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こなたランナー その後 翌日、こなたの自殺は朝のニュースとなって全国を揺るがせた。 先生は、こなたが何故自殺したのかは分からなかったが、 その心当たりをクラスに聞いたところ、 男子の一人が仮病で休んでいたと言った。 先生は、こなたが本当に病気だということを皆に伝えた。 すると、皆は悲壮になった。 中には、泣き出す生徒も居た。 一番初めにこなたに呵責を与えた男子生徒は、 先生の話を聞くなりうなだれていた。 その日の昼休み、つかさは泣き崩れていた。 かがみは、必死につかさを慰めていたが、 つかさが泣き止むことは無かった。 みゆきは、昼休みになると屋上に上り、 そのまま飛び降りてしまった。 「つかさ…こなたは本当に病気じゃなかったの?」 「…こ、こなちゃんは…私の、せいで…」 つかさは頭を抱えて号泣した。 「こなちゃん…本当に、ごめん…ごめんね…」 つかさは、一人で石になったこなたに抱きついた。 (終)
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こなた仕返し by、佐賀県 「こなちゃんが臭くってさー」 「確かにそれはありますね」 朝の教室、そんな話をつかさとみゆきがしているときだった。こなたが教室に来た。ただし引き戸を蹴りでぶち壊して。 「っらああああああ!! 全員両手を頭の上に重ねて床に伏せろおおおおおっ!!!!」 登校してきた泉こなたの第一声だった。 般若のような形相をして、気狂いのような奇声を上げながら教室の引き戸を蹴り飛ばして現れた人物を見てクラスの全員が固まった。 こなたの手にはモデルガンらしきものが握られている。まさか本物なわけがないが、それでもモデルガンを片手に教室の扉を蹴り飛ばす行為は、多少感覚のズレた人物として有名な泉こなたといえどもまともな行動ではない。 最初に硬直状態から抜け出したのは男子生徒の白石みのるだった。 「ど、どうしたんだよ泉……?」 「シャラップなんだよファックがあ!!」 白石のある種の度胸の良さが災いした。こなたは意味不明のスラングと共に左手に握った改造エアガンの引き金を引いた。 ぱかん。軽い音と共に白石みのるの頭蓋を特注の鉛製BB弾が貫いた。言うまでも無く即死だった。 頭から血を噴き出して倒れた影の薄かったクラスメートの姿を見て、他の生徒たちは完全に硬直した。人間いよいよとなると悲鳴も上げられない。 「てめえらは散々あたしのことを馬鹿にしてくれやがって!! 全員ブチ殺してやんよぁああああああ!!! あっはははっはあははははh!!!」 泉こなたは最近までクラスで非道いいじめにあっていて、先週から不登校になっていたのだった。まさかその期間に家で改造エアガン製作に勤しんでいたとは誰も知らなかった。 「まずはテメエからだ柊つかさ! 人の皮を被った悪魔が! よくも親しい友人を装って散々にあたしを傷付けてくれたな!」 「ゆ、許してこなちゃん……! 私たち友達だよ……もう一度やりなお……」 つかさの言葉はそこで途切れた。こなたの放った鉛の弾がつかさの脚を撃ち抜いたからだ。 目蓋を大きく見開き、声にもならない悲鳴を上げてつかさはその場に崩れ落ちた。そのつかさの姿をこなたは冷たい目つきで見下ろした。 「友達ィ~? あたしをハブって、パシリにして、かつあげして、両手にタバコを押し付けて、他にも色々してくれたよね? それが友達に対する態度だったっての?」 もはやいつものこなたの声調ではなかった。低く地の底から響くような声色で、それでいて深い怒りに震えて、歯を食いしばりながらこなたが今までの恨み言を読み連ねた。 「調子のイイこと言ってんじゃねえよつかさああああ!!!!」 「ひいっ! ごめんなさい! ごめんなさい!! ごめ……あぎゃあああ!!!!」 ぱかん。ぱかん。ぱかん。こなたの左手にあるエアガンから、おもちゃのような軽いコッキング音が連続で鳴った。弾き出された弾はつかさの全身の肉を穿ち、骨にまで食い込んだ。 激痛に咽び泣きながら、床を這って逃れようとするつかさ。その背後からこなたは容赦ない銃撃を浴びせ続ける。その顔は鬼のような形相で、しかし自分を散々に傷付けた相手に対して復讐できる喜びに震えるほどの笑みを浮かべていた。 「た、助けてこなちゃ……いぎィ!? おねがい……あギャアッ!! 痛いよ……助け……あがァッ!! おねえちゃ……ごほっ…………おねえちゃん…………」 でたらめに放たれた弾丸はことごとく急所を外した。虫のように床を這うつかさとこなたの鬼ごっこは教室の端から端まで続いたが、ついに痛みと出血に耐えられなくなったつかさが、その大きな眼を開いたまま崩れ落ち、動かなくなったことで終了を告げた。 その間、クラスメートたちはただただその地獄の光景を見ているだけだった。逃げ出そうと考える者はいなかった。 今までもそうだった。泉こなたがクラスでいじめを受けているときも、ただ傍観しているだけの行為は自らの被害に結びつかない、経験が彼らをそう行動させていた。 だが、ここにその例から外れた存在が一人いた。ウェーブがかったロングヘア、メガネを乗せた顔を恐怖に歪め、ガタガタと震えているのは高良みゆきだった。 逃げなければ。次は間違いなく自分の番だ。だが恐怖で脚が竦んで、もはや立っているだけで精一杯だった。膀こうが空でなければ確実に失禁していただろう。 逃げ出さなければ殺される。しかし逃げ出せばその場で後ろから撃たれる。その恐怖がみゆきを金縛りにさせていた。論理的思考は一切働かない。優れた頭脳も非常事態下においてただ恐怖を加速させるだけでちっとも役に立たない。 「さて、と……それじゃ次みゆきさんの番だね」 落ち着き払った声で、足元から腰までべっとり返り血を浴びたこなたが振り返り言った。人を一人殺した。その後戻りできないところに来てしまった自覚が、かえってこなたを冷静にさせていた。 「あははは、処女より先に童貞捨てちゃうなんてすごいねあたしって……死んでるんだよそこのそれ……もう動かないんだよ…………あははははははははははははははははは」 壊れた人形のような顔でこなたが笑う。体は小刻みに震え、それでも顔は笑っている。 今やこなたを支配するのは怒気と狂気だけだった。そして、そんな相手に命乞いなんて無意味。それよりさっさと背中を向けて逃げ出すべきだ。 しかしまともに追いかけっこをすれば早いのはこなたのほう。運動音痴のみゆきが走って逃げ切れる相手ではない。 「……た、助けて……ください…………。お願いします助けてくださいぃ……!」 結局出て来た言葉は命乞いだった。明らかな無為。しかし最早それ以外に取る方法がなかった。足腰をガクガク震えさせながら、目から大粒の涙をこぼしてみゆきはひたすら命乞いの言葉を繰り返した。 「助けて下さい泉さん! ごめんなさい! 許して下さい! 今までの事は本当に申し訳なく思っています!! お金なら親がいくらでも払います! だから…………」 駄目だ。駄目だ! 駄目だ駄目だ駄目だ!! こんな言葉が通用する場面ではない! 最初にこなたが教室の扉を蹴飛ばしてからまだ時間にして1分も経っていない。しかしもうすぐ他のクラスから人が集ってくるだろう。状況を知った教師らが警察を呼ぶだろう。 そうなれば泉こなたは捕まる。そんなこと本人も最初から承知している。 そしてこなたは逃げ出すことを考えていない。自分をいじめていた柊つかさ、そして高良みゆきを殺したら、後はどうなってもいいと考えている。この場で頭を撃ちぬいて自殺する気かもしれない。 そんな相手に何を言っても通用するわけが無い。そう思っていたが、信じられない奇跡のような事態が起こった。 「…………そう、みゆきさん反省してくれてるんだ。……だったら、みゆきさんは殺さないでおいてあげても、いいかな?」 そう言って、こなたは持っていた改造エアガンを傍らの机の上に置いた。 え? みゆきは事態の異常さを理解できない。なぜ? 自分を助ける? 殺さない? どうして? どうして? 「本当はね。ずっとあの頃に戻りたかった。だから、いくらいじめられても、みゆきさんもつかさも、心から憎いと思えなかった……ただ悲しかった…………ひぐっ……すごく悲しかった…………」 静まり返った教室で、こなたは泣いていた。目から涙をこぼし、返り血にまみれた両手で顔を覆って、泣いていた。 「でも、もう戻れない。そう気づいたときに、今までの悲しい気持ちが、まとめて全部殺意に変わった。……本当はずっとあの頃に戻りたかったのに…………」 こなたは泣いている。嘘でも誤魔化しでもなく、本当に涙を流して泣いていた。 みゆきに背を向けて、おぼつかない足取りで教室の中央に向かって、両手をだらりと下げたままふらふらと足を進める。目線は宙をぼやっと見たまま、嗚咽にむせび泣いていた。本当に、本当にただ悲しそうに。 そのこなたの姿を見ながらみゆきは考えた。 泉こなたは間違いなく異常者だ。今は狂った頭脳がもう一度狂って、わけのわからない感傷に襲われているだけ。いつまた心変わりして自分を殺そうとするかわからない。 そして、この状況下で泉こなたを殺せば自分は殺人者か? いや違う。彼女はすでに人一人殺した犯罪者。そして自分も殺されるところだった。正当防衛の成立余地は十分にある。 だからもし仮に自分がこの場で泉こなたを殺しても、警察は自分を逮捕しない。なに、もし面倒なことになれば親が金でなんとでもするだろう。 思考1秒、みゆきにさっきまでの恐怖はもう無い。全て吹っ切れた。みゆきは笑いを堪えるような表情で目を細め、机の上に置かれていた、つかさを殺した改造エアガンを手に取った。 銃口をこなたの背中に向けた。クラス中の人間が息を呑んだ。そして、なんのためらいもなく、みゆきはその引き金を落とした。 かしゃん。乾いた音が鳴った。 「…………やっぱり……だめだよね…………」 こなたは、みゆきに背中を向けたまま。低い声で言った。 「……えっ!?」 みゆきは動揺した。もう一度引き金を絞る。かしゃん。弾は発射されない。 かしゃん。かしゃん。かしゃん。何度やっても同じだ。空撃ちの乾いたコッキング音が鳴るだけ。弾切れだ。弾装に弾が一つも残っていないのだった。 「…………嘘は言ってないよ。あの頃に戻りたい、それは本当の気持ち……私をいじめてた人間は憎くて憎くて仕方が無い……でも、『つかさ』や『みゆきさん』が憎いんじゃあない…………本当に、殺したくなんてなかった…………」 そう言いながら振り返ったこなたの目には光が失われていた。全てをあきらめたように、黒く濁った目でみゆきを見て、懐からもう一つ改造エアガンを取り出した。 「さよならみゆきさん…………私もすぐ行くから。もしあの世で……会ったら……また仲良くできるといいね」 とめどなく溢れる涙に溺れるように声を詰まらせながらこなたは言った。 もう全ておしまい。いや、本当はとっくの昔に終わっていた。だけど気づきたくなかっただけ、私たちはまだ仲良しなんだと、自分だけが思っていたかったのだ。 その勘違いを終わりにしよう。そう思って、こなたは引き金を絞った。 びしゃ。教室の窓ガラスが赤く染まった。額から後頭部までを貫いた8mmの弾痕、そこから噴水のように赤い液体が噴きだした。みゆきの体はその場に崩れ落ちた。 そしてすぐにまた同じ音が鳴った。今度は机が赤く染まった。その傍らにこなたの小さな体が横たわっていた。長い髪を赤に染めてなお頭からだくだくと血を流していた。 血に染まったその机は、ここ数日座る者の無かった、泉こなたの席だった。 いつもここにみんなで集っていた。4人で他愛のない話に花を咲かせていた。 もうあの日々は戻ってこない。血で汚れた机は教室から撤去されるだろう、同時に、誰の記憶からも失われていくだろう。そのうち、誰も思い出さなくなるだろう。 この席の回りはいつも明るかった。素朴に、しかしはっきりと輝いていた。 星のように。 『夕方のニュースです。今日午前8時過ぎ、埼玉県陵桜高校で銃乱射事件が発生。18歳の女子生徒が同級生の柊つかさ、高良みゆきの2人を改造エアガンで射殺し、その後自らもその銃で頭を撃ち抜き死亡した模様です。警察は事件に対し…………』 完
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こなたの体育祭 15-458 (ボツワナ) こなたは、母の仏壇に手を合わせ、母に報告した。 こなた「お母さん、私にも友達ができたよ。」 中学時代友達らしい友達がいなかったこなたに、一緒に行動する友達が出来た。 こなたは生まれて初めて友達っていいなと思う時間を過ごしていた。 中学時代は、話し相手もなく、ゲームを学校に持ち込んで、ゲームに集中することで、 寂しさを紛らせていたこなただった。しかし、高校にはいりやっとその寂しさから開放されたのである。 近日は、かがみ、つかさという友達と、糟日部駅で待ち合わせて学校へ行くぐらい親しい間柄になっていた。 昼食はこの二人の他に、かがみと仲の良いみゆきが加わって四人で食べるというのが日課となっていた。 ある朝、こなたがいつもの時間に糟日部駅の約束の場所でかがみとつかさを待っていた。 いつもかがみたちが約束の場所に姿を現す時間なのに、かがみもつかさも姿を見せない。 こなたは、何かあったのかと思いながら、しばらく待つことにした。 しかし、いつまで立っても姿を見せない。こなたはこのままでは遅刻してしまうと思い。 後ろ髪を引かれる思いでバスにのった。 遅刻ギリギリの時間であったが結構陵桜生が乗っていた。 みんな友達と一緒で、楽しくお喋りしながらの、楽しそうな登校姿であった なんだか、自分だけ一人で乗っているのが場違いな気になった。 学校に着いたこなたは急いで、上履きに履き替え、教室に向かった。 教室が何だか騒がしい。 こなたがいつも通りに教室に入ると、教室の全員がこなたを見た。 こなたはいったい何があったのだろうと思った。みんな自分のことをじろじろみている。 視線が集中する中、こなたは遠慮がちに、自分の座席にむかい、鞄を席の横に掛けた。 そして、こなたは、いつも通り教室に入り、仲の良いつかさとみゆきに声を掛けた。 こなた「お、おはよう、つ、つかさ、み、みゆきさんおはよう。 きょ、今日どうしたの、糟日部駅でいつもの時間に待っていたのに?」 つかさ「こなちゃん、こなちゃんのお父さんて変態でロリコンな上に、ヲタクなんだってね。 こなちゃん、もう近寄らないでくれる。」 みゆき「私も左様お願いします。 泉さんのお父さんが、体育祭で、泉さんを応援するふりをして、 私達、女子学生の写真を取り捲っていたらしいですね。驚きましたわ。 いやらしい方なんですね。 私は、泉さん一人のことを熱心に撮っていたのだと思い込んでいました。 ところが、泉さんだけでなく学校中の可愛い女子学生の写真を片っ端から、撮っていたなんて、 なんていやらしい方でしょう。 きっと、望遠レンズで、胸だとか、お尻だとかそういうところばかりを狙って撮っていたんでしょうね。 体育祭は飛んだり跳ねたりが多いですから、 私のように凹凸のはげしい者なんかは、 凹凸のゆれる様子なんかを連続写真で撮ったりしたのでしょうね。 泉さんと同じ学校に通っているだけで、いやらしいロリコン親父から、 今にも犯しそうな目で見られ、犯すような目で写真まで撮られてしまうなんて。ショックです。」 つかさ「ゆきちゃん美人だし、スタイル良いし、巨乳だし。 きっとこなちゃんのお父さんから何枚も写真撮られているよ。 