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かきふらい(かきふらい) コメント一覧 名前 コメント すべてのコメントを見る
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アニメ スタッフ-か行 名前:かきふらい よみ:かきふらい アニメ スタッフ-か行
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かきふらいです 宜しくお願いします <自己紹介> 好きな食べ物:寿司、ハンバーグ、焼肉 嫌いな食べ物:野菜類 好きなスポーツ:サッカー、バスケットボール 好きなミュージシャン:GLAY、XJAPAN 好きな曲:GLAYの「汚れなきSEASON」 挨拶するときは「こんちゃには」が挨拶です。 常に人数の多い所にいます。 俺を見かけたらぜひ声をかけてください。 END
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上部タグ未削除 編集する。 2021-12-08 18 49 42 (Wed) - かきふらいとは、 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 リンク内部リンク 外部リンク 討論用 情報収集 編集者用ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 リンク 内部リンク [[]] [[]] [[]] 外部リンク 上へ 討論用 名前 コメント すべてのコメントを見る 編集する。 2021-12-08 18 49 42 (Wed) - 情報収集 トラックバック一覧 trackback テクノラティ検索結果 #technorati 口コミ一覧 #bf 関連ブログ一覧 #blogsearch リンク元 #ref_list 上へ 編集者用 ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 上へ
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かきふらいをお気に入りに追加 かきふらいのリンク #blogsearch2 Amazon.co.jp ウィジェット かきふらいのキャッシュ 使い方 サイト名 URL かきふらいの報道 【京アニ】京都アニメーションのテレビアニメ作品で好きなのは? 3作品を紹介(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース かきふらいとは かきふらいの53%は大人の都合で出来ています。かきふらいの30%は明太子で出来ています。かきふらいの15%は記憶で出来ています。かきふらいの2%は怨念で出来ています。 かきふらい@ウィキペディア かきふらい 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ かきふらい このページについて このページはかきふらいのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるかきふらいに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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純「憂の中学時代?」 唯「あずにゃん!四巻の表紙おめでとう!」 →唯「かきふらい!」 憂「え?あ…うん」 唯「【かきふらい】ってなんでかきふらいにしたんだろ~?」 律「カキのフライが好きなんじゃないか?」 澪「でもかきふらいのふらいって飛ぶって英語じゃなかったっけ?」 律「あ~じゃああれだ!あだ名か本名がかきって言ってかきが世界に羽ばたくようにみたいな!」 紬「flyにはニュースや噂が広まるって意味もあるからあながち間違ってないかもしれないね」 梓「パソコンで調べてみれば本当の意味が分かるんじゃないですか?」 唯「ん~…べつにそこまでしなくてもいいよ~」 梓「そ…そうですか」 律「【ゆでたまご】ってのもあるよな」 唯「キン肉マンだよね!」 澪「この人こそゆでたまごが好きなのかな?」 律「板東みたいだな」 梓「ゆでたまごが出来あがるまでのはんじゅたまごってお話があるみたいですよ」 唯「へぇ~…でも私マンガよりアニメの二世のときのOPとEDが好きだな~」 律「DO THE マッスル!ってやつだろ?あれいいよな~弟とよく見てたよ!」 唯「私も憂と見てたよ~」 澪「憂ちゃんがそんなの見るなんて意外だな」 唯「憂は私が見る番組ならなんでも見るよ~?」 梓(それってやっぱり憂の趣味じゃないってことなんじゃ…) 唯「食べ物と言えば【PEACH-PIT】って人もいるよね」 澪「ローゼンメイデンだな」 律「しゅごキャラ書いてたのは意外だったな…」 唯「みんな誰のマスターになりたい?私はね~雪華綺晶!」 律「雪華綺晶って意外だな…ん~悩むけど蒼星石だな」 澪「私は翠星石かな」 梓「私は雛苺ですかね」 紬「真紅×銀様ね」 和「金糸雀」 律「食べ物じゃないけど【まったくモー助】ってのも変な名前だよな」 紬「極上生徒会ね!!!」 律「あ…あぁ」 梓(確かバカとテストと召喚獣もだよね) 紬(男の娘なんて邪道よ。梓ちゃん) 梓「!?」 唯「プッチャンってモー助って顔してない?」 律「あぁなんとなく分かる」 唯「だよね~」 紬「奈々穂×久遠で決定ね!」 梓(さっきの脳に語りかけてくるような声は一体…) 律「まなびストレート!の【たあたんちぇっく】なんかはもはや解読のしようが無いよな」 紬「めい×ももね」 律「お前それしか言えないのかよ」 澪「かしましの【桂遊生丸】も変わってるよな」 唯「はずむ×とまりもいいけどはずむ×あゆきも捨てがたいよねムギちゃん!」 紬「その通りよ唯ちゃん!!!」グッ 唯「えへへ~」 律「唯まで!?」 唯「【甘詰留太】って人も変だよね~」 律「誰だそれ?」 澪「さぁ?」 紬「詰めが甘くて留年したから甘詰留太って言うのよ」 唯「へぇ~そうだったんだ~」 律「なんか間抜けな名前だな」 紬「A・浪漫・我慢も甘詰留太なのよね!」 律「えろま…!?」 澪・梓「……………」カァァァァ 梓「きっ…【金田一蓮十朗】って言うのも女の人なのに変わってますよね!」 律「あっあぁ…ハレグゥの人か」 紬「ニコイチのが好きだわ」 唯「好きなアニメのキャラが蓮十朗って言うんじゃない?」 澪「そうなのか?」 唯「いや~なんとなくそう思っただけ」 律「でも女なのに男の名前とか男なのに女の名前とかって結構あるだろ?」 梓「あ~【猪熊しのぶ】もそうですよね」 律「そうそう!あの人の場合は絵といいサラダデイズのときの内容といい完全に女だと思ってたな」 澪「あとケロロ軍曹の人とかな」 唯「吉崎かんねんだよね」 澪「いや…あれは【吉崎観音】って書いてよしざきみねって読むんだ」 唯「あれ?あはは~そうなんだ」 梓「【一色まこと】の一色って名字素敵ですよね」 澪「うん、なんかいいよな」 唯「え~【青山剛昌】の剛昌のがかっこいいよ!」 律「なんか厨二っぽくないか?」 唯「そんなことないよ~!」 紬「灰原たんは私の嫁」 唯「あっじゃあさ!みんな自分がマンガ家になったらどんな名前にするか考えてみようよ!」 律「おっ面白そうだな!」 梓「えぇ!?」 紬「あらっ♪楽しそうね!」 澪「そっそんなこと急に言われても…」 唯「じゃあ五分後に発表ね!」 五分後 唯「みんな決まった~?」 律「おうっ!」 紬「えぇ♪」 澪「う…うん…」 梓「…………………」 唯「あずにゃん決まらなかった?」 梓「………はい」 律「しょうがないな~梓は。じゃあ最後にみんなで考えようぜ!