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r-、// ヽ { // \ ,. ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ` 、 ヽ{/_ 、 ヽ' \ | -, ll \ ∧ ヽ } | || >--、- 、_l´ ̄ ̄ヽ  ̄`ヽ / / / /´ / ヽ | , ⌒ヽ |= 、_ .  ̄ ,-、_{ , 乂__|/ / | `ヽィ-、 } { }_」_/ / /{ イ / /ー '´ \ | ; | ' / ! \∨ / ィ,ム斗 | | }、__/ニニニ、 ,.ィチニニニ ̄{_ / / { .下≧、{ / ,.ィr ; ォァ / ; | / \〉ニニニ \ /ニニニニ /ニニ,.イ 从 {弋ソ , 込zソ / イ 、___/イニニニニニ /ニニニニニ/ニニ / イ / { ト、 、__, / {/ |ニニ} /ニニニニニ . // ̄ ̄ヽ、ニ/ニニニニ\{ 从 }>.`二´イ /-、从!ニニ|'ニニニニニ / ∨ニニニニ二/}' リ{ ∨//{ / }ニニニ/ニニニニニ ´ ̄ ̄r、/ ̄ / ∨{ }イノ{ `ヽ`ヽ´/ ̄ ̄ ̄`ヽ {/ } ヽ { /-、} 乂,.--、- 、 ∨.r -、__r 、__r、,_......._/ 乂∧ | /三=ミ| /__/^}__/_)〉 `ー 、 乂| . . . . .}-' ; /}_/} ̄; `T ̄ ` / | | / /}---'乂}------ ' _ / /r,___/r、_.}.. }__ /7.r, r { /⌒\ }\ /乂} . . . }__) |///\./ ,'{ |{ |ゝ' r--' `! ∨ /}ノ-r-'_ノ----- '/////\ー' }' ´ // ,( { 、、 ム_ `ヽ \/////////\ {/ /_\ ー`ー' \ \ \/////////}╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ 名前:レミリア・スカーレット(??) 種族:吸血鬼 HP:10/10 得意:防具、腕力、改造、解体、操作、直感 苦手:話術、散髪(美容院を除く)、水泳 【戦闘スキル】 母魔法(Lv.1/出目-5/08)/万物の母。生産の母。生み出す事に特化した魔法。 毒手(Lv.1/03)/敵に触り、毒状態にする。自分もなる。 ジュライ式剣術(Lv.2/11)/状況に応じて成功率やダメージや射程や範囲が変わる やみのまどうこく(Lv.6/66)/敵に12のダメージを与える。ただしダイスが5以下を出した時、ダメージが2倍になる。 【一般スキル】 ワープホール(Lv1/02)/簡単なワープぐらいなら何とか作れる 毒耐性(Lv.レミリア):あらゆる毒に対して耐えられる。このスキルは何度でも蘇る。 また、毒を受けたばかりの対象に体液をかけることで毒を消す。 調査(Lv.6/64)/気になる所を調べることが出来る。勘任せなので理屈は後からついてくる。 誘導尋問(lv.5/56)/相手を誘導し、望んだ答えを出させる 混乱心理(Lv.5/56)/相手を混乱させる。食蜂も出るぞ。 遠投(Lv.6/68)/アイテムを遠くまで投げることが出来る。多少の障害物なら貫通する。 0流のエース(Lv.8/83)/対象を操縦し、任意の地点まで到達する。レベル以下の数値が出たらクリティカル扱い。 ヘルアンドヘブン(Lv.10/出目-10/100):相手の手とか核を握る。成功時、相手の手とか核を潰せる。 融合(Lv.5/58):二つの物体を融合させ、一つのものにする。尚、制御できるわけじゃない。 レミリア級修理(Lv.12/出目-10/127):壊れたものを元に戻す。機械じゃなくても戻せる。死や消滅だけは勘弁な。 レミ造(Lv.MAX/出目-30):よく分からない改造が出来る。ファンブルはクリティカルになる。 切り裂き黒レミィ/生物を自由に解剖できる。解体から治療までお手の物。出目+10。 【宝具】 片太刀バサフォギア/メモリア特攻武器。50%の確率で、敵の繊維を断つ。 また針目縫に変身する事が可能。 限定ピックアップ招待状/ランダムで契約した相手を呼び出す。契約してない相手も呼び出す。 知らない相手もたまに呼ぶ。1日1回。 腿の呼吸/相手の腿を叩く 運命を操る程度の能力/??? 【貴重品】 蛙のぬいぐるみ、聖杯〔島の世界〕、聖杯〔星の世界〕、聖杯〔刀の世界〕、聖杯〔光の世界〕 異種族感知アラーム、撫子の押し花、手形 シノアのお守り 1度だけファンブルを無効化する事が出来る 【所持品】 2億、88両9000銭、片太刀バサミ、融通が利く釣竿、毒蛇の手袋、ジュライの刀 渚のナイフ、じゃがりこナイフ、隠れクナイ ガメラ付通信装置、レミリアの絵、かがみの机 幸運のネックレス(指定された安価の下がクリティカルの場合、クリティカル扱いになる)
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キャラクター名 レミリアお嬢様♀
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skypeで活動しております 非想天則でレミリアをもっと上手く使いたい!レミリア対策したい!という人たちの為のセプテット
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紅のお嬢様 レミリア 効果キャラクター HP2 AP3 DP2 召喚コストN3 種族 吸血鬼 このカードは「レミリア・スカーレット」として扱う。 召喚にT1を必要とする。 出典 東方project
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レミリア ロダ up0676 0679 0683 0685 up1488 yndr/src/up0037 yndr/src/up0061 kill me kiss me,kill you kiss you. ドレミースイートの夢占い ■運命 運命 一話/運命 二話/運命 三話/ ■執事○○と紅い悪魔 執事○○と紅い悪魔1(流血表現注意)/執事○○と紅い悪魔2(流血表現注意)/執事○○と紅い悪魔3/執事○○と紅い悪魔4(最終話) スレネタ ■1スレ目 レミリア/1スレ/91 レミリア/1スレ/22-23 25 ■4スレ目 赤の手記 レミリア/4スレ/881 ■5スレ目 赤の手記・リメイク レミリア/5スレ/169 レミリア/5スレ/263 ■7スレ目 レミリア/7スレ/189-190 レミリア/7スレ/435 レミリア/7スレ/523 レミリア/7スレ/570 レミリア/7スレ/829 レミリア/7スレ/831 829の続き? ■9スレ目 レミリア/9スレ/242・249 レミリア/9スレ/798 プロット風味 ■11スレ目 レミリア/11スレ/316 ■12スレ目 レディと人形 ■13スレ目 レミリア/13スレ/71 ■14スレ目 レミリア/14スレ/553 ■17スレ目 レミリア/17スレ/922-923 ■18スレ目 レミリア/18スレ/77-79 ■21スレ目 レミリア/21スレ/26-28 レミリア/21スレ/227-228 レミリア/21スレ/631-635 レミリア/21スレ/782-785 レミリア/21スレ/816-819 ■22スレ目 レミリア/22スレ/303-304 レミリア/22スレ/433 ■23スレ目 レミリア/23スレ/72 レミリア/23スレ/734 ■24スレ目 脚本が延期された日 誰がそれをやったのか9 小ネタ・分類不可・未整理/24スレ/221の完結編 レミリア/24スレ/305-307 不夜城レッド2 レミリア/24スレ/954 965 ■25スレ目 切り札はいつだって悪手3 運命の女神 光の先へ 終電にて 救いの手 指輪 意味を通じて 埋めネタ ■ジョバンニ氏 レミリア/ジョバンニ氏①
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レミリア6 うpろだ537 僕はあの日、あのお方に出会った。 時に優しく、時に怖い僕の最愛の人。 始めて会った時から僕はあの人にただ惹かれていた。 向こうではなんでも出来てしまった僕。 僕を変えたものの全てに……僕は感謝してます。 「○○、そっちはもう良いわ。こっちをお願い」 「はい。メイド長、じゃなくて……咲夜さん」 僕は今日もまた咲夜さんの手伝いをしていた。 この幻想郷に迷い込んできてはや1週間……なのかな? とりあえず色々あってここ、悪魔の住む屋敷、紅魔館に住み込むようになってからは1週間か。 最初は少し大変だったけど、いつものようにすぐに慣れた。 一通り屋敷のことは覚えたし、もうお茶も満足いくレベルのが淹れられる。 一応従者では合格点を貰えるくらいの実力なんだ。 咲夜さんには全く勝てないけど。 「今日は他にやることはありますか?」 「……いや今はないわね。でもそろそろお嬢様が起きてくるから、少し休んでて」 「そうですか……では少し失礼します」 咲夜さんとは一応同僚兼上司の関係。 とは言っても咲夜さんはメイド長で、僕は一介の従者。 本来物凄い立場の差があるはずなのに、僕は特別扱いを受けている。 それは全て……僕がレミリアお嬢様付きの従者だからなんだよね……。 「○○、今日も外には出ていないわよね?」 「はい。レミリアお嬢様の言う通り、今日も一歩も出てません」 僕は何故か森で発見され、ここ紅魔館に連れてきてもらってから、レミリアお嬢様の命令で一度も外に出てない。 レミリアお嬢様の命令なら逆らう理由はなんだけど……一応疑問には思ってるんだけど、聞けないし。 他にも屋敷が騒がしい時には図書館やパチュリー様に近づくなとか……良くわからない命令が多い。 だから僕はこの幻想郷の森と、紅魔館しか見たことない。 でもまぁ問題ないかな? 僕はただレミリアお嬢様のお側に居られればそれで……。 「レミリアお嬢様はお出掛け……少し暇だなぁ……」 実際レミリアお嬢様がいないと僕の仕事はないに等しい。 基本的な仕事をあんまりやると咲夜さんに怒られるし、図書館には轟音が鳴っていて近づけない。 だから今日は一日部屋でのんびり……してて良いのかなぁ。 「レミリアお嬢様……」 気付くと呟いてる我が最愛の人の名前。 あの日、幻想郷に迷い込んだ僕を救ってくれたレミリアお嬢様。 始めは確かに食料として確保してたみたいだけど……僕のあの言葉から突然変わった。 正直な所……僕がもう少し普通の感性を持っていたら……今ここにはいなかったんだろうな。 でも……僕はレミリアお嬢様との出会いを最高だと思ってる。 「人間。貴方は私に食われるの。覚悟は良い?」 そう言って木の幹に体を預けていた僕の前に一人の少女が立った。 対する僕と言えばきっとまねけな表情をしていたに違いない。 だって……始めて見たから……思わず声に出てた。 「……可愛い」 はっきり言って○○との出会いは最悪だった。 このレミリア・スカーレットに向かってあいつが放った第一声。 未だに耳に残って離れない。 この私に向かって、ただの人間に過ぎない○○が……あろうことか自分を食おうとしてる私を可愛い!? 正直、怒りを簡単に通り越して呆れがあった。 そして最後に出たのは興味。 私を全く恐れないこの人間……傍に置いたらどうなるか……興味があった。 だから館に軟禁状態にして咲夜に世話をさせてる。 どうやら○○は私のために働きたいらしく、従者にしてやったら妙に喜んでた。 ……別に喜ばしたかったわけじゃないけど……まぁ喜んでるならそれで良かった。 でも流石にそろそろ限界か……パチェや咲夜、小悪魔や美鈴だけに○○の存在はわかってる。 そう○○は外の人間。 霊夢やあのスキマにばれれば外に帰る話が出る。 もう○○は私の物。 誰にも渡すわけにはいかないのだ……。 「収穫はなし……か」 霊夢の所にわざわざ偵察に来てみたが、霊夢は相変わらず。 特にバレてるようでもないし、感づいてる様子もなし。 こういう偵察は咲夜に任せようかと思ってたけど……何故か自分で来てた。 どうも最近の私は変だ。 ○○のことになると、自分で確認しないと安心できない。 しかもこうやって早く帰って○○の顔を見ないと安心出来ない。 どうしたと言うのだろうか……この私が……。 だがこの時私はぬかっていた。 この運命を操る私なら気付くはずだったことを……私は気付いてなかったのだ。 「……困ったなぁ」 僕は心底困ってた。 僕はレミリアお嬢様から館から出ないよう命令を受けている。 でも……あの三人の見慣れない妖精の仕業で僕は今知らない森の中にいた。 紅魔館から出たことのない僕は正直な所外に出てしまえば右も左もわからない。 しかもただの人間である僕が飛べるはずもなく……完全に迷子になっていた。 「レミリアお嬢様に叱られるだろうな……命令も破っちゃったし」 僕は普通の人間だし、夜もだいぶ近づいてきた。 このままじゃ僕は妖怪に食われてしまうだろう。 でも……帰り道はわからない。 仕方なく僕は当ても無く歩くしかなかった。 「○○がいない!?」 「は、はいっ。見ても部屋に姿がなくて……今メイド達に探させています」 帰った私を待っていたのは、咲夜の○○不在の報告だった。 ○○が逃げ出すとは思えない。 だが実際○○の姿はない……私の落ち度だ。 「くっ!!」 「お嬢様!?」 私は咲夜の静止の声も聞かず再び外に飛び出した。 もう夜になる……ただの人間である○○は妖怪の餌でしかない。 そんなことはさせない。 ○○は私の物だ!私以外の奴に好き勝手にされてたまるもんか! 「はぁ……はぁ」 迷いに迷った僕は予想通り妖怪に追われていた。 しかも一匹どころじゃない。 走れば走るほどその数は増えていき、今はもうどんな数になってるか予想もつかない。 でも捕まるわけにはいかない……命が惜しいんじゃない。 でも僕の命を誰かに渡すわけにはいかないんだ! 「っ!!」 そんな僕に追い討ちをかけるかのように飛んでくる妖怪の弾幕。 だがあんなのはもう慣れた。 体が追いつくかはわからないけど、そんなの当たるはずがない! 「!!」 こんな人間に避けられているのが腹が立つのか、弾幕は更に激しさを増し、僕を打ち倒そうとしてくる。 でも弾幕をいくら厚くしてもパターンは一緒。 だから慣れている僕に当たるはずはなかった。 普通は当たらないはずだったのだ。 「が!?う……」 だが現実は違った。 僕の体の疲労は思ったより激しかったらしく、思ったような動きが出来なかった。 僕は弾幕を数発受け、地面に転がった。 あぁ……レミリアお嬢様から貰った執事服……汚しちゃったな……。 でも……執事服が汚れても逃げるのを止めるわけにはいかない……。 僕の命なんか惜しくない。 でも……この命はもはや僕一人の命ではない。 いやもう僕の命じゃないんだ。 僕の命はあの時救って頂いた、最愛の人……レミリアお嬢様の物なんだ! 「う……わぁぁぁぁぁ!!!」 僕は自分を奮い立たせるために叫び、また走り出した。 体なんかもうとっくに限界を超えてる。 妖怪の放った弾幕によって痛めた足や背中が酷く痛む。 それでも走らなきゃ……僕はレミリアお嬢様の所に帰らなきゃならないんだ……。 「う……うぐぅ……」 何度目か分からない転倒。 妖怪達は狩でも楽しむかのように僕が逃げるのを見ている。 でも好都合だ。 すぐに殺されないなら走れる。逃げれる。 でももう……僕の手足は言うことを聞いてくれなかった。 足が片方変な方向に曲がってる。 今かその前に転んだ時にやられたんだろう。もう感覚がなかった。 それに気付いた妖怪達はつまらなそうに僕に近寄ってくる。 あぁ……申し訳ありませんレミリアお嬢様……貴女に頂いたこの命……こんな妖怪達に散らされてしまって……。 「○○!!」 あぁ……レミリアお嬢様のお声だ……。 大丈夫ですよ……そんな泣きそうな声をしなくても。 僕は貴女様の物……どこにも……行ったりは……。 「……え?」 気付いた時には僕は知らない場所にいた。 白いベットに横たわる僕……そうか、ここは僕の世界の病院に似てるんだ。 紅魔館にこんな所あったかな? 「気付いたみたいね」 「貴女は……」 「私は八意永琳。