサは下唇を噛み締めた。 「ナルホド……撒キ餌ダッタ訳カ」 「どういう事よ!?」 焦ったようにホワイトスネイクの言葉を問うキュルケに、ルイズは自分達がハメられた事に対する怒りを露にしながら叫んだ。 「つまり、釣られたのよ、私達!!」 叫び声に反応するかのように、ホワイトスネイクはキュルケを抱きかかえ、 老朽化の為か脆くなった壁を突き破り外へと逃げる。 ルイズとタバサは杖を片手に、ホワイトスネイクが開けた穴から、外へと出るのであった。 「くそっ! こいつ、斬っても斬っても、すぐに直りやがって!!」 「すぐに貴族の嬢ちゃん達が来るから、無茶すんなよ、相棒!」 外に出ていた才人は、ちょうどゴーレムが生成される場所に出くわし、なんとか倒そうとしたのだが、幾ら斬っても土同士が結合しあい、どうにもこちらの勝ちが見えてこない。 「こーいうゴーレムが相手の場合は、術者を倒すのが一番なんだがな~」 「居ないもんはしょうがないだろ!!」 30メイルの巨体からは想像も出来ない程に素早く振るわれるゴーレムの拳を、人間とは思えぬ反射神経と運動能力で避ける才人であったが、疲れを感じぬ石人形と人間では、どちらにとってジリ貧の状況なのかは目に見えている。 この状況を打開する一番の方法は、ゴーレムを操っている術者の無力化なのだが、才人の視界内に術者と思わしき人物は存在しなかった。 「もっと良く探せ! こんなにパワーがあるのに、近く居ないはずなんてねぇ!」 デルフから檄が飛ぶが、探そうにも目の前のデカブツが放ってくる拳が、才人の余裕を精神的にも肉体的にも奪っていってしまい、それどころでは無い。 「良いか、やっこさんの速さはお前さんの速さには追いついてない!! 落ち着いて対処すらぁ、お前さんに攻撃なんて当たりっこねぇよ!!」 使い手を落ち着かせる為にデルフが声を掛けるが、戦闘行為など数える程しかしていないのに、それだけで落ち着くはずなど無い。 結果、ゴーレムの攻撃に対して無駄な動きが多くなっていく。 「ちっ!」 焦りを含んだ舌打ちに反応するかのように、ゴーレムは左手を繰り出してくる。 それを切り崩す為に逆袈裟に切り上げるが、デルフリンガーが触れる前に、土で構成されているゴーレムの腕がハリネズミのように形を造り変えた。 「相棒!!」 今まで拳と言う避けやすい攻撃しかしてこないと思い込んでいた才人は、突然切り替わったゴーレムの攻撃に反応しきれずに、その身を岩石の針で貫かれ――――――なかった。 「シャアアアアァァァァ!!」 まるで、蛇の鳴き声のようだと、才人は砕かれる岩を目の前にしながらそう思った。 「たくっ、遅すぎるぜ、嬢ちゃん達」 ほっとしたかのような安堵を含みながら、デルフは才人の心の内を代弁するのだった。 「ホワイトスネイク!!」 自らの使い魔の名を叫びルイズの声に、才人は、ハッと我を取り戻し、目の前の股座を潜り、ゴーレムの背後へと回り込む。 ホワイトスネイクと才人の二人に挟み込まれたゴーレムは、集るハエを追い払うように、上半身をグルグルと回し、 前方と後方へ同時に攻撃をするが、先程の攻撃で用心深くなった才人と、元より慢心など有り得ないホワイトスネイクの二人には、1ミリも掠りはしない。 「キュルケ! タバサ! 併せて!」 ルイズ配下の二人によって撹乱しているゴーレムへ攻撃呪文を集中させる三人娘だが、炎で焼かれようが、風で吹き飛ばそうが、水で濡れようが、お構いなしにゴーレムは攻撃を続ける。 「どんだけ頑丈なのよ、あいつ!?」 忌々しそうにキュルケが吐き捨てるが、それでゴーレムの歩みが止まる訳は無い。 すでに、ゴーレムの攻撃対象は、ホワイトスネイクと才人から、メイジである三人へと移行しており、ゴーレムの周囲の二人は足止めの為の行動に切り替えていたが、完全に動きを止める事は出来ていない。 「タバサ! 例のヤツを!!」 有効打を与えられない事に苛立ったようにルイズが叫ぶと、タバサは頷き、空を目上げた。 一見すると何も居ないと思われる蒼穹から、凄まじい速度で何かが地上へと一直線に落ちてくる。 「きゅーーーー!!!」 口に樽を咥えたシルフィード。 傍から見ると間抜けな姿だが、それをしているシルフィードも、させているタバサも大真面目だ。 「今!」 タバサの合図と共に、シルフィードは口から樽を離し、眼下で暴虐の限りを尽くすゴーレムへと投下する。 「ナイス! タバサと、え~と、その、タバサの使い魔!!」 