約 2,891,995 件
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/447.html
大寒波戦役終結から2年。 共同統治領ができたマルダル諸島は他の地域よりも急速に復興が進んでいた。 とはいえ、氷河の残した爪痕は戦争のそれよりも大きく、至る所でインフラ整備の工事が昼夜問わず行われている。氷河の持ってきた大小の岩石や倒木が街角に転がっているような状況だ。 そんな氷河の落とし物も民間人にとっては貴重な建材である。路肩には大小のバラック飲食店が建ち並び、土方や治安維持のために駐留する両軍兵士の腹を満たしていた。 この物語はそんな飲食店街の一角、諸島で新しく流行(はやり)始めた料理「ふぉうこのみやき」の店で始まる。 ***** 「おやじ、まだやってるか?」 威勢良く暖簾をくぐってきたのはフォウ王国の兵士だ。歳は30くらいだろうか、着たきり雀でくたびれた冬服と霜焼けで染みだらけになった顔という典型的な王国の駐留兵だ。 「先輩、待ってくださいよぉぉぉ!!」 素っ頓狂な声を上げて遅れて入ってきたこちらもまた王国の兵士だ。年はまだ若く、肌には張りがある。大寒波戦役が初の任務だったであろう彼はいい先輩に恵まれたようだ。 「へい、いらっしゃい。今日はお客さん達だけだ。好きなところに座ってくんな。」 カウンターと一体となっているよく磨かれた鉄板の向こう、禿げ掛かった白髪頭の大将がにやりと笑いかけて、刃も見えぬ見事な包丁さばきで、たちまちお通しを出してくれた。 「今日は生きのいいマルダル八(ヤ)腕(ウデ)が入ったんで紅藻、芽ワカムと一緒に酢柑(スカン)の果汁とケシロツブで和えてみたんでぇ。若い方には難しい味かも知んねえが…まぁ、諸島名物だと思って喰ってくんな。」 「おやじ、俺にはそいつにイヨチク酒もつけてくれ。一番辛いやつだ。」 「はいよ。最初っから飛ばすねぇ。燗は…、つけなくていいんだったな。」 横ではガキ扱いされて少しむっとした後輩が海藻だけをくちにいれて涙目になっていた。先輩はゲラゲラと笑いこける。 「バカだなぁお前。こういうのは通の食い方ってものをちゃんと見ておくんだぜ。いいか?こう喰うんだ。」 大将がさっと後輩の前にコップを置いた。 「おめぇさんはこっちの方が口に合うだろ。イヨチク酒の甘口、燗をつけてあるから気ぃつけろよ。」 その横で先輩はこの王国になじみのない料理の食べ方を雄弁に語る。 「まず、香りと見た目を楽しむ。酢柑の爽やかな香りが広がったらすかさず一口いく。大事なのはヤウデと海藻を一緒に喰うことだ。舌の上にヤウデの味が残ってる内にイヨチク酒でキューッと一杯キメる。これを繰り返してるだけで小鉢はあっという間に空っぽって寸法よ。」 「こいつがそうやってるだけよ。まあ、あながち間違っちゃぁいねぇが、決まりなんてねぇ。自分の喰いやすいように喰えばいいのよ。」 そう言うと大将は再び後輩の前に何かを置いた。小瓶にはいったそれは、紫色をした液体だった。 「豆を使った諸島の伝統調味料さ。酸味を和らげられる。」 先輩はひょいとつかむと小鉢にちょびちょびと垂らす。独特の香りが鼻孔をくすぐる。 「あーーーー、うめぇ。」 これ見よがしにのけぞる。それにしても本当にうまそうにくうものだ。 「…ッ、いただきます!」 後輩も目をつむりながら一気に頬張り、燗つきのイヨチク酒で流し込む。ふっと鼻を抜ける爽やかさ。先ほどの刺激なんて嘘のよう。今度は諸島の調味料をつけてみる。うまい。ほどよい塩分とうまみが酸味を和らげ、ヤウデと海藻によく絡む。ヤウデのプリプリ、海藻のコリコリ、ケシロツブのプチプチとした食感が舌に楽しい。 あっという間にコップも小鉢も空っぽになっていた。 「いける口だねぇ、若(わけ)ぇの!」 「こいつはこう見えて同年代じゃ有名なザルなのさ。もっとも、同期の連中はもう数えるほどになっちまったがなぁ。」 先輩の口が「しまった。」と動いた。