驚いたわよ。血相を変えたこの子が、貴方を背負って永遠亭に飛び込んできた時は何かと思ったわ」 「この子……?あ、あれ?レミリア……お嬢様」 近くの椅子に座った不思議な女の人、永琳さんの言葉でベットの重みに気付くと、上半身を起こしてみて見ていた。 そしてそこにはレミリアお嬢様が寝ていた。 服は乱れ、酷く疲れていたように寝ている……なんでここにお嬢様が。 「そういえば……僕は妖怪に襲われて……まさかレミリアお嬢様が助けて」 「見た所そうね。大事にされてるみたいで良かったじゃない」 「それは……嬉しいですけど」 永琳さんはからかうような目線で僕を見てくる。 でもどうやらまたレミリアお嬢様に命を救ってもらったみたいだ。 この……なんとも可愛らしい、僕の最愛の人に。 「ん……○○?」 「あら、起こしちゃったみたいね。私は少し出てるからごゆっくり」 「レミリアお嬢様……」 永琳さんは出て行ってしまい、僕はレミリアお嬢様と二人きりで残される。 レミリアお嬢様はまだ起ききってないらしく、まだ目が空ろだ。 「レミリアお嬢様……申し訳ありません。命令を……破ってしまって」 僕はもう一度名前を呼んで謝る。 だがあまりレミリアお嬢様から反応は返ってこない。 「僕の最愛の方レミリアお嬢様、僕はどんな罰でも受けましょう……僕は!?」 そこまで言った所で不意にレミリアお嬢様が僕に抱きついてきた。 僕は何も言えずに固まってしまう。 「……○○……なんで勝手なことした……」 レミリアお嬢様の強がるような、似合わない口調。 泣きそうなのを堪えているのが、僕にはわかってしまった。 「申し訳……ありません」 「許さ……ない。でも……生きてて良かった」 レミリアお嬢様はそう言うと、体を震わせてそのまま何も言わなくなった。 泣いて……いるのだろう。 レミリアお嬢様は優しい、だから……僕のために泣いてくれているのだ。 そう思うと、僕は自然に言ってしまった。 「大好きです……レミリアお嬢様」 結果だけ言えば僕の無謀なプロポーズは簡単に断られた。 従者の身である僕がレミリア様の夫になるのはダメなのだ。 でも僕は今でもレミリア様の隣にいる。 いやむしろ……あれからと言うもの僕の外出禁止の命は解かれ、逆にレミリア様が外に出る時に必ず付き添うようになっていた。 そして必ず毎日レミリア様はこう言うのだ。 「良い?必ず私に相応しい男になりなさい。これが……貴方に与える永遠の命令よ」 はい……レミリアお嬢様。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ544 「貴方、自分に能力があるの理解してる?」 「え……?」 それはいつものように神社の宴会にレミリア様の付き添いで来てた時だった。 前に元の世界に帰る話しをした(勿論断った)、えっと……たしか八雲紫さんが不意にそんなことを言ってきた。 えっと能力ってあれだろうか?あのレミリア様で言う運命を操る程度の能力とか言う奴。 「僕に能力なんてありませんよ。普通の人間ですし」 僕の言葉に紫さんは微笑を返してきた。 「貴方は理解してないだけ。前の事件だって貴方は能力を生かして生き残ったの」 「僕が能力を生かして生き残った?」 事件とは僕とレミリア様の距離が縮まったあの時のことだろう。 あの時は妖怪達の攻撃を必死に避けてたけど……。 「貴方の能力は全てに順応する程度の力って言えばいいかしらね。直接的ではないにせよ強力な能力よ」 「全てに順応する程度の能力……」 紫さんの言葉自体に僕は物凄く思い当たる節があった。 僕こと○○は自慢ではないが物凄い物事の覚えが良い。 例えばの話し、というか実話なのだけど……。 僕が紅茶を始めて淹れた時……その出来は酷かった。 だけど、次に淹れた時はまぁ飲めるレベルの紅茶が淹れられるようになっていた。 そして三度目……その時には僕は味に厳しい人でない限り大丈夫な紅茶を淹れられるようになっているのだ。 流石にそれ以上は無理だが、それが順応する程度の能力だとしたら納得出来る……かもしれない。 「でも僕に能力なんてあるわけが……」 「ふ~ん……ならなんで元の世界に帰りたいことをすぐに言わなかったのかしら?」 「それは……」 その紫さんの言葉に僕は返す言葉がなかった。 確かにレミリア様のこともある……だがそれ以上に僕は帰りたくない理由があったのだ。 僕はその順応してしまうことを心底嫌がっていたのだから。 外の世界で僕は……。 「○○!」 「え、あ!レ、レミリア様……」 僕は完全にぼんやりしていたようで、レミリア様に呼び掛けられて気付いた。 従者としては完全な失態だ。後で咲夜さんに怒られるだろうなぁ。 「○○、何をボーとしてるの?私が少し目を離してる間に何か……」 「いえ何もありませんよレミリア様……心配かけてしまいすみません」 「し、心配なんてしてない!た、ただ主として従者のことを……」 ふふ、顔を赤くして必死に言い訳をしようとするレミリア様は相変わらず可愛らしい。 まぁそんなことを言ったら怒られるから言えないけど。 「……では、僕のことを考えて頂いてありがとうございます」 「……○○。お前わかってて言ってるだろう?」 そう言ってレミリア様はそっぽを向いてしまう。 正直たまにこうやってレミリア様はからかいたくなる。 だってからかうと物凄く可愛いのだ。 咲夜さんが見てない所でしか出来ないが、実は僕の楽しみの一つだったりする。 まぁでもレミリア様がお優しいから許して貰える楽しみなんだけど。 「僕はレミリア様に大切に思われて、幸せですよ」 「○○……もう良いからそろそろ帰るわよ。少し疲れたわ」 「はい。了解しましたレミリア様」 実はという所……僕はもう空くらいなら飛べる。 レミリア様にずっと付き添うモノとして空くらいは飛べないと不便と言うことで、なんとか飛べるようになったのだ。 次は弾幕、その後はスペルカードと順々に覚えていく予定だ。 「咲夜も帰るわよ」 「はいお嬢様」 僕に続いて咲夜さんもレミリア様の背後に続いた。 というか普通僕の方が立場が下だから一番後ろのはずじゃ……。 「あの……」 「あなたを後ろにしたら誰もあなたを見張れないでしょ?」 僕の質問の意図がわかっているらしく、用件を言う前に咲夜さんが答えてくれた。 どうやらまだ僕はレミリア様を心配させちゃってるみたいだな……。 早く強くなってレミリア様に心配をかけないようにしないと……そのためにはパチュリー様に授業を増やして貰って……。 「○○?」 それに美鈴さんにも体自体を鍛えるの手伝ってもらおうかな。 効率重視ばかりじゃ偏っちゃうから……。 「○○!」 「え、あ、はいレミリア様?」 「さっきから呼んでるのに答えないとは良い度胸してるじゃない?」 僕はどうやら前を飛んでいた(これはかなり珍しい)レミリア様を怒らせてしまったようだ。 割と本気な怒気が目の前に、かなり本気な殺気を背後から感じる。 「すみませんレミリア様……レミリア様のことを考えていたらぼんやりしていたようで」 「え!?」 途端顔を真っ赤にさせるレミリア様。 怒気は一気にしぼんでいき、代わりに赤みだけが残る。 「自分でも注意はしているのですが、どうもレミリア様のことを考えると集中してしまって」 「え……あう……」 「従者としてこれではダメですね……以後気をつけるようにします」 「わ、分かれば良いのよ……分かれば」 そう言うのがやっとと言う感じでレミリア様はそう言って、そのまま先に紅魔館の方へと加速していってしまった。 不意に背後からため息が聞こえる。 「あなたわざとやってるでしょ?」 「何がですか?」 「……本人に自覚がないのか、それとも狙ってるのかわからないって始末が悪いわよね」 咲夜さんはそう言うと付いて来いとばかりに僕の手を取って加速し出した。 咲夜さんが言わんとしてることは何となく分かる。 でも仕方ないじゃないですか……あぁ言う時のレミリア様は凄く可愛いんですから。 うpろだ564 「○○の様子がおかしい」 「はぁ……」 ここ数日で何度目かわからないお嬢様の発言。 これまたいつも通り○○のことだった。 どうやら相当悩んでるらしく、先ほどから紅茶に一口しか口をつけてない。 「私に隠れて何かやっているように見える」 「……そうでしょうか?」 あのお嬢様に絶対的な忠誠を持っている○○がお嬢様に隠し事? そんなの有り得るのかしら……。 「怪しいのはパチェ……何かパチェとやっているみたいなのよね……う~ん」 唸りながら考えるお嬢様。 その様子を見てると、もうパチュリー様には聞いてみたみたいね。 多分上手くはぐらかされたんだろうけど。 「咲夜。貴女も○○が何をやっているか探ってみて」 「……直接聞けばよろしいのでは?」 「それじゃあ命令になるからやりたくはない」 確かにお嬢様が聞けば○○は必ず答える。 でも……それがお嬢様の求めるやり方じゃないのなら仕方ないわね。 「ではどことなく探ってみます」 「えぇ……期待してるわ」 最後に小さくため息をつくお嬢様。 正直な所を言えば、お嬢様にこうやって心配をかける○○を許してはおけない。 でも……○○を殺すことも傷つけることも出来ない……それはお嬢様の望むことではないから。 「とは言っても困ったわね」 お嬢様にはああ言ったが、○○に私が直接聞くわけにはいかないのよね。 私だって○○の上司に当たる役職。 上下関係を大事にする○○なら命令として受け取って、答えてしまうかもしれないし。 パチュリー様が素直に答えてくれる筈ないし……他に知ってそうな人はいないかしら。 「あ、小悪魔」 そっかパチュリー様が知ってるなら小悪魔も知ってるかもしれない。 それに小悪魔ならもしかして軽く教えてくれるかも……。 「ねぇ小悪魔?」 「咲夜さんですか?なんでしょう」 私があんまり小悪魔に話しかけたことないから少し戸惑ってるみたいね。 そんなに私怖そうかしら……。 「○○のことについて何か知らない?」 「え、○○さんのことですか……」 今あからさまにまずいっ!って顔したわね。 「わ、私は何も知りません~パチュリー様に聞いてください!!」 「あ」 これ以上追求する前に逃げちゃった……。 これ……もしかして怖がられてるの? 地味に傷つくのだけど……。 「……?咲夜さん?」 僕が図書館に向かう途中の道で咲夜さんが呆然と廊下に立ち尽くしていた。 どうしたんだろ……何か落ち込んでるようにも見えるけど。 「あの……咲夜さん?」 「……○○。私って怖い?」 「え?……いえ別に怖くないですけど」 咲夜さんは後ろから見た時よりも落ち込んだ顔をしてた。 それにしても不思議な質問だな……咲夜さんが怖いはずないのに。 「どうかしたんですか?」 「……少しね。それよりも貴方に少し聞きたいことがあるんだけど?」 吹っ切れたように普段の表情に戻った咲夜さんは改めて僕の方に向き直った。 でもあからさまに後に引いてるような顔をしてるけど。 「貴方、お嬢様に何か隠し事をしてるわね?」 「……はい」 咲夜さんの質問の内容に僕ははいと答えるしかない。 だって咲夜さんに嘘をつくことは出来ない。 それが大変なことでも、聞かれた以上答えなきゃならないんだ。 「素直に答えたわね……じゃあそれはお嬢様に知られると困ること?」 「……はい。今は……まだ」 そう答えた僕の顔は少し苦笑いでもしてたかもしれない。 だって咲夜さんはメイド長。 使用人が主に隠し事をしてるなんて許してくれるはずはない。 レミリア様に報告もきっとするだろう。 「……それはお嬢様にとって良いこと?」 「それは……わかりません。僕の自己満足で終わるかもしれませんし、そうならないかもしれません」 僕の曖昧な答えに咲夜さんはあからまさにわかるくらい大きくため息をついた。 「……お嬢様が心配してるの。早くお嬢様を安心させてあげて」 「え……?咲夜さん報告するんじゃ……」 僕の質問に咲夜さんは少し子供染みた、それでいて少女のような笑みを浮かべて笑った。 こんな顔始めて見たかもしれない……。 いつもメイド長ってイメージしかないから……。 「数日だけ待ってあげる。その代わり必ずお嬢様を喜ばしてあげて」 それだけ言うと咲夜さんは僕の横を通り過ぎて去っていこうとしてしまう。 まずい、これだけは言ってから……。 「ありがとうございます咲夜さん!!それと……僕は咲夜さんのこと怖いんじゃなくて可愛いと思いますよ!」 ってあれ?僕が叫んだ瞬間咲夜さんの姿が消えた。 時間を止めてさっさと行っちゃったのかな……さっきの聞こえてると良いけど。 「え、え、えぇ!?い、今○○私を可愛いって……~~~~~」 「出来た……うん。これならきっと……」 仕事の合間を見て図書館でパチュリー様の修行を受けながら完成させてきたコレ。 コレがあればきっとレミリア様も喜んでくれる。 「……良くもまぁこれだけのを作ったわね。あなた人間にしとくには惜しいんじゃない?」 「そんな……コレ一つ作るのにこんなに苦労しましたから」 パチュリー様の褒め言葉がなんだかくすぐったい。 あんまりこのお方は人を褒めないからなぁ……。 「ありがとうございますパチュリー様。パチュリー様のお蔭で……」 「……私にお礼は良いからレミィに早く持っていてあげなさい。小悪魔、包装を」 「はい~」 ふふ、僕にお礼を言われてパチュリー様少しだけ赤くなってますね。 相変わらずこのお方はお礼を言われることに慣れてないんですから。 「それじゃあ行ってきます」 「報告、待ってるわ」 「頑張ってくださ~い」 パチュリー様と小悪魔さんに見送られ、図書館を後にする僕。 向かうはレミリア様の所。 これを早く渡さなきゃ……。 「や、やっと来たのね○○。お嬢様が中でご立腹よ」 お嬢様の部屋の前では咲夜さんが少しだけ顔を赤くして待っていた。 あれ……?なんで咲夜さん顔赤いんだろ? 「あの……どうかしたんですか?」 「い、良いから○○は部屋に行きなさい!」 無理矢理押し切る感じで咲夜さんに部屋に押し込まれてしまった。 どうしたんだろ……まぁそれよりも今はレミリア様!? 「……何しに来た」 似合わない威圧口調まで使われて……物凄い不機嫌なようですねレミリア様。 でも……そのお顔はお似合いになりませんよ? 「すみません……無礼を覚悟で失礼します」 「えっ……ちょ○○!?」 一気に歩み寄った僕に、レミリア様は焦ったように一歩下がる。 そうそう威圧口調より、そっちの方が可愛らしいですよ。 「これをお受け取りください。僕の……傑作です」 手を取りレミリア様の小さい手に箱を置く。 どうやらレミリア様は唖然として何も言えないようだ。 「お開け頂けると光栄です」 「…………」 レミリア様は無言で箱を開けていく。 あの中に入ってるアレ……喜んで頂ければ良いけど。 「これは……」 ○○に強引に渡された箱に入っていたのは、赤いとてもとても綺麗な宝石だった。 私が見る方向を変えるたびに赤い色が少しづつ変わる不思議な石……とても綺麗な魔法の石……。 「レミリア様にお世話になってから……何もお礼をしていなかったので」 そう言って○○は優しく笑った。 その笑顔は……さっきまであった不安や苛々を全部消してくれて……。 「本当はアクセサリーに加工しようと思ったんですが……時間とか足りなくて」 心の奥から何か暖かいものが込み上げてくるようだった。 この私が……人間からのプレゼントで感動してると言うの? ……バカらしいって言い切れれば……良かったんだけどね……。 「……このために最近?」 「はい。沢山の宝石を魔法で加工して一つにするためにパチュリー様に教えてもらいながら少しづつ……」 「……そう」 もう怒る気なんか完全に無くしてた。 ……お節介な執事め。 こんな嬉しいこと……簡単にするんじゃない……。 私は嬉しいことを意識すると急に恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。 ○○が嬉しそうに笑ってる所を見ると、私の顔は真っ赤なのだろう。 でも何か心地よい……そんな気分だった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ565 今日こそ何もない一日を望んでる……と思いたい。 正直な所、僕こと森近霖之助に平凡な日常など皆無である。 主に毎日のように現れる略奪者の仕業なんだが……。 まぁ長い生のほとんどは長い暇潰し……今日もその暇潰しを満喫させてもらうとするか。 「香霖!今日も来てやったぜっ!」 