歓声を上げるルイズは、奪ってからすでに一日経ち、随分と身体に馴染んだ『水』の魔法の才能をフルに稼動させ、 一気に樽の中身をゴーレムの身体に浸透させた。 「キュルケ! 最大火力で!!」 「締めを飾ってあげるわ!!」 限界まで込められた魔力により胎動する感覚に、キュルケは笑みを浮かべながらそれを解放する。 火は炎となり、炎は焔となり、ゴーレムに染み込んだ純度の高いアルコールと周囲の酸素、それに魔力を糧とし、煉獄をこの世に再現させる。 ゴーレムは、罪を嘆き、罰を受ける罪人のように、膝を折り地面へと倒れ落ちた。 「……終わったのか?」 キュルケの焔から影響の薄い地帯にまで引いていた才人が、プスプスと炎に包まれているゴーレムに向かってぼそりと呟く。 「サァナ……ダガ、トリアエズノ危機ハ去ッタラシイ」 周囲を警戒しつつ、ホワイトスネイクがそう告げると、才人は溜め息を吐きながら、デルフリンガーを握っている手の力を緩める。 「ま~だ、気を緩めるんじゃねぇ。 ゴーレムが倒れただけで術者は、まだ健在なんだぜ」 「んな事言われなくても分かってるよ」 渋々、デルフを握る手にまた力を入れつつ、周囲を見回すとルイズやタバサも油断なく辺りを見回している。 ただ一人、キュルケだけが嬉しそうに自分が燃やしたゴーレムを指差しはしゃいでいた。 「見た、ルイズ!? ねぇ、見た、私の活躍を!!」 自慢げに語るキュルケにルイズは少し迷惑そうだったが、キュルケが居てくれたお陰でゴーレムを燃やす手間が省けたのも確かだ。 「助かったわ、キュルケ。 でも、まだフーケが残ってるから、気を抜かないようにね」 「もう、心配性なのね。 ゴーレムは倒したんだから、残ったフーケなんて牙の無い犬以下じゃない」 ケラケラと笑うキュルケだが、その笑いは、耳を劈く爆音によって掻き消えた。 完全にルイズ達の前に敗れ去ったかのように思えたフーケのゴーレムだが、燃え盛る火炎に包まれながら、芯に当たる箇所は奇跡的にも無事だった。 否、それは奇蹟では無い。 予め、ルイズとタバサが話していた作戦の内容を聞いた“そいつ”はゴーレムの胴体に当たる箇所をアルコールが浸透しない金属で作っていたのだ。 傍目から見ても分からないように、きちんと土を上から被せ、カモフラージュも忘れずに。 案の定、ゴーレムが炎上し、地面へと倒れ伏すと、ルイズ達はゴーレムを倒した事から油断してしまった。 勿論、ルイズ達には油断していると言う認識は無い。無いが、やはり強大な敵を打ち倒した後には、気が緩んでしまうのは仕方ない。 このような荒事に慣れているはずのタバサですら、僅かにだが、戦闘時よりも警戒が鈍っていた。 そして、それこそが“そいつ”の目的だった。 警戒の緩んだ、ルイズ達が取り囲むゴーレム。 今にも燃え尽きようとする四肢の土達に、無事な胴体の金属から魔力と指令が下る。 今すぐに、弾けて四散しろと言う、無慈悲で残酷な自害命令。 意思など無く、命も無い土は、その身を砕き、一斉に周囲360°に飛び散るのだった。 咄嗟に反応できたのは、鈍っているとは言え、様々な経験により研磨された意識を辺りに散りばめていたタバサだった。 ゴーレムが破砕し、燃え盛る岩石が自分を直撃する前になんとか風の防護壁を展開するが、岩石の弾丸はそれを容易く貫通し、タバサの身体を打ち付ける。 致命傷の箇所の防護壁は分厚くしていたお陰か、なんとか即死は免れたが、それでも、右手、腹部、左足に焼け焦げた石が直撃し、ジュウウウと言う肉が焼ける音と、骨の砕ける音が同時にタバサの耳に届く。 ルイズの場合は、もっと深刻だった。 突然の事態に、反応が遅れたキュルケを庇う為に、彼女を抱くような形でキュルケの前に立ったが、その為に詠唱をする時間が無く、凄まじい勢いの石の弾丸をモロに喰らってしまった。 奇跡的に背骨は折れなかったが、その代わりに、右肩の肩甲骨を砕かれ、 完全に右腕の機能が停止してしまい、握っていた杖が手からぽとりと落ちていく。 さらに、石としての硬度を保ったままの小さい粒達が散弾銃のようにルイズの背中を激しく撃ちつける。 ルイズの負傷により、ホワイトスネイクも足元から地面へと倒れ落ち、立ち上がる事すら出来なくなっていた。 「ルイズ、皆!?」 ただ一人、反則的な反射神経と動体視力によって、大きな岩石を避け、小さな石にしか当たらず比較的軽傷な才人が叫ぶが、彼の仲間で、その声に返答する者は居なかった。 第九話 戻る 第十話 後編