娘であるこなちゃんが、ゆきちゃんのこと『歩く萌え要素』とかいっていたから。 私もお姉ちゃんも、みんな犯すような目で見られ、写真を撮られたんだわ。 こんなエロ親父、学校に引き込むことになったのはこなちゃんがいるからだよ。 こなちゃん、存在自体がめいわくなんだよ。」 こなた「な、何があったの?教えてよ。」 つかさ「こなちゃん、今朝、教室にきたらこんな写真が出回っていたの、知っている。」 つかさは何枚かの写真をこなたに手渡した。 つかさ「これこなちゃんのお父さんだよね。みんな凄く怒ってるよ。」 そこには体育祭の日に、陵桜学園の女子学生の写真を取り捲っているそうじろうの姿が映っていた。 しかも、そのそうじろうの撮っている被写体にはこなたが入っていない。 そうじろうのやっていることは、娘の記念写真を残すという名目で、 ロリコン親父が女子高生の躍動する肉体を写真に撮っている姿であった。 つかさ「こなちゃんのせいで、私もゆきちゃんも、お姉ちゃんも、 みんなロリコン親父のオカズにされちゃうよ~。」 みゆき「気持ち悪いですわ。」 こなたは言葉に詰まった。なんと応えればいいのやら。 こなた「ごめん、迷惑かけて。お願い友達でしょ。許して。」 つかさ「友達っていわれてもね~。」 みゆき「友達といっても許せることと許せないことがありますし~。」 こなた「・・・どうすれば良いかわかんないんだ。」 「なんでそんなに責められなくてはならないのか?」こなたはおもった。 自分がやったことではないのだ、あくまで写真を撮ったのは父親なのだが・・・。 しかし、そんな主張の通る様子ではなかった。 こなたは涙声になりながら、 こなた「みんなごめんなさい。迷惑かけたと思うよ。許して。」 こなたは丁寧に謝りなおした。 こなたは精神的に限界であった。そんな時、助け舟が入った。 黒井先生「おい、お前ら何やっとるのや、ホームルームはじめるで。」 黒井先生が来てくれた。こなたは助かったと思った。 黒井先生の登場は根本的にこなたを救うものではなかった。 つかさもみゆきもこなたと視線を合わさないようにしている。 こなたはこの日一日、休み時間は出来るだけ教室の外で過ごすことにした。 教室にいたらどんなときにまた、責められるか解らないからである。 そんなとき廊下を歩いているとかがみとであった。 こなた「かがみ、大変な事になちゃったよ。 お父さんが女子を隠し撮りしているのばれて・・・・」、 こなたは泣きながらかがみに訴えた。かがみがなんとかしてくれることを期待したのであった。 かがみ「知らないわよ。もう私に近寄らないで。私まで盗撮の一味だと思われちゃ叶わないわ。」 こなた「そんなかがみまで、・・・・。助けてよどうしたら良いかわかんないんだよ。」 かがみ「はっきり言って、私もあんたのお父さんの盗撮の被害者かもしれないのよ。 なんであんたを助けなきゃいけないの?」 こなた「そんな、かがみまで・・・。」 かがみ「わかったら、もう私に近寄らないで。」 そういい残すと、かがみは逃げるように去っていった。もはや、こなたには頼る人がいなくなった。 昼食の時間になった。いつもならば、こなたはかがみ、つかさ、みゆきと机を並べて昼食を食べるのだが、 今日からはこなたは一人、屋上で食べることになった。こなたは泣きながら、弁当を食べた。 涙が口の中に入り、弁当がしょっぱくなっていた。 授業が終わって、帰るときもこなたに近づくものはいなかった。 いつもなら、つかさやみゆきが一緒だった。 だが、もはやつかさもみゆきもこなたと行動をともにしようとはしなかった。 こなたは一人で、家路に着いた。 次の日、こなたは、とにかく学校に行かなくてはと思い、学校に向かった。 学校に行けば辛い思いをするだけだが、そうじろうに心配をかけたくないという思いから、 学校に行く外道がなかった。重い足取りで、電車に乗り糟日部駅でおりた。 もしかしたらと思い、今まで糟日部駅のつかさやかがみと待ち合わせた時間に、 待ち合わせ場所に行って見たが、やはり誰もいない。自分は一人ぼっちだと思った。 教室に着き誰とも会話せず、席に着いた。かがみとみゆきとつかさは三人で楽しそうに話しこんでいる。 こなたの様子を気にするそぶりも見せない。 こなた「つかさ、みゆきさん、盗撮の件は本当に迷惑かけたと思う。心から申し訳ないと思う。 だから今まで通り、仲良くしてよ。」 つかさ「こなちゃんのせいで私達盗撮されたんだよ。 そんなに簡単にこの事件を無かったことになんか出来ないよ。」 みゆき「たしかにそれはありますね。 神聖な学び舎で、欲情した目で婦女子を見るような方とは仲良く出来ません。」 こなたは、そうじろうの盗み撮りの写真がばら撒かれた日以来ほとんど誰とも喋っていない。 寂しさが、胸の中に広がっていた。 こなたは段々学校へ行くのは嫌になり始めていた。学校で話す人がいないからだ。 話しかけても、無視されたり、冷たくあしらわれたりするだけであった。 ある日、ついにこなたは学校に行けなくなった。 家の中に引きこもり、ゲームや、ネットの中に、逃げ込むようになった。 そうじろうは心配し、こなたにたずねた。 そうじろう「いったいどうしたんだ。なんで学校に行けないんだ?」 こなた「どうしても体調がわるくて。」 「そうじろうが盗撮していたせいで学校に行けなくなりました。」とは言えなかった。 こなたが引きこもる日々が続いた日曜日の前日、そうじろうがカメラの手入れをしている。 そうじろう「あしたの日曜日、お父さんでかけるから。」 こなた「出かけるって何処に、」 そうじろう「いやあちょっと、ハハハ・・。」 こなた「もしかしたら、何処かの学校の体育祭?」 こなた怒りがこみあげた。自分がそうじろうの、変態的な趣味のせいでこんなに苦労しているのに、 そうじろうはまだ、変態的な趣味を慎むことなく、 何処かの高校で、女学生の写真を取り捲ろうとしているのだ。 こなたはどうしても我慢できなかった。 こなた「おとうさん、もう、女学生の写真撮りに行くの止めて。」 そうじろう「良いじゃないか。」 こなた「おとうさんが、うちの学校の体育祭で、みんなの写真を撮っているのがばれて、 私がみんなからいじめられているのだから、お願い、写真は止めて。」 そうじろうは頭に血が上った。 そうじろうは、後ろめたい行為を非難されたことで、 逆に怒りが爆発したのだった。 そうじろう「こなた、お前誰の金で学校行けていると思ってるんだ。 ちょっと甘やかすと調子に乗りやがって、 俺をロリコンでキモオタだと思いバカにしているのか。」 そう怒号を上げると、こなたのアホ毛を鷲掴みにした。そして、力いっぱいこなたを平手打ちした。 こなた「きゃあ。」 そうじろう「生意気な!」 こなた「お父さんが、女子学生の写真を撮るから、私は学校で、みんなからイジメられるんだよ。 お願いだから、そんなこと止めてよ。」 そうじろう「おれが何処で何を写真に撮ろうが関係ねーだろ。」 こなたは涙をこぼし始めている。 こなた「ぎゃあ。」 更に、そうじろうは、こなたを連続して往復で平手打ちした。 こなた「うぐぅ、はぁ、ぐうっ」 こなたは殴られる度に、うめき声を上げた。 こなた「お父さんお願い、盗撮なんか止めて。」 この日、そうじろうは、こなたがどんなに頼んでも、女学生の盗み撮りを止めるとは言ってくれなかった。 そればかりか、盗撮を止めてくれと、こなたが言うと、更に、こなたに暴力を振るうのであった。 こなたの気持ちはそうじろうから離れた。そうじろうはこなたのことは考えてくれない。 しかし、学校にも居場所がなく、家にいても、そうじろうの顔は見たくない。 結局、こなたには居場所がなくなってしまった。 こなたは人生に絶望した。近所の薬局で睡眠薬を購入した。一軒だと怪しまれると思い。 いくつかの店に分けて購入した。 こなたは、自分の部屋の中で、人生の最後に見ておきたいものを見た。漫画やアニメのDVDなどである。 しかし、一番の願いは最後に、かがみ達ともう一度会い、楽しい時間を過ごすことだった。 こなたは、かがみ達と過ごした楽しい時間の思い出の品々をみて、楽しかった時間のことを思い出した。 こなた「そういえばかがみ達といろんなところへいったな。 海水浴にもいったし、コミケに連れて行ったりもしたな、 何年も続けていったコミケだが、やはりかがみ達一緒に行ったときが一番楽しかったな。」 こなた「おかあさんのところへ行くのか。」 こなたは写真でしか知らない母を思った。 こんなところで自殺したら、もし天国で母に逢ったとき、母はこなたを怒るだろう。 こなた「でも、お母さん、もう疲れた。もう良いよね、十分だよね。」 こなたは、母に弁明した。 こなたは、買っておいた睡眠薬を大量に飲み、自らの手首の頚動脈をカッターで切った。 真紅の血が噴出し、意識が遠くなった。 泉こなた享年17歳 翌日、そうじろうは昨日の自分の乱行を恥じた。こんなところをかなたが見たらどれほど悲しむだろう。 そうじろうはこなたにきちんと謝り、そして、もう女学生の盗撮は止めようと決心した。 そうじろう「こなた、昨日は悪かった。もう暴力は振るわないし、 こなたの言う通り、金輪際、女学生の写真を盗み撮るのは止めるよ。 おーい、こなた、怒ってないで返事しておくれ、 本当にお父さん悪かったと思ってる。 ドアを開けておくれ・・・・・。」 中から物音がしない、そうじろうは、いよいよ事の重大さに気づいた。 そうじろう「こなた!いいか?あけるぞ。」 こなたはベッドの上で、手首を切り血まみれになって死んでいた。 そうじろう「こ、こなた!?」 そうじろうはベッドに横たわるこなたを抱えて揺さぶった。 そうじろう「こなた、しっかりするんだ、こなた。目を開けてくれ。」 そうじろうはこなたの胸に耳を当て心臓の音を聞いた。心臓は止まっていた。 そうじろう「こなたぁぁぁぁぁぁ。うわーぁぁぁぁぁ。」 そうじろうは髪の毛をかきむしり叫び声を上げた。 そしてありえない奇跡に期待して救急車を呼んだ。 そうじろう「何でこんなことに・・・。」 「何で」といっては見たものの、責任はそうじろう自身にある。 たかが女学生の写真を撮れなくなるぐらいのことで、 何故あんなに自分が逆上したのか自分でも解らないぐらいだった。 そうじろう「あじゅあぁぁ、ううっ、・・・かなた俺はどうしたら良いんだ。」 後悔に苦しむそうじろうの横でこなたは冷たくなっていた。 救急車が来た、こなたは変死なので司法解剖され、その死因は出血多量だった。 警察は自殺と断定した。警察から冷たくなったこなた無言の帰宅をした。 その日一日、そうじろうは荒れ狂った。家中の物を投げつけて八つ当たりをした。 かなたに続いてこなたまで失うことになってしまったからである。 そんなとき泉家の電話が鳴った。電話主はかがみだった。黒井先生に頼まれて、 学校に来なくなったこなたの様子を伺うためである。 かがみ「高校でこなたさんにお世話になっている、柊ですが、こなたさんはいらっしゃいますか。」 そうじろう「こなたは、自殺しました。 今までこなたと仲良くしていただいたそうで、ありがとうございました。」 かがみ「ええ!自殺ですか。」 そうじろう「何でこんなことになったのでしょうか?」 かがみ「おじさま、こなたさんのことを本当に愛していましたか?」 そうじろう「もちろんですよ。愛しい娘であり、亡き妻の忘れ形見ですよ。」 かがみ「ならばもっとこなたさんの身になって行動すべきだったのでは?」 そうじろう「いつだってこなたのことを考えて行動していましたよ。」 かがみ「おじさまは、こなたさんのことを、娘として愛していましたか? フィギュアやギャルゲ、育てゲーのキャラぐらいにしか思っていなかったんじゃないですか?」 そうじろう「失礼な!こなたを私は娘として愛していた。たかが友達のあんたに何がわかるというのだよ。」 かがみ「あんたさあ、初対面の時にいきなりハァハァしてやがったし、初詣の時も場所弁えずに盛ってたしな。 心証は真っ黒。遊びにいく度に盗撮されてたんじゃないかと思われても不思議じゃない。 私は、少なくとももう二度と泉家に行く気にはならないな。 自分の友達に自分の父親が欲情している姿を見せ付けられた娘のみにもなれよ。 あんたが親じゃあ、娘の友達は父親が気持ち悪いって言い出して、娘に友達出来なくなるのわからねーのかよ。 だからこなたは死んだんだよ。それじゃあ。」 そうじろう「まて、」 かがみは電話を切った。そうじろうは自分の無神経さがいかに娘を苦しめていたかを知り、 生きる気力はなくなっていた。 そうじろうは、ついにかなたの待つ冥土へと旅立つのであった。 かがみの口からこなたの自殺した事件のことは耳にはいったが、 かがみもみゆきもつかさも興味がないらしく他人事のような顔をしていた。 こなたの自殺は、かがみたちにとって普通の記憶と同じように、 これからの出来事の下に埋もれてゆくだけであった。 終わり。
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こなた愛し by埼玉県 かがみ「おっす、こなた」 つかさ「こなちゃん、おはよー」 みゆき「おはようございます、泉さん」 こなた「あーみんな、おはよー」 つかさ「今日もこなちゃんは可愛いねー、あははー」 かがみ「つ、つかさ!それ私が言おうと思ってたのに!///」 みゆき「うふふ、ほら髪もこんなにサラサラです」 かがみ「み、みゆきも!私のこなたに触らないでよ!」 こなた「えと・・・みんなどしたの?何か変だよ?」 つかさ「あはは、変じゃないよー?私達、こなちゃんが大好きなんだよ?」 かがみ「わ、私も・・・こなたのこと・・・な、何か文句ある?///」 みゆき「そうですよ。私達は泉さんが大好きなんです」 こなた「(な、何か変な雰囲気だ・・・)」 昼休み つかさ「こなちゃん!私、こなちゃんのためにチョココロネ作ってきたんだよ!」 かがみ「こ、こなた!あの・・・私もその・・・形は変だけど・・・作ってきた///」 みゆき「あの泉さん、有名洋菓子店のチョココロネが家にあったので、是非召し上がって下さい、うふふ」 こなた「・・・あの・・・みんな・・・?」 つかさ「私のチョココロネがお姉ちゃんやゆきちゃんのより絶対美味しいよ!」 みゆき「泉さんのチョココロネを食べる姿可愛いですよね、うふふ」 かがみ「べ、別に無理にって訳じゃないけど!食べて貰えたら嬉しいかな・・・///」 こなた「あ・・・あはは・・・みんなありがとね・・・」 つかさ「ねぇこなちゃん、誰のチョココロネが一番美味しい?えへへ、私のだよね?」 みゆき「いえいえ、私のチョココロネですよね、うふふ」 かがみ「つ、つかさもみゆきも!こなた困ってるじゃない!・・・で、こなた、誰のが一番美味しい?」 こなた「え・・・いや・・・その・・・」 つかさ「えへへ」 みゆき「うふふ」 かがみ「・・・///」 こなた「(な、何かがおかしい・・・!)」 放課後 こなた「ぜ、絶対に何か・・・おかしいような・・・」 みゆき「あら?泉さん?」 こなた「あ・・・あはは・・・みゆきさん・・・」 みゆき「こんなところで泉さんに会えるなんて・・・運命を感じます・・・うふふ」 こなた「えと・・・み、みゆきさん?」 みゆき「泉さんって・・・可愛いですよね、背も小さくてお人形さんみたいで、うふふ」 こなた「き、急にどしたの・・・?」 みゆき「お口も小さくて、柔らかそうでついつい触りたくなっちゃうんです、私・・・」 こなた「い、いや・・・あの、み、みゆきさん!?」 