「……毎日来てるね。暇なのかい魔理沙?」 一番の略奪者である魔理沙はほぼ毎日ここ香霖堂に現れる。 でも同時に僕は魔理沙の持ってる品をほぼ騙し取ってるから何も言えないのだが。 「何言ってるんだ。私が来ないと香霖にいつの間にかキノコが生えるじゃないか」 そう言って魔理沙は許可もしていないのに勝手に上がって行く。 いつものことだから今頃何も言わないが……僕はそんなキノコが生えるような生活をしてるかい? 「はぁ……いい加減ツケを返して欲しいんだけどね」 「だからこうやって夕飯を作りに来てやってるだろ?」 「きみも「お邪魔するわよ」……今名前を出そうとした霊夢も夕飯をたかりに来ただけにしか思えないんだが?」 次に現れた霊夢。 ツケを払わない第二号で略奪者の一人。 まぁ基本はお茶とかだから被害自体はそんなに大きなものではないのだけど。 「魔理沙も来てたの?じゃあ私も食べてくわ」 「……何がじゃあなのか良く分からないんだが?」 勿論霊夢は僕の言葉なんて気にせず魔理沙の方に言ってしまう。 いつもそうなんだが、ここが僕の店であることが分かってるんだろうか? 「香霖~?塩はどこにいったんだ?」 「塩は奥の棚だよ。この前取られたからね移動させたんだ」 ってしまった。霊夢に取られないために移動させたのに意味がないじゃないか。 はぁ……これでまた僕の家から塩が消えていくか……。 「先に言っておくけど今日は少し商談があるからあんまりうるさくしないでくれよ?」 「「商談?」」 珍しい言葉を聞いたとばかりに魔理沙と霊夢が同時に顔をこっちに向けた。 「あぁ正直この商談が上手くいかないとしばらくかなり苦しいんだ」 「霖之助さんもそんな生活苦しいの……?」 そんな同志を見るような目で僕を見ないでくれ霊夢。 きみも苦しいのは分かっているが、同志みたいに見られると何か辛い。 「香霖に商談をするなんてどうかしてるぜ」 「魔理沙……何度も言ってるけどここは店なんだからな?」 「分かってるぜ?」 満面の笑みを浮かべながら魔理沙は相当失礼なことを言い、台所に戻っていく。 多分もう興味を失ったんだろう。 それで商談の相手って誰なの?」 どうやら霊夢はまだ興味があるみたいだな。 でもいい加減売り物のツボに座るのは止めてくれないか? 「あぁ多分そろそろ……」 とそんなことを言った途端ノックが来たな。 ここにノックをする人なんて本当に少ないからすぐに分かる。 「入ってくれて構わないよ」 そして扉が開き、そこには……。 「森近さん遅くなりましてすみません」 「いや問題ないよ。いらっしゃい」 今日の商談相手は始めての相手である○○だ。 どうやら外の世界の人間らしいけど……この妙に似合ってる執事服を見てると、妙に馴染んでいる。 「えっと……○○だっけ?レミリアの執事の」 「はい。霊夢……うん。敬意を払う必要はないって言われてますから、呼び捨てで良いですよね?」 どうやら霊夢は○○と初対面に近いみたいだ。 まぁそう言う僕もこの前始めて○○がここを訪れたのが始めて会った時だが。 「敬意を払う必要ないって……レミリアが言ったの?」 「いえレミリア様は何も。言ったのは咲夜さんです」 「咲夜の奴……まぁ良いけどね呼び捨てで」 「ご理解頂けて嬉しいですよ」 霊夢と話す○○の物腰は柔らかだがどこか人間味が薄い。 いつもこうなのかはわからないが、変わった人間であることには変わらないな。 「それでだ○○。今日の商談だが……見ての通り霊夢と魔理沙が来ていてね。二人がいてダメなら後日になるが……」 「あぁいえ構いませんよ。霊夢や魔理沙がいても僕にとって問題は特にありませんから」 僕の配慮に○○は薄っすらと笑って返してきた。 まぁ○○が良いのなら僕は別に構わないのだが……。 「○○、あなたレミリアの執事なのにお金あるの?」 「……霊夢。レミリア様はご自分の部下に何も与えないような貧困な心の持ち主ではありませんよ?」 霊夢の言葉に少し呆れたような表情の○○には先ほどより遥かに人間味がある。 どうやらレミリア関係になると感情が出てくるらしいね。 だがそれよりもだ。 「霊夢、商談をするから少し下がっててくれないか?○○との雑談になってしまう」 「あらそう。じゃ勝手に上がってお茶を飲んでるわ」 僕の言い分に珍しく簡単に乗ってくれ、霊夢は魔理沙のいる方に戻っていった。 これでやっと商談が出来る。 「とりあえず用意した椅子がある。お茶を持ってくるから座ってくれ」 「はい……失礼します」 僕が一旦お茶を持って戻ってくると、○○は座った体勢のまま動くことなく待っていた。 完璧なる従者を徹底してるってことか……。 いや実は執事になるために生まれてきたのか!? ……まぁ冗談は置いておくとして、少し徹底しているのは気になるな。 「さて商談に入ろうか。確か外から取れた貴金属……主に宝石に当たるものが欲しいんだったね?」 「はい。在庫の方はどうなってますか?」 「案外多く手に入れることが出来てね。値は少しあるが、それなりの量があるよ」 そう言いながら僕の出した袋をじっと見ている○○。 実際の年齢は良く知らないが、こう言った所を見るとまだまだ子供のような好奇心があるな。 そういう意味ではレミリアと良くお似合いなのか? 「えっと……宝石が出来るだけ欲しいんです。あんまり僕はお金を持ってない方ですけど……ってどうかしましたか?」 「い、いやなんでもないんだ……」 略奪者しかいないこの店に客が……お金をきちんと払おうとするお客がいるよ……。 おっと感動のあまり泣きそうになった。 「おーい香霖?商談まだ……って○○?」 「魔理沙、まだ商談は終わってないよ」 「香霖……?森近さんそれって……」 「あぁ僕のことだよ」 「へぇ……」 何故か○○は口の中で小さく何か呟いている。 何か……まさか何か良からぬことを考えているんじゃ!? ……まぁ魔理沙じゃあるまいし、そんなことあるわけないか。 「なんだ商談の相手は○○だったのか。香霖に商談をするなんて時間の無駄だぜ?」 「……ちょっと待ってくれ魔理沙。時間の無駄とはどういう意味だい?」 「そのまんまの意味だぜ」 「……仲が宜しいんですね」 いつものように魔理沙と話していると、○○が子供のような笑顔を見せて笑っていた。 僕が何かそんな面白いことをしただろうか。 「へ~○○の笑う顔って始めて見たかもしれないぜ」 「そうですか?僕はそれなりに笑ってるつもりですが……」 「そいつそんなに笑わないの?」 魔理沙の話しに○○も乗ってしまったか……。 霊夢も乱入してきたし、これはしばらく商談はお流れかな……まぁ良いさ。 ○○が随分と子供な顔をしてるからね。 「すみません。商談を忘れて話し込んでるなんて……」 「良いんだよ。物を買おうという意思すらない誰かさん達と比べればね」 僕の皮肉交じりの言葉にも魔理沙はどこ吹く風だし、霊夢はお茶をのんびりと飲んでる。 きみ達のことなんだけどね。 「いえでも宝石は買っていかないと……これで買えるだけの宝石をくれませんか?」 そう言って出した袋を僕は受け取っ……重!? 「こ、これはどれくらい……うわ!」 思わず僕は叫んでしまった。 物凄い量のお金がそこには入っていたのだ。 これだけあれば僕が出した宝石を全部買ってもお釣りが来るぞ!? 「一体どこでこんなに……」 「レミリア様からは一応お給料を貰ってますから……今までもらった全額ですけど?」 「全額!?それじゃ生活はどうするんだい?」 「食事は館で出ますし……別に欲しいものとかないんですよ僕」 はっきりと言い切った……。 これは実はアレか!?僕の店で買い物をしたことを口止めするための口止め料……って○○がそんなことする意味ないじゃないか。 「じゃじゃあその宝石は……」 「魔法の練習に使う分とあとは砕いて錬金してお嬢様にプレゼントしようかと」 「……正直脱帽だよ○○。きみは完璧なまでに執事なんだね」 呆れる……というかもう関心するしかなかった。 どうやら意思がないと言う心配も杞憂だったみたいだ。 「ではこれで……今日はありがとうございました。香霖さん」 「え……」 僕がまともな反応を返す前に○○は扉から急いで去っていってしまった。 今確かに香霖さんと呼んだような気がするけど……。 「香霖~終わったなら飯食おうぜ~」 「……あぁ今そっちに行こう」 まぁ……良いだろう。 今度○○が来た時にでも確認すれば良いさ。 そうして珍妙な客による多額の商談は終わった……。 結果は珍しく僕の黒字で終わるのだった。 珍しくは余計さ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ595 ○○は私の完全なる従者。 ○○は私のもの。 ○○は私を愛して……本当に○○は私の愛してる? ……この綺麗な宝石を私のために作った○○……でもそれはただの感謝の気持ち? わからない……私が、夜の王がここまで悩まさせられるなんて……。 でもダメ……○○が成長するまで待てると思ったけど……私はもう耐えられない。 ○○……○○……。 「う……」 私は悪夢の中に目を覚ました。 悪夢の内容は最悪な気持ちながら覚えてる……。 く……この私があんな……私はこんなに弱い奴だったか? 「……くそ」 私は立ち上がり窓に目を向けた。 夜空に浮かぶ月……どうやら私の夜らしいな……。 「咲夜」 「はいお嬢様」 「身支度を整えて。少し……いや大切な用事があるわ」 「?……かしこまりました」 私の態度に咲夜は少しだけ疑問を持ったみたいだけど……関係ない。 咲夜は完璧な従者……私の命令を完璧にこなしてくれる。 今夜が勝負……私はやるしかない。 必ずあいつを……私のものに。 「……今日はレミリア様にお会い出来なかったなぁ」 月の浮かぶ闇夜、結局僕は咲夜さんに押し切られ起きるのが遅いレミリア様を待たずに部屋に入れられてしまった。 なんでも咲夜さん曰く、僕が眠そうだと咲夜さんがレミリア様に怒られるらしい。 咲夜さんにはお世話になってるし、出来れば迷惑かけたくないけど……一日一回は会いたかったなぁ。 「……はぁ」 僕はレミリア様の望むような従者になれてるだろうか? いやまだ足りない……でも少しは追いつかないと……。 僕には寿命があるんだ……時を操れる咲夜さんや、魔女であるパチュリー様。 妖怪である美鈴さんに吸血鬼のレミリア様……みんな長い寿命を持ってる。 僕だけが死ぬ……でも死ぬ前に……レミリア様の望む人間に……。 「○○」 「……え?レミリア様?」 なんでだろう?レミリア様がなんで僕の部屋の窓の所に……。 それもそんな悲しいお顔をなされて……。 「○○……起きてたみたいね」 「……はいレミリア様。すみません主の起床に立ち会わず」 「そんなの別に良い……」 レミリア様……? 僕に迫ってくるレミリア様。 そのお顔はとても苦しそうで……僕は何も出来なかった。 そしてレミリア様は僕の顔の目の前まで来ていた。 「○○……あなたは私のもの。だから受け入れなさい」 「!?」 レミリア様……? なんでレミリア様は僕の首を……噛んで……。 あぁそっか……これは吸血鬼であるレミリア様が眷属を……。 「……○○」 私はきっと最低なことをしただろう。 ○○は私が何をしても抵抗しない……それがわかってて私はこんな真似をしたんだから。 一瞬驚いた顔をしていたけど、○○の顔は何故か穏やかだった。 なんで……あなたは血を吸われたのよ? 「……レミリア様」 「○○!?」 ○○の意識はすぐに戻ったらしく、急に私を抱きしめてきた。 その力は強く……でもとても安心出来るものだ。 「ありがとうございますレミリア様」 「あり……がとう?」 私は○○の言葉がしばらく理解できなかった。 私は無理矢理○○を眷属にしたのに……ありがとう? 「なんで……」 「僕は嬉しいんです……愛するレミリア様の眷属になれて」 「あ……」 ○○のその言葉で私の力はフッと抜けていった。 そっか……始めから何も心配する必要なんてなかったたんだ……。 ○○は始めから私を愛してた……そんなわかりきったことを疑う必要なんて……なかったんだ。 「……ごめん……なさい○○」 急に自分が恥ずかしくなった私は、恥も何もかも捨てて○○に謝った。 ちゃんと私を愛してくれていた○○に……。 「……謝る必要なんてありませんよレミリア様。それに……泣かないでください。僕が悲しくなりますよ」 ぎゅっと私が落ち着くように○○は私を抱きしめてくれる。 それがなんだか凄く嬉しくて……始めて私は他人の胸の中で涙を流して泣いた……。 「○○……良い?あなたは私のもの……それは間違いない」 「はいレミリア様」 泣き止んだレミリア様はまだ残る涙を拭きながらそんなことを言ってきた。 どうやら僕の体は凄く吸血鬼に馴染むみたいで……レミリア様に噛まれた傷は早くも再生を始めていた。 しかし吸血鬼になってもあんまり感覚は変わらないんだなぁ……。 「でも同時に……私は○○のもの。私を愛する限り……私をものに出来るのよ」 「そんな……僕がレミリア様をものにするなんて」 「……あなただけなんだから。私を泣かせたあなたが……私を唯一ものに出来る」 そう言ってレミリア様はもう一度僕に抱きついてきた。 僕は少し驚いていたけど……笑って抱きしめ返してあげた。 「……○○。私の眷属になったんだから……私に頼るだけではなく頼らせなさい」 「はい……レミリア様」 「私を愛して……一番。ずっと思いっきり」 どこか言い聞かせるようなレミリア様の言葉。 でもその全てが僕にとって嬉しくて……思わずこう口にしていた。 「もちろんです……ずっとあなたを愛しますよ……レミリア……」 ───────────────────────────────────────────────────────────
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僕はあの日、あのお方に出会った。 時に優しく、時に怖い僕の最愛の人。 始めて会った時から僕はあの人にただ惹かれていた。 向こうではなんでも出来てしまった僕。 僕を変えたものの全てに……僕は感謝してます。 「○○、そっちはもう良いわ。こっちをお願い」 「はい。メイド長、じゃなくて……咲夜さん」 僕は今日もまた咲夜さんの手伝いをしていた。 この幻想郷に迷い込んできてはや1週間……なのかな? とりあえず色々あってここ、悪魔の住む屋敷、紅魔館に住み込むようになってからは1週間か。 最初は少し大変だったけど、いつものようにすぐに慣れた。 一通り屋敷のことは覚えたし、もうお茶も満足いくレベルのが淹れられる。 一応従者では合格点を貰えるくらいの実力なんだ。 咲夜さんには全く勝てないけど。 「今日は他にやることはありますか?」 「……いや今はないわね。でもそろそろお嬢様が起きてくるから、少し休んでて」 「そうですか……では少し失礼します」 咲夜さんとは一応同僚兼上司の関係。 とは言っても咲夜さんはメイド長で、僕は一介の従者。 本来物凄い立場の差があるはずなのに、僕は特別扱いを受けている。 それは全て……僕がレミリアお嬢様付きの従者だからなんだよね……。 「○○、今日も外には出ていないわよね?」 「はい。レミリアお嬢様の言う通り、今日も一歩も出てません」 僕は何故か森で発見され、ここ紅魔館に連れてきてもらってから、レミリアお嬢様の命令で一度も外に出てない。 レミリアお嬢様の命令なら逆らう理由はなんだけど……一応疑問には思ってるんだけど、聞けないし。 他にも屋敷が騒がしい時には図書館やパチュリー様に近づくなとか……良くわからない命令が多い。 だから僕はこの幻想郷の森と、紅魔館しか見たことない。 でもまぁ問題ないかな? 僕はただレミリアお嬢様のお側に居られればそれで……。 「レミリアお嬢様はお出掛け……少し暇だなぁ……」 実際レミリアお嬢様がいないと僕の仕事はないに等しい。 基本的な仕事をあんまりやると咲夜さんに怒られるし、図書館には轟音が鳴っていて近づけない。 だから今日は一日部屋でのんびり……してて良いのかなぁ。 「レミリアお嬢様……」 気付くと呟いてる我が最愛の人の名前。 あの日、幻想郷に迷い込んだ僕を救ってくれたレミリアお嬢様。 始めは確かに食料として確保してたみたいだけど……僕のあの言葉から突然変わった。 正直な所……僕がもう少し普通の感性を持っていたら……今ここにはいなかったんだろうな。 でも……僕はレミリアお嬢様との出会いを最高だと思ってる。 「人間。貴方は私に食われるの。覚悟は良い?」 