店内に重苦しい雰囲気がのしかかる。無理もない。先の大寒波戦役、序盤こそ優位だった王国軍だが、後に彼等は大損害を出し、氷河とともに敗走したのだ。死者は数知れない。それも新兵の死者ともなると…。 見かねた大将がヘラで鉄板を叩いた。 「さぁさ、今日の主役だ。王国からの持ち込み品がどっさりあるんでい。景気よくいきましょうや。しっかり喰わねぇと明日の任務も乗り越えらんねぇですぜ?」 潤んでいた目をゴシゴシこすり、「奢りだ。」と大将が出してくれた高級コケムギエール《マルダルの雷鳴》を三人で乾杯し、再び店内は宴に戻った。 「で、おやじ。今日はどんなごちそうを喰わせてくれるんだ?屯所の身のうっすい魚と豆がはいった味がしねぇスープや増量堅焼きパン、くそほど堅くて塩っ辛い干し肉にはもう飽き飽きしてるんだ。」 同意を表すように後輩も強く首を振る。 軍務大臣が変わってからというもの、復興費用と新要塞建築費に圧迫されて軍隊の財政事情は悪化。補給の末端に当たるここマルダル諸島では、まずい飯を作るために便所の紙にまで困窮するという有様だ。 ゆえにこうしたバラック飲食店が兵士の心を満たすオアシスとなっているのだ。 「驚くなよ。今日のメインはこいつだ!」 そう言って取り出したのは油紙に包まれた弾薬箱ほどの塊だった。 ゆっくりと紙を押さえる紐をほどいてゆく。 「おい、まさかそいつは…。」 軍人二人の喉がゴクリと鳴る。独特の臭み、間違いない。彼等が喉から手が出るほど欲している物がそこに鎮座していた。 「「ヴェー肉だぁぁぁぁ!!」」 「し――――っ!声がでかいぜ、お客さん。ボロ屋が潰れっちまう。」 「すみません。しかし、食品の国外流通は軍によって厳しく管理されていたはず。肉類は特に。それをどうやって…。」 驚くのも無理はない。戦争が終わって以来、国の支援物資や軍需糧食以外の流通はたとえ個人の持ち物であっても厳しく制限されていた。しかし、目の前にあるのは紛れもないヴェー肉。それも脂身たっぷりのかなりの上物を塊で、だ。 「なぁに、王国時代からの友人が気を利かせてくれたのよ。若い方は知らねぇかもしんねぇが戦争前は王国、しかも駐屯地の真ん前で居酒屋をやってたんだぜ。ちったぁ顔も広いってもんよ。」 「なるほど。で、それどうやって食べるんです?個人的には厚切りのステーキで…」 言うが早く、今すぐにでも肉にかじりつきそうな勢いで身を乗り出していく。 火を入れ始めた鉄板の上につんのめりそうになって、あわてて先輩が肩口を引っ張った。 「まてまて、そうがっつくなって。肉は十分にあるんだ。俺の今月分の給料叩いてでも全部俺たちで喰ってやるさ。それにこの店は《ふぉうこのみやき》の店で、おやじの腕は一級だ。万が一にもハズレはねぇって。」 「ほぉー、うれしいこと言ってくれるじゃねぇの。お前さんと俺の仲だ。まけといてやるよ。」 「さすがおやじ、わかってるぅ」とばかりに腕を打ち付け合う二人。 しかしそのノリノリの雰囲気を完全に素のテンションの声が遮った。 「あの~、《ふぉうこのみやき》ってなんですか?」 先輩はついていた頬杖を思わず外した。 店内にカウンターに顎を打ち付ける鈍い音とうめき声が響いた。 ***** 「まさかお前が知らなかったとはなぁ。」 打ち付けた顎をさすりながら先輩はナスの塩辛に箸を延ばした。独特の食感とエグみのある諸島の珍味で、海モロコシの焼酎との組み合わせは絶品だ。 「トウドコケムギ粉を使う料理さ。本国からの援助物資で大量に送られてくるあれは、諸島人には『フォウから来た粉』つまりフォウ粉って呼ばれてるってわけさ。」 「王国の食材を使うもんだからてっきり軍人さんの方が詳しいもんだと思ってたんだけどなぁ、確かに諸島に入ってきてから発展はしたが…。まあいいや。この料理はお客さんの目の前で作るもんだ。よく見て覚えれば駐屯地の飯も多少はましになるだろうよ。」 大将は口を動かしながらもテキパキと材料を調理台に出していく。 