まずは唯から発表だ!」 唯「ほいきた!私はね【お菓子食べ隊】!」 律「おい!今のお前の感想じゃないか!しかも隊ってなんだよ!一人だろ!?」 唯「えぇ~…いいじゃんお菓子食べたいんだもん!そういうりっちゃんはどうなのさ?」 律「ふっ私か?私は【田井中律様】だ!」 唯「様つけただけじゃん!」 律「バカだな唯…名前に様をつけるだけでどんなに偉い人からも様付けで呼ばれるようになるんだぞ!?」 澪「おいおい…」 唯「……………すっ…すごい…!」 澪「えぇー!?」 唯「すごいよりっちゃん!それって総理大臣からも様付けってことでしょう!?」 律「そうだぞ!総理大臣どころか天皇陛下だってオバマだって私を様付けで呼ぶんだぞ!」 唯「りっちゃん…恐ろしい子…!」 澪「いやいや!何にも恐ろしくないし!」 律「なんだよ澪~そんなこと言うからには澪は素晴らしい名前を考えてるんだろうな!?」 澪「うっ………」 律「ほらほら澪しゃん言ってごらん~?」 澪「み………」 律・唯「み?」 澪「み…【みお☆みお】」 律・梓「…………………うわぁ」 澪「なっなんだよぅ!」 律「なんともまぁ…澪らしいと言うか…なぁ?」 唯「澪ちゃん可愛い~!」 律・梓「ぶぇ!?」 澪「えっ………ほんと…?」 唯「うん!可愛いよ!ねぇムギちゃん?」 紬「えぇ!なんだかマンガ家というより…」 唯・紬「アイドルみたい!」 律(いつの時代のアイドルだよ…) 梓(いくら澪先輩でもそれはないわ…) 澪「え…えへへ………」 律「あ~…えっと…ムギは何にしたんだ?」 紬「私?私はね【充電期間】」 律「それバンド名のときも言ってたじゃないか!」 紬「えぇ♪」 律「なんなんだよそれ!?気に入ってるのか!?」 紬「えぇ♪」 律「………もしかして放課後ティータイムって納得してない?」 紬「えぇ♪」 律「………………」 紬「えぇ♪」 律「あ…梓の考えようか…」 梓「あっ…はい」 唯「あずにゃんは【あずにゃん】でいいと思うな~」 律「なんの捻りもないだろ…」 唯「え~…じゃあ澪ちゃんっぽく【あず☆にゃん】は?」 梓「絶対嫌です」 唯・澪「………!」ガーン 紬「あっ!はーい!私梓ちゃんにぴったりの名前思いつきました!」 律「おっ!言ったれムギ!」 紬「【あずまんが大王】!」 律「……………いやそれ名前じゃないけど既にあるから」 紬「え~…聞いたことないわ…」 律「いやいや!多分甘詰留太より有名だから!」 唯「りっちゃん文句ばっかり!」 紬「ひどいわ…りっちゃん…」 律「お前らが変な事ばっかり言うからだろ!?」 唯「私たちはアイディアをちゃんと出してるもん!」 紬「そーだそーだ!」 律「うぅっ…」 唯・紬 ブーブー! 律「あーもう!大体なんでマンガ家なんだよ!なんでそんな話になったんだよ!」 梓「唯先輩がかきふらい………っていうよりかきふらいって誰ですか?」 澪「さぁ?」 紬「そういえば私も知らないわ」 唯「え~みんな知らないの?かきふらいって言うのはね~…」 ピンポーン 唯「あれ?こんな時間に誰かきた…は~い…うわなにするやm」 おわり 戻る 4
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今日はお部屋の大掃除 そんな時机から封筒に入った原稿が かきふらい「んー?・・・けいおん・・・?あぁ」 かきふらい「そういえば昔こんな漫画を集英社に出そうか迷ってたっけな・・・ハハ」 かきふらい「バンド漫画だったけか・・・懐かしいなぁ」 かきふらい「あーそうそう女の子が主人公なんだよなー」 昔かきふらいは漫画家を目指していた 太っている自分とは正反対の子が主人公の漫画を描こう と かきふらい「この頃は 萌え だとかが流行ってたんだけか・・・」 かきふらい「うわー懐かしいなーこの主人公! 唯 かー」 (昔自分のクラスの好きだった子をイメージしたんだよな・・・フフ) かきふらい「そうそう軽音部・・・バンド部だとなんだかガチっぽいって理由で軽音部にしたんだよなー」 かきふらい「あー澪や律ちゃんだー 俺を昔いじめてたヤツをイメージしたんだっけな・・・」 律ちゃんはすっごい気が強い子で澪は何かと頭を物で叩いてくる子だったなー かきふらい「紬ちゃんの最初のイメージはクラスのマドンナだったっけ・・・そのまんまのイメージにしようと思ってたんだよね」 かきふらい「でもそれだと唯ちゃんが目立たないから お金持ちのお嬢様 ってイメージにしたんだ」 かきふらい「この頃は描きたい漫画を自由に描いてたっけ・・・」 今の僕はどうだろう したいことも怖くてできなくて周りの人の反応ばかり気にして あげくの果てには漫画家という夢も諦めてフリーター かきふらい「あの時叩かれてもよかったから集英社に持っていけばよかったな・・・」 でも・・・今からでも遅くないかも知れない・・・!この漫画を今集英社に持って行ってみよう・・! 叩かれてもいい・・!それでもいいからこの漫画を多くの人に見てもらいたい・・! こうしてできたのが けいおん! なのでした 終 ※ 乗っ取る(作者別) かきふらい「……やっぱりダメだったか、集英社」 かきふらい「……ははっ、俺なんか漫画家になれる訳がなかったんだよ」 かきふらい「夢を見るのは終わり。俺はこのまま一生、独身のフリーターとして過ごしていくんだろうな」 かきふらい「……いや、嫁ならいるか。放課後ティータイムの4人が俺の嫁、ってね」 かきふらい「……それで十分だ。あの頃の思い出が詰まった『けいおん!』さえあれば、俺は生きていける」 かきふらい「……はぁ」 ピンポ-ン かきふらい「うわっ!」 かきふらい「……誰だよ、もう。新聞の勧誘ならお断りですよ!」 ガチャ 唯「やっほー、ふらちゃん!」 かきふらい「……えっ?」 唯「お邪魔しまーす」 かきふらい「……いや、えっ、どちら様?」 唯「もう、忘れたの? 桜ヶ丘高校1年生の、平沢唯だよ!」フンス かきふらい「……唯、って、本当に?」 唯「ふらちゃんに呼ばれたから来たのに、その言い方は酷いよぉ」 かきふらい「呼んだ、って、俺が?」 唯「そう。ふらちゃん、今日から魔法が使えるようになったでしょ?」 かきふらい「……魔法、あっ、まさか、そうか」 唯「えーと、私の言ってる意味、わかるよね?」 かきふらい「いつの間にか、30歳になってたんだな。自分の誕生日も忘れてたなんて」 唯「その魔法の力で、ふらちゃんが寂しくないように、私がここに来る事ができたんだよ」 かきふらい「そんな事が、本当に」 かきふらい「……いや、目の前にいる君が何よりの証拠か。君は確かに、俺の描いた平沢唯そのものだ」 唯「わかってくれたようで何より!」フンス かきふらい「……そう言えば、他のみんなは?」 唯「みんなって?」 かきふらい「ほら、澪とか、律とか、紬とか……」 唯「今はまだ、私しかいないよ」 かきふらい「……どうして?」 唯「だって、まだ『けいおん!』は始まっていないから」 かきふらい「……どういう意味だ?」 唯「そのままの意味だよ。まだストーリーは始まっていない。だから私は、軽音部のみんなと出会っていない」 かきふらい「……えーと、それは、つまり」 唯「澪ちゃんや、りっちゃんや、ムギちゃんに会いたいの?」 かきふらい「……そりゃ、会いたいさ。みんな可愛い俺のよm」 唯「俺の、何?」 かきふらい「……娘たちだからな!」 唯「それなら、ストーリーを始めてくれなきゃダメだよぉ」 かきふらい「始める、って?」 唯「もう一回、ちゃんと『けいおん!』を始めるんだよ。ネームやラフ画じゃなく、ちゃんとした作品として」 かきふらい「そうすれば、他のみんなにも会えるのか?」 唯「うん。そうしないと、このまま何も始まらないでしょ?」 かきふらい「……このまま、何も、始まらない」 唯「ねぇ、描いてくれる?」 かきふらい「……わかった。ちょうど明日はバイトも休みだ、久しぶりに徹夜でもするか」 唯「ありがとう! じゃあ今日は帰るねー?」 