みゆき「泉さんは・・・ドジっ娘、眼鏡、巨乳キャラが好きだと伺いましたが・・・」 こなた「う、うん・・・そう言うキャラは萌えるよね・・・あはは・・・」 みゆき「泉さんは・・・ドジっ娘、眼鏡、巨乳、そしてちょっとHな性格の女の子は好きですか?///」 こなた「ちょ・・・あ、あの!?み、みゆきさん!?」 みゆき「例えば・・・私など・・・///」 こなた「ひ!?ご、ごめん!みゆきさん!用事思い出したから先に帰るね!(お、おかしい!みゆきさん絶対おかしい!)」 こなた「ハァハァ・・・ここまで来れば・・・」 つかさ「あは!こなちゃんどうしたのー?そんなに息切らして?」 こなた「つ、つかさ!?あ、あはは・・・ちょっとね・・・みゆきさんとね・・・」 つかさ「あはは、ゆきちゃんは強引だからねー」 こなた「え・・・いや・・・ご、強引?」 つかさ「私だってこなちゃんと、もっと仲良くなりたいけど我慢してるのに、えへへ」 こなた「つ、つかさ・・・?」 つかさ「昨日の夜も、こなちゃんの声が聞きたかったけど我慢したんだよ、私」 こなた「えっと・・・それなら電話して・・・くれたら・・・」 つかさ「私がこなちゃんを愛してるから我慢するんだよ?・・・だけどまたやっちゃったんだ、ほら見て、こなちゃん、えへへ、また切っちゃったんだ」 こなた「(ちょ!リストカット!)」 つかさ「あはは、こなちゃん、私、お姉ちゃんやゆきちゃんに負けないよー、私が一番こなちゃんのこと好きなんだから、えへへ」 こなた「ひ!?ご、ごめん!つかさ!用事思い出したから先に帰るね!(ちょ!絶対おかしい!つかさおかしい!)」 こなた「ハァハァ・・・何故に急に百合フラグが・・・」 かがみ「フラグがどうしたのよ?」 こなた「か、かがみ!?」 かがみ「もう、またあんたはギャルゲーのやり過ぎなんじゃないの?」 こなた「あ、あはは・・・そ、そうかもねー・・・(あれ?かがみは普通?)」 かがみ「でも・・・いくらギャルゲーやっても現実のフラグに気づかないなんて、あんたらしいわね///」 こなた「え、えっと・・・げ、現実のフラグ?・・・あ、あの・・・か、かがみ様?」 かがみ「・・・な、なによ!わ、私の口から言わせる気なの!///」 こなた「え・・・その・・・」 かがみ「・・・も、もう・・・私とあんたのフラグは立ってるわよ・・・は、早く私を攻略しちゃいなさいよ!///」 こなた「ひ!?ご、ごめん!かがみ!用事思い出したから先帰るね!(ちょ!ツンデレかがみ攻略フラグ!)」 こなた「ハァハァ・・・こ、ここまで来れば・・・」 みゆき「・・・こんなところにいたんですね泉さん、うふふ」 つかさ「えへへ、急にこなちゃん逃げちゃうからビックリしちゃったよ」 かがみ「・・・こなた・・・///」 こなた「ひ!?」 つかさ「あのね、こなちゃん、やっぱりこなちゃんは私達三人のものだよね、えへへ」 みゆき「そうですね、やっぱり独り占めはいけませんね、うふふ」 かがみ「・・・こなた、悪く思わないで・・・私達・・・みんなこなたが大好きなの///」 こなた「やっ!?みんな!ちょ!やめてよ!い・・・いや、やあああ!」 みゆき「ほら、こなたさんの肌、こんなにスベスベ・・・それに柔らかいです、うふふ」 つかさ「こなちゃん私より胸ないんだね、えへへ、でもちゃんとブラは毎日つけてるんだ?」 かがみ「ん・・・こなたぁ・・・ん・・・ちゅ・・・ぱ・・・はぁ・・・ん・・・///」 こなた「ん・・・ちゅ・・・ぷはぁ!・・・ちょ・・・やめて・・・みんなぁ・・・あぁ!」 つかさ「えへへ、叫んでもこなちゃん誰もこないよ?」 かがみ「ちゅ・・・ちゅぱ・・・はぁはぁ・・・こなたぁ・・・好きぃ・・・///」 みゆき「うふふ、かがみさん凄いですね」 つかさ「お姉ちゃんばっかりこなちゃんとチューしてずるいよ!ちゃんと私と代わらないとだめだよー」 つかさ「こなちゃんって、ギャルゲーとか同人で免疫あると思ってたのに案外恥ずかしがり屋さんなんだね、えへへ」 みゆき「こうやって・・・ん・・・ちゅ・・・舌で肌を愛撫されると気持ちいいと聞いたことがあります、どうですか泉さん、うふふ・・・ちゅ・・・」 こなた「ん!い、いや・・・はぁはぁ・・・あ・・・み、みんなぁ・・・」 かがみ「本当・・・ちゅぱ・・・ちゅ・・・はぁ・・・ゲームと現実は違うのよ・・・こなたぁ・・・ちゅ・・・///」 つかさ「あははーこなちゃん感じてるー!かわいいねー」 みゆき「ふふふ、泉さんの体も敏感ですね、ほらここもこんなに・・・」 こなた「み、みゆきさん!ああ・・・んん!やめてぇ・・・やめてよぉ・・・うぅ・・・」 つかさ「ゆきちゃん凄いねー、ねぇゆきちゃん私にもそれ教えて?えへへ」 こなた「みんなぁ・・・やめてよぉ・・・お願いだよぉ・・・」 みゆき「ふふふ、私たち泉さんを愛してしますから」 つかさ「そうだよ、こなちゃん。私たち絶対にこなちゃんを嫌いになったりしないよ?こなちゃんのこと好きだからね、えへへ」 かがみ「・・・ん・・・ちゅ・・・そうよ・・・こなた・・・私たちはこなたが好きなの・・・絶対に嫌いになんてならない・・・ちゅ・・・///」 こなた「・・・・・・」 みゆき「ふふふ、やっと大人しくなりましたね泉さん。ちょっと壊れちゃいましたか?」 つかさ「あははそれでいいんだよ、こなちゃん。こなちゃんは私たちのものだからね」 かがみ「こなた、もう離さないんだから///」 こなた「・・・・・・」 らき☆すた こなた壊れED 終
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主に泉こなたがメインキャラのSS作品です。 こなた1 こなた2 こなた3 こなた4 こなた5 こなた6 こなた7 こなた8 こなた9 こなた10 こなた11 こなた12 こなた13 こなた14 こなた15 こなた16 こなた17 こなた18 メニューへ
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こなたランナー by 14-470 ピーッ 5限目の運動場を、ホイッスルの音が響く。 その音と共に、私は駆け出す。 100メートルは、長いようで走ると短い。 「15秒68。こなちゃん早いね」 ストップウォッチを持っていたつかさが言った。 「ふぅ~疲れた。ちょっと休憩してくるね」 「うん」 私は、グラウンド脇の階段に座った。 何故だろう…頭がふらふらする… バタッ 「あれ?こなちゃん?こなちゃん!」 ─あれ、ここは… 「こなちゃん!」 「泉さん!」 「おう、泉。気いついたか」 目の前に、先生とつかさとみゆきさんが居た。 私の頭には、冷えたタオルが置かれていた。 「あ、あの…ここは…」 「ここは保健室や。泉にしては珍しいもんやな。」 「こなちゃん。心配したよ!」 「泉さん、あまり驚かせないで下さいね…」 「うん。ごめん、つかさ、みゆきさん、先生」 その日、私は放課後まで寝ていた。 放課後になると、かがみんも心配してくれた。 「こなた。大丈夫?倒れたんだって?」 「うん、運動不足なのかな」 「こなちゃん、体力自慢なのにね」 「確かにそうですよね」 まだ頭はふらふらする… 私は、家に帰った。 その日は、すぐに寝た。 翌朝起きても、なかなか気分が優れない。 その日は一日中ぼーっとしていた。 「こなちゃん、帰るよ?」 「あ、うん」 「最近調子が乗らないようですね」 「いやぁ、何だろうね。やっぱり体動かさないとだめなのかな」 その日、私は病院に行った。 「診たところ、特に異常は見受けられませんが、 これ以上症状が出るようでしたら、 市民病院にでも行かれてみてはどうですか?」 「はぁ…」 家に帰ると、お父さんが出迎えてくれた。 「こなた…大丈夫か?」 「うん。これ以上症状が出たら、 市民病院に行った方がいいって」 「そうか…何か重い病気なのかもしれんな…」 「お、お父さん…やめてよ」 「冗談だって!こなた。異変が起きたらいつでもお父さんを呼ぶんだぞ? 何があっても駆けつけるからな」 お父さんは、両手を私の肩に乗せて言った。 「うん。そうするよ!」 その日も、私はすぐに寝ることにした。 どうも頭が痛いというか、 たまに眩暈のような視点のぐらつきが起こる。 やっぱり明日、市民病院に行こう。 お父さんの言うとおり、本当に何か 重大な病気なのかもしれない。 確かめるまでは、気になって仕方がない。 とりあえず学校は休んで。 翌朝、私とお父さんは車で市民病院に行くことにした。 病院では特に精密な検査はされなかったが、 頭のレントゲンだけは撮られた。 「今のところ、特に脳に異常は見られませんね… 2、3日様子を見て、また来てください。 その時にまだ違和感があれば、再検査しましょう」 「はい…」 そして、私とお父さんは一先ず家に帰り、 私はその日はゆっくりとベッドに寝ていることにした。 夕方、お父さんは念のために頭痛薬を買いに行った。 お父さんが出て行ってから数分後、玄関のチャイムが鳴った。 ドアの小窓から覗くと、かがみんとつかさとみゆきさんが居た。 私は、ドアを開けた。 「やあ、みんな」 「やあみんなじゃないわよ。どうして来なかったのよ」 「いやぁ、まぁ…なんか頭痛くてさ」 「こなちゃん、頭痛いの?」 「泉さん、これ今日もらったプリントです」 「あ、ありがとう。えーと…『市内マラソン大会』?」 「そう。今年から始まったらしいの。あんたは出るの?」 「いやぁ、どうだろうね。何キロくらい走るの?」 「20キロくらいでしょうね」 「ひぇえ…」 「こなちゃんなら走れるんじゃない?」 「そ、そうかな…?」 「まあいいわ、今日はこれで。じゃあね、こなた」 「バイバイこなちゃん」 「さようなら、泉さん」 「うん、バイバイみんな」 市内マラソン大会。 参加は自由。 来月開催…か。 疲れるだろうな… でもまあ、今はこの頭を治さないと… しかし、私の頭は治るどころか徐々に痛さを増し始めた。 お父さんに買ってもらった頭痛薬を飲んでようやく落ち着くと、 そのまま寝てしまった。 明日には治まってくれることを願いながら… 翌日になっても、やはり頭は戻らず、 頭痛薬を飲むのが日課になりつつあった。 今日は、学校に行こう。 「みんな、おはよう」 「おっす、こなた」 「おはよう、こなちゃん」 「おはようございます、泉さん」 ここまではデフォルト。 「泉さん、もう治られたんですか?」 「まあ、一応ね」 「まさか仮病じゃないわよね?」 「そ、そんなわけないじゃん!」 「あははは、どんだけ~」 先生が入ってきた。 かがみんは急いで自分のクラスに戻った。 「はーい、席つきや~。ホームルーム始めるで~って 泉!?お前お父さんがえらい大袈裟に言うてたにしては すぐに復活しとるやんけ」 「あ、いや、あはは」 「さては仮病でも使ってゲマズでも行ってたんか?」 「ち、違いますよ!」 クラスに笑いが響き渡った。 そして、今日の授業は始まる。 学校は、やっぱり楽しいな。 学校が楽しくなったのは…いつ頃からだったっけ。 小、中学生と共に、学校で楽しい思い出なんか 一つもなかった。 あの頃に比べたら… 今の私は充実した毎日を過ごせているのかもしれない。 そして、その日の授業も終わり、私は家に帰る。 しかし、その時から頭に何か違和感があった。 重力場が安定しないような、今までよりも酷い眩暈が… 私は、ベッドに倒れた。 頭だけじゃない…何だか熱っぽい… メールすると、お父さんが帰って来て、 即座に市民病院に連れて行ってくれた。 そこで、私はレントゲンを再び撮られ、 CTスキャンにまでかけられた。 私は、熱が治まるまでは入院することになった。 今日の検査の結果は、少し先になるらしい。 私は、白い空間に一人残され、お父さんは帰ることになった。 後ろ髪を引かれる思いだったに違いない。 私も、孤独は辛いものだと一番良く分かっていた。 再びやってきた孤独。 私に以前降りかかってきた孤独は、 なかなか去ってはくれないものだった。 いくら嫌がっても、襲ってくる。 人間一人だと生きて行けないのは分かってる。 出来るだけ早く開放されたい… 私は、ぐっすりと病床で休むことにした。 翌朝、目を擦りながら起きると、 看護婦さんがカーテンを開けていた。 今日は清々しく晴れていた。 もう12時か… これだけ寝てもまだスッキリしないのは、 多分頭痛のせいだろう。 看護婦から頭痛薬を貰い、飲むことにした。 頭痛薬を飲むと、少し身体が楽になった。 熱はまだあるようなので、再び眠る。 その日、かがみん達は家に来なかったらしい。 私は、次の日に熱は下がったので、 一先ず夕方に病院を出ることにした。 お父さんが迎えに来てくれるまでは、 病院のロビーで座ってテレビを見ていた。 そして、お父さんは今日は道路が混んでて 電車で来たと言っているので、電車で帰ることにした。 無論、電車も混んでいた。 見渡すと、周りはキャラものの服を着た男の人ばかりで、 目の前に居た男の人が持っている沢山の紙袋の中には、 まさに同人誌やフィギュアそのものが入っていた。 そうか、昨日と今日にかけてイベントがやってたのか。 私は、男達の汗で湿度の高い電車の中で カーブの度に荒波に揉まれた。 そして、15分ほど経って ようやく私とお父さんが降りる駅が近づいてきた。 私とお父さんは、電車のドアの方に近づいていく。 そして、ドアが開くと同時に人が溢れ出す。 もちろん、ここで降りるわけでもない人々も一緒に押し出されるわけなので、 一気に鮨詰め状態になる。 私達も、一気に押し出されたわけだが、 私の目の前に居た人の方が強く前に押し出されていた。 ふと、後ろを振り向くと、紙袋が2つ程落ちてあった。 人々の流れに逆らい、紙袋を覗くと、 中には先程と同じものが入っていた。 恐らく、さっき私の目の前に居た人のものに違いない。 私は、2つの袋を持って改札へ走った。 さっきの男の人に届けなければ。 「こなた!どこ行くんだ?」 「ちょっと、落し物みたいだから届けてくる!」 「分かった。無理するなよ?」 私は、ホームを走った。 階段を登り、改札にたどり着き、 さっきの男の人が着ていたキャラものの服を探す。 比較的すぐにあたふたしているその人の姿を見つけたので、 見つけるのは容易だった。 私が手渡すと、その人は泣きながらお礼を言ってくれた。 いいことをした後は気分がいいね。 でも、少し頭が痛くなっちゃったな… 「よう、こなた。落し物は渡せたか?」 「うん!」 「よかったな、こなた」 そして、私達は家に帰り、 私はすぐに寝ることにした。 明日は、学校へ行こう。 翌日、私が学校に来ると何か違和感を感じた。 頭の違和感ではない。 教室の雰囲気である。 蔑むような目つき、嫌な視線が私を貫く。 特に気にしないことにした。 「つかさ、おはよう」 「あ…おはよう、こなちゃん」 「みゆきさん、おはよう」 「…おはようございます、泉さん」 二人とも元気がない。 仕方なく私が席に着くと、 男子生徒が数人私を囲んで口々に話し始めた。 「なあ、泉。お前一昨日からイベントに行ってたらしいな」 「えっ…?」 嘘…どこからそんな話が? 「先生が言ってたんだ。一昨日からイベントだってな」 「隠さなくていいぜ、ちゃんと証拠はあるんだしな、ほら」 男子の一人が、私の眼前に携帯を突きつけた。 見ると、私が雑踏の中で紙袋を二つ持って走っている姿が 克明に写っていた。 「こんなオタク紛れに紙袋二つしょってさ…」 「ち、違うよ…これは…落し物を…」 「だーかーら!!