そう言って木の幹に体を預けていた僕の前に一人の少女が立った。 対する僕と言えばきっとまねけな表情をしていたに違いない。 だって……始めて見たから……思わず声に出てた。 「……可愛い」 はっきり言って○○との出会いは最悪だった。 このレミリア・スカーレットに向かってあいつが放った第一声。 未だに耳に残って離れない。 この私に向かって、ただの人間に過ぎない○○が……あろうことか自分を食おうとしてる私を可愛い!? 正直、怒りを簡単に通り越して呆れがあった。 そして最後に出たのは興味。 私を全く恐れないこの人間……傍に置いたらどうなるか……興味があった。 だから館に軟禁状態にして咲夜に世話をさせてる。 どうやら○○は私のために働きたいらしく、従者にしてやったら妙に喜んでた。 ……別に喜ばしたかったわけじゃないけど……まぁ喜んでるならそれで良かった。 でも流石にそろそろ限界か……パチェや咲夜、小悪魔や美鈴だけに○○の存在はわかってる。 そう○○は外の人間。 霊夢やあのスキマにばれれば外に帰る話が出る。 もう○○は私の物。 誰にも渡すわけにはいかないのだ……。 「収穫はなし……か」 霊夢の所にわざわざ偵察に来てみたが、霊夢は相変わらず。 特にバレてるようでもないし、感づいてる様子もなし。 こういう偵察は咲夜に任せようかと思ってたけど……何故か自分で来てた。 どうも最近の私は変だ。 ○○のことになると、自分で確認しないと安心できない。 しかもこうやって早く帰って○○の顔を見ないと安心出来ない。 どうしたと言うのだろうか……この私が……。 だがこの時私はぬかっていた。 この運命を操る私なら気付くはずだったことを……私は気付いてなかったのだ。 「……困ったなぁ」 僕は心底困ってた。 僕はレミリアお嬢様から館から出ないよう命令を受けている。 でも……あの三人の見慣れない妖精の仕業で僕は今知らない森の中にいた。 紅魔館から出たことのない僕は正直な所外に出てしまえば右も左もわからない。 しかもただの人間である僕が飛べるはずもなく……完全に迷子になっていた。 「レミリアお嬢様に叱られるだろうな……命令も破っちゃったし」 僕は普通の人間だし、夜もだいぶ近づいてきた。 このままじゃ僕は妖怪に食われてしまうだろう。 でも……帰り道はわからない。 仕方なく僕は当ても無く歩くしかなかった。 「○○がいない!?」 「は、はいっ。見ても部屋に姿がなくて……今メイド達に探させています」 帰った私を待っていたのは、咲夜の○○不在の報告だった。 ○○が逃げ出すとは思えない。 だが実際○○の姿はない……私の落ち度だ。 「くっ!!」 「お嬢様!?」 私は咲夜の静止の声も聞かず再び外に飛び出した。 もう夜になる……ただの人間である○○は妖怪の餌でしかない。 そんなことはさせない。 ○○は私の物だ!私以外の奴に好き勝手にされてたまるもんか! 「はぁ……はぁ」 迷いに迷った僕は予想通り妖怪に追われていた。 しかも一匹どころじゃない。 走れば走るほどその数は増えていき、今はもうどんな数になってるか予想もつかない。 でも捕まるわけにはいかない……命が惜しいんじゃない。 でも僕の命を誰かに渡すわけにはいかないんだ! 「っ!!」 そんな僕に追い討ちをかけるかのように飛んでくる妖怪の弾幕。 だがあんなのはもう慣れた。 体が追いつくかはわからないけど、そんなの当たるはずがない! 「!!」 こんな人間に避けられているのが腹が立つのか、弾幕は更に激しさを増し、僕を打ち倒そうとしてくる。 でも弾幕をいくら厚くしてもパターンは一緒。 だから慣れている僕に当たるはずはなかった。 普通は当たらないはずだったのだ。 「が!?う……」 だが現実は違った。 僕の体の疲労は思ったより激しかったらしく、思ったような動きが出来なかった。 僕は弾幕を数発受け、地面に転がった。 あぁ……レミリアお嬢様から貰った執事服……汚しちゃったな……。 でも……執事服が汚れても逃げるのを止めるわけにはいかない……。 僕の命なんか惜しくない。 でも……この命はもはや僕一人の命ではない。 いやもう僕の命じゃないんだ。 僕の命はあの時救って頂いた、最愛の人……レミリアお嬢様の物なんだ! 「う……わぁぁぁぁぁ!!!」 僕は自分を奮い立たせるために叫び、また走り出した。 体なんかもうとっくに限界を超えてる。 妖怪の放った弾幕によって痛めた足や背中が酷く痛む。 それでも走らなきゃ……僕はレミリアお嬢様の所に帰らなきゃならないんだ……。 「う……うぐぅ……」 何度目か分からない転倒。 妖怪達は狩でも楽しむかのように僕が逃げるのを見ている。 でも好都合だ。 すぐに殺されないなら走れる。逃げれる。 でももう……僕の手足は言うことを聞いてくれなかった。 足が片方変な方向に曲がってる。 今かその前に転んだ時にやられたんだろう。もう感覚がなかった。 それに気付いた妖怪達はつまらなそうに僕に近寄ってくる。 あぁ……申し訳ありませんレミリアお嬢様……貴女に頂いたこの命……こんな妖怪達に散らされてしまって……。 「○○!!」 あぁ……レミリアお嬢様のお声だ……。 大丈夫ですよ……そんな泣きそうな声をしなくても。 僕は貴女様の物……どこにも……行ったりは……。 「……え?」 気付いた時には僕は知らない場所にいた。 白いベットに横たわる僕……そうか、ここは僕の世界の病院に似てるんだ。 紅魔館にこんな所あったかな? 「気付いたみたいね」 「貴女は……」 「私は八意永琳。驚いたわよ。血相を変えたこの子が、貴方を背負って永遠亭に飛び込んできた時は何かと思ったわ」 「この子……?あ、あれ?レミリア……お嬢様」 近くの椅子に座った不思議な女の人、永琳さんの言葉でベットの重みに気付くと、上半身を起こしてみて見ていた。 そしてそこにはレミリアお嬢様が寝ていた。 服は乱れ、酷く疲れていたように寝ている……なんでここにお嬢様が。 「そういえば……僕は妖怪に襲われて……まさかレミリアお嬢様が助けて」 「見た所そうね。大事にされてるみたいで良かったじゃない」 「それは……嬉しいですけど」 永琳さんはからかうような目線で僕を見てくる。 でもどうやらまたレミリアお嬢様に命を救ってもらったみたいだ。 この……なんとも可愛らしい、僕の最愛の人に。 「ん……○○?」 「あら、起こしちゃったみたいね。私は少し出てるからごゆっくり」 「レミリアお嬢様……」 永琳さんは出て行ってしまい、僕はレミリアお嬢様と二人きりで残される。 レミリアお嬢様はまだ起ききってないらしく、まだ目が空ろだ。 「レミリアお嬢様……申し訳ありません。命令を……破ってしまって」 僕はもう一度名前を呼んで謝る。 だがあまりレミリアお嬢様から反応は返ってこない。 「僕の最愛の方レミリアお嬢様、僕はどんな罰でも受けましょう……僕は!?」 そこまで言った所で不意にレミリアお嬢様が僕に抱きついてきた。 僕は何も言えずに固まってしまう。 「……○○……なんで勝手なことした……」 レミリアお嬢様の強がるような、似合わない口調。 泣きそうなのを堪えているのが、僕にはわかってしまった。 「申し訳……ありません」 「許さ……ない。でも……生きてて良かった」 レミリアお嬢様はそう言うと、体を震わせてそのまま何も言わなくなった。 泣いて……いるのだろう。 レミリアお嬢様は優しい、だから……僕のために泣いてくれているのだ。 そう思うと、僕は自然に言ってしまった。 「大好きです……レミリアお嬢様」 結果だけ言えば僕の無謀なプロポーズは簡単に断られた。 従者の身である僕がレミリア様の夫になるのはダメなのだ。 でも僕は今でもレミリア様の隣にいる。 いやむしろ……あれからと言うもの僕の外出禁止の命は解かれ、逆にレミリア様が外に出る時に必ず付き添うようになっていた。 そして必ず毎日レミリア様はこう言うのだ。 「良い?必ず私に相応しい男になりなさい。これが……貴方に与える永遠の命令よ」 はい……レミリアお嬢様。 うpろだ537 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「貴方、自分に能力があるの理解してる?」 「え……?」 それはいつものように神社の宴会にレミリア様の付き添いで来てた時だった。 前に元の世界に帰る話しをした(勿論断った)、えっと……たしか八雲紫さんが不意にそんなことを言ってきた。 えっと能力ってあれだろうか?あのレミリア様で言う運命を操る程度の能力とか言う奴。 「僕に能力なんてありませんよ。普通の人間ですし」 僕の言葉に紫さんは微笑を返してきた。 「貴方は理解してないだけ。前の事件だって貴方は能力を生かして生き残ったの」 「僕が能力を生かして生き残った?」 事件とは僕とレミリア様の距離が縮まったあの時のことだろう。 あの時は妖怪達の攻撃を必死に避けてたけど……。 「貴方の能力は全てに順応する程度の力って言えばいいかしらね。直接的ではないにせよ強力な能力よ」 「全てに順応する程度の能力……」 紫さんの言葉自体に僕は物凄く思い当たる節があった。 僕こと○○は自慢ではないが物凄い物事の覚えが良い。 例えばの話し、というか実話なのだけど……。 僕が紅茶を始めて淹れた時……その出来は酷かった。 だけど、次に淹れた時はまぁ飲めるレベルの紅茶が淹れられるようになっていた。 そして三度目……その時には僕は味に厳しい人でない限り大丈夫な紅茶を淹れられるようになっているのだ。 流石にそれ以上は無理だが、それが順応する程度の能力だとしたら納得出来る……かもしれない。 「でも僕に能力なんてあるわけが……」 「ふ~ん……ならなんで元の世界に帰りたいことをすぐに言わなかったのかしら?」 「それは……」 その紫さんの言葉に僕は返す言葉がなかった。 確かにレミリア様のこともある……だがそれ以上に僕は帰りたくない理由があったのだ。 僕はその順応してしまうことを心底嫌がっていたのだから。 外の世界で僕は……。 「○○!」 「え、あ!レ、レミリア様……」 僕は完全にぼんやりしていたようで、レミリア様に呼び掛けられて気付いた。 従者としては完全な失態だ。後で咲夜さんに怒られるだろうなぁ。 「○○、何をボーとしてるの?私が少し目を離してる間に何か……」 「いえ何もありませんよレミリア様……心配かけてしまいすみません」 「し、心配なんてしてない!た、ただ主として従者のことを……」 ふふ、顔を赤くして必死に言い訳をしようとするレミリア様は相変わらず可愛らしい。 まぁそんなことを言ったら怒られるから言えないけど。 「……では、僕のことを考えて頂いてありがとうございます」 「……○○。お前わかってて言ってるだろう?」 そう言ってレミリア様はそっぽを向いてしまう。 正直たまにこうやってレミリア様はからかいたくなる。 だってからかうと物凄く可愛いのだ。 咲夜さんが見てない所でしか出来ないが、実は僕の楽しみの一つだったりする。 まぁでもレミリア様がお優しいから許して貰える楽しみなんだけど。 「僕はレミリア様に大切に思われて、幸せですよ」 「○○……もう良いからそろそろ帰るわよ。少し疲れたわ」 「はい。了解しましたレミリア様」 実はという所……僕はもう空くらいなら飛べる。 レミリア様にずっと付き添うモノとして空くらいは飛べないと不便と言うことで、なんとか飛べるようになったのだ。 次は弾幕、その後はスペルカードと順々に覚えていく予定だ。 「咲夜も帰るわよ」 「はいお嬢様」 僕に続いて咲夜さんもレミリア様の背後に続いた。 というか普通僕の方が立場が下だから一番後ろのはずじゃ……。 「あの……」 「あなたを後ろにしたら誰もあなたを見張れないでしょ?」 僕の質問の意図がわかっているらしく、用件を言う前に咲夜さんが答えてくれた。 どうやらまだ僕はレミリア様を心配させちゃってるみたいだな……。 早く強くなってレミリア様に心配をかけないようにしないと……そのためにはパチュリー様に授業を増やして貰って……。 「○○?」 それに美鈴さんにも体自体を鍛えるの手伝ってもらおうかな。 効率重視ばかりじゃ偏っちゃうから……。 「○○!」 「え、あ、はいレミリア様?」 「さっきから呼んでるのに答えないとは良い度胸してるじゃない?」 僕はどうやら前を飛んでいた(これはかなり珍しい)レミリア様を怒らせてしまったようだ。 割と本気な怒気が目の前に、かなり本気な殺気を背後から感じる。 「すみませんレミリア様……レミリア様のことを考えていたらぼんやりしていたようで」 「え!?」 途端顔を真っ赤にさせるレミリア様。 怒気は一気にしぼんでいき、代わりに赤みだけが残る。 「自分でも注意はしているのですが、どうもレミリア様のことを考えると集中してしまって」 「え……あう……」 「従者としてこれではダメですね……以後気をつけるようにします」 「わ、分かれば良いのよ……分かれば」 そう言うのがやっとと言う感じでレミリア様はそう言って、そのまま先に紅魔館の方へと加速していってしまった。 不意に背後からため息が聞こえる。 「あなたわざとやってるでしょ?」 「何がですか?」 「……本人に自覚がないのか、それとも狙ってるのかわからないって始末が悪いわよね」 咲夜さんはそう言うと付いて来いとばかりに僕の手を取って加速し出した。 咲夜さんが言わんとしてることは何となく分かる。 でも仕方ないじゃないですか……あぁ言う時のレミリア様は凄く可愛いんですから。 うpろだ544 「○○の様子がおかしい」 「はぁ……」 ここ数日で何度目かわからないお嬢様の発言。 これまたいつも通り○○のことだった。 どうやら相当悩んでるらしく、先ほどから紅茶に一口しか口をつけてない。 「私に隠れて何かやっているように見える」 「……そうでしょうか?」 あのお嬢様に絶対的な忠誠を持っている○○がお嬢様に隠し事? そんなの有り得るのかしら……。 「怪しいのはパチェ……何かパチェとやっているみたいなのよね……う~ん」 唸りながら考えるお嬢様。 その様子を見てると、もうパチュリー様には聞いてみたみたいね。 多分上手くはぐらかされたんだろうけど。 「咲夜。貴女も○○が何をやっているか探ってみて」 「……直接聞けばよろしいのでは?」 「それじゃあ命令になるからやりたくはない」 確かにお嬢様が聞けば○○は必ず答える。 でも……それがお嬢様の求めるやり方じゃないのなら仕方ないわね。 「ではどことなく探ってみます」 「えぇ……期待してるわ」 最後に小さくため息をつくお嬢様。 正直な所を言えば、お嬢様にこうやって心配をかける○○を許してはおけない。 でも……○○を殺すことも傷つけることも出来ない……それはお嬢様の望むことではないから。 「とは言っても困ったわね」 お嬢様にはああ言ったが、○○に私が直接聞くわけにはいかないのよね。 私だって○○の上司に当たる役職。 上下関係を大事にする○○なら命令として受け取って、答えてしまうかもしれないし。 パチュリー様が素直に答えてくれる筈ないし……他に知ってそうな人はいないかしら。 「あ、小悪魔」 そっかパチュリー様が知ってるなら小悪魔も知ってるかもしれない。 それに小悪魔ならもしかして軽く教えてくれるかも……。 「ねぇ小悪魔?」 「咲夜さんですか?なんでしょう」 私があんまり小悪魔に話しかけたことないから少し戸惑ってるみたいね。 そんなに私怖そうかしら……。 「○○のことについて何か知らない?」 「え、○○さんのことですか……」 今あからさまにまずいっ!って顔したわね。 「わ、私は何も知りません~パチュリー様に聞いてください!!」 「あ」 これ以上追求する前に逃げちゃった……。 これ……もしかして怖がられてるの? 地味に傷つくのだけど……。 「……?咲夜さん?」 僕が図書館に向かう途中の道で咲夜さんが呆然と廊下に立ち尽くしていた。 どうしたんだろ……何か落ち込んでるようにも見えるけど。 「あの……咲夜さん?」 「……○○。私って怖い?」 「え?……いえ別に怖くないですけど」 咲夜さんは後ろから見た時よりも落ち込んだ顔をしてた。 それにしても不思議な質問だな……咲夜さんが怖いはずないのに。 「どうかしたんですか?」 「……少しね。それよりも貴方に少し聞きたいことがあるんだけど?」 吹っ切れたように普段の表情に戻った咲夜さんは改めて僕の方に向き直った。 でもあからさまに後に引いてるような顔をしてるけど。 「貴方、お嬢様に何か隠し事をしてるわね?」 