かきふらい「あぁ、次に来る時は4人一緒でな!」 2日後 かきふらい「……疲れた」 かきふらい「2徹で原稿を仕上げてからバイトなんて、コミケ前の日常茶飯事だったのに」 かきふらい「……もう若くないんだな、体力が衰えてやがる」 かきふらい「……いつまでも、こんなバイト生活を続ける訳にはいかないのかもな」 かきふらい「夢に見切りを付けて、大企業の正社員になったアイツは、もう家を買ったんだっけ?」 かきふらい「……はぁ、俺の人生って」 ピンポ-ン 唯「ふらちゃん、元気?」 かきふらい「……いや、案外悪くないのかな?」 澪「こら、勝手に人の部屋のドアを開けるな!」 律「いいじゃんか~、ふらちゃん別に嫌がってないみたいだし~」 紬「ここが、かきふらい先生のお家なのね!」 唯「という訳で、さっそく軽音部のみんなを連れて来ました!」フンス かきふらい「……すごい、本物だ」 かきふらい「秋山澪、田井中律、琴吹紬。みんな俺が描いた通りだ」 唯「私も忘れないでよ!」 かきふらい「ははっ、もちろん。さぁみんな、狭い部屋で申し訳ないけど、ようこそ我が家へ」 紬「お茶をいれるので、台所をお借りしますね」 かきふらい「ありがとう、自由に使って構わないよ」 律「さてさて、どこにエッチな本を隠してあるのかな?」ゴソゴソ 澪「こら、失礼だろ!」 かきふらい「おいおい、俺の部屋を漁らないでくれよ」 かきふらい(昔描いたエロ同人誌なんか見つかったら大変だ) 唯「りっちゃん隊長、ベッドの下の箱が怪しいと思います!」 かきふらい「だから駄目だって!」 かきふらい(まさかピンポイントで保管場所を当ててくるなんて!) かきふらい「……それにしても」ボソッ 唯「んっ?」 かきふらい「魔法の力って、凄いんだな」 唯「そうだねー」 かきふらい「夢に見た景色が、目の前で広がってる」 唯「でも、ふらちゃん。気をつけてね?」 かきふらい「……何を?」 唯「ふらちゃんが『けいおん!』を描くのをやめたら、私たちは消えちゃうんだよ」 かきふらい「えっ、そうなのか?」 唯「だって、ふらちゃんが描いたのは、今日の私たちだもん」 唯「明日の私たちは、まだ始まっていない」 唯「だから、ふらちゃんが明日の私たちを描いてくれない限り、私たちは今日で終わりなんだよ」 かきふらい「……それは嫌だな」 唯「私たちも、終わりたくないよ。せっかく始まったんだから」 かきふらい「でも、簡単な話じゃないか」 唯「えっ?」 かきふらい「俺が描き続ける限り、この日常が終わる事はないんだろう?」 唯「じゃあ、ずっと『けいおん!』を描いてくれるの?」 かきふらい「あぁ、ずっとずっと描いてやるさ。『けいおん!』は、永遠に終わらせない」 唯「へへっ、ありがとう、ふらちゃん!」 翌週 唯「じゃーん、ギー太だよっ!」 澪「こんなにいいギターを、あんな値段で買えたなんて……」 律「まぁまぁ。神様ムギ様感謝します、でいいんだよ」 紬「そうよ、気にしなくていいって何度も言ってるじゃない」 かきふらい「楽器も揃ったし、まず唯はコードを弾けるようにならないとな」 唯「任せてよ、バッチリ練習するから!」 さらに翌週 澪「唯の追試が終わって、やっと練習ができるようになった……」 唯「うぅ、ごめんなせぇ……」 紬「それにしても、唯の妹の憂ちゃんはしっかり者だったわね」 律「だらしない姉を持って、自分がしっかりしなきゃ、と思ったんだろうなぁ」 かきふらい「たぶん、それで間違いないね」 唯「むぅ~」 かきふらい「……魔法を使えるようになってから、毎日が楽しくて仕方ない」 かきふらい「必死にストーリーを考えて、睡眠時間を削って絵を描いて」 かきふらい「そうやって創り出した軽音部の日常が、現実になって」 かきふらい「その後日談を聞かせに、唯たちが家まで遊びに来て」 かきふらい「最高じゃないか。本当に、夢みたいだ」 かきふらい「……とはいえ、俺が三十路の独身フリーターである事実に変わりはないけど」 プルルル... かきふらい「……はい、もしもし」 友人「ようっ、久しぶり!」 かきふらい「おぉ、お前か。どうしたんだ、突然?」 友人「特に用がある訳じゃないが、たまには昔の仲間と飲みにでも行こうかと思ってな」 かきふらい「俺は構わないが、お前の嫁さんは大丈夫なのか?」 友人「いつも早く帰ってサービスしてるんだ、一晩くらい問題ないさ」 かきふらい「……そうか、わかった」 居酒屋 かきふらい「……それじゃ、乾杯」 友人「カンパーイ!」 かきふらい「それにしても珍しいな、お前から誘ってくるなんて」 友人「いや~。毎日同じ事の繰り返しで、飽き飽きしてきてな」 かきふらい「家と職場を往復するだけ、ってか?」 友人「その通り。顔を合わせる人間がいつも変わらなくて、面白くない訳だ」 かきふらい「それがお前の選んだ道だろう。堅実に生きてきたからこそ、気立てのいい嫁さんとマイホームを手に入れたんじゃないか」 友人「……マイホームって言っても、30年ローンだけどな」 かきふらい「それだって十分に凄いさ。出版社ってのは、いい給料が出るんだねぇ」 友人「……まぁ、人並み以上の生活ができるのは間違いないからな。否定しないよ」 かきふらい「漫画家になりたいなんて、馬鹿な夢を捨てて正解だったと思うぞ?」 友人「……」 かきふらい「下手な夢にしがみついてた俺は結局、漫画家になれずにフリーター生活だからな」 友人「……その、漫画家を諦めた俺が、漫画雑誌の編集者をやってるんだから皮肉なもんだ」 かきふらい「あれ、旅行雑誌じゃなかったのか?」 友人「それは前の部署。今年から異動になったんだよ」 かきふらい「じゃあ今は、なんていう雑誌の担当だ?」 友人「……まんがタイムきらら。いわゆる『萌え系』4コマの専門誌だよ」 かきふらい「萌え系4コマ、っていうと、えーと」 友人「最近ブームの『らき☆すた』みたいなやつだよ。よその雑誌だけどな」 かきふらい「あぁ。女の子たちの日常を、ゆる~いテイストで描く感じの」 友人「そうそう。でも、ゆる~いテイスト、ってのが意外と難しい」 かきふらい「そうなのか?」 友人「あんまりダラダラさせると、起承転結も何もなくなって、まったく面白味のない作品になるだろう」 かきふらい「あぁ、確かに」 友人「その辺りのさじ加減を間違えなければ、今の時代、ああいう4コマ漫画は凄いヒットになると思うんだ」 かきふらい「実際、『らき☆すた』の勢いなんか凄いからな」 友人「正直言って、今うちの雑誌には、そこのさじ加減の上手い漫画家がいない」 かきふらい「……そうなのか」 友人「有能な新人を探してるんだが、なかなか見つからないんだよなぁ」 かきふらい「……なるほどね」 友人「……そう言えば、お前はもう漫画は描いてないのか?」 かきふらい「……」 友人「どうなんだ?」 かきふらい「……描いてない、事もない、かな?」 … 唯「……ふらちゃん、どうしたの?」 かきふらい「……はっ、えっ?」 律「さっきからボーッとして、返事もしないで」 かきふらい「あぁ、ごめん。ちょっと考え事をしてたんだ」 澪「私たち、何か気に障るような事でも……?」 紬「もしかして、私が勝手にティーセットを持ち込んだから……?」 かきふらい「いや、全然そんな訳じゃないんだ。まぁ確かに、いきなり段ボール一箱分も食器が運ばれて来た時は驚いたけどさ」 唯「ふらちゃん、何か悩み事があるなら相談してよ!」 律「相談相手が唯じゃ、何も解決しなさそうだけどな~」 かきふらい「ははっ、いや本当に何でもないんだ。心配かけちゃって悪かったね」 唯「じゃあ、そろそろ私たちは帰るよ。次のストーリー、早く描いてね!」 かきふらい「あぁ、任せてくれ。それじゃ!」 バタン かきふらい「……ふう、帰ったか」 かきふらい「自分で描いておいて言うのもアレだけど、やっぱり最高だよな」 かきふらい「唯も、澪も、律も、紬も、それぞれ魅力的で」 かきふらい「『けいおん!』は……、こんな素晴らしい女子高生の日常は、きっと他の誰にも創れない」 かきふらい「集英社に持ち込んだ原稿と比べても、クオリティは段違いだと思う」 かきふらい「……これも魔法のおかげか。クソみたいな俺の現実を、変えてくれる魔法」 かきふらい「4人を独り占めできる現状には満足してるし、こんな素敵な世界を他人に見せたくない気持ちもあるけど」 かきふらい「……もう少しだけ、欲張ってみてもいいかな?」 2