しらばくれるなって! 病気だからって仮病使ってズル休みしてたんだろ?」 「そ、そんな…違うよ…」 「けっ!仮病使ってまでイベント行くとか、 頭腐ってんじゃねーの?この仮病女が」 「…」 私は、反論の余地がなかった。 「これ以上ズル休みしたら、どうなるか分かってるよな?」 一人の男子が私の胸倉を掴んで引っ張り上げた。 「うわ、こいつ涙目だよ…きめぇ」 「お前がズル休みなんかする価値ねーんだよ。 糞蟲が。じゃーな」 男子は、自分の席に戻った。 私は、へたへたと机に突っ伏した。 何で…こうなるの…? 私が、何をしたっていうの…? 善意でやったことなのに… いいことをしたと思ってたのに… 私…仮病じゃないよ… 本当に、病気なんだよ… 「はーい、ホームルーム始めるでー… って泉!?またか!お前はイベントの日だけ 学校休むんかい!」 クラスに、笑い声が響いた。 私に対する陰湿な嘲笑が。 休み時間には、教室の端で陰口を言い放っている 数人の女子の姿が居た。 まただ… また、小、中学校の思い出したくもない光景が 現に今、訪れている。 昼休み、私は人気のない屋上で 弁当を食べることにした。 みんなの視線を浴びるのはもう嫌だった。 あぁ…もう、学校なんて嫌だ。 高校になって、もう辛いことはないだろうと思っていたのに。 一生分の辛さを小、中学生で味わったと思っていたのに… その時、屋上のドアが開いた。 つかさとみゆきさんが、こちらへ歩いてきた。 「つかさ…みゆきさん…」 「こなちゃん、大丈夫?」 「泉さん…大丈夫ですか?」 「ぁ…うん、これくらいはどうってことないって 心配しないで!」 「…そうは見えないよ。こなちゃん」 そうだ。 私には、かがみんとつかさとみゆきさんがいる。 「あははは…で、どうしたの?二人とも…」 「こなちゃん…ただ1つ、教えてほしいことがあるの」 「何?つかさ」 「こなちゃんは、何て病気なの?」 「え…?」 「病名が分かったら、私から黒井先生に伝えるから、 それで集会か何かになって皆に立証できるかもしれない」 「ま、まだ分からないんだ…検査の結果が出てない…」 「こなちゃん…言いたくない気持ちは分かるけど、 言わないとこの虐めはどんどんエスカレートしていくよ?」 「そうですよ。私たちは泉さんのために言ってるんですよ? 重大なら、重大な病気だと皆さんに言えるんですよ?」 「だ、だから…本当なんだよ…」 「こなちゃん!いい加減にしてよ。 私達、親友だよね?」 「泉さん、隠すのもほどほどにして下さらないと」 「だから!まだ分からないんだよ!」 私は、屋上で叫んだ。 「そっか…そうなんだね。よく分かったよ」 「え…?」 「泉さんは、せっかく私達が彼方に 協力してあげようとしているこの好意を、 踏みにじるんですね?」 「ち、違う…違うよ…信じて…」 「私達の友情って、そんなものだったんだね… もういいよ。こなちゃんがそれでいいなら 好きにすればいいよ」 「つ、つかさ…みゆきさん!」 「では、失礼します」 そして、屋上の扉は閉じられた。 その日の授業は、全く頭に入らなかった。 つかさもみゆきさんも、私を無視するようになった。 放課後には、かがみんまでもが… 放課後は、私は一人で家に帰った。 また、頭痛が激しくなってきた。 もう、嫌だよ… 何でこんなことになったんだろ… 私は…もう独りなんだ… 学校なんかもう行きたくない。 独り惨めな生活は、もうしたくない。 しかし、学校に行かなければ、 どんな仕打ちが待ち受けているか分からない。 絶望感に私は再び追い込まれた。 親友さえ失った今、残っているものは… 「こなた…おかえり。今日は頭、大丈夫か?」 「お姉ちゃん、病気なの?」 お父さんと、ゆーちゃん… 「頭は…痛い」 頭痛は昨日にも増して激しかった。 恐らく、今日受けたストレスが原因だろう。 「このままだとマズいかもな…また病院行くか?」 「…い、いや。明日も学校に行く…」 「そうか?無理はしなくていいんだぞ?」 「そうだよ。いくら受験生でも、 そこまで無理はしなくていいよ」 「ありがとう、お父さん、ゆーちゃん。 でも、明日は行くからね…行かないと」 私は、そのまま部屋に入って独りで泣いていた。 誰も助けてくれない。 でも、私は弱い人間なんだ… 皆に太刀打ちができる訳がない。 つかさ達は、せっかく私を助けてくれようとしていたのに、 裏切ってしまった。 でも、病名は出てないよ…本当に… 翌日思い足取りで学校に着くと、 上靴が無かった。 ゴミ箱を探してみると、私の上靴が入っていた。 上靴の中までゴミを詰められていて、とても臭かった。 中は、ぐっしょりと湿っていたが、仕方ないので履いて、 教室に入る。 その日、私は誰とも会話することなく一日を終えた。 トイレに入ると水をかけられたり、 足を引っ掛けられて転んだり、 完全なる虐めだった。 しかしそれは、先生にはバレない程度の虐めだった。 徐々に私のストレスを溜めていこうという作戦らしい。 学校に、私の居場所はもうなかった。 家に帰って携帯を見ると、メールが数十通にも及んでいた。 全てが迷惑メールだった。 もちろん、メールアドレスに登録していない人からも来ていた。 むしろ、それがほとんどだった。 それからの数日は、同じような日が何度も繰り返された。 それに比例するかのように、私の頭はどんどん痛くなっていった。 ある日、私は家に帰った時に気を失った。 再び、病院でCTスキャンとレントゲンを撮られた。 「脳に腫瘍が出来ていますね」 「悪性ですか…?」 「どうやら、悪性のようです。 元々は良性だと判定していたのですが、突然変異です。 こんなことは極めて異例です。 ストレスが原因だと考えられるのですが… あなたがもう少し早く病院に来て下されば、 適切な処置が出来たかもしれません」 このストレスというのは、 私が今まで過ごしてきた孤独が積もり積もったものだろう。 おまけに、私は脅しをかけられていたんだ。 病院なんか来られるはずがなかった。 「…残念ですが、こなたさんの命は、 あと1ヶ月足らずです。 延命治療を受けるのなら別ですが、 それでも死亡が数日間遅れるだけです」 「治ることは、ないんですね?」 「…はい。脳だけでなく、 身体のあちこちに転移している可能性がありますから」 そういえば、今日は身体が麻痺した感覚になった覚えがある。 「延命治療を、受けますか?」 「…少し考えさせて下さい」 「解りました。いつでもどうぞ。なるべく早めにお願いします」 翌日から、私は病院での生活になった。 延命治療をしても、死亡日を遅らせるだけ。 延命治療なんかして身体を拘束され、 病に蝕まれて苦しみ死ぬよりも、 自分で好きなように生涯を終えたい。 どうせなら、充実した人生のゴールを切りたい。 そうだ。 来週のマラソン大会に出よう。 応援団はいない。 いないけど、最期に走りたい。 遅れれば遅れる程、走ることが出来なくなる。 マラソンで走って、人生の未練を完全に捨て、ゴールテープを切る。 うん、それがいい。 すると、お父さんが病室に来た。 「こなた。延命治療のことだが…どうする?」 「私、延命治療は受けない。自分の人生は、自分の力で終えたい。 私、マラソン大会に出るよ。お父さん」 「そうか…解った。こなたはそれでいいんだな?」 「うん…お父さん、ごめんね。親不孝だよね、私」 「こなたがそれでいいんなら、それでいい。 お父さんのことなんか、気にすることない。 しっかり頑張ってくれ」 お父さんは、笑顔で言ってくれた。 内心は、寂しいのが見え見えだったけど。 そして、マラソン大会当日。 私は一人のランナーとして、ゼッケンを貰った。 スタート地点で、お父さんが励ましてくれた。 号音が鳴り、総勢約100名が走り出す。 陵桜学園高等部からは、私一人だけだった。 偶然だろうか… それとも、やはり… まあいい。 今は、マラソン中だ。 余計なことを考えて、酸素を使わないようにしないと… しかし、そう考えれば考えるほど、 今までの自分が走馬灯のように目に映る。 かがみんやつかさ、みゆきさんのこと… できれば、応援に来てほしかった。 最後まで私の友達であってほしかった。 頭痛は走るごとにズキンと頭に響き、 何度も走るのを止めかけた。 でも、私はゴールする。 そのために走ってるんだ。 人生のランナーを完走するために。 しかし、ゴールまであと2キロメートルのところで、 足が縺れて転んでしまった。 私は、もう駄目かと思った。 私の横を、どんどん他のランナーが過ぎていく。 やっぱり…一人じゃ… 「こなたあああああああああ!!!」 私は、目を大きく見開き、辺りを見回した。 しかし、山道だったので、かがみは居るはずがなかった。 ひょっとしたら、夢かもしれない… だがその声は、私に力を与えた。 あと、2キロメートルだ。 辛いことは、おしまいだ。 そして、山頂のゴール地点では車で移動していたお父さんが待っていた。 私は、ゴールテープを切り、そのまま走り続けた。 しかし、お父さんに抱きつくことなく、 そのままお父さんの手を強く握り締め、 まっすぐに走り、目の前に広がる崖に落ちないように 設置されていた柵をさっと飛び越え、 人々の悲鳴を聞きながら、 私とお父さんは風と共に人生のゴールテープを切った。 私、次もお父さんの子供がいいな─ こなたランナー その後 (終)
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こなたの父は? 泉そうじろうは、実娘こなたを心から愛していた。 こなたはそうじろうにとって、娘であると同時に、亡き妻かなたの忘れ形見でもあった。 そうじろうは、母親がいないこなたが寂しくないように、こなたに出来るだけのことをしてやりたいと思っていた。 それはこなたへの思いでもるが、 また若くして逝ってしまったせいで、かなたに与えることが出来なかった愛情を、 かなたにかわってこなたに注ぐことを意味していた。 そんな、そうじろうの仕事は小説家だ。今取り組んでいる作品は、親子鑑定を題材とした作品である。 編集「泉先生、今読者は結構知識が豊富ですから、A型だと思っていたらB型だった、位じゃ読者は驚かないですよ。」 「そこでですね、いま私、血液型と遺伝の資料を集めてきました。」 そうじろう「血液型や遺伝なんてよくわからないんですよ。説明おねがいできますか?」 編集担当者は、そうじろうに血液型と遺伝の関係を説明しはじめた。 理科オンチのそうじろうは理解に苦労したもののなんとか理解できた。 編集者「この資料は、権威ある先生に取材したものだから内容は堅いです。」 そうじろうは、新しい知識を得てうれしくなった。 それと同時に、この知識をこなたに教えてこなたを喜ばせてやろうと思った。 作品のほとんどは既に出来上がっており、親子鑑定が絡む部分を書き上げれば今回の作品は無事完成となる。 そうじろうは、新しい知識を作品に活かすことで胸が躍っていた。 気持ちが乗っているときは、筆の乗りもよく、意外と早く小説は完成した。 そうじろうは、新しく得た血液型の知識を自分の家族にも当てはめたくなった。 まるで新しい玩具を得た子供のように、この知識で遊びたくなった。 そうじろう「そうじろうはO型、かなたはA型、だから娘のこなたはA型。」 そうじろうは、血液型からみてもこなたが間違えなく自分とかなたの間の子であることで悦に入っていた。 そうじろうは、こなたが生まれてからの、血液型診断を古いアルバムを見るように眺めていた。 こなたの診断書には、単にA型とかいてあるものと、AA型と書いてあるものがあった。 むかし、そうじろうが初めてこれを見たとき単なるA型とAA型の区別なんて意味のないものだと思っていた。 だが今は違う、新たな血液型の知識を得たそうじろうにとって、AO型とAA型の違うものだった。 そうじろう「こなたはAA型・・・・・・・・・。」 そうじろうは、使った血液型の資料を見直して愕然とした。 「O型のそうじろうとA型のかなたの間に、AA型のこなたは生まれない。」 いやそんなはずはない。こなたは間違いなく俺とかなたの子のはず。俺は勘違いしている。 そうじろうはもう一度資料とこなたの診断書を見比べた。 資料によるとO型とA型の間にAO型は生まれてくる血液型として書いてある。 しかしAA型はO型とAO型の間に生まれてくる血液型となっていないのだ。 診断書を見直した。親切にもわざわざ、AA型と書いてくれている そうじろうは急に胸が苦しくなってきた。溺愛してきたこなたは自分の子じゃない。 しかも、かなたとこなたの親子関係は分娩の事実で明白なものである。もし、こなたが自分の子でないなら、 「かなたは自分を裏切ったことになる。」 そうじろうにとって今更受け入れられる事実ではない。 そうじろうは、身体の中で言いようのない苦しみのエネルギーが膨張しているような苦しさに襲われた。 そして思わずさけんだ。 そうじろう「うわぁぁぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁ!ひゃはぁぁぁぁ」 そうじろうは叫び続けた。自分の体の中で膨張している苦しみを吐き出すように…………。 そうじろうは急に力が抜け倒れこむように座り込んだ、激しく、そして何度も、床を叩いた。 そうじろう「ぐふぅ…………」 知らぬ間に涙が流れている。悔し涙か?はたまた、悲しみのキワミか? そうじろう「あじゅぁ・・・・うう・・・・・。」 泣きながら、顔を上げたそうじろうの目には、憎い仇かなたの遺影が飛び込んできた。 かなたとの楽しかった日々は、そうじろうの独り相撲だったのだ。 怒り狂ったそうじろうは、この苦しみをかなたにも味あわせたいと思った。 しかし、かなたは既に死んでいる。 そうじろうはかなたの代わりに愛情を注いでいるこなたにこの怒りの矛先を向けることにした。 午後5時ごろ、なにも知らないこなたは、家に帰ってきた。そうじろうは平静を装って、こなたを迎え入れた。 夕食を終え、こなたは自分部屋に戻った。いつものようにコンプを読んでいる。 そうじろう「おもしろいか?」 こなた「ユニーク」 そうじろう「そうか。」 この言葉を発すると同時にそうじろうはこなたに襲い掛かった。 こなた「お、お父さん!?なにするの!」 こなたの声は驚きで引きつっている。 そうじろう「おまえはなあ、俺の子じゃないんだよ。どこかの泥棒猫の糞ガキなんだよ!」 こなた「お、お父さん。どういうこと。」 そうじろう「お前の血液型はAA型だ!O型の俺とA型のかなたの間にAA型のお前は生まれてこないはずなんだよ。」 こなた「・・・・・・・・・。」 そうじろうは、かなたへの憎しみを込めてこなたの両手を後ろ手に縛り、 こなたの処女を奪ったのであった。 こなた「お、お父さん!?なにするの!」 こなたの声は驚きで引きつっていた。 そうじろうは、こなたの叫び声を無視し、こなたの両肩をつかんでベッドへ投げ込むように押し倒した。 そして、シャツを引き裂き、ブラをむしりとり、ズボンを脱がせ、パンツもむしりとった。 こなた「やめて、お父さん。」 こなたの声は鼻声になり、目には恐怖から涙が溜まっていた。 そうじろう「うるさい!」 そう叫ぶと、こなたの顔にビンタを食らわせた。 こなた「キャア」 こなたはシャツを引き裂かれ、ブラを外され、下半身は、黒いソックスとパンツが足先に絡み付いているだけになっていた。 露になったこなたの胸は子供の胸のように小さい。しかし、そうじろうはこんな胸の女が好きなのだ。 