「……はい」 咲夜さんの質問の内容に僕ははいと答えるしかない。 だって咲夜さんに嘘をつくことは出来ない。 それが大変なことでも、聞かれた以上答えなきゃならないんだ。 「素直に答えたわね……じゃあそれはお嬢様に知られると困ること?」 「……はい。今は……まだ」 そう答えた僕の顔は少し苦笑いでもしてたかもしれない。 だって咲夜さんはメイド長。 使用人が主に隠し事をしてるなんて許してくれるはずはない。 レミリア様に報告もきっとするだろう。 「……それはお嬢様にとって良いこと?」 「それは……わかりません。僕の自己満足で終わるかもしれませんし、そうならないかもしれません」 僕の曖昧な答えに咲夜さんはあからまさにわかるくらい大きくため息をついた。 「……お嬢様が心配してるの。早くお嬢様を安心させてあげて」 「え……?咲夜さん報告するんじゃ……」 僕の質問に咲夜さんは少し子供染みた、それでいて少女のような笑みを浮かべて笑った。 こんな顔始めて見たかもしれない……。 いつもメイド長ってイメージしかないから……。 「数日だけ待ってあげる。その代わり必ずお嬢様を喜ばしてあげて」 それだけ言うと咲夜さんは僕の横を通り過ぎて去っていこうとしてしまう。 まずい、これだけは言ってから……。 「ありがとうございます咲夜さん!!それと……僕は咲夜さんのこと怖いんじゃなくて可愛いと思いますよ!」 ってあれ?僕が叫んだ瞬間咲夜さんの姿が消えた。 時間を止めてさっさと行っちゃったのかな……さっきの聞こえてると良いけど。 「え、え、えぇ!?い、今○○私を可愛いって……~~~~~」 「出来た……うん。これならきっと……」 仕事の合間を見て図書館でパチュリー様の修行を受けながら完成させてきたコレ。 コレがあればきっとレミリア様も喜んでくれる。 「……良くもまぁこれだけのを作ったわね。あなた人間にしとくには惜しいんじゃない?」 「そんな……コレ一つ作るのにこんなに苦労しましたから」 パチュリー様の褒め言葉がなんだかくすぐったい。 あんまりこのお方は人を褒めないからなぁ……。 「ありがとうございますパチュリー様。パチュリー様のお蔭で……」 「……私にお礼は良いからレミィに早く持っていてあげなさい。小悪魔、包装を」 「はい~」 ふふ、僕にお礼を言われてパチュリー様少しだけ赤くなってますね。 相変わらずこのお方はお礼を言われることに慣れてないんですから。 「それじゃあ行ってきます」 「報告、待ってるわ」 「頑張ってくださ~い」 パチュリー様と小悪魔さんに見送られ、図書館を後にする僕。 向かうはレミリア様の所。 これを早く渡さなきゃ……。 「や、やっと来たのね○○。お嬢様が中でご立腹よ」 お嬢様の部屋の前では咲夜さんが少しだけ顔を赤くして待っていた。 あれ……?なんで咲夜さん顔赤いんだろ? 「あの……どうかしたんですか?」 「い、良いから○○は部屋に行きなさい!」 無理矢理押し切る感じで咲夜さんに部屋に押し込まれてしまった。 どうしたんだろ……まぁそれよりも今はレミリア様!? 「……何しに来た」 似合わない威圧口調まで使われて……物凄い不機嫌なようですねレミリア様。 でも……そのお顔はお似合いになりませんよ? 「すみません……無礼を覚悟で失礼します」 「えっ……ちょ○○!?」 一気に歩み寄った僕に、レミリア様は焦ったように一歩下がる。 そうそう威圧口調より、そっちの方が可愛らしいですよ。 「これをお受け取りください。僕の……傑作です」 手を取りレミリア様の小さい手に箱を置く。 どうやらレミリア様は唖然として何も言えないようだ。 「お開け頂けると光栄です」 「…………」 レミリア様は無言で箱を開けていく。 あの中に入ってるアレ……喜んで頂ければ良いけど。 「これは……」 ○○に強引に渡された箱に入っていたのは、赤いとてもとても綺麗な宝石だった。 私が見る方向を変えるたびに赤い色が少しづつ変わる不思議な石……とても綺麗な魔法の石……。 「レミリア様にお世話になってから……何もお礼をしていなかったので」 そう言って○○は優しく笑った。 その笑顔は……さっきまであった不安や苛々を全部消してくれて……。 「本当はアクセサリーに加工しようと思ったんですが……時間とか足りなくて」 心の奥から何か暖かいものが込み上げてくるようだった。 この私が……人間からのプレゼントで感動してると言うの? ……バカらしいって言い切れれば……良かったんだけどね……。 「……このために最近?」 「はい。沢山の宝石を魔法で加工して一つにするためにパチュリー様に教えてもらいながら少しづつ……」 「……そう」 もう怒る気なんか完全に無くしてた。 ……お節介な執事め。 こんな嬉しいこと……簡単にするんじゃない……。 私は嬉しいことを意識すると急に恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。 ○○が嬉しそうに笑ってる所を見ると、私の顔は真っ赤なのだろう。 でも何か心地よい……そんな気分だった。 うpろだ564 ─────────────────────────────────────────────────────────── 今日こそ何もない一日を望んでる……と思いたい。 正直な所、僕こと森近霖之助に平凡な日常など皆無である。 主に毎日のように現れる略奪者の仕業なんだが……。 まぁ長い生のほとんどは長い暇潰し……今日もその暇潰しを満喫させてもらうとするか。 「香霖!今日も来てやったぜっ!」 「……毎日来てるね。暇なのかい魔理沙?」 一番の略奪者である魔理沙はほぼ毎日ここ香霖堂に現れる。 でも同時に僕は魔理沙の持ってる品をほぼ騙し取ってるから何も言えないのだが。 「何言ってるんだ。私が来ないと香霖にいつの間にかキノコが生えるじゃないか」 そう言って魔理沙は許可もしていないのに勝手に上がって行く。 いつものことだから今頃何も言わないが……僕はそんなキノコが生えるような生活をしてるかい? 「はぁ……いい加減ツケを返して欲しいんだけどね」 「だからこうやって夕飯を作りに来てやってるだろ?」 「きみも「お邪魔するわよ」……今名前を出そうとした霊夢も夕飯をたかりに来ただけにしか思えないんだが?」 次に現れた霊夢。 ツケを払わない第二号で略奪者の一人。 まぁ基本はお茶とかだから被害自体はそんなに大きなものではないのだけど。 「魔理沙も来てたの?じゃあ私も食べてくわ」 「……何がじゃあなのか良く分からないんだが?」 勿論霊夢は僕の言葉なんて気にせず魔理沙の方に言ってしまう。 いつもそうなんだが、ここが僕の店であることが分かってるんだろうか? 「香霖~?塩はどこにいったんだ?」 「塩は奥の棚だよ。この前取られたからね移動させたんだ」 ってしまった。霊夢に取られないために移動させたのに意味がないじゃないか。 はぁ……これでまた僕の家から塩が消えていくか……。 「先に言っておくけど今日は少し商談があるからあんまりうるさくしないでくれよ?」 「「商談?」」 珍しい言葉を聞いたとばかりに魔理沙と霊夢が同時に顔をこっちに向けた。 「あぁ正直この商談が上手くいかないとしばらくかなり苦しいんだ」 「霖乃助さんもそんな生活苦しいの……?」 そんな同志を見るような目で僕を見ないでくれ霊夢。 きみも苦しいのは分かっているが、同志みたいに見られると何か辛い。 「香霖に商談をするなんてどうかしてるぜ」 「魔理沙……何度も言ってるけどここは店なんだからな?」 「分かってるぜ?」 満面の笑みを浮かべながら魔理沙は相当失礼なことを言い、台所に戻っていく。 多分もう興味を失ったんだろう。 それで商談の相手って誰なの?」 どうやら霊夢はまだ興味があるみたいだな。 でもいい加減売り物のツボに座るのは止めてくれないか? 「あぁ多分そろそろ……」 とそんなことを言った途端ノックが来たな。 ここにノックをする人なんて本当に少ないからすぐに分かる。 「入ってくれて構わないよ」 そして扉が開き、そこには……。 「森近さん遅くなりましてすみません」 「いや問題ないよ。いらっしゃい」 今日の商談相手は始めての相手である○○だ。 どうやら外の世界の人間らしいけど……この妙に似合ってる執事服を見てると、妙に馴染んでいる。 「えっと……○○だっけ?レミリアの執事の」 「はい。霊夢……うん。敬意を払う必要はないって言われてますから、呼び捨てで良いですよね?」 どうやら霊夢は○○と初対面に近いみたいだ。 まぁそう言う僕もこの前始めて○○がここを訪れたのが始めて会った時だが。 「敬意を払う必要ないって……レミリアが言ったの?」 「いえレミリア様は何も。言ったのは咲夜さんです」 「咲夜の奴……まぁ良いけどね呼び捨てで」 「ご理解頂けて嬉しいですよ」 霊夢と話す○○の物腰は柔らかだがどこか人間味が薄い。 いつもこうなのかはわからないが、変わった人間であることには変わらないな。 「それでだ○○。今日の商談だが……見ての通り霊夢と魔理沙が来ていてね。二人がいてダメなら後日になるが……」 「あぁいえ構いませんよ。霊夢や魔理沙がいても僕にとって問題は特にありませんから」 僕の配慮に○○は薄っすらと笑って返してきた。 まぁ○○が良いのなら僕は別に構わないのだが……。 「○○、あなたレミリアの執事なのにお金あるの?」 「……霊夢。レミリア様はご自分の部下に何も与えないような貧困な心の持ち主ではありませんよ?」 霊夢の言葉に少し呆れたような表情の○○には先ほどより遥かに人間味がある。 どうやらレミリア関係になると感情が出てくるらしいね。 だがそれよりもだ。 「霊夢、商談をするから少し下がっててくれないか?○○との雑談になってしまう」 「あらそう。じゃ勝手に上がってお茶を飲んでるわ」 僕の言い分に珍しく簡単に乗ってくれ、霊夢は魔理沙のいる方に戻っていった。 これでやっと商談が出来る。 「とりあえず用意した椅子がある。お茶を持ってくるから座ってくれ」 「はい……失礼します」 僕が一旦お茶を持って戻ってくると、○○は座った体勢のまま動くことなく待っていた。 完璧なる従者を徹底してるってことか……。 いや実は執事になるために生まれてきたのか!? ……まぁ冗談は置いておくとして、少し徹底しているのは気になるな。 「さて商談に入ろうか。確か外から取れた貴金属……主に宝石に当たるものが欲しいんだったね?」 「はい。在庫の方はどうなってますか?」 「案外多く手に入れることが出来てね。値は少しあるが、それなりの量があるよ」 そう言いながら僕の出した袋をじっと見ている○○。 実際の年齢は良く知らないが、こう言った所を見るとまだまだ子供のような好奇心があるな。 そういう意味ではレミリアと良くお似合いなのか? 「えっと……宝石が出来るだけ欲しいんです。あんまり僕はお金を持ってない方ですけど……ってどうかしましたか?」 「い、いやなんでもないんだ……」 略奪者しかいないこの店に客が……お金をきちんと払おうとするお客がいるよ……。 おっと感動のあまり泣きそうになった。 「おーい香霖?商談まだ……って○○?」 「魔理沙、まだ商談は終わってないよ」 「香霖……?森近さんそれって……」 「あぁ僕のことだよ」 「へぇ……」 何故か○○は口の中で小さく何か呟いている。 何か……まさか何か良からぬことを考えているんじゃ!? ……まぁ魔理沙じゃあるまいし、そんなことあるわけないか。 「なんだ商談の相手は○○だったのか。香霖に商談をするなんて時間の無駄だぜ?」 「……ちょっと待ってくれ魔理沙。時間の無駄とはどういう意味だい?」 「そのまんまの意味だぜ」 「……仲が宜しいんですね」 いつものように魔理沙と話していると、○○が子供のような笑顔を見せて笑っていた。 僕が何かそんな面白いことをしただろうか。 「へ~○○の笑う顔って始めて見たかもしれないぜ」 「そうですか?僕はそれなりに笑ってるつもりですが……」 「そいつそんなに笑わないの?」 魔理沙の話しに○○も乗ってしまったか……。 霊夢も乱入してきたし、これはしばらく商談はお流れかな……まぁ良いさ。 ○○が随分と子供な顔をしてるからね。 「すみません。商談を忘れて話し込んでるなんて……」 「良いんだよ。物を買おうという意思すらない誰かさん達と比べればね」 僕の皮肉交じりの言葉にも魔理沙はどこ吹く風だし、霊夢はお茶をのんびりと飲んでる。 きみ達のことなんだけどね。 「いえでも宝石は買っていかないと……これで買えるだけの宝石をくれませんか?」 そう言って出した袋を僕は受け取っ……重!? 「こ、これはどれくらい……うわ!」 思わず僕は叫んでしまった。 物凄い量のお金がそこには入っていたのだ。 これだけあれば僕が出した宝石を全部買ってもお釣りが来るぞ!? 「一体どこでこんなに……」 「レミリア様からは一応お給料を貰ってますから……今までもらった全額ですけど?」 「全額!?それじゃ生活はどうするんだい?」 「食事は館で出ますし……別に欲しいものとかないんですよ僕」 はっきりと言い切った……。 これは実はアレか!?僕の店で買い物をしたことを口止めするための口止め料……って○○がそんなことする意味ないじゃないか。 「じゃじゃあその宝石は……」 「魔法の練習に使う分とあとは砕いて錬金してお嬢様にプレゼントしようかと」 「……正直脱帽だよ○○。きみは完璧なまでに執事なんだね」 呆れる……というかもう関心するしかなかった。 どうやら意思がないと言う心配も杞憂だったみたいだ。 「ではこれで……今日はありがとうございました。香霖さん」 「え……」 僕がまともな反応を返す前に○○は扉から急いで去っていってしまった。 今確かに香霖さんと呼んだような気がするけど……。 「香霖~終わったなら飯食おうぜ~」 「……あぁ今そっちに行こう」 まぁ……良いだろう。 今度○○が来た時にでも確認すれば良いさ。 そうして珍妙な客による多額の商談は終わった……。 結果は珍しく僕の黒字で終わるのだった。 珍しくは余計さ。 うpろだ565 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○は私の完全なる従者。 ○○は私のもの。 ○○は私を愛して……本当に○○は私の愛してる? ……この綺麗な宝石を私のために作った○○……でもそれはただの感謝の気持ち? わからない……私が、夜の王がここまで悩まさせられるなんて……。 でもダメ……○○が成長するまで待てると思ったけど……私はもう耐えられない。 ○○……○○……。 「う……」 私は悪夢の中に目を覚ました。 悪夢の内容は最悪な気持ちながら覚えてる……。 く……この私があんな……私はこんなに弱い奴だったか? 「……くそ」 私は立ち上がり窓に目を向けた。 夜空に浮かぶ月……どうやら私の夜らしいな……。 「咲夜」 「はいお嬢様」 「身支度を整えて。少し……いや大切な用事があるわ」 「?……かしこまりました」 私の態度に咲夜は少しだけ疑問を持ったみたいだけど……関係ない。 咲夜は完璧な従者……私の命令を完璧にこなしてくれる。 今夜が勝負……私はやるしかない。 必ずあいつを……私のものに。 「……今日はレミリア様にお会い出来なかったなぁ」 月の浮かぶ闇夜、結局僕は咲夜さんに押し切られ起きるのが遅いレミリア様を待たずに部屋に入れられてしまった。 なんでも咲夜さん曰く、僕が眠そうだと咲夜さんがレミリア様に怒られるらしい。 咲夜さんにはお世話になってるし、出来れば迷惑かけたくないけど……一日一回は会いたかったなぁ。 「……はぁ」 僕はレミリア様の望むような従者になれてるだろうか? いやまだ足りない……でも少しは追いつかないと……。 僕には寿命があるんだ……時を操れる咲夜さんや、魔女であるパチュリー様。 妖怪である美鈴さんに吸血鬼のレミリア様……みんな長い寿命を持ってる。 僕だけが死ぬ……でも死ぬ前に……レミリア様の望む人間に……。 「○○」 「……え?レミリア様?」 なんでだろう?レミリア様がなんで僕の部屋の窓の所に……。 それもそんな悲しいお顔をなされて……。 「○○……起きてたみたいね」 「……はいレミリア様。すみません主の起床に立ち会わず」 「そんなの別に良い……」 レミリア様……? 僕に迫ってくるレミリア様。 そのお顔はとても苦しそうで……僕は何も出来なかった。 そしてレミリア様は僕の顔の目の前まで来ていた。 「○○……あなたは私のもの。だから受け入れなさい」 「!?」 