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友人「……」ペラッ かきふらい「……」 友人「……なるほど」 かきふらい「……どうだ?」 友人「先に断っておく。俺はお前の昔の仲間としてじゃなく、ひとりの編集者として感想を言うぞ?」 かきふらい「あぁ、頼む」 友人「この『けいおん!』は、うちの雑誌ですぐに連載してもいいレベルだと思う」 かきふらい「……ほ、本当か!」 友人「ただし、お前にその覚悟があるなら、の話だ」 かきふらい「覚悟って?」 友人「商業誌での連載は、同人誌とはまったく訳が違う。〆切を破ればどえらい損失が出るし、編集部の方針で展開を変えられる事もある」 かきふらい「……わかってるさ。原稿料をもらって描くんだから、それくらい」 友人「物分かりがいいな。そう、悪い事ばかりじゃない。それなりの収入は、編集部が保証してやるんだから」 かきふらい「……安定した、収入」 友人「お前はプロの漫画家になるんだ。もうバイト生活も疲れただろう」 かきふらい「フリーターから脱却できるなら、多少の事には目を瞑れるさ」 友人「よし、わかった。今度の編集会議で提案してみるから、楽しみに待っててくれ」 … 澪「なぁ、今日はなんか様子が変じゃないか?」ヒソヒソ 律「ふらちゃん、妙に浮かれてるよな。何かいい事でもあったんじゃねーの?」ヒソヒソ 紬「いい事って……、パーティーに行ったら偶然ビルゲイツに会った、みたいな?」ヒソヒソ 律「ムギにとってのいい事って、そういう次元なのかよ」ヒソヒソ かきふらい「あれ、何を話してるの?」ニッコリ 唯「ふらちゃん嬉しそうだね、何かあったの?」 かきふらい「いやー、別に何もないんだけどね?」ニッコリ 澪律紬(絶対に何かあったな) 唯「ふーん……」 プルルル... かきふらい「はい、もしもし」 澪「電話だな、相手は誰だ?」 かきふらい「……そうか、決まったのか!」 律「なんか、いい知らせみたいだな」 かきふらい「あぁ、あぁ、もちろん。全力で頑張るよ!」 紬「何かを頼まれたのかな?」 かきふらい「……みんな、重大な報告がある」 唯「何でしょう!」 かきふらい「『けいおん!』が、まんがタイムきららで連載される事になったんだ!」 紬「えっと、つまり、どういう事?」 律「まんがタイムきらら、ってのは全国で発売される雑誌だよな……」 澪「って事はまさか、私たちの姿が全国に公開されちゃうのか!?」 唯「ふらちゃん、そんな話、全然聞いてないよ!?」 かきふらい「いや~、前から話はあったんだけどね。編集会議で決定するまでは秘密にして、サプライズで発表しようかと思って」 唯「そうじゃなくて、事前に相談とか……」 かきふらい「安心してよ、軽音部の活動には何の影響もないから。ただ俺以外の人にも、みんなの日常をちょっと見てもらうだけさ」 唯「で、でも!」 澪「落ち着け、唯!」 紬「えーと、えーと……」 澪「よし、ムギも落ち着こうか」 律「……なぁ、ふらちゃん。連載は、もう決まった話なんだろう?」 かきふらい「あぁ、さっき言った通りだよ。すぐにでも原稿に取り掛からないとね」 律「それなら、今更私たちがあーだこーだ言っても、何も変わらないよ」 かきふらい「……さっきから、みんな何を言って」 律「だぁ~、気にするな! それよりみんな、素直にお祝いしてやろうぜ!」 紬「そ、そうよね。おめでたい話だもんね」 澪「そ、そうだな。連載決定、おめでとう」 かきふらい「あ、ありがとう」 律「ほらほら、ふらちゃんの人生の転機だぞ! もっと盛大に祝ってやんなきゃ、なぁ、唯!」 唯「えっ、あっ、うん」 かきふらい「……唯?」 唯「……んーとね、ふらちゃん、おめでとう!」 かきふらい「うん、ありがとう」 唯「『けいおん!』が、まんがタイムきららに連載されても、私たちはずっと一緒だよ!」 かきふらい「……?」 かきふらい「……唯たちの、あの反応は、一体何だったんだろう?」 かきふらい「連載が始まったら、何か不都合な事でもあるのかな?」 かきふらい「……考えても仕方ないや、原稿を描かなきゃ」 プルルル... かきふらい「はい、もしもし」 友人「やぁやぁ、原稿は順調か?」 かきふらい「おかげさまで、ね」 友人「表紙用のカラーイラストも忘れずにな。〆切は原稿と同じ日だぞ」 かきふらい「了解しました、滞りなく!」 1ヶ月後 かきふらい「みんな、これが『けいおん!』新連載号だよ!」 律「おぉ、凄いじゃん。唯がカラーで表紙に載ってるぞ!」 紬「この雑誌が全国の本屋さんにたくさん並ぶのね!」 かきふらい「そうそう、読者からどんな反応が貰えるか楽しみだな!」 唯「ねぇ、澪ちゃん……」ヒソヒソ 澪「……まぁ、そんなすぐには出てこないんじゃないか?」ヒソヒソ かきふらい「……?」 半年後 かきふらい「……新キャラ、ですか?」 友人「そうだ。思ったよりも人気が低空飛行でな、ちょっと新しい刺激を加えてみてもいいんじゃないかと」 かきふらい「それが、編集部の方針、ってやつか?」 友人「……まぁ、そう思ってくれて構わない」 かきふらい「……わかった。一応、後輩キャラをひとり考えてはいるんだ」 友人「おっ、素晴らしいね。どんなキャラだ?」 かきふらい「えーと、中野梓という名前で……」 … かきふらい「……ある程度、覚悟していた事とはいえ」 かきふらい「商業誌の連載は、やっぱり自分の描きたい通りには描けないなぁ」 かきふらい「梓の加入くらいは、まぁ前々から構想があったからいいとしても」 かきふらい「色々な注文を受けてネームを修正していくのは、何度やっても納得いかないし」 かきふらい「『けいおん!』が少しずつ、俺の手から離れていくような、俺だけのものじゃなくなっていくような、そんな気がする」 かきふらい「……俺はなんで『けいおん!』を描いてるんだっけ?」 ピンポ-ン かきふらい「はいはい、って、今日は唯ひとりだけ?」 唯「そうなの、ごめんね。次からは、あずにゃんも一緒だから!」 かきふらい「そっか、今回の原稿で梓を描いたからね」 唯「それでね、その前に、ふらちゃんにお話しておかなきゃいけない事があるの」 かきふらい「……それが今日、ひとりで来た理由?」 唯「うん。別に私ひとりじゃなくても良かったんだけど、あんまりいい話じゃないし、ね」 かきふらい「なるほど、歓迎すべき話題じゃないんだね」 唯「なんか、ごめんね?」 かきふらい「気にしないで大丈夫だよ。それで、どんな話?」 唯「まず、質問です。ふらちゃんにとって私はどんな存在?」 かきふらい「……どんな存在、って、そりゃ大切な、娘みたいな」 唯「ふらちゃん、正直に素直に答えてよ」 かきふらい「……えっ?」 唯「最初に『けいおん!』を描いた時、ふらちゃんはどんな想いで私を創ったの?」 かきふらい「どんな想いって、そりゃ」 唯「恥ずかしがらないでいいよ?」 かきふらい「……俺の嫁、です」 唯「へへっ、ありがとう、ふらちゃん」 かきふらい「いや~、なんか照れるな、改めて言うのは」 唯「じゃあ、澪ちゃんやりっちゃんやムギちゃんは?」 かきふらい「……えっ?」 唯「みんなは、ふらちゃんにとって、どんな存在?」 かきふらい「あー、えーと、そうだな」 唯「正直に、素直に」 かきふらい「……みんな俺の嫁です」 唯「……ふらちゃんは欲張りさんだね!」 かきふらい「はい、すみません」 唯「じゃあ次の質問。