そうじろうはこなたの乳首に吸い付いた。かなたが死んで以来味わえなかった感触を楽しむことが出来た。 こなた「いやっぁ!」 西川口のソープ街で幾ら遊んでも、この童女体型の胸の感触はかなたでしか楽しめなかった。 そうじろうはいつも着ている作務衣を脱ぎ、自らの身体をこなたの肌に絡みつかせた。 かなたそっくりの「ぷにぷに感」である。かなたでしか味わうことの出来なかった「ぷにぷに感」にそうじろうは股間を熱くした。 そうじろうはこなたの唇を無理矢理奪った。 「かなたはこんな感じだったかな?まあいいや。ぷにぷにしてすごく気持ちいいな。」と思った。 こなたの目からは既に涙が流れ出していた。 こなた「やめて、お父さん、お父さん!」 懇願するようなこなたの声である。それでもなお、そうじろうはこなたに往復でビンタを食らわせた。 こなた「キャア」 そうじろうは、こなたの両足を持ち力いっぱい開くと、あらわになったこなたの恥ずかしい部分の写真を撮った。 そして自分の怒り狂った男根をこなたの膣にぶち込んだ。 こなた「お父さん、痛いっ、痛いっ・・・。やめて・・・。」 こなたは苦しそうにうめいている。そうじろうはカメラを取り出し、このこなたの表情を写真に写した。 こなたの股からこなたが処女であったことを示す血が流れていた。いよいよそうじろうも射精しそうになってきた。 そうじろう「ウッ!」 ついにそうじろうは射精した。 そうじろう「ハアハア。」 こなた仰向けに寝て少し荒い息をしながら、呆然としている。目からは涙が溢れ出ている。 そうじろうはそんなこなたの姿を見て満足げだ。 そうじろうはこなたに言った。 そうじろう「お前は、俺の子供を生むのだ。お前はかなたの身代わりだからな、かなたの罪をお前が償うのだ!」 こなた「ぐふぅ。」 さらに、そうじろうはこなたを虐待することにした。 そうじろう「おまえの悲鳴をかなたにも聞いてもらおう。今から遺影と遺骨をとってくる。」 そう言い残すとそうじろうは、急いで遺影と遺骨をとりにいった。 そうじろうはすぐに戻ってきた、遺影と遺骨だけでなく何か色々持っていている。 そうじろうはかなたの遺影をこなたの机にかざり、その横に、かなたの遺骨を置いた。 そして、普段は飲まないタバコに火をつけ、タバコが燃えるよう吸い込んだ。 そうじろう「さあ、こなた叫び声をあげてごらん。」 そう言うと、そうじろうはこなたの太ももにタバコの火を押し付けた。 こなた「ギャー。あじじ。やめて。」 そうじろう「いいぞ、こなた。」 ビシッ。そうじろうは鞭を取り出しこなたを殴った。 こなた「いたい、やめて。」 そうじろう「痛いか?俺の痛みはこんなもんじゃない、なんせ17年間も騙されてきたんだからな。」 また、そうじろうはタバコの火をこなたに押し付けた。こなたは苦痛に叫び声をあげた。 こんなことが、朝まで続いた。既にこなたの身体はぼろ雑巾のようだ。 そうじろう「そろそろ学校へ行って来い。お前が行かないと怪しまれるからな。 それと、もし、逃げたり余計なこと口走ったら、お前の愛するネットにこれが流れるぞ。」 そうじろうの手にはこなたを陵辱するときに写真をとったカメラがあった。 こなたは準備を整え学校に向かった。 こなたは頭が何かで締め付けられているかのように、何も考えられなかった。 呆然としたまま学校に着いた。 教室に入るとかがみ、みゆき、つかさの三人が集まっている。こなたは昨日からの事件を悟られないように勤めた。 こなた「お、おはよう…。」 しかし、三人の返事は。 かがみ「こなた、私たち友達を終わりにしないか。」 こなた「えっ?どっ、どうして?ががみにもし迷惑かけたのなら謝るからそんなこと言わないで…。」 かがみ「昨日、私の家にあんたのお父さんから電話があって。 私たちがあんたに暴力を振るっているので、私たちがあんたに近づくのやめてほしいって。 あんたさ、私たちのことどんな風に親に説明しているの?私たちあんたにどんな暴力振るった? 暴力どころか、宿題助けてやったじゃない?こんな言い方されてまであんたと付き合いたくないわ。 そういうことだからそれじゃあ。」 こなたは、目の前が暗くなった。そうじろうは、友達まで奪うつもりだ。 こなた「かがみ、違うんだよ。違うんだよ。お父さんが勝手に・・・・。」 こなたはすがりつくように、かがみに釈明しようとした。こなたは涙目になっている。 かがみ「あんたの家みたいに親子の仲がいいうちでどういう誤解が生じるってのよ? それに、あんたのお父さん私たちのこと黒井先生にいって叱ってもらうとか言っていたらしいわよ。 とんだ冤罪だわ。なんで助けてやってこんな仕打ち受けなきゃなんないの?」 こなたは胸が苦しくなり、吐き気がした。昨日以来のことをどう説明すればいいのだろう? かなたが、そうじろうの知らないうちに、そうじろう以外の男と関係を持ったうえに、 子供まで作り、これをそうじろうの子供だといって、そうじろうに育てさせていたのである。 この事実を知ったそうじろうが激怒し、かなたへの復讐として、 こなたを苦しめるために、わざとこんなことを言って友達を奪おうとしているのだ こなたは、これらのことをどのように説明すればいいのか解らなかった。 こなたは「なんとか誤解を解かなければ」と焦ったものの、よい方法が見つからない。 そんなとき、黒井先生が入ってきた。 黒井先生「よっしゃ。そんじゃホームルームはじめるで。みんな席に着け。」 かがみは、小走りでB組みの教室から出て行ってしまった。 残る二人も冷たい目でこなたをみている。こなたは追い詰められていた。 ホームルームが終わったあと、黒井先生はそうじろうの謀略どおりに、みゆきとつかさを職員室によんだ。 こなたには、授業の合間の短い休みにも、かがみ達の誤解を解こうとしたが、かがみ達はこなたを避けていた。 昼休み、こなたはかがみ達が三人で食事をしているところに、おもいきって話しかけた。 こなた「……実は、あのかがみ達が私をいじめているという話は、お父さんが私に嫌がらせするための作り話で……。」 かがみ「はあ?何言ってんだかわかんないよ。せめて日本語で話してくんない。」 こなた「お父さんが私に嫌がらせしているの!」 つかさ「こなちゃんさあ。あんなにお父さんと仲良かったじゃない?そのお父さんが何で嫌がらせするの?」 こなた「私、お父さんの本当の子じゃないから・・・。」 かがみ「本当の子じゃないなら、何で、今まで育てたんだ?」 こなた「昨日それがわかったらしくて・・・。」 みゆき「泉さん、私達黒井先生に『やっぱり、お前ら、泉がヲタクだと思って、イジメとったんかい』 って言われたんですよ。私達、イジメをする人間と思われたんですよ。責任とってください。」 こなた「みゆきさん、先生のところへ一緒に行って、誤解をとくから私を信じて。」 みゆき「私達が暴力で泉さんにそう言わせていると思われるだけですわ。返って逆効果ですから、結構です。」 こなた「・・・・・・・・・。」 かがみ「とにかく私達の近くに寄らないで。またイジメていると思われたら迷惑だわ。」 三人は二度とこなたと口をきくことは無かった。 叩かれたあと、火傷のあとが痛む。それらよりつらいのは未来がないことだ。 これから続く虐待の日々、消えてゆく友情。こなたにもはや生きる気力はなかった。 放課後、こなたは家に帰らなかった。帰ればまたそうじろうに虐待されるだけである。 逃げるにしても何処に逃げればいいのか解らない。こなたに居場所は無かった。 こなたは秋葉原で時間を潰すことにした。 丁度、カードを持ってきていたので、幸いなことに一応お金はあった。 こなたは秋葉原でおもいっきり遊んだ。しかし、やはり一人では楽しさも半減していた。 ときどき昨晩以来の出来事が頭をよぎった。かなたは何故そうじろうを裏切ったのか?本当の父は誰か? こなたは初めて母を恨んだ。生まれてきたことを後悔した。でも今のこなたは心に浮かぶ色々なことを忘れようと決めた。 「今は楽しむことが重要だ。」そうおもった。ほしかったフィギュアも、グッズも惜しげもなく買いあさった。 秋葉原も夜遅くになってくると、段々人影も減ってくる。店じまいする店も出てきた。 その風景は、秋葉原までこなたから去って行くように思えた。 「これで終わりか。」こなたは思った。 秋葉原の町の様子が見られる安いビジネスホテルにこなたは宿を決めた。 部屋にはいるとこなたは窓のカーテンを開け町の様子を見た。秋葉原も見納めである。 こなた「秋葉原で色んな楽しいことしたな、コスプレ喫茶でバイトもしたなあ。」 街の明かりの一つ一つがこなたの思い出と結びついている。こなたの目から涙が流れ出た。 窓際から離れたこなたは、ベッドに寝転がり、おもいでに浸った。 まだ、そうじろうがこなたを自分の子と考えていたときのこと、かがみ達との出会い。それらの幸せな日々のことだけを思い出した。 そうじろうは、こなたが物心ついたころにはようやく売れ出したころだった。まだ生活が厳しかったが、 そうじろうは必死にこなたの面倒を見てくれていた。母親のいないこなたが寂しがらぬよう、そうじろうは勤めて明るく振舞っていた。 中学までこなたは友達があまり出来なかったものの、高校に入りやっと親しい友が出来た。それがかがみ達だった。 高校の入るころにはそうじろうの仕事も順調になり、こなたは幸せな日々を送っていた。今まで出来なかった楽しいことがいっぱいできた。 みんなでお祭りにいったり、コミケにいったり、海にいったり・・・・。そんな幸せは一瞬で崩れた。 こなたは自分を取り囲むように買ってきたフィギュアをおいた。 こなた「これでさびしくない。」 「こなた、みんながついてるよ。」こなたはフィギュアたちがこんな風に語りかけてくれているようなきがした。 こなたは思った。天国にいけるといいな。でも天国でお母さんに会ったときなんていえばいいんだろう? いまのこなたは母の胸に素直に飛び込める心境ではなかった。 こなたは、もし生まれ変われるなら、とおもった。 生まれ変われるなら、もう一度、かがみ達と友達になりたいな。ゲームならリセットできるのに・・・・。 こなた「かがみ、つかさ、みゆきさん、今まで仲良くしてくれてありがとう、さようなら。」 こなたは用意していた大量の睡眠薬を飲み、カッターで手首をきった。血が噴出した、やがて意識が朦朧となった。 薄れ行く意識の中、こなたは最後の夢を見た。夢の中ではそうじろうは本当の血のつながったこなた父で、かなたは生きている。 三人は、仲良く暮らしている。学校にはかがみたちが仲良くしてくれている。 こなた「かがみん・・・・・・。みんな・・・・・。もう一度あいたい・・・・・。」 翌日、チェックアウトの時間になっても出てこないこなたの様子をボーイが見に来た。 ボーイが部屋のドアを開けると、そこには、フィギュアやアニメ、ゲームグッズに囲まれるようにして少女が血だらけで眠っていた。 少女の顔はやや微笑んでいるようにみえた。ボーイはあわてて警察をよんだ。 ―泉こなた享年17歳、秋葉原に眠る― 事件は陵桜学園にも伝えられた。かがみ達は驚いたものの特に何かする様子もない。 こなたの記憶も普通の記憶と同じように、これからの出来事の下にもれていくだけだった。 終わり
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こなたのボランティア 季節は春。 とある喫茶店にて、こなたとかがみの二人が居た。 「…え?」 コーヒーを飲みながら、こなたは聞き返す。 「だから…」 かがみは少し照れ臭そうに言う。 「…妊娠、したの」 「そっか…おめでとう!かがみん」 「あ、ありがとう…こなた」 高校を卒業して早4年。 かがみは、京都の大学で付き合い始めた男の人と、1年前に結婚していたのだ。 かがみの主人は、現在大手企業を勤めているらしく、世間一般的に言う大金持ちだった。 結婚式でかがみは両親宛の手紙を読んでいる時、久しく泣き顔を見た。 正直こなたも、もらい泣きしそうになっていた。 でも、かがみも相手もすごく幸せそうだった。 その夜の親友達皆での二次会はとても楽しかった。 すごいなあ、かがみんはもう生涯の相手を見つけたんだな… それに比べて、今の私は大学にも行かなくなってしまった。 つくづく自分が情けなくて仕方がない。 そして、今日久々にかがみと会って改めて現実を痛感した。 大学になったら少しは変われるかなと思っていたが、 ろくに何もしないでネトゲ生活が変わるはずもない。 更生しようと決心したことは多々あった。 だが、実行に移すことができず、 ネットという誘惑に負けてしまうのだ。 毎日のように自分の部屋にとじこもり、 パソコンをつけては鬱に対する気休めのためにネトゲをする。 もう、やる事がそれしかない。 中毒だな…完全に。 実は、こなたは大学でも友達が全く出来ず、 こなたの周りの空気が読めないという性格からも、 あまり学生と馴染めない空気が続いていた。 よく、高校生の時こんな私とあの3人は親友になってくれたと思う。 そして、1年生も終わりという時、 とうとうこなたは家に閉じ篭もるようになり、初めて留年を体験した。 こなたはそんな大学生活にうんざりして、ついに退学してしまったのだ。 また高校生の楽しかった日々に戻りたい。 しかし、大学を中退したことは、かがみ、みゆき、つかさには言っていない。 あの3人に心配をかける訳にはいかない。 あの3人だけが、私の親友と呼べる存在だから。 そして昨日かがみは大学を卒業して、京都から糟日部へ帰って来たという。 相手の実家も、偶然ながら糟日部にあるらしい。 そして、昨日こなたの携帯に明日は会えるかなと、メールをしてきたのだ。 でも、何で今居るのが私だけなんだろう… それを尋ねると、たまたま二人共都合が悪く、 どうやら明日の午後には会えるということらしい。 皆、忙しいんだな… 暇と退屈を持て余しているのは、私だけだったのだ。 それにしても、外の空気は久しぶりだな… かがみと喋っていると、高校生だった頃の事を思い出す。 文化祭のこと、皆で海に行ったこと。 話をすればするほど、そうそうこんなことがあったねと、 走馬灯のように脳裏を駆け巡る思い出に、二人して笑い合える会話が続いていた。 それは楽しかったのだが、内心は会話を重ねる度に鬱になりつつあった。 もう高校生には戻れないのだ、と。 そして、新たな事実。 かがみが妊娠したのだ。 どんな子供かな… きっと、いい子だろうね。 かがみんの子供なんだから、いい子で当然だよね。 こなたは、もう人生を諦めかけていた。 お父さんは、そんなこなたを精一杯慰めてくれてるが、 こなたは耳を貸そうとしない。 私は、ダメ人間だ… 「こなた、最近元気?」 「え、あ…うん。まあ」 「何かあったの?」 「ううん。大丈夫だよかがみん♪」 「そう…何かあるんなら、相談しなさいよ?」 こなたは、無理に笑顔を作った。 最近無表情な生活がずっと続いているせいか、笑顔というものさえ忘れかけていた。 かがみと話していると、時間が短く感じる。 ネトゲの時もだけどね。 かがみは、高校生の時より凄く大人になった。 それは当然なのだが、かがみは化粧をしていて、劇的に美人になっていたのだ。 それに比べて私は化粧の仕方を知らないので、 ファンデーションをあてただけで出てきてしまった。 こんな顔だけど許してね、かがみん… かがみと話している間に時は流れ、もう昼を過ぎていた。 「あ、こなた。そろそろ帰るね」 「え、もう帰っちゃうの?」 「うん。私を待ってる人がいるから…」 「そっか。