レミリア様……? なんでレミリア様は僕の首を……噛んで……。 あぁそっか……これは吸血鬼であるレミリア様が眷属を……。 「……○○」 私はきっと最低なことをしただろう。 ○○は私が何をしても抵抗しない……それがわかってて私はこんな真似をしたんだから。 一瞬驚いた顔をしていたけど、○○の顔は何故か穏やかだった。 なんで……あなたは血を吸われたのよ? 「……レミリア様」 「○○!?」 ○○の意識はすぐに戻ったらしく、急に私を抱きしめてきた。 その力は強く……でもとても安心出来るものだ。 「ありがとうございますレミリア様」 「あり……がとう?」 私は○○の言葉がしばらく理解できなかった。 私は無理矢理○○を眷属にしたのに……ありがとう? 「なんで……」 「僕は嬉しいんです……愛するレミリア様の眷属になれて」 「あ……」 ○○のその言葉で私の力はフッと抜けていった。 そっか……始めから何も心配する必要なんてなかったたんだ……。 ○○は始めから私を愛してた……そんなわかりきったことを疑う必要なんて……なかったんだ。 「……ごめん……なさい○○」 急に自分が恥ずかしくなった私は、恥も何もかも捨てて○○に謝った。 ちゃんと私を愛してくれていた○○に……。 「……謝る必要なんてありませんよレミリア様。それに……泣かないでください。僕が悲しくなりますよ」 ぎゅっと私が落ち着くように○○は私を抱きしめてくれる。 それがなんだか凄く嬉しくて……始めて私は他人の胸の中で涙を流して泣いた……。 「○○……良い?あなたは私のもの……それは間違いない」 「はいレミリア様」 泣き止んだレミリア様はまだ残る涙を拭きながらそんなことを言ってきた。 どうやら僕の体は凄く吸血鬼に馴染むみたいで……レミリア様に噛まれた傷は早くも再生を始めていた。 しかし吸血鬼になってもあんまり感覚は変わらないんだなぁ……。 「でも同時に……私は○○のもの。私を愛する限り……私をものに出来るのよ」 「そんな……僕がレミリア様をものにするなんて」 「……あなただけなんだから。私を泣かせたあなたが……私を唯一ものに出来る」 そう言ってレミリア様はもう一度僕に抱きついてきた。 僕は少し驚いていたけど……笑って抱きしめ返してあげた。 「……○○。私の眷属になったんだから……私に頼るだけではなく頼らせなさい」 「はい……レミリア様」 「私を愛して……一番。ずっと思いっきり」 どこか言い聞かせるようなレミリア様の言葉。 でもその全てが僕にとって嬉しくて……思わずこう口にしていた。 「もちろんです……ずっとあなたを愛しますよ……レミリア……」 うpろだ595 ─────────────────────────────────────────────────────────── あれ、レミリア様。お一人でお酒を飲むなどめずらしい 「ええ、咲夜は 952の相手をすると言って席を外しているわ。相変わらず素直じゃない子なんだから。」 そうなんですか、同僚として冥福を祈ってます。それでは私はこれで 「あら、どこに行くのかしら。あなたは私の酒の相手をするのよ。咲夜がいなくて物足りなかったし。」 え゙!私が酒にめっぽう弱いことはレミリア様もご存じでしょう。 「だからよ。あなた私の眷属のくせに酒に弱いんですもの、スキマの式や白玉楼の料理人を見習いなさい。私が馬鹿にされてしまうわ、それに…。」 それに? 「それに私だって愛しい人と長い時間晩酌したいとおもったっていいじゃない…。」 む、敬愛する主人にそこまで言わせて断るのは使用人の、もとい恋人の名折れだな。わかったよ、今宵は朝まで付き合うさ。 7スレ目 955 (952は咲夜4先頭にあります) ─────────────────────────────────────────────────────────── コンコン ○「はーい、どなたですか?」 レ「私だけど少しいいかしら?」 朝食を食べて一心地ついている所に俺の恋人であるレミリアが突然やってきた ○「レミリア?お前が朝から来るのって珍しいな、しかも咲夜さんは一緒じゃないのか?」 そう、彼女は闇の住人である吸血鬼、本来なら夜に活動し、朝は眠っている たまに昼間で歩く時もあるがそれでも朝起きていることはほとんどない レ「ちょっと咲夜には……他の皆には内緒の話がしたくて」 ○「ふーん、そういやなんか顔色悪いな、大丈夫か?」 レ「え、ええ、ありがとう心配してくれて」 ……なにか変だ、妙だ、おかしい、咲夜さんを連れず朝から家に来ることも十分変で妙でおかしいが レミリアが素直に感謝の言葉を言うなんて絶対なにかある 顔色が悪いことに何か関係しているのか? ○「なあレミリア、単刀直入に聞こう お前何か俺に隠し事してないか?」 レ「……隠して、ないわ」 ○「態度でばればれだ、まあ俺は頼りないし、弱いし、お前の支えになれてないし 畜生、自分で言って悲しくなってきた……」 レ「そんなことないわ、貴方がいてくれるだけで私は……」 そういうとレミリアは下を向いてしまった なにか変だと思ってたが今日のレミリアは妙にしおらしいのだ いつもだったらしっかりしろだろの言うのに今日はそれがない そんなレミリアの様子を見ながら俺はレミリアにもう一度何があったのか聞いてみた ○「なら、隠し事せずに喋ってくれるか?」 レ「その……子供が出来たみたい」 ○「……………why?」 レ「だから子供ができたのよ!当たり前だけど貴方の子供が!」 ○「そ、そうか子供か、だから顔色悪かったんだな で、他に知っている人いるのか?」 俺は努めて冷静に聞き返した、今俺まで混乱してはレミリアが不安がる レ「……永遠亭の薬師ぐらいしか知らないわ、今日吐いて もしかしてって思って何も言わず館を出てきたから ○「そうか……で勿論産むんだろ?」 レ「産んでも、いいの?私は吸血鬼なのよ」 ○「わざわざ聞くこうなことでもないだろう、だって俺はレミリアを愛しているんだからな」 レ「○○……ありがとう」 8スレ目 86 ─────────────────────────────────────────────────────────── すっかり日が暮れた川原に一人の男が座り込んでいた 先ほどからため息しか吐いてないところから見るに落ち込んでいるようだった 「はぁ・・・」 またため息を一つ 「知ってる?ため息を吐く度に幸せが逃げていくのよ?」 「!?」 そこには一人の少女が、いた 「お嬢ちゃん・・・じゃなね、同類かい?」 「私や妹以外の吸血鬼なんて久しぶりに見たわ」 「なり立てでね、ちょっと腐ってる部位もあるが気にせんでくれ」 男の身体からは僅かだが腐敗臭がすることから出来損ないである事が解かる 「何故そんなに落ち込んでいるのか・・・話してくれる?」 「えっと・・・好きな女がいたんだよ、でも吸血鬼だって知ったら逃げちまった、簡単に言うとこんな所」 「ふーん人間に恋したの?」 「ああ、俺だって最近まで人間だったんだ、人間に恋しても可笑しくはないだろ?」 自嘲気味に笑って見せるが少女はただ聞いている 「初めは殺そうと思ったわ、でも今は少し興味がわいた」 「ん?何の話だ?」 「私の館に来なさい、こき使っていや、面倒見てあげるわ」 少女は立ち上がって男に向って手を差し伸べた 「こき使うとか聞こえたんだけど気のせいかな?」 「来るのか来ないのか、此処で死ぬか、今決めなさい」 偉そうな少女は紅い眼を輝かせて選択肢のない選択肢をいいはなった 「・・・俺の名前は○○ってんだ、まぁ・・・よろしく」 偉そうな少女の手を握り返し立ち上がった、手は暖かかった 「私はレミリア、レミリア・スカーレットよ、レミリア様と呼びなさい」 ○○はこの先白黒や赤白やパッドやら引きこもりやらに大変な目に合わされるとは夢にも思わないのであった 8スレ目 162 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○「っつ・・・ここは、どこだ?」 ○「それになんで鎖が・・・」 ガチャッ レ「気分はどう?○○」 ○「レミリア? これはお前がやったのか?」 レ「ええ、そうよ」 ○「・・・なんのつもりだ?」 レ「貴方を私の物にする為によ さしずめその鎖は私からの婚約指輪といった所かしら」 ○「な!?ふざけんな!勝手にこんな事しといて何言ってやがる!」 レ「今更何を言ったって遅いわよ、だって○○はもう吸血鬼になってるもの」 ○「くっ!?」 チャリガシャガチャ レ「その鎖、銀で出来てるは いくら吸血鬼の力とはいえ新生(ノウルサリート)したばかりの○○じゃ絶対に千切れない」 ○「レミリアぁーー!!!」 レ「外はまだ○○と暮らすにはうるさいから50年もしたらちゃんと出してあげる それに毎日ここに来るから大丈夫よ」 ○「……………狂ってるぞ」 レ「○○が私を狂わせたのよ もう、暴れるから血が出てるじゃない、止血、しないと ん……ふぅ、ん…」 クチュペチャ レ「やっぱり○○の血はおいしいわね 貴方の血も魂も体も心も全部私のもの その代わり、私の全ても○○に捧げるわ」 ○「レミリア……」 レ「ふふふふふ、また来るわ○○」 ギィーガチャ 8スレ目 214 ─────────────────────────────────────────────────────────── ゴクゴク レミリア「んぁ……これで貴方は私のもの、髪も血も身体も魂すらも私のもの 誰にも渡さない、誰にも見せたくない、フランにも咲夜にもパチェにも美鈴にも この世界に住むもの全てに貴方を見せたくない、貴方を見ていいのは私だけ そう、私だけが貴方の全てを見れる」 8スレ目 320 ─────────────────────────────────────────────────────────── レ「今日は何の日か分かる?○○」 ○「何の日って、十三日の金曜日だろ?」 レ「そうよ、すなわち悪魔の日でもあるわ」 ○「何そのこじ付け、そもそも悪魔じゃなくキリスト教徒にとって忌むべき日じゃね?」 レ「吸血鬼である私にとってキリスト教徒は敵よ! つまり将来私の夫で吸血鬼になる○○にとっても敵ということになるわ!」 ○「ふーん…………はぁ!? お前今なんつった!?」 レ「だからキリスト教徒は敵」 ○「その後ろ!俺の耳が確かなら夫になって吸血鬼になるって聞こえたんだけど……」 レ「確かに言ったわ、それが何か?」 ○「いつの間に決めやがったコン畜生」 レ「そんなの最初からよ」 ○「……は?」 レ「○○に初めて会ったときに決めたのよ『ああ、この人間は私の夫になるわね』って 漠然とした感じだけどね」 ○「その…なんだ、『視』えたってことか?」 レ「違うわよ、単なる私の一目ぼれ それで?返答はどうなの?」 ○「へ、返答って?」 レ「私は告白したわよ、だからその返答が聞きたいわ まあどう答えようが○○の運命はもう私の手の中だけどね」 ○「なんじゃそりゃぁーーーーー!!??」 8スレ目 474 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ねぇ○○、私が貴方を本物にしてあげようか?」 いきなり呼ばれたかと思うと、いきなりわけワカメ 「本物・・・?」 「本物の吸血鬼にって事よ!なりたくないの!?」 ああ、そういうことですか、てっきり本物の男にしてくれるのかと 「・・・今はいいです、JOJOになって行こうと思います」 「せっかく役に立つと思って拾った眷族が!腐った死体で!再生も出来ない出来損ないだからこんな事を言ってるのよっ!!」 あー・・・言い返せないなぁ、腐敗はもうないけど、再生も出来ないし能力もそのままだし これじゃ日の光に弱い人間だもんなぁ、再生は出来ないけど接合治癒は出来るよ!? 「ははは・・・返す言葉もありません」 「・・・もういいわ、下がりなさい」 「はい、失礼しました」 ナイーブな俺は傷ついて家出しようと玄関を開けようと・・・灰になりかけて断念 「本物の吸血鬼か、面倒な」 「そんな貴方に!」 「うぉう!??パチュリー様!?」 「おっす!おらパチュリー!・・・ごほん、そんなに落ち込んでどうしたの?」 す、すべったーしかも自分でスルーですか 「え、ええかくかくしかじか」 「ふーん、レミィも酷いのね、こんな可愛い子を」 いきなり首筋をペロッと舐められた 「うひゃぁぁ!」 「うふふ、前に言ったでしょ?私の僕になりたかったらいつでも来なさいって」 これは・・・危険なかほりがする →逃げる 逃走 パチュリー様!もっと踏んでください!! 「失礼しましたっ!」 とりあえず逃げた 逃げた先、偶然か必然か、レミリア様の部屋の前だった しかも丁度レミリア様が出てきたし 「tgyふじこl;」 「何あわててるのよ、そんなに私が怖いかしら?」 しまった怒らせたorz 「まったく、私も貴方が憎くて説教してるわけじゃ無いのよ?貴方の事が大好きだからもっとよくなってもらおうと」 「だ、大すk!?そ、それはラヴですか!?ライクですか!?」 ドグォ!!痛恨の一撃、○○は心が砕けた、目の前が暗くなった 「そんな事・・・言わせないでよバカ」 頬を紅く染めて、ちょっと拗ね気味に・・・最高だ、可愛すぎるぜご主人さ、ま あーあ意識が戻ったらへんじをしなきゃー ○○が残った意識で考えたのは「結婚式は教会じゃできない」だったらしい 8スレ目 702 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「来ないで。」 レミリアが叫んだ。 「あなたが来てなんになるというの。」 冷徹な事実。僕はあまりにも弱い。 「敵は強大、勝ち目など無い。あなたは今すぐ逃げて。」 「君を置いて逃げられるものか。」 そう言ったとたん、レミリアの表情が険しくなる。 「何を勘違いしてるのかしら? 」 夜の王が持つ威圧はあらゆる物の畏怖を呼び起こす。 「まさか、愛してるなどというのではないでしょうね。もしそんな感情を抱いてるとすれば それはまやかしよ。」 「人と妖怪の違いなど僕は気にしない。」 「そんな事ではないわ。私は吸血鬼。たとえ死しても産土、貴方達の言う所の邪な土の元で 、吸血鬼となった時に定められた定常状態へと回帰するだけ。そもそも生き物じゃない。」 「それでも、回帰するのは定常状態へ、だ。」 必死で訴える。 「僕の愛する君は、君の記憶は、君が死ねば失われる。それは生きてるという事にはならないか。」 レミリアはうつむいている。 「二人で逃げよう。紅魔館は、落ちたんだ」 8スレ目 908 ───────────────────────────────────────────────────────────