ふらちゃんのお嫁さんである私たちが、もしも10股をかけていたら、どう思う?」 かきふらい「……じゅうまた?」 唯「10股。10人の男の人と一緒に付き合ってるとしたら」 かきふらい「いやいやいや、そんな事、考えられないよ!」 唯「……今度は私が、正直に素直に言う番だね」 唯「私には今、ふらちゃんを含めて、19人の旦那様がいます」 唯「10股でも信じられないのに、19人なんて、どうする?」 唯「私だけじゃないよ。りっちゃんには11人、ムギちゃんには14人、澪ちゃんなんか25人の旦那様がいるんだから」 かきふらい「えっ、えっ、えっ?」 唯「何が何だかわからない、って顔してるね」 かきふらい「そりゃそうだ、そんな話、わかってたまるか」 唯「魔法を使えるのは、ふらちゃんだけじゃないんだよ」 唯「お嫁さんの人格を創り出すイマジネーションは元々、誰でも持ってる力だし」 唯「まんがタイムきららの『けいおん!』を読んで、イマジネーションを刺激された魔法使いさんが、全国に何十人もいたんだ」 唯「そのうち19人は、平沢唯をお嫁さんとして創り出してくれたみたいです!」フンス かきふらい「……」 唯「ここまでOK?」 かきふらい「わかったような、わからんような話だけど、ひとつ聞いていいか?」 唯「はい、何でしょう!」 かきふらい「19人、他のやつらの家にも、こうして唯が来てるって事だよな」 唯「そうだね。ひとりひとり、性格なんかは微妙に違うだろうけど」 かきふらい「要するに、そいつらは二次創作のコピーじゃないか」 唯「コピー?」 かきふらい「オリジナルの唯は、今ここにいる唯だけだ。オリジナルを創れるのは、俺だけだ」 唯「んー、それはちょっと違うんじゃないかな」 唯「ふらちゃんの創った私も、他の誰かが創った私も、同じ平沢唯だよ」 唯「残念だけど私はもう、ふらちゃんだけのお嫁さんじゃない」 唯「連載が続く限り、きっとこれからも、旦那様の数は増えていくだろうね」 かきふらい「……そんな、馬鹿な」 唯「でもね、安心して。旦那様がどれだけ多くなっても、ふらちゃんが『けいおん!』を描き続ける限り、私たちはふらちゃんと一緒だから」 かきふらい「……俺が、描き続ける、限り」 唯「そう。その事を伝えるために、今日は私ひとりで来たんだよ。ふらちゃんが最初に創ってくれたのは、私だからね」フンス かきふらい「……でも、俺が描き続けるって事は、他の誰かの妄想に燃料を与え続けるって事で」 唯「イマジネーション、ね。それは仕方ないよ、ふらちゃんが描いたものを誰にも見せずに、仕舞っておければいいんだけど」 プルルル... 唯「ほら、電話。きっと編集部からでしょ?」 かきふらい「……あぁ、その通りだ」 唯「〆切も近いんだし、原稿に戻らなきゃ。今日は私ももう帰るよ」 かきふらい「あっ、ゆっ、唯!」 唯「……大丈夫だよ。次はあずにゃんを含めて、5人で遊びに来るから」 プルルル... 唯「早く出ないと怒られちゃうよ。じゃあ、またね~」 半年後 友人「……梓が加入した辺りから、だいぶ人気が上がってきた」 かきふらい「それは良かった、打ち切りは当分免れたかな」 友人「それどころか、雑誌全体で見ても、かなり上位だ。俺の目に狂いはなかったよ」 かきふらい「へぇ、本当かい。ありがたい話だ」 友人「最近は読者から『けいおん!』について手紙やメールも届くようになった」 かきふらい「どんな事が書いてある?」 友人「励ましのメッセージが大半だが、今後のストーリーについての要望も多いかな」 かきふらい「たとえば?」 友人「梓の活躍をもっと増やしてほしいとか、澪と律の絡みがもっと見たいとか」 かきふらい「……そうか、考えておくよ」 さらに半年後 かきふらい「……あの時、軽い気持ちで読者の意見を取り入れたのが良くなかったか」 かきふらい「あれから要望がエスカレートしていって、あーだこーだ文句まで言ってくるようになった」 かきふらい「……俺は、誰のために『けいおん!』を描いてるのかな?」 梓「どうしたんですか、元気がないですよ?」 かきふらい「……あぁ、ごめんごめん。ちょっと仕事で疲れちゃっただけさ」 澪「お疲れのところ、お邪魔しちゃってすみません」 かきふらい「いやいや、みんなが来てくれる事が俺の生き甲斐だからね!」 律「忙しいのはわかるけど、無理すんなよ?」 紬「肩とか首とか、マッサージしてあげようか?」 かきふらい「ははっ、ありがとう。気持ちだけ受け取っておくよ」 かきふらい(……他の誰かの家でも、こんな事が繰り返されているのかな) かきふらい(紬がお茶の用意をしてくれて) かきふらい(唯がダラダラしていて) かきふらい(律がふざけていて) かきふらい(澪がそれを叱って) かきふらい(梓が文句を言いつつ溶け込んでいる) かきふらい(……放課後ティータイムの日常は、もう俺だけのものじゃない) かきふらい(やっぱり、独り占めしておけば良かったかな) かきふらい(……いや、そうしたら、俺は今でもフリーターだったのか) プルルル... かきふらい「何だよもう、みんなが来てる時に」 唯「きっとまた仕事の電話だね~」 かきふらい「……はい、もしもし」 友人「突然すまない。いきなりで悪いが、今すぐ編集部に出て来れるか?」 かきふらい「今すぐ、って、そんなに急ぎの用件なのか? もう原稿は出したはずだが」 友人「原稿の話じゃない、とんでもない話が舞い込んで来たんだよ」 かきふらい「……せめて明日にしてくれ。今、取り込み中なんだ」 友人「あっ、ちょっと、おい!」 ガチャ かきふらい「……どうせ、ろくでもない話だろう。行かなくてもいいや」 唯「本当に行かなくていいの?」 かきふらい「いいんだよ。みんなと過ごす貴重な時間を、邪魔されたくない」 梓「そんなんじゃダメです!」 かきふらい「……えっ?」 紬「こういう連絡がある時は大抵の場合、すべての予定をキャンセルしてでも行くべきだと思うわ」 律「なんか、ものすごいチャンスが待ってるかもしれないぜ。行かないと後悔するかもよ~」 澪「私たちの事は、気にしないで。また今度、みんな揃って遊びに来ますから」 かきふらい「……みんなが、そこまで言うなら」 唯「そうと決まれば、レッツゴーだよ、ふらちゃん!」 かきふらい「……悪いな、遅くなって」 友人「やっと来てくれたか、助かったよ。明日になったら、もしかしたらこの話は消えてたかもしれない」 かきふらい「どんな話なんだよ、一体?」 友人「すまんが説明は後だ、こっちの部屋に来てくれ」 ガチャ 友人「皆さん、お待たせしました。こちらが『けいおん!』作者のかきふらいです」 かきふらい「あっ、えーと、はじめまして」 友人「あちらに座っていらっしゃるのが、右から京都アニメーションのAさん、TBSのBさん、電通のCさんだ」 かきふらい「……何なの、この豪華なラインナップは?」 友人「それを今から説明する。実は……」 3