「よっ、鉄板おやじの3分クッキング!」 「3分で作りたきゃお前さん達も食材刻むの手伝いな!」 先輩の妙な導入で調理が開始される。 ***** 「まず、食材を刻んでいく。おい、若(わけ)ぇの。お前さんは雪下球(ゆきしたきゅう)菜(な)をこのザル一杯にみじん切り、そこの飲んだくれはネバリ芋をすりおろせ。俺は魚介系を片づける。いいかぁ?調理場は戦場だ!もたもたしてっと捌いちまうぞ!」 瞬く間に食材が揃ってゆく。(このとき先輩は除隊後に料理屋が開けると確信したという。) この料理の根幹を担う雪下球菜。ふっくらとした食感に仕上げるためのネバリ芋。その他タネ違いに使う青ネゴは小口切り。トウド人(じん)根(こん)は千切り。豆(とう)芽(が)は洗って水を切る。パン海綿の麺を二玉。マルダルヤウデはぶつ切り。ナスは短冊。ワリウネクルウチワ貝の貝柱は半分に。そして今日の主役、ヴェー肉は油多めの部分を薄切りに。 一通り食材が整うと大将はボウル代わりの鉄兜(終戦時に大量に放出された)を持って解説を始める。 「鉄兜(ボウル)にフォウ粉(トウドコケムギ粉)、パルエウオの煮干しでとっただし汁、風見鶏の卵、雪下球菜、紅ショウブ、干したヌマチウラシロエビ、揚げたクラックの実をいれてよく混ぜる。雪下球菜以降の食材は手に入りにくいかもしんねぇから、そこは臨機応変に対応してくれ。そうだな…。クラックあたりは水で溶いたフォウ粉を揚げれば代用できるかもな。」 「ヌマチウラシロエビは穀物庫で湧いた虫あたりが妥当かもしれません。」 サラッと恐ろしいことを言ってのける後輩に先輩は眉をしかめたが、後日「揚げて食べてみたらまんまソレだった。」と語っている。 「タネの準備はこれでいいだろう。」 熱した鉄板に刻んだヴェーの脂身と諸島の家庭的植調理油である海モロコシ油を広げる。それだけで既にたまらない香りがしているのだが、調理はまだ始まったばかりである。 油でテカった熱々の鉄板の上に先程混ぜた鉄兜(ボウル)の中身を広げていく。 「薄すぎず、諸島スパイの面の皮ぐらい分厚く広げるのがポイントだ!」 大将の言葉に二人の兵士も憎たらしきスパイへの悪態をつきながら大いに同意する。愚痴を言いながらの酒のうまいことうまいこと。あっという間に徳利が空になる。 次の酒を出してやりながらも大将の手は鉄板の世話をすることを忘れない。 広げたタネの上に薄切りにしたヴェー肉を広げ、裏の様子を見て適宜ひっくり返していく。 一瞬音が消え、鈍い落下音と蒸気とともに肉の焼ける音と匂いが兵士達のすさんだ心を満たしていく。 「おい おやじ、そいつはなんだ?」 先輩の指さす先には4つの瓶が並んでいる。一つは戦闘機のエンジンに詰まっている機械油のような飴色の液体。もう一つはメヌキ鶏(俗称アーキル兵:頭についた鶏冠と群れで行動するところ、そして間抜けなところが似ているのだという。当事者のアーキルにとっては失礼な話である。)の卵が饐えたような匂いのするどろりとした液体。3つめは鉋屑のような何か。そして最後の瓶には乾燥させたコケ?のような物が詰まっている。 「おっと、こいつは企業秘密だ。いくらお前さん達といえどもハッキリとしたレシピはおしえらんねぇなぁ。」 大将はそう言って瓶を手で遮った。 「ヒント!せめてヒントを!そうじゃないと屯所の飯が改善できなくて僕たち栄養失調になっちゃいますよぉ。」 後輩はどうにかして手がかりを得ようと必死だ。本気で屯所でもフォウ好み焼きを作る気のようだ。 あまりにもしつこいのでとうとう大将が折れた。 「そうだなぁ、じゃあこいつのいっちばんキモとなる部分だけ教えてやる。こいつは野菜くずを煮込んだソースだ。材料は何でもいいが、葉物と根菜、果物をバランス良く入れることが大事だ。後は自分の舌で覚えてくんな。分からなくなったらいつでもここに来て飯食いに来りゃあいい。」 大将の最後の言葉に後輩は感動したように激しく首肯したが、先輩の方は 「へっ、ちゃっかりしてらぁ。」 と酒をあおった。