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レミリア レミリアイベント シナリオ攻略幻想郷戦記・今昔幻想郷 永夜抄 イベント 4ターン目以降、紅魔館を占領している フランドールが仲間になる(幻想郷戦記・今昔幻想郷) パチュリーの敵撃破数が7以上 パチュリーの日符(日S土S光S)か月符(水S風S闇S)のどちらかを使える(幻想郷戦記・今昔幻想郷) 人里占領、レミリアが死亡していない 軍資金+100Ley(幻想郷戦記・今昔幻想郷) くるみが死亡、霧の泉を占領している、レミリアが死亡していない くるみが仲間に加わる(今昔幻想郷) レミリアが死亡する(1ターン後以降) フランドールがマスターを引き継ぐ(幻想郷戦記・今昔幻想郷)フランドールマスターとなり能力が強化される。さらに次のターンに人材としてレミリアが仲間に加わる。※注意! レミリアとフランドールが一緒に出撃している必要あり。レミリアしか居ない時に死亡すると普通にゲームオーバー。 妖怪の山が人里を占領 何故か占領した旨のアナウンスが流れる。(設定ミス?) シナリオ攻略 幻想郷戦記・今昔幻想郷 足の遅いパチュリーは前線に辿り着くことが稀なので、イベントではヒールレインLv2のある日符が良いかもしれない。 人材ユニットに恵まれているものの、戦争の要となる一般ユニットは弱点だらけに雇用環境が困難と不遇を極める。 序盤初期の動きは大雑把に2通りあり、紅魔館の領土を維持するか、放棄するかがある。 紅魔館を放棄する場合、魔法の森の中立地帯方面へ進出するのがいいだろう。この場合、初期配置のサーバントフライヤーを落とさずに何人吸血鬼へクラスチェンジできるかが最初のポイントになる。悪魔系の回復ユニットが欲しいなら、魔法の森奥地で見習い魔法使いを雇用して地道に育てよう。 紅魔館の領土を維持する場合、まずは霧の湖周辺を占領しよう。育成の中心が吸血鬼になるのは放棄した場合と同じだが、CPUのレベルが低い場合は紅魔館の雇用能力で精鋭メイド妖精を育てる手もある。メイド妖精系は種族が違うので戦略画面でも戦争中でも一切の操作ができないが、コストパフォーマンスの良さとCPU操作の分かりやすさ(メイド妖精系は魔法が使えないので、戦争開始直後から移動して敵ユニットを狙う)からとても使いやすいユニットだ。ノーマルメイド妖精や青妖精を盾役にしつつ、30体のうち10体くらい親衛メイド妖精にクラスチェンジしてくれればいいくらいでガンガン攻めよう。イベントで+100Leyされるので、人里の占領を早期に目指すのもいい。 中盤以降Leyに余裕ができたらインプでも雇って人材捜索をしよう。紅魔館最大の弱点はイベント後のパチュリーしか有用なヒールが使えないことにある。広範囲に対して有効な単体ヒールLv3(光A)か、全部隊を回復できるヒールレインLv2(光S)を使えるなら誰でもいいから欲しい。たとえ種族が違って操作ができなくてもCPUは必ずヒールを優先してくれるので、光A以上の人材ならまずは雇ってみよう。 永夜抄 レミリアのスペックに酔いしれろ。瀟洒なメイドの華麗なナイフ捌きを目に焼き付けろ。 問題点が3ッつ。1.レミリアが光・神聖に弱い。2.レミリアの攻撃が意外に軽い。3.咲夜のHP回復手段が無い。 1つ目は足を止める事無く動き回れば問題無い。毎ターン最大50HP回復があるので集中攻撃さえされなければ絶対に死なない。 2つ目はそれ単体ではあまり気にならないが、VS永遠亭の兎は仕留めそこなうと光魔法を連発されるのでそこが怖い。 3つ目、これが嫌な点。お嬢様に盾になってもらうしかないがそれにも限界が……。しかし主人を盾にするメイドって…… 霊夢、魔理沙に接敵するまえに少なくともお嬢様のランクはBまで上げて置く事。Sまで行けば人間系マスターはただの雑魚。神聖・光もどんなもんじゃい。 一方永遠亭は滅茶苦茶キツイ。レミリアの弱点である光魔法。食らうとうざい毒。おまけに兎どもはレミリアの一撃では死なず、そしてヒール3であっとういうまに回復。やってられるか!咲夜のHPをみて場合によっては3,4ターン掛ける必要あり。一般さえ駆除できればあとは作業。ただし咲夜は永琳には手を出さない事。万一石化するとお持ち帰りされるはめに……特技・魔法は問題無い。 妹紅は敵の数が少ないので運が悪くなければまず負けない。 幽々子はレミリア一人で戦闘し、一般を駆除し終えたら撤退。直に咲夜を出して通常攻撃で倒そう。神聖攻撃があるので幽々子のランクが上がりすぎてなければまず一撃。妖夢の神聖攻撃が案外痛いがろくに冥界組は回復手段が録に無いので難なく倒せるはず。 とにかくレミリアは動き回って敵を撹乱する事が大事。足を止めて戦うといかな超再生力とてもたない。
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レミリア5 7スレ目 837 「申し訳ありません、直ぐに片付けます」 甲高い音を立てて飛び散ったワイングラスの破片を、男は慌てて拾い集める。 男はまだこの紅魔館に勤めて間もない身。それに加えて、過労のためか少々熱がある。 「――何時になったら慣れるのかしら。貴方が犯した粗相の数、覚えている?」 「申し訳ありません、レミリアお嬢様」 彼が仕える主人、レミリア・スカーレットの冷たい声が男へと掛かる。 熱で頭がぼーっとしていたなど、この吸血鬼のお嬢様は聞き入れてくれないだろう。 周囲のメイドも気の毒そうに見ているが、これは彼が犯したミスだ。 「痛っ!」 挽回しようと慌てていたためか、男は迂闊にも指を破片で切ってしまう。 泣きっ面にはこの事だろうか。苦痛に顔を歪め、男は傷口を押さえる。どうにか止血しなければ、床を汚す事になりかねない。 「もういいわ。こっちに来なさい」 「はい。仰せの通りに」 それを見て呆れたのか、レミリアは呆れた様な表情で男を呼び寄せる。 男が近付くとレミリアは彼の手を取り、指先をそっと口に含んだ。 「――ん、少し熱っぽいみたいだけど、血の味は相変わらず悪くないわね。 それが貴方の生かされている理由でもあるのだから、体は大切にしなさい」 「分かっています。それだけが唯一の取り柄ですから」 男は自嘲する様に言うと、レミリアの唾液が付いた指をそっと反対の手で覆う。 血の味の良さは、メイドたちもよく知るところだ。飲まれる度に、こうして褒められているからだ。 もっとも、こうした場で褒められたのは、その事だけしかないのだが。 「自分を卑下するのは止めなさい。貴方はこのレミリア・スカーレットの従者なのよ。 自分を侮辱する事は、それは私を侮辱するのと同じ事。軽々しく口にして良い言葉ではないわ」 「申し訳ありませんでした、レミリアお嬢様」 眉を吊り上げたレミリアに、男は慌てて頭を下げる。 と、言うより下げないわけにはいかないだろう。周囲の目もあり、何よりご主人様の機嫌を損ねる。 「今日はもう下がっていいわよ。今の貴方が居ても邪魔にしかならないわ」 「はい。それでは失礼させていただきます」 溜息を吐きたいのをぐっと堪えながら、男は部屋を後にする。 せっかく気を遣ってもらったのだ。今日はゆっくり休む事にしよう。 ○○が目を覚ますと、空には月が浮かんでいた。 少し寝るだけのつもりだったのだが、何時の間にか熟睡してしまったようだ。 だが丁度良い頃合だろう。そろそろ、待ち人がやってくる頃だ。 そのために、彼の部屋の窓は何時も開いているのだから。 「体の調子はどう?」 「平気さ、少し休めば良くなる」 そうして窓からやってきたのは、この紅魔館の主、レミリアだ。 こんな夜中に一使用人の部屋行くのを見られないために、彼女は蝙蝠へと変身して窓からやってくる。 「全く、昼間と同一人物とは思えないほどの変わりぶりね。それだけ元気なら、見舞う必要はなかったかしら」 「勘弁してくれ、今はプライベートな時間だからいいだろう? お嬢様」 おどけた様に自分をお嬢様と呼ぶ○○に対し、レミリアは僅かながらに頬を膨らませる。 こう呼ばれるのを彼女は嫌がると○○は知っている。だからこそわざとそう呼んだのだが。 「プライベートの時はレミィでいいって言ってるでしょ。他に聞いてる者もいない事だし」 「カリスマを保つのも大変だな」 「ええ、大変よ。間違っても、他人が見ているところでこんな事はできないわ」 レミリアは寝ている○○の首へと腕を回し、微かに紅潮した顔を近付けると、その首筋に唇を付けた。 そしてゆっくりと、彼の味を確かめる様に舌を這わす。 その様子を微笑ましそうに眺めながら、○○はレミリアの髪を優しく撫でる。 「貴方が誰から見ても私の従者として相応しいかったら、こんな目には合わせなかったのに」 それは暗に、従者として相応しいのなら眷族としている事を言っているのだろう。 そうすれば些細な事で怪我をする事もなくなり、病気の心配もなくなる。 それに、二人の間の最大の障害である、寿命だって乗り越えられる。 少しだけ心配そうな表情を見せたレミリアに、○○は心臓を高鳴らせる。 だがそう簡単に行く事ではない。まだ紅魔館に来て間もなく、未熟な者を眷族とすれば不審に思う者も出るだろう。 できれば、それは避けたいのだ。 「努力はしてるさ。慣れない敬語みたいなの使ったり、結構大変なんだぞ」 「結果を出して欲しいわね。それも出来るだけ早くに」 「分かってる。まっ、来年までには何とか」 それに乗じて彼女の顔をこちらへ向かせ、○○は彼女の紅い唇を指でなぞる。 何時だったか遊びで決めたキスのサイン。了承ならばその指に口付けを、否定ならばその指に牙を突き立てる。 彼女は自分からは決して求めてこない。そのうえ○○が彼女の意図を汲み取り、キスを求めなければへそを曲げるという困ったさんだ。 だからこそ彼がこうして許しを請い、そっとサインを送る必要がある。 だが残念ながら、返ってきたのは彼女の甘噛み。○○は情けない顔で溜息を吐き、レミリアの顔色を伺う。 「半年よ。それ以上は待てないわ」 「随分と厳しいな。こっちは咲夜さんと違って普通の人間なんだぞ」 「これでも我慢してるんだから、早く誰もが認める良い男になりなさい」 執事など自分には向いてないと分かっているし、そもそも気配りなど○○には無縁な言葉。 もとがいい加減な人間のせいか、最近になって改めてメイド長の凄さを再確認しているところだ。 レミリアが真剣な顔をしていたので、○○の方もそれに合わせる。 何時もは昼間言った事を気にしているのか、それを取り返す様に甘えてくるのだが。 「今日はやけに積極的じゃないか。どうかしたのか?」 「……この前、貴方にフランが抱き付いたわ」 「なんだ嫉妬か。いや、結構嬉しいんだけどな、愛されてるって思えるし」 「違うわ」 「そこは否定しないで喜びに浸らせてくれよ」 説教ではない、嫉妬でもない。では何なんのか。 フランの名が上げられた時点で○○も薄々勘付いていたが、気付かない振りをして続きを促す。 レミリアの目が真剣なのは分かっていたし、その瞳が彼を心配そうに見ていたのにも気付いていたのだから。 「あの時、貴方は怪我をした。一歩間違えれば貴方は死んでたわ。人間は脆い、何時死んでしまうか分からない。だから、ね」 悲しげにレミリアが吐き出した言葉に、○○は息を呑む。 フランに抱き付かれた際に、そのまま勢い余って床に押し倒され、頭を強く打った事があった。 その他にも、骨折くらいなら日常茶飯事。そう考えると今生きているのは運が良かったからとしか言い様がない。 「……分かった、半年後な。約束する」 「ええ、期待してるわよ。さて、満足のできる返答をもらった事だし、私はもう行くわ」 「何もなしにか? せめてキスくらいは……どんな生殺しだよ」 何の力も才能も持たない彼が、吸血鬼たるレミリアと並んで立つ事は難しいだろう。何より、周囲が納得しない。 だから眷属とする事で寿命を高め、何れ誰もが納得する様な状況を作り出せばいい。 もっとも、今のままでは何年、いや、何十年先になるかは分かりはしないが。 だがレミリアの言っている事は理解できるし、二人が一緒になるには必要な事。 それくらいの苦労でレミリアと一緒に居られるのなら、○○は喜んでそれを背負うだろう。 情けない表情を浮かべる○○に、レミリアは優しく口付けをした。 彼女から○○へとしたのはそれが初めてだ。一瞬だけ目を大きく開いた後、○○は満足気に頷く。 そして二人は小指を絡め、約束を交わす。 わざわざ言葉に出す必要はないだろう。やるべき事は、分かっているのだから。 「続きは、半年後にね」 「……ああ。そうだな」 だが眷属にならない内にそこまで時間を掛ける事はできないので、専らの目標は執事として相応しい力を身に付ける事か。 満月を背後に微笑むレミリアの姿を目に焼き付けながら、○○は絡めていた指を離した。 そして彼女が窓際から飛び立つ事を確認すると、静かに瞼を閉じる。 どうやら、明日から忙しくなりそうだ。唇に残る感触を噛み締めながら、○○は眠りに落ちていった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目 638-639 ある日の文々。新聞 「紅魔館に異常事態 吸血鬼異変、紅霧異変に続く大事件!?」 紅魔館がおかしい そんな噂が幻想郷中を駆け巡った 事実、紅魔館の周囲から人間の気配が消えた 以前から悪魔の住む危険な場所と認識されてはいたが、人の行き来はあった それが今はない 人間たちにとってそこは理由は分からないが留まりたくはない場所になっていたのだ 内部の面々にも変化があった 妖精たちが消えた 門番がいない 悪魔の妹と七曜の魔女は失せた 残ったのは完全で瀟洒なメイドと悪魔と客が一人 人気の失せた館の中は寂れていった どれだけ手間をかけて掃除をしても、人のいない建物は廃れていく 紅魔館は今や、死に体となっていた 紅魔館の崩壊は幻想郷のパワーバランスの崩壊をも意味していた かつて紅い悪魔の持つ存在感は霧の湖周辺に生息する妖怪たちに多大な重圧をもたらしていた それがなくなった結果、湖は妖怪の跋扈する危険地帯に変わった その影響はまわりまわって里にまで及び、妖怪側の自主的な働き掛けがなければ 長らく保たれていた人と妖怪の力関係にまで重大な変化を与えかねない状況だった ひとまず危険は去ったが、この仕事に貢献した八雲紫、風見幽香両名はそもそもの原因である紅魔館には一切かかわろうとはしなかった そしてついに博麗の巫女が動きだす 今回の異変は今までのものとは違う そう判断した巫女は途中で白黒と合流してから館のほうへと向かった 相協力して進む彼女らを阻むものはいない 二人の頭の中は長らく紅魔館に滞在している男のことでいっぱいになっていた 易々と館に忍び込んだところを迎えたのは少しやつれた頬をしたメイドだった すわ敵襲かと身構えた二人を白けた顔で見つめた彼女はプイと背を向けついてくるよう言った 紅白と白黒は拍子抜けした表情で彼女を追った 背後からではメイドの顔に浮かんだ嘲笑が見えなかったのだ 長い廊下を抜け、一際大きな扉を開けた瞬間、ひどい悪臭が室内から吐き出された 血と肉の匂い そこで二人が目にしたものは淫らに交わりながら互いの血をすすり合う悪魔と人間の男の姿だった あまりの衝撃に思わず体を折り曲げて泣き出してしまう魔理沙の横で霊夢はひどく乾いた表情をして立っていた 彼女は部屋に踏み込むと同時に事の顛末をすべて把握してしまったのだ 自分の想い人がすでに遠くに行ってしまったという事実に何の感慨も持てずにいる霊夢は 何とはなしにあのメイドもこんな気分だったのだろうなとあたりをつけた と、同時に横で感情をあらわにして泣きじゃくる友人にほんの少し、ほんの少しだけ憎しみを覚えた ここはもう終わっている あいつが彼を毒牙にかけたその日から ここで新たな事件が起こる可能性は皆無だ 永久機関という単語が不意に脳裏に浮かび、霊夢は彼女にはひどく似合わない皮肉な笑みを浮かべた そして、いまだ泣きやまぬ友の肩を抱き去って行った その後、紅魔館を訪れた者はいない 誰もあえてそのことについて話そうとはしなかったのでいつの間にか忘れられ、気がつくとかつて館のあった場所は平らな土地になってしまった 人間たちの記憶からは永遠に失われてしまったのだ だが、何かの拍子に古参の妖怪が集まると、誰とはなしにそのことについて密やかに話し合われる それによれば、彼女と彼はいまでも一緒にいて、誰に邪魔されるということもなく二人きりの時間を謳歌しているのだとさ ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目 671 「私はお嬢様のお役に立ててますか? お嬢様のお傍にいる事が出来ますか? 私は・・・・・・私が貴女の記憶に残ることを許してもらえますか」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 初めてのチュウ レミリア攻編(うpろだ422) 「うわっ!」 青年よりも頭2つ分ほども背の低い幼い少女が、彼をベッドに押し倒した。 少女は青年の腹の上に馬乗りになり、妖しい笑みを浮かべながら青年を見下ろしている。 「それじゃあ、いただくわね」 「い、いやレミリア様ちょっと待っ――――」 青年の懇願などどこ吹く風と言わんばかりに、少女――――レミリアは青年の首に幼いながらも可愛らしい顔を近づける。 そのまま、はむっ と咥えるように青年の首筋に唇を当てた。 そして、青年の首の一部を、唇で食んだままチロチロと首筋に舌を這わせる。 僅かな掻痒感に青年は身をよじらせるが、レミリアはその細く陶器のように白い両腕を、青年の肩と頭にかけた。 未だ、僅かな抵抗の色を見せる青年を 逃がすものか、と抑えつけるために。 続いて、レミリアの鋭く尖った八重歯が青年の首筋に軽く立てられる。 「………ッ!」 青年が、身を竦める。 もう幾度となく、この状況を味わってきていたが未だに慣れることはできない。 本能的な恐怖にを感じ、身を僅かに震わせながら固く眼を閉じた。 レミリアの八重歯が徐々徐々に強く押し当てられてくる。 そして―――― 「……ぅ…ぁ……!」 青年は情けない声を上げて、その身体がビクッ、と痙攣する。 