うん。じゃあね、かがみん」 「バイバイ、また明日ね」 かがみはそうして店を出て行った。 こなたも、その後すぐに店を出た。 家に帰ると、また憂鬱な日々が始まるのだ。 自分の部屋に入り、パソコンをつける。 そうして、一日は終わった。 ちなみに食事は、お父さんが作ってくれている。 お父さんは、私の部屋の前に出来た料理を置き、ドアをノックする。 しかし、お父さんは部屋には入らない。 それが食事の合図だ。 私は人のために何か役に立ちたいと思っていた。 しかし、私はいつも助けてもらってばかりで、何も出来ない自分が情けなかった。 次の日の午後、こなたはつかさ、みゆき、かがみが待っている、 つかさとみゆきの住むアパートへ向かった。 つかさは、現在みゆきと同居しているのだ。 こなたは、久々に会う親友に少し緊張感を覚えた。 出来れば嘘はつきたくない。 でも、皆に心配をかける訳にはいかない。 私の現状をばらさないためにも、演技をしよう。 そして、ドアを開けた。 「やっほー、つかさ、かがみん、みゆきさん。久しぶりだねぇ♪」 「わあ、こなちゃんだ!久しぶり!」 つかさはいつものように可愛らしい笑顔を見せてくれた。 「久しぶりですね、泉さん」 みゆきさんは、高校生の頃から大人な感じだったけど、更に綺麗で美人になっていた。 「おっす!こなた」 かがみんは、私よりも先に到着していたようだ。 しばらく4人は、会話を楽しんでいた。 高校生の頃の思い出が、ひしひしと現実になっているのだ。 今、この部屋は高校生時代にタイムスリップしているのだ。 しかし、つかさの一言によって、現実へと引き戻されることになった。 「みんなは今、何してるの?」 「私は、結婚生活を楽しんでるわ。昨日も二人でカレーライスを食べたしね」 「へぇ、お姉ちゃんたら、羨ましいなぁ。でも、料理はできないけど」 「うるさい!」 「かがみさんも別に下手ではありませんよ?」 「そ、そうよ!別に全部作ってもらってた訳じゃないわよ!」 「へぇ~そうなんだぁ」 「う、うるさい!!」 すると、かがみは顔を赤らめて、言った。 「…実はね、私…妊娠してるの」 「えええ!?本当?お姉ちゃん!おめでとう!!」 「それはおめでたいですね」 「こなたには昨日会った時に言ったのよ。ね、こなた?」 「あ、うん!」 「そういえば、こなちゃんは今何やってるの?」 「うぇっ!?…えーと…」 とうとうこの時が来てしまった。 …言葉が出ない。 どうしたら… 「ア、アルバイトしてるの…」 「へぇ~、こなちゃんもなんだね」 「え?じゃあ、つかさもバイト?」 かがみが聞いた。 「うん。まぁね。生活費はほぼみゆきさんが賄ってくれてるけどね」 「つかさも早くいい仕事見つけなさいよ?」 「う、うん。分かってるよ、お姉ちゃん」 「こなた、あんた何のバイトやってんの?」 「…ぇ…まぁ、色々と…」 「色々?色々とは何ですか?」 「えーと…そうそう!困ってる人の手伝いをするバイト!」 「…」 会話が止まった。 「あ~なるほど。つまりボランティアね。こなたは偉い!」 「自分から進んで周りの人の役に立ちたいなんて、そうそうできることではありませんよ」 「すごいね、こなちゃん!」 「い、いやぁ~アハハ…まぁ、小さい頃からの夢だったもんで…」 何とか誤魔化せたようだ。 よかった…。 しかし、心の奥にある罪悪感だけは振り払うことが出来なかった。 そうして、会話は将来の夢へと進展し、この日のミニ同窓会は終わった。 私は将来の夢については、まだ考え中と言った。 かがみんはいいお嫁さんになる!と照れながら叫んでいた。 やはりデレは可愛いな、かがみんは。 つかさは、真夜中に一人でトイレに行けるようになりたいと言っていた。 やっぱり天然だなつかさは。 そして、みゆきさんは有名会社の社長になりたいと言っていた。 夢が大きいな、みゆきさんは。 家に帰ると、やはりネトゲに走ってしまう。 でも、今日は少しだけ安心した。 やっぱり、皆と居れば楽しいんだな。 そして月日は流れ─ 再び鬱な生活が毎日のように続いているとき、 久々に携帯にメールが入った。 メールはこの前のかがみんの時以来だ。 どうやら、つかさからのメールらしい。 慌てているのか、少々文字が乱れている。 『子供がうまたよ!』 こなたは瞬時に理解した。 そう、かがみの子供が産まれたこと。 この前妊娠したばかりだって言ってたのに…月日は早いものだな。 こなたは、いつの間にか外は雪景色であることに気づいた。 そうか…もう冬か… こなたは、ジャンパーを羽織り、家を出た。 携帯で再確認してみると、かがみは家の近くの産婦人科で出産したらしい。 こなたの家からは10分とかからない程の近さである。 みゆきさんも今、病院へ向かっているらしいのだ。 病院へ着くと、つかさが入り口で待っていた。 「遅いよこなちゃん!早くこっちだよ!」 「うわぁあ」 つかさがこなたの手を引っ張った。 まだ、つかさは出産直後のかがみんと会っていないらしい。 ガラス越しに、つかさは指をさす。 「ほら、あれだよ!奥から2番目の…」 ネームプレートには、柊かがみと書かれてあった。 かがみんの赤ちゃんは、静かに寝息を立てていた。 「本当だ。あの子なんだね…やっぱり可愛いな…」 「お姉ちゃんの子だからね」 「うん」 そして、私とつかさは次にかがみんに会いに行った。 病室に入ると、かがみんはベッドでぐったりしていた。 やっぱり、疲れたんだろうな… しかし、かがみんの主人は険しい表情をしながら病室を出た。 普通なら、泣いて喜ぶはずなのに… 何か、あったのだろうか… 両親は、つかさ曰く出産を見届けた後、先祖の報告のために帰宅したそうだ。 私は、かがみんの近くに居た医者に尋ねてみた。 「あの…かがみさんに、何かあったんですか?」 「言いにくい事ですが…」 医者は、口を開いた。 「実は、かがみさんの容態があまり良くないんです…」 「…と言いますと?」 「このまま昏睡状態に陥って、死に至ることも考えられます…」 「まさか…え…そんな…お姉ちゃんが…!?」 つかさは、言葉を失った。 私も言葉を失った。 他にも医者は何か言っていたような気がするが、よく覚えていない。 かがみんが、死んでしまうなんて。 何で、かがみんが… こなたは一日中考え続けていた。 何で、私じゃないの…? 神様は、どうして私を選ばなかったの…? これは、運命の悪戯なのだろうか。 それを考えていると、夜も眠れなかった。 自分には何かできることはないだろうか。 私は、タダの駄目人間。 今人として生きている価値は、あるのだろうか。 実際に、生きていなければならない人間が運命の悪戯を受け、 悲しい運命を目の当たりにするという… 神様は、時に人に幸福を与え、時に人を悲しみに陥れる。 それが、この世を成立させている鉄則であり、 これから先、それを打開することは不可能であろう。 かがみんは、私の親友の一人。 それと共に、私を精一杯支えてくれている親友より近い存在である。 思えば思うほど可哀想過ぎる。 かがみん…私…どうしたらいいの…? みゆきさんも後から病院に来たが、私が事情を説明するとその場で 泣き出してしまった。 かがみんも、実はこの事を隠していたのだろうか… だっから、お互い様だね。 こなたは、寝床で泣き明かした。 私なんかより、かがみんが生きていないと意味がないんだ… この世には、幸せに生きていくべき人達がいる。 かがみんは純粋な人生の道を歩いているが、私は道を完全に外れてしまっているのだ。 戻れるかどうかも分からない。 かがみんは、昔から身体は強いほうだと思い込んでいた。 しかし私が今日病院から帰るとき、つかさ曰くかがみんは、 京都に滞在しているとき、若い結婚や妊娠という過度のストレスや、 几帳面で真面目で、責任感は強いが周りの目を気にするという性格も重なり、 更に追い討ちをかけるような出産の所為で、 とうとう心臓に疾患を患ってしまったのだという。 つかさは絶望に浸りきっていた。 私が慰めてもただ「うん」と頷くだけで、耳には届いていないようだった。 こなたは、ふと自分の母かなたのことを思い出した。 かなたは、こなたが小さい時には亡くなっていたのだ。 私は、お母さんの温もりを知らない。 お母さんにひざ枕して貰ったり、一緒に買物をしたこともない。 ただ、その代わりにお父さんが人一倍頑張ってくれた。 私は、かがみんを死なせたくない。 ただ、その一心だった。 先生の言葉は、もうかがみは助からないという意味を持っていたのかもしれない。 かがみの子供が目を覚ましたときには、お母さんはこの世にいないのかもしれない。 かがみん…私達に相談してくれれば良かったのに… 思うたびに、私も人のことは言えないと実感する。 私も、大学を中退したことを皆に伝えていない。 しかも、ボランティアをしているという嘘をついた。 …このまま私達が何もできないままかがみんは死んじゃうのかな… 夜は明け… かがみが死んでいないことを願いながら、病院へ向かった。 産婦人科からかがみんは市民病院に搬送されたらしい。 市民病院の入り口のロビーには、つかさが座っていた。 何も食べていないのか、やつれているように見える。 「つかさ、かがみんは?」 「あ、こなちゃん…?うん、お姉ちゃんなら、集中治療室だよ」 「そうか…じゃあ、面会時間が限られているんだね」 「うん。11時からだって…」 「何分くらい会えるの…?」 「うん…10分だって。まずは、お母さんとお父さんが面会するの その次に私だったんだけど、今こなちゃんが来てくれたから、 私とこなちゃんね。 その後、お姉ちゃんの主人が会いに来る予定なの」 「みゆきさんは?」 「ゆきちゃんは、仕事場とか近所の人に、 臓器提供にかかる資金を寄付してくれる人を早急に募ってる。 もうお姉ちゃんの心臓も長くないからって」 「…そっか…」 「ごめんね、こなちゃん。迷惑かけちゃって… 私、お姉ちゃんに臓器提供しようと思ったんだけどね… 私のはあまり丈夫じゃないから、駄目だって…」 つかさは、とうとう涙を流した。 「でもさ、心臓を移植するってことはさ、 その移植した方の人は死んじゃうんだよね?」 「そうだよ。しかも、移植された方も 100%の確率で日常生活に復帰できるとは限らないみたい…」 「そうなんだ…」 そして沈黙の時が続き、いよいよ11時がやってきた。 面会時間はたったの10分らしい。 その時、かがみんのご両親が来たので私は一礼をした。 つかさは、両親に泣き崩れていた。 可哀想なつかさ… 可哀想なかがみん… どうして、こんなことに… 私まで涙が出てきた。 かがみんの両親は、つかさを励まして泣き止ませ、そのまま集中治療室に向かった。 10分というのは、本当にあっという間であり、 もう両親が帰ってきた。 両親曰く、かがみの意識は戻ったらしい。 つかさは両親に、こなたも面会をすると告げ、 二人の了承を得た後、つかさとこなたは集中治療室へ向かった。 私とつかさはガウンを羽織り、靴を履き替え、 そして手を念入りに洗い、病室に入った。 中に入って、私達は唖然とした。 点滴柱から何本もの管がかがみんの腕に挿入されている。 かがみんの口には酸素マスクが施され、 かがみんの呼吸音が明確に聞こえてくる。 それと共に、ベッドの隣にある心電図が弱弱しいかがみの鼓動を 短い電子音で明確に刻んでいる。 かがみんの顔は、少々やつれているように感じた。 あの、活気付いた優しい頼りがいのあるかがみんとは まるで別人のような気がした。 つかさは涙を堪えながら、かがみんに歩み寄って声をかけた。 「お姉ちゃん…私。つかさだよ。こなちゃんも居るよ?ほら」 かがみんは、目を開いた。 私も、かがみんに歩み寄る。 「かがみん…こなただよ」 「……おーっす……こな…た」 かがみんは、か細い声で返事した。 「かがみん……大丈夫?」 かがみんは、ゆっくり頷いてくれた。 私は、かがみんの手を握る。 「かがみん……きっと、大丈夫だよ!」 私には、これくらいしか言うことができない。 本当に情けない。 かがみんは、ゆっくり頷く。 つかさも、かがみんの手を握る。 「お姉ちゃん。がんばってね」 そうしているうちにもう10分経ってしまったので、 私とつかさは、最後に精一杯の笑顔をかがみんに見せた。 かがみんも、泣きながら笑ってくれていた。 病室を出てガウンを脱いでいると、かがみんの主人とすれ違ったので、 礼をしておいた。 主人の手元には花束があった。 「やっぱりショックなんだろうね…」 「かがみんのご主人?」 「うん。だって出産したのに赤ちゃんの顔もはっきり見れないで来たらしいから…」 「…そうなんだ」 こなたは、その後病院から帰ることにした。 そして、こなたは病院から帰るとき、ふと思いついた。 私が、かがみんに臓器提供をすればいいんじゃないか。 どうせ、私のような人間が生きていたって、社会に何の影響もないだろう。 しかし、それには大きな問題点があることもすぐに察知できた。 血液型の問題だ。 臓器提供には、血液型も大いに関係しているのだ。 高校生に入って尋ねてみた時、かがみんは確かB型と答えていた。 しかし、私はA型なのだ。 お父さんもO型で、お母さんもA型なので、私がB型であることはまず有り得ない。 臓器提供は、B型の人間はB型かO型の人間しかできないのだ。 やっぱり、私とかがみんの間には、越えられない壁が存在したのだ。 その夜、どうしてもそのことが気になるので、つかさに電話をかけた。 「もしもし」 「もしもし、あの、つかさ?いきなりで悪いんだけどさ…」 「何?こなちゃん」 「かがみんの血液型を教えてくれないかな…」 「あ、こなちゃんには言ってなかったかな… 実は、臓器移植ために改めてお姉ちゃんの血液型判定をしてもらったの。 そしたらね…お姉ちゃんはAB型だったらしいの」 「え?AB型?」 つかさ曰く、以前B型だという判定が出たのは かがみが産まれた直後に病院で出してもらった血液型らしく、 A型が凝集しにくく判定しづらい亜種であったこともあり、 今までB型と判定されていたらしい。 そして、出産直後からの検査で、AB型という判定が出たのだという。 こういうことは、結構あるらしい。 「分かった。ありがとう、つかさ」 「うん。何かあったの?こなちゃん」 「ううん、何でもないよ!んじゃね!」 こなたは、すぐさまパソコンに向かった。 ネトゲではなく、インターネットで臓器提供についてのサイトを開く。 AB型は、どの血液型の臓器提供も受けられるらしい。 よかった… やっぱり、天はかがみんのことを見放さなかったんだね… ありがとう、神様。 次の日、私は朝早くからランニングを始めた。 もっともっと私の心臓を丈夫にして、かがみんを確実に元気にしないと。 でも、私が臓器提供するってことはかがみんには秘密にしないと… 私には体力があるんだ。 もう、ネトゲなんてやっていられない。 親友を救うため、私はがんばる。 あれ、これってボランティア…かな? あはは、嘘から出た誠だよこりゃ。 こなたは、河原の土手を走る。 人通りが少ないので、とても走りやすかった。 私は今、人のために頑張っているんだ。 そう思うと、余計に元気が湧いてくる。 鬱な自分とは、おさらばだ。 いつの間にか、既に昼の12時を回っていた。 こなたは、病院まで走った。 つかさは、昨日のように病院の入り口に居た。 「今日も会ったの?つかさ」 「当然だよ…こなちゃん。あれ、どうしたの?その汗」 「あぁ、ちょっと走ってきてさ。あはは…」 「そっかぁ…こなちゃんは体力あるもんね。