しっかりと金を搾り取る魂胆が丸見えの清々しいほど商魂たくましいオヤジである。 そうする間にも鉄板上の美味しそうな円盤は完成へと近づいてゆく。 もう一度ひっくり返すと、鉄板との間に閉じ込められていた香ばしい香りが、二人の兵士の腹を鳴らした。 「仕上げだ。」 大将は瓶の蓋を取ると手早く、しかし丁寧にハケを動かした。 茶色、次に白、緑、最後に鉋屑のような何かをかけると香りとともにわらわらと踊った。 鉄板を前に箸を構えた腹ぺこ二人が大将の顔を見やる。 「完成だ。」 大将はニカリと笑うとヘラを突き立てて円盤を二つに割った。 故郷の薄焼きパンのような形をしながらも、圧倒的なボリューム感と食指を誘う濃厚な香り。 これこそがフォウと諸島の材料によって完成した両国融和の混ぜ焼き料理「ふぉうこのみやき」なのだ。
https://w.atwiki.jp/flightglide/pages/466.html
腹を満たせば酒が進む。酒が進めばつまみが欲しくなる。つまみを食えば酒が進んで…ともはや永久機関のように飲み食い続ける軍人二人。 店にやってきたときは数年使った雑巾みたいな顔面をしていたが、美味しい酒と料理は腹と同時に心も満たし、いつしかほっこり顔の酔っ払いが二人。 酔えば口は回り出す。 上官に対する愚痴から始まって、諸島連合軍の悪口、色話、軍内部の噂話、空中給油機や対戦車兵器をネタにした猥談等々…「吐き出して気持ちの良くなるモノはゲロでも言葉でも体に良いモノだ」ということはクルカでも知っているのだから人間様もやらねば損だとばかりに何でもかんでも話し出す。 買い占めたヴェー肉が極厚のステーキになる頃、その話題は先輩の方から切り出された。 「そういえば、あの美人さん。なんて言ったっけか、えーと…。」 軍内部の有名な美人は幾人かいる。日照時間の少ない雪国特有の白い肌、上気した頬、厚着に似つかわしくないすらりとした身体つき、防寒帽やヘルメットから覗く横顔は美人神話をさらなる高みへと押し上げていた。 アルコールでユラつく頭でしばらく考えて、一息ついてようやく思い出したといった体で話し始めた。 「そうだ!銀狼のお姫(ひい)さまだ!あんなに美人で近衛の機械化騎兵の最精鋭の隊長だってんだからたいしたもんだよなぁ。俺は(おらぁ)戦場のど真ん中で一度見たっきりだがありゃぁ言い伝えにある戦乙女そのもんだった。あの姫さんが来なけりゃ俺達の部隊は全滅してたに違ぇねぇんだ。ホントに、あのお姫(ひい)さまは女神様も同然よ。」 先輩がうんうんと満足そうに頷いている。 「銀狼の姫君はこっちでも有名ですぜ。」 付け合わせの潰し芋を作りながら大将が声を上げた。 「なんだ、おやじも知ってるんか?」 「あったりめぇよ!美人で強くてオマケに優しい。戦場を駆け抜ける一陣の春風。諸島人の間で彼女を題材にした小説が書かれるくらいにはとんでもねぇ人気さだなぁ。」 「あのお姫(ひい)さまは私も見たことがあります。負傷兵と若年兵ばかりでろくな戦闘もできない私たちの部隊に来援してくれて声を掛けてくれました。あれだけ苛烈な戦場で一人の戦死者も出さないといわれる銀狼部隊を率いるべらぼうに強い女がいるって聞いてたんでてっきり皇国人みたいなゴッツいのが出てくるかと思ってました。」 後輩は思い出してうれしそうに笑う。 「私もこんなへんぴなところじゃなくってあの方の下(もと)で働けたなら…。あの方のためなら死んでもいい。言葉を交わせれば…それはもう…。」 恍惚とした表情で理想を語る後輩。どうやら口に出ていることに気がついていない。 何事もなかったかのように目の前の肉にかじりついた。 「こいつすっかり惚れちまってらぁ。」 シンプルな味付けでヴェー肉の脂の甘さを楽しみながら、海の樹葡萄ワインの赤を煽っていた先輩が後輩をからかう。 「んーーー!んーーー!」 こちらも口いっぱいに弾ネゴとオオニオイ玉のソースをまとわせた肉を頬張っていた後輩が言葉にならない声を上げ否定しようと首を振っている。 