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かきふらい「……という訳で、アニメ化が決定した」 唯澪律紬梓「おぉ~!!」パチパチパチ 梓「すごいじゃないですか、アニメ化なんて!」 かきふらい「いや、なんと言うか、運が良かったんだよ」 紬「この前、電話を受けて急いで出て行った時?」 かきふらい「そう。きらら連載陣からアニメ化する作品の候補が幾つかあったみたいなんだけど、最終的には『けいおん!』が選ばれたんだ」 律「って事は、やっぱりあの時、行って大正解だったんじゃないか!」 かきふらい「その通り。実際『けいおん!』に決まりそうな流れだったみたいだけど、俺が直接お願いしたのが決定打になった」 紬「巨大なプロジェクトも、案外そんな感じで話がまとまっちゃうのね~」 澪「でもアニメって事は、私たちが、全国のテレビに映るって事だよな……」 かきふらい「あぁ、いや、全国どこでも放送される訳じゃないから」 梓「とはいえ、今ではインターネットがありますからね」 律「全国どころか、全世界に文化祭ライブを見てもらえるぞ、澪!」 澪「ひぃっ!」 かきふらい「……あっ、そうか」 唯「どうしたの?」 かきふらい「アニメ化されて人気が出たら、またみんなを嫁にする人が増えちゃうな、と思って」 唯「あぁ、それなら大丈夫だよ」 かきふらい「そうなの?」 唯「まんがタイムきららで連載が始まった時から、私たちの方は、その覚悟はできてるから」 かきふらい「……そっか」 唯「……でもね、ふらちゃん」 かきふらい「……あぁ」 唯「本音を言うと、ちょっと不安だよ」 かきふらい「そりゃ、そうだよな」 唯「『らき☆すた』の、こなちゃん、知ってるよね?」 かきふらい「もちろん。あの作品がなかったら『けいおん!』の連載もアニメ化もなかった」 唯「こなちゃんの旦那様、一番多い時で、5万人くらいいたんだよ?」 かきふらい「……5万人、か」 唯「優しい人もたくさんいたけど、その中には、こなちゃんに酷い仕打ちをする人もいたんだって」 かきふらい「……」 唯「でも、きっと大丈夫。私たちは、ふらちゃんと一緒だもん!」 かきふらい「……そう言ってくれて、ありがとう」 1年後 「唯の『うんたん♪』が可愛すぎて生きるのが辛い」 「澪の『萌え萌えキュン』だけでごはん3杯は余裕」 「あれ、りっちゃんの前髪を下ろすと……」 「むぎゅうううううううう!!!!」 「あずにゃんペロペロ」 「アリーナでのライブ開催が決定しました!」 かきふらい「……いつの間にか『けいおん!』は、俺の手に負えないくらい大きな存在になっていた」 かきふらい「今の『けいおん!』は、もう俺の創った世界じゃない。そんなものを、とっくに超えて、まだまだ巨大化している」 「唯憂もっと増やせ」 「秋山澪が朝鮮人だと聞いたのですが本当ですか?」 「蛸壺屋の設定を公式で採用するべき」 「かきふらいが描いた唯のエロ画像発見したwwwww」 かきふらい「人気が出るに伴って、変な連中も現れた」 かきふらい「ひっきりなしに寄せられるリクエストに、いちいち応えるのは大変だ」 かきふらい「しかも、無茶な要求をしてくるのは読者だけじゃない……」 プルルル... かきふらい「はい、もしもし」 かきふらい「……また巻頭カラーと表紙ですか、これで何ヵ月連続です?」 友人「そう言わずに、今回も頼むよ。まんがタイムきららの売上、何割が『けいおん!』でもっているか、知ってるだろう」 かきふらい「わかってる、わかってるよ」 友人「それと、もう一つ。再来月掲載の話に、急遽ライブを入れてほしいんだけど、出来るか?」 かきふらい「……はぁ?」 友人「アリーナのライブ開催とリンクさせよう、って上層部の方針でな」 かきふらい「……悪いが、断る」 友人「えっ?」 かきふらい「確かに俺は、金を貰って漫画を描いてる立場だが、何でもかんでも言いなりって訳じゃないぞ」 かきふらい「……なんて、カッコいい事を言ったわりに」 かきふらい「結局アイツの説得に根負けして、ストーリーを変更してしまった」 かきふらい「ネット上の評判はどんなもんだろう?」カチカチッ 「なんか今回のけいおんは微妙じゃね?」 「取って付けたような話だな」 「今年一番のハズレ回だったな」 かきふらい「……閉じよう」カチカチッ かきふらい「……俺は何のために『けいおん!』を描いてるんだ」 かきふらい「誰かの望んだストーリーを描いて、誰かが得をして、他の誰かに批判されて」 かきふらい「それで結局、俺が得たものといえば」 ピンポ-ン かきふらい「……はい、いらっしゃい」ガチャ 唯「おぉ、ここがふらちゃんの新しい家!」 澪「広くて、明るくて、いい部屋だなぁ」 律「こんなマンションに住めるなんて、ふらちゃんお金持ち!」 紬「私、引っ越し祝いにメロンを持って来たの~」 梓「お邪魔しま~す」 かきふらい「一つは、実体化した放課後ティータイムの5人」 かきふらい「もう一つは、多少の贅沢が許されるだけの金」 かきふらい「神経を磨り減らした代償としては、まぁ妥当なんじゃないかな?」 梓「唯先輩、そんなにあちこち見て回ったら失礼ですよ」 唯「だってだって、このお風呂なんか凄いんだよ!」 律「うぉっ、ジャグジーが付いてる! 毎日風呂を借りに通っちゃおうかな~」 澪「バ、バカ律! それって、つまり、その」 紬「あれ、なんで澪ちゃん顔が真っ赤なの?」 半年後 友人「アニメ2期も絶好調だな」 かきふらい「主題歌がオリコン1位・2位を独占か。ここまで来ると、まったく笑うしかない」 友人「何もかも、かきふらい先生のおかげです、ってね」 かきふらい「やめてくれ。特にオリコンの件なんか、曲を作ったのも、歌ったのも、絵を描いたのも俺じゃない」 友人「すべては『けいおん!』というコンテンツがあったからこその成果物だろう?」 かきふらい「俺が何もしなくても『けいおん!』は快進撃を続けるよ。原作者がどうだ、っていう次元じゃない」 友人「……そうそう、その原作の話なんだが」 かきふらい「あぁ、どうした?」 友人「原作の唯たちも3年生になって、部活も引退する時期だ。いずれ卒業も迎えるだろう」 かきふらい「そうだな、うん」 友人「それで、どうするんだ?」 かきふらい「どうするんだ、じゃ意味がわからん。質問は明確に頼む」 友人「……わかっているくせに」 かきふらい「……まぁ、な」 友人「終わらせるのか、連載?」 かきふらい「その質問、今ここで答えなくちゃ駄目か?」 友人「答えを急いでる訳じゃない。ただ、その様子だと、お前自身もまだ悩んでいるみたいだな」 かきふらい「さすが、長い付き合いだけあるな」 友人「編集部としては、ずっと続けてほしいのが本音だ。『けいおん!』はうちの稼ぎ頭だからな」 かきふらい「そうだろうね、当然」 友人「だが俺個人としては、こちらからは何も要請せず、お前の決断に委ねたいと思っている」 かきふらい「嬉しい事を言ってくれるじゃないか、ありがとう」 友人「……まぁ参考までに、先例を振り返ってみようか」 かきふらい「先例って言うと?」 友人「女子高生の日常を描いた4コマ漫画。大ヒットした作品は以前にも幾つかあった」 かきふらい「ふむ」 友人「たとえば『あずまんが大王』。あれは連載自体がリアルタイム進行だった」 かきふらい「4月号で進級して、7月号から夏休みで、って具合にな」 友人「そして連載3年目の3月、みんなの卒業と同時に『あずまんが大王』の連載も終わった」 かきふらい「綺麗な終わり方だったよな、あれは」 友人「他の例としては『らき☆すた』があるな」 かきふらい「『あずまんが大王』とは、真逆のパターンか」 友人「そう。高校卒業で終わらせず、大学編を今も連載している」 かきふらい「惰性で続けているだけ、なんて批判もあるなぁ」 友人「まぁ、以前よりも勢いが衰えたのは否定できない。美水先生もさっさと連載を終えて、新作を描いた方が良さそうなのに」 かきふらい「……美水かがみ先生、か」 友人「ある意味、お前の目標だった先生だよな」 かきふらい「今でも、そうかもしれないぜ?」 友人「ん、そうなのか?」 かきふらい「……なぁ、ちょっと頼みたい事があるんだが、聞いてくれるか?」 1ヶ月後 友人「そろそろ来る頃だな」 かきふらい「あぁ。この場をセッティングしてもらって、ありがとう」 友人「なぁに、お安い御用だ」 美水かがみ「……あっ、かきふらい先生ですか?」 かきふらい「はい、そうです。はじめまして、美水先生」 友人「本日はお忙しいところ、ご足労ありがとうございます」 美水かがみ「いやいや、最近はかきふらい先生の方が圧倒的に忙しいでしょう。お会いできて光栄です」 かきふらい「いえ、こちらこそ光栄です!」 友人「それでは、向こうに個室を用意してあるので、ご案内します。私は席を外しますので、しばらく2人でご歓談ください」 美水かがみ「……初対面なのに、個室で二人きりなんて、なかなか面白いシチュエーションですね」 かきふらい「すみません、私のわがままなんです。