私とは大違いだね」 「私、もっともっと体力をつけたいんだ」 「こなちゃん、急にどうしたの?」 「つかさ!これは真面目な話だから、よく聞いてね」 「…う、うん」 「私が、かがみんに心臓をあげるよ!」 しばらく沈黙状態が続いた。 「な、何言ってるのこなちゃん… そんなの……駄目に決まってるでしょ」 「じゃあ、つかさはかがみんが死んでもいいって思ってるの?」 「…そ、それとこれとは話が違うよ。 だ、第一お姉ちゃんが許してくれないよ… だって…私達は親友なんだよ?」 「つかさ。私は本当にかがみんに 生きていてほしいと思っているから言ってるんだよ」 「うん。分かってるよ…気持ちだけもらっておくよ。ありがとう、こなちゃん」 「つかさ!お願い!お願いだから分かってよ!」 「こなちゃん。よく聞いてね。 心臓移植というのはね、心臓が動いているけど死亡している提供者を募って 行われるんだよ。 だから、別にこなちゃんじゃなくてもいいんだよ…」 「で、でもさ、私はこの通り健康なんだから! 絶対私のを移植したほうが生存率は高くなるよ!」 「それは…そうかもしれないけど… 私はこなちゃんにもお姉ちゃんにも生きていてほしいんだよ!」 つかさは涙を流した。 「つかさ…」 「だから、もうやめてよ。そんなこと言うの…」 「…」 つかさは、病院から出て行ってしまった。 こうなることは分かっていた。 でも…私は、決めたんだ。 絶対にかがみんに提供するって。 これが、唯一私にできることなんだって。 こなたは、その後もトレーニングを続けた。 その夜、つかさから電話がかかってきた。 「もしもし?」 「もしもし、こなちゃん?実は… お姉ちゃんの容態が急変したらしいの」 「えっ…」 つかさによると、もういつかがみんの心臓が停止するか分からない状態らしく、 早急に提供できる人間を探しているのだが、見つからないらしい。 医師曰く、もう諦めたほうがいいと言われたという。 「そんな…」 「こなちゃん。色々心配かけてごめんね。ありがとう…」 「何言ってんのつかさ!私が居るじゃん!」 つかさは黙り込んだ。 「私にかがみんの臓器提供をさせてください!」 「こなちゃん…ダメだってば」 「だってさ、私みたいなネット廃人が生きててもしょうがないでしょ」 「だからこなちゃん…」 「つかさ、実はね。私は大学を中退したんだ…」 「え…?」 そして、私は今まで隠していた事を、全部つかさに話した。 「そうだったんだね……でも…こなちゃん…」 「いい?つかさ。 かがみんにはね、子供が出来たんだよ? あの赤ちゃんのお母さんは、 世界中どこを探したってかがみんしかいないんだよ? 私にはよく分かる。 お母さんが居なかったことの辛さが。 今まで隠してたけどね。 本当は、物心ついた時に一目会いたかった… そんな気持ちにさせたくないよ、かがみんの子供にも。 かがみんにも、あの子供をもっとだっこさせてあげたいんだよ。 せっかく生まれたかがみんの子供なんだから。 分かるよね、つかさ? つかさには将来があるし、みゆきさんにも将来がある。 私の将来…まぁ、あるかもしれないけど、 かがみんより遠い将来なんか考えていない。 それに、今が私の夢を叶えられるチャンスなんだよ。 人のために役に立つ。 それって身近なんだけど、すごく大切なことなんだよ。 だから、もう一度聞くよ?つかさ。 私に、臓器提供をさせてください!」 私は、言いたいことは言った。 もう、全てを言い終えた。 あとはつかさの返答のみ。 「…では…お姉ちゃんを…よろしくお願いします」 こなたには、つかさが電話越しに泣いているのが伝わってきた。 「ありがとう…ひくっ…こなちゃん… そんなに…お姉ちゃんのことを…想ってくれていたんだね…」 「当然だよ、私達は親友じゃん!」 「じゃあ、こなちゃん…本当にありがとう…また明日ね」 「うん!また明日!」 そして電話は切れた。 やっと、つかさは分かってくれた。 そうと決まれば、明日もトレーニングだ! 翌日も、こなたのトレーニングは続いた。 病院に着くと、いつものようにつかさはロビーにいた。 「こなちゃん、今日もトレーニング?」 「うん!出来るだけ丈夫な心臓をかがみんに提供したいからね!」 「こなちゃん…ありがとう!」 つかさは涙を流した。 「つかさ。大丈夫。私は平気だから。かがみんのためだもん」 「でも、やっぱり親友がいなくなるのは…辛いね…」 「大丈夫!私は居なくなるわけじゃないよ!かがみんの中で生きるんだよ!」 「…そう、だね。うん、そうだよね!」 そして、つかさと私は医者に心臓提供について報告した。 医者は、本当にいいのかどうか何度も繰り返したが、 その度に肯定をした。 医者は、私の手をがっしりと掴み、 「本当にありがとう」 と言ってくれた。 このことは、みゆきさんにも伝えた。 みゆきさんにも、何度も止められたが つかさの説得によって涙ながらも納得してくれた。 私が自分の意思で臓器を提供する、 それも人間が生きていくうえで必要不可欠な器官を、 他人に与えようとしている。 それは、自殺に繋がっているということは自覚している。 しかし、かけがえのない親友のために役に立つことには変わりない。 将来、かがみんの子供にもよろしく言っておいてもらおう。 かがみんがこのことを知ったら、どんな顔するかな… ショックを受けないだろうか。 いや、多分大丈夫だよね。 こなたは、明日に迫る手術のため、必死でトレーニングをすることにした。 かがみんには、立派に生きてもらわないと。 そうしないと、私がこうしてがんばっている意味がないもんね。 今日は病院には行かない。 その代わり、今までにやり残したことがないかどうかを確かめる。 そうだ、ネトゲの住民にも伝えておかないと。 私は常連だったんだから。 誰もが冗談だと思うだろう。 しかし、私は嘘なんかついていない。 さようなら、みんな。 私は、トレーニングから帰宅した時、久しぶりにお父さんの顔を見た。 電気の消えた部屋の中で、お父さんは一人ソファに座って俯いていた。 お父さんは、かなりやつれているようだった。 いつもの、エプロン姿で飛んでくるお父さんはもういなかった。 自分が今までお父さんに頼りきりだったことをまざまざと感じさせられた。 私は、本当にこんなに自分を助けてくれた人を残して逝くのか…? 今私がこうして元気になったからこそ、これからはお父さんの為に 孝行していかなければならないんじゃないのか? 罪悪感がこなたの固い意志を蝕んでゆく。 「おぉ、こなたか…おかえり」 そうじろうは、暗闇に呑まれかけている部屋の前で立ち尽くしているこなたに気づいた。 そして、そうじろうが微笑みかけてくれるのが、こなたにははっきりと見えていた。 「お父さん…」 私は、お父さんに抱きついた。 「ごめんね、今まで…」 「こなた…」 とうとう感情を抑えきれなくなり、こなたはお父さんに泣き崩れた。 「本当に、ごべんなさいぃ…っぐ…ぇぐ」 「こなた…お前、いいのか?」 「えっ…」 「これまでずっと部屋に籠りきりだったお前が、 急に外に飛び出して帰って来ないもんだから… 何か予感がしたんだ…」 「全部聞いたんだね…」 「さっき柊さんの両親から電話がかかってきて、教えてもらったよ…」 「お父さん…勝手なことして…ごめんなさい」 私は、許してもらえるわけがないと判っていたが、 お父さんに深々と頭を下げた。 「…本当にそれでいいのか?」 「私、精一杯考えて決めたんだよ」 「考え直すことは…できないか…」 「……ごめん」 部屋の中は、沈黙に包まれた。 「俺は…ずっとお前の意志を大切にしてやりたいと思ってきた… でも、これはお前じゃなくても出来る事じゃないのか…?」 「お父さん、もう時間がないんだよ。 今、一番元気な心臓をかがみんにあげられる私しかいないんだよ」 「こなた…お前の実の父としてひとつだけ言う。行かないでくれ」 「…ごめん……お父さん…私の事、気が済むまで叩いて。 こんな馬鹿な子に、一生懸命尽くしてくれたのに、 それを裏切る様な行為をしてる私を、叩いて…」 そうじろうは、おもむろに立ち上がり… 暗闇に包まれた部屋に、初めて乾いた音が鳴り響いた。 その直後、そうじろうは泣き崩れながらも、頬の腫れたこなたを精一杯抱きしめた。 「こなた…逝かないでくれよ…頼むよ…」 こなたは、ただひたすら謝ることしか出来なかった。 そんな自分に殺意さえ覚えた。 手術は明日の朝行われる。 私の命は、その日でストップする。 そう想うと、無邪気にも涙が溢れ出てくる。 今まで幸せだったよ、みんな。 死ぬのは怖い。 それは誰だって同じ。 かつて国のために戦った神風特攻隊も、 私と同じような気持ちだったに違いない。 私の人生は、明日終わる。 もう、取り返しはつかない。 でも、私は軽はずみで決断したわけではない。 死んだら人間ってどうなるんだろう… 死んだものは、決して帰らない。 だから、死後の世界は今後永遠に不明なままなのだ。 他の何かに生まれ変わるのか、天国か地獄に行くのか… こなたは声を上げて、ひたすらそうじろうの胸の中で泣いていた。 自分の今までやってきた事の愚かさ、実の父に対する残酷な行為を全て吐き出す為に。 かがみん、つかさ、みゆきさん… その夜は、そうじろうと二人で床につくことにした。 私の20年以上の人生を、二人で回顧していた。 時には笑い、時には怒り、時には驚いたり。 明日から私は、かがみんの一部になるんだ。 たとえそれが違法だったとしても、人の命を救うのに法律なんて邪魔なだけ。 そうだよ。 私は明日からかがみんの中で生きるんだよ。 死ぬんじゃない。 新たな生活が始まるんだ。 そう思うと、少しばかり気が楽になった。 翌朝早朝─ そうじろうは、既に家に居なかった。 こなたは、ともかく病院へと歩いた。 自分が決断した処刑場へ。 それと共に、私の生まれ変わる場所へ。 もう未練はなかった。 たとえ残っていたとしても、私のやりたかったことは、 これだったから。 もう私達は、親友以上の存在なんだ。 病院に着くと、つかさとみゆきさん、かがみんの両親、かがみんの主人が待っていた。 私は、一人ずつ握手し、「今までありがとうございました」と告げた。 つかさは、涙を流していた。 もう、この可愛い顔を見ることはできない。 みゆきさんも、涙を流していた。 もう、この綺麗な顔を見ることはできない。 かがみんの両親も、私に精一杯のお礼を言ってくれた。 地球上の感謝の言葉を全て掻き集めても言い表せないくらいの感謝で一杯だ、と。 かがみんの主人も、泣いて喜んでくれていた。 私が神様だと言ってくれた。 …そうだね。これからは皆の神様になるんだね、私。 私は、親友を超越した存在として見送られ、 一番最期にお辞儀をしながら、手術室へと入った。 手術室にはまだ医者が居なかった。 私がごろんと手術台に横たわると、突然手術室の扉が開いた。 「お、お父さん…」 「よかった…まだ間に合ったか」 「どうしたの…?」 「二人で、一枚だけ写真撮らないか? 大丈夫、携帯じゃなくてデジカメだからな…さ、撮るぞ」 そうじろうは、近くの棚にカメラを置き、手術台のこなたの隣で微笑んだ。 私も、最期に精一杯の笑顔を見せた。 フラッシュが焚かれると、医者がぞろぞろと顔を出し、 かがみんを乗せた担架が手術室へ運ばれた。 かがみを担当していた医者が、そうじろうに声をかける。 「こなたさんの、お父様ですか?」 「はい」 「今から、こなたさんの手術を始めますが、よろしいですか?」 「はい、きちんと"娘"を見届けたいので…」 「そうですか…判りました」 こなたの腕に、麻酔が打たれる。 もう少しで、私の意識が途切れるんだ… お父さんの顔がだんだんぼやけていく… 最期に…かがみんと、話がしたかったな… でも、私は今からかがみんと一心同体になるんだ。 それはただの”たとえ”じゃない。 本当に私とかがみんは、一心同体になるんだよ。 みんな、ありがとう、さようなら。 私は、みんなの事を、絶対に…忘れない─ ─手術は、5時間程で終わった。 移植は成功したのだ。 皆は、結果を聞いて涙を流して喜んだ。 数日後、かがみの意識も回復し、普通に話せるようにまでなっていた。 医師曰く、この速さの回復は奇跡だという。 そして、いよいよつかさはかがみに打ち明けることにした。 ”こなた”が、今もなおかがみの中で動いていることを。 かがみは、涙を決して流さなかった。 別に泣くことなんてない。 確かに、こなたは居なくなっちゃったけど、 ”こなた”は、ここに居るんだから。 私の、中に。 かがみの中で鼓動を打ち続けているのだ。 これから先、ずっと。 ずっと。 退院後、リハビリの為に歩いて家に帰ろうとしていたかがみは、 前から歩いてくる見覚えのある顔に足を止めた。 「やあ、退院したのかい?」 微笑みかけてくる彼に、かがみは罪悪感を隠せない。 「この度は…こなたが…本当に…ごめんなさい」 気がついたら、頭を下げて謝っていた。 「いやいや、かがみちゃんが謝ることはないよ。 君が生きていると言う事は、こなたもちゃんと生きているんだし」 「…いつでも、逢いに来て下さい」 かがみは、胸に手を当てて言った。 「ああ、そうさせてもらうよ」 彼は、再び歩き始めた。 「じゃあね、かがみちゃん、こなた」 「さようなら、そうじろうさん」 かがみとそうじろうは、互いに振り返る事もなく、前に歩んで行った。 ─数年後、かがみの子供はもう4歳になった。 今では、幼稚園に通っている。 かがみに似て、活発で元気な女の子らしい。 かがみは、もう退院して普通の日常生活ができるようになっている。 そしてつかさは、今年いよいよ結婚する予定である。 みゆきは既に結婚し、主人との幸せな生活を送っている。 手術費用も、これからずっとかがみとかがみの主人が 払っていくことになるであろう。 でも、それはかがみの命を救うためだったことを考えると、安いものである。 かがみの子供の名前は、もちろんかがみにとって、 そしてかがみんの主人にとって最も尊敬する人間の名前である。 ”こなた” これからも、決して忘れる事はない。 「ねぇねぇ、お母さん、何かお話してよ。このアニメつまんないよ」 「今、洗濯物取り込んでるから、ちょっと待ってね」 「えーやだー、じゃあ夜のアニメ見るー」 夕方の教養番組で流れているテレビアニメに文句をつけているその少女は、 何故か深夜のアニメの方が好きらしく、夜になってもずっと起きてアニメを見ているのだ。 全く、誰に似たんだか。 「全く、こなたは本当にお話聞くのが好きね。 いいわ、聞かせてあげる。今日のはとても素敵なお話なのよ。 寝るんじゃないわよ?」 「寝ないよ、お母さん。早く!」 外で洗濯物を取り込んでいたかがみは、空を仰ぐようにこう言った。 ─それは、世界一神々しく美しい、”こなた”のボランティアのお話… (終)