「まあまあ、オめぇさんも年頃だ。そういったことに興味を持ったって不思議じゃねぇさ。確かに銀狼のお姫(ひい)さまはとんでもねぇ美人だ。色恋の噂すら立たねぇ純潔の乙女だ。だが、それが守られてるのは何故だ!? それはあの王国随一の脳筋豪傑集団、泣く子も黙る近衛重装装甲騎士団が親衛隊(ファンクラブ)と称して周囲を固めてるからだ!断り無く手紙の一通でも出してみろ!不名誉な二階級特進が待ってるぞ!」 上品なヴェーの乳で作られたバターを使ったクリームソースをボイルした槍茎につけながら先輩は早口でまくし立てた。 重装装甲騎士。それは王国最強の歩兵集団にして脳筋。パワーが全てを解決するタイプの戦闘を専門に行う攻防一体の鎧武者。初戦の氷上の狼作戦では銀狼にエスコートされたジェット推進突撃兵員輸送車で氷に閉じ込められた諸島軍艦にとりつき、一小隊で各一隻の戦艦を完全制圧したという重機関銃と戦斧の狂戦士(バーサーカー)。皇国人とタイマンを張れるとまで噂される一騎当千の変態達がかのお姫(ひい)さまに命を捧げているのである。 「そんなこと知ってますよ!事実私は睨まれたことがありますもん!」 余ったヴェー肉をトウドコケムギの薄焼きに挟みながら後輩も言い返す。 ……何故睨まれたのかは彼の名誉のためにここには記載しないでおくとしよう。 「もう既に想い人がいるってのは?」 大将が聞くが二人の回答は 「「まっさかぁ~」」 というものだった。片方は本気でそう思っていて、もう片方には多分に願望がふくまれているようだったが…。 「それにしても、どうしたってあの鬼騎士共がそこまでのことをするんで?王国軍の他の美人にもファンクラブこそあれ、あそこまで強固なガードはいないでしょうに。」 大将が〆のイヨチク汁を作りながら不思議がる。 確かに銀狼のお姫(ひい)さまに対するガードは不自然なほどに強固だ。お姫(ひい)さま自身、圧倒的戦力であることに違いは無い。英雄として、兵士達のいや、国民の人気も高く、誰かのものになることがあれば士気に関わりかねないのも分かる。 それにしても強固すぎる。 「ゑ?だってそりゃホンモノの姫様だからでしょう?」 「「ゑ?」」 店内の空気が音を立てて変わった。 ***** 「噂、知らないんですか?先輩遅れてるなぁあ」 酔っ払って態度がでかくなった後輩が先輩に絡む。むさ苦しく鬱陶しい絵面だが大将と先輩はかまわず話を続けさせた。 「えーとね、確定的な情報って訳じゃぁ無いんですがね、あー、銀狼のお姫(ひい)さま!王族のしきたりで軍務経験を積むために配属された第三王女殿下ってな噂が立ってるんですよぉ。軍属の王族、それも直 「ちょっと待ってくだされ、第三王女って失踪扱いになってるんじゃないんですかい?俺が王国で店やってたのは戦争前だから対外的な情報以外は仕入れられてねぇんですよ。食材仕入れるのとは勝手が違うもんで。」 大将が遮った。確かに国外に対してはそのように報じられていたのだと記憶している。それが欺瞞であったことがここで証明されたのだ。 「まあいいや、話を続けますよぉ?直系の王位継承権持ちってノはデスね。後方に配属されたりするのが普通なんですよね。寒波攻勢中沿岸要塞にいた兄君の第二王子なんかが良い例ですね。でも(ヒック)お姫(ひい)さまは王族の中でなんというか、疎まれてるみたいで…、先の戦役で証明されたとおりそりゃ、実力はもぉホントに申し分ないんですがね!それで未だに東方鉄壁区(オクシデア)に駐屯してる機械化騎兵銀狼中隊に身を置かれておられるってな具合らしいんですよぉ。」 完全に悪酔いに片足を突っこみつつある後輩が回らない呂律と頭でゆっくり話した。 「あぁ!これ秘密ですよぉ?万が一アタシから洩れたとバレたならば二階級特進しちまいますからね!」 「おうおう安心しなされ、どうせここにいるのはそんな情報持ってても役に立たない天下一の料理人と、不細工な飲んだくれだけだぁ!」 