ぜひ先生とお話したい事があって」 美水かがみ「何でしょう。今が旬のかきふらい先生と違って、私はもう過去の人になりつつありますよ?」 かきふらい「……失礼を承知でお聞きします」 美水かがみ「はい」 かきふらい「私の勝手な推測ですが、美水先生は、自ら望んで過去の人になろうとしているのではありませんか?」 美水かがみ「……どういう意味ですか?」 かきふらい「もっと単刀直入に聞きます。美水先生も、魔法使いなんですか?」 美水かがみ「……」 かきふらい「……」 美水かがみ「……今、私『も』魔法使いか、と聞きましたね」 かきふらい「……はい。包み隠さずに言えば、私自身も魔法を使える人間なんです」 美水かがみ「今日、私が呼ばれた理由がわかってきました。かきふらい先生は、どうやら私とよく似た環境にいるみたいですね」 かきふらい「という事は、やっぱり美水先生も」 美水かがみ「かきふらい先生の家には、よく女子高生が遊びにやって来ますか?」 かきふらい「はい、そうなんです!」 美水かがみ「私の家にも、よく来る女の子がいるんですよ。もっとも、こちらは既に女子大生ですが」 かきふらい「こなた、かがみ、つかさ、みゆき、の4人ですか?」 美水かがみ「えぇ、その通り。そちらは唯、澪、律、紬、梓の5人で合ってます?」 かきふらい「間違いありません。美水先生も、原稿を描く事でキャラクターを実体化できるんですね」 美水かがみ「この事を踏まえて最初の質問を思い出すと、かきふらい先生の言いたい事がよくわかります」 かきふらい「いきなり失礼な事を言って、すみませんでした」 美水かがみ「いえ、大丈夫です。おっしゃる通り、私は『らき☆すた』が皆から忘れ去られる日を心待ちにしています」 かきふらい「それはやはり、ご自分の嫁を取り戻すために?」 美水かがみ「そうです。こなたが私だけの嫁だった日々を取り戻すために、今更ながら足掻いているんですよ」 かきふらい「その本音は、美水先生の言動から薄々感じていたんです。でも一つだけ、府に落ちない事があります」 美水かがみ「何でしょうか?」 かきふらい「過去の人になろうとしているのに、どうして連載を続けているんですか?」 美水かがみ「だって、私が『らき☆すた』を描く事をやめたら、こなたたちに会えなくなるじゃないですか」 かきふらい「デビューする前みたいに、誰にも見せず、1人で原稿を描くという選択肢は?」 美水かがみ「あぁ、なるほど。かきふらい先生、それは編集部の執念を甘く見ていますよ」 かきふらい「執念、ですか?」 美水かがみ「全盛期を過ぎたとはいえ、私の描く原稿は依然、編集部にとって金の成る木なんです」 かきふらい「それは、まぁ、正しいと思います」 美水かがみ「そんな原稿を、私だけの宝物にしようと思っても、許してくれませんよ。意地でも持ち帰って掲載します」 かきふらい「……そういうものですか」 美水かがみ「かきふらい先生は、こっそり1人で『けいおん!』を描き続ける生活に戻りたい、と思っていますか?」 かきふらい「はい。連載を早く終わらせて、自分のためだけに原稿を描きたいんです」 美水かがみ「それを雑誌に載せたくない理由はおそらく、編集部や読者からの干渉が煩わしいから」 かきふらい「まさに、その通りです」 美水かがみ「だとすれば、連載を終えても、お望みの静かで平和な日々は訪れないと思いますよ。申し訳ないけど」 かきふらい「……駄目ですか?」 美水かがみ「貴方は私以上に、有名になりすぎてしまった。編集部も、読者も、ネットユーザーも、連載を終えたからといって貴方を放置する事はない」 かきふらい「続編を描け、次回作を描け、というプレッシャーが押し寄せてくる訳ですか」 美水かがみ「そして、何か描いてるならそれを世に出せ、とも言われるでしょう」 かきふらい「あぁ、なるほど」 美水「山奥に失踪でもしない限り、ひっそりと自分用の原稿を描くだけの生活を送るのは難しいでしょう」 かきふらい「それじゃ私は、どうすればいいんでしょうか?」 美水かがみ「あくまで私の個人的な意見ですが、選択肢は二つしかないと思います」 かきふらい「何と、何ですか?」 美水かがみ「一つは私のように、惰性と言われようが蛇足と言われようが、連載を続ける道」 かきふらい「そして、もう一つは?」 美水かがみ「『けいおん!』を含めて、漫画を描く事を一切やめてしまう道」 かきふらい「……えっ?」 4
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美水かがみ「さっきも言ったでしょう。静かで平和に暮らすためには、失踪するくらいの覚悟で、何もかも捨てる必要があると」 かきふらい「でも、そんな事をしたら……」 美水かがみ「もちろん収入は途絶えますし、何より唯たちに会えなくなります」 かきふらい「そんなの、嫌ですよ!」 美水かがみ「でもね、かきふらい先生。今度は私の勝手な推測ですが、先生の原稿を描き続ける意欲は、かなり下がっているのでは?」 かきふらい「……確かに、以前と比べれば」 美水かがみ「それは何故?」 かきふらい「……描けば描くほど、唯たちが遠くへ行ってしまうような気がして」 美水かがみ「遠くへ、と言うのは?」 かきふらい「……私が『けいおん!』の原稿を描く度に、唯の夫の数が増えていくんです。私の原稿は、やつらの餌になるばかりじゃないですか」 美水かがみ「あぁ、その感覚はわかるなぁ」 かきふらい「自分の嫁を、何千何万という男たちの慰み者にするために、私は『けいおん!』を描いている訳じゃない」 美水かがみ「うんうん、わかるわかる」 かきふらい「そんな事を考えると悔しくて、原稿に向かうのが苦痛で仕方ないんです」 美水かがみ「可愛く描ければ描けるほど、これを見てまた豚どもが狂喜するのか、と思ってイライラしてね」 かきふらい「……逆にお聞きしたいんですが、美水先生はどうして今も原稿を描き続ける事ができるんですか?」 美水かがみ「ふふっ、愛だよ、愛」 かきふらい「……そのセリフは」 美水かがみ「まぁ冗談はさておき、こなたたちに会えるからですよ、やっぱり」 かきふらい「大きいですよね、魔法の存在は」 美水かがみ「かがみに会いたい、つかさに会いたい、みゆきに会いたい。その一心で原稿に向かってますよ」 かきふらい「確かに、それは愛だ」 美水かがみ「いや、結局どっちが強いかだと思うんですよ。嫁に会いたい気持ちと、他の夫に対する嫉妬心と」 かきふらい「……あぁ、なるほど」 美水かがみ「私の場合、前者が勝ったんでしょうね。だから今も『らき☆すた』を描いているんです。皆に忘れ去られる、その日まで」 かきふらい「逆に言えば、嫁に会える喜びよりも、嫉妬に狂う痛みの方が大きいようならば」 美水かがみ「何もかも捨て去ってしまうしかないでしょうね、最初に言った通りです」 かきふらい「……あぁ、そっか。そうだ、うん」 美水かがみ「何かヒントは見つかりましたか?」 かきふらい「……はい。もう少し時間はかかりそうですが、自分の中で考えはまとまりそうです」 美水かがみ「それなら良かった、かきふらい先生のお役に立てたみたいで」 かきふらい「今日はお会いできて本当に良かったです。ありがとうございます!」 美水かがみ「こちらこそ、こんなに腹を割って話せる相手は初めてですよ。また会いましょう!」 さらに1ヶ月後 友人「……お前は本当にそれでいいんだな?」 かきふらい「あぁ、もう決めた事だからな」 友人「わかった、それなら俺は何も言わない。上層部は俺が説得しておくから心配するな」 かきふらい「いつも悪いな、ありがとう」 ピンポ-ン かきふらい「そうか、今日は客が来る日だった。すまないが、電話を切るぞ」 友人「わかった、じゃあ、また」 ガチャ 唯「ヤッホー、ふらちゃん!」 かきふらい「どうぞ、いらっしゃい」 紬「今日は焼きプリンを持って来たの~」 梓「うわぁ、美味しそう……」 律「おっ、興奮した梓に猫耳が生えたぞ」 梓「そんなもの生えませんっ!」 