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ある日の放課後、私はいつものようにかがみにじゃれつきながら、からかっている。 かがみが顔を赤くして慌てる様子は可愛くて萌えるんだよねぇ~… かがみは「や、やめろっ!」とか赤い顔で言ってくるけど それが私の求めるものなのだよかがみん♪ もっと、かがみの恥じらいを引き出すためには、腕を抱きしめて、顔を近づけてやればいいんだヨ。 「ねえ、かがみぃ~ん」 「は、恥ずかしいからやめろ~!!」 と、その時だ。 私の顔が近寄り過ぎたのか、かがみが目をつぶったまま頭を動かすからなのか。 私は、単にふざけてたつもりだったのに、偶然、キスしてしまった。 「…」 「…!!」 かがみが慌てて唇を離した。 「な…な、な、何してんのよあんた!!」 そう言って、かがみは何も言えなくなってしまった。 私も本当にびっくりした。しかし、こんな時にお互い何もしゃべらないのは、いくらなんでも気まずすぎる。私はすぐにいつも通りのふりをしながら、 「…むふふ~、とうとうかがみんとキスしちゃったね~、どう?始めてのキスの味は?照れてる~?」 「ば…バカ!!そんなこと…ないわよ、別に」 かがみもいつも通りに返した…つもりらしい。 私の顔も赤くなってくる。思考が麻痺してきた。そして、ちょっと罪悪感を感じた。 その後二人で帰ってる時も、ぎこちない会話しかできなかったし、あまり話せなかった。 「…じゃあね」 「うん…」 どうみても気にしている。 …かがみ、私…そんなことするつもりはなかったんだけどな… 私は家に帰ってから、ずっと今日の事の責任をずっと感じていた。 何も手がつけられない…あ…宿題あったんだった…。 あ…そうだ。 「あ、こなちゃん、おはよー」 「ん…うん、お、おはよ…」 「お… …おはよ」 あいさつもぎこちなくなって、その後はお互いに一言も何も言えなかった。つかさはちょっと心配してるみたい。 わざと宿題をせずにいて、かがみに見せてもらう口実も作ったのに…結局言えなかった…先生にはやっぱり怒られるし。 授業中も全く集中できない… 昼休みの時間が近づく…かがみが来たらなんて言おう… かがみ、傷ついてないかな…?彼氏が欲しいってしょっちゅう言ってたもんね。なのに最初のキスが私なんて… 思えば思うほど罪悪感が強くなる。ひどく心配になる。 もしかして、かがみ今日はお昼は来ないんじゃないかと心配になった。 お昼の時間、かがみはちゃんと来てくれた。 でも、普段私とかがみが会話の中心になっているのに、今日は私もかがみも黙ったままだったため、4人の会話がほとんどなくて、気まずい状態になってしまった。 私は……つかさや…みゆきさんにまで…4人の関係まで傷つけたんだ。私のせいだ。 その思いが私を一層追い詰めた。 5時限目が終わった時… 「こなちゃん」 「なあに?つかさ…」 「お姉ちゃんね、今日の放課後は委員会の仕事あるから先に帰っててって言ってたよ」 一瞬、「かがみに逃げられた」と思った。でも委員会じゃしょうがない。かがみ忙しいもんね。 なんで…こんな時にあるんだろ… …もう、やだよ、こんなの。 6時限目の時、私はもうあまりに落ち込んでいて、涙がこぼれそうになっていた。 でも、必死で我慢した。これ以上つかさとみゆきさんに迷惑かけちゃいけない… 放課後、私はつかさとみゆきさんと一緒に帰るのを断った。 「いや~、ちょっと別のクラスの人とゲームのことで相談してほしいってことがあってね~。だから先に帰っていいよ~」 我ながら、うまく演技してごまかせたと思った。でも、そうウソついたのが余計虚しい。 もし…ちょっと寂しげに話したら、つかさが気にしてかがみを呼んできてくれるんじゃないかとか、勝手なことを考えた。 その後ずっと、私は教室に一人でいた。一人でずっと泣きたかったからだ。 「うぅ~…うっ、うっ、かがみぃ…つかさ…みゆきさん…ごめんね…ごめんね…」 涙がぽろぽろこぼれるのに、ちっとも止まらない。 外を見ると、学校の生徒がどんどん帰っていく。なんでか知らないけど、みんな楽しそうな顔だ。 私はまた泣き続ける。 気が付くと、もう6時半を過ぎて、外は暗くなっていた。この暗さがさらに私を追い込む。 校庭には誰もいない。委員会なんてとっくに終わってる。もう誰もいない。 全部私がいけないんだ…全部…私が壊したんだ…かがみの友情も…つかさとみゆきさんとの友情も…朝のしゃべる時間も…楽しいお昼の時間も…4人の関係も…!! 私は一人で絶望した。 「うわあああああああああああ!!!!!」 私は大声で泣いた。私が本気で泣いたのは本当に久しぶりだと思う。 でも私は、かがみと、つかさと、みゆきさんとの関係が壊してしまったことが、何よりも辛かった。 私にとってこんなに辛いことはないよ…!! 「ぐすっ、ぐすっ…辛いよぉ…さみしいよぉ…ふえぇぇん…! …かがみぃ…」 もしかしたら…かがみが心配して向かえにきてくれないかな…?そうしたらすぐに本気で謝って、また明日からいつもの生活に戻れるのに…!! 「かがみぃっっ!!!!」 …そんな期待を何度もしてしまう自分が憎らしく思えた。どうして人に頼ってしまうんだろう… どうして自分から言おうとしないんだろう… …自分から… そうだ。やっぱり私から言わなきゃだめなんだ… 私は真っ暗になった道を一人で帰る。今、8時くらいかな…? 携帯は、今日も家に忘れてしまったらしい…おとうさん心配してるかな。ゲマズによっててこれぐらい遅くなったことがあるから大丈夫かな… 私は「柊」と書いた表札の家の前に来た。 どうしても今すぐかがみに謝りたかった。 でも、どうしても覚悟が決まらない…かがみの家にはつかさもいるし、結構大家族なんだよな… いろんな思いが交差して、とても入りにくい。RPGみたいにさらっとできればいいのに… …でも、このままじゃ何も変わらない。私は、何と言ってこの家に上がろうかと考えることも捨て、思いきってブザーを押した。 玄関のすぐ近くにいたのか、つかさの声がした。 「は~い、今出るよ~。 あ…こなちゃん!どうしたの?こんな時間に?」 「え、えっとね…かがみにね、どうしても分からない問題があったから…」 …また私はウソをついた。もううんざりだよ… 「そっか、じゃあ上がって!お姉ちゃん今部屋で勉強してるから」 私の言葉を少しも疑わずに言った。 「うん。ありがと」 出てきたのがつかさでちょっと安心した。 そして、私はかがみの部屋に案内された。 「お姉ちゃ~ん、こなちゃんが来たよぉ~」 「えぇっ!?こなた?…う、うん分かった。入って…」 かがみが驚いている。…そりゃそうだよね… 「じゃあね、こなちゃん。ごゆっくり」 「ありがと…」 つかさが部屋から出ていく。 かがみは机の前の椅子に座っていた。 「どうしたのよ?」 かがみが普通に聞いてくる。なのに、私には冷たくあしらわれているように感じた。 それに、かがみはなんで私がいきなり来たのかも分かってるだろうし。 「昨日の…ことなんだけど…ごめんね、かがみ。私…」 「あー…あのことねえー。いいわよ別に」 かがみもあまりこの話に触れたくないようだ。 「でも…ごめんね…」 「もう、いいって。そんなの気にしてないからいいわよ」 なんか、とても突き離されてる言い方に聞こえた。気にしてないならもうちょっと優しく言ってよ…! 私は黙ってしまった。 「うぅ…」 私の目から涙が溢れてくる。 「ちょっとこなた…!なんで泣くのよ!」 「うっ…うっ、うううぅ…」 だめだ、涙が…止まらないよぉっ…! 「わあああん!!かがみぃ~~~!!!」 「ちょ、ちょっと、こなた!?なんで泣くの!?」 「かがみぃっ!!ごめんね!かがみ、ごめんねっ!!私がふざけすぎたせいで… わざとじゃないよ!あの後私あんなこと言ったけど、わざとじゃないんだよっ!! 私のことなんてほんと嫌いになった!?だけど、またいつもの4人で一緒に帰ったりしたいんだよっ!! いつも通りに戻りたいんだよっ!!!」 だんだん自分の言う言葉が変になってきてる…もう頭が混乱して… それに…私の今の顔はひどいことになってるだろうな… かがみは椅子から降りて、私の前に座った。 「こなた、もう泣かないで」 「でも…ひぐっ、私っ…かがみのっ、最初の、キスだよっ…えぐっ…」 かがみの声が急に優しくなった気がする。 「あのね…私はファーストキスがどうこうより、こなたがそんな顔して泣いてることの方がよっぽど心配なのよ」 「ふええぇ…かがみ…かがみ…!」 かがみは私の顔をハンカチで拭いてくれた。かがみ…すごい優しいかおで見てる… そんな…そんな優しくするから…余計に泣いちゃうんだよぉ… 「うえええぇん!!」 私はかがみの膝の上で泣いた。 何度も「許してあげる」とか「そんな泣かないで」って言葉が聞こえたけど…でも、でも、 かがみが…あたま、撫でてくるんだもん… その後、かがみがおとうさんに電話してくれた。私の方はとても電話に出られる状態じゃなかったから… かがみはうまくごまかして、今日はこの部屋で泊まって、明日の朝私が帰るようにするよう頼んでくれた。 私はとても幸せだったけど、ちょっと情けない…結局かがみに頼ってしまってるし。 「あんたにも、こんな一面があったなんてね」 かがみは笑顔でそう言ってきた。いっつも私がかがみの主導権をとっているだけにちょっと悔しい。 なんでこうゆう時のかがみはこんなに優しいんだろう…普段は怒ったりツンツンしてるくせに、誰かが本気で困っている時はこうなるんだ。 「くぅぅ…」 私は、涙は止まったけどまだ悲しい顔をしてた。別にもう悲しいわけじゃないけど。 かがみが急に優しくしてきたり、私の泣くところを初めて見られてしまったから恥ずかしいワケで… しばらくして、ようやく私が落ち着いたとき、かがみが言った。 「こなた、一緒に寝よ」 かがみがはっきり言ってきたので、私はびっくりした。でもよく考えたら、ベッドは一つしかないし、そりゃ当然か… いつもの私だったら、「今日のかがみ、積極的~!」とか「淋しんぼかがみん萌え」とか言ってるのに。 かがみはわざとなんだろうか… いつもと違ってネガティブになってる私は、かがみと一緒の布団に入るのがほ・ん・きで恥ずかしかった! 横になると、かがみが私の体に布団をかけてくれる。なんで今日はそんな萌えるようなことばかりしてくるかな… でも、かがみはいつもの私に早く戻ってほしいと思ってるはずだ。よし、ここで、かがみをからかってやろう! いつまでもうじうじしてるなんて私らしくない! 「むふ~、かがみ嬉しい?私は愛するかがみとお、同じ、フトンで ぅ、れ し ぃ … 」 …こんな時に噛んでしまった…しかも噛んだことで、私の表情が戻ってしまったため、冗談でなくなってしまった… 自分でどつぼにはまってしまったのだ。私の顔がかぁーっと熱くなる。 ああ~何やってんだぁ私…かがみまで赤くなってるじゃないか…こんな沈黙も気まずいよぉ… 「ば…ばかね、あんた何言ってるのよ」 「ぅぅ…」 もうだめだ、今日の私。 かがみが電気を消した。 でも、真っ暗にはならず、かがみの表情がうっすら見える。恥ずかしいヨこれは… こんな顔を合わせた状態で目つぶったら、寝顔をもろに見られちゃうし… これじゃとても寝られませんって… 「こなた…」 かがみは私の顔を隠している髪をかきあげる。顔がはっきり見えて余計恥ずいってばぁ… 「か…がみ…」 私の心臓はすごいドキドキしている。暗くて顔が赤いのが見えないのがせめてもの救いか… 「顔が熱いわよ…」 かがみが私の頬に手を当てる。その行為が余計、私の頭を沸騰させるし…息もうまくできない… 私はただ、ぼーっとかがみの顔を見てるだけだ。 「…そうだ」 かがみが思い付いたように言った。 ちゅっ。 かがみが…私の額に …キスした。 「はい!これでおあいこだからね!うふふっ」 「あ…あ……」 私はもうあまりの恥ずかしさで何も言えない。かがみの顔も見れない。 「真っ赤になってるこなたも萌えるゾ?…なんてね」 ニヤニヤしながら私を指さして言った。しゃれにならない。 「も、もうぃいーーーー!!!」 私は慌てて布団の中に頭を隠した。 フトンの外ではかがみはケラケラと笑っているが、私は心臓が飛び出しそうで息も荒いし、なんにも考えられないし…どうすりゃいいのさ!! その後、ちゃんと眠りに付けたのかどうかも分からない。 6時頃かがみに起こされたようだけど…ねむい。 翌朝。 私は早くに柊家を出て、自分の家に帰った。かがみのおかげでおとうさんに心配かけずに済んだみたい。 そして、学校に行く準備をして、家を出る。 駅の待ち合わせ場所では、かがみとつかさが待っている。全部元通りだ。 「昨日はこなちゃんがお姉ちゃんの部屋で泊まったんだよ~」 「そうなんですか…それは楽しそうですね」 「昨日は、愛するかがみと同じ布団で愛し合ったもんねえ~」 「ち…違うわ、ばかっ!」 いつも通りの私に戻れたようだ。心なしかちょっと照れるけど… つかさが昨日のことを訪ねてきたので、ちょっと困った。でも、かがみは昨日の暗い私のことは黙っていてくれた。 「昨日は、私とつかささんだけで帰ってたので、少し寂しかったんですよ」 「そうだね~やっぱりこなちゃんとお姉ちゃんがいないとね~」 「え?えへへ…ありがと、つかさとみゆきさん…」 4人の関係も完全に元通り!私は飛び跳ねたいくらい嬉しい気持ちでいっぱいだった。 今回の一件のおかげで私とかがみは前よりも仲良くなれた。 でも、ちゃんと今まで通り、私がからかってかがみが怒って突っ込む、といういつもの生活は変わっていないのが本当に嬉しかった。 あと、かがみのすごい優しいところを見られた。 …それに、かがみから温かい母性を感じた。 私はかがみのことがいっぱい好きになった。 女の子同士なのに、かがみのことを本気で意識するようになった。 私とかがみの初めてのキスだったし… …! べ、別に私はかがみのことなんか…… かがみのことなんかぁ…/// …ああ、私にもツンデレ属性があったなんて… orz コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 20 05 11) ツンデレこなたかわいすぎるぅ -- 白夜 (2009-10-13 07 26 43) こなたとかがみは、スパロボでいうところの「愛」「友情」「信頼」「絆」を、SP消費無しで無限に使えるんだと思う。 そんな二人を俺達読者は、これからも「応援」して、「祝福」していきたいと思う。 作者GJ! -- 名無しさん (2009-08-13 02 00 38) 作者殿の引き出しの多さに土下座しながら脱帽 お願いですから、才能を少しだけでもわけてください -- 名無しさん (2008-09-12 11 37 57) フ、フフフ・・・あれ?いつの間にかニヤけてる俺が居る。 -- kk (2008-06-18 22 39 06) こなたが可愛すぎて泣いてしまった。 -- 名無しさん (2008-06-16 02 11 40) こなたのツンデレ属性www やっぱあんた最高だよww -- 名無しさん (2008-06-08 17 12 15) 初々しいこなたが可愛すぎてどうにかなりそうでした。お見事。 -- 名無しさん (2008-04-21 07 26 28) 萌えて椅子から転げ落ちてしまいました。 -- 名無しさん (2008-04-11 02 08 14) かがみ萌え -- 火炎 (2008-04-08 18 09 34) こなたマジで可愛いーーーwwww -- 名無しさん (2008-03-07 17 36 44) KonaKaga is one of great contents for E61i ! -- Miminashi (2008-02-13 23 36 19) 涙に暮れるこなた、優しいかがみに萌えましたw -- 名無しさん (2007-12-21 22 48 10) 受けこなた、かわいいなあ~wwwおじいちゃんのような目尻垂れ下がりで読んでしまいました。 -- 名無しさん (2007-12-11 00 39 24)
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