大将が高級イヨチク酒『スカイバードの泪』を引っかけながら豪快に笑った。先輩も憮然としつつも杯を伸ばしてわびの一杯を要求している。 「なるほど、それじゃ変な虫がつくのは御免ってわけだ。仮にもほんとだとしたら王家の血を引く人間。戦場で死ぬにしてもあんまりに有名になりすぎたな。」 酒を飲んで満足した先輩がしみじみと言った。王族というモノの面倒な複雑さをかみしめているような顔だ。 「それにしてもお前(めぇ)さんよくそんな情報を仕入れたなぁ。そんなことしらべてたら二階級特進が早くなるんじゃねぇんかい?」 大将は目の前の若者を信じられないモノを見るような目で見ている。 「チッチッチ、お姫(ひい)さまファンの愛の力、なめてもらっちゃぁ困りますぜ?」 調子に乗った後輩が胸を張る。その姿はラオデギアにいるという好物家『ヲターク』と変わらないモノだった。 ***** 最後に今日の食材の切れ端とイヨチクをいれた雑煮(ざうに)、諸島の一般家庭では毎日のように食べられるのだというイヨチク汁がアルコールで痛めつけられた喉と胃を優しく撫でた。 「うんまい料理だった。勘定はここに置いとくぜ。」 すっかり平べったくなった財布を叩きながら、しかし顔は非常に満足そうに先輩は笑った。 「今日は重大な戦果もあったしな!」 ヴェー肉のことかそれともふぉうこのみやきのレシピのことか、と後輩は頭の中で考える。 この街で生きる楽しみが少し増えた。また食いに来よう。 そう心に決めて大将が土産にと渡してくれたイヨチク酒の瓶を固く抱く。 そしてありったけの感謝と共に言い放った。 「ごちそうさまでした!!!!」 『ジリジリジリリリリ、ジリジリジリリリリ、 ちょうど店内の電話がなったのはそのときだった 「すまねぇ、多分いつもこの時間に掛けてくる客でさぁ。真夜中の出前を頼むたぁ迷惑な客なんだが、常連なんでね。見送りはカウンターの中からで勘弁してくだされ。」 「良いってことよ!また来るぜ!」 そう言って二人の軍人は店を出た 店を出てすぐに先輩は 「ちょっくら煙(タバコ)買いに行くから先に帰っててくれ。」と商店街へ消えていった 腹も心も満たされた帰り道。 いま諸島のスパイに何かされたって絶対に気づくことはない。上官にだって殴りかかれる。そんな幸せな気分だった。 ***** 「はい、ふぉうこのみやき屋、はい、はい、ええ調子は良いですよ。今日はとっておきの品が入ったんでさぁ。」 客と愛想良く話す大将。 しかし、その様子にはおかしな点がいくつもあった。 出前の注文だというのに鉄板は火を落とされ、きれいに掃除されたその上には古ぼけたノートが一つ。 そしてそもそもバラック小屋に電話なんてものはなく、店の奥から引っ張り出されたのは背負い式の軍用無線機だった。 「ええ、あ、もう良いですね。こちら42号。ええ、そろそろ引き払いますよ。辞令は受け取りました。ええ、ひつような情報は得ました。これでもう少し王国の物資輸送に干渉できそうです。はい、いえいえ、私一人の手柄じゃありませんよ。ええ、ありがとうございます。あぁ、そうそうそれから…」 大将だった何かは一呼吸置いて言った。 「行方不明だった第三王女(国防懸案事項)の居場所が判明しました。内政にも優秀な人材です。しかるべき対処を。」 ***** 後日、後輩の元に監察官がやってきた。罪状は機密管理違反とスパイへの加担。 彼は自分の他にもその夜に飲んでいた先輩がいると主張したが、査問委員会の回答は冷酷だった。 「そんな店は存在していないし、君の小隊に君より年長の兵員など存在していない。」と。 この事件により王国軍はスパイの一斉摘発に乗り出すことになるがそれはまた別のお話。 後輩は懲戒退役後、フォウ側のふぉうこのみやき第一人者として民族史に名を残したという。 銀狼の姫が本当に第三王女であったかどうかは誰も知らない…。
https://w.atwiki.jp/hebinotomo/pages/8.html
れもん