レミリアの八重歯に皮膚を突き破られたのだ。 そして、その下に流れる熱い命の液体を、彼女に吸われてゆく。 青年は呼吸をすることも忘れ、眼を見開き身体を小刻みに震わせた。 血液を略奪されるとともに、身体を覆う倦怠感が次第に次第に大きくなってゆく。 否、吸い取られているのは血だけでは無いのかもしれない。 まるで、魂までもを吸い取られていると思わせるような脱力感が青年を苛み、意識が緩やかに掠れてくる。 「ふぅ……」 レミリアが青年の首筋から、口を離してゆっくりと息をついた。 青年の首筋には小さく穿たれた2つの穴がある。 彼女の口元からはポタポタと紅い血の滴が滴り落ち、青年の胸元を紅い水玉模様が汚した。 「はぁ……は…ぁ……」 青年は、ようやく終わったのか、と胸をなでおろす。 だが、その予想はあまりにも甘過ぎるものであった。 再びレミリアが青年に覆いかぶさって来たのを目の当たりにし、青年は 僅かに血色の悪くなっている顔を更に青白く染める。 そして、再度 首筋から広がる脱力感と倦怠感。 しかも青年が感じているそれらは先程の比では無かった。 あたかも先程の食事は前菜だとでも言わんばかりに激しく求められ、奪われる。 どうにかなってしまいそうな恐怖から、青年は自身に覆いかぶさっている吸血鬼の肩に手を置き、その幼い肢体を押しのけようとする。 だが、その腕には力がまるで入らずに、彼女の身体を押しのけることはできなかった。 もっとも、彼の体調が万全であったとしても、この紅い吸血鬼を押しのけることなどできはしないのだが。 「邪魔ね」 首から口を離し、そっけなく呟くとレミリアは自分の肩に置かれた――――未だに足掻く疎ましい手首を――――己の腕で掴む。 そして、そのまま青年の両腕をベッドに押し付ける。 両腕を抑えつけられ、青年は少女に抵抗する術を無くした。 レミリアはふと、その幼いながらも愛らしい顔を青年の顔に近づけた。 青年の身体の匂いが呼吸とともに鼻をくすぐり、よりレミリアを興奮させる。 一方、青年は荒い息をつきながら、霞んだ眼でレミリアを見上げることしかできなかった。 その虚ろな眼には「もう、やめてくれ」という怯えと哀願が込められている。 しかし、その瞳に――――青年自身は気付いてはいないが――――どこか喜びと期待が込められていることをレミリアは見逃さない。 ああ、この表情こそが最高の料理を彩る最高のスパイスだ、とレミリアは背筋をゾクゾクと震わせながら笑みを浮かべた。 そして、青年の首元に 三度レミリアは顔を埋める。 青年は僅かに体を痙攣させるものの、もう声を上げることすらもできなかった。 ・ ・ ・ 「ふぅ……美味しかったわ」 青年にとっては永遠とも思える長い時間の後、ようやくレミリアが青年の首と手を解放する。 彼の手首には青い痣ができており、首筋には6つの穴が穿たれていた。 「は……ぁ……は…ぁ………」 ひどく満足そうに笑みを浮かべるレミリアとは裏腹に、青年は荒い息をついて酸素を貪ってゆく。 その顔色は青白く、典型的な貧血に陥ってしまっていた。 「さい…ですか」 呼吸を整えて辛うじて返事を返すものの、それが精一杯と言わんばかりに青年は眼を閉じる。 力なく返事を返し、弱々しい姿を露にする青年の姿を目の当たりにして、レミリアの心中に危険な情欲が湧きあがってゆく。 もっと血を吸うと言ったらこの青年はどんな表情を見せてくれるのだろうか、と。 泣き叫んで……けれども力なく許してくれと哀願してくるだろうか? それとも、力の籠らない腕で自分を押しのけようと無駄な足掻きを見せてくれるだろうか? 目の前の青年を――――もっと――――もっと――――苛めたい。 そんな衝動にレミリアは駆られていた。 (ただ、これ以上吸ったらさすがに危ないわね……) ならば、とレミリアは妖しい笑みを浮かべて―――― 「そうね、じゃあ最後に甘い甘いデザートを」 「――――ッ!?」 レミリアの意図通り、青年の掠れた目にこの上ない恐怖の色が浮かんだ。 彼女が青年の首のあたりに顔を近づけると、青年はビクッと身体を竦ませる。 そして、一切の余裕のない必死な表情を浮かべ、欠伸が出るような速度でレミリアに手を伸ばす。 「もう……やめ……」 青年はレミリアの肩に震える手をかけて、彼女を押し戻そうとする。 「あら、どうしてかしら?」 レミリアは、青年の哀願を嘲笑うかのような表情でその手を払いのけ、抑えつけた。 もちろん、レミリアには青年がの哀願の理由はわかっている。 知っている上で、敢えてからかうように尋ねているのだ。 「お願い…ですから……」 「ダメよ……覚悟なさい」 青年の瞳が絶望に見開かれる。 自由の利かない肢体を精いっぱい捩り、必死にレミリアから逃げようとする。 しかし、レミリアが青年の腹に馬乗りになっており、なおかつ両腕を抑えつけられていては、逃げることなど到底叶わない。 それでもなお、無駄な足掻きを繰り返しレミリアを引き離そうとする。 ゾクゾクゾクゾクッ……!! レミリアの全身を、彼女が耐えられないほどのゾクゾクした情欲が包む。 ああ、なんて愛らしいんだろう、なんて愛おしいんだろう。 この恐怖にひきつった顔。 力なく紡がれる声。 無駄な足掻きを見せてくれる脆弱な身体。 そして、これほどに虐げてもなお ――――本人は気付いてはいないが――――彼の胸の中に隠されている、私に対する愛情。 それらは全て愛おしいこの男のものだからこそ、ここまで私を狂わせ欲情させる。 やはりこの男は――――私の肉体的な食事としても精神的な食事としても――――最高の御馳走だ…… コップから水が溢れるように、レミリアは自身の欲望を抑えることができなくなってしまう。 それほどに、目の前の青年はレミリアの理性を狂わせてしまっていた。 「いただきます」 レミリアのその言葉が耳に届くとともに、青年は覚悟して目を閉じた。 自分が逃げられないことを確信し、諦めてしまったから。 しかし、いつまでたっても首筋に歯を立てられる感触がない。 かわりに唇に何か柔らかいものが当たる。 青年が目を見開くと、僅か2センチほどの距離にレミリアの瞳があり、目と目が合った。 「!?!?」 この時点になって、青年はようやく自分の唇が、レミリアに奪われていることに気づいた。 しかし、青年の身体は動かない。動かせない。 血は足りないし、腕は抑えつけられているし、体はレミリアにマウントポジションを取られている。 ここから逃げることなど、どう考えても不可能であろう。 そんな身動きの取れない青年の閉じられた唇を、暴虐の限りにレミリアは貪ってゆく。 まず、青年の上唇を軽く咥えて舌で舐めしゃぶり、それに飽きたら下唇も同様に蹂躙する。 閉じられた唇を優しくこじ開けて、レミリアは自らの舌を口腔内に侵入させてゆく。 青年の口の中に苦い鉄の味が広がったと思ったら、青年の舌はいつの間にかレミリアの口の中に引きずり出されていた。 レミリアの口の中で青年の舌はなすがままに蹂躙され、ねぶりまわされる。 そしてその度に、青年の肢体が僅かに痙攣していく。 先程まで青白かった青年の顔は、紅く上気しきっていた。 脳髄が蕩ける様な甘い快楽の蟻地獄に嵌り、抜け出すことができない。 見た目幼い少女に好きなように弄ばれて悦んでいる、という倒錯的な快楽に飲まれてしまっていた。 そうして、たっぷり10分も経った頃―――― 「あら?」 青年の舌が全く動かなくなったことに気づいたレミリアが、素っ頓狂な声を上げる。 血液が足りなかったことも原因の一つだとは思うが―――― それ以上に、青年はあまりの快楽と――――やはり本人は気付いてはいないが――――喜びのあまりに、意識を失ってしまっていた。 「ま、いいわ……」 レミリアは、やや残念そうな表情を浮かべため息をつくも、その声に負の感情はこめられていない。 青年の身体を少し浮かして腕を通し、青年の身体にしがみつく。 「……あなたは…私に血を吸われて……私に抱かれるためにいるの」 レミリアの声が甘えたようにゆっくりと紡がれてゆく。 腹が膨れたために眠くなったのだろうか、その紅い瞳は半分ほど瞼で覆われていた ――――抱き枕ですか、俺は…… 以前、今と同じように青年を抱いて眠ったときに、青年に苦笑されたことを思い出していた。 「おやすみなさい……最愛の抱き枕…」 レミリアはそう呟き、再びまどろみの中に意識を沈めていった。 『初めてのチュウ レミリア攻編』end ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ487 何もとりえの無い唯の普通の人間の俺が幻想郷に迷い込んでから2ヶ月が過ぎた。(曖昧だが) 迷い込んだ初日早々に化け物に襲われて死に掛けた俺だがそこに偶然通りかかったメイドさん(のちに名前が十六夜咲夜だと知る)が俺を助けてくれた。 それ以降恩返しになればと紅魔館と呼ばれる館で働かせてもらっている。 だが最近この仕事が辛い。 理由は簡単だ。この館の主である吸血鬼レミリア・スカーレット様を好きになってしまったからだ。 勿論新参者で力の無い唯の人間がお嬢様に釣り合うはずも無く、この気持ちはあきらめるしかないものだと理解している。 しかしお嬢様は俺のことを気に入ってくれたらしく、よく声をかけていただいている。 それが一番辛い。 もう俺は決断した。 今夜、咲夜さんとお嬢様にこのことをお伝えして潔くこの館を去ろう。たとえ無事でなかったとしても。 今晩は昼間にお嬢様に「深夜、私の寝室にくるように」と言付けられているので丁度いい。 そして深夜。 俺はドアの前で深呼吸をし、心を落ち着けてからノックをした。 「こんばんは、○○です。言いつけ通り参りました。」 「ようやく来たか。鍵は開いている、さっさと入れ。」 「失礼致します。」 初めて入るお嬢様の寝室は予想通りの豪華さとほんの少しの寂しさを感じさせた。 「して、お嬢様。今宵は何用で自分を此処へ?」 「お前に聞きたい事がある。」 「自分に、ですか?」 「ああ、そうだ。包み隠さず全て話せ。」 なにかいけないことをしてしまったのであろうか。 お嬢様はいつに無く不機嫌だ。 「お前、私に対して何か言うことは無いか?」 言うことは勿論ある。ならば未練の残らないうちに先ほどの話をしてここを去ろう。 「自分は・・」 言い終わる前にお嬢様が割り込んでくる。 「お前は私に対して特別な感情を抱いているのだろう?」 正直、驚いたが何とか表情に出さずに済んだ。 「正直に答えろ。何故それを隠す?」 「自分は臆病者です。失うのを恐れ、本当に欲しいものに手が出せない。それに貴方は美しく、気高い。 そんな自分では手が届かないような遥か遠くの存在を求められるほど自分は強くありません。 それに、失う怖さも知っているつもりです。もし、貴方に告白し、受け入れてもらえなければ 本当に辛い。その様な思いをするくらいなら伝えないほうが良いに決まって・・」 「ほう、それは私には失うものよりも価値がないと遠まわしに言っているのか?」 「そういうわけでは・・」 「それにお前は臆病者ではない。事実、吸血鬼の館に自ら志願して働く人間などそうは居るまい。」 「それは咲夜様の恩に報いるためです。」 「では咲夜の主、紅魔館の主として、吸血鬼レミリア・スカーレットとして命ずる。私のものになれ。」 「は・・・?」 今なんと言ったか聞き取れなかった。そして返事ができないうちにものすごい力でベットに押し倒された。 「お前があくまで隠し続けるというのなら、私がおまえ自身を奪ってやる。」 「ですが・・・私は唯の人間・・・お嬢様とは到底・・・」 お嬢様は久しく見せなかった笑顔を見せた。 「ならお前を同族にしてやろう。これでお前は臆病者でも唯の人間でもない。私の・・・」 そこで急に顔を赤くして 「私の・・・生涯の伴侶となる。」 そういい終わるのと同時に首筋に甘い痺れが起こり、俺は意識を手放した。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 10スレ目 490 「あ」 「・・・」 「やぁ咲夜君、こんばんわ」 夜中、巡廻していた妖精メイドからの報告を受けた 「窓から侵入した不審者がいる」と 来て見れば本当に・・・この上なく不審者だ 夜の闇にまぎれる如く、上下を黒の服に身を包んでいる 何より片手に持った私の身の丈ほどの日本刀、斬馬刀とか言うやつか 「・・・不審者、いや変質者」 「おいおい、これほどの美男子を捕まえてそれはないだろう」 「・・・館の外部は美鈴が見張ってたはずだけど?」 「美鈴?・・・ああ、あの中国拳法の妖怪ちゃんか」 「っ!まさか」 「安心しナサイな、死んじゃいないさ」 鬼のような形相で此方を睨むメイド、そして瞬間 「貴様ぁぁぁ!!」 数十のナイフが、俺にめがけて投擲された 「ああ・・・温いな」 「こんばんわ、俺の愛しい吸血鬼」 「っ!?あなた・・・○○?」 紅魔館への名も亡き侵入者 すぐに捕らえられると思われたソレは門番を倒し、メイドを倒し 館の、主の下へ・・・たどり着いた 「久しいわね、何年ぶりかしら」 「ちょうど百年・・・百年前の夜這いの続きをね」 「まさか・・・本当に・・・」 「百年前は殺されかけたからね、やっと君に相応しい男になったつもりだよ」 「相応しい?百年も待たせておいて何を」 「おいおい、せっかくいい雰囲気になったのに恥ずかしさあまり照れ隠しで体半分吹っ飛ばされたコッチの身にもなれよ」 そう、丁度百年前・・・俺はこいつのせいで体の左斜め下半分を失ったのだ、まぁ長くなるのでこの話は割愛 「だいぶ面子も変わったみたいじゃないか・・・フランやパチュリーは?」 「あなたが知ってる面子は私とフランとパチュリーぐらいしかいないわ」 「問題無い、君さえいれば、な?」 「ば、ばかっ!」 レミリアは顔を赤くして背を向けてしまう、百年経とうと変わりない あの頃から幼いままの 「なぁ、俺の気持ちは変わっていない・・・お前は?」 「百年ぽっちで変わるような気持ちで・・・貴方を寝室に招いたりはしない」 「・・・コンティニューだな、俺は何処からやり直せばいい?ここに入ったときか?口付けを交わしたときか?それとも君のドレスを乱暴に脱がせて幼い身体を(ry」 あの日の事を思い出したのだろうか、普段偉そうになんでも知ってますよーって面のレミリアが、林檎のようになって俯い・・・否、睨んでいる 「まぁまぁ落ち着け、俺としては・・・えい」 俺はレミリアを突き飛ばした 「きゃっ!?」 ぼすっと軽い音を立ててベットに倒れこんだ 俺はそのまま上から覆いかぶさって、少々強引に、唇を重ねた 「んっ、ちゅ、ふぁ、んーぷぁっ」 俺はレミリアの手首をつかんでベットに固定した 「・・・えっ?嘘」 この私が、吸血鬼である私が 妖怪化吸血鬼かもわからないこの男に、力で負けている? 何か術が?いや、単にびくともしないだけ・・・そんな事があるのだろうか 「驚いた?」 そこに種族の優劣など無いかの様に、私を押さえつける 見かけどおりの子供のように、彼に拘束される 「これでもう壊す心配はないよ、だから・・・力強く抱きしめてもいいんだ」 「○○・・・アナタ馬鹿ね、本当に・・・馬鹿だわ」 「耐久性ばっちり、水陸両用、防腐加工!守られてばっかりも癪だしな」 「ふふ、私を守ってくれるのかしら?」 「えー・・・いや・・・あと百年ぐらい時間をいただければなんとか」 彼女は楽しそうに笑う、百年前の焼き増しのように うっかり握ったままだった手首を離した 結構気合入れて握っていたのであざになっていないか、そう思ったがそこはTHE吸血鬼、なんともないぜ 「あのー・・・レミリア?」 「なあに?」 ベットにはさっきと同じような体制で倒れこんでいるんだが・・・ 「そんなにくっ付いてちゃナニも出来ないんだけど・・・」 「いいの!今夜はずっとこうしてて・・・お願い」 「そう言われちゃ・・・しょうがないな、それで・・・その・・・またお預けですか?」 「あ、明日まで我慢してよ!あなたがここにいて、抱きしめられる事を・・・もっと感じさせて」 そこまで言われちゃそうするほかないだろう 俺はレミリアをギュッと抱きしめた、彼女もそれに応えてくれる 百年越しの恋は成就した、お互いに、最良で最高のパートナーとして その夜紅魔館には甘ったるい空気が流れていたと言う 咲夜と美鈴は妖精メイドがしっかり回収しました ───────────────────────────────────────────────────────────