澪「お前たち、人の家では静かにしろよ」 かきふらい「……なぁ、みんな」 唯「ん~?」 かきふらい「いつも俺の家に来てもらうばかりだし、たまには外に出掛けるのはどうかな?」 唯「どうしたの、急に?」 梓「今日は練習が終わってから来たから、もう薄暗いし……」 紬「紅茶も入れたばっかりだし……」 澪「あっ、やっぱり毎回家で騒がしくしたから!?」 律「うへっ、ごめんなさい! 今後気をつけるから、出入り禁止だけは勘弁して!」 かきふらい「いやいや、別にうるさい訳じゃないし、今日これから外出する訳でもないよ」 唯「じゃあ、いつ?」 かきふらい「丸一日くらいかけて、パーッと遊びに行ける日がいいな」 紬「そうすると、週末はみんな揃って予定を合わせるのが大変だから……」 澪「期末試験が明けて、夏休みになっちゃうかな?」 律「ちょっと先の話になっちゃうけど、ふらちゃんはそれで大丈夫?」 かきふらい「もちろん大丈夫。仕事の調整もできると思うし」 梓「ていうか先輩たちこそ、受験勉強は大丈夫なんですか……」 唯「大丈夫、大丈夫。普段からちゃんと勉強してるもん!」 梓「えーと、それ、本当ですか?」 律「んでんで、ふらちゃん。どこに出掛けるよ?」 かきふらい「そうだな、野外フェスなんかどうだろう?」 澪「……あれ、野外フェス?」 梓「そう言えば今年の夏、さわ子先生と一緒に行ったような」 紬「でも今は夏休み前で、あれれ?」 かきふらい(まずい、作中の記憶とこっちの世界の記憶とで混乱している!) かきふらい「それはきっと去年だったんじゃないかな、うん! だから今年も行こう、野外フェス!」 律「えーと、あー、うん。そういう事だな!」 唯「今年も行こう、野外フェス!」 かきふらい(うまく誤魔化せた、かな?) さらに1ヶ月後 澪「よし、みんな集合時間までに揃ったな!」 律「本日の天気予報は快晴のち土砂降り、絶好の野外フェス日和!」 梓「準備も万全だし、やってやるです!」 紬「串焼きも焼きそばも、どんと来いです!」 唯「じゃあ行くよ、ふらちゃん!」 かきふらい「今日は思いっきり楽しもうか!」 全員「おーっ!!」 唯「……でも、ふらちゃん。突然外で遊ぼうなんて言い出して、何かあったの?」 かきふらい「特に何もないってば。ただ、みんなとの思い出を残しておきたいな、と思って」 唯「思い出を、残す?」 かきふらい「そうそう、大切な事だぞ?」 唯「……なんか、まるで、もうすぐお別れみたいな言い方だね」 かきふらい「……そう、かな?」 唯「……じゃ、ない?」 かきふらい「……そんな事、ないだろう」 唯「……うん、そうだよね! えへへ、ごめんごめん~」 かきふらい「まったく、何を言い出すかと思えば。ほら、もうすぐ会場に着くよ」 唯「よ~し、張り切っていくよ!」 …… バタン かきふらい「……ただいまを言う相手がいませんよ、っと」 かきふらい「野外フェス、楽しかったな」 かきふらい「丸一日ずっと、飛び跳ねて、腕を振って、叫んで」 かきふらい「歩いて、走って、食べて、寝転がって」 かきふらい「5人との、いい思い出になったよな」 かきふらい「いい……、思い出に……」 かきふらい「あぁ、くそっ、泣かないって決めてたのに」 かきふらい「涙が、止まらないなぁ、くそっ……」 かきふらい「唯、たち、と、違って、うぐっ」 かきふらい「俺、なんか、泣い、ても」 かきふらい「画に、ならない、じゃ、ねーか」 かきふらい「あっ、ふぁっ、ふぁっ……」 3ヶ月後 かきふらい「美水先生、お久しぶりです」 美水かがみ「やぁ、あの時以来ですね。『けいおん!』最終回、お疲れ様でした」 かきふらい「おかげさまで、漫画もアニメも綺麗に終わらせる事ができました」 美水かがみ「あっ、でも『けいおん!』劇場版がまだ残ってますね」 かきふらい「そうですね。でも私は、映画の方にはタッチしないんですよ」 美水かがみ「おや、そうなんですか。という事は、やっぱり……」 かきふらい「放課後ティータイムとは、もうお別れです」 美水かがみ「……そういう結論に達した、という訳ですね」 かきふらい「美水先生、貴方は本当に凄い人ですよ」 美水かがみ「また唐突に何をおっしゃいます」 かきふらい「……結局、私には『けいおん!』を描き続けるだけの強さがなかったんです」 美水かがみ「前にも話しましたか、嫉妬心に対する強さ、ですかね」 かきふらい「『けいおん!』を終わらせた今になって、改めて『らき☆すた』を描き続ける事の過酷さがわかります」 美水かがみ「過酷だなんて。ただ私は、現実から目を背けただけです」 かきふらい「……どういう事ですか?」 美水かがみ「かきふらい先生にお会いしてから、私も改めて考えてみたんです。自分と『らき☆すた』について、色々な事を」 かきふらい「……そうだったんですか」 美水かがみ「私は嫉妬心に打ち勝ったんじゃない。嫉妬心を感じないように、現実から目を背けただけです」 かきふらい「それは、つまり?」 美水かがみ「全人格を賭けて創り出した嫁が、何万人の夫たちに汚されていく現実を、私は意識した事すらなかった。貴方にお会いするまでは」 かきふらい「私に、会うまでは?」 美水かがみ「そうです。あの後、私はその現実を真剣に受け止めてみる事にしました」 かきふらい「……何か変化はありましたか?」 美水かがみ「考えれば考えるほど、どうしようもなく悲しくなりました。だから、私は考えるのをやめました」 かきふらい「ありゃ、結局そうなりましたか」 美水かがみ「無理ですよ、本当に。そんな事を考えてしまったら、原稿なんて、とてもとても!」 かきふらい「……でしょうね。考えるのをやめて、正解だったと思いますよ」 美水かがみ「かきふらい先生、貴方は真面目な人ですね」 かきふらい「……はぁ、真面目ですか」 美水かがみ「貴方から見れば、私は強い人間と映るのかもしれませんが、実際は不真面目なだけですよ」 かきふらい「……そんなもんでしょうか」 美水かがみ「そんなもんです。私はこれからも、現実に目を背けながら『らき☆すた』を描き続けますよ」 かきふらい「美水先生は、そうでなくちゃ。楽しみにしてますよ!」 美水かがみ「ありがとうございます。それで、かきふらい先生は、これからどうするんですか?」 かきふらい「……近いうちに、ソープランドにでも行こうと思ってます。ありがたい事に、お金はたくさん貰ったので」 美水かがみ「……かきふらい先生、貴方、まさか」 かきふらい「……はい、お察しの通りです。もう一生、魔法は使いません」 美水かがみ「自分の嫁に会う事ができなくなっても、構わないと?」 かきふらい「放課後ティータイムの5人とお別れしたのに、この先どんな嫁と会おうって言うんですか」 美水かがみ「……ふふっ。貴方は本当に真面目な人です」 かきふらい「ありがとうございます。美水先生こそ、現実逃避し続ける強さを、いつまでも持っていてください」 美水かがみ「既にただの痩せ我慢ですけどね。いつか限界が来て、私も『らき☆すた』を終わらせる時が来るかもしれない」 かきふらい「……縁起でもない事を言わないでくださいよ」 美水かがみ「その時は、かきふらい先生に倣って、こなたたちと一緒にコミケへ行こうかな?」 かきふらい「……あぁ、もうこんな時間だ。そろそろお開きですね」 美水かがみ「そうだ、最後にひとつ聞いてもいいですか?」 かきふらい「はい、何でしょう」 美水かがみ「放課後ティータイムのみんなと、どんなお別れをしたんですか?」 かきふらい「……特別な事は、何も。さようなら、さえ言いませんでした」 美水かがみ「……へぇ」 かきふらい「いつもと同じように、淡々と過ごして、じゃあね、って感じでした」 美水かがみ「それで良かったんですか?」 かきふらい「いいんです。それが一番『けいおん!』らしい終わり方かな、と思ったんで」 おわり 戻る