https://w.atwiki.jp/yurupedia/pages/2393.html
茶のみやきんじろう 携帯画像 都道府県 静岡県 肩書き お茶のまち掛川キャラクター 公式サイト http //www.city.kakegawa.shizuoka.jp/city/profile/character.html 解説 報徳のまち掛川ゆかりの二宮金次郎をモチーフに、手には掛川茶の本を持ち、絶えず掛川茶のことを研究している男の子。お茶の新芽「一芯二葉」のちょんまげと、大好きな深蒸し茶色の着物がチャームポイント。 攻略難易度 ★★★中。掛川市のイベントにて。 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報
https://w.atwiki.jp/uraeriicu/pages/61.html
男優(加藤鷹) かうぱみすい(ThePaper) ベノア(紅茶) あすか あいもん 豚の婚約者(はがっちゃ) 九条蜂恵(サンデーサイレンス) Ryo(【Ryo】) さくにゃん(十六夜 朔夜) 豆(豆っち@せろれんじゃー茶) ティリアス(ティリアス・フェニックス) 大輝(横山大輝) †NARUTO† ピークソ(ピークン) エックスワイアイ(XYI) マキリ グラン SENNA かあねん たまにぃ(やまた2号) ごんた 転売神(稲妻) 杏珠 ジナ@せろれんじゃー闇 -SHIN.- 沢田綱吉@ダメツナ(あたまか) 虚空 ω(オメガ) 増えてきたので分割します→えりいく有名人 その3
https://w.atwiki.jp/uraeriicu/pages/16.html
有名人。古参~新参まで誰でも知っている方々 えり いく 禿(SOPHIA) けい(柊 慶) 熾天使 裂罅Ⅹ暁(高橋様) 椿鬼 ナコト(ナコトとモルの神隠し) イワン・ウィスキー 相良(さがっちゃ@副店長) ゴロン(泰悟崙) ロビータ はる坊(KHはる坊) まなびs(まなび) パウロ(パウロ2世) Chon-you(hon-you) ひすい 豚(女王様@昔も今も暴走中♪) 柳 とよよん(灯夜) (´・ω・`) (“永遠”) 汚駄(おだ) 大将 クリコメ職人(ライチ) くま坊(KYくま坊) tbbn(罪人たびびん) 包茎(やぁゃ) ☆K-STYLE☆(桜見参) 増えてきたので分割します→えりいく有名人 その2
https://w.atwiki.jp/asamikuchisaki/pages/99.html
うつのみや お うみのおや うのみつお きし うつのみやしおき こな うつのみやなおこ か うつのみやか ち うつのみやちか いさ うつのみやかさい くし うつのみやしかんく けな うつのみやかげつな こた うつのみやたかこ しひ うつのみやひがし あきた うつのみやたかあき き うみのみつき え うつのみやえき な うつのみやきんつな お うつのみやおきつな ま うつのみやまき ゆ うつのみやゆき おし うつのみやしおき そは うつのみややきそば あかた うつのみやたかあき こ うつのみこ おな うつのみやなおこ かた うつのみやたかこ はる うつのみやぱるこ とま うつのみやまこと し うつのみやじんじゃ★ うつのみやし け うつのみやけんじ な うつのみやしげつな いさ うつのみやしけいさつ す うつのみやずし た うつのみやただし ち うちのみやじんじゃ★ ら うつのみやらし り うつのみやしりつ あい うつのみやあいしー おき うつのみやしおき いな うつのみやしない かく うつのみやしかんく かひ うつのみやひがし くゆ うつのみやじゅく くよ うつのみやしやくしょ とも うつのみやもとし た うつのみやたみ い うつのみやいんたー うつのみやだい かく うつのみやだいがく くれ うつのみやれんたいく し うつのみやただし か うつのみやたかし さ うつのみやさだし な うつのみやただつな か うつのみやたかつな さ うつのみやさだつな わ うつのみやたわー かこ うつのみやたかこ さす うつのみやさだやす さひ うつのみやさだひさ あかき うつのみやたかあき えすふ うつのみやふぇすた て うつみてつや え うえのてつや め うめみやてつ いち うつのみやてついち な うつのみやみつつな★ うつのみやみなみ うみのつなみ き うつのみやきんつな お うつのみやおきつな す うつのみややすつな た うつのみやただつな か うつのみやたかつな さ うつのみやさだつな り うつのみやなりつな うつのみやのりつな よ うつのみやよりつな いし うつのみやしない おこ うつのみやなおこ かけ うつのみやかげつな くに うつのみやくにつな さひ うつのみやひさつな さま うつのみやまさつな しよ うつのみやよしつな ちも うつのみやもちつな とひ うつのみやひとつな とも うつのみやともつな うつのみやもとつな ひろ うつのみやひろつな ふま うつのみやまなぶ ふゆ うつのみやふゆつな ね うづみねのみや すむ うつのみややすむね うつのみやむねやす は うつのみやはつ ち うちのはやつの ま うまのみつば きそ うつのみややきそば こる うつのみやぱるこ め うめのみや て うめみやてつ いよ うみのやよい こち うちのみつこ さふ うつのみやのぶふさ まゆ うつのみやまゆみ いさち うつのみやちさい いすせ うつのみやすいせい くとま うつのみやとくま さとる うつのみやさとる さまよ うつのみやまさよ すもり うつのみやものりす とまらる うつのみやとらまる x うみのやみ xあきしよ うつのみやよしあき xあきな うつのみやあきつな xあめ うめみやあやの xいはす うつのみやばいぱす xえすとも うつのみやともすえ xおきよ うつのみやおおきよ xかさねひ うつのみやかねひさ xかた うたつみやかた xかた うつのみやがた xかたわ うわつわたつみのかみ xきとな うつのみやときつな xく うのつぐみ xくさたに うつのみやさだくに xくほ うつのみやぼーぐ xけさしふ うつのみやしげふさ xさて うさみてつや xさとふよ うつのみやとよふさ xしひろ うつのみやひろし xてのふる うつのみやてるのぶ xてひり うつのみやひでのり xめ うみやつめ
https://w.atwiki.jp/uraeriicu/pages/89.html
新桜蝶月 シロ しおん お塩先生(LIV) コリア(CREA) クラハ まん汁(☆aуц☆) 碧の賢帝 マクレディー 独断と偏見で時々んぽんぽ ポンティアス(ぽんてぃあす) がぶ 石像 りょう まこと さぼてん君 デスペニス(デスピニス) ワラたん(ワラキアの夜) 時人 くおん(琥音) アキャ 鬼斬 NN wゾラw 餅(ユズ@せろれんじゃー餅) りくるーと BR桜舞 ハートマン軍曹 リョーネ(リューネ) 笹かま ΦΦΦバサラΦΦΦ なつき 増えてきたので分割します→えりいく有名人 その4
https://w.atwiki.jp/kisaiya/pages/1478.html
おこのみかふぇMoCo おこのみかふぇもこ 宇和島市朝日町のお好み焼き屋さん+カフェ http //www14.atpages.jp/ocmoco/ 営業時間 11 00~24 00(ラストオーダー23 30) 名前 コメント グルメ #bf
https://w.atwiki.jp/mercury_dq9/pages/33.html
このページを編集 やくそう キメラのつばさ 命のきのみ せいすい めざめの花 どうぐテンプレ まだらくもいと スライムゼリー きようさのたね うしのふん 上やくそう まほうのせいすい ゆめみの花 ちからのたね ちいさなメダル やわらかウール おもいでのすず グビアナどうか ふしぎなきのみ このページを編集